昭和51年(1976年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 3月10日
第 6号  3月10日
 

議 事 の 概 要
昭和51年3月10日(水曜日)
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第25号議案まで及び乙第1号議案から乙第34号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 上原亀一郎君(共産党)
    2 親川 仁助君(共産党)
    3 伊波 広定君(共産党)
    4 仲松 庸全君(共産党)
    5 中根  章君(社会党)
    6 崎浜 盛永君(社会党)
    7 友利 栄吉君(革新クラブ)
    8 安里 政芳君(民社党)
特別委員会の設置
予算特別委員会委員の選任
午後4時54分散会

○議長(知花英夫君) ただいまから、本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 一昨日までに受理いたしました請願1件、陳情19件は、お手元に配付の請願文書表及び陳情文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
○議長(知花英夫君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第25号議案まで及び乙第1号議案から乙第34号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団の一員として質問を行います。
 まず第1番目に、米軍パイプラインの撤去についてであります。
 本定例会は、開会冒頭で米軍パイプラインの即時撤去についての意見書を全会一致で議決し、この15日には代表団が上京することになっており、また知事も再三即時撤去の要請をなさってこられました。
 このような県民世論の大きな盛り上がりに押された政府は、米軍パイプライン対策について総理府審議室で政府部内の連絡調整を図りつつ、防衛施設庁、外務省が中心になって対米折衝を急いでいると報じています。
 それによると、米軍は、浦添市伊祖の20号バルブ以南の撤去には応じてもよいが、条件として1つ、那覇港湾の貯油施設を嘉手納基地やキャンプ桑江、あるいは牧港補給基地などに移設する。2つ、天願―嘉手納基地内の現パイプライン3本を増設することなどを要求しているということです。
 このような米軍の条件は、明らかに貯油施設、給油施設の集中、基地機能の再編強化を図るもので、全面撤去を要求する県民にとって断じて容認できるものではありません。
 そこで私は、質問に入る前に2つの重要な文書についてあらかじめ知事並びに副知事の注意を喚起したいと思います。
 その1つは、1971年6月17日、屈辱的な沖縄返還協定締結の際取り交わされた基地に関する了解覚書です。もう1つは、施政権返還の日の昭和47年5月15日に決定され、同年6月15日告示された防衛施設庁告示第12号です。
 この基地に関する覚書A表のいわゆる提供施設のリストには、パイプラインはなく、(注1)として、「日本国政府は、貯油施設を結ぶ合衆国の送油管、」「に関し、地位協定に伴い、合衆国軍隊による使用のため必要な措置をとる。」とうたっています。そして提供施設のリストでは、陸軍貯油施設は、キャンプ桑江第1及び第2貯油施設、金武湾第1、第2及び第3貯油施設、天願ブースター・ステーション、キャンプ桑江ブースター・ステーションとなっています。
 ところが、防衛施設庁告示第12号では、陸軍貯油施設の中身がすっかりパイプラインにすりかえられております。これは、県民を欺く重大なすりかえであり最大のペテンです。
 基地に関する了解覚書A表(注1)でうたった必要な措置とは、一体何だったのでしょうか。どんな措置をとったというのでしょうか。もし、防衛施設庁告示第12号そのものを必要な措置というのであれば、これはもう日本国政府の名に値しません。このような物騒な危険物を施政返還後も引き続き沖縄県民に押しつけるについて、国民の安全を守るための何らの必要な措置もとらずに、一片の防衛施設庁告示でもって貯油施設の中身を送油管すなわちパイプラインにすりかえたことは、県民にとってとうてい許せるものではありません。ここに、自民党政府の国民の安全を米軍に売り渡してはばからない売国的性格が如実に示されています。
 しかし、ここに解明しなければならない重大な事実があります。
 送油管に関し、合衆国軍隊による使用のため必要な措置をとるために告示された防衛施設庁告示第12号も、道路に係る部分を提供施設にするに至っていないということです。すなわち、米軍パイプラインの埋設されている土地の中で、道路に係る部分は提供施設になっていない。基地の網がかぶさっていないということです。
 このことについては、一般的に提供施設ではなくても米軍に係るアメリカの財産には、すべて国内法は及ばないという錯覚に陥りがちですので、確認しておきたいと思います。
 去る3月6日の代表質問において、宮良議員のパイプライン撤去の質問に対し、安里土木部長は、道路については特別に措置されていませんと、さりげなく答えました。提供施設との関係で、改めて明確に御答弁願いたいと思います。
 道路に係る部分が提供施設になっていない以上、そこに埋設されている米軍パイプラインは、単なる合衆国の特有財産で何ら条約上の保護を受けるものではなく、すべて国内法の適用を受けなければならない。しかし、提供施設でない県道に埋設されている米軍パイプラインは、道路法32条による占用許可も受けておらず、35条による占用協議も成立していません。
 占用協議についても、道路法32条2項の許可申講、33条の許可基準の適用を受ける以上、協議も許可も実質的に同じであり、米軍のパイプラインが許可基準に適合し得るものでない以上、今後においても許可できるものでもないし、協議が成立することもあり得ないことです。したがって、県道敷におけるパイプライン埋設は、何らの権限のない不法埋設、不法占用です。
 このことについて、知事の御見解を承りたいと思います。これはきわめて重大な問題ですので、副知事でも結構でございますからこの本会議の場で明快にさせていただきたいと思います。
 パイプラインの埋設されている県道は、1992メートル、1万7940平方メートル、指定区間外国道で3300メートル、2万9093平方メートルで、結局県知事管理の道路は、合計して5293メートル、4万7033平方メートルとなっています。
 知事は、まずみずからの権限と管理下にある道路に不法に埋設されている米軍パイプラインの即時撤去を、直ちに要求しなければならない時期にきています。撤去に応じない場合は、県有に係る県道については所有権に基づき、その他の占有地については、占有権に基づき妨害排除請求の訴訟を提起すべきだと思います。知事の御見解をお伺いしたいと思います。
 また、提供施設になっていない県知事管理下の道路に埋設されているパイプラインについては、当然消防法第3章の規定も適用しなければなりません。
 消防法は、その詳細を危険物の規制に関する規則にゆだね、同規則の中でパイプラインについては移送取扱所としてその位置、構造及び設備の技術上の基準の細密な定めを行っており、危険物からの安全に細心の注意を払っています。
 何よりも、パイプラインが消防法第11条に違反する無許可設置であり、第10条に違反する不法取り扱いである以上、第41条、第42条の罰則の適用を受けなければなりません。知事の許可を受けずにパイプラインを設置し、不法に取り扱っている米軍は懲役1年、罰金20万円の罪に該当し、これを容認するはおろか、米軍に代行し県民を危険にさらして省みない内閣総理大臣もしくは防衛施設庁長官も同罪です。
 また消防法は、第12条2項、第12条の2、第16条の6でそれぞれ移転命令、使用停止命令、必要な措置命令を下す権限を知事に授けています。
 米軍石油パイプラインは、もとより法令のいかんにかかわらず撤去さるべきものであり、知事もまたそのために御努力なさっておられるが、このような明白な危険が存在し、明白な法令違反があり、しかも知事の権限で措置できるものがある以上、知事は、民主的な選挙で県民が負託し、国家と国民が法律によって付与した権限を県民の安全を守るために断固として活用すべき時期にきていると思いますが、知事の決意をお伺いいたします。
 次に、石油パイプライン事業法が昭和47年6月25日、第68通常国会、すなわち沖縄国会での審議を経て自民党の単独賛成で制定されました。
 ところで、この法律は、第40条で石油パイプラインについて消防法第3章の規定の適用を除外しております。しかし同法は、いまだに石油パイプライン基本計画さえ策定されておらず、実質的に機能していないと言われております。しかし、40条による適用除外との関係で消防法による知事の権限に重大な影響が出てくるが、消防法と石油パイプライン事業法の関係についてどのようにお考えになっているか、お答え願いたいと思います。
 第2番目に、沿岸漁業の振興についてお伺いいたします。
 知事は、沿岸漁場整備開発事業の計画的な推進により、沿岸漁業の振興と経営の安定策を講ずるとして沿岸漁場整備開発事業費に9150万円を新年度予算に計上しております。これは、前年度当初に対し83%の増となっております。
 もともとこの事業は、昭和49年に制定された沿岸漁場整備開発法に基づき漁場の浄化、魚礁造成や増養殖造成事業を進めるもので、本来は50年度から長期計画が発足する予定のものが、総需要抑制を口実に1年おくらされていたものです。しかも今年度の概算要求の時点では、5カ年で総事業費2000億円であったものが、決定段階では総事業費は変えずに、期間を7カ年計画にと大幅に後退しております。
 この事業計画は、財政危機に苦しむ地方自治体や経営危機下の漁民が事業費の半額を負担することになっている点でも、さらに2000億円の事業計画と言いながら、初年度の事業費がわずかに55億円に抑えられた点でも目標達成にはほど遠いものになっております。
 そこでお伺いいたしますが、沿岸漁場整備開発計画の概要は公表されておりますか。これは、農林大臣の策定に係るものであります。
 次に、このように補助率が低い。ですから補助率の全体としての引き上げ、並びに本県においては特別措置を要求すべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。
 3番目に、沿岸漁場整備開発構想の年次計画第1年次分については、国が認めたのは全額であるのかどうか、あるいは認めなかったのはどれだけか。
 以上、3点についてお伺いし、あと再質問に移りたいと思います。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) パイプラインの撤去についてでございますけれども、県は、その都度御承知のように米軍当局や政府関係省庁にその全面撤去を訴えてまいっております。
 現在、国においては、関係省庁が協議してその撤去について米側と話し合っているようでございます。がしかし、県は、これが一日も早く撤去されるように今後も引き続き強く要求していきたいと考えております。
 なお、撤去について、最終的には関係法令によって知事に与えられた権限により対処することができるかどうかについても、これは検討いたしたいとこう考えます。
 なお、御質問がありましたいろいろの具体的な事柄につきましては、それぞれ関係部長に答弁をさせたいと思いますので、御了承ください。
○議長(知花英夫君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島 修君登壇〕
○渉外部長(大島 修君) 御質問のありましたパイプラインの問題について知事から説明がありましたけれども、私から補足いたしたいと思います。
 御指摘のように、復帰の際の日米間の了解覚書のA表に記されておりますのには、陸軍貯油施設というのがございます。さらに、47年6月15日の防衛施設庁告示第12号で告示された陸軍貯油施設があるわけですが、その中身に大きな差異がある、もしくはすりかえだと、こういう御指摘でございますが、確かにA表では、陸軍の貯油施設としてキャンプ桑江第1、第2貯油施設、さらに金武湾の第1、第2、第3貯油施設、そして天願ブースター・ステーション、キャンプ桑江のブースター・ステーションだけになっております。
 しかしA表の注書きには、先ほど御指摘のように、「日本国政府は、貯油施設を結ぶ合衆国の送油管、」云々と書かれまして、これは地位協定に従って合衆国軍隊による使用のために必要な措置をとると、こういうふうなことで、このことによって勝手に国がすりかえてそれを使用しているという御指摘でありますが、国といたしましては、同表の注書きに日本政府は、この油送管について協定に従ってこういう措置をとるという解釈に立っておるようでございます。
 ところで、A表の中に記されてない施設間を結ぶ油送管上の土地につきましては、昭和47年4月27日の防衛施設庁告示第7号で、沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律に基づいて米軍の貯油施設の用に供するために土地の区域が告示されておりますけれども、御指摘のようにその中でも道路にかかわる部分については除外されておりまして、いわゆる道路にかかわる部分はその告示の中には入っておりません。
 そこで、道路にかかわる部分につきましては、結局道路法が適用されることになりますが、その道路法に基づいて道路法32条、第35条、御指摘の条項によりまして許可、協議が道路管理者となされる必要になっておるわけでございます。
 そこで、パイプラインの道路占用については、国が行う事業になることでありますので、防衛施設庁と県の道路管理者との間の協議が必要でありますが、私どもが担当部から聞いたところによりますと、その協議は現在まで不成立のままになっていると、こういうことでございます。
 そこで法文上は、「協議すれば足りる。」と、こういうことになっておりますけれども、足りるとは言いましてもやはり道路管理者の意に反してこれは占用はできないはずでございまして、したがって協議不成立のままになっているということになりますと、米軍のパイプラインは現在法律的には不法占用物件になっているんじゃないかと、こういうふうに解釈されるわけでございます。
 次には、道路部分の以外については告示されておりますので、それは提供施設になっているわけでございますが、しかしパイプラインそのものは、いわゆる消防法などに定められた安全基準に果たして適合してすべてなされておるのかどうか、そこに問題があるわけでございまして、それがためにその安全措置が十分に講じられ、消防法に定められていることが万全にされておるとすれば、これまで枚挙にいとまがないほど起こった事故はなかったのじゃないかと。
 こういう事実からすると、このパイプラインは消防法に規定されている基準を守らずして放置されているがために、県民の生命、財産を脅かすようないわゆる不安な危険な状態にのみで放置されているということになるわけです。そのことは、やはり御指摘のように安保優先だとか、軍事優先のあらわれだと指摘されてもやむを得ない、指摘されるべきだとこう考えておるわけでございます。
 さらに、石油パイプライン事業法にそのままそれがストレートに適用を受けるべきか否かということにつきましては、関係部局ともよく協議をして検討を要することでありますけれども、少なくとも石油パイプライン事業法で規定されているような技術上の安全基準は当然守られてしかるべきものだと、こういうふうに考えております。
 こういうふうな観点から、県といたしましては、これまでパイプラインの即時撤去を強力に訴え折衝して抗議もし、要請もしてきているわけです。少なくとも即時撤去を訴えておりますけれども、その撤去ができるまでの間は国内法で定められた安全基準に基づいて万全な措置を講ずることだと、こういう要求をし抗議をして、現在まできております。
 今後も、そういう立場から強力な要請をしていきたい。さらに法律上の問題については、担当部局と十分協議をしてしかるべき方策を講じたいと、こう考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 知事からの御指示がございますので、水産関係は私の方からお答えをいたします。
 整備開発計画、これは沿岸漁場整備開発法の第3条に基づいてつくる計画でございますけれども、本年度から実施するということになっておりましたが、1カ年間延期されまして来年度からこの整備開発計画が実施されると。それは、現在案として提出されて各省協議中でございますので、近く各省との協議がまとまれば、各県の意見を聴取をして策定されるということになっております。
 ただ、延期された理由についてははっきり聞いておりませんけれども、当時公共事業関係の新規の長期計画については総体的に延期されたり取捨選択をされておりますので、そういった条項に入ったものと解しております。
 それから沿岸漁場整備の中で、特に補助率の問題がございましたけれども、これもその法律に基づきます事業はすべて公共事業として位置づけられておりますので、高額の補助が現在行われているわけでございます。
 いわゆる10分の5ないし10分の6ということになってはおりますけれども、御承知のとおりこの事業の規模が大きいために事業主体であるところの各市町村は、それぞれ裏負担の額が大きくなります。したがって、全国的にも国の大幅援助を要請をするということで、あるいはまた地方交付税または地方債の対象として国に機会あるごとに要請がなされておる段階でございます。
 県といたしましても、水産庁長官の来島の際は高率補助の要請もいたしましたし、なおまた沖縄、九州の水産関係の会議の場を通しましても同趣旨のことは国に要請をいたしております。
 なお、振興特別措置法にこの事業を織り込んで特別な助成ができるかどうか、今後検討する必要があろうかと、こう考えているわけでございます。
 さらに、整備開発構想と予算措置でございますけれども、確かにこれはわれわれとしては49年度に国からの委託事業でありまして、それを作成をして同年の10月に提出をされております。50年の8月に、修正がなされました。
 この構想は、開発計画を樹立する際に参考にするために作成をされるものでありますから、各県から提出をされた構想がそのまま通るということではありません。しかしながら沖縄が出しましたその事業の中身、いわゆる並み型魚礁の設置、さらには大型魚礁の設置、これは個所を5カ所出したわけでありますけれども、2カ所しか採択はされておりません。
 しかしながら、当然予算措置が下回ってはおりますけれども、規模から言いますと従来の2倍になっております。で、51年度については、開発構想に近い内容で国の予算措置がとられております。
○議長(知花英夫君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 パイプラインにつきまして、再度質問したいと思います。
 先ほどの渉外部長の答弁で、道路については、提供施設になっていないということが確認されたわけです。
 これは、先ほども申し上げましたように、この間の代表質問の際の土木部長の答弁でも明らかではありますが、しかしこのことは非常に重要であります。その辺がいままであいまいな面があって、県道敷にも県道についても基地の網がかぶさっているのではないかと。だから、国内法は手が届かないのではないかというふうなあいまいさが執行部内にも、あるいはまた県民全体としてもそういうもやもやがあったのではないかと。
 ですから、ここのところを明確にいたしまして、県道といいますと、知事の管理下にあるわけです。ですから、知事のこの権限に基づくものに対し、妨害する者に対しては断固として排除していくと。これがなければ、実質的において基地を認めたということにもなりかねませんし、また知事が政策的にそして県民の安全を守る立場から、いままで再三再四にわたって要求なさってまいりました。これをどこから突き崩していくかと。まず、みずからの権限の中にあるものから寸断していけば、このパイプラインというものが全体的な機能を失ってしまって、実質的な全面撤去につながってくると、こういうふうにも考えられます。
 ところが、もちろん米軍は、これは基地を維持する大動脈でございますので、いろいろ抵抗もあるでしょう。でも、われわれ県民にとってはこんな物騒な危険物を、きょうでもあすでも撤去させなければ県民は納得できないというのが全県民の考えだと思います。
 それともう1点、ここに指摘しておきたいことは、知事の権限下にあるものについて、もしいささかでもこれを遠慮するということがあるということになりますと、いつ事放が発生するかわからない。万一、県道において事故が起き、県民の生命、財産に危害が加えられた場合、知事の責任も問われかねません。
 そこで、先ほど申し上げましたもし即時撤去を要求して応じない場合については、断固としてこの県道が県有である場合は、所有権に基づく妨害排除の請求、それが借地の場合は、占有権に基づく妨害排除の請求の訴訟を即時提起すべき時期に来ていると思いますので、十分御検討なさってその措置をとってくださるようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 親川仁助君。
   〔親川仁助君登壇〕
○親川仁助君 私は、さきに通告いたしました事項について質問し、関係各部長にお答えを願いたいと思います。
 まず、沖縄ニット社の事業閉鎖、労働者全員解雇の問題について伺います。
 これまでの代表質問あるいは一般質問の中で多くの議員が取り上げましたように、失業雇用の問題は当面する県政の最も重要な課題の1つとなっています。しかし、それはひとり本県のみならず、程度の差こそあれ全国的な問題として国政の上でも重要な課題となっていることは申し上げるまでもありません。
 今日の本県におけるこの事態が、基本的には政府自民党の対米従属、大資本奉仕の経済政策の破綻がもたらした政治災害であることは明らかですが、自民党がこのことをことさら隠し、その責任の一切がCTSを初め第三セクター方式による北部開発など、すでに本土でその破綻が明らかとなった大資本本位の大規模開発に、屋良革新県政が積極的でなかったことに転嫁しようとすることは許されません。
 みずからの経済政策の失敗を何ら反省しないばかりか、ただ企業さえ誘致すれば万事解決するかのごとき主張が間違いであることは今日本県で起きている事態を見ても明らかです。
 いま、私がここに取り上げました沖縄ニット株式会社など繊維産業は、公害のない労働集約型の産業として積極的に産業開発資金を融資し、誘致され期待された産業の1つです。
 ところが、ドル危機と円の切り上げ、日米繊維交渉、外国からのコスト安の繊維製品の進出など、これら一連の政府自民党の施策は、わが国の繊維産業に致命的打撃を与える結果を招きました。操業短縮や事業閉鎖、企業倒産の続出は、いまなお記憶に生々しい事実であります。
 そういう状況のもとで沖縄ニット社でも、1974年7月、76人の労働者の解雇をめぐり、一方的に労働者に犠牲を強いる合理化に反対し、労使の紛争がこれまで長い間続きました。しかし、この紛争も和議の成立によって、この2月をもって全員職場に復帰するなどの合意が見られるなど、やっと解決したかに思われました。
 ところが、同社の親会社である南株式会社の本部シーサイドホテルヘの投資5億円の不渡り発生などがあって、沖縄ニット社は事業閉鎖のやむなきに至ったとして、去る1月20日付をもって全労働者の解雇を通告してまいりました。
 この経過からしても明らかなように、繊維産業の危機をもたらした国の経済政策の失敗、追い打ちをかけた海洋博関連倒産とも言える状況など、単なる労働争議、労使の間で解決すべき問題としては片づけられないものがあります。だからこそ、沖縄ニット労働組合は、一方的に労働者に犠牲を強いる事業閉鎖に反対し、職場を確保するため国と県の強力な施策を要求しています。
 そこで、次のことを伺います。
 1つ、県は労働者の要求にこたえ、国の出先機関すなわち総合事務局の関係機関とも合議し、問題解決に当たる意思があるか伺います。
 質問2、組合は県に対し、事業閉鎖に反対して職場を確保するために経営危機打開のための融資あっせん、産業開発資金、公庫資金の返済繰り延べそのほかの対策について要求しているが、どのように検討されたか伺います。
 質問3、県は企業の経営者から事情を聴取し、会社の再建についていろいろ検討していると思うが、その見通しはどうなっているか伺います。
 次に、与那国町農協の再建対策について伺いたいと思います。
 今回の与那国町農協の不祥事件は、新聞でもいろいろ報道されており、組合員や町民に大きな不安と動揺を与えました。いずれ、事件の全貌については取り調べを待って明らかにされるとは思いますが、心配されていた製糖工場も去る6日から操業の運びとなり、関係各団体、県担当部局の労を多とするものであります。
 ところで、私が現地から那覇に出てきた人に聞いた現地の状況でありますが、単に製糖工場の操業の問題だけでなく、町民の生活全般にわたって深刻な影響を及ぼしているようであります。
 農協の購買、販売、信用事業など農協事業そのものが島の経済活動の中枢的役割りを果たしている与那国町では、農協の機能の停止は大げさに言えば島の経済活動の停止を意味し、直ちに町民の生活に影響することは容易に予想されることです。現に石垣市や那覇市の高等学校、大学などに子弟を就学させている家庭では、農協の預金が引き出せず、学資の送金にも大変困っていると聞いています。
 また、昨年の2期米の代金もまだ生産農家に支払われておらず、設備、営農、生活資金など組合員が農協から借り受けた金の借用証書もすべて県信連の方に引き上げられ、今期キビ代から借金が差し引かれるのではないかと農民の間にささやかれ不安を抱かしめていると言われております。
 また、さきに新聞でも報道されました東京からの援農隊67名の一日当たり3000円の手当ても1カ月にわたって支払われてないとのことです。
 こうした情報が事実かどうか。現地の状況についてはすでに調査しておられると思うので、その状況を伺いたい。同時に、農協の事業や活動が一日も早く機能を回復するよう県はどのように指導し対策しているか。また、なぜこのような不祥事件が起きたのかもあわせて伺いたいと思います。
 次に、消費者運動の育成強化、特に農業協同組合と生活協同組合の事業の提携、これについての知事部局の対応の仕方について伺いたいと思います。
 本県における消費生活協同組合運動は歴史も浅く、他府県に比べて大きく立ちおくれていると言われています。しかし、関係者のたゆまない努力によって昨年10月には、県内の9つの単協を結集して沖縄県消費生活協同組合連合会が結成され、また各地域や職場における組織活動も活発化し、質量とも大きな前進を遂げつつあります。
 酪農家との提携、産地直送の純生乳の供給が始められ、安くておいしい100%生乳として消費者からも喜ばれております。また、医療生活協同組合の139ベッドを持つ病院もこのほど落成し、勤労県民の健康を守る上でも大きな役割りが期待されています。
 知事も、こうした生活協同組合運動を重視し、51年度の提案事項説明の中でも、「消費者の利益を守り、真に豊かで健全な消費生活の安定と向上を図るため、」「消費生活協同組合の育成等の施策を進めてまいります。」と、述べています。
 こうした知事の政策や方針が、知事部局全体として完全に周知徹底し、日常の行政運営の中に貫かれなければならないことは当然です。しかし、現実にはこの当然のことが必ずしも知事部局全体として十分に理解されておらず、県政運営の上で大きな弱点となっていると私は考えています。
 知事の政策を正しく展開し実践するために、こうした弱点をきっぱりと克服することは、これまで築き上げてきた革新県政を引き続き維持し、発展させるためにどうしても必要であると私は確信いたしています。
 そういう立場から、私はあえて次のことを質問することにしました。
 玉城村農協は、昨年12月に臨時総会を開き、組合員である酪農家の牛乳を集荷加工し、琉球大学生活協同組合、南部市民生活協同組合と提携し販売する事業計画を全会一致で決議いたしました。こうした農業協同組合と生活協同組合の提携による産地直送は、他府県では珍らしいことではありませんが、本県においては初めての試みです。
 玉城村農協では、当面日産8000本、5年後には4万5000本に引き上げる計画にしています。そして同農協は、加工施設の建設資金を公庫から借り受けるべく県の協力を求め、県は玉城村長あてにことし2月26日付で共同利用施設資金借り入れについての回答文書を送付いたしております。
 この一連の事務処理に当たって、知事部局内における連絡調整、知事の政策方針に対する理解など、さきにも述べましたように問題があると私は私なりに判断し、その弱点克服を願って、次のことを質問します。
 まず、農林水産部長に伺います。
 質問の1、今回の玉城村農協の事業計画、資金借り入れ要請については、畜産課、農林経済課はもとより、この事業の提携先である生活協同組合を所管する県民生活室など関係部局で合議調整すべきであるが、私の知る限りではきわめて不十分である。このことは、農協事業への理解や生活協同組合についての知事の方針などが全体として十分に理解されていなかった弱点のあらわれであると思うが、見解を伺いたい。
 質問の2、生産者である農協と消費者である生協が提携し、事業を進めていくことについて、部長は農協事業の発展を図る上からどのような見解を持っておられるか。また、本県で初めての試みである今回の玉城村農協の事業計画に対し、積極的に指導し援助する考えがあるかどうかも伺いたいと思います。
 質問の3、玉城村長あての2月26日付の回答文書は率直に申し上げて、関係者から反発されています。県が付した条件は、組合員の組合への加入脱退の自由を侵害するものとして受けとめられ、問題点として指摘した村全体の酪農家の同意による計画ではないとのきめつけは、総会の決議、理事会の決定などを無視したものとして反発が上がっております。
 しかしその後、双方の話し合いでこの問題については、お互いに理解し合えたと私は考えていますが、こうしたことも行政内部の横の連絡調整が不十分なために起きたと考えるが、部長の見解を伺いたいと思います。
 次に、生活福祉部長に伺います。
 質問の1、沖縄県生活協同組合連合会から51年度の予算措置についての要請が出ているはずであります。
 ところが、県が今回提案しました予算案では融資金として500万円、助成金として39万円、これでは連合会の要請にもこたえられないばかりか、他府県と比べてもきわめて不十分ではないかと思われます。
 生活協同組合を育成するために、補正の際に検討する必要があると考えるが、部長の見解を伺いたいと思います。
 質問2、他府県では、物価など県が設置する審議会、委員会に生活協同組合の代表を参加させ、その意見を反映させるようにしています。本県でもすでに連合会も結成されたし、こうした配慮が必要だと思うが、部長の見解を伺います。
 質問の3、さきに述べました農協と生協の事業提携について消費行政の面から、部長はこれをどう考えているか見解を伺います。
 また現在、琉球大学生活協同組合や南部市民生活協同組合が店舗や倉庫などの施設を計画しています。そうした生協の施設や運営について、資金の融資あっせん、土地の確保などに対する協力、指導、そういったものをなされる考えがあるかどうか、これも伺います。
 最後に、企画調整部長に伺います。
 これまで申し述べてきたことは、考えようによってはごくささいなことだとも言えないわけもないですが、しかし、知事の政策や方針が知事部局内で周知徹底されず、あるいは十分に理解されてないために知事の政策を展開し実践する上で一つの弱点となってあらわれた問題だと、私は考えています。
 こうした弱点を克服するために、どのような措置をとるか。つまり、執行部内部での知事の政策、方針の徹底をどのようにして進めていくか、これについて伺いたいと思います。
 一応、以上質問いたします。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 沖縄ニットの件についてお答えいたします。
 沖縄ニット株式会社はニット製造業でございますが、経営不振による事業場閉鎖ということで全従業員の解雇を行ってきております。
 この件につきまして、同社の労働組合の方から企業を継続いたしまして従業員の身分の安定を図ってもらいたいという趣旨の陳情を、県としては受けております。
 それで県といたしましては、会社側からも事情を聴取いたしております。その再建とかあるいは企業の継続などについても、検討を行ってまいりました。
 それで会社側の言い分としては、金融措置――融資の関係とかそういったのをめんどうを見てもらえるならばというふうなことでございましたので、その面について制度資金の活用ができるかどうか、あるいは銀行関係などの活用について可能かどうかの点などを検討してまいりましたが、同社の経営内容が悪いと。さらに借財も多い。同時に、再建計画も十分なものではないといったような事情などもございまして、なかなかその活用のめどが立たないというふうな現状にございます。
 しかしいずれにいたしましても、企業の育成あるいは雇用促進という立場から、今後とも御質問になった問題点などについて十分検討いたしまして努力をしていきたいと、このように考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) ただいまの御質問に対して農林水産部長からお答えをいたします。
 順序は不同になりますけれども、このたび起きました与那国の農協の不正事件につきましては、前にもお答えをいたしましたとおりでございます。
 なぜ、このような事件が起きたのかという問いでございますけれども、これも細かく申し上げる時間はございませんが、裏金として約3億ばかりの導入貯金がなされたと。何で、そんなに3億近い金が農協自体として必要であったかということにもなるわけでございますけれども、その辺のいきさつについては、それぞれの調書が出てくると思っておりますので細かく申し上げられませんけれども、その3億の金が一部事業の方に融資をされて、その取り立てが行き詰まってきたということでございます。
 したがって、そういうような状態に追い込まれて預貯金、いわゆる貯払いの停止が起こり、内部においては職員の給料の延滞までも起きてきたというような状況でございます。もちろん県としては、検査の結果その事情がわかって、前に申し上げましたように告発をしたわけでございます。細かい事情については、委員会等でもまた御説明をしたいと思います。
 これに対する県の対策でございますけれども、一応金の入り道をまずつくるということで、農協がかねがね西表製糖から譲り受けを約束されておりますところの製糖工場については、先ほどの御指摘のとおり操業を開始しております。しかしながら今後の再建については、再建委員会をつくりまして与那国町の町御当局並びに議会の方々の御協力を得て、これを再建する準備を進めているわけでございます。
 県といたしましても、中央会あるいは経済連、県信連等の極力の協力要請を出してございますし、なおまた現在、ああいう機能の停止したような状態の農協でございますので、一応はすべての預貯金については、信連を通して管理をするというような形で預貯金者あるいは地元農家の皆さんの信用回復に力を注いでいるわけでございます。
 なお、援農隊へ1カ月ばかりも賃金が支払われてないというような状況でございましたけれども、これについては直接県はタッチいたしておりません。ただ、県外から援農隊が入ってきたということは承知いたしておりますので、この取り扱いあるいは世話に対する要請については製糖工場との関連がございますので、特に経済連についてこの援農隊の支援についてはお願いをしてあるわけでございます。
 なお、主としてこれは町当局がめんどうを見るということになっていると聞いております。なお、キビ代からすべての借金を差し引くかということでありますけれども、これについては、県としてはそいういう指導はしておりません。キビ代は、あくまでも農家に返すと。返した後で農家との相談の上で差し引かれるものについては、そういうような状態のいわゆる相談の上での状態で差し引くということについては話してあるわけであります。しかしながら一応、農家にキビ代は返すということが基本でございます。
 なお、2期米の代金が支払われてないというようなこともございましたけれども、この2期米は事業がまだ完了しておりませんので、完了いたしましたら早速支払いをいたします。なお1期米の代金については、支払いがしばらく延びておりましたけれども、近く支払われるような形になっております。
 玉城村の酪農事業、あるいは生協に対する部長としての考え方でございます。
 もちろん内部においてこの文書が、玉城村から出てまいりましたいわゆる資金貸し付け、それからそれに参考資料といたしまして牛乳の処理施設計画書等が村当局から提出されたわけでございます。
 内部においては、当然御指摘いただきましたように関係のある部課との調整が必要であったかもしれませんけれども、その点はわれわれも反省をいたすわけでございます。
 しかし、農協事業に対する見解は前にも私申し上げましたけれども、いわゆる生産者が一つの事業を持つということはこれは確かに理想でありますし、われわれとしてもまたそういうような指導をいたしております。これは農産物の加工場、たとえばパインにしても、いまの生乳にしても、その他製糖関係にしても、できるだけ単協がそれだけの事業を持って積極的に農家へのサービスを還元していくということは当然なことでございます。
 ただ問題は、この中に書かれておりますいわゆる回答文書の指示でございます。これも御指摘いただきましたけれども、村全体の酪農家のいわゆる文書の末尾に玉城村農協牛乳工場計画の問題点ということで約6カ条ばかりの問題点を指摘をいたしております。その1番目に、村全体の酪農家の同意に対する計画ではないという文書が入っております。
 これについては、若干この文書のみから受けますところのイメージが舌足らずの点がございました。これも先ほど親川議員から御指摘がありましたように、この点についてはお互いに村当局と部との調整ができました。
 そういうことで、大変この文書の舌足らずであったということは私も反省をいたしております。
 なお、この生協なり、あるいはこういった酪農計画に対する援助をするかということでございますけれども、申し上げましたような基本線からして、農家がみずからこういった事業を行うということに対しては積極的にわれわれとしては援助もするし、指導も継続するわけでございます。
 そういった意味で、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
○議長(知花英夫君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 吉元嘉正君登壇〕
○生活福祉部長(吉元嘉正君) 生協関係につきましてお答えいたします。
 まず第1点目は、沖縄県生活協同組合連合会の方から、去る11月の7日に陳情を受けたことに対する対処策でございますが、御案内のとおり当連合会は、現在認可申請を受けて目下認可についての検討を続行しておる段階でございまして、正式に生協法に基づく組合連合体とはなっておりませんので、目下のところ融資等については非常に問題があろうかと思います。
 ただし、同連合会が持っておる問題点につきましては、私たち問題解消のためにいわゆる認可に当たっての条件整備のために強力なる指導助言をいたしておるところでございます。したがいまして認可された暁には、同連合会から申請のありました諸事項につきましては極力検討し、さらに予算執行の途中におきましても補正予算など検討していきたいと、このように考えておるわけでございます。
 第2点目に、物価問題等の協議会もしくは委員会等に協同組合及び連合会等の職員を参加させることについては御指摘のとおり賛成でございまして、今後この種委員会等が設立する際には御協力をお願いしたいと思っております。
 それから第3点目でございますが、農協活動と生協活動の連携の点における担当部長の見解でございますが、御承知のとおり消費生活協同組合は、組合員の生活の安定と向上を目指しまして自発的な生活協同組織として設立されているわけでございますから、協同組合が率先しまして消費者啓発活動を展開することはもちろんのこと、産地直結による共同仕入れ、あるいはまた地域におけるグループ購入などの促進には主体的に取り組むことはきわめて大切なことでございまして、また当然なことであるかと存じます。
 したがいまして、他の農産物及びその他の物資についても同様なシステムを採用することも大事なことでございますので、あとう限りその面の行政指導などをも続けていきたいとこのように考えております。
 それから第4点目の施設に対する融資あっせんまたは土地購入、あるいは土地の条件整備等に対する指導助言でございますが、御指摘の南部市民生活協同組合は去る3月7日に設立総会を持っておりまして、ただいま御指摘の玉城農協との関連における生乳プラント、あるいはまた直結方式による情報は十分にはキャッチしてなくていろいろな問題があったろうかと思います。ただし、先ほど申し上げましたような趣旨に基づきまして、施設の整備に対する融資につきましては現在貸付制度がありますし、また労金との間に協調融資の制度もでき上がっておりますので、そういったシステムを通しましてあとう限り融資のお手伝いをしていきたいと、このように考えております。
 それから他府県との関係でございますが、九州各県の現状を見ますと、福岡、大阪、長崎等につきましては2000万から、長崎などにつきましては2億などの貸付金あるいはまたその他の育成資金等が準備され、そして融資されておるわけでございます。ただし熊本、鹿児島、宮崎、佐賀等におきましては協同組合、生協組合の活動が非常に不活発なようでございまして、全くゼロに近いぐらいの数字しか上がってございません。
 したがいまして総括的に見ました場合に、一応制度としては融資制度、直貸しあるいはまた協調融資等の制度もでき上がっておりますので、制度的には他県並みの制度づくりは一応やっておりますが、財政等の都合で資金量、量的な面でまだまだ不十分な点があるわけでございますので、今後努力していきたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 親川議員の御質問にお答えいたします。
 まず知事の施策なり、県の重点施策が、知事部局内で周知徹底されていないんじゃないかという御指摘でございますが、県としてはこれまで幹部研修会なり、あるいは県の公報、県政便り等を通しまして周知徹底に努力しているところでございますけれども、今後引き続き知事の施策の周知徹底を図っていきたいと思います。
 それから2番目に、縦横の連絡調整が不十分じゃないかという御指摘でございますが、1つの部や課で処理できない他の部にまたがる場合に、まず第一義的にはそれを所管している部局が十分な問題の整理と意識を持って関係する部局に呼びかけて調整するのが一つの手順だと思います。
 それでもどうしてもできない場合には、企画調整部なり、知事、副知事と調整していくとこういうことになろうかと思いますけれども、今日まで関係課長会議なり関係部長会議、さらには庁議、あるいは3役会議等いろいろやっておりますので、総論的には御指摘のように知事の施策――県の重点施策については十分縦横の連絡をとってその施策が日常の行政の上で反映できるようにしていきたいと思いますけれども、問題の件につきましては、これは農林水産部ないし生活福祉部で十分調整して、なおそれでもいろいろ難点があってより施策的に解決しなければならぬという場合には、私どものところに問題提起があろうかと思いますので、そういう形で十分知事の施策が行政に反映されるように努力していきたいと考えております。
○議長(知花英夫君) 親川仁助君。
   〔親川仁助君登壇〕
○親川仁助君 ただいま、関係各部長の御答弁をいただきましたけれども、質問の第1の沖縄ニット社の問題について再質問いたしたいと思います。
 これに対する私の質問は3点に分けまして、1つはこの現在の起きています事業閉鎖、あるいは解雇の問題が単なる労使の問題ではなくて、国の繊維産業に対する施策、あるいは海洋博との関連もあるという点から、国としてもそれ相応の責任をとるべきじゃないか。この会社の事業再開について総合事務局なり、何らかの手が打てないものかどうか、そういうことをやる意思があるのかどうか、これが質問の1つでありますけれども、これについてのお答えがありませんので、これについてもう一遍お答え願います。
 さらにもう1つは――質問の第2でありますけれども、この組合の方からも具体的に融資のあっせんあるいは現在受けている融資の支払いの繰り延べなど具体的に出ておりますけれども、こういった組合の具体的な要求に対してどういうふうに検討したのか、この点がまだはっきり私お聞きしてないのでこの点も、もう一遍お答えを願います。 
 それから次は、農林水産部長の与那国農協の問題についての先ほどの答弁でありますけれども、いま県が打とうとする施策については一応私了解いたしましたけれども、現地の状況が先ほども申し上げましたように、那覇に出てきた方から私が聞いたようなそういう状態であるのかどうか。
 これは、私現地を見ておりませんので、実際そういうことであるならばこれは大変だとこういうふうに考えておるわけでありますけれども、農林水産部として現地の状況、先ほど申し上げましたのは大学や高校に子弟を就学させている家庭が、農協から預金を引き出して送金することができなくて困っているとか、あるいは2期作の生産者の米代がまだ支払われてないとかこういうことも言われておりますけれども、これが事実なのかどうか。もし事実であるとすれば、どういうふうにこれを米代でしたら支払いを促進するか、こういった点をもっと明確にお答えを願いたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 第1点、沖縄ニットの件の国に対する要求の件についてお答えいたします。
 この点については、融資の関係だというふうに考えておりますが、特に現在の制度の中で沖縄ニット、そういったような事例に対する融資措置と、特別な措置ができるのかどうか、そういった点については検討して対処していきたいと、このように考えております。
 それから、これまでのあっせんといいますか、そういったものについての検討といたしましては、やはり現在の制度資金を活用していくと。ところが、制度資金をストレートに活用していくということになれば、現在の会社の状況では無理だろうというのが経理内容の中からはっきり出てくるわけです。
 したがって、信用保証協会の活用などができないのかどうかという点についても検討してみましたが、現在担保も皆無という状態であるということになると、それをどう活用していくか――現在無担保、無保証という制度がないわけでございますので、そういった面の活用というのがむずかしい。さらに関係の金融機関などに対しても、そういった経理内容で借金のあるところに対しても、さらに融資とかいった点が可能なのかどうか、いろいろな点を聞いてみたわけですが、これらについてもむずかしいといったような状況になっております。
 ただ、再建計画というのが出てきておりますが、これも決して十分なものじゃないし、中にはちょっと考えられないような事態も抱えているというふうな形で、果たして会社側が真剣に再建計画を考えているのかどうかといったような点を疑わせるようなのも中には介在しているというふうに感じているわけです。したがって再建計画については、もう一度会社側のしっかりした考えを聞きながら、その上に立って再度いま申し上げました制度資金とかあるいはその他の銀行関係についても検討し対処をしていきたいと、このように考えておるわけです。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 与那国農協の貯払いにつきましては、いま御指摘をいただきましたようなとおりでございまして、これは再建を進めながらでないと貯払いはできないという状況でございます。したがって県としては、信連が中心になってこの貯払い対策をとりながら検討をするということでございます。
 なお、2期米の支払いについては、先ほども答弁申し上げましたように事業がまだ完了いたしておりませんので、事業完了と同時にこれが支払いできるように指導いたします。なお1期米については、すでに支払いが行われつつあるということでございます。
○議長(知花英夫君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 ちょっと休憩願います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時18分休憩
   午前11時19分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
○伊波広定君 私は、乙第11号議案沖縄県文化財保護審議会設置条例の問題点、それから平和祈念資料館の民主的運営について、この2点について知事並びに関係部長の御答弁をいただきたいと思います。
 私は、過去2回にわたりまして本議会において文化遺産を守るという問題、そして文化の振興の問題について知事の御見解を承り、そして私の見解を述べてきたことがあります。私は、まず革新県政が本当に民族の伝統的な文化を守り、これを発展させていくという革新県政にとって重要な課題であるという観点から、この文化問題を取り上げたのであります。
 まず、乙第11号議案沖縄県文化財保護審議会設置条例の問題点を指摘して、わが党の見解を明らかにしておきたいと思います。
 まず、公共工事と企業による文化財の破壊が相変わらず後を絶っていないということです。
 新聞で取り上げられ問題になったものでも、一昨年の末から先月まで6件の文化財が破壊されております。そのうち1件は、いま陳情書として八重山からの陳情が出ております。
 6件のうち1つは、宮古城辺町保良前方原遺跡の破壊です。これは、鉱業権を持った業者が、県教育委員会の指示と指導を無視して不法な採石を強行していることです。伊良部元島遺跡も、この採石によって同様に破壊されております。
 3つ目は、去年の12月破壊された与那城村宮城島のシヌグ堂遺跡の破壊であります。これは、村の水道管布設工事による文化財破壊であります。これは、文化財保護法第57条3に規定する事業計画策定時の文化庁長官への通知の義務を怠ったものであります。
 4番目は、糸満市喜屋武の糸満市がつくっている農業用貯水池建設のための貝塚の破壊であります。市町村の担当者の怠慢と、責任者の文化財に対する認識が改めて問われる事件であります。公共団体が、文化財保護法や県の文化財保護条例を無視し、法で定められた手続もとらずに公共工事を進め、平気で文化財を破壊している現状であります。
 糸満市や与那城村は、村当局は知らなかったと言っていますが、県企画調整部で刊行された沖縄県土地利用規制現況図ではその範囲まで地図に示され、また県教育委員会発行の文化財件名一覧にも記載されているもので、行政当局が知らなかったで済まされるものではありません。
 また、西表古見の笠崎牧草地改良事業は、国と県の補助金を受けて企業の行う牧草地造成事業であります。これは、周知の16世紀ごろにつくられた巨石墓でありますが、このお墓が11基も破壊された事件であります。文化財保護法と同時に、国有林野の活用に関する法律の手続も怠っております。
 129ヘクタールの広大な面積ですから、当然県土保全条例第6条によって3000平米以上は知事の認可を受けるべきものを、第18条の除外規定で規則第9条第3号「その他農林漁業振興のため、法令に基づき行なう開発行為又は国若しくは地方公共団体の助成をうけて行なう開発行為のうち知事が適当と認めるもの」として、その規定によって適用を除外されているのであります。
 わが党は、県土保全条例審議の際、公共事業であれ、国、県の助成事業であれ、知事がチェックできるように規定すべきであると主張しましたが、わが党の主張のとおり自然破壊、文化財破壊という形ですでにあらわれているわけであります。
 古見の人たちは、住民は木一本取れないのに、企業は木どころか墓まで壊しても罰されない。雨になると、赤土の流出でたんぼが埋もれ海が汚染されると、不満と不安を訴えておりました。
 埋蔵文化財とは、私たちの祖先の労働の跡を子孫に伝える集落の跡、貝塚、古墳群、寺院跡、窯跡等で、専門家による文化財の発掘は、これまでの歴史に書きかえを迫る重要な可能性を秘め、各地の遺跡のじみちな調査研究を通じてのみ一国の歴史の科学性が保証されるのであります。
 さらに重要なことは、一つ一つの遺跡は、それぞれの地域社会の歴史的発展を裏づけるかけがえのない資料であり、地域住民が歴史発展の法則を具体的に学び確かめる貴重な学習教育の場でもあります。また、沖縄が他県と違うのは、日本の歴史では外国の資料が豊富にあって、漢書地理誌等紀元前後まで知ることができます。
 しかし、沖縄の場合はよく言われますように沖縄一千年史と言われ、十四、五世紀のことすら文献からは十分に解明されていないというのが沖縄の実情であります。ここに、地下に埋もれているところの沖縄の埋蔵文化財を初めとする文化財に多大の価値があるわけであります。 
 それと同時に、27年にわたるアメリカ帝国主義による基地建設のための文化財破壊、広大な基地の中に埋もれている文化財は、県民や専門家の手の届かないところにあります。
 日本列島に約30万の文化財があり、沖縄は推定600カ所の埋蔵文化財を抱えておると言われております。
 現在、教育庁文化課の埋蔵文化財の保護専門員は――係専門員は、たった4名しかおりません。
 ちなみに、福岡市の場合はどうかというと、埋蔵文化財の係だけでも福岡市に24名もいるんです。たった4名の専門員で、とうてい手に負えるものではありません。天然記念物に至っては、日本列島の中でたった一つの亜熱帯に属するため、国指定の動植物の天然記念物が27件あります。県指定が24件ですが、この係の専門員が1人もいないということです。
 このことは、昨年沖縄で海洋博のシンポジウムが行われました。その最初の開会の総会の中で、沖縄の専門家から天然記念物の係が1人もいないということが話されると、県外から集まった学者、専門家はみんなびっくりしたんです。そして私も、天然記念物の自然保護の方の分科会に参加いたしましたけれども、そこでもこの天然記念物の係が1人もいないということで大きな議論になったわけです。
 こういうような、わが国でただ1カ所の亜熱帯の北限、ここには日本列島にないところのいろいろな動植物、国が重要視しているところの天然記念物27件もある。その中に、1人も天然記念物の係が置かれていないということは、実にゆゆしい問題であると私は思います。
 私は、去年のシンポジウムでも県政にかかわりのある1人として非常に恥ずかしい思いをしたのであります。
 私は、いまの文化財保護法は破壊のための法と言っても差し支えないぐらいの不十分な法でありますが、いまの文化課の陣容ではその法さえ守っていかれないということです。
 しかも、今議会に提案されている沖縄県文化財保護審議会設置条例案は、その運用いかんによっては開発優先になり、文化財の破壊をいまよりも容易にする内容を持っております。
 改正案では、審議委員が7名に減じられ、新たに専門調査委員が30名置かれることになっています。現行条例では、審議会の委員定数は25名、5名ずつで5つの分科会を構成し、保存及び活用に関しおのおの専門の立場から審議、調査、答申、意見具申に参加できたのに、この条例案では、専門調査委員は単なる調査報告の権利しか持っていないような感じがするのであります。
 審議会設置の目的は、文化財の保存と活用について、行政から独立した自由な立場から専門家による科学的な検討を行い、あわせて民間の声を反映させることによって行政当局の独断を是正することができることが一番の重要な点であると、私は考えております。特に、昨今のように開発が進行すると、文化財を保存し活用していくということについて、時の行政当局の判断が優先され、文化財保護が開発に追従していく危険性があります。
 私は、条例案の問題点を指摘しましたが、革新県政は文化財を守る立場からその民主的運用を保障し、文化財の保護行政を進めるために問題点に留意し、文化課の陣容を強化することが重要だと思います。
 地域に根差した文化を多面的に発展させることは、革新県政の重要な課題であります。このことこそが、日本の文化をより豊かにする唯一の道だからであります。
 採石に関しては鉱業権とかかわり合い、県土保全条例もそれから国の機関とのかかわり合いもあります。国民にかけがえのない文化財を守るには、各部局がばらばらでなく関係する部局の連携を密にしなければなりません。まず私は、文化財の保護について知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
 それから、その次に教育長に伺いますが、文化財保護審議条例の民主的運用についてその教育長の見解と、いま1人も置いてないところの天然記念物の係の職員、これを新しく設置される意思があるかどうかお伺いいたします。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) たびたび、文化財保護の問題について伊波議員からの御提言、御指摘また御質問があるわけでありますが、このような文化財、われわれの文化あらゆる歴史、生活、その内容と深い関係のあるところの文化遺産、あるいは文化財といったようなものに対応する策、それを講じていくという事柄は、私はポスト海洋博の施策として非常に大事にじみちに取り上げていくべきものであると、こういうふうに考えております。
 いま、そういう意味においてるるとして述べられましたことに対しては、これは私は非常に真剣に受けとめ、これに対応していかにゃならないと考えております。
 その御指摘のとおり、この文化財の破壊が頻発している――先ほどお話がありましたように八重山、宮古、本島において相当たくさんこれが破壊せられているということは、いま私が申し上げたことと反することになるわけでありましてまことに残念でありますが、これまで開発事業を行うに際しましては、県教育委員会主管の文化財についても、十分尊重するよう各機関を通して行政指導を進めてまいりましたが、このような事態に至りましたことは、非常に先ほど申し上げましたように残念なことであり、また申しわけもないことだと思います。
 申すまでもなく文化財は、先ほど申し上げましたように私たちの祖先が残したかけがえのない文化的遺産であります。これを大事に保護する、それを踏まえて今後の私たちの文化生活を切り開いていくというようなことは、県民文化の向上のためにもきわめて重大なことであると思いますので、今後とも私は先ほど申し上げましたような趣旨に、それから伊波議員の指摘されました気持ち、それに沿う意味におきましても、県教育委員会の施策が十分実現できるように各面からじみちなきめ細かな努力をさせてまいりたいと、こう思います。
 なお、その具体的な御質問がありましたことにつきましては、教育長に答えてもらいたいとこう思います。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 先ほど、知事から文化財の保護についての基本的な姿勢について御回答がございましたが、具体的な問題について私からお答え申し上げます。
 先ほど、伊波議員から大変重要な御指摘がございました。この文化財の行政を担当する者としては、御指摘を尊重していきたいと考えております。
 御指摘のとおり、最近文化財の破壊が頻発しておりましてまことに憂うべき状態にあります。
 これまで開発事業を行うに際しましては、県教育委員会主管の文化財についても十分尊重するよう各機関を通じて行政指導を進めてまいりましたが、このような事態に至りましたことははなはだ残念なことでございます。
 私が申すまでもなく、文化財は私たちの祖先が残したかけがえのない文化的遺産であり、これを大切に保護し活用していくことは、県民文化の向上のためにも、また次代を担う児童生徒の教育のためにもきわめて重要なことであると思いますので、今後とも県教育委員会の施策が十分実現できますように各面から努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
 なお、文化課の陣容の問題がございましたが、私たちは、御指摘のようにこの最近の文化財の破壊が頻々として起こる問題や、さらにこの発掘調査や記録保存をする仕事、そのほか毎年毎年加わってくるところの文化課の事務量を考えた場合に、現在の陣容では十分ではないというふうに受けとめております。
 この職員の数が十分でないために、なかなか思うように仕事が進まないということは御指摘があったとおりでございますが、これまでも知事部局に対して再三定員の増はお願いしてまいっております。51年度には、知事部局も大分理解を示していただきまして現年度よりも前進するような状況にありますので、これからもこの面には努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、文化財審議会のことについて御提言がありましたので、これについて教育長の考え方を申し上げたいと思います。
 今回の文化財保護審議会の改正の要点は、審議委員の定員を25名から7名に減員する反面、専門委員を30人新しく設けたことでございます。
 改正に当たり、審議会の望ましいあり方について、定員、機能、運営、予算等の各面から慎重に検討いたしました結果、現行の審議委員が同時に専門委員としての機能を兼ね合わせているというやり方では、専門委員としての調査的機能が十分に発揮できないきらいがあるということで、機能と人をおのおの分離してより有機的な組織に改めたこと。
 さらにこのようにすれば、突発事項に対して臨機に即応できるのではないかということ。さらに予算の効率的執行と運営の円滑化が図られるということなどの理由によりまして、改正を提案している次第でございます。これによって、審議会は十分強化されるものと受けとめております。
 なお、審議委員が7人になることによって外部からの圧力が強くなったり、あるいは非民主的な運営がされるのではないかというふうに懸念することも一応考えられますが、審議委員には、文化財に理解が深くかつその道の学識経験者を委嘱される予定になっておりますので、そのようなことはあり得ないだろうと、このように考えております。
○伊波広定君 天然記念物……。
○教育長(池村恵興君) 天然記念物は、先ほど申し上げましたように、現在定数というよりも知事部局からある程度割愛をできるようになっているものは、その天然記念物関係の職員のことでございます。
○議長(知花英夫君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 私は、屋良県政発足以来、文化の問題で一定の進展、これは評価しております。それでまた、いまさき申し上げました天然記念物の問題にしても、ノグチゲラの生息地の年次的な買い上げ、こういうことをやってこられた県政に対して評価はしているわけです。
 しかし、この天然記念物の係、まだ教育長の御答弁が私にははっきり理解できません。しかしながらいまさきも申し上げましたような重要な沖縄の地において、天然記念物が国指定が27件もあると。あるのに、係が1人もいないと。
 この結果はどうなったかといいますと、これはことしになってからの話であります。天然記念物に指定されているカンムリワシが、ことしの1月19日に何者かに無断で捕獲された上、焼き鳥にして食べられてしまったわけです。現在、八重山署で調査して捜査中だそうであります。
 それから2月の12日には、那覇市内の某小鳥店でアカヒゲが売買されているのが新聞紙上に報じられました。
 こういったような事件も、やはり専門の係員が1人もいないというところから出てきている問題だというほかにありません。そういう面では、知事もこういったような面で文化財を重要視される、保護を重要視されるという基本的な態度を表明されたわけであります。
 ですから教育長は、この知事の基本的な姿勢、これを体して、しかもいま起こっているところの文化財の破壊やこういったような天然記念物が焼き鳥にして食べられるということ自体が、どういうところから来ているかということをしっかり認識されて、早急に専門委員を配置するということをやっていただきたいことを要望して終わります。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時47分休憩
   午後1時2分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 午前中に引き続き、質問及び質疑を行います。
 仲松庸全君。
   〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 時間が足りませんので早口になると思いますが、御了解いただきたいと思います。
 まず最初に、きのう伊江島で米軍の射爆撃演習がまたも強行されました。この議会が、開会冒頭で即時全面撤去を決議したやさきであります。これは新しい挑戦であり、絶対に許すことのできないことでございます。
 それで30メートルはずれて民間地域のキビ畑で働いている農民の近くに落ちている、非常に危険な状態が再び派生しております。これを断固として新たな決意で厳重な抗議をする必要があると思いますが、知事の新たな御決意をお伺いしたいと思います。
 次の質問は、補充教員の問題について若干お伺いいたします。
 補充教員の実態、新年度教員採用計画を御説明願いたい。
 次に、選考試験に合格しても補充職につけないのに、一方では選考試験を受けないでも肉親が役人であるとか、役人のつてがあるなどによって補充職についているといった事例の指摘があります。教育庁の人事行政を批判する声も聞かれますので、その実情についてお伺いします。
 火のないところに煙は立たないとも言うが、もし事実であればどうするか、補充職の採用の仕方についてお聞きしたいと思います。
 7年も、10年も補充教員として勤め、あるいは自宅待機をしている人もいるというが、教員採用計画との関連で御説明を願いたい。
 離島へ、あるいは今度は僻地へと一定期間の補充職につくたびに生活の根拠を移し、そのためにかなり金を使っているが、赴任手当もあったり、なかったりなど補充教員なるがゆえのさまざまな苦しみが訴えられています。
 その実態を教育長はいかに把握し、いかに受けとめ、どう対処されようとしておられるかお伺いいたします。
 県職員退職金条例、施行規則によって任命権者は、補充教員の補充期限がくれば在職証、受給資格者証を交付しなければならないが、これまで何名の申請があり、交付を行ったか。その交付年月日、交付を受けた者の氏名、年度別の補充教員の数をお知らせください。
 次に、交通安全対策について警察当局と土木部にお伺いします。
 ことしの交通事故は、すでに3月9日現在で366件も発生、うち死亡30人、負傷395人という数字を示し、交通事故の恐ろしさを物語っています。
 まず第1に、ことしの交通事故の発生状況は、例年に比べてどのような傾向にあるか御説明を願います。
 次に、交通安全の大きな障害になっている路上駐車の問題です。
 これは新聞の切り抜きでございますが、路上駐車が交通事故の大きな原因の一つであることを示しております。見出しだけ読みますと、「那覇市・大道の火事 不法駐車が消火に支障 大型の消防車通れず 手間どり延焼の原因に 付近住民、以前から心配」という内容。
 もう1つは、「自閉症児、車にはねられ即死 授業中飛び出す 前島小ショック 母親の目前で 那覇」という見出しです。記事は、事故の現場は不法駐車がずらり、今回の死亡事故の大きな原因の一つとなったと報じられています。これは一、二の例にすぎず、路上駐車が交通事故の原因となって広がっている事実は否定できません。
 広がっている証拠に、私は首里の琉大女子寮の通りに面して住んでいますが、ここを通る琉大回りのバスは両側の路上駐車の増加で道が狭まくなっています。そのためしばしばバスが立往生し、運転手がこの路線に回されるのを極度にいやがっています。衝突事故も頻繁に起こっています。このような路上駐車をなくすることは、当面の交通安全行政の緊急課題だと思うがどうか。
 このような路上駐車をなくすためには、車の所有条件である車庫の整備が十分なされていることと、駐車場をふやすことなどが対策の重要な内容になると思います。車庫整備の問題は、全くいいかげんに扱われているのではないか。どこに欠陥があって、このような状況がつくり出されているのか。またどう対処するのか。いつになったら車庫整備の問題は解決されるのか伺います。
 また、公営駐車場計画はどうなっているのか。情勢に見合った公営駐車場計画を推進することがあわせて重要だと思うが、具体的な方針を聞きたいと思います。
 次に、最近目に余る暴走族について、その実態と対策を伺います。
 次に、バス、タクシー専用レーンの時間的、地域的拡大の計画はないかどうか。また、車の乗り入れ制限を必要とする通学道路、生活道路などの安全街区を拡大すべきだと思うが御所見を伺います。
 交通安全行政は、何よりも地域住民の自主的、民主的運動に支えられる必要があります。そのために交通安全行政の一部を市町村自治体に権限を一部移譲し、その地域の実情に沿ってバスの運転手、学校の先生、地域往民など当事者の各代表で構成された交通安全対策委員会をつくり、方針の勧告権など必要な権限を与えるべきだと思うが、この点御所見を伺います。
 次に、わが党代表質問に関連して、民主主義を破壊する暴力の排除対策についてお伺いいたします。
 わが国の社会的、文化的道徳的退廃の傾向は、一種の国民的危機の状態をつくり出しています。その中で、民主主義を破壊する諸種の暴力集団による暴力行為等は、全くかかわりのない善意の一般市民にもはかり知れない破壊的被害を与え、きわめて重大な社会的問題となっています。
 去る3月2日、北海道庁において死亡者1人、重軽傷者80余人の犠牲者を出すという悲惨な爆破テロ事件が発生しました。この種爆破事件がこれまで数多く発生し、県内でもトロツキスト暴力集団などによって幾つも引き起こされています。
 昨年6月、故佐藤栄作氏の国民葬の会合場で、反共右翼団体大日本愛国党書記長・元自衛隊員筆保泰禎による三木首相殴打事件が発生しました。この愛国党は、1960年の浅沼社会党委員長刺殺事件を初め、最近でも成田社会党委員長殺人予備事件など数々の事件を引き起こしています。
 また、1973年5月には、日本共産党の宮本委員長暗殺未遂事件が熊本県で起きたのを初め、共産党幹部に対する暴力、テロ事件が数多く発生しています。県内でも、1967年3月、沖教組書記長福地昿昭氏が右翼テロによって刺傷されるという事件があったことは、県民の記憶に新しいところであります。
 組織暴力団の犯罪行為も後を絶ちません。1974年10月の旭琉会理事長射殺事件以後、相次ぐ殺人事件を初め凶悪犯罪、一般社会人への諸種の暴力事件等、その反社会的影響はきわめて大きいものがあります。
 また、中核、革マルなどトロツキスト暴力集団は、学園や労働組合などで公然と民主主義破壊の暴力行為を展開しているだけでなく、県内では1971年10月10日に勢理客で山川松三巡査部長を惨殺し、1974年2月8日には琉大英文科1年次の比嘉昭邦君が教室で受講中、乱入してきた暴力集団に殺害されるという悲惨な事件も引き起こされました。このトロツキスト暴力集団は、公然と予告殺人を行うなど文字どおり殺人者集団であります。
 これら諸種の組織的暴力集団にどう対処し、その絶滅を期してどう厳しく臨むかは、ひとり警察だけの問題ではありません。特に近年のように、このような暴力集団による諸種の犯罪行為が繰り広げられている状況のもとでは、その絶滅は大きな政治的課題であり全国民的課題です。
 1974年12月25日、衆議院は全会一致で暴力排除に関する決議を採択しました。この決議は、「最近、各地において爆発物使用事犯、その他凶悪な暴力事件が多発し、多数の犠牲者を生じていることは、誠に憂慮にたえない。民主主義の原理は、もともと言論をもって争われるべきものであり、法と秩序をみだし暴力を用いて事を遂げんとすることは断じて許さるべきではない。一度暴力を是認するがごとき社会的風潮が一般化すれば、民主主義は危殆にひんし、国家社会に重大な事態を招来することになることは明らかである。よって、政府において早急に諸対策を講じ、事態の解決を図ることを要望するとともに民主主義擁護のため広く国民各位の理解と協力を求めるものである。」と、述べています。
 この決議は、きわめて重要な意義を持っています。国権の最高機関たる国会もこうして政府と国民に呼びかけていますが、この種暴力事件及び各種暴力集団についてどう考えられ、どう対処すべきだと考えられるか、まず知事の御所見を伺いたい。
 このような民主主義破壊、反社会的暴力行為、暴力集団等については、広く県民にその実態を知らせ、社会的糾弾の中でその絶滅を期していくことが重要だと考えます。
 そこで次に、具体的な幾つかの点について警察本部長にお伺いします。
 けさの新聞で、労使双方から解決の広告も出ていますが、オリオンビール労働組合書記長襲撃事件について。
 労働組合と組合活動家を敵視し、暴力団を雇って組合活動家を襲撃させるというオリオンビール会社重役のまことに卑劣な暴力問題が発生し、大きな社会的ひんしゅくを受けています。この襲撃事件の全容について明らかにしていただきたい。
 また、暴力団に渡された200万円の黒い資金はどこから出されているのか。この事件の全容を徹底的に究明することは、引き続き大変重要なことであります。書記長襲撃事件の前に委員長襲撃事件もあり、警察の厳しい態度が求められるところです。今後の対策を伺いたい。
 次に、右翼暴力団の動向とその徹底取り締まりについて。
 組織暴力団の日常不断の犯罪、一昨年来の内部抗争、組織の武装化、企業進出など、その動向はきわめて重視すべき問題があります。またその犯罪的行為による一般市民への迷惑や被害は、きわめて甚大なものがあります。
 そこで1つ、組織暴力団の県内組織について、各組織の人員、復帰後の動態、武器携帯の状況、暴力団による犯罪――特に49年、50年について。本部長は、1975年2月の就任に当たっての記者会見で、暴力団の取り締まりに徹底して力を入れると述べられたが、厳しく対処しておられるかどうか。具体的にどのような徹底取り締まりの対策で臨んでおられるか御説明願いたい。
 次に革マル、中核などトロツキスト暴力集団について。
 革マル、中核などトロツキストは、予告殺人さえ平気で行うまさに殺人者集団であり、右翼組織暴力団とともにその暴力事件は絶え間がありません。このような暴力、殺人行為等について、当然のことながら徹底した態度で厳しく臨むことが重要だと考えるが、警察のトロツキスト対策について御説明を願いたい。また県内組織、人員、最近の動向についても伺いたい。
 4番目に、一昨年の自由民主党による知事室乱入暴行事件について。
 知事のCTS対策を不満としてその要求を突きつけるため、一昨年2月、自民党幹部の扇動と指導のもとで知事室乱人暴行事件が発生しました。屋良を殺せ、人民裁判にかけろなどと叫びながらガラス窓をたたき割り、テーブルをひっくり返し、職員を殴る、けるなど、暴行と乱暴の限りを尽くした事件です。
 わが党は、当時も徹底して糾弾したように、公党が主催する集会やデモ、会見で、そのような暴力事件が発生したのだから、その責任は重大です。
 それで1つは、その事件について自由民主党幹部を含めてどのような責任が追及されたか、刑事事犯としてはどのように処理されたか等について2番目に御説明ください。
 以上質問して、時間の許す範囲内で必要な再質問を行います。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めに、伊江島の演習事故に対する知事の対策を質問しておられましたけれども、これは、即時これをやめろと、そして基地の撤去もせよということは、たびたびわれわれも抗議もし、要請も続けてきたことであります。それは現地当局にも、また本土における関係政府当局にも絶えず訴えてきております。またこの議会におきましても、これは決議せられて強く要望せられておるのであります。
 それで本日、県といたしましては、早速この担当部の職員を派遣して、昨今の実情を調査させております。この調査に基づきまして、県は軍並びに政府に対しても厳重に抗議いたしまして、今後の対策についてはこれは強力に申し入れをいたしたいと、こう思っております。
 次に、補充教員の問題については後で教育長から詳しく答弁があると思いますけれども、これは現行法上いろいろ問題があると承っておりますが、知事といたしましては行政的に可能な限りその改善に努力する所存であります。先ほど申し上げましたような専門的なことにつきましては、教育長に説明させたいと思っております。
 それから私にお尋ねなさいましたものとして、やはり民主主義と暴力というようなことでありましたけれども、やはり民主主義の基本的理念は人間の尊重という基本理念であります。そういう理念に徹する限り、人間が人間に暴力を加えるとかいうようなことはあり得ない。
 望ましいことは、各人が民主主義の精神に徹して自主的にそういうようなことがないようにしていくことでありますけれども、しかしながらこれはまた個人ではどうにもならぬ場合もあり得ますからして、県行政当局として考えますることは、これは警察にフルにカを発揮してもらってこういうものの取り締まりに当たってもらいたいとこういうことでありますけれども、しかしみんなが共同の責任でまたこれを見守っていく―― 一人の命が大事にされていくというようなことを見守っていくという立場において、われわれといたしましては警察のみならず、広く県民にこれを呼びかけていくと。そして共同の責任で共同の事故を防いでいくと、少なくしていくというようなこと。
 そして、そのためにはやはり対策といたしましては、組織等をつくり、それから強化していくことも必要であると思っております。なお治安維持につきましては、警察当局にしっかりやってもらうと同時に、われわれ行政の立場として協力できるものは協力して対処していきます。
 したがって、民主主義の基本理念からして、いかなることがありましても暴力というようなものは、これは否定していかにゃならない、その方向に沿って対策を講じていかにゃならないと、こう考えております。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 補充教員についての御質問にお答え申し上げます。
 新年度の採用計画はどうなっているかというのが第1点の御質問でありますが、51年度の採用計画は勧奨が81名、定員増が150名、231名になりますので、その勧奨と定員増の分については補充教員から本採用していきたいと、こういうふうに考えております。
 2点目の補充教員の採用の方法に問題があるという御指摘と御質問でございますが、補充教員を本採用する場合の採用につきましては、県立学校は教育庁で直接採用しておりますし、公立学校は教育事務所で行っております。
 採用の方法につきましては、異動方針の中に基準を定め、それに基づいて採用いたしております。
 なお、情実人事についての御指摘でありましたが、県教育委員の異動方針に基づいて実施しておりますので、そのようなことはございません。
 ただ、誤解を受ける点は、実は工業関係の教員は、たとえば土木機械というふうな教員は、採用試験をしないで、したがって候補者名簿にも出ておりません。これは、学校のいわゆる必要に応じて工業関係は採用していることを、そのように誤解しているんじゃないかというふうに思います。
 次に、補充教員の実態をどう受けとめ、どう対処しているかというふうな御質問でございますが、教員の新規採用基準につきましては、教員採用候補者名簿に登載された者のうちから登載年度の早い順に、登載名簿の順に採用するような方針をとっております。なお人物、身体等も総合的に評価して採用いたしております。
 現在、今年度の補充採用候補者名簿に登載された者は、従来からのものと加えますと約700名ぐらいおります。それにつきましては、その人の持っている免許状の種別、学校種別、あるいは該当免許状、あるいは希望地域といろいろありますので、やはりその辺を調整しまして公平厳格に採用していきたいと、こういうふうに考えております。
 最後に、受給資格者証交付の問題の人員と年月日の御質問でございますが、これにつきましては後ほど資料でお届けしたいと思いますので、御了承お願いしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 最初に、最近の交通事故による死亡の多発についてお答え申し上げます。
 御指摘のとおり、ことしに入りまして確かに1月――特に1月でございますけれども、相当多くの事故が発生しております。
 それで3月9日現在で、ことしは事故が373件、これは昨年の同期と比較いたしまして若干事故そのものの件数は減少でございます――マイナス3.3%。
 死亡者でございますけれども、30人。これが、昨年同期に比べまして11人の増で57.9%のプラスと。
 それから重傷者でございますが、これは49件、昨年に比べまして38.8%のマイナスでございます。
 軽傷は353件、これも昨年同期に比べまして11.9%というふうな状態でございまして、交通事故の件数全体は若干減少でございますけれども、死亡者が非常にふえたという点が残念なところでございます。
 どうしてこのように死亡事故が急激に多発したのかということでございますけれども、どうも具体的な原因、直接それに結びつく原因というふうなものは余りはっきりいたしませんが、その特徴的な傾向といたしまして、従来は都市周辺または幹線道路で多発し夜間における事故が目立っていたものでございますけれども、ことしに入りましてからは県下全域で昼間、夜間の別なく発生しておる。それで原因別では、酒酔い運転、無免許運転、速度違反、追い越し不適当、歩行者妨害等が挙げられますけれども、中でも速度違反によるものが増加しておる状況でございます。
 警察におきましては、こういう留意をすべき事態に対処するために2月3日非常事態宣言をするとともに、交通死亡事故抑止緊急対策本部を設置いたしまして総力を上げて交通死亡事故抑止に取り組み、交通違反の取り締まり、歩行者、運転者に対する街頭での指導及び広報活動、交通規制の強化及び交通安全施設の緊急整備等を強力に実施しているところでございます。
 なお、これを広く推し進めるということで県の方にもお願いいたしまして、交通安全推進協議会が交通死亡事故抑止に向けて県民総ぐるみの運動を展開しているところでございます。
 その結果、1月に異常とも言うべき多発を見せましたものが、やや鎮静化しておる、効果があったんじゃないかと思われる状況になってきておるわけでございます。
 次に、駐車対策はどうかということでございますが、御指摘のとおり違法駐車は交通事故や交通渋滞の原因となるばかりか、われわれの生活環境の侵害にもつながるものでございます。特に、細街路――細かい通りでございますが――その細街路においては、路上駐車がありますと、道路をふさぐ状態になると、問題がさらに大きくなるのもこれまた御指摘のとおりでございます。
 こういうふうに違法駐車が多い、駐車違反が多いという現象は、自動車が近距離通勤等に簡単に安易に使用されている、あるいは所定の駐車場所以外の場所に不用意に駐車したりする自動車のきわめて安直なといいますか、安易な使用から生ずるものでございます。
 警察では、これらのいわゆる不要と言いますか不急と言いますか、不要不急の自動車使用を抑制して、自動車交通総量の削減を図ることを目的に都布総合交通規制を行い、その一環として駐車禁止規制を強化して、さらにこれを担保するために違法駐車車両の警察官及び交通巡視員による取り締まり並びにレッカーによる移動措置をそれぞれ地域の実態に合わせて鋭意実施しているところでございます。
 しかしながら、御指摘にもありましたけれども、首里地区等は路外駐車施設が極端に少ないということもございまして、取り締まりの間隙を縫って場所を移動し、路上駐車を繰り返しているというのが実情であろうかと思います。
 なお、この違法駐車取り締まり並びにレッカーによる移動措置を一段と強化して、路上における違法駐車の早期排除に今後とも努力していくつもりでございます。
 それから自動車の保管場所の件でございますけれども、警察では、この場所の証明業務を通じて自動車登録の時点でそれぞれ保管場所、つまり車庫があるかどうかということについて確認を行っているところでございますが、その後のそれ以後のすべての時点で数多いすべての自動車について保管状況をチェックするということは事実上不可能でございます。
 また、自動車の使用の過程におきましては、現実には保管場所所在地以外の場所で保管されたり、業務上の必要等によりまして保管場所以外の場所で駐停車するのが間々見受けられるわけでございます。この路上駐車をなくするためには、これら駐車需要に対応した必要最小限度の路外駐車施設が何らかの形で確保されなければならないというのもこれまた当然なことでございます。
 さらにまた、個人か、団体か、あるいは公共か、私企業かなど、その活動のいかんを問わず駐車需要の原因をつくっているものは、自己の負担と責任において駐車に必要なスペースを道路以外の場所に確保すべきであると考えるので、関係方面に対しましても路外駐車施設の確保について協力を求めておりますし、また一般県民に対しましても違法駐車をしないよう訴えておりますし、これからもそのようにしていきたいと考えております。
 それから、こういう交通安全対策の推進に、地域住民の意見を取り入れる方策はどうかということでございますけれども、御指摘のとおり交通安全対策を効果的に推進するためには、関係行政機関の緊密な連携を図ることはもとよりでございますが、県民各層の御意見を反映させるとともに、そういう施策に対する県民の御理解と積極的な御協力を得ることが必要でございます。
 交通安全対策基本法にもこのことが明示されまして、その組織といたしまして国及び県には交通安全対策会議の設置が義務づけられ、市町村についても設置することができるということになっておりますし、これらのものが交通安全計画の策定及びその推進を進めていくということになっているわけでございます。当県におきましても、すでにそういう組織が設けられているわけでございます。
 また、このほかに施策の推進機関といたしまして、当県には、知事を会長とする沖縄県交通安全推進協議会がこれまたすでに設置されまして、これには構成員として関係行政機関はもとより、地方自治体それから自動車の運転者、教育関係者あるいは青年団、婦人会、さらにはマスコミ関係者等の各団体、個人からもそれぞれ代表が参加しておりまして、広く民意を吸収して交通安全活動を総合的かつ効果的に推進する体制がつくられているわけでございます。
 各市町村におきましても、これに準じた体制がつくられつつありますので、各地域の実情に即した活動が今後さらに一層効率的に進められるということを期待しているところでございます。
 それから暴走族の実態と取り締まりはどうだということでございまするけれども、御承知のとおりいわゆる暴走族というのは、自動車などを運転して集団でスピード違反、信号無視あるいは整備不良車両を運転するなどの違反行為をするものでございますが、このような違反行為をすることをそそのかしたりあるいは助けたりする者や、これらの自動車に同乗している者を総称して暴走族というふうに呼んでいるわけでございます。
 本県においても、昨年9月初めごろからこのような者があらわれ始めまして、当県警においては、この暴走族取締本部というものを設置いたしまして強力な取り締まりを実施いたしたわけでございます。
 そのため、昨年11月末になって暴走族は姿を消したのでございます。ところがまたことしになりまして、1月末の土曜日深夜から翌日曜日早朝にかけて、沖縄市内でこれらの暴走族が蝟集して暴走行為を繰り返し、さらにこの暴走行為を見物するために数百人の群集がその付近に集まって、そして暴走族と呼応して歓声を上げるあるいは声援を送るというふうな行為をやりまして、いわゆる暴走族騒ぎという状態を引き起こしたわけでございます。
 そこで警察では、暴走族の取り締まり、検挙を強化して群集を巻き込んでの暴走族騒ぎに発展するのを未然に防止するために、去る2月初め、警察本部に暴走族特別取締本部を設置いたしまして関係警察署員あるいは本部機動隊員等を大量に動員いたしまして、厳重な警戒と取り締まりを行うなど対策を強化しており、その後不法事犯の発生は目立つものは見受けられない状態になってきているのでございます。
 今後も、引き続きこういう取り締まりをやり、またパトカー等による機動取り締まり、交通要所における車両検問の強化、機動隊員による警戒と警らの反復実施などをやりまして、悪質事犯につきましては、それぞれの法条に照らしまして検挙し、特に悪質なものにつきましては強制捜査をもって臨むということでいきたいと思います。
 また、こういう暴走族というふうなものは、こういう違反を検挙する、抑正するだけではなかなか解散しないという点もございますので、こういう違反者の居所あるいは勤務先などにも追跡捜査を行って、検挙とともにこういう人たちからの説得というふうなことも期待し、こういう違法行為を繰り返すような団体を解消するということを進めてまいりましたし、今後とも進めていきたいつもりでございます。
 それから、いわゆる安全街区を定めているけれども、これをさらに拡大する計画はあるかという御質問でございますが、いわゆるこういう安全街区といいますと、具体的にはスクールゾーン及び生活ゾーンでございますけれども、これらの設置状況は昭和50年の10月現在で、県下でスクールゾーンが190カ所、ゾーン内の保育所、幼稚園、小学校等の施設総数は502施設あります。そしてその実施率は94.5%になっておりまして、これは年々拡大してきているところでございますけれども、住宅街の道路とかあるいは買物道路などのいわゆる生活道路を対象といたしました生活ゾーンは県下22カ所で、これはさらに拡大実施する必要があろうというふうに思います。
 これらゾーンの設置の効果はきわめて大きいので、必要個所に対する設置率が100%になるようにするとともに、既設のゾーンについても、再点検を行って歩行者保護のための交通規制の充実と交通安全施設の整備並びに交通規制を担保する交通取り締まりの強化を図って、住民の安全確保に努めてまいるつもりでございます。
 それからバスレーンを拡大する計画はないかということでございますが、バスレーンが必要でありかつ効果も大きいということは御高承のとおりでございます。特に沖縄では、陸上輸送がもっぱら自動車に依存しているという実情にかんがみまして、このバス優先通行対策をさらに進めていく必要があろうと思います。
 49年の8月1日に、県道首里山川から那覇署前までの3.4キロメートルの区間に、日曜、休日を除く午前7時から午前9時までの時間帯のバス専用道路を設定いたしましたし、また昨年の9月1日に、国道58号の宜野湾市伊佐交差点から那覇市久茂地交差点までの延長11.8キロの区間の第1通行帯に、日曜、休日を除く午前7時30分から午前9時30分までの時間帯のバス専用レーンを設定いたしました。
 いずれも、バス運行所要時間が大幅に短縮されて、バス乗客数も大きく増加して多数のマイカー利用者がバスを利用するように変わっていったという効果を上げているところでございます。
 この実績を踏まえまして、今後さらに時間帯の延長あるいは他のバス路線についても、道路整備、バス運行回数増加等の諸条件が整い次第、バス優先通行対策交通規制としてこれを拡大するよう検討していく所存でございます。
 それからオリオンビール労組書記長襲撃事件の全容についてということでございますけれども、御承知のとおりこれはオリオンビール労組書記長が――岸本書記長ですか――これを昨年の4月19日午後9時ごろ、3名の者が自宅から、自宅前の道路に呼び出して春闘から手を引け、前の委員長の事件も知っているかと脅迫した事件と、さらに昨年6月21日午後11時ごろ、覆面して鉄パイプを持った3名の者が岸本書記長の自宅に侵入して、鉄パイプで殴打して書記長に重傷を負わせ警戒に当たっておりました労組員に傷害を与えたという事件でございます。
 この事件の被疑者は、昨年11月8日から本年1月6日までの間に10名を逮捕いたしまして、本年2月27日までに9名が起訴されております。
 逮捕されております10名の内訳は、旭琉会那覇派のグループ員が7名、オリオンビール会社の本社営業部長と名護工場総務部長と、その仲介をした者1名でございます。
 事件の動機、原因、背後関係等につきましては、オリオンビール本社営業部長山田義実と名護工場総務部長徳村政一の2名が、知人の仲介者亀島賢優を通じて暴力団員に、岸本書記長を労働争議から手を引かすためにおどしてくれと200万円の報酬をやって依頼したということが判明しております。
 200万円の金の出所、支払いでございますけれども、昨年の4月7日――これは犯行以前でございますが――と6月――これは詳しい日時は特定できません。犯行後であります――の2回に支払われておりますが、出所については、最初の100万は名護工場の総務部長が、自分の金で会社に保管してあったもので支払い、2回目の100万円は、本社営業部長が他人から借りていたものを支払ったと供述しておりますけれども、その点、さらに引き続き捜査中でございます。
 また、新屋委員長に対する事件は、昭和49年の6月16日午前2時30分ごろ、名護市の自宅で就寝中の新屋委員長を覆面した3名ぐらいの者が、呼び起こして屋外から窓越しに新屋委員長の腹部を刃物様のもので刺して逃走した事件でありますが、これにつきましても、現在鋭意捜査継続中でございます。
 それから暴力団の組織実態についてということでございますけれども、県下の暴力団組織は、沖縄連合旭琉会、それから東亜友愛事業組合沖縄支部、この2団体で、沖縄連合旭琉会は団員約800名、東亜友愛事業組合の沖縄支部、これは約100名合わせまして計900名おるわけでございます。
 そのほか、暴力行為を常習とする者150名ぐらいを警察は把握しております。
 それでそういう組員は、幹部は遊技場とかカフェー等の風俗営業あるいは商事会社、スーパー、商店等の企業を直接あるいは間接の形で経営している者もあります。
 また組員は、ホステス等のいわゆるひもとして寄生する者が多く、ゆすり、たかり等にも関係して生活しているというのが実情でございます。
 それで、これに対する取り締まりでございますけれども、警察といたしましては、暴力団組織の壊滅を究極の目標といたしまして、細織の最高幹部を含む組員の大量検挙、資金源の封圧、拳銃その他の武器の押収、これを3つの大きな柱といたしまして警察組織の総力を挙げて厳しく取り締まりを進めてきているところでありますし、将来も取り締まりを実施レていく所存でございます。
 それで実際の取り締まりはどうなっているかということでございますけれども、昨年じゅうの暴力団犯罪の検挙状況は347件、321名、また昭和49年度では231件、229名の幹部及び組員等を検挙いたしております。
 それで、これらに付随いたしまして凶器の押収状況ですが、昭和49年は拳銃あるいはその他の銃砲刀剣あるいは実包等を含めまして228点、昭和50年では同様にして拳銃10丁、刀剣類21などを含めまして979点押収いたしております。
 また、49年9月に発生した旭琉会内部の対立抗争事件に対しましては、総合取締本部を設けて強力な取り締まりを実施いたしまして、抗争事件発生の9月21日以降昭和50年の12月末までに被疑者391名、拳銃、自動小銃等17丁、手りゅう弾3個、刀剣類26、実包862、その他凶器159点を押収しているところでございます。
 暴力団の武装化がどの程度進んでいるかということでございますけれども、正確な数はわかりませんけれども、やはり銃器あるいは刀剣というぶうなものを相当数組織の中に持っているのではないかと思われます。
 それから中核、革マルなどの極左暴力集団の組織実態とその取り締まりについてということでございますけれども、県内のこれら極左暴力集団は全国組織に系列化されておりまして、多くの派派閥かセクトがあります。
 その主なものは、革命的共産主義者同盟系の革マル派、中核派や、共産主義者同盟系の各派でございますけれども、その総勢力は約250名ぐらいと見られます。
 これら極左暴力集団は、内乱的私闘の70年代などと称しまして、70年代に安保体制を粉砕し日本帝国主義を打倒して、わが国に社会主義を実現するというふうに言うております。各派とも情勢さえ熟すれば、過激な闘争を展開しようとし、その準備を進めつつそのきっかけをねらっていると。
 最近の動向としては、爆弾事件、内ゲバ事件、対皇室闘争のゲリラ事件、あるいは日本赤軍による特殊国際事件などからもわかりますように、爆弾闘争や、テロ、ゲリラを志向する動きが拡大しております。
 県内では、御承知だと思いますけれども、昨年海洋博覧会が開催され、これに向けて極左暴力集団各派が海洋博粉砕闘争や、皇太子来沖阻止闘争を激しく展開いたしまして、海洋博会場内における爆発事件及び火炎びん事件、あるいは白銀、ひめゆりの塔事件等のテロ、ゲリラ事件も発生いたしましたけれども、直ちに警察が被疑者を検挙逮捕いたしまして、事件を検察庁へ送致して処理しております。
 内ゲバ事件につきましては、昭和49年11月まで続発しておりましたけれども、県警の防圧体制が功を奏して、以後発生は見ておりません。極左暴力集団は、今後ともこうした過激な闘争を敢行するものと予想されるので、警察といたしましては、さらに徹底した防圧体制を続けて、そういう事件の発生を防止していく、あるいは発生したならば、それを検挙していくというつもりでございます。
 それから、いわゆる知事室乱入事件についてどうなったかということでございますげれども、49年の2月8日、いわゆる知事室乱入事件が発生したのでございますが、警察は直ちに捜査を開始いたしまして、その結果、昭和49年6月5日、暴力行為等処罰に関する法律違反として被疑者2名を検挙して、那覇地方検察庁へ送致し事件を処理しております。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) その次は、駐車場の整備の問題でございますが、それに先立ちまして土木部の方で昭和49年の3月に、那覇市の中心部牧志とか松尾あるいは泉崎、与儀、大道、泊、松山等の約453ヘクタールについて、駐車の実態の調査をいたしました。
 その結果、朝の午前6時から午後の6時まで調査いたしますと、その付近には約13万台の駐車がございます。
 その中で、路上に駐車した部分を調べてみますと、約9万4000台がとまってございます。
 それからその中での駐車の一番激しいピーク時を調べてみますというと、一時間当たりが約2万2222台駐車いたしております。
 それで、その駐車の2万2222台ですが、それに対してまず駐車の実態としては有料の駐車場にとまれる可能性としては、4260台がとまれます。そして5台以上の口、あるいは無料の駐車場ですが、そこにも可能性として5372台、それから5台以下の口あるいは車庫等も含めまして1428台がとまれます。それでこれを合計いたしますというと、1万1060台がとまれる状態になるわけでございます。
 その中で、それを差し引いていくと結局はその2万2000台の中で1万1162台がどうしても路上を使用せざるを得ないと、こういうような実態でございました。
 しかし、その有料の駐車場の可能性としては先ほど申し上げましたように約4000台でございますけれども、実際にそこに午前6時から午後の6時までとまっておった数を調べてみますというと一時間当たり2500台でございます。だから、実際上の問題としては、この有料の駐車場が非常に低利用率であるというようなことでございます。まだ実態としては、有料の駐車場は利用できると、こういうような実態が出て無料の駐車場は非常にフルに利用されているというような実態が出てございます。
 それから、そういうようなことの事情から結局は駐車場の整備の問題が出てくるわけでございますが、現在那覇市におけるところの路外駐車場というのは民間建設の有料駐車場に依存しておりまして、現在のところ公営の駐車場は開設されていないというようなことが現在でございます。
 これは、道路とかあるいは港湾とか、そういう公共施設みたいに補助制度がないと、こういうようなことから、これは民間の有料の駐車場あるいは民間のそういう無料駐車場に依存するというような結果になっている次第でございます。
 今後は、一般の駐車需要に対処するために公営の駐車場の建設についても検討していく必要を感じている次第でございますが、まずこれにつきましては、那覇市の方が公営の駐車場の計画といたしまして、那覇埠頭の近くに2200平米相当の規模で都市計画として定めてはございますけれども、何しろこれにつきましては、補助制度はないというような財政上の問題から事実事業に着手いたしておりません。
 それから那覇市の方で現在考えておりますのは、公園整備の一環として用地の取得買収を現在進めている次第でございますが、この公園の敷地の中にこれを利用いたしまして、地下の公営の駐車場を検討いたしております。しかし、これにも非常に大きな財政資金がかかるというようなことで、公営の問題については事実上まだ本当にこの駐車場の対処に対応するような施策というものは現在のところございません。さらに那覇市中心部においては、駐車需要に見合う駐車場を建設することは容易ではございません。
 そういうことで、駐車需要の軽減を図る措置として、これは非常に車の数は年々非常な勢いで増加いたしますし、それにいまの駐車場についても位置的なもの、あるいは相当スペースの面積が要りますし、そういうようなことがありますので、やはりその需要の軽減を図るというようなことは一つの大きな課題じゃないかと思います。そしてその軽減を図るということから、大量の輸送機関というものを同時に導入してくるような必要を感じて、これを一つの手段として現在那覇市の方でモノレールの検討を進めているところでございます。
 なお、民間の駐車場の建設については、やはりどうしてもこれは主体が民間になりますので、協会等ともタイアップしてでき得る限り駐車場の整備について協会ともタイアップしていきたいと考えております。
○議長(知花英夫君) 仲松庸全君。
   〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 教育長に再質問いたします。
 私の質問に対して教育長は、補充職の採用については情実人事はないとおっしゃったので安心をしておりますが、本当にそういう答えでいいかどうか念のためお伺いしておきます。実は、私は今後も審議できる根拠を持っているので、そのことをお伺いしておきたいと思っているわけです。
 それともう1点は、受給資格者証の交付は、交付年月日、交付を受けた者の氏名、年度別の補充教員の数についての具体的な資料は後で御提出願ってもいいと思いますが、これまで何名が申請され、何名に交付したかということはここで概数でもお答えできるんじゃないかと思いますので、御答弁願います。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) お答え申し上げる前に、先ほどの教員の需給計画について説明が少し不足いたしておりましたので、加えましておわびして訂正させていただきたいと思います。
 教員の需給計画につきまして、勧奨81名、定員増150名、計231名とこう申し上げましたが、普通退職も約20名ぐらいありますので、普通退職20名加えまして約250名、この分を51年度で採用するということでございますので、そのように御訂正をお願いしたいと思います。
 次に、情実人事はないということだが本当かという御質問でありますが、絶対にありません。
 3点目の受給資格者証の交付の概数の御質問でございますが、はなはだ残念でございますが資料を持ち合わせておりませんので、ひとつ資料でお届けすることを御理解願いたいと思います。どうも申しわけありません。
○議長(知花英夫君) 中根 章君。
   〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 お疲れのところ申しわけありません。
 御通告申し上げましたように、二、三点お伺いをしたいと思います。基地行政の関係でございますので、よろしくお願いいたします。
 民間及び公務員労働者が、すでに76年度の春闘を闘い始めております。しかし本土、沖縄を含む基地労働者2万6500人余り――沖縄関係者が1万1000人余りだと思いますが、1カ年も経過している今日なお75年度の給与改定が実施されていないことに対し、きわめて重視しなければならない問題かと思います。
 この間、インフレと不況、諸物価の相次ぐ値上げによって賃上げを実施してもなお実質賃金はゼロもしくはそれ以下に低下していると言われており、特に賃上げ遅延によって基地労働者の実質賃金が大幅に目減りをしているのであります。
 今日まで、基地労働者の賃金改定は、国家公務員と同時同率実施の基本原則に基づいて実施するという日米間の基本方針があるにもかかわらず、この基本方針を全く無視して1カ年間も放置している米軍の態度は許されるものではないと思います。
 さらに米軍は、IHAの現行給与体系を改悪しようと躍起になっているようですが、このことは基地労働の歴史的経緯を無視した悪らつな合理化であると断ぜざるを得ません。
 また米軍は、労働者の労務提供に対して給与改定に基づく当然の賃金支払いも行わず、大量首切り、合理化を専行的に推し進め、これら解雇されたものの離職後の唯一の生活基盤となる雇用保険法に基づく失業給付金に加算される賃上げの遡及実施もしないとの態度をとっているとのことであるが、これこそ米軍による二重収奪であります。
 このように米軍は、30年にわたる基地労働の歴史的経緯を無視して、基地の徹底した安上がり維持運営を図るために基地労働者の犠牲の上になりふり構わぬ賃金改悪攻撃を加え、基地労働者の生活を根底から破壊しているのであります。
 このような米軍の悪らつな行為に対し、基地労働者の雇用主である知事もこのような事態を深刻に受けとめていただき、問題解決のための一段の御配慮をお願いしたいと思うのであります。
 知事、この際、現地米軍司令官を初め国に対し、知事御自身上京なされて強力な折衝の必要があると思いますが、どう対処なさいますかお尋ねしたいと思います。
 もう、知事が直接上京してひざ詰め談判といいますか、そういうことまでやらぬ限り1年ほったらかされた給与決定がめどがつかないのじゃないかと、そういうふうな感じをするわけであります。
 全軍労では、この闘争を勝利に導くために、今月の17、18日及び23日、24日にストを構えているのであります。知事の行政責任者としての立場からの対処もあわせて要望しておきたいと思います。
 さらに、去る2月12日、牧港補給基地内で起きた事件についてお尋ねするのでありますが、これは今日までいろいろと新聞でも取り上げられてよく御案内のとおりでございますけれども、同基地内仮設ビルT645号で、臭化メチルを使って屋内テント薫蒸をしていた喜納昌秀さんが御存じのように去る2月12日、オーバータイムを午後7時20分に終えて帰宅後倒れ、意識不明の重体で中部病院に入院し、1カ月にもなろうとしている今日なお意識不明の状態であります。
 この事故は、米軍のずさんな労務管理と安全衛生管理に起因することは言うまでもありません。
 ちなみに、安全衛生管理面のずさんさを指摘すれば、1つ、テント薫蒸は本来屋外で行うのが常識であるにもかかわらず、屋内ビルT645で行っているため風通しが悪く、ガスの拡散が鈍く残留ガスによる危険度が高いこと。
 2つ目には、テント薫蒸の効果面または効率的業務遂行の面のみが強調され、労働者の安全衛生の面は全く無視されております。
 3つ目には、安全衛生の教育はなされないばかりか、防毒マスクも着用させないで濃度測定をさせるなど安全点検が全くなされてないことであります。
 4つ目には、危険な職場であるにもかかわらず、連日3時間以上の超過勤務に加えて土曜日、日曜日の出勤をさせるなど過重、長時間労働を強いてきたこと。
 5つ目には、昨年12月、米国人――日系2世でございます――が、ビル301で臭化メチルガス被爆によって大やけどをするという事故が発生するなど、喜納さんのほか数名の日本人従業員が職場で異常を訴える者が出たにもかかわらず、安全衛生の強化策がとられていないことなどが挙げられるのではないかと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、喜納さんに関しては人命救助を第一義とする万全な医療体制が要求されるが、その体制はどうなっているか。
 また、ずさんな安全衛生管理のもとでの職場環境及び喜納さんが倒れるまでの症状からして臭化メチルによると見られるが、県は雇用主として事故の原因を徹底的に究明し、責任の所在を明らかにすべきだと思うが、喜納さんの職場と因果関係をどう思っておられるか。
 米軍は、臭化メチルによるものではないが、疲労による労働災害で扱ったらどうかといった言動もあったやに聞いております。これは、責任の所在を回避しようとする意図であり、雇用主として労災認定の手続はどうなっているか、2番目にお尋ねをしたいと思います。
 また、去る2月29日から3月3日にかけて専門医師の派遣があったというが、喜納さんに対しどのような医学的処置がとられたのか、具体的に説明をしてもらいたいと思います。
 次に、薫蒸作業にかかわり合った従業員にも異常を訴える者がいるようだが、これにどう対処しようとしておられるか。
 4番には、昨年の6価クロム等有機溶剤といい今回の臭化メチルも問題が起きてから、行政が後追い的に行われているような感じがいたします。
 膨大な米軍基地の中には、ほかにも危険な職場が数多くあると思われます。基地内危険職場への立入調査を早急に行い、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理を米軍に周知徹底させる等の具体的措置を購ずるべきだと思うが、これについてどのように措置しようとしておられるのか。
 次に、本県の医療行政または医療体制は、無医地区問題、医師、看護婦の不足等の問題があるが、とりわけ労働医療体制が皆無でございます。労働災害が多発する中で、労災病院といった医療機関の設置が急務であると思われますが、これについての県のお考え方を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、提供施設の関係についてお尋ねをしたいと思います。
 提供施設内の、ことにその中にある娯楽施設での米軍人、軍属以外の利用はできないことになっていると思います。アメリカ民間人の利用状況についてその実態を知っておられるか、それをお尋ねしたいと思いますが、ここにポスター2枚ありますけれども、これは在沖米国商工会議所創立記念パーティーの呼びかけのポスターでございます。大きいのと小さいのと2つございますけれども、アメリカの商工会議所の創立記念のパーティーの主催が商工会議所でございますので、当然これはアメリカの民間人だと思います。
 このアメリカの民間人が、嘉手納航空隊の将校クラブの中でこういうふうなパーティーを開いているわけなんです。これは違法であるし、さらには脱税のおそれもあると思います。
 これらの実態を知っておられるか、今日までの調査の経過、その実態についてお尋ねをしておきたいと思います。またこの種の問題を摘発する意思があるか、お尋ねをしたいと思います。
 また次に、ここにもう一つの同じく将校クラブの関係のチラシがこざいます。これは、第18空軍憲兵隊主催のクリスマスパーティーのプログラムでございます。
 このチラシは、1975年のクリスマスパーティーで、いまさき申し上げましたように第18空軍憲兵隊の主催のものであります。この招待客には、多くの日本人が招待をされております。これの表紙には、エイティーンズ セキュリティ ポリス スクァードゥロンですか、そしてその下の方に――英語は上手ではありませんけれども――ポリスメンス ボールというんですか――BALLですけれども、おそらく舞踊会みたいなものかと思います――こういうふうなものが記されております。
 これには、二、三、名前も知っておりますけれども、これはこの場で言うべきものじゃないと思いますので言いませんが、県内の出先の公務員、出先における幹部がたくさん参加をしておられます。そして、ごあいさつも述べておられます。
 人の招待に対して、とやかく言うつもりは毛頭ありません。これは絶対にないですけれども、ただ私がここで問題にしておきたいのは、国家公務員が、いわゆる基地内への招待に安易に出かけていくということと、それからそういうような特権意識に基づいて基地内の娯楽施設に出入りをしているということが、次私が聞きたいことに関係が出てくるからであります。
 次に私が聞きたいのは、基地施設内にあるゴルフ場に出入りする日本人が日増しにふえているということであります。これは、まさしく基地内での脱税行為にもつながりかねないのでありますけれども、提供施設内のゴルフ場はいま県内にも数カ所あるかと思います。その中のゴルフ場に、これは招待じゃないとしか言えないと思います。日曜、土曜、日によっては米軍人、軍属よりも日本人の方がゴルフを楽しんでいるのが多いわけであります。
 提供施設内のゴルフ場は、伊波城のゴルフ場が9ホール1回回って1ドル50セントぐらい、2回回ると3ドルぐらいであります。砂辺が、9ホールで平日600円、土曜日1000円、祝祭日の場合に1200円であります。おそらく施設利用税も、ここでは支払ってないので脱税行為があるのではないかと思われます。民間のゴルフ場は、御案内のように3000円から7000円ぐらいまでであると聞いております。まさに10倍になります。
 また、このような米軍人、軍属以外の基地内娯楽施設の利用について、いわゆるこのゴルフ場、ことにゴルフ場利用について皆さんは実態を知っておられるのか。これは、地位協定の立場から見ても、わが国の法令に照らし合わせても立入禁止であるし、特にこういうのは違法かと思います。これの実態を、どういうふうに見ておられるのか。
 先ほどの、いわゆる憲兵隊の招待は、確かに招待であるので行くということもあるかもしらぬ。しかし、そういうふうなものが特権意識的にこういうゴルフ場に出入りしているということは、いま言うこのゴルフ場への問題を助長する一つになりはせぬか。そういう意味で、私は高級公務員の基地への問題について、また余りにもたくさんの人たちがこういうふうに招待されて行くということについては、一つの問題点があるんじゃなかろうか。ことにこれらの問題をあわせて御見解をお尋ねしておきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、あと1つだけ触れておきます。
 産業と公害の問題、ことに1次産業と公害の問題を取り上げてございましたけれども、時間がございませんので1つだけいま大変農薬公害が心配になってきております。
 中国の言葉に、これは日本読みをしますと医食同源という言葉がございます。いわゆる医学と食生活は、同じ源であるとの意味で私は解しておりますけれども、沖縄でもヒージャーグスイ、チムグァーシンジ、熱冷ましのためのターイユヌシンジ、こういうふうにいろいろ私たちは食事とそういう関係を昔から言い伝えられております。味もよいけれども、味わいのある言葉でもあります。そしてその源は、土でございます――すべてが。
 このような立場に立つとき、農薬の使い過ぎは人間の命にかかわる問題であります。ことに沖縄においては、いま言ったように食事と病気の関係なんかよくいままで言われてきておりますので、ことに沖縄においては重要視しなければいかぬし、さらに独占企業のいろいろな公害、重金属類もあわせてこの農薬の問題を見るとき、複合汚染の心配が大きくあるのであります。
 静岡県の例でございますが、茶園における農薬散布中の婦人が農薬中毒で死亡した例がございます。ことにお茶は、一遍農薬をかぶるとお茶を洗うわけにはいきませんので大変心配もあるわけですけれども、そういうふうなこともあわせましてこれから1次産業と農薬との関係、どういうふうに御指導なさっていかれるか。いま実に私たちのふるさとは、川にはフナがいない、野原にはトンボがいない、そういうふうな現実でございます。
 さらにもう1つは、養蜂業との関係でございますが、ハチみつが、昨日の島田議員も取り上げておられましたようにいろいろな意味で養蜂業というのがいま有望視されてきております。それが、空中薬剤散布のために去年ですか――南部の養蜂業者が、養蜂が全滅させられたことがございます。
 これは、連絡を受けて巣に戻したけれども、その日が雨天で延期になり、そして晴れ次第散布をしてしまって、それから養蜂業者も放してしまったということで、そういう結果が出たようでございますけれども、その養蜂との関係で、空中散布農薬との関係とあわせてこれからの県の農業政策、1次産業の保護とそれから消費者保護の立場に立つときの農薬との関係を、今日までの取り組みとお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めの御質問の基地従業員の給与改善の問題についてでありますけれども、この問題につきましては、私としては現地司令官にはたびたび会ってこれを折衝しておりますけれども、実現するにいまだ至らない。
 それから施設局につきましては、文書要請をいたしております。大島渉外部長をまた直接派遣いたしましてずっと折衝をせしめておりますけれども、まだ実現しておりません。
 それから知事が上京して折衝する気持ちはないかということでありますが、これは渉外部ともよくお話をして効果的な方法だとの判断が出れば、私それを折衝するにやぶさかじゃありません。
 その他の基地関係の詳しいことにつきましては、渉外部長、その他の問題につきましては関係各部長に説明させたいと思います。
 それから最後に、御質問がありましたゴルフ場の使用とか、あるいは基地内の招待の問題というようなことにつきましては、そこでやってもやはり税もかからないような方法があるとすればこれは適当じゃないと、好ましいことじゃないと思います。
 したがって、これを一々いまこうして取り締まっている、ああして取り締まっておるというようなことは言えないのでありますけれども、そういったような招待、あるいは基地の内部において税もかからないようなゴルフというようなことは、私は好ましいことではないと考えております。
○議長(知花英夫君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島 修君登壇〕
○渉外部長(大島 修君) 基地従業員の給与改定の問題につきましては、ただいま知事から御答弁がありましたので割愛したいと思います。
 次に、指摘されました牧港地区内の薫蒸作業中の事故の問題についてでございます。
 御指摘のように、牧港補給地区の施設営繕局というところに勤務をしております――これは防虫係でございます――いわゆる野菜にカタツムリなんかがついているので、それを臭化メチルでもって薫蒸して殺すとこういう作業をしておりますが、その作業をしている喜納さんが、去る2月12日に、先ほどお話のように超勤を終えて帰って、けいれんを起こしまして意識不明のまま救急車で中部病院に運び込まれまして収容されて治療を受けておりますけれども、現在まで原因不明のまま意識が回復せずに病態は重いと、こういうふうに専門医は言っておられます。
 県といたしましては、早速労働基準局とタイアップしまして合同による立入調査も行いまして、また軍に対してもいろいろと折衝をしましてその原因等について究明をいたしております。
 さらに国に対して、専門医の派遣を要請いたしまして、先ほどお話がありましたように去る2月の29日に専門医3名によって本人を診察し、治療をしてもらいました。その結果については、まだ何とも国の方から専門医の先生方からは、県の方にその原因だとか、あるいは詳しい病状については御報告をいただいておりません。
 県は、こういう事故、しかもこういう危険な作業場で起こったことでございますので、米軍に対しましては厳重に抗議をいたしまして、今後この種の作業には日本人従業員をタッチさせないようにという強い申し入れをいたしておりまして、現在日本人従業員は2月の13日からこの作業には従事しておりません。軍といたしましては、今後できればこの作業は現在も一部――大部分は請負業者にさせておりますが、その全部を請負業者にさせるか、もしくは米人でそれをやるようにしたい、こう言っております。
 なお全軍労も、いわゆる従業員も、13日以降その作業への就業拒否をいたしておりますので、現在はその作業にはタッチいたしておりません。
 そこで、御質疑の喜納さんへの医療はどういうふうにしているかとこういうことでございますが、中部病院の方では現在の病状については正確に診断をし、それに対する万全の治療を施しておりますと、院長、副院長、担当医が言っておられます。またさきに来られました専門医の先生方も、中部病院の現在施している施療は、医療は十分やっていると、こういうふうに言っておられます。
 原因につきましては、その因果関係につきましてはまだわかりません。いろいろとむずかしい問題があるようでございまして、先ほど来られました専門医は、わが国で最高と言われるその面の権威の先生方だということで労働省、施設庁が太鼓判を押して派遣された医師の御3名でありまして、その先生方も因果関係についてはまだ県に対してどうだというコメントはございません。
 それから労災手続をとらしておりますので、これは労働省において認定されるべきものでございますので、その認定を待っております。
 それから他の従業員につきましては、早速MLC契約に基づきまして特別健康診断を実施することになっております。
 それから、そういう危険職場あるいは有機溶剤薬物を使っているところの危険職場の実態調査、安全対策ということでございますが、それにつきましては、昨年来県から要求いたしましてそのリストをいただいております。そのリストに基づきまして軍とは約束をしてございますので、私がこの議会のあき次第実態調査に入ると、こういう約束をしておりますので、できればあしたからでもあさってからでも実態調査に入りたいと、こう考えております。
 次に、基地内遊興施設における米民間人並びに日本人の利用問題でございますが、基地の使用主体は、御承知のとおり御指摘のとおり地位協定の定めるところに従いまして、合衆国軍隊の構成員、軍属及びその家族とこうなっております。その構成員、軍属、家族につきましては、地位協定第1条で規定されてございます。
 さらに、その構成員に対する軍人、軍属、その家族に対する恩典につきましては、地位協定9条以下11条までで、その他でいろいろと規定をされておりまして、それによりまして軍人、軍属及びその家族は、入国管理や租税上の特別措置がとられております。基地内での居住はもちろん、軍規の定める範囲であらゆる施設の利用も認められて、衣食住すべて免税措置がとられておるわけでございます。
 そこで、この米軍の構成員、軍人、軍属でない一般の民間人並びに日本人の基地内への施設の立ち入り、あるいは免税品の売買等につきまして、あるいはゴルフ場等への立ち入りについては禁止されておりますので、立ち入ることは規定上はできないことになっております。
 県といたしましては、先ほど御指摘のありました将校クラブでのパーティーの問題、憲兵隊の招待の問題、ゴルフ場の利用の問題、その実態については調査をいたしておりませんし確認しておりませんので、調査をいたしまして関係機関とも提携しまして、これは渉外部で対応できる問題じゃございませんので、しかるべき取り締まりの関係機関その他がございますので、国の機関、県の機関等と提携いたしまして、あらゆる面から検討しまして対策を講じていきたいと、こう思います。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 基地施設内のゴルフ場を日本人が利用することについてお答えいたします。
 このことについては、県といたしましてはアメリ力合衆国軍隊の基地内に所在するゴルフ場を日本人に利用させるということは課税公平の見地から、あるいはまた行政協定の趣旨からも容認できない立場にありますので、当該ゴルフ場を日本人に利用させないよう迅速かつ適切な措置をされるよう重ねて要請してきたわけでございます。
 この要請を受けて、在日米軍沖縄地域調整官は、回答を去る2月27日に寄せてきております。この回答の内容を申し上げますと、日本の民間人に対し米軍ゴルフ場の使用を認める件は、貴書簡を受理した後直ちに1975年12月の沖縄地域連絡調整委員会に提起されました。米軍ゴルフ場の使用許可を与える権限のあるすべての司令官たちは、この件に関する規則及び事務手続を検討することに同意し、かつ規則を固く遵守させるべく万全を期する上で努力することを約束しましたという回答が来ております。
 なお、こういう回答が来ておりますが、今後も利用させないように十分な調査あるいは監視を続けなければならないと考えております。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 労災病院の設置の件についてお答えいたします。
 この件につきましては、振興開発計画の中でも計画いたしておりますので、これまでも労働福祉事業団にもその設置方について要請したことがございますが、労災病院そのものを設置することはむずかしいのではないか。ただ、診療所あるいは分院という形では検討できるのではないかというふうなことでございました。
 その後、この問題について具体的にその話を詰めてはございませんが、今後さらに検討いたしまして労災病院の設置について推進いたしていきたいと、このように考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 農薬の公害につきましては、御指摘いただきましたように各所で発生した実例があるわけでございます。
 御承知のように、農林省は植物防疫法に基づきまして農薬の安全基準を定めたわけであります。なお、県も農林省の安全取り締まり基準に従いまして、基準をつくってこれを農家に指導をさせているわけであります。
 さらに環境庁、農林省から補助を得まして残留農薬の追跡調査をしているわけでございますけれども、その追跡調査の結果に基づいて高度に基準以上の残留農薬が見つかった場合については、徹底してその地域の指導に当たるという措置をとっているわけでございます。
 なおまた、県単独事業といたしましては、特に生鮮農産物の市場からの買収によってこの追跡調査をする。さらに有機燐系が基準以上に含まれているという場合には、その野菜を追跡をいたしまして生産地の徹底指導に当たるということにしているわけでございます。
 さらには、生鮮農産物のいわゆる農薬の安全使用の事業を51年度からわれわれは予算化しておりますので、今後も徹底した指導取り締まりに当たりたいと、こう考えております。
 さらには、空中散布との関連がございました。以前に、養蜂関係者の皆さんに大変御迷惑をかけたわけでございますけれども、この空中散布も今後も行う地域がありますし、なお計画もございますので、これの実施に当たっては十分な対策をとりながら農家に迷惑がかからないように努力したいと、こう考えております。
○議長(知花英夫君) 崎浜盛永君。
   〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 本定例議会で、屋良県政の復帰前の公選主席時代から今日まで7年間の評価と指摘が行われてまいりました。また、現在の社会、経済の状態あるいは軍事、教育等県内情勢全般について多くの議員から指摘され、問題が提起されてまいりました。
 さらに県当局は、51年度のきわめて厳しい経済情勢の見通しを発表されてまいりました。また、経常収支の比率の劣悪化、あるいは財政力指数の弱さ等を含めて財政の状態がきわめて危機的な状態にあることも指摘されてまいりました。
 このような情勢の中で、知事は施政方針の中で、今後51年度以降は、いままでの実績を踏まえて復帰を内面的かつ実質的に充実強化していく時期として位置づけて、もろもろの行政運営をしていくという方針を明らかにしてまいりました。
 さらに、具体的に沖縄の経済浮揚の施策としては、財政が主導する経済対策をもって行う。そのために公共投資を活発にしていくと、そのような方針のもとで予算を編成してきたと、このように述べられてまいりました。
 このような評価と指摘、あるいは現状把握、これをさらに私は現実的に把握する立場から幾らかの質問を行っていきたいと思います。企画調整部長と総務部長でお答えをお願いしたいと思います。
 県は、振興開発計画を作成する時点におきまして国と合意をしながら一応推計したものは、復帰時点において公共投資の政府固定資産増勢率は本土の36%でしかなく、その差額は、必要資金は1兆6657億9900万円、このように当時価格で推計いたしました。そしてまた、当時の民間資本形成もその目標達成に必要な資金量はおおよそ2兆5400億円と推計し、当時の価格を発表してまいりました。
 そこで、今日まで振興開発計画が実施されて4年を終えようとしております。今日、この実績をどのように評価しておられるかということを、いま一度われわれがみんなで検証するためにも振興開発計画の達成率はどうなっているのか。それを49年度実績、できれば50年度の実績見通し。要すればこれは非常にむずかしいこととは思いますが、51年度の予算を執行すればどのような形になるだろうか、こういうことがもしわかっておられれば知らせていただきたいと思います。
 さきに申し上げましたように、異常なほどに混乱をきわめておるところの沖縄の経済実態に対応するのに、財政の主導をもってこれを浮揚し開発していこう、このことは残念なことではあるが、当分沖縄においては続かねばならない実態だと思います。
 言うように、財政が主導する経済対策であるとするならば、昭和43年当時の屋良行政主席就任以来、今日までの財政投融資いわゆる投資的経費の総量は、私の推計によれば50年度分を含めて約2300億円程度になろうかと思います。
 これらの2300億円の投資をやった結果、弱いと言われる民間資本の増勢への寄与率はどういうふうに判断しておられるのか。非常に把握はむずかしいと思いますが、このような作業をしておられるか。また、なされる準備があるか。もしやっておられるならば、その結果を知らせていただきたい。
 いま1つは、開発計画の51年度計画にあわせて県の財政需要がどのように把握されたのか。そして、予算措置との関係はどうなるのか。
 これは、さきの財政が主導する経済対策とのかかわりで、いま沖縄県民が要求し、行政実務の上で把握される需要というものがどのぐらいあったのか、それに対してわれわれが財政的にどの程度対応できたのか、このことをもし把握しておられるならばお知らせ願いたい、このように思います。
 以上の質問に対する御回答を得て、現状を把握した上で再質問をし、意見を述べていきたいと思います。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 崎浜議員の御質問にお答えいたします。
 まず、沖縄振興開発計画の達威率が49年度ないし50年度時点でどの程度いっているかという御質問と、さらには県内固定資産形成の中での民間あるいは財政の達成率はどうかということが主に私に対する質問かと思いますので、お答えしたいと思います。
 まず御承知のように、沖縄振興開発計画は、県知事が原案をつくって国に提出し、内閣総理大臣が策定して閣議決定されたわけでありますが、県知事原案を策定の場合には、一応事項別の計画をつくり、資金の総量、その資金の構成、国、県、市町村、さらには民間等も含めて一応算出しておりますが、年次別の資金計画はしておりません。
 さらに、この県の知事原案の参考資料とした事項別の計画は、国においては認証といいますか、振興開発計画の一部としては見ておりません。あくまでも県の原案作成の過程の参考としてしか見ておりません。
 そこで、いま崎浜議員の御質問で、達成率という場合に県としては知事原案をつくったときの積み上げたフレームでしか見ることができませんので、それを前提としてお答えいたしたいと思います。
 振興開発計画の県フレームでは、崎浜議員がおっしゃった目標年次の昭和56年までの県内総固定資産形成の中の財政投資分は1兆1665億7500万でございます。さらに民間は、当初発表段階では2兆5400億となっておりましたけれども、これを再三精査いたしまして最終的には2兆6310億となっております。それを、50年度までの民間さらには財政べースの固定資産形成を見ますと、昭和47年から50年までの累計――これは50年の見込みといいますか――を含めまして先ほど申しました民間の場合の2兆6310億に対して9076億300万となっております。この振興開発計画の県フレームにおける昭和56年までの計画からしますと、47年から50年までの4カ年で24%の達成率ということになっております。
 さらに財政の面でございますけれども、これは県内固定資産形成の中の財政の面でありますけれども、崎浜さんが先ほど指摘したのは、その中での開発関係事業の中の公共投資だと思いまして、これから私が言いますのは、開発金融公庫等も含めてのものでございますけれども、これも47年度の初年次から50年までの累計は6101億になりますんで、47年から56年度の10カ年の中の累計の資金量が1兆6657億でございますから、これも達成率は非常に少ないと、こういう実情でございます。
 ただ参考までに、しからば県の総予算の推移と開発庁一括計上分、さらにはその中の振興開発事業値の割合を見ますと、初年度が県予算――これは最終予算でございます――が、731億6600万、48年度が1051億6600万、49年度が1325億2000万、50年度が1512億6700万、51年度が1571億8000万で、県の予算の推移が対前年比48年度で143.7%、49年で126%、50年度で151.3%となっています。
 そのうち、開発庁の一括計上分がこれは平年化いたしまして47年度760億1800万、48年度が645億1500万、49年度が762億6000万、50年度が833億7000万、51年度が1014億8000万と。伸び率が、48年度で84.9%、49年度118.2%、50年度で109.3%、51年度で121.7%でございます。
 そのうちの振興開発事業費が、47年度の初年次が344億7200万、48年度が604億6500万、49年度が718億3000万、50年度が770億3300万、51年度が943億1300万と。対前年比で48年度が175.4%、49年度が118.8%、50年度107.2%、51年度122.4%ということであります。
 以上申し上げまして総括的に言いますと、国の総需要抑制、さらには石油ショック、高物価等がございまして、当初振興開発計画策定の段階と、復帰いたしまして復帰後二、三年大きく国内外の経済状況も違ってきて、その中で特に沖縄の振興開発ということで開発庁においては特段の配慮、努力がなされたというふうに理解はしておりますけれども、いま総体として見た場合には当初の主要なフレーム、特に財政投資と民間も含めての県内固定資本形成から見る限りは、当初計画からは県フレームと比較する限りこれは相当の開きがあると、こういうことは言えると思います。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 県の財政需要をどのように把握されているか、そしてそれに対してどのように措置されたかということについてでございますが、まず51年度予算要求に当たって各部に対して概算見積もりを指示するに際しては、施策的経費の国庫補助事業に係る経費については、昭和51年度国庫支出金要請額の範囲内にすること。
 県単独事業については、それぞれ昭和50年度当初予算額の範囲内とするということと、それに一般行政経費については、それぞれ昭和50年度当初予算額を限度として可能な限り節約を図り、必要最小限度の額にとどめてもらいたいという条件を付して各部から概算要求を受けたところ、総額にして1888億8478万円の要求があったわけでございます。これは、前年度当初予算と比較いたしますと538億8478万円上回る額になります。そして39.9%の伸び率になるわけでございます。
 この要求額の内訳について見ますと、まず最もポイントとなる投資的な経費だけについて申し上げますと、50年度当初予算額の投資的な経費が392億410万1000円になりますが、51年度の要求額は675億8155万2000円という要求になって、結局は283億7745万1000円の増額要求になっております。そしてその伸び率が、対前年比で172.4%というふうになっております。
 このように出された財政需要でございますが、先ほど申し上げた条件等付さない場合は、おそらくそれ以上を上回る要求額で財政需要が多く出てきたんじゃないかと思います。それに対しては、51年度で予算措置をしております。
○議長(知花英夫君) 崎浜盛永君。
   〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 大変ややこしい質問をしたわけでございますが、特に私が開発計画を基準として現実のいわゆる計画を達成するために必要な需要がどのぐらいあるかということの把握、このことは知事が申される財政が主導して経済対策をしなくちゃならないという現実の沖縄においては、私たちの需要把握というものはきわめて重要なことになろうかと思います。そういう意味で、今後もこの計画との関係において需要把握をひとつ十分にやっていただきたいと、このように思います。
 さて、私たちはこの議会で各党議員の質問の中でも、屋良県政が7カ年間の革新県政を終える最後の議会である。ここに会議する私たちも、これがこの任期としての最後の議会である。さらに、新しい内面的な沖縄づくりという年でもあると。そういうようなことで、非常に重要な議会であるという認識に立って審議を進めてきたわけでございます。
 ところで、昭和43年屋良さんが初の公選主席として就任されました。その当時、復帰という制度の変遷に対してわれわれがどう対応するかということで、行政当局においても復帰対策室をつくり、立法院議会におきましても復帰対策特別委員会をつくって制度の移管に件う県民の権利あるいは生活を擁護する立場からの措置はどうあるべきか。あるいは27カ年間アメリカの軍事支配の中で、国の地方自治体としての沖縄への対応が全然なかった。その欠落から出てくるところの格差を復帰の時点においてどう埋め合わせていくか、それはどのような計画でどのような制度で、そしてどういう機構で対応すべきかということが真剣に討議されてまいりました。
 そして一応の帰結として、いま私たちは復帰に伴う特別措置に関する法律並びに振興開発特別措置法、それに伴うところの振興開発計画の策定及び開発庁の設置、沖縄総合事務局の設置等を一応制度化し、今日まで復帰対策を進めてきたわけでございます。
 その間、この復帰対策の準備あるいはドルの切りかえの準備、実際の切りかえ、復帰後の諸制度の対応と重要な課題を果たして今日に至りました。
 そこで、復帰後の新しい県政に対応するために、私たちは復帰特別措置、振興開発特別措置、それに伴う計画の策定等を国において措置させて、今日沖縄の経済その他の全般の対策をしてきたわけでございます。
 ところで、今日まで多くの議員が論議したように、その結果としていろいろの問題が指摘され評価もされてまいりました。いま私たちは、これらを振り返ってみて、一体復帰措置というものはそれでよかったのか、これからも手当てすべきものはないのか、振興開発特別措置はどうあるべきであったのか、これでいいのか。こういうふうなものをいま一度冷静になってこれを検討してみる必要があるのではなかろうかと、このように思います。
 復帰特別措置については、先日自民党の比嘉議員によっていろいろと提案があり、それに対応する措置を行政当局で講ずる旨の回答がございましたので、私は主として振興開発特別措置に関する問題について意見を述べながら考え方をお尋ねしていきたいと思います。
 まず考えられることは、当時の開発計画そのものを策定する背景が今日とは異なっておったということが1つでございます。当時、策定の当時は高度成長政策の中でそのような状態の中で、この計画は策定されてきた。ところが、今日日本の経済は低成長、安定成長という形で、高度成長はもう許されないという情勢になっております。
 とするならば、そういう大きな社会、経済の政策方針が変わった時点では、この特別措置そのものについても私たちは考え直す必要があるのではなかろうかということが1つ。いま1つは、これでやっていけるということで県政を運営してこられたわけでございますが、その間実際行政実務として運営してこられた県当局が、行政実務上やはり制度には乗らない、乗っても困難である、こういうものが多く指摘されてきたのではなかろうかと思います。
 私は、これらのものを行政実務家としての県庁職員が今日まで4カ年間運営してきた実績を継承していって、そしてこれから本当にじみちに沖縄県政を軌道に乗せていくという知事の方針に基づいて施策を練り直す必要があるのではなかろうかと、このように考えます。
 さっきも申し上げましたように、情勢の変化に伴う開発計画の見直しが必要じゃなかろうかということと、いま1つ私は重大なものがあの開発計画の中に特別措置として取り残されたんじゃなかろうかと、こう思います。
 私たちは、計画に基づいて資金を導入し、そしてそれを執行することによって公共並びに民間資本形成に役立ち、沖縄の経済を浮揚するんだと、開発するんだという立場をとってまいりました。そして期待してまいりました。
 ところが、いろいろと海洋博あるいはその他の事業を推進する中で、需要をつくった、その需要に応じて受けざらが非常に小さい沖縄においては、やはりヤマト資本を入れざるを得なかった、あるいは入り込む余地をつくったと。その中で、今日99.7%という中小企業が非常に資本の論理の中で苦しめられてきているこの実態の中で、やはり私たちはそのことを予想して、特別措置の中で沖縄の中小企業を守る措置を一本入れるべきであったと、私はそう思います。
 そこで、いま那覇市でも先日先議されたようでありますが、やはり投資を本当に県民資本のストックに転嫁するためには、沖縄の中小企業の資本形成を制度として保障する措置が必要である。その立場から、中小企業の市場確保のやはり制度化が必要になってくるのではなかろうかと。それをまた、具体的に保障するものとして今日まで知事が提唱し、私たちも支持してきたところの県産品愛用の施策を推進していくと。
 そのような形で中小企業の経営活動を確保する制度的保障が、やはり復帰措置の一つとして私たちは必要であったと、それがやはり不十分であったと、このように思います。
 それから27年間の行政欠落が非常に行政執行において大きな支障を来していると思います。その1つは、行政の最も基礎的な諸統計資料、それに基づくところの諸台帳、あるいはこれから沖縄を開発するところの諸計画の策定、それに対応するところの私たちの未経験さ、習熟度のなさ、こういうものが現実には私は行政執行に大きな障害となっていると思います。
 とするならば、やはり私たちは、措置として一つの制度としてこの27年間の欠落に伴う制度整備のための制度的、財政的保障が必要であったと思います。
 このようなことを含めて、私たちは復帰措置、振興開発措置あるいはそれに伴う計画等をいま一度見直してそして国に要求し、県内で努力する体制をつくっていかなくちゃならぬのではないのかと、このように思います。
 時間もないようでございますので、以上ひとつそういうことについてどのような見解を持って作業を進めておられるのか、このことをお尋ねしたいと思います。
 いま一つ最後にお聞きしたいのは、財政の問題でございますが、多くを言う時間がございませんので、ただ国の地方財政計画は、歳入不足額を2兆6200億と読んだ。そのうち、交付税特会で資金運用部資金からの借り入れを含めて、あるいは一般会計からの繰り入れを含めて1兆3700億円を措置しよう。あとの1兆3141億円は、市町村自体の赤字債によって補う、こういうような措置をとってまいりました。
 そしてその結果、県債においても今年度予算は95億余円の起債額を持ち、そのうち26億5000万円がいわゆる財政対策債、しかもその中には7億800万円前後が交付債の振りかえ分として措置されております。
 私が言いたいのは、赤字債というものが交付税の制度そのものを崩すことになりはせぬのか、私はきわめて危険な感じがいたします。
 本来、地方財政計画におけるところの策定においては、需要を性格に把握し、歳入を確定しその不足額は当然交付税で補てんするというのが交付税法の趣旨であるし、そしてそれを保障する財源として3税の32%の繰入率をもってするという形で行われてきた。
 ところが、この32%では、地方財政の不足額は当然補えない実態になってきた。それを赤字債という形で、しかも縁故債で地方財源に織り込むというそのような財政計画は、交付税の性格そのものを空洞化し、今後地方財政に大きな問題を投げかけるであろう、このことを非常に危惧するものであります。財政当局の見解をも承りたいと思います。
 以上、終わります。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 先ほどの私の答弁をもう少し補足して説明して、それから2番目の説明に入りたいと思いますけれども、先ほど47年の初年次から56年の目標年次までの県内総固定資産形成の中で、民間が崎浜先生は2兆5400億という御理解でしたけれども、県で最終的にその時点でまとめたのが2兆6310億と。それから財政べースでは1兆6657億ということですが、その中に開発金融公庫分は、これは民間に入っております。そして財政は、国、県、市町村の分でございます。
 それを47年から56年までのその当初の2兆6310億を50年度までのいわゆる実績、これは47年度価格の民間サイドで6322億で比較しますと24%、これをもう少ししからば50年度段階で、過去4カ年の実績で比較しますと、全体の県内総固定資産形成で実績で63.5%、名目で85.6%、これは、県フレームに比較してですね。それから民間サイドでは、実績で69.7%、名目で92.6%、それから財政べース実績で54.5%、名目で75.2%、こういうことです。
 それで再質問のことにつきまして御答弁いたしたいと思います。
 県も、ただいま崎浜議員がおっしゃったように、全くその趣旨なりその方向で検討していることをまず結論的に申し上げたいと思います。
 御指摘のように、振興開発特別措置法を受けての振興開発計画は、策定当時と策定後の昨今ではずいぶん県内外の情勢も違っておりますし、また県民の財政に対するあるいは行財政に対する考え方なり需要も変わってきていますし、国の諸計画もその基本において大きく変わってきておりますので、そういう新しい現時点に立っての振興開発計画の見直し、さらにその母法としての振興開発特別措置法過去4カ年、実際にやってみてその中での実績は実績として伸ばし、また問題点があるとすればその解決の方策、あるいはまた復帰当時相当大あわてでいろいろやってきましたんで、その中で欠落している部分等を含めていま県としても、さらには開発庁も中期展望ということで検討しているところであります。
 県といたしましては、すでに各部に対して振興開発特別措置法の問題点、あるいは検討して追加あるいは新たな改正等を必要とするもの、さらには見落としたもの等も含めていま各部にその資料を要求しているところでございます。
 以上。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 地方交付税のあり方についての御見解が示されたわけでございますが、地方交付税は総額にして5兆1874億で、これは対前年比17.1%となっておりますが、これの原資の大半が国の一般会計及び資金運用部資金からの借り入れによって補てんされて総額を確保しているということになっております。
 全体的には、景気の変動に伴って国税や地方税とも増収が期待できない。したがって地方交付税、県税ともに落ち込む結果ともなるんで、それを見込んだ上でこれを補てんする主要な措置が講ぜられているわけでございます。
 確かに御指摘のとおり、地方交付税の本来のその原資のあり方からすると、変則的なあり方じゃないかと見ております。これも、現在の不況の中から派生してきた一つの問題点じゃなかろうかと見ております。
 国税3税による交付税のみだけでは、逆に前年度当初計画よりも約6000億円程度落ち込む結果となるというような状態の中で、国としてもこのような地方財政計画、地方交付税の補てん措置をとらざるを得なかったのではないかというふうに見ているわけでございます。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後3時15分休憩
   午後3時32分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を続行いたします。
 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 農業の見直し論が高まってきた今日、本県議会でも各分野から数多くの論議が交わされたのでありますが、本員もなるべく重複を避けながら所見を述べて質問をいたしたいと思います。
 公明党県本部は、昨年11月20日から12月の末まで41日間にわたって沖縄本島8市2町21カ村と宮古、八重山、久米島、伊江島、渡嘉敷、座間味の各離島の4000戸の農家を対象に農業経営の意識実態調査をいたしました。調査人員延べ2000人の党員によって、各農家に聞き取り目記式のアンケート調査であります。回収率81%であります。
 調査目的は、農家の声を簡明率直に伺って、その実態を明確に把握し、きめ細かな農業行政に役立てるよう、国、県の当局に要請するためであります。労多くして効少なしといううらみはありますけれども、わが党の微意のあるところをおくみ取りくださいまして、御参考に供したいとここに慎しんで資料の贈呈をしたいと思います。
 さて、地方自治の確立を掲げる革新県政と言っても、農政の分野においては国の行政の末端執行機関になりがちであることは否定できません。特に農政の基本ともなるべき基幹作物の価格政策について見ても、県はこの価格決定の何らの権限もないし、県費で補償する力もないのでありますから、県にはサトウキビ農政はないと言っても過言ではないと思います。
 それでも、県民はサトウキビをせっせとつくり続けております。また県行政はその基盤整備に努力を続けておられますけれども、なぜかならば、やはり沖縄では何と言ってもサトウキビが適作だからであります。不満ながらも、一定の保障があるからであります。本県のこのサトウキビ農業の足元を見透かした最低の保護政策を、ある人は哀れみの農政と言う人もおります。しかし、いつまでもこれに甘んずべきでないことは当然であります。
 農家を大資本の利益から守り、そしてそのような政策と粘り強く闘っていく県政こそ、まことの県政革新でありましょう。そういう意味で今後とも一層の努力を期待するものであります。
 政府の高度成長政策は、大企業優先、重化学工業重点の工業立国を目指したために、食糧は輸入すればよい式の国際分業論を生み出しました。そこから農業切り捨て、貧農切り捨ての政策になったことは何人も周知のことであります。人口の都市集中化、また農村の過疎化現象もこれ全く大企業優先の国策に誘因することでありまして、革新県政の責めに帰すべきではないことを一言申し添えたいと思います。
 ともあれ、農家の実態を明確に認識し、正しい行政の対処策を迫られているのが現実であります。そういう意味でわが党の調査項目は、14項目であります。1、農業経営別の状況、2、栽培の主体作目、3、農政についての意見、4、将来農業で生計を立てるかどうかの調査、5番、基盤整備事業についての考え、6番、農家の共同作業について、7番、農作物の流通機構について、8番、価格保証制度について、9、価格保証制度審議会の設置について、10、現在の農協について、11、農協の運営について、12、農村の社会福祉について、13、農業共済事業について、14、国、県に対する要望についてと、この14項目でありますけれども、時間の都合上二、三点だけを申し述べて以下質問をしたいと思います。
 その前に、県経済における農業の地位は至って低いことをまず述べてみたいと思います。
 昭和40年から48年の8年間における県経済の伸び率が19.3%に比べて、農業の伸び率はわずかに8.1%であります。また、農業が県民の総所得に占める割合は昭和40年に8.9%であるに比べて、昭和48年には4.0%に激減をしております。
 また、昭和48年度における農業従事者の1人当たりの所得がよその産業に比べてどうかといいますと、全産業の25%、第2次産業の28.4%、第3次産業の20%、まことに5分の1の所得しかないという寒々しい実情になっております。
 そこで関連をしますけれども、まず農業経営の実態の調査によりますと、沖縄の農家の専業農家は全体の40.95%、兼業農家は59.05%を示しております。すなわち農家の過半数が農業だけではない、よその仕事をしなければならない。つまり農外収入に依存しなければならない農家が過半数を占めているという調査結果になっております。これは、沖縄農業の大きな特徴であります。
 また、急激に兼業農家が増加した傾向がありまして、このことは農業就業者の老齢化、労働力の不足、そして粗放農業へ進む必然性をはらんでおることが指摘されます。
 そこで質問の第1点は、農家戸数、農業就業人口は年々減少の傾向にありますが、その実態についてお知らせ願いたい。
 さらに、昭和49年度もしくは50年度の資料がありましたら、農家所得は向上の傾向にあるのかどうか、その実態についてもお知らせ願いたい。
 質問の第2は、およそきめ細かい農政というのは専業農家に対して重点的に向けられなければならないと思いますが、このような過半数が兼業農家であることに対して県の行政はその配慮をしているのか、専業農家、兼業農家別に行政上の配慮がされているのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 次に、農業の栽培作目、主体としているものは何といってもキビ作が75.28%を占めております。これは、さきにも述べましたように、所得補償方式の導入がないのは本県の農業にとってまことに致命的な農政欠陥であると思います。
 にもかかわらず、野菜も県内需要に追いつかず移入依存度が非常に高い、そして生産体制の確立が望まれているのでありますが、やはり安定性がないために野菜一本ではやっていけない。
 また畜産についても、飼料の高騰、輸入牛肉による県内生産の圧迫、流通体制の不備、消費者、生産者対策の不適切さ等で、やはリキビ策を主体にせざるを得ない実情であります。
 そこで、キビ作について二、三のことをお伺いします。
 質問の第3点は、サトウキビは収穫機の導入がされておりますが、その実態について、またその稼働状態についてお伺いします。
 農業生産額の32%を占めるサトウキビであるにもかかわらず、そしてまた農業の機械化の必要性が叫ばれているにもかかわらず、やはり遅々として進んでおりません。サトウキビは、その収穫に全労力の60%も要すると言われております。機械化、特に収穫機の導入は、サトウキビ生産者にとって非常に大事なことでありましょう。そういう意味から、収穫機の導入の実績とその稼働状態について伺いたいと思います。
 次に、含蜜糖地域におけるサトウキビの振興については前にも述べられましたが、特に本県は離島を抱えておりますからこの点については意を用いなければならないことは当然であります。国、県は、どのように対処しようと考えておられるかについてお伺いします。
 次に、基盤整備事業に対する意識調査でありますが、基盤整備事業はぜひやりたいというのが農家の66.32%、このままでよいというのが23.24%、その他10.44%となっております。
 ぜひやりたい農家の中にも、問題がないわけではありません。それは、小規模でもやれるようにしてほしいという希望が過半数を占めております。
 いま、国の直轄事業で1000ヘクタール以上、県で100ヘクタール以上、団体で10ヘクタールという基準があるようでありますけれども、いかにせん四、五年を要してこの基盤整備事業がなされている現状であります。零細農家の多い沖縄では、そんなに待てるわけがありません。そこで、休耕補償についてもたびたび議論がなされますけれども、それにかわる何らかの補助ができないものかという意見があります。
 質問の第5は、これまでの基盤整備の実績についてお知らせ願いたい。これは、復帰後であります。これは、非常に時間がかかりそうですから、ごく大まかで結構であります。そして昭和51年度の事業によって、大体何%の達成率になるかという程度で結構であります。
 質問の第6は、土地改良事業の実施期間中の農業所得をカバーする意味で補う意味で、今後の対処策がありましたら御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次は、流通機構についての調査であります。
 これに満足しているが6.92%、不満足であるというのが実に82.94%を占めている。わからないが10.14%。
 不満の理由として、農協が生産体制、出荷体制の調整で流通機構を有利に結びつけるべきだという農協に対する依存度、その期待の大きさをあらわしている数字が63.71%を占めております。
 沖縄における流通機構の整備は、他府県に比して重要なことであることは言うまでもありません。生産資材、農産物の輸送経費軽減のためにも国鉄船舶の導入、または輸送費補助の特別措置を講ずべきであることを提言するものであります。さらに公設中央卸売市場の早期開設、主要地域別の地方市場の設置を図るべきことは当然であります。
 質問の第7点は、農産物の流通合理化を図る観点から、農協による共販体制の役割りは非常に大きいと思われますが、県はどのように指導しておられるかをお伺いします。
 最後に、現在の農政についてどう思いますかという質問に対して、満足しているが3.74%、不満であるというのが91.44%、仕方がない2.19%であります。まことに心すべき、またえりを正して聞くべき声だと思います。農家の大胆率直な農政に対する批判だろうと思います。
 これと関連しまして、将来農業をもとに生計を立てたいと思いますかという質問に対しては、はいと答えたのが39.49%、いいえと答えたのが57.17%、わからないが3.34%であります。
 第1次産業の振興策が叫ばれ、またその必然性があるにもかかわらず、これに背を向けるようなこの農家の意識の実態はゆるがせにできない重大な問題であると思います。農政の柱は、一にも二にも生産物の価格保証であり、流通機構の整備であることは申すまでもありません。
 以上の実情について、県はどのようにこの農民の意識を分析し、またこれに対処しようとしておられるのか。
 また、いまさきの質問にありましたけれども、関連しますけれども、植木開発庁長官は2月4日の沖特委で、新たな時点に立って沖縄の振興開発計画を見直したいという発言もしております。この新たな観点に立ってこれからの農政をどのように見直し、どのように振興なさろうというものか、そのお考えを承りたいと思います。
 次に、時間がありませんので簡単に申し上げますが、地方財源の確保について総務部長にお伺いします。
 前の本会議のときに、自主財源の確保のために交付税率の引き上げとか、あるいは超過負担の解消、国の責めに帰すべきものがその根本にありますけれども、県としてもあとう限りの努力をすべきことは言うまでもありません。
 50年度の年度半ばで、県は行政費の30%の節減令を出しました。それによってどれだけの効果が上がったか、これについてお伺いしたいと思います。
 第2点に、外形課税制度の導入をしたらどうかということを提案いたします。各都道府県においても、娯楽施設利用税として従来の利用料金課税にかえてこの外形課税制度を考えている都道府県があるやに聞いております。
 これについてどのようにお考えか。また、その利用料金課税と外形課税との損失、外形課税が課せられたときの増収見込み等について伺いたいと思います。
 以上で、一応質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 主としてアンケート調査に基づきましての御質問でございました。その中でも、若干順序不同になりますけれども、御質問の要旨についてお答えをしたいと思います。
 農家戸数につきましては、ここにまだ年次別の減少率は持っておりませんけれども、昭和50年に専業農家の戸数が、いわゆる総農家戸数にして沖縄の場合は4万8000戸が50年度の戸数でございます。そのうち専業農家が9万、それから兼業農家が約3万9000と、こういうような順序になっております。
 なおさらに、これを第1種、第2種兼業に分けますと、第1種が1万1000、第2種が約2万8000ということになるわけでございます。
 もちろんこれを全国の平均と、あるいは全国の農家戸数と比較いたしますと、専業農家の場合は1.5%、それから兼業農家の場合は0.9と、あと第1種が0.9、第2種も0.9、こういうような比率になっておるわけでございます。したがって、若干農家戸数は減ってきているということになります。
 それから農家所得は、年々増加をしておりますけれども、全国平均まではまだ達しておりません。沖縄の昭和49年は、180万6000円でございました。これは前年対比で申し上げますと、146.6%。全国の49年が、289万6000円でございました。沖縄は、全国の62.8%、約63%が農家の所得の実態ということになるわけでございます。
 含めまして、専業農家と兼業農家を農政上区別しているかどうかということでございますけれども、別に専業農家、兼業農家を特別に区別した行政は行っておりません。ただ、専業農家の場合は、それぞれの所得に全額頼るわけでございますから、必然的に別のいわゆる補助あるいは市町村等との関連においての融資が専業農家を中心にした、いわゆる強化される形での融資がいっていることは事実でございます。
 サトウキビ収穫機導入とその稼働状況についてのことでございますけれども、サトウキビの生産対策事業で国からの援助もあるわけでございますが、その大型収穫機が12台入っておりまして、それから小型の刈り取り機――これは主として刈り取りだけの役目を果たす小型の機械でございますが――94台、それから刈り取られたサトウキビを脱葉するのが308台でございます。それから一応脱葉されてきたサトウキビを搬出する機械が191台、積み込み機が22台であります。
 昨年の稼働状況を申し上げますと、機械で収穫調整をした原料は11万トンであります。去年は、大体サトウキビの総生産量は110万トンだと覚えております。なおことしは、現在各地で稼働中でございます。
 含蜜糖地域におけるサトウキビの振興策は大事だと思うけれども、国、県はどのように対処しているかということでございます。
 これにつきましては、御承知のように国としては含蜜糖公社を設定をいたしまして、その原料価格に対しての補てんをしておるわけでございます。御承知のとおり今期は、平均で8万360円の補助が含蜜糖地域の企業に搬出されるわけでございます。いわゆる告示価格の差額差を補てんするという意味でございます。
 そういうことで特に含蜜糖地域は、前の御質問にもお答えいたしましたとおり離島振興との兼ね合いもあるというような国の考え方もございますし、なお県としてもこれをほかの昨目にすぐ転換するというには若干問題があるということで、特に分蜜糖地域あるいは含蜜糖地域というように区別して生産の推進をしているわけではありません。特に離島振興地域についても、その企業いわゆる製糖工場の能力に応じた、あるいは採算分岐点に達するまでの生産はどうしても上げたいということで特別に配慮がされている。
 なお、補助率については、御承知のとおり離島振興についてはそれだけの特典があるわけでございます。
 なお、これまでの基盤整備の実態についてでございますけれども、細かい資料は持ち合わせておりませんが、大体51年度までに基盤整備事業はいままでは大体7.8%がいわゆる計画目標に対する達成率であったと覚えております。しかし、51年度で9.5%までの達成率になると見ております。
 中でも排水事業あるいは農道、耕地整理関係等についてはそれぞれの率が違いますけれども、総体的に基盤整備の実績はいまのような実績でいきますと、大体9.5%ぐらいの達成率ということになるわけでございます。
 土地改良事業の実施中に、農家所得が減収するわけでございます。そのカバーする意味で御指摘をいただきましたとおり、休耕補償の要請もいただいたわけでございます。再三にわたり県は、農林省にこの休耕補償の要請もいたしましたけれども、まだ実現はいたしておりません。
 しかし、県としては、前にも御説明申し上げましたけれども、いわゆる濃密指導地域を拡大すると。これは同じく農林省の中にサトウキビの濃密指導地域事業がございますけれども、この事業については新植に対する、あるいはつぶれる原料に対する補償も入っておりますので、こういった濃密指導地域の拡大を図る。
 さらには、小面積を所有している農家については、さきに着工して早くこれの新植ができるような措置を考える。さらには、近代化資金で融資措置も考えるということを御説明を申し上げたわけでございます。
 それから農産物流通の合理化を図る観点から農協による共販体制の役割りが重大であると思うがどうかと。
 これは御指摘のとおりでございまして、農産物流通の低迷が特に農家所得あるいは生産意欲に大きく要因を果たしているということを知るわけでございまして、われわれとしても農協が、あるいは合併農協という言葉を使っておりますけれども、農協でもって共販をすると。
 特に宮古地域においては、一部の農協が合併をいたしておりましてすでに機能をいたしておりますので、こういった農協を中心にいまだ合併していない農協の農産物も一緒になって輸送する、あるいは販売をするというような共販の指導をいたしております。
 なお、本島においても羽地あるいは久米島農協も近く合併をいたしますので、そういった合併を含めながらこの共販体制というものを進めていきたいと思います。
 さらには、この共販をする場合の輸送あるいはその他の施設に対する補助でございますけれども、できれば農産物の集荷については数個の農協を一緒にしたところの集荷所の補助のあり方をとってみたいと、こう考えております。
 なお、畜産物等については、すでに数農協一緒にしたところの競り市の補助の体系もとられております。
 こういうことで共販体制については、今後も力を入れていきたいと思います。
 それから、新たな観点からの農政の見直しでございますが、これは先ほど崎浜議員もいろいろと財政問題についての御質問の中で御指摘をいただきましたが、振興開発計画が高度経済成長の中で設定をされて策定をされてまいりました。
 その中において現在は、安定成長というようなムードの中で農業見直しも行われている。しかも、希望したところの工業、あるいは企業の誘致もまだまだ実現をしてないというような県の情勢の中で、私は今後いわゆる第1次産業――特に申し上げましたけれども、第1次産業の中でも流通部門といわゆる価格政策というのが大分立ちおくれている。この両面をもう少してこ入れをするということによって、まだまだ農家の所得を引き上げることができるのではないか、あるいは第1次産業全体の所得を引き上げることができるのではないかと思うわけでございます。
 なお、この中で水産業が四面海に囲まれる沖縄でありながら、非常に他県に比較して立ちおくれている。
 これはもちろん基盤整備の立ちおくれもあるわけでございますけれども、やはり水産業自体は遠洋漁業――いわゆる年間8万トン以上の水揚げをやりながら、5万トン以上がほとんど県外の港で水揚げをされております。なおまた、こちらにおいては冷凍魚が県外から移入されているというような実態もあります。さらには、沿岸漁業が思うように伸びていないというような状態もあります。
 こういう面から、基盤整備ということが非常に大事なことであり、漁港の整備が一番要請をされる事項でございます。こういうふうに今後は、特に農政の問題として水産業面のてこ入れ、これは増養殖も他県に若干おくれをとっておりますので、こういうた水産業面へのてこ入れということが非常に重大な問題として考え直さざるを得ないのではないかと、こう考えるわけでございます。
 なお、農林業については一々細かいことを申し上げませんけれども、申し上げました基本的な線を踏まえて、まず振興開発計画の中で第1次産業についての見直しを行う必要があると、こういうふうに考えるわけでございます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 経費節減の効果についてお答えいたします。
 50年度歳出予算において、既定経費の徹底的洗い直しを行いました。そして、予算の効率的執行を図って、物件費、需要費、旅費等20%の削減を行っております。
 その結果、総額8億円程度の歳出予算の節約を実施してまいっております。この措置によって、50年度決算においては、収支の均衡が保つことができるのではないかというふうに見ております。
 次に、娯楽施設利用税の外形課税についてでございますが、これにつきましてはいま検討しておりますが、外形課税をした場合に税収入が若干落ち込むのではないかというふうな積算が出ております。
○議長(知花英夫君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 農林水産部長の答弁はいつもながらさわやか過ぎますけれども、私が提案した沖縄農業の深刻な現状、この実態意識からくるところの不安に対する真剣な取り組み方について、まだ本員を納得させるような答弁になっておりません。
 これは、知事にお願いしたいと思います。
 2月9日の琉球新報の社説におきまして、わが党の実態調査をこのように大変評価してもらっています。その最後に、こう結んでありますことをちょっと読んでみます。
 「もっとも恐れることは、この調査結果全体に貫かれている農政への不満をこれ以上高めないことであろう。ことに農業で生計を立てたくないとしている人たちが57%に達しているということであろう。いかに、農業見直しというムードを高めても、具体的施策がなければ農業の振興などあり得ないことを調査結果は訴えている。」と、これは、世論を代弁する象徴として私は受けとめておりますが、屋良知事、大変長い間御苦労さまでございましたけれども、どうか次の革新知事に言い残すような意味を含めて決意を伺いたいと思います。
 さらに、外形課税については、総務部長は確かに前の議会で地方財源の確保のために考えているという発言をしておられますが、いま落ち込むと言われましたけれども、落ち込むことはそのときに検討されていなかったのかどうか、再度答弁を求めます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 前にお答えした外形課税についての内容は、法人事業税についての外形課税でございます。娯楽施設利用税についての外形課税ではございません。その違いがありますので、御理解いただきたいと思います。
 すなわち、法人事業税の事業税を外形課税にした場合は、その法人税事業税の額は、不況等による法人所得の急激な変動による影響を受けずに安定的に税収入が図られますと。したがって、現在のような経済の低成長時代の中においては、自主財源を強化する、図っていく上においてはこの是正が必要でありますと、このような趣旨のお答えをしたと思います。
 娯楽施設利用税じゃなくて法人事業税の外形課税の点でございましたので、御理解いただきます。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 農業の経営実態意識調査をこうしてやっていただきまして、いまこれの御提示を受けまして、その御活躍に対し感謝申し上げたいと思います。
 いまは、世界的にもあるいは全国的にもやはり食糧生産というのが非常に重大な意義を持っていると。そしてすべての国、すべての地域におきまして、食糧は自給自足体制――完全にそうでなくても、その線に近づく一つの施策あるいは方向というようなものが打ち出されているように思います。
 したがって、この体制というものには、沖縄も乗らねばならない。そして、沖縄が自給自足体制をやると言ったところで、移入一つもなくしてできるものではないのであります。
 分析してみるというと、自給自足体制が確立するのもあるし、近づき得るのもあるし、あるいは移入しなきゃならぬのもある。しかしながら移出できるものもあると、こういうふうに考えられます。
 そういう意味において、いつも私は申し上げますことは、第1次産業――第1次産業の意義は、いわゆるあらゆる産業のうちの基盤的な意義を持つ産業だという意義だと私は思います。
 ところが、その基盤産業というものが、沖縄の今日までの異常の状態から私は基礎づけられていないと。これは、異常の状態からは異常のものしか生まれないというたとえ。基本的なものが、非常に立ちおくれておる。すべての基盤整備あるいは社会資本あたりのこのおくれというようなものも、沖縄の置かれているそういう立場から来ていることが大きいと思いますけれども、ことに基盤産業たる農業が取り残されておって、いま非常に不安心配しているということは、今日置かれている立場にも大きく影響があるわけであります。
 しかし、沖縄県は、まさに回復された。これが十年、百年の大計に向かってこれから方向づけられ、基礎づけられていかにゃならないのでありますから、この際にこそ、農業というものは十分研究検討し、こう行けば開発せらるべき道は非常にたくさんあると。
 私は素人でありますけれども、あっちこっち見せてもらってそう思います。たとえば蔬菜園芸にしてもそうだ、非常に有望、期待が持てる。水産業についてもそうだと、畜産についてもそうであります。あるいは砂糖というものは、少なくとも28%から30%までは国策として確保しなければならぬという大方向もあるわけであります。その大方向に乗って、沖縄の砂糖を見直してもらうという道も幾らでもあると思うのでございます。
 したがいまして、今後沖縄のたとえば振興開発計画が練り直し、立て直されるものであるとすれば、その中の重要な部分に農業――第1次産業もあろうかとこういうふうに考えているわけでございますので、そういう意味において今後受け持たれる方々は、ひとつしっかりがんばっていただきたいと、こう思います。
○議長(知花英夫君) 安里政芳君。
   〔安里政芳君登壇〕
○安里政芳君 一般質問の最後に当たりましたが、民社党として代表質問が会派の問題としてできません関係上、政策的な問題を提起しながら御質問をいたしますが、御了承いただきたいと存じます。
 党の外交方針の基幹は一言で言いますれば、わが国の自主性を堅持しつつ積極的な国際協力と緊張緩和の推進を図るという一言に尽きます。
 特に日米関係は、対米一辺倒の外交方針を改め、対等の立場に立った友好関係を一層増進させ、これが世界とアジアの繁栄と安定にとって重要な影響を持つという認識に立って、特に食糧、エネルギー資源についての日米の協力と調整を重んじているわけであります。と同時に、日米安保条約については、当面その機能を認めつつ、基地の整理などの運用の改善を求めております。
 日本の安全保障は、自衛力だけによって全うできるものではありません。緊張緩和や国際協力を前進させるための平和外交の推進、国内の社会的、経済的安定はもとよりのこと、みずからの共同社会をみずからの手で守り抜こうという国民の決意と団結が最も重要であり、党は、この見地から国民合意の防衛体制の確立を求めております。
 したがってわれわれは、将来安保にかわり得る新たな集団安全保障体制が実現するまでの当面、現行安保条約の機能を認めつつ、過大な基地群の整理縮小、空洞化しつつある事前協議の明確化、日米の高度な政治レベルの協議体制の確立、地位協定の改善を主張しているわけであります。
 特に、安全保障に対する基地の負担は、沖縄がその大半を負担していることは県民にとって不公正であり、右の現実に照らし国策的配慮を要求する県政の自主的立場の確立を主張しているのであります。
 代表質問で論ぜられました国益的立場、県益的立場での御主張はそれぞれ理解するとしましても、沖縄は独立した国家ではなく、沖縄県は、わが国の一県であるという立場に立った考え方に立たなければなりません。
 安保条約の廃棄は、逆に自衛力を強化し再軍備の危険性があります。特に、基地解放返還後における具体的対策がないままの解放を求めることは、行政的には無責任になりはしないかと思うのであります。
 言われております日米安保条約と申しますものは、正確に申しますならば「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」であり、その前段はあくまで、平和及び友好の関係を強化し、「両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、」とあることを忘れてはなりません。
 いままで述べましたことに対する知事の見解を求めます。
 また、主任制度がいろいろ論ぜられてまいりましたので、党の考え方も申し述べたいと思います。
 党は、主任制度は当面その必要性は認められない。2つに、制度化については教育関係者など国民各層から広く意見を結集し、その是非を判断すべきであるという立場に立っております。
 こういう立場を明確にしてわが党は、政府に主任制度の撤回を強く迫るとともに、子供を犠牲にした違法ストをやめるべきことを日教組に要求してまいりました。
 その理由は、現在学校においては教務、学年主任を初め各種の主任が必要に応じて置かれており、それらは教員相互の協力によって円滑に機能しており、別に支障はないし国民からの制度化の要求もないからであります。
 わが党は、あくまで国民の教育を守るという立場から、教育委員会は制度化について教育関係者や父兄などから広く意見を聞き、十分審議の上判断すること。日教組は、子供を犠牲にする違法ストをやめ、話し合いを通じて問題の解決を図ることを求めているものであります。
 さて、雇用失業問題につきましては、各党各議員、今年度の最重要課題として言及いたしております。そこで本員は、昭和51年度予算審議に関連して党の考え方を加味しつつ御質問をいたします。
 地方自治といいましても、それはわが国の経済、社会の諸情勢の中にあって決してそれと無関係ではあり得ないことは言うまでもありません。むしろ最も大きくその影響を受け、その中で苦悩しているのが地方自治体であることは昨今の実情から私どもが身にしみて感じていることであります。
 かつての高度経済成長時代と沖縄の復帰という特殊事情、3大行事等から沖縄の財政規模も毎年増大し、苦しいと言われながらもいままではわりあい安易な運営を続けることができたと思います。国もまた、経済の高度成長のもとに自然増収の中でいろいろな要望を受けとめてきたことも事実であります。
 しかしながら、国もオイルショックを契機とする経済の混乱の中で異常に高進するインフレと忍びよる不況、いわゆるスタグフレーション的現象が急速に広がり、いわゆる減速経済あるいは低成長の時代を迎えるに至ったわけであります。昨年までは、インフレ克服のための総需要抑制策がとられてきましたが、これからは不況対策としての公共投資が要請される事態となり、現年度県予算もそのように編成されていると見られます。
 今日の不況対策は、かつて行われた民間投資に期待することはできないという事情があります。公共投資といってもその中核をなすのは公共事業でありますが、これを推進するための財政対策として結局国においては赤字公債を発行するしかないし、県においても地方債を増発するしか方法がないわけであります。もちろんこのような応急的な対策は当面を糊塗するだけで、事態の抜本的な解決ができるとは思われません。
 したがいまして、この際地方行財政の制度自体の全面的な見直しを行い、新しい時代にふさわしい制度の再構築を図る必要があります。とにかく、今日の非常事態を何とか乗り切らなければなりません。それは将来にわたって地方自治を守り、住民の福祉を高めるための前提でなければなりません。国に対しても強く要求しなければなりませんし、みずからもあらゆる工夫と努力をしなければなりません。
 そこで御質問を申し上げますが、県を取り巻くこれら諸情勢をどのように認識し、これに対する予算上の配慮が十分なされているかどうかということでございます。
 予算というものは、下から積み上げられたものを集計し、最後に予算編成の責任者である長が査定して収支のつじつまを合わせてまとめ上げるというのが国から地方を通じての通常の予算編成の型になっていることは御承知のとおりであります。こういう手順を経て行われる通常の予算編成においては、ともすると予算を効率的に編成するというよりは、要求部課の既得権を守ることが中心となり、重点的に筋を通すというより総花的で無原則な予算になってしまうという傾向にあり、施政方針もまた単なる作文に終わってしまうものであります。
 現予算案を見ますと、一般質問で中山議員の御指摘したとおりで、福祉予算の後退、また吉田議員の代表質問に答えられた教育長の方針とはうらはらに、社会教育予算は軒並み前年度より減額されているのが実情であります。
 通常、行政は、予算の執行を通じて行われると言っても差し支えなく、その予算が単に総花的で無原則に組まれているということになれば施政に確たる方針がなく、行政に筋が通っていないと言われても仕方がないわけですし、効率的な成果が期待できないことも当然であります。
 もともと行政のための財源というのは、むしろ乏しいのが普通であり、多くの事業を行い多くの行政サービスをすることを目標にしなければなりませんが、そのために無制限の財源を求めることはできません。住民の負担を軽減することもまた大きな行政サービスであるからであります。ことに昭和51年度は、昭和50年に引き続ききわめて困難な財政運営を強いられることは明らかであります。
 歳入の欠陥を借金で穴埋めするにしても、その借金は当然将来の財政負担となり、結局県民の負担にはね返るわけです。また、県による借金が民間資金を圧迫することにならないようにということは、今日の事態において十分配慮されなければならないことです。
 したがって、予算は、限られた財源でどれだけ大きな効果をおさめるかが大切であって、現実の財政運営はまず歳入についてあらゆる事情を考慮し、かつ努力しながらまず歳入の限度において最大の効果をおさめることをめどとしなければなりません。したがって51年度の財政は、あらゆる努力をもって経費の節減と合理化を図り、重点的な予算配分によって効率的な行政運営に徹すべきであります。
 そこで第1に、歳入を確保するための目標とそれを実現するための具体的な対策はどうであるか。
 第2に、これまでの行政執行について厳しい見直しが行われ、その結果として具体的な改善策が講ぜられているかということであります。
 今議会には、重要と思われる条例並びに条例改正案が提出されております。また、行政執行に関連して公僕としての自覚の足りなさが県公社の汚職や不用地の取得、行政事務の停滞等が指摘されております。これは、行政管理室の機能が麻痺しているとしか思われません。権利の主張はできても、義務感の欠如は公僕としての基本的な資格を欠くわけであります。
 そこで、知事にぜひお尋ねいたします。
 昭和47年5月15日未明、一括議決によって条例の中にこういうのがございます。給与条例中第28条勤勉手当の支給については、同条例附則第7、8項で、「当分の間適用しない。」とあります。これは、条例の趣旨として早急に改正すべきでないかということであります。
 さらに給与費についても、プラスアルファやいわゆる渡りや3短、6短などという措置に対しても適正なものとしなければならないと思います。最近自治省が、これらを違法として通達を出しておられますが、これらについての御所見をお伺いいたします。
 3つ目に、経費節減についての実施計画とこれを達成するための決意があられるかどうかということであります。今日の危機感は、勇気と決断をもって計画の実行をしなければなりません。たとえば勧奨退職について、東京都を初め福岡県、熊本県あるいは山梨県に見られる厳しさであります。
 山梨県職員特別勧奨退職制度要綱によれば、高給共かせぎ職員の勧奨退職、管理職手当受給者の配偶者で20年以上勤続している年金受給資格者、特別退職制度として夫婦満年齢の合算が100歳を超える職員のうち家計を維持しない者、配偶者の退職金の額が1000万円以上、年金が55歳まで勤続した場合100万円以上となる者というふうに問題はあるにしても、他自治体の努力と危機感は、私にひしひしと肌に感ずるわけであります。
 第4に、行政の簡素化、合理化を図り、効率的な執行が企画されているかということであります。
 さて知事は、51年度予算提案説明の中で、基本的考え方として県経済の落ち込み防止策として特に有効な対応策は、公共投資の拡大による財政面からの景気浮揚策であり、第1次産業に続き第2次産業の積極的開発を推進するとあり、雇用及び投資の波及効果の大きい優良企業の誘致、工業開発地域の指定、企業立地条件の整備を申し述べております。
 このことは表現の違いは別としても、50年度提案事項説明でも述べておられますので、前年度の成果とこれからの対処策をお聞きしたいと思います。
 また、骨格予算を編成せず、県事業の大部分が振興開発計画に係る国庫補助事業を中心に決定されているという理由で年間予算を編成されたと説明されておられます。
 職業安定課の資料によりますれば、確かに求職倍率は50年7月の海洋博開催時の3.7倍を最低とし、50年12月の8.1倍をトップに51年1月現在は7.4倍と他府県には例を見ないほど職がないことであります。51年度予算が公共投資型のものである以上、県は沖特法の失業者吸収制度の運用の強化を図らなければなりません。
 本員は、昭和49年第5回定例会におきまして、海洋博関連公共工事に対する沖特法第39条による就労問題をお尋ねいたしました。海洋博後の雇用失業問題は、なお一層悪化しているということはさきに挙げました求職倍率でも明らかであります。公共事業の推進で失業者の雇用拡大を図るという県の重点施策を実現するためにも、工事発注に当たっては業者に施行通知書の提出を徹底させ、失業者の吸収率をアップさせなければなりません。
 この制度は、業者任せにすれば十分活用されないきらいがあります。昨年暮れに、労働商工部が発表されました公共事業発注機関との連絡会議の現況について説明を求めたいと思います。
 時間がありませんので、飛ばしまして病害虫の問題にちょっと触れておきたいと思います。
 昨年9月、県農林水産部は、米軍基地内でのウリミバエ、ミカンコミバエの実態調査を市町村と協力して本年12月までの15カ月間で米軍11基地約70地点で実施すると発表しましたが、いままで放置されていたこれらのことが明らかにされるということで期待をしております。その中間発表を求めます。
 植物防疫は、復帰の時点で国に移管されたのでございますけれども、昨今の新聞で報じられたバナナ薫蒸問題について二、三質問をいたしたいと思います。
 御承知のように、輸入植物の病害虫、菌の防除は水際作戦をとるのが最も望ましいとして、復帰後港頭地域の指定と薫蒸倉庫の指定もあわせて行われました。
 問題として取り上げられている那覇市真地にあるA青果業組合の薫蒸倉庫は、復帰直前の昭和47年5月2日に琉球政府によって指定されたいわくのある薫蒸倉庫で、昭和48年11月指定の取り消しを受けながら実質的には営業を続け、昨年7月には1年ごとの審査を受ける条件でもって正式の許可を受けたと言われております。
 那覇植物防疫所では、県には復帰前港頭地域の指定はなかった、既得権があるからということであります。 
 そこで、農政をあずかる責任者として部長にお尋ねいたします。
 2週間後には法に触れるとわかっていながら、薫蒸倉庫として琉球政府によって指定された背景は何か。
 2つ目に、既得権として暫定的に指定された現況をどう見るか。
 3つ目に、県としてどのように植物防疫事務所に交渉しているのか。また、何もしないでいるのか。
 4つ目に、病害虫対策としてこの現況をどう対処しようとしているのか。
 5つ目に、中央卸売市場の計画がおくれていることが、これらを黙認の形で指定をやむを得ないとしているのであるかどうか。
 6つ目に、その薫蒸倉庫が真地にあるということが好ましいことであるかどうかということでございます。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 安保の問題について私に御質問があったわけでありますけれども、さき安里議員も、沖縄は日本の国の一県であるとこういうことであります。そのとおりであります。一県でございまして、したがって安保の問題についても私は常に申し上げますことは、一県である沖縄だけに余りにも安保のしわ寄せばかりがあっちゃいけないと、こういうことを常に言ってきたわけであります。
 したがって、私は沖縄の基地というものは、だれしも賛成しておる人はいないと、ほとんど賛成している人はいないと。こういう立場からしても、安保に対してもわれわれは賛成するわけにはいかないということを、さきの御意見がありましたにもかかわらず申し上げておきたいと、こう思います。
 その他の諸問題につきましては、それぞれ関係部長に答えさせます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 予算関係についての御質問にお答えいたします。
 御指摘のとおり、限られた財源の枠内で行政サービスの効果をどのように上げるか、これは私どものきわめて重要な課題であります。また、現下の不況の中で景気回復を図り、どのように県民の仕事の場を与えるか、これもまた緊急な課題であります。
 こういった課題に対処するために、やはり年間予算を組まなければならない事情があったわけでございます。
 そこで、歳入の確保等いろいろ御指摘がありましたが、51年度予算編成の方針としては、まず昭和51年度の当初予算は、県財政の80%以上を占める依存財源の動向、すなわち国の地方財政対策、国庫支出金の確定等の状況を勘案しながら、確実に確保できると思われる財源の範囲内で、特に海洋博後の経済の落ち込みを最小限に食いとめるとともに、深刻の度を強めてきている雇用不安に対処できるよう沖縄振興開発計画に基づく公共事業費等の早期執行を図ることを重点に年間予算を編成したわけでございます。
 特に、昭和51年度は人件費及び義務的経費の著しい増高が見込まれる反面、歳出に見合う一般財源の増加が期待できないという前年度以上の厳しい見通しがあるわけでございます。
 そこで、既定の事務経費の経費節減について徹底的に検討を加えてその廃止、合理化を図るように編成しているわけでございます。この予算の執行に当たっては、その体制を一段と強化していかなければならないわけでございますが、まず年度初めに、早々に予算の配分を行って事業の早期着手と進行管理の徹底を図っていこうということでございます。
 2番目に、事務処理の効率化、近代化を図るようにしたいということです。
 それから3番目に、事業効果を必ず確認していこうということです。
 4番目に、出先機関の執行体制を確立強化するということ。
 5番目に、財政全般について徹底的な見直しを続けていこうということです。
 次に、内部体制強化としましては、職員の適正配置を行い、職員特に技術職員の強化を図ると。事務の機械化を促進し、事務の簡素合理化、迅速化を促進する。事業進行管理機能の強化を図ると。
 このような内部体制を強化することによって、なお一層予算執行体制に努めたいというふうに考えております。
 以上が、予算関係についてのお答えでございます。
 次に、給与関係でございますが、まず最初に、勤勉手当を当分の間支給しないということについての質問でございますが、地方公務員の勤勉手当は国家公務員における勤勉手当に準じて設けられているもので、自治法第204条第2項及び地方公務員法第25条第3項の規定に基づき、それぞれの地方公共団体の条例に定めることになっております。
 したがいまして、本県においても給与条例に一応規定はしてありますが、琉球政府時代からの期末手当の制度等の関連もあって、国との協議の上当分の間そのまま採用することにいたしておるわけでございますが、本来この制度は、個々の職員の勤務状況を適確に把握して、適切な勤務成績の評定が行われなければならないわけでございますが、実際に他府県において、多種多様の職務に従事する職員の勤務成績を客観的に公平妥当な評価を下すということは容易なことではないわけでございます。そこで、本来の成績率を考えず、ただ勤怠状況によって支給しているような状況でございます。
 もちろん、いまの問題についてはわれわれとしても御指摘のとおりここ当分については、今後もこの勤勉手当については検討を加えて適正な方向に持っていきたいというふうに考えてはおります。
 次に、給与の峰渡りについてでございますが、これは通し号給制をとっているわけではありませんけれども、この峰渡りによって。
 これは、標準職務より上位の等級への昇格を他県並みに実施しております。この場合であっても、規則に基づいて運用しております。それで、昇格に必要な条件を満たしているかどうか、きわめて厳しいチェックをしているところでございます。したがって、他県のように極端な等級別人員分布の状況になっていないわけでございます。
 それにしても、職務給の原則、責任体制の面から厳密に果たして適正かどうかは、やはり今後とも検討していく余地があるのではないかというふうに考えております。
 なお次に、勧奨退職制度について御指摘の例示の件の話もございましたが、いま勧奨退職制度については、わが県は他県よりもきわめて優遇措置をとっております。その結果、毎年90%程度の高率の退職者が出ておるわけでございます。そういったきわめて率の高い効果が上がっているわけでございます。
 他府県を見た場合、従来の勧奨方式では実績が上がらないということで、いろいろの方法を検討されておるようでございます。本県においては、復帰特別措置条例が切れた後においてこの勧奨退職の実施状況を見ながら、今後の制度の問題を検討しなければならないだろうというふうに考えております。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 工業開発関係と沖特法第39条の失業者の吸収率の問題についてお答えいたします。
 工業開発につきましては、昨年度は工業開発地区の指定を行ってまいりましたが、新規企業の導入というのがなされておりません。
 今後の計画といたしましては、中南部地区工業開発基本計画を早急に策定し、その中で具体的には具志川の造船所あるいは読谷のインダストリアル・パーク、糸満の中小企業団地の構想を推進していきたいと考えております。
 それから沖特法の第39条の規定に基づく失業者の吸収率についてでございますが、これについては、これまで47年の8月から50年の3月末までを見てみますと、施行通知書の提出が10件ということで非常に少ない数になっております。
 ただ、その間におきまして県といたしましては、海洋博関係の職業安定所を特別に設置いたしまして、その中で海洋博関係の公共工事の方へ労働者を紹介しております。その紹介の数が1172名で、就職者数は現実に789名という実績は持っておりますが、いずれにしても十分な実績を上げていないというのが現状でございます。
 その成績の上がらない理由といたしましては、まず第1点として、吸収制度の周知が不徹底であったというのが挙げられるのではなかろうかと思います。
 第2点目としては、吸収制度の事務が煩瑣であるので、施行業者が安定所を通じないで地域住民を直接採用しているきらいがあったことというのがございます。
 第3点目としては、安定所における職業紹介体制あるいは指導体制が整ってなかったということが挙げられるのではなかろうかと考えております。
 それで今後の対策といたしましては、第1点に発注機関との緊密な連絡のもとに公共工事計画書の早期提出を図っていきたいと。そのための連絡会議を3月じゅうに持つ予定にいたしております。
 それから2番目に、安定所における紹介体制、指導体制を強化していきたい。これまで前後5回にわたって連絡会議等を開催しておりますが、今後とも適宜開催をしながら紹介体制、指導体制を強化していきたい。
 それから3番目には、施行事業所に対する指導の強化を図っていきたい。
 このような対策を講じまして、吸収率を高めていきたいと、このように考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 米軍基地内のウリミバエ防除対策についての御質問でございました。
 御指摘のとおり、米軍関係者と昭和49年の8月から10回――約1年余りでございますけれども――にわたって折衝いたしました結果、50年の9月から51年の12月まで毎月1回、合計15回になりますけれども、主要な米軍基地の12カ所、調査地点は126カ所になりますけれども、この立入調査を実施をいたしております。
 その調査結果が出るまでにはなお若干の時間が必要でありますけれども、われわれとしては51年度から担当市町村との共同の防除態勢に入るということで予定をいたしております。
 農林省の那覇植物防疫事務所に係りますところのバナナの薫蒸庫の問題でございますけれども、復帰前の認可の経過については、これは十分掌握はしておりませんが、当時の植防法からいたしますと、港近くに薫蒸庫を持たなくても、臨海地以外にもこの燻蒸庫が設置できたというように記憶をいたしております。したがって、その当時つくられたもので、その建物そのものが違法な建物でなければそのまま利用しているんじゃないかと思うわけであります。
 場所が適正かどうかについては、これは当然現在の植防法は臨海地域に薫蒸庫もつくるようになっておりますから、できるだけ臨海に港近くにこの薫蒸庫があるのが好ましいと、こう思うわけでございます。
 県として、その対策について話したことがあるかということでございますけれども、もちろんこれは那覇植物防疫所の所管でございますから細かい点については申し上げませんが、いわゆる病害虫防除とあるいは防疫という面からいたしますというと、やはり外国から変わったあるいは病害虫が持ち込まれるおそれがあるわけでございます。できるだけ臨海地域に、移してもらうように折衝をいたしておるわけでございます。
 この中央卸売市場との関係はもちろんいま考えておりません。できるだけ中央卸売市場が臨海にできれば、その地域に薫蒸庫が移ることが好ましいわけでございますから、総合的な施設計画の中にはそういったのを含めて計画されるべきであると、こう思っております。
 真地にあることは好ましいかということですけれども、これは申し上げましたとおり、やはり陸路から遠く輸送するということは防疫体制上もまずいということでございます。
○議長(知花英夫君) 以上で通告による一般質問及び議案に対する質疑は、終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。
 予算については、3月5日の議会運営委員会において、19人からなる予算特別委員会を設置して審査することに意見の一致を見ております。
 よって、ただいま議題となっております議案のうち、甲第1号議案から甲第25号議案までについては、19人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(知花英夫君) 次に、お諮りいたします。
 ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により
   小底 貫一君    盛島 明秀君
   新垣 淑重君    上原 重蔵君
   西田 文光君    大田 昌知君
   小橋川朝蔵君    岸本 安神君
   中山 兼順君    与座 康信君
   平良 一男君    島田 哲男君
   与那覇寛長君    久高 将憲君
   親川 仁助君    中根  章君
   古堅 実吉君    岸本忠三郎君
           及び友利 栄吉君
を指名いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(知花英夫君) ただいま、予算特別委員会に付託されました予算を除く乙第1号議案から乙第34号議案までは、お手元に配付してあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後4時50分休憩
   午後4時51分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 ここで、お諮りいたします。
 委員会審査のため、明11日及び12日の2日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
 よって、明11日及び12日の2日間休会とすることに決定いたしました。
 休憩いたします。
   午後4時52分休憩
   午後4時53分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、3月13日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、決定次第通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時54分散会

 
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