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平成14年(2002年) 第 8回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月16日
警察本部長(髙橋清孝)
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米海兵隊少佐による事件の経過と概要についてお答えいたします。
同事件は、平成14年11月2日土曜日午前1時30分ごろ、沖縄本島内において発生した事件であり、在沖米海兵隊キャンプ・コートニー所属の海兵隊少佐による成人女性に対する強姦未遂事件及び器物損壊事件であります。
県警としましては、11月2日午前3時ごろ、米軍憲兵隊から具志川警察署への電話通報により事件を覚知したところであり、事件の覚知段階から現在に至るまで被害者や被疑者の人権に十分配意しつつ所要の捜査を推進してまいりました。その結果、被疑者が犯罪を犯したことの心証を得るに至り、12月3日逮捕状の請求を行い発付を得たところであります。
県警察は、逮捕状が発付され、さらに被疑者の身柄が米軍手中にあることから、政府に対し平成7年の日米合同委員会合意に基づき被疑者の身柄の起訴前の拘禁移転を求めたものであります。その結果、日米合同委員会が開催されましたが、米側から身柄の拘禁移転に同意できない旨回答がなされました。県警察としましては、拘禁の移転の同意が得られなかったことは極めて遺憾に感じております。県警察は、刑事訴訟法等法令に従い所要の捜査を行い、12月9日、那覇地方検察庁へ事件を送付したものであります。
次に、捜査の支障と身柄引き渡し要請についてお答えいたします。
本件は、刑事訴訟法等の法令に基づき米軍捜査機関の協力を得て被疑者の取り調べ、捜索等を行い、事件の早期解明に向け最大限努力して立件し事件送付したものであり、今回の事件を立件する上では特段の支障はなかったと考えております。
身柄の拘束について一般論としてどちらが望ましいかと問われれば、逮捕状を得て捜査している以上、証拠隠滅防止の観点からも警察においては身柄を拘束して捜査を進めることの方が望ましいと考えております。
身柄引き渡し拒否の理由説明についてお答えします。
米側の拒否の理由について警察庁に確認したところ、12月5日の日米合同委員会において米側は、合衆国政府は、日本国政府により提出されたこの事件の事情は合衆国が起訴前の合衆国の要員の拘禁を継続することとなっている日米間において合意された標準的運用の例外とすることを必要とするものではないとの結論に達した旨日本側に説明したと聞いております。
運用の改善発言についてお答えいたします。
本件被疑者の拘禁の移転について米軍の同意が得られなかったことは極めて遺憾でありますが、県警としましては、御質問の内容については申し上げる立場にはございません。
次に、身柄引き渡しの人権感覚の相違についてお答えいたします。
御指摘のような日米両国間の司法にかかわる相違については申し上げる立場にありませんが、県警察としましては、我が国の法令に従い関係者の人権を十分に配意しつつ捜査を行うことが責務であると考えております。
次に、沖縄市で発生した集団暴行事件の概要についてお答えいたします。
この事件は本年11月8日、沖縄市海邦町において男子有職少年1名、男子高校生2名、女子中学生1名の計4名の少年が男子少年1名を殴る、ける等の暴行を加え殺害したという事件であります。
犯行の動機は、加害少年等が遊びに使用する車を購入したいがため被害少年に対しその購入資金に充てるためのローンの名義貸しを以前から申し入れしていたところ、被害少年がその申し入れを断ったため加害少年らはそのことに憤慨し、犯行に及んだものであります。
次に、集団暴行事件の加害者に対する対応と今後の再発防止対策についてお答えいたします。
県警は、この事件で高校生2名、有職少年1名を殺人罪で逮捕し、11月10日、刑事処分相当の意見をつけ那覇地方検察庁に送致しております。また、女子中学生1名を触法少年として補導し、11月14日、コザ児童相談所に通告しております。また、加害少年3名に飲酒をさせた有職少年の雇用主については、沖縄県青少年保護育成条例違反で12月11日、那覇地方検察庁に事件送致しております。
県内の少年による集団暴行事件の発生は、平成12年が28件、平成13年が31件、平成14年きょう現在35件と増加傾向にあります。平成13年中、集団暴行事件で検挙された少年は131人で、そのうち中学生が93人で約7割と中学生による事件が最も多いのが特徴であります。
集団暴行事件が発生する前にはほとんど少年たちに前兆となる動向があることから、その前兆を的確に把握し対策を講ずることが必要であると考えております。
少年による集団暴行事件の前兆については、警察が把握することは困難であり、学校、家庭などからの通報が不可欠であります。過去に学校現場等で集団暴行事件の前兆事案や、現に事件が発生しているにもかかわらず警察への通報がなかったため事件に発展したり、また事件捜査に支障を来したこともあります。
したがいまして、警察としましては、少年の集団暴行事件の発生を未然に防止するためには今後さらに学校、家庭などとの連携をより一層深める必要があると考えており、宮城県など他府県で効果を上げている例を参考にしながら警察、学校及び保護者が児童生徒の非行や補導に関する情報を共有し、児童生徒の非行及び被害の防止並びに健全育成に資するような制度を県教育庁と調整を図りながら具体的に検討してまいりたいと考えております。
以上です。
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20020804010060