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昭和61年(1986年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月18日
第 5号 12月18日
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議 事 の 概 要
昭和61年12月18日(木曜日)
午前10時1分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第7号議案まで、乙第1号議案から乙第16号議案まで及び認定第1号から認定第15号まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 伊波 広定君(共産党)
2 友寄 信助君(社会党)
3 古堅 実吉君(共産党)
4 瑞慶覧長方君(社大党)
5 田場 盛徳君(社会党)
6 仲原 英典君(社大党)
7 吉田 光正君(無所属)
8 石川 修君(社大党)
9 崎浜 盛永君(社会党)
10 白保 台一君(公明党)
11 石垣 喜興君(自民党)
決算特別委員会の設置
決算特別委員会委員の選任
日程第3 国庫補助負担率の引下げに反対する意見書
日程第4 国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入反対に関する意見書
午後5時41分散会
○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた副知事古謝得善君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。また教育委員会委員長宜野座毅君、公安委員会委員長照屋盛通君及び収用委員会会長小堀啓介君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、それぞれその代理として教育委員会委員長職務代理者吉川文子君、公安委員会委員赤嶺義信君、収用委員会事務局長古謝将美君の出席を求めました。
なお、本日質問予定の西田健次郎君から、発言通告の撤回がありました。
○議長(志村 恵君) この際、申し上げます。
昨日の会議は、都合により12人の質問及び質疑を残したまま延会いたしました。
よって、本日の質問及び質疑は、お手元に配付の一般質問通告表の順位に従って3番から順次行うことにいたします。
○議長(志村 恵君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第7号議案まで、乙第1号議案から乙第16号議案まで及び認定第1号から認定第15号までを議題とし質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
伊波広定君。
〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 質問に入る前に一言述べさせてもらいます。
銃剣とブルドーザーで米軍に取り上げられた土地を、憲法や民法で保障された国民の財産権を踏みにじり、土地収用法にさえ反する方法でさらに20年間も人殺しの基地として強制使用するということ自体、許されるものではありません。
このことをついた15日の社大党岸本議員の質問に対する警察本部長の答弁の中に幾つかの不当な発言がありました。一例を言うと、「それからさらに、今また乱入という言葉を用いられましたけれども、これは絶対に間違っておりますので、御訂正をいただきたい。」という発言であります。まさに沖縄県議会始まって以来の前代未聞の答弁であり、県民の負託を受け県政をチェックする権限と権能を県民から与えられた県議会に対する侮辱であり、議会制民主主義の否定にもつながる暴言であることを指摘しておきたいと思います。
まず、質問の第1は、円高不況の中の中小企業対策について知事の御見解を求めます。
中小企業の営業と暮らしは、長く続いている消費不況に加えて円高による打撃で事態は一層深刻になっております。それに加えて小売大資本の進出で転廃業に追い込まれた商店数は、県の60年度商業統計調査によりますと57年から3年間で1765店も減少しております。なお、統計調査にあらわれてない多産多死と言われている料理飲食店の倒産もふえております。
大型小売店のコンビニエンスストアや家電の大手小売店が各地に進出して、地域の中小零細小売店の営業を圧迫しています。また東京、名古屋を中心に商売をしている大手書籍小売店が、地元小売店を隠れみのにしてブックボックスと称して全県に20店も予定して進出を始めています。日本理容の進出も同様です。建設業は、増改築(リフォーム)分野まで本土企業が住宅地域にまで入り込み、住宅の増改築や車庫などの注文までもとっています。民間住宅建設や公共事業が不振であるだけに県内建築業者にとっては脅威になっています。中小企業の倒産もふえ続け、東京リサーチの発表によると1000万円以上の負債を抱えて倒産した県内の中小零細企業は10月末日までに今年既に160件であります。
一方、大企業は、労働者の低賃金と長時間労働、下請業者の犠牲の上に乗っかって国際競争力を異常に強め、輸出依存型のゆがんだ日本経済をつくり出しました。強大になった大企業は、海外への経済的進出を強め、日本は経済大国、資本輸出国、世界一の債権大国と言われるようになりました。しかしその結果、多くの地場産業、農業は犠牲にされ、雇用不安定も出ております。その結果、多くの地場産業、農業は犠牲にされ、沖縄経済もまた一層深刻な事態になっております。
県内中小業者は、県統計課の資料によると農林水産業を除いて6万2454事業所と小売店などで全体の99.6%を占めています。また従業員数も約27万5600人で全体の90%以上を中小企業が占めております。大型企業の少ない本県においては中小企業の本県経済に果たす役割は大きく、中小企業なくして本県経済はあり得ないことは申すまでもありません。ですから今、円高、消費不況の中で中小企業の経営を守るということは県政の重要な課題と言わなければならないわけであります。
県単の小規模企業対策資金は、無担保、無保証人の融資制度として多くの中小零細企業の皆さんになじんでまいりました。この制度資金は、不況にあえぐ中小零細企業にとってはまさに助け舟の役割を果たしてきたと言えるのではないでしょうか。円高問題が新たに加わった不況を中小企業が切り抜けるには、自治体の援助が必要なことは申すまでもありません。県は、この無担保、無保証人の融資を今の貸付限度枠を300万から500万円に引き上げ、利子は現在5.3%でありますけれども、これを3%に引き下げる、償還期間を5カ年に延長することは中小零細企業対策として急務であります。すべての中小企業経営者がまたこのことを願っているのであります。
では、円高問題についてお伺いします。
12月3日の両新聞は、円高や構造不況などで打撃を受けている中小企業を救済するため、今国会で特定地域中小企業対策臨時措置法(新企業城下町法)が成立、2日午前に開かれた閣議で同法施行令が決定された。特定地域の指定を受けたのは全国で43地域、30道府県、172市町村。県内からは米軍基地を抱え円高の大ぎな影響を受けている沖縄市、宜野湾市、嘉手納町、北谷町、金武町、北中城村が同法の適用を受けることになっていると言っています。県内から沖縄市など6市町村が法の適用を受けることになったこと、これは政府の総合経済対策の一つの柱で、指定地域内の中小企業向けに経営安定化、事業転換資金として年利3.95%から5%の融資を行うなどの報道がなされております。しかしながらこうした政府の円高中小企業対策は大変重大な問題点を含んでおります。まず第1に、円高になって打撃を受けた業者が事業転換をする、別な仕事をするならばお金を貸しましょうということです。事業転換の促進が大きな柱に据えられて、今の仕事をどうして続けていくかという対策はないのです。第2の問題は、金利が高いということです。このような対策では円高不況や中小企業の経営を守ることは到底できません。
我が党は、根本的な問題に手を打つことが重要と考えております。
まず第1は、自民党政府の姿勢を改めさせる。今までのアメリカべったり、対米従属の姿勢から、アメリカやヨーロッパに対してもピシッと物を言う自主的な立場を貫くことです。
第2は、根本的問題に手を打たなくてはなりません。そのためには日本の労働者の低賃金構造を改めていくことが必要です。大幅な賃上げの実施と労働時間の短縮、労働条件の改善等、これを根本的に図っていかなければ円高の本当の解決にはなりません。
全国の米軍専用施設の75%を抱え、駐留米軍人の73.3%、軍属を入れると5万人余の米軍人軍属が沖縄で生活をしております。多かれ少なかれ、沖縄県民はいろいろな形でその影響を受けています。特免業者、基地周辺業者、免税業者など円高の打撃をもろに受けているのであります。沖縄の輸出業者といえば中古車とスクラップです。これらの業種も含めて特定地域中小企業対策臨時措置法によってどう個別指導を行われるか、またこれは可能であるか、商工労働部長の御見解を求めます。
次に、サラ金対策についてお伺いいたします。
中小企業の危機と同時に県民の生活もまた苦しくなっていることは、市町村の国民健康保険税の滞納1つ見ても明らかです。県民所得は、全国平均の75%で最低、中小企業の倒産も去年まで連続全国一、失業者も全国平均の2倍以上。ヌチドゥ宝と言われている沖縄でみずからの命を断つ人が交通事故死の3倍を上回り、去年1カ年間で208人、この数字を見てもいかに自民党の悪政のもとで沖縄県民の暮らしが打ちひしがれているかということがはっきり示しております。
こういったような状況のもとで、沖縄は貸金業天国がつくり出されております。人口120万人足らずのこの沖縄で、800件余のサラ金業者が仕事を営んでいるのです。日本共産党は、無料生活相談所を開いていますが、相談に来る人は毎月約250人、うち200人が貸金業に対する苦情です。規制法ができて悪質な取り立てなどないと言われているのに、毎月200人もの苦情を訴える相談があるわけです。規制法で禁止されているはずの深夜の借金取り立て、職場への押しかけ等不法行為は後を絶っておりません。今でも嫌がらせが行われているわけであります。
部長にお伺いいたします。
1つ、県も苦情相談の窓口を幾つか持っているが、10月までの1カ年間の貸金業者にかかわる苦情相談の件数は幾らか。
2、所定の明細書を要求さえあれば出すことになっているが、領収書さえ出さない業者がいる。このような不心得な業者に対してはきつい指導を行うべきだと思うがどうか。
3、本土貸金業者は政府管轄であっても、県は、県民の人権と暮らしを守る立場から管轄外と避けるのではなく厳しく指導すべきと思うが、部長の御見解を求めます。
次に、国立芸能劇場の誘致について知事の御答弁を求めます。
私は、国立芸能劇場の誘致や美術館、文書館、コンサートホール等、本県のおくれている文化施設の建設を促進するためにたびたび本議会で取り上げてまいりました。1983年、国立能楽堂が8年がかりで45億円の国費を投じて渋谷の千駄ケ谷に完成し、その翌年には文楽の本場大阪の南に国立文楽劇場が8年の年月をかけてオープンしました。
組踊の上演とけいこ場を備えた国立芸能劇場を誘致するよう知事に強く訴えました。またその年は、組踊の創始者玉城朝薫の生誕300年に当たるため、国立芸能劇場の誘致に最もふさわしい年で政府に強く要請するよう知事に求めました。知事はこれに対し、国立芸能劇場の誘致につきましては、諸般の状況を踏まえまして今後検討してまいりたいと思います。また美術館、文書館等の文化施設の整備については、第2次振興開発計画の中で具体化に向けて努力してまいりますとおっしゃいました。そして今年の2月定例議会には、質問に対してこう答えていらっしゃいます。国立劇場についてでありますが、現在、文化庁と事務調整を進めているところであると知事はお答えになりました。
知事の御答弁は、両新聞にも大きく報道されて芸能関係者に大きな希望と展望を与えました。あれからやがて10ヵ月になろうとしています。知事の言われた事務調整はどれぐらい進展し、見通しはどうなっているか、知事の明確な御答弁をお願いいたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊波広定議員の御質問に対しましてお答えいたします。
国立芸能劇場の誘致についてお答えいたします。
沖縄の組踊を初め貴重な伝統芸能の保存研究及び振興を図るため、国立芸能劇場の誘致については第2次沖縄振興開発計画の後期主要事業として位置づけております。その実現に鋭意努力いたしておるところであります。事務段階では県の考え方や要請の意向を表示しており、できれば年度内に正式に要請すべく現在設置構想等要請書の作成について関係部局間で調整をいたしておるところであります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 円高不況による中小企業対策についてお答えします。
まず1点の小規模企業の貸付資金等の融資条件等の問題でございますが、小規模企業対策資金は、現在貸付原資4億円、融資枠10億円で設定をして資金需要に対応させていただいております。貸付限度額及び貸付期間の改善につきましては、他の県単融資制度とのバランスや各市町村で実施しております小口資金融資制度との均衡等勘案しながら今後検討させていただきたいと思います。貸付利率につきましてはさきに大幅に引き下げをしておりますし、また今後、円高対策の一環としましてその推移及び金融情勢の動向を見ながら対処してまいりたいと考えております。
なお、貸付手続の簡素化等につきましても市町村、関係機関等との協議もしながら対処してまいりたいと思います。
事業転換法の問題ですが、特定地域中小企業対策臨時措置法をどのように個別に指導するかということでございますが、個別指導につきましては、特定地域等の事業者に対しまして事業転換先まで具体的に指導するのは非常に困難と考えております。しかし事業者等から事業計画、これは中身につきましては新分野進出計画、それから合理化計画、事業規模適正化措置計画、その他の措置計画が出された段階で国とも調整をしながら適切に指導してまいりたいと考えております。
サラ金対策との一環におきまして県における苦情相談の状況についてお答えします。
貸金業に係る苦情相談につきましては、県商工労働部の方の貸金業苦情相談室を初め消費生活センター、県警の困りごと相談所、貸金業協会で取り扱っておりますが、貸金業苦情相談室では常勤の相談員のほか、月2回は弁護士も配置しましてその解決に努めているところであります。
ちなみに、これらの機関における相談件数を見ますと昭和58年度で1748件、59年、60年度はそれぞれ1609件、1026件となっております。昭和58年度をピークに減少いたしております。相談内容につきましては、県の貸金業苦情相談室の1125件についてみますと債務整理653件、調停、破産の方法が150件、取り立て行為関係が64件となっております。またそれぞれにつきまして59年度と60年度を比べてみますと債務整理や取り立て行為に係る相談は減っておりますが、調停、破産の方法につきましては相談がふえている状況にあります。
貸金業者の行政指導についてお答えします。
貸金業者の行政指導につきましては、法令講習会や研修会を毎年開催するとともに、立入検査を実施し法令の遵守を図っております。さらに関係機関との連携を図るため国、県、県警の3者で沖縄貸金業連絡会を設置し定期的に意見や情報交換を行っております。また貸金需要者からの苦情のある業者につきましてはその都度改善指導を行っておりますが、特に大蔵大臣登録の県外業者につきましては沖縄総合事務局と連携をとって行政指導を行っているところであります。
今後は、立入検査をさらに充実させ業者の法令の遵守を図っていく考えでありますが、悪質な業者につきましては法令に照らして行政処分も行っていく考えであります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、さきに通告しました質問の順位を若干変更いたしまして質問を行っていきたいと思います。
まず第1点目は、米軍のHPT導入、マリンクラブ従業員の解雇の問題であります。
この米軍のHPT導入の問題点については、既に代表質問等で指摘されてきたように円高ドル安による人件費が大幅に増大したことから、これまでの雇用関係を臨時雇用に切りかえることによって退職手当、ボーナスの支給をしないで済む労働条件に切り下げ、一挙に人件費の削減をはかろうとするものであります。米軍側の説明では、今会計年度の人件費の枠は4億ドルであるが、円高によってこれが6億ドルに増加し2億ドル、約300億円の財源不足で、その枠内で対処するにはHPTの導入もしくは人員の削減をとらざるを得ないとして政府に圧力をかけているのであります。このことは、長年にわたって労使間の努力の積み上げによって築き上げてきた今日の労働慣行を一挙に突き崩そうとするばかりではなく、基地労働者の生活権を脅かすもので断じて認めるわけにはいかないのであります。
今回の在日米軍のHPT導入による合理化計画は、基地労働者の生活を根底から脅かすばかりではなく、戦後41年にわたって全駐労が苦難な闘いを通して培ってきた雇用制度そのものを覆すもので、現行の地位協定、基本労務契約の根幹にもかかわる問題であります。またこうした合理化計画が強行されると、本県における7000余人の基地労働者とその家族にとってはまさに死活問題であり、特に深刻な雇用失業間題を抱える沖縄の現状からして一層社会不安を強めることになります。
今、沖縄の米軍基地の機能は著しく強化され、一方では政府の思いやり予算で施設の恒久化、整備が進められ、その上に5000戸に上る米軍住宅の建設が急ピッチで行われており、沖縄の米軍基地は復帰前よりも近代的な装いで変貌を遂げており恒久的な駐留の形態を強めているのが、その実態であります。このように依然と基地の中の沖縄という高密度で巨大な米軍基地が存在している中で基地の安上がり運営を図るために、このように米軍のHPT導入は絶対に容認できるものではありません。全駐労は、17日から18日にかけてこれらの撤回を求めて怒りと抗議の座り込み行動を展開しておるのであります。
そこで知事にお尋ねをいたします。
1点目は、今回の在日米軍のHPT制度導入並びにマリンクラブ従業員の解雇通告は、これまでの労使慣行を無視するばかりでなく、基地労働者の生活を根底から脅かすものであり、こうした計画は直ちに撤回させるべきであります。また司令官がいきなり知事に解雇通告を突きつけるという非常識なやり方を改めさせるために、今後従業員の解雇等身分の重要な変更にかかわる人事措置については、事前にAB間協議で調整するという従来の労使慣行を厳守させるべきであります。この際、知事がその先頭に立って解決を図るべきであります。知事の御見解をお聞きしたいと思います。
2点目には、このHPT導入問題は一時的に解消したとしても、その背景には円高ドル安等根深いものがあるだけに、今後とも再燃し絶えず基地労働者につきまとってくることが予想されます。基地労働の今後の動向をしっかりと把握する中で、長期的な立場に立った雇用安定対策の樹立が求められております。知事の今後の対策をお聞きしたいと思います。
次に、年金問題についてであります。
この問題についてはさきの本議会でも指摘してきたところでありますが、これに対する県の答弁は極めて消極的で不明確な点もあって、さらに問題点を解明しなければならない点もありますが、この件は時間の制約上次の機会に回すことにして、今回は、沖縄復帰に伴う厚生省関係法令の特別措置に関する政令の一部改正の実施に伴う新年金法について二、三点お聞きしたいと思います。
厚生省は、ことし4月1日から施行された新国民年金法が来年の1月1日の実施に伴い県内年金加入者の不利益を解消するため、これにかかわる沖縄関係特別措置に関する政令の改正を行いました。
これは、本土の国民年金制度が昭和36年の4月1日に実施されたのに対して、沖縄の場合は米軍の統治下に置かれていた関係上、その実施はかなりおくれ昭和45年4月1日からであります。その間の9年間の格差が生じ不利益をこうむっていたのであります。厚生省は、こうした格差をなくしていくために昭和36年4月1日にさかのぼって最高9年間までの追加納付の道を開き、受給資格取得後は本土の受給者と同様の年金が受けられるようにする措置を政令改正でとったのであります。そして追加納入額は月額2400円で、62年1月1日から67年3月31日の5年間となっており、この措置によって一応国民年金該当者は救済されることになったと思料されます。
そこでお尋ねをいたしますが、今回の厚生省関係法令の特別措置に関する法令の一部改正に伴い追納該当者が20万人いると言われておりますが、該当者が個別的に納付する場合は行政機関または金融機関の窓口が混乱しないようにその対応が必要であります。納付先は保険庁かそれとも市町村が窓口になるのか、その支払い方法と追納該当者に対する周知徹底をどうするのか、県の対処方をお聞かせ願いたいと思います。
2点目には、追納該当者は約20万人いると言われておりますが、これらの人が9年分の追納した場合の総額は幾らになるのか、国民年金、厚生年金の内訳を含めてお聞かせ願いたいと思います。
3点目には、現在沖縄で年金の支給を受けている者は大正15年4月1日以前に生まれた者で、今回の政令改正ではこれらの受給者には適用されないため、大正15年4月2日以降に生まれた者との間に年金受給額に大きな格差が生じております。試算によるとその額は年間21万7980円になりますが、これらの人の不利益を解消するため県としても何らかの措置を講ずるべきであると考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。
次に、新石垣空港建設問題についてであります。
この問題は、今日まで本議会の内外を問わず空港建設に当たっての問題点が指摘され、とりわけ海域の環境保全については学者、専門家から具体的に問題点や疑問点が指摘され、その是正と対応が求められてきたのであります。しかし県は、こうした問題点の指摘に対しても、環境アセスメントについては問題はないとして自信たっぷりの姿勢を示し、県民を納得させるだけの資料の公表もないまま強引に埋立免許申請を進めてきたのであります。
ところが、こうした専門家の問題点の指摘や警告を無視して強引に進めてきたため行政手続に不手際が生じ、年内の埋立免許申請は不可能な状況となっているのであります。すなわち県が環境庁に提出した環境アセスメントの準備書の不備が指摘され、サンゴの保護や潮流の再調査が求められているのであります。そのため県は、本議会に3400万円の調査費を計上しておりますが、これでは一体これまでの調査は何であったのか。このことは8000万円もの膨大な経費をかけて調査した環境アセスメントがいかにずさんであるかを如実に示すもので、行政の責任が問われていると思うのであります。
これに対して知事は、不備ではないと強弁しておりますが、環境アセスメントに不備があったからこそ60年度も埋立免許申請ができず予算を翌年に繰り越し、また本年度もそれが不可能になっているのではないのか。
また、去る12日に発表された知事意見書には、環境影響評価準備書は、なお確認する部分もあるが、おおむね妥当であると述べておりますが、3400万円も予算をかけて再調査せざるを得ない状態になってもまだ妥当であるとお考えなのか、その根拠は一体何なのかあわせて知事の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
さらに、補正予算にある3400万円の潮流、サンゴの調査の内容、だれがどのようにいつ調べるのか、知事の率直な御見解をお聞きしたいと思います。
こうした事態を招いたことは、県が環境影響評価準備書の調査を委託した企業の選択に誤りがあったのではないか、その企業の実態はどうなっているのかお示し願いたいと思います。
それから環境保健部において環境影響評価準備書について土木建築部と事前にどのような審査、調整がなされたのかお聞きをしたいと思います。
4点目には、石垣空港埋立事業環境影響評価準備書に対する県知事の意見書の中の11項目に対する事項について、これは環境保健部で作成したのか、土木建築部で作成したのかお聞かせ願いたいと思います。
その8項目の中に、サンゴについては周辺の適当な海域に移植するとあるが、それは可能なのか移植した場合はサンゴは死滅するおそれはないのかどうかお聞かせ願いたいと思います。
年内埋立免許申請はもちろん、工事着工も不可能だと思うがどうか。予算の繰り越しをしないための陸上部の工事の着工も考えておられるのかお聞かせ願いたいと思います。
次に、知事の政治姿勢についてであります。
県政が当面する最大の政治課題である軍用地の20年強制使用についての知事の御見解をお聞きしたいと、思います。
知事はこれまで、軍用地の20年強制使用については収用委員会で審理中であることを理由に、これに対する見解表明を執拗に避けてきました。
この問題は、個人の財産を米軍基地に提供していくために地主の意思に反して強制的に収用しようとするもので、まさに憲法で保障された財産権の侵害であるばかりでなく、20年というこれまでの4倍の長さで実に21世紀に及ぶ長期にわたって収用しようとするものであり、これ自体異常な措置で権力をかさに着た暴挙と言わざるを得ないのであります。この最大の政治問題に対して、県政の最高責任者たる知事が見解表明を避けていることは全く県民軽視のあらわれで、知事の政治姿勢が問われているのであります。
そこでお尋ねをいたします。
今回の軍用地20年強制収用の裁決申請は極めて不当であり、その収用期間は、安保条約との関係からしても異常な長さであることは県民こぞって認めるところであります。知事は先日、代表質問に答えて、県益無視だと言われている政治姿勢の批判に対して遺憾だと述べておりますが、この20年強制収用、そしてこれを容認していると思われる知事の姿勢こそ、まさに県益無視の政治姿勢だと言わざるを得ないのであります。これに対する知事の御見解をお聞きしたいと思います。
また、菅沼県警本部長の答弁をめぐって2日間にわたって本議会が空転しました。行政側の説明委員が、議会での議員の発言に対してその訂正を求めるという越権行為は、これまでかつてないまさに前代未聞のことで行政の立場と議会のあり方を理解しない者の発言であり、議会に対する冒涜であると同時に挑戦であると思うのであります。2日間の議会空転によって多数の県職員が午後12時まで足どめを食らったことは、県政にはかり知れない損失を与えたと思います。
昨日の琉球新報夕刊「人工衛星」の欄にこう書かれております。「ヤマト筑佐事、県議会空転さす。今度はお上にたてつく議員を締めあげるつもりか。」と痛烈に県警本部長の発言に批判を加えております。恐らく多くの県民もこれに同感でありましょう。
ここで知事にお伺いいたしますが、菅沼県警本部長の議会軽視の発言で2日間も議会が空転したが、これに対して知事はどう受けとめておられるのか御見解をお聞きしたいと思います。
次に、収用委員会の事務局長にお聞きをいたします。
公開審理の会場に警察官を導入することによって会場は混乱いたしましたが、この私服警官の導入は収用委員会が要請したのかどうか。
2点目には、公開審理は11回目で打ち切られるんじゃないかということが言われておりますが、そういう考えで進めておられるのか御見解をお聞きしたいと思います。
それと意見を述べておきたいんですが、菅沼県警本部長の岸本安神議員に対する発言は、議会に対する冒涜であるばかりでなく、まさにファッショ的な発言と言わざるを得ないのであります。公平、公正な立場に立つ警察官であり、行政官の発言にしては余りにも独断と偏見に満ちたもので、恐らくテしビ等ニュースを見た多くの県民は、県警本部長の発言を見てびっくりしたのではないかと思うのであります。県警本部長は答弁の中で、市民多数から警察支持の電話が寄せられましたと述べておりますが、むしろ県民は、あなたの発言を聞いて失望したのではないでしょうか。
昨日の議長あっせん案の中に提示されていたように、議会の構成員以外の説明員が、議員の発言に関し、直接発言者に対し、その発言の内容を変えることを要求する法的根拠はございませんとありますように、県警本部長には、ぜひこのことをしっかりと認識すべきであることを指摘しておきたいと思います。
以上、質問しまして、答弁によって再質問を行います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄議員の御質問に対しましてお答えいたします。
HPT導入についての御質問に対しましてお答えいたします。
米軍基地従業員の雇用の安定確保の観点からいたしまして、現在の基本労務契約(MLC)の中に新たに時給制臨時雇用制度(HPT)を設けることにつきましては、この雇用制度が常用従業員に比べまして賃金等労働条件が著しく悪く、雇用の安定性を欠くことから同制度の導入は好ましくないと考えております。またこの雇用制度の導入問題につきましては、防衛施設庁におきましても慎重な対応がなされるものと期待いたしております。
次に、在沖米海兵隊基地のクラブ関係従業員の解雇問題に関しましても、本県の厳しい雇用失業情勢にかんがみまして極めて深刻なこととこれを受けとめ、これまで確保されてきた基地関係従業員の雇用の安定が、今後とも継続的に維持されるよう早速米軍並びに防衛施設庁に対しまして善処方を強く要請いたしているところであります。
次に、20年使用についての知事の見解をただされたのでありますが、お答えいたします。
収用委員会は、知事から独立した行政機関であり、かつ準司法的な機関として中立、公正な立場から起業者や地主の意見を聞き裁決を行う機関でございますので、この段階でコメントは避けたいと思います。
次に、県警本部長の発言につきましては議会が混乱いたしましたことはまことに遺憾でございますが、県警察本部長の気持ちは、乱入ではございませんと、お願いいたしますから、御理解いただきたいと。こういう意味で、議会を無視しようとか、そういう気持ちで発言したものではないと私は受けとめております。職務執行の件で出ていっただけであって、決して乱入ではございませんから、そういうことで御理解をいただき、御訂正をお願いしますということではなかったかと理解いたしております。
○議長(志村 恵君) 収用委員会事務局長。
〔収用委員会事務局長 古謝将美君登壇〕
○収用委員会事務局長(古謝将美君) お答え申し上げます。
駐留軍特措法による公開審理は、これまで11回開催されてきたわけでございますけれども、土地所有者が2000人を超えるマンモス審理であるために、その開催に先立ちましてその都度公開審理の円滑な運営を確保する立場から、収用委員会の会長より県警本部長あての日時と場所を記載いたしました一般的な警備の文書を送付してございます。今回の去る11回の公開審理に当たりましても、12月3日付の同様の文書を送付しておるわけでございます。
先ほど質問のございました12月12日の公開審理における閉会宣言後の混乱に当たっての警察官の入場につきましては、警察独自の判断に基づいて行われたものでございまして、収用委員会が要請したわけではございません。
第2点でございますけれども、公開審理を打ち切るという話があるかということでございますけれども、これまで公開審理は11回行われました。そして11回が終了したわけでございますけれども、今後、公開審理を継続するかどうかにつきましては、これまでの土地所有者の意見、それから起業者の意見等を整理検討いたしまして、必要とあるならば継続することもあり得ると思いますけれども、まだそういう資料の整理の段階でございます。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 新石垣空港問題につきましてお答えいたします。
まず1番目に、県は調査に不備はないと答弁しているが、再調査することは不備ではないかという趣旨の御質問がございましたが、新石垣空港建設に係る自然環境につきましては、建設省通達(技術指針)に基づいて調査を行っているわけですが、その結果に基づぎ環境影響評価を行ってきたところでございます。当該評価につきましては、新石垣空港問題懇話会及び環境影響評価実施要綱第2条3項2号による意見書においてもおおむね妥当であるとされております。今回の補足調査は当該意見書を踏まえて行うものでありますが、環境影響準備書を告示縦覧時点におきまして利害関係人からの意見が出されているわけですが、それらの意見のうち妥当なものについて補完するよう意見が出されていることでございまして、そういう意味であくまでも準備書を縦覧後においてその利害関係の意見を補完しまして環境影響評価をつくるという手法でございまして、そういう意昧で既に行ってきた環境影響評価そのものを否定するものとは考えておりません。したがいましてこれまでの調査に不備があるというふうには理解しておりません。
次に、調査の不備が指摘される等調査をした企業の選定に間違いがあったのではないかということでございますが、新石垣空港建設に係る自然環境調査を行った新日本気象及びパシフィックコンサルタンツは、これまで環境庁、運輸省、建設省、本四公団、各自治体等数多くの機関から環境調査の委託を受けてきている実績を持つ会社であります。特に新日本気象は、国定公園区域の海上空港であります奄美空港につきましても調査を行ってきており、その実績もございます。したがって自然環境調査を行った会社の選定を間違ったというふうには全然理解しておりません。
もともと、空港予定地南側のアオサンゴの群落の分布状況あるいはその図化というものはして、つくってなかったわけでございます。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 原 實君登壇〕
○環境保健部長(原 實君) 友寄議員から御質問のございました新石垣空港建設に係る環境保健部に関する部分についてお答えいたします。
サンゴの移植の問題でございますが、これは学識経験者指導助言のものに移植を行うよう指導しているところでございまして、さきに12日に出しました意見書はこれは、環境保健部が中心に環境影響準備書を縦覧後、環境保全に携わられた各班の御意見、その他各面から検討いたしまして県が自主的に出したものでございます。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 年金問題についてお答えいたします。
まず、今回の新年金法の施行に伴う特別措置の内容等についての周知徹底についてでありますが、今回、特例措置が講じられることとなります対象者に対しましては、県や市町村の発行する広報紙あるいはマスコミ等あらゆる広報媒体を活用して相談窓口、納付すべき額、納付期限及び納付先等について周知徹底を図ることとし、特に1人の漏れもないよう、県内33万余の全世帯に対し文書等でくまなく通知いたしまして届け出及び特例納付を促進する予定であります。また特例追納保険料の納付につきましては、社会保険事務所の窓口で納付するか、または社会保険事務所が発行する納付書により国庫金取扱金融機関で納付することになりますが、行政機関または金融機関の窓口の混乱を避けるため計画的に納付案内等特別に対策を講ずることとしております。
次に、該当者約20万人が9年間で追納することとなる特例追納額の総額についてでありますが、追納該当者の年齢あるいは沖縄県内に居住していた期間に応じて各個人個人の追納額が異なりますので、現段階では予測することは困難であります。
次に、現に沖縄で厚生年金を受給している大正15年4月1日以前に生まれた者については今回の特別措置の適用がないが、救済する方法はないかとの御質問にお答えいたします。
今回の政令改正は、新しい年金制度が導入されたことによって施行されるもので、本土の国民年金法が施行された昭和36年4月1日をベースにしておりますので、大正15年4月1日以前生まれの者等については適用することは制度上困難とされているところであります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午前10時57分休憩
午前10時58分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
環境保健部長。
〔環境保健部長 原 實君登壇〕
○環境保健部長(原 實君) 再質問がございましたサンゴの移植についてお答えいたします。
新石垣空港周辺における主要サンゴの中に塊状ハマサンゴがございますが、この塊状ハマサンゴ等につきましては、既に県内でも学者が移植した実績等もございます。学者の十分な調査、研究、指導のもとに移植は可能だと思いますので、この面、意見書にも書いたわけでございます。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 失礼いたしました。お答えいたします。
だれが、いつ調査するかという趣旨の御質問がございましたが、これは調査内容、調査方法、おおむね南側アオサンゴの分布図を図化するということを想定しておりますが、調査内容、調査方法等につきましてどの時点といいますのは海の条件もございますが、そういったことをこれから煮詰めていきたいと考えております。
それから年度内申請はできるかという趣旨の御質問でございましたが、当該調査は、海上作業になるために気象、海象の自然条件に左右される要因を含んでおりますが、確かにそういった意味では年度内の埋立免許出願は厳しい状況にあるということで理解はしております。しかしながら県といたしましては、年度内に埋立免許の出願ができるよう積極的に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。調査後は、環境影響評価書作成の一月間の縦覧を経て出願することになろうかと思います。
○議長(志村 恵君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 環境影響評価の準備書についてお聞きしたのはこれまでの昨年からのこの調査の状況等を見てみると、昨年中でもそれができなかった。それでたしかことしの2月か3月にもその補足調査をやったと。今日まで8000万円の経費をかけたんですよね。それでもなおかつ、その問題点が指摘をされた、いわゆる不備が指摘された。ですからこれまでの調査のやり方、それとその企業そのものに、調査した企業に問題があるんじゃないかと思うんですよ。それとその方法は通産省の要綱に基づいてというんですが、その通産省の要綱というのは果たして、本土の場合の海岸なり、そういう埋め立ての海岸線と、沖縄のサンゴ礁の海岸線とは違うんじゃないかと思うんですね。そのあたりの問題等についての調査をする場合に基本的な誤りがあったんじゃないかと思うんです。ですからこんなに金をかけてもなかなか実績が上がらないと。今度も3400万円をかける、大変なものですよ。ですからそういう場合において、この調査をする場合の方法と企業はどこかと聞いたわけなんですが、それについて再度お聞きをしたいと思、います。
それとHPT導入の問題ですが、この問題は今の円高という状況を見てみるとですね、今後もずうっといろんなものにつきまとってくると思うんです。ですからこれからのやはり雇用の安定をどう確保するかと。そういう面からももう少し突っ込んだ検討、この対策が必要じゃないかということで、今知事の御答弁は何かその点については余りなされていませんので再度お聞きしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、HPTの導入には原則的には反対であります。そういうことで関係省庁に対しまして強くこれをとめるように、またそれにかわる代替措置があれば、それを強く求めていきたいと。
御指摘のとおり、円高ドル安に伴うことが今度の大きな要因になっているわけでございますが、この原因自体はこれはしばらく続くわけでございまするから、それにかわる措置として何としてもこれをやめてもらって、できれば本土の予算でこれが補えないかどうか、これからの課題でございますが、こういったこと等も含めて継続的にやっていきたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) さらに調査費を3400万円計上してやることは、前の調査がおかしいんではないかという趣旨の御質問でございますが、前にやりました調査費は全部環境影響評価準備書としてその成果は出ているわけでございます。環境影響評価準備書を縦覧した場合に、地元からの利害関係の意見等を踏まえて、その中で妥当なものについては採択し、それを補完した形で最終的な環境影響評価書を作成することとなっておるわけでございまして、どういう意見を踏まえるかは環境行政の方から意見書に基づいてその補完をするわけでございます。したがいまして前にやった影響評価は、先ほど来申し上げておりますように空港問題懇話会あるいは実施要綱の意見書においても、おおむね妥当ということで評価いただいておるわけでございまして、前にやった調査が瑕疵があるとか、おかしいということではございません。
それから金がかかり過ぎるじゃないかということでありますが、おおよそ300億相当の事業でございますが、大型事業にはかなりの調査費が事前に、通常の場合調査費が使われるものでございます。
それから調査した会社がどこかという趣旨のことにつきましては、今後、調査内容、実施方法、時期等踏まえる過程で会社選定も実施主体を定めていきたいと考えておるところでございますが、先ほど申し上げましたように新日本気象等、パシフィックとか、前にやった会社が瑕疵があるというふうには全然理解しておりません。
○議長(志村 恵君) 古堅実吉君。
〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 私は、通告に基づく質問に入る前に、県議会の今回の空転事態に関連して重要と思われる点について発言しておきたいと思います。
菅沼警察本部長は12月15日、岸本安神議員の質問に答えて、「今また乱入という言葉を用いられましたけれども、これは絶対に間違っておりますので、御訂正をいただきたい。」と発言され、2日間の議会空転の要因をつくりました。
そのことについて、昨晩の本会議で島袋議員から、その責任をどう感じているかという趣旨の質問がなされましたが、それに対しては直接答えることを避けながらも、全体としては、2500人の警察官の名誉がかかっているとして問題の本部長発言を正当化しようとするものでありました。私は、この本部長には真摯な反省の態度は全くないなあと強く感じとりました。2日間にわたる議会空転の直後でもあり、極めて遺憾に思ったところであります。
本部長の、これは絶対に間違っておりますので、御訂正をいただきたいという発言は、取り消しもなく、何の訂正もないままにその補強発言とともに残っています。本県議会にとって、今それでいいのかということが厳しく問われている重要問題です。
乱入という言葉の意味を辞書で引いてみると、学研の漢和大字典には、1、乱れはいる、2、はいってはならない人々が建物や囲いの中に乱暴にはいりこむと説明され、岩波書店の広辞苑には、1、乱れ入ること、2、乱暴におしいることと説明があり、小学館の国語辞典には、どっとみだれはいることと説明されています。私は、これらの辞書を見て改めて、岸本議員が乱入という言葉を使われたのをそれぞれの立場での受けとめ方の相違は出ても、絶対に間違っているから訂正しろなどと扱われなければならないようなものではないということを知りました。
アメリカは、占領地に適用される国際法規もじゅうりんしながら銃剣を突きつけ、文字どおりの暴力をもって県民の土地を取り上げ、広大な米軍基地を確保してきました。施政権返還後の日本政府の不法なやり方もあわせ、実に戦後41年もの間、勝手な仕打ちをされてきたのであります。その上、契約を拒否している反戦地主たちの土地を、憲法その他の法令に照らして、国会質問に対して政府の当事者がまともな説明さえできないまま、さらに20年にもわたって強制使用するという暴挙に出ているのであります。これはアメリカ軍が銃剣をもって取り上げたのを、今度は政府が収用委員会という権力機関を使って取り上げようということにほかなりません。そして県道104号線越えの米軍の実弾射撃演習を、それに抗議し、その取りやめを要求する県民の闘いから、米軍を守って演習を強行させる役割を警察が果たしているのと全く同様に、公開審理に参加する違憲共闘を中心とする県民の闘いを敵視し、その闘いから土地取り上げの収用委員会を守る役割を果たすため、いわゆる乱入に及んだのが今回の事件であります。
このような仕打ちに対して、警察官の乱入云々と使ったからといって、その語義に照らしてみても、いたけだかに訂正を求められるようなものでは決してありません。県議会における議員の質問が、答弁に立つ執行部側から、何らの法的根拠もなく絶対に間違っているから訂正しろと要求されること自体前代未聞の事件です。それに対して発言取り消しをすべぎだと指摘されても、またそのことが2日間の議会空転をもたらすことになっても、何の反省も取り消す意思もなく強気で押し通される態度では、良識ある県議会では通用しません。ましてや120万県民の支持は到底得られないでしょう。2500人の警察官の名誉がかかっている云々で本部長が高圧的に出れば出るほどに、客観的にはみずからの名誉を損ない、ひいては120万県民を代表する県議会の名誉をも損なうことになるだけです。そのことは議会の一員としても到底容認できるものではありません。本部長の発言、これは絶対に間違っておりますので、御訂正いただきたい云々は、速やかに取り消されるべきであると考え厳しく指摘するものであります。
それでは通告の質問に入ります。
第1は、北部水源地域特別振興条例(仮称)の制定問題について、県の態度を明らかにしてもらうための質問です。
この問題について、北部の関係自治体からの要請がなされて久しいものがあります。私は、1982年12月17日の一般質問でこの問題を取り上げましたが、あれからでもちょうど4カ年半が過ぎ去りました。今回のこの質問のため去る12月10日、国頭村まで出かけ、村長や助役、村議会議員等の皆様からいろいろと御意見を伺い、それらの方々の御意向も酌み取ってきたつもりであります。
そこで質問します。
1、県は、昭和53年3月18日付、安波ダム及び普久川ダムの建設に関する覚書、同年5月25日付、国頭村内の水源開発に関する覚書、昭和58年2月24日付、覚書事項のうち継続実施又は未解決事項の確認書、同年6月30日付、辺野喜ダム本体工事に関する覚書等をもって、沖縄総合事務局、沖縄県及び国頭村が当事者となって水源地域特別振興条例(仮称)の制定についての約束がなされていることを認められますか。
2、知事は、その約束を履行される意思がありますか。
3、その条例案は、いつ本県議会に提出される予定ですか。
4、その条例案が、昭和58年度において制度化に努めるものとするとの約束に反して不当に長く延ばされているのはなぜですか、以上の4点について誠意をもって明らかにしてください。
第2の質問は、海邦国体と西銘陣営の政治的利用問題についてであります。
いよいよ来年に迫った海邦国体は、全県民がその立派な成功を願っている県政にとっても重要な課題であります。この海邦国体の誘致は、1979年と1983年の2回にわたって県議会で各党派が全会一致で誘致を決定していることにも見られるように、保守、革新の区別なくまさしく県民の総意に基づくものであります。したがってこの海邦国体は、スポーツを愛好する県民のすべての願いにこたえ、国民のスポーツ祭典たるにふさわしく立派に成功させなければならないものであります。
ところが残念なことには、去る知事選挙において西銘陣営は、あたかも西銘知事のもとでなければ海邦国体が成功させられないかのごとく宣伝し、海邦国体を西銘候補の当選に結びつけて政治的に利用するという現職の知事としてあるまじき選挙活動を強行したのであります。しかも一般的な政治宣伝にとどまらず、国民のスポーツ祭典であるべきこの海邦国体のマスコットマーク「クイクイ」を知事選挙法定ビラ1号の一面全面に掲載しマスコットマークを私物化するとともに、そのクイクイに革新陣営に対する中傷を行わせるという海邦国体の露骨きわまる党略的利用をやってのけたのであります。それはスポーツを愛好する県民の気持ちを踏みにじるものとなったばかりでなく、海邦国体を汚す暴挙でした。
知事、ごらんください。御存じの明日の沖縄をつくる会が出した知事選挙の法定ビラ1号です。 (資料を掲示)
海邦国体沖縄県実行委員会会長は西銘知事であります。その会長のもとで、県実行委員会が定めた「海邦国体マスコットマーク等の使用に関する取扱要領」というのがあって、その第3条は、「マスコット等を使用しようとする者は、あらかじめマスコット等使用許可申請書を県実行委員会会長に提出し、その許可を受けなければならない。」と定めています。ところが驚いたことには、みずから定めたこの取扱要領を無視し使用許可申請書さえ出さず、許可も受けずに勝手に西銘陣営の法定ビラに使ってしまったわけですから、まことに唖然たるものがあると申さねばなりません。
そこで質問をします。
1、去る知事選挙で西銘候補の確認団体である明日の沖縄をつくる会の法定ビラ1号が、海邦国体マスコットマーク等の使用に関する取扱要領の規定に反して、海邦国体マスコットマークを使用許可も受けずに使用した事実を認めますか。
2、知事は県実行委員会会長として、会長の許可も受けずに西銘陣営の明日の沖縄をつくる会がマスコットマークを勝手に選挙用法定ビラに使ったことについて、不正使用であったということを認めますか。
3、知事は現職で出馬された候補者であられたものとして、その確認団体となった明日の沖縄をつくる会がマスコットマークを不正に使用したことについて、県民に対しどんな責任を感じておられるか。
4、明日の沖縄をつくる会は、そのマスコットマークの不正使用について革新共闘会議側から問題にされるに及んで、11月4日に至り、使用許可申請書を提出したのであります。それに対して県実行委員会会長であられるあなたは、選挙用法定ビラのマスコットマークの使用が明らかな政治的利用そのものであるだけに、スポーツ振興法第1条第2項の定めるスポーツの目的以外の利用禁止やマスコットマーク等の使用に関する取扱要領第4条の規定等に照らし直ちに不許可にすべきであったにかかわらず、不法、不当にも11月6日の夕刻にその使用許可を与えたのであります。知事は、そのことを法令に反する誤った行政行為であったとは考えませんか。
5、何ぴとであろうと海邦国体をみずからの選挙戦その他において政治的に利用することを許してはならないと考えますが、スポーツ振興法第1条の趣旨に照らし、県実行委員会会長としての知事の御見解を伺いたい。
以上ですが、御答弁をいただいて再度の質問を行いたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 古堅議員の御質問に対しましてお答えいたします。
北部水源地域特別振興条例の制定問題についてお答えいたします。
北部水源地域特別振興条例について、沖縄総合事務局、沖縄県及び国頭村は、昭和58年2月24日付の覚書事項のうち継続実施又は未解決事項の確認書及び同年6月30日付の辺野喜ダム本体工事に関する覚書において約束いたしております。
この覚書の締結に当たっては、沖縄振興開発計画に基づく水資源開発と地域開発の重要性にかんがみまして国、県、国頭村は相互に協力して多目的ダム事業の推進を図ることといたしております。これを踏まえまして国頭村の振興開発を促進するため締結された覚書事項については、誠意をもって履行する考えであり、そのように努めているところであります。
この水源地域特別振興条例は、全国に例を見ない極めてユニークな条例となっておりますが、種々検討の上、58年秋に条例案を作成し、昭和59年2月に受水関係市町村に提示いたしました。それ以降、受水関係市町村と協議調整の過程で次のような問題が提起されているのであります。
第1に、受水市町村の負担金について種々論議がございました。第2に、受水市町村における水質の不均衡。第3に、過疎地域に限定していた水源地域適用の拡大。第4に、条例制定によらず、現行水源基金等の活用を図る等々の問題があり、これらをすべてクリアするため時日を要し今日に至っておるのであります。このようなことから国頭村に対しましてはこれまでの経過を説明するとともに、条例にかわる措置として、現行沖縄県水源基金の見直し等を含めて助成措置を検討したい旨提起してきたところであります。
以上のことを踏まえまして、各問題点等の整理を行うとともに、現在代替案について検討いたしているところであります。これらの代替案を取りまとめ次第、国頭村及び受水関係市町村等と協議し速やかに処理していきたいと考えているところであります。
海邦国体関連についての御質問に対しましてお答えいたします。
私は、知事就任以来県勢の発展に努力してまいりましたが、特に第42回国民体育大会の開催については、開催方針に示されているとおり全国一巡の締めくくりであるとともに、復帰15周年を記念する祭典として意義づけ、また県民の健康増進と体力の向上を図り、強靱な肉体に宿る明朗不屈の精神をもって明るい郷土づくりを目指すとともに、他府県と比較して著しく立ちおくれている体育施設等の整備充実を図る機会であるとして強力に推進してまいりました。幸い、国民体育大会の誘致につきましは県議会でも全会一致の決議が得られ、また第2次振興開発計画におきましても重要施策として位置づけ、今日まで順調に諸準備が進められてきたことは関係者の努力を多としながらも、県民多数の方々の御理解と御協力のたまものとして感謝いたしているところであります。
今回の選挙は、私にとって3期目へ向かって県民の信を問う重要な選挙であり、これまでの実績を踏まえ3期目へつなぐ重要政策として、また私の政治生命をかけた課題として海邦国体の成功を掲げたものであります。さらに海邦国体の運営方法について候補者間に意見の相違があり、私の考えを県民の前に明らかにすることは県政を担当する者として当然の責務であると信じております。
なお、明日の沖縄をつくる会発行の法定ビラ第1号の海邦国体マスコットマーク「クイクイ」の使用については、許可制度を知らなかったため手続がおくれたものの、11月4日、申請書を提出し、11月6日に使用について追認がなされており不当使用には当たらないと考えております。
マスコットマークの使用許可については、国体事務局長より答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 国体事務局長。
〔国体事務局長 石川秀雄君登壇〕
○国体事務局長(石川秀雄君) クイクイの使用許可についてお答えいたします。
国民体育大会の標章(マーク)といたしましては、国体シンボルマークがあり全国的に周知され使用されております。国体シンボルマークにつきましては、財団法人日本体育協会が商標権、意匠権を保有し、その使用については権利者である日本体育協会の使用基準に従い許可がなされております。
一方、国体のマスコットマークにつきましては、昭和58年に開催されました「あかぎ国体」、これは群馬県においてでありますが、それ以後、現在の形式が確立されたもので、これは国体を開催する都道府県実行委員会において国体推進県民運動の盛り上げ等に広く活用するために各県の実行委員会において制定運用されております。海邦国体のマスコットマーク「クイクイ」についても、海邦国体を県民に広く周知させる目的で制定し、その使用に当たっては、沖縄県実行委員会が制定した海邦国体マスコットマーク等の使用に関する取扱要領に基づき、申請に対して許可する形式をとっております。しかしマスコットマークの使用については国体シンボルマーク等とは異なり、マスコットマークの悪用及び色、形を含むイメージを損なう等の場合を除き、海邦国体の開催、啓蒙、普及に寄与するものと認め広く許可していく方針をとってきております。これまでの使用許可をした事例といたしましては、営利目的や商業宣伝、民間団体等が構成員に配布する資料への使用を許可しております。また許可制度を知らずに使用している者に対しては申請するよう指導し追認した事例もございます。なお、これまでに103件の許可申請があり不許可の事例はございません。
今回の選挙時、明日の沖縄をつくる会のマスコットマークの使用申請についても同様、マスコットマークの悪用及びイメージを損なう使用でないこと、またみんなの力で海邦国体を成功させましょうとの呼びかけの文言と一体的に使われていること等から、海邦国体マスコットマーク等の使用に関する取扱要領第4条第1項の規定に基づき、海邦国体の開催の啓蒙、普及に寄与するものに該当するとして許可したものであります。
以上であります。
○古堅実吉君 休憩してください。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午前11時29分休憩
午前11時30分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 古堅議員の質問は、1、2、3、結局は同じことですね。この使用に関する取扱要領の規定に反して使用したということですから、いやこれは規定に反しておりません。知らないために2日おくれているわけでございまして、別に、まとめて11月6日に使用について追認がなされており不当使用には当たらないと。これは1、2、3、全部まとめて言えることであります。
5番目については、さっき申し上げましたとおり県実行委員会会長は知事であります。知事の御見解を聞きたいということは、私がこれまでるる先ほど申し述べたとおりであります。
それから2番目の不正使用であったかと、認めますかと。これはもう誘導尋問みたいに、不正使用ではないことはさっき述べてあるとおりであります。これも同じことを聞いている。
3番目、これも同じであります。問題は不正使用をしたかということについて、県民に対してどんな責任を感じるか。不正使用でないですから責任を感じておりません。
全部同じことでございます。その使用許可を与えたことは法令に違反する誤った行政である。誤った行為でないことは、この11月6日云々について全部要約されているわけでございまするから、言うなれば同じことを聞いておるだけ。事実として認めるか、不正な行政行為ではなかったかと。問題は不正使用であったかどうかということでございまして、それだけであります。
○議長(志村 恵君) 古堅実吉君。
〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 海邦国体問題について再質問します。
国民体育大会は、スポーツ振興法第6条に基づいて開催されるものであります。したがって海邦国体の準備や運営等、その全体を通じてこのスポーツ振興法にのっとって行われなければならないことは申すまでもありません。このスポーツ振興法第1条は、同法の目的について定めてありますが、その第2項には、この法律の運用に当たっては、スポーツをすることを国民に強制し、又はスポーツを前項の目的以外の目的のために利用することがあってはならない」と定めています。柏林書房刊行で、川口頼好、西田剛共著の「逐条解説スポーツ振興法」という図書によれば、第2項は目的そのものではないが、本法の性格が国や地方公共団体の施策の基本を明らかにすることを目的としていることと関連して、これらの施策の実施に当たり、いやしくもスポーツ振興の名をかりて国民を駆り立てるようなことのないよう、また営利や宣伝の手段としたり、さらには富国強兵の具に供したり、政党政派に利用したりすることのないよう、本法運用の基本的態度を明文をもって規定したものであると解説されています。
海邦国体のためにつくられたマスコットマークの取扱要領は、当然のことながらスポーツ振興法第1条第2項の定めを基本として解釈され、運用されなければならないものであります。取扱要領は第4条で、マスコット等の使用許可申請があった場合には、「その内容が海邦国体開催及びスポーツ活動の啓蒙、普及に寄与すると認めるときは、マスコット等の使用を許可することができる」と定めています。
政党政派の知事選挙法定ビラで、マスコットマークをあたかも自分たちの私物であるかのように使用、宣伝し、相手方を中傷するためにこれを利用するがごとき行為が、スポーツ振興法第1条第2項及びマスコットマークの取扱要領第4条の規定に照らして許可できないものであることは議論の余地のないことであります。ところが県実行委員会は、西銘候補の確認団体である明日の沖縄をつくる会が10月30日付で県選挙管理委員会に届け出、その直後から頒布を始めていた知事選挙法定ビラ1号への無許可のマスコットマークの使用を7日も経過した11月6日に至って許可を与え、これを追認するという暴挙に出たのであります。これはスポーツ振興法に反し明らかに不法、不当な行政行為です。これは海邦国体沖縄県実行委員会会長としての知事の重大な責任の問われている問題です。
あなたは、西銘陣営の失態を糊塗するため、このような不法な許可を強引に踏み切ったのではありませんか。もう一度納得のいく説明を求めます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 再質問にお答えいたします。
先ほども申し上げたように、今回の選挙におきましては海邦国体の運営の仕方等について候補者間に意見の相違があり、各報道機関からその見解の表明を求められるとともに、多数の県民の多大の関心を寄せていることが明らかな以上、県政を担おうとする私の立場からはそれを避けて通ることはできません。むしろ積極的に県民の前に明らかにしていくことが知事候補者として必要であったと確信いたしております。
○議長(志村 恵君) 古堅実吉君。
〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 重大な指摘をされてもなお自己反省の立場を取り戻そうとされないのは、行政の長としてあるまじき姿勢です。まさに良識の問われる問題です。
知事、海邦国体はスポーツの祭典にふさわしく、本来のスポーツの目的以外に利用する姿勢を改め、全県民的、全国民的立場からスポーツを愛好するすべての人々が気持ちよく参加できるように十分配慮し、だれもが本当に成功したと喜んで言えるように努力することこそが今知事に求められていることではありませんか。もう一度知事の所信をあえて伺っておぎたいと思います。
以上です。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
マスコットマークの使用については不正であるとは考えておりません。また誤った行政行為だとも考えておりません。
○議長(志村 恵君) 瑞慶覧長方君。
〔瑞慶覧長方君登壇〕
○瑞慶覧長方君 私は、通告の順序から少し順不同になりますけれども、まず最初に我が党の代表質問に関連してという部分を取り上げ、さらに時間によって1番目の知事に対して自民党の税制調査会がやっている改革案、いわゆる減税問題及びマル優制度の廃止問題等を含め、さらに今自民党が計画しておるいわゆる大型間接税(売上税)、これらの問題等についても触れたいと思いますが、まず最初に県警本部長及び県収用委員会の会長、その責任ある方にお伺いをしたい。
その前に、ぜひともこれは整理しておかなきゃならない。
15日の代表質問以降、16、17と2日間県議会は空転しております。そのために多くの県民及び関係者の皆さんにも大変な迷惑をかけておる。それはもう非常に遺憾であるということで今さき西銘知事も表明されました。同時に、そのことを受けて我々は、ここで明らかにしなければならない事のいきさつからまずまとめてさらに質問をしたいと思います。
そのためにできるだけ客観的な立場からこの問題を明らかにするために、まずこの問題が起こって私たちがなぜ問題を提起したか。
議会には議会の権能がございます。行政には行政のいわゆる執行機関としての権能がごまいます。いわゆる方言で言うムチ分、ムチ分であります。それはその権能をお互いは大事にしていかなければならない。その大事にしていくためにこの権能にかかる発言があったから、私たちはこれを取り上げて、しかしながら議会というものは、議会運営というものは、この議会運営の議事整理権は議長にしかございません。そのために県警本部長の我が党の岸本安神議員の代表質問に対する御答弁の中で、議会の権能にかかわる部分の発言があると感じた。しかしあると感じたからすぐその場でやらなかったのは、県警本部長の御答弁の中に問題になる部分を確認するために、私たちはその日に議長に対して申し入れをいたしました。どういう申し入れをしたか。不穏当な、議会の権能にかかわると思われる発言があるんで、即刻これは速記録を、発言の部分を全部出してほしいと。我々はそのことを検討した上で議事整理権を持っている議長に申し入れますと。そこでお願いをして翌朝までにそれができたんです。それで検討した結果は、やはり議会の権能にかかわる非常に肝心な部分が御答弁の中に発言されておる。これは過ごして通ることはできないからということで、いわゆる単なる代表質問をした岸本安神議員と県警本部長という問題を越えておるという判断をしたから議長に申し入れしたんです。議長はそれを受けて、これをやはり各派交渉会を開き、あるいは議会運営委員会を開き努力をされたわけです。
ところが残念なことに、これが議会において一致点を見出せなかった。そのために2日間空転している。この発端は、県警本部長の御答弁の中における議会の権能あるいは品位、そういったものにかかる、抵触する部分があった、不穏当な発言があったからであります。
このことを、では、県議会議長はどのような形で進めてきたか。このあっせん案が最初に出たのであります。もちろんこのあっせん案は結果において不発に終わりましたけれども、少なくともその過程において経過の報告であります。これは2回目のときのあっせん案の冒頭に議長が提示した経過の報告でありますから、客観的であります。私が言っているんじゃないんです。読み上げます。
昨日、野党各派の議員から、15日の本会議における岸本安神君の代表質間に対する警察本部長の答弁中に、議会の基本的権能にかかわる部分があるので、その取り消し方について議長において措置されたいこと、並びに、収用委員会会長は、今議会を含め、3回にわたり議長が地方自治法第121条の規定に基づき、正式に出席要求をしたにもかかわらず、1度も出席していない。これは議員の質問権の効果的行使を阻害するのみならず、議会軽視にもつながるので、議長において、同会長の出席についてしかるべき措置をしてもらいたい旨の申し入れがございました。議長は、この申し入れを受けて、これらの問題の協議を議会運営委員会に諮問いたしました。議会運営委員会においては、これらの問題の協議の過程において、与党から、岸本安神君の代表質問中の「私服警官が乱入し」という部分を取り上げ、その部分が事実に反すること及び乱入という用語が適切さを欠いているとして、その部分の取り消しが求められました。議会運営委員会においては、収用委員会会長の出席問題については与野党の意見が一致したものの、代表質問の際の発言問題については、与野党の意見が対立してまとまらず、その協議が各派交渉会に移されました。議長は、再三各派交渉会を開き、斡旋案の提示等極力調整に努めましたが、局面の打開に至らず、遂に昨日の本会議を延会せざるを得ず、この点遺憾に存ずる次第であります。
議長も遺憾を表明しているわけです。これがいきさつ、経過です。
ここにも明らかなように、それで議長から受けていわゆるあっせん案を出しています。このあっせん案はどうかというと、県警本部長の発言の中で特にこの部分、たくさんございますけれども、私たちも全体を問題にしているんではございません。少なくとも今申し上げましたように議会の権能にかかる部分、この部分を間題にしているわけです。
そこで、「それからさらに、今また乱入という言葉を用いられましたけれども、これは絶対に間違っておりますので、御訂正をいただきたい。」、この部分です。そこで議長はこの部分を議事録から削除したい、こういう提案です。もう1つの与党からの提案に対しては、乱入というものを、なだれ込むに訂正すると。
そういうことで、ところが、1回目のこれについてはこれは合意を見ているんです。それでよかろうと。ところが与党から提起されたものについては意見の一致を見なかったんです。意見の一致を見ていない。
それで本部長にお伺いしますけれども、私が申し上げているのは議会の権能にかかわる部分を非常に大事に私たち、しているわけです。
これはなぜそういうことを申し上げるかというと、一例を申し上げます。
包丁というものは、これは料理するためにあるんです。かみそりというものは、ひげそるためにあります。これがおのおのの権能です。ですから、県警本部長が2500名の部下職員の士気と名誉を守るために、前文でいろいろ述べられた部分については我々はとやかくそれは問題はあっても、今回のこの問題には入っていないんです。これは本部長の立場から、部下職員の名誉とあるいは士気を守るという立場からなされると、これは当然かもしれません。我々は我々の立場から、住民の代表という立場から、住民の側に立ってやはり行政、いわゆる執行権を持っておる皆さんに対してチェックをし、あるいは場合によっては修正を求め、あるいは場合によっては訂正を求めるということは当然のことです。これが職分です、ムチ分です。ところが包丁でひげをそったりあるいはかみそりで料理をするようなことになれば、これこそ混同です。ですから物笑いになるわけです。しかし議会と行政という場合には、これは車の両輪のようにお互いにそれを認め合いながら切磋琢磨してそして目標は1つです、県民の福祉向上です。そういうことで私たちは全体を問題にしているんじゃないんです、決して。だから乱入問題という言葉遣いをどうのこうの言っているんじゃないんです。 (「議会の品位の問題だよ」と呼ぶ者あり)議会の品位、そのとおりです。権威と品位です。だからそのために本部長、議長が最初に提案した、これはやはり、しかもいわゆる説明をされる行政の一員であられる県警本部長が、法的根拠もない議員の発言を変更を求めるということはこれは我々にもないんです。整理権を持っておる議長なんです、これできるのは。いいですか。だからこの部分は、やはり議会の権能にかかわることを本部長はおっしゃった。これは議長から見ても、我々から見てもやはり法的根拠のない、あるいは議事整理権の及ばない部分に発言が及んでおるものだから、その部分はやはり削除した方がよかろうというのがあっせん案でした、趣旨です。
私は、やはりだからこういうことでもって議会が混乱している、まだ整理がついていない。そうであるならば、先ほど古堅議員もおっしゃいましたが、やはり2500名の警察官、職員の今後の士気の高揚や名誉を確立するためにも、本部長であられる最高責任者が議会でこういう汚点を残したままでなされるよりも、やはり思い切って勇気を持って、先ほど西銘知事もお答えの中にありました、やはり本部長がここで答弁された趣旨は本音はそういうことであったはずだが、ここでこういう形で御答弁されたのでこれの訂正方も含めての発言だと思うと、これは遺憾であると。こういうふうに親心で知事は非常に理解ある態度で答弁なさっているわけですから、私はやはりそれを受けて議会というのがお互いに信頼関係、幸いに今まで復帰後15年間、いわゆる議会における警察本部と私たち議会との関係も信頼関係があって今日までスムーズに来ているわけです。それを踏まえてもう一度、やはりそういうことも踏まえて私たちが意図している部分はそれだということを踏まえて、申し上げましたようにこれはやはり本部長としても、それは議長が提案した第1案のこのとおりやはり訂正に私は賛成すべきだと。それも含めまして、いわゆる県警本部長の御所見あるいはこれに対する見解、まず1点これを聞きます。
それから収用委員会の会長、きょうも来ていませんけれども、事務局長がおいでですけれども、なぜ今まで議長から再三されていながら、一度も会長がこの席においでにならぬのか。議会を軽視しておられるのか、あるいは怖がっておられるのか、あるいは出る必要もないと思っておられるのか、これをまずお答えいただいてから再質問をしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) お答えをいたします。
去る12月15日の本会議におきます私の答弁中の発言をめぐりまして、議長を初め議員の皆様並びに関係者の方々に御心配をおかけし、まことにその点心苦しく思っておりますが、私の発言の趣旨は、昨日も申し上げましたように警察官の正当な職務行為に対して乱入という語をもって表現されることは県警2500人の名誉にかかわるものでありますし、120万県民の安全と平穏のために昼夜を分かたず厳しい勤務に耐えている県警察職員の到底容認しがたいものでありますので、立場の違いを超えて公正な表現をするようにしていただきたいという県警の総意を表明したものでありまして、このことから御理解いただけますように御訂正をいただきたいという私の発言の趣旨もここにありまして、いわゆる議事法規上の訂正を意味するものではございません。議員発言の権威が守られなければならないということはもちろんでありますし、私もそのことは十分承知しておりますが、同時に県警2500人の名誉もまた守られるべきものだと考えております。そういう意味合いにおきます発言でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 収用委員会事務局長。
〔収用委員会事務局長 古謝将美君登壇〕
○収用委員会事務局長(古謝将美君) 志村議長から、収用委員会の会長に対しまして議会への出席の文書が参りましたので、会長に連絡いたしました。会長の方から、別用務のため出席できないので、かわって事務局長、行くようにと指示がございまして参ったわけでございます。
○議長(志村 恵君) 瑞慶覧長方君。
〔瑞慶覧長方君登壇〕
○瑞慶覧長方君 今、県警本部長はいろいろ述べられましたけれども、私がお尋ねをしているのはそういうことを言っているんじゃないんですよ。議長が最初に示されたいわゆるあっせん案の中で、やはり最後に指摘したあの部分は、やはりこれは問題であると、その部分はだから削除した方がいいだろうと。だから県警本部長として部下職員の名誉を守ると、そういう立場、これを問題にしているんじゃないですよ。あくまでも議事整理権の問題にも絡み、議会の権能にも関連するような発言があった部分はやはり取り消した方がいいんじゃないかと、こういう意味なんです。これを議事整理権の面から述べたんじゃないといっても、結果においてはそういうふうに受けとられているわけです。議会、そのために混乱したわけです、現実に。だからそれはもう一遍、その辺をお聞きします。
それから収用委員会事務局長、これはもう全然わからないですね。本来、会長が最高責任者ですよ。そのために議長から再三にわたって出席を命じられているわけですよ。これを責任者である会長が出席しない。しかも1度じゃない、2度も3度もですよ、毎回ですよ。これでいて、その都度所用があってできないと、こんなばかな話ないですよ。これは議会に対する議会軽視ですよ。これは絶対許せないと思う、こういう態度は。
収用委員会事務局、このことをもう一遍、会長及び会長がもしおらなければ会長代理もおられますよ。7名、委員がおられるはずですよ。7名の委員の中で責任を感ずるならば御出席するのが当たり前ですよ。そうじゃないと次の質問ができません。
もう一遍、県警本部長の答弁をお願いします。
もう1つ、これ切り離したかったものだから聞いていませんが、責任問題の前に、私は責任云々、今言いません。前に、事実2日間議会空転して混乱が起こったんです。この発端はそういう発言があったからですよ。それについてやはりこれは知事でも、議長でも遺憾の意を表明されているわけですよ。やはり遺憾の意の表明ぐらいはあってしかるべぎだと思うんです。守礼の邦の沖縄においでになった以上は、やはり郷に入れば郷に従え、沖縄の立場というものも、あるいは議会は議会の立場もありますので、本部長さんが部下職員の立場を考えるのは大いに結構です、私もそれは賛成です。同時に、部下職員のことだけに向けて、議会やその他の執行部のほかの県庁職員や県民に対して一体どう思われるのか、これについて謙虚な気持ちでのもう一度のお答え願いたいと思います。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) お答えいたします。
同じことを繰り返すようでまことに恐縮でございますけれども、私の発言についての趣旨は、今、先ほど御説明をいたしましたようなことでございますので、どうか御理解をいただきたいというように考えております。
それから空転問題につきましては、これも昨日もお答えいたしたわけでありますけれども、私の答え得る範囲内でのお答えはしたというように考えておりますので、御了解をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 瑞慶覧長方君。
〔瑞慶覧長方君登壇〕
○瑞慶覧長方君 私は、極めてこの問題を冷静に受けとめて、県民にもわかりやすく、ぜひこれは明らかにするために今お尋ねしたわけです。
そこで先ほど西銘知事がこの問題についての御答弁で、やはりこういう問題でまことに空転などもあって遺憾であると。そしてその後半の部分に、県警本部長のあの答弁は、やはりそういった問題部分があれば、それは訂正の意味を含んでいるんじゃないかというふうな知事の御答弁がありました。
これについては、県警本部長さんはどうお感じですか。最後にその点についてお伺いして終わりたいと思います。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) 再三同じことを繰り返してまことに恐縮でございますけれども、先ほどもお話いたしましたように私の発言をめぐりまして、議長を初め議員の皆様並びに関係者の方々に御心配をおかけしていることにつきましてはまことに心苦しく思っております。しかし私の考え方、発言の趣旨は先ほど来お話をしているとおりでございますので、どうか御理解をいただきたいとこういうふうに考えております。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午後0時3分休憩
午後0時6分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
休憩いたします。
午後0時7分休憩
午後1時22分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
午前に引き続き質間及び質疑を行います。
田場盛徳君。
〔田場盛徳君登壇〕
○田場盛徳君 質問に入る前に一言申し述べます。
警察本部長のこれまでの議会における御答弁を聞いていて、私は、本部長が2500名の警察官を大事にしようとされていること、またその士気と名誉を守るために熱心であられることを認めます。しかし発言の中身を考えますと、警察のやっていることに文句を言うなという高圧的な姿勢がうかがえ、やはり昔の筑佐事的なお考えなのだなと。これでは民主警察ではなく、ヤマト筑佐事という印象をますます県民に与えていくことになりかねないと思います。
30人の警察官がなだれ込む前までは、審理会場には何の違法行為もなく、収用委員に手を触れた者もいませんでした。あの場には7人の弁護士――池宮城、知念、三宅、阿波根、新垣、中山、照屋という方々がいました。午後6時30分ごろには7名の弁護士が浦添署に行き、逮捕者との接見要求をしています。そして午後7時10分ごろ、池宮城、三宅、阿波根、照屋の4人の弁護士が署内に入ることを許され、饒平名副署長と会っています。弁護士から逮捕者の即時釈放要求と、宜保議長が警察官によって負傷したことが饒平名副署長に伝えられています。にもかかわらず本部長は、宜保議長の負傷はマスコミで報道されてしか知らなかったと言われたが、これがうそでなければ饒平名副署長は職務怠慢になりませんか。
また、警察は当日、事件直後、伝えられたことであり直ちに調査すべきであったのに、それをやらないのは、どういうわけか疑問を持ちます。法的根拠のない発言を取り消そうとなさらない本部長の姿勢に加えて、これでは信頼感を失うことになりかねないことを申し述べておきます。
次に、我が党の代表質問に関連して吉川教育委員長代行と米村教育長にお聞きします。先日の我が党の宮城健一議員が、沖教組の教研集会は、教師の自主研修を推進する立場から大いに奨励すべきだと思うがどうかと質問したことに対し、米村教育長は、沖教組の教研は、組合活動の範囲内で行われており奨励するわけにはいかないと答えておられます。
それで4つ質問します。
1つ、組合活動の範囲内のものはすべて悪いのか。
2番目、奨励するわけにはいかないということはやめた方がよいということだが、沖教組が自分の本務である教育について研究会をやることがどうして奨励できないのか。教職員団体がみずからの本務である教育研究を自主的に行い、その成果を持ち寄って研究し合う集会がどうして奨励できないのか、理由を明確にしてもらいたい。
次に3番目、私も1975年まで約10年間、教研の運営の責任者としてやってまいりました。その当時、県教委からも補助金を受け、教育長の激励も受け、また課長や主事の方々にもいろいろと協力をしてもらいました。教研の成果で沖縄タイムス賞をもらった団体や個人もたくさんおります。このような教研がいつから、どういう理由で奨励できなくなったのかお答え願いたい。
4番、沖教組の自主教研が、日本国憲法や教育基本法の精神にそぐわないものがあるのか。また沖縄の民主教育、平和教育の発展を阻害し、沖縄教育にマイナスになっていることがあるのか。それがあれば具体的に県民の前に明らかにしていただきたい。
教育委員長代行にお聞きしますが、このような方針決定はいつから行われたのか、そして行政と現場との信頼関係確立についてのお考えと具体的政策をお伺いしたいと思います。
次に、福寿草病院の労使問題と、同病院の医療環境についてお伺いをします。
昨年9月以来、福寿草病院では、長期にわたって労使間の紛争が続き大混乱していましたが、環境保健部長初め関係職員の御努力によって本年7月19日に和解が成立しました。この件に関し私は高く評価するとともに、その御努力に対して敬意を表するものであります。また経済労働委員会においても、去る5月7日に同病院の院長に出席していただき、熱心な休会中審議をしていただいたことが和解成立へ大きな力となったと考え、経済労働委員会の御努力に対しても敬意を表します。
和解が成立し5名全員が解雇も撤回され、那覇地裁における地位保全仮処分申請の裁判も終結しておりますが、私の調査したところでは、同病院運営の今後の不安要素というものは解消されておらないと考えて質問をするわけでございます。
患者の収容定員120床に対して150名も超過収容していた問題は解決されておりますが、まず第1番目に、事務長が2カ年間に6人も変わっており、病院創立以来8人も変わって、勤務実態を調べてみますというと最も長い人で8カ月、短い人は2カ月でやめています。病院運営に重要な役割を持つ事務長がこんなに頻繁に変わっていては、正常な運営はできないのではないか。そして現在も事務長不在であるが、こういうことで正常な病院の運営の保障があるのか、そしてこのように頻繁に事務長が変わった理由は何なのか明らかにしていただきたい。
2番目に、お医者さんも当初3人いたのが、次々とやめて8月以降は院長1人になっている。これで正常な運営が保障できるのかということ。
3番目に、和解が成立し解雇は撤回されたが、この解雇撤回された方々は来年3月まで8カ月も自宅待機をさせられております。病院の運営を早く正常に戻し職員の協力体制を整える意思があれば、一日も早く仕事についてもらった方がよいし、自宅待機者もそれを望んでいるのに仕事はさせない、この経営者の姿勢は問題ではないかと思います。
4番目に、医療法による医療従事者の充足状況ですけれども、正看護婦が6人、准看護婦11人、計17人必要なのに対して、現状は正看護婦が3人、准看護婦が8人で、6人も不足をしております。そのほかの職員も5人が自宅待機、2人が産休、3人が名義だけの職員であり、10人も水増しされたかっこうになっているのではないかと思いますけれども、これについてお伺いします。薬剤師も週3日しか出勤しないパート勤務である。こういうふうな事柄は医療法の違反になるんですが、この4つの事柄についてお答えを願いたい。
5番目に、昭和59年6月22日付で厚生省から知事あてに、「精神病院の指導監督等の強化徹底について(通知)」が出されております。本県でも精神病院の不祥事件がたびたび起こっておりますが、県の精神病院に対する指導監督はどのように行われているか明らかにしていただきたい。
6番目に、福寿草病院に対する県の改善命令はいつ、どのように出されたか、その内容を含めてお伺いします。
7番目に、福寿草病院からの改善計画はいつ出されたか、内容はどうなっているのか。
8、そして県の改善命令と同病院の改善計画はどのように具体的に改められているのか、今後の見通しも含めてお答えを願いたい。
9番目に、12月2日に医務課長や予防課長が同病院に対する行政指導が行われたようですけれども、その内容、結果について明らかにしていただきたい。特に労使関係についても御承知になったと思いますので、お答え願いたいと思います。
10番、同病院は、以前から閉鎖宣言をしたり、経営権譲渡の意思表示をしたりしておりましたけれども、どうなっているか。
雇用失業問題については、これまでの代表質問、またきょうの友寄議員に対する御答弁でわかりましたので、その中でアメックスの従業員の問題、これに対しては、特に商工労働部長を初め関係職員の皆さんが精力的に問題解決に努力されておりまして、私は、その御努力に対しても非常に敬意を表し評価をしております。しかし事態は解決に至っておりません。
そこでいま一度質問をします。
アメックス銀行労働者の解雇問題は労使問題ではなくなったと私は認識していますが、どうでしょうか。
アメックスは、12月で業務をヒューストン銀行に引き継がねばならない。ヒューストン銀行は、日本人従業員を継続採用しない方針で国防省の入札で落札をしている。国防省は、ヒューストン銀行の方針を受け入れて落札者にしている。したがって日本人従業員の解雇は、国防省の方針であります。国防省方針を変えさせない限りヒューストン銀行への身分引き継ぎはできないということであり、この問題解決は外務省が動かない限りだめだと思いますけれども、これまでどのように折衝してこられたか、またその見通しはどうなっているのかいま一度お伺いをしたいと思います。
雇用問題ですけれども、労働省が12月13日に発表した労働経済動向調査を見ますと、製造業、機械関連業種の状況は深刻であり、雇用問題が一層厳しくなると指摘をしております。
本県の場合はどうなるのか。現在でもひどいが、来年からますます厳しくなるのではないか。
知事は、産業振興で雇用拡大を図っていくと答えておられますけれども、産業振興というのは、手をつけたらすぐに雇用拡大につながるということにはなりません。雇用の厳しさはすぐやってまいります。抜本対策を立てるとともに当面の具体的な対策が必要ですが、特に振興開発特別措置法第38条との関連でどのように考えておられるのか、その雇用対策を含めて御見解を承りたい。
次に、軍公務傷病による恩給支給問題ですが、私が取り上げる該当者は、具志川市の赤道に居住しております元陸軍1等兵金城洋の公務傷病による恩給についてであります。
この金城は、満州は日本の生命線だという国策によって、小学校を卒業して満蒙開拓義勇軍として満州に送り込まれ、現地で召集を受けて、敗戦によってソ連軍の捕虜となってシベリア・イルクーツクに抑留され、その間に激しい肉体労働と栄養失調のために軍作業中に高熱が出て、右胸痛で倒れてイルクーツクの陸軍病院に入院し療養を受けております。昭和22年5月23日が入院をした日で、その後11月には函館に送られて援護局の病院で療養を受け、翌12月28日に沖縄に帰還しています。病気は肺結核で、それ以来、私立の医院や結核療養所金武保養所、中部保健所、中部病院、鹿児島の霧島の国立療養所と入院や通院生活を繰り返しております。今日でも余病併発で歩行も困難であり、金城はまさに国策による犠牲を背負って生ぎてきたようなものであり、金城の戦後40年の生活と現状を見ると本当に気の毒であるとともに、私自体、同情と怒りを禁ずることができませんでした。
昭和31年に傷痍軍人としての傷病恩給の該当者として恩給申請書を出し、昭和36年に2万2000円の支給を受けていますが、昭和37年1月、この恩給期限切れ前にちゃんと傷痍軍人会に必要書類を整えて恩給請求をしましたけれども、事務処理の不始末のためにその書類が紛失し、そのために昭和37年から59年の5月まで22カ年間も恩給が支給されておりません。
私が傷痍軍人会で調査したときは、琉球政府から補助金を受けてその事務手続の委託を受けた傷痍軍人会の事務が極めて粗雑であったことを痛感しました。当時の受付簿を見せてくれと頼んだら、それがない。相談者名簿の記録もない。また来た書類が、つづり込まれただけでありました。当時からいた1人の役員は、金城はこの事務所に来たこともないとか、書類提出があればちゃんとあるはずだ、彼は提出してないからないのだとわめきちらしておりました。しかし現相談部長になってからつくられた申請受付名簿を調べてみると昭和55年以降のものが一部入り込んでおりまして、その中に金城洋の名前があり、書類持参お願いとか、全書類返戻とか書かれているのを発見してそれを指摘したら、その後はその役員は黙っておりました。昭和37年に書類提出したことは、当時、身体障害者で幸喜という具志川出身の者が、身体障害者の事務所で時計修理の技術講習を受けており、金城はその人に会って、これから書類提出に行くのだと話し合ってから行っており、私がこの幸喜に確めたところ、幸喜もよく覚えていて確かに恩給申請に金城が行ったということを認めております。それが去る13日には課長や係長が私の居室に見えまして、初めて昭和37年に申請書が出されておると。けれども不備のために、4人の中で3人は出したが、金城だけが出してないのだと、出されたことを認めております。
私が問題にしたいのは、このように金城は何度も援護課や傷痍軍人会に通ってどうなっているかと聞きに行っているのに、そのたびごとに傷痍軍人会も援護課も、あなたのは書類はないよの一点張りで追い帰されている。その時点でちゃんとなければ、新たに申請をする書類をつくろうじゃないかということで指導すればこのようにならなかったと。大変この指導の不始末、事務の無責任、これによって金城はこのような不利益を受けておるわけであります。
それでこういうことに対して、知事としてどうお考えになっておられるか。そして行政というのは該当する者を捜し出してでもやるべきであるのに、金城に関する限り全く不親切で、適切な指導や対処がなされてない、そのための22ヵ年の犠牲だと思います。恩給は、申請の時点からしか支給はされませんので遡及支給を求めるということは大変無理だと思いますけれども、県として補償すべきではないかと考えますが、知事の御見解をお伺いします。
終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 田場盛徳議員の御質問につきましては福寿草病院についての御質問がございましたが、これにつきましては所管の部長から答弁させることにいたします。
次に、雇用失業問題についての御質問がございましたが、商工労働部長から答弁させることにいたします。
次に、軍公務傷病についての御質問がございましたけれども、これにつきましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 教育委員会委員長職務代理者。
〔教育委員会委員長職務代理者 吉川文子君登壇〕
○教育委員会委員長職務代理者(吉川文子君) 田場議員の御質問の件に関しましては、私個人としては思うこと、言いたいこともいっばいございますけれども、教育委員会の性格上、私が個人で勝手にこの議会の席で申し述べてはいけないと思います。御質問の件に関しましては教育長に答えてもらいたいと思います。
○議長(志村 恵君) 教育長。
〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) 田場議員のただいまの御質問につましては、我が党の代表質問との関連ということでございまして具体的に今通告をいただいておりませんで、ただいまから申し上げることにつきましては一部御満足のいただけないところもあるかと思いますので、御了承をお願いし
たいと思います。
まず、大体、御質問の点をメモしてみますと4点ございまして、沖教組の行う研修集会はこれは組合活動としてとらえているのかと、1点であったと思います。それから教組の行う研修集会はなぜこれを奨励できないのかと。それから3番目は、かつては助成をやってきたと。それはいつごろからこれをやめたのかと。それから沖教組の行う教研集会は民主教育を阻害するのかと、大体大まかにこの4点だったというふうに考えます。
私は、沖教組の行う教研集会は相対的に見て当然のことでありますが、教組の組合活動の一環として行う教研集会だというふうに理解をいたしております。
それから2番目の、教組の行う研修集会はなぜ奨励できないかということでございますが、私、この前申し上げましたのは、教組等が行う組合活動の一環として行う教研大会は、確かにその中で教育実践活動を通して貴重な報告や研究等もあるというふうに申し上げております。したがってあの中が全部いけないとは言っておりません。この中には現場の実践活動を通しまして貴重な意見やそれから研究活動等もあります。これはおのずから高く評価していかなくちゃいけませんし、それからそれはまた教育現場に持ち返りまして実践していくには大変な貴重なものであります。ただ全体として見た場合には組合活動の一環をなしておりますし、それから行政の行う研修に対してもかなり厳しい立場で批判し反対を唱えてきております。こういう立場にありますので、これは私どもが積極的に組合活動を奨励していくと、あるいは組合の行う研修活動を奨励していく立場にはございませんと、こう言ったつもりであります。
それからかつては助成までして奨励をしてきたのに、いつからやめたかということですが、これは先ほど申し上げましたように、いつからやめたのかということは今すぐただいまの御質問でございますので調べておりませんで、後で御報告を申し上げたいとこういうふうに考えます。
それから4番目の、沖教組の研修集会は民主教育を阻害するのかと言っておられますが、これにつきましては、この場で彼らのいわゆる組織の行っている教研集会全体を民主的である、非民主的であるというふうに断ずることは非常に難しいし、またできないことだと思っております。私は、先ほど第1番目に申し上げましたように、教研集会の中には評価すべきものもかなりあるというふうに申し上げてお答えとしたいと思います。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 軍公務傷病による恩給支給問題についてお答えいたします。
御質問がありました金城洋に係る公務傷病による恩給請求につきましては、当時、恩給請求事務を担当しておりました沖縄県傷痍軍人会に一応照会いたしました。御本人の初度請求に係る有期裁定期間が終了した年の昭和37年12月6日の記録から、再審査請求書は提出されておりますものの、書類不備として当時の琉球政府厚生局援護課から返戻された事実が判明しているのみであります。またその後、本人がどうされたかも定かではありません。ただ、昭和48年1月20日に援護課が保管している本人の初度傷病恩給請求書の控えが本人に貸し出された記録があり、恐らく御本人が傷病恩給請求のために借り受けたものと思われます。昭和59年になって、自後重症請求書が県に提出され、59年6月から第4款症有期の傷病年金を受給しておられます。
以上、これまでの調査によりわかりましたことのみを申し上げましたが、そのほかのことにつきましては何しろ二十四、五年前のことで、当時の事務担当者も変わっていること等もございまして、事実解明にはいましばらく時間がかかると思います。恩給請求は、請求主義をとっているとは申しましても、一個人が当然年金給付を受ける権利がありながら22年間にわたりこれを受けてないということはまことに遺憾に思っております。援護事務に携わる職員は、日ごろから最善の注意を払いつつ誠意を持って事務を進めているところでありますが、今後はさらに関係職員一人一人が、一人の請求漏れも出ないよう努めてまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 原 實君登壇〕
○環境保健部長(原 實君) 田場議員から御質問のございました福寿草病院の医療環境についてお答えいたします。
最初に、事務長が頻繁に変わった理由と今後の懸念についてお答えいたします。
確たる理由につきましては病院側も表明を避けておりますが、恐らく同病院の労使紛争等により使用者と従業者との板挟み等に遭って、やむを得ずやめていったのではないかと思料いたします。また今後は、労使紛争が本年7月19日に解決しており、これまでのようなことがないことを期待しております。
次に、医師が当初3人から、8月以降は院長1人になっている実情についお答えいたします。
医師については標準人員は3人となっておりますが、現在御指摘のとおり院長1人であります。2人の医師に対して現在交渉中で、そのうちの1人は62年の1月に採用する予定となっております。
和解が成立し解雇撤回はされたが、来年の3月まで8カ月も自宅待機になっている。正常化のためには早く出勤させ仕事をさせた方がよいと思うがとのお話でございますが、去る7月19日、労使紛争が和解しておりまして、その和解条項の中で、本和解成立の日以後、昭和62年3月末を限度として自宅待機し、その期間中は、団体交渉への出席を除き許可なく同病院に立ち入らないとの1項が明記されております。したがいましてこの期間は、正常化へ向けての環境整備期間と理解しております。
次に、医療従事者の充足状況について御説明申し上げます。
去る12月2日の病院長からの事情聴取による調査では、看護婦及び准看の数が19名となっておりましたが、疑問な点がございましたので12月15日、再調査を行った結果、同病院の看護婦及び准看護婦の標準人員22名に対し、現員が11名で11名の不足がございます。現員11名の内訳は、看護婦3名と准看護婦8名であります。また自宅待機5名の中には看護士1名と准看1名が含まれております。そのほかに産休、休職状態になっている者が3名おります。御指摘の薬剤師の件につきましては毎日勤務しております。なお、同病院の医療環境は良好でございませんので、特に医療従事者の充足について強力な指導を行っていきたいと考えております。
県は、精神病院に対してどのような指導監督を行っているかという御質問に対してお答えいたします。
昭和59年6月22日付の厚生省三局長通知は、精神障害者の人権を守る立場から、入院患者の処遇、措置入院制度の適正な運用、同意入院制度の適正な運用等の事項について年1回以上実地指導を行うこととされております。これに基づきまして昭和61年5月23日、福寿草病院に対し、通信、面会の自由尊重、病棟内における電話設置等18項目について実地指導をしております。
福寿草病院に対する県の改善命令はいつ、どのような内容で出されたかという御質問でございますが、同病院に対しまし、ては昭和60年11月8日付、医療法に基づく改善指導及び昭和61年3月3日付、精神衛生法に基づく改善指導を行っております。その内容を要約いたしますと、患者の継続的な診療及び看護業務の確保、給食の確保等に支障がないように患者対応は最優先させること、定床オーバーの解消に努めること、医療従事者の不足の解消に努めること、労使間の問題は平和的に解決されるよう極力努めること、患者の外出・外泊のあり方の改善、開放病棟収容患者のあり方の改善、その他病院全般の管理運営の改善となっております。
同病院の改善計画はどういう内容で、いつ出されたかということでございますが、さきの指導に対しまして、医療法に基づく改善計画書は昭和60年11月20日付で提出されており、その内容は、患者の継続的な診療及び看護業務の確保、給食の確保等には万全を期しており、患者の対応は最優先させていると。定床オーバーについては、他の精神病院に連絡をとり、転院により超過収容の解消に努める。医師等の医療従事者の不足については、新聞広告、知人、友人への口きき等あらゆる手段でその確保に最善を尽くす。労使間の問題は、もはや労使間だけの問題ではなくなっており根深いものがあるが、早期に解決できるよう最善の努力をすると。
また、精神衛生法に基づく改善計画書は昭和61年3月20日付で提出されており、その内容は、患者の外出、外泊のあり方については、主治医の許可により保護者と連携のもとに実施する。外泊、外出中の病状の変化については迅速に対応する。他科受診を目的に外出する場合は看護者または保護者が付き添う。外勤の場合は雇用先との連絡を密にする。帰宅目的の外泊、外出の場合は保護者との連絡を十分に行う。
開放病棟入院患者のあり方については、医療効果の向上を図るため相談室を設置する。チーム医療の充実を期す。作業療法を実施する。巡回看護の充実強化を図る。医療スタッフと保護者の連携を密にする、以上のとおりであります。
次に、県の改善命令と同病院の改善計画は具体的にどのように改善されたかという御質問に対してお答えいたします。
昭和61年7月19日付で労使紛争が和解成立いたしております。61年10月より定床オーバーが改善されました。薬剤師は去る8月10日付で採用されております。医師も7月1日付で1人採用されましたが、労使紛争の影響で現在は退職しております。患者の外出、外泊は主治医の許可を受けることを徹底させ、家族との連携を密にしております。他科の受診の場合は看護婦または保護者に付き添わせております。外勤を目的として外出させる場合、院外での状況把握に努めており、医療スタッフは有資格者を採用するよう努め、かつ事例検討会を行っております。院外作業療法を実施して、患者の社会復帰の促進に努めております。巡回看護は毎日1回以上行っております。医療スタッフと患者家族との面談は2週間に1回程度行っております。
12月2日の同病院への行政指導の内容と結果についてでございますが、指導の内容は、医療従事者の確保、定床オーバーの解消、救急医療の3点についてであります。医療従事者の不足の確保については2名の医師と交渉中であり、そのうち1名は62年1月に採用する予定となっております。看護婦は現在交渉中の中で5名は62年1月に採用をする予定となっております。また定床オーバーについては12月2日現在、入院患者118名となっており、許可病床124床以内におさまっております。救急医療については、県から定床オーバーの指摘を受けた後は急患の受け入れを極力控えてきておりますが、現在は定床124床に対し入院患者118名と若干病床に余裕があるので協力するとのことでありました。
最後に、同病院が以前から閉鎖宣言をしたり、譲渡の意思表示があったりしているが、どういうことになっているかという御質問に対してお答えいたします。
昭和60年9月の調査時点では病院の閉鎖または譲渡するとの情報を得ておりましたが、同年10月25日調査以後は、一貫して病院を継続して健全化したい旨の情報を得ております。
なお、同病院は最大の懸案であった労使紛争も解決を見ており、今後とも医療従事者の充足等について行政指導を強化していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 雇用創出関係の事業についての御説明を申し上げたいと思います。
厳しい雇用失業情勢の改善を図るため、従来から雇用創出事業としまして若年求職者職場適応訓練制度、あるいは県下全域が指定を受けております地域雇用開発推進事業等他府県には例のない諸制度の活用によりまして県内の雇用創出、雇用機会の拡大を図ってきたところであります。また県外就職情報センターの設置、広域職業紹介推進員の配置等によりまして県外就職の促進もあわせて図っているところであります。今後ともこれら従来の施策の充実強化に努めるとともに、中長期的には産業の振興を積極的に推進し本県の雇用需要の拡大に努めてまいりたいと考えております。
アメックス銀行の問題につきましてお答えします。
アメックス銀行の業務の終了に伴いまして日本人従業員の身分引き継ぎ問題につきましては、既に報道されているとおりであります。現在、その件につきましては労使間で精力的に交渉が行われておるわけですが、解決には至ってない状況にあります。県としましては、この問題につきまして本県の厳しい雇用失業情勢の中で日本人従業員多数が職を失うことは極めて憂慮すべき事態でありますし、そのことを踏まえましてアメックス銀行の責任者あるいはそれを引き継ぐヒューストン銀行の責任者、あるいは関係機関に対しまして善処方の申し入れを行っております。
また、御提言のありました関係省庁につきましても、去る12月9日に知事名をもちまして県として強く要望いたしているところであります。
以上です。
○議長(志村 恵君) 仲原英典君。
〔仲原英典君登壇〕
○仲原英典君 一般質問を行います。
さきに通告をいたしましたが、やはり初めに我が党の代表質問との関連について述べてから質問を行いたいと思います。アチラシケーサーでもいいから、食べたらおいしいと思いますので食べてください、聞いてください。
本県の軍事基地に係る土地闘争は、米軍政府時代に発動しようとしたプライス勧告ということを、勧告しようとしたときから始まって、そのプライス勧告は一蹴されました。そのような歴史的な闘争の経過があるわけでございます。
今回の20年の長期にわたる基地使用に反対する地主の立場の姿勢は、まさに反戦平和を求める率直な心情であると私は思うのであります。このような重大な時期に我が党の代表質問、すなわち岸本安神議員の質問における説明員の警察本部長の答弁によると、議員の発言の内容を変更するよう強く要求していると受けとれるような内容となっており、我が党ばかりではなく、議会全体に対する一種の挑戦であると言わざるを得ないのであります。議会を構成する議員以外の説明員が議員の発言の内容を変更することを要求する法的な根拠がないことは御案内のとおりであり、説明員の一員である警察本部長といえどもその例外ではないということでございます。
今回の経過を教訓として、先ほどうちの瑞慶覧議員がおっしゃっておられたおのおの持ち分、持ち分における分野をしかっと守っていくそのものがほしいし、また議会のルールとしての、尊厳ある議会のルールを私どもは守り通すことが私どもおのおの議員に与えられた職責であるかとも思うのでございます。したがいまして今後おのおのの権能、おのおのの責任をきちっと守って分を守るというか、そういったことで議会の運営をみんなで守るべぎだとこのようにも思っております。さらに議長に与えられた職能、権能そのものを、議長は勇気を持って今後運営に当たっていただきたいと、このように申し上げて質問に移ります。
一般質問の通告にございます知事の政治姿勢についてでございますが、基地の問題についてこれまで数回にわたってこの議会で私は知事と議論してまいりましたが、知事の姿勢は、常に国益優先、国策に追従して基地を容認し軍事演習も許容してきたことは周知のとおりであります。
そこで私は、知事は今回圧倒的に当選いたしましたが、3期目は過去2期8カ年間の知事のこれまでの姿勢を、基地に関する限り改めて、3期以上はしないという知事のコメントも新聞で行ったわけでございますから、西銘知事はさすがにすばらしかったと言えるこの3期目にしていただけないものだろうかという意味で質問をいたしますので、率直な答弁をしていただくようお願いを申し上げ、質問をいたします。
第1点に、就任あいさつの文中、基地の整理縮小を促進するということでありますけれども、今後の対応策と基地の跡地利用について具体的に説明をしていただきたい。場所、その他日米の間で話し合われたこと、これから話し合おうとすることなどについて知事の姿勢をお聞かせいただきたいとこう思います。
2点目に、基地被害の未然防止のため、危険の伴う演習場の使用をやめさせるよう切望するものでありますが、知事はわざわざワシントンまで飛んでいかれてこのことについてもいろいろ話されたようでございますが、一向に実現いたしません。本当にやめさせることはできないのか、あるいはやめさせることができるのか。これは大変、今後私どもの子供たちにとっても、あるいは孫たちにとっても影響のある重大なことだと思います。そういうことで3期目の西銘県政における一大重要政策の1つとして知事はこのことについて一生懸命頑張るべきだと私は思うわけでございますが、その点、知事の御意見を承っておきたいと思います。
3点目に、在日米軍基地で働く日本人従業員の雇用形態を、あらゆる職種にわたり時給制臨時従業員に変更するという新たな合理化計画を米軍から提示されたのは御案内のとおりであり、また去る1日、全駐留軍労働組合沖縄地区本部の執行委員長であります神山操氏から、「MLC関係職場へのHPT導入等合理化計画の撤回及び駐労雇用の安定確保に関する要請」ということで陳情がなされております。そのことについて政治的に特段の配慮と努力をすべきであるということで私は大変重要な問題であるとこう思うわけでございますが、知事の対応について答弁を求めるものであります。
交通体系の整備についてお尋ねいたします。
沖縄県の道路整備状況は、いまだに全国平均に追いついていないものだと私は思慮するものであります。ところが反面、自動車は大変増加をしており、全国でも有数の増加率を示しておる県でもあるとこのように私は受けとっております。しかも軌道がなく、いわゆる定時定速の乗り物がないわけでございます。汽車や電車やモノレール等は皆無でございます。そういうことで近年、交通渋滞が慢性化し、その解消のために道路の整備が急がれておるわけでございますが、特に昭和62年に開催される海邦国体までには南伸道路を完成させるために急ピッチで工事が進められております。
そこで次の事項について知事及び主管部長に質問をいたします。
1点、南伸道路のいわゆる南南伸でございますか、糸満地域への延伸は必要だと私は思慮するものであるが、県の意向をただしておきたいし、また那覇空港への支線といいますか、あるいはつなぎの道路がないとこれはつくっても無用の長物になりかねないと、このように私は思います。この那覇空港への支線というのも不可欠な問題ではなかろうかとこう思うわけでございますが、県の御意向を伺っておきたいとこのように思います。
2点目に、湾岸道路という呼び名になっておるのかどうかはっきりしたことはわかりませんが、ただいま那覇港から泊港、そして安謝埠頭でございますか、に道路がつくられてその間の58号線の渋滞は緩和を見るべきものがございまして、この道路もぜひ北へ延ばす必要があるなとこのように私は思っておるわけでございますが、当該道路の計画の見通しあるいは現状はどのような経過をたどっておるのか。またその延長はどこまで延ばしたらいいのかということなどの計画についてお尋ねをしておきたいし、またその計画が実施される時期などいわゆる第2次振計中の範疇に入ってないだろうと私は思うのでございますけれども、そういったことなどについてどのようなことになろうかと、ごう私は思慮するものでございますから、そのことについてできるだけのお答えをいただきたいとこのように思います。
3番目に、復帰特別措置の延長についてでございますけれども、大型間接税である売上税導入や利子非課税制度の廃止等税制の見直しがなされようとしておるときに当たって、特に本県にとって復帰特別措置の延長は重要な政策であると私は思います。したがいましてその見通しについて知事の御所見を求めるものでありますが、新聞報道によると大丈夫だといったような報道などもございます。けれども、何が大丈夫なのか、その延長要請の項目はどんなものがあるのかお尋ねいたしておきたいとこのように思います。
なお、この問題は本土との間にいまだに格差がございますし、本土の豊かさというのと沖縄のそれとでは大変差があると私は思いますので、これは重要な課題であるとこう思いますのでよろしく御配慮願いたいとこう思っております。
4番目に、義務教育費国庫負担欄度の見直しについてでございますが、大蔵省は、昭和62年度予算から小中学校事務職員と栄養職員の給与の国庫補助打ち切りを検討しておると報道されていますが、昨年、同制度見直しが浮上したときも、教育団体あるいは全国知事会等地方6団体を初め多くの国民が反対し、本県議会においても国庫補助負担率引下げを反対する意見書を全会一致で採択いたしました。このような全国的動きの中で大蔵省は見直し案を断念した経過がございます。そのとぎも私は質問をしようかということで準備しましたが、断念しましたので質問はいたしませんでしたが、今回はいわゆる税制見直しといった中でこのことが取り上げられておるので、関連するものとして心配されますので質問をしておきたいとこのように思います。
本来、学校教育は、学校現場に勤務する職員全体が一体となって協力し共同し合って取り組むことによって成り立つものであり、そのため学校教育法及び学校職員定数法により配置されていろいろ配置の基準などが定められておりますので、この視点に立ちますと給与費の国庫負担を除外すべきものだとする考え方は、これは考えを変えなければいけないとこのように思います。このことは教育制度の根幹にかかわり、また本県の脆弱な財政に多大な影響をもたらすだろうと、このような制度が取り入れられますとね。したがってその見直しについて教職員組合は、知事、教育長、県議会議長へ見直しに反対する決議を採択し要請し、さらに大蔵省、文部省、自治省への反対の要請を行うこととなっておると聞いております。
今度の学校事務職員、栄養職員の給与費等の国庫負担適用除外が実施されれば都道府県及び各地方自治体の負担増につながり、地方財政を一層圧迫することは明らかでありますので、知事の御所見を承っておきたいとこのように思います。教育長でもよろしゅうございます。
さらに、国体のリハーサルの結果についていろいろお尋ねしたいと思いますが、時間がちょっとございませんので、5項目にわたってどうなったのかということにつきましてはいろいろ所管の事務局とも話し合いをいたしましたが、まず1点、宿泊について、2点目、輸送について、それからサービス、それから食事等について、リハーサルの結果はどうなったのかといったようなことなどについて資料をいただきたいし、この結果を踏まえてこそ国体を成功させることはできるものだとこう思いますので、老婆心ながら事前にこの資料を求めるものであります。
さらに、その結果は、みんなで反省すべき点は反省し、評価されるべき点についてまたそれをさらに前進させるように努力していただければということを申し上げて、質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 仲原議員の御質問に対しましてお答えいたします。
基地問題について、整理縮小の促進とその対応策について伺いたいということがございましたが、お答えいたします。
県は、従来から第14回、15回及び16回日米安全保障協議委員会で返還合意を見た施設区域の早期返還を促進するとともに、振興開発の上で必要な施設区域の返還については機会あるごとに日米両政府に対して要請してきたところであります。基地の整理縮小につきましては、今後、関係市町村と調整の上要請してまいりたいと思います。
次に、返還跡地の有効利用についてお答えいたします。
返還跡地の有効利用につきましては、関係市町村等と緊密な連携のもとにその意向を踏まえ土地改良法、土地区画整理法等現行制度を積極的に活用することで対処いたしております。今後ともその方向で進めていく所存であります。
なお、昭和36年から昭和59年までに返還された米軍用地は9764ヘクタールであります。そのうち土地改良事業、土地区画整理事業等公共事業の完了いたしました面積が15%、実施中のものが11%、計画を策定しているものが6%、企業や個人の利用に供されているものが16%、保全地域となっているものが35%、自衛隊の使用に供されているものが4%、遊休地が13%となっております。したがって返還された基地のうち、利用されているもの及び公共事業計画中の面積の割合は87%になっております。
次、基地被害の防止のため、危険の伴う演習場の使用をやめさせる考えはないかという御質間がございましたが、お答えいたします。
米軍の演習については機会あるごとに安全確保の徹底を申し入れており、また三者連絡協議会におきましても適正な基地管理と演習の安全対策等について協議を重ねているところであります。
なお、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン演習場における実弾演習につきましては、その廃止を日米両政府に申し入れているところであります。
次に、基地関係従業員の解雇問題について知事の対応をただされたのでございますが、お答えいたします。
現在の基本労務契約の中に新たに時給制臨時雇用制度を設けることにつきましては、この雇用制度が常用従業員に比べまして賃金等の労働条件が悪く、雇用の安定性を欠くことからいたしまして制度の導入は好ましくないと考えております。本県の厳しい雇用情勢にかんがみ、基地に働く従業員の雇用の安定を図ることは極めて重要なことであり、防衛施設庁を初め関係機関に対して強く要請をいたしているところであります。
次に、南伸道路についての御質問がございましたが、お答えいたします。
沖縄自動車道の南部地域への延伸計画について、我が国の高速自動車道の将来計画として1万キロ構想が打ち出されてきたところでございますが、そのうち予定路線として位置づけられた延長は全国で7600キロメートルとなっております。本県において現在進められている石川から那覇までの沖縄自動車道は、その7600キロメートルのうちに位置づけられているところであります。国は、新たに2400キロメートルを第9次道路整備5カ年計画の期間中に調査し計画策定するところでありますが、この2400キロメートルの計画に対しまして全国各地からの要請を合計いたしますというと1万キロ以上になっていると言われております。したがって沖縄自動車道の南部地域への延伸計画については厳しい状況にあります。そのようなことから、南伸道路の空港や南部地域までの延伸については高規格道路として県もこれまで島尻地域振興開発推進協議会等とともに国に強く要請してきたところでありますが、今後も引き続きその実現に向けて努力してまいりたいと思います。
次に、湾岸道路についてお答えいたします。
国道58号を補完する西海岸道路につきましては、既に供用されている那覇臨港道路や事業を着手いたしております宜野湾バイパス、また嘉手納バイパス等の計画が進められておりますので、将来はこれらのルートが連結され湾岸道路を形成することになるのであります。御質問の北伸につきましては、これら事業の進捗状況と地域の開発動向を見ながら要請してまいりたいと思います。
次に、復帰特別措置の延長についてお答えいたします。
現在、政府及び自由民主党税制調査会において、税制全般にわたって公正、公平、簡素を中心とする観点から制度の抜本的な見直しがなされているところであります。その中で、62年5月14日で期限の到来する復帰特別措置の延長につきましても慎重に検討されているところであり、環境は大変厳しゅうございますが、その実現に向けて努力を払う所存であります。
なお、今回の特別措置の延長等の要望項目は、直接税、間接税及び関税並びにその他に係る15項目であります。
15項目について申し上げますというと、直接税関係が2つ、指定業種または特定業種を営む中小企業者の現物出資の場合の課税の特例に関する経過措置について、2つ目は指定業種または特定業種を営む中小企業者の合併等の場合の登録免許税の軽減に関する経過措置について、これが直接税関係の2つでございます。間接税関係について申し上げますというと、沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置について、それから沖縄県産砂糖類に係る砂糖消費税の軽減措置について、5番目に沖縄県における揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の軽減措置について、6番目に輸入ウイスキー類に係る酒税の軽減措置について、7番目に輸出物品販売場に係る物品税の経過措置について。間接税関係について申し上げますと5点。それから関税関係で申し上げますと沖縄県に輸入される製造用原料品に係る関税の軽減措置について、沖縄県に輸入される小規模企業の製造用原料品に係る関税の軽減措置について、それから沖縄県に輸入される発電用石油に係る関税の免税措置について、沖縄県に輸入される消費生活物資に係る関税の軽減措置について、観光客等に対する関税及び内国消費税の払い戻し措置について。関税関係が5項目になっております。その他、食糧管理法に関する特例措置について、普通銀行の信託業務の兼営に関する特別措置について、それから乳児等用調製粉乳の原料となる指定乳製品の輸入に関する特別措置について、その他は3点となっております。
次に、義務教育費の国庫負担制度の見直しについて御質問がございましたが、私から答弁することにいたします。
学校教育は、教員のみならず、事務職員や栄養士等も含めたすべての人的要素が相整って初めてその効果が期待できるものでございます。これらの事務職員、栄養士の給与費を国庫負担制度の対象から除外することは各都道府県の財政事情によって差が生じることとなり、全国的一定水準の教育内容を確保するという面からいたしまして問題がございますので、昭和61年度におきましても全国知事会や全国教育長協議会等を通じて国庫負担制度の継続を国に要請いたしてきたところであります。62年度に向けましても同様な要請を関係省庁に行ってきております。今後ともあらゆる機会を通して強力に要請していく考えであります。
次に、リハーサル大会の成果につきましては国体事務局長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 国体事務局長。
〔国体事務局長 石川秀雄君登壇〕
○国体事務局長(石川秀雄君) 来年の海邦国体に備えましてのリハーサル大会につきましては、昭和60年度から62年度にかけまして36競技、45大会の競技別リハーサル大会を計画しております。現在のところ33競技、39大会を終了したところでございますが、全体的に見て一部反省するところはございますが、全体的に成功と見ております。
なお、要求のございました資料につきましてはリハーサル大会が会場地市町村と競技団体との共催によります大会でございますので、市町村とも相談しながら、なお県が私どもリハーサルのときにいろいろ指導しておりますのでそういった点についてまとめたのがございますので、後日検討して提出させていただきたいと思います。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 吉田光正君。
〔吉田光正君登壇〕
○吉田光正君 本員は、西銘知事3期目のさらなる御健闘を期待し、既に通告済みの事項について所見を述べながら質問いたします。
質間に入ります前に一言念のために述べておきます。
本員は、これまでに言葉のすりかえ論理の恐ろしさについて、昭和6年9月18日に始まり、昭和20年の太平洋戦争の決戦場となった沖縄戦に至るまでに日本の各面で使われた多くの用語を例示し、言葉による本質がすりかえられたことについて教育長に質問したことがございますが、15日、代表質問の中で岸本議員の発言とそれに対する警本部長の御答弁に端を発して2日間議会は空転しましたが、これまでの経過を聞いていると、用語と本質的なものが整理されないままに論議されているようにあります。警本部長の発言は、趣旨の御理解方を繰り返し述べられておりますが、議長の整理権の及ばない箇所、すなわち午前中、瑞慶覧議員の指摘されたことについては本日の本会議で本部長自身で整理されない限り、議事録に永久に残ることを指摘しておきます。
質問に入ります。
知事は、3期目の県政運営に当たって、第1にこれまでの実績を踏まえ、県内外の経済社会の動向に十分配慮しつつ、県民の負託にこたえるべく諸施策の実現を図るとともに、平和で明るい活力ある県づくりを目指して引き続き全力を傾注すると述べられ、第2次振計の後期展望と「沖縄振興開発の課題と展望」における継続プロジェクトの着実な推進、海邦国体、かりゆし大会の成功に向け最大の努力を払う旨をうたい、第2に、本県の地域特性を生かし産業開発とその基盤整備を進めるとともに、働く場を確保し、所得水準の向上、失業問題の改善に一層の努力を払います云々となっております。
15日の自民党代表の御質問の中にも雇用問題の深刻さを訴えられ、自民党の皆さんが、たくさんの履歴書を預かって困っておられると述べております。しかしこの履歴書は、きっとたくさんの味方を確保したことでありましょう。
昨年の後半期から急激な円高は、日本の経済を構造的に大きく揺るがしかねないとも報ぜられております。日本の世界に誇った製鉄、造船業界に陰りが差し、その他の大手企業も合理化、生産縮小、人員整理、雇用調整等全国的規模で急速に進み、円高不況で製造業の生産は落ち込みが続き、4分の1の企業で雇用過剰となるなど雇用情勢が一段と悪化していると労働省の調査で明らかになったと14日の新聞は報じております。このことは沖縄の雇用情勢にも大きく影響するし、これまでの質問にも見られるように米軍は基地は自由に使用するが、円高ドル安で困るので基地雇用員の安上がり対策が具体的に進みつつあると多くの指摘がなされ、議会にも合理化計画撤回等に関する陳情も出されております。
また、労働問題の専門家の最近の発言等を読むと、1987年は失業元年になり、100万単位の失業者が出るのではないかと雇用不安に警鐘を鳴らしている方もおります。また野村経済研究所の来年の経済成長は2.3%、1ドル152円台と見て全国の失業率は3ないし4%になるという予測が最近報じられました。
昭和53年、西銘県政の第1期目の10大政策のトップに不況からの早期脱出を図り、働く職場を拡大するとしてその具体策として真っ先に沖縄の失業問題は全国的にも特殊なものであるので、失業対策沖縄特別基金の創設を図り、大規模な失業対策事業と職業訓練の実施により、雇用と所得機会を大幅に拡大するに始まり、9項目挙げておりますが、9番目に円高対策を強化し、基地関連地域及び業界の救済措置と発展を講ずるとなっております。3期目にもやはり円高、雇用対策が大きな問題として今論議を呼んでいるところであります。西銘県政以来、全国平均の2倍以上の失業者を抱える恒常的な情勢になっており、特に来年は中高年層を中心とする季節労働者の雇用等も苦しくなると考えられます。各面の雇用不安は深刻の度を増すと思料されます。
そこで伺いますが、これまでにも雇用不安、失業対策等について御答弁がありましたが、その内容はこれまでの対策と全く同じパターンになっております。これから来るであろう雇用不安に対しては1歩も2歩ももっと突っ込んだ対策が緊要かと思料されますが、さらにきめの細かな具体策の検討がありますればお伺いいたします。
2番目に、近海漁業振興の一端についてお伺いいたします。
昨日、上原議員の御質問にもありましたが、本員は、昨年7月5日の定例会一般質問において浮ぎ魚礁の集魚効果は近海漁業振興に極めて効用性の高いことを指摘し、さらに浮き魚礁設置事業は国の水産振興策の中に取り上げられるよう強調しておきましたが、幸いに沖縄新水産業構造改善特別対策事業により、浮き魚礁が設置されつつあることは沖縄の近海漁業にはずみをつけるものと思料します。
ところが、浮き魚礁周辺の魚獲をめぐって県外の漁船とのトラブルがあり、昨年10月3日の定例会一般質問でトラブルの未然防止について質疑をし、その対策がとられ鎮静化したかに見えたが、先月の中旬に伊是名村、伊平屋村の漁業関係者と会う機会がありましたが、開ロー番、8月20日、宮崎県漁連が沖縄県漁連に対し、沖縄近海に浮き魚礁を10基ほど設置したいとの申し入れがあり、9月29日、文書で具体的に場所を示した8基の設置を要請してきたとのことで、その設置場所が渡嘉敷島沖合だとのこと。その場所は沖縄本島を抱え込むようにして流れる黒潮の潮先であり、川の上流で魚をとるようなもので、下流となる沖縄本島周辺の浮き魚礁にとっては大きな打撃になるとのこと。特に伊江村、伊是名村、伊平屋村の漁民はもとより、沖縄本島周辺の漁業者にとって死活問題にもなりかねないと息を弾ませながら話しておりました。このことについては11月16日の新聞にも囲み記事として詳しく報ぜられております。
そこで伺いますが、沖縄の浮き魚礁は昨年の7月5日の御答弁では101基設置されているとのことでしたが、現在何基が設置されているか。
2番目に、沖縄新水産業構造改善特別対策事業によって設置されたものは何基か。どこに設置されているか。それに要した予算額を伺いたい。
宮崎県漁連から申し入れのあった浮き魚礁の沖縄近海への設置要請に対し認めがたいということで、一応再検討するようにと通告したと聞いておりましたが、昨日の西銘知事の御答弁によりますと、設置して一緒にとればよいではないかと農林水産部長をしかったとのことですが、浮き魚礁周辺でのトラブルは既に去年で経験済みであり、海の上での利害が絡む操業など言葉の上では仲よく操業すればよいではないかと言えるかもしれないが、見知らぬウミンチュ同士でそんな生やさしいものではないと思います。
また、本日の新聞によると、宮崎県漁連のパヤオを認める、そして申し合わせ遵守を条件に、その条件は沖縄側のパヤオに近接しない。2番目に県の地先20マイル以内に設置しない。それからまた12月3日付の案もさらに検討中とのことだが、このことは漁業権の及ばない公海上のことであり、法的に規制するのも困難な面があります。しかしこれは沖縄の近海漁業にとって非常に大きな問題を醸し出す問題でざいますので、これまでの経緯を含め関係者の調整のみに任すのか。それから行政側からの対策は具体的に検討されているのかどうか。さらには検討されておるとすれば、どのように検討されているか。それから水産庁関係との接触はどのような形になっているか、その後の状況等について承りたい。
次に、パイン産業についてお伺いします。
円高についてはプラスの面も大きいところがありますが、パインは悪い影響が非常に大きいのでパイン産業の現況等についてお伺いいたします。
パイン産業は、その波及効果が大きく、沖縄本島の北部と八重山地域の酸性土壌に生産され、他作目に容易に転換が効かないし、また国際的商品である関係で常に国際貿易に左右されつつ、戦後40年間厳しい盛哀を繰り返しながらも本県の基幹作目として位置づけられ今日に至っていることは御案内のとおりであります。ところが昨年からの急速な円高をまともに受け、パイン産業の浮沈にかかわるという現況と理解しております。その間、国、県、業界におきましては工場の整理やパイン缶詰の生産圧縮、ジュース生産への拡大等で目下苦境に耐えるべく立ち向かっていると考えます。
先月、パインの生産者と直接話し合い、パインの将来についての考え方を聴取いたしましたが、現在の価格が維持され、搬入がスムーズに進み加工体制が維持されるならば、パイン生産は引き続き精を出し新植も更新も進めていくとのことでした。12月10日付で政府がパイン果汁500トンを輸入、輸入量の半分を沖縄に割り当てする。しかも輸入果汁は沖縄県産果汁50%以上ブレンドする行政指導も行われるのでパイン振興に何ら影響はない。長い目で見れば輸入自由化の外圧をやわらげ、輸入により需要が刺激され県産パインにプラスになる。輸入量をふやす際は、産地沖縄と話し合うことになっていると久手堅農水部長や松田善登県農協中央会長などは高く評価し、明るい表情だったと12月12日の新聞に報じられております。
そこで伺いますが、国内のパイン果汁需要は3000トンから3500トンが見込まれている。しかし沖縄が今年生産でぎるのは2500トン程度で、不足分を補完する措置として500トンが輸入されると説明されております。しかし懸念することは、これが輸入の突破口となり、なし崩し的に輸入が拡大され缶詰の二の舞、冷凍パインの二の舞にならないかと懸念する向きも大きく聞こえます。沖縄でもパインジュース施設の拡充が計画されているので手放しに将来に向けて評価してよいのか。輸入のメリットがあるだけに本土大手輸入業者の農水省への圧力も今後予想されるが、このようなことも含めて御見解を承りたいと思います。
次に、離島過疎地域の問題についてお伺いします。
地域の特色を生かし、活力ある離島過疎地域の村づくりについては、第2次沖縄県離島振興計画や過疎地域振興計画に基づき、年次計画により具体的に進められ予算化され、各地域の基盤整備も進みつつあることを評価し、離島過疎地域等を見ておりますが、計画に対する事業実績についてまず承りたい。
次に、離島過疎地域に行き、地域の方々と話し合いをするときに、基盤整備は逐年進みつつあるが、常に提起される問題はこの地域に活力を与え若者たちを定着させる花嫁問題であります。先週、西表舟浮の祭りの状況がテレビに放映されておりましたが、いかに子供たちが地域に生き生きとした活力になるかが切実に画面から迫ってまいりました。
そこで伺いますが、行政としてはいかにもなじみにくい問題かもしれないが、離島過疎地域の活力ある村づくりは花嫁問題の解決が極めて重要であり、農村の後継者の育成等も含めて具体的な対応が検討されておりましたら承りたい。
また、マスコミ等をフルに活用され、これらの地域のキャンペーンをより多く機会をつくって問題の解決の促進に留意されることを強調し、質問を終えます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 吉田議員の御質問に対しましてお答えいたします。
雇用不安についての御質問がございましたが、お答えいたします。
完全失業率が全国平均の約2倍という本県の厳しい雇用失業情勢の改善を図るため、従来から若年求職者職場適応訓練制度、県下全域が指定地域となっている地域雇用開発推進事業など他府県には例のない諸制度の活用によりまして県内の雇用機会の拡大を図ってきたところであります。また県外就職情報センターの設置、広域職業紹介推進員の配置等によって県外就職の促進を図ってきたところであります。今後もこれら従来の施策の充実強化に努めるとともに、中長期的な展望のもとに産業の振興を積極的に推進し本県の雇用需要の拡大に努めてまいる所存であります。
次に、漁業振興についての御質間がございましたが、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
次に、パイン産業の現状と将来の対策について数点にわたる御質問がございましたが、これにつきましても農林水産部長から答弁させることにいたします。
次、離島過疎地域の振興についての御質問がございましたけれども、これにつきましては企画開発部長から答弁させることにいたします。
その中で離島過錬地域の花嫁確保対策につきましては、農林水産部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) まず、近海漁業の振興の一側面の浮き魚礁関係について御答弁申し上げます。
浮き魚礁問題につきましては、現行の漁業法制度化では難しさがありまして、第一義的には漁場の利用者である漁業関係者間の話し合いで解決することが望ましいと考えております。魚礁問題をめぐる問題につきましては、県といたしましても水産庁に実情を説明するなど話し合いを進めているところでございます。これまでのところ関係県、いわゆる宮崎県、鹿児島県、沖縄県の水産団体が中心になりまして調整しているところでございますが、設置海域が公海上であり一方的な排除が困難なため、相互に漁場の調整をしながら合意点を見出す方法で話し合いが進められているところであります。県といたしましては、今後水産団体や漁業関係者の意見を踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
先ほど現存の浮き魚礁は何個かという御質問でございますが、現存浮き魚礁数は108個でございます。それから水産構造改善事業によりまして昭和60年度に設置いたしましたのは平良市に7基設置しておりまして、事業費といたしまして3050万円でございます。これは国の方が約2000万円、県、市それぞれ約500万円の助成をしております。
続きましてパイン問題でございますが、パイナップル果汁は輸入制限品目でありますが、これまで全然輸入されておりませんでした。また沖縄産のパイナップル果汁のみでは国内需要を賄えないところから今回の輸入となったわけでございます。輸入に当たりましては、パイン果汁需用者に対して沖縄産を50%以上ブレンドすることを義務づけており、沖縄産果汁に悪影響はないよう配慮されているところであります。また割当量の半分につきましては沖縄県パインアップル果汁振興協会へ配分され、パイナップル産業の振興に役立てることになっております。したがいまして今回の一連の措置につきましては、県産果汁を圧迫することなくパイン産業を振興できるものと確信しております。
なお、冷凍パイン缶詰は完全自由化されましたけれども、今回のパイナップル果汁につきましては非自由化品目として堅持されまして、政府が需給動向を見ながら発給すると、こういうことでございますので心配はないものと考えております。
それから離島地域におぎますところの花嫁問題でございますが、豊かな離島農漁村社会を建設するためには生産基盤の整備を図り、若者が定着するような環境づくりが必要であることは申すまでもございません。花嫁確保対策につきましては農業後継者の育成という観点から重要な課題でありまして、これまで交歓交流会、または他産業女子従業員青年との合同ハイキング、交歓スポーツ大会、農業青年祭り等を農村青年研修教育事業の一環といたしまして各農業改良普及所で実施しているところであります。62年度には配偶者対策と農業研修を一体とした総合的な事業といたしまして「農業青年ふれあいの船」ということを計画しておりまして、農業後継者育成の立場から取り組みを農林水産部としても強化してまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 池田光男君登壇〕
○企画開発部長(池田光男君) 吉田議員の離島及び過疎地域の計画と実績についての御質問にお答えいたします。
離島過疎地域の振興につきましては、現在、昨年作成いたしました第2次沖縄県離島振興計画及び後期過疎地域振興計画に基づきまして産業の振興、交通通信体系の整備、生活環境施設の整備等積極的に進めているところでございます。昨年、作成されました第2次沖縄県離島振興計画に基づきます昭和60年度の離島振興事業費について申し上げますと、計画額492億6800万円に対しまして実績は525億1700万円となっております。すなわち6.6%の伸びとなっております。
次に、後期過疎地域振興計画に基づきます昭和60年度の事業計画について申し上げますと168億6400万円でございますが、これに対しまして実績は172億6400万円となっております。すなわち実績の方が計画に対しまして2.4%の伸びとなっております。
このように、離島振興計画並びに過疎地域振興計画につきましては昭和60年度の実績は当初計画よりも伸びた形で推移しておりまして、順調に事業が進められているとこう考えております。
○議長(志村 恵君) 石川 修君。
〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 さきに通告いたしておりますけれども、我が党代表質問との関連についてを先にさせていただきます。
きのう、おととい、大変議会は混乱をしたわけでございますが、いわゆる乱入の問題でございます。私は、この乱入という語句の取り扱いについて一言申し上げたいというふうに思っております。
乱入、言葉はその人のそのときの感情を表現するものであります。反戦平和を求める地主の方からすれば、警察官が一歩でもその会場に入ることは乱入という言葉しか表現でぎないんです。また委員の立場からすれば、まことにありがたいことでお入りになりましたと言ってもいいわけです。警察の立場は、私は、最初から地主の方々に対する見方、むしろ成田のあのヘルメットをかぶった過激派的な見方をしてやったのではないかというふうに思っております。それでそういう人たちが少しでも動けば、当然乱入という言葉が出るかと思うんです。だからおのおのの立場の乱入という用語は、私は否定はしません。ただ問題は、その言葉を警察の方の見方だけが正しいんだというようなことで、この問題、この議会における答弁をしたということによって行き過ぎた答弁があったというふうに私は判断するわけです。そこでこれは事実と違うというのはその人の立場から違うわけであって、我々はそうは見ないわけです。だから双方正しいというふうに判断すれば、私は警察の行政がややもするとそういう高圧的なことで一方的に警察の見方、行為がすべて正しいんだと、相手が絶対的に悪いんだというような観点に立って事を処理することがあるならば、今後大きな禍根を残すであろうというふうに思うわけです。
そこで本部長にお伺いするわけですが、せっかく知事も本当に遺憾の意をあらわし、それから多くの議員から議事録の削除を求めていることも明らかになりました。そういう中であえてそれを行わない、警察の立場のみを正当化しようとするそのこと自体が私は非常に不思議に思うわけです。今後の警察行政にも非常に不安を感ずるわけでございますので、いま一度その点についてお答えを願いたいと思っております。
それから収用委員会にお尋ねをしますけれども、今日まで幾度となく会長の出席を求めておりますが、今回も出席をしてない。それで我が党の瑞慶覧議員から、そういうことでは質問もできないということになっているんです。しかもこのことについては与野党一致でぜひ会長が出席すべきだということになっているわけです。もし今後、会長の出席を求められる場合に、どういうふうな、会長がもしも別用務があれば当然できないでしょう。しかし7名もおられるわけですから、責任ある委員が出席をしていただければ、この問題は解決するわけですが、そのことについて今後のことについてお答えを願いたいというふうに思っております。
それでは次に、質問を申し上げます。
円高の急激な進行の衝撃は、我が国経済の根幹をなしている輸出型産業を直撃し、特に関連中小企業は深刻な事態となっている。既に雇用の問題は大きな社会問題となり、企業、資本の海外流出がもたらす産業の空洞化影響もまた大きな間題となることは必至とされております。諸外国の我が国に対する内需の拡大の圧力は一層強烈なものとなってまいりました。そのことによって国民食糧の供給、国土の保全、生態系の維持など重要な役割を担う農業の部門までも大変不安な中に立たされております。このようにして輸出優先型の我が国経済構造は完全に行き詰まりを来し、今その転換が迫られていることは御承知のとおりであります。
また政府は、行政改革、教育改革、税制改革、そして国鉄の民営化、今度は農業の大改革を断行しようとしております。既に財界は、我が国の食管制を解体し、米の自由化を図り、全米精米業者協会に、我が国に対し米の市場開放を求めるよう示唆し、今や日米間の外交問題までに発展をしてまいりました。さらに去る11日、日経連会長は、米の完全自由化を求める意見書を公表いたしました。また中曽根総理も10月28日、七夕会のあいさつの中で、米問題は、アメリカの外圧を利用して解決すべきと発言をしております。このことのよしあしは別として、自民党政府並びに財界は、コスト主義を追求する農業改革の断行にその第一段を我が国農業の最大の柱である米農業の改革としているが、今後、政策保護下のほかの作物にも当然影響が出るものだというふうに予想すべきであります。
本県農業の基幹作物であるサトウキビは、これまで価格保護政策によって維持されてまいりました。年々繰り返す価格折衝にもかかわらず、生産費の補償すらできない厳しい状態で推移してまいりました。ブリックスのスライド制の採用の強要、内需拡大、コスト主義の志向の高まり、そして農業改革など本県サトウキビの環境は今後さらに厳しくなることが予想されます。キビ作は、本県農業の最大の基幹作物であり、今後も生産性の向上を図り、維持発展に強力な努力を払わねばならないわけであります。本県農業環境はサトウキビなくして考えられないが、しかしいつまでもキビ偏重の農業構造では将来の展望はあり得ないわけであります。
社会経済の発展、変遷に伴い、もはや今日の農業は全国的、いや世界的な器の中での農業を求める時代となってまいりました。幸いにして本県農業発展のネックとなっていた特殊病害虫ミカンコミバエの根絶、そしてウリミバエも昭和66年には根絶することになる。このことが本県農業にもたらす利益は莫大なものであります。このことを機に多くの県民が果樹農業に夢を託し、その意欲が急激に高まっております。無論、本県の農業は恵まれた亜熱帯性の気候を生かし、本土の端境期に野菜、花卉、果樹等の供給基地になることが目標でなければならない。それがキビ偏重の農業構造からの脱却だと私は思っております。知事も機会あるごとにこのことを言われておりますが、しかし特殊病害虫の根絶のみによって簡単に、容易に果樹農業が成功するかのような風潮は極めて危険であります。本県には台風、農業用水の間題、粗悪な土壌条件、そして指導体制などもろもろの課題が残っております。
そこでこれら課題について所見を述べながら御質問を申し上げたいと思っております。
まず最初に、台風についてでございます。
台風は、人為的にとめることはできない。しかしその被害は人間の努力によって最小限度に抑えることができるわけです。それはあの戦前の防潮林、防風林、我々の先人たちが示したとおりであります。台風の被害は、強風の被害、さらに塩害の被害、2つがございます。急速にふえるであろう果樹農業はサトウキビやパインとは異なり、台風や塩の被害が顕著にあらわれます。収穫の皆無や時には塩害に遭う場合枯死につながることが多いのであります。ミカン栽培が導入されてから20年を経過しております。もはや10億の農業となりました。しかしミカンは塩害に極めて弱い作物であります。被害を受けると品質、量ともに激減し、次年度まで大きく影響します。さらに枯死することも非常に多うございます。さらに古くから栽培されているパパイヤが非常に有望といいながらも遅々として進まない。これも台風にかかわることが非常に大きいわけであります。戦前、いかなる台風でも塩気を見なかった山奥でも、現在では40メートルぐらいの台風で塩が飛散するこことをよく多くの長老は語っております。
知事、本県の農業が亜熱帯農業として揺るぎないものになるには戦前の防風林、防潮林の再現であります。百年の大計と位置づけ、埋立事業やあるいは土地改良などに防風林の導入の義務づけなど全琉、緑で埋め尽くすようなお考えはないかお伺いをいたします。
次に、農業用水の問題でございますが、干ばつと台風は本県の年中行事とも言われるほどでありますが、ことし干ばつがございました。この被害について身近なところから例を申し上げたいと思いますが、石川市のミカンの収穫が、計画305トンに対して86.7%の264トンしか収穫できませんでした。それから全琉で2240トンの計画に対し2012トン、89.8%となっております。このようにして果実の収穫と水との関係は非常に大きい。
さらに品質的に見ますと、ミカンは3L、2L、M、S、2Sというふうに規格ごとに分けますけれども、60年のミカンがL以上38.2%に対しことしは28%、まさに10.2%の減であります。逆にS、2Sの量が60年度が24.9%、ことしが39%、14.1%もふえている。Mクラスはさほどそんなに差は出てきませんけれども、そのようにして直接品質にも大きく影響している。味でも酸味がなかなかとれないということで出荷をおくらす事態でございます。このようにして、農業用水が本当に急を要するということは、これ一件だけでもはっきりするわけであります。
また、サトウキビの被害も70億と予想されております。自然に頼る農業の悲哀さがここでうかがえるわけであります。農業用水の確保に対する意欲のほどをお聞かせ願いたいと思います。
それから土づくりでございますが、土づくりについては前にもバガス肥料についてお尋ねをいたしました。御答弁をいただきましたけれども、また先日も瑞慶山議員の御質問の中でキビの総合利用についてのことがございました。知事の御答弁で、バガスの利用について肥料や飼料あるいはパルプ等に利用したいとのことでございましたが、このことはどの辺まで具体的に進められているのか。また工場側の御意向はどうなっているかお伺いしたいと思います。
なお、参考までに申し上げますけれども、奄美大島の喜界島でバガスの堆肥を使ってメロンの試作が行われました。その品質が通常のメロンよりも2度から4度糖度が高い、極めて上質なメロンができております。今、産地づくりに一生懸命でございます。そういう事例も御参考にしていただきたいと思います。
次に、果樹農業の振興について。
農業は、葉や茎を取る目的とするもの、あるいは花や実、そして根を収穫する農業に大別できるかと思いますが、特に今日、県民の関心を集めている果樹でございますけれども、この果樹農業は最も高度な技術を要する農業であります。永年作物であるがゆえにまず品種の選択、これは非常に重要でございます。今、マンゴーの苗が方々で売られておりますけれども、この苗が果たしてどういう実ができるのかわからない。そういう苗が今農家の中に非常に高い値段で売られております。
それからさき申し上げました水の問題、施肥の問題、これは調整しなきゃいけない。さらに樹形の形成、病害虫の対応、多くの技術指導を必要とします。
ところで、去る9日に果樹振興、農業振興審議会が行われましたが、目標年次、そして70年を目標に行われておりますが、この目標達成をするために8項目から成る県の施策が示されております。そのうちから幾つか申し上げたいと思いますが、まず果樹農業生産基盤の促進、そして優良種苗の供給対策、技術開発及び普及体制についての強化等の具体化をお示し願いたいと思っております。
時間がございませんので、あとの質問は撤回いたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
農業の振興について御質問がございましたが、防風林の導入についての御質問に対しましてお答えいたします。
土地改良事業における防風林については、圃場整備に含めて防風林帯敷地を造成し、昭和60年度までに31万平方メートルの植栽を終えております。なお、防風林の義務づけにつきましては立地条件、農家の1人当たりの所有面積の差等がございまして難しい状況ではございますが、農家のコンセンサスを得ながら今後とも積極的に取り組んでいく考えであります。
次に、農業用水の確保についてお答えいたします。
農業用水の確保につきましては、ダム及び地下ダムの建設、ため池の有効利用、地下水の利用、承水路を利用した集水池等の建設を推進しているところであります。農業用水の確保は2次振計の大きな柱として整備を進めているところであり、これまで県営大浦ダム、それから国営真栄里ダム等を完成、現在県営事業として読谷村の長浜ダム、宜野座村の鍋川ダムが建設中でございます。
なお、昭和60年度までの農業用水は約2600万トンが開発されております。今後とも地域に合った開発を進めまして農業用水の確保に努力してまいりたいと思います。
次に、土づくり対策としてバガス利用についての御質問がございましたが、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
また、果樹農業の振興について数点にわたって御質問がございましたが、これにつきましても農林水産部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) お答えをいたします。
まず、乱入は見方の相違ではないかというお話でございましたので、これにつきましては15日に岸本議員の御質問に対しまして私が御説明をいたしました事件の内容についてのその部分を繰り返させていただくことによって御説明をしたいと思います。
当日、小堀収用委員会会長が閉会宣言を明確にいたしました直後、70人から80人のいわゆる反戦地主等が舞台に駆け上がりまして収用委員7人を取り囲み、罵声を浴びせながら集団でこづく等の行為に出ましたために、17時13分、身辺警護の15人、その他の警察官、計45人が収用委員7人の身辺保護のために、いわゆる反戦地主と収用委員双方の間に割って入ったわけでありまして、これによりまして収用委員7人は17時15分、舞台裏側の出入り口から退出したわけであります。
この経過につきましては、今述べました警察官はもちろんでありますけれども、当日、その現場におられました収用委員の方々、ガードマン、それから施設局等の職員の多くの方々によって確認をされている事実でございます。したがいましてこのときの警察官の出動を乱入という形で表現されることは県警にとって到底容認しがたい、そういう意味合いで言っているわけでございます。
また、契約問題につきまして、もちろん言うまでもないことでありますけれども、警察はいかなる立場に立つものでもございません。公共の安全と秩序の維持という警察の責務の上に立つのみでございます。
それから私の発言問題等につきましての御質問でございましたけれども、先ほどもお答えいたしたわけでありますけれども、15日の本会議におきます私の答弁中の発言をめぐりまして、議長を初め議員の皆様並びに関係者の方々に御心配をおかけし、まことに心苦しく思っておりますけれども、私の発言の趣旨は、警察官の正当な職務行為に対しては立場の相違を越えて公正な表現をするようにしていただきたいという県警の総意の表明でありまして、私の発言の趣旨もここにございます。議事法規上の訂正を意味するものではございませんということを改めて繰り返させていただきまして、御理解を賜りたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
○議長(志村 恵君) 収用委員会事務局長。
〔収用委員会事務局長 古謝将美君登壇〕
○収用委員会事務局長(古謝将美君) ただいまの収用委員会の会長、または代理の委員の出席についてでございますけれども、議会におきましてそのような御意見のありましたことを会長に報告いたしまして、その対応につきまして検討していただくつもりでございます。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 土づくりについて、特にバガスの利用についてお答え申し上げます。
バガスは、現在主として燃料用に利用されておりますが、一部につきましては飼料、肥料として活用されているものの、バガスの原料確保が困難なところに肥料化の課題がございます。今後、バガスの利活用につきましてはパルプ、食品添加物等の原料として有望視されておりますが、当面はサトウキビの品質向上を図ることが重要課題であり、製糖企業の協力を得て微生物利用によるバガスの肥料化に取り組むとともに、有用物質、特にヘミセルロ一スの抽出等バガスの総合利用に取り組んでいるところであります。
なお、バガスの確保につきましては、製糖工場における燃料をバガスから重油に切りかえることはボイラーの構造上すぐ実施することが困難でありますので、今後は製糖企業の協力を得ながら段階的にその確保に努めたいと考えております。
それから果樹振興につきまして3点ばかり御質問がありましたので、お答えいたします。
特に生産基盤の整備促進でございますが、樹園地における栽培管理の省力化を推進するために農道、かんがい排水施設及び圃場等の生産基盤の整備を促進しているところであります。現在、果樹園面積、これはパインを除きますけれども約920ヘクタールありますので、そのうち363ヘクタールが整備を必要とし、昭和70年までに農道、かんがい、暗渠排水等、約200ヘクタールを整備する計画であります。また本県の気象条件からして果樹栽培には防風林設置が不可欠の要件であり、個々の農家に対しましても防風林設置を指導しているところであります。
優良種苗対策でございますが、昭和66年に向けてのミバエ根絶事業が順調に経過していることから、本県の気象条件を生かした熱帯果樹類の生産拡大を図る必要があると考えております。そのためには県果樹農業振興計画にのっとり、品質及び生産性の高い優良品種の育成導入を推進するとともに、試験研究機関の研究成果及び果樹花卉種苗センター等を活用して無病健全な種苗供給体制を確立してまいりたいと考えております。
それから技術開発及び普及体制の強化についてでございますが、果樹の技術開発につきましては、まず、わせ温州ミカンの冷蔵コンテナによる船舶輸送技術の確立、マンゴーの屋根かけによる着果技術の確立、ビワ、パパイヤの品種選定等の成果がこれまで上げられているところであります。また亜熱帯の自然条件を生かした果樹の生産技術を確立するため、熱帯果樹、特にマンゴーとかレイシ、それからかんきつ類の栽培技術の確立、ビワの生産安定と品質向上試験、マンゴーのハウス栽培法の確立、グヮバの立ち枯れ症の原因究明と対策試験等の技術開発を行っているところであります。今後は、優良品種の選定とあわせまして先端技術を活用した大量増殖技術の開発を検討してまいりたいと考えております。
普及体制につきましては、かんきつ類を初めマンゴー、パパイヤ等果樹類の栽培熱が高まりつつある中で、これに対応するため、各農業改良普及所に果樹を担当する改良普及員を配置いたしまして試験研究機関や関係団体等で技術の統一を図り、果樹農家の需要にこたえるべく指導体制を強化しているところであります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午後3時25分休憩
午後3時51分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
崎浜盛永君。
〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 本定例議会の混乱の原因となった県警本部長の発言について多くの議員が発言をし、指摘し質問が行われてきましたが、私も質問に入ります前に見解を述べておきたいと思います。
県警本部長発言の不当性については、議場における質疑応答による論議の中で明らかにすべきだとは思いますが、議会運営上の取り決めで質問が許されませんので見解のみを述べておきたいと思います。そして後日、機会を得て論議を深めていきたいと思います。
さて、私が県警本部長の発言を不当として指摘することは、議員がその権能に基づいた判断、見解、そして発言を、権能のない者がその訂正を求めたということにあります。このことは説明者でしかない者が、議員の発言、議会を拘束することにもなりかねないし、ひいては議会制民主主義とその制度への不当な介入ともなりかねません。極めて重大なことだと思うからであります。
さらに、発言の不当性を指摘する質問に対しても、2500名の県警総体の名誉を守るとの名のもとに間接的な不当発言を正当化しようとすることは、不遜な態度として指摘せざるを得ません。
乱入という言葉で表現する私たちの発言に、異議を主張する県警本部長の見解までも私は否定しようとは思いません。ただ、県警本部長の見解、表現と異なった議員の発言を、間違いと断じてその訂正を求める言動が法定の根拠もなく、また制度上も許されないということであります。同時に、このような議員の、議会の制度と権能にかかわる不当発言に対して適切に対処し得なかった議長、対応しようともしない与党の諸君の行為も同時に指摘せざるを得ないと思います。
以上の見解を述べて記録にとどめておきたいと思います。
さて、私は、今日まで幾たびとなく知事の政治姿勢について論議をし、特に国策に対する知事の対応について指摘し提起し県民の利益確保を求めてぎましたが、このことは沖縄が過去、現在を問わず、他府県とは比較のしようもないほどに国策に影響される状況にあるからであります。したがって知事の国策への対応、すなわち政治姿勢が沖縄の現在、将来を左右することになるからであります。そしてまた知事の政治姿勢の確立、正しい国策への対応は正確な現状の把握、取り巻く情勢や国の政策展開等に対する自主的な認識なくしては期待できないばかりか、場合によっては沖縄を誤ることになりかねないからであります。
ところで、知事は、今定例会での就任あいさつの中で、社会資本を中心に本土との格差は着実に是正されつつあり、県勢発展の基盤整備において相当の成果を上げるとともに、県民福祉も年々向上している云々との認識を示しました。確かに振興開発計画に基づいて2兆1000億円に及ぶ公共投資が投資され社会資本は造成され、これらの格差は是正されつつありますが、しかし県民生活の安定と向上を保障する経済社会総体としての格差が、果たして知事が言われるように着実に是正され、平和で豊かな県づくりを目標とする、その県づくり目標が達成される状況、あるいは情勢にあるかどうか、知事の現状把握と情勢認識に疑問を持たざるを得ません。自立できない脆弱な経済体制、改善されない劣悪な雇用状況、日々基地被害に苦しむ県民の生活環境等について私は去る9月定例会でも指摘をし対策の提示を求めてきましたが、残念ながら納得のいく対応は示してもらえませんでした。
今、ここに一つの資料がございます。(資料を掲示) この資料は、県生活福祉部県民生活課が今年10月に発行した「物価とくらしの情報紙」であります。この中で琉大の田中教授が示した指標は、県民生活の格差が是正されているどころか、年々その格差が拡大している実情を明確に示しております。すなわち昭和50年度を基準年度として60年度までの勤労者世帯の可処分所得、消費支出の動向は、全国平均が年々増加し、60年度の対50年度比は可処分所得で10.5ポイント、消費支出で11.1ポイント増加しているのに対し、沖縄においては年々低下し60年度の対50年度比は可処分所得で7.1ポイント、消費支出で6.1ポイントも低くなって生活格差の拡大が如実に示されております。
いま一つ論議される失業率の高さ、特に若年労働者の失業滞留の実態は、改善されていない格差の実証の一つであります。経済社会の振興開発も福祉の向上も、雇用の確保なくしてはその成果を評価することはできません。さらに20年米軍基地強制使用で示される政府の差別的な軍事基地強化策と軍拡路線は、我が県の平和な県づくり目標を踏みにじる国策の強要でしかなく、県民の生活環境を著しく悪化させることになります。
以上のような劣悪な県民生活の実態の中で、沖縄を取り巻く情勢はますます厳しさを増す状況へと進みつつあります。先般行われた県経済同友会の講演会の中で大前氏は、極めてショッキングな、100万人単位のメガ失業時代の到来を予測し指摘しております。大前氏の指摘は、先進5ヵ国蔵相会議、すなわちG5による政治的な通貨操作による実勢とかけ離れた円高情勢がつくり出され、そういう情勢の中で我が国の大企業の海外進出が年々進み、そこからくるところの大量失業の増大が予想され、さらにこの大企業の海外進出、投資によって需要を失ったところの下請中小企業の雇用力の喪失、さらには自由貿易化に伴う第1次産業からの失業増加等によって失業時代が到来するということであります。このような我が国のメガ失業時代の到来は、自立経済の基礎条件、その自立要素の蓄積がない沖縄の経済への打撃は、本土以上に大きなものになろうかと思います。
このような情勢の中を踏まえて、以下私は、極めて具体的に行政実務にかかわることのみについて今回は質問を展開していきたいと思います。
まず第1に、知事の政治姿勢にかかわるところの国策への対応についてでございます。
政府は、前のダブル選挙において、大型間接税は創設しません、マル優制度は廃止しません、このことを公約しました。ところが選挙が終わって今、既に自民党、政府は一緒になって大型間接税の創設とマル優制度の廃止を進めております。このマル優制度の廃止、大型間接税が、県民にどのように影響を与えると思われるのかどうか、知事の見解を求めます。
そしてこのことについて知事は、取りやめる意思を政府に表明する考えはないかどうか。そのことに基づいて知事は行動をとるべきだと思うが、知事の行動展開について御見解を承りたいと思います。
質問の2番目は、政府は、行革路線を年々推し進めております。そして毎年、補助金、負担金等の国庫支出金の削減を推し進めて、その負担の転嫁を国民並びに地方自治体に押しつけております。この国庫支出金の削減を食いとめる措置を、県政を健全に運営する立場から知事は政府に迫るべきだと思います。知事の対応策をお示しいただぎたいと思います。
3つ目に、20年軍用地強制使用、このことはまさに沖縄の21世紀におけるところの軍事基地化を推し進める政策でしかありません。しかもそれは極めて差別的であります。いま一度この強制使用を取りやめる措置を政府に迫ること、そして基地の整理縮小を推し進めて沖縄の振興開発をより急速に推し進めるところの知事の政策展開が今県民から求められていると思います。知事の対応を示していただきたいと思います。
次に、沖縄経済社会の振興開発について特に雇用の確保、失業解消の具体的な政策を求めていきたいと思います。
さきにも申し上げましたとおり、幾ら振興開発を進めた、成果が上がったと言われても、県民の雇用を確保しない限り私たちはその実績を評価するわけにはいきません。社会経済の開発、振興は、そこに住む人々、勤労県民の生活を保障する雇用を確保することを第一義的に重視しなくちゃならないことだと思います。ところが今日まで、あらゆる手段を尽くして雇用対策をしたと答弁なさる知事が、その行政成果は、今少しも15年前とその失業の状況は前進しておりません。今までの政策の展開では沖縄の失業の解消はできないということの証左だと私は思います。したがって効果ある失業対策を実現するための具体的な政策を示していただぎたい。将来の振興開発にまつところの雇用対策ということは、まさに百年河清を待つことにしかなりません。改めて具体的に効果ある失業対策の施策を示していただぎたいと思います。
さらに、今まで論議されたところの駐留軍労働者に対する雇用制度の改悪等については今までいろいろと御説明がありましたが、ただ一つ申し上げたいことは、いかなることがあっても、基地労働者の労働条件を不安定にするような措置は絶対食いとめてもらわねばならないと思います。そのためには、事が米国の予算措置にもかかわることであるだけに、私は、日本政府の対米折衝が求められていると思います。単に防衛施設庁の行政事務の中でこの問題を処理しようとするとき、恐らく今の日米間の経済関係、財政状況等からして解決は難しいんじゃなかろうか。とするならば、やはり政府の外交路線にのせて対米折衝を行い、アメリカの政策を食いとめる措置を政府の施策によってなされなければ、この問題は解決しないと思います。ぜひともそのような措置をとってもらいたいと思います。そのことについての知事の見解をお聞きしておきたいと思います。
次に、財政運営についてお聞きFいたします。
石垣新空港建設に伴う環境調査費が3400万円補正計上されております。
さて、このことは、今までの環境調査は十分にやったという知事の答弁とかかわって考えるときに、二重投資じゃないかと。したがって既決予算は大きなむだを生じたんじゃないかという懸念を私は持ちます。今度の補正計上によって、今までの既決予算の財政の効率性が損なわれたんじゃなかろうかという懸念を持っております。このことについての財政運営上の立場から御説明をお願いしたいと思います。
新空港建設の既決予算の執行は、既に流れて今年も執行は不可能だと思います。この建設予算の執行を確保する財政的な事務手続は、どういうふうな措置を講じようとなされるのか。制度上は明許繰り越しは2回、3会計年度にわたってはできないことになっていると思います。とするならば、既決予算は流れてしまうのか、流さないためにどのような事務手続をしようとするのか。仮にも事故繰り越しにしようとするならば、事故繰り越しをできるだけの条件がこの予算は整っているのかどうか、このことについても説明を求めたいと思います。
次に、伊良部町の例の海外漁業株式会社の債務保証の問題についてでございます。
このことは、明らかに法律に違反するところの行為じゃなかろうかと。このことについて、県はどのような地方財政にかかわることについて指導助言をしたのか。今日、その補償契約がどのような状況にあるし、また伊良部町はそれだけを補償するところの財政能力があるのかどうか、今後の指導と対策等はどのようになさろうとするのか。このことについて、わかるように説明をしていただきたいと思います。
以上、今回の質問につきましては極めて事務、行政実務上の手続等の問題について質問をしましたので、そのような立場で明確にお答えを願って、時間があれば再質問をしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 崎浜議員の御質問に対しましてお答えいたします。
税制改革、特に大型間接税の創設、マル優制度廃止等について御質問がございましたが、お答えいたします。
我が国の税制は、シャウプ税制導入以後、種々の改革がなされてきたところでございますが、このたびの税制改正につきましては国や地方財政の状況が、公債依存度が高く大幅な財政赤字を抱えている現状からいたしまして、既存税制の部分的な手直しにとどまらず、税制全般にわたる抜本的な見直しが税制調査会において検討されたところであります。今回の税制調査会における税制改革の基本方針は、中堅所得者層の重圧感、不平感に配意いたしまして、かつ今後の企業活動の健全な発展に留意いたしまして個人、法人を通じまして所得課税を減税するとともに、その財源として売上税の導入及び少額貯蓄非課税制度を廃止しようとしているものであります。これらの売上税及び少額貯蓄非課税制度の廃止に伴う国民への影響については、種々論議されているところであります。現在、税制調査会において低所得者層や零細企業に対し非課税または免税措置を講ずることが検討されているところであり、今後の審議状況を見守っていきたいと思います。
次に、行革路線に基づく補助金、負担金の削減について知事の対応を示せという御質問がございましたが、お答えいたします。
公共事業費の国庫補助負担率の引き下げ、国民健康保険関係補助金の県負担導入及び学校事務職員、栄養職員の給与費の国庫負担の廃止等の動きに見られるような国庫支出金の削減につきましては、財政基盤の脆弱な本県の財政運営にとって大きな影響を与えることが考えられます。このことから現在、全国知事会等を通じてこのような措置をとらないよう関係機関に強く要望いたしているところであります。
次、20年強制使用や基地の整理縮小のための政府折衝の強化をすべきではないかという御提言に対しましてお答えいたします。
基地の整理縮小は県の基本方針であり、したがって施設区域の使用期間の長短にかかわらず、返還合意施設及び振興開発の上で必要な施設区域については今後とも引き続きその返還を日米両政府に要望してまいりたいと思います。
次に、雇用問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
雇用失業問題については、今回の県議会でも多くの議員から質問がございましたが、他府県には例のない諸制度もいろいろ活用いたしまして最大限の努力をいたしておるところであります。
当面の対策といたしましては、県外就職の促進に努め、中長期的には産業の振興に努めるという基本的な考えのもとに、今後ともきめ細かな施策を講じて雇用問題の解決を図ってまいりたいと思います。県外就職の促進を図るための施策といたしましては、県首脳みずから県外企業を訪問して優良求人の確保に努め、現地職業相談会の実施を年3回いたしております。また移転費等各種の広域職業援護制度の積極的な活用等を図っているところであります。また59年度から学校教育機関、PTA、県内事業主要団体等関係機関から成る若年者就職問題連絡協議会において問題の解決策に関する討議を重ねておるところであります。60年度には県外就職情報センターを設置し、県外就職に関する情報の収集、提供体制を整備し、学校における職業指導の充実強化を図って新規学卒者の就職率の向上に努めているところであります。
次に、軍関係雇用員の解雇問題についてお答えいたします。
米軍基地に働く従業員の雇用の安定を図ることは、本県の厳しい雇用失業情勢にかんがみまして極めて重要な課題であると考えております。これまでも在沖米軍を初め関係機関に対し、その善処方を求めてきているところであります。基地従業員の雇用制度を新たに導入することにつきましては基本的には日米間の協議事項でございますが、本県における基地従業員の重要性にかんがみまして、この制度新設に当たっては基地従業員の雇用の安定を図る上から継続的に維持されるよう防衛施設庁を初め関係機関に対しまして強く要請していく所存であります。
次に、財政運営について石垣空港の既設予算の見通しと財政の効率についてのお話がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
次に、地方公共団体の法人企業に対する債務保証のことについて御質問がございましたが、このことにつきましては総務部長から答弁させることにいたします。
それから海外漁業の事業開始、経営見通しにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 新石垣空港関係の予算につきまして、既設予算と重複し財政の効率を損なうことにならないかという御質問につきましてお答え申し上げます。
新石垣空港建設に伴う自然環境調査につきましては、これまで建設省通達の技術指針に基づきまして新石垣空港建設予定地を含む周辺海域において水質、底質等の環境評価項目について全般的な調査を行ってきたところでございます。特にこれまで行ったサンゴ部分の調査につきましては、航空写真及び測線手法等によってサンゴの被度、種類等の調査を行ってきたところでございます。これまで行ってきた調査を環境影響評価準備書に織り込みまして縦覧いたしますとともに、この意見縦覧した時点で利害関係人から申し出のあった意見書を踏まえて行政の方から意見を起業者の方にいただいたところでございます。今回の調査は、新石垣空港建設予定地南側にありますアオサンゴ群生域の分布状況の補足調査を行いまして、アオサンゴの分布状況の図化を一応想定しておる調査でございます。また潮流補足調査は、アオサンゴ群生域に重点を置いて測定するものでございまして前回の調査と重複するものではないわけでございます。したがいまして財政の効率性を損なうことにはならないと考えておるところでございます。
次に、同じく石垣空港につきまして既設予算執行は困難な状況と考えるが、執行するとすればどのような財政上の手続をするかという御質問でございますが、新石垣空港建設事業については県内、県外の賛成、反対の意見等もありましてこれまで慎重に対処してきたところでございまして、そのため59年度予算は御案内のように不用額として措置したところでございます。また昨年の60年度予算につきましても現年度に繰り越してきております。しかしながらその執行も極めて厳しい状況にございます。61年度予算につきましては、次年度へ繰り越して執行する方向で検討を進めているところでございます。今後は残された諸作業に全力を傾注して事業執行に取り組んでいきたいと考えているところでございますが、御指摘の60年度予算につきましては、これからの作業を精力的に進める中で国と協議していぎたいと考えているところでございまして、厳しい状況にありますけれども、現時点でどのような方針でその予算を措置するということはまだコメントできる段階ではございませんので、御了解賜りたいと思います。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 総務部長。
〔総務部長 平良正夫君登壇〕
○総務部長(平良正夫君) 地方公共団体の法人企業に対する債務保証の違法性と県の市町村に対する指導についての御質問にお答え申し上げます。
地方公共団体は、「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」によりまして、原則として会社その他の法人に対する債務保証契約をすることができないこととされております。しかし損失補償契約についてはこの法律の適用はなく、一般的にも地方公共団体において運用されている状況でございます。御質問の契約につきましては伊良部町からの報告によりますと、一般的に運用されている損失補償契約を締結したとのことでございます。そこで県といたしましては、この種の契約は、将来の財政負担となるおそれもあることから慎重を期するよう指導しているところでございます。
○議長(志村 恵君) 崎浜盛永君。
〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 この問題については、私は今の両部長の説明は納得しません。そこで後で委員会でもう少し詰めていきたいと思います。それだけ申し上げまして質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 白保台一君。
〔白保台一君登壇〕
○自保台一君 県警本部長の答弁から端を発しまして2日間、議会は空転しました。我が党もこの事態に対し遺憾の意を表明して質問に入ります。
まず、59年9月定例会の一般質問で、視覚障害者からの強い要望がありました点字ブロック上に放置されている障害物についてただしました。その際、当時の久高土木建築部長は、交通の円滑化と歩行者の安全を確保し、快適な道路の環境をつくるために道路管理者として歩道や点字ブロックの設置を積極的に推進してきている。58年現在で約7キロメートルを設置した。視覚障害者の方々の安全確保に努めているところである。一方、道路の適正な管理を行うために「道路パトロール要綱」等を策定して定時的にパトロールを行い、道路の不法占用、不法使用等の取り締まりを行っているところであるという答弁がございました。
また、昨年12月定例会においても再度具体的に5点にわたって質問をいたしました。その第1点は、建築現場に隣接した点字ブロック上に資材の放置がなされている。第2点は、配管工事などで掘り起こし途中でとぎれているもの。3点目に、工事完了後、点字ブロックが不足して紛失しとぎれてしまっているもの。4点目に、隅切り部分への違法駐車。5点目に、自転車、バイクの放置等、このように質問をいたしました。これに対し山城部長は、「今後とも良好な道路の環境を保持し、交通弱者の方々の安全確保に向けてなお一層努力してまいりたい」と答弁されると同時に、あわせて、「工事中の迂回路を設置する際の誘導対策等につぎましては、暫定的なものとして点字ブロック等にかわる方法等につきまして今後検討してまいりたい」との答弁がございました。
そこで伺いたいのは、まず第1点、沖縄行監事務所の「視覚障害者誘導用ブロックの整備状況等に関する地方監察」の概要についてお答えいただきたい。(資料を掲示) この地方監察の概要については、知事、新聞等では、危険、思いやり欠けると。いいですか、危険で不親切、こういうふうに行監から指摘を受けているわけであります。
第2点、既に申し上げましたように2回にわたって具体的にこの場で指摘したにもかかわらず、国の行監が厳しく指摘している理由は一体何なのか、それを伺いたい。
第3点は、迂回道路を設置する際の誘導対策については、暫定的なものとして点字ブロックにかわる方法について検討する、このように答弁されました。それについてはどうなったのか。私は、実際に近くの道路工事現場でそういった実態を見ておりますので、その検討がなされたのか、なされなかったのか、その件について伺いたい。
次に、去る12月4日に開かれました沖縄県バイオ資源利用促進懇話会に関連して質問を行います。
懇話会では、県が作成したバイオテクノロジー推進の基本方針をもとに真剣な議論が展開されたと伺っております。中でも、バイオといえばハイテクノロジーの部分が強調されがちだが、もっと広い意味で取り組むべきである。特に農家の分野では、キビの高度利用など農家の収益増にかかわる取り組みが急務などと貴重な意見が交わされたと伺っております。
そこで伺いたいのは、1、県内の試験研究機関は現在どのようになっているのか。2番目に、大学等の教育機関はどうなっているか。3番目に、人材の養成あるいは確保についてはどうなっているか。4番目に、遺伝資源の収集確保についてはどうか。5番目に、産・官・学の連携はどうかなどであります。
実は、全国的にテクノポリス構想が着々と実を結び相当な成果を上げている中で、このハイテク化の時代の中で本県が取り組むのに最適なものはバイオテクノロジーであることは論をまちません。県の素案にも、バイオは21世紀の産業社会を支える基盤技術として著しい進展が期待される。あるいは沖縄は地理的、自然的条件において有利な条件にあるもののバイオの研究開発基盤が弱く、その研究開発はおくれている。そのため地域特性を生かした研究開発を進め、バイオ関連産業の振興及び地場産業の振興を図る必要があるとの認識を示しております。
バイオテクノロジーの研究開発をこれまで主張してきた立場から、一層健全な研究開発が進められるために確認しておきたいことは、さきの104国会で可決成立したバイオ関連2法、すなわち近年、民間にバイオテクノロジーを中心とした技術開発に積極的に取り組もうとする機運が高まっている中での状況で、これを踏まえてその技術開発を農業関係の分野において促進するため既存の農業機械化研究所を改組して、生物系特定産業技術研究推進機構を設立し、この新法人がバイオテクノロジー等を中心とした技術研究を行う民間企業に対する融資、共同技術開発法人に対する出資、共同研究、遺伝資源の提供のあっせん等を行い、民間における技術開発を促進するための生物系特定産業技術研究推進機構法案及びこれまで事実上、国や都道府県など公的機関にのみ任されてきた主要農産物、すなわち稲、大麦、裸麦、小麦、大豆の種子に係る生産、流通の分野ヘバイオテクノロジー等による新品種開発に意欲を持つ民間事業者も参入できる道を開こうとする主要農作物種子法及び種苗法の一部改正案、この2法であります。
このバイオ関連2法の成立で、民間によるところのバイオテクノロジーの研究開発は大いに進展するものと考えます。したがって県内においても既に民間が先導する形でバイオの研究開発が進められてきましたけれども、バイオ関連2法の成立を機に情報が集約され、また産・官・学の三者の連携のためにも県において、県バイオセンターとでもいいましょうか、情報センター的な機関を設置する考えはないかどうか伺いたいのであります。
既に他県においてもバイオの集約的なセンターが発足しておりますし、テクノポリス導入県においてもテクノセンターが設立されております。県バイオセンターの設立がぜひなされるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いしたいのであります。
また、このことはこれまでもこの議会で確認をいたしてまいりましたが、バイオテクノロジー開発の5原則、すなわち平和利用、安全、民主、同意、公開の原則を有効ならしめる上においてもバイオセンターは重要なことと考えますので、あわせて申し上げておきます。
次に、資源管理型漁業の確立について伺います。
我が国漁業において展開されてきた従来までのような漁獲競争は、資源の悪化を招き自滅への道をたどってしまうことになるのではないかという懸念から、近年、資源量と漁獲量のバランスを保つべきであるという考え方が重視されるようになってきております。このような考え方は、200海里時代の定着化に伴い我が国として今後どのように水産物を確保し、また漁業経営と雇用関係をいかに安定させていくかという間題の提起まで広がって、今日的な政策的課題としてますます注目されるようになってきているのであります。
そこで、我が国200海里水域内における沿岸及び沖合漁業の振興、とりわけ我が国周辺水域が秘めた、特に我が県もそうでありますが、潜在生産力、これを十分発揮させつつ、資源量に応じた漁獲努力を重ねていく形での資源管理型漁業の確立こそが21世紀に向けた我が国漁業の方途として模索されるようになってきております。資源管理型漁業のあり方、とりわけその制度的な枠組みについてはいまだ明示されているところではありません。昨日も知事は、内容は違いますけれども、宮崎のパヤオの問題等で、こちらでとればいいじゃないかと、こういうようなお話もございましたけれども、まさに海の問題というのはそういうのが実態であります。したがって多くのトラブルが生じる形となっております。
そこでまず第1点は、資源量と漁獲量のバランスを保つ見地から現行の操業規制を中心とした漁場の利用のあり方を見直し、必要に応じて生産構造の再編も進めるべきである。またこのような施策の円滑な推進に資するために資源管理の重要性について漁業者の理解を深めるための努力とあわせて漁業許可制度、減船補償のあり方についても検討し関係者の合意が図られるようにすべきである。2番目に、栽培漁業を飛躍的に発展させるために栽培漁業権という新しい漁業権を確立すべきである。この場合の漁業権については、栽培漁業に適した重要な水産物を国が指定水産物として指定する。この指定水産物については特定の水域、例えば沿岸漁場整備開発法に基づくところの育成水面のようなもの、そういったことに管理主体を設定し、管理主体には指定水産物の増殖や漁場の管理を義務づける。3番目に、その上で管理主体には鉱業権と類似するような性格の物権として指定水産物を採捕するのみならず、取得できる栽培漁業権を付与することとする。4番目に、指定水産物については無主物扱いから、いわば管理物扱いへと物権的性格を強化するといった法的措置を講じ栽培漁業へ取り組む者の権利保護を図るべきである、こういうような考え方を我が党でまとめたわけであります。
なお、管理物扱いになれば、現在漁業者が困惑しているところの密漁対策についても鉱物の盗掘に準ずる罰則強化が可能となりますので実効ある措置が講じられるようになる。そしてまた密漁者が逮捕されても採捕された魚介類についてはこれまで無主物扱いであったことから国庫へ没収され、栽培漁業へ取り組む漁業者の意欲を減退させてきておりましたけれども、管理物を対象とした栽培漁業権扱いとなれば漁業者へ返還されることになる、こういう考え方をまとめて今私たちは漁業者の生活を守るためにやっているところでございます。
したがって県といたしましても、周辺海に囲まれておりますし、我が県の漁業者を守るためにもこういった新しい権利を水産庁等に要望する考えはないかどうか、このことを伺っておきたいと思います。
次に、国際機関の一つである国際熱帯木材機関(ITTO)本部が日本へ誘致されました。ただ、ITTOの誘致をめぐって欧米の環境保護団体などの間には、失望と不安が広がっているというように言われております。それは熱帯木材の世界最大の輸入消費国が日本であり、国際熱帯木材協定の目的であるところの木材貿易とあわせて熱帯林の保護が明記されているにかかわらず、日本は熱帯林の伐採には熱心でも、保護の面では余りにも微々たる努力しかしてない、こういうことに対する不信が強いと言われております。ILOの報告によりますと、毎年1150万ヘクタールの森林が消減しております。こうした森林の破壊は砂漠化を進行させるだけでなく、生態系の大規模な変化、気象条件変化、自然災害の増加などをもたらすことになります。国連開発計画、世界銀行などは昨年10月に熱帯林等の破壊がこのまま進めば、2000年には動植物の10ないし20%が絶滅するとのショッキングな警告を行っております。
したがって我が党は、このような状況の中でいち早く党中央にジャパングリーン会議を設立し、県内ではオキナワグリーン会議を設立して緑の視察団などを発足させ調査を進めているところでございます。
そこで、このような状況の中で軌を一にして林政審議会は、林業、木材産業の長期展望と今後の林政の基本方向を示しました「森林の危機の克服に向けて」という報告書であります。報告書は、戦後集中的に植林された人工林が21世紀初めに一挙に伐採適齢期、いわゆる伐期齢を迎えるために生じる国産材供給過剰という将来情勢を見越しての木材供給力平準化のための伐採年齢の多様化、長期化、複層林及び広葉樹林造成と天然林の積極的育成をうたっているのであります。
そこで伺いたいのは、本県では最近北部の伐採が取りざたされている中で、林政審の報告書の複層林及び広葉樹林造成と天然林の積極的育成を具体的にどう進められるか、本県における森林保護育成の計画を示していただきたい。
あわせて石垣市のバンナ公園の生活環境保安林や熱田岳の県民の森のような計画がほかにあるのかどうか伺っておきたいと思います。特に中南部地域におけるところの森林計画もあわせてお答えいただきたいのであります。
次に、最近の米軍の動きについてでありますが、たび重なるB52G型機の飛来、原潜の寄港や読谷飛行場におけるシャプン・ソードの強行、知事が遺憾の意を強い意思表示を見せても続けられるところの民間空港への着陸強行で米軍は県民の平和への願い、安全な県民生活への望みをいともたやすく踏みにじっていきます。
一方、HPTの導入や基地内クラブ従業員の解雇、まさにやりたい放題との感を県民は受けております。しかしながらこの問題については既にこの場で出ておりますのでこのことは触れませんが、1つだけ聞いておきたいことは、民間空港への米軍機のたび重なる強行着陸であります。この問題については知事は前向きな答弁をされておりますけれども、ただ1つ気になることは、私たちがこの問題が起きるたびに県に申し入れをしようとしても県の窓口がはっきりしないということであります。知事の前向きな姿勢とは違って、県の方では窓口がはっきりしない。これは一体どこが窓口なのか。この窓口は、一体どのように知事の考え方を受けて進めてこられておるのか、そのことを伺っておきたいと思います。
以上で終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 白保議員の御質問に対しましてお答えいたします。
視覚障害者誘導用ブロックの整備状況と地方監察の結果についての御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
バイオテクノロジーの研究開発と今後の展望につきましては、企画開発部長から答弁させることにいたします。
バイオ関係の質問の中で、県バイオセンターの設立について御質問がございましたが、お答えいたします。
本県は、我が国唯一の亜熱帯地域に位置していること、生物資源の種類や賦存量豊富な東南アジア諸国等に隣接していることなど、バイオテクノロジーの研究開発を促進する上で好適な条件を有しております。またバイオテクノロジーに関するすぐれた研究の蓄積も多様かつ豊富であります。このようなことから県では、バイオテクノロジーの研究開発を進める上から、県の試験研究機関の整備充実、人材の養成を行うとともに、国及び民間の試験研究機関との連携を密に情報の収集管理を行ってまいりたいと思います。
なお、バイオセンター、バイオマスランド及び国際バイオマス研究センター等、いろいろ御提言がございましたが、中長期的な課題として承っておきたいと思います。
次に、資源管理型漁業の確立につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
森林資源の保全についても農林水産部長から答弁させることにいたします。
最近の米軍の動きについて、特に民間空港の担当部局はどこかという御質問がございましたが、お答えいたします。
県が管理する第3種空港は、空港整備法第2条に基づき地方的な航空運送を確保する目的で設置されております。航空機の離発着及び空港使用等の運営については基本的には土建部の所管となっておりますが、米軍機の離発着につきましては基地行政との関連もあり所管が明確に位置づけられていない点もございましたが、これを今回土木建築部所管として位置づけを行っております。県が管理する空港の米軍の使用については、緊急の場合はやむを得ないとしてきたところでございますが、日米安保条約第6条(地位協定第5条)により拒否することはできないことになっております。しかしながら米軍機の使用が今年に入ってふえたこともございまして、知事名で外務省及び那覇防衛施設局に対しまして自粛方を申し入れてきたところであります。今後も米軍機の使用が定期便の離発着に支障を生ずるようであれば同様な対応をしてまいりたいと思います。
なお、これまでも航空局の出先である空港事務所の航空管制官を通して使用を控えるよう口頭で申し入れを行っているところであります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 視覚障害者誘導用ブロックの整備状況等に関する行政監察についてお答えいたします。
地方監察の概要についてお答えいたしますと、沖縄行政監察事務所が那覇市内の道路を対象に視覚障害者誘導用ブロックの整備状況を調査し、視覚障害者の利用上不便な箇所について改善するよう去る61年9月8日に通知を受けているところでございます。
その内容につきましては、点字ブロックの設置場所及び設置方法が不適切なもの、それから連続性が確保されてないもの、破損、はがれによるもの及び占用物が占拠しているもの、その他関係部局との連携が十分でないもの等が内容でございます。
次に、国の行監から指摘された理由についてでございますが、視覚障害者誘導用ブロックの設置に関しては、昭和60年度までは建設省におきましても実験研究の段階で統一的な基準はなく、暫定的な指針により設置してきたところでございます。そのため建設省におきましては、視覚障害者の利便性のより一層の向上に役立つようきめ細かい検討を行いまして、60年9月に「視覚障害者誘導用ブロック設置指針」を策定いたしております。現在は同指針に基づいて施工しているところでございます。ところで行政監察は、60年以前に施工された一部箇所について新しい設置基準に基づき点検した結果、基準に合致してないものについて改善するよう求めてきたものでございまして、既に指摘箇所の現場点検を行い改善工事を実施し、おおむね完了しつつあるところでございます。
次に、工事現場における暫定的誘導対策についてでございますが、歩道、幅員が広い場合の迂回路として鉄板を敷いてその上に暫定的な視覚障害者誘導ブロックを設置し、歩道幅員がまた狭く迂回路ができない場合については関係機関と協議いたしまして現場作業員を配置し誘導するなどの方法を講じているところでございます。このように歩行者の安全を確保する観点から現場の状況に応じ、細心の注意を払いながら進めるよう努めておるところでございます。
そのほか、歩道上の不法占用物件の排除につきましては日常の道路パトロ一ルを強化するとともに、広報宣伝を行い県民意識の高揚を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
なお、今後とも視覚障害者誘導用ブロックの設置に際しては関係機関と十分に調整を行い、視覚障害者にとって安全でわかりやすい道づくりに努めていきたいと考えておるところでございます。
○議長(志村 恵君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 池田光男君登壇〕
○企画開発部長(池田光男君) 白保議員のバイオテクノロジーに関する御質問にお答えいたします。
まず、県内におけるバイオテクノロジー関連の試験研究機関といたしましては、農業試験場、畜産試験場、家畜衛生試験場、林業試験場、水産試験場、工業試験場、公害衛生研究所などがございます。これらの試験研究機関におきましては、サトウキビの新品種の育成及び栽培改善に関する研究、パイナップル、ラン、果樹、花卉類の組織培養技術、土壌微生物の有効利用、受精卵移植技術、泡盛酵母菌の利用技術、こういうふうなバイオテクノロジー関連の研究が行われております。また国の試験研究機関といたしましては、農林水産省熱帯農業研究センター沖縄支所及び農林水産省種苗管理センター沖縄農場がございます。熱帯農業研究センター沖縄支所におきましては、組織培養によるサトウキビの育種に関する研究、亜熱帯における稲の世代交代促進に関する研究などが行われております。種苗管理センター沖縄農場におぎましては、バイオテクノロジーに関する研究開発及び遺伝資源の保存増殖等が行われております。
次に、バイオテクノロジーを研究している大学など高等教育機関といたしましては、琉球大学及び東海大学沖縄地域研究センターがございます。
琉球大学におきましては、サトウキビの総合的利用システムの研究、ギンネムの飼料的利用に関する研究、沖縄産植物に含まれる有用生理活性物質の研究などが進められております。また東海大学沖縄地域研究センターにおきましては、亜熱帯海水性微生物による太陽エネルギーの変換に関する研究等が行われております。
次に、人材の養成確保についてでございますが、県におきましては農林水産省農業生物資源研究所、野菜試験場及び畜産試験場等へ研究員を派遺するなど各種の研修制度を活用して人材の育成に努めております。また台湾のアジア蔬菜研究センター及び台湾省農業試験場へそれぞれ耐暑性野菜の生産振興に関する技術、熱帯果樹の栽培改善に関する技術の修得を目的といたしまして研究員を派遣しているところでございます。さらに民間企業との共同研究といたしましては有機系工場廃水の生物処理に関する研究、高芳純タイプ泡盛の研究を行うなどの人材の養成確保にただいま申し上げましたような形で努めているところでございます。
さらに、遺伝資源の収集確保についてでございますが、県農業試験場におきましてはサトウキビ野生種、沖縄大根等在来野菜、パイナップル、カンショ、観葉植物、果樹類等の収集確保、工業試験場におきましては黒こうじ菌、泡盛酵母菌等の収集保存が行われております。また農林水産省熱帯農業研究センター沖縄支所におきましては、熱帯及び温帯からの作物の導入保存が行われておりますし、農林水産省種苗管理センター沖縄農場におきましてはサトウキビ等の収集保存等が行われているところでございます。
産・学・官の連携についてでございますが、産業界、大学、国、県等におきましては、沖縄県バイオマス資源利用促進懇話会、沖縄県バイオテクノロジー推進懇談会、財団法人地域産業技術振興協会、同じく財団法人沖縄農林漁業技術開発協会等を通じましてバイオテクノロジーに関する技術開発につきまして情報交換、技術移転等に連携を深めているところでございます。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 資源管理型漁業につきましてお答えいたします。
漁業資源は、保護し育成するということは御指摘のとおり重要でありまして、県といたしましてもこれまで沿岸整備事業として諸事業を実施いたしまして漁業資源を育成しているところでございます。御提案の栽培漁業権につきましては、管理主体で管理する等物権としての性格を持たすという漁業者にとりましては好ましい考え方と考えますが、栽培漁業権の創設につきましては現行漁業制度下のもとでどういう関係にあるのか非常に難しい問題等もございますので、資料等を収集いたしまして今後私どもの研究課題として取り組んでまいりたいとこのように考えております。
森林資源の保全につきましては、本県の森林は亜熱帯特有の照葉樹であるイタジイ、イスノキ、イジュなどがそのほとんどを占めているところであります。この豊富な天然林広葉樹資源の育成強化は本県林業の根幹をなすものであり、天然林改良事業を積極的に実施しその整備を図っているところであります。複層林施業につきましては、リュウキュウマツとイヌマキあるいはイジュ等の混交二段林の構造を目標に早くから実施しており、人工造林の樹種についても郷土樹種であるイヌマキ、イスノキ、イジュ等を主体に広葉樹の造林を実施しているところであります。
生活環境保全林の整備につきましては、昭和52年度から実施し昭和61年度までに石垣市、今帰仁村、恩納村にそれぞれ設置しておりまして、今後宮古地域、中南部地域においても引き続き整備してまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 白保台一君。
〔白保台一君登壇〕
○自保台一君 土建部長、あなた、指針が変わったからこうなったんだと言いましたよ。だけどそうじゃないです。前々から占拠物等もあるから指摘されているんですよ。このことをはっきりさせなぎゃまずいですよ。これだけ申し上げておきます。
○議長(志村 恵君) 石垣喜興君。
〔石垣喜興君登壇〕
○石垣喜興君 本員は、11月16日、知事選挙と同時に行われた県議補欠選挙で八重山石垣地区から当選させてもらった自由民主党所属の石垣でございます。
空転が続いた初の議会で、最終の一般質問ができますことを感謝いたしておるものであります。
まず、7万票という大差で3選を果たしてくださった西銘知事に敬意を表するとともに、いまだかつて勝ち越しを果たし得なかった郷里八重山でも予想外の大勝利ができましたことは、西銘知事が立派な県政運営をなされた結果であり、8%の自己財源で、残り92%を依存財源とする竹富町で革新母体の友利町長が西銘知事の政治力をたたえ、西銘3選を声高らかに壇上から住民に呼びかけたことは、西銘知事の離島僻地に対する施策がいかによかったかを知らされ高く買われた証左であり、7万票は至極当然だったとの感がする次第であります。願わくは西銘知事のこの御姿勢を持続し、3期目の県政で離島先島のためにより以上尽力くだされるよう要望申し上げ、さきに通告いたしました質問をいたします。知事並びに関係部長の御答弁を願います。
現在の石垣空港の整備については、従来数回にわたり整備強化がなされてきましたが、八重山への航空利用者の急激な増加に伴い追いつかず、環境や安全面から考えて立地条件が好ましくないとのことで関係者が場所選定に動き出し、白保地区が最適だとして国、県の合意が得られ、本格的に新空港建設のための諸条件整備がなされてかれこれ数年を経過しておりますことは、御案内のとおりであります。
ところが、当初のころは地元石垣市長は、県に誘導され重い腰を嫌々ながら上げるという感じがし、地元の取り組みのなまぬるさを当時の副知事から指摘され苦言を聞かされたものであります。そのころ58年8月、整備されているはずの滑走路からオーバーした飛行機が炎上するという惨事が起き市民を驚かせたのをきっかけに、安全運航のできる飛行場の建設は一日も早くとの声が観光関係者は言うに及ばず、全郡民の総意として沸き上がり、石垣市長を先頭に各種団体を網羅しての建設促進運動が大々的に展開されたのであります。地元白保では、時を同じゅうして根強い建設反対の動きとともに阻止行動も展開され機動隊の出動という事態を招きながらも、石垣市としての行うべき諸調査や諸条件整備も終え、県の埋立申請を一日も早くと待ち望んでいるのが実情であります。
そこでお伺いいたします。
埋立申請はいつごろをめどにしておられますか。
2、繰り越しを続ける空港関係の政府予算は、このままでは返上せざるを得ないとの声も聞かれますが、どうなりますか、どのような措置をなされるお考えですか。
次に、白保住民からの情報では、反対派の姿勢は当初騒音公害、漁場の荒廃、空港建設により発生する車やよそ者の流入によって、のどかな農村部落の破壊等が主な反対理由だったのに、現在はサンゴの死滅、自然環境の破壊等に戦術を変えていると言っています。そのような変化は、前項の反対理由が物理的に取り除かれる可能性があるためで、反対派の住民の中では次第に認識を新たにし聞く耳を持とうとの人もあらわれてきたと言っている。そのあらわれは、去る3月市長選挙で反対派票が1100票もあったのに、9月の市議選では反対派の代表候補は600余票という結果から推しておわかりのとおりであろうと思います。
ところで、たとえ600票といえども根強い反対派住民がいるという現実を見た場合、その人々の声に耳を傾ける必要も出てきたんではないかと申すのは、従来の白紙撤回闘争より条件闘争に切りかえるべきだとの内部の声があると聞いているからであります。そのような流れが起きつつあるとき、賛成派を中心に60年に提出された新石垣空港建設に伴う環境整備についての要請に反対派も強く関心を寄せるとともに、不信感からくる関係当局に対し疑心を抱いているようです。
よって、ここで22項目の細部にわたりお尋ねすることはやめますが、地元からの要望について知事の基本的な御姿勢や御指導についてお聞かせください。
次に、去る9月、反対派を代表して当選した花城市議会議員は市議会における一般質問の中で、飛行場予定地先のサンゴを移殖してから着工はしてくださいとの発言があったと報じられておりますことから推して、心の片隅にいずれ着工されることを認めていると思われます。
そこで要望を申し上げます。
純朴な白保住民の利益をも度外視し、おのれの主義主張を押しつける中核派や革命的労働者協会、日本社会主義青年同盟の傘下の過激派の人々の宣伝に乗せられることは、真の白保の幸せにならないばかりか、八重山郡民のためにもならないと思いますので、この面も御配意の上、それらをのさばらさないためにも気を配ってもらい、郡民多数の願望である新空港の建設の促進方に努力してくださるよう願ってこの項を終わります。
2、福祉作業所について。
政争の激しい島と言われる八重山でも、今回の知事選挙や県議補選をきっかけに感情闘争の愚かさを知り、豊かな人情の島に戻る兆しが見え、多くの人々に歓迎されている中で、いまだにほかからの介入により部落民を二分しているのが白保の空港問題であることは御案内のとおりであります。
ところで、目下社会問題として巷間、心ある人々のひんしゅくを買い組織を二分しかねない争いが起こりつつあることであります。と申しますのは、社会的弱者と言われる身障者が福祉法の整備によって日に日に明るい希望が芽生えつつある現在、よりよい生活、よりよい生きがいへとの望みをかなえさせるため身障者福祉大会が石垣市でも開催され、その席上で県立の身体障害者授産施設の早期実現についての要請決議がなされたが、同大会に参加した会員の中から、民立、民営による授産施設をと叫ぶ声が出、一時、参加者の顔を曇らせた一こまがあったのです。
その内容について県立を主張する側は、民立の場合、民間人の力には限度があり将来の維持運営に対し不安であり、賛成できるものではない。県立ならすべて県民の責任において運営されるので将来に向かって希望が持てるし、それが国の当然の義務であり責務であるとの論旨でありました。一方、民営を主張する側は、県立で設置してほしいとの要請を続けて四、五年も立つが実現のめどは立たず、県当局も行政改革の時勢の流れに沿って多くの施設を民間へ移行するときだけに新しく県立の施設が望めるものではないとの感触があり、目下民営で細々ながらも素地づくりに精出し、多くの人々に認められ作業実績も上げているので、その人々を中心に法人化することが望ましいとの論旨での対立でありました。
双方関係者の突っ込んだ言い分を聞くと、県立での要望については県議会でも4回も採択され、市議会でも採択されており、つくる責任がある行政当局がいつまでももたもたしているから県営一本化ができないのだ、その責任は県当局にあるので一日も早く県立で設置するとの方針を宣言してほしい。2、民営側は、県当局は県営を望まず、私ども民営に対し法人組織を早くつくるよう指導しておられるので、現在働く意欲を持っている身障者を集め私費で作業所の運営をしております私たちに一本化を進言してほしいとのことです。
双方の話を聞く限りでは、県の態度が双方の関係者にお互い話し合って1つに絞ってきてください、いずれにでもまとまれば可能だとの希望を持たすような発言や態度があったようで、双方の歩み寄りができず、いろいろと思惑もあって多くの住民や関係者はどちらに力を入れてよいやら戸惑いをしているのが実情であります。
そこで知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
一本化すれば県立でも民立でも可能ですか。
2、一本化の話が進まない場合、県はまとまるまで放置もやむを得ないとお考えですか。
3、県が進んでどのように一本化をせよと指導なさるお考えはありませんか。
4、双方話し合いができ県当局にも認められたら、次年度62年予算計上が可能と考えてよいですか。
5、県立要望派が一番気にしている民間による運営の行き詰まりに対する心配はどうお考えですか。小規模施設は経営難に陥っているとの報道もあるが……。
西銘県政の柱である観光立県の施策に乗って、八重山の観光は順調に伸び町も活気づき、人口も年々増加している石垣市で、10年も前に施行された都市計画法に基づく市街地の用途地域の設定が今日まで見直されぬまま大きなネックとなっている実情があります。この件の打開のため石垣市在の建築業、設計者協会及び通り会等より見直し要請が出されておりますが、反応がありません。
目下、石垣市において県道や国道の整備拡張が進められており、それに伴い家屋や店舗の建てかえをすべき方々が大勢おられ、この際、魅力ある町づくりのため通り会でも指導を行っておりますが、同じ通りで南側は商業地域、北側は隣接商業地域と区分されているため建築に制限がなされ建物にばらつきが出、均衡のとれない軒並みとなり見苦しい町になってしまうとの声があります。その制限とは、容積率が南側は400、北側は200と倍も違うからです。目下、政府でも容積率を全国的に見直し民活を促進させるため、2倍から3倍の率に引き上げることを近く各県に通達されると報じられています。現在、同じ商業地域でも各地区で容積率が違うと聞いています。
そこで県は、石垣市の商業地域等の容積率の見直しに対しどのように検討しておられるか。また用途地域の変更申請等にはどのように指導しておられるかお伺いをいたします。
なお、県道や国道わきの農地に住宅が建てられるよう住居地域に編入することについて、県は各地に配慮してくださっているようだが、石垣市ではいまだに適用されていないので早急に実施できるようできないものか、県の取り組みや指導についてもお聞かせください。
都市計画の見直しは何年経過すればという内規でもありますか、それに準ずるようなものがあればお聞かせください。
4、下水道の促進について。
今、石垣の町は観光客から親しまれつつありますが、その反面、何だか嫌なにおいがする、どうにかならないかとの小言も聞こえるのです。
その原因を調べてみると、下水道の設備がないため各家庭からの雑排水や汚水が下水溝を流れて海に直流しているためのにおいだと知らされ、やるせない思いがしてならないのです。特に雨降りのときには流れる下水溝の水は余りにもひどく、港の海水はどす黒く濁り、干潮どきにはヘドロが顔を見せ、白い砂浜の面影は失われ、青い海、白い砂のキャッチフレーズを泣かしているのです。その上、町は近代化した建物が日々に建ち、水道の普及率は100%、水洗便所の普及率も80%と言われる石垣市で下水道の設備がなされない今日、その汚水はどのようにして処理されているか。浄化槽なるものもあるが、その維持管理や設置費に大きな資金がかかり家庭経済にのしかかってくるため、ついつい違法行為も発生していると言われています。
一例を挙げますと、復帰前に10万円でつくれた公認の浄化槽が、現在の基準では60万円になり、その程度の機能を持つものでないと許可できないという実態で、下水道のある地区なら七、八万円の工事費で済むということなのです。
知事は先日の就任あいさつの中で、「快適な環境と緑豊かな町づくりを推進します」と述べておられます。来年は海邦国体が開催され、多くの選手、役員が石垣市にも来島すると報じられています。その人々にいい印象を与えるために、またまた市民が快適な生活をするためにも下水道設置を急がねばならないと思います。
そこでお尋ねをいたします。
県が目下、下水道設置の促進を図っておられる中で、石垣市も入っているかどうか。地方自治体の財源では下水道なんてとてものことだとの声もあるが、助成策または手当て等どうなっているか。どのような指導を県はしておられるか、あわせて県下の下水道の普及状況等もお聞かせください。
質問を終わるに当たり、変質者による痛ましい学童殺害事件発生に対し、地元出身議員として心から残念に思うとともに、今後、このようなことが起こらない社会環境づくりに関係当局が取り組んでくださるよう要望いたしまして終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石垣議員の御質間に対しましてお答えいたします。
石垣空港の建設促進について御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
その中で白保の促進派から要請のございました22項目についての県の基本的な考え方についてお答えいたします。
白保第一公民館から要請のございました新石垣空港建設に伴う環境整備につきましては、要請事項の内容が多くの部局にまたがっておりまして、そのため県としては60年8月20日に、副知事を会長とした関係部長で構成する新石垣空港建設対策協議会を設置して、該要請の実現に向けて検討を行っているところであります。
なお、要請事項には県、市の分担及び予算措置上の問題もございまして実現可能なものから順次取り上げ、地元石垣市当局とも協議の上前向きに対処してまいりたいと思います。
次に、身体障害者授産施設の設立についての御質問がございましたが、これにつきましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。
それから都市計画に基づく用途地域の変更についての御質問は、土木建築部長から答弁させることにいたします。
下水道の設置につきましても同様、土木建築部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 石垣空港につきまして埋立申請はいつごろをめどにしているかという御質問がございますので、お答えいたします。
新石垣空港建設は、八重山圏における航空需要への的確な対応と、さらには同圏域の産業の振興と生活の向上を図るためには、ぜひとも推進しなければならない施策であると考えておるところでございます。これまで新石垣空港建設につきましては環境影響評価準備書を作成し、関係住民に公告縦覧してそれに対する環境行政の面からの意見書を受理したところでございます。今後はこれらの意見書にある現地での補足調査及びこれらの意見書に盛られた事項を踏まえて環境影響評価書を作成の上、1カ月間の公告縦覧をすることになるわけでございます。したがいまして環境影響評価実施要綱に基づくこれらの一連の作業を積極的に進めまして、埋立法に基づく埋立免許の出願が年度内にできるよう努力する考えでございます。
それから2番目に、繰り越しについて空港関係の政府予算はこのままでは返上せざるを得ないとの声もありますが、どのように対処されるかという御質問でございますが、59年度予算が不用額になり、現在60年度予算の執行も厳しい状況にあります。今後は埋立免許出願に向けての一連の手続を積極的に進め、早い時期に出願できるように努力するつもりでございますが、そういった努力の中で国との調整を図ってまいりたいと考えております。
それから都市計画に基づく用途地域変更による規制等について御質問がございましたが、都市計画法第8条第1項の用途地域は当該地域の町づくりの根幹をなすものでございまして、それぞれの地域に見合って建築物の用途、容積及び形態等を制限し、居住環境の保護、商工業等の都市機能の維持増進を図り、都市の健全な発展を目的として定められているものでございます。用途地域の見直しにつきましては、その都市の社会経済の情勢の変化や市街地の動向等に対応した用途地域の指定を行うため、おおむね5年ごとに基礎調査を実施いたしまして必要な地域においては変更を行うことができるものとされておるところであります。
石垣市の用途地域につきましては、昭和50年に決定され現在に至っている状況でございますが、用途地域の変更につきましては原案を市で作成することになっておりまして、市が作成の上、知事の承認を得て市長が決定するという手続で進みますので、今後、市の方針を尊重しつつその調整を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
次に、石垣市における下水道事業の計画あるいは下水道事業推進に当たっての財源助成策等について御質問でございますので、お答え申し上げます。
沖縄観光は海が主体でありまして、特に川平湾等を初め、美しい海を観光資源にしております石垣市では、海域及び河川の水質の保全が大変重要なことだと考えておるところでございます。あわせて市民の快適で衛生的な生活環境を確保するためには、早い時期に下水道の整備を図る必要があろうかと考えておるところでございます。そのため機会あるごとに市当局と事業化に向けて調整を行ってきておるところでございます。
現時点の整備計画といたしましては、市の意向を踏まえまして第6次下水道整備5カ年計画、これは61年から65年までの期間でございますが、その第6次の計画の中で昭和64年度を目途にしておりまして、石垣市並びに平良市両市を着手する方向で国と調整を図ってきておるところでございまして、既に平良市におきましては基本計画調査を行ってきている状況にございます。事業費の財源につきましては工種によって異なりますが、10分の6から3分の2の率で国の補助率が定められております。その残り分の裏負担につきましても85%が起債対象で、その元利償還にもまた普通交付税の財源措置等があり、市の持ち出し額といいますか、割合は市町村の財政力で十分対応可能だと考えておるところでございます。
なお、下水道につきましては全施設が国の補助対象でございますが、特に沖縄県の場合は、他府県では補助対象となっていない小口径の管渠につきましても補助対象としている利点がございます。
以上のような状況でございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 石垣市における身体障害者授産施設は県立とするのか、社会福祉法人立とするのか。また昭和62年度予算に計上する予定はないか。さらに設置後の経営見通しはどうかとの御質問にお答えいたします。
まず、石垣市に設置する予定の身体障害者通所授産施設の設置主体についてでありますが、全国には同種の授産施設が68施設もありますが、そのほとんどが社会福祉法人となっている状況であります。身体障害者通所授産施設の性格等から、また民間活力の導入の面からも県といたしましては社会福祉法人による設立が望ましいと考えております。なお、設置に当たりましては地元との調整も必要であることを申し添えておきます。
次に、当該施設設置後の運営の見通しについてでありますが、すべての社会福祉施設の運営は関係諸法令に基づきなされるものであります。また所要の措置費によって賄われることとなっておりますので、規模の対象にかかわらず赤字運営となるなど経営難に陥ることはないと思っております。
また、昭和62年度予算に計上するかどうかにつきましては、設置希望者の資金計画、事業計画等の問題等のほか、地元との調整及び今後における国、県の財政事情との関係等もありますので、慎重に検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
決算については、12月8日の議会運営委員会において、20人から成る決算特別委員会を設置して審議することに意見の一致を見ております。
よって、ただいまの議題のうち、認定第1号から認定第15号までについては、20人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、お諮りいたします。
ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により
瑞慶山良昌君 石垣 喜興君
我那覇祥義君 嘉数 知賢君
伊集 盛元君 外間 盛善君
桑江 良逢君 照屋 忠英君
平良 哲君 村山 盛信君
石川 修君 仲原 英典君
岸本 安神君 友寄 信助君
田場 盛徳君 嘉陽 宗儀君
上原亀一郎君 宮城 清順君
松茂良興辰君及び吉田 光正君
を指名いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、決算特別委員会の委員は、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く甲第1号議案から甲第7号議案まで及び乙第1号議案から乙第16号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午後5時30分休憩
午後5時31分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
日程第3 議員提出議案第3号 国庫補助負担率の引下げに反対する意見書を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
西田健次郎君。
〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 ただいま議題となりました議員提出議案第3号について、提出者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。
国は、昭和61年度から国庫補助負担率の一律引き下げを3年間の暫定措置として実施したところでありますが、明年度の予算編成においても国庫補助負担率をさらに引き下げることを検討しております。このような措置は、地方財政の厳しい現状を無視して地方団体に財政負担を転嫁し、地方団体の財政運営は極めて困難な状況に陥ってしまうことになるので絶対に容認できません。地方団体は、かねてから直轄事業の維持管理費に係る負担金の廃止及び事業費比率の適正化等の改善を要望してきているにもかかわらず、その改善のないまま、国の財政上の都合でもって国庫補助負担率を一方的に引ぎ下げるというのは不当であり、強く反対する必要があるということで本案を提出いたした次第であります。
意見書を朗読いたします。
〔国庫補助負担率の引下げに反対する意見書朗読〕
以上で提案理由の説明は終わりますが、慎重に御審議の上、よろしく御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第3号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) これより議員提出議案第3号国庫補助負担率の引下げに反対する意見書を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) 日程第4 議員提出議案第4号 国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入反対に関する意見書を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
照屋忠英君。
〔照屋忠英君登壇〕
○照屋忠英君 ただいま議題となりました議員提出議案第4号国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入反対に関する意見書について、提出者を代表いたしまして提案理由を申し上げます。
我が国の人口高齢化の進行に伴い、老人医療費は年々増加の一途をたどっております。このため国は医療保険制度の改革を行い、退職者医療制度を創設することにより国民健康保険の国庫補助率の引き下げを実施いたしました。しかしながら退職者医療制度への移行者が国の当初の見込みよりも大きく下回ったため、制度創設による財政効果は期待できず国保財政は著しく悪化しております。
このような状況の中で、国保の保険者である市町村は、未曽有の国保財政危機に対し、保険税の引き上げや一般会計からの繰り入れなどを実施し懸命な努力を続けてまいりましたが、これらの措置も既に限界を越えております。
ちなみに、退職者医療制度の実施に伴う昭和60年度における本県の影響額は41億8900万円余で、そのうち補助金として13億9633万1000円、特別交付金として25億2500万3000円、計39億1600万円が交付されましたが、差し引き2億7200万円余が未交付となって市町村の財政に大きく影響し、53市町村のうち33市町村が一般会計から繰り入れをしております。さらに国は、財政難を理由に国民健康保険に対する国庫負担の一部を都道府県に肩がわりさせようとしております。このような国保への都道府県負担の導入は、国保行政に対する国の責任を地方に転嫁するものであります。
以上、申し述べましたようなことから、国に対し国保財政について都道府県に肩がわり負担をさせないよう強く要請する必要があるとの意見の一致を見て本案を提出した次第であります。
意見書を朗読いたします。
〔国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入反対に関する意見書朗読〕
以上で提案理由の説明を終わりますが、慎重御審議の上、よろしく御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第4号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) これより議員提出議案第4号国民健康保険制度に対する都道府県負担の導入反対に関する意見書を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) この際、お諮りいたします。
委員会審査及び議案整理のため、明12月19日から23日までの5日間休会といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、明12月19日から23日までの5日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、12月24日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時41分散会
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