前発言
平成 1年(1989年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 10月 5日
第 4号 10月 5日
次発言
議 事 の 概 要
平成元年10月5日(木曜日)
午前10時12分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第3号議案まで、乙第1号議案から乙第12号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 与那嶺 盛男君(新政クラブ)
2 照屋 寛徳君(社会党・護憲共同)
3 下地 常政君(新政クラブ)
4 宮城 清順君(公明党)
5 伊波 栄徳君(社会党・護憲共同)
6 本盛 茂君(社大党)
7 外間 久子君(共産党)
8 中根 章君(社会党・護憲共同)
午後5時散会
○議長(平良一男君)これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた地方労働委員会会長大浜賢永君は、所用のため本日及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長宮城調一君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) この際、昨日の岸本安神君の質問に対する答弁中、保留になった部分について知事から発言を求められていますので、これを許します。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 岸本議員のきのうの立入調査の件についてお答えいたします。
県は、昨日お答えしたとおり、去る9月19日、職員が現地調査を行った際、施設局職員に対しロ頭で現場への立入調査を申し入れております。
県の職員は、基地渉外課比嘉忠信主査、桃原幹雄主任、それから相手の施設局職員は、施設企画課喜友名朝孝係長ほかとなっております。
○議長(平良一男君) 岸本安神君。
○岸本安神君 ただいまの知事の答弁ですけれども、率直に言いまして、いわゆる政治職であるところの知事や副知事が口頭で他の機関に、防衛施設局等にいわゆる申し入れをしたということであれば話はわかる。しかし一般職員が現場で、ひとつ調査しますから頼みますということが本当に行政行為としてそれが正しいかということを考えた場合には、余りにもこれは軽率ではないかと、このように思います。
行政は、私が申し上げるまでもなく文書でスタートして文書で終わるのが、それは行政行為の原則であるというふうに思っております。
そういう面からしますと、この知事の答弁に対して私は理解することもできないし、それを了とすることもできません。したがいましてこれまでの知事の答弁におきましても、知事は我が党の代表質問におきまして米軍に申し入れたということの事実、そして知事公室長並びに環境保健部長は防衛施設庁に申し込んだというふうな答弁、そして後では、どこで申し込んだかと言ったら、現場で申し込んだというふうな形の、まさに知事の答弁と職員の答弁が全然違った形で答弁されている。それは私のただ、質問に対する答弁でなくして、県議会としての全体の問題であると私はそう思っております。公の議会の中で知事が答弁する場合にはもっと慎重に、それはやってなければやってない、やっているならやっているという形でそれはしなければいけないと思います。
その皆さんが申し込みをしたという時点から今日まで何日かかっていますか。もう17日間もかかっているわけですよ。本来はどこの機関が防衛施設局に申し込みしても、少なくとも14日内にはその返事は来ていると思います。今のとおりとすると1カ年なろうが2カ年なろうが、それは防
衛施設局が県にひとつ調査してくださいというふうな許可は来ないと思います。したがいまして知事の答弁は、私は理解できません。
議長、ひとつ議長におきましては、そういった議事日程の問題等々ありますから、ひとつ議会運営委員会を開きまして、その中においてその問題について協議をしていただきたいと、このように希望する次第でございます。
○儀間光男君 議長、休憩を求めます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前10時18分休憩
午前10時20分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第3号議案まで、乙第1号議案から乙第12号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
与那嶺盛男君。
〔与那嶺盛男君登壇〕
○与那嶺盛男君 おはようございます。
一般質問2日目のトップバッターを賜り喜んでおります。
私は、農業問題に絞って3点ほど私見を交えながら質問をいたしたいと思っております。
1点は、サトウキビの生産性向上と地力対策でございます。
去る28日に南部地区におきまして農業振興の基本政策確立の農民大会が1000名を集めて開かれました。そこに参加して思ったことは、このキピの生産者価格でございますが、現行価格を確保しなさいというのがあったわけでございます。
従来、サトウキピ価格の場合には、キビ代を上げろとこぶしを振り上げながら強力な運動を展開した者としましては、現行価格据え置きということは何かやり切れない思いがしました。しかし現実的には米が据え置きということもあって現実路線をとったかと思いますが、今月27日ごろにはキビ価格が決まりますので、当局としましてはぜひとも一歩も引かないような強い決意で臨んでもらいたいということをまず要望いたします。
2番目でございますが、品質取引の問題が大きくクローズアップされております。これは農林省あたりが今度の価格の場合に品質取引を打ち出すということからでございますが、その中で品質取引に当たりましては、いわば農家が困らないように理解と協力が得られるように、いわゆる環境整備をする時間をくださいということが強く打ち出されております。これが特徴でございます。あとはいつものとおり基盤整備とか農業用水の確保とか優良品種の開発、あるいは機械化とか含みつ糖の保護措置等でございます。
さて、そこでサトウキビの品質向上のためには一体どうすればいいかということでございます。そのためには何といっても地力の対策が急務かと思います。
我々県議会の経済労働委員会の皆さん方が、ともどもに北部の産業視察に行って参りました。名護市源河にあるところの堆肥センターに参りますと、向こうの責任者であるところの名護農協の比嘉組合長は、バガスさえあれば幾らでも良質の堆肥がつくれるということを強調しておりました。特に北部の方では家畜のふん尿、養豚とか養鶏がありますので、ふん尿あるいはパインかすとかビールかすがありますので、まぜる素材はあります。肝心な有機質の中心になるところのバガスさえあれば幾らでもつくれるということを強調しています。
また、バガスさえあれば南部においても中部においても、宮古、八重山あるいは久米島というところの分工会地域では堆肥がつくれるということを強調し、ぜひともバガスを土に還元するように議会としても取り組んでもらいたいと強い要望があったのでございます。
そこで大体、バガスというのは、サトウキビの搬入量の4分の1はバガスとなります。ところが現行の沖縄では、バガスはほとんど燃料として燃やしております。もったいないことであります。
ことしの生産量が150万トンから160万トンとしますならば、約40万トン近くのバガスができます。ですからそれの方の必要な量だけいわば畑に有機質の椎肥として還元できないかということがどうしても急務かと思います。
私は、せんだって分工会の上江洲社長あるいは農業団体の松田善登中央会会長とも会いまして、今度のこの要請の中にはバガスの問題を取り上げてもらいたいということを申し上げ、結局これをやるためには製糖工場はボイラーとか設備の改善が必要でございます。あれは現在、バンカー、いわゆる重油を燃やしていますのでコストが幾らか高くなります。これを査定において、いわば農林省、大蔵省が認めてくれますならば、これは可能であるということでございます。
おわかりのとおり北海道の方ではビートをつくっておりますが、ビートのかすは家畜飼料として、その他の方法として農家に還元しております。ですから今度の要請におきましては、今の品質取引とも関連しまして、バガスが農家に返せるような運動をぜひとも強く訴えてもらいたいと。
これにつきまして県当局のいわばやるというような決意をお聞かせ願えればと思っております。
2番目に、サトウキビの根系の、わかりやすく言えば根ですね。根の張りぐあいのいわば観察施設をつくってもらったらどうかということでございます。
雑学になりますが、かつて熊本県の方でバラづくり日本一というのがありました。そこの方に行って見せてもらったわけでございますが、やはり日本一と名のつくからにはすばらしいバラ園でございます。
見とれておりますと、そこの農場主は、立派なバラをつくるためには立派な根をつくることですよと。だから自分の畑では1メートルほど穴を掘りまして、これは水道工事みたいにしてずっと掘っていくわけです。そこの方の下の方には有明海から取れるところの貝殻を敷き詰めると。その上にはいわば山の方からササ竹を集めまして、これを馬に踏ますそうです。向こうは馬刺の産地でございますから、牛よりは馬の方が効果があると。馬に踏ませた堆肥をその上に敷き詰めて、その後に腐植土をまぜながら土を入れてバラを入れると、立派な根ができれば立派な花が咲くということを説明しておりました。
それと関連しまして5、6年前、久米島は仲里村で反当たり24トンのキビが取れているのがあります。私は、その農家を訪ねていきましたら、こう言っていました。久米島高校の正門を改修して道路まで道をつくったそうです。自分の畑は湿地帯で水がたまるから、そばに石を積んで1メートルほど客土、埋め土したそうです。そこにキビを植えましたら、キビがうんと繁茂をしまして、「マジマリーン」といいますか、いわば折り重なるようにキビができたもので、共進会に出したら沖縄一になったということを言っておりました。
その両方のことを勘案しますと、植物というのはいかにいい根をつくればいい作物が取れるということを実証しております。
そのようなことから今現在、北部の方では試験場で熱帯果樹がつくられているし、中部の試験場では野菜、花がつくられています。肝心な、本場ではたくさんの試験研究をやっていますが、農家に売っているのはありません。したがいまして本場の中にこういうサトウキビとか、そういうものを根を観察できるような施設をつくってもらったら、と思います。
実は、台湾の試験場の方にはこれがあります。わかりやすく言いますならば、海軍ごうを想定してください。土の中に入っていきまして、両サイドにガラスを張ってあります。平生は暗くしておりまして、人がいるときに電気をつけまして、そうしますと根の状況がよくわかるわけなんです。ですから根をよくすることがサトウキビの増収につながると思います。
今、基盤整備は40センチでございます。しかしこれを50センチにした場合にはどうなるか、70センチの場合には茎はどうなるかということを、この根の観察と茎との因果関係がわかると思います。
次に、今、例えばサトウキビの古株の場合には根切りをし、そして中耕培土するというのが指導でございますが、ほとんどやられておりません。
サトウキビの北限と言われるところの種子島の方では、100%株出しの場合には根切りをして中耕培土しています。したがいまして、種子島の単収は沖縄の平均をはるかに上回っています。沖縄では現在やるところもありますが、平均して2割程度だと思います。それを農家にどのように理解させるかというのを、この施設の中でいわば根切り肥培管理したのとやってないのを見せることによってよく理解できるのではないかと思います。
わかりやすく説明しますと、盆栽とか植木の場合に、花を咲かす。その後にもう一遍取って根切りをして土を入れればまた新しいのが咲きますが、同じ理屈でございます。
それと施肥の問題、施肥を施して根が張ったところに肥料があれば養分として吸収しますが、根は向こうにいっているのに肥料はただ茎の方にですか、そこの方にまいていった場合には養分の吸収はできません。あるいは、ただ上の方にばらまいたりしています。その辺を理屈的にわからすために、根の観察ができる施設をつくってもらったらどうかと。
せんだって試験場に行って皆さん方と話し合いをしましたら、お金はかかるんだが必要ですと。今、平成4年とか5年とか予算要求と言いますが、沖縄農業の中でどうしても地力対策と品質が言われていますので、早急にそのぐらいの予算は強く訴えればできると思いますので、ぜひとも早急に根を観察できる設備をつくって農家に目に物を見せるというか、見てもらいながら、これからの農業の方向づけにやらすようなことをやってもらえばと、かように思うわけでございます。
これについて、ぜひとも県の対応についての御意見等をお聞かせ願いたいと思います。
次に、動物検疫所の問題でございます。
今、動物検疫所は古波蔵にあります。この動検は、かつて終戦直後、アメリカからララの贈り物で乳用ヤギが来たときに係留したことから始まります。その後、ヘレフォードという牛を入れたり、あるいはランドレースを入れたり、あるいはハイラインという鶏を入れたりしながら沖縄畜産のために大きく貢献してまいりました。
1回だけ昭和25年に馬が2000頭ほど参りまして、設備が入りませんので中城の方に一時係留地をつくりましてやったことがありますが、その後はこれは動検が管理しています。しかし沖縄が復帰しまして、動物検疫所は、現在、農林省の直轄業務となっています。
動検の機構としては横浜に本所がありまして、今、国内では成田と神戸、名古屋、門司、沖縄と5カ所の支所があります。最近、北海道の方でも、どうしても将来の国際化、自由化に備えて外国から優良品種を入れるという意味で千歳空港の近くに第6番目の係留施設、動検を誘致しようと今建築中でございます。
そして今、古波蔵の動検に行って思うことは、以前は川辺の僻地でございましたが、周辺には沖縄赤十字病院ができております。またアパートやマンションが立ち並んでいます。そういう中で動検の職員は大変苦労しています。多いときには230頭ほどの子牛が入ります。年間にしまして3000頭の動物が検疫を受けています。
御承知のように、動物検疫というのは、外国から悪性の伝染病を持ち込まないように一定期間中係留しましてそこで検疫をする業務でございますので、長いのは2週間ほど係留します。そこであれだけの家畜のふん尿を水で流すと国場川が汚染するし、そのままためておくと悪臭のもとになるという形で、石灰をまいたりいろいろふんを固まらす方法はないかなとやったり、涙ぐましい努力をしている現況でございます。
一方、赤十字病院の方では、動検の敷地の一部を譲ってもらってつくった関係で多くは言えませんが、風向きによっては大変でございます。
私は、赤十字病院にある患者の入院見舞いに行ったことがありますが、夏場は窓をあけられません。そういう患者の方々が窓もあけられないように、あの苦しんでいる状態は深刻でございます。ですから、動検の管理は国かもしれませんが、沖縄県としてももう少し立地条件を変えたらどうかと思います。
今、幸い県の方では那覇空港の沖合展開だとか、あるいは那覇軍港の民間移管という形で那覇港や空港地域の整備計画をなさろうとしています。そういうことでほとんどの動物が空輸で飛行機で入ってまいりますので、那覇空港の近くと申し上げたいと思いますが、その近くに動検を移転整備して沖縄の畜産振興ができないかということでございます。
国の予算のことではございますが、地元から要請することによって国の方も予算措置できるんじゃないかと思いまして、この現況からしまして、これについて強く訴えるものでございます。
それにつきまして、県当局の見解をお聞かせ願えればと思いまして、私の質問を終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 与那嶺盛男議員の御質問に対しましてお答えいたします。
バガスを有機肥料として土地に還元し地力の培養を図れという御提言がございましたが、お答えいたします。
バガスにつきましては、これまで製糖用燃料として利用されることを前提にしていることから、堆肥原料としての利用はバガス産出量のわずか2%から3%台の実情にございます。
しかしながら、サトウキビの生産性及び品質の向上を図るためには、土づくり対策が重要な課題でありますことは御案内のとおりであります。県としては、堆肥センターの設置を促進するとともに、製糖企業の理解を得ながら、堆肥原料としてバガスの確保が容易にできるよう農業団体とも連携して取り組んでまいりたいと思います。
次に、サトウキビ根系の観察施設について御提言がございましたが、お答えいたします。
サトウキビの研究に関しては多くの成果の蓄積がございますが、根系生理特性に関する研究が御指摘のとおり立ちおくれている現状にあります。そのため県農業試験場では、平成3年度を目途に作物根系実験施設を整備し、サトウキビ根系の発生、伸長、機能、分布等及び地上部の生産収量、品質との関係を解明し栽培技術の改善を図るとともに、農業者の参観、教育を含めた計画を進めているところであります。
次に、動物検疫所の移転整備についてお答えいたします。
農林水産省動物検疫所は、海外からの悪性伝染病の侵入を未然防止する目的で全国に5カ所の支所を設置し業務を推進いたしておりますが、1県1支部があるのは本県のみであります。
県内に同支所があることは、輸出入動物及び畜産物の検疫業務が直接県内で実施できるため、輸出入経費の軽減が図られ県経済に大きく貢献しているところであり、県としてもパックアップしてまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 あらかじめ通告した内容に従い一般質問いたします。
最初に、基地問題に関する知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
B52戦略爆撃機の嘉手納基地への一時移駐、恩納村における都市型戦闘訓練施設の建設等、相も変わらず基地問題が県政の最重要課題になっております。米軍基地は、県民が平和のうちに生存する権利を否定する存在であります。県は、観光立県を声高に叫び、世界に誇れるリゾート地の形成を振興開発の柱にしているようでありますが、基地の存在はそれらの目的達成の上でも最大の障害になっております。
恩納村民が村長を先頭に都市型戦闘訓練施設の建設に反対をしているのは、まさにみずからの生存をかけた崇高な闘いであり、深く共感するものであります。
そこで、知事にお尋ねいたします。
第1点、去る10月1日、私は現地を訪ねましたところ、都市型戦闘訓練施設はほぽ完成しております。本県議会は、3度にわたって建設中止を決議し、知事もその旨決意を表明いたしました。
県民世論を無視した米軍の工事強行に対し、知事は改めて強い抗議の意思を表明すべきだと考えますが、どうでしょうか御所見をお聞かせ願いたい。
第2点、施設完成後、同施設における演習や訓練の中止を求める考えはあるでしょうかお答え願いたい。
第3点、去る9月30日、都市型戦闘訓練施設の建設現場へ出入りした米軍車両によって恩納区の簡易水道管が損壊され、断水するという事件が発生いたしました。県は、この件について現場調査をしたことがあるでしょうか。調査をしたならば、その結果を明らかにしていただきたい。
その事件に関連して県警本部長にお尋ねいたします。
県警は、米軍車両による水道管損壊事件について、今日までどのような捜査をなしてきたか明らかにしてもらいたい。
第4点、知事は、本議会代表質問に対する答弁で、恩納通信所の早期返還を求めている旨の発言がありました。日米安全保障協議委員会で返還合意された恩納通信所に、つい最近、新たに鉄塔が建設されていることが判明いたしました。この鉄塔は、いかなる軍事機能を有するものか明らかにしてもらいたい。
次に、那覇軍港の天願桟橋への移転問題について知事に尋ねます。
天願桟橋は、在沖米国艦隊活動司令部海軍航空施設隊が管理をし、主に空軍、海兵隊の嘉手納弾薬庫地区への弾薬、武器類の搬入港として使用されております。かかる軍事機能を有する天願桟橋か、あるいはまた勝連町のホワイト・ビーチに那覇軍港を移設することが、アメリカ国務省と米太平洋軍司令部で検討されているとのマスコミ報道に接し、具志川市民は強い衝撃を受けております。
質問第1点、知事は過去2回にわたる訪米での要請の際、那覇軍港の移設先として天願桟橋を挙げたのではあるまいか、明確に答えていただきたい。
質問第2点、県は、那覇軍港の移設先について米国務省及び米太平洋軍司令部での検討状況を問い合わせをし、状況をつかんでいるでしょうか、お答え願いたい。
第3点は、現在、天願桟橋近くにマイアミ大学の分校設置計画が関係者によって進められております。大学と軍港は両立しないと私は考えております。具志川市議会も全会一致で天願桟橋への移設反対を決議しております。知事は、具志川市民の同決議に表明された総意をどのように理解をしているのか答えてもらいたい。
今どき軍港を歓迎する市町村はないと思いますが、どうせなら名議長の呼び声が高い勝連町出身の平良議長に責任をとって引き受けてもらいたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
質問第4点、自民党の大城真順参議院議員は去る5月11日、外務省の有馬北米局長に会い、那覇軍港の代替施設として天願桟橋で十分である旨申し入れております。全く余計なおせっかいで許しがたい発言であります。具志川市民は、これ以上の基地強化を望みませんし、現在進められている天願川のふるさとモデル事業計画にも反します。知事は、日米合同委員会における那覇軍港の移設先の検討状況について、速やかに情報収集するお考えはありませんか。
また、移設先について現在までに何らかの感触を得ておりますか、お答えいただきたい。
米軍司令官告発問題について質問いたします。
私を含む社会党・護憲共同県議団は、昨年10月24日、金武町伊芸区で発生した米軍演習場からの小銃弾流弾事件で、当時の在沖米4軍調整官ノーマン・H・スミス少将らを暴行、器物損壊、殺人未遂罪等で告発をいたしました。
過日、沖縄県警は、告発事件と関連してキャンプ・ハンセン演習場内の実況見分を実施したようでありますが、実況見分の目的、実施状況、実況見分によって明らかになったことを県民に明らかにしてもらいたい。
また、スミス少将は交代してしまいましたが、被告発人らの事情聴取はやったのか、これまでの捜査状況と今後の見通しについて明らかにしてもらいたい。
私の質問の4番目は、所有者不明土地の管理についてであります。
沖縄は、去る大戦で戸籍簿も土地台帳や公図、登記簿も全部消滅いたしました。そのために戦後、所有権認定作業が行われたことは公知の事実であります。
ところで、戦争で一家全滅し、または行方不明となり、あるいは所有権認定作業時にいまだ兵隊から復員せず、あるいは本土や外国に疎開していたために、土地はあるが所有者は不明というのが生じたのであります。これまた戦争がもたらした「ウチナービケーン」の深刻な法律問題であります。
そこで質問いたします。
第1点、現在、県が管理する所有者不明土地は何筆で、地積は幾らか、地目ごとに明らかにしてもらいたい。
第2点、県は、所有者不明土地の管理人として具体的にどのような管理行為をしているか明らかにされたし。
第3点、最近、県を相手に所有者不明土地の所有権確認訴訟を提起し勝訴判決を得た者が、過去の軍用地料収入1008万7897円を沖縄県に請求したところ、管理費用として853万2106円差し引かれたようであります。差し引いた管理費用の根拠は何か。管理の実態からすると不当利得と思われるが、どうでしょうか。
第4点、県は、所有者不明土地の管理者として真の所有者を発見するための具体的な手だてを尽くしているか。手だてを尽くしてなければ、管理費用はやらずふんだくりであると批判されても弁解できないと思うが、どうか。
第5点、最近、県が管理する保安林について真の所有者が所有権確認訴訟を提訴したところ、県は時効取得を主張しております。裁判所は原告の所有権を認めたのでありますが、県の時効取得の援用を認め、訴えを退けております。このようなケースにまで県が時効取得を主張するのは許されるべきではないと思うがどうでしょうか、知事の見解を賜りたいと思います。
次に、武徳殿の保存と財政問題について。
月刊沖縄社発行、佐久田繁編著「西銘順治研究」によりますと、知事は旧制水戸高校で柔道8段だったようですね。とても強かったんでしょうね。知事の得意わざは何でしたでしょうか。知事の得意わざについては、どの文献や記録にも見当たりませんでした。
昨年の産業まつりにおける知事の部下職員による親泊那覇市長の門前払い事件からすると、得意わざは払い腰かなと思いましたが、最近の長男順志郎氏の衆議院出馬の経緯に照らすと寝わざの横四方固めのような気もいたします。
実は、ほとんど知る人はおりませんが、私も前原高校で一時期柔道部員でありました。段位は3段ではなく、残念ながら3級でした。一度、武徳殿で行われた全琉新人大会に選手として出場いたしましたが、相手は強豪沖縄高校チームで、私は、試合開始の合図を聞き、相手の襟首をつかん
だ瞬間投げられておりました。青春のほろ苦き思い出残る武徳殿であります。
そこで、知事にお尋ねいたします。
第1点、武徳殿は、大日本武徳会沖縄県支部によって寄附金が集められ、昭和14年に建設されたようであります。県警構内にあった武徳殿は、つい最近取り壊されました。県民の間には武徳殿を保存せよとの声もありましたが、沖縄県はそのような県民の声にどのように対応されたのか。また武徳殿は保存に値する建築学的価値があったのでありましょうか、お答え願いたい。
第2点、武徳殿は無主物であると多くの関係者が述べておりますが、そのとおりでありましょうか。
一方で、武徳殿は県の所有であると私に管財課職員が述べておりました。県の所有であれば所有権の取得原因、取得時期、保存登記の有無を明らかにしてもらいたい。
第3点、もし武徳殿が民法上無主物であったとするなら、無主物に維持管理費用をかけ、その取り壊し費用を県が支出する財政法上の根拠を教えてもらいたい。
次に、家政婦紹介所と職安法問題について。
全国一失業率の高い沖縄にあって、職業紹介や職業指導、就職促進措置といった職業安定業務は県政の重要な仕事であります。
さて、高齢化社会の到来と老人人口の増加に伴って在宅並びに病院における介護、看護のありようがさまざまな問題を惹起し、職業安定行政にも影響を及ぽしております。既に県商工労働部職業安定課に那覇市内で看護婦、家政婦紹介を業とするA社から要望や苦情、窮状打開の申し立てがなされております。
そこでお尋ねいたします。
第1点、現在、県内にはどれぐらいの数の看護婦、家政婦紹介所があるかお答え願いたい。
第2点、それらの看護婦、家政婦紹介所における求職、求人の紹介件数について明らかにしてもらいたい。
第3点、かつてビル・メンテナンスを主たる営業目的に設立された会社が無認可で家政婦紹介のあっせんを営んでいたようでありますが、県当局もそれらの事実を掌握しておられますか。無認可業者の取り締まりの具体的な方策を講じておるかお答え願いたい。
第4点、現在、県内ではT家政婦紹介所が半ば独占的に病院へのあっせん業務をなしているようでありますが、県は実情を把握しておりますか。これは、家政婦紹介所の営業努力を超えた問題が潜んでおるやに思われますので、県当局はしっかり監視をしてもらいたいと思います。
第5点、南部のある病院では、看護部相談役の肩書きを持つ者や婦長らの職業安定法違反を疑わしめる職業あっせん行為が行われておるようであります。県当局も、A社からの苦情申し立てを受けて調査の結果、そのような事実を確認しているはずであります。
病院やその関係者が患者または家族の依頼により求人に関する情報を提供するのは許されるのでありますが、特定の家政婦紹介所を指名したり、職業あっせんまたは類似行為をなすことは違法であり厳に禁じられております。
県は、県内の病院に対して職業あっせんまたは類似行為がなきよう行政指導をするつもりはありますか、お答え願いたい。
最後に、アメリカ統治下における公文書の保存と公開問題について知事の所見を伺います。
この問題については、我が会派の友寄議員の代表質問に対し、知事は公文書館の建設推進を含めて意欲的な答弁がありました。
そこでお尋ねいたしますが、県は、公文書館の建設をいつごろをめどにして、現在、どの部署でどのような作業を進めているのかお答え願いたい。
以上、答弁をいただいた上で再質問いたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 照屋寛徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
都市型戦闘訓練施設について、その建設中止について申し入れる考えはないかという御質問がございましたが、お答えいたします。
県は、提供施設区域内であっても、県民の生活に影響を与えるおそれのある施設の建設については、その中止、変更を求めてきたところであります。
御質問の都市型戦闘訓練施設につきましては、これまで実弾演習を前提とした施設建設は再考するよう米軍及び国に対して要請したところであります。
しかしながら、米軍は、安全管理に向けて万全を期すとして県の意向にこたえていない状況でございます。
次に、恩納村における都市型戦闘訓練施設の建設工事の車両によるものと思われる簡易水道管の破損についての御質問がございましたが、お答えいたします。
送水パイプの破損について恩納村に照会いたしましたところ、去る9月30日午前9時半ごろ、恩納村内のキャンプ・ハンセン演習場第29ゲート付近で簡易水道用の送水パイプ、ピニールパイプでございますが、これが破損したとのことであります。
このことについては、現在、警察が調査中であり、県としてはその調査結果をまって対応を考えてまいりたいと思います。
欠損したパイプにつきましては、即刻修復いたしてございます。
次に、恩納通信所において新しい鉄塔が建設されている事実を知っているか。その時期と目的及び機能についてただされましたが、お答えいたします。
恩納通信所内に鉄塔が建設されていることについては承知いたしております。米軍に問い合わせましたところ、当該施設は、沖縄における米軍通信システム近代化計画の一環として建設された最新式の無線施設で、読谷村の瀬名波通信施設と八重岳通信所間の中継基地としての機能を有しているとのことであります。
なお、同施設の建設は昭和63年8月末に開始され、本年7月に完成したとのことであります。
次、知事は、那覇軍港を天願桟橋へ移設することについて米国政府に要請したのかという御質問がございましたが、これはいつでしたか、もう時期ははっきりいたしておりませんが、この県議会の場で、これは例えばの話ですよ、例えば天願桟橋等が考えられますということを申し上げまして田場議員からさんざんおしかりを受けたことがあ
りますが、これは例えばの話をここで申し上げただけでございまして、本当に那覇港の施設を天願桟橋に移すんだということについて米国政府にも米軍にも要請したことは一遍もございません。そういうことで御理解を賜りたいと思います。
県は、天願桟橋への移設について米国防総省や太平洋軍司令部に問い合わせてその状況をつかんでいるかということでございますが、御質問の件につきましては国防総省や太平洋軍司令部に対しまして照会をしたことは一遍もございません。
次に、日米合同委員会における那覇軍港の移設先の検討状況について、速やかに情報を収集する必要があるんじゃないかという御質問がございましたが、お答えいたします。
日米合同委員会で検討されている那覇港湾施設の返還については、常時、その情報収集に努めているところであります。
次に、所有者不明土地の管理につきまして4点にわたる御質問がございましたが、これにつきましては所管の部長から答弁させることにいたします。
武徳殿についての御質問に対しましてお答えいたします。
武徳殿は、昭和14年に大日本武徳会沖縄支部によって建設されております。
所有権については、戦前は日本武徳会沖縄支部にあり、戦後、大日本武徳会が連合軍当局の命令により解散させられたことから米軍の管理下に置かれ、一時、米軍の将校クラブとして使用されてきたのでありますが、その所有者は沖縄県とみなされておりました。
昭和24年に開放され、沖縄民警察部と法務部関係庁舎として使用してきたのでありますが、昭和34年に現警察本部庁舎が新設され琉球政府警察局が移転し、また法務部も他の庁舎に移転したことから、その後は警察武道場として使用してきたところであります。
復帰時点において県に返還されましたので、県有財産としてこれまで県警が維持管理し使用してきたものであります。
なお、武徳殿の保存については要請もございましたが、県庁舎建設基本構想に基づき、現在の敷地に行政、議会、警察の3棟を合理的に配置し、かつ県民広場を確保するなど機能的で緑豊かな新庁舎を建設するには、既存庁舎の撤去が必要であり、武徳殿についても保存要請の趣旨は理解しつつも撤去せざるを得なかったのであります。
県としては、武徳殿の現地保存はできなかったのでありますが、その価値を認識し、次の措置を講じております。
屋根がわら、小屋組みについては再建等有効利用ができるよう取り外しまして、県としては利用計画はございませんが、しばらく保管することといたしております。
設計図、透視図、模型を作成いたしまして記録保存をすることといたしております。
これに関する残された御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
次に、家政婦紹介所と職安法の問題について御質問が5点にわたってございましたが、これにつきましてはそれぞれ商工労働部長から答弁させることにいたします。
次に、公文書館の建設についての御質問がございましたが、教育長から答弁があろうかと思いますが、私からも答弁をいたします。
公文書館の建設については、現在、教育庁内で図書館、博物館の専門スタッフを中心に設置場所、設置形態、設置の時期等々について鋭意検討をいたしているところであります。
なお、本年度はその調査に要する経費を計上しており、近々に既設県の公文書館の組織、施設等について調査を行いまして、その設置に向けて具体的に検討を進めてまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 恩納村の水道管が破裂した事故についてお答えいたします。
この事故につきましては、本年9月30日午前11時25分ごろ、恩納村恩納区長からの通報により確知しております。警察では、早速捜査員を現場に派遣いたしまして実況見分など所要の調査を実施しております。
事故の発生は、本年9月29日から30日の間、現場は恩納村在キャンプ・ハンセンゲート29の東方約30メートルの農道であります。初動捜査の結果、大型車両による損壊事故と考えられますので、被疑者、被疑車両、発生状況など事案の詳細について現在捜査中であります。
次に、スミス4軍調整官らの告発事件の捜査経過についてお答えいたします。
これまでの捜査状況でありますが、昭和63年10月15日から25日までの間に金武町字伊芸内で9カ所から9個の弾丸が発見され、事件の端緒を得ると同時に、発見場所の実況見分、被害状況の把握、日本人関係者からの事情聴取、弾丸の検索、弾丸の鑑定など基地外においてなし得るすべての捜査を尽くしてまいりました。
一方、米軍当局に対しましては、レンジ6における射撃訓練状況、訓練に携わった関係人などにつき数回にわたって照会をいたしました。
また、本年8月18日に米軍基地内のキャンプ・ハンセンレンジ6において流弾事案に係る実況見分を実施いたしました。目的は、当時の訓練状況の再現であります。その結果につきましては、捜査の中身になりますので答弁は差し控えたいと思います。
それから、被告発人の事情聴取につきましては、事件の捜査全体の中で判断すべきものと考えておりますが、これまでに米軍当局に対しまして、この事案の被告発人に対する県警側の事情聴取に協力するよう繰り返し要請しているところであり、被告発人の一人であります在沖米海兵隊キ
ャンプ・ハンセン基地司令官アントニー・C・ジニー大佐については、刑事部長をして直接事情聴取をさせております。
また、その他の被告発人につきましては、既に米本国に帰っているため、米軍当局に対しまして極力沖縄県警側で事情聴取ができるよう要請中であります。
この事案につきましては、米軍当局に理解を求めながら忍耐強く捜査を進めております。今後、関係者からの事情聴取など捜査事項が残っておりますが、鋭意捜査を続けているところでありまして、できるだけ早く全容を解明したいと考えております。
○議長(平良一男君) 総務部長。
〔総務部長 石川秀雄君登壇〕
○総務部長(石川秀雄君) 所有者不明土地の問題についてお答えいたします。
まず最初に、筆数、地積、地目はどうなっておるかという御質問にお答えいたします。
県が管理している所有者不明土地は、平成元年3月末で1579筆、面積にいたしまして79万7746平方メートルであります。地目といたしましては宅地1万2631平方メートル、畑5万7425平方メートル、原野24万7359平方メートル、雑種地38万6296平方メートル、山林7万5844平方メートル、そのほか1万8191平方メートルとなっております。
このうち、457筆、面積にしまして2万9038平方メートルを貸し付けしておりまして、残る1122筆、76万8708平方メートルについては未使用となっております。
次に、管理及び管理費の根拠についての御質問がございましたが、お答えいたします。
所有者不明土地の管理につきましては、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第62条の規定により、当分の間、従前の例により県が管理することになっております。
また、管理費につきましては、沖縄県特別会計設置条例に基づき、所有者不明土地管理特別会計を設置してその管理に当たっております。
管理の内容といたしましては、土地を貸し付け、そして賃貸料の徴収業務、あるいは各市町村に対する広報活動、あるいは裁判等が出てまいりますので、その訴訟を維持するというのもございますが、管理の内容は以上であります。
次に、管理者として真の所有者探しにどう努力しているかという御質問にお答えいたします。
所有者不明土地の性質上、県としては一日も早く真の所有者に返還するため所在市町村に対して文書による協力依頼や啓蒙のためのポスターの作成配布、マスコミ等を通じての広報活動に努めております。
ちなみに、復帰時点で県が管理してきた総面積は1793筆、面積にしまして93万6891平方メートルでありますが、そのうち管理解除した実績は、平成元年3月末現在で214筆、面積にして13万9145平方メートルで、復帰の時点で引き継ぎました総面積のうちの15%が返還されております。
所有者不明土地については、戦後44年も経過しました現在、関係者も高齢に達するなど困難な状況にありますが、引き続き真の所有者探しに努力していきたいとこのように思っております。
最後に、県は、時効取得を主張してまで裁判で争うかという御質問であったかと思いますが、まず、所有者不明土地の係争事件については、その土地の性質上、県が時効取得を主張した事例はございません。しかしながら県有財産については、その財産が県民からの信託を受けた財産であるとの認識に立ち、それを常に良好な状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も有効的にこれを運用保持し適正な管理を行うべきだと考えております。
したがって、県有財産である土地の係争事件については、適正な県有財産管理の立場から、その所有の正当性を訴えるほかに時効援用まで含めた主張を行い、県民の負託にこたえてまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 家政婦紹介所と職業安定法問題について5点の御質問がございましたので、お答えをいたします。
まず、本県における民営職業紹介事業所の数は、現在15カ所が許可されております。
その許可職業を見ますと、看護婦、家政婦を対象とする紹介所が11カ所と大部分を占めており、ほかに芸能家及び配膳人を対象とする紹介所がそれぞれ2カ所許可されている状況であります。
次に、これらの看護婦、家政婦紹介所の年間の求人、求職及び紹介件数がございますが、11力所の看護婦家政婦紹介所のうち、本年5月に営業を許可された1カ所を除く10カ所の事業所の昭和63年事業年度における職業紹介等の状況は、求人件数3万6543人、求職件数1万8072人、就職者数3万5345人となっております。
次に、ビル・メンテナンス業者による無許可での家政婦の紹介あっせん行為に対する県の対応と無認可業者の取り締まりの方法についてただされておりますので、お答えをいたします。
あるビル・メンテナンス業者が、許可を受けないで病院に家政婦を紹介するとの情報を得たことから、本年2月に当該業者及び家政婦の紹介先の病院に対して実地調査をいたしましたところ、そのような事実があることが確認をされております。そのため県といたしましては、当該業者に対しまして職業安定法の周知徹底を図るとともに、違法行為の是正指導を行ってきたところであります。
なお、当該業者につきましては常時40名程度の家政婦が求職登録をしていたため、これら登録されていた家政婦を保護する観点から、即刻事業の禁止措置を行うことはせず、一定の期間を定めまして民営職業紹介事業の許可申請をさせる等の指導を行ってきたところであります。
その結果、本年8月29日、民営職業紹介事業許可申請の提出があり、職業安定所において受理されたところであります。
なお、無認可業者の取り締まり及び監督につきましては、新聞、雑誌等刊行物の記事、求人広告等に留意し、業者の団体等との連携を密にし情報の収集に努めるとともに、非違行為があると認められた場合には直ちに是正するための措置を講ずるところであります。
次に、特定の職業紹介所が病院への家政婦のあっせん業務を半ば独占的に行っているが、その実情と指導についてどのようにしているかという御質問にお答えをいたします。
家政婦紹介所のあっせんによる家政婦の就労延べ日数の合計は、年間約32万3500日であります。
御指摘の最も多く就労させた紹介所は約11万日で全体の34%を占め、有効求職者に対しても全有効求職者1659人のうち537人、32%を占めております。
なお、各紹介所に対する指導につきましては、定期検査、臨時検査等を強化し、引き続き民営職業紹介事業の適正な運営の確保に努めてまいりたいと考えております。
終わりに、ある看護婦、家政婦紹介所より、特定の病院が職業安定法違反行為を行っているとの訴えがあるが、県はその事実を確認しているか、またどのような指導を行うつもりかとの御質問にお答えをいたします。
御指摘のとおり、ある看護婦、家政婦紹介所より、特定の病院が職業安定法に違反する行為を行っているのではないかとの訴えがあることは承知をしております。この訴えに基づきまして事実関係を調査した結果、現時点では病院側で職業安定法に違反する行為があったことは確認をされてない状況にあります。
なお、県におきましては、昨年11月、県下の主要病院に対し、職業安定法の遵守について文書で指導したところでありますが、引き続き民営職業紹介事業が適正に運営されるよう指導をしてまいりたいと、このように考えております。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 基地問題で再質問いたします。
知事、恩納通信所の新たな鉄塔建設、これはただいまの答弁によりますと最新式の無線施設であるとこういうふうに承ったわけでありますが、そうであるならば、知事が早期返還を求めている行為とまるで逆行するわけであります。したがいましてこの件についてどうして県は、それらの建設の事実を知りながら建設中止を申し入れなかったのか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。
それから、恩納村の簡易水道の損壊事件でありますが、県は恩納村に照会するだけではなくして、また県警の刑事事件としての捜査結果をまつのではなくして、どうして基地渉外課の職員を現地に派遣をして現場調査をしたいのか、そのことを明らかにしてもらいたいと思います。
それから、県警本部長に再質問いたします。
既に伊芸区の小銃弾流弾事件で私どもが告発した被告発人の一人であるキャンプ・ハンセンの司令官アントニー・C・ジニー大佐を事情聴取をしたと、こういうことでございますが、スミス少将を含めて、既に帰国した被告発人に対してどのような具体的な手だてで米国政府に対して、沖縄県警での事情聴取に応ずるように努力をしているのか具体的に明らかにしてもらいたい。
もし応じなけれは、県警は、アメリカに捜査員を派遣をして事情聴取をするおつもりがあるのか、そのことを明らかにしてもらいたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
恩納通信所につきましては、アメリカに行って施設区域の返還を要請したわけでございますが、その中にも入っているわけでございまして、アメリカが中でどういう施設をつくろうとも、県の経済開発の上からどうしても返してもらいたい施設でございますので、引き続き返還について要請はしてまいりたいと思っております。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) お答えいたします。
被告発人の事情聴取につきましては、事件の捜査全体の中で判断すべきものと考えております。
ノーマン・H・スミス中将に対しましては、これまでの捜査の結果、現段階では直接に事情聴取をする必要はないと考えております。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 恩納村における水道の破損でございますが、これは即刻修理してございますので、別にそんなに悪い影響はないと思っております。
○照屋寛徳君 影響があるかないかではないですよ。
警察行政じゃなくして、なぜ県独自の調査をしないのかと。
○知事(西銘順治君) いや、だから県警でも調査しておりますから、その調査の結果をまって、それに基づいて対応しようと、先ほど答えたとおりです。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前11時21分休憩
午前11時23分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
宮城副知事。
〔副知事 宮城宏光君登壇〕
○副知事(宮城宏光君) 今回の簡易水道管の破損事故につきましては、確かに基地渉外課の職員あるいは公室の職員が行っておりません。
知事が答えたように、警察の調査をまっているということでございましたが、今、照屋議員から要請のありましたように基地渉外課の直接の担当者が行って対応すべきじゃないかという意見でございましたので、今後、そのことを留意して対応させていただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 その規制策については、知事は柔道3段の力を生かして、アメリカ軍を背負い投げするぐらいの気持ちで現場調査もスピーディーにやってもらいたいと思います。
○議長(平良一男君) 下地常政君。
〔下地常政君登壇〕
○下地常政君 それでは、通告に従い質問をさせていただきます。
順序は若干異なりますが、第1に基地問題についてであります。
ゴルバチョフ書記長の平和呼びかけにもかかわらず、アジア、特に日本周辺におけるソ連の軍備縮小は見るべきものがなく、ペレストロイカについても、改革を望まない保守派の抵抗によって権力争いが生じないという保証はありません。
さらにかつて、フルシチョフ時代の緊張緩和期にひそかに一方的な軍拡を行い、対米軍事優位に立つに至ったという過去の例もあり、現在のデタントが果たして本物かどうか懸念する向きがあります。
しかし、際限なく膨張を続けた軍事費の重圧、西側の自由と繁栄をかいま見た国民の高まる消費志向、また日米防衛分担ではないが、ワルシャワ条約加盟国に対するソ連の防衛費分担増額要求などソ連が財政上軍縮を余儀なくされ、西側諸国との共存を望んでいることは、それが戦略的なものであるかどうかは別として事実であると見てよいと思います。
ところで知事は、今回、クエール米副大統領と重要な会談を果たされ、基地に関して直接4項目を要望されました。これに対し、何ら具体的成果がなく、したがって過去2度にわたる知事の対米政府要請も意味がなかった旨の厳しい批判もあります。
しかしながら、一国の軍備は、その国の政治、経済、杜会問題が複雑に絡むものであり、当該国にその意に反してこれを縮小することを要請することは、山を動かすほど難しいことであります。
一自治体の首長が、直接世界最強の政府と軍備に関し交渉するということは、知事には大変失礼な表現になるかと思いますが、例えて申しますと、小回りのきかない巨大タンカーをモーターボート1隻で動かそうとするにも等しく、困難きわまりないことであります。
しかし、全く不可能ではないと思います。懸命になって船腹をこづいている小舟に、ブリッジにいる船長が気づいて何をしているのかを尋ね、意が通じれば力をかさないとは限りません。
そこで、率直にお伺いいたしたいのは、これまでマスコミで明らかにされた以外に、副大統領との直接会談を通して、席上、明確な言及はなかったまでも、言外に何らかの感触を得られたところがあるのではないかということであります。
これまで、国防総省のパターソン日本課長、国務省のジェス・A・ピアス日本担当官、米下院軍事委のアルマ・ムーア担当官らが相次いで来島し、そして今回の副大統領の来訪であります。これは米政府が、知事の再度の直接要請に対し、何らかの回答を出すため模索をしている兆候と見られなくもありません。
巨大なタンカーが、見た目にはそれとはわからないが静かに動き出そうとしている、そのように思えるわけです。
鳩山首相の訪ソ以来、30年余も膠着状態にある北方4島領土問題に関し、昨年7月の中曽根前首相の訪ソに際し、極めて巧妙な言い回しながら、ソ連側が2島返還に触れたことが伝えられております。
だからといって話が急速に進展するわけではなく、さらにこれから何年かかけ粘り強い交渉と駆け引きを続けなければなりません。
外交というのはそういうものだと思います。性急な対米交渉の果実論にこたえる意味でも、知事の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
ところで、私は、ここで基地問題解決に関し、一つの提案をいたしたいと思います。
御承知のように、観光分野においては観光キャラバンの派遣でかなり効果を上げています。アメリカは世論の国であり、世論が議会を動かし、さらに政府の対外政策に大きな影響を与えていることは、貿易摩擦に関し米政府が厳しい対日制裁措置を発動したことに見られるとおりであります。
そこで、沖縄の基地に関し、官民各界各層の代表から成るキャラバンを編成し、沖縄基地の実態に関する資料や写真等持参して渡米、各地を訪問して一大キャンペーンを展開したらどうかということです。
米ソの軍事均衡はそれとして、超党派の純粋な立場から基地の整理縮小、移設など過密化を解消する旨を強く打ち出し、各種機関団体に対するアピール、市民との対話、大都市での行進等を行います。
私たちが、この議場内で声高に過密基地の弊害を説き、知事が政府の弱腰に腹を立てられ、野党の皆さんが知事の対応を論難されても、果たしてそのうちのどれほどが国内はおろか、米軍、米国に報道、伝達されるでありましょうか。
節度ある、しかし粘り強い行動がいかに効果的なものであるかは、夢の東京直行便を現実のものにした宮古の人々のアララガマ精神に基づく行動の成果が、これを実証しております。
費用の点、参加者の人選、効果の有無、その前に国内でやるべきだなど問題点や方法論はあると思いますが、一考に値する提案であると思います。
これは提言であり、御答弁は結構ですが、一言、知事のコメントをいただければ幸いです。
2番目に、ポスト2次振計についてであります。
2次にわたる振興開発計画に基づく諸施策により、本土との格差是正は道路、港湾などハード面では相当程度解消されましたが、ソフト面の立ちおくれと自立的発展の面で多くの課題は残ることになりそうです。
しかし、祖国復帰とこれに伴う振興開発計画がなかったならば、沖縄の経済進展は大きく立ちおくれ、今、はるばる南米から県出身者が出稼ぎに日本に来ているように、県民の多くは本土はもとより、振興目覚ましいNIES諸国へ家族とも別れ別れになって出稼ぎに行くという構図になっていたことでありましょう。
3次振計の策定は、私たち県民の存亡をかけた重大な課題であり、平成元年度予算に盛られた調査費は、沖縄の現状の理解に立って政府がその策定をコミットしたものとして改めてその意義を認識するところであります。
ところで、県当局は、3次振計策定に向けて準備のスタートを切り、既に振興開発審議会を発足させました。
そこで、私見を交えて若千質問いたしますが、まず、審議会の目的と役割、そして計画確定までの手順と日程を明らかにしていただきたい。
次いで、計画策定の基本的な姿勢及び手法についてであります。
当然のことながら、計画には整合性と一貫性がなければなりません。となりますと、どうしても従来実績を重視するいわゆる実績主義をとらざるを得ません。
それはそれで結構ですが、しかし今、時代は情報化、国際化を迎え、民間においては沖縄を世界から、よりグローバルな視野でとらえ、あるいはマイナス面をプラスに転換する逆転の発想に立つなど大胆で斬新な着想や提言等がなされております。
もちろん、審議会には、これら民間の有識者も参加されることと思いますが、しかし行政サイドで策定し諮問した大綱案というのは、審議の段階では容易にその骨子を変えることはできず、したがってこれら新しい発想が反映されないおそれがあります。
よって、3次振計策定においては素案作成の段階から民間のブレーンを参加せしめ、自由闊達な討議を通じて新時代にふさわしい沖縄の将来像を描き、これに沿って大胆かつ実効性のある大綱が策定されるよう考慮されるべきであると考えますが、御見解を承りたいと思います。
次いで、サトウキビの買い上げ価格決定に向けての要請についてでございます。
本県農業の基幹作物であるキビについては、キビ作農家の経営規模が小さく、生産性も低いため価格政策に大きく依存し、再生産を確保してきております。しかし近年のキビ価格は、国際糖価の低迷、砂糖需要の伸び悩み等を背景にその上昇率が鈍化し、昭和58年来据え置かれてきた農家手取り額は、同62年度から2年連続引き下げられ、キビ作農家の経営はいよいよ厳しい状況にあります。
このような状況のもとで、サトウキビ農業振興基本政策確立大会においては、平成元年度キビ生産者価格は現行の農家手取り額を維持することで要請するとのことですが、その取り組みについて県の積極的支援を要望いたしますとともに、県の基本的姿勢をお聞きいたしたいと思います。
次いで、教育問題についてであります。
教育庁におかれては、本県教育の重要課題であります学力向上を初め高校における学科編成など教育に対する県民のニーズをくみ上げ積極的に施策を推進しており、また各人人生のすべての時期に、その欲するところに従い教育を受けられる生涯学習についても前向きに取り組んでおられることは、本県における人材育成の重要性にかんがみ、これを高く評価し敬意を表したいと思います。
さて、復帰後の所得水準の向上、余暇の増大、文化的、知的欲求の高まりから見て、新聞に報道されましたような単位調高校の設置は、生涯学習の場として地域社会の強い要請にこたえ、時宜に適したものと理解しているところであります。
以上申し上げまして質問いたしますが、最初に、学科改編との関連で、今回、宮古高等学校に理数科が設置されることになりましたが、その経緯とねらいは何か明確な御答弁をお願いします。
次に、生涯学習との関連で単位制高校設置について3点ばかりお尋ねいたします。
1つ、単位制は、何年度に、どこの学校へ導入されるのか。
2つ、教育の機会均等の立場から、どの地域からでも希望する方々が受け入れられるような体制になっているか。
3つ、学習を希望する人々に広く門戸を開くための条件整備は十分になされているか、以上お答え願います。
次に、離島問題についてであります。
離島県の中の離島にとって、航空網は緊要な生活基盤であります。
宮古圏域におきましては、第1次及び第2次振計において宮古空港のジェット化、多良間空港の設置、下地島空港の設置など航空交通体系が整備され、さらに地元の要請にこたえ、念願の東京直行便も実現しました。
そこでお伺いしてまいります。
1つ、宮古空港については、東京直行便の実現に伴い、その整備を重ねて要請してまいりましたところ、国、県の御配慮によりこれが実現を見ることとなりましたが、1つ、平成元年度の調査内容はどうなっているか。
2つ、平成2年度からB767型機の就航が計画されているが、これに対応する空港整備計画はどうなっているか、以上お答え願います。
フライト産業についてであります。
宮古圏域においては、東京直行便の有効活用と圏域内産業の飛躍的発展のため、農水産業を中心として観光関連産業の振興発展を図るべく、フライト産業開発青年会議を設置し取り組んでおります。しかしながら地域における資本力、経営力ともに乏しく、解決すべき課題が山積しています。
そこでお伺いしますが、1つ、制度資金の活用等含めて県としてどのように考え、今後どう対応していくか。
2つ、フライト農業産物として適当な品目の選定等を含めて、今後県としての対応はどうするか、以上お伺いします。
3つ目に、多良間空港についてでありますが、同空港はDHC型19人乗りの小型機が就航しているため天候の影響等受けやすく、住民生活が著しく阻害されております。
したがって、生活の安定及び島の活性化のためには大型機就航によるほかなく、これまで同空港の整備を強く要請してきましたが、その整備計画がどうなっているか、見通しをお伺いいたします。
以上、質問を終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 下地常政議員の御質問に対しましてお答えいたします。
クエール米副大統領との会談についての御質問がございましたが、お答えいたします。
米国副大統領が来県いたしましたのは、ニクソン副大統領来県以来36年ぶりであります。
今回、クエール副大統領が就任間もなくして来県したのを機会に会見し、新しいブッシュ政権の首脳である同副大統領に、過去に要請いたしました事項を改めて要請できたことは、それなりに価値があったものと思っております。
私は、副大統領が、私の要請したことについて真摯にこれを受けとめているものと理解いたしております。したがって代表質問でもお答えいたしましたように、何らかの成果が得られるものと期待をいたしております。
御指摘のとおり、基地問題は一朝一夕に解決できるものではなく、党派を超えて共通の課題として取り組む必要があると考えております。また、基地問題に対するキャラバン隊の派遣については、貴重な御提言として受けとめてまいりたいと思います。
次に、ポスト2次振計について、第3次振計の目指す沖縄の将来像についてお答えいたします。
沖縄県振興開発審議会は、沖縄県附属機関設置条例により設置された附属機関で、県の振興開発に関する重要事項について調査審議を行う重要な役割を担っております。
第3次振興開発計画策定に当たって、県民各界各層の意見を徴する立場から、先般、沖縄県振興開発審議会を発足させたところでありますが、追って専門的事項の調査審議に当たる専門委員を11月中に発令し、実質的な論議をお願いしたいと考えております。
今後の日程については、総点検の結果を平成2年5月に審議会に報告し、8月には審議会から総点検に対する意見書を建議していただく予定となっております。これを踏まえて、平成2年12月までには第3次沖縄振興開発計画大綱を決定したいと考えております。
次に、計画大綱案の策定に民間の意見等を反映させる手法については、各部局において、それぞれの関係団体等の意見を徴しつつ計画策定を進めるとともに、また審議会の各部会、専門委員会においてもそれぞれ課題ごとに自由濶達な論議をしていただくなど、広く各界各層の意見を反映した計画案づくりに努めてまいりたいと思います。
次、サトウキビ買い上げ価格の決定についての御質問がございましたが、お答えいたします。
本年度も農産物支持価格は、麦価が3.5%の引き下げ、米価及び葉たばこが据え置きされるなど厳しい環境にございます。
農業団体としては、これ以上農家手取り価格が引き下げられますとサトウキビ作経営が厳しくなることから、現行価格維持を目標に運動を行っているところであります。
県としては、これまで同様、適正な農業所得を確保し再生産が可能な水準に設定するよう鹿児島県と合同で要請をしてきたところでありますが、引き続きその基本姿勢に立って農業団体、市町村等関係者と連携いたしまして強力に要請してまいりたいと思います。
次に、宮古空港の整備計画概要について申し上げます。
宮古空港は、本格的ジェット機対応空港として昭和58年に滑走路2000メートルの施設規模で整備完了し、昭和59年2月に供用開始しているところであります。
63年度における同空港の航空輸送実績は約53万人で、全国44の第3種空港のうち、石垣空港、富山空港に次いで第3位の位置を占めており、将来の航空需要もますます増大することが予測されているのであります。
以上のような航空需要に対応するため、去る7月22日から、東京との間に小型ジェット機B737型機による直行便が開設されてきたところでありますが、さらに平成2年以降は、需要の多い夏の期間中は中型ジェット機による東京直行便が就航することが計画されております。
したがって、今年度は中型ジェット機導入に向けて施設の改良を行うための滑走路、誘導路及びエプロン等の諸施設の調査測量及び設計を実施しているところであります。
今後の整備計画についてでございますが、宮古空港は、中型ジェット機の就航により航空需要がますます増大するため、現在のエプロン、ターミナルビル及び駐車場等の施設が狭隆化し航空需要に対応できない状況が予想されます。
そのため、当面は、空港施設のうち、エプロン、滑走路等の改良を行い、本格的な整備については平成3年度からスタートする第6次空港整備5カ年計画、これは平成3年から平成7年までの計画でございますが、その中で中型ジェット機に対応した空港整備が実現できるよう国に要求してまいりたいと思います。
次に、フライト産業の育成についてお答えいたします。
宮古においては、宮古─東京間直行便の開設に伴い、地元の特産物を直接東京市場に参入することをねらったフライト産業の育成を検討しているようであります。
県としては、この構想は、地域産業の活性化を促進するものとして期待いたしております。
しかしながら、本土での特産品の販路拡大のためには新商品、デザイン及びパック等の開発、またそれらを開発するための人材育成が急務と考えられます。これらに対応するためには、中小企業庁で設置された無利子で長期融資の高度化貸付制度を活用した方が有効であると考えます。
今後、県としても、地元との連携を密にしながら、国と協力して同制度の活用を図ってまいりたいと思います。
農産物について、どのような品目の振興を考えているかと。フライト産業との関連でお答えいたします。
宮古地域の農業は、課題であったウリミバエの根絶を初め、国営かんがい排水事業の着工によるかんがい用水の確保、東京直行便の開設等農業生産条件の整備が進みつつあります。
今後は、園芸作物の振興を図るため生産体制の強化、栽培技術の向上等に努めフライト産業を推進することといたしております。
品目としては、野菜ではサヤインゲン、ピーマン、メロン、花卉は輪菊を中心に洋ラン、レッドジンジャー、トルコキキョウ、果樹はマンゴー、パパイヤ等、地元との協議の上振興策を講じてまいりたいと思います。
次、多良間空港の整備計画についてお答えいたします。
多良間空港は、49年7月に滑走路800メートルで供用開始を行っており、宮古及び石垣問にDHC6型機が就航いたしております。同機は小型機であるため、増大する航空需要に対応できない状況にあります。
多良間村の振興開発を図る観点から、YS11型機が就航可能た空港として整備するよう検討を行い、他の整備中の空港の進捗状況等も勘案しながら第6次空港整備5カ年計画に採択されるよう努力してまいりたいと思います。
以上です。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 下地議員の教育問題についてお答えいたします。
学科改編とのかかわり合いで、宮古高等学校の理数科設置の経緯とそのねらいについての御質問にお答えいたします。
宮古地区からは、自分の能力、適性、進路に応じて本島に設置されている公立高校の理数科や私立学校へ進学する生徒が年々ふえていることから、同地区の父母、教師、同窓会、地域社会から理数科設置の強い要請があったこと。この要請を受けまして、県教育委員会としては宮古地区における生徒がみずから学ぶ意欲を持ち、多様な進路に応じた学習ができるようにするため理数科を設置することといたしております。
なお、今後は、地域の要請にこたえるべく内容の充実に努めたいと考えております。
単位制導入と社会人受け入れの条件緩和に関する御質問にお答えいたします。
その1点目の何年度に、どこの学校へ単位制を導入するかにお答えいたします。
単位制導入の趣旨であります生涯学習の観点から、いつでも、どこでも、だれでも必要に応じて学習できる教育を目指して平成2年度から泊高校、北部農林高校、宮古高校、八重山商工高校の定時制課程及び通信制課程へ単位制を導入するため鋭意準備を進めているところであります。
2点目の教育の機会均等の立場から、どの地域からでも希望する方々を受け入れる体制ができているかにお答えいたします。
いつでも、どこでも、だれでも高校教育を受けられるように国頭、那覇、宮古、八重山のそれぞれの地区の高校へ単位制を導入し、各地区の学習を希望する方々のニーズにこたえるための準備を現在進めているところであります。
3点目の学習を希望する社会人への条件整備とのかかわり合いについてお答えを申し上げます。
高校教育を広く社会人にも開放するため、先ほど申し上げましたように4地区の定時制課程や、また通信制課程を置く高校に単位制を導入し、かつまた入学条件等の緩和を図りながら、さらに多くの社会人の興味、関心に応じて科目の履修ができますように、専修講座の開設に向けて現在鋭意努力をしているところであります。
以上であります。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前11時51分休憩
午後1時31分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
午前に引き続き質問及び質疑を行います。
宮城清順君。
〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 今月10月は、沖縄都市緑化月間であります。
私は、この本会議の代表、一般質問で、これまで何回となく緑の問題を取り上げまして、緑の創出を訴えてまいりました。折から緑化月間でもありますので、緑の問題に絞って質問をいたします。
今回は、さきに通告したとおり街路樹と害虫防除対策についてであります。
質問の中身につきましては、国道に関する事項が大半であるために実際の行政は国側にありますけれども、県土全体の緑化、都市景観の形成、そして観光立県沖縄づくりという観点から、知事初め県側も積極的に促進すべきであると考えますので、あえて質問させていただくことを御了解いただきたいと思います。
道路の緑化、街路樹、並木は、道路景観の形成を通じて私たちの生活に安らぎと潤いを与える。その効果ははかり知れないものがあります。道路緑化は、都市緑化の中核を占めるものであります。
私たち沖縄の道路緑化あるいは街路樹の植栽の現状を見ますと、国道、県道、市町村道ともに近年着実に進展してきておりますけれども、イマイチの感をぬぐえません。観光立県沖縄を目指す島づくりの上で、道路の完全緑化は焦眉の施策であります。
そこで、緑化が全く実施されてない国道329号の一部地域、国道331号及び332号の街路樹のあり方及び植栽、そして今、ヤシ類に多大な被害を与えているタイワンカブトムシ等害虫の防除対策を取り上げ、若干の問題提起や提案を含めて質問をいたします。
本県の緑化の指針として、沖縄固有の樹木とあわせて熱帯景観の創出という観点からヤシ類が注目され、街路樹としても植栽をされてまいりました。
ところが、このヤシ類が害虫の食害に遭い、多大な被害をこうむり、近年増加の傾向にあります。今や県全域にわたってヤシ類の被害が問題となっており、ヤシ類が今SOSであります。
このヤシ類の二大害虫として扱われているのがタイワンカプトムシとキムネクロナガハムシであります。
この二大害虫によるヤシ類への被害とその防除対策について、昭和63年度に沖縄総合事務局南部国道事務所が検討を行い、昨年に調査報告書を出しております。これがその報告書であります。(資料を掲示)
また、私たち公明党の沖縄グリーン会議も各地の被害視察を行ってまいりました。
ここで、タイワンカブトムシ及びキムネクロナガハムシについて、若干この報告書をもとに述べてみたいと思うのであります。
ヤシ類の二大害虫であるタイワンカブトムシ、これは台湾からヤシ類に付着をして持ち込まれたであろうと言われております。
タイワンカブトムシは、主としてワシントンヤシ等を初めとする国道331号などのヤシに大きな被害が見られます。また各地の植物園あるいは公園、あるいはリゾートホテル等にもかなりの被害が見られております。
キムネクロナガハムシは、これも台湾からのヤシ類の移入によって持ち込まれたんじゃないかというようなことが言われております。
これも国道58号のココヤシや、あるいは330号のダイオウヤシ等にも被害がもたらされ、全県的に今被害の分布があるようであります。
このタイワンカブトムシとキムネクロナガハムシの大きな違いは、タイワンカブトムシは発生源が堆肥やバガス等のいわゆる有機物の中に産卵をして成虫になって飛翔してヤシ類の葉肉部に侵入するというようなことであります。
また、キムネクロナガハムシも、これは発生源はヤシの新葉部でありますけれども、発生源と被害場所が同一でございます。
先ほどのタイワンカブトムシは、発生源と被害場所が全く違うというようなことでありますので、これまで総合事務局あるいは各地の民家におきましても防除対策を行ってまいりましたけれども、適切なる薬剤の効果があらわれておらずに、今大きな問題となっているのでございます。
これがタイワンカブトムシでございます。(資料を掲示) 右側のタイワンカナトムシ、左側の小さいのが、これはキムネクロナガハムシであります。これがいわゆる現在のヤシ類の二大害虫とされているのであります。
これは、キムネクロナガハムシは非常に小さい。8ミリから10ミリぐらいの大きさであります。ひとつこれをぜひとも知事初め皆さんにしかとごらんいただきたい。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後1時37分休憩
午後1時38分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
○宮城清順君 我が党も各地の被害調査をやってまいりました。
ここに写真のスナップにしてあります。これは各地のヤシの被害の状況をスナップで撮ったものであります。(資料を掲示)
その中でも特に最近わかったことですけれども、タイワンカブトムシによる被害が八重山にありますヤエヤマヤシ、これは国の天然記念物として指定されているヤシであります。これもつい最近、被害に遭っているということがわかりました。このように各地のヤシが相当な被害を受けているということであります。
それで問題は、これからの防除対策でありますけれども、先ほど申し上げましたように国道に関しましては沖縄開発庁・総合事務局の南部国道事務所がこれまで一生懸命やってまいりました。しかしながら先ほど申し上げましたようにタイワンカブトムシは、発生源と被害場所が異なるということで非常にこれは現在のところ撲滅に関しては困難ということであります。
こういうことからして、今後の防除対策、これはどうしても県が中心となってやっていかなければならないんだと、このように思います。
県では、昭和55年度に防除組織体制をつくったのでありますけれども、実際には十分に機能していないという現状のようであります。これでは十分な防除対策が不可能と言わなければならないと、この報告書も報告しております。
そこで、次の3点についてぜひとも知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
この二大害虫であるタイワンカブトムシ、キムネクロナガハムシからヤシ類をどうしても守らなければなりません。そのためにはまず、この2つの害虫を森林病害虫に指定して防除対策に本腰を入れて取り組むべきであると考えます。御方針を賜りたい。現在、森林病害虫については、沖縄では松くい虫等が中心であります。
2番目に、県の防除組織体制を強力に機能させるべきではないか、どう取り組まれるか御方針を示していただきたい。
特にタイワンカブトムシの防除対策は、キムネクロナガハムシよりも困難なようであります。その研究体制あるいは研究機関の強化こそ、まず急ぐべき施策であります。
これはサトウキビなどの農産物への加害も確認されたとの報告もあります。これら農産物への転換、あるいは被害も予想されております。そうなれば一大事であります。その前に本害虫の蔓延を防ぎ根絶に向けて努力すべきではないだろうか、御所見を伺いたいのであります。
次に、南部国道事務所直轄内の国道で特にタイワンカブトムシの被害が最も大きいのは、331号の佐敷町―新里であります。これは昭和42年から44年に琉球政府が植栽をされたのであります。このワシントンヤシ並木は、県下でも名物として大いに珍しがられたところであります。
ところが、今や、申し上げましたようヒタイワンカブトムシの食害に遭いまして大半のヤシが枯死木または被害を受け、そのさまは無残としか言いようがありません。
ここでちょっと南部国道事務所の調査をもとに説明しますと、例えば被害の度合いでAランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクと設けてあります。(資料を掲示) Aランクというのは比較的健全なヤシであります。これは約5.6%しかありません。数量にして55本であります。Bランクが大体、枯れ葉の6%から20%ぐらい。これは薬剤を使用し、あるいは肥培管理をすれば回復が可能であるということであります。これが13.4%。それからCランクは、これも大体21から40%の枯れ葉の状態、これは15.6%。Dランクとなりますと大体41から70%の枯れ葉、これは回復しても長期にわたって被害が残るということであります。
問題はEですね。これは現在、70%以上の枯れ葉の状態、これは薬剤散布をしても回復が不可能であると。枯死木として扱われております。
それ以外に既に撤去された所、いわゆる空升、これが現在23.3%。それでEクラスと現在もう撤去された空升の部分を合わせますと約51%、498本が現在この国道で被害をこうむっているという現状であります。
本員が去る10月1日に調べますと、空升が既に28.1%、1年間で約50本ぐらい撤去をされております。現在、977本を植えたのでありますけれども、約半分のヤシが枯れ、または撤去されて今空升になっております。
こういう現状からして、このヤシ類の今後の問題は、このヤシをどうするかということであります。これは成長が非常に著しいためにだんだん高くなりまして、それを植えてから20年になりますけれども、薬剤散布もリフト車が届かずに大変困難を来していると。台風に弱く、葉が折れて、あるいは事故を引き起こしかねない。そういうことからしましてこの331号、これまで大変親しまれてまいりましたけれども、もう街路樹としての役割が甚だ低下している。
そこで本員は、これを他の樹木、特に沖縄固有の樹木、例えばホルトノキなどへの植栽転換を図ったらどうかと提案をしたいのであります。御所見を伺いたいと思います。
それから次に、国道329号の植栽であります。
これは私が62年の9月議会でも訴えました。旭橋─与那原間においては、現在街路樹が一本もありません。さらにそれを延長しますと中城村の津覇小学校前まで約15キロ、この間は街路樹が一本もございません。
確かに、以前答弁があったとおり歩道幅が非常に狭いというような事情もありますけれども、しかしながら街路樹が一本もないということはやはり寂しいのであります。ですからポイントポイントに植栽可能な所、例えば交差点、旭町ロータリーあるいは古波蔵交差点などでは現在升はありますけれども、植栽がされておらずにそのまま雑草だけが生えております。あるいは南風原町兼城の十字路、そして津覇小学校前までの間の植栽は可能な所が、ポイントポイントに何力所かあるだろうと思います。
以上踏まえまして、ぜひとも国道329号のこの間の植栽を、県として国に総合事務局に強くひとつ申し上げて、早く実現できるように取り組んでいただきたいと思います。御方針を伺いたいと思います。
それから、先ほど言った国道331号のヤシの部分から佐敷町新里─与那原町交差点間、この間は約4.3キロでありますが、現在、琉球銀行与那原支店から約300メートルの商店街、これは現在イスノキが植栽されております。しかしながら約4キロの距離は、これも街路樹が一本もありません。知事もその間をよくお通りになるかと思いますが、ぜひとも早期に植栽をして国道としての景観をひとつ創出していただきたいと、御方針をいただきたいと思います。
最後に、国道332号那覇空港─垣花交差点間、これは現在、私たち沖縄に訪れる人々の玄関口であります。この間約2キロでありますが、現在、ワシントンヤシ、そしてトックリヤシモドキ、ナンヨウスギの3種が主体であります。この間のワシントンヤシも現在タイワンカブトムシの被害を受けているとの報告があります。
これが空港通りのヤシであります。(資料を掲示) 先ほど申し上げました佐敷町─知念村間のワシントンヤシ、これは知念村久原であります。
そういうことからして、特に空港通りは街路樹の植栽、これは沖縄らしさを緑化の面でも出すということで熱帯植樹のみならず、ぜひとも沖縄固有の樹木を植栽して沖縄らしさを創出していただきたい。例えばリュウキュウマツなども適当かと思います。あるいは十分なる植栽の升なども可能でありますので、この点もひとつ実現に向けて取り組んでいただきたい。
以上、質問を終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城清順議員の御質問に対しましてお答えいたします。
街路樹と害虫防除対策についてただされましたが、タイワンカブトムシ、キムネクロナガハムシを森林病害虫に指定し、防除対策に本腰を入れて取り組むべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
ヤシ類の害虫であるタイワンカブトムシ等の森林病害虫指定については、その被害地域が森林でないため森林病害虫等防除法上指定は困難でありますが、その防除については強力に取り組む必要があると考えております。
次に、県の防除組織体制を強力に機能させる等、これからの取り組み方針を示してもらいたいと御質問がございましたが、お答えいたします。
総合的な防除対策については、昭和55年に国及び県等の関係機関で構成するヤシ類の害虫防除対策本部を設置し、その本部を農林水産部に置き、被害が発生した場合は所轄の関係機関は、対策本部に対し被害及び防除措置の報告をするようになっております。組織が十分に機能していない
のは御指摘のとおりであり、組織の機能強化について検討してまいりたいと思います。
次に、防除のための研究体制、研究機関を早急に強化し、農作物への加害を未然に防ぐべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
タイワンカブトムシ等の防除については、県の林業試験場において既に薬剤による防除方法等も大方確立されており、蔓延防止のために関係機関と連携を図り防除技術の普及に努めてまいりたいと思います。
次に、国道についての植栽転換についての御提言がございましたが、お答えいたします。
道路緑化を進めるために、県においては昭和58年度に沖縄県道路緑化基本計画を、一方、国においても昭和61年度に道路緑化基本計画書をそれぞれ策定し、計画的に道路植栽を実施しているところであります。
県においては計画策定後、リュウキュウマツ、イヌマキ、アカギ等の郷土樹種を主として107万本、事業費36億円の植栽を行い、我が国唯一の亜熱帯県として南国的なイメージの創出に努め、県民からも親しまれているところであります。
御指摘の国道331号、329号、332号の植栽については貴重な御提言であるので、県としても関係機関と協議の上、道路管理者である国に実現方を要請してまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 宮城清順君。
〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 知事、この森林病害虫の指定ですけれども、知事、今、松くい虫は指定されて全県的に国の補助もいただいてやっているわけですよ。ただ森林でないからという理由で、果たしてできないのかどうか。これは今、全県的に蔓延をしているということなんです。ですから、できるように取り組んでいただきたいと。ひとつ御答弁いただきます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
〔農林水産部長平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) ヤシ類の被害等については、その防除を徹底する必要があるという認識でございますけれども、森林病害虫等防除法によりますと、森林の保全を図ることを目的として病害虫を指定しますよということになっておりまして、したがってこれは街路でございますので、森林の体系をなしていませんので、その森林病害虫等防除法に規定するところの森林病害虫としての指定は難しいと、こういうことでございます。
したがって、松くい虫のように森林病害虫としての指定というのはできませんけれども、防除技術等については既に試験場あたりで試験結果が確立しておりますので、その普及徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○議長(平良一男君) 伊波栄徳君。
〔伊波栄徳君登壇〕
○伊波栄徳君 「山死して国栄え村滅びる」と、この言葉がマスコミで報じられておりますけれども、今まさに沖縄を象徴するような言葉ではなかろうかというふうに私はとらえております。
余りにも、米軍による基地から派生する被害あるいは事故、事件等が私たち沖縄県民を滅ぽしていくのではなかろうかというふうに懸念するものであり、またそうさせてはいけないということは、私たちの責務ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
去る26日の新聞報道によりますと、過去3カ年間の米国関連の主な事件、事故等が列記されておりますけれども、40件でございます。本当に他府県に比べまして私たち沖縄が余りにも日米安保、地位協定、そして国の平和のためにと知事も日米安保繁栄論を言われておられますけれども、その陰には村が滅びていくと。ただ、沖縄が文化や産業のために国あるいは世界に貢献するならばいいわけでございますけれども、軍事演習のためだけに使われると。よく政府の高官なりが軍事基地としてかなめであるということを聞かされるわけでございますけれども、そのときに私たちは心が痛み、あるいはまたそうさせてはいけないとい
う大きな勇気を奮い立てていくわけでございます。
私、この3年間に起きた事件の中からも、特にこういう、読谷に文書が来ておりますけれども、先ほど知事にお渡しいたしましたけれども、米国陸軍第10地域支援軍司令官、読谷村長山内徳信。1988年4月26日火曜日、午前8時15分、古堅小学校付近を飛行したヘリコプターの物すごい騒音で朝礼が中断されたことに対し、深くおわびを申し上げる。ちょっと略いたしまして、私自身、先生方を尊敬しかつ教育制度を尊重いたしており、生徒たちに動揺を与えたこの事件を申しわけなく思っております。私は今後、このような事件の発生を防止するため可能なあらゆる措置をとることをお約束いたします。ジェームス・H・グロス米国陸軍中佐、司令官でございます。
こうして言葉巧みに文書でも約束をするというふうにやりますけれども、去る14日にはまた同じことを繰り返していると、これが沖縄の現実であります。
もう信頼できない。文書で、あるいはロ頭で、いろんな事故、事件を起こしましたときに、申しわけありませんと。再びそういうことがあってはならないということを申し上げますけれども、現実としてはこれの繰り返しであるわけでございます。
そういう意味におきまして、ぜひともこの基地問題については被害あるいは事故等、特に知事に申し上げたいことは、これは恩納村長が要請しておりますときに、県の村山盛敏知事公室長に対して、知事は自分の目で確かめて地域の生の声を聞いてもらいたいというふうに訴えているわけでございます。それからいたしますと、ぜひとも知事は現地を身近に確かめながら、百聞は一見にしかずと、あるいはひしひしと、いかにその地域住民の方々が基地被害に対して恐怖におののいているか。そして将来に対する展望がどうなのかと、大変心配をしているわけでございます。ぜひ知事、一度は現場に事件、事故が出ましたときには早速知事みずから出向いてもらって、その善処策をお願いを申し上げる次第でございます。
そこで質問をいたします。
過去、沖縄において起きました米軍による事件、事故等の発生件数はどういうふうになっているのか、お知らせをお願い申し上げます。
それから関係機関、特に市町村あるいは地域住民から県に対して、米軍にこういう抗議をしていただきたい、こういう要請をしていただきたいという件数は幾らになっているのか。
また、それはどういうふうに処理をしているのか。ただ、来ておりました、こういうふうに報告しているのか、きちっとしたものをなされているかどうかをお尋ねいたします。
次に、個々の事件、去る26日に米国のクエール副大統領が見えましたけれども、そのときにこの事件、事故に対して抗議をなされたのか。あるいはその善処方をしたのかどうか、お尋ねをいたします。
それから2番目に、軍事基地の返還でございますけれども、よく日米安保繁栄論を唱えるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、軍事目的のためにしか沖縄を使えないというときに、文化あるいは産業の面であるならば、私たちは同じ国民としてその県土を提供し、ともに繁栄するということも理解できるわけでございますけれども、国の面積の0.6%、そして県土の11%、75%の専用基地があるということは、まさに基地目的、いわゆる剣で平和を守れないと。剣で平和を守ろうとするときには、剣で滅ぽされるんだと。この軍事目的のための基地は撤去させる意思はないかどうか、改めてお尋ねを申し上げます。
次に、沖縄県軍用地等地主連合会徳元会長は、第38回定期総会のあいさつで、県を初め市町村においても基地整理縮小を盛んに叫ばれております。また、政治に携わる皆さんもよく整理縮小を唱えております。ちょっと外れまして、契約書第5条、15条からして言論の自由社会ですからと言って、他人の財産をどうでもよいという発言では関係地主にとって甚だ迷惑である、こういうふうに関係の地主会会長はあいさつをなされているわけでございます。
そこで知事が、整理縮小を重点施策として位置づけをしておりますけれども、その軍用地等地主会とのお話し合い、あるいは調整等をなされたかどうかお尋ねをいたします。
それから3番目に、市町村の返還要求区域につきましては、これはどうしても県土の立場から、県としてアメリカやあるいは国に対して主体的に返還をさせるように取り組むべきであると思いますが、いかがでしょうか。
それから交通体系上、どうしても整備の必要な基地内の用地については、何をさておいても、これは三者協議会の中においてでもいいですから、このことだけは返しましょうと。これは交通体系は皆様方御承知のように大変重要な、あるいはまた緊急かつ必要なところでございますから、そのものを計らっていただきたいというふうに思うわけでございます。
3番目に、道路占用についてでございますけれども、道路はその本来の交通機能のほか空間機能、そして電気、通信、上下水道等のライフライン施設を初めとする多様な物件施設を道路の上下にわたって収容しているのが現実であり、今後も従来に増して複雑かつ多様化することが予想される。
そこで、道路の上空における通路の占用許可について建築基準法第40条第1項のただし書きの許可、消防法第7条の同意、道路法第32条第1項または第3項の許可、道路法第26条第1項の許可が必要であり、関係者の連絡協議会を設けて安全上、防災上、衛生上、その他都市計画的な見地からいろいろ問題が多いので、設置場所、位置等について慎重に検討するのが望ましいというふうに言われているわけでございます。
そこで最近、2カ年か3カ年になりますけれども、県道沖縄嘉手納線の嘉手納飛行場第3ゲート寄りの陸橋について、これは特別に国のものについては国との協議が必要ということになっておりますけれども、どのような理由で設置をなされたのか。特に交通が頻繁になり横断者に危険を与えるからということで通常的には考えられますけれども、向こうの第3ゲートは基地対基地のために陸橋をつくっているということは、余りにも軍事優先ではないのかどうか、お尋ねをいたします。
それから2番目に、警察署長や、あるいは消防長等の意見も聴取をなされたのかお聞きをいたします。許可に当たり、特に条件等が付されているかどうか。
それから、地上高というのが普通、陸橋あるいは歩道橋にはありますけれども、それも表示されてないというのが現実でございます。表示の件について御答弁をお願い申し上げたいと思います。
次に、慰霊の日の休日についてでございますけれども、知事の意思は私の胆石よりも余りかたくなり過ぎているというふうに思っております。いわゆる制限列挙条項というものだけで、どうしても存続はできないということをおっしゃっておりますけれども、例えばこれは59年の9月定例
会でございますけれども、そのときに、地方公務員法第3条第3項第4号において、いわゆる沖縄県特別職の秘書の職の指定及び定数に関する条例の制定のときに、我が党の友寄信助、そして社大党の城間盛栄議員、共産党の古堅実吉議員がこの問題についていろいろ聞いておりますけれども、一般職にするか、あるいは特別職にするか、これは自由裁量であるというふうに答弁をいたしているわけでございます。
ここで知事の答弁を読み上げてみたいと思います。
「それから1979年4月知事が長男を秘書に任命した際にも県政を私物化するという政治姿勢だと批判された云々とありますが、複雑な行政機構、行政処理に当たっては法律、条例、時には条理、慣習等によって処理しなければならないことは当然のことであります。」と。
これは、同じ地方公務員法の解釈の中においても、今、慰霊の日の存続については多くの県民の方々が習慣、条理、道筋からしても存続をすべきだというふうに私はとらえておりますけれども、次の点についてお尋ねをいたします。
いわゆる条例の制定、改廃の必要性、条例の制定権については各自治体、世論によって制定、改廃するのが地域の利益につながると思料されるが、知事の見解を求めます。
それから、慰霊の日休日の存続については、市町村、民主団体、市民団体、マスコミ等を通して私の知る限り90%以上の県民が存続を希望していると思いますが、知事として何%ぐらい存続を希望しているととらえているのか、お尋ねをいたします。
それから、リゾート開発について問いだけを申し上げます。
現在、リゾート地として開発の計画策定、あるいは構想されている県内の箇所は何件でございますか。
県と事業主、市町村が具体的に調整作業が進んでいる件数と場所はどこですか。
リゾート開発と地価高騰の対策がありますかどうか。
4点目に、県内の基地の整理縮小について1985年、1988年、今回の米副大統領への要請以外の基地内にもリゾート開発地として必要な区域の要請を受けて調査、計画をなされている場所があるかどうか、お尋ねをいたします。
それから、農畜産物の振興についてでございますけれども、キビにつきましては先ほど与那嶺議員さんからもありましたけれども、今、農家にとりまして、生産農家の方々は大変不安を抱いているわけでございます。
そこで、本県の農業基盤整備事業の目標と実績はどうなっているのか。
キビ生産者価格についての見通しについて、どのように推移をしておられるのか。
生産条件整備が不十分な現実において、品質取引の移行によりキビ作振興に影響を与えないか。
それから、芋の生産についてでございますけれども、まず私がびっくりいたしましたのは、沖縄の芋が私たち、野国総官あるいは儀間真常が沖縄の飢饉を救った芋でございますけれども、現在生産高が、鹿児島から移入しているのが577トン、全生産高の83.9%、金額にいたしまして1億280万9000円、そして宮崎、熊本、茨城、愛知、長崎、高知、千葉、大分、これを県外の合計いたしますと688トン、1億1802万7000円。じゃ、県内でつくっている高はどうかと申し上げますと168トン、金額にいたしまして1575万円というふうな比較を見ましたときに、いかに芋が減収されているのかということが言えるわけでございます。
1億余りも県外から移入しているということは、私は、これまでの私たちの食生活あるいはまた必要として盛んでありました芋についてもう少し見直す必要があるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
その原因として病害虫でございます。これは大体沖縄の42%しか商品価値のあるものをつくれないと。それはアリモドキゾウムシ、イモゾウムシの病害虫対策がなされてないということになるわけでございます。
そこで、芋の栽培面積の減少の理由は何であるのか。
イモゾウムシ、そして病害虫の対策があるか。また研究はどうなっているか。
それとアドバンテージ粒剤に対して補助をする考えはないか。
加工食品用として主産地を形成する考えはないかどうか。もし知事が基地撤去、芋の生産あるいは主産地形成ができるならば、儀間真常や野國總官より県民からあがめられる政治家となられると思います。この点、基地撤去、芋の振興をお願い申し上げます。
関連質問でございますけれども、我が党の代表質問で先ほどの水道の調査がありましたけれども、環境保健部は既に調査を終わっておりますけれども、その担当の方々が施設局の許可を待つなどということになっておりますが、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
以上、終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊波栄徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
軍事演習とその被害についてただされましたが、お答えいたします。
抗議、要請の件数についてお答えいたします。
米軍関係の事件、事故についての陳情、要請、決議等の件数を昭和63年で見ると51件となっております。陳情等については、関係部局で検討し国や米軍に要請いたしております。
次に、軍事演習とその被害について個々の事件、事故について米国副大統領に抗議要請をしたかという御質問にお答えいたします。
米軍基地に起因する種々の問題については、これまでも日米両政府に対して要請しているところであり、先ごろ来県いたしましたクエール米副大統領に対しても同様の要請を文書で行ったところであります。
次に、軍事基地の返還について。
県民に被害を与え、軍事目的のみに利用されている基地は撤去させるべきではないかという御提言にお答えいたします。
御承知のとおり、本県の米軍基地は、日米安全保障条約及びその関連取り決めに基づいて条約上の義務として国が米国に提供したものであります。しかし、本県の振興開発を推進する上から支障となっている施設区域については、従来からその返還を要請しているところであります。
次に、基地の整理縮小について沖縄県軍用地等地主連合会と調整しているかと。お答えいたします。
基地の返還については、沖縄県軍用地等地主連合会とは直接調整はしておりませんが、各市町村で構成している沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会、いわゆる軍転協でございます。軍転協を通じて返還要求リストが提出され、これを受けて国に対して返還を促進しているところであります。
次、市町村の返還要求区域については、県が責任を持って国や米軍に交渉し解決すべきと思うがいかんと、知事の見解をただされましたが、お答えいたします。
沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会からの返還要求施設については、昭和62年、那覇防衛施設局長あて要請したところであります。
また、クエール米国副大統領の来県に際しましても、2度の訪米要望事項の実現を改めて要請するとともに、市町村長等からの返還要望施設についても別途要請をいたしているところであります。
次に、交通体系の上で整備の必要のある基地内の用地については無条件に返還されるべきであるが、県として要求している場所があるかとただされましたが、お答えいたします。
道路は、県民生活の向上、産業の振興を図る上で最も基本的な施設であります。そのため道路交通体系を確立する上で必要とする基地内の用地については、県としても那覇防衛施設局並びに米軍と積極的に調整を図り、返還を受けて道路の整備を推進しているところであります。
現在、返還要請中の県道としては、宜野湾北中城線拡幅事業に伴うキャンプ瑞慶覧地内の宜野湾市伊佐から普天間までの区間及び県道26号線の沖縄市白川地内の白川橋橋梁整備事業に伴って新たに必要とする嘉手納弾薬庫の用地について、那覇防衛施設局に対し返還申請を行っているところであります。
御参考までに宜野湾北中城線は、63年3月1日に返還申請をいたしております。白川橋は、平成元年9月29日に返還の申請をいたしております。
次に、道路占用についてお答えいたします。
県道沖縄嘉手納線内に設置されている米軍基地間を結ぶ横断歩道橋の道路占用についての許可条件、国との協議関係、地上高の表示はどうなっているか。お答えいたします。
県道沖縄嘉手納線の横断歩道橋設置に係る道路占用については、道路法第35条、国の行う道路の占用の特例規定により、那覇防衛施設局長から昭和62年7月13日付で協議を受けております。
当該地域には、知花基地内に約200戸の住宅が建設され、児童生徒が約400人、その他500人が居住し、嘉手納基地内にある学校施設等へ通っております。
これらの状況を総合的に判断し、沖縄警察署長と協議の上、昭和62年10月14日付で協議に同意いたしております。
なお、占用協議の条件としては、占用物件の維持及び修繕に努め、破損、汚損等によって道路の美観、交通その他道路管理に支障を来さないこと等の条件を付してあります。
占用物件の地上高の表示については、当該歩道橋の地上高が4.7メートルで、道路構造令第12条に定める高さ4.5メートルを上回っているため地上高を表示する義務はございませんが、運転者には注意を喚起することが望ましいので、標識を設置するよう管理者に申し入れたいと思います。
次、慰霊の日の休日についてお答えいたします。
地方公共団体の条例制定権については、地方自治法第14条第1項の規定により、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができることになっております。
今回改正された自治法第4条の2の規定は、地方公共団体における土曜閉庁方式の導入のための法的措置を図るとともに、地方公共団体の業務が国及び他の地方公共団体の業務と密接に関連しており、行政の円滑な運営を保障する観点から設けられているのであります。
県は、地方自治法第4条の2第2項及び附則第6条に定められた日以外の日には開庁して県民に対して行政サービスを行い、利用者である住民の権利を保護する必要があると考えております。
したがって、県としては法令の範囲内において条例を制定する必要がありますので、御理解をいただきたいと思います。
次に、慰霊の日の休日は、私の知る限り、伊波栄徳議員の知る限りでは90%の県民が存続を希望しているということにつきましてコメントいたします。
先ほども申し上げたとおり、地方自治法第4条の2第2項の規定は、住民の利便と国、地方公共団体を通ずる行政の円滑な運営を確保する観点から設けられたものであります。したがって慰霊の日についても、県は開庁して県民に対して行政サービスを行わなければならないと考えております。
ちなみに、去る4月に県内の主な経済団体における慰霊の日の休日について調査したところ、9割以上の団体が平常どおり経済活動を実施しており、県内のほとんどの民間団体においても慰霊の日を休日として取り扱っているところは少ないと理解いたしております。
次、リゾート開発についてお答えいたします。
リゾート地域として開発の計画策定あるいは構想されている県内の箇所は幾らあるかと。お答えいたします。
県においては、総合保養地域整備法、リゾート法に基づく基本構想の作成を進めているところでありますが、同構想の重点整備地区として沖縄本島に8カ所、宮古、八重山にそれぞれ1カ所の合計10カ所を予定し、現在、その位置づけについて国と調整中であります。
県と事業主、市町村が具体的に調整作業が進んでいる件数と場所はどこですかと。お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、リゾート法に基づき基本構想を作成しているところでありますが、重点整備地区における民間のリゾート開発計画は47プロジェクトであります。おのおの民間企業及び関係機関と調整を進めているところであります。
また、この民間計画のほかに市町村等が事業主体となっているいわゆる公共主導型のリゾート開発計画は、沖縄本島に11力所、宮古、八重山にそれぞれ1カ所の合計13カ所であります。
この公共主導型のリゾート開発については、いずれも用地等が確保されておらず、リゾート法の対象としては熟度の低いものとなっているために具体的な調整はなされておりません。
次、リゾート開発と地価高騰についての対策をただされましたが、お答えいたします。
地価対策については、これまで国土利用計画法に基づき届け出制の運用が図られているところであります。地価の上昇が予想される那覇市及び恩納村については、監視区域の指定によりまして地価の抑制に努めてきたところであります。
今後は、リゾート開発等が予定されている地域等においては、地価動向等の監視を強化し、地価が急激に上昇し、またはそのおそれがある場合には国土利用計画法の的確な運用を図ってまいりたいと思います。
基地の整理縮小について、2度の訪米と今回の米国副大統領への要請以外に、リゾート開発地として必要な地域の要請を受けて調査計画している場所があるかとただされましたが、お答えいたします。
御案内のとおり、県は観光産業の振興を図るためこれまで観光産業の振興上、有効な跡利用が図られる地域としてキャンプ瑞慶覧の泡瀬ゴルフ場等についてはその早期返還を要請してきたところでありますが、現在、策定を進めているリゾート基本構想においては、これら以外に提供施設はございません。
次、農産物の振興についてお答えいたします。
キビ作の振興についてお答えいたします。
第2次振興開発計画における農業基盤整備事業は、圃場整備で要整備量の70%、かんがい排水52%、農道整備70%を目標に推進してまいりましたが、昭和63年度までの実績は圃場整備で29.5%、かんがい排水15.9%、農道整備44.6%と当初計画より相当におくれ、目標達成は困難な状況にあります。
なお、本県は国の財政難の中にあっても、毎年度対前年比で全国ベースを上回った配慮をいただいているところであり、今後とも農業基盤整備事業関連の予算確保には最大限の努力を傾注してまいりたいと思います。
次、キビ価格の現状と見通しについてお答えいたします。
サトウキビの農家手取り価格については、58年から61年まで4年間据え置かれておりましたが、62年から2年連続して引き下げとなっております。
農産物価格をめぐる情勢はますます厳しくなることが予想され、今後、価格政策に依存してサトウキビ農家手取り価格を引き上げることは限界があると思われますので、生産性及び品質の向上を重視した施策を推進していかなければならないと考えております。
このため、かんがい施設の整備、防風、防潮林の整備等生産基盤の整備を初め土づくりの推進、種苗対策、病害虫対策、収穫作業の機械化の推進等を図ってまいりたいと思います。
品質取引についてお答えいたします。
サトウキビの品質取引については、もろもろの条件整備が必要と考えており、これらの条件整備が不十分なままで品質取引に移行することについては、サトウキビ生産振興に支障を来すものと認識いたしております。
したがって、品質取引の移行時期についてでございますが、条件整備ができる相当の期間を要するものと国に対し要請をいたしているところであります。
このため、品質取引の移行時期が明示されれば、サトウキビの生産振興を図る観点から低品質地域対策、高糖多収品種の育成普及等生産農家が意欲を持って取り組める対策の樹立が必要であると考えております。
次は、芋についてお答えいたします。
カンショ生産は、主に家畜用飼料として栽培されてきましたが、配合飼料の普及によりまして飼料としての役割が低下いたしまして、サトウキビ、野菜等への転換が増加したため芋の栽培面積は減少いたしております。
また、芋の重要害虫であるアリモドキゾウムシ、イモゾウムシによる被害もカンショ生産振興の大きな阻害要因となっております。
害虫の防除対策と試験研究についてただされましたが、お答えいたします。
アリモドキゾウムシ及びイモゾウムシは、植物防疫法上、特殊病害虫に指定されておりまして、カンショ等の寄主植物は県外への移動が規制されております。
そのため、本害虫の防除については、カンショの生産振興を図る上で極めて重要であることから、現在の植えつけ時における薬剤処理や輪作体系の推進等による耕種的防除とあわせて、性フェロモンの利用や不妊化法による防除など総合的な防除技術を確立するため研究開発に取り組んでいるところであります。
なお、一般に農薬への助成については、現在の補助制度の趣旨から極めて困難なものと考えております。
次に、芋の加工食品用としての主産地形成をやめるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
最近のカンショの消費動向は、焼き芋、ふかし芋等の需要及び菓子原料等加工用としての需要が増加傾向にございますが、県内産の自給率は低い状況にあり、その生産振興を図ることが大きな課題となっております。
そのため、平成元年度から優良種苗の増殖普及、栽培技術の改善指導等を積極的に推進することといたしております。地域の特性を生かした食用カンショの主産地形成を図ってまいりたいと思います。
以上であります。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 伊波議員の恩納村における赤土流出に関して環境保健部は立入調査をしているが、基地渉外課は調査をしてないのはどうしてかと、この趣旨の御質問だったと思います。お答えいたします。
9月18日までの大雨により基地建設現場と目される流出源から大量の赤土が流出し、海域を汚染しているとの新聞報道がございました。
早速、翌日19日に基地渉外課の職員2人と公害対策課の職員1人、計3人で現場へ一緒に行きまして、恩納橋からゲート29までの現場周辺の調査を行っております。
その調査結果によりますと、海域及び河川周辺、いわゆる今申し上げましたゲート29までの間の調査の結果、目視による赤土の流出及び流出源の確認はできなかった。したがってフェンスの内側、基地建設現場の踏査が必要と考えられ、その旨を基地渉外課の職員に伝えております。
それを受けまして、これまで御答弁申し上げてきたとおり、基地渉外課においては口頭で調査許可の申し入れを行ったということでございます。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 本盛 茂君。
〔本盛 茂君登壇〕
○本盛茂 君 通告に基づいて一般質問をいたします。
最初の質問は、戦争マラリアに対する補償問題についてであります。
この問題は、去る6月の第5回定例議会から今議会までに幾人かの議員から質問がなされているが、知事の答弁には進展が見られません。きのうの生活福祉部長の答弁で初めて実態調査の検討が出されましたが、しかし知事は、マラリア有病地帯への強制疎開の軍命の有無が明確でないとして、軍命があったとすればとの前置きをした上でその対応についての答弁をしておられます。
軍命による強制疎開は事実であるが、問題の軍命は、文書によるものではなく口頭でなされました。そのことについては、沖縄県教育委員会が編集発行した「沖縄県史10沖縄戦記録2」の第7章の1の2「ナゾの男山下と抜刀威嚇の疎開命令」、153ページに、戦後の軍政下に八重山支庁
長に就任された波照間島出身の当時49歳の村会議員仲本信幸氏の証言で明確に述べられており、その他多数の人々の証言が記述されています。
また当時、波照間島に青年学校指導員と偽って駐在していた旧日本軍特務員の山下寅夫軍曹が、戦後みずから口述してある作家に書かせた昭和49年発行の「秘密戦史③ 陸軍中野学校」という本の203ページから204ページに、昭和20年3月の学年末の休みに石垣島の旅団司令部へ呼び出された山下軍曹に対して、参謀長東畑少佐から、これは作戦命令である、波照間島の全住民を速やかに西表島に疎開させよとの命令が下されたということが書かれています。
これは軍命令を受け、強制疎開という作戦行動を起こした張本人が言っていることですから、これほど確かなことはありません。軍命令を出した最高責任者である独立混成第45旅団長宮崎武之少将も死去され、東畑参謀長の消息は不詳、また軍命を受けた当時の石垣町長、竹富村長も物故された今、軍命の有無について証言できる最適の人物は、かつての旧日本軍特務員山下寅夫軍曹、本名酒井清氏ではなかろうかと思います。
去る8月6日付の琉球新報に、戦争マラリア強制疎開は軍命であったとの彼の証言が報道されています。彼はまた酒井喜代輔という名も使用しており、現在、滋賀県守山市に居住しているとのことですが、彼の詳しい住所については波照間出身者で知っている人がいるようであります。
知事、本問題の生き証文である酒井氏から直接証言を得る努力をしてみてはいかがでしょうか。知事が最も気にしておられる軍命の有無を確認する最良の方策だと思います。強制疎開命令の遂行責任者であった彼の証言は、国に対して大きな説得力を持つでしょう。知事の御所見をお伺いいたします。
次に、本問題の関係者は援護法の適用を強く望んでいます。知事の御見解はいかがなものでしょうか。
また県は、そのほかに何らかの補償の方策を講ずる考えがあるかどうかについてもお伺いしておきたいと思います。
次の質問に入る前に、去る10月1日付で八重山病院脳神経外科の医師が発令され、いよいよ開設の運びとなったことに対して心から喜ぶものであります。八重山住民の一人として、関係者各位に対し、この場をおかりして謝意を表します。皆さん、本当に御苦労さんでございました。
では、小浜島診療所への医師配置について質問いたします。
竹富町議会議長から、この問題についての最初の陳情がなされてからはや2年の歳月がたっています。
同診療所への医師の早期配置について県当局の一層の努力を強く要望し、その取り組みと実現方についてのおおよその見通しについてお伺いいたします。
次に、八重山地域におけるラジオの難聴問題についてお尋ねします。
県の過疎地域振興方針にはラジオ、テレビの難視聴解消が挙げられているが、残念なことにはその計画はなされていません。
そこで質問です。
該地域に対するNHKの調査が行われたということは聞いているが、本問題の解決に向けて県はどのような努力をしてこられたか、その取り組みについてお伺いいたします。
次に、過疎地域振興5カ年計画の実績についてお伺いします。
昭和60年度から始まった過疎地域振興計画は、平成元年の本年度で終了することになっており、また過疎地域振興特別措置法も来年3月で期限切れとなるわけですが、残された課題は多く、今後なお一層の対策強化が切に望まれるところであります。
そこでお尋ねします。
本5カ年計画の実績はどうなっているか。過疎地域と非過疎地域との格差は果たして是正されているだろうか。
過疎地域振興に残された課題は何か。今後の対策についてはどう考えているか。
過疎地域振興特別措置法の期限切れについてはどう対応する考えか、以上の点についてお答えください。
次に、教育問題についてお尋ねします。
このたびの新学習指導要領の改訂は、1947年に文部省から最初の学習指導要領(試案)が出されて以来5回目の改訂であり、戦後教育の総決算と言われる大改訂であります。
そのことを最もよく示しているのは日の丸、君が代の扱いであります。特別活動の章には、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると書かれています。
そこで質問ですが、旧学習指導要領の「望ましい」と、新改訂指導要領の「するものとする」ということはどう違うのか。その相違点と、「望ましい」から「するものとする」に改められた理由について御説明ください。なお、そのことについての御所見もあわせてお伺いいたします。
新学習指導要領案の発表に当たって、文部省の担当官は記者団との一問一答で、指導しない場合は処分するとの強い姿勢を打ち出し各新聞は大々的に報道しました。そのときの一問一答について、その一部を見てみましょう。
日の丸、君が代の取り扱いを「指導するものとする」と変えたねらいは何か。ほとんど例外なくやってもらうという意味だ。現行の「望ましい」では、やる、やらないは学校の判断に任されていた。今回の改訂で基準をはっきりさせた。教師が指導しない場合の対応はどうなるか。指導要領違反になる。校長が職務命令を出して、それでも違反すれば処分につながる。入学式と卒業式だけでいいのか。入学式と卒業式は必ずやってもらう。学校の裁量は一切認めない。そのほかは適切な教育の機会をとらえて取り組んでもらえば結構だ。毎日日の丸を掲揚し、君が代を流せということか。そういうことだ。
私は、新学習指導要領で日の丸掲揚、君が代斉唱の強制的な指導を定めたことについて、日本国憲法とのかかわりで重大な疑義を抱くものであります。さきの一問一答についての県教育長の御見解を求めます。
61年6月の第4回定例議会における旧学習指導要領の「望ましい」の解釈についての私の質問に対して当時の県教育長は、「学習指導要領でいう「望ましい」は、教育内容として大事なことであるからその方向で実施してもらいたいということであります。やらなくてもよい、どうでもよいということではないのであります。文部省の解釈も同じであります。この立場に立って沖縄県教育委員会は、卒業式や入学式での国旗、国歌の指導をし、今後ともその方向で指導をしていくつもりであります。」と答弁いたしました。
この答弁は、重大な問題をはらんでいます。先ほども述べたとおり新学習指導要領の日の丸、君が代の取り扱いについて説明した文部省担当官と記者団との一問一答によれば、旧学習指導要領の「望ましい」では、やる、やらないは学校の判断に任されていた。そこで今回の改訂で基準をはっきりさせたという説明になっているが、当時の県教育長は、「望ましい」について、今回の文部省担当官の説明とは異なった立場で沖縄県教育委員会独自の解釈をなし、学校の判断を許さず、いわゆる強い指導という名の押しつけで学校現場を締め上げ、私の質問に対しても、「文部省の解釈も同じであります。」と答弁しました。
あの答弁に対して、私は大きな疑念を抱いています。すなわち、今回の改訂に当たって、教師が指導しない場合は処分につながるという文部省担当官の説明は、旧指導要領での「望ましい」とした定めでは学校長に裁量権があり、たとえ教師が指導しない場合でも指導要領違反とは言えず、処分の対象とすることはできないと文部省は考えていたからこそ、このたびの改訂で「指導するものとする」と改めた上で、教師が指導したい場合は処分につながることを記者団との一問一答で初めて打ち出したのであります。
皆さん、静かに思い起こしてください。本県教育委員会の行ったあの当時の強制指導は、何かの執念に取りつかれたもののごとく、まことにすさまじいものがあり、いま一歩努力すれば日の丸掲揚にこぎつけたのに校長の指導が十分でなかったとか、あるいは県教育委員会から各高校へ送付された日の丸の旗を紛失したなどの理由で、学校長の権限である裁量権を完全に否定し、15名の高校長に対して県教育委員会への出頭を命じ、文書による訓告とか厳重注意などの処分を強行して校長たちにおどしをかけ、学校現場への見せしめとしました。
この行き過ぎた異常な行政措置について、県教育長は、職務履行の向上に資するための制裁的実質を伴わない矯正措置、いわゆる注意であると言っています。しかし私は、まことに恐るべき非民主的、独断的な違法処分であり、誤った教育行政だと断ぜざるを得ないものであると思っています。
また、私が学校名と校長名を削除した上で資料としてその提供方をお願いした15名の校長の処分文書の写しについて、それは秘密文書であり、個人のプライバシーにかかるものだとして私の見解に耳をかさず、今日まで資料提供を拒否し続けています。
訓告文書が懲戒処分でない単なる注意としてなされたものならば、どうして秘密文書となるのでしょうか、理解に苦しむところであります。
そのほかに県立学校の教職員に対する処分、市町村立小中学校教職員103名に対する賃金カットの処分が行われたことは既に御案内のとおりであります。このことはまさに臨教審、教育課程審議会答申に基づく戦後教育総決算路線の先取りであることはだれの目にも明らかであります。
民主、平和教育の先進県とされてきた我が沖縄の教育を、一大混乱に陥れてまで文部省への忠誠を尽くし、沖縄の学校における日の丸掲揚率を本土並み、いやそれ以上に高めたとして胸を張ってみたところで、しょせんそれはトラの威をかる何とか式の哀れな教育行政でしかなく、そこには本当の教育の名に値するものは何ひとつありませんでした。まことに悲しむべき本県教育行政の一大汚点と申すほかはありません。
このことに対して、現在の高良県教育長はどう考えておられるか、率直な御所見を伺いたいと思います。
また、私の質問に対して、「文部省の解釈も同じであります。」との教育長答弁については、そのことを立証するものをお示しください。
次の質問に移ります。
私は、昨年12月の第6回定例議会での一般質問で、愛国心は、内容が問題である。教育長の考える愛国心教育とは何か。それから県教育委員会が強力に推し進めている日の丸掲揚、君が代斉唱と愛国心教育との関連についてはどう考えるかとの質問をいたしました。その答弁は、到底私を納得させるものではありませんでした。
私は、自民党政府の言う戦後教育の総決算路線では、日の丸と君が代と天皇と愛国心とは一連のものであり、不離一体、不可分のものとして取り扱われていると受けとめているのですが、私の愛国心教育についての質問に対する県教育長の答弁では、これまで天皇については一言も触れていません。これは故意に避けていると私は感じているのですが、今回の改訂版社会科では、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすることと定め、その指導書には、天皇が国民に敬愛されてきたことを理解させるようにすることも大切である。これらの指導を通して天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにする必要があると述べています。
小学校指導書の特別活動編では、入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の指導に当たっては、社会科、音楽科における指導などとの関連を図り、国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てることが大切であると示され、さらに小学校指導書社会編では、なお我が国の国歌の意義の指導に当たっては、憲法に定められた天皇の地位についての指導と関連を図りながら、国歌君が代は、我が国が繁栄するようにとの願いを込めた歌であることを理解させるよう配慮する必要があると記述されています。
また、このたびの改訂で道徳の目標に、正面から「生命に対する畏敬の念」が掲げられたことも大きな問題であります。それは、教育の結果として求められる人間像の根幹にかかわるからであります。それが明確に述べられたのは1966年、中教審答申の「期待される人間像」でありました。そこでは、今後の日本人として特に期待されるものとして畏敬の念を持つことが挙げられました。
特に第4章、国民としては、1、正しい愛国心を持つこと、2、象徴に敬愛の念を持つことについて述べられており、また日本国を愛する者が日本国の象徴を愛するということは、論理上当然である。天皇への敬愛の念を突き詰めていけば、それは日本国への敬愛の念に通ずると述べられています。
今回の改訂で、生命に対する畏敬の念とともに、天皇についての理解と敬愛の念を深めることが強調されていることは、当時から批判も強かった「期待される人間像」観が学習指導要領にまで具体化されたことを意味します。
1971年の中教審答申の人間形成の論理では、自然と生命に対する愛と畏敬の念に支えられて統一的に働くところに人間形成の真の姿があると述べられています。
畏敬の念とは、批判や合理的精神を超えた天皇への宗教的情操を媒介とすることによって、現在の体制、さらに現在の国家、権力への無条件な順応の道をもたらすキーワードとなっています。
天皇への敬愛と日の丸掲揚と君が代斉唱と愛国心との関連について、さらに正しい愛国心とは何かについて県教育長の御見解を承りたいと存じます。
最後に、今回の改訂の第1に掲げられているのは、道徳教育の充実であります。
リクルート問題で批判を浴びた高石前文部事務次官は、教育課程審、指導要領作成に深くかかわり影響を及ぽしてきました。臨教審や教育課程審のメンバーにも未公開株を受け取った者がおり、江副氏自身、教育課程審の委員だったのです。
このように汚れた人々の手によって成る新学習指導要領、それで果たして日本の教育がよくなるでしょうか、県教育委員長の率直な御所見をお伺いいたします。
さらに、地域に根差した真の沖縄の教育は、どうあるべきか。そして本県教育行政の正しいあり方はどうなければならないかについての教育委員長の御見解と御決意を承って、私の一般質問を終わることにいたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 本盛茂議員の御質問に対しましてお答えいたします。
戦争マラリア補償問題について、軍命の有無の確認をする最良の方策として、関係者からの証言を得る必要があると思うがどうかと御提言がございましたが、貴重な御提言として承っておきたいと思います。
次に、援護法の適用を強く希望しているが、知事の見解はどうかとただされましたが、お答えいたします。
現行援護法は、公務上の傷病により死亡した軍人軍属等を対象といたしております。したがって、マラリア犠牲者に対する同法の適用については厳しい状況にあると受けとめております。
次に、援護法のほかに何らかの補償の方法を講ずる考えがあるかとただされましたが、お答えいたします。
マラリア犠牲者の実態的な面、法的な面から国と粘り強く協議し、関係法令等に基づく補償の方法についても、これが講じられるよう要請してまいりたいと思います。
小浜診療所医師の早期配置についてお答えいたします。
県立診療所は、現在、18カ所が稼働いたしております。このうち4カ所については、外国人医師との雇用契約により、また3カ所については2度にわたる介輔の定年延長により対応している現状であります。診療所医師の確保は、依然として厳しい状況にございます。
このため、小浜診療所は休止の状態を余儀なくされているのでありますが、現在、八重山病院から月6回の巡回診療を行い、地域医療の確保に努めているところであります。
平成2年度においては、国費医学部卒業医師が新たに配置の対象として加わることとなりますが、なお必要医師数の確保は困難な見込みであり、引き続き外国人医師及び介輔の活用を図る必要があると思います。
このような状況にあることから、平成2年度における医師の確保は依然として厳しい状況が続く見通しとなっておりますが、小浜診療所の再開については、その早期実現に向けて可能な限りの努力をしていく所存であります。
次に、ラジオ難聴地域の解消についてお答えいたします。
与那国、西表西部及び波照間のラジオ難聴について県は昨年の1月、NHK沖縄放送局とともに現地調査を行い、特に夜間の外国電波との混信による難聴の実態を確認し、昨年6月には郵政大臣に対しラジオ難聴の解消を要請したところであります。
しかしながら、ラジオ難聴地域は全国的にも1万世帯以上を抱える地域が数多く残っており、当該地域における中継局の設置については時間を要するとのことであります。
したがって、NHK沖縄放送局においては、その間の対策としてラジオの受信方法を周知せしめるため、チラシを全世帯に配布するなどの措置を講じたところであります。県としては、今後とも当該地域における中継局の設置について引き続き努力してまいりたいと思います。
次に、過疎地域振興5カ年計画の実績についてお答えいたします。
県の過疎地域振興計画の昭和60年度から平成元年度までの後期5カ年計画の実績は、1つ、交通通信体系の整備が約679億円、教育文化施設の整備が約6億円、3つ、医療の確保が約20億円、産業の振興が約430億円で、総計約1143億円であります。
非過疎地域との格差は、道路、空港、港湾等交通関係施設を中心に教育文化施設、生活環境施設等是正されつつあります。
また、過疎地域振興の課題は、人口の高齢化と若者の減少による地域活力の減退、産業基盤のおくれ、公共施設の整備水準のおくれ、及び市町村財政基盤の脆弱性等であります。
したがって、これらの課題を解決するためには農業、水産業、観光産業等の基盤整備を引き続き推進するとともに、若者の定着を促す魅力ある就業の場を確保し、あわせて医療福祉の充実による高齢者福祉及び生きがい対策の充実並びに市町村財政基盤の強化等各面にわたる施策を展開する必要があります。
次に、過疎法の失効に伴い、県としては関係機関に対し、法律に基づく過疎地域の振興計画が引き続き講じられるよう要請を行ったところであります。今後とも全国過疎地域振興連盟等関係機関と連携を密にいたしまして、新しい法律の制定に向けて積極的に対処してまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 本盛議員の御質問にお答えします。
新学習指導要領の問題とのかかわり合いで、「望ましい」と、それから「するものとする」とはどう違うか。また改められた理由についての所見についてお答えします。
「望ましい」の解釈は、施設整備等の条件が整わないなど特別な事情がない限りしなければならないとするのが通例である。「するものとする」は、「ねばならない」とほぽ同義であるが、表現を和らげるために用いられた法令用語であると解されております。
なお、新学習指導要領の現行の「望ましい」から「するものとする」へ変わった背景は、従来の国旗、国歌の取り扱いの「望ましい」では、学習指導要領の趣旨が十分徹底されない嫌いがあったとされており、そこで今回の改訂では、その趣旨をより徹底すると同時に、国際社会の中に生きる日本人としての資質を養う観点から、より明確な表現になったものと理解をいたしております。
2点目の御質問で、文部省の担当官との今回の改訂の一問一答の先生の御提言がありましたが、これにつきましては、文部省の担当官としての記者会見の状況につきましては新聞報道の範囲内で承知はしておりますが、このことにつきまして文部省から正式の通知がございませんので、先生の御提言について、現在、私の見解として答弁するのは差し控えたいと考えております。
去る昭和61年の第4回県議会での教育長の答弁と当時の文部省との違い、また先生御提言のあった一問一答の内容からすると答弁が違うじゃないかというような趣旨とのかかわり合いの質問でございますが、当時の教育長の、文部省の答弁が、文部省の解釈も同じであると答弁しているが、それは違うんじゃないかと、また同時にその立証するものを示してもらいたいとの御質問にお答えします。
御指摘の「望ましい」の解釈につきまして、文部省と同じであるということを立証せよとのことですが、このことにつきましては、去る昭和61年第4回県議会で教育長は、「学習指導要領で言う「望ましい」は、教育内容として大事なことであるからその方向で実施してもらいたいということであります。やらなくてもよい、どうでもよいということではないのであります。したがいまして学習指導要領で規定するからにはどうでもよい、なくてもよいというものではないものであります。文部省の解釈も同じであります。この立場に立って沖縄県教育委員会は、卒業式や入学式での国旗、国歌の指導をし、今後ともその方向で指導していくつもりであります。」と答弁しております。
また、昭和60年12月、衆議院文教委員会で当時の文部省政府委員が、国旗、国歌の取り扱いについて、文部省としては、学校行事等において国旗、国歌を大切にするという教育を子供たちに身につけさせる上からも、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するということが望ましい。したがいまして、あくまでもそういう線に沿って学校が学校行事等でこの取り扱いをすることが適当であるということでございまして、学校が国旗の取り扱いを勝手にするような自由はないわけでございますと答弁していることから、文部省の解釈も同じであると述べたものと理解いたしております。
15名の校長先生に対する文書による訓告や厳重処分したことについての行政の行き過ぎについてという御提言で、なおかつ教育長の見解を聞きたいとの質問についてお答えします。
卒業式等の学校の儀式的行事は、教育活動の内容として校長の責任のもとに計画し実施する重要な教育活動であります。
したがいまして、校長は、かかる学校行事を適切に行うべきところ、15の県立高等学校長は、昭和60年度の卒業式において対応が適切でないため、その職務を十分に果たすことができなかった。以上のことから6名の校長に対しては訓告、また9名の校長に対しましては厳重注意を行ったものであり、その措置は適正なものと考えております。
5点目の新学習指導要領で言う日の丸あるいは君が代とのかかわり合いで、天皇への敬愛とそれから愛国心との関連について、また正しい愛国心とは何かの御質問にお答えをしたいと思います。
日本国憲法では、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると位置づけされております。
国旗、国歌も国内はもとより、対外的にも日本国を象徴するものである。その点におきましては共通しておりますが、国旗掲揚、国歌斉唱が天皇への敬愛に直接結びつくとは認識をしていないです。
学校教育におきまして、児童生徒に国旗、国歌を指導するのは、自国の国旗、国歌を敬愛することが国際社会に生きる日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、すべての国の国旗、国歌に対してひとしく敬意を表することにつながるからであります。
次に、正しい愛国心とは、平和で民主的な国家の制度を守り、我が国の文化、伝統を尊重するとともに、郷土や国を愛する心を育成することにあると考えております。
以上であります。
○議長(平良一男君) 教育委員会委員長。
〔教育委員会委員長 福里文夫君登壇〕
○教育委員会委員長(福里文夫君) まず最初に、本盛議員の本県教育に対する深い御見識に対して敬意を表します。
御指摘の御質問にお答えをいたします。
国の教育政策を決定するには、人格高潔な方々が当たられるのが望ましいことは当然なことであります。
しかし、決定された施策の評価につきましては、それに携わった人々の人格によるのか、あるいはその施策の内容によるのかということは意見の分かれるところであります。
地方教育行政の衝に当たる者は、教育の中立性を堅持する立場からも、決定された施策内容の吟味により評価するのがより妥当であると考えております。
今回改訂されました新学習指導要領は、みずから学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力を育成すること、基礎的、基本的内容の指導の徹底を図ること、個性を生かす教育の充実を図るということ等、教育活動を進めるに当たっての基本的方針を明示し、特に道徳については、物質主義を背景とした心の荒廃や生命に対する畏敬の念の欠如等の反省から心の教育を強く打ち出していて、国際化、情報化、高齢化の進む21世紀を展望した日本教育の指針を示したものと解釈しております。
次に、地域に根差した沖縄の教育はどうあるべきかという御質問にお答えをいたします。
御承知のとおり、教育は、教育基本法の示す人格の完成を目指して行われるものであります。それは、心身ともに健全な日本国民の育成という教育普遍の原則でありますが、さらに各地域においては、地域の特性を生かした教育追求もまた大切であります。
特に本県は、地理的、歴史的な独自性からすぐれた文化を生み出した経緯があり、児童生徒に対して、郷土文化の特性や先達の偉大さを理解させ、その継承発展を図る素質を養い、郷土に対する誇りを培うことは重要な意義があるものと考えております。
そういう意味で、今後とも広く地域の教育要請を集約し、父母や県民の期待にこたえる教育の実現に努力してまいりたいと考えております。
次に、教育行政のあり方につきましては、憲法、教育基本法の精神にのっとるとともに、教育の目標が人格の完成を目指すという普遍性に立ち、教育の中立性を堅持しつつ、本県の置かれている地域性や21世紀の展望に対する時代性を考慮し、教育の方向性を明らかにして行政を推進す
べきものと考えております。
県勢発展の礎となる人材の育成や、県民が心豊かに生きがいを追求し得る生涯学習社会への移行等の諸施策を積極的に推進することが、本県教育の行政のあり方として一番正しい方向と思料いたします。
以上でございます。
○本盛 茂君 議長、答弁漏れがあります。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後3時12分休憩
午後3時14分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 2点にお答えします。
お答えしたんですが、御理解を得られませんのでもう一回お答えします。
先生が読み上げた文部省の指導要領、あとの文部担当官が一問一答したというのは、新聞記事でしか私は承知してない。
そういうことで、私どもがお答えする根拠になるものは、国会での答弁の政府答弁と、それから文部省の正式な通達等、あるいはそういうふうな公文をもってその解釈等をやっているんであって、新聞記事をもって、今知っている範囲内でそれにどう思うかにつきましてはコメントを控えたいと、こういうことであります。
それから、もう一点の文部省の解釈で同じであるというのは、今の新指導要領が出て一問一答の御指摘と、あの当時の答弁の御指摘の違いを……
○本盛 茂君 全然違う。
○教育長(高良清敏君) ですから、あのときの政府委員であります、当時の答弁資料、ここに原稿を持っておりますが、それと時の教育長の答弁したものとは解釈は変わりませんよということをお答えしただけの話です。
○本盛 茂君 その資料を文書で示せと要求したんです。
○教育長(高良清敏君) 後ほど資料として差し上げます。
以上であります。
○議長(平良一男君) 本盛 茂君。
〔本盛 茂君登壇〕
○本盛 茂君 知事にお尋ねします。
マラリア問題、関係者の証言を得ることは、大変大事な提言であるとして受けとめるとこうおっしゃいましたが、知事は、戦争マラリアの強制疎開が事実であったかどうかについては、大変気にしておられるような印象を受けます。
知事は、どのような方法でそれを確認なさるというお考えですか、それをお答えください。
また、きのうの宮良作議員の質問に対する生活福祉部長の答弁では、犠牲者の調査を検討するということでしたね。
私は、今の受けとめるということと、きのうの答えなどから通して、この問題に対する誠意というか、熱意が足りないと。本当にやる気があるのかなということを感じましたので、その点の御決意もお伺いします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) きのうも宮良作議員から同じような質問があったんですが、いろいろ資料を集めて実態の面から、法的な面から、何とかして政府に食い下がって補償させようと。
問題は、政府が非常にかたいですから、公務性の問題、法律上の問題いろいろございまして、県はやる気持ちでいっばいなんですけれども、どう政府の壁を突き崩すか、そういうことで資料を集めたり、関係省庁といろいろその方途について検討しているところですから、別に、できるだけの資料を集め、できるだけの関係者の意見も聞いて万全の体制でやろうと、何か壁を突き崩せる資料がないかなと、こういうことでやっておりまするから、御理解を賜りたいと思います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後3時18分休憩
午後3時19分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
休憩いたします。
午後3時19分休憩
午後3時44分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
休憩前の本盛茂君の質問に対する答弁の補足の部分がありますので、発言を許します。
生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 補足申し上げます。
先ほどの軍命あるいは強制疎開ということの確認の件の御質問がございましたけれども、その方法論についての補足をさせていただきます。
現在、そういう関連資料というものの取りまとめに入っておりますけれども、その資料につきましては現存する文献、資料、それから当然証人等からの聞き取り等、そういったものを今後やりつつ、またまとめてまいる予定であります。現に一部、その方に移っております。
以上、補足させてもらいます。
○議長(平良一男君) 外間久子君。
〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 通告に従いまして一般質問を行います。
国保問題について御質問をいたします。
国保問題については県当局の見解は、議事録を見る限りにおいては、国保制度というのは相互扶助の精神という旧国民健康保険法の立場に立った無責任な態度に終始しています。
憲法の精神はもとより、戦後1958年に成立した新しい国民健康保険法は、社会保障及び国民の健康の向上に寄与することを目的とするとうたっています。それは憲法第25条第2項を直接受けているものです。
国民の生存権を守るという国の義務の果たし方の一つが、国民健康保険になります。ただ国は直接やらないで市町村に委任しているのは、住民の福祉には住民の身近な団体が一番適しているということであり、基本的には国が当然責任を持たなければならないわけです。
この意味が国民健康保険法第4条に出ています。「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」と。そこで言っているのは、そういう意味を持っているわけです。それが具体的にあらわれるのが国庫負担金とかあるいは国庫補助金であり、その基本には憲法25条に立って、国が国民の健康を守るということを大原則としているからではないでしょうか。それが臨調行革路線のもとで、総医療費を抑圧しようというねらいで国保改悪が進められています。
特に、県内でも国保税の滞納者がふえている最大の原因は、国民健康保険料が高過ぎて払えないということです。生活保護世帯には税金はかかりませんが、生活保護基準並みの生活をしている人にはどんどん税金をかけてくる、おかしいじゃありませんか。おかしいというより憲法に違反している実態が出ています。
そこで質問1として、担税能力をはるかに超えた国保税を県民は押しつけられ、そのため各市町村では国保税を安くするために一般財源から国保財源に繰り入れて負担を軽くする努力をしています。しかし、それも限界に来ています。同じ県民の立場から、監督だけではなくて金も出して指導監督すべきではないでしょうか、御答弁を求めます。
2つ目に、滞納を理由に保険証の不交付が出てそれが当然視されています。県民の5割が入っている国民皆保険制度の重要な柱となっている国民健康保険制度を解体させかねません。
国民健康保険法は、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」という理念にも反することです。直ちに交付するよう強力に指導を求めます。
3点目に、市町村が実施する申請減免額は国庫補助金がないために、減免するとそれだけ市町村の持ち出しがふえるために財源の厳しい市町村は積極的に実施しようとしないのが一般的です。
ところで、どこの市町村の国保条例でも、国が示している条例準則や地方税法の減免条項で規定している程度の条例はつくっています。法第4条の立場で県の責任を果たすためにも各市町村に補助金を出すべきです。答弁を求めます。
老人保健法実施後の県内の現状について。
老人保健法が実施されていかにも老後がバラ色になったかのような話も聞こえますが、実はこの老人保健法の真のねらいというのは、老人医療無料制度を有料化することで医療を改悪するねらいがありました。
その1つが、健康保険本人1割負担導入を初め、退職者医療制度の創設による国民健康保険への国庫補助率の大幅引き下げ、年金割度の改悪などの突破口となりました。
この老健法実施直前に示された別建ての診療報酬体系を創設して、一定年齢を境として同じ疾病に同じ治療をやっても医療機関に支払われる医療費に格差を持ち込んできました。さらに老人保健施設の創設によって老人医療と老人福祉の両面から制度を改悪し、社会福祉施設の措置制度の改悪など新たな福祉被害をもたらすものであります。
そこで、次のことを御質問いたします。
老人保健法に基づく別建ての診療報酬体系が設定され、老人の入院患者と69歳以下の入院患者とに診療報酬上の格差をつけることは老人を差別し、経済的圧力を加えることになりませんか。
1つ目に、保健事業の中で医療以外の実施計画はどうなっていますか。
2つ、訪問指導で中心的な役割を果たす保健婦がふえないのはなぜですか。
3つ、機能訓練を開始することになっていますが、理学療法士の絶対的不足はどんな形で解決するのですか。
4つ、各自治体の機能訓練の具体化はどうなっていますか。県は、どんな手だてをとっているのでしょうか。
障害者にかかわる自動車税減免についてお伺いいたします。
去る6月定例議会で前向きに検討させてもらいますとの答弁がありましたが、実施時期はいつごろになりますか。
4番目に、母子世帯の自立援助について。
以前にも質問いたしましたが、母子寡婦福祉法の目的は、少子家庭に対して生活の安定と向上のために必要な措置を講ずるとうたわれています。母子寡婦福祉法による福祉措置の中心は資金の貸付制度であり、母子家庭が経済的に自立するよう助成し、その生活意欲を助長することが目的とされていますが、県内1万5454世帯いると言われている母子世帯の中で、年間の貸付件数はこの3年間で8件、1年間に16人にしか貸し付けしていません。不用額は多く執行率は悪い。
そこで質問ですが、この貸付件数が少ない理由及び最高限度額を貸し付けしない理由は何ですか。
母子寡婦福祉法の貸付金を受け、償還免除制度を適用した件数はこれまでに何件あり、この3年間に何件ありますか。
3つ目に、母子寡婦福祉資金制度は、父子家庭への利用、資金の拡大、期間の延長、償還猶予免除条件の拡大等について見解をお聞かせください。
次に、ホラービデオについて。
私は、9月12日、県青少年審議会の一員としてホラービデオを見せてもらいましたが、人間の尊厳を踏みにじる残酷きわまりない、まるで虐待や女性を犯すことを勧めているというのが見ての感想です。
当局は、他府県に先駆けて県青少年保護育成条例をつくり、それに照らして現行法の範囲内での歯どめに頑張っていらっしゃることは承知しています。
ところで、ビデオの規制というのは法律で規定することですべて解決するとは言えない問題で、要するに子供たちを退廃文化から守るためによい文化を大切にするような世論を盛り上げることが必要です。同時にまた、子供たちをゆがめる差別や選別の教育をなくすことが大切です。
そのために、地域の中でよい文化を大切にする運動とあわせて地域懇談会、映写会などを緻密に開いてほしいと考えますが、御見解をお聞かせください。
知事、消費税はもう廃止以外にありません。
我が党の代表質問に明確なように、消費税は県民生活を圧迫し混乱に陥れています。私は、この消費税が子供たちの成長と健康にとって一番大切な給食にも深刻な影響を与えている実態を明らかにしたいと思います。
例えば金城小学校では、消費税が導入された4月1日以降、消費税だけで4月は8万2673円、5月10万4882円、6月9万8549円、7月7万9003円で、月平均の消費税は9万1277円という大きな金額です。
さらに、浦添市の経塚調理場を調査いたしましたところ、4月が55万2160円、5月が80万6372円、6月90万1461円、7月60万8638円で、月平均の消費税が71万7130円と膨大な金額になっています。
そのために、果物で言えば初物を食べさせることができない。スイカなどは従来の半分に削られ、肉などは質は落とさないが量を減らさざるを得ない。現状のままでは質と量を低下せざるを得ない。でなければ、給食費の値上げが迫られているとの現場の悲痛な声であります。
これでも知事は、消費税は県民生活を圧迫しないと強弁なさるのですか。なぜ子供たちの給食にまで税金をかけますか。父母の責任に転嫁するのではなくて、県民の子供たちの成長と健康にかかわるだけに、県として具体的な措置をとるべきだと考えます。御答弁を求めます。
ところで、昨日の我が党の嘉陽宗儀議員に対する知事の、共産党は──────────────とこういう答弁が重大な事実誤認であることを指摘しておきたいと思います。
我が党の調査によりますと、参議院選挙後に行われた中間地方選挙──7月30日から9月17日──で全体として日本共産党が他党に先駆けて大きく躍進し、自民党は引き続き後退を続けております。
例えば、各党が公認候補を出し、党派の力関係が比較的明確になる市会議員選挙で日本共産党は、比例選挙の2万827票を3万2711票と大きく伸ばしたのに対し、自民党は、比例選挙で4万4909票から3万2233票の大後退であります。これらの選挙の争点も消費税問題でありました。
知事は、選挙結果は結果だと強弁なさいましたが、民意を無視する党は後退し、民意を大切にし、民意に耳を傾ける党は国民と県民の信頼を集め、真に民主主義を尊重する党として大きく発展していくのが歴史の法則であることをこの際強調しておきたいと思います。
次に、児童生徒の学力向上を図るために教育環境整備について御質問いたします。
9月22日に開かれました定例県教育委員会で義務教育課長は、学力向上問題は10年前から実施しているが、現場が腰を上げないと現場に責任を転嫁していますが、県は、子供たちが授業に集中できる教育環境整備をしてきたと言えますでしょうか。
知事、私のところに高校2年生の子供から手紙が来ました。その手紙の内容は、最近やっとホームルーム教室に扇風機が入りました。だけど、まだまだ全校舎ではなくて、理科教室にはまだ1台も入っていないので夏は暑くて授業どころではありません。飛行機の爆音で中断することもよくありますが、それ以上に暑さは耐え切れません。みんな下敷きでパタパタしながら授業を受けています。毎時間こうだと理科の授業は嫌になるし、勉強にも集中できなくなってしまうので、早く全校舎に扇風機が入って気持ちよく勉強したいですと、高校2年生からの手紙です。
この手紙にこたえて、私は学校現場を調査いたしました。浦添を初めとする中部や南部の学校です。扇風機が設置されている学校は、父母の援助で設置されているのがほとんどです。そして調査の中で、いまだに教室に扇風機さえ入っていない学校が8校、入っているが1教室3.7台ということが明らかになりました。学校現場の教師も生徒もこんな暑い中、まあよく我慢したなというのが私の感想です。
まず、知事を初め教育長みずからが午後の授業を受けるという体験学習をなさってみてはいかがでしょうか。
そこで、次の2点についてはぜひともお約束の答弁をいただきたいと思います。
その1つは、現在、扇風機が設置されているところでも、一斉に扇風機を使うとヒューズが切れるなどずさんな配線工事を改善すること。
2つ、すべての学校、教室に直ちに最低7台の扇風機を設置すること、以上の2点について御答弁を求めます。
最後に、留学生へのポリオ予防接種の実情について御質問いたします。
私は、我が党の国会議員に調査を依頼しましたところ、昭和63年8月5日付で厚生省公衆衛生審議会伝染病予防部会より各県に送った、はしか、おたふくかぜ、風疹混合ワクチンの導入についてというこの公文書を送ってもらいました。
それによりますと、各県でワクチン接種が容易に受けられるようにすることが望ましいと指摘しています。特に、国際交流の時代を反映して県内からの米国への留学生は毎年ふえています。旅券事務所の調査で昭和62年が406人、昭和63年489人、ことしはもう既に475人、この9月で51名です。このようにふえています。
留学生の経済的負担を軽くすることから、他府県に先駆けて地方自治体の責任と県民サービスの立場から直ちに実施すべきであると考えます。当局の見解、実施時期を明確にした答弁を求めます。
以上です。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 外間久子議員の御質問に対しましてお答えいたします。
国民健康保険の改悪についてお答えいたします。
市町村では負担を軽くするため、一般会計から国保特会に財源を繰り入れて負担を軽くする努力をしているが、県も金を出して指導監督すべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
国民健康保険事業の運営に必要な財源は、保険料と国庫負担金の収入で賄うのが原則であります。
ところで、昨年の国保制度の改正によりまして国保の当面している不安定要因に対しまして、国、県、市町村が共同で取り組むこととなり、県は昭和63年度においては保険基盤安定負担金5億1186万750円、高額医療費共同事業補助金2億1744万8072円、合計7億2930万5822円を市町村や国保連合会に対し支出いたしております。
また、平成元年度においては、同負担金、補助金として合計7億3293万円を当初予算に計上したほか、医療費適正化対策等事業補助金として812万円、国保連合会補助金として371万2000円を県単補助することとし、あわせて診療報酬支払資金貸付金として1億円の低利融資を行うなど国
保事業の円滑な運営を図ることにしております。
なお、昭和62年度における被保険者1人当たり保険料、療養諸費及び保険料の収納率を見た場合、沖縄県が90.65%、全国平均94.55%、その差がマイナス3.9%となっており、全国平均に比較いたしまて被保険者1人当たり療養諸費、保険料とも低額にあるにもかかわらず、保険料の収納率が全国平均を3.9ポイントも下回っている状況にあります。
以上のことから、各保険者において一層の収納率の向上を図るなど自助努力に努めていただきたいと考えております。
2番目、国保税を納めないという理由で保険証が交付されていないが、けしからぬじゃないかと。もっと交付するよう強力に指導すべきじゃないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
国保税を滞納している者の中には、病気や災害等の特別な事情により生活が著しく困難となったため滞納している者と、支払い能力があり特別な事情がないにもかかわらず意識的に国保税を納付せず、納付相談にも応じないいわゆる悪質滞納者もおります。
県としては、国保税を滞納している者について十分調査を行い、特別な事情があって滞納している者については、分割納付等適切な指導助言をした上で被保険者証を交付し、特別の事情もないのに国保税を納入しないいわゆる悪質滞納者については、被保険者証にかえて被保険者資格証明書を交付する等毅然とした態度で対処するよう指導いたしているところであります。
次に、市町村が特別な事情により国保税を納められない被保険者に対し条例で税の減免をしているが、その分の不足財源を県の責任において補助金として出すべきではないかと御提言がございましたが、お答えいたします。
国保税の減免については、国民健康保険法及び地方税法において、災害等により生活が著しく困難となった者、またはこれに準ずると認められる者に対しては減免をすることになっております。減免額が一定の限度を超える市町村に対しては、国から特別調整交付金が交付されることになっております。
本県における減免の実施状況を見ますと、昭和63年度は4市町村で実施し、5世帯で54万9000円の減免がなされましたが、減免額が少額であるため特別調整交付金の対象外となっております。
減免制度は、一定の額を下回る低所得者に対して行う減額賦課制度と異なりまして、特別な事情がある者に対してのみ行われるので、例年、実施市町村は少ない状況にあり、県としても現在のところ減免に対する補助金については考えておりません。
最後に、代表質問との関連で消費税についてでございましたが、これはもう選挙の結果、負けたんだから撤回すべきじゃないかと、こういうお話でございましたので、これは選挙とは関係ありませんと。例えばの話で例にとって、選挙に負けても掲げた政策というものはおろせないでしょうと。
また、消費税に対する私の基本的な考え方といたしましては、これまで述べましたとおり30数年にわたる長い間の日本の収得税中心の租税体系から直間比率を直して、さらに個別消費税を一般の消費税に移して広く薄く負担をさせて高齢化社会に対応する恒久的な税制をつくるための一つの方法として必要であると。これはたびたび申し上げたとおりでございまして、例えてお話申し上げたことでございまして、消費税については今までの考え方に変わりはございません。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) お答えいたします。
老人保健法に基づく別建ての診療報酬体系が設定され、老人の入院患者と69歳以下の入院患者とに診療報酬上の格差をつけることは、老人を差別しあるいは経済的圧迫を加えるものではないかという御質問でございます。お答えいたします。
国は、老人診療報酬体系を設定するに当たって、老人の心身の特性、すなわち老人は一般的に病気にかかりやすく、しかも1人で多くの病気を持っていること、その病気には高血圧等循環系の慢性疾患が多いこと、また加齢、歳をとることによる老化も加わって機能障害を起こしやすいこと、健康に対する不安感が大きいことなどの心身の特性を十分検討し、健康保険診療報酬体系を基本として一部の医療行為について、老人の心身の特性にきめ細かく配慮した特別の老人診療報酬を定めているわけでございます。
その体系は、1つに一般病院、2つに特例許可老人病院、3つ目に特例許可外老人病院ごとに異なる点数が定められており、主として老人の慢性疾患を治療する老人病院の点数は、急性期の疾病を治療する一般病院に比べて低い状態にございます。
御質問の老人診療報酬点数と健康保険診療報酬点数とは多少の差はあるものの、老人に対する必要な検査、治療は確保されているものであり、老人に対する差別、さらにまた医療機関に対する経済的負担等の影響は少ないものというふうに考えられます。
次に、老人保健事業の中で医療以外の保健事業の実施計画はどうなっているかという御質問でございます。
医療以外の保健事業は、市町村を実施主体として1つに健康手帳の交付、2つに健康教育、3つ目に健康相談、4つ目に健康診査、5つ目に機能訓練、6つ目に訪問指導の6つの事業となっているわけでございます。
本事業はかなり多岐にわたることから、その主なる事業である健康診査について御説明を申し上げたいと思います。
平成元年度の実施計画ですけれども、基本健康診査は、昭和63年度実績の37.3%を40.3%に、胃がん検診は12.1%を16.3%に、子宮がん検診は21.5%を24.7%に、肺がん検診は29.3%を29.8%に、乳がん検診は17.8%を24.7%に受診率を高めるよう計画しているところでございます。
ちなみに本県のこれらの受診率は、いずれも全国平均を上回った実績でございます。
本事業は疾病の予防、早期発見、早期治療をねらいとして実施しているもので、壮年期から健康保持増進を図る上で大変重要な事業であり、今後とも実施主体である市町村を指導し、当面、平成元年度の実施計画の達成、さらに国の示す目標値の達成に向けて事業の充実強化を図る所存でございます。
次に、同じく保健事業で訪問指導で中心的役割を果たす保健婦がふえないのはなぜかという御質問でございます。お答えいたします。
本県では、現在116名の駐在保健婦と54名の市町村保健婦が地域で家庭訪問等の保健活動に従事しております。
昭和57年度以降、老人保健事業等の市町村実施主体の保健事業の増加に伴いまして、県は市町村に対し市町村保健婦の設置について指導してきたところでございます。その結果、昭和60年度までに36名、昭和62年度までに43名と漸次増加し、平成元年9月現在では27市町村に54名の市町村保健婦を配置してございます。
高齢化社会を迎え年々増大していくヘルスニーズに対し、今後とも市町村長の理解を得ながら市町村保健婦の設置及び増員について促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
次に、同じく保健事業の中の各自治体の機能訓練の具体化はどうなっているか、どんな手だてをとっているかという御質問でございます。お答えいたします。
各市町村における老人保健法に基づく機能訓練事業は、脳卒中の後遺症、老化などで機能が低下している40歳以上の人に対し、その機能の維持回復を図るために行われるものでごさいますが、昭和63年度の実施状況は、53市町村中50市町村で、その実施率は94%であり、1858人、延べ2万7252人がその訓練を受けているわけでございます。
実施場所は、老人福祉センター、社会福祉センター、公民館、特別養護老人ホーム等56カ所であり、訓練は主に保健婦、理学療法士が医師の指導のもとで週1回あるいは月1回の範囲で実施をいたしております。
今後は、機能訓練の医師、理学療法士、保健婦等の確保、また機能訓練の研修会の開催等により本事業の充実強化を図るとともに、市町村の技術指導等強化してまいりたいと思っております。
次に、母子世帯の自立援助についての御質問でございます。
母子福祉資金の貸付件数が少ない理由、あるいは最高限度額を貸し付けない理由は何かという御質問でございますけれども、お答えいたします。
昭和63年度母子福祉資金の貸付状況は、貸付申し込み677件に対し644件が承認され、その承認された率は95.1%でございます。
御質問の事業開始資金、これは先ほどの福祉資金の中の13の貸付金の一つでございまして、その事業開始資金について見ました場合、過去3年間の実績は、申込件数80件に対して承認件数は48件で60.0%でございます。
申し込みに対して貸付件数が少ない理由は、いわゆる同種の業者が付近に多く存在し立地条件が悪い、あるいはまた事業計画が適切でない、あるいは収支計画から見て償還に無理がある等の理由によって不承認となったケースが多いためでございます。
また、貸付額については、事業計画の内容あるいは償還計画の適確性等貸付要件に適合するものについては、限度額の範囲内において申請者の希望する金額を貸し付けすることを基本的方針といたしておりまして、ちなみに63年度において最高限度額を貸し付けた件数は7件でございます。
参考までにつけ加えておきますけれども、この事業開始資金の償還率でございますけれども、63年度における償還率が貸し付けすべき調定額に対して24.9%というようにかなり低率の償還率となっております。
それから、同じく母子世帯の自立援助の件でございますが、母子福祉資金について償還免除制度を適用した件数はこれまで何件あるかという御質問でございます。
償還免除制度でございますけれども、これは借受人が死亡したとき、または精神もしくは身体に著しい障害があり、その上、連帯債務者等においても償還できないと認められる場合に、一定の要件に合致するものについては、議会の議決を経て償還を免除することができるということになっているわけでございます。これまでのところその実績はございません。
それから、同じく母子世帯の件でございますけれども、母子福祉資金制度の父子家庭への利用、資金の拡大、期間の延長、償還猶予、免除条件等の拡大についての御質問でございます。
父子家庭への利用拡大についてでございますけれども、母子福祉資金貸付制度偉、母子及び寡婦福祉法に基づき母子家庭への貸し付けが目的であることから、父子家庭についてはこの制度になじまないと思います。したがって、父子家庭については他の資金、例えば世帯更生資金の活用等別の方法で対処していったらいいんじゃないかというふうに考えております。
次に、資金の拡大でございますが、平成元年3月31日現在における原資総額が8億5753万円でございます。同資金の積極的な回転、運用を図り、需要に対応してまいりたいというふうに考えております。
次に、期間の延長、償還猶予、免除の条件拡大でございます。
災害、盗難、疾病、失業、交通事故または極度の事業不振により償還金の支払いが著しく困難な場合は、支払い猶予の措置をとり、運用面において弾力的に対処してまいりたいと思います。
なお、償還期限の延長あるいは償還免除の条件拡大については、これは法律事項であり、全国的な問題として対処してまいりたいと思います。
次に、ホラービデオの件でございます。
ホラービデオは、規制することですべて解決するとは言えない。世論を盛り上げることが必要である。そのために地域懇談会、映写会等を開催してもらいたいという御質問でございます。お答えいたします。
ホラービデオについては、沖縄県青少年保護育成条例施行規則第5条に定める認定基準により、毎月1回青少年保護育成審議会に諮問し、その答申を得て有害指定を行い、取り扱い業者及び育成機関団体等への協力依頼を実施しているところでございます。
御指摘の環境浄化活動は、行政のみの力で達成できるものではございません。近々、青少年保護育成巡回活動や地区単位の懇談会等を開催して青少年関係機関団体、関係業者並びに地域社会との連携を深め、一層青少年の健全育成に努めてまいりたいと思います。
以上で終わります。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 外間議員の老人保健法実施後の県内の現状についての中での理学療法士の絶対的不足はどのような形で解決するのかについてお答えいたします。
人口の高齢化に伴い、機能訓練に対する需要はますます増大するものと考えられ、医療機関その他においてかなりの需要が見込まれております。
県としましても、これら理学療法士の養成確保に努めており、財団法人沖縄県保健医療福祉事業団において修学資金貸与事業を行い、これまで30人程度を確保してきておりますが、今後もこの事業を継続する必要があると考えております。
また、民間医療機関において、平成2年4月を目途にリハビリテーション学院の開学が予定されておりますので、これにより今後、理学療法士の不足が解消されるものと考えております。
それから、米留学生へのポリオ予防接種の実情についてお答えいたします。
我が国の予防接種法ではポリオ、いわゆる小児麻痺の定期予防接種は、生後3カ月から48カ月の間に2回接種することになっております。ところが外国においては3回以上の接種が義務づけられている国が多く、留学の際には追加接種をしなければならない状況にございます。そういった意味で最近、この件に関する問い合わせが多くなってきております。
留学年齢からしまして予防接種法で言ういわゆる定期の予防接種に年齢的に該当しないこともございまして、現在、県内では対応ができなく、東京都渋谷区医師会または国分寺市医師会の予防接種センターを紹介しているところでございます。
しかし、本県は離島県であるため日数及び旅費等の経費がかかり父兄等に多大な負担となることから、保健所での実施を要望する声が多い状況にございますので、県内でポリオの予防接種が受けられるよう関係部局と調整し、来年度から実施できるよう現在検討を進めているところでございます。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 総務部長。
〔総務部長 石川秀雄君登壇〕
○総務部長(石川秀雄君) 身体障害者に係る自動車税の減免について、実施時期はいつごろかという御質問にお答えいたします。
身体障害者に対する自動車税の減免については、自治省税務局通達に基づき条例で規定しているところでありますが、18歳以上の身体障害者について、その者と生計を一にする者が取得し所有する自動車に対しても減免措置を行うかどうかの問題につきましては、他県の措置状況あるいはまた該当者の実態等も検討しながら年度内には結論を出したいと考えております。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 外間議員の御質問2点にお答えします。
まず1点は、消費税の導入により学校給食に深刻な影響を与えているが、県としての具体的な措置についてお答えします。
消費税の導入に伴う学校給食費の設定に当たりましては、給食の質の低下を招くことなく、かつ保護者の負担も考慮しつつ適正に行うよう指導してきたところであります。
平成元年度の学校給食費の状況につきましては、19市町村が1人当たり平均、小学校で155円、中学校で181円の値上げを実施し、残り34市町村は現行のまま据え置いております。
なお、学校給食用物資の安定、低廉な供給を図る目的から県から7000万円、国から7000万円、計1億4000万円を県学校給食会へ運転資金として無利子で貸し付けをし、父母負担の軽減に努めているところであります。
児童生徒の学力向上とのかかわり合いでの教育環境の整備についてお答えします。
配線工事の改善及び普通教室への扇風機の設置についての御質問にお答えしたいと思います。
御提言の配線工事につきましては、学校の建設時において綿密た計画を立てまして十分余裕のある設計を行っているわけですが、しかし御案内のとおり近年の事務機器あるいはコンピューター、電熱器等の教育設備の改善増加に伴いまして、これらの機器を一斉に稼働させた場合には、設計当初の電気容量を超えることが考えられます。
このような学校につきましては、これまでも調査をし、負荷容量の見直しを行い改善を図っているところであります。
なお、扇風機につきましては、未設置の高校もあるわけですが、すべての普通教室に扇風機を仮に設置した場合、機材費としただけでも1億3000万円かかりますし、また電気料としても約4500万円の経費増ということになります。
今日、情報化の進展に伴い教育情報機器等の導入、その他優先すべき教材等の確保に多額の経費を要することからして、今すぐ御要望の扇風機を全学校に設置することは財政的には大変困難であると考えております。
県教育委員会としましては、児童生徒の学力向上を図る上からも、教育環境の整備充実につきましては今後とも引き続き努力をしていきたいと考えております。
以上であります。
○議長(平良一男君) 外間久子君。
〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 教育長、学力、学力ということで鳴り物入りで騒いでいるんですけど、やはり教室が快適な場所で授業に集中できたいということでは学力の向上につながらないと思うんですよ。
今、家に帰ったら扇風機はある。環境は、ある面では本当にいい環境にある家庭もある。そうでない部分もありますけれども、やはり教室できちっと集中できる、ここで習ったものが身につくということじゃないと学力に結びつかないと思うんですね。
そういう意味では、ぜひとも学校教室の中にやはり扇風機は7台つけるということは、金がないからできないじゃ、学力だって騒いだって上がりませんよ。その辺、きちっと答弁を求めます。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 御提言の趣旨に従いまして、十分今後対応していきたいと考えております。
○議長(平良一男君) 中根 章君。
〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 「ふみらりんしかん すしらりんしかん 浮世らくらくとう暮らしぶさぬ」という歌かと思えば、「ふみていすしらりし世ぬ中ぬなれい さたんねんむんぬ役立つが」、こういうふうに沖縄の芝居というのは8・8・8・6で実に見事な会話を交わしているんです。そこら辺が私は大変おもしろいんですよ。
21世紀を展望するならば、地球規模で汚染、自然破壊が続く中では、環境問題、自然保護政策が重要であります。さらに、愚かな戦争準備から、デタントと平和の推進の施策もまた重要であります。さらに、平等社会を築くための福祉社会の実現、第4には文化の振興こそが大変重要な政治課題でございます。開発志向と軍備拡張競争から転換をする時期に来ていると考えるわけであります。
この4重大課題の中から、きょうは文化行政、とりわけ沖縄の無形文化財である沖縄芝居について知事の御所見を承りたいと思います。
演劇は総合芸術であると言われ、劇場へ行ってみれば、その国や地域社会の芸術文化全般の水準がわかると言われ、演劇は文化のバロメーターと言われております。
ふるさと創生とか、ふるさとを見直す機運の高まりの中で、地域言葉による芝居や映画が盛んに上演、上映されております。この14日から「ウンタマギルー」の映画が上映されます。
ふるさとの自然とふるさと地域文化こそが人々に安らぎを与え、青少年に情操豊かな生活環境づくりとなるのであります。
先進諸国における芸術文化に対する行政の助成は大きいものがあり、イギリスでは一流の女優さんが、高校生のための芝居を国の財政援助で教えております。これら文化振興は、行政の大きな任務となっております。
日本の文化行政はといいますと、欧米諸国に比べて余りにも貧弱であり、予算も低過ぎます。今の日本はお金がいっばいあって物が豊富なのに、精神生活の民度は低いと言わざるを得ないのであります。生の芝居を見たという人は、日本では2%ぐらいだと言われておりますが、欧米諸国では30%の人々が芝居を見ており、人々の話題も芝居から入ると言われているほどであります。経済大国日本が軍事大国などと言われないように、文化大国への脱皮が図られなければならないと思います。
我が県における無形文化財と言われる芝居や古典音楽、舞踊等の芸能も、専門家と言われる人々の熱心な研究とマスコミによる奨励によって今のような隆盛を見ているのであるが、その中で芝居については若い人たちがいなく、消えていくのではないかと心配されている節もあるのであります。
それは、中央からの教育文化行政の一体化推進と無理な押しつけと、無批判に受け入れ、地域文化、方言文化の過少評価あるいはコンプレックスにより弱体と衰退を早めているのではないかと思うのであります。
以前、沖縄の指導者が沖縄のエイサーに対して、東京でエイサーをやることは沖縄の恥の上塗りだというふうなことを言った人もいるぐらいであります。沖縄の文化の独自性の主張が今最も必要であります。まさに文化は資源であるからであります。
沖縄芝居の現状でありますけれども、舞台俳優、いわゆる役者の高齢化であります。全国的にもその演技力が高く評価されております。例えば、大宜見小太郎さんや真喜志康忠さんたちも70歳前後であり、その他の一流の役者たちももう50歳代以上になっておられます。後継者が少なく将来極めて憂慮されておりますし、後継者対策が急務であると思われます。
舞台の現状はといいますと、旧作の再演と、近ごろでは歌劇ブームに乗ってはいるものの、母の日や敬老の日を中心に公演が行われているのが現実であります。2000円、2500円の入場料のみでは費用が出ないため安易なアチラシケーサー芝居となったり、舞台美術に金がかけられたいための弱さ、衣装や小道具も役者の自前であり、満足に
ギャラも出せない状態であります。特にけいこに日数をかけなければいけないのに、その費用がない。さらに資金不足は、舞台技術者との提携を困難にしているのであります。そのために一流の舞台をつくり上げることに苦心をし、自主公演も思うに任せない状態であります。
その中で芝居を支えている観客は女であり母であります。男は余り芝居を見ないようでございます。しかしその反面、最近の若い人たちの間に芝居や方言による表現への関心が高まりつつあります。
今、観客が求めているものは沖縄文化への愛着と復権であり、自分たちの独自文化、言語を持つことの誇りとすばらしさ、国際化時代に備えて自分の土地の文化を丸ごと知り感じたいという自然な欲求等々であります。
このような苦しい現状の中で沖縄の俳優協会の定期公演が定着をし、成功をおさめていることを初め、「演劇集団 創造」などの新作創作劇上演運動により、よい舞台」の観客動員がもたらされております。沖縄芝居の学校公演がふえつつあることなど関係者の努力に敬意を表するものでありますが、その努力に対し国は国指定無形文化財組踊技能保持者の選定をしておられますし、また沖縄県も今、琉球歌劇に対し県の指定と保存会認定をしておられることに対しては、行政の対応も一定の前進が見られるものと敬意を表するものでございます。
そこで、沖縄芝居実験劇場の「世替りや世替りや」という芝居がございますけれども、紀伊国屋演劇賞特別賞受賞をしております。また「嵐花」という芝居は、文化庁平成元年優秀舞台芸術奨励公演として助成もされております。「演劇集団 創造」は、サントリー地域文化活動賞の受賞もしているのであります。さらに「人類館」という芝居がございますが、これは岸田国士戯曲賞が与えられております。さらに「コザ版 どん底」という芝居も文化庁主催の地域東京演劇祭に参加をし、大きな評価を受けているのであります。
このほかにもこの10年間で多くの演劇が本土公演を行い、全国的に高い評価を受け、沖縄芝居の質の高さが認められております。方言文化の美しさも認識させるものであり、沖縄芝居は県民全体の宝であります。
その保護、育成のため、次のことについて知事の御所見を承りたいと思います。
まず1つ、演劇場の常設館の建設とけいこ場の建設、いわゆる芸能村づくりをしたらどうかということであります。将来は、劇場が沖縄芝居をつくり出すためのスタッフを置くことと、公営のけいこ場として組踊用、いわゆる伝統芸能用、歌劇その他沖縄芝居全般用、さらには新劇用、総合的な琉舞用、オペラや洋舞用などのけいこ場、これを周囲に取り巻いたいわゆる常設館をつくって芸能村づくりをしたらどうかというのが1点であります。
2つ目に、俳優、作家、演出家、舞台芸術者、さらには技術者、製作者等の後継者を含め人材の育成にどういうふうに寄与していこうと考えておられるかお尋ねいたします。
3つ目に、新作と旧作の舞台を助成するために年間何本かを指定をし、優秀舞台を選んで再演させるための補助制度の創設、文化庁方式でやるのも一方法と思いますけれども、それについてどういうふうに考えておられるか。
4つ目に、生きた方言を学ばせるという沖縄的な教育文化行政の実現のために学校公演、沖縄芝居子供劇場を創設するための、今でも二、三行われておりますけれども、その予算化について教育長に特段の配慮をしていただきたいと思いますけれども、御所見を承りたいと思います。
5つ目に、世界演劇祭の開催をしてはどうかということです。アジアの演劇祭の開催でしたか、舞踊でしたか、石垣市が行ったりしております。それから浦添市もこの文化活動には大きく力を入れておられますけれども、そういう意味でも世界のウチナーンチュ大会の中ででもよろしゅうございますので、世界演劇祭の開催をしたらどうかということであります。御所見を承りたい。
6つ目に、いわゆる本土公演、それから外国の演劇祭、そういう公演への参加の派遣の助成をしたらどうかと思いますけれども、その助成についての前向きの検討をしたことがあるのかお伺いをいたしたいと思います。
7つ目に、文化振興基金の創設と沖縄文化財団の設立についてお伺いいたしたいと思います。
文化振興基金を創設して、そういう中から本土公演や外国の演劇祭等に派遣できる基金をつくるということで、基金の創設と沖縄文化財団の設立についてお伺いいたします。
この項の最後でございますけれども、県民劇場賞というのを創設して、活動賞やそれから功労賞、そういうような賞をつくることによっても、これから若い人たちへの大きな励みになると思いますけれども、8つ目にそれについての御所見を承りたいと思います。
次に、全国植樹祭の沖縄県開催について2、3点お伺いしておきますけれども、植樹祭の趣旨は、どういう趣旨になっておりますか。
2つ目に、沖縄県開催の意義についてお尋ねいたします。
3つ目に、開催場所について北部振興会が誘致に名乗りを上げているが、他の地域市町村からも誘致要請があったのかどうか、場所についてもお伺いをしておきたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 中根章議員の御質問にお答えする前に、久しぶりに本当に胸のすくような大変な御提言、本当にありがとうございました。
私も沖縄の伝統文化、伝統芸能を何としてもこれは残したいと、そういうことで県立芸術大学の構想を練り、今、音楽部の設置に向けていろいろ準備をしているわけでございますが、人材の養成と相まって最後は、組踊国立劇場も結構だが、沖縄芝居を中心とする常設の郷土劇場をつくれないものかなと、これが文化事業に対する知事としての最後の仕事にしたいと、こう思っているやさきに沖縄芝居の保存と振興について貴重な御提言を賜り、本当に感激で胸がいっばいであります。
お答えいたします。
常設劇場を中心にしてその周辺にけいこ場を設け、芸能関係者を育成するという芸能村構想については、貴重な提言として受けとめたいと思います。
沖縄芝居は、数多い郷土芸能の中でも最も郷土色の濃い芸能として県民に親しまれ今日に至っております。県は、その保存、育成のため「県民劇場」を実施いたしております。
県としては、伝統的な沖縄芝居とともに、新作の芝居についても文化振興事業の一環としてその助成、振興に努めているところであります。またすぐれた作品については広く県民に鑑賞していただくとともに、県民劇場をさらに充実いたしまして沖縄芝居の振興を図る上からも俳優、演出家等を含めて舞台関係者の方々の一層の育成を図っていく必要があるのではないかと考えております。
次に、世界演劇祭の開催、また本土、外国公演への助成、7番目に文化振興基金と財団設立、最後に県民劇場賞の創設についての御提言がございましたが、今度、南米訪問に当たりまして仲田幸子一行の芝居を持っていきましたが、南米各自で笑いの渦で大変な人気がございました。いつもですというと師匠級の踊りばかりを持っていったんですが、今度だけは何としても沖縄芝居の持っているよさを見てもらおうということでやったんですが、各地で大変な絶賛を浴びて、私も沖縄で「仲田幸子」を見たことはございませんが、南米で初めて仲田幸子を見たような格好になって改めて仲田幸子のよさを感じたわけでございますが、文化振興基金の創設につきましては、県民文化を総合的に振興するため必要であると考えております。
御提言の世界演劇祭及び演劇の県外、外国公演への助成等についても検討してまいりたいと思います。
県民劇場賞の創設につきましては、貴重な御提言として承っておきたいと思います。
最後に、植樹祭についての御質問に対しましてお答えいたします。
全国植樹祭は、森林資源の造成、国土の保全、水資源の涵養並びに生活環境の緑化を図るとともに、森林の役割に対する理解を深め、緑豊かな国土の建設を促進することをねらいとして行われる国民的な祭典であります。
これを本県で開催するについては、1つ、森林、林業及び環境緑化の重要性について県民の理解を深めるとともに、緑豊かな郷土づくりを進め林業振興の契機とすること。
2つ目に、復帰20周年記念事業と位置づけることにより復帰以降の本県の歩みを振り返り、21世紀を展望した個性と活力に満ちた豊かな県づくりに向けて決意と自信を喚起する機会とすること。
3つ目に、本県の自然、文化、社会、経済的な特性を広く国民に紹介し理解を深める絶好の機会であり、今後の観光、文化、産業の振興にも貢献することである等の点で極めて意義深いものがあると考えております。
なお、会場につきましては、森林を造成し維持するにふさわしい地域で、宿泊、交通、地形その他の条件を勘案いたしまして調査検討を進め、決定の手続をとる予定であります。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 中根議員の御質問にお答えします。
沖縄芝居の保存と振興にかかわる質問の中で、生きた方言を学ばせる沖縄的な教育行政の実現のための学校公演、あるいはまた沖縄芝居子供劇場を創設するための予算化についての御質問にお答えします。
児童生徒に沖縄の伝統的な郷土芸能である沖縄芝居を鑑賞させ、先達の残した貴重な方言を学ばせることは、本県のすぐれた文化や歴史を体得させる上からも意義深いものと考えております。
今回、初の試みといたしまして県立高校の生徒を対象に「嵐花」の公演を予定をいたしております。
なお、御提言の沖縄芝居子供劇場の開催につきましては、関係機関と調整しながら検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(平良一男君) 中根 章君。
〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 大変お褒めの言葉をいただいた割には、ヨッシャ、これでやるという御答弁が少し欠けているようで、局長、これだけのうちで、知事の御答弁をいただいたわけですけれども、文化振興基金の創設と文化財団の設立等については、これからの見通しとして、こういうのは時期を失しているぐらいなんですよ。そういうことについ
て、ひとつ担当部長の決意のほどを一遍披瀝をしていただけませんか。そういう中で知事に予算要求をするという手もありますので、どんなものですか。ひとつそれを再度お聞きをしておきたいと思います。
それから、先ほどの植樹祭の問題ですけれども、今の御答弁の中に、緑豊かな国づくり、それから森林資源、水資源、緑環境とか、緑豊かな沖縄県づくりというのが趣旨で意義のようであります。
そうしますと、今の沖縄の地はどういうことになりますか。軍事優先政策の中で毎日実弾演習があって、実弾が飛び交っているんです。爆音がとどろき、自然が破壊されておるんです。
このような荒廃した状況のもとでは、この植樹祭の趣旨も意義も本当に生かされてこないのじゃないのかと心配するわけであります。
そこで提案ですけれども、恩納岳、ブート岳、キャンプ・ハンセン基地の演習場を開放して、その中に植樹祭の会場をつくってみたらどうかと思うんですが、知事の御所見を承りたいのであります。
恩納岳の山頂に立ってみますと、太平洋と東シナ海が一望できるんです。はるか北部の山並み、それから本部半島も臨むことができるんです。本当に景勝の地なんです。だから恩納ナビーが生まれてくるんです。恩納ナビーがああいう歌をうたって、「かじぬ声んとうまり波ぬ声んとうまり」と言ったのは、王様がえらかったんじゃないんです。恩納ナビーがいかに自然を愛し、自然と常に生活をしていたから恩納ナビーのあの歌で風もあらしもやんだんです。
そういうことなんですから、私たちが本当にそういう沖縄の緑と水資源、豊かさと環境を考えるならば、私は今度こそこの植樹祭にかこつけてあの恩納岳、ブート岳、金武のキャンプ・ハンセンを絶対に撤去させる、その中に植樹祭を持っていくというのは大変いいと思いますよ。那覇から車で1時間とちょっとしかかからないんです
そういう意味で、日ごろ自然に親しむ機会の少ない中南部の人たちや子供たちにとっても、恩納岳を開放してそこに植樹祭の会場を持ってくるというのは、本当にいいチャンスだと思うんです。
知事の決意のほどをお伺いいたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 中根議員の緑を守り、環境を保全し、そして沖縄を本当に住みよいきれいな沖縄にしようという日ごろの持論には頭が本当に下がる思いでいっばいでございますが、ただいまの提言についてせっかくの提言でございますので、一遍、軍と腹を割って話し合ってみたいと思います。
しかし、やりましても、木を植えてまた演習場に使われるということになると、これは元も子もなくなるんじゃないかというまたそしりを受けはしないかと。
いずれにいたしましても、緑を守り、また環境保全することも大事でございますが、また緑をつくる、どんな厳しい環境にあっても緑を一つ一つふやしていこうということも大事なことでございますので、大変貴重な御提言として承り、軍と改めて折衝してみたいと思います。
○議長(平良一男君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 松堂忠健君登壇〕
○観光文化局長(松堂忠健君) 芸術の資質の水準の向上といいましょうか、活性化という意味で担当局長としてどうしても文化振興基金の創設を図らなければいかぬということで各関係部局と調整に入っているところに、知事が必要であるとおっしゃっていますんで、私からこれ以上申すことはございません。本当にいい御提言、ありがとうございました。
○議長(平良一男君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明6日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時散会
前発言
次発言
19890704000010