平成12年(2000年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月 8日
福祉保健部長(平良健康)
 

 児童福祉、児童虐待について、全国の児童相談所が取り扱った児童虐待に関する相談件数及び実態についての御質問にお答えいたします。
 全国の児童虐待の相談件数は、平成11年度は1万1631件で、平成10年度6932件の1.7倍となっております。
 国によると、児童虐待絡みの事件・事故がふえ、虐待防止の広報・啓発の取り組みが広がり、社会の関心が高まっており、これまで埋もれていた事例が掘り起こされ、児童相談所での相談へとたどり着く件数がふえたと背景を分析しております。
 虐待の内容は、身体的虐待が5973件で最も多く、全体の51.3%を占め、次いで保護の怠慢ないし拒否が3441件で29.6%、心理的虐待は1627件で14.0%、性的虐待は590件で5.1%となっております。
 虐待したのは、実母が全体の58.0%で最も高く、次いで実父が25.0%となっております。
 次に、本県の児童相談所が取り扱った児童虐待に関する相談件数及び実態についての御質問にお答えいたします。
 本県の児童虐待の相談件数は、平成11年度は237件で、平成10年度124件の1.9倍となっております。
 本県の場合も全国と同様、虐待の広報・啓発の取り組みが広がり、社会の関心が高まって、これまで埋もれていた事例が掘り起こされたものと考えております。
 虐待の内容は、保護の怠慢ないし拒否が122件で最も多く、全体の51.5%、次いで身体的虐待が77件で32.5%、性的虐待は25件で10.5%、心理的虐待は13件で5.5%となっております。
 虐待したのは、実母が53.2%と最も高く、次いで実父が32.1%となっております。
 次に、児童虐待防止法の施行によって今までと比べ何が変わるのかとの御質問にお答えいたします。
 児童虐待の対応については、従来より児童福祉法及びこれに基づく児童相談所運営指針、子供虐待対応の手引き等により児童虐待の早期発見、早期対応及び被虐待児童の保護が図られてきたところであります。
 今回の児童虐待防止法の施行により早期発見や子供の保護を一段と強化するための強制措置等が可能となりました。
 例えば、1つは、学校や児童福祉施設、その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を発見しやすい立場にあることから、早期発見に努め児童相談所への通告を義務づけ、通告しても守秘義務違反を問われないこと、2つに、児童相談所の職員等は虐待のおそれがある場合、児童の自宅などを立入調査し必要に応じて警察官の援助を求められること、3つに、虐待を行った保護者について指導の措置がとられた場合は当該指導を受ける義務があること、4つに、児童相談所長または施設の長は面会や通信を制限できること、5つに、民法上の親権の一時停止に相当する行為ができること等が盛り込まれております。
 次に、児童相談所の専門職員の確保と整備を急ぐべきであるが、その実態はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 児童相談所は、虐待を受けた子供の相談や保護に直接的にかかわる機関であり、専門的な知識を有する児童福祉司や心理判定員等が児童福祉法の規定により配置され、その業務に対応しております。
また、児童虐待の防止等に関する法律の施行により保護者へのケア等が義務づけられております。そのためにも児童相談所職員の専門性の確保や資質の向上が必要と考えられ、専門研修を充実させてまいります。
 また、平成12年度より児童虐待の増加に対応するため児童福祉司の補助的役割を担う児童虐待対応協力員を各児童相談所に配置し機能強化を図っております。
 次に、再発防止のための保護者へのケア、治療システム及び支援体制の整備についての御質問にお答えいたします。
 児童虐待については、児童の健全な心身の発育・発達に重大な影響を与えることから、状況に応じて保護者から分離し一時保護を行い、必要に応じて児童福祉施設入所等の措置をとることになります。
 しかし、保護者からの分離が目的ではなく、親子が再び健全な家庭生活を営むことのできるよう援助することが必要であります。そのためには心に傷を負った児童のケアはもちろんですが、保護者に対するケア等の援助が大切であります。
 児童虐待の防止等に関する法律では、児童虐待を行った保護者に対して、児童福祉司等の指導を受ける義務が規定されたことから、保護者に対するカウンセリング等の援助について今後充実してまいります。
 次に、認可外保育園の施設数、入所児童数、児童福祉保育所の整備と待機児童及び認可外保育所についての項目の中での質問にお答えいたします。
 認可外保育施設は法的な基準によらず運営され、子供たちの処遇面等に困難な課題があります。平成12年4月1日現在、県内の認可外保育施設は496カ所、2万3999人の児童が利用しております。
次に、浦添市の無認可保育所に対する補助についての御質問にお答えいたします。
 浦添市における平成12年4月1日現在の保育所数は17カ所、定員1380人で入所児童数は1560人となっております。
 保育に欠ける児童として入所申し込みを受けたが、保育所に入れない児童は397人で、入所児童数に対する比率は25.4%と最も高い待機率を示しております。
 一方、認可外保育施設数は49カ所、利用児童数は2264人となっております。
 県では、待機率の高い市町村と連携を図りながら保育所の創設や老朽保育所改築の際の定員増、設備等に余裕のある保育所においては定員の弾力化及び少子化対策臨時特例交付金を活用して平成13年度までに待機児童解消に取り組むこととしております。
 浦添市においても同様に待機児童の解消に努めてきたところでありますが、今回は、実施予定として無認可保育園を利用する児童に対する助成を講じたものとして評価していきたいと考えています。
 次に、県内、県外における自治体での先行例はあるかとの御質問にお答えいたします。
 浦添市では、待機児童の解消を目的に認可外保育施設の助成が予定されております。
 全国においては、東京都ほか5県において同様な目的で実施されており、九州各県での実施例はありません。
 なお、九州各県では本県を含めまして5県において健康診断料の補助が実施されております。
 また、県内市町村においては健康診断料や損害保険料などを助成しており、平成12年6月の調査では浦添市と同様な助成の事例はありません。
 次に、認可外保育施設の果たす役割についてどう認識しているかとの御質問にお答えいたします。
 保育所は、保育に欠ける乳幼児を保育する児童福祉施設であり、国の定める児童福祉施設最低基準等を遵守して運営されております。
 一方、認可外保育施設は法的な基準によらず運営され、子供たちの処遇面に困難な課題があります。認可外保育施設は保育時間、保育料、児童の送迎の利便性及び集団保育を目的として利用されている現状があります。
 県におきましては、児童の安全・衛生面や保育の質を確保するという観点から、昭和58年に「無認可保育施設指導監督要綱」を定め、立入調査を実施しております。なお、平成8年度からは認可外保育施設専門指導員を嘱託員で配置しておりまして、その指導を強化しております。
 さらに、施設を利用する児童の処遇改善につながる職員の資質の向上を図るため研修を実施しております。
 また、市町村との連携のもと、利用児童の処遇改善のための健康診断料を助成しており、今後も同事業の充実を図ってまいります。
 次に、ふえ続ける無年金者対策についての項目の中で3つの御質問がございます。1つは、無年金者の実態と対策及び救済策について、2つに、その予備軍の実態と対策について、3つ目に、納付(検認率)とその解決策についての御質問に一括してお答えいたします。
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律が平成12年4月に施行されたことに伴い、都道府県知事の機関委任事務でありました社会保険関係の事務についてはすべて国の直接執行事務となり、現在、社会保険庁の地方支分局である沖縄社会保険事務局が所管しております。
 参考のため、御質問に関する同事務局の考え方を伺っておりますので御説明いたします。

 平成10年度末の無年金者は6070名で、無年金者予備軍は5万4356名となっており、対象者には国民年金制度の内容を十分に理解させる必要があるため、長期未納者の戸別訪問や未納通知及び催告状の定期的発行を行うなど指導を強化しているところであります。
 また、平成10年度の検認率は56.2%で全国に比べてまだ大きな格差がありますので、全国平均に近づけるよう収納特別対策事業を実施するなどして市町村を指導し収納の強化を図っているとのことです。
 なお、御質問の趣旨につきましては貴重な御意見として承り、県としては同事務局と協力を図ってまいりたいと考えております。

 
20000403020030