平成11年(1999年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 10月 1日
糸数 慶子
 

 こんばんは。
 通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。
 まず、知事の政治姿勢について、平和行政について伺います。
 稲嶺知事の基地問題、あるいは平和行政に対するスタンスをお伺いいたします。
 いまだいえることのない沖縄戦で受けた県民の心身の傷口を再びえぐるような県首脳の行為を考えると、稲嶺県政の県民の心を無視した体質が浮き彫りにされ、危機感すら覚えます。
 稲嶺知事の背後には、就任以来総理大臣や内閣官房長官の影が見え隠れし、県民の代表というより、日本政府から出向してきた役人というイメージさえ思い浮かぶとの世評さえあります。
 したがって、今回の新平和祈念資料館に係る問題は、新ガイドラインを初めあらゆる戦争準備法遂行のための条件整備の一環として、いつまでも過去の戦争を引きずる沖縄の環境浄化のため国家レベルの施策ではないかと思わざるを得ません。
 今回の県の取り組みは、日本政府からいい子として御褒美をいただけるとでも思ったのか、戦前の県の指導者をほうふつさせるような行動です。
 もっとも知事は無関係で、部下が勝手にやったような印象を与え、部下に責任を押しつけているような観さえいたします。職員の皆様は、同情を禁じ得ません。行政マンとしての職責を県民の一人として誇りを持って毅然とした態度で全うをしていただきたいと思います。
 知事は9月28日、一転して知事は見直しに関与したと認めました。
 このような事実関係が二転三転する中で、この事実関係を整理するために知事の特命を受けたはずの政策参与が一片の報告書を提出しただけで、こうした事実解明の場に姿がありません。
 政策参与の立場は、本会議の説明要員にはなり得ないのでしょうか。また委員会では可能でしょうか、当局の御見解をお尋ねいたします。
 知事は、前大田県政でつくられた平和の礎を高く評価されているようですが、このような事実を踏まえた上で今後この平和の礎を稲嶺県政の平和行政にどのように位置づけていかれるつもりですか、御所見を賜ります。
 次に、新平和祈念資料館について、監修委員会の提案していた展示内容がいつ、だれによってなぜ変更されたのか、明らかにしていただきたい。行政内部の責任の所在をも含め、情報の全面公開を行っていただきたい。
 また、現行の監修委員会と各部会の会議についても情報公開をしていただきたい。
 次に、県は新平和祈念資料館の慰安所マップの展示の取りやめを検討していたと伝えられていますが、これは事実ですか。事実であるならば、その理由を伺います。
 さらに、平和の礎には23万人以上の多くの戦没者が刻銘されていますが、朝鮮人従軍慰安婦はだれ一人として入っておりません。彼女たちの多くが朝鮮半島から拉致同然に日本に連れてこられて、日本軍の性の相手としてぼろきれのように扱われ、戦時下では命を奪われ、辛うじて生き残った人もふるさとに帰れる保障がない、そのまま戦場にほうり出されたのです。
 そして、そのまま便宜上の日本名さえ明らかでないばかりか、人数さえ正確には掌握されていないのです。
 1993年、沖縄女性史を考える会のメンバー数人は、慰安婦の実態がわかれば、せめて県内の慰安所の場所を確認しようと行動を開始しました。131カ所の慰安所があることがわかり、慰安所マップを作成いたしました。
 全員がいわゆる家庭の主婦で、夫や子供を送り出した後、手弁当で県内各地を歩き回り、苦労の末確認した数字であります。これが予定していた慰安所マップであります。(資料を掲示)
 女性史のメンバーは、困難な慰安婦調査にかわるものとして慰安所の数を掌握し、地元の人たちから証言をとりながら慰安婦の実態に迫ったのです。知事を初めとする県幹部にとって、もし慰安所マップが取るに足らないものと思っていらっしゃるのならば、平和祈念資料館の建設そのものの意味を問わなければいけません。
 来年開催されるサミットでは、「平和・安全」、「人間の安全保障」がテーマになっておりますが、この慰安所マップ、そしてこの隣のアジアの国の女性たちの実態を明らかにできない、そういう平和祈念資料館から平和の発信ができるのでしょうか。
 新平和祈念資料館の展示変更の18の項目の中で、なぜ慰安所マップは展示しない方向で検討されたのか、その理由を伺いたい。
 また、監修委員会の権限の範囲は展示内容の最終的な決定までではないのか伺います。
 次に、新平和祈念資料館の開館後の運営について、沖縄戦の史実や占領期の史実、平和教育に詳しい専門職員の配置、条例制定、財源の確保をする必要があると思いますが、いかがでしょうか、知事の御所見を賜りたい。
 次に、基地問題について伺います。
 普天間飛行場代替地について辺野古、久志、豊原、名護市議会と反対を決めましたが、知事はこの件についてどう思いますか。
 また、国立高専の誘致を要請していますが、基地の移設とかかわりがあるのか。移設反対でも辺野古に国立高専を設置されるのでしょうか。
 次に、普天間飛行場代替地については、複数の案を検討していると6月議会で知事は答弁なさいました。県案はまとまったのか、お伺いいたします。
 読谷補助飛行場用地の戦後処理としての所有権回復については、地主会からの強い要請がありますが、県は国にどう働きかけていくのか、お伺いいたします。
 次に、福祉・保健医療行政について伺います。
 通院患者リハビリテーション事業について。
 医学の発達により、精神障害者が比較的短時間に社会復帰できるようになった今日でも、もとの仕事に戻りたい、あるいは再就職をしたいと思っても社会の精神障害者を受け入れる環境は必ずしも十分とは言えません。
 そこで、精神障害者やその家族を取り巻く環境が厳しい状況にあっても、地域の中で暮らし、地域の中で働きたいという願いのもと、小規模作業所をつくり、社会復帰への足がかりを模索しながら、軽作業を中心に共同作業所での生活を営むところも出てきたと聞いております。
 そういう状況の中で、通院リハビリテーション事業の予算が削除され、新規者の助成が打ち切られ、関係者は大きな不安を訴えています。
 今年度の事業の概要と今後の課題、また県下の通院患者リハビリテーション事業の対象者は何名で、そのうち新年度事業の対象者は何名か、お伺いいたします。
 次に、身体障害者の更生医療について伺います。
 更生医療の対象者の実態を把握していらっしゃいますか。
 移送費助成制度の枠を重度の心疾患患者にも広げられないか、お伺いいたします。
 次に、病状が変わらないのに特別児童扶養手当が1級から2級に認定されたケースがあり、不服申し立ての申請をしたら診断書にも再度費用がかかった。非課税低所得世帯の住民票や診断書にかかる費用の免除は可能か、伺います。
 次に、こども病院設立について伺います。
 母子総合医療センターについてお伺いしたいと思います。
 母子保健、小児医療に対しての経費は、福祉かつ未来への投資だと思います。母子総合医療センター設立を考えるとき、沖縄では常に指摘される課題となるのが財政の問題であります。
 今、全国あちらこちらにこども病院ができました。そのすべての病院で30%から50%の赤字が出るにもかかわらず、この赤字は子供たちへの福祉であり、未来への投資であるとの認識で県民に支えられています。
 新たに宮城県や愛知県で子供専門病院の設立が決定されました。国としても、少子化が進み深刻さを増す日本の社会状況の中で子供たちを大切に守り育てなければという考えから周産期医療センターへの補助、3歳児未満の医療費の無料化、保育園の支援策などを検討し始めています。
 この沖縄県において、大切な小さな命を守るため県としても母子総合医療センター、こども病院を設立、運営していくことは将来への大きな投資であり、財産になるとの視点に立って考えていただきたいと思います。
 お伺いいたします。
 離島県である本県でこそ母子総合医療センターが必要だと思いますが、国立の母子総合医療センター誘致について県は積極的に取り組む意思がありますかどうか、お伺いいたします。

 次に、環境行政について。
 赤土問題について。
 平成7年度から監視調査を行っている12のモニタリング海域の実態調査の実情について伺います。
 流域ごとに協議会を設置し、それぞれの河川、海域の特性に応じた対策を総合的に進めていくとの答弁が6月の定例会でありましたが、その後の取り組みについて伺います。
 愛知県の矢作川方式を本県も取り入れて、今後の赤土対策の事業に組み入れていただきたいのですが、せんだって平良市の大浦地区でありまし矢作川方式をどう評価されるか、お伺いいたします。
 次に、エコ・コースト事業について、本県の進捗状況と今後の事業展開について伺います。
 次に、米軍基地の環境問題について。
 米国では、環境汚染浄化責任の法的根拠が明確で、財政的基盤が確立され、汚染した側が浄化して返還することが常識になっています。日米地位協定第4条が米軍の原状回復義務を免除しているのがネックになっているが、日米地位協定の見直しについて国にどう働きかけていくか。
 米軍用地の環境浄化について、返還後ではなく、事前に立入調査、情報公開ができるよう国に申し入れていただきたい。
 嘉手納基地内のPCB調査については、国は補完調査を開始しましたが、PCB以外の有害物質についても調査しないと地元住民の不安解消にはならないと思うが、県は国に対して再度有害物質すべてを対象に調査すべきだと働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、子供の人権と教育行政について伺います。
 児童虐待が急増する中で、都道府県、政令指定都市の6割が児童相談所の今年度の事業費、運営費を前年より削減していますが、特に児童虐待が多発している首都圏の自治体でカットされています。
 本県においても、昨年より事業費、運営費が削減され、削減率は神奈川県に次いで2番目だと言われておりますが、予算が削減された経緯について伺います。
 次に、この児童虐待については未然防止、児童虐待の実態とそれから救済策、それについて警察本部長、文化環境部長、教育長にお尋ねいたします。
 早期発見、早期援助に向けての関係機関の連携が必要だと思いますが、学校現場、児童相談所、警察などの連携プレーはうまくいっているかどうか、お伺いいたします。
 次に、我が党の代表質問との関連について、先ほどもお伺いいたしましたけれども、知事は基地問題について、普天間飛行場代替地については移転地が絞り込まれているとの答弁がありました。
 地元辺野古区を初め、それから久志、豊原、名護市議会でも反対をしている現状ですが、公約に掲げた陸上、一定の期間に限定した軍民共用、振興開発とのセットの空港はできるのでしょうか、知事の所見をお伺いいたします。
 知事の答弁に関しては、1つの案に絞っているのか、振興策とセットするのか、それについてお伺いいたします。
 次に、八重山平和祈念館では、悲惨な戦争マラリアという事実を二度と繰り返さないようにという趣旨に基づき、実際のマラリア被害の実態を中心に展示内容やスペースが配分されるべきと考えますが、館内の展示にはマラリア防除、防圧に対するスペースがかなり割かれている。それは本来の目的とは違うのではないでしょうか。
 そのようなスペース配分をしたのは、どのような意図や事情があるのか、お伺いしたいと思います。
 それと、今回知事は平和祈念資料館に関して関与してないとおっしゃいましたが、新聞の報道によりましたら関与したというふうに報道がなされています。もしこの報道が否定されるならば、知事は報道機関に抗議するつもりはあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
 答弁によって再質問いたします。

 
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