昭和55年(1980年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 7月 5日
第 4号  7月 5日
 

議 事 の 概 要
昭和55年7月5日(土曜日) 
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 乙第1号議案から乙第16号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 伊良皆高吉君(自民党)
    2 儀間 光男君(自民党)
    3 崎浜 秀三君(自民党)
    4 桑江 良逢君(自民党)
午後2時40分散会

○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた教育委員会委員長津嘉山朝吉君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。よってその代理として教育委員会委員長職務代理者宮良長廣君の出席を求めました。
○議長(大田昌知君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第16号議案までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 伊良皆高吉君。
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 1年生議員でありますので、先輩議員初め、執行部の皆様方の御指導をお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
 本県は南北約500キロ、東西1000キロに及ぶ広大な行政区域の中に沖縄本島、宮古、石垣を含め40余の島々を有する離島県であることはすでに御承知のとおりであります。離島であるがゆえに、そこには交通通信体系の整備、社会福祉等保健医療の確保、教育文化の振興、そして産業の振興や観光開発など離島県特有の幾多の問題が内在していることもすでに御案内のとおりであります。そのために日夜健闘しておられる西銘知事を初め行政当局の熱意と努力に対し、まずは心から敬意を表する次第であります。
 振り返りますれば戦後35年、復帰後8年余を経た今日、沖縄振興開発計画の中には土地利用計画、離島振興計画、農業基本計画、観光基本計画等各種計画が策定され着実に公共投資が行われてきているところでありますが、本島と離島間の地域間格差は依然として解消されていないのが実情であります。
 そこで本員は、離島選出議員の立場から、離島住民が直面している重大問題の中から次の5点にしぼって質問したいと思います。
 まず第1の質問は、離島の中の八重山、宮古を初め数多くの離島においては、いまだに電気と水が十分に確保されていないという問題であります。離島という厳しい自然的環境と地理的な条件下において現代文明の恩恵を受けることができず、離島苦と忍耐のみを余儀なくされている離島住民にとって電気と水の確保は本島に住む者には理解できないほど切実な願いであり、また祈りでもあります。そこで行政当局にお伺いしたいのは、電気と水がいまだに十分確保されていない離島が竹富町の鳩間島や西表舟浮部落を初め幾つかあると聞き及んでいるのでありますが、現在どのような状況になっているか。またこれまでの行政実績と今後の整備計画について明らかにしていただきたい。
 次に、ウリミバエ撲滅の早期実現について質問いたします。
 本県の農業は、年中豊かな太陽エネルギーの恩恵を受けて冬場においても農作物の栽培が可能であり、そのため本土市場における野菜類の端境期には、カボチャを初めとする数多くの野菜類の本土向け出荷がなされ、本県経済に大いに貢献していることは御案内のとおりであります。また、本土市場においては現在本県から出荷されている野菜類のほかにピーマン、キュウリ、ナス、トマトといったナス科類の野菜の需要が特に多く、本県からの出荷を一日千秋の思いで待ちわびているということが実情であります。しかしながら、本県は久米島を除く各島々がウリミバエの汚染により、それらの植物の県外持ち出しが禁止されておるのが現実でございます。本県におきましてはウリミバエ対策事業所が設置され、ウリミバエ根絶防除事業年次計画案のもとに担当者が日夜精力的に取り組んでおられることについては、県民の1人として心から敬意を表しており、また期待をしているものであります。
 本県のウリミバエ根絶防除計画案によりますと、計画の実施は宮古、沖縄本島、八重山の順で実施され、計画の終了までには10年以上もかかるということでありますが、本員の意見としては、先に申し上げました本県農業の将来または本県経済の自立の意味からもウリミバエ根絶防除計画の実施は一日も早く行うべきであり、予算その他の条件の整備によって期間の短縮が可能かどうか。可能であれば、それらの整備によって期間を2分の1にも10分の1にも短縮する必要があると思うのであります。また実施の順序につきましても、ウリミバエの汚染の経路が1919年八重山、1929年宮古、1970年に久米島、1972年沖縄本島、1974年大島郡と南から北に向かっていわゆるウリミバエの活動期に南風に乗って伝わってきたと思われることからしましても、根絶の実施の順序は南の方から始められた方がよいと思いますが、御所見をお伺いします。
 またそのことは、近年冬場のカボチャ栽培が盛んになったためと思われますが、ウリミバエの数が以前の数倍にふえている実情も考慮して十分検討されるべきことだと考えます。ウリミバエ根絶防除計画を繰り上げるお考えがありますかどうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、離島地域の農水産物の流通体系の整備と流通コストの格差是正についてであります。この件は、県内各離島において多少の差こそあれ共通した問題と考えるのですが、本員は事例として竹富町の島々より本土向け出荷されるカボチャと石垣島より那覇向け出荷される鮮魚を取り上げ、本島と比較をし私見を申し述べながら質問をいたします。
 まずカボチャでありますが、離島の集荷場に集荷されたカボチャはトラックで港まで運ばれ、海上輸送をもって石垣の桟橋に陸揚げされ、そこで植物防疫の検査を受け船便を待って那覇を経由して本土向け出荷されるのであります。そのために要する日数は、沖縄本島からの出荷に比較して3週間以上も長くかかるということは少なくありません。また、そのための流通コストの差額は、1トン当たり約3万2000円もかかります。この金額は、本土市場におけるカボチャの競り価格が1キログラム当たり300円を下回った場合、生産者の純利益は本島から出荷した場合と比較して約半分となります。
 次に鮮魚の場合ですが、鮮度が生命である魚は飛行機輸送が主であり、その輸送費は1キログラム当たり78円であります。流通体系は生産者から石垣の仲買人、石垣漁協、那覇における荷受け人、県漁連、那覇の仲買人を経て鮮魚店、消費者の手にと渡るわけでございます。その場合の流通マージンは石垣における仲買人が4%、石垣漁協2%、那覇の荷受け人4%、県漁連5%、仲買人5%となります。石垣から送られている鮮魚の平均価格1キログラム当たり1200円を基準にしてそれらの流通コストを算出しますと1キログラム当たり380円となり、那覇の生産者の流通コストと比べますとキログラム当たり約200円のコスト高となります。また、現在石垣の生産者が1人当たり1月約600キログラムの鮮魚を出荷しており、これらの数字をもとに月額、または年間金額を算出しますと月額12万円、年間144万円となります。生産者が生業を営む期間を仮に40年と定めて算出しますと、何とその差額が5760万円という膨大な金額になります。
 いま2つの例を挙げて説明いたしましたが、本員の申し上げたいことは、同じ県民が同じ仕事をして同じ物を同じ価格で売ってその利益がこんなにも違うという現実をどうするかという問題であります。離島振興の立場からも、これは決して許されていいはずはありません。ぜひしかるべき施策をお願い申し上げます。
 次に、農業用灌漑用水の電力料金についてであります。
 農業基盤整備事業によって土地改良も進み、灌漑施設のスプリンクラーも完備され本県農業の将来の展望は目ざましいものがあり、その成果に期待している者の1人であります。しかしながら農家においては干ばつになってもそれらの施設を使わない者が多く、宝の持ちぐされといっても過言ではありません。せっかくの施設をなぜ使わないのか。それは施設を使用した場合の電気料金ほかその他の経費が10アール当たり約4000円もかかり、現在の本県の農業収益では支え得ないということだからであります。参考までにこの数字は去る6月30日ごろの干ばつ程度で3カ月間続くものとし、作物はサトウキビを基準にしました。その間の散水状況は10アール当たり40トンで隔週1回の計算です。土壌は質の違いによって大分差がありますので、保水力の余りない土壌を基準にしました。
 そこで関係当局にお伺いしますが、これらの散水施設の使用について今後どのように指導し、また使用に伴う諸経費の問題についてどのように解決していかれるのか御所見をお伺いいたします。
 次に、各離島の特性に合致した地場産業の振興と新しい職場づくりについてであります。
 県内のすべての離島が、多かれ少なかれ過疎化の波に押し流され、いまでは若い働き手のいない年寄りだけの島となり正常な社会的機能を果たすことさえ困難な状態にあり、またその原因が離島には現金収入を得る職場がないために若い働き手たちが島を去っていった結果であるということは御案内のとおりであります。しかし近年は、一度島を後にした若者たちがふるさとへふるさとへと帰りつつあり、いわゆるUターン現象が起こっております。われわれ人間にとってやはりふるさとはよいところであり、母のふところにも似た温かいところであります。若い働き手が島に帰ってきて親兄弟、家族が同じ島に住み同じ家で生活できるようになる、考えただけでも心の温まる話ではありませんか。県民の望む真の福祉社会は温かい家庭の中から、温かい社会の中から生まれるものであると思うのであります。いま離島振興の立場から、福祉社会建設の立場からこれらの離島にぜひ現金収入を得ることのできる地場産業を興し、離島にあっても安心して生活ができ、一応の文化的生活が営めるような職場づくりが必要だと思うのですが、知事の御所見をお伺いします。
 本件に関しまして竹富町鳩間島にツノマタ工場を建設、また西表北岸沿線には魚介類の養殖場とそれに付帯する水産加工事業、それから石垣島には飼料工場の建設を提案して質問を行います。
 鳩間島は、四方豊かな海に囲まれツノマタの養殖地としては特にすぐれております。それを利用して鳩間島にツノマタの加工工場を建設することは、それらの問題を解決する意味からも大変有意義であると考えます。
 次に、西表島の北岸沿線は大きな河川と適度な入り江、豊富な水量、砂浜の分布等の状態からして魚介類の養殖には適していると思われます。その立地条件を生かして栽培漁業と水産加工事業をあわせて計画してはどうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、八重山では県の計画に基づいて近代的な畜産経営を中核とする畜産の主産地を形成するため、関係当局の指導のもとに畜産公社を初め畜産農家が意欲的に取り組んでおります。本計画による八重山における肉用牛の目標頭数は4万頭で、それに必要な飼料代を計算しますと、1頭の牛が成牛となり肉用となるまでに約4トンの飼料が必要で、金額にして28万円であります。4万頭の牛を育てるにはざっと112億円の飼料代が必要ということになります。飼料工場の建設にはそれ相当の基準または条件が必要だとは思いますが、地場産業の育成、地域経済の発展のためにぜひ飼料工場の建設が必要だと思うのですが、県はこれをつくるお考えがあるのかどうか御所見をお伺いいたします。
 本員が質問に際して多くの事例を申し上げましたが、事例の多くが本島と離島との格差であります。いまや県の振興開発計画はこれまでのような全体計画をつくればいいという段階から、産物ごとのあるいは島ごとのきめの細かい施策が必要な段階に来ております。また、単に計画をつくっただけでこれが島の人たちの現実の生活に生かされなければ、仏つくって魂入れずにも等しいものであります。幸い本県におきましては離島振興計画を策定して離島振興のために日夜精力的に取り組んでおられることでもあり、また離島振興の第1の目的が格差の是正であります。特に西銘知事は離島出身者であり離島の苦しさ、離島の実態についてはだれよりもよく御理解しておられると思いますので、本員の質問に対して、県内離島に生活するすべての人々に希望と喜びをもたらす御答弁を御期待申し上げまして質問を終わります。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊良皆高吉議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 離島における海底送電の御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の離島は、地理的、経済的制約条件のもとに本島との間に各分野においていまだに格差が認められます。そのため離島地域の振興につきましては県の重点施策に位置づけ、水道、医療等生活環境の整備を初め交通通信体系の整備、農林漁業の振興等各面にわたり諸施策を推進してきたところであります。
 本県の電力事業につきましては、これまで沖縄電力株式会社の御努力によりまして18の離島地域に昼夜点灯、すなわち24時間送電のための海底ケーブルの敷設を実現してきたところであります。それでもなお御指摘のように一部離島につきましてはいまだ24時間送電体制になく、共同自家発電によりまして15時間ないし18時間の送電を余儀なくされているところがあります。
 そこで県といたしましてはこれら離島、御指摘になりました鳩間島、西表舟浮、新城島、多良間村水納島等に対しまして24時間送電の実現をしていきたいと考えておるところであります。54年度に平良市大神島に海底ケーブルによる海底送電を完了し、55年度には本部町水納島、56年度は竹富町鳩間島へ海底ケーブルの敷設を予定いたしております。さらに残る西表舟浮、新城島及び多良間村水納島についても引き続き事業を計画する予定でありますが、人口規模のきわめて小さい新城島、現在16人しか住んでおりません。多良間村の水納島、これも15人しか住んでおりませんが、この両島につきましては人口並びに産業等の今後の推移を見ながら、現在の共同自家発電施設の整備拡充で対処していきたいと考えております。海底ケーブル敷設によるか両面から検討していきたいと思っております。
 離島における水道整備の御質問に対しましてお答えいたします。
 まず整備の現況について申し上げます。
 県下には宮古、石垣島を含めまして39の有人島がありますが、今月の末までには36の島々への水道給水を実施することになっております。また、これら離島地域の総人口13万8647人のうち96.4%に相当する人々が水道を利用するに至っております。ちなみに本島の普及率は98%、全国平均は90.3%となっております。
 離島地域の海底送水について申し上げます。
 これまでに計画した離島地域への海底送水は全部で15カ所ございますが、うち10離島についてはすでに完成し給水をしているところであります。大神、鳩間の2つの離島につきましては近日中にも竣工し送水の運びとなっております。また本部町水納島につきましては今年度実施予定であり、浜比嘉、瀬底の2つの離島について56年度施行を計画いたしております。したがって来年度で計画分の全海底送水事業を完了する予定になっております。
 まだ水道の整備されない離島について申し上げますと、全離島中水道の未整備地域は北大東、渡名喜、多良間村の水納でございまして3離島を残すのみとなっております。これらの島々につきましては、第2次振興開発計画においてその地域事情を十分検討いたしまして対策を立てていきたいと思っております。なお、同地域の全人口は1395人であり、天水タンクや井戸の水に頼っておるのが現況でございます。
 次に、ウリミバエ撲滅の早期実現に関する御質問についてお答えいたします。
 ウリミバエは、久米島で成功をいたしました不妊虫放飼法によりまして全県域について計画的に防除を実施することといたしております。そのために現在の週当たり500万匹から3000万匹ないし1億匹のウリミバエ大量増殖及び不妊化施設を新たに建設する必要があります。この施設は、昭和55年度から昭和58年度までの4カ年間に県農業試験場本場の敷地内に設置する計画であります。昭和59年から不妊虫放飼を実施する計画でありますが、施設の生産能力は3000万匹の規模でスタートするため、面積規模等からいたしまして宮古群島から先に実施する予定になっております。次に1億匹増殖規模に施設を増設いたしまして、沖縄群島の根絶に当たる計画となっております。八重山群島の場合、週当たり5000万匹の不妊虫放飼が予定されております。群島別の規模から申し上げますというと宮古の次が八重山ということになりますが、人工増殖された虫の活動能力が衰えることがこれまでの試験結果から予測されますので、最大増殖規模に合わせて生産可能な1億匹で沖縄群島を根絶し、たとえ能力が落ちたといたしましても施設の規模から八重山の場合2倍放飼することができますので根絶可能でございます。これは全く技術面から見た対応であります。
 この根絶計画には多額の財政措置、陣容の強化、さらには多くの技術的問題の解決を伴いますのでできれば同時実施が望ましいのでございますが、技術的対応もさることながら期間の短縮も困難と思われるのであります。
 離島地域で生産される農水産物の流通体系についての御質問に対しましてお答えいたします。
 宮古、八重山等離島地域での野菜の生産は、輸送を勘案したカボチャを主体に生産しておりまして、農協系統による県外出荷がなされている現況でございます。流通経費につきましてはカボチャを例にとりますと、東京市場価格が10キロ当たり3200円の場合、石垣─東京間の運賃で11%の351円、那覇─東京間の運賃で6.7%の215円となっております。したがって流通経費の軽減を図り、生産農家の再生産を保障することと所得の安定を期するため野菜輸送特別対策事業、これは県負担が2900万円計上されておりますが、この特別対策事業によりまして市場価格が基準価格を下回った場合は運賃格差をなくするように輸送経費に対する補てんを行っておるのであります。
 水産物の流通につきましては、地域内漁業協同組合の市場調整機能にまつところでございますが、特に離島─那覇間の運搬経費の補助については昭和55年度から財団法人沖縄県漁業振興基金の予算で一部対応することになっておりますが、今後の拡充について関係者と協議してまいりたいと思っております。
 次に、農業用灌漑用水の電気料金に関する御質問に対しましてお答えいたします。
 干ばつ常襲地帯である本県の農業にとりましては、畑地灌漑施設の整備は土地生産性を向上させ営農の安定化を図る上できわめて緊要であります。干ばつ対策のみの利用ではなく、通常の肥培管理の一環といたしまして畑地灌概施設を有効利用し平均反収を増加させることが施設設置の目的であります。昭和53年度サトウキビ作における石垣市平得地区モデル展示圃場調査報告書というのができ上がっておりますが、この調査報告によりますと、石垣市の夏植え平均反収は約8トンとなっておりまして、これに対しまして平得のモデル地区は10.5トンとなっております。反当たり増収量は1万500キロから8042キロ引きますというと2458キロ、約2.5トンの増収とこういう実績を上げております。また反当たりの増収額について申し上げますというと約4万6000円の増収となっております。
 以上のことから、散水効果が十分認められますので、県、市町村及び沖縄県土地改良管理指導センター等と一体となって土地改良区に対しては今後とも畑地灌漑の有効利用について強力に指導していきたいと思っております。
 電力の改善策につきましては、昭和53年度以来沖縄電力株式会社や関係各省庁に対しまして要請を重ねてきたところでありますが、昭和55年2月1日改定された電気料金の値上げ率につきましては、一般の業務用電力が47%アップで農事用電力は21%と低く設定されております。しかし、県といたしましては今後とも畑地灌漑事業を強力に推進する計画でございまして、農家負担の軽減を図るため引き続き農事用電力制度の改善については関係機関に強く要請してまいりたいと思っておりま.す。
 それから離島振興、地場産業の育成について鳩間島のツノマタ工場、西表の栽培漁業、また八重山の飼料工場等につきましては、農林水産部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 鳩間島のツノマタ養殖の振興あるいは加工業導入についてお答えいたします。
 鳩間島は、御案内のとおり島の周りにはツノマタやトビイカが多いところのようでございます。島で加工業の導入ができれば最も好ましいことでありますが、私どもとしましては地元の八重山漁協等とも相談しながら今後その可能性について検討してまいりたいと思っております。
 次、西表地域における水産業の振興策でございますが、確かに御説明がありましたように適地があります。今後、地元町あるいは八重山漁協とも話し合って特に二ロチカ、チカダイでありますが、テラピアなどの養殖業ができるように検討してまいりたいと思っております。具体的に現在県内では10業者がこのテラビアの養殖等をしておりますので、こういった方たちとも協議をしながら西表地域で養殖業ができないかどうか検討してまいりたいと思っております。
 次、最後の御質問でございますが、八重山地域に飼料工場の設置ができないかということでございますが、八重山地域における肉用牛の飼養計画は将来3万頭でございます。それに要する年間の飼料量が3万トンでございます。これは全県の消費量の10%でございます。そこでその八重山地域にこの配合飼料工場を立地することは量的にも問題があります。県といたしましては現在安謝地域にサイロをつくっておりますが、このサイロと連結した飼料工場がどうしても必要だというふうに考えておりまして、これを具体的には中城湾開発構想の中で検討してまいりたいと思っているところでございます。そこでこのサイロと飼料工場をつくるためにはやはり港が必要でございますので、そういった観点から見ると、あるいはまたその量的な面から見た場合に八重山地区で果たして採算がとれるかどうかという問題がありますので、現在のところは沖縄本島を想定してやっているわけでこざいます。しかしながら、八重山地域における飼料の確保対策としては製品のバラ輸送等の流通面での改善、これを図ってコストの軽減をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 儀間光男君。
   〔儀間光男君登壇〕
○儀間光男君 会議規則と質問通告に従いまして一般質問を行います。
 特に初陣でありますので、私は浦添市区選出の1人として同市区にまつわる問題等も訴えながら所見を述べつつ御質問をいたします。
 まず、去る6月8日に行われた県議会議員選挙の結果について知事の御所見を賜りたいと思います。
 昭和53年の暮れに、多くの県民の御理解と御協力を得て西銘県政が誕生しスタートしたのであります。以来県民の人心は一新され、だれかれとなく県民は将来に夢と希望を持てるようになったのであります。産業界の投資活動はもとより、財政や雇用失業の問題、教育、文化、福祉とあらゆる面で明るい兆しが出てきたのであります。そのことは県民とともにまことに喜びとするところでございます。ところが手腕、力量はもとより、卓越した行政能力を持った西銘知事以下強力な行政執行スタッフをそろえて県民の期待を一身に受けてスタートしたのでありましたが、行政運営上のもう一方の車輪である議会筋に西銘県政をバックアップする数が足りないがために、つまり少数与党なるがゆえに持てる力を存分に発揮できず、苦しみあえいできたのが今日までの県政の偽らざる事実だと認識をするものであります。しかし賢明な県民は、いつまでもこの事実に目を覆うはずがございません。その結果が去る県議選挙では辛うじてではあっても、やはり西銘県政にはずみをつけることが県民の福祉向上につながることであるとの認識の上に立ち、多数与党へと、この際民政クラブのお二人の御協力を得てのことでありますが、革保逆転を可能ならしめた唯一の原因だと考えるのでございます。つまり県民は安定県政を強く希望していたのを、ここでうかがい知ることができたと高く評価をするものであります。したがいまして今後は、この県民の期待に報いるべく持てる力を存分に発揮され、勇気をもって県政運営に当たられますようお願いすると同時に、ここで知事の新たなる御決意と選挙結果についての御所見を賜りたいと思います。
 続きまして、昭和62年に開催が決定されました国民体育大会の主会場の決定の発想についてお伺いをいたします。
 まず浦添市は、1100年代から1400年代までの300年間、時の王都として栄えてまいったのであります。その市の名が示すとおり、浦々を添えるという意を持つ下都でありました。時の王の英祖王をして太陽の子―― 「ティダヌクワ」、つまり「テダコ」と仰ぎ、人々は尊敬の念であがめ奉ってまいったのでございます。しかし近年、県都那覇市の近隣都市として人口は急増し、実に6万余に達して名実ともに県下3大都市の一角を担うまでに発展してまいりました。しかるに事実は、那覇市と宜野湾市以北との谷間にあり、県の行政協力は多としつつも、ややもすると忘れられがちな感を深くいたしておるのでございます。もとよりこの10年間、受けざらづくりに市側の対応策にも多少なりとも消極的なきらいはあったにしても、余りにも劣悪な都市形態を醸しているのが現状であります。
 ちなみに、国民体育大会の意義は、国民の健康増進を初め広く国民の健全な心身の形成と、一方では戦後の荒廃した国土の中で社会体育施設の充実と社会資本の拡充を促進するという目的もあると聞き及んでおります。しかしいま本県では、活力ある県づくりのため西銘知事を初め県当局者は、メジロ押しする各プロジェクトの実現のため労苦を多としているところであり改めて敬意を表するところでありますが、少ない予算で最大の効果を上げなければならないという行政上の責務は、そのまま62年国体にも当てはまるところでございます。
 国体のメーン会場ともなると、数十ヘクタールの用地が必要とされます。今日の地価の相場にかんがみ、内陸部でそれだけの用地の確保となると膨大な費用がかさみ、県財政はもとより開催市町村の財政に及ぼす影響はきわめて重大だと考えるのであります。そのことはもはや内陸部での用地の確保はスペースの面、また費用の面からきわめて困難であると考えるからでございます。それらのことに考えをいたすとき、その条件を兼ね備える地域は浦添市をおいてほかにないと考えるのであります。
 その地理的条件からしても、浦添市西岸公有水面には干潮時に水深ゼロメートルの地域が180ヘクタールあり、満潮時でも水深1メートル以内が187ヘクタールもあるという大きなスペースを持ち容易に埋め立て取得が可能であります。しかもスペースが広いがゆえに自由に選べるという最大の有利な点があるのでございます。ちなみに費用について試算をいたしましたところ、県の卸売市場建設予定地である勢理客地先の埋め立ての例から考えても平米当たりで一切の費用を含めて1万5000円から同7000円で埋め立てが可能であります。したがいまして70ヘクタールが必要だと言われておりますので、総額にして100億から120億ぐらいで用地の取得が可能であると言われております。内陸部でヘクタール当たり5万円といたしましても70ヘクタールで350億円が必要とされ、実にその3分の1の費用で済むとの試算が出ております。
 そのほか同地域であれば、宿泊施設からの人員輸送の面、国体後広く県民に活用させる観点からもきわめて優位性に富んでいると言えます。そのことは、同市を中心とした近隣に多くの県民が居住していることからも容易に判断のできることでございます。同時に、社会資本の適正配分という原則を考えましても、浦添市にメーンスタジアムを配置した方が浦添市を中心に南北ヘバランスよく配分できると思われるのであります。そういう観点から、メーンスタジアムの決定のメカニズムについて当局の御所見を賜りたいと存じます。
 続きまして安謝川のコレラ菌汚染について伺います。
 過日、マスコミの報道により安謝川がコレラ菌に汚染されていることを聞き、強いショックを受けたのは付近住民のみならず多くの県民が同じ思いをしたと考えます。もとより河川は自浄能力を備えているにもかかわらず、近年河川の汚染には目を覆うばかりであります。かつて河川は、人々の憩いの場であり、また生活そのものの場でもありました。その大事な河川に、病原菌がしかも法定伝染病として恐れられているコレラ菌を保有していたことに全くもって驚いているところでございます。もともと火災と病気は予防、つまり防災防疫が一番大事であると言われておりますが、そこで環境保健部長にお伺いいたします。
 関係当局が日ごろ防疫面には特段の配慮がなされてきたとは考えますものの、予想される侵入経路は一体どのような経路が予想されるのかお聞かせ願いたいと思います。また発覚後は迅速な対応が必要と考えますが、撲滅の見通しはついているのかどうか伺いたいと思います。また今回検出されたコレラ菌の性質はいかなるものであるか。さらには汚染の範囲についてどの程度が汚染されているのかお聞かせを願いたいと思います。また聞くところによると、今回のコレラ菌の撲滅に手間取った理由の1つには、汚泥土の底に巣くったがために殺菌に難渋していると聞くがいかがでしょうか。また今後このようなことがないように、さらには川を大切にするという思想を広く県民に啓蒙する必要があると考えますが、その考えがあるか否か。またあるとするとどのような啓蒙運動を展開するのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、県内2級河川の整備の状況と今後の整備計画についてお伺いをいたします。
 人と河川とのかかわりを考えてみるとき、もとより川の文化なしに人類の文化もあり得ないと言われたぐらい川と人類は深くかかわり合ってきたことは言うをまたない周知の事実でございます。
 しかし人々の川に対する関心は余りにも薄く、川とはただ単に生活排水を流すところとか、あるいは汚物を捨てるところとか、または産業排水を排出するところとしか思っていないような気がいたしてなりません。先にも申し上げましたとおり、川はもとより自浄作用の能力を持つものでございます。人々の無関心さなるがゆえに川に過度の負担を強いり、とうとう自浄作用さえできないところまで川を追い込んだことに都市河川近郊に住む住民はもとより広く県民はそのことに思いをいたすべきであります。その何よりの証拠が今回安謝川で発覚したコレラ菌騒動であります。嫌気性のコレラ菌であるということを聞くにつけ、汚泥土さえしゅんせつしておけば、おそらく安謝川に巣くうことなく死滅していたとも考えられるからであります。川底にどろが堆積することは自然の成り行きであります。汚泥土をあれほどまで堆積させて放置しているところに問題の発生源があったことを指摘しなければなりません。またあの堆積量を見たときに、ここ一、二年で堆積した汚泥とも考えられないほどおびただしい量であり数年前からのものであると考えられ、言いかえると数年も前からしゅんせつの必要があったところであります。
 そこで土木建築部長にお伺いをいたします。
 一体当該河川のしゅんせつ計画はお持ちなのかどうか。また7月3日付の新聞報道によりますと、那覇市内を流れる国場川、安里川、久茂地川の3河川についてはしゅんせつを計画されているようですが、安謝川については早急なしゅんせつは必要と認められないのかどうか伺います。なお、安謝川の両堤防の根入りの部分が脆弱であり、思い切ったしゅんせつができないと聞き及んておりますが、いかがでございましょうか。さらに先ほども申し上げましたが、人間と河川の関係はある意味においては人間生活の根幹をなすものと考えるとき、川は人間生活を営む上での最大のパートナ一であると認識をするものでございます。
 そこでお尋ねいたしますが、この大事な河川の管理及び整備を促進し、川をよみがえらすための管理整備の計画、特に第2次振計にどのように位置づけようとしているのかお聞かせを願いたいと思います。なお、3年前昭和52年度末時において本県の河川整備率は5.5%で全国平均の40%にしか達していない。現在では10.2%と3年間で約倍増の整備率であり行政努力は多とするものの、大事な行政だけにいま少しのスピードアップを願いたいところであります。
 最後に、浦添市に係る2級河川として安謝川水系、小湾川水系、牧港川水系と3つの水系がありますが、それぞれの水系も県当局の行政努力により整備は進みつつあるが、いまひとつ特段の御配慮をお願いする次第であります。特に牧港川水系の整備がおくれているように思いますが、今後の整備計画がおありでしたらお聞かせ願いたいと思います。
 以上何点かお尋ねいたしましたが、よろしくお願いを申し上げまして一般質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 儀間光男議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 県議選の結果についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県議選の結果につきましては、内外情勢が激動する80年代に向けまして県民は県政の安定を求めたものだと理解いたしております。しかしながらその結果におごることなく、県民から課せられた重大な責任と期待を厳粛に受けとめまして節度ある行政運営はもちろん、施策の展開に当たりましては県議会議員の皆様とともどもに相協力し合って県民の期待と信頼にこたえていきたいと思っております。
 62年国体の主会場についての御質問に対しましてお答えいたします。
 主会場の選定に当たりましては、大会運営、交通、宿泊を初め、国体終了後も地域スポーツの振興及びレクリエーションに多くの県民が利用できる場所か否か等施設の有効利用度の検討、さらに施設建設に当たっての建設費の比較等個別的、総合的に慎重に検討を行うとともに、専門家の意見を参考にして決定いたしたいと思っております。
 次に、安謝川のコレラ菌汚染に対する質問、それから2級河川の整備状況、今後の計画についての御質問に対しましては、それぞれ担当部長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 安謝川のコレラ菌汚染状況について御説明申し上げます。
 コレラ菌は検疫法によりまして検疫伝染病に指定されていると同時に、伝染病予防法で法定伝染病になっております。
 その侵入経路は、普通コレラ菌は国内には常在していないということで検疫伝染病として海外から侵入してくるのが普通でございます。そういったことで今回のコレラ菌も、コレラの常在している東南アジア等から侵入してきたものであろうと考えられます。その侵入経路としましては、旅行者等が海あるいは空の旅行で持ち込んだのではないかというふうに推定されるわけですが、現在のところ確認されておりません。
 それから撲滅あるいは消毒等の状況でございますが、その前に、コレラ菌は大体1から5ミクロンのビブリオというコレラ菌でございますが、現在安謝川で発見されましたものはその中で古典型とエルトール型と2つの生物型がございますが、エルトール型の稲葉型という種類でございます。普通このコレラ菌の性質は低温では強くて、たとえば魚やエビに付着しているときには室温で三、四日生存しますが、冷蔵庫内では10日から12日間ぐらい生存していると言われております。しかしながら高温では摂氏80度で5分間ぐらいで死ぬと。それから安謝川のような上流の淡水のところでは20日間ぐらい、海水中では7日から10日間ぐらい生きていると言われております。ヘドロの中では、従来は雑菌などが多いということもあって長期間は生存しないと言われておりましたが、本土でも数回にわたって河川等で発見されている状況から見て従来の説が覆されてヘドロ内でも相当長期間生存するということがわかってまいりました。菌に感染しますと数時間から長くて5日間ぐらいのうちに発病いたしまして激しい下痢を伴い、時には嘔吐をして脱水症状がくるといったような病気でございます。しか
しながらエルトール型は比較的死亡率が低い病気でございます。この安謝川の場合は、おそらく、このコレラに感染した人の中でも健康保菌者で菌を排出するものがございます。健康で本人は症状がありませんので病気とは思っていずに菌を排出すると、こういう状態になって菌を排出したということが考えられるわけでございます。
 県は、それで東南アジア地区からの帰還者並びにその接触者、家族等について約700名の検便を実施しましたところ1人も排菌者は発見されておりません。また安謝川流域にあります浄化槽、1440世帯ぐらいございますが、そのうち下水道に直結していないものから菌の検査をしましたところ全部陰性でございました。
 さらに安謝川の水、ヘドロ、それから安謝川に注ぐ排水等延べ200以上のサンプリングを行いまして検索をいたしましたところ、安謝川にかかっている橋、これは58号線ですか、あの橋の上流約800メートル、下流約200メートル、大休1000メートルの範囲内で数カ所のヘドロからコレラ菌が検出されております。
 これに対して、次亜塩素酸ソーダ、これは塩素滅菌剤でございますが、これが最も適当な消毒剤と言われておりますので、厚生省などの指導も仰ぎながら対策を講じておりますが、延べ500キログラムを現在まで投入いたしておりますが、なお完全に死滅させるまでには至っておりません。普通この消毒剤塩素滅菌しますと1ppmで、1ppmといいますと水1トン中に1グラムあればよろしいんですが、5分間で水の場合は死滅すると言われておりますが、ヘドロの中の場合には消毒剤の到達がなかなか思うようにいかぬということもあって、なお期間を要すると考えられます。ヘドロの中で長期間生き残るということについては、生活排水等がかなり大量に流れ込んでそこが適当な培地になっているということが考えられるわけでございます。
 そういったことで対策といたしましては、今後河川等が汚染されないようにするためには、やはりまず海外からの侵入を防ぐといったことが最も重要だと考えられます。これについては検疫法に基づいて海外からの帰国については検疫を国の方で実施しております。しかしながら、潜伏期間が5日間ということもありまして1日で帰ってこれる距離にありますので、症状の出ないうちに入国してしまうといったことで水際で食いとめられないのが現状でございます。
 したがいまして、県内で排菌をした場合に発見できないと。コレラが河川を汚染しないようにするためには、個人の衛生で下痢などの症状があったらすぐ医療機関に行って診断を受ける、あるいは検便を受けるといったことと同時に、すべての屎尿、浄化槽等便所は下水道に直結させるといったのが最も重要ではないかというふうに考えております。そういったことで、県は安謝川の汚染については今後強力に消毒を実施すると同時に、適切なサンプリングを行ってその撲滅を期したいとこのように考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 河川についてお答えを申し上げます。
 最初に、安謝川の汚泥のしゅんせつでございますけれども、ただいまも環境保健部長から御答弁がありましたように、環境保健部において工事実施の時期等について現在御検討中でございますので、その時期等の方針が決まりますれば速やかにしゅんせつをいたしたいと考えております。
 次に、河川の整備計画についてお答えを申し上げます。特に2級河川の整備状況と今後の計画についてお答えを申し上げます。
 昭和55年6月現在、2級河川として44水系、58河川を指定をしてございます。2級河川のうち河川改修の必要な河川は45河川で、その全体計画は昭和53年度の時点で改修延長117キロ、事業費約845億円を見込んでおります。復帰以来54年度までにおおよそ108億円の事業費で28河川の改修事業を推進しておりますが、全体計画に対する達成率はまだ10.2%の低率であることは御指摘のとおりでございます。昭和55年度は事業費約26億円で継続の26河川、新規河川の改修事業に着手をいたしております。昭和55年度末までには、おおよそ達成率が12.4%になる見込みでございます。 
 河川の改修事業は、莫大な予算と用地の取得に多くの困難が伴うために十分な事業効果を上げるには相当の長期間を要しますけれども、ただいま御指摘のように第2次振興開発計画においては県下の全河川について改修計画の全体的な見直しを行いまして、積極的に事業の拡大を図りまして重点施策として推進をしていく所存でございます。
 次に、牧港川の整備についてお答えを申し上げます。
 同河川は、昭和49年度から改修事業に着手をしておりますが、昭和54年度までにおおよそ8億円で支川の宇地泊川を含めて用地の取得並びに護岸の施工を進めてきておりますが、まだその全体計画の20億円に対する整備率は7.2%でございます。昭和55年度は宇地泊川のつけかえ工事と並行しまして牧港川本川の改修工事を促進していきたいと考えております。また、支川の宇地泊川のつけかえ工事に伴う国道にかかる橋梁の新設については、総合事務局、南部国道事務所が昭和55年度及び56年度に実施する予定でございます。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 崎浜秀三君。
   〔崎浜秀三君登壇〕
○崎浜秀三君 最後から2番手に登壇をいたしました崎浜秀三でございます。本日は、1年生議員の私に一般質問の機会を与えていただきまして心から感謝申し上げます。
 本員は、去る6月8日に行われました県議会議員の選挙期間中に県民に対して幾つかの政策を訴え、その信を問うてまいったわけでございます。その中からさきに通告いたしました県政の当面する、あるいは将来にわたる諸問題について所見を交えながら知事初め執行部の取り組みをお尋ねいたします。
 まず第1点は、本県におけるローカルエネルギー対策についてでございます。
 御承知のように、石油などの化石系エネルギー資源の枯渇消費時代をやがて迎えねばならない人類にとって、石油にかわる資源の開発は重要な課題となってまいりました。特にわが国は、エネルギー全需要量の75%を輸入石油に依存しており、相次ぐ石油値上がりを中心とするエネルギー制約時代を迎えて代替エネルギー開発など、その対策が国政における最重要政策課題となっておりますことは御承知のとおりでございます。ましてやエネルギー源をほぼ100%石油に依存している本県は、いざというときに石炭や水力などのある他府県に比べて、県民生活を守るためより真剣に代替エネルギー開発などの対策を講じなければならない立場にあるものと言わなければならないのでございます。
 そこで、このエネルギー問題に対する取り組みの現状について承りたいと存じます。
 まず第1に、この代替エネルギー対策の一環としての地域エネルギーについてその利用可能性についての調査を近く行うとのことでございますが、その取り組み及び財政措置などはどうなっているのかお伺いいたします。
 第2に、さきの調査結果を踏まえなければはっきりしたことは言えないと思われますが、県は今後どのような方針のもとにこの地域エネルギーの開発を図っていくつもりであるのか。またそのための財源をどうするのか。さらには策定中の第2次振興開発計画においてエネルギー開発はどのように位置づけられているのかお伺いいたします。
 第3に、エネルギー問題は省エネルギーを含め広範な広がりを持つものであり、行政的にも多様な対応が必要であることは十分に理解できるところでございます。しかしながら事の重要性にかんがみ省エネルギーを含め窓口を一本化し、より強力に取り組める体制づくりが必要ではないかと思われますが、県のお考えをお尋ねいたします。このことは今後国が莫大な資金を注ぎ込んで実施するであろうエネルギー開発のための各種実験機関の県内立地を促進する際の推進の中核ともなると思われますので、ぜひ必要であると考えるものでございます。そこで提言を含めてお伺いいたした次第でございます。
 御参考までに申し添えますが、昭和55年5月12日付の朝日新聞の報ずるところによりますと、本土各都道府県の中でも比較的自然エネルギーに恵まれている九州、山口の各県においては、これまでばらばらに行っていたエネルギー開発、省エネルギーなどの窓口を一本化する方向にあると言われております。御参考までに申し述べておきます。
 次に、水溶性天然ガスの開発についてお伺いいたします。
 昨今、新聞紙上を通じて本県に豊富にあるとされる天然ガスの開発が、これまでの長い年月のもたつきを脱してようやく緒につきつつあるとの印象を深くしているところでございます。これはエネルギー制約の厳しくなる一方の今日、県民のエネルギー源を安定的に確保するという点から、あるいはまた県内産業の育成強化という観点からしても大きな朗報だと受け取っておりまして、知事を初め関係各位の御努力を多とするものであり、敬意を表する次第でございます。
 そこで、これに関連いたしまして次の諸点についてお尋ねいたします。
 まず第1点に、地下資源の開発というリスクの大きい事業の性格上、民間のみで開発するということはいろいろと問題があるので第三セクター方式を考えておられるとのことでございますが、その辺を含めて具休的な準備状況がどのようになっているのかお伺いいたします。
 第2に、事業の性格からして多額の設備投資と運営資金が必要になると思われますが、それを含めた事業計画は考えられているのかどうかお尋ねいたします。
 第3に、開発に当たっては当然のことながら関係住民のコンセンサスを得るこくが大切と思われますが、その対策はどうなっているのかお伺いいたします。
 第4に、現在営業中のブロパン業者は、天然ガスの開発が進み具体的に生産が始まった場合の市場における競合を懸念いたしておりますけれども、そのあたりの対策はどうなっているのかお尋ねいたします。
 次に、青少年のオートバイ事故防止対策についてお伺いいたします。
 御承知のように、最近青少年の犯罪が多発化の傾向にあり、これと並行して暴走族の横行は目に余り、青少年の不良化への大きな原因になりつつありますことは御承知のとおりでございます。特に高校生によるオートバイ事故の多発化は、高校生を持つ世の親たちの大きな心配事になり教育問題、社会問題に発展しつつあるのでございます。このようなときに、去る7月2日に教育長が高校生の交通安全指導に関するコメントを発表したことは、時宜を得た適切な措置であったと高く評価するものであり、敬意を表する次第でございます。
 そこで、これに関連いたしまして次の諸点についてお伺いいたします。
 まず第1に、オートバイ事故についてこれまで各高等学校に対してどのような防止対策の指導をしてきたか。また、各高等学校において生徒に対してどのような教育指導をしてきたか。さらには父兄に対してはどのような防止対策の働きかけをしてきたか、そして今後どのような具体的防止対策を考えているのかお尋ねいたします。
 第2に、これまで事故防止のための取り締まりをどのように行ってきたのか、今後どのような方針で取り締まりを行うつもりでいるのかお尋ねいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。誠意のある御回答をお願い申し上げます。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 崎浜秀三議員のただいまの御質聞に対しましてお答えいたします。
 ローカルエネルギー対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
 石油価格の急激な値上がり、必要量の確保の困難性など、いわゆるエネルギー危機に対する対策の重要性は御指摘のとおりであります。民生用、産業用エネルギーとも100%石油に依存している本県におきましては、特にその安定的確保対策に早目に取り組まなければならない立場にあるとの御指摘も全くそのとおりであります。県といたしましてもこのような認識のもとにエネルギー問題、特に地域社会における利用実態に即したエネルギーの開発対策、いわゆる地域エネルギー対策について真剣に取り組んでいるところであります。
 御指摘の地域エネルギー開発利用調査の実施につきましては、これは国庫の補助を受けて今年中に実施すべく準備中であります。現在、国と実施方法について調整を進めているところであります。
 また、地域エネルギーの今後の開発方針につきましては、本県の置かれた自然条件から最も可能性のある資源といたしまして太陽熱、風力、バイオマス、海水温度差等が挙げられるので、さきに述べた調査結果をも踏まえまして具休的な方針を策定し、その実用化に努力してまいりたいと思っております。第2次振計におきましては、エネルギー問題を重要施策として位置づけ積極的に推進する所存であります。
 さらに、エネルギー問題の事業執行体制の確立についての御指摘がございましたが、今後ますますその重要性が増大することが考えられますので、組織、定員等各都道府県の取り組み等も十分参考にしながら対処してまいりたいと思っております。
 次に、天然ガスの御質問に対しましてお答えいたします。
 本県に多量に賦存する水溶性天然ガスの開発につきましては、県内エネルギー資源の有効活用という面から県といたしましてもその開発を促進しているところであります。そして御指摘になりましたように地下資源の開発というリスクの大きさ、事業の公共性という立場を考慮いたしまして民間を主体としながらも沖縄公庫及び県が出資する第三セクターを開発主体として予定いたしておりまするし、公庫及び県も予算措置済みであり、その具体化に向けて近く水溶性天然ガス開発準備委員会が発足する運びとなっております。会社の事業計画及びその資金計画等の具体的な問題につきましては、この委員会において検討されることとなっております。
 次に、御質問の開発に当たっての住民のコンセンサスの確立及び既存業者との関係について申し上げます。
 天然ガスの開発に当たっては、事業の重要性にかんがみ、その適正な開発を図る観点から沖縄県水溶性天然ガス開発基本方針を策定いたしまして臨む予定でございます。現在検討の段階であります。その中にはさきに申し上げました開発主休を初め時期、地域環境対策、生産量の目途、生産したガスの利用目的等について方向が示されることとなっております。したがって住民のコンセンサスの確立は当然であり、用途については当面都市ガスとして利用される予定になっておりまして、既存プロパン業者との競合はないものと考えております。
 青少年オートバイ事故防止対策についての御質問に対しましては、教育長、警察本部長それぞれ担当から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 高校生の交通安全指導につきましては、高等学校教育課程に位置づけまして全校一斉のホームルーム、学校行事、生徒会活動等を通しまして指導しておりまして、さらに免許所持者及び自動二輪車所持者を対象に安全教育指導の強化に努めているところでございますが、交通事故が後を絶たないことはまことに残念なことでございます。
 教育庁としては、これまでの対策といたしましては交通安全指導研修会、交通安全指導実践発表会、安全教育研究発表会、学校保健研究大会等の開催等の機会を通しまして学校間の情報交換や安全指導上の問題点について討議し指導の強化を図るとともに、学校PTAや学級PTA等を通しまして父兄への呼びかけ等を行ってまいってきたところでございます。
 指導対策の組織的な取り組みといたしましては、高校長研修会、教頭研修会、高P連協議会等でも二輪車事故防止対策について研究協議を進めてまいっておりますし、実際指導に当たっております県高等学校生徒指導研究会の中に交通安全係の組織をつくりまして指導強化に努めております。また県警、交通安全協会、自動車練習所協会、高P連、学校関係者の合同連絡協議会を定期的に開催し安全指導の充実強化に努めております。さらに今回自動二輪車等の安全指導資料の作成も完了しておりますので、これによるホームルーム等における指導の強化を図る計画をしております。しかしながら、最近高等学校生のオートバイによる死亡事故が多発し、しかもこれが夜間に多く発生しており、特に大型車両等が死亡事故を起こしていることなどから、去る7月2日に記者会見で父兄ヘアピールしたところであります。さらに来る7月7日には高等学校の関係者を集め、指導の強化についての研究協議大会を開催すべく準備を進めております。
 なお、近く夏休みを迎えますので、1学期末に開かれる学級PTA会等を通じまして交通安全指導の徹底を図るべく父兄側への協力を強力に呼びかけたいとこのように考えております。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
   〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 警察サイドの対策についてお答えをいたします。
 二輪車事故の多発傾向にかんがみまして、警察といたしましては特に青少年の二輪車に的をしぼりました二輪車事故防止総合対策というものを昨年来実施しております。
 1つには、特に8のつく日を二輪車の交通安全日に設定いたしまして、8の日作戦と称しまして街頭における強力な指導取り締まりを実施して二輪車の事故防止を図っております。また、二輪車の前照灯の昼間における点灯運動を実施いたしまして、これにより二輪車が見えやすくすることによる事故防止の効果を上げているところでございます。さらに学校、父兄、警察等の関係者が集まって青少年の二輪車事故防止について話し合う場を持つという対策も従来とってきているところであります。要すれば県の中央、それから警察署を単位とする各地域におきまして県教育庁あるいは市町村教育委員会、また学校、PTA、交通安全協会、自動車教習所等の関係者で連絡会議を開催いたしまして事故防止について協議を行ってきております。その協議に基づいて現在高校生の免許の取得状況についての学校への連絡や、高校生の事故や悪質な違反についての通報を行うとともに、高校生に対する交通安全教育等を進めてきているところでございます。
 学校サイドにおきましてもいろいろ対策を実施されているところも少なくありませんが、問題は事故の多くが下校後の夜間に発生していると、学校の目も十分届きにくいという限界があるということでございます。これらについては、むしろ父兄などの保護者の方にも責任があると考えられるのであります。しかしながら保護者のこの面の監護についてはまだ弱い例が少なくないというのが率直な実情でございます。したがって、そういう面では困難な点が少なくないのでありますが、今後関係者の間でさらに真剣な話し合いを積極化いたしまして、できるだけ青少年1人1人に直接及んでいくような効果のある対策を積み重ねてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○議長(大田昌知君) 崎浜秀三君。
   〔崎浜秀三君登壇〕
○崎浜秀三君 先ほどお伺いいたしましたローカルエネルギーの問題についてでございますけれども、先ほど知事の御答弁にもございましたように、国の協力を得てことし中に実施するとの御意向でございますけれども、知事持ち前の知性と大局的な観点に立っての今後の積極的な対応を心からお願い申し上げる次第でございます。
 これに関連いたしまして聞くところによりますと、今年度予算において国におきましては資源エネルギー庁の予算の中に地域エネルギー開発利用調査補助金が計上されていると聞いております。これにつきまして、県のこれまでの対応あるいはまた見通しなどについてお伺いいたしたいと思います。そして先ほど御質問申し上げましたように、これを積極的に進めるに当たってのこの資源エネルギー庁の予算との兼ね合いも含めまして県の今年度予算における財政的対応をお伺いいたしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○議長(大田昌知君) 商工観光部長。
   〔商工観光部長 米村幸政君登壇〕
○商工観光部長(米村幸政君) 地域エネルギー開発利用調査の予算額等についての御質問でございますのでお答え申し上げます。
 この調査費につきましては、国庫で1県当たり大体750万ぐらいずつ組まれております。全国で23府県がその対象になっております。本県といたしましては、当初その調査がどうなるか具体化してなかったわけでございますが、その他の予算と約500万ぐらいを別途計上いたしましてこれに大体利用できるように考えております。
 なお、この補助金が2分の1補助になっておりますので、残分につきましては今後またいろいろ財政当局とも調整しながら2分の1までは高めていきたいとこのように考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 桑江良逢君。
   〔桑江良逢君登壇〕
○桑江良逢君 一般質問の最後を承って質問する機会を与えられましたことを光栄に思います。昔から先駆けよりもしんがりはむずかしいと言われますが、そのむずかしいしんがりの役目を与えられたことを光栄に思います。
 そこで私は、これから申し上げます2点について私の考えを述べ、知事のお考えをお伺いしたいというふうに思います。
 第1点は、自衛官募集業務についてでございますが、この件につきましては一昨日の代表質問、昨日の一般質問で何回となく出まして、知事のお考えも、できるだけ早い時期に実施を推進したいというお考えをお聞きいたしまして意を強くすると同時に、その線で推進していただきたいと思いますが、若干敷衍をいたしますと、昭和47年沖縄県が祖国に復帰をし、それに伴って陸海空自衛隊が当県に展開配備されて以来、自衛隊に対する県民の理解、認識というのが逐次向上してまいりました。これは毎年復帰時点の5月15日に実施されました地元のタイムスあるいは琉球新報の県民世論調査でも明瞭なところでございますが、さらには自衛隊への志願者が一体復帰以来どうなっておったか。一昨日の知事の答弁でも昨年の志願者の数は発表されましたが、復帰以来昭和47年度自衛隊へ本県の青少年が志願した者が81名、48年度206名、49年度308名、50年度415名、51年度450名、52年度870名、53年度977名、昨年度昭和54年度は1000名を超して1017名、復帰以来で4373名の沖縄の青少年が自衛隊を志願しております。このことは自衛隊に対する理解と信頼の念が県民一般に深まったことも意味すると同時に、この激動する国際情勢、国内情勢下、防衛の必要性ということを県下の青少年が自覚し、さらにはその防衛の第一線に立ってやろうという青少年の気概がこの数値にあらわれておるものだと私は思うものであります。したがって、この募集業務がスムーズにいくように知事にお願いをしたいということでございます。
 次に取り上げますのが6月10日、那覇空港において発生しましたF104J戦闘機の着陸失敗による事故でございますが、この件についても一昨日の代表質問あるいは昨日の一般質問でも取り上げられましたが、ただ質問者の意向が、いわゆる軍民共用の危険性を指摘されあるいは今度の事故の原因というか具体的に飛行機の性能の問題あるいは操縦士の操作の問題あるいは飛行場の問題、そういったことのいわゆる事故原因を究明されましたが、私は別の観点からこの事故原因について私の見解を申し上げ、皆様方のお考えをお聞きをしたいと、あるいは知事のお考えもお聞きしたいと思いますのが、本事故は去る6月10日、国籍不明機が沖縄本島の南方洋上から沖縄本島領空に向かって接近をしてきたわけです。そこで、(「ソ連機だよ」と呼ぶ者あり)それは後で申します。そこで国籍不明機に対して航空自衛隊では、防衛任務に基づいて6月10日6時20分に緊急発進をして彼我不明機に近接し、これがソ連製のソ連機のIL62機であることを確かめ、しかもそのまま行くと沖縄本島領空へ侵犯するぞというので警告を与えて、警告の結果はこのIL62機、ソ連機は進路を北北西にとって沖縄本島と宮古島の中間を日本海へ抜け、さらに日本海を北上して対馬方向へ行ったわけでございます。その任務を遂行して、いわゆる領空侵犯の危険性があるぞという警告を与え、そして那覇基地へ帰投するときにオーバーランをしてああいう着地失敗の事故が起きたわけであります。
 以上の経過から明瞭なことは、あの事故が発生した原因、しかも一番重要な一番明白な一番根本的な原因は何か、国籍不明機、これは確認しました、ソ連機です。ソ連機の日本本土領空、特に沖縄本島領空への異常接近というのが一番大きな事故の原因。あれさえなければ緊急発進もないし、亡くなったこの黒田2等空尉もいまごろは、これは3月に結婚しておるんです、新婚早々です。いまごろは新婚早々の新婚生活をエンジョイしつつ、日夜訓練勤務に邁進できておったはずです。その一番大きな原因をなしておるところのソ連機の日本本土領空、日本周辺に対する異常接近飛行という事態が大きな原因であり、抗議をするんなら真っ先にソ連に対して抗議をすべきじゃないかというふうに考えるわけでございます。
 しかもこのような日本領空に対する異常接近飛行というのは、今回に限ったことじゃございません。防衛庁の統計によりますと、昨年度だけで年間180回、これに対して航空自衛隊は六百数十回も緊急発進をしております。ちなみに新聞でも御存じでしょうが、去る6月27日、佐渡島北方で海上自衛艦の「ねむろ」の上空を旋回中のソ連のTU16バジャー爆撃機、その2機が旋回中1機が海中へ墜落しております。人道的に日本の自衛艦は、その遺体を収容し3遺体を新潟県でソ連側へ引き渡しておりますが、こういうような領空、領海への接近事故は今申し上げたように頻発しておるわけでございます。
 その中で、今回この緊急任務で発進をした黒田2尉が任務を終えて帰投、着陸の際、あのような炎上事故を起こして亡くなられたわけでございますが、私は初めてで1年生でよくわかりませんが、この議会において黒田2尉の国家に殉じたそのとうとい死に対して1分間の黙祷を捧げたいというふうに考えましたが、先輩議員に聞いてみると、一般質問の時間にそういうことをあんまりしきたりとしてやっておらぬというのでこの案は引っ込めますが、いずれにしても考えとしてはそういう考えでございますし、またこの議会の手続上どういう決議をしてソ連に抗議をすればよいのか、こういう手続上の問題も1年生でまだよく勉強しておりませんのでこれは今後勉強するとして、真っ先にあの事故の一番大きな一番明白な根本的な原因は、ソ連機の沖縄本島領空に対する異常接近飛行であったというところから、ソ連に対して抗議をすべきではないかというふうに考えるわけでございます。
 このような観点から、この10日に国家防衛のため、身近に言えば百万県民の生命、財産保全という崇高な防衛任務遂行中に殉職をされた黒田2尉の死に対して、その殉職に対して私は心から哀悼の念を表するものでございますが、知事のこの件に関するお考えをお尋ねしたいというふうに思います。
 以上の2点について御質問をいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 桑江良逢議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 自衛官募集業務の推進についての御質問でございますが、これはたびたび答えておるところでございますが、今後の県のとるべき考え方といたしましても、国としてまた地方公共団体として法令を遵守するということは当然なことであり、また国防に参加することも国民として当然であると考えますので、今後議会の御理解と協力を得ましてできるだけ早い時期に自衛官募集に関する機関委任事務が円滑に執行できるよう所要の手続をとりたいと考えております。
 6月10日に発生いたしました緊急発進に伴う故黒田2等空尉の殉職に対しましては、桑江議員のおっしゃるとおり衷心から哀悼の意を表するものであります。
○議長(大田昌知君) 以上をもって、通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております乙第1号議案から乙第16号議案までは、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午前11時50分休憩
   午後2時38分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 この際報告いたします。
 これまでに受理いたしました陳情19件は、お手元に配布の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
○議長(大田昌知君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。
 この際申し上げます。
 先ほどの休憩中の議会運営委員会において、参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会の廃止問題につき協議が行われ、この問題につきまして本県議会としても対処する必要があるため明後7日午後1時に本会議を開くことが決されております。よって明後7日午後1時から本会議を開くことといたします。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後2時40分散会

 
19800504000010