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平成10年(1998年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月25日
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議 事 の 概 要
平成10年9月25日(金曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
1 仲里 利信君(自民党)
2 翁長 雄志君(自民党)
3 石川 修君(社大党)
4 兼城 賢次君(社会・護憲)
5 嘉陽 宗儀君(共産党)
6 浦崎 唯昭君(新世会)
午後11時58分延会
〇議長(友寄信助君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた地方労働委員会会長屋宜正一君は、所用のため本日及び9月28日から30日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長座波一夫君の出席を求めました。
〇議長(友寄信助君) この際、念のため申し上げます。
本日及び9月28日から30日までの4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
〇議長(友寄信助君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
仲里利信君。
〔仲里利信君登壇〕
〇仲里利信君 おはようございます。
私は、大田知事就任8年間を検証し、大田県政への最後の質問となるよう願いながら自民党県連を代表し、以下通告に従い質問を行います。
まず1番目、知事の政治姿勢についてであります。
本県の過去3カ年間は大変激動の時代でありました。平成7年9月に発生したあの忌まわしい事件に端を発し、10・21県民総決起大会の開催に始まり、基地の強制使用に係る知事の署名代行拒否、すべての米軍基地を2015年までに撤去するための基地返還アクションプログラムの策定、返還跡地を利用した国際都市形成構想の策定、SACOの中間報告の中で初めて普天間基地の返還が加えられたこと、全国で初めてと言われる米軍基地の整理縮小に関する県民投票の実施、前橋本総理談話の中で、沖縄の経済振興に関し各省庁から88項目の振興策とそれに伴う調整費として50億円が計上されました。
大田知事はそのことを受けて、県民投票とは逆に基地の強制使用に係る署名代行を応諾し、その結果、民主団体から大きな反発を受けました。
その間、国においては沖縄の諸問題解決のため各大臣で構成する沖縄政策協議会も結成され、いろいろな角度から沖縄の振興策が協議をされました。
平成8年12月、SACOの最終報告がなされ、5000ヘクタールの基地と11施設の返還が日米両国で合意され、知事も評価するとのコメントがありました。
ある党の追及に対し知事は、事あるごとに行政はオール・オア・ナッシングでは進まない、したがって現実的対応も必要であると述べられました。
国サイドでも知事の柔軟な態度を高く評価をし、総理大臣との面談も過去2カ年間で17回も実現したことによっても政府の大田知事に対する期待のほどが理解できます。
ところが、名護市におけるヘリポート建設に関する住民投票の結果、比嘉名護市長は、ヘリポート建設を容認しみずからその職を辞任いたしました。
一方、大田知事は、引き続き行われた市長選挙に比嘉前市長の意向とは逆の、本年2月6日、海上ヘリポート建設反対を表明し、内外に大きな波紋を投げかけました。
知事は、選挙戦を有利にするためあえて市長選挙を待たずに反対表明をしたと思うけれども、結果は逆に作用し、ヘリポートを条件つきながら賛成した岸本氏が当選をいたしました。
海上ヘリポートの是非をめぐり大田知事と前橋本総理の任期中の昨年の暮れから小渕政権となった現在でも会談は持たれておらず、沖縄政策協議会も開催されぬまま今日に至っております。
昨年11月、祖国復帰25周年記念式典で前橋本総理大臣から「沖縄経済振興21世紀プラン」を策定するとの約束があった。策定のめどを本年3月末と設定されたけれども、知事の海上ヘリポート建設反対により中断を余儀なくされております。
地域住民の安全を確保し、国際都市形成構想を実現させるためにはどうしても普天間飛行場を動かす必要があります。
国においては、米軍基地の整理縮小に関する経費は一般会計とは別枠にて支出することが決定されており、その総額は向こう7年から10年間で約2兆円もの莫大な事業が展開されるとの情報もあり、全国的な不況の中で我が県は国より提示された数多くの振興策があり、政府との信頼関係を修復さえすれば現今の不況を十分克服できる状況にあります。
県は、基地返還アクションプログラムを策定し、2015年をめどに3段階に分けて基地返還を実現し、返還跡地を国際都市形成の核とするべく計画を立案したが、その核となる普天間飛行場が返らないために基地返還アクションプログラムと国際都市形成構想は国の承認も得られぬまま形骸化の憂き目にあります。
本県の自立的発展を図る目的で策定された全県自由貿易地域制度の導入についても、全県を網羅した議論が展開され県案が策定されましたが、政府・自民党の税調部会で全県フリー・トレード・ゾーンは時期尚早とのことで廃案の憂き目に遭いましたけれども、我が自民党県連の働きかけによって沖振法を改正し特別フリー・トレード・ゾーン制度の創設、現行フリー・トレード・ゾーン制度の拡充、情報通信産業振興税制の創設、観光振興税制の創設、沖縄型特定デューティーフリーショップの創設等が施行されることとなりました。
法律の大枠は決定をされました。運用面の細則はこれから策定されるとのことであり、政府との信頼関係を構築し十分な詰めをしなければ、自由貿易の二の舞になりかねない危険性をはらんでおります。
以上述べたように、大田知事の県政運営は政府を無視した独善的な手法が随所に見られるようになっていると思うがどうでありましょうか。
国際都市形成構想や地域限定型自由貿易地域制度から全県自由貿易地域制度に県案をまとめる約2カ年の間、全県民を大騒ぎさせたのは一体何だったのか、甚だ疑問を禁じ得ません。国との詰めの甘さが指摘されるゆえんであります。
大田県政の過去2カ年間は、在沖米軍基地の問題を内外に知らしめる点では一応の評価はするが、経済政策や雇用失業問題等に見るべき成果はなく、総じて問題提起をするが、その処理と解決する能力に欠けると言わざるを得ません。
大田知事と官邸との蜜月関係も今はなく、あるのは双方の不信感だけであります。大田知事にはその不信感を払拭する気力も意欲ももはや持ち合わせていない。我が県に今必要とする知事は、イデオロギーにとらわれず、真の意味の県民党的立場で是は是、非は非として国との協調関係を保ちながら県益を最優先に行政運営ができる指導者が望まれております。
以上のことを踏まえて、以下大田知事の見解を伺いたい。
1点、本県経済の閉塞状況を打開するには、大田知事みずからリーダーシップを発揮して、今最も重要な政治課題となっている普天間基地の移設先を陸上または海上を問わず決定をすれば、基地問題を初め経済振興策も一挙に前進することは、政府のこれまでの国会答弁でも明らかであります。大田知事の決断のほどを伺いたい。
2点目、橋本前総理はさきの参議院選挙で来県された際に、全国知事会が過去2回にわたって開催された、沖縄問題を全国に訴える絶好の機会であったけれども、残念ながら沖縄側は発言が認められていない副知事が出席をした。政府においては、沖縄の基地問題の解決を国の最重要課題として取り組んでいる時期に開催された全国知事会に大田知事みずから出席し、堂々と全国民に訴えるべきであったと言われております。
そこで伺います。
知事みずから出席しなかったとの発言がありましたが、これは正しいかどうか、伺います。
2点目、全国知事会を2度も欠席するに値する重要なことがあったと思うが、当日の知事の日程を示してほしい。
3番目、大田知事は3選を目指して準備を進めているようだが、知事の職務である中央省庁や官邸との信頼関係が失墜し、山積する課題解決能力のない現在、もはや大田知事は県民の代表としてその資格を失っております。したがって速やかにみずからその職を退陣すべきと思うが、知事の見解を賜ります。
次に、基地問題関係で知事訪米について伺います。
知事訪米については、県議会や新聞報道でも議論の分かれるところであるが、新聞の「論壇」にも指摘されているように、昨今の厳しい経済状況の中で毎年のごとく莫大な予算を使って要請をすることに県民の多くが批判的な見方をしております。
そこで、県民の疑問にこたえるため訪米予算と決算額について明らかにしたい。
知事訪米要請は、平成3年から平成10年まで――平成4年は除く――過去7回の要請行動がなされた。
訪米日程は15泊から17泊で、随行員として県職員が延べ63名、市町村関係者30名――平成10年を除きます――県議会議員1名、総勢94名余で、当初予算の総額1億6170万円に対し、決算額は1億2741万円で、差し引き3429万円が不用額となっている。
そこで、代表監査委員にお尋ねをいたします。
この種の予算は使途が明確であり、単年度処理が原則と思われるがどうでしょうか。
2点目、平成8年度1629万円、平成9年度2262万円、合計3891万円の不用額が発生している。その処理は適切になされているか、監査の御報告を願います。
次に、全県自由貿易地域制度の導入と雇用の拡大について伺います。
3次にわたる振興策により過去25カ年間に5兆円もの莫大な投資がなされましたけれども、依然として本県の自立的発展の基礎条件である産業、とりわけ製造業の立地がなく、若年層を中心とする失業者は全国平均の2倍に当たる8.1%を示すなど深刻な問題を抱えております。特に20代、30代の若年層の失業者は全体の約45%を占め、雇用の場の創設が県政の最重要課題として提起をされております。
産業立地の促進とあわせて雇用の拡大を一挙に解決する策が全県自由貿易地域制度の創設であり、県案が策定をされ、そして注目を集めました。
全県フリー・トレード・ゾーン導入により新たに5000億円の生産と2万8000人の雇用の場の創設が可能とのことであった。しかし現実には全県フリー・トレード・ゾーン県案より大きく後退し、中城湾港新港地区の約100ヘクタールに限定して実施されることとなりました。
同フリー・トレード・ゾーンを誘致するため、本土企業や台湾企業に対するアンケート調査では、回答した500社のうちから進出したいのは4社にすぎませんでした。
このことを踏まえ、県は去る9月17日、企業誘致特別チームを発足させ、国内外で約200社に対し企業誘致説明会を開催するとのことで大いに歓迎し、成功を祈りたいと思います。
ただ、本県の場合、企業を立地するには世界的にも高い水準にある賃金や企業用地、電気・水道料金の割高に加えて陸上交通の混雑、港湾インフラの整備の問題等を抱えているけれども、ぜひとも積極的な誘致活動を展開していただきたいと思います。
そこで、次の諸点について伺いたい。
平成10年9月18日付の新聞によると、台湾最大手の全国紙「中国時報」は、紙面の3分の1を割いて、沖縄県が中城湾港新港地区を中心に推進している特別自由貿易地域への企業誘致計画を特集し、企業誘致のための優遇措置として、特別フリー・トレード・ゾーン内に進出し、常時20人以上を雇用する法人は設立から10年間所得の35%を控除する。
2点目、台湾と日本の給与格差を緩和するため沖縄が給与の3分の1を負担し、進出企業の人件費低減を図ると。
また、中琉文化経済協会・蔡代表がインタビューに答えて、沖縄の物価と給与水準は日本本土の約7割前後と低い。これに県側による給与の3分の1補助を加えれば月額10万円程度となり、台湾国内で外国人労働者を雇うよりは安いと、このように話されております。
このことを踏まえ、次の点についてお尋ねいたします。
1、進出する台湾企業に働く日本人労働者の給与の3分の1を沖縄県が負担すると理解するがどうか。
2点目、給与の3分の1を沖縄県が負担してまで企業誘致をするメリットは何か。
3点目、制度上地方自治体で民間企業の人件費を負担する行為は可能かどうか。
4点目、県はフリー・トレード・ゾーン制度導入の所期の目的を達成するためには、なりふり構わず公費を持ち出す行為は断じて許されるものではございません。したがって給与の県負担3分の1を直ちに中国側に削除させること。
5点目、特別フリー・トレード・ゾーンを中城湾港に立地することになったが、雇用効果は幾らになると想定をしているか、お聞かせ願います。
6点目、雇用の場の創設を目的に立案した全県フリー・トレード・ゾーンが消えて特別フリー・トレード・ゾーンとなった現在、新たな雇用の場が必要となると思うが、県の計画があればお示し願いたい。
次に、新石垣空港問題について。
新石垣空港については、西銘県政時代に空港建設に関する諸手続もほとんど完了し着工の運びとなっていました。しかし大田知事は八重山郡民の圧倒的多数が支持しているカラ岳東側案を白紙に戻し、新たに新石垣空港建設検討委員会を発足させ、多くの委員から空港建設に伴う自然環境及び農業上の諸課題を解決できる可能性のある箇所として、これまで調査検討を行ってきたカラ岳東側周辺部が航空機騒音の影響、農用地との競合等農業政策にかかわる問題が少なく有利であるとの提言がなされております。
しかしながら、知事は同計画案にはカラ岳切削に伴う諸課題、企業用地の代替地の問題、さらに地域住民の根強い反対等で地元の理解が得られない状況であり、建設候補地として選定することは見送らざるを得ないと決めつけておりました。検討委員会の提言は知事によって完全に無視をされ、知事の頭には最初からカラ岳東はノーであったと思われます。
大田知事は、きょうの少数はあすの多数になると発言するなど民主主義に逆行する独善的手法によって平成4年11月、宮良牧中地区に優良農地をつぶして飛行場をつくることとなりました。あれから6年、紆余曲折を経て本年4月23日、新空港建設場所として宮良牧中地区に最終決定をされました。
その間、大田知事の郷里久米島では、海上を埋め立てて立派な2000メートル滑走路を持つ空港が建設され、現在供用されております。同じ海浜を埋め立てて空港をつくるカラ岳東側案はノーで、久米島はオーケーなのか、理解に苦しみます。
そこで知事に伺います。
知事は、当初から新石垣空港建設は総合的に判断して宮良牧中地区が早期建設につながると、これまで言ってきました。8年を経過した現在、本年4月にやっと建設場所を宮良牧中地区に決定をしたが、当初の建設スケジュールと対比して早期建設どころか大変なおくれだと思うがどうでしょうか。そのために地元の経済的損失ははかり知れないものがあると思います。知事の責任は重いと思うけれども、どのように認識しているか、お尋ねをいたします。
2点目、宮良牧中地区には43名の地権者が空港建設に反対をし、同意取りつけのため県や市の職員の集落への立ち入りを阻止するために24時間体制で監視活動を展開していると聞いております。反対地権者のうちには一切の交渉をかたく断るとの警告文も掲示をされ、いよいよ成田の二の舞が懸念される状況になっております。
このような形で推移いたしますと永久に新石垣空港はつくれないことになります。強引な手法で宮良牧中地区に建設場所を決定した大田知事の責任は大きいと思うがどうでしょうか。
3点目、この際、空港建設が不可能となっている宮良牧中地区を白紙撤回をし、八重山郡民に建設場所を決定させてはいかがなものでしょうか。
次に、農業問題について。
「農は国の本なり」と言われます。我が県にとって今最も真剣に対処しなければならないのが農業問題ではないでしょうか。有能な若年労働者が働きたくても職場がない、このことを解決するのが政治であり行政にある者の責務と考えます。
県では、その対処策として企業誘致、主として製造業を働きかけているけれども、諸般の事情からなかなか企業誘致が実現しておりません。
現在、就農者のほとんどが高齢化し後継者不足に悩まされております。このことを解消するためには若者に農業のよさを認識させることであり、県や農協等が連携を密にして若者を産業志向から農業への転換を図ることであり、積極的なPR活動が望まれます。
本県においても、南・北大東はサトウキビ生産を中心に県民所得の1位と3位であり、宮古島におけるサトウキビと葉たばこの生産、伊是名村におけるサトウキビ生産の増産による若者の就農者の増加など明るい話題も多い。
最近は施設栽培が普及し、水耕栽培や無農薬栽培等も盛んになっているが、総じて県当局の品種改良や栽培技術のさらなる向上と研究を望む声がちまたにあります。県がもっと盛んに積極的に農業従事者と接触をし、品質の改良を含めて栽培技術の指導、販路の開拓、さらに生産品の加工の分野まで踏み込んだ指導をするならば、必ずや若い皆さんも農業を見直し喜んで就農してくれるものだと確信をいたします。
そのためには農業を取り巻く環境の整備が急務であり、以下当局の対応を伺いたい。
1つ、農業粗生産額は第3次振計初年度から現在まで計画倒れに終わり、年間1000億から1050億円と横ばいであります。その原因は何にあるか、知事に伺いたい。
2点目、平成7年1月に策定した圏域別農業振興方向によりますと、第3次振計最終年度には農業粗生産額を2005億円と設定をされている。サトウキビが329億円となっているけれども、実現のための具体的な計画があれば知事に示していただきたい。
3点目、本年2月、沖縄県さとうきび振興組合が結成され、翔南製糖工場に集中脱葉装置と堆肥工場の建設が予定され、平成11年、12年産から稼働するとの答弁があったが、進捗状況をお尋ねいたします。
4点目、付加価値の高い農業を目指すには良質の農業用水の確保が不可欠であります。
本員は、過去数回にわたり下水処理水を3次処理をし農業用水として再利用する提言をし、県当局も平成8年度までに再利用に関する調査がなされております。
最近、施設栽培が盛んになっている南部島尻地域では早急な実現を切望いたしております。その進捗状況と計画をお尋ねいたします。
最後に、旧沖縄県議会棟問題についてお尋ねをいたします。
旧議会棟については、平成4年度予算に解体費が計上され、議会の議決を経て解体工事契約も締結をされ工事も着手し、約半分が解体された時点で、学者や関係者から保存すべきとの要請があったことを理由として、知事は議会決議を無視し解体工事を中断したまま放置をされております。
そこで伺います。
県庁周辺の整備が進む中で旧議会棟を現在のまま放置しておくことは、観光振興の意味からも好ましくなく早急な解決と整備が必要だと思うが、進捗状況を含めて知事の見解を伺いたい。
答弁により再質問を行います。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) 仲里利信議員の御質問にお答えいたします。
まず、知事の政治姿勢との関連で、本県経済の閉塞状況を打破するには、リーダーシップを発揮して最も重要な政治課題である普天間基地の移設先を陸上または海上を問わず決定すれば基地問題を初め経済振興策も一挙に前進することは政府の国会答弁でも明らかだが、知事の決断を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
県は、政府の海上ヘリポート基本案については、名護市民投票の結果や各種団体の意見、さらに普天間飛行場の県内移設に反対する県議会の決議、自然環境保護の問題、さらに加えて沖縄の米軍基地を取り巻く国内外の状況や県政運営の基本理念等さまざまな角度から検討した結果、受け入れることはできないと判断いたしました。
県民の間には、50年余にわたって基地の重圧に苦しめられてきた歴史的背景と、狭い沖縄に過密な米軍基地が存在している現状から、基地の県内移設に対して厳しい批判があります。県民は、将来にわたって米軍基地が固定化されるのではないかと大きな不安を抱いており、平成8年に実施された県民投票でも多くの県民が基地の整理縮小を強く求めています。
県としましては、普天間飛行場の早期返還を実現するためには本土、グアム、ハワイ等移設先の選択肢を幅広く検討していただくよう、日米両国政府に要請しているところであります。
米軍基地の提供責任者は国でありますので、米軍基地の具体的な移設場所について県は提案できる立場にはありません。
次に、全国知事会で沖縄問題を訴えなかったのはどうしてかと、それから当日の知事の日程を示してほしいという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
平成8年及び平成9年に開催されました全国知事会については、平成8年は全国的に注目された県民投票の2日前であったこと、また平成9年は中国福建省への出張から帰任して間もない時期で、9月補正予算の最終調整等業務的に厳しい状況にあったため東門副知事が出席した次第であります。
次に、知事は3選を目指して準備をしているようだが、速やかにみずからその職を退陣すべきと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
私は、知事に就任して以来、広く県民に開かれた県政を推進し、県民生活の向上を図ることを基本として懸案事項の解決や県勢の発展のため全力を尽くしてまいりました。
この間、政府の協力を得ながら基地問題の解決や本県経済の自立に向けて一定の進展が図られてきたところであります。
これまでの政策の一端を申し上げます。
厚生年金の格差是正や戦争マラリア犠牲者の補償など戦後処理問題の解決が図られました。
基地問題については、都市型ゲリラ訓練施設の撤去、シーメンズクラブを民間地域から米軍施設内に移し、跡地に青少年の健全育成等県民の健康、体力づくりの場として県立武道館を建設したほか、県道104号線越えの演習の廃止や安波訓練場の返還合意などが実現しています。
また、軍用地の跡地利用の促進に向けて県が要綱を作成して政府に訴えてきたいわゆる軍転特措法についても立法化が実現いたしました。
本県経済の自立的発展に向けては、21世紀の沖縄のグランドデザイン「国際都市形成構想」を策定し、その実現に向けて空港、港湾など基幹インフラの整備を促進し、フェデラル・エクスプレス社の誘致を実現させるなど、国際物流拠点の形成に向けて取り組んでいます。
さらに、マルチメディアアイランドの形成に向けて情報通信インフラの整備、コンテンツ産業等の関連産業の育成に取り組むとともに、シノプシス社デザインセンターの設置が決まるなど先端産業の誘致にも力を入れています。
また、本年3月に沖縄振興開発特別措置法が改正され、特別自由貿易地域制度が創設されたのを初め各種の産業振興に向けた施策が展開されています。
雇用対策については、昨年8月に雇用開発推進機構を創設するとともに、若年者のための雇用開発事業やマリンスポーツインストラクターの養成、介護サービスの訓練の実施などによって雇用の確保と拡大に積極的に取り組んでいます。
特に、本年7月には沖縄CSKのコールセンターが開所し、30人体制で業務を開始し、来年以降毎年50人程度の新規採用を行うことを表明しています。
また、NTTの電話番号案内が平成10年4月現在600名体制で稼働しています。
さらに、国際都市沖縄を担う人材の育成として国の協力を得て10名の国費留学生及び40名の高校生のホームステイ制度を導入する人材育成海外派遣事業や、6カ国語の同時通訳を養成する同時通訳者育成事業など多様な人材の育成を行っています。
今後とも政府の協力を得て諸施策を一つ一つ着実に推進し、若者が真に夢と希望の持てる沖縄の実現に向けて全力を傾けてまいりたいと考えています。
次に、新石垣空港問題との関連で、宮良地区での新石垣空港の建設スケジュールは早期建設どころか大変なおくれであり経済的損失ははかり知れないと、2番目に、空港建設場所を決定した知事の責任は大きいと、3番目に、宮良地区を白紙撤回し八重山郡民に建設場所を決定させてはどうかという3つの御質問には一括してお答えいたします。
新石垣空港の建設位置につきましては、一連の合意形成作業を初め新石垣空港建設位置検討委員会の提言や、庁内の新石垣空港建設対策協議会の報告、また世界的に貴重なサンゴ礁群を有する白保海域への影響等これまで事業実施に至らなかった経緯等を踏まえ、慎重に検討を重ねて宮良案を選定したものであります。
また、地元から提起のあった課題等については、一連の調査結果から宮良地区は技術的に問題はないと判断し、新石垣空港の建設位置として決定した次第であります。
本年4月の建設位置決定後地元説明会を開催し、5月25日から建設について地権者の同意取りつけを実施し、約7割の同意を得るなどこれまで石垣市と一体となって地元の合意形成に全力を挙げて取り組んでまいりました。
新石垣空港の建設については、平成12年度内の事業着手に向け努力しているところでありますが、本年6月の石垣市議会において新石垣空港の設置管理者に関する議案が否決され、当初のスケジュールどおりとは言えない状況であります。
八重山郡民の悲願である新石垣空港の建設については、地元の合意形成が大前提であり、今後とも地権者を初め関係機関等の理解と協力が得られるよう全力を傾けてまいりたいと考えております。
次に、農業問題との関連でございますが、農業粗生産額は、第3次振計初年度から現在まで計画倒れに終わり年間1000億円から1050億円と横ばいであると、その原因は何かという趣旨の御質問でございます。
農業粗生産額については、御指摘のとおり横ばいで推移しているところであります。
その主な原因は、サトウキビ、パイナップル等の生産額が価格の低迷や高齢化による栽培農家の減少等で大幅に減少したことによるものであります。しかしながら花卉、葉たばこ、肉用牛等は産地条件の有利性から着実に生産額が増加しており、その結果、農業粗生産額は全体として伸び悩んでいる状況にあります。今後引き続き基幹作物であるサトウキビの生産を振興するとともに、亜熱帯の地域特性を生かした付加価値の高い農業生産が実現できるよう各種の施策の推進に努めていく考えであります。
次に同じく農業問題で、本年2月、沖縄県さとうきび振興組合が結成され、翔南製糖工場に集中脱葉装置と堆肥工場の建設が予定され、平成11年、12年産から稼働するとの答弁があったが進捗状況はどうなっているかという御質問でございます。
集中脱葉施設の整備につきましては、現在国と事業計画の協議を行っているところであり、平成10年度に事業を完了し、平成11年産の製糖期から本格稼働の予定となっています。
また、堆肥製造施設の整備については、場所の選定、規模等の検討が必要であり、今後関係機関と調整を図りながら事業実施に向けて取り組んでいきたいと考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
〇議長(友寄信助君) 代表監査委員。
〔代表監査委員 仲地清純君登壇〕
〇代表監査委員(仲地清純君) おはようございます。
仲里利信議員の御質問にお答え申し上げます。
御質問の趣旨は、知事訪米に伴う諸経費に関しまして、第1点目に、この種の予算は使途が明確であり単年度処理が原則と思われるがどうか、第2点目に、平成8年度、平成9年度に不用額が発生している、その処理は適切になされているかについてであります。関連いたしますので、一括して御答弁申し上げます。
御案内のとおり、各年度の県予算は知事において事務・事業の目的、性質に応じて款・項・目・節に区分整理して編成され、議会の議決を経て成立した後執行されます。
その執行の結果、決算が作成され、議会の審議を経て認定されます。
この決算認定までの過程で、決算は監査委員の審査に付され、監査委員の意見を付して認定に付されることになります。
監査委員における審査に当たっては、決算の計数は正確であるか、法令及び予算に適合して適正に執行されているか、財政運営は合理的かつ健全に行われているかなどの諸点に主眼を置き、関係諸帳簿及び証拠書類等との照合を行い、必要に応じ資料の提出を求め関係当局者の説明を聴取するなど所定の手続のもとに慎重に審査を実施いたします。
その結果、監査委員としましては、各年度の決算はそれぞれの関係諸帳簿及び証拠書類等と照合した結果、正確であると認め、意見を表示してきたところであります。
したがって、御指摘の知事訪米に伴う諸経費についてもこれが各年度の予算に計上され、当該年度内に執行され、単年度処理の原則に即して処理されていると認められます。
また、御指摘の不用額を含む決算書はそのいずれも真実の内容を適正に表示した決算であると認めてきたところであります。
以上でございます。
〇議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
〇商工労働部長(宮城弘岩君) 仲里議員にお答えしていきます。
全県自由貿易地域制度の導入と雇用の拡大についての中で、進出する台湾企業に働く日本人労働者の給与の3分の1を県が負担すると理解するがどうか、次に、給与の3分の1を県が負担してまで企業誘致をするメリットは何か、次に、制度上、地方自治体で民間企業の人件費の負担行為は可能かどうか、次に、県はFTZ制度導入の所期の目的を達成するためにはなりふり構わず公費を持ち出す行為は断じて許されるものではない、したがって給与の県負担を直ちに削除することと思うがどうかということでございますが、関連しますので一括してお答えいたします。
御質問にある平成10年9月18日付の台湾の新聞「中国時報」に掲載された雇用助成金に関する記事は、沖縄若年者雇用奨励金に関するものでありますので、その制度について御説明いたします。
本制度は、労働省において沖縄県における慢性的な失業者の半数以上が30歳未満の若年者であることを踏まえ、本県における新たな雇用機会の確保を促進するために創設されたもので、若年者の雇用促進と職場定着の普及を図ることを目的としております。
内容は、公共職業安定所の長の認定を受けた事業主について、沖縄県に居住する30歳未満の求職者に対して支払った賃金の3分の1額を月額10万円を限度に最大3年間助成するもので、沖縄県全体で25事業所がその対象になっております。
なお、平成10年度においては総合経済対策により助成率が2分の1になっております。
当該制度は、特別自由貿易地域等へ国内外の企業を誘致するための大きなインセンティブになると思われることから、積極的な活用を図るため広くPRしているところでございます。
次に、特別FTZを中城湾港に立地することによる雇用効果は幾らに想定しているかと、お答えいたします。
特別自由貿易地域を中城湾港新港地区に展開するに当たり、県知事から沖縄開発庁長官に地域指定申請を行うため3月指定をめどに現在実施計画の策定に取り組んでいるところであります。
したがいまして、この段階で御質問の雇用効果を推計することは難しいことですが、仮に自由貿易地域の面積を98ヘクタール、全国工業統計表の用地・用水編のデータをもとに雇用規模30人以上100人未満の中小企業を想定し、食料品、飲料品、一般機械器具、化学等の製造業及び関連する倉庫業、梱包業等それぞれ相当数の企業が立地したものとして考えますと、これらの企業が軌道に乗ったものとして推計しますと事業所でおよそ100社程度で、雇用者数で約5000人から6000人を想定しております。
次に、特別FTZ以外の雇用の場の創設を目的に立案した全県FTZが消え、特別FTZとなった現在、新たな雇用の場が必要となるが、県の計画があれば示してほしいにお答えいたします。
ことし3月の沖縄振興開発特別措置法の改正により特別自由貿易地域制度、情報通信産業振興地域制度及び観光振興地域制度の創設に加え、自由貿易地域制度、工業等開発地区制度が拡充されました。
特に、法人税の所得控除や投資税額控除等は、我が国においてほかに例のないほどの優遇措置が講じられております。
県といたしましては、これら制度に対する優遇措置を積極的に活用した企業誘致活動を展開するため、今月、企業誘致プロモーション3カ年計画を策定し、企業誘致プロジェクトチームを設置したところであります。
以上でございます。
〇議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
〇農林水産部長(大城喜信君) 農業問題について、平成7年1月に策定した圏域別農業振興方向によると、第3次振計最終年度には農業粗生産を2005億円と設定している、サトウキビが329億円となっているが、実現のための具体的な計画はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
サトウキビの生産は、近年、生産者価格の低迷、生産農家の高齢化、担い手不足、他作物への転換等により減少し、平成8年度の粗生産額は約151億円となっております。
このような状況の中で、生産振興計画の目標を達成するのは現状においては厳しいものがあると考えております。
しかしながら、サトウキビは地場産業とも密接に関係し、農家経済のみならず地域経済の発展に大きく貢献しており、今後ともサトウキビの振興は重要であると考えております。
その対策として、機械の効率的な稼働を推進するための生産基盤の整備を初め、農地の流動化による経営規模の拡大、農作業受委託組織の育成等の諸施策を総合的に実施しているところであります。
また、今期から「さとうきび・糖業再活性化対策事業」、いわゆるルネッサンス計画に基づき生産者、農協、市町村、製糖業者が一体となり、地域の自主性を生かしつつ生産振興に向けて取り組みを強化しているところであります。
次に同じ農業問題で、南部島尻地域において下水処理水を農業用水として再利用するための調査の進捗状況と計画についての御質問にお答えいたします。
本島南部地域における農業用水の安定的確保を図る観点から下水道の再生処理水の有効利用について調査を実施しているところであります。平成7年度から平成9年度にかけて基本構想の策定、農業用水としての水質、生産者や消費者のイメージ等について調査を実施してまいりました。平成10年度以降は再生処理水を利用した実証栽培による作物への影響度、事業導入の手法、営農計画等について検討していく計画であります。
以上であります。
〇議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
〇総務部長(又吉辰雄君) 仲里議員の旧県議会棟問題について、県庁周辺の整備が進む中、旧議会棟を現在のまま放置しておくことは観光振興の意味からも好ましくなく、早急な解決と整備が必要と思うが、進捗状況を含めて見解を聞きたいとの御質問にお答えをいたします。
旧議会庁舎につきましては、旧議会庁舎耐久性調査報告書に係る住民訴訟が平成6年8月5日に提起され、現在係争中でございまして、24回の口頭弁論が行われております。
同訴訟におきまして、当該旧議会庁舎が重要な証拠物件であることから、県はその撤去を見合わせているものであります。
県といたしましては、解体撤去の方針には基本的に変わりはございません。撤去後は旧議会庁舎基本構想に基づきオープンスペースとして駐車場及び緑地帯等を整備する予定でございます。
以上でございます
〇議長(友寄信助君) 仲里利信君。
〔仲里利信君登壇〕
〇仲里利信君 再質問を行います。
まず、先ほど知事の全国知事会へどうして参加をしなかったのかということを含めて日程を聞きましたところ、何か県民投票の2日前であったとかというふうな答弁がありましたけれども、実は私の手元にその資料がありますけれども、1回目が平成8年の9月6日金曜日であります。その日は公式日程は16時30分の表敬、これは佐々木衆議院議員の表敬です。それから17時、三役の事務調整ということでありまして、県民投票の2日前であったとしても、知事が県民投票にみずから直接手続上タッチはしてないはずなんです。こういうふうにまず平成8年。
平成9年が9月12日15時から17時の間、補正予算、財政課との最終調整ということでありますけれども、これも何も知事が残って事務調整をするような筋合いのものではない。
この2日間の日程を見ますと、どうも知事自体がこのやり方を見ておりますと、自分の職務を放棄したというふうにとられても仕方のないようなことじゃないかと思っているんです。そうでなければ全国知事会を大田知事自身がいわゆる軽視をしているというとらえ方をしても仕方がないことじゃないかと、このように思いますけれども、もう一度知事の全国知事会に対する認識の度合いをお示しを願いたいと思います。
それから、ちょっと議長に苦言を呈したいんですけれども、私はあえて農業問題ではサトウキビの生産に関して知事から説明願いたいとしておりますけれども、今部長からその説明がありました。
このようなことはこれは今後、特に代表質問ですし権威のある質問だと思いますので、勝手にやってもらったら困る、これは意味があって質問をしているわけですから。
これはなぜかといいますと、329億円、現在もう200億円を切っているんですよ。毎年毎年下がっているんです。ルネッサンス計画とかいろいろありますけれども、実績としては何ら上がってきてない。それを平成7年1月にあえて改めていわゆる2001年、3次振計の最終年度に329億円と、1.5倍も生産をふやすというふうなことはこれはやはり知事じゃなければ答えられないと思ってわざわざやったわけですが、部長から答弁がありましたので省きますが、今後議長におかれてはそういうことを厳にチェックをされるように頼んでおきます。
それから、50億円プロジェクトの総括ということで平成10年5月13日、新聞に出ております。それによりますと、橋本総理のブレーンを務める元政府高官は、沖縄の振興のための政府予算を確保するための知恵をかしてほしいという質問に対して、知事が直接大蔵省に予算要求するとか、方法はいろいろあるというふうなことまで言われております。これはすなわち先ほどの知事の対外的なこととつながると思うんですけれども、知事はこれまで振興策について直接大蔵省に要求するとか、交渉をなされた経緯がありますかどうか、あればその事例を示していただきたいと思います。 それから公共事業が半減する時代になっていると。ハブ港湾の整備への財政措置は絶対できない。金が入っても計画を達成できる方法を考える必要があるという意味深なことを政府高官はおっしゃっております。この金が入っても計画を達成できる方法を考えるということは何か、知事の考えをお示し願いまして質問を終わります。
以上です。
〇知事(大田昌秀君) 休憩してください。
〇議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前10時58分休憩
午前11時 再開
〇議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) 仲里議員の再質問にお答えいたします。
まず、全国知事会の問題でございますけれども、これは日程の都合がつけば当然参加するのはこれまでもやってきたとおりでございまして、先ほど説明したとおりでございます。
それから、日程の都合がつかないときには、全国でも出納長が出たり副知事が出たりということは絶えずやっておりますので、そこは御理解いただきたいと思います。
それから2番目の問題について、大蔵省の産業振興の予算とかに官房を通してやっているけれども、知事みずからもやったことはあるかということの御質問だったと思いますが、これは開発庁長官からも直接に大蔵大臣にひとつよろしくお願いしますよということでごあいさつがありましたし、私からもひとつよろしくお願いしますということをごあいさついたしましたし、官房につかない以前の段階では大蔵省まで参りまして事務次官とか大臣に直接お願いしたことがございます。
それから、3番目の問題についてはちょっとよくまだ理解していないんですけれども、何といいますか産業振興の予算を要求する、つまり基地問題を受け入れれば予算はもらえるという趣旨の御発言だとすれば、これは先ほど来御説明申し上げておりますように県は、県民の意向を体して受け入れるというのは厳しいですと申し上げているわけですから、そういう気持ちには今もって変わりはございません。
〇議長(友寄信助君) 翁長雄志君。
〔翁長雄志君登壇〕
〇翁長雄志君 自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。
「驕れる人も久しからず」という言葉があります。大田県政は、8年目にして実に劇的にこの言葉が当てはまるような終幕を迎えつつあります。
民主主義を守ろう、公平、公正、清潔、開かれた県政、実に多くの美辞麗句を尽くして県政を奪還してからうそと間違いが県民の前に明らかになるのに、これだけの年月がかかるんだなと今さらながら残念でなりません。
私は、もう大田知事と沖縄県の未来を語ろうとは思いません。新たな美辞麗句とむなしい夢と自己保身の理想論を聞く余裕はもはや沖縄県の現状がそれを許さないと思っているからです。
どうか知事、おやめになって思う存分夢と理想を語り、書いていただきたい。
米国行脚も心おきなくやられたらどうでしょうか。知事の理屈なら個人の資格でも国家を乗り越えて外交ができるかもしれません。
私は、今の沖縄県政のあり方は、政策の違いもさることながら、だれが県政を担うかということが大切だと思っております。
「武士は食わねど高楊枝」という言葉があります。大田知事は、県民にそれを求めているかのようであります。
しかし知事を初め、その周りのグループは、武士道の一番大切な道徳観である礼節と信頼に欠ける言動が多く見られます。
さらに、「武士に二言なし」といいますけれども、17回の無言も不気味と言えば不気味であります。貧しくなったときに県民すべてが腹をすかせばいいのですけれども、貧しくなっても食事に困らない人が半分いて、その人たちがみずからの安楽の立場は守りながら、県民に高潔な人格を求めるのは全く欺瞞であると思っております。
そのことを県民は気づいてしまいました。政府との信頼以前に、県民との信頼さえも失ったと思っております。
そのことを以下の質疑で明らかにしていきたいと思っております。
知事の政治姿勢について。
大田知事は最近、不屈の精神で沖縄の状況を変えようとする人が出るたびに、権力者にこびて立身出世を図る人が必ず出てくると、議論をする前から相手の尊厳を傷つけるような巧みで、それこそ私に言わせると傲慢で卑屈な発言をしておりますが、その真意をお伺いしたいと思います。
橋本総理辞任に当たり、県経済界の代表、自民党県連の役員が上京し橋本総理にお会いをいたしまして、お礼とねぎらいをしてまいりました。総理も大変感激をいたしておりましたが、どのような感想をお持ちか、お聞きをいたします。
6月定例会で県の幹部の公職選挙法違反について質疑をいたしましたが、裁判の結果はどうなったのか。
それを受けてどう処分をしたのか。
また、それを受けて県庁職員にはどのように綱紀粛正について具体的指導をしたのか、お伺いをいたします。
大田知事は、ことしの新春インタビューの中で県政のキーワードは自立する沖縄だと述べております。
しかし、企画調整室長のポストを天下り官僚に明け渡したということは、県民主体の振興開発計画を放棄し、官僚主導の振興開発をつくるということを意味するものだと私は思っております。
キャリア官僚の不祥事を生んだ昨今の教訓もなく、行政経験も少ないわずか31歳の人に県政の重要な役割を与えたのは、大田知事の日ごろの不屈の精神が県民への見せかけだけで自信のない、自立心のない言行不一致を白日のもとにさらされたと思うが、どうでしょうか。
知事という職業は、地場産業についてはみずからトップセールスマンとして県内外、国外へと全力を尽くしてアピールすべきだと思いますが、どうでしょうか。
2番目に、基地問題について。
地方自治法第2条第6項にあるとおり、広域的、統一的な事務が都道府県の基本的な事務であります。そして同項第3号で「国と市町村との間の連絡」を県の事務と明記しております。
しかしながら、海上基地問題については一義的には国と市町村の問題として責任を放棄し、傍観者を決め込みながら、「島田懇」のようなうまみのあるものには積極的に口を出す姿勢は矛盾をしないかどうか、お伺いをいたします。
新石垣空港問題について。
大田知事は、これまで環境問題について主体的な見識を持っていなかったと判断いたしております。
基地の環境問題も見識があれば第1期目の当初から重要政策になっていたはずであります。
知事は基地問題の専門家であります。平和の専門家であります。沖縄の問題についてこれまで幾らでも本を書いてまいりました。今回の訪米視察で環境問題に改めて気づいたなどというのはですね、私は知事のこれからのまた新たなうそと欺瞞が始まるなと、このような感じをいたしております。
美辞麗句、夢、理想論、その中で県民の目をごまかしていこう、環境問題の重要さは県民等しく当然思っておりますけれども、こういうものをまた今の時点で出してくる、これが私は知事の本質的な体質だと思っておりますけれども、特に赤土問題に関しては8年にわたって議論をしてまいりましたけれども、知事の認識のなさにはいつも驚かされてまいりました。
特に新石垣空港宮良牧中案の赤土のサンゴへの脅威については、環境保護団体ももう既に反対ののろしを上げ始めております。
この件についての現状の赤土防止策と見通しについてお伺いいたします。
経済振興について。
県は、現在の沖縄の不況は日本全体の不況と連動しているものであり、特に県政の失政とは言えないとしているが、その根拠を伺いたい。
県の広報誌「大きな和」8月号に特集として組まれている「経済の自立化をめざして―沖縄の経済振興に向けて進むプロジェクト」は規模や内容がばらばらで、県民は理解しにくいと思われます。
しかし特集を組まれた以上、プロジェクトの選定はちゃんとした基準があるかと思いますので、それを教えていただきたいと思います。
5番目、「沖縄からのメッセージ事業」は、沖縄県の抱える基地問題について他府県の人々への理解を目的に平成7年から毎年実施してきたと思いますが、当初予算に計上してきたかどうか。それから、どれだけの予算、決算だったか、7年度から10年度までお知らせをお願いをいたします。
次、再質問をいたします。
〇議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) 翁長雄志議員の御質問にお答えいたします。
まず、最近、不屈の精神で沖縄の状況を変えようとする人が出るたびに権力者にこびて立身出世を図る人がかなり出てくると議論をする前から相手の尊厳を傷つけるような巧みで、それこそ高慢で卑屈な発言をしているが、その真意は何かという趣旨の御質問でございます。
戦前から戦後にかけての沖縄の政治は、理想と現実のはざまで苦悩を強いられた歴史でもありました。土地闘争、主席公選、復帰運動に見られたようにその過程では時流に迎合し、時の権力者の意を体する人々と、真に県民の立場を大切にし、理想を貫こうとする人々との葛藤があったことは歴史的な事実であります。
さきの発言は、こうした歴史に学び本県を取り巻く厳しい政治、経済、社会情勢の中にあっても理想を見失わずに県民一人一人が自立の気概を持って人間の尊厳を大切にし、一つ一つ課題を解決していくことが、若者が真に夢と希望の持てる自立した沖縄を実現することにつながるとの趣旨で述べたものであります。
次に、橋本総理辞任に当たり、県経済の代表、自民党県連の役員が上京しお礼とねぎらいをしてきた、橋本総理も大変感激をしていたが、どのような感想をお持ちかという趣旨の御質問でございます。
私は、橋本前総理が内閣総理大臣に御就任以来、基地問題を初め沖縄の抱える諸課題の解決のため誠意を持って取り組んでいただいたことに対し日ごろから感謝しているところでございます。県民各界各層の方々が、その間の橋本前総理の取り組みについてそれぞれの立場でお礼とねぎらいをされることは意味のあることだと考えます。
それから次に、自立する沖縄と県政の重要ポストへの職員の登用についての御質問にお答えいたします。
県政の運営に当たっては、平和・共生・自立の理念のもと、各種の施策を積極的に推進してきたところであります。
現下の本県は、第3次沖縄振興開発計画の後期にあり、とりわけ県政の最重要課題である基地問題の解決の促進、国際都市形成構想の実現、産業振興と雇用対策の推進など21世紀を目前にした沖縄県の将来を左右する極めて重要な時期にあります。
そのため人事に当たっては、多様化、高度化する行政需要に的確に対応し県民の福祉の増進に寄与する観点から年齢、性別を問わず広く有能な人材を積極的に登用し、士気の高揚と組織の活性化を図っているところであります。
次に、知事という職業は、地場産業についてはみずからトップセールスマンとして県内外、国外へと全力を尽くしてアピールすべきだと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
本県では、地場産品の販路拡大のため平成5年2月に株式会社沖縄県物産公社を設立し、銀座、名古屋、台北、福岡の天神、大阪の梅田等への「わしたショップ」開設を初め、物産展や通信販売等による地場産品の売り込み事業を積極的に展開してまいりました。
さらに現在、台湾、香港、シンガポール、韓国、福建省に県及び関係団体の事務所を設置しているほか、委託駐在員をフィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアに配置し、貿易・経済情報の収集及び提供、物産、観光のPR活動を実施しているところであります。
また、去る9月22日には、伝統的な染め織りの素材を積極的に活用した沖縄独自のブランド製品を開発、販売するとともに、最新の県内ファッションの発信及び国内を初め海外ファッションの検索ができる沖縄ファッションギャラリー・ライブラリーを立ち上げたところであります。
今後とも、地場産業に限らず企業誘致活動等についても私みずから本県の状況を積極的にアピールしてまいりたいと考えております。
次に、地方自治法第2条6項にあるとおり広域的、統一的な事務が都道府県の基本的な事務です、そして同項3号で国と市町村との間の連絡を県の事務と明記している、しかしながら海上基地問題については一義的には国と市町村の問題として責任を放棄し傍観者を決め込み、「島田懇」のようなうまみがあるものは積極的に口を出すが矛盾しないかという趣旨の御質問でございます。
米軍用地については、日米安保条約第6条及び地位協定第2条の規定に基づいて日本国政府から米軍に提供されています。
米軍に土地を提供する場合は、原則として政府・防衛施設局が土地所有者と当該土地の賃貸借契約を締結しその使用権原を取得し米軍の用に供する方法をとっています。
防衛施設局長と土地所有者との間で賃貸借契約が締結された後、防衛施設局長は土地所有者から当該土地の受領を受け、これを米軍に引き渡すことになります。
また、漁業権が設定されている海域において構築物等を設置する場合は、漁業権の得喪または変更が伴うので漁業権者、つまり漁協の同意が必要とされています。
これを踏まえて、県は米軍基地の県内移設の問題については、まず、米軍施設の提供責任者である国が、その影響を受ける漁協とか基礎的な地方公共団体として地域住民に密着した問題を取り扱う地元行政とか議会などとよく調整すべきであるということをこれまで繰り返し申し上げてきたところであります。
なお、県は沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会、いわゆる島田懇談会については、庁内に米軍基地所在市町村活性化プロジェクトチームを設置して、米軍基地所在市町村の地域振興のためのプロジェクトの育成、実施の促進及び関係機関との連絡調整に当たっております。
これは、懇談会の提言を実現するため政府に設置された沖縄米軍基地所在市町村提案プロジェクトに関する連絡協議会の設置要綱第3条の規定に基づき県が連絡協議会に参画したことに関連する業務として実施するものであります。
次に、経済問題との関連で、県は現在の沖縄の不況は日本全体の不況と連動しているものであり、特に県政の失政とは言えないとしているが、その根拠は何かという趣旨の御質問でございます。
県経済の状況に対応して県は全力で経済活性化に取り組んでいるところですが、全国的に深刻な景気低迷の影響を受け、本県経済は全体として厳しい状況になっています。
全国的な景気低迷の根本的な要因は、バブル経済期において金融機関の過剰な不動産投資のため多くの金融機関が不良債権を抱え込むこととなったことや、昨年度の消費税率引き上げや医療費の負担増などにより家計が圧迫され、国民が消費支出を抑えたことにあると言われております。
個人消費の減少などによる景気の減速で不良債権を抱える金融機関の経営は急速に悪化し、本土においては昨年11月に大手金融機関の破綻を招き、またその後の金融機関の貸し渋りにより多くの中小企業が資金調達に苦しむなど厳しい経営を強いられる状況になっています。
このような経済情勢の中で、政府による迅速な経済対策が実施されず、今日の厳しい経済状況を招いたものと指摘されています。
個人消費の低迷について、経済企画庁は7月に発表した経済白書において消費税率引き上げの影響が予想以上に大きかったことや、大手金融機関等の破綻による先行きの不透明感によるものであるとしており、本県の個人消費の低迷もこのような全国的な傾向によるものであると考えております。
また、経済企画庁は住宅建設について全国的な傾向として個人が先行きの経済や将来の自分の所得について不安を持っていることなどのために着工戸数が減少しているとしています。
本県の住宅建設の低迷についても、この全国的な傾向によるものと考えております。
さらに、県内の雇用情勢は厳しさを増しておりますが、一般職業紹介状況によれば県外からの求人がことしの2月から7月まで前年の同月を6カ月連続で平均して30.9%下回っており、全国的な景気低迷の影響を受けていると考えております。
このような県経済の厳しい状況の中で、県としては経済状況に十分配慮し経済の活性化に取り組んでおります。
公共事業費については、国の財政構造改革により本年度の当初予算が全国ベースでは7.8%減とされたのに対して、本県は5.7%減と削減率が低く措置されて予算が確保されました。
また、今回の9月補正においてお願いしている33億円と合わせて総額511億円の過去最大規模の総合経済対策を実施することとし、その結果本年度の公共事業等は昨年度の実績2550億円より177億円多い2727億円となり、県内景気に配慮したものとなっております。
また、県の観光振興施策の効果もあって観光入域客数は21カ月連続で過去最高を記録しており、経済企画庁の地域経済動向調査では全国の他地域が景気は低迷しているとされている中で本県はこのように観光が好調なことから、景気は持ちこたえているとされています。
県は、自立的な経済発展を図っていくため国際都市形成に向けた産業振興策を策定し、その取り組みもあって沖縄振興開発特別措置法が改正され、全国で初めての特別自由貿易地域制度等が創設されました。
また、マルチメディアアイランド構想を推進し情報通信インフラを整備するとともに、情報通信産業の振興、集積に取り組んでいます。
さらに、企業誘致についてはシノプシス社やフェデラル・エクスプレス社の進出が決定するなど大きな成果を上げており、今後とも国内はもとより、台湾や米国においても企業誘致活動を積極的に展開してまいります。
このように県としては、県内景気に十分に配慮し県経済の活性化策に取り組んできており、今後とも全力を尽くしていく考えであります。
次に、県の広報誌「大きな和」で掲載している「沖縄の経済振興に向けて進むプロジェクト」の選定基準についての御質問にお答えいたします。
県の広報誌の「大きな和」で特集を組んで紹介したプロジェクトは、県が進める経済振興に向けた取り組み状況を広く県民に理解していただくために掲載したものであります。
誌面では、プロジェクトの推進状況が県民に理解されるよう平成4年度から平成9年度までに完了したもの、平成10年度現在実施中のもの及び平成11年度以降新たに着手することを計画しているものに分けて掲載しております。
これらのプロジェクトは、第3次沖縄振興開発計画の基本方向や沖縄振興開発の課題と展望を踏まえて策定された沖縄県主要事業推進計画に盛り込まれているもののうち、経済振興のための基盤整備などの大規模なプロジェクトや経済活性化の効果が高いと考えられる事業などを中心として掲載しております。
また離島や過疎地域については、県が策定している離島振興計画や過疎地域活性化計画を踏まえて空港や港湾などの基盤整備事業や、経済活性化の効果が高いと考えられる事業などを掲載しております。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
〇議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
〇総務部長(又吉辰雄君) 翁長議員の知事の政治姿勢についての中で、裁判の結果はどうなったのか、2点目、それを受けてどう処分したか、3点目、職員には綱紀粛正についてどのように指導したのかとの御質問でございます。一括してお答えいたします。
このたび、農林水産部職員が公職選挙法違反により略式命令を受けるという不祥事を起こし、県民に公務に対する不信と疑念を抱かせるに至ったことはまことに残念であり、改めて県民の皆様に深くおわびを申し上げる次第でございます。
当該職員は、9月1日、那覇簡易裁判所より公職選挙法違反により罰金30万円及び公民権停止4年の略式命令が言い渡されたものであります。
県としては、公訴事実の確認及び事情聴取を行い、懲戒審査委員会での審議を踏まえまして去る9月11日に懲戒処分を行いました。
当該職員に対しては、減給10分の1の6カ月、また管理監督責任者である農林水産部長に対しては減給10分の1の3カ月の処分を行ったものであります。
綱紀の粛正については、今回の不祥事が発覚した後、7月7日に総務課長会議を開催し、職員の服務規律の確保について改めて文書でもって周知を図ったところでございます。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
〇土木建築部長(上原幸一君) 翁長議員の新石垣空港の赤土等流出防止対策についてお答えいたします。
赤土等流出防止対策としましては、濁水の流出を発生源で抑える表土保護工等の発生源対策工、流出した濁水の勢いを低減させる流出抑制工、工事区域から発生した濁水を一時貯留し、沈殿ろ過処理を行う濁水処理工等がございます。
宮良地区における同対策としましては、発生源対策として表土保護工としてのマルチングや転圧締め固め、土壌団粒化剤散布等を実施いたしまして可能な限り濁水の発生を抑える計画でございます。
また、流出抑制工としましては切り回し水路や浸透升の設置、逆押し盛り土工法等の採用等を計画しております。
さらに、濁水処理工としまして最終的に濁水を沈殿池に導き自然沈殿、ろ過沈殿と凝集沈殿方式による機械処理を行って河川へ放流することになります。
沖縄県における一般土木工事において赤土等流出防止対策工の施設は、通常2年に一度の大雨を対象として計画しております。
これに対しまして新石垣空港におきましては、学識経験者で構成する工法及び環境の合同検討委員会において10年に一度の大雨に対応できる施設の設置を決定いたしました。
これを受けて轟川流域では18万2000立方メートル、宮良川流域では22万1000立方メートルの沈殿池を設置いたします。この沈殿池で可能な限り自然沈降、ろ過沈降を行い、最終的に機械処理により濁水を25ppm以下まで処理し放流いたします。
濁水を25ppm以下に処理した実績といたしましては、県事業では久米島空港、国の事業といたしましては名蔵ダム、そして羽地ダムでもその計画がなされております。
さらに、新石垣空港では工事の着工から完成までの全期間にわたって地域の人や専門家を交えて環境監視体制をつくり、濁水の処理状況等を監督し指導を行い、環境保全に万全を期することを計画いたしております。
また、宮良川、轟川の流出先である白保海域の豊かな自然環境を保全することを目的として地元石垣市や八重山支庁及び民間関係団体等で組織する白保海域環境保全対策協議会──これは仮称でございます──の設立を準備しております。
同協議会の活動を通しまして、これらの河川の流域において総合的な赤土等流出防止対策を図っていきたいと考えております。
〇議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
〇知事公室長(粟国正昭君) 翁長雄志議員の「沖縄からのメッセージ事業」について、平成7年度から毎年実施してきたと思うが当初予算に計上していたかどうか、また平成7年から平成10年までの決算額はどれほどかということについてお答えを申し上げます。
まず予算措置について年度ごとに御説明申し上げますと、沖縄からのメッセージ事業につきましては平成7年9月の少女暴行事件を契機といたしまして、沖縄の基地問題が国民的な関心を呼び起こし、沖縄の基地問題について実情を知らせてほしいとの国民多数の要望にこたえ、時宜を得た緊急かつ必要な事業と判断し実施してまいりました。
このような背景を踏まえ、平成7年度については国内主要8都市において平成8年2月に事業を実施することになり、予算編成時での想定は困難で当初予算には計上されておりません。
そのため、12月補正で議会の承認を得るとともに、不足分は流用等により措置し事業を実施しております。
次に、平成8年度につきましては前年度の事業終了後、本事業の開催要望が相次いだことから、引き続き早い時期に継続して実施する必要があるとの認識のもと、主要10都市において平成8年5月から6月にかけて実施をいたしました。
このため、当初予算には計上されておりませんが、既に既決予算の範囲内で対応することとし、不足分は流用承認を受け事業を実施いたしました。
平成9年度につきましては、当初予算に事業実施に係る経費の一部が計上されております。
平成10年度につきましては、本年2月の海上ヘリポート政府基本案に対する県の考え方、それから5月の知事訪米で判明した基地の環境汚染の問題を広く国民に伝える必要が生じたこと、そしてそういう認識のもとに訪米後に事業実施の決定が県内部でなされたため、当初予算には計上をされておりません。
そのため、既決予算の範囲と不足分は流用により予算措置をいたしまして主要5都市において9月に実施をした次第でございます。
それから、この沖縄からのメッセージ事業につきまして平成7年度から10年度までの決算の総合計は幾らかということにつきまして、翁長議員の方にお手元にお届けしてある資料ではたしか3億5815万7000円になっていると思いますが、その後精査をいたしましてこれがふえております。訂正をさせていただきたいと思いますが、現在の額で決算見込みで3億6615万8000円となっております。
訂正しておわびを申し上げたいと思います。
〇翁長雄志君 1点だけ答弁が漏れております。
〇議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前11時38分休憩
午前11時40分再開
〇議長(友寄信助君) 再開いたします。
翁長雄志君。
〔翁長雄志君登壇〕
〇翁長雄志君 知事の政治姿勢、一番最初、不屈の精神でということでありますけれども、理想と現実の葛藤の中で政治をしているという話もありました。
知事にお聞きをいたしますが、知事はその場合不屈の政治家だとみずからを規定しておりますか、お聞きをしたいと思います。
それから歴史上では土地闘争において比嘉秀平主席、当間重剛主席、あるいは主席公選においては西銘順治前知事、あるいは今日新しい沖縄の未来を切り開くということで稲嶺惠一さんが危険な普天間を早く動かそうということで一生懸命政策に取り組んでいるわけですが、そういうものについてあなたは権力者にこびる、こういうような観点からそういう政治家たちを見ているのかどうか、お聞きをしたいと思います。
さらに、本人があの県民投票をしてから県民が大田さんに大変純粋な思いを寄せていたそういうものの中で、50億円の特別調整費をもらって公告・縦覧代行に応諾をいたしました。
あのときの知事の満面の笑み、お金をせしめたかのような、よくぞやったというような感じのお顔というものが私は権力者にこびる顔じゃないかなと思っているんですけれども、その件について知事はどうお考えなのか。
あるいはまたSACOの日米の協議の中に沖縄県は入らなかった、だから私はそれに何ら拘束されることはない、こういう話でありますけれども、県議会の中では共産党さんとのやりとりの中であなたは、オール・オア・ナッシングで何ができるんだと、行政は二歩前進、一歩後退ですよと。一つ一つ建設的に積み上げていくのが行政の仕事じゃないかということで一生懸命1年ぐらい頑張っておったんだけれども、最終的にはオール・オア・ナッシングに戻ってしまった。
あなたは権力者にこびようとしたんだけれども、その中で不屈の闘志を周辺の力によってそこに戻っていったのかどうか、お聞きをしたいと思います。
特に、知事は事大主義ということで沖縄県は権力に弱いということをよく話をされますけれども、ただ伊波普猷さん、よく文献に利用される伊波普猷先生は、沖縄県は余りにも貧しいものだから、よりよく生きたいという意味で苦痛な叫びがそういうふうになっているんだという話もしているんですよ。
こういうものにあなたは沖縄県の置かれている歴史とその地理的な特性、そういうものに考えを及ぼしたことがあるのかどうか。ただ単に空想の中でこの事大主義というのを考えてきたのではないか、これも説明を願いたいと思います。
それから沖縄県ではあなたが権力者なんです。最大限の権力者で新石垣空港問題などはまさにあなたが知事になって権力者になって、そしてカラ岳東から宮良牧中に強引に、たった1割しか賛成、反対する人はいなかったにもかかわらず、あなたの権力主義的な手法でもっていったんです。
そうしたらあなたの言うとおり、確かに事大主義の傾向があって知事にこびる、権力にこびる人も出てきて宮良牧中、半々ぐらいになってまいりました。それは知事の言うとおりでもあります。しかし、半分は絶対に許さないということで知事にこびる人はいないんですよ。その意味でも沖縄県民の権力に対する大変すごいものが私はあると思うんですが、その辺の見解をお聞かせ願いたいなと思っております。
それから総理に花束を持っていった、あるいはまたお礼の電報も打った、一応の礼儀は尽くしたと言っております。そしてそれぞれの立場でそういうお会いしに行くのも結構なことだと言っておりますが、あなたの立場は一体何なんだろうか。
この沖縄問題、50年間の負の遺産を橋本総理が2年ちょっとで本当に全力を挙げて基地問題も振興策も80点だったか70点だかわかりません。しかし内閣の全力を挙げてやったことはあなたも評価をしたでしょう。その評価をした、そして17回も会談をした、ほかの他府県の知事とはもう比べようもないんです。
沖縄に何とか償いをしたい。そして沖縄県の21世紀の自立を何とか助けていきたいという橋本総理の一緒にやってきたあの2カ年間というもののあなたの立場というものは一体何ですか。それぞれの立場の人、私たちもそれぞれの立場がありまして、あなたの立場こそ一番橋本総理にまず最初に会見をしてねぎらいの言葉、御礼の言葉を述べるべきじゃありませんか。お礼の電報とか花というのは恐らく何千と届いていましたよ。部屋の中にたくさん飾られておりました。沖縄問題、そんなものじゃないでしょう。こういうのをどう思っているかということを聞いているんです。
それから公職選挙法違反、次長から参事へというのはこれは降格ではない、同じ立場だということでありますが、何ゆえに次長から参事に変えたかということをもう一回お聞かせを願いたいと思っております。
それから赤嶺勇企業局長にお伺いいたします。
文書訓告をされたということですけれども、何ゆえに文書訓告をされたと思っているか、お聞かせを願いたい。
それから私は県庁のこういう公職選挙法について、いろいろ県庁自体が選挙マシンになっているんじゃないかなと、このように思っております。
山内出納長も、出納長に就任をされて2月以来やっていることと言えば選挙運動ばかりじゃないかと。出納長の仕事というのはこんなに軽いものなのかということを私どもは感じているわけでございます。
そういうものがいわゆる部下に浸透をしていく、これが私は大変怖い現状だと思っているんです。新たなYKK人事いわゆる選挙功労とかそういう形で人事の不公平さが出てきた場合に、あるいはまた不公平なものを職員が受けた場合の恐ろしさをあなたは感じていかなきゃならぬのじゃないかなと思っているんです。
中部の方では山内さんが県の方に行ったんで大変青空が広がったということで喜んでいるわけですけれども、私は県の方に来られて大変うっとうしくなったなと。山内さんの動きが本当に出納長の職というよりもむしろそれぞれの地位、身分、栄耀栄華、そういうものを助けるために選挙はぜひとも勝たなきゃいかぬ、こういう感じを受けるものですから、私は警告をしておきたいと思っております。
それから県の八重山の支庁長が石垣の議員の選挙が終わった後、このように談話を発表しているんです。「過半数を制することができず、あと一歩届かなかった。しかし、得票数は合計で1569票上回っており、市民の意思は宮良牧中建設支持の意思表示をした。」と、このような感じで話をしております。
県の支庁長といえば石垣では大変な権力者ですよ、公共工事の発注からですね。
大濱市長がこういう発言をするならともかく、支庁長がマスコミのそういった取材に応じて票の分析をし、そしてもう少し勝てばよかったのになというような発言をすること、これそのものがいわゆる選挙マシン県庁の一つの象徴的な私はあらわれだと思っているんです。この支庁長もYKK人事じゃないかと県庁職員はみんなが言うんです。こういう不平不満がもう県庁職員に充満しているんですよ。
こういうものをあなた方は理解をしていない、この件についてどう思いますか、お聞きをいたします。
それから31歳の若手官僚、自治省から天下りでやってきた人間を県のこれから21世紀の未来を切り開いていく政策の一番根幹をなす企画調整室長に任命をした、優秀だったからだと知事は言っております。しかし、年齢でトップは沖縄県では課長ですよ、まだ2人しかおりません。
こういう沖縄県の県庁職員の中で天下り官僚、知事は日ごろ革新県政として天下り官僚とか、そういうのを非難してきたはずなんです。ましてやもう内閣自体、政府自体もこういう天下りは35歳からにしようと言っているんですよ。
こういう時代に沖縄県の心を売るかのごとく不屈の闘志とか自立の精神とかいろんなことを言いながら、沖縄県の中枢のポストをどれだけ優秀な人かわかりませんけれども、7年間の行政経験と人生経験でこういう重要なポストをやることができますか。
中央紙でこう言っているんですよ。これは去年の記事ですけれども、中央紙はこう言っているんです。
沖縄県の大田昌秀知事は、県庁6階にある知事室と副知事室にはさまれた知事待合室を、この4月に大改装した。窓際に大きな机とパソコンが置かれ、正面にはテレビモニターがずらりと6台も並 でいる。 庁内では「知事の特命事項を受け持つ情報指令室」と呼ぶ。この部屋の主は知事公室企画監U氏。30歳の自治官僚だ。 えりすぐった4人の部下を持ち、いつも知事に寄り添うブレーン だ。 自治省給与課の主査だったU氏が沖縄県に出向したのは平成7年10月。4月にU氏のために新設した知事公室企画監に。課長級ポストだが、知事からの指令は「総合的な行政をやってもらいた い。沖縄振興策についても何でも言ってほしい」だった。 各部局長から事業の進展状況の報告を受け、知事の指示を打ち返すなど「官房長官」のような役割だ。多忙の大田知事は「その件はUさん の進言を採用した」と部局長に告げることもあるなど、沖縄の自治に大きな影響力をもっている。
と、このように言っているんです。
そして県職労も知事を推薦するに当たっては、この人事の問題については相当やり合いをしているんですね。大田さんはそれを押さえつけてこの人を抜擢をしたわけであります。
お聞きをいたしますけれども、自立する沖縄がキーワードといいながら、中央のしかも31歳のキャリア官僚に県民の心を売ったあなたは歴史の節目にあらわれる権力にこびる政治家ではないでしょうか、行政マンではないでしょうか、お聞きをいたします。
それから橋本内閣のもとで原則として35歳未満のキャリア官僚が国の出先機関のトップに就任することが禁止され、地方自治体の出向もこれに準ずることが各省庁で申し合わされております。これについてどうお考えになりますか。
そしてあなたは、数千人いる職員の中からわざわざそういう人を抜擢をしたわけでございます。この企画調整室長、そういう人材に沖縄県のウチナーンチュでなれる人はいなかったんですか。こんなにたくさん何千名の職員がいる中で、ウチナーンチュから企画調整室長になれるような人はこの31歳の人間にみんな劣っていたのかどうか、お聞きをいたしたいと思います。
それから県職労も県職労だと私は思っております。県庁職員の地位保全、そういうものを一生懸命頑張るのはいいんですが、あくまでも選挙であります。選挙を中心にして物事を考えるから、県庁職員のやる気とプライドとそういうものに配慮することができない。こういう職労を持った私は県庁職員には大変同情いたしますけれども、県庁職員がどのようにお考えなのか、お聞きをしたいなとも思っております。
大田県政は三役にも生え抜きの県庁職員から一人もこの8年間採用いたしませんでした。部長もよそから連れてきたり、そしてその部長も最近本を出して、知事にこびるかのような内容の本を出したりする。こういうすべてが知事の言う事大主義の沖縄県民の特性だとしたらこれは大変なことだなと思っておりますので、私たちはこれは直さなきゃいかぬなと思っているんです。
その辺のところをお答えを願いたいと思います。
それから知事という職業は、地場産業についてはトップセールスマンとして一生懸命頑張る仕事だと知事もおっしゃっております。
しかし最近残念なことがありました。久米島のあの病院の開設についてレセプションがあって、久米島の久米仙、沖縄県で一番売れております。ところが大田さんのところにはシーバースしかないんですね。
私はレベルの低い話なものですから、こういう話は本当はしたくはない。しかしすべての会合で大田さんが泡盛を召し上がらない。
何も好き嫌いですから、無理に泡盛を飲めとは私は言いません。しかしながらこういう公的なレセプションとかでは飲むまねぐらいはしてほしいですよ。30分ぐらい、そういうものを持って乾杯するぐらいの努力を私は知事はトップセールスマンとしてやるべきじゃないかと言っているんです。
地場産業の泡盛を育てようという沖縄県の最高責任者が、いつも県民が見ている前で洋酒ばかり飲んでいてどうするんですか。飲むのは構いませんよ。飲むのは構わないけれども、飲むまねぐらいしたらどうかと言っているんですよ。これぐらい県民が見ている前で泡盛を私は侮辱しているような感じがしまして、トップセールスマンとしたらそれはやるべきですよ、地場産業という認識があるんだったら、これを言っているんです。
それから赤土問題、これはもう何回も言っておきます。
あの優良農地に今40万立米の沈砂池、池をつくると言っていますけれども、奥武山球場の広さの深さ5メートルの8つの沈砂池です。いやこんな大きなものはつくりませんよ、小さく幾つもつくりますよと言っておりますが、そうすると50メートルプールぐらいの沈砂池をつくるんだったら何百、何千とつくらなきゃいかないんです。ああいう切り刻んだ形であの優良農地に沈砂池をつくったら、一体赤土というものが今の沖縄県の防水の能力でできるのかどうか、これも大変疑問でありますが、改めてその状況についてお聞きをしたいと思います。
それから経済振興、知事がいろいろ話をしておりました。これもやった、あれもやった、みんな補助事業あるいは国の直轄事業、そういうものがほとんどであります。
日本全体の不況と沖縄県の不況とはこういう形で連動しているというんで話もありましたけれども、しかし沖縄にも明るい兆しがあると。なぜかというと他府県では削減されている中で予算が確保されました、県経済に配慮をした政府のおかげです、他府県では低迷しているけれども沖縄県では活気がある、観光も好調ですと。
これは航空運賃値下げとか、いわゆるもろもろ予算が確保されたというのは政府が沖縄県に対して本当に心血を注いでやった結果じゃないですか。
そういう意味でこの政府の努力というものの大きな力というものを知事は考えておらないかどうか、お聞きをしたいと思います。
それから「大きな和」の8月号に特集号としてあるんですが、何と何百とある事業の中に括弧して国というのが4つ、5つしかないんですね。
あなたは、補助事業は県の単独事業と思っているんですか。国の直轄事業とそれから補助事業と単独事業3つあるはずなんですよ。この3つの予算の内訳、一体どうなっているのか、直轄事業、補助事業、単独事業、このお金の割り振りをお願いをしたいと思います。
それから人事の問題で、今YKK人事ということで県庁職員が不満を持っていると言いましたけれども、これは民間の業者でももう不満を持っているんです。地域的な偏在、知事の出身地であります久米島の方に集中的に業者が選定をされている、あるいは公共投資がされている、こういう疑問があります。
ぜひ県民1人当たりの工事の量と全体の、久米島に投下された1人当たりの工事量を比較をして、そうでありませんよと説明をしていただきたいと思っております。
それから「沖縄からのメッセージ事業」は、これは沖縄県の抱える基地問題について他府県の人々の理解を得る目的でずっとやってまいりました。
3億6000万円決算額でやってあるんですね。そしてほとんどの年度で当初予算額では計上していない。これは平和と人権を守るためという副題もついているわけですから、知事の重要な平和事業の一環なんです。3億6000万円も使うようなそういう事業を当初予算に計上もしないでやってくる。
そしてまた全国知事会あるいは国会への参考人招致はもろもろの理由を挙げて行かない。せっかく全国にアピールするいい機会は私は忙しいんだということで行かないで、3億6000万円もかけて琉球舞踊を見に来る人がほとんどだというんですよ。
こういう事業を全国で展開をする、そしてなおかつそれは当初予算で議会の議決を経ない、議会の権能に対する挑戦でも私はあると思っているんですね。
そういう意味で議会の議決を無視したことにならないかどうか、お聞きをしたいと思います。
さらに、当初予算でやるべき同じ質問ですから、そういうことでお願いいたします。
それから議決予算の範囲内で執行権ということで話をしておりましたけれども、5月、6月に実施されているものですからまだないんですね、流用するお金が。それはほとんど人件費から流用しているんです。
人件費というのは、大体12月の補正でまたできるわけですから、その意味であなた方はこの執行権の範囲内だというような形にはならないと思いますけれども、どうお考えになるか、お聞きをいたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) 余りたくさん次から次へと出てきていて質問の意味もよくわからないんですけれども、できるだけ明確な部分についてやっていきたいと思います。
まず知事は、不屈の精神の持ち主と思うかという趣旨の御質問だったと思いますけれども、私はそうありたいと思っています。
自分は一個の個人として、また一個の政治家として県民を代弁するためには可能な限り不屈な精神の持ち主でありたいと考えております。
それから何名かの人の名前を挙げてどう思うかということを言っておられましたが、個人的なことについてはコメントはいたしかねます。
それから、公告・縦覧代行に応じて橋本総理の部屋から出てくるときに笑っていたのが権力にこびるものではないかというのは、それはあなたの見方かもしれませんが、私はそうは思っておりません。
それからSACOの中に入っていないというのはこれは事実でございまして、我々はSACOの中に入っておりません。
それから事大主義の問題についてよく話するけれども、これは空想的な立場で言っているのではないかと、伊波普猷がそれ以外に方法がなかったというそういうことも言っているではないかという趣旨のお話がありますが、そういうことは私も十分に承知しております。病人に立って歩けとは言うなというような有名な言葉がありますけれども、そういうことを承知した上であえて伊波普猷が沖縄人の最大欠点ということで言っていることを述べているにすぎないわけであります。
それから総理に花束を送って電報を打ったと、礼を失するじゃないかという趣旨のことがございましたけれども、私は決してそうは思っておりません。
私は、総理がおやめになってできるだけ早くお会いしたいということで日程の調整をお願いしましたが、日程がつかないということでそれで政務担当の秘書官にじかにお電話しまして、総理にその旨よろしくお伝えくださいということをした上で、電報を打ち、お花を届けたわけでございまして、決して礼を失したわけではございません。
それから若手官僚、天下りということでございますけれども、これは天下りとは若干違うと思います。
この人を私が買った一つの一番大きな理由は、確かに県職労からの御批判もありましたけれども、県職労にもじかに私が御説明いたしました。
それは、今県の財政が非常に厳しい状態になっていると、ところがこれを将来21世紀にわたって県の財政がどのような方向にいくかということを初めてシミュレーションをやって私の方に見せて、知事、これでは非常に心配される点があるから、財政問題についてはもう少しきちっと将来に向けてシミュレーションをする必要があると思いますということで、それでこれを県職労にも例外的に今回、この種の仕事をやらせるためにひとつ認めてくれということでやったわけでございまして、天下りをむやみやたらにただ取り上げる、抜てきするということとは全く意味が違いますので、御理解いただきたいと思います。
それから、経済振興の問題について国と県と、それから市町村レベル、いろいろあるけれども、それを今すぐ出せと言われても急なことですから難しいですが、それと不公平なやり方があるといううわさもあるというお話でしたが、我々は公平に予算の割り振りから事業の割り振りをやっておりますので、その点は御理解いただきたい。
それから県単独でも、例えば薬草の問題とかそういう問題について、あるいはまた地方の島々でできた特産品の販売とかというものについては、県単独ででも大変力を入れて支援しているところでございますので、そのあたりは御理解いただきたいと思います。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
〇総務部長(又吉辰雄君) 翁長議員の再質問にお答えをいたします。
農林水産部職員の人事異動についての御質問でございますが、懲戒処分につきましては先ほど答弁申し上げたとおりでございますけれども、懲戒処分とは別にいたしまして当該人を現職にそのままにしておくことは総合的に見て適当ではないという任用上の観点から、9月11日同日付で配置がえを行ったところでございます。
さて、議員からございます次長と参事とのあれでございますが、次長というのはライン職でございますし、参事というのはスタッフであるという違いがございます。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
〇土木建築部長(上原幸一君) 再質問にお答えいたします。
新石垣空港の沈殿池等の設置の方法等についての再質問でございますけれども、轟川流域に約18万立米、それから宮良川流域に約22万立米の沈殿池を設置するわけでございます。
これは、現地形を有効に利用いたしまして、また流水の流出状況等を十分勘案の上、空港の敷地内、また空港敷地外の低地等を有効に利用して沈砂池をつくります。
宮良川河口域には、流末雨水調整池を2万7500平米の約2メートルぐらいの深さのものをつくりますし、それから空港施設内の場内雨水調整池としまして2カ所、トータルで16万6000立米の池をつくる予定にしております。
それから、轟川流域におきましては、やはり空港の域外の低地を利用しまして約1万6800平米掛ける4.5メートルの水深の約7万5000立米の水が処理できる流末雨水調整池をつくる予定にしています。
それから、場内雨水調整池をくぼ地の方に予定していますし、その中で10万7000立米の濁水の処理を考えております。
そういうことで、現状の地形及び流水の状況等を踏まえれば十分現在の空港の位置及び周辺の地域で可能だと考えております。
〇議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
〇知事公室長(粟国正昭君) 沖縄県からのメッセージに関しまして当初予算に措置されてなく、決算3億6000万ぐらい使っている、こうした状態につきまして議会の議決権を無視しているんじゃないかとか、あるいは人件費からの流用等については適正ではないんじゃないかというふうな御趣旨だったと思いますので、お答えを申し上げたいと思います。
歳出予算の流用につきましては、地方自治法の第220条第2項の規定におきまして議決科目であります款・項間の流用を制限する一方、地方公共団体の長が予算を執行するために設けられております目・節については、執行上必要のある場合に限り流用が可能であるとされております。
また、沖縄県財務規則第24条の規定において、「歳出予算を流用しようとするときは、部局の長は、予算流用計算書によつて総務部長の承認を受けなければならない。」とされています。
この事業の歳出予算については、効率的な予算の執行を図るために流用等による予算措置を行ったものであり、関係法令等に基づき適正に執行されたものと判断をしております。
〇議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
〇企画開発部長(花城可長君) 「大きな和」関係に掲載をされている事業の件についての御質問でございましたが、翁長議員の方から国の事業が少ないんじゃないかと、4つだというふうなお話でしたが、国関係については23載っております。これは全体で284のプロジェクトを掲載をしておりまして、そのうち県の事業が214、それから市町村の事業が37、国が23というふうになっております。
これは、先ほども知事の方から御説明申し上げましたが、この大きな根拠といいますか、沖縄県の主要事業の推進計画の中に479の事業がございます。その中から先ほども申し上げましたように、経済振興のための基盤整備などの大きなプロジェクトとか、あるいは経済活性化の効果が高いと考えられる事業などを中心にそれから抜き出しております。
それから、金額につきましては今、急なあれでちょっとあれでございますが、例えば平成9年度を例に申し上げますと、投資的経費、県全体の部分でこの公共事業関係が2343億円でございますが、そのうち補助事業というふうな形で852億というふうになります。
ただ、国直轄の事業については今掌握はいたしておりませんので、もしあれであればまた追って国等から数字を聞いてお知らせをしたいというふうに思います。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 企業局長。
〔企業局長 赤嶺 勇君登壇〕
〇企業局長(赤嶺 勇君) 企業局長として処分についてどう思うかとの趣旨の質問にお答えいたします。
企業局長という県政の重要な地位にありながら、その慎重さを欠いた行為に対して厳重な注意が行われたと思っております。深く反省をいたしております。
〇議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
〇総務部長(又吉辰雄君) 翁長議員の再質問の中で、久米島と全沖縄の投資額の1人当たりの金額は幾らかという御質問でございますけれども、これにつきまして今手元に資料を持っておりませんので、分析をいたしまして後ほど提出するなり、そうさせていただければ幸いに存じます。
以上です。
〇翁長雄志君 答弁漏れ。
〇議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後0時16分休憩
午後0時18分再開
〇議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) お答えいたします。
村岡官房長官が35歳以下の天下りですか、この問題については直接まだ読んでおりませんので何とも申し上げられませんが、それはそれなりの理由があるからだと思いますし、天下りそのものについては私自身は必ずしも好ましいとは思っておりません。
それから、今さきの31歳というのは、天下りというよりかむしろ前から勤めていた人を、それを先ほど申し上げた理由で採用したわけでございます。
それから泡盛の問題ですがね、私ほど泡盛を熱心に売っている人はいないと思うんですがね、実は。これなんかも絶えずつけていますしね。(資料を掲示)
例えば、あなただってすし屋に行ってすしを食べたりしますよね。それは、そういう問題と島内産を軽く見るとか、あるいは売り込みをしないという問題とは全く異質の問題でして、私は物産公社の社長として積極的に県産品を売り込んでおりますから、どうぞそれはぜひ見てみてください。
〇議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後0時21分休憩
午後0時23分再開
〇議長(友寄信助君) 再開いたします。
宮平副知事。
〔副知事 宮平 洋君登壇〕
〇副知事(宮平 洋君) お答えいたします。
支庁長の発言については確かめていないわけですが、もしこれが事実とするならば、政治的な立場で発言しているというよりは、あの選挙は新石垣空港問題で議会の構成員について、この議案を提案することができるかどうかという問題からそういう談話になったんじゃないかと思います。普通の状況でのこととは違うんじゃないかというふうに思いますが、真意についてまだ確かめていませんので、そういう理解をしています。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後0時25分休憩
午後0時25分再開
〇議長(友寄信助君) 再開いたします。
宮平副知事。
〔副知事 宮平 洋君登壇〕
〇副知事(宮平 洋君) 記事を見たわけですが、やはり宮良牧中建設との関係でこういった表現をしたというふうに思っています。
以上です。
〇議長(友寄信助君) 翁長雄志君。
〔翁長雄志君登壇〕
〇翁長雄志君 知事は、重要な発言をしました。
31歳の若手官僚以外に沖縄の未来像、シミュレーションを描いて持ってくる人がいなかった、だからこの31歳の天下り官僚を私は登用したんだと話をしておりました。
これは、県庁職員が知事の監督のもとでいかに自発性を抑えられているかというこのあらわれですよ。あなたがいかに県庁内にも閉塞状況をつくって、そしてそれがなくてなおかつ沖縄県庁職員にそういう人がいなかったんであれば、これはもう県庁職員の方々に私は自省を促す以外にはありません。知事に皆さん方はそのように言われて反省することが多々あるのか、その辺のところをしっかり考えていただきたいなと思いますが、知事、もう一回この件について、これでいいのかどうか、お答えを願いたいと思います。
〇議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) お答えいたします。
県知事としては、県政をどうすればよくしていくか、そして県の財政をどうすれば健全化できるかというそういう角度からあらゆる人材を目にかけながら、起用すべきときには思い切って起用していくのが県知事の責任だと思っております。
県内にも優秀な人はたくさんおります、県庁にも。そういう人はそういう人なりにそれぞれの立場で、それぞれの持っている有能な素質を発揮させるように努力すると同時に、外部からの人もその人が非常に優秀であれば、県のためになればそれは起用することもやぶさかでないと思います。
〇議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後0時29分休憩
午後1時32分再開
〇議長(友寄信助君) 再開いたします。
午前に引き続き代表質問を行います。
石川 修君。
〔石川 修君登壇〕
〇石川 修君 沖縄社会大衆党県議団を代表いたしまして質問をいたします。
初めに、2期8年の実績についてであります。
私は、平成6年12月定例会において知事の2期目の県政運営に当たって県民本位の県勢発展に向け県民の声に耳を傾け、自信と誇りを持って奮闘していただきたいとお願いをいたしました。さらにこれから4年の間の知事の抱負と夢についてこの場からお伺いをいたしました。
このときその答弁は、「世界の平和に貢献する国際的に開かれた沖縄の建設、自立する沖縄、共生する沖縄の実現を目標に21世紀を担う若者が夢と希望の持てる平和な沖縄県づくりに全力を傾ける」との決意をいただきました。
あれから4年間、知事におかれましては、その決意のとおり本県の抱える諸問題に精力的に取り組み、県民の負託に十分こたえてきたものだというふうに考えております。
基地問題につきましては、2015年まで計画的かつ段階的に基地の返還を求める基地返還アクションプログラムを策定し国に提示するとともに、粘り強く本県の基地問題を日米両政府に訴え、普天間飛行場の返還を初め日米両政府が真剣に沖縄の基地問題について取り組むようになりました。
また、若者が真に夢と希望の持てる新生沖縄を創造する21世紀の沖縄の新しいグランドデザインとして国際都市形成構想を策定されるとともに、国際都市形成に向けた新たな産業振興政策を策定されました。これは本県が自立に向けて取り組んだ画期的な成果であります。
このような取り組みを受けて沖縄振興開発特別措置法が改正され、全国で初めての特別自由貿易地域制度などが創設されました。
産業の振興については、沖縄県産業創造アクションプログラムを策定し、本県の特色を生かした産業振興の戦略的展開を方向づけました。
復帰後、これまでインフラの整備は着実に進んだものの、本土市場から遠隔地にあることなどから産業の振興はおくれましたが、今回のプログラムは薬草や長寿県のノウハウを生かすなど地域に根差した計画となっており、着実な産業振興が図れるものと期待をしております。
県民福祉の向上については、福祉施設の充実、ゼロ歳児の医療費を無料とする乳幼児医療助成事業の導入や福祉タクシーの整備などきめ細かな施策により安心して暮らせる社会づくりを進めてきましたことを評価をいたしております。
このほか、北部振興のためにジェットフォイルの導入、観光振興では本土─沖縄間の航空運賃の低減、さらに都市モノレール事業の実現や南・北大東や久米島空港など離島空港の整備、また浜比嘉大橋や阿嘉橋の建設など社会資本の整備も着実に進展いたしました。
このように多くの成果を挙げてこられましたが、一方においてはこれからも大田知事に引き続き取り組んでいただかなければならない課題が残されていると考えております。
そこで、平成2年の知事就任から今日に至るまでの大田県政の主なる実績とこれを踏まえた今後の抱負についてお伺いをいたします。
県の経済状況と県財政の健全化について。
最近、国内外の経済の情勢は厳しさを増しております。世界の経済センターとなるのではないかと言われておりましたアジアの経済がタイやインドネシアの通貨危機に端を発して失速し、また景気は回復基調にあるとされていた我が国の経済も昨年4月の消費税率引き上げが引き金となった形で下降の一途をたどっております。
我が国の経済が低迷し、全国の中小企業が苦境に立たされているのは、的確な経済運営に失敗した政府・自民党によるものであります。この経済失政に対する国民、中小企業者の怒りが爆発したことで、さきの参議院選において自民党は敗退いたしております。
このような経済失政が本県にも影響を及ぼし、民間需要は低迷し、県内中小企業は厳しい経営環境に立たされております。
一方で、本県では観光入域客数が増加していることなどから、さきに国が発表した地域経済動向では沖縄以外の全国9地域が景気は低迷していると判断された中で本県のみが景気は持ちこたえているとされております。
そこで、最近の本県の経済状況について県はどのような御所見をお持ちですか、お尋ねをいたします。
次に、全国的な景気低迷により各地方自治体では法人事業税の税収の落ち込みなどにより税収が激減しております。全国の地方自治体の財政は厳しい状況になっており、本県もひとしく財政状況は厳しくなっておりますが、税収の大幅な増加が期待できない中で県の財政健全化にどのように取り組んでおられるのか、御説明を願います。
次に、先月策定された来年度の重点施策骨子は、これまで取り組んできた施策に加え、本県の厳しい財政状況を踏まえ新たな地域経済活性化の推進に取り組むなど本年度総合経済対策に引き続いて経済の活性化を重要な課題とし、積極的に取り組むこととしている。また、赤土等の流出防止対策や基地内の環境浄化対策など環境対策に強力に取り組む姿勢を示しているなど高く評価できるものであります。
そこで、このような経済や環境の問題を初めとして来年度の施策展開に向けた重点施策の策定の考え方についてお伺いをいたします。
経済対策について。
県内景気を回復させ、働く場をふやし、県民が豊かに安心して暮らす県づくりのためには景気のカンフル剤となる公共工事等による景気対策は有効な施策であります。
県は、本9月議会に33億の経済対策経費を計上、6月補正の478億円と合わせて511億という過去最大規模の対策を打ち出しております。
そこで、今回の追加措置をする経済対策の内容について御説明を願います。
地域経済の活性化について。
本県の厳しい経済状況を打開し、21世紀に県民が夢と希望の持てる経済社会を実現していくためには地域の主体的な取り組みのもとに、地域経済の活性化のための施策を総合的に進めていく必要があると考えます。
戦後これまで我が国の経済は大企業や東京などの大都市圏を核として発展してきた面があります。近年、我が国のさらなる経済発展のためには地域の自立的な経済活性化の取り組みを重視すべきであるとの考え方が広まってまいりました。政府の経済戦略会議でも地域の資源を生かした産業の創造が重要な課題として議論されております。
本県においても、亜熱帯特性を生かした特産品の開発、薬草関連産業の振興、海洋深層水を利用した新たなビジネスの展開、商店街を中心とした魅力ある町づくりや雇用や経済の波及効果を生み出す民間施設の整備を促進するなど地域の主体的な取り組みによる経済の活性化を進めていく必要があると考えております。
重点施策でも新たな項目を立てて地域経済活性化に積極的に取り組んでいくこととされております。このことに期待をいたしておりますが、県としてどのように取り組んでいくのか、お示しを願います。
次に、地域経済活性化の課題の中で特に商店街活性化についてでありますが、今日の厳しい経済情勢のもと、個人消費が落ち込む中で庶民に広く親しまれ、地域経済の中核となってきた商店街が昔の面影を失いつつあります。極めて深刻な状況となっております。このような状況は全国的な傾向となっております。
国においては、中心市街地活性化法を制定するなど積極的な取り組みをしております。しかし、商店街を真の意味で活性化させるには空き店舗対策に加えて地域の特色を生かした魅力ある町づくりという観点からのハード整備が重要であると考えます。国の補助金には限度や要件の定めがあり、また貸付金では地元の負担が大きく、十分な支援策とは言えない面があります。
そこで、県において町づくりの観点から商店街の活性化に向けたイベントなどのソフト事業とハード事業とを総合的に支援していく仕組みをつくり、地域の商店街振興の取り組みを促進していく必要があると考えますが、この商店街の振興策について県はどのような対策をお考えになっておられますか。
それから、特別自由貿易地域と企業の誘致についてであります。
沖振法の改正により全国で初めて特別自由貿易地域制度が創設され、県内外企業の誘致による産業の活性化や雇用機会の創出が期待されておりますが、今日の景気低迷の中で期待どおりの活性化が達成されるものかどうか不安の念もありますが、どのような御所見をお持ちですか。
また、庁内においては企業誘致のためのプロジェクトチームが設置されたと聞いておりますが、企業誘致に今後どのような取り組みをしていかれるのか、お伺いをいたします。
観光産業について。
本県の観光産業は年々順調な推移をたどり、今や本県基幹産業として大きく成長し、県経済の支えとなっております。県を初め関係者の御努力を高く評価するものであります。
総合産業である観光産業は、県民の期待は大きいものがあります。県のさらなる振興策を展開していただくよう願うものであります。
そこで申し上げますが、点在する観光資源を有機的に連結をし、面的に一体化した観光・リゾート地づくりを進めていく必要があると考えます。このため観光・リゾート地等縦横に連結するシャトルバス運行や各種誘客イベントのネットワーク化を図っていくべきと思いますが、県の考え方をお聞かせ願います。
農業振興について。
戦略品目等の振興策について。
県は、自由貿易地域制度の拡充と農林水産物市場の国際化をにらんで農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムの策定を進め、その中間案が発表されました。
その案を見ますと、野菜、花卉、熱帯果樹等の園芸作物、木材、養殖魚介類の中で市場競争力を高めながら生産量を拡大していく必要がある有望な作物を戦略品目と位置づけ、積極的にその振興を進めるとしておりますが、そこでお伺いしますが、この戦略品目とはどのようなものを考えておられますか。その振興にどのような取り組みをなされるのか、お示しを願います。
それと流通対策ですが、本県は本土の大消費地から遠く離れ、さらに大小の島々から構成され、本県の農林水産物の流通コストは不利な条件下にあります。
県は、この流通コストの低減を検討していく旨重点施策にも盛り込んであるが、どのような対策を講ずるのか、お示しを願います。
次に、交通・運輸対策についてでございます。
交通手段を自動車のみに頼っている本県の慢性的な交通渋滞は県民生活に大変な苦痛を与え、また地域格差の拡大要因ともなっております。広大な面積を有する北部は過疎化がとまらず、那覇を中心に中南部の過密は激化をいたしております。せめて名護─那覇間が鉄軌道の通勤圏であったならばこの現象は変わっていたでありましょう。
現在、那覇市内で都市モノレールの建設が進められているが、さらに中北部と那覇を結ぶ鉄軌道の導入計画、早期実現を図り、県民生活の利便性の確保はもとより、全域均衡ある開発発展を図るべきと考えますが、このことについて県の御所見をお伺いいたします。
それから政府との関係、野中発言については時間の都合で取り下げることにいたします。
次に、基地の問題について。
海上ヘリポート建設問題について。
大田知事2期8年の実績の中で最大の功績は、これまでの知事がなし得なかった基地問題を県民の側に立って動かし始めたということであります。このことは恐らく我が沖縄の県政史上県民の心に深く刻み込まれることでありましょう。
さて、海上ヘリポート建設問題について政府は最良の選択として根強い沖縄への基地押しつけが基本方針のようであります。
そこで、現時点での政府の基本姿勢の確認をし、それに対する大田知事の評価、そして県民とともに歩むべき明確な方針を示していただきたいと思います。
また、県民の明確な選択を前にして政府は今何をなすべきだと考えていますか、御見解を伺います。
海兵隊の削減についてであります。
我が党は、一貫して基地の県内移転については反対をいたしてまいりました。原則からしても、また実現性からしても海外移転を訴えるのが最善であると考えますが、知事は海兵隊の本土移転を主張されたようですが、あえてそうなさるのはどういう理由であるのか、お伺いをします。
また、我が党は、さきの参議院選挙において沖縄の問題解決を、例えば「沖縄基地削減基本法」を全国の市民勢力の支援により市民立法の手法で制定をし、県が策定した基地返還アクションプログラムを法的に担保するシステムを模索すべきであるという政策を掲げました。既に複数の法律専門家とも話し合いがなされているところであります。
このことについて知事の御所見をお伺いします。
次に、基地の環境汚染の問題について
恩納村の通信基地のPCB土壌汚染の問題は、返還後に汚染が発見されたことに問題があります。
一般的常識からすれば返還前に基地内の立入調査を行い、異常の有無を確認した上で返還事務処理をすべきであります。ところが、地位協定では米軍は返還軍用地の原状回復の義務を負わないとなっております。
この協定は、日米両国間の政治的な協定になっていると思います。協定の締結は、両国の政治に携わる人々による行為であるに違いありません。両国のこの人たちは地権者の立場を全く無視しての協定を締結したのであります。また、長年この不備欠陥の協定を運用してきた今日の両国政府も同罪であります。これこそ自己中心の人の道に反した行為であります。直ちに人道的立場に立って誠意ある地位協定に改めるべきと考えます。知事の御所見を求めます。
なお、このことについて米国本国にある基地、あるいはヨーロッパ、韓国等に存在する米軍基地はどうなっているか、また本県における基地内汚染の実態もお示しを願います。
次、雇用問題の解決です。
失業率の高い本県にとって雇用対策は極めて重要な課題であります。昨年、県と市町村、労働団体、経営団体が一体となって雇用問題に取り組むために雇用開発推進機構が設立されました。この機構を活用してどのような雇用対策を進めているか、お伺いをいたします。
次に、知事の御尽力によって基地問題が確実に動き出しましたが、それに伴い基地従業員の再雇用の問題が焦点化しております。
周知のとおり、基地従業員は政府の基地政策によって基地経済の中に組み込まれた労働者であり、したがって基地従業員の雇用対策は本来は国の責任において行われるべきであるが、県としても事態を放置するわけにはいきません。
幸いにして、重点施策でも基地従業員の雇用対策について新たな取り組みをすることが盛り込まれておりますが、どのような取り組みをなさるのか、御説明を願いたいと思っております。
以上であります。
〇議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
〇知事(大田昌秀君) 石川修議員の御質問にお答えいたします。
2期8年の実績と今後の抱負についてという御質問でございます。若干長くなりますが、お許しをいただきたいと思います。
私は、知事に就任して以来、平和で活力に満ち潤いのある沖縄県の実現を目指し全力を傾けて公約した諸施策を進めてまいりました。
平和行政の推進については、平和の礎を整備したほか、平和祈念資料館の建設や国際平和研究所の設立などを進めてまいりました。
戦後処理問題の解決については、厚生年金の格差是正や戦争マラリア犠牲者の補償を実現したほか、不発弾の処理に努めてまいりました。
また、緑豊かな県土の創造を目指して県民100万本植樹運動を展開し、150万本余りの植樹をすることができました。
基地問題の解決については、平成8年に基地返還アクションプログラム(素案)を作成し米軍基地の計画的かつ段階的な返還等を日米両国政府に訴えてまいりました。
また、米軍用地の強制使用に係る公告・縦覧代行問題を通して沖縄の広大かつ過密な米軍基地や基地被害の実情を訴え、これによってかつてないほど内外の世論が高まりを見せ、また県民投票の実施などを通して米軍基地の整理縮小と日米地位協定の見直しを求める県民の意思を示すことができました。
このような取り組みによって日米両国政府が地元の意向に耳を傾け、政府に初めて沖縄米軍基地問題協議会が設置されるなどかつてないほど真剣に沖縄の基地問題に取り組むようになったことは意義深いものであります。
これまでの基地整理の具体的な成果としては、恩納村の都市型戦闘訓練施設を撤去させたことを初め、シーメンズクラブを民間地域から米軍基地内に移して跡地に県立武道館を建設したほか、県道104号線越えの演習の廃止、安波演習場の返還合意などが実現しています。
また、軍用地の跡地利用の促進に向けて県が要綱を作成して政府に訴えてきたいわゆる軍転特措法についても立法化が実現し、基地返還から3年間にわたって地主への給付金が支給されることになりました。
さらに、基地所在市町村を活性化させる基地所在市町村活性化事業が進められてきたほか、県と市町村の基地関係経費に対する普通交付税による財政措置も実現し、全国で総額150億円が措置され、本県に25億円、県内市町村に50億円が配分されました。
本県の自立的発展に向けては、21世紀の沖縄のグランドデザインである国際都市形成構想を策定し、その実現に向けて空港、港湾などの基幹インフラの整備を促進し、フェデックス社の誘致を実現させるなど国際物流拠点の形成に向けて取り組んでいます。
また、マルチメディアアイランドの形成に向けて情報通信インフラの整備、コンテンツ産業等の関連産業の育成に取り組むとともに、シノプシス社デザインセンターの設置が決まるなど先端産業の誘致に力を入れています。
マルチメディア関連の人材育成のため、本年3月に設置された沖縄情報通信研究開発支援センターにおいて24の企業等の研究開発活動を支援しております。
本年3月には沖縄振興開発特別措置法が改正され、全国で初めての特別自由貿易地域制度の創設や情報通信産業振興地域制度の創設などが実現し、県では9月17日に企業誘致プロジェクトチームを発足させ、国内外企業の誘致活動に取り組んでいます。
産業の振興については、昨年6月に沖縄県産業創造アクションプログラムを策定し、本県の特色を生かした産業振興の戦略的な展開を方向づけ、健康食品産業など新たな産業創出に努めるとともに、企業化支援センターによる創業者の支援などを進めてまいりました。
薬草を利用した健康食品については、県物産公社と大手商社との連携で販売ルートが整備されたことにより売り上げが増加するなどの成果が出ています。
また、本県のすぐれた伝統的染め織り素材やデザイナーを生かしファッション産業を活性化させ、女性、若者を中心とした就業機会の拡大を図るためファッションギャラリー・ライブラリーを開設いたしました。
さらに、トロピカルテクノセンターや工業技術センターを整備するなど新たな産業創造の基盤づくりにも力を入れています。
中でも、海洋深層水の総合利用研究施設については、水産業、農業、健康食品、自然エネルギーなど多くの分野での活用が期待されています。
また、雇用の促進を図るため雇用開発推進機構を創設するとともに、若年者のための雇用開発事業やマリンスポーツインストラクターの養成、介護サービス訓練の実施などにより雇用の確保と拡大に向けて積極的に取り組んでいます。
観光・リゾート産業については、部瀬名岬地域等における本県の魅力を生かしたリゾート施設の整備を進めるとともに、ジェットフォイルを就航させ北部地域の観光振興を図ってまいりました。
また、各種の誘客イベントの開催や本土─沖縄間の航空運賃の低減を実現するなど観光・リゾート地としての魅力を高めてまいりましたこの結果、観光入域客数は平成2年の295万8000人から、平成9年には386万7000人へと年々増加を続け、ことしの8月においては過去最高の49万1000人を記録するなどさらに増加を続けています。
社会資本の整備については、都市モノレール事業に着手したほか、那覇空港ターミナルの新設や県民広場地下駐車場の整備、中城湾港や豊見城地先の開発整備などを進めてまいりました。
また、久米島空港などの離島空港を整備するとともに、浜比嘉大橋や阿嘉橋などを完成させたほか、古宇利大橋の建設を進めています。
国際交流については、沖縄県ハワイ州高校生交流事業を実施したほか、高校生のホームステイによる国外留学を毎年国費で40人、県費で10人を送り出しています。
また、国費による大学院レベルの留学生の派遣を実現し、昨年は10人を送り出しています。
さらに、海外からの技術研修員や留学生の受け入れを推進するとともに、沖縄空手・古武道世界大会を開催するなど世界へのネットワークづくりと文化交流を進めてきました。
また、中国福建省と本県との経済・文化交流の拠点となる福建友好会館も完成いたしました。
このほか、戦前、戦後を通して沖縄に関する貴重な資料や公文書等を保存・公開するため公文書館を建設いたしました。
農林水産業の振興については、亜熱帯農業の確立に向けてゴーヤー、菊、マンゴー等の野菜、花卉、熱帯果樹などの振興に力を入れるとともに、食肉価格安定基金を造成し畜産農家の経営安定と畜産の振興を図ってまいりました。
また、栽培漁業センターを拡充するなどつくり育てる漁業の振興を図りました。
学校教育については、向陽高校や那覇国際高校を新設したほか、普通教室への空調設備の導入を進めるなど快適な学習環境の整備を進めてまいりました。
また、国立組踊劇場の設置を促進するなど伝統文化の継承と発展に努めてまいりました。
さらに、本県の貴重な文化財を収集・保存するため埋蔵文化財調査センター――仮称でございますが――の整備を進めるとともに、「琉球王国の城・遺産群」の世界遺産登録に取り組んでいるところであります。
環境の保全については、航空機騒音等の公害監視を強化し、赤土等流出防止条例を制定して赤土流出防止対策に力を入れるとともに、自然環境の保全に関する指針を策定するなど本県の多様で豊かな自然環境の保護を図ってまいりました。
また、バンナ公園等の公園整備、中部流域下水道等の下水道の整備など快適な住環境づくりに努めてまいりました。
保健福祉の充実については、県立中部病院の改築や久米島病院の建設など医療施設の整備を進めるとともに、県立看護大学の設置を推進したほか、石嶺児童園を改築いたしました。
また、夜間保育等のニーズにこたえるため那覇市や宜野湾市、沖縄市の夜間保育所の設置を支援してきたほか、乳幼児期の健全育成を図るための乳幼児医療助成事業を実施してきました。
さらに、具志川厚生園を新築するなど高齢者の保健福祉の向上を図ってきました。
特に、特別養護老人ホームにつきましては、全国水準を上回る計画で整備を進め、定員率は全国一となっております。
このほか、精神障害者通所授産施設「てるしのワークセンター」を設置するとともに、建物や道路、公園等における手すりの設置や段差の解消等を図り、高齢者や障害者などの自由な行動や社会参加の機会を促進する福祉のまちづくり条例を制定し、人々が支え合い、安心して暮らせる福祉社会づくりに努めてまいりました。
離島の振興については、南・北大東島の新空港などの生産基盤や生活環境施設の整備を進めるとともに、先島における民放テレビの同時放映の実現と南・北大東島におけるテレビ難視聴の解消を図ってまいりました。
また、離島航空運賃の低減を図るとともに、地域特産品を活用した産業興しを促進いたしました。
さらに、宮古、八重山の新支庁舎を建設し住民への行政サービスの充実を図ってまいりました。
女性の地位向上についても、審議会等への女性の登用を積極的に推進し、都道府県では全国一の登用率となっております。
また、男女共同参画社会の形成を図るため沖縄女性財団を設立するとともに、女性総合センター「てぃるる」を建設するなど着実な成果を上げることができたと思います。
また、情報公開条例や個人情報保護条例を制定するとともに、行政オンブズマン制度を全国に先駆けて導入するなど開かれた県政運営に努めてまいりました。
以上、これまでの主な実績について申し上げました。今後とも、県民福祉の向上と県勢発展のため全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、最近の本県の経済の状況について県はどのような所見を持っているかという御質問にお答えいたします。
県経済の状況に対応して、県は全力で経済活性化に取り組んでいるところですが、全国的に深刻な景気低迷の影響を受け、本県経済は全体として厳しい状況になっています。
全国的な景気低迷の根本的な要因は、バブル経済期において金融機関の過剰な不動産投資のため多くの金融機関が不良債権を抱え込むこととなったことや、昨年度の消費税率引き上げや医療費の負担増などにより家計が圧迫され、国民が消費支出を抑えたことにあると言われております。
個人消費の減少などによる景気の減速で不良債権を抱える金融機関の経営は急速に悪化し、本土においては昨年11月に大手金融機関の破綻を招き、またその後の金融機関の貸し渋りによって多くの中小企業が資金調達に苦しむなど厳しい経営を強いられる状況になっています。
このような経済情勢の中で、政府による迅速な経済対策が実施されず、今日の厳しい経済状況を招いたものと指摘されています。
個人消費の低迷について、経済企画庁は7月に発表した経済白書において消費税率引き上げの影響が予想以上に大きかったことや、大手金融機関等の破綻による先行きの不透明感によるものであるとしており、本県の個人消費の低迷もこのような全国的な傾向によるものであると考えております。
また、経済企画庁は住宅建設について全国的な傾向として個人が先行きの経済や将来の自分の所得について不安を持っていることなどのために着工戸数が減少しているとしております。
本県の住宅建設の低迷についても、この全国的な傾向によるものと考えております。
さらに、県内の雇用情勢は厳しさを増しておりますが、一般職業紹介状況によれば県外からの求人がことしの2月から7月まで前年の同月を6カ月連続で平均して30.9%下回っており、全国的な景気低迷の影響を受けていると考えております。
なお、経済企画庁の地域経済動向では、石川議員も御指摘のとおり全国の他地域が景気は低迷しているとされている中、本県は観光が好調なことから景気は持ちこたえているとされています。
いずれにいたしましても、県としては県内景気を早期に回復の基調に戻していくため経済対策や経済活性化対策に全力を挙げて取り組んでいく考えであります。
それから、同じく経済対策についての御質問にお答えいたします。
景気を回復させるため、県においては6月補正で478億円の経済対策を決定したところですが、さらに9月補正において33億円の追加措置をお願いしているところであり、過去最大規模の総額511億円の総合経済対策を推進していきます。
総合経済対策では、これまで県内需要を喚起していくための公共事業等の追加や中小企業対策としての貸付限度額の750万円から1000万円への引き上げ及び雇用拡大のための雇用助成金制度の活用促進などに取り組んでいるところであります。
9月補正による追加経済対策においては、経済活性化対策として公共事業等に県単独事業9億円を含む25億円を計上し、与那国町の特別養護老人ホームや県庁前交通広場等の整備を推進してまいります。
また、21世紀に向けて商店街の活性化や地域資源を活用した商品開発などによる地域経済の活性化を図るとともに、貸付金により民間設備投資の促進を図ってまいります。
新たな産業創出対策としては、特別自由貿易地域制度等に関する広報活動を行い企業誘致を図ってまいります。
また、緊急雇用対策として地域資源を活用した地域特産品の開発を支援するほか、女性を中心とするパートタイム労働者の雇用を促進するための相談員を設置するパートサテライト事業などを進めてまいります。
中小企業対策としては、薬用植物の加工製造システム研究などにより県内中小企業の商品開発を支援してまいります。
さらに、観光対策として冬場の観光客増加のための観光誘致対策事業を強化し観光イベントを支援してまいります。
県としては、これらの経済対策により県経済の活性化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
同じく地域経済の活性化についての御質問にお答えいたします。
我が国の厳しい経済状況の中で、本県経済の活性化を図り21世紀に県民が夢と希望の持てる経済社会を実現するためには、地域の主体的な取り組みにより地域経済の活性化のための施策を強力に推進していく必要があります。
県においては、これまで薬草、モズク等の海藻類、花卉、熱帯果樹、伝統的な織物、工芸など本県の地域資源を活用した産業の育成に取り組んでまいりました。
今後は、海洋深層水、海洋療法など新たな事業への展開が期待される分野における産業化や商品開発への取り組みについても強化していくことにしております。
また、地域の一体的な整備を進めることによって民間の経済活動を活性化させるとともに、既存の商店街についてもイベントの開催や特色ある町づくりのための基盤整備を促進して活性化させていく必要があります。
国においても、地域の創意工夫を生かした産業の創造が重要であるとの観点から、地域経済活性化に主体的に取り組む自治体への支援策の拡充を図ることが検討されています。
このようなことから、来年度の重点施策において地域経済活性化の推進を新たな項目として設け、これに積極的に取り組むこととするとともに、今回の補正予算において地域経済活性化プロジェクト推進費を計上いたしました。
この地域経済活性化プロジェクトにより民間の経済活動を活発化させる地域の一体的な整備、中心市街地や商店街の活性化及び地域経済を支える人材の育成や地域資源を活用した商品開発などのプロジェクトを市町村、関係団体等と緊密に連携して総合的、重点的に推進してまいりたいと考えております。
次に、同じく基地問題との関係で、海上ヘリポート建設問題について現時点での政府の基本姿勢の確認、それに対する沖縄県側の評価、今後の動向について伺いたいという御質問と、基地問題に関し政府は今何をすべきだと考えるか、政府折衝の感触、さらにはSACO合意に対抗し県民の意思を反映させるにはどうすればよいかという3つの御質問には一括してお答えいたします。
県は、普天間飛行場の返還に伴う政府の海上ヘリポート基本案については、名護市民投票の結果や各種の団体の意見、さらに普天間飛行場の県内移設に反対する県議会の決議、自然環境保護の問題、さらに沖縄の米軍基地を取り巻く国内外の状況や県政運営の基本理念等さまざまな角度から検討した結果、受け入れることはできないと判断いたしました。
これに対し、政府は海上ヘリポートが普天間飛行場の返還を実現する方法として最良の選択肢であると主張しております。
県民の間には、50年余にわたって基地の重圧に苦しめられてきた歴史的背景と、狭い沖縄に過重な米軍基地が存在している現状から、基地の県内移設に対しては厳しい批判があります。
県民は、将来にわたって米軍基地が固定化されるのではないかと大きな不安を抱いており、平成8年に実施された県民投票でも多くの県民が基地の整理縮小を強く求めています。
県としましては、普天間飛行場の早期返還を実現するためにはグアム、ハワイ等移設先の選択肢を幅広く検討していただくよう日米両国政府に要請しているところであります。
これまで何度も申し上げましたように県民の多くはみずからの痛みをよそへ移そうとは考えておりませんけれども、しかし現実に沖縄の基地問題は日本の国会で決められるわけでありまして、その日本の国会で多数を占める県外の国会議員の皆さんが沖縄の問題を真にみずからの問題として取り上げない限り沖縄の基地問題の解決は極めて困難であります。
そういう意味から、最近では本当に安保体制が必要であるのであれば、その安保体制によってもたらされる責任と負担は国民が平等に担うべきだというそういう立場から本土への移転というものも主張すべきだという見解も県庁内に強く出てきているのも事実でございます。
しかしながら、現実にアメリカのいろいろな論調とか政治家や行政家の話を聞いておりますと、グアムやハワイなんかに移設することは可能だということ。しかも軍事力を、アメリカが一番懸念している軍事機能を損なわずに移設することは可能だというような説もありますので、県としてはできる限りグアムとかハワイのように海兵隊を歓迎する地域に移してもらいたいということを日米両国政府に引き続きお願いする気持ちでおります。
それから同じく基地問題との関連で、海兵隊の削減と海外移転問題について、海兵隊削減に関する政府の対応に対する評価、それから我が党は一貫して基地の県内移設に反対してきたが、原則的にも現実的にも海外移転を訴えるのが最善と考えると、本土移転を主張されるのはどういう理由からかという御質問は今お答えしたとおりでございまして、県民の多くはみずからの痛みをよそへ移したくないと考えておりますけれども、しかし安全保障条約が本当に日本のために必要だと国民的に合意されるのであれば、やはりその責任と負担というものは共有すべきだということが当然のこととして言えると思います。
その意味で、県の姿勢としましては可能な限り、とりわけ今の普天間にいる2500人程度の海兵隊はグアムとかハワイとかというのはそれだけの数字の人たちだったら受け入れていいというような説もありますので、そこへ移してもらったら何千億とかかるヘリ基地をつくらなくても済むのではないかというような考えを持っておりまして、そういうことについても政府と率直に腹を割って話したいというふうに考えております。
それから同じく基地問題で、沖縄問題を解決するため道義的、倫理的、政治的レベルで解決するよりも、例えば「沖縄基地削減基本法」を制定し、基地返還アクションプログラムを法的に担保するシステムをつくるべきだと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
県としては、基地のない平和な沖縄を目指して基地返還アクションプログラムを作成いたしました。同プログラムは、2015年を目標年次として本県に存在するすべての米軍基地について計画的かつ段階的な返還を求めるもので、県としてはこれまで日米両国政府に対しその実現について強く要請してきたところであります。
御提言のありました沖縄基地削減基本法につきましては、貴重な御意見として承っておきたいと思います。
それから雇用問題との関連で、雇用開発推進機構を活用してどのように雇用対策を進めるかという御質問でございます。
財団法人雇用開発推進機構は、県、市町村、労働、経営団体が一体となり全県的に雇用問題に取り組む組織として昨年発足いたしました。
推進機構は、雇用開発のための支援や人材育成等の事業を実施することにより全県的、全産業にわたって雇用の場の創出や拡大を推進しており、既存の制度や施策等では対応が難しい分野において各種の雇用開発事業を展開しているところであります。
推進機構では、平成10年4月に組織体制を整備し今年度より本格的に事業を実施しております。
具体的に申しますと、企業化に向けて総合的な支援を行う各種の相談業務、地域特産品の開発、商品化など地域における事業化を支援する事業、情報通信産業の振興策に対応するため情報関連技術者の人材育成を支援する事業、県内の7大学の学生の就業意識等に関する調査研究事業等を実施しております。
また、ニーズの高い資格や、県内では取得が難しい高度な技術、専門知識の取得に関する講習会、アジア就職者ネットワークづくりシンポジウム、学生起業家サポートセミナー、女性ベンチャーのネットワークづくり及び育成セミナー等を実施しているところであります。
次に、基地従業員の雇用対策については、重点施策でも新たに取り組みをすることが盛り込まれているが、その概括的な取り組みの方向性を説明してほしいという趣旨の御質問でございます。
県内の米軍基地の移設、整理縮小に伴う駐留軍従業員の雇用対策については、国を雇用主とする労働者であることから、国の責任において具体的な施策が行われるべきですが、県としても駐留軍従業員の雇用の安定は県政の重要な課題であると認識しています。
そのため、平成11年度には県単独の新規事業として基地従業員の配置転換に伴う職種の変更や離職後の再就職のための在職時訓練を行う予定であります。
具体的には、財団法人沖縄駐留軍離職者対策センターを活用して訓練計画を策定し、職業訓練の実施科目や実施期間を定め、訓練受講者を募集して実施することにしています。
なお、訓練機関として主に公的な職業機関を使う予定ですが、科目によっては民間の専門学校等を活用することも考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
○総務部長(又吉辰雄君) 石川議員の御質問にお答えをいたします。
知事の政治姿勢との関連で、本県の財政状況は厳しく、税収の大幅な増加が期待できない中で財政健全化にどのように取り組んでいるのかとの御質問でございます。
国や地方公共団体を取り巻く財政環境は、景気低迷による税収等の伸び悩みや数次にわたる経済対策等により発行した公債残高が平成10年度地方財政計画等によると国、地方を合わせて平成9年度末には400兆に達する見込みとなるなどかつてないほど厳しい状況にございます。
本県の財政状況も歳入面では県税収入や地方交付税等が伸び悩む中、歳出面では職員の平均年齢の上昇による人件費やその間の経済対策などに伴って発行した県債の償還金などの義務的経費の増嵩が財政の圧迫要因となっています。
このような状況を踏まえ、旅費、需用費等の物件費の縮減、県単独補助金の整理合理化、事務のOA化等による時間外手当の縮減、部長、次長及び課長級の管理職のスリム化、公社等の整理統合など財政の健全化に取り組んでまいりました。
今後とも現在策定を進めている新たな行政改革大綱を踏まえまして、県税等の歳入の確保に一層努めるとともに、行政経費の徹底した節減合理化を初め県単独補助金、給与、組織、定数等の見直しを行い、行政施策をより効果的に推進できる財政の確立に向けて取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 石川議員の知事の政治姿勢に関しての特別自由貿易地域と企業誘致についてお答えいたします。
国においては、去る3月に沖縄振興開発特別措置法が改正され、新たに特別自由貿易地域制度が創設され、法人税の所得控除や投資税額控除など我が国に例のない税制上の優遇措置等が講じられたところであります。
県といたしましては、これらの優遇措置を有効に活用し、特別自由貿易地域への企業立地を促進するため広報活動や企業誘致説明会を行うなど積極的に取り組んでいるところであります。
現在、全国的に景気が低迷し経済環境にも厳しいものがありますが、県といたしましては沖縄県企業誘致推進本部のもとに企業誘致プロジェクトチームを設置し国や市町村との連携を図りながら、全庁体制のもとに強力に企業誘致活動を展開していく考えであります。
企業誘致に向けた今後の取り組みとしては、去る9月1日、東京での企業誘致説明会に引き続き関西、中京、九州においても説明会を開催する予定でございます。また海外においても台湾とアメリカ西海岸での説明会を予定しております。
また、去る6月から7月に実施しました特別自由貿易地域への立地意向調査の結果や立地に関心を示している県内外企業のおおむね200社を選定し企業訪問活動を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 観光リゾート局長。
〔観光リゾート局長 久場勝治君登壇〕
○観光リゾート局長(久場勝治君) 石川修議員の知事の政治姿勢、観光産業の振興についての御質問にお答えをします。
観光・リゾート産業は、本県の基幹産業としまして県経済に大きく貢献をしております。その持続的発展が期待をされているところでございます。
今日、全国的に景気の低迷によりまして国内の観光需要が伸び悩む中にありまして平成9年の本県への観光客は386万7000人、観光収入が4173億円とそれぞれ大幅に伸びております。
また、ことし8月現在の観光客も前年同期と比較をしまして約23万7000人、率にしまして9.2%増加しております。極めて好調に推移している状態にございます。
しかしながら、国内景気の動向がなお不透明な状況でございます。
そういった中で、国内外の観光・リゾート地との厳しい競争を余儀なくされている状況にございます。このため県といたしましては、本年度から平成13年度までを計画期間とする沖縄県観光振興基本計画の後期行動計画を策定したところでございます。
今後同計画に基づきまして、国内外のリゾート地との比較優位性を確立をし、多様なニーズにこたえ得る魅力的な観光・リゾート地の形成、ホスピタリティーに満ちた受け入れ体制の整備の推進、国内外のマーケティングリサーチを踏まえた戦略的かつきめ細かな誘客プロモーション活動の展開、観光・リゾート産業の地域経済への波及効果を高めるため関連産業との連携強化などの施策を観光関連業界と一体となって一層積極的に推進し、世界に誇れるトロピカルリゾート沖縄の形成に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、石川議員御指摘の点在する観光資源のルート化、有機的に連結するためのアクセス手段につきましても先ほど申し上げました後期行動計画の中で関係機関と連携しながら対処してまいりたいというふうに考えております。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 石川修議員の知事の政治姿勢についての関連で、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムにおける戦略品目についてどのような品目を考えているか、またその振興にどのように取り組んでいくかという御質問にお答えいたします。
県においては、新たな自由貿易地域制度の導入と一層進むと予想される国際化に対処し、活力ある農林水産業を目指した農林水産業振興ビジョン及び振興アクションプログラムを策定中であります。
去る8月24日に策定した振興ビジョンの中間案については、関係機関や団体への説明会を開催するとともに意見聴取を行っているところであります。
なお、戦略品目についてはサヤインゲン、ゴーヤー、菊、マンゴー、モズク等を中心に検討していますが、選定に当たってはアクションプログラムの策定とあわせて行政、関係団体、学識経験者等で構成する重点品目選定協議会(仮称)を設置し検討してまいります。
戦略品目の生産振興については、各種生産基盤や施設を加速的に整備するとともに、担い手の育成、革新的な技術開発や販売戦略の強化等を重点的に推進し、地域の諸条件を踏まえた拠点産地の形成を図ってまいります。
次に、同じく知事の政治姿勢との関連で、本県は大消費地から遠隔地にあり物流コストの面で不利な条件にあるが、今後どのような流通対策を講じていくのかという御質問にお答えします。
本県は主要市場から遠隔地にあることから、鮮度の保持及び輸送コストの低減のため集出荷施設及び鮮度保持施設等の導入を進めてきたところであります。
また、品目特性を考慮し航空輸送については高単価でコスト負担力の高い軽量の野菜、花卉、果樹等を対象とし、船舶輸送については長期輸送に耐え得る重量品目を主体に行っております。
今後とも、集出荷施設及び鮮度保持施設等の整備を進め、さらに輸送コストの低減を図るため行政、生産者、物流業界等で組織した協議会を設置して流通システムの改善策を検討するとともに、大量消費品目の船舶輸送への移行、新たな輪送体系の確立等を進めていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
〔地域・離島振興局長 具志堅強志君登壇〕
○地域・離島振興局長(具志堅強志君) 石川修議員の知事の政治姿勢についての中の中北部と那覇を結ぶ鉄軌道を導入し、慢性的な交通渋滞の緩和と県民生活の利便性の向上を図ることについての御質問にお答えします。
本県の長期的な総合交通体系整備の基本指針である沖縄県総合交通体系基本計画においては、「定時性・定速性のある大量輸送交通機関として本島を南北に縦貫する軌道交通システムの導入を検討する。」としています。現行の計画は平成4年3月に策定しておりますが、その後の県を取り巻く経済社会情勢は大きく変化しており、見直しの必要があると考えております。
見直しに当たっては、沖縄特別振興対策調整費によって実施されている総合交通体系調査等の成果も参考にしながら進めていきたいと考えております。
御提言の鉄軌道の導入については、当該基本計画の見直しの中で現在進められている沖縄都市モノレールの整備状況や交通需要の動向などを踏まえつつ検討すべき課題であると考えています。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 石川修議員の基地内の環境汚染の状況を示してもらいたいということにお答え申し上げます。
過去に基地内の環境汚染が問題になった主な事例を申し上げますと、平成4年にはアメリカ下院軍備委員会環境回復審議会の太平洋地域基地視察報告書及び米会計検査院の報告書により嘉手納基地におけるPCB汚染が明らかになっております。
また、平成9年にはキャンプ瑞慶覧から国道58号の側溝に通じる配水管の沈殿槽よりPCBが検出されております。
さらに平成9年には、鳥島射爆撃場において日本国内では使用が禁止されている劣化ウランを含有する徹甲焼夷弾が誤って使用されていたことが判明しております。
なお、平成7年に返還された基地跡地ではありますが、恩納通信所跡地の汚水処理槽からは基準値を超えるPCBや水銀等の有害物質が検出され、同跡地が有害物質によって汚染されていたことが明らかになっております。
県といたしましては、基地の環境調査及び環境浄化に関する研究会において米軍基地の環境に関するカルテを作成し、返還された施設を含めて米軍施設ごとの汚染状況、環境調査等の実態について問題点等の整理を行っているところでございます。
今後とも、県といたしましては関係市町村とも連携を図りながら、基地の環境問題の解決に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、基地内の環境汚染問題の根底には地位協定の不平等性があるということ、地位協定を改定して原状回復義務を盛り込む必要があると思われるが、それに関する知事の御所見ということと、もう一つ基地内の環境問題に関する米軍の米国本土基地、ヨーロッパ基地、韓国基地、沖縄基地での対応に違いはあるかということについて関連しますので、一括してお答えを申し上げます。
日米地位協定第3条第3項は、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて行わなければならない。」ということを規定しているほか、第16条におきましては日本国の法令尊重義務を規定しております。
しかし、日本国政府は一般国際法上外国の軍隊が駐留する場合に、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定がある場合を除いては、接受国の国内法令の適用はないと解しております。
また、日米地位協定第4条第1項に基づき米国は施設・区域を返還する際の原状回復義務を免除されております。
しかしことし5月に訪米した際の米国内の基地跡地の状況からも明らかなように、土壌や地下水に係る環境汚染を浄化するには莫大な費用と長い年月を要するのに対し、現在の日米地位協定はこのように深刻な環境汚染に対する浄化作業をも想定して設けられているとは思えません。現実に平成7年11月に返還された米軍恩納通信所跡地の場合、カドミウム、水銀、PCB、鉛等の有害物質が検出された結果、所有者への土地の引き渡しが2年4カ月もおくれ土地の利用計画に支障を来しております。
米国と韓国との間で締結されている米韓地位協定は、日米地位協定とほぼ同様の内容になっておりますが、ドイツでは1993年にいわゆるボン補足協定を改正してドイツ駐留NATO軍へのドイツ国内法を適用するとともに、環境改善のための費用の負担を派遣国に義務づけています。
また、米国本国では国家環境政策法を制定し、環境評価及びその公表を義務づけているほか、国防総省では基地再利用マニュアルを設けて米軍基地の環境問題を解決するため積極的に取り組んでおります。
したがいまして米軍施設・区域の環境調査や環境浄化について、計画的かつ組織的に取り組むためには米国本国やドイツの例に倣い、何らかの法的枠組みによる規制が必要であると考えており、現行の日米地位協定の改正や米軍への国内法の適用を規定した法律の整備などを検討する必要があると考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 兼城賢次君。
〔兼城賢次君登壇〕
○兼城賢次君 社民党・護憲共同を代表いたしまして質問をいたします。
11月15日に知事選挙も確定し、大田知事も3選に向けて決意も新たにいたしているところだろうと思います。
2期8年間における大田知事の行政運営については、さきの定例会あたりからある程度総括的な論議もなされたものと理解をいたします。
さて、私ども社民党・護憲共同県議団も大田知事の与党として3選に向けて奮起をいたしているところでございます。
今回の知事選挙の争点は基地問題と経済問題すなわち振興策であります。幸い野党も、基地問題については大田知事をして沖縄の基地問題を全国の問題として問題提起をしたことは特筆すべきことと評価をいたしております。これほど基地問題に目を向けさせたことはかつてなかったと言われております。
今日の政治、経済、社会、ひいては文化問題までも含めて諸問題の根源は基地問題であり、50年余の長期にかかわるだけに地域社会での利害関係も複雑なものがあります。
さて、知事はこれまで7度の訪米をいたしました。その主要目的は基地問題の解決に向けてでありました。
その訪米に野党は政治的パフォーマンスだと批判もありますが、今回はこれまでの訪米とは違ったところの成果と展開が見られることであります。数回の訪米で大田知事が誘致に取り組んできた世界最大の国際総合航空貨物輸送会社アメリカのフェデックスが8月31日に就航いたしました。フェデックスの就航による関連会社の進出の動きもあります。このフェデックスは、コンピューターソフトを初めかなりの経済的波及効果が見込まれるとのことであります。
さきには、世界最大級の海運会社エバーグリーンが沖縄を寄港地とする外国貿易コンテナ定期航路を開設いたしました。上海と沖縄を直接結ぶ定期航路が開設され、中国第一の商業都市上海とこれまで神戸や香港経由で2週間を要したものが2日間に短縮されるという。これらは国際都市形成構想に希望と期待を抱かせるものであります。
経済振興の要諦である物流交通の往来はビジネスチャンスを与えるだけではなく、経済の活性化、波及効果にも寄与するものと思います。
これらが一つ一つ積み上げられて県が目指す国際物流拠点づくりにつながれていくものと期待をいたしております。
訪米のもう一つの成果としてシノプシス社の沖縄誘致があります。
半導体のチップのデザインツール業界で世界の22%のシェアを持つハイテク企業とのことであります。県外からの企業進出が思うように進まない中、技術、人材の蓄積や世界的なシェアをねらえるだけでなく、付随するメーカーの進出の呼び水にもなる可能性のある同社の進出は大きいものがあります。
大田知事は、基地問題に大きく貢献したが経済には弱いとばかりの批判もありました。ここ20年間に国内の上場企業、世界的な企業の誘致がこれまで何件あったでしょうか。今日の先端産業である世界的なソフト産業と物流産業が進出することの意義ははかり知れないものがあります。
これまでも行政は企業誘致に取り組んできましたが、その実現は困難なものがありました。世界を代表する大手企業の誘致を見ていることは大田知事の経済問題への手腕、力量の高さを証明するものであります。
これまでの経過は訪米後の成果としてであって、これまでの2期8年間における行政実績についても例えば航空路線も就任時の32路線から平成9年で51路線にふえており、県産品の販路拡大にも実績があります。
選挙を意識した議論の中とはいえ、経済不況の責任を知事におっかぶせる議論もありますが、見当違いも甚だしい。
自民党政府の政策不況と言われる今日の不況にあって、経済企画庁は沖縄の景況は横ばいとのことであります。沖縄の景気を支えている観光もコンベンションビューローを設立して積極的に観光基盤の強化と経営健全化に取り組んでいるところであり、マルチメディア、人材育成等県民の積極的な取り組みが見られます。
さて、2期8年間の総括として知事の感想と3選に向けての決意をお聞かせいただきたいと思います。
次に、知事の対政府対応についてでございます。
普天間飛行場の代替として海上ヘリポート基地建設案に対し、知事の拒否表明はけしからぬということで政府関係者に面談を申し入れても話し合いの場が持てないとのことであります。たとえそれが来年度の予算要求の要請書を手渡すことであっても会えないとのことであり、会う条件は県内移設を条件とする建設的提案が県側から示されることであります。不可能な答えを押しつけて、できなければ別のものを要求することは理不尽というものであります。
国会の答弁でも野中長官は、海上基地案は県民の苦痛をやわらげるため真剣に取り組んだ最良の選択肢であるとたびたび言っております。しかしこれまでの経過を見ても首をかしげざるを得ません。
これまでも自民党の代議士の中にも海上基地への疑問や批判的な発言もあったではありませんか。4月の段階では野中長官は京都市で講演をし、普天間飛行場返還問題に関して、私自身は海上ヘリ基地には疑問を持っていると述べています。
マスコミは海上基地以外の選択肢、海上基地以外も検討と報道しております。決して海上基地案が唯一最良の選択でもなかったのであります。
普天間基地が市街地にあることによる危険性は、日米両政府も認めるところであり、代替であれ何であれ、新たな基地建設は県民にとって受け入れることができないどころか、基地の整理縮小は県民世論です。政府があえて海上基地案に固執するのは、政府が県内移設を押しつけても県民は受け入れるわけがない。そこで政府は県外移設は検討の余地なし、あり得ないこととし、知事に代案を要求し県民みずから選択したかのように、こうかつにも県内移設の無理難題を押しつけようというわけであります。
国会で取り上げられた雑誌の中に海上ヘリポートはダミーとの記事もあります。そのことはともかく、日米両政府にとって市街地の普天間基地は何としても早急に移転しなければ日米安保体制にまでひびが入りかねないとの認識があります。
このことを裏づけるのにペリー前国防長官の記者会見があります。
1995年9月の少女暴行事件に端を発した米軍基地問題で、国防総省が早い段階から普天間飛行場移転という方針を固め、96年2月の日米首脳会談の時点で既に両国政府は普天間移転で原則合意に達していたとのことからも明らかであります。
那覇防衛施設局長は、沖縄には米軍基地が多過ぎる、外交、安保にとどまらず沖縄にとって政治、経済、社会、環境、文化、県民生活に影響を与え、困難な問題が生じていると述べております。
また、沖縄にないものは寒さ、鉄道、そして政府の思いやり、逆にあり過ぎるのは太陽の光、美人、そして米軍基地と茶化しております。
大田知事が大多数の県民の意を体して海上基地案を拒否したことの説明を申し上げたのだが、面会拒否を続けております。
今、ちまたでは人の道に反するとの発言が取りざたされております。そもそも橋本前首相の退陣に際し野中長官は、これまで世話になったにもかかわらずお礼の一つもないとは何事かと、知事は人の道に反するというわけであります。
地元マスコミに投稿や発言が活発に寄せられております。その中に沖縄県民は知事を初め礼儀知らずに成り下がったのだろうか、また権力を振りかざして県民をいじめる官僚のいることは悲しい限りとの声もあります。
8月30日付の新聞に、「沖縄開発庁長官を除く、沖縄関係の閣僚もことごとく知事からの会談申し入れを断った。大田県政に厳しく対応した背景には知事選を前に、政府との冷めた関係を印象づけようとした自民党県連の意向も働いていたとされる。」との記事があります。事実とすれば何ともむなしいものです。
いみじくも比嘉前名護市長が私用で上京しており、総理大臣や閣僚との面談がありました。問わず語りとはこのことでありましょう。次元も違うし状況も違うのでありますが、米軍占領下における高等弁務官の強権に迎合し県民に対峙した人たちがいたが、一瞬そのことを思い浮かべたのであります。
自分たちの沖縄をよその人にゆだねることなく、みずからの力と知恵で子や孫に恥じない沖縄をつくり上げていきたいものです。知事の人の道に反するとの批判は、知事の人格にかかわるだけではなく、県民を代表するゆえに県民の名誉にかかわるものであります。知事は謝礼の電報を送ったとのことでありますが、その内容とこれまでどのように対応なされてきたのか、御説明と感想をお聞かせください。
次に、米軍基地の環境汚染についてでございます。
基地の環境汚染が大きく取り上げられております。県民が気がつかないままに汚染がかなり進行しているとのことであります。
知事はさきの訪米で、アメリカの閉鎖基地の環境浄化の視察で汚染と浄化の実態を見て、これは深刻な問題であり早急な取り組みの必要性を強調いたしております。
知事訪米に費用や成果に疑問や批判もありました。確かに沖縄の置かれた状況からして基地の整理縮小が大きなテーマではあります。しかし今回の知事訪米で見た環境浄化の問題は、決して基地の整理縮小というテーマに劣らぬほどの大きな問題だということです。
アメリカの例からして、基準値に戻るまでに多額の経費と時間がかかることが指摘されております。アメリカ政府の対応などから知事訪米はむだだとか、これまで基地返還問題が県政上重要な課題と言っていたが、いつの間にか基地環境浄化問題が最重要問題というのは、基地問題が行き詰まったので、問題のすりかえではないかとの批判もありました。果たしてそうでしょうか。ここでも批判者は、知事は問題提起はあるが、問題解決能力はないというのでしょうか。
50年余に及ぶ沖縄の基地問題は県民生活へ深くしみ込んでおり構造的なもので、それだけに矛盾に満ちたものであります。それ以上に日本政府の沖縄に対する国内差別とも言える政策的な基地押しつけがあります。基地の整理縮小が一朝一夕に解決し得ないじれったさはともかく、批判者たちのこれまでの基地問題の取り組みはどうだったでしょうか。
さきの訪米後、県内の基地の環境汚染問題が次々明らかにされています。沖縄の諸問題解決は基地の返還であるとの認識のもとに進められてきましたが、汚染された基地の浄化が重大な問題として出てきました。
マスコミによりますと、知事の訪米視察で環境浄化業務の担当者は、基地の汚染浄化作業は調査開始から完了まで平均5年から10年の長期にわたる、予算も膨大になる、技術的に対応が難しいのは目に見えない地下汚染や土壌汚染であると説明されたとのことであります。
地元マスコミは連日、基地従業員や基地出入り業者など関係者を通して基地内での環境汚染問題について報道いたしております。地下汚染や土壌汚染問題もさることながら、これまでの因果関係からして基地従業員が身体的な被害をこうむったことをうかがわせるものがあります。何よりも大きな問題は、これまで危険物資であることも一切説明されず、ずさんな管理のもとに仕事をさせられてきたことです。何とも痛ましいことであります。
そこで提案ですが、かつての基地従業員を含めた健康被害の調査をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、調査開始から完了まで平均して5年から10年もかかると言われる浄化作業を見た場合、返還されても跡地利用の作業もままならないわけです。これまで天久など跡地利用面からの軍転特措法の見直し論はありましたが、環境浄化の面からの軍転特措法の見直しが必要であります。
地主の不安と市町村の跡地利用計画にも大きく影響いたします。このような状況では関係者への負担を強いるものになります。日米政府にこのことを踏まえた軍転特措法の見直しと原状回復への責任の所在など明確にすべきと考えます。
恩納通信所跡地の措置や状況を含めて御見解を賜りたいと思います。
次に、糖業労働者の雇用確保とサトウキビ生産振興についてでございます。
沖縄の基幹作物と言われたサトウキビも、内外価格差の問題、生産者の高齢化、機械化のおくれ、基盤整備の立ちおくれ、耕作地の放棄、サトウキビ生産者が他作目への作物転換など糖業関係者の予想を上回る早さで生産の減少が進行しております。
かつての沖縄の産業、地域経済をリードしたサトウキビも、最近は原料不足で製糖工場そのものが成り立たなくなり合併が進められております。糖業関係者が躍起になって生産拡大策をこれまでも打ち出してきたものの、生産の減少に歯どめがかからない状況にあるとはいえ、効率性のよい作物に一律に転換できるものでもなく、政府の保護育成策の絡みからもこれにかわる作目はないのであります。減少したとはいえ面積、生産額など沖縄農業で占める部分、役割はまだ大きく地域経済にとっても必要なのであります。
宮城商工労働部長の新しい本から無断引用させていただきますが、サトウキビの波及効果として、製糖関連の食品工業、飲食業、運輸業及び流通業に及びますけれども、試算としてサトウキビ生産額が150億円とした場合に、これは75万トンの生産高です。関連製造業が239億円、飲食業175億円、関連流通業272億円と合計836億円になります。
これだけの経済効果が他の作物には担えません。生産額ではともかく、波及効果では基幹作物として大きな比重を占めております。県もサトウキビの生産の減少を食いとめんがため、サトウキビ生産振興策を策定いたしました。いわゆるさとうきび・糖業ルネッサンス計画であります。生産農家、製糖企業、市町村、農協が一緒になって生産振興に取り組む体制になっております。県のサトウキビ生産対策指導のかなめとして位置づけている計画でありますので、県の意気込みもあろうかと思います。
生産振興策として取り組まれるこの計画についてお聞きいたします。
1点目に、計画の策定状況及びこれまでの経過について。
2点目、計画を実効性あるものとして県、市町村、関係団体の取り組みはどのようになっているのか。
3点目、計画の財源が1億2000万円です。増産に結びつく財源になり得るのか、また期限が3年と短期になっており、施策効果からしても疑問もありますが、期間の見直しはあるのか。
4点目に、増産に向けての各ブロックごとに県、市町村関係者が中心になり、農地を確保しモデル事業を実施すべきと思慮いたしますが、所見をお聞かせください。
次に、製糖工場への雇用確保の指導等についてでございます。
5年前に3社が合併し翔南製糖が設立されましたが、今その工場では指名解雇がなされようとしております。本議会にも糖業労働者雇用確保に関する要請がなされております。
そもそもはサトウキビの生産量が減少し、原料不足がこの事態をもたらしております。このことからしても糖業労働者の最大の雇用対策はサトウキビの生産拡大であります。
さて、厳しい状況のもとで指名解雇対象者52名は、4年から5年で定年退職する者です。合併当初から雇用に関しては懸念がされたことでありました。
糖業労働組合は、合併に伴って懸念される雇用問題に県にも要請をしました。それに対し、従業員の雇用対策には万全を期すよう会社に求めていきたいと答えております。
状況が厳しいわけですから、組合も痛み分けはやむを得ないが、会社側が話し合いに応じてくれないこと、痛み分けをして再建に向かうには情報を提示して真剣に話し合うことが大事なことであるが、会社側はやるべきことはやったと言うが、やったと言うのであれば従業員にも納得のいく説明をし、お互いの信頼関係の上に立って沖縄の基幹産業たるサトウキビ会社の社会的責任を果たしていただきたい。あえて会社の社会的責任というのは、農業を初めさきに指摘した839億円の糖業関連業界を含めてのことであります。
組合は会社側との十分な交渉ができない場合、製糖期の実力行使もやむを得ぬと構えており、厳しい糖業界にあって泥沼化はいかにしても避けたいものであります。
特に今期は16万トンの原料確保も見込めるなど検討すべきこともあります。翔南製糖工場の52名の指名解雇については、もろもろの状況からして大きな混乱も予想されます。万全の指導助言をすべきと考えますが、御所見を賜りたいと思います。
次に、かつて議会内外挙げて論議された自由貿易地域の今後の展開であります。
沖振法の改正により自由貿易地域での課税特例や情報産業、観光産業の振興など制度面からの支援強化で経済活性化の期待が持たれております。
現行の自由貿易地域が失敗したのは、本来の自由貿易地域ではないことがその要因でありました。特別自由貿易地域の論議は、どう規制緩和が図れるのか、また税制の措置がどうなるかが焦点でありました。
一方、農業、漁業が大きな影響を受けるものと心配されました。
そこでお聞きをいたします。
2005年導入予定の全県フリーゾーンに向けてどのように作業が進められておられるのか。
2点目、懸念される農業、漁業の対応はどうなっているのか。
3点目、今回の改正の目玉は法人税の35%軽減であります。この措置による効果はどのようになっているか、説明してください。
次に、雇用、失業、貸し渋りについてでございます。
政策不況と言われる景気の低迷は厳しい。98.8%が中小零細企業と言われる本県にとって中小企業を取り巻く環境は厳しく、売り上げ、採算、資金繰りなど、あげくは倒産というわけであります。四苦八苦の状態であります。このことが高い失業率にもなっているわけであります。
県も若年者雇用開発推進事業、雇用開発プロジェクトチーム事業、さきには総合経済対策など積極的に対応いたしております。景気の回復は一地域の努力によって達成されるものではないとの識者の意見もありますが、あらしの吹きすさぶときはあれこれ対策を施しながら積極的に支援をしなければならないのであります。
そこで、これまでの雇用対策は所期の目的を果たしたのか。貸し渋りが問題になっておりますが、さきの6月定例会でも補正でも貸し渋り対策として県信用保証協会基金として1億円を計上しております。
これらの対策はその所期の目的を果たしているか、現状はどうなっているか、説明を願いたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
まず、知事の8年間の行政運営の総括としての感想についての御質問でございます。
2期8年間の私の実績を評価していただきましたことに対し深く感謝申し上げます。
私は、知事に就任して以来、県民を初め内外の皆様の温かい励ましをいただき、広く県民に開かれた県政を推進し、県民生活の向上を図ることを基本としてもろもろの懸案事項の解決や県勢発展のため、持てる力を最大限に発揮して誠意を持って県民に奉仕するという気持ちで取り組んでまいりました。
この間、政府の協力を得ながら基地問題の解決や本県経済の自立に向けて一定の進展が図られたと考えております。
3期目につきましては、これまでの実績に対する県民の方々の審判をいただき、お年寄りや女性など弱い立場に置かれている方々に配慮し、県民一人一人の生命と暮らしを大切にし、新たな決意で全力を尽くして県政に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、橋本前総理の退陣に対し、知事はお礼の一つもなく人の道に反すると言われたが、そのことについての感想と説明、それからどういう文章を出したかという趣旨の御質問でございます。
橋本前総理には内閣総理大臣に御就任以来、基地問題を初め沖縄の抱える諸課題の解決のため、誠心誠意取り組んでいただいたことに対し大変感謝しているところであります。そして機会あるごとにその旨を申し上げてきたところであります。
橋本前総理の辞任に際しても、でき得ればお会いして感謝の気持ちをお伝えしたいと思っておりまして先方に問い合わせましたところ、日程が厳しいということで希望がかないませんでした。
なお、御質問でございますので、あえてその電文の内容を紹介させていただきます。
橋本先生は、平成8年に内閣総理大臣として御就任以来、基地問題をはじめ、沖縄の抱える諸課題の解決のため誠心誠意取り組んでいただきました。 先生のこれまでの御労苦と沖縄に対する御芳 情に対し、県民を代表して心から感謝申し上げます。 先生は、沖縄の米軍基地問題を国政の重要な政策課題の一つとして位置づけ、米国との間で普天間飛行場の返還等について合意したのをはじ め、「沖縄米軍 基地問題協議会」や「沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会」等で沖縄の米軍基地問題の解決に向けて真剣に取り組んでいただきました。また、沖縄に関する基本政策 を協議するための「沖縄政策協議会」を設置するなど、将来の沖縄の振興開発の推進に向けた基盤づくりを図っていただくなど沖縄問題に精魂を傾けていただきました。 この間、幾度となくお会い し、直接県民の声をお伝えする機会をつくっていただき、さらには、総理が直々に沖縄に足を運ばれ、県民にメッセージを語りかけていただいたことなど、とりわけ歴代総理の中でも沖縄に対する格 別なる熱い思いは、県民が等しく感動と感謝の気持ちで受け止めたところであります。先生のこれまでの御尽力のおかげをもちまして、21世紀の沖縄のグランドデザインである「国際都市形成構想」 や各種産業振興策など、各面にわたり将来に向かって明るい兆しが芽生えつつあります。 私共も先生の御労苦に報いるべく、若者が真に夢と希望の持てる平和な沖縄を実現するために、なお一層努 力する考えであります。 先生には、今後とも、沖縄に対する変わらぬ御厚情を賜り、県民が未来に向けて明るい希望を持ち、力強く歩んでいけるよう御支援、御協力をお願いいたします。 私心を なくして、沖縄のため、また、国のため御尽力されたことに対し、御慰労申し上げるとともに、重ねて心からお礼を申し上げます。
以上が文面でございます。
次に、米軍基地の環境問題について、環境浄化の面からの軍転特措法の見直しが必要であると考えるがどうかという趣旨の御質問と、基地の環境汚染問題について原状回復への責任の所在など明確にすべきと考えるがどうかという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
米軍基地の環境問題については、平成7年11月に返還された米軍恩納通信所跡地からカドミウム、水銀、PCB等の有害物質が発見された例に見受けられるように、基地内だけの問題にとどまらず、基地周辺の住民の生活環境の破壊及び健康障害等につながる危険性が極めて高い重要な課題であると考えています。
また、土壌や地下水に係る環境汚染を浄化するためには莫大な費用と長い年月を要し、現実に米軍恩納通信所跡地の場合、地主への土地の引き渡しが2年以上もおくれ、土地の利用計画に支障を来しています。
県では、環境汚染の疑いが生じるたびに実態調査を行うため米軍施設・区域への立入調査をたびたび申し入れてきましたが、米軍は日米地位協定上の施設管理権を根拠に実態調査のための立ち入りを容易に許可しない状況にあります。
そこで県では、このような環境調査及び環境浄化に関する法制度上の問題点や基地内の環境調査に関する手法等について調査研究するため、去る6月22日に県庁内に関係課・室で構成する米軍基地の環境調査及び環境浄化に関する庁内研究会を発足させました。
今後は、この研究会において日米地位協定第4条に基づく米軍の原状回復義務の免除や軍転特措法第8条に基づく給付金の期間などに関する法制度上の問題点等について調査研究し、日米地位協定及び軍転特措法の改正や米軍への国内法の適用を規定した法律の整備などを検討して、日米両国政府に対しその実現を要求していきたいと考えています。
次に、製糖工場への雇用確保の指導等に関する御質問にお答えいたします。
最近のサトウキビ生産は、生産農家の減少や農業従事者の高齢化等に伴い収穫面積、生産量とも減少傾向にあります。そのため、製糖企業は原料不足による厳しい経営を余儀なくされています。特に生産量の減少が著しい本島地域の製糖企業においては、原料に見合った会社運営を行う観点から、稼働工場の集約と雇用調整を実施すると聞いています。
県は、これまで本島地区における生産振興対策として読谷村、与那城町、宜野座村等でのかんがい施設の整備を初め、収穫作業の省力化を図るためハーベスター22台を導入してきたところであります。
さらに、今年度は翔南製糖管内に集中脱葉施設の整備を図ってまいります。
また、農業機械銀行等の受委託組織を東風平町ほか7つの地区において育成したところであります。
品種については、早期高糖多収の農林8号、9号等の優良品種の普及を図り、現在93%の普及率となっています。今後とも、サトウキビ生産の安定確保を図るため振興対策を推進していきたいと考えています。
雇用の確保については重要な課題として認識していますが、当該問題については労使間で協議している段階であり、県としては現段階ではその推移を見守りながら、県に何ができるかを真剣に検討して前向きに対応してまいりたいと考えています。
次に、自由貿易地域との関連で、2005年導入予定の全県フリーゾーンに向けてどのように作業が進められているかという御質問にお答えいたします。
自由貿易地域の新たな展開については、昨年県が策定した国際都市形成に向けた新たな産業振興策において、当面中城湾港新港地区等への拡大展開を図り、2005年を目途に諸条件が整い次第全県自由貿易地域制度を導入することにしたところであります。
政府においては、これらのことを受け、ことしの4月に特別自由貿易地域制度の創設や、税制上の特別措置等を内容とする沖縄振興開発特別措置法の一部改正がなされたところであります。
この改正を受け、県は、流通加工型港湾として整備を進めている中城湾港新港地区内に約100ヘクタールの特別自由貿易地域を設置する計画であります。その設置に向け、早急に基本計画を策定し特別自由貿易地域の指定申請を行う予定です。
このため、現在中城湾港新港地区における特別自由貿易地域の性格と機能、土地の所有形態、保税地域の形態、誘致対象業種、業種別のゾーニング等について検討を進めているところであります。
また、企業立地の促進を図るため、企業誘致プロジェクトチームを設置し積極的な企業誘致活動を展開していくことにしています。
さらに、全県自由貿易地域制度の導入により影響を受ける農林水産業については、農林水産業振興ビジョン・アクションプログラムの策定を進めるなど、諸条件の整備を進めているところであります。
次に、雇用、失業、貸し渋りとの関連で、雇用、失業の現状とその対応についての御質問でございます。
最近の雇用情勢については、平成9年末以来建設業の不振、県外からの求人の激減などを背景にして厳しい状況が続いています。
しかし、本年夏以降の状況を見ると県外からの求人は依然として減少を続けていますが、県内の求人については総合経済対策の効果によって建設業がほぼ前年並みの水準を回復し、さらに産業全体の求人の動きを見ると7カ月ぶりに増加に転ずるなど明るい兆しが見えています。
県としては、こうした明るい兆しを本格的な雇用情勢の回復につなげるために総合経済対策を引き続き進めます。
特に雇用対策については、国の実施する緊急雇用開発プログラムにより拡充されている地域雇用開発助成金や、沖縄若年者雇用開発助成金などの活用によって県内における雇用の創出を図っていきます。
また、新規学卒者の就職対策については、これまで充実を図ってきた高卒者対策に加え、来春大学等を卒業する者を対象として11月に県外企業合同選考会を開催するなど事業を拡充することにしています。
各種の施策の成果としては、雇用関係の助成金制度によって平成9年度において680名の雇用が創出され、学卒者対策によって新規高卒者の就職率も2年連続して上昇しています。
なお、県としては若年者、女性のための職業能力開発や情報関連産業を中心とした企業誘致を進めるなど、中長期的な雇用対策も着実に進めています。
企業誘致については、平成9年度において採用予定も含め76名の雇用効果となっており、5年以内にさらに900名以上の新規雇用が計画されています。
あと1つ、貸し渋りの御質問についてお答えいたします。
昨今の経済・金融情勢のもとで企業に対する貸し渋りが懸念されていることから、去る6月に県内中小企業を対象に資金調達状況調査を実施いたしました。
調査結果によると、金融機関の貸し出し姿勢については、借り入れ条件が厳しくなった、サービスが低下したとする企業が30.1%あり、また今後の貸し出し姿勢については厳しくなるとの企業が50.7%ありました。
これらの結果から、県内中小企業を取り巻く資金調達環境は厳しいものがあると認識しています。
このため、県においては、先般県独自の総合経済対策を講じ、その一環として中小企業対策の強化を図ったところであります。
具体的には、リスクの高い保証・保険需要にも十分に対応できるよう信用保証協会に対し出捐金を1億円増額し保証枠を35億円拡大しています。
さらに、小規模企業対策資金及び創業者支援資金の総額17億8200万円の融資枠の拡大、融資限度額の引き上げ、融資期間の延長等の融資条件の緩和策を講じ、県内中小企業の資金の円滑化を図っているところであります。
また、厳しい経済状況の中で借り入れの際の保証人の確保が困難となっていることにかんがみ、小規模企業対策資金の無担保・無保証人制度の活用を積極的に促進してまいりたいと考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 兼城県議の米軍基地の環境汚染対策についてお答えします。
御質問の趣旨が県内の基地の環境汚染問題が次々と明らかにされている、かつての基地従業員を含めた健康被害の実態調査をすべきと考えるがどうかという質問であります。お答えします。
1960年代から70年代にかけてPCB入り廃油が基地内に投棄され、それが海域に流出し環境汚染していることは御指摘のとおりであります。従業員の中にはその廃油の除去作業を無防備に行った者や、変圧器のPCB入りオイルの入れかえ等の業務を素手で取り扱った者がいました。
国は、従業員の不安を取り除くため平成4年6月から11月にかけてPCB関係の特殊健康診断を沖縄県総合保健協会に依頼し、電線工、労務作業員等87名の従業員が受診しました。その結果、全員が異常なしと診断されました。
しかしながら、PCBは毒性の強い化学物質であり、長期間体内に蓄積されると皮膚や肝臓に障害を起こすことから、基地従業員の健康障害について十分点検し監視する必要があります。このため、国に対し今後基地従業員の健康被害の実態調査について調整を行っていきたいと思っております。
次に、自由貿易地域についてでございます。
沖振法の改正により自由貿易地域での課税特例として法人税の35%軽減があるが、この措置による効果はどのようなものか、御説明願いたいという趣旨でございます。お答えします。
ことし3月の沖縄振興開発特別措置法の改正により特別自由貿易地域制度が創設され、法人税の所得控除などの優遇措置が講じられています。これは、特別自由貿易地域で新たに設立され、その地域内で製造業、倉庫業、梱包業を営む法人について法人設立後10年間法人の課税所得から35%控除するものです。
ちなみに、法人課税の実効税率を比較してみると、資本金1億円以上の大法人または所得金額800万を超える中小法人の場合、一般地域での実効税率が約46.3%であるのに対し、特別自由貿易地域内では当初の5年間が26.3%、次の6年目から10年までが31.2%となります。
この制度は、我が国において他に例のない優遇措置であり、立地企業にとって大幅な経費の節減が図られることから、本県への企業立地を誘因する措置として大なるものがあると期待しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 文化環境部長。
〔文化環境部長 大城貴代子君登壇〕
○文化環境部長(大城貴代子君) 米軍基地の環境汚染対策に関連いたしまして、恩納通信所跡地の措置や状況についてお答えをいたします。
恩納通信所の跡地は、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律いわゆる軍転特措法の適用を最初に受けた用地で平成7年11月に返還されましたが、平成8年3月に跡地内の汚水処理槽内の汚泥からPCB等の有害物質が検出されました。このため県は当該汚泥の適正処理につきましては国の責任において早期に実施するよう要請をいたしましたが、国内に許可されたPCBの処理施設がないこと、移転先の保管施設の確保が困難であったことなどから撤去がなかなか進まない状況にありました。
このような経過を踏まえ、国は航空自衛隊恩納分屯基地内に一時保管施設を建設し、平成10年3月11日にドラム缶694本のPCB含有汚泥を搬入して現在厳重に保管している状況にあります。
国は、平成9年12月の廃棄物処理法施行令の一部改正に伴いPCBの処分基準の新たな方法が追加されたことから、当該基準に従って処分することとしております。
県といたしましては、当該汚泥を早期に適正処理するよう引き続き国に申し入れていきたいと考えております。
なお、同跡地につきましては、恩納村において恩納通信所跡地利用計画検討委員会が設置され、リゾート開発等の計画が検討されております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 糖業労働者の雇用確保とサトウキビ生産振興に関連し、さとうきび・糖業ルネッサンス計画の策定状況について、県、市町村関係団体の取り組み状況について、財源効果、事業実施期間について、モデル事業の実施について、4つの質問については関連しますので一括してお答えします。
さとうきび・糖業再活性化対策事業については、県下17地区の各振興会等で地域の実情に即した生産計画を策定し、国との協議を終え、同計画に沿って株出し管理の徹底、遊休農地の解消、採苗圃の設置、かんがい等が実施されております。
また、県、市町村関係団体の取り組みについては関係機関が一体となって生産振興に関する検討会を開催するなどより一層の取り組みを強化しています。
同事業は、従来の事業にない増産対策に直結したメニューが実施できることから農家の生産意欲は向上しております。
特に、宮古地域における緊急干ばつ対策としてかん水が実施され、その効果があらわれているところであります。
事業の実施期間の延長については、事業の効果を見きわめつつ今後検討していきたいと考えています。
増産対策としてのモデル事業の実施については、地区振興会等と協議し前向きに対処していきたいと考えています。
次に、自由貿易地域に関連して懸念された農業、漁業の対応はどうなっているかという御質問にお答えします。
農林水産部においては、新たな自由貿易地域制度の導入と一層進むと予想される国際化に対処し、活力ある農林水産業の確立を目指した農林水産業振興ビジョン及び振興アクションプログラムを策定中であります。
振興ビジョンについては、去る8月24日に中間案を作成し、関係団体等への説明会を開催し意見の集約を行うとともに、現在、アクションプログラムの作成に向けて取り組んでいるところであります。
ビジョンでは、重点的に生産を振興する品目として安定品目と戦略品目とに区分しております。
安定品目にはサトウキビ、畜産等を位置づけ、現行の保護制度を堅持しつつ生産の振興を図ります。
戦略品目にはサヤインゲン、ゴーヤー、菊、マンゴー、モズク等を位置づけ、拠点産地の形成、市場競争力の強化により積極的に生産の拡大を図ります。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後3時44分休憩
午後4時7分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 私は、日本共産党県議団を代表し知事に質問します。
初めに、米軍基地問題についてであります。
これは知事選挙の最大の争点の一つであります。
選挙は、20世紀の県政を締めくくり、21世紀の展望を切り開く極めて重要な意義を持つものであります。県民にとっての20世紀は、戦前は絶対主義的な天皇制のもとでの抑圧、戦争では文字どおり捨て石作戦にされ、唯一の住民を巻き込む地上戦で多くの県民が犠牲になり、戦後はアメリカ帝国主義の軍事的、植民地的支配に置かれるという過酷な時代でありました。
歴史的に見ると、20世紀は民族自決権の闘いが発展し、植民地からの解放、民族の独立、民主主義を確立する運動が大河のように大きく前進した時代でした。
沖縄県民は、この世界的な運動と連帯しながら祖国復帰と平和、民主主義、人権と生活を守る壮絶な闘いを繰り広げてきました。施政権の返還をかち取り、アメリカの全面占領支配を打ち破り、憲法による日本国民としての権利と自治権の確立を前進させてきました。この世界史的にも特筆すべき快挙を通して県民は多くのことを学び、統一と団結の重要さを身につけました。
今回の知事選挙は、この県民の闘いの歴史と伝統を守り発展させ、21世紀の早い時期に核もない基地もない平和な沖縄を実現する道を進むのか、それともアメリカ帝国主義の世界の憲兵戦略に沿って米軍基地を県民に押しつける道を選ぶのかということが問われています。
米軍基地が県民を再び戦争に巻き込むおそれのある危険なものであることは明らかであります。在沖米軍は沖縄を守るものではなく、前方展開戦略の任務を持つものであります。特に1957年から配備されている米第3海兵師団が沖縄で核戦争計画を持っていたという機密文書に関するマスコミ報道は県民に大きな衝撃を与えました。嘉手納飛行場、関連核兵器貯蔵施設など最重要防衛地点が集中する島中部から南をいかなる犠牲を払っても守るよう努め、必要なら核兵器を用いると明記されていると指摘しています。
私は、この米軍の戦略は現在も基本的に継続されていると考えます。
北朝鮮のミサイル発射問題で9月3日の参議院で防衛庁長官は、座して死を待つというだけでなく、みずからを守るための代替手段がない場合は、必要最低限の行動をとり得ると述べ、日本を攻撃したミサイル基地に反撃しても自衛権の範囲を逸脱しないとの考えを示しています。アメリカがアフガニスタンにミサイル攻撃を行ったときにそこの政府関係者は自国を守るために、米軍基地に先制的にミサイル攻撃を行うという発言をしていますが、そうなると沖縄に米軍基地がある限りいつアメリカの仕掛けた戦争で戦場にされるかわかりません。
元海兵隊員のアレン・ネルソン氏は、米軍基地は常時人殺しの訓練をしているところであり、決して人助けの訓練はない、米軍基地を撤去させることが量も安全であると訴えています。在日米軍基地の75%が集中している中では、その全面撤去こそが沖縄の将来を平和で豊かにする道であることは明らかです。
それだけではありません。米軍基地が県民を守るものでないことは、繰り返される米兵による凶悪犯罪を見ただけでも明らかであります。
したがって、今度の知事選挙は21世紀に向かって基地のない平和な沖縄を実現するためにどうするのかが問われています。
これは沖縄県民の闘いの中心課題でもありました。米軍にまともに物も言えず、軍隊は演習しなければ役に立たないと県民に開き直り、危険な軍事演習にも抗議さえしなかった前自民党・保守県政の態度に象徴的にあらわれているように自民党・保守勢力は米軍基地容認の立場であり、それでは決して県民の生命や財産は守れず、革新勢力の米軍基地反対の闘いこそが歴史を切り開いていく立場であることは明らかであります。
知事が勇気を持って日米両政府に堂々と県民要求の実現を迫る発言をしてきたことは多くの県民を励まし勇気づけるものであり、県民から高く評価されています。
知事選挙は、アメリカ言いなりで海上基地と米軍基地の県内たらい回しを押しつけてくる自民党政府と基地のない平和な沖縄を目指す県民との対決です。県民の良識を結集し、革新統一の力を発揮すれば小渕自民党政府のどんな策謀もはね返して勝利することができると考えます。我が党もその勝利のために全力を尽くして頑張る決意を改めて表明します。
そこで質問しますが、1、米第3海兵師団が沖縄で核戦争計画を持っていたとの機密文書の内容が事実であれば事は重大であります。この際、公式にその文書を入手し県民に明らかにすべきだと思いますが、決意を伺います。
また、現在もこの作戦計画4─57が存在しているのかどうか確認し、改めて在沖米軍の駐留目的とその任務にかかわることを明記した関係文書を公表するよう関係機関に求めるべきですが、いかがですか。
3、防衛庁長官の日本を攻撃したミサイル基地に反撃しても自衛権の範囲を逸脱しないとの発言は政府の統一見解を踏まえたものであるようですが、そうなるとこれまで在沖米軍基地はベトナム戦争、湾岸戦争などの出撃基地にされていますから、当然相手側からの反撃のミサイル攻撃を受ける危険性があるということになります。知事の所見を伺います。
4、米軍人による事件・事故、犯罪がいかに県民の生命と財産を奪ってきたか、改めて明らかにすべきであります。戦後から施政権返還までと、それ以後今日までの実態について報告してください。
5、平和な沖縄実現のためには米軍基地の整理縮小、撤去を求め、特に焦点になっている県内たらい回しには明確に反対し、日米両政府に改めて強い決意を表明し、知事選挙でも県民にその審判を仰ぐべきだと思いますが、いかがですか。
第2の質問は、米軍基地による環境汚染の問題についてであります。
猛毒のPCBが垂れ流されていた事件は、改めて米軍の犯罪的な体質をアピールする結果になりました。まさに植民地同様な態度をとり続けていたわけであります。しかもこれが過去のことではなく現在も進行している問題であります。嘉手納基地での戦闘機の洗浄液が民間にまで飛散し、洗濯物を汚したり、皮膚に炎症を起こす事態もあります。これは明らかに化学物質が含まれていることを示しています。
かつて基地労働者が化学薬品を使用させられて死亡するという事件もありました。また、米軍基地の廃棄物処理をめぐってもいろいろなことが指摘されています。民間の無許可の業者に処理させたり、沖縄市にある廃棄物処理業者は米軍の廃棄物を埋めて処理しているために公害物質が地下浸透し、ついに知花地域の簡易水道が汚染で使用できなくなったり、その処理場の下流では変形した奇形の魚やザリガニが発見されています。しかもその水は県民の飲み水を取水している比謝川に流れています。県企業局もポンプによる取水をしていますが、汚染の心配があります。燃える井戸水の事件もありました。
そこでお伺いします。
1、猛毒のPCBが垂れ流されていた事件を初め米軍基地の環境調査を実施し、危険な化学薬品などの使用による県民への被害を出さないよう米軍に要求していくべきだと思いますが、いかがですか。
2、米軍基地からの廃棄物処理は現在どのように行われていますか。特に化学物質などの処理の実態について明らかにしてください。
沖縄市にある産業廃棄物処理場の下流の水質検査を実施して、汚染が明らかであれば必要な改善をさせるべきだと思います。さらに奇形のザリガニの原因を究明すべきですが、決意を伺います。
4、県企業局がポンプを打ち込んで取水している実態とその汚染の有無について明らかにしてください。
第3の質問は経済問題についてであります。
現在、戦後最悪の不況が国民生活を襲い、経済成長率もマイナスに落ち込み企業倒産、失業者の増大など抜き差しならない深刻な事態が続いています。その原因は政府の経済白書でも指摘されているとおり、消費不況であり消費税の5%への増税等によることは明白であります。
不況を打開するためには消費税を減税すべきでありますが、政府は銀行業界の救済に夢中になっています。そればかりか政府税調の会長は、来年は消費税の10%以上への増税を答申する発言までしています。今の自民党政府に国民を救うことはもはや不可能だと言わざるを得ない状態が進行しています。
私の無料相談所に匿名の手紙と資料が送られてきました。それは、長期信用銀行は日本リースヘの債権を放棄し国民の税金を充当するというが全く納得できない、日本リースは恩納村の仲泊と石川市の伊波に高級リゾートホテルを所有しているのに、債権を放棄して国民の税金の投入は許せないというものであります。
私が調査した結果、その手紙に指摘されたとおりの財産が130筆ほどあり、その問題が国会で取り上げられた8月の末になって長銀による根抵当権の設定がなされるという国民だましが行われていることも判明しました。その長銀救済のために国民生活を犠牲にする自民党政治に多くの国民が怒っています。
ところが、自民党など保守陣営は、このような深刻な不況が県経済や県民生活にも重大な影響を与えているにもかかわらず、その責任を大田革新県政の責任に転嫁してきています。全くあきれた話で、その責任転嫁は許されません。
かつて「経済に強い」を売り物にしていた自民党保守県政の時代は、看板にしていた企業誘致も失敗し、県経済を一層いびつなものにしました。大田知事になったら予算も取れないなどと攻撃していました。それがいかにでたらめなものであったかは実績が見事に証明しています。
大田県政になって基幹産業である農業や漁業、製造業などの各面で新しい芽出しが始まり、県経済の確立の展望も開かれつつあります。このようなときだからこそ県民の立場で頑張ってきた大田知事が勝利し、引き続き沖縄の苦難を乗り越えていくために頑張ってもらうことが重要になっています。
そこで、大田県政の経済政策の実績について質問します。
1、深刻な不況打開のために特別な手だてをとっていますか。
2、現在までの企業誘致などの実績はどうなっていますか。
3、県経済の振興のためには農業や漁業、製造業などの地場産業などの育成が決定的に重要でありますが、それの実績はどうなっていますか。特に亜熱帯性の気候の特性を生かした農業振興の取り組みの現状について明らかにしてください。
4、その他、特に特筆すべき実績がありましたら紹介してください。
第4の質問は、土建業者の指導についてであります。
長引く不況の中で建設業者や土木関係の業者の倒産が相次いでおります。その大きな要因は、仕事が著しく減少してきていることが挙げられます。しかし、その中で黙過できない事態もあります。仕事が少ない中で一つの仕事を元請から下請、孫請、孫孫請へと仕事転がしが行われ、仕事はしないで諸経費を差し引き、その結果、仕事を実際にした業者の工賃がもらえないというケースの相談がふえています。
例えば、糸満の漁港整備で1億7000万円で元請が仕事をとり、それが1億円で一括して下請に回され、それを下請は半額で孫請に回し、下請が倒産したために実際に仕事を請け負って完成させた孫請の業者は全く工賃がもらえないという相談が持ち込まれています。全くひどい話です。
ところがこの種の相談が後を絶ちません。このような事態を防止するために県として特別の努力が求められています。
そこで質問します。
1、公共工事を発注する場合に請負業者はあくまで原則として自社で必要な従業員を確保して仕事をやるべきですが、現在入札に際してそのような条件は付していますか。
2、元請が諸経費を差し引いて一括して下請に回すのは明らかに建設業法に違反していますが、その実態について調査し監督はやっていますか。その実績があったら報告してください。特に糸満漁港に係る問題についての指導監督はどうなっているか、経緯を報告してください。建設業法に違反している業者は当然県の公共工事から除外すべきですが、現在までどのような取り扱いになっていますか、その実績があったら報告してください。
建設業法違反にかかわる行政指導の強化を求める声がかなり寄せられています。それをどう受けとめ、どのような改善を図っていかれるのか、決意のほどを伺います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉陽宗儀議員の御質問にお答えいたします。
まず、これまで在沖米軍基地はベトナム戦争、湾岸戦争などの出撃基地にされていたことから、政府の立場からすると相手側からの反撃のミサイル攻撃を受ける危険性があるということになるが、知事の考えを聞きたいという趣旨の御質問でございます。
星条旗新聞の報道によりますと、今回の訪米の際お会いいたしましたポール・マックヘイル下院議員の主張として、在沖米軍基地の縮小が提案されており、その中で同氏は、沖縄は余りにも小さく、戦略ミサイル攻撃に対してもろいため前方基地としては疑問であると発言しています。
県としても、基地のない平和な沖縄を目指して基地返還アクションプログラムに基づく基地の整理縮小を今後とも日米両国政府に強く訴えていきたいと考えておりますが、それというのも今申し上げたように、もしも戦争が起こって再びターゲットにされるようなことがあってはならないという基本的な立場からでございます。
次に、平和な沖縄実現のためには米軍基地の整理縮小、撤去を求め、県内たらい回しには明確に反対し、日米両政府に改めて強い決意を表明し、知事選挙でも県民にその審判を仰ぐべきだと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
戦後50年余を経た今なお在日米軍専用施設面積の約75%が本県に集中し、地域の振興開発を妨げているだけでなく、基地から派生する事件・事故等県民生活にさまざまな悪影響を与えています。
基地の重圧に苦しめられてきた歴史的背景と、狭い沖縄に既に米軍基地が過密に存在している現状から、基地の県内移設に対しては県民の間から厳しい批判があります。
県としては、碁地のない平和な沖縄を実現するため基地返還アクションプログラム(素案)に基づく計画的かつ段階的な米軍基地の整理縮小とあわせて在沖米軍の兵力の削減、とりわけ海兵隊の削減を日米両国政府に対しこれまでも強く訴えてまいりましたけれども、今後とも引き統き訴えてまいりたいと考えております。
次に、米軍基地の環境調査を実施し、危険な化学薬品などの使用による県民への被害を出さないように米軍に要求していくべきだと思いますがどうかという趣旨の御質問でございます。
米軍基地からの油流出等の環境汚染があるたびに原因究明及び被害の拡大の防止のための基地内への立入調査を米軍側に申し入れていますが、その都度拒否されています。
米軍基地内の環境汚染調査については、日米安全保障条約に基づく地位協定の厚い壁のため実態を把握することが困難な状況にあります。
このような状況の中で、基地内の汚水処理施設から排出される排水が日常的に県民が利用する公共用水域に流入しており、当該排水に問題があった場合には県民生活に大きな影響を生じさせる懸念があることから、県においては汚水処理施設に係る排水及び周辺の河川や海域などの水質、底質、魚類の調査等を実施しております。
しかしながら、それだけでは基地内の環境汚染の実態を把握する上で十分とは言えません。
そのため、基地内の環境汚染を解明するためには、1つには、県または関係市町村による施設・区域への立入調査が速やかにできること、2つ目には、基地内における有害化学薬品等の取り扱い状況についての情報を公開すること、3つ目には、事故発生時の迅速な通報体制を確立することなど日米地位協定の見直しなどが必要であると考えています。
県民の健康と環境保護の観点から、米軍に対しては基地内の立入調査と危険な化学薬品等の使用や管理の徹底を含めた環境汚染防止対策についてこれまでも機会あるごとに申し入れてまいりましたけれども、今後とも強く要求してまいりたいと考えております。
次に、深刻な不況打開のために特別な手だてをとっているかという趣旨の御質問でございます。
全国の深刻な景気低迷の中、県内においても個人消費が低迷するなど本県経済は全体として厳しい状況にあります。
本県においては、このような厳しい状況にある県経済を早期に回復させ、雇用情勢を改善していくため6月に478億円の総合経済対策を決定し、今議会にお願いしております33億円の追加対策と合わせて総額511億円の過去最大規模の経済対策を実施することにしています。
この経済対策においては、公共事業による経済の活性化策や新たな産業創出対策に加えて中小企業対策として信用保証協会の保証額を35億円拡大するとともに、小規模企業対策資金及び創業者支援資金の融資限度額を750万円から1000万円に引き上げています。
小規模企業対策資金については、厳しい経済状況の中で借り入れの際の保証人の確保が困難となっていることから、無担保・無保証人制度の活用を積極的に促進してまいります。
また、緊急雇用対策として中小企業地域雇用開発助成金の助成率を従来の3分の1から2分の1に引き上げるとともに、こうした制度の活用キャンペーンを実施し積極的な対策を推進しています。
さらに、商店街の活性化や地域資源を活用した商品開発などによって21世紀に向けた地域経済の活性化を推進してまいります。
また、去る9月14日にはマルチメディアアイランド構想を策定したところであり、情報通信産業の振興・集積による自立的経済発展に取り組んでいるところです。
本年3月に開設した沖縄情報通信研究開発支援センターでは、既に24の企業等の研究開発活動を支援しています。
さらに、沖振法の改正により創設された特別自由貿易地域等への企業誘致については、企業誘致プロジェクトチームを発足させ、国内はもとより、台湾や米国においても企業誘致活動を積極的に展開してまいります。
このように、県においては県経済を回復させていくため、県の経済状況に対応した活性化策をこれまで以上に積極的に展開しているところであります。
次に、県経済の振興のためには農業や漁業、製造業などの地場産業などの育成が決定的に重要であるが、それの実績はどうなっているかと、その他特に特筆すべき実績があれば紹介してほしいという趣旨の御質間でございます。
本県の産業を振興し経済の自立化を図ることは重要な課題であり、これまでも全力を傾けて取り組んでまいりました。
農業については、農業生産基盤の整備、ハウス等近代化施設の整備、農業技術の開発普及、販売戦略の展開、イモゾウムシなどの根絶技術の確立などに努めるとともに、ウリミバエや牧野ダニの根絶を達成してまいりました。
また、食肉価格安定基金を造成し、畜産農家の経営の安定と畜産の振興を図ってきたことにより肉用牛の飼養頭数は平成2年の4万2000頭から、平成9年は6万9000頭になっています。
水産業については、漁港の整備や養殖場の整備、大型浮き魚礁など漁業生産基盤を整備するとともに、製氷施設、冷凍施設等を離島過疎地域の31カ所に整備したほか、本部の栽培漁業センターの拡充などを推進してまいりました。
製造業については、県内中小企業の経営基盤の強化を図るため組織化や設備の近代化を推進するとともに金融対策を拡充したほか、トロピカルテクノセンターや工業技術センターを整備し、県内製造業の技術力の向上や新製品の開発を推進してまいりました。
また、昨年6月に産業創造アクションプログラムを策定し、健康食品産業など新たな産業創出に努めるとともに、企業化支援センターによる創業者の支援などに努めてまいりました。
薬草を利用した健康食品については、県物産公社と大手商社との連携で販売ルートが整備されたことにより売り上げが増加し、大手商社の系列企業から約560万円が県に還元されるなど成果が出ています。
県産品の県外での販売を促進する拠点として東京や大阪などの本土の大都市のほか、台北においても「わしたショップ」を開設し、泡盛や工芸品などの県外における販路を拡大しているところであります。
観光・リゾート産業については、部瀬名岬地域等における本県の魅力を生かしたリゾート施設の整備を進めるほか、大琉球・まつり王国の創設など各種のイベントの拡充や戦略的な誘客活動の展開等に努めてまいりました。
また、国際会議の誘致に努め、島嶼観光政策フォーラムや九州アジアサミットなど本県での国際会議の開催が活発となっています。
このような取り組みもあって、平成9年度の入域観光客数は386万7000人となっており、平成2年度の295万8000人に比較して90万9000人、率にして31%の増加となっており、伝統工芸産業など関連産業への生産の波及効果をももたらしています。
去る3月には沖縄振興開発特別措置法が改正され、全国で初めての特別自由貿易地域制度や情報通信産業振興地域制度、観光振興地域制度の創設が実現し手厚い優遇措置が講じられており、県内企業についてもその活用ができるものと考えています。
今後とも、本県の自立的発展のため地場産業の振興に全力で取り組んでまいりたいと考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 嘉陽宗儀議員の基地問題についての中で、米第3海兵師団が沖縄で核戦争計画を持っていたとの作戦計画4─57という機密文書について県は公式にその文書を入手し県民に明らかにすべきだと思うがどうかということ、次に現在もこの作戦計画4─57が存在するかどうかを確認し、在沖米軍の駐留目的とその任務を明記した文書の公表を求めるべきだと思うがどうかということについて関連をいたしますので、一括してお答え申し上げます。
今年8月2日付の地元紙の報道によりますと、いわゆる作戦計画4─57は、昭和32年に米第3海兵師団によって作成されたもので、琉球諸島の地上防衛戦に当たり核兵器を使用することが想定されており、当時の緊張した国際関係を背景に住民を守るという視点が欠落した内容になっていると理解をしております。
当該文書は、復帰前の沖縄における米軍の活動を明らかにし、今後の米軍基地関係業務の参考に資する上で貴重な資料であるため、県としても在米連絡調整員を通してその入手に努めているところであり、今後とも適切に対処していきたいと考えております。
次に、米軍人による事件・事故犯罪がいかに県民の生命と財産を奪ってきたか、戦後から施政権返還までと、それ以降の実態について聞きたいということにお答えを申し上げます。
戦後から今日に至るまで基地から派生する事件・事故は、県民の基本的人権を侵害し、県民の生命と財産にさまざまな悪影響を与えてきました。
復帰前の主な事件・事故の中で、県民に大きな衝撃と深い悲しみを与えたものとしては次のような事件・事故が挙ポられます。
昭和30年9月には、6歳の女の子が米兵に暴行され殺害された事件、いわゆる「由美子ちゃん事件」が発生し県民に大きな衝撃を与えました。
演習に伴う事故としては、昭和25年8月には読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練で補助タンクが落下し、当時3歳の女の子が死亡したほか、昭和40年6月には小学校4年生の女の子がトレーラーの落下により死亡した事故がありました。
伊江島では、昭和34年9月に真謝区の民家付近で不発弾が爆発し村民2名が死亡した事故も発生しました。
また、航空機事故としては11人の児童を含む17人の死者、121人の重軽傷者を出した昭和34年6月の宮森小学校へのジェット機墜落事故があります。
さらに、昭和38年2月には、青信号で横断歩道を渡っていた中学1年生の男子が米兵のトラックにひかれ、死亡したいわゆる「国場君事件」が発生いたしました。
以上、復帰前の主な事件・事故を取り上げましたが、それ以外にも米兵による殺人事件や婦女暴行事件、また放火や傷害事件など被害者の人権を無視した悲惨な事件・事故は数多く発生しております。
次に、復帰後の事件・事故についてであります。
沖縄県警察本部の資料によれば、昭和47年5月から平成9年12月までの米軍構成員等による刑事事件は4867件となっています。
このうち、民間人殺害事件の12件を含む殺人、強盗、強姦のような凶悪事件は517件発生しています。
航空機関連の事故については、復帰から平成10年8月末までに131件発生しており、そのうち固定翼機が68件、ヘリコプターによる事故が63件となっています。
また、米軍基地の運用によってもたらされる環境被害も数多く発生し、日常的に発生する航空機騒音は周辺地域に甚大な被害を与えております。
さらに、基地から流出する汚水、油脂類、赤土などは河川や海域の水質汚染をもたらし、実弾演習による原野火災は復帰から今日まで163件発生しています。
このように基地から派生する事件・事故にはさまざまなものがあり、県民は50年余にわたって基地の被害に苦しめられてきました。
県としては、こうした県民の基地負担を軽減するためにも米軍基地の整理縮小について日米両国政府に対し強く訴えているところでございます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 文化環境部長。
〔文化環境部長 大城貴代子君登壇〕
○文化環境部長(大城貴代子君) 基地の環境問題につきまして、米軍基地からの廃棄物処理は現在どのように行われているか、特に化学物質などの処理の実態について明らかにしてほしいとの御趣旨の質問にお答えいたします。
米軍基地から発生する廃棄物のうち、基地内に居住している軍人軍属の家庭等から排出される廃棄物につきましては県内の廃棄物処理業者に委託処理されており、平成8年10月から平成9年9月までの1年間に約3万6000トンが処理されております。
しかしながら、その他の米軍基地内の廃棄物につきましては立入調査や情報の入手ができないため、基地内における廃棄物の種類ごとの発生量及びその処理、特に化学物質の保管状況並びに処理等の実態の把握は困難な状況にあります。
これまで、米軍基地内の廃棄物処理の実態把握のため基地内の関係機関へ立入調査等の要請を行っておりますが、まだ実現していない状況でございます。
県といたしましては、環境を保全する観点から今後ともさまざまな手段を講じて基地内の廃棄物の実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
次に、沖縄市の知花にある産業廃棄物処理場の下流の水質検査をして、汚染が明らかであれば必要な改善をさせるべき、さらに奇形のザリガニの原因を究明すべきだが決意を伺いたいとの御質問にお答えいたします。
廃棄物処理施設からの排水については、廃棄物処理法により排水基準を定める総理府令で規定する排水基準に適合することとなっております。
県では、適正処理の監視のため12カ所の廃棄物処理施設からの浸出水や排水について定期的に年2回水質調査を実施しております。
御質問の産業廃棄物処理場の過去2年間の排水等の検査結果は有機リンなどの有害物質を含む23項目のすべてが基準値以下となっております。
また、排水の放流先であります河川下流の水質測定点におきましてもカドミウム等の有害物質は検出されておりません。
なお、ザリガニの奇形につきましては、今後情報の収集と事実確認に努めて対処してまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 企業局長。
〔企業局長 赤嶺 勇君登壇〕
○企業局長(赤嶺勇君) 基地の環境間題との関連で、県企業局がポンプを打ち込んでいる取水についてその実態と汚染の有無についてでございますが、お答えいたします。
企業局は、嘉手納基地内にある22の井戸から平成9年度実績で日量約2万2000立方メートルの地下水を取水しています。
嘉手納基地内のPCB汚染につきましては、平成4年に同問題が新聞で報じられた際、企業局は平成4年の2月から3月にかけて同基地内にある水源としての井戸の22カ所及び比謝川、長田川、天願川、北谷浄水場原水につきましてPCBの測定を行いましたが、いずれも検出されておりません。
今後とも、安全でおいしい水を安定的に供給するため水質の汚染対策につきましては万全を期していきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 嘉陽宗儀議員の県経済問題についての現在までの企業誘致の実績はどうなっているかという御質問にお答えします。
昭和56年から平成9年までの実績ですが、情報関連産業11社を初め食品関連製造業5社、その他コーラルサンド関連企業や亜鉛メッキ処理業12社、合計28社が県内へ立地し本県の産業の振興と雇用の拡大に寄与しております。
これらの企業の雇用者数は、立地年度のデータで931名となっております。
新規企業立地28社のうち、6社は平成9年度の実績であり、ソフト関連企業5社、機械修理・賃貸業1社で採用予定も含めて76名の雇用効果になっております。今後、5年以内にはこれら6社においてさらに900名以上の新規雇用が計画されております。
また、平成10年度においては、国際的な航空貨物会社のフェデラル・エクスプレス社が本県において営業開始しており、本県の物流ネットワークの発展及び雇用の確保に寄与するものと考えております。
以上です。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 嘉陽宗儀議員の県経済の問題に関しまして、特に亜熱帯の気候を生かした農業振興の取り組みの現状について明らかにしてもらいたいという御質問にお答えいたします。
農業振興については、これまで沖縄振興開発計画に基づき亜熱帯の気象条件を生かした生産性の高い活力ある農業の確立を目指して各種施策を総合的、計画的に実施しているところであります。
その結果、野菜ではゴーヤー、サヤインゲン、トウガン、スイカなど、花卉では電照菊や洋ラン、熱帯果樹ではマンゴーなどの供給産地として国内で高い地位を確立しているところであります。
また、畜産においては、肉用牛生産の堅調な伸びに加え、全国でもトップクラスと評価されている種雄牛の「姫桜」を作出するなど肉用子牛の生産基地として大いに期待されているところであります。
県では、引き続き基幹作物であるサトウキビの生産を振興するとともに、亜熱帯の地域特性を生かした付加価値の高い農業生産が実現できるよう各種施策の推進に努めていく考えであります。
次に、公共工事の発注問題に関しまして、元請が諸経費を差し引いて一括して下請に回すのは明らかに建設業法に違反しているが、糸満漁港に係る問題についての指導監督はどうなっているかという御質問でございます。
糸満漁港利用調整北防波堤工事は、請負業者みずからが施工及び施工管理を行っております。一部工事については下請させておりますが、建設業法第22条で言う一括下請には該当しないと判断しております。
しかしながら、下請をした数社に対し工事代金の未払いがあると聞き及んでおります。
県といたしましては、下請業者だけに負担を強いることがないよう請負業者に対し適切な措置をするよう指導をしているところであります。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 公共工事の発注に関連いたしまして、入札に際して従業員の確保を条件としているかとの御質問にお答えいたします。
公共工事の発注につきましては、工事の規模、工種によって入札参加資格者の中から発注ランクごとに技術的適正、手持ち工事の状況、会社の経営及び信用の状況のほか、特に地域的条件等を勘案し地元業者に比重を置いて指名いたしております。
さらに、当該年度における指名及び受注の状況を勘案し指名が特定の業者に偏らないよう留意しております。
御質問の従業員の確保につきましては特に条件は付しておりませんが、従業員数は、業者の経営事項審査における総合評点に反映され、業者格付もこれをもとにして行われております。これらの制度を通しまして業者選定には従業員数も考慮されております。
特に、技術者については入札参加申請時の人数を維持する義務がありますので、電算システム等により他の業者との重複登録のチェックに努めております。県といたしましては、今後とも公正公平に業者の選定を行ってまいります。
次に、一括下請の実態についての御質問にお答えいたします。
県が発注した工事で元請における下請契約については届け出義務を課しておりますが、これは下請業者が建設業の許可を受けているか、欠格要件に該当していないか等をチェックする趣旨でございます。
県は、施行計画書を事前にチェックした上で監督員を配置し、施行体系図の掲示、施行体制台帳の作成等の確認により元請、下請の従業員の現場配置と施行体制をチェックすることとしております。
これまで一括下請の発生については承知しておりません。
次に、建設業法に違反している業者の公共工事からの排除実績について、建設業法違反者に対する行政指導の強化については関連いたしますので一括してお答えいたします。
建設工事の適正な施工を確保し、さらに建設業者の健全な育成を図るため建設業法の遵守について講習会等を通して指導を行っております。
しかしながら、建設業者によっては必ずしも建設業法その他関連する法令の規定を遵守せず、また建設工事の適正な施工が確保されないこともございます。これらの業者については行政指導により是正を求めているところであります。
行政指導に従わない悪質な者については建設業法上の指示、営業の停止を行っております。
なお、許可の取り消しについては現在のところそこまで至った事例はございません。
また、県発注の公共工事においては指名停止に関する要領を定めており、贈賄、談合、労災事故、粗雑工事等について一定期間指名を停止する措置をとっております。平成9年度においては指名停止5件、8社となっております。
建設業法の遵守については、これまで機会あるごとに業界の指導に努めてきたところでございますが、建設業者の資質の向上、工事の適正な施工、発注者の保護を図る観点から今後さらに指導強化を図っていく考えでございます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 答弁漏れがあります。
第3海兵師団の沖縄における作戦計画4─57の文書を明らかにせよということと関連して、現在の海兵隊の任務がどうなっているか、これについてもきちっとやはり明らかにすべきだということを質問したわけですけれども、それについて答弁がありませんでした。
これについては、やはりいかに米軍基地が沖縄県民を守るんではなしに、アメリカのために沖縄県民を犠牲にするものであるかということがこれまでの過去の歴史で非常にはっきりしています。
そういう意味で、ぜひ現在の海兵隊の沖縄における任務は何かということをはっきりさせていただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) ただいまの海兵隊の任務と関連いたしまして、先ほどもお答えいたしました在米連絡調整員を通じて現在その4─57というふうな資料の入手に努めているところでございますので、そうした入手に努めた後、その性格、どういうものなのか、内容等を十分吟味した上で今後の対応を私たちも決めたいというふうに考えまして、表現といたしまして今後とも適切に対処していきたいと、こういうような趣旨でお答えをしたつもりでございます。
以上です。
○議長(友寄信助君) 浦崎唯昭君。
〔浦崎唯昭君登壇〕
○浦崎唯昭君 新世会の代表質問を行います。
まず、知事の政治姿勢についてでございます。
橋本内閣が小渕内閣にかわりまして、小渕総理は所信表明をせんだって述べられております。
その中で我が沖縄県政に極めて重要な御発言がなされております。それは前内閣におきまして私ども沖縄問題は最重要課題であると2度にわたりましてそういう所信表明がなされたわけでございますけれども、小渕内閣になりまして「最」がなくなりまして「重要課題」へと変更をされております。
私は、そのことにつきまして53市町村の何名かの首長さんと会う機会がございましたけれども、非常に大変心配をしているというようなことがありました。沖縄県政に与える影響は私は大変大だと思っております。重要な意味を含んでいると思いますけれども、このことにつきまして県知事さんのお考えをお伺いをいたしたいというふうに思います。
橋本前総理大臣についてでございます。
橋本前総理大臣は8月10日に県内のマスコミとの会見で、総理退任に際しましてのいろいろな感慨を述べておられますけれども、知事に3点につきましてお伺いいたします。
まず、8月10日の会見でマスコミにも大きく見出しに載っておりますけれども、県内移設については知事も了解をしていたと述べておられます。当然反論があろうと思いますので、お伺いをいたします。
それから膠着化している国と県との関係は現在県側にボールがあると、建設的な提案を待っているというようなことで知事もそれについての反論をされておられますけれども、この県側にボールがあるということにつきましてどう思われるのかをお伺いをいたします。
橋本総理の退陣をされました大きな原因がいろいろあろうかと思いますけれども、私はこのことにつきまして県知事も大きくかかわっていると思います。すなわち日米の外交でありますところの日米安保条約、その機軸でありますその安保条約の中で総理は、沖縄の基地問題、そのことにつきまして米国側に不安を与えないようなそういう意味での政策を進めている中で、知事と総理は17回余にもわたりまして会談をされておるわけでございますけれども、知事は2月6日にああいう行動に出たわけでございます。そのことは少なくとも私は前総理のやめた一つの大きな原因になっているものだと、このように思っております。マスコミにもまた一部そういう投書もございました。
それは17回余も会談をし沖縄問題に集中する余り、経済問題がいささかおろそかになった経緯があるというようなことで私もそういう考えに同意するものでございます。そして少なくとも現在の橋本前内閣総理大臣の政治生命に大きな影響を与え続けていると私は思うのでございます。
先ほど知事は、総理には礼を尽くして感謝を申し上げたと言っておりますけれども、現実の政治の中では前総理の政治生命に多大な影響を与えた行為であったと思いますけれども、どう思われますか。
知事選出馬関連の記者会見で、これは翁長雄志議員も先ほど話しておられましたけれども、沖縄の節目節目に大衆運動に水を差す反動勢力が必ず出てくると話されておりますけれども、その反動勢力というのはどなたのことですか、このことをはっきり話してください。
次に、6月定例議会の一般質間で安波訓練場返還について私は質問をいたしました。
知事が常日ごろ言っておる、もし海上ヘリを認めたならば県が初めて基地を認めたケースになると、これは断じてできないことであるというようなことの中で安波の訓練場がいろんな経緯の中で私は評価をいたしておりますけれども、しかしながら新たに基地が提供されたということだけは間違いございませんですねと確認をしたわけでございますけれども、知事の答弁を掘り起こしてみますと知事は、大きな水域や土地が返ってくるんだから、わずかな土地の提供についてはこれは理解できるのではないのかという答弁でございますけれども、理解できません。改めてお伺いをいたします。
次に、これも6月定例議会でございますけれども、基地問題に関する発言中、基地というのはどこから考えてみても戦争と結びつくもので、人間の幸せにじかに結びつく生産の場ではないんですと述べられております。
このことにつきましては6月定例議会が終わりまして私どもは議長を通じまして、こういう発言は基地に働く皆様方に与える影響が大だということで発言の撤回を求めて議長に御努力をいただきましたけれども、まかりならぬということでございますけれども、改めて発言の真意とともに、発言の撤回を求めるものでございます。
次に、知事の基本姿勢についてでございます。
これはきょう本議会の場でぜひとも明らかにしてまいりたいと私は思っております。
通常政治の場で保守、革新と言われる中で安全保障条約についての見解が大きな分水嶺になっておりました。
そういう中で知事は1期目には安保条約には廃棄であったと、2期目は反対だと、そして今回は軍事的同盟より経済的、平和的な友好条約にすべきだと、そのように変化をいたしております。
そこでお伺いをいたします。
いろんな知事の経緯は別にいたしまして現存する日米安保条約には反対ですか、賛成ですか、これははっきりさせていただきたいと思います。
次に、北朝鮮は我が国に対してマスコミの報じるところでございますけれども、戦争前夜の状態だとこのようにマスコミを通じて聞かされております。大変心配でございます。
私は、このことが日米安全保障条約、そして我が国の国防の関連におきましても大変重要な問題だと思っております。
北朝鮮のミサイルの発射、このこと等を考えまするときにやはり沖縄県知事さん、このことにつきましてどう思われているのかをお伺いをいたします。
返還軍用地の環境浄化についてお伺いいたします。
私は、せんだって6月議会におきましてもこの軍用地返還・跡利用対策特別委員会がフィリピンを視察した冊子を知事の席に持っていきましたら読んだことがあるというようなお話でございました。
そこでお伺いをするわけでございますけれども、知事は私の6月議会の質問につきまして、3選の最大の理由はアメリカで環境問題を見たときがそもそも腹を最終的に決意する一歩だったということでございます。
知事の腹を固めた経緯は私どもはそうじゃないと思っておりますけれども、このフィリピンの私どもが視察をした特に基地返還に伴う環境問題について詳しく報告をしておりますけれども、これについていかが思われますか。
それから基地を抱える自治体は、過去にさかのぼりまして環境問題について今までにさまざまな提言、陳情がなされております。県みずからも調査されておると思いますけれども、その返還軍用地の予定される環境問題についてのすべてを議会に報告をしてください。
次に、那覇港についてでございます。
那覇港は、これからの重要性にかんがみまして県も那覇、浦添三者一体となっての一部事務組合方式で那覇港の運営をしようとしているところでございますけれども、そのやさき那覇、浦添商工会議所がまとめた国際ハブ港湾構想がございます。そのことにつきまして知事はどう思われるのか。
そしてせんだって浦添市議会におきましても、今まではそのことにつきましては那覇軍港移設が絡んでおりまして全会一致で反対でございましたけれども、ここにきまして局面が変わってきております。そのことを踏まえましての御答弁を期待いたします。
沖縄型自由貿易地域構想の実現を目指すとございます。昨年の田中委員会の報告、それを踏まえまして県は全県自由貿易地域を策定すると発表されました。
しかしながら県議会におきましては、また経済界におきましては地域限定型がよかろうということになりまして、知事もそれを組み入れてそういう自由貿易地域型の2005年までのという形での限定型が進められるということになりますけれども、今般政策発表の中で沖縄型自由貿易地域制度とございますけれども、どういう自由貿易地域でございますか、わかりやすく言えば全県なのか、限定型なのかをはっきりしてください。
県産品の販売促進につきましてこれは先ほども議論がございましたけれども、優先発注を進め中小企業等を支援し中心市街地商店街の活性化に努めるとありますが、具体的にお示しをください。
次に、7月16日から17日未明にかけまして那覇を中心といたしました集中豪雨がございました。
特に旧那覇市街を中心といたしましてたくさんの床上浸水等々がございました。
この中で私は、常日ごろ危機管理体制の中でそういう災害が起きたときに迅速にどう対応されたかを常にお伺いをしておりますけれども、そういう中でこの災害についての皆様方が対処されたことをお伺いをいたします。
被害状況の説明、それから再発防止、その辺の答弁をお願いをいたします。
答弁をいただきまして自席から質問をいたします。
○知事(大田昌秀君) ちょっと休憩お願いいたします。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後5時15分休憩
午後5時15分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 浦崎唯昭議員の御質問にお答えいたします。
まず小渕総理は所信表明で、沖縄問題を橋本前内閣の「最重要課題」から「重要課題」へと変更した、そのことは大変重要な意味を含んでいると思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
沖縄問題の位置づけについて小渕総理は去る8月21日の参議院予算委員会で、「基地問題を初めとする沖縄の抱える諸問題につきましては、今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたい」と答弁しています。
また、額賀防衛庁長官は同日の同委員会で、「小渕総理から沖縄問題は最重要課題であるから一生懸命頑張りなさいというふうに言われておりまして、私にとりましては最重要課題であるということをお訴えしたいと思っております。」と答弁しています。
県としては、内閣が変わりましてもこれまで同様米軍基地問題を初めとする本県が抱える諸課題の解決については国の理解が得られるよう引き続き働きかけていきたいと考えています。
それから8月10日マスコミとの会見で、県内移設については知事も了解したと述べていると、これは橋本総理が述べているという趣旨の件でございますが、それについての見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
普天間飛行場の返還については、平成8年4月12日の午後6時ごろ橋本総理から直接電話があり、現在の基地機能を移転した上で5年ないし7年以内に全面返還することで米国側と合意に達したという趣旨のお話がありました。
基地機能の移転の具体的な内容については、その時点で総理から特に説明はありませんでした。
米軍基地の県内移設の間題については、まず米軍施設の提供責任者である国が、その影響を受ける漁協とか地域住民の間題を取り扱う地元自治体などとよく調整すべきでありますので、地元の意向が出ていない段階で県が国に対して移設の可否について申し上げる状況ではありませんでした。
ですからその新聞記事を読みますと、橋本総理は海上基地案も含め県内移設に知事が賛成もしなければ反対もしなかったというふうに書かれております。
それから、膠着化している国と県の関係は現在県側にボールはあると言われているが、どう考えているかという趣旨の御質問でございます。
普天間飛行場の返還に伴う海上ヘリポート政府基本案については、県としては受け入れられないと判断した事情や経緯について宮平副知事が去る2月19日、3月27日及び4月2日にわたって当時の古川官房副長官や村岡官房長官と面談し、また政府審議官との意見交換の場などを通じ政府に対し県の立場への理解を求めてきたところであります。
普天間飛行場の早期返還を実現するためには、県外への移設とりわけグアム、ハワイ等への移設について考慮していただく必要があることについては、今回の訪米に先立ち去る5月7日に宮平副知事が上京し、内閣官房長官、外務大臣、防衛庁長官、防衛施設庁長官に対し要請したところであります。
それから、知事の海上ヘリ反対により前総理の政治生命にも多大な影響を与え続けていると思うがどうかという趣旨の御質問でございますが、私自身はそうは考えておりません。
橋本前総理が沖縄のために本当にいろいろと御配慮くださったことはよくよくわかっております。
総理は一国の代表としてアメリカ政府に対する立場もありますが、知事はまた県の代表として個人的なそうした感謝の気持ちを超えて県民の声を素直に率直に申し上げるのが知事の責任だというふうに私は理解しております。
そういった立場で総理に対しても県民はこう考えていますよと、そして県内の実情はこうですよという形で率直にお話してきたところでございまして、その意味では個人的な問題を離れてやはり総理は総理のお立場があるし、知事には知事の立場があると、それは双方とも理解しているものと私は考えております。
それから知事選出馬関連の記者会見で、沖縄の節目節目には大衆運動に水を差す反動勢力が必ず出てくると発言されているが、その真意は何かということでございますが、これはこれまでの戦後の歴史を振り返ってみましても、例えば復帰運動に対しても時期が早いとか、復帰したら芋とはだしに戻るとか、あるいは土地問題についても一括払いを米軍が求めたときにそれに賛成するとか、そういうことはやはり現実に起こってきた歴史的な事実としてあるわけでございます。
それから6月定例県議会の一般質問で、安波訓練場返還について新たに土地、水域を基地に提供したことについて質問したが、改めて聞きたいという趣旨の御質問でございます。
安波訓練場の返還について県は、新たに提供される土地及び水域が基地返還アクションプログラム(素案)に基づき北部訓練場の返還と同様に2010年までには返還してもらうよう国に要望した上で、次の理由により基地の整理縮小を着実に進める観点から、当該訓練場の返還について了承したものであります。
1、地元安波区、国頭村漁業協同組合、沖縄県漁業協同組合長会、国頭村及び国頭村議会が安波訓練場の返還と新たな土地及び水域の提供に同意していること、2番目に、新たな水域や土地の提供は北部訓練場への海上からのアクセスを確保するための必要最小限度の範囲であること、特に新たな提供水域は既存の提供水域の約65分の1であること、3、演習そのものがゴムボートにより上陸を行うことを内容としているもので、また提供予定土地は安波集落から約3キロ離れていること、提供される土地を利用する人も少ない上、工作物の設置等土地の現況に変更を加えるものではないことなどから、住民生活に支障を来すことはないと考えられること、県は以上の事柄を総合的に勘案し、基地の整理縮小を着実に進める観点から当該訓練場の返還について了承したところであります。
次に、6月定例県議会における基地問題に関する発言中、基地というものはどこから考えてみても戦争と結びつくもので、人間の幸せにじかに結びつく生産の場ではないとの知事答弁について発言の真意を問うと、また基地に働く方々への差別であり発言の撤回を求めるという質問には一括してお答えいたします。
土地の審理状況の中で、土地を基地に提供する地主の方々が常々口にしていることは、我々は自分の土地を戦争と結びつく基地に提供するのではなくて、もっと人間の幸せに結びつく生産の場として使いたいということはもう常々言っていることは御承知のとおりでございます。
そういう県民の声を紹介したわけでありまして、基地で働いている従業員に対していかなる意味でも差別をするとか、軽く見るとかという気持ちは全く持っておりませんので御理解いただきたいと思います。
それから、日米安保条約について廃棄から反対へ、そして今回は軍事同盟より経済的、平和的な友好関係にすべきだと述べているが、そのことは現在の日米安保では反対だということなのかと。
また北朝鮮は我が国に対して戦争前夜の状態と表明しているが、安保とのかかわりでどう思うかという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
日米安保条約が日米間の自由と民主主義という共通の価値観、政治あるいは経済分野での緊密な関係の確立等に寄与したとして高く評価する論もあることは承知しています。
しかし最近、細川護煕元総理大臣や後藤田正晴元副総理の論説などにも見受けられるように、日米同盟関係のあり方を議論する時期に来ているなどとする日米安保条約に関するさまざまの見解が提起されており、今や21世紀に向けた新しい日米関係の構築が求められていると理解しています。
特に本県の場合、去る第2次世界大戦において20万人余の戦没者を出すという悲惨な地上戦を体験しており、県民の間には軍事力では必ずしも住民の生命と財産の安全は守れないという考え方が根強く残っており、行政の責任者としてその面への配慮も必要だと考えています。
したがいまして、日米安保条約については二国間の軍事同盟的なものではなく、それをASEAN地域フォーラムのような多国間の平和友好的なものや経済、文化的側面を重視したものに改め、軍事力ではなく、経済や文化交流等を通じて平和友好的な関係を構築することによって国の平和と安全を維持することが憲法の趣旨からも望ましいと考えています。
なお、北朝鮮の声明につきましては、外交問題であり日本国政府の対応を慎重に見守っていきたいと考えています。
それから、平成8年9月に実施された議会のフィリピン・スービック、クラーク基地視察についての報告書についての所見を聞きたいと。
県議会での軍用地返還・跡利用対策特別委員会が平成8年9月に実施したフィリピン視察の報告書においては、基地返還跡地の土壌や地下水などの中に、過去の米軍の活動に使用された航空機の洗浄剤や各種の塗料等に含まれるさまざまな有害物質が残留していることから、汚染された飲料水等を通して地域住民の健康に大きな悪影響を及ぼしている実態が報告されております。
県としては、現在、多くの米軍施設を抱えていることから重大な関心を払う必要があると考えておりますが、特に文章で読むのと、去る5月にアメリカに行って直接に汚染されている現場を見せられて、そしてしかもそれを浄化する上での実際の作業を見せつけられ、さらにはどれだけの期間がかかると、浄化するのに、それからどれだけの巨額の金がかかるということを目の当たり教えられましたので、皆さんのレポート以上により深刻にこの問題を受けとめた次第でございます。
それから、那覇、浦添商工会議所のまとめた国際ハブ港湾構想についての見解を伺いたいという趣旨の御質問でございます。
国際都市形成構想において、那覇港は交通・物流ネットワーク拠点の中核機能に位置づけており、国際都市沖縄のゲートウエーとして国際機能をより一層強化拡充することにしています。
そのため、新港埠頭地区や浦添埠頭地区を国際物流拠点の中心として位置づけ、大型コンテナ船に対応できる港湾施設や物流機能及び産業基盤の整備を推進することとしています。
御質問の那覇商工会議所及び浦添商工会議所がまとめたハブ港湾構想につきましては、マスコミ報道等で知っております。
しかしながら、県としてはまだ両商工会議所から提言や説明を受けておりませんので、具体的な内容については承知しておりません。
県としては、国際流通港湾を目指した機能拡充等に関する調査を現在進めているところであります。
次に、沖縄型自由貿易地域制度の実現を目指すとあるが、具体的に示してもらいたいという趣旨の御質問でございます。
県は、国際都市形成構想の主要施策である21世紀にふさわしい新しい産業の創出と振興を図るため、昨年11月に国際都市形成に向けた新たな産業振興策を策定しました。
その中で自由貿易地域制度の展開については、当面は那覇地区の活性化や中城湾港新港地区及び豊見城地先地区への拡大、既存の工場等の指定による拡大展開を図ることとし、全県自由貿易地域制度の導入については2005年を目途として諸条件が整い次第、可及的速やかに実施することにしたところであります。
政府においては、これらのことを受け、平成10年4月に特別自由貿易地域制度の創設や税制上の特別措置等を内容とする沖縄振興開発特別措置法の一部改正がなされたところであります。
今後、こうした制度の積極的活用を図り、国際的な産業経済の動向や沖縄の農林水産業、地場産業及び県民生活にも配慮しつつ県民合意に基づく諸条件の整備を図り、沖縄にふさわしい型の自由貿易地域制度を目指そうとするものであります。
それから、県産品の販売促進や県内企業への優先発注を進め中小企業等を支援し、中心市街地や商店街の活性化に努めるとあるが、具体的に政策としてどういうものかという趣旨の御質問でございます。
県産品の販路の拡大につきましては、沖縄県物産公社と提携しつつ、わしたショップの新設及び拡張、物産展開催件数の増大、大都市圏における商談会事業の実施、県産品の宣伝体制の強化を図っています。
また、産業まつり、工芸ふれあい広場及び離島フェアなどでの県産品の普及紹介を強化するとともに、台湾、香港等の海外事務所の活用や農林水産部門との連携を強化しつつ、県産品の販路の拡大に努めています。
県内企業への優先発注については、県内企業の育成強化と産業振興を図るため昭和59年に策定した県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針に基づき、県が発注する公共工事については県内の土木建築業等への優先的発注に取り組んでいるところであります。
また、沖縄総合事務局や那覇防衛施設局等国の機関に対しても同様の要請をするとともに、各市町村、建設業を含む経済団体等に対しても同方針への理解と協力を要請しています。
中小企業に対する支援策については、人材育成、金融、技術開発等ニーズに応じた各種支援制度を活用しています。
特にベンチャー企業に対する支援策としては、中小企業創造活動促進法に基づき県及び公社等が行う株式及び社債の引き受け、補助金及び低利融資制度等による支援を行っています。
さらに、技術開発や創業に向けた支援制度を活用するとともに、沖縄県起業化支援センターを活用しベンチャー起業の支援を推進しています。
中心市街地や商店街の活性化については、近年大型店の郊外への集積、コンビニエンスストアの立地等により中心市街地の空洞化が進んでいる状況の中で、中心市街地活性化法及び大規模小売店舗立地法の制定、都市計画法の一部改正がなされています。
このため、中心市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進する観点から、関係法令に基づく各種の制度を活用するとともに、タウンマネージメント事業及び中心市街地等リノベーション事業の推進、高度化資金制度の活用、中心市街地へのキーテナント誘致等の支援、商業活性化基金による支援等を実施しています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 浦崎唯昭議員の基地を抱える自治体は、環境問題について今までにさまざまな提言や陳情がなされ、県みずからも調査をされていると思うが、そのすべてを議会に報告してほしいということについて答弁いたします。
米軍基地に起因する環境問題につきましては、これまで基地所在市町村等から航空機による騒音問題や演習等に伴う不発弾処理の問題、原野火災による環境破壊、さらには有害物質による土壌汚染、基地から流出する油や汚水及び赤土等による河川、海域の水質汚染などの陳情がなされていることから、県としてもこうした環境問題の重要性を十分に認識いたしまして関係機関に対しその解決を図るよう働きかけてきました。
これらの環境問題に対して県が調査を行っている主なものを申し上げますと、例えば航空機騒音につきましては嘉手納飛行場周辺及び普天間飛行場周辺における航空機騒音測定を行っています。
原子力潜水艦の寄港の際には、国の調査班長の総括のもと放射能調査を行っております。
基地からの排水及び排水先の公共用水域においては、基地排水等監視調査を行っています。
平成8年11月にキャンプ瑞慶覧で発生した油漏れ事故においては、採取された汚泥からサンプリング調査を行っています。
返還された恩納通信所のPCB問題においては、汚水処理槽及び通信所跡地の近隣農用地土壌並びに周辺集落の湧水等のサンプリング調査を行っております。
それで、すべてをということでございますが、何をもって環境問題とするかということは非常に玉虫色的な部分もいろいろございまして、例えば実弾演習の問題は環境破壊と見るのか、事件・事故と見るのかというふうなこともございますし、それからホワイト・ビーチに原子力潜水艦が入るようなものも、それはどういうふうな形で取り扱うのかというふうな問題もあります。
こうした玉虫色的なものも含めて今、昭和56年から私たちの方で拾い上げた全陳情書を見ますと215件に上っております。
それから、県といたしまして米軍基地に絡んで独自に調査したというふうな主なものとして現在13件把握をしております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 文化環境部長。
〔文化環境部長 大城貴代子君登壇〕
○文化環境部長(大城貴代子君) 去る7月17日の集中豪雨に関連いたしまして2点御質問がございますのでお答えいたします。
まず、被害状況でございますが、去る7月17日の集中豪雨によります被害状況は、沖縄本島におきまして住宅の床上浸水281世帯、床下浸水132世帯、公共建物等住宅以外の浸水が173棟、電話回線の不通が5015件、畑の冠水が1ヘクタール等となっております。
特に被害が集中しました那覇市におきましては、当日午前1時25分から2時25分までの間に110.5ミリの降雨がありました。これは那覇市におきます1時間の降水量といたしましては100年に1度という観測史上第1位の記録的な集中豪雨でありました。
さらに、0時41分の満潮と重なったこともありまして、那覇市の報告によりますと安里川、真嘉比川、久茂地川沿い等におきまして住宅の床上浸水が260世帯、床下浸水が119世帯、公共の建物等住宅以外の浸水が172棟、車の水没が46台と甚大な水害が発生しております。
県といたしましては、沖縄県災害見舞金支給要領に基づきまして、床上浸水のありました202世帯につきまして1人世帯に5000円、2人以上の世帯に1万円、合計171万円の見舞金を支給したところでございます。
なお、未支給の世帯につきましても申請があり次第見舞金を支給してまいります。
次に、再発防止の対策でございますが、県といたしましては、現在災害対策基本法及び沖縄県地域防災計画に基づき総合的な防災対策の推進に努めているところであります。
特に平成8年度からは夜間、休日等における気象警報等の災害情報の受信・伝達体制を強化するため、災害情報の受信・伝達業務等の嘱託員4人を配置し、24時間体制による災害情報の受信・伝達体制を確立したところであります。
今回の大雨に係る気象情報につきましては、沖縄気象台から7月16日午後9時30分に第1回の大雨洪水警報が発表され、その後、同警報は17日午前0時に大雨洪水注意報に切りかえられ、再び午前2時に第2回目の大雨洪水警報が出されました。
県といたしましては、これらの気象情報を受理するとともに、直ちに防災行政無線を通じまして各市町村へ河川の増水やはんらん、浸水等に注意し災害予防対策に万全を期すよう一斉通報をいたしました。
有効な災害対策を講ずるためには、災害情報を迅速かつ確実に住民に伝達する必要があります。
防災行政無線のうちスピーカー等により直接住民に災害情報を伝えるための同報無線は、現在32の市町村が整備済みとなっております。
このたびの集中豪雨に際して気象情報等の災害情報の広報・伝達がおくれたとの指摘もありますので、今後とも災害時において迅速・的確に住民に対し情報が伝達できるよう、市町村の防災行政無線の整備を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○浦崎唯昭君 休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後5時47分休憩
午後6時5分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) なかなか難しい問題でして、安波訓練場の返還について、県はこれまで提供されてきた土地480ヘクタールと水域7895ヘクタールが返還されることから、基地の整理縮小を着実に進める観点から返還に了承したものであります。
返還に伴い北部訓練場に土地及び水域が追加提供されますが、先ほども述べましたように地元の同意が得られていること、追加提供される面積が返還される面積に比べて極めて小さいこと、施設の構築を伴わない上に提供される土地の場所、使用方法が住民生活に支障を来すことはないと考えられることなどから、安波訓練場の返還を促進することが基地の整理縮小につながると総合的に判断したものです。
さらに追加提供される土地、水域については、基地返還アクションプログラム(素案)に基づき北部訓練場の返還と同様に2010年までには返還してもらうよう国に要望してあります。したがって、安波訓練場の返還を了承したことは、これまで基地の機能強化や固定化に反対してきた県の方針を変えるものではありません。
それから、日米安保条約については先ほども申しましたけれども、日米安保条約が日米間の自由と民主主義という共通の価値観、政治あるいは経済分野での緊密な関係の確立等に寄与したとして高く評価する論もあることは承知しています。
しかし、日米安保条約については二国間の軍事同盟的なものではなく、これをASEAN地域フォーラムのような多国間の平和友好的なものや経済・文化的側面を重視したものに改め、軍事力ではなく、経済や文化交流等を通じた平和友好的な関係を構築することによって国の平和と安全を確保することが望ましいと考えています。
○浦崎唯昭君 議長。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後6時8分休憩
午後6時18分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 安全保障問題については、先ほども申し上げましたように一概に、一刀両断に賛成、反対とかという形で言えるような問題ではないと考えております。ですから先ほど申したとおりの答弁でございます。
○議長(友寄信助君) 浦崎唯昭君。
〔浦崎唯昭君登壇〕
○浦崎唯昭君 再質問を行います。
知事の政治姿勢の中で、小渕総理の所信表明での重要、最重要の問題でございますけれども、これについて額賀長官がどう言ったのかこう言ったのかではなくして、所信表明で最重要から重要になっているんですよ。所信表明の重みというのはどんな感じなんですか。
それから、マスコミの報道でも内閣内政審議室はまた1人減、発足時の半数となっているんですよ。これがまさに証明しているではないですか、御答弁をお願いいたします。
それから、知事は反対も賛成も言わなかったと、橋本総理のマスコミでの会見でございますけれども、じゃマスコミの記事はうそだということですか。
それから、6月定例議会の安波訓練場についてでございますけれども、追加提供、新たに基地ができたということの確認をさせてください。
それから、日米安全保障条約について賛成とも反対とも一概に言えないということでございますけれども、もう一つの例えば日本共産党さんが最近変わってまいりました。一時凍結というお話もございましたけれども、そういういろんな選択があろうかと思いますので、今のままでは県政を預かる知事がこの安保条約についてはわからないというようなことにしかなりませんので、これははっきりとさせていただきたいと、このように思います。
それから危機管理体制の中で、土木建築部長、これは言わなくても答弁があるものだと思っていたんですけれども、あれはモノレール工事がさまざまな形で影響をしているということは久茂地川沿線、それから陳情もあろうかと思います。答弁しないのはこれは不親切だよ。
当然そういう答弁があるものだと思っていたんですけれども、モノレール工事の関連での人災であるというようなことも言われておりますけれども、それについて御答弁をお願いをいたします。
以上です。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
小渕総理大臣の発言の中に最重要という「最」の字が抜けているということですけれども、それによって沖縄に対する態度が変わるかどうかということは今の段階ではわかりません。
それから、マスコミの記事が間違っているのかという趣旨のお話でしたが、現にこのマスコミにそう書かれているわけですから、間違っているかどうか、マスコミがそう書いているわけですから、そのとおり引用したわけです。
それから、新たな基地の提供については、先ほども申し上げましたように安波訓練場の返還について県はこれまで提供されてきた土地480ヘクタールと水域7897ヘクタールが返還されることから、基地の整理縮小を着実に進める観点から返還に了承したものですと申し上げたとおりでございます。
それから、安保条約につきましても、先ほども申しましたように安保条約については日米間の自由と民主主義という共通の価値観、政治あるいは経済分野での緊密な関係の確立等に寄与したとして高く評価する論もあることもよく知っていますと。
しかし、日米安保条約については二国間の軍事的な側面よりも、ASEAN地域フォーラムのようなもっと多国間の交流を通しての方が望ましいですと私が申し上げているわけです。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 7月17日の集中豪雨について、モノレール建設工事と久茂地川沿いの浸水との関連についてお答えいたします。
平成10年7月16日から17日にかけての降雨は、先ほど文化環境部長からも御説明がございましたけれども、1時間最大雨量が110.5ミリ、2時間最大雨量が145ミリという沖縄気象台観測史上最大級の降雨でございました。
特に1時間最大雨量は、100年間に1回の確率で起こるような降雨でございました。その結果、およそ毎秒58トンの出水量があったと推測されます。これは久茂地川改修計画の対象流量毎秒50トンを超えるものでございます。
モノレール工事と久茂地川沿線の浸水被害との関連でございますが、一部バックウオーター等の影響はございますけれども、浸水についてはやはり異常降雨と満潮時が重なったことにより河川への排水が困難になったことなどが主な原因であると思っております。モノレール工事による直接的な影響はなかったものと考えております。
今後は、現在施工中の工程の見直しや作業班を増すなど工事の早期完了に努める所存でございます。
また、一部において防波堤堤防の低い箇所がございますので、現在、土のう等でかさ上げを実施したところでございます。
そのほかに、今後の施工計画に資するために自動水位観測計を6カ所設置いたしまして、さらに高水等には流速観測を行うこととしております。
ガーブ川を含めた安里川流域の総合的な治水対策につきましては、県と那覇市で雨水対策協議会等を設置いたしまして、今後総合的に検討していきたいと考えております。
出水時の対応についてお答えいたします。
久茂地川沿線のモノレール工事については、異常気象時に対応するために降雨の状況にあわせて準備体制から、警戒第1、第2配備体制をとることとしておりました。
今回の豪雨につきましては、7月16日の9時30分の大雨洪水警報、17日午前2時の第2回目の大雨洪水警報発令にあわせまして通行車両の安全確保のための誘導及び関係機関への連絡等を行っております。
午前3時15分から道路上の水が引き始めたときから現場付近の整理、清掃を行いました。警報の解除となった午前4時30分に警戒体制を解除いたしました。
今回の事態を踏まえまして、今後とも異常時での対応をより一層強化したいと考えております。
以上でございます。
○浦崎唯昭君 議長、休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後6時28分休憩
午後6時30分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
浦崎唯昭君。
○金城繁正君 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後6時30分休憩
午後6時34分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
15分間休憩いたします。
午後6時34分休憩
午後11時57分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
本日の会議は延会いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助君) 御異議なしと認めます。
よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。
次会は、9月28日午前10時から会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後11時58分延会
前発言
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19980502000010