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平成 3年(1991年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 2月26日
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議 事 の 概 要
平成3年2月26日(火曜日)
午前10時3分開議
日程第1 代表質問
1 儀間 光男君(自民党)
2 比嘉 勝秀君(自民党)
3 岸本 安神君(社大党)
午後9時3分延会
○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた教育委員会委員長赤嶺千講君は、別用務のため本日及び明日の会議に出席できたい旨の届け出がありましたので、その代理として教育委員会委員長職務代理者前田功君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) この際、申し上げます。
昨日の会議は、都合により3人の質問を残したまま延会いたしました。
よって、本日の質問は、お手元に配付の代表質問通告表の順位に従って2番から順次行うことにいたします。
○議長(平良一男君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
昨日の儀間光男君の安保、基地問題に関する質問に対する答弁について知事から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 昨日は、私の答弁との関連で大変長時間お手間を取らせましたことに対し、まずおわび申し上げます。
昨日答弁したものは、いささか舌足らずであったかもしれないのでいま一度答弁させていただきます。
一般論として申し上げれば、自衛隊は軍隊であると認識することは可能だと思います。
また、自衛隊基地が軍事基地に含まれるのではないかと考えられます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前10時5分休憩
午後4時18分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
儀間光男君。
〔儀間光男君登壇〕
○儀間光男君 知事、私は知事から一般論を聞こうなんて思ってないんです。知事の考え方をお尋ねしているんですね。
ところがあなたは、12月からきのう、きょうに至るまで答弁、くるくるくるくる変わるんですよ。一貫性がない、整合性がない。それを指摘しておいた。
そこで、確認いたしますけれども、自衛隊は軍隊なんですね。自衛隊基地も軍隊基地なんですね。その2点を確認したいと思いますから、御答弁をいただきたいと思います。知事の意見として、一般論じゃないんですよ。知事はどうお考えなのか、それをお尋ね申し上げているんです。
ですから、自衛隊は軍隊であるという答弁、確認をしますよ。したがって自衛隊基地は軍隊基地であると、この2つを確認しておきたいと思います。御答弁いただきます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後4時20分休憩
午後4時21分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 軍事基地の中に自衛隊基地も含むのかという御趣旨の志村議員の質問にお答えしたとおり、繰り返しになりますが、自衛隊は軍隊と理解されておりますので、自衛隊基地も軍事基地に含まれるものと考えられます。
○議長(平良一男君) 比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 自由民主党沖縄県連3番バッターとして大田知事に御質問を申し上げます。
まず、初めての知事への質問でございますので、昨年11月の選挙にめでたく当選されて知事に御就任されたことを改めて心からお祝いを申し上げます。
ところで、11月に大田県政がスタートして3カ月になります。なかなかわかりにくいスタンスであります。
私は、12月定例会から今回の定例会にかけまして、学者知事でございますので、もっとまじめに、そして悩みの姿勢を持った答弁がなされるかと思ったわけですが、きょうのこの自衛隊の問題の答弁につきましても、国の極めて根幹にかかわる重要な問題を、もういとも簡単に答弁を変えておる。そういうところからは真の沖縄県の利益が守れない。
そういうことで、私はさきに指摘を申し上げまして知事に質問を行います。
まず質問に入る前に、新石垣空港建設間題、そして全国植樹祭の問題、これは知事、南の最果て、北部の最果ての地域の問題でもございます。この2つの問題に共通して流れている問題がございますので、ひとつ改めて認識をやっていただくために私は知事に申し上げます。
これは貧困からの脱却、そしてこの過疎化をどうにか逃れたいという地域の脱却がこの最果ての皆さんの心の中にはございます。
ただ、新石垣空港は石垣市の問題ではございません。あの離島のさらに離島で苦しんでおる方々、また北部は名護だけの問題じゃございません。陸の孤島と言われた北部の国頭村のあの地域の問題、これは貧乏からどうにか脱却してとにかく生活をしたいという戦前からの苦しみがこの地域の皆さんにございます。
私は、そういうことでこの新石垣空港、そして全国植樹祭の問題、特にこの後半の植樹祭の問題について知事にもう一度お聞きをいたします。
大田知事、北部の皆さんは、第3次の振興開発計画の幕あけは、北部の振興の幕あけと大きな期待を持ってこれに臨んだわけであります。
20周年記念事業としてのこの植樹祭は、金の面ではひょっとしたら余り影響はないかもしれません。ところが、やはり北部振興を図っていくときには、この問題は大切な問題であったんです。
もう一つは、昭和47年に復帰をして、復帰の3大事業としてなされたあの海洋博、若夏国体、復帰記念植樹祭、この3つの記念事業のときに、そのときでも記念植樹祭は北明治山に実は決まろうとしておったんです。ところが当時の屋良革新県政の手で摩文仁ケ丘に持っていかれた、糸満市に持っていかれた。そしてそのときは県民も、北部の皆さんも知事のお考えを理解して、できるだけ亡くなった遺族の方々に、復帰をしたというその場で報告もしたいということもあって、まあ大きな動きにはならなかったわけであります。
ところが、復帰20周年事業としてこれからいよいよ北部振興が始まろうとしている矢先に、これを大田知事がまたこのプロジェクトを取り上げるということは、北部の皆さんにとってはこれは知事の何ぼ理屈をこね回しても、これは向こうの方々に通ることではございません。
ヤンバルの方々は、戦前から苦しい生活をして、自分のふるさとを後にして、自分のふるさとを決していやで那覇に住みついておるわけじゃございません。自分のふるさとを常に大切にし、そして自分の子や孫を育てるために戦後、この那覇市内を中心に移り住んできたところはよく御存じであります。大田知事も久米島からこっちに来ておる、それと同じであります。これは生活するためであり、また子や孫を育てるための、向こうでは生活できぬわけですから、そういうことで来ておるわけであります。
ですから私が考えるのに、私は地元の出身でひいき目で言っているわけでもございません。本当に金武町、恩納村の都市型訓練、そしてハリアーパッド、全部北部に集中している。
現在、金武でも本当に激しい演習が繰り返される。そうなりますと、いやなことは全部北部に押しつけておって、そしてこの決めたことも、知事決裁を受けて、審議会も経て相当の期間をかけて検討して決めたことを、これをそのまま引き取っていくというこの姿は、大田知事には血も涙もない。大田知事、よくおっしゃるでしょう、選挙のときにも、当選して後も。本当に心を込めて弱い方々に光を当てていくと。なかなかこれは投資効率の問題からいたしましても、北部の振興というのはなかなか難しい。そして過疎化を克服していくというのもたかたか難しい。そこにやはり政治の手を差し伸べていって、これを救い出していくという基本的な考えがないと、私はこれはどんなに知事が抗弁しても、あの地域の皆さんにはこれは理解されないだろうと私は思うわけでございます。
もう一つは、基地間題でアメリカに行かれるという知事のあの姿勢は、私はやはり、ついでに大田知事はアメリカ通でございます。英語も堪能でありますし、これは本当に前西銘知事の訪米しての基地間題の解決は、新たな手法で本当に我々も政治に取り組む立場は違っても大きな期待をしておったわけですが、よく見ておると、どうも那覇市の親泊さんも一緒に行きましょう、沖縄市の市長も一緒に行こう、宜野湾市長も一緒に行こう、読谷村長も一緒に行こうと。何かこう全部ヤーニンジュだけ一緒になってアメリカに行くというようなことでは、これではこの壁の厚い日米間、どんなに知事がアメリカ通といっても、こんなにたやすく基地問題が解決するはずはないんです。
昭和29年から31年、2年までかけてやられた例の島ぐるみ闘争、プライス勧告が出て、これをはね返す、4原則を貫徹していくあの中でとられた手法というのはまさに超党派的であったし、特に共産党の、当時の人民党の諸君が、かいらい政権と言われた比嘉秀平行政主席を団長にして、また売国奴扱いされた当時の当間重剛市長、そして土地連合会の桑江朝幸さん等々、与儀立法院副議長を含めてこの4者に、また市町村議長会の皆さんも入れまして超党派でワシントンに乗り込んで、そしてまた残された皆さんは東京に行って全国の大会でこの沖縄の土地問題を訴えて、糸口を見出したという貴重な経験があるわけであります。
決して、大田知事がおっしゃるように沖縄県はみずからの問題を自分たちで解決していくということに欠けていたと、そして事大主義的なこの民族の要素もあるということには、知事がそうおっしゃっているものですから、知事は単独行動で、ヤーニンジュだけ連れていこうというこの発想になっていやしないかと。
やはり、これは自分たちに投票しなかった自民党も含めて、これは本当に全県的な運動に盛り上げて日米間の両政府に強く迫っていく姿勢がなければ、この基地問題もなかなか解決はしていかないんじゃないかなと、そういうことであります。私は、自分の琉球大学の同窓のお一人でもあるし、また恩師にも当たりますし、大上段から知事に非常に言いにくいんです。言いにくいけれども、ただ感想として、さきにも申し上げましたとおりあの復帰時に大変悩み苦しんで行政を引っ張っていった屋良知事、そしてその後を引き継いだ平良幸市知事、あの両革新知事は、やはり我々自由民主党の政治の立場の違う者からしても、本当に悩んでいらっしゃるなと。本当に、立場は違うけれども、理解はしてあげたいという気持ちになったものです。
しかし大田知事のこの手法というのは、どうも悩む姿勢というのは見えない。本当に与党諸君も支えないし、きょうのような議会混乱もあるし、もっと悩みの姿勢から理解を求めていく姿勢に変わってもらわないと、なかなかこの時局を乗り切っていける形にはならないんじゃないか、そういうことを強く指摘申し上げまして、通告に従い順次質問を行います。
まず最初に、教育課題について質問をいたします。
教育は、国づくりの基本と言われます。国民の資質を高めることが国の基本的資源となり、発展の活力であるからであります。
日本の成長発展の根底には、明治時代から教育に力点を置いた政策があったと評価されているのはそのためであります。社会が激しく変化し、技術の高度化、活動、活躍の場も島国を脱して国際的に拡大した今日、教育の重要性はますます高まるばかりであります。
たしか昨年は、世界の識字年であったと記憶しておりますが、我が国は識字ということを殊さら言う必要がなく、そういう年があったのかと印象がないのであります。世界に冠たる教育国であると思うわけであります。
日本国民としての基本的認識を高め、時代の要請に対応した教育を行うことは、県政運営の主要施策でなければならず、21世紀の主役を誤りなく育てることが知事がなすべき大きな仕事の一つであります。
西銘県政は、こうした教育の重要性を施策に反映させ、数々の事業を展開してまいりました。昭和57年度の人材育成財団の設立を初め県立図書館の新築、県立芸術大学の設置、米軍施設内大学への就学の実現、特色ある高校として開邦高校、那覇西高校、球陽高校を設置するとともに、各高等学校での科目の新設など多様な施策を実施し、高い効果を上げていることは県民がひとしく認めるところであります。しかし、多くの課題が残っていることも事実であります。西銘前知事は、さきに申し上げたように人材をもって資源となすとの合い言葉で一にも二にも人づくりだとして関係部局を激励したものであります。その施策の一つが学力向上であります。
私は、人づくりで一番大きな役割を果たさなければならないのは学校教育であると認識をいたしております。この点、知事も同じだと思います。
県教育委員会の資料によりますと、我が県の児童生徒の知能、勉強に対する意欲は全国水準にあるが、現実の学力は低く、しかも高学年に進むにつれて全国との格差は広がる傾向にあるということであります。
また新聞で見ますと、平成元年度の高校中退率は3.4%で2000人にもなっているようであります。全国一の不名誉な数字となっているのであります。
このような現状を打開するため、県教育委員会は、昭和63年度を初年度としてきめ細かな学力向上計画を立てて県民運動として盛り上げ、何としても児童生徒の学力を全国水準に引き上げようと懸命に努力した結果、成果が徐々にあらわれてきているということであります。
琉球放送のテレビ番組で久米島の事例を取材し、放映していたことを記憶いたしております。県民、我々父母は、この施策展開を両手を挙げて支持、支援するものであります。各市町村に結成されているのはその証拠であります。
しかるに、大田知事の支持母体でその中心となって選挙運動をしてこられた沖教組、高教組が、この学力向上対策に組織的に反対していることは断じて容認できません。なぜ反対するのか、教師の能力が改めて問われるからなのか、人材育成という大事業に誇りと自信を持って取り組めないのか、全く残念であります。
聞くところによりますと、他府県からの転勤者が一番心配することは、沖縄の学校教育への不安だということであります。他府県からも安心して家族ぐるみで沖縄に来てもらうためにも、子供たちの多様な能力を引き出すためにも、自信を持って人生を歩むためにも、その基礎となる学力向上に県民挙げて取り組むべきであると考えるのであります。
そこで、知事に質問いたします。
知事は、県教育委員会が取り組んでいる学力向上対策についてどのように考えておられるのか、学力はそこそこでよいとお考えか、見解を伺いたいと思います。
2番目、沖教組、高教組の反対勢力についてどうお考えなのか。支援母体だからといってかばうことをせず、明確にお答えをください。
次に、国旗、国歌についてであります。
知事は、選挙公約や12月県議会の答弁で、学校教育の場で国旗、国歌を指導することについて、県民感情を無視しての一方的押しつけは避けたいと言っております。
また、新聞報道によりますと、知事室から国旗が消えたということであります。
およそどこの国の国旗、国歌にも歴史的に見て光と陰の部分があることは、それぞれの国民が認めるところであります。大田知事が個人的レベルで国旗、国歌に特別な感情を持ってこれに反対するのは自由であります。しかし120万県民を代表する知事の姿勢といたしましては、いかがなものか甚だ疑問であり、見識を疑うものであります。
公教育は、一党一派に偏せず、一定のイデオロギーによって左右されることなく、教育関係法規に基づき適切に行われなければならないことは至極当然であります。
4年後に第12回アジア大会が控えております広島県において、昨年の12月20日でございますけれども、広島県の県議会で自民、社会、公明、民社の、特に社会党の相乗りによって国旗に関する決議が共産党抜きで賛成多数で可決をされております。
我が県でも、その問題につきましては定着しておると私どもは判断をしておりますけれども、この法令の一つである学習指導要領に、学校教育の中で国旗、国歌を指導するよう明記されているにもかかわらず、これが知事の、12月定例会で答弁されましたので、この世界に生きる日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、すべての国の主権を尊重し相互理解を深める観点からも重要なことだと考えるのであります。
学校において国旗、国歌を指導することは、国際社会に生きる国民としての基本的マナーを育てることでもあります。知事の個人的感情の問題ではないのであります。
そこでお伺いをいたします。
国旗、国歌の指導について沖教組、高教組は、教育行政による一方的押しつけだとしております。知事も同じ考えに立っておられるのか。一方的押しつけは避けたいと12月議会で答弁しておりますけれども、教組と同じ考えかどうか見解を伺いたいと思います。また、押しつけた事例も示していただきたいと思います。
2点目に、西銘県政のときは知事室に国旗がありましたが、今はどうでしょうか。新聞報道のようにしまわれたでしょうか。その理由を御説明願いたいと思います。
次は、教育委員の準公選制度についてであります。
知事が教育の民主化と言われたことは、準公選にすれば教育は民主化するのですか。現在は民主的ではないということでしょうか、お尋ねをいたします。
提案されている教育委員の人事案件は、従来のステップを踏んで提案されたと思いますが、これは不本意ながらのことでしょうか。従来どおりとした理由を説明願いたいと思います。
ところで、公選制はいつごろまでに実現したいとお考えか。また、実現できるという自信がおありかどうかも見解を承りたいと思います。
次は、老人医療の無料化についてであります。
これは、12月定例会から引き続き質問を行います。知事就任後12月定例会でも指摘をされたわけでございますけれども、再度大田知事に答弁を求めます。
老人医療の無料化は、大田知事が選挙公約で県民に約束し、この公約で当選したようなものであります。
県内のお年寄りのすべての方々が病気の治療が無料になる、病院へ治療費を心配せずに気楽に行けると言って、本当にそう信じて大田候補に投票したものだと思います。また、大田候補もおじいちゃんやおばあちゃんに会って握手を交わすときに、今からは医療費はただですよと言ったことは間違いないものと思います。
我が陣営も西銘さん、相手がそこまで言っているのであれば、選挙に勝つためにこの際、老人医療の無料化を公約にしてはどうかという話も選対であったことも事実であります。ところが、できないことは選挙の場において公約に掲げて県民をだます道を選ぶことはできない。法律に違反し、国から財政的ペナルティーを受ける覚悟でもない限り、無料ではなく無理な話であるとわかっているはずであります。
我が党は、責任政党としてできないことはできない、公約に掲げたい、県民をだまさないという鉄則を守ったために西銘さんも敗れたと言っても過言ではないと思います。
大田知事、老人医療費の負担問題がどのような経緯を経て今日に至っているのか、御存じでしょうか。御存じの上で公約にしたのであれば、苦労を背負うことをみずから選択したことになるわけであります。
老人医療は、昭和48年から58年までの10年間無料でした。我が国も高福祉ができる国になったものだと喜んだものであります。しかしいろいろと問題が出たのであります。
例えば、しばしば事件となって摘発もされた一部医師の老人医療費不正請求の問題、老人ホームに入れるのを嫌って病院に入院をさせ、医師の退院要請にもかかわらず老人を引き取ろうとしない家族などの弊害が一部にあらわれたこと。そしてその中でも特に悪質な事例として、一部病院で経営安定のために老人患者を入れて病床を満たそうとし、家族の方もうば捨て同然に入院をはかるといった風潮さえ見られ、老人医療費無料化制度が悪用されたのが原因であります。
また、病院がお年寄りの皆さんのサロンにもなったことは御承知のとおりであります。ちょっとしたことでも病院通いをする。薬づけとなる。国の負担額は雲に達する勢いで増大していく。財政を圧迫したのであります。まさに大問題となったわけであります。
国はたまりかねて、昭和58年に老人保健法をつくり、その第28条において老人医療の一部負担、つまり有料化を定めたのであります。そして有料とする金額も、外来で400円から800円、平成3年度には1000円にすることが決められております。入院費も3カ月限りにおいて300円から400円、そして800円に引き上げられることになっているのであります。つまり昭和58年老人保健法が制定されてから老人医療費の一部負担金、すなわち患者が負担すべきものを公費で肩がわりすることが法的に不可能となったのであります。さらに依命通知により県単事業などで地方の公共団体がこれを肩がわりしないよう強い指導がなされているのであります。
こういう制度的状況下にある老人医療を無料化にするということが果たして可能か、これこそ時代に逆行し、法律に違反したこの対応の仕方ではないでしょうか。大田知事にこのことをお伺いいたします。
まず最初に、福祉先進国と言われるヨーロッパ諸国では高福祉、高負担という原則に立っているようであります。この原則についてどのように知事がお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
また、日本の福祉政策についての見解もお伺いいたします。
老人医療に関することは、老人保健法に基づく機関委任事務です。知事の一存で無料化ができないということになりますが、実行なさいますか、明快にお答えをいただきたいと思います。
無料化を実施している全国の例を示し、なぜ実施が可能か、どのようなペナルティーが科されているのか、御説明をいただきたいと思います。また、それが及ぼす財政的影響についてもお伺いをいたしたいと思います。
大田知事が無料化すると言われる年齢の範囲は何歳以上で、どういう条件を持つんですか。そして何万人と想定されますか、お示しを願いたいと思います。
国は、平成3年度から外来で1000円、入院で800円に引き上げるとしております。この一部負担金、単価で計算すると無料化したときの県負担額は平成3年度で幾らになりますか、数字で具体的に示してもらいたいと思います。
また、その補てん財源はどうなっているのかもお伺いをいたしたいと思います。
さきに申し上げましたが、知事がこの公約を実行した場合、国から何らかの財政的ペナルティーを受ける覚悟がなければならないと思います。そうなりますと県財政に大きく影響が及んでまいります。それでも実行する覚悟はできているのか、その覚悟のほどをお聞きいたしたいと思います。
次、高過ぎる国民健康保険税の負担分を軽減するため、県の支出を大幅にふやすという知事の公約についてお伺い申し上げます。
この公約も知事御自身、この保険税の内容を御承知の上での公約でしょうか。老人医療の無料化と同じように、財政は潤沢で思うようになるとお考えでしょうか。全く理解に苦しむ公約であります。
県民の負担は、可能な限り軽いにこしたことはございません。だれもが望むことであります。しかし国庫支出に7割以上も依存する県財政で大幅な支出をして税率を引き下げるという発想はどこから出てくるのか。安易といえば安易、無責任といえば無責任と言える発想であります。おまけにこの事業は市町村自治体が行う事業であります。県の立場から税率を引き下げてあげるとか言えることなのか、知事の見解を知りたいと思います。
そこでお伺いをいたします。
県内の被保険者の数はどれだけか示してもらいたいと思います。また、1人当たりの年間保険料は、現在幾らですか。その保険料は全国平均と比べて高いのか、安いのか、何%相当額か、お示しを願いたいと思います。
保険料は年々増加の傾向にあります。その増加分を県が負担した場合、およそどれだけの持ち出しとなるか、金額で示してもらいたいと思います。
知事は、税率そのものを引き下げると言われております。増加分も負担し引き下げ分も負担するとなれば、県の持ち出し所要額は幾らになりますか。そしてその財源を何に求めますか、明確にお答えをいただきたいと思います。
また、今度の予算案の中にこの公約実現のための施策が盛り込まれているのか、お伺いをいたしたいと思います。
また、この事業は市町村自治体の事業であります。知事は、この事業に関与できるとお考えですか。その法的、制度的根拠を示していただきたいと思います。
次は、厚生年金の格差是正についてお伺いをいたします。
これは、復帰のときに将来格差が生じないのか否か検討され処理されるべき性質のものでありました。いわば屋良革新県政が置き忘れたものであります。いずれにいたしましても解決が待たれる課題であります。格差是正の該当者の皆さんは高齢化が進み、沖縄の復興発展に貢献された苦労にこたえるためにも早期解決が急がれる性質の課題であります。西銘知事もこの課題解決のために関係当局に対し要請に要請を重ねてまいりました。政府の壁は想像以上に厚いものがありました。大田知事の手腕の見せどころであります。
そこでお伺いをいたします。
格差が是正されますと県全体としてどれだけの受け取り増加となるか、お示しを願いたいと思います。なかなかの難題だと聞いておりますが、関係省庁が問題にしているのは何か、具体的にお伺いをさせていただきます。
知事は、この件で要請されたことがありますか。また、どのように取り組まれておられるのか、お伺いをいたします。
次に、離島僻地医療の整備について質問を行います。
我が県の保健医療は、復帰後第1次、第2次振計に基づく整備事業によって目覚ましく充実してまいりました。高率補助の効果は極めて大きなものがあったわけであります。特に西銘県政の12年間には県立南部病院の新設、県立精和病院の移転新築、県立那覇病院、宮古、八重山病院の整備、県立名護病院の新築などにより病床の増加、高度特殊分野の充実、医師、看護婦など医療要員の大幅な増加によって地域医療の拡充が図られてきたのであります。
さらに、これら県立病院は採算がとれず、その赤字の補てんのために年間50億円もの負担をしてきたことは、全国でも類例のない屈指の支援体制と言われているのであります。
都市地区の医療は、民間の施設整備と相まってかなり向上し全国レベルに達したものと専門家は指摘をしております。しかし離島僻地では改善の余地が数多くあり、整備が待ち望まれているのであります。
そこでお伺いをいたします。
離島の県立病院、僻地の診療所をどのように整備なさる方針か、お伺いいたします。診療科目をふやしてくれとの要請もあります。どのように対応なさるおつもりか、お伺いいたします。
救急搬送体制を県単独で確立するとなると、予算規模はどれだけになりますか、示していただきたいと思います。
自衛隊の救急体制は人員、機器、経費等は万全と思われます。県は今後、自衛隊の支援協力を頼むのかどうか、これもお伺いをいたしたいと思います。
最後に、知事の自然保護についての考えを伺っておきたいと思います。
自然というのは大事にしなければなりません。これはだれもが思うことであります。しかし思い方を誤るとゼロか1かという極論に走り、保護と開発の妥協なき闘争が展開されるのが常であります。そのとき忘れがちなのは、保護の中に2つの視点、対応の仕方があるということであります。それは保全すること、そのほかは凍結することであります。保全とは人間が関与し、その自然の特性にあわせて管理育成することであります。凍結とは、人間が何らの手を触れず放置することであります。
知事の発言を聞いておりますと、凍結し放置すべきというように受けとれるのであります。そうでなければ全国植樹祭の変更理由のように、雑木でも伐採してはならないという発想は生まれないのではないでしょうか。知事の発想がもしそうであれば、今後の行政運営は開発プロジェクトの調整に多くの時間を要するのではないかと懸念するものであります。
小さな島々であるだけに、自然に対し多くの配慮が必要であることは当然であります。また、自然をほうっておけば、ただそこにあるだけの自然であります。それに人間が関与し多極な価値を見出して初めて資源に変化するのであります。しかし、資源も技術と資本を持って保全または開発、利用して沖縄の資産となるのであります。それで初めて後世に引き継ぐ宝となるわけであります。このような視点も持たずして守るか失うかという摩擦だけを生ずる発想は、指導者としていかがなものかと思うのであります。
そこでお伺いをいたします。
木一本たりとも切ってはならないという知事の発想は、知事の自然保護の理念であると考えてよいのかどうか、お伺いいたします。
知事の立場から開発と自然保護をいかに調和させるか、接点をどこに求めるのか、お伺いをいたします。
市民グループの自然保護運動と、行政の長としての知事のとるべき姿勢とは当然に異なるものと考えます。どのように異なると考えればよいのか、見解を承りたいと思います。
数々の質問を申し上げました。的確にして簡明な御答弁をお願いして終わります。なお、残った時間は再質問に充てます。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 比嘉議員の御質問に対してお答え申し上げます。
学力向上対策に対する知事の見解についての御質問にお答えします。
学力向上対策の目標は、児童生徒の知、徳、体の調和のとれた全面発達を目指すことにあります。本県児童生徒の実態は、全国水準との比較において特に知的側面に落ち込みが見られ、それは基礎学力の方に顕著にあらわれております。県教育委員会が推進している学力向上対策は、特に落ち込んでいる基礎学力の向上を図ることであり、児童生徒の健やかな成長を願う上でも大変重要であると認識しております。
また本県は、御承知のように資源に乏しく、特に人材育成は大きな課題であり、国際的な視野に立って進展する社会に対応し得る心身ともにたくましい県民を育成する意味からも大変重要であると考えます。
県教育委員会が昭和63年度から学校、家庭、地域、行政、関係団体等を網羅した県民総参加による取り組みを展開し一定の成果を上げていると理解しますが、今後とも関係機関団体等と連携をとり、学力向上対策をさらに充実するよう継続して取り組むことが重要であると考えています。
学力向上対策に対し教組の反対の姿勢をどう考えるかという御質問にお答えいたします。
学力向上対策についての職員団体の見解について、知事として言及することは差し控えさせていただきます。
県教育委員会の推進している学力向上対策は、豊かな人間性とたくましい県民の育成を目指すものであります。したがって児童生徒に基礎学力を身につけさせることは大切なことであり、今後とも継続して取り組むことは重要であると考えています。
学校教育における国旗、国歌の指導についてという趣旨の御質問にお答えいたします。
学校教育において国旗、国歌を指導することは教育委員会の所管事項でありますが、過去に国旗、国歌が戦争に利用された不幸な歴史があり、特に本県の場合、今次大戦において国内唯一の地上戦が行われ比類のない惨禍を受けたことから、一部に国旗、国歌に対する特別な感情があることも否めないので、十分話し合ってもらいたいということが私の真意でございます。
それから、知事室に国旗があるか。あったが、現在もあるかという御質問についてお答えいたします。
県庁舎における国旗の掲揚については、従来、県庁正面の所定の場所のほか、知事室にも掲げていましたが、執務室に掲げるのは一般的ではありませんので、現在のところ掲げていません。
それから、教育委員の準公選制についての知事の考え方についての御質問にお答えいたします。
準公選制については、根拠となり得る条例の制定が必要でありますが、その条例が制定されていない現状においては従来の任命方式を踏襲せざるを得ないと考えております。
なお、準公選制の制度化については、県民の行政参加を促進し民主的な教育行政の理念を実現していく重要な制度であり、他県の動向、既に実施している地方公共団体の実施状況等を参考にしながら、今後慎重に調査検討を進めていく所存であります。
老人医療の無料化と関連いたしまして、福祉先進国のヨーロッパ諸国は高福祉、高負担が原則となっていると。この原則の考え方と日本の福祉政策をどう評価するかという御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、ヨーロッパ諸国では高福祉、高負担の原則に基づき社会保障制度が充実していると思います。近年、我が国の福祉政策はヨーロッパ諸国を目標に推進されかなり充実し、おおむねヨーロッパ並みの水準に近づきつつあると言われておりますが、福祉を含めた社会保障制度は、所得の再配分の機能を持つものと解され、一定の受益者負担や応能負担は必要であります。しかしながら一部所得の低いお年寄りなどは、現行制度では十分対応できない部分があり、これに対する何らかの助成措置が必要かと考えております。
老人医療に関することは、老人保健法に基づく機関委任事務ということを知っているかという御質問に関連してお答えいたします。
老人医療給付に関する事務は、国から市町村長への機関委任事務であることは承知しております。しかしながら私が公約事項として老人医療無料化に努めると言ってきたことは、戦禍で苦労されたお年寄りの方々に報いる方法として、所得の低い方々に対しては保険外負担等の医療に関連する費用が実質的に軽減できるような措置、いわゆる福祉医療助成事業を県単独事業として実施したいということであり、機関委任事務の枠外の事業と考えております。
3番目、無料化を実施している全国の例を示してもらいたいと。そして実施した場合、どのようなペナルティーが科されているかということでございますが、老人医療の無料化を実施しているのは全国で59市町村あると聞いております。また、老人に係る福祉医療助成事業については23都道府県で実施されていると聞いておりますが、本県においては平成3年度の調査検討結果を踏まえて実施したいと考えております。
なお、どのようなペナルティーが科されているかという点については、現在のところ把握していません。
それから、無料化の老人の範囲は何歳以上かという趣旨の御質問にお答えいたします。
老人に係る福祉医療助成事業の対象範囲については、戦禍で苦労されたお年寄りの方々を対象にしたいと考えていますが、具体的には平成3年度の調査検討結果を踏まえて決めていきたいと考えております。
それから、国は平成3年度から一部負担金を外来で1000円、入院で800円にするとしているが、県の負担額はどのぐらいかという御質問についてお答えいたします。
国は、平成3年7月1日実施に向けて老人保健法に基づく一部負担金の改正を予定していると聞いておりますが、県が実施しようとしている老人に係る福祉医療助成事業については、平成3年度の調査検討結果を踏まえて事業内容を定めていきたいと考えております。
それから、公約を実施した場合に法律違反になると考えるのか、そうでないと考えるのか。ペナルティーがあれば、それを受ける覚悟はできているのかという御質問にお答えいたします。
福祉医療助成事業については、老人保健法で言う老人保健事業の枠外のことであり、これが老人保健法に抵触するものではないのでペナルティーが科されるものとは考えておりません。
それから、県内の被保険者数はどれぐらいかという御質問についてお答えいたします。
本県の平成元年度被保険者数は、58万5691人であります。平成元年度における被保険者1人当たりの保険税額は、全国平均が5万9495円であるのに対し、本県は3万4103円となっており、本県は金額にして2万5392円、率にして42.7%低くなっています。
保険税は年々増加の傾向にあり、その増加分を県が負担した場合、どれぐらいの負担になるかという御質問にお答えいたします。
過去の実績から試算いたしますと、平成2年度に対して平成3年度の増加分はおよそ16億円が見込まれています。
保険税を引き下げると公約しているが、何%引き下げるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
県としては、市町村の保険税負担の軽減を図るため、県費助成について他県の状況等の調査を進めているところであり、その結果を踏まえ県費助成の強化に努めるとともに、国庫負担率の引き上げについて全国知事会等地方6団体を通じて国に対し要請していきたいと思っています。
予算案の中に公約実現のための施策が盛り込まれているかという御質問にお答えいたします。
保険税は、医療費の動向に影響されますので、医療費の伸び率が全国平均を上回る本県においては市町村国保事業の運営は厳しい状況にあります。そのため健康づくり事業等医療費適正化対策をこれまで以上に強力に推進することによって保険税負担の軽減を図る考えであります。
さらに、県費助成の強化につきましては、他県の状況等の調査を進めているところでありまして、その結果を踏まえ実施主体である市町村とも十分協議した上、助成の強化に努める所存であります。
これは市町村自治体の事業ではないかという御趣旨について、そして法的根拠は何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
国民健康保険事業の実施主体は市町村自治体でありますが、県は、国民健康保険法第4条に基づき国民健康保険事業の運営が健全に行われるように必要な指導をしなければならないと同時に、同法第75条の規定に基づき国民健康保険事業に要する費用に対し補助金を交付することができるようになっています。
それから、厚生年金の格差が是正されると、県全体としてどれだけの受け取り増額となるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
現在、社会保険庁で管理している被保険者(受給者)個々人の被保険者記録、例えば資格の得喪年月日、標準報酬月額等は、沖縄の厚生年金保険制度が発足した昭和45年1月以降しかないため御質問の金額の算出は事実上困難でございます。
なかなかの難題と聞いているが、その理由は何かと、関係省庁が問題にしているのは何かという御質問にお答えいたします。
国としては、昭和29年に遡及して適用するのは困難であるとしております。その理由は、厚生年金保険制度では、従来から適用対象の拡大を図ってきているが、これにより途中から厚生年金に加入することとなった者については、年金を受給するために必要な加入期間を短縮する等により年金受給権を確保しており、これまで遡及して適用した例がないことから、他に及ぼす影響が極めて大きいことにあるとされております。
県といたしましてはどういう方法をとり得るか、今後、幅広く検討してまいります。
それから、知事はこの問題解決の要請をしたかという御質問にお答えいたします。
谷沖縄開発庁長官の来県──平成3年1月16日のことでございますが、その際に直接要請いたしております。今後とも格差是正について、その趣旨を機会あるごとに国に伝え、さらなる改善を要望してまいります。
この問題の解決は急がねばなりませんと、どのような手続をとっていくかという趣旨の御質問にお答えいたします。
この問題は、制度上極めて解決が困難であることは御承知のとおりであります。しかし御質問の趣旨は十分理解しており、県内各界の強い要請と期待にこたえるべく、今後とも関係機関と十分な調整を図りながらこの問題の解決に最大限に努めたいと思っております。
離島の県立病院、僻地の診療所の整備、医師、看護婦の確保をどうするかという御質問にお答えいたします。
まず、離島の県立病院としては宮古病院と八重山病院がありますが、両病院とも昭和57年、58年度に整備を行い、また診療所については年次計画的に整備を進めております。
離島の県立病院については、医師の確保が困難なことから、厚生省派遣医師の配置及び琉大を初め本土の大学病院からの派遣、嘱託医師の配置等によりその確保を図っているところであります。
また、看護婦については、新採用職員の配置及び各病院間の人事ローテーション等により対処しております。
診療所の医師につきましては、従来から配置している自治医科大学卒業医師に加え、国費医学部卒業医師の配置増、県外からの新たな医師確保及び一部の医師の勤務延長等により、現在稼働している19カ所の診療所のすべてに配置できる見通しを持っております。
また、看護婦については、現在7カ所が未配置となっておりますが、離島僻地医療の充実強化を図るためには、基本的にはすべての診療所に配置すべきであると考えております。しかしながら定数上の制約や人材確保が困難である等の問題もあるので、新年度は新たに二、三カ所について配置し、残りの部分は今後できるだけ早期に配置する方向で努力しているところでございます。
診療科目をふやしてくれとの要請があるが、どう対処するかという御質問にお答えしますと、県立宮古病院及び県立八重山病院とも条例上はほとんどの診療科目が設置されていますが、専門医師の確保が困難なことから開設をしていない診療科目もあります。これらにつきましては、今後医師の確保に努め早期開設を図っていきたいと考えております。
それから、自衛隊の救急搬送体制はどうなっているか、県は、今後とも自衛隊の支援協力を頼む考えなのかという御質問にお答えいたします。
現在、離島からの救急患者の空輸については、陸上自衛隊第1混成団第101飛行隊がパイロット30名を含む150名の隊員と航空機等10機を使用して24時間体制で実施しています。
県独自で実施するとなると、航空機及びパイロット等要員の確保並びに維持管理等いろいろ解決すべき問題がありますので、自衛隊に支援協力をお願いしているところであります。
なお、県独自の体制がとれるのか、どの程度の予算が必要なのかについては検討しているところでございます。
それから、自然保護行政の取り組みと全国植樹祭について、木一本たりとも切ってはならないという発想は行き過ぎではないかと、知事の自然を守るという基本的な考え方を聞きたいという御質問にお答えします。
自然環境の保全は、県土の均衡ある適正な利用を図る上から、極めて重要な課題であると考えております。
したがって、私は、自然保護行政を進めるに当たり、沖縄県自然環境保全基本方針に規定されている理念、すなわち「県民生活における自然の役割を思うとき、自然がかけがえのない県民共通の遺産であることを深く認識し、その恩恵が現在及び将来の世代に享受できるよう本県の自然を保護することを県民共通の責務として最善の努力を払わなければならない。」等の理念を踏まえて進めてまいります。
このような認識に立って、学術的価値の高い自然や県民的資産として後世に受け継ぐ必要のある自然地域については、自然的条件が優先する地域として位置づけ、その自然環境の保全を優先していく必要があると考えています。
また、公共、公益性の高い各種開発行為、ダム開発だとか道路建設、農用地開発等で樹木の伐採や土地の形状変更を伴うものについては、自然環境の保全に十分配慮しながら、生活環境の確保と地域性豊かな県土の均衡ある発展を目指し、開発と保全の調和を図る必要があると考えております。
開発と自然保護の関係についての御質問にお答えいたします。
私は、本県の自立的経済発展を図るための諸政策の立案実施に当たっては、人間尊重の理念のもとに自然環境との調和を図る旨表明いたしました。
したがって、このような基本的認識を踏まえて県土の開発利用に当たっては公共の福祉を優先させるとともに、固有性の高い自然特性に配慮しつつ秩序ある開発に努め、県土の均衡ある発展と有効利用を図る必要があると考えております。
また、個別の開発利用に当たっては、開発が自然環境に及ぼす影響予測を含めた事前調査を実施するとともに、自然の特性並びに地域住民の理解とニーズを踏まえて合理的な計画のもとに進める考えであります。
このような観点から、事業者への指導を徹底するなど乱開発の未然防止に努め、秩序ある開発を図っていきたいと考えております。
なお、実施の段階においては、自然環境保全法、自然公園法、森林法及び沖縄県県土保全条例等の個別規制法の運用を通じ、ケース・バイ・ケースで適切な措置を講じていく考えであります。
○議長(平良一男君) 比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 ちょっと休憩してください。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時20分休憩
午後5時21分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
○比嘉勝秀君 この老人医療の無料化の問題につきまして再答弁を求めます。
これは、12月の定例会にうちの同僚議員からも指摘をされたわけでございますけれども、全く同じ答弁で、その域は、全然認識も全く同じであります。
知事、老人医療の無料化ですね、この老人福祉医療の助成の問題、そして一般福祉の助成の問題は別の問題じゃありませんか。
知事が一生懸命、このお年寄りに手を尽くしていきたいという気持ちはわかりますけれども、それは一般の老人福祉医療の助成の問題、また一般福祉の助成の問題、これは知事もおっしゃっているとおり枠外の事業として行っていきたいと。これはそれでいいわけです。
ところが、老人医療の無料化というのは、ちゃんと制度としてこれは確立されているわけですから、これは知事がおっしゃっているのとは違いはいたしませんか。もう一度御答弁を願いたいと思います。
もう1つ、環境保全基本計画について私は知事に答弁を求めておるわけでありますが、これは知事、私の聞き違いだったらちょっとごめんなさい。
昭和48年に沖縄県自然環境保全条例を制定し、50年には沖縄県自然環境保全基本方針、基本計画じゃないですよ。基本方針を決定し、自然環境保全の方向づけと制度の整備をもう既に行っているわけであります。これは無秩序な自然破壊を防止するためです。県民の健康で快適な生活環境は、本県本来の多様た自然環境を基盤として創出、維持されるものであるとの認識のもとでこの制度がつくられたわけであります。
革新共闘会議の大田知事が県民に公約したものは、これとは違うんです。これは方針。これははっきりと環境保全基本計画の策定、計画の策定とはっきり書いているわけであります。新たな計画にならなければならないわけであります。それももう一度御答弁を願いたいと思います。
そして最後に、けさから我が党の儀間議員への再々答弁に対しまして1点だけ大田知事にお伺いをいたします。
自衛隊は軍隊である。自衛隊の基地は軍事基地である。自衛隊基地は軍事基地である……
ちょっと待ってくださいよ、休憩、休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時24分休憩
午後5時25分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
○比嘉勝秀君 離島僻地の医療の整備についての項目の中で救急搬送体制の問題、自衛隊の救急体制の問題を私は質問を行っております。これと深いかかわりがございますので、この辺の概念を整理をして答弁を求めたいと思います。知事にお伺いをいたします。
自衛隊は軍隊である。自衛隊の基地は軍事基地である。これはもうはっきりと知事が答弁をなさいました。
私は、もう一度聞きます。これに関連してまいりますので……。
大田知事御自身で、しからば自衛隊は憲法違反と。自衛隊は軍隊であるとなったら憲法違反と。
我々は、自衛隊は軍隊とは思っていませんから、合憲だと規定しておるわけですが、大田知事にとりましてそう規定するのであれば、自衛隊は合憲であるとこう規定していいのかどうか、御答弁を求めたいと思います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時26分休憩
午後5時31分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 老人医療の無料化の関連の質問、無料化は制度化されていることだと、したがって福祉医療助成事業とは別のものではないかという御質問にお答えいたします。
老人医療の無料化は、一部負担金の減免などを含む広い考えのものでございます。
それから次に、自衛隊は合憲か否かという御質問についてお答えいたします。
現存している自衛隊が一般論として軍隊であると認識できたとしても、それが合憲か違憲かという問題につきましては、私は、一地方自治体の長として所見を申し上げるべき立場にはないと考えています。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時32分休憩
午後5時32分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) どうも失礼しました。環境問題について答弁漏れがありましたのでつけ加えます。
環境保全基本計画をつくるとの公約だが、その意図する内容と目的は何かという御質問についてお答えいたします。
環境問題は、昨今の急速な社会的、経済的な変化に伴って一層複雑化しておりますが、これに対処するには個々の関係法令を縦割りで運用強化していくだけではもはや十分ではありません。
このため、長期的な視点を踏まえて環境安全の観点から、強力に総合調整を行っていけるような行政的な仕組みが必要不可欠であり、これを具体化するものとして環境保全基本計画の策定を公約に掲げたものと理解しております。
この環境保全基本計画は、現在策定に向けての作業が進められている環境管理計画──仮称でございますが──とほぼ同一の趣旨のものであるところから、平成4年度の策定をめどとして強力に取り組み、今後展開されるべき新たな環境保全に係る基本的な計画としたいと考えております。
なお、同計画は、行政、事業者、県民等地域の構成者のコンセンサスを形成しながら、地域環境の特性に応じて中長期的視点に立った望ましい環境のあり方についての理念を明らかにし、その実績のためのシナリオや基本的なルールを示して、限りある地域の環境資源を将来にわたって持続的に活用していけるよう総合的な調整機能を果たすものとして策定していく考えであります。
○比嘉勝秀君議長、ちょっと休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時35分休憩
午後5時37分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 老人医療の問題もちょっと残しておりますけれども、自衛隊は憲法違反であるかと私は単純明快を求めたわけでございますけれども、一地方自治体の首長としてはコメントできないということでありますと、私は質問申し上げました救急医療体制、これにかかっているいろんな制度、いろんな問題が派生してくるわけですが、大田知事としての明快な答弁をもう一度ひとつ答えていただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時38分休憩
午後5時42分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 私は、12月議会で、自衛隊には評価することのできない軍事的側面と、評価することのできる民生協力活動の側面があることを指摘するとともに、国家の固有の権利としての自衛権を否定することはできない旨申し上げました。
現存している自衛隊が一般論として軍隊であると認識できたとしても、それが合憲か違憲かという問題については、私は、一地方自治体の長として所見を申し上げるべき立場にはないと考えています。
○議長(平良一男君) 比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 どうも知事、私もちょっとわからなくなってきましたよ。
こんな形で、こう答弁して、まともな答弁になるんでしょうか。
軍隊だと、一般的でもいいですよ、軍隊だと決めつけて、ところが仮に軍隊だということになりますと、例の海外派遣でもあれは派遣されよったわけです。ところが我々は反対もいたしました。だからこういう国会での論議になっているわけです。
ところがそうなりますと、知事が言っておる、これは軍隊だと。しかし自分はコメントできないんだということになりますと、何かこう、制度は利用し、使って、ところがこれは軍隊であるという決めつけをしていく姿勢、これは納得できないわけです。
ちょっと、志村会長に答弁しておるこのくだりを読んでみますと、米軍基地の存在が憲法違反だとは言ってないと考えておりますという答弁があります。そうなりますと、これは合憲ということになるわけですね。
ですから、二転三転しましたので、私は、自衛隊は憲法違反であるかと再三聞いたわけですが、コメントできないということでありますので、この辺は、私が質問通告しました救急医療体制の問題も含めていろんな問題が発生してくるわけですが、質問に入れないわけです、私は。
もう一度答弁してください。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時46分休憩
午後5時50分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 ちょっと、はっきりするためにもう一度聞かせていただきます。
自衛隊は、合憲ですか、または違憲ですか、これだけ聞かせてください。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時51分休憩
午後5時52分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 繰り返しになりますが、現存している自衛隊が一般論として軍隊であると認識できたとしても、それが合憲か違憲かという問題については、私は、一地方自治体の長として所見を申し上げるべき立場にはないと考えています。
○議長(平良一男君) 比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 それでは、どうもこの問題がはっきりした答えが出ないと私の通告の展開ができませんので、休憩を求めさせていただきます。(発言する者多し)
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時53分休憩
午後 6時6分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
休憩いたします。
午後6時 6分休憩
午後6時43分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 昨日の志村議員に大田知事はこうお答えいたしております。日米安全保障条約が国会により批准されたという事実から、米軍基地の存在が憲法違反だとは言えないと考えておりますと、そう明確に安保条約についてはお答えをいたしております。
私が聞きたいのは、どうして安保条約に対しては、これは国と国との条約でありまして、上位条約には答えておいて、自衛隊についてはコメントができないということは私は納得したいのであります。
もう一度明確な御答弁をお願いいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 私は、去る12月議会で自衛隊には評価することのできない軍事的側面と、評価することのできる民生協力活動の側面があることを指摘するとともに、国家の固有の権利としての自衛権を否定することはできない旨申し上げました。
現存している自衛隊が一般論として軍隊であるという認識ができたとしても、それが合憲か違憲かという問題については、私は、一地方自治体の長として所見を申し上げるべき立場にはないと考えております。
○議長(平良一男君) 比嘉勝秀君。
〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 安保条約に対してはしっかりしたコメントをなさっていらっしゃる。ところが、自衛隊に関しましてはコメントできないということであります。
私は、この問題こそは我々が政治家として、政治の衝にある者として知事も含めて、特に沖縄県が激しいこういう政治的な対立がまだ残っている中で、国の重要な根幹にかかわる問題でございますので、それで私どもはしっかりした形で答弁を求めているものでございます。
したがいまして、私はこの問題につきましては、もうそれ以上、この入り口でふさがっておりますので、答弁を求めるわけにはまいりません、きょうは。引き続きこれにつきましては、知事に基本的な問題でございますので、問いただしていくことを知事に表明して、我が党の一般質問からも出てまいると思いますので、これで質問を終わります。
○議長(平良一男君) 岸本安神君。
〔岸本安神君登壇〕
○岸本安神君 私は、沖縄社会大衆党県議団を代表し、さきに通告してあります事項について、所感を述べつつ順次質問を行います。答弁については、関係部長の御協力もお願いいたします。
最初に、知事の政治姿勢について質問いたします。
大田知事は、昨年の県知事選挙で、県民有権者の選択により見事に県政執行の最高責任者たる沖縄県知事に当選されました。昨年12月議会では祝意を申し上げる機会がありませんでしたので、改めて冒頭におめでとうございますと祝意を申し上げ、今後、県勢発展のために一層御奮闘されますよう願う次第であります。
さて、昨年2月の衆議院選挙、そして4月の沖縄市長選挙等で革新陣営が勝利を重ねる中で、一部には逆流現象はあったにせよ、沖縄県内の政治潮流は、これまでの保守から革新へと大きく流れを変えてきました。そして、ついに昨年の最大の政治決戦と言われた秋の地事選挙で、革新陣営は3期12年にわたって沖縄県政に君臨した保守知事を革新の大田知事が交代することに成功いたしました。
戦後46年、復帰後20年目の今日、国際、国内、県内を問わず、今日ほど政治の責任が重大で、また政治の転換や脱皮、そして飛躍が求められている時期はなかったのではないかと思われるのであります。政治に携わる者の責任の重さを今ほど肌に感じるときはないのであります。
それでは沖縄県内に生活をしております人々の胸の中で激しく渦巻いていたのは一体何であったでしょうか。それは国策優先の政治か、県民自治優先の政治か、山積する政治課題を前に沖縄県民は大いに悩んだのであります。保守県政12年の実績について一定の評価をしつつも、平和を希求する県民は沖縄の前途を憂えていたのであります。
しかし、これまでも沖縄県民は時代の節目、すなわち激動の時代には流れを変えるべく革新知事を選択してまいりました。例えば、東西冷戦のもと、ベトナム戦争の真っ最中に乎和をこいねがう沖縄県民は、核抜き本土並み返還を掲げる屋良革新主席を誕生させました。そして、東西の緊張緩和が確実に進展しつつある今日、日米安保条約による沖縄の軍事基地が極東の平和に大きな脅威であり、沖縄の平和的経済発展の阻害要因となっている現状に対し、県民は大田革新知事を選択したのであります。まことに賢明な歴史選択であると敬意を表するものであります。
さて、大田知事は選挙の戦いの中で、平和憲法の理念に基づき県民の命と暮らしを大事にするという高邁な政治理念のもと、沖縄のアイデンティティーに立脚した特色ある自治県政の確立と、老人や子供、女性及び障害者などの社会的弱者に対する思いやりのある県政づくりなどの政治姿勢を表明しております。
特に、女性副知事登用に関しては、医療福祉の充実と女性の地位向上の観点から、また社会的弱者とのパイプ役に意を払う意味からも全国に先駆けての登用として昨年12月議会に提案されました。残念ながら継続審議になっておりますが、野党の皆さんの御理解と御協力が得られるものと期待いたします。
そのほかに、沖縄が直面している多難な状況のもとで、選挙で公約された事項を一つ一つ着実に現実の県政の上に十分に具現されることを期待いたします。
我が沖縄社会大衆党は、憲法の精神を堅持して、ヒューマニズムを基底とした政治を目指している政党であるだけに、大田知事のこのような政治姿勢には全面的に賛意を表するものであります。それゆえに大田知事がこの政治姿勢を揺るがすことなく、今後、現実の県政の上に十分に具現されることを期待しております。そうした期待感を持って、知事が提案された県政方針及び諸施策について質問をいたしますので、率直な御答弁を求めます。
1つ、全国植樹祭の開催地の変更についての知事の基本的姿勢と御所見を求めます。
2つ目に、女性の地位向上を含む社会的弱者の問題と関連して、女性副知事登用について知事の御所見を賜ります。
3つ目に、戦後処理における戦争マラリア補償問題の解決に向けた知事の御決意を賜ります。
4つ目に、復帰処理問題における厚生年金の格差是正問題の早期解決に向けた知事の御決意を賜りたいと思います。
次に、議会棟について質問いたします。
現議事堂は、昭和29年7月に竣工し、今日まで37年の歳月を経過しております。
昭和29年4月、第4回立法院は旧円山号において招集され、同年の8月には竣工なった現議事堂で初議会を迎え、立法府の機関として立法案の発議、米軍布告・布令及び旧日本法の雑居する中でさまざまな諸問題に対処し、戦後政治の舞台となった歴史的に重要な意味を持つ建造物であります。開会日には、米国高等弁務官のメッセージ演説等、米国統治下の27年間に多くの問題が展開され、全国の都道府県議会の中にあって唯一の立法活動を行い、言論の府を象徴するとともに、沖縄の戦後政治史を克明に記録してきた建物でもあります。
また、基地撤去、復帰決議及び施政権返還、尖閣列島領有問題、通貨切りかえ問題等々の260件余の決議を採択し、まさに沖縄の政治そのものであったのであります。この議事堂において、昭和43年の行政主席公選法、昭和45年の沖縄住民の国政参加法等を立法化したのであります。
新議会棟竣工に伴い、本議事堂は取り壊しの運命にあると言われます。当時の三権分立の機能を持った司法、行政各棟の占領統治の建物が取り壊された現在、立法院議事堂のみでも残すべきものであります。
顧みると、戦後27年間にわたる米軍統治を象徴するのは本議事堂のみであり、特異の時代を経てきたことを思えば、米軍統治時代の資料類を収集し、米軍統治資料館として保存をし、後世へ残すことは行政の責任ではないかと私は考えます。このことについて、知事の明快なる御答弁を求めます。
質問第2番目に、平成3年度予算案について質問いたします。
国の平成3年度予算の編成は、平成2年12月22日の閣議で、平成2年度末の公債残高が165兆円にも達する見込みであること、国債費が歳出予算の2割を超えるなど依然として極めて厳しい状況が続いており、今後急速に進展する人口の高齢化、国際社会における我が国の責任の増大など今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、後世代に多大な負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げ等により公債残高が累
増しないような財政体質をつくり上げていくことが緊急な課題であるとして、公債残高の引き下げを図るためさらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むこと等により公債発行額を可能な限り縮減すると決定され、その方針のもとに70兆3474億円、対前年度比6.2%増で編成され、平成2年12月29日、閣議決定されました。
一方、沖縄開発庁関係予算は総額2620億8600万円で、対前年度比4.9%の増となっており、このうちの公共事業関係は2251億200万円で対前年度比5.3%の増となっており、このうち生活関連重点化枠分は37億9000万円で、第2次沖縄振興開発計画の最終年度であり、振興開発諸事業の総仕上げのための県の要請したすべての新規事業が認められるなど、公共事業費の確保に対する政府の配慮に対し、また沖縄開発庁を初め関係省庁、また大田知事初め県庁職員並びに関係者の御尽力に対し敬意を表するものであります。
次に、地方財政の指針となる平成3年度の地方財政計画は、地方団体は、自主的、主体的な地域づくりの推進による多極分散型国土形成、生活関連社会資本の整備、高齢化社会の進展への対応等現下の重要な政策課題を推進をしていく上でますます大きな役割を担うよう求められていることから、平成3年度の予算は引き続き財政の簡素効率化と経費の節減合理化を推進し、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に徹し節度ある財政運営を行うことを基本として編成することとし、その規模は70兆8848億円と前年度に比べ5.6%の増となっており、財政の健全化の推進及び住民福祉の向上に努めるべきであるとしております。
以上が平成3年度の国の予算及び地方財政計画の椴要でありますが、本定例会に提出されております大田県政初の平成3年度当初予算案について、所見を述べながら質問をいたします。
平成3年度は、復帰後ちょうど20年目に当たり、また大田県政には初の予算編成という年度であります。
大田知事は、就任のあいさつの中で県政の方向について次のように語っておられます。これまで本県は、沖縄振興開発特別措置法に基づき第1次及び第2次の沖縄振興開発計画を策定し、本土との格差是正、自立的発展のための基盤づくりに全力を投入してきた。いわゆるハード面の整備は相当に進められてきた。これからは特にソフト面での充実を図り、心豊かで沖縄独自の文化の薫る県政を目指し、人間の生命、暮らし、とりわけ社会的弱者に焦点を当てることに努めると、潤いのある心豊かな文化社会の建設に向けての方針を表明されております。
しかし、沖縄県政を取り巻く行財政環境は殊のほか厳しく、相当の努力なしには知事の示す方向への進展は困難であり、迎える本格的な高齢化社会に対する対応に苦慮するものと思われます。
平成3年度は、第2次沖縄振興開発計画の最終年次であり、第2次沖縄振興開発事業の総仕上げを図るとともに、21世紀の沖縄県づくりのかためとなる第3次沖縄振興開発計画に盛り込む諸事業の策定準備をなすべき重要な年であります。
第3次振興開発計画の策定に当たっては、さきに示された振興開発計画大綱にあるように、県民の日常生活に関連した生活関連施設のきめ細かな整備を初め、本格的な高齢化社会を迎えるに当たっての対策、また障害者対策など福祉施策の充実を図る必要があると思料いたします。
さて、平成3年度当初予算案については、一般会計の予算規模は4782億2000万円で、前年度比7.9%の伸びで地方財政計画の5.6%を上回っております。
予算編成に当たっての基本方針は、第2次沖縄振興開発計画の総仕上げと第3次振興開発計画へのつなぎと位置づけ、歳入見直し及び歳出の節減合理化、大田知事の基本施策を踏まえた事業選択、財源の重点的、効率的配分、節度ある財政運営を基本としております。
その内容を見ると、まず歳入面においては、県民の強い要請であります県の公共料金への消費税の転嫁は、厳しい財政事情のもとで県営住宅の家賃、入学金、県の文化、教育、体育等の諸施設の使用料、入場料及び病院事業での助産費について廃止しています。また、公共事業への国の補助率は86年度水準に復活しております。
歳出面では、義務的経費が6.9%の増で、特に公債費は9.9%の伸びで319億8000万円となっており、財政圧迫の要因となっております。また、生活福祉部予算の伸びは6.7%の伸びで、特に地域福祉基金の創設、障害者福祉等にきめ細かな配慮がなされております。さらに投資的経費は6.2%の伸びを示しており、特に単独事業は18.9%の膨大な増となっております。
以上、歳入、歳出の主な事項について述べてきましたが、平成3年度予算は、県内景気の維持拡大に資する事業量の確保がなされ、また福祉面にも配慮された予算であると評価するものであります。
以上、私は、平成3年度予算案について所見の一端を述べてまいりましたが、その見解に立って次の点について知事に質問いたします。
まず、予算編成に当たっての基本的な考え方はどうなっておりますか、お伺いいたします。また、予算規模の伸び率が7.9%となっており、地方財政計画の伸び率5.6%を上回っておりますが、その理由を求めます。
第2に、県の公共料金への消費税転嫁のうち、県営住宅家賃等の一部については転嫁を取りやめることにしておりますが、それ以外のものについてどのようにお考えになっておりますか、御所見を求めます。
第3に、県債は対前年度比2.6%の減となっております。それは公共事業の補助率が86年度水準に復活したことによるものとされておりますが、その内容についてお伺いいたします。
第4番目に、自衛官募集業務費145万円を計上しておりますが、これを削減しなかった理由は何ですか。
第5に、予算は順調に確保されておりますが、反面、せっかく確保された予算が年度内に執行されず繰り越しされる状況であります。これは前県政下の例でありますが、平成元年度における繰越額は予算現額の3.8%、約182億円になっており、公共事業主導型の本県経済に与える影響を考えた場合、予算執行に万全を期する必要があると思いますが、知事の今後の予算執行に対する姿勢と対策についてお伺いをいたします。
次に、第3次沖縄振興開発計画について質問をいたします。
沖縄の振興開発は、復帰後、沖縄振興開発特別措置法に基づいて策定されました2次にわたる沖縄振興開発計画により、格差の是正と自立的発展の基礎条件の整備を目標として各種の施策が実施されてきました。
国においては、これまで約3兆1691億円の振興事業費で道路、港湾、空港等の社会資本の整備を行っております。
しかしながら、県当局が作成した第2次沖縄振興開発計画総点検報告書によりますと、その点検結果として水資源の安定確保を初め生活、産業基盤等引き続き開発整備を要する分野も多く、また産業振興のおくれや厳しい雇用情勢、米軍施設区域の整理縮小など今後解決しなければならない多くの課題が残されており、本県の振興開発を取り巻く環境条件は厳しい状況にあると指摘しております。
特に県民所得は、昭和62年度は名目で全国平均の75%となっており、また雇用失業状況を見ますと完全失業率は昭和61年度5.3%、全国平均2.8%、昭和62年度5.2%、全国平均2.8%、昭和63年度4.9%、全国2.5%と全国平均の約2倍の水準にあり、厳しい状況にあります。
このように第1次、第2次の振興開発計画は、格差の是正と自立的発展の基礎条件の整備という所期の目的を達成しないままに19年の年月が経過しているのであります。
本県がこのような厳しい状況にある最大の原因は、復帰以来今日まで依然として全国の53%、米軍専用施設区域に限定すれば75%を占める米軍基地の存在であります。軍事基地は沖縄本島の19.7%を占め、中南部の市町村では産業振興、都市形成、交通体系に影響を与え、北部地区においては我が県の水資源の涵養、県土保全及び自然環境の保全、さらには林業や農業振興及びリゾート開発等を図る上で大きな障害となっております。
また、これらの軍事基地に起因する航空機騒音並びに被弾事故等の発生は県民に被害と不安を与えており、県民生活の安定を確保する上で大きな障害となっております。
我が党は、これまでも沖縄振興開発計画の策定に当たっては、諸悪の根源である軍事基地の撤去を前提に計画立案すべきと主張してきました。その立場に立って知事の御見解をお伺いいたします。
まず、国の責任において、軍用地の計画的早期返還、現行の地主に不利な返還方法の是正、跡地の有効利用の促進のための財政、金融、税制上の特別措置等に係る具体的施策を確立するよう国に強力に要請すべきと思うが、どうか。
2つ目に、さきに策定した沖縄県軍用地転用基本計画を見直し、国の軍用地返還実施計画の基礎となる県の返還計画とし、都市計画、農地計画などの各種計画については、この計画によりその見直しを図ることについてどう思うか、ひとつ御答弁をお願いいたします。
3つ目に、水資源の確保、林業、農業、工業等の振興並びに生活環境の整備保全上、その返還が特に急を要する北部訓練場、那覇軍港、普天間飛行場、牧港住宅地区、読谷補助飛行場などについては、地主や関係市町村と緊密な連携を図りつつ、その早期返還のために行動を起こす具体的な用意があるのか。また、那覇空港については自衛隊との共同使用を廃止するためにいかなる方策を考えるか、御見解を賜りたいと思います。
次に、軍事基地の問題について質問いたします。
知事も御承知のとおり、昨年は104号線を封鎖しての実弾砲撃訓練が10回も行われております。本年は2月で4回の演習が実施されています。それだけでなく、米軍はたび重なる村民の中止要求を無視して、読谷補助飛行場でグリーンベレーによるパラシュート降下訓練も実施しております。まさに許しがたい暴挙であります。現在は第2次緊張緩和の時代、いわゆる新デタントの時代と言われております。
御承知のように、東西の冷戦構造の崩壊に緊張緩和の潮流は、イラクのクウェート侵攻による湾岸戦争といった一部例外的現象があるにせよ、今や世界的大きな流れとなっております。その流れは一昨年までの東欧各諸国を中心としたヨーロッパ社会だけでなく、フィリピン在の米軍基地においてもその存廃に関する米比基地交渉が本格化し、また昨今のソ連と韓国、中国と韓国、米国と北朝鮮、さらには日ソ間、日朝関係の急展開に見られるように、我が国を取り巻くアジア太平洋地域にまで及んでおります。この緊張緩和の潮流は、湾岸戦争の停戦により、また本年4月中旬に予定されているゴルバチョフ大統領来日を契機にさらに加速化されるものと思われます。
ところが、我が沖縄県においては、米国国防総省のアジア太平洋地域の戦略構想で明らかにされたように、米軍兵士の削減計画と不要な基地の返還方針は示されたものの、引き続き米アジア戦略の基本である前方展開兵力と沖縄基地の有効性が強調され、そしてあたかもそれを実証するかのように基地の機能は一段と強化され、湾岸戦争の出撃基地として軍事演習もさらに激化しているのであります。これはまさしく世界の潮流である新デタント時代に逆行するものであります。
他方で、那覇防衛施設局は1992年5月14日期限切れになる米軍用地の賃貸借再契約の同意に応じない地主に対して米軍用地収用特措法に基づく強制使用するための手続を開始しています。この中には那覇軍港のように地上施設も撤去されて倉庫だけしか残っておらず、イラクのクウェート侵攻前は利用回数もほとんどない遊休施設も含まれております。
また、今回の契約拒否者の中には、従来契約地主でありながら新たに契約拒否に転じた人もおり、拒否の理由も世代交代、民生活用のための返還希望、軍事利用への根強い拒否等さまざまであります。それだけに契約地主に対する防衛施設局側の対応も、従来にない異常な対応ぶりで県民の間に波紋を広げつつあります。これまた世界的な緊張緩和イコール軍縮の流れに逆行するものであります。
こうして沖縄県民は、世界の軍縮、平和傾向に逆行する不合理、不条理の生活を強いられているわけであります。
そこで、具体的に質問いたします。
大田知事は、今日の新デタント時代の状況における沖縄の軍事基地及び軍事演習についてどのような所感をお持ちか、率直にお伺いいたします。同時に湾岸戦争についても知事の御所見を求めます。
2番目に、米国防総省のアジア太平洋地域戦略の転換により、沖縄の軍事基地の整理削減が具体化されつつありますが、基地撤去を推進しつつ県民生活を守る立場から、軍雇用員を初め地主や基地関連業者などの関係者の権利擁護が急務の課題になっておりますが、この問題に対する知事の基本的な姿勢を賜りたいと思います。
3番目に、防衛施設局は、1992年期限切れになる米軍用地の賃貸借再契約を拒否する地主に対して、米軍特措法に基づく強制使用の手続に入っておりますが、緊張緩和の中での強制使用であることや、でたらめな想定問答集などを準備しての対応、それに県土地収用委員会への裁決申請を急ぐなど防衛施設局の対応には問題があります。この件に対する知事の御所見を賜りたいと思います。
4番目に、復帰後最大の懸案事項となっております米軍用地転用特別措置法(仮称)の早期立法の件であります。
この件については、前知事の西銘さんは、これまでの返還跡地の利用は土地改良法、土地区画整理法等の現行法で効果を上げるとし、特別立法には消極的な姿勢で終始してきましたが、軍用地返還が早急に具体化しつつある今日、また開発庁長官等からも特別立法の言葉が出る今日、この問題に対する知事の御所見を賜りたいと思います。
質問第5番目に、リゾート開発について質問いたします。
我が国における国民の自由時間の増大、生活様式の多様化に伴い自然との触れ合い、健康の維持増進、地域、世代を超えた交流等に対するニ一ズが高まりつつあります。生活意識の面でも量的拡大から生きがいや潤いといった質的充実へとその重点が移行してきております。産業分野においても、これまで我が国の高度経済成長を支えてきた重化学工業が昭和50年代後半からその構造転換に直面するなど経済のサービス化が進展しつつあり、地域資源を活用した第3次産業中心の新たな地域振興策の転換が重要な課題となっております。
このような我が国経済社会の潮流変化を踏まえ、国においては昭和62年6月に総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法が制定施行され、今や全国各地において地域振興を目標としてリゾート開発が展開されつつあります。このような中にあって本県においては我が国唯一の亜熱帯、海洋性気候のもと、美しい自然環境や多くの歴史、文化遺産、伝統芸能などの魅力的な観光リゾート資源を活用したリゾート開発が県下各市町村において数多く計画され実施されつつあります。
リゾート開発が、本県の地域特性を生かした戦略的プロジェクトの一つとして本県経済社会の自立的発展に大きく貢献する産業振興策であることについては、県民の多くがひとしく認めるところでありますが、反面、それによってもたらされるところの自然環境の破壊や地域社会への影響、また土地買い占めや土地高騰が全国的に問題となっております。沖縄県においてもそのことは例外ではなく、リゾート開発を県民のコンセンサスを得て進めるためには、これらの課題を解決することが緊要であると考えます。
大田知事は、本定例会の冒頭で表明された県政運営方針の中で、リゾート開発及び観光振興については、沖縄トロピカルリゾート構想に基づき我が沖縄県の自然的、文化的特性を生かし、自然環境や地域社会及び他の土地利用との調和に配慮しつつ、リゾート施設の整備や関連産業の育成を図るなどして国民的、国際的ニーズにこたえる観光保養地域の形成に努めると述べております。
そこで、今後のリゾート開発施策について大田知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
1つ、本県におけるリゾート開発は、前知事時代に策定されたリゾート沖縄マスタープランがその指針とされておりますが、大田知事はこのマスタープランをどう評価しておりますか、御所見を賜りたいと思います。
2つ目に、リゾート開発と環境保全との調和をどのように図っていくか。また、選挙公約に掲げた環境保全計画についての知事の御所見を賜りたいと思います。
3つ目に、リゾート開発に最も重要な住民との合意形成について、知事の御所見を賜りたいと思います。
次に、牛肉の輸入自由化対策について質問いたします。
今日まで畜産公社が本県畜産振興に果たした役割は極めて大きいものがあります。牛肉の輸入自由化が来る4月1日から実施されることに対する緊急対策として、沖縄県畜産公社事業の継続強化について国からの助成金70億に対し、本年度県の負担分35億の補助が求められているところであります。
この対応は、自由化による危機的影響を緩和し本県の畜産振興の恒久的対策としてぜひ必要な事項と考えますが、知事はいかに対応されておりますか、この内容について具体的に御説明を求めます。
以上で質問を終わりますけれども、第6番目の質問については予算特別委員会に回していきたいと思いますので、ひとつ知事の明快なる御答弁を賜りますよう切にお願いいたしまして質問を終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 岸本議員の御質問にお答えいたします。
全国植樹祭の開催地の変更についての御質問にお答えいたします。
全国植樹祭は、戦争による破壊や社会経済の混乱に起因する国土の荒廃から緑豊かな国土を取り戻すため一大国民運動として推進され、国民の森林に対する愛情を培うとともに、国土の保全、森林資源の確保、環境緑化の推進等に寄与することを目的に行われていますことは御承知のとおりでございます。
会場侯補地につきましては、名護市北明治山での開催について県民や市民団体等から、森林を伐採して植樹祭を行うのは本末転倒であるとの批判があり、また経費がかかり過ぎる等の問題が提起されましたことから、三役調整や臨時庁議を開催して経過を報告するなど調整を進めてまいりました。そして基本的には、1、戦争による国土の荒廃から緑豊かな国土を取り戻すという植樹祭本来の趣旨と沖縄にふさわしい植樹祭にすること、2、自然保護や環境保全の面から現存する森林を伐採して植樹祭を行うのではなく、戦災により失われた緑を取り戻すということ、3、参加人員や会場規模等を可能な限り縮小することによって経費の節減を図ることなどを理由にあらゆる角度から総合的に検討した結果、第2次大戦により多くの戦禍をこうむった糸満市が植樹祭会場地として適していると判断し変更したわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
それから、女性の地位向上に関する御質問についてお答えいたします。
女性を副知事に登用することについては、これまでも申し上げてきたように現下の社会状況においては女性の社会参加はまだ不十分であり、その地位向上を積極的に推進していくとともに、老人や障害者等社会的弱者と言われる方々に対する医療福祉問題等女性の視点から、よりきめ細かな対応をしていきたいとの考えで登用したわけであります。
上里氏については、歯科医師として活躍されるとともに、高齢化の進む本県の老人医療や障害者の福祉等に関心が深く積極的に活動しておられます。その識見と行動力からして副知事としての職責を全うできるものと考えております。皆さんの御理解と御協力をいただきたいと思います。
戦後処理における戦争マラリア補償問題と関連しての御質問にお答えいたします。
平成元年度からマラリア犠牲者の遺族、戦時中八重山地域に居住していた一般住民及び旧日本軍関係者等から、疎開実施の軍命の有無等についても調査を実施してきたところであります。
県としましては、これらの実態調査等の結果を踏まえ、マラリア犠牲者の遺族に対し何らかの補償がなされるよう国に要請をしてまいります。
復帰処理問題における厚生年金の格差是正問題との関連の御質問にお答えいたします。
この問題は、制度上極めて解決が困難であることは御承知のとおりであります。しかし、御質問の趣旨は十分理解しており、県内各界の強い要請と期待にこたえるべく今後とも関係機関と十分な調整を図りながらこの問題の解決に当たりたいと考えております。
現議会棟を米軍統治資料館として保存してはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
現議会棟は、米国統治下の立法活動を行うなど言論の府を象徴するとともに、沖縄の戦後政治史を克明に記録してきた建物であることはまさに御指摘のとおりであります。米国統治資料館として保存してもらいたいという御質問については、心情的には十分に理解できます。
しかしながら、県庁舎を建設するに際し広く県民の意見を反映させるため、県内外の学識経験者や産業界及び市町村代表、県議会議員等で構成する沖縄県庁舎建設委員会を設置し慎重に審議し、県庁舎建設基本構想を策定したのであります。
この基本構想によりますと、既存の敷地の適切な利用計画により機能性と緑豊かで美しい景観を持つ21世紀に向けて誇り得る新たな建築文化を創造することとされ、既存の建物はすべて撤去することとしております。また、歴史的に貴重な建物である現議会棟も長年の使用により老朽化が著しく、維持管理に相当の経費を要し保存にたえかねる実情にあります。
したがいまして、近代的な議会棟が完成した暁には現議会棟は解体撤去し、その敷地には緑豊かな植栽及び地下駐車場の出入り口や大型バスの駐車場を建設していく計画でありますので、御理解を賜りたいと思います。
予算編成の基本的考え方及び予算規模の問題と関連する御質問にお答えいたします。
平成3年度の予算編成に当たっては、国の予算編成、地方財政対策等の動向を勘案しながら、引き続き歳入の見直し及び歳出の節減合理化に努め、県政の基本政策を踏まえ事業の選択を行うとともに、県経済の活性化に資する財政需要に配意し財源の重点的、効率的配分を図り節度ある財政運営を行うことを基本としました。
そこで、予算編成に当たっては次の点に配意しました。1、沖縄振興開発事業費を中心とした継続事業及び新規事業の推進、2、重度身体障害者医療費助成等の地域福祉の充実、3、復帰20周年記念事業の推進、4、県単独事業の確保。その結果、平成3年度一般会計の予算規模は4782億2000万円で対前年度比7.9%の伸びとなっており、地方財政計画の5.6%より高い伸びとなっております。
地方財政計画の伸び率を上回った主な要因としましては、県庁舎建設費等の県単独事業費の増、地域福祉基金の創設、重度身体障害者医療費助成等の地域福祉の充実、離島過疎地域の振興のため南西航空への出資金、国頭村簡易水道施設整備費に対する助成、牛肉自由化対策関連経費を措置したことなどによるものであります。
次に、県の公共料金への消費税転嫁との関連での御質問にお答えいたします。
消費税の転嫁についての今後の対応につきましては、消費税の取り扱いについて国会の税制問題等両院合同協議会で引き続き協議が行われることとなっておりますので、その協議を見守りながら公約実現に向けて努力する所存であります。
それから、平成3年度予算案との関連で、県債は対前年度比2.6%の減少となっており、これは公共事業の補助率が昭和61年度水準に復活したことによるものとされているが、その内容はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
県債が対前年度比2.6%の減少となりましたのは、御指摘のとおり公共事業の補助率が昭和61年度水準に復活したことによりまして、臨時財政特例債が前年度と比べ17億500万円、14.8%の減少となったことによるためであります。
次に、自衛官募集事務費145万を計上しているが、これを削減しなかった理由は何かという御質問にお答えいたします。
先ほども申し上げましたけれども、自衛官募集事務費につきましては、これまでの経緯等諸般の状況から計上することにいたしました。
それから、平成3年度予算について円滑なる予算執行のための姿勢と対策はどうかという御質問にお答えいたします。
平成元年度の予算執行率は94.8%で、前年度より0.1ポイントの増となっておりますが、依然として低率となっております。その要因は、繰り越しが多額で推移しているためであります。したがいまして公共事業の執行体制については、沖縄県公共事業等施行推進本部を設置し、また同幹事会においても公共事業の進行管理に取り組んでいるところであります。
執行の問題として県営住宅建設事業及び街路事業等の都市型の事業が増加しているため、用地取得価格がなかなか折り合わないことや、代替地の要求が強いことなどによる用地取得難が最大の繰り越し要因であり、現在、土木建築部において公共事業予算執行推進方策検討委員会を設置し、具体的た解決方策を検討しているところであります。
それから、第3次沖縄振興開発計画について、国の責任において軍用地の計画的早期返還、地主に不利益のない返還方法と関連する御質問にお答えいたします。
返還軍用地の利活用を総合的、計画的に推進するためには、戦後処理の一環として国の責任において軍用地転用促進特別措置法──仮称でございますが──の制定による特別の措置を講じてもらう必要があると考えております。
ちなみに、国に対して次の点を要請するため検討作業中であります。1、基地の返還に当たっては、返還の区域及び時期等を明記した返還実施計画を定め計画的に返還させること。2、返還跡地について、公共事業の促進が図られるよう補助の割合の特例や、採択基準の緩和等財政上の特別の措置を講じさせること。3、返還の過程で地主に不利益がないよう、地主の受ける損失について適切な措置を講じさせること等であります。
それから、同じく第3次沖縄振興開発計画との関連で、沖縄県軍用地転用基本計画を見直し、国の軍用地返還実施計画の基礎となる県の返還計画とし、都市計画、農振計画等の各種計画について、この計画により見直しを図ることについてどう思うかという御質問にお答えいたします。
軍用地転用計画の策定による都市計画及び農振計画の見直しは困難であると考えております。しかしながら返還のめどのある軍用地については、都市計画、農振計画による地域指定ができるよう関係機関と十分調整を図ってまいりたいと考えます。
それから北部訓練場、那覇軍港、普天間飛行場等について地主や関係市町村と緊密な連携を図りつつ、その早期返還のために行動を起こす具体的用意があるかという御質問にお答えいたします。
県としては、これまで関係市町村長で構成された沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会が作成した返還要請リストに基づいて国に具体的返還を要請してまいりました。今後とも軍転協を通じ市町村や地主と緊密に連携を保ちながら基地の早期返還を促進してまいります。
那覇空港については、自衛隊との共同使用を廃止するためのどのような方策を考えているかという御質問にお答えいたします。
那覇空港は復帰当時、運輸省と防衛庁との間で自衛隊との共同使用が取り決められており、当面民間専用化にすることは困難でありますが、県としましては、将来の空港施設の沖合展開等その整備拡充について検討するとともに、同空港の民間専用化に向けた条件整備に努めてまいりたいと考えます。
それから、知事は新デタント時代の状況における沖縄の米軍基地及び軍事演習についてどのようた所感を持っているかという御質問にお答えいたします。
御承知のように、現在の世界情勢は、米ソ関係を軸とした東西の緊張緩和に伴い、米ソや欧州においては軍縮に向けた動きが高まっており、今後、アジア地域においても軍縮への動きが出てくることが期待されます。
このような中において本県には依然として広大な米軍基地が存在し、種々の演習が実施されております。私は、あの悲惨な沖縄戦を体験した県民の一人として、平和な沖縄の実現を最優先課題の一つとして位置づけており、米軍基地については平和な生活と生産の場に転用すべく、その全面返還を目指して整理縮小を促進すべきであると考えております。また、米軍の演習には反対していきます。
湾岸戦争についての所感をお尋ねでございますが、お答えします。
過去の朝鮮戦争やベトナム戦争のとき、本県の米軍基地が出撃補給基地として使用された経緯もあり、また軍事基地を抱える本県では戦闘の開始により県民生活が影響を受けるおそれがあることから、県としては湾岸での戦争突入と同時に、米国総領事に対し遺憾の意を表明するとともに、戦闘の即時停止を申し入れたところであります。
軍事基地問題との関係で沖縄の米軍基地の整理削減が具体化されつつある中で、軍雇用員の権利擁護が問題となっているが、基本的姿勢をという御質問にお答えいたします。
県としては、在沖米軍施設の返還、整理縮小に伴う駐留軍従業員の雇用への影響については重大な関心を持っております。これらの従業員の雇用の安定を確保するため、これまで配置転換、退職ポストの補充等で対策を講じてきたところでありますが、今後、大量の離職老が発生した場合には県だけでは解決が極めて難しいことから、国及び関係機関と連携を密にし、雇用の確保に最善の努力を払っていきたいと考えております。
それから、同じく軍事基地問題との関連で、基地撤去を推進し県民生活を守る立場から、地主の権利擁護は緊急の課題になっているが、この問題に対する基本的姿勢についての御質問にお答えいたします。
県は、地主に不利益が生じることなく軍用地の利転用が図られるよう軍用地転用基本計画を策定し、土地区画整理事業及び土地改良事業等の公共事業を積極的に推進するとともに、地主の受ける損失については適切な措置を講じてもらうよう国に対し軍用地転用特別措置法(仮称)の制定を要請していく考えであります。
それから、沖縄の米軍基地の整理削減が具体化される中で、特免業者等の基地関連業者の権利擁護が課題となっているが、その点についての知事の基本的姿勢についての御質問にお答えいたします。
在沖米軍基地が整理削減された場合、基地関連業者に大きな影響を与えることが懸念されることから、国及び関係機関と連絡をとり状況把握に努め、具体的には特定地域中小企業対策臨時措鷹法を積極的に活用するとともに、同法の適用対象外業者については診断経営指導及び制度金融等の活用により支援策を講じていく考えであります。
それから、米軍特措法に基づく防衛施設局の強制使用の手続に関する御質問についてお答えいたします。
那覇防衛施設局が駐留軍用地特措法に基づいて手続を進めていることについての是非については、コメントをする立場にないと考えています。
それから、米軍用地転用特別措置法に対する知事の見解についての御質問にお答えいたします。
本県の米軍施設区域は、本土復帰後19年を迎えた今なお、狭隘な県土に在日米軍専用施設区域の74.6%が集中し、殊に沖縄本島についてはその面積の19.7%を占めている状況にあることは岸本議員の御指摘のとおりでございます。
このような広大な米軍施設区域の存在は、県民の意思とかかわりなく、戦後は米軍占領の継続として、また本土復帰後は安保条約に基づき狭い県土に広大な米軍基地の存在を強いられた結果であり、県民の安全で良好な生活環境の確保、均衡ある産業の振興、健全な都市形成等本県の振興開発を図る上で大きな制約となっております。その上、軍用地の返還が十分な予告期間がないまま返還されていることや、細切れ返還の場合等の問題があって跡地の有効利用の推進を困難にしております。
このようなことから、広大な米軍基地の計画的返還と跡地の有効利用の促進のためには、戦後処理の一環として国の責任において軍用弛転用促進特別措置法(仮称)の制定による特別の措置を講じてもらう必要があると考えております。
リゾート開発について、環境保全との調和をどのようにして図っていくかという御質問にお答えします。
すぐれた自然環境の存在こそがリゾート沖縄を成立せしめるとの理念が重要な要素であると考え、基本的には開発すべき地域と保全すべき地域を区分しております。
具体的な環境保全との調和につきましては、自然環境容量に配慮しつつ、環境アセスメントの実施、赤土流出防止策の強化及び工事中における環境モニタリング実施等の施策を強化充実してまいります。
選挙公約に掲げた環境保全基本計画を策定するのかという御質問にお答えいたします。
この環境保全基本計画は、現在策定に向けての作業が進められている環境管理計画──仮称でございますが──とほぼ同一の趣旨のものであるところから、その策定に向けて強力に取り組み、今後展開されるべき新たな環境保全に係る基本的な計画としたいと考えております。
リゾート開発に最も重要な地域住民との合意形成をどのように図るかとの御質聞にお答えいたします。
リゾート開発については、県民の意向が十分反映される形で推進することが重要であると考えております。
したがって、地元市町村の積極的支援が得られ、かつ関連個別規制法や関連施設の需給バランスとの整合性が図られているプロジェクトのみを開発対象としております。今後は、さらに地元関係団体等との開発協定の締結を指導強化する等地域住民との合意形成に努めてまいる所存であります。
最後の御質問でございますが、沖縄県畜産公社事業の継続強化についてどのように対応するかと、その内容について説明せよとの御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、沖縄県畜産公社が果たしてきた役割は大きく、今後ますます増大するものと認識しております。県といたしましては、国の補助を受けて公社事業の継続強化を図るべく自由化特別対策事業基金造成に対応した予算措置を講じております。
具体的には、県負担額35億円のうち15億円は平成2年度補正予算で措置し、残り20億円については5年間の債務負担行為補正を先議案件として上程してあります。また、平成3年度において初年度分4億円を予算措置してあります。
これらの措置により、国の補助70億円と合わせて105億円の基金を造成し、この果実運用で畜産公社事業を継続強化し、本県畜産の安定的発展を図る考えでございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後7時51分休憩
午後9時2分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
この際、お諮りいたします。
本日の会議は、延会いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良一男君) 御異議なしと認めます。
よって、本日は、延会することに決定いたしました。
次会は、明2月27日午前10時から会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後9時3分延会
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