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昭和55年(1980年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月17日
第 5号 12月17日
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議 事 の 概 要
昭和55年12月17日(水曜日)
午前10時3分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第8号議案まで、乙第1号議案から乙第13号議案まで及び認定第1号から認定第12号まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 平良 哲君(自民党)
2 仲村 正治君(自民党)
3 嘉数 知賢君(自民党)
4 伊良皆高吉君(自民党)
5 西田健次郎君(自民党)
決算特別委員会の設置
決算特別委員会委員の選任
日程第3 請願1件及び陳情2件の付託の件
午後2時8分散会
○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
12月6日から15日までに受理いたしました請願、陳情は、請願10件、陳情33件で、そのうち特別委員会に付託すべき請願1件、陳情2件を除く請願9件、陳情31件は、お手元に配付の請願文書表及び陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
○議長(大田昌知君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第8号議案まで、乙第1号議案から乙第13号議案まで及び認定第1号から認定第12号までを議題とし質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
平良 哲君。
〔平良、哲君登壇〕
○平良 哲君 さきに通告いたしました事項のうち、 「1」は次回に回して、「2」の自衛隊問題について所感を申し述べながら質問をいたします。
今回の補正予算の中に自衛官の募集業務に必要な国の機関委任事務が計上されたことから、自衛隊の問題について県民世論が大きく沸騰してきました。自衛隊問題は、復帰後定例県議会においてたびたび質疑が行われてきましたが、この機会にもう一度論議を深めて自衛隊に対する正しい理解と認識、そして協力を求めていきたいと考えております。
かつて自衛隊に反対する人たちが、自衛隊は必要ない、その予算を削って福祉や教育等に回せば病院もたくさんでき、教師や看護婦等の待遇改善も図られ、多くの公営住宅もつくれる、日本は無防備で世界に向けて中立を宣言すればよいという論法で県民に真顔で訴えていたことを思い出します。日本が戦争に負けて戦争アレルギーになり、そういう発想を持つことは心情的には理解できます。しかし長い世界の歴史の中で、そして今日の厳しい世界情勢の中で、このような考え方で果たしてわが国の主権と独立と安全が確保されるだろうかという疑問も同時に起きてくることは当然であります。結論からさきに申しますと、私は国防に対するさきのような考え方の持ち主のことを空想的平和主義者と呼ばせてもらいます。それは現実的ではないということであります。世界の情勢、国際情勢の現実をあえて無視し、わが国と国民の平和と安全に対し全く無責任であると言わざるを得ないからであります。
世界の百数十カ国の独立国において今日軍隊や自衛力を持たない国は一国たりともございません。世界で永世中立国として長い歴史を有するスイスを見ても、国防費に占める国民1人当たりの金額はわが国の約4倍、GNPに対する割合は2倍であり、165年にわたって中立政策をとっているスウェーデンの例を見ても国民1人当たりの金額はわが国の約5倍、GNPに対する割合は3.4倍であります。GNPに対する割合から見たアメリカとソ連は、アメリカがわが国の5倍強、ソ連は14倍と言われております。
スイスが永世中立国として長い歴史を誇っている背景には、政府と国民が自国の防衛のために絶えざる努力を傾注しているからだと言われております。スイス政府が発行している「民間防衛」という本を読みますと、そのことがよく理解できます。この本の中に次のようなことが書かれております。われわれが永久に平和を保障されるものとしたら、軍事的防衛や民間防衛の必要はあるだろうか。すべての人々は平和を望んでいる。にもかかわらず、戦争に備える義務から解放されていると感じている人はだれもいない。歴史がわれわれにそれを教えているからである。われわれはあらゆる事態の発生に対して準備せざるを得ないというのが最も単純な現実なのであると、このように述べているのであります。そして、自由と独立は与えられるものではなく、絶えず守らねばならない権利であると強く訴えております。自由と独立は、われわれの財産の中で最もとうといものである。自由と独立は断じて与えられるものではない。絶えず現実的な努力をして守らねばならない権利であり、いいですか、言葉や抗議だけで守られるものでは決してない。手に武器を持って要求して初めて得られるものであると、こ
のように述べているのであります。スイスは、政府と国民が一体となってこうした過去の冷厳なる歴史的事実を踏まえた絶えざる国防への努力によって、世界に冠たる永世中立国として独立と自由と平和を守っているのであります。
スウェーデンも1815年のナポレオン戦争以来、今日まで165年間も中立政策をとってどこの国とも戦争はしておりません。しかし中立だからといって空想的平和主義者が主張しているような無防備の中立政策ではないのであります。約1000万の人口ですが、防衛予算は人口1人当たりで見ますと米ソ両国とイスラエルに次ぐ高い防衛費を使って中立政策を堅持しているのであります。スウェーデンの中立政策は、平和外交と非常に高度な防衛力、侵略に対する即応態勢は世界一であると言われております。そして平和国家としてのイメージを高めるような政策、以上3本の柱によって中立が160年以上の長きにわたって維持されているのであります。わが国にとって最も学ぶべき点が多い中立政策であると思うのであります。
わが国の周辺の国を見てください。どこの国も強大な軍事力を持っております。それらの国が無防備の日本に対して、その国の意志を押レつけるための手段として軍事力を利用しないとはだれが断言できますか。したがってわが国の主権と独立と自由を守るためには、他国からの軍事力を排除できるだけの最小限度の自衛力を保持することが絶対に必要であり、同時に自衛力だけで足りないところは、集団安全保障体制でこれを補完していくのでなければわが国の主権と独立は守れるものではありません。同時に、核兵器時代におけるわが国の自衛力は、あくまでも国の主権と独立を守るための専守防衛的な抑止力として使用しなければならないと思います。そういう意味で今日の自衛隊と日米安全保障体制は、わが国における最も理想的な国防のあり方であると高く評価している者の一人であります。国防なくして国の存立と発展繁栄はあり得ません。
さて、以上のような国防に対する基本的な見解を申し述べてみましたが、残念ながらわが国の政党間には国防に対して大きな政策上の相違が見られることはまことに遺憾に思うのであります。
最初に共産党の防衛政策でありますが、80年代の中心政策の中で、まず安保条約を廃棄して非同盟中立、自衛の日本をつくる。自衛隊については再教育し、将来は削減し、さらに解散に持っていく。そして中立保障の自衛措置の検討を開始すると主張していますが、具体的に自衛権を行使する問題についてはそれをぽかして表現しています。しかし1973年3月29日の赤旗には、中立を侵略する国が出てきた場合には憲法上の措置をとって独立中立を守る最小限の軍隊を持てるようにすると、こういうことを上田耕一郎政策委員長ははっきりと述べております。要するに独立と中立を守るための最小限の軍隊は必要であると共産党は認めているといっても過言ではないと思います。
社会党の防衛政策は非武装中立の路線であります。日本の中立と不可侵を保障する国と条約を結び、自衛隊を解体して非武装でわが国の平和中立を維持していこうとする政策であります。非武装中立の理念は平和を希求する世界人類の理想でありましょうが、現実の厳しい国際情勢に対応してわが国の独立と主権を守ることのできる現実的な防衛政策であるとは毛頭考えられません。
さて、公明党は今月2日から開かれた第18回全国大会において竹入委員長は、80年の政治選択は古典的な社会主義か資本主義かという選択ではない。大多数の国民は現在の自由主義の政治体制、自由主義経済体制のもとでいまの憲法に従って生活することを当然のことと望んでおり、ここに連合論議の大前提を置くべきである。安保、防衛、エネルギーについてはわが国の根幹にかかわる政策であり、国際情勢、経済情勢などわが国を取り巻く客観情勢から、80年代の連合論議の争点とは言えなくなったことを明確にすべきと考えると語調を強めて述べております。注目の自衛隊については、国民の一部が非武装政策を理想論として観念的に認めたとしても、大多数の国民が自衛隊の存在を是認している現状においては当面保持することはやむを得ない。理想は理想として堅持し、その実現の手だてとして現実的対応が求められそれにこたえるのは当然である。それを否定することになれば、みずからを批判勢力として自己規定することに通じ連合論議を閉ざしてしまうことになる。竹入委員長は、理想と現実を踏まえた明快な論理をもってこのように公明党の防衛政策を述べているのであります。
公明党の80年代連合政権要綱には自衛隊、安保については保持存続を明記しており、矢野書記長も、公明党が参加する連合政権下での自衛隊は違憲ではないと従来の憲法解釈より前進した見解を示しております。このように安保、自衛隊の問題については、厳しい世界情勢を踏まえて中道革新の民社、公明を中心とする政党においても現実的な政策を打ち出しているのであります。社会党の無防備中立政策は論外としても、共産党も中立を侵犯する国が出てきた場合には、中立を守る最小限の軍隊を持てるようにするとはっきり主張しております。
こう見てきますと、国を守るために自衛力は必要であるという点ではわが党の政策と共産、公明の皆さんも考え方は変わらないような感じもいたします。ただ現在の自民党政策のもとにおける自衛隊だから問題があるというふうに受け取れないこともございません。ことしの10月14日の地元紙に載っていた全国世論調査によっても、国民の何と86%が自衛隊を支持しているという調査結果が発表されております。自衛隊の違憲問題についても、憲法の前文の示すとおり平和主義が基本原理であるが、しかしそれは無防備、無抵抗を意味するものでは決してない。その点は砂川事件最高裁判決も認めているのであります。
以上、申し述べてきましたようにわが国の主権、独立、自由を守り、国民の生命、財産を守っていくためには自衛隊は絶対必要不可欠な自衛力であります。だからこそ国民の86%の圧倒的な支持を受けているのであります。県内においても、自衛隊に対する正しい理解と認識が定着化しつつあることは喜ばしいことであります。
ことしの陸上自衛隊の成人式には、参議院の喜屋武さんからも祝電が参りました。去る9月に来県された参議院の安保・沖特委の5人の委員も、共産、社会、公明の各委員も含めて自衛隊機に乗って沖縄入りをいたしております。革新政党の委員たちは、自衛隊のありのままの姿を見る必要がある、自衛隊について見ざる聞かざるでは困る、今後も機会があれば使いたいとこのように述べております。一昨日の新聞には、社会党の非武装中立という党是に対しても党内から批判が出され、石橋前書記長の著書非武装中立論をソ連降伏論、社会主義協会派の本音は改憲武装論と批判した小冊子まであらわれているという記事がありました。大いにひとつ党内論議を深めて、多くの国民から信頼される現実的な防衛論の台頭を期待するものの一人であります。
このように本土においては革新政党のリーダーの中にも、自衛隊の存在あるいは今回の募集業務のような国の委任事務が戦争につながるという短絡的、非論理的な硬直した考え方はないように見受けられます。他県が実際に行政のぺースで合法的に行っている業務を、他県はいざ知らず沖縄一県だけは別だ、事情が違うといって物理的な抵抗までして反対を貫くことは、県民を他県と差別し閉鎖的な独善的な県民性をつくりかねないと懸念するものであります。
自衛隊の問題に関連する事例といたしまして、(発言する者多し) よく聞いてください、革新の皆さん。屋良知事のとき、48年7月23日に災害対策基本法に基づいて沖縄県防災会議条例を定めております。県は、基本法の第15条の規定に基づき当該都道府県を警備区域とする陸上自衛隊の方面総監またはその指名する部隊もしくは機関の長を県の防災会議の委員に充てることになっております。そこで48年11月29日、防災会議の屋良朝苗会長のもとで、委員の中に当時の陸上自衛隊第1混成団団長でありましたわが党の桑江良逢議員が法律の規定に基づいて屋良革新県政のときに認知されて正式にメンバーとして参加しているのであります。いいですか、わが国の国会で制定された法律の中で防災会議には自衛隊の参加を認めるが、自衛官募集業務ぱ軍事強化につながるから反対であるという論法は論理に一貫性を欠き、これでは県民の理解と協力を得られるはずがありません。
以上申し上げましたように、自衛隊はわが誇りある日本の主権と独立、平和と安全を守るため、また国民の生命と財産を守るために絶対に必要な自衛力であります。
今回提案されました自衛官の募集業務は、他県に比べても著しく遅きに失した感を深くするものであります。国を守るというきわめて崇高なる使命を持って、47都道府県の一県として法律に規定されているこの業務を勇気と自信と誇りを持って強力に推進すべきであると結論づけ、知事に質問をいたします。
質問1、今回の募集業務については、知事がたびたび御答弁くださいましたように法律に定めた国の機関委任事務だから、また他県がやっている行政行為だから実施したいという趣旨は私たちも委細承知しております。したがってこのことを申し述べる前に、その大前提としてわが国の国防に対する基本的な御見解をこの機会に知事として正式に表明をしていただきたいと思います。
2、今回の募集業務については自治労弁護団から会計法や地方財政法に違反するという問題提起がなされておりますが、この募集業務は、これまで長年各県において毎年県の会計検査を終え、しかも国会の決算認定も完了して今日に至っているものであります。今回の指摘は、会計法や地財法の何条のどの項目に違反しているのか具体的な問題提起もなされないまま抽象的な見解のように思われてなりません。弁護団から知事に対して具体的な問題提起があったのかどうかお伺いいたします。
3、本県の自衛官募集は、これまで地方連絡部を中心に県民の協力を得て行ってきました。毎年何名受験しているのか、年次別の受験者の数及び合格率、そして55年現在で県出身者の自衛官及び事務官が何名いるか明らかにしていただきたいと思います。
最後に、今回の募集業務に反対するため県職労は4日間で10割の年休闘争を組み、また自治労県本も時限ストを予定していると言われております。このような予測される違法ストや不法行為に対して、知事はいかなる対策をもって臨まれるのであるか。法律に基づいて毅然たる態度をもって対処されることと思いますが、知事の御決意のほどを披瀝していただきたいと思うのであります。
以上質問を申し上げて、知事の明確なる御答弁を求めて質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 平良哲議員の御質問に対しましてお答えいたします。
国防に対する基本的な知事の考え方を示せという要請でございますが、きのうも申し上げましたとおり非武装中立ではわが国の独立、主権、平和と自由を守ることはできないと考えております。最小限度の自衛力は独立国家としてこれは当然持っておる固有の権利でございまして、自衛隊なくしてわが国の独立と主権と平和は守ることはできないと考えております。
次に、自衛官の年次別の合格者の数、また合格率等につきましては総務部長から答弁させることにいたします。
次に、違法ストに対しまして知事はどのような態度で臨むかということでございますが、違法なストに対しましては厳重に処分してまいりたいと思っております。
自治労の弁護団についての御質問でございますが、市町村交付金の県予算計上は法令に違反しているという指摘をしておるのでございますが、具体的な条項についての指摘はございません。また私も会計法、地方財政法に違反するものではないとの見解をとっております。
○議長(大田昌知君) 総務部長。
〔総務部長 嶺井政治君登壇〕
○総務部長(嶺井政治君) 47年度から現在までの県出身の自衛官受験者と合格率についてお答えいたします。
いま提案しております自衛官募集業務は2等陸海空士だけでございます。そのほかに一般幹部候補生、防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、航空学生、一般曹候補学生、看護学生、自衛隊生徒とこの7つの学生がおりますけれども、これを全部含めまして47年から現在まで受験者の総数は4298名でございます。
この合格率についてでございますけれども、最近2カ年の合格率を見ますと、53年度におきましては受験者総数が977人、合格者が336人、合格率が34.39%であります。これを2等陸海空士の受験者とそのほかの分に区分いたしますと、2等陸海空士の受験者が433人、合格者が315人で合格率が72.74%でございます。そのほかの一般幹部候補生などの受験者は544人ございますけれども、合格者は21人で合格率は大変低くて3.86%ということになっております。54年度におきましては受験者総数が1020人でございまして、合格者が313人、合格率が30.68%でございます。これも2等陸海空士とその他で分けますと、2等陸海空士の方は受験者が449人、合格者が278人で合格率が61.91%でございますけれども、その他の一般幹部候補生等につきましては受験者が571人ございますけれども、合格者は35人で合格率は6.12%でございます。
○議長(大田昌知君) 仲村正治君。
〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 さきに通告いたしました諸問題について所見を述べながら、知事のこれらの問題に対するお取り組みをお尋ねいたします。
知事は去る14日で就任2カ年目を迎えられましたが、就任1年目は前知事からの事務引き継ぎと後片づけで終わり、2カ年目は独自の政策を具現するための芽出し予算を編成しその下地づくりを行い、いよいよ3年目からが公約実現に向けて本格的施策を推進するときだと思いますが、時あたかもその時期は第1次振計の最終年次で総仕上げの段階を迎えられておりますし、また本県にとりましては第2次振計策定をしなければならない重要な時期でもあります。西銘知事の2カ年の足跡を振り返って一部の県民の中には県民無視、国策優先の県政運営でその実績はゼロ以下だと厳しい批判でこきおろしておりますが、県民それぞれの立場から意見を言うことは悪いとは思いませんが、いま多くの国民や県民がどのような政治選択をなし政治に何を求めているかを考えるとき、必ずしもそういう人たちの意見が正しいとは考えられません。私自身も何回か外国に旅行する機会がありましたし、またほかの外国旅行経験者の言うことは、異口同音に世界で日本ほどいい国はない、外国旅行をして初めて自国の政治のありがたさがわかると言っています。そのことは日本民族の歴史、伝統、国民性、勤勉さ、政治
指向等によって築き上げられた成果だと考えるものであります。それは確かにエネルギーや食糧危機を初め政情不安の続く国際情勢の中で、エネルギー、食糧、国民生活、教育、治安維持等々、どの分野においても世界の先進国の先端を行っていることはわが国の政治はこれで満足ではないにしても、国策反対を唱える人たちが言うような大きな過ちを犯しているとは思われません。したがって国策と県益とはすべてが合致するとはいえないにしても、国策が県政発展を大きく阻害することもないと思うのであり、知事の立場として国策に協力するのは当然だと考えるものであります。わが国の政権を担当している自民党政府に対して野党の皆さんの厳しい御批判はあるにいたしましても、国民の絶対的支持を受けている政党としてまた政権交代の可能な政党のない今日においては、引き続きその責任を負わなければならないはずであります。これは県政においても、自民党を中軸とした保守中道勢力に県政運営を任せたいという県民の選択にこたえてその責任を果たしていかなければならないと思います。確かに今日まで高度経済成長時代にふんだんに公共投資予算が確保できた時代とは違い、いまや緊縮財政
時代となり、低速経済にテンポを引き下げなければならなくなり、第2次振計を推進していく上でもきわめて厳しい情勢が予想されますが、沖縄の立ちおくれた点や国全体の中で沖縄の果たす役割りの重要性は、政府においても十分理解してもらえるものだと思います。知事におかれましては、国策と県益の調和を図り、自信と勇気を持って県政100年の大計を力強く推進していかれることを切望するものであります。
前置きが少し長くなりましたが、質問の第1点は基地の整理縮小と返還軍用地の跡地利用等に関連する諸問題についてであります。
沖縄の米軍基地ができた背景は、常に知事が御指摘のとおり敗戦、占領支配という時代にさかのぼるもので、県民の中に米軍基地ができたことについてその責任を問われる人はないはずであります。いずれにしても全国の米軍基地の53%、県土の12%を基地に使用されているということは正常なものではないが、県民経済とのかかわりで県土の有効利用上大きな障害になっているとはいえ、一筋なわで即時全面撤去のできない現実を忘れては円滑な基地の整理縮小は図れるものではありません。しかし基地が沖縄につくられた当時のわが国め国際的地位や世界の軍事情勢は大きく変化をしているので、基地の質や量において当然整理縮小を県民の立場としても求めていくべきであるし、国としても沖縄の基地の態様、なかんずくその整理縮小を真剣に検討すべき時期に来ていると思います。だからといってこれは決して無計画で地主不在の返還であってはならない。地主や地元市町村の意見を十分尊重し、しかも跡地利用計面を県や市町村の指導のもとに策定し返還と同時に再利用ができるものでなければならない。今日までややもすると地主の意思とは全く関係なく、しかも跡地利用計画も立てないまま
に基地撤去を叫んだために返還されてから何年も放置された例が少なくありません。そのために地主は今日までの返還のあり方に不信感を抱き返還反対を唱える挙に出たのであります。第14回、第15回及び第16回日米安全保障協議委員会で返還決定された土地は63件で5757万7000平米だが、実際に返還されたのは1625万7000平方メートルで返還合意面積の28.24%にすぎない。もちろんこの中には移設の条件がつけられたのが大半であるため移設が難航したり、地主から返還反対の要請を受けて保留されたためにおくれていると思うが、たとえこれらの問題が解決されたにしても、これだけ広大な土地が短期間に返還されると地主や市町村の受け入れ体制ができてないといけないと思うが、県はこの返還決定された土地の受け入れにどのような対策を立てているかお伺いいたします。
復帰後返還された2511ヘクタールのうち、約41%の1026ヘクタールは跡地利用がなされずに放置されている。復帰前返還を含めると1543ヘクタールが未利用のままになっているが、それは市町村において跡地利用計画が立てられてないとか地主に意欲がないなどの指摘があるが、やはり県や市町村の積極的な跡地利用についての指導が必要だと思うが、県はこれについてどのように取り組んできたかお尋ねいたします。
また、返還決定された以外の地域についても、県の立場からあるいは市町村の要望として整理縮小を具体的に進めている地域もあるのか、あるとすればどの地域か。
那覇空港の具志地区は3カ年前に返還されているのに、空港周辺で跡地利用といっても空港関連施設でなければならない利用上の制約を受けることもあっていまだ利用計画も立てられず、地主は荒れ果てた土地を荘然とながめるばかりで収入も全くとだえて困り果てている状態であるが、一体このような返還地は地主だけの責任で解決すべきものであるのか、県や市町村はわれ関せずで放置してよいのかお答えをいただきたいと思います。
さらに、今年3月に国道331号線以東の地域が返還されたが、この地域は331号線の空港入り口周辺の拡幅並びに立体交差の工事やその延長の第2ゲートまでの拡幅、そして基地内通過でバイパス計画がなされると同時に、県のモノレール関連道路計画が那覇大橋から第2ゲートに向けて計画されているので、その地域の区画整理計画は56年度からすぐ手をつけなければならないと思うが、県はこの地域の跡地利用にどのような取り組みをなされているか。
また、この地域に元試験場跡地の県有地があるが、教育庁は高校計画をしているというし、那覇地区医師会から病院建設をしたいという希望もあるようだが、その利用計画はどのようになっているのか。
知事は、国際交流の拠点形成を重点施策として掲げ、その一環としてコンベンション・ホール建設計画を立てておられるが、56年度国庫概算要求には調査費が一括計上されているという情報もあるが、その後中山沖縄開発庁長宮は南北センター構想を打ち出されたが、この2つの構想は二者択一で1つにしぼらなければならないものであるのか。あるいは両構想が同時に計画されてもよい性格の施設であるのか、それぞれの機能、役割りはどのようなものであるのか御説明をいただきたい。また、この両構想の実現の可能性の見通しについても御見解を承りたいと思います。
コンベンション・ホールや南北センター構想にしても、臨空港地区への立地が総合機能の面から望ましいと考えられるし、また那覇空港周辺軍用地の跡地利用の一環として臨空港都市機能形成の関連施設として計画されるべきだと思うが、その位置について具体的詰めの作業が進められているかどうかお尋ねいたします。
次に、国場川(漫湖)整備とそれに関連する諸問題についてお尋ねいたします。
国場川の整備は継続的に進められてはおりますが、その中心となる漫湖の環境整備は周辺の生活環境整備や公園整備、道路交通網整備と大きなかかわりを持つものであります。本員は過去にも二、三回この問題を取り上げてまいりましたが、堆積土砂のしゅんせつをして干潮時でも一定の水位が保たれるような昔の状態にすべきだと言っています。自然保護、野鳥保護を盾に今日まで臭い海のままにしていますが、昔はそんな土砂の堆積した臭い海じゃありませんですよ。最近の野鳥の異常な飛来はそれこそ不自然であって、河川管理が悪いために浮遊物がかっこうの野鳥のえさ場になっているということであります。
それでも県は本員の二、三回に及ぶ指摘に対し、その地域の環境整備の基本計画を立てられたようでありますが、この地域の整備事業は何年度から着手される予定か。また、コンサルタントの整備計画案をそっくり県の整備計画であるとは思いませんが、その計画案では豊見城村がその地域の道路交通網整備を含めて地域開発のための埋め立て計画を立てている地域を干がたとして残す案がつくられているが、この計画で豊見城村の合意が得られると思うのかお尋ねをいたします。
また、従来から県道7号線のホテル大商から豊見城高校を経て古蔵中学に向けての都市計画道路の予定があるが、その萄路計画は当初の計画どおり今回の漫湖周辺環境整備の中でも変更はなされないと見てよいのか。以前にも二、三回この地域の左岸道路開発の問題を取り上げてまいりましたが、当時の大嶺土木部長は、この地域は軟弱地盤であるので山手に寄せて第8次計画の中で事業実施をしたいということを議会で答弁されましたが、その計画に変更があったとは考えられませんが、その点を明確にしていただきたい。
次に、本員は過去二、三回明治橋のかけかえ、拡幅の必要性を取り上げてまいりましたが、その当時は河川管理者である県の河川の整備計画が確定しないでは明治橋のかけかえ計画は進められないということでありましたが、最近この計画の調整ができたと聞いているがその点どのようになっているか。また、明治橋のかけかえは開発庁の事業で所管は違うけれども、いつ行うようになっているのかお尋ねいたします。
また、その周辺の貯木場についてでありますが、台風時の護岸破損の予防策を十分配慮すべきだと考えますが、これについてどのような対策を立てているか。また、貯木業者にどのような指導をしているのかお尋ねいたします。
次に、県の管理している河川敷の中にある鏡原中学校の運動場拡張の件で、隣接する場所に公園予定地として埋め立てられている土地の一部から割譲してほしいということで関係者から要請が出されている件について県も那覇市も検討の上考慮しようということであったが、その問題はどのように対処しておられるかお尋ねいたします。
最後に、漁業問題についてお尋ねいたします。
那覇市の漁業者の実態は、漁船勢力で全県の57%、生産量で36%で重要なウエートを占めております。しかし那覇市の沿岸が港湾区域に指定されているために漁港施設や漁場整備に大きな制約を受けている現状でございます。特に沿岸漁業者は、それぞれの地域の漁港や海岸に漁船をつないでいるのでありますが、那覇空港に部落ごと土地を取られた大嶺の漁業者は豊見城村の瀬長島周辺に漁船をつないでいるのでありますが、瀬長の漁業者から船の撤去を求められて船をつなぐ場所がなくて困っている状態であります。本員は、以前にも大嶺漁港建設について取り上げてまいりましたが、その後どのような取り組みをなされたか。那覇市の漁港岸壁は、漁船の増加に伴いどうしても新たな漁港建設を考えなければならないが、那覇市の泊港北岸が遊休状態にあるので那覇市と調整の上漁港化を図るべきじゃないかということを以前の議会で提言いたしましたが、この件に関して新漁港建設と泊港北岸の漁港化についての御見解を承りたいと思います。
最後に漁業問題に関連してお尋ねいたしますが、今年2回の秋台風が沖縄本島に接近いたしましたが、そのとき台湾漁船が避難のために那覇の漁港に押し寄せてきて地元の漁船が締め出されたとされていますが、避難港として他国の漁船の分まで考えることはないと思うが、しかしわが国の漁船も出漁中に台風に遭えば他国の漁港に避難し他国のお世話にならなければならないと思うので、わが県としても本県近海で操業している漁船を台風時に保護できるだけの施設整備は当然なされなければならないが、その対策はどのように立
てられているかお尋ねいたします。
以上の点について御質問をいたしましたが、それぞれの項目について明快な御答弁をお願い申し上げます。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 仲村正治議員の御質問に対しましてお答えいたします。
基地の縮小整理についての御質問に対しましてお答えいたします。
第14回、第15回及び第16回日米安全保障協議委員会で返還合意がなされたのは49施設でございまして、5757ヘクタールであります。そのうち55年8月現在で1625ヘクタール、約28.3%が返還されております。残りの4132ヘクタール、これはまだ返還されていない状況であります。返還されない施設につきましては早期返還を求めていきたいと思っておりますが、具体的には移設の措置や跡利用計画等も勘案しながら進めていきたいと思っております。
跡地のまだ利用されていない土地について、県はその利用をどう考えているかということについての御質問に対しましてお答えいたします。
未利用となっておる1543ヘクタールのうち、279ヘクタール、約18%相当は現在関係市町村、組合等で跡利用計画を策定いたしておりますので、その事業化を推進してまいりたいと思っております。また残る1264ヘクタール、約82%でございますが、これにつきましても関係市町村に対し早急に跡利用計画をつくるよう指導していきたいと思っております。
それから小禄地区の返還跡地の利用についてお答えいたします。
那覇空港周辺の軍用地のいわゆる小禄地区は、米軍用地、自衛隊用地及びすでに返還されました具志地区等を含めまして約590ヘクタールの広大な用地があります。当該用地は那覇空港を初め那覇市街地及び那覇港湾とも隣接し、今後の都市開発において重要な役割りを果たすべき地域としてその跡利用に対して大きな期待が寄せられております。これまでにも数多くの計画、構想の調査や提案が行われているところであります。県といたしましては、那覇市及び国など関係機関とも協力して那覇市都市開発整備計画調査を進める一方、那覇国際空港の将来構想調査、臨空港産業開発可能性調査及び自由貿易地域設置構想等を含め周辺跡地の利用計画策定のための調査検討を進めておりまして、これらの調査結果を踏まえまして総合的な開発方針のもとに利用の具体化を進めてまいりたいと思っております。
海軍補助施設跡地の利用についての御質問に対しましてお答えいたします。
当該用地につきましては那覇地区医師会等から利用したいという要望もありまするけれども、本県にとりましては数少ない県有地でございまして、公共施設の整備拡充のための公共用地は将来増加するものと見込まれますので、県といたしましてはこれらの県有地を県の施設として利用していきたいと思っております。
それから331号線の東側の返還軍用地の跡利用計画につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
次、南北センターとコンベンション・ホールとの関連についての御質問に対しましてお答えいたします。すでに代表質間の段階で照屋忠英議員に答弁したとおりでございまして、一部は割愛させていただきたいと思います。
沖縄コンベンション・ホール建設に関する調査は、54年度の基本構想を踏まえまして本年度は基本計画調査を進めており、また沖縄開発庁におきましても56年度に国際交流の場の形成調査の一環として施設面等を含めて調査することになっております。したがって基本設計並びに建設に向けてのスケジュールは検討を進める必要があります。
コンベンション・ホールの立地の場所でございますが、その機能を十二分に発揮するため多面的な検討を必要といたしておりますが、その場合社会活動体系の諸ファシリティの完備度、2つ目に宿泊施設の完備度、3つ目に交通のアクセスの度合い、4つ目に用地取得の難易度について評価いたしまして慎重に判断しなければならないと考えております。現段階では、立地場所については未定でございます。また仮称南北センター、アジア・太平洋センターとも言われておりますが、これにつきましてはその機能面から琉球大学の役割りとの関連で周辺に適地を選定すべきであるという意見もございますが、最終的には国の判断を待って対応していきたいと思っております。
国場川の整備に関連する諸問題につきましては部長から答弁させることにいたします。
それから国場川の整備とそれに関する諸問題、国場川の整備と関連するいわゆる具体的な道路の計画につきましては部長から答弁させることにいたします。
明治橋のかけかえにつきましても部長から答弁させることにいたします。
それから貯木場の件につきましても部長から答弁させることにいたします。
鏡原中学校の運動場拡張問題につきましては、これも部長から答弁させることにいたします。
漁業問題について大嶺地区に漁港を建設することについては部長から答弁させることにいたします。
那覇市における新漁港の建設と漁港を泊北岸まで広げたらどうかとの御質問につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
台湾漁船についての御質問に対しましてお答えいたします。
台湾漁船の避難状況は、台風19号の場合は那覇埠頭地区に約86隻、泊埠頭地区に12隻、合計98隻が避難いたしております。今後の台風時における台湾漁船の避難につきましては、第11管区海上保安本部と港湾管理者である那覇市が協議いたしました結果、台風接近に伴う避難勧告以前に入港する台湾漁船は避難港である安護の浦港、運天港の両港に避難誘導し、避難勧告に従って入港する漁船は新港埠頭地区小舟たまり場に係留させ、それ以上の隻数になりますというと那覇埠頭地区及び新港埠頭地区のバースに係留させることで対処することになっております。なお、那覇地区における漁港の整備拡張については現在のところ困難でございます。
その他漏れた点につきましては、それぞれ担当部長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 第1番目に、国道331号線の東側の返還軍用地の跡地利用計画についてお答えを申し上げます。
当該地域は、今後の那覇市の都市開発にとってその位置、規模等からして重要な役割りを持つ地域であることは御案内のとおりでございます。したがいましてその跡地利用につきましては県、那覇市、地域整備公団の3者によりまして共同調査を昭和54年からことしにかけまして実施をいたしております。御指摘のようにモノレールは当該地域内を通る計画でありまして、小学校、中学校、高等学校等の公益施設や当該地区に必要な利便施設等を考えており、その事業化が早期にできるよう検討をしているところでございます。そのため昭和56年度には、これらの施設配置を含む土地区画整理事業の調査を行うため国庫補助の要求を行っており、事業化の早期実現のため一層の努力をしていきたいと考えております。
次に、国場川の整備について、特に漫湖の整備についてお答えを申し上げます。
国場川の基本的な整備計画については、現在私どもコンサルタントに委託をしてその成果品が出ておりますけれども、これを十分検討いたしまして今後県の整備の基本計画ができましたらその整備計画をもとにしまして56年度に実施計画調査を行い、57年度以降に工事に着手できるように努力をしていきたいと思います。なお、その間は現在実施しております河川環境整備事業による河道のしゅんせつ工事を引き続き実施をする計画であります。
なお、豊見城村と県との調整につきましては、県の整備計画案が整い次第調整をしてまいりたいと考えております。
それから国場川の貯木場についてお答えを申し上げます。
貯木場の問題については、許可条件に、河川管理施設を損傷することのないよう十分に措置を講ずること、また万一損傷を与えた場合は原状に復旧すること等を義務づけており、このような事態が発生しないよう個々の原木を十分に係留するよう指導して現在に至っております。
次に、鏡原中学校の運動場の拡張問題についてお答えを申し上げます。
国場川漫湖地区の改修工事に伴って生じます廃川敷については、すでに県と那覇市の間に公園用地及び学校用地に使用させるということでの約東がなされておりますので、鏡原中学校の運動場拡張問題につきましては那覇市の方針がまだ決まっておりませんのでその方針が決まり次第その方向で処理していきたいと考えておりますが、現在那覇市の関係当局の間で調整中であると聞いております。
明治橋のかけかえについてお答えを申し上げます。
明治橋の改築に関しましては、国の直轄事業となっておりますので沖縄総合事務局に問い合わせをいたしましたところ、昭和55年度において予備設計を進めているところであり、来年の1月下旬までには予備設計をまとめ2月以降関係機関と具体的な調整を行う予定であります。関係機関との調整が済めば昭和56年度において橋梁改築の実施設計を行う計画であります。なお、60年度完成を目途に事業計画を進めていると聞いております。
次に、国場川整備に関連しての道路計画についてお答えを申し上げます。
ホテル大商前から小禄地区土地区画整理区域北側を通り、国場川を横断し対岸の国道329号線に至る道路計画については、その陸域部分については幅員20メートルの都市計画道路として昭和31年3月に都市計画決定を見ておりますが、河川部分については漫湖公園計画、国場川改修計画、那覇市及び豊兇城村の道路網計画、さらに環境保全対策等全体的な再検討が必要であると考えております。したがいましてその整備につきましては困難でありますので、周辺の道路網の見直しを検討する中で交通問題に対処をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇)
○農林水産部長(宮城宏光君) 漁業問題についてお答えいたします。
1点は、小禄の大嶺地区に漁港建設をする問題についてでございますが、大嶺地区の近くに与根漁港が指定されていることもありまして、隣接して漁港の新規指定をすることは現在のところ困難でございます。与根漁港は確かに現在規模は小さいという状況にありますが、今後の利用漁船の状況を見て施設の拡張を図る計画であり、同漁港を整備する中で瀬長島の漁船対策を講ずる考えであります。なお、当面対策として那覇市においては船揚げ場の設置計画があります。
次2点目は、泊港北岸の漁港化についての見解ということでございますが、那覇市にあります泊漁港は県内、県外船の増加によって確かに狭くなっております。那覇市の沿岸は御案内のとおり那覇港湾区域として指定されており、泊漁港も那覇港湾区域内にあることからその拡張は那覇新港埠頭との関係もあって困難であり、また新たな漁港建設も現在のところ港湾区域との関連から困難な状況にあります。
泊漁港は、那覇市を中心とする鮮魚の供給基地として、また流通の拠点港として県内、県外船が広く利用しその実績を上げておりますが、同港だけでは漁船の収容ができない状態にありますので、泊港を漁港として活用するためこれまでも那覇市の関係者と話し合いをしておりますが進展を、見ておりません。那覇市としては、現在那覇新港を建設中ということもありまして泊港の漁港化に踏み込めない状況もありますので、県としてはなお引き続き話し合いを進めてまいりたいというふうに考えております。
○議長(大田昌知君) 仲村正治君。
〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 先ほど土木建築部長は、国場川左岸の都計道路17の1の1について周辺の交通状況を見て見直したいということでございましたが、県道7号線の山下陸橋からホテル大商までの間をいま4車線、20メーター拡幅の計画があるわけでございます。これは将来漫湖の左岸都計道路の17の1の1に接続するためにその場所まで4車線に広げているということでありますけれども、それを見直すとなりますと下り線はこのホテル大商の近くで相当の交通混雑を引き起こすような結果になりかねないのであります。先ほど31年に都市計画決定されたということでありましたが、私の調べたところでは49年に都市計画決定されていると思いますが、そういうふうな道路交通体系の問題について朝令暮改の継ぎはぎ的な行政では困るじゃないかとこういう感じを持つものでありますけれども、それを当初の計画どおりなさるおつもりがないのかどうか、もう一度明確な御答弁をいただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) ただいまの御指摘の点も十分踏まえまして今後検討させていただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 嘉数知賢君。
〔嘉数知賢君登壇〕
○嘉数知賢君 通告に従いまして、本員は所見を述べ質問をいたしたいと思います。
まず、北部地域の開発等についてお伺いいたします。
北部地域は、その地理的環境及び自然的条件からして第2次産業、特に工業用地として開発することは大変むずかしくまた適切でもないと思います。したがいまして北部地域の開発は、その豊かな自然条件を有効に生かすことから推し進められるべきだと思量いたします。すなわち亜熱帯性、海洋性気候に加えてすばらしい海岸線を生かした海浜型大型レクリエーション基地を建設し、海洋性スポーツのメッカとして北部をとらえる。また豊かな海洋等海と緑を利用した長期滞在型保養基地を建設し、また離島を一元化した島伝い観光のルートを開発推進すること等により観光産業の振興に努める。一方、農業の基盤整備、土地改良事業等を推進し、土地の有効利用を図ることにより農畜産業を振興し、北部地域を本県の農畜産物の供給基地として位置づけ、それに付随して農畜産物の2次加工業、食品加工業等を推し進めることにより開発が推進されることが望ましいと本員は思量いたしますが、知事の御所見をお伺いします。
また、しかしながら観光産業あるいは農畜産業の振興には莫大な資金を要するものであり、積極的な国や県の施策なくしてとても望めるものではありません。特に国の財政事情の硬直化している今日、中城湾港整備計画、国体の開催、都市モノレール等大型プロジェクトを抱えている本県において、勢い都市中心型の予算の配分になる可能性が強く金のかかるわりには投資効果の少ない過疎地域を多く抱えた北部地域はますます取り残される懸念がありますが、そのことがないような十分なる配慮が必要かと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
次に、沖縄振興開発計画を受けて各圏域の特性を生かした開発を推進することにより人口、産業、社会資本等の分散を再配置を図ることを目標に圏域別振興開発基本方針が策定され、昭和53年から56年度までの県の具体的な圏域別開発計画がまとめられておりますが、目標最終年度を迎えその達成度はいかなるものか。またその評価と今後の課題等について特に北部地域についてお答え願います。また今後同基本方針を洗い直し第2次振計において北部地域の開発のため具体的にはどのようなプロジェクトを計画し、どのように推進していくおつもりかお伺いいたします。
次に、農林水産部長にお伺いいたします。圏域別基本方針の中でその達成がとりわけおくれていると思われる第1次産業農畜産業の振興についてお伺いいたします。
同基本方針によりますと農畜産振興の具体的な方針として9項目の施策が挙げられておりますが、特にその中で、「羽地大川流域ダム、比地川流域ダム、繁間川流域ダム等の開発関連の基盤整備事業を推進する。」とありますが、その計画の進捗状況はいかなるものか。また羽地大川ダムは多目的ダムとして開発する予定とのことですが、その具体的な利用計画等についてお伺いいだします。
第2に、「かんがい排水施設整備、ほ場整備、農道整備、農地開発事業、その他の土地改良事業を推進する。」とありますが、その達成状況について。
第3に、「優良家畜の導入と畜産基地建設(山原第1区域及び第2区域)により畜産振興を図る。」とされておりますが、その取り組み等についてお伺いいたします。
第4に、果樹、花卉、特定野菜等の本土出荷を円滑化するため「集出荷体制を強化する。」となっておりますが、その成果について。また流通センター等を北部に設置することにより、北部地域、より直接本土へ出荷する体制ができないものかどうかお伺いいたします。
次に、環境保健部長にお伺いいたします。同じく基本方針です。
保健医療等については、「県立保健医療施設(名護病院等)の整備・充実を推進するとともに、」、「圏域内における保健医療機関の連けいを強化するとともに地域保健医療計画の早期策定を図り、保健医療体制の計画的整備を促進する。」とあり、その方針に従い医療事情も漸次改善され、特に名護病院においては病床数の増設、眼科の新設、人工透析の実施等により充実強化され、地域医療の確保に多大な効果を挙げており県の御努力に対し感謝するものでありますが、しかしながら一方無医地区の解消、無歯科医地区の解消、辺地の診療の強化等々解決されなければならない困難な問題を抱えたままであり県の一層の御努力が望まれますが、所見をお伺いします。
また、近年多発する交通事故による脳損傷、脳内出血等による脳損傷等が増大し、それに対応する脳神経外科の施設が公立、民間を問わず北部地域にはなく、それらの治療のためには遠く那覇あるいは中部病院等を頼らざるを得なく北部地域の住民は大変不安と不便を感じております。
そこでお伺いいたします。県立名護病院に同診療科目を設置する計画があるかどうかお伺いいたします。
また、それらの事故、疾病等により体の機能の一部が麻痺した人たちの社会復帰を図るためのリハビリ施設も全くございません。そのためその早期な設備が叫ばれており、リハビリ施設がないゆえに社会復帰が遅々として進まず不幸な毎日を送っておられる方がたくさんおられます。その方たちの対策等についてどのような方法で臨まれるかお伺いいたします。
次に、麻薬事犯等について県警本部長にお伺いいたします。
昭和三十七、八年を境に鳴りをひそめていた麻薬、覚せい剤等の乱用事犯が他府県、特に大都市周辺において多発の傾向にあり、芸能人を初め学生、OL、主婦等にまで及び、戦後第2の乱用時代を迎え大きな社会問題を惹起しつつあると報道されておりますが、御承知のように麻薬、覚せい剤等は暴力団の有力な資金源として利用され、そのためさまぎまな抗争が繰り返されております。また本薬物は大変習慣性が強く一度中毒してしまうとなかなか抜け出すことができなく、そのために家庭を破壊し、他人を傷つけ、最後はみずからをも滅ぼしてしまう恐ろしいものであります。本県におきましても昨今の新聞マスコミ等の報道によりますと、ベトナム戦争の終結とともに減少していた麻薬大麻事犯等がことしに入って急増傾向にあり大きな社会問題になりつつあるとのことですが、もしこのことが事実であるとするならば大変憂慮すべきことであります。早急に対策をとる必要があると思量いたします。
そこでお伺いいたします。第1に、ことしの大麻麻薬、覚せい剤事犯の剤種別検挙状況とこれらの押収量並びに米軍人と日本人を対比した内訳等についてお伺いします。第2に、他府県と比べて本県の麻薬事犯等の実態はどうなっているのか。第3に、これら大麻麻薬事犯等の密輸入ルートと県内での密売、乱用事犯の実態はどうなっているか。第4に、県警の取り締まり対策と米軍基地内取り締まりの状況はどうなっているのか。第5に、県警の基地内での捜査権の行使はどこまでできるのかお答えを願います。
特に大麻及び大麻樹脂、すなわちマリファナ、ハシッシュ等については、米国はもとより東南アジアの米軍駐留国では容易にしかも安くて手に入り、また米国のある州によっては自由に使用させており、せいぜい交通切符並みの処理しかしてなかったりという国柄の違いから米軍人は罪悪感が薄く、またドル安円高の影響で在沖軍人の生活が脅かされ、基地外での遊興費に事欠き手軽に飲んだり遊んだりすることができず、特に下級兵士等についてはなおさらのことであります。そこでつい安くて容易に手に入れることができるマリファナ等に手を出すということで、本員が知り得た範囲では現在のところその需要も供給もほとんど米軍基地関係者であるようですけれども、ことし7月に起こった幸喜事件等に見られるように、一歩間違うと米軍基地が麻薬供給基地に早変わりし県民がそれに巻き込まれる可能性が十分に考えられます。したがって手おくれにならないうちに十分なる対策と取り締まりがなされるべきだと思います。本部長の所見をお伺いします。
ちなみに、沖縄県が復帰した47年以降しばらくは本県で年間30ないし50人のヘロイン中毒患者が発見され、これがわが国で発見される麻薬中毒患者の大部分を占めていたという事実もありますから、本部長、よろしくお願いいたします。
また、行政当局といたしまして県民の健康と安全を守る立場から、かかる事犯等についていかなる対策を講じてきたかお伺いいたします。部長、お願いします。
以上をもちまして質問を終わります。なお、再質問はいたしません。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 嘉数知賢議員の御質問に対しましてお答えいたします。
北部地域開発についての御質問に対しましてお答えいたします。
現沖縄振興開発計画の中で、本県の自然的、地理的条件、土地利用状況、生産活動等の状況を踏まえ、沖縄の今後の開発方向を考えるに当たっては各圏域の特性を生かした開発を進めるとうたわれております。本島北部を中心として伊平屋村、伊是名村、伊江村を含めた北部圏域は、国際海洋博覧会を機会に本部半島に形成されるリゾートゾーンを核といたしまして余暇開発、農林水産業、自然の保全及び海洋開発研究の地域としてその整備方向が示されております。
また、北部圏域における開発の方向といたしまして、沖縄国際海洋博覧会会場の跡地利用と関連させまして本部半島周辺に海洋性レクリエーション基地を建設して大規模保養地域を形成するという構想が大きく位置づけられております。沖縄振興開発計画策定後の経済社会情勢の変化や開発推進主体等の問題から、海洋博覧会跡地の公園整備を除いては必ずしも構想どおりには進展していない面があります。なお、道路、港湾等社会資本の整備は年々整備されつつありますが、農林漁業の生産基盤は依然として立ちおくれておる状況にあります。したがって第2次振興開発計画の策定に当たりましては、現計画や圏域別振興開発計画の総点検をいたしましてその結果を踏まえ、なおその反省に立って地域性豊かな生活圏の確立をするということを新たな目標といたしております。
圏域別開発の方向を考えるに当たって、その中で北部圏域の特性を生かした開発を進めるように位置づけていきたいと思っております。またその推進に当たっては、現在進めている広域市町村圏計画やモデル定住計画とも整合性を図りながら具体的なプロジェクトを検討していきたいと思っております。
次に、北部地域の農業振興についての御質問に対しましてお答えいたします。
本島北部地域における農業の振興につきましては、水資源等多様な自然条件を有する地域としてサトウキビ、パイナップルを初め畜産、野菜、花卉等の生産振興を図ることが沖縄振興開発計画及び沖縄県農業振興基本計画でうたわれているところであります。そのため畜産基地建設、羽地大川地区灌概排水事業を初め、農用地開発、土地改良事業、農村総合整備事業及び各種生産対策事業等々を推進しておるところであります。これらの施策は、引き続き第2次振計にも盛り込まれておりまして積極的に推進されることになっております。
なお、第2次振計における主要プロジェクトとして次のことが考えられております。羽地大川地区灌漑排水事業、経営主体は国でございます。昭和58年度から64年度に完成することになっておりまして、事業費は全部で94億円、受益面積が1520ヘクタールになっております。山原第2畜産基地の建設、これは公団が実施するわけでございますが、56年度から58年度にかけて実施することになっておりまして事業費は44億円、事業の規模につきましては面積390ヘクタール、肉用牛220頭、豚が2900頭ということでございます。
圏域別開発基本方針の進捗状況についての御質問に対しましてお答えいたします。
羽地大川ダム、貯水量約1920万トンになっておりますが、これは多目的ダムでございまして建設省サイドで現在計画いたしておりますが、ダムの水を利用する国営灌漑排水事業、受益面積が約1500ヘクタールでございますが、これにつきましても昭和50年から55年までに調査をいたしまして56年、57年度に全体実施設計を行い、58年度に着工する予定となっております。なお、県営、団体営の土地改良事業につきましても昭和56年度から着工を計画いたしておりまして、今後計画的に実施できるよう取り組んでまいりたいと思います。
それから比地川流域ダムでございますが、これにつきましては水需給計画を検討しているところでございまして、今後地元と十分調整しながら早期に事業化できるよう努力いたしたいと思っております。なお、比地川下流の圃場整備事業につきましては、昭和53年度に着工いたしまして現在引き続き実施中でございます。
繁間川流域ダムにつきましては、52年度にダムの可能性調査を実施いたしましたが、地元の同意が得られず、現在灌概排水事業については村当局とともにその実現の方向で地元の同意を得るように努力いたしておるところでございます。
その他の御質問に対しましてはそれぞれ農林水産部長から、また伊波環境保健部長から答弁させることにいたします。
以上でございます。
○議長(犬田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 農業関係で残された問題についてお答えいたします。
まず土地改良事業関係のことでございますが、北部圏域の農業基盤整備につきましては54年度までに灌漑排水整備事業が589ヘクタール、圃場整備事業が782ヘクタール、農道整備事業が93キロメーターであり、これはいまさきも知事からありましたが整備率は低い方でございます。したがって今後は国営、県営及び団体営事業を推進して農業の基礎条件の整備に努めてまいりたいと思っております。
ちなみに北部地域と沖縄県全体を比較してみたいと思いますが、灌漑排水事業の場合達成率で全県では9.2%でございますが、北部地域は6%でございまして低い状況にあります。それから圃場整備は県全体が10.3に対して10と若干低いという状況でございます。
それから2点目、畜産基地関係のことでございますが、畜産基地建設事業は昭和51年度から事業を開始しておりまして八重山地域と沖縄本鳥北部地域で6地区を実施する予定でございますが、そのうち北部地区は2地区を実施する計画でございます。すでに山原第1地区は国頭村の2団地、これは楚州、伊部でございますが、その地域で52年度から着工し55年度に完了する予定でございます。残された山原第2地区については国頭村、大宜昧村、東村の中にある4団地を予定しておりますが、56年度から着工すべく国においては農林水産省から大蔵省に対して予算の要求等の作業を進めているところでございます。
それから家畜の導入の状況でございますが、昭和47年度から55年度まで肉用牛、乳用牛、豚の導入をしておりますが、全体の割合を見ますと県全体の中で肉用牛は23%、乳用牛が21%、豚が25%の割合で導入されております。
それから最後の御質問でございますが農林水産関係、野菜、花、果樹等の集出荷体制とそれから北部から直接本土に出荷できないかという御質問でございましたが、現在果実、野菜、花の卉集出荷体制については御案内のとおり冬春期を主軸とした生産出荷拡大に対応するため47年度から各産地に共同集出荷貯蔵施設の設置を計画し、昭和55年度までに30市町村に50カ所設置し、集荷、規格選別、共同出荷を行っております。今後は生産計画に対応した集出荷施設と輸送体制を整備して、産地から消費地間を冷蔵コンテナで連結した共同集荷及び共販体制を確立していきたいというふうに考えております。
なお、北部地域から直接県外へ出荷することについてはこれは今後の課題でございます。林業関係で現在国頭村でチップ工場をつくってチップを生産しておりますが、これは現在運天港から運んでおりますけれども、これをその近くの宜名真あたりから運べないかという御質問が前にありましたので現在その方向で宜名真の漁港を整備しておりますが、こういった野菜、花、果樹等についても北部地域から直接本土に輸送するということについては十分に可能性はありますので、量的な面等々検討してその方向でやっていきたいと思っております。
ちなみに、現在そういった野菜、花等の集出荷施設50カ所ありますが、そのうち13カ所が北部に設置している状況でございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 振興開発計画の中で医療対策の分野でございますが、北部地区の無医地区の問題では、現在橋のかかりました野甫島も含めて10の無医地区ということになりますがこの野甫島を除きますと9地区でそこに大体5000人ぐらいの人口となっております。しかしながらその中で介輔による診療が行われている地区を除きますと、大体2500人程度の人口が無医地区として指定された地域に住んでいるということになっております。これにつきましては、県立名護病院を僻地中核病院として指定いたしまして年間130回以上の定期的な巡回診療を行わしめております。また、振興開発計画今後の計画では、医療基本計画をつくりまして市町村立の診療所が大体66年度までに歯科診療所も含めて8カ所の計画をいたしております。一般診療所は、行政目標といたしまして北部保健医療圏では現在39の診療所がございますが、これを改築ないしは増築をいたしまして43まで持っていきたいと考えております。非常にこの地区別に人口が150人とか300人とかということがございますので、こういった分野は広域的な形でカバーをしていきたいとこのように考えておりま
す。
次に、名護病院における脳神経外科の診療科目の設置についてでございますが、現在名護病院で脳神経外科の診療につきましては一般外科の対応できる範囲内で神経系などの診療は行っているわけでございますが、交通事故あるいは脳内出血等頭部疾患患者に対応するために55年度で頭部用のエックス線コンピューター断層装置、いわゆるCTスキャナーというものを設置いたしまして診断機能を強化する予定でございます。脳神経外科の診療科目の設置につきましては医療要員の確保なども問題がございますので、その確保とさらに名護病院においてどの程度の脳神経外科の診療を行うかといったような点から、他の県立病院などとの機能分担等も考慮して検討していきたいと思っております。
リハビリテーションの充実計画についてでございますが、御指摘のリハビリテーション、社会復帰という点につきましては、特に県立病院では医学的なリハビリテーション機能の強化が必要ではないかと考えております。県立名護病院では、昭和51年5月からリハビリテーションをある程度実施いたしているところでございます。
なお、昭和57年度には県立中部病院及び現在建設中の南部病院にもリハビリテーション機能を備えていきたいとこのように考えております。また将来医療要員の確保あるいは理学療法士等の確保などを勘案しながら宮古、八重山病院にもリハビリテーション施設を整備していきたいと思っております。
次に、麻薬、覚せい剤に対する県の取り組みでございますが、県内で麻薬等の取り扱いをしております業者が287程度ございますが、これに対しては不正麻薬等の指導取り締まりなどを行っているところでございます。
麻薬、覚せい剤事犯に関しましては麻薬中毒者の通報状況は現在ありません。県としましては麻薬、覚せい剤禍追放の広報活動をいたしておりまして、県下に10数名の相談員を配置してその地域の住民に対して映写会等を行って認識を深めてきております。また沖縄県薬物乱用対策推進地方本部を設置しておりまして、不正大麻、ケシ撲滅運動月間、あるいは麻薬、覚せい剤禍撲滅運動月間、あるいは薬物乱用防止広報強化月間等の月間を軸にした啓発活動を各市町村の薬物乱用対策推進協議会とともに展開をいたしてきております。
特にこの麻薬、覚せい剤禍の件につきましては、県民の中に浸透していくことを防ぐためには県民の一人一人の正しい知識を深めていくということが重要でございますので、今後ともそういった面で努力をしていきたいと思っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 麻薬関係事犯の現状と取り締まり対策についてお答えをいたします。
警察におきましては、県民に対するこれら薬害の防止のためこの種事犯の取り締まりの強化に努めているところでございますが、ことし1月から11月までの検挙内容をまず申し上げます。大麻事犯202件195人の検挙、麻薬事犯24件16人の検挙、覚せい剤事犯10件9人の検挙でありまして、合計236件220人を検挙しております。押収物品は大麻約11キログラム、LSD麻薬約4000錠、覚せい剤30グラムとなっております。県内の麻薬事犯まここ数年来横ばい傾向にありましたが、ことしに入って増加傾向を示しておりまして、検挙件数、人員、押収量ともに倍増している状況にあります。その中でLSD麻薬は正確には4078錠押収しておりますが、これは昭和49年以降の全国の押収量2524錠の約1.6倍に相当するものであります。
これら麻薬関係事犯の検挙者の大部分は米軍人でありまして、検挙件数では223件94%、検挙人員では208人95%が米軍人であります。したがいまして日本人の検挙は5%程度という状況でございます。
他府県と比べた本県の状況でございますが、全国的に非常に最近乱用が広がっておりますのが覚せい剤でありまして、全国的には昨年1年で3万1000件余り検挙がありました。隣の鹿児島県は比較的少ない県でありますが、163件ほどの検挙がありました。これに対して本県はわずかに4件でございます。幸いにして覚せい剤の汚染は、本県民の間には及んでいないと言ってよろしいかと思います。これに対して本県で非常に多いのは大麻事犯でございまして、全国の検挙、昨年で全国の約1割を占めております。そしてその事犯は大部分米軍人によって行われていると、ここが本県の特徴でございます。
次に、密輸入ルート等でありますけれども、県内での密輸事犯はほとんどがやはり米軍人によりましてアメリカ本国あるいはフィリピン等から軍事郵便小包を利用した密輸入事犯でございます。したがいまして密売、乱用等もこれはほとんど米兵同士の取引によるものでありまして、日本人による密売事犯はないのであります。わずかに所持事犯が散見されるという状況でございます。
4番目に警察の取り締まり対策でございますが、申し上げましたように90%以上が米軍人による事犯でありますので、まずその供給源を断つために沖縄地区税関、米軍捜査機関との緊密な連携のもとに空港あるいは海港の水際における取り締まりを強化しておりまして、また密売、乱用事犯についても取り締まり強化月間を設定いたしまして組織的、効率的な取り締まりを続けましてこの種事犯の絶滅に努力しているところでございます。特に米軍当局とは定期的に情報連絡会議を持ちまして、新たな密輸の手口や組織的な事犯等についての情報交換を行っております。米軍側もこれに基づいて憲兵隊と捜査機関が主体になりまして、各部隊の将校とタイアップして基地内の兵舎等に対して捜索、取り締まりをするなどしておりまして、米軍も厳しい取り締まりを行っているというように見受けられるところでございます。
最後に、基地内における警察の捜査権でありますけれども、これは日米間の条約、地位協定、合意事項等によりまして米軍人を逮捕する場合は米軍当局の同意を必要といたしますが、逮捕以外の捜査活動につきましては米軍捜査機関との連携で共同捜査を進めておりまして、現在のところ麻薬事犯の捜査上は何ら問題点はないと考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午前11時42分休憩
午後1時 再 開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
午前に引き続き質問及び質疑を行います。
伊良皆高吉君。
〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 さきに通告いたしました事項につきまして、所感を述べながら質問を行います。
サトウキビ産業が基幹産業として本県経済に果たす役割りや現状の上に立ってその反省点または将来に向かっての健全育成その他関連する問題等について知事並びに関係部長にお伺いし、御答弁をいただきたいと存じます。
基幹産業として最も多くの農家が従事し最も多くの作付面積を擁しているサトウキビ産業は、その収益においても本県経済に大きく貢献していることは御承知のとおりであります。県当局がサトウキビ産業の振興のために並み並みなら織努力を払っていることについては農地の改良、灌概施設の整備を初め農業機械の開発あるいは栽培技術の研究、品種の改良等多くの事例によって知ることができ、県民の一人として敬意を表するものでありますが、一方生産者の側についてはそれらの点に対する情報と理解がまだ十分でなく、そのためにせっかく改良した圃場や整備された灌漑施設も十分に活用されず、栽培方法や機械の利用についても余り生かされておりません。いまのままでは何のために、だれのために圃場を整備し灌漑施設を行ったのかわからない状態です。投資したものは活用されて初めてその価値が生ずるものであります。
1つ、サトウキビ産業の反省点の第1点は、これまでのいかに高くで買い上げさせるかということよりも、いかに反収を高めいかに生産コストを上げていくかという考え方に変えていくことが大切であります。いわゆる甘味資源として北海道のてん菜糖や外国の砂糖などとどうして対応していくかということが大切であります。御案内のように本県のサトウキビは鹿児島県のサトウキビ、北海道のビートとともに国内における唯一の甘味資源であり貴重なものであります。しかしながらその価格決定については、知事3役を初め県当局の担当者あるいは県内から多くの生産者の代表、関係者が数回にわたって価格の陳情のために上京していることは例年のとおりであります。しかしこのようなたび重なる陳情にもかかわらず、決定されるキビの価格は必ずしも生産者の要求を満たすものではありません。そのことについては県民の一人として生産者の言い分や希望も十分理解できるのでありますが、厳しい現実を十分に認識させ、それに対応させていくことが生産者にとっては最も親切なことであると思います。本県の農業を考えたときサトウキビは狭い土地で空間が利用できること、台風に強いこと、そのほ
か自然条件を考え合わせてもいまのところ本県に適していると判断でき、今後ますますその振興を図るべきであります。
反省の第2点は、植えつけの時期についてであります。
従来の考え方は夏植えがよいとされ、多くの生産者が夏植えを主体として栽培を行っておりますが、実際はあらゆる面で夏植えよりも春植えの方がよいようであります。具体的な例として県農業試験場八重山支場の実験データを紹介いたします。その資料によれば、7月中旬に植えつけた苗は1回目の株出し状況が萌芽34.9%で10アール当たりの収穫量は4260キログラム、8月中旬の植えつけは萌芽69.3%で10アール当たりの収穫量は7430キログラム、11月中旬の植えつけは萌芽82.5%で10アール当たりの収穫量は9400キログラム、3月中旬の植えつけは萌芽99.2%で10アール当たりの収穫量は何と1万1760キログラムとなっております。2回目、3回目の株出しの状況と収穫量については、さきに述べた実験の結果と同じような傾向を示しており夏植えに比べて春植えがすぐれていることが明らかになっております。
反省の第3点は、栽培から収穫までに要する労働時間についてであります。
昭和54年度の家族労働報酬を10アール当たりを基準にして鹿児島県、北海道、沖縄県と比較してみますと、総労働時間で鹿児島県が約138時間、北海道が約30時間、本県が約179時閥と鹿児島県よりも約40時間も多く、北海道のものに比べると約6倍の時間を要していることがわかります。また1日当たりの家族労働報酬では鹿児島県が4811円、北海道が1万4828円、本県が4389円となっております。また総労働時間と粗収益の関係を1時間当たり、つまり1人の人間が1時間の労働でどれだけの報酬になるかを換算してみますと鹿児島県が989円、北海道が3642円、本県が760円となっております。本県のサトウキビ産業の抜本的な対策の必要性がはっきりとわかります。
第4の反省点は、本県の農業はほとんどが化学肥料を使用しており、そのために年ごとに地力は低下し作物の収量や品質も低下しております。それらの点を是正するためには化学肥料の使用はやめて堆肥の使用を行うことが必要であります。
以上反省点として4点を挙げましたが、それらの解決の方法として農業試験場で行われたサトウキビ産業の機械化の実験データと本員の私見を述べて提言といたします。
1つ、すべての作業行程を機械で行うために畝幅を140センチから150センチに広げる。2つ、植えつけは密植して植え、10アール当たりの苗の数は約2800本。3番目に、堆肥を十分に使用すること。4番目に、培土は高く厚くし、畝間のみぞはできるだけ深くする。以上のようにすれば、植えつけから肥培管理及び全作業が機械ででき、また台風に遭っても密植のために倒れにくく、倒れる方向も畝とは平行方向ではなく横に倒れるためみぞの上に横たわることになるわけで、収穫時はハーベスターの腕の部分をみぞに入れ、横に倒れたキビを立て起こすように腕の部分を改造すれば能率もよく、容易に収穫ができ完全な機械化が可能になります。
本県のサトウキビ産業の問題点を解決するにはさきに申し上げたとおりでありますが、特に有機質肥料(堆肥)の使用は欠くことのできない重要な要素であります。堆肥については補助政策等を講じても奨励すべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
次に、漁業者年金制度についてであります。
農業者年金制度が国民年金の被保険者である農業者に対して年金給付を行うことにより農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営主の若返り及び農業規模の拡大を図り、農業経営の近代化に寄与することを目的として昭和46年にその業務が開始され、本県においても昭和47年の5月より実施されております。一方、漁業者年金については同じ1次産業とは言ってもその規模の大きさ、組織の力の面で農業とは大きな差があり、またその他の条件の違い等によってもむずかしい点が多く、そのため全国的にもその実施については立ちおくれていることが実情であります。しかし年金の必要性から長崎県、山口県、岩手県、宮崎県、北海道などは県単独であるいは漁協単独でそれぞれの方法で年金制度を実施しております。本県においても幾つかの漁協が年金の制度化に取り組んでいると聞いておりますが、実態はどうなっているかお伺いします。
四面海に囲まれ、豊富な漁場を持つ本県にとって漁業の振興はきわめて重大であります。漁港の整備を初め、栽培漁業の振興は県当局の施策が実りつつあり、特に第2次振計の中でも水産業の重要性がクローズ・アップされ漁業関係者にとっては大きな刺激となっております。是が非でも漁業を振興させ、本県経済に貢献して県民の期待にこたえなければならないと張り切っております。そのような事情も考慮していただき、一日も早く漁業者年金が実施されるように願うものであります。農業者同様漁業者においても老後の生活の安定及び福祉の向上、経営主の若返り、規模の拡大、経営の近代化は必要であります。どうか漁業者が将来に希望を持って安心して働けるように、本県においても漁業者年金の制度が確立されるようお願い申し上げる次第であります。
次に、教育の正常化についてであります。本員は、日本教職員組合が発刊した「教師の倫理綱領」と衆議院文教委員会の資料に基づいて質問を進めます。
まず、わが国における教育は教育基本法に基づきその前文において、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」。同法第1条の目的においては、「教育は、人格の完成をめぎし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」としており、さらに第2条教育の方針では、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展
に貢献するように努めなければならない。」とし、いずれも憲法を重んじ世界の平和を築くためにいかに教育が重要であるかを明確にうたい上げております。
しからば本県における教育の現状がどうなっておるか、先ほど申し上げました「教師の倫理綱領」をもとにして質問をいたします。
第1点は、「教師の倫理綱領」の基本的な考え方に関してであります。
同綱領の内容によれば、「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現は、われわれに課された歴史的課題であり、青少年は、各人の個性に応じて、この課題の解決のための有能な働き手となるように、育成されなければならない。」とし、教師の使命と教育の目標をそこに置き、その必要にこたえるための学習を組織し指導する。貧富の隔たりは決して人間の勤勉と怠漫などの個人的資質に基づくものではない。それはそんなものではなくて実はいわゆる自由主義経済または資本主義経済機構に真因があるのであるから、搾取と貧乏と失業を伴う今日のような社会制度は根本から考え直さなければならない。社会構造のかなめを取りかえる社会的措置がとられ全く新しい立場から考えられた社会体制が生まれてこなければならぬのであるとしております。次の部分は、新しく教師になった人々に、という項目ですが、したがってたとえばいまのあなたが社会科の時間に何かの単元でいまの社会はだめだ、これをぶちこわしてもっと民主的な生産と消費を合理化したそういう社会にしなければならぬと教えてごらんなさい、いやそういうふうに教えるべきであるとなっております。
この綱領の歴史的課題とは、社会的構造のかなめを取りかえるなどの前後の文言から判断して、日教組による教師の使命と教育の目標が社会主義社会の実現であると規定していると受け取られても仕方がないと思うが、知事及び教育長の見解をお伺いします。
次に、「青少年は、将来的には、われわれよりも遙かに有為なこの課題の担い手である。教育は、こうして、かくの如き課題を担った強い青少年の育成に焦点を合わさなければならない。」。このため教師は青少年とともに生活し、この必要にこたえるための学習を組織し指導する。また教育の目的については、教育基本法という法律は人格の完成というきわめて抽象的な原理を公にしているが、それでは教育の目的は明らかにはならない。われわれの従事する教育は、われわれの歴史的課題を果たす努力を中心にして働いていかなければならないとなっております。
文中の日本の教育基本法の否定を初め憲法否定がうたわれており、青少年を社会主義社会の実現のための担い手として教育しようとしているということが明らかであると思われるが、その点についても御所見をお伺いいたします。
次に、教員の政治闘争についてであります。
日教組の73年度運動方針の中で、政治の革新をかちとるため田中内閣を打倒し、74年に行われる参議院選挙において社会党を中心とする、革新勢力の圧倒的勝利をかちとり与野党の勢力を逆転させ、政治の革新の展望を切り開くため組織の総力を挙げて奮闘し、また引き続き各種地方自治体首長選挙などを闘い革新の躍進のために努力しますとはっきり政治活動が認められます。
これは地方公務員法第36条、教育公務員特例法第21条の3、公職選挙法第137条に抵触することは明らかであり、法律を重んじ秩序を守らなければならない教育の場が、心ない組合員の先生方によって無惨にも踏みにじられているということが明らかでございますが、知事及び教育長の御所見をお伺いいたします。
これまでの3つの例によって現在の教育が正常とは思えません。多くの子を持つ親は、わが子が日本国民として教育され憲法をとうとび人格の完成を目指して社会人として実社会に即応できる人間として教育されるように願っておりますが、どうも現実はそのようではありません。
そういうことを前提にしまして質問いたしますが、第1点は、本県において義務教育の段階から本土で教育を受ける児童がふえておりますが、その中には教師の子供が多いと聞いております。実際は教師の子供は実数の何%になっているんでしょうか。
次に、教師が自分の子供を自分で教育せず本土の学校に行かせることは、教師みずからが沖縄り教育は正常でないと判断している結果だと思うんですが、どのように思われますか。
それから政治運動をしている教員の法律違反についての処分を徹底していただきたいと思いますが、その点についても御所見をお伺いいたします。
時間がございませんので、これで質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊良皆議員の御質問に対しましてお答えいたします。
サトウキビ産業の反省と提言ということでの御質問でございますが、収益性の改善についての御質問に対しましてお答えいたします。
農畜産物の価格対策とあわせまして生産性向上のための生産対策が今日強く要請されているところであります。特に収益性を高めるためには圃場、農道等の整備とあわせて品種の改良、病害虫防除、機械化の促進等の対策と土づくりを含め栽培技術等きめ細かい対応が必要であります。他方、サトウキビ作経営の改善による所得の向上を図るため、サトウキビ作を軸とした野菜、花卉、畜産、養蚕等と有機的に結合いたしましたそれぞれの地域に即した経営の複合化を推進していく必要があると思います。
次に、春植えへの切りかえについての御質問につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
それと機械化による栽植密度に関する御質問、また堆厩肥施用の奨励についての御質問、これについては農林水産部長から答弁させることにいたします。
漁業者年金の御質問に対しましてお答えいたします。
漁業者の老後の生活の安定、福祉の向上を図り、安心して漁業に従事できるよう制度を創設することは、漁業の担い手や後継者の確保及び今後の水産業の健全な発展を図る上からも重要な課題であると思います。年金制度につきましては、全国規模の漁業者老齢福祉共済事業を全国水産業協同組合共済会が昭和56年度から実施する計画であり、これに対しまして水産庁も運営事務費の助成を考えているところであります。本県におきましても水産団体が中心になり、先進県の実態調査を行う等年金制度の創設に向けまして目下検討を進めているところであります。またすでに一部単協では、単協独自の制度として補償金及び自己負担金等を原資とする退職共済事業を実施しているところもあり、県といたしましても全国の動向や県内の水産団体の準備状況を見まして積極的に対処し向制度の実現に努めてまいりたいと思います。
日教組の倫理綱領に触れての御質問に対しましてお答えいたします。
教職員は、教育基本法の精神を具体的に実践して心身ともに健全な児童生徒を育成するため、厳正中立の立場で教育に通進すべきだと考えております。その他の件につきましては教育長から答弁があると思います。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) サトウキビ産業の反省と提言の中で、御提言のありました春植えの関係と密植栽培の関係、それと堆肥施用奨励についての補助金を出せないかどうかの3点についてお答えをいたします。
特に夏植えから春植えに切りかえた方が試験場のデータではいいのではないかと。したがって今後は春植えに切りかえてみんなやったらどうかという御意見でございますが、確かに宮古、八重山地区で不萌芽の状況がありますのでその地域では夏植えより春植えの方がいいという結果が出ております。確かに品種や土壌害虫の加害から見た場合は3月に植えつけた方が株出しの萌芽がよく収量は多くなりますが、春植えはやせ地、乾燥地では夏植えより干ばつの被害を受けやすいので地力のある畑、灌漑施設のある畑に植えつけるようにした方がよく、春植えへの全面切りかえは地力その他の条件を勘案する必要があると考えます。具体的には宮古の多良間の例でございますが、夏植えを主体にサトウキビ栽培を行っているため反収も県平均より高く9ないし10トンの収量となっているところもあります。このようなことから、全域にそういった夏植えから春植えに切りかえるということについては問題があるわけでございますが、地域によってはいま御提言のありましたことが十分に適用されると思いますので、県側においてももっときめ細かい対策をさせていただきたいと思います。
それから機械化との関連で密植栽培の御質問でございましたけれども、確かに御指摘のように機械化を進めるためには畝幅を広げなければならないということになります。畝幅を広げますと、刈り取り茎数が少なくなるため幾らか収量は落ちるということになりますけれども、このようなことから収量を確保するためには10アール当たり8000ないし1万本の刈り取り茎数を維持する必要があるというふうに考えております。そのために機械化に適合する細かい技術対応につきましては私ども県としても非常にその必要性を感じておりますので、パンフレット等をつくりまして普及をしていきたいというふうに考えております。
それから最後の堆肥施用の関係でございますが、地力の維持増進を図るためには基本的には現在マージ地帯にはクチャを持っていっておりますし、またジャーガル地帯にはニービを持っていって土壌そのものの改良を促進しておりますが、そのほかに確かに家畜ふん尿でありますとか堆厩肥の施用、これは大事でございます。そこで県側としましても、この堆厩肥等の有機物を使うように農家の皆さんにお願いをしているところでございます。化学肥料は外部から購入することになりますけれども、この堆厩肥等については自家生産ということもありまた土そのものに必要でございますので、そういう考え方で現在進めているところでございます。
特に耕種部門と畜産部門の補完結合を促進するために、堆厩肥の農地還元に必要な施設機械類等の整備に必要な経費については現在助成措置を講じておるところでございます。ただ、いま御提言のありました堆厩肥等そのものに対する補助については現在のところ考えておりません。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇)
○教育長(前田 功君) お答えします。
まず、日本教職員組合の倫理綱領についてお答えいたします。
日本教職員組合は、教師の倫理と思想の確立を目的といたしまして昭和27年6月に10項目に及ぶ教師の倫理綱領を作成しその項目ごとに説明を付しております。この綱領につきましては、職員団体内部の問題であり教育長としての見解を述べることは適当でないと考えますので差し控えたいと思います。
次、2番目に青少年を社会主義社会の実現のための担い手として教育しようとしていることについてお答えいたします。
児童生徒に対する教育については、教育基本法の理念にのっとり教育の中立性の原則に立って行われるべきだと考えており、御指摘のような偏向教育があるとすれば許されないことだと考えております。
3番目に、教職員の政治活動について。
教職員の選挙運動等の政治的活動につきましては、教職員が公共の利益のために勤務すべき職責にあること及び教育の政治的中立の確保から特別の定めがなされておりますので、教職員はこれらの法令に違反するようなことがあってはならないと考えています。
次に、義務教育段階で本土の学校へ行っている生徒の数とその理由についてお答えいたします。
義務教育段階で他県の学校へ進学している生徒の中で、教師の子弟の数についてはその実態を把握しておりません。ただ県外の中学校への進学状況は昭和54年度でおよそ250名ぐらいで、地域別には那覇、中部、南部がその大部分を占めております。
進学させる理由等についてお答えいたします。基本的には、義務教育段階では親元から通学させることが望ましいと考えております。しかしながら現実の問題として本県における国公立の大学等への進学状況が他県より低い実態にありまして、多くの親が本土有名校を志向する中で経済的事情の許せる家庭の中の一部が中学校時代から本土の有名私立中学校へ進学させている傾向があるのではないかとこのように考えております。
最後に、教職員の法令違反についてお答えいたします。
教職員が法令に違反した場合の処分につきましては、事実関係を十分に掌握し県教育委員会とも諮って慎重に対処していきたいとこのように考えています。
○議長(大田昌知君) 西田健次郎君。
〔西田健次郎君登壇)
○西田健次郎君 一般質問の最後を飾りまして、通告に従って質問をさせていただきます。
1点目でございますが、わが国は数年前から人口20万以上の都市に対し身体障害者福祉モデル都市を指定し、その自治体が抱えている障害者が暮らしやすいように道路とか交通安全施設、公園あるいは図書館、公民館といった公共施設の改善といったハードな面の改善に、国は金を出すからそれぞれの事業は自治体で考えてやるようにとの発想で事業を進めかなりの成果を上げてきたのでありますが、近年になってハードな面だけではなく、もっと弾力的なソフトな面も補助対象にするようにとの要望が出てまいりまして、それにこたえるべく昭和55年度から人口10万都市かあるいは
同程度の広域圏において、身体障害者にとって一番有効な施策は何かをそれぞれの自治体に諮ってみたところ、およそ20の都市が意欲的な要望とアイデアを出しておりまして、特に国際障害者年の来年度はさらに積極的な施策を国は考えているようであります。その施策は、自治体の自主性を尊重するのが原則であります。来年の国際障害者年にふさわしい行政の展開を知事以下関係当局も考慮するのは当然のことかと思いますが、私はその諸施策の中でとりわけ身体障害者になる病気の誘因、原因の中でもリューマチ性疾患のリューマチ病の実態について県当局の深い御理解を賜り、早急な行政上の対策をこの場をかりてお願い申し上
げるものであります。
リューマチとは、病原菌によるリューマチ熱、退行変性を原因とする変形性関節症、新陳代謝障害による痛風等、さらに原因のわからない慢性リューマチ等がありますが、この病気は経験者でなければわからない激しい肉体的な苦痛と身体の変形、障害を伴い、さらに長期にわたる治療を要するために、一度かかると一生涯のつき合いを余儀なくされる難病であります。経済的負担も大きな額になり退職金のすべてを治療費に注ぎ込んだ元教師、田畑、財産を失ってしまった悲惨な患者が大半であります。この難病の患者は全国で約50万人、本県では推定5000人前後の患者が存在してい
るのであります。
私は、選挙の最中にこの難病に苦しんでいながら、ひとり暮らしで寝たきりの状態でタクシーの乗りおりさえままならずに、治療に通うこともできずに人間としての日常生活をも過ごすことのできない悲惨な方々の実態を知り唖然とするとともに、この難病に痛み苦しむ方々に一日も早く政治行政上の可能な限りの手を差し伸べなければならないことを痛感してきた県民代表の一人として県知事を初め関係当局に次の3点を質問し、御所見を賜りたいのであります。
1点目、県立病院を中心とした公、私立病院にリューマチ外来日かあるいは時間を設定してほしいのであります。現在県立那覇病院においては担当の医師の御好意によってリューマチ外来日があり患者から感謝されておりますが、私立病院では山口整形、久場整形と協同病院等がリューマチ患者の治療に当たっておりますが、県立那覇病院では担当の医者がやめることになればリューマチ外来日はなくなってしまうのであります。患者の方々には大変なことになりますので、県当局は県立病院の名護、中部、那覇、南部の病院にリューマチ外来日をぜひ設置していただきたい。5000人とも言われる患者がいるわけですので、県立病院の赤字解消の策にもなるかと思量するものであります。御所見を賜りたいのであります。
2点目、社団法人日本リューマチ友の会という全国組織があり、本県においても長期にわたりリューマチ苦と闘っている泉さんという一婦人の献身的な働きによって昭和53年4月1日に県支部の結成がなされ、その結果患者同士が病気に対する知識を深め、励まし合いあるいは専門病院の紹介等不自由な体にもめげず一生懸命に活動しております。この病気は20代から50代の女性に圧倒的に多いのでありますが、早期発見による基礎療法を徹底することによって、または専門的な医師、技術者のリハビリテーションによって大きな治療成果が上げられるのであります。初期症状に気づいていない患者や潜在患者を救うためにも、この病気に対する十分な啓蒙運動を具体的な御協力をお願いしつつ次のことをお伺い申し上げます。県立病院にリハビリテーションを備えた病棟あるいは療養ホームを一設置してほしいのでありますが、当局の御所見を賜りたい。
3点目、リューマチのうち、悪性関節リューマチは国によって難病の指定を受け治療費の免除がありますが、他の県においては県単独のリューマチセンターを設置しているところもあるようです。本県においては、身体障害者手帳1、2級の受給者に医療費の助成を実施しているのは残念ながら那覇市のみであります。リューマチ患者の経済的苦痛を少しでも救うために、県下市町村に対し何らかの助成が実現するよう強力な行政指導をお願い申し上げるのでありますが、県当局の御所見を賜りたい。
通告2点目、昭和62年度に沖縄国体の開催が決定しております。国体は全県民による県民運動によって成功を見るのでありますが、財政の問題、選手の育成、競技役員の養成等多くの課題を抱えております。私が一番懸念しているのは、大会運営に要する役員と補助員の問題についてであります。他の県ではほとんど問題にならない国旗掲揚、天皇陛下の御臨席、自衛官の選手出場あるいは大会支援について、本県においては不幸にして沖教組や県労協を中心とする左翼革命志向の団体とのトラブルが存在し、そのために各種の体育行事や催し物が麻痺する異常な事態が発生している事実を踏まえた上で、62年国体の準備作業を考慮しなきゃならないと憂慮するものであります。
たとえば私の調べたところでは、栃木国体の場合に大会役員の4742名のうち1641名、全体の42%が学校の先生方といわゆる県職労の方々が占めております。沖縄県の場合には、社会体育の底辺がまだまだ浅いので実質的には70%ぐらい学校の先生方やあるいは地方公務員の方々に大会役員、そういうのをお願いしなきゃならないと思いますが、昨今の状況からして組織決定ということでこの大会運営に土壇場で協力できないという事態が想定されるのであります。
たとえば若夏国体の糸満の相撲場でブラスバンドが来ていながら指揮の先生が国歌の斉嘱を拒否したと、レコードで大急ぎ間に合わせたという失態もありました。また沖縄市営球場においては、自衛隊チームが出場した野球は機動隊に守られてやるという異常事態もありました。さらにことしの宮古郡大会の実態も忘れないでいただきたい。そしてまた沖教組が本年度の大会において1980年度の運動方針の中に、民主的国体の実現を取り入れております。彼らが言う民主的国体というのは、日の丸を掲揚しないことであり、天皇陛下の御臨席を拒否することであり、自衛隊の選手出場を拒否することであります。こういう事態から考えた場合に、こういう方たちをこのまま養成していって土壇場で国体に協力できませんということになれば、沖縄県の体協は日体協からの除名もされるでありましょうし、その後数十年にわたって国体に参加できないという異常事態が出てまいります。
私は、この問題についてあえて沖教組や県労協の皆さんを刺激あるいは挑発するものではございませんが、このことは避けて通ることのできない問題であります。したがって知事を初め関係当局は、体育協会を中心としてこのような団体との事前の協議を早急に開始し、その結果によっては民間人あるいは県外にも広く人材を求める、いわゆる大会役員、準備員、補助員、こういう作業をいまから進めなければ間に合わないのであります。この辺避けて通ることのできない事実でございますから、あえて問題指摘をして御所見を賜りたいのであります。
次、県産品泡盛の振興についてでございます。
酒にはサル酒と言われる醸造酒あるいは蒸留酒に大別されますが、大体ブドウ酒とかビールというのは有史以前からある酒であります。そしで日本酒の中でも清酒は350年ぐらい前、本県にある泡盛は13世紀に中国から始まりましてタイを通じて沖縄県に15世紀に入ってきております。ウイスキースコッチは17世紀でございます。それからすると泡盛の歴史というのは、世界に誇るすばらしい伝統と歴史を持ったものでございます。私はこの泡盛をこよなく愛飲している一人でございますが、この立場で質問したいのは、財団法人沖縄協会における西谷泡盛博士の講演を資料といたしまして次の点をお伺い申し上げます。
本県における泡盛の出荷量は年々かなりの伸び率を示しており、県当局を初め関係者の御努力と御苦労を高く評価しなお一層の御尽力を期待するものでありますが、県産泡盛を全国市場に躍進させるには、現在沖縄の統一ブランドとして売られている「紺碧」、これでございます。(資料を掲示) この紺碧について、現状に満足することなく、全国市場の主流商品に成長させるような努力をいろいろな観点から進めるべきであります。紺碧は、4力年前に沖縄県酒造組合が設立され、沖縄の伝統技術である泡盛の古酒づくりが開始され熟成した古酒の紺碧が誕生したのであります。国税庁や県当局、泡盛協同組合の知恵と努力の結晶である紺碧は、他県のしょうちゅうには例のない古酒として売れ行きもすこぶる好調のようでありますが、しかし古酒は高級品であります。そして度数が43度、非常にきつい酒であります。こういう43度の度数で高級な酒というのは、酒通の方々やあるいは酒の風味を静かに味わいながらたしなむ方々には喜ばれるでありましょうが、こういう方々だけをお客様にしていたのでは全国的商品としては限度があると思慮するものであります。
具体的な資料として、沖縄県酒造組合連合会が東京、福岡、沖縄の市場調査によると、まず泡盛のイメージとしては、伝統があり、明るい、上品といったイメージはあるけれども、ソフト、若者向き、スマート、近代的という面ではマイナスイメージがあるのであります。このことは欧米人のようにスコッチをストレートでぐいぐい飲める酒に強い国や地域では愛用されるでありましょうが、清酒等の度数の弱いさわやかな酒になれている日本人、特にヤング層の需要に十分こたえることはできないのではないかと思います。さらに同調査の泡盛の潜在需要は、今後飲みたいあるいは飲むかもしれない人が80%以上もおります。しかもヤングやお年寄り共通しておりまして将来に明るい展望が期待できるものでありますが、同調査の泡盛の飲み方については興味あるものがあります。各世代ごとの調査がされておりますが、全体のトータルとしましてはお湯割りが54.1%、水割りは12.3%、オンザロック18.3%、ストレート8.9%。この結果から推察するに、日本の市場の有力商品になるにはヤマトゥンチュの嗜好を紺碧の風味や度数に合わせるのではなくて、ヤマトゥンチュの嗜好に合うよ
うなお湯割りよし、水割り結構、オンザロック結構のソフトな口当たりの度数大体20度か25度ぐらいの紺碧も売り出してみたらいかがでございましょうか。
鹿児島の「白波」が物すごく売れているのは御承知かと思います。この白波というのは度数が20度であります。度数が20度でありますからストレート、オンザロック、お湯割りでもよく、酒に弱い人でも女性にも飲みやすいところに人気のその大きな原因があると思います。何せ白波一つで沖縄県全体の泡盛売り上げの10倍の売り上げがあるのであります。この白波がなぜこれだけ売れているかこれを参考にし、さらに泡盛を量的に消費するのは学生、サラリーマン、女性をも含めた大衆であります。一般大衆から愛飲されるソフトでさわやかな県産泡盛の開発に知事初め県当局の格段一の努力を要望申し上げるものでありますが、特に鹿児島県においては県知事を初め県首脳がこの白波の売り込みにもう命がけでこの白波の売り上げに一生懸命やっております。本県におきましても、特に古謝出納長あたりは復帰特別措置を担当しておられるとの話を聞いておりますが、復帰特別措置の作業が終わりましたら、ひとつこの紺碧担当大臣にでも指名していただきまして一生懸命取り組んでいただきたいと思うのでありますが、知事初め出納長の御所見を賜りたい。
次4点目、県の人事管理と人事交流について。
1点目、九州各県を初め本土の各県においては各省庁との人脈パイプをつくるために積極的、意欲的に入事交流を歓迎しておりますが、沖縄県だけが離島のからに閉じこもる閉鎖的、排他的な発想で行政運営していると沖縄百年の大計に取り返しのつかない過ちを犯すことになるのであります。特に本県は復帰後8年になるが、いまだに国の制度に十分なじむことができない結果がもろもろの県行政の中で惹起していることと考えられるが、各省庁の行政のベテランを意欲的に招き、また本県庁の有為有能奪人材を関係省庁に派遣し研さんのチャンスを与えることは本県の今日的課題として取り組むべきと思うが、県知事の御所見はいかがなものでございましょうか。
2点目、地方公務員法第37条第1項は、地方公務員の争議行為について次のように規定している。「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。」、いわゆる争議行為は禁止されております。勤務時間内職場大会、休暇闘争、超勤拒否闘争、順法闘争、宿日直拒否闘争、これらはすべて組合の指令に基づきその主張を貫徹することを目的とした違法行為であります。業務の正常な運営を阻害する行為でございますが、自治労県本部を初め県職労は、自衛官募集業務反対闘争と称して年休闘争及び勤務時間内抗議集会等の争議行為を計画し実施しているが、西銘知事は県民党的立場で登場した知事であ一り従来とは異なる行政の最高責任者として、かかる公務員の違法行為に対しては毅然たる態度で対処し厳しい姿勢で臨むべきであります。また県民もそれを期待しております。このような違法行為に対して従来の県知事の取り組みが、西銘知事によっては変わるのかどうかそれをお伺いしたい。
以下の次の点は2月定例会でやります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 西田健次郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
国際障害者年に対する知事の施策と関連いたしましてリューマチに関する御質問がございましたが、これは環境保健部長から答弁させることにいたします。
次に、62年度の沖縄国体開催準備に向けての競技役員の養成についての御質問に対しましてお答えいたします。
国体開催に向けて競技施設の整備はもとより、2万人余の役員、選手団の宿泊、輸送、接待等準備を必要とする多くの問題がありまして、これを解決するには全県民の積極的な協力が望まれるところであります。また競技運営につきましては、競技役員等を計画的に養成いたしましてその万全を期さなければならないと考えております。本年度より各競技団体の協力を得ましてその養成に着手しているところであります。役員の養成につきましては、学校体育及び社会体育の振興のためにも広い分野から養成することが望ましいと考えております。しかし本県スポーツ界における学校の先生方のウエートはきわめて高く、また幅広い県民の協力を得る立場からも先生方の協力が絶対に必要であり、準備業務を進める中でお互いに十分話し合いをいたしまして協力体制の確立を期していきたいと考えておるところであります。
次、県産品泡盛の振興についてお答えいたします。
県は、泡盛産業を重要な地場産業として位置づけ、設備近代化資金、高度化資金、特別振興業種育成資金等の融資、泡盛鑑評会の実施、新製品開発費補助金の交付、試験研究の強化、産業まつり、県内外における物産展を通じての販路開拓等の施策を積極的に推進しているところであります。
紺碧についての御質問に対しましては商工観光部長から答弁させることにいたします。
県の人事管理についての御質問に対しましてお答えいたします。
国との人事交流でございますが、立ちおくれている本県の行財政水準を早急に引き上げ県政発展の基礎を確立する立場から、行政運営上必要と思われるものにつきましては主体的に判断いたしまして国からの受け入れを図るとともに、有為有能な職員の国への派遣を推進していきたいと考えております。
なお、国の各省庁からの一方的な押しつけによるいわゆる天下り入事を受け入れることは考えておりません。
それから違法な争議行為についての御質問に対しましてお答えいたします。
御指摘のとおり、公務員はいかなる理由があるにせよ争議行為は法律により禁止されているところであり認められるものではありません。そこでこれまでもストライキ等の争議行為が計画される場合には、その都度職員団体や職員に対しまして厳重に注意をしてきたところでありますが、結果的にストが行われ県民に御迷惑をおかけしまことに遺憾に思っているところであります。
職員団体のこれまでのストの状況ですが、復帰後職員団体も自治労傘下に入った関係もございましてそのほとんどが全国統一指令により行われている状況で、毎年春闘の時期にはストが行われております。これに対しては懲戒等の処分はなされておりませんが、当然のことながら勤務時間中のストに対しては賃金カットで対処してきております。
また今回、職員団体は自衛官募集業務に反対して15日から18日までの4日間の2.5割年休闘争、19日における1時間のストライキを計画いたしている模様でございますが、当局といたしましてはかかる違法行為を行わないよう職員団体に対し強く自重を求めるとともに、職員に対しましてもかかる違法な争議行為に参加しないよう注意を喚起し自重を促しているところであります。もし違法な争議行為が行われるようでありまするならば、関係法令に照らし厳重に対処していく所存であります。
なお、今後は違法な争議行為等には厳しく対処していくことはもちろんでありますが、ストそして処分という力対力の労使関係が継続されていくことは好ましいことではございませんので、職員団体の理解を求めるとともに、職員の自覚を促して良好な労使関係をつくっていきたいと考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 特にリューマチ患者の診療についてでございますが、内科的なリューマチ患者の外来につきましては御指摘のように県立那覇病院において毎週水曜日の午後に外来診療日を設けておりますが、整形外科的な慢性関節リューマチにつきましては医療要員の確保等の問題もあり、県立病院においては特にリューマチ患者のための外来日はいまのところ設けておらず、一般患者と同じように診療を行っております。と申し上げますのは、県立病院においては年間にいたしますと外来患者で大体63万件の患者を診療しておりますし、1日でも1700人以上の外来患者を診療いたしておりましてそのためになかなか技術的にも困難な面もありますが、今後病院と調整の上検討していきたいと考えております。
次に、リハビリテーションを備えた専門病院の設置についてでございますが、特に慢性関節リューマチ患者については、整形外科あるいは理学診療科を標槽している医療施設で普通は取り扱っているところでございます。私たちが把握した県内のそういったものを対象にしたリハビリを行っている施設を見ますと、整形外科を標榜しております病院は全病院の41%程度に当たります20病院、それから全診療所の9%程度に相当する37診療所で整形外科を標榜しております。さらに理学診療科を見ますと12%程度の6病院、それから診療所は3%程度しかございません。これを全国平均と比較してみますと、人口10万対でそれぞれ20%ないし25%程度というこどになっております。リハビリを実際に実施しておりますのは、理学療法全般あるいは運動機能訓練、マッサージ等含めまして16の施設で現在実施しております。
御指摘の専門病院の設置等につきましては、57年度には中部病院を増築いたしましてリハビリ外来棟を設ける計画をいたしております。さらにそれ以後理学療法士等の確保なども勘案しながら、57年度開設予定の南部病院も含め他の県立病院等にもリハビリ外来棟の整備を検討していきたいとこのように考えております。
なお、このリューマチ患者のうち、、悪性関節リューマチについては昭和52年10月から特定疾患治療研究事業の一環として公費負担制度でその医療の給付を行っておりますが、こういった点についても福祉部門とも連携を保って検討していきたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 商工観光部長。
(商工観光部長 米村幸政君登壇〕
○商工観光部長(米村幸政君) 知事の答弁に補足説明を申し上げます。
泡盛につきましては私も大変愛飲しておりまして、西田議員に負けない程度に愛飲させていただいております。それでその紺碧についてでございますが、この紺碧は、従来沖縄の泡盛というのが非常に低級なイメージが強かったので、少し高級化させましてそし値段も高くし度数も上げまして高級的なイメージを与えて販路を拡大していこうと。こういうことに基づきまして県の高度化事業に乗っけまして1億5000万の貸し付けをいたしまして実は4ヵ年前から事業に着手しまして、そしてことしから売り出しを始めたとこういうことになっております。したがいまして古酒としての高級酒としてのイメージを与えるためにこの紺碧の43度ものというのは引き続き必要だと思います。だだ御指摘のありましたあるいは御提言のありました度数の低い紺碧をもう一度つくり出す必要があるじゃないかという御指摘でございますので、これは御指摘のように非常に消費者のニーズも多様化してきておりますし、大衆向けのソフトなイメージの製品をつくり出す必要はあるのじゃないかとこういうふうに考えておりますので、業界ともよく相談いたしましてそのことも含めて製造に取り組ますよう考えてまいり
たいとこのように考えております。
さらに、販路につきましては鉄道弘済会の売店やあるいは都道府県の地方共済会の共済組合の施設等、こういったものの中に売り込みを図っていくのが先決ではないかと思いましていまいろいろ調査をしているところでございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 以上をもって、通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
これをもって質疑を終結いたします。
お諮りいたします。
決算については、12月5日の議会運営委員会において19人から成る決算特別委員会を設置して審議することに意見の一致を見ております。よって、ただいまの議題のうち、認定第1号から認定第12号までについては、19人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(大田昌知君) 次に、お諮りいたします。
ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任につきましては、委員会条例第5条第1項の規定により
嘉数 知賢君 伊集 盛元君
崎浜 秀三君 桑江 良逢君
照屋 忠英君 仲村 正治君
平良 哲君 村山 盛信君
小橋川朝蔵君 岸本 安神君
本盛 茂君 与座 康信君
岸本忠三郎君 田場 盛徳君
上原亀一郎君 石川 盛良君
友利 栄吉君 安里 政芳君
及び上江洲トシ君
を指名いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、決算特別委員会の委員は、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く甲第1号議案から甲第8号議案まで及び乙第1号議案から乙第13号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後2時5分休憩
午後2時6分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
日程第3 請願第6号の2、陳情第368号及び第369号の付託の件を議題といたします。
お諮りいたします。
ただいまの請願1件及び陳情2件につきましては、米軍基地関係特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの請願第6号の2、陳情第368号及び第369号につきましては、米軍基地関係特別委員会に付託の上審査することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) この際、お諮りいたします。
委員会審査及び議案整理のため、明18日から23日までの6日間休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、明18日から23日までの6日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、12月24日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時8分散会
前発言
次発言
19800905000010