昭和60年(1985年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 10月 7日
第 5号 10月 7日
 

議 事 の 概 要
昭和60年10月7日(月曜日)
午後2時38分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第7号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 我喜屋宗重君(自民党)
    2 桑江  良逢君(自民党)
    3 伊良皆高吉君(自民党)
決算特別委員会の設置
決算特別委員会委員の選任
日程第3 国旗掲揚と国歌斉唱に関する決議
   質 疑
    1 瑞慶覧長方君(社大党)
    2 田場  盛徳君(社会党)
    3 伊波  広定君(共産党)
    4 白保  台一君(公明党)
    5 吉田  光正君(無所属)
    6 本盛   茂君(社大党)
    7 宮城  健一君(社会党)
    8 嘉陽  宗儀君(共産党)
日程第4 陳情2件の付託の件
午後11時35分散会 

○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 9月20日から10月8日までに受理いたしました陳情は41件で、そのうち特別委員会に付託すべぎ陳情1件を除く40件及び付託委員会について調整中であった首里城復元等に関する陳情9件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
 また、説明員として出席を求めた副知事古謝得善君及び技監宮原克典君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
○議長(志村 恵君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第7号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 我喜屋宗重君。1
   〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 長時間にわたり、議会開会がおくれまして、執行部の皆様方初め関係当局に長い間お待ちをいただき、ありがたく思っております。
 これより通告に従いまして一般質問をさせていただきますけれども、2項目目の狭が党の代表質問に関連しての項目は時間の都合上取り下げさせていただきまして、また1番目のフリーゾーンの中で、当初13項目、質問の要求をいたしておりました。その中から御答弁の準備をされました関係部担当者には大変申しわけないのでございますけれども、3項目は提案として切りかえさせていただぎたいと思います。
 では、順序に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 フリーゾーン設置の問題に関しましては、我が党も大変重要な問題とし、先般、党の代表質問で儀間議員より取り上げてまいりました。
 この自由貿易地域設置についての背景をちょっと見てみますと、沖振法、いわば昭和46年12月31日の制定時には、自由貿易地域設置についての条項は、我が国の東南アジアの玄関口として沖縄県の地理的特性を活用する方向で自由貿易地域を検討するとなっておりました。それからその法律の期限延長の際にはいろいろな議論があったようでございますが、昭和57年3月に決定されました第2次振興開発計画の中では、「自由貿易地域の設置を図り、企業の立地と貿易の振興に努める。」ということで1次振計より一歩進んで盛り込まれてまいりました。それに伴って、県にも、民間にもいろいろな設置実現へ向けて取り組んでいるものと思います。ただこの沖振法でうたわれている自由貿易制度は、国税法に規定している保税制度と企業立地促進するための税制上の優遇措置等ミックスさせた制度でございまして、昭和60年現在、世界427カ所に設置されています通常のフリーゾーンとは自由度という面から大ぎな違いがございますし、国際通念上のフリーゾーンに持っていくまでには、強い政府説得が望まれるのではないかという感じがしてまいります。
 ここに至って、沖縄県自由貿易地域設置においての優遇措置4つの中で、工業用機械等の特別償却と特別土地保有税の非課税につきましては昭和62年3月31日で期限が切れることになっておりまして、どうしても審議期間を考えましたら、その申請タイムリミットは今年度中になろうかと思いますが、いまだに県の基本計画ができておりませんし、また法律の整備はされているものの、沖振法第24条第3項、第25条に関する自由貿易設置に関する政令がまだできておりません。このようなおくれの心配もございますが、県の基本計画はいつまでに決定されるのかお答えを願いたいと思います。
 申し上げるまでもなく、今、県の申請しようとしているこの自由貿易地域制度は、現行法的には制度上のうまみは余りなく、企業がその地域に集積をされ、情報交換ということが何よりの大きいうまみ程度しか見当たりません。例えば4つの税制上の優遇措置のうち、自由貿易地域に関しての措置は1つしかなく、残り3つに関しては工業開発地区に進出した企業と大差はなく、何も自由貿易地域でなければという魅力はないような感じがしてなりません。
 今、世界の427カ所もの自由貿易制度そのものの発端は大きく分けてまいりますと、先進国型と発展途上国型に大きく分かれてまいりますが、その先進国のほとんどが1970年当時の経済環境が1つの背景として出てまいりまして、それに伴ってかなりの税制上の優遇措置を取り、本当の意味でのフリートレードゾーンになっております。例えば米国の自由貿易地域と県の設置しようとしている制度との税制上の優遇措置の違いを一例申し上げますと、米国の自由貿易地域内では、組み立てた製品については完成品に対する関税率かもしくはそれを構成する部分に対する関税率か、いずれかの低い方を選択でぎることになっているが、今県の策定を急いでいる自由貿易地域における法令を見ました場合、あくまでも日本における関税法の枠内ということですので、また保税工場での製品づくりは原則として国内販売を目的とする製造活動はできないことになっており、たとえ国内販売を特別に許されたとしても、関税法通達56の14条において、輸入に当たっては、部品か製品か、いずれかのうち高い方の税率が適用されるとなっておりまして、米国でのフリーゾーンでは関税選択の中で低い方がとれますのに、今県のつくろうとしている自由貿易地域では、その制度の中で高い方しかとれないわけでございます。余り企業においてのメリットがございません。ならば、これを貿易地域に入れまして蔵置するにしても、先進国においては無期限で置かれますのに、日本の関税法51条においては、搬入後、1カ月を超えて置こうとする場合、税関長の承認を受け、最高2年までしか置かれないのでございます。ならば、自由貿易地域内から第三国へ出して行く製品に対して、今度は外為法の適用を受けなければなりませんが、その時点において外資系会社の利益、この外資系会社の貿易利益のうち幾らまで自国への利益送金を許していくのか、この運用こそが外国のフリーゾーンと一緒に発展していく、また国際貿易発展につながる重要な問題と考えますので、利益送金の基本的なお考えを聞かしていただきたいと思います。
 同時に、外国人投資をどこまで認めていくのか、お考えがございましたら答弁を願いたいと思います。
 また、IQ品目の取り扱いについても、国内関連法令の規定からすると、この県の自由貿易地域には枠を超えて蔵置することができないし、IQを非IQにすることもできないのでございます。例えばホノルルにございますフリーゾーンではクッキーをつくっていると聞いておりますが、この原料となるイースト菌はフランスのものを使い、メリケンだけはハワイのメリケンを使って、砂糖、ミルク、その他の材料は外国産を取り寄せ、クッキーをつくって外国に出していく。御承知のとおリミルク、砂糖はハワイではIQ品目ですが、ゾーン内でしたら、その規制も受けず製品にして外に出すことができましてハワイのメリケン工場の活力につながっておりますが、県の設置しようとしている制度ではそれができないのでございます。それでは自由貿易地域のその他のメリットの1つになっておりますかなり思い切った行政面のサービス、またその行政手続を一元化したり、大幅に簡素化して外資進出の誘い水としていることは論をまちませんが、そのほかにも支援施設の設置も同時に行っていかなければならないものと思います。どう計画しているのかお聞かせを願いたいと思います。

 また、この地域内においての運営主体を県で走り出す、そしてから特殊法人の検討に入るとのことですが、公共機関が運営に走り出しますと人件費がふえ民間活力の低下につながり、ハワイ・ホノルルのように人件費が運営収入の46.9%も占めてしまい、新たな問題が生じてくる心配もございます。スタート時にはしっかりと検討をしていただきたいと思います。
 その運用面では、標準工場をつくって賃貸をする場合と土地を賃貸して自社工場を建設する場合とがございますが、そのいずれをとっていくのか御答弁をお願いいたします。
 その施設内の工場における電力、工業用水はどうなっているのか、大丈夫なのかお聞かせください。
 また、進出企業社の皆さんが投資の当初段階で、最も密接に接触する投資相談所の窓口はどこでやっていくのか御答弁をお願いいたします。
 最近の報道によりますと、県の目指している自由貿易地域とは当初の輸出加工型から、輸入加工型へ変わってきているように思うのであります。しかもこの輸入加工型においても割高な賃金コストとなるので、当面は中継加工機能を主体として備蓄まで含めたものにしたいとのお考えのようですが、その時点でのパートナー選定やそのあっせんの窓口はどうなっておりますか、計画がございましたら御答弁をお願いいたします。
 次に、名称の問いになろうかと思いますが、申し上げるまでもなく沖振法第4章第23条に記載されております自由貿易地域という名称でございますが、ガット第24条第8項において、自由貿易地域とは、2つ以上の関税地域の集団で、その構成地域の原産品のほとんどすべての貿易について域内の関税または通商規則を廃止するが、対外的には自由な関税または通商規則を適用するものであるとなっておりまして、これを関税同盟と対比させますと、対外関税または通商規則を共通化するか、メンバー国の自由裁量にゆだねるかにあるわけてございます。最初から沖振法に定められているように国内法の適用記載をして法的な枠組みがはめられた制度に対しては、その名称において国際貿易上トラブルのネタになりはしないでしょうか。本員は英語は余り知りませんけれども、自由貿易地域のことはフリートレードエリアと呼び、県の設置申請しようとしている中身の作業と名称との間には、国際貿易通念上、解釈の仕方に多少のずれがあるのではないでしょうか。
 それでは逆に、県や沖縄経済界が提訴している中身からしますと、これこそが国際貿易通念上理解をしているフリートレードゾーン、つまり自由貿易地帯でございます。この自由貿易地帯というのは、その地域内の輸入には税関手続を不要とし、税金を免除するか、輸入品の蔵置、改装、組み立て、加工及び製造が認められる特別区域を言う。それでアメリカには外国貿易地帯法により、外国貿易地帯を指定をしているわけでございます。それで経済界が昭和57年度に設置してまいりました沖縄県フリーゾーン推進協議会、このフリーゾーン、この方が国際貿易通念上の言葉になっていると本員は理解をしているわけでございます。
 しかし、申し上げるまでもなく沖振法にのっとった自由貿易地域推進を進めているわけでございますので、ここでもっと担当部局を初め、経済界の皆さんに中身と名称用語について話し合いを持つ必要があろうかと思います。世界各国のほとんどのフリーゾーンが大蔵関係の長官か大臣の許可であるのに対し、沖振法の自由貿易地域許可は大蔵ではなく、沖縄開発庁長官の許可であることをこの中身の機能に対してもっと認識をさせていただぎ、国際貿易関係者の誤解を招くことのないように、小さな問題かと思いますが、御努力を勧めておきたいと思います。
 再度申し上げるまでもないと思いますが、県の自由貿易地域は、この地域への輸入貨物は原則として非課税であるが、国内消費のための輸入貨物は非課税とはならないのであります。それで工場をつくって生産、加工を通じて付加価値を増大させ、一定の利益を確保しながら、単に商業利益を求める中継備蓄貿易体制まで持っていこうとする県初め担当課の御努力には頭の下がる思いがいたしますが、そこまで持っていくには国内法の枠をどこまで自由化させるか、非常に厳しいものがあろうかと思います。この商業地域が国際競争力を強めるために資本経営能力、国際市場確保するにはどうしても外資導入が必要になりまして、現実的にはこの自由貿易地域の成否を決める重要なポイントになろうかとも思います。そうかと言って外資系100%ということになりますと、親企業もしくは本社のコントロールのもとに置き、現地法人としての企業の実態は空洞化されまして、その生産計画、輸出計画、原料調達計画などその進出した企業にかかわる一切の重要な意思決定はすべて親会社で行われ、進出企業は法人格を有する経営体でも、実態は分工場ないし作業場になり、進出企業の社長は工場長の機能を分担することにとどまって、その地域へのメリットがなくなってしまいます。たとえ付加価値に期待をし中継貿易型を目指すにしましても、国際市場への交通の問題、この流通チャンネルをしっかりさせ、国内法の枠を外してもらい、この地域への輸入制限を緩和させないとただの進出企業の前進基地になり、コロンビアにございますバランキーソア自由地区の二の舞を踏むのではないかと心配になってまいります。
 そこで質問をさせていただきます。
 この自由貿易地域には何社予定をし、年間取扱高はどのくらい見込んでいるのか。また用地確保はどこまで進んでいるのか、将来の拡張は可能かどうか御答弁をお願いします。
 この制度実現に向けましてかなりの政府折衝があろうかと思いますので、関係部局の職員初め、知事においては特段の御努力を期待を申し上げまして、質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 我喜屋議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 フリーゾーンの基本計画の作成についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 現在、県が検討いたしておりますのは、我が国でただ1つの、沖縄県だけに認められている沖縄振興開発特別措置法第4章に基づく自由貿易地域であります。その指定申請に向けまして目下取り組んでいるところであります。その主な内容といたしましては場所、機能、立地業種、施設、事業計画等でございまして、これらについては年度内に取りまとめる予定となっております。
 その他細かい御質問がたくさんございましたが、企画開発部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 池田光男君登壇〕
○企画開発部長(池田光男君) 我喜屋議員の自由貿易地域に関する知事の答弁につきまして補足説明いたします。
 現在、法律において定められております自由貿易地域につきましては、関税法に規定する保税制度と企業立地を促進するための税制上の優遇措置がリンクされた制度でございます。したがいまして関税法に規定する指定保税地域あるいは保税上屋、保税倉庫、保税工場あるいは保税展示場等の保税地域を一定地域内に集約化した総合的な保税機能を有する場所でございます。
 ただいま我喜屋議員から外国との比較、いろいろと御説明があったわけでございますが、それらの外国における機能あるいは自由貿易地域とはかなり異なるわけでございます。
 そういうふうな現行の制度におきましても、自由貿易地域におきましては、保管、配送センターとして活用することによりまして物流の効率化あるいは関税等の支払い時期の繰り延べによる経費の軽減等が図られるメリットがございます。さらにばらの形で輸入することによりまして、輸送コストの軽減を図ることができます。あるいは容器コストが不要であるため、その分関税等が軽減されることができます。あるいは加工等により、あるいは輸送中による滅却等により処分した不良品等も課税対象から除かれますので、関税等の軽減が図られることがでぎます。あるいは中継貿易によりまして関税等を納付することがないわけでございますので、外国貨物を自由に操作できますので、特に外資企業等にとりましては物流の拠点として自由貿易地域が活用できる、このようなメリットが現行制度の中におきましても一応想定できるわけでございます。

 幾つかの問題点等が指摘されたわけでございますが、現在、自由貿易地域等につきましては1つは土地の問題でございます。
 これまで14年制度ができましてからたっているわけでございますが、1つは、内部的な条件が整っていなかったこと、2つ目は、外部的な条件が十分でなかったというふうなこと等々もございまして制度に基づく自由貿易地域が発足してないわけでございますが、その第1点は土地の問題でございます。土地の問題につきましては、その性格等から考えまして物流の接点であります空港あるいは港湾に接した位置が最適な場所でございます。これまで数カ所につきまして候補地を挙げいろいろ検討を重ねてきたわけでございますが、現在、那覇空港周辺地域が適当であると考えておりまして、その活用方につきまして関係機関に要望しているところでございます。自由貿易地域の設置後における企業立地の動向等を見きわめながら、漸次拡張することは十分可能であると考えております。
 それから自由貿易地域における施設整備あるいは電力供給等の問題でございますが、自由貿易地域につきましては、法律によりまして特殊法人を設けて施設整備、用地の造成等がうたわれているわけでございますが、最近の厳しい行財政改革の状況の中におきまして特殊法人の設置は非常に極めて困難な状況にございます。したがいましてこれらの施設整備、土地の造成等につきましては、県もしくは第三セクターを含め検討しているところでございます。問題は用地の問題でございますが、これにつきましては先ほど申したとおりでございまして、この土地の問題が解決され次第、必要な施設整備を計画的に整備する予定でございます。現在検討している主な施設といたしましては保税上屋、保税倉庫、保税工場、保税展示場、薫蒸庫あるいは供用施設としての管理センタービル等でございますが、これらにつきましては賃貸方式を考えております。それから御指摘のありました電力あるいは水の問題につきましては十分供給できる見通しでございます。
 自由貿易地域に関連する施設等の問題につきましては、できるだけ自由貿易地域内において一元的に処理できますように、企業活動にさらに支障を来さないように関係機関に対しまして、税関等の機関につきましては今後要望していきたいと考えております。
 立地する企業に対するあっせんあるいは情報の提供等でございますが、立地企業に対しましては、経済あるいは金融等の情報サービスにつきましては、基礎的なデータ等を提供いたしましてその参考にしたいと考えておりますが、融資やあるいは取引そのものにつきましては立地企業が主体的に行うべきものと考えております。
 それから外国企業等の所得の問題あるいはその送金の問題でございますが、外国企業等につきましても立地が認められた場合、外国企業の所得につきましては、当然我が国の法令に基づきまして、我が国の法人と同様にその所得につきまして課税されるわけでございますが、税引き後の利益の本国送金につきましては別に制限はございません。また外国企業の直接投資につきましては、大蔵省に届け出を行いまして国内法令に照らし合わせて支障がなければ、設立認可が受けられることになっております。
 最近の経済摩擦等がございまして、できるだけ外国企業等につきましては国内に立地する状況にございまして、特別、国内法に基づく規制と同様の取り扱いは行われるわけでございまして、外国企業の直接投資につきましては特に制限はございません。
 それからフリーゾーンあるいはエリアの言葉の問題でございますが、最初申し上げましたとおり、現在県が考えておりますフリーゾーンは、特別措置法第4章に定める自由貿易地域でございまして、現行の我が国の関税制度の範囲内において行われる自由貿易地域でございまして、外国で取り扱われているような内容と、そういうふうなものとは根本的に変わるわけでございます。したがいまして先ほどいろいろ御提言のありました問題等につきましては、現行の制度においてまずスタートいたしまして実体をつくり、そしてその中から漸次制度の改善あるいは機能の充実を図っていきたいとこういうふうに考えているところでございます。
 自由貿易地域におけるIQ品目等についてでございますが、これにつきましては「外国為替及び外国貿易管理法」に基づきまして立地企業に割り当てられた数量の範囲内で取り扱えることになるわけでございます。
 現在、自由貿易地域における立地企業等につきましては、これまで数回にわたりまして沖縄県工業連合会、沖縄県貿易協会、在沖縄アメリカ商工会議所会員等につきまして約350社程度でございますが、立地意向調査等を実施してまいったところでございます。そのうち約50社が立地希望しておりますが、さらに詳細な事業計画等のヒヤリングを行っているところでございまして、現在約20社程度に落ちつくものと見込まれております。
 どの程度、自由貿易地域内で生産されるかあるいは目標等でございますが、これは現在まだ立地企業等が未確定な状況でございまして、現段階、その生産目標を提示する状況にはございません。
 先ほど申しましたとおり、外国との比較におきましていろいろメリット論あるいはデメリット論等がございますが、これにつきましてはスタートさせ、その内容等を含めまして機能充実等につきましては関係省庁に対し要請していきたいとこういうふうに考えております。
 以上でございます。
○我喜屋宗重君 議長、ちょっと1点だけ……。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後3時10分休憩
   午後3時11分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 企画開発部長。
   〔企画開発部長 池田光男君登壇〕
○企画開発部長(池田光男君) 先ほど知事から御答弁がありましたとおり、現在、年度内指定申請に向けて作業を進めておるわけでございまして、計画、いわば機能あるいは土地の面積あるいは具体的な施設整備の内容等につぎましては、そういうふうなことをひっくるめました事業計画等につきましては指定申請に向ける段階におきましてできると思いますので、大体、2月前後になろうかと思います。
○議長(志村 恵君) 桑江良逢君。
   〔桑江良逢君登壇〕
○桑江良遙君 私は、さきに通告いたしました2項目のほか、我が党の代表質問の中の開邦高校に関連して、首里地区の高校普通科進学について順次所見を述べつつ、質問をいたします。
 去る8月12日、日本航空のジャンボ機が、群馬県の山中に墜落して、520名という世界航空事故史上最大の犠牲者を出したことはまことに遺憾なことであり、心から犠牲者の御冥福をお祈りする次第であります。またこの墜落事故に際し、自衛隊がいち早く救助、救援活動に出動しまして、連日30度を超す炎天のもと、傾斜30度から40度という急峻な原生林の墜落現場で生存者の救出、遺体の収容作業に昼夜を分かたぬ活動を展開し、その状況はテレビ、新聞等を通じてつぶさに全国民に報道され、遺族はもとより、全国民から称賛、感謝されておることは皆様御承知のとおりであります。
 ところで、本日、私が取り上げました日本航空の事故とはこの事故ではなくて、それよりさきに那覇空港で起きた日本航空ジャンボ機の事故であります。
 去る7月28日午後6時24分、幼児28人を含む乗客543人、乗務員、機長以下15人を乗せた羽田発那覇行き日本航空の933便のジャンボジェット機が那覇空港に着陸しようとしたところ、折から沖縄地方に接近してきた台風7号の影響で横風が強いため、同機は着陸をやり直ししようと上空を旋回中、右主翼の内側にある長さ3メートル、幅1.5メートルのフラップ――これは補助翼でございます――の一部が機体から脱落し風に舞い上げられて空港西側の海中に落下しました。同機は、那覇空港管制塔からの連絡で初めてフラップの一部が脱落したことを知り、機長は、機体の他の部分に異常があるかないかをチェックすると同時に、さらに管制塔から飛行中の同機に対して異常がないことを確認して、20分後の午後6時45分、無事、那覇空港に着陸したのであります。しかもこの事故は乗客には全然知らされず、乗客は家に帰って夜のテレビニュースで初めてこのことを知り、事故の重大さに驚くと同時に、恐怖の念に駆られたということであります。それもそのはずでございまして、この事故は我々素人でもわかりますように、本当に一歩誤れば、半月後に起こった日本航空事故に匹敵するような大事故、大惨事になりかねない重大な事故であったのであります。
 強風で吹っ飛んだフラップというのは、主翼の後方に伸びて出る補助翼で、着陸の際、速度を落として滑走路に進入してくるわけですが、ある程度まで速度が落ちますと、そのままでは飛行機は失速して墜落します。そこで速度の低下に伴い、主翼の後ろの方ヘフラップが逐次出てきますが、これを逐次伸ばして浮揚力をつけ、失速、墜落を防止する装置であります。パイロットは、管制塔からフラップの一部が吹っ飛んだという連絡があるまでは、これは操縦席からはフラップは見えません。日本航空の事故の垂直尾翼が操縦席から見えなかったのと同じで、管制塔からの連絡で初めてそのことを知り、それを念頭に置いて操縦着陸したわけですが、これも危機一髪といいますか、本当に僥幸にも無事着陸できたというほかありません。と申しますのは、右翼のフラップの一部が欠落したわけですが、したがって着陸のとき、右翼の浮揚力がフラップの欠けた分だけ落ちるわけです。したがって左の方が浮揚力があるものだから右に傾いて着陸をすると。そういう状態で着地直後の猛スピードのまま右翼の翼端がもし地面にでも接触したらどうなっただろうか、これは想像にかたくないところでございます。
 ところで、このような重大な事故に対して、本員が何とも理解に苦しむことは、本県議会のこれに対する対応でございます。今までの例からしますと、米軍ヘリの扉が落っこちてきた、あるいはセンサーが落っこちてきたといったような航空機からの空中落下物事故があるたびに、あわや大惨事ということでいち早く軍特委員会を開き、臨時議会を開いて抗議決議を採択したのでありますが、今回の事故は、単に長さ3メートル、幅1.5メートルのフラップが吹っ飛んで落下しただけではなくて、その結果が乗客、乗員五百数十名の生命にかかわる重大な事故であり、さらには本県の基幹産業である観光産業にも致命的な影響を及ぼしたであろうことは想像にかたくありません。ところがこのような重大事故が発生したにもかかわらず、臨時議会を開いて抗議決議を採択するどころか、あれから2カ月近くたった本9月定例議会においても、今までの与党、野党の代表質問、一般質問を通じてこの問題にだれ一人、一言も触れなかったのはまことに理解に苦しむところであります。まさか、軍用機から落ちてくる扉やセンサーは県民の生命、財産に重大な危害を及ぼすが、民航機から落ちてくるフラップは県
民の生命、財産には安全であるというふうなことはありますまい。私は、本県議会議員の一員として、本県議会がこのような重大な事故に対しては軍用機、民間機の別なく、本当に県民の生命、財産を守る立場から適切な対応措置をとることを心から念願するものであります。
 そこで質問いたします。
 この事故に対して県執行部としてはどのような対応措置をとられたか、関係部長並びに県警本部長にお尋ねいたします。
 次に、中国残留孤児についてであります。
 今回も中国東北地区からの残留日本人孤児が来日し、うち、肉親がわかり対面できたのがその約4分の1と報道されています。一目自分の祖国日本を見たいと、一目でもいいから自分の肉親に会いたいと40年ぶりに日本を訪れた孤児たちの悲喜こもごもの情景をテレビで見るにつけ、日本人として本当に胸を締めつけられる思いがいたします。
 ところで、日本のマスコミは、これら中国残留孤児の情報や肉親捜しには積極的に相当のペースを割いて報道しておりますが、なぜそのような事態が起きたのか、どうして親が最愛の我が子を置き去りにしたり、見ず知らずの他国人に預けたりしなければならなかったかということについてはほとんど報道しません。このような悲劇を二度と繰り返さないためにも、どうしてこのような事態が起きたかを国民に知らせることがマスコミの重要な責任ではないかと思うのであります。
 去る8月11日、日ソ親善協会の主催でソ連キエフ市郊外のグルニッキー収容所跡で第4回日ソ不戦の誓い集会が行われ、本県選出の喜屋武真栄参議院議員も参加されたという報道記事がありました。あらゆる機会、あらゆる手段を尽くして平和の維持、平和の確保に努力することは我々の念願であり、その点心から敬意を表するものでありますが、ただ私には、日ソ不戦の誓い集会というあの新聞の見出しが日ソ不可侵条約と二重写しに見えるような気がしてなりませんでした。
 先日の伊波広定議員の一般質問の中にもありましたように、昭和20年7月、日本政府は、ソ連を通じて連合国との和平交渉を打診したのであります。もちろんその時点では日本とソ連とは交戦国ではなく、むしろ日ソ不可侵条約の有効期間中でありました。ところがソ連から和平交渉に関する回答が全然ないまま、日本の降伏近しと判断したソ連は、8月9日、突如国境を越えて中国東北地方、すなわち旧満州地区並びに南樺太へ怒濤のように進撃し、所在の日本軍と戦闘が開始されました。当時、百数十万人と言われた旧満州地区の在留邦人は、この戦禍に巻き込まれて夫婦、親子が死別、生別、いとし子を置き去りにし、あるいは中国人に預けたという悲劇が起こったのであります。同じ中国大陸でも、ソ連軍との戦闘のなかった他の地域においては、蒋介石総統の「讐に報いるに恩をもってせよ」というツルの一声で、在留邦人、軍人軍属も整々と日本本土へ引き揚げることができたのであります。このことは日本国民として、日本民族として永久に忘れてはならないことだと思います。
 ところで、本県からも開拓団その他で旧満州地区へ相当数の県民が行っておりましたが、中国残留孤児を含めて本県関係のその引き揚げ状況等について関係部長にお尋ねいたします。
 最後に、開邦高校に関連して、首里地区の高校普通科の入学率とこれに対する対策について教育長にお尋ねいたします。
 今までの代表質問、一般質問の中でも開邦高校の設立について論議が交わされましたが、私は、心からその設立に賛成するものであります。また首里地区6カ中学校PTAも全面的にその設立に賛同いたしております。ただ本年4月入学の実績でも明らかなように、首里地区の高校普通科への入学率が他地区に比べて低率でございます。大平、浦添高校区が84.2%、那覇、小禄高校区が87.3%、豊見城、南風原高校区が84.3%、それに対して首里、真和志、首里東高校区では、教育庁の資料並びに首里地区6カ中学校PTAの調査資料では82.8%、沖教組那覇支部の資料では81.9%となっております。昨年4月、首里東高校8学級の設立に伴い、首里高校2学級、真和志高校1学級減にしたのがこのような結果になっております。
 首里地区6カ中学校の来年4月入学予定者、すなわち現在中学校3年生の在籍総数は2490名という数値からしましても、このままでは来年度、同様の結果が予想されますが、これに対してどのような対策をとられるおつもりか教育長に改めてお尋ねいたします。
 終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 桑江良逢議員の御質問に対しましては、日本航空の事故については企画開発部長、県警本部長から答弁させることにいたします。
 中国残留孤児についての御質問がございましたが、生活福祉部長から答弁させることにいたします。
 開邦高校については教育長から答弁があると思います。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊看) 桑江議員の中国残留孤児問題が生じた背景、本県への帰国状況の御質問に対してお答えいたします。
 終戦前、中国の旧満州地区、現在の東北地区でございますが、そこには開拓団員、南満州鉄道の職員等として移住した一般邦人約150万人が在住しておりましたが、昭和20年8月9日の日ソ開戦以降は、これらの人々はそれまで住んでいた土地を追われることとなり、避難の途中あるいは酷寒のもとにおいて収容所で越冬する間などに戦闘による混乱、飢餓、伝染病の流行等により、翌21年5月までに約18万人もの人が死亡するという極めて悲惨な状況に追い込まれたわけであります。このような状況の中で多くの子供たちが両親や兄弟と生別または死別し、孤児となって中国人に預けられました。昭和21年から、旧満州地域からの邦人引き揚げが開始され、、大多数の邦人は帰国することができましたが、中国人に引き取られた孤児は、自分の身元を知らないまま中国で養父母に育てられ成人して今日に至っております。中国残留孤児は、このような状況下で両親、兄弟と生別または死別し、自分の身元も知らないまま中国の養父母に育てられ今日まで成長してきた方々であります。これらの残留孤児の帰国につきましてはこれまで厚生省においてその促進が図られてきておりますが、昭和60年7月1日現在、1648人中、身元が判明した者が833人、うち577人の孤児が一時帰国いたしまして肉親等との再会を果たし、そのうち229人が帰国しております。
 次に、本県関係者の帰国状況についてでございますが、18世帯88人の中国帰国者がおられます。そのうち、7世帯40人が残留孤児とその家族でございます。
 ところで、中国帰国者は、社会経済体制の異なる中国に長年残留を余儀なくされていたため生活習慣や言語等の相違によるハンディが大きく、18世帯中、15世帯が生活保護を受けて生活しておられる状況でありまして、特に生活上の問題を抱えている4世帯につきましては、週1回程度、生活指導員を派遣して援助指導を行っているところであります。
 以上であります。
○議長(志村 恵君〉 企画開発部長。
   〔企画開発部長 池田光男君登壇〕
○企画開発部長(池田光男君) 桑江議員の日本航空のフラップ脱落に関する御質問にお答えいたします。
 航空機等の旅客輸送機関におきましては、運航の安全確保は最も優先されなければならないものと考えております。
 御指摘の去る7月28日、那覇空港における日本航空933便、ボーイング747型機のフラップの一部が脱落したことにつきましては、日本航空が原因を調査いたしたところ、フラップを出し入れするローラーベアリングの潤滑油不足によるものであることが判明しております。
 一方、運輸省におきましては日本航空に対しまして、ボーイング747型機全機のフラップ取りつけ機体構造の総点検を指示しております。それを踏まえまして日本航空は、ボーイング747型機全機の一斉点検を実施したところでございますが、その結果、フラップ部分につきましては異常は認められなかったとのことでございます。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
   〔警察本部長 山田晋作君登壇〕
○警察本部長(山田晋作君) お尋ねのございました案件は、昭和60年7月28日午後6時26分ごろ、羽田発那覇行きの日航933便、ボーイング747型ジャンボジェット機が那覇空港に進入着陸するに際し、折からの台風7号による強風のため着陸できずに復航し上昇旋回中、その航空機の機長は、那覇航空管制官から落下物を目撃した旨の連絡を受けたわけでありますけれども、そのまま着陸し駐機場に到着してから後に機体を点検したところ、右主翼のフラップの一部が破損、脱落していた事案と存じますが、警察といたしましては、事案認知と同時に、本事案の航空機の検分並びに関係者からの事情聴取を実施いたしましたが、本案件が台風7号、いわば自然現象の影響を受けたもので、幸い被害程度も軽微でございますし、人身の被害もなかったということ。また運輸省の那覇空港事務所におきましても、航空機事故としては認定していないというところから、警察といたしましては、本事案を異常運航、事故に至らない不具合というふうに処理しているところでございます。
 なお、警察といたしましては、およそ事件、事故の捜査を行うに当たりましては、公正並びに誠実に捜査の権限を行使するということを旨といたしておりましたし、今後ともそのような態度を堅持してまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) 桑江議員の開邦高校関連の御質問で、首里地区は普通科志望が多くて入学率も低いんだけれども、それに対する教育長の対策はどうなんだということでございます。
 御承知のとおり、首里、真和志地区の中学の卒業者は、昭和60年度をピークに漸次減少傾向にあるわけでございます。したがいまして同地区の入学難は今後解消される見通しに立っております。しかしながら御指摘ございましたように同地区は普通科志望者が多く、他地区に比べまして普通科への不合格者も現実に多いわけでございます。したがいまして既設校の学級増について現在検討を進めているところでございます。
 なお、これまでも中学校卒業者の急増、急減期には、一時的に既設の高校に学級の増減をもって対処してきたところでございます。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 伊良皆高吉君。
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 質問に先立ちまして、先日、台風20号により被害を受けた先島地域の方々及び竜巻によって被害を受けられた多良間村の方々にお見舞いを申し上げます。また先月の末、メキシコの大地震によって被害を受けられた県関係者の方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。御案内のようにメキシコには、メキシコシティーを中心に多くの県人が住んでおられ、県議会も海外視察のたびに交流を深め、またお世話になってまいりました。新聞の報道によりますと県人は無事であるとのことで安堵はしておりますが、先日、田場盛徳議員も親戚あるいは関係者の自宅に行かれて、その確認をしてよかったなと言っておられました。私も関係者を通していろいろ確認をしましたが、無事ではあるが、かなり被害があるものと思われます。この際、県におかれましても調査の上、救援の手を差し伸べていただきますよう要望して、通告に従いまして質問に入ります。
 まず、パイン産業についてでありますが、本県農業の基幹作物として県経済に大きく貢献してきましたことは御案内のとおりであります。パインは缶詰及び生果とも、近年日本人の食生活の中で大きく取り上げられ、日常食品として愛用されつつあります。しかし本県パイン缶詰は農産物輸入自由化のターゲットにされ、事あるごとに問題にされております。幸い、政府においては、沖縄パイン缶詰の枠を100万ケースと設定し、事実上の保護政策をもってその育成を図っておりますが、そのことについては県選出の国会議員の先生方を初め、県知事並びにパイン関係業界の皆様方の努力の結果であり、その施策に対して高く評価をするものであります。しかしながらパインの市場は、昨今大きく変化してきております。去る9月にも八重山においてパイン工場が1社倒産いたしました。そのことは御案内のとおりでありますが、またパインの国際市場においても、去る6月25日のアクションプログラムにより冷凍パインの輸入関税が35%から28%に引き下げられたこと、それと昨今の為替レートの円高傾向によって外国品が輸入されやすい環境に置かれております。
 そこでこれらの現状を踏まえて、次の質問を行います。
 まず1点目に、石垣におけるパイン工場倒産によって新しく設立された第三セクター方式の会社の製品の流通により国内における従来の流通ルートに変化が生じ、パイン缶詰の市況が混乱していると聞いておりますが、県はこれを把握しておられるか。またその対処策はどうなっているのか。
 2つ目に、石垣市地元では、工場の倒産したことに伴い新工場を設立して原料を処理すると聞いておりますが、これに対する県の見解をお伺いいたします。
 3つ目に、未熟果である冷凍パインが輸入されることによりパイン缶詰はおいしくないものとの悪評を買い、そのことがパイン全体の不人気を買っております。県産パイン缶詰の販路を阻害していると思慮されるが、県はどう考えているのか。またその対策についてはどう考えているのかお伺いいたします。
 4つ目に、さきにも述べましたように国内では年間約13万トンのパイン生果がフルーツとして食用されております。しかもこれからのフルーツは、これまでの甘味嗜好から、酸味と香りが要求される傾向にあり、本県のパインが生食用として有望視されつつあります。したがってこれからのパイン産業は、缶詰の原料のみならず生果向けも含めて振興策を図るべきだと考えますが、県の御所見を賜りたいと思います。
 次に、観光産業についてお伺いいたします。
 本県観光は、第2次沖縄振興開発計画においても極めて重要な位置づけがなされており、観光面に大きく期待が寄せられております。
 御案内のとおり、昭和59年度の本県への入域観光客数は念願の200万人を突破し、観光収入は約2300億円に達しており、今や観光は本県の基幹産業として県経済に大きく寄与、貢献していることは衆目の認めるところであります。この実績については県執行部を初め、関係業界の努力の結

果によるものと深く敬意を表する次第であります。本県は、我が国唯一の亜熱帯地域に属し、温暖な気候と美しい海浜、海洋に恵まれているばかりでなく、点在する島々は年中緑豊かな自然環境下にあります。そのため夏場はヤング層を中心として活況を呈しており、春秋季は新婚客、冬場は熟年を中心とした観光客及びゴルフツアーあるいはゲートボールツアーが本県を訪れます。
 しかしながら年間を通して観光客の動向を見てみますと、特に冬場の時期は入り込み客が閑散としているため、季節間変動をなくし通年型とすることが重大な課題と考えます。すなわちオフシーズン対策が沖縄観光を安定的に発展させる課題であります。特に宮古、八重山、久米島の離島観光はオフシーズンの影響をもろに受けている現状にあります。したがいまして今後、離島を含めたオフシーズン対策は、観光関係業界の経営と生活の安定を図るためにも急務であると思いますが、どのような対策を講じられるかお伺いいたします。
 次に、私の所見の一端として沖縄観光への提言をいたしたいと思います。
 まず1つ目に、総合産業と言われている観光産業は、その育成強化に困難な問題が多く、特に誘客宣伝については観光関係業界の一致協力による根気強い長期的な取り組みが必要と思われます。特に最近の本県観光を取り巻く国内外の情勢は厳しいものがあり、今後とも相当な予算が必要と思われますので、予算を確保し官民一体となった積極的な誘客宣伝を行い、季節的な変動の少ない通年型、長期滞在型の観光が実現するよう取り組みの強化を図る必要があると考えます。
 2つ目には、本県観光はまだ定着していない感があります。それらを解決していくためにはリピーターの増加を高め、安定的な入り込みが図られるよう諸施策を展開することが肝要であります。そのためには県民一人一人が観光客を温かくお迎えし、心の触れ合いを通じ相互の理解があって初めてその実現が図られると思います。したがいまして今後、観光に対する県民一人一人の理解と協力が得られるよう市町村、業界とも連携を密にし受け入れ態勢の整備に努めるとともに、沖縄観光のイメージ・アップを図る必要があると考えます。
 以上が私の観光産業に対する質問と提言でございますが、観光・文化局長の率直な御所見を賜りたいと思います。
 次に、雇用問題についてお伺いいたします。
 昭和59年度の県経済を見ると、消費者物価が極めて安定する中で、観光客が200万人と著しく増加したことに加えて民間住宅投資が好調に推移したこと等があって全体的には拡大を示しております。そのために昭和59年の失業率は若干改善され5.2%となっております。これは昭和52年の6.8%と比較するとかなり改善されているものの、全国平均の2.7%に比べると2倍近くの失業率となっており、依然として厳しい環境にあると言えます。このような厳しい雇用失業情勢と、今後予想される労働力人口の増加に対応して雇用の安定を図るには、産業の振興と有機的な連携のもと、本県の実情に即した雇用機会を創出すること、とりわけ離島を含めての総合的な雇用対策を進めることが必要であります。
 そこで雇用問題について2次振計、雇用創出特別事業等の関連で二、三知事及び関係部長に質問いたします。
 1つ、2次振計の中で、職業の安定と労働者福祉祉の充実を項立てし、雇用対策の推進、職業能力の開発向上等々についての諸施策を示しており、事実、2次振計のスタートからこれまで労働行政の分野で数々の実績を上げていることに対し高く評価しているところでありますが、そこで2次振計も来年いよいよ5年目を迎え、後期展望、後期プロジェクトの検討が進められていると思いますが、雇用問題を2次振計の後期展望の中でどう位置づけているのか、どういう施策を進めていくのかお伺いをいたします。
 2つ目に、雇用創出特別事業についてでありますが、知事は、主として若年層を対象とした雇用需要の増大と中高年齢者の雇用拡大を図るために種々の事業を策定し、これを実施することにより失業率を改善することを目的として57年に雇用創出特別事業を実施しておりますが、そのことは他県に類を見ないユニークな事業としても高く県民から評価されております。しかしながらPR不足の感もありまして、地味なまた事業であるが、その成果は着々と出てきていると考えますけれども、過去3年間の実績はどうなっているのか、その活用状況についてお聞ぎいたします。
 3つ目に、さきにも述べましたように本県の経済が好調に推移しているのは、観光客の増大が要因の1つであります。特に観光が順調に伸びている離島では、雇用の場がふえたことにより人口も増加しております。復帰後、本県に立地した県外企業42社の内訳を見ましても、観光関連が11
社でトップであり、そこに勤める従業員は1220名と雇用の面で多大な効果を上げております。このように実績のある観光産業と有機的な連携のもと、地域に即した雇用機会の創出を図るための対策が今後ますます必要と考えます。そこで知事は、このような事情を認識され、今後、雇用対策
の一環として県の機関による第3次産業職種に関する職業訓練や人材育成について、本島はもとより、離島においてもその必要性についてどのように考えておられるのか御所見を賜りたいと思います。
 次に、離島の振興についてお伺いいたします。
 本県は、広大な海域に散在する多くの島興から成っております。これら離島の面積は県土総面積の約46%、人口は県総人口の約12%を占めており、離島の振興を抜きにして我が沖縄県の振興を図ることはでぎません。
 離島の振興については、これまで沖縄振興開発計画や沖縄県離島振興計画等に基づき諸施策が積極的に推進され、産業基盤、交通通信などの社会資本の整備を中心に各面にわたり相当の成果を上げてきたことは離島住民のすべてが評価するところであります。ちなみに沖縄振興開発計画が策定された昭和47年から昭和59年までの間に離島に投下された事業費は、開発庁計上予算の25%を占める4881億円となっております。しかしながらこれだけの予算投資を図りながらも離島の持つ地理的、自然的不利性などもあって自立的発展のための基礎条件の整備はいまだに十分でなく、本島との格差は依然として解消されておりません。特に若者を初め地域住民が生きがいを持って定住していくための、所得を得るための職場がありません。特に地場産業は就業の場として重要な位置を占めると思いますが、第1次、第2次の振興開発計画にもその振興方策がうたわれながら、地場産業は十分振興されていないという感がいたします。
 そこでお伺いいたしますが、離島の重要な地場産業として泡盛の製造業あるいはかまぼこの製造業、かつおぶし製造業あるいは乳製品、織物や陶芸あるいは伝統工芸産業などが立地しておりますが、一般的には経営基盤が脆弱で、また規模も小さく雇用の場としての十分な働きをしていないように思われます。離島は、本島や本土の消費市場から遠く離れているという不利性もありますので、県においてこれらの振興にはもっと積極的にバックアップをしていただきますようにお願いをいたしたいと思いますが、どのような施策を持っておられるのかお伺いいたします。
 次に、交通通信体系の問題についてお伺いします。
 航空交通は、離島苦の解消及び地場産業の振興にも大きく寄与しております。また近年、離島住民の生活水準の向上及び観光客等の増加等に伴いますます航空需要が増大し、機材の大型化、既存空港の拡張整備が必要となっております。それらと同様に離島苦の解消を図るためには、離島間の架橋あるいは離島と本島間の架橋を図ることも重要な問題でございます。第1次及び第2次の沖縄振興開発計画を通して国及び県の努力により瀬底大橋や伊計大橋が建設され、産業の振興、生活環境の整備に大きく貢献してまいりましたが、最近進められている状況の中では、ひとり八重山だけが取り残されている感がしてなりません。地域の均衡ある発展を図る立場からも、西表―小浜間の架橋についてもどのような状況になっているのかお聞かせいただきたいと思います。
 次に、離島で生活をする上においては、保健医療の問題を整備することも最低限重要な課題でございます。特に離島ではお年寄りの方が多く、それらの方々の健康を維持し、安心して生活が営めるような生活環境をつくるためにも離島医療の確保は重要でございます。

 県の努力にもかかわらず、離島の一部にはいまだ医師のいない島がありますが、どうかこれらの人々が安心して生活できるような医療の確保について努力をお願いいたしますとともに、今後の方針についてもお伺いいたしまして、質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊良皆議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 パイン産業についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 沖縄缶詰株式会社が、もろもろの事情によりまして今期から操業が不可能になったことから、生産者に迷惑をかけないため緊急的に石垣市や農協等を中心に石垣島パイン缶詰株式会社を設立し、「沖縄缶詰」の施設を利用して夏実を処理し、現在、秋実の操業を行っているところであります。関係者からの報告によりますと、缶詰の市況が混乱しているとは聞いておりません。
 次、沖縄缶詰が諸事情から去る9月、事実上倒産したと言われておりますが、県としては、当面、県内の生産目標である5万トン、缶詰100万ケースの目標を達成するため、八重山地域におけるパイン工場問題については、地元の意向を十分踏まえながら債権者及び関係者とも協議いたしまして、生産者に迷惑をかけないように対処してまいりたいと思います。
 次に、冷凍パインの県産缶詰に及ぼす影響につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
 次、観光産業について、冬場における対策と観光全般についての御提言がございましたが、これにつきましては観光・文化局長から答弁させることにいたします。
 それから雇用問題について、第2次振計の後期展望の中でこれをどう位置づけていくかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 第5次沖縄県雇用基本計画、59年8月、計画期間は59年から65年までとなっておりますが、この計画の中では、県内の雇用失業情勢は依然として厳しい状況にありながらも緩やかな改善基調にありますが、県内の雇用機会が早急に拡大されることは難しいのでございます。そういう観点に立ちまして既存企業の育成、新規企業の誘致等によりまして雇用の機会を拡大するとともに、県外への就職を積極的に推進してまいりたいと思います。
 次、雇用創出のための特別事業についての実績と活用状況については商工労働部長から答弁させることにいたします。
 次に、雇用対策の一環として第3次産業職種に係る職業訓練や人材育成についても、本島だけでなく離島においてこの必要があるのではないかと。これをどう対処するかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 お尋ねのとおり、労働者の雇用及び職業の安定を図るため第3次産業職種関係の職業訓練は重要なことと考えております。最近における訓練ニーズの多様化に伴い、第3次産業職種の職業訓練の需要度は年々高まっております。したがいまして、地域の産業及び訓練ニーズにも十分配慮いたしまして公共職業訓練施設の充実はもとより、各種の教育訓練施設の活用によりまして委託訓練の拡充を図ってまいりたいと思います。現在、浦添、具志川職業訓練校におぎまして一般事務科、経理事務科を実施しているほか、委託訓練で観光旅館科、調理科の訓練も実施しているところでございます。
 次に、離島振興の一環として離島における地場産業をどう振興させていくかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 御指摘のとおり、離島の振興を図るためには地場産業の振興が最も肝要であると思料いたしております。特に若年層の就業の場を確保する上でも、離島の実情に応じましてそれぞれの特性を生かした地場産業の振興が大きな課題であると認識いたしております。このため県においては、地域に密着した地場産業の自立的発展とその進むべき方向を明示するため、圏域ごとの地場産業振興ビジョンを策定したところであります。現在、これに沿って地域の主体性のもとに人材の育成、品質の向上、需要の開拓等を支援するほか、伝統工芸センター等の中枢的施設を中心にいたしまして共同化、協業化等の近代化を指導し、経営基盤の強化についてこれを強力に推進してまいりたいと思います。さらに地場産品の自給率の向上や県外市場への進出を促進するため宮古及び八重山地域を含めた産業まつりの開催、本土主要都市における物産展等の総合的な地場産業振興の施策を展開しているところであります。今後とも、地域の主体性を引き出しながら地場産業の積極的な育成振興に努めてまいりたいと思います。
 それから小浜島と西表島の架橋についての御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
 次に、僻地離島における医療の確保についての御質問がございましたが、これにつきましては環境保健部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 冷凍パイン缶詰の影響並びにパインの生果としての振興策、2点についてお答えいたします。
 去る6月に決定されました関税に関するアクション・プログラムにより、冷凍パイナップルの関税は35%から28%に引き下げられました結果、冷凍パイナップルの輸入量は増加し、これを原料とする缶詰の製造量がやや増加することが予想されます。しかしながら近年、県産パイン缶詰の品質は向上しグロ一バル産に比較しても遜色がなく、また国内におけるパイン缶詰の需要量は約240万ケースで安定的に推移しておりまして、現在のところ県産パイン缶詰への影響は少ないと考えております。
 次に、本県のパイナップルは、現在加工用原料を中心に生産されておりますが、生果用としての品質向上のための試験研究に取り組んでいるところでありまして、その成果を踏まえまして加工及び生果、両面からパイン生産の振興を図っていきたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 観光・文化局長。
   〔観光・文化局長 饒波正之君登壇〕
○観光・文化局長(饒波正之君) 伊良皆議員の観光誘客の冬場対策の強化について、あと1点、受け入れ態勢の整備についての御質問にお答えいたします。
 本県観光は、関係業界の努力もありまして念願の200万人を突破し、その収入は2300億円に達したことは先ほど御指摘があったとおりでございます。
 御指摘の季節間変動でございますけれども、離島を含めまして夏場に集中する傾向にあるのが現状でございます。ちなみに昭和59年実績を見ますと、夏場の7、8月はそれぞれ22万人、26万人台の入り込みとなっておりますけれども、冬場の1、2月はその約半分の13万人という極端に落ち込んでいる状況にあるのが沖縄観光の現状でございます。そのため本県観光を安定的に発展させるためには冬場対策が重要な課題であると考えておりまして、県といたしましては、その対策の一環といたしまして沖縄の自然的特性である暖かい冬、花の咲く冬をキャッチフレーズに花のカーニバル等の開催を初めといたしまして、冬場のゴルフあるいはゲートボール大会等を誘致するなど、これまでも意欲的に冬場対策に取り組んできたところでございます。特に本年は、冬場の沖縄観光の活性化を図るため、花のカーニバルと海洋博記念公園の熱帯ドリームセンターのオープンに向けまして観光業界とも協力をいたしまして、近く東京、大阪におきまして広報宣伝キャンペーンを行うべく現在その準備を進めているところでございます。
 そのほか、あわせまして県外の主要都市で開催されます大銀座まつり、あるいは御堂筋パレード、札幌雪まつり等にも積極的に参加いたしまして、冬場の誘客活動を強化してまいりたいとこのように考えております。
 御指摘のありました宮古、八重山を初めとする離島の冬場対策につきましても、各地域の観光協会と連携を深めながらその誘致活動につきましては取り組みを今後強化をしてまいりたいと思っております。
 それにあと1点、県民一人一人の観光に対する理解と協力の心構えについてでございますけれども、これにつきましては私どもの方も常日ごろ大変痛感したところでございまして、観光関係者はもとより、県民一人一人が温かく観光客を迎え、もう一度沖縄に行きたいと思うような魅力ある環境づくりが大変重要かと考えます。そのために観光関連従業員の資質の向上を図るための講習会、研修会等は従来も開催しこれに努めているところでございますけれども、観光週間やあるいはC・G・G運動を通じまして広く県民に対しまして観光に対する啓蒙普及に今後とも努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 雇用問題に関連しまして、雇用創出特別事業の実績と活用状況についてお答えいたします。
 雇用機会を拡大するための事業としまして、御提言のありました昭和57年度からの事業でございますが、地域雇用開発推進事業、沖縄若年求職者職場適応訓練等を実施をしております。
 地域雇用開発推進事業におきましては、事業主が事業場を新増設し、地元から労働者を公共職業安定所の紹介により常用労働者として雇い入れた場合に地域雇用奨励金を支給している制度であります。ちなみに59年度現在、32事業所で700人余が雇用されております。なお、本年度に入っても5社7事業所から270人近く雇用計画が出されております。また若年者職場適応訓練の利用状況につきましては、59年度末現在で226人、延べ987月人が訓練を受けている状況であります。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 離島架橋につきましてお答えいたします。
 離島架橋につきましては、本県の地理的特性と離島振興の観点から、県はこれまで野甫大橋、伊計大橋、瀬底大橋等を積極的に推進してきたところでございます。
 橋梁事業費の中で離島架橋の占めるシェアといたしましては、これまでの実績からいたしますと第1次振興開発計画で34%程度が離島架橋の事業費になっておりますが、第2次振興開発計画における橋梁事業費の中での離島振興分がさらに上回っておりまして41%となっている状況でござ
います。
 御提言の小浜島―西表島架橋につきましては、架橋地点の距離はおおむね2500メートルでございまして、水深が16メートルで幅500ないし600メートルの海峡がございまして、事業費は200億程度かかるんじゃないかと見込まれますが、技術的にも予算的にもかなりの大型事業が予想されるところでございます。したがいまして民生安定、産業振興、離島苦解消の観点から要望の趣旨は十分理解しておるところでございますが、当該架橋につきましてはそのような技術的、予算的な面からも、現在進めている離島架橋及び離島道路整備事業の進捗状況と財政事情の動向を踏まえながら、今後の課題として引ぎ続き検討してまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 原 實君登壇〕
○環境保健部長(原 實君) 伊良皆議員の離島振興についての質問のうち、環境保健部に係る離島の保健医療の確保についてお答えいたします。
 厚生省の僻地診療所設置基準によりますと、人口500人以上の離島には診療所を設置するようになっております。本県の場合、沖縄本島と橋で結ばれている7離島を除きますと、有人離島は40島で、そのうち人口1000人以上の14島には医師が配置され、500人から1000人の離島5島のうち、4島には医師、1島には介輔を配置し、一応の基準は確保しております。さらに200人以上500人までの離島8島のうち、1島については医師、5島には介輔を配置し、残り13島は人口200人以下、そのうち10島は人口100人以下となっております。
 無医地区につきましては、健康対策課における医科巡回診療及び僻地中核病院による巡回診療で対応しております。医科巡回診療につきましては、昭和48年から昭和59年までに178回、240地区において実施され、昭和60年度には11回、13地区で実施する計画であります。僻地中核病院による巡回診療は、昭和59年度の実績は3市町7地区において延べ162回行われまして、昭和60年度は3市町9地区において延べ169回を計画しております。巡回診療は地域住民のニードにより眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科等の特殊診療科目にも対応しておりますし、歯科巡回診療については、
昭和36年から昭和59年まで116回、212地区において実施しております。昭和60年度におきましては、6回6地区で実施する計画であります。昭和61年度からは、厚生省が推進しております僻地保健医療計画をガイドラインといたしまして本県の僻地保健医療計画を策定し、離島の保健医療の確保に努めたいと考えております。
 以上でございます。
○伊良皆高吉君 答弁漏れがあります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後4時12分休憩
   午後4時13分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 新工場を設立するという件についてどうかという御質問でございますが、新工場を設立するとの案は、1つの構想とは思いますが、八重山地域におけるパイン工場問題は、地元の意向を踏まえつつ、近々、債権者及び関係者等とも協議して、生産者に迷惑をかけないよう対処してまいりたいとこのように考え
ております。
○議長(志村 恵君) 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際、お諮りいたします。
 決算については、10月4日の議会運営委員会において、15人から成る決算特別委員会を設置して審議することに意見の一致を見ております。
 よって、ただいまの議題のうち、認定第1号から認定第3号まセについては、15人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。1
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、お諮りいたします。
 ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により
   金城  重正君   瑞慶山良昌君
   我喜屋宗重君   西田健次郎君
   儀間  光男君   桑江  良逢君
   照屋  忠英君   照屋政太郎君
   石川    修君   島袋  宗康君
   宮城  健一君   岸本忠三郎君
   嘉陽  宗儀君   赤嶺  幸信君
 及び渡名喜藤子君
を指名いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、決算特別委員会の委員は、ただいま指名いたしましたとおり選任すること、に決定いたしました。
○議長(志村 恵君) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く、甲第1号議案、甲第2号議案及び乙第1号議案から乙第7号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後4時15分休憩
   午後8時   再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 日程第3 議員提出議案第1号 国旗掲揚と国歌斉唱に関する決議を議題といたします。
 提出者から提案理由の説明を求めます。
 平良哲君。
   〔平良 哲君登壇〕
○平良 哲君 ただいま議題となりました議員提出議案第1号国旗掲揚と国歌斉唱に関する決議案について、提出者を代表して提案理由を申し上げ、議員各位の御賛同を賜りたいと思います。
 昭和47年5月15日、私たち県民は、長年の願望でありました祖国日本への復帰を果たし、名実ともに誇りある日本国民としての権利と義務を行使することになりました。
 県は、復帰と同時に県旗、県民の歌を定め、さらに県花としてデイゴ、県木としてリュウキュウマツ、県鳥としてノグチゲラを指定いたしました。このことは、復帰を実現した県民に、日本国民の中の沖縄県民としての自覚を促し、誇りを持たせて県民意識を高揚し、自信と勇気を持って、明るい豊かな沖縄県をつくることを目的として制定されたものと思います。
 県に県旗、県歌があるように、国には国旗、国歌があり、世界の独立国家には各国ともそれぞれ国旗、国歌があります。国旗や国歌は国のシンボルとして、その国の建国の理想や精神が象徴されております。いかなる国においても、これを尊重し国民が襟を正して敬意を表しているのが世界各国の実情であります。

 我が国の国旗日の丸は、白地に日の丸が染められており、白地は日本国民の清い心と公平で平和を愛好する国民であることを示し、中の日の丸は太陽を表現していると言われております。太陽のように常に万物に平等に分け隔てなく光をもたらし、すべての国と仲よくしていくというまことの平和を象徴しているのが我が国の国旗日の丸の旗であると思います。
 次に、国歌についてみると、世界の代表的な国の国歌は、ほとんどが戦いとか、敵という文言の入った歌になっております。二、三の例を申し上げますと、イギリス、敵を退けたまえ、アメリカ、弾丸降る戦の庭に、フランス、敵の叫ぶを、敵は血に飢えたり、中立国のスイスにおいても、スイスのために血を命を捧げなん、ソ連、攻め来る敵を打ち破り、中国、戦うときは来ぬ、心あわせて敵にあたらん等と、主要な国々の国歌の中に、戦いや敵という戦闘的な言葉が随所に見られます。しかし我が国の国歌君が代には、そのような文言はどこにも見当たりません。
 現行憲法のもとにおける国歌君が代は、平和を愛する日本国民全体が、天皇を日本の象徴として仰ぐこの日本の国は、小石が砂などと積み重なって大きな岩となり、その上に美しいコケが一面に生えるまで、いつまでも栄えますようにと、歌詞についてはこのように解釈されているのであります。したがって世界の国歌の中で最も平和的な、理想的な国歌が君が代であると言えるのではないかと思うのであります。したがいまして日の丸、君が代を初め、世界各国の国旗、国歌を尊重し敬意を表する態度を養うことは、学校教育上、また国際理解と友好を深める上からも極めて重要なことであると思料するものであります。
 さて、本県においては、日の丸等に対する見解や姿勢が復帰を契機として大きく変わってきたと理解しております。我が党の代表質問の中で城間議員からも指摘がございましたが、復帰前は、布令によって君が代の斉唱と日の丸の掲揚は禁じられていました。それに対して、屋良朝苗氏を会長とする沖縄教職員会は、日本国民としての教育を行う立場から、日の丸の自由掲揚のために組織を挙げて取り組み、あらゆる弾圧に抗して所期の目的を達成した勇気ある輝かしい歴史を持っているのであります。
 昭和39年のオリンピック大会において聖火が沖縄を通過したときに、教職員会は、日本国民としての自覚を心から肌で感じさせる生きた絶好の機会であると意義づけて、各学校に対し、日の丸で聖火を迎えるよう強く呼びかけております。聖火を迎える沿道が日の丸の旗で埋め尽くされたあの感動的な光景は、まるで昨日のことのように思い出されるのであります。
 4・28沖縄を返せの復帰運動においては、与論島付近の海上集会、復帰協による復帰大行進は、すべて日の丸の鉢巻きを締めて大きな日の丸の旗を先頭にして大行進を行っております。
 教職員組合や革新政党、革新団体のリーダーたちが、日の丸の旗のもとに大同団結して復帰運動を展開してきました。
 ところが、それまで長年、アメリカに対し、敢然と闘ってきた日の丸掲揚等の運動は、復帰を境にして、日の丸が国家主義や軍国主義につながるから反対であるという態度に急変しているのであります。
 このように自分たちに都合のよいときは日の丸を上げ、君が代を歌い、都合が悪いと組織の力をもってこれに反対し阻止するということは、価値観の変化ということだけでは済まされない問題であると思うのであります。かかる言動に対しては、良識ある県民が疑問を持っており、また我が国の国旗、国歌の尊厳に対する冒とくにもなりかねないと思うのであります。
 今回、私どもが決議案を提案いたしました理由として、62年海邦国体を控えて、県内における国旗、国歌に関する認識が、他の都道府県と比べて極めて悪い状況にあることを深く憂えたからであります。
 昭和59年度卒業式における国旗、国歌の取り扱い状況を全国の公立の小中高校で見ると、国旗日の丸掲揚をしたのは小学校92.5%、中学校91.2%、高等学校81.6%。掲揚しなかったのはそれぞれ7.5、8.8、18.4%であります。国歌君が代については、メロディーだけ流したものも含めると、斉唱したのは小学校75.7、中学校72.5、高等学校56%、斉唱もせずメロディーも流さなかったのはそれぞれ24.3、27.5、44%となっております。
 ところで、本県の実施状況を見ますと、国旗日の丸の掲揚については、小学校は全国の92.5%に対し6.9、中学校91.2に対し6.6、高等学校81.6に対しゼロであります。国歌君が代の斉唱については、小学校、全国の75.7に対しゼロ、中学校72.5に対しゼロ、高等学校56に対しゼロと、国歌君が代の斉唱はすべてゼロとなっております。
 以上のように極めて憂慮すべき状況にあるのであります。
 昭和49年12月の世論調査の結果を見ると、日の丸の旗は国旗としてふさわしいと思うと答えた人が84%、ふさわしくないと答えた入はたった4%であります。君が代を国歌としてふさわしいと思うと答えた人は77%、ふさわしくないと答えた人はたったの9%であります。残り14%は、わからないと答えております。
 このことからも、国民の圧倒的多数が日の丸、君が代を、我が国の国旗、国歌としてふさわしいという認識を持っているのであります。
 昭和54年3月3日、沖縄県議会は、本会議において、国民体育大会の本県誘致につき全会一致で決議を行い、そのことを踏まえて55年1月23日、第42回国民体育大会の開催を本県で行うことが日本体育協会において正式に決定を見たのであります。この決定を受けて本県議会は58年3月30日、1人の反対者もなく全会一致をもって本県開催についての要請決議を行ったのであります。
 国民体育大会は、大会開催基準要綱で行われるようになっていることは御承知のとおりであります。
 大会要綱には、開会式の式典において国旗日の丸を掲揚することがうたわれており、しかも国歌斉唱のうちに国旗を掲揚することが慣例となっているのであります。また各種競技会場においても、これに準じて開始式で国旗掲揚、国歌斉唱が行われるのが先催県における実情でございます。本県も、大会基準要綱に基づき開催することを前提に全会一致で県民の総意に基づき要請を行い、本県開催の決定を見たものであります。したがって県としても、当然のことながら要綱を尊重し、これを遵守して開催しなければなりません。
 今まさに、県民挙げて海邦国体を成功させようという強い意気込みで取り組んでいる中で、県内におけるこのような実態はまことに遺憾にたえないのであります。国民のシンボルである国旗、国歌を敬愛し誇りに思うことが、ひいては国際社会の相互信頼と平和に大きく貢献するものと信ずるものであります。このような認識のもとに国旗日の丸を掲揚し国歌君が代を斉唱し、もって国の永遠の繁栄と恒久の平和を願うものであります。
 以上、申し述べましたような経緯と趣旨を踏まえて、県内の公的機関並びに県民各位が、海邦国体に向けて日の丸掲揚と君が代斉唱の機運の醸成に努められ、さらにこれを契機に将来にわたって県内で日の丸と君が代が国旗、国歌として定着していくよう、特段の御努力を賜りますよう強く御要望を申し上げるものでございます。
 提案理由が少々長くなりましたが、ここで決議案を朗読いたします。
   〔国旗掲揚と国歌斉唱に関する決議朗読〕
 以上でございます。何とぞ御賛同の上、速やかに全会一致をもって御可決賜りますようにお願いを申し上げまして、提案理由の説明を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 瑞慶覧長方君。
○瑞慶覧長方君 これから幾つかの今の提案理由に対する、あるいは決議案文に対する質疑を行います。
 まず最初に、提案理由説明の中で、あらゆる公的機関が、と言っておりますけれども、あらゆる公的機関というのはどういう所なのか、具体的に示してください。
○平良 哲君 公的機関はたくさんございますけれども、二、三例を申し上げますと政府の行政機関、県の行政機関、小中高校を含めてそのように御理解をいただきたいと思います。

○瑞慶覧長方君 それでは自民党は、この国旗、国歌、いわゆる皆さんが言っている君が代あるいは日の丸、これについての統一見解を持っているのか、持ってないのか。例えば法制化の問題あるいは今の押しつけの問題、あるいは学校教育現場への強制的な指導の問題等、幾つかの問題について各党に対する見解を求めておりますけれども、自民党は、こういう理由で統一見解を出せないと。すなわち幅広い階層を組織している政党なので統一した見解は出しかねると、こういうふうになっておりますけれども、皆さんは統一見解があるやなしや。
○平良 哲君 ただいまの御質問でございますけれども、先ほど私が提案者を代表して御説明申し上げましたように、この御説明を申し上げました決議案につきましては、自由民主党沖縄県連所属の県議会議員のみでなくして、新生クラブのお2人も含めて全会一致の決議案、統一見解になっていることをお伝えしておきます。
○瑞慶覧長方君 僕が聞いているのは、県連のあれじゃないんです。自民党中央本部の統一見解があるかということを聞いているわけです。
○平良 哲君 党本部が統一見解があるのかどうかについては、私ははっきり言って、所属の議員ではございますけれども、今問題にしていることは沖縄県議会での問題でございますので、あえて私は、この決議案の内容について県連の統一見解として申し上げておるわけでございます。
○瑞慶覧長方君 要するにあなたはわからないわけです。統一見解は出せないということがそのままと思います。
 前に進みます。あなた方自民党は、統一見解は出せないとこう言いながら、60年2月18日には、教育問題連絡協議会長の奥野氏、さらに文教部会長の青木、文教制度調査会長の海部さん、文教局長田名部、この4名による連名で、都道府県支部の会長、幹事長あてに、「卒業式・入学式における国旗掲揚及び国歌斉唱について」のあれを出しております。この末尾を見ますと、さっきあなたは公共機関というものの一例を挙げておりましたが、こういうのがあるんです。「貴都道府県におかれては、このことにつきましては従来より御努力いただいているところでありますが、引き続き都道府県・市区町村教育委員会を御指導いただくとともに、友好団体・PTA・同窓会等に対し、関係当局への要望活動を御依頼くださるなど、特段の御指導を御願い申し上げます。」と。これに至っては、PTAや同窓会までやれということなんですね。
 これは御承知ですか。皆さんのところにも来ているんじゃないですか。
○平良 哲君 ただいまの御指摘は間違いなく私ども自由民主党沖縄県連にも参っております。しかしこれは拘束力を持つものではございません。私どもは、あくまでも自民党県連所属の県議会議員として、議員総会に諮って統一見解を持って今回の国旗掲揚と国歌についての決議を出しているわけでございまして、党からそのような要望が来ましても、県連は県連として自主的に、自発的に対応していることをここではっきりと申し述べさせていただきます。
○瑞慶覧長方君 私が今この問題を質疑しているのは、このように自民党は、文教部会あるいは制度会なりいろいろな組織を利用して、このように教育内部まで、そしてひいてはPTAや同窓会等あるいは友好団体に至るまでこのように押しつけをしようとしている。ここを問題にしているわけです。
 次、国旗掲揚、国歌斉唱を励行され、とあるわけですが、あるいはさっきの提案理由の説明で国旗、国歌として定着をしている云々があります。ところが、おしまいの方では今度はどうなっているかというと、冒頭の方ではこう言っていますね。国民に親しまれ定着しており、また世界各国からも云々があるわけです。ところがおしまいは、今あなたが読み上げたんですが、「日の丸と君が代が国旗、国歌として定着していくよう特段のご努力を賜りますよう強く御要望申し上げる」と、これは全く矛盾じゃないですか。矛盾だよ。(発言する者多し)
○平良 哲君 ちょっとお待ちください。
○議長(志村 恵君) 傍聴人は静粛に願います。
○平良 哲君 ちょっとお待ちくださいよ。
 先ほど御説明の中で80たしか4%だったかと記憶しておりますが、国旗掲揚に賛成をいたしておりまして、間違いなく定着はいたしておりますけれども、私ども沖縄におきましては、他の都道府県と先ほど御説明申し上げましたように同等に定着しているとは毛頭考えておりません。そういう見解からまだ定着もしてないし、また望ましいということでございますから、復帰前も皆さん、本当に渾身の努力をもって国旗掲揚に皆さん努力された経緯もございます。そういう点で復帰前のあのようなすばらしいひとつ目標を持って、大いに努力をすべきで、定着はまだ本県ではやっているとは考えておりません。
○瑞慶覧長方君 なぜ、私の質疑に対して答えてくださいよ。質疑してないものに答える必要はないですよ。
 それでは次、国の繁栄と国旗、国歌との関係です。
 いわゆる日の丸を上げ、あるいは君が代を歌うのは国の繁栄につながる、あるいは愛国心があると。それじゃ日の丸を上げない、君が代を歌わなければ愛国心もない、あるいは今の国の繁栄に反対をするとこういう論法になると思うんです。日の丸を上げるとか上げないとか、君が代を歌うとか歌わないというのは、個々の人間の内面の問題なんです。内面の問題です。この内面の問題に一党一派やあるいはある政党が上げろとか、あるいは歌いなさいと。そして歌わなければこれは国の繁栄にはつながらないとか、または平和にはつながらぬとか、こういう論法は、これは皆さんが今ねらっておるのは、国旗掲揚、国歌斉唱を否定もしくは批判する人間、集団に対して、国家への忠誠心が欠如しているというレッテル張りをする踏み絵、これにしようとしているんじゃないか。我々は、そういう非常に、ここを問題視しているわけです。(「見解の相違だよ」と呼ぶ者あり)見解の相違だったら、あんた方だけでやればいいじゃないか。
 議会に持ち込んできて決議しようとするから、我々は問題にしているんです。そして今あなたは、全会一致でお願いしますと言っているから、我々としては、こういうことには、なぜ人の心、内面の問題にまであなた方は踏み込めるのかと聞いているんです。これは個々人の内面の問題じゃないですか。
○平良 哲君 お答えいたします。
 瑞慶覧議員、私が決議案を御説明申し上げましたが、余り飛躍した理解の仕方はしてもらいたくないと思っております。私は、国旗、国歌を尊重し敬意を表することが、これが我が国の平和あるいは繁栄にもつながるというふうに考えているわけでございまして、皆さんにそれを押しつけようという気持ちは毛頭ございません。
 それから自国の国旗、国歌を尊重することができない人たちがどうして他国の国旗、国歌を尊重することができますか。そういう点から、私どもはそう考えているということを申し上げたのであって、皆さんにそれを押しつけようなどという考え方は毛頭持っておりませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
○瑞慶覧長方君 そうであれば、撤回して、皆さん方の自民党大会で決議したらどうですか。
○平良 哲君 私どもは県議会の意思として、今、沖縄のこの実態を見まして憂えているわけでございまして、ぜひ他県同様に誇りある日本国民として当然祝祭日等を含めまして国旗を掲揚し国歌を斉唱することが望ましいというふうに考えて、議会の意思としてやはり天下にこのことを公表したいという気持ちを持っております。
○瑞慶覧長方君 それじゃですね、皆さんはどこかのアンケート調査をさき述べておりましたけれども、県内ではどういうふうに受けとっているのか。私が小学校の子供たちあるいは中学あるいは高校、一般の青年、いろんな階層に意見を聞いてみたんです。そうすると小学校生や中学校生、高校生の学生は何と言っているかというと、特に君が代については、はっきり言って、ダサイ、ネクラ、むちゃくちゃな答弁をしている。あるいはひどい話になると、漫画だよあれは、と言っている人もおるんです。子供たちがなぜそれを言っているかというと、第1、今の近代民主国家あるいはこれだけの主権在民の現在に、あの君が代の歌詞そのものが全くナンセンスだと言っている。そして皆さんもおわかりと思いますが、この問題が出てから新聞投書見ても、たくさんの意見が出てきております。この中で非常に、明確な県民の感情を出しているのがあります。儀間さんという人は、こういう、論壇の中で琉歌を詠んでおります。「イシナグヌ石ヌ、イチャシ岩ナイガ、タッタシビリヤイ、カタンネラン」、こう言っている。いいですか、「イシナグヌ石ヌ、イチャシ岩ナイガ、タッタシビリヤイ、カタンネラン」。まさにそのとおりでありまして、さざれ石がどうして大きな岩になって、きれいなコケをむす。こういうことはあり得ないと、これが県民感情なんです。だからそういう、この一般の学生にしてもそうです。一般の方々もそうです。
 要するに県民の感情は、軍国主義時代、天皇崇拝のあの皇民化教育のときに押しつけてきたものは、今これを避けようと。だから沖縄が高校でゼロというのは立派なんです、立派なんです。これを歴史の反省もなく、今また再びこれを押しつけようとする。あるいは学校現場にやれという。これこそ県民を無視し、あるいは県民の立場を理解せずに実態もわからないで、しかもこの純心な子供たちのこういうこともわからぬで皆さん、言おうとしている。さっきあなたは、この日の丸も君が代も、世界のものに比べてすばらしいものであると、歌詞も立派とこういうふうに言っていますが、とんでもないと思います。県民はそういうふうに思ってないのがいっぱいおるんです。それまでも巻き込んで上等と思えと言ったって、思う、思わないというものは、歌う、歌わないというものは、さっぎも申し上げましたが、内面の問題、感情の問題なんです。(「どういう心で直すという意味よ」と呼ぶ者あり)自民党が人の心まで直す、これこそ越権行為であり、暴論なんです、暴論。民主主義を冒とくする暴論なんです。
○平良 哲君 まあかなり暴論とかきつい言葉を使っておりますが、私どもは望ましいということからお願いをしているところでございますが、先ほど最近の新聞論調の話もありましたが、じゃ同じことが言えるんじゃないかと思いますが、10月の5日、つい最近でございます。やはり新聞に、革新系の支持者と思われる方から、こういう投書があったことを皆さん御記憶かと思っておりますので、一応念のため申し上げましょう。
 この方は革新系だと言っておりますが、「なぜ沖縄が最後の砦か」。日教組が今回の問題に組織を挙げて支援するというが、本土でできないことを被害者意識を盾にあがきもがかなければならないのか気がめいるばかりである。「子供たちが「君が代」を大相撲の歌と勘違いし、「日の丸」を戦争の旗と思い込んでいる現実を笑い話で聞き流すわけにはいくまい。」。子供たちは、「教師の後姿を見て学び育つものと思う。」とこういう投書もあるわけでございまして、今御指摘がありましたように、先ほど御指摘ありましたような方たちばかりが県民の圧倒的な意見とは思っておりません。むしろ私が今申し上げた方たちが圧倒的に県内でも多いということを御理解いただきたいと思うのであります。
○議長(志村 恵君) 傍聴人に申し上げます。傍聴人は議事について可否を表明し、または騒ぎ立てることは禁止されておりますので、静粛に願います。
○瑞慶覧長方君 それじゃ最後にですね、国旗と国歌が愛されるには、評論家の俵萌子氏がこういうことを言っています。
   「君が代」「日の丸」について、私には、いい思い出と悪い思い出の2つがある。いい思い出は、何といったって、外国へ行った時。日の丸を見ると、やっばりうれしい。うれしいというよりか、なつかしい、といった方が正 確かも知れない。いや、その2つが入り混った感情かな。とにかくそれは快感の一種である。ところが、国内で見聞する時には、同じものがまったく違うのだ。 まず、不安感が押し寄せてくる。こどもの時の、辛かった思い 出がよみがえってくる。強制されることへの不快感がこみ上げてくる。というわけで、「君が代」と「日の丸」に対する私の感情は、まことに複雑怪奇なのである。これをすっきりさせろといわれたって、無理だ。理屈ではなく て、感覚なのであるから。たぶん、この感覚は、死ぬまで変わらないであろうと思う。それほど、こどもの時、「君が代」と「日の丸」を強制させられた時代の思い出は悪い。ちなみに、私は、敗戦を14歳のもっとも多感な年 齢で経験した世代である。いま、全国あちこちへ講演に行くようになり、東京都中野区の教育委員として、卒業式にも数多く出席した。そういう席には、ほとんどといっていいほど「日の丸」が掲げられている。卒業式では  「君が代」が歌われる。そういう時、私は、個人的感情は、ともかくとして、主催者側の気持を尊重している。「私は招かれたんだから、招いてくれた人たちの意志に従うのがエチケットだろう」そんな風に割り切ることにして いるが、それでもなお小さな不快感は、いつも残る。いずれにしても、人間は強制されたものは嫌いになるのだから、国歌、国旗が愛されるためには、強制しないことが一番である。
 こういう論評があるわけです。まさにそうだと思うんです。
 そういう背景からするならば、おのおの特に君が代に対してあるいは日の丸に対してもそうですけれども、国民一人一人が、心の中に感覚として内面的な問題が、みんなおのおの違うのを持っているわけです。この違うおのおの持っているものを、政党や議会が決議をして、それを歌えとかあるいは上げろとかいうことを踏み込んでいくこと自体が、私はあってはならぬと思うんです。あってはならぬと思うんです。そういう意味からも、今、後でこれは討論で問題等に入りますけれども、さっき言ったこういう方々が本土でも大学教授やあるいは評論家でも数多く、この国民の中にこういう感覚があると思うんです。これ、どう思いますか。
○平良 哲君 俵さんのような国旗、国歌に対する感情をお持ちの方も国民の中にはいると思います。これは肯定いたします。しかし先ほど申し上げましたように8割以上の圧倒的な国民が、国旗、国歌に対しまして敬けんなる、敬意を表明しているというふうに私は考えております。
○議長(志村 恵君) 田場盛徳君。
○田場盛徳君 日の丸、君が代については代表質問、一般質問、そしてただいまの質問とたくさんの御質問が繰り返されておりますけれども、私は、それに出なかったところの若干の問題点をお伺いしたいと、こう思っております。
 提案者の文面の4行目から6行目までの間に、「しかるに、本県内の小中高校における「日の丸」の掲揚、「君が代」の斉唱は、他都道府県に比べ極端に低い実施率となっている。」と。この調査というのは、御承知のように文部省が小中高校の入学式、卒業式における調査です。提案者は、入学式、卒業式においては、国旗を掲揚し君が代を歌うものだとこういう認識のもとに立って、これは提出されたのか明らかにしてもらいたい。
○平良 哲君 ただいまの御質疑でございますけれども、私は、学校の入学式及び卒業式におきまして国旗日の丸を掲揚し国歌君が代を歌うことが望ましいと考えております。
○田場盛徳君 卒業式、入学式というのは学習指導要領、文部省が言っている学習指導要領の中でも、学校行事であって、国民の祝日ではない。国民の祝日でない入学式、卒業式にどうして国旗掲揚、国歌斉唱しなければならないか、法的根拠があれば示してもらいたい。
○平良 哲君 法的根拠はございません。望ましいということでございます。
○田場盛徳君 法的根拠がないものを、いわゆる文部省は、各都道府県の教育長に対して、この国旗掲揚、君が代斉唱について徹底させるような指導をせよというふうなことを通知していますね。これについてどう思われますか。
○平良 哲君 これは文部省がみずから判断をしてそのような通知をされたと思いますが、どういうことで通知されたかわかりませんが、私は非常にいいことだと思っております。(発言する者多し)
○田場盛徳君 あなたがよければ、基本的な拘束力もないものを強制する、こういう姿勢。拘束力のないような、根拠のないものを、自分が望ましいと思う、自分の党が望ましいと思う、思想の自由を強制している、これについてどう思いますか。

○平良 哲君 皆さんは、言葉の結びにはいつも強制という言葉を使っておられますけれども、強制という言葉はまた我々一遍も使ったこともございませんし、強制しようという気持ちも毛頭持っておりません。さっきから申し上げておりますとおり、望ましいということをひたすら申し上げているだけでございます。
○田場盛徳君 指導要領の取り扱いについて徹底すること、それが望ましいという受けとり方でいいのか。
○平良 哲君 より多くの国民が国旗、国歌を掲揚し斉唱し、これに敬意を表することは望ましいことでございます。
○田場盛徳君 憲法とのかかわりでお伺いします。
 日の丸、君が代については、大日本帝国憲法時代にどのように取り扱われ、そして日本国憲法の施行後、どのように解釈され、現在どうなっているか、これが明確にならないといけないと思うんですね。戦後、大日本帝国憲法が廃止をされた。天皇も人間宣言をされた。そして国会においても教育勅語廃棄の国会決議がなされた。日の丸、君が代についてはどうなったか、それ明確にしてもらいたい。
○平良 哲君 今の御質疑でございますが、確かに過去においても日の丸、君が代が軍国主義に使われた、いわゆる汚辱を担ったこともございますし、また国民のシンボルとして輝かしい栄光を担ったこともございますけれども、今、私どもが一番大切なことは、先ほど私が提案理由で申し上げましたように国旗、国歌に対して、私どもは基本的に提案理由で御説明申し上げたような見解を持っているということで私は十分お答えになろうと思います。
○田場盛徳君 いわゆる大日本帝国憲法時代、教育勅語時代、国民学校初等科の修身の4年生の教材の中に、どうも長いですけれども、君が代の歌詞の意味について次のようにこうありますね。
  「君が代」の歌は、「我が天皇陛下のお治めになる此 の御代は、千年も万年も、いや、いつまでもいつまでも 続いてお栄えになるやうに」といふ意味で、まことにお めでたい歌であります。私たち臣民が「君が代」を歌ふ とぎには、天皇陛下の萬歳を祝ひ奉り、皇室の御栄を祈 り奉る心で一ばいになります。外国で「君が代」の奉楽 を聞くときにも、ありがたい皇室をいただいてゐる日本 人と生れた嬉しさに、思はず涙が出るといひます。」。
 その後にも続きますけれども、大事なところはそういうところですね。いわゆる帝国憲法時代の君が代の解釈、これがいつ否定されたのか。今も残っているのかどうか。否定、残ってない、新しく変わったと言ったら、いつこれが否定されたのか、その時点、だれがやったのか、これ明らかにしてもらいたい。
○平良 哲君 君が代、国旗に対する見方、考え方、いろいろあろうかと思いますが、これがいつ否定されたとか、されなかったということは私はわかりません。大切なことは、先ほど申し上げましたように国旗、国歌に対する基本的な認識は、先ほど御説明したとおりであります。
○田場盛徳君 そうすると君が代については、提案者は、戦前のあの国民学校教科書に出ていた解釈は否定されたと、このようにはっきり断言できますか。
○平良 哲君 否定されたとか、されなかったということは、私からは断言はできないと思います。私たちは、君が代については先ほど申し上げましたような考え方を持っているということでございます。
○田場盛徳君 日の丸についても、国民学校の教師用の教科書の記述で明確にこのように出ています。
  我が日本は日の本であり、日の神直系の御子孫のしろしめす国であり、日本人は日の神の末裔であると、みずからを任じ来った。このやうにして、肇国以来揺ぎなき国體とともに国民精神の反映が日の丸の旗のうち  に鮮かに看取せられるのである。随って、日の丸の旗の由来について説かうとすれば皇統連綿たる国史と国土国勢とさうして国民性とのすべてにわたって触れて行かざるを得ない」。
 白地に赤丸の日の丸のデザインは簡明であって、純粋なものはないと、このように国民学校の教師用の教科書の中に神国の旗ということで明らかにされております。この解釈については、どのように変わったのか明らかにしてもらいたい。
○平良 哲君 ただいま述べられました解釈等について、私はいつ変わったかについてもはっきりとわかりません。
 先ほどから再三申し上げましたとおり、君が代に対しましても、国旗に対しましても、提案理由の中で申し上げましたような考え方で私どもは対応しているわけでございます。(発言する者あり)
○田場盛徳君 今の答弁は、大変問題だと思います。
 いわゆる大日本帝国憲法の解釈の否定、これが残っているのか、残っていないのか、これもわからない。こういうあいまいな言い方で日の丸、君が代を学校現場に持ち込もうということは、主権在民となったところの現憲法の精神に反する事柄であって、これこそ憲法否定と。現憲法否定にもつながるとこのように考えますけれども、それについてどう思われますか。
○平良 哲君 あえてそういう問い方をするのであれば、先ほどの解釈はいろいろ歴史の経緯を経まして使用されて、それが発展的に解消をされて今日のように私どもが考えているような解釈になっているというふうに理解をいたしております。
○田場盛徳君 政府は、1964年(昭和39年)に公式制度連絡調査会議と、こういうものを設けて、国旗、国歌、国章、年号について公式制度を統一して法制化しようと、こういうことをやってきたんです。この4つについて公式で法制をして、そして法制化していこうとやってきた。結論が出たものは年号だけでしょう。残りのものについては全く結論が出てない。いわゆる戦前の国定教科書の解釈定義がそのまま残っているという、こういう形で戦前の日の丸、君が代の復活というふうにさえとられるようなやり方で今、日の丸、君が代を押しつけようとしているんじゃないか。これこそ大日本帝国憲法下の意義を持つ国旗、国歌をそのまま主権在民の現憲法に当てはめていこうと、こういうことであって、全く憲法違反になる。(「ならない」と呼ぶ者あり)なるんだよ。
 これについて明らかにしてもらいたい。(発言する者あり)
○平良 哲君 私どもは、今、田場議員が御指摘ありましたような憲法に抵触するとか、そういったことは毛頭考えておりませんし、それから法制化の問題に触れておりましたけれども、いわゆる憲法等で規定されている国旗、国歌というのはソ連を初めとする三十数カ国でございまして、あとの残りの圧倒的な国においてはイギリスを初めといたしましていわゆる慣習によって慣習法として国旗、国歌が認められているというふうに私は理解しております。
○田場盛徳君 この提案された決議文の下から7行目、そこに、「自国の国旗、国歌を敬愛し、誇りに思うことは、いずれの国の国民にとっても共通した感情であり、日本国民もまた同様である。このことが他国の国旗、国歌を尊重することにつながり、」とこのようにありますけれども、本当にそう思っておるのかお答え願いたい。
○平良 哲君 ただいまの田場議員の御質疑は、私は、日本人とも思えない御発言だなと大変遺憾に思う次第でございます。
 自国の国旗、国歌を尊敬し愛することができなくて、どうして他国の国旗、国歌を愛することができますか。
○田場盛徳君 これを私が問題にしますのは、一番、国旗に対する取り扱いの厳しい国はアメリカです。アメリカの公立小学校では、毎朝星条旗を掲げて、星条旗に対する忠誠を誓おうと、こういうことから一日が始まります。これはアメリカが人種のるつぼと言われるぐらい多数の民族により構成されておりますので、国旗に対して注目し胸に手を当てて1つの国民としての意識を高める、こういうこととともに、公共のために尽くし自由を守るよう努める、こういう誓いで、毎朝全校生徒を集めて国旗に対する忠誠を誓う行事をやっております。特に軍隊では、国旗に対する態度というものが非常に厳しく取り扱われております。在沖米軍の中でも、星条旗掲揚や降納が行われる際には、通行中の者も立ちどまって国旗に注目をして敬礼をしておる。国旗に対する教育がこのように幼児から大人、老人に至るまで徹底しておる国というものはほかにはありません。けれども、このように育てられた米人が、他国の国旗を尊敬し大事にしているかというとそうではないでしょう。復帰前、沖縄の各地で日の丸が掲げられているのを米兵が盗んだり、引きちぎったり、焼いたりした事件が数多く起こった。この具体的な事実が、自国の国旗を敬愛し尊重する者は、他国の国旗も即時尊重することにつながるんだ、こういうことにならないことの具体的な事例であるとこう思いますが、提案者はどう考えられますか。
○平良 哲君 ただいまの問題でございますが、国旗、国歌を世界でも最も敬愛しているアメリカにおいて一部の者がそういう行為に出たということは極めて遺憾なことでございまして、2億数千万のアメリカ国民の中の本当に何名かわかりませんが、こういう国旗、国歌に対しまして敬意も払わないのがいるということにつきましては非常に遺憾に思います。
○田場盛徳君 だからそのように幼児から訓練されても、結局その国の国旗、国歌が国民からとうとばれ、また他の国々からも敬愛される、こういうためにはその国と国民が人類的に高い理想を持ち合わせ、諸国民の協調と理解を得るような実践とその実績を持つことが大事であるということを示しておるわけです。
 自国の国旗、国歌を国民、特に小中高校生らの成長過程にある児童生徒に強制をしたり、あるいは重視したり、指導すると、必然的にこれはナショナリズム、国家主義イデオロギー教育となって、むしろ国民的な、民族的な優越感が高くなって、他民族べっ視、他国の民族文化軽視と、こういう危険な方向に進む危険性というものも非常に大きいと思います。米軍人が沖縄で日の丸をちぎったり、焼いたり、盗んだり、こういう精神の中には、米兵が大国意識、優越感、占領者意識、支配者意識、こういうことを持っているのがこのもとになっているわけなんですよ。これこそ国際平和や国際協調、国際友好精神に大きな障害になると。私は、余りにもその国旗、国歌を強調するということは、そのように極端な民族主義、優越感とナショナリズム、これにつながるとこう思うんですが、提案者はどのように考えておるか。
○平良 哲君 これはもう明らかに見解の相違だというふうにお受けとめいただきたいと思います。
○田場盛徳君 大事な事柄ですけれども、答弁していただけないのは非常に残念です。見解の相違で片づけていけない問題だとこのように考えます。
 憲法第21条には、表現の自由はこれを保障するとこういうふうにうたっております。旗を掲げたり、歌を歌ったり、こうすることは表現の自由です。これは保障されなければならない、こう思うんですが、これについての御見解を求めます。
○平良 哲君 まことに御指摘のとおりでございます。
○田場盛徳君 現行の学習指導要領には君が代の歌詞の解釈について記述されたのがありますか。
○平良 哲君 ちょっと、もう一度お願いいたします。
○田場盛徳君 現行の学習指導要領、この中に君が代の歌詞の意味、解釈、これについて記載されたのがありますか。
○平良 哲君 学習指導要領を最初から最後まで残念ながら読んでおりませんので、それについて掲載されているかどうかについては私自身は定かではございません。
○田場盛徳君 国旗、君が代を提唱するというのに、これさえ読まないということはこれは不勉強ですよ。
 それじゃ文部省は、君が代の意味について解釈した公文を現場に流したという事実がありますか。
○平良 哲君 私の記憶では、ないかと思いますけれども、こういうことは問題ではないと思いまして、私ども先ほどから再三申し上げておりますように、自由民主党沖縄県連所属の県議会議員団と新生クラブのお2人の議員、一緒に会議を重ねまして、本県における国旗、国歌に対する統一見解を示して決議を御提案申し上げているだけでございます。
○田場盛徳君 これは意昧も説明しないで教えると、こういうことは暗記中心の学習であり、これは望ましい教育のあり方ではないと考えますが、提案者はこれについてどう思われますか。
○平良 哲君 議論が平行線になるかもしれませんが、国旗、国歌に対しましてその考え方は提案理由の方で、冒頭の方ではっきり申し上げておりますので、これが私どもの国旗、国歌に対する基本的な考え方でございます。
○田場盛徳君 学校教育への国旗掲揚、国歌斉唱、これについてその取り扱いについて徹底するよう指導すること、これは結局押しつけになるんじゃないかと思いますが、これについてはどうお考えになりますか。
○平良 哲君 先ほどからたびたび御答弁申し上げておりますように、介入とか強制ということは毛頭考えておりません。望ましいということから決議案を提出している次第でございます。
○田場盛徳君 しかもこのいわゆる国旗掲揚が愛国心を育てるんだ、こういうこともあるだけに、この国旗掲揚、皆さんが言っている国歌斉唱、こういうのはこれこそ教育内容なんですよね。こういう教育内容に政党、政治がかかわるとこういうことは、教育基本法第10条に照らしても、明らかに教育への不当な介入であって、これは許されないことだとこう思うんですが、これについてはどう考えられますか。
○平良 哲君 今回の決議案が教育内容に介入するとは毛頭考えておりません。
○田場盛徳君 何でこれを出されるのか。学校においてそれをやるようにということを進めているでしょう。どうしてその意思がないのにこういう提案をされるんですか。
○平良 哲君 たびたび申し上げておりますように望ましいということで、特に本県は他県と比べてその実施率が著しく悪いわけでございまして、海邦国体を迎えましてぜひ誇りある日本国民の47都道府県の1県として、他県並みに国旗を掲揚し君が代を斉唱することが望ましいという考え方から私どもは提案しているだけでございます。
○田場盛徳君 音楽教育で君が代を教えるというのは何のためにやりますか。何のために音楽教育で君が代を取り入れようということを提案なさっておりますか。
○平良 哲君 音楽教育で君が代を斉唱するとかしないとかいうことほ私は聞いておりませんし、またこれは音楽教育の一環でございますから、これに対して私が言及することをはばかりたいと思います。
○田場盛徳君 音楽教育では望ましいけれども、やらないでもいいというふうなことなんですか。
○平良 哲君 言葉じりをとらえるような御質疑は控えてもらいたいと思いますが、そういうことではございません。あくまでも音楽教育は音楽教育の一環として進めるべきことであって、これに対して私どもが言及することはできないと思います。
○田場盛徳君 提案者の皆さんが考えておられる音楽教育の目標というのは何ですか。
○平良 哲君 私は、国旗掲揚と国歌斉唱について御提案を申しているわけでございまして、音楽教育についてここで御提案申し上げているわけではございません。
○田場盛徳君 それじゃ君が代は教えなくてもいいということになりますか。
○平良 哲君 君が代を斉唱することが望ましいということでございます。
○田場盛徳君 音楽教育での目的を達するために君が代を歌うことが望ましいということを言っておられるわけじゃないですか。
○平良 哲君 田場議員、私が申し上げていることをひとつ、こんな大きな声で御答弁申し上げているわけですから再三申し上げさせていただきたくないんでございますが、音楽教育については私どもから言及する立場にない、君が代を斉唱することが望ましいとこういうことでございます。
○田場盛徳君 どうして君が代を斉唱することが望ましいのか、学校で。学校でどうして君が代を歌うことが望ましいのか、それを明らかにしてもらいたい。
○平良 哲君 誇りある日本人、国際国家日本人として望ましいがらでございます。
○田場盛徳君 5月に文部省が行った調査で、沖縄はゼロであると。なぜゼロであるか。これは県民の意思だとこういうふうに受けとれないでしようかね。
○平良 哲君 私は、すべてが県民の意思だとは考えておりません。
○田場盛徳君 教育勅語、これは国会決議で廃止をされ、そして教育基本法とこうなっておる。それにもかかわらず教育勅語時代の解釈が整理されておらない。それを整理もされないままに今のいわゆる国民主権の憲法時代に当てはめよう、それを持ってこようとこういうことに大変な不安を感ずるわけです。だからこの国旗やあるいは君が代の新しい解釈、定義、こういうものが国から出されない限り、これやっちゃいけない。これをやるということは、いわゆる明治憲法時代の解釈をそのまま残して今日まで今の憲法の中に持ち込むという憲法違反の行為になる、これは明らかですよ。だからそれが古い憲法時代の精神をそのまま整理もせずに持ち込む。だからこそ軍国主義やあるいは天皇中心主義のシンボルであったままの、これでそのまま持ってこようということですから、国家主義あるいは軍国主義あるいは大国主義のシンボルになるんだと、こういうふうに懸念されるんですよ。何としても国自体が戦前の君が代、国歌に対するこのような解釈はこれは誤りでした、これ否定しますと、こういうことで新しい主権在民の憲法に合った解釈、こうですとこれを示してこそ、これを現場にあるいは学校の教育などに取り入れるべき、やるべきものだとこのように考えるんですが、提案者はその点についてどう考えられるんですかね。
○平良 哲君 そのことが最も望ましいことかもしれませんけれども、またそれが極めて難しい場合には、次善の策としてベターな方法も考えられると思います。今回の問題はそのように御理解いただきたいと思いますが、先ほどの御質疑の中で、やはり国旗等が軍国主義や国家主義につながる懸念があるということを盛んに申し述べておられます。そこでこの点だけは、この本会議ではっきりと皆さんの前でしなければならない問題があろうかと思います。
 皆さんは、革新統一候補として喜屋武真栄先生を参議院に送っておられます。いわゆる復帰前から革新共闘の輝ける星、リーダーとして復帰協の会長として大きな功績もある方でございます。この方が昭和40年でございます、5月23日、沖縄タイムスに、復帰協の会長としてはっきり日の丸に対する見解を述べておりますから、これをこの場で私はもう一度読んで、皆さんに御理解を賜りたいと思っている次第でございます。
 こういうことを申し上げておりますね。
  私は、教育者の一人として、また復帰協の会長として、わが国の国旗は日の丸であり、沖縄県民は一日も早く、その「日の丸」のもとに帰りたいと、二十年一日の如く、願いつづけてきたのですが、いまだに願望が、叶えられておりません。沖縄県民にとっては「日の丸」は復帰のシンボルです。日本国民である沖縄県民の国民的プライドの意思表示は「日の丸」をあげることです。日本本土で、「日の丸」を掲揚することに抵抗があり、半面、沖縄のわれわれが明け暮れ「日の丸」に愛着を抱いていることを不可解に思っている向きもあるようだが、残念でなりません。それは「日の丸」が、かつて戦争に利用され、血塗られた軍国主義のシンボルとして、いやという程、利用されてきたことが、いまだにその幻想にとりつかれているということからではないでしょうか。血塗られた「日の丸」は、昭和20年8月15日、日本の無条件降伏とともに、崩壊し、消えうせた筈であります。われわれは、平和憲法の光のもと、新生日本のシンボルとしての「日の丸」は、すでに質的に清められ変っている。また変えられるべきことを知るべきでありましょう。「日の丸」について私が感じていることを述べ、心なき人々への猛省を促すとともに、全県民のあたたかい御理解をたまわりたいと。
 皆さんとともに、復帰前から今日に至るまで革新共闘の輝けるリーダーとして活躍しております嘉屋武先生がいみじくも20年前に、国旗に対しましても、無条件降伏とともに、日本の国旗に対する罪は償われて清らかな新生民主国日本の国旗としてよみがえったということをはっきり断言しているではありませんか。
 このことを私は、はっきり皆さんに申し上げておきたい。
○田場盛徳君 最後に申し上げますが……。
○議長(志村 恵君) 傍聴人は静粛に願います。
○田場盛徳君 ただいま言われた、いわゆる米軍支配時代の日の丸に対する考え方、これと今の日の丸に対する考え方、全くごっちゃにしては困ると思います。いわる自分の国の旗を支配者の意思で上げるな、上げろ、こういうことは強制です。だから我々は米軍支配に対する抵抗、そして自由を求めるシンボルとして、また復帰のシンボルとしてこういうことで日の丸掲揚運動をあのときやってまいりました。その事実をしっかりと確認せずして、あのときのことをそのまま持ち出すということはこれは当たらない。そうであるんだったら、なぜ自民党は、あのとぎに日の丸掲揚を提起しなかったのか、皆さんは何をしたのかということ。現に今県内に意見の対立が非常に激しいと。こういうときに、いわゆる国の防衛費も1%枠を突破しよう、自民党がスパイ防止法も立法しよう、こういうふうな大変な反動化の時代、そして日本列島不沈空母化しよう、ソ連ウラジオ艦隊を4海峡封鎖して日本海に閉じ込めようと。こんな血なまぐさい発言があるときに、何でこの日の丸、君が代かとこういうことが非常に懸念されるわけであります。そして皆さんは数を頼んで、こういうふうなときに、いわゆる決議を強行していこうというこの腹の底が大変我々には疑問に思われます。
 国体でもこのような強行しようと、意見の対立がまだ整理されないと。こういう中で力で押し切ろうと。こういう姿勢は非常によくないと思いますので、ぜひこれは撤回してもらいたいということを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。
○議長(志村 恵君) 質疑者に申し上げます。ただいま議案に対する質疑でございます。意見の開陳、討論にわたらないように御注意を願います。
 伊波広定君。
○伊波広定君 私は、10月3日の一般質問で、君が代、日の丸の質問の前に、知事に対して、沖縄の近代史の中で、天皇とのかかわり合いのある4つの歴史的事実について述べ、知事の御見解を求めました。しかしながら私の質疑に対して、知事はまともな御見解の開陳がありませんでした。
 そこで私は、改めて今君が代、日の丸問題、これが出ておりますので、提案者にこのことから質問をしたいと思います。
 最初は、明治12年の琉球処分の前後、天皇政府は、清国と列強が結んでいるところの最恵国条約、すなわち清国を植民地化するための通商条約であります。一方的な押しつけ、これを締結するために、当時問題になっていた琉球処分、この最恵国条約との代償に、宮古、八重山を清国に提供し、最恵国益という名前で最恵国条約を結び、これがいわゆる明治12年の分島論です。それから1945年の7月、太平洋戦争もだんだん敗色が濃くなったときに、政府は、近衛文磨をして……
○議長(志村 恵君) 発言は簡潔に願います。
○伊波広定君 ソ連に特使として派遣し、その和平要綱の中に、国体の護持は絶対にして譲らない。2番目には、沖縄、小笠原、琉球列島諸島はアメリカに25年並びに50年間占領してもいいという条件をつけたわけです。これが45年の、実現はしなかったけれども、ロシアに対する、ソ連に対する和平あっせんの条件。次は47年9月、天皇メッセージ、ちょうどその当時は、天皇が戦犯かどうかと論議されたころです。そのときにも特使を、マッカーサー元帥の政治顧問……
○議長(志村 恵君) 意見の開陳、討論は御遠慮ください。
○伊波広定君 シーボルトに出して、そして琉球諸島の占領、これを要請したわけです。
 そのことについて君が代、そして日の丸、この掲揚、斉唱を望ましいことだとして県民に押しつけるところの自民党の皆さん、どういう御見解を持っておられるか答えていただきたい。
○平良 哲君 ただいまの伊波議員の御質疑にお答えいたします。
 先ほども申し上げましたように国歌君が代におきまして、過去の歴史において国民のシンボルとして輝ける栄光を担うときもあれば、また侵略、軍国主義のシンボルとして悲惨な汚辱を受けた経緯もございます。しかし今日では、先ほどの喜屋武先生のお言葉にもありましたようにもう清められて民主国家、平和日本のシンボルとしての国
旗、国歌であります。
 今の御質問の中に中国の問題がありましたが、今年の10月1日に、中華人民共和国の国慶節が宜野湾市民会館でも行われました。わざわざ中国の駐日大使館から1等書記官もお見えになって、喜屋武真栄先生も嶺井副知事等も出席された中で、ボーイスカウトが中国の五星紅旗と我が国の日の丸を持って行進し、そして会場に中国の五星紅旗と日の丸を掲げて国慶節を祝っているわけでございます。このように歴史上極めて悲惨な目に遭った中国におきましても、今日の日本の日の丸は民主国家、平和国家の日本としての日の丸として尊敬をしているのが実情でございます。
○伊波広定君 暗い歴史もあった、あるいは栄光の歴史もあったとおっしゃいますけれども、これはこの問題は私たちの近代史における原点の1つです。そして過去は、現在と切り離して存在するものではなくして、過去、現在と流れてさらに未来へ流れていく、これが歴史であるわけですね。それで今国慶節のお話が出ましたけれども、中国は、毎日新聞の9月7日、「7日の新華社電は、文部省が小中学校に対し、入学および卒業式に、日の丸を掲揚し、「君が代」を歌うよう求めた通知を出したことについて論評し、日の丸を国旗とし、「君が代」を国歌とすることは日本の法律上、明確な規定はないなどとして批判した。論評は、「君が代」を「
天皇の治世」をたたえるものと指摘するとともに、日本政府がこれを「国歌」とするよう求めた戦前、戦後の動きを紹介、「国歌」としては法的根拠を持たないことを説明した。」ということで載っているわけです。
 それから皆さんのこの決議を見ますと、「自国の国旗、国歌を敬愛し、誇りに思うことは、いずれの国の国民にとっても共通した感情であり、日本国民もまた同様である。このことが他国の国旗、国歌を尊重することにつながり、」ということが……
○議長(志村 恵君) 伊波広定君に申し上げます。質疑を行ってください。
○伊波広定君 ありますけれども、我が国の総理がタイに行ったとき、タイの市民が日の丸を焼く、あるいは東南アジア、そういう所で閣僚が行ったときに反日的な行動として国旗の焼却なんかが出ているわけですね。これについてはどうお考えになりますか。
○平良 哲君 国旗、国歌を尊重しなければならないのは世界各国民、共通でございますけれども、そういうことがあったことは極めて残念なことで遺憾に思います。
○伊波広定君 この新華社電にも書いてありますけれども、指導要領でもって、いわゆる日の丸の掲揚と君が代の斉唱、これを徹底させるという通知が出されたわけですけれども、これについてこの法的根拠、これはどういうものでしょうか。
○平良 哲君 私は、法的根拠があるとは思いません。私どもが御提案申し上げていることは、実施率が極めて低い本県において、他県並みにひとつ国旗も掲揚し君が代を斉唱していただきたい、それが望ましいことであるのでこれを奨励していただきたいということでございます。
○伊波広定君 じゃ、これは強制でもなく強要でもなく、自由であるということですね。
○平良 哲君 さっきから強制とかいろいろ言っておりますけれども、自由でなくて、望ましいということでございます。
○伊波広定君 その根拠は何ですか。
○平良 哲君 国民として当然のことだからであります。
○伊波広定君 法がなければ、この法治国家では、そういう強要とか徹底とかということは難しいわけなんですよ。これについてどうお考えになりますか。
○平良 哲君 伊波議員も長い間県議会議員をお務めになられて、法律については私よりも詳しいと思います。私のささやかな知識から申し上げますと、法律には成文法もあれば慣習法もございます。したがいまして国旗、国歌につきましては、定着化して慣習として国際的にも私は認められているというふうに理解をいたしております。
○伊波広定君 今、慣習法で認められているということをおっしゃっておりますけれども、君が代、日の丸を国民に強制する、あるいは強要する法的根拠がないところから慣習法によるとおっしゃっておりますけれども、この論は、今日の法の一般的解釈から言っても全く通らぬものです。妥当性を欠きます。
 もともと君が代は、天皇主権の主権在君、この中から生まれたものであるわけです。それを否定した。否定して、主権は国民にあるということをうたっている今の憲法には、これは真っ向から対決する議論なんです。これをこの慣習法が適用されると、そう思っていらっしゃるんですか。
○平良 哲君 ただいまの御指摘でございますが、私ども憲法の第1条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存ずる日本国民の総意に基く。」とこのようにうたわれているわけでございます。したがいまして提案理由で申し上げましたとおり、平和を愛する日本国民全体が天皇を日本の象徴として仰ぐ国が、以下御説明したような意味での君が代を理解しているわけでございます。
○伊波広定君 主権はどこにありますか。
○平良 哲君 主権在民でございますから国民にございます。
○伊波広定君 そうであるならば、この皆さんの言う国歌君が代、これは主権在民の今の憲法とは矛盾するものなんですよ。象徴天皇は、国事にも関与できないわけなんです。憲法でちゃんとうたわれているでしょう。
○平良 哲君 それは伊波議員と私どもとの見解の相違というふうに受けとめていただきたい。決して矛盾ずるとは考えておりません。(傍聴席にて発言する者あり)
○議長(志村 恵君) 傍聴人は静粛に願います。
○伊波広定君 この慣習法でもってこれを適用するというようなことは、今の憲法では、憲法と君が代の性格から言うと矛盾するものであって、絶対にこれは適用されるものではない。そしてさっきから復帰前の日の丸の話をやっておられましたけれども、復帰前の日の丸、あれは米軍の戦時刑法、これの布告2号、これによって私たち沖縄県民が掲げることを禁止されました。そして沖縄県の漁船とか船舶には、最初、デルタ旗、それから琉球旗、こういうものが掲げられ、拿捕され、銃撃されたりしたんです。しかし私たちは、祖国復帰、それからアメリカの占領支配反対、この闘いで天皇政府並びに支配層が売り渡した沖縄を復帰運動の闘いでもってかち取ったわけなんです。これが真の愛国であり、沖縄県民の誇りであるわけなんですよ。
○議長(志村 恵君) 質疑をお願いします。
○伊波広定君 こういう観点に立つならば、私たちがここで今、皆さんが提案しているところのこの君が代並びに国旗の掲揚、これを私たちは賛成することはできません。これを撤回するよう強く要求をして、質疑を終わります。
○議長(志村 恵君) 白保台一君。
○白保台一君 私どもは、代表質問で我が党の立場を明らかにいたしました。すなわち国旗、国歌の使用されてきた歴史的な経緯だとか、あるいはまた形態の上から言って、この国旗、国歌を否定する立場には立たないとこういうことであります。
 ただ、このことに関してさきの代表質問の際に教育長も、また今提案理由の中でも、国旗、国歌としてふさわしいと国民の大半が答えていると、こういうふうに先ほどお答えになりました。ならば、定着しているということであるならば、決議をする必要はないんではないか、なぜ決議をするのか、この辺からお聞ぎしたいと思います。
○平良 哲君 国旗、国歌に対する白保議員の御見解、私も同感でございます。
 ただ、定着しているから、あえて決議する必要がないんじゃないかという御質疑でございますけれども、先ほど数字をもってお示ししましたように君が代斉唱については、公立の小中高校でございますが、ゼロ。それから他県ではほとんど90%以上であるのに対しまして、本県はごく10%以下の低い実施率でございます。そういう現状は、62年国体を控えてまことに憂うべき、遺憾に思う実情であるというふうに判断をいたしまして、今回の決議案を提案した次第でございます。
○白保台一君 代表質問の際も、先ほどの提案理由のときも話がありましたが、愛国心を強制するとか、敬愛の念とか、こういうお話がございました。愛国心の心といい、敬愛の念の念といい、これは個人の心へ訴える問題です。個人の心に帰着する問題については、憲法でも信条の自由というものがありまして、これは思想、信条の自由の上から言っても心にかかわる問題である以上、決議とはなじまない問題ではないか、個々に判断する問題である、こういうふうに思うんです。だから決議が必要ないんではないか、こういうふうに言っておるわけです。いかがですか。
○平良 哲君 心の問題であることは間違いございませんけれども、あえて決議案を出さなければならないような実態が沖縄にあるということでございます。
○白保台一君 定着をしてきたというのは、沖縄はともかくとして、本土において定着をしてきたというのは、戦後40年あるいは30年の長い歴史の中で、国民が個々に心の中でいろんなことを整理してきたんです。かつては暗い歴史があったと。こういった問題を整理をしながら、個々の判
断で上げてきた、個々の判断で。これは法律で決められた問題でもないし強制された問題でもない。それが個々の判断で心の整理をしながら、そして平和憲法のもとでこの平和を求める決意の中でそして掲げてきた。そして定着してきておる。だから決議は必要ないんだ、こういうふうに思います。
 本県においては30年、40年たっていません。復帰まだ13年、14年目です。こういった中でこれから整理をしながら、それからまた平和をかみしめながらやっていこうという状況です。だから決議が必要ない、こういうふうに思います。いかがですか。

○平良 哲君 心がある程度整理されてああいう高い定着率になっているということでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように本県におきましては、復帰前に教職員会を中心にあれだけ心を整理されて、日の丸を掲げて復帰運動を実現したすばらしい実績を誇っておりまして、それがどうして復帰を境にして今度は軍国主義につながるとかいうふうなことで価値観を変えて反対に回るのか、多くの良識ある県民が疑問に思っているわけでございまして、私どもは、やはりあの心をこれからもずっと継続していただきたいとこいねがっているところであります。
○白保台一君 それじゃ具体的に聞きますが、今回のこの決議で、決議ができればこれは定着しますか。
○平良 哲君 定着するかしないかはおのおの県民の心にかかっているわけでございますけれども、私は、これが徐々に定着していくことをこいねがっております。
○白保台一君 これは拘束力を持ちますか。
○平良 哲君 拘束力は持ちません。
○白保台一君 拘束力を持たない。そしてまた提案者の方の希望、こういったことであるならば、これをあえて決議にはしないで、自由民主党の声明だとか、大会等の決議の方が望ましい、いい、このように思います。いかがでしょうか。
○平良 哲君 公明党の白保台一議員のお考えも立派だとは思いますが、沖縄の現状を憂えた場合には、あえて決議を提案しなければならないというふうに私どもは考えております。
○議長(志村 恵君) 吉田光正君。
○吉田光正君 提案者に御質問いたします。
 提案者は戦前、君が代を歌われたことがありますか。
○平良 哲君 ございます。
○吉田光正君 どういうときに歌われたでしょうか。
○平良 哲君 何かの行事で国旗掲揚とともに歌った記憶がございます。
○吉田光正君 本員も戦前、国旗掲揚もし君が代もたくさん歌ってきましたが、戦前、私たちが君が代を歌ったのは、大体、新年の儀式、2月11日の紀元節、4月29日の天長節、11月3日の明治節、この4大節の学校の式典で君が代を歌った記憶があるが、その他の行事、卒業式とか入学式とかでは歌った経験はないんです。
 それであの君が代は、4大節の場合は御真影があって、教育勅語を校長が奉読して、そして君が代が斉唱された。これはあの時点の君が代というのは、あくまでも大日本帝国憲法第1条の天皇に主権があるというあの条項、それから第3条の天皇の不可侵、現人神としての天皇に対する君が代です。あくまでも天皇主権としての君が代を斉唱してきたのが昭和20年までの君が代の性格だったと本員は思います。
○議長(志村 恵君) 質疑をお願いいたします。
○吉田光正君 それでそのときの君が代と日本国憲法の主権在民に、今提案者が望ましいと提案してきたその君が代は、どうしても性格が違うと、憲法上の。性格が違うと思うんです。日本国憲法の第1条の天皇は象徴であるから君が代も同じだと、こういうふうにこれまで説明なされていますが、これは論理のすりかえじゃないかとこういうふうに理解していますが、その点もう少し明確にしていただけませんか。
○平良 哲君 戦後40年たった今日におきまして、君が代も例えばオリンピックを初めとする世界のスポーツ大会等を初めといたしまして、すべて国旗とともに吹奏されて選手の栄誉をたたえ、国の栄誉をたたえているわけでございますけれども、今の旧憲法と新憲法との問題でございます
が、新憲法における君が代は日本国民統合の象徴としての天皇の君が代と、こういうふうに理解をいたしております。
○吉田光正君 本会議で教育長にも同じ質問をしましたが、全く同じのすりかえ論理の御答弁がありましたが、もうこれ以上、また平行線をたどるかと思いますので、別に移ります。
 この決議が自民党多数だから決議の方向にいくと思います、可決の方向にいくと思いますが、可決されるとこれは望ましいという説明ではありますけれども、必ず教育基本法の10条の圧力の線に絡んでくると思いますが、先ほどの答弁には、圧力かけるつもりはないとおっしゃるかもしれないけれども、教育委以外のサイドでは、議会の議決であるからと、こういうような形で必ず圧力となって受けとめられると思うが、そこら辺は提案者はどうお考えですか。
○平良 哲君 圧力になるとは毛頭考えておりません。
○吉田光正君 そうするとこれは小学校、中学校、高校への今非常に望ましい方向へそういう、持っていこうとしているが、全くの教育委員会あるいは教育長段階の自主判断の段階で受けとめると提案者はお考えですか。
○平良 哲君 私どもは、県議会の意思として可決されましたら、そういう方向で、望ましい方向で君が代斉唱し国旗を掲揚していただきたいと思いますが、教育庁等におきましては自主的に判断することでありまして、それについては私から言及することではないと思います。
○吉田光正君 この提案は、2年後に国体が開催されるので急がなければ大変だという考え方から、現時点で大急ぎで提案したと本員は理解しますが、そのように理解していいですか。
○平良 哲君 それも1つの理由であるというふうに御理解いただきたいと思います。
○吉田光正君 ところがこの案の最後のところに、「これを契機として」とこういう言葉がありますが、その辺から、この今の提案の意気込みが非常に弱くなっていくような感じがするんですが、そこら辺はどうでしょうか。
○平良 哲君 これを契機として他県並みにやはり本県も国旗、国歌に対しまして敬意を払い、掲揚し斉唱していただきたいということを望んでいるわけでございます。
○吉田光正君 このようなことは、沖縄の過去の歴史を見ると、中央からいろいろきますと、ちょうど今の君が代、日の丸みたような形でちょっと沖縄が弱いと。こういうときには、大体沖縄のこれまでの歩みから見ますと、本当に息せき切って他県並み、他県並みへとこういうふうに大体進められているこれまでの歩みがあります。したがってこういう息せき切って足並みをそろえようとする方向へ向かいますので、今望ましい、圧力にはならないとこういう形になりますけれども、これは必ず現場への強制、それから相当な圧力となって現場にいくと思うが、そこら辺はどうですか。
○平良 哲君 私どもは、さっきから再三申し上げておりますように望ましいということでございまして、そして他の都道府県並みに私どもも47都道府県の1県でございますから、他の都道府県並みにやはりこれが定着してほしいということを心から望んでいるところでございます。
○吉田光正君 ちょうど今の手法ですがね、昭和15年に、標準語励行という沖縄県の県策があります。そしてこれを沖縄の学務部の方が各学校現場に徹底的に励行を押しつけたんです。これは経験者もたくさんおると思いますけれどもね。それがひいては、昭和20年の4月9日には球部隊の軍会報として、自今、方言で談笑する者は、軍人軍属を問わず間諜とみなして処置するとこういう形にまで推し進めた事例があります。
 だからこういったようなものは、先ほどまでの質疑がありましたように、やはりそういてったようなものはどうしてもある一つの時間をかけてじっくり、こういうふうでなければならないという弾力性を持たして、内面的な問題とさっきから議論されていますので、そういうような決議という形じゃなしに、私たちの組織は私たちの組織でこういう意思でありますというような行き方、こういう公的機関の決議というような形でなしで……
○議長(志村 恵君) 質疑を行ってください。
○吉田光正君 やった方が、最もあなた方が望ましいと今おっしゃる、その実効性のものについて効果があると思うんですが、そこら辺はどうでしょうか。
○平良 哲君 戦時中の異常心理の状態と現在の平和な主権在民の民主国家における日本においては、先ほどのような御指摘は当たらないと思います。私どもは、やはり決議をして、本県においても国旗、国歌に対して敬意を表していただくように決議をして、そういう望ましい方向でひとつ県民も努力をしていただきたいということをひたすらこいねがっているわけでございます。

○吉田光正君 最後に、この問題はいろいろやっても平行線になる傾向ですので、この決議があくまでも先ほど提案者が説明されたように望ましいという方向で圧力にはならないと。その圧力にならないような体制づくりをひとつぜひとっていただきたいと。これが学校現場に圧力になると必ず問題がはね返ってくる。これをひとつ皆さんも十分留意をしながら、この問題に対応していただきたいということを期待して終えます。
○議長(志村 恵君) 質疑者に申し上げます。質疑についてはこれまでの質疑と重複しないようにし、発言は簡潔にお願いをいたします。
 本盛 茂君。
○本盛 茂君 ただいま、議長のお話はよくわかりましたが、質疑をする者として、何名かの人がなさいましたので若干ダブる点は出てきます。なるべくそれは避けるつもりではありますが、その点は御了解いただきます。
 まず、決議案の真っ先に出てくるところの、これは先ほどの質疑にもありましたが、象徴ということについて御説明をお願いしたいと思いますが、先ほど憲法第1条の日本国の象徴、国民統合の象徴ということについてもお話がありましたが、文部省が出した新しい憲法の話、この中には
ちゃんと図解をしてありまして、学校の帽子の子供の記章、それは学校を象徴するもの。日本の地図が書いてあって、日の丸が書いてあって、象徴するもの。憲法に規定してあります日本国と国民統合の象徴として天皇陛下と、こういうふうにこれに出ております。
 その象徴というものについて聞くわけですが、ハトは平和の象徴であると、そういう言葉がありますね。その言葉についてはどのように理解しておられますか。
○平良 哲君 ハトは、平和のシンボルであるというふうに私も理解しております。
○本盛 茂君 では、このことについては後ほどでお尋ねすることにいたしますが、明治憲法、もちろん新憲法の第1条天皇の条項には今の象徴がちゃんと規定されておりますが、明治憲法において、天皇と象徴はどういうふうになっていたのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○平良 哲君 明治憲法における天皇の地位等については、その憲法に書いてあると思いますが私は今持っておりませんが、私の記憶に間違いがなければ、象徴という表現はなかったかに記憶しております。
○本盛 茂君 もちろん象徴というものは新憲法に初めて出てくる文言であると私も、思いますが、では、明治憲法の時代の日本を象徴するものは何であったのか、どうお考えでしょうか。
○平良 哲君 日本を象徴するのはいろいろあろうかと思います。菊の御紋もそうだと思いますし、富士山等も日本の象微というふうに理解しております。
○本盛 茂君 これは余りいい言葉ではありませんがね、日本を象徴するものに富士山、芸者もありますよね。ありました、これは悪い方面から言われたことでしょうがね。そういうものがあるわけです。象徴というのはいろんな面に使われているものです。しかし新憲法では、今皆さんがたびたび取り上げておられる象徴にひっかけて論理が展開されております。
 先ほどの吉田議員の御説明にもありましたが、これは文部省が書いた、出した本です。民主主義という本、この下巻。(資料を掲示) 天皇は新憲法だけで象徴とうたわれておりますが、旧憲法においては、どういうふうに考えられていたかということがこれに書いてありますので、論議を進めていく上に、質疑を進めていく上においてちょっと読んでみます。いろいろ述べてきて、このように国民が主権者となり、国の政治の根本はすべて国民の意思によって定められることになったとすれば、天皇の地位はどうなるであろうかといってですね、新憲法の第1条の、日本国の象徴であり国民統合の象徴であると。そしてこの地位は、主権の存する日本国民の総意に基づくと定めたと。こうあって、その次に、これも明治憲法とは根本から趣を異にする点であるとして、もとより明治憲法においても、天皇が象徴でなかったわけではない。しかし単なる象徴であるだけではなかった。主権在君、現人神としての天皇は絶対君主であったわけですね。それが新しい憲法では象徴だけになった。主権者は国民になった。天皇は象徴だけになった。明治憲法では主権者であって、象徴でもあった。こういう点をはっきりしておきたい。
 そしてまたこうも書いてあります。天皇が……
○議長(志村 恵君) 質疑をお願いいたします。
○本盛 茂君 天皇は単なる象徴であって、何らの政治的な権限も今持ちませんが、明治憲法においては、先ほどから言っているように天皇が象徴であると同時に、政治権力を持っていたということがこれに書いてあるから、これだけを言っておいて次の質疑に移るわけです。
 旧憲法の天皇の国歌君が代の解釈については、先ほど田場議員の質疑の中でも出てきました。修身の教科書に出ている説明ですね。それから新憲法下における主権在民の民主主義下における君が代の解釈、文句は、言葉は、文章は、歌詞は全く同じですね。新憲法も旧憲法も全く同じ。解釈の違いがありますね。先ほど、自民党としての統一
した見解はないとおっしゃいました。皆さんは、君が代の斉唱、国旗の掲揚が大変沖縄は低いので、これを憂えて、このことをやるんだと。それは沖縄県連としての考え方だというお話でしたが、自民党県連としては、新しくどのような解釈をしておられるか、それをお聞かせ願いたい。
○平良 哲君 これはもう私は、提案理由の中で大きな声を張り上げて、ゆっくりと皆さんに御理解いただくような方法で申し述べてありますので、あえて再三ここで申し上げることを、時間の都合上割愛させていただきたいと思います。
○本盛 茂君 では、文部省が最近出した統一見解、これは御存じですね。これはどういうふうに出ているか御存じでしょう。それをお聞きしたい。
○平良 哲君 今その資料は持っておりますが、読ませていただきました。知っております。
○本盛 茂君 それを答えてください。
○平良 哲君 今私の手元にはございません。
 私が今提案者としてここに立っておりますのは、今本盛議員が何を私に質疑されたのかそれから先に言うべきであって、一々私が記憶してないことまで強要することは、私は答弁するわけにはまいりません。何を聞きたいかをはっきり申し上げていただきたい。
○本盛 茂君 戦前の日本の修身の教科書での解釈と、今文部省が統一見解として出した解釈の違いは何かを聞きたいわけです。
○平良 哲君 文部省の統一見解、戦前の修身教科書との違い等については私は詳しくわかりません。自民党として沖縄県連として、新生クラブの皆さんも一緒に25名の議員が統一見解として先ほど申し述べましたような考え方で提案をしているわけでございまして、この違いその他につい
て、私は言及するわけにはまいりません。
○本盛 茂君 余り自分の意見を言うなということですから簡潔に言いますが、明治憲法下における解釈、戦前の解釈と今の解釈との違いを新聞はこう書いてあります。この中で注目されるのは、歌詞の解釈で、戦前は、天皇の治める御代はとあったが、現在の解釈では文部省の統一見解では天皇の御代はとなっている。天皇の治める御代から、天皇の御代と変わっている、このくだり、治めるというくだりを削除して、こうして現行憲法との整合性を図ったとこういうふうに言っているわけです。
 そのことについて、この文部省の新しい解釈、治める御代とか、天皇の御代というのは「治める」がないだけの違いですね。それについて提案者はどのように考えるか。
○平良 哲君 これは私どもが提案した問題と関連はいたしますが、これに直接関係はないものと思って、別にこの問題について言及する立場にないと思います。
○本盛 茂君 私はこの議場で、私は、自分がおもしろがってやっているわけじゃないですよ。皆さんがこの重大な問題を提案するから、これをはっきりさせていくために聞いているわけだ。それが言えないとか言えるとかいったら、何のために質疑に立っているんですか。何のためにこのことをしているんですか。

○平良 哲君 本盛議員が真剣になって質疑しているのに対して、私は真剣になってお答えしておりまして、先ほど申し上げた、直接は関係ないだけに書及することを控えたいということでございまして、私も誠意を持って答弁はいたしているつもりでございます。
○本盛 茂君 この問題題は、提案者は答えられないというふうに私は受けとめます。
 では、私たち沖縄の言葉に、「アメリカユー」とか「ヤマトゥユー」という・言葉がありますね、「ウチナーユー」とか、それはどういうふうに理解しておられますか。
○平良 哲君 これは今回の問題とは関係ありませんのでお答えするわけにはまいりません。
○本盛 茂君 大変大事な関連があるんですよ。
 旧憲法には主権在君で、絶対君主。神勅に基づく地位であった、天皇の地位というのは。現憲法は、国民の総意に基づく象徴でしかない。この大きな違いで解釈が違ってきているわけでしょう。これをはっきりさせないで国民に、県民に日の丸を掲げなさい、国歌を歌いなさいと言えるんですか。
○平良 哲君 本盛先生も、学校の先生として、校長先生として長い間、教壇に立たれた方であります。喜屋武先生の例もございます。あえて言わしてもらうならば、ヤマトゥユーは日本政府が沖縄を統治し、アメリカユーはアメリカ合衆国の施政権下にあった、ウチナーユーは、我々琉球独立国だったような、そういったことを指して県民は理解しているんではないかというふうに私は理解しております。
○本盛 茂君 それでいいです。私もこう理解しております。
 アメリカユーというのは、アメリカの支配する世の中ということであったと思う。ヤマトゥユーというのはヤマトゥ、すなわち日本の統治下にあった世の中……
○議長(志村 恵君) 本盛議員、意見の開陳、討論は控えていただきまして、議案に対する質疑を行ってください。
○本盛 茂君 それで沖縄の言葉としての、沖縄県民のものの言葉の理解、ヤマトゥユー、アメリカユーという意味は、アメリカの治めるユー、「治める」はないんです。なくても治めていたという意味が入っているわけです、これにはちゃんと。
 私が言いたいのは、旧憲法での解釈では、天皇陛下がお治めになるという、治めるという、統治するという治める、こういう解釈。今の文部省の新解釈はそれを抜いて、天皇の御代はと書いてあるが、中身は同じ、何にも変わらぬということです。私はそれを言いたい。それについてあなたの意見を聞きたい。
○平良 哲君 私の意見は、提案理由の中で申し述べたとおりでございます。
○本盛 茂君 象徴というものと、天皇の象徴天皇というものと、憲法で定める象徴天皇と主権在民と、はかりにかけたら、どっちが重いんですか。
○平良 哲君 これは直接日の丸掲揚と君が代斉唱に関係のないことでありますし、私は、その問題について自分の意見を差し挟むことを控えたいと思います。
○本盛 茂君 国歌の解釈……
○議長(志村 恵君) 本盛茂君に申し上げます。ただいまの発言は、質疑の範囲を超えているというふうに解釈いたしますので厳に注意をいたします。
○本盛 茂君 進みます。これにも皆さんの提案理由にも出ているが、これは5行目、「「君が代」の斉唱は、他都道府県に比べ極端に低い実施率となっている。」とありますね。沖縄がそうなっている理由をどう考えるか。
○平良 哲君 沖縄が実施率が低いということはもろもろの理由が考えられますけれども、やはり望ましいこととして学校においても、沖教組の先生方がもっとこの問題について、国旗に対して、国歌に対してもっと喜屋武先生が指摘されたように敬意を払って、無条件降伏とともにこの旗も清められたわけでございますから、そういう民主国家日本の新しい国旗、国歌として敬愛の念を持って生徒たちにも教育上指導してくだされば、もっともっとこの定着率が上がってくるものと思います。
○本盛 茂君 先ほどからたびたび教職員会、喜屋武先生の話が出るんですが、復帰のあの時点では、16年目にしてようやく、日の丸の旗は復帰運動で沖縄県民がかち取った日の丸の旗だったんです、あれは。これはアメリカが日の丸の旗を立ててはいけない、国歌を歌ってはいけないと禁止するから、これと闘って、我々は抵抗のシンボルとして闘ったんです。そういうものがなければああいうことをする必要はなかった。
 今、私たちは、復帰をかち取った。ところが私たちが沖縄県民が描いていた無差別、無条件の返還ではなかった。本土に比べて、今沖縄の実態はどうなんですか。まだまだ我々は完全復帰を求めて、この完全復帰を求める闘いは続いております。あの復帰運動で取った日の丸、今は振らないことが沖縄の完全復帰を求める闘いではないかと私は思います。どうお考えですか。
○平良 哲君 国旗日の丸等についての質疑でございますが、あえて私に質疑いたしておりますので答弁させていただきます。
 完全復帰とかいろいろ言っておりますけれもど、私どもは、誇りある日本国民としての権利と義務を行使をして日本国憲法下における日本国民でありますから、これは当然私どもは日本国民として完全に復帰したというふうに理解をいたしているわけでございます。そして復帰のときに、ああいうことをやったのは米軍がそれを抑えたからだということでございますが、少なくとも皆さんの最高のり一ダーである喜屋武先生が、日本の無条件降伏とともに崩壊し消え失せて、新しい民主国家日本の日の丸としてこれは定着しているということを言っているわけでございます。そういったことを皆さんもいろいろ言辞を弄して言っておりますけれども、多くの県民は、そこを十分にやはり納得してないと私は思います。
○本盛 茂君 喜屋武先生は申したかしらぬが、私は喜屋武先生ではない。私はそうは考えない。
 何であなた方の保守系の人たち、あなたはどうだったかしらぬが、保守系の人たちはあの当時、我々が復帰運動をして日の丸の旗を立てていると、冷笑したんですよ。立てなかった、アメリカに気兼ねして。今は真っ先に立てる。あのころは立てるなという禁止に対して、強制に対して闘った、今は立てろという強制に対して闘っている。同じ沖縄県民として、自由を求める闘いである、これは。民主主義の闘いである。これこそが主権在民の闘いである。私たちはそう思う。
 あなたの意見を聞きたい。
○平良 哲君 もうこの問題については再三お答えしたわけでございます。民主国家、平和日本の象徴として国旗、国歌を敬愛し尊重すべきであると私は考えております。
○本盛 茂君 この問題は常任委員会でも取り上げられますので、そこでもっと突っ込んだことはやることにして進みますが、この決議案の19行、20行、21行、「我々は、このような認識の上に立って、「日の丸」を掲揚し、「君が代」を斉唱し、もって国の永遠の繁栄と恒久の平和を願うものである。」という文言に対して質疑します。
 去る9月23日の琉球新報の社説に、「いま、以前にも増して「日の丸」掲揚「君が代」斉唱を、政府、自民党や保守的立場にある人びとが一段と声高に叫んでいる裏には、国民の間に戦前のような「忠君愛国」の心を培い、国際社会での大国意識をより一層植え付けたい、との配慮が働いてのことであろう。」と述べています。私もそうであろうと思っています。
 今、我が国で盛んに言われている、国を愛する心とか、これは一般質問でもやりましたが、国を愛する心を育てるなどという愛国心の強調は、御存じのように池田・ロバートソン会談によって発表された、あの責任を押しつけられた……
○議長(志村 恵君) 質疑をお願いいたします。
○本盛 茂君 防衛に対する責任、これを増大させるような日本の空気を助長することが最も重要であるということに同意をして、日本政府は、教育及び公報によって、日本に愛国心と自衛のための自発的精神が助長されるような空気を助長することに第一の責任を持つものであると。こういうふうにして国の政策によって責任を負わされ、相互に議定された愛国心の育成、これを目指して今回の日の丸、君が代の教育の提案もその手段であろうと私は思います。

 また、「期待される人間像」、この中には、詳しくは言いませんが、1は、「正しい愛国心をもつこと」、2は、「象徴に敬愛の念をもつこと」ということがうたわれておりまして、末尾にこう書いてある。「日本国を愛するものが、日本国の象徴を愛するということは、論理上当然である。 天皇への敬愛の念をつきつめていけば、それは日本国への敬愛の念に通ずる。けだし日本国の象徴たる天皇を敬愛することは、その実体たる日本国を敬愛することに通ずるからである。このような天皇を日本の象徴として自国の上にいただいてきたところに、日本国の独自な姿がある。」と「期待される人間像」は言っております。
○議長(志村 恵君) 本盛茂君、意見の開陳、討論については御遠慮ください。注意をいたします。
○本盛 茂君 それで聞きますが、日の丸を掲げ、君が代を斉唱することによって国の永遠の平和とか、恒久の平和と言っているが、我々は、このことを忘れてはならない。40年前に、日の丸と君が代は、世界の国々を戦争へと巻き込み、国民や外国人の人たちの命を奪い、生活を奪い、近隣の平和を破壊した、その教訓を忘れてはなりませ
ん。今、我々が取り上げようとしているこの提案は、その後押しをするようなものに思えてなりません。
 御見解を伺います。
○平良 哲君 日の丸を掲揚し君が代を斉唱して、私どもといたしましては、基本的な願望といたしましてこの掲揚、斉唱とともに、国民の願いとしてはそれを歌い、掲げながら、国の永遠の平和と恒久的な繁栄を求めていくという1つの大きな理想であり目標であります。そのためにこの文言をそこに挿入してございます。
○本盛 茂君 最後に、先ほどから提案者は、このたびの文部省の日の丸掲揚、国歌斉唱の通達などについては、強制ではないと言っている。皆さん自身も強制は考えてないと。そういうことを繰り返し述べておられる。望ましいからやるんだと。先ほど公明党の議員さんからもありました
が、望ましいというならば、相手の立場を考えた物の考え方であります。相手に任せるべきであります。望ましいならば、望ましいということを押しつけるということは望ましくないということになるわけです。そこは望ましければ、相手の人格を尊重して、相手に任せるのが当然であると私は考えます。
 ところが教育長は質問に対して、こういうことを言いました。反対するのは児童生徒の信頼を損なうので、法令に違反する場合は、実態に照らして対処していきたいと答えましたが……
〇議長(志村 恵君) 質疑を行ってください。
○本盛 茂君 今質疑するんです。
 そう言いましたが、そういう強制ではない、望ましいという立場に立つわけですから、教育長のこの答弁は、法令に違反する場合は、実態に照らして対処していきたいというなら、これは強制を最初から持って臨んでいる姿勢でしかない。
 それについてどうお考になるかということを聞きたいわけです。
○平良 哲君 そういう質問は私は当を得てないと思いますけれども、あえて言わさせていただくならば、それは教育長の見解でありまして、私どもは、あくまでも望ましいということで対応したいためにこの決議案を提案しているわけでございます。
○本盛 茂君 次に、これも、最後、これまで一緒です、教育長のことですから。
 教育長は私の一般質問に対して、なぜ学校教育の中に日の丸掲揚、君が代の教育によってでなけれぽ国を愛する心とか、日本国民としての意識は育たぬと言っている。その内容はなぜかと。なぜ日の丸、君が代が要るのかとそういう質問をした。愛国心をつくるのに、日本の国民としての意識を育てると言っているが、なぜ日の丸、君が代でなければならぬか。こういう質問に対して、教育の目的は、人格の完成と国家及び社会の形成者としての日本人の育成にあると考えている。したがって御質問の日本人の一員としての意識または国を愛する児童生徒の意味については、家族愛、郷土愛、祖国愛及び世界人類愛等がその主な内容と考えるとこう言っております。先ほどの提案者の御説明の中にも、それに似たような説明がありましたので聞くわけです。
 家族愛とか郷土愛というものは、日の丸によって育つものであるかということです。日の丸や君が代がなければ家族愛、郷土愛は育たぬのかと。家族愛とか郷土愛というのは、人間の自然の情けの発露じゃないですか。これは人間の成長そのものとともに自然に形成されていく根源的な感情であると思うんです。ところが国家愛は違います。国家愛というのは、ある特定の考え方を教育は目的意識的に、意図的に行う行為でありますから、それをやることによって育ちます、国家愛は。ところが郷土愛とか家族愛までも日の丸、君が代で育てるとこんな大変なことを言っているが、それについてはどうお考えになるか聞きたい。
○平良 哲君 これはその答弁した人が、そう思って意見を開陳しているわけでありまして、それについて私がどう思うかということについては、今回の提案とは関係ありませんので言及する立場にはないと思います。
○本盛 茂君 すると今皆さんは、日の丸掲揚、国歌斉唱でどのような愛国心を育てようとしておられるか、お答えください。
○平良 哲君 愛国心を育てるとか、そういうことよりも、趣旨で申し上げましたように自国の国旗、国歌に敬意を表し、その尊厳さをとうとぶことが我が国のやはり平和的な心を醸成することにもなると思うし、そしてこれをまた敬愛することが、ひいては国際国家日本として、他国の国旗、国歌も尊重することになるというふうに私は考えております。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後10時16分休憩
   午後10時45分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き議員提出議案第1号に対する質疑を行います。
 宮城健一君。
○宮城健一君 ただいままでたくさんの質疑者が出まして、かなり用意してあったわけですが、重複して前の人で終わったのがかなりありますので、重複を避けながら二、三点簡潔に質疑を申し上げたいと思います。
 まず冒頭、大変大事なことであると思うので真っ先に聞いておきたいのだが、提案者は歴史の検証、これをすることは、今後の施策の展開ということで非常に大事なことであると思うけれども、それについてどう思いますか。
○平良 哲君 歴史の継承ですか。歴史は継承いたしておりますから、これを尊重するのは当然のことだと思います。
 失礼いたしました。歴史は検証されなければならない問題であると思いますし、これを尊重することは当然だと思います。
○宮城健一君 私が言うのは、古きをたずねるということなんです。今までの歴史を知るということは、後の施策を展開するのに非常に大事なことだと思うけれどもどうかとこう聞いているわけであります。
○平良 哲君 私も、昔から温故知新という言葉にもありますように「故きを温ねて、新しきを知る」ということは非常に大切なことだと思いますが、これと今度の国旗、君が代とはそのとらえ方において、皆さんと私どもとは大きな認識の相違があるというふうに理解しております。
○宮城健一君 非常に大事なことだと思うと。後の方はどうでもいいですけれども……。
 それで先ほどのあなたの答弁を聞いておっても、いわゆるこの日の丸、君が代の問題が天皇と結びついて忠君愛国の思想、これを植えつけて戦争に対する士気高揚のシンボルとして役割を果たした。そして他国を侵略し、沖縄戦もその結果、ああいう無残なやり方になった。こういった暗い歴史があったということはあなたも認めておられる。ならば、そういったことであるならば、歴史も非常に大事だということであるならば、皆さんのこの決議文の中に冒頭、その断りを入れるべきであったと思うけれども、どう思いますか。
○平良 哲君 私どもの決議文のいわゆる基本的な考え方の中に、戦後、国旗、国歌に対する考え方は、新しい民主国家日本のシンボルとしての国旗、国歌というふうに考えておりまして、あえてそういうことはそこに入れる必要はないとこのように考えて挿入してございません。

○宮城健一君 そういうことよりも、むしろ歴史の事実を隠ぺいしてやった方が県民に誤解を持たれないんだと。自分たちの意図が浸透していくんだというようなことじゃないですか。
○平良 哲君 先ほども申し上げましたように過去の歴史についての事実も私どもは認めてございますし、またこれは何人も否定することのできないものでございます。しかし今御指摘のあったようなことは毛頭考えてございません。
○宮城健一君 御承知のように教科書の改ざん等で歴史の事実を隠ぺいしようという動きが特に政府、自民党の中にあるわけです。そういったこと等から考えてみると、この皆さんの特にあの暗い日の丸、君が代の歴史を冒頭に断りを出さないというのは、それと軌を一にしているんじゃないかと私は思うわけですが、そうじゃないわけですか。
○平良 哲君 先ほどからたびたび申し上げておりますように民主国家、平和国家日本の国旗、国歌として私どもは戦後の国旗、国歌については認識をいたしておりますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
○宮城健一君 ここに決議案を提出して日の丸、君が代の普及徹底をということであるけれども、自分たちの意向を通そうとする努力というのはこれは認めるわけであるけれども、ただ、御承知のように特殊事情下にある本県民の場合にはかなりのこれに対するまだ警戒の念があるし、代表である本県議会においても半数に近い議員のこれに対する反対がある。そういったことも押し切って決議をしようとしている。こういうことは政権党としてとるべき立場じゃない、もう少しゆとりがあっていい、反対意見に耳を傾けていいと思うがどうか。
○平良 哲君 確かに本県議会におきましても、この決議に対しまして反対の姿勢を主張しておられる議員がたくさんおられますけれども、ただその中でも、やはり共産党さん、社会党さん、社大党さんと、公明党さんの国旗、国歌に対する考え方は先ほどお話がありましたように私は違うと思っております。ただ決議するについては必要じゃないというのが公明党さんの御意見だったかというふうに、国旗、国歌については認めるけれども、ここで決議することについて再考の余地があるんじゃないかというふうに考えておりますが、それはあったと思いますけれども、私どもは、再三申し上げましたとおりやはり本土に復帰してもう14年目を迎えておりまして、誇りある日本国民として他都道府県並みに国旗、国歌を尊重していくべぎだと。余りにも本県におけるその実施率が低いのを遺憾に思い、今回の決議を御提案申し上げたわけでございます。
○宮城健一君 多数ということでこの決議案は、皆さんが今提案をなさっているわけですけれども、今公明党さんの意見も、あなたは真剣にとらえたという見方をしておるんだけれども、やはりこれだけの反対があっても多数で押し切っていくんだということがあるならば、これは民主主義的な姿勢ではないと私は思うのだが、いかがですか。(発言する者多し)
○平良 哲君 議会は言論の府でございますから、大いに質疑を交わし、そして論議を交わしましてその中から民主主義の根本的なルールというのがございます。それはやはり選挙によって選ばれた皆様がここで論議も交わして、そして最終的には民主主義のルールにのっとって決を決するのがこれは正しい民主主義のあり方であると私は理解しております。
○宮城健一君 私が言っているのは、議会での論議もまだ足らぬと思うけれども、特に県民全体の意思ということを今後もお互い聞きながら、例えば反対、賛成の諸君を呼んで委員会で意見を聞くとかいろいろあると思う。こういった手法をもう少し講ずべきだということを申し上げているわけですが、いかがですか。
○平良 哲君 大変御理解ある御発言だとは思いますが、これまで知事、教育長初め、しかも今回だけではございません。これはもう復帰後、一貫して日の丸、君が代についてはこの議会において質疑が交わされてきておるわけでございます。したがいまして私どもは国体を2年後に控えまして、もう復帰14年目を迎えているわけでございますから、やはりここで決議をして県民の良識を示すべきだとこのように考えております。
○宮城健一君 それとちょっと変わったあれですが、大の大人が、白い布に赤い丸を書いてあるものを上げる、上げないでこういうふうに大げんかをしているわけですけれども、これについてかなり漫画的で子供的だという見方もあるけれども、どうですか。
○平良 哲君 どなたがそういうことを申し上げているかわかりませんけれども、私どもは本当に今回の国旗掲揚と君が代斉唱につきまして、真剣に検討もして意見も闘わして全会一致をもって御提案を申し上げているわけでございまして、そういうことは毛頭ないと思っております。
○宮城健一君 後は重複しますので省きますが、最後に1点。
 結局、結論は、いろいろ理由をつけていらっしゃるけれども、結局、中曽根総理の進めている戦後政治の総決算、靖国参拝、スパイ防止法等のもくろみに見られるように、過去の忌まわしい戦争犯罪を隠ぺいして軍拡路線に走るための自民党政府の反動施策に国民の思想統制を行うための地ならしというふうに今度の決議案について考えるが、どうですか。
○平良 哲君 よく皆さんから、中曽根内閣の戦後政治の総決算ということで一連の今の軍拡とか自衛隊、いろいろございますけれども、そういうふうなとらえ方をしておられますけれども、御承知のとおり中曽根内閣も議員内閣制、政党政治に立脚してこれまで行政を担当しております。そして自由と民主主義を守って我が国の恒久平和と繁栄を目指しての渾身の努力をしているわけでございます。
 そこで今、国民が中曽根内閣に対してどのように考えているかということをはっきり申し上げますと、先月の9月に琉球新報、沖縄タイムスも加盟しております日本世論調査会におきましても、調査の結果、中曽根内閣に対しましては59.6%というこれまで歴代内閣の最高支持率を示しております。私ども自民党に対しましても54.6%でございますが、全野党の支持率は合計で23.5%と過去最低を示しているという事実から見ましても、中曽根内閣が、皆さんが御指摘をしているような政策を進めているんじゃなくして、あくまでも民主主義のルールにのっとって、日本の平和と繁栄を目指して政策を遂行しているというふうに私は理解しております。
○宮城健一君 今の路線を中曽根さんが突っ走れば、今のこの例の支持率も将来にわたってかなり下がっていくであろうということを付言して質疑を終わります。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
○嘉陽宗儀君 質問に入る前に要望しておきます。
 これまでの質疑に対する答弁を聞いていますと、私どもは、皆さん方から出されている決議文について十分に理解をし、しかも県民が納得できるようにしなければならない、そういうのがありますけれども、ところが見解の相違とか、知らぬ存ぜぬという答弁がかなりあったように思われます。そういった意味では、少なくともいやしくも県議会での質疑応答でございますので、広く県民が納得できるようなそういう答弁をしてほしいと思いますので、まず要望しておきます。
 最初に、皆さん方の決議の中で、日の丸を国旗、それから君が代を国歌とうたっているわけでありますけれども、これは自由民主党の公式見解なのか、あるいは政府が日の丸を国旗、君が代を国歌というぐあいに統一見解を持っているのかですね。皆さん方が使っている立場は、どこからこれは持ってきていますか。
○平良 哲君 先ほどもたびたび御答弁申し上げましたように法律には成文法、慣習法もありますが、国旗日の丸等については慣習化し定着化されている。日本国民は80数%以上も高い支持率をもって国旗、国歌というふうに認めております。そういう考え方を背景に持って提案をいたしております。
○嘉陽宗儀君 そうすると慣習法というのは、これは自由民主党の見解ですかあるいは政府の見解ですか。
○平良 哲君 嘉陽議員も法律は勉強されたと思います。法律には、成文法だけしかございません。慣習法もあることは御存じだと思います。両方、法的効果も持っておりますし、私どもは慣習としてこれは国民の間に定着をしているとこのように理解をしているわけであります。

○嘉陽宗儀君 質疑に答えてください。
 私が聞いているのは、慣習法として定着して、要するに日の丸は国旗であるというようなそういう解釈は自由民主党がなっているのか、政府としてやっているのか、いずれですかと聞いているんです。(発言する者あり)
○平良 哲君 自由民主党、政府がやっているんじゃなくて、国民の圧倒的多数がそれを見ているということです。
○嘉陽宗儀君 質疑には明確に答えてください。
○平良 哲君 答えています。
○嘉陽宗儀君 私は、自由民主党の見解なのか、政府の統一見解なのかと聞いているんです。(発言する者あり)
○平良 哲君 私の見解では、自由民主党も政府もそのように国旗、国歌として認めているというふうに理解をしております。
○嘉陽宗儀君 国会での正式答弁でもこれはいろいろ矛盾があって、国民には強制できないものであるということを大臣が答弁しているんですが、それ知っていますか。
○平良 哲君 以前にその会議録を読んだ記憶がございます。
○嘉陽宗儀君 これは今の政府の見解でも、少なくとも強制できるような内容のものではないということが明らかになっているわけです。
 それと慣習法ね、提案者もよく知っていると思うんですけれども、要するに法に抵触しない場合には慣習法として成り立つけれども、法に抵触するものは慣習法としては成立しないですよ。例えば君が代、これについて、これは戦前は天皇のための、天皇を主権者とする歌であったと。同じ歌詞で現在は象徴天皇と言っているけれども、いずれにせよ天皇をたたえる歌には間違いないですか、どうですか。
○平良 哲君 この憲法の中にも日本国民統合の象徴としてとありますから、私どもはそういう象徴としての天皇については敬意を払っております。そういう意味も含まれていると思います。
○嘉陽宗儀君 私は、あなたが敬意を払っているということを聞いているんじゃないです。
 問題は、その君が代という歌は、天皇主権のためにつくられた歌である。それ以後現在、象徴天皇になったけれども、政府自民党は、少なくとも従来の帝国憲法のもとにうたわれていた歌と現在の歌は、歌詞もそのままであれば、解釈がこういうぐあいに変わりましたというのも出しているはずだ。それであれば現在の法律から考えてみて、憲法から考えてみても、天皇を主権とする歌、これは現在の法に抵触するのは明らかであるわけですけれども、それであれば慣習法は成り立たないんじゃないですか。
○平良 哲君 それは嘉陽議員の御見解かと思いますが、私どもは、そのようには受けとめておりません。(発言する者あり)
○嘉陽宗儀君 じゃ、もうちょっと聞いておきますけれども、現在の君が代の歌、この君が代というのはどういう意味ですか、歌詞で。
○平良 哲君 君が代というのはどういうことですかというのは、これは解釈によっていろいろとれるかと思いますが、私はこれは、「君」というのは国民とも解釈できるし、天皇ということも解釈できますけれども、その両方包含しているというふうに見ております。(発言する者あり)
○嘉陽宗儀君 今よく聞こえなかったわけですが、要するに……
○平良 哲君 天皇と国民、両方包含されているというふうに理解をしております。(発言する者あり)
○嘉陽宗儀君 これ「君の代」というのは、天皇と国民の「代」という意味ですか。これは自民党の公式見解ですか、今のは。
○平良 哲君 私は、そのように考えております。
○嘉陽宗儀君 少なくともね、提出者を代表しておたくはちゃんと説明しているわけだから、私個人の見解では困るわけでしょう。要するに自由民主党から提案しているわけだから、この提案者、そろって君が代というのは、天皇と国民の「代」でありますということを答弁しているのは間違いないですか、それは、自由民主党として。議事録に残りますよ。
○平良 哲君 私はと答えてございません。私どもはというふうに私は表現しているわけでございますが、あえてもっと言わさせていただきますならば、象徴としての天皇でございます。したがいまして象徴としての天皇とまたこの中には、私どもは国民も入れてこの君が代を理解していいのではないかというふうに考えております。
○嘉陽宗儀君 私は、どう理解しているかということを聞いたんじゃなくて、君が代という歌、この解釈論議も、君が代という歌は戦前はこうだったけど、現在の憲法のもとではこうなりましたよというのを皆さん方、じゃ公式見解として発表しているんですか。
○平良 哲君 先ほど提案理由の中で君が代についての歌詞の解釈は申し述べてございますので、時間の都合上、再度申し上げることは割愛させていただきます。(傍聴席にて発言する者多し) 黙れ。おまえたちには……
○議長(志村 恵君) 静粛に願います。傍聴席は静粛に願います。
○嘉陽宗儀君 私が聞いたのは……(傍聴席にて発言する者多し)
○議長(志村 恵君) 傍聴席は静粛に願います。(発言する者多し)
○嘉陽宗儀君 要するにどういうぐあいに認識しているかという問題を聞いたんじゃなくて、公式に、戦前の君が代の歌の中身と現在の憲法のもとにうたわれている君が代の中身については、解釈上、こういうぐあいに変わりましたよというのを皆さん方、公式見解としてあるんですかと聞いているんですよ。
○平良 哲君 先ほどからたびたび申し上げましたように提案理由の中にはっきり歌詞の解釈については申し上げてありますので、これを私ども自民党県連並びに新生クラブ所属の県議会議員の公式見解と受けとめていただきたい。(発言する者あり)
○嘉陽宗儀君 そういったことで冒頭私は要望したんですけれども、仕方がありませんので質疑を前に進みます。
 君が代、それから日の丸について先ほどの答弁でも、その侵略戦争の先頭に掲げられて、特に中国や東南アジアなんかでも日の丸といえば、いわゆる侵略軍の象徴ということで暗い歴史を持っていると、その事実は認められたんですか、それは間違いないですか。
○平良 哲君 再三申し上げましたとおり、そういうことがあったことは事実でありますから、認める、認めないの問題ではありません。事実は事実でございます。
○嘉陽宗儀君 今、多くの国民の中にその日の丸、君が代についていろいろイメージを持っていますけれども、皆さん方は、日の丸を掲揚することによって愛国心を高揚させると言っているけれども、その君が代、天皇主権、それからさっき言ったように侵略戦争の象徴、そういったものを国民が本当にこれを上げることによって愛国心は育つと思うんですか。
○平良 哲君 私は、愛国心とか、そういう言葉は今回一遍も使ったことはございません。これは嘉陽議員だけの解釈かと思いますけれども、私は、国旗を掲揚し君が代を斉唱することは、民主国家、平和国家日本の国民として望ましいというふうに申し上げたわけでございます。
○嘉陽宗儀君 じゃ、天皇の世の中のためにという歌を歌うことが、どうして民主国家としてふさわしいことになるんですか。
○平良 哲君 この問題につきましては、提案理由の中で歌詞についてはもうはっきり再三申し上げたとおりでございますので、あえて言及はいたしたくありません。
○嘉陽宗儀君 提案理由では十分でないので、私は冒頭要望申し上げたんです。
 沖縄でとりわけ定着率が悪いという問題について、先ほど学校現場の先生方が云々という話もありました。しかし特に沖縄県民がなぜ日の丸、君が代に抵抗を示しているかというのは、いわゆる戦前唯一の地上戦として、そのために例えば天皇の軍隊のために住民が虐殺されたという問題もあってですね、今でも天皇が来てない県は沖縄だけでしょう。そういった意味では、天皇制の暗い歴史と沖縄との深いかかわり、これがあるということは理解できないですか。
○平良 哲君 そういう考え方を持っている人がいることも知っております。
○嘉陽宗儀君 提案者は理解できますか。
○平良 哲君 知っているということは、そういう人たちがいるということを理解しているわけです。そういう人たちがいるということを、私は知っております。しかし圧倒的多くの方は、そうではないというふうに私は理解しております。

○嘉陽宗儀君 それも事実に反する。だから皆さん方は決議をしてでも、みんなの県民にどうしても日の丸、君が代を掲揚、斉唱してもらおうということでこの決議も出しているんでしょう。皆さん方の認識とは、県民の受けとめ方とは大分差があると思うんですが、どうですか。
○平良 哲君 先ほどからたびたび申し上げましたとおり、実施率が低いということは、私は、日本国民として非常に遺憾に思っているわけでございます。したがいまして一日も早く本土の皆さんと同じように定着していくことをこいねがって提案をしたわけでございます。
○嘉陽宗儀君 それから盛んに喜屋武真栄先生の言葉を引用して、もう既に清められたということを言っているんですが、戦後の歴史の中でその日の丸掲揚、これが学校現場に文部省から通達されたのはいつか知っていますか。
○平良 哲君 記憶いたしておりません。
○嘉陽宗儀君 これはアメリカ軍は当初、日本全体で日の丸掲揚、これは禁止していたけれども、朝鮮侵略戦争、そのときになって自衛隊の予備軍、これがつくられる。そういう日本の軍国主義復活への突破口が出てきたときに初めて日の丸が学校現場に押しつけられた事実があるんですが、知っていますか。
○平良 哲君 そういう事実があったかどうかについては、私は詳しくは知っておりません。
 大切なことは、民主国家としての国旗、国歌が今定着化していると、沖縄もそれに見習いたいということが私どもの願いであります。
○嘉陽宗儀君 提案者はどう理解しようが、具体的な日本の歴史の中では、日の丸の掲揚、君が代の斉唱は絶えず軍国主義復活と結びついている。教育現場には、1953年の池田・ロバートソン会談、そのときに改めてアメリカから日の丸掲揚、それから君が代斉唱のその方針が出されている。そういう意味では絶えず皆さん方は清いと言おうが、具体的な事実としては軍国主義復活と深く結びついているということについては、認識すべきではありませんか。
○平良 哲君 私どもは、そのように認識はいたしておりません。
○嘉陽宗儀君 それでは具体的に聞きますけれども、今度は、現在の学習指導要領に初めて国歌君が代、国旗が出されましたけれども、その以前はそうじゃなかった。それに1977年、このときの中身知っていますか。なぜ初めて国旗、国歌になったか。
○平良 哲君 これは読めばわかることでございまして、一々こういう細かいところまで私に質疑したって、それはお答えできる立場にないと思います。
○嘉陽宗儀君 私が聞きたいのは、皆さん方は、清められたという。しかしあのときに当時の学習指導要領の委員会の中でも、会議の中ではなかったものが、三原防衛庁長官、当時、この人の強い要望、それから自民党の文教部の皆さん方の要望によってその日の丸、君が代を学習指導要領の中に入れて掲揚させる、斉唱させるというそういう面では、その軍国主義復活と自衛隊強化と結びついている。この事実はぜひ知ってほしいと思うんですが、どうですか。
○平良 哲君 それは皆さんの考え方でありまして、私どもは毛頭そのようには受けとめておりません。
○嘉陽宗儀君 私は、私の考え方を言っているんじゃなくて、そういう具体的な事実があると言っているんですよ。皆さん方は清められたと言うけれども、具体的な事実、歴史の流れは絶えず戦争の足跡と結びついてそれが押しつけられてきている。特に現在の学習指導要領の場合には、防衛庁からの要望だったという事実についてはこれは理解すべきじゃないですか。
○平良 哲君 嘉陽議員、もう少しこれまでの私の答弁をよく記憶に呼び起こしていただきたいんでございますが、我々は、自主的に自発的に25名の県議会議員が意見を闘わし話し合いをして統一見解をもって今回御提案を申し上げているわけでございまして、そういう動きとは一切関係ないことをこの際はっきりと申し述べさせていただきます。
○嘉陽宗儀君 この三原防衛庁長官は、学校現場に日の丸を上げさせる、それから国歌、いわゆる君が代を斉唱させると、これ自身が教育に対する重大な介入なんですよ。皆さん方は、この決議をしても別に押しつけるものではないと言っていますけれども、しかしこれが決議、一たんされたら、皆さん方の意思とは関係なしに走り出す。執行部は、その決議の執行のために努力をしなきゃならない。そうすると学校現場への押しつけということが出てくると思うんですが、どうですか。
○平良 哲君 私どもは、そのように考えておりません。ひたすら国旗を掲揚し国歌を斉唱することが望ましいということで決議案を提出しているわけでございます。
○嘉陽宗儀君 皆さん方が、ただ上げてもらえばいい、それは自由であるというのであればその決議をする必要はないんじゃないですか。
○平良 哲君 再三繰り返しておりますが、余りにも低い沖縄の現状を憂えて、誇りある日本国民として、復帰して14年を迎えております。他県並みに定着していただぎたいというのが私どもの願いであります。
○嘉陽宗儀君 それでは、余りにも低い県の水準を引き上げるというのであれば、決議をすることによってそれを引き上げさせる、これは強制が伴うというのは明らかではないんですか、どうですか。
○平良 哲君 引き上げていただいたら、本当に私どもとしては心から期待していることでありますから喜ばしいことだと思います。
○嘉陽宗儀君 今、私の質疑に対する答弁じゃないですよ。
 私が言っているのは、皆さん方は強制する意思はありませんと言っているけれども、一たんこれが決議されたらこれは独自の意思を持つようになる。そうすると執行部はどうしても決議の執行に責任を負わなきゃなりませんから、そのためにいわゆる皆さん方の提案の趣旨が本土並みにしたいという要望ですから、本土並みにするためにいろんな指示文書とか、いろいろ出てくるということは十分予想されるんですけれども、そういったことは全く期待していないんですか。
○平良 哲君 期待ではなくして、嘉陽議員は、自分の満足のいくような答弁でなければ答弁でないというような考え方を持っているようでございますが、私どもには私どもの考え方があります。望ましいということで、我々が望ましいという方向にいっていただけたら、私どもといたしましては大変ありがたいことだと思います。
○嘉陽宗儀君 別に私は、私の注文どおり答弁してくれなどというような勝手なことを言っていませんよ。私は、共産党でしょう、おたくは自由民主党、考えの違うのははっきりしていますよ。しかしそういう中で皆さん方は決議文出しているから、それについての意味はどういうことかということで聞いているわけであって、そういうことを言わぬでくださいよ。
 それで決議されたら執行が出てくる。あるいはまた皆さん方はそうでないと言うけれども、具体的にはそういうのが出てくるけれども、しかしこういうことを学校現場や国体行事にやるということはこれは行政への介入になりませんか。
○平良 哲君 国体の話も出ましたけれども、私どもが42回海邦国体を開催するためにこの県議会で誘致決議、開催決議をいたしました。これは国体開催基準要綱に基づいて行うということを前提に決議をいたしております。そしてこの基準要綱の中には、開会式に天皇陛下もお迎えをして国旗を掲揚しなければならない。その場合には国歌を吹奏して国旗を掲揚しなけりゃならないということで、他県においてもこれまて39県がこのように行われてぎているわけでございます。
○嘉陽宗儀君 全然今は質疑に対する答弁していないですよ。ただ、さっきの答弁は後でやると。今国体の話が出ていますけれども、国体は法律は何に基づいてやられるんですか。(「そのことは直接関係はない」と呼ぶ者あり) いや、今質疑しないことを答弁しているから聞いている。
○平良 哲君 これはこの問題とは直接の関係はないと思いますので答弁しません。
○嘉陽宗儀君 私が質疑したことに答えぬで、勝手なことを言うからそう言っている。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君に申し上げます。ただいまの発言は、質疑の範囲を超えているように思いますので注意をいたします。(傍聴席にて発言する者あり)傍聴人は静粛に願います。

○嘉陽宗儀君 改めて学校現場への押しつけ、介入、これになると思いますけれども、そうはならないんですかというのをじゃ答えてください。
○平良 哲君 再三お答えしているわけでございますから、私どもは自主的に、自発的にやっていただくようなことが望ましいということでございまして、押しつけや強制をしようという気持ちは毛頭ありません。またそうなるとは思っておりません。
○嘉陽宗儀君 そうすると例えば君が代を斉唱する場合に歌を学ばぬと歌えないわけだ。そういうことになると、その斉唱のために学校現場では、強制的にでも君が代斉唱を習わさんといかぬわけだ。これは明らかにあれじゃないですか、教育基本法第10条で言う国家権力からの介入もしくは政治の介入になるんじゃないですか。
○平良 哲君 これは教育現場が自発的にやることでありまして、私どもがこれに介入する気持ちは毛頭ありません。
○嘉陽宗儀君 自発的にやるものであれば、わざわざ決議でもってこれを押しつける必要はないんじゃないですか。
○平良 哲君 何回も繰り返しておりますが、決議をして望ましい方向で進んでもらいたいという願望を込めた宣言決議でございます、これは。
○嘉陽宗儀君 それでは次に、皆さん方は、先ほどの質疑にもなりますけれども、国体へ向けて云々というのがあります。それで国体について実はうたっているのはスポーツ振興法、これによって国体は行われると思うんですけれども、このスポーツ振興法では、あくまで日の丸の掲揚、これはうたわれていないんですが、どうですか。
○平良 哲君 これにはうたわれていないかもしれませんが、国体は、開催基準要綱に基づいて開催されますから、これにもし、私は見ておりませんが、なくても、国体はこの39回まで40回も含めて大会基準要綱に基づいて行われているわけでございますから、この中に規定されている部分は各県とも遵守をして実施しております。
○嘉陽宗儀君 これは法律上はその日の丸の掲揚、これは義務じゃないですよ。あくまで要綱だから。要綱は都合が悪ければ、その分かえればいいんですよ。どうですか、それは。
○平良 哲君 ここはもう見解の相違でございまして、これまでずっと国体においてはそのように先催県で行ってきておりまして、ひとり沖縄だけ別だという考え方は私どもは毛頭持っておりません。
○嘉陽宗儀君 そうすると国体へ向けて日の丸掲揚、これが望ましいので決議もするという立場なんですけれども、皆さん方は、これを強制的に決議すれば国体で日の丸が上がって全県民の協力で国体は成功できると思っているんですか。
○平良 哲君 国体の成功とこれを直接結びつけることは私はよくないと思います。私どもは、国体は県民の全力を挙げてやるべきでございますけれども、また他県同様にこれは望ましいということであるから、県議会の意思としてやはり県内外に県民の意思を明らかにしたいということから出しているわけでございます。
○嘉陽宗儀君 今の答弁はちょっと食い違っていますよ、もう一回よく見てください。
○平良 哲君 もう一回質疑してください。ちっとも食い違っていません。
○嘉陽宗儀君 先ほどから日の丸、君が代というのについていろいろ見解があったんですが、少なくともその天皇制を賛成する人、これであれば日の丸掲揚、大いに歓迎かもしれない。しかし多くの県民には天皇に対する暗いイメージで、天皇制を支持しないと。この人々に決議をもって押しつけるというのはやはりこれは民主主義のじゅうりんになると思うんですが、どうですか。
○平良 哲君 押しつけるということは皆さんが言っているだけでありまして、私どもは、一言も押しつけるとか、強制するとかという表現を使っておりませんのでそのように御理解いただきたい。
○嘉陽宗儀君 そういう意思がないのであれば何で無理して、こんな多くの県民の、議会は少なくとも半数近く、議会でもこれの反対を押し切ってまででも皆さん方はやるあれがあるんですか、強行採決の必要があるんですか。
○平良 哲君 これについては再三申し上げましたので、時間の都合上あえて答弁を差し控えます。
○嘉陽宗儀君 皆さん方がなぜあえてこういう反対を押し切ってでも決議をするかということについては、皆さん方は自由民主党ですから自由民主党の方針に基づいているだろうと思うんですが、この自由民主党のことし4月22日付の金丸幹事長、佐藤全国組織委員長連名による各都道府県幹事長あての通達、これはこういうふうに述べています。我が党は、かねてより祝祭日及び儀式等における国旗の掲揚、国歌の斉唱が行われるよう、その運動の指導徹底を図ってきたが、特に天皇陛下在位60年を迎え、これを機会にこの運動を一層促進したいということで、やはり天皇制復活、そのために自由民主党としては全力を挙げて、各都道府県全部全力を挙げてやるようにという、そういう指示があるんですけれども、皆さん方もこの指示に基づいてこの決議も出ているんじゃないですか。
○平良 哲君 天皇制復活を意図してというのは皆さん方が考えているんであって、私どもはあくまでも民主国家、日本国民の象徴として天皇陛下を敬愛いたしているわけでございまして、そういう考え方は毛頭持っておりません。また党本部からそういう通知があったことは確かでございますが、それは拘束力を持つものではないし、私どもは自主的に、自発的にこの決議案を提出しているわけでございます。
○嘉陽宗儀君 戦前の侵略戦争も、戦前の自由民主党の先輩の皆さん方含めて、侵略戦争でありますということで戦争しているんじゃない。今の問題でも天皇制復活の問題は必ず底流に意図がある。それから今有事立法あるいは政党法、国家機密法、教科書検定、それから防衛費増強などで今軍国主義の全面復活が進められている。その中で、特に思想統制の問題として、国民が嫌がるけれども、天皇制中心の国家をつくり上げるという思想統制の武器にこの問題が利用されているという問題については、やはり厳しく糾弾しておきたいと思います。そういう面では皆さん方は、こういう自由民主党の意図を受けてやろうとしているけれども……
○議長(志村 恵君) 議案に対する質疑を行ってください。
○嘉陽宗儀君 しかし沖縄県民は、復帰前のアメリカの全面占領支配の中でも、日の丸を上げることで弾圧されても、それに屈しないで闘ってきた、そういう歴史がある。沖縄県民は絶えず抵抗の歴史を持っている。そういう意味では、皆さん方が強行採決したからといってこれが成功するはずはないし、むしろこれを押しつけていくと国体の混乱、学校現場の混乱、これは必ず起こる。それ自由民主党、責任とりますか。
○平良 哲君 議会の場で脅迫的な言辞は控えてもらいたいと思います。私どもは、あくまでも民主主義のルールにのっとって、そして議会における正規の手続を踏まえてやっているんであって、強制とか脅迫というのは皆さんが考えているんであって、私どもは、議会制民主主義のルールにのっとって法律を守って、規定を守って提案もしているわけでございまして、皆さんのそれは言いがかりにすぎないと思いますのでさよう御理解いただきたい。
○嘉陽宗儀君 言いがかりとは何ですか。冗談じゃないですよ。皆さん方はそういう意図を持っているにもかかわらず、それを隠そうとする。しかしその決議の中でも国体に向けての云々というのははっきり書いてあるわけでしょう。このことをやると必ず混乱が起こる、教育現場でも混乱が起こる、国体に向けても混乱は起きる。そういったことになると、それを押しつけた側の責任になるというのはこれははっきりしているけれども、どう思いますか。
○議長(志村 恵君) 質疑者に申し上げますけれども、ただいまの質疑は重複していますので、そういうことを避けるようにひとつ御配慮いただきたいと思います。(発言する者多し)
○嘉陽宗儀君 答えてないんだよ、大事な点よ。
○平良 哲君 あなたは、責任をとれとかとらぬとかいう表現をさっき使っておりましたが、私どもは自主的にやってもらいたい、そうすることが望ましいと言っていることであって、強制もしていなければ押しつけもしておりませんので、そういう考え方は毛頭持っておりませんから、今のような指摘に対しては一切関係ないと思います。

○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後11時31分休憩
   午後11時32分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
○平良 哲君 先ほどから嘉陽議員の御質疑に対しましては答弁を申し上げているわけでございますが、それは嘉陽議員が期待しているような答弁になっていないかもしれませんが、私どもは、あくまでもこれを決議しても望ましいということで、それを国旗を掲揚したり、君が代を斉唱したりすることは、県民個々の自主的な、自発的な行為にゆだねるべきであると考えております。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後11時33分休憩
   午後11時34分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 ただいまの休憩中の全会一致の決定によりまして仲原英典君、友寄信助君及び岸本安神君の発言の通告につきましては、その効力を失ったものとして取り扱いをいたしたいと思います。
 以上で通告による質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第1号は、総務企画委員会に付託いたします。
○議長(志村 恵君) 日程第4 陳情第92号及び第217号の2の付託の件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 まず陳情第92号は、米軍基地関係特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、お諮りいたします。
 陳情第217号の2は、交通・エネルギー対策特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) この際、お諮りいたします。
 委員会審査及び議案整理のため、明10月8日から15日までの8日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、明10月8日から15日までの8日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、10月16日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後11時35分散会

 
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