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平成22年(2010年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 10月14日
西銘 純恵
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おはようございます。
ただいま沖縄県立浦添看護学校を民間移譲するための乙第1号議案に対する継続審議を求める動議が出されました。私は、日本共産党県議団を代表して、「沖縄県立看護学校の設置及び管理に関する条例を廃止する条例」の継続審議の動議に対して反対の討論を行います。
前自民・公明政権による構造改革路線は、福祉と暮らしのための予算を削る行財政改革を地方自治体に押しつけ、「官から民へ」と民間委託と民営化を誘導し加速させてきました。全国的には各自治体で構造改革路線が破綻し、見直しが進められています。ところが、仲井眞知事は、構造改革路線を強行し福祉を削減する行財政改革を推進して、2012年度に県立浦添看護学校を民間に移譲する計画を進めてきました。県議会は、過去2回にわたり全会一致で県立浦添看護学校の存続決議を行ってきました。
2005年7月14日の県議会決議は次のように記述しています。「近年は、安心・安全な医療を提供するための高度な専門的知識と技術を備えた看護職員の配置が望まれていること、24時間いつでも治療が受けられる体制づくりが急務であること、介護等新たな需要に対応するため、看護職ヘのニーズが高まっていることなどから、同校の存在価値はますます高まる一方である。」と県立存続を全会一致で決議し、同年10月13日にも再び全会一致で存続決議を行いました。仲井眞知事は、これら2回の県議会決議を無視して、今回、民間移譲のための議案を提案したのです。
委員会審議では、浦添看護学校の保護者から意見を聴取しました。「今の授業料、安い授業料だったら、生活が苦しくても看護師の夢を持てる。」、「県立で学費も安くて、頑張れば夢がかなうという志を高く持てる」、「早朝から夜遅くまでの授業なので、アルバイトはできない。今の授業料で安くても奨学金を受ける人が半数はいる。」、「県立は指導者のキャリアが手厚いので民間とは違う。」、「地方公務員で妻が学生だが、生活が苦しいので土・日にアルバイトをしたら、疲れて朝6時に出て夜7時までの実習が厳しい」、「娘は、24年度の県立廃止に戸惑っている。県立で卒業したいと学生が全体会を持った」など、不安と動揺が起こっているなど切実な訴えがありました。民間の高額な授業料がつくれないため看護師になる夢をあきらめることがないように、県立浦添看護学校の存続は、学生、父母の切実で県民的な願いです。
看護師養成は県政の重要課題です。南部医療センターと中部病院の県立病院が看護師不足のため入院患者を受け入れることができない、病院経営にも悪影響があるという問題が改善されないままとなっています。民間病院を含め医療現場では、看護師不足のため長時間・過密労働によって労働環境が厳しさを増し、離職者が多くなり看護師不足が加速する悪循環となっています。看護職員にアンケートをとったら8割が慢性疲労を訴え、7割が健康に不安があり、7割近くが辞職を考えているという深刻な事態となっています。患者の安全の問題でも看護師不足は医療ミスを誘発するおそれが懸念され、過酷な医療現場の改善は急務となっています。
民間移譲に対する浦添看護学校の現場の声は、ナイチンゲールの崇高な奉仕精神を教育理念に掲げ、看護師の自覚と誇りを堅持することが民間でできるかどうか。また、老朽化した看護学校の改築は高額な学生負担としてのしかかるのではないかと懸念が出ています。
浦添看護学校後援会の要請は次のように訴えています。県立浦添看護学校は、昭和52年創立以来、2700名余の看護師を養成して、県立病院や県内外の医療、福祉の現場で貢献しています。県立浦添看護学校は、進学のために高い入学金や準備金を用意しなければ入学できない民間の看護学校とは大きく違います。看護の道に進みたいと熱い思いと夢を持つ若者たちが安心して進学できる学校です。格差社会と言われる今日、民間移譲は県立に進学したいと心待ちにしている多くの高校生の進学のチャンスを奪いかねませんと、県立看護学校の存続を要請しています。
当時、県立看護学校存続を求める12万2000人余の署名、沖縄県看護協会や県医師会など多くの関係団体から存続要請がなされました。当時の當山県医師会副会長の主張を御紹介します。「県の2007年度に6次の看護師不足解消策が出されたが、毎回「看護師が足りた」という結論は出ていない。「原因は、行政無策と政治の貧弱にある」。県内の歴史では、コザ看護学校と那覇看護学校の統合から県立看護大学の設置、屋我地准看護師養成所や那覇衛生看護学校の廃止など公的養成所の後ろ向き的対応に看護師不足の解決策を模索しているか疑問が多い。一貫した看護師養成施策に欠ける。」と言及しています。
以上、県立浦添看護学校の民間移譲の議案の継続審議の動議に反対の討論といたします。
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20100408010130