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昭和54年(1979年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 6月 6日
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議 事 の 概 要
昭和54年6月6日(水曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
1 新城 哲男君(自民党)
2 渡久地政仁君(自民党)
3 宮良 長義君(社大党)
4 田場 盛徳君(社会党)
5 上原亀一郎君(共産党)
6 翁長 助裕君(県政会)
7 友利 栄吉君(公明党)
8 上江洲トシ君(革新クラブ)
午後8時2分散会
○議長(大田昌知君) これより、本日の会議を開きます。
この際、念のため申し上げます。
本日から6月9日まで4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(大田昌知君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
新城哲男君。
〔新城哲男君登壇〕
○新城哲男君 私は、自由と民主主義、社会正義を基調とし、本県はもちろん、わが国の繁栄と世界の恒久平和を希求する自由民主党沖縄県連支部県議団を代表いたしまして、さきに通告いたしました事項につき所見を申し述べながら質問をいたします。
その前に、圧倒的県民多数の支持を受け、革新県政にかわって西銘新知事が誕生いたしましてから早くも半年を経過いたしました。その間予算の編成、人事の調整、地方視察、企業めぐりによる雇用場の拡大、政府との調整、本土企業めぐり、また大那覇国際空港建設、中城湾の開発促進、自動車道の南進等、大型開発事業を計画促進させる等意欲に満ちた活力ある県政が始動し始め、西銘新県政に期待すること大なるものがございます。山積する諸問題が余りにも多く、ことに基地問題だけが県政のすべてであるかのような印象を受ける昨今、すべての問題が一挙に解決できるとは思えませんが、県政を軌道に戻し、県民の心を心として現実を起点として21世紀の未来を創造しての行政遂行を図り行動する西銘県政を高く評価いたします。
そこで、本県経済の好不況を左右するのは、一に公共工事の適正執行にかかっていることは論をまちません。せんだって私は企画総務委員の1人として新潟県及び山形県の両県を視察いたしてまいりましたが、人口規模のやや類似する山形県等にあっても、やはり公共工事に依存するところ大であると説明されていました。自主財源の差はあれ、いずれの県にあっても公共工事の執行状況いかんによって当該県経済に及ぼす影響は大であることについては、わが国地方自治体にとってひとしく共通の問題であります。したがって去る4月6日、自治省は各都道府県知事に対し事務次官通達をもって公共事業等の適正執行を図るよう指導いたしています。
知事は、昭和54年第2回定例県議会における施政方針として県政運営並びに昭和54年度予算編成に当たっての基本的な考え方として、まず第1に「景気対策と雇用の安定」についてを挙げ、公共投資の拡大と公共事業の進行管理の強化を図り、県経済の着実な回復を推進すると述べられています。
新聞報道によると、本県の景気は少々上向きの傾向にあるとは申せ、昨今の社会経済情勢からして景気の浮揚と雇用の安定を図ることは当面の重要な課題であり、本員もその成果に大きな期待を寄せているところです。昭和54年度予算における本県の公共事業費(普通建設事業)は総額1129億5000万円で、前年度872億200万円に対し257億4800万円の増と大幅な伸びを示し、その積極的な姿勢がうかがえます。しかしながらこの多額の予算の適正な執行、年度内完全執行が実施されてこそ所期の目的である景気の浮揚ができるものと考えられます。
このような観点から知事にお伺いいたします。
1つ、国における公共事業の執行方針は、上半期契約目標率65%から70%と昨年度の73%に比較し低めに目標を設定し年間を通じ平準的な執行を図ることとされていますが、本県の目標設定はどのように計画しているのですか。
2番目に、新聞報道によると、本県にあっては公共事業執行促進のためあらゆる角度から検討を進めているようですが、その具体的方策、内容についてお答えをお願いいたします。
次に、機構改革について若干お伺いいたします。
知事は、明るい活力ある沖縄県を確立することを公約として当選し、就任以来短期間ではありますが実に精力的に行動され、冒頭でも申し述べましたとおり朋るいあすの沖縄県づくりへ始動し始めていることを県民はひとしく評価をいたしております。
知事就任当初に開会された昭和53年第9回沖縄県議会における知事就任あいさつの中でも、「県はようやく復帰10年という歴史的な節目を迎えようとしている今日、県政のあらゆる問題を総合的に検討を行わなければならない重要な時期である」と申し述べ、また54年第2回予算議会ではそれを受け、 実に本年は激動と混迷の時代と言われた1970年代 の最終の年であり、時あたかも「地方の時代」とも 言われる80年代への基礎固めを必要とするきわめて 意義深い時期であることを深く認識いたし、私に課 された責任と使命の重大さを改めて痛感いたしてい る次第であります。経済、社会を初めとする内外の 諸情勢はまことに厳しいものがありますが、時代の 進展に即応した施策を実践するためには超党派的立 場に立って県民本位の県政を運営し、県民の信頼と 期待にこたえるべく職員の士気の高揚、綱紀の厳正 な保持と機構の見直しによる執行体制の強化を図る ことにより一層意欲的に取り組み、もって行政を力 強く展開する決意であります。私は、県政運営の究 極の目標を「あすの豊かな活力ある住みよい県づく り」に置き、
と所信を表明され、意欲的に行政を推進されています。
おおよそ、知事が活力ある豊かなあすの沖縄県を建設するため機構を改革し、行政の需要と多様化に対応して執行者が理想とする行政遂行を図ることは、県民から県政の負託を受けた新知事執行部として自治法の定める範囲内なれば当然のことだと思います。
復帰後過去歴代の知事も、自治法の定める範囲内においてその行政需要に応じて部、課、室、係の新設、分譲、事務の一部移管を実施して知事の行政理念に基づく執行体制の確立を図っています。本員の調査によると、昭和49年に従来総務部にあった渉外課を渉外部として新設し4課を統合設置し、1課の新設を含め13課の分譲、事務の一部移管を実施し、50年度に1課の新設と2課の分譲、一部事務の移管、同じく51年度に1局の格上げ、1課1室の新設、1室の分譲、52年度に3室の新設、1室の分譲、1室の分譲と行政の多様化と需要に応じて設置してあります。
そのような沿革を経て、新しい構想を持つ新知事のもとで今回行政機構改革のための部設置条例の改正案が提案されておりますが、今回の機構改正の主眼点、行政運営に当たっての考え方などについて若干お聞きいたします。
まず第1点に、社会の進展と行政需要の多様化に従い行政需要は増加する一方であります。またそれに伴って事務量もふえ、必要的に組織定員は肥大化することとなる。組織機構の肥大化現象は、一方において財政圧迫の原因になる。ちなみに美濃部前東京都政下における東京都の財政悪化の大きな要因も、組織定員のマンモス化にあるとして自治省の指摘等もあって都内部においても適正減量すべくいろいろ方策を検討せざるを得なかった事例もあると聞いています。しかし一たん膨張化した組織を是正するのは容易ではありませ
ん。したがって行政における組織といえども、安易に拡大し財政圧迫の要因になるようなことは避けるべきであると考えますが、今回の機構改革によって組織規模はどのようになるのかお尋ねをいたします。
2点目、本県の最重要課題である雇用失業に対処するための雇用効果のある産業振興と第3次産業偏重を是正するための工業開発及び企業誘致という課題に対応するための組織体制をどのように位置づけようと考えているのか。いま指摘をいたしましたこれらの課題は、前政権からいろいろと試行錯誤を繰り返してきていますが、一朝一夕には解決できない問題で今日まで望ましい進歩を見てないのが現状です。しかし革新県政から活力ある保守県政へと政権交代という政策転換によっておのずから県政の取り組み姿勢もまた意欲も異なってくると思いますが、その政策を具現する手段として具体的に機構組織の面でどのように位置づけて考えているか。つまり工業開発、企業誘致を図り慢性化している雇用失業対策を解決しなければなりませんが、その担当組織をどのように位置づけ構成するかお伺いいたします。
3点目に、改正案によると、企画立案部門である企画調整部に財政部門を吸収した点が今回の改正案の特徴であると理解しています。財政部門を従来の総務部から企画調整部に移した主眼点、主目的、そのねらいはどこにあるでしょうか。
4点目として、さらに提案してある条例案によると7月1日から施行となっているが、年度中途での組織がえは事務執行上支障が生じるのではないでしょうか、大別して以上4点お伺いいたします。
次に、石油エネルギー削減に伴う県の対応策についてお伺いいたします。
週刊新潮最新号5月31日号の特集記事として報ずるところによると、「国際エネルギー機関(IEA)の見通しによれば、「自由主義世界は、二、三年以内に恒常的な石油危機に見舞われる」見込みだという。以後、この危機的状況は慢性的に続き、昭和60年には、不足分は、現在の日本の石油消費量の6割に相当するほどのものになるらしい。世界的な石油不足は、イラン革命による一時的現象、などとノンキにしてはいられない。通産省は、すでに今年度予算に石油配給切符作りの費用を計上し、緊急時に備える体制を作りつつある。いつまでも、あると思うな……石油は無限ではない――。」と前書きをいたしまして、以下5ページにわたり詳しく石油危機を報じています。
同記事の中から主なところをピックアップすると、IEA、つまり国際エネルギー機関は、昭和48年の石油ショックを経験した後、石油消費各国が集まってつくった国際組織である。一口に言えば、OPEC(石油輸出国機構)の売り手国に対する買い手国の集まりであるそのIEAが、石油の需給見通しとして今年は1日200万バレルが不足するであろう。「注」といたしまして西側世界の1日の石油消費量は約5000万バレルで、日本の消費量はその約1割500万バレルとされています。そして今年は1日200万バレル、6年後には330万バレル、11年後の1990年には、不足は950万バレルに達し、以後石油不足は年々拡大していく。また世界の石油生産は今後4年間に鈍化し、国際的な原油奪い合いの状況に突入する見通しである、AP電を掲載した5月18日付朝日新聞等の危機説。次に、しかしイランの石油生産が革命前のレベルに回復すれば石油トラブルは解消するとする説。また次に、石油危機は基本的にはOPECの動き次第で起こり、かぎはサウジが握っている等。またIEAは去る3月理事会で5%の石油需要削減を決めた。またアメリカ政府は1984年から87年に石油危機
が訪れると警告してきたが、それが5年から8年早く来た。カリフォルニアではガソリン不足の大騒ぎが起こり、発砲事件まで突発した。また石油危機が早く来た原因は、石油消費各国の少しでも多くの石油を手に入れておきたいとの焦りと、産油国側の少しでも少なく輸出したいという欲望、その両者の調整にいろいろ乱れが起こるからであるんだと。通産省は、石油の配給切符の印刷代として51年度から要求し続けていたが認められなかった。しかし今年度6億9000万円の石油配給切符の印刷代が認められた。しかし切符を発動するときいろいろ問題がある。非常に厳しいときに発動する。対応策としては、6年前の石油ショック時に石油需給適正化法、国民生活安定緊急措置法ができた。石油切符もその法律によるものとされるなど、石油は先行き削減される、そのときの措置はどうすべきか等詳しく掲載いたしてあります。
週刊誌の報道だけなら、たかが週刊誌の報道だと軽く片づけもできましょうが、しかし東京サミットに向ける日米首脳の談話を聞くにつけいよいよ確実視されます。来る6月20日東京で先進国首脳会議東京サミットが開催されますが、東京サミットに向けて米国カーター大統領並びに大平総理大臣の談話が一昨日の6月4日発表されていますが、日米両首脳とも東京サミットはエネルギー削減問題が中心議題となるであろうと発言いたしています。また、最近の通産省によるエネルギー消費量の節減呼びかけ、ノーネクタイ、軽装、冷房の時間の短縮等、もはや石油の削減割り当ては必定と受けとめるべきでしょう。ゆえに各国はもちろん、とりわけ99.9%の石油を海外からの輸入に依存するわが国の石油備蓄計画が理解できようというものです。
以上申し述べたように、世界的な石油事情を背景としてすでに本県下の船舶、セメント、鉄綱、アスファルト等県内主要産業界にも石油元売からの供給制限が相次いでおりまして、関係者はきわめて深刻に供給制限問題を受けとめています。
戦後長期にわたり国の施政権外に置かれた本県は、復帰特別措置により本土各県との格差是正を目標に産業、経済、文化の向上発展に鋭意努力中です。復帰8年目を迎え、国の定めた振興開発計画を推し進めようやく本県経済も回復基調の兆しが見えつつあるやさきに、国策とは申せ石油供給制限の通達が出され本土並み制限の実施を受けた場合振興開発計画の進行が著しくおくれ、本県の振興開発に大きな打撃を与えることは火を見るより朋らかであります。また本県は離島県であるところから、船舶、航空路は県民生活の足とされ、特に最近観光客の急増とも相まって離島の定期航路の新設、ジェット化による輸送力のアップ等第3次産業の進展に大きな望みが持たれています。
このような本県の地理的、歴史的諸条件を考えるとき、本県に限り石油の供給制限は絶対に許してはなりません。
そこでお伺いいたします。
石油制限問題に対する県の今日までの調査取り組み体制とその見通しについて、知事または関係部長の御見解をお伺いいたします。
また、6年前の石油ショックのとき表面化いたしましたように物価の異常値上がり、便乗値上げ、そのために国民生活緊急措置法の制定を見るまでになったが、値上げに対する監視体制についてどのようになっているかお伺いいたします。
次に、尖閣列島問題について知事の御所見をお伺いいたします。この問題は現世に生きる私どもにとって、また子々孫々に及ぶ重大な問題です。
尖閣列島は、古来わが国わが沖縄県の国土であり県土で、沖縄県石垣市登野城2390番地から2394番地に登記され土地所有権者も確定いたしております。魚釣島を初め南小島、北小島、黄尾嶼、赤尾嶼、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬と5つの島と3つの岩礁から成っていて、付近一帯は昔から良好な漁場で200海里時代を迎えた今日ますます有望視されている漁場だとされています。
史料、講演、漁師の話によると、同列島付近は実に期待のできる豊富な漁場で、県農林水産部水産課の調べによると、本県漁船の尖閣諸島海域での操業状況は昭和51年145隻、52年164隻、53年164隻で、漁獲量は51年1066トン、金額7億6100万円、52年2590トンで金額15億1600万円と大幅な増加を見ています。また漁業形態は底魚一本釣り、マグロはえなわ、底はえなわ、サンゴ漁業等が周年行われ、5月から10月期になるとカツオ、サワラ、カジキ等を対象とした一本釣り、引きなわ漁業が営まれ、魚の豊富な漁場で今後漁船装備の高度化、馬力数のアップ等により時間、距離が短縮されるに伴い最も有望視されている漁場です。それにも増して、専門家の話によりますと石油の埋蔵量も相当なもので、石油エネルギー関係者の注視の的となっています。
御承知のとおり、開発庁は5月25日、尖閣諸島調査の実施について閣議の了承を得て調査の実施を発表いたしました。その記者会見要旨の原稿は、次のとおりでございます。
5月25日 閣議後記者会見沖縄開発庁長官尖閣諸 島調査の実施について 1、昭和54年度予算による 尖閣諸島の利用開発可能性調査については、今日ま で、準備を進めてきたところであるが、来たる5月 28日から6月8日まで、同諸島のうち、魚釣島、南 小島、北小島の3島及び周辺海域において実施する こととした。 2、本調査の目的は、尖閣諸島の自 然的・地理的条件を把握するとともに、同諸島の利 用開発の可能性を探ることであるが、具体的には、 気象観測のための自動気象計の設置、地質調査、生 物・植物調査、地下水調査、地形図の作成、周辺海 域の水深及び海流調査などである。なお、これらの 調査を実施する事前準備として、人員、資機材を安 全かつ確実に輸送するためにヘリコプターの仮離発 着施設を設置した。(作業期間5月18日から23日ま で、5月23白に設置完了) 3、この調査に関連す る尖閣諸島への交通手段については、海上保安庁の 全面的な協力を受けることになっている。
といたしまして、「尖閣諸島調査の内容、調査日程等について」、第1番目に「調査内容」。気温、風向、風速及び雨量の実測(約1年間)。2番目に陸上地質、植物、動物、表流水源・水質調査。3番目に地下水調査、深さ20メートルのボーリングによる調査。4番目に水深、海流も含む。5番目に潮位。6番目に5000分の1の地形図の作成。7番目に上記調査のほか、次の調査も机上推測により行う。1、年間の風向、風速及び気流。2、波の高さ、波の向き及びそれらの周期。
第2番目に「調査日程」といたしまして、5月26日、巡視船「そうや」那覇発、調査員を乗せて並びに観測用ゐボーリング機械等も積むと。5月27日、「そうや」魚釣島着。 5月27日、巡視船「さつま」石垣を出発する、学術調査員を乗せる。5月28日、「さつま」魚釣島着。5月28日から6月8日まで魚釣島の調査。6月2日から6月8日まで南小島、北小島の調査。6月8日、「そうや」魚釣島発、6月9日「そうや」那覇着。
3番目に「調査団の構成」、学術調査員、地質、松本山口大学文理学部教授ほか1名、動物、池原貞雄琉球大学理工学部教授ほか3名、海中生物、西島信昇琉球大学理工学部助教授ほか3名、植生、新納義馬琉球大学教育学部教授ほか1名、コンサルタント、調査員及び作業員17名、沖縄開発庁及び国土地理院2名となっております。
復帰を境に同尖閣列島は、私ども沖縄県民、また日本国民が大変注視をいたし、今回の同島の調査は深い関心を示しています。同島調査を開始以来、連日のように各報道関係者もこのように報道をいたしております。
5月25日沖縄タイムス、「尖閣調査に琉大、山口大も参加 開発データ作成ヘ ボーリングなど実施」。5月25日琉球新報、「尖閣の利用開発を探る 地質、動植物など基礎データ収集 人工衛星も利用 開発庁28日から本格調査 池原教授ら31人参加」。また注視しなければなりません、「中国側、対応策検討か 尖閣ヘリポートに不快感」。琉球新報5月26日社説として、「避けて通れぬ尖閣問題 政府の調査団派遣によせて」、「資源問題絡み複雑 実効的支配への布石か」。26日タイムス、「領海警備など強化 ビーチクラフト2機も 巡視艇5隻を配属へ 第11管区」。同じく26日琉球新報、「中国に大陸ダナ交渉提案 尖閣諸島 油田開発に関連 4社が採掘権を申請」。28日同じくタイムス、「機材など陸揚げ」等々、実に本県関係の報道関係者も尖閣列島の重要性について十二分に認識をいたし、連日このように報道をいたしております。続いて5月29日として、「動植物相など解明へ 胸はずませる団員・尖閣諸島学術調査団」。5月30日、「尖閣諸島 再び日中外交問題に 中国、開発調査に抗議 ヘリ基地建設は無効 沈平アジア局長 行動中止を要求」。しかし「固有領土であ
り姿勢変えず 外務省、冷静対応の方針」。「調査は当然でありやめない 田中官房長官が言明」といたしまして、これに関する問題が新聞を通じて報道されているように、またもや提起をされております。
尖閣諸島がわが県土であることに疑義を持つ県民は1人もいないでありましょう。しかし案の定、またまた中国がクレームをつけてまいっています。わが国わが県の領土であり県土であるなれば、同列島に上陸をしようが旗を立てようがキャンプを張ろうが自由であり、地主の了解のもと、調査をしようが建物を建てようが他人に売ろうが買おうが全く自由です。そのことは国際外交以前の問題であります。そもそも領土権問題は民族自決の問題であり、一政党、一時代の政府によって左右さるべき性質のものではありません。
本員が大変残念に思いますことは、明らかにわが国の領土である同島について他国の干渉を受けたことです。自信を持って実効支配を完遂すべきです。
おおよそわが国の領土問題で、常にクレームをつけているのが共産主義または社会主義国家であることは遺憾にたえません。県民の1人として尖閣諸島に関して中国に対する大変大きな不快感をますます感じております。歯舞、色丹、国後、択捉の北方領土を不法に占拠しているのがソ連であり、尖閣に絡むのが中国で両共産主義または社会主義国家であることは、自由と民主主義を信奉する私どもにとって大変憂うべきことであり、両国こそ大国に名をかる覇権主義国家ではないでしょうか。田中官房長宮は中国の抗議に対し、尖閣諸島は日本固有の領土であり歴史的にも国際法上も明らかである、今回の調査は当然でやめないと言明いたしております。
そこで知事にお伺いいたします。
今回の尖閣列島の調査に対する知事の御所見と、今後同列島に対する見通しと県としての対応についてお伺いいたします。
最後に、昭和55年度の重点施策についてお伺いいたします。
質問の冒頭でも述べましたとおり、本県経済、景気の浮揚、雇用対策に最も大きく影響するのは、公共事業に関する大型主要プロジェクトの継続とその長期見通しにかかることは御承知のとおりでございます。
国における昭和55年度の経済見通し及び予算編成の方針が明らかでない現時点で、県の55年度重点施策を明確にすることは困難ではありましょうが、新聞報道によると、昭和55年度国の予算が固まる8月に向け、本県執行部は大変意欲的で早くも県案を決定すべく作業を進めていると聞いております。先進国首脳会議のエネルギー削減問題の論議を受け若干の変動はあっても、政府が今日までとってきた公共投資を中心とする積極的な有効需要政策と、それによる経済的不均衡の是正に全力を傾ける政策がとられるであろうとされております。
そのような情勢下にあって、本県では55年度は第2次振興開発計画の基準年次であり、また沖縄特別措置法の見直しも必要であろう年度です。加えていまだに2万8000名余もいると言われる失業者と、来春学窓を出てくる青少年の就職の場をあわせ考えるとき、やはり緊急的最重要課題は、公共事業を中心とする雇用失業の安定を図る施策が最優先して図られなければならないでありましょう。
このような意味において、昭和55年度本県の重点施策の方針について知事もしくは関係部長の御答弁をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの新城議員の御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は公共事業の執行状況についての御質問でございましたが、これを3つに分けてお答えしたいと思っております。1つは昭和54年度の公共事業の内容について、1つはその執行をするに当たっての目標設定について、もう1つはその具体的方策と内容についてお答えいたします。
公共事業の執行に当たっては、御案内のとおり景気の浮揚と雇用の安定を図るため特に本年度においては年間を通じて執行を平準化する、こういう平準的執行に努力をしていかなければならないと考えております。
2番目は、国の公共事業等施行方針でございますが、上半期の契約目標額といたしまして65%から70%の目標が設定されましたことは御指摘になったとおりでございまして、この目標設定の趣旨を踏まえまして本県における上半期契約目標を70.8%に設定いたしました。
3番目は、54年度公共事業等の施行計画は次のとおりでございます。対象事業費の予算総額は1230億8240万9000円となっております。そのうち上半期契約目標額は871億585万4000円となっておりまして、上半期の契約目標率は70.8%となっております。
それから公共事業等の執行促進の具体的方策といたしまして従来公共事業等施行推進本部及び施行促進幹事会がございますが、本年度においてはさらにこれを徹底させるために、これまで特に問題となっておる用地関係及び資材、労務関係等の専門部会――ワーキング・グループと申しますか――を設置いたしまして問題解決に当たることといたしておりまして、特にその面人的な配慮をいたしまして増員をいたしておるのでございます。
公共事業等の執行に当たっては、国、公社、公団及ひ市町村との連携、調整を密にすることといたしておりまして、公共事業等の執行に当たっては県内業者へ優先発注すること、また執行上必要な建設資材については県産品の優先使用の徹底を図ることといたしております。また国、公社、公団及び市町村に対しましてもその線に沿って協力方を強く要請することにいたしております。
次に、機構改革についての御質問がございましたが、その機構改革についての総論と申しますか、基本的な考え方につきましては比嘉副知事から答弁させることにいたします。それと各論について、今回の機構改革に伴う組織とその規模について、さらに機構改革を通じて工業開発と企業誘致に対する方注をどのように考慮に入れたか、さらに財政を企画へ移す主眼点はどこにあるのか、その目標設定をどこに置くのか、さらにこれを年度内中途で施行することについての御質問があったわけでございますが、これらの4点につきましては担当部長からそれぞれ答弁させることにいたします。
石油エネルギー削減に伴う世界を取り巻く世界の情勢、また県内諸情勢に触れて御質問があったわけでございますが、この御質問に対しましては、座喜味副知事並びに担当部長からそれぞれ答弁させることにいたしております。
それから尖閣諸島について、5月25日に開発庁から発表になりました調査の内容とその基本調査についての内容、さらに組織団員とその担当者の発表等についていろいろ意見を交えながらの御提案があった中で質問に触れたのでございますが、これらの点につきましては比嘉副知事から答弁させることにいたします。
ただ、知事の基本的な考え方といたしましては、これは日本固有の領土でございまして、これから産業経済の開発に当たって基本的な調査をすることはきわめて大事なことでございまして、今日まで海流、気象、植物分布、また魚類の分布等についての基本的な調査がなされておりませんので、その点において調査を実施することはきわめて有意義なことでございまして、将来これと対応いたしまして実効支配の体制を県の側でどう対応していくかこれから細かく詰めて検討していかなければならないと考えておりますが、これについての具体的な対策はいまのところまだ詰まっておりません。
以上申し上げまして、私の質問に対する答弁を終わりたいと思います。
○議長(大田昌知君) 比嘉副知事。
〔副知事 比嘉幹郎君登壇〕
○副知事(比嘉幹郎君) まず最初に、機構改革につきまして企画調整部長の方から4つの具体的な質問について答えていただきますけれども、私の方から機構改革についての理念や必要性及び基本的な考え方について述べさせていただきます。
本年は、1980年代に向けての基礎固め、条件整備の年に当たり、来るべき80年代は豊かさを維持増強する一方、産業下の弊害を除去し、人間味あふれる生活を築こうとする思考との間に新しいバランスを求める社会の形成が目標となるとされております。こうした新しい動きを背景として豊かな活力ある住みよい県づくりという基本施策を推進し得る組織体制の確立を図りたいというのが組織改正の基本的なねらいであります。現行組織は御案内のとおり昭和49年に改組されたものの、その後の経済社会を初めとする諸情勢の変化に対応し得ない面があります。
それぞ組織改正の基本的な考え方をまとめて述べますと、まず第1に、組織機構改正に当たっては、新規組織は需要の減少した縮少部門とのかね合いを配慮する等肥大化を極力抑制することにしました。
第2に、沖縄振興開発計画のこれまでの実績と反省、総括を行い、第2次振興開発計画策定に向けての体制固めをするとともに、計画と財政の整合性を確保し、全庁的な総合調整機能の強化を図るために企画財政型組織を採用することにいたしました。
第3に、均衡ある産業開発を積極的に推進することにより本県の産業構造のひずみを是正し、あわせて雇用の拡大という課題へ対応するための組織体制を整備し開発局を設置しました。
第4に、当面の重要課題である企業誘致、商工業の振興を強力に推進するため現行の労働商工部から労働部門を渉外部に移管し、労働商工部は商工観光部とし、渉外部に労働部門を吸収させ雇用失業問題に対する取り組みの強化と労働行政の一元的な処理が図れるようにしました。
その他、県民ニーズにこたえる文化振興、青少年の育成、老人福祉の充実を図るための組織強化と県民本位の行政を遂行するため、出先機関における現地性に着目し公共事業部門の出先機関の執行体制の整備を図るというのが今回の改正の基本的な考え方であります。
次に、尖閣諸島の問題についてでございますが、ただいま知事の方から学術調査の重要性については述べられましたけれども、この尖閣諸島の問題について県の基本的な姿勢について申し上げます。
尖閣諸島は1879年、いまからちょうど100年前の明治12年廃藩置県により沖縄県が設置された後沖縄県の所轄とし、国標を建設すべく1885年(明治18年)に政府に対し上申し、その後2度にわたり上申されております。この間1881年、つまり明治14年には、当時の政府内務省地理局編さんの大日本府県分割図にも同諸島が沖縄県下に表示されるなど一連のいわゆるその領有意思の表明がなされております。
1894年(明治27年)12月27日、内務大臣はこうした沖縄県知事の上申を外務大臣と協議した結果、閣議提出方に同意し、翌1895年(明治28年)1月14日の閣議で、尖閣列島を同県の所轄とし、標杭を建設すべく決定するとともに、1月21日その実施方を沖縄県知事に指令してし、ます。さらに翌1896年(明治29年)4月、同諸島は地方行政区分上八重山郡に、また1902年(明治35年)12月、石垣島大浜聞切登野城村に所属することにな駅地番も設定されています。その後、同諸島に対する日本の国家機能が有効に及び統治権が一貫して行使されてきたのであります。
このような事実に基づいて、第2次世界大戦後琉球列島が米国の支配下にあった期間も日本のいわゆる潜在主権が認められてきました。具体的には、布令第68号琉球政府章典、1952年2月29日公布されたものでございますが、その第1条では、琉球政府の政治的及び地理的管轄区地に尖閣諸島は含まれており、また奄美諸島の日本返還に当たっても布告第27号、つまり1953年12月25日公布の布告によってこれは「琉球列島の地理的境界」と題するものでございますけれども、その中でもやはり同じ位置づけがなされております。
さらに1950年代の半ばごろから、米軍は久場島(黄尾礁)、大正島(赤尾礁)を演習地として使用、1958年高等弁務官布令第20号に基づきまして民有地である久場島の地料契約を古賀善次氏と締結しております。
1970年9月10日には、当時の琉球政府行政主席屋良朝苗氏が、尖閣列島及び周辺海域は古来沖縄県民の活躍の場であると領有を雷明し、また琉球政府立法院も沖縄返還を目前に満場一致で領有を確認しております。
以上のような歴史的事実からも明らかなように尖閣諸島はわが国固有の領土であり、また県民が積極的に開発をし生産活動を行ってきたところであります。現在も本県の重要な漁場の1つであります。本県としましては、今後も積極的に各種の調査を推進し開発の方向性を追求していきたい所存であります。
次に、昭和55年度の重点施策の基本的な考え方について述べさせていただきます。
55年度の重点施策は、目下企画調整部において作業を進めている段階であり、そして今月末をめどに成案ができるようにしたいと考えております。したがいまして現時点においてはその内容を十分説明できる状態にはありませんけれども、策定に当たっての基本的な考え方について概要を御説明申し上げることにいたします。
まず、昭和55年度の重点施策は、西銘知事が就任して以来実質的に初めてのものであり、県民に公約した施策を可能な限り具現化していきたいと考えております。
昭和55年度は、地方の時代とも言われる80年代へ向けてその基礎条件の整備を図る第1年次目に当たりますので、3全総に基づく定住圏構想及び新広域市町村圏行政等の推進を図り、個性ある地域づくりを強力に推進していきたいと思います。
また、昭和55年度は振興開発計画の9年目を迎え、残された期間に所期の目標達成に努めるとともに、次期振興開発計画の基準年次としての目標水準を高めておく必要があるため、社会資本の整備を初め特に立ちおくれている産業基盤、医療、福祉及び教育水準等の諸施策を積極的に推進したいと考えております。
その他、本県の当面の政策的課題である雇用の安定を図るための施策、農林水産業及び商工業等の振興と大型開発事業との均衡のある振興、交通問題の解消、生活環境の整備、離島の振興及び戦後復帰処理の問題等々県政の当面する諸問題の解決を強力に推進し、県政の目標とする「活力ある住みよい県づくり」の実現を目指して鋭意努力していきたいと考えております。
大体、以上が現段階における昭和55年度重点施策策定に当たっての基本的な考え方でございます。
以上です。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) 機構改革についてお答えいたします。
さきに比嘉副知事から基本的な考えにつきましては御説明がありましたので、具体的な点で4点ほど御質問がありましたのでその点についてお答えいたしたいと思います。
まず第1点は、組織改正によって規模がどうなるかというふうな御指摘でございますが、ちょっと口幅ったい言い方になりますけれども、パーキンソンの法則によりますと、役所の組織定員はほっておいても膨張すると言われておりまして、確かに御指摘のとおり行政需要の増大に伴いまして組織は肥大化し、財政の悪化になる性質を持っているという見方が一般的な見方でございます。したがいまして悪化要因を極力排除するという方針を堅持いたしまして部の数、課の数、それに定員も拡大しないという前提で現行の組織規模の範囲内で統廃合を行いまして、そのかね合いで強化すべき部門は強化したいというふうに思っております。したがいまして部の数も課の数も定員も現状のままという形になります。
それから2番目の工業開発と企業誘致にどう対処するのか、その対処する場合に組織上どのように位置づけているのかという御質問でございますけれども、均衡ある産業開発と雇用の拡大という課題は当面、そして将来にわたって確かに重要な課題となると考えられますが、まず当面は、近年好調に推移しています観光をさらに発展させるため、これまでの部のもとにあった観光振興局を商工観光部として位置づけまして地域産業の振興と観光振興に精力集中できるよう編成がえをいたしまして、さらに県外事務所を強化して企業誘致を積極的に推進する体制をとりたいと思っております。
また、従来各部に位置づけてありました中城湾港の開発の問題、大那覇国際空港、糸満漁港の特定大型プロジェクトを集中して効果的に推進できるよう企画調整部に開発局を設置して対処したいと考えております。もちろん開発局では特定プロジェクトの企画立案、基本計画、実施計画を作成することでありますけれども、その作成した後は担当関係各部へおろしますので、実際の工事など事業そのものは関係各部が実施いたします。したがいまして開発局は、計画策定と各部におろした事業の進行管理を全体的な立場で行うというふうなことになります。
それから3番目の財政を企画へ移したねらいでございますけれども、企画財政型の組織は全国でも埼玉県だけでありまして一般的ではないのですが、埼玉県は昭和48年に企画財政型を導入しユニークな組織運営をしております。
特に本県の経済構造を見ますと、御承知のとおり公共事業主導型であり振興開発事業の占める役割りは大変大きいものがあります。したがって振興開発計画と財政の関連は深く、振興開発計画の進行管理と予算編成という単年度の政策決定過程を結びつけた「計画ある財政を確率するためには、企画と財政が同一部門で常時連携を保つ必要があるというのがねらいであります。特に振興開発計画の残された期間で達成率の低い部門――生活福祉部門とかあるいは医療関係の部門、それから公園関係、それから土地改良、それから社会体育施設関係、その他各部門にわたって達成がおくれている部門が目立つ部門があるわけでございます。そういう部門につきましては、残された期間全力を傾けて達成するよう努力したいというふうに思っておりますので、そういう意味でもあと2年余りの間の財政計画というものはきめ細かに行っていく必要があると考えており、企画と財政の連携を一層密にしたいというふうに考えております。
さらに、これまでの各部局が持っている事業計画を、各市町村ごとに地域別に落としてみますと、各地域ごとに大変アンバランスが見られます。今後第2次振興開発計画を策定するに当たりましても、新広域市町村計画とかあるいは定住圏構想とかあるいは62年に予定されています国体の開催、そういったもろもろの事業を第2次振計にいかに組み込んでいくか。その場合に、先ほど言いましたように事業計画が地域によっていろいろバランスを欠くというふうなことになりますと、やはり資材不足の問題が局部的に出たり、あるいは価格に悪い影響が出たりするケースが予想されます。
そういう意味で、各部局が持っている事業計画を、横の連携を十分配慮しながら財政計画と企画を緊密に結びつけて着実に計画を実行していきたいというふうな趣旨から、財政課を企画部門に位置づけてあるわけでございます。
それから最後に、この機構改革が年度中途で実施する場合に大丈夫かというふうな御質問ですが、当初4月1日での改正を予定して検討を重ねてまいりましたが、いろんな意見がありまして結論に至らなかったわけでございます。
4月の年度区切りに合わせた改正が理想的ではありますけれども、振興開発計画の実績と総括を踏まえた2次振興開発計画策定への取り組みを急ぐ必要もありますことと、それからさらには55年度国庫要請へ向けてのタイムリミットがありますので、9月以降の改正となりますと55年度国庫要請に間に合わないわけでございます。2年おくれの56年度国庫にしか反映されないということになりますので、年度中途ではあってもできるだけ早い時期が摩擦が少なくて済むというふうな判断から7月の1日に実施したいと考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 座喜味副知事。
〔副知事 座喜味彪好君登壇〕
○副知事(座喜味彪好君) 石油エネルギー削減に伴う県の対応策についてということに関しましてお答え申し上げます。
国際的な石油不安が強まる中で、本県産業界から石油の供給確保について問題提起がありまして、すぐ県といたしましても労働商工部を中心としまして実態の把握、それから対策等について取り組んでまいりました。
そういうことの一環としまして現地の供給業者、それから本土におきます日石、エッソ、その他の大手の供給業者、それから民間の石油エネルギーに関する専門の方々、それから通産省のエネルギー担当の方々とお会いしましてお話を伺ったりそれから要請をしてまいりましたけれども、大体長い目で見てのエネルギー問題についてはただいま御指摘のあったとおり非常にむずかしい問題であってこれはただごとではないということと、それから現在の問題につきましても、生産者側の主要生産国のところでいろいろ政治的問題等がありまして生産総量そのものが減っているということ。それから生産総量が減っている上に長期契約のウエートを生産者側の国の方が落としていって、スポットものの方に重点を置いていきまして高く売るというようなことになっておりまして、そういうことから新しい秩序ができ上がっていないので非常に不安定になっているというようなこと。それから日本の場合には、特に冬季の石油需要が大きくなるので、今度の冬は石油問題はきついであろうということなどが大体の一致した御意見でございました。
ただ、もう1つ救いになりますのは、そういうふうに量は減っていますけれども決定的な量の削減ではありませんので、節約さえすれば日本全国としてはある程度の成長を維持できるだけの石油は確保できるんじゃないかということでございました。ただ節約の場合にしなければいけないんですが、私たちの沖縄の場合はほかの県と違いましてまだ経済成長が本土並みに達していないということと、それから沖縄に石油企業が立地しているということ、それから非常に離島が多くてそこに通ったり輸送上も石油が要るんであると、それから島内交通も大量輸送機関が少なくて自動車に頼っているということなど説明して理解してもらったと思っております。
ただ、石油事情というものは前もって予測することが非常にむずかしくて、はっきりした形で沖縄には間違いなく供給するからということを言葉とかあるいは文書でいただくことはできないということで、そういう点でむずかしい面はありますけれども、私たちが得た感触では沖縄に対しては何とか確保できると、年内の需給は問題はないというような感触を受けております。
そのほかの県内の需給事情の調査結果とかその見通し、それから節減対策等につきましては担当部長に答えさせていただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) ただいま副知事が石油問題につきまして詳しく御説明しましたんで、残りの補足について御説明を申し上げたいと思います。
先ほど副知事の説明にもございましたように沖縄の持つ特殊性と申しますか、そういった関係もございまして私どもこの石油問題についてはきわめて深刻に受けとめておる次第でございます。特に今回の石油問題というのが、従来の単なる値上げの問題などとの関係だけじゃなくて、将来においてはやはり構造的な問題としてとらえていかなくちゃいけないんじゃないかとこういうふうに基本的に認識をしておりますし、したがいまして将来の県内需給につきましてもそのような立場でとらえていかぬというといけないだろうと、このように考えております。
したがいまして私ども県といたしましては、この問題が提起される段階におきまして早速関係部が中心になりまして担当するおのおののパートでもって調査の実施に当たっております。
まず農林水産業、これらの中ではどのような影響があるか、それから需給自体はどうなっていくだろうかというふうな形で調査を進めております。まだ詳しい需給の量だとか、総体のやつはつかまえておりません。
それから製造業、同じでございます。これも各事業別に調べておりますけれども、業界全体としてのトータルされた需給量はまだ調査中でございます。
それから建設業、それから運輸業、こういうふうな形でいま調査を目下進めておるところでございます。
県内の需給につきましてはそうでございますが、一方また県の職員につきましては、知事の方から石油消費節減対策の周知徹底という指示を出しましてそしていろいろな形で国の通達に基づくような冷房についてだとか、それからエレベーターの使用についてだとか、それから電力についてだとか、公用車の使用についてというふうないろいろ各項目を分けましてそして節減協力体制を取り組んでまいっております。
以上で、御説明といたしたいと思います。
○議長(大田昌知君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 石油エネルギー削減体制によりますところの石油価格についての対策を、県はどう対処するかという御質問だったと承りましてお答えいたします。
まず、物価の問題でございますが、昭和53年におきますところの那覇市の消費者物価の動向を見ました場合対前年上昇率が5.1%でございまして、それから52年の対前年上昇率が5.9%を下回っております。そういうことでまず安定的に推移してきていると判断しておりますが、最近の卸売物価の動向を見ました場合には、対前月比の上昇率で見ますと53年の11月から上昇傾向に転じてきております。ことに移入依存度の高い私どもの県にとりましては、卸売物価の続騰が大変懸念されているところでありまして、また最近の先ほども話のございました石油製晶を取り巻く情勢は、またイランの政惰不安定を背景にいたしまして世界的な供給の不安、OPECによる再度の原油価格の引き上げ等によりまして一層にその厳しさを増していることは御承知のとおりでございます。また国内におきましても石油備蓄政策による量の確保、並びに産業用に対する石油供給の抑制、それから石油消費節減対策の実施等によりまして国民経済に与える影響は大変大きいものと考えております。
それから県内におきましても県民生活に与える影響は最も憂慮されることでございまして、そういった安定を図るためにも、私どもは今回の石油製品業蓄やまたガソリンの小売業者に対しまして、ことに今回税制の改正もございましてそういった値上げ等もごぎいますので、石油製品の安定供給の確保と税法改正に伴うガソリン価格の便乗値上げの抑制についてということで、そういった各業者の方々に協力要請を求めております。そういった便乗値上げの抑制に努めておるところでございますが、一般消費者に対しましても正確な情報を提供しまして監視体制、いわゆる狂乱物価48年ごろから起こりましたああいう経験を踏まえてそういった対策本部を私ども生活福祉部に持っておりますので、そういったところの消費者物価モニター、物価モニター等の監視、もしくは市町村等にお願いしておりますところの調査体制を通じましてそういった物価対策の推進に努めていく所存でございます。
ちなみに、先週一応価格調査員を通じまして情報を得ました関係では、そういった税制改正に伴う値上げということで現在調べました結果では115円から118円ごろまでの価格になっております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 渡久地政仁君。
〔渡久地政仁君登壇〕
○渡久地政仁君 私は、自由民主党沖縄県連所属議員団を代表いたしまして、さきに通告いたしました事項に所見を述べながら順次質問をいたしたいと思います。
まず第1点は、基地問題でございます。
本問題については、去る5月19日に開かれた臨時議会において全会派の代表による緊急質問が行われそれに対し知事から、知事としての見解の表明などが行われ、あれからそう日時もたっておりませんので、私としてはその後の問題を中心にお伺いしていきたいと思います。
まず、実弾射撃についてでありますが、本問題については知事は去る臨時議会において、正直に言って実弾射撃をやめさせるという答えはできないという趣旨の答弁をなさっております。確かに安保容認の立場をとられる知事としてはそのとおりではありましょうけれども、わが党代表の緊急質問を行いました仲村議員も指摘しておられたとおりに、基本的にはこの狭い沖縄で大口径の大砲を発射したり、走行中の戦車から火器を使って射撃の訓練をすることには無理があると考えられます。このことは私自身もそう考えますが、実は米軍自体がそれを言っているのでございます。
知事も記憶のことと思いますが、去年の4月の23日に、米海兵隊キャンプ・シュワブ演習場から発射されましたところの105ミリ砲弾が名護市字数久田の国道58号線沿いの海岸に落下した事故がありました。この事故について、米軍は独自の調査を行いましてその結果を去年の5月の15日に当時の在沖米海兵隊基地司令部トーマス・F・コールズ参謀長が発表しております。それによりますと、その弾はM60A戦車に使用されるところの105ミリTPT弾で、訓練に際して射角、方向を正しくセットして発射したのであって、決して誤射ではないと強調しております。事故は跳弾によるもの、すなわち着弾地点で弾がはねてさらに事故現場まで飛んでいったとしております。
この発表は、一見もっともらしいように受けとられますが、しかしよく吟味すると大変危険な内容を含んでおります。すなわち米軍は誤射ではないとしております。それでは誤射でなければ、その反対の正しい発射ということになります。誤射なら、これは誤りですから誤りの原因を探究しその誤りを正すことができます。しかし誤射ではなく正射、そういう言葉があるかどうかわかりませんが、正射ということになるとこれはもう直す方法はありません。正射の結果、住民地区に実弾が落ちたということを米軍自体が認めているわけでありますので、これは大変なことであります。すなわち米軍自体があの演習場は欠陥演習場でありますと認めているようなかっこうでございます。
以上のことからもおわかりのとおり、キャンプ・シュワブ演習場では実弾射撃をすること自体に根本的な問題がひそんでいると私は受けとめております。また、これと同じキャンプ・ハンセンの場合においても基本的には同様の問題が潜在すると思います。
そこでお伺いいたします。
知事は実弾射撃演習の中止の申し入れは現時点では困難だとされておりますので、それでは実弾射撃は認めるが、それは沖縄以外のどこかの日本の演習場で認めるとされたらどうでしょうか。安保条約は日米間のものでありますので、必ずしも沖縄だけでなく日本のどこで実弾射撃をやってもよいわけで、そうすることがまた沖縄が背負っているところの53%の基地の集中化からの分散にも役立つと思うからであります。
もっと具体的に申しますと、復帰前米軍の大口径火器の実弾射撃演習や戦車からの発射訓練は、わざわざ沖縄から北富士演習場まで出かけていって行っておりました。それが復帰後からか、また円高ドル安の思惑もあると思いますが、安上がりをねらいまして沖縄現地でやるようになっていると私は受けとめております。今後絶対に事故をあらしめないためにも、昨年4月22日の事故の米軍の調査報告をよく吟味されまして、ただいま私が提案した方向での解決ができないものかどうか、その点について知事のお答えを願います。
次に、基地使用協定問題、5・15メモの見直し問題、3者連絡協議会問題についてお伺いしたいと思います。
知事は知事就任直後の議会で、米軍と基地使用協定を締結して事故防止に当たりたいとの見解を表明されまして、去る2月定例議会においては5・15メモの見直しをやる必要がある旨の答弁をされました。そして去る5月の下旬に上京された節には、これらの問題を含む基地問題について山下防衛庁長官、マンスフィールド駐日大使、中島外務省アメリカ局長と会見いたしまして折衝なさったとされております。この折衝の結果は、報道によりますと5・15メモの見直しは日米双方から拒否され、国、県、米軍の3者で構成する3者連絡協議会の設置については合意が見られたとされています。一方、基地使用協定の方については報道がなく詳細は不明でありますが、以上のことを踏まえまして二、三伺いたいと思います。
5・15メモの見直しについては外務省筋はやらないという原則に立っておるようでありますが、一方5月23日に比嘉副知事や渉外部長などと協議した那覇防衛施設局の根本局長は、5・15メモの見直しの必要性を強調したと新聞は報じております。さらに5月25日の衆議院沖縄北方特別委員会において中島外務省アメリカ局長は、メモの全体的見直しはできないが、個々の問題については改善を図っていくと答弁しています。このようにどうも政府内部の本問題に対する姿勢が食い違っているように見受けられます。実際にはどうなっているか、その点の事情を説明を願います。
次に、その見直しがなされるとすればこれは結構なことでありますが、なされない場合には3者協議会の機能の面にも問題が出ると思います。3者協議会の構成や機能面はいずれ説明があると思いますが、常識的に考えて5・15メモの見直しが許されないとするならば沖縄の基地使用条件の基本について触れることができないところから、3者協議会は基地問題に対する前向きの問題について取り組みをすることができなく、事故の原因究明とか後始末のような後追い行政の機関に成り下がるおそれがあります。この点についてどう考えておられますか。また後追い行政の機関にならないようにするためにはどうするか、見解を明らかにしてもらいたいと思います。
次に、県と米軍との基地使用協定については、3者協議会の設置や5・15メモの見直し問題の影に隠れて今後の取り組みの方向があいまいになっている感じがなきにしもあらずであります。5・15メモの見直しが許されない場合でも、この協定は米軍と締結していくのかどうか知事の考えを明らかにしてもらいたいと思います。
最後にあと1点お伺いしたいのは、5月2日発生した金武村伊芸での砲弾破片落下事故についての政府の調査結果については、那覇防衛施設局の根本局長は5月31日にその調査結果を発表いたしまして、この政府の調査結果に県民の間ではいろいろな見解があります、そして批判もあります。知事はこの調査結果をどのように受けとめておられるか、見解をお伺いいたします。
次に、砲弾破片落下事故について県警の調査結果はどうなっているか、警察本部長の見解をお答え願いたいと思います。
次に、CTSについてお伺いいたします。
これまでの議会における知事の答弁から、知事のCTSに対する考え方は、1つ、革新県政がとってきた500万キロリットルの枠にこだわらない、2つ、したがって備蓄量の増大という国策に協力し増設を認めていく、3つ、しかし環境との調和を図っていくようにするという3点にしぼられるのではないかと思われます。
ところで、CTSをめぐって昨年から今年にかけて大きなうねりがありました。
まずその初めは、多良間島におけるCTSの設置の動きであります。多良問島の場合は、村議会の反対決議などがあって現在一応鎮静化した形になっております。2番目は、沖縄本島の既設企業のCTS増設計画が発表されたものがあります。3番目は、ごく最近の与那国島へのCTS設置の動きであります。これは町長と企業の接触を伝えるニュースや、町長のこれに対する否定談話、さらには企業側の肯定をうかがわせるような談話が入り乱れて、真相がはっきりしないままに推移している実情にあります。
このように、CTSをめぐる県内の動きを見てみた場合に県民の関心の度合いが大きいところから、いまや県民のコンセンサス抜きでは本問題の解決ができないような感じがいたします。知事が本問題の解決の方策として、審議会設置の構想を明らかにされていることも一にかかってそこに理由があると考えます。
ところで、CTSに対する県民の不安は、言うまでもなく環境との調和にあります。果たしてこの狭い沖縄にCTSをどんどん立地させた場合は、沖縄の美しい自然環境はどうなっていくだろうと県民は不安を抱いております。
申すまでもなく、政治の要諦は住民の不安を払拭することにあると思います。したがって知事としては国策に協力されるにしても、それ以前に地元である県民の不安の解消に努めていただきたいと思います。
そこで二、三お伺いいたします。
報道によりますと、知事はCTS問題に関し基準審議会を設置したいとされているようでありますが、この構想も県民の不安を解消したいという原点から発想されているものと思いますが、この審議会の職務内容や人的構成をどのようにしていこうとされているか、またいつごろ発足させるか説明をしていただきたいと思います。
次に、革新県政は500万キロリットルという上限を定めて、これまで住民もその枠内ならという安心感を寄せていたように受け取られてまいりました。しかし西銘県政にかわってその枠にとらわれないとしたために現在その上限がなく、したがってCTS立地の歯どめがないところから住民の不安が始まっております。そういうことから西銘県政としても上限の設定が必要ではないかと考えられます。このことについての知事の所見と、どの程度の量なら沖縄の環境と調和していけるか知事の考えがあればお示し願います。
知事は、CTSの基本的考え方として前にも述べたように国策への協力と環境の調和を挙げられておられます。私も基本的にはその考え方を支持するものでありますが、この2つの考え方は、もともと矛盾する要素からできているところからその両方を満足させることはかなり困難なものであると考えられます。すなわち国策への協力度を増せば増すほど環境との調和が崩れ、逆に環境の調和を図る施策を強めれば強めるほど国策への協力度は薄れていくような感じがいたします。CTSに対する今後の施策としては、環境との調和にウエートを置く方向で県民のコンセンサスを得、その中から国策に協力できる線を探究していくべきではないかと考えられます。このことに対する知事の考え方をお伺いいたします。
次に、雇用失業問題対策についてお伺いいたします。
まず、現下の本県経済の基本的課題は、去る2月議会でも論議されたとおり需要の創出によって景気の回復を図り、雇用の安定の実現を図ることにあることは申すまでもありません。このために西銘知事の県政運営のスローガンとなっている「活力ある県政運営」を通じて県内のあらゆる資源と能力を活用し、地域性を生かした産業振興と生活環境の整備を強力に推進する必要があり、現在去る2月定例議会において可決されました当初予算を効率的に運用し、西銘知事以下の執行部職員が精力的にその施策を展開していることは御案内のとおりであります。
しかし、このような取り組みにもかかわらず本県の雇用失業問題はいまなおここ両3年の状況と変わりなく、本年4月の労働力調査結果によると完全失業率が6.6%、完全失業者数は2万9000人で前月に比べて100O人ふえているが、前年の同月では3000人の減少となっております。
この失業問題の解決については、本議会でこれまで幾度となく論議が交わされてきたとおりで、基本的には労働集約型の企業を誘致することと、地場産業に活を入れその振興を図って雇用者数をふやしていく以外にはありませんが、企業誘致については去る2月定例議会における知事の答弁によりますと、中城湾港の後背地との関連で目下誘致業種の選択などを関係部局で研究中ということでありますので、中城湾港の後背地の整備が終わり、さらに企業が立地し、実際に操業するまでとなるとまだまだかなり先のことと考えねばならない。また地場産業の振興による雇用の場の創出も、本県の企業の97%が零細小企業だという形態から見れば、その雇用増にもおのずから限界があり多くを望むことは目下のところできません。となると、当面どうしてもそれ以外の方法でその対策に当たり、一方目下研究中とされている企業誘致関係作業のピッチを上げていく以外にはないと考えます。
県は、こういう現実を踏まえまして、知事が先頭に立って県内においては有力企業の訪問や経営者との懇談、さらには企業約1000社に対する求人協力依頼書の発送、県外にあっては関西方面における求人開拓や企業誘致に当たられております。この知事の積極的な姿勢は、従来の革新県政の場合には見られなかったもので高く評価するものであります。
ところで、本県の失業の特色は、よく言われておりますとおりに若年層の失業者人口の比率が非常に高いことであります。これを15歳から39歳までをとってみますると、各県平均の約60%に対し本県は約75%となっております。その中でもことに15歳から29歳までの文字どおり若手の場合、全国平均約40%に対し本県は約60%となっております。
そこで、私はこの若年層の失業問題に的をしぼってお伺いをしてみたいと思います。
先ほど申し上げました若年層に失業が多いという現象は、沖縄に雇用の場が少ないという理由のほかに、沖縄の人口形態に大きなかかわり合いがあるとされております。すなわち他府県の場合、大体年齢層別の入口がほぼ等しくなっているのに対し、本県の場合は15歳から30歳台の人口がずっと多くなっております。したがって他府県の場合、定年退職の年齢層にある60歳台の人たちが職を離れていくと、それと大体同数の若年層がその人たちと入れかわり職についていくために自然に雇用のバランスがとれるようになっております。しかし本県の場合、60歳台より若年層が多いところから、その差額の多い部分の若年層が年々はみ出して失業者群として滞留していく計算になっています。しかもこの傾向は、現在の人口形態からあと10年ぐらいは続くものと予想されるものであります。そうなりますと、できるだけ早く効果的な手を打たない限り本県の若年層の失業問題はますます深刻の度を深めていくことになります。
この若年層の当面の失業対策については、県内就職対策と県外就職対策に分けて考えられると思います。
まず、県内対策でありますが、これは以前にもわが党代表として代表質問をされました小渡議員が取り上げられた問題で、また去る2月定例議会においても知事の施政方針にあります人づくり問題との関係で、何人かの議員が取り上げられた資格社会への対応の問題であります。
本県は、戦前から教育熱心の県だとされてきました。この教育熱心の結果として親や社会が期待するものは何かと申しますると、手や体を汚さずに収入を得られる職、すなわち医師とか教師、公務員、事務員など俗に言うホワイトカラーになることであります。この傾向の顕著な例は、県庁や市町村などの公務員募集の際の競争率が四、五十倍とかいう新聞報道にあらわれているとおりであります。高校増設問題の際にも、技術高校よりも普通高校の設置を望む父兄の声が圧倒的に多いということにもあらわれております。反面、今年の2月、5月に行われた広域職業紹介の現地相談には応募者が極端に少なかったとされております。これは職種がホワイトカラーでないという理由だと考えられます。この事務職志向の多いことが、沖縄の失業率の高さに結びついていることは疑いを入れません。
ちなみに昭和50年の国勢調査の際の数字によりますと、県内の2次産業の中で事務系統以外の職についている人、つまりブルーカラーの人たちは68%になっております。いまこれを九州の二、三県と比較してみると鹿児島県が82%、宮崎県が78%、佐賀県が79%といずれもホワイトカラーに比ベブルーカラーたちの比率が本県よりかなり多いことがわかります。このように県内にはブルーカラーとしてならまだ就職のチャンスがあると思われるにもかかわらず、幾ら失業してもホワイトカラー以外の仕事は御免だという若年層がかなりの数いるものと思われます。
次に、国家試験によって資格を取得する職種の面から本問題を見てみたいと思います。
まず、自動車整備士でありますが、その数は全国で約150万人、沖縄は約4000人とされています。全国の1%とするならば、沖縄に1万5000人いてもおかしくはない数字であと1万1000人の余裕があります。これは本県の車の保有台数が30万台を突破し保有率では全国並みとなっていることからも言えることと思います。
次に、電気工事の資格者ですが、これが全国で約58万人、沖縄で約4000人、これを1%とするとここにもあと1800人の余裕があります。
建築士の場合、全国で約45万人、沖縄で約2000人で、ここにもあと2500人の余裕があります。
これらは1つの事例にすぎませんが、このほかにも調理師とかあるいは測量士とか、国家試験によって資格を有する職種のすべてをこのように算出していきますと相当な数字になることは明白であります。もっともその全部に直ちに就職の保障ができるわけではありませんが、こういう資格を有しておれば県内といわず県外就職の際にも大きなプラスになることは申すまでもありません。
次に、県外就職対策でありますが、県外就職の場合の最も大きい問題点は何といってもUターン問題であります。調査によりますと、就職後1年以内で離職する者は中卒で約25%、高卒で約20%、2年後には約半数が離職し、そしてそのほとんどが沖縄へUターンして沖縄で失業者となってしまうようであります。これでは幾ら新卒者の県外就職を促進しても若年層の失業問題解決ははかどりません。
以上、県内、県外に分けて若年層の失業問題のうち幾つかを取り上げましたが、それを踏まえて次のことをお伺いいたします。
沖縄の失業の一因ともなっている事務系指向に修正を加えまして技能者をふやしていく方向に持っていく必要があると思います。このことは、将来知事が構想しておられる企業誘致が実現の暁においても、たとえば1000人を雇用する企業においては事務系統は1割あるいはそれ以下で、他の900人以上はブルーカラーだということからも言えることであります。このようなことからその対応をとっていくべきだと思いますが、このことに対する知事の考え方を明らかにしてもらいたい。
2つ目、資格者の養成であるが、先ほども述べたように、本県の場合国の試験を経て資格を取得するすべての資格者の絶対数が足りません。資格を取得させることによって完全失業者の半数は優に解消できると考えられます。本問題については今後工業高校の定員を大幅にふやし、地域社会の需要にこたえるとともに失業問題の対応にも当たっていくべきだと思います、知事の所見を承りたい。なお、この工業高校の定員問題については、教育長から専門的な意見もあわせて伺いたいと思います。
3つ目、Uターン問題については、学校現場における進路指導の面と行政面の両面から対応があると思います。
企業側の声として、有能でベテランの進路指導担当者のいる学校の卒業者は定着率がよいということであります。こういうことから、本員はこういうベテランを交えた各学校の担当者の集まりが必要ではないかと思います。そこでお互いの体験や意見を出し合ってベテランが持っている知識を修得し、さらに研修を積み、各学校の担当者の力量がこれらベテランと同様に上がってくると定着率の向上に必ずプラスになると考えます。この点現状はどうなっているか、また今後のこの種企画があれば説明してもらいたい。
4つ目、次に行政面からの対応でありますが、まずUターン防止のための予算が幾ら組まれているか伺いたい。
本員がそれを伺うのは、この問題解決のためにはもっと行政面で対応する面があるのではないかと思うからであります。新卒の就職者の多い府県には、これら若者たちのいろいろな相談を受ける窓口を設けるとか、もし離職した場合には本人もしくは企業側からその窓口に通知し、本人が沖縄に帰りたいという際には事情を聴取し相談に乗ってやるか、またその県の職安を通じて他の職場に就職を世話してあげたり細かい配慮をすることによって現在増加しつつあるUターンはある程度防げるのではないかと考えます。現在の東京事務所や大阪事務所の機構を見る限りどうしても手薄の感がいたします。よって、県の行政面におけるUターン防止の現況の説明と今後の具体的対策を伺いたいと思います。
次は、畜産振興についてお伺いいたします。
わが国経済の安定成長が定着する中で、農業は国民食糧の安定的供給、国土と自然環境の保全、健全な地域社会の形成などの面で果たす使命と役割りはきわめて大きく、農業の健全な発展は一層重要になってまいりました。
これからの農畜産業の生産は、消費者の理解を得ながら、総合的な食糧政策の推進の中で需要に適応した生産と供給コストの低減に努力することが必要であります。そのためには需要の動向に適切に対応し得る地域の特権、すなわち地域の実態に適合した生産体制を確立することにあります。また価格の安定と流通加工の合理化及び消費者価格の安定供給が最も重視されるべきだと考えられます。
そこで沖縄における農林水産業の中で、最近主要な地位を占めている畜産業について現況と問題点並びに方向について所見を述べ、活力ある県政の積極的な取り組みを促し知事の意向を伺いたいと思います。
近年の統計資料によりますと、明治30年には沖縄に牛が2万9000頭で現在とほぼ同数、豚は明治35年に10万4000頭を飼養していたことが見られます。沖縄の畜産は古琉球のころから養畜が行われ、かっ産業としての地位が確立され、王朝時代は貿易品としても重要な役割りを果たし、さらに明治の中期以降目覚ましい発展を遂げまして大正10年から大正11年にかけては牛が3万9000頭、馬が4万6000頭と牛馬合わせて8万5000頭であって、豚が11万頭を数えてこれが昭和12年ごろまで持続されて、養豚の場合は昭和11年12万9500頭で当時は全国の13%に達し、家畜飼養農家は約8万4000戸で全農家戸数の90%が家畜を飼養していたのであります。
ところが現状はどうか。牛が肉用牛、乳用牛合わせて3万5000頭、豚が27万2000頭、鶏が150万羽、その他となっており、豚と鶏が大幅に伸びているほかは、肉牛が停とん状態といったところであるが、農業生産に占める畜産の地位はきわめて高く、昭和52年農業粗生産額807億に対し、32%の257億で過去10年来常に30%ないし40%台を維持し続けてきたのであります。
このように過去の畜産の実績に照らして現状を考察してみた場合、時代の推移とともに食糧需給の国際化、流通域の広域化と相まって産業構造の変革に伴い農業全体の様態も畜産の形態も多様化し一概に過去の実績と比較論評することは当を得ないかもしれないが、農業全体の基本的な問題としていま一度畜産と耕種部門との有機的機能の活用を真剣に考える必要があると思うのであります。
最近、特に肉用牛の生産が停滞していることに本員は何よりも一番関心を持ってみているのであります。すなわち昭和43年以来着実に伸びてきたにもかかわらず、昭和51年以来連続3カ年減少し続けやっと3万頭台を維持しているありさまである。とにかく肉用牛の減少はどうしても黙視するわけにはいかない大きな問題点だと思います。
県内では、目下農業基盤整備事業でりっぱな圃場整備が進められておりますが、土地改良事業による圃場整備と土づくりと畜産とがそれぞれ別個の形で行政が進められては本当の意味の土地の改良にはならないのでありまして、これらを有機的一体として効果が期せられるような施策の浸透が必要ではないだろうか。またその中での肉牛飼養、有畜営農の拡大は図れないものかどうか知事の御所見をお伺いいたします。
次に、現在含みつ糖は沖縄農業の中で悩みの種といっても過言ではなく、しかも含みつ糖地帯は面積が狭小で、その上に離島で僻地でもあります。離島僻地への作目の転換はごく限られており、キビ以外の農作物は見つからないからおいそれと転換対策ができないのが現状ではないかと思うのであります。しかしながら私は政策と施策いかんによっては十分可能な作目があると信じます。それは何であるか、肉用牛以外には考えられません。
その一例として、八重山の新城島がその見本であります。そこには食用作物、特用作物は何1つなく全島が年一点張りの島であります。この島にはキビやその他の作物はないけれども、肉牛一本でりっぱな農業が成り立っているわけであります。要するに含みつ糖地帯の島々は、今後綿密な調査と周倒な計画と資金が伴えば作目の転換は十分可能ではないでしょうか。
たとえば、特定の地区を指定いたしましてモデル実験事業を実施して漸次全体に及ぼしてもよいし、また集団的に肉牛団地造成事業でもよいし、沖縄だけにしかない作目転用特別対策事業を考え出して国に要請して実現化してもらいたいと思いますが、何らかの方法を講じて含みつ糖対策兼肉牛振興対策としてその施策を展開してはいかがでしょうか、これについて知事の御見解を示してもらいたい。
次に、肉牛の振興と関連いたしまして輸入牛肉問題についてお伺いいたします。
沖縄に輸入されている特別割り当ての牛肉は、つい最近までは生産者団体から反対の声もあったが、現在では輸入牛肉からの調整金で南産の価格安定対策、生産振興対策並びに食肉加工品対策などが施されております。生産者に対しても、消費者対策と並んで均衡ある配慮と施策が講じられているために生産者にとって有効に活用され、いまでは畜産振興上多大の効果が上がってきております。したがって特別割り当て輸入牛肉の制度及び調整金の制度は、県内肉用牛の頭数が少なくとも県の計画目標の8万頭ないし10万頭に達するまでの間、あるいは肉用牛生産振興上もろもろの条件整備が完備いたしまして肉牛農家の自立経営能力の基礎が確立されるまでは、この制度を存続されるよう強く認識しなければならないと思います。
54年度2月議会での知事の施政方針の中で畜産振興の強力な施策が打ち出されたが、さらに今後第2次振興開発計画の策定に向けても、輸入牛肉に係る調整金の活用については畜産振興の基礎をなす重要不可欠の問題として対処されるよう強調しておきます。これについての知事の御見解を承りたい。
以上をもちまして、私の質問を終わりたいと思います。
○議長(大田昌知君) ただいまの渡久地政仁君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時53分休憩
午後1時21分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
午前の渡久地政仁君の質問に対する答弁を願います。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 渡久地議員の御質問に対しましてお答えいたします。
最初の質問は基地問題に触れて6点について質疑がございましたが、順を追うてお答えいたします。
まず第1点は、実弾射撃について日本全体を含めてこれを検討してみたらどうかと、沖縄の現状からして、沖縄における実弾の演習等についてはこれは見直す必要があるのではないかという点でございます。
この点については後ほど御説明申し上げたいんですが、3者協議会において5・15メモの見直し等を中心として沖縄の演習場における条件を改めて検討していかなければならないのでございますが、この実弾演習を含めまして沖縄で適する演習であるのかないのか、またない部分については日本のどこでこれを演習した方がいいかいろいろ検討されなければならない問題でございまして、いますぐ日本のどこどこに持っていって演習をしろという確答のできないのを大変残念に思うのでございますが、大変むずかしい御質問ではございますが、実弾射撃演習については5・15メモとの関連において検討して、現地で解決できない問題についてはさらに上位の日米合同委員会にかけて見直すことが大事なことではないかと考えております。
それから基地使用協定についてでございますが、これは御指摘になりましたとおりいま政府とアメリカ側と県の3者でもって協議会を持つことには基本的な了解が取りつけられておりますので、その運営等についてどうするかこれから詰めていかなければならない問題でございまして、この3者協議会の中におきましてももちろん基地の使用条件でありまするところの5・15メモを見直すことは大変大事なことでございまして、先日東京に行きましたときも山下防衛庁長官、それからアメリカ大使、それから外務省のアメリカ局長等にもこの5・15メモの見直しについては強く要請しているところでございまして、これが作成された当時の沖縄の事情とは大分違いますので、前向きに5・15メモの見直しについて3者協議会等においてこれを検討し、さらにこれを上に上げて解決の方法を図りたいと思っておるところでございます。
それから3者協議会の運営のやり方によっては、いわゆる後追い行政――事故が起きる、その事故に対する善後策等についての対処め仕方になったのでは、いわゆる後追い行政の弊害に陥って前向きに沖縄の基地問題を見直すことができないのではないか。したがってそういう意昧で3者協議会の運営は、特に慎重にこれを運営していかなければならないし、後追い行政にならないように積極的に前向きに沖縄の基地の問題について協議していかなければならない等も指摘されましたことはそのとおりでございまして、協議の主体はあくまでも演習場における安全管理の問題が中心になるわけでごぎいまするけれども、さらに3者協議会の議題になじまない上位の機関において検討する問題等についても、ここでこれを取り上げてさらに上位の機関に訴えて解決していく体制をとっていかなければならないと考えておるところでございます。いずれにいたしましてもこの運営、議題等につきましては7月中旬に発足する予定になっておりますので、その際に十分検討して現地に対応する体制固めをしていかなければならないと考えておるところであります。
次に、伊芸の砲弾落下についての知事の見解についてただされたわけでございますが、米軍の発表、また防衛施設局の発表がございましたことは御案内のとおりであり、また後ほど警察本部長から警察の調査についての説明があろうかと思いますが、いずれにいたしましても米軍の砲弾の破片であることには間違いないわけでございまして、その点演習の安全管理について、これを重点としてこれからの基地運営に特段の配慮をするような体制を3者間で話し合っていかなければならないと考えておるところでございます。
次、CTS問題と関連いたしまして3点の御質問がございましたけれども、順を追うてお答えいたしたいと思います。
CTSの問題につきましては、御案内のとおり一番大事なことは御指摘になりましたとおりいわゆる自然保護、それと環境保全の問題とどう調和させていくか一番大事な点でございまして、沖縄の自然環境を破壊し環境保全と反するような設定をしてはならないと考えているところでございまして、そういう意味でいま審議会の構成、また審議の対象事項等についてはこれから詰めていかなければならないところでございまして、いわゆる調査会をつくって審議会にするか協議会にするか、その構成メンバーはどういう形で構成するか、議題をどこにしぼっていくかいろいろ各界の意見も聞きまして検討しなければならないと考えておりまして、その点これからの問題として十分に対処していきたいと考えているところであります。
それから500万キロリッターが革新政権時代の枠ということになっているわけでございますが、その上限についてどう考えるかということでございますが、まあ500万キロリッターということについての科学的な根拠はいまのところ明示されておりません。CTS建設に伴う埋め立ての問題等からして、また当時の通産省の調査等からいたしまして500万から1000万、2000万キロリッターといろいろ枠が設定されているようなわけでございますが、別にこれを設定いたしました科学的な明確な根拠があるとは思っておりません。
問題は、その上限についてどれぐらいの枠を設けるかということでございますが、これにつきましても先ほど申し上げましたとおり自然保護の観点と環境保全の観点からどう調和させていくか、審議会の意見等も聞いて慎重に対処していきたいと考えておるところでございまして、いまのこの段階で上限幾らという回答のできないのを大変残念に思うところであります。
次に、雇用失業の問題に触れて、沖縄の現況2万8000人の失業者の中で29歳以下の若年労働者が70%を占めておって、全国平均の40%と比較してきわめて高い率になっていると。これはいわゆる沖縄の人口構造、人口形態と申しますか、本土の人口形態と比較いたしまして15歳から30歳までの者が高い比率を占めておりまして、構造的なそういう形態から結果的には若年労働者の70%という高い比率が出されていることであり、ここ当分5年、10年の間これが続くと見なければならないという御指摘がございましたけれども、全くそのとおりでございまして、この雇用失業の問題については県内企業の振興はもちろんでございますが、また企業等も誘致いたしまして雇用の場を開拓していくことによってこの解決を図らなければならないわけでございますが、大変厳しい経済情勢の中でこの雇用の問題を解決することは大変むずかしい問題ではございまするけれども、先月関係部課長を伴いまして関西方面で沖縄の若い人たちがお世話になっている企業を訪問いたしましてお礼を申し上げ、1人でも2人でも毎年よけいにひとつ採用していただきたいというようなことをお願いして回りました。
さらに、役所関係で申し上げますというと大阪府知事、兵庫県知事、それから愛知県知事、大阪市長、尼崎市長、名古屋市長と訪ねましてその協力方を強く要請しておきましたが、特に大阪府知事、大阪市長、それから愛知県知事、名古屋市長から協力的な申し出がございまして大変喜んでいるところでございまして、そういう企業回りも続けて関東方面、九州方面も訪ねて回りまして雇用の場を開拓していかなければならないと考えておりますし、さらに企業の誘致に当たりましては、県内における誘致条件の醸成、また誘導体制の強化等を図りましてどういう企業を誘致するかこれからも引き続き検討していかなければならない問題でございますが、中城湾港の建設等の後背地等との関連におきましてもこれは一番大事な問題でございましてこれから詰めて間違いのないような企業誘致をしなければならないと考えておるところでございまして、その点当分の間は公共事業を中心として何としても当面の雇用対策というものを考えていかなければならないわけでございますが、これによって解決できるのは4000人から8000人程度のものでございまして、2万8000人という若い人たちを中心とする完全失業者
を救済するということは並み大抵のことではございませんし、皆さん方の御協力も得て積極的に取り組んでいかなければならないと考えておるのでございますが、これと雇用失業の問題と関連する県内対策、県外対策についての質問がございましたけれども、これらの問題につきましては担当部長から詳しく答弁させることにいたします。
Uターンの問題は、特に私の方からお答えしておきたいことは、本土各県の青少年と比較いたしましてある企業を例にとってみますというと、沖縄の定着率が51%に対しまして、お隣の鹿児島県が64%という同じ企業内における定着の状況を見ましても沖縄県の定着率が非常に全国一悪いとそういう形にありまするので、これは学校はもちろんのこと父兄も一体となってこの定着率を高めていく体制づくりをしていかなければならないと考えているわけでございまして、そのための指導員等も大阪、それから名古屋等を中心として5名の指導員を置いていろいろ青少年に対する指導体制を強化していきたいと考えておりまするし、さらに憩いの場といたしまして今年度から初めて東京の県人会の協力を得まして「東京ふるさとの家」というものをつくってそこで青少年たちが沖縄を思い出し、また沖縄の勉強をしながらこれからの進学の問題について、また進路の問題についていろいろ話し合う場をつくって上げなければならない。こういうことで今年度は「東京ふるさとの家」を建設したいと考えているところでございます。その防止の具体的な対策と予算等につきましては、関係担当部長から答弁させることにいた
します。
次、畜産問題に触れて明治9年から昭和初期にかけて牛の場合でも豚の場合でもそれほど変わってないという指摘の後に、いわゆる農家粗収入における畜産の比率を示されたわけでございますが、御指摘になったとおり農業収入の中で一番高いのは畜産収入の300億円でございまして、次が野菜収入の150億、それと葉たばこが30億、パインはその次でございまして20億ということで農家粗収入の中に占める畜産の比率もだんだん高い傾向を示しているわけでございまして、その畜産の問題と関連いたしましていわゆる有畜農業をやれという御指摘がございましたし、さらに輸入牛肉の調整金の存続の問題についていろいろ御指摘があったわけでございますが、これらの畜産問題に対する細かい説明につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
ただ、ここでお答えしなければならないことは、含みつ糖対策といたしましてこれはもう離島対策の重点施策でございますが、作目の転換を図れと、牛を養えという御指摘があったわけでございますが、肉用牛の増産と関連いたしまして牛を代替作目としてこれを飼育させましてどういう形で助成していくのか。いま含みつ糖生産が大体年平均いたしまして9000トン内外でございますが、ことしは大変な増産で1万3000トンが予想されておりまして、それに伴う価格差補給金等もさらに補正をして対処していかなければならないと考えておりまして、毎年毎年政府、県が一体となって価格差補給体制をとっているわけでございますが、この抜本的な解決といたしましては、何といたしましてもいまの含みつ地域で原料を増産することによって3万5000トンから4万トンの増産に持っていけば分みつ化ができまするので、これを分みつ化できる地域についてはその誘導体制をとっていくことはこれは当然でございますが、何といっても増産が期待できない、これはもうキビしかつくれないというところにつきましては、最近の含みつに対する消費が非常に減ってきたということに対処するためにも作目の転換はこれ
はもう真剣に考えなければならないことでございまして、もし政府が許せば、むしろ作目転換について政府の保障が確立されている葉たばこの栽培については各県とも毎年減らされて沖縄県だけ現状維持が認められているわけでございますが、これらの諸般の情勢を検討いたしまして葉たばこを政府の許可を得て転換作目としてつくらしたらどうか。また御指摘になったこの肉牛生産をさせるにいたしましてもそれを補う体制、政府、県の補助体制をどういう形で誘導していくか大変むずかしい問題でございますが、避けて通れない問題でございまして、沖縄の糖業政策の中でいま含みつが一番重点施策として考えて対処していかなければならない問題と考えておるところであります。
以上、私の答弁を終わりたいのでございますが、細かい答弁につきましては、また答弁の漏れたところにつきましてはそれぞれの担当部長から答弁させることにいたします。
○渡久地政仁君 知事、答弁漏れがあります。
資格者養成と工業高校の定員増の問題。
○知事(西銘順治君) 確かに本土からの求人は多いのでございますが、事務系統に就職したいという若い者が多くてなかなかその点思うようにいっておりませんけれども、これは職業訓練等を通じてできるだけ資格を取らす、免許が必要であるものについては免許を取るような訓練もやることも大事なことでございまするし、工業高校の強化の問題について後ほど教育長から答弁があると思いますが、私の構想といたしましては、沖縄の工業開発の問題と関連いたしましていま沖縄県には工業高等専門学校がございません。大体他府県ではほとんどでき上がっておりますが、この高校の存在にっきましても高度成長時代の産物として余り高く評価しない向きもあるわけでございますが、これと沖縄の伝統工芸の問題をどう組み合わせて特色豊かな工業専門学校を沖縄に誘致するか。琉大の医学部の問題が片づきましたので、そろそろこういった工業導門学校の導入の問題についても考える必要があるんじゃないか。そうすることによって沖縄の産業開発に必要な技術者を育成すると同時に、本土の需要に向けても十分対応できるような体制づくりができるのではないかとこう考えておるところでございまして、この点につき
ましても担当部長あるいは教育長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 5月2日の破片落下についての警察の調査結果はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
県警察といたしましては、事案認知とともに所轄石川署と本部が共同いたしまして現場検分を行い、現場から発見された金属片2個、これは1つは長さ16.6センチ、重さ880グラムでありますが、以下大きい破片と申します。それから長さ6.2センチ、重さ90グラム、以下小さい破片と申します。この2個の金属片及び痕跡等を採取検分するとともに、警察庁科学警察研究所の協力を得てこれら破片及び痕跡等の鑑定を行っております。さらに4回――これは5月2日、11日、12日、17日でありますが――にわたりまして現場一帯及び近接する米軍施設内において、破片や弾孔等について捜索を実施し事実の解明に鋭意努力をしているところでございます。
そこで、現在までの調査結果について申し述べます。
第1に、破片については、5月2日伊芸レストラン駐車場で発見されました大きい破片は砲弾の破片であることが推定されます。
第2に、現場の痕跡については、これを検分する限りでは北痕あたりの方向から動いた物によるものと推定されます。
第3に、付近一帯の捜索では、5月17日伊芸レストラン北東方通称ヤラジーナ及び杣山一帯の捜索を行った際、1番目に伊芸レストラン北東方約1600メートルの地点において樹木の折損等約29本、破片6個。2つ目に同レストラン北東方約960メートルの地点において、樹木の折損数本のほか地表破壊痕跡及び破片2個。3番目に同レストラン北東方約1000メールの地点において樹木の折損等17本及び地表破壊痕跡5カ所並びに破片3個等が発見されました。破片のうち1個については8インチ砲の破片であることが推定されます。しかしこれらが5月2日の演習によるものであるかどうかについては判断できません。
第4に、鑑定結果につきましては、科学警察研究所の中間回答は次のとおりであります。
1つ目に、伊芸レストラン駐車場で発見された大きい破片は8インチ砲弾の破片であることが推定されるが、小さい破片については砲弾の種類は特定できない。
2つ目に、伊芸区長らによって発見された破片、これは長さ16.5センチ、重さ267グラムのものでありますが、これについては外形的に砲弾の種類は特定できない。また火薬残渣は検出されない。
3つ目に、伊芸レストラン駐車場で発見された破片に付着しているアスファルト様のものと現場の痕跡付近のアスファルトは、石灰岩の砕片や粉末及びアスファルトを主成分としている点で類似しているが、両者の移動については判断できない。
4つ目に、伊芸レストラン駐車場のアスファルト面に認められた大きい痕跡は大きい破片によって、また小さい痕跡は小さい破片にまって形成されたものであると考えて矛盾はない。
5つ目に、実験の結果大きい破片及び小さい破片の金属片を人力で投てきすることにより、本件の現場アスファルト面に認められるような大きい痕跡と小さい痕跡を生じさせることはできないと判断される。
6つ目に、大きい破片、小さい破片及び伊芸区長らによって発見された破片はそれぞれ破壊形態、金属組織及び固さを検査したところいずれも類似している。しかし小さい破片及び伊芸区長らによって発見された破片については、砲弾の種類の特定はできない。
この事案に対する警察の調査状況及び鑑定の結果判明した事項は、以上申し上げたとおりでございます。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) 先ほどの渡久地議員の企業誘致のためには技能労働者が必要であるのでその対策はどうなっているかということにつきまして、知事の説明に補足して御説明を申し上げたいと思います。
先ほど知事の説明にもございましたように、渡久地議員の御指摘のいわゆる人口構成の若年層に占める比率の問題、それから就職の場合のホワイトカラー志向の問題、それからもう1つ資格免許取得者の不足している現状、さらに加えましてUターンが多いと、こういう点は一々ごもっともな指摘だと私たちも受けとめてございます。それに伴いまして企業、誘致するためには、やはり地元の方にそれ相当の技能を有している技能労働者が必要ではないかと、それでその対策はどうしているかという御指摘でございますので御説明を申し上げます。
現在職業訓練を実施してございますけれども、これは主としまして御承知のとおり既存の産業に対応するためにその必要な職種についての知識を修得させるために主として養成訓練、それから能力の再開発訓練、それから向上訓練と、この3つに分けて訓練を現在行っております。
新規企業が必要とする技能の訓練ニーズがあるならば、将来またこういったことが出てきますならば県立の訓練校が2校ございますのでこの訓練校、もう1つは国の事業団立の職業訓練校が2つございます。この4訓練校で積極的にこれは実施し対処してまいりたいとこのように考えております。
また、この訓練校で現在実施しているもの以外の訓練職種につきましては、その訓練のニーズ等を十分検討いたしまして委託訓練等で対処してまいりたいとこのように考えております。
ちなみに、現年度の計画を申し上げますという
と、県立の2職業訓練校で実施予定しておりますのが15科目の787名を予定してございます。それから事業団立の訓練校では28科目の1437名を現年度で予定してございます。それから向上訓練につきましては140名、このように訓練計画を立ててございます。
さらに、このブルーカラーの養成につきましては、御承知のとおり先ほど申し上げましたこの科目の中で溶接だとか、それから板金だとか、電子機器とか、塗装、自動車整備、電気工事、建築、機械といろんな科目がございましてそれぞれ養成をしておりますが、特に電気工事士につきましては現在2つの訓練校でもって資格免許を与えております。それから今後もあと2つの訓練校がありますので、そこにやっぱり認定できるような形をとっていきたいとこのように考えておりますし、また技能向上訓練を現在実施してずっとやっておりますが、これによる訓練もかなりの効果を上げておりまして復帰後現在まで1169名程度の技能検定合格者が出ております。
このように、県といたしまして従来もかなりブルーカラー養成については努力を払っておりますが、御指摘いただきましたようにこれからの企業立地を進める段階におきましてはどうしてもそういった技能者が必要になってきますので、引き続き各方面から検討を加えまして技能者養成に努めてまいりたいとこのように考えております。
それからあと1点は、Uターン防止のための対応策とそれから予算措置、これについてでございます。
県外就職者の中で毎年短期間でUターンをしてくるのが多いです。問題は短期間でUターンするということ、大体2年でUターンするのが非常に多くなっております。
これらの県外で就職している者につきましては、現在激励大会、それから父兄や就職者への啓蒙運動、それから県外事務所に派遣している広域職業紹介推進員、それから雇用促進事業団が東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、広島の都道府県に配置している沖縄関係の相談員などを利用いたしましてその定着指導を行っております。
御承知のとおり、先ほど知事のお話にもございましたように知事も先般関西方面あるいは中京地区を訪ねまして県出身者の激励をしてまいったところでございます。私どもとしましては、引き続き今後もこの県出身者の働いている各企業につきましては訪問し激励をしてまいりたいと、そして定着率を高めていきたいとこのように考えております。
さらに、これから県外に就職しようとする者に対しましては、先ほどの御指摘にもございましたようにまず第1に教育機関との連携を密にした職業指導とその相談に当たっていきたいと。それから2番目には、広域活動費を活用しての現地での事業所の見学を活発にやっていきたいと。それから3番目には、就職貸付資金制度の積極的な活用を図っていきたいと。それから4番目には、就職前の合宿訓練等、こういったものを現在も行っておりますがこれを積極的に進めまして、さらに先ほど知事の御説明にもございましたような「ふるさとの家」の活用、これなどをあわせまして短期間のUターン現象の防止、あるいはUターン防止に努めてまいりたいとこのように考えております。
予算について申し上げますと、現年度はこれらの諸活動を進めるために1030万8000円の予算を組んでおります。
ただ、一言つけ加えますというと、Uターンもなるほど非常に、52年を押さえてみましても52年のいわゆる就職者、数の上では少なくともその52年に就職した者の44%程度ののが帰ってきているという実態でありますけれども、これは50年、51年、52年をずっとながめてみますというと、これはもうずっと減ってきております。昭和50年が69.3%ですからかなり減っております。それから51年が52.6%、52年が44.1%、このように下がってまいっております。
以上で説明を終わります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 雇用失業問題対策等について、教育庁関係の御質問の2点について御答弁申し上げます。
第1点は工業高校の定員増の問題でございますが、沖縄県における工業科の生徒の占める割合は、全国平均と比較した場合ほぼ全国並みとなっておりまして、現時点においては諸般の情勢から判断して学級増の必要性はないと考えております。ちなみにその数字的に申し上げますと、高等学校における各学科別の生徒数の構成比率で工業科を見た場合に、全国平均が11.0%であるのに対し本県の場合には12.6%という比率になっておるわけでございます。
しかしながら、御指摘がありました免許取得者の育成が本県の産業界にとってきわめて重要なことであるということは御指摘のとおりでございまして、したがいましてたとえば工業高校においては基礎的、基本的な事項の修得に重点を置くと同時に、各種免許の取得のために早朝または放課後に補習講義を行うなどいたしまして努力をしているところでありまして、今後ともなお一層この面を充実強化していきたいと考えているわけでございます。
2番目の進路指導担当者育成の問題でございますが、現在進路情報の交換のための研究会を毎月1回持っておりまして、また教育庁といたしましても各学校に対し文書指導を行う一方、担当者の資質向上を図るために進路指導の講座等も開催しております。
しかしながら、これら進路指導担当者が1年ないし2年で交代する傾向があるためなかなか効果が上がらない面も実際あるわけでございまして、今後この問題については何らかの改善措置をしていく必要があると考えているところでございます。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 畜産振興について、3点ばかりありましたので知事の答弁を補足しながら回答いたします。
まず1点は、圃場整備あるいは土づくりと連携させた肉用牛の振興を図ったらどうかということ、それとさらに有畜営農の拡大を図ったらどうかということが1点でありますが、肉用牛の生産振興を図る事業としては飼料生産基盤整備事業、優良家畜の導入事業、生産奨励事業、価格安定事業等の諸事業を実施しているところであります。
御指摘のように、近年肉用牛が減りつつあるわけでございます。これはまことに遺憾なことでありますが、このことは沖縄県内における肉牛を黒毛和種に統一した県内の銘柄牛として作出しようという過程の問題ではないかというふうに考えております。これは1つだと思いますけれども、その他にもいろいろ要因があろうかと思いますが、私どもとしては肉牛をかなりの数増大させていきたいということでいろいろ施策をしているところでございます。
そこでこの肉牛の振興を図りながら一挙両得といいますか、土づくりに結びつけていくということはこれは大事なことでございますので、私どもも現在家畜導入事業を通じて小規模の家畜を導入してそれでもって土づくりに寄与させたいということも考えながら事業を進めているところでございます。
特に事業としましては、昭和52年度以降農業生産組織育成対策事業があります。これを組織的な取り組みをしているわけでございますが、今後ともこの現在実施しております農業生産組織育成対策事業の中で積極的に耕種部門と畜産部門との結ぴつきを図っていきたいというふうに考えております。これが1点でございます。
2点目は、含みつ糖地域における作目転換対策としての肉用牛振興対策についてでございますが、知事からも答弁があったわけでございますが、現在含みつ糖地域は9島ありまして、特に53─54年期でキビの生産量が9万4699トン、含みつ糖いわゆる黒砂糖で1万3427トンになっております。
現在9000トンでもちょっと多いという感じでございますが、4000トン以上も多くなっているというようなことで供給過剰の状況でございます。現在売れなくて困っているという状況でごぎいますが、含工会でもこれを心配しまして溶糖をして黒砂糖の価格を上げていくという対策をとりつつあるわけでございますけれども、私ども県としましてもいわゆる売れるような物にしなければならないということが大事だと思いまして、どうしてもやはり分みつ化できる地域は分みつ化していくということをまず挙げなきゃならないと思っております。
その分みつ化する地域として伊是名村、多良間村が想定されますが、伊是名村の場合現在1万8000トンの原料、多良間の場合2万4000トンぐらいということでまあ政令で定める基準は4万4000トンでありますけれども3万トン以上はなければならないと、これは知事が答弁したとおりでございますが、そういう生産対策が伴わなければ分みつ化できないということもありまして、分みつ化できる地域については積極的に分みつ化に向かって施策を展開していきたいというふうに考えております。
そこでどうしてもやはり分みつ化できない地域があるわけでございます。その地域においては品質の向上等図らなければなりませんけれども、可能な限り作目の複合化を図りながら対策を講じていかなければならないというふうに考えております。でき得るならば作目の転換をしていきたいわけでございますが、一挙にできませんので複合化を図りながら対策をしていきたいというように思っておりますが、その方法として特に渡久地議員から御意見のありました肉用牛、これも当然でございますが、そのほかに養蚕でありますとか、あるいは知事から答弁しました葉たばこ、そういったものとの輪作を考える必要があるというふうに思っております。
ただ、肉用牛につきましては、肉用牛の有利な地域については肉用牛団地育成事業でありますとか、肉用牛集約生産基地育成事業、農業公社牧場、団体営草地開発事業等の肉用牛生産対策を強化するための事業を積極的に導入し、肉用牛との複合経営を推進していきたいと考えております。
さらに御提案のありましたモデル実験事業については、その内容、推進方法等を検討していきたいと考えております。
3点目は、輸入牛肉に係る調整金の問題でございますが、当分の間存続させる必要があるという観点からの御意見でございますけれども、この輸入牛肉からの調整金は畜産の価格安定対策、生産振興対策並びに食肉加工品対策等に有効に活用され畜産振興上効果を上げていると考えております。
したがって、本県の畜産の振興上立ちおくれております飼料基盤の整備でありますとか、あるいは他の条件を整備するためにはどうしてもこの制度を存続する必要があると考えております。ちなみに調整金は52年度で約5億2000万徴収しておりまして、53年度で9億8000万、54年度では13億の計画をしております。
なおまた、輸入牛肉は50年が4300トン余り、51年が4100トン、52年が4000トン、53年が4200トン余りということで4000トンをちょっと超える程度の牛肉を輸入しながらこの調整金を徴収しているわけでございますが、農業団体等からも畜産公社の機能の強化を図れという強い要請もありますので畜産公社の機能の強化はこの調整金でもってやっておりますので、そういう意味からも存続をしながら対策を立てていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 宮良長義君。
〔宮良長義君登壇〕
○宮良長義君 私は、社大党議員団を代表いたしまして質問をいたします。
最初に、基地問題に触れたいと思います。
いま平和な沖縄に有事が持ち込まれていないのか、平時とはいえ軍事演習は日増しに激化し県民の生命と財産が脅かされております。平時にあってさえ県民の不安はつのるばかりです。果たして有事の場合に沖縄の平和は守れるか、非常に疑問に思うものであります。
いま沖縄の軍事基地は平和につながっているのか、それとも戦争につながっているのか、艮い目で基地のあり方を探りながら質問をいたします。
安保の3条は、日米両国が五いに協力し援助し合って敵の攻撃に抵抗する能力を維持発展させるとうたっております。これは軍事力強化を義務づけたものであり、したがって安保を堅持する西銘県政は基地機能の強化・基地機能強化に欠くことのできない軍事演習の強化について容認せざるを得ません。現に演習による実害が続出している地域での演習場の撤去や演習の中止さえも要求することができない現状であります。かかる反県民的基地行政の軟弱さは、すべて安保3条容認に基づくものであることは明らかであります。西銘基地行政が安保を堅持すればするほど県民の立場を離れ、県民の立場に忠実であればあるほど安保に逆らう、いま国策と県益の鋭い対立の中でぬぐい去ることのできない矛盾とジレンマの中に西銘県政は立たされておると私はこう考えます。この矛盾を率直に西銘さんは知事の心境の中で話してもらいたいと思います。
もし、西銘さんが良心的であればあるほどこの悩みは大きなものがあるかと思います。この苦悩から抜け出して基地の重圧から県民を解放する道はただ1つ、安保の廃棄と基地の撤去以外にはないと私は信じます。
いま西銘曝政の基地行政に大きな期待をかけることはできません。せめてもの県民に約束してもらいたいのは、現に演習による被害が続出し、また演習場の立地条件、演習種目、過去の被害実例等から、今後実窪を予想し得る演習場、たとえばキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ等については演習場の撤去、演習の即時中止を堂々と要求し県民と一体になってその実現のために闘うべきだと思います。せめてものこの県民のぎりぎりの要求に西銘知事はどうこたえようとするか、知事の決意のほどをお聞きいたレます。
次に、基地のとらえ方について質問をいたします。
社大党は、軍事基地を取り巻く情勢を次のようにとらえます。いま沖縄の軍事基地は、1977年の8月福田首相の朝鮮半島有事を想定した有事立法の研究策定を指示して以来、米極東戦略、日米共同作戦上の重要なるかなめとして位置づけられ、基地機能は一段と強化されて有事即応の出撃拠点、自由発進基地として構築されつつあると私らはとらえます。自由発進基地であることによって、いよいよ戦争に巻き込まれる危険性をはらむ基地であると社大党は見ております。
西銘知事は、かかる危険性は沖縄の基地にはないとお考えになるのであるか、見解を明らかにしてください。もし自由発進基地でないというならば、その根拠を示してください。
屋良主席は、沖縄返還について最後の日米交渉に際し告発の書ともいうべき長文の声明を発表いたしました。総理に訴える文章の末尾に、日米安保に伴う事前協議の弾力的運用によって沖縄の基地が自由使用、自由発進を認めるようなことは全く論外であり、万一そのようなことになれば祖国政府は再び百万県民を裏切ることになると訴えていました。
また1969年6月19日、佐藤総理は衆院内閣委で沖縄問題について答弁し、沖縄はいまアメリカの施政下にあって基地がどう使われようが事前協議の対象にはならない。日本に復帰すると、アメリカ軍隊に関する限り事前協議の対象となる。これにイエスと言えば沖縄から作戦行動に出て、沖縄の米軍基地だけでなく東京も攻撃を受ける。だから事前協議にイエス、ノーはよほど慎重でなければならない。イエスと言えば、私どもは戦争に巻き込まれ沖縄の住民は非常に不幸な目に遭うと答弁をしております。
両人とも、事前協議のイエスによって沖縄が出撃基地となり戦争状態に巻き込まれることの危険性を指摘しております。
ところが、この危険性が単なる杞憂でなく事実となって県民に迫りつつあることに憤りを覚えるものであります。1975年8月30日、米韓合同第1軍団司令官ホーリング・ワース氏は、朝鮮半島有事の際グアムのB52を沖縄に前進させ、沖縄から朝鮮半島の戦線へ毎時30波24時間継続の大規模攻撃を敢行し、9日間で敵を完全に撃破するという9日作戦を発表し、当時のシュレジンジャー国防長官もこれを全面的に支持しております。
去年の2月米下院外交委員会におけるブラウン国防長官も、朝鮮半島有事の際沖縄の航空兵力、第3海兵師団の兵力を当日及び2日以内に投入することをはっきりと証言しております。
さらに1975年の2月27日、米上院軍事委員会でサミエル・ジャスキルカ米海兵隊副参謀は、米軍の日本からの作戦展開には何らの制約もないとはっきり証言をしております。
かかる米側の証言を裏づける朝鮮半島の有事を想定した米韓合同演習が去年及び今年の3月実施され、沖縄の基地から両兵力が大挙投入されています。チーム・スピリットについては、去る3月27日の県議会で沖縄を直接の出撃拠点としたものであり、有事の際には沖縄が戦争状態に巻き込まれる危険性を帯びた演習であるとして全会一致の抗議決議がなされました。
以上述べたように、米側の証言やこれを裏づける米韓合同演習等は、沖縄の基地が出撃の拠点であり自由発進基地であることを決定づけたものであると言わざるを得ません。戦争に巻き込まれる危険性に対する歯どめである事前協議制も、いまや米側の一方的意思によって死物化しております。知事はこの一連の証言や演習をどう受けとめておるか、どう評価しておるのか、大事な答弁と思いますのではっきりお答えをお願いいたします。
次に、沖縄協定が調印されたとき、佐藤総理はナショナルプレスクラブで次のように演説をしております。韓国に対する武力攻撃が発生する場合、これはわが国の安全に重大な影響を及ぼすもので、これに対処するため米軍が日本内の基地を戦闘作戦行動の発進基地として使用しなければならない場合には、政府としてはこのような認識に立って事前協議に対し前向きにかつ速やかに態度を決定する方針であると述べております。この演説は、朝鮮半島有事の際は、政府は米軍の戦闘作戦行動を積極的に容認するという態度表明をしたものと解するが、知事はどう解釈されるか。沖縄が将来朝鮮有事に際し自由出撃地になるかならないか、事前協議のイエス、ノーに対する政府の方針を明らかにするもので、知事の見解をこの際明らかにしてください。
最後に、この演説における前向きとは、必ずしもイエスを意味するものでないなどと解することは単なるこじつけにすぎません。総理の演説は、英訳されて演説前に発表されております。演説の日本文の草稿は問題ではありません。英訳文そのものが日本以外の政府または国民にとって公約表明となります。英訳文では「ポシティブリー・アンド・プロンプトリー」となっております。軍事専門家はこの「ポシティブリー」は前向きと訳すべきでない、肯定的意味を持つものであるとして、政府のごまかしを強く批判しております。辞典で見ると「ポシティブ」は「肯定的な」となっております。今後イエス、ノーに対する政府の真意をこの際確かめておく必要があります。それについての知事の御見解をお示しください。
次に、CTS問題について触れます。
沖縄振興開発計画では、沖縄のすぐれた自然環境は広くかけがえのない資産であり、あらゆる開発に優先して自然環境の積極的保全を図ると述べております。この趣旨を体して、平良革新県政は昨年の2月「振興開発計画後期における課題と施策及び県事業計画」を策定し、その中で石油備蓄問題を取り上げております。
その中で取り上げたものは、これ以上の石油備蓄は抑制すべきであるとの立場に立って、抑制の理由を2つ挙げております。この1つは、これ以上の備蓄施設の立地に伴って重大な環境変化が予想されるとこう述べています。この理由は、争点のポイントでありますのでぜひ明らかにしでもらいたいと思います。
1点は、CTSを取り巻く環境の実態から、これ以上CTSを拡大することによって革新県政が指摘したように重大な環境変化が予想されるのか、それとも予想されないのか知事の明快な答弁を願います。これさえはっきりすれば、CTSの是非ははっきりするわけであります。
その2点目は、国策に対する地域の負担、すなわち危険と責任の分散をさせるべきであるとこう述べております。国策とはいえ公害をもたらすCTS、経済的メリットのないきらわれ者のCTSをこれ以上小さな沖縄に負担させるべきではない、すなわち国民が均等にその責任を負うべきで、国策による犠牲と差別を強いられてはなりません。これが革新県政の態度であります。この主張を知事はどう評価されるかお聞きします。
次に、国策に対する責任を均等分担するとなりますと、長野県のように海に面しない8県を除いて沖縄の均等分担量ははるかに500万キロリットルを下回るものだと思います。県に試算した数字があるならば示してください。
知事は、去年の12月に記者との対談で、CTS公害はそれほどでない、500万キロリットルつくろうが倍つくろうがそう関係はないと述べております。昭和46年10月から53年の12月までの7年間に、しかも原油備蓄量の188万キロリットルの段階で流出事故19回、油漏れ4回、火災事故2回、タンカー座礁1回、悪臭発生数回、流出総量はドラムかんの1262本、その他海の汚染による水産物水揚げ量の減少等、知事はかかる実態を百も承知の上でCTS公害はそれほどでないとよくも言えるものか疑問であります。公害は大したことはないと言い張るならば、その数字的根拠を示してください。
知事は、環境保全に努めれば公害は防げると答弁しているが、油の流出や油漏れ、タンカーの座礁等はほとんど船舶によるもので、1975年の全国の油の汚染を統計上見てみますと、不注意によるミスが58%、海難事故で13%となっております。この数字から申し上げますと、環境保全とは余りかかわりなく発生しております。知事の主張する環境保全に対する具体的な措置を、環境保全のためにこういうことをするんだと、これを納得のいくように御説明願います。
西銘県政が発足以来、CTS拡大を打ち出しCTS産業界、県内既存企業等も次々と拡大策に意欲を強め、沖縄の島々はCTS立地にねらわれた島となっております。これ以上の拡大は許してはならないとして、CTS反対県民会議がいよいよ6月の12日発足する予定となっております、今後西銘県政の拡大政策に対決し、幅広い住民運動が展開されることは必至であります。
去る2月議会において、かかる反対運動が展開されるならばその説得に努め協力させたいと答弁をしております。CTSの闘いは県民の命と暮らしを守る闘いであり、沖縄の自然を守る闘いであります。知事の説得に屈して拡大政策を容認するような軟弱な革新側ではありません。CTS阻止の住民運動に対し知事は今後も拡大するための説得をするつもりか、おそらくこれは徒労に帰すでありましょう、お答え願います。
次に、石油備蓄基準審議会を設置して備蓄拡大基準を検討し、各離島島々の立地についても検討すると発表しておる。かかる審議会は備蓄拡大を前提とするものであって、わが社大党はその設置に反対することを明らかにいたします。
特に沖縄の各離島は、海に囲まれ漁業と農業、観光産業によって生活が支えられております。CTSは島の産業を破壊するもので、離島振興の立場からも容認できるものではありません。そのことは多良間村、与那国町の地域における住民の反対の動きでも明らかであります。そこで審議会設置の時期はいつをねらっているか、構成員の条件、審議会の構想のあらましを御説明お願いいたします。
次に、かかる審議会を設置して離島について1つ1つ立地適格地、不適格地かを限られた審議員でチェックしていく、適格地だと決まれば国と県が一体となって立地の推進をしていく、こういうことになるかと思うが、たとえ候補地に挙げるだけでも、かかる作業は地方自治体の自治を侵害することはないか。島の運命を決定する問題に、この島は適地、この島は不適地とこういうことを審議会はやっていいのか、そうすることによって結果的にはますます拡大の方向へ進むことはないか、私らはこうとらえるのであります。
多良間、与那国のCTS問題は、多良間においては挙村一致の反対運動があり、また波紋を投げた与那国では島ぐるみの運動はなかったにせよ、全革新政党、地元市町村長、民主団体等が反対意思を表明いたしました。今後審議会において各離島の検討をすると思うが、この問題になりました多良間、与那国も審議の対象として検討されるのか。もうこの2つの島は許してもらうのであるかどうか、これについても地元に関係する問題で特に質問いたします。
次に、審議会の設置に向けて各島々でCTSに対する反対世論が形成されて反対の意思が確認された時点では、今後審議会の対象から外してもらうかどうか。そういうことは問題じゃない、一応審議するんだと、すなわち世論を抜きにして検討が始まるのかどうか、この点を心配するものであります。
今年の1月、沖縄石油基地企業から第1次建設計画の完了次第、2次計画の29基290万キロリットルの建設のあることを知事に伝え県の協力を1月に申し入れております。知事はそれに対して、国策に協力する立場に立って検討をしたいと語ったと新聞が報道しております。
同計画は、すでに確保された用地における計画されたもので、この2次計画が実現すると800万キロリットルを超すことになります。今後該企業からの開発申請に対しては知事はどう対処されるか、すんなり許可を与えるものであるのかどうか。
次に、4月13日の地元新聞で与那国へのCTS誘致の動きがありと報道されて以来、情報の出所が明らかでないまま与那国石油騒動が広がり、地元住民の疑惑を残したまま一応鳴りを静めております。
今回の石油騒動には、与那国の町長と西銘知事の言動が油を注いだような感じがしてなりません。知事の発言で、与那国町長から非公式にCTSについて話を聞いたことがある、比川は島の南側で北風や台風でも波が穏やかで安全性が高い、比川一帯は外洋であり万一の場合も県内に及ぼす影響はない、町長から正式申請があれば許可についても検討してみたい、立地交付金もあるではないかなどなど、この一連の発言は立地を前提としない限りおくびにも口に出せるものではありません。与那国CTS問題の動きの中で、知事の発言には慎重さが欠けていなかったか。かかる発言によって知事自身に対する疑惑と誤解を招く結果にもなったのじゃないか、知事の反省のほどをお聞きいたします。
最後に、東京における知事と町長と企業の会合、これが報道されたが、知事はそれを肯定し、町長はこれを否定しております。どれが真実か、これはやっかいな問題である。将来CTSが起こる前にそういう疑惑がないようにものを解決しないと、知事自身もどうもこれは知事が火をつけたんじゃないかなと思われるし、町長もそう思われる。しかも少なくとも2人とも選ばれた選良ですから、こういう際に議会で明らかにしてください。以上をもちましてCTSは終わります。
次に、知事の政治姿勢についてお聞きいたします。
知事就任後の1月12日の議会において、B52核戦略爆撃機の飛来に対する厳重なる抗議と今後いかなる理由があるにせよ絶対に飛来させないようにとの要求、次にキャンプ・シュワブ軍事演習場の即時撤去、同演習場における一切の演習中止の要求がなされ、さらに3月27日の議会におきましては、米韓合同演習、県道104号線封鎖による実弾演習、ハリア垂直離着陸機の演習、沖大東島周辺におけるミサイル発射演習等に対する厳重抗議と演習の即時中止を要求する決議がなされました。
これら一連の決議は基地強化につながるものであり、県民の生命と財産を脅かし、また沖縄の自然を破壊するものであるとの理由で抗議し演習の即時中止を要求する決議となっておりました。しかもいずれの決議も思想、信条を越え超党派的立場に立って全会一致の決議となっております。
そもそも議会の決議は県民の意思であり、知事が真に県民の立場に立ち県民の命と暮らしを守るという基本姿勢があるならば、この県民の意思を尊重し勇気を持って米軍に、政府に堂々と抗議し要求し、かつその実現のために最善の努力をすべきではありませんか。しかるに知事は、何らこの県民の意思にこたえてくれませんでした。安保のとりことなり、安保に振り回された知事の基地行政の弱さに県民は憤りさえ覚えるものであります。
以上述べましたそれぞれの決議は、基地の重圧に苦しむ県民にとって重大意義を持つものだと思うが、知事はこれをどう評価されるのか。決議に沿うて抗議や要求ができなかった理由は那辺にあるか、議会の意思を自分が守らなかった原因は何か。今後基地関係で全会一致の決議がなされた場合、これにどう対応しようとするのかこの点をお聞きします。
次に、知事は去る臨時議会で、4月2日、3日にわたる日本共産党沖縄県委員会、日本共産党県議団の会見申し入れ問題について共産覚議員から追及されて、それに対し知事は、それは知事公舎での米4軍司令部及び自衛隊幹部との懇談会に関する内容であったので拒否したんだと、こう答弁をしております。
いやしくも共産党は、公認された公党であります。沖縄の民主主義と平和のために闘ってきた政党であります。議員団も選挙によって選ばれた県民代表であります。会見内容のいかんにかかわらず思想、信条、主義、主張を越えて共産覚から批判を受けようが、抗議をされようと対等の立場に立って快く話し合いの場を持つべきではないか。かつて共産党とは一線を画すると発言がありましたが、それは政策上の一線を画するとわれわれは理解しております。今回の拒否には、納得のいく理由も示さないまま拒否しただけに、共産党は全く相手にしない、共産党とは問答無用だという態度以外の何物でもありません。かかる姿勢は、民主主義を否定する暴挙であり不遜傲慢な態度と言わざるを得ません。
今回の共産党への会見拒否を許すことは、今後革新全野党に対する拒否にもつながると思います。知事の猛省を促し、今後に対する知事の姿勢についてお答えを願います。
次に、人事問題にちょっと触れます。
雇用状況の厳しい中で、公務員試験をパスしても職にありつけないという若い人々が数多くおります。秘書の採用について、公務員試験をパスした者か、その他の者でも秘書としてその職務を果たし得る適格な人物を物色することは可能であったと思います。知事の息子以外に適格者がいなかったのかどうか。しかも将来政治家にするため県庁入りさせたというに至っては全く筋が通りません。自分の子供を起用した理由を県民が納得するように御説明願います。どうしても適格者が物色できなかったというなら、できなかった過程についても御説明ください。
採用手続に瑕疵があったとは言いません。秘書採用に慎重さが欠けて情実人事となり、政治の私物化にもつながる問題として住民の批判を受けたと思います、住民の批判をどう受けとめ反省しているかお答えを願います。
最後に、われわれ社大党は「730」営業損失問題についてはこういう観点に立っております。
「730」は県民が変更を望んだものではない、国の意思で変更せざるを得なかったということ。2番目に、変更の結果本土国民がこうむらない損失をひとり沖縄県民だけが受けたこと。この損失は何ら県民に責任を負わす理由はなく、国の責任において補償すべきであるという立場に立ちます。
この問題をたな上げすることは、県民を差別と犠牲に追い込むことになります。知事は従来の姿勢を変えることなくこの正しい要求が貫徹するように最後まで折衝を重ねるべきだと思うが、知事の御見解を聞いて質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの宮良議員の御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は基地問題と関連する質問でございましたが、前もって通告されておりませんので質問の内容が全然とっぴに出てきましたので答弁になるかならないか、また満足のいくような答弁になるかならないかわかりませんけれども精いっぱいお答えしたいと思っております。
質問の第1点は、安保と基地の問題について触れられたのでございますが、沖縄の基地については、これは何遍も申し上げましたとおり沖縄以外の本土の米軍基地の態様とは違っております。すなわち戦争に負けて米軍の占領となり、占領に引き続いて平和条約によって司法、行政、立法の3権をアメリカが掌握することによって基地が強化されたのであります。次に復帰に際しまして、基地を縮小整理してから本土に帰るということになるというと何年たってもこれは復帰ができないということで日米間でいろいろ話し合われたのであるが、いまの基地を何とかして枠をはめて本土に帰る以外に方法はないではないか、いわゆる現在の基地を認めた形で返還がなされましたことは御案内のとおりであります。
ただ従来の自由発進とは違いまして、安保の枠を受け行政協定の枠の中でこれは基地が機能するわけでございまするから、当然日本とアメリカとの間で結ばれた条約の規定に従っていわゆる配置の重要な変更について、あるいは装備の重要な変更について、さらに戦闘作戦行動の基地として使用する場合について、この重要な3点の変更については事前協議の対象となることによっていわゆる日本政府の承認を得ることがその前提になるのでありまするから、したがいまして復帰前の態様とは全然違いまして安保の枠がしっかりはめられ、重要な変更については事前協議の対象となったことは御案内のとおりでございまして、そういう歴史的な認識の上に立って基地の問題を論じていかなければならないと私は考えているわけでございます。
そういう観点に立ってこれからの御質疑に答えたいと思うのでございますが、演習場の見直しにつきましては、先ほどの質問に対しましてお答えしたとおりであります。いわゆる沖縄の演習場については5・15メモによって示された基準によって、示された条件によって使用することに相なっているわけでございます。したがいまして当時策定されたこの基地使用の条件というものが当時とは違いまするので、何としてもこれを見直さなければならない。そのことを先ほども申し上げましたとおり防衛庁長官、外務省、それからアメリカ駐日大使にお会いいたしましてその点を強く要請しているわけでございます。その点から演習場を含めたいわゆる基地の使用条件等に伴う5・15メモの見直しということで強く要求をしているところでございます。
次に基地のとらえ方、社大党の考え方としていわゆる基地は強化され、自由発進の基地であり、作戦行動の基地であると、こういう基地のとらえ方を社会大衆党はしているという――を前提にして質問があったわけでございますが、これは条約に関する限り、取り決めに関する限り間違いでございまして、沖縄の基地は安保の枠がしっかりはめ込まれておりまして、復帰前の自由発進、また自由使用と全然趣を異にしているわけでございまして、その点社会大衆党の基地のとらえ方は、私は基本的な線において間違っていると指摘せざるを得ないのであります。
それから朝鮮戦争における作戦行動の基地として使用されたことはこれは復帰前の話でございまして、これはアメリカが沖縄における司法、行政、立法の3権の権限を一切合財握っておった時代でございまして、当然安保の枠をはめられた現在の基地の態様とは異なることを御理解いただきたいと思うのであります。 (「中身は知らないんじゃないの」と呼ぶ者あり)中身の問題についてはこれから検討されることでございまして、御指摘になったとおりでございまして、この点につきましてはこれからの中身の問題を含めてアメリカとそれから日本国と沖縄県とその3者間で協議会が持たれますので、先ほど申し上げましたとおり5・15メモを中心とする見直し、さらに安全管理の問題等々について話し合い、しかも3者協議会の対象になじまない上級の機関で決定する問題については、日米合同委員会等の上位機関にこれを持っていってそこで解決する体制をとっていかなければならない、逐次行政の枠内において現実的な処理をしていかなければならないとかように考えているところであります。
基地使用についてのいろんな文書等を引用しての御指摘がございましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、全然質問の通告がございませんのでその内容がまだ準備されておりませんので、その点完全な満足のいくような答弁にならないことをお許しいただきたいと思うのであります。
次に、CTS備蓄問題について御質問がございましたのでお答えしたいと思います。
私がたびたび申し上げていることは国策かもしれませんけれども、これは事実の問題として認識をしていただかなければならない問題であります。日本のエネルギー源の70%は石油に依存しているわけでございまして、その石油の99.7%は外国に依存している情勢でございます。いま農業、水産業はもちろんのこと産業全体、特に工業の問題を考えるときに、石油の問題はきわめて重要な問題であることはこれは私が御指摘申し上げるまでもないことでございます。
現在アメリカは、石油の輸入について補助金を出してまで備蓄を行っているような現状でございまして、アメリカの石油輸入に対する補助金の支出が先進ヨーロッパ諸国のひんしゅくを買って問題になっていることは御案内のとおりと思うのであります。したがいまして国の施策といたしまして、また先進諸国の方向といたしまして、石油の備蓄の問題はどの国におきましても重要な施策の一環としてこれが取り上げられておるのであります。
すなわち、先進諸国におきましてもヨーロッパ先進国を例にとりまするならば、備蓄の目標といたしまして大体102日前後の備蓄がなされているような現状でございまして、一番備蓄目標を達成して豊かな備蓄を持っておる国が山国のスイスでございましてスイスは現在140分の備蓄を持っておりまするし、ドイツにいたしましても100日を超える備蓄を持っておりまして、わが国は残念ながら90日備蓄を国家の目標として設定されておりますが、現在のところ90日にも足りません。八十二、三日分の備蓄しかないことは御案内のとおりでございまして、それほど石油問題はわが国の国民生活にとりまして大変重要な問題でございまして、その意味におきまして備蓄の問題についてお互い理解を深めていかなければならないということを申し上げたいのであります。
ただ、この備蓄の問題につきまして先ほどからの御質問にもお答えいたしましたとおりこれは自然の保護、それから環境の保全という問題とどう調和させていくか。むちゃくちゃな開発は許されないわけでございまして、CTS問題に関する限り私の率直な感想を申し上げますというと、私が言わなかったことも新聞に発表されたような形でございまして新聞が先走ってどうも書いたような感じがしているわけでございますが、基本といたしましてはそういうことでこれは避けて通れませんので、これは産業開発とこの自然環境の保全との調和という問題は避けて通れませんので慎重にこれについては対処したい。
上限の問題、原油だけじゃなくて精製品を含めまして現在認可されているものが完成いたしますというと500万キロリットルではございません。優に650万キロリットル近くの備蓄がなされるわけでございますが、この現在の上限をどうするか、これは先ほど申し上げましたとおり審議会にするか協議会にするか各階層の意見を聞いて自然環境の保全、また自然保護の観点等からいたしまして慎重に対処するということは申し上げたとおりでございまして、むちゃくちゃな開発を許そうということでは決してございませんので御理解いただきたいと思うのであります。
環境の変化はどうかと。
環境の変化は人間がやらない限り環境の変化はそれほどあるわけではございませんので、環境の変化がありといたしまするならば産業開発との関連においてどう変化していくのか、これは農林水産業との関係、工業との関係を含めて環境の変化はこれは人為的にされるわけでございまして、いまそういう環境の変化があるかということでございますが、御承知のとおり金武湾を中心としていまCTSが設定されている段階でございまして、その他の地域にはCTSは建設される予定もございませんし環境の変化ということは当然予想されるものではございません。現在の段階では私は御指摘になった環境の変化はないものと思っております。
それと国策による負担と危険の分担についてということでございますが、たとえば日本の備蓄目標を90日分といたしましてこれを海のない8県を除いて40県近くでその数量を割った形で各県石油備蓄をやるべきではないかと。
そういう考え方もあるかもしれませんけれども、これはその府県、市町村の考え方というものが大変重要なことでございまして府県、市町村の協力がなければこれはできる問題でもございませんで、したがいまして備蓄目標を30数県で割ってその分だけ負担すればいいじゃないかという考え方はどうかとも思うのでございますが、そういうことでその線に沿って沖縄の現在の備蓄量は少し負担が大きいではないかと、したがってよけいな危険を分担していることになるのではないかということでございますが、危険の排除、公害の排除についてはこれは石油備蓄法、消防法、その他の関係法令で十分その基準が設定されておりまするし、その基準に沿っていろいろな危険排除の措置がなされておりまするのでその線を十分対処していけば問題はないわけでございまして、それにしてもまあ危険というものはこれはもういつ来ないとも限りませんので、だからといって危険は全然ない、100%ない、関係法令の基準に従って危険排除、公害排除の体制がとれればこれでもう安心だというわけにはいきませんけれども、一応はそういう基準に沿って排除の体制がとられれば、私はそれほど心配することはないと考えております。
それから環境保全の具体策、危険の排除等についての細かい説明はそれぞれ担当部長から説明させることにいたします。
幅広い住民運動に対して知事はどう思うかということでございますが、私はいまのような線に沿って日本におけるエネルギー問題の占める重要な役割りと申しますか、いかに日本経済にとって国民の生活を本当にそのままの形で維持できるか、そのままの形で日本の経済を発展させることができるかどうかという問題についてエネルギーの問題を離れて考えることはできませんので、そういう世界の情勢から、日本の情勢から木を見て森を見ざるたぐいの議論をしないように、そういう方向に走らないようにある程度の理解と認識を持ってCTS問題に対する理解を深めていくということは私は大事なことでございまして、その線に沿ってやりたいとは思っておりますが、何しろ金武湾の何ですかあれは金武湾を守る会ですか、構成団体が大変おかしいものが、おかしいと申しますか人数を決めて会おうとするんですが、人数を限定して会おうと思うんですが、全部でなけりゃだめだということでいま2回とも会っておりませんけれども、そういう幅広い住民活動が起こるにいたしましても私としてはCTSに対する気持ちはいまのところ何ら変わっておりませんし、そういう人たちにもできるだけ理解をしていただくよう
なことで話を進めていきたいとこういうことでございまして、住民運動が起こるからお前大変なことになるぞという何かおどしに似たような質問になってまいりまして私大変不愉快に思っているわけでございますが、そういうことではなくて理解をさらに深めていかなければならないということでございます。
それから審議会はいつから発足するか、そのメンバーの構成、審議の対象等々については現在調査会を設けて慎重に対処しているところでございまして、いまのところいつ発足する、構成メンバーをどうするという具体案を発表できないのを御理解いただきたいと思います。
それから多良間と与那国の問題について、審議会においてもこれは島ごとにチェックをしていくのかと。
できればこれは沖縄全体、島1つ1つについてどういうことになりますか全部対象になるのか、沖縄全体としてこれを考えるのかこれは審議会で検討することでございまして、まあいずれにいたしましてもこの自治体の意思というものを尊重するということがたてまえでございまして、自治体の考え方を無視してそこに無理やりにCTSを設置するということはできないわけでございまして、市町村、県の協力がなければCTSの建設ができないことは御指摘のとおりでございまして、したがって与那国、多良間が反対すればそれは審議会の対象にはならぬで済むだろうとこういうことでございます。審議会ということは基本的な基準の問題、具体的な設定に当たっての守るべき条件等についていわゆる基本的なものを決めるだけでございまして、開発の問題はそれぞれの関係法令に従ってそれぞれの市町村において自主的に決定され県において決定されることでございまするから、多良間が反対したら審議会の対象にはならないだろうというようなことは少し理論としてはなじまないのではないかと思っております。問題は、具体的に建設がいよいよ決まった段階で自治体の協力が得られるか、県の協力が得られるかとい
う問題で、審議会の対象自体として島の具体的な建設の問題について一々審議の対象になるとは考えておりません。
それから第2次計画について認可するかどうかと。御指摘になったとおり平安座島と宮城島の間は屋良さんの時代に埋め立てが認可されまして、全部あれはCTSを建設するための目的で埋め立てされましたことは御案内のとおりでございまして、現在半分しか使っておりませんし半分は残っておりまして、その半分もそういうために認可をしたのであるからまあ認可するのが私はいいのでないかと考えているわけでございますが、それについてもこれから審議会等に諮っていろいろ検討してみたいと思いますが、2次計画についてすぐこれを許可するかしないかについては、いまのところ決めておりません。ただ、従来のCTS関連企業について、地元産業を無視したり地元の意向を無視していろんなことが計画されておりますので、第2次の計画に当たっては、第2次製品の輸送の問題にいたしましても沖縄と関連する産業の問題につきましても、あくまでも地元の企業を優先して考えるとか、地元の企業を優先して対処するとか、そういうような形でやらない限り私は第2次計画についてはやりたくない。せっかくCTSを建設するのに、関連産業について地元の企業を圧迫する、かえって圧迫するどころか地元の持っ
ている企業の利益を剥奪するような形においてCTS建設が進められてはならないんでございまするから、そういうことを基本といたしまして第2次の認可に当たっては強くその点を強調していきたいと考えているところであります。
与那国町長と知事の意見の食い違いでございますが、これは新聞が報道しているわけでございまして、私は町長と会っておりまして町長からCTSをつくりたいと話を聞いただけでございまして、あとは尾びれがついていろいろ報道されておりますが、私は与那国の生まれでございまするから、長義さんと同じ八重山ではありますが、与那国で生まれて与那国で育っておりまするから与那国の地勢については与那国の財政状況についてはあんたよりも私の方がそれだけ身をもって実感しているわけでございまして、郷里を思う気持ちからこの問題を論じているわけでございまして、与那国町の発展を考えないでむちゃくちゃにCTSを開発して与那国の久部良バレーとか、天蛇鼻とか、サンニヌ台とか、アガザキの灯台とか、そういう与那国の持っている名所旧跡をつぶしてまでCTSをつくろうなどとは私の基本的な考え方にはございません。あくまでも与那国の発展と与那国の自然との調和の中においてこれをどう対処していくかということでございまして、指摘されましたことにつきましては全く心外でございます。
東京会合につきましては、私は当時党関係、国会議員の昔の古い仲間との会合がございましてその会合の後で出席いたしておりましてそのとおりでございますが、そこで与那国のCTSの誘致の問題について具体的な話は何にもございません。皆さん方が勘ぐるような取引の問題、そういうものは全然ございません、淡々として飲んだだけであります。
それから知事の政治姿勢について御質問がございました。演習の即時中止、これは県議会の決議でございまするので、その内容の線に沿ってこれはわれわれも行動しなければならないことは当然でございまして、これは尊重しなければならないと考えております。
知事は安保のとりこになっていわゆる演習を認め基地を認めるということでございましたが、基地を認めたら演習を認めるということでございまして、これは安全保障条約上わが国は施設区域の提供義務がございまして、そういうことで復帰の場合の提供義務という形で米軍占領統治に引き続いてあの全日本における53%の基地がそのまま引き継がれて施設区域の提供という形で安保の枠がはめられましたことはそのとおりでございまして、安保の枠のとりこになるとかならぬとかの問題じゃございません。安保が沖縄の地域に適用されない以前から沖縄の基地というものはきわめて米軍のそういう占領行政の中で、また統治の中で一強化されたという事実をしっかりとお互いは認識して、その上に立って現在の演習地の見直しということについて現実的な処理の方法を考えていかなければ具体的な解決策は出てこないとそういうことでございまして、安保の枠に安保のとりこになっているわけではございません。
それから日本共産党の面会申し入れでございますが、これはできるだけ会っているわけでございます。私は拒否しておりません。たびたび会っておりまして、きのうですかおとついですか、古堅さん以下県議団の方々ともお会いしていろいろ詰めているわけでございまして、会わないということでは決してございません。
そういうことで、私はこの問題についてはいわゆる問答無用の態度で対処しているわけではございません。ただ私が面会をしなかった理由について意見の食い違いがあったわけでございまして、それがもとでああいう大声を張り上げてどなり散らすようなことになったわけでございますが、そこは私はですね、個人であろうが、これは愚痴かもしれませんけれども個人であろうと、公認された政党であり公認された団体であろうと同じだろうと思うんです。もともと道義的にも政治的にも会うわけでございますが、私は知事が個人が、会う会わないは私が決めることである、本当は。だから公認された政党であれば、知事に対して面会を強要できるかと私自身も非常に悩んだわけであります。したがいましてその問題について秘書に対する面会申し込みの話と、秘書から私が聞いた話の食い違いでああいうけんかになったような形になっているわけでございますが、そういうことで秘書を呼んで秘書の責任といいますか、聞いたらいいだろうという話等も出たわけでございますが、これは内部の問題で、秘書の取り扱いの問題等についてもこれは私が決めることで皆さん方の干渉は受けないということで古堅さんとの間にあ
あいうやりとりになってテーブルをたたいてのけんかになったわけでございますが、会うと約束して会わなかったらこれは大変約束違反で道義的にも政治的にも問題になるわけでございますが、理由が理由であっただけに会いたくないということで拒否しただけであって、これからは、いつでも拒否するということではございませんし、いつでも虚心坦懐に会う用意は持っておりますので、その点特段の御理解をいただきたいと思うのであります。
秘書の人事につきましては、いま御指摘になりましたとおりこれは特殊な業務でございまして、四六時中24時間知事につきまとうと申しますか、行動をともにしなければなりませんので、御指摘になったこと等も頭に入れていろいろ考えたあげく、思いあぐんだあげく決定したことでございますので特段の御理解をいただきたいと思います。
「730」の交通変更に伴い住民の受けた損害の賠償の問題、補償の問題につきましては、当然これは国の責任において負担すべきであるという基本的な考え方に立って調査もしいろいろ要請しているところでございますが、資金的な融資の面での解決が中心でございまして、これを補償するという段階になりまするというとその補償の基準を選定してこれを拾い上げることに大変むずかしい点がございまして沖縄開発庁はその線で非常に難渋いたしているわけでございますが、しかしそれでもどうしても洗いに洗ってなおかつ当然これは国が補償しなければならないという問題については、さらに折衝を続けてその実現に向かって努力したいと考えておるところであります。
○議長(大田昌知君) 宮良長義君。
〔宮良長義君登壇〕
○宮良長義君 第1点、知事は社大党の基地のとらえ方は誤っておるとこう言っておりましたね。これに対しまして去る3月27日の県議会で、沖縄を直接の出撃拠点にしたものであり有事の際は沖縄は戦争状態に巻き込まれる危険性を帯びた演習であると言っている。これは何を物語るんですか。これは自民党も一緒になって決議したんですよ。われわれだけの決議ではないんです。これが民意なんですよ。何もとらえ方は誤っていると、こういう危険性があるということは間違いないでしょう。だからして満場一致で決議したんです。もう一度これに対する態度を………。
次には環境の変化はないと言っている。これはわれわれが指摘したのは重大な環境変化、これは公害を意味するんですよ。公害につながるという意味であってね、ただ環境の変化はありませんとこれじゃ答弁になりません。果たしてCTSは公害につながるかつながらぬかです。つながらぬというならこういう事故は起こさぬでしょう、それだけでもはっきりします。
もう1つは、われわれ革新側の阻止運動に対して説得をすると言っておられる、これは結構。私の質問に対して、おどしみたいなことはやらぬ方がいいという意味のことを言っている。これはおどしととるの。そう、いう意味の発言をしている。何もおどしていませんよ。素直に答えればいいんです。これもはっきりしてください。
一応この2つの質問をして終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 基地のとらえ方は、その基地が設定された経過、また基地が現在置かれている法律上の根拠、こういう問題等々を中心としてこれは決定さるべき事項でございまして、それを基本とする限りあくまでも安保の枠がはめられていることは御案内のとおりでございまして、重要な変更については事前協議の対象となってわが国の承認を受けなければならない。しっかり安保の枠がはまっているわけでございまして、皆さんの御指摘になるような自由発進基地ではございません、作戦行動の基地にはなっておりません。そういうことで皆さん方の規定は、その点に関する限り基本に関する限り誤りであるとこういうことを御指摘申し上げているとおりでございまして、現在の演習がそのまま基地の態様の変化につながるものではないと私は考えております。
それから環境の変化はあるかということでございますが、もちろんこれは私が申し上げているとおりあくまでもこれは自然保護、それから環境保全との調和の点が問題になる、これを無視してむちゃくちゃにCTSをつくろうとは言っておりません。これは皆さん方が宣伝しているだけであって、私はそういうことを言ったことは一遍もありません。あくまでも環境保全の形において沖縄の持っている自然環境、この美しい自然は、この歴史は永久に保存しなければならないということを基本にして申し上げているとおりで、私がCTS拡大に真っ向から無限に広げようというのは皆さん方が宣伝していることだけであります。そんなことはありません、はっきり申し上げておきます。
それからCTSについてこういう理由があるからこれは反対すべきであるというならまだわかります。この間の質問もそうでございましたが、きょうの質問も大衆運動で押しかけてきてもあなたはなおかつCTSの問題についていまの態度を変えないかという御質問でございまするから、とりようによっては大衆運動によっておどしをかけてもお前まだCTSをやるつもりかというのと同じにとれるんじゃないですか。(「違うよ」と呼ぶ者あり) いや、とり方は私の自由の問題である、なければないで私は結構だと思います。
○議長(大田昌知君) 田場盛徳君。
〔田場盛徳君登壇〕
○田場盛徳君 若干順序は違うと思いますが、さきに通告いたしました事項について社会党所属県議団を代表して質問を行います。
知事は、就任早々芸術大学をつくると大々的に打ち出し発表されました。しかし最近は工業専門学校構想が浮かび出てその芸術大学がしりすぼみになっておるんですが、どうなっておりますか。沖縄の占いことわざに「御口三司宮、御胴びいーる」というのがあります。これは孔子が言った「君子は行いをもって言い、小人は舌をもって言う」というのと同じ意味ですけれども、少なくとも打ち出したものについて御口三司官になられぬようにはっきりした御答弁をお願いします。どういう構想でいつをめどにしてつくられるのか、ひとつお答えをください。
次に、CTSについては先ほど質問がありましたので、最近金武湾を守る会が2回にわたって知事室に会いに行きました。しかも2回目は秘書から日程をとってもらってきたということでありますけれども、知事は人数の関係だということで顔を出されなかったようです。知事はCTSについて直接被害を受け、また本土視察をしたり、学者を呼んでいろいろ研究したり積極的に取り組んで検討している現地の金武湾を守る会と直接会って話し合いをし、意見を聞かれる用意があられるかどうかお伺いをいたします。
基地問題についてお伺いしますが、この問題に関する限り知事に対する県民の不満が大きいことを御承知だと思います。
知事、米軍演習に関する限り毅然たる姿勢を持たないと、県民の生命や財産を損ねてからではおそいですよとまず申し上げたい。知事は5月19日の臨時議会で米軍演習が激化したとは思わないとか、あるいは基地を認めたからといって被害まで認めたわけではないといって演習容認の姿勢を示されましたが、いまでもそう思っておられるのか。防衛施設庁の古賀参事官あるいは多田施設部長も、去る4月の県議会代表団に対して沖縄での米軍演習回数が最近増加していると認めるとともに今後安全対策の強化に努めていくと答弁しておりますが、知事は激化しておらないとあのときおっしゃったんですが、もっとやってよろしいというお考えなのか、本当にあのときと同じような気持ちであるのか御答弁をお願いしたいと思います。
県民は、「アメリカーターヤ、ドゥクアマグィートビィシガ」とか、「西銘サンガ知事ニナタクトゥ、アメリカーターヤボーアガイッシ」とか、「ホーラセー、ハナマディホーユシガ」というふうに目に余る米軍演習に対して心からの怒りといつどんな事故が起きるかしらぬという不安を抱いております。知事が言われた被害のない演習というのは一体どういう内容なのか、被害のない演習というのがあるのかどうかお答えをいただきたいと思います。
5月の17日ごろですが、私が具志川市内の米原に行っておりましたときに、ヘワコプターが14機これは米軍のですが、編隊でしかも操縦士が見えるようなそういう低空でこうやってきたので、外で遊んでおった子供たちが驚いて泣き出して家の中に駆け込むとこういうことがあったわけです。住民地域の上を余りにもひどいような飛行訓練が行われております。高教組が中部の各高校での航空騒音調査をいたしておりますが、1日に73回も60ホン以上の騒音があり、1時間に21分55秒の累積時間ということになってこの間授業中断があると発表しております。少なくとも学校周辺や住民地域を飛ばさないように規制すべきだが知事はどう考えるのか、また対策をどうとられるおつもりかお答えを願います。
ハリア機も米国ではこれは欠陥機だとされておるし、沖縄でも2回墜落事故を起こしておるんです。それにもかかわらず新たにキャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブに発着場が設けられております。ハリア機訓練を中止させ発着場撤去をさせるように働きかけていかんといかぬと思いますが、知事はどうお考えになっておられるか。
特にキャンプ・シュワブにおける重機関銃訓練で許田の民家に銃弾が落ちました、去年の12月末です。名護市全体が重機関銃の射程踵離内に入り危険だということで、名護市議会は全会一致でその中止と基地の撤去を要求をいたしています。しかし4月、13日に知事立ち会いのもとで重機関銃の射撃訓練が再開され、知事が、安全だ心配することはないと言って以来連日訓練が行われています。知事、本当に絶対安全だと保証するのですか。県道104号線を封鎖しての実弾射撃演習も3カ月に1回の割合だったのが毎月やられております。演習激化に伴いまして伊芸区のあのレストランの庭に砲弾破片が落ちたり、あるいは照明弾や信号弾が民間地域に落ちているが、きのうの報道では新たにキャンブ・ハンセンに11ぐらいの砲座が新設されておるとこういうふうに言われています。伊芸の部落では、これまでに44回も砲弾の破片あるいは照明弾落下があって人身や家屋の被害があったわけです。
これだけの事故があったという事実だけから判断しても、キャンブ・ハンセンあるいはキャンブ・シュワブにおける実弾射撃演習というものはこれは安全ではないと、演習場そのものが不適当だということがはっきり言えると思うんですが、知事はどう判断しておられるのか。
四、五日前の実弾演習や照明弾、信号弾等の発射によって10数カ所で山火事を起こし、そして四、五時間にわたってそれが燃えて地はだをむき出しにし、住民地区に信号弾が落下して電柱を焼くとこういう事実をどう認識され、今後対処されようとしておられるのか。
基地周辺を中心に国道や県道を使用した米軍の集団行進も行われておりますが、県警は今後どう対処していかれるのか。マスコミ報道では伺っていますが、県民の前に明らかにしていただきたいと思います。
米軍演習が激化しますと、いつものことですが米軍犯罪が激増してまいります。最近も婦女暴行、強盗、ひったくり、窃盗、暴力行為、こういうものや、麻薬事犯なども多発しておると報道されております。一体その実態はどうなっているのか、検挙件数なども明らかにし今後の防犯対策について警本部長の御答弁をお願いいたします。
知事は基地の整理縮小を公約として掲げておりますが、いま恩納村のあの万座毛近くにあります第3海兵隊特殊部隊の隣接地の野原という地域の黙認耕作地のキビ畑が、ブルで敷きならされて新たにヘリポートが建設されつつありますが御存じだと思います。またキャンプ・ハンセン内には婦人部隊2000人を収容する3階建ての兵舎が2棟つくられております。牧港補給基地には岩国から第17海兵航空団支援グループの司令部が一部移駐をし2000人ふえると言われておりますが、これらはほんの一例ですけれども、現実に基地がこのように拡大をされ強化されております。知事は、公約に照らしてどうこれを受けとめ基地の整理縮小を実現していくのかお考えを明らかにしていただきたいと、思います。
5月2日の伊芸区のサービスエリアの庭に落下した8インチ砲弾の落下事故に対するロビンソン発表、防衛施設庁発表をどう評価しておられるのか、そのとおりだとお考えなのか。県民は米軍に対して「ヌスドゥヌ首ヌ高サヌ」とこう言っており、また防衛施設庁に対しては対米追従姿勢のあらわれであり米軍防衛施設庁だと、このようにむしろ米軍の正当性を主張するための当初からの工作としか考えておりません。防衛施設庁は、8インチ砲弾は破裂しても400メートルぐらいしか飛ばないから、たとえ米軍があの時間に発射したとしてもその破片は演習によるものではないとこう言っておりますが、そんな子供だましみたいな発表を県民のだれが信用しますか。
知事、先ほど警本部長からも調査の結果発表がありましたように落下現場から960メーターあるいは1000メーター、1600メーターの地域には弾痕があり、周辺の木も飛ばされた個所があるとこのように言っているわけです。これをいわゆる県警本部も先ほどは米軍の射撃によるものだとは断定しがたいということを言っておられますけれども、これを警本もミステリーとして片づけるつもりであるのか。防衛施設庁のこの発表は全く「ノータルカマドゥシカユル」と県民をばかにするにもほどがあると、県民はますます米軍や防衛施設庁に対する怒りと不信感をつのらしております。知事もこれをミステリーとしてこのままうやむやにするつもりなのか、今後どうなさるおつもりかはっきりと御答弁をお願いしたいと思います。
こういうふうな状態で放置されては、ますます県民の信頼を裏切ることになるのでぜひ全力を挙げて究明をし県民に納得がいくように朋らかにしていただきたいと、警本部長のさらなる御決意を承りたいと思います。
具志川市の昆布にある陸軍貯油施設場内にテトラエチル鉛が積まれております。このテトラエチル鉛というのは雨水によって溶けると2価クロムという猛毒を放出するようですが、一体これがどうなっているのか、どうするつもりか。さらに金武村並里区の土地改良区では、電機関銃弾が1万個余りも埋められておったというふうに報道されております。これらはすべて基地が危険いっぱいであり、基地から次から次へと被害が続出をしており、軍事基地というものはいわゆる諸悪の根源であるということを如実に証明しております。
すでに新聞でも発表されておりますけれども、グローバル・シールド79というのがこの夏に世界的規模で演習が行われるようだが、これは核戦争を想定したものであり、このような演習が嘉手納基地を初め沖縄基地を使用して行われるとなると沖縄基地はますます危険となります。沖縄基地の現状は米軍の自由使用を許している状況であり、日米安全保障条約というのはわれわれ沖縄県民にとってはまさに危険保障条約としか言いようがありません。現実はそうなっているではありませんか。大の虫を生かすために小の虫を殺してもよいと、こういう論法でわれわれに押しつけら冠た犠牲はいままで受けただけでももうたくさんではありませんか。地位協定第3条3項のいわゆる公共の安全の義務さえ守られない現実の沖縄基地の実態、こういうことからいわゆる5・15メモというもの、これは自由使用になっていると私は思うんですが、知事はこれに対してどういうふうにお考えなのか承りたいと思います。
次に、組織機構の改正についてお尋ねします。
およそ機構改正というのは政策の転換上なされるべきであり、政策の転換があってその事業内容から必然的に生まれるべきものであると考えます。政策転換なしの改正というのは単なるイメージチェンジのためのものであり、試行錯誤による機構いじりにすぎません。ちょうど10世紀の中ごろ平安時代に、日本国内各地で天災や疫病が大流行をして国民がもう世も末だというような不安な気持ちに打ちひしがれておったそのときに、その気持ちを静めるために人心一新をねらって年号を改正したと、これを思い出すわけです。一体知事は、この改正によってあなたの政治思想を具体的にどう実現しようとするのか、あなたの言う地方の時代をこの組織機構改正によってどう実現できるのか、その政治的波及効果を明らかにしていただきたいと思います。
特定フロジェクトチームを一つに寄せ集めて開発局とすることによって、沖縄のより深刻な雇用失業問題がどう解決できるのかお答え願いたいと思います。
この改正案は、開発思想のみに目を向けたスタッフだけの強化であり、福祉部門や農林水産行政には何ら手をつけていません。先ほど企醐調整部長は生活福祉や医療、公園、土地改良等のおくれを率直に認めておられて答弁なさいましたけれども、これらの福祉、農林水産部面がこの改正によって遠いところに押しやられる結果にならぬのか、それとも知事はこの部門については革新県政が進めてきた執行休制だけで十分やれるということなのか、ひとつお答え願います。
財政が企画の中に位置づけられたということは、これは権力集中型と言えます。企画は政治思想や政策に基づいて高いレベルでなされるべきであるが、企画の中に財政が入るということは企画のレベルダウンとなると考えます。財政は国の財政支出、予算によって左右されるものでありしかも単年度枠でありますので、財政が企画の足を引っ張って結果的には単年度の枠内での企画ということになるのではないか、ならないというならその理由を明確にお示しいただきたいと思います。
基地対策ですが、全国の53%の基地が集中する沖縄で大変重要な問題だと考えます。改正による組織機構では基地問題に対する行政の後退が明らかに予測できますが、改正機構でその対策をどう保証していくのか、基地を県行政の中でどう位置づけるのか明確にお答え願いたいと思います。
県民文化課がどうして商工観光部の中に位置づけられたのか、社会文化施設の充実を図るためには企画調整部に位置づけるべきだと思うんですが、どうでしょうか。
国際事業課の事業内容は、これはパラオ島沖縄漁民の保養施設の計画あるいは海外移住の促進、文化交流、こういうほかに何があるのか、余り大げさ過ぎると思うんですがひとつ御説明をお願いします。
農林水産業についてお尋ねをいたします。
本県の基幹作物であるサトウキビ作の振興を図るには、キビ代を上げるということが何としても必要です。しかし現実のキビ代は、生産費さえ補償できない低価格の押しつけであります。2月議会で知事はキビ代値上げは期待できないとこう言われたんですが、生産農家を初め関係団体は生産費、所得を補償する方式に改めてくれとこれまでも強い要求をしてまいっております。この要求をどう受けとめられてどう対処していかれるおつもりかお伺いをします。
含みつ糖の問題でありますが、含みつ糖は今期宮古、八重山では35.7%も増収となっております。国際的には砂糖消費量が減少し供給過剰ぎみであり、また相場も低落傾向にあります。しかし何といっても含みつ糖は離島における唯一の換金作物であり、離島振興という立場から分みつ糖並みに保護する必要があります。増収をしておりますけれども、特に行政として積極的に販売対策をどう講じていくおつもりなのか、離島の農家の方々が安心できるようにひとつお答えを願いたいと思います。
パインもこれから大変な危機を迎えることになるんではないかと思います。タイ国等から冷凍パインやパインかん詰めの輸入がますますふえてくるし、日本政府は関税引き上げ等によって輸入制限をしようとはしないし大変不安ですが、将来どう生産農家や業者を守っていくのか。
また、豚肉やブロイラーの価格の引き下げが畜産公社で決定されたと聞いておりますけれども、いまこの引き下げをするということは、これは養豚農家あるいはブロイラー農家の生産農家殺しにならぬのか。特に養豚農家の場合には最近浄化槽の設置、バキュームカーの購入などで新たな借金を抱え込んでいるこういう時期に4.1%の豚肉の引き下げ、ブロイラー8%の引き下げをしようとする、一体どういうおつもりか。
飼料代は、石油価格の値上げによって遠からず上がるんじゃないかと思うんですが、上がらないという見通しがあるのか。飼料代が上がったら、豚肉やあるいはブロイラーの価格もすぐにまた引き上げようというつもりなのか。
さきに既設養豚農家への助成、融資について考える必要があると2月議会で訴えたわけですが、どんな改善策を考えられたか。いま県のやり方というのは、もう豚も27万2000頭になったと、ふえ過ぎた、もう抑制しようと、こういう意図があるんじゃないかと、そういうふうな感じがするんです。絶えず養豚農家をおどしたり、その調査をしたり、こういうことでしかやっておりません。
次に、与那城村漁協の問題ですが、これは屋慶名、照間、宮城の漁業専従者61名の方々が分離して独立した漁協を新たにつくろうと県に申請書が出されたと聞いておりますが、どうしてそうなったのか。与那城村漁協から分離しようとするその理由は何なのか、漁民の生活を守るために県はどのような指導を行ってきたのか、解決の見通しはどうなのかお答え願いたいと思います。
次に、開発や土地改良、米軍演習、その他いろいろの原因で赤土の流出がひどくて海がひどく汚染をされております。県は実情調査をなさっておられると思いますが、実態はどうなっているんでしょうか。東村は独自で赤土の汚染防止条例をつくろうとしているんですが、県としてはどういう防止対策を考えておられるのか。
次に、土地利用と農産物の流通機構整備について伺いますが、西銘知事は久高の御出身だと承っておりますが、去る5月8日に経労委が久高に行きました、島じゅう見せてもらいました。港に行きますと整備された漁港ができております。学校も近代的な設備であり、給食室などは沖縄全島どこにもないようなすばらしいのができており、保育室は1人しか子供はおらぬのに3つも部屋があるとこういう状況でした。しかし島をその土地をめぐってみると、3メーターから4メーター幅に小石がいっぱい並べられているんです。珍しくて一体何なのかと言ったら、いやこの間が1人分の土地です、こういうことを言っておるんです。こういう原始的な土地利用というのは、もうキュウリでも植えると隣の畑にすぐに行くものだからこんなものは植えられない、全く原始的な土地利用、非生産的だと思うんですがどうお考えになるか、どんな指導をされるつもりか。
それに比して、津堅は大変みごとな岩石除去をして客土をしたところの土地改良がこうできております。そのために津堅の農業は飛躍的に発展をし、農産物の大量増産が見込まれておる。こういうために、津堅は区としてフェリーを購入して8月から運航していこうとこういう計画をしております。ところで、フェリーの発着場がどうしても必要だとこういうことですが、離島振興のためにこれはぜひ早目につくる必要があると思うんですが、ひとつその対策をお聞かせいただきたいと思います。
終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 田場議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、私の提唱いたしました沖縄の伝統芸能を保護するための芸術大学と工業専門学校設置との関連について御指摘があったわけですざいますが、私は基本的な考え方といたしまして、特に沖縄の伝統芸能は日本の伝統芸能の中でも非常にローカルカラー豊かな誇るべき民俗伝統芸能だと考えておりまして、この民俗芸能は後継者をつくって子々孫々に伝えていかなければならない重要な課題であると考えておりまして、これはいま企画調整部においていろいろ各面から検討している段階でございまして、具体的な成案として発表する段階ではございませんが、いわゆるいままでの教員養成を主目的としたような大学ではなくて、沖縄の織物、漆器、陶器、舞踊、音楽等について本当にりっぱな後継者を育ててユニークな学校をつくってみたい、これが日本と南方方面の文化とのいわゆる南北センター位置づけの将来の基本になるのではないかとこういう考え方を持っておりまして、できれば早くつくって日本にもない独特な学園にしたいと考えているところでございます。
これと工業専門学校の設置につきましては、先ほど渡久地議員の質問に対しましてお答えいたしましたとおりこれからの沖縄の雇用拡大あるいは工業開発、産業誘致の立場等からいたしまして技術者養成が目下の急務であると。したがいまして本土各府県におきましては高度成長時代を背景といたしまして工業専門学校が設置されているわけでございまして、私といたしましては琉球大学の緊急課題であった医学部の設置ももう決まりましていよいよ56年から学生を募集する段階に来ておりますので、これから国立の学校として誘致すべきものについては工業専門学校を考えたらどうだろうと、琉球大学の医学部設置とこの次に引き続いて工業専門学校を誘致したらどうだろうかと。それでこれは全部国立の専門学校でございまするから、それだけ雇用の開拓の場にもなりまするし、琉球大学と工業専門学校の人事交流にも役立つことでございまするし、さらに沖縄の技術高等学校の先生方あるいは生徒の技術を引き上げるためにも大変大事なことではないかと。そこヘプラスしていま芸術大学で考えられておるものの中で、この工業専門学校の教科の中に取り上げてやった方がいいものについてはその中に吸収をしていっ
たらどうかということでいま両方考えているわけでございまして、この工業専門学校と芸術大学は関連しておりますが、できれば私はユニークな本当にりっぱな芸術大学をつくってみたいと思っておりますが、これにっいては先ほど申し上げましたとおりいま調査会をつくってこれを詰めている段階でございまして、これとは切り離してでもまた工業専門学校の誘致については次の課題としてやってみたいとこういうことでございまして、関連があるようでないようでいまのところ決まっておりません。
次に、CTSの問題については先ほど申し上げたとおりでございまして、私の基本的な考え方としてはこれはもう省略させていただきますが、金武湾を守る会の人たちに会う用意はないかということでございますが、この件についてはこちら側の要望を入れて、女の子、男の子がヘルメットをかぶって顔を隠して集団で押しかけてくるもんですから、屋良さんの時代にも平良さんの時代にもそういうことで代表を10名か20名ぐらいに選定して会おうじゃないかということでやってきたようでございますが、それができないために屋良さんも平良さんも1回も会っておりません。私も、別に恐れることじゃないんですが周囲の者が大変心配いたしまして10名ぐらい、20名ぐらいに限定して知事会ってくれないかということでいろいろそういう点で代表者と話し合ったんですが、代表者が聞きません。みんなで会うんだと、人数を限定して会うことには反対だとこういうことでいままで実現はいたしておりませんが、何も恐れているわけじゃございません、員数を限定して会おうと考えているところでございます。
演習の実態と被害については、先ほど申し上げましたとおり3者協義会をつくってその中で5・15メモを中心として基地の見直しをやって上級の機関で解決すべき問題については上級の機関に上げて問題解決を迫るといったような形で対処していきたいと考えておりまするし、さらに激化の問題についての具体的な資料については渉外部長から答弁させることにいたします。
安保体制に基づく基地容認、これは私の変わらない基本的な態度でございますが、したがいまして演習を認めるからといってむちゃくちゃな演習を認め、それによって起こる被害まで認めるということではないのでございまして、安全管理につきましては従来と何にも変わっておりません。あくまでもその点については最大の基地課題といたしまして取り組んでいきたいと考えているところであります。
それから基地公害の中で一番問題になりましてしかも対策が非常にないのはこれは騒音対策でございまして、いまのところ基地周辺整備事業等によって線引きがございますが、民家の防音、学校の防音施設等をやっておりますが、これによってどれだけの効果が上がるか、またそれによって人体にどういう影響があるのかいろいろ問題がございますが、その点については担当部長から答弁させることにいたします。
キャンフ・シュワブの演習の問題については、田場さん、この間もこれは確かに私はこの場で御説明申し上げたと思うんですが、別に私としてあの立ち会った演習についてのことを申し上げただけでございまして、沖縄の基地全体における演習が全部安全に管理されているということを申し上げているわけではございません。ささやかな体験から見た当時のあの演習に限定して着弾の状況について申し上げただけでございまして、その点は特段の御理解をいただきたいと思うのであります。
次に、砲座の建設についてこれは渉外部長から答弁させることにしたします。
さらに、基地から派生する犯罪と麻薬対策、金武村伊芸の砲弾落下については警察本部長に対する答弁要求がございましたので省略いたしますが、基地の縮小整理につきましては、日米安保委員会において今日まで3回にわたって縮小整理の基本的な会議が持たれておりまして逐次縮小整理の方向にあることは御案内のとおりでございまして、もっともっとこの返還地の利転用の問題とも考えあわせましてこの問題に対処していかなければならないと考えておりますが、細かい説明については担当部長から答弁させることにいたします。
それからテトラエチル鉛の問題、ちょっと私知識がございませんのでこの問題についても担当部長から答弁させることにいたします。
それから組織機構改革についての御質問がございましたが、西銘知事は自分の政治思想を機構改革によってどう実現していくかという、どういうことを意味されているのか政治思想の実現という表現を使われたわけでございますが、機構改革はもちろんこれは制度論といたしましてこの制度が一番いいんだというものはございません。あくまでも比較的な是非論があるわけでございまして、問題はどこにその目的を置いて機構を改革するかということがその基本的な考え方でございまして先ほど比嘉副知事からもお話がありましたとおり従来の企画調整部が非常に弱い、企画調整の能力を付与されておりながらその企画調整部としての機能を十二分に発揮することができなかった、これが今日までのこの10年間の歩みの中で一番指摘され痛感された問題であります。屋良さんの時代にも、また平良さんの時代にもこの企画調整部と財政の問題をどう結びつけていくか、本当に実も花もある企画調整力というものを持たして単年度における予算編成はもちろんのことでございますが、単年度の予算を通じてさらに中長期の沖縄経済開発構想をどう結びつけていくか、そのためにはどうしても企画調整と財政というものを結び
つけていかない限り実効を上げることができないということは私が御指摘申し上げるまでもないことでございまして、この機構改革によって私の政治思想を実現しようということではございません。当面の経済ニーズというものが、経済需要というものがどこにあるのかそこに重点を置いて機構改革をするのでございまするから、特段の御理解をいただきたいと思うのであります。
機構改革によって基地対策はむしろ弱体化したのではないかと、いわゆる労働渉外部ということになって基地対策がおろそかにされているんではないかという御質問がございましたが、この件については担当部長から答弁させることにいたします。
次、農林問題についての御指摘でございましたが、キビ代の算定につきましては毎年申し上げているとおりでございまして、県議会も行政当局も知事部局も、また国会議員の先生方も一体となってこの算定方式を生産費及び所得補償方式に持っていかなければならないということについてたびたび陳情いたしましたのは御案内のとおりであり、これに対する農林水産省の考え方も一致しておりまして、現在のところ米作以外にほかの農林業の作目についてはいわゆる生産費及び所得補償方式はとられておりません。したがいましてきわめて厳しいということは御案内のとおりでございまして、そういう情勢の中でいわゆる日本の農政に対する基本的な問題といたしまして農林水産物に対する外圧、いわゆる自由化の問題等と関連いたしましてこれからのキビ対策ということはたんぼにおける勝負、いわゆる基盤を整備いたしまして地力を培養いたしまして反収を上げることが一番大事なことでございまして、そういう努力も同時にやっていかなければならない。
パリティ方式を採用するにいたしましても、生産費というのを全然無複して計算されているわけではございません。これは北海道のてん菜糖との比較においてまだまだ改善すべき余地は残されておるわけでございますが、いずれにいたしましても、パリティ方式を採用するにいたしましても農家の所得と生産費の補償ということはあくまでも算定に当たっての重要な要素でございまするので、その点は生産費及び所得補償方式が実現しなくても具体的に漸次改善の方向でやっていけると私は考えておるところであります。
それから含みつ対策でございますが、これは渡久地議員の質問にもお答えしたのでございますが、含みつは分みつ以外の離島地区でつくられているわけでございまして、台湾赤糖また再製糖の人玉等の影響を受けまして本土市場における消費が非常に落ちたということであります。侮年大体平均して9000トンぐらいつくっておりますが、日本における消費もだんだん冷えてまいりましていまストックを抱えているような現状でございまして、これをどう売りさばくか大変問題になっているところにことしはまた増産ときまして、従来の9000トンの含みつ糖がことしは1万3000トンと4000トンもオーバーする増産になりまして非常に頭を痛めているところでございまして、価格差補給金を設定するにいたしましてもさらに補正をしてその補いをしていかなければならない段階でございますが、いずれにいたしましても長い目で見ますというと作目を転換していわゆる肉牛をつくるか、また野菜をつくるか、たばこをつくるかいろいろ申し上げたわけでございますが、作目転換と作目転換に伴う県の助成対策をどう実現していくか、これから詰めていかなければならない問題でございます。
それからパインの問題は、あくまでもこれは国際的な商品でございまして自由化品目でございまするし、南方地域における冷凍パインが大変日本市場に流れ込んでそのための影響が大きいのでございますが、現地における対策といたしましては生果代をどう補償していくか生果代補償のための基金をどうつくっていくか、あるいは冷凍パインの輸入について政府の強力な対策をどう要請していくか大変重要な問題でございますが、冷凍パインの問題との関連において当面の課題を解決していかなければならないと考えているところであります。
次に養豚農家の問題、ブロイラーの問題、飼料代の値上げの問題、それから与那城村漁協の問題、赤土の流出の問題等につきましては担当部長から答弁させることにいたします。
久高島の問題でございますが、これは私の父祖伝来の土地でございますが、(「与那国はどうした」と呼ぶ者あり) あれは生まれたところでございます、御案内のとおり昔の地割り制度がそのまま残っておりまして久高島に私有地はございません。みんな16歳になりますというと、私みたいに那覇に住んでいる者は割り当てがございませんけれども、現地に住んでいる男は16歳以上になりますというと小さいながら土地の割り当てがございましてそれで生活をしておりまするし、久高の男は漁業しかやりません、全然農業の手伝いはいたしません。天気が悪くなりまするというと漁具の手入れだけをいたしまして農業はやりません。農業は久高におきましては女手1つでやることになっているわけでございまして、御指摘になったとおり非近代的かもしれませんけれども、前近代的かもしれませんけれども土地争いがない、その意味においては私は日本の見本ではないかと思う。全然土地の争いはございません。
そこで基盤整備につきましては、これは村長がリーダーシップをとってもっともっと、石が多うございまするからサンゴ礁地帯で岩盤が多い土地でございまするから、岩盤を破砕するなりして農機具が十分に使いこなせるような基盤整備は大事なことではないかと考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 渉外部長。
〔渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○渉外部長(大浜賢永君) 演習激化の問題と、それからキャンプ・ハンセン内における砲座の増設問題について補足説明を申し上げたいと思います。
田場議員の御質問で最近演習が激化しているのではないかというような御質問がございますが、これについてはおっしゃるとおり激化していると見ることもできようかと思います。しかしながら演習が激化しているかどうかということは、単に演習の回数ばかりでなくて演習の内容も含めて判断をしなければならないわけでございまして、現在県におきましては回数は演習通報によって知り得る立場にあるわけでございますけれども、演習内容、つまり兵員の数だとか、兵器の種類、数量、演習の方法、そういう具体的なことについては現在知り得るような状態にはないわけでございまして掌握が十分でないわけでございます。したがいまして的確に演習が激化しているのかどうかというようなことについて明確にお答えすることは大変むずかしい状況でございます。
しかしながら、演習通報による演習日数というようなものは私どもの方で把握をいたしておりますので、御参考までに御説明を申し上げたいと思います。
陸上の演習についてでございますが、これは北部訓練場、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン等主要な陸上演習場11カ所における咋年じゅうにおける演習総日数は2477日でございます、延べ日数でございます。これを昨年の月平均に見ますと206日ということになります。これをことしの1月から5月までの5カ月間における演習の月平均日数と比べてみますと、ことしの1月から5月までにおける各月平均の日数は212日でございます。したがいまして昨年の平均の206日よりは若干ふえているというようなことが言えると思います。
一方海域における演習でございますが、これは沖縄近海の18カ所の海域演習場における演習でございますが、昨年1年間における演習の総延べ日数は2958日でございまして、1月平均が246日でございます。これをことしの5月までの月平均に比べてみますとことしが月平均220日でございまして、去年の246日に比べて海域の方では少なくなっているというような結果になってございます。
それからキャンプ・ハンセンにおける砲座の増設についてでございますが、現在キャンプ・ハンセンには数にして17個の砲座があると言われております。これは復帰前は38個の砲座があったようでありますが、現在は17個存在すると、そのうち実際に使用されているのは10カ所だと言われております。
これにつきまして海兵師団の方からあと11カ所ぐらいの増設の要求があるようでございますが、軍の司令部にその件を聞いてみましたところ、その11カ所要求のうち6カ所程度は増設について検討をしていると。これは復帰前にあった砲座の復活も含めて6カ所ほどは検討しているというようなことでございました。で、砲座を増設するにつきましてもキャンプ・ハンセンの演習場の地形から見まして東西の長い方向に面して砲座をできるだけ設けることにし、南北の狭い地域の砲座はできるだけ避けるような配慮をしているというようなことを言っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 御質問の第1点、米軍の集団行進にどう対処するのかということでございますが、米軍の通行方法につきましては一般的には道路交通法令の適用があると考えております。したがいまして道路上を集団通行する場合につきましては、行列の場合の通行方法等による必要があるほかに、一般交通に著しく影響を及ぼすような集団行進の場合は道路使用の許可が必要であると考えております。今後、交通の安全と円滑の観点からそごがないよう細部について米軍と話し合いをするため準備を進めているところであります。
御質問の第2点、米軍人の犯罪の実態について詳しくということでございますので若干数字を交えて御説明を申し上げたいと思いますが、米軍人犯罪の検挙概況を申しますと、昭和53年中の総検挙件数は288件、検挙人員は263人でありまして、52年中と比較いたしますと検挙件数において54件15.8%、検挙人員において133人33.6%の減少となっております。凶悪犯は、39件56.5%の減少であります。
なお、ことしの米軍人犯罪の状況を見ますと、4月末までに69件71人検挙しておりまして、前年同期に比較し10件15人の減となっております。
この種事件に対する予防対策につきましてでありますが、これは当県警察の重点施策の1つとして各警察署の一般的な予防警戒はもちろんのこと、米軍人の多いコザ、普天間、石川、名護の各警察署では特にこれが予防検挙に重点を志向するほか、警察本部直轄の機動捜査隊も適宜重点配置をいたしまして予防検挙に努めております。またいわゆるペイデーや、米軍人等の出入りが多くなる時期には、県警察の機動隊を重点配置して所轄署と共同警戒に当たらせているところでございます。このほか米軍当局に対しまして随時軍紀の粛正方を申し入れているところでございます。
麻薬関係について申し上げますと、本県におきます麻薬事犯は米軍基地及びその周辺において米軍人を中心に発生しておりまして、ほとんどは大麻事犯でございます。県下の麻薬事犯の趨勢を見ますと、昭和48年をピークにいたしまして次第に減少の傾向を示し、昭和51年にはピーク時の約5分の1に減少いたしましてその後はやや横ばいの状態にあります。昭和52年以降の年次別の麻薬事犯の検挙状況を申しますと、昭和52年は検挙70件、検挙人員84人、昭和53年中は検挙件数99件、検挙人員102人であります。
なお、本年昭和54年1月から5月までの状況は、検挙件数が28件、検挙人員は24人となっておりまして、前年同期で見ますと検挙件数、人員ともに減少しておりますが、押収量は増加をいたしております。
そこで検挙人員中におきます米軍人の割合を見ますと、昭和52年中は77.4%、昭和53年中は94%、54年の1月から5月までは86.9%をそれぞれ米軍人が占めております。
麻薬事犯の予防及び検挙体制といたしましては、米軍の捜査機関及び税関、入国管理事務所等の機関と定期的に連絡会議を開催するなど、連携を強めましてその予防検挙対策を強化し取り締まり効果を上げてきております。麻薬事犯の予防検挙につきましては米軍当局も積極的でありまして、県警察の米軍の施設内における検挙、捜索、押収などの捜査活動に対しましても積極的な協力を得ております。
御質問の第3点、金武村伊芸における破片落下についての御質問でございますが、お尋ねの事項につきましては、鳴警察といたしましてもこれは独自の立場で入手し得た資料に基づきまして事実関係解明のために鋭意努力をしてきているところでございます。調査の結果につきましては先ほどの渡久地議員の御質問にお答え申し上げたとおりでありますので、その内容についてはそれによって御了解をいただきたいと考えております。
なお、全体の鑑定結果につきましては、今後それが判明した時点でさらに発表いたしたいと考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) 機構改革についての御質問ですが5つばかりあったかと思いますが、そのうち2つにつきましては先ほど知事から御答弁されましたので省かせていただきます。それと午前中の説明の中でもいろいろ出ておりますので、できるだけダブらない形で御説明申し上げたいと思っております。
まず初めに基地対策との関連で、基地対策は重要であるが機構改革でその面をどう保障するかというふうな御質問かと思いますが、基地問題にかかわる組織は従来と全く同様でありまして、渉外部に労働部門が加わることによりまして駐留軍従業員を含めた雇用失業問題の対処が一元的に取り組みできる体制をつくってあります。また基地問題に対応する組織機能は従来どおりでございます。労働渉外部は基地対策問題の総合的窓口となりますので、今後とも積極的に取り組んでいけるように配慮したいと考えております。
それから2番目の県民文化課は企画調整部門に位置づけるべきではないかという御質問ですが、文化行政につきましては、教育庁とのかかわりもありますので両者が電複することにならないよう考えております。知事部局で取り組むのは、自由時間の増大に伴う余暇行政とのかかわり、あるいは伝統工云とのかかわり、あるいは県芸術祭や文化行事等観光とのかかわりなどがありますので、こういった観点から商工観光部に位置づけることにいたしました。また施設整備についても、知事部局で取り組む必要があるもの、たとえばコンベンションホール等についても企画調査後は同課で積極的に推進したいと考えております。
それから3番目は、開発局の設置によって雇用失業問題をどう解決するかということと、開発優先で福祉及び農林行政は遠くに押しやられるのではないかというふうな御質問かと思いますが、御承知のとおり本県の産業構造は第3次産業に偏った構造になっておりますが、2次産業を振興することによる雇用効果の創出を図りまして産業構造のゆがみをできるだけ是正しなければならないというのが大方の見方かと思われます。
開発局は、これまで懸案となっていました大型プロジェクトである中城湾、あるいは新那覇国際空港及び糸満漁港等の開発計画と進行管理機能を集中いたしまして強力に推進しようとするものでありまして、これらプロジェクトは本県の産業振興の目玉であると思っておりますので、これまで各部局ばらばらに対応しておりましたこれらの主要プロジェクトの企画立案を開発局にまとめまして管理するということになります。これによる雇用効果及び他産業への波及効果は大きく期待できるものと信じております。
なお、開発局設置によって開発行政が優先される形になるのではないかと、福祉部門がおざなりになりはしないかというふうなことですけれども、組織上同時に福祉部門も、あるいは農林水産二部門、あるいは土木部門の出先につきましてはその出先の企画担当課の強化を図る考えでおりますので、そういう意味では開発と福祉、農林、土木関係のバランスも十分考慮しまして県民ニーズにこたえるための組織体制を整備する予定であります。
企画調整部と財政課の問題につきましては、先ほど知事から総合調整機能の問題という形で説明がありましたので省かせていただきます。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
〔環境保健部長、伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 赤土の流出について実態調査をしたことがあるかという御質問にお答えいたします。
赤土による水質汚濁に関する調査といたしましては、環境保健部は昭和53年に金武湾の底質の調査を実施いたしております。
調査は、金武湾内の30地点において潜水観察及び底にたまっているどろの土質の分析等を行ったわけでございますが、その結果は石川市沿岸及び金武村の沿岸に赤土等どろの堆積が見られ、特に石川川の河口において2メートルの堆積が見られました。その他与勝海域等においては赤上の堆積は見られませんでした。
なお、54年度においては中城湾における底質の調査を実施することにいたしております。
その他、農林水産部等においても調査をいたしているようでございますが、それは省略させていただきます。
なお、対策はどうするかという問題でございますが、赤土の流出防止に関しましては水質汚濁防止法等公害関係の法律による規制はその行為が対象にはなっておりませんので、県ではそれを補完する意味において県の公害防止条例第47条に、「何人も、宅地の造成、道路の建設、埋立て及び農地開懇等の開発行為その他の活動によって赤土等が公共用水域へ流出しないよう必要な措置を、溝ずるように努めなければならない。」といったような「赤土等の流出防止義務」ということで条例に規定をいたしております。この規定の趣旨で今後関係部局と連絡を密にいたしまして、先ほど述べましたようなそれぞれの開発行為者自体の流出防止施策を講ずるよう強力な行政上の指導を行っていきたいと、このように考えております。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 田場議員の農林水産問題についてお答えしますが、8項目ありましてそのうち4項目については知事から答弁がありましたので、残り4項目についてお答えいたします。
まず、肉豚及びブロイラーの保証基準価格に関連する問題でございますが、この保証基準価格は畜産公社の肉豚及びブロイラーの昭和54年度保証基準価格でありますけれども、これは去る4月27日の評議員会において全員の賛成によって公社理事長へ答申をし、昭和54年5月9日の理事会で決定をいたしております。
畜産公社の肉豚の保証基準価格は、畜産物の価格安定等に関する法律に基づく肉豚の価格安定制度と緊密な関係を保って設定されており、飼料の値上がりによって国がどう対応するかその推移を見る必要があると思います。したがって飼料の値上がりによって国の安定基準価格が改定される場合には、わが方の畜産公社の保証基準価格も当然改定する必要が出てくると思います。
なお、本県の畜産物価格は全国の価格に連動して推移しており、本県だけが高水準の保証基準価格を設定すれば、本土産の畜産物が大量に移入され県内市場が混乱し県内の安定生産の維持が困難になることが強く懸念されましたので、生産農家にとっては不満があろうかと思いますが、今回の保証基準価格を決定した次第でございます。
ちなみに、肉豚の保証基準価格を本土と比較してみました場合に、今回の肉豚の保証基準価格はキログラム当たり615円から590円に下げております、沖縄県。これは4.1%でございますが、全国の場合583円から559円に下げております。これを比較した場合に沖縄県の保証基準価格が590円、全国が559円でありますので、沖縄県を100とした場合に全国は94.74%ということになります。また全国を100とした場合に、沖縄県は105.5%ということで高い水準に設定されております。
これを生産費との関係で見た場合に、本土の場合にキログラム当たり生産費は413円でございます。大体豚は72キロで換算しますので、それを割りますと574円でございます。生産費が本土574円に対して保証基準価格は559円ということで生産費より下になっておりまして、これは生産費の97%でございます。沖縄県の場合、同じような形で計算しますとキログラム当たり593円になります。したがって保証基準価格590円ですから、生産費との対比で見ますと99.49%と若干割っているところでございます。
そこでさらに生産費は全国平均より沖縄県は3.5%高い状況にありますが、保証基準価格は5.54%高いところに設定しております。したがって全国的な観点から見た場合には沖縄の場合は高いところに位置しているわけでございまして、農家には不満があろうかと思いますが当面これでやる以外にないと思います。
ただ、現在の価格はキログラム当たり615円でございますし、また本土における卸売価格も最近少し上がっておりますんで農家にとってはいまのところ問題はないわけでありますが、これが590円に下がった場合に県としては公社の機能を活用して買い上げ等の措置をしなければなりませんので、そういう観点からも公社の資金の面も見なければなりませんので590円に設定した次第でございます。
次にブロイラーでございますが、ブロイラーは273円から250円に下げております。これは畜産公社による生産費調査はキログラム当たり242円56銭でありまして、この生産費は十分カバーしているということになります。また、ブロイラーの生産者も自主的に生産費調査をしましたところこの250円の中におさまっておりますので、いまのところ250円が確実に支払われるということであれば問題はないということになるわけでございます。
次に、与那城村漁協の問題に移ります。
与那城村漁協の問題は、どういう問題があってどうなっているんだということでございますが、与那城村漁協においては昭和51年ごろから5つぐらいの問題の提起があります。
1つは組合員の資格審査について、2点目は理事の選出方法について、3点目はずい宝丸に係る債権保全について、4点目は防衛庁からの漁業補償金の配分について、5点目は第2競り市場を置くことについてと、これだけ言っただけでは十分説明をしなければわかりませんが、こういった問題がありまして、これらの問題について組合員間に内紛がありそれがもとで昭和54年4月2日新たな組合の設立申請がなされました。このことについては法定事項等が充足されてなく、取り下げ申請に基づき昭和54年5月17日申請書類を返戻いたしております。
県としては、漁協の分離は好ましくないという観点からこれまで再三にわたり両者から意見の聴取を行ってきたところであります。その結果、県が折衷案を提示してもらいたい旨要望がありましたので去る6月1日に双方に対し折衷案を提示したところ、双方一堂に会して和解のための話し合いを持つことになっており、今後県としてさらに指導をしながら漁協の統一化再建を図っていきたいと思っております。見通しについては、今後村の協力、組合員はもちろんでございますが、組合を取り巻く機関等、あるいはまた漁連、信連等系統機関の協力、そういったものを必要としますけれども、いまのところ話し合いに応じていくという気持ちがありますので、県側としても積極的に協力していきたいと思っております。
次赤土汚染の問題でございますが、環境保健部長から全体的なお答えがありましたけれども、農林水産部関係のものをお答えいたします。
この赤土流出による環境汚染については、従来から指摘され適切な措置が望まれているところでありますが、特に最近土地関連法令により開発規制を行っているところでありますけれども、産業基盤の整備、生活活動等各種の開発行為に起因する環境汚染問題については、発生原因から見て総合的な対策を強化する必要があるということが言えると思います。
そこで赤土流出による環境汚染問題については、水産業に与える影響が大きいことから私どもは沿岸漁場の汚染状況について昭和52年度に恩納村屋嘉田地先海域、名護市久志地先海域、石川市地先海域、それから53年度に名護市羽地内海の4カ所について調査を実施いたしました。
その調査報告によりますと、まず1点目は赤土汚染はサンゴ礁海域の景観を損うばかりでなく、水産動植物の分布、漁業生産に対して大きな悪影響を及ぼしているということ。それから2点目に、赤土流出は土地造成、土地改良、道路、ダム等の工事、軍事演習等多方面にわたっており、効率的な防止対策については官民一体となった総合的な指導啓蒙を強化するとともに、公共工事については全体計画の中で土砂流出防止のための必要な予算措置を十分に確保する必要があるとしております。さらに実効的な対策としては、規制措置の強化等を掲げております。
これが調査の結果でございますが、赤土流出については農業の生産活動等に起因する面が大きいと考えられることから、当面農林水産部内に土砂流出等防止対策協議会を設置し、これは去る3月6日に設置しておりますが、土砂流出防止の総合的な推進方策の樹立について検討しておるところでございまして、この委員会の中に専門委員会も設けておりますので、専門委員会が特に北部地域を回ったりしていま実態を調査しているところであります。
なお、規制法令としては都市計画法、これも開発規制がありますし、さらに農振法、これも開発規制があります。森林法、これも開発規制があります。自然公園法、これもそうでございますが、さらに県土保全条例、公害防止条例等があり、これらの諸制度を適切かつ有機的に運用する必要があると考えるわけでございますが、農林水産部においては特に公共事業、なかんずく土地改良事業については十分な予算を取りながら赤土対策を講じているところであります。なおまた農業試験場、それから林業試験場等においても赤土防止対策をするという観点から試験研究をしているころでございます。
それから次に、津堅島の件について漁港関係のことだけお答えすることにいたしますが、津堅漁港は第1種漁港として第6次漁港整備計画――これは52年度から57年度でございますが、これに基づいて52年度から改修事業として着工し南防波堤を継続して整備しております。昭和54年度までは工事の施工上暫定断面で進めておりますが、55年度で波返しを施工して防波堤については完成に持っていく予定であります。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後4時32分休憩
午後4時49分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団を代表し、知事、関係部長並びに警本部長に質問を行います。
質問の第1は、基地、演習問題についてであります。
知事は、基地問題が重大化する中でさきの臨時議会で沖縄基地の見直しをやることを表明し、またいわゆる5・15メモや軍事演習の実態についても見直すとし、いわゆる3者協議会の設置や基地使用協定の締結を打ち出していますが、この問題で真に必要なことは、5・15メモを公表させて県民代表たる県議会や関係市町村、地元住民の検討にゆだね、県当局はその意見や要求に沿って動くことであり、そのことを強く主張し提起するものですが、この主張、提起への見解を含め知事のこの問題に関する基本的な態度、見解、具体的な方策を伺いたいと思います。
また、自衛隊の在沖米海兵隊やB52との共同訓練計画が明らかにされていますが、これは知事の持論とするいわゆる専守防衛論に照らしてさえも許されない性格のものであり、こうした演習はやめきせるべきだと考えますが、知事の態度と見解の表明を求めます。
西銘県政の基地問題への対応で問題にすべきいま1つの点は、県民の意思である県、議会の決議や意見書と食い違い、あるいはこれに反する対応を繰り返していることであります。B52核戦略爆撃機の飛来や県道104号線封鎖による実弾演習に抗議もせず中止要求もしていないこと、民家などへの重機関銃乱射や戦車砲の、誤射などの重大な事件を引き起こしたキャンプ・シュワブ演習揚での実弾演習に知事みずから事実上のゴーサインを出したこと、今回の砲弾破片落下事故で砲座の全面点検、危険な砲座の徹去、その実現を見るまで一切の実弾演習の中止という県議会の決議にもかかわらず及び腰で頼み込むにとどめ、結果として実弾演習の再開強行、米軍、防衛施設庁による原因不朋という理不尽な調査結果なるものの発表、新たな砲座の増設などの事態を引き起こしたことなどはその典型であります。
西銘県政のこうした態度は、県民の意思と要求を踏みにじりその実現の道を閉ざしている点でも、また先ほど与党議員からも危惧の表明があったように県議会への背信行為となっている点でも断じて許せないものであり、このような傲慢不遜な態度について県民と県、議会への陳謝と釈明を求めると同時に、これを直ちに改めることを要求するものであります。
次に問題にしたいのは、関連国内法や県条例、さらには安保条約、米軍地位協定にさえも違反し、あるいはこれらの法規制や取り決め枠からもはみ出している疑いがきわめて濃厚な在沖米軍の行為が随所に見られることであります。すでに各方面で問題にされている公道での武装行軍演習を初め、県道104号線など軍事演習のための公道封鎖、米軍公用車両の登録番号の表示方法、環境基準を大きく超える爆音被害や自然環境の破壊、住民地域を射程距離内に置く大口径長射程砲による実弾演習の強行、弾薬輸送の警察への届け出や安全基準の問題など枚挙にいとまがないほどですが、知事、県警本部長はその実態をどのように掌握し、また法令や条約、協定の規定に照らして、これらの行為を、点検し追及しているのかどうか。こういう問題の実態をつかまず、その点検、追及もせずに基地の見直しや協定の締結を口にしても空論に終わらざるを得ないのであります。
この中で特に公道での行軍について県警は、事前の届け出がない場合は不法行為になるとする半面、届け出さえすれば一般の集団行進などと同様に扱うとの態度を固めていると伝えられていますが、たとえば去る5月18日の名護市での夜間武装行軍について米軍当局は市当局の問い合わせに対し、出動準備訓練であったことを明らかにしています。しかし施設区域外での米軍の軍事行動が、日米間の協定に照らしても不適切であることを政府も国会答弁で明らかにしており、明白な軍事行動である武装米軍部隊の公道行軍を一般の集団行進などと同様に取り扱うことはあらゆる点で不適切と言わざるを得ないと考えますが、県警本部長の見解と対処策をお伺いいたします。
質問の第2は、CTS問題についてです。
知事は、CTSを国策だとの立場から推進の姿勢を明らかにしてきました。その中で、現在計画されている分を含め800万キロリットルと無制限に枠を拡大しております。知事のこのような姿勢に対し、自民党県連からさえ枠を決めるべきだと申し入れをされる始末であります。知事は枠の拡大をどこまで考えておられるのか、どのような根拠に基づいて裏づけられるのかまだ決めかねておるようですが、事実、上無制限に推進していかれるのか。知事の考えておられる審議会はCTSの推進にはなっても歯どめにはならないと考えますが、御答弁をお願いいたします。
雇用効果を期待しているようでありますが、どのような根拠で雇用効果があると考えておられるのか。現在CTS企業に雇用されている労務者、その中で県内から雇用された者、技術、単純労務者の内訳も含めて御答弁をお願いしたいと思います。また、計画が予定されている沖縄石油基地株式会社の10万キロリットル29基増設で、工事建設に伴う建設労務は別としてどれだけの雇用が見込まれるのか、あわせてお答え願いたいと思います。
CTS立地関係13市町村は、知事への要請の中で雇用効果はきわめて少ないと指摘し、地域開発、雇用問題、財源確保等に期待し推進されたが、雇用効果がきわめて少なく、関連産業も期待できず、企業からの固定資産税は償却資産のため年々減少し、諸税収入額の15%が地方交付税から相殺され、特別とん譲与税は100%が基準財政収入額に算入されるなど国策の石油貯蔵施設を設趾しても歓迎されないと訴えております。知事は、多良間村長、議長からCTS建設阻止に関する要請決議の手交を受けた際、CTSはつくった方が交付金ももらえるのでよいではないかと心ないことを言われたが、いまでもそのように考えておられるのか御答弁をお願いいたします。
知事は昨年12月定例会で、自然環境、美しい環境を否定し破壊してまでこれを強硬にやろうということではないと答弁しましたが、与那国でのCTS建設問題が表面化した際、外洋でもあり建設条件としては本島よりも好条件ではないかと感想を述べたと報道されています。予定地の比川は、2月16日、沖縄自然環境保全審議会が動植物など学術的に豊かな地域で自然環境を保全する必要があるとして知事に答申がなされております。この答申をどのように受けとめられておられのるか御答弁を求めます。
質問の第3は、雇用失業問題についてであります。
本県の雇用情勢は、一向に好転を見ないばかりかかえって厳しさを増してきております。すなわち咋年末まで下降傾向をたどっていた完全失業率は年明けとともに上昇に転じ、4月における完全失業率は6.6%と昨年平均を0.6%を超え、全国平均2.2%の3倍に達しており最悪の状態を示しております。
このように、沖縄経済と県民生活がますます見通しの暗い低迷した状態に落ち込んでいる根本的原因は、復帰後7年たったいまでも県民の生活と産業活動にとって欠かすことのできない土地や財産が米軍基地に不法に奪われ、しかも自民党政府が県民本位の産業、経済発展の基本施策をなおざりにしてきたからであり、県民がいま一番求めている雇用失業対策や長期的産業政策について何ら責任ある具体策を示さないばかりか、沖縄振興開発特別措置法による失業者就労事業を全く実行していないことなどによるものであることは、わが党がしばしば明らかにしてきたとおりであります。
今日の深刻な雇用失業情勢の悪化に対応して、わが党はこれまで提起してきた「雇用及び失業対策緊急措置法案」等や政策を基礎に昨年3月、失業者の生活の保障と職業訓練の拡充、失業者の就労機会の拡大と住民の福祉、生活基盤改善に役立つものとしての失業対策事業の新たな再確立を内容とする「失業者の生活保障、就労機会の拡大に関する法律案」を提案し、雇用失業問題の抜本的な打開を要求いたしました。
知事は、昨年末の知事選挙に際しての10大政策の筆頭に、不況からの早期脱出を図り働く職場を拡大することを掲げました。
その具体的内容の第1番目は、沖縄の失業問題は、全国的にも特殊なものであるので「失業対策特別基金」の創設を図り、大規模な失業対策事業と職業訓練の実施により雇用と所得機会を大幡に拡大する、これが第1番目であります。そして立会演説会でもこのことを堂々と強調いたしました。そして終盤段階では労働省、開発庁、大蔵省などと早急に詰めていくとも言明しました。
さて、県は昭和55年度の重点施策とそれに絡めての国庫支出金要請を今月中に決定するようでありますが、奇妙なことに具体的な事業盛り込み、国庫支出金要請への目玉づくりに苦慮していると報ぜられています。知事の県民に対する公約の最大の目玉は、先ほど指摘したように大規模な失対事業の実施であります。知事はこの公約実施のために、また破局的な雇用失業問題の即効的解決に役立つ大規模な失業対策事業の実施のために政府関係各省庁とどのような詰めを行ってこられたか。また55年度の重点施策の中でどのような位置づけを行い、どれだけの国庫支出金を要請しようとしておられるか、具体的に県民の前に明らかにしてもらいたい。
次に、昨年12月知事就任最初の定例県議会で、わが党の古堅議員の政府がサボっている「沖特法38条に基づく事業をいますぐに実施するよう政府への強力な要請を展開すべきだ」との代表質問に対し、知事は、労働省としては全国的に失業対策事業を廃止する方向にありますので、実施できるかどうか今後十分詰めて検討していきたいと答弁しております。これは明らかに公約違反であります。現にある制度も活用できずに、どうして新たな制度の創設を要求することができますか。沖特法第38条に基づく就労事業を拡充し、不備があれば必要な是正を行えば知事の公約の目玉は実現に近づくことになるのであります。知事は、この沖特法第38条に基づく事業について知事の公約である大規模な失業対策事業の実施との関係においてどのような詰めと検討を行い、政府に対してどのような要請を行ったかお答えを願いたいと思います。
最後に、糸満市及び糸満市土地開発公社による文書偽造、市長公印の盗用ないし不正使用並びに脱税帯助の疑惑について県警本部長にお尋ねいたします。
糸満市及び糸満市土地開発公社は、東京都中央区に本社を持つ伊勢化学工業株式会社から、昭和50年1月31日から52年12月6日にかけて糸満市宇潮平イリー原の土地7筆を購入しました。そのうち6筆1万510平方メートルを8270万59円で3回に分けて購入しております。その際、この6筆についての売買目的を、「糸満市が施行する第4次埋立地の取りつけ道路用地のため」として、名儀は糸満市へ、代金支払いは同市土地開発公社が行うという変則形態の売買契約を結んでおります。そして実際にこれらの土地をいったん糸満市のものとして登記し、後に昭和52年11月10日になって真正な登記名儀の回復という理由で一括して同市土地開発公社に所有権が移転されております。
さて、これらの土地の売買原因とされている「糸満市が施行する第4次埋立地の取りつけ道路用地」についてですが、御承知のとおり第4次埋め立ては糸満市土地開発公社が計画し免許申請中のものであって糸満市のものではありません。またこの事業のための取りつけ道路も糸満市が必要とする事業ではなく、その用地取得も全く不必要なことであります。実際これについて糸満市が計画したことはかつて1度もなく、必要な予算措置がとられたこともありません。しかしこれらの土地の売買契約書では、第4次埋め立て計画もそれに伴う取りつけ道路もともに糸満市が施行する事業に変造され、これを前提に一連の土地の売買契約がかわされております。事実を捏造した明白なる文書偽造であります。
その上、これらの土地の売買と所有権移転などに伴って市長公印が使用されておりますが、これについて当然あるべき決裁文書が糸満市には1つも存在しないのであります。もともと糸満市の計画していない事業をあたかも糸満市の事業と偽って事を進めている以上、これに伴って必要とされる市長公印使用の公的文書などあろうはずはありません。何者かによる市長公印の盗用または不正使用であります。
ではなぜ契約書を偽造し、市長公印の盗用または不正使用という地方公共団体にあるまじき重大な不正行為を行ってまで一連の土地が売買されたかということであります。
周知のとおり、租税特別措置法第34条2項の規定で、国や地方公共団体に土地を売った場合2000万円まで所得税控除の特例を受けることができます。そして糸満市上地開発公社はこうした特例を受けられる団体に入っていません。だからこの場合、税金対策としてその特例が受けられる糸満市をあえて持ち出す必要があったわけであります。実際これらの土地は1回、2回ともに控除範囲内の1999万4000円で売買されています。3回目は4200万円余で売買されていますが、これとても2000万円を差し引いた額しか課税対象とされません。つまりこの場合まともにいけば8270万59円全体が課税対象となるのに、租税特別措置法の特例を悪用してわずかに2200万円余が課税対象となるにすぎません。糸満市と糸満市土地開発公社が一体となって伊勢化学工業株式会社の脱税を幇助した疑惑が濃厚であると指摘せざるを得ません。
糸満市土地開発会社による第4次埋め立て計画については糸満市も70億円の債務保証をしており、同公社の運営いかんが糸満の市民に重大な不利益をこうむることにもなります。事実このような一連の不正行為で固められていることを放置することはできません。
私は、咋年2月定例会において同公社による公有水面埋立法第27条違反の問題を指摘しました。県警当局は、それから7カ月を過ぎた10月になってようやく同公社の捜索を行い多数の文書を押収しました。その直後私は齊藤前県警本部長に会い、明々白々の違反事実についてどうして長期の時日を要したのかとただしたところ、齊藤前本部長は、違反事実は明々白々であるが、同公社については市民の間からいろいろなうわさが飛び交っているので、それらについても捜一査を進めているため時日を要したと答えておられました。また地元の糸満市議会でも絶えず問題になっていることであり、市民の会という団体も糸満署長に会い、この問題についての指摘を行い徹底的な捜査を要求しました。
県警本部長はこれらの不正事実について報告を受けておられるか、直ちに捜査を開始すべきと考えますが、どう対処なされるか明確な御答弁をお願いいたします。一部資料としてお上げします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの上原亀一郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
質問は、基地、演習問題と関連いたしまして5・
15メモの見直しは議会と地元住民に任せると、そういうことを基本として見直すべきでないかという御質問でございましたが、5・15メモの見直しについての政府の一貫した態度は先ほど申し上げたとおりでございまして、もちろん地元住民の意思も十分尊重しなければなりませんし、県議会を中心とする地元市町村の議決も丁重にこれを取り扱っていかなければならないことは当然でございまして、ただこのメモの見直しについて防衛施設庁、また防衛庁、また外務省の関係筋も非常にむずかしいことを言っているわけでございまして、特にその件につきましては私といたしましては駐日アメリカ大使を訪ねたときに、特に日本側からの見直しについては余り期待できない、したがってこの見直しについても米側から現地の3者の意向を組み入れて積極的に取り上げて見直しをするように強く要請したところでございまして、この5・15メモの見直し、すなわち改定ということは大変至難なわざでございまするけれども、持続的に継続的にこの問題に対処いたしまして1つ1つ改定し見直していかなければならないと考えておるところでございます。したがいまして地元住民、議会の意見を尊重することは当然のこと
でございます。
それから演習中止の件についてでございますが、その件につきましては、安保を容認する基本的な立場から施設区域の提供はこれは基本的な問題として認めておる立場でございまして、実害のない演習についてはこれを許さざるを得ないような立場にあるわけでごぎいますが、ただ演習を認めるからといって演習から生ずるところの沖縄県民の財産、また生命の侵害等についてこれを容認するという立場ではなくて、あくまでも県民優先の立場から演習の安全管理については積極的に対処していきたいと考えているところであります。
条約、法律、条例等を無視した米軍演習の実態とその対策について御指摘があったわけでございますが、もちろんこのことにつきましては、国内法の尊重という点につきましてもこれは関係法令の中で特に地位協定の中で明記されていることでございまして、米軍の演習等についても関係条例、法律、また条約等の基本条項を守っていかなければならないことは当然の指摘であると思っております。実態と対策については、警察本部長から答弁があろうかと思います。
公道の演習使用について、これは名護市における夜間行軍を例にして御指摘があったわけでございますが、その件についても具休的な調査について警察本部長から答弁があろうかと思うのであります。
第2番目の問題はCTSの問題について御指摘があったわけでございますが、これについては先ほどお答えしたとおりでございまして、原油だけでなく精製品を入れて800万キロリットルの備蓄となっているという御指摘がありましたが、数字はややそれに近い、前後の備蓄となっているわけでございますが、この枠の拡大については、先ほど申し上げましたとおりCTS審議会、協議会になりますかいま調査している段階でございまして、その中で十分検討した上で枠の上限については設定していきたいと考えておりまするし、その設定に当たって特に自然保護、環境保全との調和を図っていかなければならないと考えておるところでございます。
次に、関係市町村はそれはど利益を受けてはいないんじゃないかということでございますが、石油タンクの施設がありまする周辺地域の住民福祉の向上を図るために施設の設置に伴って必要な公共施設を整備することになっております。これは交付金事業に基づいて現在与那城村を初めとして13市町村において道路、社会編祉施設、教育施設及び環境衛生施設等各種公共施設の整備を行っているところでございまして、本制度が市町村財政に寄与していることは明らかでございまして、財政上の点から全然この制度が何ら地元市町村に利点をもたらしていないという御指摘は当たらないと思うのでございます。
ただ関係市町村から県に対する要請がございまして、宜野座村長、金武村長、石川市長を初め関係市町村から私のところに陳情が出ておりまして、1つには特別とん譲与税が100%所在市町村に還元できるよう地方交付税法を改正すること。それから2番目に国策である石油貯蔵基地を軍事基地所在地の国有提供市町村調整交付金制度同様の措置をとること、これは結局ひもつきの予算ではなくて自由に使えるような資金にしてもらいたいということであります。3番目は石油貯蔵施設立地対策等交付金制度の期間を延長すること。それから4番目に石炭及び石油対策特別会計法の石油貯蔵施設立地対策等交付金制度の新増設の交付金の交付限度額、これは2カ年次で1キロリットル当たり800円を各年次毎年800円とすること。また既設の分については交付金制度額を撤廃して1キロリットル当たり200円とすることと、こういう4項目にわたる新しい要請が出ているわけでございますが、この要請につきましては関係省庁に対しまして強力に折衝していきたいと考えているところでございます。
それから与那国のCTSと自然保護地区との設定の関連につきましては御指摘になったとおりでございまして、これを自然保護地区に設定することに決定されておるようでございますが、私の記憶ではまだこれが正式に申請はされておりますが正式に決定されたとはまだ聞いておりません。これは検討させていただきます。
それから雇用失業の問題について御指摘があったのでございますが、この件について1つ意見の相違がございまするのでお話を申し上げて御理解をいただきたいと思っております。
雇用失業の問題と関連いたしまして上原議員は、「4月における完全失業率は6.6%と昨年平均をO.6%を超え、全国平均2.2%の3倍に達しており最悪の状態を示しております。」という表現でもって質問がなされておりますが、これは誤りでございまして、4月の1カ月平均、これと年平均、これを比較することは問題がございまして、1月間の平均と年平均のためにこういうような最悪の状態という表現になっていることを指摘しなければならないわけでございます。
御参考までに中し上げますが、53年4月を例にとりますというと雇用者が26万2000人、完全失業者がそれに対しまして3万2000人、失業率が7.2%、求職倍率が9.5倍となっております。この53年4月と1年後の54年4月を比較いたしまして、雇用者の場合前年度の26万2000人に対しまして27万3000人となっております。また、完全失業者が3万2000人に対しまして、1カ年後の54年4月は2万9000人となっております。失業率は1年前が7.2%、1年後が6.6%、求職倍率が53年4月9.5倍、1カ年後の54年4月が約その半分5.5倍となっておりまして、その資料のとり方が1カ月平均と1年平均を比較したために間違った表示となっていることを御指摘しなければなりません。
○上原亀一郎君 ちょっと議長、待ってください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後5時25分休憩
午後5時26分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
西銘知事。
○知事(西銘順治君) それからいわゆる目玉づくりについて、沖特法38条に基づいてもっともっと目玉づくりに重点を置いてやるべきではないかという御指摘があったわけでございますが、この沖特法38条でいう就労事業は、私が御指摘申し上げるまでもなく単純労務を提供する失業事業が中心となっているわけでございまして、これに対する県の考え方について御説明を申し上げたいと思うのであります。
私は、そういう意昧で雇用吸収の問題を単純な肉体労務の提供の問題としてとらえてはならないと考えているところであります。御案内のとおり、本県の失業者は技能技術を持った者、また事務的職業を希望する等さまざまでございまして、失業対策はこれらの要素を十分考慮したものでなければならないと考えております。したがいまして失業対策は自立の精神を第一義とすべきものとして考えているわけでございまして、失業者の経済的、社会的自立を促進するための援助策であるべきと考えておりまして、あくまでも雇用の場を民間の経済の中に求めるというのが基本でなければならないと、こういう立場に立ってこれからの失業問題を対策していかなければならないと考えているところでございます。
また、お約束申し上げました雇用対策特別基金制度の設置につきましても、現在学識経験者やその他各方面からの経験者を入れまして調査会をつくってこの実現を図りたいと考えているところでございまして、38条による一般労務の提供によっての失業対策ではこれは市町村もその対応に大変財政的な問題がございまするし、また内容自体が県の負担あるいはそれだけ市町村の負担を伴うことでございまするので、基本的には民間経済の中にこれを求めていく。しかも技能を高め、これは免許等の資格はもちろんのことでございますが、事務的な面においてもできるだけ資格試験等を取ってそういった形で対応していくことが基本でなければならない。38条による単純労務の提供による失業対策もこれは効果がないわけではございませんけれども、どちらかというと重点は民間経済の中に置くということが基本的な考え方でなければならないと考えているところであります。
38条の適用の問題については、御案内のとおり労働本省といたしましてもできるだけ単純労務の提供による失業事業というものは減らしていこうとこういう基本的な方針でございますので、沖縄県の場合においてこれを導入するということは大変むずかしいわけでございまして、その点は先ほど申し上げましたとおり地元の負担等も考慮に入れますというとまだまだ問題があるようでございますので、検討をさせていただきたいと思うのであります。
以上であります。
○上原亀一郎君 議長、休憩。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後5時31分休憩
午後5時32分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 私の基本的な姿勢についての糾弾があったわけでございますが、これは県議会の意思を無視するということでもございませんし、皆さん方の御指摘は御指摘としてこれを尊重しなければならぬ立場にはあるわけでございます。その点ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございまして、立場が安保容認という基本線は譲れない、これは認めざるを得ない。また施設区域の提供ということも条約上の義務でございまして、憲法の規定をまつまでもなく、政府も公務員も条約を尊重しなければならないことは当然のことであることはおわかりいただけると思うのであります。
○上原亀一郎君 議長、休憩願います。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後5時33分休憩
午後5時34分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) どうも失礼いたしました。答弁が大分漏れておりますのでつけ加えて答弁させていただきます。
38条の就労事業についていま御説明申し上げたわけでございますが、この問題と雇用特別基金の問題は別でございまして、雇用特別基金の周題は県サイドで県単事業としてこれは考えていかなければならない。国から補助金をもらえるとは思いませんが、国の現在の制度をどういう形で県に持ってくるかは問題として残っておりまするけれども、私の構想は県サイドで雇用に関する特別基金制度をつくってみたいとこういうことでございまするから、政府に対する要請はいたしておりません。
それからCTSはどのような点で雇用効果があると考えているかということでございますが、CTSにつきましては、その雇用効果はそれほど期待したほど大きいものではございません。これは御指摘になったとおりでございまして、ただ具体的な数字について御説明をこれから申し上げたいと思うのでございます。
現在のCTS企業における県出身者の雇用状況等につきましても、石油精製企業及びCTS企業で雇用されている数は805人でございまして、そのうちの726人90.2%、これが沖縄県出身者でございます。その内訳について申し上げますというと技術職が394人、管理職が136人、事務職が94人、その他102人となっております。
なお、単純労務者は直接雇用はされておりませんが、下請企業には間接的に雇用されているようでございますが、その実態については朋らかになっておりません。
それから沖縄石油基地株式会社の増設後の雇用の効果についてでございますが、設立された後の最終の雇用数から申し上げますというとこれももうごくわずかでございまして、御指摘になったとおりで大体100人程度でございます。そのうち90人程度が沖縄県出身者の雇用が予定されているようであります。また、管理業務の消防隊は下請業務でありますが、これには80人の職員を予定しておりまして全員沖縄県出身者を採用する計画でございまして、合計170人の沖縄出身者が雇用される予定になっております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) まず御質問の第1点でありますが、5月14日、5月15日、それから5月18日、金武、名護方面において行われました米軍の集団通行の状況については、警察としてもその状況を把握いたしております。
そこで米軍の行動は、一般国際法のみではなくて地位協定によって律せられるものでありますが、米軍の通行方法につきましては一般的には道路交通法令の適用がありまして、一般交通に著しい影響を及ぼすような集団行進の場合は所要の許可が必要であります。
米軍の特定の行為が地位協定によって律せられるものであるかどうかについては、権限ある当局の判断をまたなければならないところでありますが、地位協定で律せられない行為につきましては、一般国際法の原則によりまして米軍はわが国の法令を尊重する義務があるものとされておりますので、一般交通に著しい影響を及ぼすような行為については、道路交通の安全と円滑を図る観点から国内法への尊重について必要な申し入れを行う考えであります。
御質問の第2点、糸満市及び土地開発公社についての件でごぎいますけれども、糸満市の土地開発公社に関連する事件につきましては、昭和53年12月15日に公有水面埋立法違反で那覇地方検察庁に事件送致をいたしております。
そのほか公文書偽造事件、私文書偽造事件についてもそれぞれ捜査を終え事件送致をいたしているところであります。
御質問の土地売貿に関連する問題につきましても、捜査をいたしまして適正に措置をしていきたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 上原亀一廊君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 知事の先ほどの御答弁ですが、いずれも答弁になっておりません。
時間がありませんので具体的に指摘できませんが、議会の代表質問、一般質問もそうですが、まともな御答弁をこれからなさるよう要求いたします。
それから県警本部長、これから捜査なさるというわけですね、その点もう少し明確に。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) これから捜査をいたします。
○議長(大田昌知君) 翁長助裕君。
〔翁長助裕君登壇〕
○翁長助裕君 県政会を代表いたしまして、知事並びに関係部長に御質問を申し上げます。
私は、県議会議員に当選以来一貫して地方自治の確立と自主県政の推進を大前提にした自主主体的で県民本位の諸施策の展開を訴えてまいりました。
西銘知事に私が心から期待いたしておりますのは、戦前戦後を通じまして特殊沖縄的な苦難に満ちた道を歩んでまいりましたわが沖縄県の歴史的体験を踏まえまして、再び中央の言いなりにならない沖縄県民の主体的選択によるみずからめ歴史の創造を政治的、行政的に推し進めてまいる、主導してまいるということであります。
時あたかも県制移行100年目の節目を迎えております。明治12年の3月27日、松田処分官による首里城明け渡しと同年4月4日の「廃藩置県布告」をもって沖縄県が誕生して以来の中央統制的な、しかも差別的な行疎運営の実体は歴史的事実が証明するとおりであります。さらに第2次世界大戦においてはわが国唯一の戦場と化し、戦後27年間にわたる米国統治による幾多の苦難と屈辱の連続についてはいまきら触れるまでもありません。しかしわが県民はかかる歴史的背景をたくましく克服いたしまして、いま新しい100年に向けてスタート台に立っていると考えます。西銘県政の清新にして力強い、しかも県民本位の施策の推進に強く期待するものでありまます。
日本の民主化が平和憲法の制定を含めまして上から与えられたものであり、地方自治もその精神や理念に先行して制度として整備されてきたことを思うとき、沖縄の自治は異民族統治の過程の中で1つ1つ県民みずからがかち取ってきたものであり、日本国憲法への参加もみずからの意思と復帰運動の成果の上に実現したことの意味はきわめて大きいものがあります。わが国の地方分権への未来構図と真の国民主権への道を探るとき、沖縄県の休験した戦後歴史の過程は優に日本国民の教科書足り得るものがあります。西銘知事が沖縄100年間の歴史過程を踏まえまして、今後100年間に向けて県民の真の連帯に基づいた誤りのない行政を確立されんことを願いつつ具体的な質問事項に入ります。
さて、今月21日からパリで開催される国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会で発表されるランツケIEA事務局長の1980年代以降のエネルギー情勢を分析した報告書は、80年代後半のエネルギー危機を具体的に裏づけ、石油にかわるエネルギー開発の電大性を強調いたしております。すなわち85年における自由世界の総エネルギー需要は60億3300万トンとし、これに対するエネルギー供給量は58億6800万トン、差し引き1億6500万トン不足すると見ています。その不足分はさらに拡大いたしまして90年では4億7700万トン、2000年には14億400万トン、石油換算にいたしまして2800万バレルに達するものと想定をいたしております。
こうした需給ギャップから石油の値上がりが進み、インフレ、失業、国際収支の悪化等が生じ深刻な国際経済や国内経済が予測され、その兆しはすでに始まっていると言えましょう。したがって全国的に省エネルギーが提唱され、石油資源があと30年ほどの有資源であると見られていることから、その代替エネルギーとして当面石炭、原子力、天然ガスの利用増大と、中長期的には再生可能な太陽熱や風力などの新エネルギー開発が叫ばれ始めておるのであります。
わが沖縄県でも積極的な代替エネルギーの開発を第2次振興開発計画の重要施策として位置づけて、自治体みずからのエネルギー確保に最大の努力を傾けていく必要があります。私はその意味で県議会でも幾たびか南部ガス田を中心にして埋蔵されている約172億立方メートルにも上る水溶性天然ガスの開発とその有効利用を主張してきたのであります。天然ガスのこれまでの経過とその意義につきましては再三述べてまいりましたのでここでは触れずに、次に具体的な質問に人らせてもらいます。
第1番目に、天然ガスの開発利用に県がより強い姿勢で行政指導を行い、全県民的な福利に寄与する方向で一日も早く取り組むべきではないか。埋蔵されている天然ガスが県民の共有財産であるという認識から、企業ベースだけではなく県も積極的にその開発と利脂に対して介入すべきであると思うがどうか。
2番目に、その場合に第三セクター方式の導入と開発金融公庫の出資機能を活用する方向で検討するお考えはないか。そうすることが計画的かつ効率的な開発と県民的利用が可能になると考えます。
3番目に、エネルギー供給の際に既存のブロパン販売業者等との競合を避けるなど、その供給システムについては十分考慮すべきであると考えるが、第三セクター方式では十分これらの面も配慮できると思います。知事のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
さて、天然ガス開発利用と関連しまして、天然ガスの有効利用の一環として株式会社沖縄余暇開発の長期保養型施設の事業計画がかねてよりあり、先般県の有力財界人も加わりまして事業主体の強化も図ったようであります。新規企業の誘致も困難な今日、県の資源を活用した県内有力企業の設立は経済の自立を図る上からきわめて意義があります。しかも軍用地の跡利用対策や観光客の誘客効果や雇用効果等とも相まって、それに対する県の対応が迫られておると思います。土地利用対策、公園法との関連等行政の総合調整を図って県の方針を早目に決定し、適切な行政措置や行政指導が望まれております。これらに対する知事の御見解を承りたいのであります。
次に、省エネルギーと関連しましてオートガスの供給体制の現状について触れておきたいと思います。
現在、本島内におけるオートガススタンドは21事業所であり、1カ月の販売能力は約7200トンもありますが、販売実績は3800トンぐらいであると見られております。すでに過剰設備であり、しかも省エネルギー政策の徹底化からして先行き不安定であります。既存業者の保護育成は商工行政の今日的課題ともなってまいっております。しかし現在オートガススタンドの新設申請がすでに14件知事あて出されておるようであります。許可基準に合致したものをすべて許可するというのではなく、既存業者の理解と協力を得て業界が混乱しないような範囲内で行政措置を講じるべきであり、地域にも偏らないよう適正配置をも考慮すべきであると思いますが、知事の御答弁を得たいのであります。
さて次に、太陽熱利用についてでございますが、新しいエネルギーの開発利用の中に特に沖縄の亜熱帯気候を生かした太陽熱エネルギーの開発は積極的に推進されてしかるべきであります。政府でもサンシャイン計画を出してその開発を構想しておりますが、現在わずかに番川県に太陽熱発電プラントの設置を計画しているにすぎません。工業技術院の54年度重点施策にも太陽熱エネルギーの実用化措置がうたわれております。太陽熱エネルギーの開発では沖縄が最適地であることは何人も異論がないわけで、全国に先駆けて重要プロジェクトとして設定する必要がありましょう。
したがって知事は、太陽熱エネルギー開発研究所の設置を政府に要請し、通産省が現在計画している1000キロワット方式の太陽熱発電プラントを誘致する方向で将来構想を策定実施するお考えはないか。未来を先取りする行政を確立する意味からきわめて意義のあることだと思うが、知事の御見解をお聞かせ願いたいのであります。
さて次に、尖閣列島海域の油田開発に関連しまして、去る5月6日沖縄を訪れた中国の符浩駐日大使が西銘知事との会談の席上、中日両国はいわゆる尖閣列島近くの海域の原油などの資源を共同で開発すべき時期に来ていると発言したと5月12日の毎日新聞は報じておりますが、事実かどうかお聞かせを願いたいのであります。
また、尖閣諸島が固有の日本領土であり、沖縄県の県土である以上尖閣諸島に対する県益確保の意味から、その資源開発に対しても県の主体的な見解と施策の確立が望まれますので、これに対する知事のお考えをも承りたいと思います。
省エネルギーも大事なことですが、沖縄の地域的特性を生かした資源開発を第2次振計の中に確固として位置づけ、具体化していく強力な施策を希望いたすものであります。第2次振計の重要プロジェクトとしてこれらエネルギー開発を位置づけるよう要望し、知事の前向きの御答弁を願いたいのであります。
次に、交通方法変更後約1年が経過しようといたしております。これに関連しまして御質問申し上げます。
その1つはいわゆる特別事業の60億円についていまだその計画配分が決まっておりません。すでに計画されている交通安全学校や交通管理センターの設置については了解いたしますが、その残りの活用が県立病院の機器購入等に充当されるやに聞いております。機材等の耐用年数が約5年ぐらいであることを考えるとき、そして特別事業の趣旨が県民のこうむる有形無形の損失をカバーするため県民全体の利益に還元させることにあることを思うとき、むしろ交通方法変更記念基金なるものを設置して、元金を崩さずにその果実運用等によって末長く県民利益に寄与させるのがより望ましいと考えます。「730」記念基金の設置と特別資金の基金繰り入れによりその果実を子供交通安全広場、スクールゾーン等交通関係事業への活用を図るお考えはないかお答えを得たいのであります。
次に、交通方法変更による諸事業でいまだ解決されていないもの、特に道路の整備と営業補償等について「730」事業の諸対策が現在どうなっておるのか、その経過について簡単に御報告を願いたいと思います。
ところで、今回の提出議案中県の機構改革案が注目を浴びております。
知事は、去る2月定例県議会での所信表明の中で、「復帰10年という歴史的な節目を迎えようとしている今日、県政のあらゆる問題を総合的に検討を得わなければならない重要な時期である」と述べるとともに、「時代の進展に即応した施策を実践するためには超党派的立場に立って県民本位の県政を連営し、県民の信頼と期待にこたえるべく職員の士気の高揚、綱紀の厳正な保持と機構の見直しによる執行体制の強化を図ることにより一層意欲的に取り組み、もって行政を力強く展開する」と決意を披瀝いたしております。今回提案された組織の改正もこのような知事の施策を実現しようとするものであり、西銘県政確立のため意義ある御提案であると考えます。しかしながら御提案の内容を見ますと、老人福祉課や青少年婦人課の設置など評価されるものも多々ありますが、必ずしも知事の所信表明にあるような十分なる機構の見直しをされた結果であるのか。またこの案で職員の士気の高揚を図り執得体制の強化が期待できるのかどうか、私は率直に言って若干の疑問を覚えるものであります。
まず第1に、今回の組織改正案の作成に当たり、執行部内における十分な意見調整と現行制度と改正案についての十分な見直し検討が行われたのかどうか。
知事は、県民の英知と力を結集して活力ある住みよい福祉社会の実現を目指すと言われましたが、行政機構は県民への行政サービスをよりよくし県民になじまれるもの、県民のニーズに応じられるものでなければなりません。そのためには10年、20年先の県勢の動向はもちろん、国家行政、地方自治体としての他府県との連携、さらに沖縄の特殊事情等あらゆる面から検討し確たるものにしなければならないと考えます。今回の改正案が果たしてそのような検討と慎重なる審議がなされたのかどうかお伺いをいたします。
具体的内容を見てみますと、改正の必要性として「最近の社会経済情勢の変化に対応して、行政執行の強化を図る」ためということ。特に第2次振計策定に向けての体制固めをするとともに、企画機能と財政機能の一体化を図ることとし、振興開発計画を中心にした公共事業主導型の本県の財政構造の中においては常に計画と財政が緊密に連動しなければならないことから、財政部門を企画調整部に位置づけることとしています。私は計画部門と財政部門は部局間の整合性の問題であり、運用上の問題であると考えます。緊密に連動しなければならないということは、何も組織を合体するということではありません。
沖縄の振興開発計画は56年度で当初の計画を終了することになりますが、公共投資による産業基盤を中心とした整備は、計画目標に近づきつつあるのも多くあってそれなりの評価がなされております。復帰特別措置に基づいて本土との早期格差是正という目標を掲げ、資金計画もマクロ的にローリング方式をとって各年度の財政状況に応じて対応することとしていることから、財政機能的には弾力的、積極的な計画遂行ができたと考えます。これは企画部門と財政部門が現に相互に連携し、調整の上での整合性を図った結果だと思います。企画調整機能の面から問題ありとすれば、それは権限強化によってではなく機能強化によって是正されるべきであります。現に行財政運営の総括的管理権限は公共団体の長つまり知事にあり、現機構でも企画と財政の総合調整は十分図られているものと考えます。あえて行政秩序を変えていくならば、それなりの納得できる理由づけが必要であります。
私は、財政部門と企画部門が一体化された場合の問題点を若干上げて、執行部御当局の率直な御見解を承りたいと思います。
1、国の行政組織運営と十分マッチしない。2、各種の行政連絡会議における他県とのアンバランスを生じる。総務部に財政課を置いていない県は埼玉県のみである。ユニークな形、必ずしも行政効果性を発揮しないと思う。3、財政は計画部門だけではなく、行財政の日常的、現実的、定型的な業務運営が必要であるがそれが損われるし、片や企画調整部長を初め主要スタッフは、予算編成作業や関係省庁との事務連絡に追われて計画策定能力の低下を招くであろう。4、企画と財政、他部局とのチェック・アンド・バランスが必要である。5、歳入歳出はもとより物品管理、管財関係を一体的に把握してこそ財政の総合的管理運営、健全財政運営が図られる。歳入歳出予算の密接な関係も業務上、権限上分離されその概念が混乱してくる。6、人件費の占める割合がきわめて高い本県において、職員団体交渉等に臨んで人事、給与の所管部門と切り離しては適切な運用を欠く。7、財政の有しているミクロ的業務の部門と衝突して第2次振計のビジョン策定において弾力性を欠き、夢のある政策立案が困難視される等々、以上のような問題について率直な御解明をお願いいたしたいのであります。
さらに私は、沖縄の特殊性から言って地籍確定作業の重要性、軍用地跡利用対策の積極的推進の必要性にかんがみて、改正機構案で果たして現行より機能面が強化されるのどうかについても御説明を願いたいのであります。
私は、沖縄の特殊業務についてもっと配慮を払うと同時に、開発局を企画部門と統合して企画開発部としてすっきりとその役割りを強調し、企画調整室を企画開発室として調整の権限は知事が直轄するのが望ましいとも考えます。
いずれにいたしましても、今定例会において県民のニーズにこたえさらに西銘県政のスムーズな運用による真の県民利益を達成するための十分なる機構改革についての審議が行われることを希望いたし、りっぱな機構改革に基づいて県民福利が達成されることを願う次第であります。
次に、米軍基地のあり方について1点だけ西銘県政の姿勢についてお伺いをいたします。
わが沖縄の施政権が祖国日本に返還される際の日米の合意事項として核抜き、本土並み基地の達成がございました。県民の多数もこれを了として日本国憲法のもとに平等の役割りと責任ある義務を負うことになったと理解をいたしております。しかるに復帰後7年を経過して国民的合意ともいうべき本土並み基地の達成は図られておりません。知事は少なくとも本土並み基地の態様からはみ出している米軍基地の形態、機能、その運用については強く監視の目を注がれ、政府並びに米軍当局に毅然たる姿勢で臨むべきであると考えます。
ちなみに、米軍による実弾演習は本土並みではないのは明らかであり、B52の駐機、飛来もしかりであり、これらの中止を求めるのは本土並み基地の基本政策を県政に打ち立てる以上当然であります。全国の53%に上る米軍基地の存在も異常であり、その本土並み整理縮小を迫り、同時に政府の責任において返還軍用地の跡利用を行わしめ、その前提としての地籍確定業務の遂行も当然県政の要求であります。知事が本土並み基地の目標達成を県政の基地に対する基本政策としておられるのかどうか。その場合、この施策からはみ出てくる部分についてはその排除を求めていく姿勢を貫いていかれるか、またはみ出ている部分が現にあるとお考えであるか明快なる御答弁をこの際承っておきたいのであります。
本土並み基地を基本政策にすることによって、基地に対する施策、方針もすっきりと整理できるものだと考えます。また、沖縄の現状において基地反対一本やりの政策では期待できない現実的役割りをさらに果たし得るものだと考えます。
さらに触れておきたいことは、私は安保の役割りを認める立場にございますが、あくまでも本土並み基地を前提とするものであります。そしてその内容につきましては、その安保の批准に際しまして沖縄県民が参加いたしていない以上、認める立場にあっても沖縄の現状を踏まえまして、その内容の時代に適応した見直しが当然議論の対象になってくるものと考えます。
さて最後に、県政の主要プロジェクトについては本土との格差を是正し、さらに自立的発展の諸条件を整備しもって内需の拡大、雇用の安定を目指す産業基盤の確立を図るためにきわめてその選択と具体的作業の推進は重要であります。私は特に鉄軌道、モノレール等を含めた抜本的交通システムの確立は、県土の効率的利用や都市及び産業文化の適正配置を促すファクターとして最も重要であり、県の基本的方針の確定を急ぐべきであると考えます。これに対する知事のお考えを改めて伺っておきたいと思います。
大那覇国際空港の設置、中城湾港の早期達成も今後の沖縄の社会文化はもとより、特に経済環境の望ましい整備を図る上からきわめて大切なプロジェクトであり、知事の積極果敢なこれらに対する取り組みを要望いたしておきます。
西銘知事は、県民の圧倒的期待を担って県政の最高責任者として登場いたしました。県民本位の県政を確立し、県民の理解と協力を求め県民的合意に基づく忍耐強い県政運営を西銘知事に改めて期待申し上げ、私の質問といたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 翁長助裕議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
エネルギー問題との関連において天然ガス開発の問題が質問の第1点として取り上げられたのでありますが、この天然ガス開発については、これまで県といたしましても重点施策として位置づけまして努力してきたところであります。
開発に向けての具体的な考え方といたしましては、沖縄天然ガス開発協会の要請もございまして国、県、関係市町村及び業者との第三セクター方式による企業化を促進いたしまして、当該企業に開発させる方向がよいと考えております。
また事業内容といたしましては、沖縄ガス株式会社の都市ガスヘの供給を基本にいたしまして懸念されるプロパンガス供給業者との競合は、それによって発生するとは考えておりません。
天然ガス開発の企業化に当たりましては、もちろん地域住民のコンセンサスを得ることが第一要件でございまして、国に対しましては地盤沈下等公害防止面についての技術的な対策をとることが大事であり、行政指導等十分これをやっていく必要があると考えております。また同開発会社の運営を円滑にさせるために、出資を含めまして金融面の助成を関係機関へ要請するとともに、県といたしましてもこれに対応する措置を考慮しておるところでございます。
次に、天然ガス開発と観光開発との関連についての御質問がございましたが、特に南部地区の天然ガスを利用いたしまして保養型観光開発計画を現在「沖縄余暇開発」が進めておりますが、その地域は南部弾薬庫軍用地跡地を含めまして沖縄戦跡国定公園の特別地域になっております。自然公園では風致景観を保護すると同時に適正な利用の増進を図るため、保護計画及び利用計画を定めてその管理に当たっているところであります。したがいまして保護計画における特別地域では開発行為の審査指針による基準が定められておりまして、自然環境の保全と開発の調和を図ることといたしております。現在進められている開発計画越許可基準を超えたものとなっておりまますが、その地域の自然的、社会的、経済的実態を踏まえまして土地利用上の位置づけを明確にした時点において自然公園法に基づく許可の適否に関する審査指針によらないことができるような特別な地域に指定いたしまして対処する所存であります。
オートガスの件につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
太陽エネルギーの開発と実用化について、特にプラントの誘致問題についての答弁も担当部長からさせたいと思います。
尖閣の油田開発について駐日中国大使との話し合いについて新聞で報ぜられたという御指摘がございましたけれども、その件について中国大使とは何にも話し合っておりません。しかしながら尖閣の油田開発についてはこれまでの調査によって相当な埋蔵量があると言われておりまするし、場合によっては沖縄が資本的あるいは技術的な足りない点については本土企業の協力も得まして中国との共同開発方策等を入れてこの方面の開発をやることが当然ではなかろうかと思うのでございまして、諸般の情勢等からいたしまして日本だけの開発ということは相当無理があろうかと思います。その点につきましては、引き続き調査との関連等もございまして検討していきたいと考えております。
それと交通方法の変更に伴う諸施策につきましてはこれはいろいろ問題がございますが、「730」の事業の経過等を含めまして企画調整部長から答弁させることにいたします。
それから機構改革について財政と企画を一体とすることについてきわめて理論的な見解をもってその必要はないと、知事が調整すべきであると。知事が調整機能を持っておるので、単に計画部門における年次予算の獲得、中長期に立つ資金の確立だけでなく、日常的な業務の面も合わせてこれはやるべきであって、そういうものと切り離して予算だけの問題だけを企画と一緒にすることは当たらないというきわめて理論的な見解がございましたけれども、制度論はこれはまあ一長一短ございましてどれがいい、どれが悪いということは言えないのでございまして、そのよって立つ財政需要と申しますか、県民のニーズにどうこたえていくか、政策樹立に当たってどう対応していくかということで決まるわけでございまして、その点特段のひとつ御理解をいただきたいと思いますが、それについての細かい答弁も企画調整部長からさせることにいたします。
米軍基地のあり方につきましては、これはもうたびたび申し上げているとおりでございまして、あくまでも本土並み基地に持っていくということが返還時における国の基本的な方針であり、安保の枠をはめることについても先ほど答弁をいたしたとおりでございまして、その本土並みの基地からはみ出る分についてこれからどう対処をしていくか、当時の鷹勢とは違いまするので何といっても5・15メモの見直し、単に後追い行政ではなくて、単に安全管理の面だけで事件が起きた後にこれを追って対策するということではなくて、前もって、先ほど渡久地議員から御指摘もあったようでございますが、演習全体を含めてこれはアメリカとの予算との関係、国の予算との関係もございますが、実害を伴うようなおそれのある実弾演習等については日本のどこかで演習をしてもらう。その予算獲得等についても、場合によってはワシントンまで出かけていってその面の折衝もする必要があるんじゃないかと、こういうふうなことでこれからの基地の態様はあくまでも本土並みということが大事なことでございまして、そのはみ出した部分については当然見直し、改定をしていかなければならないことは御指摘になったとおり
であります。
最後に、主要プロジェクトについての御指摘があったわけでございますが、これから中長期の計画を進めていくに当たって一番問題になりますのは、当面中城湾港の開発の問題、その後背地に位置するいわゆる工業立地の問題、企業誘致の問題等々、また那覇空港を国際空港としてもっと機能を拡充いたしまして、関連産業をその周辺に立地させること等についてこれから詰めて大変むずかしい問題ではございますが、検討していかなければならない問題でございまして、将来中長期の計画策定に当たって問題になりまするのは、どういうプロジェクトをこれからつくって対応していくか。だんだんプロジェクトがなくなるような――なくなると申しますか、そういった思い切ったプロジェクトをつくり上げていって、これに対応する施策を考え出すことはこれからの県経済の計画の策定に当たって一番大事なことでございまして、その点当面は何といっても失業対策、景気の回復を重点にいたしまして、すなわち雇用の問題を中心として対処していかなければなりませんけれども、中長期に立っての大型プロジェクトの作成は大変重要な問題であると考えております。
もちろん農林水産業の土地改良事業等による基盤整備、あるいは漁港の整備等もやっていかなければならないわけでございますが、当分沖縄開発特別措置法等によるいわゆる本土とは比較にならない補助率の高いうちにできるだけ早く基盤整備をするということ等も大事でございまして、その点これからいろいろ問題はありますが、主要プロジェクトをどこに位置づけていくか、どこに求めていくか、これからの予算編成上の、また中長期の経済策定上の大きな問題としてこれは浮かび上がってくることでございまして、大変重要な問題と考えておるところであります。
当面のまた次年度の予算編成に当たっての主要プロジェクトについてはまだ詰めておりませんが、これは早く詰めなければなりませんが、ことしは予算編成も早くなるだろうと思量されますのでその点を急いでおりますが、この点の経過については担当部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) 翁長議員のLPGスタンドの適正基準の件について御説明を申し上げます。
先ほどの御説明の中で14件県に申請中とございましたけれども、これはすでに設置されたので23件で、それから許可済みのもが5件、それから申請中ののが5件でございまして、ただいま協会の方で調整をとっているのが5件とこういうことになってございます。
このLPGスタンドの設置許可につきましては、高圧ガス取締法によってなされているわけですが、この法律は、御承知のとおり高圧ガスによ、る災害の防止を目的として制定されているわけです。したがいまして法令に規定された基準に適合しておれば、これを許可しなくちゃいけないとこういうことになっております。したがいまして企業の乱立防止という面から設置規制をするということは非常に困難な状態でございます。
ただ、業界の中ではこの件につきましてたとえば需給調整を図るためにも、証明書等を添付してある程度その間でいろいろな調輕を図ったらどうかとかいろんな御意見もあるように聞いておりますけれども、新規の申請を行う場合には私どもとしましては県にあります高圧ガス保安協会、ここの方を経由させまして第一義的には業界内部で十分な調整をとらせまして、そして県といたしましても申請者に対しまして必要に応じましていわゆる需給計画あるいは事業計画、こういったものを出させて調整を図り行政指導をしていこうとこのように考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) まず初めに、交通方法変更特別事業についてお答えしたいと思います。
ほぼ御提案のあったとおりの内容となっておりますけれども、県財政の全体的立場から有効な使途を考慮いたしまして特別事業の全体計画、年次計画を策定して政府と調整中でございます。
調整中の事業名といたしましては、安全運転学校及び交通管制センター、2番目には交通災害診療機器整備及び医療情報施設、3番目に御提案のありました交通方法変更記念基金というふうな内容になっております。
中身につきましてはまだ発表する段階ではございませんけれども、大体3つを考えております。
先ほど交通災害診療機器の問題につきましては、耐用年数との関連もありまして五、六年後どうなるかと、その後の手当てはどう考えているのかというふうな御質問がありましたが、これにつきましては、基金の運用果実によりましてその後の対策は対応できるだろうというふうに考えております。
それから子供交通公園の問題につきましても、記念基金の中で事業の1つとして一応入っておりますので、そういう形で対応していきたいというふうに思っております。
それから2番目の「730」交変損失救済についての経緯の御質問かと思いますが、救済措置につきましては、営業上著しい能響を受ける者に対する救済措置につきましては強くその実現方を要請してきたところでありますが、これについて、政府は融資以外の救済措置は法律的、制度的にその補償措置は困難であるとの意向を示しております。
しかし、県としましては交通方法変更に伴い営業上著しい損失をこうむった事業所について「交通変更に伴う営業損失調査」を昭和53年12月11日から昭和54年1月23日までの間各市町村の協力を得まして調査を実施し、その調査結果に基づき去る4月28日付で救済措置について強く要請したところであります。この問題につきましては、事態の推移を見ながら対処していきたいというふうに考えております。
それから最後の機構の問題でございますが、基本的な考えにつきましては知事の方からも途べられておりますし、組織に対する考え方、見方、いろいろ御意見があろうかと思われますけれども、知事の政策を受けましてこれを実現するために基本計画や、さらに事業の予算編成をしていく上での重点施策は策定しているわけでございますが、従来は、基本計画や重点施策を策定してもそれを実現する手段である財政との間に隔たりを隼ずる傾向にあったのではないかと思われます。企画と財政が同一部であれば容易に整合性が得られますし、また計画にしても常に財政を考慮に入れたものであれば計画はビジョンに終わることもなく現実性の高いものが期待されると思います。計画ある財政と実行性のある計画を確立したいと考えております。
本県の沖縄振興開発計画もあと3年で完了いたしますが、この振興開発計画については現在企画調整部でこれまでの実績や総括について洗い直しを行っている最中でありまして、全体的な実績を児ますと、やはり社会福祉、医療、公園、土地改良、社会体育施設等は計画と実績との間に乖離が見られます。これらの立ちおくれの著しいものにつきましては、今後残された期間内で達成率を高めるよう努力していきたいと思っております。また、昭和57年から予定しております第2次振興開発計画の策定に当たっても、計画と財政が常に表裏一体をなしたものにしたいと考えており、企画財政型の組織導入を考えた次第であります。
企画計画部門との結合、いわゆる企画財政型の組織については埼玉県におきましても昭和48年来とっておりまして、また県下においても部制を採用している市においてはすでに実施しております。住民の意向を十分にくみ取り、これに即して政策を形成してかつこれを実現して県民の期待にこたえるために、政策すなわち企画や計画と財政を有機的に結びつける組織体制の方がより効果的だと思っております。
基本的にはこういうことですが、細かいいろいろ質問がございましたが、その主なものをかいつまんで御説明いたしますと、国の組織と一体性がないんじゃないかというふうなお話がありましたが、本県は他県と違いまして、振興開発計画に基づく予算が多いため開発庁との対応の比重が大きいわけですので、むしろ企画と財政が一体の方がより対応しやすいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
それから2番目の各種行政連絡会議との連絡調整に支障がないのかというふうな問題かと思いますけれども、これにつきましても、会議内容を事前に通知がありますれば事前に聞きまして何が主な会議内容なのか、たとえば財政の問題なのか、あるいは人事の問題なのか、その辺を確かめることによって、もし財政が主であれば企画調整部長が出席し、人事が従であれば総務部の次長が出席するというふうなことで相補っていけばいいんじゃないかと思っております。こういう方法は埼玉県でもとられていると聞いております。
それから歳入と歳出は密接な連携を持つ必要があるんじゃないかというふうなことですが、当然のことでございまして御指摘のとおりだと思います。ただ国庫支出、それから使用料、手数料、その他の収入、県債、そのほか地方交付税とか県税とかいうものが歳入の主なものでございますけれども、その中でも大半を占める国庫支出とか、使用料、手数料、その他収入につきましてはそれぞれの主管する各部が受け入れているわけですので、そういうところから現在でも報告を受けているわけでございます。
そういうことで、歳入歳出の予算編成に当たりましては、歳入の面は各部局からそれぞれ報告をいただければ予算編成にはそれほど支障はないだろうというふうに考えておりますが、今後こういう問題につきましては事務レベルで十分調整し合いながら対応していきたいというふうに思っております。大体そういう問題だったかと思いますが、以上で終わらせていただきたいと思います。
55年度の主要施策のプロジェクトにつきましては、先ほど午前の部で副知事から詳しく基本的な考えが説明ありましたが、今月いっぱいで案を作成したいというふうに思っております。
○講長(大田昌知君) 友利栄吉君。
〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 最初に、軍事演習についての知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
去る5月19日の臨時議会における軍事演習に対する論議、また本日の各代表質問を通しての米軍基地演習に対する知事の姿勢は、やはり一歩の変化もないことをまず残念に思います。
3者協議会の設置といっても、何ほどの効果も期待できないと思います。なぜならこの軍事演習に関する限り、国益と県益は相反する性質のものだからであります。それよりも知事が自民党知事として基地の容認はやむを得ないとは思いますけれども、実弾演習は断固反対するという姿勢こそがどれだけ県益につながるか明らかであります。
議会の意思の決議もあります。議会意思を尊重するということは、ことばだけではなくその趣旨を取り入れることではないでしょうか。砲弾落下の原因が究明されるまでは、実弾演習の中止を要求することが知事の態度ではないかと思いますがいかがでしょうか。
次に、知事がたびたびおっしゃっているところの住民に被害を与えない演習とはいかなる演習のことですか。たとえば米国軍隊が基地内を行軍演習するというようなことでしょうか。基地内の山河を破壊する行為は県民の不利益とはならないでしょうか。
知事は、安保条約の枠があり、地位協定の中で基地を認め当然演習を認めると言っておりますが、その基地と演習のことについて根源的な見解を承りたいと思います。
1つ、国際法上軍事演習の定義を示していただきたいと思います。法律上その定義がなければ、軍事演習の一般国際慣習上の概念を示していただきたい。
2つ、日米安保条約に基づく地位協定上、米国軍隊が軍事演習ができる法的根拠を示していただきたい。
3つ、米国軍隊が提供施設区域外で軍事演習を行うことは地位協定上可能かどうか。可能ならば法的根拠を示していただきたい。
次は、CTSについてであります。
CTSは国策であり500万キロリットルにこだわらないということも、知事がたびたび表明してきた姿勢でございます。国策の云々とも言われますけれども、国策の点についてはいまは論議はいたきないことにいたします。
私は、CTSが県民の安全を確保する意味からどのようにこれが説明をされているか、また知事がどのような調査結果に基づいてその確信をしておられるかを承りたいと思います。
その前に新しい、まだ地元の報道ではなされないニュースを紹介いたします。去る3月22日、香川県沖で「第8みの丸」というタンカー――これは非常に小さなタンカー997トンであります――が貨物船と衝突事故を起こしました。その際534キロリットルの、これはドラムかんにして2715本であります、これが流出いたしました。ちなみにあのCTSタンク10万キロリットルはドラムかん50万本に相当しますから、この534キロリットルはまずわずかな量であります。
その対応として救助船が延べ477隻、ヘリコプターが23機、作業人が3862人出動しました。にもかかわらず流出原油はオイルフェンスを乗り越えて役立たなかったと報告されております。これは第2の水島事故とも言われているが、534キロリットルの原油の流出でさえこのとおりであるが、沖縄に出入りしているタンカー船は15万トンから30万トンであります。万一の場合の被害たるや想像を絶するものがあると思うのであります。
さて、その安全性についてお伺いしたいと思いますが、金武湾を航行する大型タンカーは先ほど申し上げたように15万トンから30万トンの大型のタンカーであります。知事はタンカーの航行の安全性についてどれだけの調査をもとにCTS誘致の積極的な姿勢を貫いておられるのか、以下具体的にお伺いいたします。
航路の海底調査は行ったのでしょうか。
2、タンカーは月何回出入りしておりますか。
3、航路入り口の水深と幅はどうなっておりますか。これはタンカーの大きさと水深、出入り口の幅とは適正な基準があると思うがどうなっておりますか。
4番目、風速とタンカーの安全基準はどうなっているか。タンカーは非常に風に、特に追い風に弱いとされております。
台風常襲地域である沖縄でタンカーの航行は危険度が高いと思われるが、いかがでしょうか。
6番、原油流出対策、この対策について石油3社―沖縄石油と沖縄石油基地、さらに沖縄ターミナル株式会社、それぞれの防災設備はどうなっておるでしょうか。私の手元の資料では、ターミナル株式会社がバラスト処理タンク1基、オイルフェンス1300メートル、沖縄石油がオイルフェンス、これは数量不明であります。それと油回収船。沖縄石油基地がバラスト処理施設だけになっていますが、このとおりでしょうか。それで十分と考えるか。
私は、CTSの増設について現在の約650万キロリットルでもなお多大の危険があると指摘するものであります。CTSはいろんなことも言われていますけれども、どうして他県がこれを喜んで誘致しないでしょう。きらわれ者になっているのはなぜでしょう。万一の危険があるからであります。その危険が起きた場合には取り返しのつかない大惨事を招来することが明らかだからであります。メリットとデメリットは、どのようなものか明らかであります。私はデメリットの方がはるかに人きいと考えます。御見解を伺いたいと思います。
次に、通告しました教育行政についてお伺いします。
現代は教育の時代と呼ばれております。受験競争の激化、落ちこぼれの問題、青少年非行化の激増、インベーダーゲームの誘惑におぼれる青少年、暗い面の多過ぎる世相であります。この時代背景から教育の占める重要な役割りを再認識し、これまでの教育諸制度を問い直す時期に来ていると痛感するものであります。まさに教育の危機、荒廃を叫ぶ声は時代の警鐘であると思うのであります。
こうした中で教育改革へのさまざまな動きが多様な形で見られますが、そのいずれもが現代における教育の危機的状況を正しくとらえた、上での改革案となっているとは思えません。すなわちその1つは現在の教育にさまざまなゆがみ、ひずみをつくり出してきた明治以来の教育の諸原理を前提とするものであったり、一方では政府の教育施策を逆コースと批判し、いわゆる戦後民主教育の擁護のみを掲げて硬直的に対置するにとどまっていることなどがそれであります。
わが党は、教育改革は広く国民大衆とともにいままでの教育のあり方を問い直し、21世紀を望む新しい教育体制への漸進的変革の展望を開こうと考えております。教育の改革と計画化を図る上で基本姿勢として3つの原則を立て、当面する諸課題について対処していきたいと考えております。
第1の原則は、教育改革は常に学習者を中心に置き、学習者の側に立って進められるべきであるということです。明治18年初代文部大臣森有礼が、諸学校を維持するもひっきょう国家のためなりとか、あるいはまた、学制上においては生徒その人のためにするにあらずして、国家のためにすることを始終記憶せざるべからず等々と言っておりますが、この流れは戦後民主教育のたてまえにもかかわらず、なお今日わが国の文教行政の底流に強固に残存していることを見逃すことはできません。教育勅語礼賛、あるいは復活等の動きはそれを裏づけるものです。あるいは財界主導による産学協同体制や、高校多様化政策、エリート選別主義から生ずる受験競争、これに便乗する受験産業の繁栄等々は、学習者中心という教育のあり方と遠くかけ離れ、学習者をないがしろにし、もしくは手段として現状を物語るものであります。
学習者を中心とすることは、当然に教育にかかわる父母、教師、行政、財界等も相互にその立場を認めた上で理解と協力、連帯の関係を維持すべきです。たとえば教育の中枢は教師であるとして行政施策をすべて排除しようとする動向や、権威と権限をもって教育を主導し集権的管理体制の強化を図ろうとする文教行政の姿勢がそれであり、国民から批判されております。教育の荒廃は学習者を主体にすることを忘れ、教育にかかわる各立場が教育を私的、個人的に抱え込み独善的に関与していることに大きな原因があると思うのであります。
次の第2の原則は、国民の生涯学習意欲を啓発する方向にあらゆる文教関係の施策を見直し位置づけることです。
幼稚園の入園から始まり、大学受験まで幼い青少年やあるいは父母が幾多の受験地獄の苦難を強いられていることか。これらの厳しい現実の中で、一体大学は何のために行くのか、高校は何をするところか等の素朴な疑問が学習者、父兄の間にささやかれており、その競争の谷間に落ちこぼれ非行、自殺等学習に意欲を失った青少年の何と多いことか、ここでくどく説朋を要しないことであります。
こうした中で家庭教育、社会教育を含めた教育全般の再評価と学校制度の新しい位置づけがいまこそ見直され、そしてこれらの生涯学習の意欲を啓発する方向で改革すべきであるということであります。
第3の原則は、現代における近代合理主義、機能主義に理没しつつある教育の危機の中で、教育活動の原型を人と人との連帯と協力の中で人間的な相互啓発に置くことです。教育活動の原理はどこまでも人間対人間、すなわち親と子、親同士、子供の集団、教師と生徒などの生きたつながりの強いきずなであり、現代文明の欠陥である人間疎外の風潮を人間主義、人間性回復に改めようとすることであります。これらの原則は、大衆の中に潜在する無限の教育力をくみ出し、教育の活力を飛躍的に発展させる原動力になることを確信しております。
わが党は、単に理念的に国民の教育権を追求し、あるいは教育における自由と平等をただスローガンとして語るのではなく、現実に存在している不自由と不平等、人間疎外の現実を改革していく実践とかかわりつつ国民の教育権をとらえ、これらの原則を踏まえて日本国憲法、教育基本法を守り発展させていきたいと考えております。
以上の視点に立って沖縄の教育の実情に思いをいたすとき、幾多の問題が浮かび上がってくるのであります。
このほど、具体的に沖縄の教育界の1つの問題提起として前教委長大浜方栄氏が「教師は学力低下の最大責任者」なる本を出しました。目下東京、沖縄ではベストセラーの売れ行きを示しておりますが、教育関係者、とりわけ父母に多大の反響を呼んでおります。この書は著者が前教育委員長、現教育委員という教育行政の責任者であり、いわゆる内部告発の形で沖縄の子弟の学力低下の原因が語られている点が県民の関心を集めております。
その特徴的な内容は、教職員組合の組合活動と非組合員教師の反目とあつれき、そこから生ずる教育環境の異常さ、「恐るべき教師たち」というショッキングな見出しで語られている項目では、一部の教師の怠慢、教育意欲の欠如、無気力な校長、組合の校長、教頭人事への介入、スト批判等が語られております。
あえて断りますが、私がこの本の話を持ち出すのは、教育を政治論争の具に供するためではありません。ただ沖縄の教育の現状の悪い気は教育行政の責任であり、建設的な是正すべきは当然当局の責任であると思うからであります。当局は、この書の提起する諸問題については、県民の危惧や不安に対しそれに対応し対策を明示する義務があると考えるからであります。
以下、質問をいたします。
1、知事は教育の荒廃、危機という世論をどのように認識され、現在の教育諸制度の問題点をどのようにとらえておられるのか。教育の振興、人材育成は県政の重点政策であるところから、知事の教育構想についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
質問の2、例の大浜発言をどのようにとらえておられるのか。
質問の3、教育長は現教育委員の内部告発の大浜氏の著書について教育上その意義、影響についてどのように評価しておられるのか。
4点、この本に書かれてある、教育庁のスタッフは沖教組に対しおっかなびっくりで及び腰、と指摘されておりますが、そのとおりならばゆゆしいことであると思います。教育長の御見解を求めます。
5、「恐るべき教師たち」の項目で、非組合員の教師たちが圧力を加えられている実態は本当なのか。事実ならこれにどのように対処し、現在はどうなったかについて御報告を願いたいと思います。
6、校長、教頭人事に介入していると言われる沖教組のあり方に対する御見解を承りたいと思います。
以上、御答弁によって再質問をするかもわかりません。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友利栄吉議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
米軍演習に対する知事の基本姿勢についてただされたのでありますが、その中で実弾演習の中止について県議会の意思を率直に表明することはできないのかということでございますが、これについては、先ほども申し上げましたとおりこの実弾演習を含めまして5・15メモの見直しについて積極的に対処していきたいと考えておるところでございまして、3者協議会においてその問題が解決できない場合等におきましては、一体どういう種類の実弾演習が具体的な沖縄の情勢の中でいけないのか、そういった問題等もこれから詰めていかなければならないわけでございますが、実弾演習全部についてこれを中止させるということは大変困難な問題ではございまするけれども、そういう実弾演習の中で何を沖縄以外のところに持っていくのか、上部機関に訴えて解決をしていかなければならない場合等も考慮されるわけでございまして、これは今後の3者協議会を中心とする協議の内容として取り上げていきたいと考えておるところでございます。
それから住民に被害を与えない演習というのが一体あるのかと、一体何を意味するのかということでございますが、これは表現がそういう形になっておりまして、演習のあるところ常に被害というものは予想されるわけでございまして、被害の全然予想されない演習ということはこれはもう考えられないわけでございますが、この演習の安全管理の面からそういう住民に被害を与えないような環境づくりをしていく、体制づくりをしていく、先ほど申し上げました砲座の検討等についてもそういうことが言えるわけでございますが、極力実害を排除する体制をとっていかなければならないことは当然のことでございます。
それから基地と演習の関係において国際法上軍事演習について定義されておるかということでございますが、私不勉強でよく存じませんけれども、私の習った国際法の中で軍事演習とは何かという定義等について勉強したことはないわけでございますが、したがってこういう定義が固まってあるのかないのか大変疑問でございますが、これはたとえばNATO地域における演習等について米国とNATO関係諸国との間にどういう条約が結ばれておるか、これは軍事同盟なら軍事同盟等についてNATO地域において米軍の演習がいま現在なされているわけでございまして、そういう2国間条約の形でいろいろ演習等について演習の条件等について規定されておるのは存じておるわけでございますが、いわゆる一般的な軍事演習とは一体何かと、その内容、概念等について国際法の定義があることについては十分知っておりません。おそらくこれはないと思いますが、これは具体的に2国間あるいは多国間で取り決められておる実態的なものとしてはわかりますけれども、国際法上軍事演習については一体何がという定義でございますが、不勉強のせいでこれについてはわかりません。
また国際慣習上軍事演習の概念はどうなっているのか、これについても先ほど申し上げたとおりでございまして十分お答えできないのを残念に思っております。
それから国内の提供施設で軍事演習ができる法律上の根拠を示せということでございますが、これは私が申し上げるまでもなく友利議員自身がすでに御存じのことでございまして、たとえば日米間のいわゆる安全保障条約第6条の規定によりまして、さらにそれを受けて地位協定で決められており、さらにこの地位協定を受けて沖縄演習の条件等が設定されておる5・15メモがあるわけでございます。
施設外で演習ができるかということでございますが、これは原則としてできないと思います。
以上、基地と演習との関連において御質問のございましたことについてお答えしたいと思っております。
次に、CTSについての県民の安全性を確保することについて強い要請がございましたけれども、これは関係法規の中で安全基準等について細かく規定しておりまするので、これを完全に実施し監視することが一番重要なことではないかと考えておるわけでございまして、事故が全然ないということはこれは考えられませんので、一たん事故があったときにどういう体制でこれに取り組んでいくのか、いわゆるそういう危険排除、公害排除の体制等について関係法規以外にこれは会社と自治体、県あるいは地元市町村との協定があるわけでございますが、この協定の内容が果たして拘東力を持つような規定であるのか、道義的な規定であるのか意見の分かれるところではございますが、いずれにいたしましても協定を結ぶことにおいて法律上の拘束力はないにいたしましても道義上の義務がございまするので、そういった関係法律を完全実施する以外に地域団体との、自治体との、会社側とのそういう公害排除に対する協定を結ぶとしてその面で補うことも大変大事なことではないかと考えておるところでございます。
3月22日の香川県沖における997トンのタンカー船と貨物船の衝突事故についてその救援状況について触れて、そのわずかな原油排出等についてもその動員体制はきわめて大幅なものであったという指摘があったわけでございますが、そういうことで安全対策については万全の体制をとっていかなければならないことはこれは当然でございまして、特にCTSに関する第3番目の質問といたしまして沖縄に出入りする15万トンないし30万トンのタンカー船の安全性について、一体そのタンカー船の出入り口について調査をしたのか、タンカー船の航路について安全であるというその調査ができておるか、その出入り口の幅はどうなっているか、またタンカー船は風にきわめて弱いと言われているが、暴風の強い沖縄においてこの風速による危険の排除をどういうふうにしてこれを取り除こうとするのか、また原油が一たんタンカー船等から漏出した場合にその対策は一体どうなっておるのか、その危険排除の体制についてどうなっておるのかという御質問があったわけでございますが、この出人り口の幅とか航路の調査等については何も私聞いておりませんし、風速による危険排除の問題等についても港湾管理者の立
場から当然これはやらなければならない問題でございまして、また船体の構造等からして風速に対応できる機材器具等もこれは当然備えていることと思うのでございますが、細かい点につきましてはこれは私の方からは満足のいく答弁はできませんので、担当部長がもし知っておりまするならばその点について担当部長から詳しく答弁させることにいたします。
それから増設の問題でございますが、これについては、もう先ほどから申し上げましたとおり現在の500万キロリッターの上限等につきましてもこれは別に科学的な根拠でもって決められているわけではございません。CTS建設に伴う埋め立て前後における情勢等から大体勘案されて設定されだ一応の上限であり、また調査によってはこれはもう1000万キロから2000万キロはできるだろうという調査報告等もございまして、その上限についての科学的な根拠はまだ見出せないのでありますが、増設するについても、これは先ほどから申し上げましたとおり環境の保全、自然保護という立場からその調和を求めて対処していかなければならないわけでございまして、上限等についても審議会ですか協議会ですか、まだ決めておりませんが、この中で十分各界の意見を徴してやっていきたいと考えているところでございます。
メリット、デメリットの問題でございますが、これは単純な基準ではかれませんし、どういうメリットがあるのか、どういうデメリットがあるのか、これは日本のためになることが本当は沖縄のためになることでなければならないわけでございまして、本当は国策は県益と一致することが望ましいわけでございますが、先ほど宮良長義議員の御指摘もあったようでございますが、このタンカー備蓄の問題を含めて、いわゆる正規備蓄を含めて備蓄目標を各県単位に割って、それからいくというと沖縄はまだまだ超過負担じゃないか、それだけよけいな危険負担をしているじゃないかと、その点からはむしろデメリットの方が大きいんじゃないかということも言えるわけでございますが、万が一そういう事故が起きたような場合どれだけ被害を最小限度に食いとめることができるか、そういう体制をどういうところまでつくり上げていくか、それとの関連においても言えることでございますが、いまのところデメリット、メリットの問題についてははっきりしたことは私の立場からは申し上げられないのでございますが、御理解をいただきたいと思います。
次は、教育行政の問題についての御質問が私に対しまして2点ございましたが、1つは私の教育理念と申しますか、教育に関する知事の見解をただされたのでございますが、公明党の教育行政改革の基本的な見解につきましては全面的に同意するものでございます。ただいま御指摘になりました常に学習者を中心に学習者の側に立って教育をやっていかなければならない。また2番目に、国民の生涯教育の意欲を啓発する方向であらゆる教育関係施策を見直していかなければならない。また3番目には、教育活動の原理は何といってもマン・ツー・マンの対策でなければならない。人と人との連帯であり、自然と人間の回復であるというこの3点の基本的な見解につきましては全く同感でございまして、連帯と協力を大切にする考え方で教育改革をしていかなければならないと考えているところであります。
本県教育の課題である学力向上を初めといたしまして、児童生徒の健全育成を図り、21世紀を背負う若人を育成する教育を推進するため人づくりに関する施策を強力に進めていかなければならない、私の施策の基本の中に人づくりを据えておりますることは御案内のとおりでございます。
また、本県教育のよりよい進展を図るための改革につきましては、その道の専門家であり、教育行政に携わる教育委員会を中心として検討いたしまして御要望に沿いたいと考えておるところでございます。
次に、大浜前教育委員長の書かれた著書について私の見解をただされたのでございますが、この本は日本でもベストセブンの中に入っておりまするし、県においてはベストワンの売れ行きでございますが、私も最後まで読みましたけれども大変りっぱな本でございます。
「教師は学力低下の最大責任者」というその本の中に示された考え方に対しましては、県民各階層からいろいろ意見が出ておりまするけれども、とにかく基本的な学力についてもっともっとお五いが教師は教師の立場から、父兄は父兄の立場からいろいろ協力し合っていわゆる学校教育、社会教育、家庭教育と申しますか、3者一体となって学力向上に努めていかなければなちないという点については、私は県民各階層においても異論はないものだと考えておるところでございます。
この際、教師を初め直接間接教育に携わる者が父兄も含めまして本県教育のあり方について真剣に考えていかなければならない重大な岐路にあると、私は考えておるところでございます。大変りっぱな本でありまするし、推薦をしたい本であります。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 順を追ってお答えいたします。
最初に、大浜先生の著書があのように多くの県民に読まれているという事実につきましては、県民が教育に寄せる期待と関心がきわめて高いことのあかしであると受けとめておりまして、この際教育関係者はお互いに自分の足元を見直し、それぞれの部署において最善を尽くし、県民の信託にこたえるようなお一層の努力を払う必要があるとこのように考えております。
2番目に、大浜先生の著書の中で教育庁幹部の職員の態度について記述された部分がございますが、これは著者がそのようにお感じになったことを率直に述べたものであると理解しておりまして、これに対するコメントは差し控えたいと考えております。
ただ、教育行政を担当する者としてはこれまでも一方の立場に立つのではなく、広い視野に立って本県教育の発展のために努力をしてきたところであり、また今後とも一層の努力を払っていきたいとこのように考えでおります。
3番目の、やはり大浜先生の著書の中での組合員の行き過ぎた行動等についての御質問にお答えいたします。
御承知のように、地方公務員法第52条で職員は職員団体を結成して勤務条件の維持改善を図ることが保障されております。教育庁といたしましても、職員団体と正常な労使関係を維持し、労使双方の理解と協力によって本県教育水準の向上に努めるとともに、労働条件の改善を図ってきました。しかしながらあの本で指摘されているように、一部組合員の行動の中に行き過ぎがあったことはまことに遺憾であります。これまでもこのような行き過ぎた行動や違法行為がないよう犀組合側へ強く申し入れるとともに、市町村教育長並びに学校長を通して指導してきたところでありますが、今後ともこのような問題につきましては強い姿勢で指導していきたいと考えております。
なお、記述されている一部の学校の問題については、その後改善されていると聞いております。
4番目の教職員人事についてでございますが、教職員の人事については県の教育委員会で決定されております人事異動方針に基づいて厳正公平に実施されております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 土木部長。
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) タンカー船の航路についてお答えをいたします。
シーバースの建設場所及び船舶の航行、停泊等の水域につきましては、日本海難防止協会及び第11管区海上保安本部と協議及び指導を受けまして現在の配置を海図によって決めております。
ちなみに金武湾のタンカーのコースを申し上げますというと、水深が約30メートル、航路幅が約1キロメートルでございます。
なお、船舶の安全な航行の指導につきましては、第11管区海上保安本部の職務でなされております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 友利栄吉君。
〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 再蛮問をいたします。
西銘知事、私が先ほど求めた3つの国際法上の問題と、あるいは日米安保条約に基づく地位協定の問題と、2番目の問題をもう一回質問いたします。
日米安保条約に基づく地位協定上、米国軍隊が軍事演習ができる法的根拠を示してもらいたいと申し上げたんです。基地の提供はなるほど私もよく知っているつもりであります。演習ができるという法的根拠を示してもらいたい。これは答弁のし直しをお願いします。知事の私見を求めているわけじゃありません。
3番目の問題、先ほどの警察本部長の答弁とも関連しますが、これはできないといまおっしゃいましたけれども、地位協定上可能か不可能か、できないと言われました。ところが警察本部長の先ほどのほかの議員に対する答弁では、国際法上できると解釈していると言われましたが、これはどのような根拠に立つものか再度答弁願います。
それから土木部艮、私はシーバースの水深を聞いたのではありません。15万ないし50万トンのタンカーの出入りする金武湾の入り口の幅を聞いたのであります。そしてその水深の関係はどうなっているか。水深が深ければ幅は小さいわけであります。水深が浅ければ幅は広いわけであります。そしてタンカー船はその大きさによって水深と幅が違うわけであります。その関連性を聞いたわけです。もう一回答弁願います。
さらに、台風常襲地域についての答弁はありませんでした。
一応終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) なるほど第6条によって施設区域の提供義務はあるが、一体それがそのまま演習の根拠にはならないんじゃないかという御指摘でございますが、安保第6条、これは私が読み上げないでも御案内のことと思いますが、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、1952年2月28日東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。」、こういうことがございまして、結局施設区域が提供されておりまして、この施設区域を使用するということの中に演習の法律上の根拠があると思いますが、これは正直に申し上げまして私の独自の解釈でございますが、それがそのまま通用するかしないかは自信がございませんけれども、まだ勉強はしておりませんけれども、いまのところこの施設区域の使用という文言の中に演習の法律上の、条約上の根拠があると私は
考えておりますが、問違いであればひとつお許しをいただきたいと思います。
○友利栄吉君 その法律の根拠を示してもらいたい。わからなければわからないでいいですよ。
○知事(西銘順治君) わかるつもりで言っておるんじゃなくて、ただそれじゃないかという私の考え方です。
○友利栄吉君 だからそれはあんたの意見であって……。
○知事(西銘順治君) それではわかりません。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 米軍の特定の行為が地位協定によって律せられるものであるかどうかにつきましては、これは権限ある当局の判断をまたなければならないというふうに考えております。
このことは、道交法適用以前の条約の問題でありますので、国の方で判断をすべきことであるというふうに私どもは考えております。
○議長(大田昌知君) 土木部長。
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) 先ほど私がお答え申し上げましたのは、シーバースではなくて航路でございます。これは海図によって、ただいまの御質問の中で金武湾の入り口がどうなっているかという御質問でございますけれども、いま残念ながら私の手元に金武湾の海図がございませんので、水深が航路として約30メートル、それから航路の幅が約1キロメートルというふうに記憶をしており、また資料が届いております。
ただこの航路につきましては、先ほども御説明申し上げましたように第11管区海上保安本部の御指導によって安全な航行をやっているというふうに思っています。
以上です。
○議長 (大田昌知君) 友利栄吉君。
〔友利栄吉君登壇)
○友利栄吉君 ただいま、知事は重大な答弁をなさいました。基地提供と演習とは別のものであるという見解だと私は思います。当然またそうでなければならないと思います。提供施設は、演習してよいという法的な根拠は何にもないと私は解釈しております。
果たして、知事が基地は演習を同時に認めるということは、政府の考えでしょうか、知事の勝手な考えでしょうか。もしこれが知事の私見だとすれば、演習容認の姿勢はいま一歩控えるのが妥当ではありませんか。
以上。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 大変重要な問題でございますが、地位協定に基づいて5・15メモが日米間で合意されて、その5・15メモに基づいて演習の条件が付されて基地の態様が決まったわけであります。したがいましてそれから類推いたしますというと、これは安保条約に基づいて地位協定が結ばれそれによって5・15メモが日米間で合意されておりますので、そういう実体法の中から、これは何と申しますか実際あるんですから5・15メモも合意されたものとして。したがって、(「県民は認めてないよ」と呼ぶ者あり)いや県民が認める認めない、法律は認める認めない、知る知らないの問題とは関係ありません。そんなことで条約や法律があるんじゃないんですから、知らなくても、知ろうが知るまいが、条約、法律というのはこれは効力を持つんですから、(「県民の立場からそんなこと言えぬよ」と呼ぶ者あり)それはそういう政治論はよくわかります。わかりますけれども、いま真剣な問題でございますので、そういうことで人が答弁しているときには瑞慶覧議員、もう少し静かに聞いてください。
○議長(大田昌知君) 静かに願います。
○知事(西銘順治君) そういうことで、そういう実態の中からその安保条約6条の中にも施設区域の提供があり、それを使用することができる。使用ということは土地を含めてのことでございまするから、施設は工作物だけじゃございませんので、土地の提供等もございまするし、5・15メモが現存する以上、当然それは法律上の根拠を持つのではないかと。これは私なりの考えでございますが、大体間違いはないと思いますが御理解いただきたいと思います。
○友利栄吉君 よく覚えておきます。
○議長(大田昌知君) 上江洲トシ君。
〔上江洲トシ君登壇〕
○上江洲トシ君 革新クラブを代表しまして所見を述べ質問をいたしますが、順序を変えまして現在大きな社会問題になっているインベーダーゲームについてお伺いします。
インベーダーゲームによる青少年非行の続発はテレビ、新聞に報道され、県民に大きなショックを与えています。
この事態に対し、PTA、学校関係者、婦人会でもその対策が話し合われてすでに実行しているところもありますが、インベーダー熱は下火になるどころかますます加熱するばかりであります。4日の知事を囲んでの教育懇談会でもずいぶんこの問題が出されていますが、知事は確答を避けられたようであります。青少年に重大な影響を及ぼしているインベーダーゲームを避けて通れない問題であります。県の対策をお伺いします。
青少年保護条例を改正して規制しようという要望もありますし、夜間外出禁止の案も出ています。夜間外出禁止などは一番効果があると思いますので、家族ぐるみの話し合いで今度の機会に徹底きせていきたいものであります。
土曜日の午後、私与儀公園にいきますと、小中学校生の幾組かの野球チームが試合に熱中していました。この子供たちの頭にはインベーダーゲームなんかないはずです。どうしたら野球に強くなるか、次の試合にどうして勝つかで頭はいっぱいと思います。悪い遊びを規制する以ヒに、健全な遊び場をつくってやることが大人の責任ではないかとつくづく考えさせられました。
去る4月に、生活と権利を守る沖縄県婦人協議会で、那覇市を中心に児童を取り巻く環境調査をいたしました。それによりますと、児童が日ごろ遊んでいるところは家と答えているのが全体の8割、また20%が道路で遊んでいるという調査結果が出ております。また、一番つくってほしいと思う施設については、自由に遊べる広場と答えたのが第1位であります。いかに多くの母親が、自動販売機やゲームセンターに不安を感じており、自由に遊べる広場がほしいと切望していることがうかがえます。
インベーダーゲームの問題は、条例による規制と同時に健全な遊び場が保障されなければ真の問題解決にはならないと思います。この点につきまして私たちの団体では前にも要望いたしましたが、健全な遊び場をいつ、どこに、どんな方法でつくられますか、具休的に県のお考えをお伺いしたいと思います。
食品の安全対策について。
先日、健康食品として発売されていました「岩蜜」に発ガン性の物質が含まれていることがわかり、県環境保健部は販売停止と回収を指示したということです。販売されてから3カ月の短日月で薬害のあることがわかり大きな被害がなく済んだことは、環境保健部の努力の結果であり幸いであったと思います。消費者から健康食品として売られている「岩蜜」は神経痛や肩こりに効果があり過ぎるので分析してもらいたいとの相談が県消費者センターに持ち込まれ、県公害衛生研究所で調べたところ、昭和52年に使用禁止になっている薬品が含まれていることがわかったとのことでありますが、このほかにも有害物質が含まれていることを知らずに使っているものがあるのではないかと思うと不安でなりません。
消費者には知る権利、安全性を求める権利があります。そこで県の薬品及び食品の安全対策についてお伺いいたします。
1、公審衛生研究所や消費者センターに検査を依頼してくる食品は1年間に何件ぐらいありますか。それはどのような方法で処理なさっていますか。
2、現在の施設及び職員で、依頼してくる品物の分析処理ができますでしょうか。
3、いわゆる健康食品と言われるものは薬品に分類されるか食品に分類されるか区別がむずかしいということでありましたが、これらの安全性はどういう方法で確認されていますか。まずは消費者の安全性の確保がなされなければならないと思、いますが、この点について県はどう考えていらっしゃいますか。
次に、清涼飲料水の色素や甘味料についてお伺いいたします。
これから夏になりますと、ビニールの袋に入った色とりどりの清涼飲料水が販売されます。幼児が店先で口にしているのを見受けます。町角ではどぎつい色で着色されたかき氷が販売されています。色素や甘味料は検査済みのものであるか気になります。このような清涼飲料水についてはどのようなチェックがなされておりますでしょうか。
主婦の間では、野菜を買うとき葉に虫食い跡の穴のあいているのが安心だと言われています。ほとんどの野菜づくりの農家は農薬を使用しているようでありますが、農薬は水で洗い落とせるものでしょうか。
2、農薬指導はどのように行われていますかお伺いいたします。
農薬公害については国会でもたびたび追及されていますが、指導員を配置して安全指導を展開しているとか、許容量についても小動物に一生涯食べさせても安全な量であるとか、最大の無作用量など、安全づくめの答弁であります。日本農業化学研究所長福本敬介氏が朝日新聞への投稿によりますと、全国営農指導員500人を対象にアンケートをとってみたら、農薬の安全使用基準は守られていないというのが何と91%になっています。失明を招く原因不明のなぞの病気と言われているベーチュット病は全国で2万人の患者がいるそうですが、北里大学医学部教授の眼科グループではベーチェット病は農薬による疑いがあると報告しています。新しい恐怖の襲来であります。
最近小児ガン、心臓奇形光が多く生まれ、それに精薄児、一つ目、手足の奇形、鼻や肛門のない子なども異常にふえ続け、こうした異常児の後期死産率は20年前の11倍強という驚くべき増加ぶりであります。
公害というのは、いままでの例が証明しているように最も警戒しなければならないのは、目に見えぬ形で少しずつ長期的効果をあらわし、国民全体の生命を脅かし健康を破壊するものであると発表しています。
先日、障害者スポーツ大会を参観しましたし、続いて心身障害者や老人ホームを視察いたしました。障害児の多いことにびっくりしました。福祉施設のありがたさを思い、施設で働かれる職員に頭の下がる思いがいたしました。いま対策を立てないと、将来老人社会の問題同様障害者の福祉も大きな社会問題になるのではないかと考えさせられました。食品行政、農薬行政の基準規制を厳しくしない限り、民族の破滅につながる大惨禍がやってくるのではないかと考えられます。県でも一層厳しい検査をなさいますよう強く要望しまして、この問題を終わります。
県の機構改革案に関連しまして、婦人政策についてお伺いいたします。
1975年の「国際婦人年」をきっかけに、婦人問題が各方面から注目されるようになりました。77年2月には「国内行動計画」が打ち出され、国や県段階で施策が進められています。沖縄県でも77年に「婦人の窓口」が設置され、翌年には婦人問題懇話会が発足し婦人問題解決のために歩み出しております。民間レベルでは、婦人団休14団体を結集して「国際婦人年行動計画を実践する婦入団体協議会」が結成され、婦人問題の前進のために取り組んでおりますことは婦人の1人として心強いものがあります。
ところで、今回の機構改革に伴って青少年婦人課が新設されるということですが、私ども婦人団体の要求は山積する婦人問題の解決のために独立した婦人課の設置でありますが、青少年問題との抱き合わせであるとはいえ、婦人問題が課として位置づけられていることは一応の前進として評価したいと思います。
しかし、機構上は前進であっても内容が伴わなければ何にもなりません。そこで今回新設される青少年婦人課はどのような性格を持ち、どういう体制で運営されるのか県の構想をお伺いいたします。
これに関連いたしまして、県の婦人政策についてお聞きいたします。
国は、「国内行動計画」の前半5年の重点目標に政策決定の場へ婦人の参加を促進することを打ち出しており、当面各種審議会、委員会へ婦人の登用を10%にすることを目標にしております。
来年は、「国際婦人年」から5年目になりますのでお伺いいたします。現在県には各種審議会、委員会は幾つあり、婦人の登用状況は何%ぐらいでしょうか、県の目標があればお伺いいたします。
次に、管理職への婦人登用についてもお伺いいたします。
各都道府県段階の女子の管理職の登用状況は、22都道府県に40人の課長以上の管理職がいます。多いところでは東京都が8名、愛知県が6名もいます。これは52年度の調べですので、現在はふえていると思われます。わが県を見た場合、課長補佐が1人いるだけで女子の管理職は現在1人もいません。
この4月、5月の人事異動では一般職で婦人の昇任、昇格は1人もいないというさびしさです。新聞報道によりますと、対象者がいないということであります。適材適所の配置で婦人が適任な部課もあると思います。そうであるならば対象者となるべき層を育て広げなければならないと思いますが、県はどういうお考えでしょうかお伺いいたします。
もう1点、県は「県内行動計画」の策定を進めているということですが、その進行状況はどうなっているか、いつごろをめどに策定するのか県の計画をお聞きします。
次に、渉外部の格下げについて。
これまで独立していた渉外部が、労働商工部から労働部門を吸収し労働渉外部として改組するお考えのようですが、御承知のとおり西銘県政になってから軍事演習が激化し事故も相次いでおります。これからますます米軍と折衝しなければならない問題も多くなることが予想されます。また沖縄県の失業率は全国平均の3倍となっており、失業問題の解決は最重要な課題の1つになっています。この両者とも、県にとっては力を入れなければならない重要問題であります。それを一まとめにして問題を処理することができるでしょうか。軍事演習の問題、失業問題の軽視にならないでしょうかお伺いいたします。
物価問題について。
生活福祉部では、54年2月に離島小売物価を調査し一目瞭然すぐわかるようにグラフで結果をまとめてあります。御苦労さまでした。これによりますと、物価の高いところは南北大東、波照間、与那国等で、これらは運航距離の遠いところであります。ところが本島に近い離島の方でも座間昧、渡名喜、粟国のようにかなり高いところがあります。離島の物価高は運賃、人口、流通経路、港湾施設、商習慣等、さまざまな要因があると県は考察しています。
離島の物価がどれだけ高いか、品物によって違いますが3品目について例を挙げますと、食塩は全国統一価格で1キロ60円と設定されています。ところが座間味で80円、北大東で94円となり、指定より何と56%高になっております。
それから2つ目、重量がわずか90グラムのラックス浴用石けんが那覇で74円が、座間味、粟国、北大東では100円と35%高になっています。
3つ目、プロパンガスは石垣、伊是名、伊江島は那覇より安い値段でありますが、一番安い石垣と大東の差は2200円、去年全国で一番安い大阪と比べたときちょうど2倍の値段でありました。プロパンガスは水と同じく生活に絶対欠かせないものでありますが、一般家庭用の10キロボンベ1つから2200円の格差があることは、同じ沖縄県民として大変不公平ではありませんか。
離島の経済状況を企画調整部発行の53年「沖縄県くらしの指標」を調べますと、南北両大東以外の小さな離島は、豊かな暮らしの順位はほとんど最下位から数えて10番以内になっており、ことにサトウキビをつくっていない島々の村民所得は低く、昭和50年調査で40万円前後であります。所得が低い上に物価が高いために暮らしが苦しく、離島は年々過疎になっていくばかりでございます。離島の村当局からも物価または物資の供給についての問題点、国及び県に対する意見要望書が出されています。
また、県の53年3月の物価ハンドブックの物価対策概要の中に、「生活関連物資等の価格、需給及び監視調査」をするとあります。調査監視だけでなくて、不当に高いところは安くするよう指導すべきではありませんか。
消費者保護基本法第15条3項に、「国及び都道府県は、事業者と消費者との間の取引に関して生じた苦情が適切かつ迅速に処理されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」とうたわれています。離島の物価対策について知事の明確な御答弁をお願いします。
最後に、基地問題につきまして私で6人目の質問になりますのでできるだけ重複は避けますが、きょうの締めくくりとしまして知事の見解と決意をお伺いいたします。
今回の金武村伊芸の砲弾落下事故に対する防衛庁の調査報告は、県民の1人として心から怒りを覚えずにはおれません。
根本防衛施設局長は、人間が投げたとしたらあのぐらいの痕跡がつくとは思えないと言いながら、次の3つの理由を挙げて当日の演習とは無関係と報告しています。
1、2個の破片の飛散距離は理論上最大704メートルだが、演習場寄り800メートルの範囲には8インチ砲弾の弾痕はなかった。2番目、当日発射された8インチ砲弾はすべて着弾地に落下している。3番目、目撃者の証言時間には演習は実施していないという3点を挙げていますが、県警によってヤラジーナー帯の米軍演習場内からサービスエリア内に落下した8インチ砲弾の破片と同じ物が1個発見されていますし、今度の発射弾のうち1つが目標地点より400メートルも外れたインパクトエリアの外に着弾していたことがわかり、根本局長自身、ものすごく外れていると言っているじゃありませんか。
昨年名護市の落下事件も、目標からかなりそれてしまっていたとのことですから、演習は絶対に正確ということはあり得ないことであります。
演習時間のことにしましても米軍側に発射記録はなく、大隊長が当日演習を点検して回った際の運転記録から割り出したものできわめて不正確なものでしかありません。
あの当日、砲弾実射訓練を実施しているのは米軍以外にはありませんので、犯人は米軍だということは疑う余地はありません。小学校生でもわかるようなことを、大のアメリカが平気でうそをついています。アメリカが白と言えば日本も白と言う。かつてアメリカがくさめをすれば日本がかぜを引くという笑い話がありましたが、それを思い出されてなりません。日本政府の態度は、全くどこの政府かと問いたくなります。
頭脳明晰と言われている西銘知事はこの報告をどのように判断されますか、また今後どう対処されますか御答弁をお願いします。
今度の事件に対し、自民党議員も納得できないミステリーじみた結論だと言っていますが、沖縄県民であればだれでも腹が立ちます。知事が今度の調査報告に黙っておられることは、今後いろいろな面に悪い影響を及ぼします。米軍からいい加減にあしらわれます。今度こそ県民の命を守る県知事として責任と勇気を示す重大な時であります、しっかりしてください。
次に、3者連絡協議会については渡久地議員への答弁でよくわかりましたので、5・15メモに臨む知事の決意をお伺いします。
復帰のとき、沖縄の基地は本土並みということであったはずですが、5・15メモでは本土と比較にならないほど沖縄の基地は自由使用ができるようになっているようです。
県民が全く知らないところで、使用条件について取り決めがなされていることは納得できません。県民が要望していることは、5・15メモの全文公開と見直しであります。
日本1億のためには、沖縄の100万はどうだっていいじゃないかと本土の責任ある人が言ったようですが、このような差別は許してはなりません。県民の立場に立って不可能を可能にするという心構えで5・15メモの見直しを迫っていただけるでしょうか、知事の決意をお伺いします。
それから警察本部長に、これは要望でございます。根本局長は、捜査権を持っている人の捜査結果をまつ以外にないと言っていますので、警察本部長にもお伺いする予定でありましたが、さきの方の質問でよくわかりました。日本の警察力は世界で優秀だと評価されております。その力をこの事件の解明に発揮させて納得いく結果を出されるようお願いしまして、質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 上江洲議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、インベーダーゲームについての質問でございました。
県民に大きなショックを与えておりまして、先日も知事公舎で教育関係者を招いたときにインベーダーゲームが大きな議題となっていろいろ議論されたところでございます。
そのインベーダーゲームについて知事は確答を避けたということでございますが、この件については父兄の立場からいわゆるPTAの立場から、また学校教育の立場から行政指導を通じてこの問題に対処していかなければならないと思っておりますが、問題はその取り締まりについていわゆる条例等をつくって罰則を設けることができるかできないかということには大変疑問がございまして、そういう条例制定についての要求等もございましたけれども、これはもう憲法との関連で少しむずかしいんじゃないかということを申し上げただけでございまして、何もこれに消極的に対処していくということではございません。
ただ問題は、適法に遊ぶと申しますか、小遣い銭を規制して夜間外出にならないような程度で遊ぶ場合一体これが取り締まりの対象になるかどうかというような問題があるわけでございますが、この間の知事公舎における中学校校長会長、高校校長会長、それから小学校校長会長、その他関係者の意見等を徴しましても、高校生で大体60%から70%は全部経験しているということでございました。特に高校生を中心としてこの問題が浮かび上がっているわけでございまして、小中学生は高校生のために遊び場から排除された形になってその影響は少ないようでございますが、特に夜間外出等を通じまして非行化の方向に進んでいくことが心配されますので、その点学校教育の立場から、またPTAの立場から行政指導によってこの被害を最小限度に食いとめていかなければならないと考えておるところでございます。
御指摘になったとおり健全な遊び場をつくることが大切なことでございまして、家で遊ぶ者が80%、道路で遊ぶ者が20%という現状で、健全な遊び場がないためにそういうインベーダーゲームに走るのではないかという御指摘がございましたが、この健全な遊び場の建設についても毎年予算の許す範囲内でつくっておりますが、この件につきましては担当部長から答弁させることにいたします。
それから食品の安全対策について「岩蜜」の話、また食品検査の分析処理等についての御質問、安全性、特に消費者の安全性の確保の問題等については担当部長から答弁させることにいたします。
それから清涼飲料水の安全対策、またチェックの方法について、農薬の問題に触れて残留農薬が水で落とせるかどうか、農薬の安全基準が守られていないではないかという御指摘を含めまして、その清涼飲料水全般についての安全対策の質問がございましたが、これについても担当部長から答弁させることにいたします。
機構改革に伴う婦人対策の問題でございますが、この件につきましても担当部長から答弁させることにいたします。
それによって渉外部の格下げを考えているわけではございません。現在渉外部で取り扱っている事務の内容等につきましてはほとんど変わっておりません。
次に物価問題、特に離島の物価の問題について御指摘がございました。食塩、石けん、プロパンガス等についての離島と本島との格差についての御指摘がありましたけれども、これを安く指導する体制等を含めまして担当部長から答弁させることにいたします。
最後に、基地対策に対する知事の決意のほどでございますが、私も沖縄人でございまして、また県民から選ばれた知事でございます。沖縄を愛する気持ちにおきましては、議員の皆様方に決して劣る者ではないと思っております。人一倍沖縄県人としての立場から沖縄の県益を大事に守っていかなければならないという立場でございまして、その点本土並みの基地に持っていくことにつきまして5・15メモの見直しにつきましてもなまぬるいと言われるかもしれませんけれども、また人によっては、政党によっては3者協議会は基地を認めるものだと、演習を認めるものだと言って余り高く評価しない向きもありまするけれども、現実的な対策といたしましては基地は占領された時代からあるんですから、具体的な解決の方法といたしましては相手のあることでございまするし、日本政府というむずかしい相手がおる、なおさらむずかしい米軍当局というのがあります。
したがいまして、これらの交渉は自分1人で解決できるものではないと、あくまでも相手がおりまするから、粘り強く沖縄の立場からなまぬるいと言われましてもこの3者協議会を通じて基地の見直しをやりまするし、さらに本土並みの基地から外れた問題等についても積極的にこれに対処して、3者協議会で解決できない問題は議題として取り上げて上位の機関において日米合同委員会、あるいは日米安保協議会等においてこの問題の処理について積極的に粘り強く対処していかなければならない。抗議のしっ放しでは何にもならないわけでございまして、抗議することで終わるものではごぎいません。相手のあることでございますので、積極的に現実の範囲内で対処することが一番大事なことであると考えております。粘り強く対処していきたいと考えておるところであります。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 児童の健全育成のための施設がどうなっているか、今後どうしていくかという御質問にお答え申し上げます。
児童生徒を対象とした施設等を、調べてみましたところ、児童公園等が現状としましては48カ所、児童遊園が3カ所、それから小規模児童遊園が703カ所、児童館が2カ所、それから沖縄こどもの国が1カ所、子供の交通安全広場が6カ所、それから児童センターの設置がまだこれございませんが、ことし計画しております。それから少年自然の家が2カ所、それから青少年旅行村が4カ村にございます。
今年度は児童遊園が那覇に1カ所、それから小規模児童遊園は各市町村に20カ所、児童館が東風平に1カ所、それから子供の交通安全広場が1カ所予定しておりますが、都市地区の方をいま検討申でございます。まだ未定でございます。それから児童センターがことし平良に1カ所。ことしの計画は以上でございますが、今後の計画につきましては福祉長期計画に一応計上してございまして、それを目標にしながらまた55年度もそれを漸次増加していきたいと思います。
なお、公民館、老人センター、それから校庭の開放等におきましても現在そういった関係者と調整をしておりまして、これを多目的にそういった健全育成の場として開放するようにという話し合いを現状として進めているところでございます。
それからもう1つに、離島の物価の問題でございますが、これは従来離島における物価がどういうふうな状況になっているかわかりませんでしたので、現状としましては10市の20人の物価モニターを置いて調査をしましてそれを中心にしてやっておりましたものを、離島の多いわが県におきまして離島の物価も非常に重要な閤題があるということで去年の10月に調査をした結果が出ておりまして、先ほど上江洲先生のお話になったとおりでございます。そういった物価の高い、ことに生活必需品であるところのプロパンとか、食塩とか、そういったものにつきまして高いという結果が出ております。
そういうことでこれは安くするような指導をせよということでございますけれども、そういったことは自由経済の中におきましての強制的な事項としてはなかなかむずかしい問題がございます。そういうことでその業者、もしくはまたそういった販売しているところによくそういう事実を申しLげまして協力を要請いたしております。
また、同じ離島でありながら遠くで安くなったり、近いのに高くなったりというバランスの何といいましょうか非常にでこぼこが多いもんですから、そういう事実をとらえまして各市町村においてもその事実を見きわめながら、私どもの県民室の方に参りましてそういった話し合いを進めながら現にもう安くなっている部門もございます。そういう意昧における情報の交換、そういった調査のまた今後の動向の問題、いろいろ検討いたしましてそういった物価の問題については鋭意安くしていくような方向をとっていきたいとしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 食品と薬品の安全確保についてお答えいたします。
まず、食品の安全性の確保につきましては、食品衛生法に食品等の規格基準が定められておりまして、主な加工食品については製造の許可が必要になっております。
許可するに当たっては、設備の基準、あるいはそこで用いられる添加物等の基準が定められております。そこで製造所において、製造工程等の監視指導を実施して食品衛生法の基準に合致するように指導を強化しているわけでございます。
それから市販されている食品については適宜収去、これは取ってまいりまして公害衛生研究所、保健所等でその成分について検査あるいは分析を行っております。
これで発見されて異常のある食品については、その製造所が県内にございましたら製造の中止、さらに流通している食品の販売停止、それから回収を命ずることになっております。県外に製造所がある場合には、その製造所の所在する都道府県に通知をいたしましてしかるべき措置をとってもらうことになっております。
薬品についても大体同様の趣旨でございますが、薬事法に定められる基準に基づいて製造の許可、販売の許可を受けなければならないようになっております。
食品、薬品等については、保健所において食品衛生監視員が64名、公害衛生研究所においては主として食品の分析を担当している職員が12名おりまして、年聞両方で約4000検体程度の分析あるいは検査を行っております。このようにして安全の確保に努めているところであります。
清涼飲料水につきましても、製造の許可を受けている施設がございますので、先ほど申し上げましたような趣旨で指導をいたし、色素、甘味料等については法に定められた物質を使う、そしてその定められた量を使うということで指導をいたしており、適宜製品について収去検査をいたしております。
農薬については、現在農薬の使用なくしては野菜の栽培は非常に困難でありますので使用されているようでございます。しかしながら乱用いたしますと人体への悪影響も考えられますので、農林省では農薬の使用基準を定めて農家を指導いたしております。また厚生省は、野菜中の残留農薬基準を定めて食品の安全性の確保に努めております。
野菜に付着している農薬は、大部分は水あるいは洗剤等で洗い流すことが可能でございますが、中には野菜の中に入りまして残留いたします。したがいましてその残留農薬がどの程度あるかといったことをチェックすることは非常に重要でございますので、県においても毎年主な農薬について、県産の野菜に残留農薬がどの程度含有されているかといったような検査をいたしております。
1965年以来ずっとやっておりますのは、主として現在用いられている有機燐を含む農薬の残留調査をいたしておりますが、パラチオン、マラソンあるいはジミトエート等9種類の農薬についてキャベツ、レタス、キュウリ、サントウサイ、白菜、大根あるいは春菊、ホウレンソウ等幾つかの野菜について農薬の残留濃度を調べておりますが、いずれの場合も先ほど申し上げました厚生省の定めている基準以下でございますので、この点私たちの調査した結果ではいまのところ問題はございません。しかしながら適正な農薬の使用基準を定めてありますので、それに基づいて使用を指導していきたいとこのように考えております。
なお、野菜以外の食品等についても53年度は500例以上の残留農薬の検査をいたしております。たとえば獣肉、あるいは魚肉、あるいは母乳、あるいは水質、そういったものについての検査をいたしておりますが、いまのところ問題はございません。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) 機構改革に関連しまして、青少年婦人課の設置とその所掌事務の内容はどうなっているかという御質問でございますが、青少年婦人課の中では青少年の健全育成、青少年の海外派遣及び県外青少年団体の受け入れ、婦人に関する施策の企画や調整、それから婦人の地位向上等を所管する予定であります。青少年婦人問題をより積極的に取り組んでいけるよう配慮したつもりでございます。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 御要望をいただきましたところでございますが、警察としては鋭意事実調査を進めてきているところでございます。内容につきましては、先ほどの渡久地議員への御答弁で御理解をいただきたいと存じます。
なお、ただ御質問と関連いたしましてひとつ御理解をいただきたいんでありますが、この事案そのものは結局刑事事件は構成しないと認められますので、捜査としてこれを処理するのは困難であるというふうに考えられるところでございます。しかし住民地域で発生した事案でございますので、警察といたしましても関心を持って鋭意事実調査を進めてきたところでございまして、現在なお鑑定中の事項につきましては結果判明次第発表いたしたいと存じているところでございます。
○議長(大田昌知君) 上江洲トシ君。
〔上江洲トシ君登壇〕
○上江洲トシ君 1分30秒で2つの要望をいたします。
間もなく予算の編成時期だと思いますので、子供の遊び場についてうんと予算を組んでいただきたいと思います。
2番目、離島の高物価については、婦人会にあなた方で値下げ運動をやりなさいと言いましたら、毎日つき合っている人だから今後のために大変やりにくいから県で指導してくださいということです。それで離島物価についてはあの厚いパンフではなくてチラシみたいなもので、戸数が少ないですからこれを配布することによって業者は大いに慎むんでないかと思いますので、指導をよろしくお願いします。
○議長(大田昌知君) 以上で、代表質問を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明7日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午8時2分散会
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19790402000010