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昭和59年(1984年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 10月 3日
第 2号 10月 3日
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議 事 の 概 要
昭和59年10月3日(水曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
1 我喜屋宗重君(自民党)
2 外間 盛善君(自民党)
3 城間 盛栄君(社大党)
4 友寄 信助君(社大党)
5 伊波 広定君(共産党)
6 宮城 清順君(公明党)
7 渡名喜藤子君(新生クラブ)
午後6時44分散会
○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
本定例会に説明員として出席を求めた副知事比嘉幹郎君は、10月1日付で退職した旨知事から通知がありました。また副知事古謝得善君は、別用務のため本日の午後1時から4時30分までの会議に出席できない旨の届け出がありました。次に公安委員会委員長安座間喜徳君は、別用務のため本日及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として公安委員会委員照屋盛通君の出席を求めました。
○議長(志村 恵君) この際、念のため申し上げます。
本日から6日まで4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(志村 恵君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
我喜屋宗重君。
〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 昭和59年9月定例議会に当たり、本員は、自由民主党所属県議会議員団を代表いたしまして、さきに通告いたしました中から8番目のバス問題を取り下げ、あとは順序に従い、我が党の見解を交えながら知事初め関係部局長の所見を求めたいと思います。
まず最初に、60年度国庫要請についてでございますが、去る8月31日に大蔵省に対する各省庁からの60年度予算の概算要求が締め切られまして、9月1日から大蔵省においてその査定作業に入っていることは御承知のとおりでございます。
今回の予算要求の中で何と申し上げましても目につくことは、まず3年連続の原則マイナス要求枠設定であり、スタートの昭和57年度がゼロ・シーリングで1.2%落ち込み、58年度はマイナス・シーリングであったものの知事初め各省庁の御努力により0.8%の増、59年度が実質マイナス、60年度が要求時点から減額要求という非常に厳しい年度を迎えそうでございますが、公務員のベースアップを凍結したり、社会保障費の一部を国民に負担を強い、あるいは地方自治体に一部の負担をお願いし、国債の利子払い約9兆1800億円に膨れている借金財政の中で、国の財政事情を考えましたときに余り無理は申し上げられないかもしれませんが、満足のいくものではございません。
我が県は、今、第2次振興開発計画の3年次であり、60年度予算はちょうどその4年次に当たり、これからの中期展望に立って振興開発計画の目標であります自立的発展、本土との格差是正に全力を挙げている最中であります。そのさ中にいささかの停滞が出てまいりましても計画そのものの見直しという他府県にはない事情があり、しかも我が国の高度成長期のその経済恩典時には異民族支配下という民族悲劇の中にあり、そのひずみが今日沖縄県下のいろんな階層の中で本土との格差になってあらわれていることは、今日まで幾度となく議論をされてきたとおりであります。そのような事情の中で、沖縄予算の中核をなしている沖縄開発庁の概算要求総額2150億8700万、前年度比較0.6%減、中心となる振興開発事業費1951億3700万で前年度1%減、そのうち公共事業関係費1804億1000万で0.9%の減であり、前にも申し上げましたとおり初めての減額要求であり、我が県のように依存財源に80%内外頼っている状況の中で、この国庫支出金要請は県経済にもろに影響が出てまいりますことは論をまちません。
この厳しい中から、財政投融資関連で沖縄自動車道整備費331億、55.4%増、石川火力発電所325億1700万、90.7%増、振興開発事業費と合わせて公共投資全体で10.7%の伸びを見せていることは大変喜ばしいことであります。しかも県が発表しました60年度最重点施策の概算要求がほとんど盛り込まれ、新規事業に関してもすべてが含まれていることは、経常部門10%、投資部門5%削減という概算要求基準設定の厳しい財政状況下で評価されていいものだと我が党は考えているわけでございます。
ただ、毎年厳しくなる財政事情の中で、2次振計目標をどう達成させていくのか。中城湾、自動車道あるいは国体関連事業、その他現在進行中の次のプロジェクトをどうつくり上げ計画をしていくのか。高補助率の継続をどのようにするのか。文教施設の整備、病院事業の整備のように進むことによって先細りをしていく事業。羽地大川ダム、新石垣空港建設などいろんな事情により予算消化が進まず不用額を出していくことは、厳しい国の財政事情の中での予算要求に対して影響が出てこないか、我が党は大変心配をしているわけであります。
特に県経済活性化の一番不可欠な公共事業においても平均97.5%の要求でありますが、沖縄は99.1%要求が前年度比でなされており、公共事業の沖縄シェアは2.88%になっており、これが無限にいけるものかどうか、あわせて建設業界に及ぶ影響度合いもこれから意を新たにして考えていただきたいと思います。
さらに、21世紀に向けて豊かな県づくりをするためにも、都市地区だけがさらに発展をしていく沖縄県でもだめ。僻地離島も含めて一緒に発展していくバランスのとれた沖縄県づくりを行い発展をしていく地域の中で、あるいは部門の中で取り残されていく細かいところまで政治恩典が届くような予算執行を行っていただきたいと思います。
かつての革新県政の一部に見られるようにただ予算の分配作業にだけ熱中をし、特定の団体の意見を尊重するようでは、県民は必ず背を向けてくるものと思います。
そこで知事にお尋ねをいたします。
1、厳しい予算折衝になろうかと思いますが、来年度予算の決まってまいります年末に向けてそのスケジュール、決意をお聞かせください。
2番目に、60年度建設省が大蔵省要求の中で都市の再開発費用が重点の一つになっており、前年比で約50%増の142億3000万円となっております。我が沖縄県における都市再開発の計画進行状態がどうなっているかお聞かせください。
さらに、知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。
知事は、就任以来、県民の負託にこたえ、県勢発展のために日夜頑張っていることは申し上げるまでもございません。その政治行政を進める中でいささかもあってはならない地域差別、身分の差別、また行政権力者自己の利益のための行政であったり、また県民の向上を願うことによってその見返りを願ってはいけません。時もこれから21世紀へ向けて沖縄県づくりの大切な時期でもございます。
最近、我が党の所属県議団おのおのに、月3回発行で、本社を東京に持つ機関紙が送られてまいりました。その中には北谷浄水場の建設に関し疑惑があったとの中傷記事があるが、その事実はどうですか。知事は、ひたすらに県勢発展のために御努力をいたしておられ、決してこのようなことはないと思うのでありますが、活字になって県民の前に明らかになった以上、北谷浄水場用地選定のいきさつ及び取得価格の設定について、この際、県民の誤解を招かないように明確にする必要があると思いますので、ぜひその真相についてお聞かせください。
次に、ニューメディアについてお尋ねいたします。
我が国経済社会は、国際化、高齢化、成熟化という大きな流れの中で、情報処理技術と通信技術の飛躍的発展とその結合によるネットワーク化により新たな情報化時代を迎え、工業化社会から高度情報社会へと急速に移行しようとしています。このような高度情報社会に向けてのインフラストラクチュアの整備はかなり進んでおり、日本電信電話公社においては、従来の電気通信から、大容量通信回線の光ファイバーヘの転換のため、昭和60年3月までに光ファイバーケーブルを北海道から鹿児島間の約3000キロメートルの日本列島縦貫幹線を完成させる予定であり、また昭和62年度までには各県庁所在市まで延長、70年代には全国津々浦々まで延ばし、総額30兆円を投入する方針だと聞いております。さらに通信衛星も昨年2月と8月に打ち上げられ、従来とは異なるさまざまな情報通信手段が出現しつつあり、双方向CATVやVAN(付加価値通信網)衛星通信などのいわゆるニューメディアが次第に実用化されつつあります。
通産省の産業構造審議情報産業部会がまとめた「S家の一日 1990年5月21日」という短編未来小説がありますが、この中で、中央官庁に勤めるS氏は、家庭ではテレビ電話を使い、映像情報システムでニュースを入手する。役所ではコンピューター決裁が進み、地方局とのテレビ会議が日常化する。S夫人は、ホームショッピングで買い物をといったように高度情報社会の出現を予測しています。
このように高度情報化の流れは、産業分野や社会、生活分野に多大な影響を及ぼすことが予想されることから、高度情報社会を円滑に実施していくため、通産省と郵政省においてはおのおの独自の立場からモデル地域を指定して各種ニューメディアを優先的に導入し、産業、社会、家庭などあらゆる分野でニューメディアを活用してモデル的な高度情報都市をつくり出す目的で通産省のニューメディアコミュニティー構想と郵政省のテレトピア構想が打ち出されており、59年度中にそれぞれ7地域と10地域の指定が予定されています。
このような両省の構想に即応しても県においては8月20日に、ニューメディアコミュニティー構想に対して、離島住民の医療苦解消を図るため僻地医療型のシステムタイプの要望書を総合事務局通産部に、また9月29日には、沖縄の地域特性を配慮した離島振興型のテレトピアタイプを導入する沖縄県テレトピア基本計画を沖縄郵政管理事務所に提出していますが、私は、我が県こそまさに全国に先駆けて高度情報社会の構築を一日も早く導入すべきだと思っております。すなわち我が県は、日本列島の最南端に位置し、東西約1000キロメートル、南北約400キロメートルという広大な海域に散在する有人離島42を含む100余の離島から構成されているため種々の制約を受け、その不利性の克服が大きな課題となっているところであり、情報、通信面においても大きな遠近格差の不利性を抱えております。
我が県は、現在、第2次沖縄振興開発計画に基づき、自立的発展の基礎条件の整備を図るとともに、本土との格差是正に努めているところでありますが、なお多くの課題を抱えております。第1に、沖縄の振興開発の歴史が浅く、中央本土との間に大きな情報格差があること、第2に、産業基盤が脆弱で中核的産業の不足分から雇用の場の確保が困難な状況にあること、第3に、沖縄は本土や中央との格差のほかに本島と離島間にも情報格差があり、県土の均衡ある発展が進んでいない状況にあること、第4に、国際化が進展する中で東南アジアに近いという地理的条件が十分生かされていないことなどであります。
このような課題に対処して、第2次沖縄振興開発計画では、通信面における推進方針として、経済社会の発展と国際化の進展に伴う通信需要の高度化、多様化に対処するとともに、離島性、僻地性の解消を図るため電話サービスの一層の充実及びデータ通信、画像通信のための施設の整備拡充を促進することが挙げられております。さらに昭和60年度の沖縄県の重点施策の中でも、未来コミュニケーション都市構想及びニューメディアコミュニティー構想並びにニューメディアネットワークに関する開発調査を促進し、本県に適した農業、観光、医療、教育等の情報システムの開発を検討し、ニューメディアの導入を進めることが取り上げられております。
一方、産業界においても高度情報社会に対応した活発な動きが見られ、ことし6月29日には通信衛星や光ファイバーネットワークを使った通信サービスの提供、双方向CATV事業などを目的とした沖縄情報通信株式会社が設立され、地方都市としては、全国に先駆けたいわゆる第二電電構想として本土中央の方からも注目を集めているところであり、また沖縄電子計算センターにおいても、ことし9月19日にVAN事業への進出を決定しており、産業界の対処もニューメディアの実現に向けて具体化しつつあります。
しかしながらまだまだ検討を加えなければならない問題も山積されております。
電電公社は、9月28日より、東京の武蔵野、三鷹地域で約1万人の電話加入者を対象にINSの実験を開始しておりますが、このような高度情報化社会の訪れによってプライバシーの侵害、情報コントロール、新たな弊害を生み出すおそれも心配されており、プライバシー保護とその情報公開が保障された基本法の制定も必要だと思います。また双方向型CATVにしても、一世帯当たりの設備費が20万から30万かかり、維持費もかかり、米国では90%以上が赤字になっていると聞いております。また衛星放送、衛星通信も問題があり、NHKの場合300億円、米国のSBS社が大赤字を累積している事実を見た場合、安易に飛びつくのも大変問題が起こるでありましょう。
特に先ほど述べましたプライバシー保護問題、今あるデパートが持っている個人情報というのが約400万人と言われております。また政府が持っている個人情報が8億件あると言われてはいますが、その個人情報が万が一間違って入力され、通信が勝手に引き出されても個人には容易にわからないものでございます。このような法令の整備、体制をニューメディア時代に向けて自治体が十分な検討をしてほしいと思います。
また、ニューメディアの現施策が、国先導型でこの情報化によってできた情報空間のひずみの後始末を自治体がやるおそれも出てくるのではないかといろいろ議論をされております中で、一昨年の9月、電電公社のモデル実験都市となった人口16万の三鷹市からの実験報告書を見てみますと、行政サービスとして行ったデジタルファクシミリと言われる通信を利用しての住民票、戸籍抄本、印鑑、課税、納税証明などを、庁内から市内2カ所の市政窓口に伝送するサービスを予定しておりましたら、1つには、戸籍の電算化は法務省が認めていない。2つには、住民票や印鑑証明の伝送サービス化は住民基本台帳法や各自治体の印鑑条例など慣習法の制約を乗り越えるのが難しい。3つには、プライバシー保護の問題が報告されています。
また双方向CATVの実験都市・京都市のニュータウンからは、初期投資が約10億7000万円もかかり、8年を経た今でも毎年赤字が1億円に上り、受信地域が限定されているのでは、一気に売り上げを伸ばすのも不可能に等しい。そして情報を金を出して買うことにまだなれていない国民性の壁とそのほかにもいろいろと報告がされておりますが、さきに述べましたように我が県の地理性からどうしても必要な分野だと考えていますので、このニューメディアをこなす人材の育成を早目に行うことを提案をいたし、以上のことを踏まえて来るべき高度情報化社会の構築をどのように導入していく方針なのか、次の点について知事のお考えを示していただきたいと思います。
1つには、通産省のニューメディアコミュニティー構想及び郵政省のテレトピア構想のモデル地域指定に対しての県によるこれまでの取り組み経過及び今後のスケジュールはどうか。
2番目に、モデル地域の構築費用はどの程度か。
3番目に、具体的なシステムとして僻地医療情報システム、保健医療情報システム、行政情報システム、観光情報システム、農業情報システム等が計画されているが、各システムの導入が実施された場合、県はどのような役割で対処する方針なのか。また民間活力をどのように生かしていく方針か。
4番目に、モデル地域指定の対象地域は沖縄県の地域特性に即して全県域となっているが、離島や僻地等も含めて同時にシステムの導入を図っていく方針か。
5番目に、我が県のような広域な離島県に光ファイバー等のインフラストラクチュアの整備を図るには、国や日本電信電話公社などの協力が不可欠と思われるが、どのように対処しているのか。
6番目に、各システムが導入された場合、具体的にどのような効果が期待されるのか、以上6点について知事及び関係部長の御答弁をお願いいたします。
次に、バイオマス、バイオテクノロジーについて知事初め関係部長にお尋ねいたします。
このバイオ構想については、昭和59年3月15日、科学技術会議議長中曽根康弘に対し、科学技術会議ライフサイエンス部会長岡本道雄から、昭和56年11月19日当時の科学技術会議議長鈴木善幸氏より諮問を受けて答申をしました。ライフサイエンスにおける先導的、基盤的技術の研究開発基本計画についての課題、いわばすべての生物はすぐれた高率の一貫生産工場を持っている常温常圧のもとで物質を分解し、さらに再合成する極めて精密につくり上げられたそのシステムを組みかえ、DNA技術、細胞融合技術、細胞大量技術、生物機能の模擬技術等多くの先導的、基盤的技術を創出し、あるいは進歩させ、人類の直面する諸問題の解決に大きく貢献をさせようとの答申に端を発し、今度は同じ科学技術庁長官の諮問機関であります資源調査会会長藤波恒雄氏より、昭和59年6月26日答申の遺伝子資源としての生物の確保方策についての中身において、近年、人口の増加、工業生産の飛躍的増大などに伴い、限られた地球における資源の枯渇が懸念される中にあって、再生産可能な資源としての生物の活用を図ることは、人間生活の維持向上にとってますます重要となってきております。
また、ライフサイエンス等の進展により、保健、医療、農林水産業、鉱工業エネルギー、環境保全等の広範な分野において生物の新たな用途の開発が急速に進んでいることから、生物に対する需要は今後一層増大するものと考えられる。遺伝情報の担い手である遺伝子を、遺伝子資源としての生物の確保方策を確立することが緊要となっているという答申がなされまして、しかも海外に所在する遺伝子資源についても可能な限り導入し、保存を進めるとともに、諸外国及び関係国際機関等から必要に応じて提供を受け取る体制を維持しておくことが基本となるとなっておりまして、ちなみに昭和58年12月の時点で我が国が保存している作物は延べ9万9000点、そのうち作物種子については農業生物資源研究所が約3万4000点保存し、集中的、一元的保存、提供を行い保存センターとしての役割を担っております。また京都大学、岡山大学、国立遺伝学研究所等で小麦、大麦、稲などの世界的に貴重な遺伝子資源が保存されております。薬用植物については厚生省国立衛生研究所で2000種、材木については現存の主要造林対象樹種はかなり保存されているが、その樹種の保存力はものすごく少ないものであります。林野庁林業試験場等における個体、種子による保存のほか、同材木育種場においては遺伝子保存林が造成され、現在392カ所、約1000ヘクタールとなっております。野生植物については各所の植物園に保存されておりますが、国際的に見るといずれも小規模であります。
米国の例を見ますと、世界各地から植物遺伝子資源の導入を積極的に行い、国と州の試験研究機関等がネットワークを組み、その運営方針は委員会組織による協議に基づいて決定され、保存されている品種、系統は、国立貯蔵研究所で約17万点、農務省農業研究センターで約7万点で、全体では34万点を超えると報告がなされておりまして、このことを考えましたときに、まさに我が県の地理的条件は資源植物保存センター設置にいいのではないかと考えております。しかもバイオテクノロジーに関しての国内でのすぐれた研究者もおりますので、県の一段の取り組みを期待申し上げるものでございます。
さて、そのバイオテクノロジーの火つけ役は1953年、J・ワトソンとF・クリックの博土が共同で、遺伝子の本体物質DNAは二重らせん構造になっていることを突きとめ、遺伝子の本体解明に大きく踏み込んだと言われております。
大体、バイオテクノロジー基本技術は4つと言われております。1つには、遺伝子を切り張りして生物に親から受け継いだものとは違った新しい性質を持たせる遣伝子組みかえ、異なった種類の細胞を裸にしてくっつける細胞融合、生物の一部を切り出し、試験管やタンクで増殖させる組織培養、生体の中の酵素を使い複雑な化学反応を円滑に行わせるバイオリアクター、いわばがんを制圧して治すもの、老化を防ぎ、不毛の砂漠を緑にして育てるもの、クリーンエネルギーをふんだんに供給してつくるもの、より正確な診断を目指して調べるものと実用に向けて表現をする学者もいるのであります。
しかしながら我が国の先端技術は、その取り組みの歴史を振り返るとほとんどの場合が欧米からの技術導入に始まっており、鉄鋼業、化学工業、自動車、エレクトロニクス、いずれも導入をしながら、懸命な努力によって世界経済大国第2位に成長を遂げているわけでございます。そこには自由民主党がしっかりしているからとは申し上げませんが、政治の安定が何より優秀な日本の国民をつくり上げたものだと思います。
今回のバイオテクノロジー分野においても遺伝子の組みかえ、細胞培養技術など基礎研究の面では米国は優位を保っておりますが、米国でこのバイオブームが80年ごろと言われております。日本では81年ごろから始まり、1年おくれで始まった当時は技術レベルで5年おくれと言われておりました。そこで当時は、我が国企業が海外バイオベンチャー企業に資金を提供して技術を分けてもらったのですが、それから4年たちました今日、政府のてこ入れはもちろん、民間企業の努力により、1984年1月の末、アメリカ議会の技術評価局から出された「バイオテクノロジーの商業化 国際分析」と題する報告書の中で最も日本を警戒しているのであります。
考えますと、1953年からバイオテクノロジーのはしりになった染色体遺伝子のDNAの二重らせん構造を発見したときから30年間、なぜこの研究がこのようにブームになってこなかったのか不思議なものだと思います。前置きが長くなりましたが、そこで県も早々にその研究、情報におくれをとらないで真剣に取り組んでほしいと思います。
例えば、我が沖縄県の基幹産業の一つで甘味資源の提供をいたしておりますサトウキビにいたしましても、その中から燃料用アルコールの生産開発のテスト効果が発表されましたが、沖縄のキビは塩分が多くてテストには向かなかったとの報道にショックを受けたのであります。それにもましてや、ダイエットブームに乗り、新甘味料アスパルテームが現在最も注目をされていると聞いております。そこには砂糖の過剰摂取で起こる虫歯、肥満、その他の疾病が深刻な問題として砂糖にかわる、しかもカロリーの少ない新しい甘味料が求められるようになり、しかも蔗糖の果糖部分にさらに果糖が一、三個結合したフラクトオリゴ糖をバイオリアクターで生産を行い、糖尿病患者用の甘味料として現在臨床試験が進められておると聞いております。また米国ではバイオによって石油3次回収の実験が始まり、バイオ技術を利用した石油回収のベンチャー企業も次々に誕生いたし米国だけでも40万の老朽油田があり、その業界の新産業部門になることは間違いございません。また、組織培養による育苗においては、今日普及期を迎えているのではないかとも思われます。
組織培養による育種大量生産技術によって、一昔前は庶民には高ねの花であったカトレアなどのランが比較的手軽なプレゼント商品に変貌したのも組織培養のおかげであり、今日種苗産業をリードするあるM社は、年間総売り上げ10意4000万の53%を組織培養によって稼ぎ出し、同社の種苗生産用の農場を見ました場合、地価の高い世田谷の住宅地に持っておるのであります。これは組織培養による土地を離れた種苗産業が示す一つの大きな例だと思っております。
もう一つの例を申し上げますと、三重県津市郊外にあるA植物園の社長が、1966年から自宅の2階を改造し、その1年後には早くもランの一種シンビジュームの苗の生産にめどをつけている。サツキやツツジの栽培が本業だったA植物園は今では多種のランの苗を年間50万本以上も生産をしている。植物は体の一部を切り取り、寒天や液体培地上で増殖、再びもとの個体に人為的に復元することができる性質を持ち、これは動物と比べて大きな違いだが、種をまかずに苗を大量生産できる組織培養技術が成り立つ理由となっております。
なお、シンビジュームの育苗過程を見てみますと、組織培養中の植物は細菌汚染をすると死んでしまうため、すべての作業は特別に清浄した無菌室で行うのであります。この植物園では、約30坪の無菌室で年間50万本の苗の生産をしているのであります。
今日の研究の段階では、1980年代から1990年代の後期までにはほとんどの現在の農畜産物が品種改良が行われると予想がなされております。これから21世紀に向けてこのすばらしい産業をどう沖縄県で応用し、取り組んでいくのか知事の御所見を承りたいと思います。
次に、新石垣空港についてお尋ねをいたします。
昭和40年代に入りますと同時に、国内主要ローカル線が従来のプロペラ機主体からジェット化へと切りかえが進む中で、県においても昭和47年度策定の沖縄振興開発計画の中に石垣空港の整備事業を主要事業として位置づけ、その建設実現へ向けて努力をしてまいりましたことは申し上げるまでもございませんが、八重山圏の航空交通の拠点であります石垣空港は、地元住民の利用はもとより、貨物の輸送及び地域産業の振興、住民生活の向上に不可欠のものであり、離島の苦しみは離島に住んでみなければわからないと言われておりますように、まず足の確保が何よりもその地域の発展につながるものと確信をいたしております。
なお、将来は本土との直行便等も考えられ、その空港整備は八重山圏域にとってぜひ実現に向けての成功を願ってまいりました。その後沖縄県の本土復帰後今日まで八重山圏域の行政機関1市2町及び諸団体からいろんな促進へ向けての強い要請をいただき、沖縄県及び沖縄総合事務局によってジェット化が可能な調査をしてまいりまして5カ所の候補地を絞り、さらにその中においていろいろな調査の結果、白保海上地点に絞られてきたと聞いております。その後地元の石垣市初め県の御努力により、昭和57年3月には航空法に基づく飛行場設置が許可になり、同時に空港整備法に基づく第3種空港として政令指定をいただき建設実現へ向かって進んでまいりました。予算面においても56年度を初年度として3000万円の調査設計、57年度には用地取得補償費で約3億7000万。この間1億3000万が58年に繰り越され、約4億7000万が58年度予算になり、59年度が3億5000万と予算の面は厳しい国家財政ながら県の御努力により順調でありますが、この予算執行を行い、八重山圏域の心ある住民の期待にこたえる意味から県のこれからの取り組みをお聞かせいただきたいと思い
ます。
なお、さきの環境現況調査には警察も警備でいろいろ苦労があったと思われますが、私もテレビのニュースを見ましたときに、反対派の人たちに潮水をかけられながらも、機動隊員が慎重な態度で警備に当たっているのを見て大変感心をいたしました。警察に対しては、新石垣空港問題では本当に御苦労さんと申し上げたいのであります。
次に、軍事演習についてお尋ねをいたしたいと思います。
この件については、議会のたびごとに与野党の論議の争点になり、日米安保容認をする側と反安保側との議論のすれ違いになり、国をいかに守るかの議論はございません。今さら申し上げるまでもなく集団安全保障条約は、自由圏であれ、共産圏であれ、互いの国益のために認めておる条約であります。我が国の1億2000万有余の国民の悠久の安全と平和を守る国防政策が今日の日米安保体制を中心とするほかにあるとするならば、一日も早く国民に信を問い、その実現に努力を向けていくのが各政党間の議論をすべきものだと我が党は考えておるのであります。それだけに今日の日本国憲法の枠組みの中で日米安保体制をしっかりしたものにし、その条約に基づいて基地の提供を行っているものであります。しかしそれも県益のためにいささかの弊害が伴ってまいりますと、幾ら国策でも我が党は黙っているわけにはまいりません。
せんだっての9月19日、県道104号線を封鎖して行った実弾射撃訓練によって米軍は第12海兵連隊250人が参加、一段と性能が進んだM198型155ミリりゅう弾砲を使って301、311、313の3つの砲座から205発を発射し、そのうち何発かが金武町伊芸住民の水源涵養林に着弾し、我が党もその事実を確認すると那覇防衛施設局に抗議を行ったものであります。またACMIの設置が9月20日の日米合同委員会で正式に合意され、10月4日、あしたには事務次官会議が行われ、10月5日には閣議決定が行われ告示が10月6日になされると聞いておりますが、この問題は以前に県議会において与野党全会一致で設置反対の意見書を採択し、行政側も関係省庁へその安全確保に関しての要望書の提出をいたし、その成り行きを注目していたのだと思います。そして来年の夏ごろから、嘉手納基地のF15戦闘機が同装置による訓練を始めるという報道がなされておりますが、このような一連の軍事演習について知事の御所見を賜りたいと思います。
次に、昭和62年の海邦国体開催についてでございます。
昭和62年開催の第42回国民体育大会の開催については、去る7月の日本体育協会の理事会において開催地が正式に本県に決定されたところであり、県においては開催決定を踏まえ鋭意開催準備業務の推進に取り組まれていることと思います。御案内のように昭和62年海邦国体は全国一巡目の最後を飾る大会であると同時に、復帰15周年の記念式典と意義づけられているところから、県民の総力を結集して立派に大会を成功させなければなりません。申すまでもなく国民体育大会は国家的スポーツの祭典であり、その受け入れ準備については多くの業務があると思います。海邦国体の開催までいよいよあと3年と迫り、県を初め市町村、競技団体においては連携を図りつつ大会の成功に向けて努力をしていることと思います。
そこで海邦国体の現在の準備状況と今後の見通しについてお伺いをします。
1つには、最初に会場となる競技施設の整備についてですが、海邦国体で夏季、秋季で37競技が実施される予定となっており、さらに必要な施設は新設38、改修及び特設7、既存施設の利用37となっておりますが、これら競技施設の整備状況と今後の見通しについて。
2番目に、海邦国体には夏季大会およそ6000人、秋季大会でおよそ3万人、全国からの選手、役員等が来県されると聞いております。これらの選手、役員等の輸送は航空機や船舶等によることと思われますが、輸送力の確保の見通しはどうなっているか。また大会中におけるこれらの選手、役員等の輸送は本県に鉄道がないことからバスによることと思いますが、バスの輸送力については問題はないのか。
3番目に、来県される関係者の宿泊についてお伺いします。
本県は、観光立県を施策として打ち出しているところからホテル等の宿泊施設についてはかなり整備されていると思いますが、宿泊施設については十分であるかどうか。またもし宿泊施設が不足する場合の対策についてお聞かせください。
4番目に、競技役員についてお伺いします。
国体で実施される競技の運営に当たる競技役員については、地元開催県において養成しなければならないと伺っております。海邦国体で必要な競技役員の数と本県で養成が必要な競技役員の数をお聞かせください。また現在の養成の状況はどうなっているか。
沖縄国体は、テーマが「海邦国体」、スローガンが「きらめく太陽 ひろがる友情」と決定され、県民の海邦国体への開心も日増しに高まってきております。国体の成功は、県民の理解と協力が不可欠であると言われております。そこで国体開催について、県民外の広報活動の実施状況についてお伺いします。
去る7月、県労協から、海邦国体に関する公開質問状が知事に提出され、知事はこれに対して誠意のある回答を示されております。その質問の中には、天皇の行幸及び自衛隊の支援協力問題も含まれております。知事は、これらの質問に対して明確なるお答えを示されておりますが、この2点についていま一度この場で知事の答弁をお願いをいたしたいと思います。
最後に、離島教育についてお尋ねをいたします。
教育問題と申しましても、学校教育を初め社会教育、家庭教育等広範にわたりますので、今回は特に学校教育について絞り、所感を述べ質問をしたいと思います。
さて、最近は生涯教育が叫ばれ、人間、一生教育を必要とし、また自己学習が強調されていますが、その中にあっても学校における教育は人間形成の上で重要な役割を果たしていることは何人も認めることであります。その重要性から、政府を初め各都道府県においても学校教育の充実発展のために諸施策を講じ強力に推進しており、そのおかげで我が国の教育は国際的に見ても教育設備はもとより、教育程度においてもトップレベルにあると言われています。これは大変喜ばしいことであります。この教育の力が我が国発展の原動力をなしていると言っても過言ではありません。
今日、このように教育が拡充発展してきた反面、児童生徒の非行問題や高校進学問題等がマスコミで報道され、教育に関心を持つ者の心を痛めているのもまた事実であります。そのため国民の間から教育改革の声が高まり、教育問題を国民的課題として検討するため、去る国会で臨時教育審議会法が制定されたのも御案内のとおりであります。
今、教育問題を身近なところで見た場合、本県においても児童生徒の非行問題が多発しています。なぜ児童生徒の非行問題が起こるか。それにはさまざまな要因があろうかと思いますが、その中でも主要なことは人間関係の希薄さであり、愛情の欠陥からくるものではなかろうかと考えます。教育の根幹は愛情ではないでしょうか。教育は人なりと言われます。それは教育における人間関係がいかに重要であるかを物語っています。親子のきずな、学校における師弟間の信頼関係、教育愛の希薄さが家庭内暴力、校内暴力を生み出しているのではないでしょうか。真に愛を基盤にした学校では校内暴力はありません。それを物語るものが離島僻地における学校教育であり、師弟間に見ることができます。離島僻地ならではのいい教育の面ではないかとも思っております。
私は、本県が多くの離島僻地を抱える立場から離島僻地を視察してみました。そこにおける住民の声は、学校と地域が一体となって学校教育が推進されていることであり、教師が子供の中に溶け込み、教育に情熱を傾注している姿が見られること、また子供たちも教師を慕い、学校が楽しいということであります。この声を聞くとき、教育の原点がここにあるとの感を深くしたものであります。
しかしこのような離島僻地にあって、父母の教育に対する不安もまたかなりのものがあります。これは、子弟を高校へ進学させるということであります。
我が国の高校進学率は94%に達し、高校教育はもはや国民教育機関となっております。我が子を高校教育まで勉学させねばならぬとの思いはどこの親も同じであります。しかし離島僻地に高校がないために親元を離れ、高校に進学させるということは、離島僻地の父母にとっては経済的負担の過重とともに子弟の高校生活に対する不安が大きいようでございます。県教育委員会のこれまでの僻地教育振興策のおかげで僻地教育も充実発展してきていることに対し敬意を表するものでありますが、都市地区と比較して僻地教育は今なお十分とは言えない点がございます。
そこで県教育長に次の2点について質問をしたいと思います。
まず第1点は、離島僻地の教育振興策としてどのような施策を推進しているか。
2点目に、離島僻地から高校進学している父母の経済的負担の軽減を図ってもらいたいが、現在どのような施策が講じられているかを御質問申し上げ、代表質問を終わらせていただきます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 我喜屋議員の御質問に対しましてお答えいたします。
60年度国庫要請についての御質問に対しましてお答えいたします。
60年度は、昭和59年度に引き続きまして国の厳しい概算要求基準が設定されております。沖縄振興開発事業費につきましては対前年度比99%、また公共事業費につきましても対前年度比99.1%となっております。
沖縄振興開発事業費につきましては、前年度の額を若干下回る要求額となっておりますが、本土と比較いたしまして立ちおくれておる農業基盤整備事業につきましては対前年度比4.1%の増となっております。次、国体関連事業費について申し上げますというと、対前年度比22.7%の増となっております。59年度までに芽出しをいたしました中城湾港の開発事業は、対前年度比14.8%の増となっております。与那国空港の整備事業は、対前年度比28.3%の増となっております。中城湾流域下水道事業は、対前年度比19.5%の増となっておりまして、それぞれ増額要求となっております。次に新規事業について申し上げますというと、首里城正殿等の復元等に関する基礎調査、久茂地1丁目地区市街地再開発事業、座間味ダムの建設、羽地大川地区国営かんがい排水事業、与那国地区畜産基地建設事業、バイオマス関連調査経費等が要求されております。さらに沖縄自動車道の建設、石川火力発電所の建設等の財政投融資関連事業につきましても対前年度比それぞれ55.4%の増、90.7%の増となっておりましていずれも増額要求がなされており、沖縄開発庁計上の公共事業費を合計
いたしますと対前年度比で10.7%の増となっておりまして、本県の公共投資の額がある程度確保されております。
昭和60年度の概算要求は、第2次沖縄振興開発計画を推進する中で、当面政策的に重要な項目については増額要求がなされておりまして、第2次振計の後期、さらには第2次振計後の沖縄の振興開発についても長期的展望のもとでの施策の展開が図られるよう最善の努力が払われております。第2次沖縄振興開発計画の目標達成は、当面の本県における大きな政策課題であることからいたしまして、その実現に向けて今後とも最大の努力を傾注してまいりたいと思います。
次に、市街地再開発事業の今後の計画とスケジュールについて御質問がございましたが、お答えいたします。
都市の再開発につきましては、市街地における土地の高度利用、都市機能の更新、都市の防災性の向上、居住環境の改善等を図ることを目的といたしまして、昭和59年度から国におきましても強力にこれを推進しているところであります。県といたしましても、その趣旨を踏まえまして今後積極的に推進していく考えであります。計画といたしましては那覇市久茂地地区ほか4地区、面積にいたしまして14ヘクタールを計画いたしておりますが、そのうち久茂地地区につきましては昭和60年度の新規事業として国に予算要求をいたしておるところであります。
次に、北谷浄水場の建設について疑惑が示されておるが、これについての知事の見解をただしたいという御質問がございましたが、お答えいたします。
地方公営企業の業務の執行に関しましては、地方公営企業法によりまして予算の調製、議案の提出、決算の審査及び議会の認定に付すること等を除きまして、すべてが企業管理者の専権事項となっております。御質問の件につきましては、管理者からの報告によりますというとこのような事態はなかったと聞いており、このような中傷記事が流されましたことは全く心外であり遺憾であると思っております。詳しいことにつきましては企業局長から答弁させることにいたします。
次に、ニューメディアについての御質問に対しましてお答えいたします。
県によるこれまでの取り組みの経過、また今後のスケジュールについてお答えいたします。
昨年7月から8月にかけまして通産省のニューメディアコミュニティー構想及び郵政省の未来コミュニケーションモデル都市構想が相次いで発表されましたことは御案内のとおりでありますが、県は、郵政大臣、通商産業大臣に対しまして地域指定に関する要望書を提出したところであります。
一方、県は、昨年10月に次長、課長クラスによるニューメディア連絡会議を設けるとともに、去る7月に国、学識経験者、それから電電公社、民間等の委員による沖縄県高度情報社会推進懇話会を設置いたしまして調査検討を重ねているところであります。通産省に対しましては去る8月20日にモデル地域の指定要望書を、また郵政省に対しましては9月29日に沖縄県テレトピア基本計画を出したところであります。
今後のスケジュールといたしましては、通産省の指定が今月上旬、郵政省の指定が今年度末に行われる予定となっております。このモデル地域の設定に当たっての構築費用は約40億円が予定されております。
個別システムの導入に際して県の役割はどうなっているか、民間の活力をどう利用するかについての御質問に対しましてお答えいたします。
本県の高度情報社会の推進体制につきましては、民間活力を生かすことを基本といたしまして、県はこれを積極的に推進してまいりたいと思います。具体的には観光情報システムにつきましては民間が主体となってこれに当たり、また農業情報システムにつきましては沖縄県経済農業協同組合連合会が推進する。また保健医療情報システムにつきましては当面は県がこれを推進するのでありますが、将来は等三セクター化に向けて検討を進めてまいりたいと思います。また行政情報システムについては県が実施することにいたしたいと思います。
次に、地域指定対象地区は全県域となっているが、全県同時にシステムの導入を図っていくのかという御質問がございましたが、お答えいたします。
本県の高度情報社会を構築していくためには、本県の地域特性に配慮しながら計画的かつ段階的に進めることが必要であると考えております。そのため当面は那覇市を中心に限定的なシステムから始めまして、漸次対象地域を拡大いたしていくとともに、各種システムの導入及び個別システムの総合化を図りまLて、将来は全県的なネットワークを形成してまいりたいと考えております。
次に、国や電信電話公社との協力関係はどうなっているのかという御質問に対しましてお答えいたします。
高度情報社会の基盤整備につきましては、第2次沖縄振興開発計画に基づく施策、プロジェクトと関連させながら、国の協力のもとに進めていく必要があります。そのため国及び電電公社等に対しましては次のことを要望いたしております。すなわち1つ、通信料金の遠近格差の是正、2つ、本県と本土中央を結ぶ高速大容量デジタル網の早期構築、3番目に地域INS及びキャプテン等の優先的導入、4番目に衛星通信の早期利用促進等であります。
次に、モデル都市全体としてどのような効果が期待されるかということでございますが、これにつきましては保健医療、それから行政、観光及び農業情報システムの各種システムを計画的に導入いたしまして、離島INSを構築する計画であります。この構築が第2次沖縄振興開発計画に基づく施策、プロジェクトと相まって離島僻地における情報格差及び中央との情報格差が是正され、本県の離島性からくるいろんな不利性が次第に解消されるものと期待されております。また地域産業の振興及び高度情報化に伴う新たな企業が創出され、雇用の場の拡大に資するものだと考えられております。
次に、バイオマス及びバイオテクノロジーについての現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
本県のバイオテクノロジー関係の研究は、琉球大学や県の農業試験場、工業試験場を初め民間において取り組んでおります。その成果は高く評価されておりまして、例えば琉球大学のハイブリッドF1、農業試験場のホテイアオイの総合利用システムの開発、それから工業試験場の泡盛醸造発酵を中心としたバイオテクノロジー展開などがございます。
このような状況の中で、行政サイドからもバイオテクノロジー関連の事業を積極的に推進するため去る9月25日、庁内にバイオマス資源利用連絡会議を設置したところであります。さらに近く大学、民間、行政の専門家を網羅した懇話会を設け、専門家のアイデア提言及び民間の活力を活用するなど積極的に取り組んでいく所存であります。その一環といたしまして来る17日に那覇市におきまして沖縄開発庁、沖縄県共催の「バイオマス資源利用促進に関する沖縄シンポジウム」を開催することになっておりまして、内外から注目されているところであります。また科学技術庁の資源生物保存センターの誘致をお願いしたところであり、一方、県におきましては60年度において種苗センターの設置を計画いたしているところであります。
次に、新石垣空港建設についての建設の背景とスケジュールについてお答えいたします。
新石垣空港は、八重山圏域の航空交通の拠点として利用客はもとより、貨物の輸送及び地域産業の振興、住民生活の向上に不可欠なものであり、また沖縄本島、宮古島と同様に均衡のとれた振興開発を図る観点から、第2次沖縄振興開発計画の中では空港の移転新設が位置づけられております。同時に、本格ジェット化空港建設は緊急な課題となっておりますことは御指摘のとおりであります。
なお、このことにつきましては八重山郡1市2町の議会におきまして早期建設の議決要請がなされ、その他各種団体等から強い要請がなされております。
ところが、現空港の滑走路は1500メートルしかございません。それからいたしまして、現状の利用に対しましても十分に対応しきれない状況にあります。また周辺の土地利用の状況及び環境条件等からいたしまして拡張は困難であります。そのため、これまでの調査結果を踏まえまして5つの候補地が挙げられたのでありますが、この5つの候補地の中から現計画の白保地区が選定されたものであります。
建設のスケジュールにつきましては、現在埋立免許出願に必要な諸資料について作成中であります。これらの資料が整い次第、早い時期に出願したいと考えており、埋立免許を得て着工したいと考えております。
御参考までに申し上げますというと、現石垣空港の昭和58年度の輸送実績は旅客にいたしまして66万人、貨物4800トン、全国第3種空港の中でも1、2を争う非常な過密状況となってております。計画といたしましては昭和65年度までに旅客を160万人予定しておりまして、貨物の予定数量が1万1800トンであります。
現空港を利用したらどうかというお話もございますが、現空港の問題点について申し上げますというと、環境基準以上に公共施設が9件あります。また住宅も307件ございまして、騒音の発生等が予想されております。次に拡張に必要な新たな用地につきましては約90ヘクタール必要とするのでございますが、そのうち約41ヘクタールは既に圃場として整備がなされておるのでございます。御参考までにつけ加えておきます。
次に、軍事演習について、伊芸山野への砲弾撃ち込みについての御質問に対しましてお答えいたします。
米軍演習による基地被害につきましては、その都度米軍及び国に対しまして十分な安全対策の確立を図るよう要請いたしてきましたし、また抗議もいたしておりまして、三者連絡協議会等を活用して問題の解決及び被害の未然防止等県民生活の安全と財産の保護に努めてきているところであります。
次に、ACMIの設置についての御質問に対しましてお答えいたします。
ACMIの設置につきましては、県は、これまで民間航空機の安全運航に支障があってはならないとの基本的な姿勢で関係機関と折衝をしてきたところであります。
このACMI空域の設定に当たりましては、国においては、民間航空機の航行の安全が確保され、既存の民間航空路の流れを変えないこと。2番目に、VOR航空路設定に当たって支障のある訓練空域を削減すること。3つ目に、ACMI空域と同等以上の既存訓練空域を削減すること、以上の基本的な考え方に立って米側との折衝がなされ、9月20日に日米合同委員会で合意されております。県といたしましては、これまで国に要請した事項といたしまして、民間航空機の安全運航に支障を与えないこと、極力既存訓練空域の活用を図ること、また既存の米軍訓練空域の削減を図ること等が挙げられておりますが、これらにつきましては一応の配慮が払われているものと理解いたしております。
次に、62年国体開催についての準備状況についてお答えいたします。
競技施設の整備状況についてお答えいたします。
競技施設の整備につきましては、新設改修する45施設の中で昭和58年度までに9施設が完成し、残る施設についてもそれぞれ計画に基づいて開催前年の昭和61年度までにすべて完了する予定となっております。
なお、秋季大会の主会場となる総合運動公園につきましては、既に陸上競技場のメーンスタンド、芝スタンドの建設工事にかかっておりまして、体育館等その他の競技施設につきましても造成工事等も計画どおりに進捗いたしておりまして、昭和61年度までにすべての整備が終了する予定となっております。
次に、国体時の輸送対策についてお答えいたします。
全国から来県する選手、役員等のほとんどは航空機を利用するものと予想されますが、特に秋季大会につきましては大型機種の使用、臨時便の運航等輸送力確保の対策が必要であります。今後、関係輸送機関の協力を得まして万遺憾なきを期してまいりたいと思います。また秋季大会開会式の輸送に必要とする借り上げバスは約600台を見込んでおりまして、その確保については関係機関、団体と協議の上貸し切りバス、路線バス、予備車、公用バス等を最大に活用し万全を期す所存であります。
なお、大会中の選手、役員等の輸送については会場地市町村実行委員会が実施することとなるのでありますが、県といたしましても各会場地市町村におけるバスの必要台数を調査の上あっせんしてまいりたいと思います。
次に、宿泊施設についてお答えいたします。
国体開催に伴う大会参加者の宿泊必要数は、夏季大会で約6000人、秋季大会で約3万人を見込んでおります。本県におけるホテル、旅館等の収容力は約3万9000人であります。全体としては必要数を上回る能力を有しておるのでありますが、これらの宿泊施設は那覇市や北部市町村など地域的に偏在しておりまして、秋季大会では中南部市町村で不足が生ずることになりますが、これに対しましては公共施設や民泊等の措置を講じて対処してまいりたいと思います。
それから競技役員の養成についてでございますが、国体に必要な競技役員の総数は約5300人であります。その内訳は審判員が2300人、運営役員が3000人となっております。競技運営に必要となる審判員の養成につきましては、必要数の約70%の1600人を県内で確保することを目標にいたしまして年次別に養成計画を策定いたしまして55年度から養成を実施いたしております。現在、養成目標の約68%に当たる1098人が審判員の資格を取得いたしております。また運営役員につきましては、その主要役員を先催県におけるリハーサル大会への派遣及び本県における競技別リハーサル大会の実施運営によりまして競技運営能力の養成強化を図ることといたしております。
次、広報、県民運動についてお答えいたします。
国体の広報、県民運動につきましてはポスター、国体だより、広報映画等により広報活動を展開しているところであります。またさきに決定されました海邦国体の歌や音頭、それから国体マスコットを広報活動や県民運動に広く活用を図り、県民の国体への参加意識の高揚と全国から来県される皆様を温かくお迎えする体制づくりを進める所存であります。 、
天皇陛下の行幸及び自衛隊の支援協力についてお答えいたします。
日本体育協会の制定いたしました国体開催基準要綱によりますと、大会の式典には天皇陛下のお言葉を賜ることとなっており、また天皇陛下の行幸を仰ぐことはどの先催県でも行われていることでありまして、沖縄県だけ例外であってはならないと考えております。また競技運営等に関する自衛隊の支援協力につきましては、先催県におきましても特殊な競技の運営や安全確保のため通信、輸送、設営等の部門で協力を得ており、本県におきましても先催県の例にならって特殊な分野については必要と考えられ、調査検討中であります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) 新設北谷浄水場の用地選定及び価格設定についてお答えいたします。
ただいま御質問がありましたとおり、同浄水場の用地取得に当たって、最近新聞で誤解を招きかねないような報道がなされておりますので、この際、当時の関係文書、資料等をもとに選定のいきさつ等について詳しく御説明申し上げまして御理解を得たいと思います。
まず、新設浄水場は、1つには、再開発をいたします瑞慶山ダムを主な水源とするものであることが1つでございます。2つ目に、嘉手納基地内にありますコザ浄水場を廃止いたしまして新設の浄水場に統合することになっていることが2つ目でございます。次に沖縄市山里調整池及び浦添、那覇地域への送水等を目的とするための浄水場でございますので、その位置選定に当たっては、まず第1に導水、送水において経済上、管理上最も合理的な位置づけとなる場所であること、2つ目に必要な面積が確保できるとと、3つ目に用地の取得が可能であること、4つ目に主要幹線道路が近いことなどの条件を考慮した上で読谷村を中心とした5力町村を対象に11カ所について昭和55年度から選定を進めてきております。
この11カ所の候補地について調査検討の結果を申し上げますと、1つ目に、読谷村長浜については、読谷村によって字長浜区の居住地区として指定されているため、土地改良計画や農振地域計画からも除外されているということがありました。2つ目の読谷村都屋については、鉱業権との絡みがあって用地取得が困難であるということがわかりました。3つ目の読谷村瀬名波については、読谷村の計画で公園地域に指定されているということ。4つ目の沖縄市登川については、沖縄市で緑地公園と区画整理事業を計画しているということ。5つ目の沖縄市白川についてはほとんどが軍用地であり、なお民有地については土地改良事業等で必要面積の確保ができないということなどの理由によりまして、ただいま申し上げたようなことでこの5カ所については候補地から落とされたということでございます。残された6カ所の候補地については、経済的及び技術的な評価をまず行ったと。経済的な評価については、比較方法として一般的に用いられている収益的支出法によって評価いたしております。その評価の結果においては読谷村の渡具知と同じ読谷村の牧原がよいと。その次に北谷町宮城の順になっております、経済評価は。また技術的評価については、その施設の建設のための造成、基礎、配置など9つの項目にわたりましてチェックリストによって評点を行っております。その結果、読谷村の牧原と渡具知が最もよいと。それから北谷町の宮城と宜野湾市の伊佐は、他の地域よりも劣っているという結果が出ております。
これらの経済的、技術的評価で、ただいま申し上げました牧原と渡具知が適地であるという結果が出ましたので、まず用地取得が可能かどうかを調査するため地主等関係筋に当たったところ、牧原については、同地域が軍用地であるため、地主としては、その土地全部を返還させ、その一部だけを浄水場用地として売却することはできないということで候補地から落とさざるを得なかった。また渡具知については土地改良事業との関連で、必要な面積の確保ができないなどのことでこちらも候補地から落とされたと。さらに3つ目の読谷村座喜味は、飛行場跡地で国有地であり、国ではまだその土地の利用計画が策定されていないため譲渡できないということでこちらも落とされました。4つ目の読谷村親志については農業用ダム建設計画があり、浄水場候補地の一部地域が水没するなどのため用地確保が不可能であるということになりました。
以上、述べましたとおり、牧原、渡具知、座喜味、親志の4候補地については取得困難ということで、北谷町の宮城と宜野湾市伊佐の2カ所に絞られてきたと。しかし宜野湾市伊佐については、水源の瑞慶山ダム並びに沖縄市山里調整池との関連で導水、送水の面から経済的、技術的に不利であると。これは具体的に申し上げますと、一たん国道に大きなパイプを伊佐まで持ってきて、さらに国道を通して、その水を山里調整池まで持ってくるということは国道埋設との関係で大変無理でございます。といったような経済的、技術的に不利であるということがわかりました。また海水淡水化計画との関連で伊佐浜下水処理場が隣接しているということもあって、候補地から伊佐が落とされたと。宜野湾市伊佐と北谷町宮城を比較した場合、経済上、技術上、宮城が有利でございまして、また海水淡水化計画の予定地としても望ましいということから、最終的に浄水場用地として北谷町宮城とすることに決定しております。
なお、先ほど技術的評価の面から、用地取得可能地として最後に残された2カ所についてはやはり技術的に低かったわけでございますが、それについては問題点があるということが提起されたわけでございます。
では、その問題点は何かと。1つは伊佐と宮城の両地域は海浜埋立地域であるということで波浪や風送塩――いわゆる潮風でございます――による塩害。2つ目に、地下水が海水でございますので、地下水による影響等もありまして、その問題については、じゃ対応は可能かどうか。さらに技術面から検討した結果、十分対応できるということで位置決定の決裁文書でも対応できるということでその文書が明確に残されております。
宮城の埋立地に深定されたいきさつについてはただいま申し上げたとおりでございまして、またさらに昭和57年当時の状況について申し上げますと、用地を早目に決めなければならなかった背景があったことでございます。つまりそのころ沖縄においては326日という長期干ばつに見舞われ、人工降雨作戦や海水淡水化の検討、西表または県外からの水の運搬等の問題が提起されるなど県内の水事情は極めて逼迫しておりまして、県民の間では水資源開発の早期推進を望んでおりましたし、水道施設を早目に整備を進めるような要請もあったような状態の中で、57年度の予算執行との関連もあって用地を早目に取得する必要がありました。そのため当時9月定例議会を待たずに8月の臨時議会において、この北谷町の用地取得についての重要資産取得のための補正予算を提案いたしまして、県議会の承認をいただいたわけでございます。さらに海水淡水化計画の調査が昭和52年度から始められてきておりますが、56年度調査、いわゆる57年の3月末で出ておりますが、この調査で北谷町宮城の埋立地が適地として挙げられるなど、申し上げたとおり用地の選定についてはこれらの経緯を経て総合的に検討して決定されたものでありまして、新聞に報道されているようなことはないということでございます。
さらに、用地の選定についてはただいま申し上げたとおりでございますが、企業局が同用地を取得するに至った経緯について御説明申し上げます。
当該用地は、昭和48年に埋め立て造成された土地であり、当時は埋立人2人の共有であったが、共有者2人が間もなく合名会社名義で共有持ち分全部移転登記を行っております。昭和59年、足立産業株式会社に所有権が移転された後、昭和57年にツクモ産商株式会社所有権移転されたのを企業局が取得したものでございます。昭和55年ごろから、当時の所有権者である足立産業の代理人から新設浄水場用地としてどうかという話がありましたが、当時はまだ用地の話し合いに入る段階じゃなかった。その後昭和56年の10月ごろにツクモ産商から窓口にこの話があったと。昭和57年度に入ってから、先ほど話しました技術的、経済的評価をもとに具体的選定作業に入りまして、6月ごろから北谷町字宮城を候補地とし、ツクモ産商と用地取得の話し合いを始めております。そこで価格設定のための鑑定評価をするため2社に鑑定評価を依頼しております。また売り手側の不動産鑑定士による鑑定評価額の提示を受け、さらに隣接地域の取引価格等を各面から検討し価格を設定しております。当局側2社の鑑定評価額の加重平均1平米当たり2万1582円と売り手側鑑定評価額1平米当たり2万4730円をもとに価格交渉を行った結果、地番1番の27及び1番の38については1平米当たり2万3000円、地番1の177及び1の173については1平米当たり1万1100円ということで双方の間で妥結しております。これを全体平均単価にいたしますと1平米当たり2万2665円になります。
また参考までに隣接地域の取引事例について見ますと、同じ北谷町宮城の1番の134は、昭和57年度県公示価格で1平米当たり3万400円、同じ宮城1番の597、民間宅地は1平米当たり3万8640円となっており、これらとの比較から見ても妥当な価格であったと考えております。
○議長(志村 恵君) 教育長。
〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) 我喜屋議員の僻地教育振興策について御説明を申し上げます。
御指摘のように、本県は多くの僻地学校を抱えておりまして、学校教育の振興を図る上で僻地教育の充実強化は極めて重要でございます。そのため教育委員会では、国の補助を含めまして僻地学校の施設整備や教職員の宿舎等の整備を図ってまいっております。また教職員の計画的交流によりまして条件整備を整えるとともに、教職員の資質の向上や教育内容の充実を図るため僻地教育校の指定、それから僻地教育研究大会、僻地校長等研究協議会等を開催いたしております。さらに県外指導者講座及び研究大会への職員の派遣や、それから複式指導資料等を刊行いたしまして指導に当たってまいっております。今後とも引き続き僻地教育振興のために一層の努力を払ってまいりたいとこのように考えております。
第2点目の離島僻地からの高校進学している父母の経済的負担の軽減についてはどのような施策が講じられているかということでございますが、県立高等学校における自宅外の通学者は、昭和58年10月1日現在で1400名となっております。御指摘のとおり離島遠隔地の出身者の父母の負担はかなりの額に上っておりまして、寄宿舎に入っている者、いわゆる寄宿舎入居者で月額1万6000円、それから下宿している者で約2万9000円間借りをしている者で3万8000円となっております。こうした父母負担の軽減策の一環といたしまして、高校生貸与奨学資金を約128名分の貸付枠を設けております。また離島遠隔地の高等学校12校に寄宿舎を設置しまして、安い経費で勉学に取り組めるような配慮をいたしておりますし、授業料の減免についても特別な配慮をいたしております。授業料の減免の状況について申し上げますと、全日制高校全体で在籍の約7.6%が授業料の免除の対象になっているのに対しまして、離島地域、いわゆる八重山地区では19.5%、それから宮古地区で12.7%、それから北部地区で13.1%というふうになってございます。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 外間盛善君。
〔外間盛善君登壇〕
○外間盛善君 本員は、これから自民党所属沖縄県議団を代表して質問を行いますが、その前に、自民党に入党して初めての代表質問でありますので、入党までの経緯等所見を申し述べ、県民の御理解と御協力を賜りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
さて、私の1期目は、支持地盤の都合や後援会の要請等もあったことから無所属として議会活動を行ってまいりましたが、西銘県政を支える与党議員の一員として、平和で豊かな活力ある県づくりに取り組む以外に最善の道はないというのが帰着点でありました。これは西銘県政が戦後沖縄の宰相として比類ない手腕、力量を発揮され、数々のすばらしい実績を残してこられただけに、これに反対する理由は何一つとしてなかったからであります。こうして1期4年間、1人無所属でありまLたが、大過なく任期を全うすることができましたのは西銘知事を初め執行部の皆さん、マスコミの方々、議員諸兄、そして多くの支持者の皆様方から温かい御声援、御協力があったればこそと感謝をいたしております。おかげさまで去る6月は、鬼門と言われる2期目の厳しい選挙戦も無事にクリアさせていただき、その栄を受けてスムーズに自民党に入党させてもらい、また2期生議員としていち早く党の代表質問ができますことを大変光栄に存じております。
さて、私がなぜ自民党に入党したかは、言うまでもありませんが、政党政治は我が国で定着しており、現行憲法の精神を深く認識し議会人として活躍するためには、自分と思想、信条を一つにする自由民主党に入党し、実績を積み重ねていくことが私を議政壇上に送り出した支持者に対する報恩だと決意を新たにしたからでございます。もちろん、自民党は完全無欠な政党だとは断言できませんが、現存する政党の中では一番すばらしい政党であり、自由と民主主義を肯定する国民にとりましては、ますます組織の拡大強化が期待されている政党でございます。私は、世界で一番自由で豊かで住みよい日本に生まれたことを無上の幸福だと思い、また自民党によってもたらされたこのすばらしい我が国の政治をそのまま維持発展させることが国民の幸福につながると確信をいたし、自民党に入党を決意したのでございます。見方によりましては革新と革命は同一線上にあるだけに、それが破壊と不幸につながることは残念だと言わなければなりません。
以上、私が無所属から自民党に入党した理由の一端を申し述べましたが、以上で通告順に従い本論に入らせていただきます。
まず1番目に、昭和60年度国庫支出金の要請についてお伺いします。
我が国の財政事情は、昭和59年度末には公債の発行残高が120兆円を超える見込みとなっているなど異例に厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上のためには引き続き財政の改革を強力に推進しその対応力の回復を図ることが緊要であり、そのため社会経済情勢の変化に応じて歳出面においては既存の制度、施策等についても改革を行う等さらに徹底した見直し、合理化に取り組むとともに、税外収入等歳入面においても見直しを行っていく必要があるとされ、昭和60年度予算については特別公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに最大限の努力を払う等行政改革をさらに推進するという基本方針のもとで予算編成に取り組むことになっております。このような状況を踏まえ去る7月31日の閣議において、「昭和60年度予算の概算要求基準」を決定しております。それによりますと、経常部門経費につきましては昭和59年度予算の90%、投資部門経費につきましては昭和59年度予算の95%の範囲内との厳しい要求基準が設定されました。しかしながら本県は第2次沖縄振興開発計画に基づき産業開発と基盤整備、生活環境の整備、戦後処理問題の解決等多くの事業を予定し、本土との格差是正と自立的発展の基礎条件の整備等を推進する必要があります。
そこでお尋ねいたしますが、まず国の財政事情が悪化し前年度に引き続きマイナス概算要求基準の設定という厳しい財政状況の中に、第2次沖縄振興開発計画の目標達成が可能であるかどうか懸念されるところであります。このように財政事情が厳しくなってまいりますと国庫支出金の要請につきましても量的な面よりも質的な面に配慮して、事業につきましても優先順位をつけて要請していく必要があると考えますが、昭和60年度国庫支出金の要請に当たっての基本的な考え方、また要請に当たっての重点はどのようなものであったかお尋ねいたします。
次に、このように国の財政事情は厳しくても沖縄に対しては何らかの配慮があってしかるべきだと考えますが、昭和60年度の概算要求の内容はどのようになっているのか御所見を賜りたいと思います。
2番目に、国庫補助負担率の一律引き下げ等地方への負担転嫁についてお尋ねいたします。
昭和60年度の国庫予算については去る7月に概算要求基準が閣議決定され、各省庁から大蔵省へ既に概算要求がなされているところでありますが、昨今の国、地方を通じた財政状況は極めて厳しいものがあり、国、地方を通じて行政の見直し、経費の効率化等を図る必要があるとし行財政の改革を推し進めているところであります。
このような状況の中で、最近の新聞、官庁速報等を見ますと、各省庁の明年度予算の概算要求において生活保護費、児童保護費等の社会保障関係費を初め、公立学校施設整備費や失業対策事業費など数多くの事業について国庫補助負担率を一律に引き下げ、一方的に地方公共団体にしわ寄せをしようとしているように報道されております。新聞報道等のような措置がもしなされるのであれば、これは地方公共団体にとってまことにゆゆしい問題でございます。社会保障、義務教育、公共事業等の基幹的な行政に関する国の支出は、地方公共団体に対する単なる財政援助的な補助ではなく、これらの行政に関する国の責任に応ずる負担金であり、本来、国と地方の事業配分を基本として経費の負担区分により定められているものでございます。したがいまして国の財政負担を節減するため国庫補助負担率を一方的に引き下げ、地方公共団体へ財政負担を転嫁することは絶対にあってはならないことだと考えます。
そこでお伺いいたしますが、まず第1に、新聞等で報道されている国庫補助負担率の引き下げに伴う影響額は沖縄の県、市町村分ではどのような額になりますか。
第2に、このような地方公共団体の財政運営に与える一律の負担率の引き下げは、本県並びに市町村の財政にとっても到底耐えられる状況にはないと考えられますが、この問題に対する知事の御所見及び今後の対処方針をお伺いいたします。
次に、昭和59年度公共事業等の上半期の執行状況についてお尋ねいたします。
政府は昭和59年4月17日の閣議において、昭和59年度上半期における公共事業等の施行については、物価の安定を確保しつつ景気の回復基調をより一層確実なものとするため、まず第1に、上半期においては内需の振興に資するような執行を行うこととし、景気の動向に応じて機動的、弾力的な施行を推進するものとする。第2に、施行に当たっては各地域の経済情勢に十分配慮し、景気回復のおくれている地域においては地方公共団体との緊密な連携のもとに必要に応じ施行の促進を図るものとする。第3に、地方公共団体に対しては国と同様の事業施行を図るとともに、地域経済に資するよう地方債の活用等により地方単独事業を機動的、弾力的に実施するよう要請するものとすると決定し、これを受けて自治省は各地方公共団体に対し、各地方公共団体においては各地域の経済情勢に十分配慮し、関係省庁との緊密な連携のもとに公共事業等の適切な施行を図るとともに、地域経済の振興に資するよう地方債の活用等により地方単独事業を機動的、弾力的に実施されるよう努められたいとの自治事務次官通達が出され、国と同一基調により昭和59年度上半期の公共事業の施行を指導していると聞いております。
ところで、県では、去る4月28日の公共事業等施行推進本部において、国の方針を踏まえる形で昭和59年度上半期の公共事業等の施行目標を76%と決定したことがマスコミ等で報道されました。上半期の目標76%は昨年と同率で、一昨年の76.1%に次ぐ高い数字となっておりますが、本県の経済状況や60年度国庫の確保とのかかわりの面から見ました場合、適切妥当なものと考えます。特に本県経済は財政依存度の強い経済構造であり、財政支出の多寡が景気に与える影響は極めて大きなものがあると考えるからでございます。
そこで質問をいたします。
まず第1点目は、上半期目標率76%に対し、8月末時点における対前年度実績はどのようになっているのか。
2点目に、上半期目標達成は現在のところ可能かどうか、以上の点について知事の御所見を賜りたいと思います。
次に、サトウキビの価格問題と糖業振興についてお尋ねをいたします。
サトウキビは、本県農業の基幹作物として永年にわたり農家経済の支柱をなし、また我が国の甘味資源の供給に大きな役割を担ってきました。県の昭和58年度現在の統計資料によりますと、全農家戸数4万4380戸のうち、84.8%に相当する3万7620戸がキビ作を行っており、またこれを作付面積で見ると、総耕地面積4万5100ヘクタールのうち、68.5%に相当する3万900ヘクタールが栽培されております。なお、昭和57年度現在の農家粗生産額から見ても1054億3800万円のうち、サトウキビは323億600万円と全体の30.1%を占めており、まさにこれはどの分野から見ましても本県農業を代表する基幹作物であります。
ところが、サトウキビの手取り価格は生産費を大幅に割っているにもかかわらず、国においては数年前から農家の期待する価格見直しが図られず、再生産に必要な経費の確保すらできない現状では生産意欲の減退にもつながり、その価格対策は本県農業あるいは糖業の振興の上から大変重要な政策課題となっております。
本県では、これまで毎年知事を先頭に農業関係団体や県議会の代表団も関係省庁に要請を繰り返してきましたが、昭和57年産がトン当たり40円アップされて2万1450円に、昭和58年産がトン当たり20円アップされて2万1470円にそれぞれわずかながら値上げは見たものの、これは農家の期待する価格と大幅なずれがありました。ことしも去る6月の定例県議会において例年どおり昭和59年産さとうきび生産者価格引き上げ等に関する要請決議をいたし、私も要請団の一員に加わり要請に行ってまいりましたが、その感触等と所見を申し述べながら質問を行いたいと思います。
まず、東京で私なりに得た感触ではありますが、結論から申し上げますと例年にない厳しさが予想されるということであります。
その理由を申し上げますと、1、国の財政事情が極度に悪化していること。2、国内需要量が減少傾向にあること。3、甘味資源の国内需給率の目標が達成されていること。4、本県の砂糖が国際相場の10倍にもなっていること。5、蚕糸砂糖類価格安定事業団の累積赤字の増大があること。6、諸物価の安定によるパリティ指数の伸びが低いこと。7、麦価関係畑地作物の価格がすべて据え置かれたことなどサトウキビの価格設定を取り巻く環境は極めて厳しいものがありますが、前にも申し述べましたとおり、本県のサトウキビはここ数年来、トン当たり3234円と大幅に生産費を割っており、いかなる厳しい状況にあろうとも県民ぐるみで取りかかり、農家の期待価格に近づけるべく要請活動を展開すべきと思われますが、これに対して知事はどのような御所見をお持ちか、また昭和59年産キビ価格の見通しについてもあわせてお伺いいたします。
次に、農林水産省の砂糖類課長は、要請のやりとりの中で、ことしは例年にない厳しさがあり、価格政策では無理があるようなことをほのめかし、逆に、私たちに対して、肥培管理や合理化を図ることによって反当たり収量100キロふやすことは大変難しいことですかと尋ねられました。もしこれが可能とすれば、昨年のトン当たり20円アップや、一昨年の40円アップどころではなく、昭和58年産価格を基準にしてみましても、実質トン当たり100キロで306円の値上げと等しい収益が上がるということになりますがどうでしょうかと尋ねられ、あります。唖然とさせられたのであります。と申しますのは、私も20代の後半ごろまではキビ作を中心に農業を営んできましたが、単収100キロや200キログラムの増収を図るということは、ちょっとした肥培管理の改善を加えれば容易なものだと思ったからであります。
そこでお尋ねいたしますが、県は土づくりを初め肥培管理等にどのような行政指導を行ってきたか、農林水産省の砂糖類課長の御提言の趣旨を生かせる可能性はどうかお伺いいたします。
3番目に、本県のキビ作振興を図るには価格設定や肥培管理等による増収を図ることもそれぞれ限界があり、確実に生産性及び所得の確保を図っていくことには抜本的な施策の展開が必要であり、まず全国比にして大きく立ちおくれている基盤整備事業、高性能収穫機械等の導入並びに新品種の育成及び地力増強対策等の必要があると思われますが、これら施策の進捗状況はどのようになっているのか。また今後の見通し等も含めて御所見を賜りたいと思います。
次に、中央卸売市場と生産農家についてお尋ねいたしますが、これにつきましては昨日の新聞にも一部答弁が出ましたけれども、別の角度から質問をいたします。
本県における農産物の流通は、これまで主として経済連の中央市場や中部市場において直接農家から小売業者や消費者に販売されるという相対売が中心でありましたが、これは農家みずからが生産から販売まで担うということで不合理な農業形態であり、殊に販売においては狭隘な場所で深夜も行われ、あすへの生産活動にも大きく影響しかねないという実態にありましたが、農産物の流通網の整備を図り、農業の近代化を推進するという見地から中央卸売市場の建設問題が惹起され、昭和48年ごろからその整備計画がスタートし、実に10年余にわたる計画や準備期間を経て去る3月完成を見ましたことは、生産農家や農業関係団体等にとってはまさに県内青果物流通の拠点として久しく待ち望んでいたことであり、この上もない慶賀の念でいっぱいでありましょう。西銘知事を初め、これまで御労苦を重ねてこられました関係者の皆さんに対し心から敬意を表します。
こうして本県においても全国で91番目の中央卸売市場として立派な施設の整備が図られましたが、その運営状況について本員が調査してみましたところ、去る4月開場以来8月までの5カ月間の入荷取扱実績は計画高の50%内外しか達成されておりませんが、これはいかなる理由によるも
のかまずお伺いいたします。
2番目に、生産者側の意見を聞くと、計画達成率が低い理由の一つとして開場して間もないということもあるが、最も大きな理由は、交通網の不整備やバス路線もなく、また仲卸業者や売買参加者も競りに対して極めて消極的で参加が少なく、市場における野菜価格が非常に不安定である等があると聞かされておりますが、これら関係道路網の整備やバス路線の市場乗り入れ等、また関係業者に対し競り参加に向けての強力な行政指導及び価格安定対策などを早急に解決しない限り中央卸売市場の健全な運営は図れないと思うが、これら問題を解決すべく具体策がありましたら御所見を賜っておきたいと思います。
3、中央卸売市場における取扱実績を県内、県外対比で見ると、5カ月間の取扱量1万4917トンに対し、県内産は4274トンで全体のたった28%で、県外からの輸移入品の取扱量がはるかに多くなっているが、これは中央卸売市場の設置目的や県外からの農産物流通のバランスを図るという観点から、農業政策的に卸売会社のあり方に問題はないかどうかお尋ねいたします。
4番目に、中央卸売市場で仕入れて経済連の中央市場で販売している業者もいると聞いておりますが、これは事実かどうか。あるとすれば、中央卸売市場の育成という立場から見た場合に、これに対し県はどのような御見解をお持ちかお伺いいたします。
5番目に、この質問の最後になりますが、中央卸売市場開設後、経済連の中央市場における流通量はどのような変動が起こっているかもあわせて御説明願いたいと思います。
次に、企業立地の促進と工業用水の確保についてお尋ねをいたします。
本県の工業用水道は、金武湾及び中城湾の工業地区への給水を目的に1日10万5000立方メートルの規模で計画され、昭和47年度から整備が進められ、昭和54年度には導水及び浄水場等の供給施設がほとんど完成し、水源については福地ダムが昭和50年度に完成したのに続き、昭和53年度に新川ダム、58年度に安波、普久川及び福地ダム再開発が完成しました。したがって工業用水道は、現在供給施設がほぽ100%完成し、水源についても1日給水ベース10万5000立方メートルの56%に相当する5万8500立方メートルが確保されておりますが、工業用水道の需要は、昭和47年度のオイルショックを契機とした社会経済情勢の変化により既存企業の水使用の合理化、企業立地のおくれ等から水需要は低迷し、昭和51年11月の給水開始以来、1日ほぼ7000立方メートル程度で横ばい状況で推移してきました。このため施設の利用状況が昭和58年度で水源13.9%、給水施設で7.8%と極端に悪く多くの余剰水を抱える結果となり、経営環境の悪化をもたらしてきております。
その経済状態を財政面から見ると、工業用水の需要が低迷する中、福地ダムを初めとする3ダムの完成によってダム管理負担金などが大幅に増高し急激に財政を圧迫してきております。昭和55年度から経営収支のバランスが崩れ始め、資金残高もマイナスに転落、当年度昭和59年度予算から金1億3900万円なりの多額の予算を一般会計から繰り出されたのは御案内のとおりであります。
さらに、現行のまま推移していくと昭和61年度までには4億円余りの赤字が予想され他会計からの助成が必要となり、このような内容で経営を続ければ破綻するかあるいは県財政への圧迫の要因となるのは必至であります。
また、工業用水事業は、地方公営企業法に基づき独立採算制を原則としており、その健全な運営に向けては、言うまでもなく企業努力を怠ってはなりませんが、本県の地形や工業立地の諸条件の面から考えました場合には、不採算性面の要素も多く、政策的な面から抜本的な対策が望まれるのであります。
そこで質問をいたしますが、まず工業用水道事業の経営内容の現状と今後の見通しについてお尋ねいたします。
2番目に、工業用水道事業の経営の健全化を図るための具体策がありましたら御所見を賜っておきたいと思います。
なお、本県では、自立的発展の条件整備に向け、第2次振興開発計画の中でも企業誘致を促進し、第2次産業の構造を改善していくことは重要な政策課題の一つであり、これを促進すべく工業開発地区の指定や工業団地の形成が図られ、さらに昭和57年には沖縄県工業立地促進条例も制定され、本格的な企業誘致政策が書面上はでき上がってきましたが、復帰後は、我が国の経済低迷等もあって新規工業の立地はなかなか困難な状況でございますが、本県の振興開発上、ぜひこれら諸施策の推進に万全の体制で望むべきではありませんか。このような厳しい状況下における企業誘致の促進と主業振興を図るには条件整備が必要であり、工業用水は工業生産には欠くことのできない生産要素の一つであり、企業立地に先行して整備すべきは言うまでもございません。
ところで、現在は、工業用水道の送水管は沖縄本島の東海岸沿いに西原町までしか敷設されてありませんが、糸満市の埋め立て造成も完了しいつでも企業誘致ができる段階にありますが、工業用水の送水管の敷設計画はどのようになっているのかお尋ねいたします。
なお、中部の西海岸沿い地域の工業用水の確保等の計画あるいは県下の各地域に散在する既存企業等においても、目下は工業用水道が配管されてないために1立方メートル当たり35円の水が使えず、200円近くもする飲料水を工業用に使用するという不経済な企業経営を余儀なくされている実態にも政治の側から目を向けなければならないと思います。いかがなものか、知事の御所見を賜りたいと思います。
工業用水道事業会計は、抜本的な打開策を見出さない限り、当面独自の能力では企業サイドの期待にこたえられないと思いますが、企業立地を促進するという政策的な立場からこれを見ました場合、県はどのような対応策をお持ちか知事の御所見をお伺いいたします。
次に、沖縄電力株式会社の民営移行の問題についてお尋ねします。
沖縄電力は、御案内のとおり本県における電気の安定的かつ適正な供給を確保するために.沖縄振興開発特別措置法によって設立された特殊法人で、その株式所有は国99.99%、県が0.01%となっております。
最近、沖縄電力の民営移行問題がたびたびマスコミでも取り上げられ、また民間団体からの提言もなされる等大詰めの段階を迎えつつありますが、電気は、申すまでもなく現在私たちの生活に必要欠くことのできないエネルギーであり、一刻たりとも停止が許されない文化生活の基礎的なものでございます。また産業振興の上からも、電力の安定的かつ低廉な供給は絶対条件となっております。沖縄電力は年間930億円の電気売り上げがあり、また約1500人の社員と下請や間接雇用を含めた雇用数は実に1万3000人にも及ぶと見られており、本県経済に与える影響は絶大なものがあります。この沖縄電力が、現行特殊法人から民営移行されるということは組織の根本から変革されるということであり、その去就は県民にとって重大な関心事であります。
1、沖縄電力の民営移行問題は昨今マスコミ等でもいろいろ報道されておりますが、実際のところ県はどのように取り組んでおられるのか現在の取り組み状況についてお尋ねをいたします。
2、次に民営移行する場合、独立民営と本土9電力1社との合併の2つの方式があると言われておりますが、その場合どのような問題があり、どう対処するおつもりか。例えば民営移行した場合、県民が心配すると思われる電気料金については民営移行後も維持していけるのかどうかお伺いいたします。
3、次に知事は、この問題について、いつ、どのような方針決定をされようとしているのかお尋ねいたします。
聞くところによりますと、年内にも決定されるのではないかとも言われておりますが、中には沖縄振興開発特別措置法の延長との関係あるいは2次振計期間は現行特殊法人のまま存続すべきであるとの意見や、本土9電力会社のいずれかとの合併方式にする民営化の方向を打ち出さない限り、公益企業としての料金の長期的な安定は図れないという意見などがあり、そのことも含めて御答弁を願いたいと思います。
さきに申し述べましたように、電気は私たちの生活に不可欠、基礎的なエネルギーであり、また本県経済を支える主要なエネルギーでありますので、これを供給する本県唯一の沖縄電力の民営移行問題は、今後の私たちの生活と経済を左右するといっても過言ではない重大な問題でありますだけに、政策決定に当たられては禍根を残すことのないよう県益を最大限に尊重され、慎重に対処していただきますよう御要望を申し上げ、この件を終わります。
次に、県の緑化事業推進についてお尋ねをいたします。
緑は、私たち人間の快適な生活環境を創造する上から大変重要な資源であり、またこれは大きくは国土の保全、水源酒養、資源環境の保全等と公益的な機能を有しており、これらの諸機能を総合的かつ高度に発揮させることは大変重要であります。特に近年の生活水準の向上に伴う水需要の増加、都市化の進展に伴う生活環境の変化等から、安全で快適な県土基盤の形成が強く要求されており、また県の主要施策として提唱しているC・G・G運動や観光産業の振興の面からも緑化事業の推進を図るということは最も重要な課題であります。緑化事業といっても、屋敷内の緑化から、公園緑化、道路緑化、学園緑化、職場緑化、山地の緑化等幅広くございますが、県においてはこれらの緑化事業等の推進に向けて取り組んでこられ相当な成果を上げているのも承知しておりますが、より強力な推進を図るためには、県においては統合管理機能を持つ組織化が必要ではないかと思います。
昨今、緑化問題は、政策的にも大変重要視せられ、学校及び道路建設事業を初め公園事業、防風林、防潮林などまで含めますと、農業基盤整備に至るまで公共事業の施行に当たってはほとんど緑化予算まで含まれているようでありますが、これらの事業を所管する部門は多岐にまたがっていて、専門家も少なく、集中管理機能に欠けてはおりませんか。例えば適地適材的な樹種の選択による植栽、工事完了後の育成管理等現状のままでよいのかどうか。多くの識者や造園関係業者からたびたび提言もあり、ぜひ今後の緑化推進に向けて御検討くださいますようお願いいたします。これは要望にとどめておき、いずれかの機会で質問をしてみたいと思います。
次に、戦前まで中南部の山々は、現在の具志川村の字北原から仲地部落に至る松並木にも劣らないぐらい松林があって、子供たちはまきとしての松葉拾いをしながら、そこに生息する昆虫等を採集して情緒豊かな遊びができるという農村としての自然環境に恵まれておりましたが、去る大戦の際、これらの立木は日本軍の手によってほとんど伐採され、擬砲の材料や防空ごうの支柱として使われるなど、残されたものもことごとく灰じんに帰してしまい、今日ではススキ、ギンネムがはびこっている状況にございます。
このように荒廃しきった中南部の山林原野の緑化に当たっては、全国レベルでの緑化対策推進事業費だけでは対応できないという歴史的なものを持っており、特に中南部は森林機能の高度発揮が最も望まれる地域であり、戦災によって失われた緑を取り戻すために戦後処理的な立場から特別の財政措置が必要であると考えられますが、どうか。
また現在、中南部地域の山林原野の緑化計画はどうなっているのか知事の御所見を賜りたいと思います。
最後になりますが、那覇、浦添の市長選挙について知事の御所見を賜りたいと思います。
さて、来る11月には、ことし最後の政治決戦ともいうべき那覇、浦添市長選挙が行われる予定でありますが、保革一騎打ちの公算の強いこの選挙はどちらに凱歌が上がるかは、今後の選挙方法の展開いかんで決せられることでありましょうが、この勝敗の行方は両市の発展をも左右し、また今後のあらゆる選挙にも大きな影響が予想されることなどから、両市民のみならず、県民全体が注目を寄せている大きな選挙でございます。
特に県都である那覇市は、我が国の南の国際都市として位置づけ、本県の歴史、文化の中心地としてその風土や特性を生かし、また政治、経済、教育、文化等の中枢管理機能の充実を図り、ロマンのあふれる未来都市像を描き積極的なその施策の展開が望まれるのでありますが、現状を見るとき、4期16年も革新市政が続いたために市政は停滞とマンネリ化を来し、県都としての維持すら心配される状況になってはいませんか。例えば大型プロジェクトのそのほとんどが那覇市以外の所に決定されてきたり、あるいはまたこれまであった琉球大学まで西原町に逃がしてしまうなどもろもろの問題がありました。このままの状態では一体県都那覇市はどうなるのか、まさに五里霧中の状態ではありませんか。
市町村行財政概況を57年度資料でみると、保守系市町村と革新系市町村の投資的経費、いわゆる人口1人当たりの還元額を比較してみると、保守系市町村の方がかなり活気づいていることが数字の上で明らかであります。またこれを那覇市と浦添市を比較すると、比嘉昇市長誕生後は浦添市の方がはるかに上回っていることがうかがえます。このような格差は、国や県の革新差別に起因するものなのか、あるいはまた市町村長の手腕、力量によるものなのか知事の御見解を賜りたいと思います。
ところで、西銘知事は、那覇市長時代にわずか2期7カ年間の間に安謝新港の建設、安謝地域の大規模な埋め立て、現那覇市役所の庁舎建設、難工事と言われたガーブ川の改修工事、また那覇市民会館の建設推進に当たられるなど、歴代市長の中でも一番多くの実績を残され市民の生活向上を図ってこられましたが、その後の那覇市政は前にも述べましたように全く停滞のどん底であります。
浦添市のように市勢の発展を図るか、那覇市のように停滞のままでよいかの選択は、11月の選挙で両市民の判断にゆだねられるものでありますが、知事は両市の相違点、すなわち保守市政と革新市政の政治姿勢についてはどうお考えなのか。
また両市長選について、知事の取り組み姿勢についてお伺いして、代表質問を終わります。
○議長(志村 恵君) ただいまの外間盛善君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後0時13分休憩
午後1時33分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
午前の外間盛善君の質問に対する答弁を願います。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 外間盛善議員の御質問に対しましてお答えいたします。
60年度国庫要請の基本的考え方及び重点要請項目についてお答えいたします。
昭和60年度は、国においては、前年度に引き続きまして経常部門経費マイナス10%、投資部門経費マイナス5%の要求基準が設定されるなど極めて厳しい状況にあります。しかしながら本県は失業率が高く、また財政支出に大きく依存する経済構造となっていること。社会資本の整備についてもまだ不十分であること。基地問題、戦後処理等依然として多くの問題が残されていること。62年に開催される国体の関連施設等の整備が必要であること。以上の事情があることにかんがみまして、60年度の重点施策を踏まえて第2次沖縄振興開発計画に基づく諸事業、特に公共事業、中でも本土と比べて立ちおくれの大きい農業基盤の整備、国体関連事業の推進、中城湾港建設事業、池間大橋建設事業等、これまで芽出しをいたしました諸事業の着実な推進、首里城正殿等の復元等に関する基礎調査、座間味ダムの建設、市街地再開発事業等の新規事業の採択、沖縄自動車道、特定多目的ダム、国営かんがい排水事業等の建設促進等を重点にいたしまして、その所要額の確保を図ることを基本にいたしまして本県の振興開発に必要な所要の額が確保できるよう要請してきたところであります。
次に、60年度予算の概算要求の内容についてお答えいたします。
60年度の概算要求は、まず沖縄振興開発事業費については、農林水産業振興の基礎条件の整備、水資源の開発、道路、港湾、空港等交通関係施設の整備、住宅、公園、上下水道等生活環境施設の整備、保健衛生対策の推進、教育の振興等を重点にいたしまして総額1951億3700万円、対前年度比99%を要求することとされ、特に公共事業は1804億1400万円、対前年度比99.1%となっております。また沖縄振興開発金融公庫関係につきましても、沖縄の振興開発に支障のないよう所要の額の確保を図ることとされており、その他の経費についても所要の措置がされております。
昭和60年度の概算要求については、国全体としてマイナス要求基準の設定という厳しい財政環境のもとで、沖縄振興開発事業費については前年度の額を若干下回る額となっておりますが、内容としては県の要請を踏まえ、当面政策的に重要な項目については増額要請がなされており、新規事業についても芽出しが図られております。さらに沖縄自動車道及び石川火力発電所の建設費等財政投融資関連事業が656億1700万円要求されておりまして、これらを含めますと2607億5400万円となり、前年度2355億6000万円に比べて10.7%の増額となっております。本県における公共投資は前年度を上回る額が確保されることになっております。また第2次沖縄振興開発計画を推進する中で計画の後期、さらには第2次振計後の沖縄振興開発につきましても長期的展望のもとでの施策の展開が図られるよう厳しい財政環境の中ではございましたが、最善の努力が払われており、一応評価できるものと考えております。今後は、概算要求額が満額確保できるよう沖縄開発庁を初め関係各省庁及び関係機関と連携を密にいたしまして最大の努力を傾注してまいりたいと思います。
次に、国庫補助負担率の一律引き下げについて、県及び市町村の受ける影響はどうなっておるかということについてお答えいたします。
国及び地方を取り巻く財政環境は、非常に厳しい状況にありますることは御案内のとおりであります。財政改革の一環といたしまして補助率の見直しが論議されているところであります。
国庫補助率を約10%程度引き下げることと仮定した場合に、県及び市町村に与える影響額について、昭和58年度決算額を基礎にいたしまして試算いたしてみますというと、県分で約12億3200万円、市分で17億1200万円、町村分で1億8500万円、合計31億2900万円の見込みとなっております。その主なものは生活保護費で県分4億8500万円、市分11億4100万円、計16億2600万円。児童保護費で申し上げますというと県分5億3200万円、市分2億5300万円、町村分1億2300万円、合計9億1000万円となっております。仮にそのとおりの補助率が引き下げられるということになりますというと、全国の地方公共団体における次年度以降の財政運営は極めて困難な事態に直面することが予想されるのであります。
次、この補助負担率の一律引き下げによって、県及び市町村の財政にとって到底耐えられない状況になっていくわけでございますが、この問題に対する知事の見解及び対処策いかんということでございますが、お答えいたします。
御承知のように、国民生活にかかわる施策の大半は県及び市町村を通じて実施されるものである以上、国及び地方公共団体が適正な財政秩序を堅持していくことが肝要であります。いやしくも地方公共団体に財政負担を転嫁するようなことがあってはならないと考えております。
このような見地からいたしまして、去る7月19日に開催されました全国知事会議において、国庫補助負担率を引き下げ、一方的に地方へ財政負担を転嫁するような措置はとらないことと。とりわけ義務教育、社会保障、公共事業等の基幹的な行政に関する国の支出については国の責任に応ずる負担金であり、その負担率の引き下げは絶対に行わない旨決議されたところであります。また去る8月29日には、全国知事会ほか5団体で組織されております地方自治確立対策協議会におきましても、国庫補助負担率引き下げによる地方負担転嫁反対に関する緊急要望を政府初め関係機関に対しまして提出したところであります。今後とも、国の動向に注視しつつ、全国知事会初め関係機関を通じて強い姿勢で対処してまいりたいと思います。
次に、59年度公共事業の上半期の執行目標と8月末時点での実績についてお答えいたします。
昭和59年度の公共事業等施行計画につきましては、公共事業の執行が本県経済に与える影響を考慮し、県内景気の維持拡大を図るため積極的な施行を推進する必要があると考え、その点から上半期の計画目標を76%に設定したところであります。8月末の施行状況は施行率51.5%となっており、前年同月の48.8%に比べますというと2.7ポイント上回っており、順調な施行状況となっております。また上半期目標76%の達成につきましては、一部用地取得が難航いたしておる事業もございますが、目標達成向けて鋭意努力してきたところであり、その達成は可能であると考えております。
次、サトウキビ価格問題と今後の振興策についての御質問に対しましてお答えいたします。
サトウキビは本県農業の基幹作目であり、その価格の動向は県経済に大きな影響を与えることからいたしまして、去る8月29日に沖縄・鹿児島両県合同で関係省庁、国会等に対しまして59年産サトウキビ生産者価格等に関する要請を行ってきたところでありますが、他農産物価格等の諸状況からいたしまして今後とも引き続き強力に要請していく必要があると考えます。
次、サトウキビ価格問題と今後の糖業振興問題と関連いたしましてサトウキビの生産指導体制等について御質問が数点ございましたが、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。次、中央卸売市場の経営と生産農家の関係についての御質問がございましたが、これにつきましても農林水産部長から答弁させることにいたします。次に、企業立地の促進と工業用水の確保について、工業用水道事業の経営内容の現状と今後の見通しにつきましては企業局長から答弁させることにいたします。また経営健全化に向けての具体策につきましても企業局長から答弁させることにいたします。
糸満工業団地への工業用水道の敷設、また西海岸地域等に立地している企業への工業用水等についての御質問に対しましてお答えいたします。
糸満工業団地につきましては、御案内のとおり6月に竣工認可も終えまして、9月から分譲開始を行っているところであります。同団地における工業用水につきましては、今後の企業の立地動向と需要の動向を踏まえましてその対応を検討する必要があります。沖縄工業用水道の延伸及び団地周辺の地下水源の調査検討を行っているところであります。また西海岸地域等につきましては、現在住工混在している状況にございまして、工業の集団化等を図る中で工業用水道の導入を検討していきたいと考えております。
工業用水道事業の経営の健全化につきましては、工業用水道の需用の拡大を図る必要があり、その条件整備のため工業団地や工場適地への企業の誘導を積極的に進めるほか、工業用水道需要量の適正規模等について今後検討していきたいと考えております。
次に、沖縄電力の民営移行の問題について3点御質問がございましたが、お答えいたします。
民営移行についての現在までの取り組みの経過についてお答えいたします。
沖縄電力の民営移行問題につきましては、これまで電気・エネルギー対策協議会におきまして検討を続けてきたところでありますが、その過程におきまして原油値下げによる国際的石油情勢の急変など沖縄電力の経営環境に大きな変化が生じたこと。これに対処し、資料の収集、分析を行うため専門機関に委託し調査を行ったところであります。現在、電気・エネルギー対策協議会において、その調査結果をもとにいたしまして各界の意見を聞いて論議を行い、意見の取りまとめを行っているところであります。
次に、民営移行についての問題点についてお答えいたします。
御指摘のとおり、民営移行の方式には沖縄県のみを供給区域とする独立の民営方式と9電力のいずれかの会社と合併する方式の2つの方式がございますが、そのいずれにも一長一短ございまして、県としては御指摘の本土並み料金水準の確保という前提条件を念頭に置きつつ地域経済に及ぼす影響等総合的に考慮いたしまして、本県にとって最も有利な条件で民営移行を行うためにはどうすればよいかという観点から判断してまいりたいと思います。
今後の県の対応についてお答えいたします。
県としては、電気・エネルギー対策協議会の意見の取りまとめを待ちまして、その後、関係者との所要の調整等も行い、速やかに決定いたしたいと考えております。結論を得た後、国等関係機関との調整を行うことといたしたいと思います。
次、緑化事業の推進について、特に中南部の緑化についての特別措置が必要ではないかという御質問がございましたが、お答えいたします。
中南部地域は、他の地域に比較いたしまして緑が少なく、潮害防備保安林等を除けばほとんどギンネム、ススキ等から成り、早期に緑化造林が必要であります。したがって昭和55年度から緑化推進特別対策事業を創設いたしまして、昭和61年度までに140ヘクタールを実施する計画で進めております。昭和58年度までに38%を達成いたしております。今後とも強力に推進してまいりたいと思います。
最後に、那覇市、浦添市の市長選挙について知事の所見を聞かれたわけでございますが、お答えいたします。
11月に行われる那覇市、浦添市の市長選挙は、重要な選挙であると考えております。私も知事といたしまして県勢発展に向けて努力いたしているところでありますが、第2次振興開発計画に基づくもろもろの施策を初め62年開催の国体など多くのプロジェクトを強力に展開いたしまして、県経済の活性化に努めているところであります。行政運営を円滑に推進するには今回の那覇市、浦添市の選挙は大変意義のある選挙であり、私といたしましても関心を持って対処しているところであります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) サトウキビの生産性向上を図るために有機質肥料によります土づくりの推進、適期植えつけ、病害虫防除の徹底など生産指導を強力に実施しているところでございます。
生産性向上の提言は生かせるかということでございますが、土地基盤整備の進展、さらに土づくり等に対する農家の認識の高まり等生産意欲が盛り上がっておりますので、単収の引き上げについては十分可能であると考えております。
サトウキビ作振興のために労働生産性、土地生産性の向上を図る目的で農業生産基盤整備を強力に推進しているところでございますが、昭和58年度末におきます土地改良事業の整備状況は圃場整備で18.4%、事業効果を上げつつあります。
なお、第2次沖縄振興開発計画におきましては、基盤の整備を積極的に推進していく考えであります。
昭和59年現在、県に導入されております収穫用機械は大型で36、中型で5、計41台となってございます。今後、土地基盤整備の進捗に対応いたしまして機械の導入を推進していく考えであります。
品種につきましては、昭和39年にNCO310、51年にRK65-37、IRK67-1、54年にはF161が奨励品種に決定され、大きく貢献をしてまいっております。
土づくりにつきましては、農政の重点施策として堆肥製造施設、堆肥舎、深耕用の機械など施設、機械の整備を実施してまいりました。今後、肉用牛の増頭運動等を強力に推進していく考えであります。
中央卸売市場の件につきましてお答えをいたします。
中央卸売市場の入荷取扱計画に対する達成率が低い原因といたしましては、目下のところ開場間もないこと、生産農家の共同出荷に対する意識、県外産地に対します知名度あるいは信用度の問題や輸送経費などで県外産地からの入荷が若干伸び悩んでいると、さらに買い出し人の出足が鈍いということが考えられます。
対策の一環といたしまして、道路網の整備につきましては、環状2号線が昭和60年度、臨港道路が昭和61年度、安謝立体交差点が昭和62年度の供用に向けてそれぞれ計画または工事が進められておりますほかに、市場周辺道路の信号機標識等の設置を促進しているところでございます。
バス路線の市場への乗り入れにつきましては、企業側に要請をいたしまして目下企業内部で検討を願っているところでございます。
価格安定対策につきましては、県野菜価格安定基金協会の事業の拡充を図るべく予算措置を講じていく考えであります。
県内産の入荷量が少ないということにつきましては、夏場にかけまして葉菜類、根菜類の端境期に当たりますためでございます。今後、生産、出荷対策について卸売会社を含めまして関係者を指導していく考えであります。
仲卸会社が農連市場で営業しているのではないかということにつきましては、仲卸会社は法令によりまして中央卸売市場外で店舗を設置し営業することを規制されておりますので、農連市場で販売していることはないと考えております。
中央卸売市場の開場後、農連市場の流通量に変動はないかということにつぎまして、農連市場はこれまで長年培われてまいりました相対売という商習慣が根強く存在いたしまして、中央卸売市場の開場後も流通量につきましては大きな変動はないとかように考えております。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) 工業用水の御質問にお答えいたします。
まず第1点の工業用水道事業の経営内容の現状と今後の見通しについては、御指摘のとおり工業用水道事業は、給水区域である金武湾と中城湾地域に1日当たり10万5000トンの工業用水の需要を想定し、昭和47年度から施設の整備を進め、これまでに水源施設については56%、そして導水管等の供給施設については100%完成しております。
御指摘のように、工業用水の需要は、低成長経済のもとで企業による水使用の合理化や新規需要がないことなどにより低迷し、給水量は現在契約ベースで1日1万トン程度でございます。
一方、経費の面では、安波、普久川ダム等の完成によりましてダム維持管理費負担金が急増するなど費用が大幅に増加してきております。このため昭和58年度決算では損益ベースで6700万円の赤字が生じており、また昭和59年度予算では、資金不足を補うため一般会計から1億3900万円の繰り入れをお願いしたところでございます。
工業用水道事業の経営は、当分需要の急増は期待できないような状況でございまして依然として厳しいものが予想されますが、今後の対策について関係部局とも話し合いながら各面から検討を進めているところでございます。
2点目の工業用水道事業の経営健全化を図るための具体策についてお答えいたします。
工業用水道事業の経営健全化対策の一環といたしまして、昭和59年4月1日付で工業用水道料金改定を行ったところでございますが、収支が均衡するまでには至ってない状況でございます。したがって工業用水道事業の経営に当たっては、今後の対策としてまず新規需要の開拓に優先的に取り組みたいと考えております。そしてこれについては、既に企業局におきまして給水区域内の需要の実態並びにその他の区域への給水の可能性等について、沖縄本島内の主な企業を対象に調査を進めているところでございます。
また、これらの調査結果を踏まえて長期的対策としては、新規企業も含めた今後の需要の動向を見ながら、余剰水源及びその他施設の他用途への転用等を含めて総合的に検討してまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 城間盛栄君。
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 私は、沖縄社会大衆党を代表いたしまして、さきに提出いたしました通告書のとおり、知事及び関係部長に対し、昨今の諸問題について所見を述べながら質問いたしたいのであります。
さて、沖縄を取り巻く諸情勢は、反戦平和の立場から見ましても、また経済的状況から見ましても極めて厳しいものがあると思うのであります。すなわち米ソの軍拡競争は、平和を願う県民の希望とは裏腹にますますエスカレートし、その影響を受けて日本もまた軍事費を増大させながら、防衛の美名のもとで軍拡競争に加わっている状況にあり、これはすなわち我が沖縄に影響して、沖縄の軍事基地の質的強化につながり、104号線越えの実弾射撃演習を初め、グリーンベレーの沖縄への再配備、巡航ミサイル・トマホークの極東への配備等々極めて憂慮すべき事態が次から次へと起こっております。
また、経済的に見ましても、復帰13年目を迎えても県民所得は本土の71%にしかなく、また失業率も5%を超え、沖縄振興のための予算も抑えられ、その上、せっかく予算がついてもその大半は本土の大手企業に吸い上げられるなど、今まさに軍事的にも経済的にも犠牲にされているのが実態であります。
このようなことは、西銘保守県政の政治姿勢にも大きな原因があると思うのであります。それは西銘知事が政府迎合型の県政を行い、沖縄県民の声を率直に政府に訴えないからであると思うのであります。知事は、県民の立場に立ってもっと反戦平和と県益優先の県政を推進すべきであることを進言して、これから順を追うて質問いたします。
知事の政治姿勢についてお伺いします。
1つ、知事秘書を特別職に指定する問題についてであります。
まず第1に、知事秘書を特別職に指定する条例案が提案されておりますが、この件について知事の真意をお伺いいたしたいと思います。
知事秘書を特別職とすることの法的根拠は、なるほど地公法第3条第3項第4号によって可能であります。しかし和59年6月現在で条例を設置している県は、全国47都道府県中17都県で、うち条例を実際に運用している県はたったの5県で極めて少数であると承っております。どうしてこのように少数でしかないのかと申し上げますと、知事秘書を特別職にしなければならない必然性に欠けるということと、一般職との関係でその身分上いろいろと不都合な面が生じるからであります。
必要度が低いという点では、本県でも復帰後、屋良、平良の2代の革新知事時代にも知事秘書は一般職でありました。特にあの復帰直後の激動期でさえも特別職でなく、また西銘県政の第1期目から今日まで一般職で通しております。何ゆえに今日の時点で特別職にする必要性が生じたのか、知事の真意をお伺いいたしたいと思います。
また、知事秘書が特別職に指定された場合の問題点についてはまず1つ、客観的基準に基づく任用ではないため、任命権者の主観に左右されるおそれがあるからであります。2つ目には、任命権者、すなわち知事が離職した場合、その秘書の処遇をどうするかであります。3番目に、地方公務員法の適用がないため当該法令上の身分保障がない。4点目には、県職員定数条例の定数枠外とされるため、実質的な増となることであります。5番目に、特別職の業務内容をどう線引きするか、以上のように問題が多々生ずるが、これらの問題についての御見解を賜りたいと思います。
特に1にも関係しますが、西銘知事は、知事秘書を特別職にした場合、知事の身内から秘書を迎える予定とマスコミでは報じられていますが、もしそれが事実であるとするならば、それは行政の私物化ではないかとの声もあります。この点も含めて明確な御答弁をお願いしたいと思います。
2つ目に、基地問題についてであります。
復帰後12年を経過した今日でも軍事基地は実質的に縮小されず、県民生活に有形、無形の基地被害を与え続けていますが、今回は時間の都合上1点に絞ってお尋ねいたします。
その1点とは、本議会の冒頭でも抗議決議がなされました米海兵隊による水源涵養林への砲撃事件についてであります。
今回の事件は、水源涵養林や自然が破壊されるだけでなく、発射角度によっては周辺の住民地域をも直撃しかねないだけに県民に大きなショックを与え、本議会冒頭での与野党全会一致の抗議決議となった次第であります。要するに今回の事件は起こるべくして起こった事件であり、事故ではないということであります。それゆえに事件の再発を防ぐには演習場の撤去以外に方法はないのであります。
そこで知事にお伺いいたしますが、知事は、このような事件が起こるたびに、国や米軍に対し、安全対策の確立を要請し、引き続き強い姿勢でこれに対処してまいりますと型にはまったように答弁なさいますが、こうして次から次へと事件、事故が起こってまいりますと、知事の対政府、対米軍への姿勢に疑問を抱かざるを得ないのであります。特に6月議会で我が党の瑞慶覧議員が、知事は、基地問題ではいつも三者協に逃げているが、一体三者協で何をやっていますかと追及しましたところ、知事は、演習の安全対策やその他多岐の事項にわたって提案し、国と米軍に対しまして問題の改善方を要求してまいりましたと答弁され、特に具体的な対策の主なものとして水源涵養林境界標識の設置を挙げておられますが、今回の事件は、その水源涵養林に砲弾が撃ち込まれたものであり、しかも米軍は、水源涵養林も演習場に含まれるとして絶対に撃ち込まないとは約束できないと言っているありさまであります。この点についての知事の御所見と今後の対策について承りたいと思います。
次、60年度予算の概算要求についてであります。
沖縄開発庁の昭和60年度の概算要求額は、その総額で初めて対前年比マイナス要求となり、振興開発事業費は2年連続のマイナスであります。これでは沖縄振興開発を着実に推進できる予算とは言えないのであります。知事は常々、政府との太いパイプ役を自認し、その予算獲得力を豪語されておりますが、全く空手形ではありませんか。
そこで60年度予算獲得に向けて知事の今後の対応を承りたいと思います。
来年度は、第2次振計も4年目を迎え、いよいよ中半に入ります。私は、2次振計初年度が終わる58年2月議会の代表質問で、本土との格差是正を目標に設定されている第2次振興開発計画の目標を達成するには、他県より約10%前後の上乗せの予算伸び率がないとできないと思います、
現在の予算の伸び率では2次振計の目標達成が可能であるか、知事の御自信のほどを伺いたいと質問いたしましたところ、知事は、2次振計は10年間の計画でありまして、その間の経済動向を見ながら対応せざるを得ない。県としては目標達成に向けて努力をし、国に対しても強く要請していく考えであると答弁されましたが、年々伸び率の悪くなる予算について現在いかなる見解をお持ちであるか、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
特に私がここで問題にしたいのは、県の重点施策にも掲げられている基地及び戦後処理問題の解決促進のための予算要求額であります。
基地関係費では、防衛施設庁要求総額の約3割を占める沖縄関係費の中で、目本政府の米軍への思いやり予算と言われる提供施設整備費は9.4%増の超突出の伸び率になっているのに比べ、県民の基地被害を償う基地周辺対策費は0.9%減となり、極めて対照的であります。また戦後処理の代表例である対米放棄請求権関係の特別支出金についても、約束の年次別増額方式が59年度からは年次増額分の2億5000万円が概算要求の段階から削られており、ことしもまた開発庁の概算要求で積み増し分が削られ、本来なら20億円になるはずのものが15億円に抑え込まれています。これでは県対米請求権事業協会の運営に狂いが生じるのは確実であります。ここにも西銘県政の対政府折衝の無力さが明白になっています。
こうして至るところで西銘県政の予算獲得力の非力さがあらわれていますが、このままでは2次振計は、目標年次に至ってもその目的達成は到底不可能ではないかと危ぶまれるのであります。
そこで知事にお伺いしますが、2次振計は国の責任で遂行されますが、計画全体の資金計画となる国の予算の裏づけが明示されないところに難点があると言えます。革新県政のころには、県が独自で事業計画から資金計画まで策定し開発庁に突きつけてぎました。西銘知事も、重要事業のためにはこれだけの資金が必要との立場からガイドラインを設定して国に強く要求していくべきではないかと考えますが、この点についての知事の御見解を承りたいと思います。
次に、第1次産業の振興についてであります。
本県農業の基幹作物はサトウキピであります。永年にわたり県経済はもちろん、農家経済の支柱をなしている。また国内甘味資源の供給に大きな役割を担っていることは御案内のとおりであります。県の資料によると農家戸数の約83%、農地の約70%はキビ作農家が占めており、サトウキビ価格の安定なくして農家経済の安定はあり得ないと思います。
そこで質問に入ります。
まず質問の第1点は、59年度産サトウキビ生産者価格引き上げのための県議会代表の要請団が、本県農業基盤の整備がおくれているという要請に対し、主管の農水省は、そんなにおくれているとは思わないと言っていますが、甘味資源生産地域の沖縄県、鹿児島県、北海道の農業基盤整備率の現在の状況はどうなっているかお示しください。
質問の第2点は、農水省は、サトウキビ作には農家所得以上のお金をかけている。他の作物でサトウキビほどお金をかけているものはない。これでは国民に説明はつかない。むしろ農家にお金を上げてサトウキピ作をやめてもらいたいぐらいであると。さらに国内産糖の自給率が3割を超えており、これ以上国内産糖をふやす考えはないとも言っております。農政を担当する農水省としてこのような発想、発言をしていることは県民侮辱の感を抱くものでありますが、この国の発想、発言に対して知事はどうお考えになりますかお伺いいたします。
質間の第3点は、サトウキビ価格についてであります。
サトウキビ価格問題については、ここ二、三年、県サトウキビ対策本部は、要求価格について基本的考え方として、政府が公表しています、生産費の確保のため57年度のサトウキビのトン当たり生産費は2万4893円、これを基準に物価や賃金上昇率を加味して算定した結果、トン当たり2万6000円以上の価格でなけれぽならないと設定して要請しております。57年のサトウキビ農家手取りは、トン当たり2万1450円、生産費が2万4893円かかっており、生産費を3423円割っている実情であります。北海道のてん菜糖は、農家手取り、トン当たり2万1020円に対し、生産費は1万6789円となっており生産費を4231円も上回っており、キビ作農家は冷遇され差別を受けている。このような実情を踏まえて、知事はキビ価格についてどう思いますか。
また、59年度産サトウキビ買い上げ価格の折衝において、今後どのように対処しようとしておりますか御所見を賜りたいと思います。
次に、人事院勧告完全実施についてお尋ねいたします。
2年間にわたる人事院勧告の凍結、抑制は、単に公務員労働者とその家族のみにとどまらず、広範な勤労県民の生活に多大な影響を与えています。
公務員四者共闘の試算によると、1982年勧告4.56%は完全に凍結され、1人当たり23万4000円、1983年勧告6.45%は3分の1の2.08%に抑えられ、公務員労働者は1人当たり21万5000円の損失を直接受け、年金、恩給生活者、失対事業従事者、地域最賃適用者等々の損失額を加えると実に44万人に及び、その額は432億円に達すると言われています。この額は、県内のサトウキビの年間粗生産高に匹敵する膨大なものであります。
公務員労働者の生活と県経済に及ぼす影響を考えるならば、人事院勧告は完全に実施されるべきであります。公務員労働者は、憲法で保障された労働基本権が制約されており、その代償措置として人事院が設置されております。したがって人事院勧告は完全に実施されて当然であり、これを凍結、抑制することは憲法に抵触する不法、不当な行為であります。また県段階において完全実施を困難にしているもう一つの問題は、自治省による交付金の削減や起債不許可などによる不当な自治への介入であり、地方自治否定につながる問題であります。
政府は、今年度勧告も3%台に抑制しようとの動きにありますが、これまで指摘したとおりこれは決して容認できるものではありません。公務員労働者の生活と県経済のことを考えるならば、知事は、人勧が完全に実施されるよう環境づくりに努力されることが今日特に重要だと考えますが、このことについて知事の御所見を伺いたいと思います。
新石垣空港問題についてであります。
この問題は、極めて重大かつ複雑な問題であります。すなわち八重山の美しい自然環境は保存しなければならないということは今さら私が説明するまでもありません。しかし我が党は、離島振興及び八重山地域の発展と観光事業の推進及び将来の航空需要の増大に備えて新石垣空港の建設に基本的に賛成するものであります。したがいましてこの問題の解決は、1つには地元民のコンセンサスを得ることが大事であり、2つ目には自然環境と開発の調和を図り、自然破壊を最小限に食いとめることが最も大切であると考えるものであります。
去る9月12日から14日までの3日間にわたって、新石垣空港の建設を進めている県当局が、機動隊を導入して白保海岸の環境調査を実施されたようでありますが、この機動隊を導入しての県の環境調査の際に、関係住民の間から負傷者や逮捕者が出たことに対して、我が党は、直ちに県に調査方法の不当性を指摘し、機動隊の過剰警備に強く抗議したのであります。しかるにこの件に関し、古謝副知事は12日午後の記者会見で、双方住民の安全を守るためのやむを得ない措置であると述べ、西銘知事は18日午後、記者団との懇談の中で、不測の事態が予想されたのでやむを得ず警察に警備を要請して調査を行ったと語っています。
そこで知事にお尋ねしますが、今回の環境調査において機動隊を導入しなければならなかった最大の原因は何か。そしてその責任はだれにあるのか、まず最初にそれを明確にしてもらいたい。
次に、県は、古謝副知事の同日の談話にもあるように、新石垣空港建設の方針については、新空港の建設の必要性、10年後の八重山がどうなるか未来像も含めて住民、開発庁、建設省、運輸省など国の関係機関にも説明していく。特に白保住民の皆さんにも理解を求めていくと関係者の理解を強調しており、また西銘知事も、秋に予定している環境調査についても原則として地元の理解と協力のもとに行うと、これまた理解と協力を強調しておられます。
ところでお尋ねしますが、県は、この第3種空港である新石垣空港の設置管理者としてこれまで関係住民や、この問題に深い関心を寄せてきた国民に対し、どのように理解と協力を得るような手段方法を講じてきたか。また今後どのようにして地域住民のコンセンサスを得ようとしているのか明らかにしてもらいたい。
特に新空港建設予定地の選定経過の詳細な調査報告書や、これまで県が行った各種環境調査の結果及び現空港の跡地利用計画等の公表が強く求められていますが、それらを速やかに公表する意思があるかどうか。
また第三者機関による客観的な環境調査が同空港建設に対する国民的コンセンサスを得るのに必要であると思われるが、どうお考えになりますか。
さらに新空港建設予定海域の漁業権については現在係争中でありますが、そうしたことも考慮に入れて県としては実施計画の見直しを検討する用意があるかどうか。とりわけ県当局としては、予算執行の面から事を急ぎ過ぎる感があると思います。この点に関しては、先ごろ来沖した沖縄開発庁の藤仲事務次官は、埋立認可申請については早くやれということではなく、申請するなら必ず認可してもらえるよう準備すべきである。拙速はとうとばないと語っています。この点も踏まえて知事の明確なる御答弁を承りたいと思います。
以上をもって質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問をいたしたいと思います。以上をもって質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 城間議員の御質問に対しましてお答えいたします。
知事秘書を特別職にすることについての理由についてお答えいたします。
知事の秘書の職につきましては、これまで一般職の職員を充てて対応してきたのでありますが、秘書業務の特殊性にかんがみまして今回地方公務員法第3条第3項の規定に基づきまして、知事の秘書を特別職に指定いたしまして秘書業務の円滑な運営を図る考えであります。また特別職の秘書の職については、特定の知識経験、人的関係あるいは政策的配慮により任用できるようになっておりますので、同法の趣旨にのっとって任用してまいりたいと考えております。
それからこの特別職について身内の起用を考えておるようであるが、これは行政の私物化につながらないのかということに対しましてお答えいたします。
私が立法院議員時代から、那覇市長、国会議員、また知事に至るまでの長い間の政治体験からいたしまして、知事の秘書の職は特別職にした方がいいとかねがね考えておったところであります。知事の身辺の整理、身辺事務の整理ということもございまするし、また時間的にも大変不規則で夜も長い時間知事とつき合わなければならない時間上の問題等もありまするし、さらには政治資金の配慮、受け入れ等々機密に属する事項等もいろいろあるわけであります。もちろんこれが一般職ではできないということではございません。一般職として私の息子の順志郎も使いましたし、川上君も那覇市長時代以来、今目に至るまで那覇市長7年間、国会議員8年間、ずっと15年間、私の秘書として国会議員時代から現在に至るまで、あの時期に至るまで15年間秘書として勤めてきているわけであります。そういうことでどちらかと申し上げますというと、秘書の職の関係からいたしましてできるだけ身内がいいと。これは何も私物化するということではございません。身辺の整理から、時間的な制約、またいろんな機密に属する等々がございまして、決してこれは私物化するという意味ではございません。知事の秘書という配慮からいたしまして一般職からもできる。また従来のように国会議員をやられて知事になられる方々であれば、自分と一緒に苦労した秘書を特別職としてそのまま知事の秘書に持ってきて苦労してもらうと。そしてやめるときには一緒にやめてもらう、これがいいんじゃないかと。いずれをとるかは、特別職をとるか、一般職をとるかは、そのときどきの知事の考え方に基づくわけでございますが、何も私の息子を秘書として採用するためにこれを特別職にするのではございません。法律上できるようになっておりまするし、現に実施している県も7県ございまして、決して私の息子を特別職にするために、給料をあげるためにやることでは決してございません。どの知事が特別職をとられるか、一般職をとられるかはこれは知事の自由でございまして何もそれに制約する必要はないと思いますが、私としては特別職にして、一般職としての身分上の保障はございませんけれども、むしろ秘書としてはこれは後退するわけでございまするから、知事と一緒にやめなければなりませんし、身分上の保障もございませんし、給与の上でも保障等ございませんので、そういう一長一短はございますが、決して身内を起用するための条例の制定をお願いしていることではないと。私の長い政治体験からいたしまして、特別職でも一般職でもいいんですが、どちらかというと特別職にした方がいいのではないかと。こういう考え方によって、かえって将来の知事のためにもこの特別職を置いた方がいいのではないかということで提案いたしましたので御理解を賜りたいと思います。
次に、伊芸部落の水源涵養林に弾を撃ち込んで困るじゃないかということでございますが、これは誤解がありますので御理解いただきたいんですが、この伊芸山林の森林は、いわゆる森林法に基づく保安林としては指定されておりません。したがいましてこれは法律の適用外であります。いわゆる森林法によりまして防潮林、防風林、風致林、水源涵養林、いろいろその機能によって選定されるわけでございますが、これは復帰前から提供された、米軍が使った施設区域でございまして森林法の適用はないわけでございます。したがって法律で言う水源涵養林ではありません。そこで私は当時、地元の要求を受け入れまして55年の三者協議会で、あの山野は、地元住民にとって水源涵養林としての機能を十分果たしている森林山野であるので弾を撃ち込んでもらいたくないと。
そういう意味で境界線をしいて標的もそこにつくって撃ち込まないようにしてくれと、こちらからお願いして水源涵養林的な存在としてお願いしたところでございまして、じゃ軍といたしましても、それでは知事の要求に従ってこれはいわゆる水源涵養林として弾を撃ち込まないようにしましょうということになっておったわけでございますが、今回実弾が撃ち込まれてまことに残念なことでございます。基地の安全管理につきましては、幾ら安保を認め、基地を認めている知事ではありましても、この基地被害を認めるわけにはまいりません。何といっても県民が大事でございまするから、それから受ける被害についてはその都度米軍に対しまして強く要請をいたしておるところでございます。したがいまして今後あの伊芸地区の山野についての砲弾撃ち込み等についてはこれからも強く抗議をし、撃ち込まないように特段の特別対策を立ててもらうように強く申し入れるつもりであります。
次に、60年度国庫要請、対前年度比較で大変少ないんじゃないかというおしかりを受けたんですが、その内容については先ほど自民党の我喜屋議員の御質問に対しましてお答えしたとおりでありますが、もう一遍お答えいたします。
60年度は、59年度に引き続きまして御案内のとおり経常経費部門でマイナス10%、それから投資経費部門でマイナス5%という国の予算編成方針の基本が策定され、実施されておりますることは御案内のとおりであります。そういう厳しい財政環境の中ではございましたが、対前年度比で大体、100%にはいきませんけれども99%までは確保できたと。公共事業全体についても99.1%と2年連続マイナス要求ではないかというおしかりを受けているわけでございますが、昨今の財政環境、行革、財政再建という財政環境からいたしますというと、私は、沖縄開発庁を初め関係各省庁、沖縄に対する理解と協力があらわれたものとして高く受けとめているところでございます。
先ほども申し上げましたが、59年度までに芽出しをいたしました中城湾港の開発事業につきましても、対前年度比で14.8%の増額となっております。また与那国空港の整備事業につきましても、対前年度比で28.8%の増額となっております。また中城湾港の流域下水道の事業につきましても、対前年度比で19.5%の増となっておりまして、まあまあのできばえであると私は高く評価をいたしております。
新規事業につきましても、首里城正殿の復元等に対する基礎調査、また久茂地1丁目のいわゆる都市再開発事業、座間味ダムの建設、今度新しく羽地大川地区の国営かんがい排水事業、それから与那国地区の畜産基地建設事業、バイオマス関連事業等々新規事業としても、県の要請いたしましたことがほとんど100%近く採択されていることでございます。
しかも沖縄自動車道の建設、それから石川火力発電所の建設事業等財投関連事業を含めますというとそれぞれ55%の増、90.7%の増ということで、これらを入れますという発庁上分を入れて大体10.7%増ということになって本県の公共事業投資はまあまあということ。私は何も威張っているわけではございません、事実を申し上げているだけでございまして、今日の厳しい財政環境の中では開発庁を初めまあまあの努力がされているということを御理解賜りたいと思うのであります。
もちろん、第2次振計の展開が図られるためには、もっともっと最善の努力を払わなければならないことはこれは御指摘のとおりでございまして、この振計で盛られた目標達成は、本県における大きな政策課題であることからいたしましても、今後とも最大の努力を傾注しなければならないと考えております。
しかし、それについては資金計画が必要であり、もっと資金計画について国に要請すべきではないかと、この御質問に対しましてお答えいたします。
第2次振興開発計画は、沖縄振興開発特別措置法に基づきまして県が計画の案を策定し、内閣総理大臣が決定する、国の責任で計画され実施される計画であることは私が申し上げるまでもないことでございます。その計画はもちろん第2次振計の計画におきましても、県の計画の案においては事業計画及び資金計画は策定されておりません。これはたびたびこの議会で申し上げたとおりであります。国は、この計画に位置づけられている諸施策、諸事業の推進に当たっては、毎年度の予算措置で対処していこうということになっておりまして、そのため県は毎年度、その振興開発計画を基本にいたしまして重点施策を策定いたしているところであります。これに基づいて所要資金を国庫支出金として国に要請し、その確保に努めておるところでございます。
次に、甘味資源についての御質問に対しましてお答えいたします。
甘味資源地域の整備状況でございますが、生産性向上のため圃場の整備、かんがい排水及び農道整備等を進めているところでありますが、58年度末現在、圃場の整備率は、北海道については公表された数字はございませんが、鹿児島県で34.5%、本県で18.4%となっております。
先日、キビ価格折衝団が上京されたわけでございますが、その際における農水省関係者、これは次官の発言と新聞で受けとめておりますが、その関係者の発言についてコメントいたしたいと思います。
農林水産省関係者の発言につきましては、砂糖の需給事情、それから国内価格と国際価格の大幅な乖離等含めまして国内産糖を取り巻く大変厳しい情勢が述べられたものと思い、産地側の生産性向上等の自助努力がもっともっと必要ではないかと、こういうことでなされた発言であると受けとめております。
次に、サトウキビ価格が生産費を割っているということでございますが、これは全く御指摘のとおりでございまして、私が国会議員に当選して以来今日に至るまで、生産費を償った例は1度あるか2度あるかぐらいでございまして、これは御指摘のとおりでございます。57年度産サトウキビ生産者価格、これは2万1450円となっておりますが、
御指摘のとおり生産費を償っておりません。サトウキビの再生産を進めていくには、その価格は生産費を十分償うものでなければならないという生産費・所得方式につきましては今日までこれを堅持してきたところでございまして、その経過等については十分御案内のとおりと思うのであります。しかしながら何としても我が県の主要作目でございまして、この価格の折衝につきましては今後とも引き続き強く要請してまいりたいと考えております。
それから人勧実施についてお答えいたします。
人勧制度は、御指摘のとおり公務員の労働基本権が制約された代償として当然これは尊重されなければならないと思いまするし、またこの人勧実施に向けては誠意を持ってこの実現に当たらなければならないということはたびたび申し上げているとおりであります。しかしながら国の財政事情等もございまするし、県といたしましては、国や他県の動向も十分見きわめながら誠意を持って前向きに対処してまいりたいと考えております。
次に、新石垣空港問題についてお答えいたします。
まず、機動隊を導入したことについてでございますが、新空港の建設につきましては我喜屋議員に答弁したとおりでございまして、今後ともできるだけ早い時期に建設を推進してまいりたいと考えております。
県としては、新石垣空港建設に係る調査に当たっては、基本的には地元の理解と協力を得て行いたいということで今日まで取り組んでまいっております。今回の環境調査に当たりましては、去る8月15日及び16日に反対派の方々に再三調査の必要性を説明し、調査をさせてもらうよう説明いたしたのでございますが、全く聞き入れてくれませんでした。そこでやむなく立入調査を断念した経緯がございます。その後、9月12日の調査に当たりましても、現地において午前8時ごろから約3時間にわたって反対派の方々に調査の必要性を説明いたしまして再三にわたって調査をさせてもらうよう説得したのでありますが、前回同様全く聞き入れられず、不測の事態が予想されましたので、いたし方なく警察に警備方を要請して調査を行いましたので御理解賜りたいと思います。
次に、地元住民のコンセンサスについてでありますが、地元のコンセンサスにつきまして、県は54年から今日まで数多く地元の反対住民と話し合いをすべく試みてきたところでありますが、白紙撤回を主張し、いまだに理解が得られない状況にあります。しかしながら今後とも地元1市2町等の協力を得ながら、地元の反対住民とも話し合える場をつくり対話を進めていきたいと考えております。
次に、調査結果の公表についてでございますが、現在、石垣空港建設に係る環境アセスメント等については、過去昭和55年度、58年度及び59年度の調査結果をもとに総合評価等を行うべく作業を進めているところであります。これらの資料の公表につきましては、この総合評価等の作業がまとまり次第、公有水面埋立免許出願の時点で広く一般に告示縦覧に供することといたしております、縦覧しなければなりませんのでそういうふうな手続をとりたいと思っております。
なお、現空港の跡利用計画につきましては、関係機関等と調整を図り、地元の有益利用を前提とした計画を策定する考えでございまして、まとまり次第公表いたしたいと思います。
次に、第三者による調査でございますが、第三者による環境調査につきましては調査方法、調査機関等々多くの検討課題がございますので、慎重に検討してまいりたいと思います。
実施計画を見直したらどうかと、余り急がぬでもいいじゃないかという御指摘でございますが、現在の計画位置につきましてはこれまでに十分調査検討の上決定したものでございまして、今後は条件が整備され次第、計画どおり推進してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 城間盛栄君
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 知事の答弁によってある程度理解するところはありますが、また一面、もっと知事が取り組みをしていただきたいという要望もしたいと思い、あわせて再質問もしますが、特にそういう問題が起こる建設に当たっては、やはり県が本当に真剣になってずっと忍耐強く私は地元住民とのコンセンサスが続けられたかどうか、そこが疑問に思ったわけです。その面について、ただ一、二回やって聞かなかったということであったのか、その面も含めて。
またさらには、サトウキビの問題の基盤整備でも、北海道の基盤整備資料も県の資料にあります、44.何%です。鹿児島32%ですか、沖縄は18%。
このように相当基盤盤備も立ちおくれている中で、農水省は、沖縄の基盤整備はおくれていないという発言、これがどうも、私も実際キビ作をやっております。そういう面からして、このキビ作農家の本当にその苦労がわかっているかどうか、そこが非常に疑問だと思っております。農政を担当する省として、もっと思いやりのある農政、キビ作に対する農政をやってもらいたいというのが県民の願いだと思っておりますので、その点についても強く私は申し入れるべきであって、何か国内産糖の甘味資源の問題で非常に国際価格との大きなそこに負担があるんだと。自助努力せよと。それは当然やるべきですが、知事としては、そういう何か国の弁解をしているような感も承っております。そういう面からしても、すべてあらゆる諸問題において、もっと県民の声を代表して知事は国に訴えてもらいたいとこのように考えておりますが、これから知事の今後の改めての姿勢をもう一度披瀝していただぎたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 新石垣空港の問題につきましては、城間議員は私よりも問題はよく把握されておると思うのであります。立場の関係から急ぐなということもよくわかりますが、地元の市長も大変心配をいたしておりまして、関係市町村、議会、全会一致で採択されておりまするし、漁業補償も完全に履行されて約束どおり済んでおりまするし、いわゆる手続上は何も落ち度はございません。ただ、地元の一部に、反対せんがための反対、また東京、その他の周辺からの動員等によっていろいろ調査を邪魔するような傾向がありましたので、そういうことで地元の理解と協力を得るのはあくまでも原則ではありますが、公務の執行妨害するぐらい、それは許されないことでございまして、そういう意味で犠牲者が出たとは思いますが、基本としては、地元の協力を得て進めたいということと、5つの候補地をいろいろ調べまして、現在の空港につきましては圃場整備が進んで、もうこれ以上つぶすわけにもいかぬと。環境基準からしても公共建物や一般住宅が多くて騒音問題が起こるということ等々からいたしまして現在の白保に決定されたことでございまするから、地元開発のためにもできれば手続完了次第、早期に着工してまいりたいとこの基本には変わりはありません。
それとキビ代でございますが、城間議員御案内のとおリキビ代は、私も地元住民でございまするし、県知事でございまするから、県の意向も十分踏まえて農水省を初め関係省庁に今日まであらゆる努力を傾注してまいりました。今後もこれからもまた上京いたしまして関係省庁、関係者の方々と詰めて、できるだけ地元の要望が実現するように強く要請してまいりたいと考えております。しかし他の農作物の価格等につきましても、北海道のてん菜糖につきましても3年間連続据え置きであります。したがいましてこの12日に決定される北海道のてん菜糖の価格が、沖縄の生産者価格に影響いたしますので注意深く見守っているところでございます。できるだけ生産費を償うような体制をとってもらいたい、これはけんかするぐらい言っていることでございまして、決して弱いとは思っておりません。革新知事に負けないぐらいに一生懸命要請していることを御理解賜りたいと思います。
○議長(志村 恵君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、社会党県議団を代表いたしまして、さきに提出しました質問事項に所見を述べながら知事にお尋ねをいたします。
質問事項のうち、バス問題については省略をいたしまして、基地問題から質問を行います。
第1点目は、県道104号線越えの実弾射撃演習であります。
中曽根内閣の軍事費増大、日米軍事体制強化の進展に伴い、沖縄の基地はアメリカの核戦略の拠点として再編強化され、県道104号線を封鎖して頻繁に行われている米軍の実射演習等に見られるように、日米の軍事演習は日増しに激化をしております。とりわけ、本年2月以来、7カ月ぶりに再開されたキャンプ・ハンセンにおけるM198型155ミリりゅう弾砲の実弾演習は、核併用、中性子弾も使用できるもので、大砲7門、実弾205発という質、量ともにこれまでにない大規模な演習であったのであります。これは明らかに限定核戦争に備えた演習であり、それだけに私たちはその都度実弾演習の即時中止と危険な演習場の撤去を求めてきたのであります。しかしこの県民の声を無視して、米軍は9月19日訓練を強行し、事もあろうに住民の生命にとってかけがえのない水源涵養林に15発も実弾を撃ち込むという暴挙を行ったのであります。全く許せないことであります。しかも貴重な水源涵養林には実弾を撃ち込まないということで事前に三者協議会にて日米間で約束されたことであります。それにもかかわらず守られなかったということは日米間の信頼関係の上からも極めて重大なことで
あり、それ以上に地域住民の生命、財産にかかわっているだけに看過できないことであります。
また、このことは、地域住民自体が米軍の実弾射撃演習の標的にされており、まさに米軍演習と運命共同体に置かれていると言えます。
また、知事は、これまでも事あるごとに三者協議会の必要性を強調し自画自賛してきたが、今回の米軍の約束無視の行動は、まさに三者協議会が有名無実であることを如実に示したものであります。しかも誤射に対して、米軍は、涵養林も着弾地の一部であるが、今後は水源涵養林に撃ち込まないように努力する、しかし絶対に撃ち込まないという約束はできないと述べております。このことは今後も誤射はあり得ることで、涵養林はもちろん、地域住民の安全は保障できないということを明らかにしていると思います。
そこで知事にお尋ねをいたします。
このような米軍の姿勢からしても今後も誤射は予想されますが、それにもかかわらず米軍の射撃演習を容認することはまさに犯罪的行為だと思います。住民の生命と安全を守るためにまず演習の即時中止、そしてこの危険な狭い演習場の撤去またはその見直し以外にないと思うが、知事は今回の誤射をどう受けとめておられるか、今後の対策を含めて知事の御答弁を願いたいと思います。
2点目には、ACMIの設置についてであります。
県民が強い反対を表明していたACMI設置が9月20日、日米間で合意されたことが明らかになりました。このACMIの設置については、航空管制官からも、民間航空機にとっては危険この上もない空域であることが指摘され、県議会でも全会一致で決議されてきたところであります。ところがこうした県民の声を無視して合意に達したようだが、民間機への安全は何ら保障されておらず、管制官も強い反対の意を表明しております。
知事、あなたは、これまでもACMI設置については、民間機の安全に支障がない限りやむを得ないと議会で答弁してきましたが、今回の合意についてその安全性については事前に十分確認されているのかどうか。
さらに県は、今後基地の新規提供はしないと述べているが、ACMIの空域設定と慶佐次通信所からの海中ケーブルの水面上は新規提供になると思うが、どうか。また事前に県にこのことについては通知されているのかどうか御答弁を願いたいと思います。
次に、人事院勧告の完全実施についてです。
自民党は、過去4年間にわたって人事院勧告の完全実施を怠ってきましたが、とりわけ82年の年の凍結、83年の2.3%への抑制は人勧制度を無視した暴挙であり、公務員労働者の生活を破壊する何物でもありません。
人事院は、8月10日、昨年の未実施分を含めて6.44%の賃上げを勧告しました。しかしその内容は、公務員の苦しい生活実態と切実な要求を無視したもので、公務員共闘は極めて強い不満を表明し、ことしの人事院勧告に対しては、これまでの凍結、抑制という経緯を踏まえて人事院の毅然たる提言を求めてきましたが、勧告はこれにこたえておりません。これでは公務員労働者のスト権の代償機関たる人事院の使命と存在が問われることになります。
また、政府、財界が勧告前から勧告抑制の策動を強め、官高・民低の世論操作で人事院を牽制し続けてきたことは、人事院を冒涜する何物でもありません。
人事院勧告凍結は、公務員のみならず、広く国民生活に重大な影響を与えております。年金や恩給以外に収入の道のない人々や、福祉や社会保障によって支えられている人々は苦しい生活を余儀なくされております。また個人消費、商店、中小企業など地域経済の冷え込みは著しいものがあり、地域住民の生活を守る立場からも人事院勧告の完全実施が必要です。
そこで知事にお尋ねをします。
地方公務員の生活と権利を守り、地域経済の活性化を図る立場からも人勧制度を尊重し人事院勧告を完全に実施すべきであるが、知事の御所見を聞きたい。
また、人事委員会委員長にお尋ねをしますが、これまでの凍結、抑制という経緯を踏まえてきちっとした提言を行うべきであると考えるが、人勧の完全実施を含めて委員長の決意のほどをお聞きしたいと思います。
次に、秘書の特別職指定に関する条例等についてであります。
知事は、本定例議会に特別職の秘書に関する条例を提案しております。その提案理由として、現在、一般職の職員を充てて対応しているが、当該秘書業務の特殊性にかんがみ、地公法第3条3項4号の規定により秘書の職を特別に指定して対応するのが適当であると述べております。
確かに地公法では、条例を制定して特別の信任に基づいて特別職の秘書を置くことができますが、これまで一般職の者をもって充てていたのに、なぜこの時点で特別職の秘書を置かなければならないのか、一般職の能力では業務が遂行できないということなのか。
県は、他県でも条例でもって秘書の特別職を設置していると述べております。私の得た資料によりますと、条例で設置している県は17県で、そのうち知事の秘書のみを設置している県は5県で、あとの12県は条例はあっても実際には運用しておりません。その理由は、ほとんどの県が一
般職で十分であるということ、むしろ特別職とした場合の方が、一般行政事務等の理解が十分でないため業務遂行に支障を来すことになるとのことで特別職から一般職に切りかえる傾向にあります。
知事は、次期の参議院候補の養成を考えているのかどうかわかりませんが、ここであえて特別職の秘書を置くことは、こうした状況から見て全く時代おくれの何物でもなく、県民党的立場を強調してきた知事がとるべき行政姿勢ではないと思います。秘書については、これまでどおり一般職でも十分対応できると思うが、どうか。
また、先ほどの城間議員の質問に対して、いわゆる身内の者からの採用を考えているかということについては、できれば身内を考えているということでですね、遠慮して物を言うかと思ったら案外はっきり言っているわけですが、私はやはりこのことは先ほど指摘されたとおりに道義上、また行政からも問題であり、行政の私物化につながると思います。知事の御所見をお伺いしたい。
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当面する県政の課題についてであります。
まず第1点目は、60年度の概算要求と2次振計についてであります。
臨時行政改革推進審議会の行財政改革小委員会は、60年度予算の概算要求設定に先立って、政府に、増税なき財政再建を求めた予算編成のあり方に関する報告書をまとめました。
これによると、60年度歳出予算は、経常、投融資両部門を通じて59年度並みの厳しいマイナス・シーリングの設定を求めております。このため社会保障や文教予算を含め聖域を設けることなく、制度や施策の抜本的見直しによる大胆な歳出削減を基本に、国から地方への国庫補助金は、補助率引き下げや廃止など総合的に見直し、国家公務員の給与引き上げは引き続き抑制するなどまさに人事院制度を無視し、地方自治体への不当な介入とも言える一層の歳出削減攻撃をかけてきているのであります。
政府自民党は、この報告を受け、60年度の予算概算要求枠を去る8月31日、閣議で決定しました。
それによると、総額54兆7500億円程度で、教育、福祉は厳しく抑制し、防衛費は3兆1000億円、7%と4年連続して大幅に突出しているのであります。しかも歳出面では、補助金を一律10%もカットするという地方自治体への負担を強いていることは、国民に犠牲を押しつけるもので全く容認しがたいことであります。
このように政府自民党は、財界主導の臨調行革路線に立って福祉、教育等の圧縮型予算編成を行う方針をとり、マイナス・シーリング方式によって防衛関係費は優先増額し、福祉、教育費の集中的な削減を重ね国民生活を圧迫し、将来への不安を高めているのであります。
さて、このような政府の国民無視の行革、厳しい歳出抑制のあおりを受けて、県の60年度概算要求の枠は総額として2150億8700万円で、現年度の2163億7400万円に対して12億8700万円少なく、前年比0.6%の減となっているのであります。概算要求の段階でマイナスに抑え込まれたのは今回が初めてのことで、しかもその柱となる沖縄振興開発事業費が1951億3700万円で、前年比およそ20億円の1%減となっております。
県は、この概算要求の枠決定に対して、厳しい環境の中で最善の努力が払われていると評価しておりますが、果たして最善の努力の結果として県民は受けとめているでありましょうか。
県は、2次振計の策定に当たって、県民総支出の見通しを2次振計策定の基礎となる経済見通しで、計画期間内の各年度の経済成長率を5.8%と設定して計画をつくり、各年度の財政伸び率も6%を求めております。それはここで指摘するまでもなく、財政が地域経済に及ぼす影響が極めて大きいからであります。特に沖縄のように生産体制が弱く、地域経済が非常に脆弱な地域は、財政が主導して地域経済を高揚させていく実情にあり、沖縄経済の財政への依存度は、72年度の24.6%から、78年度では39.2%と大きく伸びていることを見ても明らかであります。しかし毎年の財政伸び率の実績は約3%程度で大きく落ち込んでいるのが実情であります。しかも来年度の概算要求で2次振計の柱である振興開発事業費が1%も減となっていることは、第2次振計の4年次に当たり、計画が中期に入る重要な年だけに、これでは格差の是正、自立的発展の条件整備を目指す計画が果たして円滑に進められるかどうかであります。
そこで知事にお尋ねをいたします。
国民無視の臨調行革が進められている中で、今後も国庫支出金が削減されていくことが予想されるが、これでは第2次振計の目標達成はできず破綻するのではないかと思われます。財政確保の手段を含めて新たな財政保障等の措置が求められております。知事は、これにどう対処されるか御所見をお聞きしたいと思います。
また、県は、60年度の重点施策を決定し、2次振計の後期につなぐ事業も含めて39の新規事業を計画しております。現在の財政環境からして事業の重点的選択が必要かと思うが、どうか。
さらに、新規事業で2次振計の目標達成にどのような効果を期待しているかあわせてお聞かせ願いたいと思います。
3点目には、地方財政についてであります。
先述したように、政府は依然と総予算の枠を厳しく引き締め、防衛費だけは3兆7000億円、7%増という大幅に突出させながら、補助金を1割も大幅にカットする方針を打ち出しております。すなわち生活保護費、老人ホーム、保育所の措置費、精神病や結核の高額負担医療など国の負担が50%を超えるものについては補助率を1割下げ、その分を地方に負担転嫁させようとしております。国の財政再建を急く余り、事務事業の見直しもせずに補助率だけを引き下げることは、財政負担を一方的に地方に押しつける何物でもありません。
復帰後の地方税増加率と公債費比率の推移を見てみると、1973年で地方税増加率2.53倍に対して公債費比率が3.46%、1977年で1.14倍に対し2.10%、1982年で1.06倍に対して6.59%と県税収入の増加率に比べて公債費比率が大幅に伸びているのであります。この状況は借金の償還能力、ひいてはこれからの起債能力の弱さを示すもので、今後の財源調達、自治体運営に大きな影響を与えることになるでありましょう。
このように、地方自治体は、国庫支出金の削減による財政の落ち込みに加えて、補助金のカットで二重の負担を押しつけられており、このことは県民への犠牲を強いるもので全く承服できるものではありません。今、県民大衆が県政に求めているものは中央による地方支配を断固排除することであり、分権、参加、自治の理念に立った民主県政によって県民の福祉を守ることであります。
ここで知事にお尋ねします。
このような地方自治体を破壊しかねない不当な補助金カットに対し、また地方財政確立のために今後どう対処されるお考えか御所見をお聞きしたい。
さらに、政府の方針どおり補助金がカットされると、自治体はどの程度の影響を受けるのか。
それと地方財政圧迫の要因は、何といっても4年連続の軍事費の増大であり、これからも果てしなく続くであろうこの軍事費の増大に目を向け、平和で明るい活力ある県づくりの立場から、知事としてもその削減を求めていくべきであると考えるが、どうか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
次に、県のニューメディア構想とミニ共同溝の推進についてであります。
21世紀に向けた急速な技術革新の発展を背景に、情報化社会を取り巻く環境は著しく変化してきております。政府も、各省ごとにニューメディア構想を打ち出し、ニューメディアを取り入れたモデル実験都市づくりなど各種の方針を打ち出しております。そして各自治体は、この情報化社会の波に乗りおくれまいと競ってその受け入れのための取り組みを行っております。県は、こうした情報化社会の進展に対応するために、来年度の重点施策として本県に適した情報システムの開発を検討し促進を図ることを打ち出しております。
そこで知事にお尋ねをいたしますが、県は、去る29日に沖縄テレトピア基本計画を沖縄郵政管理事務所に提出しておりますが、その運営については40億円の経費が必要だと言われておりますが、国の助成措置はどの程度になるのか。市町村への負担、そして今後の運営形態とこれに対応する技術者の養成確保はどうなるのか、お聞きをしたいと思います。
また、建設省は、情報化に対応した都市機能の効率化と高度化を一層促進するためにミニ共同溝、いわゆるキャブシステムの設置を進めております。道路は本来、自動車交通のためならず、市民のコミュニケーションの場であり、防災空間であり、緑を供給する環境空間でもあり、ガス、水道、電気などを通す生活のネットワークとしての役割を果たしております。キャブシステムは、こうした多様な機能の上にさらに情報トラフィクを持つ道路の機能としてとらえたネットワーク構想でもあります。すなわち送配電用の電線や電話ケーブル、有線放送など道路上に張りめぐらされた各種電話を地下に通す方式を促進するもので、既に東京日本橋の馬喰町で施行されております。特に沖縄は台風常襲地帯であり、電柱等都市災害の防止、安全で快適な通行空間の確保、都市景観の向上等の観点からして、電線類を集約して地中化することが望まれます。
現在、県が進めている未来型都市構想の観点から、また軍用地跡地の区画整理事業が進められておりますが、これにモデル地区を設定して実施してはどうか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
以上で終わります。あと、答弁に対して再質問を行っていきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午後3時21分休憩
午後3時30分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄議員の御質問に対しましてお答えいたします。
104号線越えの演習についての御質問でございますが、演習の即時中止また即時撤去をやれという要請でございましたが、この地域は、国によって安保条約、その他の関連取り決めで提供された施設区域でございますことは御案内のとおりでございます。水源涵養林の云々の問題等につきましても城間議員にお答えしたとおりでございますが、こういった演習において約束したことは守ってもらわなければなりませんし、演習林に対する砲弾の撃ち込み等につきましては、今後とも引き続き三者協議会を通じまして米軍にその実施方を強く要請してまいりたいと思っております。即時撤去と即時中止については考えておりません。
次に、ACMI設置についての御質問に対しましてお答えいたします。
日米合同委員会での合意について運輸省の説明によりますと、ACMI空域の設定に当たって、民間航空機の航行の安全が確保され、既存の民間航空路の流れを変えないこと。VOR航空路設定に当たって支障のある訓練空域を削減すること。新設空域と同等以上の既存訓練空域を削減すること。以上の基本的考え方に立って米側と折衝し合意されておりますので、ACMI空域の設定に同意したとのことであり、県としては民間航空機の安全確保は図られているものと理解をいたしております。
次に、ACMI設定に伴う空域及び水域は公海上のものでありますので、施設の新規提供にはならないと思います。
またケーブル敷設に伴う領海内の水域は追加提供であると思います。
合意についての文書による通知は受けておりません。
次に、人勧の完全実施についての御質問に対しましてお答えいたします。
人勧については、一昨年、昨年と厳しい財政状況の中で完全実施できなかったことにつきましては、県といたしましても残念に思っております。これによって少なからず県経済への影響があったものと思います。人勧制度は、御案内のとおり公務員の労働基本権の制約の代償措置としてとられたものであり、当然尊重されなければならないものであることは申し上げるまでもございません。
59年度につきましても近いうちに勧告がなされるものと思いますが、県といたしましては、国、他県の動向も十分見きわめながら誠意を持って対処してまいりたいと思います。
次に、特別秘書に関する条例について御質問がございましたが、お答えいたします。
知事の秘書の職については、これまで一般職の職員を充てて対応してまいりましたが、秘書業務の特殊性と申しますか、これにかんがみまして今回地方公務員法第3条第3項の規定に基づいて知事の秘書を特別職に指定し、秘書業務の円滑な運営を図る考えでございます。また特別職の秘書の職については、特定の知識経験、人的関係あるいは政策的配慮により任用できるようになっておりますので、同法の趣旨に沿って任用していきたいと考えております。
身内の起用でございますが、これは先ほど城間議員にお答えしたとおりでございまして、身内を起用するからこの条例を提案するわけではございません。今まで申し上げましたとおり、機密に属する事項等々秘書の業務の内容からいたしまして特別職にした方がいいということで提案を申し上げていることでございまして、身内の起用を中心としてこれを提案するわけではございません。私の長い間の政治体験からいたしまして秘書は知事の身辺の整理、また身辺の事務事業等の整理、また機密に属する事項等いろいろありまして、私の体験からいたしましては身内の方がいいと思っているわけであります。何も身内の者を御指摘のように参議院議員にするとか、その他にするためのそういうことを含んでの私物化ではないということを御理解いただきたいと思います。
次に、60年度概算要求と2次振計についての御質問に対しましてお答えいたします。
60年度は、国の厳しい財政環境のもとで経常部門経費マイナス10%、投資部門経費マイナス5%の概算要求基準が設定されまして前年度に引き続き極めて厳しい財政状況の中にあります。しかしながら本県には依然として多くの問題が残されておりまして、また昭和62年に国体の開催が予定されておる等にかんがみまして、第2次沖縄振興開発計画を踏まえ長期的、総合的観点に立って引き続き生活、産業基盤としての社会資本の整備を図ることを基本といたしまして60年度の概算要求がなされております。
まず、沖縄振興開発事業費につきましては先ほども申し上げたのでありますが、農林水産業振興の基盤条件の整備、水資源の開発、道路、港湾、空港等交通関係施設の整備、住宅、公園、上下水道等生活環境施設の整備、保健衛生対策の促進、教育の振興、これらの項目を重点にいたしまして総額1951億3700万円、対前年度比で99%、公共事業につきましては1804億1400万円、対前年度比99.1%となっております。
また、沖縄振興開発金融公庫関係につきましても、沖縄の振興開発に支障のないよう所要の額の確保を図ることとされております。その他の経費についても所要の措置がなされております。
沖縄振興開発事業費については、前年度の額を若干下回る要求額となっておりますが、内容といたしましては県の要請を踏まえまして当面政策的に重要な項目については増額要求がなされており、新規事業につきましても芽出しが図られております。さらに沖縄自動車道及び石川火力発電所の建設等財政投融資関連事業が656億1700万円要求されて諮りまして、これらを含めますというと2607億5400万円となり、前年度2355億6000万円に比べまして10.7%の増額となります。本県における公共投資は、これによって前年度を上回る額が一応確保されたことになります。
また、第2次沖縄振興開発計画を推進する中で計画の後期、さらには第2次振計後の沖縄の振興開発につきましても長期的展望のもとでの施策の展開が図られるよう厳しい財政環境の中ではありますが、最善の努力が払われていると評価いたしております。したがって第2次沖縄振興開発計画の目標達成は、当面の本県における大きな政策課題であることからいたしまして、その実現に向けて最大の努力を傾注しなければならないと決意を新たにいたしているところであります。
次に、新規事業で2次振計の目標達成にどのような効果を期待しているかということでありますが、第2次沖縄振興開発計画の目標を達成するためには、これまで進めております諸施策、諸事業に加えまして、毎年度新しいプロジェクト、新しい施策事業を計画的に実施する必要があると考えます。特に財政依存度の高い本県におきましては、持続的な経済の拡大を図る上からいたしましても絶えず新規事業の選定を行わなければならないと考えております。このことが第2次沖縄振興開発計画を着実かつ効果的に推進する方策であると思います。
60年度重点施策の策定に当たって、現在の財政環境では事業の重点的選択が必要ではないかという御質問に対しましてお答えいたします。
60年度の重点施策の策定に当たりましては、第2次沖縄振興開発計画の目標達成を基本にいたしまして継続事業の推進を図るとともに、事業の必要性、関係機関との調整状況、新たな社会情勢への対応等を勘案いたしまして数多くの新規要求事業の中から重点的に新規事業の選択を行っております。60年度の沖縄振興開発事業費の概算要求に当たっては、この60年度の重点施策を踏まえて要請いたしております。
次に、臨調行革と地方財政についての御質問に対しましてお答えいたします。
補助率の見直しによる県及び市町村に与える影響について、仮に補助率を約10%程度削減された場合を想定いたしますと、58年度決算額を基礎に試算いたしてみますと県分で12億3200万円、市分で17億1200万円、町村分1億8500万円で計31億2900万円が見込まれております。仮にそのとおり補助率が引き下げられますというと、地方公共団体における次年度以降の財政運営は極めて困難な事態に直面することが予想されます。
このような状況を踏まえまして、去る7月19日に開催されました全国知事会議におきましても、国庫補助負担率の引き下げについては絶対行わないよう決議をいたしております。また去る8月29日にも、地方自治確立対策協議会において、国庫補助負担率引き下げによる地方転嫁反対に関する緊急要望を政府初め関係機関へ提出いたしたところであります。県も国庫補助負担率の引き下げに反対する立場から、今後とも国の動向に注意しつつ全国知事会初め各関係機関を通じて強い姿勢で対処する決意であります。
軍事費の削減については、知事といたしましてコメントを避けたいと思います。
次に、ニューメディア構想とそれとの関連での御質問に対しましてお答えいたします。
本県におきましては、工業高校、商業高校において情報及び電子関連学科が、また琉球大学においては電子情報学科が設けられ、その方面の人材育成を図っているところであります。また近年、民間においてはソフトウエア関連の企業が確立されるとともに、電子関係各種学校などにおいて技術者を育成しているところであります。当面構築していくシステムにつきましては十分対応していけるものと考えております。
構築経費につきましては総額約40億円が見込まれております。
県のニューメディア構想とミニ共同溝についての御質問に対しましてお答えいたします。
現在、関係省庁におきましては、モデル地域指定された場合の地方自治体に対する補助助成について、既存の助成制度の活用を中心に検討が進められております。県は、導入する各種システムの構築、運営費の軽減を図るため財、税制、それから投融資等の措置を要望いたしているところ
であります。
なお、当面導入するシステムの事業主体は県及び民間が主体であって、市町村は対象にしておりませんので、特に市町村の負担は今のところ考えておりません。
次に、防災上、都市景観上、ニューメディアの対応との関連でミニ共同溝についての御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 人事委員会委員長。
〔人事委員会委員長 上里安儀君登壇〕
○人事委員会委員長(上里安儀君) 友寄議員の御質問にお答えいたします。
御質問の要旨は、これまでの凍結、抑制という経緯を踏まえてきちっとした提言を行うべきであるがどう考えるか、それから人勧の完全実施を含めて決意のほどはとこういった御趣旨かと承っております。
給与勧告制度につきましては、御案内のとおり公務員の労働基本権制約の代償措置として設けられたものであるというふうに理解しておりまして、一昨年は見送り、昨年は抑制となっておりますが、給与勧告が完全に実施されなかったことにつきましてはまことに残念であると思っております。ここ2カ年の見送り、抑制は、人事委員会の勧告制度の趣旨から言いましてもこのような事態は解消されるべきものであるというふうに思います。今年度の給与勧告は、現在作業を進めておるところでありますが、給与勧告がなされた場合には、県議会におかれましてもこの制度の持つ意義を十分御理解いただきまして慎重なる御審議をお願い申し上げたいと思います。
なお、給与勧告に当たりましては、勧告が実施されるよう強く要請する方向で検討してまいりたいと思っております。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) ミニ共同溝についてお答えいたします。
自動車及び歩行者等の安全性、都市防災活動の円滑化、都市美観の向上といった観点から電線類の地中化を望む声は年々ふえてまいっておりまして、その実現につきましては重要な課題になっておりますことは御指摘のとおりでございます。国といたしましても昭和60年度から推進する方向にございます。本県におきましても、沖縄総合事務局、県及び那覇市の3者による道路空間の整備に関する道路連絡協議会を設置いたしまして、本格的に取り組みを開始したところでございます。
この事業につきましては、費用負担等今後解決をしなければいけない幾多の問題がございますが、県といたしましては利用者の御理解と協力を得て前向きに取り組んでいく考えであり、本年度で基本計画を策定する予定になっております。
御提言の軍用跡地の区画整理地区にモデル地域を設定いたしまして実施することにつきましては、現在施行中の土地区画整理事業の中で検討をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 1点目は104号線の実弾射撃演習ですが、これもこれまでも指摘されてきたように、しかも今回、これまで以上の大規模な演習で水源涵養林、そこに15発も撃ち込んだということは、これは相当重視して県が対応しなければいけないと思うんですよね、これは。今知事は、今後も三者協議会等で安全確保に努力していきたいということなんですが、これまでも知事はそういうことを何回も繰り返してきたんですよ、安全確保に努力しましょうと。しかし現実にはそういうふうに、しかもああいう水源涵養林、その地域には伊芸部落があると。まさにその地域住民の生命の危険が侵されているわけですから、具体的にどういうふうな提案をするのかということを聞いているんです。
それから2点目はこのACMI、これもそうなんです。これは安全確保について支障がない限りやむを得ないと言っているんですが、今度、基本的な合意がなされたわけです。そうすると知事としてこの安全が一体どうなっているのか、民間航空機に今後も影響はないのか、やはりきちっとした安全の確認をすべきなんですよ。それを本当に確認をしたのかどうか、その点を明確にすべきだと思うんです。
それとACMIの慶佐次からのケーブル、これの領海の海上は新規提供になるということなんですが、この設定によってその上の上空だけでなくて海域、その上のいわゆる海上は、漁船もそうですが、民間の船舶の運航に支障を来すんじゃないかと思うんですが、その点はどうなっているのかお聞きしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊芸地区の水源涵養林への撃ち込みでございますが、お答えしたとおりこれは前から水源涵養林として設定されたものではありません。先ほど御説明申し上げたとおり、これは国によって提供された施設区域でございまして、森林法で言う所定の手続を踏んだいわゆる保安林の一つとしての水源涵養林ではない。これを設定いたしましたのは、55年の三者協議会において知事の提案によって大事な山野であるから砲弾を撃ち込まないように、水源涵養林としての機能を十分果たすために撃ち込まないでおこうじゃないかという提案に対しまして、それではやめましょうという合意が成立したわけであります。したがって何遍でもこれは、その合意が成立するまでは繰り返さなければなりません。友寄さんが軍事基地反対を何遍も同じようなことを叫ぶことと同じであります。これは相手が実行するまでは叫び続けなければなりません。そういうことでやっているのであって、決して大目に見ているわけではない。具体的な対策はありませんよ、これには。ただ、安全管理について十分な配慮をしていただきたいと、被害がないように。そういうことで御理解をいただきたいと思います。
ACMIにつきましては何遍もこの場でお答えしてきたとおりでございまして、日米合同委員会の合意の経過等から見ましても、国は、民間航空機の安全の確保については十分配慮し、これを中心として米側と折衝されたことは今申し上げたとおりであります。これ以上知事が何を確認しますか。安全であるという報告を受けておりますので、そうとしか言えないわけであります。安全でなければ、ないで、そういう確証が出ましたら、これはそれでそれについての要請もいたします。抗議もしたいと思っております。
次に、ブイの設定でございますが、これは領海内の区域については新規提供ということになるわけでございまして、その他は公海、領空上でございますので新規提供にはならないと思います。
ただ大事な地域でございますので、いわゆるトローリング、それから投錨――いかりをおろしたり、トロール漁業をやったり、そういうことは規制されていると承っておるわけでございまして、その点、関連漁業関係者からまだこれについての対応策についてどうしてくれという具体的な要請はないわけであります。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
午後3時56分休憩
午後4時24分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
伊波広定君。
〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 私は、日本共産党県議団を代表して、まず基地演習問題について知事に質問します。
レーガンの限定核戦争構想を積極的に支持する中曽根内閣のもとで自衛隊の海外派兵が論議され、治安維持法の現代版とも言える政党法や、戦前の軍事機密保護法にさらに輪をかけたようなスパイ防止法も立法されようとしております。米軍専用施設の74%を擁している沖縄は、浮沈空母の心臓部として、また米核戦略の中枢として核基地としての機能がますます強化されつつあります。核戦争から非通常型戦争までのあらゆる形態の戦争に即応する戦力の展開と、それらの機能の相次ぐ増強と米軍指揮下で自衛隊の参戦する態勢の強化、日米韓軍事一体化態勢確立の動きの激化など最近の沖縄基地の動きはこのことを示しております。
沖縄基地の機能強化を示すその第1は、在沖米海兵隊の核攻撃能力が一段と強化されたことです。
海兵隊は、装備近代化計画の一環として、1985米会計年度までに、従来のりゅう弾砲を最新鋭の198型に切りかえることを明らかにし、その配備は84年4月から開始されております。M198型は、M114A2型の最大射程距離14キロであるのに比べ、通常砲弾で24キロ、ロケット補助推進砲弾を使えば30キロも飛ぶ代物であります。計画では、22門も配備することになっています。
こういう状況の中で9月19日、水源涵養林を直撃するという事件が起こったのであります。
我が党は、政府に対し、事故の危険性と県民生活への影響を指摘し、演習を即時中止するよう申し入れました。防衛施設局は、安保条約の範囲内であるので演習をやめよとは言えない、米軍に十分注意したと言っておりました。ところが演習区域の中とはいえ、伊芸区民640人余の命の泉とも言える水源涵養林に実弾を10数発も撃ち込むということは許せない行為です。知事は、三者協の約束を踏みにじった米軍のこのような暴挙にどう対処するおつもりですか。核、非核両用というのに、実質的には核演習ということです。県民を危険にさらす実弾射撃演習を容認されるのか明確にお答えください。
次に、沖縄の空の玄関那覇空港は、その安全上の切実な願いがら、軍民共用を排して民間専用にすべきだとの圧倒的な県民世論にかかわらず、その軍事的側面を一層強める方向に進み、そのために民間航空の危険性を一層増大させております。
我が党は、去る2月定例会の代表質問において、自衛隊の那覇空港での落下傘降下訓練計画について、同空港の安全確保の立場から重大問題だと指摘し、116万県民の知事としていささかも態度をあいまいにすることなく、同降下訓練をやらせない方向で対処すべきではないかとの質問に対し、知事は、何ら明確な姿勢を示すことはできませんでした。その後我が党は、8月20日に那覇空港長に対して、その訓練を絶対に容認しないよう2度目の強い申し入れを行いました。
知事に再び質問します。
1、知事は、去る2月定例会以降、自衛隊の降下訓練について政府に対し何らかの申し入れをしたことがあるか、具体的に説明していただきたい。2、この問題について政府の態度が決定される前に、かかる訓練はやめるべきであると強い申し入れを早急に行うべきだと考えますが、その意思がおありかどうか明らかにしていただきたい。
3、那覇空港から直ちに自衛隊を撤去させ、那覇空港を沖縄の空の玄関にふさわしい安全な民間専用の空港として整備すべきと考えますが、知事の明確な答弁を求めます。
次に、新石垣空港についてお伺いします。
新空港の白保への建設について、県は、地元住民の意向を全く無視し、広大な自然の破壊など重大な問題を抱えたまま強行しようとしており、我が党はこれに強く反対するものです。とりわけ去る9月12日から14日まで、2度目の機動隊導入を強行しました。あの環境調査が象徴するように県の問答無用の態度は極めて重大であり、絶対に容認されるものではありません。
そこでお尋ねします。
知事は、行政側の一方的な都合を口実に、今後ともこのような強行態度をとられるおつもりか。それともそのような態度を改められるかどうか。西銘知事は今回のみならず、那覇市長時代にも寄宮の区画整理事業や久場川の市営住宅建設の際など、しばしば機動隊の導入をした前歴を持っておられますが、私はかかることがないよう強く要求するとともに、知事の明確な答弁を求めます。
白保への新空港建設について、県は、一貫して住民無視、県民無視で事を進めてきました。この問題は、今や全国的にも、世界的にも大きな問題になっているにもかかわらず、県はいまだに新空港が白保に決定された具体的経過やその合理的理由、環境アセスメント等の結果など、当事者である住民や県民に基本的な事項さえ十分明らかにしておりません。問題になっておるからこそ、こうした資料を公表して県民の議論を組織し、その英知を結集すべきであります。にもかかわらず、県が民間に委託して得た数回にわたる調査報告について、その提供も、それを見せることさえ拒否していることは全く許せません。かかる態度を改め、要請に応じて調査報告書などを見せるおつもりはありませんか、お答え願います。
次に、キビ価格についてお伺いします。
現在、昭和59年度産キビ価格の決定について政府はその作業を進めており、県議会も政府へのキビ価格の引き上げ要請を行っています。自民党政府は、第1次要請団に対して、価格政策の時代は終わったといってキピ価格の引き上げはできないと言明したり、価格より単収をふやすために基盤整備を進めるべぎと発言して県民のキビ価格引き上げの要求を抑えようとしています。
一方、基盤整備を進める構造改善局では、沖縄の基盤整備は、国の押さえでは既に全国平均を上回っていると言っています。また砂糖類課長は、日本の砂糖の自給率は3割を超えているので、北海道のてん菜はこれ以上面積をふやすなと指導していると述べ、沖縄もこれ以上キビ生産をふやすなという態度をとっております。鹿児島との合同要請の際、農林水産省の事務次官は、キビは全く引き合わない作物である、農家の所得以上に政府は金を使っている、金はやるからキビづくりはやめてくれと言いたい。いつまでも甘えていたら国民に見放される、と許しがたい発言までしております。このような政府関係者のキビ作農民切り捨ての態度について、知事は県政の最高責任者として厳重に抗議し発言を撤回させるべきと思いますが、その意思がおありかどうかお答え願います。
また、農水省は9月7日、農相の諮問機関である甘味資源審議会に対し、キビ10%減産を提出して了承されました。2次振計を踏みにじるものと言わざるを得ません。昨年までのキビ代は、政府算出の生産費より落ち込み、昭和57年度はトン当たり実に3400円以上の赤字になっています。これは明らかに法で定めたパリティ方式にも反するものであり、キビづくりつぶしと言わなければなりません。肥料代や農薬代、キビ刈り出しに必要な人件費や資材は毎年大幅に値上がりし、生産費を捻出するために国保税が支払えなかったり、サラ金に手を出す農家もふえております。知事は、このような事態をどう思っておられるか御所見を伺います。
農協中央会は、キビ価格を2万6000円以上に引き上げるよう方針を出していますが、知事はこの際、キビ価格は低くないなどという実態を無視した見解を改めて、この要求額を実現するために農民の先頭に立って政府に強力に要請すべきと思いますが、御所見を伺います。
次に、基盤整備についてですが、沖縄の達成状況はどうなっていますか。また政府との食い違いはどうしてできたのか。さらに基盤整備によってどれだけ単収がふえていますか、お示しください。
キビ作農家の所得を向上させるには、キビ価格の引き上げと基盤整備は車の両輪です。それを基盤整備だけにすりかえることは許されません。キビ価格の大幅引き上げと基盤整備の推進を再度強力に要求すべきです。知事の御見解を求めます。
次に、60年度臨調型予算概算要求についてお伺いします。
沖縄開発庁は8月29日、60年度予算概算要求をまとめて大蔵省に提出しました。総額は2150億8700万円で、前年度の2163億7400万円に比べて12億8700万円も少なく、0.6%の減です。
その中身を見ますと、軒並みマイナスに落ち込んだ惨たんたるものです。柱となる沖縄振興開発事業費が1951億3700万円で前年度に比べ20億1500万円、1%の減、うち公共事業費関係が1804億1400万円で16億4000万円、0.9%の減です。ことし59年度振興開発事業費も58年度より13億円余、0.7%も減らして要求した結果、確定予算における減額は0.9%と増大しました。沖縄振興開発特別措置法に基づく内閣総理大臣が決定した第2次沖縄振興開発計画による振興開発事業費も、西銘知事のもとでこのように年を追うてずたずたにされています。
新聞もこのようなマイナス概算要求に大きな衝撃を受け、「格差是正放棄の沖縄予算」と決めつけています。これが県民世論なのです。ところが西銘知事によると全く逆さまで、厳しい環境の中で最善の努力が払われている、関係各省庁の理解と協力に対し深く感謝すると評価しています。知事の評価は、県民にとってはまさしく2次振計破綻宣言を意味するものにしかすぎません。私は、改めて2次振計は西銘の手でと公約した知事の公約破綻とその責任を厳しく問うものです。お答え願います。
マイナス沖縄予算に対し、防衛予算の概算要求はどうでしょう。
今年度比で7.0%、3兆円を超す突出要求の中でも異常に突出、破格の扱いとなっているのが米軍への思いやり予算です。16.3%増、総額806億円もの大盤振る舞いに国民の怒りの声が上がるのは当然です。もともと思いやり予算は、自民党政府が1978年以来、アメリカの対日軍事分担要求に屈して、それまでアメリカが自前で負担してきた経費を肩がわりしたもので、安保条約や地位協定にすら基づかない不当な負担です。今回の概算要求の思いやりの内訳は、提供施設の整備が19.5%増の613億7000万円で、総額の806億円は、思いやり予算が始まった78年度に比べると実に13倍以上の額です。この予算で隊舎11棟、住宅620戸を初め、汚水、ごみ処理施設や厚生施設などを建設整備しようとするものです。
沖縄基地は、キャンプ瑞慶覧、ホワイト・ビーチ、牧港に隊舎4棟、牧港、嘉手納弾薬庫、同飛行場に何と全住宅の半分以上の331戸、しかもその中身は実にぜいたくで平均床面積は120平米、居間、家族室、バスルーム、シャワールーム、4つの物置ぎまで完備しているというデラックスぶりです。奥間レストセンター、慶佐次、ホワイト・ビーチの汚水処理施設、陸軍貯油施設、嘉手納弾薬庫、キャンプ・コートニーの消防署、牧港の倉庫、管理棟となっています。
こうした思いやり予算は、米軍最優先、国民総犠牲の中曽根自民党政治の特徴があらわれていますが、臨調路線、にせ行革の正体を如実に示したものであります。知事は、減らされた概算要求に感謝する前に、思いやりの相手を間違えた不当な軍事費を削って、沖縄振興開発特別措置法に基づく2次振計執行に必要な予算を県民の立場に立って堂々と要求する意思はないか、コメントを避けるのではなく明確にお答え願います。
次に、補助金が国と地方の分担割合の見直しを求めた臨時行政改革推進審議会の意見書を受けて概算要求段階で補助率を引き下げ、地方負担をふやした施策は全省庁合わせて41件で、これに伴い、地方が肩がわりさせられる金額は、58年度決算ベースで2295億6900万円に上がっていることが明らかになっています。このうち生活保護費、保育所費、特別養護老人ホーム等への入所措置費、公立学校施設整備費、失業対策事業費など福祉、文教関係が9割以上を占めているのが特徴だと報じられております。地方自治体が新たな負担を賄うことができない場合は、これらの施設や受給者、入所者などの負担やサービス低下が出るのではと憂慮されており、自治体はもとより、福祉団体を中心に反対運動が起きています。
そこで知事にお伺いします。
補助率の見直しによる本県における影響額は58年度決算ベースで何件で、どれだけになるか。県分、市分、町村分別にするとそれぞれ幾らか。このうち生活保護費を初め主なものはそれぞれ幾らか。もしそのとおり地方行革によって来年度政府予算が確定すると県民は大きな負担を強いられ、県の予算編成も極めて困難な状況に追い込まれることは必至です。
知事として、かかることがないよう政府に強く働きかけるべぎと思いますが、どうなさるおつもりですか知事の御見解を求めます。
最後に、北谷浄水場用地の取得問題についてお伺いします。
先日、この用地買収をめぐって不正があったのではないかとの記事を載せた国会タイムズなる新聞、1984年9月15日号が送られてきました。また琉球新報、沖縄タイムスの両新聞も連日大きく報道しています。知事もお読みになりましたか。
昭和57年当時、沖縄県知事西銘順治氏のもと、浄水場用地の約3万坪の買収に伴う贈収賄云々と報道されていますが、事実はどうですか。もしこの記事の内容が事実であるとすれば、まことに重大であります。知事は、その真相を県民の前に明らかにすべきです。
そこで用地取得の経過など3点にわたって質問します。
1、北谷浄水場の用地交渉のきっかけになったのは、土地の所有者からの申し出によるものですか。それは足立産業か、ツクモ産商ですか。
2、それはいつごろから始めたか。だれと話を進められましたか。
3番、県が買収したのは57年9月に坪単価で約7万5000円ですが、その8カ月前には坪4万円で足立産業からツクモ産商が購入しているようですが、知事はこのことを知っておられましたか。そこに土地転がしがあったのではないかとの疑惑も持たざるを得ません。
明確な御答弁を求めて、一応終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊波広定議員の御質問に対しましてお答えいたします。
104号線越えの演習についての御質問に対しましてお答えいたします。
先ほど城間盛栄議員の御質問に対しましてお答えしたとおりでありますが、伊芸部落の森林は、同部落の水資源を守る重要な森林であります。したがって県は、同森林の保全対策について今後とも米軍の一層の理解と協力を求めていきたいと思います。
次に、155ミリ砲の演習について県民を危険にさらすものであり、同演習の中止を求めるかという御質問でございますが、那覇防衛施設局からは一般演習としての通報を受けているわけでございますが、これは国によって提供された施設区域でございまして演習の中止を求めることは極めて困難でございます。
次に、航空自衛隊の降下訓練についての御質問に対しましてお答えいたします。
航空自衛隊の救難訓練計画については2月定例会後は申し入れはしておりませんが、現在のところ、同訓練計画について航空自衛隊と運輸省との話し合いはほとんど進展いたしておらないとのことであります。なお、再度の申し入れにつきましては、その推移を見守りながら対処してまいりたいと思います。
次に、那覇空港から直ちに自衛隊を撤去させ、沖縄の空の玄関にふさわしい民間専用空港として整備する考えはないかという御質問に対しましてお答えいたします。
那覇空港については民間専用空港が望ましいのでございますが、自衛隊との共用につきましては、復帰時点の取り決めによるものであることから、民間専用空港とすることは当分の間極めて困難な状況にあります。この問題については国会でも種々論議されておりますが、いまだに実現するには至っておりません。しかしながら同空港の民間専用化につきましては県政にとって重要な政策課題でありますので、なお引き続きその実現方を関係機関に働きかけてまいりたいと思います。
次に、新石垣空港についての御質問に対しましてお答えいたします。
新空港の建設については、我喜屋議員に答弁したとおり建設を推進してまいりたいと考えております。
県としては、新石垣空港建設に係る調査に当たっては、地元の理解と協力のもとに行うべく今日まで取り組んできたところであります。今回の環境現況調査に当たっては、去る8月15日及び16日に反対派の方々に再三調査の必要性を説明し、調査をさせてもらうよう説得いたしましたが、全く聞き入れられず、やむなく立入調査を断念した経緯があります。その後9月12日の調査に当たっても、現地におぎまして午前8時ごろから約3時間にわたって反対派の方々に調査の必要性を説明し、再三にわたり調査をさせてもらうよう説得いたしましたが、前回同様全く聞き入れられず、不測の事態が予想されましたので、やむなく警察に警備を要請し調査を行ったものであります。今後行う必要な調査につきましても、基本的にはこれまで同様、地元住民の理解と協力のもとに行う方針に変わりはありません。
次に、現在、新石垣空港建設に係る環境アセスメント等については、過去昭和55年度、58年度及び59年度の調査結果をもとにいたしまして総合評価等を行うべく作業を進めているところであります。諸資料の公表につきましてはその総合評価等の作業がまとまり次第、公有水面埋立免許出願の時点で広く一般に告示縦覧に供したいと思っております。
次に、キビ価格についての農林水産省関係者の発言についてお答えいたします。
農林水産省関係者の発言につきましては、砂糖の需給事情、特に国内価格と国際価格との大幅な乖離等国内産糖を取り巻く厳しい情勢を述べるとともに、産地側の生産性向上等の自助努力を示唆したものと受けとめております。
次に、サトウキビの減産について、これは示されたキビ価格は今日まで生産費を償っていないが、知事の所見を承りたいという御質問に対しましてお答えいたします。
去る9月7日に開かれました甘味資源審議会において、砂糖の価格安定等に関する法律第3条4項の規定に基づく目標生産費を定めるに当たって、昭和63年産甘薫糖の操業量を昭和58年産の302万9000トンに対しまして、12%減の260万7000トンにする答申がなされております。この操業量は、毎年の国内産糖合理化目標価格を定めるための基準を成すものでございまして、サトウキビの生産を直接抑制するものとは考えておりません。また57年度産サトウキビ生産者価格2万1450円を見ました場合、御指摘のとおり生産費2万4893円は償われておらないことは明らかであります。このため再三にわたり、適正な農業所得を補償し再生産が確保できるよう国に対して強力に要請をしてぎたところであります。
農民の先頭に立ってキビ価格の引き上げについて強く要請すべきであるが知事の所見ということでございますが、価格折衝につきましては、これまで生産者等関係団体の先頭に立って全力を尽くして取り組んでまいったのであります。今後ともなお一層関係団体と連携をとりながら糖業振興のために頑張ってまいりたいと思います。
次に、基盤整備状況、特に沖縄の達成状況と基盤整備による単収の向上についてお答えいたします。
農業生産基盤の整備については、サトウキビ作を含め生産性向上のため圃場整備、かんがい排水及び農道整備等を進めているところであります。58年度末現在で本県の圃場整備率が18.4%に対しまして、57年度末の全国は33%、その中で畑34%、田が31%であります。
なお、沖縄県の基盤整備が全国を上回っているということについては聞き及んでおりませんが、復帰に伴い本格的に事業を開始したこと、予算の伸び率は全国を上回っておりまして事業効果も上がりつつあることを表現したものではないかと思います。
土地改良事業によるサトウキビの単収の向上実例は、上野村宮国地区のように深耕でございますが、耕土深を40センチ確保することによりまして約20%の増収となっております。また石垣市大浜地区におきましては畑地かんがいで約50%の増収実績がございます。
キビ価格の引き上げについて基盤整備だけでなく、価格そのものの大幅引き上げを要求すべきではないか、知事の所見を問うということでございますが、お答えいたします。
サトウキビの生産振興につきましては、価格対策と生産対策は農業所得を高めるという点でいずれも重要な施策でございまして、これまでのキビ価格折衝において一体として取り組んできたところであります。59年度の価格折衝におきましても、適切な農業所得を補償し再生産が十分確保されるよう価格及び生産対策について強力に要請してまいりたいと思います。
次に、60年度沖縄開発庁予算はこれはマイナス要求となっておって、2次振計の破綻宣言ではないかという大変厳しい評価でございますが、お答えいたします。
60年度の概算要求につきましてはたびたびお答えしているとおりでございますが、国全体として経常部門経費マイナス10%、投資部門経費マイナス5%の要求基準の設定がなされ大変厳しい財政環境の中でございます。沖縄振興開発事業費については総額1951億3700万円、対前年度比で99%と前年度をわずかに下回る要求額となっておりますが、内容といたしましては県の要請を踏まえて当面政策的に重要な項目についても増額要求がなされております。新規事業についても芽出しが図られております。また第2次沖縄振興開発計画を推進する中で計画の後期、さらには第2次振計後の沖縄の振興開発についても長期的展望のもとでの施策の展開が図られるよう、厳しい財政環境の中で最善の努力が払われていると私は評価いたしております。さらに沖縄自動車道及び石川火力発電所の建設費等財政投融資関連事業が増額要求となっており、本県における公共投資は前年度を上回る額が確保されておるのであります。したがって2次振計が破綻しているとは考えておりません。
知事は、軍事費を削って、沖縄振興法に基づく2次振計執行に必要な予算を要求する意思はないのかという御質問でございますが、第2次振興開発計画の目標達成は、当面の本県における大きな政策課題であることからいたしまして、これらの所要の予算額の確保につきましては今後とも最大の努力を傾注していかなければならないと考えております。
なお、軍事費の伸びとの関連でどう考えるかとの御質問でございますが、防衛費につきましては国の問題であり、知事として言及することを差し控えたいと思います。
次、補助率の見直しによる影響についての御質問がございましたが、お答えいたします。
補助率の見直しによる県及び市町村に与える影響につきましては、仮に約10%程度削減された場合、58年度決算額を基礎に試算いたしてみますというと県分で26件、12億3200万円、市分で17件、17億1200万円、町村分で8件、1億8500万円で、合計51件、31億2900万円の見込みとなっております。
その主なものについて申し上げますというと、生活保護費で県分4億8500万円、市分11億4100万円、計16億2600万円。次に児童保護費で申し上げますというと県分5億3200万円、市分2億5500万円、町村分1億2300万円で、合計、児童保護費で9億1000万円となっております。
仮にそのとおり補助率が引き下げられるということになりますと、全国の地方公共団体における次年度の予算編成は極めて困難な事態に直面することが予想されます。
このような状況を踏まえまして、去る7月19日に開催されました全国知事会議におきましても、国庫補助負担率の引き下げは絶対に行わない旨決議いたしまして、また去る8月29日にも、知事会ほか5団体で組織する地方自治確立対策協議会におきましても、国庫補助負担率引き下げによる地方転嫁反対に関する緊急要望を政府初め関係機関へ提出したところであります。県も、国庫補助負担率の引き下げに反対する立場から、今後とも国の動向に注意しつつ、全国知事会を初め関係各機関を通じて強力に対処してまいりたいと思います。
北谷浄水場の用地取得についての御質問に対しましてお答えいたします。
北谷浄水場用地交渉のきっかけになったのは、土地所有者からの申し出によるものですか。それは足立産業かツクモ産商か。それはいつごろから始めたか。だれと話を進めたか。県が買収したのは57年9月に坪単価で約7万5000円であるが、坪4万円で足立産業からツクモ産商が購入しているが、知事は知っているか。そこに土地転がしがあったのではないかとの疑惑を持たざるを得ないという御質問がございますが、お答えいたします。
これはさきにもお答えしたとおりでございまして、知事は全然関知いたしておりません。公営企業法によりまして、公営企業の業務の執行に関しては、同法によって通常業務はすべて公営企業管理者の専権事項となっております。浄水場用地の取得経過等についてはよく知りませんので、企業局長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) 北谷浄水場の用地取得について、第1点、北谷浄水場用地交渉のきっかけになったのは、土地所有者からの申し出によるものですか。それは足立かツクモ産商かということについてお答えいたします。
新設浄水場の用地選定に当たっては、午前中の御質問にお答え申し上げましたとおり読谷村等5市町村を対象に選定を進めてきましたが、その検討過程で、当初は北谷町宮城も候補地というよりも検討対象用地の一つとして考えられていましたが、55年ごろ、当時の土地所有権者の足立産業の代理人から浄水場用地としてどうかとの話がありました。
第2点、いつごろから始めたか、だれと話を進めたかということですが、ただいま申し上げましたとおり昭和55年ごろから意向打診的な話はありましたが、そのころは企業局側では、まだ用地の話に入れるような段階ではございませんでした。57年度に入ってから技術的、経済的評価をもとに具体的選定作業に入り、6月ごろから北谷町宮城を候補地としてツクモ産商株式会社代表者と用地取得の話し合いを始めております。
第3点、県が買収したのは57年9月に坪単価で約7万5000円ですか。坪4万円で足立産業からツクモ産商が購入しているが、知事は知っているか。そこに土地転がしがあったのではないかとの疑惑を持たざるを得ませんということについてお答えいたします。
用地取得価格の設定に当たっては、当企業局側依頼の不動産鑑定2社の鑑定評価額と、売り手側の不動産鑑定士による鑑定評価額をもとに検討するとともに、隣接地域の取引価格などを各面から検討し価格を設定したものでございます。当局側2社の評価額の加重平均値1平方メートル当たり2万1582円と、売り手側鑑定評価額1平方メートル当たり2万4730円をもとに価格交渉を行った結果、地番1の27及び1の38については1平米当たり2万3000円、地番1の177及び1の173については1平米当たり1万1100円ということで双方の間で合意を見たものであります。これを全体平均価格にすると1平方メートル当たり2万2665円になり、これを坪単価に換算すると御質問のとおり1坪当たり7万4925円となります。
なお、北谷浄水場の用地取得については、これまで説明申し上げたとおり適正な手続を経て行われておるもので、足立産業とツクモ産商の取引価格については承知しておりません。
○議長(志村 恵君) 伊波広定君。
〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 基地と演習問題について再質問します。
県議会は、本定例議会冒頭において、県道104号線封鎖実弾射撃演習による水源涵養林への直撃に抗議して、県民の命と財産を脅かす演習の中止を要求し、代表団が上京中です。
知事は、本議会の全会一致の意見書にもかかわらず、演習の中止を求める態度はとれないのですか。知事にとって、県議会全会一致の意見書もそんなに軽い意味しか持たないのですか。
2番目には、那覇空港の安全確保は、自衛隊を容認する立場からのいかなる要求にも安全確保は優先されなければなりません。知事は、今なお自衛隊の落下傘降下訓練はやるべきでないとの態度を明確にすることはできないのですか、お答え願います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 104号線越えの演習につきましては、これは復帰前からやられている演習であります。最近、機関銃の機種がかわりまして射程距離も延びているわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり水源涵養林、これは55年8月の三者協において、水源涵養林としての機能を果たす重要な森林であるから撃ち込んでもらいたくない。そこに境界を引いて、とにかく植栽等水源涵養林としての培養に協力してもらいたいということで、県側の要請にこたえて設定された区域であります。いわゆる法律で言う保安林ではございません。しかしこれは国によって提供された施設区域でありまするから、演習から派生する被害についてはこれは容認できませんので、その都度安全対策については強力に申し入れているところであります。したがいまして知事が演習の中止を申し入れることについては考えておりません。(「全会一致はどうするか」と呼ぶ者あり) それは尊重いたします。
それから那覇空港の自衛隊の降下訓練でございますが、先ほど申し上げましたとおり運輸省と自衛隊との間でいろいろ話し合いが持たれておりますので、その経過を踏まえまして対処してまいりたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 宮城清順君。
〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 私は、公明党議員団を代表して、さきに通告した諸問題につきまして質問をいたします。
最初に、米軍の軍事演習問題につきまして先ほどからいろいろ御答弁がありましたけれども、私も重ねて質問をしたいと思います。
今回のキャンプ・ハンセンでの演習は、水源涵養林直撃という事態を引き起こしたわけでございます。この件に関しまして米軍は、ターゲットの設定が涵養林地区に近かったためと、ターゲット設定に十分な配慮がなかったことを認め陳謝したわけでありますけれども、一方では、りゅう弾砲という種類の大砲の射撃訓練は、19日の訓練と同じような形になるものです。つまり絶対に撃ち込まないという約束で、米軍の立場を表明するわけにはまいりませんとの姿勢をとっております。これでは米軍が幾ら安全対策を講じたと言っても、今後、結果として不測の事態が再発した場合においても責任逃れの口実となることは必至であると思いますが、どのようにお考えか御答弁をお願いしたいと思います。
次に、ターゲット設定を十分配慮しなかったこと自体、万全な安全対策を怠った米軍の安全対策のずさんさを浮き彫りにしたものと言わざるを得ません。したがって三者協での決定事項にしても、あるいは知事がどんなに安全対策等を要求したにしても、骨抜きにされ、ほごにされてしまうのではないか。どのようにお考えか御答弁を求めます。
この件につきましては、55年2月20日の第2回三者協におきまして、伊芸区水源涵養林に撃ち込まないための方法について話し合いが行われ、同地域には標示のための標識(ポール)が設置された、このようになっておりますけれども、今回のこのような事故に対しても非常にずさんさがあるんではないかとこのような感じがしてなりません。
次に、知事は、何回となくこれまで安全対策確立要求を強調されてきたわけでございますが、事故発生してからの要求だけでは万全とは言いがたいのでございます。しかも今回は、最新鋭のM198型155ミリりゅう弾砲が初めて使用されたわけであります以上、事前に万全の安全対策を要求すべきではなかったか、いかなる対策を講じられたか伺いたいと思います。
次に、知事公室長の抗議と原因究明に対しまして米軍は口頭でのみ回答をしております。県側はそれをメモしているだけでありますが、これでいいのかどうか。今後いろいろ解釈の食い違いを生むことは必至であります。したがいまして米軍側の正式回答文書と証拠地図等を要求すべきではないでしょうか。
先ほど伊波議員からも御指摘がありましたように、今回の事故に対しましては本議会におきましても全会一致で意見書、抗議決議を採択をして現在折衝中でございますが、知事におかれましても県民の生命、財産を守る上から本県議会の権威と意思を尊重されて演習中止を要求すべきお考えはないかどうか。
次に、知事は、6月議会における白保議員の代表質問に対しまして、キャンプ・シュワブが適当であるか不適当であるかは今断定を下すわけにはいかない。対応について適当か不適当かを含めて検討すると御答弁されました。その後、検討されたのかどうか。検討されたのであれば、結果を公表していただきたいと思います。
御承知のとおり、ハンセン、シュワブ等の軍事演習は質、量ともに拡大されて、その影響で自然破壊が急速に進行しておるのでございます。
私は、緑と水の面から問題点を挙げて知事の対応策を求めたいと思います。
現在、森林浴と言われるように、緑を求める社会風潮を反映して緑地の保存、確保、緑化が強く要請されていることは論をまたないところでございます。本県にとりましても北部の森林山野一帯は貴重な緑資源であるにもかかわらず、このような米軍演習の拡大によって破壊、汚染が一層進行すれば、やがて不毛の大地へと進行する危険性は目に見えております。この米軍演習は、県が掲げております心豊かなふるさとづくりの基本構想を根底から覆し、クリーン・グリーン・グレイシャス運動を骨抜きにするものではないか、どのようにお考えか御答弁を求めます。
次に、米軍演習の拡大によりまして自然破壊あるいは山野の荒廃は、本県の多くの水源地であるダムや河川をも極度に汚染をしております。この汚染実態が数値にあらわれておりますので、取り上げてみたいと思います。
昭和56年並びに57年の厚生省のトリハロメタン検査の結果が出ておりますが、御承知のとおりこのトリハロメタンといいますのは、浄水場における塩素投入量と原水中の有機物が反応して生成されている発がん性の物質であると言われております。
ちなみに昭和56年の検査によりますと、全国で厚生省基準あるいは環境庁基準の制御目標値であります0.1ppmを超えている所は全国で4カ所しかありません。その4カ所の中に本県の金武浄水場が含まれているわけでございます。56年の金武浄水場における実態は、0.117ppmでありまた。57年は、さまざまな対策を講じまして、その結果、0.084ppmまで下がったのでありますけれども、それでも大変高い数値でございます。
問題は、56年時点での実態のこの0.117ppmは、厚生省制御目標値の0.1ppmを超えた数値でありまして、この金武浄水場における水源地の汚染度はかなり進行していると見なければなりません。
そこで金武浄水場の水源地は、御承知のとおり金武ダムが主力でございます。この金武ダムの表流水の多くが現在のキャンプ・ハンセン演習場一帯の山野からのものであること。このことから金武浄水場の汚染は、金武ダムに表流してくるキャンプ・ハンセン演習場一帯、そして実弾演習との因果関係に及ぶのではないか。金武ダムに限らず、北部一帯の水源地、河川も全く同様であります。
以上のことから、数値の上でも、私たちの水源地でありますこれらの地域のダム、河川等が米軍実弾演習によりまして極度の汚染が進んでいる、このように明白であります。これに対しましてどのようにお考えになられるか伺いたいと思います。
このようなことから、演習場としてハンセン、シュワブ等は狭過ぎるとかあるいは安全性、緑問題、水の問題等からももはやこれは不適当である、危険であることが明白であります。したがいまして演習の全面中止によりまして県民の生命、財産、安全を保障する環境をつくることを最優先すべきではないでしょうか。演習の全面中止を要求すべきであると思いますが、重ねて知事の対応についてお伺いをしたいと思います。
次に、地下水並びに水道水の汚染防止対策についてでございますが、最近、おいしい水ブームが全国的に一つの社会現象になっていることは御承知のとおりでございます。
なぜ今、おいしい水がブームになっているかと申し上げますと、2つの原因が考えられています。
1つは、多くの人々がまずい水を飲まされているという実感を持ち始めたことであります。これは水源地の多くが富栄養化によりまして赤潮が発生し、水道水もカビ臭くなり、まずい原因になっている。したがって浄水場での塩素投入量がふえ、水道水はカルキ臭い、まずいという感じを与えていることになっているからであります。
2つ目は、先ほどと関連しますけれども、水道水中にはトリハロメタンなどの発がん性物質が含まれていて、その情報が広く行き渡るようになりまして、まずいということだけでなく、このままではどうも危険だという実感を持ち始めてきたことが考えられているからであります。
以上の点から、おいしい水ブームの原因は、水道水のおいしさと安全性に対する消費者の不信の裏返しであることを認識しなければなりません。
このような消費者の不信に対しまして、国も厚生省あるいは環境庁等が、上水道の暫定水質基準とか、汚染防止の暫定指針などを決めて何らかの対策を打たざるを得なくなっております。本県にとりましても、先ほどと関連いたしますが、この厚生省あるいは環境庁等の結果を踏まえまして本県における地下水あるいは水道水中の実態調査を実施してきておりますが、その概要を説明をしていただきたいと思います。
次に、今後、水道水、地下水の汚染防止対策が非常に緊急になってまいります。水道水あるいは地下水の汚染実態を踏まえまして、今後緊急課題としてどのような対策を打たれる用意があるか御説明をお願いしたいと思います。
本県におきましては、先ほど申し上げたようにダムとか、河川、地下水等の水源が多いわけでありますが、県として、おいしい水を研究開発する方策として水質研究会等を設置してはどうでしょうか。
それから水源の汚染防止と水質をよくする方策をとる必要があるが、県としてどのようにお考えか御答弁をお願いしたいと思います。
次に、高齢化社会対策につきまして。
これから世界的にも高齢化社会が急スピードで進んでまいります。我が国におきます65歳以上の人口割合は、将来推計を含めてみますと、昭和55年が9.0%、75年が15.6%、85年が18.8%、95年が21.8%と推計され、2010年にはアメリカや西欧諸国を追い抜き20%強、5人に1人は老人という高齢化社会が確実に到来するのであります。このとき老人1人を支える生産年齢人口はわずか3.3人となり、社会の働き手の負担はグーンと重くなるのであります。
平均寿命におきましても、1950年代には人生50年でありましたけれども、食生活の改善や医療技術の進歩で1980年には男73.57歳、女79.00歳に達しました。とりわけ本県の平均寿命は、全国平均に比べまして常に上回ってきております。35年間に約25歳も延びたことになっております。ことしに入りまして、平均寿命が延びる一方、出生率の低下という少産少死型が定着し、我が国はアイスランドを抜いて世界一の長寿国となっております。これからはまさに人生80年時代であり、健康で生きがいを持って生涯青春の気概でどう生き抜くかは重要なテーマとなっております。
そこでこれからは、だれもが老後を迎えるわけで、明確に第二の人生の設計図を描き、急激な高齢化社会の到来を前に各人が改めて自身の老後をどうするかを考える必要があるのでありますが、行政に対する要請もさまざまな面から増大してくるだろうし、そのニーズにどのように対応するかは大きな課題であろうと思います。
そこで質問でございますが、1、高齢化社会の到来に備え、知事はどのような御認識と対応をお考えなのか。
2番目、高齢者対策はさまざまありますけれども、現在の行政は縦割り行政であります。老人福祉、雇用、住宅、勤労、教育等々多岐にわたっております。全体としての、あるいは総合的な高齢化社会対策に欠けております。本県としてもこれからの高齢化社会に備えて総合的あるいは集中的、総合的ビジョンづくりあるいは高齢化社会対策施策を立てる必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。またそのための専門機関の設置を求めたいと思いますが、いかがお考えでございましょうか。
3、老後において最も大事なことは、生きがいあるいは健康、生活保障の問題であると思います。生きがいの面では趣味とかレジャー、娯楽、健康の面では老化防止、そのための予防対策などであると思います。生きがいと健康は、表裏一体のものであります。生活保障の面では年金、勤労所得が非常に重要なウエートを占めてまいります。
次に、本県におきましては、無年金者の実態は約1万余人でありますが、これらの無年金者対策は重要な課題であります。現状と今後の取り組みについて伺いたいと思います。またこの無年金者対策のモデル地域を設定して無年金老対策を抜本的に推進してはどうでしょうか。
次に、中高年齢者雇用対策についてでありますが、高齢者の勤労意欲は非常に高いのでございます。県内の高年齢者雇用状況は、全国に比較しますと極めて悪い状態であります。どこに原因があるか、現状と今後の対策について伺いたいと思います。
次に、健康の面では、寝たきり老人が非常に多い実態がございます。また痴呆性老人問題も大きな課題であります。この件につきまして現状の実態と今後の対策、そして予防医療の面からの対策について伺いたいと思います。
次に、地震対策についてでございます。
御承知のとおり、東海沖地震の警鐘が鳴らされまして日本中の関心が非常に高まってきております。最近では、三宅島あるいは長野県における地震災害を目の当たりにしまして、私どもにとって決して対岸の火でないことを実感するのでございます。というのも、本県を取り巻く琉球列島弧におきましても、大地震を引き起こす可能性のある沖縄トラフが不気味に広がっていることが指摘されているからであります。
御承知のとおり、海洋科学技術センターの「しんかい2000」による南西諸島研究潜航調査がこのほど行われまして、調査メンバーの1人である琉大の木村助教授の印象記が新聞紙上に掲載をされました。それによりますと、沖縄トラフは拡大が始まっている、地震が起こっても不思議でない活動的な所、強力な観測網をしく必要があると強調しています。沖縄におきましても、過去にも幾つかの地震災害が発生しているのは御承知のとおりであります。きのうも実はことし4回の有感地震があったわけでございますが、大地震が起こっていないため多くの県民が沖縄には地震がないと信じ込んではいないだろうか。備えあれば憂いなしで、本県としてもしんかい2000等の調査結果を踏まえまして強力な地震対策を確立する必要があると思います。
各市町村の防災計画、これがありますが、現在、作成市町村は19市町村、作成中あるいは調整中の市町村は24、未作成市町村が10でございます。作成済みの19市町村36%、原案作成中または調整中、未作成を含めますと実に64%の市町村がまだそういう実態でございます。そのような状況でありますので、どうか県におきましても地震対策のための整備を早急に図る必要があると思います。現状と今後の取り組みについて伺いたいと思います。
それから県におきましても、今後地震の予知体制、観測体制等を確立する必要があると思いますが、今後どのように取り組むか答弁を求めます。
次は、バイオテクノロジー等の応用についてでございます。
県におきましては、先日、バイオマス資源利用連絡会議が設置され大変喜ばしいことであります。多くの県民が期待と夢を抱いてその取り組みに期待していると思います。
そこで今後、本県のバイオテクノロジーを進める上での方針について伺いたいと思います。
1つは、これから本格的な取り組みは行うと思いますが、その開発、応用が軍事面に利用されることは絶対にあってはならないと思います。したがって基本方針を明確に定める必要があります。我が党は、人間生命の尊厳を大前提としましてバイオ研究の悪用禁止、倫理的ガイドラインの設定の確立を図るとともに、1つ、平和利用の原則、2、安全の原則、3、民主の原則、4、同意の原則、5、公開の原則を最低限守ることを条件とするよう提起したいと思いますが、いかがでございましょう。
2番目に、先日、琉大農学部の国府田教授を委員長とする、「バイオテクノロジー等の先端技術を利用した沖縄の生物生産技術の高度化に係る調査研究」の報告書が発表され、本県におけるバイオ研究、応用に多大の示唆を与えております。これらの専門家の方々や一般の技術者を含めて、これから本県の県民ニーズや時代の要求を分析し、沖縄の特質を生かしたバイオ研究機関の設置が図られるべきであると考えます。知事の答弁で先ほどございましたが、懇話会を開くということがございましたけれども、それらを含めまして今後の方針を伺いたいと思います。
次に、野生植物保存センター、資源大植物園、種苗センター等の設立が本県に最適であるという評価が高まっております。県としてもこの利点を配慮分析し、立地、保存、テスト、気候、島嶼性などあらゆる面から早期に検討され誘致を積極的に図るべきであると思いますが、どうお考えか。
次に、バイオ研究、開発にとりまして最も大事なことは、人材の育成であります。この人材養成の面からどのような方針をお考えかお尋ねしたいと思います。
次に、道路、交通問題につきまして、これは島尻地域における道路交通網についてでございますが、御承知のとおり慢性的な交通渋滞を呈しまして地域住民の日常生活や経済活動に大きく支障を来しております。さきに島尻地域振興開発推進協議会からも、県に対して要請がなされております那覇東バイパスの設置問題、国場交差点の立体化問題、県道11号線バイパスと豊見城大橋の設置、国道331号小禄バイパス新設と糸満間の拡幅整備、那覇糸満線の主要地方道の設置、南風原バイパス、これは国道329号一日橋から西原間の設置、沖縄自動車道の糸満への延伸、これらの問題について現在の進捗状況、今後の展望を含めて御答弁を求めます。
以上、答弁によって再質問したいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城清順議員の御質問に対しましてお答えいたします。
演習問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
水源涵養林へ撃ち込まないとの約束について、今後、不測の事故で責任逃れの口実になる、どう考えるかということでございますが、これまで各議員の御質問に対しまして申し上げましたように、今回、伊芸部落の水資源となる重要な森林に着弾いたしましたことにつきましてはまことに遺憾であります。同森林の保全対策については、米軍になお一層の理解と協力を求め、今後このようなことがないよう努力してまいりたいと思います。
次、155ミリりゅう弾砲の演習で、事前の安全対策はどうなっておったかということに対してお答えいたします。
県は、9月11日、那覇防衛施設局から、同演習の通知を受けております。それに対しまして、今回新型の155ミリ砲で実施する演習は、規模、内容からして従来の演習とは異なるので、特に演習の安全確保と規模縮小の申し入れを行ったところであります。
次、原因究明に対する米側の回答でございますが、御指摘のように県としても文書による回答が望ましいと考えておるのでありますが、その時の状況等によりましては口頭による折衝もあることを御理解賜りたいと思います。
次に、水源涵養林への砲弾直撃に関する県議会の議決を尊重して中止を申し入れたらどうかという御質問でございますが、県議会の議決、意見書を尊重しなければならないことは当然のことであります。でき得る限り決議に沿って努力すべきだと考えております。当該地域の山林の問題については、地元の重要な水資源を守る立場から、三者協等の場で話し合って問題の解決を図りたいと思います。
6月議会で白保議員に対する質問のその後の情勢の変化について御質問がございましたが、お答えいたします。
キャンプ・シュワブでのM85機関銃の事故につきましては、県は、その原因究明と徹底した安全対策を国や米軍に対し要請をしてきたところであります。その結果、米軍も安全対策として、射角制御装置を取りつけること、着弾地を狭い範囲に明示すること、双射を禁止すること、演習場規則を改正すること等訓練内容を厳しく限定した基礎訓練に制限いたしております。県は、米軍が示しました安全対策につきましてこれが十分守られるよう申し入れているところであります。またキャンプ・シュワブ演習場については、機能の縮小等と中長期の観点からなお引き続き検討しなければならないと考えております。
次、米軍演習は、北部の森林山野を不毛の台地へと進行させ、県の基本構想を根底から覆し、クリーン・グリーン・グレイシャス運動を骨抜きにするものではないかという御質問でございますが、お答えいたします。
米軍演習場における山野の災害につきましては、まことに遺憾とするところであります。県といたしましては、演習場の植林の促進方を三者協において申し入れたところでありますが、那覇防衛施設局においては、キャンプ・ハンセンの緑化対策といたしまして演習場の周辺に約100メートル幅のグリーンベルトを設け、その植林を年次計画で実施しているところであります。
次、金武浄水場のトリハロメタン対策及び基地演習と金武ダムの汚染関係につきましては企業局長から答弁させることにいたします。
次に、キャンプ・ハンセン、シュワブ、北部訓練場等の基地は安全性、狭小、緑、水等の面から演習場として不適当であるので、演習の全面中止を要求したらどうかという御質問に対しましてお答えいたします。
御承知のように、米軍の訓練については、復帰の時点で提供施設区域ごとにその使用条件が定められているところであります。しかしながらこれらの使用条件の範囲内でございましても、県民生活に大きな影響を及ぽすおそれのある訓練につきましては強くその是正を申し入れてきたところでありますが、県としては、今後とも県民生活に被害や不安を与える訓練については十分な安全対策の確立を米軍や国に要請し、被害の防止に努めたいと考えております。
次に、水道水、地下水の汚染防止対策についてその改善策はどうなっているか、御質問がございましたが、これにつきましては環境保健部長から答弁させることにいたします。
次に、高齢化社会対策について、知事はこれをどう認識しその対応を考えているかと。また高齢化社会に備えて総合的施策の樹立と専門機関の設置が必要ではないかという御質問に対しましてお答えいたします。
我が国は、今後、諸外国に例を見ない速度で人口の高齢化が急速に進み、21世紀初頭には極めて高い水準の高齢社会を迎えることになります。このように高齢化の進行に伴いまして保健、医療、福祉、雇用就業、教育、生活環境、そして住宅等の面で社会全体に大きな影響が出てくるものと思われます。したがって人口の高齢化問題は単に高齢者のみの問題としてではなく、社会全体の問題として受けとめなければならないと考えております。すべての県民が共通の理解と連帯によって対応していく必要があると思います。このような高齢化の進行に伴いまして複雑多様化する高齢者ニーズに対応するため、長期的な展望のもとに総合的な対策を確保する必要があり、関係機関の協力を得てプロジェクトチームあるいは高齢者問題懇話会を設置いたしまして、今後の高齢化社会に向けて老人問題に対応するメニューづくりに努力したいと考えております。
次、無年金者対策について御質問がございましたが、これにつきましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。中高年齢雇用対策についての御質問がございましたが、これにつきましては商工労働部長から答弁させることにいたします。寝たきり老人、痴呆性老人の実態と予防医療の面からの対策につきましては環境保健部長から答弁させることにいたします。次に地震対策につきましては総務部長から答弁させることにいたします。
次に、バイオテクノロジーの御質問に対しましてお答えいたします。
バイオテクノロジーは、農業を初め畜産、水産、食品加工、医薬品、エネルギーなど極めて広い分野にわたる先端技術であり、将来の成長産業といたしまして期待されているところであります。県がその開発調査を行うに当たっては、御提言の趣旨に十分留意してまいりたいと思います。
次に、バイオ研究機関の設置の必要性についての御質問に対しましてお答えいたします。
県におけるバイオ関連の窓口は、企画調整室であります。庁内におけるバイオ関連の企画調整を推進するため、バイオマス資源利用連絡会議を発足させたところであります。さらに近く、大学、民間及び行政の専門家を網羅いたしました懇話会を設置し、専門家のアイデア、提言及び民間の活力を活用するなど積極的に取り組む所存であります。その一環といたしまして来る17日、那覇市において、沖縄開発庁、県共催の「バイオマス資源利用促進に関する沖縄シンポジウム」を開催することといたしております。内外から注目されているところであります。
なお、御提言の研究機関の設置につきましては懇話会の動向を踏まえ検討したいのでありますが、当面、各試験研究機関等を十分活用してまいりたいと思います。
次に、野生植物保存センター、資源大植物園等についての御質問がございましたが、お答えいたします。
当県は、我が国唯一の亜熱帯地域に位しておりまして、熱帯地域はもちろん、温帯地域の植物も生育する好条件下にあります。またバイオテクノロジーに関するすぐれた研究の蓄積も多様かつ豊富であります。さらに生物資源の種類や賦存量は熱帯及び亜熱帯地域の国々に極めて多いので、我が国の生物資源の保存に当たっては当県の自然的特性が最も適しているものと考えられております。このようなことからいたしまして去る8月に、資源生物保存センターの設置について科学技術庁に要請し、その誘致に積極的に取り組んでいるところであります。また種苗セソターについては、昭和60年度に設置すべく準備を進めているところであります。
なお、資源大植物園につきましては、国の動向を見ながら対処してまいりたいと思います。
バイオ研究、開発に当たっての人材育成は御指摘のとおり大切であります。その方針についてお答えいたします。
バイオテクノロジーの研究者は、琉球大学や県の試験研究機関及び民間で活躍しておりますが、今後のバイオ関連の開発発展を期すためにはさらに人材の育成を推進する必要があります。そのため国内外の試験研究機関への研修及び県内における産・官・学の緊密な連携を図るなど、人材育成を積極的に進めてまいりたいと思います。
最後に、道路交通網の整備につきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) 金武浄水場のトリハロメタン対策及び基地演習と金武ダムの汚染関係の御質問にお答えいたします。
厚生省においては、昭和55年10月から57年3月までの間、水道水中のトリハロメタンの実態調査を実施し、その結果を57年6月に公表しております。
金武浄水場において、その測定値が1リットル当たり0.137ppmで、つまり制御目標値1リットル当たり0.10ppmを上回った状況にあって、その低減策を講ずるよう指導を受けました。
企業局においては、その対策として、1つ、塩素使用量の低減化、2つ、活性炭注入、3つ、中間塩素処理などの措置を講じました。その結果、昭和57年度の測定値では、1リットル当たり0.073ppmとなり、制御目標値を下回るようになっております。さらに昭和58年度では、良質原水との混合希釈によって1リットル当たり0.032ppmまで低減しており、現在は飲料水としても良好な水質状態にございます。
なお、御指摘の米軍基地、実弾演習による金武ダムの汚染との関係につきましては、ハンセン基地の排水経路や実弾演習地域の地形などから見て、またこれまでの水質調査の結果などから判断すると特に因果関係はないものと考えております。
○議長(志村 恵君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 原 實君登壇〕
○環境保健部長(原 實君) 宮城清順議員から御質問のありました水道水、地下水の汚染防止対策についてお答えいたします。
最近、水道水の汚染物質としてトリハロメタン及びトリクロロエチレン等が全国的に問題になっております。
ところで、本県のトリハロメタン対策については、昭和57年度から国の指導により各市町村において検査を実施しておりますが、これまでの検査結果では制御目標値以下になっております。
一方、水道水のトリクロロエチレン等についても同様、国の定めました暫定水質基準以下となっております。
県といたしましては、今後とも汚染状況を全県的に把握する必要がありますので、引き続き水道水及び地下水の水質監視体制を強化していきたいと考えております。
また近年、貯水池への生活雑排水等の混入による水道水の異臭味等を中心とした国民の苦情に対処するため、厚生省はことしの6月に「おいしい水研究会」を発足させ、専門家による調査研究をスタートさせております。県といたしましては、当面、当研究会の調査研究を踏まえ対処していく考えであります。
なお、水源の汚染防止については、工場、事業場等の排水の監視指導を強化するとともに、生活雑排水対策を講ずることにより汚染防止を図りたいと考えております。
次に、高齢化社会対策についてでございますが、そのうち環境保健部にかかわる寝たきり老人及び痴呆性老人の実態、予防医療面の対策についてお答えいたします。
近年、成人病、特に脳血管疾患による後遺症等が原因で寝たきりの者が年々増加しており、昭和59年8月末の本県における65歳以上の在宅寝たきり者の数は3505人となっております。
寝たきり老人対策としては、老人が寝たきりにならないための健康教育、健康相談、健康診査事業、在宅寝たきり老人に対する訪問健康診査、訪問指導事業、機能訓練等があり、これらの事業を各市町村において実施しております。
老人性痴呆疾患の実態については、厚生省の推計により65歳以上の人口の約4.6%の出現率となっておりまして、本県においては昭和58年10月1日現在、約4500人と見込まれております。
痴呆疾患は、脳血管障害の予防等によりその発生を少なくすることは可能であり、適正な医療、介護によりその程度を軽減することは可能であると考えております。
今後の対策といたしましては、保健、医療、福祉の各施策にわたるシステムを確立し、総合的に推進していきたいとこのように考えております。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 宮城清順議員の無年金者対策について御質問がありましたので、お答えいたします。
高齢化社会における老後生活の所得保障としての公的年金制度の果たす役割は、ますます重要なものとなっております。
我が国の公的年金は、大きく分けまして職場を単位とする被用者年金と自営業者を対象とする国民年金に大別されることは御承知のとおりであります。
公的年金は、一定の保険料を拠出させ、死亡、傷害、老齢といった保険事故の発生した場合に給付を行うといういわゆる社会保険方式をとっております。
被用者年金では、保険料が給与から源泉徴収されますので問題はありませんが、国民年金では、加入者が自主的に保険料を納付する仕組みとなっておりますので、加入しなかったりあるいは加入しても20歳から60歳までの間に25年以上の保険料納付済み期間を満たさない場合はいわゆる無年金者となるのであります。
昭和58年度末における推定被保険者数が23万5919人、推定数でございますがおられますが、そのうち保険の適用を受けました被保険者数、これが21万3796人で、まだ被保険者となるべき人が2万2000人、これは適用を受けておりません。ほっておきますと無年金者になる数であります。
県は、市町村と一体となりまして無年金者を解消する対策といたしましてテレビ、ラジオ、新聞等による広報はもとより、文書、個別訪問及び電話等による加入勧奨並びに保険料納付督励を強力に推進しております。特に今年度は、無年金者になるおそれのある35歳の中年層を対象といたしまして、国民年金手帳の送達による完全適用を図りまして年金権に結びつけるべく鋭意努力しているところであります。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 宮城清順議員の御質問の中で、高齢化社会対策の一環として、特に県内の高年齢者の雇用状況が大変悪いと。この原因あるいは現状、今後の対策等についてお答えしたいと思います。
まず、現状でございますが、本県の常用労働者の100人以上の企業における高年齢者雇用率は、昭和58年6月現在、4.8%となっております。なお、法定雇用率であります6.0、また全国平均の7.1に比較しますと大変低い状況になっております。
この要因は2つございまして、県内の雇用機会が絶対的に不足していること、あるいは求人内容と求職者の希望条件が合わない等が要因となっております。
こうした状況に対処するため、県並びに公共職業安定所では、1つには、企業に対する定年延長、法定雇用率の達成の督促等、それから定年後の雇用延長等の指導をやっております。2つには、企業及び求職者に対する各種援護並びに助成措置の活用を図っておるところであります。3つ
には、高年齢者職業相談室並びに相談員の活用による就職促進等を進めているところであります。さらにまた関連しまして、高年齢者の就業機会確保のためにシルバー人材センターの整備充実を図っているところであり、今後の高齢化社会の進展に伴ってこれらの施策の強化充実を図りたいと考えております。
以上です。
○議長(志村 恵君) 総務部長。
〔総務部長 平良正夫君登壇〕
○総務部長(平良正夫君) 宮城議員の地震対策の質問にお答えいたします。
最近の琉球大学の先生方などその道の専門家による沖縄トラフの調査など琉球列島における地震発生機構等に関する研究成果については、県としても防災対策の面から深い関心を寄せているところであります。
昨年5月の日本海中部地震とそれに伴う津波災害、そして最近の長野県西部地震等により多くの人命、財産が失われているが、同時に防災面で多くの問題点と教訓を残しており、県といたしましてもその教訓を踏まえて県及び市町村の地域防災計画に地震、津波対策に関する項目の追加など一層の整備充実を図り、県民の地震に対する防災意識の高揚とあわせて迅速な情報伝達体制を確立するための市町村防災行政無線施設の整備促進の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
ところで、沖縄県地域防災計画につきましては、昭和58年度に新たに「地震及び津波災害応急対策計画」を追加修正し、地震及び津波災害に対する災害応急対策の強化を図ってきたところでありますが、今後とも必要に応じて防災計画の一層の充実を期するとともに、市町村地域防災計画についても、計画未作成市町村に対しては計画の早期策定を督励すると同時に、地震、津波に対する防災対策の強化を図るよう指導しているところであります。
なお、その一環として来る10月31日に県と糸満市が共催いたしまして台風と地震災害を想定した総合防災訓練を実施し、県民の防災意識の高揚と防災関係機関の災害応急体制の確立に資したいと考えております。
次に、地震予知体制についてでありますが、我が国の地震予知体制は、東海地震を対象とした東海地域と南関東地域が「観測強化地域」に指定されております。観測網が整備されつつあるところでありますが、そのほかに全国で8地域が「特定観測地域」に指定されておるところでありますが、本県はそれらの地域の指定外にあるわけであります。
沖縄県内の地震観測体制は、現在、沖縄気象台管内の7管署に地震計を設置して観測と監視が進められておりますが、今後も今回の沖縄トラフの調査結果や専門家の提言などを踏まえて関係機関とタイアップして県内の地震観測網の整備について資料収集等を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 道路交通網の整備に関する御質問の中で、特に島尻地域振興開発推進協議会の要請事項の進捗状況と今後の展望についてお答えをいたします。
御指摘のとおり、去る59年7月18目に島尻地域振興開発推進住民大会がありまして、那覇東バイパスほか6点の要請決議がなされ、県及び国に対して要請がされているところでございまして、その進捗状況と今後の展望についてこれから申し上げたいと思います。
まず1点目でございますが、那覇東バイパスの実現について。
那覇東バイパスは、那覇市明治橋から一日橋までの延長約5.5キロメートルとなっておりますが、そのうち明治橋から那覇大橋までの約1キロメートルにつきましては既に事業に着手し整備を促進しているところでございます。残る那覇大橋から一日橋までの約4.5キロメートルにつきましては、現在、都市計画決定に向けて関係機関との調整及び地元説明会を実施しているところでございまして、早い時期に都市計画決定ができるよう努力を払っていく考えでございます。なお、当該区間の整備につきましては、国におきまして昭和60年度から実施する予定で新規事業として予算要求をしているところでございます。
2点目に、国場交差点の立体化についてでございますが、国場交差点は、当面、右折及び左折レーンによる拡幅改良計画を進めておりまして、当該地域の地積が現在未確定でありますために地元の協力を得まして59年12月をめどに地積確定を行い、引き続き用地取得を進めて早期整備を図ってまいりたいと考えております。なお、立体交差につきましては那覇東バイパスとの関連を勘案しながら今後検討をしてまいりたいと思います。
3点目に、県道11号線バイパス豊見城大橋の実現についてでございます。
県道11号線の交通を緩和するための県道11号線のバイパスにつきましては、豊見城村の道路網の中でも重要な道路として位置づけられておりまして、那覇東バイパスと同時に都市計画決定を行うべく現在調査設計等の作業を進めているところでございます。今後は、当該路線が県道11号バイパスとしての整備が図られるよう検討を進めてまいりたいと思います。
4点目に、国道331号線小禄パイパスの新設と糸満間の拡幅整備促進についてお答えいたします。
国道331号線の小禄地内の交通渋滞解消策としまして、国におきまして現在整備を進めております小禄バイパスは昭和65年度完成をめどに58年度から用地取得の促進を図っているところでございます。また名嘉地―糸満市の川尻橋間につきましては、昭和59年8月に幅員30メートルで都市計画決定をいたしておりまして、早い時期に整備が図られるよう国に要請をしてまいりたいと思います。
5点目に、主要地方道那覇糸満線の早期完成についてでございますが、主要地方道那覇糸満線のうち東風平町宜次から糸満市潮平間の延長約6.5キロメートルにつきましては昭和58年度に採択され、現在事業を進めておるところでございます。今後、地域住民や市町村の理解と協力を得まして積極的に整備に取り組みたいと思っております。
6点目に、南風原バイパスの新設についてでございますが、南風原バイバスは多車線道路として計画をされておりまして、県としましても那覇東バイパスの進捗状況等を勘案しながら今後国に要請をしてまいりたいと思います。
最後に7点目、沖縄自動車道を糸満まで延伸することでございますが、沖縄自動車道の那覇以南の延伸につきましては、現在進めております自動車道の状況を踏まえながら関係機関と調整をし検討をしてまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 宮城清順君。
〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 金武ダムと米軍の演習との因果関係でございますが、企業局長は因果関係はないということを答弁されましたけれども、56年度におきましては先ほど申し上げたように0.137ppmだったんですが、これが58年度におきましては0.084。いろいろ活性炭とかあるいは北部水系の水とブレンドをして下がったわけでありまして、金武ダムそのもののいわゆる汚染度はこれはやはり進んでいるんじゃないかというような感じでございます。したがいましてその金武ダムの位置というか、これは御承知のとおりキャンプ・ハンセンの中にありますので、表流水が主体であると思いますけれども、キャンプ・ハンセンー帯の、演習場一帯の地域からの表流水が金武ダムに流れてくると思われますので、やはりそこら辺の因果関係を米軍の実弾演習との因果関係がなければ、どういった原因があるか、考えられるか。少なくともこれは56年時点におきましては全国の4カ所のうちに入っていたわけでございますので、金武ダム自体の汚染度は決してなくなったわけじゃない、このように感じています。そういう面で因果関係を、米軍の演習関係も含めて今後の追跡調査、そういうことを実施をして明らかにしていただきたい。御答弁をお願いします。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) お答えいたします。
米軍の基地や実弾演習と金武ダムの汚染との関係でございますが、まず場所でございますが、ハンセン基地の排水口はダムの下流に放流されております。それが1つ。それから実弾演習の地域の着弾地点はブート岳でございまして、ダムの集水区域外でございます。またさらにトリハロメタンは有機物と塩素との結合でございますので、むしろ原因として考えられますのは、その地域上流の畜舎あるいは生活排水等が主な原因ではないかというふうに考えておりますし、その後の水質調査などの結果から見ましてもそういう因果関係はないものと現在考えております。さらに調査は続けたいと思います。
○議長(志村 恵君) 渡名喜藤子君。
〔渡名喜藤子君登壇〕
○渡名喜藤子君 最後の代表質問になりましたけれども、よろしくお願いいたします。
新生クラブを代表いたしまして、通告によりまして質問をいたしますのでよろしく御答弁をお願いいたします。
まず第1番に、消費者とクレジットのバックマージンについてでございます。
消費者信用産業という言葉にはおやっと思われる方も、百貨店やスーパーでの割賦購入、月賦購入、そして今流行のクレジットやクレジットカード、さらに消費者ローンと言えばすぐおわかりと思います。その消費者信用産業にはさまざまな形態がありますが、かいつまんで申し上げますと、消費者の信用を担保にして与信する、すなわち信用を与えて行う金融システムということは御存じのことと思います。
この信用を与えた年間取引高、いわゆる与信総額は、日本割賦協会の調べによりますと、昭和50年に10兆円だったのが、昭和57年には26兆3500億円となり、昭和60年の推計は36兆円で、10年間で3.6倍の成長ぶりとなっています。今や高校生を初め多くの人々がクレジットを利用し、近き将来、国民総クレジット時代になると申し上げても過言ではないと思います。それでクレジット会社の伸び率は50年に5800億円だったのが、57年の実績は5兆2000億円で、7年間で9倍という急成長産業と言われております。
このようなクレジットビジネスの急成長の原因はいろいろございますが、まず若者を中心とした消費者の借金に対する意識と行動の変化が大きく影響していると思えます。私たちのような中高年齢層の中にはいまだに借金に罪悪感を持って、クレジットに対して食わず嫌いの人たちが多いと思いますが、若者たちはまず楽しみ、豊かさを先取りして将来の収入で返済するという行動パターンが形づくられて、何の抵抗もなくクレジットに対応しているようであります。
我が県内におきましても、地元の総合信販会社が本土復帰の年の昭和47年に誕生して、初年度5億円の年間取扱高が、58年には620億と10年間で124倍の急成長ぶりであります。世はまさにクレジット時代です。
このように急成長を遂げるクレジット会社の法的な背景には割賦販売法があり、監督官庁は通産省となっております。
この割賦販売法が去る5月に改正され、来る11月から実施されますが、改正の目的が消費者保護の姿勢を一歩前進させたものとなっております。すなわち商品に欠陥があっても代金だけは取り立てるトラブルが発生しているため、信販会社にも商品に対する共同責任を負わせること、消費者が一時的に支払いを拒否する権利、いわゆる抗弁権を認めることなどが改正の骨子となっております。
このような監督官庁の法改正は消費者にとって喜ばしいことではありますが、しかしながら沖縄タイムスが去る3月20日に報道されました「信販会社はリベート合戦」の記事は、消費者である県民にとって見逃すことのできない大きな問題が潜んでおりました。記事にあるリベートというのは、自動車販売業者とクレジット会社との間に、消費者がわからないバックマージンという不正の販売手数料がやりとりされているということであります。
ところで、このバックマージンという言葉を既に御存じと思いますが、バックマージンというのは、車などを月賦で買ったときに仕組まれているものです。自動車販売ローンの中には新車と中古車がありますが、特に中古車販売業界において最も高率な手数料が仕組まれており、実態を調べれば調べるほど消費者不在の不当な手数料が車を購入したすべての消費者に負担させられております。
例えば、車を買った消費者は、車の代金プラスクレジット手数料だけを支払っていく形になりますが、その手数料の枠の中にクレジット会社が販売業者に払い戻す独自の手数料、いわゆるバックマージンが加算されているわけで、消費者には全くわからない仕組みになっております。
このバックマージンという悪習慣は、昭和53年に我が県に企業進出してきた本土の大手クレジット会社によって持ち込まれたものです。本土クレジット会社にとって、中古車天国と呼ばれる我が県は魅力あるまとまった市場であり、その規模も年間売上高は約450億円台の膨大なものとなっております。その自動車販売市場に一斉に攻撃をかけたのがO社を初めとする本土5社であり、バックマージンという販売業者への甘いえさを持ち込んで進出、売り上げ確保のための競争を展開し、お互いにバックマージンの率のつり上げ合戦となったもので、最終的には車両代金の15%から18%の高額なものになっております。地元信販会社も市場確保のためには余儀なくされた事実がありますが、いずれにしても余りにも不当な消費者無視の販売合戦と言えましょう。
そこで去る4月24日、かしこい消費者の会と沖縄県婦人連合会、それに新聞報道を契機に結成された消費者の自主団体である「バックマージンをなくす会」の3者によってクレジット会社を招いて勉強会を開催いたしましたが、私たちの呼びかけに応じたクレジット会社は地元信販会社とM信販会社の2社だけでございました。その時点で地元信販会社は、バックマージンを全面的に廃止する声明文を新聞紙上に発表し、中古車販売業者600社のうち、200社の賛同を得、本土業界にも大きな波紋を呼び、マスコミ各社に取り上げられ、その英断が賛辞を浴びている事実がわかりました。
では、実際にバックマージンの仕組まれた具体的な数字を挙げてみますと、100万円の車を36回払いのオートローンで購入した場合、34.9%の分割払い手数料で34万9000円が加算されます。その34万9000円を分析いたしますと正規のクレジット手数料は17万9000円で、残りの17万円がバックマージンであり、手数料の50%に当たる金額が不当に加算されているのでございます。わかりやすく申し上げますと、100万円の車を売って、何もしないで17万円のリベートがクレジット会社から販売業者に支払われ、それをそのまま購入者に加算して月賦で取り立てる、何も知らない消費者こそ目も当てられません。
バックマージンのない会社とバックマージンのある会社を比較してまいりますと、36回払いで車を買った場合、顧客手数料がバックマージンのある会社は33.33%、バックマージンのない地元信販は25%で、実質年率では前者が19.75%で、後者は15%となっています。顧客手数料の差額こそがまさにバックマージンで、手数料という隠れみのの中にいまだに歴然と残っている不正な取引であり許されるものではありません。
現在、本県の自動車販売件数は、昭和58年の登録台数で見ますと、軽乗用車を含めて新車が2万4818台、中古車6万914台となっており、その売上高は総額約450億円に上っております。そのうち、高率なバックマージンがやりとりされている中古車の売上高は250億円で総売り上げの55%を占めており、バックマージン全廃に踏み切った地元信販会社の取扱高は70億円と推定されますので、残り180億円にバックマージンが含まれていると言われております。中古車業界でのバックマージンの平均率を15%といたしますと、180億円掛ける15%で約37億円強が、1年間に車を購入した県民消費者に加算されるバックマージンという計算が成り立ちます。私たち県民消費者は、1年間に37億円余りという膨大な金額を知らず知らずのうちに負担していることになるのであります。
このような自動車ローンにおけるバックマージンの問題は、本土でも五、六年前から問題視されており、金融財政研究会発行の月刊誌「消費者信用」の9月号で、特集「金利競争強める自動車ローン」のタイトルで大きく取り上げられております。
それによりますと、もともと本土業界でキックバックと呼ばれているバックマージンは、クレジット業界の目の上のたんこぶであり、消費者保護の精神に反し、あってはならない悪習慣としてはびこっているもので、消費者保護の立場では絶対に許せない浄化すべき根本的な問題であります。
ところが現実では、市場確保のため熾烈な営業戦線の結果、リベート料率の高どまりがローンの採算性を悪化させていながらも、クレジット会社としては5万、10万の小口案件をかき集めるより、50万、100万単位の自動車ローンを組んだ方が効率的であり、大口商品の本命であることは間違いありません。これを完全に撤廃するまでには時間がかかると思いますが、去る3月の新聞報道以来、通産省は、各社別の手数料と実質年率表を刷り込んだポスターを各販売会社の店頭に張り出すように指導、また総合事務局でも指導しているようですが、実質年率の上限のみを守った形で姿勢を正しただけで、その実態はいまだに改められていないのが現実でございます。現に消費者は、クレジット会社を選ぶ権利も与えられず、販売店の言いなりに契約が取りかわされ、高いバックマージンのやりとりなどについても知らずに高い商品を買っているという現状であります。
そこでお尋ねいたします。
1、消費者保護の立場から、消費者が選ぶ権利として各クレジット会社の手数料と実質年率表を店頭に表示するよう通産省も指導しておられますが、これに対し県当局はいかが対応しておられますか。
2、学生、その他親に扶養されている者に対するクレジットカードの発行によって生じているトラブルの事例は多々ございます。現在、社会問題となっておりますが、県として実態を調査の上、関係省庁に対しその規制を立法化するよう要請するお考えはないか。
3番目に、3月20日のマスコミ報道にもございましたが、中古車のみならず、他の耐久消費財にもクレジットのバックマージンのやりとりがあると思いますが、調査されたことはありますか。
4番目、今後ますます発展するクレジット社会において消費者が不利益をこうむらないよう、消費者の啓蒙と業者の指導をどのような形でなされるお考えかお伺いします。
次に、教育長にお伺いいたします。
現在、高校生も安易にクレジットカードを利用し家庭内トラブルもあるとの報告もございますが、クレジットについての正しい理解と知識を高め、一層強まるクレジット社会に対応できるよう学校現場でも指導する必要があると思いますが、いかがでございますでしょうか。
次に、観光立県としての問題点について台風時の観光客の処遇問題についてお尋ねいたします。
日銀那覇支店は、27日、県内の金融経済概況を発表、その中で、景況は緩やかな回復歩調を維持しているとし、その景気回復の牽引力になっているのは観光関連であると高田支店長は第一番に挙げられております。
観光関連は、58年の入域客が前年比で2%減だったのに対し、本年の1月から8月までの入域客は145万6700人、58年の1月から8月までの入域客は132万5500人となっており、本年は昨年同期より13万1200人の増となって2けたの伸びで、同時にホテルの稼働率は58年が74%で、本年は85%、またおみやげ品売上高も、昨年5%マイナスから、本年は5%プラスと大幅躍進となっている報告がございました。特にことしの夏7月から8月にかけての観光客は女性やヤング層、それに家族連れの増加で前年同月比で9%増と大幅の伸び、ホテルの稼働率も92%で前年同月比2%の伸び率で、このような入域客を背景に地元資本によってホテル新設計画も相次いで打ち出されておると聞いております。県当局や観光関係者が目標とする200万人入域、2000億円観光産業も夢ではないと期待をしているものでございます。
それに最近、県の統計課が実施いたしました県民選好度調査の結果も、観光を第1に重視した産業振興を望んでいる現況の中で、今回の台風10号の影響で8月18日、19日、20日、21日の4日間にわたる那覇空港、宮古空港、石垣空港等で約2万人以上の観光客がパニック状態で大混乱し、快適なはずの沖縄観光が一転して地獄絵さながらとマスコミも報じて、持ち金もなくなってホテルにも帰れず、夜になると空港ロビーも閉鎖され、空港の軒下で寝袋にくるまって風雨にうたれながら夜を明かしている方々や、また空港ロビー内では、ござの上に若い女性や子供連れの家族などがごろ寝してキャンセル待ちをしている方々の姿をテレビで見て県民は心を痛め、観光行政に対する非難の声が出ていることは御承知のとおりであります。夏は、観光立県である沖縄の目玉シーズンであるとともに、また台風銀座の異名をとるほどに台風が来る季節でもあり、台風時のホテル、航空会社、空港周辺の交通渋滞、資金融資など横の連携をとりながら、その他生じるもろもろの問題の対策を講じなければ、今後、沖縄観光のイメージダウンにもつながるのではないかと懸念するものでございます。
それでお伺いしますが、これまで台風時における観光客の待遇問題やその他に関連する件について検討されたことはありますか。
また今後の対策についてお伺いします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 渡名喜議員の御質問に対しましてお答えいたします。
消費者行政について、クレジットのバックマージンについていろいろ御説明がございましたが、質問が5点ございました。さきの4点につきましてはそれぞれ生活福祉部長から答弁させることにいたします。高校生のクレジット利用につきましては教育長から答弁させることにいたします。
最後の御質問に対しましてお答えいたします。
台風10号が襲来いたしましたときは夏場の観光シーズンのピークにあったこと、旧盆明けであったこと等平常時でも相当の混雑が予想される時期でございました。この時期に延べ3日間にわたり航空便が欠航となり、足どめされた観光客の方々が、一日も早く帰りたい一心から空席待ちに空港ターミナルロビーに押しかけたことから混雑いたしましたことは御指摘のとおりであります。航空会社や空港ターミナル株式会社、観光連盟等関係機関の非常時体制の努力にもかかわらず、多数の観光客に御迷惑をおかけいたしましたことはまことに残念であります。県といたしましては、台風時の対策について早速関係機関と話し合いを進めているところであり、今後このような事態が起きないように最善の努力を傾注してまいりたいと思います。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 渡名喜藤子議員の御質問にお答えいたします。
最初の手数料と実質年率表の店頭表示についての御質問にお答えいたします。
割賦販売法で、御質問の店頭表示につきましては、消費者を保護する目的として割賦販売業者等に対し、商品の現金販売価格、それから割賦販売価格、支払い期間、支払い回数、実質年率等を顧客の見やすい方法で明示することを義務づけております。このことにつきましては御案内のとおり通商産業省で業者指導をしているところでありますので、県といたしましても消費者行政の立場から、国に対し業者指導を強化してもらうよう要請していきたいと思っております。
次に、学生等がクレジットカードを利用してトラブルを起こしているという実態につきましては全く把握しておりませんが、そのような事例があれば、教育庁及び関係機関と連絡をとり連携をとりながら対応策を検討していきたいと、講じていきたいと思っております。
それから3番目の御質問の中古車のみならず、他の耐久消費財にもクレジットのバックマージンのやりとりがあるのではないかと、調査されたことがあるかという御質問でございましたが、割賦販売法につきましては、先ほど申し上げましたように通商産業省の所管となっておりまして、県としては調査したことはありませんけれども、関係の情報を可能な限り収集いたしまして一般消費者が不利益をこうむることがないように、行政側として消費者の啓発にこの情報等を活用していきたいと思っております。
最後に、消費者の啓発と業者の指導でございますけれども、消費者の消費動向は、高度経済成長をきっかけにいたしまして耐久消費財や自動車などの普及が急激になり、消費は美徳であると言われるほど消費生活が大きく変貌してまいりました。これに伴いまして物品あるいはサービスを購入するための資金を貸し付けたり、代金の後払いを認めるという形態の消費者信用取引が発展してきたわけであります。その背景には、生活の中流化により借金して商品を購入したり、分割払いの契約をするということを消費者が抵抗なく受け入れられるようになったこと、将来現金払いするよりも今借金してでも買った方が得という購買動向の変化などがあると思われます。その反面、低成長時代を迎え、所得の伸びは低くなったが、消費者取引に占める購買手段としてのクレジット取引は高まる傾向にあります。消費生活センターにおいてもクレジットをめぐる相談は年々ふえております。これも消費者がクレジットに関する仕組や、内容等について十分理解していないことに加え、自分の収入を考えずに無計画に購入することなどに起因するものと考えられます。今後、情報化時代の進展に伴いまして商品購入の手段がますますキャッシュレス化するなどクレジット等の利用はますます増加することが予想されます。県といたしましては、消費者保護の立場からこれらの実情をよく把握いたしまして消費者懇談会、講習会、チラシ等で啓発を行い、被害の未然防止に努めていきたいと思っております。
以上でございます。
○議長(志村 恵君) 教育長。
〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) クレジットが高校生に広く利用されているようだが、これについてどのような指導をしているかということでございます。
クレジット産業は、消費経済が進行する中で、消費者へのサービスの迅速化、それから便利さということで今では各家庭や個人の生活の中にも広く普及してまいっておることは御承知のとおりであります。しかし近年、このクレジットを高校生も利用するおそれがありまして、それへの正しい指導が望まれているところでございます。高等学校における金銭教育は、商業科や社会科の財政や金融単元の学習を通しましてなされておりますが、正しい消費生活のあり方は単に消費ということだけではなくて、資源を大切にし有効に利用するということからも重要な教育課題の一つであるというふうに考えております。御指摘の高校生によるクレジット利用については、利用方法のいかんによりましてはサラ金に見られるような不測の事態も懸念されるわけでございまして、県教育委員会としましてもこれまでの指導にさらに並行いたしまして正しい消費のあり方、それから金銭教育のあり方について指導を強化するよう各学校現場へ指導助言を引き続きやってまいりたいとこのように考えております。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明4日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後6時44分散会
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