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昭和61年(1986年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月14日
第 5号 7月14日
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議 事 の 概 要
昭和61年7月14日(月曜日)
午前10時1分開議
日程第1 乙第1号議案から乙第5号議案まで及び乙第7号議案(総務企画委員長報告)
日程第2 乙第6号議案(土木委員長報告)
日程第3 乙第8号議案から乙第11号議案まで及び乙第13号議案から乙第17号議案まで(総務企画委員長報告)
討 論(4議案一括)
乙第8号議案 工事請負契約について
乙第9号議案 工事請負契約について
乙第10号議案 工事請負契約について
乙第11号議案 工事請負契約について
日程第4 乙第12号議案(文教厚生委員長報告)
日程第5 認定第1号(経済労働委員長報告)
日程第6 本土・沖縄間航空運賃の低減に関する意見書
日程第7 昭和61年産さとうきび生産者価格引き上げ等に関する要請決議
日程第8 円高によるパインアップル産業の危機打開に関する要請決議
日程第9 陳情11件(総務企画委員長報告)
日程第10 陳情2件(経済労働委員長報告)
日程第11 陳情14件(文教厚生委員長報告)
討 論(4陳情一括)
陳情第69号 教育環境の浄化等に関する陳情
陳情第86号 「日の丸・君が代」問題に係る教職員の不当処分に関する陳情
陳情第90号 県教育委員長・県教育長の即時退陣等に関する陳情
陳情第92号 民主的学校づくりの保障に関する陳情
日程第12 陳情14件(土木委員長報告)
日程第13 陳情10件(米軍基地関係特別委員長報告)
日程第14 閉会中の継続審査の件
午後0時16分散会
○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
7月12日、西田健次郎君外13人から、議員提出議案第1号本土・沖縄間航空運賃の低減に関する意見書、我喜屋宗重君外11人から、議員提出議案第2号昭和61年産さとうきび生産者価格引き上げ等に関する要請決議及び議員提出議案第3号円高によるパインアップル産業の危機打開に関する要請決議の提出がありました。
○議長(志村 恵君) 日程第1 乙第1号議案から乙第5号議案まで及び乙第7号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
総務企画委員長。
〔総務企画委員長 西田健次郎君登壇〕
○総務企画委員長(西田健次郎君) ただいま議題となりました乙第1号議案から乙第5号議案まで及び乙第7号議案の6件について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、執行部の関係職員の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
以下、審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
乙第1号議案は、公務員の原則的な退職制度としての定年制の施行並びに日本専売公社及び日本電信電話公社の民営化に伴い、国家公務員については、定年退職を基本として退職手当の支給率の改定及び勤続期間の通算措置の整備等退職手当制度に所要の改正がなされたことから、国との均衡上、県職員の退職手当制度についてもこれに応ずる改正を行うものであるとの説明がありました。
本案に関し、職員団体からの意見あるいは職員団体との交渉等について質疑がありました。これに対し、60年12月に改正、そして61年4月1日の実施については、職員団体が反対したため今議会に提案をし来年4月1日から実施することになったもので、このことについては団体交渉等においても特に反対はなかったとの答弁があり、また条例改正によって退職手当は引き下げられることになるのかとの質疑がありました。これに対し、31年以上の勤続者については、最高支給率が63.525カ月から62.7ヵ月に引き下げられ、逆に25年以上29年以下の勤続者については、3%から19%引き上げられることになるとの答弁がありました。
次に乙第2号議案は、復帰に伴い、琉球政府職員から県職員となった者に係る復帰前の在職期間等の取り扱いについては当該特別措置条例で定められていることから、県職員の退職手当に関する条例の一部改正に伴い、これに応ずる改正を行うものであるとの説明がありました。
次に乙第3号議案は、地方公務員等共済組合法が改正され、共済掛金について規定している同法第114条第2項が1項繰り下げられたことから、育児休業給の額を定めるため、当該条項を引用している同条例附則第3項について所要の改正を行うものであるとの説明がありました。
次に乙第4号議案は、県立芸術大学が設置されたことに伴い、当該大学に勤務する教育職員についても、小中学校及び高等学校の教育職員と同様に4週5休制の適用除外措置を講ずるものであるとの説明がありました。
次に乙第5号議案は、国民年金法等の一部を改正する法律が昭和60年5月1日に公布され、国民年金を公的年金を土台とする基礎年金導入による年金制度の再編成が行われることになり、この改正に伴い、国民年金法等による給付を受ける者に地方公務員災害補償法による傷病補償年金等が併給される場合の調整等に関し、地方公務員災害補償法施行令の一部を改正する政令が公布されたため、条例の適用においても地方公務員災害補償法と同様の措置が必要であるとの説明がありました。
次に乙第7号議案は、医療法が一部改正され、病院、診療所の定義について規定している同法第1条が第1条の2に改められたことから、当該条項を引用している同施行条例第4条第1項第2号について所要の改正を行うものであるとの説明がありました。
以上で委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、乙第1号議案から乙第5号議案まで及び乙第7号議案の6件は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第1号議案から乙第5号議案まで及び乙第7号議案の6件を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案6件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第1号議案から乙第5号議案まで及び乙第7号議案は、原案のとおり可決されました。
〇議長(志村 恵君) 日程第2 乙第6号議案を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。
土木委員長。
〔土木委員長 金城 宏君登壇〕
○土木委員長(金城 宏君) ただいま議題となりました乙第6号議案沖縄県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、土木建築部長の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
以下、審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
本議案は、公営住宅法施行令が一部改正されたことに伴い、沖縄県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正するものであり、その主な改正内容は、第1種公営住宅入居収入基準の現行月額「8万7000円を超え14万1000円以下」を「10万円を超え16万2000円以下」に、第2種公営住宅入居収入基準の現行月額「8万7000円以下」を「10万円以下」に改正するものである。また第1種収入超過者収入基準の現行月額「15万3000円」を「16万2000円」に、第2種収入超過者収入基準の現行月額「9万5000円」を「10万円」に改正するものである。また現行高額所得者明け渡し収入基準月額「22万6000円」を「26万9000円」に改正するものであるとの説明がありました。
本案に対し、入居収入基準を改正することによってどういった利益が生ずるかとの質疑がありました。これに対し、今回の改正は、国における公営住宅法施行令の一部が改正されたことに伴い、全般的に条例で定める収入基準を改正するのが目的である。公営住宅入居者は、国民所得の33%程度以下の人たちを対象にしているが、国民所得が総体的に伸びてきたので、公営住宅を対象にした階層のシェアは変えないで現状に即するように収入基準を引き上げることで、所得制限により入居できなかった方々が現状に即した形で入居資格が得られるとの答弁がありました。
次に、割り増し料、金額が改正され引き上げられることにより、既存入居者に及ぼす影響について調査したかとの質疑がありました。これに対し、従前、高額所得者あるいは明け渡し対象者として割り増し家賃をおさめる方々が減り県の歳入も減ると思うが、何世帯で金額にして幾ら減るかについてはこれから調査したいとの答弁がありました。
次に、国の政令で収入基準額が決まってくると、県民所得から見て沖縄の低所得の中で国の基準で決められた収入基準額は、現在入居している者にどのような影響を与えるかとの質疑がありました。これに対し、国の政令は、おおむね所得の下から33%までの層を公営住宅入居対象にしようということであり、その額をもって横並びで改正すると沖縄の所得が低ければ沖縄は33%でなく、もっと高い40%の階層を広めたことになり有利と思うとの答弁がありました。
そのほか、県は、市町村施行分の公営住宅を肩がわりしてきた経緯があるが、県は今後どのような方針で住宅政策を進めるか、平均居住水準の数値は県営住宅をつくる場合の基準になるか等の質疑がありました。
以上、委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして御報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第6号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第6号議案は、原案のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) 日程第3 乙第8号議案から乙第11号議案まで及び乙第13号議案から乙第17号議案までを議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
総務企画委員長。
〔総務企画委員長 西田健次郎君登壇〕
○総務企画委員長(西田健次郎君) ただいま議題となりました乙第8号議案から乙第11号議案まで、乙第13号議案から乙第17号議案までの9件について委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、執行部の関係職員の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
以下、審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
乙第8号議案は、行政棟の建築工事で、去る6月20日に指名競争入札をしたところ、沖縄県庁舎行政棟建築工事共同企業体が140億円で落札したとの説明がありました。
次に乙第9号議案は、行政棟の電気設備工事で、沖縄県庁舎電気設備工事共同企業体が23億7000万円で落札したとの説明がありました。
次に乙第10号議案は、行政棟の空調設備工事で、沖縄県庁舎行政棟空調設備工事共同企業体が29億1800万円で落札したとの説明がありました。
次に乙第11号議案は、行政棟の衛生設備工事で、沖縄県庁舎行政棟衛生設備工事共同企業体が3800万で落札したとの説明がありました。
4件の議案に関し、県内企業を優先して新庁舎の設計はできなかったのかとの質疑があり、これに対し、沖縄の建築士の技術を高く評価はしているが、いろいろ検討してみたところ、沖縄の気候、風土、文化を生かすようなものについては当然沖縄の技術者の力をかり、設備、建築関係の高度の技術を要するものについては、やはり日本を代表するような建築士の力をかりて立派な建築設計をする必要から、他県と同じように日本を代表する設計士と沖縄の全体の共同組合で設計したものであるとの答弁がありました。
次に、設計の段階から県内業者に発注するという努力をすべきではなかったか。また、県の若い設計士から不満の声があるが承知しているかとの質疑がありました。これに対し、今後は県内でできるものについては可能な限り県内の設計士に発注したいと考えている。また若い設計士が不満を持っているという話は聞いていないが、もし事実であれば調査の上、今後若い設計士の力が十分発揮できるようにしていきたいとの答弁がありました。
次に、新庁舎の耐用年数及び今後の行政需要がどういう形で一定期間変革をし、社会の変革をどのように予想しながら新庁舎を構想したかとの質疑がありました。これに対し、80年から100年はもつだけの要素を持って設計し、また21世紀にはこのような情報化時代になると予想される範囲のものは議論の中で整備してあるとの答弁がありました。
次に、設計を本土の業者にさせたから資材も本土から持ってくるのではないかとの質疑がありました。これに対し、設計者の意思によって資材が左右されるようなことは全くない。県の自主的判断でもって、できるだけ可能な限り県産資材を使用するとの答弁がありました。
次に、当初の乙第11号議案に係る工事完成保証人が倒産したことを知ったのはいつかとの質疑がありました。これに対し、去る9日の新聞紙上で知ったとの答弁がありました。
次に、保証能力の有無の調査について質疑がありました。これに対し、保証人は、指名業者の中から決めることになっているとの答弁がありました。
次に、指名に当たって業者の調査基準なるものがあるのか。またどういう形で調査をしているかとの質疑がありました。これに対し、常に関係団体から県に通報することになっている。情報を早目に入手して調査を行うものであるが、経営内容に触れるのでかなり調査は難しいとの答弁がありました。
なお、共産党所属委員から、庁舎はつくらなきゃならないが、県内の人材、資材、機材でできるのになぜできない方向に持っていったかということについて答えることができない。そういう意味では反対であるとの意見の表明がありました。
また委員会においては、今後、議会棟、警察棟の建築に当たっては県内企業をなお一層優先して工事を発注するとともに、沖縄らしさを生かした特色ある施工を配慮すべきであることを委員会の総意として全会一致で確認をいたしました。
次に乙第13号議案は、人事委員会委員3人のうち1人が任期満了になるので、その後任を選任するものであるとの説明がありました。
次に乙第14号議案は、公安委員会委員3人のうち1人が任期満了になるので、その後任を任命するものであるとの説明がありました。
次に乙第15号議案は、収用委員会委員7人のうち2人が任期満了になるので、その後任を任命するものであるとの説明がありました。
本案に関し、公明党所属委員から、20年強制使用問題について反対しているので本案は賛成できないとの意見の表明がありました。
次に乙第16号議案は、公害審査会委員10人全員が任期満了になるので、その後任を任命するものであるとの説明がありました。
次に乙第17号議案は、去る6月2日の衆議院の解散に伴い、総選挙の実施に要する経費を早急に補正する必要が生じたが、議会を招集するいとまがないと認め、昭和61年度沖縄県一般会計補正予算(第1号)を専決処分したものであるとの説明がありました。
以上で委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、乙第8号議案から乙第11号議案までは多数をもって可決すべきものと決定しました。次に乙第13号議案から乙第15号議案までは、多数をもって同意すべきものと決定いたしました。次に乙第16号議案は、全会一致をもって同意すべきものと決定いたしました。次に乙第17号議案は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより討論に入ります。
乙第8号議案から乙第11号議案までに対する討論の通告がありますので、順次発言を許します。
嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 日本共産党県議団を代表し、乙第8号議案工事請負契約及び乙第9号議案、乙第10号議案、乙第11号議案に反対する討論を行います。
これらの議案は、県庁舎行政棟建築工事関連の議案であります。
私ども共産党の県庁舎に関する基本的な立場は、行政需要の増大に伴い、それに十分に対応していけるようにしていくためにも県庁舎は新しく建設すべきであるということであります。
県庁舎の建築に当たっては、沖縄の気候、風土、文化的伝統を生かした県民に開かれた県民広場として機能的で調和のとれた沖縄県庁舎にふさわしい立派なものをつくっていくべきであります。そのためには地元の人材、資材、機材など、持っているあらゆるすぐれたものを総動員していかなければなりません。また積極的にこれを通じて県産業の育成にも役立っていく方向を貫いていくことが重要であります。
県庁と言っても、もともと事務所でしかありません。それを県内業者が設計、建築できないはずはありません。そして県民生活に溶け込み、利用しやすい、親しみやすいということを優先的に考える県民による手づくりにすべきであって、決してきらびやかで豪華なものをつくるために県外の力に頼るべきではありません。事務所でありますから、特殊な構造にして高度な技術を要する建物にする必要はありません。
そういう立場から、現在進められている県庁舎建設の内容を分析いたしますと多くの問題があり、到底そのまま容認することはできません。
まずその第1は、設計士の選定問題であります。
県庁舎建設委員会における協議では、沖縄らしさを表現する庁舎についての設計の発注に当たっては、東京、大阪等の寒い所にいる設計者では、亜熱帯性の発想ができない感じがすると指摘されています。
自治のシンボルであり、設計の基本理念にもある沖縄の風土と文化を生かした庁舎にするためにはこの指摘のとおり沖縄をよく理解し、県民の心をよく知っている人でなければなりません。そして県民の英知を結集するためにこれまでの実績を能力により数社を指名し、それによる競技設計等がよりすぐれた方法だと言われています。東京都庁の建設に当たってはこの方式が採用されています。ところが県は、特命方式により黒川紀章氏に依頼をしています。黒川氏は、東京都庁の能力のある9名による指名設計競技から外されています。その理由は、山形県酒田市役所は黒川氏が設計していますが、庁舎はゆがみ、たわみ、床はのたうち、トラブルが発生し、そのほかにもひび割れ、非機能的など欠陥設計が幾つもあって外されたものだと言われているようです。しかもテレビや週刊誌などでよく女性問題でのスキャンダルが取り上げられ、人格的にも大きな疑問があるとよく指摘されています。福岡県議会でもこの種の問題が取り上げられて議論されています。
特命方式は、絶対に悪いというものではありませんが、特に高度な技術を要するとか、その人でなければ無理だと言われているような建築物などの場合は有効でありますが、事務所でしかない県庁舎の場合、特に沖縄らしさの表現が広く求められているような場合はどうしても競技設計がすぐれていると言われています。それだけに今回、いろいろ言われている黒川氏にわざわざ特命したことに対して、県内の多くの設計関係の方々からは大きな疑問も出されています。
地元の業者が知らない間に決定され、しかも地元業者も参加しているという県民向けの見せかけが行われていますが、実際には線引きのトレーシングしかさせられていないということで不満が多く、共同組合から辞退する設計士も相次いでいます。
設計士の選択に際しては設計者の人格、識見、技術、経験、創造性を最重要視して決められるべきであります。沖縄県を表象するにふさわしく、風格を備えた庁舎の設計というからには、それにふさわしい人物でなければなりませんが、黒川氏は既に述べましたようにスキャンダルだらけのいわくつきの人であり、これでは誇りをもって県庁舎設計を担当した人間として紹介はできません。なぜ黒川氏に決定したのか大きな疑惑も指摘されており、この設計士の選定は納得できるものではありません。
第2の問題点は、地元の人材、資材、機材を有効に利用するという問題であります。
この3村の活用については、我が党はこれまで一貫して、しかも繰り返し要求してきたところでありますが、この要求についてはまさに県民的なものになっています。関係者から改善してもらいたいという要請もどんどん寄せられています。このことについては県執行部も可能な限り地元優先で行うと言明していますが、関係者からの要望は現在でもなお引き続き行われています。なぜこれらの要望が根本的に県民を納得させるだけの方法で解決されないのか、実はそのことに大きな問題があるわけです。
沖縄の県庁舎は、専門家の分析によると、事務所でしかないのに必要以上に高度なもの、特殊な構造に、そして新しい工法を利用するように設計しているために沖縄の資材と機材が余り利用できないようになっていて、しかもなかなか地元業者では建設できないようになっていると指摘しています。だからこそなかなかこの3材活用の要望は解決されないわけであります。県産資材を有効活用すれば資材の製造業者が活性化していくことができますし、企業誘致も実現できない中にあっては、特にこの生産部門に注目して産業育成を図っていくべぎであります。このことが県内業者の技術的な蓄積にもつながり、県経済の活性化につながることは明らかであります。沖縄にはすぐれた伝統工芸があり、漆器、ガラス製品、かわら、大理石、トラバーチンもあり、外装材などわざわざヨーロッパの舶来品を使用する必要など全くありません。沖縄の特殊な伝統的な技能、工芸品の利用が十分には考えられていませんし、技術の動員も考えられていません。
県産品を利用しない理由の1つにJISマークではないからと主張していますが、これも筋の通らない話であります。JISというのはあくまで工業規格製品ということであって、優良品という意味ではありませんし、JISマークでなくても県内には幾つもすぐれた製品があるわけですからもっと県内資材の活用については積極的に努力をすべきであります。現在の実施設計の段階でも沖縄側が設計しているものについてまで材料の指示も黒川氏がやっているようですが、ぜひ早急に改善すべきであります。
また、設備についても可能な限り沖縄のものを利用していただきたいものであります。工事の施工に当たってはあくまで地元業者優先を貫くべきで、地元業者は技術的にもかなり高度なものを持っていると自負していますし、あくまで労務提供で人夫の駆り出しにされないような最善の努力を図っていくべきであります。
最後に、建築費の問題であります。
貧乏県で自主財源のない、しかも県民所得も全国平均の74%しかない我が沖縄の県庁舎は、県民の税金でつくられるわけですから、それなりの配慮と工夫によってつくられなければなりません。ところが現在進められている県庁舎は、そのような実情を無視して、全国一の豪華なものを目指しているのではないかと思われるようなものになっています。
例えば、乙第12号議案の県立那覇工業高校の校舎建設は坪当たり単価約39万円、沖縄市比屋根につくられる10階建ての県営住宅は坪当たりの建築単価が約38万円、特殊な技術と設備を要する病院の坪単価は約50万円で現在建築されています。それに比べて県庁舎は約95万円とべらぼうにかけ離れた高価格なものになっています。これについて指摘をしますと、執行部は、県内の建築物との比較を全くやらず、必ず他県の庁舎建設と比較をして高くないと説明しています。しかしこれも全くの詭弁でしかありません。
建築基準単価の押さえ方が、現在使用されているものは県の基準単価であるのにそれを採用するのでなく、建設省の指示するものになっているためにべらぼうに高くなってしまっているのであります。だからこれでは県民を説得することはできないのであります。
ところで、それでは黒川紀章氏が設計した豪華県庁舎で知事選での争点になった福岡の県庁舎と比較をするとどうでしょうか。
福岡の県庁舎は、大理石などはわざわざイタリア産を使用し、舶来品の使用で県産品の使用もなくきらびやかな建物で、事務所としての県庁舎としてはぜいたく過ぎるとの県民の厳しい審判を受け、知事選挙でも敗北する結果になるなどの建物であります。その福岡の県庁舎の坪当たりの建築単価は、建築面積が2万3210坪で経費が約196億円で、坪単価が約84万円になっています。沖縄の県庁舎は坪単価が約95万円でありますから、実に坪当たり約11万円も高くなっている計算になるわけであります。
地域補正をすると差がなくなるなどと言いわけをしていますが、それも理由になりません。具体的に県民の負担がどれだけであるのかということが大切なのであります。つまり福岡県庁舎は福岡の県民の負担によって建設されるものであり、その県民負担はどれだけになるかということが重要なのであって、福岡の県庁舎を沖縄でつくるとすると資材の運搬などいろいろあるので地域補正をして考える必要があり、そうすると沖縄の県庁舎の建築単価と比べても差がありませんというのが執行部の説明であります。こんなにむちゃくちゃな言い分が許されていいわけはありません。
福岡県庁舎を視察した県工業連合会の14名の専門家グループの報告を専務の宮城氏が報告書として出していますが、その内容の一部を紹介します。
うわさどおりの超豪華な建物だ。床石、壁石はすべてフランス、イタリア、南アフリカからの舶来品。県章と県花をちりばめたじゅうたん、絹張りの壁、シャンデリアなどすべて県外への特注品。桜材使用の二重廊下つきの特別応接室は皇室用と言われ、使用が年に1度となりかねないのですべてカバーで覆われていた。知事応接室に来たというより、どこかの皇室を訪れた感じである。きらびやかの中に幾つかの影を織りなす福岡県庁舎渡り廊下のペンキの落ちた後に内部の鉄板の肌が見えたり、窓に構造上の欠陥があったり、高級フロアのじゅうたんに雨漏りのようなしま模様ができていたりだ。案内を受けながら感じた最も大きな問題は、ビル全体が機能的でない。建築業者を見てもほとんど本社を東京に持つ大会社ばかりで、今日の低経済成長向きでない。最高の建物で最低のサービスになっては何にもならないと強く指摘しています。
このような超豪華で県民不在、欠陥つきの機能的にも問題を抱えている福岡県庁舎というのは、今や専門家の間では常識にさえなっています。このような大きな問題を抱えている県庁舎を設計した黒川氏にわざわざ特命で設計させ、早くもいろいろな問題が指摘されている我が沖縄県庁舎も、福岡のこの二の舞になりかねません。
貧乏県である我が県の県庁舎は、豪華さ日本一を目指すより、やはり県民の持っている力を結集し、県民にふさわしいものとして建設すべきであります。しかも建設費用も212億円という莫大なものでありながら、次回に予定される昇降機設備工事費の予定を含めると工事の入札の合計金額もほぽ212億円とピタッと合うなど事前に業者に情報が漏れていたか、もしくは談合でもやられていなければこれほど正確になるはずはないと思われるなど、この県庁舎をめぐっては多くの問題点があり、しかも疑惑もいろいろ取りざたされているだけに我が党としては、この議案に賛成することはできません。
まだまだ幾つも指摘すべき構造上の問題や設計上の問題、資材の活用などありますが、これは引き続き議会内外で明らかにしていくことを表明し、討論を終わります。
○議長(志村 恵君) 瑞慶山良昌君。
〔瑞慶山良昌君登壇〕
○瑞慶山良昌君 私は、自由民主党沖縄県連県議団を代表して、乙第8号議案から乙第11号議案までの工事請負契約についての4議案に賛成する立場から意見を述べたいと思います。
県庁舎建設は、これまで本会議でも設計段階から論議され、またマスコミ関係でも多く取り上げるなどすべての県民の最大の関心事であります。それは新しい県庁舎が新生沖縄県の明るい未来展望、そして躍動する郷土沖縄への期待と願望を込めたいわば県民の一途な心情を反映したシンボルそのものであるからであります。
県庁舎建設の必要性について考えてみますと、1つ、アメリカ統治の遺産である旧庁舎は老朽化が著しい上に防災面においても問題があり、かつ狭隘のため庁舎のかなりの部分を民間ビルに分散しており、効率的行政運営に支障を来している点であります。また県は、振興開発計画に基づく諸施策の対応と時代の進展に伴う行政の多様化、複雑化等高度情報化社会に向けた新しい質の高い行政サービスの需要に対処しなければならない。しかし旧庁舎ではそれが不可能であります。これが新庁舎建設の急がれるゆえんであります。
次に、経済的意義についてでありますが、公共投資の目的といたしましての社会資本の整備、県経済の景気浮揚、雇用拡大等県内経済の活性化に寄与するという重要な役割があります。庁舎建設は経済の波及効果が大きい工事種目がほとんどであります。またタイミング的にも国の厳しい財政環境下における昨今、公共工事も減少傾向にありますが、本県経済は公共工事の依存度も大であり、こういうところからも庁舎建設が県の大型プロジェクトの一つとして評価されておるゆえんであります。
県庁舎建設に当たりましては、これまで本議会におきまして与野党を問わず、地元業者への優先発注、県内資材の優先活用等を図り、県経済の活性化を図るべきとの強い論議が重ねられてきました。またこのようなことにつきましては沖縄県工業連合会を初め、種々の団体から陳情要請等も議長や知事に対しても多々なされております。このことは庁舎建設に対する県民の期待と関心が高いからであります。県内企業の育成、県産資材の優先活用を図り県経済の活性化を図ることは、県の施策であるとのこれまでの知事を初め県執行部の表明もなされております。西銘県政になりましてからこれが促進されましたことは県民が周知している事実であります。
野党の皆さんは、設計業者の指名、建設業者の指名につきましていろいろ反対しておりますが、県がこれまで議会におきます答弁したことから私なりにまとめてみますと、まず第1に、県庁舎建設基本構想の策定に当たりまして、広く県民の意見を反映させるため沖縄県庁舎建設委員会を設置し、委員には議会議員、市町村団体、学識経験者、婦人団体等を参加させ、県庁舎建設に対する基本構想の策定を図り、広く県民の意見を反映させております。
この基本構想の理念は、沖縄の風土と文化を生かし、沖縄県を象徴するにふさわしい風格を備えた庁舎であること。高い機能性を備え、将来の行政需要に対応できる庁舎であること。省資源、省エネルギーによる経済性と安全性を考慮した庁舎であること。県民が親しめ、利便性に富み、かつ文化的活動にも寄与する庁舎であること。周辺の都市環境整備に寄与する庁舎であることなどとなっています。これを受けまして基本設計がなされたわけであります。次に設計業者の指名に当たりましても、沖縄県庁舎設計指名委員会を設けまして慎重に検討され、沖縄県の設計事務所で組織されている沖縄県設計監理協同組合と、技術力と豊富な経験を有する全国のトップレベルの業者との設計共同体に特命発注されました。また工事請負業者の指名に当たりましても、県庁舎建設工事請負業者指名基準及び指名審査会等に関する要領により設置いたしました指名審査会におきまして、慎重審議して全国業者と県内業者の共同企業体を指名したものであります。
県は、このような方式を採用することに至るまでいろいろ慎重に検討し、努力が払われたわけであります。つまり県内企業の育成、県産資材の優先活用を図り、県経済の景気浮揚、雇用拡大を図ることはもちろんのこと、200億円余りの多額な資金を投じて県民共有の基本理念に沿った立派な庁舎をつくるという立場があるわけでございます。県内の技術の補完として全国トップレベルの業者を参加させた共同企業体に発注したわけであります。その場合でも県内業者をできるだけ多く参加させ、共同企業体の出資比率につきましても県内が70%から75%とし、また共同企業体の取引金融機関につきましても地元を利用させ、資金の県内滞留を図るなど。さらにはこれからの工事施工における下請業者の活用につきましても県内優先すると表明もあり、県内経済の波及効果にも非常に努力が払われております。
共産党の皆さんが言う県内業者優先に対する熱意については私も高く評価するものであり、同感であります。県内業者育成のため、ともに頑張りたいと思います。
また、県内業界におきましては全国トップレベルの企業のノウハウを吸収するいい機会でありますから、そのチャンスを十分活用して技術のレベルアップに努め県内のみならず、県外でも十分競争できるよう飛躍することを望むものであります。したがいまして県民が久しく待ち望んでおります県庁舎は、一日も早く建設して県民サービスの向上、行政の効率化を図る必要があり、ぜひとも今議会で議決しなければならないものであります。
最後に、私は県民の一人として、計画どおり入札を終え、議決案件として本議会に提出したことに対して知事を初め執行部のこれまでの努力に感謝申し上げまして、賛成討論を終わります。
○議長(志村 恵君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
休憩いたします。
午前10時46分休憩
午前10時47分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
これより乙第8号議案から乙第11号議案まで及び乙第13号議案から乙第17号議案までの採決に入ります。
議題のうち、まず乙第16号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、これに同意することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第16号議案は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、乙第17号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり承認することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第17号議案に承認することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、乙第8号議案から乙第11号議案までの4件を一括して採決いたします。
各議案に対する委員長の報告は可決であります。
お諮りいたします。
ただいまの議案4件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立多数であります。
よって、乙第8号議案から乙第11号議案までの4件は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) 次に、乙第13号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は同意であります。
お諮りいたします。
本案は、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立多数であります。
よって、乙第13号議案は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、乙第14号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は同意であります。
お諮りいたします。
本案は、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立多数であります。
よって、乙第14号議案は、これに同意することに決定いたしました。
採決いたします。
まず、浦崎安昭について採決いたします。
浦崎安昭を収用委員会委員に選任することに同意する諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立多数であります。
よって、浦崎安昭を収用委員会委員に選任することに同意することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、上間敏男について採決いたします。
上間敏男を収用委員会委員に選任することに同意する諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立多数であります。
よって、上間敏男を収用委員会委員に選任することに同意することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第4 乙第12号議案を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。
文教厚生委員長。
〔文教厚生委員長 照屋忠英君登壇〕
○文教厚生委員長(照屋忠英君) ただいま議題となりました乙第12号議案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、教育長の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
本案は、県立那覇工業高等学校校舎改築工事の請負契約の締結に当たって議会の議決を求めるものであります。
本案について、工事量は鉄筋コンクリートづくりの普通教室と管理棟を合わせて2955平方メートル、契約金額は3億5250万円、契約の相手方は那覇市在の照正組と翁長建設の共同企業体、工期は250日との説明がありました。
本案に関し、老朽校舎の整備計画とその整備に要する予算はどのぐらいかとの質疑がありました。これに対し、昭和45年以前に建築された20年以上経過した校舎は、当時の施工技術のまずさと本県の地理的、気候的特性から塩害による腐食がひどく、そのほとんどが建てかえなければならない状況にある。その面積は、市町村立の小中学校が19万平方メートル、県立学校が10万平方メートルで総面積の12%に相当する。老朽校舎の整備については、2次振計の終了する昭和66年度までにその整備を図りたい。またその整備に要する予算は137億9400万円であるとの答弁がありました。
次に、校舎の設計に当たっては、学習効果を上げるために教室の本来あるべき姿について、設計士や教育現場の先生方も含めて方針を確立してからやるべきだと思うが、どのような基本的構想で設計を依頼しているかとの質疑がありました。これに対し、校舎の設計に当たっては文部省が定めた学校設計指針に基づいてやっているが、そのほか改築等については学校内で施設整備に関する検討会を持ち、なおかつ設計業者が他府県の学校を視察調査したのも参考にしている。また去年の暮れから、県立学校の施設整備についての検討会を庁内に設置して関係各課と調整を図りながらやっているが、来年開校予定のC高校についても特色ある学科を設置するので、専門の先生方の意見を設計の段階で聴取しているとの答弁がありました。
以上が委員会における審査の概要でありますが、審査の結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第12号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) 日程第5 認定第1号を議題といたします。
本決算に関し、委員長の報告を求めます。
経済労働委員長。
〔経済労働委員長 我喜屋宗重君登壇〕
○経済労働委員長(我喜屋宗重君) ただいま議題となりました認定第1号について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、出納長、代表監査委員の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
以下、委員会における執行部の説明を申し上げます。
本件は、農業改良資金助成法の一部改正に伴い、昭和60年12月23日付で沖縄県畜産振興資金特別会計が廃止されたことにより、同会計の決算が認定に付されたものであります。
同会計の決算の概要は、まず収支状況が歳入決算額が2万7896円で、歳出決算額がゼロ円となっております。歳入決算額から歳出決算額を差し引きますと2万7896円となり、この剰余金は、沖縄県特別会計設置条例の一部を改正する条例(昭和60年沖縄県条例第15号)附則第4項の規定に基づき、沖縄県農業改良資金特別会計の歳入に繰り入れられるものであります。
次に、歳入決算の状況は、歳入予算現額ゼロ円に対して歳入決算額は2万7896円で、予算現額に対して増加したものは繰越金2254円、諸収入2万5642円となっております。また調定額2万7896円は全額収納済みであります。次に歳出決算は、歳出予算現額及び歳出決算額ともゼロとなっております。
以上、委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、全会一致をもって認定すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより認定第1号を採決いたします。
本決算に対する委員長の報告は、認定すべきであるとするものであります。
お諮りいたします。
本決算は、委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、認定第1号は、委員長の報告のとおり認定されました。
○議長(志村 恵君) 日程第6 議員提出議案第1号 本土・沖縄間航空運賃の低減に関する意見書を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
西田健次郎君。
〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 ただいま議題となりました議員提出議案第1号本土・沖縄間航空運賃の低減に関する意見書について、提出者を代表いたしまして提案理由を申し上げます。
離島県であります本県は、本土との交通はすべて船舶や航空機を利用する以外になく、今日では本土―沖縄間の往来者の95%が航空機を利用している状況であります。県民にとりまして今や航空路は足であり、生活路線となっているのであります。鉄道や船舶には課税されず、航空機だけに奢侈税として課税されている通行税は、そのような意味でもはや根拠を失った不当なものといえるかと思います。また原油の安値、円高等による差益は、通行の選択を許されない本土―沖縄間の航空路の利用者に還元されるべきであり、そのため関係航空企業に対し運賃の低減措置を強く求めるべきであります。そこで総務企画委員会におきましては、これらの問題を解決すべく検討いたしました結果、全会一致をもって本案を提出いたした次第であります。
意見書を朗読いたします。
〔本土・沖縄間航空運賃の低減に関する意見書朗読〕
以上で提案理由の説明は終わりますが、慎重に御審議の上、よろしく御賛同賜りますようお願い申し上げます。
なお、本議案につきましては、その趣旨を関係要路に要請するため議会代表を派遣する必要があるとの意見の一致を見ておりますので、議長においてしかるべく取り計らっていただきますようお願いいたします。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第1号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) これより議員提出議案第1号本土・沖縄間航空運賃の低減に関する意見書を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) ただいま可決されました議員提出議案第1号については、提案理由説明の際提出者から、その趣旨を関係要路に要請するため議員を派遣してもらいたいとの要望がありました。
よって、お諮りいたします。
議員提出議案第1号の趣旨を関係要路に要請するため議員5人を派遣することとし、その期間及び人選については議長に一任することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
〇議長(志村 恵君) 日程第7 議員提出議案第2号 昭和61年産さとうきび生産者価格引き上げ等に関する要請決議を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
我喜屋宗重君。
〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 ただいま議題となりました議員提出議案第2号について、提出者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。
サトウキビは本県農業の基幹作物であり、また我が国の砂糖の自給率の向上を図る上から、その生産の拡大が望まれている作物であります。第2次振興開発計画では、本県のサトウキビの生産は、目標年次昭和66年で昭和55年基準年次の単収6.2トンを8.8トンヘ、生産量130万1000トンを230万4000トンに引き上げることになっており、現在、その目標に沿って農業基盤の整備等、国、県、市町村、農業関係団体等で鋭意努力が払われているところであります。しかし本県のサトウキビ生産は、台風や干ばつの被害のほか、病害虫の周年発生等、生産環境はまことに厳しいものがあります。また他府県の稲作等に比べ、生産基盤の整備や機械化による生産の合理化が著しく立ちおくれており、ここ数年来、サトウキビ価格は生産費さえ補えない状況にあります。
本県のサトウキビは、生産額が農業粗生産額の約34%を占め、サトウキビを生産する農家も全農家の約86%にわたっており、また全県各地にわたって生産されていることから県経済の維持発展に大きな役割を担っております。またこれの振興を図るには、適正な農家所得を補償して再生産が十分確保できる水準にサトウキビ価格を設定し、単収を引き上げるための地力増強対策及び収穫作業の省力化を図ることが重要であります。
以上のことにかんがみ、サトウキビ農家が意欲をもって増産に取り組むことができるような価格設定と生産性を高めるための条件整備の促進を関係要路に要請するため本案を提出した次第であります。
意見書を朗読いたします。
〔昭和61年産さとうきび生産者価格引き上げ等に関する要請決議朗読〕
以上で提案理由の説明を終わりますが、慎重に御審議の上、よろしく御賛同賜りますようお願いを申し上げます。
なお、本議案につきましては、その趣旨を関係要路に要請するため議会代表を派遣する必要があるとの意見の一致を見ておりますので、議長においてしかるべく取り計らっていただきますようお願いいたします。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第2号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) これより議員提出議案第2号昭和61年産さとうきび生産者価格引き上げ等に関する要請決議を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) 日程第8 議員提出議案第3号 円高によるパインアップル産業の危機打開に関する要請決議を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
我喜屋宗重君。
〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 ただいま議題となりました議員提出議案第3号について、提出者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。
沖縄県のパイナップル産業は、沖縄本島北部や八重山地域を中心に栽培され、農家戸数も1500戸を超し、本県農業にとって欠くことのできない重要な作物となっております。またパイナップル栽培が本島北部や八重山地域等に適していることから、地域経済はもとより県経済の均衡な発展に重要な役割を果たしております。
パイナップルは、東南アジアを中心にして低コストで生産をされておるため本県のパイナップル産業は国際競争力が弱く、これまで国の手厚い保護策で維持してきました。ところが冷凍パインの自由化や関税の引き下げ及び最近の急激な円高で外国産パイナップル缶詰との間に大幅な価格差が生じ、沖縄産のパイナップルは本年6月末現在、8万ケース以上の在庫を抱えている状況であります。そのためパイナップル関係者は、今期収穫の果実の処理に苦慮し、その打開のため缶詰の生産を減らして果汁をふやすとか、工場コストの低減を図るため5社6工場を2社2工場で操業し、他の工場は休止するなどして思い切った緊急措置をとっております。今後の対策といたしましては、生産の合理化や企業の統廃合及び果汁生産体制の強化等が必要であります。
以上、申し述べました理由から、本県のパイナップル産業を保護育成するため本案を提出した次第であります。
要請決議を朗読いたします。
〔円高によるパインアップル産業の危機打開に関する要請決議朗読〕
以上で提案理由の説明を終わりますが、慎重に御審議の上、よろしく御賛同賜りますようお願い申し上げます。
なお、本議案につきましては、その趣旨を関係要路に要請するため議会代表を派遣する必要があるとの意見の一致を見ておりますので、議長においてしかるべく取り計らっていただきますようお願いいたします。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第3号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) これより議員提出議案第3号円高によるパインアップル産業の危機打開に関する要請決議を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(志村 恵君) ただいま可決されました議員提出議案第2号及び第3号については、提案理由説明の際提出者から、その趣旨を関係要路に要請するため議員を派遣してもらいたいとの要望がありました。
よって、お諮りいたします。
議員提出議案第2号及び第3号の趣旨を関係要路に要請するため議員5人を派遣することとし、その期間及び人選については議長に一任することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第9 陳情11件を議題といたします。
各陳情に関し、委員長の報告を求めます。
総務企画委員長。
〔総務企画委員長 西田健次郎君登壇〕
○総務企画委員長(西田健次郎君) ただいま議題となりました陳情11件につきましては、慎重に審査いたしました結果、全会一致をもってお手元に配付してあります審査報告書のとおり処理すべきものと決定いたしました
よろしく御審議のほどをお願い申し上げて報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これよりただいま議題となっております陳情11件を採決いたします。
お諮りいたします。
各陳情は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情11件は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第10 陳情2件を議題といたします。
各陳情に関し、委員長の報告を求めます。
経済労働委員長。
〔経済労働委員長 我喜屋宗重君登壇〕
○経済労働委員長(我喜屋宗重君) ただいま議題となりました陳情2件につきましては、慎重に審査した結果、お手元に配付してあります審査報告書のとおり処理すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これよりただいま議題となっております陳情2件を採決いたします。
お諮りいたします。
各陳情は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情2件は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第11 陳情14件を議題といたします。
各陳情に関し、委員長の報告を求めます。
文教厚生委員長。
〔文教厚生委員長 照屋忠英君登壇〕
○文教厚生委員長(照屋忠英君) ただいま議題となりました陳情14件につきましては、慎重に審査いたしました結果、お手元に配付してあります審査報告書のとおり処理すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより討論に入ります。
陳情第69号、第86号、第90号及び第92号に対する討論の通告がありますので、順次発言を許します。
本盛茂君。
〔本盛 茂君登壇〕
○本盛 茂君 私は、社大党議員団を代表して、陳情第69号、第86号、第90号及び第92号の4つの陳情について賛成する立場から討論を行います。
各陳情の趣旨は、1、日の丸、君が代の押しつけによって学校現場が混乱しないようにすること。2、日の丸、君が代問題に係る県立学校の校長、教諭の不当処分及び中頭教育事務所管内の小中学校教諭に対する不当な賃金カットを撤回すること。3、県行政当局は、いかなる形であれ一方的に学校行事に介入することなく、校長を中心にした全職員の知恵と協力が発揮できる子供を主人公にした学校行事が創造できるよう、その保障をすること。4、反動的な教育行政を進める県教育委員長及び県教育長は即時退陣することなどであります。
この陳情に対する県教育長の処理方針は、1、日の丸掲揚、君が代斉唱は学習指導要領で定める教育内容の実施であり、決して押しつけるものではない。2、処分は具体的な事実確認に基づいて判断し行ったものであり、今回の処分は、国旗、国歌にかかわることを理由に行ったものではなく、あくまで地方公務員法の服務規定に抵触する事実があると判断したからである。賃金カットについては、卒業式または入学式において学校長の指示、命令にもかかわらず勤務放棄を行ったことによるものであり、このことは給与条例に基づいた給与の減額措置であるにすぎない。3、学校行事は一定の目的を持って行う教育活動であり、その実施に当たっては学習指導要領にのっとって校長の責任のもとに行われるべきものと考える。4、即時退陣要求については、教育行政を預かる者として批判は批判として真摯に受けとめ、今後とも厳正にみずからの責務を果たし、本県教育の発展のため邁進していく決意であるなどとなっています。
私は、今回の一般質問並びに文教厚生委員会において県教育長が行った指導の徹底という名の押しつけ行政が、今春の卒業式混乱の最大の原因であると厳しく追及しその反省を求めましたが、残念ながら教育行政側には一片の反省も見ることはできませんでした。
県教育長は、日の丸掲揚、君が代斉唱の指導は、学習指導要領にのっとって校長の責任のもとに行われるべきものである。今回の卒業式の混乱の原因は、校長の指示、命令に従わなかった教職員側にあり、その責任は、処分を受けた校長及び教職員にあると一方的に決めつけているが、果たしてそうでありましょうか。
そもそも公教育における教育内容の実施は、どのような手順のもとで進められるべきものでありましょうか。それはまず第1に、学校においては法令及び学習指導要領の示すところに従い、児童生徒の人間としての調和のとれた育成を目指し、地域や学校の実態及び児童の心身の発達段階等、特性を十分考慮して適切な教育課程を編成しなければなりません。
教育課程とは、学校における教育計画、児童生徒の主体的な学習活動、その評価等、すべてを含んだ学校教育の全体であり、国の定める基準に基づき学校において各教科、道徳、特別活動について学年に応じたその目標、内容、指導に充てる時間等を組織的、計画的に配列したものであります。この教育課程に盛られた教育内容を実際に指導していくためには、教育課程の一部として1つの領域、1つの教科、あるいは1つの学年などそれぞれの部門で他の部門との関連を考慮しながら実践的、具体的に指導の目標、内容、方法等について指導計画を作成する必要があります。
今、日の丸、君が代問題で盛んに言われている学校行事の儀式などで国旗を掲揚し、国歌を斉唱することが望ましいということは、この指導計画の作成と内容の取り扱いについて留意すべき事項として学習指導要領に示されているものであります。このことに関連する私の一般質問に対して教育長は、学習指導要領には、卒業式や入学式等の学校行事で国旗を掲揚し、国歌を斉唱することが望ましいとある。学校現場ではその趣旨に沿って創意工夫を加えて教育課程を編成することが大事である。もし学校現場で学習指導要領の趣旨が不徹底ならば、教育行政を預かる者としては当然強力な指導をする責務があると回答しています。すなわち教育長が答弁で言う、もし学校現場で学習指導要領の趣旨が不徹底ならばということは、言葉をかえて言えば、その学校の教育課程、指導計画に卒業式、入学式などにおける日の丸掲揚、君が代斉唱について明確にされていない場合は、ということであり、そのような場合には教育行政を預かる者としては当然強力な指導をする責務があるということになります。
では、県教育長は、日の丸掲揚、君が代斉唱の指導の徹底を図るためにどのようなことをしてきたのでしょうか。
それは、再度にわたる通知のほかに、県立学校長会において、問題のある場合には警察に通報せよ、妨害した場合は卒業保留する、父母の抗議を受ける必要はないなどの意味に解されるような発言をしたとされており、校長や教職員の処分までしてその指導の徹底を図るという暴挙を行ったのであります。処分を伴う指導とはもはや指導ではなく、それは命令であり強制であります。事実、学校現場においては、県教育長の強力な指導に忠実に従った校長たちは、学校行事は全教師の協力により適切に指導することという学習指導要領の立場にも立たず、教育者としての使命と誇りを放棄し、教職員に対して一方的に命令を発して日の丸掲揚を強行し卒業式を混乱させたのでした。このような事実が押しつけであり、強制でなくて何でありましょうか。
沖縄県立学校管理規則はその第34条で、「学校の教育課程は、学習指導要領及び教育委員会が定める基準により校長が編成する。」「校長は、翌年度において実施する教育課程を、毎年1月末日までに教育委員会に届け出て調整しなければならない。」と定めています。県教育長は、文教厚生委員会で、教育課程の届け出についての私の質問について明快な答弁をしませんでしたが、教育長が私の一般質問で回答したように、学校現場での学習指導要領の趣旨の不徹底、すなわち日の丸掲揚、君が代斉唱についての明確な位置づけがなされていないのであれば、日の丸掲揚、君が代斉唱についての通知をする前にまず教育課程への位置づけこそ指導助言すべきであります。
学校における教育内容の実施は、それぞれの学校における教育課程への位置づけがなされて初めて実施可能となるからであります。県教委が県立学校管理規則に定められたその調整をきちんとやっておれば、今回の混乱もまた起こらなかったはずであります。しかしながら実際には今春の卒業式で学校が混乱したということは、日の丸掲揚、君が代斉唱の実施について全教職員の共通理解のもとに学校の教育課程に正しく位置づけられていなかったからではなかったかと思われます。
卒業式において教育課程の位置づけがなされていない教育内容の実施を校長が職員に命じたり、あるいはみずから実施することは明らかに誤りであります。しかしその学校でこれまでに日の丸掲揚、君が代斉唱の位置づけが現実にはなされていないのであれば、それは我が郷土沖縄の特殊事情によるものが大きく影響していると思われるので、教育行政の主権者である県民の側に立って慎重に対応すべきものと考えます。
今回の混乱でも見られるように、校長が教育課程にも正しく位置づけられていない日の丸、君が代の実施を、校長の職務権限によるものとして教職員に指示、命令したのであれば、それは校長の教育課程の編成、実施、管理権の上からも問題があり、またそのことに関して十分な行政指導をなさなかった県教委の責任も問われなければならないでしょう。
このように教育の指導行政上の大切な手順がきちんとなされないままに県教委が文部省の通達を必要以上に過大視して、日の丸、君が代の実施率さえ上がればとするような本県の教育行政のあり方はまことに異常であります。
教育は、その過程を大事にしなければなりません。県教育長の今回の指導を見ていると、教育的というよりはむしろ政治的なものさえ見え、県教委の県立学校管理規則や「学校教育における指導の努力点」に照らしてもいろいろと疑問が感じられてなりません。教育は緩慢な政治であり、政治は急激な教育であると言われるように教育と政治とは極めて密接な関係にありますが、教育が政治に振り回され、その後追いをしていては民主的で平和的な教育など到底育ちようがありません。私が一般質問でも述べたように、学校教育における日の丸、君が代問題のような是非の見解が相対立し、容易に決めがたい教育内容に関する問題については、校長が教職員とよく話し合って納得の上で実施することが望ましいという大阪地裁判決や学習指導要領に国旗、国歌としてその掲揚、斉唱が登場した経緯、すなわち当時の三原防衛庁長官が、有事を考えて平素から教育の場で教えることの必要性を文部省に強く訴えて実現したものであるという歴史的な背景など。また学習指導要領が前述の強い要請などにもかかわらずその掲揚、斉唱について、最も強い基準である国旗を掲揚し、国歌を斉唱することとはせずに、学
校側が弾力的に対応できるように「望ましい」としたことや、特別活動については、全教師の協力により適切に指導することと最も強い基準の表現をとったことなどについても十分に配慮する必要があります。
県教育長の学校における国旗、国歌の取り扱いの通知を受けて、那覇市教育委員会の教育長が管内各小中学校長あてに出した通知に対する米村県教育長の、不適正な指導がなされたとの批判的な談話について、私が取り上げて一般質問をしました。これに対する県教育長の回答は、1、市町村教育委員会は県教育委員会の指導助言を受けなければならず、さらに学習指導要領の基準性に基づき、その趣旨にのっとって学校長を指導助言する立場にあるにもかかわらず、県教育長通知の趣旨にそぐわない指導を行っていること。2、学習指導要領で規定されている、国民の祝日などにおいて国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましいの「望ましい」の中に、可能であるならば、として恣意的に解釈して学校長を指導していることなどと答弁しました。
私が再質問で、不適正な指導の内容について具体的に示せと迫りましたら、教育長は、資料の持ち合わせがない旨を答弁して明確に示しませんでしたので、私は、文教厚生委員会で再び取り上げ、那覇市教育委員会・教育長が管内の小中学校長へ出した通知の項目ごとに、1つ、取り扱いは当該学校の教育課程の編成で対処することが基本である。2、県教育長通知はあくまで指導助言であると確認する。3、その内容は市教委の指導監督によらなければならない。4、学校の教育課程は職員会議を経て編成することが基本であり、卒業式や入学式など学校行事における国旗日の丸、国歌君が代も同様に対処していただきたい。5、学校行事は教職員、児童生徒が一体となって行い、父母の信頼と協力が得られるよう創意工夫し、学校に混乱を起こさないよう配慮されたい。
以上、5項目について県教育長にただしたところ、米村県教育長は、そのすべてについて適切であると認めましたが、そのほかにもいろいろあって不適切な指導となっているとの答弁をいたしました。私は、納得できないとして、那覇市教育委・教育長通知のコピーを資料として提出することを求め検討した結果、県教委と那覇市教委の両者には、指導助言と「望ましい」の解釈についての2点で見解の相違があることがわかりました。
1、指導助言についての県教育委の見解は、市町村教委は、県教委の指導助言を受けなければならないとしていることに対して、那覇市教委は、県教育長の通知は依命通知で補足説明されているとおり市教育長に対する指導助言であり、市教育委員会及び校長を拘束するものではないとする見解であります。2、学習指導要領の「望ましい」の解決について県教育長は、望ましい教育内容として大事なことだからその方向で実施してもらいたいということである。やらなくてもよい、どうでもよいことを学習指導要領で規定するものではない。文部省の解釈も同じであり、この立場に立って沖縄県教育委員会は、卒業式や入学式での国旗、国歌の指導を今後ともその方法で指導していくつもりであると言っていることに対して、那覇市の教育長の解釈では、学習指導要領の「望ましい」ということは、可能ならばそのように行うことが望ましいと解釈することが最も妥当であるとの結論に達したというものであり、この可能ならばということは学校現場において判断できることであり、子供の教育権を中心に教職員が協力、努力して初めて可能になるとしています。
では、指導助言についてはどう考えればよいか。
第一法規出版の教育学大事典によれば、指導助言の概念は指揮監督の反対概念として使われており、すなわち指揮監督が法的拘束力を持って上級行政機関から下級行政機関へ、あるいは職務上の上司から下僚へ、その所掌事務について命令し、服従させるという権力作用を意味するのに対して、指導助言とは、対等な行政機関、職務関係の中で機能する法的拘束力を有しない非権力的な作用とされている。旧教育委員会法で指導主事は、校長及び教師に助言と指導を与える、命令及び監督をしてはならない――第52条――とあるのは、この両概念の対照を最もよく示していると言われています。那覇市教育長の通知は、文部省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会はそれぞれの独立した機関であって、命令、服従の関係にはなり得ない。むしろそれぞれの使命等を分担して援助し合うべき立場である。那覇市教育委員会は、かかる自覚を改めて確認するものであるとしています。
学校教育について、文部省の指導要領の解説は、次のように指導しています。
1、学校行事の指導計画は、それぞれの行事がその教育的な価値を十分に発揮し、教育の効果を高めることができるように弾力的、融通性に富むものであることが望ましい。2、学校行事は、各教科などに比べ各学校の創意工夫や特色を最も多く発揮できる活動であるから、学校行事について全校の教師が共通理解を深め協力して、よりよい計画を生みだすようにすることが望ましい。3、儀式的行事の教育的効果は、参加する児童生徒がその儀式から受ける感銘の度合いに大きく左右される。したがっていたずらに形式に流れ、慣例に頼ることなく、常に工夫を加えることが望ましいと。
先日の文教厚生委員会で陳情採択の可否について与野党間での休憩中の話し合いの中で、与党の某議員が、野党の皆さんは日の丸、君が代問題は押しつけと見ているかどうかと尋ねましたので、私たち野党議員は、当然押しつけであると答えると、同議員はすかさず、では反対だ、我々は押しつけとは見ていないと発言しました。
この発言が端的に示しているように、日の丸、君が代問題の対決点は、まさに県教育長通知やその一連の強力な指導と言われるものについて押しつけと見るか、それとも押しつけとは見ないかにあります。それで反対討論においては押しつけでない理由は明確にする必要があります。
私は、幾つかの点から論じてまいりましたが、賢明なる議員諸公は、県教育長と那覇市教育長の行政指導についての考え方に大きな相違点があることは先刻御承知のことだと思います。私は、日の丸、君が代問題に対する県教育長の指導行政には数々の誤謬があり、那覇市教育長のそれには一点の非の打ちどころもない、教育の本質に立脚した民主的ですぐれた指導行政であるとの感を深くしております。
これまで述べてきた私の見解を整理してみると、1、今春の卒業式の混乱の最も大きな責任者は、誤った指導行政をしてきた県教育側にある。2、このような誤った行政指導によって引き起こされた混乱によって発生した処分は当然不当であり、潔く撤回すべきである。3、県教育行政当局は、いかなる形であれ、一方的に地教委及び学校現場への介入をすることなく、校長を中心にした学校全校職員の知恵と協力で発揮できる子供を主人公とした学校行事が創造できるよう、その保障をすべきである。4、県教育委員長及び県教育長が進めている反動的教育行政に対して、沖縄の平和、民主教育を憂慮する心ある県民から反撃の声が上がるのは理の当然であり、本陳情は、県教育行政の反動的な姿勢を追及する県民総決起大会における退陣要求決議であります。よって、本県教育行政の両責任者は、日の丸、君が代問題に対する取り扱いの誤りを深く反省して速やかに退陣すべきであります。
以上申し述べて、陳情第69号、第86号、第90号及び第92号の4件の採択に賛成する討論を終わります。
○議長(志村 恵君) 我那覇祥義君。
〔我那覇祥義君登壇〕
○我那覇祥義君 陳情第90号県教育委員長・県教育長の即時退陣等に関する陳情に対して採択に反対する討論を行います。
この件は、日の丸、君が代を学校に持ち込んで押しつけしないでとの考えを持つ沖教組、革新団体の立場と、学校行事は一定の目的を持って行う教育活動であり、その実施に当たっては学習指導要領に沿って校長の責任のもとに行われるべきで、当然、日の丸掲揚、国歌君が代斉唱の教育はすべきだと考える立場の県教育委員長、県教育長は、大事な、そして立派な考え方であると、将来の教育に対し国際的人格を養うのに正しい教育指導であると思うこととの対決であると私は考えます。
去る卒業式で日の丸掲揚、君が代斉唱することは指導助言で望ましいことである。これからの国際的人格を養うには、現場教育にそのことを採用する通知をし協力を求めたら、沖教組なる政治的集団結社と見られる学生を盾にとって日の丸掲揚、君が代斉唱の学校現場で行事には使わない考えを固守し、物言いと言いがかりで社会問題に発展させた責任は大きい。沖教組、革新団体は、日の丸、君が代は、戦前に封建的なもの、天皇制の社会、そして戦争を起こさせたものと取り扱い、戦後は主権在民、民主国家、天皇の象徴と立派な社会制度を見つけることなく戦前と同一視し、また帝国主義、軍国主義、天皇制社会が実現するかのように被害妄想を県民に訴えることは正しくない。そしてこれから21世紀に向けてのすばらしい学生にこのような被害妄想的な教育を押しつけるのが、将来悔いを残す教育だと思う。
沖教組、革新団体の言う平和教育を言うなら、私は、教育現場に逆に日の丸を掲揚し、国歌の君が代を斉唱させ、その事実関係等、今日の社会制度が戦前に比べて大変よい民主主義国家になっている違いを教育する勇気ある教育者になってもらいたい。それこそこれからの学生が将来に向かって責任ある人間として活躍される子弟が完成するものと思う。この日の丸掲揚、国歌君が代斉唱の反対はだれのものかというと、それは沖教組、革新団体のものであって、決して現場の学生のものでないことは確かであります。
また、このたびの学校職員及び学校長の33名の処分をしたのは、国旗、国歌に反対したから処分したとする沖教組の考えが県教育委員長、教育長の退陣要求につながっておるが、それは間違った行動で許すべきでないと考える。教育長、教育委員長の処分した理由は、あくまで地方公務員法に定める服務規定に抵触する事実があると判明したからであって、もしそれに不服であれば陳情なる嫌がらせ的な方法、手段はとらずに、法治国家であるから告訴して、なぜそのようにしないかという素朴な疑問を抱くわけです。
よって、陳情90号を初め69号、86号、92号に対する陳情には反対するものでございます。
以上であります。
○議長(志村 恵君) 宮城健一君。
〔宮城健一君登壇〕
○宮城健一君 社会党県議団を代表して、陳情第69号、同じく第86号、同じく第90号並びに第92号について、いずれの陳情もその願意は妥当であり、採択に賛成する立場から討論を行います。
日の丸、君が代については、当議会における自民党多数による強行採決以来、県民世論を二分する形で大きな論議の的になっていることは御承知のとおりであります。
また、教育現場への押しつけに対してもその不当性を強く訴えてきたのであります。しかし政府・自民党の政治的意図に忠実な本県教育長は、教育現場の意見や世論に耳をかすことなく、強権的に卒業式や入学式に押しつけてきました。そしてついに多数の教職員に対して処分を行い、弾圧するという非常事態に発展しているのであります。まさに本県における戦後教育の中で前代未聞の暴挙であります。当然のこととして教組や関係団体は、この暴挙に対して県教育委員長並びに県教育長の退陣要求を、県民大会において決議するというこれまた戦後教育史上前代未聞の出来事となったのであります。今や日の丸、君が代の押しつけをめぐって教育現場と教育行政が完全に信頼関係を失いかねない様想を呈しており、極めて不幸な状態に立ち至っています。
さて、この問題の発端は、教育現場への日の丸、君が代の押しつけにあることは前述したとおりでありますが、そもそも学校における卒業式、入学式等の行事は、だれが主体的に計画し、だれのために行うかという問題であります。ごく簡単明瞭な事柄にすぎないが、県教育長にはそのことがわかっていないとしか言いようがないのであります。
卒業式は、当事者である卒業生にとって生涯に一度しか与えられない機会であり、それぞれの学校が彼らを激励し、最高の祝福を贈るために自主主体的に創意工夫を凝らして計画し実践していくすぐれて教育活動の一環であります。入学式についてもまたしかりであります。
教育長が、法的拘束力があるとしている学習指導要領を見ても、特別活動の指導計画の作成と内容の取り扱いという項目の中で、指導計画は、学校の創意を生かすとともに、生徒の発達段階を考慮して生徒自身による実践的な活動が助長されるように作成するものとすると書かれていることからもうなずけるものであります。行政当局の圧力でプログラムを変更させるような行為は絶対に許されるべきものではありません。
今回の日の丸、君が代の押しつけに当たっては、事前に校長を集めて処分をちらつかせながら強権的に推し進めているのであります。そのことによって楽しかるべき、祝福されるべき卒業式が校長と教員のいがみ合い、父母間の反目等大混乱を招き、教育の主人公である児童生徒にはかり知れない不利益を与えたことは歴然としているのであります。ここでは日の丸、君が代のよしあしではなく、賛否両論のある中、しかも教育現場を預かる教職員から、教育的見地に立った強い反対の声があるにもかかわらず、政府・自民党の政治的意図に忠実な余り、一方的に押しつけていく、その行為はまさにファッショ的であり教育行政にあるまじき行為であります。教育現場の実態を掌握していない者にしかでぎない暴挙であります。
学校現場において教育実践を行う場合、その効果を上げるにはいろいろな要素が考えられるのでありますが、最も大切なことは、学校運営の責任者である学校長と直接児童生徒の学習に携わっている教職員の信頼関係、意思疎通による協力体制が何よりも肝心であります。したがって校長の手腕を見る場合、いかに教職員と信頼関係を確立し、それぞれの能力を心置きなく教育実践に生かし得る和気あいあいとした職場づくりができ上がっているかを評価の大きな柱にしなければならないのであります。言葉をかえて言うならば、職制間による命令と服従の関係は極力避ける努力が教育効果を上げるのに最も肝要であると申し上げたいのであります。その協力体制に冷水を浴びせているのが今回県教育長のとった日の丸、君が代の押しつけであります。
児童生徒を中心に物を考える有能な校長であればあるほど、悩みや苦しみは大きいと思うのであります。今回の日の丸、君が代を学校行事へ持ち込む根拠となっている学習指導要領には、国民の祝日等において儀式などを行う場合には、国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましいとあります。望ましいということは絶対ではないということであります。すなわち当該行事のねらいを達成するために日の丸、君が代よりも望ましいものがあるならば、その方を選んでもよいということになります。また国民の祝日等に行う儀式であって、卒業式、入学式は含まれていないにもかかわらず、「など」の言葉を拡大解釈して卒業式や入学式が含まれるとこじつけているのであります。
聞くところによると、この項目は当初、文部省の予定にはなく、防衛庁の強い横やりによって挿入されたものと言われています。したがって前後の項目と比較すると木に竹を接いだようなバランスのとれない項目になっています。そのアンバラな項目をさらに恣意的に拡大解釈をして現場に押しつけたことにそもそもの間違いがあり、教育の中立性を守るべき県教育長みずからが教育基本法や地教行法にある中立性を侵す役目を演じているのであります。そしてみずからの不当性を隠ぺいして日の丸、君が代の押しつけに反対行動した教職員を処分という形で理不尽にも攻撃しているのであります。さらに我が子の晴れの卒業式の成功を願って、その正常化のために行動した父母に対して妨害分子呼ばわりをしているのであります。卒業式や入学式を混乱させた一切の責任は教育行政にあり、裁かれるべきはその責任者であります。
さて、戦後27年間の異民族支配の中でも本県の教育関係者は、劣悪な教育環境を克服して日本国民としての教育を守り通してきました。そして戦後40年の本県教育の中ではぐくまれ、日の丸、君が代の押しつけのない自主主体的な手づくりの卒業式で祝福を受け、社会に送り出された生徒たちが日本国民としての立派な自覚を持ち、平和憲法に示された民主国家の担い手として各方面で活躍していることは御案内のとおりであります。むしろ日の丸、君が代を学校教育に持ち込み、無批判に忠誠を誓わすことにより、将来において国家を破滅に導きかねない偏狭なナショナリズムの芽生えこそ厳に警戒しなければならない事柄であると思います。
教育長は、今回の教職員に対する処分を取り消し、信頼回復に努めるべきであると思います。
以上で陳情4件に対する賛成討論を終わります。
○議長(志村 恵君) 嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 日本共産党県議団を代表し、陳情第69号教育環境の浄化等に関する陳情及び同86号「日の丸・君が代」問題に係る教職員の不当処分に関する陳情同90号県教育委員長・県教育長の即時退陣等に関する陳情、同92号民主的学校づくりの保障に関する陳情に賛成する討論を行います。
まず、今回の日の丸、君が代の学校現場に対する強権的な押しつけと、それによる卒業式や入学式等におけるる混乱とそれ以後の教職員の大量処分は全く全国的に見ても異例で異常なものであり、絶対に許すことのできない問題であります。しかも重要なことは、これが自民党による天皇在位60周年の大キャンペーンや、62年国体に向けての日の丸、君が代の県民への押しつけと軌を一にし、それが教育への不当な介入にもつながっていることが重大な問題であります。
日の丸、君が代が国旗、国歌でないということはこれまでも繰り返し指摘してきたところでありますが、政府としての見解も統一されていないのに、政府の一省庁でしかすぎない文部省が国旗、国歌と押しつけてくること自体重大な問題であります。
県教育長は、学校現場への日の丸、君が代の押しつけについて、学習指導要領や文部省からの通知などを根拠としています。しかしこれらの行為は、憲法や教育基本法に対する重大な違反行為であります。
現在の教育制度は、戦前教育の大きな反省のもとに確立されてきています。戦後の荒廃の中でまず求められたものは、軍国主義と極端に国家主義的な思想と教育を早急に排除することであるとして真剣な取り組みが行われてきました。そして教育行政は、官僚的な画一主義を廃し、公正准民意を尊重し、地方分権を図る等の観点から抜本的に刷新すること。そのため特に政府及び市町村に、公選による教育委員を設置する等の措置もとられてきました。特に教育に関する国の定めは、国民主権の原則のもとに憲法の理念と規定に基づき法律によって定めるものとされたことは、それまでの教育関係立法が天皇の独立命令たる勅令によって定められていた、いわゆる教育立法の勅令主義を法律主義に定めるもので、戦後の教育法制を一変させることとなったものであります。
戦前の教育は、天皇主権、勅令主義、中央集権制度でありましたが、戦後教育はこれを根本的に改め、民主主義、地方分権、法律主義として確立されたのであります。ところが現在は、教育の反動化が急速に進み、教育臨調、教科書検定など戦前の教育制度の復活を思わせるような事態がどんどん進行しています。その中心的な根拠が学習指導要領に基づいて行われているだけに、改めてそれに基づいて明らかにしておく必要があります。
もともと学習指導要領は、憲法や教育基本法にうたわれている人間教育を目指し、教師の教育活動の手引書としてつくられたものであります。それが指導助言の範囲のものであります。例えば文部省は、昭和23年に、指導助言行政は一言にしていえば、戦後改革の基本原理として教育そのものにかかわるところの、他の行政分野には一般に見られない教育行政ないし教育行政権にのみ特有なものであり、そのゆえに教育行政がまさに指導助言行政であると言われるゆえんでもあるが、また戦前日本の法制には見られなかった戦後教育行政の制度、内容、そして方法の原理でもあるということができる。これについては日本国憲法、教育基本法法制下のとりわけ教育内容行政に関する重要かつ基本的な原則であるとしてこれを重視する学者が繰り返しその意義を強調してきた。そして今日では学習指導要領に関していえば、その法的拘束力を原則的に否認し、指導助言行為であると解するのが教育法学上の通説といっても過言ではないと思われる、こういうことを強調しております。
そして学習指導要領について、学習指導要領は教育課程を構成する場合の最も重要な資料であり、基本的な示唆を与える指導書である。学習指導要領はどこまでも教師に対してよい示唆を与えようとするものであって、決してこれによって教育を画一的なものにしようとするものではない。学習指導要領は児童や生徒の学習の指導に当たる教師を助けるために書かれた書物であって、教師が各学校において指導計画を立て、教育課程を展開する場合に教師の手引として教師の仕事を補助するものとして役立つものでなくてはならない。教育課程の構成は、本来教師と児童生徒によってつくられるべぎものである。教育行政の機構に関し、文部省という中央教育行政機関が教育委員会や学校に基本的に監督関係でなく、指導助言関係にあるというのは、換言すればその対象、つまり教育委員会や学校の自立性、自主性を認め、その上に成立している関係の原則であること、他の1つは教育行政の内容、つまり、指導助言の内容は少なくとも一般に上下の関係である法的拘束力のある指導監督関係とは反対で、かつ専門的、技術的な内容、権限でなければならないこと。教育内容は教師や学校が主体的に作成すること。子供の要求を背景に、及び学習指導要領はそれを助けるためのものであることが基本的に確認されている。そして権力的でなく専門的な指導助言行政がまさにこの基本事項より確固たるものにするということである。言いかえれば、確認されている重要な点は、第1に教師、ひいて学校が子供の必要の上に立って、教育課程をいかに作成し実施するかが最大の課題として考えられているのであり、この課題を達成するためにいわば従属的に学習指導要領が存在するものだと考えられているのである。教育行政、指導助言行政のあり方がこうした基本的な点にかかわって限界づけられているというのが文部省の見解でありました。
現在の教育長の態度は、まさにこの学習指導要領、文部省がこれまで強調してきた点、それを全く正面から否定するようなものになっているわけであります。とりわけこの件については、憲法の23条では教育の自由ということが、明確にうたわれておりますけれども、例えば家永三郎先生の教科書裁判の判決では、学習指導要領に対して、学習指導要領にしてもその細目にわたってこれを法的拘束力のあるものとして現場の教師に強制することは、教育の重要性に照らし適当ではないということが明確に宣言されております。
それから今回のこのような教育の介入については、教育基本法の第10条に違反するということが指摘されなければならないと思います。教育基本法第10条の解釈は、憲法に適合する有効な他の法律は、教育基本法の規定及び同法の趣旨、目的に反しないように解釈されなければならないのであるから、教育行政機関がこれらの法律を適用する場合においても、教育基本法10条1項に言う不当な支配とならないように拘束を受けるものと解すべきである。教育の自主性、自立性を強くうたったものというべきであるから、議院内閣制をとる国の行政当局も、不当な支配の主体たり得ることは言うまでもない。同条後段の解釈としても、そこで教育の国民に対する責任というのは、教師がその教育自体によって直接に国民全体に対し、文化的ないし教育的意味での責任を負うべき「旨を定めたものというべきである。教育基本法10条と教育への不当な支配には、不当な行政権力の支配をも含む。教育は一般行政と異なり、教師の主体的活動がなければ十分な教育効果を上げることができないが、国の教育内容行政が、全国的な大綱的基準の設定や指導助言をなし得るにとどまるほど、教師の自由、教育ないし独立が排他的、絶対的であり得るはずはない。しかも今回のように、本土各県と比べてとりわけ沖縄がその実施率が悪いということで強圧的になっていますが、これは沖縄県民の天皇や日の丸、君が代に対する特殊な感情があることを無視したものになっています。弾圧を繰り返しながら学校現場を混乱させ教職員を大量処分する、このようなことが認められていいはずはありません。
よって、私どもは、この陳情は正当であるということで賛成する討論を終わります。
○議長(志村 恵君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
休憩いたします。
午後0時7分休憩
午後0時8分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
これよりただいま議題となっております陳情14件の採決に入ります。
まず陳情第69号、第86号、第90号及び第92号の4件を除く陳情10件を採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの陳情10件は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情10件は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情第69号を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情第69号は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情第86号を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情第86号は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情第90号を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情第90号は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情第92号を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情第92号は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第12 陳情14件を議題といたします。
各陳情に関し、委員長の報告を求めます。
土木委員長。
〔土木委員長 金城 宏君登壇〕
○土木委員長(金城 宏君) ただいま議題となりました陳情14件につきましては、慎重に審査いたしました結果、お手元に配付してあります審査報告書のとおり処理すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これよりただいま議題となっております陳情14件を採決いたします。
お諮りいたします。
各陳情は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情14件は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第13 陳情10件を議題といたします。
各陳情に関し、委員長の報告を求めます。
米軍基地関係特別委員長。
〔米軍基地関係特別委員長 我那覇祥義君登壇〕
○米軍基地関係特別委員長(我那覇祥義君) ただいま議題となりました陳情10件につきましては、慎重に審査した結果、お手元に配付してあります審査報告書のとおり処理すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。
○議長(志村 恵君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
休憩いたします。
午後0時12分休憩
午後0時13分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
これよりただいま議題となっております陳情10件の採決に入ります。
まず陳情昭和60年第172号の3、同第175号の2、第65号の2及び第66号の3の4件を除く陳情6件を採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの陳情6件は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情6件は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情昭和60年第172号の3を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情昭和60年第172号の3は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情昭和60年第175号の2を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情昭和60年第175号の2は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情第65号の2を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情第65号の2は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、陳情第66号の3を採決いたします。
本陳情に対する委員長の報告は不採択であります。
お諮りいたします。
本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(志村 恵君) 起立少数であります。
よって、陳情第66号の3は、不採択とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 各常任委員長及び特別委員長から、会議規則第82条の規定により、お手元に配付いたしました申し出書のとおり閉会中の継続審査の申し出があります。
お諮りいたします。
各委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
よって、各委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日をもって議会は閉会となりますが、議員各位には長い会期中、連日熱心な御審議をいただき、議長として心から感謝を申し上げます。
なお、今定例会における議会活動状況は、後ほど文書をもって報告いたします。
以上をもって本日の会議を閉じます。
これをもって昭和61年第4回沖縄県議会(定例会)を閉会いたします。
午後0時16分閉会
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