平成12年(2000年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月 7日
安里  進
 

 一般質問のしんがりを務めさせていただきますけれども、代表質問から4日間、皆様方には大変御苦労さまでございました。あとしばらくですので、よろしくお願いをしたいと思います。
 私も、去る7月3日の住居侵入、それから準わいせつ事件に対しては心から怒りを覚え、抗議の意思を表示しておきたいというふうに思っております。
 なぜ、どうして沖縄県内で大きなイベントが行われるときに、必ずと言っていいぐらい米軍による事件・事故があるわけであります。不思議なぐらいであります。これは、日ごろからぜひひとつ当局におかれましても厳重にその辺のことについて、私も去年の6月にサミットが決定してから必ず何か起こるんじゃないかと思って心配して申し上げましたけれども、案の定そういうことが起こって大変怒りに燃えておりますが、ひとつよろしく県当局におかれましても頑張っていただきたいなというふうに思っております。
 では、一般質問をいたします。
 農業問題について。
 本県の農業の基礎条件は、生産基盤整備の進展、各種近代化施設の導入、ミバエ類の根絶等により改善が進み、我が国唯一の亜熱帯に属する地域特性を生かしてさとうきびを基本作物としながら、冬春期主体の本土向け野菜や花卉、熱帯果樹の生産、さらには豊富な草資源を活用した肉用牛生産など多様に展開され、全国的な供給産地として一定の地位を確立しております。
 また、農業は製造業の中で重要な地位を占める砂糖製造業や食肉加工業などへの原料供給部門であり、他産業への経済波及効果の高い重要な産業であります。
 さらに、農村地域における就労機会の確保や定住促進に大きな役割を果たすとともに、自然景観の保全、伝統文化の継承、県土の保全等の多面的機能を有しております。
 一方で台風や干ばつ等の厳しい自然条件に加え、島嶼性や市場遠隔性などの地理的制約条件を抱えるとともに、貿易自由化による輸入農産物の増加や農産物価格の低迷、農業従事者の高齢化と担い手の減少など本県農業を取り巻く情勢は一層厳しさを増しております。
 そこで、次の質問をいたしたいと思います。
 (1)つ、農業経営基盤強化促進基本構想による認定農業者の認定状況は、平成10年度は45市町村において1070経営体(うち法人89)となっているが、北部12市町村の認定農業者の状況はどうなっているか、またどのように指導しているか、お伺いをしたいと思います。
 (2)番目に、農業粗生産額と農家所得について、平成9年度の農業粗生産額は985億円と前年比で2.7%の増、平成10年度の農家所得は341万円で全国との格差は51.9%となっている。前年比は約18万円で4.9%の減になっているが、その原因は何か、またその対策はできているかどうか、お伺いいたしたいと思います。
 (3)つ目に、沖縄県は大消費地である本土から遠隔地にあり、輸送手段の確保や輸送コスト等の問題があり本土との競争が難しいと思います。競争力を高めるためには輸送コストの低減を図るとともに、抜本的対策が必要であります。JRコンテナ駅等の誘致を含め政府に対し強力に働きかけ、コスト低減を政策的に取り組むべきと思うが、知事の見解をお伺いしたいと思います。
 私は、去る6月15日に玉澤前農林水産大臣が来県されたときに、直接このJRコンテナ駅について要請いたしました。JRコンテナ駅の件について事務当局に指示をしたがいろいろ難しい点があるという話でしたが、この件についてどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
 大きい2番目、沖縄県の水源基金についてお伺いいたします。
 水は、私たちの生活及び社会活動の基盤をなす重要な資源であります。一日も欠くことのできない基本的な資源であります。
 県は、安定した水の供給を図るため沖縄振興開発計画に基づき多目的ダムの建設を初め河川水、地下水の開発、海水淡水化等多角的に施策を進めていると思います。しかしながら、水の需要量に見合うだけの安定取水可能量は確保されていないため小雨傾向が続くと渇水となり、日常生活に大きな影響を与えております。
 このようなことから、水資源の開発は今後とも必要であり県政の重要課題でもあります。沖縄本島における水政策は、北部の河川で水源開発し中南部に送水するという開発供給システムが構造化していて、水源開発によりさまざまなデメリット、リスクを負う供給地である北部と、その恩恵を享受する最大消費地である中南部では水に対する認識の格差があり、それが深刻な地域間対立、確執を生む要因にもなりかねないと常々危惧しているものであります。
 ダム建設による自然破壊、それに伴う生活環境の変化、地域に生じたあつれきの回復のための努力、完成後もダム地域及び周辺地域が負い続けるリスクは絶大なものがあるわけであります。
 もとより私は、財団法人沖縄県水源基金が基本財産よりの果実運用と県及び受益市町村の負担金を合わせて振興対策事業に努力していることは重々承知しており、敬意を表するものであります。しかしながら、振興対策事業の助成枠の開発水量1立方メートル当たりの基準単価の算出根拠など、ダムある限り水を供給し続ける水源地域としては甚だ妥当性、合理性を欠く仕組みになっているのではないかと懸念されます。
 現に、ダム建設に伴う地元要望事項を推進するにおいて、名護市のみならず水源地域自治体の財政負担は大なるものがあり、北は水の供給のみならず財政事情をも圧迫しながら南送している現実であります。
 沖縄県及び受益市町村においては、水源基金設立の趣旨に立ち返り、水源地域の生活環境の整備を含めた地域開発への協力を真剣に考え行動していただきたいと思います。
 この問題は、水の安定的開発供給システムを確保することからも緊急を要する重要課題であると認識するものでありますが、そこで次のことを質問いたします。
 (1)、水源地域の北部6市町村では特別振興基金の創設を強く要請しているが、知事の決意をお伺いいたします。
 (2)つ、「北水南送」という不合理性に対し水源地の市町村としてはかなりの反感があり、水源地域振興条例を創設して地域振興を図るための財源の確保が必要と主張しているが、どう思うか。
 水資源開発は、沖縄振興開発計画の主要施策であり、水資源の確保は沖縄県発展に不可欠である。したがって水資源開発が地理的条件として北部ヤンバルが必然性があるというのであれば、水源地域の振興を図る特別振興基金の創設に向け沖縄県は受益市町村に対し強力に働きかけるべきと思うが、知事の決意をお伺いいたします。
 (4)番目に、福岡県等では基金条例の制定がなされていると聞くが、資料の提出をしてもらいたい。
 大きい3番目、離島・僻地の救急医療対策についてお伺いします。
 本県は、東西1000キロ、南北400キロメートルの広大な海域に多くの離島が散在する国内唯一の島嶼県であります。県内離島の多くは経済、文化の中心である沖縄本島からの遠隔性に加え、狭小性等の地理的条件により経済社会の発展が制約されております。
 沖縄振興開発特別措置法に基づく指定離島は55島があり、そのうち北部は6島であります。「離島・へき地遠隔医療支援情報システム」についてはインターネット・イントラネット、遠隔画像診断の運用を推進し、離島・僻地診療所等における地域医療の向上を図る必要があります。
 また、離島・僻地医療対策として救急患者搬送時に医師等の添乗するヘリコプターなど添乗医師等確保事業を検討するとともに、無医地区等における巡回診療の充実を図る必要があります。
 北部の場合、村から県へ連絡が行き、県知事から自衛隊、海上保安庁への派遣要請をして、自衛隊の那覇基地から離陸したヘリコプターが島内の患者を搬送し那覇基地に待機中の救急車に引き渡すまでの時間はUHヘリコプターで伊平屋村で1時間30分、伊是名村で1時間18分、伊江村で60分を要するのであります。
 伊是名村のある方は、息子の緊急患者輸送を依頼したところ、自衛隊ヘリにより那覇まで搬送してもらったが、那覇市内の病院で受け入れてもらえなく中部の病院に搬送された、どうにか時間の短縮をしてもらえないかとこういう要望があったわけであります。日本は、阪神大震災以来危機管理の問題が大きく取り上げられておりまして、その取り組みが重要な課題であります。

 そこで、次の質問をいたします。
 (1)つ、離島診療所で対応が難しい重症救急患者は医療施設の整った施設に陸上自衛隊や海上保安庁のヘリコプター等で搬送しているが、平成11年の搬送件数は何件か、またそのうち北部離島3村(伊江村、伊是名村、伊平屋村)はそれぞれ何件になっているか。
 (2)番目に、北部離島3村の場合、那覇の自衛隊基地からの発着所要時間が先ほど申し上げましたように1時間以上もかかり、また那覇に着いてからも渋滞に遭うなど生命にかかわることも間々あると聞きます。
 そこで、所要時間を短縮することで生命が救われるというんだったら、名護の北部病院を利用することが望ましいと思います。北部病院にヘリパッドを設置する必要があると思うが、県の取り組みの姿勢をお伺いしたい。
 また、北部病院に消防法上難しければ名護漁協の広場があります。そこに離島救急用のヘリパッドを設置してもらいたいと思うが、県の真剣なる御答弁をお願いいたします。
 終わります。

 
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