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平成 1年(1989年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月12日
第 3号 12月12日
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議 事 の 概 要
平成元年12月12日(火曜日)
午前10時0分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案から乙第15号議案まで及び認定第1号から認定第19号まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 嘉陽 宗儀君(共産党)
2 下地 常政君(新政クラブ)
3 友寄 信助君(社会党・護憲共同)
4 松茂良興辰君(新政クラブ)
5 島袋 嘉盛君(社大党)
6 白保 台一君(公明党)
7 宮良 作君(共産党)
午後3時53分散会
○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案から乙第15号議案まで及び認定第1号から認定第19号までを議題とし、質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 第1の質問は、浦添市土地区画整理の問題についてであります。
浦添市の元区画整理指導室長が、西原土地区画整理事業の指名競争入札に絡む収賄容疑で逮捕された事件は、多くの県民や同区画整理にかかわる関係住民に大きな衝撃を与えています。
そもそもこの区画整理事業は、過半数にも及ぶ地権者や関係住民の意向を無視し、警察機動隊を導入しブルドーザーで有無を言わさずサトウキビや野菜などを踏みつぶし、一方的に事業を進めてきたものであります。
私は、これまで再三にわたって本議会でこの問題を取り上げてきました。地権者に十分な説明も行われないままに組合設立の同意書集めが行われ、重大な組合の設立総会も地権者369名のうち28名だけが参加し、反対者はシャッターを閉めて会場にも入れない異常な状況で強行され、しかも組合の総代会、理事会は形骸化され機能していないという非民主的な運営がまかり通る事態にあります。私は、これまで県当局の責任を追及し、問題解決に必要な行政指導を要求してきました。ところが現在に至っても問題は一向に解決されないどころか、裁判にまで持ち込まれるなど事態はますます深刻になっています。
さらに、比嘉市長が役員をしているゴルフ場は区画整理から除外され、道路ができて一番助かり得をしているが、1坪も減歩がない。みんなは40%近くも減歩で土地がただ取りされて全く住民を食い物にするやり方だと批判も大きく、また組合事業を直接指導する市の担当管理職員数人が同事業と関係のある業者とゴルフをしたり、酒食のもてなしを受けるという目に余る業者との癒着も批判されてきました。
そこでお聞きしますが、私は、そこはもともと地形が複雑で市街地とするのに適当でない地域に該当し、区画整理をすべきでない。また組合設立も必要な地権者の同意も得られていないので、認可すべきではないと強調してきました。それを無視して組合設立を認可し、汚職事件にまで発展したこの非民主的な事業を指導してきた知事の責任を明確にしてください。
2、今後、このような事件が発生しないよう真相を徹底して究明し、地権者、関係住民と民主的に話し合いを行って事業は進めるべきですが、御所見を伺います。
次に、警察にお聞きしますが、私は、これまで区画整理事業に絡む事件が多発している中で、その厳正なる捜査を要求してきました。推進派の犯行と思われる土地を守る会の顧問弁護士襲撃事件が発生しましたが、いまだにその犯人は逮捕されていません。
また、守る会事務所の焼き打ち事件、地権者が襲撃され、中には重症を負わされる事件も発生していますが、いまだに解決されていません。この事態について地権者や関係住民の間からは、警察にも何かあるのではないかと不信が高まっています。なぜそうなっているのか明らかにしてください。
また、今回の汚職事件の捜査の進捗状況はどうなっていますか。特に組合の経理や業者との癒着などまだまだ重大な問題もあるようです。この際、徹底的に捜査をし腐敗を一掃すべきだと思いますが、決意のほどを伺います。
第2の質問は、さつき会恐喝事件についてであります。
さつき会恐喝事件について本土大手建設業者と暴力団との黒い関係が明らかになり、多くの県民が強い衝撃を受けました。
さらに、大型公共工事の半分以上がこの本土大手建設業者に発注されている中で、地元の建設業者には下請の石の会を組織させ、入会しないと仕事をさせないとおどし、高い入会料と会費を徴収し、それを組織暴力団に渡していた事実は新たな県民の怒りを買っています。根の深い事件であるだけに、その全容解明と建設業者と暴力団との黒い関係を断つことが強く求められています。
そこで警察にお聞きします。
このさつき会恐喝事件については、昨年の11月9日付で私に匿名の手紙が届きました。その内容は、さつき会恐喝事件があるが、警察は単なる暴力団の恐喝程度で片づけている。しかしその背景には大きな問題があり、それらを調査し、ぜひその反社会的行為を是正してほしいというものであります。
それで私は、独自に調査をしました。そこでいろいろなことが明らかになりましたので、警察にその手紙を見せ、徹底した捜査と事件の解決を求めてきました。今回の暴力団の逮捕は事件解決の一つではありますが、しかし全容解明というものにはなっていません。現在の捜査の状況は、いま一つすっきりしないものが感じられます。捜査の進捗状況の報告と、今後、県民が納得できるように事件の徹底捜査と全容解明のための決意を伺います。
次に、知事に伺います。
今回の事件は、本土の大手建設業者が暴力団の介入を許した上、金を集める目的で下請業者まですそ野を広げるという全く許しがたいものであります。しかもこのさつき会は、県庁舎建設を進めている本土大手建設会社も加入しており、その下請も石の会の会員がほとんどであります。まさに知事の政治責任は厳しく問われなければなりません。知事の責任を明らかにしてください。
また、本土大手建設業界や地元の建設業界と暴力団との黒い関係を断ち切るための取り組みを伺います。
今回の事件に関して防衛施設局は、さつき会が組織的に関与している場合は基地工事から登録抹消の措置をとると報道されています。当然だと思います。知事はどうされますか。
私は、これまで県発注の公共工事の元請は地元業者を優先し、技術的に本土業者を必要とする場合はJVなどで対処させるべきだと主張してきました。今回の事件を教訓にして再発防止のためにもぜひともそうすることを求めます。知事の御所見を伺います。
第3の質問は、新石垣空港問題についてであります。
私は、去る9月議会で新石垣空港建設予定地になっているカラ岳における土地転がしの疑惑について追及いたしました。ところが県は、「土地の売買は、土地の所有者の権利に基づいて行われる取引行為でございまして、この取引が合法的に行われている限り空港事業者たる県が関与できるものではない」などと無責任な答弁をしました。
また、国土利用計画法の届け出が行われてなく違法な土地取引になっている疑いがあるので事実関係を明らかにするように迫りましたが、プライバシーに関することなので公表できないという許しがたい態度に終始しました。ますます疑惑は深まりました。
そこで私は、それを解明するために土地の所有権者として登録されている光建設の社長や関係職員、さらに国内リゾート開発の関係者に直接お会いして調査してきました。その結果、重大な事実が明らかになりました。
国土利用計画法では、一定規模以上の土地売買等の契約についてその当事者名、土地の所在及び面積、土地に関する権利の種別及び内容、予定価格の額、土地の利用目的等について届け出が義務づけられています。
このカラ岳の土地取引について調査した結果、今年の2月27日付で国内リゾート開発と綜和設計企画との間で売買に必要な国土利用計画法に基づく届け出が行われていました。石垣市長は同日、その2社に受理通知書を発行しています。それを受けて西銘知事は、4月5日付で不勧告通知書を両者に公文書として出しています。したがって本来ならば、所有権は綜和設計企画のものにならなければなりませんが、実際には2月28日付でセンターアートギャラリーに所有権の移転が行われています。全く不可解な事実であります。
当然、その場合、国土利用計画法に基づく届け出が必要でありますが、その手続はやったのですかとセンターアートの社長に問いただしますと、国内リゾート開発と綜和設計企画との間の届け出書を使わしてもらったと説明しています。これは明らかに国土利用計画法に違反した行為であります。
同じ件について綜和設計企画の関係者は、勝手に相手が所有権の移転をしてしまったものだと怒っていました。光建設から資金を貸してもらったことはあるが、土地を売ったわけではない。返済できない場合でも、7月31日までは所有権の移転はしない約束であったと言っています。ところがそれを無視して2月には光建設の関連会社であるセンターアートに所有権移転がされているわけであります。それで改めて7月4日に綜和設計企画と光建設の両者で所有権移転に関する協定書を締結したと強調していました。
それによると、国内リゾート開発名義の登記済み権利証を平成元年7月17日までに光建設に交付するという約束が交わされています。その時点までは明らかに国内リゾート開発に所有権がまだあることを認めています。そのことは去る5月25日付で新石垣空港建設予定地に係る質問書を国内リゾート開発が県に提出し、それに対して沖縄県土木建築部長名で5月29日に同社に回答を公文で出していることから見ても明確です。
ところで、光建設の社長にセンターアートから光建設に所有権移転をした際に国土利用計画法に基づく届け出はやりましたかと質問しましたら、今年の5月ごろ、沖縄県の幹部に所有権はそのままにしてほしいと頼まれた。それでちゃんとした会社の名義にしようということで光建設に所有権の移転をしたと説明し、県からの要請であったために国土利用計画法の届け出の必要もなかったと強調していました。その件に関して県の幹部職員に確かめたところ、そのような内容の話をした事実を認めています。
以上の経過から見ると、センターアートギャラリーの坂上社長の所有から、同じ坂上社長の光建設に所有権が移転する際も国土利用計画法に基づく届け出も行われてなく違法なものであることが明らかになりました。
さらに、光建設の社長は、7月に高良土建部長に東京事務所に呼ばれた際、金利が3カ月で1億円にもなるので早急に態度を決定してほしい。そして全部の土地を買い取ってほしいと頼んだら、早速県からは買い取りの協議をしたいという通知が届いたと喜んでいました。そして来年の1月ごろに運輸省に申請書を出し、6月か7月までには買い取れるのでそれまでは待ってほしいと言われていると説明しています。
幾らの値段で売る予定かと聞きますと、平米当たり7000円はどうしても売りたいと力説していました。そこで私が、県が昭和62年度にこれまでの新石垣空港予定地を購入しているのが2件あるが、その値段は平米当たり638円と700円でしかないので、その10倍で買い上げさせるというのは無理ではないかと言いますと、確かに沖縄サイドから見ると高いかもしれないが、東京から見たらそんなに高いわけでもない。しかもあの土地には西銘知事からの念書もあり、その分、付加価値もついていますよと密約文書の価値を強調していました。
以上が調査についての概要ですが、実に多くの重大な事実が明らかになりました。
まず、国土利用計画法に基づく届け出の問題では、9月議会では秘密なのでその内容は明らかにできないと拒否されましたが、私が入手した県の発行した不勧告通知書には予定対価が平米当たり5600円になっています。これは昨年度に新石垣空港用地として購入した平米当たり700円と比較すると実に8倍の値段になっています。そのために議会に秘密にしたのであれば重大な問題であります。これは明らかに国土利用計画法の定めた許可基準に明確に違反しています。
そこで質問ですが、実際に県が購入した価格より8倍も高い値段がなぜ相当だという通知を出したのですか。これまでは、不動産鑑定士の鑑定結果を強調されてきましたが、それは県の責任放棄であって認められるものではありません。明確な答弁を求めます。
次に、国土利用計画法に基づく届け出が行われない違法な土地の取引が行われていますが、それに対して県はどのような対処をしますか。
また、そうなった原因に県の幹部職員が光建設の社長に所有権はそのままにしてほしいと頼んだ結果であることも明らかになりましたが、その責任はまことに重大であります。どう対処されますか。
議会に諮らずに来年の6月までには買い取りたいと業者に約束しているようですが、それは本当に実行できるものですか。議会軽視も甚だしいものではありませんか。
光建設は、カラ岳に所有する全面積を購入してもらうと強調していましたが、県はどうされるんですか。
知事に改めてお聞きしますが、さきに発行した業者への念書や確約書が地価高騰の要因になっている事実が具体的に明らかになりましたが、その責任をどうとりますか。
黒い霧に包まれたカラ岳への空港建設をやめて当初の候補地の中から場所を選定し直すべきだと思いますが、どうですか。
第4の質問は、基地問題についてであります。
12月5日からビーチ・クレスト90の軍事訓練が12日までの日程で行われていますが、これは訓練空域を拡大し、沖縄の空の安全を脅かす極めて危険なもので絶対に認められるものではありません。即刻中止させなければならないものですが、それに対して知事はどのような対応をされたのか明らかにしてください。
第5の質問は、知事の政治姿勢についてであります。
回胴遊技場の建設が全県的に大変なラッシュで進められています。これは、青少年の健全育成の立場からも黙過できない状況になっています。しかも本県議会でも、今後の建設については自主的に全面的に禁止するよう決議を行っています。
今、沖縄市の美原小学校近くに新たな遊技場が建設されるという問題で地域住民や教育関係者が立ち上がっています。
知事はこの際、県議会決議を尊重する立場からも強力な行政指導で建設を中止させていくべきだと思いますが、決意のほどを伺います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 嘉陽宗儀議員の御質問に対しましてお答えいたします。
基地問題についてお答えいたします。
臨時訓練空域は、運輸省と米軍との間において民間航空交通の安全確保に配意して設定されているものと理解いたしております。
次に、遊技場に関する県議会決議に対する決意のほどをただされましたが、お答えいたします。
青少年の健全育成は、地域社会が一体となって環境づくりを進める必要があり、その観点からいたしましても平成元年第2回定例会における新規回胴遊技店舗の全面規制に関する決議が議決されたことは好ましいことだと考えております。
この種遊技場設置に対する私の考えは、建設中止というのは無理と思われますので、関係部局に有効な方法はないかを検討させ、本議会決議の趣旨に沿うよう行政指導を徹底してまいりたいと思います。
その他の質問につきましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) まず、区画整理事業に絡んで取り上げられました3件の事件捜査状況についてお答えします。
御指摘の3件のうち、地権者が襲撃され、その中には重症を負わされている者もいるとの事件につきましては、慎重に捜査した結果、本件は推進派、反対派双方が入り乱れて乱闘となった事件であり、傷害、器物損壊で1名、住居侵入で8名、暴行で1名の被疑者を割り出しまして、昭和62年7月22日、身柄不拘束で送致いたしまして事件は終結しております。
他の弁護士襲撃事件と守る会の事務所火災事件につきましても、事件発生後直ちに所要の捜査を実施し、引き続き捜査中でありますが、犯人の特定に至っておりません。
これらの事件につきましては、警察は、犯罪に対し厳正、公平、不偏不党の立場から捜査を推進しているところであります。
また、このような観点から、このたびの元浦添市区画整理組合指導室長による汚職事件につきましては、約2年前から内偵捜査を進め、本年11月26日に収賄被疑者1名及び贈賄被疑者2名をそれぞれ逮捕し、現在、鋭意捜査を継続して全容解明に努めているところであります。
捜査の具体的内容につきましては支障がありますので、答弁は差し控えたいと思います。
次に、さつき会の恐喝事件の関連でお答えします。
県警察におきましては、暴力団は反社会的犯罪集団であるとの認識に立ち、対決姿勢をもって暴力団を壊滅させるため総力を挙げて諸対策を推進しているところであります。
取り締まりの重点といたしまして、首領、幹部、組員の大量、反復検挙、資金源、犯罪の封圧、けん銃など武器の押収強化の3つの事項を推進しているところであります。また、県民と一体となってあらゆる地域、職域からの暴力団排除活動を行っているところであります。
このような基本姿勢を踏まえまして、本件のさつき会恐喝事件につきましても、暴力団総合対策の一環としてとらえて進めてきたところであり、単なる暴力団の恐喝事件として片づけているわけではありません。本件は、2年前から捜査に着手し、裏づけなど所要の捜査を実施し、御案内のとおり11月2日に関係被疑者2名を逮捕して、現在も捜査を継続しているところであります。今後、検察庁と連携しながら、捜査を徹底し事案の全容解明に努めていく決意であります。
さらに、暴力団排除活動を強化するため、今回のさつき会に対する恐喝事件を契機として各警察署単位に建設業者らが暴力追放協議会を結成し、現在、7地区で暴力団排除に関する決議をするなど暴力団排除機運も高まっておりますので、関係機関団体と連携をとりながら暴力団排除に向けた対策を強化してまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 嘉陽先生の御質問に対しましてお答え申し上げます。
まず最初は、浦添市西原土地区画整理問題についてでございますが、質問の趣旨は、組合設立の要件も整ってないのに許可をした責任を明確にせよとのことでございますので、お答え申し上げます。
当該地域は、地理的に中南部を結ぶ位置にあり、近年、急速に市街化が進展している地域でございます。このようなことから、地元の強い要請を受け、土地区画整理事業の実施を前提に、昭和58年4月に沖縄県都市計画地方審議会の議を経て市街化区域に編入したものでございます。
また、当該事業は組合施行であるため、土地区画整理法第14条の規定に基づき昭和59年6月21日に組合設立認可申請が提出され、県としては、同法第21条の規定に照らし審査をした結果、法定要件を具備しているため申請内容は適正であると認め、昭和59年9月28日付で認可したものでございます。
しかしながら、その後、地権者の一部から、組合設立無効確認の訴えがなされる等事業推進に不満を持つ地権者もいることから、今後とも円滑な事業執行が図られるよう浦添市を指導してまいりたいと考えております。
次は、地権者や関係住民と民主的な話し合いのもとに事業を推進すべきであるが、どうかについてお答え申し上げます。
土地区画整理事業は、宅地の利用増進と公共施設の整備改善を図るため土地の区画と形質の変更や公共施設の新設、変更を行い、健全な市街地を形成して公共の福祉を増進する事業でございます。
一方、当該事業は、地権者の財産権について規制を伴うものでございますから、浦添市やあるいは西原の土地区画整理組合においては、地権者に対して事業説明を行う等合意形成を図りつつ事業を推進しているところでございますが、事業実施の過程において地権者の間で反目し、さらに裁判に訴える等の問題が惹起しておりますことは、好ましい事態ではないと考えております。したがいまして県としましては、今後ともこのようなことがないよう、さらに事業の促進が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
次は、さつき会恐喝事件についてでございますが、これの中の土木建築部に係るものについてお答え申し上げます。
まず1点目は、建設業界と暴力団との黒い関係を断ち切るための取り組みについて伺いたいについてお答え申し上げます。
建設業界から暴力団等を排除することにつきましては、従来から建設業法及び関係法令の規定を踏まえて指導を行っておりますが、さらに昭和61年に関係機関及び関係団体と連携し、沖縄県建設業暴力追放協議会を設立させ、暴力団等の排除に関する決議がなされているところでございます。また県においても建設業の許可、公共工事における指名審査などにおいて建設業から暴力団を排除するため所要の措置を講じているところでございます。
なお、今回の事件を契機としまして、一層の周知徹底を図るため平成元年11月24日付の文書により関係団体への指導を行っております。
また、業界におきましても、関係機関と連携し、各地区ごとの建設業暴力追放協議会を設立し暴力団の排除に取り組んでいるところでございます。
次は、今回の事件に対して、さつき会が暴力団と組織的に関与している場合、県はどう対応するかについてお答え申し上げます。
今回の事件については、県警や関係者からの事情収集に努めているところでございますが、さつき会と暴力団との関係につきましてはまだ確証を得ておりません。したがって今後の県警の捜査によって指名停止の要件に該当する事実が明らかになれば、県発注工事に関して指名停止の措置を講ずる考えでございます。
3点目は、県発注の公共工事は地元業者を優先し、技術的に本土業者を必要とする場合はJVなどで対処する考えはないかについてお答え申し上げます。
県が発注する工事につきましては、昭和59年7月に策定しました「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用方針」に基づき県内業者に対して優先的に工事の発注を行っているところでございます。
また、高度な技術を必要とするため県外の専門業者を活用しなければならない場合においても、分離発注や共同企業体の採用等により可能な限り県内業者が参加できるよう配慮しているところでございます。
次に、新石垣空港の問題についてでございますけれども、これについて数件の御質問がありましたけれども、順次お答え申し上げます。
まず1点目は、違法な土地取引が行われている原因に、県の幹部が光建設の社長に、所有権はそのままにしてほしいと頼んだ結果だということも明らかになっているが、その責任はどう対応するかについてお答え申し上げます。
県としましては、御質問にある土地の所有者に対しまして違法な土地取引の原因になるようなことを頼んだ覚えは全くございません。
次は、県は、議会にも諮らずに来年6月ごろまでに買い取りをしたいと。また光建設が所有する土地の全面積購入するよう光建設は県に要請しているようだが、どうするかについてお答え申し上げます。
空港用地の購入に当たっては、航空法に基づく設置許可が必要でございます。そのため空港設置の許可を受けた後に、設置許可の範囲内で購入することになります。したがって航空法に基づく設置許可申請もまだ行ってない現時点で、6月ごろに購入することを地権者と約束したことは全くございません。
なおまた、全面積買収してくれということで光建設から要請されたこともございません。
次は、さきに発行した業者への念書や確約書が地価高騰の原因になっていることが具体的に明らかになりましたが、その責任をどうするかについてお答え申し上げます。
前の予定地での空港建設は、多量の土砂を必要としたことから、土砂の採取が可能なカラ岳すそ野を土取り場として設定し、当時の所有者に対し土石採取の同意方の要請を行っております。
これに対しまして所有者から県に対し、土石の採取や土地使用等について適正な補償を行う旨の確認を結ぶことを要求されております。そのため念書及び確約書を提出したものでございますが、この念書や確約書が地価高騰の要因になっているとは思っておりません。
最後に、当初の候補地の中から場所を選定し直すべきだと思うが、どうかについてお答え申し上げます。
新石垣空港の白保海上案にかわる代替案の検討につきましては、陸上部での選定は、これまでの検討結果からも明らかなように離島の限られた土地では代替農地の確保も困難なため実現性がないこと。
一方、海上部を利用して選定する場合は空域の確保、滑走路の方向などから、白保より大里に至る地先の海上しか建設の可能性がないと判断されることから、今回のカラ岳東海岸を対象に海岸部での代替案の選定を行ったものでございます。
その結果、当地域はサンゴヘの影響が少ないこと、空域が確保できること、集落への航空機騒音の影響が小さいこと、及び陸域については荒地が利用できること等からカラ岳東海岸を新たな空港建設の適地として選定したものでございまして、改めて場所を選定し直す考えはございません。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 久手堅憲信君登壇〕
○企画開発部長(久手堅憲信君) 国土法関係の点につきまして2点御質問がございました。
第1点目は通知書の件でございますが、国土利用計画法第23条第1項による届け出の個別事項等につきましては、さきの9月議会で御説明申し上げましたとおり答弁できませんので、御理解をいただきたいと思います。
それから、届け出が行われていない違法な土地取引についてどう対処するかという点でございますが、一般論といたしまして申し上げますならば、届け出をしないで土地売買を行った者については、特に悪質である場合には国土法の趣旨に照らしまして厳正に対処してまいりたいとこのように考えております。
○嘉陽宗儀君 休憩をお願いします。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前10時36分休憩
午前10時37分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 村山盛敏君登壇〕
○知事公室長(村山盛敏君) ビーチ・クレスト90について知事はどう対応されたかという再質問でございますが、これにつきましてはきのう、南西航空並びに空港事務所の方に問い合わせしましたところ、航空の安全に、航行の支障はないという返事でございました。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 先ほど答弁したわけですけれども、もう一度繰り返しますが、本件のさつき会恐喝事件につきましては、暴力団総合対策の一環としてとらえておりまして、単なる暴力団の恐喝事件として片づけているわけではありません。
したがって、検察庁と連携しながら捜査を徹底し事案の全容解明に努めていく決意であります。
○議長(平良一男君) 嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 私は、新石垣空港の用地問題の疑惑について具体的に関係者に会って調査をしてまいりましたけれども、県の答弁は、知らぬ存ぜぬという言い分であります。
特にこの用地が、この2月に、大体、旧白保海上案から現在のカラ岳に予定変更されるというときから急速に土地転がしが始まって、当時の12億円から、現在、70億にはね上がると。それをやっている会社光建設は、去る議会でも私は言いましたけれども、よその県でも同じような手口でとりわけ国土利用計画法との関係では、抵当権をつり上げて高値買いをさせていると。それで県のそういう幹部に、役所の役員にお金を贈って贈収賄で逮捕されるという、そういう会社なんですね。
この土地については、本人に会ってきましたけれども、全部名刺を持っています。全部名刺持って会ってきました。高良部長とも会って、先ほど質問したような話をちゃんとやったと言っていますし、とりわけ……(「責任持ってよ、あんた」と呼ぶ者あり) そうです、責任持ちますよ。ちゃんと会っていますから。
それから、特にこの土地については高過ぎるんじゃないかということについては、念書があるから当然だという、念書によってその値段がどんどん高くなった、自分たちは高く売るんだということを言っていることから考えてみた場合に、普通の正常な状態じゃないのは非常に明らかだと思います。
とりわけ、国土利用計画法との関係で、私は県の、沖縄県土地開発公社の去年度の決算書、これを手に入れて調査しましたら、今言いましたように高い方で平米当たり700円です。ところが県のこれを見たら5600円、8倍。
秘密だから議会で答弁できないということでは納得できません。こういうことを許さないためにも明確にもう一度その値段について土地転がし、どうするかという問題については、国土利用計画法との関係で業者に対してどうするかということについては明確にしてください。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 久手堅憲信君登壇〕
○企画開発部長(久手堅憲信君) 先ほどの答弁の繰り返しになるわけでございますが、9月議会以来、私ども申し上げておりますとおり、国土利用計画法というものがこういう性質でありますから、個々の事例について肯定したり否定したり、または御指摘のようなことがあったかどうかと、こういうことは申し上げられないというのが国土法の運用でございますので、御理解いただきたいと思います。
○嘉陽宗儀君 議長、休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前10時42分休憩
午前10時43分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
翁長副知事。
〔副知事 翁長助裕君登壇〕
○副知事(翁長助裕君) 誤解が生じると大変県民に疑惑を生じさせかねませんので、ここで明確に答弁をさせていただきたいと思います。
嘉陽県議がおっしゃっているのは、4月5日付の国土利用法に基づく土地の価格が8倍になっているということを指しておるのだと思いますが、県が新石垣空港予定地を変更したのは御承知のとおり4月26日でありまして、私がこれは知事の指示のもとに関係省庁、その他担当したわけであります。したがいましてそれ以前の当該予定地の土地の売買、あるいは権利関係については全く関知をいたしておりません。
それ以後につきましては、先ほども答弁がございましたが、空港予定地の用地の購入については航空法に基づく空港設置許可が必要です。今度は、空港設置許可は地権者の同意に基づいて行われます。
したがいまして、当該土地を購入する以前に空港設置許可を得なくちゃならない。空港設置許可を得るには、地権者の御協力、御理解を得て同意を得なければならない。したがいましてそれ以前に地権者と接触を、公共用地の購入に当たっては、それは当該新石垣空港だけでなく、地権者と接触するのは当然のことなんです。
そういったことはぜひ御理解を願いたいと思いますし、関連しますのでお答えをしますが、5月31日以前の地権者である国内リゾートからは全面積120ヘクタールを買ってくれと極めて強い要請がありました、極めて強い要請が。これは、当該用地に必要なのは約40ヘクタールであろうと思うので、その点については御協力を願うが、全面積を買うことはできないと明確に断ったいきさつはございますが、光建設から全面積を買うように言われたことは一度もございません。
以上であります。
○議長(平良一男君) 下地常政君。
〔下地常政君登壇〕
○下地常政君 通告しました順序に従いまして所感を交えながら質問をさせていただきます。
まず最初に、エネトピア・アイランド設置選定作業の進捗状況についてでございます。
ことし7月にパリで開かれましたアルシュ・サミットの主要議題の一つは、地球環境問題でした。
今や環境問題は、一国一地域だけで解決できる課題ではなくなっています。発展途上国の森林や地下資源等を強奪的とも言える手段で取得し、そして大量費消することによって経済発展を遂げ、高い生活水準をひとり占めにしている先進諸国は、道義上、発展途上国の環境保全の責任をも負うものであります。
問題をエネルギー使用に限って考えますと、石炭、石油など化石燃料の使用は、生活の多様化、高水準化、快適化に伴って加速度的に増大し、これに伴い地球の温暖化が進んでいると言われています。ある意味では、クリーンなエネルギーである原子力がエネルギー費消の重要な地位を占めつつありますが、そこから排出される廃棄物処理問題、チェルノブイリ原発事故に見られるような運転の安全性の問題などで反対の声も大きく、新規建設等困難になっており、エネルギー需要増大とともに新たなクリーンなエネルギーの開発が緊急な課題となっております。
技術大国である我が国でも、通産省に設置された新エネルギー導入モデル調査委員会が、新エネルギーの実用化研究を集中的に行う研究拠点エネトピア・アイランドを沖縄県内離島に建設することとし、今、その調査選定作業を進めつつあります。
この構想は、地球環境保全の立場はもちろん、離島振興の見地からも離島住民から熱い期待を寄せられております。
そこで、現段階での調査選定作業の進捗状況と決定の時期、見通し等をお聞かせいただければ幸いでございます。
2番目に、県内における国民年金の納付状況とその向上対策についてであります。
何人といえども避けて通ることのできない老年期の到来を迎えて、私たちが唯一頼りにできるものは年金制度、特に公的年金そのものであります。
ところが、高齢化社会とともに老後生活の保障に欠くことのできないこの重要な国民年金制度に対し、理解の不徹底等もあって年金を納付せず、将来、無年金者になる方の数が相当数に上っている事実があります。
本県の実情を数字で見てみますと、62年度末の実績で検認率、これは納付率と言ってもよろしいんですけれども、52.4%、およそ2人に1人が未納者という憂うべき状態にあります。ちなみに、国民年金の全国平均の検認率は83.7%となっています。
また、復帰による本土との格差を解消するため、せっかく政府の配慮により特別措置が講じられている点についても対象者の25%、4分の1しか認識がないというありさまであります。
これはもはや、これ以上放置できない重要な問題です。担当部課としてもいろいろ対策を講じておられる中で即効が上がらないようであります。
そこで、その原因と実態の把握、それから今後考えられる効果的、具体的な施策等、今後の対策を含めてこの問題に対する取り組みをどうされるつもりかお伺いしたいと思います。
3番目に、厚生年金格差問題の経緯と今後の課題についてであります。
これにつきましては、昨日、岸本忠三郎議員ほか何人かの方から質問がありましたが、再度お聞きしたいと思います。
20年余にわたる米軍統治下で私たち沖縄県民は、日本国憲法以下の諸法令の保障する多くの権利を受けることなく放置されてまいりました。悲願の復帰実現に際し、政府は特別措置により格差解消、損失の補償等を講じ、また立ちおくれている沖縄の県勢については、2次にわたる振興開発計画によって巨額の投資を行ってきたことは御承知のとおりであります。
さらに今年度、3次振興計画の策定に着手を見たことは、西銘県政の大きな成果の一つとして評価されております。
しかし、人間のやったことだからと言えばそれまでですが、復帰作業の過程で厚生年金制度上の格差解消が看過され、近年になって問題化してまいりました。
これにつきましては、西銘知事みずから早々に直接政府へ折衝され、県選出の国会議員の皆さんの働きかけ等もありまして先月9日、厚生省の是正措置が示され、ある程度の前進を見ることができました。
この是正案は、政府としては現行制度で可能な限り措置をしたということですが、しかしある試算によりますと、昭和63年度モデル年金で年間、本土222万円に対し、沖縄132万円と90万円の開きがあるということです。これでは、大城参議院議員が指摘されているように、法のもとの平等を定めた憲法14条に違反することは明らかであります。
この是正措置の限界は、適正とは言えなかった復帰時の特例を補完するという枠を出ていないところにあります。根本的解決は、その枠を超えて昭和29年の実施開始までに遡及しなければならず、その意味で私たちはこれを受け入れるには不満が残ります。
そこでお伺いしますが、1つは、昭和29年まで遡及実施するとすれば、政府の説明ではどういう問題点があるとしているか。
2番目に、県として今後さらに根本的解決を政府に要請されるつもりはないか、以上お伺いいたします。
4番目に、調和のとれた開発に対する取り組みについてであります。
開発と環境保全、これは古くて新しい問題であります。特に沖縄県は地形、地質等の面で開発による土砂流失、その他の環境汚染が起こりやすい、ある意味ではナイーブな県土形成となっています。農水産業基盤整備、リゾート開発、水資源開発等県経済の拡大に不可欠なもろもろの開発のほか、本県では広大な基地の存在が環境に影響を与える重要な要因となっております。
申すまでもなく、沖縄の自然景観は、基軸産業である観光産業の必要不可欠な重要資源であり、その意味からも本県における環境保全には細心の配慮が要求される極めて重要な行政課題であります。
ゴルフ場だけに限ってみましても、全国で1800カ所、営業中、加えて計画、建設中のものが800カ所、本県だけでも営業中24件、建設中が9件となっており、さらに総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法による本格的リゾート施設の着工が開始される二、三年後の建設ラッシュぶりが今から目に見えるようであります。
従来、開発には都計法、農振法、自然公園法のほか県土保全条例により規制がなされておりますが、リゾート法はこれら規制を緩和しリゾート開発を促進しようとするものであります。
私は、開発計画の進展そのものにブレーキをかけるつもりは毛頭ありませんが、しかし自然あるいは生活環境保全に十分配慮せず、これと調和を欠くような開発は住民の理解と協力が得られず、計画全体の推進に大きな障害となることは、原子力発電所建設問題等に貴重な教訓を見ることができます。
そこで県としては、これまでに実施中あるいは今後策定されるもろもろの開発計画に関し、環境保全の立場から基本的にどのように対処していくつもりか。
また、それを具体的に保障するためにどのような体制をとっておられるかお伺いします。
また、8月22日付琉球新報紙によりますと、国土庁が国土利用計画法に基づき策定される市町村計画において規制区域を設定し、当該市町村の行政指導により乱開発を防止し、秩序ある国土開発を目指す方針を固めたと報道されておりますが、これについてコメントをいただきたいと思います。
5番目に、下地島残地利用計画についてであります。
この問題につきましては、これまで質問の中で再々取り上げてまいりました。これにこたえまして県も積極的に対応をしていただき、地元伊良部町の懸命の努力により3年の歳月をかけて大規模な観光、農業開発を主軸とする利用計画が策定されました。この機会に県執行部の御配慮に敬意を表し、担当者の労をねぎらいたいと思います。
私ども県議会の観光・交通・エネルギー対策特別委員会では、先月、北海道のアルファトマムの施設を視察し、責任者から同計画の全容等を聞く機会を得て、地の利を生かした本格的なリゾート開発の一つのモデルのあり方に接することができました。
そういう点から見ましても、下地島には日本国内唯一の訓練空港、日本でも5本の指に入る大規模空港という利点を最大限に活用することによって大規模な開発が可能であります。
現計画でもこのような立地条件を生かして観光、農業並びに空港及び航空関連用地など3つの利用区分に分け、国内有数の下地島空港と連動した高度利用を図る県内最大規模のものとなっておりますが、先日、地元紙に下地島残地利用計画の大幅見直しという記事が報じられており、この問題も含めて下地島土地利用計画に対する知事の御見解と県としての今後の対応をお聞きしたいと思います。
最後になりますが、全日本トライアスロン宮古島大会に対する評価と支援についてであります。
観光収入が年間2000億円を超え、重要な県経済収入部門を占めて観光立県と言われるまでになった県内で、観光資源に乏しく、観光後発圏域とも言うべき状況下にある宮古圏域ではありますが、しかし人々が地域の不利な面を克服して活性化に取り組み、離島苦の解消と過疎化の防止施策に渾身の努力を払っていることは御承知のとおりであります。
これらの施策は、農水産業、商工業及びその振興の基盤となる社会資本の充実と多岐にわたっておりますが、中でも平たんで変化に乏しいという島のマイナス面をプラス面に転換しスポーツアイランド構想を打ち出し、その柱としてアメリカ合衆国ハワイ州のそれに範をとり、トライアスロン大会を企画実施していることもまた御承知のとおりであります。
この大会は、昭和60年の第1回大会から琉球新報社さんの支援による企画運営の成功と相まって、NHKの全国向け中継放送がなされたことにより全国のトライアスリートを主とするスポーツ関係者及びスポーツ愛好者の間にその名を知られるようになり、沖縄宮古島の存在を一挙にアピールすることができました。
そのことが、観光産業の振興を核として地域の活性化に大きく寄与してきたことは、地域活性化のモデル地域として昭和63年に国土庁長官賞を受賞したことにも如実にあらわれており、県内はもとより、全国の地域活性化事業の模範となっているところであります。
そこでお伺いしますが、県としてはこのような事業をどう評価されるのか、1点。
そして、この事業にどのようにかかわり、どの程度の支援をしてこられたか。
また今後、資金面も含めてより積極的な対応をしていかれるつもりはないか、以上3点について見解をお示しいただきたいと思います。
通告にはございませんが、へき地級地見直しにつきましての教育委員会及び知事を初め三役の御労苦に対し謝意を申し上げ、平良市としてはほぼ解決しておりますが、残りの部分につきましても一層完壁な解決を見ますようお願いをいたします。
それから、昨今のソ連及び東ヨーロッパ諸国の状況につきましてぜひ一言と思いましたが、時間がございませんので、これで私の質問を終わらせて、必要があれば再質問させていただきます。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 下地常政議員の御質問に対しましてお答えいたします。
下地島残地利用計画の御質問がございましたが、お答えいたします。
下地島土地利用基本計画は、下地島全体の開発の基本方向を明示し、活力ある地域社会の形成と離島地域の振興に資するために策定されたものであります。
御案内のとおり、下地島は3000メートルの滑走路と高度な航空関連施設を有する空港を持っていることから、空港の持つ人、物、情報等を高速定時に運ぶ機能を活用いたしまして広域的な市場を対象とする産業開発が可能であります。そのための空港と背後地、残地の有効利用を目指すものであります。
このような立地条件や地域特性及び下地島の自然条件を生かして農業、観光及びリゾートなど5つの利用目的別に区分しており、下地島の開発は伊良部町の振興開発の起爆剤となり、宮古圏域の活性化に寄与する大きなプロジェクトとして期待いたしております。
御質問のございました残地利用計画については、現在、具体的な実施計画に取り組んでおります。観光・リゾート関連用地については、伊良部町が中心になって事業計画を進めているところであります。
また、同地域をリゾート法に基づく重点整備地区とするため、県においてはリゾート開発基本構想の中でゾーニングを行い、現在、関係各省庁と調整を進めているところであります。
なお、今後の対応については、この計画を具体化するため、行政による適切な施策の展開と相まって、地元地域の理解と協力のもとに民間活力を積極的に導入することが必要であると考えております。県としては、伊良部町と連携を密にしながら事業の実施促進に努めていく所存であります。
全日本トライアスロン宮古島大会に対する3点にわたる御質問がございましたが、まとめてお答えいたします。
全日本トライアスロン宮古島大会は、昭和60年に第1回大会が開催され、年々規模も拡大発展し全国大会にふさわしい大会となり、今回で5回を迎えております。
今回の大会には、世界7カ国を初め全国から2280人の申し込みがあり、700人の選手が出場して競技が展開され、大会運営には多数のボランティアが参加し、宮古6市町村が一体となったイベントとして圏域の活性化に大きく寄与しているところであります。
このように地域を挙げての一大イベントとして定着し、地域の活性化に大きく貢献している大会が内外で評価され、昭和63年に国土庁長官賞、平成元年に自治大臣表彰を受けているところであります。
宮古広域市町村圏協議会は、平成元年9月にふるさと市町村圏に選定され、去る11月に一部事務組合に組織変更し10億円の基金をつくり、その果実をもってトライアスロン大会等のソフト事業を計画いたしております。県は、10億円の基金のうち1億円を助成することとしており、トライアスロン大会を中心にいろいろなイベントを実施して地域を活性化し、圏域の振興発展に大いに寄与するものと期待いたしております。
その他の御質問につきましては、所管の部長からそれぞれ答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) エネトピア・アイランド構想の設置場所と決定までの手順はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
沖縄エネトピア・アイランド構想は、通産省が本県内の離島を対象に太陽光発電、風力発電、燃料電池、波力発電等新エネルギーの実証、研究を行うとともに、東南アジアなどへの日本の技術協力の一層の促進を図ることを目的として打ち出された構想であります。
同構想の具体化のため、新エネルギー財団に調査委員会が設置され、具体的立地点の選定、導入プラントの規模等について現在、検討が進められているところであります。現在のところ宮古、八重山の両地域の数力所を対象に波力などのローカルエネルギーの賦存量を調査し、その結果を踏まえて具体的立地点を選定する手順になっております。
なお、今年度末には委員会からこの事業の方向性、あるいはまた候補地を含めた事業の将来の展望が発表されるものと期待をしております。
以上であります。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 下地議員の御質問にお答えいたします。
国民年金の納付状況とのかかわり合いで納付率が極端に低下している、こういった状態をどのようにとらえるかという御質問でございます。
本県のただいまのような状態では、今後も無年金者の発生が続出し、将来、生活に支障を来す老人が多くなっていくという憂うべき事態になるものというふうに考えております。
幸せな老後生活を亭受していただくためにも、無年金者をなくすための強力な行政施策の展開が必要であるというふうに考えております。
どういう理由かという御質問でございますが、制度自体が本土から9年おくれてスタートしたということも一つの理由でございますし、また制度に対して今なお周知徹底されていないということもまた一つの要因でございます。それから、公祖公課に対する認識が低いということも原因の一つと考えられます。
こういったいろいろな原因によってその収納、検認率が低下しているというふうに思われるわけでございます。
そこで、こうした事態をどうしても打開したいというふうに考えているわけでございますけれども、今後の具体的な対策といたしまして、その1つにマスコミによる広報活動、これも大変効果的でございますけれども、それから2つ目としてセスナ機による広報活動を展開いたしてまいりたいと思います。3番目に地区別の年金大会を実施していく予定にいたしております。4番目にポスター、チラシ等による広報活動、それから5番目に市町村の指導強化などきめ細かく実施して一層の検認率向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
それから、厚生年金問題でございますけれども、29年まで遡及できないというのはなぜかと。それから県は、今後さらに要請するつもりはないかという御質問でございますけれども、遡及適用ができないのは、厚生年金保険制度では従来から適用対象の拡大を図ってきており、現在ではすべての業種の法人事業所を適用の対象としているけれども、そのいずれも遡及して適用したことがないと、そういったことから他に及ぼす影響が極めて大きいということが理由とされているわけでございます。
今回の措置以上の改善についてでございますけれども、国として今回のものが最終的な措置であるというふうにしておりまして、現段階においてはその実現は見込めないような状況下にございます。県としては、今後の対応として将来どういうふうな方法をとり得るか、いろんな角度から幅広く検討してまいりたいとこういうふうに思っております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 下地議員の4点目の調和のとれた開発に対する取り組みについて、これまでに実施中あるいは今後策定される開発に関し、その環境保全について基本的にどのように対処しているか、またそれを具体的に保障する体制はどうなっているかの御質問にお答えいたします。
一定規模以上の開発行為につきましては、都市計画法または県土保全条例の定めるところによりまして知事の許可が必要となっておりますが、その処理に当たりましては環境保全の面からも審査を行い、必要に応じて配慮すべき事項を許可条件として付することといたしております。
また近年、ゴルフ場等大規模な土地の改変を伴う開発計画の増加により環境への影響が懸念されることから、最近ではこのような開発についてはあらかじめ環境影響調査を実施し、その結果に基づいて適切な対策が講じられるよう指導をしているところでございます。
さらに、各担当機関において工事中あるいは工事後の監視指導に努めるとともに、特に赤土流出については庁内協議機関でございます沖縄県赤土等流出防止対策協議会において流出源や環境の実態、対策等に関する情報交換、協議等を行ってきております。
なお、リゾート開発や基盤整備等赤土流出の可能性の高い地域における大規模開発に対しましては、こうした個々の事業についての対処だけではなく、現在、策定作業を進めております環境管理計画の策定過程において、中長期的な視点に立った総合的な環境保全のあり方について検討を進めているところでございます。その具体的な支援体制についても、環境情報提供などを含め環境管理計画の中で検討していく考えでございます。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 久手堅憲信君登壇〕
○企画開発部長(久手堅憲信君) 国土利用計画法に基づく市町村計画において規制区域を設定するという報道があるが、これについての県の考え方はどうかということでございますが、国土庁へ照会いたしましたところ、そのような事実はないという回答を得ておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。
○下地常政君 休憩願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午前11時13分休憩
午前11時14分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
振興開発室長。
〔振興開発室長 新垣徳夫君登壇〕
○振興開発室長(新垣徳夫君) 下地島の残地利用計画につきましては、宮古地元におきます宮古毎日新聞の12月7日付の新聞でございますが、その新聞で計画の見直しということで、計画の規模が小さいと。国土庁からいろいろな指示を受けてその計画変更、見直しをやっているというような報道に接しておりますが、このことにつきましては、先ほど知事から御答弁申し上げましたように去る7月に県が策定いたしました下地島残地利用基本計画、土地利用基本計画に基づいて現在、伊良部町自体においてその具体的な開発計画を進めているということでございます。
以上でございます。
○下地常政君 新聞報道は違うわけですか。
○振興開発室長(新垣徳夫君) 新聞報道にあります見直しにつきましては、さきに伊良部町が企業の誘致等についていろいろ、数社の企業の誘致計画がありまして、そこからヒアリングを受けているというような報道がまたさきになされておりましたが、その企業選定に当たって伊良部町自体が町の計画として進めていた計画について、今後のリゾートの重点整備地区とあわせて計画を進めているために、この伊良部町が進めてきた企業の立地について見直しをやるというようなことをお伺いしております。
新聞報道につきましては、これはそういうような事実はございません。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 残地の利用計画でございますが、何としても民間活力を導入して活性化する必要があります。そのために本土業者が二、三いろいろ申し込み等がございまして、そういう意味で新聞報道がなされたと思いますが、私としては、これはあくまでも伊良部町が中心となって、地元が中心となってその計画の主体性を確保しなければならないと。あくまでも計画の主体性と事業の主体性は伊良部町に置くべきである。そういうことで新聞報道になったと思いますが、あくまでも地元主体の計画として、地元を中心としてやっていかなければならない、こういう基本的な考え方に変わりはありません。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) エネトピア・アイランドの候補地はいつ決定するかという御質問でございますけれども、現在、導入調査委員会では宮古、八重山の現地調査を初め既に5回の委員会が開催されております。
なお、委員会は19人から成る産学官の専門家が参画しておりまして、沖縄からも私を含めて7人の委員が参加しているわけでございますが、年度いっばい、この具体的な検討をいたしまして、具体的な候補地の決定は来年度に入るものというふうに考えております。
○議長(平良一男君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、さきに通告しました順序を基地問題を最後にして順次質問を行っていきたいと思います。
まず第1点目は、先ほど来取り上げられております厚生年金の格差是正の問題であります。
去る11月29日の衆議院の社会労働委員会で沖縄の厚生年金について、格差是正のための特例措置を講ずることが与野党一致で決定されました。これを受けて、厚生省から沖縄の厚生年金の特例措置についての方針が提出された。
ところがその内容は、本議会でも全会一致で決議し、また労働組合や経営協などの関係者が要請してきたものと大きくかけ離れており、具体的には復帰時に資格期間短縮の特例措置の対象となった者であって、当該特例措置による老齢年金の受給資格期間を満たしている者について、報酬比例部分の年金額が本土の加入者並みの15年に達するまで保険料の特例納付を認めるとなっている。すなわち、昭和4年以前に生まれた者が適用対象になっており、格差是正すべき対象者約10万人のうち、国の方では2万人と言っておりますが、我々の推定では約1万2000人から1万5000人程度しか適用されないのではないかと見ております。
今回の改善は、復帰の時点で特例措置をした対象者のみに限定されている。したがって大正8年4月1日以前から昭和4年4月1日までに生まれた受給者が、年齢に応じて11年から1年間の加入年数が加算される。しかし同じ沖縄特例受給者であっても大正13年4月2日以降に生まれた方は、定年退職時には加入年数が既に15年以上になっているわけですから、実質的には該当しないので何のメリットもない、メリットが少ないという状況であります。昭和4年4月以降に生まれた被保険者は全く該当しない。そのために格差是正措置に該当すべき10万人余のうち、1万5000人程度しか措置対象者にならないのである。
ですから、今回の沖縄厚生年金の特例措置の基本的な方針は、本土との格差是正を目的としたものではなく、沖縄特例による年齢別受給者間の年齢受給額を一律的に平均化をねらったものである。本土との抜本的格差是正になってはいないということ。
その最大の理由は、何といっても加入日が1970年1月1日に固定化されたままになっているということですよね。したがって現行の加入日を昭和29年まで遡及措置をとらない限り本土との格差是正にはならない。
なお、政府が算定した平成元年のモデル年金は、大正15年4月1日以前に生まれた受給者を対象としており、本土の年金受給者の勤務年数32年5カ月は加入年数も32年5カ月になるが、沖縄の受給者は同じ勤務年数であっても昭和61年3月現在で16年3カ月で、平均月収27万円とした年金受給額は本土が223万7000円に対し、沖縄は132万9000円で、その格差は先ほども指摘されましたように90万7000円で、沖縄は本土の59%しか受けられないのであります。
さらに矛盾な点は、沖縄の厚生年金加入日が、国民年金加入日である昭和36年4月1日以後の昭和45年1月1日に固定されているために、国民年金の加入可能年数を超える月数は受給額に全額は反映されないで、その部分は過剰納付となる点であります。
厚生年金加入年数は、月単位が基本であるのに対し、国民年金は12カ月を1年単位として計算する。そして国民年金受給額は固定化され、平成元年では63万1500円である。
本土の場合は、定額部分の年金額は老齢基礎年金額よりも大きいので、その差額は老齢厚生年金額の報酬比例部分に加算されるが、沖縄の場合は部分的に切り捨てになる。それは1人当たり平均5.5カ月分、1人当たりの平均額で1万3200円の過剰追納となるのであります。
こうした不利益をなくすためには、どうしても現行の年金加入日を、国民年金加入日である昭和36年4月1日以前の一定の時期に遡及しない限り格差の是正は不可能である。
そこで知事にお尋ねいたします。
1、今回の特例措置の方針は、沖縄特例の中高年齢者特例措置による報酬比例部分の加入年数が4年から14年を、1年から11年を加算して加入年数を一律15年にしたことは一定の成果として評価できる。知事を初め県出身の国会議員並びに関係団体の努力に敬意を表したいと思います。
さきに述べたように一定の改善措置はなされましたが、基本的かつ最も重要な点である1970年1月1日以前の遡及適用には何ら触れられておらず、本土並み年金改善にはほど遠い内容となっているのであります。これでは依然として一部を除いて本土との格差は縮まっていないと思うが、知事は、今回の改善の方針をどう受けとめ評価されておられるのか。
2点目には、今回の措置は、衆議院社会労働委員会の確認を得て厚生省の一定の方針が示されたもので、来年の1月の閣議で正式に決定されると聞いておりますが、この機会を逃しては抜本的な解決は困難になると思料されますが、知事の再度の強力な折衝を求めたいと思います。
3点目には、沖縄の厚生年金が本土と比較して多大な格差が生じている最大の要因は、加入日が1970年1月1日に固定化されているからである。したがって加入日の遡及措置は絶対に譲歩することのできない基本原則であり、これなくして格差の是正、整合性のある年金制度の適用はあり得ないと思うが、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
4点目には、生活福祉部長は昨日の答弁で、昭和45年4月1日以前に遡及すると他県にも影響すると述べております。また聞くところによると厚生省の関係者も、これらの人に何らかの措置を講ずると厚生年金保険制度の全体を手直ししなければならないと述べているようだが、そのことは具体的に何を指すのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
5点目には、昭和61年の国民年金改正で昭和36年4月1日に遡及実施が決まり、5年間で20万1833円を追納することによって老齢基礎年金額62万2800円の支給を受けることになるが、実際には先ほども指摘しましたように追納超過になる者が多くなり、平均で5.5カ月分、全額で1万3455円も過剰支払いとなります。その過剰総額は実に約6億円となり、その分は切り捨てられるという不利益が生ずるということですね。ですからこれは昭和45年4月1日以前に遡及しない限り、この問題も解決できない。県は、その問題にどうこれから対処するお考えなのかお聞きしたいと思います。
次に、コンベンションセンター周辺の整備計画と関係市の計画調整についてであります。
宜野湾市西海岸地域は、広域的には沖縄におけるコンベンション拠点都市地域におけるコンベンション地域として位置づけられており、沖縄コンベンションセンター、マリーナを初めとする施設が整備されている。
さらに、現在検討中のリゾート沖縄マスタープラン調査報告書では、浦添市とともに沖縄リゾートのゲートウエーとなるメーンコアとして位置づけられており、広域的に見て極めて重要な役割を果たすべき地区と言える。
また、市にとっては、コンベンションの経済的インパクトによる経済の自立に向けての拠点としての位置づけを持っており、今後のまちづくりに当たっての重点整備地区である。現状では、コンベンションの拠点としては宿泊施設、駐車場、アフターコンベンションの機能が不足しております。今後、その機能の拡充を図ることにより、沖縄県、さらには東南アジアにおける新たな交流、情報、発信の拠点としての役割を果たすことが期待されている。
かかる観点から、宜野湾市は、コンベンションシティーとしての望ましい開発の方向を示した宜野湾市コンベンション・スクエア整備構想を作成しました。現在、この構想については県の全体計画との関係で調整中とのことである。
そこで、県のリゾート計画と関連して知事にお尋ねをいたします。
第1点目は、県は現在、リゾート法に基づいて総合保養地域の整備に関する基礎調査を終えリゾート基本構想作成に取りかかっているが、この基本構想の国からの承認の見通しはいつごろになるのか。またこの構想の中に浦添市、宜野湾市を重点整備地域と位置づける方針のようですが、その場合の条件は何か。また指定された場合の国の助成措置等はどうなるのか、お聞きしたいと思います。
2点目に、地域のリゾート開発、地域整備計画を進める場合には地域住民、関係市町村の主体性、独自性が反映されるものでなければならないと思います。宜野湾市は現在、コンベンションシティーとしての機能の整備促進を図るためにコンベンション・スクエア構想をまとめ、その具体化に取り組んでおり、県の全体計画との関係で調整中であると聞いておりますが、いつごろその調整は終わる予定なのか。その場合、地元市の計画が十分生かされる方向で調整がなされなければならないが、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
3点目に、またコンベンションセンターに隣接している県港湾マリーナの新規の拡大計画があると聞いておりますが、その拡張の規模と計画の内容はどうなっているか。
現在のマリーナの収容能力は300隻であるが、現在利用されているヨット数は150隻ですが、現段階でこれ以上の拡張が果たして必要なのか。その場合、宜野湾市のコンベンションシティーづくりの一環としての周辺の整備計画に関係してくることになるが、今後どのように調整、全体計画との整合性を図っていくお考えですか、御見解をお聞きしたい。
その場合でも、宜野湾市のコンベンションシティーづくりの計画に支障がないよう十分な配慮を求めるものであります。
次に、新石垣空港の建設についてであります。
県は、去る4月26日に石垣空港について白保の建設を断念し、約500メートル先の北側のカラ岳東側に変更した。そして県は強行に測量調査を実施し、また予定地周辺の伊野田、星野、大里地区への説明会を開くなど着々とその準備を進めている。
しかし、予定地域住民の中には建設反対、慎重派から、県の強引な進め方について不満が出るなど地元住民の意見はまとまっていないのであります。
また、地元住民にとっては、突然天から降ってわいたような空港建設に戸惑いと不安など複雑な心境にあると思われますが、地元住民の合意なしに計画を進めることは白保の二の舞を繰り返す結果になりかねないと思う。
県は、年度内に埋立申請をする計画のようだが、それまでに地元住民のコンセンサスを得る見通しはあるのか。県は、白保での教訓を踏まえ、地元住民無視の過ちを再び繰り返してはならないと思うがどうか、知事の御見解をお聞きしたい。
2点目には、去る5月3日以来3日間、三重大学の目崎茂和教授らが新候補地の海域を調査しました。その結果、新旧の予定地はともに一連のサンゴ礁の生態系の中にあり、そこには他に見ることのできない貴重なサンゴ群が見られる。したがって新候補地は、科学的な調査を十分にした上での選定とは考えられないと指摘し、県のずさんな進め方に批判をしています。県は、この専門家の調査結果をどう受けとめておられるのか。またなぜ事前に十分な調査なしにカラ岳東側海域に決定をしたのか。これは、知事の独自の判断で決めたのかお聞きをしたいと思います。
3点目には、国際自然保護連合の研究所長らが来県し、11月25日から12月3日までの3日間にわたって、白保を含む新石垣空港予定地で陸・海域部分と地域住民とのかかわりなど総合的な調査を実施した。報告書は来年春ごろに完成の予定であると言われておりますが、この世界的な権威者の調査結果については、県は真剣に受けとめなければならないと思うが、どうか。
また、この調査結果は、県のアセスメントに取り入れるお考えはあるか知事の御見解をお聞きしたい。
さらに、この調査団と時期を同じくして県は、新石垣空港建設工法検討委員会を設置した。その設置目的、前回の懇話会との相違点、さらにその検討結果は公表するお考えはあるか。これは、工事に慎重を期すためと見られるが、白保の場合はこのような方法はとらず、今回、検討委員会を設置したのはなぜか。この検討委員会の提言によっては、サンゴヘの影響は防止できるとお考えなのか。
奄美新空港の建設で、周辺海域の貴重なサンゴが全滅したという教訓は無視できないと思うが、知事の御見解をお聞きをしたいと思います。
最後に、基地問題であります。
1、沖縄の現状は、こうした国際情勢に逆行しており、米ソの劇的な首脳会談、東欧諸国の急変などで米ソの冷戦構造は崩壊し、アメリカの軍事予算の削減などでやがては極東アジアヘの影響も必至であり、とりわけ沖縄の基地を含む在日米軍基地のあり方も再検討を迫られるのではないか、知事の御見解をお聞きしたい。
2点目には、この際、日米安保条約、地位協定の抜本的見直しを含め基地撤去の推進など、大胆な基地行政の転換をする時期に来ていると思料されるが、知事の今後の基地対策をお聞きしたい。
知事は昨日の答弁で、これまでの基地の整理縮小から、再編統合を進めたいと再三述べておりますが、具体的には何を指すのか、何を意味するのか、何か具体的な構想でもお持ちなのかお聞きしたい。
3点目には、昨日も指摘されたように陸軍の特殊部隊や普天間マリン基地からヘリコプターが、先般、フィリピンで起こった内乱に出動したと言われております。この場合、事前協議の対象になるかどうかが問題になりますが、いずれにしろ日米安保条約の枠外の行動であり、他国の紛争や戦争に介入するための発進基地として利用されることは県民の平和と安全を脅かすもので、容認できるものではありません。知事の御見解をお聞きしたい。
4点目、防衛施設局は、1992年5月14日で期限切れとなる軍用地の再契約のために予約取りつけを地主にその内容を示さないまま行っているが、このような異常なやり方は地主の権利を侵害するものであると考えるが、どうか。また、予約というが、国の意思のみで本契約となり実質的に本契約に等しいもので、こうした地主の権利の骨抜きをねらう不当な予約はやめさせるべきではないのか。知事は、このことを防衛施設局に申し入れるお考えはないかどうか。
5、沖縄の空域の約40%が米軍の専用訓練空域であります。最近、米空軍の戦略偵察機SR71が嘉手納基地から撤去し、グアム島のB52戦略爆撃機も撤退することが明らかになっております。
この際、民間航空機の安全を確保するため、米軍の演習空域と嘉手納ラプコンの返還を求めるべきであると考えるが、知事は返還を求めるお考えはあるのか。
また、県民の反対を押し切って設置されたACMIの訓練空域もその後ほとんど利用されてないと聞くが、その実情はどうなっているのか、知事の御答弁を願いたいと思います。
以上、終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄信助議員の御質問に対しましてお答えいたします。
基地問題についてお答えいたします。
米ソ首脳会談や急転回する国際情勢から、米ソの冷戦構造は崩壊しつつあると思う。沖縄の基地の現状も踏まえて、知事はこの情勢をどう認識しているかと。お答えいたします。
今回の米ソ首脳会談は、東西の緊張緩和を促進するとともに、対立から協調へと米ソ関係を大きく転換させたという点で極めて意義深い会談であったと認識いたしております。したがって、日米安保条約によって提供されております本県の米軍基地についても、新時代の到来による米国の対ソ認識の変化に伴い、近い将来、変化があるものと期待をいたしております。
次に、昨今の国際情勢は、日米安保、地位協定の見直しを含め、大胆な基地行政の転換を求める時期に来ていると思うがどうかとただされましたが、お答えいたします。
先ほど申し上げたとおり、国際情勢は、対立から協調へと大きく転換していると認識いたしております。安保条約によって提供されている本県の米軍基地の対応にも、近い将来、変化が起こってくるものと期待いたしております。県としては、これまでどおり施設区域の再編統合という形で基地の整理縮小を図ってまいりたいと思います。
再編統合とは、原則的には新たな施設区域の提供ではなく、代替地なしに基地の整理縮小を図ることであります。四軍がそれぞれの施設区域を保有するのではなく、一つの施設を共同で使用することであります。例えば普天間は返還し、嘉手納飛行場を共同で使用することなどであります。
次に、米軍基地が他国の紛争や戦争に介入するための発進基地として使用されることをどう思うかとただされましたが、お答えいたします。
沖縄の米軍基地が、他国の紛争や戦争に介入するための直接発進基地として使用されることが、日米安保条約の枠外の行動であるかないかについてコメントする立場にはございませんが、好ましいことではないと考えております。
次に、施設局の予約取りつけについての御提言がございましたが、お答えいたします。
施設区域の提供に関する事務は国が所管しておりまして、国と地主との間で十分話し合いがなされた上で契約を締結しているものと理解をいたしております。
最後に、民間航空機の安全と主権国家の立場から、現在の演習空域と嘉手納ラプコンの返還を求めるべきではないかと御提言がございましたが、お答えいたします。
本県周辺の訓練空域は、日米間で安全面について調整の上設定されたものと理解いたしております。また嘉手納ラプコンは、当分の間、米軍が管理するようになっており、日米間で早期に調整がされ返還されることを期待いたしております。
なお、ACMIについては、現在、米軍に照会中であります。
その他の御質問につきましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 友寄議員の御質問にお答えいたします。
厚生年金の格差是正の件でございすけれども、今回の措置を知事はどのように受けとめているかという御質問でございます。
厚生年金の格差是正については、県民の強い要望を踏まえて県として繰り返し要請を行ってきたところであるけれども、実現は極めて困難なものだとされていたわけでございます。
厚生年金制度上前例がないとして適用の遡及が認められてないけれども、対象者が限定されてはいるものの、今回の措置は一応の前進を見たものと評価をいたしてございます。
それから2番、3番、5番でございますけれども、2番目につきましては再度の要請の件でございます。それから3番目につきましては、29年まで遡及できないかということの点でございます。それから5番目につきましては、36年まで遡及できないかというお話でございます。総体的に、今回以上の措置について要請する意思はないかという御質問でございますけれども、一括してお答えを申し上げたいと思います。
特に最後の5の件につきましては、これを細かく分析いたしますと、いわゆる年単位をベースとする国民年金、月単位をベースとする厚生年金という制度的な違いから一部過剰納付というような現象が見られるということにつきましては御指摘のとおりでございます。
今回の措置以上のさらなる改善については、国として今回のものが年金制度内で許容される最大の内容だとしておりますし、また最終的な措置としており、現段階においてはその実現が見込めない状況下にございます。今後、県の対応として、将来、どういう方法をとり得るかといろんな角度からこれから幅広く検討してまいりたいと思います。
それから、遡及適用が制度に及ぼす影響、具体的には何を指すかという御質問でございます。
遡及適用ができないのは、厚生年金保険制度では従来から適用対象の拡大を図ってきており、現在ではすべての業種の法人事業所を適用の対象としておりますけれども、そのいずれも遡及して適用した例がないところから他に及ぽす影響が極めて大きいことがその理由というふうに承っております。
具体的に申し上げますと、昭和17年1月に常時10人以上の従業員を使用する工業、運輸業の男子筋肉労働者を適用いたしております。
次に、昭和18年4月に常時5人以上の規模の事業所に使用される男子筋肉労働者も適用いたしております。
それから、昭和19年6月に常時5人以上の規模の事業所に使用される一般職員、女子職員に適用されております。
昭和28年1月に適用業態の拡大がなされております。例えば土木、建築、教育、通信、報道、医療等でございます。
次に、昭和61年4月に同じく適用業態の拡大で農林漁業、飲食店、その他のサービス業でございます。
62年4月には、常時3人から4人の法人事業所を適用しております。
昭和63年4月に、常時1人または2人の法人事業所を適用いたしております。
以上のような適用拡大だと聞いております。
○議長(平良一男君) 振興開発室長。
〔振興開発室長 新垣徳夫君登壇〕
○振興開発室長(新垣徳夫君) コンベンションセンター周辺の整備と関係市の計画との調整について、1点目はリゾート法に基づく基本構想の承認はいつかというような御質問にお答えいたします。
総合保養地域整備法に基づく基本構想については、去る5月に国に提出いたしました基礎調査票により、現在、関係各省庁と意見の調整を進めているところでございますが、この調整が年度内には済むと思われますので、調整が済み次第、基本構想の申請を行い承認を受ける予定となっております。
また、重点整備地区の設定に当たっての条件につきましては、リゾート法の規定により、1つは、相当数のリゾート開発にかかわる民間計画があること。2点目に、これらの民間計画が実現性があり、熟度の高いものであることなどが条件となっておりますが、浦添、宜野湾地区につきましては、浦添市のコースタルリゾート計画、あるいはまた宜野湾市の西海岸開発計画等公共による施設整備計画を中心にアーバンリゾートの形成を図るべく重点整備地区としていく考えであります。
また、重点整備地区の設定に伴う助成措置につきましては、1つは、公園、道路、港湾、下水道などの公共施設整備の促進がなされるほか、民間事業者に対する支援措置といたしまして、1つは、税制上の特別措置、2つ目に、また規制緩和措置等として農振法、農地法、森林法等による事務の簡素化、あるいはまた承認についての便宜が図られるなど。あるいはまたこの民間事業者が行う事業に対しまして、地方自治体等が出資や補助金等の助成をするときに、その財源として地方債の充当支援措置等がなされることとなっております。
それから2点目の質問でございますが、宜野湾市のコンベンション・スクエア整備構想と県の全体計画との調整についてでございます。
現在、県におきましては、昭和63年度から本年度にかけまして、読谷村から浦添市までの西海岸及び石川市から知念村までの東海岸において進められております地域開発の構想について、地域の特性を生かし、県土の秩序ある発展を目指した総合的な開発整備計画調査を行っているところでございます。
宜野湾市のコンベンション・スクエア整備構想を県計画に位置づけるに当たりましては、御指摘のとおり宜野湾市の独自性を踏まえ、関係する諸計画及び関係機関と調整を図りながら進めていくことが必要であると考えておりまして、その調整は本年度内には終える予定となっております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 友寄先生の御質問についてお答えいたします。
まず1点目は、コンベンションセンター周辺の整備計画と関係市との計画調整についてでございます。
その中で、宜野湾港マリーナの新規計画とその必要性及び宜野湾市の整備計画との調整についてでございます。
宜野湾港マリーナは、海邦国体のヨット競技の会場として活用され、国体後は公共マリーナとして一般に供用されているところでございます。
また、宜野湾港マリーナの整備については、近年増大する海洋性レクリエーション需要への対応のため運輸省が策定した「全国マリーナ等整備方針」及び「マリーナ等配置構想」において拠点マリーナとしての位置づけがなされております。
このようなことから県におきましては、宜野湾港の拡張整備を進めているところでございます。
拡張整備の内容としましては、国の配置構想に基づき、現計画の300隻の収容に加えまして、新たに510隻のプレジャーボートを収容するため現施設に続きまして字宇地泊地先を埋め立て、マリーナ施設等の整備を行う計画でございます。
現時点でのマリーナの利用状況は今のところ150隻程度でございますが、現在、水面係留の希望者が既に180件にも上っており、建設中の82隻分が完成しても既に要望にこたえられない状況にございます。
なお、宜野湾市の整備構想との調整につきましては、これまでも宜野湾市及び関係機関と協議を重ねてきたところでございますが、宜野湾港の将来拡張計画及び牧港川河口の小型船の船だまり施設計画等との調整に日時を要していることから今日までまだ協議が整っておりませんけれども、今後とも関係機関との調整を図り、宜野湾市のコンベンションシティー構想との整合が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
次は、新石垣空港建設問題についてでございますが、まず1点目は、地元の反対、慎重派から不満が出るなど地元民の意見はまだまとまってない。白保の二の舞になるのではないかについてお答え申し上げます。
今回の計画変更に伴い、計画変更を発表した後、直ちに地元の大里、星野、伊野田の関係地区住民に対し、これまでの経過と新空港建設の必要性について説明を行い理解と協力を求めるとともに、空港建設に必要な環境調査、測量、土質調査等についても地元の理解と協力を得て平穏に進めてきたところであります。
一方、地元3地区では、空港建設に伴う問題について各方面から検討を行うため空港対策委員会を設置しております。
また、騒音問題を初めフライト産業及び周辺環境の整備に関して、類似空港における実情の視察を行ってきたところでございます。今後は、この空港対策委員会を通して地元との問題は、空港建設についての地元住民の理解と協力を求め早期建設に向けて努力してまいりたいと考えております。
次は、県は十分な調査なしに新位置に決定したのか。また専門家の調査結果を無視してサンゴの保護はできるのかについてお答え申し上げます。
代替地の選定に当たっては、陸域は地形図及び航空写真等の既存資料をもとに検討を行うとともに、海域は環境庁による石垣島周辺海域サンゴ生息調査及び県や市がこれまでに行った調査資料等をもとにして検討を行った上で選定をしてきたところでございます。
これまでの県の現地調査によりますと、まず1つには、計画変更予定地の海域と南の白保海域とは途中に2カ所の水道部がございます。また轟川の北側では、轟川河口から水道部へ向かう北側の潮流が支配的であること等から、変更予定地が旧予定地の白保とは別々の生態系であると考えられます。
2つ目には、計画変更による埋立区域の海底は、砂底または海草の群落となっており、サンゴはほとんど生息しておりません。
3つ目には、指枝ハマサンゴ及び枝状ミドリイシの良好な生息域は礁池のリーフ寄りに分布し、埋立予定地から300ないし500メートル程度離れていることでございます。
さらに、新予定地は、可能な限り陸地に寄せて計画しており、埋立予定面積も旧面積に比べて大幅に減少していること等から判断いたしまして、設計施工について慎重に配慮すればサンゴの保全は十分可能であると考えております。
3番目には、国際自然保護連合(IUCN)が白保を含む建設予定地海域での調査を行っているが、県はこの調査結果を尊重する考えはあるかについてお答え申し上げます。
計画変更予定地についても、40数ヘクタールの埋め立てを伴うことから、埋立出願書に添付する図書を作成するため、現在、環境現況調査を実施しているところでございます。
今後は、これら環境現況調査及び専門家の研究レポート等既存の文献から現状の把握を行い、空港建設が周辺環境に与える影響について予測評価を行う考えでございます。
国際自然保護連合(IUCN)の調査結果については、空港建設に際し公害の防止及び環境保全の面から建設的な意見等については本事業に反映させてまいりたいと考えております。
次は、県は新石垣空港建設工法検討委員会を設置しているが、その設置目的は何か、懇話会との相違は何か、検討結果の公表は考えられているかについてお答え申し上げます。
今回の建設工法検討委員会は、護岸構造及び施工について技術的な検討を行うものであり、新石垣空港問題懇話会は、空港建設の必要性、位置及び環境問題等のもろもろの問題について検討するため設置されたものでございます。
さらに、検討委員会の検討結果の公表については、公有水面埋立法に基づく埋立出願書に可能な限り盛り込み公表してまいりたいと考えております。
最後に、新石垣空港建設工法検討委員会は、なぜ白保の場合は設置されず、今回は設置するのか。この検討結果によってサンゴヘの影響は防止できると考えているかについてお答え申し上げます。
白保海域の場合は、埋立工事の実施に伴う環境アセスメントを県としましても慎重に行ってまいりましたが、アオサンゴ群生の生態については学術的にも十分解明されているとは言いがたく、現在の科学的知見からはその保全のための条件を特定することは困難な状況にあり、自然環境へ与える影響についての関係筋の理解を得るには今後とも相当の期間を要することが懸念されたため空港位置の変更を行ったものでございます。
しかし、今回の計画変更に対しても依然として空港建設によるサンゴ等に与える影響について指摘等もあることから、環境保全に十分配慮した設計工法を検討するため海岸工学、海洋水理学、環境地盤工学等専門家による工法検討委員会を設置したものでございます。
したがいまして、空港建設に際して、これら工法検討委員会の意見等を踏まえて設計施工に配慮すればサンゴの保全は十分可能であるというふうに考えております。
○議長(平良一男君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 時間がないですから知事にお願いしたいのは、厚生年金改善問題でようやくちょっと扉が開いたという状況なんですよね。
これは今、部長が説明した件は、本土の場合は既に法律が適用されていて、今いろいろ幾つか説明しましたよね、問題点。しかし沖縄には法律がなかったわけだから、その辺違うということ。
それと知事に要望です。来年の1月に閣議決定がなされるといいますので、できれば知事がもう一度要請行動していただくことを要望いたします。
終わりです。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後0時2分休憩
午後1時21分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
午前に引き続き質問及び質疑を行います。
松茂良興辰君。
〔松茂良興辰君登壇〕
○松茂良興辰君 一般質問をいたします。
1989年(平成元年)も残り少なくなり、世界で、日本で多くの歴史的な動きが起き、大きな変動期を迎えています。
情報化時代の到来は、人間一人一人に自分の生活を見詰め、生活者として政治に変化を求める動機を与えました。世界変動のエネルギーは、人々の生活者としての自覚からほとばしり出たものと確信いたしております。それを最も象徴するのが、ソ連、東欧共産圏の地殻変動であり、11月10日のベルリンの壁の事実上の消滅であります。それはまた共産主義が政治体制、人権、経済、生活のすべてにわたって矛盾と欠陥を露呈し、みずから瓦解しつつあるということでございます。
一方、我が国の労働運動も例外ではなく、歴史的な転機を迎えました。民間労働組合の結集体である連合(全日本民間労働組合連合会)と官公労が統一した新連合(日本労働組合総連合会)が去る11月21日誕生しました。78組織、800万人の日本を代表するナショナルセンターの誕生は、再編や分裂を繰り返してきた我が国労働運動にとって画期的なことであり、政治、経済、社会、労働などあらゆる分野で大きなインパクトを与えることになりましょう。
また、アメリカのAFL・CIO、イギリスのTUCに次いで世界第3位の組織規模ということで国際労働運動でも大きな影響力を発揮することでありましょう。
新連合の標榜する自由にして民主的な労働運動、綱領「連合の進路」、国際自由労連一括加盟、欧米並みの生活を目指す総合生活改善への取り組みなどは民社党の理念、綱領、方針、政策と合致するものであるだけに、心から祝意を表さずにはおられません。
また、新連合の結成を受けて、去る11月30日には、地方連合組織として連合沖縄(日本労働組合総連合会沖縄県連合会)が結成され、30組合、約4万8000人の労働者を結集した県内最大のローカルセンターとしてスタートしました。
今回の労働界の統一は、新連合の基本目標で明確にした、労働界におけるあらゆる独善的、利己的勢力に対し毅然たる態度をとるということで、新連合を右寄り再編と批判し続けてきた共産党系の統一労組懇等を排除したために、完全統一は果たせなかったことになります。
しかし、過去の教訓を生かすならば、イデオロギーが大きく異なり階級闘争を目的とする以上、無理に一つにならない方が労働運動の発展のためにはプラスになることであり、当然の措置といえましょう。まさに労働界は、イデオロギー対立の時代から、イデオロギーか生活重視かを対立軸とする新しい時代を迎えたことになります。
働く者の生活の向上は、政治、政策に負うところが大きいだけに、社会正義を追求し力と政策を背景にした政策、制度要求に重点を置く新連合の方針は、新しい労働運動のあり方として評価されてしかるべきであり、国民の新連合に寄せる期待には大きなものがあるものと確信しています。
連合沖縄結成を知事はどう見ておられるのか、率直な御所見を承ります。
新連合がゆとり、豊かさ、公正など家庭の幸せ、生活重視を追求することは、労働運動の発想のスケールが小さくなることを意味するものではありません。産業構造の転換、高齢化、国際化、技術革新など社会の変化の現実に根差した運動への転換であります。
その意義を十分理解し、新連合が総合的な生活水準の向上を前面に打ち出した労働時間短縮等の課題について質問をいたします。
労働時間の短縮は、個人消費の拡大等を通じて我が国の経済構造を内需中心型に変革し経済の調和ある発展に貢献するという観点や中長期的に見た雇用機会の確保などの観点からも、我が国全体として取り組むべき国民的課題となっています。
労働時間の短縮は、労働者の勤労意欲の向上、柔軟性と創造性に富んだ人材の確保、能率のよい仕事の遂行などを通じて産業、企業の活性化、ひいては我が国経済社会全体の活力の維持増進に資するものであります。
こうして経済社会の変化や国際化時代への強い要請を受け、昭和62年に労働基準法が実に40年ぶりに改正されました。改正された労働基準法は、週40時間労働制に向け法定労働時間を段階的に短縮することとし、当面週46時間とされました。
労働省では、昭和63年6月、公・労・使三者構成の中央労働基準審議会の了承を得て労働時間短縮推進計画を策定しています。この計画は、昭和63年5月閣議決定した、「世界とともに生きる日本一経済運営5カ年計画」及び同年6月の第6次雇用対策基本計画との調和を図りつつ、平成4年度までにおける労働時間短縮の進め方についての指針を示すものとなりました。
また、昭和63年6月17日付労働省発基第60号による労働事務次官通達、労働時間短縮推進計画についてが都道府県知事、都道府県労働基準局長に発せられております。
本通達に示された第1、推進計画の基本的考え方、第2、基本的な留意点に対し、本県の立場を踏まえた御所見とその対応に関する進捗状況について承ります。
御周知のとおり、現在の週46時間労働制は、すべての事業所に直ちに適用されるものではありません。一定の規模、業種の事業所については平成3年3月31日までの間、法定労働時間を48時間とする猶予措置が設けられており、県内企業の多くがその適用下にあると思います。もちろん、猶予措置の対象となっている事業所であっても、将来は週40時間に向けて段階的に短縮されることになっており、平成3年4月からは週46時間労働制に移行しなければなりません。
全国一労働時間が長く、週休2日制を導入している企業に関しても、全国平均を下回っているのが本県の実態であります。そういう状況のもとにあって、平成3年4月からの週46時間労働割移行が円滑に行われることを期待してよろしいのか、今日までの対策に基づく御所見を承ります。
同時に、本県の労働者一人当たりの総実労働時間及び県内企業における週休2日制の導入状況と、それぞれの対全国比をお示しいただき、格差の生ずる原因について承ります。
御案内のとおり、国にあっては昭和64年1月1日から行政機関、裁判所及び国会における機関を含めて月2回の土曜閉庁方式が導入されました。さらに国家公務員の完全週休2日制導入に向かって来年4月から国立病院、税関など一部部署でも試験的に実施する方針を固めたようであります。
また、金融機関にあっては、平成元年2月から全土曜日閉店制による完全週休2日制が実施されています。
そして、昭和63年12月13日、地方自治法の一部を改正する法律が公布され、昭和64年1月1日から施行されました。今回の改正は、公務の円滑な運営を図りつつ週休2日制を推進するため、地方公共団体に土曜閉庁方式を導入することとし、従来から休日として取り扱われてきた日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、年末年始の休日とともに毎月の第2、第4土曜日を条例で地方公共団体の休日として定めることができることとしたものであります。
既に各都道府県レベルでは、土曜閉庁方式導入に向けた法的措置や必要な条件整備も終え、スムーズに実施されています。残ったのは、全国でも沖縄県だけとなっていることに注目しなければなりません。
本県では、慰霊の日における県職員の休日廃止問題に端を発し、県議会において6月定例議会以降、土曜閉庁方式導入関連の県休日条例改正案は継続審議の状態にあります。
指摘するまでもなく土曜閉庁方式の導入は、職員の勤務条件だけでなく住民の生活や経済活動に深いかかわりを有するため、導入そのものについて住民を初め各界の理解と協力を得ることが大前提であり、それこそ全庁的課題であります。
しかしながら、土曜閉庁方式導入の背景、意義、土曜閉庁の具体的内容、法的措置を含めた所要の措置等についての必要な条件整備が不十分であったのか、政治的要素を帯びた与野党間の対立案件に発展し極めて憂慮される事態となっています。地方公共団体の土曜閉庁導入が民間への波及効果として最も期待されているだけに、県議会における対応いかんによっては、その影響は他の各分野に大きく影を落とすこととなりかねず、懸念しているものであります。今、土曜閉庁方式導入の主人公は自分たちであるとの全庁的意識の統一と、それに伴う誠意と熱意の発揮を期待してやみません。
今日的事態の動向に対し、いかなる御認識に立っておられるのか御所見を承ります。
労働時間の短縮は、充実した余暇活動、家族との触れ合いなど家庭生活の充実、社会参加を通じた地域社会の発展への寄与など、我が国の経済的地位にふさわしい豊かな国民生活を実現し、ゆとりのあるライフスタイルの定着を促進するために必要不可欠な課題であります。したがいまして県民の余暇時間がふえ、その有効活用を図るためには文化、スポーツ、レジャー施設から保養などの施設の整備、活用促進等に必要な環境整備が強く求められます。
労働福祉行政の立場から、余暇活用促進のための環境整備にどのように対応していかれるのかお尋ねいたします。
次に、高齢者の雇用対策についてお伺いいたします。
我が国の人口の高齢化の進展は極めて急速で、21世紀初頭には世界一の高齢化社会になると言われています。人口の高齢化は、必然的に労働力人口の高齢化をもたらします。
総務庁統計局労働力調査によりますと、労働力人口に占める高年齢者の割合は、西暦2000年(平成12年)には23%、約4分の1へと増加すると見込まれております。このような労働力人口構成変動の中で今日の活力ある経済社会を維持していくためには、いや応なく高年齢者の雇用、就業の場の確保が必要不可欠であることは言うまでもありません。まさに21世紀を展望した人生80年時代にふさわしい雇用のあり方は、労働組合、事業主はもとより、政治、行政レベルが緊急かつ積極的に取り組まなければならない重要課題となっています。
政府では昭和61年4月、60歳定年制の進展を背景として「中高年齢者等の雇用に関する特別措置法」を抜本的に改正し、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」、いわゆる高年齢者雇用安定法を制定、60歳定年が法制化され、事業主に対して努力義務が課せられました。これによって労働大臣は、60歳未満の定年を定めている企業に対し、特段の事情がないと認めた場合には定年引き上げの要請、引き上げ計画の作成命令、引き上げ計画の適正実施勧告、正当な理由なくこれらの命令や勧告に従わない事業主名の公表等の行政措置を講ずることができるようになりました。
さらに労働省では、1つ、60歳定年を基盤として65歳程度までの継続雇用の推進、2つ、再就職を希望する高年齢者の早期再就職の促進、3つ、定年退職後等における臨時、短期的な就業の場の確保等に重点を置いて高年齢者のための総合的な雇用就業対策を推進しています。
その経緯を踏まえながら、まず最初に、本県の年齢別労働人口の推移と見通し及びその特徴点について承ります。
次に、本県の昭和63年度労働時間等労働条件実態調査報告書によりますと、60歳以上の定年年齢を定めている企業の割合は65.3%と全国平均61.9%を上回り、60歳定年が主流となっているようでございます。
しかしながら、中小企業や特定の業種、職種等では相対的に定年延長が十分に進んでいないことも事実であります。ましてや今回の調査対象企業837社中、有効回答企業が485社、有効回答率57.9%から推して未回答企業における労働条件の実態が大変気にかかるところでありますが、60歳定年の努力義務の見地から、1つ、定年の引き上げの要請、2つ、定年引き上げ計画作成命令等に対して具体的にどのように取り組み、その成果を上げておられるか承ります。
また、継続雇用推進の見地から、沖縄県雇用開発協会が具体的に取り組んでおられる、1つ、啓発指導、2つ、相談援助体制の整備、3つ、助成措置等に対する事例や実績、成果について承ります。
御案内のとおり、高齢者雇用安定法において再就職援助の措置が事業主の努力義務として規定されるなど、高年齢者の再就職の促進を図るための施策が講ぜられていますが、1つ、事業主による再就職援助の促進、2つ、職業相談、職業紹介機能、3つ、事業主に対する雇用助成措置等について具体的にどのような取り組みをし、成果を上げておられるか承ります。
労働省では、毎年10月を高年齢者雇用促進月間と定め、60歳定年を基盤とした65歳程度までの雇用就業機会の確保等について、事業主初め広く国民全体の理解と協力を得るために雇用促進大会の開催等を行っています。特に今年度の地方で実施する行事項目として、高年齢者の雇用促進に関する県雇用促進大会の開催ほか4件となっていますが、具体的にどのように対応し成果を上げられておられるか承ります。
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律により、シルバー人材センターは法律上、高年齢者の雇用就業対策の重要な柱としてその役割、位置づけが明らかにされました。
御案内のとおり、シルバー人材センターは、定年退職後において何らかの就業を通じて自己の労働能力を活用し、それにより追加的な収入を得るとともに、社会参加を希望する高年齢者に対して地域社会の日常生活に密着した臨時的かつ短期的な仕事を組織的に把握し提供する高年齢者の自主的な団体であり、これらの高年齢者の就業機会の増大と生きがいの充実を図り、あわせて活力ある地域社会づくりに寄与することを目的としています。
シルバー人材センターが誕生した昭和55年度は、全国で92団体、4万6000人余にしかすぎなかった会員数も、その後の設置対象地域の緩和策等によって、昭和63年度末現在では370団体、会員数約18万人に達しております。本県では、昭和57年に那覇市で設置されて以来、59年に沖縄市、63年に浦添市、平成元年には具志川市と設置が相次ぎ、今日現在で4団体、会員数1400人、事業実績では受注件数約6300件、契約金額約3億2600万円と大きな成果をおさめています。
高年齢者雇用安定法の制定にあわせてシルバー人材センターの増設、能力開発に対する援助の拡充、自主事業の実施、受注の拡大を行うための作業施設の確保、無料職業紹介を行うための職員の設置に必要な補助の拡充、高年齢者就業機会開発事業の創設、健全な事業運営のための指導援助体制の整備等が行われています。
県内におけるシルバー人材センターをさらに充実発展させるために全市区、または2つ以上の市町村を対象にした広域センターの設置や事業運営等に対する助成策の拡大に努めるべきであります。知事の御所見を承ります。
よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 松茂良興辰議員の御質問に対しましてお答えいたします。
「連合沖縄」結成について、その評価と期待に関する所見を求められましたが、お答えいたします。
労働界の長年の念願であった官民の労働組合の統一による連合沖縄の結成は11月30日に行われ、新時代に即応した真に豊かな社会づくりを目指し、自由にして民主的な労働運動を進めようとしていることに敬意を表します。
連合沖縄は、新しい労使関係と地域の経済社会の発展に寄与することを提唱しており、今後の発展を期待するものであります。
次に、労働時間短縮問題について、土曜閉庁の導入についての御質問がございましたが、お答えいたします。
土曜閉庁の導入については、これまで本県議会においてたびたび申し上げてきたとおり時代の趨勢となっており、国や他の都道府県においては既に完全週休2日制に向けての土曜閉庁が実施され、本県においても早急に土曜閉庁を実施する必要があります。
そこで、両条例の提案に当たっては県職員団体等に対し、土曜閉庁の導入の際には法律上、慰霊の日を休日とすることはできない旨、機会あるたびごとに説明を行ってきたところであり、また主要な経済団体等に対しましても土曜閉庁方式の導入の背景、その必要性、あり方等について説明を行い理解を求めてきたところでありますが、一部の団体において十分な理解が得られなかったことは残念であります。
なお、週休2日制は、県職員の勤務条件の確保を図る上からも両条例の制定は必要であります。
次に、高齢者の雇用対策について、シルバー人材センターの今後の設置育成計画についてただされましたが、お答えいたします。
高齢化社会が進展している現状において、シルバー人材センター設置構想は時宜を得た施策であり、これを提言した関係者に対し敬意を表するものであります。
御指摘のとおり現在、本県においては那覇市、沖縄市、浦添市及び具志川市の4市にシルバー人材センターが設置されており、高年齢者に就業の場を提供し成果をおさめでおります。また平成2年4月に宜野湾市に同センターを設置するため、現在、準備を進めているところであります。
なお、御提言の複数の市町村にまたがる広域的なセンターの設置については、今後の検討課題としてまいりたいと思います。
残された御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 労働時間短縮問題につきまして多くの御質問がなされましたので、順次お答えさせていただきます。
まず、労働時間短縮推進計画に対する基本的な考え方と対応策はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
我が国は、先進国にふさわしい真に豊かな社会を目指して欧米並みの労働時間の短縮が重要な課題となり、労働基準法の改正がなされるとともに労働時間短縮推進計画が策定され、その目標を実現するために週休2日制の普及促進の基本的な考え方が示されております。
この計画を推進するに当たっては、趣旨の普及啓発活動など留意事項や具体的な方策が示されており、県といたしましても、これに基づきまして沖縄労働基準局と連携を図りながら、「ほっとウイーク」フォーラム、「活力あるゆとり創造社会パネル展」、労働時間問題懇談会等を開催し、週休2日制の導入など労働時問短縮について広く労使を初め一般県民への普及啓発活動を行っているところであります。
次に、全国一長い本県の労働時間の短縮について、労働基準法の趣旨との関連についてどう対処するかという御質問にお答えをいたします。
本県の総実労働時間の全国一長い原因は、中小零細企業が多く、なおかつ経営基盤が脆弱であることに加えまして、産業構造が建設業やサービス業等が多くを占めていることなどから、労働時間短縮の円滑な推進は必ずしも容易ではないというふうに考えます。
ところが、改正労働基準法は、労働時間についての改善の時期が明示されていることから、県といたしましては、今後とも関係機関と連携を密にして法の趣旨が確保されるよう労使を初め関係者に対し、強力に指導、啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。
次、本県の労働時間及び週休2日制の導入状況でありますが、昭和63年の勤労統計による県内民間企業の総実労働時間は月平均186時間となっており、全国平均の175.9時間に比べて全国一長い労働時間となっております。
なお、民間企業の週休2日制の導入状況でありますが、本年2月の労働条件実態調査によりますと、何らかの形で週休2日制を実施している企業が32.8%、全国平均の52.8%を大きく下回る結果となっております。
このように労働時間短縮が進まない原因は、先ほど申し上げましたように本県の企業の中小零細性、あるいはまたサービス業等の偏重などがその原因と思われます。
次に、労働時間短縮の推進に伴う余暇の有効活用のための環境整備について、労働施策上どのように対応しているかという御質問にお答えをいたします。
労働時間短縮が今後推進されるに伴って、勤労者の余暇の有効な活用は労働施策上重要な課題と考えております。そのため県といたしましては、「いこいの村沖縄」の整備拡充、勤労青少年ホーム、働く婦人の家、勤労総合福祉センター等勤労者のための各種福祉施設の設置に取り組んでいるところであります。
今後とも、余暇利用施設等の整備拡充を図り、勤労者の余暇利用のための環境整備の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
次に、本県の労働力人ロの推移についてただされましたので、お答えをいたします。
国勢調査に基づく本県の労働力人口の構成比を見ますと、昭和45年、中間層の30歳から54歳までが構成比率で53.0%、55歳以上の高年齢者層が13.6%であったのに対しまして、昭和60年度では若年層が減少いたしまして中間層が57.8%、高年齢者層が14.4%、それぞれ4.8ポイント、0.8ポイント増加をしております。
このような状況から、高学歴化の進展等と相まちまして、今後、労働力人口に占める若年層の割合は減少し、高齢者の層が一層増加するものと推定されます。
次に、60歳定年引き上げに関する行政の取り組みとその成果はどうなっているかと。お答えをいたします。
昭和61年10月に施行されました高年齢者雇用安定法においては、事業主は、その雇用する労働者の定年の定めをする場合には60歳を下回らないよう努めるものとするとされておりまして、60歳未満の定年を定めている事業主に対しましては、先ほど質問でも御指摘がありましたように定年の引き上げ等の要請のほか、幾つかの行政指導が講じられることとなっております。
昭和61年、県におきましては、100人以上規模の企業に対しまして、60歳未満の未決定企業75社に対して定年引き上げの要請を行い、そのうち67社が現在までに改善をされているような状況にあります。
なお、未決定企業につきましては引き続き指導するとともに、なおかつ100人未満規模企業に対しましても、60歳以上の定年は社会的な強い要請があることから引き続き啓発指導等を行ってまいりたいというふうに考えております。
次、高年齢者の継続雇用の推進のため、沖縄県雇用開発協会の実施する事業とその成果いかんの御質問にお答えいたします。
高年齢者の継続雇用の推進につきましては、社団法人沖縄県雇用開発協会と連携し、啓発指導業務として高年齢者雇用管理研修、退職準備プログラム及び生涯生活設計セミナー等を毎年県下各地で実施している状況であります。
また、相談援助業務は、同協会内に3名の高年齢者雇用アドバイザーを配置して、職業安定所等とも連携をしながら企業を訪問し、事業主に対し高年齢者の雇用延長等についての相談業務を進めているところであります。
さらに、事業主に対する助成措置業務につきましては、高年齢者雇用延長等のための各種助成金を活用し、昭和63年度におきましてはその助成事業が63件、対象労働者延べ2426人、金額にいたしまして1億500万円を助成し高年齢者の雇用の拡大に努めているところであります。
次に、高年齢者の再就職の促進のための施策とその成果についてお答えをいたします。
高齢化社会の進展に伴い、その雇用対策は重要な行政課題であることから、高年齢者雇用安定法及び沖縄県長寿社会対策大綱に基づき各種の施策を推進しているところであります。
事業主に対する再就職援助につきましては、継続雇用の促進を図るため、同一企業での再雇用の指導を行うほか、他の企業への再就職を望む定年退職予定者のために在職中に職業訓練の受講等ができるように指導をしているところであります。
さらに、高年齢求職者に対する職業相談につきましては、各公共職業安定所におきまして特別援助部門を設け再就職の促進に努めているほか、那覇市、沖縄市、浦添市及び宜野湾市に高年齢者職業相談室を設置し、相談員を配置して具体的に相談を継続しているところであります。
さらに、高年齢者を雇用した事業主には、特定求職者雇用開発助成金を支給することにより早期再就職を図っております。ちなみに、63年度における実績は、金額で1億7200万円となっております。
最後に、高年齢者雇用促進月間の実施実績等でございますが、労働省におきましては、毎年10月を高年齢者雇用促進月間と定め各種行事を開催しております。
本県におきましても去る10月、高年齢者雇用促進大会を開催し、高年齢者の雇用に関し顕著な功績のあった優良企業及び優良高年齢就職者に対し労働大臣表彰及び県知事表彰を行ったところであります。
また、各公共職業安定所におきましては、高年齢者就職促進セミナーを開催するとともに、特別求人開拓班を編成して県内主要企業を訪問して高年齢者の雇用拡大を促進しているところであります。
○議長(平良一男君) 島袋嘉盛君。
〔島袋嘉盛君登壇〕
○島袋嘉盛君 通告に従いまして一般質問を行います。
まず初めに、県立武道館建設について質問いたします。
私は、去る2月定例議会において、武道館の必要性と早期建設の実現方について質問をし要請いたしました。教育長は、本趣旨に十分理解を示され、関係機関あるいは関係者と十分協議をしながら、検討してまいりたいと答弁されております。
現在、教育庁において県立武道館建設について検討がなされ、具体的作業に着手されているとのことを聞き及び、関係者長年の懸案の実現に大きな期待を寄せているものであります。
沖縄の空手の歴史は古く、今日まで多くの武人を輩出しておりますことは周知のとおりであります。
沖縄といえば空手、空手といえば沖縄に示されるようにまさに空手は沖縄の象徴であります。特に戦後沖縄の空手、古武道の発展は著しいものがあり、日本国民体育大会の正式種目にもなり、昭和62年の沖縄国体において優勝をなし、沖縄県総合優勝の大きな原動力になりました。
また現在は、世界の空手として発展し、多くの沖縄空手マンが世界のウチナーンチュとして大活躍しておりますことは沖縄県の誇りであります。また県外からも多くの空手マンが、本場沖縄の空手、本物の空手を学び修業するため来県しており、国際交流の一役を担っております。
空手は、沖縄の先達が残した最も価値ある世界に誇れる文化遺産であります。私たちは、このすばらしい文化遺産を継承発展させ、後世に引き継がなければなりません。
また、多様化する社会において特に青少年の健全育成の面からも心身の鍛錬、人間形成の場として活動を推進する武道館の建設は急務と考えるのであります。行政は、その環境整備に最大の努力を払っていただきたいと思います。
今回は、空手を中心に申し上げましたが、武道7団体は、一日も早い武道館の建設を待ち望んでおります。知事の特段の御配慮をお願いし、次のことについて質問いたします。
1、建設に向けての取り組み状況はどうなっておりますか。
2、建設の事業ベースはどう考えておられるか。また次年度予算への芽出しを期待してよいか。
3、日本復帰20周年記念事業として取り組んでいただきたいと思いますが、知事の御決意を承りたいと思います。
次に、厚生年金格差是正について質問いたします。
沖縄と本土との厚生年金の格差問題は、沖縄県民にとって長い間の懸案事項であります。
復帰後18年を経た今日、いまだに本土並み完全に格差が是正されないのはまことに遺憾であります。厚生年金の本土との格差は、沖縄県民が好んで求めたものではなく日米戦争が生んだ悲劇であり、27年間もの長きにわたった施政権の放棄、日本の戦争責任による米国への沖縄身売りが原因であり、そのひずみの是正は日本政府の全責任であると考えます。
厚生年金の格差是正は、日本復帰による主権の回復と同時に沖縄県民の人権として完全回復されなければならなかったのであります。
このたび、厚生省が示した沖縄の厚生年金格差是正措置に対し、去る5日の参議院内閣委員会において大城真順先生が同問題を取り上げ、今回の措置が復帰時の特例の補完、すなわち昭和45年基点となっている点を問題視し完全な格差解消になっていないことを指摘し、昭和29年まで遡及適用を求めたのに対し、厚生省は、格差は依然として残ることを認めております。
また、額的な指摘として、昭和63年度モデル年金で本土と沖縄の比較で、現在、本土の約222万円に対し、沖縄は132万円となり90万円の格差があり、80歳まで受給すると1人約2000万円の格差が生じ、今回の是正措置は71%までの改善でしかないことを指摘し、今後も格差は存続することが明らかになったと報道されております。
私は、沖縄の年金格差是正は、国の責任において完全な格差解消を求めるものであります。
そこで、次のことについて質問します。
1、今回、厚生省が示した沖縄の厚生年金格差是正措置は、知事が求めた格差是正と内容において完全に一致しているか、知事の御見解を賜りたいと思います。
2、今回の厚生年金の格差是正措置と完全に格差解消した場合の沖縄県民全体が受ける金額の差額は幾らになりますか。
3、知事は今後、格差の完全解消を求める考えはおありですか、知事の御所見を賜りたいと思います。
次に、県立高等学校の授業料等の値上げについて質問いたします。
県立高等学校の授業料等を、来年4月1日より大幅に値上げするための条例案が提案されております。
その内容は2カ年にまたがるものでありますが、まず、授業料において全日制が現行の月額6900円を、7200円、7400円にと7.2%アップ、定時制が現行月額1550円を、1750円、1900円にと22.6%のアップ、専攻科も全日制と同様であります。
また、入学料において全日制が現行2500円を、3000円、3700円に48%のアップであり、定時制が現行800円を、1100円、1400円に75%アップ、専攻科も全日制同様であります。
次に、入学考査料において全日制が現行月額1000円を、1400円、1700円に実に70%アップであります。専攻科も全日制同様である。
以上のような大幅値上げ案であります。
このような大幅値上げは前代未聞であり、地域の特性や教育の独自性を持たない、全国画一的な値上げと、姿勢であると受けとめております。
このような教育費の大幅値上げは、県民所得が全国平均の75%しかない本県にとって家計を圧迫するのみでなく、教育の後退と県民生活を苦しくするものと考えます。
また、入学料に192万2000円の消費税の転嫁など全く容認できるものではありません。
行政は、多額の公費を父母に転嫁していることを忘れてはなりません。そのことも考慮に入れて授業料等の値上げは、差し控えるべきであると考えます。
そこで、次のことについて質問します。
1、今回の大幅値上げの理由は何か。また県民所得や経済事情等勘案されたのか。されたのであれば、それを示していただきたい。
2、授業料等以外の諸費徴収の実態はどうなっておりますか。
3、本県における教育費の実態はどうなっておりますか。
4、公費と思われるものを父母が負担している事実はあるのか。あるのであれば、その金額を示していただきたい。
5、高校体育館建設費の一部を父母が負担している高校数と金額はどうなっているか。またこの問題に対し、今後どのように対処されるのか承りたいと思います。
次に、へき地級地の見直しについて質問いたします。
今回のへき地級地の見直し問題は、全国唯一の離島県の本県に大きな問題を投げております。とりわけ当該離島の関係者に大きな衝撃を与え、幼い子供たちにまで大きな不安を与えております。
今回のへき地級地の見直しに当たって本県教育委員会は改正案をまとめ上げ、今年10月18日に県人事委員会にへき地級地等に関する規則の一部改正について依頼しております。
その改正案では、へき地級地の上がる学校は26校、下がる学校が36校、高度へき地校から該当しなくなる学校が19校で、平地校から新規にへき地等学校になるのは7校との内容でありました。特に級地ダウン校のうち19校は3級から2級へと級地変更になり、その経済的損失は約1億5000万円とも予想されるため関係者や関係団体から大きな反発を買ったのであります。11月30日には宮城副知事が上京され、その際、文部省の審議官は、知恵を出してほしいと言ったと報道されております。それを受けてか、県教育庁は急ぎ差しかえ案を作成し、12月7日に県人事委員会に提出したとのことであります。
当初の見直し案で、高度へき地校から外れる計算だった19校が再度の見直し案では17校が救済され、2校が級地引き下げになることになったのであります。
こうした一連の教育庁の行動は、県民の目にどのように映ったのでありましょうか。
疑問に思いますことは、現行の基準の中での計算であり、なぜ当初から現案を作成できなかったのか疑問に思うのであります。また、級地が引き下げられる2校について、県当局の特段の努力を求めるものであります。
以下、次の質問をいたします。
1、具志川村立清水小学校並びに具志川中学校の級地引き下げの原因と根拠は何か。
2、清水小学校及び具志川中学校の救済措置はどう考えているか。
3、当初からなぜ現案の作成をしなかったのか。その理由は何か。
4、新設校職員及び新任教職員への影響はあるのか。あれば、どのような対処策を考えているか。
なお、これまでの教育長の答弁で、今後、検討するとの答弁がございましたが、具体的にはどうなるのか。来年の予算等で対処するお考えがあるのか、具体的に御答弁を願いたいと思います。
次に、基地問題について質問いたします。
基地問題の最重要課題は、何といっても基地の撤去、いわゆる基地の返還問題であります。その基地問題の返還に関して不可解な動きが起こっております。それは、御承知の恩納通信施設と泡瀬ゴルフ場の無条件返還にかかわる問題であります。
先日、マスコミ等は、恩納通信施設と泡瀬ゴルフ場が早ければ来春にも、また那覇軍港は来年中に返還へのめどづけがなされ、強制使用期限の切れる3年後には無条件で返還される可能性もある。特に恩納通信施設については、2月に予想される衆議院解散・総選挙前に、泡瀬ゴルフ場については11月の知事選挙のころにも具体化する見込みだと政府筋の情報として大きく報道しています。
この情報に対し、当初から在日米軍司令官と沖縄四軍調整官は、無条件返還については根拠がない、その具体的時期についても未定との声明を出していました。那覇防衛施設局も否定の見解を出していましたが、8日には防衛施設庁から公式にこのような事実はなく、当庁から明らかにした事実もないとの見解が発表されています。
この基地返還問題は、西銘知事が2度も訪米して直訴した問題であるだけに、実現するならば知事の訪米直訴の効果を実証することになります。それだけに県民は大きな期待を寄せていました。しかし関係当局の正式否定に接しがっかりすると同時に裏切られた気持ちでいっばいであり、激しい憤りを感ずるのであります。
そこでお尋ねいたします。
今回の一連の報道と関係当局の見解に対する西銘知事の御所見を賜りたい。
2、訪米直訴、クエール副大統領への直訴等、たび重なる直訴にもかかわらず実現されない基地の返還について知事の率直な御見解を伺いたい。
3、当該施設の返還見通しを含めて、今後の基地返還要求実現への県の対策と知事の決意を賜りたい。
また、基地問題と言えば通常は地上の軍事基地に目を奪われがちでありますが、もちろん陸上の基地でさえ日本国土の1%足らずのこの沖縄県に全国の米軍専用施設の75%が集中され、県土の11.3%の面積が基地で占められているように沖縄は超過密の基地の島でありますから、これも当然なことではあります。しかしそれに輪をかけるかのように沖縄の水域、空域も軍事訓練の区域が設定され、沖縄は空、海、陸すべてが軍事基地であります。
これまでも沖縄近海で米軍や自衛隊機からのものと見られる模擬爆弾の投下訓練等で船舶の被害が相次ぎ、安全航行の不安が的中しております。
そうした中、今度は在沖米海兵隊を中心とした米空軍、海軍の軍事合同演習ビーチクレスト90が12月5日から約1週間、沖縄周辺の訓練空域で実施されております。
このビーチクレストは、昨年12月に次いで今回で3回目であり、通常の訓練区域のほかに沖縄北部訓練空域の東側に隣接し、伊江島補助飛行場の訓練空域との間に臨時の訓練空域も設定しているとのことであります。
しかしこの区域は、冬場の民間機の出発進入路になっており、民間航空関係者の間からは、安全確保の点から玄関口での演習は非常識との反発の声が上がっています。事実、この統合演習によって民間機の通常飛行ルートが急に変更されるなどの影響が出ており、安全上の問題が指摘されております。
そこでお尋ねいたします。
1、県民の足の安全、観光立県上も問題となる沖縄の空域の安全確保のための訓練空域の返還問題について県の姿勢を承りたい。
2、今度の米軍統合演習ビーチクレストの影響について県は実情調査を行い、その実態を掌握しているか承りたい。
3、沖縄の空の安全確保のための県の今後の対応策を承りたい。
最後に、西銘知事の政治姿勢について所感を述べながらお尋ねいたします。
知事におかれましては、今月の10日で就任満11年目を迎えられたそうで、残り任期もあと1年、本当に御苦労さんであります。
西銘県政の評価につきましては、マスコミ等でも大型プロジェクトの推進にプラスの評価を下す反面、基地問題等でのマイナス評価に加え、政治の私物化という厳しい評価さえなされています。
この政治の私物化という批判は、かつて知事が御子息を秘書に登用されましたときにも県民世論を大きく沸騰させましたが、今回も御子息の衆院選出馬に絡む県庁ぐるみの選挙運動として、事もあろうに同じ仲間であるはずの自民党の他の予定候補者陣営からの批判であり、広く県民のひんしゅくを買う結果になっております。
しかし我が党は、特に西銘県政の政治姿勢を問題にする場合に、これまでもたびたび指摘してまいりましたが、その国策優先の政治姿勢であります。
従来も安保条約の容認や文部省の学習指導要領の改悪に先立つ国旗掲揚や国家斉唱の先行実施及び消費税導入の率先受け入れ等、枚挙にいとまがないほど指摘してまいりました。特に6月議会以来懸案事項になっています慰霊の日の休日廃止問題は、西銘知事の中央従属性のあらわれであると批判してまいりました。
以下について質問いたします。
1、西銘県政の国策優先と県益無視の政治姿勢を県民本位と県益優先に改める決意はないか。
2、県益優先の政治姿勢で戦時マラリア被災者への援護法の適用を先頭に立って運動する御決意はないか。
3、県民本位の政治姿勢で慰霊の日の休日廃止や消費税の転嫁指導の撤回を行う考えはないか、以上お願いいたします。
どうもありがとうございました。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 島袋嘉盛君の御質問に対しましてお答えいたします。
県立武道館建設についてお答えいたします。
近年、我が国で生まれ育った空手や柔道等の武道に対する愛好者がふえている状況にあります。とりわけ沖縄を発祥の地とする空手は、今や世界各国に広く普及し、約2000万人にも及ぶ愛好者がいると言われております。そのため空手の継承発展を図り、かつ国内はもとより、世界各国の愛好者に修行、研修の場として武道館に空手大学校的な機能をあわせ持った施設の建設について鋭意検討させているところであります。
かかる観点から、復帰20周年記念事業の位置づけをも含めまして前向きに検討いたしているところであります。
次に、基地問題について、恩納通信施設や泡瀬ゴルフ場等の返還報道について、これに対する県当局の見解を求められましたが、お答えいたします。
県が日米両政府に要請いたしました恩納通信施設や泡瀬ゴルフ場等の返還については、現在、日米合同委員会において鋭意検討されていると承っております。
なお、それぞれの施設について具体的な結論ないし方向づけはまだ出ておりませんが、近いうち何らかの成果があるものと期待をいたしております。
次に、知事のたび重なる直訴にもかかわらず実現されない基地の返還と県の基地対策についての所見をただされましたが、お答えいたします。
基地問題は、たびたびお答えしているとおり一朝一夕に解決できるものではございません。施設区域の再編統合という形で粘り強く要請することによって徐々に解決できるものと思っております。
次に、ビーチクレスト90について、沖縄の空の安全確保のため空域の返還を求めるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
訓練空域は、運輸省と米軍との間において民間航空交通の安全確保に配慮いたしまして設定されているものと理解をいたしております。
次に、ビーチクレスト90の影響について、県は実情調査を行い、その実態を把握すべきではないかという御提言に対しましてお答えいたします。
今回の米軍統合演習ビーチクレスト90の影響については承知いたしておりません。
なお、那覇航空交通管制部に問い合わせましたところ、航空機の運航には今のところ影響は出ていないとのことであります。
次に、西銘県政は国策優先だとおしかりを受けましたが、お答えいたします。
私は、これまで国策優先、県益無視の姿勢で県政に当たったことはございません。あくまでも国政との調和を図りながら県益優先をモットーに県政の運営に当たってきたところであります。
次に、マラリア被災者への援護法適用運動の先頭に立つべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
マラリア犠牲者に対する援護法の適用については厳しい状況にあると受けとめております。
同問題については、戦時中における八重山地域の特殊な社会事情下の問題として広く解決策が検討されなければならないと考えているところであります。したがって目下、実態調査を実施すべく進めているところであり、また現在、各面からの証言も収集している段階でありまして、これらもろもろの調査検討結果を踏まえて対処してまいりたいと思います。
慰霊の日の休日廃止についての御質問に対してお答えいたします。
慰霊の日の休日廃止間題については、これまで繰り返しお答えしたとおりであります。
地方公共団体の機関の休日は、地方自治法の規定の範囲内において条例で定めることとなっており、同法に規定する日以外の日、例えば慰霊の日を休日とすることはできません。したがって提案中の沖縄県の休日を定める条例及び沖縄県職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例については、撤回することも修正することも考えておりませんので、御理解と御協力を賜りたいと思います。
次に、消費税の転嫁指導の撤回を提唱されましたが、お答えいたします。
消費税は、最終的にはその負担を消費者に転嫁することを予定している税であることからいたしまして、県が行う財貨、サービスの提供等で消費税の課税対象となる公共料金等については消費税の転嫁措置を行ったところであります。
消費税については、廃止や見直しの論議があることは十分承知いたしておりますが、現に消費税法が施行されている現在、その趣旨に沿って行った消費税の転嫁や指導を取り下げる考えは持っておりません。
その他の御質問につきましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 島袋議員の県立武道館の建設について2点お答えしたいと思います。
建設に向けての取り組み状況並びに建設の事業ベースでどう考え、また次年度予算についての御質問にお答えしたいと思います。
取り組み状況につきましては、建設基本構想の策定の参考にするため県外3県を視察をし、また調査をし資料収集をしてきたところであります。
現在、建設場所の問題、あるいは規模の問題、施設の機能等の問題を初めとしていろいろと検討をさせているところであります。
なお、本事業の調査費等につきましては、目下、関係機関等と調整中であります。
県立高等学校の授業料等の条例改正とのかかわり合いでの御質問にお答えします。
まず1点目の今回の値上げの理由等でございますが、今回の授業料等の改定の主な理由は次のとおりであります。
まず1つには、地方交付税の算定における授業料等の基準額、よく言われております地財計画が改定されたことであります。
それから2点目は、授業料は、性格的には学校施設の使用料であり、また入学考査料あるいは入学料は、それぞれの入学選抜事務等についての反対給付的性格の手数料であるため、受益者負担の原則により負担額の適正化を図る必要があること。
3点目は、学校の管理運営及び環境整備等の教育費の需要増大に対応する必要があること。
ところで、県民所得や経済事情等勘案されたかのことにつきましては、高等学校PTA連合会や高等学校長会並びに高教組などにも説明会を持ちまして意見を聴取し慎重に検討の上、これらの意見を反映するとともに、私費負担の状況等も勘案することといたしております。
その結果、大部分の道府県におきましては、地財計画の改定年度において基準額どおり改定がなされているところでありますが、本県は、先ほど申し上げました事情等もありますので、1年据え置きの2段階改定の方式によって提案をしているところであります。
授業料以外の諸徴収の種類等の実態についてお答えします。
昭和63年度において県教育委員会が調査をしましたところ、PTA会費等組織の会費の名目関係が8種類ございます。それから体育館の建設の積立金等施設設備の整備名目関係が5種類あります。それから進路指導費等学習活動補助名目関係が7種類。それから修学旅行積立金等その他を含めて全体で27種類となっており、1人当たり年額4万6064円、月額にしますと3884円ということになっております。
ちなみに項目ごとに比率を申し上げますと、組織名目関係で36%、施設整備関係が13%、学習活動関係が26%、その他が25%となっております。
3点目の、沖縄における高校教育費の実態の問題ですが、これは昭和61年度地方教育費調査報告書によりますと、本県の県立高等学校生1人当たりの公費による教育費の比較を申し上げますと、全日制課程が沖縄県が71万1892円、それから全国平均が68万7411円、定時制課程におきましては沖縄県が110万9614円、全国が112万101円となっております。通信制課程は本県が17万5789円、全国が17万889円、特殊学校の諸学校関係が本県は520万7103円に対して、全国平均は494万8692円と、こういうふうになっております。
それで、定時制課程以外では全国平均よりは公費の上では高くなっております。その理由といたしましては、主に学校建設費等の投資的経費が全国平均を上回っていることによるものであります。
それから、公費と思われるものを父母が負担している事実の状況と金額について御報告申し上げます。
公費と思われるものの一部を父母が負担していると思われるものを統計によりましてとってみますと、図書費関係が844円、これは年間であります。それから衛生費関係が510円、実験実習関係が1240円、体育館関係が8496円、それから学校行事費等が663円等であります。
それから、体育館建設費に一部を父母が負担している状況ですが、学校数にしまして14校であります。これは、学校施設の整備は設置者負担で行うことを原則としているわけですが、このため文部省としましては補助基準面積で整備を行ってきております。ところが、一部におきましてPTA会員を中心として組織されております期成会の寄附により基準面積を上回って建設をされているのが実情であります。
そういうことで現在、体育館建設積み立てを徴収している学校が14校、1人当たり平均月徴収額が708円ということになっております。
今後のことにつきましては、基準面積内での施設整備に努めるよう学校長並びに関係者等の協議指導をして、私費負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
へき地級地の見直しに関連してお答えを申し上げます。
具志川村立清水小学校並びに中学校の級地引き下げの原因と根拠についてお答えします。
へき地級地の指定は、へき地教育振興法施行規則に定めるへき地級地の指定基準に基づいてなされるものでありますが、具志川村立清水小学校及び具志川中学校につきましては、基準に照らして3級地とすることは非常に困難であります。その要因は、船便及び飛行機便が増便になっていること、また両校は他の学校に比べまして基準による配点等につながってないということで、これはいろいろの要件がございますが、そういうことでの状況になっております。
それから、両校に対しての救済措置についての御質問にお答えします。
高度へき地校でなくなり、パン、ミルク給食及び修学旅行費の国庫補助が打ち切られることにつきましては、大変学校教育にも重大な影響を与えることになりますので、今後検討してまいりたいと考えております。
なお、追加の御質問のありました、じゃ、どういう形で具体的に検討するかについては、今後の級地見直し等あるいは予算措置等も含めたいろんな問題を含めて検討してまいりたいということで御理解いただきたいと思います。
それから、当初から何ゆえ現案の作成をしなかったかについての御質問にお答えします。
へき地級地の当初の見直し後の状況につきましては、高度へき地校でなくなる学校が19校もある等でいろいろと問題の提起があるということになりました、結果的に。
それで、その一番大きいのが、まず内陸より海洋性のへき地校がダウンする状況になっていること。それからパン、ミルク給食及び修学旅行費の国庫補助が受けられなくなり、かつまたその19校におきましては父母負担の増を招くことということで、このような問題を打開するためには、特に本県の海洋性の離島僻地の特殊事情を県独自の判断で基準に反映させるため、運航回数等の取り扱いをさらに慎重に検討せざるを得なかったということになります。
それから、新設校職員及び新任教員への影響は、じゃ、将来の見直しについてどうなるのか、あるいはその対応策についての御質問にお答えします。
新設校は、へき地級地の変動のない地域で新設されますので、直接の影響はございません。
級地が下がる学校にあっては、既に勤務している職員は属人保障がなされるようになります。
なお、新任教職員につきましては、新しい指定基準によるへき地手当が支給されることになります。
以上であります。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 島袋議員の御質問にお答えいたします。
1つに、今回の措置と知事が要請した内容は一致するかという御質問でございます。
今回の措置については、いまだに格差は存在するものの、一応の前進を見た内容というふうに考えております。
第2点目に、今回の措置と完全に格差是正した場合の県全体の差額は幾らになるかという御質問でございます。
現在、社会保険庁で管理しております被保険者個々人の被保険者記録、例えば資格の得喪年月日、標準報酬月額等は、沖縄の厚生年金保険制度が発足した昭和45年1月からしかないために御質問の差額の算出は事実上困難でございます。
それから3番目に、今後、格差の完全解消を求める考えはあるかという御質問でございますけれども、今回の措置は国として年金制度内で許される最大の内容としておりまして、かつまた最終的な措置だといたしております。現段階においてさらなる改善は、現実的には見込めない状況下にあるわけでございまして、県といたしましては、今後の対応として、将来、どういう方法をとり得るかいろいろな角度から幅広く検討を進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 白保台一君。
〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 質問を行います。
初めの質問は、沖縄エネトピア・アイランド構想について、午前中にも質問がありましたが、私の立場で改めて伺いたいと存じます。
資源エネルギー庁のまとめた太陽光、風力、波力、燃料電池による発電を、離島を対象に開発しようとする沖縄エネトピア・アイランド構想は、多方面から期待が寄せられております。
我が党は、昭和57年5月、豊かな自然環境に恵まれた沖縄の経済的自立のために、すなわち第2次沖縄振興開発計画に対する重点要求の中でローカルエネルギーの開発を提言しております。
沖縄の電力は、すべて火力に依存し、その上、多数の離島を抱えているという特殊要因により、電力料金は他県に比べて割高になっている。このことは、県民の日常生活を圧迫するだけではなく、諸産業の発展、誘致の阻害要因となっている。沖縄の電力を安定的に適正な価格で供給するためには企業努力は当然のこと、燃料の転換など電力エネルギー生産の構造を改善することである。差し当たって国や県がエネルギー供給企業の指導と助成を積極的に推進するとともに、諸条件の整備を図るべきである。
また、長期的な施策としては、沖縄の地理的、経済的条件に合ったローカルエネルギーの開発が最も重要な課題である。そのためにも政府は、沖縄県をローカルエネルギーのモデル地域として指定し、大幅な資金援助と日本の持つ最高の科学技術を結集して太陽、風、潮流等の自然の持つエネルギーの利用開発等を促進すべきである。
以上のことを踏まえて次のことを推進すること。
1つ、太陽エネルギーを利用した太陽熱発電所の実用化が近いことから、沖縄県に積極的にその誘致を推進する体制づくりをつくること。
2、海洋エネルギーを利用した海流発電、海洋温度差発電の研究機関の誘致並びに海水揚水発電プラント建設を促進すること。
3、風力発電、揚水風車等の実用化に対する補助制度の推進を図ること。
4は省略いたしまして、5、焼却炉の余熱を利用したごみ発電及び下水処理場の汚泥による消化ガスを活用した発電等を推進すること。
6、家庭用並びに工業施設へのソーラーシステム、太陽熱利用給湯冷暖房装置の設置に対する補助枠と補助率を拡大すること。
7、畜産廃棄物の効率的活用によるメタンガスなどエネルギー源の確保のためのあらゆる手だてを促進すること等の提言を政府並びに県へ行ったのであります。
報道で知る限りでは、8月中に沖縄県や沖縄電力、県内学識経験者などで構成する調査委員会を発足させ、基本設計、対象離島の選定などについて検討し来年度からの施設着工を目指すとなっておりますが、現状について伺いたいのであります。
1つ、調査委員会は発足させたのでしょうか。
2つ目に、委員の構成はどのようになっているのか。
3、調査の現状はどこを、どのように調査しておられるのか。
4、その結果、基本設計はできたかどうか。
5、対象の離島は選定されたのかどうか。
6、将来の展望あるいは計画はどのようになっているのか伺いたいと思います。
次に、水資源対策について伺います。
「日本の水資源」という報告書は、近年の全国的な少雨傾向で渇水が全国各地で頻繁に発生している。1つ、地球的規模の温暖化が水循環への悪影響を及ぼす懸念があると報告しております。そして、新しい水活用社会の形成の必要性を訴えております。
また、今後の課題として、1、不安定取水、流量が少ないときに取水困難になることの解消、2、渇水対策のための大きな容量を持ったダム建設、3、大規模災害などに対する水資源の危機管理体制の充実を挙げております。
本県においても、県広報誌「沖縄」の8月号の巻頭に「節水はみんなでつくる水資源」と、大切な水の確保という特集記事を掲載し懸命の努力をしておられます。それが功を奏したかどうか知りませんが、あわや2度目の断水という直前でまとまった雨が降り、一応現状は回復しておりますが、特集にもあるように本県の年平均降水量は約2300ミリで、全国平均1800ミリより約30%も多くなっておりますが、人口1人当たりの降水総量は人口密度の関係から約3000立方メートル、全国平均約6000立方メートルと半分にすぎないのであります。
しかも「日本の水資源」にもあるように、生活用水の1人当たりの1日平均使用量は、沖縄県が354リットルと最も多く、最も少ない北九州261リットルと大きな使用量の差があります。これは、気候や生活習慣あるいは衛生面等多角的な判断が必要で一概に比較は難しいかもしれませんが、確実に言えることは水は使用されているということであります。
冒頭に述べたように、近年は全国的な少雨傾向であり、加えて地球的な規模の温暖化で水循環が悪影響という時代の中で、単に節水を呼びかけているだけでは将来に展望は持てないのであります。したがって県は、国と水資源対策に長期的にも中短期的にも対応を講じなければならないのであります。報告は、あえて新しい水活用社会の形成の必要性を説いております。
これまでも、去る断水の際にもその対策について細かく質問がありましたが、県としてこの際、整理をして中長期的な対策を示してもらいたいと思います。
第1に、新しい水活用社会の形成の必要性をどのように受けとめ対応される考えか。
第2に、不安定取水の解消の具体的方向性を示してもらいたい。
第3に、渇水対策のための大規模ダム建設が可能かどうか。
第4に、現在、リゾートを計画している民間業者の水資源確保に対する責任分担はどのようになっているのか、伺いたいと思います。
次に、水資源の確保と同様に重要なことは、水質の問題であります。
良質な水を供給するため、企業局は、厚生省の基準に合わせてかなりの努力をなされていることは十分承知しております。
ただ、現在、努力されている部分の大半は、良質ということよりも安全な水ということだと思います。良質な水は、表流水であれ地下水であれ、でき得る限り不純物が混入していない状態でなければなりません。したがって61年11月の決算特別委員会で私が指摘し、また57年の我が党の2次振計に対する提言でも提起しているが、良質な水資源を涵養するため水源涵養林の造成、ダム機能保全の森林の造成は重要な課題であります。
県は、水道水源原水の水質保全対策会議を開いて検討していると思いますが、良質の水確保のためどのような対策を講じているか伺いたい。
あわせて宮古の水質が問題となっておりますが、県は調査をされたのか。
また、いずれ重大な危機を迎えるとも言われているこの水質に対してどのように保全していく考えか、県の具体的な対応策を伺いたいのであります。
次に、基地問題について伺います。
基地問題のうち整理縮小に関する部分は、機会を改めてお伺いすることにいたします。環境問題一本で伺います。
去る11月28日、我が党の石田委員長と恩納村に建設された都市型訓練施設の現場に立入調査を行いました。その際、乱暴に切り崩した山の赤土が雨の中で痛々しく浮き出ていました。海兵隊側は、来月末までに砂や芝生を入れて補修をすると言っておりましたが、翌日の新聞には、真っ赤に染まった恩納村の海の姿が報道されておりました。
さて、本日の報道にも辺野喜ダム上流における米軍提供施設外の数力所で米軍の携帯食品を食べ散らかしたり、産業廃棄物として環境汚染の原因になる電池や注射器を放置していたことが明らかになったと報道されております。
また、宜野座村字漢那城原区、これは米軍キャンプ・ハンセン演習場に隣接している所であります。栽培をされている観葉植物が、米軍ヘリの発着の際にヘリ発着場から舞い上がる赤土をかぶり、出荷できなくなったと報道をされております。
地位協定3条は、施設及び区域内における権利等を規定しています。第1項では、米軍は、施設及び区域内においてそれらの設定、運営、警備及び管理のために必要なすべての措置をとることができるとしており、必要なすべての措置をとることができるという排他的な権限を与えられております。
一方、3項においては、施設区域内における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならないとしております。米軍にたとえ排他的権限があったとしても、公共の安全に反する作業は行えないのではないか。しかるに環境破壊や被害が続出するこの事実は、まことに遺憾であり許しがたいものがあります。
この際、知事に伺いたいのは、第1点、恩納村都市型訓練施設の建設に見られる環境を破壊する新たな建設については、県土保全の立場から事前協議がなされたことはなかったのかどうか。あるいは環境破壊を防止する取り決めはないのかどうか。
第2点、辺野喜ダム上流における米兵の不法行為について、施設外においては地位協定5条2項の施設間の移動や休憩は違反ではないと海兵隊報道部はコメントしておりますが、単なる施設間の移動や休憩であったのか、事実関係と県の対応について伺いたいと思います。
第3点、宜野座村城原の被害の事実関係と県の対応について伺いたいのであります。
明年から国連では、災害防止の10年として自然災害を最小限に食いとめる努力をすると位置づけております。今や自然破壊が災害につながっている世界的状況の中で、いかに自然環境を守るかということが重要なテーマであります。
ケニアでは、地球を大切にしなさい、それは親からもらったものではなく、それは子供たちから借りているものだから、というすばらしいことわざがあると聞きました。
県土保全のための取り決めが必要と考えるが、知事の御所見を伺いたいのであります。
次に、県立芸大及び県立高校の授業料等の値上げについて伺います。
県立芸大、県立高校の授業料等に関して、来年3月、県立芸大の第1期生が卒業いたします。いよいよ真価が問われることになると思います。
県立芸大学則第1条目的に、沖縄県立芸術大学は、広く教養を培い、深く専門芸術の技術、理論及び歴史を教授研究して、人間性と芸術的創造力及び応用力を育成し、もって伝統芸術文化と世界の芸術文化の向上発展に寄与することを目的とするとなっております。芸大設置条例の審議に参加した一人として、今後の活躍に大きな期待を持っているものであります。
県立で芸術大学を運営することは容易なことではなく、教育には多大な投資が必要であり、またそれを惜しんでは効果に期待が持てるものではありません。
したがって、よく言われる教育の効果は、20年後を見よということから見る場合、本県の伝統芸術文化の技術と理論が世界へ影響を与えるのはまだまだ先のことかもしれません。
しかし知事は、本県の伝統芸術文化に深い誇りを持っておられるからこそ芸大設置を推進したものと思いますし、これは私の見る限りではこの芸術大学は、知事の政治哲学の一つの表現ではなかったのか、このように思います。だからこそ、1期生を輩出することを機に音楽学部の新設を提案していることと理解しております。
したがって、広く県民の子弟に門戸を開放するとともに、国内外からの入学及び聴講のでき得る体制がより一層充実することが肝要であると考えます。
そこで伺いたいのは、1つは、第1期卒業生の進路はどうなっているのか。
2、総合大学としての芸術大学はどのようなもので、その計画はどうなっているのか。
3、今回の入学料等については、国公立大学との均衡と受益者負担を挙げておられますが、知事の理念と相入れないのではないか、知事の御所見を伺いたいのであります。
次に、県立高校授業料等についてであります。
今回の改定、すなわち値上げの理由について、地方交付税算定の授業料等の基準額の改定、反対給付的性格の使用料、手数料は受益者負担の原則で負担額の適正化を図るものだと。教育費の需要増大に対応する必要がある。消費税の転嫁が挙げられております。
しかしながら、本県の県民生活から見て恐らくは納得が得られないのではないか。
「3高2長」ということが言われております。住宅費、教育費、物価、この3高。労働時間、通勤時間の2長であります。これは、我が国の政治の貧困がもたらしたものであります。
そこで伺いたいのは、県民所得の格差、高校進学率、大学への進学率等、国、県が挙げる理由とは別の角度からの視点もまた必要ではないのか。ましてや消費税の転嫁は、今の時期になおさらのこと理解に苦しむし納得できるものではありません。一回撤回をして再検討する余地はないのかどうか、伺いたいのであります。
後ほど再質問を行います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 白保台一議員の御質問に対しましてお答えいたします。
沖縄エネトピア構想についてお答えいたします。
沖縄エネトピア・アイランド構想は、通産省が本県内の離島を対象に太陽光発電、風力発電、燃料電池、波力発電等新エネルギーの実証研究を行うとともに、東南アジア等への日本の技術協力の一層の促進を図ることを目的として打ち出されたものであります。
同構想の具体化を図るため、新エネルギー財団に平成元年8月25日、新エネルギー導入モデル調査委員会を発足させ、調査を開始いたしております。
委員会は、産・学・官の19人の専門家で構成され、沖縄からも県を初め7人の委員が委嘱されております。現在、この委員会では、宮古・八重山地域を対象に現地調査を初め具体的立地点、導入プラントの規模等基本設計作成のための検討を重ねているところであります。
本県において、新エネルギーの開発という同構想が実現することは、離島におけるエネルギー事情の改善及び東南アジア等への技術移転の拠点として大きな役割を担うことから、県としてもその実現に向けて努力しているところであります。
次、水資源対策について、良質な水の確保についての対策をただされましたが、お答えいたします。
良質な水の確保については、まず、できるだけ良質な水源を確保することであると考えております。良質な水源の確保については、国直轄の北部5ダム等を初め西系列13河川の開発など北部水源の開発に努めているところであります。
御指摘のとおり、これら良質の水を維持し保全するためには、まず、涵養林の造成、ダム機能保持のための森林造成が重要な課題であります。
県においては、国との連携のもとに水源基金制度の活用と水源地域住民の御協力を得ながら、水源地の環境保全等に取り組んでいるところであります。またその他比謝川、天願川等の中部水源については関係市町村と連携してその水質保全に努めているところでありますが、さらに北谷浄水場に高度浄水処理施設を建設し、より良質な水の確保に努めることといたしております。
次、基地問題についてお答えいたします。
環境破壊について、新たな施設を建設する際には前もって協議したことがあったか。またそのような取り決めはあったのかという御質問に対しましてお答えいたします。
米軍による基地内での施設工事に当たっては、地位協定第3条の規定に基づきまして、施設区域内の作業については公共の安全に妥当な考慮を払うこととなっております。したがって県は、これまで特別の協議、あるいは取り決めは行っておりません。
次に、環境破壊について、自然環境を守るため県土保全のための取り決めが必要であるが、知事の所見をただされましたが、お答えいたします。
米軍基地の性格上、県土保全条例を適用することは困難であると思いますが、国内法令が遵守されるよう防衛施設局を通じて要請してまいりたいと思います。
次に、辺野喜ダムの上流における米兵の行為について御質問がございましたが、お答えいたします。
御質問のことについては、けさの新聞報道で知り、国頭村や那覇防衛施設局、米軍に照会をいたしているところであります。
次に、宜野座村城原の被害の事実関係についての御質問がございましたが、これもけさの報道については、今後、調査してまいりたいと思います。
次に、県立芸大及び県立高校の授業料の値上げ等の関連について、総合大学としての芸術大学はどのようなもので、その計画はどうなっているかとただされましたが、お答えいたします。
県立芸術大学は、沖縄文化がつくり上げてきた個性の美と人類普遍の美を追求することにより、日本文化の内容をより豊かにし、ひいては国際的な芸術的文化活動にも寄与するという建学の精神に基づき設置されたことは御案内のとおりであります。
県立芸術大学においては現在、芸術文化に対する深い理解を有し、創造力豊かで、将来に向けて幅広い実践活動をなし得る若い有為な人材の育成に努めているところであります。
また、我が国の最南端に位置する同大学を、東南アジア等を軸とした太平洋文化圏の中心として位置づけ、留学生の受け入れ、研究教員の交換等を行い、諸外国との芸術文化交流の拠点となるよう特色ある大学づくりを目指しているところであります。
県立芸術大学は、既設の美術工芸学部、附属研究所及び平成2年4月に開設が予定されている音楽学部の設置をもって芸術系総合大学として完成すると考えております。
なお、より高度の教育研究を行うため、大学院の設置についても今後検討してまいりたいと思います。
残りの御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 白保議員の御質問の県立高校の授業料の値上げについてお答えしたいと思います。
本県の県民所得が、昭和62年度の全国平均の75.2%で大変低いという水準も承知をいたしております。
今回の授業料等の改定につきましては、地財計画の基準額に沿っての改定でありますし、また本県の地理的、経済的状況等も総合的に配慮して地方財政計画の1年据え置きの2段階方式によって提案をいたしているところであります。
なお、消費税の転嫁につきましては、消費税法によりまして入学料は課税対象となっていることから消費税相当額を含めた額となっております。
以上であります。
○議長(平良一男君) 振興開発室長。
〔振興開発室長 新垣徳夫君登壇〕
○振興開発室長(新垣徳夫君) 水資源対策についてお答えいたします。
まず、御質問の第1点、新しい水活用社会の形成の必要をどのように受けとめ、対応するかということについてお答えいたします。
新しい水活用社会の形成については、国土庁が昭和62年10月に策定いたしました全国総合水資源計画、いわゆるウォータープラン2000の基本目標となっていることは御案内のとおりでございます。
この目標は、長期的、先行的な水資源の開発、渇水に対する水供給の安全度の向上、水に関して多様化する国民のニーズの把握、水の持つ多面的な再評価による水の活用等を推進することとしております。
御承知のように、水資源の逼迫した本県においては、水資源の開発を県政の重点施策として位置づけ、沖縄振興開発計画に基づきその開発が進められておりますが、第2次沖縄振興開発計画に引き続き第3次沖縄振興開発計画においても将来の水需要の動向を的確に見通し、地域の特性に合った計画的、総合的な水資源開発利用に関する諸施策、基本的方向を明らかにいたしまして、これを推進していく考えでございます。
御提言の新しい水活用社会の形成につきましては、その基本目標を踏まえながら多目的ダムの建設を基本に雨水、下水処理水、地下水等の雑用水利用を積極的に推進してまいりたいと考えております。
また今後とも、生活水準の向上、産業の発展及びリゾート開発等に伴う水需要の増大が予想されることから、第3次沖縄振興開発計画においても強力に水資源の開発を推進するとともに、水資源が無限ではなく有限にして貴重な資源であることを認識いたしまして、新しい水活用社会の形成に努めてまいりたいと考えております。
質問の2点目でございますが、不安定取水の解消の具体的方向性についてお答えいたします。
本県の昭和63年度における平常時の水源別供給内訳は、国ダムが52%、河川水から34%、地下水等から11%、県管理のダムから3%の順となっておりまして、御指摘のとおり不安定取水としての河川からの取水が全体り約3分の1を占めている現状にございます。このことは、一たび渇水に見舞われますと、たちまち不安定な水源状況となるということでございます。
そのため、利水安全度を高める施策として多目的ダム等の水資源開発を積極的に推進しているところでございます。また比較的安定水源となり得る嘉手納井戸群の地下水開発についても県独自に推進しているところでございます。
質問の3点目でございますが、渇水対策のためのダム建設が可能かどうかという御質問にお答えいたします。
御質問の渇水対策のためのダム建設については、最近の施策として発想されたダムでございまして、現在、国内においては利根川戸食ダム・稲戸井調整池、荒川高時川ダム、那珂川・五ケ山ダム等の建設計画が進められているところでございます。
本県では、慢性的な渇水を克服するため、これまで北部5ダムのほか、漢那ダム、羽地ダム等の多目的ダムの建設を行い、あわせて沖縄北西部河川総合開発事業の早期着工に向けて諸調査を進めているところでございます。
質問の4点目、現在、リゾートを計画している民間業者の水資源確保の責任分担は、どのようになっているかということについてお答えいたします。
本県の水資源開発は、第2次沖縄振興開発計画に基づき、その目標年度の平成3年度における水需要量を日量73万トンと予測いたしまして、多目的ダムの建設を基本にその開発を進めているところでございます。今後、生活水準の向上やリゾート開発等により需要量はなお増加するものと予想されております。
このため、県においては今後とも多目的ダム等の水資源開発を推進するとともに、雨水利用等による水の有効利用を図り水需給の安定確保に努めてまいりたいと考えております。
なお、リゾート開発計画を含めた長期的な水需給計画については、来年度予定いたしております調査計画の中で検討をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 総務部長。
〔総務部長 石川秀雄君登壇〕
○総務部長(石川秀雄君) 県立芸大の授業料等の値上げの御質問の中の、最初の第1期卒業生の進路はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
現在、県立芸術大学には美術工芸学部の学生275人が在学しており、平成2年3月には第1期卒業生を送り出す運びとなっております。
第1期卒業予定者につきましては、去る11月末に進路希望調査をしたところ、卒業見込み者61人のうち進学希望者26人、就職希望者25人、その他10人となっております。
ちなみに、就職内定状況は、就職希望者25人に対し12人で、就職内定率は48%となっております。
就職対策につきましては、学内に就職委員会を設置し就職希望調査、就職ガイダンス及び求人紹介等を中心にして活動を行っております。
なお、未定者につきましては、今後とも、担当教員を初め事務職員も一体となって学生の就職指導を強化していきたいとこのように考えております。
それから、御質問の入学料等については国、公立大学との均衡と受益者負担を挙げているが、知事の理念と相入れないのではないかという御質問についてお答えいたします。
県立芸術大学が本県における特色ある高等教育機関として県民の期待にこたえていくためには、今後とも教育環境の整備と教育研究体制の充実を図っていくことが重要であると考えております。そのためには財政上の対応も考慮しなければならず、学生にも応分の負担をしてもらう必要があると考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
以上であります。
○白保台一君 答弁漏れ。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後3時3分休憩
午後3時4分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
商工労働部長。
〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 沖縄エネトピア・アイランドの具体的な立地場所の選定でございますが、まだ決定には至っておりませんが、せんだって委員会といたしまして宮古地区で伊良部町の牧山地区、白鳥地区、それから城辺町の七又地区、平良市の平安名岬一帯、それから砂山地区。
なお、八重山地区で西表島の船浦地区、石垣市の崎枝、伊原間両地区の調査をいたしておりますが、具体的な選定場所等につきましては、今年度中検討を重ねて、恐らく来年度に入りましてから国の方から決定があるものと期待をしております。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 白保議員の宮古の水質問題について県は調査したことがあるか、水質保全について県の具体的対応策を聞きたいという御質問にお答えいたします。
宮古島の水質問題につきましては、昨年6月結成されました宮古島地下水水質保全対策協議会が主体となって汚染源、水質等の調査を行っておりますが、県といたしましては、同協議会の専門部会の委員に県職員を参加させ調査に協力しているところでございます。あわせて同協議会の依頼を受け、宮古保健所及び公害衛生研究所で地下水水質の分析を実施し、そのデータを提供いたしております。
保全対策といたしましては、今後、同協議会で汚染原因をさらに分析いたしまして検討することといたしておりまして、例えば汚染源分布の明確化、有機質汚染と化学肥料汚染の割合の推定、各地下水流域の汚染原因をより明確化すること等が当面の調査課題となっておりますので、県といたしましても、それを踏まえて関係部局と協力して具体的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 白保台一君。
〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 再質問をいたします。
知事、先ほど申し上げました環境保全の問題で3条1項あるいは3条3項、こういった問題で知事は公共の安全に妥当な考慮を払ってやると。言ってみれば、米軍側の責任の範囲で物事を行うべきであってということだと思うんですね。
これは話としてはよくわかるわけなんですが、現実の問題としてこれだけ問題が、赤土が流出してみたり、あるいは周辺に影響を及ぼすようなそういう状況というものが出てきている。こういう事実を踏まえた場合に、果たして知事が先ほど言われたように国内法を遵守してやれと、こういうふうに政府の方にも言っているというようなことで、これで事足りるのかどうかというのを非常に疑問に思うわけであります。
これは、他地域ならともかくとして、これだけの基地を抱えている本県においてはやはり何らかの、しかも住宅なども隣接しておりますし、県民生活と密接にかかわっておるわけですから、何らかのこういった面の取り決め等ができるような方向はないものだろうかどうかと。これはみんなが真剣に考えていることなんですね。
ですから、そういった面では3条3項をうのみにするのではなくして、何らかの対策を県でやれるような方向がないかどうか、この辺について再度お聞きしたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 基地内に建設される工事等の関係で河川が汚染され、また森林等が伐採されて、そういうことで環境保全の問題は県政にとりましても大変重要な問題だとは認識いたしております。
しかし、施設区域の提供者は国でございますので、国と米軍との間に取り決められたいわゆる国内法規の趣旨をあくまでも尊重して、環境保全についてもこれに最大限の注意を払うと。こういう形で、基本的にはそういう取り決めは結べませんけれども、ケース・バイ・ケースに対処していくということではないかと、かように考えております。
○議長(平良一男君) 宮良 作君。
〔宮良 作君登壇〕
○宮良 作君 まず、戦争マラリア補償問題について質問いたします。
この問題は、遺族援護会などの努力により、今や全国紙に取り上げられるところまできています。さらに我が県議会も全党派一致して国に補償要請決議を行い要請団を国に派遣いたしましたが、知事も厚生大臣と話し合ったようであります。
私は、この問題解決のかぎは、世論の高揚と全党派の一致した取り組み、さらに各党派独自の積極的努力にあると考えています。
我が日本共産党も、前県議会議員の古堅実吉氏を団長とする調査団を組んで各方面の調査、国、県、市、町当局への要請行動を進めてまいりました。
さて、私は、ここに元八重山支庁長、そして八重山民政府知事であった吉野高善さんの1946年11月12日付の日誌のコピーを持っております。さきに述べました日本共産党調査団の一員である私は、先月29日に石垣市大川の南島資料館で多数の吉野高善日誌の中から、この約2ページにわたる11月12日付の鉛筆で記述されたページを発見いたしました。ここには明確に次のごとく記述されております。知事に今資料を渡したとおりであります。
11月12日、波照間島の窮状。
波照間島住民は、1945年4月初旬から同月中旬までに、軍命により西表島南風見田に戦闘を避けるため避難、同年8月中旬より9月初旬帰島。避難中、マラリアに罹患、多数の死亡者を続出し帰島後もキニーネなきため治療せず依然として死亡者を出せり。これに加えて食糧欠乏し、これをつくらんとするもマラリアのためつくることを得ず。また避難前、多数あった牛馬などの家畜も軍に供出してわずかに数頭しかなく荒廃したる田畑の農耕に困窮せりとはっきり記述してあります。
これは、波照間での軍命疎開を証明する極めて重要な原本としての資料であります。私は、この日誌資料の調査に御協力くださった吉野知事夫人同様に、またその他関係者の皆さんに心から感謝の念を表明するものであります。
さらに私は、戦争マラリア事件当時、黒島に派遣されていた陸軍中野学校出身残置諜員の旧名山川氏からも、軍命は間違いない。黒島区長の玉代勢氏から疎開の軍命が来たので相談に乗ってほしいと言われて打ち合わせをし、軍用舟艇2隻を宮崎旅団長にかけ合って疎開用に黒島に回してもらったと証言しております。この山川氏は現在、北九州市に住んでおります。
そこで第1の質問です。厚生省が軍命とまだ断定できないという姿勢の中で知事は、マラリア犠牲者への国の補償をかち取るべき立場から、この吉野日誌についてどう対応されようとしているのか御答弁を願いたい。
第2の質問は、知事は11月25日に厚生大臣に会った際、戦争マラリアについて話し合い、援護法の適用は難しいので沖縄独自の問題として処理することを考慮しなければならないという意味のことを語ったとマスコミが報道し、県民の中には、なぜ国を免罪するのかという疑問が生まれております。この発言はどういうことなのか、真意と厚生大臣との会談の内容について御説明願いたい。
第3の質問は、今回可決されるであろう792万円のマラリア調査費について、単なる一般コンサルタント企業にすべて任せてしまうのではなく、事情を知っている関係者等も含めて集団的にこの計画を立てていただきたいと思います。どういう計画になっているかお答え願いたい。
第4の質問は、政府の所管省はどこに決まったか。まだならば、なぜおくれているのか説明願いたい。
第5は、政府及び国会関係の八重山現地調査について要請するべきだと考えますがどうですか、以上お答え願います。
さて、首里城復元及び周辺公園整備問題について質問いたします。
首里城は、日本帝国主義者たちが起こした無謀な太平洋戦争の結果、戦火に遭い、崩れ落ちてしまいました。これを国が全体的に復元することは県民の要望に照らして当然であり、あわせて私は、国に沖縄県民に対して過去の戦災破壊について謝罪すべきであるとも主張するものであります。
私は、11月3日に行われた首里城正殿の起工式について、県民の要求と願いの結果到達したものとして県民の一人として大変喜んでいるものであります。
しかし、私は、この首里城復元について一つの大きな疑問を持っておりました。それは、正殿の木造復元と南北殿などの復元整備という言い方。
さらに、正殿復元については大きく細かく発表されマスコミにも載るが、南北殿についてはほとんど触れられず、正殿の木造復元の宣伝の陰に隠れているという事実。
これは何か隠されていると考え、調査するに至りました。そして10月30日に東京の企業からそれを聴取し、突きとめたのであります。
知事、南殿、北殿、番所、奉神門等の復元整備というのは、何と鉄筋コンクリート造、RC造というではありませんか。幾ら外観を板材などで元に似せようとしても、琉球建築の重要特徴の一つである柱やはりが木造でなく鉄筋コンクリート造であるのに、どうして復元と呼べるのですか。
沖縄県民の注目を正殿の木造復元という表現に引きつけておいて、その陰で南北殿などの鉄筋コンクリート造を一度も公表せず進めているそのやり方に対して、心の底から怒りを覚えるものであります。
復元整備という言葉をつくり、正殿の木造復元とともに、南北殿なども木造で復元されるかのようにいわばカムフラージュして県民をだましてきたとしか言いようがない。これではまるで詐欺だと怒っている市民が多いけれども、余りにもひど過ぎる話ではありませんか。
沖縄開発庁総合事務局が出した首里城公園事業概要というこのパンフレットでは、各施設の復元の時代設定は18世紀の前半を基本とするとありますが、18世紀の前半に沖縄で鉄筋コンクリート造の建物があったんでしょうか。しかも基本設計はもう終了し、実施設計の段階であります。
議長、休憩を求めます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後3時18分休憩
午後3時19分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
○宮良 作君 関係者たちは、恐らく第1に建築基準法と消防法で木造復元はできない。第2に、鉄筋コンクリート造については実施設計も固まり確定してから公表する予定だったと言うかもしれません。しかしこれもおかしな話です。
建築基準法と消防法とをあわせて対応し、防火装置や表面板材を工夫すれば現行法下でも木造は可能であるとの主張もあります。空調について言えば、木造でも可能と専門家は教えております。
ともかく、これまで羊の頭をぶら下げてきた関係者のやり方は、事が首里城復元という県民の関心が集中し期待が強かっただけに罪悪的でさえあると怒っている人が多いが、そのとおりではありませんか。
私の調査の過程で判明したことですが、文化庁や沖縄開発庁、その他国関係の中でもこういうやり方、つまり復元整備と言いながら、中身は鉄筋造だということを県民に率直に公表しないで進めておいて、沖縄県民が怒り出すのではないだろうかとひそかに心配している人たちもいることが調査の過程でわかりました。
今、大切なことは、鉄筋コンクリート造と木造とについて、その条件や肯定面、否定面、これまでの経過などを県民にすべて早く公表し、議論を起こさせ意見を集約することです。これは、やる気があればできることです。
この問題での現在の焦点は、まさに民主主義の問題だと私は考えております。
さて、質問に入ります。
1、知事、あなたは南北殿などが鉄筋コンクリート造であることを承知していたことは明白だと思うのです。なぜ初めから公表するよう国に求めず、ともにこういう県民無視のやり方を進めさせたのですか。
2、あなたは、県民に対しまずいやり方であったと反省し、その意思を表明する気持ちはありませんか。
3、鉄筋コンクリート構造の方針は、国、県、御庭ゾーン委員会のうち、どこが持ち出したものですか。いつから出始めた話ですか。その後の経過も明らかにしてください。
4、コンクリート造だと南北殿などの遺構は破壊されることになると考えます。遺構が破壊されてもいいのですか。
5、県民に対し早急に公表し、どういう建築を望むか議論を求めるべきです。いつ公表されますか、お答え願いたい。
6、発掘した孔子廟石垣は、松崎馬場、西海道、植生、龍潭池の整備との関連で保存し、首里城公園内の歴史と憩いの広場のメーンの一つとして企画するよう提起します。いかがですか。
7、首里城公園整備については、孔子廟石垣の突如の出現を教訓として、まず発掘調査期間を十分に設定し、その後地上計画を立てるべきです。答弁を求めたいと思います。
続いてモノレール問題で質問いたします。
那覇市が本年8月、交通渋滞解消で市民アンケート調査をしたところ、モノレール建設を要望する人は毎年増加しております。
一方、バス離れも増加しています。以前の私の質問に対し、知事は、今年度中にバス会社との調整を終えたいと答弁しました。
今、モノレール建設の5つのクリア課題のうち最大の難関は、何といってもバス会社との路線網検討を含む調整であります。ところが、話し合いをバス会社から一方的にキャンセルされる例がかつて続いております。
そこで質問いたします。
1、本会議での答弁であるバス会社との調整は答弁どおり本年度中に終えられるか答弁をお願いしたい。
2、バス会社との合同調査はどうなっているのですか。これまでの経過を説明願いたい。
3、特許申請、設計、工事実施、そして開通など県の計画を明らかにされたい。
4、またマスコミの記事にあったように1996年に開通するとすれば、右のそれぞれの時期はいつという計算になりますかお答え願いたい。
最後に、基地問題について質問いたします。
都市地域戦闘訓練施設について、米軍や外務省に中止を要請した。実弾使用の訓練は引き続き実施しないよう要請していくと、あなたは、きのうもいかにも基地建設は困るかのように我が党の親川議員の質問に答弁しましたが、これなども結局、恩納村都市地域戦闘訓練施設の建設は、アメリカが建設したのだからやむを得ないという内容であり、基地擁護の知事発言になっていると私は考えます。
そこで質問いたします。
1、あなたは、都市地域訓練施設の建設について、過去において反対の文言をはっきり使って明確に政府あるいはアメリカ軍に申し入れたことがありますか。なぜ反対という言葉を使わなかったのですか、答弁を求めます。
2は、アメリカが、基地建設は終了したと言ったから、もう反対はしないということだときのうの答弁は受けとりますが、それでよろしいですか、答弁を求めます。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮良作議員の御質問に対しましてお答えいたします。
マラリアの補償問題について、吉野高善さんの日誌について、これをどう対応するかという御質問がございましたが、お答えいたします。
吉野知事日誌は、南島民俗資料館に保管され、同日誌の中に、軍命により西表島南風見田に戦闘を避けるため避難云々と記述されていることは、ただいま宮良議員の提供いたしました資料によっても承知いたしております。
なお、同日誌の中の軍命に関する資料については、関係機関また関係者から資料収集を進めている段階でございますので、これらとあわせて今後の参考資料にしたいと考えております。
次に、東京事務所における知事発言でございますが、戦争マラリアについても戸井田厚生大臣に検討方をお願いしたものでございますが、国においては現行援護法による補償の実現は大変厳しいということでございました。
同問題については、戦時中における八重山地域の特殊な社会事情の中における問題として広く解決方が検討されなければならないと考えております。
また、対馬丸の児童の遭難について父兄に対する救済がいろいろ検討されたわけでございますが、私のこれまでの政府折衝の経過からいたしまして、疎開児童の事件については、これは全国にもいろいろ例があるので、厚生省を窓口にしてこの問題を解決することは難しいと。そういうことで当時の平良知事をお供いたしまして、当時の厚生大臣渡辺美智雄さんを訪ねてお願いいたしましたところ、これはもう沖縄だけの問題としてこれを解決を図ろうと。そういうことで窓口は沖縄開発庁にして、受け入れは沖縄開発庁にして、沖縄開発庁の予算としてこの対馬丸の遭難児童の父兄に対する救済をしようじゃないかと、こういう話が決まったわけでございまして、その当時の話を思い出しながら記者団と語ったわけでございます。別に他意はございません。
そういうことで、現行法規では大変救済が難しいと。これは立証の問題、これからまたいろいろやらなければならない問題があるわけでございますが、そういうことでの発言でございますので御理解を賜りたいと思います。
それから、都市型訓練施設でございますが、実弾を使わないようにもうたびたび要請をいたしております。
それだけではございません。あんた方はつくったんだから、これを使うだろうけれども、知事としては、あの場所は観光関連産業体制からして困ると。もっと見えない所に持っていけないかと、こういうことまでいろいろ関係者と話し合っている段階でございまして、いつも言うとおり先頭に立って反対しろという意味でしょうけれども、鉢巻きは巻かなくて先頭に立たなくても言うべきことはちゃんと言っておりまするから、反対すべきことも全部反対しておりまするから、御心配がないようにひとつ頼みます。
その他の事項につきましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 教育長。
〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 首里城復元問題の7点のうち、4点目と6点目、7点目に教育庁の所管がありますので、お答えをします。
まず、南北殿の遺構は破壊されることになるが、それでいいのかという御質問ですが、実は、この整備につきましては既に完了した遺構調査の結果を踏まえまして、遺構が損なわれることのないように文化庁の指導を仰ぎながら、工事主体者である国営沖縄記念公園事務所とともに協議をしてまいりたいと考えております。
それから、孔子廟石垣を松崎馬場、龍潭池等の整備との関連での御質問にお答えしたいと思います。
孔子廟石垣は、文化財として適切な保存を図るとともに、隣接する松崎馬場あるいは龍潭などとも調和がとれるよう、今後、整備をしていきたいと考えております。
7点目の首里城公園整備についての発掘調査期間の問題での御質問にお答えしたいと思います。
遺構調査につきましては、国及び県は御案内のとおり昭和61年度から行っております。このことにつきましては引き続き遺構調査を計画しております。
なお、公園の整備に当たりましては、地下遺稿を十分に確認の上進められている状況であります。
以上であります。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 宮良作先生の御質問にお答え申し上げます。
首里城復元問題につきまして、そのうち土木建築部所管の4件についてお答え申し上げます。
まず1点目は、首里城がコンクリート構造であることをなぜ当初に公表するよう国に求めなかったかと。2つ目は、まずいやり方を県民に対して反省し、その意思を表明するつもりはないか。これはまとめてお答え申し上げます。
首里城における南北殿の構造につきましては、国の設置した御庭ゾーン基本設計委員会において、現行法規に適合し、かつ展示及び管理の観点からコンクリート構造が適当との提言がなされております。国としましては、この提言を受けてコンクリート構造とし、外装は木造仕上げとする計画を決定したとの報告を受けております。
建築基準法第3条によりますと、旧国宝等に指定されていた建築物の復元につきましては、同法の適用除外の規定がありまして首里城正殿は適用除外の対象となっております。しかし南北殿等は旧国宝または重要文化財等にも指定されていなかったため、建築基準法第25条の適用を受けることになります。
したがいまして、仮に南北殿等を木造建築とした場合は、延焼を防止するため外壁及び軒裏等については外部の構造は防火構造としなければならないことになりますが、それでは正殿との調和が損なわれることになります。
また、沖縄の歴史や文化を広く県民に理解してもらうためには、展示空間とともにトイレ、休憩所等の便益施設並びに事務所、収蔵庫等の管理施設が必要となってまいりますが、木造建築物である正殿や、あるいはその木造建築物である南北殿にはこのような施設を設置することができません。したがいましてこれらの施設は、南北殿に設置できるような構造とする必要があったわけでございます。
このようなことから、南北殿につきましては正殿との調和を図るために外装は往時のままの木造仕上げとし、目に見えない内部構造はコンクリート構造とする計画となったものでございます。
以上のことから、南北殿の構造につきましては現行法規の制約、正殿との調和、展示及び管理施設等の確保等もろもろの観点から総合的に検討し決定されてきたものでございます。その結果、一部コンクリート構造としたことはやむを得ないものと考えております。
したがって、南北殿の構造について、国にあえてその公表を求めなかったことは県民を無視したものであるとは考えておりません。
次に、南北殿の構造はいつ、どこで決まったのか。またその経過について明らかにしてもらいたいにお答えします。
南北殿の構造については、昭和62年度に国が策定した首里城正殿・御庭ゾーン建築物基本計画報告書の中で、現行法規及び展示機能等の観点から主要構造物については耐久性、防火性にすぐれた強固なものとする旨の報告がなされております。
さらにまた、昭和63年度に国が設置した御庭ゾーン等基本設計委員会において、前年度の報告書をもとに種々の観点から検討した結果、主要構造物についてはコンクリート構造が適当であるとの結論に達し、その旨国に対し提案が行われております。
南北殿の構造についてはいつ広報するのかについてお答え申し上げます。
首里城正殿の復元に伴う南北殿の構造及び機能等を県民へ広報することにつきましては、今後、総合事務局と調整をして前向きに検討してまいりたいと考えております。
次に、モノレールの早期建設についてお答え申し上げます。
これのまず1点は、バス会社との調整は年度中に終えられるか。またバス会社との合同調査はどうなっているのか、これまでの経過を説明願いたいについてお答え申し上げます。
バス事業者との共同調査につきましては、ことし6月に合意に達したことはこれまでもお答えしたとおりでございます。
その後、調査内容を詰めるため、これまでに十数回に及ぶ調整会議を持ち協議を重ねてまいりましたが、その結果、第1に関係バス4社のそれぞれの経営実態の現況を把握する必要があること。第2に、モノレールを導入した場合、バス事業にどのような影響を与えるかを把握する必要があることとの結論に達しました。現在、バス事業の現況とモノレール導入に伴うバス事業に与える影響について調査を実施しているところでありますが、この調査は年度内には完了する予定でございます。
特許申請、設計、工事施行、そして開通など県の計画を明らかにしてもらいたいについてお答え申し上げます。
都市モノレールの事業計画の段階から工事着手までの手続としましては、軌道法に基づく特許申請を行い特許を取得し、その後、工事施行認可を受け工事着手が可能となりますが、その手続の期間としましては1年半ないし2年程度が見込まれております。さらに建設期間につきましては、予算との関連もあるが、約5年を要するものと思われます。
以上のことから、特許申請後開業までの期間としましてはおおむね7年を要するものと考えられますが、県としては現在、特許申請に向けての条件整備に努めているところでございます。
次に、マスコミの記事にあった1996年に開通するとすれば、それぞれの時期はいつということになるかにお答え申し上げます。
先ほどもお答え申し上げましたとおり、都市モノレールの開業までの時期は特許申請後おおむね7年を要することになりますので、1996年に開通させるためには、それを逆算しますと平成元年度に特許申請をし、平成3年度には施行認可を受け工事に着手しなければならないことになります。しかし目下、特許申請の条件整備の一環としてバス事業者との協議調整を進めている段階であり、その後、事業計画の見直し、それに基づき沖縄開発金融公庫及び地元金融機関との協議調整を経て初めて特許申請の条件が整うことになります。
このような現状から、平成元年度の特許申請は困難な状況にございます。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 宮良議員の御質問にお答えいたします。
3件でございますけれども、まず第1にマラリアの調査計画について、その計画の内容はどうなっているかという御質問でございます。
3000余のマラリア犠牲者の実態を把握するため疎開命令者、命令日、疎開日、疎開地、罹患地、罹患年月日、死亡年月日、死亡場所、遺族の状況等の項目について調査を実施するものであり、民間の専門的ノーハウを活用し実施する計画でございます。
なお、証言調査等については県で実施する予定にいたしております。
それから、政府の所管省庁はどこに決まったか。まだならば、なぜおくれているかという御質問でございますが、マラリア問題に対処する現行の制度がないことから、所管についてはいまだ決定していないというふうに聞き及んでおります。
次に、政府及び国会関係の現地調査について要請すべきと考えるがどうかという御質問でございますけれども、県は、マラリア犠牲者の実態調査を目下これから実施しようという段階でございます。その結果を踏まえて検討してまいりたいというふうに思います。
以上でございます。
○宮良 作君 休憩願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後3時41分休憩
午後3時45分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
宮良 作君。
〔宮良 作君登壇〕
○宮良 作君 知事、非常に重大な発言なんですよ、休憩中ではあったけれどもね。
木造であったものが鉄筋になったからといって、そんなに怒ることはないというのは、これはウチナーンチュの心としてやはり許せませんよ。
あの首里城は、どうしました。できていたものが戦争でもって焼けたんだから、国が全部元に戻して返すのは当たり前だと思う。
しかし、いろいろ事情があるから鉄筋コンクリートの場合もあり得るだろうと。またさっき言ったように木造もできると。外壁をちゃんとすれば、研究すれば木造もできるという話もあるわけだ。
だから全部それを出して、どうするんだということを県民に報告して議論を起こすということ、これが民主主義じゃないですか。こんなこと大したことないと……。
それから、先ほどの土木建築部長の答弁は、公表しなかったからといって県民を無視したことにはならぬと。こんな話がありますか、本当に。言語道断ですよ、そんな話は。
私は、本当にそう思うんですよ。
だから、国がやることに対して、知事はなぜ、こういうことではまずい、あるいはこういうふうにしてほしいという意見を最初から出さなかったのかと。
そこで今ずうっと、つまり羊の頭をぶら下げてずうっと来て、あけてみたら犬だったというふうにしてしまって、少しは申しわけなかったと、県民に早く公表しなくて申しわけなかったという気持ちはないんですかということをさっきから質問しているんですが、知事は全然答弁しないで事務局にやらしているでしょう。
これは、事務局の仕事じゃないんですよ。どうするかというのは、これは知事、政治の問題なんですよ。あとは、どういうふうに立てるかというのは細かいことは事務局がやることなんですよね。
再々質問します。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) わかりますよ。これは委員会をつくって各面から検討して、これは県だけで決めるんじゃないですよ。
これも山中さんと相談いたしまして、沖縄に国立公園、こういう歴史的公園2つあってはいかぬということで、沖縄公園ということで首里城を含めて、今の海洋博覧会場を含めて沖縄公園首里地区、沖縄公園本部地区というふうにして一つの公園にしようという構想に立って、それで宮良議員から指摘を受けるんですが、これは県の責任じゃないんですから、国がやるんですから、国の計画において、国の責任においてやることでございまして、直接的には私たちは何も権限はないわけですよ。
ただ、相談にあずかってどうしようかと。こういう格好にしようかといろいろ受けて、土木建築部長なんか苦労しておりますけれども、そういうことで、あんたが言うように何か県がつくるものを、県が県民の意思を無視してやっているように見えますけれども、決してそうではない。
これは国の仕事で、国の予算で開発庁が中心となってやっている仕事を、沖縄県のいろんな要望等も入れて立派なものをつくろうと。こういうことですから、何も県民に公表しろとか、しないとか、そういう問題じゃなくて、みんなの知恵を絞って立派なものをつくろうと。こういうことでやられていることですから、善意にひとつ受けとっていただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 宮良 作君。
〔宮良 作君登壇〕
○宮良 作君 知事、ですから私は、質問の第1に、なぜ最初から公表するよう国に求めないで、県民無視のやり方を進めさせてきたのかという質問をしたんですよ。ちゃんとそこのところをわきまえてやっているわけなんだ。あんたの方が誤解しているんですよ。まともに人の話を聞いてください。
それからもう一つ、先ほどから話があったように、1つは、公表しなかったからといって県民無視にならないという考え方。これは今後、絶対やめてもらいたい。なりますよ県民無視に、公表しなかったら。具体的な事実というものもそうでしょう。なりますよ。絶対、こういうふうな考え方はやめてもらいたい。
それから知事、先ほどもお見せしたように首里城公園計画概要という色刷りのプリント、あれにも明らかに復元の年代は18世紀の前半にするとはっきり書いてあるんですよ。18世紀の前半に沖縄に鉄筋コンクリートの建物がありましたか。
○知事(西銘順治君) 正殿。
○宮良 作君 正殿じゃない、ちゃんと見てください。正殿のことじゃないんですよ。各施設の、とはっきりある。各施設の、と。
だから、そういうふうにしてものをとにかく住民、県民、地域の人、これを基礎に丁寧に考えていくようにしないと、何か我々が言わなかったからといって別にどうということない、民主主義を破壊し、じゅうりんすることにならないなんて簡単に考えちゃまずいと思うんですよ。
こういうことでずうっと来ている。今ここでもめているということも事実でしょう。
そういうことについて、やはりまずかったかなという気持ちぐらいはないんですか。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 別にまずかったなとは思っておりませんね。
これはいわゆるちゃんと国がやることですから、法規に照らして、手続を踏んで、委員会として聞くべき意見も聞いて、あとはどっちかにしか決定しないといかぬですよ。
みんなの意見を聞いても、みんなの意見が全部反映されるわけじゃないんですから。最後はどこかに決めにゃいかぬ、だれかが決めにゃいかぬ、どういう形でやるかですね。
そういうことでは、衆知を集めるということは大事なことですよ。
だけれども、何も木造建てを鉄筋建てにしたからといって青筋立てて怒るようなものではないと、これだけを私は申し上げたい。 何でこれを維持管理するためにも、立派な展示場にするためにも、ある程度建築の上で許される分は全部許してやっていくということも当然考えるべき措置ですから。18世紀のものに戻すんだから必ずそのとおりやれという、これになるというとこれは大変難しくなるんで、この辺はできるだけ衆知を集めて立派なものをつくろうと、利用価値の高いものをつくろうと。
元の形に姿を復元するのも結構でございますが、利転用の問題等も考えて立派なものをつくろうということですから、そんなに怒ることはないと思います。
○議長(平良一男君) 宮良 作君。
〔宮良 作君登壇〕
○宮良 作君 知事、木造が鉄筋になったからといって青筋立てて、僕は青筋はないんだけれども、しかし問題は首里城なんですよ首里城。普通の建物じゃないんですよ。首里城についてなんだよ。
議長、どう思うね、それ。
首里城についてなんです首里城。冗談じゃないですよ。
○議長(平良一男君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明13日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時53分散会
前発言
次発言
19890903000010