昭和51年(1976年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月15日
第 2号 12月15日
 

議 事 の 概 要
昭和51年12月15日(水曜日)
午前10時3分開議
日程第1 昭和51年第4回議会認定第1号から認定第3号まで(決算特別委員長報告)
日程第2 乙第23号議案(知事説明)
日程の追加 乙第24号議案及び乙第25号議案(知事説明)
日程第3 代表質問
    1 新垣 淑重君(自民党)
    2 翁長 助裕君(自民党)
    3 宮良 長義君(社大党)
    4 岸本忠三郎君(社会党)
    5 伊波 広定君(共産党)
    6 友利 栄吉君(公明党)
    7 吉田 光正君(革新クラブ)
午後7時35分散会

○議長(知花英夫君) ただいまより、本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 知事から、12月11日乙第23号議案、12月14日乙第24号議案及び乙第25号議案の提出がありました。
 なお、本定例会に出席を求めた説明員のうち、教育委員会委員長瑞慶覧朝牛君は、別用務のため本日から12月18日までの会議に、また土地調査事務局長平野長伴君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、それぞれの代理として教育委員会委員津嘉山朝吉君、土地企画参事宮里整君の出席を求めました。
○議長(知花英夫君) 日程第1 昭和51年第4回議会認定第1号から認定第3号までを議題といたします。
 各決算に関し、委員長の報告を求めます。
 決算特別委員長。
   〔決算特別委員長 島田哲男君登壇〕
○決算特別委員長(島田哲男君) ただいま議題となりました認定第1号から認定第3号までの3件について、審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 認定3件は、9月定例会において本委員会に付託されたものであります。
 委員会におきましては、閉会中に説明員として副知事、代表監査委員及ぴ関係部局長の出席を求め、5日間にわたり慎重に審査を行ってまいりました。
 審査に当たりましては、予算執行が議決の趣旨に即応して適切かつ効率的に執行されているか、その結果公営企業の運営が常に企業の経済性を発揮し、本来の目的である公共の福祉を増進するため健全な運営がなされているかなどについて審査を行ってまいりました。
 審査の過程における質疑の主なものについて、その概要を御説明申し上げます。
 まず認定第1号については、病院事業は年々多額の欠損金を出し、50年度末における累積欠損金額は33億2000万余円に達し、今後さらに増大すると予想されているが、病院事業の経営健全化をどのように考えているか。また知事は、経営健全化について関係部局に対しどのような指示をしたか。一般会計からの繰り出しを明確にするため一般医療と不採算医療を具体的に区分する必要があると考えるが、その区分はできているかとの質疑がありました。
 これに対し、病院事業の経営健全化については、赤字の原因として現行診療報酬体系が不合理であることや僻地医療、救急医療、特殊医療、高度医療等不採算医療に対する配慮が十分なされていないなどが考えられる。これは全国的に共通な問題であり、一自治体だけでは解決は困難であり、地方公共団体の共通の問題として考え、また公立病院の特例債の発行等を含め国からの財政援助等についても検討したい。
 さらに昭和51年度を初年度とした経営健全化計画案を策定中である。
 その主な内容は、執行体制の強化を図る、収益管理を強化し医業収益の増加を図る、費用の節減を図ることなどを挙げ、具体的な計画を策定している。
 知事はどのような指示をしたかについては、去る8月に関係部に対し経営健全化対策について指示し、関係部長が各病院長に具体的に指示し現在その作業を進めているところである。また財政面でも若干問題があり、専任の副参事を配置し関係部と具体的な赤字解消策を検討しているとの答弁がありました。
 一般会計からの繰り出し基準を明確にするための不採算医療の具体的な区分については、非常にむずかしい問題である。自治省でも、それぞれの都道府県の状況によって判断する以外にないと言っており、各都道府県の一般会計からの繰り出し基準はまちまちである。沖縄県でも一般会計繰り出し基準をつくっているが、毎年予算要求の際財政当局と話し合って繰り出している状況にあり、今後不採算医療について原価計算などを行い、経営健全化計画の中で一般会計からの繰り出し基準を明確にしていきたいとの答弁がありました。
 次に、病院事業会計の貸借対照表の未収金及ぴ未払金が過大あるいは過小に計上されており、地方公営企業法に違反していると考えるがどうかとの質疑に対し、職員の事務上のミスにより御指摘のような過大あるいは過小計上がある。
 その内容は、那覇病院と糸満分院が分離した際、医療機器の未払金のうち1OOO万円を支払ったが、未払金からその額を落とさないで逆に未収金にその額を計上したために生じたミスである。これの処理については、期間外損益により修正し51年度の決算の際認定を受けたいとの答弁がありました。
 なお、この件について副知事から、決算書は当然真実を報告しなければならない、職員の事務上のミスにより大変御迷惑をおかけして申しわけない、県民に対しおわびしたい。今後十分配慮し、間違いを起こさないよう努力したいとの答弁がありました。
 また、この問題について代表監査委員は、監査意見書に未収金に適正でないものがある、未払金に適正でないものがあると指摘した。このことは、貸借対照表自体の数字は真実ではない。真実性の原則に反していると言える。しかし直ちにこれが違法であるかというと、監査委員の監査は事実行為の認定であり、職員が故意になした行為であるのか内面的な追及ができないので、監査委員としては違法であるとは言えない。しかし職員の過失等によって結果的には貸借対照表は真実ではないことがはっきりしているので、適正でないものがあると指摘したとの答弁がありました。
 また、その他薬品の死蔵防止対策、医療機器等のリース制導入、未収金の徴収方法としての強制執行等について質疑がありました。
 次に、認定第2号及ぴ認定第3号に対する質疑の主なものについて申し上げます。
 昭和51年度から昭和53年度における水の需要の最大月の1日平均需要量は何トンと推計しているか、また水源水量、施設能力は何トンか、施設の利用率はどうなっているか、水需要の抑制を図るため水道料金の累進度数制を採用するのか、累積欠損金はどのように解消するか等の質疑がありました。
 これに対し、水需要の最大月における1日平均の需要水量は、昭和51年度は37万6000トン、昭和52年度は42万4900トン、昭和53年度は47万1700トンである。水源水量については、昭和51年度は36万9500トン、昭和52年度は39万9300トン、昭和53年度は42万2300トンとなっている。浄送水施設能力は、施設をフル回転したときの最大能力が昭和51年度は35万1600トンで、昭和52年度及び昭和53年度も同じである。
 また、水需要に対する不足量として施設能力で昭和51年度は2万4400トン、昭和52年度は7万3300トン、昭和53年度は12万10OOトンである。水源水量の需要に対する不足量は、昭和51年度は6500トン、昭和52年度は2万5600トン、昭和53年度は4万9400トンとなっている。
 施設の利用率については、施設の建設に鋭意努力しできるだけ水源を多く利用できるよう施設の新設改善に努力している。現在需要に対し浄水施設、浄送水施設はマッチできる線に近づいており、浄水施設等の合理化を図り、供給体制の確立に努力したい。
 水道料金の累進度数制については、企業局としては水道利用を抑制しようとの目的で料金の累進度数制度の導入は検討していない。他府県の事例では、いろいろな目的から超過した水量について料金を上げていくという制度をとっているところもあるが、本県では水道料金は原価主義をとっている。
 累積欠損金の解消については、昭和50年度は2160万余円の利益を上げたが、なお9億5000万余円の累積欠損金がある。ことしは電力料金が28.49%も値上げされたので、累積欠損金は今後ますます増額すると予想されるため赤字幅を縮める努力を一段と強化するほか、長期的な展望に立って財政の健全化を図っていきたい。
 具体的対策としては、施設の新設改善、職員の定員をふやさないこと、施設の省力化を図る、市町村と企業局の施設面における責任分野を明確にするなどの答弁がありました。
 その他、米軍の実弾射撃演習の中止要請、企業局の工事による損害賠償、工事請負契約などについて質疑がありました。
 以上、質疑の概要について申し上げましたが、認定第1号及ぴ認定第2号については、別紙意見を付して全会一致をもって認定すべきものと決定し、認定第3号については全会一致をもって認定すべきものと決定いたしました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたしまして、報告を終わります。
○議長(知花英夫君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 これより、昭和51年第4回議会認定第1号から認定第3号までの決算3件を一括して採決いたします。
 各決算に対する委員長の報告は、いずれも認定すべきであるとするものであります。
 お諮りいたします。
 ただいまの決算3件は、委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
 よって、昭和51年第4回議会認定第1号から認定第3号までの決算3件は、委員長の報告のとおり認定されました。
○議長(知花英夫君) 日程第2 乙第23号議案を議題といたします。
 知事から提案理由の説明を求めます。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいま議題となりました乙第23号議案について、その提案理由を御説明申し上げます。
 乙第23号議案は、沖縄県工業開発地区及び特定地域における県税の課税免除に関する条例を制定するため、地方自治法第96条第1項の規定に基づき議会の議決を求めるものであります。
 本件議案は、沖縄振興開発特別措置法第11条第1項の規定により指定された工業開発地区または同法第51条に規定する特定地域に対して、地方税法第6条第1項の規定に基づき県税の課税免除を行うことによりこれらの地区または地域における工業開発の促進及び産業の振興に寄与しようとするものであります。
 何とぞ、慎重なる御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(知花英夫君) 以上で、乙第23号議案に対する知事の提案理由の説明は終わりました。
○議長(知花英夫君) お諮りいたします。
 昨日、知事から乙第24号議案及ぴ乙第25号議案が提出されました。
 この際、これを日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
 よって、この際乙第24号議案及ぴ乙第25号議案を日程に追加し、直ちに議題とすることに決定いたしました。
○議長(知花英夫君) 乙第24号議案及ぴ乙第25号議案を議題といたします。
 知事から提案理由の説明を求めます。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいま議題となりました乙第24号議案及び乙第25号議案について、その提案理由を御説明申し上げます。
 まず乙第24号議案についてでありますが、本県の副知事の定数は沖縄県副知事定数条例により2人とされており、そのうち1人については去る第3回県議会で御同意を得て任命しておりますが、残る1人については慎重に人選を進めてまいりましたところ、現出納長屋部博を副知事に選任いたしたく、地方自治法第162条の規定により議会の同意を求める次第であります。
 屋部博については、長年税務行政に従事し、現在は出納長として県政運営においてもこれまで私を補佐しておりますが、人格高潔でその識見、力量とも申し分ないものと思いますので、今回副知事として選任の同意を求める次第であります。
 次に、乙第25号議案でありますが、出納長屋部博の副知事選任に伴い後任の出納長を選任する必要が生じましたので、地方自治法第168条第7項の規定により、現総務部長赤嶺武次を選任することについて議会の同意を求めるものであります。
 赤嶺武次については、現在行財政管理部門の長として総務部長の職にあり、その行政実績、手腕は高く評価されております。今後その知識経験を生かし、出納長として十分その職責を全うし得るものと考え、今回選任の同意を求める次第であります。
 以上、2件の提案理由を申し上げましたが、何とぞ慎重なる御審議を賜り御同意くださいますようお願い申し上げます。
○議長(知花英夫君) 以上で、乙第24号議案及ぴ乙第25号議案に対する知事の提案理由の説明は終わりました。
 この際念のため申し上げます。
 本日から12月18日まで4日間にわたって行われます代表質問並ぴに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(知花英夫君) 日程第3 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 新垣淑重君。
   〔新垣淑重君登壇〕
○新垣淑重君 議長、休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前10時20分休憩
   午前10時21分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
○新垣淑重君 私は、自由民主党県連所属の議員団の代表の1人といたしまして、所見を述べながら知事に質問を申し上げたいと思います。
 まず、県財政の硬直化の問題についてでございます。
 沖縄県の財政硬直化は、戦後27年の長い間占領下に置かれ、政府の財政的援助から外された構造的なものがあることは事実であると思います。
 現年度予算は全国的不況に加え、海洋博後遺症による経済の落ち込みで企業の倒産、失業者の増大などがあったことから公共投資による景気回復に重点を置いてまいったのであります。つまり無理な税収の見積もり、前年度の2倍を超える95億8000万円の県債を計上するなど全く無理な編成をしたのであります。起債額は予算の6.1%、自主財源の3分の1を占めるという異常なものであったのであります。しかも起債の償還費だけで34億円を計上したのであります。県の一般会計予算の歳入面を見てみますと、自主財源はわずか15.9%で、残り84.1%は依存財源でありまして、一方歳出面では人件費の占める割合が高く、県財政を圧迫する要因の一つとなっておるのであります。
 県財政課の調査結果によりますと、県財政は昭和50年度の経常収支率で92%に達し、投資的経費が全予算のわずか8%という極端な財政硬直化が進行し、財政構造に弾力性を失いつつあることは十分に指摘されてよろしいと思います。
 この原因につきましては、県税と国庫支出金の伸び率が48年度から鈍化しているということ、反対に48年度から人件費が急激に伸び、経常収支の70.3%を占めていることが挙げられております。
 以上の点から判断しますと、沖縄県の人件費は全国比を5ないし6%上回っていることが指摘されておりますので、人件費の占める率を落とすことを考えなければならないと思います。
 本員は、昨年12月の定例議会で、地方財政危機の中で全国634市のトップを切って赤字再建団体の指定を受けた福岡県豊前市の資料を取り寄せ、参考例として申し上げました。
 御承知のように、豊前市は再建計画初年度で早くも計画を上回る赤字を解消して軌道に乗り、本年9月24日に開いた市議会に再建計画を当初の5年から4年に短縮する議案を提出したのであります。厳しい人件費削減の結果によるものではありますが、赤字財政立て直しのモデルケースとして注目を集めながら豊前市は着実に再生への道を歩んでいると新聞は報じております。
 そこで知事に質問いたします。
 1つ、本員は、昨年12月の定例議会で財政確立の観点から次の点を質問いたしました。
 1つ、沖縄の特殊事情によって配置された職員中、人件費を国が負担すべきもの、県が負担すべきものを区別し予算の分野をはっきりするよう要求いたしました。
 2点目、毎会計年度事業費、運営費を県の一般会計から補肋されている観光開発公社、リゾート公社は同じ内容の業務を運営していることから統合する必要はないか。
 この2点の質問に対しまして企画調整部長は、十分配慮し検討すると答弁いたしました。1カ年間慎重に検討したことと思いますので、第1点につきましては政府とも十分話し合われたと思いますので、職種別に具体的に答弁願います。第2点についても具体的に答えてください。
 2点目、51年度予算で県職員――これは各委員会も含めます――で勧奨退職者の数は何名か。
 そのうち勧奨に応じない職員がいるとするならば、その所属部局ごとの人員を知らせてください。もし応じない者がいるとするならば、極力応ずるように説得する考えがあるかどうか。
 3点目、昭和52年5月14日までに勧奨を受ける職員は条例で特別退職金を受けますが、52年5月15日以降に勧奨を受ける職員はわずかな日数差で退職金に多大な差を生ずる。
 そこで勧奨退職の年齢を58歳に引き上げる考えはないかどうか。2点目と3点目を実施しまして、若い人々に職場を与える道を開くべきだと思うがどうでしようか。またこのことは、財政の改善策にもつながるものと思います。
 次は、基地問題について。
 基地問題で焦点になっているのは、沖縄県の区域内の駐留軍用地等に関する特別法案であると思います。
 法案の骨子は、御案内のとおり駐留軍または自衛隊の部隊の用に供されている沖縄県の区域内の土地について各筆の土地の位置、境界の明確化のための措置、次に公用地暫定使用法第2条第1項第1号に掲げる土地を昭和52年5月15日以降も使用しようとするものであります。
 この法案に対し、県は反対の見解を示しております。本年10月3日、沖縄タイムス朝刊4面に掲載された大島渉外部長の対談によってこれが表明されております。
 まず反対の第1点は、この法案は違憲性が強いということを表明しております。しかしこの法案は違憲ではありません。
 まず憲法第14条――法のもとの平等の規定でございます――について検討いたしますと、この法案は、沖縄県において広範かつ大規模に存在する位置、境界が明らかでない土地についてその明確化の推進、援助措置とその土地の状態に適した手続による国の使用権の設定を定めたものでありまして、憲法に言うところの人種、信条、性別、社会的身分または門地等により、差別扱いをしようとするものではございません。
 よって、憲法第14条に抵触するものではありません。
 またこの条文につきましては、昭和39年5月27日に大法廷の判決でも明らかでございます。
 第2点、憲法第29条第3項、これは財産権についてでございます。
 本法案による他人の土地への立ち入りは、沖縄県内の防衛施設用地に広範かつ大規模に存在する位置、境界が明らかでない土地について、国の事務の遂行上及び多数の関係住民の社会、経済、生活上の支障を除去するという公共目的で行うその位置、境界の明確化の推進、援助措置のために行うものでありまして、この立ち入りによりまして損害を受けた者に対しましては通常生ずべき損失の補償が行われるものでありますから、何ら本条の規定に抵触するものではございません。
 第3点、憲法第95条特別法の住民投票についてでございます。
 国会法第67条の規定を受けて、地方自治法第261条第1項、第2項に定められておることからも明らかなように、ある法律が憲法第95条に言う特別法に該当するかどうかを有権的に決定する権限は国会ないし後議の議院の議長にあるのでありまして、政府がこれを決定すべきものではないと思うのでございます。
 2番目に、本法案の趣旨の第1点である地籍の明確化問題について見てみますと、地籍の確定は最も重要な問題であります。沖縄の復帰前に返還された土地については沖縄開発庁で、復帰後に返還された土地及ぴ現に提供中の土地につきましての地籍調査は、防衛施設庁で行うということは県も十分御承知のことと思うのでございます。
 大島渉外部長は、地籍とは何の関係もない防衛施設庁が関与すること自体おかしいと言っておるのでございますが、その言動自体がおかしいのであります。特に基地内の地籍調査は困難な問題が多く、一日も早くこれらの完結を見ることは県民、特に軍用地提供地主の希望するところであります。地籍不確定のまま返還された土地が、跡利用もできず放任されている現実をどう解釈するか。
 3番目に、この法案をつくろうということはきわめて意図的であって、地籍の明確化ということは名目で、その実は基地確保が目的であると大島渉外部長は言っております。
 物を見る場合は真正面から見るべきであって、横目で見る必要は少しもございません。また物を疑いの目で見るその人自身、何か疑わしい何ものかを抱いているものであります。
 この法案の第1条をよく読んでもらいたい。第1条は、前にも申し上げましたように地籍の明確化と、昭和52年5月15日以降も引き続き使用する特例を定めるものとするとはっきりうたってあります。
 アメリカ合衆国軍隊が、日本国において施設及び区域を使用することを許されるのは、日本国とアメリ力合衆国との間の相互協力及び安全保障条約によるものであることは御案内のとおりであります。
 わが自由民主党も、基地の整理縮小には賛成であります。
 日本国憲法は第98条に、「日本国が締結した条約及ぴ確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とうたってあります。
 条約は守らなければなりません。日本の平和と繁栄は、日米安保条約と自衛隊の2本柱にあることは国民ひとしく認めていることであります。
 4番目に、この法案は地籍の明確化と基地の継続使用をうたっております。
 沖縄県企画調整部軍用地転用ブロジェクト室発行の軍用地転用にかかわる地主の意向調査によりますと、軍用地の返還に関する意向で、早期返還された方がよいですかとの問いに対しまして、早期返還した方がよいと思いますと答えたのは21.2%、早期返還してもらいたいと思いませんと答えたのが51.3%となっております。
 また自分の土地の位置、境界について確認できますかとの問いに対しまして、確認できると答えた者は29.8%、確定不可能と答えた者が70.2%となっております。
 軍用地提供地主3万有余名の98%が、基地提供に賛成しておるのが現状であります。
 特に軍用地を提供している市町村の財政は豊かであるのも事実であるし、軍用地料によって生計を立てている家庭があるのも事実であります。
 基地の問題は好ましいことではないにしましても、現実の問題として沖縄の経済的、社会的実情からして基地に賛成者が多いのは果たして県の考えているように、個人の利害で動いているのだろうとの言動ははなはだ妥当を欠くものと言わざるを得ないのであります。毎日の生活につながっているのであります。
 地籍が確定することなく跡利用の計画がないままに返還された場合、どうなりましょうか。返還後果たして地料に相当する給付が得られるでありましようか、問題は深刻であります。いつまでもこの状態が続くことはないにしましても、目下のところ砂川軍用地土地連合会事務局長が言明したように、この法案が一日も早く立法されることを自由民主党としては期待するものであります。
 これが大多数の県民の声であることもつけ加えておきます。
 そこで知事に質問いたします。
 本員の意見に対する知事の見解を伺いたい、これが1点。
 2点目、知事はこの法案に反対しておられるが、他の方法で果たして地籍の確認業務が完全に遂行されると考えておられるかどうか。
 3点目、軍用地主の98%はこの法案成立に賛成しておりまして政府に早期立法を要請しているが、これをどう思いますか知事に質問いたします。
 次は、雇用対策について申し上げます。
 沖縄における経済問題の中で、失業対策は県経済の抱えた最大の課題でありながら、解決の糸口さえ見出せないのみか一段と混迷の度を深めている現状であります。
 県内の失業者は復帰直前までは完全失業者が約4000名、失業率が1%という数字が示すとおりさほど問題にされることはなく、経済政策の面に出てくることもなかったのであります。
 しかし復帰前後から急激に悪化し始め、51年後半ごろからは2万9000人前後に上り、失業率は本土の数倍に及ぶ7%台の異常値を示すなど、その深刻の度合いを増してきているのであります。
 失業問題がこのように悪化した原因につきましては、1つ、基地従業員の大量解雇、2つ、民間企業の採用手控えや人員の整理、3番目には、県外就職の伸び悩み、4番目には、復帰による制度改廃に伴う失業であると思います。雇用の主体である事業体の新規建設がなされなかったことも起因していると思います。
 失業者2万9000人のうち約1万4000人が雇用保険、就職促進手当等の給付を受けておりますが、同給付額は49年度で66億880万円、50年度で88億4050万円で、県内における主産物の一つであるパイナップルの生産額に匹敵するなど全国一の失業天国と言われております。
 もちろんこのような失業問題に対しましては、法律等に基づきまして種々の対策が講じられてはおりますが、失業者に対する雇用効果はほとんど見当たらないのであります。
 このような失業者に雇用機会を与える真の施策とは、第1には生産に直結する企業の設備投資に重点を置き、県経済の構造改革を図る以外に道はないと思います。
 私は、ここで広域職業紹介事業について触れてみたいと思います。
 本土における自由化過程でエネルギーの自由化、すなわち石炭から石油への転換を推進するに当たりまして、能率の悪い炭鉱を閉鎖するため従業員の職場確保のためとられた措置で、石炭から石油へと重化学工業への移行で経済の最成長時代に成功したという背景があるものの、中高年層の多いしかも生活基盤が沖縄県内に固定しているところの沖縄の失業者に、この制度はなじまない制度であると私は思います。
 それでは、この失業者に職場はないだろうか。一人でも多くの失業者を救済する方途は県内にないだろうか。2次的に考えられることは地元企業の育成でありましょう。
 沖縄県内で発注される公共工事につきましては、県や市町村分であろうと、政府関係によるものであろうと当分の間特別措置といたしまして、設計施工につきまして県内企業者に割り当てるべきだと本員は考えるのであります。
 政府関係の工事につきましては、政府は業者の資本的あるいは実績その他などによりましてランク制度を設け、沖縄側に不利な条件があり、またその手続はすぺて東京で行われていることも沖縄側業者の痛手であります。
 もし沖縄の企業側で技術、設備、機械等で足りない点があるとするならば、足りない分野を導入すればよいのであって、この問題は政府に対し強力に折衝すべきであると本員は考えます。
 それと同時に資材面につきましても、県は国と調整されまして企業の育成と雇用の向上の改善策を図るとともに、企業の体質改善に努力すべきだと思います。この問題は独禁法にも関係なく、強力な行政折衝以外に方法がないと本員は考えるのであります。
 そこで知事にお伺いいたします。知事、書いてください。
 1つ、開発不足のため働く場所から締め出されこのような多数の失業者を出したことは、革新県政が産業構造を第1次産業に重点を置き、振興開発計画に盛られた第2次産業たる工業導入に対し積極的な誘導策をとらず、むしろ抑制策をとってきた結果だとは思いませんか。この膨大なる失業者の救済策を、どのように考えておられますか伺います。
 2点目、県内企業を育成し雇用促進のため、政府に対し沖縄県内に発注される公共工事に対しましては、県内業者に割り当てるよう行政折衝をされ、これを実現させる努力をする考えがおありでしょうかお伺いいたします。
 次は、公社等の運営について申し上げます。
 まず、沖縄県住宅供給公社の分譲住宅の運営は、沖縄開発金融公庫と市中銀行の協調融資借り入れによって分譲住宅を建設し、分譲希望者を募集し契約すると同時に分譲契約金――すなわち公庫、市中銀行からの長期融資金であります――を納入する仕組みになっているのであります。
 ところが、銀行の預金逼迫によって協調融資としての銀行からの借り入れが停滞したため、開発金融公庫の融資分までストップするという事態が起きたのであります。それが種々の波紋を引き起こしたのであります。
 まず第1点、分譲住宅の募集に応じて公社と分譲契約して入居はいたしましたが、開発金融公庫と市中銀行からの融資ストップに遭いまして公社は契約金が受けられず、その未収金額が28億2305万1800円となっております。もちろん入居者はただ住まいでございます。
 第2点目、そのほかに51年11月30日現在売れ残り戸数が239戸、財源で37億5803万3424円となっております。分譲住宅の未収金と合わせますと、65億8108万5224円の財源が利用されないままに放置されているということになっております。
 第3点目、さらに驚くべきことは、分譲住宅に入居はしましたが公庫や市中銀行の融資ストップに遭い、契約金未払い――公社としましては未収金でございます――のままに長いのは1年7カ月、短いのでも6カ月もただ住まい者が多数いるということであります。
 その上、このただ住まいをしている世帯に対しまして、公社は年利5%の公庫資金計算の分で51年4月から9月までの経過利子として合計4373万1717円、年間9%の民間資金――これは市中銀行資金であります――計算の分で51年の4月から9月までの経過利子として1億821万3850円、公庫の分と市中銀行の分を合わせまして合計1億5194万5567円の経過利子となっております。
 公社は、ただ住まいの入居者にかわって融資分の資金をこの1億5194万5567円は、公社はただ住まいさせておきながら、その開発金融公庫や市中銀行からの利子の分は公社がおまけに支払いをしているわけであります。
 借り入れで建設した分譲住宅を、分譲契約金未払いのまま入居させ、あまつさえ未払い契約金の利子まで公社が負担している事実、前代未聞であります。
 独立採算さえとれない赤字を抱えている公社が、このような経営が認められましょうか。またこの問題は、一日も早く売り出したいという公社の焦りもありましょう。
 住宅供給公社の建物が売れない理由はいろいろありましょうが、立地条件、環境、交通問題、県民の住宅に対する好みなどいろいろあると思います。公庫の運営上、大いに検討を要する点だと思います。
 この点で知事に伺います。
 1点、県はこの経営の実態を知っておられますか。
 2点目、対策としてどのように考えておられますか。
 3番目、金融機関に対する対策。
 4番目、今後の住宅政策をどう考えられますか。
 5番目、監査委員の監査を必要としませんか。
 以上です。
 次は、暴力団対策について。
 新聞報道によりますと、那覇市辻町の一画にあるビルが、今年7月暴力団旭琉会の一派にアジトとして利用されたため、同ビル内の飲食店が次々廃業、居住者も移転に追い込まれ、1階から7階まで暴力団が利用している一部屋を除き空っぽ、事実上暴力団員に占拠されているということがわかったと。
 また、一方地元の暴力団に対抗して全国で最大の組織を持つ広域暴力団山口組が沖縄に進出、山口組のマークを飾って那覇市内に事務所を構えていると言われております。
 沖縄における暴力団抗争は一昨年あたりから急速にエスカレートの傾向にあり、すでに今日まで幹部6名が血の応酬の犠牲となっております。
 暴力団同士の抗争もさることながら、それ以上に心配されますのは、善良な一般市民の日常生活の破壊につながるもので、重大な社会問題として対応しなければならない問題だと思います。
 暴力団が反社会的組織であるとの住民の意識はありましても、それに敢然と立ち向かうことはむずかしいことであろうと思います。後難を恐れて警察への協力を渋ることも十分に理解できます。
 そこで相手の組織に対しましても、住民側も防犯協会や通り会あるいは各種団体の組織を結集いたしまして対抗すれば、暴力団の追放に大きなカになると思っております。しかし住民の協力態勢も、警察側が協力者を暴力団の反撃から強力に擁護する態勢が前提になることは申し上げることもないと思います。
 そこで警察本部長に伺います。
 1つ、新聞に報道された暴力団に関する記事は事実でありますか。
 2点目、沖縄における暴力団組織の実態はどうなっておりますか。
 3番目、山口組が沖縄に進出した意図と背景は何か。
 4番目、沖縄における組織暴力団の合法的経済活動はどうなっているのか。
 5番目、警察の取り締まり方針と協力者に対する擁護措置について説明を願います。
 次は、副知事1人制について。
 自由民主党所属議員は、終始副知事1人制を主張してまいりました。復帰後副知事2人制が制度化されましたが、屋良知事時代の後半新垣副知事が長期病気療養のため、実質的な副知事としての職責は宮里副知事1人で担当し、現平良知事に引き継がれたのであります。そして、2人制副知事のうち1人が欠けても、別に県の職務執行機関としての職責にこれといった支障があったとは思えません。
 むしろ沖縄のような100万の人口を有する県としましては、事務を統轄することによって迅速な事務処理ができ、各部局を統轄して知事の補佐機関としての能力を発揮する点からは好ましい点が多いんではなかろうかと思います。
 仮に制度上副知事は2人制となっており、政策面と執行面の分担がぜひ必要とするならば、知事は就任と同時に真っ先に副知事の人選に着手をし、知事就任最初の定例会に提出し承認を求むべきではなかったでしょうか。
 就任後6カ月を経た12月定例議会においてさえ、開会日に副知事選任を求める議案の提出ができず、昨日その議案の提出がなされたことは知事が条例を軽視しているとしか思えないのであります。
 副知事人事につきましては、与党からも不信を受けたとも言われております。副知事の選任問題につきまして、いままでの経過並ぴにこれに対する知事の所信を伺いたいと思います。
 あと10分足らずしかないようでございますので、後で再質問をして残り時間がありましたら、通告の第1点目の問題を質問したいと思います。
 一応はこれで質問を終わりたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの新垣議員の御質問にお答えします。
 ただいまの新垣議員の知事に対する御質問は、駐留軍用地等に関する特別措置法に関する御見解に対する知事の見解を求められたのと、住宅供給公社に関連すること、副知事2人制についてのこと、さらに失業問題で1点触れておられましたが、これだけだという理解のもとにお答えいたします。
 駐留軍用地等に関する特別措置法に対することは、結論からさきに申し上げます、私は反対であります。
 御承知のとおり戦争で沖縄の土地に関する公図公簿は、ほとんどが失われました。それだけでなく、ところによっては地表さえ形は変えられてしまった。そこで所有権の争いも起こるし、軍用地は解放になったとはいえ境界が明確でないために十分に使えないと、軍用地以外のところでも境界の争いがあったりしておるのが現状であります。
 私は戦争であれほど傷めつけられたその土地の地籍の明確化ということは、国に与えられた重大なる責任だと思います。公図公簿もない、地形は変えられた、これはお互いの話し合いで解決できるものではない。したがって明治32年から明治36年にかけて、沖縄県に関する特別法を設定してあのときにも地籍を明確にしてもらった。あれと趣は異にするとはいえ、戦後のあの状況を見た場合には、土地と人口に関することが文明国における2つの大きな仕事だと思いますので、何と言っても政府はこれを早急に明確にしてもらうようにするのが当然であったと思います。
 しかしながら、戦後30年にしてもいまだにそれが十分になされておらず、防衛施設庁でやる分野があるかと思えば開発庁でやる分野があると、こういったあり方では解決はできないと思います。
 それは単に学者の方々が理論から割り出されたものだけで、事がかなうとは考えられない。県は私の就任以前からこの問題に取っ組んで、実際にモデル地区を設定してやってみたその体験に基づいてどうしてもここに特別法を設定しない限りこの明確化はむずかしいんだ、しぼりにしぼってここまでは集団和解方式でできるんだが、これ以上のことは特別の法律がなければどうにもならぬのだ、体験から割り出したものを地元における専門家に検討してもらって、それででき上がったのが御承知のとおりわれわれがいま政府に要求しておるものであります。
 地籍の明確化ということは戦後における重大な問題であり、私は知事としてもあとう限りこれを明確にしなければならない。
 憲法に定める所有権の大事な問題であります。これを一日も早く明確にできるように取り計らうということは、知事に与えられた責務でもあるとこう思いまして、就任以前から努力に努力を重ねてきた職員も督励して、やっと要綱ができて政府にお願いしておるところであります。
 ところで、新垣議員の御意見にもありました駐留軍用地等に関する特別措置法であります。もちろん中には地籍の明確化もうたわれておる、地籍を明確にするということが主体ではない。その証拠には軍用地に関連あるところは触れておるが、それ以外は従来どおりということにしかなっておらぬ。従来どおりのあり方では、ここにおける過去の体験からしてどうしてもできないと、だから特別法が必要だというんです。
 こういう意味でありまして、これはやはり賛成するわけにはいかぬ。中を見ましても、大体において地籍が明確になったものは特措法によって、米軍が使用しておるのは特借法によって米軍に使用させる、自衛隊にいくものは収用法でやると、こうなっておる。だから使うためのものが主体であって、個人個人の所有権をいち早く明確にしてあげようということが主体ではない。
 われわれの立場からすれば憲法の精神に照らしてみても、この個人の所有権のこれの明確ということが主題でなければならない。こういう意味から反対をし、ぜひこのような法律に、これを要綱にして早くつくってもらいたいと言うておるのであります。
 多くの地主98%は貸した方がいいという新垣議員の御意見の中にありましたが、事実だとずれば私は沖縄の県民将来のためにこれは憂うべき現象だと思います。いつまでも土地を貸し、私は地料によって生活を支えておられる方々もおられるということは考えられます。また地料あったがゆえに、自分の親を亡くした孫を大学まで出されたというお年寄りもおられると考えられます。
 だからといって、いつまでもこの地料に頼って生きようという人が98%おるということが事実であるとするならば、県民将来のために私は悲しむべきことであってこれをもって賛成するわけにはいきません。(「発言する者多し、議場騒然」)
 地主の土地を貸しておられる方々の98%、ほとんどでしょう――ほとんどの方々がそういう考え方であるとするならば、私としては残念に思わざるを得ないんですよ。
 ですから早く地籍を明確にして、そうして解放されたら地主が使えるような形にするために早くそれをやってもらいたいという意味であります。
 行政上、先ほど申し上げましたように個人個人の土地の境界を明確にして上げるように努力することは私に与えられたる責務だと思っております。それは私の勝手にできるものではない。やってみた経験は、やってみた体験からすると地主同士の相談でできることは限度がある、それは特別な法律をつくっていただきたいと、こういうふうにやっておるわけであります。
○新垣淑重君 私の質問の順を追うて答弁していただきたいと思います、後先にならないように。
○知事(平良幸市君) はい、あなたが私に知事に聞きたいとおっしゃったのは、これが最初でした。
○新垣淑重君 いやそうじゃない、全部知事あてにです、通告は。
○知事(平良幸市君) それから次は、これは順序は違うかもしれませんが、次は住宅供給公社のことだったと思います。この事実を知っておるかという意味合いのものだったと思いますので、その点をお答えいたします。
 新垣議員の御質問にありましたとおり、経済不況の中で分譲住宅の売れ行きの不振、あわせて売れた契約済みの住宅でも県下金融機関の資金事情の影響を受けて住宅貸付資金が乏しく、厳しい規制に遭って住宅代価の納付がおくれ、未収金となっている額は、先ほど御意見にもありましたが11月15日現在で28億2300余万円であります。公庫融資相当では14億3300万円余り、銀行等の協調融資相当が13億8980万円余りあるようであります。この事実は承知いたしております。
 これは公社の分譲住宅を譲り受けた譲り受け人が、みずから公庫の業務委託先である銀行等に公庫融資の申し込みと同時に頭金の一部を銀行等から協調融資してもらうべく住宅ローンを申し込み、この書類審査の上、公庫融資の対象者として承認があれば公社としては契約一時金の納付と同時に譲渡契約を締結し、当団地住宅へ早目に移るよう指導し住宅の移転登記をして、新住宅地において住民登録、印鑑登録をして住宅ローンや公庫融資の借り受けを促し、抵当権設定――公庫が第1順位、銀行等が第2順位になっているようですが――を仕向けているゆえに譲り受け人を住宅代価未納の状況で移すのでありますが、そこに経済不況による県下金融機関の資金事情が悪化し、住宅融資のような長期ローンの規制が厳しくなり住宅ローンの貸し付けが遅くなり、いわゆる金銭消費貸借証書の締結の期日が決定しがたくなって抵当権設定登記もできず、融資が延々となって譲り受け人はただ住まいという現象が生じているのでありますが、この件につきましては公社の役職員も極力銀行等に折衝し、また県の関係部局もこういう面に協力して特別融資の枠をつくってもらうように協力方を要請し努力しておるところであります。
 もう1つ、経済不況に関連してのことだったと思いますが、革新県政の云々がありましたが、私はここで決してこれは俗に言われております革新県政なるがゆえに失業がふえ、不況になったとは考えておりません。われわれの努力が十分であったとは申しませんが、だからといって革新の全責任だとは言えないと思います。
 世界的なあの不況の原因、それと相関連する日本経済の状態、高度経済成長とはいかなる歩みであったか、それがいかにして行き詰まったか、その結果はどうなったかと、こういったことを十二分にお考えいただいて沖縄がそのあふりを食ってきた以上は保守といわず革新といわず、積極的なそうして前向きの御提言をいただいて、相ともに100万県民のために知恵を出し合っていただきたいと思うのであります。
 われわれは、工業を全面的に反対しておるものではありません。遣憾ながら公害の多いと言われたアルミとか石油とかが先駆けで大げさにやってこようとしたもんだからして、そこに反対ののろしが大きく上がった、それが一事が万事というふうに誤解なさった方々もおられたかと思うんでありますが、1から10まで全部を反対しておるわけではありません。
 こういうことは、ここで私はくどくどしくこれを申し上げようとは思いません。再び新垣議員にお願いしたい点は、世界における経済の動向、あの動乱と言われた実態、それとの兼ね合いにおける日本全国の高度経済成長と言われたものがいかなる歩みをたどってきていかなる結論になったか、そのためにどうなったか、こういうことも御勘案願って、その中における沖縄の経済はこれはみんなが前向きで建設的な御意見を出し合ってもらって、ともどもに100万県民のための行政ができるよう御協力をお願いいたしたいと思っております。
 なお、不足の点は関係部長から補足をさせます。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 答弁が漏れておりますのでお答えいたします。副知事の1人制であります。
 なるほど私が提案することがおくれましたことは、重々おわびをいたします。条例にうたわれている以上は、当初において2人提案するのが常道であるということも十分承知いたしております。
 ただしかし、その当時はまず1人やって、どのような実態であるか私も中身に入っていって検討もしてみたいと、こういう考えが幾らかありました。やってみた、やはり沖縄は他府県と比べて仕事が多い。それは基地関係の仕事あるいはまた離島から成り立っておるがために、そこから生まれてくる問題も他府県とは違う。もちろん離島の多い県は何百と抱えている県もありますが、それは離島を抱えておるのであって、わが沖縄のように離島から成り立っているのではない。
 同時にまた復帰した、そのために従来のあり方と違う面も多々ありますので、そういった点を考えてみた場合に、執行面においても十分に各部の持っておる仕事の内容、従来との違い、そういったものを検討してこれを執行面を早目にできるよう督励することも大きな仕事である。こう考えてみた場合には、やはり条例どおり2人置かなければならないとしみじみ考えたわけであります。
 といっても今期議会に提案するためにおくれたことは重々おわぴをいたしますが、これまでのいきさつについての御質問もあったかと思いますが、せっかく私おくれたとはいえ提案して議会に御審議をお願いしておりますので、提案された2人についての御審議をお願いし、それ以前のいきさつについては答弁を差し控えたいと思います。
○新垣淑重君 議長、休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時22分休憩
   午前11時24分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 失礼いたしました。
 新垣議員が御質問の中で知事にとこうおっしゃったので、私はそれだけを答えればいいと早合点しましたので改めて答弁いたします。
 財政硬直化の問題は後で総務部長からも答弁させますが、昨年の議会での新垣議員の御質問と関連づけてお答えを私ができる範囲内は申し上げておきます。
 まず、12月補正予算における普通会計予算の性質別を見まするというと、予算総額1630億5699万5000円に対して人件費が763億6621万5000円となっておりますので、その構成比は46.8%で増加の傾向であります。
 自主財源の確保及ぴ対策について、職員定数は現行定数条例の枠内で新規行政需要に対処することとし、県立学校の新設校及び学年進行等による現在員の職種の見合わないもののみ増員を認め、厳しく対処していきたいと思っております。
 これはたしか12月の議会での新垣議員の御質問と関連するかと思いますが、使用料及び手数料を見直してその適正額へ改定したことによって教育使用料で4億4089万5000円、その他の手数料で7515万3000円、合計で5億1604万8000円、また土地貸付料の5402万2000円等の増額の確保を図ったのであります。
 その他、当初予算編成時において一般行政費関係において、物件費等について前年度当初の80%程度に厳しく見直しを行いました。
 なお、予算執行に当たっては、事業の早期着手と進行管理の徹底、執行体制の確立と事務処理方法の改善、経費の節減合理化と支出の適正化等々に留意の上、予算執行に万全を期すよう指示をいたしたのであります。
 退職者に関する件等につきましては、関係部長から答弁さすことにいたします。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 新垣議員の御質問の中で、県の財政硬直化問題と関連いたしまして、さらに昨年12月の議会の答弁と関連いたしまして2点ほど私からお答えいたします。
 いわゆる戦後処理あるいは復帰処理等も含めて国の責任でやるべき事務事業のうち、その財政負担がどのように明確にされているかということでございますが、私ども県の立場から国で負担すべき、してもらいたいという業種を分類しましたところ、1つには戦後処理ないし復帰処理的な事務として10の事務事業がございますけれども、そのうち地籍調査事務、基地渉外事務、援護事務、不発弾処理事務等については、これは当然国の責任においてやるべきだということでやっておりますけれども、これは87名ほどこれは実際には県費で負担しております。
 2番目に、沖縄の復帰に伴う特別措置法に関する事務で、これが6項目6事務事業ありますけれども、その中で5項目ほどすぺて県費で賄って10人ほどございます。
 さらに沖縄の地理的条件あるいは市町村、民間が本土と比較してやるべき事務事業が県段階で他の都道府県に比べて余分に負担しているという事務事業等を考えますと13事務事業がございますが、そのうち5事務事業について全く県費のみでやっているのが122名と、その他他の都道府県にもありますけれども特に沖縄県がその事務が依然として多いというその他の特殊事務がございまして、これに16人と、計235人分ほどこれは国において負担すべきだというふうに考えておりますけれども、各部局予算折衝の段階でやっておりますけれども、なかなかうまくいってないのが現状であります。
 また、定数との関係で他の都道府県、人口割りその他に比較して本県は定数が多いんじゃないかという御指摘がございますけれども、先ほど申しました戦後処理あるいは復帰処理的な事務で他の都道府県には全くないか、あってもごくわずかな事務事業で、特に本県が負担になっている事務事業で1782名ほどこの特殊業務にありますんで、それを除きますと、特に病院関係あたりを特別会計を除いて知事部局だけを見ますと、必ずしも他の都道府県より定数は多くない、特に予算等公共事業がふえますと知事部局は窮屈だと、こういう状況であります。
 次に、公社等の運営と関連いたしまして沖縄観光開発公社とリゾート開発公社を合併すべきじゃないかという御質問を受けまして、基本的にそういう方向で検討するというふうにお答えしたかと思いますが、実際にいろいろ関係部局で検討してみますと、定款上の問題あるいはその主管と言いますか、許認可をした官庁との関係あるいは債務、債権との関係あるいはその現実に行っている守備範囲の問題等必ずしも一挙に統合ができないという状況でありますが、引き続きその方向に沿って関係部局で協議会等を持ってさらに検討を続けていくと、こういうことでございます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 財政確立の観点から御質問のあります勧奨退職についてお答えいたします。
 昭和47年から昭和50年度までに勧奨退職者と辞退者は、知事部局においては勧奨退職者が208人で辞退者が24人でございます。それから教育委員会では勧奨退職者が465人、辞退者が18人となっております。警察本部においては勧奨退職者が21人で、辞退者なしとなっております。合計勧奨退職者は694人で、辞退者が42人となっております。
 こういう辞退者、補い職員がおれば極力説得する考えはないかという御質問でございますが、私どもおっしゃるとおり極力説得して退職するように勧めているところでございます。
 なおまた52年5月以降の勧奨退職者の年齢を58歳にすることについてどう考えるかということでございますが、この点についてはやはり職員の希望、国の定年制の動き、こういったものを見ながら人事の新陳代謝という観点から慎重に検討いたします。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 知事の答弁に加えまして補足説明申し上げます。
 新垣議員の御質問の中に、リゾート公社と観光公社の統合についての検討はどうかという御質問がございましたが、この件につきましては現在基盤整備等について検討を進めておりまして、それとの関運で今後両公社の役割り並びに統合等について具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、雇用対策の面についてでございますが、知事の御答弁もございましたんで、その中で補足を若干申し上げて御説明申し上げたいと思います。
 いわゆる目下の雇用失業情勢が非常に厳しいと、そういった中での県内での対策として国の公共工事等について県内での発注はできないものかと、そういった要請はしたのかという趣旨の御質問がございましたが、私どもは現在の苦境が非常に厳しくて中小企業等におきましてもいろんなことが言われておるわけでございまして、そういった状況等を踏まえて国・総合事務局と公共工事をも含めまして官公需の県内調達について積極的にやってほしいと、これまでも国は国なりにいろいろ考えて努力してまいってはおりますが、さらに一段と強く県内で調達するよう要請もしてまいりましたし、協議も重ねております。
 今後もさらに強く申し入れてまいりたいと、かように考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 住宅公社の売れ残り住宅、それから未払い住宅が多数ありまして、本当にいろいろ御迷惑をかけて申しわけありません。これが解決に公社の役職員も一緒に取り組んでおるところでありますが、早急に解決をいたしてやらなきゃいかぬと思っております。
 その対策といたしまして先ほど知事が申されたとおりでありますが、補足いたしますと、住宅購入者が調達しなければならない頭金については、銀行ローンにかわって住宅公社が支払い割り賦延べ払い方式をとることによって、売れ残り住宅の販売促進及び売れた住宅の未収金の回収を図っていく方法も現在検討しているところであります。
 それから今後の住宅政策でありますが、沖縄は住宅困窮者が全国でも非常に多い方でありまして、これが解決に取り組んでおるところでありますが、第3期住宅建設5カ年計画として51年度から55年度までの計画で、次のように考えております。
 全体で8万戸の住宅を建設いたします。その内訳としては、民間自力建設住宅が4万戸、公的資金による住宅建設が4万戸予定しておりまして、公的資金による住宅建設の内訳といたしましては7000戸を公営住宅及び改良住宅を予定しております。それから1000戸を住宅公団の住宅を予定しております。
 その他住宅として3万2000戸を予定しておりますが、これは公庫とかあるいは住宅公社、そういうので3万2000戸を予定しておるのであります。
 次に、監査委員の検査の件でありますが、その件については慎重に検討したいと思っております。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 暴力団関係についての御質問にお答え申し上げます。
 第1点、最近新聞報道なされた件は本当であるかということで2件御指摘になられましたが、いずれも新聞報道とほぼ同じような事態があったことは事実でございます。
 それで辻町のビルの件でございますけれども、報じられたような状態がございましたので、早速関係者が具体的に交渉、措置をいたしました。また那覇警察署でも、暴力団に対して厳重警告しました結果、近くそこから暴力団は退去するのではないかというふうな見込みでございます。よい結果が得られるというふうに信じております。
 第2番目の山口組系の沖縄進出の件でございますが、これは後で山口組系暴力団の進出の意図と背景という御質問がございますので、そのときにお答え申し上げます。
 第2番目に暴力団の実態はどうかということでございますけれども、県内の組織暴力団は沖縄連合旭琉会、東亜友愛事業組合沖縄支部、山口組系大平組上原一家の3団体を把握いたしております。構成員は旭琉会が約800人、東亜友愛事業組合沖縄支部が約100人、大平組系上原一家がこれは数十名と見られておりますけれども、現在さらに詳細内偵中でございます。そのほかに暴力行為を常習とする者、約150人を把握しておるわけでございます。
 そこで、3番目の御質問の山口組系暴力団の沖縄進出の意図と背景でございますけれども、御指摘のとおり山口組系大平組上原一家が、新たに結成されておるわけでございます。
 この上原一家はもともと旭琉会に属しておったものでございますけれども、旭琉会から昭和49年9月絶縁処分に付されたことを契機に、旭琉会との間に4件の殺人事件を含む39件の対立抗争事件を繰り返しておったわけでございます。
 その間に、兵庫県下にあります山口組系大平組との交流を深めてその系列下に入りまして、その勢力をバックに沖縄へ進出してまいりまして、本年12月1日に那覇市曙町所在のビルの3階に山口組系大平組の代紋を掲げて上原一家としての事務所を開いておるわけでございます。
 山口組系が進出した背景といたしましては、旭琉会が警察が強力な取り締まりをいたしました結果、会長以下多数の者が逮捕されるなどによりまして活動力が低下し勢力が弱化いたしましたので、いままで旭琉会から圧迫を受けておりました上原一家が、本土の山口組系大平組と結託して勢力挽回をはかっておるというふうに見られるわけでございます。また山口組といたしましても、その組織をより強大なものとして新たな地域における彼らのいわゆる利権を拡張、獲得するということを目指してきていることは間違いないと思われます。
 そこで警察の取り締まり対策でございますけれども、その前に暴力団の合法的経済活動の実態いかんという御質問がございましたので、それにお答え申し上げます。
 暴力団幹部あるいは組員が企業、事業などを経営してそれが暴力団活動の資金源になっておるという面もあるわけでございます。
 そういう企業、事業などについて申し上げますと、キャバレー、カフェー、遊技場、映画館、レストラン、食堂、ホテル、金融業あるいは養鰻業、プロパン供給事業、あるいは運送業、氷販売業、興信所などのいろいろな事業を直接または間接に経営するものが暴力団幹部の中におるわけでございます。さらに最近は、模合などを大規模に主催管理している者もございます。
 また、これは経済活動と言えるかどうか疑問でございますけれども、組員の中には、ホステスなどのいわゆるヒモとして生活する者や債権取り立てなどをして生活をしている者もおるというのが実態であると思います。
 それで、最後に警察の取り締まり体制、対策と協力者の保護対策はどうかという御質問でございますが、暴力団は凶悪事件を初め粗暴犯その他いろいろな犯罪を繰り返しておる不法集団でございますので、これに対しましては、警察としては常時強力な取り締まりを続けてきているところでございます。その旨を各警察署に周知徹底いたさせて、間断のない取り締まり、それから本部には組織暴力団の対立抗争事件取り締まり本部というふうなものを設けまして、彼らの間に行われる対立抗争事件の摘発、検挙ということを続けてきておるわけでございます。
 それで、本年11月末現在での暴力団の犯罪の検挙状況でございますが、296件258人を検挙しておるわけでございます。
 また、彼らが使います武器、凶器の押収でございますけれども、これまた組織暴力団壊滅するために重要な事項でありますので特に重点として取り締まりを進めておりますが、本年11月末現在で銃器類25丁、刀剣類22丁、手りゅう弾22発、実包7738発という多数を押収しております。
 そのほか本年検挙いたしました犯罪の中では、暴力団が主催する模合崩れから発生した幹部による暴行傷害事件とか、あるいは沖縄市内における遊技場経営者親子に対する劇毒物使用の傷害事件であるとか、あるいは飲食店から暴力団が縄張り料名かでの金員を喝取した恐喝事件であるとか、あるいは暴力団同士の殺害死体隠蔽事件であるとかいうふうなものを検挙いたしまして、主要事件と言いますか、主要凶悪事件で未検挙のものはほとんどないという状態でございます。
 暴力団壊滅を進める上で重要になります警察に対する協力者保護の対策はどうかということでございますけれども、これは一般的にはアジト、本拠地あるいは彼らの主要活動の場である繁華街その辺のパトロールを強化する、あるいは私服員の密行、偵らを行わせるということがございます。
 また具体的事項、動向について協力をしていただきました方々に対しましては、所轄の警察署において協力者保護連絡簿というものを設けまして、その人を記載して何事もなくとも警察署員が定められた日には必ずその人の家を訪問して、暴力団からのいやがらせや反撃というふうなものがあるかどうかということを確かめ、またそのような事態が発生したときにはどういう方法で連絡していただくかというふうな連絡方法、対処策をあらかじめ打ち合わせておきまして被害が及ばないようにし、また発生したときには直ちに検挙できるというふうな体制にし、それを実施しておるわけでございます。
 もちろん、このような協力者の存在が外、特に暴力団に察知されては困りますので、それらはいずれも隠密裏に行っておるというのが実情でございます。
 当面、山口組系大平組の上原一家が那覇市内に本拠を設けて活動をするということを明らかにしておりますが、これに対しまして旭琉会が反発を感じ、その間でいろいろ紛議紛争が生ずるというおそれもございますので、これに対しましては、所轄の那覇警察署において両派の幹部を呼び出しまして、不法行為に及ばないように厳重な警告をいたしております。
 また、それで私ども事案がおさまるというふうには考えておりませんので、那覇警察署におきましては直轄警ら隊というものを設けまして、常時それらの周辺をパトロール監視し、夜間における事案発生というふうなものについても万全の体制をとっておるわけでございます。
 また、地域住民に対する協力要請というふうなことも大切なことでございますので、那覇市の自治会その他の地域、職域組織等に積極的に働きかけまして暴力排除の機運を盛り上げていくと、警察も県民も一体となって暴力団を排除していこうということで具休的な方策を推進しておるところでございます。
○議長(知花英夫君) 新垣淑重君。
   〔新垣淑重君登壇〕
○新垣淑重君 県の財政の硬直化問題につきまして私の質問に対しましてどうもはっきりしない点がございますので、再質問いたしたいと思います。
 企画調整部長は、沖縄県職員のうちでその経費を国が負担すべきものが約235名おると言われたんですが、これはすでに私は昨年の12月の議会におきましてはっきりしまして、これは国とも十分調整をとりなさいと、こういったような人件費で沖縄の現在の財政硬直というのは人件費が非常に占める分野が大きいのでやりなさいと、そしてやりましょうという約束をしたんですが、1カ年なるんだが、現在も予算のたびに折衝しているが、どうもまだすっきりしませんという返事でございます。
 1カ年前に検討しましょうというのを、今度も検討しましょうでは、これはどうにもならないと思うんです。
 実際に沖縄県の財政の硬直化の原因が人件費にあると先ほど私は福岡県の豊前市の例も申し上げたんですが、あの厳しい状況をやり出すには、やっぱりその辺の区分をはっきりつけまして、国が負担すべきものは国に負担してもらいたい。
 おそらくですね、これは沖縄振興開発特別措置法あるいは復帰に伴う特別措置法といったものもね、沖縄を早く日本の状態まで引き上げようということが目的である以上、国が負担すべきものを沖縄が負担してこれを国で負担してもらいたいということに対してはね、強力に折衝すれば国は聞かなくちゃいかぬはずですよこれは、当然な話ですよ。すぐやってください、これは。235名の人件費になると大したものですよ、これは。
 それから公社の合併の問題も同じ。十分検討しましょう、前向きに検討します、積極的にやりましょうというのが12月定例会の返事でしたよ。1カ年かかって、いまさらこれから検討しますではね、これはどうも話にならないんですよ。その点は十分ひとつお願いしたいと思います。次の2月定例会までにははっきりしてください。
 それから雇用対策について知事は、私が革新県政が産業構造を第1次産業に重点を置き振興開発計画に盛られた第2次産業たる工業導入に対し、積極的な誘導策をとらずむしろ抑制策をとってきたと思いませんかという質問に対して、そんなことは思わないという返事でございます。
 しかしながら、実際いままでの革新県政8年の経過を見てみますと、結局はその振興開発計画に盛られたのはですね、おそらくその業種の構造の変更が主たる沖縄開発の要点であるということで、開発計画は盛られているわけでございます。その重点は第2次産業導入によって沖縄の工業を盛んにし、そして沖縄の経済の成長を促し、沖縄のこの失業者の対策になるというのが私は振興開発計画の第一の要点だと思います。しかしながら、従来とも知事はそういうことを反対していないんだということを言っておられますが、しかし知事の施政方針でも大体農漁業の振興が真っ先に出てきます。第2次産業というものは出てきません。また屋良知事時代からずっとそのような積極的な誘致はもちろんないが、抑止的な政策をとってきたのは間違いございません。
 これは知事との見解の相違かもしれませんが、しかしながら知事のいまの言動は、沖縄県民特に財界人の間では、革新県政のこの姿勢を強く批判しているのは知事も御承知のとおりだろうと思います。
 そのためにはですね、私はこの振興開発計画の中間展望の中でも結局皆が期待しているのは、第2次産業の導入以外沖縄振興開発はないんだということを言い切っていることからも十分うかがえると思います。
 私はもし知事がいままでの姿勢であるならば、どうぞ沖縄振興開発の中心はあくまで2次産業の導入である、工業導入であるということをもう少し深く考えてもらいたいと思います。
 そしてもう1点は、知事は先ほどこの公害問題とか工業問題の誘致に対しまして、日本の現状を見てごらんと言っておられます。おそらくこの日本国がアメリカのカリフォルニア州の一州にも満たない日本が、そして70%は山岳地帯である日本が、現在の繁栄を来し1億1000万人の人間を養って世界の経済大国になっているのは何によりますか――工業をとったからでございます。農業、水産業ではございません。私はこの点を強く指摘したいと思います。どうぞこの点は知事も思い直していただきたいと思います。
 もう1つは基地問題でございますが、知事はその地主の98%が賛成であるということに対しては、これはけしからぬ考えだということを言っております。しかしながらもちろん基地は好ましい存在ではないかもしれません。基地に依存するのは、当然これは改めなくちゃならない問題。現実をどうするのか、いつまでも続くとは思いません。
 私はこの現実の問題を訴えるところのその地主に対して、君の考えは間違いだ、けしからぬ考えだということ自体けしからぬと思います。そういったような失礼な言動はやめてもらいたい。
 もちろんわれわれもいつまでも基地を確保し、基地に依存すると言っておりません。いつかの日はわれわれは基地依存から脱却して自主確立の経済を目指しまして、沖縄県民の発展を期するものではございますが、現在の現実の問題はですね、理想と現実とは全くかけ離れていることを知事は十分承知してもらいたいと思います。
 私はいまの軍用地主の98%の賛成に対して、けしからぬ考え方だといったような知事の言動に対しまして真っ向から謝罪を要求します。
 以上です。(「議場騒然」)
○知事(平良幸市君) 休憩願います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後0時  休憩
   午後0時2分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 新垣議員にお答えいたします。
 12月議会ではこのような具体的な答弁はしてないわけですが、そういうことを調べてですね、もし国に要求すべき筋のものは要求するということなんですが、ただ率直に言いましてこれはまあ県の立場から、これは当然235名についてはこれは国の責任において戦後処理的、復帰処理的な仕事であるのでという考え方を持ってやっても、国の側では必ずしもそう受け取っていないと、見解の相違があるわけです。
 しかもそれとまた関連して、その基準財政需要との関係で交付税で見られている部分があるとか、その辺がはっきりしない部分もあるわけです。だからといって交付税はまた細かく中身に入って立ち入ることができないと、こういうところがありまして、おそらく2月議会になっても私はほぼ同じような答弁しかできないと。努力はいたします。
 そういうことをひとつ御了承願いたいと思います。
○新垣淑重君 知事に答弁漏れ……。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後0時4分休憩
   午後0時5分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) これは知事が答えるはずでありましたが、そのかわり労商部長から補足させてありますが、お説のとおりこれまでも国にもその点は強く要請するし、県自体も考えるし、市町村にも地元の業者を優先するように通知も過去において出しておるようであります。
 いま御意見のとおり、われわれは今後もその点は十分に努力をいたしたいと思っております。
○新垣淑重君 知事、ちょっと待ってください。
 この点につきまして、私は各部局に照会して資料をもらいました。30%ぐらいの沖縄県内の事業に対しまして日本の企業者が落札しておりますよ、仕事しておるんですよ。これは説明聞きましたら技術の問題とか資材の問題とかいろいろあるんですが、しかしながらこれは技術は導入すればよろしいと、機械も借りればよろしいじゃないかという点で今後はその点も十分に目を通していただきまして、沖縄の企業者を助けてもらいたいと思います。
 以上です。
○知事(平良幸市君) 30%の話もありましたので、さらに実態も十分調査してわれわれもいま御意見のとおりの考えですから、あとう限り努力をいたします。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後0時6分休憩
   午後1時18分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 午前に引き続き代表質問を行います。
 翁長助裕君。
   〔翁長助裕君登壇〕
○翁長助裕君 自由民主党沖縄県連所属議員を代表いたしまして、平良知事に沖縄県の現状認識と及ぴその将来の展望とその施策のあり方につきまして御質問申し上げ、沖縄県発展のための道をどう切り開いていくべきかともどもに考えていきたいと思います。しかし、それはあくまでも県政における行政責任の所在を明確にした上でのことであることは言うまでもありません。
 その前に、私は去る12月5日施行の衆議院議員総選挙に示されました国民の政治に対する基本的な理念と要請というものに対し謙虚にその事実を受けとめ、今後の政治の方向や流れをどう国民のニーズにこたえて形成してまいるか、政治や行政の場において真剣な反省と検討が行われなければならないと思います。
 特に本県における結果等を見るとき、わが自由民主党県連は、県民の国に要求する立場をさらに強固なものにしていくよう努力する必要性を痛感すると同時に、いわゆる革新県政8年間の実態というものにメスを入れ、現状の正しい認識の上にこそ将来へ向けての県民の幸せと安らかで希望あふるる生活を約束する施策が初めて可能であると改めて思いを新たにいたした次第であります。
 戦後31年間を経過しまして戦後史の中で幾多の区切りがございましたが、今日ほど政治の原点が問われているときはございません。政治の大きな転換期の第一歩がすでに始まったのであります。戦後史の成果を踏まえると同時に矛盾やひずみを勇気をもって抽出し、それを具体的に是正していく努力をしていかなければなりません。
 わが沖縄県においても地方自治の確立という各都道府県共通の立場から、あわせてまさに特殊沖縄的な立場から問題点を整理し国に要求すべきは要求すると同時に、県民みずからの責任と使命をも明確にして果たすべき任務と役割りは率先して遂行していかなければなりません。
 さて、復帰して5年目わが県政はいまだに暗中模索の域をさまよい続けております。県経済の危機はその極に達し、いまや破綻寸前であります。県内企業の大部分は倒産を防ぐのに精いっぱいであり、小売雑貨商に至るまで何とか景気が回復するまで一日でも長く生き延びておきたい。利潤の追求など大それた考えは毛頭なく、経営の赤字幅を最小限度に抑えるための努力と資金繰りに追われどうしでありまして、民間経済の悪化を反映して県民生活も家計のやりくりに四苦八苦いたしております。
 片や失業率は全国平均の3.5倍にも達し、しかもそれは解消の見通しさえなく、県労働商工部の発表によれば、ことし11月の求職倍率は12.6倍という史上最高を記録する労働市場最悪の事態になっております。県経済の危機と破綻を解決しない限り、失業率の問題は何ら抜本的には解決できないのは自明の理であります。県として求人開拓を積極的に推進し、同時に広域職業紹介を活用したとしましても、これは単に気休めの行政であり抜本的対策にはなりません。なぜならば、その受けざらの用意がなされてなく、これから用意するにしましても、日暮れて道遠しの感が深いからであります。
 具体的な質問に入ります前に、県経済危機の原因とその打開策及び雇用の安定策をどう進めていくおつもりか、さらに知事の基本的な御見解を承りたいと思います。
 平良知事、いまやわが沖縄県は非常事態宣言を内外に行い、県民総ぐるみになって県経済の危機打開を図るべきだと考えます。そして振興開発計画の目標に沿って現状を正しく把握し、もう一度振興開発計画の見直しを行うべきだと思います。
 私は、ここに具体的な御質問を申し上げます。すなわち、県振興開発計画の目標年次昭和56年の総人口103万人を前提にして県の産業構造バランスから試算したデータを見てみますと、目標年次の就業者総数46万人、そのうち第1次産業への就業者6万人で全体の13%を予定し、第2次産業は13万人で28.3%、第3次産業27万人で58.7%となっております。
 沖縄地域科学研究所の昭和50年9月発刊の労働力需給と失業者の予測は、この目標を前提に就業構造及び県人口の予測をしておりますが、目標の第1次産業就業者6万人と第2次産業就業者13万人の数値を前提とすると人口103万人はとうてい維持できず、69万人の人口が適正規模であることを如実に示しております。つまり現在の第1次産業及び第2次産業の状態では、目標とする人口規模を維持することは困難であります。
 では次に、103万人の人口規模で6万人の第1次産業従事者を前提にすると、他産業就業者のバランスはどうなっていくか。その場合就業者総数は51万人でなければならず、第2次産業は21万人で全就業者の41%と大幅に増加してまいります。目標とする人口規模を維持するためには、第1次産業を目標どおりに設定する限り第2次産業に占める就業者の割合が大幅に増加するための施策をより以上に必要とすることを如実にこれまた示しております。
 さらに103万人の人口規模と振興開発計画で目標とする第2次産業就業者数13万人を前提にしますと、第1次産業従事者数は振興開発計画で意図する13%の6万人ではなく、35%の18万人を前提にしない限り目標達成は不可能であります。
 端的に申し上げますと、県の振興開発計画は103万人の人口規模を前提にした場合、その産業構造のバランスをまず第一に第3次産業の現在以上の依存度を維持発展させる、言いかえれば基地関係収入と持続的な財政収入を前提にしまして、さらに文字どおり観光立県、否むしろ総ぐるみの観光の島にしていくか、そしてそれがその場合どのような施策の上に可能なりやが問われてまいります。
次に、第2番目に第1次産業従事者数を基準年次の2倍18万人に持っていく施策が果たして可能であるか、いわゆる農業県として成立し得るかどうかが問われてまいります。
 3番目に、第2次産業部門の積極的拡大を図るかどうか、この3つの選択がいま迫られておると思います。この3つの選択しかないことをまたデータもはっきりと数字で示しております。知事はどう選択するおつもりか、現実の行政選択として直ちに責任ある御答弁を願いたいのであり、またその答弁をいまの沖縄県の経済あるいは社会状況は強く要請いたしておると考えるのであります。もしこの3つの選択ができないとするならば、人口規模69万人約70万人の県を目標とせざるを得ないのであります。
 この基本的な選択がなされずにいわゆる革新県政8年間が経過し、いまなお逡巡しているところに現在混乱と不安の増幅作用が依然として行われていることの主要原因があることを指摘しておきたいと思います。
 県の主体的選択の上に県政を運用し、国に要求し、国策を積極的に導入せしめ、同時に国をして自主主体的な県政の補完的役割りをも十二分に果たさせていくということでなければなりません。
 ここでついでにつけ加えておきます。
 農業収入を増加せしめ、農家所得を高め、いわゆる農業の振興を図るということは逆に経営の近代化、合理化、機械化等を推進していくということであります。農業の振興は、直ちに雇用不安の解消の対象にはならないということも御認識願いたいと思います。どうしても第2次産業に雇用の供給先を求めていかなければなりません。雇用の安定は、2次産業の振興と不可分な関係にあるということであります。繰り返して申し上げるならば、第1次産業就業者の相対的割合を増加することが不可能であるとするならば、第2次産業部門の拡大以外に県経済の危機打開も雇用の安定も期することができないのであります。
 革新県政8年間工業化への努力が放棄され、もはやその時期を失したかの感も深いところに現在の社会不安の大きな原因があることを、私は改めて強く指摘したいのであります。
 ここに象徴的なデータがございます。
 県下の市町村財政のバランスを資産あるいは自主財源、財政規模等で概観してみますと、資産の部で宜野座村、恩納村、嘉手納町、豊見城村、北谷村、名護市が高い数値を示し、これはいずれも軍用地等の効用の高い資産を有していることと深い関連がございます。自主財源の部でも恩納村、金武村、宜野座村が軍用地料の関係で高い数値を示し、西原村、与那城村が石油基地の関係で他の市町村に比較してより安定した財政バランスを示しております。
 これは軍用地が市町村財政及び県民所得に無視しがたい有効性を発揮している現実を踏まえまして、一体どうすれば県民の利益に損失を与えずに市町村財政をも考慮しつつ基地の整理縮小を図っていくか、県として具体的なスケジュールの提出が不可欠であることを意味しております。
 政治的イデオロギーはともあれ、行政の立場でどうするかというきわめてリアルで冷静でシビアな対処策が出されない限り行政の使命は達成されず、問題の解決にはならないのであります。それをいままで具体的に提示し得ないところに即時基地撤去論の行政的限界があることを、行政的に反省すべきであります。
 また、西原村において地方税に占める固定資産税の割合56.8%、与那城村同じく70.3%という高い数字が石油基地による収入であることは注目に値し、県経済を考える場合工業誘致の必要性が理解できるのであります。
 現実を直視し正しく分析し、その上に県政の方向とスケジュールを作成し、着実に実行していく姿勢の確立が強く望まれております。スローガン行政はもうたくさんであります。
 さて、知事は第1次産業の重要性を強調いたしております。わが党もそれを決して否定するものではありません。むしろ農漁業の基盤を確立し、もって産業構造の中で望ましいバランスを第1次産業が担っていく方向でともどもに努力いたす所存であります。
 しかし知事、ここにまた唖然とすべきデータが示されております。すなわち主な農業生産基盤整備事業の実績を調べてみますと、圃場整備については要整備量4万4510ヘクタールに対しまして、49年度までの実績は4090ヘクタールにしかすぎず、整備率はわずか9.2%であります。
 灌漑排水については4万3120ヘクタールの要整備量に対しまして、13.1%の5654ヘクタールの実績、農道整備については41.8%の整備率ですが、復帰後最近の整備率は全国平均の17.6%に対しまして沖縄県はたったの2.3%の達成率であります。
 農地開発の整備率は驚くなかれたったの0.8%、農地保全につきましてはこれまたスズメの涙的な2.7%の整備率であります。
 この8年間、一体農業振興の基本である農業基盤整備事業に対して県はどれだけ努力し、そしてどのような政策を立てていままでやってまいったのか、何が農業振興ですかと言いたいのであります。数宇はまさに正直にその告白をいたしております。
 農民に対して率直に謝罪を要求すると同時に、これら農業基盤の整備を県は何年計画でどういう積極的な施策をもって取り組んでまいるのか、御説明を願いたいのであります。
 ちなみに昭和40年から50年までの新規学卒者の農林業就業状況を調べてまいりました。
 昭和40年の中高校卒業者総数3万3425人、うち就業者数1万629人、農業就業者数1875人で、農業就業率は17.6%であったのが、5年後の、すなわち革新県政発足後の昭和45年には同じ計算で農業就業率は7.9%にがた落ち、以下46年には5.3%、47年には4.6%、48年4.3%、49年3.1%とみごとに急下降現象を示し、50年にはついに就業者総数8121人のうち農業就業者数はたったの261人で、就業率は2.9%にまで下がり、まさに革新県政のもとで衰退する沖縄農業を如実に示しておるのであります。
 農業の基盤整備が平均10%の達成率という農業環境のもとでは当然の結果であり、農林行政不在、第1次産業への積極的な行政のてこ入れがなかったことが今日の農業の衰退を招いたのだといっても決して過言ではありません。
 知事、わが県は、ききにも述べましたように産業構造の中で占める第2次産業のウエートの重要性、工業立地条件の整備と企業誘致等を含む民間の私的生産資本の充実強化があって初めて県経済の円滑な発展と雇用の総合的安定が達成されるのであります。この自明の論理をなおざりにしまして今日の経済混乱を招いた責任を免れるために農漁業の見直しとその振興を叫ぶとするならば、県民を愚弄するもはなはだしいと言わざるを得ません。
 なぜならば、第1次産業それ自体に対しましても県は8年間の実績は何ら見られず、無為無策に過ごしてきたことがありとあらゆる資料が証明しているのであります。
 第3次産業も観光産業を中心にしまして今日の不況を見る場合、革新県政8年間の実態は満身創痍の状態であると言われても弁解は許されないでありましょう。この実態に対する知事の御答弁をもう一度要求するものであります。
 以上の点につきましての御答弁をお聞きしましてから、次に移りたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) お答えいたします。
 本県の経済は、多年にわたる米国の統治下で独自の経済圏を形成し成長発展を遂げてまいりましたことは御承知のとおりであります。
 復帰までの10年間昭和36年から46年までに本県経済は年平均15.2%の成長を実現してきており、日本経済の高度成長期間に当たる同期間の成長率は15.1%と同水準の高い成長になっております。復帰後は格差是正を目指して沖縄振興開発計画が策定され、その実施を通して毎年多額の財政投融資がなされましたが、特に海洋博の開催による公共投資等が消費面の需要を喚起し、高い成長率のもとで経済規模を拡大してきました。その結果、昭和49年度の県民所得は7753億円、1人当たり県民所得75万4000円の規模となり、全国平均の71.4%の水準にまで達しました。
 しかし、本県の経済は依然として第3次産業中心の産業構造となっており、物的生産基盤の脆弱な自立的発展の機動力に乏しいことは御承知のとおりであります。
 また、最近の経済動向を見ますと、海洋博終了に伴う落ち込みが大きくその後遺症が残り、一段と厳しいものになっています。特に観光は海洋博の反動等もあり入域者数は減少しており、ために宿泊施設業界は特段の厳しい経営を余儀なくされています。
 一方、労働力需給は有効求人倍率が低下し、失業率も依然として高く、雇用情勢はきわめて厳しいものとなっています。また、景気とは直接関連しない駐留軍離職者が労働市場に大きな影響を与えています。
 企業の資金需要は前向き運転資金は不況を反映して依然盛り上がりを欠き、設備資金も企業収益の悪化や先行き見通し難からくる企業マインドの冷却化により鎮静化しています。
 企業倒産は不況の深刻さを反映して、最近も高水準で推移していることも御承知のとおりであります。
 このような厳しい情勢下で本土との格差是正、自立経済への接近、失業問題の解消等もろもろの問題解決は、振興開発計画の実現にかかっているという認識のもとに、新規工業の導入等行政サイドの積極的導入策を推進する所存であります。
 第2次産業の振興については、本県の産業構造の改善と本県経済の健全な発展を図るためには第1次産業の振興と、あわせて第2次産業の振興を図ることがきわめて重要であります。
 第2次産業の振興、特に工業の振興開発を考える場合、新規工業の導入と既存企業の振興は、それぞれ別の視点からその施策は推進されなければなりません。
 新規工業の導入につきましては、本県の立地条件、すなわち県内市場の狭隘性、離島性からくる輸送コスト高、用地、用水、港湾、電力等の産業基盤の未整備等もあって新規工業の導入はむずかしい現状にありますが、基本的には関連波及効果の高い工業、雇用効果の大きい工業、公害防止に万全の措置をとり得る工業、以上の3要件を具備する企業は積極的に本県に誘致していきたいと思います。
 今後は、基本線に沿うた立地適正業種の選定を進め、受け入れ側地域住民のコンセンサスを得て誘致活動を強力に展開していく所存であります。
 次に、既存企業の振興についてでありますが、本県の企業は中小企業がその大部分を占め、その経営基盤も脆弱でありますので、既存企業の振興のために次の施策を強力に推進いたします。
 まず第1に経営基盤の確立でありますが、経営改善、設備近代化、工業技術の向上等の諸施策を効果的に展開するために中小企業者の組織化を推進するとともに、協業化、集団化事業の一環として既存企業の工業適地への移転、拡大を進めていきます。
 2番目に金融上の助成措置の強化でありますが、沖縄振興開発金融公庫の中小企業関係資金の確保に努めるとともに、設備近代化資金及ぴ高度化資金等の制度資金の積極的活用を図る。また信用補完事業を一層拡充強化することにより、企業倒産の防止に努める。
 3番目に、県産品使用奨励の推進であります。
 県産品使用奨励運動の展開によって県産製品に対する需要の拡大を図り、県内企業の生産性の向上と経営基盤の安定を図ります。
 また、雇用不安の解消につきましては、その雇用失業対策として県が鋭意努力していることでありますが、長期的には沖縄振興開発計画に基づく産業の振興等の施策と有機的に連携させた労働市場の拡大を図る所存でありますが、当面の対策としては沖縄振興開発特別措置法に定めた国の施策と関連させながら、県内、県外求人の積極的な開拓、確保、広域職業紹介の積極的な推進、職業訓練の拡充強化、公共事業失業者吸収率制度の有効活用、自営業の育成援助、諸援護措置の活用による再就職の促進等の施策を柱にきめ細かな職業紹介業務を積極的に推進しているところであります。
 なお、広域職業紹介、公共事業への失業者の吸収等については実績を上げつつあります。
 今後とも、県政の重点政策の一つとして雇用の安定的確保に努力する所存であります。
 なお、細部にわたります点につきましては、関係部長から詳細にわたり御答弁させたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 ただいま翁長議員のおっしゃるとおり、基盤整備がかなりおくれているということは事実でございまして、これは27年間のアメリカ統治の中では基盤整備に対する投資が非常に少なかったということでございまして、現在復帰直後は約4倍の基盤投資がなされておりまして、逐次毎年増加をしておりまして、51年は約70億円、それから52年度はこれの約60%増を要請をしております。
 そういった中で基盤整備を進めていく考えでございますが、何しろ長い間の空白がございましたので、一挙に他の都道府県並みに持っていくにはかなりの努力が必要かと思います。
 また、特に県の対応費あるいは市町村の対応費あるいは受益者の対応費等もやはり関係がございますのでかなりの期間がかかるんではないかと思っておりますが、極力県、市町村の対応費等を確保いたしまして早急に基盤整備を進めていきたいとかように考えております。
 それから農村の後継者の問題でございますが、この点につきましてもなかなか一朝一夕にできない点がございまして、これにつきましては現在北部に農業研修センターあるいは先進地の研修等を含めましていろいろ努力をしているところでございますが、最近は農業青年のUターン現象もあらわれておりまして、こういったことが喜ばしい状況でございますが、やはり農村の生活環境基盤あるいは農家所得の増がなければこういったものもむずかしいんではないかと考えております。
 そういった意味では農村総合整備事業、これが最近かなり進められておりまして、農村の文化生活もかなりよくなってきつつあります。あるいは所得面につきましても、いろいろ規模の拡大等含めまして今後後継者の育成に努力していきたいとかように考えております。
○議長(知花英夫君) 翁長助裕君。
   〔翁長助裕君登壇〕
○翁長助裕君 どうもさっぱりわからないんですが、3つの選択を私は申し上げたはずであります。
 基本的な点の論議がされない限り、その部分部分を取り上げましても生産的な意味はないと思います。したがいましてこの振興開発計画から見ましても、また現在の沖縄県の経済の状況からいたしましても、将来像を描いていく場合に先ほど申し上げましたように、第1次産業中心でいくのか、あるいは第2次産業を中心に据えたバランスでいくのか、あるいはその現状のとおりの第3次産業に極端に依存した形でのまま推移させていかざるを得ないのであるのか、そうでなければ思い切っていわゆる人口70万人ということに現在の目標設定をしてまいるのかどうか、そういった点に対する、あるいはまたそれをミックスした何らかの施策がなくてはならないと思います。
 すでにその件につきましても振興開発計画はその目標を達成できない、あるいは見直しをせざるを得ないというデータが出ておるが、県当局はどういう考えのもとにそれを把握しておるか。
 まず最初に人口把握、これがやはりすべての計画の第一歩でありまして、その第一歩からすでに崩れておることについて指摘申し上げ、そこから派生してまいりまして基本的な姿勢はどうであるのかただしたのでございますが、それをまた後ほど御答弁を願いたいと思います。
 経済混乱と雇用不安の解消を目指すには、どうしても振興開発計画の問題点を指摘しなければなりません。知事は、振興開発計画の推進の中でこれらの問題が解決できるといったような答弁でございましたが、私はそうは思いません。全く思いません。
 次に、沖縄振興開発計画の中期的展望をもとに若干問題点を明らかにしまして、県の基本的な姿勢と具体的な取り組みにつきましてただしていきたいと思います。
 まず第1に、沖縄県の振興開発計画が何よりもまず意図したことが本土との格差是正であったということを私どもは真剣に考え直さねばならないのではないでしょうか。経済、社会、文化、教育ありとあらゆるものを本土水準にまで画一的に高めるべくそれを目指しての施策の策定をしたということは、沖縄県の地理的、歴史的特質を失わせしめ、しかも本土の現状を是とする中からは、本土社会の戦後の発展の中での矛盾やひずみをあらかじめ排除していく作業の重要性は振興開発計画推進の過程で埋没していく危険性を露呈せしめ、同時に特色ある沖縄県の未来像が片すみに押しやられてしまい、全国平均の特徴のない県づくりに懸命になっているという皮肉な現象がなかったか。そして全国平均の構図を描いていく限り、後進県はいつまでたっても後進県であり続けるのではないか。しかも全国平均的な見地から見た場合、特殊沖縄的に沖縄に与えられた条件が余りにも脆弱なものであることは、沖縄の立場をさらに弱いものにしてしまっております。
 私たちは、振興開発計画の中期的展望を迎えた今日、振興開発計画策定の時期が日本の高度成長の波の中でその延長線上に沿った発想であったことに思いをいたし、勇断を持ってこの振興開発計画の見直しをすべきではないか。もう一度、沖縄の与えられた諸条件を踏まえたところの沖縄県の未来像について真剣に論議をいたし、場合によっては全く新しい県づくりのための計画が生まれてしかるべきだと考えます。
 中期的展望に立って現状を分析すると、昭和56年の目標年次を迎えても自立経済の達成は不可能であるばかりか、現在の経済混乱も雇用の不安も解消される見通しは全くないのではないかと考えます。
 本土と沖縄が同じ構想を描き、同じ発想を持って進むということは、あくまでも同一条件があらかじめ前提として存在していなければなりませんが、沖縄は歴史的に特異な条件が存在し、それがゆえに経済的条件も本土と全く異なった環境下で形成されてまいりました。同じ土俵では、最初から勝負にはならないのは理の当然であります。
 沖縄経済が復帰後本土企業の系列下に置かれるか、あるいは最初から差別の中で倒産していくか、そうでなければ下請け、孫請け的な環境下で生き延びていくかという状況にあることがそのことをはっきりと示していると考えます。違った土俵、独特の構図を描き、構築していくべきだと強調いたしたいのであります。
 本土に追いつけ、追い越せの発想を思い切って転換せしめて、沖縄の与えられた諸条件をマイナスの項でとらえるのではなく、むしろプラスの項で把握し評価したところの全国にも例を見ない特徴ある県にしていく実験こそ必要ではないでしょうか。
 そして、本土政府をして狭い国内的な閉ざされた発想と施策ではなく、東南アジアとのかけ橋となるモデルケースを沖縄につくっていく、国際的に開かれた発想と施策に変えさせていくということは、悲劇の島沖縄への救済と同情の施策ではなく、国際社会へのショーウィンドーとして沖縄の価値を位置づけていく、そのことが日本の国際的評価を高めていき、新しい国際社会の流れに沿った誇りある島、時代を先取りする島、国際平和を象徴する島としてクローズアップさせていくということがいま考えられていいのではないでしょうか。
 第2次大戦終結の島沖縄を、平和と国際的協調のメッカとして位置づけていくことはわが日本の使命でもあると思います。
 救済と同情は、もはや県民みずからが拒否していかなければなりません。したがいまして先ほどの答弁にもございましたように、戦後27年云々はもうよしていただきたいのであります。
 歴史の選択を県民みずからがどう主体的にしていくか、それに私どもはいまこの経済混乱の中で直面いたしていることを深く認識をいたさねばなりません。
 沖縄の歴史的悲劇は救済によってではなく、新しい歴史の創造、開かれた世界への羽ばたきによってこそ報いられる、すなわち歴史的希望によって置きかえられるべきであります。
 私は振興開発計画の部分的見直しではなく、一大見直し、抜本的見直しを強く要求するものであります。
 このような基本的な問題、発想というものからまず論議しない限り、部分的な論議は真の意味で生産的なものにはならないと思います。知事の積極的な御見解をお伺いいたします。
 以上のような基本的な立場に立ちまして、振興開発計画について若干の問題提起を行いたいと思います。
 まず第1に人口を見てみますと、自然増加率は年間16%の高い率を示しており、振興開発計画の半ばで目標年次の103万人を突破し104万3000人に達し、社会的増減を考えずに自然増だけで110万人台に達するものと見られております。振興計画は、このことだけでもその対処策をあらゆる面で考え直していかなくてはなりません。
 しかも、県内人口が所得と雇用機会を求めて事業所の集積がある本島中南部に集中する傾向を示していることから、次の点をより一層考慮していかなければなりません。すなわち、中南部に所得と雇用機会の場をふやすことであります。
 もちろん地場産業の振興を図り、伝統工芸の育成強化を進め、農漁業環境を整備して、中南部以外の北部、先島、離島の過疎化を防止する施策もより一層推進していくことも重要であります。しかし抜本的に問題を考え直す場合に、ある意味では県庁の中部移転をも含めた沖縄本島の新たな都市構造を描いていく必要もありはしないか、検討をしてみる必要があると思います。
 これは人口増加率を市町村別に見てみますと、県平均16%に対しまして、豊見城村が89.5%、浦添市41.9%、南風原村38.5%、宜野湾市36.7%、西原村26.3%、与那原町24.6%、北谷村22.1%と、那覇周辺の市町村の人口増加率がきわめて高い傾向を示しておりますから、広域都市の形成を行政的に、経済、文化的に促していく必要があり、その中核が県庁を中心とした行政機関の移転と集中化であり、それを中心とした望ましい形での都市や産業別立地条件の分散化でなければならないと思います。
 そのことを中心にしまして、那覇港及び新那覇港や新しく構想されております中城湾港の活用をどうするかを考え直し、その背後地の積極的利用を位置づけていくものでなければなりません。そのことと関連しまして全島フリーゾーンの構想かあるいは中城湾港のフリーポート化を目指す新しい産業立地の条件を確立していく必要があります。
 2次産業の振興と雇用機会の増は現状の上にではなく、思い切った施策の転換の中に新しい県の振興開発計画の策定の中にしか求められてこないのではないでしょうか。県内消費を前提とした企業の存立は、必要条件ではあっても十分条件ではありません。
 フリーゾーン構想のもとに、移出、輸出を前提とする輸出加工型及ぴ観光ショッピング型、物資ストック型すべてを網羅した企業群こそ、年間3000億円に上る対外収支の年間赤字を解消する中心的役割りを担うものであります。それには思い切ったビジョンのもとに、産業立地条件を整備し直さない限り不可能であります。
 私たちはここで49年度において軍雇用や関連するサービス業収入、軍消費、軍用地代の総額が857億8900万円にも上っており、これを何によって代置せしむるか、また県外受け取りから県外支払いを引いた財政収支差3016億8200万円等によって対外収支の赤字幅を補っているという現実にも目を向けるとき、どうしても新しい産業構造の形成を強力に進めていくべき必然性に直面しているのであります。
 それには全く新しい産業システムを確立していく必要があり、フリーゾーン構想以外にいまのところ決め手はないのではないかと思われますが、県の考えをお聞きしたいと思います。しかも、フリーゾーン構想につきましては、来年5月までに申請をしなければならないというタイムリミットにも遭遇いたしております。
 このようなフリーゾーンという新しい産業立地条件の構想以外にそれにかわるべき構想がもし県にあるならば、それもあわせて示していただきたいと思います。
 次に、そういった振興開発計画と関連しまして農業と水産業及び離島振興等につきまして若干述べてみます。問題点だけを指摘して御答弁を承りたいと思います。
 農業につきましては、もちろんきわめておくれている基盤整備をより以上に進めていくことは当然であります。またサトウキビ、パイン等が将来とも基幹的作目として位置づけられ、品種の改良や灌漑排水を含む土地改良事業を早急に実施して、同時に収穫作業の機械化等を図っていく努力は今後とも価格の安定化とともに続けていくことも当然であります。
 ところで、わが県の食糧自給率はきわめて低く、ちなみにそれぞれの自給率を調べてみますと、米5.9%、麦はゼロ、大豆O.4%、野菜78.6%、果実類5.6%、砂糖100%、肉類55.3%、鶏卵78.8%、牛乳42.2%となっております。
 そのうち米、麦、大豆など耕地規模や自然条件によって自給率の低さを余儀なくされている作目を除きますと、畜産特に肉用牛の振興策が強く望まれ、そのための資質向上、一貫経営による条件整備、供給体制の確立を図る必要があります。
 肉類の自給率は、豚肉が95%、ブロイラー74.7%に対しまして、牛肉は42.1%の自給率であり、輸入量は48年で年間約4400トンにも達しており、肉牛の振興により県内消費量を賄うと同時に本土出荷等による需要の増大も可能であります。同時に調製品が9.7%の自給率であることを見るとき、畜産の加工部門の成立要件も早急に考えてしかるべきであります。
 次に、生鮮食品特に野菜類は自給率78.6%ですが、これは1人当たりの年間消費額が全国の129キログラムに対しまして、沖縄は85キログラムと全国平均の66%とかなり低いことを考えれば、より県内需要の拡大が見込まれます。
 さらに49年の輸移入量が2万6348トンもあること、移出量が726トンにしかすぎないことを考える場合、自給度を高め輸出力を高めていく農政が、強力に推進されなければなりません。
 畜産、野菜類と並んで重点施策としまして進めていかなけれぱならないのが、自然条件を有利に活用した果実類の振興策であります。自給率5.6%、48年の県内生産量2527トンに対して、輸入と移入の総計4万2904トン、移出量はたったの148トンでございまして、特色ある沖縄農業を考える場合、この振興策は急務であります。
 佐賀県の東南アジアヘのミカンジュースの輸出等はわが県にも大きな示唆を与えてくれるものであり、柑橘類産業への行政的てこ入れが強力になされてよいかと思われます。
 水産業につきましてはいろいろございますが、ただ1点、水産加工団地を大々的に進めて水産加工品の開発とその流通過程の整備を一つの大きな問題点として挙げておきます。そのためには、大型漁船団の形成や政策的融資の拡充が前提となることは言うまでもございません。
 しかし、以上工業化及び農業振興と関連して申し上げましたが、ここにどうしても捨てておけない問題が水資源の問題でございます。
 56年目標で本島において生活用水平均日量41万立方メートル、工業用水が23万9000立方メートル、計64万9000立方メートルの需要を計画は見込んでおりますが、これに見合う51年予測は生活用水が29万5000立方メートル、工業用水11万8000立方メートル、計41万3000立方メートルでございますが、すでに生活用水だけで33万立方メートルを上回る勢いでございます。
 しかも、振興開発計画最終目標64万9000立方メートルを見た場合に、安波ダムの56年完成を前提としましても見通しは全く暗く、豊水時45万8000立方メートル、これは目標の19万1000立方メートルの不足でございまして、渇水時に37万8000立方メートルしか達成できない見込みであり、渇水時におきましてすでに目標から27万1000立方メートルの不足を来すのでございます。
 しかも比謝川、嘉手納、天願井戸群など中南部の表流水、地下水が都市化の進行により確保できなくなるおそれもございまして、第2次産業の振興と工業用水の確保は密接不可分の関係にあるにもかかわらず生活用水すら確保できず、ましてや工業用水も農業振興のための農業用水の確保も一体どうなっているのか全く県民の前に明らかにされていないのであります。しかもこれは不可能であるというデータが示しておりますが、知事は井戸水の活用をおっしゃっておられるようですが、時代錯誤もはなはだしく、生活の知恵とマクロな行政というものとを混同しているものと言わざるを得ません。
 水資源の開発及び工業用水、農業用水の確保の見通しについて明快な御答弁を願いたいのであります。それがない限り、工業振興も農業振興も全く絵にかいたモチにしかすぎなくなってまいるからであります。
 次に、離島振興につきましてはこれまでたぴたび申し上げてまいりましたが、しかし問題は離島に住んでいて、生産活動に従事できて経済的に安定した生活の上に社会的、文化的な恩恵を享受できること、これがなければ離島振興は口先だけのものになってしまいます。幾ら農道を整備し漁港をつくってみましても、生産活動とマッチしない限り無意味であります。
 私は去る7月の定例県議会で提案しましたように、離島振興事業団構想は、離島振興のための農漁業基盤整備、港湾の整備等を初めとする事業の推進とマッチさせまして、各離島で生産される農作物、水産物、畜産物等の現地での集積体制を確立し、これを大型冷凍船の計画的な運航によって本島の流通センターに機能的に結びつけていく。流通センターは、移輸出を含めた消費地との連携を効率的に図っていく、同時に価格の安定維持のための資金的裏づけも保障していく、これらのすべてを事業団が経営して各離島の扇のかなめの役割りを果たしていくという構想であります。
 もちろん、長期的にわたる赤字経営は覚悟の上であり、各離島の生産体制が市場価格と十二分に対抗し得る期間、国や県の強力な公的資金の投入を前提とします。
 これは天下り的な国庫補助金の受け入れに終始している県政から、自主主体的な政策選択の上に立った公共投資の導入体制への転換を図る一つの大きな転機にもなっていくと思います。
 事業団は、国、県、市町村、農協、漁協等を含め、民間企業の参加も思い切って考えてよいでしょう。そこで生産されたものが商品として売られ、再生産のための利潤がストックされない限り、幾ら離島振興を叫んでも無意味であり、したがって人間らしい生活も約束されずに過疎の島々と化してしまいます。
 これらを保障する機関として、強力な行政指導による離島振興事業団構想が生まれてこなければなりません。これもまた振興開発計画見直しの大きなプロジェクトとして設定してよいのではないでしょうか。これについても御見解を承りたいと思います。
 次に、来年5月14日に期限切れとなる復帰特別措置の延長が全県民の要望として強く要請され、いよいよタイムリミットを迎えております。復帰後本土との一体化、格差是正を目指してとられたこれらの措置は、石油ショック等予期せぬ情勢の変化によって当初の計画達成は望むべくもございません。
 これが打ち切られた場合、単純計算でも400億円から500億円の損失を直ちにこうむる結果と相なりますが、県内企業の育成強化と県民生活の保護を図り、もって県経済の安定的発展を期する見地から、これまでの折衝経過と見通しについて御説明願いたいと思います。 同時に、復帰5年間の貴重な経験を踏まえまして、より新しく特別措置の手当てを必要とするものがないか、あるいは単なる延長ではなく、期限切れを機会にその拡充を必要とするものはないかについても御答弁願いたいと思います。
 さて、私は次に交通方法変更について若干の問題提起を行い、知事の御所見を承りたいと思います。
 政府は昭和50年6月24日の閣議で、沖縄県の区域内における交通方法を昭和53年7月末に現在の右側通行から、歩行者の右側通行及び車両の左側通行に変更する旨の決定をいたし目下その準備が行われているものと思います。国の予算措置及び県の対応がどのようなものであるか、明らかにしていただきたいと思います。
 ところで、これまでの交通方法の変更に対する県の対応はきわめて受動的であり、消極的なものであります。すなわち、県は復帰直後の昭和47年8月31日、海洋博開催等諸般の状況を検討した結果、実施期間は49年8月1日が最も適切であるとして関係大臣に要請しました。
 次に、48年8月16日、県は交通方法変更に関する諸般の準備措置が講じられていない現状では、もはや海洋博が開催される前に実施することは物理的に不可能であるとして、海洋博終了後に行うように要請しました。そして同年9月17日、県は庁議により実施時期を51年と確認し、翌18日政府も51年実施をめどとする旨閣議決定しました。
 しかしながら、その後内閣総理大臣官房交通安全対策室長より諸般の準備が整っていないということで、昭和53年実施が最も適切であり、その変更日については、県の事情を十分に留意する必要があるので県の意見を聞かせてほしいという意見が求められ、県はその意見にのっとって昭和53年7月末が適当であると回答し、政府は、それを受けて県の申し出どおり昭和53年7月末と決定をいたしております。それがざっとした経過であります。
 県は実施時期だけにこだわり、その意義またその内容について県民のコンセンサスを得る努力を果たしてやったのかどうか、きわめて疑問であります。
 県民は、みずから好んで現在の右側通行を採用したのではなく、第2次大戦の結果、米軍の直接占領によって米軍指令等によって余儀なくされたのであります。
 今回、復帰によって道路交通に関する国際条約第9条に基づいて、この規定によって本土の左側通行に自動的に切りかえられるものであります。
 これはスウェーデンやアイスランドが、国や国民の選択として通行方法を変更したのとは全く異なった事情によるものであることに注目しなければなりません。
 日本国民の中で、沖縄県民だけが幾多の社会的変革に遭遇してまいりました。この交通方法の変更もその大きな社会変革の一つであります。間違えると、第3、第4の琉球処分になりかねません。万全の措置を、バス、タクシー、自家用車及び県民生活のあらゆる面において補償を含んで行うことはもちろんであり、すべて国の経費によって賄うべきであることも言うまでもありません。
 しかし、これと同時に単に右から左への技術的な切りかえ作業や補償事務で済ますのではなく、県内交通容量や道路運行の安全について抜本的な改善及びより高い環境基準の整備を目指して、沖縄の交通に関する長期計画の将来像とも結びつけて最新の交通工学概念の運用と、単に自動車を主体とする諸施設の整備だけじゃなく新しい交通システムの導入を図るチャンスにしていく必要があります。
 そうすることによって、国際条約があるからあるいは復帰したから仕方がないとする受動的な言わば受難の島、宿命の島的発想ではなく、積極的な前向きの全国にも例を見ない交通システムの採用された県づくりとして、産業、経済、社会、文化のあらゆる面と機能的、効率的に連携した積極的な施策として進めていくことが切に望まれるのであります。
 たとえば、交通安全施設の完備、立体交差、円形交差点、街路交差点、バス停車帯の理想的配置、あるいは鉄軌道の導入、自動車道路の延長等、道路網の整備拡充をこの際国に約束させることでなければなりません。そうすることによって、県民の積極的協力も得られるのであります。
 スウェーデンは交通方法の変更に22年間かかって、ありとあらゆる面から検討して万全を期しております。
 53年7月末にこだわることなく、県の抜本的な交通システムの構想から確立しこれを国に要求していくことが大前提になるべきだと考えるが、知事のこれまでの経過と見通し等とあわせて御所見をお聞かせ願いたいのであります。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) お答えいたします。
 最初に、沖縄振興開発計画についての御意見に対する私の考え方を申し上げます。
 私は、就任間もなく職員に対してこういうことを注文いたしました。県の振興開発計画の作成の意義と目標及び振興開発の基本方向のその精神を踏まえて、復帰後4年余の行政執行の経過と実績にかんがみ、われわれは何を反省し何をなすべきかをあとう限り明確にして、政府関係当局に何を要請すべきかを早急に整理するよう指示し、その後の経過については、その前からの経過も踏まえ、後で関係部長から答弁させることにいたします。
 私が開発計画の作成の意義、目標云々を申し上げましたのは、私はこういうふうに理解しております。「格差を早急に是正し、自立的発展を可能とする基礎条件を整備し、沖縄がわが国経済社会の中で望ましい位置を占めるようつとめることは長年の沖縄県民の労苦と犠牲に報いる国の責務である。同時に、沖縄の復帰は、国際社会において重要な役割を期待されているわが国にとって、沖縄が中国、東南アジアに最も近いことから、これら諸国との経済、文化の交流をはかるうえで、きわめて意義深いもの」と、こういうふうに計画にはうたわれております、、
 この精神が、どのように具体的に生かされてきたかということを、実績を踏まえて検討してもらいたいというのが職員への指示でありました。
 なおまた振興計画には、「沖縄の持つ不利性を克服しつつ、立ち遅れの著しい諸点を早急に本土水準に引き上げ、安定した雇用機会を確保し、自立的発展の基礎固めとする。また地理的位置などの有利性を積極的に生かして特色ある産業、文化の振興をはかるとともに、国民的保養基地の建設およぴ国際交流拠点の形成を推進する。」ともうたわれております。
 これをそのままでいいのか、国に改めて要請する点は何か、こういった点を検討するよう指示いたしたのであります。
せんだって総理大臣の諮問機関であります審議会にも出席しましたが、1年間にわたる総合部会での検討の結果が提示されておりました。報告でありました。その後のいろいろな感触からしても見直しという言葉には大分気になるようでありますが、私としてはどうしても実績を踏まえて考え直すべき段階にきておると。それは政府が昭和30年に立てた経済自立5カ年計画から今年5月に閣議決定を見た前期経済計画に至るまで、8回にわたって計画がやり直しされておる。ことしの5月のものを除いてもその寿命は3カ年程度である。
 本土の全体のものでさえそうであるのに、沖縄におけるこの変転期における計画というものが、10カ年計画は立てたからといってそのまま続けるわけにはいくまいと。やはりすでに4カ年の実績はある、やがて5カ年の実績が出てくる、これを踏まえて考え直すことは当然である。それにはしかし単に執行部だけの考えだけでもいかない、執行部でまとめられるだけの資料をまとめて多くの方々の参加を得ていかなけれぱいかない。
 この点については後で関係部長から報告させることにいたしますが、とにかくそういったようなことで私としては就任以来この問題については関心を持って当たっておるわけであります。
 なお、自由貿易地域についてもありましたが、これも御承知のとおり振興計画にわざわざ1章を設けてこの自由貿易地域がうたわれておりますが、私のいままで聞いた範囲内からするというと、全然これがどうするという進展は見ていないように承っております。なお、この点については今後とも政府にも意見をただし、また現地における衆知も集めて対処したいとこういうふうに考えております。
 特別措置のこと、その前に産業振興で農業振興いろいろ述べておられましたので、それはごもっともな点であり、ただ沖縄の地理的条件を生かすならば、よくうたわれておりますところの食糧危機が本当に来るかどうかはわかりませんが、いずれにしても沖縄の地理的条件をわれわれが最高度に生かすことができるならば食糧基地としても十分なる役割りを果たし得るものと考えております。
 なお、10何年前か記憶は定かではありませんが、たとえばお茶――お茶は当時60%の自給を目指してということでありましたが、現在は20%そこら。しかも製品の優秀なのは折り紙つきであるそうでありますが、遺憾ながら静岡に持っていって静岡産になってしまっておる。
 こういう点を考えますならば、われわれのやりよういかんによってかなりの線が出せると思っております。
 なお、野菜類にしましても、これは輸出というよりは自給率をうんと高めていくという方向に待っていかなければならない。
 せんだっての審議会でも申し上げましたが、ウリミバエを絶滅させることができるならば沖縄の果菜類は相当有望視されるのじゃないかと。このウリミバエのゆえにたくさんできたものが、本土に輪出するのに非常に支障を来しておると。そこで、こういうことも申し上げたんでありますが、アメリカは八重山におけるマラリアを撲滅してくれた。政府は、この際もう一歩研究を深めていけぱ絶滅できる段階まで政府は考えてもらったんだからして、この際思い切った施策によってウリミバエの絶滅を図ってもらいたいということも申し上げたわけであります。
 なお、水産業については例の200海里ですか、この問題が出て日本の遠洋漁業は相当狭められてくるんじゃないかと。そうすると沖合い漁業にもっと力を入れなければならぬ。そうなりますというと、熱帯漁業の豊庫と言われておる先島から沖縄本島にかけての周辺の海というものは、新しい漁法によってこの水産業を盛んにすることは可能である。
 幸いにして、前知事時代から糸満をその基地にするためにあれだけの土地も造成されたし、なおまた水産高等学校も移っていった、試験場もあると。ここで水産物の食品加工も可能であると。そのほかの食品加工も別でできます。
 とにかく水産業も将来は非常に有望視して、その面への努力が大いに必要ではないかとこういうふうに考えておるわけであります。
 再ぴ申し上げますが、沖縄振興開発計画の母法をなす沖縄振興開発特別措置法の提案理由の説明の中にもこう述べております。「基礎条件を整備することが喫緊の課題であり、進んでは、沖縄がわが国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と亜熱帯地方特有の気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して……。」云々。そういったようなことをすることは、「多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。」と述べておられますが、われわれはしかしながらさきにも御意見がありましたが、単なる同情心を買おうとは思わない。
 ただわれわれの立地条件を、われわれが英知を結集することによっていかにこの立たされた地理的条件を有利に生かすかと。そのためにまた国に何を要請するか、国に何をしてもらわなければいかぬかと、こういうふうに考えておるわけであります。
 なお、……。(「自主県政はどうするか」と呼ぶ者あり)
 自主県政という立場に立って水産業も申し上げましたし、農業ののも申し上げたわけであります。
 なお、言い足らぬ点が多々あろうと思いますので、それは関係部長から補足をさせることにいたします。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 翁長議員の御質問の中でただいま知事が基本的な点につきまして御説明いたしましたが、私は補足したいと思います。
 まず、振興開発計画の問題でございますが、御指摘のようにこの計画は県知事が原案をつくって、内閣閣議で決定された国の計画に最終的にはなっております。おっしゃるように経済、社会、教育、文化面における一つには本土との格差ということでございます。
 ただ策定当時と復帰後の今日までオイルショックないしドルショック等ありまして、国の経済計画、経済運営そのものが変わった現段階で、この計画も必ずしも所期の目的と言いますか、いってない部面もあります。
 ただ格差是正という場合に、これを画一的に追及していったら困るという御指摘はわかりますけれども、少なくとも社会基盤、公共施設等につきましては国の経済計画の変更のいかんにかかわらず、少なくとも今日の国民的水準――ナショナルミニマムと言いますか、それはいかなる場合も到達しなければならぬという目標だと思います。
 2番目は、特色ある沖縄の立地条件に照らしてもっと本土の経済開発なり振興計画の後追いじゃなくしてもっと特色あるものにしたいということは、一応高度成長の後期あるいは転換期を迎えた現計画の策定当時でも環境保全の問題とか、沖縄の立地に適した産業開発の点は述べられております。
 ただ、現実問題としてはおっしゃるようにどちらかというと、必ずしもこの特徴、先ほど知事も指摘しましたような国の側においてもこの沖縄県の持つ地理的条件なり特性、先ほど翁長さんがおっしゃった東南アジアへの窓口とか、国際的交流の場だとか、あるいは時代を先取りするとか、これらの考え方については私ども県執行部として一貫して考えてきたわけですが、問題は全体計画ということの中でのこれらの発想の転換ということについてでございます。
 率直に言いまして、これまで国の審議会の総合部会でいろいろ検討した過程におきましては、国自体も必ずしも56年の目標年次までに現計画を変えるという前提に立っていないということを私ども事務段階では察知しております。したがって、全体の枠組みを大きく現時点で変更するかという一つの問題、これはまさしく県民なり県の関係者、これから十分議論してその方向に進むならその方向を一致しなければならぬと思います。
 もう1つは、現計画の目標につきまして先ほど御指摘がありましたように1次産業、2次産業、3次産業、どれ1つとっても過去4カ年の実績を踏まえた場合、その実績の延長線としての推計上からはそのいずれもむずかしい状況であります。
 したがってこのいずれをとるかという選択を現時点で迫っていくのか、それとも残された5カ年56年まではこの計画を目標に沿って何が過去4カ年は足らなかったのか、何を補強すべきなのか、そういうことを今後この国の中期展望を踏まえまして、県としては先ほど知事の指示もございますので、残された振興開発計画の後期の課題と施策を具体的に県の側から提起して、この目標達成に至る手法なり施策なりを検討してまとめて5月段階までには国に提起したいとこういうことでございます。
 3番目に、人口の問題です。これは世界的にも国内的にもわが国の場合には昭和65年、あるいは西暦2000年という10年、15年先のことを踏まえて人口動態も検討しておりますけれども、昭和65年段階でもわが国はまだ人口は伸びると。わが国の経済成長なり産業構造からして、人口の伸びはこれは是と言いますか、それは認めています。したがって、わが県の振興開発計画で56年までの目標年次に103万としたのが、すでに昨年10月で104万に目標に達していると。その五、六万ないし10万の人口増加を、これを産業構造との関係、振興開発、産業開発との関係で今の時点でだめだからこの人口はやっぱり抑制すべきだということまで至っていいのかという非常にむずかしい政治的な選択を迫ります。したがいまして、この104万なら104万をどのような形でいわゆる支えていくかという方策をできる限り見つけるのが政策課題だと考えております。
 ただ、この104万あるいは56年までに107万ないし110万の人口に到達しますので、当初の計画より以上に厳しい所得の場の提供、雇用の場の提供が厳しい状況にあるという大きな問題指摘はこれは正しいと思います。
 そういう意味で、先ほど申しましたように残された56年までの計画の線に沿って県としてとるべき道、また先ほど知事が申しましたように過去4カ年の実績で見落としたりあるいは弱かった点、もっとこれからは具体的なプロジェクトを選択して国に要求していくとこういうことだと思います。
 次に、離島振興は引き続き振興していきますけれども、それと関連いたしまして翁長議員が非常に執念を燃やしております離島振興事業団構想につきましては、考え方としてはなるほどという賛意を表したいわけですけれども、現実の現行の中でこれを考えてみます場合に必ずしもそうはいかないということで、県としては公共基盤の整備、あるいは産業の振興、離島施設の整備、価格安定制度をなお拡充していくということで離島振興ということでありますけれども、先ほどの翁長さんの意見のような流通あるいは価格安定、産業振興を含めた、あるいは冷凍船も含めた事業を一手に引き受けるこのことについて、現在各離島市町村には離島航路がございますし、また民間業者もありますし、それの育成との関係、採算性との関係等これは非常に大きな問題がございますので、私どもとしてはなお引き続き慎重に検討していきたいということにしかいまのところ御答弁できないわけでございます。
 次に、水資源につきましては御指摘のありましたような実態でありますので、県としても長期的な水の需給計画を洗い直し、さらに開発可能な水源についても従来おくれていますので引き続き協力に推進していきたいとこう考えております。
 次に、復帰特別措置でございますけれども、この復帰特別措置5年もので来年5月14日で切れるものは大別して3つございます。いわゆる行政措置として延長が措置されるもの、これが一つのグループであります。
 2番目に予算を伴うもの、早速52年度から予算でもってその延長措置されるもの。
 3番目に関税等で減免措置されるもの。
 この3つでございますけれども、行政措置等については個別的な点はいま申し上げませんけれども、ほぼ県の要請どおりに検討を加えてその方向に向かっております。
 それから予算措置を伴うものにつきましては、すべて県の要求どおり各省庁において大蔵に予算措置を要求しております。
 関税、税金関係でございますけれども、これらのものにつきましては当初12月中に大蔵省で一応の方針を出すということでありましたが、大蔵省では予算編成との関係で時期がおくれたと、あるいはまた全国的な税制一般についての作業がおくれていると、それとの関連で来月中になろうかということですが、七、八割県の要請に沿った措置がなされるものと考えております。
 なお、タイムリミットがございますので、県といたしましては引き続き関係部局あるいは開発庁とタイアップしてその実現に邁進したいと考えております。
 最後に、交通方法変更につきましては、県の考え方といたしましては先ほど翁長議員がおっしゃった全くそのような趣旨でこれまで国・関係省庁に要請しておりますし、また衆参両院の沖特委、さらには運輸委員会に対しても同様な趣旨で要請しておりますが、ただ実際私どもが折衝してみますと事務段階では必ずしもそのような考え方に立たず、抜本的な交通の変更といいますか、立体道路等そのような形のものはいまのところ国の側では考えていません。
 ただ少なくとも、交通方法変更に伴う安全施設、道路施設の整備については10分の10国庫補助ということで52年度から予算計上されておりますけれども、直接間接この交通方法の変更に伴って損害を受けます県民に対して、特別事業というものを設置してこの特別事業について国に要請していく考えでございますけれども、この点についてはいま関係部局、関係者と話を詰めて具体的な事業計画を出していきたいとこういうことでございます。
 したがいまして、翁長議員のおっしゃった趣旨につきまして県議会でも意見書等が提起されたら非常に幸いだと考えております。
○議長(知花英夫) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) 知事の補足説明をさせていただきます。
 まず、肉用牛の振興でございますが、確かに御指摘のとおり沖縄は自然条件の上から肉用牛の振興に適しておりまして、現在県では石垣、沖縄の北部、そういった地域で畜産基地の計画をやっておりまして、その他関連事業なども実施しておりますので、今後肉用牛の振興については着実に伸びていくものと思っております。
 特に、昭和51年は3万8000頭でございますが、これはいわゆる戦前の最高水準を上回っております。60年の生産目標は10万頭でございますが、10万頭になりますとわが国でも有数の肉用牛の生産基地となるということでございます。
 それから肉類の加工の件でございますが、ハム、ベーコンにつきましては来年の5月14日で打ち切るということで要請をしておりますが、それ以降は県内で十分加工できるということでございます。
 それから野菜類の問題でございますが、確かに沖縄の場合夏期は高温多湿のために野菜類が不足するということでございます。現在平均して76%でございますが、冬場はむしろ逆に過剰になりますが、夏場の野菜の対策が必要でございまして、これにつきましては灌漑施設あるいは病害虫の予防が最も大切ではないかと思っております。
 そういった意味で、努力をしているところでございます。
 特に、ウリミバエ等につきましては現在かなりの成果を得ておりまして、久米島の実験等につきましては十分成果を上げておりますので、これを全島に広げましてウリミバエあるいはミカンコミバエ等の防除をやっていきたいというふうに考えております。
 それから水産加工団地につきましては知事から先ほどお話がありましたとおり、現在糸満新漁港の背後地に計画をしておりまして関係諸団体と協議検討を進めているというところでございます。
 以上でございます。
○翁長助裕君 ちょっと休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後2時45分休憩
   午後2時47分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇)
○企画調整部長(平良清安君) 51年度の沖縄本島におきます生活用水の需要を日量29万5000トンと見ておりますが、すでに34万トンに達しています。そういうことで先ほど指摘しましたように、水資源の開発が当初計画よりはかなりおくれているのが実情であります。
 振興開発計画の県案では17河川と1つの河口ダムを計画しておりましたけれども、これらの新しい開発水量と含めまして日量53万トンを見込んでおりましたけれども、福地ダム、新川ダムで現時点では11万8000トンで計画の21%にしか達していないということです。
 さらには、先ほど御指摘がありましたように農業用水、工業用水も含めますと相当不足するというのが現実でございますが、ただ工業用水等につきましては先ほど来御指摘がございましたように、現実に企業の立地あるいはその他のことがおくれまして、工業用水にはいまのところ十分でございますが、新規に農業用水が今後――現在その需要を調査中でございますけれども、それらも合わせますと相当多くの水が不足するということであります。
 ただ、その場合に水資源の開発は地域住民との関係いろいろありまして、必ずしもこれは全国的でありますけれどもむずかしい状況にありますが、同時に計画策定当時は十分考慮していなかった使った水をさらに再生して使おうということ、あるいはまた現在の水道施設等で漏水防止だとか、あるいは節約型の器具を使ってやるとか、天水タンクなどを設置するとか、あるいは未利用の水源等を積極的に活用するとか、この水の利用のあり方も含めて検討して需給計画を立てぬ限り、新規の水資源の開発だけではこれはとうてい不可能だということになりますので、この両面をあわせて需給計画をつくっていくと、こういうことでございます。
 それから交通方法の変更に伴うことでございますけれども、これはいま考え方として2つあろうかと思います。
 先ほど翁長議員が指摘したような、琉球政府時代から復帰前からの行政執行部の立場としてのいきさつがございます。それからすると、その都度都度県と国は相談し合って、最終的にいまの段階で53年の7月に交通方法を変更するということで諸般の準備を進めてきておるわけです。

 したがって、その中で私どもいま事務段階ではそういうことで国とも接触しておりますし、その中であっても先ほど翁長議員がおっしゃったような形、すなわちただ右から左に変えるだけじゃなくして、立ちおくれている道路整備なり、あるいは交通安全施設等も抜本的に改革し、さらにせっかく変えるから従来普通の状況なら変え得ることのできないような道路構造の改善だとか立体交差とか、さらには新規交通システムを含めて、ひとつこの際記念事業的にやってもらいたいという要請は今日もしてきております、しています。
 ただ翁長議員がおっしゃっているように、これらの県の要請ができない場合には見通しがつかぬ場合には、53年を延期せよと、これを延ばせと、そこまでいま私ども事務段階では言い切っておりません。
 そこは十分今後検討しなければなりませんけれども、ただその場合に、考え方として53年に変えるが、それまでにこれらの抜本的な施策も含めて改善がなされなければ延期するということなのか一応この53年の交通方法の変更は実施するとして、その交通方法の変更に伴うもろもろの交通構造上の問題点を抜本的にするものについては、53年以降も継続事業としてやっていけるんじゃないかとこういう考え方もあるわけです。いま私どもは、後者をとって進めたいと思います。
 それからもう1つは、これは県のバス、タクシー関係者特にバス関係者、この53年度の改善というものを交通方法変更ということでバスの代替の準備なり、要請などもしておりますんで、これは変えるものにつきましては国が全額持つとか、あるいはまた代替するものについてはその80%を金融公庫から長期低利にするとかそれらの絡みもありますし、またあと1点は交通安全という立場から、いずれ実施しなければならばならぬものは早目に実施したらいいという御意見もあろうかと思いますので、これらの意見を含めていま翁長議員がおっしゃるような問題提起になりますと、いまひとつ県の関係部局管内でこれは実施しなければならぬと思いますけれども、事務担当としてはこれまでのいきさつ上は、53年の実施に目標を当てて準備を進めていると、こういうのが実情でございます。
 それからもう1つは、これは県のバス、タクシー関係者特にバス関係者、この53年度の改善というものを交通方法変更ということでバスの代替の準備なり、要請などもしておりますんで、これは変えるものにつきましては国が全額持つとか、あるいはまた代替するものについてはその80%を金融公庫から長期低利にするとかそれらの絡みもありますし、またあと1点は交通安全という立場から、いずれ実施しなければならぬものは早目に実施したらいいという御意見もあろうかと思いますので、これらの意見を含めていま翁長議員がおっしゃるような問題提起になりますと、いまひとつ県の関係部局管内でこれは実施しなければならぬと思いますけれども、事務担当としてはこれまでのいきさつ上は、53年の実施に目標を当てて準備を進めていると、こういうのが実情でございます。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) 農業用水について説明を申し上げます。
 現在、総合事務局とタイアップいたしまして検討を進めておるわけでございますが、マクロ的に考えますと、まず宮古、八重山地域では需給のバランスはとれるものと考えております。
 特に、宮古は地下水、それから淡水湖、八重山の場合はダムあるいは河川水、いわゆる地表水がかなりございますので、こういったもので対応できるということでございます。
 沖縄本島では、北部の地域はダムあるいは河川水等がございますので、北部ではある程度需給のバランスがとれるものと思っておりますが、ただ中南部地域におきましてはいわゆる川が少ないということ、それから川がかなり汚染されておりますので、これが十分使えるかどうかというような問題、そういったことで中南部につきましては地下水の開発が必要かと思っておりますが、これにつきましては、現在調査を進めていくというふうに考えております。
 その他、離島地域につきましては、特に久米島等は、わりかし水源が豊富でございますのでそれほど問題はございませんが、その他の小さい離島につきましては、やはり天水等のダムをつくる以外にはないかというふうに考えております。
 宮古、八重山等につきましては、現在調査中あるいは実施しているところでございます。
 以上でございます。    
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事〔平良幸市君) さっきの水資源の問題は、部長から答弁なったように今後われわれは真剣に検討していきますが、ただ井戸水の件は、私はある井戸は活用してもらいたいという意味の話であって、誤解なさらぬようにお願いします。
 それからいまの交通方法の問題でありますが、これは、私も就任して海洋博とは違うんだから、準備が整うた段階で実施してよくはないかと。
 そこで、沖縄だけ考えるならば、あえて右、左を変更する必要はないんじゃないか。ところが国際法上やむを得ないと。ところがこれにも特例もあるという話も聞いております。
 そこで、どうせやるならば、立体交差いろいろ交通の安全を整備してそれができる段階で、それも段階をただ待つだけじゃなく一生懸命それを国と県が実施して、できるだけ早くそれを完備してやるということが正しくはないかと、こういう考えをもって臨みましたが、先ほど述べられたとおりの経過をたどってきて、53年7月。
 そして私が気になるのは、バス会社であれ個人であれ、国の政策によって変わるんだから、一円たりとも負担をかけてはいかないと。これは明確になっておるかというと、いまだ明確にはなっておらぬということです。
 それともう1つは、じゃ延ばせばいいじゃないかという考え方に立っておりましたところ、だんだん聞いてみますと、すでにバス会社、個人の車もそれなりに切りかえつつあるというんですね。バス会社はともかくとして、個人は切りかえつつある。そうすると右、左ごっちゃなものが通る、そこで非常に不安な状態になるじゃないかと、またこういうことも言われているんです。
 そこで私も実は非常にこの点はまいっておりますが、なお多くの方々の意見も徴し、政府にも当たって県民に損害をできるだけ少なく食いとめるように努力をいたしたいと思っておりますが、現状はそうなっております。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 交通方法変更に関しての警察としての対策でございます。
 御指摘のように、これを機会に新しい交通システムを導入するか云々ということでございますけれども、これは国または県あるいはその両者がどのように対応するかによって決まるものでございますので、警察といたしましては道路交通の現状をよく知っているというものの立場から、そのような場合には資料も出し、意見も申し上げていきたいというふうに考えております。
 それで、実務的に私どもといたしましては、現実の対応といたしましては、53年の7月末にそれが行われるものということでいろいろな準備を進めているところでございます。
 取り組みの体制でございますけれども、県警では去る5月1日に本部に交通企画課長を長とする沖縄県警察交通方法変更対策準備室というものを設けまして室長以下9名を置き、また5月21日には、警察本部長を長といたしまして沖縄県警察交通方法変更対策準備委員会――委員長以下9名でございますが、それと同じく幹事会――幹事長以下20名――これらを設けるなどいたしまして、交通方法変更に向けて体制を整備しいろいろな対策も進めておるところでございます。
 この対策でございますけれども、交通方法変更は、御指摘のとおり県民の長年にわたる交通の慣習を一変させるものでございますので、この実施に伴いましては安全対策――これをあらゆる面から検討して万全を期す必要があるわけでございますし、また御指摘のように、この機会にできるだけいろんな条件を整備するということも必要だと思いますので、そういうことも織り込んだ観点から警察といたしましては、まず何よりも交通上の危険と混乱を防止し県民の安全を確保するために、交通環境を整備するため交通方法変更に対応した交通安全施設の充実、次に交通の円滑と安全を図るための交通規制の実施、次に交通の安全を図るため街頭における指導監視の強化、そして新しい交通方法にスムーズに適合するようにするために広く県民に対する安全教育、広報の徹底ということなどの対策を強力に推進すべく準備作業を進めておるわけでございます。
 この交通方法変更についての予算でございますけれども、これは警察庁と県警が調整いたしまして、昭和52年度分の概算といたしましては総額9億2613万円余りを要求しております。
 これは10分の10の国庫補助ということでございまして、内訳といたしましては、交通安全施設整備費、それに広報安全教育費、交通実態調査委託費、職員旅費等が主なものでございます。
○議長(知花英夫君) 宮良長義君。
   〔宮良長義君登壇〕
○宮良長義君 社大党の所属議員を代表いたしまして、質問をいたします。
 あと5名も残っておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。
 最初に、旧日本軍用地にかかわる読谷村民の所有権回腹の闘いとその返還について御答弁をお願いいたします。
 読谷村では、旧日本軍接収用地に米軍が極秘裏にP3対潜哨戒機との交信用アンテナ基地の建設が進められたことで旧地主の怒りが一挙に爆発し、去る10月6日から工事現場で坐り込みの闘争行動が展開されました。10月24日には、所有権回復の村民大会が開催されました。
 去る5月の18日付読谷飛行場用地所有権回復地主会の開発庁長官あての返還要請書と、10月27日から琉球新報に掲載された旧地主当山氏外4名の怒りを込めた証言をまとめると、次のとおりであります。
 1つ、該土地は地主の自由意思に基づく収用ではなく、強制的な接収であったこと。
 2番目に、該土地については何ら売買契約も取り交わしたことなく、またその対価も全く受けていないこと。
 3番目は、当時受け取った金は、家屋の立ち退き料と農産物に対する損害補償金のみであったこと。
 4番目に、この補償金も強制的に預金や国債に振り向けられたこと。
 5番目に、接収以来今日まで、所有権を認めないまま土地賃貸料はぴた一文も受けていないこと。
 6番目に、戦争終結後は地主に返還するとの固い約束がなされておったこと。
 以上6つの理由を根拠に、旧地主たちは所有権は厳然として旧地主にあるとの自信に立った土地返還と損失補償要求の闘いであるだけに事の重大さがあり、国も県及び議会も真剣になってこの問題の早期解決を図らなければなりません。
 去る3月議会代表を派遣して政府に強くこの返還を要請したのに対し、政府は、旧日本軍用地は国有財産として処理されているので法律上は簡単にはいかないと答えております。
 新聞紙上で証言をした喜友名ウシ婦人は、国は該土地が国有財産であるという法的根拠を示せと怒りを込めて訴えております。
 以上を踏まえて質問いたします。
 最初に、読谷村内の接収面積及ぴ地主の数、それから30年余にわたり地料を受けなかったための損失の推定額、これを明らかにしてください。
 次に、県は該土地の返還については、琉球政府時代から今日まで幾たぴとなく折衝を続けてきました。政府は、該土地が国有財産であるという確固たる法的根拠を示したことがあるかないのか、これを明らかにしてください。
 また、県は幾たぴの折衝に当たりましてこの要求をしたことがあるか、所有権は那辺にあるか、それを県としては要求したことがあるか。これは最も重大だと思うので、はっきりさせてください。
 または、この法的根拠を裏づける手続上の資料を提示されたことがあるか、全くないのであるか。
 2番目に、さきに申し述べた旧地主の証言及ぴ去る7月26日の地主会の知事あて要請書を県はどう受けとめておられるか、県の姿勢を明らかにしてください。
 3番目に、深刻な地主たちの証言や訴えをさらに裏づけできる現地情報や資料を収集することが必要であります。接収当時の地主の存命中に調査資料を早目にまとめなければならないと思います。
 この件につきまして政府に説得力のある返還要求を迫るべきであるという立場に立って、各地の資料はどの程度収集されておるか、これをお聞かせをお願いいたします。
 次に、八重山のかかる土地につきましては、地主たちは地代の80%を当時の百四十七銀行に半ば強制的に預金させられ、その後何らの支払いも受けていないと証言をしております。
 47年5月12日の参議院の沖特委の議事録によりますと、政府は昭和21年の金融機関再建整備法で在外資産の支払いが開始される措置に伴い、沖縄の預金関係もその対象となり、昭和29年以降支払いがなされ法律的にはすでに処理済みだと答弁をしております。
 この答弁は、旧地主の証言とは全く相違するものと思わざるを得ません。
 この際、この点について真偽のほどを明らかにする必要があります。
 県は、その件については全然知らなかったということを去る3月の議会で、私の質問に対して答弁しておられました。
 その後、当時の預金先の銀行や政府に対して事実関係を確かめたことがあるのか、あるいはそのままになっておるのか、これをお聞きします。
 次に、去る10月6日の参議院大蔵委員会で共産党の渡辺議員が、宮古、八重山の収用地の返還問題に触れたが、当時の法制局長は、土地取得は当時の海軍会計規則114条に従ったもので、民法上の通常の売買契約に匹敵するものであると、その合法性を主張しております。
 当時の海軍会計規則114条について、県は中身を確かめたことがあるかないのかお聞きしたいと思います。
 次には、宮古、八重山の土地接収については、あるいは沖縄本島にも及ぶかと思いますが、形式上は売買契約がなされたにせよ、当時の状況では軍の戦争遂行のための収用に反対をするならば、国賊または非国民としてどんな仕打ちを受けるかもわからない戦々恐々たる状況下にあったのであります。したがってこの収用は、自由意思に基づく収用ではなかったことは明らかであると言わざるを得ません。
 かかる強制的収用であるならば、当時の契約は無効になると考えられるが、県はどのような見解をお持ちであるか示してもらいます。
 次に、離島振興について質問をいたします。
 離島、僻地の過疎化、社会的貧困という深刻な問題は、今度経済成長政策による犠牲と差別によるもので、従来離島は投資の経済的効果を基準とした経済原則による政策によって投資的効率の悪い離島は開発が後回しにされ、常に不利な立場に置かれて今日のごとく人間が人間らしく生きることのできないさびれ果てた島々に化してしまいました。
 かかる過去の離島軽視を問い直し、せっかくでき上がった県の離島振興計画が、血の通った真に離島地域住民の福祉優先施策として強力に推進されることを期待して質問いたします。
 振興計画の策定された39の島々は、それぞれの島の特殊性を持ちながら、ある程度の自己完結性を保持することを余儀なくされてきた島々であります。したがって離島対策は島の特殊性及び島の特殊事情に合った対策が最も肝要かと思います。
 そしてこの対策において、最も必要とする情報はその島々の事情であります。今日自分たちの住む島は、どのような実態なのか。また最も必要に迫られているものは何か、今後の島のあり方はどうあらねばならないか、こうした情報や資料の提供者は、島々に居住する人々であります。島の主人公である人々の意見をおろそかにするならば、計画は成功いたしません。
 県の計画を策定する過程において、39の島々あるいは島々に点在する部落の住民、各種団体、市町村、市町村議会、地域の学識経験者等のコンセンサスを十分得てこられたのであるかどうか。私の知った範囲内では、調査には来られたが、懇談会をしたり、座談会をしたり、公聴会を開いたり、こういう機会は得ることができなかったと言っております。
 この点は最も大事であります。この点をコンセンサスをどう得てこられたか、明らかに示してください。
 次に、疑問点につきまして御質問をいたします。
 沖縄振興開発特別措置法の第55条では、離島振興法を初め、過疎地域対策緊急措置法、山村振興法、奥地等産業開発道路整備臨時措置法等々の9つの地域開発法は、沖縄については適用しないと定めております。
 適用しない理由は、沖縄の特殊事情を配慮し沖縄振興開発計画に基づく事業については、本土の現行地域開発立法以上に国の負担または補助措置がなされることによるものであることは申し上げるまでもありません。
 55条では、適用除外の期限が示されておりません。ここで疑問が起こるのであります。
 これら現行離島振興立法を含む9つの地域開発法の適用除外期限は、沖縄振興開発計画の最終年度である56年度で切れるものと理解しております。
 しかし、これがもし切れるとなると、離島振興計画は51年から60年度となっているので、計画期間中の57年から60年の4カ年間は、適用除外による特別な優遇措置は講ぜられないという結果になるのであります。
 それらの疑問点について、県の見解を明らかにしてください。
 次に、離島振興計画は離島地域の社会、経済の進むべき方向と、これを実現するための施策ともいうべき基本構想を明らかにしたもので、それなりに評価はいたします。
 該計画を具体化し実行性あらしめるためには、きめ細かい事業計画、資金計画が必要でありますが、この計画は何ら示されておりません。
 県は、年次別資金計画を策定される考えがあるのか。またあるとするならば、いつまでにこの計画ができ上がるのか、これをお聞きします。
 次に、この資金計画はよほど容易ではないと思うので、計画策定のための常設機関を設けてこれを計画される必要があると思うが、そういうお考えがあるかないか。
 次に、振興開発計画事業の離島振興であります。
 47年度から51年度の5カ年間における離島振興のための予算措置をどうなされてきたか、年次別にお聞かせをお願いいたします。
 次に、高校施設のない離島では、高校進学の意思はあっても学資負担が困難で入学を見合わすとか、せっかく進学はしたものの学資負担の能力がなくて中途で退学する者がおります。
 また高校進学後、島では現金収入の道がなくて高校所在地に家族が引っ越して離島の過疎化に拍車をかけている現状であります。過疎化の防止、教育の機会均等等の立場から何らかの援助措置を講ずる必要があります。
 そこで、離島振興の立場から高校就学資金の援助――たとえば借り入れた学資に対する利子の補給、学資に対する長期低利の融資、高校に離島生徒のための寄宿舎施設の強化等、特別なる措置を講ずることはできないものかお聞きいたします。
 次に、離島住民の海路、空路料金の軽減についてどういう施策を持っておられるか。
 また本島より1割、2割の物価高に苦しむ住民への物価施策をお示しください。
 次に、離島における後継者育成を離島振興計画にどう位置づけするのか、県のお考えを承りたいと思います。
 次に、糖業問題に触れます。特にその中でも価格設定についてであります。
 家族労働を中心とする本県キビ作農家にとって、キビ価格はキビ作に投下された自己労働力の価値実現の唯一の形態であります。自己及ぴ家族を含む労働力再生産の条件でもあります。したがって農業経営と生活を基本的に規定するもので、まさにキビ作農家にとっては死活条件とも言えます。農民としてはキビ作に投下された生産費を完全に回収し、特に投下された自家労働力が社会的かつ正当に評価されて生産費の中に織り込まれ、キビ価格の上で報いられることが農民の生産費・所得補償方式による価格要求の根拠であります。
 この根拠に立つならば、51年産価格決定に当たり農民側のトン当たり要求額2万2500円をはるかに下回った1万7100円の価格は、農民の正当な要求を踏みにじったものであり、また沖縄のキビ作農業の実態を顧みない踏んだりけったりの価格と言わざるを得ません。
 63年の砂糖の自由化以来、不当なキビ価格の押しつけによって本県糖業はかくのごとく危機に追い込まれてまいりました。
 ちなみに、46年産キビ価格はトン当たり1395円も生産費を下回り赤字価格となって、家族労働報酬は1日当たりたったの1392円でありました。47年産はトン当たり2053円も生産費を下回る赤字価格で、家族労働報酬も1日当たり何と1023円でありました。
 かくのごとき農民不在の価格政策にたまりかねた農民は、農民を見殺しにするな、沖縄の糖業を守れと立ち上がり、パリティ方式粉砕、生産費・所得補償方式を確立せよと東京行動へと大衆動員をかけたのは48年、49年でありました。
 さて、今日まで農民の要求を退け依然としてパリティ方式に固執し、48年、49年、50年、51年のキビ価格設定に当たっては、政治加算方式を導入しました。
 この政府の価格政策の真のねらいが何であったか、この際県民は見抜かなければなりません。
 まず、価格操作のからくりを分析してみましょう。
 48年産は生産費よりトン当たり1930円を下回る8700円を告示して、1300円を政府加算し1万円となりました。49年産は生産費よりも2622円を下回る1万1200円を告示して、3800円を加算して1万5000円となりました。50年産は生産費より2780円を下回る1万2340円を告示して、3760円を政治加算して1万6100円にしました。
 さて、51年は生産費がまだ発表されていませんが、前年の生産費より1910円を下回る1万3310円を支持価格として、3790円を政治加算して1万7100円の実質手取りとなりました。
 以上のごとく、生産費を下回る価格を告示して何とか政治加算をしたところに問題があるのであります。
 糖安法による告示価格は、再生産を確保することを旨として定めなければなりません。ところがパリティ方式では再生産を確保することはおろか、生産費さえ補償することができないという告示価格になったのであります。
 この矛盾を何とか覆い隠そうとするものが政治加算方式であり、はっきり指摘できることは、パリティ方式に対する農民の抵抗をそらし、むしろ政治加算が政府の恩恵的措置であるかのごとくつくろって農民の怒りを静めようとするもので、その実パリティ方式を固執しようとする意図にすぎないものであることを指摘せざるを得ません。
 本来キビ価格は、再生産を確保する旨を生かしたすなわち法の定めに裏づけられた行政価格であるべきです。政治価格であってはなりません。
 そもそも生産費を下回る価格を告示しておいて、そして価格を決定したところに大きな誤りを犯したと考えるのであります。
 この考え方は法を踏みにじるものであり、また沖縄振興開発計画に示された生産性の向上のための措置をする価格支持の措置を講ずるとあることを全く無視したものであると言わざるを得ません。
 県は、かかる価格政策についていかなる見解を持つか明らかにしてください。
 次に、50年産における生産奨励金トン当たり3760円は製糖メーカーの立てかえ支払いであったのでありますが、これは工場側の資金繰りや金利負担で経営を圧迫するものであると思います。今年からは、政府は直接原料価格に織り込み支払いをさせるのであるか、従来どおりであるか、これを明らかにしてください。
 それから含みつ糖に対する価格差補給金は52年度で打ち切ると聞いておりますが、今後もこの補給金制度は継続するのか、本当に52年で打ち切られるのか、これを明らかにしてください。
 それから外国産含みつ糖及び国内産再生赤糖については、供給過剰にならないよう政府の行政指導が必要かと思います。政府に強くこういうことを要請されたことがあるか。また今後の含みつ糖の販路開拓について、県はどういう施策を持っておられるのか。
 次に、NCOにかわる優良品種ができ上がりました、RK65―37であります。この普及計画を具体的に示してください。
 それから最後に、従来の農民運動の価格問題に対する農民の動きであります。50年、51年は農民の負担を考慮してか48年、49年のように地域下部から意識的に盛り上がった切実感と迫力のある大衆運動ができず、一部代表者によって弱いキビ価格の闘いとなりました。来年からは政治折衝のあり方を再検討し、中央において各政党、政府当局、糖価に関係のある委員会あるいは関係議員等に揺さぶりをかけて、時には座り込みを辞さない強力な価格闘争が必要かと思います。しかも1回の審議もないままに廃案となりました糖安法改正案の再提出を要求し、その成立を期して幅広い闘いが必要かと思います。
 今後の要求運動のあり方について県がどういうお考えをお持ちになるか、お聞かせ願います。
 次に、最も大事な教員人事についてであります。
 われわの町や村では、あらゆる種類の退廃が青少年を取り囲み、日夜青少年の清純な心をむしばみつつあります。
 かかる社会環境下にあって、今日ほど民主的社会の形成者にふさわしい市民道徳を本当に子供たちの身につけさせるということは、学校はもとより家庭、社会においても意を注ぐべきだと思います。
 去る10月県教育委員会は、3名の公立学校職員を公務員としてふさわしくない非行があったとして懲戒処分をしました。
 1人は、多良間村内のある女教師で、痴情関係のもつれで同村のある男子を包丁で刺傷した殺人未遂にもなりかねないという最も忌まわしい事件で、5カ月の停職処分をしております。
 もう1人は、宜野湾市内のある小学校の教諭で、与那原町内の電気製品店からテープレコーダーを盗んで警察につかまったという事件で、3カ月の停職処分をしております。
 他の1人は、八重山竹富町のある小学校の教員で、私的生活が乱れておる、そして勤務状態も悪いということで戒告処分をしております。
 懲戒権者は、地方公務員法の29条で処分したと思いますが、33条には、「職員は、その職員の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」とうたわれています。
 3名の教師は、みずからの教職を汚し、教職全体の名誉を傷つけた許すことのできないものでると私たちは考えます。
 かかる教員を再び教壇に返して大事な子供たちを託してよいのであるのかどうか。また復帰したとしても子供との魂と魂の触れ合い、心と心の結び合いによって子供たちの道徳意識を高め、民主的人間形成への道を開いてやることができるのであるか、ノーであります。
 以上申し述べたとおり、懲戒権者は断固として免職処分をすべきであったと考えますが、停職または戒告処分をした当局の裁量のほどを納得のいくまで説明をしてください。
 3人の処分に当たっては、関係市町村教委からの内申を得てなされたのであるか、県独自の立場でなされたものか。
 もう1点、3人の教師は処分後道徳的責任を感じて辞職願いを出した者がおるか、ないか。また処分後の動静についてお聞きします。
 停職期限後は現職校に復帰させるのか。
 また、八重山の教師の私的行為の乱れを具体的に説明してください。
 以上で打ち切ります。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) お答えいたします。
 戦時中、旧日本軍に接収された土地は県内各地にあり、現在未解決のものが13市町村に15施設、地主が約2400人で、面積にして約1000万平方メートルであります。
 読谷村については、これまでの調査から当時陸軍が北飛行場を建設するために約216万平方メートルが接収された。土地代や補償金の現金受領はほんの一部で、ほとんどは定期郵便貯金や定期預金証書が渡されたようであります。
 この問題について総合事務局の説明は、沖縄本島についてはすべての公簿が戦争で焼失したため、現在総合事務局で進めている実態調査が完了してからでないと何とも言えないとのことでありますが、宮古、八重山については登記簿が残っており、登記簿に売買と記載されているので民法上の売買であるとしています。
 県としては、機会あるごとに返還について要請しているが、いままでのところ明確な回答は得ていない状況であります。地主の言い分や関係者の証言等を聴取したところ、戦争という異常な状況のもとで軍の一方的な命令により強制的に接収されたものであり、県民の利益と財産を守るという見地に立って資料を収集整理し、実態を十分把握した上で国の関係機関に対し旧地主への早期返還を強力に折衝する所存であります。
 なお、現在までの調査状況は御必要とあれば資料によって提供いたしたいと思っております。
 次に、離島振興計画の策定についてでありますが、離島振興計画は、御承知のとおり昭和51年度から昭和60年度を目標年度とする10カ年計画として策定されました。
 その計画策定の経過としては、まずパシフィック航業に計画調査を委託し、委託調査の過程において住民アンケート調査、県の各部、関係市町村及び学識経験者等の意見が聴取された。次に委託調査中間報告会という形で4回、県各部、学識経験者等とそれぞれ意見調整がなされた。
 同調査報告書が県へ提出された後、関係市町村、沖縄総合事務局、沖縄開発庁への説明会を持ち、さらに沖縄振興開発審議会離島振興部会に対して同報告書の説明と同時に、離島振興計画策定について提議した。
 同計画作成の過程においては、県各部、関係市町村との調整を経て県案を作成し、その後同じく沖縄振興開発審議会へ諮問、4回にわたる部会審議を経て同審議会へ提案し、そして知事への答申となった。それから庁議へ付議の後、県計画について決定した。
 このように離島振興計画策定に当たっては、離島地域住民の意見聴取を初め、広く各分野の意見を反映させて策定したつもりであります。
 御指摘のとおり、沖縄振興開発特別措置法は昭和56年度までの時限立法であり、離島振興計画は昭和60年度までの計画となっておる。したがって昭和57年度以降の同特別措置法の延長等については、その時点で格差是正の進捗状況等を踏まえた上で総合的に検討したい。
 なお、沖縄県離島振興計画を具体化し離島地域の振興開発を推進するため、昭和56年度を目標年度とする沖縄県離島振興事業計画を現在作成中であります。
 離島地域に対する昭和47年度から昭和51年度までの5カ年間に投資された事業費総額は、おおよそ671億6700万円となっております。
 年間事業規模は、昭和47年度の67億7000万円から毎年大幅に増加し、昭和51年度は205億2000万円となっており、初年度に比べ3倍の規模に達しています。
 事業の重点は交通施設整備の38.3%を中心に、産業基盤整備に28.3%、生活環境施設整備に31.3%、その他国土保全2.1%の順に推進してきたが、今後とも引き続き積極的に推進いたしたいと思っております。
 次は、海空路の料金の軽減措置でありますが、海路については学生、勤労青少年、身体障害者、一般往復割引等の運賃割引制度が実施されています。
 そのほか離島航路の維持改善を図り、もって民生の安定向上を図るため、離島航路事業を営む者に対し県と国は補助金を交付して離島住民の海上運賃負担の軽減に努めております。
 空路については身体障害者に対する割引と特別往復割引制度とを実施しているほか、STOL機の就航する航空路線に対しては、航空機材購入費補助、運航費補助を実施し、料金の軽減措置に努めております。
 また、離島住民の生活を守り離島振興を図る立場から、総合交通の一環として島嶼間交通に関する航空政策を確立し、空港等の整備、航空交通の確保と運賃負担の軽減を図るため、次の事項について現在国に要請中であります。
 1つは、通行税、航空機燃料税の免除、2つ目に航行援助施設利用料の免除、3番目に離島航空路に対する助成措置の改善強化、4番目に航空輸送体制の拡充強化。
 次に、キビ価格の問題でありますが、サトウキビは本県の基幹作目であり、価格設定に当たっては米価同様、生産費及び所得補償方式に改めるようこれまで国に対し鹿児島県と合同要請を行ってきましたが、その実現に至っておりませんので、今後とも強く要請していく所存であります。
 その他については、関係部局長から答弁してもらうことにいたします。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 生産奨励金の問題でございますが、これにつきましては企業側の負担にならないよう国に要請をしているところでございます。
 それから台湾赤糖の問題でございますが、台湾赤糖が安く入りますために沖縄の含みつ糖を圧迫しているわけでございますので、これにつきましても国に再三要請をしているところでございますが、県は積極的に沖縄産の黒糖を広く販売するために宣伝活動を行っておりまして、すでに宮城県、山形、東京、名古屋、大阪、福岡等でこの販売宣伝をやっております。これにつきましては県から補助金を出しております。
 今後とも、この沖縄産の黒糖の販売を広めていきたいとかように考えております。
 それから含みつ糖の価格差補給金でございますが、これにつきましては原則的に来年の5月で切れるということでございますが、含みつ糖はいわゆる沖縄の離島地域の主なる産業でございますので、これにつきましては今後とも継続してもらうように関係省庁に強く要請をしているところでございます。
 それからサトウキビ価格折衝の方法でございますが、従来宮良議員のおっしゃったように1000名程度の大衆動員を行っておったわけでございますが、現在はその効果的な面をいろいろ考慮いたしまして生産者代表、市町村代表、県議会、県執行部等が波状的に関係省庁に陳情を行っている状況でございます。
 それから価格の算定方式でございますが、これにつきましては先ほど知事からもお話がありましたとおり鹿児島県と共同で要請をしておりますけれども、まだ実現をしておりませんが、今後とも精力的に生産費及ぴ所得補償方式を訴えていく所存でございます。
 それからサトウキビの新品種の問題でございますが、この増殖計画についての御質問かと思いますが、去る、10月4日にIRK67―1、RK65―37、この奨励品種を決定しております。
 これを現在農業試験場に隔離原苗圃約92アールを緊急増殖を行っております。昭和52年度には市町村の原苗圃に予定としては920アールでございますが、これに供給いたしまして昭和53年度から農家の採苗圃9200アールを予定して供給していきたいというふうに考えております。
 なお、この新品種の特性でございますが、IRK67―1は全沖縄のサトウキビ地域に適応性がございまして、収量も安定しております。しかも黒穂病に強いという特性がございます。
 それからRK65―37は、沖縄本島中南部のいわゆる黒穂病激甚地に最適でございまして、収量はNCO310と同程度でございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 旧日本軍用地の返還と損失補償について二、三点補足説明いたします。
 質問中、30年間の損失補償についての御質問がありましたが、所有権の返還を求めており、補償の調査をしていないわけでございます。
 それから八重山の地代の債券の現金化については、これは現在までの調査では現金化されていないということになっております。
 それから海軍の規則については、これは中身を今後確かめていきたいというふに考えております。
 さらに民法上の売買契約とすることについての見解をお尋ねでございますが、普通民法上の売買契約については、これは売り手と買い手が当事者間において契約の締結についての合意がなければ、これは売買契約とは認めがたいと思うわけでございますが、本件の場合は、これが宮古、八重山のその売買が民法上の売買契約であるということのようですが、これはやはり当時軍の一方的な命令によって強制的に収用されたと、そういういきさつを勘案するならば、やはり民法上の売買契約というふうに解釈をしていいかどうか、これが適正なかつ妥当な判断かどうか多くの疑問を包含するものと思量しております。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) お答えいたします。
 まず最初に、離島振興の立場からの離島出身の高校生徒に対する援助措置の問題でございますが、現在県教育委員会として進めております施策は授業料の免除や減額、それから日本育英会や沖縄県育英会で奨学生の――これは高等学校の生徒でございます――募集をしその決定をしておるわけでございますが、選考の段階で特殊事情として離島出身者を優先的に配慮しているということでございます。
 それから3つ目には寄宿舎の整備、これは離島の高等学校にそれぞれ寄宿舎を持っておりますが、これをさらに整備充実をいたしまして寄宿舎に多くの離島出身の生徒たちを収容していきたいと、こういうふうな方策を進めておるわけでございますが、今後も一層この面の充実を図っていきたいとそういうふうに考えております。
 それから教員の人事問題、懲戒問題についての御指摘でございますが、まず御質問の内容が処分のいきさつ、それから八重山におる教員の生活の乱れを具体的に報告せよと。それから職場復帰をしているのか、処分後辞表が出ているのがいるかということだったと確認しておりますが、その順序を追って御説明申し上げます。
 去る8月に発生いたしました多良間小学校のA教諭に係る傷害事件及び10月に発生しました宜野湾市内小学校B教諭の窃盗事件に対しましては、関係機関――市町村の教育委員会などでございますが――を通じて調査した結果に基づきまして、県教育委員会といたしましては慎重に審議をいたしまして、10月の13日付でA教諭に6カ月、B教諭に3カ月の停職処分をいたしました。
 両者とも教育公務員としてあるまじき行為であり、社会に及ぼした影響が大きく、その責任も重大であります。
 本来ならば懲戒免職を相当としながらも、当人らのこれまでの長い教職経験と将来を配慮してこのような処分となりました。
 次に、八重山の小中学校のC教諭につきましては、私生活の乱れと勤務怠慢のゆえをもちまして、町の教育委員会から懲戒内申がございました。
 それに基づきまして調査の結果、戒告処分にいたしました。
 本人は、その後深く反省し誓約書を提出いたしまして現在平常に勤務しているとの報告を受けております。
 まあ教育長といたしましては、このような事件を起こし職の信用を著しく傷つけたことに対し、はなはだ遺憾に思うところであります。
 これを機会に、校長会や教育長会を通じ全教職員がえりを正してこのことを受けとめると同時に、モラルの高揚と教育者としての自覚を訴えてまいりましたが、二度とこのようなことのないよう今後とも厳しく指導していきたいと考えております。
 八重山の教員の生活の乱れを具体的に報告せよということでございましたが、この竹富町の教員の具体的な生活の乱れと申しますのは、勤務時間を守らない、遅刻が多い、それから通知表の書きかえを校長が命じたがこれに従わなかったと、それから勤務時間中教員宿舎で飲酒をしたと、常時酒気を帯びているというようなことが、この教員の生活の乱れの事実でございます。
 次は、職場復帰をしているのかということでございますが、多良間小学校のA教諭と宜野湾市内のB小学校の教諭はもちろん停職でございますので、職場には復帰いたしておりません。
 処分後辞表が出ているかという御質問がございましたが、1人の教員は辞表を提出いたしております。
 以上で終わります。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後3時59分休憩
   午後4時21分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 社会党を代表して質問を行います。
 琉球海運が会社更生法の適用を受けて現在裁判所の監督のもとで再建に向けて着々努力がなされていることは御承知のとおりでありますが、事ほどさように沖縄の経済不況はきわめて重大な憂慮すべき事態を迎えております。
 この経済不況は申し上げるまでもなく、単に会社や企業が倒産していくということだけでなくそこに働く労働者がその日から街頭にほうり出されていくという側面を私たちはもっと重視すべきであります。
 中でも企業が倒産する場合には、一度に全員解雇になるので社会問題として提起され、その面からの手当てがなされるのであきらめもつくのでありますが、先刻申し上げました不況による人員整理がじわじわと労働者にかけられている現下の情勢は放置できない状況に立ち至っているものと私は判断します。
 この典型的な例を私は港で働く港湾労働者に見るのでありますが、この職場では、二、三年来新聞等には発表されておりませんが、すでに500名余が解雇され、去る9月にも130名が解雇されております。
 このような数字が積もり積もって結局県内の完全失業者が2万6000人に上る一方で、他方では賃金の不払いが続出しております。
 そこで社会党は、これまでも雇用対策の一環として雇用基金制度の確立を要請してきましたが、この雇用基金制度を港湾労働者にまず適用してみるのも現在行き詰まっている雇用対策強化の一環であろうかと思います。
 すなわち昨年の6月議会で私が提案した港湾労働者の共同雇用構想でありますが、この制度はヨーロッパにおける港湾労働者にはすでに適用されている制度であり、沖縄においても決して不可能な制度ではなく、むしろ港湾業者もこのことを望んでいるやに聞いております。
 そこで昨年の議会で答弁をいただいた前向きに検討するとする労商部の御答弁をお願いをいたします。検討の結果と今後の予測を含めて御答弁をお願いをいたします。
 これを聞いた上で再質問をいたしたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登場〕
○知事(平良幸市君) お説のとおり企業倒産は、単に企業だけでなく失業を必然的に伴ってきますので、それだけにわれわれとしても頭を痛めているところであります。
 ただいまの御質問の港湾労働者についてのお答えをいたします。
 本県下における港湾の貨物量の減少及びコンテナ化などの合理化の進展による雇用不安はきわめて厳しく、これを抜本的に打開すべく全港湾沖縄地本においては、昨年4月以来国や県を含めた関係者に対し、いわゆる共同雇用制を打ち出し、その実現方の要請があることは御指摘のとおりであります。
 共同雇用制については、本土においても港湾関係労組が過去20年来要求してきたものでありながら、いまだに実現しないところに見られるようにきわめて多くの問題点を含んでおり、県としても総合事務局に設けられた7者協議会における検討とあわせて独自に担当課をして検討させているところであります。
 そこで現時点では、臨時労働者の雇用・生活保障に重点をしぼる。2番目に臨時労働者のプール機関をどうするか。3番目に基金への関係者の出捐方法及び額などに問題点がしぼられているようであります。
 これに対し直接の雇用者である各港運会社としては、共同雇用制を論ずる前の段階として免許条件の遵守、料金のダンピングを防止し企業体質を改善することが先決として、その一つの方策として事業協同組合を真剣に検討しているようであります。組合側も、この業者の動きの成り行きを見守っているというのが現状であります。
 そこで県といたしましては、これら関係者の対応状況を見ながら早期に7者協議会を開催し論議を深めるべく、総合事務局にも働きかけてまいりたいと思っております。
 なお、その他については再質問によって関係部長から答弁させることにいたします。
○議長(知花英夫君) 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 この共同雇用の問題については労商部長にちょっとお尋ねをしておきますけれども、去年の6月議会だったと思いますけれども、この中でも提起をして、そこでひとつ議論をしましょうと、前向きに検討いたしましょうとこういうふうな答弁をいただいたわけですが、その後いま知事の答弁では、総合事務局に今後とも諮ってそこで検討していくというふうな答弁で非常に残念ですけれども、労商部長にお尋ねしておきますが、共同雇用というのは先ほど私が指摘をしたように、ヨーロッパの港湾労働者にはほとんどもう適用されておるわけです。それで共同雇用のもとで雇用されておるわけです。
 それで沖縄においても業者自体も共同雇用制度に、言うなれば踏み切ってもよろしいと、こういうことを言っています。
 いま知事が答弁のありました免許条件の遵守、それから業者間のダンピング防止、こういうことについてもどちらかというとダンピング防止についてはすでに業者間で協定を結んで、そしてその免許条件の遵守についても協定を結んで、すでにもう印鑑を押すというところまで来ているわけです。
 それでこの共同雇用の問題について、ぜひ労商部長の前向きの答弁をいただきたいわけですが、たとえば農水部ではですね、豚肉の値段が下がるというと、その最低下がった部分を補償するためにせんだって畜産公社をつくって、それでこの畜産公社は言うならば各市町村も含めて基金を出し合って、そこでもって全部救済をするとこういうことをしたわけですけれどもね……。
 たとえば農業者に対してそういう制度ができるということであれば、当然労働者にもそういう部分が適用されていいんではないのかと。
 いま組合と業者の間で話し合っているのは、共同雇用制度を設立するための基金として貨物1トン当たりから30円から50円徴収をする、それでこれだけで2億3000万から4000万ぐらいになると言っているわけです。そこへ県が加わり、それから市も加わる、同時に労働組合も加わって国も加わっていただくということになれば、当然これは共同雇用ということは可能になるわけです。
 労働者がですね、企業は倒産はしない――倒産はしないけれども、いま言ったようにカーフェリーがどんどん入ってくる。それから何ですか、そのコンテナ化がどんどん進んでいく。そうすると企業の方はどんどん合理化をし、機械化をしていく。機械化をし合理化をしていくことによって、労働者の方は全く顧みられずに一方的に全部解雇になっていく。こういう言うなれば制度は、いま言ったように畜産公社の場合には、豚の値段がずっと下がっていく、言うなれば農民そのものを救っていこうじゃないかと、こういう発想で行われている――農林水産部の努力でなされているわけですから、当然労働者がいま言ったように解雇になっていくのを、一体どこかで歯止めをすることが可能ではないのかということなんですね。
 いま全くこの公社、公団というのが畜産物だとか農産物だとかに適用されているけれども、労働者が解雇をされているいま雇用問題をどうするのか、雇用対策をどうするのかということについていろいろ議論をされていますけれども、こういうふうにですね、業者も同意する、それから労働組合も同意をする、こういった状況の中では、当然積極的に共同雇用というやつを制度をしいて、その中で解雇というのをやっぱり歯どめをしていく、こういうことがですね、現在やっぱり必要ではないか。
 そのことをですね、真剣に模索をしていただいていいと思うんです。
 これは1年前に私が質問をしたときはですね、海洋博の直前で港がストップをするというと海洋博がだめになると、海洋博が間に合わないとこういうこでですね、結局日本政府・総合事務局の方もあわてて、それじゃ共同雇用制度に対してまじめに真剣に取り組んでいこうじゃないかと、こういうことをしたわけでありますけれども、ところが一たん海洋博が済んでしまってもう大丈夫だとこうなったら、結局また日本政府の方もこのことに対して全く知らんふりをしている、こういうことではいけないと思うんです。で、労商部長にちょっと認識をしておいていただきたいんですけれども、港湾の組合の方々は港湾の労働者は、もう賃金は上がらなくてもいいんですよと、あるいはボーナスはなくてもよろしいですと、しかし共同雇用制度だけはやっぱり実現をしてもらわなくちゃいかぬ。
 共同雇用制度を実現をしていくその闘いのためには、結局港を10日でも20日だってストップしてでもやっぱり私たちはやらざるを得ませんと、こう言っているわけです。
 そうなりますとですね、港がいま平常に動いているからいいんですけれども、港が10日とか20日とかいうふうにストップしたときに一体どういう状況になるかと。結局それはストライキをするやつが悪いんだと、こういうことになるんでしょうけれども、結局じわじわと全部解雇をされていく状況の中では、労働者はそういったときにやっぱり闘いに入っていかざるを得ない。
 本土の場合にはですね、港がなければ自動車があるじゃないか陸上輸送があるじゃないかと。トラック輸送ができなければ鉄道輸送だってできるじゃないかと。代替施設なり、代替機関があるからいいんですけれども、ところが沖縄の場合には、先ほどから離島の話が出ているわけですけれども、離島であるがゆえにしかもその陸上輸送もない。それからその鉄道輸送もない、こういうことになると全く港だけに頼っていく、消費者物資それから生産資材その他もすべて港に頼っていく。
 ここが20日間ストップするあるいは10日間ストップする、沖縄経済がどんなことになるのかですね、その辺のことを認識をしていただいてこの共同雇用の問題についてひとつもっとまじめにもっとやっぱり精力的に取り組んでいただくということがなければいけないのではなかろうかというふうに考えますので、御答弁を願います。
 次に、VOAの問題についてお尋ねをいたします。
 このVOAは、きわめて謀略臭い放送や中国やアジア大陸向けに行ってきたと言われておりますが、この施設は来年の5月15日で閉鎖されることになりました。結構なことだと思います。
 しかしこの閉鎖に伴って、ここに働く従業員115人全員が解雇ということになっております。
 そこでお尋ねをいたしますが、この従業員はこれまで軍に働く従業員と全く同じように賃金や退職金が支給され何ら差別的取り扱いを受けなかったのでありますが、しかし閉鎖というこの段になって雇用主が国防省か国務省かとの違いで退職金等に非常に大きな差が生じております。
 たとえばここに働く人たちは、52年以来24年間も働き続けてきた人たちも多いのですが、同じように軍に働いていた人たちとの間で退職金だけでも約300万円ぐらいの差が出、おまけにこれまで雇用保険や厚生年金の加入を認められず、ようやくことしの4月から認められる始末であります。
 中でも契約雇用と言われるいわば4種従業員の方々は、年間契約だということを理由に、20年余を働いても退職金のびた一文支給されない、こういうことであります。
 この雇用形態もきわめて違法臭いもので、4種従業員の中から代表だれか一人を選んで、この人を形式的な雇用主に仕立てて表面上の適法を装い、20年以上継続して働いている人をわずか5万円そこそこで働かせていると、こういった実態であります。
 国務省の職員だからといって労働組合の結成も認めず、さらに軍従業員とは差別しておいて、閉鎖するのだからといって解雇者だけを残して逃げようとするアメリカ側の仕打ちを許すわけにはまいりません。
 そこでお尋ねをしますが、これらの解雇者には当然私は駐留軍等離職者臨時措置法の適用がなされるべきであり、単に沖縄失業者求職手帳のみが交付されるとする政府の態度は許されないと考えますが、いかがでしょうかお尋ねをしておきたいと思います。
 たとえばこの4種従業員の場合ですね、お名前を申し上げますと、上原春子――この人がですね、1957年、昭和32年に就職をしております。昭和32年に就職して今日結局閉鎖に伴って解雇されるわけですが、この人のいまの給料が5万3284円です。
 20年働いて退職金の一銭もくれない、しかも給料は5万3000円と、こういうべらぼうな米軍の仕打ちが現在行われている。しかも雇用形態そのものもですね、職安法その他から見てまことに違法臭い、こういうことは労商部でもすでにお調べをいただいておると思いますんで、その辺のことについてありましたらひとつお答えをいただきたいと思っております。
 次に、雇用失業問題と関連をいたしまして先ごろ明らかにされました沖縄振興開発の中期的展望について見解を述べ、質問を申し上げます。
 私は、正直言ってこの中期展望を一読して非常にがっかりいたしました。復帰後5年近くなりますが、格差は依然として続き、特に48年の石油ショック以降は不況と失業と物価高が慢性化し、そのことによってもたらされている倒産と失業問題に何らかの有効な提言や計画が盛られているものと期待をしていたのでありますが、ところがこの展望では人口見通しが狂い、工業開発も進まず、したがって産業振興による雇用力の拡大も期待できず、他方広域職業紹介も成功しなかったと述べ、県民所得も目標年次で見込んだ9900億にはるかに及ばないものになると結論づけております。
 水資源についても先ほどの質問者からも発言がありましたけれども大幅に見通しが狂い、振興開発計画のソフトな面としての人的サービスの部分、たとえば社会福祉施設職員や医療要員の確保も計画どおり進んでないと指摘をいたしております
 わずかに振興計画の中でもハードな部分としての公共施設の整備については、復帰後4年間に復帰前21年間を上回る投資がなされた結果、公共施設整備水準はかなり向上したと述べているのには救いを覚えるのでありますが、しかしここで改めて政府の手によって人口も産業も福祉もすべて計画どおり進んでいないことを指摘をされると、ショックを覚えると同時に怒りを感じ、それでは一体振興開発計画とは一体何だったのかということを改めて問い直してみなければならないと、このように考えます。
 そもそもこの振興計画は、昭和46年の第67臨時国会において知事も先ほど述べておりましたが、「われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。」という政府説明を受けて可決成立をされた法律に基づく計画であったはずであります。
 それが5年たった今日、産業振興の項目から見るならば、「外力により一挙に変革を図ろうとするよりは、あくまで主役は県民の生産活動であることを銘記し」などと沖縄県民にすべての責任を転嫁し、雇用及び労働力の項では、「早急に県を挙げて産業振興に取り組む必要に迫られている」として政府の責任は全く言及をせず、「沖縄経済の振興はあくまでも県内の産業活動に通じて行われるべきである」とはっきり言い切り、まるで沖縄経済の振興については政府はあずかり知らぬという開き直りの文面が、この中期展望の各所に見られるのはまことに残念であります。
 他方では、「雇用の確保と所得水準の向上は県民福祉の前提であるという共通認識に立って、県民大多数のコンセンサスを得、新規工業の誘致をより積極的に推進する必要がある」として今日の経済環境を無視し、あたかも沖縄にだけは県民がその気にさえなれば資本はどんどん進出してくるのだという幻想を抱かせ、かつ押しつけているのであります。
 もちろん私は、政府の主管をする各種振興計画の限界性については承知しているつもりであります。しかし沖縄振興開発計画は、たとえば北海道開発法のように国が総合開発計画を策定をし、地方公共団体は意見を申し出るものとは性格が異なります。
 このことについては先ほど企画調整部長の答弁にもありましたとおり、北海道の場合には北海道の関与なくしてすべて国で決定をしていくのでありますけれども、沖縄の場合には沖縄で案を作成をし、それを国が内閣総理大臣の責任で決定をする、こういう手順になっております。
 政府はそれだけにその説明の中でも、「沖縄の特殊事情にかんがみ、沖縄の振興開発については国が責任を持つ必要があるので振興開発計画は内閣総理大臣が決定する」、こういうふうに言っております。
 沖縄県民はその政府責任をもっと鋭く追及し、少なくとも県民にその責任を負わそうとする政府を許すわけにはまいりません。
 先ほどの議論の中でも本土政府に対してもはや救済とお願いをする、こういう立場でなくて自主的に開発を進めていくべきだと、こういう意見もございました。なるほどそのとおりかもしれません。しかし同時に私たちが忘れてはならないことは、政府自身言っているように「償いの心をもって」ということを私たちは明確にしなければなりません。償いというのは、あくまでも政府の責任において償いをしていく、こういう立場でなければならないと思います。
 その一方では、この計画は投資規模まで明記した実施計画になっておりません。いわば財政計画を伴わない単なる構想としての振興計画であるところに問題があることは、前の議会でも私は指摘をいたしましたが、現在この計画は各省の予算措置をする場合の参考資料の程度にしか言うなれば使われてない。予算措置をする場合の参考にはなっても、それが各省の予算措置の場合の義務化にされてない、こういうところにやっぱり問題があろうかと思います。
 この欠陥が今日、中期展望を発表するに当たって各部門に狂いの生じてきた原因であります。いわば政府は、沖縄県民の心情に深く思いをいたし、振興開発については国が責任を持つ必要を強調したまではよかったのでありますが、財政計画を伴わない単なる構想でしかないというところにこの計画についての政府の抜け穴があったということであります。
 そこで知事にこの振興計画の中期展望についてお尋ねをしておきますが、知事は去る24日に開かれた総合部会でこの振興計画の全面洗い直しを主張したと新聞では報道いたしております。
 新聞報道だけでは知事の真意がはっきりつかめませんのでお聞きをするわけでありますけれども、知事は特別措置法の補助率が低いのでこの改定を求めるとこういうことをおっしゃっているのか、それとも先ほどから議論をされておりますように振興開発計画全体をその発想の段階からやっぱり見直した上でもう一遍洗い直せとこういうことをおっしゃっているのか、その辺のことについてお知らせをいただきたいと思います。
 同時に私は過ぐる議会でも屋良知事にも申し上げましたが、振興計画という名称がどうもひっかかるのであります。すなわち振興開発計画というのは沖縄だけではなく、どこの府県に行っても振興開発計画というのはあるのであります。他の府県のどこへ行っても備えつけられているこの振興開発計画という発想が政府役人の中にあるものだから、それがそうであればこそ政府役人としては沖縄の振興開発計画そのものも単なる予算要求の、または予算措置のための参考資料という程度にしか取り扱ってない、こういうことだと思います。
 沖縄県の振興計画はまさに他の府県に備えられている、言うなれば何々県の何々振興開発計画というそういうものとは質的に違うものだと思います。質的に違うにかかわらずどの県にも振興開発計画というものがあるものだから、沖縄の振興開発計画も結局そういう次元でしか政府役人が理解をしない、あるいは政府そのものがそういう程度にしかこの沖縄の振興開発計画ということも理解をしない、ここにいま中期展望を発表するに当たってあっちでもこっちでも全部見通しが狂いました。しかもその狂った責任は全部沖縄側にあるんだ、こういうふうな発表となって中期展望が発表されたというふうに考えると非常に残念です。
 そういうことであるとするならば、私はこの振興開発計画というのは沖縄の復興10カ年計画もしくは沖縄の戦後処理10カ年計画というふうな名前にして、名実ともに政府がその責任を負う計画の中身にすべきだと考えます。
 知事にそのことについて、言うなれば振興開発計画をするだけの沖縄の受けざらがいまのところないではないか、むしろ戦後処理をやっぱりきちっとしてその上で振興開発計画をつくると、こういう発想にやっぱり転換をすべきではないんだろうか。振興開発計画そのものを受け入れるだけの余裕がない、それを受け入れるだけの言うなれば経済的なバックグラウンドがない、バックグラウンドがないところにいきなり振興開発計画というものを乗せた、そこに振興開発計画そのものが前に進まない理由があるように考えます。
 次に、知事は問題点の洗い出しを各関係部にも指示をしたということがマスコミにも同じように報道されておりますけれども、この作業の結果はいつごろをめどにして、何を目的にこの作業を進めるのかをお聞きをしたいと思います。
 というのはこの計画は、この中期展望で言っていることは、何も沖縄の振興開発計画の10カ年計画は目標年次の56年だけで終わるのではなくて、その後の10カ年もさらに引き続いてこの振興計画をつくったらいいじゃないかと。何も10カ年だけで沖縄の問題をすべてやってしまうということではなくて、10カ年間だけですべて全部終わりということじゃなくて、その後もこの振興計画をつくったらいいじゃないか。
 そういう言い方の裏には、したがって今度の10カ年計画では何もできない、あるいは目標が達成できないかもしらぬけれども、まあそんなにあわてなさんなと、どうせこの10年が終われば次の10年でやればいいじゃないかと、そういうふうなことを感ずるくだりの文章があるわけです。
 そうなりますと、10カ年間でこれだけやるんですと、沖縄の県民が何年にもわたって苦しんできたそのことへの償いとして10カ年計画をつくりましょうやと、それが沖縄県民への償いじゃないですかと、こういうことを政府はあの復帰段階で言っておきながらですね、今日みずからがつくった計画そのものが狂ってきたらどうせ10カ年でできなければ20年かければいいじゃないかと、20カ年でできなければ30年かけりゃいいじゃないのかということになると、結局沖縄の格差是正というのはそれじゃいつになったらできるんですか、いつになったらそれが可能になるのかということを私は非常に憂えるんです。
 第3点目の質問は、この中期展望の終わりに当たってという項で、100万人の人口を維持し、所得も目標年次で本土の80%まで引き上げていくのは困難だと指摘し、その他随所に計画案どおり100万人人口を維持していくことはきわめて困難である、こういうことが書いてあります。
 そのことについて知事は一体どう受けとめていらっしゃるのか、お聞きをしておきたいと思います。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの振興計画については、知事はせんだっての中央における審議会でどういう発言をしたかという意味合いに理解いたしましてお答えいたします。
 その前に、お説のとおり振興計画、名前はどうあれ沖縄の場合には戦後処理というものを何年間のめどでなすかということは、当初において考えられるべきであったと思うのであります。
 なおまた、この振興計画が決定を見た場合の中央での審議にも参画いたしましたが、沖縄の歴史的な流れと戦後の状況を申し上げていろいろ意見も申し上げましたが、遺憾ながら私の意見はそれほど通りませんでした。
 その次に申し上げたのは、振興計画と言いながら事業計画と資金計画は伴っておらない。沖縄県知事から出された案にはちゃんとそれがあるにかかわらず、何ゆえに中央では取り上げなかったかと、こういった発言もいたしましたが、沖縄から出されたものには多少疑問の点もあるという意味合いのことの発言もありましたので、であるならば指摘をしていただいて是正さすべきは是正し、事業計画と資金計画、もちろんそれは1カ年後に2カ年後狂うかもしらぬ、狂ったにしても現時点において予想される数字をもって一応は計画し、その間国は幾ら負担するか、われわれ県民は幾ら負担しなければならないか、市町村はどうなるか、こういったものもあるべきじゃないかと常識的なことを申し上げたんでありますが、実現はいたしませんでした。
 さて、せんだっての場合申し上げましたことは、私は補助率の問題を云々したわけではありません。補助率についてはかつて開発金融公庫の運営委員会において申し上げたんですが、われわれは補助率の上げ下げだけでは特別な措置を講じてもらっておるとは十分には受けとれませんと。場合によっては、全国並みの率であっても構わないのもある。また事項によっては、ある期間据え置きをしてもらわなければならぬのもある。
 そこで中小企業の育成と関連してでありますが、この特別措置法の中にぶち込まれたのは糖業だけであると。なるほど数においては沖縄における中小企業は、琉球政府時代に指定したものをそのままくっつけましたので数においては多いのであるが、実際はどうなっておるかと。糖業以外の中小企業は全部近代化促進法で措置してもらうということになるというと、単なる利率の問題にしかならぬと。
 いま実態を把握して、中小企業の実態に応じて協業化を急がすべきものは急がすとか、そのための資金手当て、将来どうにもならぬという見通しのつくものがあればそれは仕方がないとして、いまここで何とか手を加えれば生き返る道があると。20有余年にわたって苦労してきた地元企業の中小企業をどのようにしててこ入れをするかと、こういったことを具体的に実態調査の上になさるべきであると。もちろん私も当時、今日もそうでありますが、十分に実態を把握しているわけじゃありません。ただ理論的に考えることをそう申し上げたんであります。
 いま率の問題がありましたので、率だけではないということを意味しての答弁ですが、この前申し上げたのは、こういうふうに言うております。振興開発計画は、沖縄振興開発特別措置法に基づいて策定されました総合計画でありますと。ところで特別措置法成立当時とそれに基づく開発計画立案当時と今日とでは、経済社会の大きな変動があると。したがいまして特別措置法もそれに基づく開発計画も当然修正変更の必要があると考えられる。ところが、中期的展望はそのことに触れていない、こういうふうに私は理解しておりますと、こう申し述べたのであります。
 そういったことで基本的な考えについては、御理解願いたいと思っております。
 その他の問題もありましたが、一応労商部長から答えさせて、もしまた補足する点があれば補足をいたします。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 共同雇用制度につきまして先刻知事から御答弁がありましたが、再質問がございましたので私の方から補足をして申し上げたいと思います。
 御指摘のように沖縄が離島県であるだけに港湾機能の重要性につきましては、本土の府県の港湾と違うところがあるということは十分理解できるわけでございます。
 ただこの共同雇用制につきましては非常に新しい試みでございまして、さらに構想の段階で労使の間で具体的に検討が詰められてないというのが1点と、さらに港運行政が国の行政に属することもございまして、国とのかかわり合い、協議あるいは港湾管理者とのかかわり合い、そういったことも出てまいりますので、そういった関係各界との協議をしながら具体的に検討をしてまいりたいと、かように存じております。
 さらに次に、VOAの職員についてでございますが、御指摘のようにVOAの従業員115名、そのうち74名が米国務省の職員としての身分を保有しておりますが、あと41名が契約従業員という形の身分になっておるわけでございます。
 この方々は、国務省の職員あるいは民間の契約従業員という身分であるだけに、駐留軍従業員の臨時措置法の適用を現在受けていないということもございまして、給与さらに退職手当、その他特別給付金等についての給付がないわけでございまして、大きな処遇上の差があるわけでございます。
 これにつきまして駐留軍関係離職者等臨時措置法を適用してくれという関係者からの要請と、さらに岸本先生の質問の中身もそうだというふうに受けとめて申し上げるわけでございますが、いわゆる間接雇用等につきましては、御案内のとおり地位協定に基づいて米軍基地に必要な従業員を日本国政府が提供するというようなこともございまして、復帰の時点でのVOAに働いている方々の身分の取り扱いについてどうするかとずいぶん日米間で議論が行われたようでございますが、現在のような形で間接雇用には移行できなかったというふうな経過も聞いておるわけでございます。
 ただしかし、戦後長年従業員の方によっては20年あるいは30年近くも働いておりまして、処遇上別の駐留軍従業員に比べて非常に差がございますんで、その辺とのかかわりもございますし、契約従業員につきましては特に一銭の退職手当もないというようなこともございますんで、この点制度的には非常にむずかしい面もあろうかと存じますが、関係要路に強く従業員のその要請の趣旨等について接触してまいりたいと、かように考えております。
 さらに、1点念のために申し上げておきたいと思いますが、この従業員の方々には雇用保険も従前適用されてなくて、ことしの2、3月ごろにこの問題が持ち上がりまして外務省あるいは労働省と県の方で話し合いを進めましてかろうじて適用をするという運びになりまして、先ほど御指摘のようにことしの4月1日以降さかのぼって雇用保険に加入し適用することになっております。
 そのほか御指摘にもございましたですが、直接臨時措置法の適用を受けませんが、沖縄振興開発特別措置法に基づく援護措置の適用は受けることになっております。
 以上、申し上げておきたいと思います。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 振興開発計画あるいは国の総合部会で報告されました中期展望と関連いたしまして、先ほどの知事の御答弁に補説いたします。
 先ほども申しましたように振興開発計画の策定当時は、国全体が高度成長という時期でその延長線にあったということは事実であります。
 したがいまして振興開発計画を見ますと2つの点があると思います。1つは、国や県や市町村がやるべき公共事業部門の補助率、あるいは直轄か代行かという意味での特別の配慮があるわけです。その点については主としてハードの面で、一定の前進があったというふうに理解しております。
 問題は、これらの公的機関の行う社会資本の投入によって基地経済からの脱却とか、自立経済という場合の産業構造のあり方なり、あるいは企業立地のあり方なり、あるいは既存企業の育成という立場からのいわゆるわが国の自由経済という中で沖縄の長年の歴史的な背景なり、あるいは地理的条件なりについて、その面の十分な措置がなされていなかったという点がいまの段階で言えるんじゃないかと思います。
 したがって、今後の課題はどのようにして既存企業なり新規の企業が立地される場合の経済的な側面、自立経済的な側面からの特別措置なり配慮の施策が重要な課題になってくると、こういうふうに理解いたします。
 したがって、県といたしましては国の中期展望を参考にしながらこれまで県内外で論議された振興開発計画について、あるいはまたその母法となっている特別措置法そのものについても個別法でやった方がいいのか、あるいは当時で考えられなかった事項で新たに追加する事項があるのか、法律の改廃、制度の新設等も含めて残された56年までの間に県としてどのような施策、どういうことをすればいいのか、あるいはまた国の責任を明らかにして、国に対して法律制度の改廃を含めてどういうことをすればこの振興開発計画の目標が達成されるのかということを明らかにして、これを沖縄振興開発計画の後期における課題と施策ということで、いわば県の中期的展望というような形で来年の5月までにまとめてみたいと、こういう作業を現在しております。
○議長(知花英夫君) 岸本忠三郎君。
○岸本忠三郎君 時間がないと思いますので自席で労働商工部長に要望しておきますけれども、この共同雇用の問題について、いまさきの答弁では労使の間で話が詰まっていませんということを皆さんとしては話が進まない一つの理由に挙げておりますけれども、労使間での話が詰まって、仮に詰まらないにしてもそれを詰めるということこそ、ここにやっぱり基本があるような気がするわけです。
 というのは、ここでもしこの共同雇用の問題について港の労働者が10日も20日もストライキということになると、物資が全部ストップをしてしまう、そのときになってあわてて県がその対策に右左、右往左往するというふうなことになるとかっこうが悪いし、ですから仮にこの問題でいま労使の間で話が詰まってないにしてもかなりの話の中身まで含めて話し合いをしているわけですから、県がその中にもっと積極的に入っていって、総合事務局も一緒になって話をしていくという一つの姿勢をお持ちいただきたいと思います。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 私は、日本共産党県議団を代表して、知事に対し通告いたしました順で質問を行います。
 まず、不況、倒産、失業問題についてお伺いします。
 沖縄の経済は、長期不況と海洋博に向けての過剰投資、海洋博の見込み違いがたたって昨年来企業倒産の続発と失業者の増発を招き、混乱と苦境が深く進行しています。
 根本的な原因は、対米従属、大企業本位の自民党政治のもとでの慢性化し構造的となった新しい特徴をもつ複合的な経済危機から生まれたものであります。
 今年の7日に発表された日銀の主要企業505社を対象にした主要企業短期経済観測調査によると、製造業の主要企業51年度の上期経営利益は前期比68.9%の大幅増で、8月時点の予測46.7%を大幅に上回って記録的な伸び率です。
 このように大企業が大もうけをしている一方で、それとは対象的に中小企業はどうでしょうか。11月の倒産は史上最高1589件で、この調子でいくと前年の1万1000件台を超える見通しであります。
 県内企業の99.7%を占める中小企業を抱える沖縄では、昭和48年に倒産件数3件、負債総額5億9150万円でしかなかったが、石油ショック後急速に続発し、昨年で91件、174億4970万円、ことしに入ってからは月平均12件以上の倒産が出て9月までに112件、177億5900万円、10月にはついに琉球海運が負債総額としては県経済史上最高の146億7200万円を出して那覇地裁に会社更生法の適用申請手続をとり、事実上倒産しました。
 これらは負債額が1000万円以上の企業であるので倒産企業はもっと多く、不況は予想以上に深刻といえます。
 今年の1月から6月までの半年間に倒産した70件の原因別調べによると、販売不振、他社倒産の連鎖など不況の長期化の中で購買力の低下からきた外的要因によるいわゆる不況型倒産は61件、86.6%で、内的要因としての放漫経営はわずか9件、13.4%にすぎません。
 今日の企業倒産の背景をなしているのは、復帰後遺症、海洋博に向けての過剰投資と海洋博の見込み違い、長期不況等が総合的にあらわれたものであり、長期不況は全国的に共通するものですが、復帰後遺症と海洋博反動は沖縄だけの現象であり、本土より二重、三重の苦しみを受けている典型的な沖縄型倒産であります。
 そこで知事にお伺いしますが、中小企業対策審議会が答申し承認されたポスト海洋博対策としての中小企業対策はどのように実施され、効果を発揮したでしょうか。
 また沖縄振興開発金融公庫の各種資金の低利率は公庫法にも規定されてなく、政令にもなっていません。一種の行政措置としてなされ復帰特別措置とは性格を異にしておりますが、この中には中小企業等資金も入っており、利率は本土の同種資金8.9%に対し8.2%と割り安になっています。
 この各種資金の低利率の廃止、存続について政府が検討を始めるとの報道があるがどうなっているか。また中小企業等資金の248億円の年度予算に対し、4月から9月上半期の貸付決定額は43.8%の108億6100万円で、昨年度の年間実績に比べると出足が鈍いというが、その理由はどうでしょうか。
 また小規模企業対策資金については、9月定例議会の代表質問で古堅議員が幾つかの改善点を指摘しましたが、零細業者の期待にこたえて増額、改善強化のため一層御努力を改めて要請するものです。
 これと同種の国の小規模経営改善資金は、今年度沖縄県の割り当て額40億円のうち上半期消化額は10億2050万円、25.5%ときわめて低く、中小企業保護の役割りを果たしていません。
 貸し付けのガンとなっている商工会、商工会議所の推薦を条件とすることをやめ、沖縄振興開発金融公庫、民間中小企業金融機関を窓口とすることによって100%の消化が可能となり、真に中小業者に役立つものとなります。県も改善のため努力すべきと思うが、どうでしょうか。
 一方失業者の方は、復帰直前の71年以来基地労働者の大量解雇が相次いでいるのを初め、不況の深化に伴う企業倒産と雇用調整がふえ続け、ことしに入ると、完全失業者数は3月の2万9000人をピークに2万6000人台を維持しています。完全失業率では同じく3月の7%から下降傾向をたどっていたのが、去る10日総理府統計局が発表した10月の全国労働者調査結果によると、県内の同月の完全失業率は9月より0.2%ふえ6.4%となっており、県内の雇用悪化は恒常的な様相を見せております。
 いま問題になっている軍港湾労働者の首切りについて申し上げますと、米軍は軍港湾の荷役業務を入札によって民間企業に委託させています。
 しかもそういうようなやり方は、国内制度上もさまざまな疑問が提起されています。今回の入札に参加した琉球海運、沖縄海運の2社に対し、米軍は入札額が不当に高い、米国民の血税をこんなところにむだ使いできないと言って、両社に対し見積もり額の削減と港湾労働者の大量首切りを要求してきました。業者との折り合いがつかず決裂、米軍がロックアウトに出たものです。
 米本国からクレーンのオペレーターを呼んだり、軍隊を使って荷役作業をやらせていますが、爆弾や弾薬などの危険物荷役を素人米兵にやらせることは、県民の生命と安全にかかわる問題でもあります。
 不況と年の瀬を寒空のもとで、平均年齢45歳の一家の責任者である港湾労働者の生活を守るために、労働者の要求が入れられるような努力をしなければならないことは申すまでもありません。労働者は寒風のもとで軍港湾の入口に陣取り、全員解雇の即時撤回、請負制度の改善、職場からの米軍隊の即時撤退、年末一時金35割支給を掲げて、4つの要求を掲げて闘っています。
 この要求についての知事の基本的な御見解と、労働商工部長にこれまでの経過と今後の対処策及び見通しについてお伺いします。
 2番目に、振興開発計画の中期的展望と復帰特別措置の延長、拡大の問題について質問いたします。
 沖縄振興開発審議会は、総合部会が10月27日に発表した振興開発計画の中期的展望の報告を受け、これを了承しました。
 この中期的展望は、推計値、傾向値と計画の乖離、所得と雇用の欠落などを指摘しているが、その原因の究明と責任の追及が欠落した展望なき数量的展望にしかすぎないものとなっています。
 しかし、この中期的展望の発表を契機に、県民世論は一斉に自民党政府の過去4カ年の沖縄施策に対する厳しい批判を集中しています。先般行われた衆議院議員総選挙の結果は、明確にこのことを示したものであります。
 その第1は、振興開発計画を列島改造論の中に位置づけ、海洋博と石油基地構想の2大プロジェクトで地価の高騰、狂乱物価、自然破壊を引き起こし、企業倒産と失業を増発させた責任の追及です。
 第2は、沖縄県の経済復興の最大のガンになっている基地の撤去はおろか、逆に再編強化に狂奔していることです。
 自民党政府は、米軍基地を整備強化するために提供施設整備費として50年度に150億円、51年度169億円の莫大な金額を注ぎ込んでいます。
 これらの費用の半分以下の約60億円出せば、キビ作農家の要求する2万2500円以上の価格が補償できるのです。P3機の移設費に230億円の金を注ぎ込みました。これを住宅建設費に回せば、2300戸の公営住宅が建設できます。
 このように米軍基地には湯水のように金を使い、生産の発展、生活環境、教育条件の整備を妨げ、県民生活を無視して顧みない自民党政府に対する怒りの表明にほかならないわけであります。
 振興開発計画の総括を行うに当たっては、このように明確となった県民世論を背景にしてこそ、真に県民に展望を指し示すことができるのです。
 米軍基地の再編強化の上に、企業倒産と失業を増発させる自民党政府の振興開発計画をやめさせ、国鉄の建設を柱とする生活環境と交通施設の根本的整備、農漁業など地元産業の振興と立地条件に見合った無公害産業の開発を復興開発の基本とし、5カ年間に1兆円以上の復興資金の国による補償を要求するわが党の見解を明らかにして、次の点について知事にお伺いいたします。
 1、知事は中期的展望を了承した11月24日の第9回沖縄振興開発審議会に出席し、基地対策を初め7つの点について意見を述べたと新聞は報道していますが、そのことと振興開発計画に対する知事の基本姿勢について県民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 2、中期的展望は、公共施設の整備の項で累積政府固定資本形成額の推計を挙げていますが、一人当たり対全国比で昭和46年度末の38.4%から昭和50年度末には55.9%と比率の上で17.5%も上昇していますが、絶対額の上では上昇額27万4000円に対し、26万4000円で1万円も下回っています。
 このことは、公共施設の整備の面でますます格差が拡大することになることを意味します。
 とりわけ中期的展望も指摘している住宅、都市公園、医療施設等の格差拡大をなくしていくためには、国庫補助額の増額にとどまらず、補助率の大幅引き上げや関連施設にも補助対象を広げるなどの特別措置が必要となっていますが、御所見を承りたい。
 3、国鉄の建設について知事の方針はどこまで明確にされているか、県営論はどのように整理されたか、また振興開発計画との関係でどのように国に要求していくか、また国鉄導入のためにどのような組織体で推進するかなどについてお伺いします。
 4、特別措置については、知事はすでに23項目の特別措置の延長を要求しているにとどまらず、特別措置というからにはその基本は県民の意欲をふるい立たすものでなければならないことを強調し、現行制度の欠陥を指摘しておられます。
 自民党政府は、全国一の失業率と倒産企業の増発という厳しい事態にもかかわらず、沖縄の企業は特別措置に甘えているといった沖縄の実情を無視した無慈悲な議論を浴びせています。
 もともと戦後27年にわたる米軍支配のもとでつくられた経済基盤の立ちおくれ、不当な通貨交換がもたらした物価高騰、沖縄県の地理上の位置からくる物価高などを考慮して、少しでも県民の生活と営業を守るためにつくられた特別措置を、今日の状況の中で延長するのは当然のことであり、本土の大企業に圧迫されつぶされつつある中小零細企業の保護措置など特別措置の拡大を要求すべきだと思います。
 また、これまで本土と比べて低く抑えられている生産者米価を本土並みに保障する新たな措置もとられなければならないと思いますが、御所見を承ります。
 3番目に、第2次世界大戦中に旧日本軍によって接収された土地の返還要求問題について、知事の御見解と対処策についてお伺いします。
 戦時中日本軍によって飛行場その他軍用地のためにほとんど有無を言わさず取り上げられた土地について、その土地の返還を求める声が最近急速に強まってまいりました。
 この問題は、10数年も前の琉球政府時代から当時の立法院への陳情がなされるほど関係地主たちの努力が払われてきましたが、残念ながら米国政府や日本政府の厚い壁に遭い、今日なお解決を見るに至っておりません。
 これは伊江村、読谷村、嘉手納町、与那城村、勝連村、那覇市、与那原町、佐敷町、平良市、上野村、下地町、石垣市、竹富町の13市町村に及び、現在わかっているだけでも地主が2385人、面積300万坪余りに上る膨大なものとなっております。
 これらは戦時中、あの民主主義のかけらも認められないような軍国主義支配のもとで侵略戦争遂行の必要から強制的に旧日本軍が手に入れたもので戦後の米軍占領下においても布令によって一方的に国有財産としての所有権認定がなされて米民政府の管理下に置かれ、復帰後日本政府に引き継がれていったという経過をたどっているものです。
 この歴史的経過に照らしてみても、これは決して個々の地主の所有権をめぐる争いとして放置すべきものでないことは明らかです。
 わが党は、この問題を政治の場において解決すべきものとして重視し、その実態を調査し関係地主たちの訴えを聴取するとともに、これまで国会においても党の瀬長亀次郎衆議院議員、渡辺武、星野力両参議院議員らが数回にわたって取り上げてまいりました。
 地主やその要求を支持する多くの人々の努力の中で、政府の態度にも一定の変化が見え始めているものと考えていますが、しかしこの問題解決のためには、これから一層の粘り強い運動や政治折衝などが必要になっていると思います。
 県は、ことしになってやっとこの問題の所管を総務部総務課に置くことを決め問題の調査等に手をつけ始めていますが、どう見ても総務課本来の仕事の片手間にぼつりぼつり進めているという感をぬぐえません。
 しかしこの調査は急がねばなりません。旧日本軍による土地接収よりすでに30数年がたち、多くの関係者が死亡され有力な証人たちがだんだん他界されるなど、時間の経過はこの問題の正しい解決にとって、すでに一定の困難をもたらすものとなっています。
 その上、さらに時間が延びれば延びるほどその有力な証拠資料を失うことになるのは言うまでもありません。
 以上の経過と現状にかんがみ、県としても思い切った努力を集中的に進めるべき性質のものという考えに立ち、次のことをお尋ねします。
 1、知事はこの問題を県として主体的に受けとめて、国への強力な政治折衝をなさるおつもりかどうか。
 2、政治折衝を進めるには調査や資料収集など急がねばなりませんが、現在の総務部総務課にこの問題を当分の間専従的に担当する職員を配置して体制を強化すべきと考えるが、どうでしょうか。
 3つ目には、その調査や折衝に必要な独自の予算を計上するなど対策を全体として思い切って強化した取り組みを展開してもらいたいと思いますが、それについての御見解とこの問題への全体的な対処策について御説明を願います。
 最後に、民主主義と市民生活を破壊する組織暴力団の徹底取り締まりについて質問します。
 最近、広域組織暴力団山口組が沖縄にも進出し、安謝港近くのビルに堂々と看板を掲げたとの新聞報道以来、県内の組織暴力団問題について新聞は連日大々的に取り上げて報道を続けています。
 町のダニと言われる暴力団が、いかに市民生活を破壊し数多くの殺人事件を初め、凶暴な事件を引き起こしてきたか全く説明の必要さえありません。
 これらの組織暴力団がタクシー会社を乗っ取ったり、風俗営業その他の企業を手に入れその資金源にしていること、またピストル等で武装化の傾向などきわめて憂慮すべき一連の動きの中で、今日のような山口組の公然たる進出は県民に一層の不安感を抱かせるものとなっています。
 それと同時に、組織暴力団に対して市民ぐるみの一掃運動も展開されようとしています。
 去る12月11日の那覇市自治会長連絡協議会でも暴力団排除のために立ち上がろうとの強い意気込みが示され、昨晩は安謝校区7自治会の評議員が協議会をもって暴力団一掃についての対処策を話し合い、19日暴力追放安謝地域住民大会を開くことを決定しました。
 また、一昨年の那覇市議会の議会運営委員会におきましては、全会一致で12月24日の議会最終日に暴力団一掃の決議を行うことを確認しております。
 沖縄タイムス、琉球新報の両新聞もその社説で取り上げ、暴力団壊滅を強く主張しています。
 暴力団一掃の問題は、まさに大きな社会問題となり政治問題となっております。
 警察は、事あるごとに組織暴力団の壊滅を表明し続けていますが、一向に市民の安心できるような壊滅の事態には至りそうにもありません。
 これは組織暴力団に対する警察の対処に徹底さを欠くところがありはしないか、警察が組織暴力団を徹底的に取り締まりその壊滅を図れるかどうかは、今日ほどそのことが求められ試されているときはないと思います。
 そこでお伺いします。
 警察本部は、組織暴力団壊滅についていかなる真剣な対処策を進めているか御説明を願います。
 また2番目には、広く県民的関心を高め県民ぐるみでその一掃運動を展開するには、組織暴力団の組織の実態、資金源、その企業進出などについて議会その他関係市民団体にも資料を提供することは大事だと考えるがどうでしょうか、警察本部長にお伺いいたします。
○知事(平良幸市君) 休憩願います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後5時32分休憩
   午後5時33分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) たくさんな御質問でありましたので落ちる点があるかもしれませんので、その点はまた部長から補足させます。
 最初の中小企業振興対策審議会の答申についてお答えします。
 本県の企業はほとんどが中小企業であり、その振興育成を図ることは、県経済の安定、発展にとってきわめて重要であるため、中小企業対策については積極的に拡充強化を図られてきたところであります。
 特に海洋博後の本県経済は、高度成長から安定成長への移行に伴い、中小企業の経営環境はきわめて厳しい局面が予想されることから、中小企業振興対策審議会に対しポスト海洋博の中小企業対策についてを諮問し、50年3月にその答申を受けたところであります。
 県としましては答申に示された方向に沿うて中小企業施策全般の拡充強化を図るため、金融対策の拡充強化、小規模企業の経営改善の推進、組織化の推進、指導事業の強化等を施策の柱として、51年度予算においては前年度予算を大幅に上回る134.7%増の約28億円を予算措置を講じ、中小企業の振興と育成強化を推進しているところであります。
 特に金融対策については、金融情勢が引き続き厳しい状況に置かれているために、1つ、担保力、信用力に乏しい中小企業者の金融の円滑化を図るための信用保証協会の保証料の引き下げ、中小企業連鎖倒産救済特別保証制度の延長等の措置を講じてきました。
 また基本財産の増強を図るため、12月補正において5000万円の追加出捐をお願いしているところであります。
 県単の融資制度として、新規の融資制度の創設と融資条件の改善等を図ってきました。
 なお、今後も答申に示された方向に沿うて施策を強化していくこととしていますが、中小企業対策は経済環境の変化に弾力的に対応することが肝要であり、そのときどきの環境変化に対応した対策を講じていくこととしております。
 次に、順序は狂っておるかもしれませんが、次は復帰特別措置であります。
 復帰特別措置は、復帰に伴い生ずると思われる産業活動及び県民生活の混乱がないように、また県民の不安動揺を緩和するためにとられた措置であります。
 特に本県経済に影響の大きいと思われる事項については、昭和50年12月12日付で関係大臣に要請し、その後情勢の変化等により数事項の追加要請で総計28事項に至っております。
 要請後今日まで数度にわたり折衝を重ねてきたが、その中で石油ガス税――LPガス税であります――の軽減措置については4年措置のため、昭和51年5月14日で期限切れとなった。沖縄産酒類に対する酒税の軽減措置については、現行の70%の税率を1年間据え置きが決定されております。
 関税及び税制関係のものについては、現在大蔵省で一般税制の改正について作業中であり、その作業が済み次第復帰措置に係る関税及び税関係事項について検討に入るとのことから、12月中には基本的結論が出される見込みであり、予算関係事項については年を越す見込みであります。
 次に、軍港湾の解雇問題でありますが、去る11月30日まで軍港湾荷役業務を請け負っていた琉球海運及び沖縄海運が、12月1日から始まる新年度の入札に失敗したため、従事していた243人の従業員全員が12月1日付をもって解雇され、現在軍港においては請負業者が不在で直接米軍人による荷役業務が行われている現状であります。
 このことは、長年そこで働いている労働者及び家族の生活を脅かすものであり、県としても重大な関心を寄せております。特に昨今の本県における極端に悪化した雇用状況に照らし、このような米軍の行為はまことに遺憾である。
 そこで県としては、12月2日米総領事館に対し早期解決要請を申し上げるとともに、総合事務局とも連絡をとりつつ解決促進に努力しているところであります。
 軍港における雇用関係は不安定であり、毎年のように問題となっているが、そのよってくる大きな原因は、単年度契約による請負制度にあると考えられます。そこで県としては、その抜本的な改善を図るべく請負期間の延長を含めた契約改善の要望書を昨年の7月22日付で米軍契約当局に提出いたしましたが、はかばかしい反応が得られなかった経過もあるが、さらに国とも協議しながら対処していく所存であります。
 次に、旧日本軍用地の返還の損失補償でありますが、戦時中旧日本軍に接収された土地は県内各地にあり、現在未解決のものが13市町村に15施設、地主が約2400人で、面積にして1000万平方メートルであります。
 これはさきにも申し上げましたが……。
 失礼いたしました、いま戦時中から先刻まで申し上げたのを取り消しいたします。
 日本軍が戦争遂行の目的で接収した土地の返還については、戦後処理の1つであり、私はこの問題解決を政策の1つに掲げ、地主や関係者の御協力を得て十分に調査し、実態を掌握した上で関係省庁に強力に折衝していく考えであります。
 現在具体的な調査、資料の収集を行っているところであるが、いましばらく進捗状況を見て、なお必要とあれば専従職員を配置することについても検討いたしたいと思っております。
 なお、必要経費については既決予算の範囲内で対処していきたいと思っております。
 次に、鉄道導入のことでありますが、本県に鉄道を導入することについては県民の大きな支持を得ているものと考えます。
 ところで、巨大なプロジェクトであるところから慎重に検討を進めているところであります。特にこれらのプロジェクトによって振興開発に対する誘導効果としての戦略的な面はもとより、諸経済効果をより高めるための対処策を明瞭にする必要があると考えております。
 鉄道を導入するに当たっては国、県の責任を明確にするとともに、建設資金の調達、経営主体、車種等交通システムなどのあり方についても事務段階での検討を急いでおり、年度内には県の方針を確立したいと考えております。
 中でも、経営主体のあり方については国営、県営、第三セクター、特殊法人等の方式がありますが、この場合法律的根拠を初め資本金、建設運転資金の調達方法、業務範囲及び関連事業のあり方、車種の決定、実現の遅速、雇用効果、技術者の養成、料金設定及び経営収支、近代的経営と労使問題、駅舎等その周辺開発等具体的に比較検討を急いでいるところであります。
 この鉄道導入については、本県の総合交通体系の基本部分を確立し振興開発に大きく貢献するものとしたいと考えております。
 現在、沖縄県鉄道導入研究会を設置し県内外の学者専門家による研究を進めておりますが、これらの推移を見ながら鉄道導入推進協議会――仮称でありますが――それを設置し、県議会を初め関係市町村等の協力を得て県ぐるみによる鉄道導入を推進したいと考えております。
 次に、振興計画の中期的展望についてでありますが、なるほど新聞にも了承という言葉がありましたが、また伊波議員の御質問の中にもそれがありましたが、了承したということではありません。
 それは開会に当たって、委員長の方からそういったような了承するかのような御発言がありましたので、委員であられる知花議長から了承せよということですか、それならば持ち帰って検討しなければなりませんがという御発言があり、それがいやこれは総合部会において検討した結論がこうなっておりますという御説明で、私はまたこれは内閣総理大臣からの諮問ですか、またこれによって国に何か献策なさるんですか、県にまた何か要望なさるんですかと、いやそういうことじゃありませんと。
 とにかく総合部会とされて3カ年の実績を得たのでそれを踏まえて一応検討してみたと、こういうことでありましたので、これは了承ということでは、そういう言葉はそのとき出ておりませんので、一応発言がありましたので知花議長からそれを確かめましたところ、そうではなかったと、こういうことでありますので、それは御了承願いたいと思います。
 なお、その振興開発に関する私なりの考え方はこれまでの御質疑にお答えいたしましたので、ただ繰り返す必要はないと思いますが、基本的に立案された当時の情勢と今日とでは大きな相違を来しておると。それとまた実績はあるんだから、実績を踏まえてどういう点で問題があったか、じゃどうしなければならぬかと。
 われわれのなすべきことと政府にどういうことをしてもらわなければならぬか、これを十分にいま部内で検討し、その大体の素案ができればこれは県の審議会にも諮問して、またその前に多くの方々の御意見も聞いて最後の締めくくりはやはり県の審議会がありますので、そこの審議も得て決定いたしたいと思っておりますが……。
 ただ先ほど申し上げましたようにいまとられておる特別措置は先ほど申し上げたとおりでありますが、いまの情報化時代において沖縄のように本土から遠く離れて、しかも暴風地帯の島々から成り立っておるという県は、まずどこにもない。であるとするならば、政治の恩恵が地域のいかんにかかわらず等しく行き渡るという点から考えるならば、沖縄に対してはやはりそれなりの変わったあり方が中央政府においても考えてもらわなければいかぬじゃないかと。
 たとえば非常に端的な、余りにも単純過ぎる話なんですが、本土他府県はほとんど全部が陸がつながっておる。沖縄県だけが海と空からしか行けない。だとするならば、航空運賃に限って考えてみました場合に、他のローカル線がこうだから沖縄もこうだという、こういうふうに考えてもらってはいかないと。他の国内におけるローカル線はたとえ10の線であったにしても、沖縄の場合は空と海からしか行けない。しかもいまはもう住民の足になっておる。ということであるならば、他のローカル線は10であったにしても沖縄のローカル線の運賃は、沖縄への航空運賃は5でも3でもいいじゃないかと、こういった考え方がまた他の面においても考えられるんじゃないか。
 繰り返し申し上げますが、いまの特別措置はただ復帰後の混乱、不安をなくするためのものであるが、やはり政治行政なるものが地域のいかんにかかわらず等しく行き渡るという観点に立った場合に、沖縄のこの置かれておる地理的条件から考えますというと、中央政府の考え方もやはりそれなりの考え方があってしかるべきじゃないか。
 こういう点も、ではどういう点で変わった考え方を持ってもらいたいかはわれわれ自体が衆知を集めて十分に検討し、結論を得て中央政府に強く要請してしかるべきではないかと、こういうふうに考えております。
 なお、答弁漏れもあるかもしれませんので、関係部長から補足させることにいたします。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 先ほど中小企業金融につきまして知事から御答弁ございましたが、一、二点漏れたところがございましたので、補足して御説明申し上げたいと思います。
 沖縄振興開発金融公庫の中小企業等資金の執行状況が余り芳しくないという趣旨の、これはどういう理由かという趣旨の御質問かと思いましてそういう向きで御説明申し上げたいと思います。
 沖縄振興開発金融公庫の中小企業等資金の51年度の貸し付け予算額は御案内のとおり248億円となっております。この10月末の貸し付け実績は123億円程度でございまして、執行率は49.5%となっております。
 このように公庫資金の執行状況が例年に比べまして鈍くなっている理由として考えられますことは、長期にわたる不況の影響を受けて県内経済はかなり冷え込んできておると。そのために企業の設備投資意欲は減退し、公庫に対する資金需要についても設備運転資金に対する需要がかなり減少していることによるものと一応考えられます。
 県としましては、各地商工会等の関係機関との連携を密にしまして中小企業者に対する公庫資金の活用については一層促進を図ってまいりたいと、このように考えております。
 さらにもう1点、小規模経営改善資金についての御質問がございましたんですが、小規模経営改善資金融資制度は商工会議所、商工会及び商工会連合会の実施する小規模企業経営改善普及事業における経営指導を金融面から補完して、経営改善普及事業の実効性を確保するため小企業者が経営改善を行うに当たって必要とする小口資金を沖縄振興開発金融公庫から無担保無保証人で低利に融資することになっておりまして、小企業者の経営改善を促進することが目的となっておることは御案内のとおりでございます。
 本県におきましては、48年の10月に当制度が発足しまして以来今日までに52億8840万円が融資をされ、48年度で3億5000万、49年度で13億9940万、50年度で24億2280万、ことし10月末で11億1620万円と年々融資額も増加しておりまして、本制度が活用を図られておるわけでございます。
 さらに最近では、貸し付け条件等も改善される等小企業経営改善融資制度が拡充されてまいっておりまして、小規模企業者の経営改善を図るため制度の活用を促進してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 御指摘の点でございますが、中小民間金融機関を通して窓口をしてやったらどうかという御指摘でございましたが、こういった資金は小口でしかも無担保無保証というような形でもございますし、民間金融ベースに乗りにくいというようなこともございまして、常時経営改善指導をしながら資金融資をあっせんを図っていくというようなこともとっておる関係もございまして、御指摘のような民間金融機関を窓口にするというようなことについては、民間の金融ベースに乗りにくいんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 さらに次に、港湾労働者についてでございますが、これにつきましても先ほど知事から基本的な事項については御答弁がございましたので、今後につきまして私どもは非常に厳しい沖縄の失業雇用の状況でございますが、現に仕事はあっても仕事にありつけないということほどさらに大変なことはなかろうというようなことで、米軍当局に対しましても早目に請負業者との契約をし正常化してほしいということをこれまでも再三やってまいりましたし、これからも要請し、さらに労使とも十分話し合いを詰めながらできるだけ雇用の安定または正常化に持ってまいりたいと、最善の努力をいたすつもりでございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 県警の暴力団取り締まり対策についてでございます。
 暴力団組織は申し上げるまでもなく凶暴犯罪を初め各種犯罪を繰り返し、社会の平穏を害するきわめて悪質な反社会集団でございます。
 特に先ほど御指摘の中に出てまいりましたように、本年12月1日広域暴力団山口組系の大平組上原一家が山口組の代紋を掲げて沖縄に進出してきたというふうなことで県民に新たな不安を与えますとともに、既存の県内暴力団組織を刺激し、上原一家対旭琉会のみにとどまりませず、山口組対旭琉会を中心として連合組織の抗争へ発展する可能性もあるということで、県下の治安に問題を投げかけている状況でございます。
 警察といたしましては、こういう暴力団の対立抗争事件はもとより、各種事件を検挙封圧いたしまして暴力組織を壊滅させることを最も重要な任務の1つに挙げまして、暴力団組織の壊滅を究極の目標といたしまして、1つは最高幹部を含む組織構成員の大量検挙活動を推進する。2つには、その資金源の封圧に努める。3つには、拳銃その他武器の押収を徹底するということを取り締まりの3本柱といたしまして、あるいは対立抗争事件取り締まり本部を設け、あるいは平素から視察、内偵、警戒を徹底するというふうなことで警察組織の総力を挙げまして警察官1人1人が積極的な意欲を持って日常から各種法令を活用いたしまして厳しい取り締まりを継続実施し推進してきておるところでございますし、今後もそのように努めていく所存でございます。
 また、組織暴力団の組織の実態とか資金源、あるいは企業進出の状況などについて暴力追放に立ち上がっている関係団体等に資料を提供することは大事じゃないかという御質問でございますが、御指摘のとおりきわめて大切なことであると思います。
 警察では、暴力団根絶のためには県民のこうした協力が不可欠であるということから、平素から県民と相携えて暴力排除活動を推進してきておるところでございますけれども、特にただいま申し上げたような山口組系大平組の沖縄進出を認知して以来、積極的に暴力追放に取り組んでおられます各種の団体、組織の方々の地域活動、職域活動に対しましては担当の係官から暴力団の犯罪のやり方、悪性あるいはその組織実態及び警察の取り締まり施策などにつきまして説明申し上げ、協力を求めているわけでございます。
 暴力団の活動実態に関する資料につきましては、たとえば具体的な個人名あるいは法人名を挙げることなどは、これは人権ないしは捜査の関係もございますので支障がございますけれども、そのほかできる限りの資料は御要望に応じまして提供いたしまして協力を求めたいというふうに考えております。
○議長(知花英夫君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 いま労働商工部長は、無担保無保証は金融機関では取り扱いが困難であると、問題点があるというふうな御答弁でございましたが、前の本会議でも京都における例を申し上げまして、このことによって京都の地方銀行がいままでの成績の悪かったのが預金高もふえて、そこを対象にしていた中小企業がその銀行を利用するようになって銀行の預金率も成績も上がってきたというお話をやってこの問題を取り上げたわけでございますが、そういう点でもいま本土の大手都市銀行がもう進出もしてきているわけですね。
 その中でやはり沖縄の中小金融機関を守るという立場からも、この問題をもっと検討していただきたいという要望をいたしまして終わります。
○議長(知花英夫君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 本員も、振興計画の中期的展望というのであります。ダブるようで大変恐縮でありますけれども、ダブらないように視点を変えてやっていきたいと思います。
 まず第1に、この展望に見る人口問題について所見を述べながらお伺いしたいと思います。
 この振興計画の基準年次で人口が95万でありましたけれども、50年の国調では104万3000人となっております。そして51年以降は年間16%、1万6000人の増加が続くものとみると、56年の目標年次では実に110万に達すると展望されております。
 およそ政策決定、また沖縄振興計画の最も基本的な大前提は人口の設定であったと思われます。現実に大幅な増加となったいま、振興計画の基本がぐらぐらと揺らいだような重大なことと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
 たとえば人口が4万想定外にふえますと、これの就業率60%、15歳以上も60%と想定しましてたちまちに1万5000の失業者が出るという勘定になります。51年3月現在失業率7%という本土平均の3倍という驚くべき失業も、不況やあるいは雇用手控えという客観情勢もありますけれども、この人口の急増というのがあずかって大きな要因ではないかと思うのであります。
 質問の第1点は、そもそも振興計画におけるこの計画年次の103万という人口設定はいかなる計算基礎によるものであるのか。あるいはまた望ましい沖縄の許容人口を103万と断定したのかどうか。であればどういうわけなのか。そしてこの人口増の要因を何と見ておられるか。しかして現在のすでに50年国調の104万という人口から見て、この振興計画上に早急に計画変更の必要はないのか、どう迫られているか、これを中期展望の上から御見解を承りたいと思います。
 質問の第2点でありますが、人口問題と関連して人口の適正配置がまた重大な課題でありましょう。過密によるところの環境悪化の問題、あるいは過疎に悩む離島僻地、その衰退ぶりは目を覆うものがあります。すなわち人口の適正な配置はどのようにあるべきか、そのためにいかなる計画が実施されているかということは大事な問題だと思います。
 離島振興を県政の重点政策としている革新県政の上から将来の年次計画においてこの過密過疎が解消されるという明るい展望が本当に持てるのか、過去の推移から見て御所見を承っておきたいと思います。
 次に、雇用と労働力についてでありますが、これも人口問題を大前提としつつも産業振興と密接に関連する問題であります。
 政府の中期的展望によりますと、次のように言っております。「傾向値による就業者は年率1%強増加するが、計画目標の46万人を下回る40万人程度にとどまる見込みである。この場合の就業率は52%前後の低位を示すと思われる。」さすがにここでは人口については触れておりませんが、私の資産によりますと言外に100万を割るということを言っておると思います。
 「又雇用問題解決の基本的課題は、労働力需給のバランスの回復であり、それは県内需要を増やすか、あるいは供給を県内外に分散させるかである。」と言っておりますが、その真意は、労働力の県内需要をふやすとは県内の産業を振興して雇用拡大を図るということでありますし、供給を県内外に分散するとは、県内のあり余った労働力を県外に分散せよということを意味すると思います。
 そして、次のように結論をしております。「このままの推移では大きな雇用の増大は期待困難であるが、ともかくも早急に県を挙げて産業振興に取り組む必要がある。それにしても人口増加を前提とする限り、雇用問題の解決は困難であり、当面県外就職を推進すべし」と、このように追い打ちをかけるように言っております。
 私はこの中期展望を読む限り、県民ぐるみの産業振興の機運をけしかけながら、しょせんそれには限界がある。100万以上――これは100万というのは私の仮定でありますけれども、この展望の中からはそのようにしか読めない――は無理である、県外移住の道を開く以外にないと言っているように思えてならないのであります。
 私は、人口がふえるということは結構なことだと思います。ふえた人口をどのように仕事をさせ、そこに繁栄を築くかが政治本来の姿ではないかと思うからであります。
 余った人口は県外に放出せよというんでは、それこそ政治の貧困を意味する何ものでもないと思うのであります。
 沖縄が過去、現在、未来にわたって政府の沖縄施策の誤りに操られてその姿がこの展望の中には書かれているように思えてならないのでありますが、知事はいかがお考えでしょうか。
 以上の基本的問題を保留しながら、次の質問に移ります。
 当面する産業振興について、とりわけ農業振興について二、三点の問題を取り上げてみたいと思います。
 この展望では、1、農用地の確保、造成、拡張、山林原野の畜産への利用促進、2、農業の基盤整備、3、主要作物の生産振興、4、農産物価格の安定と流通加工の整備、5、農村の維持発展と後継者の育成、6、農業技術の改良、この6点を農業振興の一番大事な点と挙げているようであります。
 この点については、特に異議ございません。当を得た提言であろうと思いますが、ただ特に農用地の確保、造成について企業等に買い占められた土地がいまなお広大な荒蕪地となって残っている姿はまことに醜いものであります。特に石垣市にはそういう荒蕪地が非常に目につきますし、これが畜産に利用できたらどんなによかろうという思いを深くするのでありますが、制度上の問題点もあると思いますが、これにどのような展望を持っておられるかについてお伺いします。
 次に、農業基盤整備の上で、土地改良事業等が非常に大事なことではありながらも農民から歓迎をされておりません。
 この理由は、その土地改良による減産の補償がない、休耕補償がない、そういう制度がないということ等であって、もう2年、長いのは3年、4年じっとその事業が終わるのを待たなければならぬということであります。
 しかし、このことは非常に沖縄的な問題だと思うのでありますが、政府にこの問題を提起すべきではないか。提起しておられるならば、その折衝の経過について承っておきたいと思います。
 次に、水の需給問題でありますが、先ほどもいろいろ議論がありましたので簡単に申し上げますと、この展望書は次の3点を指摘しております。
 第1点、需要者側は節水に努めよ。
 第2点、供給者側は漏水防止に努めよ。そしてシビルミニマムを超える使用水については、超過料金を取る制度を導入せよ。
 3番目、北部ダム群の開発と周辺の整備を図るべしと、市町村の協力を得るためにであります。
 以上の提言をしておりますが、さて水問題の前提にやはり沖縄は絶対水量が不足であるという前提をしておりますが、果たしてそうなのか。県はどのような長期展望を持っておられるのか。特に北部の安波ダムの開発を初め北部ダム群の開発、宮古、八重山は御心配ないという先ほどの話もありましたけれども、特に中南部地域におけるところの需要の拡大に伴うところの見通し等はどうなっているか等についてお伺いします。
 以上で中期展望について終わりまして、次、基地確保法案と県の境界不明地域に係る地籍明確化のための土地調査に関する法律要綱、長たらしい名前でありますけれども、これについて伺います。
 自民党の代表からも先ほど議論がありましたが、いわゆる基地確保法案というものが衆議院に提出されまして幸いに廃案となりましたけれども、しかしながら政府はさらに5月の15日までにこの採択を目指しておるのは明らかであります。
 県も、この法律を不満といたしまして51年の10月に沖縄県における境界不明地域に係る地籍明確化のための土地調査に関する法律案要綱、以下沖縄の要綱と申し上げますけれども、この要綱を政府に出しました。折衝なさったわけであります。
 私どもが検討した限りにおいて例の基地確保法案は、基地を確保する、継続使用するということが主目的でありまして、地籍を明確にするという点についてはまことに粗漏であると考えております。その例は基地内の不明地籍に限られておることであり、またそれが境界確定するまでの手続についても非常に粗漏であると思っております。
 県のこの法律案の要綱と地籍確定のためのこの作業の上から、どのような点がどう違うかについて明確に御説明を願いたいと思います。もちろん継続使用の分は、これは必要ありません。
 次に、治安問題についてでありますが、これもやはり当面する大きな県民の治安上の問題といたしまして私もとらえております。
 山口組が12月1日に沖縄に進出してきまして、12月11日でございましたか、タイムス、新報の両社説は暴力根絶の問題を取り上げておりますけれども、この新聞記事が出るや周辺の住民は戦々恐々たるものがあるのであります。
 私も現地を調査いたしました。調査した範囲では、この進出して事務所を借りることそのことからがまことに不愉快な、さすがに暴力団のやり口だと思わせることから始まっておりまして、現在地域住民は本当に店であれば売り上げも半分になった、付近住民も通りもまばらになった、昼はともかく夜はこわい、このようになっております。
 先ほど警察本部長も詳しい御報告があったのでありますが、壊滅作戦は理解できますけれども、付近住民に対する安心を与えるというやり方については、まだまだの感がするのであります。
 そこで私は一つの提案を申し上げますが、あの山口組の建物の一番近い交番はどれぐらい離れておりますか。その交番を真ん前に移転する考えはないのかどうか、これは一つの提案であります。
 その他伺いたかったけれども、もう重複しますので省かせてもらいます。
 次は、風疹児対策についてであります。
 御承知のように約400名程度でありましたか、一斉にこれが発生しましていま小学校の5年生に風疹児が在学しているわけであります。来年、再来年はいよいよ中学に入学するわけでありますが、この風疹児の父兄、保護者が非常な動揺を来しております。
 それは従来難聴ですから、難聴児は小学校の特別教室で教育を受けていたわけでありますが、教育庁とのいろんな懇談の結果、もしかしたら聾学校に入れられるんではないかと。中学にはいまだにその特別教室の準備もなされていなければ、先生の配置が準備があるようにも見えないということで大変な不安をかこっております。
 専門家の意見はいろいろあると思いますけれども、やはり保護者、父兄といたしましては、自分たちのかわいい難聴の子供たちが、いままでどおりに学童と同じ立場で教育を受けていたその子供たちが、たちまちに聾学校という変わった環境に行くということが実にいたたまれないほどのふびんさを子供に覚えるのも自然の情であろうかと思いますが、私が聞きました範囲では、いまだにこの教育庁と守る会のコンセンサスが得られていないようであります。
 そこでお伺いしたいのは、この風疹児の実態と就学状況、そして中学進学に伴うところの県の対策とさらに専門家の御意見等とあわせて今後の対策を承りたいのであります。
 以上、一応質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 地籍確定法案要綱に関連しての御質疑からお答えいたします。
 両方の特徴と相違点についての御質問でありましたが、県が策定しました沖縄県における境界不明地域に係る地籍明確化のための土地調査に関する法律案要綱の特徴は、次のとおりであります。
 境界不明地域について、基地の内外を問わず沖縄開発庁長官が指定し、この法律を適用してみずから土地調査を行うように国の責任を明確にしたこと。
 境界の確定について当事者間の話し合いも尊重しますが、協議によって境界が確定できれば結構ですが、もし協議が成立しない場合は、厳正な手続のもとに開発庁長官は決定をもって確定できること。
 長官の諮問機関として、沖縄境界不明土地審査調整会議を設置したこと。
 土地所有者と利用者の権利を調整する必要から、法定優先賃借権を設定したこと。並びに土地の買い取り請求または国有地との交換措置を講じたこと。
 県の基本的考え方は、沖縄の境界不明地域に係る地籍の確定は、その発生原因等からして国の責任においてなさるべきであり、地籍を確定することは、財産権の客体である土地を特定することにかんがみ、特別法を制定し、調査の手法、調査の効果並びに錯綜する私人間の権利関係等について明確に規定することにより、県民の権利回復を図るということであります。
 ところで、国が国会に提出され廃案になりました沖縄県の区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案――これは軍用地内の土地について位置境界を明確にすること及び軍用地として使用するとの2つの側面から成り立っております。
 軍用地内の土地の位置境界を明確にする手法として、次のようになっております。
 土地所有者の代表者を選出させ、この代表者に図上和解または現地和解のための協議をなさしめる。
 那覇防衛施設局長は、長狭物等の物証を記載した現況測量図を作成し、これを地主の代表者に交付して土地の位置境界を明確化するための援助を行う。
 境界が明らかでない土地は、引き続き軍用地として使用すること。
 両者の際立った相違点は、県の要綱では境界不明地域全域に法律を適用させ、地籍明確化のための調査が国の責任でなされるようになっているが、基地確保法案ではその適用を軍用地内に限定し、地主が主体となって調査、協議をなし、防衛施設局長はこれを援助するようになっている。
 県の要綱では、審査調整会議の設置、境界確定に伴う補償、権利の調整等が規定されているが、政府案には規定されていない。
 特別法制定のための要請経過は省略いたしますが、今後もわれわれがこの要綱を政府に要請いたしましたので、それが実現するよう努力を続けていく所存であります。
 人口及び雇用問題について御質問に対する的確なる答弁ではないかもしれませんが、一応私からお答えしてまた関係部長から十分に補足をさせたいと思っております。
 人口については基準年次95万人であったが、昭和50年時点で実績が計画を上回っており、そのままの状態で推移すると目標年度には107万人に達する見込みである。
 雇用問題について、就業者数から基準年次と現在を比較すると、第1次産業は9万7000人から6万2000人へ、第2次産業は7万人から7万9000人へ、第3次産業は22万人から23万4000人へ推移している。
 失業率も依然として厳しく、51年9月現在で6.2%の高水準にある。
 雇用問題を見ると、産業の振興により県内に新規の労働力需要をつくり出すことには成功しておりません。このままでは、近いうちに労働力の需給バランスが回復する見通しは至って困難であります。
 これらに対処するため、長期的には振興開発計画に基づく産業の振興等の施策を有機的に連携させた労働市場の拡大を図る必要があるが、当面の対策としては、県内、県外求人の積極的な開拓、確保、広域職業紹介の積極的な推進、職業訓練の拡充強化、自営業の育成援助等の施策を柱にきめ細やかな職業紹介業務を推進しているところでありますが、今後も重点施策の一つとして雇用の安定的確保に努める所存であります。
 なお、人口が集中しておると、過密過疎になっているということでありましたが、まさにそのとおりでありますが、こういった点については部内においても十分検討し、また各方面の御意見も徴していかなければ結論づけられないことと思うのでありまするが、私思いまするに、食糧増産ともかみ合わして離島から成り立っている沖縄で、離島の方々が本島に集中するということをまず何といってもできるだけ帰ってもらうという方法を講じなければならないのも一つの方法ではないかと。
 久米島、与那国あたりは米の生産地として自給を超えるほどの生産量を持ち得るんじゃないかと。そうなった場合には、その地域にただ帰れと言ったって帰るものではない。各離島に総合文化センターみたようなものを建設して、若い人々がその地域において生産にいそしみながら文化的ないろいろな利点も受けられるような施策を伴わなければ、先ほどの御質問にありました人口の適正配置ということは考えられないんじゃないかと。
 やはり施設を伴い、そこでの生産ということの見通しもつけなければいかぬじゃないかと。
 そういう点から先ほど申し上げましたように、与那国といい、久米島といい、それなりの施設をすればりっぱな生産地帯になり得る。そのときには多数の方々に帰ってもらうということも可能ではなかろうかと。
 もちろんこれは先刻申し上げましたとおり私のいま思いつきでありまして、こういったことも各方面の方々の御意見を徴しまとめていかなきゃいかぬ。その前に部内において十分検討していきたいと、こういうふうに考えておりますが、各関係部長をして御質問に対する補足をさせたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 友利議員の御質問の中で具体的に振興開発計画の目標年次で103万としたけれども、50年国調で104万超えていると。その目標年次の103万の根拠はどうなんだということですが、まあ当時としては、全体的に復帰して過疎化と言いますか、人口が急激に減るのではないかという心配等もあったわけですが、一応人口増加率を47年から51年までは0.66%、52年から56年までは0.9%、そして47年から56年までの間は0.8%として一応算定しております。
 それから2番目に人口の県外流出については、社会増については計画期間内における産業経済の発展とともに人口の県外流出は年々減少するものとして、目標年次における出域超過はほとんどゼロに近いと算定したわけです。
 それから出生児数、これは25歳から34歳までの女子人口は計画期間中増加し続けるが、特殊出生率の経過もあるので出生児数はわずかに増加するんだというふうな見方。死亡率については医療の改善等で平均寿命が一貫して延びているということと、老齢人口の増加によって死亡率はわずかに増加すると、このような要因を踏まえて推定値を出して103万1000人としたわけでございます。
 ところが現実には、先ほどから御指摘にありましたように、出生率が一方では予想以上に伸びていわゆる自然増が非常に大きく伸びたということと、さらには復帰後海洋博等その他の事情もありまして社会増、本土からの自衛隊あるいは会社商社の出張所等の設置がなされまして、復帰後社会増は急速に伸び、逆に県外流出が減少したと、こういう事情で予想以上に伸びたとこういうふうに見ております。
 それから人口問題はすべての計画施策の策定に重要な位置を占めると、その基礎だということは御指摘のとおりでございますが、目下国におきましても3全総その他西暦2000年計画等をつくっておりますが、その計画期間中あるいはその目標年次において100万に四、五万の増加率ということの振幅はそれはそう大きな問題じゃないという見方もございまして、要は予想以上に目標年次以上に人口が増加したということで、産業構造とも相まって就労の機会の問題、所得の問題がより深刻になったという意味で私どもはこれは重要な問題だと受けとめてそれに対処する施策を模索しなければならぬと、こういうことでございます。
 2番目に、水資源については先ほど説明いたしましたけれども、重複を避けるといたしまして端的に一体水資源はあるのかということでございますが、まず降雨量をとりますと、全国平均は昭和48年度で1370ミリほどでございます。
 全国平均は5カ年ないし10カ年のスパンで見ますと、大体千四、五百ミリから2000ミリ程度でございますが、本県の場合には48年で1900ミリ、5カ年ないし10カ年のスパンで見ますと2200ミリほどの降雨量は、4割ほど全国平均より多いわけでございます。
 ところが、島国であって面積が少ないという中で人口で割りますと、1人当たり人口で年間の水量を見ますと、本土全国平均の半分だとこういうことでございます。これが1点目でございます。
 2番目には、本土の場合には島も大きく全国的な広域水源の確保がございますけれども、本県は隔絶された島でございまして、しかも山間部が北部に集中して特に沖縄本島の場合少ないということと相まって、本土では大体渇水期というものが10年ないし15年程度でサイクルが回ってくるけれども、本県の場合には5年ないし七、八カ年で本土よりも早い時期にその渇水期というのが気象条件の関係で回ってくると。
 そういう意味で福地ダムあたりが仮に満水しても渇水期が早くなりますから、いまは水があるけれども、ない場合を予想しますとそういう意味での渇水対策はぜひともやらなければならぬと、こういうことでございます。
 それも人口と関係がありまして予想以上に人口が伸びたため、あるいは家族の核化と言いますか、それと生活水準、電気洗濯機等が伸びて当初の計画よりも需要は人口の増加も相まって伸びたけれども、新しい水資源の開発が計画よりはまたおくれたと、このギャップが昨今の水不足を大きくなしているということ。
 3番目には、計画当初農業用水について検討はしたもののはっきりした数値が出ておりませんし、現在もいま模索の段階でございます。
 そして特に最近、第1次産業の見直しと言いますとどうしても換金作物と施設園芸と、水を多量に要するということになりまして、そういう意味で農業用水も含めますと相当この沖縄本島においては深刻な状態が来るということで、農業用水も含めて目下県においてはその長期需要を新たに見直してやっているという状況でございます。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) 不耕作地についてお答えいたします。
 不耕作地と言いますのは、いわゆる荒廃農用地あるいは遊休農地を指して言っておりますが、これの面積はちょっと古い資料でございますが、県の農業会議の調査によりますと、昭和49年12月の調査でございますが、約9000ヘクタールというふうになっております。
 この9000ヘクタールができた原因と言いますのは、いわゆる復帰直前、直後の農外資本によって買い占められた後の耕作放棄、それから農家の老齢化、またはその他の理由で離農したために不耕作地となっているものが主なものでございますが、これらの不耕作地につきましては農業振興地域の整備に関する法律の中で農用地区域に指定いたしておりまして、農地として積極的に利用を図るよう関係市町村に指導を行っているところでございます。
 また、規模拡大を希望する農家に活用させるために、各市町村の農業委員会による農地の売買、賃借などあっせんを進めております。
 また、県の農業開発公社の事業といたしまして農地の買い入れ、売り渡し、借入、貸し付け等によってその積極的な活用を図っているということでございます。
 ちなみに買い占められた企業からの買い戻し農地につきましては、主に石垣市でございますが、261万938平方メートルとなっております。
 次に、基盤整備を進めるためにはどうしても休耕補償が必要ではないか、特に沖縄の場合本土と違った形の基盤整備があるので、そういった意味でこれを進めるためにはどうしても休耕補償が必要ではないかという御質問でございます。
 確かに本土のように、水田のように単作、単年度の作物とは違いましてサトウキビの場合は二、三年、長いものになりますと5年も10年も株出しをいたしております。
 そういった意味でなかなか圃場整備を進めるためにこのサトウキビを刈り取ることにつきましては、農家の所得が減るということで強い反対がございまして、われわれといたしましてもこの実態をつかみまして数年来国に要請をしているところでございますが、国といたしましてはミカンとかあるいはその他の永年作物とは違って、サトウキビは永年作物ではないということで現在のところ補償の対象にはなりにくいということでございます。
 そこで県といたしましては、できるだけ農家の所得の減の防止を図るために工期の短縮をするということ。
 従来長期間にわたりまして御指摘のように3年も4年もかかったのでございますが、その地域の基盤整備につきましてはブロックを設けまして、ある一定期間にその地域は集中的に工事を進めるというようなこと、そういうことで工期を短縮することによって1年ぐらいで再生産が可能になるというふうなこと。
 あるいは年度の当初に着工するということ。これにつきましては51年度の4月からこういうことをやりまして、すでに51年度の圃場整備等につきましてはほとんど終わっております。そうすることによって夏植えができるということでございます。それから作付計画に合った工事を行うこと。あるいは収入が減になりますので工事に雇用できるようにすること。また融資を図るというようなことで、農家の収入減をできるだけ補っていくというふうに努力をしているところでございます。
 以上で終わります。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 風疹児対策についてお答えいたします。
 まず実態から申し上げますが、現在304名の児童が特殊学級の方で学習いたしております。
 この子供たちにつきまして去年の9月に、50年の9月でございますが、障害度の調査をいたしました。その結果は90デシベル以上の児童が221名、それ以下の児童が83名ということで90デシベル以上はこれは難聴児でなくて、いわゆる聾であるというふうな学者のこれまで専門家の指導もございまして、教育庁としてはそれに対応すべくいわゆる90デシベル以上の子供たちが53年4月から中学に進学する段階では聾学校に入れて、いわゆる聾教育を施すのが望ましいというのが1つの理由。
 それから2つ目には、現在小学校の方でいわゆる特殊学級でやっておりますが、学級担任制でございます、小学校は。中学校になりますというと教科担任制で専門教師の集団である聾学校での教育と、これが適切であると考えているということ。
 それから3つ目には、中学校教育と高等学校教育を一貫して行うためにも聾学校教育が望ましいと考えていること。
 それから4つ目には、社会自立のための職業教育の充実の上からも聾学校教育が望ましいと、こういう4点の考え方からこの県の心身障害児適正就学指導委員会で適正な進学指導を実施するための実務作業も始めております。
 それと並行いたしまして、先ほど申し上げましたような理由でこの子供たちが中学に進む段階では聾学校を新設してそこで子供たちを学習させた方がいいということで、保護者との話し合いも並行して進めております。
 先ほど友利議員から御指摘がありましたように、確かに一部の御父兄がまだこの内容について十分な理解ができなくて不安に思っておられる方々もいらっしゃいますが、ほとんどの御父兄がこの聾学校に入れることを希望しております。
 したがいまして、私たちといたしましてはまだ十分理解得られていない御父兄との話し合いをさらに深めまして問題を解決していきたいと、そういうふうに考えております。不安のない学校への進学を取り計らっていきたいと、そういうふうに考えております。
 なお、このための53年4月からの中学生としての受け入れのためのいわゆる県立の聴覚障害学校の新設、これの計画も52年度予算では国に対しても要求いたしております。
 なお、先ほど申し上げました90デシベル以下の子供たちにつきましては、いわゆるまた特殊学級のことも考えられますので、その面のことも合わせて計画をいたしております。
 なお、これに従事しますところの教員の養成、研修等につきましては、文部省とも絶えず連絡を取り合いまして52年度中に実施する計画を持っております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) ただいま山口組系暴力団の進出に関連いたしまして住民の方々を安心させる施策、保安対策について御提言をいただいたわけでございます。
 現在、先ほど来申し上げておりますこの上原一家の事務所に最も近い交番は、那覇署の安謝の交番で約500メートル離れております。
 そこでこの交番を暴力団事務所の前、付近に移すことはどうかという御提案でございますけれども、短時間のうちに交番を移転あるいは新設するということは、予算や敷地あるいは庁舎管理の問題など相当困難がございますので、交番を移したと同じように効果のある方策、これをとっていきたいというふうに考えております。
 現在、那覇署におきまして直轄警ら隊を設けまして重点的にそれらの制服員が徒歩警らを実施しておるところでございますし、また制服のパトカーによる周辺の機動警らも実施しております。また私服捜査官の配備もいたしておりまして、24時間体制で警戒を実施しておりまして、いつでも住民の方々の訴え、要望に応じることができるようにしてございます。
 また反面、こういう体制で暴力団に不法な動きがある場合には、直ちに検挙するようになっておるわけでございます。
 今後もこういう施策を講じていきたいと思っております。
 こういうことで、現に12月11日午後5時半ごろ、旭琉会の組員などが上原一家組員に取り囲まれて暴行、脅迫を加えられた事件がその事務所付近で発生しておりますけれども、現場において警戒取り締まり中の警察官がこれを認知いたしまして、上原一家の組員3名を逮捕しておるところでございます。
 十分な保安対策というものを今後も講じていくつもりでございます。
○議長(知花英夫君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 企画調整部長に強く要望しておきますけれども、先ほど人口問題が非常に基本的なことであると申し上げましたが、多少の狂いがあるのはあたりまえだと、日本でも100万人ぐらいの狂いはあるという例を引いておられますが、沖縄では皆さんの設定といまの展望とは実に7万の開きがあります。103万と110万、これは7万の開きでありますが、これは本土の100万どころの比じゃない、もっと前向きに取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 知事においてもしかりでありまして、県外の就職、広域職業紹介所を考える、これはあたりまえのことでありまして、要するに住みよいから沖縄に人が集まるわけでありまして、沖縄に人口が多いのは結構なことだと、その人口に見合うような政策をどしどし展開していただきたい。ただ安易に、よそに流せばいいという姿勢は私は不賛成であります。
 次に、警察本部長にお伺いしますが、付近住民が言っていることは、これは警察から流れた情報としまして、山口組と旭琉会は一触即発の危険性、危機をはらんでおるということが流れておりますが、その真意はいかがでございますか。
 なお、教育長にお伺いしますが、ほとんどの保護者がコンセンサスを得ているということでありますが、那覇の守る会では20%の父兄がまだ皆さんの対処策について賛成はしていないということを調査しておりますが、その辺いかがでございますか。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 那覇とそれから八重山の一部の父兄が確かにまだ十分了解してないということは承知いたしておりますが、20%といういま数字ではちょっと持ち合わせておりませんけれども、先ほど申し上げましたようにそういうまだ不安のあられる父兄とは十分お話し合いをもって臨みたいということでございます。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 山口組系の暴力団と旭琉会との間に一触即発の危険性がありや否やということでございますけれども、一触即発というほどの差し迫ったものではないにいたしましても、相当な危険性があることはあると思います。
 そこでそういうことが発生しては、私どもその職責を十分に尽くしたということは言えないと思いますので、それが発生しないように十分な警戒と取り締まりを実施しておるところでございます。
 兵庫県の方にも連絡をとりまして、そのような向こうの本庁暴力団の動きというもの、これも情報を提供してもらい、あるいは兵庫県の方で押さえてもらうということもいたしております。
 また、上原一家の組員の中でのいろいろ犯罪を犯した者につきましては、それぞれ罪証を集めまして姿を見せれば直ちに検挙をするというふうにも進めております。旭流会の方につきましても同様でございます。
 そういうことで、そういう危険性に対しましてそれが爆発しないように十分な警戒取り締まりを現在進めておるところでございます。
○議長(知花英夫君) 吉田光正君。
   〔吉田光正君登壇〕
○吉田光正君 本員は、革新クラブとしてすでに通告いたしました事項について所見を織りまぜながら質問いたします。
 第1に、農業の後継者育成についてはこれまでもたびたび質問をいたしましたが、さらに具体的な事項を提起しながらお伺いいたします。
 最近、農業の見直しとか、1次産業の重視とか、基幹産業としての位置づけとか、いろいろとこう言われてまいりましたが、結局はその部門の基盤を整備して機械化を促進して近代化営農へと、こう指向していくということが考えられます。しかし、逐年基盤整備が進んでもその基盤に立って営農する若い後継者の育成ということがなければ基盤が十分に生かされないことは自明であります。
 本員は、去る10月末に北部の若い農業者20数名と数時間にわたって農業問題について懇談の機会を得ましたが、その中で多くの若者たちが野菜部門とか、花卉部門、果樹部門、畜産部門、複合部門あるいはその他でよく研究をして意欲的に活動し、土に取っ組んでいるという姿を見て非常に意を強くしたわけでございますが、北部地区でも意欲的に農業に打ち込みたいという若い者がざっと1000人はいるという話でございました。
 その若者たちがまた多くの問題点を持ち、そして多くの悩みがあり、その解決の方法をどのような方向に向かっていった方がいいかあるいは行政サイドの方でどういうふうに解決していけばいいか、あるいはまたその解決の方法についていろいろと模索しているのが現状でございます。
 したがいまして、彼らと長い間話をしている間にいろいろとこう提起された問題について、その中から一応行政の方で取っ組めそうな問題についてこれからお伺いいたします。
 まず第1点は、農業に打ち込みたいけれども土地の確保がむずかしいと。したがって先ほどの質問にもございましたが、あの土地買い占めブームの時点で買い占められたところの遊休地がさっきの答弁でも9000ヘクタールぐらいあると、これは先島に多いとこういうふうに言われておりますけれども、北部地域でも相当にあります。
 そういう遊休地の活用の具体的な対策はないものかどうか。
 それから2番目に、この制度資金についていろいろと話が出ました。制度資金を活用して施設農業であるとか、あるいは営農資金、営農面でいろいろと利用はしているわけですが、貸付条件がもっと緩和できないかどうか。それから貸し付けの窓口手続がもっと簡素化できないかどうか。ちょっとしたところの書類の不備で全体的に突っ返される、そしてしょっちゅうこう行ったり来たりしているが、もう少し簡素化する方法はないかどうか。
 それから最近、農用資材の高騰によって従来の資金枠ではどうしても十分な施設あるいは営農がむずかしいと、だから貸し付けの枠を拡大してもらえぬかどうか。いま300万ぐらいの枠があるけれども、500万ぐらいまでには拡大してもらえぬかどうかといったようなこと。
 それから次男3男などでやはり農業に打ち込んでいきたいと、あるいはまた後継者育成資金とか、あるいはいろいろの制度資金を借り入れて営農に取っ組みたいけれども担保力が弱い、それで担保力が弱いものだからなかなか貸し付け対象にしてもらえないというようなこと。
 それでこういうような意欲的に取っ組んでいこうとする若者たちにちょうど信用保証協会のような基金制度を設けて、その基金制度で担保力を保証する方法はないものかどうか。こういうような制度ができれば、これからこの制度資金の活用面で非常にありがたいと、こういうようなこと。
 それから農業者の地位、いわゆる社会的な地位を向上せしめるため、これは去る9月定例議会の方でも農業大学の問題について質疑をしたわけですが、ちょうどほかの業種、たとえば時計屋に行きますと時計士がおる、めがね屋に行けば眼鏡士がおる、あるいはレストランに行くと調理師がおると。
 こういうような人たちは相当高度な技術を一生懸命やってそれ相応なり、その人たち、その職域におけるところの地位というのが相当確立されているということが現況ですが、ちょうど今日の農業というのは一番よく研究しているのが若い者が研究して、そして相当農業技術の高い高度の技術を持っているのが相当多く見受けられます。
 そういうような有能な農業技術者に、彼らのその技術を保持し、そして彼らの農業者としての社会的な地位を確立させ、そして誇りを持たせて打ち込むためには、彼らに農業士という制度がつくれぬものかどうか、いわゆる農業士制度が確立できないものかどうか。
 そういったような具体的な問題について、いろいろそのほかにもたくさんございましたけれども、このような当面こういったような問題について執行部の方においてもそういう問題を具体的に解決する施策、あるいは対応策というものが現時点において考えられていないかどうかお伺いいたします。
 それから不況対策についてたびたび問題が提起されておりますけれども、今日の不況というのはこれまでも言われているようにこれは大きくは国際的に石油ショック以来の問題、あるいは国内的な経済の問題、そして長期的にインフレあるいは不況の低迷が相当長い期間続いているということはこれは申すまでもございませんが、沖縄においてはそれにプラスして国際海洋博覧会後の経済落ち込みがさらにこれに拍車をかけてくるというようなことで、今日の不況というのは最も沖縄にしわ寄せされた形となって県民生活を脅かしているというのが現況かと思います。
 この今日ほどですね、県民の日常の生活の中でこの不況の問題が具体的に論ぜられたのは非常に少ないんじゃないかと。ということは非常に深刻であるということが言えると思います。
 これは統計的にもいろいろマスコミなどにも出ておりますように、今年11月末まででもすでに倒産件数が133件もあり、あるいは負債総額にして330億以上超えていると言われているが、しかしこれはこの統計的に出た表面に出ない多くの零細者がおることを私たちはこれは忘れてはならぬと思います。
 これはちょっと何ですけれども、夜逃げ的な倒産そういうものが非常に最近ふえているし、それからこの不渡り手形が非常に少額な不渡り手形が急速にふえているというようなことも言われておりますし、そういったような現況の中で公庫的な資金の問題については先ほどすでに御答弁がございましたが、先月あたりから実際上に貸し付けが始まっているんじゃないかと思いますが、この県単の小口、小規模経営の県単事業の資金がこういうような不況の中で、そして越年、年の瀬を迎えて具体的にそういうような小口の制度資金がそういう零細企業の人たちでどのように活用されているかの現況をお伺いいたします。
 次に、伝統産業についてでございますが、そのうちの沖縄の伝統織物にとって不可欠の藍染料の確保についてお伺いいたします。
 本員は、この件につきまして第1回の定例議会においても取り上げてまいりましたが、最近の報道によりますと、藍を製造する過程において原因不明でその原料を捨てなければならないということがたびたびあるということ、この原因がわからないということが報道されておりますので、そうしますとこの染料が確保されないと琉球の伝統織物にとってこれは大きな問題になってきますが、この藍製造ということは私も現場何回も行って見ておりますが、これまではこの人の製造されている方の長い間の本人の経験によって維持されているわけですが、いろいろと話を聞いてみますと、気象条件とかあるいは水質の問題とか、非常にその日その日の天候状況によっていろいろとこう微妙な影響があって、非常にこうデリケートな問題がすぐ製品に影響し合ってくるということを聞かされております。
 しかしこれは現在製造している方は1カ所しかありませんので、いつまでもそういったような方の体験とそれから勘に頼っておったんでは、将来この原料確保が非常にこう不安な状態になるわけで、いまの時点においてこれをもっとその面の専門家あたりで科学的にその原因を究明して、そしてしっかりしたところのデータを集めまして、これから先もそのデータによって製造が可能になるというような問題を現時点でこれは早く対処をとっておかなければ悔いを残すんじゃないかと、こういうふうに心配をしている一人でございます。
 したがいまして、現在製造しているこの人の保護対策も含めましてどのようにこれに対処していくかということについてお伺いをいたしたいと思います。
 それから次に、海洋博覧会会場の周辺の整備についてお伺いをいたします。
 とかく海洋博の問題はいろいろと論議が交わされましたけれども、一応これは終了いたして、その後もいろいろと後遺症の問題でまた問題を醸したわけですが、その会場そのものは記念公園としてあるいはその他の組織で運営の方向が決まっているわけでして、公園に入った人たちでも開園以来すでに30万人前後入ったと思いますが、予想よりも入っていると言われております。
 この会場そのものは、そういう方向で整備されていきますけれども、県道114号線の周辺から、あのいろいろと問題になった民間施設のあった周辺、これはもう本当に荒れほうだいに荒れて、そこを通ると全くゴーストタウンという感を深くするわけですが、そこの場所はそれとして、せめてこの114号線の周辺からあの向こうの備瀬の入口付近までの両サイド、ここを何とか整備して修景をしていく方法がないかどうか。
 また多くの人が観光バスでこう那覇から揺られてきて、そして終点地区に着くとすぐ手洗いに走っていくわけですが、ところがそこは民間の駐車場になっておって、その手洗い施設もちょっと板囲いののが1つあるぐらいということになってえらいテンヤワンヤになると。そして周辺の民家に飛び込んでいくとこういうような状況で、会場の中に入りますとこれは整備されているから問題はありませんけれども、当面そこの周辺の場所でそういったような施設を早い機会にこれを整備することがこの観光地としてもそのイメージダウンさせないためにも、早目にこの問題は解決しなければならないんじゃないかとこういうふうに考えるわけでございますが、これはどこがどういうふうな方法でやるかどうかということについてお伺いいたしたいと思います。
 部局が114号線の件から考えると土木でできるかどうか、あるいは観光の面から考えると観光課の方でやれるかどうか、そこは執行部の方で検討されてひとつ取り組み方をお伺いいたしたいと思います。
 最後に、文化財保護の問題についてでございますが、財政硬直とかあるいは経済不況とか、そういうような問題が社会全体の表面に浮かび上がってまいりますと、ややともすると文化財保護の問題などは後回しにされるような懸念がないではないわけです。
 この文化財の保護の問題、あるいは保護する必要の問題につきましてはこれはいまさら申し上げるまでもございませんし、また昨年は文化財保護法も大幅に改正され県も制度的にはそれに対応してきているわけですが、しかし現実の問題としていろいろと具体的な問題が出てきた場合に、あるいはまたいろいろとこう開発が進んできますと思わぬところに埋蔵文化財があったりしますので、そういったようなものを調査し保護していくところの対応というものがいわゆる即応体制というものができているかどうか。それを早く即応体制をとらないと保護の面からも、あるいはまたそこに事業をしている人たちの事業の進め方の問題からしてもいろいろと問題を醸し出しますので、そういうような具体的な対応策について現在どのように取り組まれているかどうか。
 私が聞く範囲におきましては、専門家やあるいはその他の人が足らないとかいろいろとこの取り組みの面で問題があるのではないかとこう考えられますが、ひとつ現況をお伺いいたしまして質問を終えます。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 順序は狂うと思いますが、第1番目の農業振興に関する問題で、農業に打ち込みたいが土地がないと、こういうお話を初め、きめ細かい御質問になっておりますので、関係部長から答弁させることにいたします。
 ただ、この土地の件に関しまして農業開発公社が企業から買い戻した土地が261万938平方メートルあり、さらに俗に言われます遊休地というものが4万1000ヘクタールある。
 この土地を生産に活用するためにいかようにして若い人々をそこに送り込むかと、これが私は就任以来この数字を見て非常に考えさせられているところでありますが、これまで各関係部においてもいろいろと考えておりますので、その点は関係部長から答弁させることにいたします。
 なお、伝統工芸に入っております藍の問題でありますが、これは本部町伊豆味で製造されている琉球藍は、沖縄の伝統工芸品として有名な紅型、琉球かすり、芭蕉布、宮古上布等の染料に古くから用いられてきた天然染料であります。
 現在でも琉球藍で染められた織物の美しさは本土でも特に脚光を浴びており、沖縄の伝統織物を支えていく上からきわめて重要な染料でありますが、私は最近これが非常に危機に直面しておると、こう聞かされたのであります。
 そこで関係部門に聞いてみまするというと、琉球藍の製造は、微生物による藍の還元作用が利用されているため、発酵管理に際しては細心の注意が必要である。ところが現在の製造工程を見ると、さき吉田議員の御意見の中にもありましたとおり、古くからの言い伝えや長い間の経験により体得した勘に頼った作業を続けているのが現状のようであります。
 そこで県といたしましては、従来の製法に科学的な研究を加味させ、より安全で良質の藍が生産できるよう試験研究機関を通して対策を講じてまいりたいと思っております。
 なお、最近の新聞報道等でも御存じのとおり、琉球藍の製造過程において原因不明の不作が起こり、製造業者はもとより織物関係業者等にも深刻な不安を与えておりますが、県としましても試験研究機関や専門家を通してその原因究明を急いでいるところであり、その原因が判明次第対処策を講じていきたいと思っております。
 次に、御参考までに現在までの琉球藍に関する県の助成措置を申し上げますというと、48年に製造工場の施設補助として300万円、昭和50年度に製造工場施設改善補助として136万6000円、さらに50年度から藍葉生産者に対する生産奨励費として115万円を予算化し、現年度も同額の予算を確保し助成しているところであります。
 さらに、藍の保護保存のため、教育庁においても琉球藍の製造技術を県の無形文化財技能保持者に指定し、保護策を講ずべく現在調査中と聞いております。
 なお、海洋博跡地周辺の整備については、関係部長から詳しく答弁させたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) まず農業をやるためには土地が確保できなければならないということで、特に沖縄の場合遊休地がたくさんあるので、これを活用できないかということでございます。
 確かに遊休地が先ほど申し上げましたように9000ヘクタール余りございますが、これの活用につきましては、各市町村の農業委員会あるいは農業開発公社等であっせんまたは売買等をやっておりますので、そういった面で確保できるのではないかと考えております。
 それから制度資金の活用の面でございますが、確かに農業金融関係の資金につきましては非常に繁雑なものなどがございまして、いろいろこれにつきましては批判されているところでございますが、逐次改良をされているようでございますが、やはり全国的なものでございますので、即座に簡素化は困難なものもあるようでございます。
 特に資金枠の拡大等、あるいは担保力の問題等につきましても常々要請をしているところでございますが、農業改良資金につきましては、無担保無利息という点がきわめて有利なものでございますので、こういったものも活用できるのではないかというふうに考えております。
 それから担保力を補う方法として基金保証協会等の問題は考えられないかということでございますが、現在水産とかあるいは林業等につきましてはこの種の基金がございますので、農業につきましてもこういった基金の検討を進めていきたいというふうに考えております。
 それから農業士の問題でございますが、確かに今後の若い者の社会的地位を上げ、また誇りを持たせるためにはこういった農業士の制度も非常に適当な施策かと思いますが、ほかの県では特に先進県におきましては、こういった農業士制度が最近発足をしております。
 沖縄県におきましても、これら先進県の実態や制度、内容等を調査してこの制度の創設をやっていきたいというふうに考えておりまして、52年度に認定委員を発足し、53年度から農業士制度を創設していくというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) さっき数字の後を申し上げなかったようでありますので……。
 4万1000ヘクタールの耕地のうち9187ヘクタールが休耕地になっているようであります。
 全体を言うて後を言わなかった、どうも失礼しました、訂正いたします。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 海洋博会場跡地周辺の整備について御答弁申し上げます。
 御指摘のように海洋博周辺地域には民間施設がまだ撤去されずに放置されておりまして、周辺の美観を著しく損なっているということは先ほど御指摘のとおりでございまして、県としましてもこれらの問題につきましては、今後海洋博記念公園を核としての誘客宣伝の推進の上からも海洋博会場跡地周辺の環境を整備することは最も大切なことと考えておりまして、関係町村と密接な連携のもとに対処してまいりたいというふうに考えております。
 特に地元本部町役場あるいは商工会等ともよく連絡をとりながら、周辺整備に努力してまいりたいというふうに考えております。
 さらに、海洋博会場近くに便所等の施設が少ないというような御指摘でございましたが、記念公園を中心に25カ所設置されているようでございますが、来園者に対して必ずしも十分対応できないというようなことも御指摘にもございますんで、地域の本部町とも十分に調整しながら今後対処してまいりたいと、このように考えております。
 次に、中小企業の小口資金の現況について説明してくれというような御指摘でございましたが、中小企業の小規模企業対策資金ということを現年度からことしから発足したわけでございますが、10月末日に発足いたしまして融資目標として3億円を考えております。現在のところ保証協会で審査中でございまして、その審査事務が完了次第融資のあっせんの運びというふうになるわけでございます。
 さらに、そのほかに年末資金としまして御案内のとおり季節資金で10億円準備し、現在そういった融資をやっているわけでございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) お答えいたします。
 埋蔵文化財の保護についてその対策ができているかという御質問でございますが、一口に申し上げまして、まだこの面につきまして陣容が十分じゃないと。
 と申しますのは、いま発掘調査に対応できる担当職員が文化課に4人ほどおります。文化課以外に、いわゆる県内においてこの発掘作業に調査等に従事できるのが4ないし5名――いずれも専門家でございますので――おりますが、この4ないし5名はそれぞれ公務に携わっておりますので、いざと、いわゆる大型の開発工事等に伴いまして埋蔵文化財等の緊急発掘をやらなければいけないという場合に十分な戦力になり得ないというふうな現状でございます。
 したがいまして、県も市町村もこれからの文化財保護行政の体制強化のためには、早急にその体制を整える必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明16日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、決定次第通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後7時35分散会

 
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