平成14年(2002年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 6月20日
糸数 慶子
 

 おはようございます。
 代表質問に入ります前に、昨夜大変ショッキングな報道がありました。児童生徒の人権を守り、教育を通して生きる喜びを生徒に指導するはずの教師が、事もあろうに児童買春禁止法違反の容疑で逮捕されました。子供を持つ親の一人として言葉がございません。教育長はこのことにどう対応され、緊急な対策をこれからどうなさるおつもりか。そして事実関係についてぜひ県警本部長の御意見をお伺いいたします。
 それでは、社大党・結の会連合を代表して通告に従い所感を述べつつ順次質問を行います。
 最初に、知事の政治姿勢について。
 まず、復帰30周年記念式典についてお尋ねいたします。
 社大党は、72年の復帰以前には「復帰政党」と呼ばれ、復帰後は県民が熱望した真の復帰を実現するために沖縄の地域政党として沖縄の平和と自立のための活動を中心に存続してまいりました。それだけに復帰10年目、20年目という節目の年にはそれなりの感慨を持って迎えてきたのですが、この30年の節目は初の政府との共催式典ということもあり、過去の節目の年よりも一層の危惧の念を抱きつつ注目してまいりました。復帰運動を主体的に取り組んできた政党としての自負から記念式典の意義づけ、持ち方などに疑問を持ちながらも県民の代表として出席いたしました。
 しかし、予想どおり有事法制論議のもと、ベーカー駐日大使発言に代表される米軍基地賛美に満ちた内容になり、内外に反響を巻き起こし県民の怒りを招く結果になったことは許しがたい思いがいたしました。
私は、式典当日はフランスに滞在しておりまして参加しておりませんが、伝えられる反響の大きさには暗たんたる気持ちになりました。さすがに稲嶺知事も大使発言に不快の念を示されたことが報道されましたが、改めて共催式典の反響をどう感じておられるか。
 また、式典や祝賀会の案内基準はどうなっていたのか、共催式典への知事の率直な評価、そして今後の対応策についてお伺いいたします。
 次に、有事法制と沖縄についてお尋ねいたします。
 この有事法制に関して翁長那覇市長が実に興味深い発言をしています。それは、「普天間飛行場代替基地の15年使用期限問題は、初めて沖縄側が「基地を預かりましょう」と主体的に示したものだ。それを「将来の情勢が読めないから米国には言えない」という政府に、有事や住民の人権に対する哲学があるのか。それがないまま法整備を急ぐ姿は情けない。」と痛烈に政府を批判しています。
 それに比べると、知事は、有事法制論議の中で沖縄の米軍基地問題も取り上げられるのなら結構という姿勢に終始しています。知事の姿勢は、翁長市長に代表される県内の保守系首長や保守系議員が主導する市町村議会の大勢とも大きな隔たりがあるように思いますが、有事法制に対する県内世論をどう受けとめておられるのか、知事の所見を伺いたい。
 知事の政治姿勢の最後に、新振計についてお尋ねいたします。
 振計で懸案の旧日本軍飛行場用地問題の解決方向が戦後処理という形で明記されました。同問題では4つの地主会で協議会を構成し解決を模索してきましたが、原因は同じでも現状はそれぞれ異なります。県では、各地主会の目的達成のために戦後処理の名目でどのような解決方法を想定していますか。個別に、具体的にその実現のための方策をお伺いします。
 新振計の県案策定の責任者で政府案決定に影響力のある審議会の委員でもある知事に、県案を後退させることなく政府案に対する決意表明を改めて伺います。
 次に、米軍基地問題について。
 海兵隊の海外移転の問題ですが、この問題では県が今度極めて重要な政策転換をしたのではないかと私は注目しております。今度の沖縄振興計画の県案の中では、「在沖米軍の移転を含む米軍施設・区域の整理・縮小に積極的に取り組む」と明文化されました。これは大きな政策転換です。
 従来、県は普天間基地の代替施設でさえ県内移設を容認し、海外移転を主張しませんでした。また、国も読谷補助飛行場で行っていたパラシュート降下訓練を伊江島での実施という方法、104号線越えの実弾砲撃演習も国内5カ所の演習場に分散・移転しましたが、これも決して海外移転を口にしていませんでした。
 しかも、10年単位の振興計画にはなじまないとされたものが、「積極的に取り組む」と明文化されたのですから大転換です。それも「在沖米軍の移転」ですから、海兵隊だけでなく4軍をターゲットに在沖の移転ともなれば、それはもう県外を含む海外しかないわけで、文字どおり画期的な大転換です。これは後ほど触れますが、下地衆議院議員の海外移転論と密接に絡むものであります。質問の通告の趣旨を踏まえて明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、地位協定の改正の問題は、政府、つまり外務省の動きが全く見えません。そこで、県が要求した項目について個別に進捗状況を説明していただきたい。
 運用改善についてもどの項目がどの程度の運用改善がなされているのか、改善の程度についても御報告をお願いいたします。
 基地問題の最後に普天間基地移設問題です。
 なぜ、この問題は現在停滞しているか。知事公約の県内移設論と新振計や下地提言の海外移設論には相当の乖離があると思われますが、そうしたことが同問題の現在の停滞に関係しているのか。
 なぜ、代替施設協議会は最近開催されていないのか。名護市長のオスプレイ拒否発言も影響しているのかどうか。その理由についても明快な御答弁をお願いいたします。
 経済振興政策について。
 今度の振興計画では、その基本方向で「民間主導の自立型経済の構築」が目標として掲げられています。「発展可能性の高い産業領域を戦略的に振興し、他の産業分野との連携を通じてその波及効果を高め、経済全体の活性化を図る。」となっており、中でも特別自由貿易地域や金融業務特別地区で企業立地等を促進するとなっております。
 私は、この金融特区について、去る5月20日にアイルランドのダブリンでジェトロのダブリン事務所長のレクチャーを受ける機会がありました。過去のアイルランドは農業と観光に特化した島で、欧州でも経済の停滞した地域でしたが、80年代後半に企業誘致目的でダブリンに金融特区を設置して優遇措置で法人税を半分の10%に軽減。固定資産税も10年間は免除、利子及び配当への源泉税非課税、賃貸不動産賃料損金算入制度を導入したということです。これは明確な自立化戦略でした。この戦略が当たり、銀行、証券会社、資産運用会社等約1000社が大企業の資金調達運用の集中管理拠点やコールセンターを立地、1万6000人余の直接及び間接雇用を創出してアイルランドは見事に経済の自立化に成功いたしました。
 このダブリンの金融特区の例に見るだけでなく、ほかの成功事例を学べば学ぶほど基地受け入れの見返りに渋々認められた名護市に導入予定の金融特区は、金融特区の名に値しないのではないかとさえ思います。要は、確固たる哲学と風土に根差した政策が肝心だと思うのですが、これが欠落しています。
 そこでお尋ねいたします。
 この金融特区制度の導入を前にこうした数々の批判や指摘をどう克服して沖縄の経済自立を達成するのか、県当局の具体的な施策をお伺いします。
 金融特区の問題点として、今抱える課題と今後の展望をまず伺い、その後に具体的な課題として県内の雇用対策にプラスでも国際的な企業誘致にはマイナスに働くであろうと批判されている金融特区の立地企業の雇用条件についてその対応策をお伺いします。
 さらに、政府が推進している特区構想の全国展開の動きが沖縄の自立化と特区構想にどのような影響を与えるのか。とりわけ特区の拡大が沖縄の比較優位性の消失につながらないか。また、政府の進める自立化政策の背景には財政再建と財源難の時代に対応した金のかからない経済活性化策との批判もありますが、軍事基地の県内移設の見返りに獲得した金融特区が、自立経済とは無縁な政府の安上がり政策の一環に陥らないための県当局の知恵と決意をお伺いします。
 次に、観光振興策について。
 カジノと観光戦略について。

 カジノと安全コストですが、私は先月5月、沖縄振興特別委員会のメンバーの一人としてカジノの本場モナコを訪れ、政府の広報担当者からカジノの経営について説明を受ける機会がありました。
 カジノについては、これまでラスベガス、マカオ、フィリピンと各地を回り見聞してまいりまして、実は今月初めにもラスベガスを視察をして帰ってきたところです。カジノは治安面が最大の課題ということですが、そこに内閣府のまずカジノの特区構想が沖縄でもありましたが、沖縄県でのカジノ特区導入は治安面への懸念が最大の課題として見送りになったのは至極当然だと言えます。
 そこでお尋ねいたします。
 カジノ導入に当たり安全コストをどのように考えているのか。また、これまで沖縄が掲げてきた観光戦略とカジノ導入施策は矛盾するのではないかと考えますが、御見解を伺います。
 次に、沖縄観光の量的拡大から質的転換という問題についてお尋ねいたします。
 県は、第4次県観光振興基本計画で2011年の入域観光客を650万人とする目標数値を挙げておりますが、復帰の時点で約40万人、そして現在では四百数十万人と30年で10倍にも拡大しておりますが、昨年の米同時多発テロ事件の際に露呈したように、量的拡大は沖縄観光の体質強化に必ずしも直結しないということが明確になりました。
 沖縄観光関係者における9・11テロの最大の教訓は、量的拡大から質への転換ということだということで、これは主として観光産業における量から質へ転換するということですが、最近はエコツーリズムの視点から観光環境の面でも量から質への転換ということが切実な問題になってきております。今や観光の比較優位性に地域特性は欠かせません。
 私は、モナコやニースに参りましたけれども、沖縄の青い空、青い海、それはモナコやニースにも決して負けておりません。世界に冠たる長寿県沖縄の食文化と健康食品、そして芸能の宝庫であり、文化環境が諸外国の観光客を魅了いたします。したがって、観光の将来展望はエコツーリズム、それから沖縄の文化、ウェルネスにこそあると私は確信しております。ひたすら量的拡大路線を走ってきたこれまでの本県の観光政策を見直す時期に来ています。
 そこでお尋ねいたしますが、観光産業における量と質の問題についてどのように考えておりますか。観光環境における量と質の問題をどう認識していますか、御見解をお伺いいたします。
 次に、環境・文化政策についてお尋ねいたします。
 泡瀬干潟の埋立問題について。
 今度は、この埋立計画に係る漁業補償の算定根拠が極めてずさんだったことが情報公開で明らかになりました。
 報道によりますと、漁業補償の妥結額は約20億円ですが、当局の提示額が7億円、対する漁業組合の要求額が60億円です。つまり、最終妥結額は当初提示額の約3倍、要求額の3分の1であります。これでは当初の提示額や要求額の算定根拠がその合理性を疑われますし、最終の妥結額の算定には全く合理的な根拠がありません。
 そこで改めて伺いますが、この漁業補償の算定根拠を説明していただきたい。この不透明な算定根拠に基づく埋立計画の上に立てられた土地利用計画の不当性について、今の時点でどのように考えますか。さらに、論議を呼んでいる移植実験等の現在の環境破壊についてどう考えていますか。県当局の御見解を伺います。
 次に、大学院大学についてお尋ねいたします。
 そもそも泡瀬干潟の埋立問題は、沖縄市の海に開かれたまちづくり、国際交流リゾート核の形成というところから始まっていますが、そのことを考えますと、いわゆる目的は沖縄市の東部海浜開発の活性化策になっております。であるならば、この東部海浜開発、沖縄市の泡瀬地区に大学院大学を建設する、これはいかがかと思います。
 大学院大学の誘致には那覇市を初め各市町村からも手が上がっておりますが、沖縄市は「国際文化観光都市」と称し、響き触れ合う平和と交流のまちづくりを目標にした町であります。現に現在、外国人約20カ国の方々が住んでおります。それに、幸か不幸か極東一の米軍基地の存在は、外国人教授や職員及び関係者の子弟のための教育環境の対応も可能で、基地の平和利用という意味で県民のコンセンサスも得られるものと考えます。
 基地の平和利用といえば、泡瀬通信施設を返還させ、その跡地に建設費が約1000億円、運営費が数百億円の大学院大学を建設するとなれば年間の土地代が5億円余り、雇用員たった数人の軍事基地とはその存在の意義と価値は比較になりません。
 この泡瀬地区には、大学院大学の周囲に知的産業のクラスターを形成するのに抜群の環境がございます。沖縄市は、沖縄自動車道の存在で中北部のリゾート地や中南部の市街地への交通アクセスも便利であり、また旧シェラトンホテルやグランメールホテル等の大型遊休施設もあり、泡瀬ゴルフ場の返還も予定され、大学院大学の立地に関しても設立準備期間の施設確保や附帯施設の立地条件にも十分対応できる好条件が備わっていると思いますが、この大学院大学の立地の選定上、県は具体的にはどのような条件を提示し、また泡瀬通信施設を返還させ、その跡地に大学院大学を立地することについて稲嶺知事はどのように考えていますか、御見解を伺います。
 6番目に福祉・医療行政について。
 DV関連法案が成立し、「配偶者の暴力防止及び被害者の保護に関する法律」が制定されて、県の方では今度乙第5号議案に提示されておりますように関連条例を改正することにしておりますが、沖縄県の現状とニーズについて、改正の理由について、今後の展望について伺いたい。
 それから、ハンセン病療養所入所者の県営住宅への入居に関する乙第11号議案に関連いたしまして、沖縄県の現状とニーズについて、行政の謝罪、贖罪と優先入居問題についてもお伺いしたいと思います。
 児童扶養手当が今回改正され、8月1日から施行することになっておりますが、この沖縄県としましては母子世帯が大変多く、本県においてこの措置は小泉内閣の弱者切り捨て策と言わざるを得ません。
 そこで、県内の対象者、そして対象総額などを含めまして、この県の関係者の現状をどう把握し対処していくおつもりか。
 また、政府の目的にしている点と、本県の現実について、そして将来展望と自立支援策はどうなっているのか、お伺いいたします。
 最後に、新県立那覇病院について。
 精神障害者身体合併症の診察体制確立のための精神科病棟について県の対応をお伺いします。
 子ども病院の病床面積及び建設までの諸課題についてもお伺いをいたします。
 答弁によって再質問いたします。

 
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