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昭和54年(1979年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 3月 7日
第 6号 3月 7日
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議 事 の 概 要
昭和54年3月7日(水曜日)
午前10時1分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第18号議案まで及び乙第1号議案から乙第21号議案まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 城間 盛栄君(社大党)
2 村山 盛信君(自民党)
3 砂川 武雄君(自民党)
4 渡久地政仁君(自民党)
5 石垣 喜興君(自民党)
6 比嘉 昇君(自民党)
7 我喜屋宗重君(自民党)
8 新垣 淑重君(自民党)
9 照屋政太郎君(自民党)
午後5時7分散会
○議長(大田昌知君) これより、本日の会議を開きます。
日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第18号議案まで及ぴ乙第1号議案から乙第21号議案までを議題とし質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
城間盛栄君。
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 限られた時間で、基地問題については次会に回したいと思います。
早速質問に入ります。
本員は、さきに通告いたしました順を追って所見を述べながら質問いたします。
知事提案理由の第1次産業に対する姿勢が弱いという感を受けまして、私は第1次産業の振興をあえて質問事項として取り上げてまいりましたのであります。
前平良知事は、農業施策を重視し、本県は亜熱帯という自然的条件に恵まれこの地の利を生かして本土市場への農畜産物の供給基地として位置づけ農業の振興施策を強力に推進してまいりましたが、西銘知事就任間もない53年12月定例議会においてわが党代表の仲本議員の質問の中で、サトウキビ価格は生産費及び所得補償方式で2万5000円国に要求したが、生産費を割る1万8730円と低い価格で決定されたので、サトウキビ価格はどう思うかとの質問に対し、知事は、サトウキビ価格は今後期待できない、基盤整備の促進を図ることが急務であるとの知事の御答弁に対し、私はキビ作に対する知事のお考えにいささか疑問を抱くようになったのであります。
まず最初に、農業基盤整備についてであります。
本県は、戦後27年間長期にわたり米施政下に置かれ、軍事優先施策のもとで農業基盤整備はほとんど行われてない。昭和50年土地改良事業の灌漑排水本県が3%、全国が19%、農用地区画整理本県が5%、全国が49%と整備率において著しく低く農業基盤整備は本土に比べ立ちおくれており、農業施策の中で重要施策として積極的に推進しなければならないと思います。
近年、このような情勢を踏まえて農家の意識も高まり、復帰後県も沖縄振興開発計画に沿って積極的に推進したため、土地改良事業は復帰の年昭和47年度を100%とすると50年度は177%、53年度448%となり事業費も急増し140億円に達しております。
土地改良整備事業によりサトウキビの生産において整備後の比較指数から見た場合、10アール当たり整備前6.5トンだったのが、整備後は9.3トンの増収となり、労働時間も10アール当たり170.2時間要したのが、整備後は21.2時間と省力化され、1日の家族労働報酬も1人当たり2765円だったのが、1万5437円と約6倍の所得を上げていると県の資料は示しています。資料の示すとおりキビ作団地の造成、機械化による省力化と経営規模の拡大など合理的農業経営が全キビ作農家に農政が施されておれば、キビ価格の引き上げの要求は出てこないと思います。
ここで土地改良事業の促進について質問いたします。
53年度までの基盤整備の実績と計画目標年次60年に対する達成率について。
2点目、土地改良事業は特に離島の久米島、宮古、八重山においてかなり推進されているが、本島の中南部地区はおくれている感がしますのでその要因について。
3点目、土地改良事業を進める上には組合結成準備から事業完了までには相当の年数を要し、事業経費の中で換地及び評価費の補助はあるが、運営事務費が年間300万円から400万円要するため組合員の負担過重となっており、事務費補助はできないかどうか。
4点目、キビ作団地の土地改良地区における悩みは、夏植えキビ作の収穫は1カ年半かかるので事業期間中の所得が皆無となり生活に支障を来すので、休耕補償はできないかどうか。
5点目、土地改良地区内の生活排水、地区外排水は管理上3面コンクート張りの要望が強いが、素掘り排水設計には不満があるのでその理由について。
6点目、土地改良事業の採択の基準は、組合員の同意は何%以上であるのか。何名かの不同意者がおっても着工しながら理解と協力を得て完成させているのか。
7点目、土地改良事業工事施行に当たり早期着工、短期間で竣工し早期植えつけができるよう工事施行において可能であるか、以上7点について関係部長の御答弁を賜ります。
次に、漁港の整備計画について。
本県は、4面海に面し漁業基地としての立地条件に恵まれ、その上200海里時代を迎え県も漁港の整備について先導的役割りを持つ糸満漁港を初め、漁船の避難上必要な仲里漁港、地域の中核的役割りを持つ泊漁港など30港の漁港があり、漁港の改良事業は本島、離島を問わずかなり促進されている感がいたします。
ここで質問いたします。
1点、これまでに整備されている漁港の数と未整備漁港の数について関係部長にお伺いします。
2点目、漁港の改良事業は、土地の買い上げの必要もなく予算さえつけば執行面では問題はないと思います。停滞を続けている県経済の景気浮揚対策、雇用失業対策、後継者育成の上からも残された未整備漁港を7次計画策定を早め前倒し事業として推進すべきだと思いますが、知事の御所見を賜ります。
県外出荷野菜の輸送費補助について。
本県は、わが国唯一の亜熱帯地域であり本土と異なった農業形態を有し、亜熱帯という自然条件を生かし復帰後は本土の冬春期に向けての端境期をねらって野菜を初め花卉、柑橘類が本土市場に進出するようになりました。県も野菜の生産を奨励するため野菜価格補てん事業、特定野菜等価格安定事業を行っておりますが、その成果は実り本土出荷野菜も年々増加しております。本県は日本国の南端に位置し遠く海を隔てており、離島県としての悪条件下にあり輸送経費が高くつき農家手取りが少なく、本土出荷野菜の生産意欲の阻害要因ともなっております。昭和51年野菜の本県への移出入状況は、移入額31億3861万円に対し、沖縄から移出した金額は1億6450万円であり、29億7411万円の入超額となり沖縄からの出荷額の19倍という莫大な資金が流出されておることがわかりました。
本員は、52年定例会において、沖縄の自立経済の発展の上から亜熱帯という自然条件を生かし栽培技術の指導、販売体制の強化、輸送経費の補助対策を施し本土市場への移出攻勢に転ずべきだと提言し、本土出荷野菜の輸送経費補助を行うよう要望しましたら、53年度予算措置の中で、県は野菜輸送特別対策事業費として1700万円計上し芽を出してまいりました。そして最近の新聞情報も、東京市場ではキャベツ、白菜は暴落しどろ沼市況となっているが、県産のサヤインゲン、カボチャ、スイカなど本土物に比べ色、つやもよく高値で取引されているとの明るい情報である。また野菜と並んで花づくりブームとなり、収益性も高く若者の人気ある作目としてキビ作から花づくりに転換する農家がふえつつあると言われております。
このように、本土の冬春期に向けての野菜、柑橘類、花卉、その他農作物の出荷量もふえつつあると考えられますが、ここで質問いたします。これは関係部長にお伺いします。
1点、本土出荷野菜の実績はどうなっているか。
2点目、本土出荷野菜の輸送経費補助事業の制度をさらに充実強化し積極的に推進すべきだと思いますが、知事の御所見を賜ります。
畜産の価格安定対策について。
本県の畜産は、戦前恵まれた自然環境や盛んな県内需要等に支えられ全国でも有数の飼育頭数を誇り畜産収入はサトウキビ収入と匹敵し本県経済の主柱をなしていたと言われておりますが、第2次世界大戦により壊滅的打撃を受けております。戦後は戦災から免れたわずかな家畜とハワイ、本土からの導入家畜をもとに増殖され、昭和51年における畜産物の粗生産額は258億円で、農業粗生産額759億円の34%を占め本県農業において畜産が重要な地位を占めております。
また、家畜畜産物の流通については、肉用牛を除く他の畜種のほとんどが県内で消費され、市場が狭いため特に豚肉の需給変動が大きく価格が不安定のため、県は復帰後畜産公社を設立きせ畜産の価格安定補てん事業を実施し、畜産の価格はここ二、三年安定を続け畜産農家の生産意欲も高まってまいりました。
また、前平良知事は沖縄の自然的条件を生かし本土市場への畜産供給基地としての主生産地として位置づけ、県農業振興基本計画でも示されているように家畜生産の見通しを、基準年次昭和51年、目標年次昭和60年、肉用牛3万6900頭を8万頭に、豚が19万6000頭を33万頭に、1例を挙げて申し上げましたが、このような生産計画のもとに畜産基地の建設を初め生産構造の改善などを推進し、生産も大きく伸びてきました。
豚の生産基準年次昭和51年19万6000頭をわずか2カ年後の53年6月現在27万頭に達していると言われており、今後畜産の振興を図るためには畜産価格の安定対策はごく重要だと思いますので、ここで質問いたします。
1点、52、53年度実施した対象家畜への価格差補てん事業並びに県産食肉加工価格差補てん事業の交付実績はどうなっているか関係部長にお伺いします。
2点目、54年における資金計画の中で畜産の価格安定資金量は十分確保できておるでしょうか、知事の御答弁を賜ります。
公共工事の執行について質問いたします。
1点、53年度の県の公共工事、土木部の執行率12月末現在71%となっているが、執行上どういう隘路がありますか土木部長の御答弁を賜ります。
2点目、53年度の市町村の公共工事執行に当たって、排水工事契約で1月初旬着工、竣工3月末と契約された工事施行の中で、業者は排水工事の資材である間知ブロックの調達ができず、2月28日現在着工されてなく年度内執行が事実上不可能となっている。53年度国、県、市町村の景気浮揚、雇用失業対策のため公共工事が拡大され土木建築資材のセメント、砂、バラス、その他建築資材の生産と需要のアンバランスによるものか。もしそうであるとすれば、物不足の現象のあらわれであり物価高の誘因ともなりかねない。さらには個人住宅建築などへのしわ寄せも予想されると思いますが、県の公共工事の執行上にもこのようなことが起こって執行率に影響しているのか、現在砂、バラスの生産状況はどうなっているか、業者の数と業者に対する行政指導は行っておりますか知事の御答弁を賜りたいと思います。
琉球大学関連道路の整備計画について質問いたします。
琉球大学は、復帰の年昭和47年に中城、西原両村にまたがる土地を買い上げ土地造成に取りかかり、農学部の農場整備、校舎など完成し2月に農学部は首里から移転しております。
琉大医学部も、琉球大学敷地の隣西原村内に敷地造成も終わり、10月開学56年学生募集すると発表され、琉球大学も57年までには全学部移転完了の予定であり、この周辺は学生、職員、外来者を含めると日中人口の往来は1万人以上と想定されており、両施設への交通の基幹をなす県道29号線の整備が立ちおくれておると思いますが、ここで質問いたします。
県道29号線北上原入り口から首里までの整備計画はどうなっているか関係部長の御答弁を賜ります。
準用河川の整備促進について。
本県は、暴風の常襲地帯と言われ雨量も多く豪雨のたびごとに準用河川のはんらんが随所に起こり土地が浸食され、国土の保全、個人財産の保護の面からも河川の整備を促進しなければならないと思います。市町村の管理する準用河川の改修工事の補助率は国の補助が3分の1の低率であり、一市町村の財政力では改修工事は遅々として進まない現状であります。現在準用河川工事を行っている市町村はわずか2市2村にすぎないので、県も準用河川整備を促進させるため52年度予算から10分の0.6の補助を行って推進しております。
ここで質問いたします。
市町村管理の準用河川の改修促進を図るには、他の公共事業同様の補助率に引き上げるよう国の補助率改正を求める必要があると思いますが、知事としての御見解を賜りたいと思います。
以上でございますが、土地改良については関係部長と申しましたが知事の御答弁を求めたいと思います、訂正いたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 城間議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
第1次産業の振興と関連いたしまして、土地改良事業等を中心とする基盤整備の達成の状況についての御質問につきましては担当部長から答弁させることにいたします。
次に、漁港の早期整備についての要望を交えての御質問がございましたが、これにつきましては現在県の管理する漁港が67港ございまして第5次計画、第6次計画で採択されたのが33港でございまして、残り34港につきましては局部改良事業等で整備していきたいと考えておりますが、これだけでは十分な整備の目的を達成することができませんので、国に対しまして第7次計画についてこの促進方を図っていきたいと考えているところで ございます。
次、野菜の輸送費の補助についての御質問がございましたが、御案内のとおり農業収入の中で第1位は畜産物約300億円、それからキビ代収入が約240億円、野菜がこれに次いでおりまして約150億円の出荷額になっておりまして、たばこの30億、パインの20億と比較いたしまして野菜の出荷は非常に順調でございます。
本土市場における好不況の影響を受けることが非常に激しい作目でございますが、何としてもこの輸送費は継続して補助していかなければならないと考えておりまするし、現在21市町村、27農協を補助対象にしておりまして53年度におきましても約1700万円の助成をいたしておりまするし、今年もなお引き続いて同額の補助をしていきたいと考えておるところであります。
畜産の安定対策につきましては、農林水産部長から答弁させることにいたします。
次に、公共事業の執行体制につきまして建築資材の需給の動向を交えての御要望がございましたし、その執行体制の強化についての御質問がございましたが、これにつきましては土木部長から答弁させた方がいいと思いますので、計数を含めての答弁を土木部長からさせることにいたします。
琉球大学の関連道路の整備、また準用河川の整備促進につきましては担当部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部授。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 城間議員の御質問にお答えいたします。
まず、基盤整備関係の事項からお答えいたします。
第1点目、昭和53年度までの本県の農業基盤整備状況は、灌漑排水施設整備が要整備量4万7000ヘクタールに対し、整備率が6.9%であります。それから圃場整備が4万7000ヘクタールに対し、整備率が7.7%となっております。60年度までの整備目標は、灌漑排水施設整備が全県で1万8200ヘクタールであります。それから圃場整備が全県で1万9900ヘクタール、これは42%であります。
2点目の御質問でございますが、沖縄本島中南部地域で農業基盤整備を進めるに当たって他の地域に比べて特に問題になる点は次のとおりでございます。
1点目は、野菜等の集約的農業経営が盛んであること、地価がきわめて高いこと、小規模経営が多いことなどのため土地改良事業の推進に合意を得ることが容易でないということが1点目でございます。
それから2点目は、地籍不明確地域が部分的に介在しているため土地改良法にのっとった事業申請が困難であるということが他の地域に比べて特徴的なものと言えると思います。
それから3点目の質問でございますが、土地改良事業における事務費は事業を執行する事業主体において使用することとなっており、県営事業においては県が使用し、団体営事業においては事業主体の事務費として補助しているところでございます。
補助が少ないという御質問でございますが、これは事業費の中の割合が決められておりますので、その範囲で現在やる以外にないというふうに考えております。
それから4点目の御質問でございますが、休耕補償についてはこれまで再三にわたって国に要請してきたところでございますが、土地改良事業が申請事業であるという点から実現を見ていない状況でございます。今後も、現行制度上その実現はきわめて困難であるというふうに見ております。
したがって休耕補償に対する要請を緩和する方法として、事業執行面で農家の所得減を軽減するためにサトウキビの更新時期に合うように事業を計画的に実施する、それから夏植えができるように早期着工する、それから計画的に施行できるよう作付指導や営農指導を強化する、最後に受益農家を土地改良工事に出役させる等の対策を講じながら事業を推進しております。
それから5点目、排水路の構造を決定するに当たって土地改良事業計画基準に基づいて計画しておりますが、排水路は地下水位が高い圃場においては地下水位を下げる必要があるために原則として土水路とすることにしておりますが、勾配のきつい個所については流速が早くなり排水路が洗掘されることになります。それを防ぐためにコンクリート等の舗装を計画しております。また、平たんな個所においても土質とつぶれ地を考慮して2面張り排水路を採用している場合が多くあります。そこで具体的に基準を申し上げますと、特にジャーガル土壌においては流速が――水の流れでございますが――1.5メートルパー秒、秒当たり1.5メートル未満までは土水路、それから1.5メートル以上4メートル50までは2面張り排水路、それから流速が4.5メートル以上は3面張り排水路となっておりますので、この基準に基づいて現在施行しているところでございます。
次6点目、土地改良事業は、地元の関係権利者の同意に基づいて実施される申請事業であることは御案内のとおりでございます。事業の実施は、土地改良法第5条第2項の規定により3分の2以上の同意があれば可能とされます。しかし特に私有財産の移動を伴う圃場整備は、採択後の換地事務を円滑に進めるため関係権利者の同意をできるだけ100%取るよう関係市町村と協議しあるいは指導しているところでございます。
それから7点目、早期着工については、現在設計を前年度までに完了しさらにまた予算の早期割り当てを行い、工事の早期着工を実施し夏植えができるように関係市町村や土地改良区と協議し指導しているところでございます。
次、漁港の早期整備につきましては知事が基本的な考え方を述べましたが、数字的に補足いたしたいと思います。
本県では現在第6次漁港整備計画、これは52年度から57年度までの計画でございますが、これに基づいて漁港の整備促進を図っているところであります。
本県における漁港は67港ありますが、そのうち5次計、すなわち48年度から51年度、及び6次計、いま申し上げました52年度から57年度の計画において33港が採択され、そのうち5次計で5港が完成し、さらに6次計のうち53年度で2港、54年度で4港完成の見通しとなっております。
5次計、6次計で採択されなかった34港について、その必要に応じ局部改良事業で整備促進を図っている状況でございます。
あと知事がお答えしましたように7次漁港整備計画、これは本来ですと58年度から始まるわけでございますが、前に繰り上げてくると、前倒しにしてもらいたいという意向でございますので、県としても要請しているところでございます。
次、野菜輸送関係のことについて実績をお答えいたします。
野菜の県外出荷は年々増大し、昭和51年の1650トンが昭和53年は3986トンになっております。
53年度はカボチャ、サヤインゲン、ニンジン、スイカ、トウガン、オクラの6品目にっいて6088トンの出荷計画を立て、そのうち同輸送事業の対象となるのは農家が予約した4323トンであります。
補給交付金は県、市町村、農家がそれぞれ3分の1負担し沖縄県野菜価格安定基金協会に納付した資金から支出することになっており、53年度は県、市町村、農家の資金を含めまして約5000万円積み立てされる予定でございます。
1月末現在補給交付金の支給が必要とされるのが数量で約200トン、金額で約300万でございますが、2月、3月の市況の推移を見ないと今年度の必要額が判明しないわけでございますが、これまでの状況から県の負担額は予算額の1700万に満たないものと予想されます。しかしながら54年度の出荷計画及び予約数量は6月ごろ決定されますので、予算措置としては53年度と同額を計上しお願いしているところでございます。
次に、畜産の価格安定対策事業についてその実績を御報告いたします。
畜産公社の事業計画と実績についてお答えいたします。
まず、52年度実績でございますが、肉豚価格安定事業、ブロイラー価格安定事業、肥育牛価格安定事業、県産食肉加工価格差補てん事業がありまして、52年度の実績は3億6753万5000円となっております。
それから53年度の予算額でございますが、この事業に要する資金として9億2594万5000円を計上しております。
そこで54年2月末現在の実績でございますが、肉豚価格安定事業が計画3億2274万円に対し2億4000万、74%の執行率、次にブロイラー価格安定事業、これは計画1億2003万2000円に対し、8000万、これは67%であります。それから肥育牛価格安定事業、計画が2億3317万3000円に対し1億1000万支出しております、これは47%。次に県産食肉加工価格差補てん事業、計画2億5000万に対し2月末が2億1000万、84%でございます。締めまして2月末が6億4000万で69%の実績となっております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 土木部長。
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) 最初に、公共事業の執行についてお答えを申し上げます。
第1番目に、公共事業の執行がおくれている隘路の原因は主にどこにあるのかという御質問でございますけれども、私ども何といいましても道路、住宅等を考えますというと、河川も同じでございますが、用地の取得とそれから地上物件の賠償等の問題が大きな隘路であるというふうに考えております。ただ、私どもの事務処理にももっと工夫すべき要因があるんじゃないかということを私も考えておりまして、現在私のところでその事務処理上の要因が何かということで見直しの作業をさせております。そういう用地取得の問題と、それから事務処理の能率化の両面から年執行を平準化していこうというふうに努力をしていきたいとこういうふうに考えております。
それから建設資材の動向でございますけれども、私どもが調査した結果によりますというと砂に多少の問題がございますけれども、その他の資材につきましてはいまのところ問題はないというふうに見ております。これは実は総合事務局、それから県、公社等の関係機関で設置をしております公共事業施行対策沖縄地方協議会でも情報交換をいたしました結果でもあるわけでございます。
砂につきましては、いまのところ一部地域に不足があるわけでございますが、これについては私どもとしましてもいろいろ河川あるいは港湾、海岸等の保全もありますけれども、公共事業の推進という意味で調整をして砂の需要を賄っていきたいとこういうふうに考えております。
それから建設資材の中で2次製品の間知ブロックが不足をして工事が進捗してないがという御質問でございますが、実はこの件につきましては、去る3月2日に調達ができたという連絡がございまして全力を挙げて工事に着手をするということを市町村から報告を受けております。
次に、琉球大学の関連道路の整備計画でございますが、県道29号線の整備につきましては昭和51年度から事業に着手をしておりますけれども、用地買収が非常に難航いたしまして現在に至っていることは大変残念に思いますが、その後地主の皆さんと話し合いをしました結果、西原村の字翁長側から契約を開始をしておりまして去る3月4日から地主との売買契約を開始をしております。早ければ4月に入り、あるいは4月の末までには何とか工事に手をつけたいというふうに考えております。
それから南上原から中城村新垣の区間についての工事の御質問でございますが、ただいまも申し上げましたように県道29号の翁長から中城村の南上原までの区間の整備の動向を見て後に、南上原からのいま御質問の件につきましては関連事業として進捗を図りたいとこういうふうに考えております。
準用河川の整備の促進でございますが、御案内のとおり2級河川の改修事業は振興開発特別措置法によって高率の補助で進められておりますけれども、準用河用の改修事業に対する国庫補助の制度が昭和50年度に制定されたために特別措置法の適用を受けないで現在に至っております。いま御指摘のとおり全国並みの3分の1でございまして、その対応には市町村も大変苦慮していることを私も承知をしております。
これにつきましては、私ども国に対しまして強い要請を行っておりましてまだ実現のほどに至っておりませんけれども、建設省もこれを受けまして概算要求等で要求をしておるようでございますが、まだ実現しておりません。この件につきましては今後とも私どもとして強い要請を続けていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 城間盛栄君。
〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 ただいま御回答を得ましたが、土地改良においても大変達成率が本土に比較して本当に低い達成率でありますし、そういう中でいろいろ農家の所得が大変厳しい経営状態に追い込まれているという面がありますし、さらには今度はその他もろもろの補助率においても本土並みの補助率では、いまの沖縄の財政状態では市町村も対応できないという面からいろいろ問題もありますし、さらにはその他工事執行においても琉大は着々工事は進行しているが、周辺整備が本当にこれは間に合うかどうかという面から質問いたしたのであります。
特に今後、知事とされてもそういう農業振興の面にもさらに力を入れていただき、そして工事の執行面にもこれから大いに促進してもらうよう特に要望いたしまして質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 村山盛信君。
〔村山盛信君登壇〕
○村山盛信君 さきに通告いたしました二、三の質問事項につきまして順を追って御質問申し上げたいと思います。知事の前向きのお答えをお願いいたしたいと思います。
まず移民問題についてでありますが、このことについてはきのうのやりとりの中にも地方の時代で移民問題はタブーだといったようなこともありましたが、私があえて取り上げるのはやはり地球の裏南米において活躍いたしております15万県民同胞の声を無視することはできません。そこであえて取り上げた次第でございます。
なお、この移民問題についてさきに吉田議員の方からもいろいろと御質問がありまして重複するかもしれません。なおきのうの岸本議員の御質問に対するお答えの中にも多少触れておられたようでございますが、あえて重複するところを避けて御質問を申し上げたいと思います。
昨年は、日本の移民がブラジルの大地に第一歩をしるしてから70年に当たるところからブラジルでは盛大な祝典が行われ、本県からも在伯沖縄県人会が主催した祝典に参加するため本県議会や執行部を初め各種団体等数百人の人たちが渡航をいたしております。
さらに、本年度はまた戦後の苦しい時代に琉球政府の計画移民としてボリビアに移住した方々の移住25周年に当たるところから、その祝典が挙行されることになっております。新聞の報ずるところによりますと知事も同祝典に参加されるとのことであります。
このように、昨年からことしにかけて移民問題が大きくクローズアップされていることや、知事が就任以来しばしば移民問題等を取り上げられておられることから本問題を質問いたすことは時宜にかなっているものだと考え、昨年議会からの派遣団の一員として移住地を訪ねた際各国で要請を受けたもののうち幾つかを取り上げてお伺いしていきたいと存じます。
まず初めに、県費留学生の問題でありますが、この制度は復帰前の昭和44年から始められ、近年毎年5人程度の学生を琉球大学に受け入れてもらっているようであります。この制度は、学生が帰国した後に各国で活躍している現況から高く評価されており、特に日本語教師の少ない移住地においては日本語教育の面で大きな役割りを果たしているようであります。
ところが、先ほども申し上げましたように留学生の数はブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルーの4カ国からわずか5人であるところから各国における競争率は激しく、国によっては数十倍にも及ぶとのことであります。移住地の方々は、何とかして若者たちの夢をかなえてやれないものかとされております。
なお、留学期間につきましても現在は最高2カ年で、3年目からは帰りの旅費が自己負担になるようで、日本語の十分なる習得の上からも期間の延長は必要で、母県の方でこの留学生の増員と期間の延長をぜひ実現してもらいたいとの要請がありました。執行部に対しましてもこの要請はなされているものと思いますので、本問題に対してどう対応されたか御説明を願いたいと思います。
次に、海外技術研修制度についてお伺いいたします。
本制度は、国から4分の3の補助を得て各都道府県が実施主体となって行う制度であると承っておりますが、私ども派遣団が参りましたいずれの国においても沖縄を除く各都道府県が実施しており、ひとり沖縄のみがこの制度を実施してないということで各国在住の移住者の方々からかなり不満を聞かされております。
本問題につきましては、昨年のブラジルの祝典の際南米各国在の県人会幹部を初め、県執行部も参加して開かれましたところの移民連絡会議の席上、執行部からそのおくれた理由と今後の対策について発言がございました。それによりますと、おくれた理由はこれまで本問題に対する執行部内の所管が決まらなかったからであり、今後はその所管が総務部とはっきりしているので、54年度からでもそれが実現するようにしたいというものでありました。
御承知のように、移住地では機械、建設、電気等の技術者の需要が大きいのにもかかわらずその数は少なく、本制度の早期実現は移住者の切ない声であります。本問題の取り組みが執行部においてどのようになされたか、また国との折衝経過などどうなっているか御説明をお願い申し上げます。
次に、医師の研修についてでございます。この問題は、主としてボリビアとアルゼンチンから出された問題であります。
ボリビアの場合、同国の大学における医学教育の水準が低く、大学を卒業しただけでは臨床医師としての信用が薄くどうしても二、三年アメリカやスペイン等で勉強しなければならないとのことであります。しかしその費用が大きいところから移住者にとってはその負担が重いということであり、またアルゼンチンの場合医学を卒業しても就職がむずかしいところから、水準の高い日本での研修を受けさせ就職を有利にさせたいというのが要請の内容でありました。
そこで移住地の希望としましては、県立の病院で研修を受けさせるか、創設が決まりました琉球大学医学部で研修を受けさせる方法はないものかどうかということであります。日本と南米との医学の水準からくる問題等困難な問題もあるとは存じますが、本問題に対する執行部としての対応策や見通し等をお聞かせ願いたいと思います。
次に、ボリビア移住地からの要請である飼料工場の建設についてお伺いいたしたいと思います。
ボリビアの移住者は、移住後原因不明の疫病や洪水、それに耕作適地を求めての移動によって打ちひしがれ、さらに作目の選択の試行錯誤の中での経済上の打撃等あらゆる辛苦をなめてまいりました。しかし海外協力事業団の指導によって綿作を取り人れてから営農状況は好転し、いまや移住者は将来に対し大きな自信を持つに至っております。
移住者の営農形態は、現在綿作を中心に大豆、トウモロコシ、サトウキビ、それに畜産を組み合わせた方法をとっておりますが、これらのうち大豆、トウモロコシの価格の不安定に悩まされております。移住者としてはその解決方法として移住地内に飼料工場を建設し、飼料を自力で生産することができれば価格の面や畜産経営の面の両面の解決ができ一挙両得になるとしておりますが、相当の資金を要するところから計画は進んでおりません。
本問題は、県財政の上から県による援助は無理ではないかと思いますので、綿作の場合と同様海外協力事業団による援助をお願いする以外方法はないのではないかと思います。海外協力事業団に対しては、本問題のほかにもコロニア沖縄内の道路の改良の問題や電気の導入の問題等援助を要請する事項がありますので、これらの問題とあわせて知事から要請する考えがあるかどうか、この点についての所見もお聞かせいただきたいと思います。
最後に、これもボリビアの移住地からの要請として若くて有能な獣医師の派遣の問題があります。
先ほども触れましたように、ボリビアでは牛、豚、鶏等の畜産が盛んであるにもかかわらず、専門家がいないため飼育管理や品種の改良等の点で困っているとの訴えがありました。移住者からは若くて有能な獣医師を派遣してもらいたいとの要請がありましたが、本問題に関連して昨年わが党の渡久地議員や大城議員から県内における獣医師の確保問題等指摘もあり、直ちに移住地からの要請にこたえられるかどうか困難な点もあるかと存じますが、そこで当面以前行われていたような公務員医師の派遣同様、公務員獣医師を二、三年の期間で交代するような方法で派遣できないものかどうか、この点を含めて本問題の見通しについて御説明をしてもらいたいと思います。
以上が、移住問題の諸問題でございました。
なお、次は読谷村トリイ・ステーション地域の農用地問題、それから中城村和宇慶地区上地改良事業の問題について。
トリイ・ステーションの農用地問題につきましては、屋良知事時代からその都度機会あるごとに御質問も申し上げ要請もいたしておりますけれども、その都度現地住民との話し合いをして十分なるコンセンサスを得て善処いたしますという言葉だけしか返ってきておりません。そこで私はあえて、仏の顔も2度、3度というようなことになります。本日は質問を取りやめまして、「熟慮断行」をもって鳴るところの知事の現地に適応したところの態勢をとっていただくよう要望をいたしまして、質問を取り消したいと思います。
なお、和宇慶地区の土地改良事業につきましても中城村の前村長時代からのもくろみであり、いろいろ地域住民のコンセンサスを求める前村長の手違いもあったようでございますけれども、いまだにその解決が見られない。そういうことで、このことについてもひとつどこにどういう問題があるかを強く探求いたしまして善処し、早急に土地改良事業も実施していただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 村山議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
海外移住について県費留学生の問題についての御質問でございましたが、ことしは新たにハワイ、北米を入れておりまして、いまの増員と期間の延長の問題につきましては前向きに検討させていただきます。
御参考までに申し上げますが、53年度までに合計32人の留学生が琉球大学で研修を行っております。
2番目の海外技術研修制度の問題、また医師の研修の問題につきましては担当部長から答弁させることにいたします。
ボリビアにおける沖縄移住地の飼料工場建設の問題についての御質問でございましたが、現地からの要請がありましたならば関係機関に対しまして強力に要請していきたいと考えております。
5番目の獣医師の派遣については、総務部長から御説明申し上げることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 総務部長。
〔総務部長 嶺井政治君登壇〕
○総務部長(嶺井政治君) 2点目の海外技術研修制度についてでございますけれども、この技術研修制度につきましてはこれまで行っておりませんでしたので、県としても検討したいと思っております。
なお、この制度は、日本の国際協力の一環として国の4分の3の補助によって海外から研修生を受け入れるということでございますけれども、ただこの研修生は県出身の子弟だけじゃなくて発展途上国の青年であるということが条件になっております。現地の方々もその中に含まれます。
こういうこともあるわけですけれども、私どもも検討していきたいと思いますが、本県の場合は国際協力事業団沖縄支部が昭和47年度から実施をしておりまして、53年度までに10名を受け入れております。さらに54年度につきましては、ボリビア国から看護婦1人、それから電気関係1人、計2人を受け入れることになっております。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 特にボリビア、アルゼンチン等からの医師の卒業後の研修というふうに御質問として理解いたしておりますが、これは見通しといたしましては、制度的には外国の医学校を卒業しあるいは外国で医師免許を得た者でありますと制度的には可能でございます。ただし、臨床的な研修をする場合には日本の医師免許が必要でございますので、日本の医師国家試験を受けて免許を得なければならないわけでございます。
そのためには、医師国家試験の受験資格といたしまして厚生大臣が学校教育法に基づく大学で医学の正規の課程を修めて卒業した者、あるいは医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後に1年以上の診療及び公衆衛生に関する実施修練を経た者と同等以上の学力及び技能を有しかつ適当と認定されれば、医師国家試験を受験することができるわけでございます。現に県立中部病院で臨床研修を受けている者の中にも、外国の医学部を卒業して医師国家試験に合格した後研修を受けている者がおりますので制度的には可能であると。
これに対する対応策でございますが、特に琉球大学医学部で研修を受けたいという者がありますれば、国――これは厚生省でございますが、あるいは文部省等関係機関の意見も聞いて対応策等については検討してみたいと、このように考えております。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 若くて有能な獣医師の派遣についてお答えいたしますが、国際協力事業団沖縄支部に技術協力事業がありその中で専門家の派遣ができるようになっているわけでございますが、ボリビア政府からの要請がありましたら私どもとしては十分に検討していきたいとこう思っております。
といいますのは、資格の問題等がありましてただ派遣するわけにはいかないということでございますので、これは国の要請がどうしても必要じゃないかというふうに思っておりますので、そういった手続を経た要請があれば私ども農林水産部としては十分検討していきたいとこう思っております。
○議長(大田昌知君) 砂川武雄君。
〔砂川武雄君登壇〕
○砂川武雄君 2日間にわたる代表質問並びに知事の御答弁の模様がテレビに放映されまして、じかに見る西銘知事の自信に満ちた御答弁、誠実な御答弁に対し県民ひとしく高く評価をしております。西銘知事の政治手腕、力量によって10年後の沖縄の姿に大きな変化があり期待が持てると、遠い宮古から本員にも知事への激励の電話が数多くあったことを知事に御報告申し上げまして、ますます勇気をもって県民のためにお尽くしなさるようお願い申し上げまして、私も例に漏れず一、二点質問を申し上げます。
質問の第1点は、沖縄県議会議員選挙区条例改正についてでございます。
公職選挙法第15条第1項には、「都道府県の議会の議員の選挙区は、郡市の区域による。」と明記されております。さらに第2項においては、「前項の区域の人口が当該都道府県の人口を当該都道府県の議会の議員の定数をもって除して得た数(以下本条中「議員1人当りの人口」という。)の半数に達しないときは、条例で隣接する他の郡市の区域と合せて1選挙区を設けなければならない。」とし、第3項においては、「第1項の区域の人口が議員1人当りの人口の半数以上であっても議員1人当りの人口に達しないときは、条例で隣接する他の郡市の区域と合せて1選挙区を設けることができる。」とうたわれておるのも御高承のとおりであります。
選挙区は、法第15条に示すとおり郡市の区域で定め、第2項、第3項にある合区などの特例を定めない限り、郡区と市区は分けて選挙区は設定すべきものだと解釈するものであります。
本県において市区と郡区とが合併していわゆる合区で選挙区となっておるのが石川市と中頭郡、竹富町、与那国町を含む石垣市区の合区、さらに宮古郡を含む平良市区の3選挙区があります。
石川市の場合、これは昭和50年11月1日施行の国勢調査の結果でありますが、人口が1万7360人しかおらず、議員1人当たりの本県の人口2万2621人に満たない市であるがゆえに隣接する郡区と合区しての選挙区にしたと考えられます。
また石垣市区の場合は、郡区、つまり竹富町、与那国町の人口が5622人しかおらないため石垣市に合区するのは当然の姿でなかったかと考えるものであります。
平良市区、つまり宮古郡区を含む選挙区はこれとは全然違うのであります。いつも宮古のことが問題になって大変申しわけないけれども、平良市の人口は2万9292人であります。いまは3万人を超しております。城辺町、下地町、上野村、伊良部村、多良間村、いわゆる宮古郡の人口は2万8465人といずれも沖縄の議員1人当たりの人口に平良市が6661人、宮古郡で5844人とはるかにオーバーしているのであります。
このように、要件は十分と具備されておるし、市区と郡区は分けるようになっておりますので1人区にすべきではないかと思います。
わが県の選挙制度審議会答申の中に、小選挙区の排除ということが盛り込まれております。本員も小選挙区、中選挙区、大選挙区おのおの利点も欠点もあり、長所、短所のあることも承知しております。
果たして、それでは他県においては1人区はないかと調べてみました。調査の結果、ほとんどの県に1人区があります。鹿児島県で26の選挙区のうち1人区が16、2人区が3、3人区が3、4人区が3、13人区が1となっております。静岡県では44選挙区のうち1人区が23区もあります。大分県は23区のうち1人区は12選挙区、それから市と郡と1選挙区となっておりますのは鹿児島県で大口市と伊佐郡の合区、国分市と姶良郡福山町の合区の2カ所ありますが、いずれも1人区であります。静岡県においては富士宮市と富士郡の合区がありますが、これは2人区でちょうど石垣市区に似た選挙区であります。
いままで申し上げましたようにこれはその一例にすぎませんが、他県においては市と郡がはっきりと区別されておるし、1人区が多いことも見逃すわけにはまいらないと思うのであります。
御参考までに申し上げますが、鹿児島県の条例の最終改正が昭和49年であり、静岡県は昭和46年、大分県が昭和47年であります。
わが沖縄県の条例改正は復帰に伴う改正でありまして、選挙制度審議会の答申案が昭和46年12月15日に答申され実施を見た選挙区制度であります。時期的にもほぼ同じで何ら変わることはありません。わが沖縄県のみが1人区を排除するということは、他府県を見る限り必ずしも妥当であるとは考えられません。これまで32選挙区で32人の定員だったのが12選挙区、定員44人とふえたわけであります。
宮古は、これまで3人区であったことも御案内のとおりであります。その結果、平良市区は市郡を分けずに3人区として決められたのであります。3人区であるならばまあまあいたし方ないといたしましても、問題は3人区であった平良市区が昭和51年3月27日の深夜に議長裁決によって2人区に引きずりおろされたのであります。
以上申し上げましたように、12選挙区のうち宮古を除く11選挙区は合理的に市郡に分けてありますので異論はございませんが、平良市区に関する限り、前に申し述べましたとおり「都道府県の議会の議員の選挙区は、郡市の区域による。」とはっきり明記されておる、これが第1点でございます。
第2点は、平良市の人口が2万9000人余で議員1人当たりの人口より約7000人もオーバーしておるし、さらに宮古郡区においても2万8000人余の人口がいて約6000人余もオーバーしていることなど、条件は具備していることであります。
3つ目、他府県においては46都道府県で1人区が認められておることなどを勘案いたしまして、平良市区に限り市区と郡区に分けて選挙区を改正すべきではないかと思います。
少数与党でありますので、実現するにはなかなかむずかしいものがあると思います。しかし民主主義の基本になるのは選挙であり、その選挙区の設定に当たっては党利党略にとらわれず全国的視野に立って是正していくべきは漸次是正していくべきものだと思い、知事の貴重な時間をおかりして御答弁をお願いする次第でございます。
質問の第2点、本員は去る決算特別委員会の席上特に発言を求め、ぜひ製糖期間中宮古に行かれて平良市の狩俣線、平良─城辺間の友利線、平良─上野間の上野線、これは県道であります、その実情を見ていただきたいと土木部長に要請いたしました。
この県道は、戦前からの幅員のままです。路面の舗装はなされましたが、有効幅員は4メートル50しかありません。大型車と対向するとき、小型車はとまらねばこわくて通れません。身の危険を感ずるからであります。あたかもヘビにねらわれたカエルのようで、交通安全どころか理念に逆行した道路行政だと残念ながら私は指摘せざるを得ないのであります。
去る1月には、平良─城辺間の友利線の県道で石粉を積んだ大型車とサトウキビを積んだ10トン車が互いに向かい合って進行しようとしたとき、路面が崩れて石粉運搬車が道端の畑に横転する事故が発生しております。いまでもその石粉は道端の畑にそのまま残っております。
バスの運転手も、毎日通う道だけど必ず1台は一応とまって相手のバスを通しています。特に雨降りで地盤が緩んでいるときは戦々恐々だと話しています。
県道でありますが、唯一の産業道路でもあります。これからさらに交通量はふえます。産業が多様化するに伴いまして大型車はどんどん増加する傾向にあります。私は、一体これで天下の沖縄県道であるのかと思うのであります。土木部長のこれに対する御答弁をお願いいたします。
質問の第3点、もう1つこれも土木部長にお願いいたしたい。
宮古平良市のパイナガマにある県営住宅の道1つ隔てた場所に火葬場があることは御承知だと思います。さらにその隣に現在でも500頭飼育できる養豚場があることも御承知だと思います。私が調査したときでは468頭おりました。
その県営住宅の皆さんから、この火葬場と養豚場に悩まされたあげく撤去を強く、それこそ強く要請されておることも承知しておられると思います。火葬場や養豚場さえなければ、静かでながめのよい観光地や水泳場、砂浜やきれいな海が近くにあるのでとてもよいところだと言われています。
火葬場の主の話によれば、移転する用地も確保してできるだけ早い機会に移転したいと希望しています。団地の皆様に迷惑をかけて済まないとも話しています。養豚場の主は、まさかこんなところまで県営住宅が建つなんて夢にも思わなかった、こちらこそ迷惑ですと、増設計画もあるがどうしてよいか迷っていますと話しています。
それで私がお伺いするのは、この火葬場や養豚団地があることを知りながら、その撤去の計画もないまま県営団地をお建てになったのか。養豚場の持ち主に聞くと、一度も相談を持ちかけられたことはないと言明しています。パイナガマ県営団地の皆様から持ちかけられた苦情や要請に耳をかさないで建築以来何の対策もないままおられるのかと思うと、つい私も愚痴った言葉遣いになりましたが、一体どうなさるおつもりですか。
この火葬場は、本当に道1つしか隔たないところにありますので庭と同じであります。お葬式のときはばい煙が飛んでくることもあります。養豚場からは臭気がぷんぷんとしてきます。善処が強く望まれておりますので、土木部長の対処策、一日も早く対処策を立ててくださるよう本員からも要請しながら御答弁をちょうだいいたします。
次は、「サトウキビの害虫対策と糖業について」
と通告いたしましたので農林水産部長に御質問いたす予定でありましたが、知事の代表質問の御答弁や、一般質問に対する農林水産部長の御答弁によって理解いたしましたので質問は省くことにいたしますが、サトウキビの根腐れ病による不萌芽が全圃場の60%とか、あるいは70%とか言われています。来期の収穫も今期の70%程度に落ちるのではないかと憂慮されて、島を挙げて対策に取り組まねばと言われているやさき、県においてはいち早く島村参事ほか数名の調査団を宮古及び八重山に派遣なされて調査や対策、指導など手際よくなされておられることに対し本員はこれを高く評価します。そしてキビ作農民とともに感謝を申し上げるものであります。
御答弁や新聞の報道などにありますように、原因はアオドウガネムシやハリガネムシだと聞かされます。これが駆除対策については万全を期していただきまして、根本的に解決していただきますよう要望いたしまして質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの砂川議員の御質問に対しましてお答えをいたします。
大変むずかしい選挙区の改正の問題についての御質問でございましたが、御指摘になりましたとおり、これは47年の復帰当時において各方面の意見を聞くためにいわゆる選挙制度に対する審議会が設けられまして、この答申によって現在の制度が確立されておることは御指摘になったとおりでございます。
特に1人区を設けることについて豊富な資料を駆使しての御質問であったわけでございますが、この条例は制定後7年を経過いたしておりまするし、その間県議会議員の選挙が2回、宮古地区におきましては3回施行されておるところでございます。情勢の変化等もございまして、いろいろ大所高所から検討しなければならない重要な問題であると考えております。
しかしながら、これは全般にわたる問題でございますので、単なる宮古における選挙区の改正だけにとどまらず、改正するといたしますれば全域にわたっての調整点をこれを十分地ならしいたしまして全般的な慎重な検討をしていかなければならないと考えております。その点、前向きに今後の問題として検討していきたいと考えておるところであります。
それから道路改修についての御質問がございましたが、これは土木部長から答弁させることにいたします。
県営住宅につきましても担当部長から答弁させることにいたします。
サトウキビの病害虫対策につきましては、御指摘になりましたとおりアオドウガネの幼虫がキビの根っこを食い荒らしまして不萌芽キビがたくさん出ておりまして、それに対する対策は万全を期していきたい。特に病害虫の駆除につきましては、万全の体制をとって減産にならないような体制をとるつもりでございますので、御理解をいただきたいと思うのであります。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 土木部長。
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) 最初に、宮古における道路整備についてお答えをいたします。
ただいま御指摘のように道路の線形、幅員あるいは交通量がわりかた少ないという比較的に良好な区間につきましては、道路の改良を行わずに現況の道路幅員の範囲内で舗装を行っているわけでございます。このような区間につきましては、原則的には舗装完了後5カ年以内に改良工事を行うことは国の一つの補助方針としてできないことになっております。
しかしながら、舗装完了に伴い交通量が急激に増加している路線につきましては、舗装の施行年次や道路の線形等も考慮して年次的に改良事業を実施させていただきたいと、こういうふうに考えております。
それから平良団地の環境についてお答えを申し上げます。
平良団地は、昭和49年度の事業といたしまして平良市字西里に戸数138戸が建設されまして昭和50年度に入居いたしております。
御指摘のとおり、当該団地の東側に道路を隔てて豚舎があり、また南側には個人経営の火葬場があって団地の生活環境を著しく阻害しており、私どももその対策に苦慮しているところでございます。
県としましては、公営住宅の用地買収の際に当該用地が火葬場の経営者の所有地でございましたので、用地取得に当たってはその施設を他へ移転すること、豚舎についても撤去することについて全面的に御協力していただけるという約束があったわけでございますが、依然としてその約束が守られず現在の状態でありまして、入居者の方々には大変御迷惑をおかけしていることを申しわけなく思います。
そこで平良市におきましても、住居専用地域にばい煙、臭気が発生する火葬場があることはきわめて問題であるということから、去る12月12日の都市計画審議会におきまして、平良市市街地から北東6キロの位置に火葬場の移転地が確定したところでございます。
また豚舎についても、所有者の御理解を得て市及び関係部局とも協議をしましてできるだけ早くこの2施設を移転をいたしまして公営住宅にお住まいの方々の御迷惑を除きたいと、こういうふうに思っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午前11時30分休憩
午後1時 再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
次の質問に入ります前に報告いたします。
説明員として本日の会議に出席を求めた副知事比嘉幹郎君は、別用務のため午後3時から4時までの会議に出席できない旨の届け出がありました。
○議長(大田昌知君) 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
渡久地政仁君。
〔渡久地政仁君登壇〕
○渡久地政仁君 本員は、さきに通告いたしました事項につきまして所見を述べながら質問をいたしたいと思います。
まず第1点に、アクアポリスについてでございます。
国際海洋博のシンボル、アクアポリスを大分県の別府湾に浮かべようという話が持ち上がっているのでございます。アクアポリスを年間5億円で大分側は借り受けて、3日がかりで曳航してこれをかけ橋に沖縄と大分の観光振興を民間サイドで図りたいと両県の観光関係者がタイアップして計画を進めているもので、大分側の代表者と県側の世話人が西銘知事に趣意書を手渡し設立の意思を正式に明らかにしているのである。降ってわいたような話に西銘知事も沖縄のためになることなら協力しようとしながらも、確答は避けたことが新聞に報じられておる。
このアクアポリスは、海洋博後県が国から2億円で譲り受けたもので用途に制限もあり検討が必要だが、大分県への誘致派は今年じゅうに実現したいと早くも移動大作戦を手がけていると聞かされております。地元との話し合いはこれから詰めると言っているが、海洋博のシンボルを持っていかれてはたまるかということで反発はすでに地元で火の手が上がっておるのでございます。
アクアポリス財団の屋良理事長は、せっかく県が沖縄観光、国際海洋博のシンボルとして国から譲り受けているのにむしろ活用方法を講ずべきだ、幸い運営基金もふえつつある、貸与の可否権は県にあって県が中心になって検討すべきだろう、財団理事会でも話し合ってみたいと談話を発表されているのでございます。
本員は、昭和53年第2回定例県議会において、平良前知事にアクアポリスの運営について幾つかの質問と移転問題をただしました。その中で、本部町の漁民はアクアポリスは大きな魚巣と考え、そして本部町民は国際海洋博の跡利用計画の一環として並びにシンボルとして耐用年限が来るまでぜひ現在地にそのままにしてもらいたいとの希望であります。県はアクアポリスの移転について考えたことがあるかとただしたことに対しまして、平良前知事は「アクアポリスは海洋博の跡利用計画の一環として海洋博跡地に存置したものであり、他に移しかえるということは考えておりません。あの海洋博後できました公園管理者とも十分連携の上に観覧者が多数入館できるようにいたしたいと思っておりますが、今後は展示内容をより一層充実し、当初計画のとおり名実ともに沖縄観光のシンボルとして活用したいと現在考えておるところであります。」と答弁なされておられます。
そこで質問いたします。
1つ、大分県側からのアクアポリス借用についての話は以前からあったかどうか、もしあったとしたら県は大分側にどう返答したかお伺いいたします。
2つ目、大分側がアクアポリス借用を実現した場合に、その見返りとして大分から年間200万人の観光客を沖縄に送り込む計画をするということだが、果たして県はこれが実現性があるかどうかお伺いいたします。
3つ目、アクアポリスを他に移した場合は本部町の海洋博後遺症はますます深まるばかりか、沖縄北部のリゾート観光のイメージダウンにつながることになります。よって本部町民はアクアポリスの他への移転は反対であります。知事は大分の要請に沖縄のためになることなら協力しようとおっしゃっておられますが、沖縄のためになるなら他へ移してもよいというお考えですかお伺いいたします。
次に、リゾート公社の運営についてお伺いします。
リゾート公社は現在20億円余の借入金があり、その利子だけでも年間1億5000万円余を超えております。また収益の少ない事業内容のわりに職員が多く、この分では同社の抜本的な改革を断行しない限り、やがては県財政を圧迫し住民から非難を受けることになる。幸いに去る2月1日付で西銘知事が沖縄県リゾート開発公社の理事長に就任いたしておられますのでお伺いいたすのであります。
リゾート公社は、究極的には観光開発公社と合併した方が好ましいと思うのであります。しかし合併までには紆余曲折、相当の時間を要することは間違いないと考えられます。
したがって本員は、合併を前提として私見を述べながら質問いたしたいと思います。もし合併せずに将来とも独立に運営していくとしたら、事業内容の検討が必要であろうことをつけ加えておきます。
1つ、リゾート公社の本社は現在那覇市泉崎にあるが、借用事務所であり賃借料を支払っております。本部町大浜にある同社の建物は現在使用されていないところがあり、そこに移転することによって賃借料が不要になることと思う。よって本部町に移転するお考えはないかどうか。
2つ、リゾート公社の事業が本部町と今帰仁村にあって、本部町に移転することによって管理運営するには都合がよく十分なる管理運営が可能であり、那覇から本部町、今帰仁村との連絡、監督のための職員の出張旅費も節減されると思うが、これについてどうお考えですか。
3つ目、現在今帰仁村にあるステーションホテルは敷地4万坪と宿泊施設があり、これを管理する職員は所長以下6名であるが、宿泊客の減少により赤字続きである。海洋博当時は宿泊客も多くそれなりの採算がとれたと思われるが、近い将来に宿泊客の急増は見込まれない。したがって同ホテルとその広大な敷地を十分に利用するということは望めない。売却可能な建物は売却し、国鉄から贈られたステーションホテルは記念公園の南ゲート付近に移して、4万坪の敷地は県の土地開発公社に売却することによって土地の効率的利用となり公社にとっては赤字解消の一助になると思うが、これについてどう思われますかお伺いいたします。
4つ目、現在リゾート公社のエキスポランドは、同公社の事業で一番有望な事業であり黒字を計上されております。したがってこのエキスポランドを充実発展させることは、同公社にとって重要な課題である。現在人工ビーチは記念公園管理財団の主管であるが、その立地条件からしてリゾート公社に管理移管した方が運営上好ましいと思います。なぜかと申しますと、人工ビーチの使用時間は午後6時までとなっているが、夏季の午後6時は日中であり、利用時間を延長してエキスポランドと一括して運営した方が営業的にもまた人工ビーチの効率的利用面からも望ましいと思うが、これについてどうお考えですか。
5つ目、現在本部町大浜にあるマンションは敷地約3000坪、鉄筋3階建てが7むねに約100世帯の居室と店舗がある。しかし利用状況は余りよくない。投資金の利息や管理費、修理費などを差し引くと赤字だと思う。これを民間に売却し改造、改築をなさしめ、賃貸料にしても弾力的な運営が容易にできるようにした方がよいと思う。公社が運営していては公社の目的外の賃貸をすることもできずに、臨機応変の措置に時間がかかり運営の妙味が生かされない。民間に売却することが得策だと思うがどうですか。
以上、申し述べましたことを執行することによって県費からの財政補てんは相当額減少すると思うが、これについてお答え願います。
次に、農家の制度資金活用状況についてお伺いいたします。
沖縄振興開発金融公庫には、農林水産振興資金として昭和53年は約130億円が準備されていると聞いております。しかし今年度の貸与率は54%程度が予想されていると聞かされております。
一方、農業者め中には農業経営の合理化、安定化のためにこの資金を利用したいという希望者が多いのであります。
ところで、農業者がこの資金、特に総合施設資金を借りようとすると、申し込みはしたもののいつ借り入れできるかわからない、時節に合わせて生産活動する農業者にとっては無意味であるという批判がある。これらの資金貸し出しの窓口業務を預かる者は、農業者の提出した書類については不備ふそろいはできるだけ早目に指摘して、農家の生産振興に寄与するための心のこもった資金貸し付けでありたいものだと思っております。
そこでお伺いいたします。
1つ、農業関係制度資金(公庫資金)活用の現況はどうなっておりますか。
2つ、農業関係制度資金(公庫資金)の利用促進について、県の指導の現状はどうなっておりますかお伺いします。
3つ目、離島の農業者の土地を担保にすることができないという話も聞かされておりますが、これについては窓口業務を預かる職員に問題はないかどうか、これについてどう思われますかお伺いいたします。
以上、3項目についてお伺いをいたしまして質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの渡久地議員の御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、アクアポリスの大分への誘致についての御質問でございましたが、大分県から誘致は以前からあったか、また大分からの200万人の観光客は確実にこれを保証できるかという御質問がございましたが、これについては担当部長から答弁させることにいたしまして、知事といたしましては、いまこれを移管することは考えておりません。
と申しますのは、国との売買契約の中で用途指定の特約がありまするし、さらに賃借権、質権、その他の収益を目的とする権利の設定の禁止がうたわれておりまするし、売買、贈与、交換、出資等による所有権の移転が禁止されておりまして、御指摘になったとおり海洋博後における跡利用の一環としてこの問題に対処していかなければならないと考えておるところでございます。
2番目は、リゾート公社の運営と関連いたしまして、これを抜本的に解決しなければ県財政を圧迫する大きな要因となっているのでその改善方についての御質問でございました。
もちろん御指摘になりましたとおり、何としてもこれを改革いたしまして、できればことしの9月までに観光公社との合併を目標にいたしましてこれから整備していきたいと考えておるところでございます。
リゾート公社の事務所が現在那覇にあって、これは管理運営の面からも当然本部に移転するのが得策ではないかという御質問、さらにいま今帰仁村にあるステーションホテルの跡地の利用についての御質問があったわけでございまして、これに対して4万坪は県土地開発公社に移譲した方がいいではないかという御質問、これにつきましては担当部長から答弁させることにいたします。
それからエキスポランドの活用についてこれをリゾート公社に移して活用した方が得策ではないか、さらに現在本部町にある大浜宿舎についてはこれを民間に売却することが得策ではないかという御質問でございましたが、これについても担当部長から答弁させることにいたします。
それから農家の制度資金活用についての現況、その利用促進、最後に離島の農地の担保の問題については、それぞれ担当部長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
(労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) お答え申し上げます。
アクアポリスのことについてでございますが、全般的なことにつきましては知事からの御説明がございましたんでその残りの二、三点について申し上げます。
大分県側からの話は前々からあったかどうか、それに対して県はどう答えたかということでございますが、県側から正式な要請等はございませんでした。ただ沖縄、別府のアクアポリス協会みたいなのが事実上できているようでございまして、これからの要請書みたいなのは非公式に受け取ってございます。
そういったわけで、県といたしましては正式にお答え申し上げるわけにはまいりませんで、非公式に、いろんな制約がございますんで大分県にいまこれを譲るという考え方は県としては持っておりませんと、このようなお答えを申しております。
それから2番目に、もし大分がこれを実現した場合200万人沖縄に送り込めるかどうかということでございますが、これは実現した暁の話でございますので私どもとしましては大変むずかしい問題とは思いますけれども、ここでできるかどうかのちょっとお答えは申し上げかねると思います。
それからあとはリゾート公社の問題についてでございますが、本社は那覇にあるが本部にはなお同社の施設の中で利用されてないところがあると、したがって自分の施設を利用しましてそこに移って事務などをとった方がいろいろと便利でもあるし経費の節減にもつながるんじゃないかという御指摘でございますが、全く御指摘のとおりでございまして、かねてからそういった話し合いなどはやっておったわけでございますが、去年あたりから両者の、いわゆるリゾート開発公社とそれから観光開発公社の合併の問題等がございましていろいろと事務が県あるいは両公社などの関係で行ったり来たりが非常に多くなりまして、どうしても現在はリゾート開発公社の事務所を向こうに持っていくわけにはまいらぬと。先ほど知事の御答弁にもございましたように、今年いっぱいに9月をめどに合併を進めるということでございますんで、いまから移すわけにもまいりませんので引き続き那覇で執務をしてもらうと、こういうことを考えてございます。
それから4番目には、ステーションホテルを海洋博会場跡あたりの前に移転してそこで土地を公社あたりに売却しましてその赤字を補てんしたらどうだろうかということでございますが、ステーションホテルにつきましては、もうすでに東北地方の人々を対象にしましたいわゆる保養観光の誘客を前提にして進めてございます。したがいましてあの地域は国民の保養の場としての施設を建設した方が適当じゃないかとこのように考えておりまして、私どもとしましても県民あるいは国民の保養観光の場にしていくべくいま検討をしておるところでございます。
それから人工ビーチをエキスポランドと一体化して利用した方が双方にとって非常に利益が上がるんじゃないかと、したがってエキスポランドを譲ってもらうなり、あるいは利用するなり、あるいはまた国に売却するなり、いずれか考えたらどうかということでございますが、御指摘のとおりエキスポランドとそれから人工ビーチは一体として活用した方がいいと思っております。ところが、これまでいろんな経緯もございましてエキスポランドの売却については公社の方にも管理財団の方ともいろいろ話をやってきておりますが、なお非常にむずかしい問題がございます。
また一方、海浜ビーチを、いわゆる人工ビーチをこちらに取り入れたらどうかということもありますが、これもいま非常にむずかしいことでございまして、できるだけエキスポランドにつきましては先ほどお話にもございましたように収益性のある事業でございますんで、これは引き続き公社の方で当面やっていく以外はないだろうというふうに考えております。
それから大浜の宿舎でございますが、これは御承知のとおりすでに財産の鑑定も終わっております。そうしまして民間へ売却すべく検討を続けてきております。交渉に具体的に入っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君)農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 渡久地議員の農家の制度資金利用についての質問についてのお答えをいたします。
第1点目は農業関係制度資金、なかんずく公庫資金の活用の現況はどうなっているかということでありますが、公庫の農林漁業資金の実績は昭和51年度は融資枠124億円に対し、貸し付け決定額は71億円で執行率は57.4%であります。昭和52年度は融資枠130億円に対し、貸し付け決定額は64億円で執行率は49.5%と低い状況にあります。
特に昭和52年度につきましては、資金種別の貸し付け決定状況を見ますと、農林漁業経営改善資金等は順調な伸びを示しておりますが、企業等の大型資金が需要の減退により落ち込み、その結果総額が前年度よりも減少している状況でございます。
なお、53年度は融資枠130億円に対し70億円の貸付決定額を見込んでおりまして、これは渡久地議員の説明にありましたようにこのとおりいきますと約54%ということになります。
次に、公庫資金の利用促進について県の指導の現状はどうなっているかという御質問でございますが、これまで農協の貸し付け及び営農指導担当者に対する地区別説明会並びに農業改良普及所及び農業会議等主催の農業者の会合等において同資金の説明を行い、その活用に努めてきているところでございます。今後もこれらの説明会を開くほか、直接農業者を対象にした説明会を数多く開く必要がありますが、私どもとしましては総合事務局、公庫と一体となりましてパンフレットの配布等により同資金の普及を図っていきたいと思っております。
なお、農協転貸資金につきましては、農業信用基金協会の債務保証制度の活用もできるわけでございますので、そういう面もPRしていきたいと思っております。
3点目の離島の農業者の土地を担保にすることができないという話もあるが、窓口業務を預かる職員に問題はないかどうか、これについてどう思われますかという御質問でございますが、公庫資金の融資の際離島の土地も担保物件の対象となっており、実際に土地を担保にした融資も行われているわけでございます。しかしながら農協等関係機関において離島の担保予定土地の評価を行った場合、経済価値上本島の土地と比較して低い評価となり、融資額が大きい場合やむを得ず本島在の土地に抵当権を設定している事例があります。
なお、53年度から農協転貸資金については農業信用基金協会の債務保証を受けることができるようになっております。したがって300万円以内の融資については担保なしでも融資が受けられるようになるなど、農業者への融資条件は緩和しております。
次に、窓口業務を預かる職員に問題はないかどうかということでございますが、公庫資金の貸し付けについては、復帰後の昭和47年12月30日付で公庫と信用農業協同組合連合会との間で締結されました業務委託契約書により委託を受けた信連が貸し付けを行っている状況にあります。この契約書に基づき、自作農維持資金を除いて農業資金全般について一律20%の代位弁済義務が課せられております。信連で諮ってこの代位弁済の減免方について公庫に要請したのでありますけれども、これが認められておりません。したがって、現在のところ融資機関である信連及びその農協の窓口において債権保全上の措置を講ずるのは現状においてはやむを得ないものと思われます。
県としては、担保力の弱い農家への貸し付けに当たっていまさき御説明いたしました債務保証制度を利用させるよう指導するとともに、なお早期貸し付け、タイムリーな貸し付けができるよう窓口業務の指導を督励していきたいとこう考えております。
○議長(大田昌知君) 石垣喜興君。
〔石垣喜興君登壇〕
○石垣喜興君 知事就任後初めて行う一般質問でございますが、まず初めに、知事の施政方針演説を聞き、従来よりより具体的な演説であったことを高く評価するとともに、ぜひ有言実行をしてもらい、活力ある県政運営に邁進してもらいたいことを希望申し上げ、さきに通告いたしました順に従い知事並びに関係部局長にお尋ねいたし御答弁を求めます。
キビ作共済制度と害虫駆除の件についてでございますが、長年懸案であったキビ共済制度が今年から完全実施されるとあって、キビ作農家は収入の安定が得られるものだとして歓迎をしておるのです。ところが、農家の支払う共済掛金が沖縄本島127円に対し八重山が562円、宮古が509円となって約4.5倍の差があるため農家から苦情が出ています。保険の仕組み上多少の地域差は認められるとしても、余り開きがあり過ぎるとの声があります。
なぜこのような不平等な計算になるのですか。別の面でそれをカバーする仕組みがなされているのか、先島のキビ作農家が納得するよう御説明を願います。
最近、特に夏植えキビが萌芽しなくなり、株出しを当てにしていた農家に大きな被害を与えております。このような被害は初めてですが、共済制度は適用されないとすると糖業振興対策の面で困ると思いますが、県はどう対処なされるおつもりですか。救済の面でどのような策を考えておられるか。
それに加えて不萌芽の原因がアオドウガネムシの幼虫のしわざだとすると、生物界の調和、バランスが崩れたために起因するんではないか。とすると病害虫対策は単に農薬だけで片づけられるものではないのではないか。天敵の導入、自然界の調和等配慮する必要が生じたんではないでしょうか。ならば土地改良や基盤整備事業の拡大との関連等も考えられ、農家はますます不安がつのり戸惑ってしまうということです。
縦割り行政のため、横との連携にすき間が出たための結果ではないかとの批判もあります。何はさておき、関係皆様が十分横との連携をとりつつ措置に当たってもらわぬと大事な結果になるんではないかと心配されるのです。農水部責任者の御見解をあわせて聞かせてください。
林業関係についてです。
知事は、施政方針で「森林の利用開発と農山村地域住民の生活向上に資するため造林事業を推進する」と述べておられます。
ところで、現在の山林の経済的活動は余り目に見えるものはありません。そこで本員が一昨年からクバを補助造林樹種に指定しクバ造林の奨励ができるよう提言を続けてきましたが、いまだに進展はありません。
クバは、本員が申し上げるまでもなく葉っぱ、幹、実、芯、すべて金になる優秀な経済性の強い樹木であります。葉は観光みやげ品に利用され、幹は板材、実はみそや甘菓子の材料に、芯は料理に利用できるなどその価値は高く、与那国町役場の林産物払い下げ条例を見ればそれが裏づけられるのです。ちなみに同払い下げ料金は雑木丸太が1本50円、イヌマキ丸太が700円、クバ丸太は1000円、葉っぱも1枚5円、老葉ですら3円であり葉っぱの市販価格は1枚50円で何十万枚でも取引をしたいと本土からも沖縄本島からの注文もあるのです。町が移出――島外持ち出しを禁止し保護しているのが実情であり、いかに有望な樹種であるかもわかると思うのです。
知事の目標となされる森林の活用によって農山村の生活向上にという点にもマッチすると思います、御所見を承りたい。
3、県道216号与那国線の改良について、先月県議団の与那国視察の際議員の中からこんな県道がまだ残っているのかと珍しがるほど未整備の道路があり、ところどころ細切れに改良されつつありますが、この調子ではあと何十年かかって完成するか心細くなるのです。ゆとりのない県財政ではいたし方ない面もありましょうが、他地区と比較されおくれが目立つとすれば行政の片手落ちと非難されかねないのです。
そこでなぜ進まないのか、思い切って起債を起こし大幅な国庫支出金による予算措置をなしおくれを取り戻すため強力なてこ入れが必要だと思いますが、県ではどのような御計画で進めておられるかお知らせください。
4、学校教育と問題児対策について。
日々の新聞に報じられているように交通事故、犯罪、暴行、自殺等児童生徒のしわざだとは思えない事件が発生しているのですが、このような風潮は学校教育に積極性や活動的な厳しさが足りないというところに起因する面が多いんではないかと考えられます。先生と生徒の間にしつけの厳しさがないため言いつけを守らず、学業を怠り、身なりや服装を乱し閑居不善をなすの言葉どおりこのような事件に落ち込むんではないでしょうか。戦前の教師と子弟との関係を見た場合、教師は絶対であるという厳しさがあったのです。ところが現在ではそのような厳しさは影をひそめ、友人ですらない間柄に成り下がった感がするのです。
そこで1つの考え方として学力テストの件ですが、結論から申し上げるなら、学力テストを行う場合各学校間あるいは各クラス間の成績を発表し子供や教師、父兄に競争心を起こさせ、勉強への意欲と負けじ魂を育てるため教員が先頭に立って考えるべきだと思うがどうでしょうか。前回の学力テストを施行する際、教職員会と教育長との間で各学校別成績を発表しないという取り決めでようやく実施に踏み切ったと聞いています。今回のテストもそのような取り決めで行ったのですか。では、各学校別に発表したり、他県、他郡市と比較発表したらどのような弊害があるのですか。
先進国では、同じ学級内でその生徒に応じた教科書を区別して与え勉強させているとも聞いているのです。クラス編制や学校編制にも甲乙に分類してもよいんではないかとも思うのです。
そもそも学力の向上、質のよい生徒をつくるのを目標に主任制を実施しているのに反対をし、おまけに良質の子供も低質の子供も1つの教科書で教える今日のシステムでは、学級定数を40名に減らしても学力の向上、質のよい子の育成はどうかと思われるのです。ほとんどの県が主任制を導入しているのに、それが受け入れないとする沖縄の教職員の体質にこそ問題があるんではないでしょうか。御見解を求めるとともに、問題児対策についても先生方が努めて避けて通る気配がしてなりません。
他県での例ですが、問題児を抱えた学校長が柔道部をつくり、基礎体力部と名づけみずから問題児を引き受け柔道で体を鍛え、精神を鍛え、触れ合いの中からしつけと教師への絶対感を植えつけみごとに成功、生徒の非行はとまったと近着の毎日新聞教育版で報道しています。本県でも大いに取り上げ学校現場に奨励すべきだと思うとともに、先日の琉球新報で報じられた那覇中の先生の行為は責めるべきではないと思っています。知事並びに関係部局の御見解を承りたい。
5、広域交流の問題についてです。
戦前の教員は、教師としての専門的学問を修得し資絡を取得して初めて教壇に立った。戦後すべてが不足の時代、かき集め式に教員の採用がなされた。その中には講習や検定等で資格を取得されりっぱな実力を身につけておられる先生方もおられますが、戦後流行し出した労組的組織の力に守られ、実力はないのに年功序列型の教員がふえたこともまた事実です。特に戦前の師範学校や専攻科出身の先生方は、ほとんどが定年退職で学校を離れる時期に来ています。戦後の教育大学を出られた先生方は教頭、校長への順番はまだ遠いところにあります。
知事は、施政方針の中に教員の人事を刷新し教職員の構成の適正化を図るため広域交流を行い、資質の向上のため交換教員制度を進めるとうたっておられます。このことはまさに時宜を得た施策だと申し上げたい。なぜなら戦前良質の教員をつくるため教員の広域交流が盛んに行われ、その成果は見るべきものがあった。戦後もその制度はあったが、行政権の分離や教職員個々のエゴ等で実施が困難になりそのため一地域にとどまり、「井の中の蛙」式で刺激のない職場からは質の低い教員が多くなり、そこから学力の低下や質の悪い生徒が生まれ悪循環が生じたと言われている。
特に八重山は、学校出たてのほやほやと戦後過渡期の先生方との組み合わせで中堅のいないドウナツ型編成と言われている。口の悪い人は先島は教員の養成所であり、実力のない先生方のたまり場だとも言うのです。
そこで知事に提言申し上げたいことは、交換教員を大幅に実施してもらい、校長、教頭クラスの広域交流を早く実施してバランスのとれた職員構成にしてもらいたいということなのです。直接実務に当たられる教育長や教育委員長のお取り組み、御計画等あらば承りたい。
校舎並びに教員住宅について。
私どもの常識的な考えとして、コンクリート建築は40年から50年はもつと考えていた。ところが校舎は20年、はなはだしいものは15年そこそこで亀裂し、鉄筋の腐食によって危検校舎と認定されたのが約1000教室もあると聞いて驚いている。いまさら設計がどうの施行がどうのと言い争っているときではなく、すぐ取り壊し新しく建てる以外道はないのですが、それがまた地方自治体の財源を圧迫し、特に人口の移動の激しい沖縄は廃校、新設とも絡み合い県財政の大きな問題点になるような気がしてならない。
それと並行して教員住宅の件ですが、本県の離島僻地には至るところに教員住宅があります。生活や住宅事情の悪かった戦後の世情からやむを得ない措置だったと思いますが、今日では住宅ローンの発達とともに近代的住宅もふえ教員の宿泊ができる質のよい部屋も十分にあり、またその気になれば提供者もおると思われます。要は、教員に借家料に見合う額の手当支給制度ができればのことです。そのような制度を県がつくるなら、最も理想と考えられている校区民との触れ合いや連帯による社会教育面への貢献、父兄や子供らとの信頼関係、市町村の負担の軽減、維持管理の安易さの上に新築、改築の必要もなく一石二鳥の策だと思うが教育長の御見解を求めます。
観光問題について。
沖縄の観光は、関係皆様の努力により今日では農業収入の倍も上回ると言われるほど上向きに転じ観光業界は活気づいてきましたが、いまだに中小ホテルや一般業界にまで潤いが浸透したとは言えませんが、明るい見通しがなされているとき県民のモラルや一部業者の客引き、リベート商法、押し売り等不心得者のため観光客の足を引っ張るような行為が目立ち憂慮されつつある。知事の観光に対する意欲のほどは所信表明によって十分承知しておりますが、以上のような現状を見逃すと宮崎県のごとく取り返しのつかない結果になりかねないと思います。ここらで適正な発展のため観光条例を制定し海浜汚染、破壊防止、風致林の育成保護等いまから手をつける必要があると思われます。
そこで本員は、観光入り込み客をふやし観光産業を振興させるには少数グループの航空運賃割引制度の実現と県産おみやげ品の開発にもっと力を入れるべきだと進言してきました。ここで改めて申し上げたいことは、ちょっと工夫すればりっぱなおみやげ品が幾らでも開発できると思います。ところが業者任せにしておくと手っ取り早い移輸入品に走り、安易なみやげ品販売に甘んずる傾向がありますので、県でおみやげ品開発のため予算を大幅に組み、県産品証明のラベルを張る等真剣に取り組むようてこ入れしてもらったらどうでしょう、観光立県の立場から知事の方針にも沿うことと思う、御所見を承りたい。
最後に、犯罪少年と暴力団対策についてですが、前齊藤本部長の強力な暴力団対策が功を奏し封じ込め作戦は成功したと県民から喜ばれており、今後も引き続き現福島本部長も強力に推し進めてもらいたいと希望するものであります。
ところが、本島において強化されたための影響か離島久米島、宮古、八重山等に流れ込みそこで問題を起こす気配がするのです。風聞によると、少年犯罪の裏に暴力団がかかわり合っているという。おまけに学園にまでその手が入っている気配すらあると聞いています。警察並びに学校当局でこのような情報を得ておられるか、もし得ておられるとしたらその対策等についてお知らせください。
以上です。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石垣喜興議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、キビ共済制度に関する先島の共済掛金率の高いことについての御指摘がございましたが、病害虫の駆除の問題と関連いたしまして担当部長から答弁させることにいたします。
また経済林造成、造林事業との関連においてビロウ――クバを造林樹種に指定したらどうかという提案を含めての御質問がございましたが、現在造林樹種に指定されておるのがリュウキュウマツから杉、デイゴ、桜、クスノキ、イヌマキ、センダン等々約19種が指定されておりますが、この中にクバは入っておりません。ただし保安林用樹種には指定されておりまして、モクマオウ、テリハボク、アダン、フクギ、アカテツ、ビロウ、合計いたしましてこの6種が保安林の対象樹種として指定されておるのを御理解いただきたいと思うのであります。経済林造成の樹種には指定されておりませんけれども、もしこれが市町村、組合において事業としてビロウの植樹についての事業を計画するのであれば、事業の面を通じて助成していきたいと考えているところであります。
与那国の県道の改良については担当部長から答弁させることにいたします。
学校教育と問題児対策についての数多い質問がございましたが、これは教育長から答弁させることといたしますが、那覇中での事件はまことにこれは残念なことでございますが、これはもう私たちの時代には先生からよくたしなめられまして殴られた事例等も目の当たり見、私自身も殴られたことがありますが、余り身体に重大な故障を起こすようなことではいけませんけれども、しつけの範囲内においての少々の、これは暴力という言葉で表現していいか、しつけはこれはあっていいんではないかと、私自身の見解はそういうことでございますが、最近は暴力絶対まかりならぬということでございますが、その辺は父兄も先生も相協力いたしましてしつけ程度のしりをたたいたり頭にげんこつをやるぐらいのことは私は認めていいんじゃないかと私見を申し上げるわけでございますが、この点につきましても教育長から現在の制度について答弁させることにいたします。
ただ、教員の質を向上する点から広域交流と申しますか、教員の交換制度というものを早く実施していきたいと。今年度は準備でございますが、来年度からはできるだけ多数の教員を本土との交換制度を拡充いたしまして資質の向上を図りたいと考えているところであります。
校舎及び教員住宅についての御質問は、教育長から答弁させることにいたします。
観光問題と関連いたしまして、観光施設の整備強化、また美化、緑化という観点から条例を制定せよという要望を含めての御質問でございましたが、全くおっしゃるとおりでございまして本当にちり1つ落ちてない、ハワイにも負けないような美しい沖縄に持っていかなければなりませんし、そういう意味でいま条例を整備しているところでございます。
みやげ品についての県産品愛用の問題については、担当部長から答弁させることにいたします。
犯罪少年の問題については、警察本部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 石垣喜興議員の御質問にお答えいたします。
まず初めに、キビ共済制度と害虫駆除の問題点について、その中で特に4月から始まりますサトウキビ共済の掛金が先島は高いがその理由、それとそれをカバーする対策ということについてお答えいたします。
畑作物共済の地域別の共済掛金率は、農業災害補償法に基づき昭和43年度から昭和52年度の被害率を基礎にして作成されておりますけれども、サトウキビ共済事業を円滑に推進するため保険需要と農業共済団体の保険収支を十分に配慮して県が設定する危険階級をもとに国が定めております。したがって過去の被害率、特に昭和46年の干ばつが影響しておりますが、この過去の被害率の高い先島地域は高い掛金率となっております。
いま石垣喜興議員からも数字を挙げて説明がありましたが、私どもとしましてこの対策をいろいろ考えてきたわけでございますが、実情を申し上げますと、この試験共済実施期間を含めた過去10年間における実被害率は沖縄本島に比べると約10倍から11倍の被害率になっております、これをそのまま適用いたしますと先島地区の農家負担が大変重くなりますので、県は、国に対してそれを平準化するよう要請してきたわけでございます。その結果、科学的な計算をもとにして国も各面から検討していたわけでございますが、かなり高い被害率で10倍から11倍になるものを、現在は先島地区の掛金率は本島の約4倍強に圧縮されております。
今後の対策でございますが、共済制度上3事業年度にわたり共済金の支払いを受けない場合は、共済掛金の組合員負担分の2分の1を限度として無事戻しすることになっております。したがって3年間災害がなければ、3年間に積み立てました2分の1を限度として払い戻されるということになるわけでございます。それに昭和56年と58年こ掛金率の見直しが行われることになっており、その間に共済事故がなければ掛金率は当然下がることになるわけでございます。
次に、特に県といたしましては宮古、八重山地域がいまさき説明しましたように掛金率は高くなっておりますので、それをカバーするため特に農家負担の事務賦課金についてその一部を助成したいということで今回予算を計上しお願いをしているところでございます。
それからサトウキビに関連する害虫駆除との関係でございますが、特に再生産を確保するために救済措置はないかという御質問だと思いますが、補助金でこれをカバーするということは現在考えておりません。しかしながら金融上の措置はあるわけでございますので、特に農業近代化資金の活用は図られますので、その金融的な救済は、救済と言えるかどうかわかりませんが金融的な措置はあるわけでございます。
次に、特に今回の不萌芽との関連でアオドウガネムシあるいはハリガネムシ等が異常に発生しているということは、いわゆる横の連絡が欠けているんじゃないかということも指摘いたしておりますけれども、特にこのことは圃場整備事業等との関係で言われているんじゃないかと思われますけれども、私どもとして今回の不萌芽の原因を各面から究明しているわけでございますが、特に今回出てきたということでなお究明の余地がありますので突っ込んで究明するわけでございますが、これは天敵がいないとかいろいろあろうかと思います。ただしかし、土地改良事業をしたためにそういうふうになったのかというようなことの、土地改良事業とも関連あるんじゃないか、やり方に関連があるんじゃないかという意味の御質問かと思いますけれども、私どもとしては土地改良事業の場合特に土壌改良を含めてやるわけでございますけれども、特に今回の不萌芽との関連はないものと思いますけれども、なお研究させていただきたいと思います。
それから最後のビロウにつきましては知事から回答がありましたが、特に八重山地域でこのビロウを奨励したいということでありましたら林業振興特別対策事業が今年度から実施されておりますので事業主体、これは石垣市になろうかと思いますが、そこがそういう希望をするのであれば十分に配慮できると思いますので、提案の趣旨等について市とも話し合ってみたいと思っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 土木部長。
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) 県道与那国島線の整備についてお答えを申し上げます。
与那国島線は、同町の祖納、久部良、比川を結ぶ延長約15キロの県道でございますが、祖納から久部良の区間は52年度までの事業によりまして舗装を完了しております。祖納から比川の区間につきましては51年度から県単独事業として年次的に改良工事を行っておりますけれども、今後も事業の推進をしていきたいと思っています。
なお、御指摘のありました久部良――比川の区間につきましては、昭和54年度から国庫補助事業として年次的に整備をしていく計画でございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) たくさんの御質問がありましたが、順を追うてお答えいたします。
まず最初に、学力テストの問題でございます。
昨年より実施いたしております学力テストは、教育長の諮問事項につきまして沖縄県学習対策研究委員会第2専門部会の答申に基づいて、県の児童生徒の基礎学力の実態を把握し今後の学習指導に資するために実施しているものでございます。
御指摘のとおり、児童生徒のよい意味での競争心を高め、負けじ魂を植えつけて全国に雄飛する県民の育成は、学習意欲の高揚と相まって非常に重要なことであると認識しております。しかし現在実施している基礎学力テストは、前述の目的からして県全体の傾向を掌握して学校現場の指導資料として十分に活用していきたいと、このように考えています。御指摘の件については今後十分検討していきたいと考えています。
次に、子供の能力に応じて学級編制をしてもよいのではないかという御意見についてお答えします。
学級編制を行うに当たっては一人一人の子供がそれぞれの個性に即した教育ができるようにするとともに、さまざまな個性や能力、または背景を持った子供たちがともに生活する中で望ましい相互関係を維持しながらよりよい社会性を育成していくことも大切なことでございます。このように学級編制は子供の個々の個性を伸ばすとともに、人間関係を通しての社会人としての能力を養う両面を持っているわけでございます。特に初等教育の段階では、特別な障害児は別といたしまして、通常の学級編制をいたしましてその中で個性、能力に応ずる配慮が行われることが望ましいと考えます。しかし中等教育以上では、教育的要求の上からも能力、適性、進路等に応ずる学級編制は十分配慮されるべきであると考えております。
3番目に、問題児対策と特に那覇中校における教師のとった指導についての見解で先ほど知事も答弁がありましたけれども、本来生徒指導は、生徒の持つ可能性を伸ばすことにありますけれども、残念ながら現実には問題を持つ生徒がかなり出ておるわけでございます。
このような問題を持つ生徒の指導に当たりましては、単にその生徒の表面的な行動だけを見て指導するのではなく、その問題行動の原因を把握してなぜそうなったのか、何が必要なのか、どうすればよいかなどを検討し、教師と生徒の信頼関係を基盤にした指導を進めなければならないと考えます。問題を持つ生徒に対しては厳しく指導するということは御指摘のとおりでございますが、それも教師の熱意をもとに教師と生徒が真に心の触れ合いを通して生徒の発達の可能性を確信し、根気強く生徒の内面に迫っていくことが必要であると考えます。
よく父兄の立場からは、先ほども知事の御答弁にもありましたようにしつけの面から愛のむちとしての体罰なら少々ならいいではないかという考え方も十分理解できるわけでございますが、教育行政の立場から申し上げますと体罰については関係法規によって厳しく禁じられており、いかなる場合にも体罰を加えることは好ましくないと思います。
教職員の広域交流についてお答えいたします。
離島僻地の教育内容の充実発展を期するためには、教員の資質の向上を図らねばならないことはもちろんでございますが、教育現場に清新な気風を吹き込むために広域交流を促進し人事を刷新する必要がございます。
本県の教育委員会では、人事異動に当たり県立学校教職員及び県費負担教職員人事異動方針を策定いたしまして、この基本方針に基づいて教職員の男女比、年齢、教職経験等適正な構成を勘案しながら地域の実態に即応する人事配置を行うよう鋭意努力しております。
ところが、教員の生活の根拠地の問題、子弟の教育、その他もろもろの条件が介在して異動希望は都市地区またはその周辺に集中する傾向にあります。したがって教員の希望のみによる異動では教員構成が地域的に不均衡を生ずるおそれがありますので、広域交流を促進し、その一環といたしまして2年ないし3年離島僻地に勤務した教師については、希望する平地の学校へ異動させるという計画交流などの方法をとっております。広域交流は現時点では緩慢であり必ずしも十分に機能しているとは申しませんが、漸次その運用を活発化させていきたいと考えております。
次に、御提言の交換教員制度の早期実施についてお答え申し上げます。
従来教員の資質、指導力の向上を図る目的で他の都道府県の学校へ研究教員を派遣してまいりました。これらの教師が本県教育界において教壇実践、生活指導等教育活動の中枢となり確実な効果を上げていることは御案内のとおりでございます。
ところが、復帰特別措置として存在してきたこの制度も昭和56年で打ち切られることになります。したがってこの制度にかわるものとして新たに交換教員による県外研修制度を確立すべく目下準備中でございまして、交換制度の相手県はいまのところ熊本県、兵庫県を予定しておりまして、昭和55年度から実施できるようただいま準備を進めている段階でございます。この制度によりまして他県から受け入れる教員は広く県内に配置する予定であり、離島僻地の教師の刺激にもなるものと期待しております。
次に、校舎建築の問題と、それから教員住宅の問題についてでございますが、校舎建築についてお答えいたします。
本県の公立文教施設整備についての基本的な考えは、1つには本土との格差をできるだけ早い時期に是正すること、2つ目には沖縄振興開発特別措置法の有効期間内に高率補助で極力必要な施設の整備を図ること、3つ目には絶対数の早期確保を図るとともに、質的な面の向上に十分配慮すること、このような考え方で進んでおります。
現在、校舎及び体育館の整備については順調に進んでおりまして、昭和56年度事業が完了した時点ではほぼ全国並みになる見込みでございます。
今後、沖縄県における文教施設の整備は既設の校舎の改築、いわゆる不良鉄筋校舎の改築事業が大きなウエートを占めるものと考えております。この改築事業の場合、新増築の10分の9の補助に対して4分の3と多少低いので市町村の財政的負担もふえるわけでございますが、起債等の措置によって市町村の財政負担の軽減措置が考えられております。また次年度昭和54年度からは解体費(撤去費)についても補助対象経費の中に含めるべく関係省庁との事務的調整を行ってかなり見通しが明るいわけでございますので、これが実現すれば改築事業に伴う市町村の財政負担は幾分軽くなるんじゃないかと、このように考えております。
次に、教員住宅にかえて住居手当を増額したらという御提言でございますが、教員住宅の提供にかえて住居手当の増額によって配慮することは現行の給与条例の改定を伴いますので、具体的な事例を挙げて財政的な面と、それから教員の意向等を検討して関係部局と調整をしなければ結論が出ない問題だと考えております。
また県教育委員会、または市町村教育委員会が民間住宅を借り上げてそれを教員住宅として教員に貸与することは法的にも可能でありますが、これも財政的な面、あるいはその地域の貸し住宅の状況、同じく教員の意向等を検討してみる必要があると思いますので、今後の検討課題として検討させていただきたいと思います。
最後に、問題傾向の生徒の背後に暴力団組織があるという話があるが、教育関係でそういった情報を得ているかという御質問でございますが、私たちのところではいまのところそのような情報は得ておりません。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) 2点ほどございますのでお答え申し上げたいと思います。
まず第1点はGIT運賃、つまり団体包括旅行割引運賃ですが、これを家族や小グループにも適用するようにしたらいいのではないかという点と、それから県産品の優良みやげ品を奨励するための制度を設けたらどうだろうかという2点でございます。
まず最初のGIT運賃についてでございますが、私どもこれまで航空運賃の割引についての要請を10数回やってまいっておりましてそれなりの効果も出ているわけでございますが、これまでの要請は主といたしまして公租公課負担分、これを航空運賃から除外してもらいたいというのがまず第1点でございます。それからもう1点は、団体割引運賃を現在は25名以上ですから、これを今度は個人にも適用してもらいたいと、この2点にしぼっていまは要請をしているところでございます。ただいま御質問のございました家族や小グループについては、そういった関係からこれまでの折衝等の経緯をよく見きわめまして、そしてさらに要請を続けてまいりたいとこのように考えております。
それから2点目のおみやげ品店等、いろいろ問題もあるので条例等もつくり規制措置も講じながらなお奨励制度もあわせて考えていったらどうかという御質問につきましては、県ではことしから新しく県産品の優良製品の奨励制度というものを今年度からつくっております。そうしまして優良マークなどを貼付しまして奨励をしてまいりたいとこのように考えて予算措置等もしておりますので、今年度から実施に移せるものと考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 福島静雄君登壇〕
○警察本部長(福島静雄君) 暴力団対策につきましてお答えをいたします。
過去2年間、県民各層の御支援をいただきまして暴力団対策につきましては激烈をきわめました対立抗争事件を鎮圧いたしますとともに、暴力団の組織自体を壊滅に持っていくという観点から、頂上作戦の展開等の積極的な攻めの対策を警察の総力を上げまして進めてまいりました。その結果、彼らの蠢動につきましては大幅な封じ込めに成功したという観点でかなり成果を上げてきたというふうに考えているところでございます。
今後におきましても、法治国家におきましてこうした無法集団である暴力団組織は必ず壊滅させていくという、決意の上に立ちまして構成員の大量検挙、武器の摘発押収、それから資金源の封殺等を基本方針といたしましてさらに積極的に取り締まりを進めてまいりたいと考えております。
それで御質問に、本島での取り締まりが厳しくなったために先島方面へ流れていっているのではないかという御指摘がございましたが、この点につきましては、本島で暴力団から足を洗った者が先島の郷里の方へ帰っていったという事例はございますが、暴力団が先島の方へ特に流れていったという実情は現在のところ見られません。もとより暴力団につきましては本島、先島を問わず徹底的な追及の手を伸ばすというのが方針でございますので、今後とも先島における動向も含めて十分監視をしてまいりたいと考えております。
それからもう1点、学校の中に暴力団の手が伸びていっているのではないかという御質問でございます。
警察におきましては、平素から学校当局、それから地域の青少年補導員の方々と緊密な連絡関係を持ちまして、児童生徒にこういった外部の者からの被害が及ばないように十分配意しながら情報収集に努めているところでございますが、御指摘のような風評を裏づける事実はまだ現在のところ承知いたしておりません。しかしそういう事態が起きないように引き続き学校内にまで暴力団の手が及ぶということのないように動向の把握には十分留意をしてまいりたいというふうに思っております。
○議長(大田昌知君) 比嘉 昇君。
〔比嘉 昇君登壇〕
○比嘉 昇君 本員は、さきに通告いたしました事項について所見を述べつつ質問をいたします。
まず、未買収道路用地の補償、いわゆるつぶれ地の補償についてでございますが、これまでに御答弁を承りましたので重複を避けて質問いたしたいと存じます。
戦後処理事務の大きな課題であるつぶれ地補償について、知事が勇断をもって懸案解決に先鞭をつけられ、54年度から予算措置がなされたことを高く評価するものでございます。
かつて知事は、国会議員としてわが党選出の稲嶺、伊江両参議院議員、国場衆議院議員ともどもこの懸案解決に邁進してこられただけに知事も感慨を深くしておられることと存じます。
従来、この問題につきましては補償費の全額国庫負担といういわば正攻法で国に要請してまいったわけでございますが、制度上の厚い壁に阻まれていた感がいたします。このたび市町村道のうち1、2級幹線から県道に格上げできるものについては格上げをし10分の10の補助が受けられるようにする、また本来国庫補助の対象外にあるその他の道路から1、2級幹線に格上げできるものについては格上げをして10分の8の国庫補助が受けられるようにする、さらに10分の2の市町村負担分についても別途に国に支出を求めていくという制度に即した現実的な解決策を選択され、この問題が急速な進展を見ましたことは御同慶にたえません。
しかし、問題が全く残ってないわけではございません。まず道路の格上げについても、いかにして道路法に定める認定基準を弾力的に運用をさせていくか、また10分の2の市町村負担分を果たして国が別途に支出するか否か、またその他の道路として残る分についてはどうなるのか、知事のこれからの行政手腕に期待いたしますけれども、知事の所見ともし見通しがついておりましたらその点についてもお伺いをいたします。
本県の場合、米軍の占領下にあって基地の内外を問わず米軍の必要に応じて道路が設営されそれが解放されて旧琉球政府道なり、あるいは市町村道に認定された経緯がございます。もちろん米軍が占領管理をしておった期間は賃貸料が支払われていたのでありますが、復帰と同時に米軍道から国道あるいは県道に引き継がれた分は全額国庫補助で賃貸料が支払われておりますけれども、それ以外の県道、市町村道、つまり復帰前に解放されまして県道なりあるいは市町村道に認定された分については道路管理者において所有権、その他の権原を取得しないまま、つまり全く補償がなされないままに供用開始がなされているのがほとんどでございます。
去る1月31日、那覇地方裁判所民事第1部で道路つぶれ地の補償に関係のある注目すべき判決が出されております。判決の趣旨は、道路管理者が道路の敷地等について所有権、その他の権原を取得することなく他人の土地についてなした供用開始の公示は、内容の不能な行政行為――行政行為の内容が実現不可能な場合――としてこれを無効であると判決をいたし、その無効が公に宣言されるまでは右公示が外形上存在をするので、道路敷地が一般通行の用に供されて事実上道路法による道路として取り扱われている場合には道路敷地の占有は道路管理者にあり、これが不法占有となることは朋らかであるとして道路管理者に対して賃貸料相当の損害賠償金の支払いを命じております。
私的財産権を保障した憲法29条からしてしごく当然な判決でございますけれども、本県の場合先ほども指摘いたしましたとおり県道といわず、市町村道といわずそのほとんどが権原の取得がなされてないまま供用開始がなされておる現状からいたしまして、この財政的な対応の面を考えた場合に道路管理者は深刻な立場に立にされ、この判決は大変頭の痛い問題であろうかと思います。
両日刊紙でも報ぜられただけに多大な影響が予想されます。したがってもはや猶予は許されません。つぶれ地の補償業務はこれから緒についたばかりで年次的に進めていく以外にないとは存じますけれども、これが補償が完了するまでどの程度の期間を予想しておられるかお伺いをいたします。
なお、国家の機関である司法府においてかかる重要な判決が出た以上、私はこの判決をむしろ逆手にとっててこにして政府に対し迅速処理を迫る必要があると思いますが、知事の所見を賜りたいと思います。
次に、米軍油送パイブラインの撤去についてでございますが、この問題については本県議会でも多くの議員が問題提起をし、全会一致の撤去決議も採択されております。パイプラインが都市計画や地域開発の大きな阻害要因となっており、また敷設後20有余年も経過し老朽化していること、たびたび油の流出事故が発生したことにかんがみて当然のことでございます。政府も県民の強い要請を入れまして昭和51年7月18日の第16回日米合同委員会で代替施設や一部移設を条件に撤去について合意を見ておりますが、現在どの程度進捗しているかをお伺いいたしたいと思います。
従来、撤去の前提条件である代替施設や一部移設について、革新県政はあくまでも無条件全面返還を主張し、与党各派も基地機能の再編強化、固定化、あるいは基地容認につながるとしてがんとして拒否し続けてきた経緯もございまして、このことが問題解決をおくらせてきた要因の一つとも思います。
本員は、地域開発の阻害要因や県民の生命、財産に対する現実の危険性を排除していくためには、従来の硬直した姿勢を捨て現実に即して弾力的に対処していく必要があると思いますが、知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
また、代替施設や移設についても国の所管と片づけるのではなしに、地域住民の犠牲と危険を速やかに除去していくには、移転先の地域や住民の理解と協力を得てこの事業を円滑に進めていくために知事とされても側面的に協力していかれる必要があると思いますが、知事の所見を賜りたいと思います。
次に、学力調査の件でございます。
石垣議員の質問にもございましたが、まだ納得のまいらない点が多々ございます。
県教育庁は、昨年に続き2度目の基礎学力の調査を去る2月27日実施されました。従来から県内、県外高校生の琉大への合格率、あるいは九州各県大学合格者数などから本県児童生徒の基礎学力の低さが取りざたされてまいりましたが、昨年の第1回調査の結果その実態が具体的に明らかにされました。県教育庁が学習意欲高揚対策委員会を設置されるなど、児童生徒の学習意欲の高揚に心を砕かれ基礎学力の実態調査とその向上に鋭意努力されておられることには敬意を表し高く評価するものでございます。
本員は、昨年9月の定例議会でも第1回の学力調査結果を踏まえまして指摘もし質問もいたしました。今回の調査も前回同様の調査対象、規模、出題内容のようでございますが、前回本員が提起いたしました第1点は、単に男女間の比較、都市部と農村部の比較から一歩進めて、せっかく国頭、中頭、那覇、島尻、宮古、八重山と教育事務所単位に県下6地区からサンプリングいたしまして調査を実施しておられる以上、各地域間の比較、学校間比較を分析すべきではないのか。第2点目は、本県の児童生徒の基礎学力が全国的にどの程度の位置にあるかを知るためにも同一調査を他府県に委託して実施するなり、あるいは全国的な標準テストを実施すべきではないのかという2点についてでございました。
これに対し教育長は、「今回の調査は、当初から男女間、あるいは都市地域、郡部の比較を想定してなされたものでございまして、御質問にあります学校間の比較、地域間の比較、あるいは全国的な位置づけをするテストについては、今後検討していきたい」という趣旨の御答弁でございました。
教育長も昨年の答弁で述べておられるように、学力に作用する主たる要因として人的要因、物的要因、環境的要因の3つがある以上、当然のことながら基礎学力の向上を図るには学校、家庭、地域社会、教育行政それぞれが一体となって対処していかなければならないはずでございます。したがって単に調査結果から子供のつまずきぐあいを分析し個々の教師の指導上の工夫改善に活用していくというだけでは、その目的を十分達成することはできないのではないかと考えるものでございます。
一歩進めて、学校間比較ないしは地域間の比較も分析をし、地域間に格差があるとするならばさらにその要因を究明し、人的要因にあるとするならば人事の交流を図るなり、研修を拡充するなりして教員の資質の上を図り、物的要因にあるとするならば教育施設の整備を、環境的要因にあるとするならば環境浄化はもちろんのこと、文化施設等を整備するなり、あるいはまた意識の高揚を図るなど分析結果に応じて県はもちろん、市町村あるいは教育行政の関係者や教師、父兄、地域社会が一体となって対応してこそ目的達成も可能かと存じます。
地域間比較は、それぞれの地域における基礎学力の実態を掌握させることにより自覚を促し、理解と協力を求める上においても大きな効果があるはずでございます。
また、同一の学習指導要領を踏まえまして日本国民としての教育が実践されており、しかも進学するにしろ、社会に出るにしろ全国各地域の人とのかかわり合いを持つ以上、本県の児童生徒の学力水準を把握し、格差があるとするならばその要因を分析してその是正に努めなければならないこともまた当然でございます。
そこでお尋ねいたしますが、今回の学力調査の結果処理に際し地域間比較、この分析をされるお考えはないかどうか、また同一調査を類似県等に委託をして実施するお考えはないかどうか、さらに全国標準テストの実施についてはどのようにお考えかお伺いをいたします。
参考までに申し上げますが、経済指標にいたしましても、私どもは本県の実態を知ると同時に全国の指標あるいは類似県の指標をもとにいたしまして格差の是正を図っていくわけでございますが、ひとり教育界だけは私は例外とは思わないのでございます。
次に、県内企業の保護育成についてでございますが、知事御自身から熱誠あふれる御答弁がございましたので質問を割愛いたします。今後とも公共工事の県内業者への優先発注、あるいは県産品の優先使用、元請、下請の資金受け払いの関係改善など、なお一層行政指導を強化されんことを望みます。さらに業界との情報を密にされて資材の需給のバランスを確保され、工事発注の平準化を図るなど、この大型予算を雇用機会の創出と県経済の景気浮揚に真に効果あらしめんことを要望いたすものでございます。
次に、湾岸道路の延長についてでございます。
県は、那覇港、泊港、安謝新港の3港を結ぶいわゆる湾岸道路の建設に着工しておられますが、第2次振興開発計画のプロジェクトとしてこれを北谷まで延伸することを検討されるお考えはないかということでございます。
第1に国道58号線の慢性的な交通渋帯を解消するためにも、また県中央卸売市場と中北部を結ぶ動脈としても必要ではないかと思います。第2に牧港補給基地の利転用は県経済にも大きな影響を持つ目玉でございます。広大な同基地を含む浦添沿岸、宜野湾沿岸の地域開発にも欠かせないと思いますが、知事の所見を承りたいと思います。
最後に、地籍明確化業務についてでございますが、御承知のとおり本県では地籍の未確定に起因いたしまして県民の間に境界争いなどもろもろの問題が派生し、あるいは解放軍用地の利転用の阻害要因として経済的損失も大なるものがございます。政府もこの問題解決のため特にいわゆる地籍明確化法を制定し、復帰前に解放された地域は開発庁、復帰後の返還地域及び米軍提供施設区域、自衛隊の施設は防衛施設庁が分担をして昭和52年から57年までの5カ年をめどに作業が進められておりますが、県民はこの業務の進捗状況に大変注目をいたしておりますが、その進捗状況はどうなっているかお伺いをいたしたいと思います。
また、昨今交通渋滞緩和のため牧港補給基地内の道路使用が取りざたされ、あるいは国道58号線の道路敷の買収に関連して58号線に隣接する補給基地の地籍確定が焦眉の急務となっておりますが、当該地域の明確化業務の進捗状況と業務の見通しについてお伺いをいたしまして、質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 比嘉昇議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、市町村未買収道路についての御質問でございましたが、この件につきましてはその負担について一番問題がございまして、1、2級道路をできるだけ県道に引き上げていきまして10分の10の国庫負担に持っていきたいと考えておりまするし、さらに1、2級道路の10分の2の負担につきましてはできるだけ市町村の負担にならないように交付税で見るか、もし交付税で見ることができなければその他の方法で市町村の負担にならないような体制についていま検討をしているところでございます。
御指摘になりましたとおり、特に道路法ができない前、いわゆる道路法による認定権者によって認定されない道路がほとんどでござまして、御指摘になりましたつぶれ地補償に関する那覇地裁の判決は憲法の精神からしてもこれは当然のことでございまして、市町村といえども地主のつぶれ地に対しましては十分にこれを補償しなければならないことは当然でございまして、この判決を中心にいたしまして対政府機関に対しまして強力に折衝する有力な材料だと思っておるところでございます。
次に、補償がいつ完了するのか、これはいまはっきり申し上げられないわけでございますが、市町村道路全部補償するにいたしましても金額にいたしまして約900億円近い金額でございまして、ことし約10億円予算が54年度において計上されているわけでございますが、これを基準にして算定いたしましても長期間にわたるものだと思っておりまして、また事務的に詰めていかなければならない点等もたくさんございまして、その点担当部長から答弁させることにいたします。
一番問題になりますのは、県道への引き上げ、さらにその他の道路の幹線道路への引き上げ、それでもなおかつ3分の1ぐらいはその他の道路として残りますので、これをどう処理するのか今後の一番大きな課題でございまして、この面につきましても市町村の負担にならないような体制をつくっていかなければならないと考えておりまするし、それでは一体どういう形でやるのか、いま具体的には申し上げませんけれどもいろいろございますが、はっきり申し上げることのできないのを残念に思っておりますが、でき次第御研究をいただきたいと考えているところであります。
次に、パイプラインの撤去、移設についてでございますが、これは御指摘になったとおり一日も早く撤去しこれを移設しなければならないわけでございますが、これについては約30億円ぐらいの予算が計上されておりますが、その進捗の状況については担当部長から答弁させることにいたします。
学力調査の問題につきましては、教育長から答弁させることにいたします。
それから湾岸道路の延長の問題でございますが、この件につきましても担当部長から答弁させることにいたします。
地籍の明確化業務についてこれを復帰前、復帰後に分けて沖縄開発庁、施設庁でいろいろやっているわけでございますが、なかなか思うように進捗いたしておりません。その状況については担当部長から答弁させることにいたします。
これと関連いたしまして牧港の補給基地内の明確化業務がどうなっているか、これについても担当部長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 土木部長。
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) ただいまの市町村道のつぶれ地の補償の中で、どの程度の期間がかかるかという御質問に対してお答えいたします。
ただいまも知事から御答弁がございましたように莫大な金額でございますので、それからもう1つは地籍の確定と、これがまた非常に難航するということが予想されますので、私どもの現在の予想ではいつごろまでにという予想はつかないのでございますけれども、ただ、いま比嘉議員からの御指摘のありました那覇地裁の判決等もございますので、私どもとしてはできるだけ早く権原を取得しないまま使用している道路のつぶれ地については、市町村の負担にならないように予算の執行を急ぎたいとこういうふうに思います。
○議長(大田昌知君) 渉外部長。
〔渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○渉外部長(大浜賢永君) 米軍のパイプラインの撤去につきましてはただいま知事から御答弁がございましたけれども、比嘉議員の御指摘のように昭和51年7月8日の第16回日米安全保障協議委員会で嘉手納町─読谷村の間を無条件に、それから那覇市─宜野湾市間の大部分と北谷村─具志川市間の大部分を他に移設あるいは代替施設をつくった上で撤去するというようなことが合意されているわけでございます。
政府は、その合意に基づきまして52年から56年までの5年間に撤去を完了したいという計画で取り組んでいるわけでございますが、何しろ移設先との問題等が手間取りまして大部分のパイプラインの撤去がまだできておらないわけでございますが、現在までに撤去が完了しておりますのは、沖縄市北美小学校の校庭の下に敷設されております送油管が撤去完了をいたしております。
その他の分につきましては、先ほど申し上げましたように移設先の関係等でまた進捗に見るべきものがないわけでございますけれども、これにつきましては私どもも施設庁にその促進方を強力に働きかけていきたいと存じます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) お答えいたします。
昨年2月に実施いたしました基礎学力調査及び先日の2月27日に実施しました第2回目の基礎学力調査は、いずれも御承知のように本県独自の作問によるテストでありまして、他県との比較や全国レベルとの比較はこの調査ではできないわけでございます。
この調査の目的は、本県の児童生徒の基礎学力の実態を調査分析しつまずきの原因を探り、今後の学習指導の改善に資するということにあるわけでございます。
御指摘の類似県との比較をすることについては、相手県もあることでありますので今後の問題として検討していきたいと考えています。
集計分析に当たって、地域区分については昨年同様都市部と郡部に大別するのか、あるいは御指摘のようにもっと細かく分類するのかについて最終的には分析検討委員会で決定されることになりますけれども、御提言の趣旨を十分踏まえて今後具体的に詰めていきたいと考えております。
最後に、全国的な標準学力テストにつきましても、次年度以降実施できるよう前向きに検討していきたいとこのように考えております。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) 湾岸道路の延長についてお答えいたしたいと思います。
湾岸道路につきましては、軌道など新しい交通システムの導入や沖縄自動車道の延伸等も関連がございますし、また県が昭和62年に開催誘致を予定しております国体の主会場がどこになるのか、あるいは那覇新港に建設されます中央卸売市場や、御指摘になりました牧港補給地域の解放後の跡利用の問題や、あるいは西海岸地域一帯の開発方向などをこれからいろいろ見きわめながらさらに調査を実施してまいりまして、第2次振興開発計画の策定の段階で検討してみたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 土地調査事務局長。
〔土地調査事務局長 平野長伴君登壇〕
○土地調査事務局長(平野長伴君) 地籍明確化業務につきましてお答え申し上げます。
まず最初に、調査の進捗状況について申し上げますと、沖縄開発庁が所管する指定地域の面積は25.09平方キロメートルでございまして、そのうち昭和53年度末までに調査を終了する面積は6.9平方キロメートルでございまして指定面積の27.5%に当たっております。そのうち認証を得まして成果を登記所に送付した土地は0.26平方キロメートルで、調査面積の約3.8%に当たっております。
それから認証手続中の土地は3.55平方キロメートルで調査面積の51.5%に当たっておりますし、認証申請可能土地は2.21平方キロメートルで32%に当たっております。
また、関係所有者の合意が得られないために認証手続ができない土地は0.88平方キロメートルで、調査終了面積の約12.7%に当たっております。
このような土地に対しましては、引き続き随時関係所有者の説得を重ねておりまして、最近一部におきましては解決の見通しがついた地域もございます。
次に、防衛施設庁の所管の調査につきましては、指定地域は36施設で116.82平方キロメートルでございます。那覇防衛施設局の資料によりますと、調査着手施設はそのうちで34施設でございまして面積が115.93平方キロメートルで、そのうち53年の12月末で関係所有者の確認協議が成立した施設は14施設でございまして、指定面積の約32.7%でございます。
認証済みで登記所に送付された地域は、2施設0.46平方キロメートルで指定面積の0.4%でございまして、認証手続中のものは、5施設28.55平方キロメートルで指定面積の24.4%でございます。
次に、牧港補給基地の地籍調査についてでございますが、那覇防衛施設局が実施しております同地区の面積は計画面積が3.18平方キロメートルでございまして、そのうち小湾、仲西の2カ字につきましては現在地籍編さん作業並びに復元作業において地主の立ち会いを終了してございます。
それから字宮城、屋富祖は現在復元作業中でございます。
字城間につきましては目下配列図の作成を急いでおりまして、所有権認定事業によって作成された字限図におきまして誤りがたくさんございまして、内容的には特に実在しない土地が登記されているいわゆる不存在地と思われる土地が大変多く、所有権移転との関連もございまして調整に難渋しているということを聞いております。
同地域の作業の見通しでございますけれども、那覇防衛施設局の見解によりますと、城間地区を除く地域につきましては近々のうちに確認作業を終了する予定でございますけれども、城間地区につきましてはいわゆる不存在地や、それから土地の売買の関係、それから地番が非常にふくそうしているということなどから地籍確定、確認の作業は全く見通しがつかないという状況であるということを伺っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 比嘉 昇君。
〔比嘉 昇君登壇〕
○比嘉 昇君 学力調査について再質問をいたします。
私は、教育というものから競争あるいは比較というものを抜きにしては教育は成り立たないと思います。大浜発言が問題になった際に、基礎学力の低下というのは学校現場だけじゃなくして、社会、すべてが一体になってこれに対処しなければならないんだと、以後特に教職員関係からの反論がございました。しかしいまのテストの結果処理は、生徒のつまずきぐあいを見てこれを現場の指導の工夫改善に役立てると、全く逆のことをまたここでは言うているわけでございます。もし基礎学力というものが教師だけの責任じゃないとするならば、広くこれを地域間の比較をして本当に人的な要因なのか、物的な要因なのか、環境的な要因なのか、それを突き詰めて教育行政の上でも反映していってこそこの問題の抜本的な解決に私はなると思います。
この問題は本県が作成した問題であるので他府県でやるのはできないというふうな御答弁でございましたが、御承知のとおり学力調査は読み、書き、計算のほんの基礎的なものでございましてこれを他府県に持っていって実施できない理由は全くないわけでございます。私は、この地域間比較ができないこと、あるいは全国の教育の中で沖縄がどの程度の位置にあるかということを恐れておるのはほかに原因があるんじゃないかということでございます。
しかし、知事がおっしゃるとおりに人づくりというものを本当に推進し、ハンドルを握れば日本一の運転手になれと、くわを握れば日本一の農民になれという気慨を持って今後児童生徒を教育していくためには、どうしても、同じ教育指導要領を踏まえての教育でございますから、他府県の生徒と比べてみて全国に比べてみてどうかということはぜひこれは必要なんだと、勇気を持ってこの問題に対処していただくことを希望いたします。
終わります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後2時58分休憩
午後3時25分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
我喜屋宗重君。
〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 さきに通告いたしました順序に従い、所見を交えながら質問をさせていただきます。
農業問題は、過去何回となくいろんな角度からたくさんの方々に論じられてまいりましたが、なかなか思うようにいかないものではございますが、農は国を興すと言われておりますように国家の一番重要な部分であるのも御承知のとおりでございます。行政の立場からこの農業政策を進める場合にも、他の経済政策や福祉政策のようにそのときどきの状況に応じて機敏に対応していく政策課題とは異なり、長期にわたってじっくりと腰を据えて取り組んでいくべき課題でありますが、わが県のこれまでの特殊事情を考えましたときには、すべての面でこれまた急がなければならない課題の1つでありましょうし、特に近年の石油ショック以後低成長時代、また資源有限が叫ばれた中において農業の見直し論が出てきたことは実に喜ばしいことでございます。
さらには、高度経済成長の中で忘れかけていた土との戯れというふるさとづくりが政治の中に出てまいりまして国の方でも国土庁の3全総の中の定住圏、あるいは自治省の新広域市町村圏、あるいは建設省の地方生活圏、農林水産省の豊かな村づくり、またこのたび大平総理が唱えております田園都市構想と実に農村社会、地方社会を中心とした行政が次々と行われようとしている今日、県も54年度から定住圏の策定を予算計上していただいたことはまことに喜ばしいことでございます。
しかしながら昭和53年の県内の農業情勢を見てみますと、耕地面積が4万2100ヘクタール、農家戸数4万5800戸、その中で専業農家1万2030戸と少しずつながらふえてはいるものの、農業所得の面においては51年が70万3000円、52年度が78万9000円でわずかながらふえる傾向ですが、まだ全国平均の70%にとどまっていることはかなりのてこ入れが必要だと考えられるし、これからの農業政策は急務であると思います。
いま、わが県の農業経営規模は実に需細で、全国平均115アールなのに対して沖縄県は92アールという全国平均をはるかに下回っており、遊休農用地対策や農地開発面もあわせて考えなければいかないものと思います。ちなみに県農林水産部調査報告を見てみますと、県全体で遊休農用地は7345ヘクタールとなっており、そのうち実に本島北部と八重山で全休の70%にも上っております。この数字は今後の農業開発公社の手腕を期待したいわけでございます。
しかし、農地は確保いたしましても基盤整備がおくれている現状では農家所得を上げるのに大変むずかしい面が出てまいりますので、この基盤整備事業も県のたゆまない努力のおかげでだんだんよくなってきてはおりますが、まだまだ全国平均にも数字的にはいきません。県の54年度の農林水産部の計上予算の60%が基盤整備事業となっていることは実に喜ばしいことでございます。そこでこの土地改良事業推進に当たっての県の計画をお答え願いたいと思います。
さらに、現在の県の改良事業推進のように飛び飛びに虫食いみたいにするのではなく、県全体の土地改良計画をつくることはできないものかどうか。特にこの種の事業推進の一番の弊害である不在地主の解消等には、市町村との連携を密にしながらスピードアップをしてほしいものでございます。
次に、土壌改良についてでございます。
幾ら耕地面積をふやし土地改良をしても、適地適作でなければいけない事実は申し上げるまでもございません。全国の耕地面積が500万ヘクタールに対し、沖縄県は4万2000ヘクタールで全国の0.8%だと聞いております。それだけに適地適作で、さらに反収をどの作物においても上げていかなければいけませんし、また土壌改良のむずかしい地区においては、これまたその土壌そのものの質に合った品種の改良を急ぐのは申し上げるまでもございませんが、そのような中で全国的に叫ばれてまいりました土づくり運動が、ようやく54年度にきて農林水産部が本格的に腰を入れてきたことに期待をいたしておるわけでございます。
たとえば、県の基幹作物であるサトウキビをとってみますと、昨年の価格折衝時における上げ幅やあるいは政府の考え、また外部からの圧力等を考えるとどうしても反収増により多くの目を向けていかなければなりません。八重山地区においては、この前県農作物奨励品種選定審査会で決定されたF161号が現在のNC O310よりあらゆる面でよいとされておりますし、特に酸性土壌の北部地区においてのキビの栽培は土壌改良が急務ではないかと思います。
現在、北部の恩納、宜野座、名護市、本部、今帰仁、東、大宜味、国頭村の8市町村の畑面積5794.2ヘクタールでそのうち酸性土壌面積が4616.1ヘクタール、キビの作付面積3530.4ヘクタールで全面積中サトウキビの作付面積は60.9%でございます。その中で、酸性土壌に作付されたサトウキビ面積が2725.6ヘクタールでサトウキビ作付面積中酸性土壌の占める割合は77.2%で、もちろんこれは8市町村の平均でございますが、中には東村のようにキビ作付面積中の酸性土壌の占める割合が100%のところもあり、中性土壌が広く分布していると考えられる本部町、今帰仁村でもキビ作付面積の平均60%は酸性土壌であり、恩納村では75%、他の市町村では80%以上が酸性土壌にサトウキビが作付されている現状であります。
そこでこの酸性土壌の改良資材としてクチャの必要性が近年叫ばれてまいりましたが、その理由としては、1つにはクチャは良質の粘土を持ち、またサトウキビの養分として珪酸、マグネシウムをバランスよくしかも多量に含有しており、珪カルよりも速効性を持っていると。あるいはまたクチャを10アール当たり30トン投入すれば、少なくとも七、八年及び10年ぐらいは継続効果が期待できる。ところが炭カルでは、10アール当たり毎年500キログラム程度補充しなければならない。そこで経済的には二、三年の炭カル代金でクチャの投入が可能であるという大体3通りの理由からだと思っています。
これから北部地区の酸性土壌のサトウキビの作付面積の2725.8ヘクタールに必要なクチャの量は81万7740トンとあり、距離によってはあるいは場所によっては少々の狂いはございますが、トン当たり大体1万3000円ですので10億6306万2000円となり、BM溶燐まで入れますと1ヘクタール3トンですので、53年10月の琉球肥料KKの渡し価格で計算しますと4億1009万7000円で、クチャとBM溶燐で14億7315万9000円となるわけでございます。これだけの金をかけ土壌改良をいたしますと、あえて政府陳情を大挙して繰り返して二、三百円しかキビ代が上がってこないとするなら、どれほど土壌改良促進をし反収を上げさせた方が農家のためになるかは一目瞭然でございます。
しかも、前にも述べましたとおり沖縄のいまパリティ方式での価格増がそんなに期待できなくなった現在ではこの反収の増が急務だと考えられますが、これら土壌改良事業への県の取り組みに対しての御答弁をお願いいたします。
また、このような実験データが出てまいりましても、農家に対して土壌改良の必要性をどう理解させていくかをあわせてお答え願いたいと思います。
次に、農業用水の確保についてでございますが、年々山地開発が進むにつれ水資源対策は真剣に考えていかなければいかないと思います。わが県は年間降雨量を見た場合には、わが国でも雨の多い地域でありながら離島をたくさん抱えている離島県であり、その中の地形や土質が保水力がなく河川にもそんなに取水可能な大きいものもございません。少し干ばつが続くと生活用水にも事欠いている中で、これから開発行政が続いていく中でどのように農業用水の確保をしていく考えなのか、県の具体策を答弁願いたい。
また、特に農業用水の中で、中南部の供給をどうしていくのか、必要量の推定はどのぐらいなのか、調整ができておりましたら御答弁をお願いいたしたいと思います。
次に、鶏卵についてお尋ねいたします。
この問題は、去年の9月の定例議会でも取り上げてまいりましたが、いまだにこの養鶏農家は苦しい立場を余儀なくされており、再度質問をいたします。
県の養鶏農家の協会加盟実数は昭和48年を204といたしまして昭和53年には157と年々減っていく傾向の中で、全国的にも鶏卵の低迷により県内においても本土価格に連動して推移しているため、県は昭和47年4月に沖縄県鶏卵価格安定基金協会を県、経済連、県信農連、農協の構成で設立をいたし、出荷の計画的な調整を基礎として鶏卵価格の変動により生ずる鶏卵生産者の損失を補てんすることにより鶏卵の生産及び価格の安定を図り、もって養鶏経営の発展に資することを目的として設立をいたしました。
この基金協会の財政状況は、53年10月末の補てん準備財源不足額が2300万円となり、ここで協会は定款43条2項の規定、すなわち協会は、価格差補てん金の交付に充てるため補てん準備財産に不足を生じたときには理事会の議決を経て基本財産の額を限度として借り入れをすることができるとの項を適用しまして、3000万を53年度借入金最高限度額として借り受けました。そして支払いを行い、会計年度53年末期、いわば54年の1月、2月、3月補てん金交付予定額が1188万円となっております。これを3000万の借入金でまず12月までの補てん不足金を補い、さらに残った700万で54年1月、2月、3月の1188万円を補てんしても53年決算における補てん金の不足額が488万円となり赤字が繰り越されています。
また、県は鶏卵組合に対し全国基金加入を指導しているようでございますが、全国基金協会のうち1つの大きな系統の中で商系が22億、経済連関係の全農が13億5000万という赤字をいま全国基金協会は抱えている現状であり、しかも沖縄養鶏農家の方々が県の指導により加盟しようとしている商系の全国協会は22億の赤字を向こう3年間で償還しようとしており、県の鶏卵農家は加入すると同時に自分たちの積立金から借金払いをすぐ負わせてくる、しかもこの商系に対して国の方からはこれ以上の赤字をつくってくれるな、そのためには基準価格をつくるなという指導が行われている現状であります。
しかも養鶏農家の全国組織加入の時点で、県は説明の中では、全国基金に加入しても県基金はそのまま残すと言っておりますが、その積立財源の県の出資額の準備はできているのかどうか。
54年の1月30日に開かれました基金協会の緊急理事会においては、もう昨年から続いている低落状態は今日までどうにか借金対策をして乗り切ってきましたが、これ以上の借金もむずかしいのでということで生産調整が論じられてきましたが、いまでさえもやみ増羽の問題が価格市場へのはね返りとして混乱しようとしている時期に、何の強制力も持たない生産調整ができるかと本気で考えるわけでございます。これからの県の養鶏農家への対策をどうするのか、御答弁をお願いいたします。
次に、ブロイラー問題について質問をさせていただきます。
この産業も以前に問題提起を行い、県の努力でようやく53年から公社補てん金1億2000万という数字に達し軌道に乗るかに見えましたが、残念ながらいまもって苦しい生産を余儀なくされている状態であります。しかも最近に至りましては、特に輸入品による市場への圧迫が続き異常なほどの低迷を続けている中で、沖縄食鳥協会では県中小企業総合指導所にブロイラー産業の総合的な調査分析を依頼し、その現状と問題点、今後の方向を明らかにするために委託をしその調査報告が去る2月9日に協会へ渡されておりますが、この幾つかの指導事項を見ておりますとかなりの行政サイドの指導が強く打ち出されております。時間がございませんので読み上げませんので、県のこれからの総括的なこのブロイラー産業への取り組みをお聞かせ願いたいと思います。
総体的には厳しい中にありながら、いま県内の4つの処理場が大体月21万羽前後の処理がなされ操業いたしておりますが、この産業の大体が個人経営の生産農家から農協と契約をし、農協は工場、いわば処理場と県畜産公社と契約をいたしております。生産農家は工場の引き取り価格と標準価格との差を県公社に補てんをしてもらっているわけで、そのときの支払い業務が非常に遅く生産農家は大変迷惑をしております。つまり公社は、年間を4期に分けてその積立金を生産農家に前払いをさせていますが、補てん金の支払いは逆に1期3カ月、いわば完了の2カ月後にしか出てこない。ときによってはもっとおくれるときもあります。昨日聞いてみましたら53年の10月、11月、12月分がまだ支払われていない現状であります。
さらには、53年の標準価格が273円と打ち出された中で、昨年の10月にある工場ではそれまでの取引価格が253円でありましたが、工場側ではこれではどうにもやっていけないということで生産農家と話し合いをしまして10円下げて243円にしたら、逆に今度は公社も標準価格を10円下げ結局は生産農家が一番泣きを見るということもございました。
しかも私の調査では、県下でも有数な処理場が現在生産農家に対して成鳥代の未払い金が2億4697万余にも上っている会社がございます。この会社は現在54名の生産農家から成鳥を買い入れておりましたが、生産農家の中には生産意欲を失いやっていけずに休んでいる農家もございます。個人にばらつきはございますが、多い人で2000万近い成鳥代が取れずに飼料代にも事欠き大変苦しい生産状態にあり、少ない人で100万円以上であり、しかも最近の5カ月分の代金が取れず大変困っています。
以前までは、生産農家が契約をして工場側との中間にいる各農協が立てかえ制もありましたが、県の監査等の指摘で立てかえはまずいとのことで打ち切りになっておりまして、これまた飼料代とのかかわりで大変な問題に発展しかねない状態にございます。県のこれらに対する対応策がございましたらお聞かせを願いたいと思います。
時間がございませんので、3番目の「農業就業者の健康管理について」は取り下げさせていただきます。
ひとつ、県の勇気ある御答弁をお願いいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 我喜屋議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、1次産業振興対策と関連いたしまして特に土地改良事業に重点を置き、沖縄の置かれた経営規模の小さいこと、また耕作面積も徐々にふえる傾向にありますがいまなお4万2000ヘクタール内外でございまして、そういった基礎的な条件を踏まえてこれからの土地改良事業についてどう対処していくか具体的にこれを説明せよということでございましたし、さらに現在のような虫食い状態の土地改良事業ではなくて地域的な全体的な構想でこれをやるべきではないかという御指摘もあったわけでございますが、いずれも土地改良事業と相まちまして反収増加がねらいでございまして、これによって農家の収入を一挙にふやそうというお話でございました。
特に土地改良事業につきましては、北部の多くの地区で酸性土壌が多く、その土壌にキビが植えられている現状に触れまして何としてもこれは土壌改良を優先してやらなければならないではないかという御指摘があったわけでございまして、土壌の改良につきましては私が申し上げるまでもなく堆肥、厩肥、緑肥、これを奨励することによって、本土と比較いたしまして本土の土壌の中に含まれている有機質分の半分でございますので、何としてもその点から土壌を改良いたしまして生産力を高めていかなければならないことは御指摘のとおりでございますが、この酸性土壌をもっともっと生産力のある土壌に切りかえていくことについての御説明がございましたけれども、これにつきましては県の取り組み等について担当部長から答弁させることにいたします。
次に、農業用水の確保についての御質問でございましたが、飲料水工業用水の確保については、これまで特段の配慮が払われてきたわけでございまするけれども、御指摘になりましたとおり大事な農業政策上、忘れてはならない農業用水の確保につきましては非常におくれている感がございまして、県においてもその需給計画を目下作業中でございまして、その具体的な取り組みについて、特に中南部に対する施策等を含めまして担当部長から答弁させることにいたします。
鶏卵について、またブロイラーについての特に価格安定を中心とする御質問につきましては、これも担当部長から説明をさせることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 我喜屋議員の御質問にお答えいたします。
第1点目の土地改良事業についてでございますが、県は土地改良長期計画、農業振興基本計画に基づいて土地改良事業を総合的、計画的に推進しております。すなわち昭和60年度までに灌漑排水施設の整備率を現在の6.9%から39%に、同じく圃場整備の整備率を7.7%から42%に引き上げるよう計画的かつ積極的に推進するようにしております。しかしながらこの計画の達成には財源の裏打ちが十分でなければなりませんので、今後特に基盤整備についての予算要求に力を人れていくつもりでございます。
このように計画しておりますが、もともと土地改良事業は繰り返すようでございますが申請事業であり、土地改良法上受益農家の3分の2以上の同意がなければ採択できません。したがって地元の土地改良事業に対する理解と積極的な取り組みがこの事業の推進上不可欠であります。
さらに、市町村においても国及び県の計画をもとに基盤整備計画を樹立し、それに基づいて地域農家を指導啓蒙しながら計画的に事業申請ができるように積極的に取り組むことを強く期待いたします。
次に、2点目の土壌改良でございますが、特に北部地域の国頭マージ土壌は、強酸性で養分含量が低いため土地生産性が低いということは御指摘のとおりでございますが、この土壌に対し中南部に埋蔵するアルカリ性土壌の第3紀泥灰岩、いわゆるクチャを混入することにより酸度矯正と土壌養分含量を補給することができます。その結果、土地生産性が高まることが私どもの農業試験場の試験結果と中南部地区における、土地改良事業を実施した地域の結果によって示されております。
北部地域のサトウキビ作における圃場整備事業の中でのクチャ客土は、客土単価、採土場等解決しなければならない問題がかなり多いわけでございますので、今後各面から検討いたします。
そこで具体的に私どもの試算でございますが、10アール当たり30トンのクチャを入れるとして距離が60キロの場合、工事費を含めまして約10万上乗せしなければなりません。それから距離が80キロの場合約13万、それから距離が100キロの場合15万6000ということでこれだけの単価のアップになるわけでございます。したがって現在の土地改良事業の与えられた単価の中で処理することはむずかしい点がありますのでこれを他の事業で上乗せしてやっていきたいというふうに考えておりますが、なおかなり検討を要しまた国との調整が必要でございますので、現在のところ石川あたりまで客土をしているわけでございますがクチャを持ってきているわけでございますが、北部地域についてはいまの資金的な面からかなり検討しなければならないというふうに思っております。
それから3点目の農業用水の確保について具体的な対策はどうなっているか、特に中南部はどうなっているかということでございますが、農業用水の確保については、これは御指摘されるまでもなく大変農業の振興上重要な課題であります。そこで現在農業用水の需給計画を作成すべく作業をしております。これは総合事務局との調整等をしながら進めております。
それで具体的に農業用水の開発として事業を進め、または、調査計画しているものは次のようなものでございます。
まず、国営事業として現在事業を実施しております宮良川開発事業のほか、調査計画中の羽地大川の開発、それから宮古及び本島南部の地下ダム開発、それから与那覇湾淡水化計画及び名蔵川開発計画等があります。
次に、県営事業としては現在事業を実施しております石垣市大浦ダム、仲里中部地区灌漑事業のほか、調査計両中の読谷村長浜ダム、石垣市通路川等があります。
それから団体営事業としては石川市東山原ダム、勝連村津堅地区及び、上野村高山地区等があります。
そこで、現在作業中の沖縄県農業用水需給計画でありますが、私どもこれまで要灌漑面積4万7000ヘクタールということで進めておりますけれども、それ以外に農地として使えるのが約5万6000ヘクタールありますので、この5万6000ヘクタールに全部灌漑をすることができるかどうかというようなことで検討を進めておりますが、現在までのところ試算によりますと約70%は灌漑ができるという計画になっております。なおこれからかなり詰めなければならないわけでございますが、70%という数字が出ております。したがって約5万6000のうち3万9100ヘクタールは灌漑ができましょうという計画でございます。
そこで少し具体的に見てみますと本島北部が約72%、本島中南部が24%、これはかなり低いということになります。宮古島が71%、八重山群島が91%、その他離島70%ということで全沖縄の農地面積の70%は充足できましょうということでございますが、なおかなりの詰めが必要でございます。
次に、鶏卵価格についてお答えいたします。
本県における鶏卵の価格安定対策は、生産者の自主的生産調整と県鶏卵の価格安定事業で推進されておることは御案内のとおりでございます。
全国的な生産過剰によって53年1月以降卵価が低迷し、その影響を受けて本県においても価格安定事業の基準価格を長期にわたって下回り、交付財源に不足を生じているところでございます。県は、交付財源の不足を補うため去る12月補正で若干の補正をしております。
このような事態に対し、県鶏卵価格安定基金協会も53年11月22日に緊急理事会を開き対策を協議したわけでございますが、その結果、今後の長期対策としては昭和54年度から全国組織である全国鶏卵価格安定基金――これは全農系でございますが――及び全日本卵価安定基金――これは商系でございますけれども――へそれぞれ加入するとともに、既存の協会を強化することで意見の一致を見ております。現在、その具体策について小委員会を設置して検討をしているところであります。
そこで私どもとしましては、この強化策の中で県の基金協会を強化するための予算措置はいたしておりません。しかしながら現在各面から検討をしておりまして、その1つとして畜産公社とのかかわりは持たせないのかどうかということを検討しているところでございます。
ちなみに、沖縄県における鶏卵の需給状況を見ますと昭和45年、46年、47年は100%を超しているような状況でございましたけれども、48年からだんだん厳しくなりまして48年が97%、49年が89%、50年が88.3%、51年が94.9%、52年が89.4%の自給率になっております。鶏卵は、県内の価格は福岡並びに東京のそれぞれの価格と比較しても総じて高い状況は維持しております。
次に、5点目のブロイラーについてでございますが、本県のブロイラー産業は大変な御指摘を受けましたが、ドル安円高の影響による安価な外国産製品の販売攻勢によって大きな圧迫を受けております。その結果、県内のブロイラー処理場は稼働率が低下し生産コストの上昇を招き経営が大変苦しい状況にあります。ちなみに現在の沖縄県におけるブロイラーの自給率は52年で38.7%でございます。これが昭和48年には75.4%ありましたからかなり低下しているということでございます。それから稼働率でございますが、稼働率は現在37.6%、これも同じく昭和48年には59%ありましたが、この稼働率もかなり低下しております。
このため、ブロイラーの保護育成を図る観点から畜産公社においてブロイラー価格安定対策事業を昭和52年度から実施しているわけでございますが、52年度は4400万円、53年度は1億2000万円の予算を計上しております。昭和54年度において同事業を拡充するとともに、県産ブロイラーの消費拡大の啓蒙と輸入業者に対し、県内でもかなりできるわけでございますので輸入の自粛について協力を求めていきたいと思っております。
なお、説明の中でありましたように県中小企業総合指導所が発表しました県内ブロイラー産地診断報告によりますと、今後改善すべき事項として処理場の整備統合と近代化、企業体質の強化、ひなの県内生産の確保、飼料の供給確保と価格の安定等が提起されております。先般関係業者が参りまして何とか統合をしたいというような意向も出しておりましたが、私どもとしてはこの県内におけるブロイラー産業の育成、これはどうしてもしなければならないというふうに考えておりますので、関係団体と十分対策を協議してやっていきたいというふうに思っております。
なお、畜産公社がそれぞれ1・四半期あるいは4・四半期まで資金を払い込んでおりますが、このことについて現在より早期に支払いができるように十分な指導をしていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 新垣淑重君。
〔新垣淑重君登壇〕
○新垣淑重君 私は、前に通告いたしました7つの項目のうち「軍事基地使用協定に係る県の基本方針について」、それから「交通方法変更に伴う損失補償問題について」は、前の代表質問で御答弁がございまして重複しますのでこれを省略いたします。
それから「金融犯罪の防止策について」は、私の通告の後に警察の具体的な対応策を知りましたのでこれも割愛をいたします。
まず予算の執行、特に公共事業の均等発注について質問をいたします。私の質問に対する答弁は、全部担当部長の方でお願いしたいと思います。
予算の執行、特に公共事業の完全執行については毎定例議会におきまして指摘される問題であります。その原因は、毎年決まったように用地の取得難にあると説明されております。
県の資料によりますと、52年、53年度におきましては公共事業の上半期集中発注という国の方針に基づき県におきましても52年、上半期の執行率71.9%、53年度は73.5%とほぼ目標どおりの執行となっております。しかしながら沖縄県の年間の公共事業等事業の施行状況は50年度95.6%、51年度97.3%、52年度95.7%、53年度は1月現在で77.5%となっておりまして、九州各県の毎年度98.1%から100%の執行から見るとかなり執行率が落ちております。
毎年100%程度の執行率を示している半年は雪に閉ざされている北海道を例にとりますと、もちろん一般財源に繰り入れられるところの交付税の差はありますが、北海道も景気浮揚対策の一環として公共事業がふえているようであります。北海道も沖縄同様公共事業施行推進本部を設け、年度当初に四半期ごとの工事発注を調整し推進計画を立てているようであります。たとえば1つ、気候条件のために1・四半期で5割、2・四半期で8割というように推進しておりまして、そして元請から下請に金が流れていることもチェックしているようであります。2つ目は、債務負担行為を活用いたしまして前倒し制をとり、年度内に契約を締結し4月から直ちに工事にかかれるような方法をとっているようであります。
そこでお尋ねいたします。
1つ、公共工事施行のネックになっているところの用地の取得などにつきましては、債務負担行為などを活用しまして年度内完全執行の方法がとれないでしょうか。
2つ目、沖縄は1月から製糖期に労務者やトラック等の輸送機関の確保難があり、いままでの執行状況から見てみますと4月から7月まではほとんど工事の発注がなく、8月、9月に集中し、下半期も年度末に集中しているようであります。そこで54年度以降の工事発注も52年度、53年度同様上半期集中発注の方針であるか、あるいは計画変更があるかどうかお伺いしたいと思います。
3番目は、公営住宅建設でありますが、県と市町村の配分につきましては他府県と同様の配分は困難であるかどうか、市町村の受け人れ対策につきまして御説明をお願いしたいと思います。
次は、雇用対策についてでございます。
いま、沖縄で早期に解決を迫られている大きな問題の1つに雇用対策があります。若年労働者の雇用と中高年層の再就職問題があります。もちろんこの問題は、経済の不況など幾多の原因があるとは思いますが、他面求職者側にも問題はありはしないでしょうかと私は思います。
県内失業者の大半は20代の青少年が占めておるようであります。文部省の調査によりますと、県内高校生の大学進学率は昭和53年で20.9%と全国最下位の2番目、同じく就職率は33.5%で全国最下位の4番目といういずれも低いのであります。進学も就職もしない浪人組が非常に多い。沖縄の失業問題を深刻にしているもう1つの要因は、軍離職者を中心に40歳以上の中高年層が約6000人もいるということであります。
ところで、雇用促進のため設置されました職業訓練機関の状況を県の資料から検討しますと、那覇専修職業訓練校、具志川職業訓練校、沖縄総合高等職業訓練校、沖縄南総合高等職業訓練校の4校の入校者は585名、修了者は466名で、中途でやめた者119名、そして県内、県外に就職した者309名で、157名がいまだに就職していないこととなっております。
また、同4校におけるところの再就職を目的としたところの能力再開発訓練についてみますと、4校の合計で入校者は540名、修了者472名で、途中で訓練校を退学した者が68名、そして県内、県外に就職した者はわずか113名で、357名が就職していないということに統計になっております。
これから見ますと、せっかく訓練所に入っても中途でやめる者が多いこと、訓練所を終了してもその取得した技術を生かすための就職者が少ないことが目立っております。
次に、本土就職者のUターンの実情であります。
県の資料によりますと、昭和52年は2755名で、その数字は同年度に県外常用就職した者の44%に相当するという高い比率であります。
Uターンの理由としましては、県内で就職したいのが68.6%と最も多く、家庭の都合が12.8%で、この2つの理由が全体の8割を占めているようであります。勤務年数は、1年以上2年未満の者が26.6%で一番多く、2年未満でUターンするのが全体の4割を占めております。
このような実情では、沖縄振興開発特別措置法第38条の措置や、昭和54年度労働省予算で沖縄から県外の職業訓練所に送り出す目的で1億2890万円の事業費予算が所期の目的を達成できるかいささか疑問視せざるを得ないのであります。
沖縄開発庁の井上事務次官は沖縄の失業問題を取り上げ、沖縄の失業問題は基地従業員の大量解雇にかかわりなく若年層が6割を占める構造的な要因によるものである、就職希望者のホワイトカラー志向を改めない限り企業を持ってきても雇用失業問題は改善されないと発言されたと新聞は報じております。
私の知人の子供に昨年本土の大学を卒業したのがおりますが、本人はどんな職業でもいいから、若い者がぶらぶらするとろくなことはないといってタクシーの運転手をしている者がおります。井上事務次官の発言は、沖縄の若年雇用問題解決に一つの指針を与えたものと言うべきでありましょう。
そこで担嶺部長にお聞きいたします。
1つ、効果的な職業訓練は受講者に専門的知識を教養し、専門の職務につかせることであると思います。さきに述べた訓練所における途中の退所者や、訓練を修了しせっかく身につけた技術を生かそうとしない人たちがいる点に問題があると思います。訓練所において全国的に通用する中卒、高卒等で取得できる資格をとれるような方法を考えるべきでありましょうし、資格を取得することによってみずから自信を持って職場に精励すると思います。なお、訓練所を修了しながら就職しない者についての追跡調査も必要だと思うがどうでしょうか。
2番目、県外就職者の定着率が悪いのは本人の働こうという強固な意志、忍耐心、職業意識の欠如など原因はいろいろあると思いますが、学校における職業教育、父兄の心構え、県の指導体制にも問題があると思います。現在のような実情では、沖縄の雇用失業対策はいつまで立っても改善されないと思うがどうでしょうか。
3つ目、沖縄における雇用対策改善につきましては、県内で求職するには限度があり、本士経済圏を含めた広域職業開拓に活路を求めるほかはないと思います。54年度予算に計上された県外への職業訓練所に送り出す計画は雇用対策に画期的意義を持つと期待されておりますが、その具体的方策を伺いたいと思います。
次は、道路の整備でございますが、交通渋滞は当然の帰着といたしまして経済活動の低下をもたらします。特に交通、運輸関連の場合は直接に重大な影響を受けております。渋滞による経済面の低下は各方面に及んでおります。物資の配送は慢性的遅延現象を呈し、観光客に対しましては不快感を与え、観光イメージを阻害し旅行のスケジュールを乱すことにもなります。
交通の緩和には応急策と恒久策があります。応急策としましてもいろいろありましょうが、幾らかでも緩和する近道は整備計画中の道路の早期完成だと思います。しかし目下計画中の道路整備は遅々として進まず、用地補償業務の困難さを理由に毎年計画が繰り延べられているのが実情であります。革新県政は、1人でも反対者がおれぱ事業の執行を中止するという姿勢をとってきたのが、今日の事態を招いたのではないでしょうか。
聞くところによりますと、あの広大な琉球大学用地取得のため琉球大学事務局職員は毎晩腰弁当で交渉に当たったようであります。
工事費は毎年高騰します。いま1億円の工事費は数年後は2倍になるかもしれません。それだけ住民に負担がかかってまいります。整備進行中の道路の早期完成は緊急の課題で、債務負担行為を起こしてでも実現を図るべきだと思います。
県内には相当数の計画中の道路があると思いますが、市内の具体的道路について伺います。
1つ、第2環状線は昭和48年度から事業に着手し、用地取得に難渋し完成は昭和58年度となっておりますが、計画を短縮することはできないか、現在用地補償等の状況はどうなっているか伺います。
2点目、西原─首里線は路線も短いが、昭和53年着工し昭和60年完成予定と言われておりますが、短縮はできないか、現在の状況はどうなっておりまするか。
3点目、国道330号線は昭和47年から国庫補助事業として着工しましたが、完成は昭和56年と言われておりますが、この道路の改良がおくれているために安里インターと安里三差路の交通が極度に渋滞しております、計画の短縮はできないか。
なお、これら道路整備事業計画の阻害要因となっているのは用地の取得並びに補償のほかにも何か原因がありますか、あるとすればそれは何か、そしてその問題についての県の対策を承りたいと思います。
次は、琉大移転後の跡地の利用についてでございます。
戦前の首里は、教育都市として男子師範学校、県立中学校、県立工業学校、県立首里高女があり、首里城を中心とした数々の国宝や文化財があり、また沖縄神社も城内にありまして文化都市としても旧藩時代の名残をとどめていたのであります。ところが戦後、首里城跡に琉球大学が創立されましたが、昭和57年には中部に移転完了することになっております。
現在首里は、住宅地域として5万6000人の人口を有する地域に風俗営業が1軒もなく、琉球大学があるために書店、文房具店、下宿屋、間貸し、ふろ屋、飲食店等が経済的に相当な恩恵を受けている実情であります。現在首里には高校が1校しかなく、琉大移転後は教育環境に最適の首里にあと1校高校か高専の誘致を望む機運が高まっております。問題は、琉大移転後の周辺地域を含めた首里城跡を何に利用するかが首里の住民はもちろん、県民の注目するところであります。新聞等の報道によりますと、教育庁は歴史公園にしたい意向を打ち出しているようであります。もちろん計画は長期を要すると思いますが、最終的には往年の首里城原形の復元が必要でありましょう。
ここでお伺いします。
1つ、周辺地域を含めた首里城跡を歴史公園に指定し、文化センター、できれば総合文化センターの設置が望ましいと思うがどうでしょうか。
2つ目、その地域は、琉球大学が国立に指定されたとき市有地等がほとんど国に無償譲渡されたと聞いておりますが、国有地、県有地、市有地の区分はどうなっておりますか。
3つ目、琉大移転後琉大グラウンド、体育館を国から県に管理移管して県民に利用させる計画はないでしょうか。また歴史公園の計画の中に、それらの地域も含まれているかどうかお伺いいたします。
以上で、質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 新垣議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
御質問に対する答弁はそれぞれ担当部長から答弁させることにいたしますが、新垣議員にだけ知事から答弁がないということは大変失礼に当たりますので、特に予算執行につきましては御指摘になったとおりでございまして、北海道の例をとりながら余りにも8月、9月に集中発注されておるのでこれを均等に発注する方策はないかという御指摘がありましたので、その点についても今後意を用いていかなければならないと考えているところであります。
また、特に公共事業執行に当たっての公用地の取得が大きな執行率のネックになっておりまして、それについての予算の前倒し使用等についても検討せよという御提言がありましたが、御提言のとおりこれはそういう体制で執行率を上げていかなければならないと考えておるところでございます。
市町村の受け入れ体制、それから雇用対策について年少、中高年齢者の就職の問題、進学率、就職率の全国平均との比較においていろいろ御指摘がありましたが、特に訓練所を中途でやめる青少年の多いことを指摘しておられましたが、この問題、Uターンの多い例、また井上事務次宮の発言を引用されての免許取得、資格取得がいかに大事なことであるか、これが広域職業にとっても、またUターン現象の場合でも少年たちに仕事を与える大きな根拠になるので免許の取得、特に資格の取得については前向きで訓練所等においてこれを特に取り上げてやれという御指摘がありましたが、これらの諸問題についても担当部長から答弁させることにいたします。
交通緩和の問題、さらに第2環状線に関する用地取得の問題等事業計画の短縮ができないかという御指摘がありましたし、その他の道路についての進捗状況等についても担当部長から答弁させることにいたします。
琉大跡地の利用につきましては、これは旧王城の地でもありまするし、いま県が計画している歴史公園等を中心として何としても沖縄の歴史的な、県都ではございませんけれども由緒あるところでございますので、御指摘になった線で文化センターとして整備することも一案でございますが、これらの計画については教育長から答弁させることにいたします。さらに跡地の国県有地、市有地の配分がどうなっているかについても担当部長から答弁させるととにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 土木部長、
〔土木部長 城間勇吉君登壇〕
○土木部長(城間勇吉君) 最初に、予算執行の年間を通じての平準化についてのいろいろな御提言がございました。
ただいま知事の御答弁もありましたとおり、私どもとしましても単に用地取得の難航だけということじゃなくて、私どもの事務処理の、いま御提言のありました債務負担行為等その他につきましても事務処理上の工夫もいたしまして、あらゆる工夫をいたしまして御期待に沿うようにしたいとこういうように考えております。
それから公営住宅の市町村と県の分担でございますけれども、いま御指摘のとおり確かに本県の場合は、県と市町村の公営住宅の分担が現在までの経緯を申し上げましても6対4になっております。ほかの県の場合には率にしまして大体6対4から7対3のぐあいに市町村の方が公営住宅を多くつくっている現状でございます。
本県において市町村が公営住宅に対して非常に消極的であるという理由は、御存じのとおり集団住宅をつくりますというと学校とかあるいは道路等の社会資本の整備を急がなくちゃならぬということ、あるいは行政サービスが非常にふえるというふうな理由で私どもとしては市町村長が非常に消極的ではなかろうかと、こういうように考えております。
それにつきましては、実は53年度から国としましては種々の公共事業につきまして住宅関連事業としまして補助制度が設立をされておりますので、これをてこにいたしまして私どもは市町村に対してもっと公営住宅を積極的に建設をするように指導を強化していきたいというふうに考えております。
次に、道路整備についてお答えを申し上げます。
第2環状線でございますが、私ども県が管理しておりますのは儀保の交差点から首里中学の前を通りまして国道329号までの間が県管理の第2環状線でございます。現在は儀保から安謝までは那覇市が管理をいたしております。
県の管理について申し上げます。第2環状線は、ただいま申し上げましたように儀保の交差点から329号までの約3.9キロでございます。昭和48年度に事業に着手をいたしまして58年度完了の予定ということで現在事業を執行中でございます。
当該道路の進捗状況は、ただいまも御指摘がございましたように非常に小さいわけでございます。その理由といたしましては、国道329号の方から真地方向に向かって640メートルはやっておりますけれども、その奥の方に未買収の道銘用地がございましてこれがなかなか前に進まなかったわけでございますが、先刻3名の地主の方が大変理解を示していただきまして用地買収ができるようになりました。、これで全線にわたりまして用地買収のめどがついたわけでございますので、54年度から未開通部分につきまして工事を着手して開通させて、おそくとも55年初頭には全線開通することと考えております。
なお、58年度の完成と申し上げますのは、儀保交差点から首里の鳥堀間の拡幅の用地買収を現在行っておりますけれども、すべて用地買収も終わって拡幅も終わるという時点が昭和58年度であるということでございまして、全線の開通は昭和55年には行う予定でございます。
次に、29号線の城東小学校から汀良、あるいは西原村の幸地の間でございますが、当該道路は、城東小学校から汀良の十字路間で約700メートルで53年度を初年度として現在事業執行中でございます。
53年度の事業といたしましては、用地の測量、物件の調査、詳細な設計を完了して54年から本格的に用地買収に取りかかる予定でございます。
なお、汀良十字路から第2環状線交点まではモノレールとの関係もございますけれども、そこらあたりの整合性は後ほどにすることにいたしまして、早目にこの道路につきましても用買を行いまして工事を促進をしたいとこういうふうに考えております。
次に、国道330号の安里から古波蔵間の件でございます。
ただいま御指摘のとおり、本道路は那覇の中心部を通過する主要な幹線道路でございまして、昭和47年度から国庫補助事業として私どもは早期整備に向けて積極的に取り組んできたつもりでございます。しかしながらただいまも御指摘がありましたように用地物件、営業の補償等が複雑に入り組んでおりましてなかなか前にはかどらない現状でございます。県としましても、当該道路の整備によって那覇市内の交通混雑が大幅に緩和されると考えておりますので、重点施策に取り上げまして今後も強力に推進をしていきたいとこういうふうに考えております。
なお、御質問の中で用地買収とか営業補償とか、そういう以外に何か原因があるのかという御質問でございますが、強いて申し上げますれば、住宅等の撤去によりまして何とか県営住宅に入れてくれないかという御要望もあるわけでございまして、私どもはそこに住宅を持って余儀なく撤去する方々につきましては前向きに県営住宅に入っていただくような方策がないものかどうか、現在検討中でございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) お答え申し上げます。
まず第1点は、訓練校を卒業しても就職するのが非常に少ないと、ですからその訓練校の中に資格免許の取得できるような科目を設けたらどうかという御質問でございます。
御指摘ございましたように、本県の若年労働者は約60%失業者の中に占めておりますので非常に重要な問題でございますが、やはりそのホワイトカラー志向と申しますか、どうしてもブルーカラーには行きたがらないというような傾向がございます。そういうわけで、いろんな方面から御指摘いただいているように資格免許の取得をさせてそして就職の窓口を広げるべきだということはいろんな方面から御指摘いただいておりますので、私どもとしてもぜひその方向で訓練科目等を検討しその需要に応じてまいりたいと、このように考えております。
ちなみに、現在の訓練校の資格免許と申しますか、この取得できる科目を申し上げますというと電気機器科というのがございまして、ここでは電気工事士の免許が取得できるようになっております。校内テストで免許が取れるようになっております。
それから溶接士などは技能講習の修了証を出すようになっておりますし、自動車整備科などでも同じように3級の整備士受験資格を授与するようなことになっております。そのほか配管科、これなどでもガス溶接技能講習の修了証を出しておったり、それから塗装科、これなどでも塗装科を卒業した者に対しましては修了証を授与できるようなシステムをとっております。しかし、先ほども申し上げましたようになお十分その需要等を検討しながら新科目の設定等について検討してまいりたいと思います。
それから第2点目は、訓練修了者の就職の実態、あるいはその動向の追跡調査をする必要がないかということでございます。
これにつきましては、現在までそういう追跡は余りなされてないように思いますので、御指摘いただきましたようにぜひこれは追跡調査をしてその実態を浮き彫りにしてみたいというふうに考えております。
それから3番目でございますが、若年労働者が非常に滞留しておるし、それからUターンが非常に多いと、これはいろいろ原因はあるかもしらぬけれども教育環境やそれから社会環境、日常生活環境、こういったものによるところが多いのじゃないかという御指摘でございます。
これはまさにそのとおりでございまして、たとえばUターンをしてきた子供たちの調査にも家庭の都合とか、そういうのが非常に多いです。家庭の事情というもののさらに細かい砕きはございませんけれども、いずれにいたしましても家庭環境、教育環境、そういったものにも大きな影響があると思いますので、今後は関係部局、特に教育庁あるいは学校現場の先生方、こういったものも御一緒になりましていろいろ検討も現在までも進めてまいっておりますけれども、引き続きそういう会議、あるいは本土の就職先の学校等も回りまして指導に当たってまいりたいとこのように考えております。
それから第4点目は、本土の訓練校への入校について具体的な説明をしなさいと、つまり県外の職業訓練所に新しい事業として今度送り出すわけですけれども、この具体的な説明をしなさいということでございますが、これは本土の公共職業訓練施設に入校させましてそして一定の期間そこで技術習得、大体6カ月を前提にしていますけれども、そこで技術習得をさせ、そしてその地域の優良な事業に就職をさせるとこういったもくろみでございます。今年度からの新しい事業になっております。
いろんな助成をやりますけれども、その主なものを申し上げますと、本土の訓練校に入校する場合は移転費といたしまして交通費、着後手当を含めまして2万3000円、それからあと移転料としまして16万5000円、これは東京を前提にしていますけれども予定しています。それから訓練手当といたしまして全体ひっくるめまして一月に8万円。結局手持ちを何もなくて東京周辺の訓練校に入校いたしましてそして半カ年間は全く8万円の支給を受けながら訓練が受けられるという制度でございます。
いずれにいたしましても、こういった制度を活用しましてUターンの歯どめ、それから若年労働者の県外への就職の促進を図ってまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 琉大移転後の跡利用についてお答えいたします。
首里城跡につきましては国指定の史跡になっておりますから、琉大移転後は文化庁の指導と援助を受けて遺構調査を行い環境整備を行うとともに、首里城正殿の復元についても計画していきたいとこのように考えています。
首里城周辺につきましては、県の教育委員会といたしましては文化財地帯としてふさわしいように整備したい考えを持っているわけでございますが、那覇市も琉大跡地利用基本構想を策定中であると聞いておりますし、またグラウンド、体育館等の現施設の有効利用も考慮しなければならないことでありますので、関係部局すなわち県、教育庁、那覇市との調整を図り、県の教育委員会の意向が入れられるように努めていきたいと考えています。
なお、この首里城周辺について文化財地帯としてふさわしいいわゆる総合文化センターの建設はいかがかという御質問でございますが、いま総合文化センターについては中間答申がなされておりますが、これに対して集中方式でしかも上之屋につくるにはちょっと時間的にかなりずれるので別の場所に集中方式で建設するか、あるいは分散方式をとるかということについて再諮問をしているところでございまして4月じゅうには結論が出るかと思いますが、集中方式になりますといまの首里の城跡周辺はちょっと面積が小さいかと思いますが、その機能によって分散方式をとるとすればかなり有力な候補じゃないかとこのように考えております。最終的には、総合文化センター設立審議会の答申を待って対処していきたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 総務部長。
〔総務部長 嶺井政治君登壇〕
○総務部長(嶺井政治君) 琉球大学の用地の国有地、県有地の割合でございますけれども、国有地は5万7021.44平方メートル、これは琉球政府が購入あるいは交換、または寄付を受けまして復帰と同時に国に継承された財産でございます。
それから県有地は3万1745.41平方メートル、これは戦前の男子師範学校とか記念運動場、工業学校などでございます。
それから先ほど債務負担行為のお話がございましたけれども、私ども前年度において契約を行いまして4月の年度開始と同時に工事を執行するということは制度的には可能でございますけれども、本県の場合は公共工事の大部分が国庫補助事業でございます。そのために国の予算の決定前に債務負担行為をすることは現実の問題として困難でございますので、私ども国庫補助事業につきましては、前年度に調査設計費を県費で予算措置を講じまして事業執行の促進を図っておるところでございます。
それでその国庫補助事業に関連する用地の取得につきましては、財政の許す範囲内におきまして可能な限り起債を活用いたしまして先行取得をすることによりまして事業執行を促進したいと考えております。
なお、用地取得につきましては、御指摘のとおり起債の活用もございますので、そういったこともあわせて債務負担行為の活用なども検討いたしまして今後事業執行の促進を図ってまいりたいと考えております。
予算の均等発注の問題につきましては52年度、53年度におきましては国の方針も上半期の早期執行ということを行っておりましたけれども、54年度からは平準的な執行といいますか、平準化方法というのが国も行われるようでございまして、私ども県といたしましてもそういった平準化の方法で執行をしてまいりたいということで目下その辺の検討を行っているところでございます。
○議長(大田昌知君) 照屋政太郎君。
〔照屋政太郎君登壇〕
○照屋政太郎君 一般質問を行います。
南部地域における地下資源――天然ガスであります――これの開発についてお伺いいたします。
通産省工業技術院の福田博士の発表によりますと、沖縄の天然ガスは少な目に見ても400億立方メートル、沃素が50万トンは埋蔵されていると発表されております。また昭和46年のわが国の天然ガスの総生産量がおよそ20億立方メートル、沃素の総輸出量が5000トンであることと比較いたしまして沖縄の天然ガス資源がいかに恵まれているか、つまり天然ガスにおいては沖縄は本土の20倍の富を持っていることになります。この富を沖縄県民のものとして、かつ天然ガス及び温泉の利用による直接的な福祉を受けるも受けないも、最終的には沖縄県民の判断にかかっていると言っております。またさらに畳の下に敷いた札束がどれほどあっても、暮らし向きは決して豊かにならないことをこの際沖縄県民は真剣に考えてほしいと喝破しております。
この原始埋蔵量の全部が採取できるわけではないが、その半分と見て沖縄のガスの年間使用量が000ないし3000万立方メートルとすると、単純計算いたしましても600年は持つことになり、さらに使用量が2倍になったとしても300年分はあると言われております。
沖縄より後から発見された宮崎県ではすでに開発が始まろており、その一部は都市ガスと並行して約2万戸に供給しているようであります。また三重県長島においては、天然ガスを採取し企業化すべくボーリングしたところガスの含有量は予想に反して少なく失敗したようでありますが、温泉の噴出量が多いためにこの温泉を活用して地元は現在非常に栄えていると聞いております。
一昨年、具志頭村において沖縄余暇開発会社がテストボーリングしたところ48度の温泉と天然ガスが自噴しており、同社ではこの天与の宝を大事に活用して保健休養を中心に関連するプロジェクトが策定されております。地元具志頭村においては、この貴重な地下資源を有効に活用し村民の福祉向上に役立てるべく積極的に余暇開発会社に協力し、さきに解放されました軍用地跡を中心に28万平米余りにわたって関係地主の地籍確定、さらに賃貸契約等もすべて完了しており、昨年余暇開発会社から県に対してその開発申請がなされたようであります。
地元といたしましては、この企業が一日も早く認可されるよう非常な期待を寄せております。現在各部課でそれぞれ検討をされておられると思いますが、その認可の見通しについて関係部長にお伺いいたします。
現在、天然ガスの試掘済みで使用可能なところは奥武山公園入り口と糸満市宇潮平にある2カ所のようであります。
沖縄ガスの関係者においても資源有限時代、価値観多様化時代を迎えて地域社会との共存共栄、及び資源の高度有効利用の問題は共通の課題であり沖縄の水溶性天然ガス開発促進の機運はやがて大きな動きになると思われるとし、特に産油国の政情不安の今日、天然ガスに対する対応策が次第に求められることを予測しているようであります。また、天然ガスは都市ガスに比べて単位立方メートル当たりにおいて2倍の熱量があるので燃料用のみならず、今後は建築物の冷暖房用にも大いに活用されることが予想されるが、企業化するとなると沖縄では初めてのものであり第三セクター方式で推進した方がよいと、沖縄ガスの一部技術者は説明しております。
そこでお伺いいたします。
中南部一帯に豊富に埋蔵されているという地下資源の開発については、県としても一つのプロジェクとして取り上げ積極的に天然ガスの開発を推進すべきものと思いますが、これに対する知事の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、関係部長にお伺いいたします。すでに企業化されているという宮崎県と三重県について御調査されたことがありますか。ありましたら両地域の実情をお聞かせいただきたいと思います。また沖縄の天然ガス開発協会の活動状況といままでの鉱業権の所有者等についてお伺いいたします。
次に、農業用水確保のための地下ダム建設の調査結果についてお伺いいたします。
沖縄県の年平均降雨量は2000ミリメートル程度だと言われております。本土に比較いたしまして多いようでありますが、降雨量は年月ともばらつきが大きくこれに対処するための灌漑施設が未整備であります。生産は常に降雨量に左右される結果になっております。特に島尻マージ地帯である糸満市、具志頭村一帯は農業生産経営を不安定にしているばかりでなく、高収益性作物の導入を制約される大きな要因となっております。
昨年、南部市町村長会から要請されました農業用水確保、開発とその計画的利用方について、県は、南部地域は地表水の開発がきわめて困難であるので今後は農業用水開発は糸満市、具志頭村一帯に広がっている石灰岩に滞水している地下水を開発する必要があり、限られた地下水を最大限に利用するため地下水を貯水して利用した方が有利であり、いわゆる地下ダム建設調査費として昭和53年度予算で国から内示されているので本格的に調査を始めると、このように回答しておられます。その調査結果はどのようになっているか、また今後のこの地下ダムの建設の見通し等について関係部長の御見解を承りたいと思っています。
次に、土地改良事業の推進と埋蔵文化財――貝塚であります――との関連についてお伺いいたします。
糸満市米須地区においては、県営土地改良事業が昭和49年度より昭和55年までの事業として実施されておりますが、当事業の最も基幹をなす農道排水工事が米須貝塚内を通過するとのことで文化財保護との関係で工事が施行できず2年半も放置されておりますので、地元民は非常に困惑しております。
当地区における土地改良事業は、従来より農家が強く要望してきた事業でありますので、関係部で十分調整されて貝塚の保護はもちろんでありますが、一部設計を変更するなりこの事業を早目に推進できないかどうかお伺いいたします。
また、農林土木事業あるいは開発事業を推進するに当たって、各地域でこのような事例があるやに聞いております。糸満市におきましても、この3年来文化財保護との関係で4カ所工事が一時ストップした事例があります。設計の段階におきまして関係部でチェックする方法はないかどうか、関係部長の御意見を承りたいと思っています。
次に、沖縄含みつ糖の保護政策についてでございますが、この件につきましては昨日田場議員、さらにこの前大城議員からも質問が出されまして当局から詳しく御答弁もございましたので、本員も十分理解しておるつもりでございますのでこれを省きます。
以上で、質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 照屋議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は南部地区における地下資源、特に天然ガスの開発と関連しての御質問でございました。
御指摘になりましたとおり大変豊富な埋蔵量でございますが、いま問題となっている点は、何といってもこの開発計画をこれからどう進めていくか、これを事業化するに当たっての経営の主体と申しますか、企業をどういう形で養成していくか、御案内のとおり鉱業権の出願者が非常に多いわけでございまして、これを企業化するためにはどうしてもその調整が必要となっているところでございまして、その点開発主体をどこに持っていくのか、この開発主体の確立の点が問題になっておるところでございます。
御指摘になりました認可の見通しはどうなっているか、また宮崎と三重県における調査はどうなっているのか、さらに鉱業権出願者のリストがあれぱこれを示してもらいたいという細かい御質疑に対しましては担当部長から答弁させることにいたします。
それから農業用水の確保について、石灰岩の多い南部地区としては地下ダム建設を中心にして用水の確保に努力した方が得策ではないかという御質問がありましたし、いま調査を進めておるところであるがその調査の結果はどうなっているのか、事業の見通しはどうなっているか、これについては担当部長から答弁させることにいたします。
それと土地改良事業と関連いたしまして埋蔵文化財が発見された場合、この保護の問題と関連してどう調整していくのかにつきましては担当部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 米村幸政君登壇〕
○労働商工部長(米村幸政君) 御質問のございました労働商工部に関する点についてお答えを申し上げたいと思います。
天然資源の開発については、宮崎県やそれから三重県などではすでに数年前に実施されているようだが実態調査に行っているかどうかということでございますが、宮崎県の天然ガス調査に52年の6月に行ってございます。そうしまして、調査結果といたしましては都市ガスに供給しているということです。それからヨードも採取しております。さらに温泉利用にも活用していると、3点に活用されているようでございます。
それから2番目には開発の主体でございますが、これは民間会社が主体になって開発をしているということでございます。県はそれじゃ何をしているかということでございますが、県は環境の調査やそれから公害の防止、こういった面への力をかしているようでございます。
それから鉱業権者のリストとか、協会の実態はどうかということでございますが、鉱業権者は出願権者は14名になっております。出願件数は140件に上っております。
それから現在沖縄天然ガス開発協会というのがございまして、6つの会社が中心になって結成してございます。さらに最近になりまして南部ガス田開発設立準備委員会というのをつくってございます。最近南部ガス田の開発につきましては、この準備委員会というのが中心になりまして活発に動いておるようにお聞きしております。
そういう意味で、県の取り組みもあわせましてこれが開発に一歩前進することだろうというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 農業用水確保のための地下ダム建設の調査結果についてお答えいたします。
南部の地下ダム調査は、糸満市、具志頭村、玉城村等の石灰岩地域を対象に昭和53年度から55年度までに国の直轄で調査をする計画となっております。そこで53年度は調査費3000万で、主にダム施行適地の調査をいたしております。それから54年度は調査費5000万でダム適地のボーリング等の調査を実施する計画であり、県側としても今後地下ダム開発を積極的に促進していきたいと思っております。なお、昭和53年度の調査結果は取りまとめ中と聞いております。
今後の地下ダム建設の見通しでありますが、宮古の地下ダムの調査経過から見て南部の地下ダム開発は技術的には可能性はあるものと思います。
それから次の土地改良事業推進と埋蔵文化財の関係でございますが、糸満市米須地区の県営畑地帯総合土地改良事業は昭和49年度に着手し55年度に完了の予定となっております。総事業費は6億2930万円で、事業量は畑地灌漑が69ヘクタール、農道整備が5869メートル、排水路施設整備が1874メートルであります。
支線2号排水路、これは620メートルでありますが、下流側が埋蔵文化財米須貝塚を通るため、現在教育庁に下流側の埋蔵地域の範囲調査を依頼しているところであります。範囲確定後、路線について検討し早期に着工できるようにいたしたいと思っております。
なお、土地改良事業施行地域で埋蔵文化財に影響すると考えられる地区については、従来事業採択の段階から教育庁と調整してきておりますが、今後とも事前に十分に調整し、私ども農林水産部としては早目に事業執行ができ特に地域の方々に迷惑をかけないようにしていきたいというふうに思っておりますし、また教育庁側としても早期に調査ができるように希望しているところでございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 比屋根俊男君登壇〕
○企画調整部長(比屋根俊男君) 「余暇開発」の開発行為の申請に対する認可の見通しについてお答えいたします。
開発行為の申請書は53年の12月の14日に出ておりますが、現在関係部局と照会中でありまして審査中であります。したがいまして、早目に結論を出す方向で検討したいというふうに考えております。
○議長(大田昌知君) 以上で、本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明8日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時7分散会
前発言
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19790206000010