平成20年(2008年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 9月30日
新里 米吉
 

 社民・護憲ネットの新里米吉です。
 一般質問を行います。
 知事の政治姿勢について質問します。
 首相が2代続けて内閣改造の一月後に政権を投げ出し、政治に対する信頼を失っています。
 原油高騰やアメリカ発の金融不安が国民生活を直撃し、緊急経済対策の補正予算が求められているときに福田首相が突然辞任し、政治空白をつくりました。厳しい国民生活の対策に内閣が取り組まず、唐突にやめるのは許されることではありませんし、余りにも無責任です。
 かつて官房長官や蔵相を務められた武村正義さんは、福田、福田と合唱して福田さんを首相に就任させておきながら、1年後には同じ人たちが麻生、麻生と叫んで大騒ぎしている。2年前は安倍、安倍の合唱だったし、この節操のなさ、ついていけませんねと述べています。
 福田氏は、自民党の支持率回復のため国民生活が重大な時期にもかかわらず辞任したと言われています。
 (1)、福田首相の政権投げ出し、突然の辞任について知事の所見を伺いたい。
 「人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる。だからあんまりじたばた騒いでいない」、当時の太田誠一農相の発言です。
 三笠フーズなどがカビ毒や残留農薬に汚染された事故米を食用と転売していたことに対し、農水省は発覚当初、健康に影響がないとして転売先を公表しないとしていました。事故米がしょうちゅう、菓子、病院の食事や学校給食に用いられている中で、農水省や農水大臣の姿勢に消費者への視線が見られません。太田農水大臣はテレビ放送で、消費者の主張と企業の主張がある、消費者に偏ってはいけないとも述べています。食の安全に対する政府の責任と企業のモラルが崩壊しています。事故米を外国から輸入すること自体が問題であり、むしろ返品すべきであるにも限らず、農水省は輸入した汚染米の早期売却を各地方農政事務所に指示していたことも明らかになっています。
 (2)、カビ毒、農薬などで汚染された事故米の不正転売について知事の所見を伺いたい。
 厚生年金で6万9000件の記録が改ざんされている可能性があると舛添厚生労働相が参院厚労委員会で明らかにしました。厚労省がみずから、組織的関与はあったと思うと認めています。宙に浮いた年金、消えた年金に続く不祥事で国民の年金不信が増大しています。
 (3)、厚生年金の標準報酬月額改ざんについて所見を伺いたい。
 国の出先機関の見直しを進める政府の地方分権改革推進委員会の関係者は、沖縄総合事務局もスクラップ・アンド・ビルドする。今の組織は原則的に廃止の対象だと明言したと報道されています。また、麻生首相は所信表明で、「国の出先機関の多くには二重行政の無駄があります。国民の目も届きません。これを地方自治体に移します。」と述べています。
 (4)、国の出先機関の見直しを進める政府の地方分権改革推進委員会が、沖縄総合事務局の原則廃止を検討しているとのことである。知事の所見を伺いたい。
 9月11日12時50分ごろ、航空自衛隊那覇基地所属のF4ファントム戦闘機が那覇空港に着陸した際、左主脚のタイヤがパンクし滑走路が1時間閉鎖され、乗客約1万5000人に影響が出ました。過去においても1985年、着陸直後の全日空機に離陸態勢に入った自衛隊機が接触。2005年、F4戦闘機がパンクして滑走路が閉鎖された。観光立県の沖縄にとって那覇空港は重要であり、いつまでも軍民共用が続いてはならないと思います。
 (5)、那覇空港の民間専用空港について知事の考えを伺いたい。
 次に、教育行政について質問します。
 イギリスとフィンランドの教育について調査・研究されている福田都留文科大学教授の著書によると、イギリスでは自由なイギリスの学校教育がサッチャー教育改革からブレア首相の時代までに、画一的な一斉授業により教師が権威を持って、訓練的、競争的に教え込む授業を復活させた。そして全国学力テストの実施と結果公表による成績一覧表によって競争の激化と学校の序列化が起きた。ところが、競争しても学力行きどまり状態となり、しかも学校においてはテスト対策のための時間割がつくられたり、学力テストで校長が不正を働く事態が起き、子供たちもストレスが一般的になっている。校長は全国学力テストへのプレッシャーと過剰な説明責任で疲れ果て、校長のなり手がいない状況で全英校長組合の調査によると1200以上の公立学校が専任校長なしで運営されているとのことであります。ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各地方は全国学力テストから離脱し、全国学力テストの実施はイングランドだけになっています。クリス・ウッドヘッド主席勅人視学官は現在になって、私たちは日本の教育をまねようと努力してきたのに、今は日本がまねようとしている。おもしろいですねと述べています。
 一方、フィンランドは、権限を地方に移管したが成果主義を排除しました。中央の枠はガイドラインにとどめ、教員など専門スタッフの支援に徹し、中央行政権限を条件整備と情報提供に限定した。その結果、現場に自由度と責任が増し、創造的で生徒個々人に合った質の高い教育が実現されています。教育の場から詰め込み教育を一切排除し、子供がみずから学ぶ、しかも協同で学ぶような学習を組織していくことになりました。教師一人一人の質を高め、その専門性が発揮されるように学級定員を小さくし、必要に応じて学級補助員を置き、最も効果の出るように教育条件の整備をしています。
 そこで質問します。
 (1)、フィンランドとイギリスの教育について所見を伺いたい。
 (2)、市町村における全国学力テストの公表は、競争の激化と序列化が危惧される。教育長の所見を伺いたい。
 次に、農水産業行政について質問します。
 通信販売業者・美ら島フーズが台湾産マンゴーを宮古島産と産地偽装、にらい物産が県産海ブドウにフィリピン産が混入していることを知りながら、沖縄産として販売していたことが明らかになりました。手段を選ばぬ利益追求は許せません。産地偽装は消費者を裏切り、同業の誠実な生産者への裏切りでもあります。また、多くの関係者が努力して築いたおきなわブランドを傷つけ、沖縄産の価格にも影響を与えています。産地偽装を起こさせないシステムが必要です。
 (1)、県内で起きたマンゴーと海ブドウの産地偽装について、再発防止策を伺いたい。
 沖縄公庫調査部は、農水産物市場に関する調査報告書をまとめた。上田不二夫氏によると、卸売市場は県民がひとしく利益を受ける社会資本の一つだ。だが行政の中で市場機能は重視されておらず、戦後一貫して市場整備は軽視されてきた、業務用の冷蔵庫に保管される冷凍マグロは他府県に比べて極めて少ない。社会的に在庫を持つのも市場の役割だ。本土では大漁の際、鮮度の落ちるものは加工用に振り分ける。それが価格を下支えし、急騰や暴落を緩和している。冷凍品や加工水産物も含めて取り扱う市場にすべきだ、今できることは、鮮魚を扱う泊の卸売市場と冷凍品や加工水産物を扱う市場外の民間業者を一つにまとめ、流通のパイプを太くすることだ、泊の市場は施設整備がおくれていると述べています。
 また、県漁連や組合長会は、米軍演習による制限水域や空域の一部除外、特に「ホテル・ホテル」の一部と鳥島、久米島の両射爆場の返還を求めています。
 クルマエビの養殖は日本一ですし、アーサやモズクの養殖も盛んになっています。北中城村のアーサは県内の約6割の収穫量であるが需要に追いつけない状況であり、養殖場の拡大や施設整備が必要です。さらには老巧化したパヤオの問題もあります。
 (2)、沖縄の水産業の現状と課題について伺いたい。
 次に、基地問題について質問します。 
 (1)、「米軍再編とどう向き合うか―沖縄中部地区の課題パート2」と題したシンポジウムが7月26日に開催された。その中で、円滑な跡地利用推進のための第2次軍転法制定を政府に訴える以下の内容の参加者決議が採択された。①、有害物質などによる土壌汚染地域特定を容易にするための基地使用履歴情報の米軍からの提供、②、返還前に日本政府による基地内の土壌汚染調査、埋蔵文化財調査実施と米軍の受け入れ、③、返還基地の調査・原状回復期間をカバーするに足る給付金を地権者へ交付。
 第2次軍転法制定の必要性について、知事の所見を伺いたい。
 次に、我が会派の仲村未央議員の代表質問との関連で質問します。
 大田昌秀氏は、知事時代に沖縄の米軍基地の整理縮小と普天間飛行場返還の実現に向けて日米両政府への要請を幾度となく行い、ハワイやグアムを訪問して、沖縄の米軍基地受け入れについて話し合うなど多大な努力をしました。当時、ハワイ州議会とグアム知事、グアム議会議長、グアム選出の米議会下院議員も受け入れに応ずる姿勢であったことは、当時のマスコミで報道されました。
 そこで知事の政治姿勢について質問します。
 (1)、仲村議員への答弁で「県外移設がベスト」としているが、知事はベストの実現へ向けてこれまでどのような努力をしたか伺いたい。
 (2)、知事の訪米計画について。
 知事は仲村議員の質問に対し、「辺野古への移設がパッケージであると認識している」と答弁しました。「在日米軍再編の確実な実施」には辺野古への基地建設が含まれることを明らかにしました。
 知事は訪米で県議会決議と県民世論に反する要請をするのか伺いたい。
 後で再質問いたします。

 
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