平成23年(2011年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 6月29日
農林水産部長(比嘉俊昭)
 

 農業問題の中で、台風2号による被害状況についてお答えいたします。
 台風2号による農林水産業関係の被害総額は、6月10日現在で約70億6000万円と見込んでおります。今回の被害は、特に農作物の収穫時期に当たる5月に台風が発生したため、葉たばこ、さとうきび、ゴーヤー、マンゴーなどの農作物が被害全体の約8割を占めております。
 被害の内訳は、葉たばこ等農作物が58億3000万円、ハウス等農業用施設関係が4億7900万円、家畜等畜産関係が3200万円、林道等林業関係が4000万円、水産業関係が6億7900万円となっております。
 次に、農業共済対象作物と加入状況についてお答えします。
 台風2号による被害を受けた農業共済の対象作物は、さとうきびや水稲、園芸施設内で栽培されているマンゴー、ゴーヤーなどの作物となっております。
 平成22年度の農業共済の加入状況は、水稲が約95%、さとうきびが約40%、園芸施設が約16%となっております。
 次に、農業共済制度を補完する制度創設についてお答えいたします。
 本県は、台風接近数が年平均7.4個と国内平均の約2倍発生し自然災害が多いことから、農業共済掛金率が高くなっております。特に、園芸施設共済の共済掛金率では全国平均と比べて約3倍高いことなどから、共済加入率が低い状況となっております。そのため、園芸施設共済における農家負担軽減策として、共済掛金の一部助成事業を行っているところであります。しかしながら、依然として共済掛金率が高いなど、共済加入率は低い状況にあります。このため、県としては、新たな沖縄振興に向けた制度提言の中で、農家負担共済掛金を全国平均並みに軽減する沖縄型農業共済制度の創設を国に対し要望しているところでございます。
 次に、台風に強い農業施設の普及と今後の推進についてお答えします。
 本県の農業振興を図るためには、台風等の気象条件に左右されない施設等の整備が重要でございます。そのため、台風に強い鉄骨ハウスの整備に加え、平成11年度から農作物被害防止施設等の整備事業を導入し、平成22年度までに約360ヘクタールを整備しております。また、既存パイプハウスを補強するため、平成20年度においては「自然災害に強い園芸産地育成事業」により4.4ヘクタールの園芸施設を整備しております。
 県としては、今後とも台風に強い園芸施設の導入とあわせて防風林の整備を推進してまいります。
 次に、遺伝子組み換えパパイヤの輸入経路と検査についてお答えします。
 国は、未承認遺伝子組み換えパパイヤ「台農5号」の種子の輸入について、2つの経路があると公表しております。1つ目は、台湾の種苗会社から国内の種苗会社が輸入し県内の種苗会社へ販売された経路、2つ目は、台湾の種苗会社から県内の種苗会社が直接輸入した経路があるとしております。今回の2つの経路で導入されたパパイヤ種子については、国においてパパイヤの種子の検査法が確立されてなかったことから検査を実施してないと聞いております。
 次に、輸入業者の安全性審査を受ける義務と検査体制についてお答えします。
 未承認遺伝子組み換えパパイヤを輸入する業者は、「カルタヘナ法」と「食品衛生法」により主務大臣の承認を受ける必要があります。国は、今般の未承認遺伝子組み換えパパイヤについて、種子の検査法が確立されてなかったことから実施していないと聞いております。現在、平成23年2月にパパイヤ種子を用いた検査法を確立したことから、その検査法を用いて水際での検査を実施していると聞いております。
 次に、遺伝子組み換え作物の安全性評価についてお答えします。
 遺伝子組み換え作物の安全性評価については、「カルタヘナ法」と「食品衛生法」に基づいて行われます。「カルタヘナ法」では、「生物多用性影響評価検討会」で、野生植物との競合性、野生植物に対する有害物質の産出性、野生植物との交雑性等について安全性が評価されます。「食品衛生法」では、「食品安全委員会」で、遺伝子組み換え遺伝子が安全か、導入された遺伝子によりつくられるたんぱく質の有害性、つくられたたんぱく質のアレルギーの誘発性、導入遺伝子により食品成分の変化等の項目について、食品としての安全性が評価されます。これらの安全性が評価され、主務大臣による承認を得て輸入が許可されます。
 次に、パパイヤの栽培面積と農家補償についてお答えします。
 平成20年度のパパイヤの生産状況は、栽培面積が31ヘクタール、生産量が965トンとなっております。国は、「カルタヘナ法」に基づく未承認遺伝子組み換えパパイヤの伐採処理に伴う損失については、補償の規定はないとの説明をしております。しかしながら、生産農家からは、平成15年に同法が制定されてから約8年の間、遺伝子組み換えパパイヤの検査方法が確立されていないことから、国内侵入防止対策の強化や伐採に伴う補償を求める意見があります。このため、県は、5月と6月に農林水産省や関係省庁等に対し早急な原因究明、検査技術の確立と技術移転、国内侵入防止対策の強化、伐採処理等に伴う補償など、「カルタヘナ法」の運用の見直しを含め抜本的な対策を講じるよう国に強く要請したところでございます。
 県としては、パパイヤ生産農家に対する補償については国が行う必要があると考えておりますが、パパイヤの生産振興を図る観点から、緊急的に伐採作業と苗の配布支援を行うなど、関係機関等と連携してパパイヤ生産農家の経営安定に取り組んでまいります。
 以上でございます。

 
20110502070060