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昭和50年(1975年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月29日
第10号 3月29日
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議 事 の 概 要
昭和50年3月29日(土曜日)
午前10時3分開議
日程第1 乙第1号議案から乙第3号議案まで、乙第5号議案、乙第19号議案及び乙第20号議案(総務企画委員長報告)
日程第2 乙第12号議案(経済労働渉外委員長報告)
日程第3 乙第6号議案から乙第10号議案まで及び乙第16号議案から乙第18号議案まで(文教厚生委員長報告)
日程第4 昭和49年第5回議会乙第14号議案、乙第14号議案、乙第15号議案及び乙第21号議案(土木委員長報告)
日程第5 乙第23号議案及び乙第24号議案(企画総務委員長報告)
日程第6 乙第25号議案及び乙第26号議案(経済労働渉外委員長報告)
日程第7 乙第30号議案(文教厚生委員長報告)
日程第8 乙第27号議案及び乙第31号議案(土木委員長報告)
日程第9 甲第1号議案から甲第16号議案まで(予算特別委員長報告)
日程第10 陳情第139号から第142号までの付託の件
午後4時22分散会
○議長(平良幸市君) これより本日の会議を開きます。
日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
昨日、上原亀一郎君外5人から昭和49年第5回議会乙第14号議案沖縄県屋外広告物条例に対する修正動議及び乙第21号議案沖縄県水道料金徴収条例の一部を改正する条例に対する修正動議の提出がありました。
なお、3月10日から25日までに受理いたしました陳情33件のうち、特別委員会に付託すべきものを除く29件は、3月25日配付いたしました陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
休憩いたします。
午前10時5分休憩
午前10時6分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
日程第1 乙第1号議案から乙第3号議案まで、乙第5号議案、乙第19号議案及び乙第20号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
企画総務委員長。
〔企画総務委員長 知花英夫君登壇〕
○企画総務委員長(知花英夫君) ただいま議題となりました乙第1号議案から乙第3号議案まで、乙第5号議案、乙第19号議案及び乙第20号議案につきまして、企画総務委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
本委員会におきましては、各議案について関係当局から詳細なる説明を聴取し、慎重に審査してまいりました。審査の過程において論議されました主なる事項について、その概要を申し上げます。
乙第1号議案につきましては、県立病院における職員定数の算定についての質疑がありましたが、これに対しましては、各病院間に業務量の不均衡がある上、定数が各病院に固定され、有効な活用が困難な状況にあるので、各病院の業務量を測定し、それに対応する職員を配置する必要があると考えている。今回の320名の算定についても、医師、看護婦及び検査技師については入院及び外来の患者数、社会保険の診療基準看護あるいは業務量により基準を定め、実務職員についても、他県の県立病院における患者数、予算の消化量等を参考にして、庶務会計部門の基準を設け、その基準により各病院の定数を査定したとの答弁がありました。
医師及び看護婦の確保の見通しについての質疑に対しましては、医師については最低必要な数は確保できる見通しである。看護婦については4月1日に85名を採用する予定であり、准看護婦の採用についても現場との話し合いを進め、積極的にその導入を図りたいと考えている。看護婦を確保するには保育所等の福祉施設の充実も必要であり、50年度予算で中部病院に保育所の設置を予定しているが、保育所の管理運営主体、保育時間、保育料等の問題について組合側と協議中であり、早急に結論を出し、設置を実現したいと考えているとの答弁がありました。
県職員定数の管理とその運用についての質疑に対しましては、病院事業等の特殊な事業に伴う増員も最小限にとどめ、その他の新規事業については増員しないことを原則としており、現定数の枠内で弾力的、機能的に運用して対処していきたいと考えている。予算に占める人件費が割高になっているとの指摘を受けており、定数のあり方については県自体も真剣に考えていかなければならないし、それなりの努力が必要であると考えるとの答弁がありました。
なお、本議案につきましては、自由民主党所属議員から、本県の職員定数は他府県に比較しても1500余名多いと言われており、予算に占める人件費も割高になっている。このような状況の中で職員定数を増加するとますます財政運営が困難になると思う。本議案の場合にも医師、看護婦、検査技師等の特殊業務に従事する職員の増員はやむを得ないとしても、事務職員の増員については現定数の枠内で対処すべきであると考える。県職員の定数のあり方、配置、運用等については十分に調査検討を加え、適正な職員定数を算定するように努力すべきである旨の附帯決議を付して可決すべきであるとの意見がありました。
この意見につきましてはいろいろ論議が行われましたが、委員長裁決で否決すべきものと決定いたしました。
次に、乙第5号議案につきましては、振興資金の貸付対象事業についての質疑がありました。
これに対しましては、各県においても同種の基金が設置され、100万円未満の起債の対象にならない事業あるいは適債事業の市町村負担分についても貸し付けが行われており、資金量との関係も勘案しながら、そのような方面にも可能な限り貸し付けるようにしたいとの答弁がありました。
資金配分についての質疑に対しましては、過疎、離島地域を重点的に考えていくどいう方針でh昭和50年度に限り、過疎、離扇対策事業に80%、一般公共対策事業に20%の資金配分をしたいと考えており、資金のめどがついた場合には、その配分を70%対30%の比率にして、本島内の市町村にも貸付枠を拡大していきたいとの答弁がありました。
償還年限と利率についての質疑に対しましては、各県の状況、一般の起債の利率あるいは償還金の基金への繰り入れとの関係等を勘案し、据え置き期間を1力年、償還年限を8力年と定めたいと考えている。利息については、一般公共施設整備事業への貸付利率を年5%、過疎、離島対策事業への貸付利率を年3%と定めたいと考えており、過疎、離胤対策事業への利子補給制度については、今後の問題として検討したいとの答弁がありましだ。
第3条第2項に規定する知事が特に必要であると認める事業に対する貸し付けは、その運用いかんによっては取扱者の恣意的な考え方によって資金の活用が左右され、政治的に利用される危険性が生ずることも予想されるので、公平な運用が確保されるように十分に留意する必要があるとの意見がありました。
また、基金についても自己財源だけで対処するという考えだけではなく、地方債を活用するなど積極的に資金の増額を図り、市町村の要求に対応することができるように措置してもらいたいとの要望がありました。
以上が審査の概要でありますが、各議案について採決いたしました結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。よろしく御審議をお願い申し上げまして、御報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより、ただいま議題となっております乙第1号議案から乙第3号議案まで、乙第5号議案、乙第19号議案及び乙第20号議案の6件を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案6件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第1号議案から乙第3号議案まで、乙第5号議案、乙第19号議案及び乙第20号議案は、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 日程第2 乙第12号議案を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。
経済労働渉外委員長。
〔経済労働渉外委員長 親川仁助君登壇〕
○経済労働渉外委員長(親川仁助君) ただいま議題となりました乙第12号議案について、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、本議案について執行部の説明を求め、慎重に審査を行ってまいりました。審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要について申し上げます。
現在、本県に22の漁港があるが、漁港管理条例がないため十分機能を果たすことのできないものがあり、そのため本条例を制定して、その機能を果たしめることを趣旨とするものであります。
内容としては、漁港施設の機能維持のため、維持運営計画を定めること、また漁港の安全対策あるいは漁港施設の占用許可、占用料の徴収などについてこれを定めること、さらに監督、罰則などを定めるものであります。
次に、質疑の概要を申し上げます。
まず、この条例は、どこの県のものを参考に作成、提案したかとの問いに対し、水産庁の模範条例を参考にしたとの答弁がありました。
また、漁港水域における漂流物、沈没物は所有者または占有者に対し除去を命ずることができるとあるが、不発弾の処理はどうするかとの問いに対し、しゅんせつの際、物理的探査をして危険物は撒去してあるが、仮にあったとした場合は、防衛庁関係に依頼して処理してもらうことになるとの答弁がありました。
続いて、最近のレジャーブームで遊覧ボートや釣り舟などがふえており、これらの舟が漁港などに入った場合これを規制することができるかとの問いに対し、漁港の機能を失わしめないように条例の第2条、第5条及び第6条で規制することができるとの答弁がありました。
次に、罰則中1万円以下の科料に処するとあるが、他県においてもそのようになっているのかとの問いに対しては、他県でも同様であり、自治法に基づいてそのようにしたとの答弁がありました。
以上のほか、漁港関係の諸問題について活発なる質疑応答が交されました。
以上、委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。よろしく御審議のほどをお願い串し上げまして、御報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第12号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第12号議案は、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 日程第3 乙第6号議案から乙第10号議案まで及び乙第16号議案から乙第18号議案までを議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
文教厚生委員長。
〔文教厚生委員長 岸本利実君登壇〕
○文教厚生委員長(岸本利実君) ただいま議題となりました乙第6号議案から乙第10号議案まで及び乙第16号議案から乙第18号議案までの8件について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、各議案について執行部の説明を求め、慎重に審査を行ってまいりました。審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要について申し上げます。
まず、乙第6号議案は、心身障害者対策基本法の規定に基づき、心身障害者対策協議会の組織及び運営について条例を制定しようというものであります。
本件について、委員は20名以内となっているが、何名を予定しているか。どういう場合に専門委員を置くのか。また、他府県の状況はどうか。中央の協議会と県の協議会との関係はどうなっているか。この条例は、法律で設置が義務づけられているので提出したのかなどの質疑がありました。
これに対して、委員は20名を予定している。専門委員の設置は、身体不自由児問題、精神薄弱者の問題、重度心身障害児の問題等に関する委員を予定しているが、具体的にはまだ考えていない。他府県においても、まだ具体的に機能していないので専門委員を置いているところはないようである。中央の協議会との関係については、基本法に棊ついて県の協議会は設置されるが、直接のつながりはない。この条例の制定については、心身障害者の施策が各関係部局で策定されているので、この協議会の設置によって連絡を密にすることができ、さらに基本法によって設置が義務づけられていることなどにより制定するものであるとの答弁がありました。
次に、乙第7号議案は、県立公園内における清潔保持の規定を設けようというものであります。
本件については、県または市町村は管理者とどのように協力するのか。県立自然公園は何カ所指定されているかとの質疑に対し、協力の内容は、清潔保持のための協力で、公園内の施設の管理者あるいは道路の管理者等と県または市町村が協力し、清掃作業などをしようというものである。県立自然公國については、現在、宮古と久米島で指定するため、その作業を進めているとのことでありました。
次に、乙第8号議案は、公害紛争処理法の改正に伴い和解の仲介委員をあっせん委員に改めようというものであります。
次に、乙第9号議案は、准看護婦が看護婦になるための進学コースを設置しようというものであります。
本件については、看護婦確保のため准看護婦の養成所を増設する必要はないか。那覇高校の看護学科や琉球大学保健学部の卒業生の就職状況はどうなっているかなどの質疑に対し、看護婦確保のため養成所を増設すると、それに伴い実習病院が必要である。しかし、実習病院の看護婦の確保が困難な状況にあり、いろいろな問題がある。那覇高校の看護学科の卒業生はほとんどが進学を希望し、本土へ行って進学している。琉球大学保健学部の卒業生は、ほとんどが付属病院に就職しているとのことでありました。
次に、乙第10号議案は、那覇病院糸満分院を糸満診療所とすること。県立佐良浜診療所を伊良部村に移管すること及び県立病院における使用料の改定をしようというものであります。
本件について、糸満分院は老朽化しており、改修しなければならないがその計画はあるか。糸満分院は、国に移管してはどうか。佐良浜診療所の村移管については、村当局や議会などと十分話し合ったかもまた、村に移管した場合、どのような助成があるかなどの質疑がありました。
これに対し、糸満分院の改修については、宮古病院や八重山病院の次に改修する計画である。また、国立への移管については、現在年間1000人の結核患者が発見されており、国立の療養所だけでは収容できないので、県としてもこれに対応する必要がある。
佐良浜診療所の移管については、以前に他の村で議会が反対し移管できなかった例もあり、村長を招きその点を十分に話し合ってきた。また、移管した場合の助成として2259万円の補助金交付を決定している。運営費については、村営の場合、赤字が生ずれば赤字補てんのための補助があるとの答弁がありました。
次に、乙第16号議案は、標準法の改正、高等学校の新設、児童生徒の変動等に伴う改正であります。
本件について、改正による定数で学級編制は可能か。県費負担による教職員は何人いるか。また、類似県や隣接県はどうなっているか。嘉手納中学の学級数については特別な措置をしてもらったが、今回の定数配置についてはどうなっているかなどの質疑に対し、学級編制については可能である。できれば、まだ定数は欲しいが県の財政事情等むあり、これ以上の増員は困難である。県費負担の教職員は、県立高校が167名、特殊学校が18名、公立小中学校が128名となっている。九州各県では、福岡県179名、鹿児島県206名、佐賀県164名、大分県82名、宮崎県81名、熊本県58名、長埼県15名となっている。嘉手納中学校の定数増については、全体の定数の中で措置できるか検討しているとの答弁がありました。
次に、乙第17号議案及び乙第18号議案は、友愛県である兵庫県からスポーセンターの建設費として3億1500万円の寄贈を受け奥武山スポーツ公園内に沖縄・兵庫友愛スポーツセンターを設置し、その使用料徴収のための改正をしようというものであります。使用料については、奥武山体育館や兵庫県のスポーッセンターの使用料等を参考にしたとのことでありました。
本件について、友愛スポーツセンターの設置に伴う定員はどうなっているか。友愛スポーツセンターの運営について条件はついていないか。この条例では補助競技場は1カ所になっているが、そのほかに2つ補助競技場があるようだが、その管理はどうなっているかなどの質疑に対し、友愛スポーツセンターの職員は6名配置することになっている。
また、同スポーツセンターの運営について兵庫県からは何らの条件もついていない。補助競技場については、教育庁が管理しているのは体協会館の隣にある施設だけであり、他の2つは土木部都市計画課が管理している公園の一角であり、補助競技場ではないが、職域野球などが行われているようである。
奥武山総合競技場の地域はスポーツ公園となっており、建物や競技場等の施設は7%以内しか設置できないようになっており、同地域にはこれ以上の施設を設置することは困難であるとの答弁がありました。
以上、委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、8案とも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより、ただいま議題となっております乙第6号議案から乙第10号議案まで及び乙第16号議案から乙第18号議案までの8件を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案8件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第6号議案から乙第10号議案まで及び乙第16号議案から乙第18号議案までは、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 日程第4 昭和49年第5回議会乙第14号議案、乙第14号議案、乙第15号議案及び乙第21号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
土木委員長。
〔土木委員長 森田孟松君登壇〕
○土木委員長(森田孟松君) ただいま議題となりました昭和49年第5回議会乙第14号議案、乙第14号議案、乙第15号議案及び乙第21号議案に関しまして、土木委員会における審査の経過と結果について御報告申し上げます。
昭和49年第5回議会乙第14号議案は、沖縄県屋外広告物条例でございますが、委員会においては、条例の重要性にかんがみ慎重に審査する必要から閉会中も継続して審査することにいたしました。
閉会中においては、去る2月1日に陳情者から陳情の要旨について説明を聴取し、3日には与野党からそれぞれ推薦された4名の学識経験者を参考人として委員会に出席をお願いして専門的な意見を聴取し、これを踏まえて、4日、6日、17日の3日間にわたって土木部長との質疑応答を行ってまいりました。
まず最初に、この条例を提出するまでの経過及び標準条例と他県の例等について、当局の説明を求めましたが、なかんずく論議の焦点となりましたのはで憲法の保障する表現の自由と関連いたしまして、第7条第2項の政党、労働組合、宗教団体、学校、その他の営利を目的としない団体の行う広告物の適用除外でございました。
これについて、参考人の公述からその概要を説明申し上げます。
自由民主党推薦の参考人の意見は、1つ、条例の第7条第2項は、非営利的団体は適用除外となっているが、仮に適用除外を認める場合でも公益法人であるかどうかで区別すべきであり、単に営利、非営利で区別すべきではない。2つ、労働組合等は構成員の利益を追求する、公益を目的としない中間法人であり、7条2項によって適用除外しているのは疑問である。3つ、表現の自由と美観風致の維持とが衝突する問題があるが、基本的人権としての表現の自由にも制約があり、絶対無制限のものではないというのが判例であり通説でもある。4つ、公費でもって掲示板を設置する等、政策的に配慮することによって、表現の自由と美観風致の維持との調和が図られる。5つ、この条例の目的は、美観風致の維持と危険防止であり、それを侵害するものは何ものであるかを明確にすべきである。6つ、7条2項は、営利的団体の広告物を規制しても、表現の自由の侵害にはならないが、非営利団体のそれを規制したら表現の自由の侵害になるということであるが、それこそ問題である。7つ、7条2項を削除しても、非営利団体の表現の自由は侵害されないし、むしろこの条項があることによって条例の目的が骨抜きにされ
るおそれがあるなどでございました。
これに対しまして、与党推薦の参考人の意見は、1つ、この条例は、公共の福祉を図るという名のもとに治安立法の性格を持つものであり、これまでの立法過程や過虫の運用状況からしても、屋外広告物法第15条の人権侵害の歯どめができるという保障はない。2つ、7条2項については、営利的な宣伝広告と政治的なものとは当然区別して考えるべきである。3つ、表現の自由が、公共の福祉によって制約されるのであっても、それは明白かつ現在の危険がある場合に限定されるものである。4つ、この条例は、次の点で憲法違反の疑いがある。すなわち、イ、許可申請が放置されると不許可と同じ扱いになり、そのための救済措置がない。ロ、住民が広告物を掲出する設備がない。ハ、電柱へのビラ張りについても、電柱それ自体が街の美観を維持するものであるかどうか。問題の2番目、7条2項では、個人にも適用除外があるべきだが、団体のみとなっている。このほか、第3条に適用上の注意事項があるが、これは精神規定であり、表現の自由の保障のためにも7条2項の規定は必要であるなどでございました。
次に、土木部長との質疑応答では、公共の施設、橋梁、陸橋、道路施設のガードレール、公衆便所等にぺたぺた張られているのは、ほとんどが営利を目的としない政治的な、あるいは労働組合等の団体のものが多く見受けられ、市街を最も汚している。街の美観風致を維持するためには、これらの団体も規制の対象としない限りこの条例を制定しても効果はないと思うが、これに対する見解はどうかとの質疑がございました。
これに対しまして、7条2項の規定は、一時的なものという意味であって、連日というような目的を持たない場合にはこの条項は通用できない。
一時的ということは、県によっては20日と期限が定められているところもある。本県としても、20日前後を考えているとの答弁がございました。
また、憲法で保障された表現の自由を抑圧するような条例であってはいけないと思うが、この点についてはどう思うかとの質疑がございました。
これに対し、憲法上保障されている基本的人権と、この条例制定の目的をどのような形で、どの程度調和することができるかということは非常にむずかしいことであって、立法技術上も大きな問題である。県としても、国民の基本的人権である表現の自由を尊重しながら、この条例の生命である美観風致も維持するという形で調和を図っていきたいとの説明がございました。
なお、この案件につきましては、小渡三郎君、上原亀一郎君からそれぞれ修正案が提出されましたが、討論を省略して採決いたしました結果、小渡三郎君提出の修正案は、賛成者多数で可決され、上原亀一郎君提出の修正案は、賛成者少数のため否決されました。
なお、修正部分を除く原案については、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
次に、乙第14号議案、沖縄県空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例につきましては、県では振興開発のネックとして伊江島射爆場をとらえ、県議会においてもその撤去決議を行っている。県は、この趣旨に沿うて打開に当たるべきである。また、2時間半の制限使用は当分の間となって釈然としないので、この点について見解を求めましたところ、県においては、海洋博後も利用すべきであるとの考え方で普通の時間帯にすべくさらに折衝したい。当分の間とは、伊江島空港は、海洋搏開催時の6カ月間だけのためにつくったのではないので、海洋博後も継続して使用するということで、当分の間としたとの答弁がございました。
さらに、運輸省航空局長から県知事あての文書によると、海洋博後の使用保障は全くない。国際的行事である海洋博開催期間中でさえ2時間半という制限使用であるので、海洋博後は時間が縮小される要素は非常に強くなる。この点ははっきりさせるべきであるとの指摘もございました。
なお、本議案につきましては、国の法令も改正されない前に、それを先取りするような条例の提出は避けるべきであり、しかも民間空港に隣接して射爆場があるということも世界に類のないことである。議会としても黙視できるものではないので、まず射爆場の撤去を改めて要請し、その間、この条例は継続審査を要求するが、これが通らなければ反対するとの意見表明がありました。
これに対しまして、射爆場撤去については、県や議会も強く要請したが実現しないのは残念である。ただ、10億円余りの大金をかけて完成も間近であるので、2時間半の使用時間には不満であるが県も引き続き使用時間の大幅拡大を折衝するといっているので、附帯決議をつけて賛成したいとの討論が行われた後、採決いたしました結果、
賛成多数をもって、別紙附帯決議をつけて、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、乙第15号議案沖縄県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例は、公営住宅法施行令の一部改正により、入居資格者の収入基準等が改正されたことに伴い、当該改正に準じて条例を改正するものであります。
次に、乙第21号議案沖縄県水道料金徴収条例の一部を改正する条例については、水道料金の値上げ率が99.55%と大幅なところから、他物価へのはね返りが懸念され、また実施時期が4月では準備期間がなく、各市町村では対応できないなど問題となったが、特に復帰時点のみなす議会において、1立方メートル当たり市町村及び企業団体への給水を20円85銭、直接給水が33円27銭となっていたのを、9月の議会に1ドル対305円による換算で現行の17円84銭と28円46銭に改正されている。この改正がなければ、48年からの赤字も回避できたはずである。その上、適正な価格の改定は3年ないし5年を1サイクルとして総括原価主義をとっているにもかかわらず、一度に1倍近い料金の値上げは問題である。その都度改定しておけば、県民の理解も得られたと思うがどうかとの質疑がございました。
これに対しまして、最近における物価の上昇は著しく、とりわけ、人件費、動力費及び借地料の上昇は企業局の財政を急激に悪化させ、現行の料
金のままで運営していくと50年度の、累積赤字は25億円にも逮するものと予想されますので、これに対処するために経営努力をさらに重ねていくことはもちろんのことでありますが、今回は事業運営が曲がりなりにも維持できるぎりぎりの料金を算定し、算定期間も昭和50年度から51年度の2力年間とし累積赤字及び事業報酬は総括原価に算入しないなど、可能な限り改定率を抑制したとの答弁がございました。結局、4月1日施行を、7月1日に修正する案が上原亀一郎君から提出されましたが、これに対しまして、反対討論として、2倍近い料金値上げは政治的配慮と合理的根拠に欠けている。
その1つとして、公共料金の値上げ抑制については、去る12月議会で全会一致で可決しており、あれから3カ月もたたない期間でこの条例を提出したことは、議会無視もはなはだしい。議会の良識からも賛成できるものではない。
2番目に、海洋博で局地インフレも心配されている中で、便乗値上げに引き金を引くようなものである。
3番目に、那覇市をはじめ各市町村の反対決議を無視するもので、許せない。
4番目に、一般会計からの繰り入れ負担区分が不明確である。
5番目に、値上げ幅についても考慮する余地がありながら、一方的に消費者にしわ寄せするのは筋が通らないなどの意見表明がなされた後、採決した結果、修正案及び原案とも多数をもって否決すべきものと決定いたしました。
以上で質疑の内容とその結果を御報告申し上げます。
○議長(平良幸市君) これより委員長報告に対する質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いだします。
これより、ただいま議題となっております議案のうち、まず乙第15号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第15号議案は、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、議題のうち、昭和49年第5回議会乙第14号議案に対しては、上原亀一郎君外5人から修正の動議が提出されております。
この際、提出者の説明を求めます。
上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 昭和49年第5回議会乙第14号議案沖縄県屋外広告物条例に対する修正案の提案理由を提案者を代表し、説明いたします。
本条例は、昨年12月の第5回定例会において、沖縄県附属機関設置条例の一部を改正する条例と関連して提案されたものでありますが、本条例案が継続審査となりましたため、沖縄県附属機関設置条例別表から沖縄県屋外広告物審議会についての定めが削除されました。したがいまして、本定例会において本条例を可決するに際しましては、附則に沖縄県附属機関設置条例の改正条項を加えることと、施行期日を改める必要が生じたことによるものであります。
慎重御審議の上、可決されますよう要請いたしまして提案の理由といたします。
○議長(平良幸市君) これより修正案に対する質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
○小底貫一君 議長、10番。
○議長(平良幸市君) 小底貫一君。
○小底貫一君屋 外広告物条例を修正するということでの修正案の説明がただいまなされましたが、修正個所は、附属機関設置条例の一部を改正する、そのために附則を加えるということでございますか。
○上原亀一郎君 さようでございます。
○小底貫一君 そうしますと、この修正案が仮に可決された場合、その屋外広告物条例によって附属機関設置条例が自動的に改められていくと、こういうことになるのでございますね。
○上原亀一郎君 さようでございます。
○小底貫一君 そのことが妥当かどうか。一つの条例が可決された、自動的に他の条例が改正されると、こういうことになりはしませんか。そこらあたりどう御検討なさいましたか。
○森田孟松君 議長、休憩願います。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
午前10時52分休憩
午前10時55分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
上原亀一郎君。
○上原亀一郎君 できるものと解して改正いたします。従来あることでございます。
○小底貫一君 これは物事の道筋からいってもおかしいと、だれでもそういう考えに立ちますよ。現に、一つの条例があるんですよ。その条例の内容を、後からできる条例で変更できますか、改正できますか。
○上原亀一郎君 休憩してください。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
午前10時56分休憩
午前11時6分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いだします。
これより昭和49年第5回議会乙第14号議案に対する討論に入ります。
討論の通告がありますので、順次発言を許します。
小渡三郎君。
〔小渡三郎君登壇〕
○小渡三郎君 私は、自由民主党所属議員を代表いたしまして、ただいま議題になっております昭和49年12月定例会に提案をされました屋外広告物条例案並びに議員提出修正案に反対する立場から、土木委員会の委員会案に賛成する立場で討論を行います。
人権を保障するということは、言いかえれば人間を尊重するということであるのであります。個々の人間に最大の価値を認め、政治を全面的にその価値に奉仕させる、そういう原理を人間主義と呼ぷでありましょう。人間を尊重するということは、人聞の個性を尊重することであります。人間の個性は、主としてその思想にあります。だから、人間を尊重するためには、思想の自由を尊重しなければならないのであります。思想は、当然に他人に対して発表されることを欲します。思想を外に表明する自由を言論の自由といい、思想を外に表明する手段としては印刷、出版が非常に重要な役割りを果たします。そこで、出版の自由といい、もっと広く表現の自由ともいい、人間の尊重が必然的にかなう表現の自由の尊重を要求してまいるのであります。
表現の自由には、およそ限界があってはならないという意見もあるのでありますけれども、思想の表現である限り、その自由は無条件に認めるべきであるという説もございます。仮に、甲が乙の名誉を傷つけるようなことを書いたといたしましても、乙はそれに反論する自由を持つのでありますから、法律が甲のそのような言論を制限する必要はないというのであります。しかし、表現の自由を人権として認める近代諸国の憲法も、そこではいっていないとのことでございます。
現在、わが国の刑法にも、わいせつ文書を頒布することについて処罰する規定や他人の名誉を棄損し、他人を侮辱する行為を処罰する規定があります。この種の規定は、諸国に共通でありますけれども、どこでもそれを表現の自由を保障する憲法の規定には違反するとは考えていないのであります。つまり、少なくともその限りにおいては、表現の自由の保障に対して限界を認めていると言えるでありましょう。表現の自由は内心の自由とは違い、心の中でどう思うかの自由ではありません。心の中で思ったことを外に発表することであります。外に発表する以上、必然的に他人に、すなわち他人の人権にかかわりを持たないわけにはまいらないのであります。とすれば、表現の自由を保障するに際しましては、常に、それにかかわりを持つ他人の人権をも保障することを忘れてはいけないはずであります。表現の自由が、かくのごとく社会的な本質を有するところから、それに対する社会的な規制の可能性が生まれてまいるのであります。
最高裁判所は、昭和27年8月6日の判決で、表現の自由の保障とは、言いたいことは言わさなければならないと説明しながらも、公の福祉に反しない限りという条件をつけているのであります。憲法は12条で、国民は、憲法の保障する権利を「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」とか、国民の権利については、13条で、「公共の福祉に反しない限り、」「最大の尊重を必要とする。」とかいう規定があるのを根拠にいたしまして、昭和24年の5月18日の判決では、言論の自由といえども国民の無制約な意思のままに許されるものではなく、常に公共の福祉によって調整されなければならないという原則を打ち立てております。
人権を保障することの根拠は、すべての人間を尊重するということであります。決して、特定の個人または団体を、他人の儀牲において尊重することであってはならないのであります。多くの人々の人権相互間に何らかの矛盾、衝突があるとするならば、それはすべての人に公平に、しかも単に形式的に公平ではなくて、実質的に公平に人権を保障するという原理に基づいて調整されなくてはならないのであります。そうした調整が、必然的に個々の人権に対しては多かれ少なかれ制約を意味することは当然であるのであります。
ただいま議題となっております屋外広告物条例の原案並びに議員提出修正案は、ともに屋外広告物はその表示内容が営利的思想を表現するものに限られ制限を受け、営利に関係のない純粋な思想等の表現を内容とするものはこれに含まれないというものであります。その表示内容が非営利的なものであるか、あるいは営利的なものであるかによって結論を異にするものとは考えられないのであります。
屋外広告物法は、第1条において、「美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所」等について、「必要な規制の基準を定めることを目的とする。」と規定しています。同法の授権に基づいて制定された県の条例案も、第1条において、「屋外広告物について必要な規制を行い、もって美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止することを目的とする。」と規定しております。
屋外広告物法及び県条例案並びに修正案の目的にかんがみると、その表示される思想内容のいかんは何ら問題とはならず、もっぱらその表示の場所、手段、方法のいかんが問題とされるにすぎないことが明らかであります。条例の提案者は、営利的思想を表現する広告物については、これを規制すべき社会、経済的条件が存在するということを主張していますが、そのこと自体は容認することができるといたしましても、非営利的思想を表現する広告物については、これを規制すべき社会的条件が存在しないと主張するについては、もはや容認はできないのであります。非営利的な思想の広告物についても、美観風致等の見地から、営利的思想を表現する広告物と同様に規制すべき社会的条件が存在することは、多言を要しないところであるからであります。
次に、屋外広告物の表示内容たる思想と憲法との関係について憲法21条は、同法19条にいう思想及び良心の自由を前提として、それらの表示の自由を保障しているのであります。同法19条は、あらゆる思想の間に価値的な差別を設けることなく、これらをすべて平等に保障しているものと解され、したがって、営利的思想も非営利的思想も憲法上は全く平等にその自由を保障されているのであって、両者の間において、保障の程度に差異を認めることはできないのであります。したがって、それらの思想の表現の自由に関する同法21条も一切の思想の表現を平等に保障しているのであり、その内容が営利的であるか非営利的であるかによって保障の程度に差異を認めることはできないのであります。
屋外広告物は、元来、人目につきやすい場所に表示されるものであり、その効果を最大限に発揮させるため、費用、労力の許す限り、多数、広範に、かつ形状、大きさ、色彩、意匠等、さまざまに人の注目を集めるように工夫されて表示されるのを常といたします。国民の経済生活及び社会生活の進歩発展とともに、屋外広告物の表示はますます増大するに至りましょう。ことに、人口の集中する市街地にあっては、広告物を表示するに適当な物件が豊富に存在し、昼外広告物がはんらんする条件がそろっているのであります。屋外広告物は、たとえ、それ自体としては美しく工夫されたものであっても、それが表示される場所、物件、数量等により、周囲の環境と調和せず、全体として美観風致を侵害する場合も少なくないのであります。それらが一定期閥、屋外に継続して表示されるため、日時の経過とともに、変色、破損をして醜悪な情景を現出するに至ります。このことは、日常の生活経験に照らしても明らかなところであります。そして、屋外広告物が、市街地等の美観風致を害することは、その表示の内容が営利であるか非営利であるかによって異なるところはなく、内容とは直接関係がないのであります。人
間は、社会生活を営む上で、少しでも美しく、清潔で快適な環境の中で生活したいと願うのであります。そのような美しく、清潔な生活環境を侵害するものに対しては、抵抗を感じ、嫌悪を感ずるものであります。そのために、これに対し、規制を加えて生活環境の正常化を図り、美観風致を維持することはそこに生活する者にとって強い願望であり、共通の利益であるのであります。これらの共通の利益を保護することは、人々の文化生活に寄与し、社会公共の福祉の増進、文化の向上につながるものであり、国民の文化的向上を目途とする憲法のもとでは、公共の福祉を保持するゆえんであるのであります。
また、電柱、街路灯柱等は、道路の側端にいわば林立して多数存在し、それ自体としては町の美観風致を害すると言えないわけではないのでありますが、それに多数の張り紙などが乱雑に貼付された場合、美観風致の維持等はもはや論外であります。日時の経過とともに、変色、破損、脱落、放置、残存し、さらにかさぶたのごとく貼付された張り紙の上に別の張り紙を貼付し、その嫌悪不快の感さえ人々に与え、町の美観風致を著しく害することは社会通念上これを承認し得るところであります。したがって、電柱に対する原則的な禁止は、やむを得ない必要に基づく合理的な規制であるということができるのであります。
確かに、電柱への張り紙の表示は比較的安価で、かつ最小の労力によってなし得る思想の大衆伝達の手段であることは言うまでもないところでありますが、それだけにまた、多数の張り紙が無秩序に電柱に貼付され、かっ事後処理もなされないで放置され、都市の美観を害するおそれが大であり、反面、思想の大衆伝達の手段としてはマスコミの利用、ビラの頒布、街頭演説等の方法が存在し、張り紙の表示についても条例の定める禁止区域、禁止場所、禁止物件を除き、自由、広範囲になし得ることを考えると、電柱に対する規制はやむを得ないことであり、表現の自由に対する不当な制限であるということはもはや言えないのであります。
1、この条例の目的である第1条の美観風致の維持と危険防止が、第7条第2項を設けることによってざる法となることでありましょう。
2、第7条第2項では、非営利的団体は適用除外となっているけれども、仮に適用除外を認める場合でも、公益法人であるかどうかを区別すべきであり、単に営利団体と非営利団体で区別するということは全くおかしな話であります。
3、労組などは構成員の利益を追求する団体でありまして、公益を目的としているのではありません。これを第7条第2項において、適用除外にしていることははなはだ重大な誤りがあるのであります。
4、表現の自由と美観風致の維持との調整ということでありますが、基本的人権としての表現の自由については前述したとおり制約があります。無制限というものではないという判例もあるし、それがまた通説であります。第7条第2項は、第4条、第5条第2項での規制を除外しようとしておりますが、そうすると沖縄における文化財やその地域などにべたべた広告物を張りつける根拠を非営利団体に与えることになり、文化財の保護という至上命題を犠牲にすることになります。
昭和43年12月18日、最高裁大法廷判決によりますと、「45年の危機迫る 国民よ決起せ 大日本菊水会本部」などと印刷したビラ合計26枚を大阪市において橋柱、電柱及び電信柱にのりで張りつけた事件がありますが、要旨次のように述べ、有罪を宜しております。「橋柱、電柱、電信柱にビラをはりつけた本件所為のごときは、都市の美観風致を害するものとして規制の対象とされているものと認めるのを相当とする。そして、国民の文化的生活の向上を目途とする憲法の下においては、都市の美観風致を維持することは、公共の福祉を保持する所以であるから、この程度の規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要且つ合理的な制限と解することができる。従って、所論の各禁止規定を憲法に違反するということはできず」と判示をいたしております。
さらに、大阪高等裁判所刑事第1課杉田亮造裁判長のもとでは、昭和49年5月17日、大阪市屋外広告物条例違反事件に対する控訴審事件について、非営利的思想を表現するものは、同条例の規制の対象とならないなどの理由で、無罪を言い渡した大阪簡易裁判所判決を破棄して有罪の判決を言い渡しております。同条例は、営利と関係のない印刷物の貼付をも規制の対象とするものであること、及び同条例の規制が表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であって、憲法に違反するものではないと判示をいたしております。
最後に、屋外広告物条例を早期制定してくれという陳情が6件にわたって県議会に提出されております。その6件の県条例のいずれの陳情につきましても、第7条第2項を挿入して条例を制定してくれというような陳情は一つもございません。なかんずく、那覇市市民憲章推進協議会からの陳情は、標準条例を準用せよと、このような形で強い陳情が提出されております。
さらに、きわめて異なることは、海洋博を成功させる会の会長屋良朝苗さんから――たしかこれは知事だと思いますが、知事さんから屋外広告物条例を早期制定してくれという陳情がなされております。その中に、文化財地域等などに所構わず掲示されたポスターが美観をはなはだしく損ねております。だから、そういうのを規制して早目に制定をしてくれ、こういう陳情がなされているのであります。
一方、屋良知事は、このたび49年12月の定例議会に提案をされた条例の中の文化財地域等についてはどう配慮しているかと申しますと、非営利事業団体は制限なく、ここにその地域を含めてポスターを、張り紙をすることを認めるような条例になっております。
屋良さんは、海洋博を成功させる会においては、文化財地域等には、ここには張りつけるようなことがあってはいけません。そんな条例はつくらぬでくださいというような陳情をなしながら、一方ではまた文化財地域にも非営利団体は幾らでも張ってよろしいと、このような矛盾行政が同一人間から変わった形で生まれている。非常に複雑な状況と言わざるを得ないのであります。
さらに、本議会におきましても、たしか一般質問だったと思うのでありますが、わが党所属の小底議員から知事への質問の中で、自衛隊に対するこれからの対処策について質問をした折に、知事にかわって副知事は、長沼判決を例にとりまして、下級審とはいえども違憲であるという判決が出た以上、最終決定が出るまでの間は下級審の判決を支持すると、こういう発言をこの場において行っております。
そのような知事や副知事が、最高裁において、表現の自由に合理的かつ妥当な制約がなされるということは、これは表現の自由の侵害ではないという判決が出ております。同じ事件に対しましても、有罪判決が出ているという事実を踏まえ、最高裁の決定を尊重する立場に立たなければならないのに、あえてこれを尊重しない立場から条例の提案が行われていること。ここにも本定例会で自衛隊に対する対処策に対しての答弁の内容と大きな矛盾を来しているのであります。このような矛盾の中に、沖縄県政の明るい豊かな発展はもはや約束されないでありましょう。
したがいまして、私は、12月定例議会に提案をされました屋外広告物条例案に反対をし、ただいままた議題となりました修正案についても反対をし、委員会案に対して賛成の論旨を申し上げて討論にかえます。(拍手)
○議長(平良幸市君) 中根章君。
〔中根章君登壇〕
○中根章君 屋外広告物条例に対する討論を行ないます。
私は、委員会修正案には反対をし、議員提出修正案と原案を支持する立場から討論を行います。
日本国民は、第2次大戦という大きな国民的犠牲を払って、戦後明治憲法を廃止し、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義をうたった日本国憲法を制定いたしました。この憲法でいう諸原財は、国民の不断の努力によって守られなければなりません。しかし、戦後30年を経た今日、自衛隊の強化をはじめ安保条約に基づく非民主的な法の制定、国民の基本的権利、平和が脅かされ続けております。このような憲法違反の法が数多くつくられ、いまや日本の民主主義が危険な状態に陥っております。
この屋外広告物条例も、県民の基本的な権利である表現の自由を規制する条例でしかなく、本来ならば制定すべきではありません。何事も法律や条例、公機関で規制をしようということは国家主義につながるものであります。憲法第21条は、集会、結社、言論、出版その他一切の表現の自由を保障しております。私は、美観風致の保護よりも、県民の基本的権利を規制、制約することを優先させるような発想は、国民的利益に逆行するものと考えます。
母法である屋外広告物法の第15条で、「国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。」とうたっております。しかし、このような規定は、今日までもあらゆる弾圧立法にも規定されているのであります。基本的人権を侵害しないというふうなうたい方をした法律や条例は、その制定後は運用する側の一方的、恣意的判断で独走していくのであります。国民を弾圧することは、このように独走していって国民を弾圧することは、現在まで歴史が証明をしているところであります。
屋外広告物条例も、他県の例に見られるように、弾圧の道具に現在使われているのであります。全国で、この条例による逮捕者は2000人を超えていると言われております。
さらに、50人以上が、長い裁判闘争を余儀なくされているとも言われております。8年間も裁判を続けている例もあると聞いております。この長い間の裁判によって得たものは何もなく、被告という苦しみしかないのであります。また、結果も罰金2万円とか3000円とかとなっているようであります。
また、現在係争中の地方裁判に見られるように、この条例は、憲法の表現の自由に抵触する危険があると指摘もされているのであります。
他県においては、昭和39年3月に、建設省次官が各県知事へ規制の強化を通達しております。まさにその時期は、ベトナム侵略戦争がエスカレートをしている時代であります。その通達によって、それ以後の警察は、この条例を盾に弾圧に乗り出している事実があるのであります。
本条例案も、母法第15条を受けて第3条で、「この条例の適用に当たっては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。」とうたっております。母法またはこの条例案のこの部分は精神規定であり、この規定を受けて第7条2項がその担保
として規定されているのであります。これは、美観風致を守るということが人権を守るより上位にあるかのごとき発想を規制するためであります。7条2項がいかに必要であるかは、国民の表現の自由、基本的権利を守る上から必要欠くべからざる条文であります。
アメリカの著名な裁判官であるフォームズは、ザ・クリーンアンドプレゼントデインジャールールいわゆる明白かつ現在の危険の理論、それを言っておられます。現在は、そのような危険はありません。いわゆる明白かつ現在の危険がある場合に限って、規制することができると指摘しているのであります。このことについては、多くの法律家も指摘をしておりますし、また本条例案審議の際の与党、野党両方に推薦され委員会に招致された参考人からも、このことは指摘をされているのであります。
県民の基本的権利を制約する方向に向かうのではなく、県民全体の中から自主的、積極的な意見表示によって県民みずからが自主的な規制を行うべきであります。条例や公権力で規制すべきではありません。
本条例の第7条2項は、憲法、母法第15条、本条例第3条の担保として必要な条文であり、これの削除は弾圧条例の制定の意図があると、そのそしりは免れません。
よって、私は、委員会修正案に反対し、議員提出の修正案及び原案に賛成するものであります。
○議長(平良幸市君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより昭和49年第5回議会乙第14号議案の採決に入ります。
休憩いたします。
午前10時35分休憩
午前10時36分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
本案に対する委員長の報告は修正議決でありますが、本案に対しては上原亀一郎君外5人から修正案が提出されておりますので、まずこれの修正案について採決いたします。
お諮りいたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、修正案は、可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、委員会の修正案について採決いたします。
お諮りいたします。
委員会の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立少数であります。
よって、委員会の修正案は、否決されました。
○議長(平良幸市君)次に、ただいま修正議決した部分を除く原案について採決いたします。
お諮りいたします。
修正部分を除く部分については、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、修正議決した部分を除く部分は、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、これより乙第14号議案に対する討論に入ります。
討論の通告がありますので、順次発言を許します。
上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団を代表し、乙第14号議案沖縄県空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例に反対する討論を行います。
本条例は、伊江島空港の完成を間近に控え、同空港を県空港としてその運用時間を定めるものであるが、わずか1里四方余の小さい島の中で隣接する空対地射爆撃演習場が撤去されずに居座ったまま民間空港が併存するというおそらく世界にもその類例のない危険きわまりないものとなろうことは想像するにかたくはないでしょう。
伊江島空港建設工事については、すでに国も10億4200万円を投じ、県も用地買収費、物件補償費等2億8300万円を負担させられています。ならば、当然国は全責任を持って安保条約、地位協定に基づく昭和47年6月15日付防衛施設庁告示第12号が定める空対地射爆撃訓練のため午前6時から午後11時まで使用するという条項を撤廃し、射爆撃演習場を即時撤去し、伊江島空港を民間空港として十分なる機能を保障すべきであります。
しかるに、政府は、昭和48年8月31日、民間空港を管轄する運輸大臣にあらず、当時の中曽根通産大臣が在日米軍司令官代理マーフィ少将との間できわめて屈辱的な了解を押しつけられ、取り交わしています。すなわち、13億2500万円を投じ、国民の財産として造成され永久に利用されるべき民間空港が、海洋博期間に関連させられ、射爆撃訓練と時間的に分離するという手かせ足かせをはめられ、とどのつまりは、1年がかりの昭和49年8月29日、日米合同委員会で海洋博覧会期間中は毎日2時間半だけの使用を承認させられています。海洋博後はどうなるかわからない。自衛隊が使用するのではないかと伊江村民がおそれを抱くのも無理からぬことです。隣に空対地射爆撃演習場があっては危なくて給油施設も置けない、設置する計画さえない。そのような空港に一体どこの航空会社が恒久的な航路を維拷することができるでありましょうか。
3年前までは、米軍の占領支配下にあったとはいえ、また今日なお基地があまねくたむろしているとはいえ、自国の空も国民に保障できない対米従属の深さをここでもまたまざまざと見せつけられている思いです。しかしながら、本土から幾百キロも隔たる離島県である本県にとって、航空機が船舶とともに必要欠くべからざる県民の足となっている以上、このような屈辱的な了解承認は一日も早く取り除かなければなりません。
本来、農畜産業に恵まれた伊江島の住民の反対を押し切り、農耕地として蘇生さすべき土地をつぶし、島を分断して村民に犠牲を払わした空港設置であるだけに、完成した空港については民間空港としての機能を十分に保障するものでなければならないし、伊江村民に対しても大きな利益をもたらすものでなければならないはずです。
したがいまして、本条例に対し、県議会のとるべき態度は、空対地射爆撃演習場をまくらにして横たえるような空港設置、射爆撃訓練時間のおすそ分けをもらって2時間半だけ利用するという前代未聞の無謀な空港設置について即決するのではなく、本条例を継続審査に付するとともに、いま一たび国に対し、空対地射爆撃演習場の全面撤去を強く迫り、伊江島空港の完全開設に必要適切な措置を要求し、しかる後本条例を処理するのが県民に対する責務にこたえるゆえんだと考えます。
以上の理由により、わが党は、乙第14号議案を継続審査に付することを要請し、本定例会において即決することに反対であることを表明し、討論を終わります。
○議長(平良幸市君) 渡久地政仁君。
〔渡久地政仁君登壇〕
○渡久地政仁君 私は、自由民主党沖縄県連所属議員を代表いたしまして、ただいま提案になっております議案第14号沖縄県空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例に対して、賛成する討論を行います。
県は、振興開発計画のネックとして現在行われている伊江島射爆場をとらえまして、あるいはまた県議会としても昨年その撤去決議を全会一致で可決して関係各省庁に要請したのであるが、いまもってその実現を見ないのは残念でたまりません。12億円余の多額の費用をかけまして、完成を間近に控え、近く使用可能のところまで来ているのであります。
県は、沖縄県空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例の附則2に「第3条の改正規定にかかわらず、伊江島空港の運用時間は、当分の間、10時45分から13時15分までとする。」とある。この点について、たった2時間半の運用時間に対して、わが自由民主党沖縄県連所属議員団は大変な不満を持っておるのであります。
昭和50年2月14日付空監第50号によれば、日米両政府間で施設特別委員会を設置して調整した結果、日米合同委員会で承認されたものとなっておるのでございます。たった2時間半の使用時間では、海洋博協力局長の説明によれば、YS11型機の60人乗りが3回離着陸が可能であるとのことである。
海洋博を4カ月後に控えて、本案件を否決した場合にせっかくの使用もふいになるおそれがあるのであります。県当局も、海洋博後も普通時間帯にすべく、さらに折衝することを強調されておる現状であります。本案を原案どおり可決して既成事実をつくり、県はさらに時間帯を延長するよう関係各省庁、さらに米国政府に強く折衝するよう希望いたしまして、土木委員長の報告のとおり別紙の附帯決議を付して乙第14号議案について原案どおり賛成いたすものであります。
以上であります。
○議長(平良幸市君) 島田哲男君。
〔島田哲男君登壇〕
○島田哲男君 ただいま議題となっております乙第14号議案沖縄県空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例について、沖縄社会大衆党所属議員団を代表いたしまして、賛成の立場に立って討論を行います。
今回、伊江島空港の設置によって、沖縄県空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する必要があるとして条例案が提出されておりますが、離島県の隔絶性を解消し、離島振興と民生の安定を図る施策として、伊江島空港の開設は県民が大きく期待していたところでございます。
国費10億4200万円、県費2億8300万円を投じ、その完成を間近に控えておりながら、安保条約、地位協定に基づく昭和47年6月15日付の防衛施設庁告示第12号によって、同空港に隣接する米軍演習場が空対地射爆撃訓練のため、午前6時から午後11時まで使用すると定められているために、伊江島空港の開設は事実上不可能なものにしております。
また、去る2月14日、運輸省航空局長は、伊江島空港関連提供空域について海洋博覧会期間中、すなわち昭和50年7月20日から昭和51年1月18日までは毎日2時間半の間日本政府が使用することを日米合同委員会で承認されたものと沖縄県知事あて文書で連絡しておりますが、自国の空でありながら自由に利用できないことは全く屈辱を覚え、はなはだ遺憾に思うわけでございます。
本条例案の附則2項で、「第3条の改正規定にかかわらず、伊江島空港の運用時間は、当分の間、10時45分から13時15分までとする。」と提案されておりますが、わずか2時間半の運用帯にはとうてい承服することはできません。離島県である本県として、航空路が海路とともに欠くことのできない県民の足であり、政府は早急に射爆場の即時撤去をさせるべきであり、アメリカ追従の国の姿勢に心から憤りを覚えるものであります。
したがいまして、原則的には附則2項の削除を強く主張し、同空港の完全運用を図るべき立場にありますが、諸般の情勢から条件を付し、原案に賛成するものであります。
すなわち、海洋博覧会期間中の観客輸送がスムーズに運ぶためには、同空港の開設が必要であり、なおまた現在2時間半の時間帯ということについても、完全運用できる糸口をつかむためにもやむなく原案を認め、政府が伊江島空対地射爆撃演習場を即時撤去させ、伊江島空港の完全運用の措置をとるよう強く訴えるとともに、県当局が今後引き続き政府に対し、伊江島射爆演習場の即時撤去と伊江島空港の完全運用に必要適切な措置が講じられるよう折衝し、その実現方を強く要請して、本議案に賛成いたします。
以上、討論を終わります。
○議長(平良幸市君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより乙第14号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は、原案可決であります。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、乙第14号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、乙第21号議案に対しては、上原亀一郎君外5人から修正の動議が提出されております。
この際、提出者の説明を求めます。
上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 乙第21号議案沖縄県水道料金徴収条例の一部を改正する条例に対する修正案の提案理由を提案者を代表し、説明いたします。
本条例の改正につきましては、受水市町村から改正料金に対応するための準備期間が必要であり、少なくとも3カ月程度実施時期を延期してもらいたいとの強い要望がありました。これにこたえて、受水市町村住民に対する改正料金の遡及実施と差額上積みを避けるため、附則の施行期日4月1日を3カ月延期して7日1日に改めるものであります。
なお、修正に伴う昭和50年度沖縄県公営企業会計水道事業予算における落ち込みは4億3000万円ほどが予想されますが、これにつきましては、与党が全責任を持って知事・執行部並びに企業局に対し、収支の均衡を回復させる措置をとらせることを付言しておきます。慎重御審議の上、可決されますよう要請しまして、提案の理由といたします。
○議長(平良幸市君) これより修正案に対する質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第21号議案に対する討論に入ります。
討論の通告がありますので、順次発言を許します。
比嘉昇君。
〔比嘉昇君登壇〕
○比嘉昇君 本員は、自由民主党所属議員団を代表いたしまして、ただいま議題となりました乙第21号議案沖縄県水道料金徴収条例の一部を改正する条例案に反対する立場から討論を行います。
本条例案は、御承知のとおり現行の1立米当たり17円84銭の水道の卸料金を一挙に99.55%も引き上げて、1立米当たり35円60銭に値上げせんとするものでありますが、わが自由民主党は、おおむね次の3点から本議案に反対をいたします。
反対理由の第1点は、本議会は知事の県民に対する恥ずべき裏切り行為を断固糾弾し、公約の実行を強く迫る必要があるからであります。
知事は就任以来、本議会に対してはもちろんのこと、直接県民に対しましても機会あるごとに物価の安定策を説き、地方自治体としてとり得る施策の一つとして公共料金の抑制を高らかにうたい上げてまいりました。
ちなみに、これまで知事が行ってきた提案事項説明の中から拾い上げてみますと、昭和47年度は福祉優先施策の一つとして、あらゆる手段を尽くして物価の安定策を講ずるとしており、復帰後の諸物価の高騰が住民の日常生活に大きな負担となっておるが、公共料金である水道料金が諸物価に及ぼす影響が大きいので、みなす県議会で可決された従前の360円読みかえで算定した料金をドル対円の交換基準レートである308円で読みかえ、低い料金で改定したいと提案理由で述べておられます。また、48年2月定例議会では、公共料金についてはできる限り価格上昇の抑制に努めると述べ、49年2月定例議会では、公共料金の抑制等を具体的かつ強力に推し進め、地方公共団体としてとり得る措置について最善を尽くす所存でありますと、語調を強めて高らかにうたい上げております。
ここで、指摘しておきたいことが3点ございます。
第1点は、公共料金である水道料金が、諸物価に及ぼす影響が大であるとの認識のもとにこれまで来られたということであります。
第2点は、かかる認識のもとに公共料金の抑制が知事の物価対策の目玉であったということでございます。
第3点は、このような観点から地方公営企業法に定める料金設定の3つの基本原則、つまり1つ、公正妥当なものであること。2つ、原価主義に基づくものであること。3つ、企業の健全な運営を確保するに足るものであること。こういう基本原則というものを、どちらかというと排斥してまいったわけでございます。
ところが、本年度の提案事項説明では、公共料金の適正化を図るというふうに微妙に変化してまいりまして、そしていま議題となっております本議案を提案してまいったのであります。そして、本会議、委員会の質疑を通じて明らかになったことは、水道料金を2倍に引き上げても物価に及ぼす影響はわずか0.2%にすぎないと開き直ってまいりました。物価の上昇の要因になろうとも、公営企業会計の健全化を図る上からやむを得ないというふうな答弁をしてまいっております。
これは、先ほど指摘いたしました49年度までの姿勢と対比した場合180度の政策転換というよりも、むしろ公共料金抑制を物価対策の目玉としてきた事実にかんがみるならば、まさに政策的な破綻である。したがって、屋良県政の看板であったはずの福祉行政、とりわけ物価対策がまやかしであり、いかに欺瞞的なものであったかを証明するに十分でございます。その居直り的態度は、私ども議会といたしまして断じて許すことができないのであります。また、県民からも、必ずや激しい糾弾を受けるものと確信いたしております。
反対理由の第2点は、公営企業会計の健全化策を安易に料金値上げに求め、県当局や企業局において当然払われてしかるべき努力がなされてないということでございます。そのために、料金値上げについての県民の納得が得られず、そしてまた、合理的な根拠もないということでございます。
その第1の理由といたしまして、県当局が一般会計において当然負担すべきものが企業局の負担で賄われているという事実でございます。地方公営企業が、道路行政とかあるいは衛生行政、消防行政、国土保全行政と密接な関係を持つことはいまさら指摘するまでもございません。
ここで、私が申し上げたいことは、一般行政に属する部分の経費は、仮に公営企業と関連しておっても料金収入によって賄うのは不合理であり、一般会計の負担で賄うのが当然だと識者が指摘しておる事実でございます。
ところが、本県においては、一般行政に属し、あるいは深いかかわり合いを持ちながら、一般会計からの支出というものがこれまで全くなされていないのであります。
その二、三の例を指摘いたしますと、久志導水路トンネル工事に関連し、私道はもちろん、県道の改修、補装、河川の護岸建設等が企業局の負担でなされておるという事実、また市町村の生活道路として、通学道路としてその地域において最も重要な道路が、たまたま企業局の施設に通ずる道路である、たまに企業局の車がそこを通過するというただそれだけの理由で、この道路の賃貸料をはじめその維持管理が企業局によってなされているということ。また、企業局が取水している天願川、比謝川の流域下水道の不備による水質汚染により、他の水源に比べ薬品代だけでも年間4600万円もの多くの金を企業局が支出せざるを得ない現状にあるということでございます。
以上の事実は、県当局の公営企業に対する理解のなさ、姿勢を如実に示しているものと私は考えております。
先ほども指摘いたしましたが、諸物価に著しい影響があるとして一たん1ドル対360円の換算率で定めた料金を308円換算にしたことのよしあしは別といたしまして、そのための差額が7億円にも上りながら何ら一般会計からの補てんがなされてないのであります。
物価対策の目玉の一つとして、公共料金を抑制するんだと県民に声高々とうたい上げる以上は、そこから来る欠損分については何らかの措置がなされてしかるべきであったのであります。
結局、その差損から来る累積赤字も、今回の2倍の料金値上げと将来の料金改正で、消費者の負担において解決されんとしていることは企業局の説明で明らかでございます。つまり、二、三年後にはこれまでの県当局がやってきたことによるツケというものが、私たち消費者の手元に回ってくるということでございます。これが革新県政の実態でございます。
あたかも県民のために、料金を抑制したかのような印象を県民に与え、そのツケをそのほとぽりが冷めた二、三力年後には消費者の負担においてこれを解消しようとする、これが真に福祉行政を唱える革新行政のやることであるのか、この点はきつく糾弾されてしかるべきであると思います。
以上、指摘申し上げた理由以外にも、公営企業法17条2の一般会計との費用負担の規定や、一般会計からの繰出金に関する自治省通達による高料金対策、水資源開発対策費、広域化対策費などの規定を根拠に、一般会計からの支出を国に認めさせる努力が強力になされてしかるべきであります。
以上の事実を洗い直して、いろいろな観点から試算を試み、その結果、値上げ幅を考慮し、料金をどのように設定すべきか慎重に検討なされてしかるべきであったわけでございますが、かような真摯な努力というものがなされないままに、安易に料金改定によってこの事態を乗り切ろうとしているのは、まさに福祉行政を唱える県政といたしましては、これは許せるものではございません。
したがいまして、私どもは、いますぐ値上げするというよりも、以上述べましたことを洗い直してどこに問題点があるのか十分究明した上で値上げ幅を考慮し、抜本的な対策を講ずべきであると考えるわけでございます。
それから反対理由の第2といたしまして、県並びに企業局は、昭和48年度水道会計決算意見書並びに日本水道協会がなした経営診断報告書で指摘された事項についても、改善の跡が見られないことであります。両者が共通して指摘していることは、職員1人当たり給水人口または給水量が全国平均の約3分の1程度であるということ、これは一般的には職員数が多いということ及び給水効率が悪いということを示しております。
さらに、給水量1万立米当たり職員数については、全国平均の3倍ないし4倍となっております。これは施設配置の効率の悪さを如実に示しておるのでございます。したがって、施設の合理的な配置と人員計画の確立が当面の重要課題として強く指摘されてまいってきております。ところが、いまだにその取り組みがなされてないのであります。
また、企業局と給水事業体である市町村との給水施設の維持管理の区分が十分になされてないままに今日に至っております。そのための支出の増大というものは、ばかにならない金額になっております。
その他、借地の返還等企業局の努力により、支出の軽減が図れる要素が多々あるわけでございますが、かかる改善もなされておりません。
そういうもろもろのことをなさないで、ただ安易に、料金の改定によってこれを解決しようとするのは断じて許すわけにはまいらないのであります。
それから反対理由の第3点は、本議案の提案は昨今の政治的、社会的背景を無視し、余りにも配慮に欠ける提案であるということでございます。
第1に、本県議会は、最近の物価高騰はきわめて異常であり、県民生活に大きな不安と混乱を招いておるとの現状認識のもとに、公共料金の値上げは他の諸物価値上げを誘発し、さらに異常な物価上昇を招き県民生活に一層の脅威を与えることは必至であるとして、県民生活の安定を図るため公共料金を抑制すべきであるとして、昨年の12月――いまからわずか3カ月前でございます――全会一致をもって公共料金の値上げ抑制に関する意見書を採択し、代表を政府関係機関に派遣して要請活動を展開してまいったのであります。
その舌の根も乾かないこの時期に、知事が水道料金を一挙に2倍に引き上げる議案を提案するということは、議会の意思を無視し議会活動に水を差すものであり、ひいては議会の権威を失墜させ、将来の政府に対する要請活動を著しく阻害するものであります。おのれの議会活動に責任を負い、かつ議会の権威を守る立場からも本議案には賛成しがたいのであります。
もし、この議案に賛成するというのであれば、われわれの過去の議会活動がまやかしであり、単に党利党略的な立場からなされたものとして県民の不信を買うのは必至でございます。いま私がここでお願いしたいことは、与党の諸君ももう一度考え直していただきたいということでございます。
その次に、本県では、来る7月20日から国際的行事である沖縄国際海洋博が開催されますが、この行事に向けて周地インフレが惹起されるのではないかと県民は危倶いたしております。
その矢先に、水道料金を一挙に2倍に引き上げるということは、県民の費用の負担感というものを強く刺激いたしまして、便乗値上げの口実を与えることになります。そして、諸物価高騰を誘発することは、これは私が指摘するまでもございません。火を見るより明らかでございます。たとえ与党のおっしゃるとおりに実施時期を7月1日に延期したといたしましても、この時期は海洋博を目前に控えた時期でございます。したがいまして、いまさき指摘いたしました事態というものはとうてい避けることはできませんし、かえって混乱に輪をかける結果を招くのは必定でございます。
かようにして、水道料金の2倍値上げというものが諸物価の高騰を誘発して県民生活を著しく圧迫し、海洋博が県民生活を破壊した元凶であるとする一部左翼団体の宣伝に乗ぜられ、知嘉の言う県民の総意を結集し、この国際的な大事業を成功させたいという願望も、とうていかなえられるものではないということを断言してはばからないのであります。
次に、那覇市、浦添市、具志川市をはじめ多くの市町村が今回の水道料金の値上げに反対いたしております。また、消費者団休をはじめ民間団体においても強くこの提案に反対いたしております。
以上のような事実を踏まえまして、本議会としては議会の権威を守り県民にその良識を示すためにも、本議案に対しては与野党一致して反対すべきものと思量いたします。
討論を終わります。
○議長(平良幸市君) 島田哲男君。
〔島田哲男君登壇〕
○島田哲男君 私は、ただいま議題となっております乙第21号議案沖縄県水道料金徴収条例の一部を改正する条例について、与党議員団を代表して、賛成の討論を行います。
水道事業は、住民の日常生活にとって欠くことのできないものであり、公共料金である水道料金の値上げが及ぼす県民の負担について懸念されることは私も十分承知いたしております。
基本的には、値上げすることに対し抵抗を抱くものでありますが、
このように本県水道事業は県下市町村への用水を供給する重要な役割りを担っておりながら、県民の生活用水の確保にこたえていく上で、いまや重大な経営危機に直面していることは御承知のとおりであります。
近時における諸経費の高騰、とりわけ動力費、人件費その他資材費の上昇は、県企業局の財政を急激に悪化させ、現状のままでの運営は破局的状況にあると企業局は説明しておりますが、まさしく事業運営は行き詰まり状態にあり、その打開策は急務中の急務であることを理解するものでございます。
しかし、経営危機の原因は那辺にあるかをわれわれは十分検討を加えなければならない、この問題解決に早急に努力すべきものと思量いたすものであります。
その原因の第1は、施政権返還に際し、県民の1ドル対360円の即時通貨切りかえの再三にわたる強い要求に対し、政府は円の切り上げによって県民に不利益を与えないという公約をやりながら、これをほごにして返還と同時に通貨を実勢レートの305円で交換したため異常な物価の値上がりを誘発し、沖縄経済を危機に陥れたのであります。
米軍が握る旧水道公社を引き継いだ県企業局の用水供給料金、16年前のすなわち昭和33年琉球水道公社時代に設定させた1立方メートル当たり5.8セントのドル建て料金を、復帰の時点で1ドル対360円換算で20円85銭として条例化されたのでありますが、復帰直後のあのドルショック、物価高騰などの理由から条例を改正し、1ドル対308円で換算して設定されたため、企業局の発足当時から赤字運営を余儀なくされ、わずか3年にしていまやその累積赤字は13億6500万円に達する破局状況に直面したのは事実であります。
しかし、当時の県当局のとったこの措置は、県民の経済的不安動揺に対する積極的な革新県政としてのりっぱな措置であり、高く評価するものであります。
第2に、一昨年の石油危機以来の狂乱物価の直撃をまともに受け、その中でも昨年10月電力料金の倍額値上げが、もともと米軍本位の給水を行い、県民にはその余り水を供給していた旧水道公社の劣悪な施設を受け継いだ県企業局の経営を圧迫したことであります。
第3に、今日まで県民の生活用水確保に不可欠である正常な水道事業、施設建設事業ができなかったため、県企業局は昭和51年までに628億円を超す膨大な建設改良事業をやりi遂げなければならないが、92億円余の起債を起こしてもなおその費用を捻出できず、出発の時点から赤宇事業費5億円近くも計上し、毎年4億円程度の赤字工事費を計上せざるを得ない状況であります。すなわち、水道事業の建設途上において急激な水需要増をもたらした。しかしながら、施設面について見ると、職員1人当たりの有形固定資産比率が他府県に比べ低く、また管路延長が3倍になっていることは導送水管の口径が小さいということであり、この急激な水需要に対処するため、地理的条件から各地に増圧ポンプ場を設置して無理な水道施設の運営となり、施設能力を超えた運転は電力費、人件費等の増大など不経済な運営をもたらしていることも指摘しなければなりません。ちなみに、電力費においては、他府県に比べて約6倍の電力費になっていることは見逃すことはできません。
第4に、水道事業施設用地の多くが米軍基地内にあるため、復帰後企業局が引き継いだ後も軍用地並みの借地料を余儀なくされ、経営圧迫の要因となっております。
第5に、国直轄の多目的ダムである福地ダムの維持費の中には、他県に金く見られないような借地料、昭和49年度で約5000万円が含まれており、赤字を抱えた企業局に大きな負担となっていますが、国で早急に用地買収を行って受水費の軽減を図るぺきであります。
このように県水道事業の経営危機の要因は、その発足の時点から内包していたものであり、米軍の長期支配と一昨年来の狂乱物価がつくり出したものであり、政府の責任において解決されるべきものと思量いたします。
ともあれ、企業局はいまのままの経営状態が続く場合、昭和50年度においては事業運営が全く行き詰まることは必至であり、用水供給料金の早急な見直しが迫られていることは容易に理解するものであります。
社会経済環境を考慮した場合、料金の値上げ幅も十分検討されるべきであり、今回の改定料金案35円60銭、99.55%の値上げ率は正直なところ承服できかねる額と言えますが、しかしながら給水原価も年々ウナギ登りの高騰であり、昭和47年度で21円22銭に対し昭和48年度では23円27銭に上昇、さらに昭和49年度では25円13銭となっており、電力費の倍額値上げに相まって生ずる要因となっているのであります。
このような財政悪化のまま運営を続けた場合、増加する水需要に対処するための施設の改善や既存施設の修繕、維持管理費の面も十分にできなくなり、結局日常生活に欠くことのできない水の供給が困難になるおそれを予想するものであります。
なお、今回の料金改定による一般家庭への影響について最も心配するものでありますが、企業局の用水供給料金は市町村水道事業者を対象にしたものであるので、値上げ率99.55%がそのままストレートに一般家庭に当てはまるものではないということであります。
市町村水道事業者の場合、口径別料金体系、用途別料金体系などがとられ、政策的に一般家庭の水道料金を低く抑え、大口需要者に高い料金を課する仕組みになっており、企業局の料金改定に伴う一般家庭への影響は改定案の三十五、六%程度と企業局は予想しているが、施設の不備からくる制限給水あるいは断水の解消など、県民へのサービス強化の立場から改定案を了解するものであります。
なお、実施の時期については、先ほどの修正案のとおり市町村水道事業者の受け入れ準備等の関係から考慮し、7月1日実施を希望し、改定案に賛成し、討論を終わります。
○議長(平良幸市君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより乙第21号議案の採決に入ります。
本案に対する委員長の報告は否決でありますが、本案に対しては上原亀一郎君外5人から修正案が提出されておりますので、まずこの修正案について採決いたします。
お諮りいたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、修正案は、可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、ただいま修正議決した部分を除く原案について採決いたします。
お諮りいたします。
修正部分を除く部分については、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、修正議決した部分を除く部分は、原案のとおり可決されました。
休憩いたします。
午後0時25分休憩
午後1時39分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
日程第5 乙第23号議案及び乙第24号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
企画総務委員長。
〔企画総務委員長 知花英夫君登壇〕
○企画総務委員長(知花英夫君) ただいま議題となりました乙第23号議案及び乙第24号議案につきまして、企画総務委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
本委員会におきましては、両議案について関係当局から詳細なる説明を聴取し、慎重に審査いたしてまいりました。審査の過程において論議されました主な事項について、その概要を申し上げます。
乙第23号議案につきましては、自治宝くじを発売するのは財源確保のためだけかとの質疑がありました。これに対しましては、全国自治宝くじ事務協議会に加入しなければ、海洋博協賛宝くじの発売について協力を依頼することができないという面もあり、各都道府県とのつき合いの意味が大きいとの答弁がありました。自治宝くじの発売については、各都道府県とのつき合いのためとはいえ、地方自治体の財源を宝くじに求めることは好ましいことだとは思えないし、今後はその是非を検討し明らかにしていくための努力を続けることを条件に本議案に賛成したいとの意見があり、さらに宝くじは賭博性があるにしても長い年月にわたって発売されてきており、そのことによって大変な事態を招くという状況でもないという点などを考慮し、本議案に反対することもないと考えるが、宝くじの発売は最小限度にとどめるべきであり、広げるべきではないとの意見がありました。
次に、乙第24号議案につきまして、総額30億を3回に分けて発売するということで48年度、49年度にそれぞれ10億円ずつ発売されたが、諸物価の高騰により工事費がかなり増加しているので、県からの補助金も増額してもらいたいとの協会側からの要望があり、自治省及び通産省とも折衝し、3億円を増額して18億円の宝くじを発売することにしたとの説明がありました。
今後も増額が予想されるかとの質疑に対しましては、時期的に不可能であると思われるし、協会側もこれ以上増額を求めていないので、8億円の増額で済むものと思うとの答弁がありました。
収益金の使途についての質疑に対しましては、基礎施設の整備、環境整備、サービス施設整備等のための会場建設事業に充当することになっており、運営費、準備費等の経費については、協会自体が賄うことになっているとの答弁がありました。
以上、審査の概要でありますが、両議案について採決しました結果、乙第23号議案につきましては全会一致をもって、乙第24号議案につきましては多数をもってそれぞれ可決すべきものと決定いたしました。よろしく御審議をお願い申し上げて、報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより、ただいま議題となっております乙第23号議案及び乙第24号議案の採決に入ります。
議題のうち、まず乙第23号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第23号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、乙第24号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は可決であります。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、乙第24号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 日程第6 乙第25号議案及び乙第26号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
経済労働渉外委員長。
〔経済労働渉外委員長 親川仁助君登壇〕
○経済労働渉外委員長(親川仁助君) ただいま議題となりました乙第25号議案及び乙第26号議案について、当委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
これらの議案につきましては、3月26日の委員会において農林水産部次長からその提案理由の説明があり、その概要を申し上げますと、この両議案は、補助金請求調停についてあるいは損害賠償請求調停についてとなっていますが、1963年8月以来、粗糖の輸入が自由化されたため、沖縄の分みつ糖は、国により買い入れ措置がなされたが、黒糖は対象外とされました。
そこで、離島の黒糖保護のため、当時の琉球政府単独で保護措置を講ずることになりました。本島で13の工場が稼働しており、そのうち12の工場は、離島工場と同様の助成措置をすべきものとして議会が予算措置をしたのでありますが、執行の段階で糖業振興法の趣旨に沿わないものとして補助金の交付をしないことになりました。
しかし、申請人たちは、すでに生産者に対し当時のサトウキビ価格で代金を支払い、そのため損害を受けたとの申し立てがあり、県はこれを認め、今回その損害を賭償しようとするものであります。
以上の説明を聴取した後、慎重審査の結果、全会一致をもって両案とも原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして、報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより、ただいま議題となっております乙第25号議案及び乙第26号議案を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案2件は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第25号議案及び乙第26号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
〇議長(平良幸市君) 日程第7 乙第30号議案を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。
文教厚生委員長。
〔文教厚生委員長
岸本利実君登壇〕
○文教厚生委員長(岸本利実君) ただいま議題となりました乙第30号議案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
委員会におきましては、執行部の説明を求め、慎重に審査を行ってまいりました。審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要について申し上げます。
本案は、那覇高等学校校舎建築工事の請負契約について議会の議決を求めようというものであります。
本件について、工事はすでに着工しているのか、また工事日数は何日か、ある工事に引き続き工事が行われる場合は、同一業者に一貫して請け負わせた方がよいのかなどの質疑に対し、議会の議決を得てから本契約をし、着工する運びとなっている。工事日数は、本契約をしてから210日間を予定している。同一業者による一貫した工事については、従来からの工事の経過をよく知っており、前の工事契約期間中に新たに工事を発注する場合にはその業者と契約するが、一たん工事が完了した後に発注する場合には、競争入札に付しているとの答弁がありました。
以上、委員会における審査の経過を申し上げましたが、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。よろしく御審議のほどお願い申し上げまして、御報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより乙第30号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第30号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
暫時休憩いたします。
午後1時51分休憩
午後1時52分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
日程第8 乙第27号議案及び乙第31号議案を議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
土木委員長。
〔土木委員長 森田孟松君登壇〕
○土木委員長(森田孟松君) ただいま議題となりました乙第27号議案及び乙第31号議案の2件について、土木委員会における審査の経過及びその結果について御報告申し上げます。
この2件の議案につきましては、3月22日、25日の委員会において、執行部関係職員の出席を求め、慎重に審査をしてまいりました。
まず、乙第27号議案粟国空港の設置及び管理については、粟国村土地を守る会からの反対陳情もあるが、住民の理解を得るために内部に入り込んでその実情を把握し、具体的にどのようなアクションを起こしたかとの質疑がございました。
これに対しまして、反対者がいるということを知ったのは2月ごろからである。土地を守る会に地主が何名いるか、その坪数なども調査してから用地説明の中で十分に話し合っていきたいとの説明がございました。
また、次のような要望がありました。1つ、住民のコンセンサスを得ることはもちろんであるが、反対者がいるから空港を開設しないということではなく、多数の賛成者がおれば離島振興の立場から開設すべきである。2つ、赤字路線になったときはその手当ての方法もあるので、県の計画に従って南西航空と早急に詰めてもらいたい。
次に、乙第31号議案土木工事請負契約については、波照間空港建設工事の入札の結果は、他県の業者が落札しておるが、これは競争入札のたてまえ上やむを得ないとして、資材の発注については県産品を奨励するようさきに自民党として知事にも要請したことがあるが、この点についてはどうかとの質疑がございました。これに対しまして、資材の発注は、仕様書事項ではないので、現場説明の中で県産品の優先使用を指導するつもりであるとの答弁がございました。
以上が質疑の概要でございますが、乙第27号議案は賛成多数をもって、乙第31号議案は全会一致をもってそれぞれ可決すべきものと決定いたしま
した。何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げまして、報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより討論に入ります。
乙第27号議案に対する討論の通告がありますので、順次発言を許します。
親川仁助君。
〔親川仁助君登壇〕
○親川仁助君 乙第27号議案粟国空港の設置及び管理についてに反対する討論をいたします。
この議案の処理に関しては、現地における飛行場用地に予定されている地主の動きや村民の動向など、わが党は当初から重視してまいりました。現地を調査し、関係地主や村当局の意見も聞き、これまでのいきさつ等についても伺ってまいりました。
そうした調査に基づいて、一般質問や委員会における審査においてわが党は、離島県である本県が、一般的に空港の建設整備を必要とするとの執行部の説明を了解するものの、具体的にどの島が飛行場を必要とするが、それが島の人々の福祉にっながる離島振興とどうかかわり合っているか、例の伊江島空港の問題にも見られるように、いま一度慎重に検討すべき段階にあることを主張しました。
また、何よりもこの議案に関し、約250人の関係地主のうち、70人近くの地主が土地の提供を現在拒否し、その倍以上の約150人の村民がこれを支持し、粟国村土地を守る会の代表者の名義で本議会に粟国飛行場建設に関する陳情が提出されているという事実もあります。
わが党は、この陳情を含め、委員会におけるこの議案の処理は慎重を期し、これを継続審査として十分に検討するよう強く主張しましたが、他党派の入れるところとならず、結局この議案の議決にわが党は反対の立場を表明せざるを得ないことになりました。
さて、本県自体離島県であり、しかも多数の離島から本県が成り立っているという地理的条件からして、本県における空港建設の重要性は、一般論としてだれしも認めることは当然であります。しかしながら、どの離島であっても飛行場をつくり、飛行機さえ飛ばせぱ住民福祉になり、離島振興につながるとの主張は誤りであります。その距離や規模などによっては、空港を建設してもこれを有効に維持管理し、これを離島の振興に寄与せしめ真に島の人々の福祉をもたらすように機能するかはなはだ疑問であります。
粟国村は、那覇からわずか50余キロ、定期の船便でおよそ3時間、速度の速い船ですと2時間で到着できます。港湾を整備し、高速のより大型の船舶を配備すれば2時間以内に時間を短縮することも可能であります。外来者や頻繁に出張する役人のためにではなく、島で現に生活する住民の足として、陳情者が港湾の整備と大型船の就航を強く要請している理由はここにあります。
たとえ空港が建設され、飛行機が飛んだとしてもその飛行時間はわずかに15分間、しかも19人乗りの小型機です。企業側に意見を聞いてみましても、通常の運営費に運輸省からの補助がない現在、赤字運航は避けられないとして、協力はしたいとしながらも敬遠される向きもあります。しかも、県が就航させようとしているこの小型機種は、航空専門家の説明によれば横風に弱く、横風の場合、風速12ないし13メートルからは就航できないと聞いております。
こうなると、積極的に空港を建設しようとしている人たちの、冬海の荒天で船が就航できなくても、飛行機なら就航できるとの期待が満たされるかどうかもはなはだ疑問であります。人口規模、距離など空港としての機能を十分に発揮させるには、一定の基準があってしかるべきです。本土では、時間帯として列車で3時間以内の距離は、飛行機を飛ばせてもその効力はないとされているようです。多数の離島を抱える本県においても、どの程度の距離までが飛行機をその交通手段として効力を発揮し、離島振興、住民福祉につながるか検討の段階にあると考えます。
伊江島空港の場合、米軍の射爆演習場とのかかわりという条件を除けば、全く同様であります。もっともそれは、将来本土の空港と結ぶと説明されていますが、ローカル線として那覇空港と結ぶとすれば、渡久地港からわずか30分の距離に空港を建設しても、その効力が発揮できないのは当然であります。そういう立場から、どの島に飛行場の建設を必要とするか、真の離島振興の立場から再検討を追られており、そういう意味ではこの議案の処理は慎重を期すべきであります。
次に、何よりも村民のコンセンサスが得られないということであります。もちろん、村議会の議決があったにしても、それが形式だけでなく真に村民の意思を十分に反映し得ているかどうかは問題であります。現実には、明確に土地の提供を拒否しそれを支持する村民があり、本議会に陳情が提出されるという具体的な事実は、いまなお村民のコンセンサスが得られてない証拠であります。
そして、空港は、当然のことながら村民の福祉、粟国村の振興に寄与せしめるために建設するのでありますから、何よりも村民の要求に基づく民主的な方法で建設が進められるべきであります。このことを誤ると、今日までのCTSの問題など幾つかの事例が示してあるように、行政の民主的な運用に重大な問題を残す結果となります。
また、陳情書の内容を見ましても、村民の福祉、粟国村の振興のために空港を必要とするのか、真の粟国村の振興が漁業、農業の振興、漁業、農業協同組合の強化、港湾の整備など船舶を中心に振興を図るべきか、建設的な問題提起がなされております。
このような問題の提起がある以上、村民の民主的話し合いによって、村発展のための村民のコンセンサスを得ることは可能であるし、県政ないしは村政を民主的に運営していくためにもこの議案の処理は継続審査とし、今後十分な時間をかけて検討すべきだと考えます。
こうしたわが党の主張が入れられない以上、わが党はこの議案に反対いたします。
以上、討論を終わります。
○議長(平良幸市君) 上江洲安健君。
〔上江洲安健君登壇〕
○上江洲安健君 本員は、自由民主党議員団を代表いたしまして、粟国空港設置及び管理等について賛成の討論をいたします。
今年度の県予算は、海洋博型予算と言われておりますけれども、来年度は離島型予算と言われてそのように遂行しているようであります。このことは、国及び県の双方とも合意に逮した重点目標であり、また重要課題であろうと思います。
本県のように多くの離島を抱えた地域で政治とは伺か、住民による住民のための行政とは何かと申しますと、何といっても離島なるがゆえの社会的不公正を是正することだと考えます。そのような社会的不公正を絶対に許すべきではないということは、私たち県民が当然考えていることだと思います。このようなことの信念を、本員及び自由民主党は、政治にかかわるものとして常にそのために努力をしてきたわけであります。
戦前戦後を通じ、本島並みに納税の義務を果たしながら、なおかつ離島苦と過疎化現象に悩んでいるのが離島の現状であります。その最大の理由は何かと申しますと、何といっても足の自由が制限をされているということであります。これがひいては政治、経済、社会、文化、教育、宗教に至るまで、その他もろもろの格差を本島とに生じていることであります。離島振興を阻む最大のガンは、足、つまり航空、船舶の不自由さであろうかと考えます。粟国島では、晴天の日でも波の荒いときは定期船が欠航し、お盆でたまに里帰りしても天候不良のために20日から1カ月間も足どめを食うという現況を強いられ、これが戦前戦後、さらに現在に至るまで続いていることを知らなければなりません。この間の事情につきましては、粟国島に直接間接に関係している方でないとわからない問題があります。
先ほどの反対討論の中にもありましたように、反対のための反対等、あるいは事情をわからない観点から考える反対ということにつきましては、粟国を知らない観点から考えられる論議であろうというふうに思っております。粟国空港が実現するならば、この問題は一挙に解決し、粟国の方々の戦前戦後を通じます悩み、あるいは喜び、このようなものが実現するわけであります。
しかるに、一部与党は、粟国島の空港設置に反対を唱えております。なぜ反対するのか、その理由を村民とともに、村長以下議会議員あるいは郷友会の方その他の住民との話し合いをしたわけでありますが、爆音で鶏が卵を産まなくなるとかというもので、下地島訓練飛行場問題に見られたような抽象的で他愛のない理屈をこね回しているのであります。
県の土木部でも、この点は土木委員会で認め、あくまで抽象的な反対のための反対陳情でしか考えられないということで、土木部長もみずからこの問題につきましては、当然県が立ち上がって離島苦の解消、離島のためにがんばらなければいかないと、このように土木委員会では断言しているわけであります。その見解を持っておりまして、反対すれば土地が高くなるとか、また高く売れるとか、またはある一部政党のための票がふえるとか、いろいろと粟国島の方々はそのような見解を持って単純幼稚な発想というような政策をとっているような感がしてならないわけであります。
それで、沖縄は県自体が離島県であります。もし仮に、沖縄が離島であるという前提に立ちまして沖縄本島及び各離島から一切の航空路が閉鎖されますとしたらどうなるかということであります。産業開発はおろか、すべての施策が完全に麻痺しストップして、沖縄県民の社会福祉等を前提とする革新の政策を盾にしまして、実質的には沖縄の私たちが、全国の他都道府県の格差是正という前提に立つそのような考え方あるいは幸せを国民として求めるという一つの生活様式、そのようなことがこれはストップしてしまうわけであります。ですから、革新の言うそのようなことじゃなくして、やはり産業開発と福祉とのバランスをとった方向に向かわなければいかぬと。これはCTSの問題でもそうでありましょう。復帰後沖縄に企業開発、企業の誘致、企業の産業開発がなされた誘致というものは、これまで何もないということはいままででもってわかっております。平和産業と口では言いますが、それは現実に何一つもないということを屋良県政の姿勢あるいはこの問題からしても、逆流しているのではなかろうかというふうに本員は思っております。
これまでにも他の離島で空港が設置されたわけであります。その都度鶏が卵を産まなくなるとかいうそのような問題あるいは土地の問題、公害問題、そのようなことに反対論が一部にあったことはあります。しかし、実際に空港ができてしまうと、そんな幣害は全くないことを県民はよく知っており、そんなことは全く杷憂にすぎないことが立証されておる沖縄県下の現状であります。県の土木部も指摘していることでありますし、沖縄への航空路設置の、離島に航空路をつくるということは、各都道府県から見ますと、離島である沖縄に航空路設置という一つの縮図としてのものがあると思います。
今回の粟国空港設置の問題で、鶏が先かとか、あるいは卵が先かとか、そのような愚論を繰り返していては、沖縄県民のためになる一つの施策あるいは政策ではなく、また、行政官、政治家がそのような見解を持つものではないというふうに本貝は思います。
そのような小児麻痺的な反対論は引っ込めまして、民主的かつ県民的立場に立ちまして、粟国島の方々を差別から解放して、真の幸せを願って社会的不公正をここで是正してやるということが、現在の沖縄県下の行政官あるいは政治家がとるべき当然の姿勢ではなかろうかと本員は考えるわけであります。それが行政の常道であり、真の政治のあるべき姿ではないかと考えるものであります。
知事以下沖縄県民は、当然のこととしてこれを受けとめているはずであります。
粟国島は、観光産業がないとか、あるいはその他いろんな問題が反対の陳情にありますけれども、これを土木委員会の中で土木部長を中心にしまして、逐次、一つ一つ細かく土木部の御見解を聞きました。そうしましたら、その中で、何一つ反対する理由がない、このように土木部長は堂々と答弁をしております。
ですから、粟国島は観光等の問題もないとか、その他いろいろありますけれども、粟国島は有名な民謡ムンジュルヒラガサの発祥地であります。
また、ソテツも、沖縄県下の離島においては、ソテツが一番離島の中で異様な発達の仕方をして一番数多くあるところであります。そのような中で、粟国の適地適産というようになりますとやはりソテツ公園の設定、沖縄県下の離島にないソテツ公園の設定とか、あるいは牛牧場はたくさんありますけれども、ヤギは1000頭もおります、放牧されたヤギが。ヤギは牛肉よりいま高いと言われております。そのような中で、適地適産の畜産を振興するには、そのヤギ牧場の産業開発ということも考えられ、また、沖縄本島と形態を異にするお墓があります。地下にめずらしい、すばらしいお墓の一族の形態があるわけであります。そのような中から、やはりお盆には帰るけれども、波が荒れて帰れないというふうな現象もありまして、そのような観光等の問題は、その海、空、浜、そこの島にあるそのようなもの、それをひっくるめて観光産業にはならぬというようなことは間違っていると思います。また、那覇、海洋博地の本部と久米島を結ぶ三角形にある一つの三角形産業開発、離島開発というものにつきましては、そのような観点から考えないといけないというふうに思っているわけであります。そのようにムンジュ
ルヒラガサの発祥地でありまて、固有の伝統文化を持ち、観光資源も豊富に開発できて、また、現在あるであろうと考えているわけであります。
このような島を差別しまして、空港設置に反対するなど、常識でも考えられませんし、理由にならない論拠であります。粟国出身の方々を永久に不公正のまま放置するこのような反対がもし通りますならば、粟国村出身の方々を永久に不公正のまま放置するようになるわけであります。反対ということは、公党及び県民としてとるべき姿勢ではないと考えます。一部与党のこのような不合理で社会的正義に反する反対論を避けて、勇気と英断を持って速やかに粟国島空港への行政措置あるいは本議題に取り組まなければならないと思っております。
本員は、以上のことを強く要望しまして賛成の討論を終わりますけれども、離島と本島との格差に触れましたが、復帰後の沖縄県が本土との格差是正、これに取り組まなければいけないということは実際のことで、それに屋良知事はじめ私たちはがんばってきたわけでありますが、しかし、復帰後4年にまたがろうとするこのような時期に、たった1つ大きなハプニングが起きております。これはきのう実際に起こりました春の選抜野球で豊見城高校のナインがみごとに強豪習志野高校に勝ったわけです。
○議長(平良幸市君) 上江洲議員、議題に戻るようにしなさい。
○上江洲安健君 そういうことで、そのような意味で、私たちが行政も政治も一丸となって離島苦の解消に立ち上がれば、これはりっぱな、豊見城高校を模範とした行政、政治ができるであろうと思い、それをつけ加えまして賛成の討論といたします。よろしくお願いします。
討論を終わります。
○議長(平良幸市君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより、ただいま議題となっております乙第27号議案及び乙第31号議案の採決に入ります。
議題のうち、まず乙第31号議案を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第31号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、乙第27号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は可決であります。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、乙第27号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 日程第9 甲第1号議案から甲第16号議案までを議題といたします。
各議案に関し、委員長の報告を求めます。
予算特別委員長。
〔予算特別委員長 森田孟松君登壇〕
○予算特別委員長(森田孟松君) ただいま議題となりました甲第1号議案から甲第16号議案までについて、予算特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、甲第1号議案の歳入について主なる質疑を申し上げますと、次年度歳入見積もりと県経済の見通し、道路財源と道路費、県有地賃貸料の適正化、道路占用料の増収、米軍車両の課税等について質疑が交わされました。
県税増収の見通しに関しましては、現在の不況下において新規企業の立地が困難な上に、総需要抑制策の影響で既存企業の拡大も思わしくなく、大幅な伸びは期待できない。今後は、第2次産業の均衡ある発展を図る中で、産業構造の改革を推進していく必要がある之の説明がありました。
また、地方交付税収入と関連して、高度成長経済下において基準財政需要額算定の対象となる行政項目は開発に重点が置かれ、福祉部門は軽視されてきたうらみがある。客観的に見て、地方の行政需要は変質している。その変化に対応した行政項目を大幅に取り入れない限り、財政硬直化の原因を抜本的に除去することは困難である。その方向で政府に働きかけるべきであるとの指摘がありました。
次に、甲第1号議案の歳出に関する主な質疑について申し上げます。
第2款、総務費においては、経費節減のための部長専用車の廃止、不発弾処理、市町村合併促進費、職員研修費、人件費と財政硬直の関係、定員管理、海洋博後の経済落ち込みに対する対策、国鉄導入、私立大学への県の財政援助、米軍基地の実態等について質疑がありました。
物価に関しましては、県の作成した昭和50年度の県経済の見通しは、本県の物価上昇率を国のそれよりも相当に高いと予想し、その主要な原因として海洋博を挙げている。
従来から、海洋博のもたらす局地インフレ対策の必要性は広く指摘されてきたところであるが、結果としてこのような上昇率を推定しているのは、物価対策の誤りをみずから認めるものではないかとの質疑に対し、県は全力を挙げて物価問題に取り組んでおり、今後も対策を充実強化していく。物価問題は経済成長、県民所得などともあわせてマクロ的にとらえなければならない。物価のみを切り離して論ずることは妥当ではないとの説明がありました。
また、今回作成された県経済の見通しについては、その作成を評価するとともに、次年度からは政策をも加味した経済見通しを策定するよう要望がありました。
人件費等財政硬直の関係については、いろいろな角度から質疑がありました。特に今後の定員管理については、長期的な行政需要の見通しの上に立って、人件費の総予算に占める率がこれ以上高くならないよう配慮しつつ、適正な定員配置に努めたいとの説明がありました。
海洋博関係の政府要人等の接遇費については、できるだけ簡素合理化しつつ、接遇の目的を十分に達成し得るよう質素の中にも心のこもった接遇をしたいとの説明がありました。
地籍調査や軍事基地の実態などについても、きめの細かい質疑がありましたが、従来から問題とされている民間人の基地内居住に関しては、県の調査によると、無資格者が189人居住していることになっている。このことについては、法務省、外務省が合同調査を実施し、その結果、無資格者は退去させたということであるが、その具体的数字はつかんでいないとの答弁がありました。
第3款、民生費については、酒、たばこなどの自動販売機の法的規制、交通事故被害者の生活救済、交通事故相談所の機能、売春対策、未帰還者留守家族援護費、中国からの里帰り運動、混血児対策、福祉施設整備における地域的配慮、乳幼児医療費等について質疑が交わされました。
消費者保護対策については、消費生活モニター、国鉄指定港等多岐にわたる論議がありましたが、消費者保護の立場から生活福祉部は、ハム、ベーコンの関税減免措置の撤廃についてどう考えるかとの質疑に対し、撤廃後も量的に消費者の需要は十分に満たすことができる。また、価格も現在と差がないということであったので、賛成したとの説明がありました。
心身障害児(者)対策については、その早急な策定を要請するとともに、特に近く設けられる心身障害者対策協議会において、その対策として何が必要か、衆知を集め総合的に検討し行政に反映させるべきであるとの指摘がありました。
乳幼児医療費の無料化についても、本県と東京都を除き全道府県で実施されている。50年度は、本県でも調査費を計上しているが、早急な実現を要望するとの発言がありました。
次に、第4款、衛生費について申し上げます。
公害関係につきましては、北中城村の養豚団地の公害規制、天願川の汚染、・都市河川の環境整備、じんかい処理行政の立ちおくれ、環境アセスメントと専門職員の養成、米空軍基地の騒音規制、公害博物館、公害衛生研究所設置の見通し、公害行政の一元化等について質疑が交わされました。
特に石油4社との公害防止協定締結遅延について、行政の怠慢ではないかとの指摘に対し、現在水島箏故の教訓を生かすべく慎重に検討している、本年度内には締結したい。
その内容としては
、緑化地帯の造成、生物指標値の設定、地域社会への協力、二重の防油堤の建造等を考えているとの説明がありましたが、これと関連し、協定中に無過失損害賠償責任を明記すべきであるとの要望がありました。
医療関係については、公務員医師の処遇、僻地診療所の補助措置、長期休暇中の保健婦の代替要員、赤十字病院の経営状況、愛楽園医師の補充、衛生研究所の移転、未熟児の養育費、米軍基地の防疫対策等について質疑がありました。
特に最近問題化している一般開業医の土曜日午後の休診については、今後もふえる傾向にある。医療の空白を生ずるおそれがあるので、医師会の協力を要請するとともに、救急医療の充実を図って対処したいとの説明がありました。
また、琉大医学部設置の進捗状況については、用地取得のめどはついた、53年学生募集を目標に計画を進めているとの答弁がありました。
次に、第5款、労働費については、不況と雇用対策、身体障害者の雇用促進、春闘の大幅賃上げ要求と行政指導等、労働行政各般にわたる問題について質疑がありました。
特に失業問題を長期的視野に立って解決するには、労働集約型企業の誘致以外にないと指摘し、当面増大する失業者に対する対処策について質疑がありました。
これに対し、特効薬はないが、職業安定所などの活用、各種手当の支給、自営業の奨励、広域職業紹介、既存企業の育成、第1次産業の振興等、職場開拓に努力しているとの答弁がありました。
また、広域職業紹介に対しては、2万人余の失業者が現存する厳しい現実に対処するためには、緊急措置としてやむを得ないかもしれないが、これは他府県への人口流出を促し、長期的には県経済の落ち込みにつながり、悪循環を誘発する要素を含み問題があるとの指摘がありました。
さらに、軍離職者の雇用対策と関連して、県のシンガポール報告を雇用対策の中に十分反映させるべきであるとの要請がありました。
第6款、農林水産業費については、西表島の横断林道、林業振興費、野鼠対策、農業開発公社の運営実績、養鰻事業の育成、お茶の生産対策、農業基盤の整備、植物防疫費、トキソ病関係廃棄豚の補償、県食肉センター職員の年末休暇と畜産振興、肉豚及び野菜の基金制度等の多方面にわたって質疑が交わされましたが、中央卸売市場については、生鮮食料品等の価格と供給安定のため早期に開設する必要があるとの指摘に対し、用地の確保がおくれているが55年までには開設するとの説明がありました。
肥料対策については、最近は化学肥料偏重主義で土地の吸収力が弱くなり、土壌も酸性化してきた。もっと有機肥料を重視し、堆厩肥運動を起こすべきだとの指摘がありました。
また、畜産振興と公害規制について、畜産振興を標榜する県が、他方では畜産農家に対し非常に厳しい公害規制を加えている。第1次産業重視の知事の施策も十分生かすよう配慮すべきだとの発言がありました。
さらに、沿岸漁業に関し、漁業就労者中、沿岸漁業専従者は67%である。それにもかかわらず、漁獲量は金漁獲量の17%にすぎない。このことをもってしても、沿岸漁業が危機に瀕していることがわかるとの指摘がありました。
これに対し、本県の沿岸漁業は、種類は豊富だが量が少ない、今後は量をふやすための施策を強化するとの説明がございました。
次に、第7款、商工費については、伝統工芸育成、中小零細企業の振興、海洋博等、当面の諸問題が多方面にわたり取り上げられました。
具体的には、商標権や鉱業所有権、自由貿易地域、日本貿易振興会と県の負担金、鉱業権申請の処理状況、工業振興開発促進費、天然ガス開発に関する調査委託費、石油資源の開発、信用保証協会の保証率、県産品愛用運動、工業開発地区の指定、工業立地関係予算並びにアンコールフェア、県出展館、跡地利用等海洋博関連の間題が質疑の対象になりました。
伝統工芸については、滞貨の状況、滞貨の解消策について質疑があり、その振興策として、価格及び需要の安定を図るため、県の買い上げを制度化するよう提案があり、県としても検討することを約束いたしました。
また、中小零細企業について、その倒産の状況や金融事情について質疑が交わされ、中小零細企業は運転資金が得られず困っている。制度資金の融資の民主化、簡素化を図るとともに、50年度から無担保無保証の融資制度を発足させるよう努めてほしいとの要請がありました。
企業誘致に関連して県は、開発と自然を二者択一の関係でとらえず、県民とのコンセンサスを図りつつ自然と調和のとれた開発を図ってほしいとの要請があり、さらに松下電器の進出については、会社側は不況を乗り越えた段階で考えるということだが、県としては少なくとも海洋博終了後直ちに着工するよう要望しているとの説明がありました。
県の中城湾埋立権と私企業の埋立権譲渡申請についても、その経緯等について質疑があり、県の行政は企業の期待権を侵害したとの発言がありました。
海洋博に関しては、まず跡地利用について県は特殊法人を設立し、その運営の衝に当てるとの説明がありましたが、他方跡地利用を成功に導くためには企業の参加が必要であり、第三セクター方式を採用する考えはないかとの質疑に対し、跡地利用は非常に重要である。組織の問題をも含めて慎重に検討したいとの説明がありました。
アンコールフェアについては、その実現を図り、県が主体となり国と協議しつつ運営していきたいとの答弁がございました。
また、県出展館の寄付割り当てについて、県出展館は観光開発公社の事業であり、寄付も割り当てではなく目標類ということである。したがって、地方財政法に抵触するとは考えていないが、好ましいとは言えない。やむを得ない措置であるとの説明がありました。
さらに、海洋博用地取得等のための県負担については、国が特別地方交付税等で最終的には県の負担にならぬよう措置するものと理解している。県が、海洋博のために莫大な赤字を抱え込むことがないように努力したいとの答弁がありました。
第8款、土木費については、那覇署前歩道橋架設工事、海洋博関連工事のしわ寄せと道路予算、県道パトロール、土地収用委員会の活動状況、違反建築是正費、土木費に係る市町村の超過負担離島の県道整備、下地島パイロット訓練飛行場、河川改修長期計画、西表の北岸道路、駐車場料金の規制、海員会館の建設、米軍基地周辺の海岸保全対策、県道のつぶれ地補償、石垣市白保の戦前つぶれ地補償、モノレール建設、伊平屋村野甫橋の架橋、本部水納島の漁港計画、瀬底島への架橋、粟国空港の建設等について質疑が交わされました。
道路維持については、県道の破損が著しい、経済的にも早期改修が望ましいが、道路維持費は2億8000万円しか計上されていない。これで対処できるかとの質疑に対し、これだけでは十分でない。財政当局に対しては10億円要求したが、財政硬直の中で減額査定されやむを得なかった。補正の段階では、ぜひ予算を確保したいとの答弁がありました。
公有財産購入費については、従来から用地取得の困難性が予算執行のネックとなっている。公有財産購入費は約30億円計上されているが、完全執行の自信はあるか。用地購入交渉の方法にも問題がありはしないか。社交費等も計上すべきであるとの質疑に対し、用地取得には苦労しているが、全力を挙げて執行するとの答弁がありました。
また、県道104号線については、県道に認定されているので、道路法上の権限は県が有する。国が地主に賃貸料を支払っている事実は、県の権限を失わせるものではないとの説明がありました'が、同県道の封鎖に関しては、工事等道路法の定める要件に合致する場含に行えるのであって、米海兵隊の演習のために封鎖することはできないのではないかとの指摘がございました。
伊江島空港については、2時間半しか使用できない空港は使用を拒否すべきだとの提案に対し、知事名で関係省庁に全面使用の再要請を行っているとの説明がありました。
土地収用については、県は実際に行う意思があるかとの質疑に対し、公共工事の執行に支障を来たす場合で、万やむを得ないときは土地収用も行うとの答弁がありました。
次に、第9款、警察費については、路上駐車と車庫証明、補導員の活動状況、海洋博時の警備態勢、交通事故示談屋の取り締まり等につき質疑がありました。
国道58号線の駐車規制については、県警としては、過去の経験に照らし、事故防止及び交通渋滞解消のためきわめて効果的であると考える。しかし、その最終判断は公安委員会が行うので、それに関する意見は伝えるとの説明がありました。また、知事も駐車規制は必要だが、生活権との兼ね合いも慎重に検討する必要がある。公安委員会とも協議したいとの答弁を行いました。
さらに、県道104号線を封鎖しての海兵隊の演習に対し、県民の生命、財産保護の立場に立って県警はその中止要請をしたかとの質疑に対し、中止要請は警察の職務の範囲外であるので行っていないとの説明がありました。
第10款、教育費については、教員人事発令手続、学校差の解消、学習意欲向上対策、教科の自主編成、障害児教育研修教員に対する配慮、教育隣組、教育費の税外負担、盲聾学校の地下道建設等に関し、きめの細かい質疑が交わされましたが、水産実習船の管理運営、特に経理事務、人事、漁労日誌の取り扱いに問題が多いとの指摘がありました。
また、文化関係では、米軍基地内の文化財調査、天然記念物保護行政、博物館の庁用器具費、今帰仁城跡の敷地買い上げ、ノグチゲラ対策費等について質疑がありました。
次に、甲第15号議案については、水道料金の値上げ問題がいろいろな角度から論じられましたが、それについては代表質問、一般質問、土木委員会の審査報告等でも詳しく述べられていますので説明を省略いたします。
ただ、知事の答弁として、一般会計からの繰り入れは不可能である。行政当局としては赤字解消のめどが立たない。この問題の解決は、先に延ばせば延ばすほど動きがとれなくなる。ひとえに県民の御理解を求めるだけであるとの発言があったことを付言しておきます。
以上が審査の主なる内容でありますが、さらに甲第1号議案については、当面する財政硬直、物価対策、失業者の増大等各般にわたる行財政の諸問題を指摘しつつ反対討論が展開され、また甲第15号議案についても、今回の水道料金値上げは全く政治的配慮に欠けるとともに、値上げ幅についても合理的根拠がないとして反対討論が行われました。
次いで採決を行った結果、甲第5号議案及び甲第15号議案を除く甲第2号議案から甲第16号議案までの13件は全会一致をもって、甲第1号議案、甲第5号議案及び甲第15号議案は多数をもってそれぞれ原案どおり可決決定いたしました。慎重に御審議の上、速やかに議決くださるようお願い申し上げまして、報告を終わります。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより討論に入ります。
甲第1号議案に対する討論の通告がありますので、順次発言を許します。
新垣淑重君。
〔新垣淑重君登壇)
○新垣淑重君 私は、自由民主党沖縄県支部連合会所属議員団を代表いたしまして、知事提案にかかわる昭和50年度の一般会計予算につきまして、反対する討論を行います。
まず、予算の編成に当たっての基本的な問題点につきまして指摘し、所見を申し述べたいと思います。
予算は、知事が県民に公約した政策を具現する財政上唯一の手段であって、その編成は適正かつ効率的になされなければならないことは申し上げるまでもありません。政府は、沖縄の復帰に伴い、沖縄振興開発計画特別措置法を制定し、昭和47年を初年度として10力年を目途とした振興開発計画を県の立案に基づいて決定したのであります。この計画はいわば沖縄開発の基本となるもので、沖縄におけるすべての政策も、これを中心として策定されなければならないことは申すまでもないことでございます。
したがって、予算の編成に当たっては、その執行によって目標が計画的に達成されるよう財源の重点的かつ効率的な配分を行い、県民経済の安定成長を図り、もって住民の生活及び職業の安定並びにこれを促進する方途を講じなければなりません。しかるに、50年度の一般会計予算の内容は、以上の基本姿勢が十分考慮されず、かろうじて予算体系を保っているにすぎない点を指摘しなければなりません。
まず、予算編成の基礎となるべき県の経済の見通しについてであります。
経済の見通しは、予算編成上重要な要素であるにかかわらず、予算案が議会に送付されました後に作成され、しかも周到な基礎資料に基づき、各部門と財政運営の効果などを緻密に検討して策定されるべきであるにかかわらず、企画調整部のみの試案で作成交付されておるのであります。その内容たるや実にその場当たりで、政府の50年度の経済見通しと経済運営の基本的態度から逸脱し、しかも知事の重点施策とも背反するものになっているのは明白でございます。
政府
の50年度経済見通しは、政府の総需要抑制策を受けまして実質成長率4.3%、鉱工業生産指数を105.4%、卸売物価上昇率7.7%、消費者物価年問上昇率を11.8%と見積もっておるのに対し、わが県では実質8.8%の経済成長、鉱工業生産14.2%の増、消費者物価が18.9%の上昇と見込んで、本土のほとんど2倍の上昇となっておるのであります。
そして、その要因を海洋搏覧会の開催によるものとしておりますが、海洋博覧会については計画当初から問題が取り上げられ、そのデメリットの面については慎重に対策を進めてきたはずでありますし、またこれからも講じなければならない問題であるのに50年度の物価対策予算はむしろ後退し、その意欲のなさを暴露しておるのであります。すなわち、前年度1億2400万円の予算に比べて、50年度は9100万円余であり、前年度の73.8%に落ち込んでおります。
沖縄の物価の上昇原因は、生鮮食糧品、特に野菜の市場価格の変動に起因するものと言われております。そこで県は、県産野菜の増大を図りながら、価格の低落による生産農家の損失を補てんして、農家所得の安定向上と消費者への安定供給を図るため、昭和50年を初年度に、52年までの3カ年間で資金3億円を目途に、県野菜価格安定基金協会を発足させる計画も予算上ゼロ査定となって挫折しておるし、中央卸売市場の設置もいまだに計画の段階であります。これも物価政策に対する知事の無策のあらわれであります。
知事は、公共料金の適正化を図ると言いながら、県民生活に重大な影響を持つ水道料金を約倍に引き上げる無謀な措置をとろうとしております。水道料金値上げは、政治的配慮と合理的根拠に欠けておるし、公共料金値上げ抑制に関する県議会の全会一致の決議がなされたばかりでありますが、これを全く無視し水道料金の赤字をすべて消費者にしわ寄せして解決しようとする知事の姿勢は許されるべきものではありません。このようなずさんな経済見通しが公表されると、県民経済の運用を誤まらすもととなり、経済の不安定と物価の高騰を招くのは必定であります。
しかも、このような経済見通しを基礎に、財源の根源とも言うべき租税収入を見積もって、いかにも自主財源の強化を図ったかのごとく見せかけ、不安定な財政の要素をみずからつくり出している点は強く指摘せざるを得ません。
地方税の見積もりは、国税収入の趨勢を勘案して作成もしなくてはならないのはいまさら申し上げるまでもございません。政府は、いま申し上げました国の経済見通しを基礎に、50年度の租税収入の伸びを総額におきまして、前年度当初予算に対し26%を見込んでおります。
また、地方財政計画におきましても、地方税の伸びを26.6%と見込んでおるのに対し、わが県は前年度当初予算に対し37.1%、しかも県民税は前年度対比66.6%で、特に個人県民税が81.1%、事業税で44.1%の伸びを見積もっており、税制改正による減少額を見込まなければほとんど2倍弱の税収増となるような無定見な歳入見積もりをしております。
それに、県土保全、乱開発防止を唱え、土地利用計画の効率的施策を推進するとしながら、税収の面では不動産取引税が51%も増収すると見込んでおるのは、全く無政策だと指摘せざるを得ないのであります。
したがいまして、このような無定見なる経済見通し、そしてそれを基礎にした無謀な租税収入見積もりを財源としました重点政策の執行をつづり合わせた無責任な予算は、とうてい認めるわけにはまいりません。
第2に、まず50年度予算は、歳入合計で1350億5600万円となっておりますが、これを自主財源と依存財源に区分しますと、自主財源は予算総額のわずか18,9%で、依存財源は1095億4367万円で予算総額の81.1%を占めております。本土の類似県におきましては、自主財源の予算総額に占める割合は25%以上の比率を占めておりますが、本県は18.9%では、自主県政を打ち出している屋良知事も、これでは主体的な行政の運営は不可能でありましょう。このことは屋良知事が、第2次産業の振興を怠ったのが最大の原因でありましよう。
例を挙げますと、CTSについて当時の屋良主席は、公有水面埋立権、シーバース、海底管設置のための水面占有許可を与えましたが、その後知事は、CTSの立地に反対する態度を示したのであります。
このような知事の行政執行の無定見と信念のなさから、賛成、反対の県民闘争の事態を引き起こしましたことは、全く許しがたい行為でございます。
特に、この問題に対し、埋め立て反対側から訴訟に持ち込まれるや、知事は埋め立て並びにCTS立地の許認可の行為に対しては、裁判の判決に従うというみずからの行政権を放棄したことは、もはや行政能力もなしと断言されても弁解の余地はないでありましょう。
次に、県が保有している金武湾中城湾沿岸の公有水面埋立権につきましては、当初県は経済開発の主軸に工業振興を位置づけて、特に東海岸一帯を利用して、臨海型工業の立地を構想していたことは明白であります。しかし、時間的余裕がない県民の同意が得にくい、CTSとの関連で論争の種となり、知事自身にふりかかる非難のおそれがあることからして、この開発計画も放棄することになっております。これと関連しまして言えることは、具志川市の造船所誘致計画や中城湾における大型流通港建設問題も、知事の優柔不断な政治姿勢でこれらの計画も竜頭蛇尾に終わろうとしております。
第3番目に、歳出面のずさんさを指摘したいと思います。
50年度予算は、沖縄振興開発計画の基本にのっとり策定された3カ年事業計画の中の1年次として、1年次的見地から重要施策の裏づけとなるよう編成されなければなりませんが、50年度予算の内容は、この年次計画牲は全く無視されたものになっていることを指摘しなければなりません。
知事は、基地経済から脱却して、第1次、第2次産業の振興を図ると言っておられますが、第1次産業関係予算は、49年度の最終補正で4000万円の減額となったのみならず、50年度におきましては15.91%の伸びにとどまり、総予算の伸び率22.16%から見れば非常に消極的であるばかりでなく、産業振興の予算総体から見るとわずか10.5%の伸びにすぎません。農業振興の基幹ともなるべき砂糖、パイン産業の振興につきましては、品種の改良、生産の合理化について、県独自の抜本的対策が強く要求されているにもかかわりませず、その予算措置が十分配慮されていないばかりか、畜産業については、その振興に対する知事の考え方と行政指導の一貫性が欠けているため、むしろ混乱に陥れ、生産意欲をそいでいる点は最も重視されなければなりません。
漁業の振興は、沖縄の地理的条件やたん白質食糧の確保の面からもっと積極的に対策を講ずべきでありますが、その対策費は前年度予算に比し、わずか11%伸びているにすぎず、水産業協同組合の機能強化、漁業技術開発と普及事業については、昨年の90%に落ち込んでいる点など、知事はもはや水産振興意欲なしと指摘もせざるを得ないのであります。
商工関係の予算を見ますと、伝統工芸の振興は遅まきながら力を入れている面は率直に認めることにいたしましても、商工関係の総体予算からすれば前年度対比わずかに11%の伸びとなっているにすぎません。
特に、中小企業振興費が14%、鉱業振興に1.6%の伸びとなっているほか、工業開発促進費、工場立地条件調査費、工場適地調査費等は強力に予算化し、積極的に推進すべきでありますが、50年度予算はむしろ前年度より後退し削減されておるのであります。
このような予算描置や行政施策では、第1次産業、第2次産業の振興は期待することはできず、むしろ、流動する経済の流れに押し流されてしまうことをおそれるものであります。
次に、指摘しなければならない点は雇用対策問題であります。
働ける能力のある者にまず適切な職場を与えることが福祉政策の重要な一面であることは申すまでもございません。昭和48年度末の石油危機以降、物価の高騰、物資需給の逼追に伴う総需要抑制策の影響を受けまして、沖縄の経済も不況、インフレの波に洗われ、没落する企業が続出し、49年1力年間において多数の倒産者を出し、民間企業の倒産、操業短縮によって解雇された者2000有余名、完全失業者数は実に5.7%、求職倍率が7.7倍に達するという最悪の事態に陥っていることは、対策を講じ得なかった知事の行政の失態がその大きな要因であることを指摘しなければなりません。
知事は、沖縄振興開発特別措置法によって、労働大臣に対し雇用計画を進言し、振興開発計画に基づく事業並びに圏庫の負担、もしくは補助による公共事業等に就労させる雇用対策を講ずる責任があるにもかかわらず、そのような措置もとらず、しかも軍事基地の撤去を要求しながら安定就労の場となる有効な企業の誘致にはほとんど無関心で、むしろ拒否反応的な姿勢を示し、勤労の場の開拓をしないで、単に救済的部面の予算並びに職業訓練のための予算をふやしているが、それでは真の雇用対策にはならないし、このような姿勢では真の福祉社会の達成はおぼっかないのであります。
次に、土木関係の歳出予算について指摘いたします。
道路維持費は、前年度11億6573万円余に対し、50年度は9億5154万余円と前年度より2億1404万円余の減となっております。
同じく、道路新設改良費も、前年度47億3270万円余から45億2950万円と前年度より2億3000万円余も減額となっております。
昭和50年3月末現在、県道整備状況調べによりますと、沖縄県における道路の改良整備は、各地区平均で45%、舗装整備は同じく47%と低く、沖縄振興開発計画に基づく県道整備年次計画に遠く及ばないような実情下にあります。鉄軌道を持たない沖縄の陸上交通はすべて道路に依存しており、道路の整備は県民の経済、陸上輸送に直接影響を与えることは明白な事実であります。特に、国道の整備に比較した場合、そのおくれは歴然としております。
沖縄の道路整備のおくれを取り戻すため、沖縄振興關発特別措置法第6条に、(沖縄の道路に係る特例)を規定して、「振興開発計画に基づいて行なう県道又は市町村道の新設又は改築で、沖縄の振興開発のため特に必要があるものとして建設大臣が沖縄開発庁長宮に協議して指定した区間に係るものは、道路法第15条及び第16条の規定にかかわらず、建設大臣が行なうことができる。」と規定しております。
知事は、沖縄における道路の整備状況を御存じないのか。また、もし知っておられるならば、49年度予算よりも大幅に削減した50年度予算で県道整備計画を全うし得ると考えておられるか。もし、それが不可能であり、予算の運営上やむを得ない措置であるとするならば、なぜ特別措置法の規定を適用して、県民福祉に努力しようとしないのか、知事の姿勢を強く指摘しなければならないのであります。
離島振興は、離島苦を解消し、社会的公正を実現する上から久しく求められた政策であるにかかわらず、財政上の都合にかこっけて対策を講じなかったのがこれまでの実情であります。今年、やっと国の施策によって芽が出かかっていることは率直に認めるにしましても、ここで問題になるのは県自体の執行能力であります。
47年度において137億5900万円の事業費の繰り越し、28億1600万円の不用額、48年度においては145億8400万円の事業費繰り越し、36億7300万円の不用額を出し、49年度においても100億円以上の繰り越しが予想されております。
このような執行のあり方では離島の振興事業途は、また取り残されるおそれが多分にありますので、効率的予算執行に積極的に取り組むことをここで指摘しておかねばなりません。
以上述べたずさんな予算措置のほか、補助金を交付すべきでない団体――復帰協でございますが――に対しまして、政略的に補助金を交付するとか、または食料費などの需要費に不必要な額を計上したり、全く財政秩序を乱す病根をみずからつくり出すなどの無責任な予算措置をとっております。
復帰協が一種の政治的団体で、その構成は屋良知事を含めた革新政党であり、その活動が政治的色彩を帯びていることは周知の事実であります。
名目のいかんを問わず、復帰協が革新政党のイデオロギーを中核として行う政治活動に要する経費は、当然その団体構成のメンバーによって負担すべきであって、これを県財政の公金で補うことは絶対に許されるべきものではありません。
寄付または補助については、地方自治法第232条の2の規定によって、公益上必要の場合において出されるべきで、その必要性の認定は自由裁量行為ではなく、客観的にも公益上必要であると認められなければなりません。ましてや、硬直せる県の50年度予算に、財力に余裕がない以上、これはあくまでも否認せざるを得ないのであります。
地方自治の本旨にもとるような財政運営を企て、財政秩序を乱し、県民の血税をほしいままに消費しようとする知事の態度は、むしろ非民主的な独裁的無謀と言われてもやむを得ないでありましょう。
なお、補助金等に関しては、昭和47年5月15日、規則第102号で、沖縄県補助金等の交付に関する規則によっても、厳しい制限が規定されていることも重視すべきでありましょう。
さらに、地方財政運営の基本的姿勢について指摘せなければならない点は、人件費についてであります。
現在、全国的に地方財政の危機が叫ばれ、地方行財政の再検討が強く求められております。
特に、沖縄は復帰4年目を迎え、ここで県行財政の姿を見直し、その秩序を確立して効率的な運営を図らなければならない重要な時期に立たされているのであります。
それは、50年度予算の中で人件費が50%近くを占め、投資的経費がわずか28.1%というアンバランスとなっている点から指摘されるのであります。これに積極的な検討を加えようとしないで、沖縄の特殊事情のみを理由に挙げている知事の態度はまことに遺憾であります。
まず、県職員の実数を取り上げますと、復帰時身分引き継ぎ時点の職員数は5607名で、48年に6578名、49年に6588名、50年度は6914名と毎年増加の一途をたどっています。その中には、精神病院の県移管によるもの、病院ベッド増による増員等、やむを得ない定員数もあるのは率直に認めるのにやぶさかではございません。
まず、特殊定員と言われる1547名について内訳を見ますと、これは復帰処理に関する事務に従事する職員、沖縄の復帰に伴う特別措置法に関する事務職員、沖縄の地理的条件に基づく事務職員、その他の特殊事務職員となっております。
それから県職員の欠員状況は総数で約200名で、欠員数の多い部は環境保健部が82名、土木部が44名、生活福祉部が43名、農林水産部が35名、あとは企画調整部、総務部、渉外部、おのおの12名となっています。
ここで注目すべきは、この欠員数と欠員を抱えている部局は年間を通じて大体定着していることと、定員中の職員の職種は主事、主事補と一般事務職によって占められていることであります。
政府の昭和50年度予算編成方針でも、国家公務員の既定定員については、昭和50年度以降3年間に3パーセントを目途として計画的削減を行うとともに、新しい行政需要についても極力振りかえによって対処することとし、新規増員を厳に抑制すると決定しているのであります。
屋良知事の、現行定員は適正妥当であるという姿勢は、欠員に対する検討もせず、増員の必要に対しては現員の振りかえによって対処するという方策もとらず、安易に職員の増員を図っているのが実情であります。財政の効率的運営の面からしても強く否定されるべきであります。
財政の自律性を確立する立場から、一般財源の確保に努めることは申すまでもありませんが、それとあわせて重要なことは、より効率的に地方行財政の運用を図る体制をつくることであります。
この財政の効率的な組み合わせと能率的行政運営を推進することは、一に地方の公共団休の長の政治姿勢と、法秩序、行政秩序を正しく適正に運営する決断と実行にかかっていると言わねばなりません。屋良知事のこれまでの行政実績と、これからの行政執行に処する姿勢には、そのような厳しさはみじんも見られないことを強く指摘し、わが党は昭和50年度の一般会計予算に反対し、討論を終わります。(拍手)
○議長(平良幸市君) 伊波広定君。
〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 私は、日本共産党県議団を代表いたしまして、50年度一般予算に対する賛成の討論を行います。しかし、この予算案は手放しで無原則的に賛成できるものではないので、問題点を指摘しながら意見を述べ、討論を進めていきたいと思います。
50年度一般会計予算は、歳入歳出とも1350億5600万円で、前年度当初予算1105億5000万円に比べ22.1%の増であるが、歳入の中に占める一般財源は県債の43億1000万円を入れても701億8300万円で、対前年度比で21%の増になっています。しかし、その66%に当たる468億57万円は人件費に回され、残りの34%230億8174万円は、主に国庫補助事業の対応費に充当させられています。人件費は、それを含めて663億7524万で、伸び率は34.4%、歳出総額の49.1%を占めています。
このような財政硬直の中で、県単事業は多額の対応費を必要とする事業はこれを見送り、知事の政策としての県単事業もわずかに調査費程度を計上した名目予算になっています。3割自治という言葉もあるが、いま沖縄を含めて全国の自治体が赤字再建団体になりかねないところまできております。
このような財政危機の中で国の事業であり、行事である海洋博に対し、人件費のほかに11億9820万円余の支出を余儀なくされていることは国の地方財政圧迫の典型的な例と言えましょう。
この予算案は、幾つかの問題点はあるが、財政硬直の中で特に離島僻地に重点を置いた市町村振興のための貸付金制度を新設して1億円を計上したこと、また看護婦不足を打開するため、51年度から准看から正看への進学コースのための学校設立の設計費の計上、また医師医療要員の資質の向上を図るたあ、国の補助を受けて医療福祉センター建設のため2億5200万円が計上されております。
寝たきり老人収容所のために、特別養護老人ホームの建設費として6億7300万円、宮古精神薄弱者更生施設建設のため5292万円、国鉄導入のための調査費5000万円の計上については、国も、県の積極的な姿勢を受けて、県から正式の要請があれば、検討するというところまで来ております。
また、伝統工芸の予算は、前年度の2倍も計上され、製品の流通の一元化のため、財団法人沖縄県伝統工芸センター設立のための出捐金1000万円が計上されています。
また、不況の中で滞貨を抱え苦しんでいる織物業者のため利子補給として1000万円計上、畜産振興としてブロイラーの価格安定基金協会が設立され、950万円が出捐金として出されることなど、評価すべきだと思います。
さらに、県は、伝統工芸のために特別融資制度資金制度、あるいは養豚業を守るために豚価豚肉価格安定基金公社の設立など――これは調査費がついただけであります――こういったようなものを急ぐべきであります。
また、農家と消費者を守る立場から、野菜価格安定基金制度を早急につくるべきであります。
この予算は、不況とインフレの中で苦しみあえいでいる県民のささやかな願いにさえこたえ切れないものになっていますけれども、これは沖縄だけではなく、不況とインフレ、その対策としての大企業本位の総需要抑制のもとで国民生活は破壊され、国民生活と直接っながっているところの地方自治体もまた予算編成さえできない状態に追い込まれ、この2月議会で骨格予算しか組めなかった都道府県が17もあります。これが、現在の自由民主党がっくり出したところの高物価、インフレ、不況、そのもとでの総需要抑制政策から出た地方自治体の危機の実態であります。
特に、田中内閣が日本列島改造論をひっ提げて登場して以来、インフレ、大企業の土地買い占め、これは地価を暴騰させました。また、物価値上げを招き、地方自治体はその事業執行がおくれ、超過負担をますます激増させる結果になったのであります。その超過負担の総額は、日本全国で5力年間で約1兆円だということを自治省は発表しております。
本県の超過負担は、昭和47年から49年度までの3力年間で約55億円を見越しております。この膨大な超過負担は、自民党政治の仕組みの中で痛めつけられているところの地方自治体にとっては、もはや耐え切れないものになっているわけであります。超過負担の増大と並行して、執行率を低下きせております。この同一要因であることは申すまでもありません。
また、税金の70%は、国が収奪し、逆に仕事の80%は都道府県に負わされております。しかも、機関委任事務は年々増大して、そのために要する職員の給与、経費等を国が一方的に算定するため、その差額はすべて自治団体に負担を強いられております。
例を総務部の総務課で取り扱っているところの旅券発給事務に見ると、年間の印紙の売り上げ代が1億5000万円から2億円であります。こういう多額な水揚げをしながら、定員は6.5人ということになっております。6人半です。人件費は、18.7%に当たる263万7000円が一般財源から持ち出されています。金は国が吸い上げ、仕事は自治体に押しつける現在の仕組みを、民主的に地方財政の財源をふやすためには、この非民主的な仕組みを直し、すなわち事務と財源の民主的な再配分、これをやる以外にありません。このことが、地方財政危機を打開する基本的な課題であります。
政府自民党は、みずからつくり出した地方財政の危機をすべて地方自治体に転嫁して、地方財政の危機は、地方自治体が福祉の先取り、人件費にあるんだと一斉地方選挙に向けて大キャンペーンを張っております。人件費にしても、地方公務員の給与が国家公務員より高いと言われていますが、全くいわれのないことです。国は、何十万円も取っているところの高級官僚は計算に入れておりません。自治体は、給与の低い現業の職員を計算に入れてないんです。これが自治省の言うラスパイレス指数であります。実際はご国家公務員より地方公務員は7.7%も給与が低く、市町村に至っては、27.4%も低いのであります。沖縄の場合、九州各県の公務員に比べ7%も低いことが明らかになりました。
また、沖縄県の職員が、自治省の基準より1500名も多いということが、いかにも本県の財政危機の大もとであるかのように言われていますが、人件費が総予算の半分近い49.1%を占めていることは、確かに予算の適正配分とは言えません。その点については、県も定員の民主的再配置を検討し、努力することであります。しかしながら、沖縄の実情は、膨大な米軍基地がそのまま置かれているということ、復帰後3年になっても戦後処理がまだ緒にもっいてないということ、全国に例のないほど離島をたくさん抱えているということであります。これを単純な計算で比較することは、また危険であると思います。
国の50年度予算を見ると、自衛隊の予算は1兆3000億円という膨大なものになっている中で、国民生活はますます破壊の方向に押しやられております。
国の福祉予算が34.8%伸びたと言いながら、老齢福祉年金が7500円から1万2000円に引き上げられているが、これだけではいまのインフレの中で安定した老後が送れるものではありません。生活保護費も引き上げたというものの、大都市の1級地で70歳のお年寄りが1日の食事350円であります。
また、不況で倒産が続いている中小企業の対策も全く不十分で、わが国の企業の99%を占め、従業員3000万人以上と言われる中小企業への財政措置は、わずかに総予算額の0.6%にすぎません。
インフレと不況が同時に進行して労働者、農民、中小零細企業、老齢者、障害者など圧倒的多数の国民の生活が危機に陥って、地方自治体に対する住民の要求も大きくなっておりますけれども、地方自治体もまた総需要抑制で、地方財政は未曾有の危機に直面して、こういう切実な住民の要求にこたえることが不可能なととろまで追い込まれているのであります。
政府は、地方財政についても国と同一の基調を押しつけて、地方債さえ実際的には増額をやっていません。地方自治体の耐え切れない超過負担に何ら抜本的な措置もとらないで、過大な人件費などといって地方自治体を締めつけようとしているのであります。
地方財政の危機を打開するには、国に対して、次のことを緊急に実施させなければならないわけです。
まず1番目には、超過負担解消特別措置法を制定させ、復帰後の超過負担を国の責任で短期間に全面的に補てんさせることです。
2番目には、その中で、補助単価を実勢単価に即したものに改めさせ、年2回の物価スライドを実施させることです。
3番目には、昭和50年度以降の地方交付税率を現行の32%から40%に改めさせることです。
4番目には、起債額を大幅に拡大させることです。
5番目には、これは基本的な問題であります。国と地方の財源の再配分、国と地方の仕事の民主的再配分を行わせ、中央直結をなくし住民の自治権を拡大することです。
わが党は、以上のことを実現するため今後も引き続き闘うことを明らかにして、討論を終わります。皆さんが、沖縄県民の立場に立って一緒に運動を展開するならば、必ず実現することと思います。
○議長(平良幸市君) 崎浜盛永君。
〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 私は、ただいま議題となっております知事提出議案甲第1号昭和50年度一般会計予算について、日本社会党沖縄県本部所属議員団を代表いたしまして、賛成する立場から意見を述べつつ討論を行いたいと思います。
わが党の本議案に賛成する基本的な考え方は、この予算案が、知事が表明した諸施策や県民の今日的要求及び将来における県民の生活と福祉を保障し得る経済社会建設に必要な諸需要に十分に対処し得ているという判断に立つものではありません。むしろ、本定例議会で各党各議員が指摘したように、累積赤字によって県民に不安と負担を増大せしめている企業会計に対する一般行政としての財政的責任を
果たし得なかったことを含め、県民が要求する諸需要に対してきわめて不十分な対処しかでき得ない事実を率直に認めるものであります。
また、この予算案の歳入歳出を性質別、目的別に検討した場合に、訓練飛行場建設のための一般会計からの684万余円の繰り出し支出、同会計の4億余円に上る県債及び国家事業である海洋博関係事業への13億2572万余円の県支出のうちの県の補助団体としてはなじまない国の機関でしかない協会への7億7000万余の補助支出及びその充当財源としての宝くじ収入等、政策的にも制度的にも適正を欠く部分について率直に反対を表明しなければならない立場にあります。
以上のように、需要に十分に対応できない弱さと部分的な欠陥をも内包する50年度予算ではありますが、指摘される需要に対応できない財政硬直化の主たる要因が、政府の中央集権的財政運用と制度の欠陥からくるものであり、したがって地方自治体の運営努力のみではとうてい解決し得ない現状の中で、知事が一定の財政措置をして県民に示した諸施策は、県民の切実な要求に基づく適切必要なものであり、その早急な執行と成果は県民の利益のために確保されなければなりません。
また、今日まで不十分な執行体制の中で積み残された需要が、財政硬直の一因ともなっている事実からも体制を強化し、執行を促進する責務を議会としても負うべきだとする立場から指摘された弱さを強化することを求めつつ、本予算案に賛成する立場を表明するものであります。
さて、1350億5600万円の50年度県一般会計予算案の目的別、性質別構成等その具体的内容や政策との関係及び予算案に対する評価、批判等については、本日の討論や各議員の質疑の中で明らかにされてまいりましたので、本員はそれを省略いたしまして、財政硬直の実態とその要因について意見を述べつつ問題を提起し、その対策を求めていきたいと思います。
50年度予算案による本県の財政状況は、さきにも述べましたようにきわめて深刻なものとなっております。予算総額は、前年当初予算に比べ22%の伸びとなっておりますが、県が示した経済見通しによる物価上昇率18.9%を見込みますと、実質的には前年度とほとんど同額でしかありません。しかも、`歳出予算総額の53.47%を占める義務的経費は722億円余に上昇し、歳入予算総額の52%を占める一般財源では対応できない経常収支のきわめて悪化した状況を呈しております。このことは、本予算案が何らの超過負担も予定しないで編成されたにかかわらず、予定されている補助事業13億円相当の事業が措置し得なかったことでも明らかなようにくきわめて深刻な硬直度を示しているものと言わねばなりません。
さて、わが国の50年度における地方財政は、多くの自治体が暫定予算あるいは骨格予算という名目で、実質的には地域住民の要求する必要な需要にも対応できないほど悪化した状況となっておりますが、本県の財政状況は、この普遍的状況と本県の歴史的、自然的、地理的諸要因が重なりあって深刻の度を増しております。
ところで、政府自民党は、この地方財政の硬直化の原因が自治体の機構の増大、職員の過多、給与水準の不適正な引き上げ等による人件費の増大にあるとして自治体運営者や自治体労働者の責任を追及する立場に立って、運営努力によってその対策の改善を主張しております。もちろん、自治体の理事者は、その行財政の運営を常に効率的に行うべきであり、その努力が要求されるべきことは当然のことでございます。しかしながら、現実の行政需要の量的増大、質的変化あるいは財政と経済の実態やその動向とのかかわり合い、及び対応する制度の検討を抜きにして合理的経営努力のみにその対策を求めようとする主張は、国民の必要とする需要を抑制し、ひいては住民自治の抑圧として機能する危険をはらむものとして、その危険性を指摘せざるを得ません。
地方財政硬直の原因の1つは、急激に増大する行政需要に対応し得ない財政制度にあることは、いまや明白なる事実でございます。
今日、急増する地方行政需要の実情は、自治省調べによる委任事務の推移を見ても明らかなように、1970年現在、過去10年間に478件から倍近い712件となっており、その後各年度ごとに増加の一途をたどっております。また、政府自民党が政策的に推進してきた重化学工業を中心とする高度成長政策は、地域的には過密、過疎対策の需要を引き起こし、対人的には不公正拡大による弱者対策、産業間格差に伴う第1次産業対策及び大企業優先政策からくる環境破壊、水質汚濁、大気汚染、騒音、交通災害等多くの公害対策等の需要が激増し、加えて国民の権利意識、住民運動の高揚による白治体固有の行政需要の増大と相まって、地方財政の需要を急激に増加せさております。
原因の第2点は、行政需要の質的変化にあります。
高度成長政策からくる生活環境の悪化は、政策転換の要求となり、そしてその反省の上に立って、かつての開発需要はいま福祉需要へと行政需要を大きく変質させております。いまや国及び地方自治体に求める国民の要求は、公害対策、自然環境保全、交通安全対策、じんあい処理、下水道整備等生活環境の整備であり、平和な生活を求める治安、消防対策であり、福祉、医療、教育等の行政需要が強く要求され、その対策が迫られております。これらの福祉、教育、生活環境保全の需要が人的需要と一体のものであることは説明を要しない明白なることでございます。現実に各自治体職員の増加の実態も、教育、消防、医療、警察、じんあい処理等の要員であることは自治省の統許資料でも明らかであります。
原因の第3点は、高度経済成長政策の破綻からくる物価の高騰とインフレ、不況にあります。
一昨年末から国民生活にのしかかってきた狂乱物価は、49年度30.2%の人事委員会勧告に基づく労働者のベアも、政府統計が明らかにするように49年度の勤労者実質所得をマイナスにするほどにすさまじいものでありました。そのことが直接的に人件費を増大せしめ、補助費の引き上げとなり、しかも政府のインフレ対策としての総需要抑制政策、金融引き締め等の過ちが現実に中小企業の倒産と失業者を増大せしめ、新たな財政需要を地方自治体に押しつける結果となっております。
このようにつくられ、押しつけられ、そして掘り起こされたところの地方行政需要に対して、適切な財政措置がなされなかったことが、地方財政を今日の危機に追い込む一大要因となっていることを指摘せざるを得ません。今日、地方自治体の行政需要がこのように質的に変化し、量的に増大している現実にありながら、政府自民党は、行政事務に対応する財源を適正に配分する制度的検討を意図的に怠っているばかりでなく、財政法に規定するところの負担区分と支出義務を回避して、超過負担を自治体に強要し、不当な地方財政計画に基づいて地方財政を抑制しつつ、財政的に中央集権を強化しつつあることは、民主主義の基本としての自治を抑圧するきわめて反動的な行為だと指摘せざるを得ません。
ところで、自治省は、50年度においてようやく13万8000人の地方公務員の定数是正を行っておりますが、しかしなお、自治省が発表するよう、実態との条理は19万人に及ぷものとなっており、人件費そのものが事業費ある自治体行政の性質からしてきわめて不十分な措置でしかなく、しかも交付税需要に認められた13万8000人の定員是正に伴う所要財源額は3410億円と計算されます。
ところが、交付税増枠のこの3410億円に相当する定数是正は、交付税総額のまさに2.5%相当額であるにかかわらず、繰り入れ率の引き上げを何ら財源措置がなされないままに、交付税法の目的と趣旨を踏みにじる行為をもって地方財政へのしわ寄せを押しつけようとしております。このことをもってしても、いかに地方財政を抑圧することによって、財政的側面からの中央支配政策を推し進めていることが明らかなことを指摘せざるを得ません。
以上のように、普遍的な地方財政悪化の要因に加えて、本県は30年近い米軍占領支配の間、地方自治体としてのわが県に対する国の対応が何らなされなかったことと、軍事優先政策からくるひずみ及び地理的、自然的悪条件からくるきわめて特殊、特別な需要が処理されることなく今日まで積み残され、これらの対策が早急に要求される今日、その財政需要はきわめて大きく、したがって他府県とは比較にならないほど深刻な財政状況となっていることは、さきに述べました50年度予算案の実態でも明らかであります。
わが県の米軍占領支配下における需要の積み残し、すなわち格差の実態は、昭和47年度における累積公共固定資本形成が本土のわずかに36.3%にしかすぎなかったことでも明らかであります。そして、開発計画の計画年度において、本土の80%に達するための所要公共資金額は、47年度価額で1兆6665億円であり、民間資本形成に必要な資金量も2兆5400億円と推計されております。この公共資金のみでも、50年度価額に換算しますと3兆円近くになり、各年平均しましても年額3000億円という県予算の2.5倍に近い公共投資資金を必要とすることになります。
ところで、このような格差是正を目的とする特別措置も、各単年度予算で対応する限りにおいては3000億という格差是正予算を上積みすることはとうてい望めない現実であり、そのことは復帰後3年間の各年度の予算が、高知県の同年度予算のそれぞれと比較して90%以下であることでも明らかであります。また、たとえ格差是正の予算を上積みし得たとしても、現行の特別措置が補助率の引き上げ措置でしかない以上、一定の県負担は必要であり、現実の県財政の実態からして対応できないことも事実であります。したがって、現行制度に基づく措置のみではもはや格差是正は望めないと言っても過言ではないと思います。真に格差を是正し、県民が要求する社会経済開発を発展せしめるためには、執行の確保を確保する人的需要を含め、国の全額支出による格差是正のための別枠の財政措置がなされるべきであるし、そのための措置を要求せざるを得ません。
また、財政硬直の要因の一っとして指摘されている自主財源のまずさも、50年度の価額にして5兆円近い民間資本形成率の格差からくるものであり、その格差の生じた原因は、過去30年近い琉球政府財政の実態からくるものと言わねばなりません。1952年、琉球政府発足以来、復帰するまで20年の間、琉球政府各年度の決算を見てみると、高知県の同年度のそれぞれの決算と比較してみて、総額においてわずかに60%にすぎず、しかも歳入総額の70%が県民の租税負担によって構成され、したがって県民は、企業及び個人を問わず資本形成に必要な資金や生活費までも税金として取り上げられ、その結果が自主財源を生む資本形成を阻害した今日のみじめな実態となっていることは明らかであります。しかも、各年度の歳出は、過重な租税負担を強要した県民への還元はきわめて少なく、国家事務経費の25%、市町村支出経費5%ないし10%、米軍関係費というむだな経費支出まで強要される中で、本来の自治体としての県予算に相当する分は総予算のわずかに40%ないし50%にすぎなかったことを考えみるとき、その対策を国に求めることも当然のこととして私たちは努力すべきだと思います。
以上、今日の地方自治体の硬直化の原因と、加えて沖縄の歴史的な、そして自然的な条件による硬直化の原因について指摘してきたわけでございますが、今日ここで多くの議員によって指摘されたところの本県の50年度予算が、県民の要求する需要に対応できない実態を認める立場に立って、その対策を県及び議会とともに早急に究明し、講じなければならない必要を強く主張し、全県的な立場に立ってその解決のために努力することを強く訴えて、賛成する討論を終わりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 宮良長義君。
〔宮良長義君登壇〕
○宮良長義君 私は、沖縄社会大衆党の所属議員団を代衷して、昭和50年度の一般会計に対する賛成討論をいたします。
民主政治の根幹である地方自治の復権が叫ばれて久しいのでありますが、3割自治の実態は依然として解消されることなく、地方財政は一昨年の石油危機以来急速に悪化し、50年度は全国的規模において深刻の度を深めております。かかる地方自治体の危機的財政需要は、直接的には高度成長政策による悪性インフレと総需要抑制によるもので、特に本県は財政基盤が脆弱であり、その上県民生活と最も密接な関連を持つ社会福祉、教育等の基盤的行政需要が増大し、本県固有の戦後処理や復帰に伴う振興開発計画の推進、海洋博の諸準備、米軍基地から生ずる問題処理のための行政需要はますます増大し、これに伴う義務的経費等の増大をもたらし、財政構造に大きなひずみをもたらし、一段と財政硬直化の状態にあることは否めない事実であります。いまこそ保革の別なく、地方財政危機の根本原因とその要因を追及し、中央直結の3割自治、住民不在の地方政治を進めてきた政府の政策を根本的に転換させ、現行地方自治制度の限界とさまざまな制約を取り払い、地方自治が真に住民の意思と要求を反映し得る自治の確立をかち取ることは、現実的な政治的な重要課題であると信ずるものであります。
次には、昭和50年度の予算を簡単に分析してみますると、歳入及
び歳出おのおの1350億5600万円でありますが、そのうち自主財源がわずかに18.9%にすぎません。
次には、財源別の構成におきましては、一般財源は701億8000万円で、地方交付税の460億円を差し引くと241億8000万円となります。したがって、沖縄地元で調達できる財源は歳入総額のわずかに17.9%にすぎません。
一般会計の歳出予算の性質別の分類によりますと、投資的経費における普通建設事業費を見ると、そのうちの補助事業が332億円で、単独単業が42億円となっておるのであります。災害復旧事業においては補助事業が4億976万2000円、単独事業が469万6000円であります。結局、普通建設事業及び災害復旧事業においては、県が自主的に主体的に動かせるものがわずか3.14%にすぎない。
以上の予算分析によりましてもうかがい知ることができるように、県の財政事情は逼迫して、その上、国が前年度に引き続き総需要抑制策として公共投資をはじめとする歳出を極力抑制していることを加え、県財政の硬直化により多額の地元負担を必要とする建設事業等の国庫支出金を年度当初に受け入れることが困難となっております。かかる事態を踏まえ、さらに私は、全国的な財政危機の実例を一、二挙げて、本県財政の危機に対する打開策についても、わが社会大衆党の見解を明らかにしなければなりません。
最初に、地方財政危機の大きな原因となっている超過負担について例示しますと、49年度の超過負担について、全国市長会の調査によると、東京都が301億円、横浜市が141億円、名古屋市が127億円、京都市が89億円となっております。
さらに、昭和50年度の超過負担についての全国知事会の調査によると、年間2069億円と推定をしております。しかも、それは主要25菓業についての推定でありまして、全体的な負担を加えると莫大な数字になることが予想されます。
次に、49年8月12日付の毎日新聞の報ずるところによると、49年度で東京都で人事院勧告に準ずる給与改定を実施するとして、このため増税分や繰越金等を充当するとしても約1100億円の不足を来すと報じ、これと同様に秋田県が102億円、宮城県が133億円、埼玉県が220億円、愛知県が100億円、大阪府が100億円、兵庫県が225億円、福岡県が260億円とそれぞれ不足を来すものと報道しているのであります。
また、地方公営企業については、昭和48年度決算でその4割が赤字であり、累積欠損金は実に4368億円に上るものとのことであります。
しかるに、自治体を指導し、自治体の行財政のあり方に関与干渉し、支配している自治省に代表される国側は、自治体職員の人件費の膨張こそが地方財政の危機を招いた最大原因であるとし、自治体職員の人件費総額を抑制し、または削減することによって財政危機を打開すべきであると主張しております。
そして、人件費の激増を立証する唯一の資料として、最近各方面で、全国平均地方公務員の給与が国家公務員の給与より約10%程度高いことはラスパイレス指数調査でも明らかであると宣伝をしております。
また、国家公務員給与水準を上回る部分については、地方交付税等による財源措置は対象外にすると高圧的な姿勢をさえ示しております。
また、自治体が職員に人件費を多く支払えば、その分だけ自治体の行政量は低下していく、住民サービスが行き届かなくなるなどと住民の感情に絡めて打ち出しております。
特に、全国の都市部自治体の職員増の傾向は住民の福祉施策の要求に沿うて著しく、また反面、農村の過疎地域では減少の傾向さえもあります。しかしながら、かくのごとく一般的に自治体職員の増加傾向の原因は、決して単純ではありません。
自治体が国の行政の下請機関という要素と、また住民の自治的機関であるともいう現在の段階では、相互矛盾する要素を含んでいるために複雑であります。
特に、自治体の首長を国の機関としてとらえ、強制的に行政を押しつけることによる職員増、また委任事務にかかわる国庫補助金の実情にも合わない支出が絡んで、自治体行政に財政的圧力を加えていることは否めない事実となっております。
ちなみに、昭和43年4月1日から48年4月1日までの5年間に自治体職員の増加数は、教育関係で9万1000人、警察消防関係で6万人、交通、病院、上下水道等公営企業関係で3万6000人、一般行政部門のうち福祉関係で10万2000人、交通安全、青少年対策、消費者行政、土地対策、福祉業務等窓口事務関係で6万9000人の増加となっております。
これらのことは、社会的要求と背景があって必然的増加によるもので、職員の増加は人件費の増大となり、人件費の増大は住民サービスの低下となり、サービスの低下は結局悪であるなどとの安易な議論は、基本的には状況認識を誤るものと言わなければなりません。
特に、ラスパイレス指数が比較しているのは、国家公務員と地方公務員のうち比較の対象とされているのは、一般行政職員のみであるというところに問題があるのであります。清掃、学校、保健所、老人ホーム、保育所、幼稚園、交通、上下水道等のいわゆる現場的仕事に従事する職員は含まれていません。
また、自治体の給与体系には自治体ごとに差があり、職種ごとに職階的要素と年齢的要素が複雑に絡み合っていることを何ら考慮しない、これこそ信憑性のないものであると指摘せざるを得ません。自治省給与課長補佐の山崎氏でさえ、ラスパイレス指数の限界について問題点を指摘し、これを絶対的な指標と見ることは危険であると言い、信憑性のある指標でないことをみずから明らかにしているのであります。
かかる指標に基づく地方公務員の給与が、国家公務員より10%高いという宣伝がまやかしであり、事実の上で地方公務員は、1人平均2758円も国家公務員より安いという数字によって明らかであります。
かくのごとく、大企業中心の高度成長政策のもとで、財界や政府の財政に対する考え方が、財政支出を投資的経費と消費的経費とに二分し、投資的経費の比重を高めることが経済的効率を高めることになるとし、消費的経費を節減するほど経済効果を高めるものとし、圧縮すべきは消費的経費であるとする財政における資本の論理を打ち出し、消費的経費の中心は自治体労働者の給与であるとする独断的発想に基づくものであります。
わが社会大衆党は、基本的に国民、住民に奉仕一する一般の国家公務員なり、地方自治体職員なりが国民の一員として、社会的水準に照応した普通程度の生活を営むことができる給与を受ける権利は当然保障さるべきものであり、また自治体給与は、都道府県人事委員会、市町村公平委員会等第三者機関の勧告に基づき、その上に立って労使職の交渉によって決められるものであって、人件費の決定は地方自治権の一つの、かっ固有の内容と考えるべきもので、自治権が強力に自治体を指導するなどということは、自治権への重大な侵害であるとさえ断ぜざるを得ません。
そもそも、自治体の財政危機が、人件費の増にあるのでなく、国の財政政策の劣悪さにあることは代表質問の中で明らかにしたとおりで、賛成討論の中に一々述べることは控えます。
わが党は、全国的地方財政危機のため、次の事項を強力に政府に要求し、その実現をかち取る以外に方法がないことを明らかにします。
1つ、全国地方自治体では、年間2000億円以上の超過負担によって財政は脅かされております。5力年間で背負った超過負担は、1兆円以上になります。これを3力年間で解消するとすれば、毎年3300億円の超過負担解消の措置ができます。
また、地方交付税の税率を改善し、現在の32%を40%に引き上げるとすれば、1年間で1兆円の財政措置ができます。両方で年間1兆3300億円以上の財政措置をすることによって、地方財政の危機を打開することであります。
従来、また政府は、実勢単価と補助単価の差額のみを認めて手当てをしてきたのであるが、数量差も対象差も認可差等も今後あちゆる超過負担について解消措置をすることであります。すぐに、国と地方の間で事務の民主的配分をすることであります。
住民生活に直結する社会保障、保健衛生、防災等の機関委任事務は、原則として地方自治体に移し、教育行政の権限をはじめとする公害、交通、都市計画、土地利用等住民の生活と権利に密接に関係する行政の監督、運営の権限は、その行政の実態に応じ、都道府県または市町村に移すこと等民主的的配分をすることであります。
次に、こうした事務事業の民主的配分に応じて国と地方との財政配分を行い、自治体の自主財源を保障し、地方政治が中央統制から解放され、自主的行政運営ができるようにすることであります。
次には、地方債でありますが、許可条件を大幅に緩和し、自治体の自主性に基づく起債ができるようにし、当面した各県の深刻な財政硬1亘化の打開を期することであります。
それではその次に、知事は、県民の直接選挙によって選ばれた執行者であります。したがって、県民の平和な生活を保障する重大な責務を負うものであり、したがって知事が執行すべき政策は、現実の厳しい情勢に対し、県民の要求にこたえるものでなければなりません。しかしながら、現実の運営の実態は多くの制度的、財政的制約のもとで、反県民的施策が国策の名において押しつけられ、自治に反する中央集権的極椎と支配が強化されつつあることは否定できない現状であります。
戦後30年、祖国の施政下に帰ってもう満3年を迎えようとしています。今日、沖縄の貧しさ、生活の苦しさ、県民の不安から抜け出ることのできない事態の深刻さとその根源は、一つには安保条約に基づく膨大な基地の存在であり、一つには山積みされた戦後処理や復帰処理にかかわる問題が、いまなお解決されないままに放置されていることであります。
その次には、高度成長政策による経済の混乱と生活の破壊であります。かかる社会的、経済的悪条件から県民を解放することこそ、県執行者の重大責務であると信ずるものであります。
昭和50年度予算編成に当たり、財政需要に対応するため各部が要求した1900億円が1350億円に圧縮されたという財政硬直化の中で、県民の要求にこたえ得る十分な財政措置は困難であることにせよ、重点施策に財源を重点的に配分し、そのうちでも沖縄の特殊事情に基づく戦後及び復帰処理に関する事務、沖縄の地理的条件に基づく事務、その他の特殊事務等を遂行するために復帰後いち早く1547名の所管課ごとに人員を配置し、事務遂行の体制を整え、そのうち特に50年度においては、県土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するため、土地調査に1億7200万円を計上し、そのうち地籍調査に9612万円をあてがい、さらに基地関係業務費へ803万円程度を計上し、基地の実態調査、放棄請求権の調査、解放地復元補償調査、返還基地の調査、基地公害調査、原潜入港調査、県道104号線の封鎖に関する調査、米軍、自衛隊に関係する突発薯故の調査、その他軍用地の整理縮小に対応する軍用地転用基本計画策定のための予算計上、不発弾処理促進費に49年よりも大幅増の1億2000万円余を予算措置する等戦後処理をはじめとする県民の命と暮らしを守る姿勢を予算の上で示しているこ
とは特徴的であります。
次に、民生費に83億7000万円余、衛生費に81億7000万円計上し、そのうち公衆衛生費に35億円余り、精神衛生費に15億2739万円、衛生研究所に1億8000万円、環境衛生費に5億424万円、無医地区保健指導事業に1億1500万円、救急医療対策に1億円余、医療福祉センターに2億5000万円余、その他看護婦確保対策に重点的に予算を取り上げ、県民の命と健康の確保に留意していることは高く評価するものであります。老人福祉対策費に1億4669万円、社会福祉に10億3749万円、児童福祉費に6億6916万円、寝たきり老人等にも特別なる配慮がなされております。
次に、農林漁業関係では、農林団地育成事業に1億円余り、農林漁業構造改善事業費に9億4500万円、お茶生産対策費に3335万円、野菜価格安定費に1200万円、あるいは家畜改良導入費に4億5100万円、畜産経営安定保全対策に1億2000万円、県営畑地帯総合土地改良事業に4億4000万円余り、農道整備関係に約12億円、開拓地整備事業に3億6800万円、大型魚礁建設施設に5000万円等、さらに漁港修築費に16億円等を配置したことは農林漁業に、農村振興のための財政措置を大いにやったものとわれわれは評価するものであります。
教育関係予算でも、県立高等学校校舎建設及び施設費に41億円、県立水産高等学校の実習船建造及び運営費に4億円、県立養護学校校舎などに1億9000万円等、その他国鉄導入調査費5000万円等の措置をし、財政が窮追の状態にあるとほいえ、重点施策を中心に前向きの姿勢で予算が措置されたことは高く評価し、社大党は賛成の意を表明するものであります。
○議長(平良幸市君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより、ただいま議題となっております甲第1号議案から甲第16号議案までの採決に入ります。
議題のうち、まず甲第1号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は原案可決であります。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、甲第1号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、甲第2号議案から甲第4号議案まで、甲第6号議案から甲第14号議案まで、及び甲第16号議案の13件を一括して採決
いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案13件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、甲第2号議案から甲第4号議案まで、甲第6号議案から甲第14号議案まで、及び甲第16号議案は、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 次に、甲第5号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は原案可決であります。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、甲第5号議案は、委員長の報告のとおり可決れました。
○議長(平良幸市君) 次に、甲第15号議案を採決いたします。
本案に対する委員長の報告は、原案可決であります。
お諮りいたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(平良幸市君) 起立多数であります。
よって、甲第15号議案は、委員長の報告のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) 日程第10 陳情第139号から第142号までの付託の件を議題といたします。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております陳情4件のうち、陳情第139号は海洋博特別委員会に、陳情第140号から第142号までは米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、陳情第139号は海洋博特別委員会に、陳情第140号から第142号までは米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
ここでお諮りいたします。
委員会審査及び議案整理のため、3月31日から4月4日まで5日間休会といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぷ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
明3月30日は、日曜日のため休会であります。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、4月5日定刻より会議を開きます。
議事日程は、決定次第通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時22分散会
前発言
次発言
19750110000010