平成 3年(1991年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 10月 3日
第 4号 10月 3日
 

議 事 の 概 要 
平成3年10月3日(木曜日)
午前10時3分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第18号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
    一般質問及び質疑
     1 嘉数  知賢君(自民党)
     2 伊良皆高吉君(自民党)
     3 喜久山盛忠君(自民党)
     4 仲松  昌彦君(自民党)
     5 金城  繁正君(新政クラブ)
     6 比嘉  勝秀君(自民党)
     7 金城  重正君(自民党)
     8 西銘恒三郎君(自民党)
     9 儀間  光男君(自民党)
午後6時13分散会
  
○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 9月20日から30日までに受理いたしました陳情13件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
 次に、説明員として出席を求めた地方労働委員会会長大浜賢永君は、所用のため本日及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長玉城健三君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第18号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 嘉数知賢君。
   〔嘉数知賢君登壇〕
○嘉数知賢君 おはようございます。
 通告に従いまして一般質問を行います。
 まず、1番目の海外在住県民、沖縄の私どもの、本県から海外に移住なされた皆さん方の対策についてということで通告してありますが、御承知のように西銘県政時代、私どもの先人が海外に雄飛をし、そしてあらゆる国で活躍をしている、それに何とかして母県からのつながり、あるいは援助をしたいということで国際交流課を設けました。いろんな形で対策をとってまいりました。
 特にボリビアあたりは戦後移民をし、大変苦しい目に遭った。大変ひどい目に遭ったものですから、それに対して本県は財政的な援助、あるいはまた人的な援助等いろいろやりながら移民の手助けをしてきた、そういう経緯がございました。現在でも中南米においては毎年、県からもあるいはまた市町村からも訪問団が行きまして交流を深めながらいろんな連携をとっておりますし、また世界のウチナーンチュ大会で御承知のように、本当に、母県と移民地というんですか、移住地の皆さんが相連携しながら頑張っておられるということがはっきりわかるような形で出ておりますけれども、ただ1カ所だけ私どもが一番近くて目を配ってない地域がございます。それはフィリピンでございます。
 フィリピンは、御承知のように7100前後の離島から成り立っておりまして、その中で約2700の有人島がある大変広大な海域にまたがって島々が散在する。したがって今のアキノ政権を初めそれぞれのフィリピン政府の政権がなかなか及ばない地域まであるという大変難しい国でございます
が、そのフィリピンについて私ども沖縄県からたくさんの移民が行っております。
 最初は1905年にマニラからバギオに至る道、ベンケット道路というんですが、それの建築のために金武町出身の金城さんという人が、約100人の移民を引き連れて工事に参加をしている。それ以来、その道路が完成するまで沖縄県からたくさんの方が行っておりました。当時、邦人の移民が約2万人と言われておりますが、その7割ないし8割は沖縄県人だと、そのように言われております。その方たちがベンケット道路の工事が終わった段階でミンダナオ島に渡って麻の栽培、あるいはまたキビ栽培に従事をしてきた。したがいまして、フィリピンは沖縄の移民地として定着をしております。
 私事を申し上げますと、私の父もフィリピンにおりました。両親ともフィリピンで移民でやっておりましたけれども、父が戦争で徴用されたときに、太平洋戦争勃発のときに私どもは沖縄に引き揚げました、父はそのままフィリピンに残って行方不明になっておりました。恐らく戦死しただろうということで、今そういう扱いをしておりますけれども、そのフィリピンの私ども沖縄県とのつながりはほとんどない。
 それで、どうしても県としてフィリピンの在住県民というんですか、移民の方たちと私ども沖縄県とのつながりを何とかして持っていただきたいなというのが今回の質問の趣旨であります。
 なぜかと申しますと、戦前、移民をしていかれた、そしてミンダナオでマニラ麻の栽培等に従事した方々が現地の方たちと結婚をして、戦争が激化したために強制的に帰された、あるいはまた引き揚げてきた。そのときに実は妻子をフィリピンに残したまま沖縄にほとんどが引き揚げてきました。
 その方たちが今、どういう形でおられるか。いろいろ漏れ聞くところによりますと、大変貧しい思いをしながら自分の父親の顔を知らない、自分の親戚がどこにいるかわからない、何とかして連絡をとりたいけれども連絡のとりようがないという方たちが実はたくさんおりました。それがマニラだけじゃなくて、あの小さい島々にまで散らばったものですから、肉親としても捜しようがない。そういうことで何とか私の父を捜してほしい、私の親戚を捜してほしい、沖縄からフィリピンに行く人、会うたびにそういう連絡が入ってきます。
 私も5月に行ってまいりましたけれども、たまたま父の件もあって行ったんですが、その話を聞いて3組の方が、私の父を捜してくれ、私の父を捜してくれと訪ねてきておりました。それからしますと数知れない方たちがそこで戦前、そのまま居残って帰ることができなかった。父の母国に帰ることができなかった遺児というんですか、たくさんいるんじゃないかと、そういう気がするんです。
 厚生省は、中国の残留孤児調査のときに、実はフィリピンも調査をしているようでございます。平安座島あたりも聞き取り調査をしたようでございますが、厚生省の調査によると、フィリピン残留孤児はなしという結論が出た。これはなぜかといいますと、残留孤児というのは、両親がいなくて子供だけが残ったのが残留孤児で、フィリピンの場合には母親が現地の人なものですから、遺児はいるけれども孤児はいないという形で、国からの何らかの対策もほとんどやられてない。そういう意味でこれからもう2世の時代になる、3世の時代になると、ますますその当時のことがわからなくなりますから、そういう意味でその戦争前に向こうで本県の人と結婚をしてできた子供たち、その2世、今できちっとした対策をして、何らかの形で行政から手を差し伸べていかなければ、ますます困難になるだろうと。そういう意味で県としてせっかく国際交流課も設けてあります。それを窓口にしてその残留遺児というんですか、私は置き児と言っているんですが、その方たちの対策をしていただきたい、これがまず第1点でございます。
 もう一つは、御承知のように沖縄県が戦後、米軍に占領されまして、たくさんのフィリピンの兵隊が参ります。補助部隊として入っております。おおよそ概算で1万人だろうと言われておりますが、その方たちが任務を終えて引き揚げるときに、大体1950年代だと思うんですが、引き揚げるときに現地、私ども沖縄県の女性と結婚をして本国に引き揚げた方がたくさんおります。その方たちが生活環境の違い、あるいはまたいろんな形で、当時の話を聞きますと、沖縄よりは豊かだろうと思って行ったらとんでもない、戦前の沖縄よりもまだひどかったという表現が当たるような苦しい目に実は遭っておりました。その実際の数が何人いるのか、よくわからたい。今もって私の娘がフィリピンに結婚して行ったけれども、連絡のとりようがない、捜してほしい。これは恐らく議員の皆さんも経験があると思うんです。何とか捜す方法はないだろうかという問い合わせは何件も実はありました。その実態すらわからないのが現状なんです。

 一体、何人の方が結婚して向こうに渡ったのか。どういう形で生活しておられるのか。また実際の数が把握されない。その追跡調査をぜひしていただきたいなと。
 その資料となるのは、当時、沖縄の米軍に補助部隊としてやってこられたフィリピンの兵隊、その氏名というんですか、その出身地が米軍から資料が入手できれば、ある程度追跡調査ができるんじゃないかと。
 これはなぜかと申しますと、ルソン島のマニラに渡った方、あるいはミンダナオ島に渡った方たちは行政区がはっきりしておりまして、割合捜しやすい。それ以外の離島、レイテとかあるいは名もないセブ、ボホール、ネグロス、パナイといろんな島があります。その島々に渡った方たちというのは、なかなか連絡がとれないんです。一体、今、どうなっているかもわからないというのが現状なんです。
 その方たちを、実は今、フィリピン協会の皆さんがいろんな形で戸籍抄本を調べたり、パスポートを調べたりしながら掘り起こしをやっておりますけれども、ボランティアでやっておりますが、なかなかうまくいかない。そういう意味でその方たちの行方を捜す。その方たちが今、どういう生活をしているのか、なかなかわからないのがありまして、ただ予想できますことは、フィリピンは御承知のように国民所得が大体500ドル前後、大変な貧乏国でございまして、おまけにせんだってのピナトゥボ火山ですか、そういう被災にも遭っておりまして、そういう意味で大変悲惨な目に遭っているだろうことは予想ができる。ですから、できるだけその資料を集めて、その方たちの行方を、あるいは今、行方を捜している肉親、これを沖縄側から捜しているのもありますし、フィリピン側の方から沖縄の肉親を捜している、両方あるんです。それを何とかして行政の光を当てて、行政の力とタイアップしながらできる方策をぜひとっていただきたいなと。この処理があって初めて、私は沖縄の戦後は終わるんじゃないかと思うぐらい悲惨な目に遭っておりました。ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。できましたら、私はフィリピン、そういうものに対して国際交流課にきちっとした窓口をつくって、プロジェクトチームをつくるぐらいの取り組み方をしていただきたいなと。それをぜひ知事にお願いをいたしたいと思っております。
 あと1つは、今度は逆に今、フィリピンは県人会を結成して10年になります。来年の10月には10周年記念式典をやられるそうでございますが、県人会の活動としては1月の正月パーティーをします。クリスマスパーティーをし、それから5月にはヒージャー会をし、10月には運動会をするということをやっているようでございますが、これはマニラに住んでいる、ある程度沖縄から渡って生活が安定している皆さんがやっているわけです。これに参加するのは大体100人から150人ぐらい。実際に協会に加盟しているのは500人ぐらいおられるそうでございますが、なかなかその輪が広がらない。乏しい財政の中からやるものですから、なかなかうまくいかない。その上に、実は残留、いわゆる行方のわからない方たちの依頼を受けて人を捜したり、あるいはいろんな形で連絡をとる、その経費が莫大なもの。そういう意味でなかなか思うように活動ができないというのが現状であります。
 県は、世界のウチナーンチュ大会を契機に、たしか幾らか補助を出していると思うんですが、あれは会館の維持経費程度のもので、彼らが本当の意味で県人会の世話を見、県人会そのものの活動ができるような金額じゃないんです。そういう意味でぜひ対策をしていただきたいなと思うわけで丸ひとつ知事にその決意のほどをお願いいたしたいと思います。
 それから第2点に、松くい虫について申し上げますと、昭和56年から本県に松くい虫が蔓延し出しておよそ七、八年の間に莫大な被害を受けておりまして、その間の被害が大体本数にして16万4000本、これは昭和60年までの間に伐倒せざるを得ない木。それから、それ以後だんだん西銘県政時代に松くい虫対策は、これは大変なことだということで全力を挙げて対策をしてまいりました。年間3億から3億5000万の予算をつぎ込みまして処理をしたために、昭和60年以降はだんだん落ち着きまして、ふだんの被害程度におさまってまいりました。しかし一昨年あたりから少しずつまた松くい虫が蔓延をし出しました。今では爆発的な蔓延をする気配をしております。
 前回の松くい虫の被害のときには、実は中部地区が主体でありました。特に基地内中心でありました。私どもはあのときに対策をするときに、北部には絶対入れるなという合い言葉のもとに対策をしてまいりました。
 なぜかといいますと、北部に入れますと、北部は山が深い。それからもう一つは水源地である。それは簡易水道の水源地で、また上水道の水源地もあるし、河川水を取水するための水源地でもある。そのために北部の山に入れたら駆除ができなくなるよと。
 それはなぜかといいますと、松くい虫の駆除は木を伐倒して駆除するのと、あとは空中散布、薬剤散布をして駆除するのと両方しかない。そうすると薬剤散布をしようとすると、これは全部水がめにかかってくる。飲料水にかかってくる。したがって駆除が大変難しい。だから北部に入れるなよということで、それを合い言葉に今までやってきたんですが、残念ながら平成3年度を見ると1万2000立米といいますから、大体本数にして2万四、五千本が既にやられていました。中部のときには、樹齢が大体20年、30年の木が多かったんですが、北部に入りましたら、大体樹齢が40年、50年が多いんです。だから1立米、普通、中部の場合には3本の計算だったんですが、北部の場合、1立米大体2本の計算、1.7本ぐらいの計算でいきます。
 特に北部には、御承知のように蔡温松とかいろんな大きな松がありますから、それも保護する意味で、あるいはまた北部の水がめに入れたら、これは山が深くてどうにもならぬ。マツノザイセンチュウが飛び出す4月ごろに薬剤散布できればいいんですが、それができないとなれば、今で十分な対策をしなきゃいかぬ。
 そういう意味で今年度も大分補正予算では取っているようですが、今、1億5000万、今度8000万ぐらいの補正されているようですが、まだまだあと1億以上足りないだろうと。12月でも補正をし、来年度予算では思い切って予算をつけて伐倒駆除をしなければ、自然保護を前面に打ち出す
知事の政策と相反する。これはとてもじゃないけれども、木を切るから植樹祭を糸満に移すというような生易しいものじゃなくなる。何十万という木を失わなければいけない結果になりますから、ひとつ心を決めて対策をしていただきたい。お願いをいたします。
 最後に、これは1つだけ知事に苦言を呈したいと思うんですが、さきの代表質問との関連で西田健次郎議員からも質問がありました。私も実は耳にしておりました。
 離島フェアでのあいさつの中、あるいはまた山中先生のあいさつの中で、私は、東京でいつも250人の人に会いました。あるいはまた、自己財源は十二、三%でありますという話をしておりますが、数字だけはきちっとしていただきたいなと。
 自主財源というのは、御承知かと思うんですが、去年度の決算でいくと23%。知事がおっしゃるのは所得、いわゆる県民税所得が十二、三%、大体14%ですか。そういう意味で誤解をしておられると思うんですが、公の場であいさつをするときには、少なくとも基礎的な数字だけはきちっととらえてあいさつをしていただきたい、話をしていただきたい。
 これだけはお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉数知賢議員の御質問にお答えいたします。
 フィリピンに在住する本県関係者についても行政の光を当てるべきであり、そのために県は実態把握をするプロジェクトチームをつくってはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 フィリピンに在住する本県の関係者としましては、御指摘のとおり戦前移民の妻子、戦後の国際結婚者とその子弟、その他ビジネス関係者等が考えられます。全体としてその実態の把握は極めて困難な状況でありますが、県としては県人会、外務省などを通じてその実態把握に最大限の努力をしていきたいと考えております。

 実は、私も1960年代の初めごろにフィリピンを訪問しまして、今、嘉数議員が御指摘のような非常に苦しい実情に接しまして、何とかならないものかとずっと考え続けてきておりますけれども、みずから行政の場に入りまして、今は3次振計の策定などに追われっばなしでございますけれども、もう少し落ちつきましたら、こういう問題について本腰を入れて検討したいと考えております。
 次に、花嫁移民とその関係者については、資料収集をして肉親捜しなどの相談窓口はつくれないかと、また、かつてのフィリピン部隊のリストを入手できないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 花嫁移民とその関係者の肉親捜しについては、個々の事情を踏まえ、県としては可能な限り対応していく考えであります。できるだけ関係資料の収集にも努めていきますけれども、フィリピン部隊のリストの入手につきましては、実はアマコスト駐日大使に対しましても、また新しく赴任しましたアメリカ総領事に対しましても、私は、最近のことでございますが、ワシントンに貯蔵されているアメリカの軍政のころの資料をすべて沖縄にコピーしてもらえるよう協力方をお願いしてございます。したがいまして、その過程で今お話のありますフィリピン部隊のリストなどというものも捜せるのではないかというその可能性、期待をいたしております。
 続きまして、中南米の県人会同様フィリピンの県人会に対しても、来年の創立10周年及び将来の活動拠点の拡充、県人会館の建設等について支援すべきではないかという御質問にお答えいたします。
 フィリピンの県人会に対しては、従来から留学生及び技術研修員を受け入れているほか、県人会運営費補助金も交付しているところであります。
 なお、来年の県人会創立10周年記念式典につきましては、できるだけ支援していく考えであります。また、将来の活動拠点の拡充についてはいかなる支援が可能であるか、現地の県人会とも緊密に連絡調整しながら具体的に検討してまいりたいと考えています。
 続きまして、森林病害虫対策との関連で、山奥まで松くい虫が侵入しているが、北部地域は水がめであり、そのまま放置するとやがて河川水も取れなくなるが、どのような対策をとるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 松くい虫の被害は、昭和57年度の5万6000本をピークに、その後は小康状態にありましたが、昨年から増加する傾向を見せ、本年度は高温少雨の気象条件の影響もありまして被害が急増し、その被害量は約2万5600本に達するものと予想しております。
 このため、4月から5月にかけて薬剤を散布し、マツノマダラカミキリの成虫を薬殺し、さらに被害木の伐倒焼却を精力的に行うほか、被害木を玉切りにしビニールカバーで密封して薫蒸するなど被害木の駆除に努力しているところであります。しかしながら嘉数議員も御指摘のとおり、北部地域は水源地が多いため、ヘリコプターによる薬剤の空中散布ができないことや、山が深く地形が急峻なため伐倒作業等が極めて困難な状況にあります。
 このようなことから当初予算に加え、今議会に補正をお願いしているところであり、また今後の被害の推移を見ながら予算措置を講じ、松くい虫の徹底的な駆除を行い、被害の早期終息に向けて努力していく所存であります。
 蔡温松の保護についてもお話がございましたけれども、蔡温松のような名木等は、御嶽の森として地域住民に親しまれ大切に保存されてきておりますし、県としましてはこれらの老樹名木を保存するため、昭和61年度から特別対策事業を導入し、松の一本一本にスプリンクラーで薬剤の散布を行い、樹幹注入を行うなど特殊な方法で保護に努めているところであります。今後とも、これまで以上の努力を払って対策に取り組みたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 伊良皆高吉君
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 さきに通告いたしました件について質問を行います。
 「政治の道は人の道」という言葉があります。我々政治の衝にある者にとって最も大切な言葉であり、心すべき政治の心であると思います。わかりやすく平たく例を挙げて申し上げますならば、幾ら政治家といっても、社会の常識の枠を外れてはいけませんよということになるんだろうかと思います。
 例えばうそをつく、人をだます、他人に迷惑をかける、そのようなことがあってはいけませんよと。人の道を外れてはいけませんよということになるわけです。しかしながら政治は生き物でありますし、時と場合によっては思ったようにいかない、自分が言ったとおりにならないということはまた常であります。しかしそのようなとき、我々はやはりどういうわけで思うようにいかなかったんだ、あるいはどういうことでこうなったんだというふうなことを釈明する、あるいは反省の意を表明するということ、場合によってはわびをするということはまた常識なんです。
 私は、そういうことで知事に対し、知事の政治姿勢の質問の中で、政治家としての知事の良識を求めたい、そのように思っております。
 幾つかの例を挙げて質問をいたしますが、まず第1に女性副知事の問題であります。
 県内には女性副知事としてふさわしい方がおられました。尚弘子先生が副知事として誕生されました。我々自由民主党は、もろ手を上げて賛成をしてお迎えしました。議場の皆様方、全部賛成でした。
 ところが、これまで知事の個人的な都合からと申しますか、議会内においても、これは各政党、与野党間内においても、あるいは各団体においても多くの問題を残しました。そのため数力月の間、副知事のポストが空白のまま県民に対して大きな損失を与えたのであります。そのことに対し知事はどう思っておられるのか、正直にどうだったと県民の前で私は知事の気持ちを述べることが必要かと思います。
 2つ目に、基地問題に関してであります。
 基地問題については西銘県政時代、基地の整理縮小が西銘知事の基地政策でありました。
 それに対し大田知事は、基地全面撤去ということを大きく旗を振りかざして当選してまいりました。しかし、10カ月の間を見てみますとどうでしょうか。今では全く、本人が批判してこられた整理縮小と同じ基地政策ではないでしょうか。その点についても相手に傷をつけておきながら、知らぬと、言いっ放しでは私は県民は許さないと思います。県民はそれに対して期待をしてあなたに投票したわけですから、それに対してどうだということも私ははっきりすべきだと思います。
 3つ目、全国植樹祭についてであります。
 国家的な行事をするとき、我々県民も大変いろんな面で期待します。少なくともインパクトとその効果を重要視することは当然であります。
 特に行政というものは決められたことをきちっとする、それが大事なことなんです。それを単なる自分の考え方だとか、一部の人の意見にとらわれて、あの人がこう言った、この人がこう言ったといってころころころころ変わったのでは、下で働いている、この行政執行に当たっている執行部の皆さん方は大変迷惑ですし、ましてや県民はもっと迷惑なんです。そういった意味から、規模と形式についてどういう形で、どの規模で行われるのか、もう一度確認をいたしたいと思います。
 次に、サトウキビの価格についてでありますが、知事のサトウキビ政策は価格を引き上げますというのが公約でありました。しかし一昨日の我が党の代表質問に対する答弁では、農業団体と連携を密にして要請すると答えております。それではちっともキビ価格を上げるという言葉さえ出てこないじゃないですか。それはどういうふうになっているのか。
 連携を密にして要請することによって、あなたの言われた公約が果たせるのか、すなわち上げることができるのかできないのか、そのことについてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、新石垣空港の問題に関してであります。
 空港問題に関しては知事は就任当初、一日も早く建設したいと、地元の皆さんの気持ちを大事にしてということを高らかに言っておられました。ところが次には、2月定例会では5月中に場所を選定して、8月の国庫要請には乗せていきたいと。あるいはそれで新年度国庫要請を行いたいというふうなことでありましたが、また一昨日の我が党崎浜秀三議員の代表質問に対しては、建設位置については早目に決定して、平成5年度の予算要求を目途として頑張ると、いつの間にか360日以上も後退している。

 しかし、これまでの知事の答弁をこれからもただしていきますが、平成5年度にも間に合わないような作業をしておられるというそのような矛盾もあります。
 地元では、そういう知事の優柔不断といいますか、ころころと変わることを見ていながら、それに関連してこのような評価をしておるんですよ。県民無視も甚だしい、党利党略と自己PRそのものである、そのためにいろいろ苦労しておられるな、無理しておられるな、それが地元の意見なんです。
 さて、そこで新空港に対する質問をいたしますが、宮良牧中案及び冨崎野案に関する調査費は全く無意味ではないのか、時間の浪費ではないのかというのが私の意見であります。
 知事にその件についてお伺いいたしますが、知事はどのように考えておられるのか。理由は、宮良牧中も冨崎野もここだというふうに決められても、どういうふうな反対がありますよということは知事もよく知っておられるはずであります。どんなことがあってもそこにはできないだけの理由があるじゃないですか。それをわかっていながら、単なる調査だけをして、ただ、カラ岳東に持っていくための一つの方策にしようと、小手先のことに終わるということを私は懸念して、時間の浪費であり、予算のむだ遣いだというふうに申し上げるわけでありますが、知事の御所見を賜りたい。
 2つ目に、カラ岳東案では困難な問題があるというふうにこれまで答えてこられましたが、もう一度その理由について確認をいたしたいと思いますので、よろしくお答え願います。
 3つ目、カラ岳東案とカラ岳案は同一かどうか、またその評価についてはどう異なるか。これは主に反対とか、あるいはカラ岳東に反対をしたりしておられる政党の方々がいつもロにしておられますが、カラ岳案、カラ岳案、点数が何点だというふうなことを言っておりますけれども、カラ岳案とカラ岳東案の区別がついてないようですが、知事もひょっとするとこの認識に違いがあるんじゃないかと思いますので、確認したいという意味でお伺いいたします。
 4つ目に、県がこれまで空港建設予定地として挙げてあった5つもしくは6つ、それについては県はある程度の調査をしてきておりますが、今、一番最初の予算のむだ遣いという調査に関連しまして、県のこれまでの調査は科学的に根拠が全くなかったと知事は思っておられるのかどうか、お伺いいたします。
 次に、離島振興の問題でありますが、これは昨日の我が党西田健次郎議員の質問に対して知事は釈明をされ、反省をされているという謝罪の意が表されましたので、それを了として、私の方はもう一度いたしませんが、ただ、せっかくのチャンスでありますので、八重山地域の竹富町、石垣市、与那国町、そこの役場に勤めておられる職員の声だけはお伝えしたいと思います。
 我々が離島振興のために一生懸命頑張ってきたけれども、知事のこのような言葉を聞いては全くやる気がしない。知事は、本当に離島ということの状況を知っておられるだろうか、離島振興とは何か知っておられるだろうかというふうな声がありましたので、お伝えいたします。
 あとは、その点については質問を取りやめましたので、準備された執行部の皆さん方には御苦労とおわびを申し上げて、知事の答弁によってまた再質問いたします。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前10時38分休憩
   午前10時39分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 伊良皆高吉議員の御質問にお答えいたします。
 まず、女性副知事との関連で、長期間にわたって副知事の選任がおくれたことについて、知事はどう責任を感じているのかという御質問にお答えいたします。
 副知事に女性を登用するに当たっては、医療、福祉、女性問題に造詣が深い方という基本的考えのもと、広く県内各界各層を対象に副知事としての職責を担うに最もふさわしい人材を念頭に各種団体等からの推薦を得ながら慎重に人選を進め、幾多の曲折はありましたが、その結果、現在の尚副知事を誕生させていただきましたので、今後の活躍に期待しているところであります。
 なお、時間がかかりまして、県政の上で停滞があったとすればそれはおわびいたしますが、事柄が御承知のようにこの種の女性副知事の起用という事柄はこれまでに例のない画期的なことでございまして、そういった意味では、このような場合には一般的に時間がかかることを御了解いただきたいと思います。
 それから、基地問題についてでございますが、基地撤去の選挙公約を掲げながら、訪米の要請文から基地撤去の文言を外すなど、はたから見て矛盾だらけであると、知事は現実を知らないのに自分を美化するために他人を批判してきたこれまでの姿勢について反省しているという気持ちを明らかにすることができるかという趣旨の御質問でございますが、お答えします。
 今回の訪米では、沖縄基地の実態を米国サイドに理解してもらうことを主眼とし、特に地域の振興開発上必要な施設区域等の返還を強く訴えてきました。
 基地の撤去につきましては、基地のない平和な沖縄を築く上でぜひとも実現したい課題であると認識しており、今後とも日米両国政府に対し粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
 先日も申し上げましたけれども、アメリカの新聞などは沖縄県の知事が基地の撤去を訴えているということをはっきりと撤去というふうに記述してございますし、私は、お会いしましたときに、はっきりと撤去を県民が望んでいるということを申し上げてございます。
 それから、全国植樹祭についてのことでございますが、どのような規模で、どのような形で行うのかいま一度確認しておきたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 第44回全国植樹祭につきましては、社団法人国土緑化推進機構事業運営要綱に従い、全国及び県内各界各層の皆様の御参加のもとに糸満市字米須、山域において県有地2ヘクタール、借地1.6ヘクタール、合計35ヘクタール、1万人程度の規模を目途に鋭意準備作業を進めているところで
ございます。
 それから、キビの価格問題の関連で、知事は農業団体と連携を密にし要請すると言っているが、公約どおり引き上げは可能かと、その見通しはという御質問にお答えいたします。 
 平成3年産サトウキビ生産者価格をめぐる情勢は、伊良皆議員も御承知のように昨今の農産物価格を取り巻く内外価格差の問題や生産者米価、麦価が引き下げになるなど極めて厳しい状況にあるものと認識しております。
 このような状況の中で、今期のサトウキビ生産者価格の要請に当たっては、サトウキビが本県の基幹作物として農家経済はもとより、県経済の発展に大きく寄与していること、国内甘味資源の安定確保に重要な役割を担っていること等を踏まえ、適正な農業所得を確保し、農家が安心して再生産に取り組める価格を目標として強い決意を持って国に要請していく考えであります。
 それから、新石垣空港問題につきまして宮良案及び冨崎野案に対する調査は全く無意味であり、時間の浪費ではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 新石垣空港の建設位置につきましては、御承知のように、これまで一連の合意形成作業の中で各候補地についてさまざまな意見や問題点が提起され、現状のままでは建設候補地を特定することは極めて困難であると判断いたしました。
 このようなことから、これまで具体的に提案のあったカラ岳東側案、冨崎野案及び宮良案について各案ごとに問題点を整理検討するため、カラ岳東側案と比較できるよう基本計画調査及び環境現況調査等を実施しているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
 なお、ほかの質問につきましては担当部長から答えさせますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 新石垣空港建設関係につきまして、カラ岳東側案では困難な問題があるとしているが、その理由について確認したいとの御質問にお答えいたします。

 行政連絡会議のもとで取り組んでまいりました一連の合意形成作業において、空港建設候補地につきましての各関係団体や地域住民の意見の内容を見ますと、カラ岳東側案については土地の効率的利用等の観点から多数の団体や公民館が賛成していることは御承知のとおりでございます。
 しかしながら、白保公民館等の反対意見も強く、さらにIUCN決議など国際的な自然保護運動の高まりの中でサンゴ礁生態系保護等の環境保全上の問題、公金の違法支出差しとめ事件等の住民訴訟等が係争中であること、及び企業用地等の同意取りつけに係る問題など極めて困難な問題が山積しております。
 次に、カラ岳東側案は、昭和50年度の調査におけるカラ岳案と同一案であるのかどうか、違うとすればどう異なるか等の御質問にお答えいたします。
 昭和50年度に実施いたしました基本計画調査における6候補地の中の1つであるカラ岳案は、カラ岳を切り取って滑走路方向をほぽ北東寄りの陸地側に計画したものであり、現在のカラ岳東側案とは異なる案でございます。
 次に、これまでの空港建設予定地について、県の調査は科学的根拠は全くなかったのかとの御質問にお答えします。
 県は、空港建設に限らず、すべての建設事業を行う場合、事前に必要な調査を行っております。
 以上でございます。
○伊良皆高吉君 休憩願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前10時46分休憩
   午前10時49分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 私は、政治家として誠心誠意、良識を持って当たっているという自負を持っております。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) カラ岳東案の困難の理由の中で、これまで企業の代替地の要求が抜けているんじゃないかということですけれども、先ほどお答えいたしました企業の同意取りつけの問題等があるということの中に含めて御答弁申し上げたつもりでございます。
 以上です。
○議長(平良一男君) 伊良皆高吉君。
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 再質問いたします。
 知事は先ほど、政治家としての良識を持って行っていると、誠心誠意やっているということで、別に釈明の必要はないような御答弁をなさいましたけれども、しかし政治家が選挙のとき公約したことと実際との政務において差が生じたとき、やはり何らかの形で県民に気持ちを伝えるといいますか、必ずしもわびるということじゃないにしても釈明ぐらい必要だと。現にきのう知事はちゃんと謝罪もあったし、反省もあったじゃないですか。それと全く同質のものでありながら、この問題については別の考え方を示されるということは、それこそまたおかしなことになりますよ。
 私が問うているのは、きのうのものと全く同質のものだと思うんです。だから知事は、その件についても、ただ、きのう西田健次郎議員が言った4点だけじゃなくて、すべての面について一言で言ってくれればもっと楽になりますよ、知事。あなた自身が楽になるんですよ。
 さて、もう一度その点についてお答え願います。
 それから、植樹祭の問題ですけれども、規模は3.6ヘクタール、1万人規模だと言っていながら、きのうの答弁の中では規模を削ってでも予算を抑えると、こう言いました。今、規模が3.6ヘクタールで1万人規模というのがまた変わってくるということになるんじゃないですか。
 今、知事が言っておられることところころころころ変わるので、我々は何を信用していいかわからない。それでは政治というのはちょっと皆さんから全く信用されなくなってしまいますよ。政治家自身も傷つくことになりますよ。ですからもう一度そういった点をしっかりやってもらいたい。
 私の意見としては、予算は幾らかかろうが、やるべきことはちゃんとやるべきだと、実はそう言いたいんですよ。予算を節約することがいい政治だと思ったら大間違い。いかに県民のためにプラスになることをしてくれるか、将来のためになることをするか、そのためには幾らかかるのか。かかるべきものの中からどれだけ節約したか、それが節約なんです。
 あなたは、効果とか、そういったのは別問題にして、ただ予算さえ減らせばいいと、そんなことでこの沖縄県を運営しようとするから、私は、これはそのまま捨てておけないなと。そういったことでいつも発言されるものですから、政治家の良識を問うておく必要があるなということで私は申し上げているんであります。
 それから、空港問題でありますが、冨崎野の問題です、あるいは宮良牧中の問題です。これは、両方既にそこでやるとなったらいろんな形で反対が起こることは知っておるはずです。どういう反対が起こるか予想がついているはずです、皆さん方、既に反対の陳情を受けたり意見を聞いたりしていますから。そのことについてどういった反対運動が起こり得ると思うかどうか、その点をお答え願いたいと思います。
 それからもう一つは、先ほどいろんな条件を言っておりましたが、そん中で特に重要視したいのは、地権者が同意を取りつけにくいと、いろんなことがあって代替地の要求もあると言っているんですが、代替地の要求というのは具体的にどういうことなんですか。代替地の要求はいつ、だれと話し合って、どういった要求が出されたのか、これを明確にしていただきたいと思います。  
 それから今、カラ岳とカラ岳東案が基本的に違うと、全く別だという答弁をされましたが、これはきのうもある質問でありましたけれども、昭和50年ですか、平良県政のときに評価された調査地の評価というのがあります。(資料を掲示)
 この調査地の評価というのは、別に手続上、縦覧しなければならないものでも、秘密文書でも何でもないわけであります。これの中でカラ岳が39点、それに対してほかの所はもっと高い点数になっていますけれども、例えば冨崎野が83点、宮良側の地点がこれは53点ですか、そういうふう
になっておりますけれども、その中でカラ岳の地点が一番低いからだめだというふうな論法で反対される方は言われる。しかしカラ岳の地点とカラ岳東になった場合は違ってきますから、そのときの状況をいろいろ点数をはめていきますと、私の方で予想したのは大体75点ぐらいになるんですよ。逆に現在の冨崎野でしたら、あれから20点ぐらい引かれて63点ぐらいになるであろうと、冨崎野の状態、違いましたから。
 なぜかといいますと、あのときは冨崎野は土地が遊んでいたんです。今はもう土地改良が進んで、100名ぐらいの人が農業に従事している。ですから、なかなか土地利用という面では、満点の20点ついていますけれども、土地利用という面では恐らく5点以下になるであろうと、その点で
反対されますよということです。
 それから、土地の値段についても大分状況が違ってきている。そういうふうなことを踏まえて、大分様子が違っているにもかかわらず、十年一日のごとく毎日同じことを言っている。それではちょっと、そういったものを基準にして判断されては困るんじゃないかと思いますので、以上の点について再答弁を願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前10時56分休憩
   午前10時56分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 政治的な私の良識の問題についての御質問に改めてお答えさせていただきます。
 就任前と就任してからのいろいろな政治状況の変化とか、現実的な対応が迫られる場合がございますので、政治というものは現実を無視しては通りませんので、情勢の変化に応じて誠心誠意私なりに努力しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、植樹祭につきまして規模の問題との関連、あるいは予算の問題との関連で再質問がございましたけれども、いまさきも申し上げましたように、約20億円を目途にして可能な限り経費の節減に努めて、最大限にいい植樹祭にしたいという形で努力いたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 なお、ほかの質問につきましては担当の部長から答えさせますので、よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 新石垣空港関係につきましてお答えいたします。
 まず、宮良、冨崎野案についてどのような反対が予想されるかということについてお答えいたします。
 まず、宮良、冨崎野案、いずれにつきましても、土地改良事業等農用地としての利用が大分進んでおりますので、その面での土地利用についての反対が予想されます。
 次に、代替地要求はいつ、だれとどのように行ったかという御質問にお答えいたします。
 これは、新しい県政になってから代替地要求と、土地の所有者と接触しているわけではございませんで、前県政の際、カラ岳東案について設置許可申請をする際に、所有者といろいろ調整をした段階で代替地等の要求が出されたということを聞いております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 伊良皆高吉君。
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 宮良牧中案の場合は、もう一つ予想されるのは土地の利用だけじゃなくて、地主は3万円以上じゃないと売らないと言っているんです。
 それから冨崎野は、5万円から10万円の間です。知っているはずですよ。そうすると、皆様方が高いと思っておられますカラ岳東、あれは1万幾らですか、そういったところで問題はないのか。だから土地の値段だけで私はカラ岳東がいいと言っているわけではありません。
 そのほかに環境保護、いろんな問題から考えますと、陸上でつくったときの方が海は汚れるんです。海は海が汚しているんじゃありません。陸上が海を汚している。
 そういった観点から、漁業組合が大いに反対しているんです。ですから、それはできないよと。
 それだけじゃなくて、いろんなまたその他の公害の問題があります。騒音問題、それから生活、地域に及ぽす影響もあります。それが1点です。その点について県は、どう対処されるか、本当にこの価格で大丈夫かどうか、それもあわせてお伺いします。
 それから、カラ岳東案の申請のときに地権者と話があった、条件が出たといいますが、あれは白保海上案のときだと思いますが、再答弁願います。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 新石垣空港の建設予定地の決定につきましては、これまでも御説明申し上げましたとおりカラ岳東案につきましてはいろいろ問題があるという提起がありまして、その別の案として陸上側の冨崎野案とか宮良案、そういうものが提案されているわけで、私どもは現在、その3案について比較検討できる資料を鋭意調査し収集しているわけでございます。
 先ほどから御質問のあります土地の値段、その他陸上側の自然保護の問題等、そういうことにつきましても、そういう調査等の中に含めまして今後比較検討していくということになります。
 それから、企業の代替地の問題につきましては、白保海上のときのものではないかということですけれども、これはカラ岳東案の設置許可申請の際の所有者同意取りつけの際の所有者側からの要望として出されたと聞いています。
 以上です。
○議長(平良一男君) 伊良皆高吉君。
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 比較検討して、それから決定すると言いますが、比較検討する資料とはどういうものかお答え願います。
 それから、比較検討の結果、カラ岳東にまた戻ることもあり得るということかどうか、それもお伺いいたします。
 それからもう1点、これは昭和54年に条件が出された中には代替地の要求はありますが、カラ岳東に関してはたいはずです。これをもう一度明確にしてください。
 もしあれば、だれとどこで会ったのか、その点までお答え願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時4分休憩
   午前11時5分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 建設予定候補地の比較をするときの項目はどういうものかということでございますけれども、それにつきましては自然環境の事項とか、土地利用の条件とか、その他先ほどから出ております陸地の造成とか、その他もろもろ比較検討事項は出てくると思っております。そういうこと等につきましては、今後資料を整備し、比較検討できるような資料を作成していくというふうに現在作業を進めているところでございます。
 それから、カラ岳東の所有者の同意の際の代替地等の、いつ、どこでということですけれども、それは前部長の際に、所有者と接触した際に、そのような同意の際に、そのような条件が業者の方から話が出ていたということでございます。
 以上です。
○伊良皆高吉君 ちょっと答弁漏れです。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時6分休憩
   午前11時8分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) お答えいたします。
 3案の比較検討につきましては、これから例えば、現在は陸上側の宮良、冨崎野案につきましては環境現況調査とか、それから基本計画調査等を行っておりますので、そういうような資料等をもとにしながら、その建設位置を決定するに必要な項目、そういうものを体系的に整理して、比較検討できるようなものをこれから整理をして、決定する際の資料にするということで詳しい整理につきましては、今後詰めていくということでございます。
 それから、カラ岳東に検討の結果、なり得るかということでございますけれども、それは3案について厳正に、客観的に、先ほど申し上げました比較項目、それに基づいて検討するわけですから、おのずからそういう検討する中で3案の中のいずれかに決定されていくものだというふうに考えております。
 それから、カラ岳東の代替地等の要求の、代替地はどこかというような、そういう細かなことまでは前の部長から聞いているわけじゃなくて、要するに空港用地としてその所有地を提供する際には、そういう代替地その値、例えば事業計画、そういうもの等について御協力が願えますかという要望が所有者の側から出されていたというふうに聞いております。
 以上です。
○議長(平良一男君) 伊良皆高吉君。
   〔伊良皆高吉君登壇〕
○伊良皆高吉君 必要な項目についてこれから検討して調査に入るということでしたが、これじゃ八重山の人たちに何と皆さんは釈明するんですか。どのように説明がつくんですか、全く人をばかにしているやり方じゃないですか。
 住民合意も何のためのものですか。これは本当に、大田知事の政治家としての良識をますます疑いたくなります。
 それから、カラ岳東案についてのものですが、昭和54年に全地権者が要求したことについては私もわかります。それから後に要求されたというのは聞いておりません。もう一度その件については再確認をしておきます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) お答えいたします。
 カラ岳東案の設置許可申請の際の所有者等の同意取りつけの際に、その地主の一人としての所有者からそういう話が出ていたということは、これまでお答えしたとおりでございます。
 以上です。
○議長(平良一男君) 喜久山盛忠君。
   〔喜久山盛忠君登壇〕
○喜久山盛忠君 尚副知事、健康に留意されながらぜひ頑張ってください。
 台風被害に対しますお見舞いを申し上げます。
 特に、我が党代表質問との関連におきまして質問をさせていただきますけれども、農業振興と農家経済の安定を図る上で農業共済の果たす役割というものは大変大きいものがあります。特に我が県におきましては、まともにその恩恵をこうむっていると言っても過言ではございません。

 近年、施設園芸が、生産量や質、そして価格ともどもに安定傾向にありまして、農家を初め関係者の皆さんに敬意を表するものであります。
 そこで、農家の被害がひどくて、その立ち直りを大変心配しているわけでございますけれども、平成元年から全国並みに園芸共済が実施されております。打ちひしがれました農家へ全面的にこれを適用するということを期待したいわけでございます。
 そこで質問をいたしますが、園芸共済の仕組みはどうなっていて、質問の2番目に加入状況はどうなっているのかということでございます。
 さて、県土保全条例についてでございますが、この条例は約20年ぶりの改正であり、自然保護の面から、また地域の土地利用計画の整合性の観点から開発をチェックしていくと、こういう体制を整えることにあるとされております。
 改正の要点といたしましては、その第1点で地域の土地利用との関係、2つ目に自然保護との関連、3つ目に地域振興となっております。
 したがいまして、事前協議制度の拡充が図られ、この3つの基準の要件が満たされなければ事前協議の段階で開発に待ったがかかると、いわゆるノーもあり得るというふうに理解をいたしております。
 そこで、特に心配をしておりますのは、開発行為の事前協議第4第3項2号でございます。いわゆる「開発区域及びその周辺地域に生存する動植物、特異な地形又は地質等の自然環境の保全に著しい支障を及ぽすおそれがないこと。」となっております。
 そこでヤンバル地域、特に国頭村、東村、大宜味村の3村に生息いたします動植物を見てみますというとノグチゲラ、ヤンバルクイナ、トゲネズミ、それからケナガネズミ、これは国の文化庁の指定動物でございます。それからヤンバルテナガコガネ、さらにヒカゲヘゴ等々のシダ類、マングローブの群生、こういう植物、動物がこの3村至る所に生息または分布をしていると、こういう状況にあります。
 したがって、北部地域でも特にこの3村は、保全条例の第4条3項2号の網が全部かぶさるおそれがある。
 そこで心配いたしますのは、八重山地域で見られたようにサンゴのために空港の建設というものが、このサンゴが発端となって若干おくれる、ヤマネコのために地域開発に必要な産業道路建設が全く中止されて産業発展に大きな影響を及ぽす。
 こういう事例のように、ヤンバルが今後ますます過疎化するのではないのかなということを心から心配をする者であります。
 参考までに、どういう過疎化が待っているのかと、あるいは現象としてあるのかということを、農村地帯ですから農業事情をとらまえてみますというと、農業青年がどういう状況であるのかということを一つの事例をもって御紹介いたしますと、県が調査いたしました、これは発表になっておりますけれども、平成2年度沖縄県農業青年実態調査、こういうのがございます。
 この資料によりますというと、年間約150日以上農業に従事しております青年が結婚しているかしていないかということをチェックしてみた。これはその地域のバロメーターですから、それをチェックしてみますというと、35歳未満の青年で既婚者の割合が南部地区では45%、これに対し北部地域では38%、いずれも農村地帯では嫁に来手が非常に少ないということが数字でわかるわけでございますが、加えて国頭村、大宜味村、東村のこの3村においては割合が24%、10人に対して2人半ぐらいしか結婚をしてないということで大変低調であり、関係市町村長が心配をしている。
 このことからもわかりますことは、過疎地域におけるいわゆる教育問題、学校問題、廃校にされる、あるいは児童数が少ない。それから病院、医療問題、それから特に雇用問題、こういう悪条件が重なり合って人ロ、さらに嫁問題の難題があるわけでございます。
 さて、ここで質問の第1点でございますけれども、今後、ヤンバルにおきます広域プロジェクト、例えば北部市町村振興会からお願いがあります北伸道路をぜひつくってくれということ。それからこの北伸道路をつくる場合に、先ほど網がかぶさっているということを申し上げましたが、これと第4条第3項2号との関連をどう考えるのかなということが第1点でございます。
 さらに、今後の広域にわたりますダム開発との関係をどう考えるのかと。
 質問の第3点でございますが、国頭3村は国有林、県有林、さらに軍用地、ダム用地、こういうのがたくさんありまして、この条例で言う保護動植物の生息分布でもって、今後、地域活性化のための用地が大変少なくなって、ますますいびつになってくるのではないかと、開発可能地が少なくなってくるのではないかということでございます。
 あわせて、今後の3次振計を含めてこういう矛盾とどういう対処をしていくのかと。
 質問の第4点でございますが、第4条第3項2号が北部地域におきまして、西表の縦断道路、ヤマネコ関連、2つ目に全国植樹祭、木を切ってはならないということ、3つ目に新石垣空港、サンゴとの関連、このように開発においてこういうものが開発阻止の道具になっては大変だとかように思います。このことについて知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、質問の第3番目でございますけれども、恩納村におきます都市型戦闘訓練施設の移設についてでございます。
 恩納村と金武町には4つの連山がございます。一つはブート岳、一つは金武岳、伊芸岳、そして4つ目に恩納岳でございます。この山々は東西南北、あらゆる角度から実弾が撃ち込まれて既に40年有余にわたります。疲れ果てましたこの4つの山々は、悲しみの涙を常時流して、その涙が恩納村の海に、金武湾に注がれている、これが赤土であります。血の涙であります。
 ちなみに、地域の私たちが確認できる実弾演習を見てみますというと104号、329号、58号、この周囲から、この4つの山々に撃ち込まれていると。ピストル、ライフル、それから9つのレンジ。さらに軍特委で確認をいたしましたが、金武町ではタコつぽ。4つ目に都市型の施設。このブート岳を中心とする地域住民は、かつて金武町伊芸に起こりました事故を心配し、こういう写真で見るような、3枚の写真を持っておりますけれども、写真で見るような反対運動を展開してございます。(資料を掲示) この警官に連行されている、あるいはゴボウ抜きされている諸君は、3人とも恩納村議会議員で大変まじめな方々でございます。今日になって大変憤りを感じている次第でございます。
 さて、今度予定されております、あるいはうわさをされております喜瀬武原、安富祖のうわさの予定地につきましては、現在の地点から約3キロ、そして同じようにみゆきホテル、大京ゴルフ場、それから宇宙開発センター、その地域からわずか2キロしか離れていない、あるいは1.5キロしか離れていない。そういう地域に並行移動するということについては、またもこういう涙の闘いを強いられるのではないかと、私たちはこのように思うわけでございます。
 ところで、質問の第1点でございますが、訪米要請の中で、これまで申し上げた実弾演習の廃止につきましてはどこで、どのように知事は要請をしていただいたか。
 2点目に、要請に対する返事を県民に詳しく、特に地域の皆さんにお聞かせ願いたいなと。
 3点目に、知事の訪米帰任早々、同村内にいわゆる安富祖、喜瀬武原の地域に移設をすると、こういううわさが流れて地域住民は危機感を持っております。知事は、訪米効果とこのことにつきましてどういうふうに思われるか。
 質問第4点目、訓練は廃止すべきであり、防衛庁の予算計上はすべきではたいと、こういう要請を国に対しても再三再四やっていただきたいが、その姿勢をお伺いしたい。
 後で再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 喜久山盛忠議員の御質問にお答えいたします。
 まず、県土保全条例との関連で、第4条第3項2号が、北部地域において開発または建設阻止の道具になっては大変だと心配しているが、このことについて知事はどう思うかという御質問にお答えいたします。

 今回の条例改正は、自然と調和のとれた開発を推進し、県及び市町村の土地利用計画との整合性を図ることにより、開発行為の適正な誘導を目的とするものであります。
 したがいまして、地域振興に必要な諸開発については、条例の趣旨を踏まえ、関係市町村と連携を密にしながら乱開発を防止し、地域と調和のとれた適正な開発を推進するものでありますので、御理解を賜りたいと思います。
 次に、恩納村における都市型戦闘訓練施設の移設問題と関連して、訪米要請の中で実弾演習の廃止についてどこで、どのように要請したのかという御質問にお答えいたします。
 今回の訪米において要請したところは、ワシントンでは国務省、国防総省、海兵隊司令部及び連邦議会上下両院、またハワイでは太平洋統合軍司令部であります。また、ニューヨークの方では国連の日本大使の方にも要請いたしました。
 まず、国務省では、アンダーソン国務次官補代理、それから国防総省では、マクデビット東アジア及び太平洋地区担当部長、それから海兵隊司令部ではマンディ総司令官、そしてスタックポール作戦部次長にお会いしましたが、上院では軍事予算小委員長のダニエル・イノウエ議員、アカカ議員、下院では軍事施設小委員長のパトリシア・シュローダー議員、ビル・グリーン議員及びパティ・ミンク議員等にお会いして要請いたしました。
 また、そのほかに前駐日米国大使のマンスフィールド氏や日本大使館、現地のマスメディアなどにも、実弾演習がいかに住民に不安を与えているかということについて率直に説明し、そしてその即時中止を要請いたしました。
 とりわけ、恩納村の方は沖縄が一番力を入れているリゾート地域でございますので、私は率直に、万が一でも県外からのお客さんに事故でも起こすようなことがあったら、それこそ沖縄のイメージがたちどころにダウンしてしまうので、ぜひこの問題は解決していただきたいということを強く要請してございます。
 それから、恩納村の都市型戦闘訓練施設の移設について、要請に対する返事はどういうものだったかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 要請に対する返事としては、国務省、国防総省及び海兵隊司令部等では必ずしも同一の文言ではございませんけれども、全般的に申し上げまして沖縄の基地は、日米安全保障上からもまた戦略的にも依然として重要であるが、不要な基地については即時返還してもいいと。日本政府と話し合ってほしいし現地の軍には、県民と問題を起こさないように指導しているという趣旨の返事がありました。
 そのほかに、議会議員の方からは、基地の見直しをちょうどこれから始めようとするところだから、いい時期に来たと。今後もそういう要請は繰り返しやってほしいという激励を受けたほか、特にハワイ選出のイノウエ議員は、その議員が委員長を務めております軍事予算小委員会の方でも取り上げてみたいということをおっしゃっていましたし、先日も申し上げましたようについ最近来ました手紙においてもそのようなことを書いてございます。
 また、ハワイ選出のミンク議員は、米議会で沖縄の基地の実情について証言する気はないかというふうに言っていただきまして、もしそのような機会をつくってもらえるものとすれば、私は、私か県の代表がぜひやってみたいというふうに考えております。
 それから、知事の訪米帰任早々、戦闘訓練施設の村内移設のうわさがあり、地域住民は危機感を持っていると、知事は、訪米成果とこのことについてどう思うかということでございますが、お答えいたします。
 県は、本件に関しては、これまで5度にわたる県議会での意見書の採択や移設に反対する地元の意向等にかんがみ、当該施誤の撤去について、さきの訪米の際にも、また現地司令官に対しても強く申し入れてきたところであります。
 しかしながら、国においては、当該施設の現在地から他の場所への移設を検討しているようであり、まことに遺憾に思っております。
 県としては、当該施設の撤去について引き続き国や米国側に対し、粘り強く訴えていく考えでございます。
 それから、移設予算は計上すべきでないという要請を国になすべきだと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 恩納村における都市型戦闘訓練施設につきましては、これまで繰り返し関係機関に対し、その撤去を要請してきたところであり、さきの訪米においても強く要請してまいりました。国に対し予算を計上するなという形の要請が適切かどうかわかりませんが、私としましては当該施設については引き続き撤去の姿勢を堅持し、同様に対処してまいりたいと思っております。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解をいただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 県土保全条例に関する喜久山議員の質問にお答えいたします。
 今後、予想される広域プロジェクトと今回の条例改正との関連についてお答えいたします。
 知事から基本的なことはお答え申し上げたところでございますが、今回提案いたしました県土保全条例の一部改正は、風致景観の維持、自然環境の保全、水源の涵養等を図るため必要な森林を保存するとともに、県及び市町村の土地利用計画との整合性を図ることにより乱開発を防止し、地域と調和のとれた適正な開発を推進しようとするものでございます。
 御指摘のとおり、北部地域の振興を図るためには公共事業はもとより、各種のプロジェクトを推進することが必要であると考えます。したがいまして、北部地域の振興を図る上で必要とされる諸プロジェクトにつきましては、条例の趣旨を踏まえつつ、地域特性を生かした開発が推進される方向で検討すべきであると思っております。
 ダム開発計画は、条例改正の趣旨に相反するのではないかという質問にお答えいたします。
 県土保全条例の目的は、無秩序な開発を防止し、安全で良好な地域環境を確保することにございます。
 ところが、ダムの整備など公共事業につきましては御案内のとおり、この条例は適用除外されており、直接的には適用されるものではございません。
 本来、公共事業につきましては、地域の振興や県民福祉の増進を図る観点から、一般的には他の土地利用に優先して推進する必要があると考えます。しかしながら、このような公共事業につきましても、なお一層、自然環境保全に留意してより適正な事業執行を心がけるべきであると思っております。
 次に、国頭3村は開発用地が少なく、これでさらに規制されますと過疎化がさらに進むと心配されるが、3次振計を含めてどう対処するのか、こういう御質問にお答えいたします。
 国頭3村は、美しい海浜と豊かな緑に包まれた山村特有の自然景観がございますし、今後の開発整備によりましては一層の発展が期待される地域でございます。
 このことから、今後、地域の過疎化を防止し地域活性化を図るためには、その恵まれた自然環境を適切に保全活用することを基本といたしまして、農業や水産業の振興及び関連加工業の育成に努め、豊かな自然と風土を生かした多様な観光レクリエーションの場や、国際的水準の観光リゾートの形成を図るとともに、日常生活の広域化、産業の進展等に対応した交通通信体系の整備、医療、福祉、教育、文化等の諸施設の整備拡充を図り、圏域が一体となった活力ある生活圏の形成が必要であると考えます。
 このような基本的な考え方に立ちまして、3次振興開発計画の県案に北部圏域の開発方向を位置づけるとともに、県土保全条例の運用に当たりましては、その実現が図られるよう配慮すべきであると考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 喜久山盛忠議員の御質問にお答えいたします。
 園芸施設の災害対策との関連で2点ほど御質問がありますので、まず第1点目の園芸施設共済の仕組みについてでございますが、園芸施設共済制度は、農業者が不慮の災害によって受ける損失を補てんし農業経営の安定を図り、農業生産額の発展に資することを目的とした任意の共済事業でございます。

 加入資格要件といたしましては、施設面積が2アール以上の規模を対象としておりまして、附帯施設あるいはまた施設内の農作物についても農家の希望によりまして加入ができるような仕組みになっております。
 掛金の2分の1は国が負担し、残りの2分の1につきましては受益者が負担するという形になっております。
 なお、被害を受けた場合、被害額の8割が共済金として被害者に支払われると、そういうことになっております。
 2点目の加入の状況でございますが、先生からもお話がありましたように平成元年度から新しく発足した制度でございますので、平成2年度現在、施設の棟数1万4921棟ございますが、そのうちの1691棟が加入して、パーセントにいたしまして11%の加入率と、こういう状況でございます。
 なお、本事業は、平成元年度から開始されているため加入率が低い状況にございますので、引き続き制度の普及徹底に努めまして加入率の向上を図ってまいりたいと、こういうように考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 喜久山盛忠君。
   〔喜久山盛忠君登壇〕
○喜久山盛忠君 安富祖、喜瀬武原への移設の問題につきましては、耳新しいことだというふうに理解をいたしておりますが、これ以上、同村内での移設の問題、実弾射撃の問題があってはならないということを心に秘めてぜひ要請をお願いしたいと思います。
 なお、共済につきましては支払い時期等について準備体制を整えてもらいたい、お願いをいたします。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時44分休憩
   午後1時28分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 仲松昌彦君。
   〔仲松昌彦君登壇〕
○仲松昌彦君 こんにちは。
 名門我が母校琉球大学から尚弘子先生をお迎えいたしまして県政問題を一緒に議論できるのは、大変すばらしいことだと思っております。どうぞひとつ頑張ってください。
 通告に従いまして一般質問を行います。
 まず、知事の行政運営、政治姿勢についてであります。
 この10カ月間の知事の行政対応を見てみますと、行政の何たるかを知っているのかいないのか、疑いたくなるほど行政の一貫性が全くないというのが本員の率直な感想であります。
 女性副知事は女医であることという任命要件はどうなりましたか。
 全国植樹祭会場変更の経費節減という理由が、どうやら守られそうにないということがこの時点ではっきりいたしました。
 消費税を廃止すると公約したことが実現不可能となり、老人医療を無料にすると公約したが、それが制度上実現できないということをようやく自覚した知事は、ついに県民に陳謝せざるを得ない事態にまで立ち至りました。
 新石垣空港建設も住民合意というまやかしの手法によって、いつ着工できるか不明であることなど、県民の間に行政不信がはびこっております。
 さらに最近になっては、外交の現実を無視してワシントンDCに県事務所開設構想のアドバルーンを高々と打ち上げたり、我が党の西田議員の指摘に見るように離島の振興について1次、2次振計で見るべき成果はなかったなど不用意な発言をするなど、3次振計の策定を控えたこのときに思慮の足りない言動が目立ちます。
 私が思うに、大田知事は行政の秩序、継続性をわきまえず、とにもかくにも西銘前県政とは異なったことをしたい、こういう一点に固執して、いたずらに新奇をてらうというのか、背伸びをしていると、こういうふうに感じているところです。
 激しく対峙し対決した政敵であっても、県民のためになる仕事に対しては素直に称賛を送り、これを継続させ、その上にみずからの個性を積み上げていくことこそ望ましいリーダーの要件ではないだろうか。みだりに平和という言葉を乱発し、行政的対応の手法を示さずにお年寄りを大切にするというリップサービスを重ね、それでいて議会においては言を左右にしてその場をしのぐ姿勢は、沖縄の将来を決定する本年度の課題に果たして十分対応できるのか、失礼ながらまことに不安と不満を覚えざるを得ないのであります。
 大田知事の基地問題に対する対応力、熱意についても本員は非常に疑問を持っております。知事は、基地の全面撤去を唱え熱心に基地問題解決を口にしている割には、現実の行政行動は言っていることとは裏腹です。フィリピン・クラーク基地閉鎖と沖縄基地の関係について訪米直訴の際、大田知事は多くの関係者が沖縄ではないと思うと発言しており、現時点では不安はないと述べ、シュローダー下院軍事施設小委員長も、多分心配は要らないだろうと述べていると、マスコミは報じております。
 ところが、現実に輸送機と兵員が移駐してきております。これにつき県は、日本政府に対し要請文書を県東京事務所長を通じて手渡したのみで、何ら効果的な具体的行動を起こしておりません。
 政府は、一時的な移駐だと説明していますが、事は重大な問題であります。知事がアメリカでお会いした上下院各議員も、もっと日本政府に言うべきだと明快に指摘しています。
 このような場合は、知事みずから外務大臣やあるいはしかるべき権限を持った人に直接会って強力に沖縄側の主張を展開すべきであると思います。今回、これを行わなかったのはなぜか。今後、どのように対応するか、まずこの点を知事にお伺いいたします。
 知事の政治姿勢についての2点目、我が県は来年いよいよ復帰20周年を迎えることになりました。これに関連するいろいろの記念事業が企画されております。復帰20周年という歴史的節目に当たり、基地問題前進のため知事は特別な行動計画を持っておられるか。
 例えば、今回の大田知事の訪米のように、あるいは尚新副知事をアメリカに派遣するとか、あるいはまた米軍基地の影響調査をするとか、こんなものであります。
 復帰の際、政府は本土並み返還を約束したのにかかわらず、19年余を経た今日なお、過重の基地の重圧にあえいでいる実態に着目するならば、基地問題を県政の最重要課題に位置づけている大田知事としては、節目の年にこれまでと一味違った行動力とアイデアを打ち出してもいいのではなかろうか、こんなふうに思うわけであります。知事の御決意のほどをお聞かせ願いたい。
 次に、今回の大田知事の訪米に関連いたしまして、我が党の代表質問との関連でございますので質問いたします。
 第1、米国政府へ要望した諸事項について、外務省を初めその他の政府機関、駐日米大使等の関係者に対し、訪米の結果について説明し、理解と今後の協力を要請することは、今後の基地問題解決に向けての必要なプロセスであると思います。知事は、今回の訪米の結果について、これら関係者に説明されたのかどうか。もし、まだ行ってないとすれば、それはなぜか。その必要性はないということなのか。
 また、既に説明しているのであれば、どなたに説明したのか。そしてどのようなコメントがあったのか、御説明を願いたい。
 知事の自信と期待とは裏腹に、米マスコミ界の反応はいまひとつであったような感じがいたしますが、知事は事あるごとに米マスコミ界に100人の人脈があると豪語しています。沖縄県の最重要課題である基地問題をひっ提げ、責任と権限を有する一方の当事者である国務省、国防総省に直訴することは、まさに課題解決を一歩前進せしめる千載一遇の機会であり、このようなときこそこれまで培ってこられた知事の人脈をフルに活用し、最大の効果をねらうべきであります。
 そこで質問いたします。
 今回の知事訪米の際、知事御自身の米マスコミ界の人脈をどのように活用されたか、差し支えなければ具体的な氏名とその職務と役割、活用された効果等について御披露願いたいと思います。
 次、行政は、最少の経費で最大の効果を上げることが鉄則です。このような観点に立って、訪米に際し時期、交渉相手、要請事項等について知事は十分なる検討をされたと思います。報道によれば、米ソサミットの時期とぶつかり要請行動がスムーズに運ばなかった面もあったようであります。

 知事は、訪米時期を設定するに際し、効果の面からどのような点を考慮されたか。世界、米国、日本、沖縄を含めどのような情勢認識のもとに時期を決断されたか、御説明を願います。
 次、ワシントン沖縄事務所開設について、知事は国際交流、人的交流、基地関連の情報収集等を主たる業務内容と説明いたしております。
 前県政は、南米諸国との地理的関係、県人会との接点などの面からロサンゼルスに立地することが好ましいとの判断に立っておりました。国際政治都市であるワシントンDCに設置して、果たして所期の目的達成ができるのか、非常に疑問を感じているところであります。
 そこで質問をいたしますが、1点、ワシントンDCに開設する理由と根拠、メリットは何か。ワシントンDCはいかなる地域条件にあり、目指している目的事項とどのように結びつくのか、具体的に説明をされたい。
 2点目、国際交流、人的交流、基地関連情報収集のうち、あるいはそのほかに項目があればそれも含めてでありますが、どの項目に最も重点を置くのか、知事の関心度、力点に弱点あるいは優先順位があるとすれば、それは何か、御説明を願いたい。
 フィリピンのクラーク基地閉鎖に伴う嘉手納基地への機能肩がわり問題について、知事は具体的にだれに要請したか。相手方のコメントはどうであったか、説明をお願いいたします。
 次に、情報公開条例についてでございますが、細かい点は委員会で行いたいと思いますが、基本的な事項についてだけ知事の御所見をまず承っておきたいと思います。
 第1点目、西銘前県政当時の野党案では、日本国憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障する云々と規定いたしまして学説上、判例上も未確定概念である知る権利を憲法上の基本的人権の一つであると明確にうたっておりました。
 今回提案された沖縄県情報公開条例案の表現を見ますと、知る権利をどのようにとらえているのか、必ずしも明確ではありません。
 そこで知事にお伺いいたしますが、知る権利とは何であるか、その意義と憲法上の位置づけについて御説明を願いたい。
 もし、知る権利なるものを前県政時代の野党案のように解するとすれば、請求権者を住民や利害関係者に限定せずに、何人に対しても請求権を認めるものでなければ論理的た整合性はないと思います。けだし、知る権利が憲法上の基本的人権の一つであるとするならば、知る権利の主体は国民のすべてであり、請求権の主体を特定地域の住民や利害関係者に限定すべき理由はないからであります。
 なお、利害関係者を公開請求主体とすることは合格上、いわゆる広義の住民説と言われておりますが、大都市圏のように職場と住居の接近が望み得ないような状況の中では、通勤通学者が幾つかの地方自治体の区域にまたがって通勤通学することはむしろ常であるし、あるいは病院や文化施設等の利用の実情も、必ずしも住民の居住区域に限定して行われていない。そういう実情のあるところでは当を得たものでありますが、我が県の実情として利害関係者を請求主体に含めていいのかどうか、私は非常に疑問に思っております。
 ちなみに他府県の例を見ますと、利害関係者を請求主体に含めているところは東京、大阪、神奈川の大都市圏の団体のみであります。
 しかし、情報公開請求者をどの範囲にするかは、立法政策上の問題であって、各自治体が実情に応じて決定するものであり、いずれにも一長一短があって一概によしあしは断定できませんが、条例全体としては整合性がなければなりません。そのような観点に立っての質問でありますので、さよう御承知の上、御答弁願います。
 請求者が利害関係者の場合は、公開請求書に利害関係の具体的内容も記載する必要があり、その認定に当たっては、利害関係の有無及び請求者と求められている情報との関連性の確認が当然必要となってまいります。
 これは運用上の問題ですが、実施機関の真意と認定の整合性を確保するためにも利害関係者の概念を解釈上明確にし、具体的な認定基準をつくる必要があると思います。この点に関し、県はどのような基準を考えておられるのか、利害関係者の概念を明確にお示し願いたい。
 最後になりますが、知事は行政オンブズマン制度の導入を既に打ち出していますが、情報公開条例と行政オンブズマン制度とはどのように関連するのか。具体的にはいつ、どのような内容で制度を確立するのか、今後の見通しについて御説明をいただきたいと思います。
 以上でございますが、後でまた再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 仲松昌彦議員の御質問にお答えいたします。
 まず第1番目は、基地問題との関連で訪米の際、知事は、クラーク基地からの移駐はないものとの回答を米国要人から得たとしていたが、実際は沖縄に移駐してきたと、知事に約束したことがほごにされたのであるから、知事の政治的立場は重大であると、このような場合、みずから権限ある人に会って抗議すべきだと、これをしなかった理由と今後どうするのか、説明願いたいという御質問にお答えいたします。
 訪米の際、お会いした米国政府等の要人は、クラーク基地からの移駐についてアラスカ、グアム等が考えられている、あるいはクラーク基地の閉鎖後どうするかは国務省、国防総省で検討中沖縄への移駐については聞いていない、クラーク基地の移駐先は検討中であると、クラーク基地閉鎖後の移転先はまだ決まっていないが、グアム、アラスカなどが候補に上がっている等々いろいろとその文言が異なっておりましたけれども、私に対して、クラーク基地閉鎖後に沖縄へ移駐するということを発言した人は1人もおりませんでした。
 しかしながら、一時的とはされているものの、沖縄への移駐があったことは本県の基地の現状からしてまことに遺憾なことであり、これまで2度にわたって現地米軍を初め日米両国政府の関係機関に対し移駐を中止するよう要請したところであります。クラーク基地を含め在比米軍基地の閉鎖等に伴う沖縄への機能移転につきましては、そういうことがないよう今後とも強く反対していきたいと思います。
 先日もお話ししましたように、この問題についてはまだ決定を見ていないという趣旨の手紙もきております。
 それから、知事は復帰20周年に当たり訪米直訴するか、基地の実態調査をするなどと一味違った特別な行動計画があるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、就任以来、基地問題の解決を最重要課題の一つに掲げてきてこれまで軍事演習の中止や米軍基地の整理縮小、撤去を求める県民の願いを酌み取り、今後とも基地のない沖縄県を築くため最大限の努力を続けてまいりましたが、これからも同様の決意でもって取り組んでいきたいと思います。
 御提言のように尚副知事を派遣するとか、そういうことも必要とあれば検討していきたいと思いますが、特に力を入れたいと思っておりますことは、沖縄の基地の実態についてアメリカの人たちがよく知ってないと、政府の、いや議会の方々も十分に知ってないということを痛感いたしましたので、さきにビデオをつくってそれを持っていって見ていただきましたけれども、これからも同じようなこと、とりわけ恩納村の問題につきましてはビデオ等を製作して、そして英文資料をたくさんつくって繰り返し繰り返し発送するなどして訴えてまいりたいと思っております。
 それから、知事は米国政府へ要望した事項について、関係省庁や駐日米国大使館等の関係者に対し訪米の成果を説明し理解と協力を要請する必要があると思うと、これらの関係者に説明したのか、もし会っていないのであればその理由は何か、また会ったのであればだれに会い、どのようなコメントがあったのかという趣旨の御質問でございますが、御質問の件につきましては、9月10日から11日にかけ知事公室長を通して外務省や防衛施設庁、駐日大使館の関係者にお礼をいたしました。その際、訪米結果の概要書を差し上げ説明を行ったところでございます。
 なお、私からは書面によるお礼を差し上げておりますが、直接お会いしてお礼はしておりません。それは、訪米後の事務処理やその他の公務が多忙によるものでありますので、御理解いただきたいと思います。

 また、アメリカの領事館関係の方々からは、知事の折衝の趣旨がよくわかったと、アメリカの政府関係筋からそういうコメントをいただいているということの連絡もいただいております。
 それから、知事は米マスコミ界に100人の人脈があると豪語している、今回の訪米の際、マスコミ界の人脈はどのように活用されたか、具体的な氏名とその役割、効果等について披露願いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私が選挙戦の期間にアメリカに100人の人脈がいると言っているのは、これまで長いことアメリカにおりましたので、私の研究活動を通して、またその他もろもろの活動を通しましていろんな分野にいるということを申したわけでありまして、マスコミ界だけに限定したものではございませんので、御理解いただきたいと思います。
 そして今回訪米しましたときには、実にたくさんの方々にお会いいたしました。例えば、前に沖縄の総領事をしておりましたノールズさんとかリチャードソン、あるいはUSCAR時代の広報局長をしておりましたバーツさんとか、渉外局長をしておりましたフライマスさんとかサンキさんとか、それからマスコミ界につきましては、まずUPI──アメリカの通信社、それからAP、公共放送のラジオの部門で直接みずからラジオを通してアメリカの国民に訴えました。読売新聞の特派員とか、それから朝日、共同、時事通信社の特派員、そしてNHK、それからニューヨークタイムズの論説委員、それからワシントン・ビューローの支局長、それからネイビー・タイムズ、ワールド・ワイド・テレビジョンニューズ、そういった多くの方々とお会いしておりますが、とりわけロサンゼルスの羅府新報では英文で、私などの期待をはるかに上回るような報道をしていただきました。それから、有名なロサンゼルス・タイムズにも沖縄県の資料を届けて編集局長にお願いするなどしております。
 それから、知事は訪米時期を設定する際、効果の面からどのような点を配慮したのかと、世界、米国、日本、沖縄を含めどのような状況認識のもとに時期を決断したのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、知事就任後、なるべく早い時期に訪米し、沖縄の基地問題を直接訴えたいとの意向を表明し、アマコスト駐日大使ともその旨について御相談申し上げましたけれども、ちょうど湾岸戦争によってその時期の決定が容易でなくて延び延びになっておりました。幸い湾岸戦争が終結して米国内の状況もよくなり、アメリカ側の方に打診いたしましたら、まだ十分とは言えないけれども、時期的にはもう大丈夫だろうという御返事もいただきましたので、去る7月19日から2週間余にわたってアメリカを訪問し、先ほど申し上げたような折衝をいたしたわけでございます。
 御承知のように、訪米の時期の決定につきましては相手があることでございますので、相手側の意向というものを最優先に考えると同時に、また私がここで県を留守にすることによって、日本政府に対する折衝とか、そういうものが遅滞することがないような、まずそういう点を一義的な考慮に入れて時期を定めたわけでございます。
 次に、同じく訪米との関係で、クラーク基地閉鎖に伴う嘉手納基地への機能肩がわり問題について、知事は具体的にだれに要請したのかという問題でございますが、ワシントンにおいては国務省のアンダーソン国務次官補代理、シュローダー下院軍事施設小委員会委員長、アカカ上院議員、グリーン下院議員、ミンク下院議員、それからダニエル・イノウエ上院議員でございますが、国防総省の東アジア及び太平洋地区担当部長のマクデービッド少将、海兵隊総司令部のマンデイ総司令官、スタックポール中将及びハワイにおいては太平洋軍司令部戦略計画次長のウォン准将でございます。
 私としましては、司令官にお会いしたいということでございましたけれども、ちょうど海外出張中で、今のウォン准将に会っていただきました。米国の行政府、立法府の要人10名余りとお会いしております。
 それから、クラーク基地の沖縄への機能移転に関する懸念を強くその際に表明しておりまして、その点につきましては、例えばアンダーソン次官補代理は、クラーク基地の移駐先はまだ決定ではないけれども、アラスカまたはグアムなどが考えられるという趣旨のお話を伺いましたし、シュローダー委員長は、クラーク基地の閉鎖後どうするかは国務省と国防総省で検討している段階で、沖縄へ移駐するということは聞いていないという御返事がありました。
 イノウエ委員長も、移転先はまだ検討中であるということで話しておられましたし、太平洋区域司令部のウォン准将は、移転先はまだ決まっていないが、グアム、アラスカなどが候補に上がっているという趣旨の御発言をいただきました。
 それから、ワシントン事務所の開設についてでございますが、ワシントンDCに開設する理由とその根拠について、いかなる地域条件があって、それが目的事項とどう結びつくのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県事務所の設置場所につきましては、事務所を設置する目的によって左右される点が非常に多いのは当然でございますが、ワシントンDCに考えておりますことは、まず、そこにはアメリカの政府機関や世界中の報道機関が集中しているということ。それから新聞社なども非常に米軍の政策についてワシントンポストとか、ニューヨークタイムズ、そういったアメリカの代表的新聞が集中しているし、それからその他のテレビメディアもそこに集中していて、米軍基地に関する情報収集及び提供が非常に容易に行えるということ。それから国際交流の点から申しましても世界中の機関がワシントンに集中しておりますし、またアメリカにおります県系人とのネットワークづくりも、ロサンゼルスよりは全国的にカバーするためにはワシントンの方がはるかに有利であるということ。それから通信施設が24時間オープンの施設があって、それがいつでも、もし事務所を置くことによって利用できるということなど、ロサンゼルスその他の地域に比べてはるかに有利であるということが私がワシントンに置きたいとしている理由でございます。
 それから、ワシントン事務所の業務内容のうち、どの項目に重点を置くのか、また知事の関心度、力点、優先順位について説明願いたいという御質問にお答えいたします。
 県事務所の所掌業務としては国際交流の促進、県系人とのネットワークの拡充、貿易、経済の情報収集、米軍基地に関する情報収集や沖縄における米軍基地の実態についての広報活動などを予定しておりまして、具体的内容につきましては、他の事項もあわせて現在慎重に検討しているところでございます。
 そういうこれまでの動きに関連いたしましてアメリカの方から手紙が最近参りまして、先ほど嘉数知賢議員からフィリピンの戦争花嫁の問題がございましたけれども、実は、アメリカに花嫁として嫁いだ県人の人たちが、家庭を離れて非常に苦労している人たちがふえてきているという事実があるようでございまして、そういう人たちの世話も何らかの形で県の方で考えていただけないかという要請も受けておりますが、そうした県系人のネットワークづくりだけではなくて、もしでき得れば、そのように県出身者の方々が非常にお困りの場合ですと、何らかの形でヘルプできないかということなども考えております。
 これらの主な目的の中でどれを優先するかということについて申しますならば、今のところどの分野も非常に重要だと私は考えておりますけれども、ただ一義的に基地問題をどうしても解決したいという気持ちが強うございまして、その前進を図るためには基地の問題の解決により有利な場所ということで優先させていただきたいというふうに考えております。
 ただし、その場合も交渉の仕方というのは、先日も申し上げましたように決して外交交渉といったものではなくて、当事者である、現実に被害を受けるとすれば、その地域の行政の責任者としての自治体交渉の範囲に限ってなされるものでございます。
 それから、情報公開条例との関連で、知る権利の意義と憲法上の位置づけについて説明願いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。

 知る権利は、多様な概念を含んでおりますが、情報公開制度における知る権利は、民主主義の基本となる住民の行政参加を促進する上で、住民が行政情報を十分知り得ることが前提となることから求められているものであり、行政に対する情報の公開を請求する権利としての知る権利を意味していると理解しております。
 このような意味での知る権利について、日本国憲法に明文の規定はないものの、国民主権に基づく民主主義の原理、表現の自由の尊重、さらに自治体レベルにおいては地方自治の保障などの憲法の基本理念から導かれる権利であると考えられます。
 しかしながら、憲法の規定を直接の根拠として公文書の公開請求権を行使し得るとは解されておらず、そのためには法律または条例による立法措置が必要であります。
 すなわち、情報公開条例は、このような知る権利を公文書公開請求権という具体的な権利として保障するものであると理解しております。
 本条例案は、このような観点から条例に前文を設けまして、「県民の知る権利を実効的に保障するとともに、地方自治の健全な発展に寄与する」ことを条例制定の理念として宣言したものであります。
 なお、御参考までに申し上げますと、大阪府及び京都府の条例も同様な趣旨から前文を設け、知る権利を条例制定の理念として掲げておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、よろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 総務部長。
   〔総務部長 新垣勝市君登壇〕
○総務部長(新垣勝市君) 仲松昌彦議員の御質問にお答えいたします。
 まず、情報公開条例における請求権者としての利害関係者の概念及びその認定基準を明確にしてもらいたいとの御質問でございます。
 今日の行政は、御案内のとおり広域化しておりまして、県民以外の者にも影響を及ぽしている場合が少なくありません。したがって県民でなくとも、県の行う事務事業に利害関係を有する者からの公文書の公開請求につきましては、これに応ずることが適当であると考えております。
 こうした趣旨から、利害関係を有する者とは、実施機関が行う事務事業により自己の権利、利益等に直接影響を受け、または直接影響を受けるおそれのある者と考えております。
 具体的に申し上げますと、1つには実施機関による行政処分を受けた者、2つ目には公の施設の利用者、3つ目には県内に土地、建物を有する者などで自己の権利、利益等に直接影響を受け、またはそのおそれがある者が該当するものと考えております。
 なお、このような考え方を基本に先行都道府県におきましても11団体が請求権者の範囲に利害関係者を含めておりますので、これらも参考にしつつ運用に支障がないよう具体的な解釈運用基準を定めてまいりたいと思います。
 情報公開条例との関連において、最後にオンブズマン制度と情報公開条例との関連及びオンブズマン制度の今後の見通しはどうかという御質問にお答えいたします。
 オンブズマン制度は、県民からの苦情を処理し、行政を監視すること等により、情報公開条例と相まって開かれた県政の推進に寄与するものと考えております。
 なお、オンブズマン制度の導入時期及び内容等につきましては、他の地方公共団体の実施状況等を踏まえ検討しているところでございます。
 以上でございます。
○仲松昌彦君 休憩願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後2時3分休憩
   午後2時4分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 先ほど申しましたように、9月10日から11日にかけて知事公室長を通して外務省や防衛施設庁、駐日大使館の関係者にお礼をいたしております。
 どうして外務大臣に会ってしなかったかということでございますが、事前に外務省ともよく打ち合わせておりまして、またアメリカにおいても駐米大使館と政治担当の方も一緒に同行しておりまして、その方々は本省にもちゃんと御報告をしておりますので、すぐに帰ってきて、いろいろと県政の課題が山積しておりまして、私が直接に外務省を訪問してやるという必然性というのはありませんでしたので、公室長にかわってもらったわけでございます。御理解いただきたいと思います。
 また、近々上京しますので、その節に改めて私の方からも御説明する所存でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後2時5分休憩
   午後2時7分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) おっしゃるとおり、すぐにどうして知事が上京して外務大臣に要請しなかったかということでございますが、この問題につきましては私は、移駐の事実がつかまりましたので、知事の文書としてすぐに対応するように東京事務所を通してまずやったわけでございますが、8月19日には米国総領事、それから現地のエラート少将、空軍のハード准将、それから中山外務大臣、それから防衛施設局長、そういう方々に、アメリカの方々とも和英両文でやりまして、また9月18日にはもう一度やっております。
 ですから、そういう点では私にできることを最大の努力を尽くしてやっておりますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 仲松昌彦君。
   〔仲松昌彦君登壇〕
○仲松昌彦君 大田知事、私が聞いているのは、どうも知事は、最近むしろ基地問題に対して、それは忙しいという理由は通りませんよ。きちっともっとやるべきだという考えを持っているんですよ。だからクラーク基地から嘉手納基地に移駐してきた、一時的とはいえこれは大変な問題なんです。それについて、ただ文書でやるということは、どうも私は腑に落ちない。もっと基地問題に対して真剣に取り組むという気持ちがあるならば、みずから外務大臣に会うなり、あるいは総理大臣に会うなりして知事みずからの心情を訴えるべきじゃないですかと、このことを聞いているんです。
 だから知事、次からまたこういう場合にはやりますとか、そういう前向きの答弁があってもいいと思うんですよ。文書でやりましたじゃ、これは答弁になりません。むしろ今の答弁を聞いておりますと、もう文書でやれば事は足りるという知事のむしろ後退した姿勢を我々は感じ取るんです。そのことを私は聞いているんですよく知事。現にそれは文書でやっておりますから仕方がない。しかし、今後のあなた自身の、知事自身の姿勢を明確にすることぐらいやっていいんじゃないですか。日ごろ、基地問題を解決すると大きな声で言っているわけですからね。そのことをやらなければいかぬと思いますよ。
 それから、前の県政の西銘知事は、昭和60年の訪米の際、その結果につきましては堂々と外務省、駐日アメリカ大使館に行きまして説明をして、こういうふうにして関係要路にやって、このような結果を得ましたと、ちゃんと説明しておるんです。そのことも知事はおやりになってない。どうも私は、知事の基地問題に対する取り組み、姿勢、熱意、対応力、これに私は大きな疑問を持っているわけです。
 今回の訪米結果につきましても、知事はちゃんと本土政府に説明をし、要請すべきだと思います。答弁を願います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 基地問題の取り組みについて弱いという御指摘でございますが、私は、今精いっばいの努力を傾けて、より効果的な方法を考えてやっております。そしてもちろん必要なときにはみずから外務大臣とお会いして、強く要請する決意はいささかも変わりませんので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 金城繁正君。
   〔金城繁正君登壇〕
○金城繁正君 さきに提出いたしました通告書に基づいて質問をいたします。
 南部地域(離島含む)における道路網の整備について伺います。
 私は、これまで一般質問あるいは委員会を通しましてこの問題を取り上げ、その実現方を強く求めてまいりました。

 南部地域の道路網の整備については、国、県の特別なる配慮によって国道やあるいは県道の一部の新設改良がなされつつありますが、他の地域に比較して道路網の整備が依然として立ちおくれております。地域の振興開発に大きな影響を与え、その抜本的な解決策が強く求められているところであります。
 特に最近、那覇市に近隣する町村を初め与那原、大里、東風平、具志頭の町村においては県営住宅の建設による人ロの増加に伴い交通量は年々増加の傾向にあります。道路網の新設改良は、関係町村から強く求められております。
 現在、南部の大動脈は国道331号と国道329号の2つがあります。しかしこれらの大動脈は南部の外周をサービスするものであり、さらに内陸部の基軸となるところの道路がないために那覇市近郊において慢性的な交通渋滞が余儀なくされ、これら道路交通渋滞を抜本的に解決するためには、内陸部における基軸となるところの道路の新設整備が必要であると考えるものであります。
 そこで、次の諸点について大田知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 第1に、昭和57年度から着手されました国道329号那覇東バイパスの進捗状況について伺います。
 第2に、国道329号与那原バイパスについて、平成4年度予算要求に新規事業として挙げられておりますが、その事業計画の内容についてどのようになっているか、また関係市町村との調整はどのようになっているか、あるいは事業着工のめどがいつごろになるか伺います。
 第3に、国道331号バイパス事業について伺います。
 平成元年度に豊見城バイパス、平成2年度に糸満バイパスが採択されました。関係市村では工事の早期着工が期待されております。同バイパスの進捗状況と平成4年度予算要求がどのようになされているか御説明を求めます。
 また、豊見城バイパスと最も密接な関係にあります豊見城村地先の開発についてお尋ねをいたします。
 県は、昭和63年11月2日に県、土地開発公社、豊見城村との間に豊見城村地先の開発事業、これは200ヘクタールの埋立事業でありますが、それに関する協定書が締結されております。その後、同事業についてどのように進めておらますか、その事業の進捗状況について伺います。
 第4に、那覇具志頭線バイパスについて。
 平成2年度から着手されました那覇具志頭バイパスは、那覇市仲井真から東風平町屋宜原までの4キロが計画されておりますが、東風平町以南の延伸計画はどういうふうになっているか、その内容を御説明願います。
 第5に、糸満─東風平─与那原を結ぶ主要地方道糸満与那原線と国道331号との間に南部地域の東西を結ぶところの新設横断道路が必要であります。また、関係市町村からも強くその新設が求められております。これを第3次振計にどのように位置づけて整備していかれるか、知事の明快なる御答弁を賜りたいと思います。
 第6に、主要地方道糸満与那原線の拡幅問題について伺います。
 糸満と与那原間を結ぶ主要地方道糸満与那原線は、本島南部の東西を結ぶ唯一の主要幹線であります。また、昨今の交通量の増大によるところの道路の拡幅整備が必要であると考えます。その計画はどのようになっているか伺います。
 第7に、県道137号線玉城─知念村と佐敷町のつきしろの街から佐敷小学校、国道331号を結ぶところの県道の新設について伺います。
 現在、佐敷町つきしろの街──人口が600人、小中学校生徒が115人──には、つきしろの街と国道331号の佐敷地区とを結ぶ道路がないために、地域住民は町役場を初め小中学校等の公共施設への往来に玉城村を経由し遠く迂回して、さらに新里で乗りかえするなど、町民は時間的ロスあ
るいは経済的負担を負わされ、日常生活に大きな不便を強いられております。同地域住民の日常生活の不便解消と地域の活性化を図る上から道路の新設が必要であると考えます。
 佐敷町においては、これまで県に対し、県道の新設問題について再三にわたって要請がなされておりますが、いまだに実現を見ておりません。
 同路線新設問題についてどのように対応していかれるか、知事の明快なる御答弁を賜りたいと思います。
 第8に、離島における道路網あるいは架橋等の問題について伺います。
 離島における道路網あるいは架橋等の整備については、離島苦を解消し、地域開発の促進、地域住民の定住化を図る上から極めて重要であります。
 粟国村における一周道路、これは約10.3キロの道路の建設、久米島仲里村の奥武島とオーハ島との架橋問題について数年前から強い要請があります。いまだに実現を見ておりません。この問題についてどのように対応していかれるか、また第3次振計にどのように取り組んでいかれるかお伺いいたします。
 次に、文化財の保存整備について伺います。
 沖縄は、古くから九州地区を初め、あるいは朝鮮、中国、東南アジアの文化を積極的に取り入れ、本県独特の文化を形成してきました。長年にわたり培われた沖縄の歴史と文化を正しく理解するとともに、これからの新しい文化を創造発展させていくためには文化財は欠くことのできない重要な資料であり、県民の共有財産であります。
 このような貴重な文化財を守り、末長く後世に残していくことは私たちに課された大きな責務であり、また日常生活の中で積極的に活用されなければなりません。
 現在、本県には国指定の文化財が93件、県指定が234件、市町村指定575件、合計しまして907件の文化財があります。そのうち、史跡については国指定が26件、県指定が53件、市町村指定が178件となっております。
 史跡等の文化財の保護については、近年、地域住民の強い関心を集めており、市町村においては地域の開発が進められる中で史跡及び埋蔵文化財の保護に万全を期するため発掘調査体制の充実あるいは史跡公有化及び整備等に係る国からの大幅な財政支出が強く求められております。
 そこで、次の諸点について大田知事並びに教育長にお尋ねをいたします。
 第1に、本県における国指定の史跡整備の進捗状況がどのようになっているか伺います。
 第2に、史跡等の環境整備事業費の拡大について。
 現在、史跡等の整備予算については沖縄開発庁一括計上分と文化庁の計上分とになっております。これまでの実績を見ると、昭和62年度約1億2000万、昭和63年度1億8600万、平成元年度において3億800万、平成2年度で3億200万というふうになっております。平成元年度からの
増額は、首里城跡の環境整備事業の着工によるものであり、これを除くと史跡整備事業費はおよそ1億5000万から1億8000万程度になっております。
 このような事業費で推移していきますと、本県における史跡整備は何十年という長期にわたることは明らかであります。
 沖縄は、去る第2次大戦で多くの史跡が破壊されました。また戦後は米軍施設構築のために取り壊され、さらに行政分離27年間のひずみというものは、本県文化財保護行政に大きな立ちおくれをもたらしております。
 史跡の整備は、当然、戦後処理の一環として取り上げるべきであると考えますが、知事の率直なる御所見を賜りたいと思います。
 また、沖縄県関係予算については、全国とは別枠を設定して財政の大幅増額が必要と考えますが、どのように知事はお考えであるか、率直なる御所見を賜りたいと思います。
 今後、第3次振計の中でどのように位置づけ、史跡等の整備を推進していかれるか、御所見を賜りたいと思います。
 第3に、専門職員の充実強化について。
 現在、地域開発を推進する中で、史跡及び埋蔵文化財の保護の万全を期するためには、それに対応する専門職員の拡充強化が必要であります。
 市町村における史跡及び埋蔵文化財の調査に対して十分なる対応がなされておりますか。
 聞くところによりますと、専門職員が少ないためにその対応に苦慮して、市町村における埋蔵文化財の発掘調査あるいは史跡等の整備が遅滞しているという声があります。たとえ行政改革による職員の定数削減といえども、業務量の多い部署においては増員をして適切なる対応策を講ずるべきであると考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。

 第4に、史跡等の総合整備計画の策定について。
 史跡等の公有化と環境整備は関係市町村の重要課題であり、これを計画的かつ総合的に整備するためには県全体の史跡等の総合整備計画を策定する必要があると考えます。その計画はあるかどうか。また、第3次振計で史跡等の整備をどのように取り組んでいかれるか伺います。
 第5に、県指定の史跡等の環境整備について。
 県指定の史跡等の公有化あるいは環境整備についてどのように進めておられるか、その現況について御説明を求めます。
 去る8月26日の新聞報道によりますと、自治省は、史跡や歴史的建造物など文化財保護法に基づき地方自治体が指定した文化財を保護するための単独事業に対し、来年度から財政支出することを決定されました。その報道に対し、関係市町村は大いなる期待をしております。
 今後、県指定の史跡等の整備をどのように進めていかれるか御所見を賜りたいと思います。
 時間の関係で、3の県立博物館の整備問題については次回に回します。
 答弁によって再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 金城繁正議員の御質問にお答えいたします。
 まず、南部地域における道路網の整備問題と関連いたしまして、南部地域の東西を結ぶ新横断道路についての考えはどうかという趣旨の御質問でございますが、新横断道路の建設につきましては、南部地域の土地利用計画及びその他の道路の整備状況等を勘案しながら、今後、慎重に検討してまいりたいと思います。
 それから同じく、南部地域の道路と関連いたしまして、佐敷町つきしろの街と国道331号とを連結する県道新設について県の態度はどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 つきしろの街と国道331号を連結する県道を新設するには、道路法に基づく県道認定が必要でありますが、道路網形成等の認定基準から判断すると極めて厳しい状況にございます。今後、道路網の見直しや開発計画等の動向を勘案しながら検討してまいりたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、文化財の保存整備問題との関連で、史跡等の整備は戦後処理の一環として取り上げるべきであると考えるが、知事の考えはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御案内のとおり、去る沖縄戦で数多くの貴重な史跡等が破壊されたことは極めて遺憾なことでございます。このような史跡等の復元及び保存、修理等につきましては、御提言の趣旨に沿って積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に同じく、文化財の問題と関連いたしまして沖縄関係予算については全国とは別枠を設定して大幅増額が必要であると考えるが、知事の考えはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 別枠を設けて大幅増という御見解に対しましては承っておきます。
 しかし当面、史跡等の環境整備事業費の拡大のためには、基本的には文化庁の補助費の増額を要請し整備を図っていくことが必要だと考えておりますので、その趣旨から精いっばいの努力をしていきたいと考えております。
 それから、史跡等の環境整備事業費の拡大との関連で、今後、第3次振計の中でどのように位置づけ、史跡等の整備を推進していくのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 第3次沖縄振興開発計画大綱では、貴重な文化遺産の保護継承を図るため、史跡、天然記念物等諸文化財の保存及び活用を推進すると定めており、この趣旨を踏まえて今後、国が策定する第3次沖縄振興開発計画の中で位置づけられるよう努め、史跡等の整備充実を図っていく考えでございます。
 他の御質問につきましては、関係部長からお答えさせますので、御理解をいただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 南部地域(離島含む)における道路網の整備につきまして、知事が答弁した以外の御質問にお答えいたします。
 まず、国道329号那覇東バイパスの進捗状況について。
 国道329号那覇東バイパスは、南部地域の交通緩和を図る目的で、那覇市上間の一日橋から那覇大橋までの延長4.7キロメートルにつきまして、昭和60年度より国において鋭意整備が進められているところであります。
 当該パイパスは、現在、用地取得を行っており、用地取得が済んだ区間については道路、橋梁等の工事を実施しております。今年度末には、明治橋から那覇大橋を経て鏡原までの区間について暫定供用できる予定と聞いております。
 次に、国道329号与那原バイパスの事業計画について。
 国道329号与那原バイパスは、国道329号の交通渋滞や与那原交差点の交通混雑の解消を図るため、国において平成4年度の新規事業として予算要求を行っているところであります。
 事業概要といたしましては、西原町との境界の与那原町与那原から南風原町与那覇までの延長約3キロメートル、道路幅員40メートルの4車線であります。平成4年度は調査設計に着手すると聞いております。
 なお、同バイパスルートにつきましては、与那原、西原町の合意を得ていると聞いております。
 次に、国道331号バイパスの事業について、豊見城バイパス及び糸満バイパスの進捗状況と平成4年度予算要求についてお答えいたします。
 豊見城バイパスにつきましては、平成元年度に国直轄事業として採択されておりますが、当該事業の道路用地については、豊見城村地先の公有水面埋立事業によって造成される土地を確保することとしております。そのため現在、土地開発公社において埋立申請に向け、豊見城村及び関係機関と鋭意調整が進められているところでございます。
 また、糸満バイパスにつきましては、平成2年度に国直轄事業として採択され、現在、調査設計等について糸満市と調整中であります。平成4年度事業といたしましては、両バイパスの実施に向けての調査設計を予定していると聞いております。
 次に、那覇具志頭線バイパスにつきましてお答えをいたします。
 那覇具志頭線バイパスの東風平町以南の延伸につきましては、現在、計画ルートについて関係町村と調整を行っているところでございます。その事業化につきましては、既に事業実施中の那覇市仲井真から東風平町屋宜原までの進捗状況を勘案しながら検討してまいります。
 次に、糸満与那原線の拡幅整備につきましてお答えします。
 糸満与那原線は、昭和57年度までに整備を完了しておりますが、糸満市や東風平町で部分的な拡幅や交差点改良を検討しております。その他の区間につきましては、今後の交通量の推移や道路沿線の土地利用の状況等を勘案しながら検討してまいりたいと思っております。
 次に、離島における道路、橋梁整備について、粟国村における一周道路の建設についてお答えいたします。
 粟国島一周線につきましては、同村から、地域の振興開発に大きく貢献する道路として早期整備の要請がありました。
 当該一周線は、村道であり、本来、村で実施すべきでありますが、検討した結果、過疎地域活性化特別措置法第14条に基づきまして村にかわって県が整備を行うことといたしました。平成4年度に事業採択できるよう国に要望しているところでございます。
 次に、オーハ島架橋に対する県の取り組みと、第3次沖縄振興開発計画での位置づけについてお答えいたします。
 オーハ島架橋につきましては、その必要性を十分認識しておりまして、現在、要請のある他の離島架橋も含め可能性調査を実施しているところであります。
 離島架橋は、離島苦の解消と地域開発の促進、地域住民の定住化、安定化を図る上で重要な施策であると受けとめており、第3次沖縄振興開発計画大綱の中でも離島架橋の建設等を推進することとしております。
 第3次沖縄振興開発計画におきましては、オーハ島架橋を含め、要請のある離島架橋の実現に向けて最大限の努力をしていく考えでございます。
 以上です。
○議長(平良一男君) 振興開発室長。
   〔振興開発室長 与那嶺敏光君登壇〕

○振興開発宣長(与那嶺敏光君) 豊見城バイパスと最も密接な関係にある豊見城地先開発事業の進捗状況はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 豊見城村地先開発事業は、南部糸満、豊見城地域一帯における交通渋滞を解消するための国道331号豊見城パイパス建設、中南部都市圏拡大整備の受け皿づくりたどとして行われる事業で、本島南部地域の振興を図る立場からその早期着工が強く求められております。
 県及び豊見城村は、平成元年度に豊見城村地先開発基本計画を共同で策定し、県土地開発公社を実施主体として同計画の事業化に取り組んできましたが、地域住民のコンセンサスが得られず計画の一部見直しが必要となり、現在、その見直し作業中であります。
 県といたしましては、南部地域の振興を図る立場から、地元のコンセンサスを得て早期着工が図られるよう努めてまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 文化財の保存整備問題に関連する御質問にお答えいたします。
 まず、第1点でございますが、本県における国指定史跡整備の進捗状況がどのようになっているかという御質問にお答えいたします。
 本県における国指定史跡の整備は、昭和47年度から実施されております。
 26件の国指定史跡のうち、これまでに座喜味城跡、玉陵、末吉宮跡、仲泊遣跡の4件が整備済みでございます。
 現在、今帰仁城跡、勝連城跡、首里城跡、糸数城跡、それに仲原遺跡等の5件の整備が進められております。
 次に、史跡及び埋蔵文化財の専門職員を拡充強化して史跡等の整備及び発掘調査に対応すべきであると考えるが、どうかという御質問にお答えいたします。
 現在、県内では、史跡及び圃場整備事業等に伴う埋蔵文化財の緊急発掘調査が増加いたしております。これらの史跡整備及び発掘調査は主に市町村の事業でございますけれども、そういう関係で市町村にも専門職員を配置するように指導をいたしております。
 なお、県の教育委員会といたしましては、史跡、名勝、埋蔵文化財を担当する専門職員の配置に努力をしてまいりたいと思います。
 次に、史跡等の総合整備計画の策定が必要であると考えるが、その計画があるか、また第3次振計の中で史跡等の整備をどのように取り組んでいくのかという御質問にお答えをいたします。
 御指摘のとおり、史跡等の総合整備計画の策定は必要であるという認識を持っております。
 しかしながら、今のところ史跡等の総合整備計画は策定しておりませんので、今後、策定する方向で鋭意検討してまいりたいと思っております。
 第3次沖縄振興開発計画大綱では、貴重な文化遺産の保護継承を図るため、史跡、天然記念物等諸文化財の保存及び活用を推進するとなっております。今後とも、県内の主な遺跡について関係省庁と調整の上、整備を図っていきたいと考えております。
 終わりに、県指定の史跡等の公有化、環境整備についてどのように進めているか、その現況について説明願いたいということと、今後、県指定の史跡等の整備をどのように進めていくかと、2点についてお答えをいたします。
 県指定の史跡等は、平成2年末で113件となっております。
 これまでに整備をいたしましたのは、伊平屋村の久里原貝塚ほか5件でございます。公有化したのが1件ございます。
 今年度は、名護市の古我知焼の窯跡の公有化を進める予定でございます。残る史跡の公有化、整備事業につきましては年次的に精力的に進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 金城繁正君。
   〔金城繁正君登壇〕
○金城繁正君 佐敷町のつきしろの街から国道331号佐敷地区内を結ぶ県道の問題ですが、ただいまの御答弁では道路法に適合しないからというふうなお答えでございますが、現状を見ますときに600名の人口を有し、しかも小中学校生が115名もおります。特に児童生徒は、玉城の親慶原を経て新里でおりて、新里でバスを乗りかえて小中学校に通学をすると、雨天の場合には大変困っているんです。
 こういった道路法に適合しないからしばらく我慢せよと、こういう考え方ではどうかと思います。
 そこで再度伺いたいんですが、これは町道として認定して、それを格上げして、いわゆる県道に移管して道路網を整備してやることができないのか伺います。
 それから次に、文化財関係ですが、これは来年度から県単事業、あるいは市町村で単独事業にかかわるものについては財政的な援助をやるということに決定を見ております。したがって今後における市町村の財政的にも、あるいは史跡を整備する上からも大きな期待を寄せております。
 どのように積極的に取り組むか、ただ積極的に取り組むというだけの答弁ではどうかと思います。前向きでどのようにやるかということを、もう一度明確なる御答弁を願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 佐敷町つきしろの街と国道331号を連結する県道新設の件につきましては、先ほど知事がお答えいたしましたけれども、道路法の認定基準上極めて厳しいということで、私どももいろいろ検討をして実現化に向けて努力しておりますけれども、引き続き検討をさせていただきたいというふうに思っております。
 なお、地域の事情につきましては、ただいま金城繁正議員からお話があった状況等も十分承知しております。
 さらに、町道に認定をし、さらには県道格上げということですけれども、町道そのものにすることにつきましては町が実施する計画がございますれば、町自体の計画でございますから可能でございます。
 しかし、それをさらに県道に格上げするということは、先ほど申し上げましたとおり県道の認定基準に合致することが難しいということで困難でございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 自治省の文化財保護についての財政支援につきましての最近のニュース等もございますので、先ほども申し上げましたように史跡等の総合整備計画を策定する中で関係省庁とも調整の上、整備を図ってまいりたいというふうに思っております。
○議長(平良一男君) 金城繁正君。
   〔金城繁正君登壇〕
○金城繁正君 あと、時間もありませんので、専門職員、現在9名ですが、これで市町村、あるいは文化行政をこれから推進していくためには、この陣容でいいのかどうか伺います。
 私が聞くところでは、実態調査、あるいはそういった市町村の意見を聞きますと、対応ができてないということが指摘されております。その辺について御答弁願います。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 専門職員の配置につきましては、先ほども申し上げましたとおりこの整備事業の主な面につきましては市町村の対応もございますので、今、関係市町村につきましても専門職員を配置するよう指導をいたしておりまして、県下13市町村だったと思いますが、専門職
員の配置をしていただいております。
 同時に、県の教育委員会といたしましても、先ほど御指摘のありましたように9名ということでは大変厳しい状況にございます。
 ちなみに、九州各県の専門職員の数を見てみますと平均が21名というような状況にもございますので、非常に厳しい行政改革のさなかではございますけれども、今後、鋭意努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 比嘉勝秀君。
   〔比嘉勝秀君登壇〕
○比嘉勝秀君 通告に従って大田知事に御質問を申し上げます。
 私は、6月の定例県議会において、第3次の振興開発計画の実効性を確保する後ろ盾として北部地域の振興開発計画を具体的に策定する必要があることを強く指摘をいたしました。幸いにして大田知事も、今回の3次振計の県案作成に当たっては、北部圏域の開発の方向をきちっとした形で位置づけしていきたいとの御答弁をいただいたわけでございます。

 今回は、この中でも特に国頭村、大宜味村、東村の地域振興開発の問題に絞って再度御質問をさせていただきたいと思います。
 知事、国頭村と東村にまたがる地に北部訓練場、広大な軍事基地がございます。沖縄県の軍事基地は、他の都道府県と違いまして私有地が主な用地でございます。ところがこの北部訓練場は約8396万平米ございますけれども、これは国有地なんです。ですから、他の市町村は軍事訓練、大変被害を受けておりますけれども、この土地代は私に入り、また村、市に入っていくわけでございますけれども、この北部訓練場は国有地になっておりますので、熊本の営林署にそのまま入っていく土地でございまして、非常にあの地域の皆さんにとりましてはハリアーパッド、湖水訓練が行われた。現在もゲリラ訓練基地として使われている場所でございますけれども、非常に国頭、東村の方々にとりましては収入の入ってこない唯一の場所でございます。
 この場所で、昭和60年4月から5月にかけまして沖縄県の軍転協が、この土地のことにつきまして意識調査をいたしまして、特に国頭村の方から、国有地の中でぜひとも解放を求めていただきたいという箇所が両村から出てまいりまして、昭和61年11月27日に県を通しまして軍用地返還要請が関係省庁に行われたわけでございます。
 この結果、平成2年6月19日の日米合同委員会におきまして国頭村におきましては3カ所、東村におきましては1カ所、国頭村におきましては村内でも6500平米、またもう1つは9300平米、約500万坪弱の土地の返還が合意をされているわけでございます。
 ところが、この12年たって後の日米合同委員会での承認を受けた土地でございますので、これを返還しましょうということで地元と詰めてまいりますと、その当時の農地開発事業としてこの場所を開発していこうということで返還をお願いしたわけでございますけれども、現在におきましては社会経済の状況の変化等もございまして農業の従事者が不足していると、いないと。
 また、パインの自由化に伴う栽培の意欲の減退等もございますし、また畜産基地の当初の期待が大変裏切られまして、これが不振に陥りまして、畜産基地におられた方々が借金をして夜逃げ同然の状況等々もございまして、こういった非常に悪い状況になっておりまして、せっかくの払い下げを受けるチャンスが来ておりますけれどもこれがちゅうちょしておるという非常に矛盾をした面が出てきているわけでございます。
 したがいまして、私は、こういった矛盾に満ちたこの北部3村のことにつきましては、やはり軍用地の返還を促進していくためには、今日まで特に革新の諸君がやったようなスローガン的な、ただ単に基地を返せという叫びや訴えだけでは、問題の本質的な解決策になり得ないということを十分認識をしてかかる必要があろうかと思うのでございます。
 したがいまして、実効性の高い跡地利用計画の策定が極めて今日、必要であると思うわけでございます。
 この地域における軍用地跡地の利用計画をどのようなイメージを持って現実的に処理しようとなさろうとしておられるのか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 第2点目は、水資源開発と同地区の振興開発計画との関係につきまして、6月定例会に続きまして再度御質問をさせていただきます。
 御承知のとおり、水資源の開発につきましては、県民生活にとっても緊急を要することでもありましたので、復帰と同時に、水資源開発計画が打ち立てられましてスムーズにその計画が今日まで実行されてきたことは御承知のとおりであります。
 ところが、特に国頭村、東村の地域が積極的に水がめとしての役割を果たしてきたことはもう御承知のとおりでありまして、去る6月定例会でも指摘をいたしましたとおり、当然水の供給を受けるその地域の振興策が立てられてしかるべきであったと思いますけれども、それが第2次、第3次振計の中でも具体的な位置づけがされてなかったということでありまして、今日、この反省に立って水資源開発だけをひとり歩きさせていってよいものかどうか、あの地域の方々にとりましては、この計画途中から大変疑問視をするようになったわけでございます。
 特に、せんだっての全国植樹祭をきっかけにいたしまして、第3次の振興開発計画の中にちゃんとした形で振興開発計画を位置づけてもらいたいということで、大変北部3村にとりましては胸を膨らませて大きな期待をかけておったわけでございますけれども、全国植樹祭の場所変更によって北部3村にとりましては、北部地域の切り捨てとして特にこの3村に強く映ったわけでございまして、今日までスムーズに推し進められてきた水資源開発が今後は、同地域のコンセンサスの取りつけがかなり厳しくなっていくだろうと危惧するものでございます。
 したがいまして、原点に戻しまして北部振興開発計画をしっかりと定めて、そしてその中に特に具体的な問題といたしましては、北々伸道路を実現していくというぐらいの強い姿勢がにじんでこないと、この水資源開発の、特にその中でもダム建設が同地域の同意を得ることは困難であると。残された計画の建設そのものが、本当に建設不可能になってくるだろうと断ぜざるを得ないのであります。
 これらの状況を知事は、どう認識をされて把握をなさっておられるのか、再度質問をさせていただきます。
 3点目に、今回の9月定例会に提案されております県土保全条例の一部改正について御質問を申し上げます。
 本条例は、安全で良好な地域環境を確保する観点から、無秩序な開発を阻止して、適正な開発と合理的な土地利用を図る目的で昭和48年7月に制定されたものでございます。
 近年、このリゾートブームに乗りまして、大規模開発計画の急激な増加によって現行の条例では自然環境を保全し、適正な土地利用を図る上から十分な対応が困難となったことから、20年ぶりに抜本的に改正をして事前協議及び開発許可の基準を中心に条例を改正するものであります。
 けさの我が党の喜久山議員からも御指摘がありましたとおり、特に国頭村、大宜味村、東村の3地域につきましては第1次、第2次振計の中で位置づけられてなかった地域振興開発を第3次振計の中に具体的に位置づけをしていくというやさきにこの改正が出てまいりまして、この条例改正の施行によって完全に開発の芽が閉ざされてしまうおそれがあるとの地域の心配の声が持ち上がりまして、ほとんど全地域に生息分布しております貴重なノグチゲラとか、ヤンバルクイナ、ヤンパルテナガコガネ等の天然記念物を保護して、水がめとしての水源涵養林を守るために、そのままの形で残せという声が一段と強くなってくるわけでご
ざいまして、人間が生きていく地域であるはずのものが、この視点を見失うおそれはないかどうか。
 過疎化がどんどん進んでいく、学校の廃校問題が出てくる、診療所はあるけれども医者がいない、働く場所がない、都市に出ていくという悪条件が重なっておりまして、その実態を見たときに、あの地域の人たちにとっては大変深刻な問題であります。軍事演習はやって土地料は入らな
い、自然はそのままにして水がめとしての役割に甘んじなさいということでは、やりきれぬ話であります。
 したがって、国頭村、大宜味村、東村の地域の方々、またその地域出身者の方々の率直な気持ちを知事としてしっかりと受けとめていただきたいと思います。
 そこで、知事に御質問を申し上げます。
 知事は、北部地域の振興開発計画を第3次振計の中に具体的に位置づけていきたいと強調されました。また、その中でも、北部の振興のために北々伸道路──これは振興開発道路といいますけれども──これが必要であるとも言われました。
 そこで、今回の県土保全条例の改正との関連におきまして、これらの振興開発計画には、この施行において影響を与えてはいけないと思いますけれども、その辺の状況を知事はどのように御認識されておられるか、御所見を賜りたいと思います。
 第4点目、再度質問でございます。北々伸道路の早期実現方についてでございます。
 けさの新聞を見ておりますと、我が県の代表である宮里松正代議士から、昨日の衆議院の沖縄北方問題特別委員会におきまして谷開発庁長官に、この北々伸道路のことにつきまして質問がなされております。谷長官は、本島北部の過疎を解消し、均衡ある発展を図る上からも、名護から先の高速道路が何としてでも必要である、大臣をおりてでも議員としてこの実現に努力したいと、強い意欲を示されて御答弁をされております。

 北部地域の軍用地跡地利用計画及び水資源開発計画を推進する上で、北々伸道路の建設は私はそれは前提とならなければならないと思うわけでございますけれども、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今後ともきめ細かな調査を実施し、西銘県政時代にこの調査費がつきまして今調査が行われておりますけれども、大田県政になりましてこの予算もつかないということじゃいけませんので、もっともっときめ細かな調査をやりまして、その実現方に向けて積極的な、それこそ腰を据えた取り組みが必要であると考えますけれども、知事の御決意を承りたいと思います。
 第5点目は、北部地域にコミューター空港を設置してはどうかという質問でございます。
 県におかれましては昭和61年度、63年度に調査がなされました。また国の沖縄開発庁、沖縄総合事務局におきましても昭和63年度、そして平成元年3月にコミューター空港の設置について調査を行っております。
 分厚い報告書も出ておりますけれども、この問題につきましては第3次振興開発の中に具体的に位置づけていく必要があると思いますけれども、そこらのところを御所見を賜りたいと思います。
 また、2点目は、国、県だけではなかなかその早期実現が困難だという報告の中にもいろいろと書かれておりますけれども、そうであれば民活を思い切って導入をしていって、今からでもこれを準備をしていくということ等も勘案して実現方に向けて努力をしてもらいたいわけでございますけれども、何といいましても県がこれを先導せぬといけませんので、この民活を導入していく件につきましても知事の御所見を賜りたいと思います。
 最後になりましたけれども、いろいろと矛盾な問題がたくさんあの地域にございます。知事がひとつ行政懇談会をあの場所で開いてしっかりした形の懇談会をしてもらいたいと思いますけれども、御所見を賜りたいと思います。
 終わり。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 比嘉勝秀議員の御質問にお答えさせていただきます。 
 まず、北部地域の軍用地跡地利用計画と同地域の振興開発計画との関連性についてでございまして、国頭、東村における軍用地の返還を促進するためには実効性の高い跡地利用計画策定が必要であると思うが、この地域における軍用地跡地利用計画をどのようなイメージを持って進めようとしているのか、また跡利用計画なしの返還を求める必要があるのではないかという御質問にお答えいたします。
 当地域は、国頭及び東村が農用地としての利用を図るため、昭和61年11月27日に沖縄県軍用地転用促進・基地間題協議会を通して返還要望がなされ、昨年6月19日の日米合同委員会において返還に向けての調整手続を進めることに合意されたところであります。
 しかしながら、その間に農業を取り巻く環境は、農業後継者の不足やパインの自由化等により、当初予定された農地開発事業を進めることについては当面は困難な状況にあると言われております。したがって、例えば自然活用型観光リゾート等を含めた多角的な土地利用を考える必要もあ
ると思われます。
 そこで、同地域の利活用につきましては国頭村、東村を初め関係行政機関と連携を図り、現在、策定中の沖縄県軍用地跡地利用基本計画の中で方向づけを行うなど、同地域の返還の促進に努めてまいりたいと考えております。
 なお、同地域は国有林野となっており、国有林野を払い下げる場合には国有林野の活用に関する法律に基づき、実効性のある跡利用計画が求められております。
 次に、北部振興開発を強い姿勢で取り組まないと水資源開発計画によるダム建設が不可能になってくると思うが、どう認識しているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御指摘のとおり、水資源開発に当たっては、北部地域の市町村や地元住民の御理解と御協力がどうしても不可欠であると考えています。
 県としましては、水源地域の方々の御要望や御意見等を反映させ、コンセンサスを深め、地域の実情に即した対応策を第3次沖縄振興開発計画に位置づけて北部地域の振興を図っていきたいと考えております。
 それから、知事を先頭に、北部地域の現地で行政懇談会を持って過疎地の悩みを直接聞いてみてはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 地域の声を行政に反映させる広聴活動は、行政広報の重要な業務であります。
 このため、知事の広聴活動を行っているところであり、「知事を囲むふれあい広場」もその一環として実施しているもので、去る7月20日には今帰仁村で実施したところであります。
 なお、開催場所の選定につきましては関係市町村と調整して決めておりますが、可能な限り地域の御要望を聞いてぜひとも実施したいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 比嘉議員の質問のうち、企画開発部の所管に属する事項についてお答え申し上げます。
 まず、県土保全条例の一部改正と北々伸道路等のプロジェクトの実現についてでございますが、今回の条例改正は、既に御案内のとおり自然環境に配慮しつつ、県及び市町村の土地利用計画との整合性を図ることにより開発行為の適正な誘導を目的とするものでございます。
 御指摘のとおり、北部は水がめとしても県民にとって大変大事な所でございますが、また北部の地域の方々にとりましては、いかようにして北部を活力のある豊かな地域にしていくかということも大変大事なことでございます。北部地域の振興を図るためには、公共事業はもとより、地域特性を生かした各種のプロジェクトを推進する必要があるわけでございます。
 この条例の運用に当たりましては、公共事業等につきましては適用は除外されているから問題はございませんが、プロジェクト等につきましては、この条例の趣旨を踏まえつつ実現できる方向で検討させていただきたいとこう思っております。
 次、北部地域にコミューター空港を設置することについて3点の質問がございますので、お答えさせていただきます。
 まず、1つでございますが、コミューター空港の実現方にどのように努力してきたかについてでございます。
 県民生活の安定及び地域の振興開発を図る上から、航空を含めた交通体系の整備につきましては、大変重要な課題の一つとして認識しております。北部地域を含めたコミューター航空の可能性等につきましては、調査を実施するなど検討を進めてきたところでございます。
 2点目は、民活を含め実現可能性はどうなのかと、こういうことにお答えいたします。
 北部地域におけるコミューター空港の整備につきましては、航空需要や地域開発の動向等も見ながら、また民活の導入等も含めてもう少し長期的な視点から検討をする必要があると考えております。
 3点目は、3次振興開発計画の中にどのように位置づけていくつもりかということでございますが、お答えいたします。
 3次振計への位置づけにつきましては、県案作成の段階で検討をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 北々伸道路(振興開発道路)の早期実現方について、北部地域の軍用地跡利用計画及び水資源開発計画を推進する上で、北々伸道路の建設は前提となると思うがどうか、今後ともきめ細かな調査を実施し、その実現方に向けて積極的な取り組みが必要であると考えるが、どうかとの御質問にお答えいたします。
 北伸道路、いわゆる北部振興開発道路につきましては、沖縄振興開発審議会の第2次沖縄振興開発計画後期の展望と戦略において、沖縄本島北部における開発構想を考慮しつつ、振興開発上効果的な道路の整備について検討する必要があるとされております。
 したがいまして、今後の北部地域におけるもろもろの開発計画、御指摘の北部地域の軍用地跡利用計画等も含め、その動向を踏まえて対処することが肝要であると考えております。

 また、当該道路につきましてはその必要性、可能性等について調査をしているところであり、今後とも引き続き検討していきたいと考えております。
 なお、比嘉議員からもお話がありましたが、けさの地元紙によりますと、衆院沖特委で開発庁長官が積極的な発言をなさっているとのことであり、今後、国とも連携をとりながら実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後3時18分休憩
   午後3時45分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 この際、報告いたします。
 先ほど、本日質問予定の伊集盛元君から、発言通告の撤回がありました。
○議長(平良一男君) 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 金城重正君。
   〔金城重正君登壇〕
○金城重正君 政治は、いかに国民が平和で幸せな生活を営むことができるかが究極の目標であり夢であります。一歩一歩確実にその夢を具現していくことは必要で大切なことであります。しかし現実は厳しいということも認識をして、その目標にたゆまない前進をしていかなければなりません。120万県民の浮沈は大田知事の手腕、力量に負うところが大であります。特に御精進の上、県政運営にかかわっていただきたいことを希望して一般質問をいたします。
 その前に、通告いたしました教育問題は時間の都合で取り消しをいたします。
 さて、質問の第1であります。沖縄県の経済は、公共投資、観光、基地関係収入の3本柱で成り立っていると言われております。その3本柱の一つである軍用地賃貸借契約において、軍用地主側が地料の値上げに相当難渋をしていると承っております。県民を代表する知事として、この問題解決に向けてどのようにサポートしていく考えであるのか、次の点で所見を伺いたいのであります。
 1つ、知事はこの件をどのように受けとめておられるか。
 2番目に、地主側要求額と施設庁側の概算要求額との差額は大きいけれども、接点をどうすべきか、知事の所見を伺いたいと思います。
 3番目に、地主側の要求額が受け入れられなければ、賃貸借の予約契約を拒否するとなっております。拒否した場合、国、県にどのような影響が出てくるとお考えか、所見を伺いたいと思います。
 4番目に、知事は県民の利益と財産を守る責任から、この問題についてどう対処していかれるのか、見解を承りたいと思います。
 次に、全国植樹祭についてであります。
 この件については、我が党の代表質問もありましたが、角度を変えて質問をいたします。
 我が県も植樹祭を平成5年にとり行うことになりましたが、先催県を見ても相当な年月、多くの費用と開催地県民の協力により植樹祭が開催されております。あと2年、いよいよ本番であります。
 そこで、次の点を伺いたいのであります。
 1つ、植樹祭の準備は順調に進行しておりますか。
 2番目に、この際、実施設計と費用20億の概算資料を明らかにしていただきたい。
 3番目に、植樹祭費用の国の持ち分、県の持ち分はどのようになっているのか。
 4番目に、平成2年度で支出済み額はどこに、何に支出をしたのか、伺いたいのであります。
 5番目に、平成2年、3年度で4億600万円余の支出となっていると考えるが、今年はもう補正はないのかどうか。また、次年度はどれぐらいの予算計上を考えておられるのか。以上5点についてお答えを願いたいと思います。
 次に、県民所得の向上についてであります。
 今回、県民所得の概要を発表いたしました。それによると73.2%で全国最下位だということであります。
 そこで、次の点で伺います。
 1つ、1次、2次振計と政府の財政投資は著しく多額でありましたが、県民所得は最下位どまりであります。その理由を承りたいと思います。
 2番目に、県民所得最下位だとの発表で知事はどうお感じになりましたか、所感を承りたいと思います。
 3番目に、知事は所得格差是正をどのように計画して県民所得の向上を図るとともに、県民所得最下位脱出を図っていく考えであるか、その手だてを伺いたいと思います。
 4番目に、知事は安保条約に基づく沖縄の基地の存在にノーと言える県政をつくりたいと約束をしました。結構でしょう。
 そこで伺いますが、県経済を支える基地収入2000億円にかわる経済効果のある労働集約型の振興策をどのように構築して展開していくお考えであるのか、伺いたいのであります。
 次は、生活環境の整備についてであります。
 私たちは、快適な県民市民生活、文化生活をする権利を有しております。けれども、私たちを取り巻く生活環境は決して活力があり文化生活とはほど遠く、町や農村、漁村は潤いがなく、相当おくれがあると理解しております。特に県都である那覇市は生活都市、文化都市としての機能が失われつつあります。
 例を挙げますと、駐車場の不足、違法駐車の増大、交通の渋滞、スラム街化、町並みが雑然としている、景観の悪さ、個性がない、ごみの山、曲がりくねった道路、公園と緑に乏しい、国場川、安里川の汚濁は全国のワーストファイブに数えられております。文化施設も少ないのであります。そして小中学校は過疎化現象を起こしております。商店街は地盤沈下しており活力がありません。市内は至る所飲み屋と射幸心をそそる施設ばかりで、まさに快適な市民生活をする環境であるとは言えないのであります。
 これは行政の怠慢であると指摘されてもいたし方ないと思います。知事は、これらの問題にどう感じて、どうかかわり、どう解決をしていく考えであるか、所見を伺いたいと思います。
 次に、代表質問との関係でお伺いをいたします。
 昨日、知事は、老人医療を無料化すると公約したのは、老人医療の中身を十分理解していなかった、勉強不足でした、無料化は制度上無理があるとコメントをいたしました。大田知事の老人医療無料化という公約はだめでしたと、だめであったと、このように理解をいたしますが、これをお認めになりますかどうか。
 実は、きょう朝のことであります。私の母は81歳になりますが、けさの新聞を見てたった一言、期待をしていたがなと言っておりました。これは老人を大切に、老人に愛と光をということで票をいただき当選した知事が、老人の夢と願いを破ってしまったということであります。勉強不足
でしたということだけでは私は済まないと思います。老人の皆さん方に改めておわびをすべきだと思いますが、知事はどうお考えになりますか。
 例えば、月に1回の県政プラザを発行しております。その中にでもやはり私は、勉強不足でした、皆さん方にはこう約束はしたけれども、制度上できませんでした、これはひとつ御理解願いたい、こういうようなことを私はやるべきだと、こういうように思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。
 あとは答弁によって質問をいたしたいと思います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 金城重正議員の御質問にお答えいたします。
 まず、軍用地主側が地料値上げに難渋していると、知事はこの件をどう受けとめているのかという御質問にお答えいたします。
 賃貸借契約は、契約当事者の意思が尊重されなければならないので、賃貸人である地主と賃借人である国との話し合いにゆだねるべきものであり、基本的には私的自治にかかわる問題に県が関与することは好ましくないと考えており、県としてはその契約当事者である国と地主との間で十分な話し合いがなされ、円満に解決されるよう望んでいるところでございます。
 地主側要求額と施設庁概算要求額との差額は大きいが、その接点はどうすべきかと、知事の所見を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 ただいまお答えしましたとおり、県としては契約当事者である国と地主との間で十分な話し合いがなされ、あくまでも当事者間でその接点を見出すよう努力すべきだと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。

 地主側の要求額が受け入れられなければ、賃貸借の予約契約を拒否するとしているが、拒否した場合、国、県にどのような影響が出てくるかという御質問にお答えいたします。
 賃貸人である地主と賃借人である国との間で話し合いが続けられている最中でございますので、仮定のことを前提にして推測することは差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
 それから、知事は県民の利益を確保する責任から、この問題についてどのようなアクションをとるつもりかと、見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 ただいま申し上げましたとおり、賃貸借契約は契約当事者の意思が尊重されなければならないので、賃貸人である地主と賃借人である国との話し合いにゆだねるべきものであり、基本的には私的自治に係る問題に県が関与することは好ましくないと考えておりますが、土地連から要望があれば、円満な解決方法を県から国にお願いしてまいりたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、県民所得の向上との関連で1次、2次振計と政府の財政投資は著しく多額であったが、県民所得は最下位どまりであると、その理由を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 本県の所得水準は復帰後、格差は縮小してきているものの依然として厳しく、御指摘のとおり全国最下位の状況にあります。
 この主な要因として考えられますことは、1、産業振興の立ちおくれがあり、とりわけ製造業においては期待された新規企業の導入による産業振興が予期したようには進展していないこと、2、民間資本、技術、人材等の蓄積不足のため、復帰以後に生じた技術革新等の変化への対応が不十分であること、3、零細小規模企業が多く県内を主な市場とするにとどまっていること、4、用地、用水等の産業基盤の整備がおくれていることなどがあって経済の成長率が予期したようには伸びなかった上に、本県の人口増加率が全国より高い状況であること等が要因であると考えております。
 ただ、私は日ごろからこの問題につきましてどのような改革の方法が今、求められているかということを考えておりますけれども、1つには意識の改革というものの重要性をいつも考えているわけでございます。つまり、しばしば話が出ますけれども、王国時代のあの尚真王時代の気概、つまり人口はわずかでありましたけれども、あれだけの沖縄の文化の源流をつくり出すほどの文化遺産を生み出したその活力というのを、いま一度呼び戻せないのかと。そして自立心を培っていく、そのことも非常に重要な問題だと考えております。
 次に、県民所得最下位という発表を見て、知事はどういう感じになるかという私の所感についての御質問にお答えいたします。
 平成元年度の県民所得は、対前年度比で7.0%と好調な伸びを示していますが、1人当たり県民所得の全国平均との格差を見ますと依然として厳しい状況にあります。所得水準が生活のゆとりを示す一つのバロメーターであることを考えますと、その是正を図ることは極めて重要であり、そのためには活力ある経済発展を図るための産業の振興開発を推進していくことが必要であると痛感いたしております。
 それから、知事は就任して1年になるが、所得格差是正をどのように計画して県民所得の向上を図っていく手だてがあるか伺いたいという御質問にお答えします。
 全国との所得格差を是正し豊かさを実感できる県民生活を実現するためには、安定した就業の場を確保するための産業振興が重要な課題であると考えています。そのため産業基盤の整備、産業振興の担い手となる人材の育成、地域資源の開発利用等に関する新技術の研究開発等を推進するとともに、本県の特性を生かした農林水産業、リゾート関連産業、情報関連産業、製造業等の産業の振興を進めて県経済の持続的発展を図り、県民所得の向上に努めてまいりたいと考えています。
 1つだけつけ加えさせていただきますと、特に農林水産業との関連では、政府の高官とお話し合いをする過程でもっともっと観光産業と結びつけるような農林水産業にしたらどうだという助言などもいただいておりますので、その方向についても真剣に検討しているところでございます。
 次に、県経済を支える基地収入2000億円にかわる経済効果のある産業の位置づけと振興策をどのように構築していく考えかを伺いたいという御質問にお答えいたします。
 今後、基地返還が進展すれば、いわゆる基地関連収入の落ち込みが予想されますが、この落ち込みを補てんして活力ある経済の発展を持続していくためには均衡ある産業の振興育成を図り、各産業が総体的に発展していく構造をつくり出していくことが重要であると考えています。
 このようなことから今後、産業の振興等を進めるに当たりましては、3次振計を策定する中で産業基盤の整備を計画的に推進するとともに、本県の地理的、自然的特性を生かしたリゾート関連産業、情報関連産業等を先導的産業として位置づけてその立地を促進していく必要があります。
 また、本県の地域資源を開発利用するためのバイオ技術等の研究開発を推進して付加価値の高い農林水産業、製造業等の物的生産分野の振興育成を図るなどして、県経済の自立的な発展基盤を確立していきたいと考えております。
 それから、老人医療の無料化と関連して、老人の皆様におわびすべきではたいかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、さきにも申し上げましたとおり一部負担金に対する助成措置による無料化については、制度の趣旨及び予算上の制約等があって困難であると申しました。したがいまして県としては、所得の低いお年寄りの方々に対して保険外負担等の医療に関連する費用が実質的に軽減できるような措置として、福祉医療助成措置を講じていきたいと思います。この助成措置も公約の一つだと考えておりますので、私は、このお年寄りの生活を少しでも実質的に費用を軽減し、少しでも楽になれるように任期いっばい最善の努力を傾けていく決意を持っておりますので、もう少し長い目でごらんいただきたいと思います。御理解をいただきたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部長に答えさせますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 金城重正議員の御質問にお答えいたします。
 植樹祭に関連いたしまして、植樹祭の準備は順調に進行しているかという御質問でございますが、全国植樹祭の開催準備につきましては、今年度から人員増等を行いまして全国植樹祭準備室の体制強化を図り諸準備業務を進めているところでございます。
 開催準備に係る業務といたしましては、企画運営関係と施設関係に大別されますが、企画運営関係につきましては全国植樹祭沖縄県準備委員会の設置、開催基本計画及び式典基本計画等の策定、交通、輸送、宿泊、衛生、医療等の個別計画の作成、招待者の選考、行幸啓本部の設置などが予定されております。
 施設関係につきましては、会場造成の実施設計、式典会場の造成工事、仮設施設の整備、修景緑化等を実施する計画でありまして、これらの準備業務につきましては、現在、計画どおり進行いたしております。
 2点目、実施設計と費用の積算はどうなっているかということでございますが、全国植樹祭の開催の経費につきましてはまだ概算の段階でありますが、約20億円を見込んでいることは、これまでの本会議でも知事から申し上げたとおりでございますが、その内容といたしましては会場等施設整備、実行委員会の運営等の直接事業費といたしまして約16億4000万円、全国林業後継者大会等の間接事業費といたしまして約1億3000万円、行幸啓等の関連事業費といたしまして約2億3000万円程度を予定いたしております。また、全国植樹祭会場造成に伴う実施設計は、平成3年6月4日に委託発注しておりまして、10月の中旬ごろに成果が上がることになっております。
 3点目、植樹祭費用の国の持ち分、県の持ち分はどのようになっているかという趣旨の御質問でございますが、全国植樹祭の開催経費につきましては現在のところ国庫補助の制度はなく、先催県の例を見ましても、そのほとんどが県費で実施されている状況にございます。

 なお、先催県の例を見てまいりますと、国土緑化推進機構あるいはまた日本宝くじ協会等から一部助成がなされている例もあるように聞いております。
 次に、平成2年度で支出済みがあると思うが、どれだけの額で、どこに、さらに何に支出をしたかという趣旨の御質問でございますが、平成2年度における全国植樹祭準備費の支出済み額は約2300万円であります。
 その内訳は、現況平面図作成委託費320万円程度、植生調査委託費134万円程度、種子の採取委託費19万、さらに苗木の養成ハウスの工事費として199万、その他準備室の運営費といたしまして1628万、そういう内訳になってございます。
 最後に、平成2年度と平成3年度で4億600万円余の支出になると考えるが、今年度はもう補正はないのか、また、次年度はどれくらいの予算計上を考えているかという趣旨の御質問でございますが、平成3年度予算につきましては現在のところ補正を考えておりません。
 また、次年度の予算計上額につきましては、開催前年度でもありますので、その必要額の大部分を計上することになります。現在、その事業の経費積算を進めているところであり、具体的には平成4年度の新年度予算の編成作業の中で詰めをしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 生活環境の整備について、那覇市の生活環境整備のおくれにどう対処するのかとの御質問にお答えいたします。
 県といたしましては、本県の立ちおくれた生活環境の整備を図るため、2次にわたる沖縄振興開発計画に基づき各種の社会生活基盤の整備を行っております。
 県都那覇市におきましても道路、公園等公共施設が順次整備され、区画整理事業によって新たな良好な市街地が形成されつつあります。また、市街地再開発事業、住宅地区改良事業等によって不良市街地の解消も図っております。しかしながら、これまでの都市問題に加え、那覇市における人口、産業の集中化や、多様化する経済社会の変動に伴い、御指摘のとおり交通渋滞、駐車場不足、商店街活性化問題等新たな都市問題も惹起しており、生活環境はなお厳しいものがあります。
 したがいまして県といたしましては、県民が快適な文化生活が営まれますよう都市基盤施設等の整備を今後とも那覇市と連携しつつ積極的に取り組んでいく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 金城重正君。
   〔金城重正君登壇〕
○金城重正君 まず、再質問をいたしますが、私の第1の質問でございます軍用地の賃貸借契約についてであります。
 知事は答弁の中で、これは双務契約である、国と地主の問題だと、関与することは余りよくない、さらに地主会から要請があれば県としてもちゃんとやっていきましょうと、こういうような答弁がございましたが、知事は10月22日琉球新報の対談の中でこういうことをおっしゃっているんです。これから心配しなければならないのは、軍用地主の利益をどう擁護していくか、軍雇用員の就職の問題をどうしていくか、これをおっしゃっているんです。
 そして2万8000名の地主というのは、やはり県民なんですよ。卸事が基地反対だというのと、土地を貸して地上げをしなければならないというのとは、これは別個の問題なんです。地料を上げなさいということ、これは別個の問題なんです。2万8000名いるんですよ。
 この問題につきましては、やはり知事は軍用地主側から言われなかろうと、これは積極的に取り組んで国に要請をするというのが筋ではないでしょうか。今までの西銘県政は、やはりそうやっていたんですよ。国と地主の問題だということは、私は、責任逃れ、そう思いますが、どうお考えですか、もう一度答弁をしていただきたいと思います。
 それから、県民所得の向上についてでございますけれども、知事は御答弁の中で、なぜ県民所得が最下位かという質問に対しまして産業の立ちおくれ、資本、技術の蓄積が十分じゃない。そこで意識の改革とか、自立心を養ってやっていかなければならぬ、さらに資源の開発、農業、製造業、リゾート、そういう産業の展開をやっていかなければならぬ、おっしゃるとおりであります。
 そこで、私はお伺いいたしますが、知事は公約の中でこういうことをおっしゃっておるんですね。2次振計も終わろうとしているが、依然として失業率の高さ、県民所得の低さは日本一である。これは、米軍用地、基地撤去を正面に据えてないからだと、こうおっしゃっている。米軍用地の撤去を正面に据えたら、やはり県民所得の最下位というものは底上げできるのかどうか、これを私は伺いたいと思います。
 そこで、ほかにもございますが、きのうの西田健次郎議員に対する老人医療の無料化につきましては、ひとつ知事ももう一度お考えになって、老人の方々が納得できるようなことをひとつ説明をしていただきたい。これは、知事の答弁からするならば、知事の在職している間はずうっとついて回る問題だと、こういうように指摘をしておきたいと思います。
 そこで、植樹祭の問題でございますが、知事はこの植樹祭の問題で二転三転やっているんですね。そして、米須で14億5000万でやる。しかし、これは国のサイドからこれではいかぬじゃないかと言われたんで20億にやった。今度はまた崎浜議員の質問の答弁に、20億円を超すならば、今度はまた規模を小さくする、もう二転三転して、この植樹祭に対して知事はどう考えているのかさっばりわからないんであります。
 そこで、もう一度知事、この植樹祭に対して私はこうやるんだということをお答え願いたいと思います。
 先ほどの答弁の中に、国の持ち分と県の持ち分はどうなっているかと言ったら、国庫の補助はありませんということたんです。
 そこで、知事にお伺いいたしますが、行政は継続なんですね。平成2年の9月の定例会の予算審議の中に、これは西銘県政のときなんだが、全国植樹祭の予算の内訳、これにつきましては国庫の支出金が6億3612万6000円、こうなっている。
 なぜ、今度米須に植樹祭をしたら、このお金がないんですか。行政の継続という面から当然あるべきなんです、当然。この6億余りの金は足が出てどこかに逃げていったんですか、これをちゃんと説明をしていただきたい。この6億3612万6000円、どこに行ったんですか。これをひとつ
御説明をお願いいたしたい。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時20分休憩
   午後4時22分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。 
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
 まず、地主の擁護の問題につきましてでございますけれども、私も当然のことながら2万8000人、3万人前後の地主の利益の擁護ということについては重大な関心を払っております。
 しかしながら、事柄の性質上、今の段階で県が介入するのが妥当かどうかという問題については慎重に検討しなければならないわけでございますけれども、ただ、地主の擁護という観点から申しますと、この問題はおっしゃるように非常に重要な関心を持っておりますが、例えば、これまでできていなかった軍用地転用促進法を今一生懸命になってつくろうとしているのは、まさにその地主の方々がこれ以上不利益をこうむらない、また将来にわたって不利益をこうむらないようにということで懸命にやっているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、県民所得の問題との関連で、軍用地問題を正面に引き据えていくということを申したではないかとおっしゃっております。
 その関連の御質問にお答えいたしますと、恐らく金城議員も御承知のように今の沖縄の軍用地というのは、普天間飛行場とか、あの浦添の倉庫地帯を含めまして、あるいは嘉手納を含めまして、その地域を軍事基地のかわりにした場合には恐らく軍事基地から得られる利益以上のものが得られるという計算が今はもう成り立つようになっていると思うわけです。

 ですから、そういった意味で軍事基地を返していただいて、そこを再活用することによって所得を引き上げるという目標を抱いて、ぜひとも返してほしいということで、特に産業振興のためにはこんな沖縄の小さな所に産業を興すためには、その重要な一番便利な、水も電気も一番便利な地域を軍用地にとられているのは大変だということを申し上げているわけでございます。これは、アメリカの政府や議会の方にも率直に強く申してあるところでございます。
 それから、植樹祭の問題につきまして、きのうお答えしましたように約20億円を目途に可能な限り経費の節減に努めてまいるという決意を申し上げたのでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
 別の側面につきましては担当部長からお答えさせますので、御了解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 金城重正議員の御質問にお答えいたします。
 再質問の中で御指摘の6億3612万6000円の国庫負担分につきましては、一等最初の8ヘクタールの時点の明治山の計画でございます。その時点で森林の整備事業といたしまして事業費で8億5865万円を予定しておりまして、そのうちの先ほど申し上げました6億3612万6000円が国庫で負担されると。これは当然周辺の治山、造林、林道などが予定されておりまして、その国庫補助の割合が大体3分の2から10分の8.75とかございまして、そういう意味で国庫が出ておりまして、したがいまして糸満市の米須、山城の場所につきましては、この森林整備計画なるものが周辺にございませんので、国庫事業が入ってこないと、そういうことでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 金城重正君。
   〔金城重正君登壇〕
○金城重正君 時間がありませんので、とり急ぎ再質問をいたしたいと思います。
 知事の答弁がございましたが、軍用地料の値上げの問題ですが、そのために私は軍転法の制定について意欲を燃やしていらっしゃる、これはわかります。
 軍転法を制定してもらうというのと、現在使われている地料の値上げというのは別個の問題なんですよ。したがってこれだけ2万8000名の地主の方々、これが非常に困っている。これは軍転法とは別個の問題として知事は当然協力をしていただかなければならぬ、私はこう考えますが、これについてはもう一度知事の決意のほどをひとつ伺いたいと思います。
 それから、植樹祭の問題でございますが、今、農水部長の説明では、名護で27億かけるというのと、それから米須でやるというのとはやはり違う。そして、状況が異なる。そのために6億というものはありませんということなんだが、どうも数字が合わないんですね。そこら辺をもう一度詳しくひとつ説明をしていただきたい。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 軍用地料の値上げにつきましても、協力を惜しむものでは全くございません。もし、タイミングがございますし、またそういう面で先ほども申し上げましたように地主の側が県としてこういうことを要請してくれとか、あるいは省庁にお願いしてくれとかということなんかにつきましては全面的にその意向を体しまして、最大限の努力を尽くす決意を持っておりますので、御理解いただきたいと思います。
○金城重正君 休憩してください。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時30分休憩
   午後4時30分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) お答えいたします。
 国庫にかかわる部分でございましたんで、事業の部分だけ申し上げましたが、一等最初の明治山での計画は約8ヘクタールを超えておりまして、その後3.8ヘクタールの軍用地内に変更して、それが一応確定した数字で3.8ヘクタールになったわけです。
 先ほど申し上げました8ヘクタールの面積の部分で国庫につながる関係としては、総事業費で27億7800万程度が予定されておりまして、その中の間接事業費として森林整備事業が8億5865万、そのうちの国庫が先ほど申し上げました6億3612万6000円ということでございます。
 したがいまして、8ヘクタールの場合の総トータルでの総事業費は27億7800万円ですね。それから、北明治山で3.8ヘクタールの面積で実施した場合の総事業費は22億1317万、そういう感じでございます。
 ですから、今、糸満の米須、山城で実施する場合は1.6ふやしまして3.6にした場合は20億でございますので、そういう意味で3.8と比較した場合につきましては約2億1300万程度が経費節減になっていると、こういう状況でございます。
 8ヘクタールにつきましては、これは先ほど金城重正議員からお話がありましたんで、申し上げた状況でございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時32分休憩
   午後4時32分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 一般質問を行います。
 県知事のワシントン訪米による基地問題の直訴については、今回が3回目であります。私は、第1回目の訪米のとき知事の秘書として随行した経験から、精神的な重圧感も含めて当時の不安な気持ちを今思い起こしております。まずは大田知事訪米の労をねぎらい、御苦労さまでしたと申し上げたい。恐らく知事御自身が実際に合衆国の政府高官や軍人との面談を体験されて、もろもろの思いを痛感しているだろうと推察申し上げます。
 さて、基地問題に関しては日米安保条約という国家間の条約の存在にかかわらず、保守、革新を問わず県民生活に不安を与える現実の問題にすばやく対応していかなければなりません。
 世界の歴史が大きな転換点に差しかかっている現代、私たちはあらゆる情報をキャッチし分析し、基地問題の解決に取り組んでいかなければならないのであります。
 今回の知事訪米に関しては、残念ながら具体的な成果は全く見られませんでした。外務省や防衛施設庁、日本政府との準備段階での交渉も不十分だったと思われますし、米国政府にとりましては知事の日米安保条約全面廃棄という政治姿勢は障害物であったろうと推察いたします。
 ところがそんな中で、1つだけ評価できそうなものがあります。それは、条件つきではありますが、まだつぽみの段階ではありますけれども、米国議会の委員会における証言というつぽみであります。
 御案内のように、米国では大統領と議会の力が非常に均衡しており、双方でそれぞれ官僚組織を統御していると言われます。ですからもしも委員会における証言、これは実現したならば大変なことになりますけれども、委員会における証言は米国において極めて重要なインパクトを与えることができるのです。
 願わくは、合衆国上院の軍事委員会、委員長はジョージア州選出のサム・ナンという上院議員でありますが、彼は、ヨーロッパ地域への米国軍隊のかかわり方として、地上軍よりもむしろ空軍を主体にすべきという考え方をしております。すなわち、合衆国軍隊の外国への駐留は、基本的に空軍を主体にすべきと考えているようです。類推すれば、極東アジア地域でも海兵隊よりもむしろ空軍を中心にすべきという考え方になるわけです。
 本県の基地問題にとって、現実的解決の一手法として、まず、海兵隊が撤退していくというのがより現実的であり得るのです。上院軍事委員会での証言がいつの日か実現することを願ってやみません。サム・ナン上院議員は、大統領候補にもなり得る人物のようであります。
 さて、見るべき成果のなかった訪米のお土産でもありますが、ワシントン事務所の設置については大いなる疑問を抱かざるを得ません。
 日本国憲法第73条第2号、内閣は、外交関係を処理すること、及び第3号、条約を締結することに見られるように外交交渉は、外交の一元化と言われるように外務省中心になされるべきであります。

 知事の昨日来の答弁によりますと、業務として県人のネットワーク、国際交流あるいは経済の最新情報、そして基地問題については自治体の活動としてという内容でありますが、基地問題を除く他の業務については本当に県人のネットワーク、国際交流あるいは経済の最新情報を業務内容とするにふさわしい場所としてワシントンDCが当てはまるのかどうか、非常に疑問があるのであります。知事の本当のねらいは基地問題の解決でありましょう。
 その点について話を進めますが、国家間の外交交渉の当事者能力や、当事者としての資格を欠いた地方公務員が、基地問題という極めて国家間の外交交渉に係る問題で、合衆国の政府高官を相手に基地の整理縮小という実効ある業務活動を展開できると期待することは到底無理だと思えるわけであります。ましてや米国議会に対してロビー活動を展開するわけでもないでありましょう。仮に政府高官とのアポイントメントがとれて面談できたとしても、恐らく外交に関する最新の情報収集は不可能だと思うわけであります。
 そこでお伺いをいたします。
 ワシントンに事務所を開設して、貴重な県の予算を浪費するのではなくて、むしろ基地問題に関しては日本大使館に県の職員を出向させ、大使館の職員として活動させるべきではないかと考えるわけです。日本国と米国、両方が我が県の基地問題に関して当事者能力を有しているわけであります。知事の御所見を伺いたいと思います。
 次に、補正予算に350万円余の調査費を計上しているようでありますが、具体的にどのような項目を調査するのですか、お伺いいたします。
 3番目、ワシントンDC以外の場所も調査の対象としているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
 次に、国際交流情報センターについて伺います。
 8月6日付新聞報道によりますと、国際交流情報センターの事業概要や管理運営主体について報じられております。その中で、国際交流財団と人材育成財団を合併する構想が表面化、近く庁内で合併に向けての検討会議がスタートという記事がありました。
 そこで、知事に伺います。
 第1点、国際交流財団の専務理事に女性を登用したかと思いきや、その活躍の場を奪うかのように新たな常任副理事長のポストを創設したのはなぜですか。
 第2点、同副理事長ポストの人件費は年間どのぐらいになっているでしょうか。
 第3点、庁内の検討会議の進捗状況はどうなっておりますでしょうか。
 次に、「育成福祉会」の質問を行います。
 福祉の現場に政治的な争いが持ち込まれてはいけません。そのとばっちりは、現場の子供たちにとっては福祉の後退という現象に見舞われるからであります。
 社会福祉法人育成福祉会の財政再建問題については、これまでにも県議会で取り上げられてきたところであります。
 当該育成福祉会としても、昭和61年度を初年度とした法人運営適正化に向けての財政再建計画を策定し、県の御指導を仰ぎながら取り組んできております。
 具体的には新規事業、職員の新採用の凍結を図り、また職員給与の見直し並びに定期昇給、給与改定の凍結、さらに施設経営の軽量化対策として施設の経営移管、また事業の計量化対策として親の会事業、スポーツ大会事業を県社会福祉協議会へ移管、平成元年8月、全役員の刷新による経営移管等々の努力であります。しかしながら、いまだに抜本的財政再建には至っておりません。
 3億円余りの借金の話がよく県議会でも出ましたが、最善の策としましては、神様のような篤志家があらわれて3億円余りの資金を寄附してくれればいとも簡単に財政再建は可能となるわけであります。ところが、現実にそのような篤志家はなかなか見当たらないのであります。そうかといって篤志家が見つかるまで捜し続けるとなると、現場では老朽化した施設が危険を増し、借入金の利息返済で新規事業もできずに園児たちに福祉が行き渡らないという福祉の後退現象が起きてしまうのであります。
 最善の策が不可能となれば、行政は次善の策に移らざるを得ません。これが理想に近づく現実の姿と言えるかもしれません。最善の策が100%不可能であるならば、次善の策が現実には最善の策へと昇進してくるのであります。その意味で私は前生活福祉部長大城氏の、昨年の12月に決断を下していただきましたが、その決断を高く評価するものであります。
 当該育成福祉会の財政再建の問題は、早急に次善の策が最善の策へと昇進してくるように、今度は大田知事が決断を下す時期にきていると思われます。そして精神薄弱者の社会自立促進のためにも早期に通勤寮や福祉ホーム等の設置に取り組み、これまで担ってきた先駆的な経験を大いに生かして福祉の向上に取り組んでほしいと思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 第1点、平成3年9月18日付、当該育成福祉会から「定款変更認可及び基本財産処分承認の督促方について」という文書が提出されていると思いますが、県の対応はどうなりましたでしょうか、お伺いします。
 第2点、今後、県としてどのような施策で当該育成福祉会を指導していくおつもりですか、お伺いいたします。
 次に、空手道武芸祭についてお伺いいたします。
 第2回沖縄県空手道武芸祭は、成功裏に終了いたしました。沖縄空手道が今燃えております。空手のメッカ沖縄を全世界にアピールするためにも今、この時期を逃してはいけないと思うのであります。この空手道武芸祭は、世界大会の実現をも視座に入れて取り組んでいると言われます。
 そこでお伺いいたします。
 第1点、近年の沖縄空手道の隆盛ぶりを、知事はどのように考えておりますか、お伺いいたします。
 第2点、県立武道館完成の暁にはこけら落としとして世界大会の開催をする予定はないでしょうか、お伺いいいたします。
 次に、教育長にお伺いいたします。
 沖縄発全世界へ、まさに沖縄空手道は普及をしております。本県の児童にこの沖縄ではぐくまれた空手道の歴史や基本的な型を学校教育の一環として指導する考えはないでしょうか、お伺いいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西銘恒三郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、ワシントン事務所設置との関連で、ワシントンDCの日本大使館に県職員を出向させるべく外務省に働きかけるべきだと考えるが、どうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 米国に設置を予定している県事務所では、国際交流の促進、県系人とのネットワークの拡充、貿易、経済の情報収集、米軍基地に関する情報収集活動や、米軍基地の実情についての広報活動など広範囲の業務が所掌できるよう検討しているところであります。
 米国において県独自の業務を処理し、業務に専念できる体制で臨むためには、日本大使館の方に県職員を出向させるよりは、県単独の事務所を設置する方がよいと考えております。
 それから同じく、ワシントン事務所との関連で予算が300万余り組まれているけれども、どういうことを調査するのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 これは、ロサンゼルス方面に事務所を置くのとワシントンの方に置くのとでは、あるいはニューヨークの方ではどうなのかといった問題、場所の間題についても検討いたしますが、さらに例えば事務所を置いた場合には家賃はどのぐらいなのか、それからどういう税制があって、どれぐらいの予算が必要かという予算面の検討とか、それから人事面の検討、例えば県の職員として現地の人を嘱託として雇う場合にどのような問題があるかとか、そういう人事面の問題、それから一番重要だと思いますのは、我々が期待しているところの目的を達成する上でどのような制度的、そして技術的問題、例えば通信問題なんかは、簡単にできるかどうかというようなこと等々を含めまして調査いたしたいと思います。
 ですから、今申し上げましたように場所の選定につきましては、ロサンゼルスの問題についても検討いたしますし、またワシントン、ニューヨークについても検討いたしたいと思っております。

 しかし、ただ、先ほども申し上げましたように、例えば経済活動の面の情報を収集する場合、沖縄の物産を出したりする場合につきましてもニューヨークとワシントンは非常に近い所でございまして、御承知のようにニューヨークには琉球銀行の出先機関もありますし、そういった経済活動面からいいましてもワシントンの方がよくはないかと私自身は考えておりますけれども、しかしそれは今申し上げました調査費を使いまして十分に調査をした上で結論を出したいというふうに考えております。
 それから次に、国際交流財団の新たな副理事長ポストの創設について、専務理事の活躍の場を奪うような新たな副理事長ポストを創設したのはなぜかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 国際交流財団には、これまで常勤役員として専務理事が配置されていましたが、内部管理業務に忙殺され、基金の拡充、賛助会員の勧誘、企業等との事業の連携強化、財団への企業等からの人材派遣の強化等の業務に十分に専念することはできませんでした。そこでこれらの業務に重点的に専念させるため、これまでの非常勤副理事長を常勤化した次第であります。
 もうちょっと突っ込んで申しますと、例えば私は、沖縄をして国際交流の拠点づくりということを基本的には政策の中に打ち出しておりますけれども、この国際交流財団の当初の目標が10億の基金を造成するということになっておりますが、まだ6億程度しか造成されておりませんので、最大限の努力を払ってせめて10億程度の基金には持っていきたいというふうな決意を持っております。その意味で、常勤の副理事長を置いて、この基金の造成を第一義的に優先させて努力してまいりたいと思いますので、御理解賜りたいと思います。
 それから、近年の空手道の隆盛ぶりを知事はどのように考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 空手道は、沖縄を発祥の地とする武道で、現在、世界へ普及していることは県民のひとしく誇りとするところでありまして、私もまた非常に力強く思っております。
 県内においても、流派を超えた空手道武芸祭等が開催され、わざの研究や普及活動等が行われるなど、空手道の本場として年々その地歩を固めつつあることは、まことに喜ばしいことであります。
 また、世界的な空手道の普及に伴い、沖縄の伝統空手を研究するため本県を訪れる外国の空手指導者が多くなっていることは、沖縄空手道が世界的にも高く評価されているものと認識しております。
 この点と関連いたしまして一言申しておきたいことは、空手道の先生方が強く要望しておりますけれども、外国から空手の研修に沖縄を訪れる方々を泊める場所がないということでその宿舎の問題についてぜひ考慮してほしいという要望が強くございますので、その点の問題も含めまして今慎重に検討しているところで、何とかして実現させたいというふうに考えております。
 それから、県立武道館完成の暁には、こけら落としとして世界大会の開催をする予定はないか、知事の所見を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県立武道館は、本県における武道の振興を図り、その活動の拠点となる専用施設として建設する計画であります。したがいまして、そのこけら落としには県立武道館にふさわしいものを検討してまいりたいと思います。
 御提言の世界空手道大会の開催につきましては、大変貴重でございますので、私の基本政策である世界の武芸祭の一環として検討していきたいと思いますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解いただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 大城進一君登壇〕
○知事公室長(大城進一君) 西銘恒三郎議員の質問のうち、2点につきましてお答えをいたします。
 まず、第1点目の副理事長ポストの人件費は幾らかという質問でございますが、平成3年5月20日付で常勤の副理事長を採用しておりますが、それに要する年間経費は1068万円でございます。
 2点目の、合併に向けての検討会議の進捗状況はどうなっているかという御質問でございますが、県は行政改革大綱の方針によりますと、公社等については厳しい社会経済情勢の変化に対応していくため、公社運営のあり方等事業全般にわたって見直しを行い、経営の効率化を図っていくということになっておりまして、主管課段階でこのことにつきましては意見交換をさせている段階でございます。したがいまして、具体的に進捗状況を申し上げるところまでは進んでおりません。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) 西銘恒三郎議員の社会福祉法人「育成福祉会」に関連する御質問にお答えいたします。
 まず、第1点、平成3年9月18日付、育成福祉会から提出されている「定款変更認可及び基本財産処分承認の督促方について」という文書に対する県の対応はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 平成3年3月25日付、社会福祉法人育成福祉会理事長から、財産の変動に伴う定款変更申請があり、社会福祉事業法等の関係法令に基づき審査したところ、適当と思料されたので、当該申請については平成3年10月2日付で定款変更を認可したところであります。
 また、平成3年3月19日付で、社会福祉法人育成福祉会所有の基本財産の一部である老朽化している体育館と訓練所を取り壊す基本財産処分承認申請があり、その実態を調査したところ、両物件とも建築後22年、18年余を経過しており、さらに鉄筋の腐食、コンクリートのひび割れや剥離が生じ老朽化が著しい状況にあるので、平成3年10月2日付で基本財産の処分の承認をしたところであります。
 次に、今後、県としてどのような施策で当該育成福祉会を指導していくおつもりですかお伺いしますという御質問にお答えいたします。
 育成福祉会の財政再建には、昭和62年度から県としても同法人に対する指導を強化するとともに、同法人の経営診断等あらゆる角度から検討し、施設経営の軽量化、施設運営の合理化などの財政再建策を推進してきたところでありますが、平成3年3月31日現在、なお多額の累積赤字を抱えており、当該累積赤字の解消の具体的な見通しが立っていない状況にあります。
 この累積赤字の解消については、当該法人の自主的な財政再建策について今後とも指導していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 空手道武道祭に関連いたしまして、本県の児童にこの沖縄ではぐくまれた空手道の歴史や基本的な型を学校教育活動の一環として指導する考えはないかという御質問にお答えいたします。
 空手道は、沖縄独特の歴史風土の中から生まれたすばらしい無形文化財であり、全国はもとより、広く世界に普及発展していることは喜ばしい限りでございます。
 県教育委員会といたしましては、本県固有の伝統文化の継承発展はもとより、心身の鍛練、体力の向上を図るため各学校に空手道指導資料を配布し、教育過程に位置づけるよう指導しているところでございます。
 また、平成2年度から空手道指導推進校を小学校1校、中学校1校、高等学校2校指定をいたしましてその研究実践を進めているところでございます。
 さらに、空手指導の授業実践のためには指導者の資質向上も必要でありますので、小中高校の教師を対象に昭和61年度から指導者養成講習会を実施してまいっております。今後とも、指導の充実を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 ワシントンの事務所に関しましてですけれども、どうも、業務の内容、知事の答弁を伺っておりますと、基地問題のほかに国際交流、さまざまな業務を知事答弁の中に見ることができるんですが、私は、この2つの業務内容を、最初に基地問題の解決ということが知事の頭に重点的にあって、そのためにワシントンというのが出てきたんではないかなと推察するわけです。

 ですけれどもこの場合、基地問題とそれ以外の国際交流あるいは経済の情報、その他の業務内容を2つに分けて、基地問題以外の業務内容でワシントンがふさわしいというのであれば賛成もできるわけですけれども、どうもその辺の業務内容が、基地問題が主で、後から国際交流とかついてきたんじゃないかなということを感じるわけです。
 ワシントンは非常にきれいな町ですから、ワシントンに県事務所があったらいいなあとは思いますけれども、実際にワシントンに事務所を設置した場合に、果たして基地問題の解決のためにどれだけ実効ある活動が展開できるのだろうかという意味では、非常に疑問を持っているわけです。
 ですから、基地問題の解決のためには、提言としてむしろ大使館の中に県の職員を押し込んででも、基地問題解決の県の基地の被害の状況や、広報活動あるいは情報収集を大使館の職員としてやった方が実効ある業務活動ができるんじゃないかという意味で質問を申し上げたわけであります。
 その辺のところ、ワシントン、いい町で、事務所があったらいいなあとは心情的には思うんですが、疑問点、大でありますので、いま一度知事の御所見を伺って質問を終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
 ワシントン事務所の設置の問題は、むしろ基地問題の解決が第一義的に考えられていて、そのために決まったんじゃないかという御質問でございますが、先ほどもどなたかの御質問にお答えしましたとおり基地問題の解決というのは非常に重要な課題でございますので、その問題について優先的に考えるということは、ワシントンの事務所を設置する場合に御指摘のとおり私の頭の中には確かにありました。
 しかし、今申し上げましたようにそれらの問題だけではなくて、国際交流の問題、経済的な問題なども含めまして調査をするところでございまして、まだ最終的には決定したわけではございません。
 それで、経済問題なんかについて申しましても、先ほども申しましたようにニューヨークというのは何としましてもアメリカの経済の中心地、世界の経済の中心地でございますので、ワシントンとニューヨークというものはわずか30分程度で行ける所でございます、飛行機で。
 ですから、そういった面、それからアメリカ全体、全域にわたる県人のネットワークづくりをする場合にも場所的にはロサンゼルスよりはワシントンの方がずっといいんじゃないかと。
 それと、一番私が重要視しておりますのは、県産品の販売とか貿易の問題なんかにつきましても先ほど申し上げましたようにワシントンというのは、日本本土の自治体の事務所なんかがあるばかりでなくて、日本の通信社とか、新聞社の支局などもすべてあるわけですね。ほとんどすべてと言っていいぐらい、あそこに集中しているわけです。
 それから、世界中のマスコミがそこに集中しているわけでございますので、それらのマスコミの役割を果たすためにワシントンの方の例えばプレスビルディングというのがありますけれども、そこでは24時間通信施設が使えるようになっておりまして、そういう面から考えますとワシントンの方がいいのではないかと。
 それから、いま一つ、日本大使館に置いた方がよくないかというお考えについて申し上げますと、御承知のように日本大使館は、国と国のレベルで安保条約体制を維持することを大切にしているところでございます。
 私たちが今交渉しようとしているのは、その安保体制のもとで現実的に被害を受けるような状況が出てきた場合には、それを即座に当該地域の事務所として持ち出していくという役割を担っているわけでございますから、そういった意味からしましても、大使館に置くよりは独自の事務所にした方がいいというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 儀間光男君。
   〔儀間光男君登壇〕
○儀間光男君 一般質問を行うのでありますが、その前に、緊急災害が発生しておりますので、そのことに少し触れさせていただき、県の決意を伺えれば幸いに思うのであります。
 既に御案内のように、浦添市にあります県立の職業訓練校、これのグラウンドから北側斜面にかけて、幅、当初は50数メートルでありましたが、きょう午後の段階では70数メートルという大変な地すべり災害が起こっているのであります。
 付近一帯は、住居地域あるいは家畜を生産している地域と多くの住民がいるのでありますが、実際には2軒の家が新聞報道では半壊とありましたけれども、全く使える状態じゃない、全壊の状態で6世帯、三十七、八名が避難を余儀なくされている状況にあります。
 これが起こったのが去る1日の午後6時、具体的に轟音とともに崩れ始めるのでございますが、その間、県立の財産でありながら県からの対応が非常に遅かった。浦添市と浦添消防、警察署がきのう、おととい、きょうまで24時間態勢で警戒をしているのであります。まさに県民の生命と財産が今脅かされているという状況にあるわけであります。おそまきながらではございましたが、けさ早くは仲井真副知事が、そして午後0時半ごろは県知事みずからが被災地に足を踏み入れて見られております。
 したがって、このことについてできたら言及していただきたい、こう思うのであります。
 被災者の皆さんは今、浦添市が手配いたしました市営住宅あるいは親戚、知人、友人、その中に避難をしておりますが、ある家族においては病人を抱えた家庭もございまして、どうしても今の状態では対応ができない。したがって県が、あるいは県営住宅の空き家があれば、それを手配していただきたい、こんなような旨の要望もございます。
 これにこたえるべく、どうぞ知事、決意のほどをお示しいただければ幸いに思うのであります。
 通告はしてございませんから余り多く言えませんので、これだけにして心中を察して誠意ある対応をしていただきたいと、こうお願いをする次第であります。
 さて、一般質問に入ります。
 最初に、我が党の代表質問との関連でお尋ねをいたします。
 率直に申しまして、知事は大変なときに就任されたものだと私自身考えます。それだけに責任は重く、沖縄県政丸のかじ取りは容易ならざるものがあるということであります。
 世界は、70年余にわたって自由と民主主義、市場経済がよいのか、共産あるいは社会主義、計画経済がよいのか、2つの価値の優劣を競ってまいりました。
 国民に、国民として、人間としての権利を保障する政治体制として、さらに国民の暮らしを向上させる経済的仕組みとしてどちらの主義と体制がよりベターなのか、今や明確になったのであります。
 それは申すまでもなくソ連の崩壊であり、ソ連共産党が解体を余儀なくされたことであります。これは共産主義では、国民、人間は幸せになれず、結果として国が成り立たないということが証明されたわけであります。
 このソ連の歴史的変化は、世界的な変化へと拡大し、残る共産主義国への影響、世界的軍縮へと想像もし得なかった大きな変化が起こったのであります。このことは日々のニュースで報道されているところであり、国際関係のはざまで生きてまいりました我が県にも影響することは必至と考えるのであります。
 そこで知事に伺うのでありますが、知事は日本共産党の支持を受けておられます。それは主義主張あるいは共通の政策的認識を持つからであり、ソ連の例に照らして日本共産党の主張は、日本で政権を相当するに足るものであるとお考えか、見解を示していただきたい。
 過日の崎浜秀三議員の質問にはノーコメントということでありましたが、ノーコメントでは避けられない設問であると思います。なぜなら知事の選挙母体に、あるいは革新共闘母体に日本共産党が一画を占めているからであります。ぜひとも見解を賜りたいと思うのであります。
 次に、日本共産党は、ソ連という親元の崩壊に色を失い、科学的社会主義に間違いはないなどと強弁しております。しかしその内容は、全く不明確で理解ができないのであります。

 知事は、学者として、また知事の支持母体の一画である日本共産党の主義主張として、科学的社会主義をどのように解釈され、またその実態、実践成果の確認をなされているのかどうか御所見を賜る次第であります。
 去る29日、ブッシュ米国大統領が、戦略核兵器の撤去、削減を提案いたしました。40年間の米国国防政策の大転換であると評価されているようであります。ソ連崩壊が及ぽす平和的効果のあらわれであると考えるのであります。
 そこでお尋ねをいたします。
 知事は、こうした米国の軍縮提案が、沖縄の基地にどのような影響をする、またどのような影響を及ぽしてくるのか、その所見を賜る次第であります。
 基地の整理縮小は、ただ思うだけじゃなしに、願望だけでもなく、具体的にどのようにその動静についてお持ちなのかを御見解を示していただきたいと思います。
 次に、知事は訪米されましたが、要人とおぽしめす人々と会われたとき、米国も軍縮の方向にあるとの話を仄聞されたか、あるいは感じ取る何かの要素があったのかどうかもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
 最近、中央においても県内においても政治的再編の動きがあることは御承知のとおりであります。中央においては政党再編の必要性が論じられ、県内においては、連合沖縄が大田知事の支持母体である革新共闘会議方式について検討を始めてまいりました。これは、連合の基本姿勢とされる反自民、非共産を貫こうとする具体的行動と報道されております。
 確かに、主義主張の全く異なる者が、いかに選挙とはいえ、本音を偽った政策協定をなすことは、県民、有権者を欺くことであり、まさに党勢の維持拡大の具にしようとする魂胆は明白であります。
 私は、他党の選択にとやかく言うものでもありません。また言う立場にもありませんが、しかし知事の公約がすべて協定された政策にあるからであり、関心を持たざる得ないからであります。
 そこでお伺いをいたします。
 知事は、連合沖縄の動きに対し、どのような見解をお持ちかお示しをいただきたいと思うのであります。
 さらに、知事が就任されて10カ月になります。その間、公約された協定政策に無理があったと感じられたことがあったか、なかったか、率直にお答えを願いたいと思うのであります。このことは、きのう我が党の西田議員の答弁にも幾つかされておりますが、さらに確認をしておきたいと思います。
 次に、知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。
 知事、本年度は我が県にとって21世紀の姿を決める極めて重要な年であります。高率補助の継続を含む特措法の10年延長、3次振計の策定があるからであります。
 にもかかわらず、これまでの知事の姿勢には、これらの最重要課題を目前にした緊張感が我々に全く感じ得ない、また知事の行動からも発言からも、その緊張感は覚えないような気がいたしてならないのであります。
 行政の継続性を無視した全国植樹祭の会場の身勝手な変更、新石垣空港建設のもたつき、実現できない消費税の廃止、それから老人医療の無料化問題などなど、行政の推進に空白を生じているどころか、政府との交渉がどうなっているのか、その実態が明らかではないのであります。
 こうしたことは、知事の政治姿勢があいまいであることが大きな原因だと指摘せざるを得ません。
 当面する課題を解決し、21世紀の飛躍を目指して振興整備事業を展開するために国の政策と協調し、現実の県民要請にこたえていくことが重要であります。
 そこで伺います。
 知事は、県知事が革新であっても沖縄に対する国の支援は変わらないと言い切っておりますが、今日まで革新であることが制約になったことはないのかどうか、明確に御答弁をいただきます。
 次に、高率補助の継続は沖縄振興の命綱であります。
 それだけに、その継続に当たっては大田県政がどういう手法で、中央での政治的根回し、方策を展開するかが、その成否を握る大きなかぎであります。
 そのことについてどのように対応されるのかお伺いをいたします。
 1番目に、知事は自民党本部を訪れたことがあるでしょうか。あるとすれば、だれに会って、何を要請、どのような会話をなされたかお伺いをしたいと思います。
 さらに、仄聞するところによると、知事は大蔵大臣になかなかお会いできない、いやお会いできていない、こういうことを伝え聞くのでありますが、それは事実なのかどうか。あるいは、今までは会えなかったけれども、これから会える予定があるのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、台風における観光客の処遇については、過日の渡名喜藤子議員あるいは我が党の嘉数昇明議員からもかなりの質問があり、答弁もされて重複はいたしますけれども、重複しない部分でお尋ねをしていきたいと思います。
 観光分野が沖縄経済を支える柱の一つであることは、だれしもが周知のとおりであります。
 観光文化局のまとめによりますと、90年の入域観光客数は295万8000人、その収入は3270余億円であります。我が県経済の成長にいかに寄与しているかは、申すまでもないことであります。
 沖縄観光の印象については、自然景観はもとより、宿泊施設、そして人情だと答える客が多いのであります。
 しかし、台風になって航空機が欠航すると、観光客に対する配慮は全くなく、親切心、気配りのかけらも感じないということが指摘されます。
 予定どおり帰れない観光客の旅費に余裕もなく、空港のロビーに寝るというような状況、二度と沖縄へは来ないといういわいるリピーターを失っているのであります。
 何か対応策はないものかと思うわけでありますが、台風の強弱の差はあれ、また数の差はあれ、必ず我が沖縄県には台風はやってくるのでありますから、それに対応すべく何がしかの配慮を持たなければならぬと思うのであります。それを知りながら配慮をしないということは、まさに運のなさを露呈するようなものであり、心配されるところであります。
 そこでお伺いをいたします。
 格納庫がないことも輸送のおくれの要因と言われております。格納庫の建設要請等をするお考えはないのか、お伺いいたします。
 奥武山体育館とシーメンズクラブの敷地に武道館を建設する御予定があるようでありますが、この際でありますから、この武道館に今言う緊急時の観光客を収容する施設等も併設できないかどうか、検討されてみたことはないのかどうかお伺いいたします。
 最後に、人材育成財団と国際交流財団の統合構想、つまり国際交流情報センターについてお伺いをいたします。
 構想の段階にあり、具体的な検討はなされてないようでありますが、新聞報道等によると知事の構想の中にはそのことがあるとされております。主に琉球新報さんが五、六回にわたって報道されているからであります。
 考えてみますというと、まことにもって大いなる疑問を抱く者の一人であります。
 理由は、設立の目的が異なること、したがって行う事業も別個のものであること。人材育成財団は、御案内のとおり、経済的に困難な県内の優秀な学徒を、奨学金の給付や貸与をもって育成する唯一人材育成をねらいとする機関であります。国際交流財団は、沖縄の振興開発を促進するために国際協力及び交流の増進を図ることがねらいであり、海外との関係を友好的に強化することがその主たる業務であります。
 中には、留学生、研究生の受け入れ業務もありますが、これは一部であり、問題があれば人材育成財団へ移すことで十分であると考えます。問題とするならば、むしろ国際交流財団の業務を本来の姿に戻すことだと考えるのであります。
 つまり、学生の受け入れや文化、芸能の交流ばかりでなく、経済的交流にも力点を置く事業の展開がなければ、将来において真に友好と相互発展の基礎を築くことにはならないと考えるからであります。
 人材育成は、制度的により充実しなければなりません。国際交流は、本来の機能を発揮するシステムにしなければなりません。そのような考え方があるからであります。
 そこでお伺いいたします。

 両財団の設立の趣旨は異なると思うが、その相違点を御説明願いたい。そして、統合するというメリットとデメリットはどの辺にあるか、お示しをいただきたいと思います。
 さらに、両財団の事業の実績を御説明してくださるようにお願いいたします。
 さらには、両財団の資金の拠出構成はどうなっているのか、御説明を願いたい。
 両財団の基金規模、運営資金規模についても御説明していただきたいと思います。
 あと答弁によって再質問をさせていただきます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後5時24分休憩
   午後5時49分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 儀間光男議員の御質問にお答えいたします。
 まず、ソ連の例に照らし日本共産党の主張は、日本で政権を担当するに足るものであるとお考えかどうか、見解を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 公党の主張にかかる政権担当の是非につきましては、知事の立場から論ずることは好ましくないと考えますので、差し控えさせていただきたいので、御理解いただきたいと思います。
 2番目、知事は学者として知事の支持母体である共産党の主義主張である科学的社会主義をどう解釈するのか、またその実態、実践成果の確認をされているのか、所見を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御指摘の科学的社会主義が日本共産党の主義主張であることは承知いたしておりますが、その解釈及び実態や実践成果等について言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、知事は米国の軍縮提案が沖縄の基地にどう影響すると展望しているか、縮小についての動静に対する見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 米国が、地上発射短距離核兵器の全廃及び全戦術核の米海軍艦艇からの引き揚げ等を骨子とする核削減計画を発表しましたが、これは核軍縮を促進する上で画期的なことであると理解しています。今や、米ソを中心とした緊張緩和と軍縮への動きは世界の潮流であり、その流れがアジア地域に及び本県の米軍基地の削減につながると期待されているところでありますが、今回の核軍縮計画は今後、通常地上兵力の削減計画にも一層拍車をかけてくるものと予想いたしております。
 以上のような情勢を踏まえ県といたしましては、基地問題の解決に向けてこれまで以上に努力いたしていく考えでございます。
 それから、さきの訪米で要人と会った際、米国も軍縮の方向にあるとの話を聞いたかどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 米国の軍縮に関しましては、国務省のアジア太平洋担当のアンダーソン国務次官補代理からは、アジア太平洋地域の削減計画の第三段階で日本から5000名、うち沖縄から3400名が対象になるだろうということと、下院軍事施設小委員会のシュローダー委員長からは、米国の議会でも軍事予算の削減と米国内部基地の縮小について論議していること及び米太平洋軍司令部の戦略計画次長ウォン准将からは、米国内の基地の閉鎖と海外米軍基地の統合が検討されている等の趣旨の説明がございました。
 それから次に、知事は連合沖縄の動きに対しどのような見解を持っているか伺いたいという御質問にお答えいたします。
 御指摘の連合沖縄の動きにつきましては承知いたしておりますが、自主主体的な活動を法的に保障されている労働団体のあり方につきまして、知事としてコメントすることは差し控えたいと思いますので、御理解賜りたいと思います。
 次に、県知事が革新であっても国の支援は変わりないと言っているが、今日まで革新であることで制約になっていることはないかどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は、知事に就任して以来、地方自治の本旨にのっとり公正、公平を旨として、県民に公約した施策事業の実現に向けて誠心誠意努めてまいりました。また、国に対しても県民を代表する立場から施策事業の必要性、重要性を訴え理解と御協力を求めてきたところであります。今後とも、国の御支援を求める中で県民のために諸施策事業の実現に努めてまいる所存であり、これまで同様国の御理解と協力が得られるものと考えております。これまでの折衝を通しまして何人かの高官から激励を受けましたこともあわせてお伝えしておきたいと思います。
 それから、知事は自民党本部を訪れたことがあるか。あるとすれば、だれに会って、何を要請したのか。大蔵大臣とは会えないそうだが、これからはどうなのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御質問の自民党本部への訪問はいたしておりません。
 なお、大蔵大臣ともこれまでのところ国会等の関係で外出中でお会いできませんでした。
 自由民主党の政策調査会沖縄振興委員会の大鷹淑子委員長には参議院議員会館で、たしか私の記憶に間違いがございませんでしたら2度ほどお会いし、3次振計の策定等について要請したことはございます。
 それから、高率補助は沖縄振興の命綱である、その継続に当たって中央での政治根回しをどう展開するのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 高率補助の継続が沖縄振興開発計画の実効性を確保するため不可欠であるとの認識のもとに、これまで内閣総理大臣を初め沖縄開発庁長官、各省庁大臣、衆参両院の沖特委員長、自由民主党沖縄振興委員長、県選出国会議員等に沖振法の延長と3次振計の策定並びに現行高率補助の継続等について要請を行い御支援をお願いしたところであります。今後とも、沖縄開発庁及び県選出国会議員の先生方と連携を密にしながら、12月末の国の平成4年度予算内示に向けて大蔵省当局を初め関係各省庁、各政党、関係機関に対して沖縄の振興開発に対する御理解と御協力をお願いし、高率補助の継続が実現できるよう最大限の努力をしてまいる所存であります。
 その他の御質問につきましては、関係部長に答えさせますので、御理解いただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 人材育成財団と、それから国際交流財団の設立趣旨についてという御質問に関連して、私どもの所管でございます人材育成財団の事業実績等についてお答えをいたしたいと思います。
 沖縄県人材育成財団の平成2年度の主な事業及び実績は次のとおりでございます。
 1つは、奨学金の貸与事業を行っております。学資の貸与でございます。高校生、それから大学、その他について平成2年度は2億6300万円の貸与をいたしております。
 2点目は、国外留学助成事業であります。国外留学の助成として外国に22名、留学に助成をいたしております。
 3番目に、研究助成事業で、本県の学術文化及び産業に関する研究の助成に9名、平成2年度は助成をいたしております。
 4番目に、在沖米軍施設区域内大学の就学者の推薦事業というのをやっておりまして、これは37名、基地内の大学に推薦をいたしております。
 5番目に、語学教育事業ということで語学センターで語学の指導をいたしておりまして、平成2年度は883名が受講をいたしております。
 6番目に、学生寮の管理運営事業をいたしております。学生寮、つまり南灯寮、沖英寮、沖縄学生会館、大阪寮の管理運営でございます。
 以上が平成2年度の主な事業及び実績でございます。
 次に、人材育成財団の拠出者の構成がどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 人材育成財団の資金の拠出者構成は県、国、市町村、団体、個人となっております。
 最後に、人材育成財団の基金規模、運営資金規模がどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 人材育成財団の基金規模は、平成3年3月31日現在で25億5181万9000円、運営資金規模は平成2年度実績で収入9億3700万円、支出9億3000万円となっております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 観光文化局長。
   〔観光文化局長 比屋根隆和君登壇〕
○観光文化局長(比屋根隆和君) 台風時における観光客への宿泊施設の提供等についての御質問でございましたので、これに対してお答え申し上げます。

 7月27日、28日と、それから8月16日の台風9号と10号の際、空港ロビーが御指摘のように大変混雑いたしました。その主な理由は、夏の観光シーズンのピーク時であったこと、企業等の夏休み、それからお盆と重なり全国的に飛行便の余裕がなかったこと等の要因が重なったため混雑
を招いたものでございます。
 従来、観光客が空港ロビーで宿泊を余儀なくされる理由は、ほとんどの観光客が当日限りの空席待ち整理券を一刻でも早く求めるため空港ロビーに殺到するためでございました。したがいまして今後の対策といたしましては、9月13日、それから9月26日の台風17号と19号の際、航空会社
の協力で実施して効果がありました予約済み整理券の優先、それから有効期間の延長等のシステムを定着させること、それから臨時便の適切な配置を航空会社に強力に実現をお願いすること、それから、旅費を使い果たした人たちに対する後払い方式によるホテル等への紹介等を積極的に行うことだと思いますので、その対策を今後、積極的に推進していきたいと思います。
 また、空港における宿泊をなくするために、御提案にございました公共施設の使用を含めた対策についても関係団体と協議いたしまして実現の方向で検討していきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 観光立県とその施策についての質問の2番目、台風対策のため格納庫の建設要請をする考えはないかという質問にお答えをさせていただきます。
 空港における格納庫は、航空機の修理等整備を目的として設置されておりまして、台風襲来時には一部格納庫に臨時保管をする航空機を除きまして大半がほかの空港に避難することにより、航空機の安全を確保するということが那覇空港のみならず、空港では一般的でございます。
 台風対策のため、避難用格納庫を建設し、航空利用者の利便を図ることは大変望ましいことではありますが、台風避難用格納庫の年間の使用頻度に比べ、その整備に多額の経費を要します。年間3回ないし五、六回使うことになるわけでございますけれども、1格納庫当たり100億円を超える金額が必要になってまいります。そういうことでその実現は大変難しいものがあるなと、こういうふうに考えているわけでございますが、台風後における航空輸送の迅速な対応を図ることは、観光振興上重要なことでございますので、御提言の趣旨も踏まえまして航空各社と相談をしてみたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 大城進一君登壇〕
○知事公室長(大城進一君) 儀間光男議員からの御質問のうち、5点につきまして順次お答えをさせていただきます。
 まず1点目の、国際交流財団と人材育成財団の設立の趣旨の相違点についてでございます。
 国際交流財団は、関係諸国との人的及び物的交流に必要な業務を実施することにより、本県の振興開発と国際協力及び国際交流の増進に資することを目的に設立されました団体でございます。
 一方、人材育成財団は、本県の教育、文化及び産業の発展並びに国際化、情報化時代を担うための有為な人材を育成することを目的に設立されました団体でございます。
 2点目の、統合のメリットあるいはデメリットについてという御質問でございますが、県には、先ほども西銘恒三郎議員にもお答えいたしましたが、行政改革大綱がありますが、それによりますと公社等については厳しい社会経済情勢の変化に対応していくため公社運営のあり方等事業全般にわたって見直しを行い、経営の効率化を図っていくことになっておりまして、この一環として主管課長レベルの意見交換をさせているところでございます。したがいまして、現段階で統合を前提にして検討させているわけではございませんのでメリットとかあるいはデメリットについて申し上げることはできませんので、御理解いただきたいと思います。
 3点目の、国際交流財団の事業実績でございますが、国際交流財団の平成2年度の事業実績は、海外県人会の運営や記念事業に対する助成等による海外移住者の支援事業、広報誌の発行等による国際交流啓蒙普及事業、外国人による日本語弁論大会及び21世紀のための友情計画による外国青年の受け入れなどによる国際交流親善事業で、さらに海外技術研修員及び南太平洋漁業技術研修員の受け入れ事業など多岐にわたっております。
 4点目の、国際交流財団の資金の拠出者構成についてでございます。 
 国際交流財団の資金の拠出者構成は、県、市町村、民間などでございます。
 5点目の、国際交流財団の基金規模、運営資金規模についてお答えいたします。
 国際交流財団の基金規模は、平成3年3月31日現在で5億9995万円、運営資金規模は、平成2年度実績で収入1億8262万円、支出1億5972万円となっております。
 以上でございます。
○儀間光男君 議長、ちょっと休憩願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後6時8分休憩
   午後6時10分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 観光文化局長。
   〔観光文化局長 比屋根隆和君登壇〕○観光文化局長(比屋根隆和君) お答えします。
 御提案がございました奥武山の体育館、それから武道館の件につきましては、武道館についてはまだ建設されておりません。この利活用につきましては、教育庁と今後、協議しながら実現の方向で検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 儀間光男君。
   〔儀間光男君登壇〕
○儀間光男君 国際交流財団、人材育成財団、統合を前提にして検討してないとこうおっしゃったんですが、これはそうであるならまた後で委員会でやることといたします。
 不思議なのは、琉球新報紙が5回にわたって報道するけれども、他のマスコミ機関、これがないんです。なかんずく沖縄タイムスに全然扱われてない。この相違は何なのかは知事には問いませんが、何か妙な感じがしてならない。一方にリークするような記事でもあるまいにと、こう思うんです。あるいはタイムス紙側が取材に値しない、報道に値しないとしたのか、よくわかりませんので、後でしたいと思います。
 知事、日本共産党さんの言う科学的社会主義、これについて触れたくないとこうおっしゃるんですが、あなたの親戚が物を言っているんですから、少しぐらい言及してみたらいかがでしょうか。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えさせていただきますが、先ほども申し上げましたように公党の立場について、県知事としてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますので、御了解賜りたいと思います。
○議長(平良一男君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明4日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後6時13分散会

 
19910504000010