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平成11年(1999年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月10日
仲里 利信
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皆さん、こんにちは。元気を出して頑張りましょう。
質問の前に、通告してありました「下水処理水の農業用水としての再生利用について」は都合により質問を取り下げます。
さてそれでは、私は、サトウキビ作を拡大し、少なくとも年間150万トン生産を実現するために伊是名方式キビ収穫を翔南製糖に導入することによって省力化を図り、年寄りでもキビ作ができるようになり、さらには多収穫品種の北中1号を全県下に普及をすれば現在の耕地面積でも150万トンの収穫が可能になると私は思っております。県が本気になって取り組めばキビ作の将来に明るい展望が開かれると思います。そのことを申し上げまして質問に入ります。
サトウキビ生産の勧めについて。
去る2月定例会で提示いたしました仮称北中1号につきましては、関係者の御協力のおかげで去る4月29日東風平町小城の1200坪の土地に同品種を植えつけし、順調に生育をいたしております。
去る9月22日の台風18号の被害が心配されましたけれども、県の従来の奨励品種と同程度の軽微な被害であったことを御報告いたします。その後順調に生育をいたしておりまして、関係者各位の見学も後を絶ちません。
作付に至る一連の作業の中で最も困難を来しましたことは、ある程度まとまった農地を借りることでありました。町村の農業委員会を通じて借地をお願いをしても用地の確保が大変難しかったことは今後の大きな課題と言えると思っております。
今回の一連のキビ作で機械化可能な面積が確保できれば、サラリーマンでも3000坪程度は十分作付できると確信をいたしました。今回の作付を機に作業時間や機械のリース代金、農薬、肥料の代金等を含めた原価計算をやってみました。北中1号の場合300坪当たりで売上高20万4000円、総費用が21万9850円で初年度は1万5850円の赤字となります。
ただし、今回の苗は名護市天仁屋を2往復し採苗したために人件費が20時間以上要したこと、また種苗代金300坪当たり1万5000円、ハーベスターの料金が6000円を要したことが赤字の大きな要因であります。
ちなみに、来期の株出しの損益を試算いたしましたところ、総売上高300坪当たり24万4800円、総支出10万8000円で差し引き13万6800円の利益が出ます。これは、300坪当たり生産高は初年度、春植えで10トン、株出しで12トンで試算しております。
そこで、次の点について伺います。
1点目、県はサトウキビ生産に関する損益計算をなされていると思うが、詳しく御説明を願いたい。
2点目、機械化を導入する場合にハーベスターによる収穫となるけれども、本島中南部地域における料金が1トン当たり6000円とかなり割高であります。3000円程度まで引き下げをすればハーベスターの稼働率も上がり、ひいてはキビ作が振興することにつながると思うがどうか。
次に、南大東村におけるO農家の事例を紹介いたします。
夫婦だけで3万6000坪の農地のほか新たに1万8000坪の農地を公費でもって整備中であります。
平成10年度の生産は約800トンで、経費を差し引いた収益は約900万円でキビ作だけでサラリーマン以上の収益を得ております。
さらにOさんは、北中1号に対応できる大型ハーベスター約4500万円相当を個人でオーストラリアより購入しております。現在、ハーベスターによる収穫料金は農協がトン当たり3000円、Oさんは2500円であります。
Oさんは、大型ハーベスター購入に際し、事前にキビ作農家に呼びかけ、数名の方から賛同を得て組合方式で運営しております。ちなみに、平成10年産はOさんのハーベスターによる収穫高は約8300トンで、総収益2000万円を得ております。
Oさんは、将来すべて北中1号に切りかえるとのことで本年度は春植えを1万2000坪栽培しております。将来5万4000坪のすべての農地に北中1号を栽培し年間収穫高2000トン、売上高にして4000万円を目指しております。
すべて機械化されました南大東村においては、営農者みずから畑仕事をすることはないのでサラリーマンをしながらでも3万坪以上耕作している事例もございます。
以上、南大東村におけるサトウキビ栽培の概要を紹介いたしましたけれども、キビ作がもうかる農業であることを御理解いただいたと思っております。
そこで、サトウキビの収穫を機械化し生産の拡大を図るためには次の2点に集約されると思っております。
A、ハーベスターが導入できる面積を確保すること、そのために行政としてなすべきことは何か、そして実現可能な施策を伺いたい。
B、ハーベスターを意欲ある若い営農者に無償で貸し出しすれば1トン当たり2000円程度で収穫ができると思いますけれども、どうだろうか。
4点目に、サトウキビ生産の原価構成上最も重要な要素は単位収量を上げることに尽きます。そのためには肥培管理の徹底に加えまして高糖多収品種を導入することに尽きます。それをすべて備えているのが私の推薦いたします北中1号であります。その普及のため県も積極的に推進してほしいと思うがどうか。
5点目、規模拡大のできない小規模面積の荒蕪地を解消するためには、各市町村で実施されている利用権設定の下限面積の見直しを賃貸借と売買契約の2つに分けてやる必要があると思います。
売買に関しては従来どおりで結構、農地としての賃貸借面積は思い切って下限を300坪程度とすれば荒蕪地は解消されると思うがどうか。
6点目に、意欲ある若い営農者に対して県が中心となって3万坪程度の農地を確保し、それを貸与してキビ作を実践すれば必ずやキビ作に対する一般の方々の理解も高まると思う。農地の確保については県が意欲を持って実践し手本を示すべき時期に来ていると思います。決意のほどを伺いたい。
7点目、本年9月、中城村において農業生産法人有限会社「結農産」が設立をされました。比嘉社長を中心に若手お2人を含めた計3人でサトウキビを大規模に栽培し機械化農業を目指しております。
この種の法人化は、県内では初めての事例ということで現在県内や離島から来訪者が後を絶たないとのことです。衰退するサトウキビ作を復活させるのに大きなインパクトがあると思っております。
そこで、有限会社結農産に対する県の支援策について伺いたい。
A、農地の流動化と集団化に苦慮しているけれども、支援策はないか。
B、キビ植えつけの初年度は収入がなく生活が厳しいと思われるが、支援策はないか。
C、ハーベスターを初め設備機具等に多額の資金を要するが、その支援策はないか。
D、さとうきび作ルネッサンス事業で支援策は考えられないか。
次に、台風18号による災害の実態と課題の解決策について。
台風18号は近年にない大型で、その上1日477ミリという大雨をもたらし県内各地で大きな被害が発生した。特に大雨による被害は住宅の床上浸水、車両の冠水、工場や倉庫の浸水、交通網の遮断、農作物の冠水による被害に加え各地で地すべりが発生した。人身事故が起きなかったのは不幸中の幸いであった。
特に本員の出身地である南風原町は、字兼城と津嘉山地域を中心に低地帯のほとんどが浸水し大きな被害が発生しました。
ちなみに、住宅の床上浸水は全県の約10%に当たる68世帯が南風原町で発生しております。また床下浸水の具体的な数字は把握していないが、数百世帯に上ると思われます。
さらに、工場や倉庫の商品、事務用機器等の商工被害は報告されただけで約2億円となっております。また、個人用車両の冠水による損害は莫大な金額が見込まれております。
南風原町は国場川の上流域にあり、兼城、宮平地域を流れる国場川流域と、その南側に位置する宮平川と津嘉山、山川地域を流れる長堂川水系の3つの河川が合流して漫湖に入ります。
同地域は、人口急増地域で主要幹線道路の建設も急ピッチで進み、あわせて個人用住宅の建設も急速に進んでおります。そのため、従来の畑地や原野が宅地化されコンクリート張りとなったために雨水はそのまま河川へと流出し、一気に河川の水位は上がり、河川をはんらんした水は民間地域の低地帯へと流れ、浸水をもたらす結果となっております。
新たに住宅を建設する場合、過去において最も水位の高かった位置をもとにそれから50センチ以上土面を高くして建築をするが、数年後には浸水するという実情であります。
そこで、国場川上流の3河川の水系の概要を説明します。
まず、長堂川水系は下流より拡張整備が進んでおり、現在着工中の山川橋の整備が完了すれば浸水被害は緩和されると思われます。
次に、国場川水系は東は運玉森から北は那覇市清掃工場までの広い流域で宅地化が急速に進んでおります。この水系の石原橋上流一帯が大雨のたびに浸水する地域で、築後約30年の建物がほとんどであります。大雨のたびに石原橋が堤防となって、はんらんした水が低地帯の民家に流れ込み、ひいては国道329号の南風原十字路まで冠水しこれまで幾度となく交通不能な状態になりました。
次に、宮平川水系は大里村北部から南風原町与那覇地域までの水系であるが、ここも国場川同様宅地化の進んでいる地域であります。
この地域では河川沿いに住宅を建設する場合、河川の堤防からさらに1.5メートル壁を高くし独自で浸水防止策を行っている。したがって下流の河川が満水となると上流部の低地帯、いわゆる道路や畑地から道路を伝って下流の民間地域へと流入し低い地盤の住宅が浸水する結果となっている。
去る台風18号が発生した9月22日午後9時30分ごろ、宮平地域の路上から母親と幼児2人が乗った小型乗用車が路上を流され、下流約500メートルまで流され、兼城51番地の屋敷囲いのブロック壁の上に車の後方のバンパーがかかり、水が引いた後もエンジン部分を下方向にぶら下がる状況になっておりました。
以上のことを踏まえ、質問いたします。
1、国場川上流に位置する石原橋の上流の床上浸水対策については、南風原町議会においても再三にわたり意見書を採択し県当局へ要請しているが、災害復旧関連工事のみ実施され、県は河川工事は下流から行わなければならないとの答弁に終始している。現に浸水の被害に遭っているのは上流の方であり、人命にかかわることゆえ早急に対策が必要と思うがどうか。
2、南風原町兼城地内の国場川系石原橋と宮平川系新興橋上流の浸水の原因は、川幅が狭いのに比べて上流の流量が大幅に上回った結果、両橋が堤防の役目を果たし、上流の浸水につながっていると思料いたします。
よって、両水系の降雨量は両河川の容量をはるかにオーバーしていると思われるので、実態を調査の上、幅員の拡幅を含めた対処策を講ずるべきと思うがどうか。
以上、終わります。
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