昭和62年(1987年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 7月 3日
第 3号  7月 3日
 

議 事 の 概 要
昭和62年7月3日(金曜日)
午前10時1分開議
日程第1 一般質問
日程第2 乙第1号議案から乙第16号議案まで(質疑)
    一般質問及び質疑
     1 瑞慶覧長方君(社大党)     
     2 宮城 健一君(社会党)     
     3 伊波 広定君(共産党)
     4 下地 常政君(新生クラブ)
     5 白保 台一君(公明党)
     6 島袋 宗康君(社大党)
     7 田場 盛徳君(社会党)
     8 崎浜 盛永君(社会党)
午後3時49分散会

○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第16号議案までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 瑞慶覧長方君。
   〔瑞慶覧長方君登壇〕
○瑞慶覧長方君 一般質問のトップになっておりますが、よろしくお願いします。
 最初にまず、通告どおり、県収用委員会の小堀会長にお伺いします。
 きのうまでの代表質問の中で、小堀会長は、収用委員会の規則の中でも代理出席の制度があるんで可能な限り対応し出席させてきたという御答弁がありましたけれどもですね。これは代理出席、確かに規定はあるわけですが、だからといって常に代理出席ということで、今まで会長が本議会に正式に御出席されたのは、我々は余り記憶にないんですよ。その都度、いわゆる別用務ということで、今議会では別用務という流行語がはやるぐらい、別用務というのが問題になっているわけですね。それから見ますというと、きのうの御答弁で、代理出席させているからいいんだという御判断ではまずいんじゃないかと。特に代理出席が恒常化され、これがあたかも普通だというふうな形にでもなれば、これこそ問題じゃないかと。そういう意味から、また今まで確かに何回か代理出席で事務局長やあるいはその他の委員の方々がされたこともあるわけですけれども、2月定例会でも、肝心な部分になりますと会長ではないので答弁できないとか、あるいは事務局長ですのでその会議の部分になるというとお答えできませんというふうなことで非常に問題があったわけですね。
 そういう意味からも、今まで会長がとってこられた、いわゆる代理出席あるいは別用務ということで、ほとんどこの議会に正式に御出席されなかったことについて、もう一度会長としての御所見をお伺いしたい。
 また同時に、今後も引き続き、きのうの御答弁のように別用務があった場合に、例えば裁判とか何とかの場合にはやむを得ぬと思うんですけれども、南米訪問されたときでも、顧問弁護士として行ったんだから私用ではないと。公用だからこれも優先されると。そうすると議会よりもその方が優先されるということになれば、これこそ、また議会は代理出席が恒常化されるという問題が出てくるわけですね。これについて今後ともそうなさるのか。可能な限り、やはり議長からの出席命令があれば御出席をされて、委員会を代表して会長が御出席なさるのか、今後の問題についてもお答え願いたいと思います。
 次は、審議の内容について触れますとお答えできないと。会長は、収用委員会法で非公開の原則であり、また守秘義務があると。これを盾にして、肝心な部分になりますときのうもお答えない。また去る2月定例会でも知花代行が御出席されましたけれども、そのときも、合議制だから内容についてはお答えできぬと、こういうことがあったわけですがね。
 なるほどこの準司法的立場であり、あるいは裁判所においても、だれそれ委員がどういう発言をし、だれそれさんが反対をし、だれそれさんが賛成をしたかという審議のいわゆる経過とかあるいは過程について、これは我々が聞くとなると、会長がおっしゃるようにこれは守秘義務があるし、また非公開の原則ですからわかるわけですがね。ところが今肝心の問題になっておりますのは、皆さんが既に裁決を出されて、各地主に対してもこれは配られているわけです。ということはもう公開されているわけです。(資料を掲示)
 公開されているこの部分について、内容についてお答えできぬと。例えばきのうも、うちの代表質問で仲原英典議員が、皆さんのこの中にも書いてあるんです。20年というのは、物価の変動等から長過ぎると。これは判断されているわけです。そのとおりです。ところが10年というのは相当であるという判断をされているわけです。ところがこの10年が相当だとされた根拠は何かと言いましたら、これは内容に触れるので答えられぬというんですね。これはおかしいわけですよ。何も守秘義務とか公開の原則に触れるような内容でないんです。皆さんが御判断された根拠について統一見解があるはずですから、これを述べたらいいんです。だれがこう言った、だれがこう言ったかを聞いているわけじゃないんです。だからその点、矛盾するんです。
 私たちがこれを検討した結果、皆さんのこの裁決書の一番最後に、土地価格修正算式というのがあるわけです。もちろんこの算式は、国が定めた法律に従った算式だと、こういうことを伺っておりますけれども、仮にそうであったにせよこれは現実にそぐわない。なぜそぐわないかと言いますと、全国総合消費者物価指数、これを昭和60年を100にとって、3年のものを平均して数値を出している。これが1点。
 もう1点は、投資財指数、これも昭和55年を100として、その後のものを平均化して出しているわけです。ところが沖縄は、全国と違うのがたくさんあるんです。基地にしても密度も全然違います。それから全国は、どんなに長いものでも2.5年なんですね。収用の期限の長いものでもね。
 こういうふうに全国と物差しが全然違うのに、この算定だけは全国の基準を持ってきている。例えば沖縄には、県の地価調査基準値あるいは標準価格一覧というのが毎年出てくるわけです。あるいは沖縄の軍用地、特にこの該嘉手納基地の場合、私が調べてみますというと、昭和47年にこの嘉手納基地の分だけで31億5260万5000円、これは実際に支払われた地料です。これが51年には69億9612万5000円。56年度、すなわちちょうど10年間たったものでは98億6300万です。
 こう見ますと、昭和47年と56年のこの10年間には実に3倍になっているわけです。いいですか。これだけ変動があるんです。これは事実に基づいたことで私はやっているわけですよ。ところがこのいわゆる法律で示されている土地価格修正算式からするならば微々たるものです。ですからこれは地主にとっては、大きなマイナスになるわけです。補償どころじゃないんですよ。そういうことを地主側は、皆さんの方に異議申し立てをしているわけですよ。公開審理の場でも開陳しているわけです。だからこのことによって出た結論について、皆さんが統一見解で根拠を示すのは当たり前であって、それを守秘義務だとか、非公開だとかいうことで拒否するのはこれは筋違いです。これについても、もう一度お答え願いたいと思います。
 それから安保問題です。
 これについても代表質問に対して、やはり内容に触れることなのでお答えできないと、こういうことなんですがね。これもおかしいんですよ。というのは、皆さんは、公開審理の場やその他でも、一県の収用委員会が判断を下す筋合いのものではないと、是非についてはですね。こうたびたび表明しておられるわけです。ところが皆さんは、この裁決書で何と言っているかというと、この裁決書ではこうなっているんですよ。「今後も安定的に且つ、引き続き相当期間にわたって米国駐留軍用地を提供する必要があるものと思料される。」とはっきり皆さんのこれに書いてあるんです。なぜ一県の収用委員会がそれについて判断をする立場にないとしながら、ここでは明らかにやはり、安定的に長期にわたって引き続き提供する必要があると思料されると。このことは、明らかに皆さんは一方的に施設局側の立場をとり、みずからの主観、すなわち予断を前提としておるわけです、この判断は。ですから厳正中立ではない、一方の起業者側の立場に立ったこの裁決であると地主側もあるいは我々もそれを主張しているわけです。ですからそうであるならば、堂々と皆さんの立場をここに述べるべきなんです。これもはっきりさせてください。
 それから次は、米軍関係、基地問題についてお伺いします。
 知事にお伺いしますが、知事は、この質問のたびごとに、三者協議会の議題に上げて三者協議会で問題解決に当たる、あるいは合同委員会に諮って善処すると、こういうことをずうっとおっしゃっているわけです。ところが三者協議会は、この1年半、開かれた形跡がないんですね、と思います。本当にこの1年半あるいは2年以内、開かれたのか、開かれてないのか。開かれてないとするならば、なぜなのか。
 皆さんは、どのぐらい申し入れをしたのか、これをお答えください。
 それから2つ目に、昨今の米軍による事件、事故の多発というのは、これはもう余りにも目に余るものがある。このことについて一般あるいは客観的に見ても、知事の姿勢が弱いんじゃないかと。きのうは知事は、相当熱を上げられましてね、友寄議員に、そんなことはないということで相当ファイトを燃やしておられたんだが、このファイトをぜひ米軍にぶつけて、米軍だけじゃこれはだめなんですね。米軍は、日本政府を防波堤にして盾にしているわけですから、ですからあくまでもこの問題はやはり外交問題にのせなければだめじゃないかと。せっかく知事がワシントンまで行かれてあれだけなされたにかかわらず効果が出ないということは、やはり外交問題にのせない限り根本的な解決にはならぬじゃないかと。
 そういう意味からも、早急にやはり知事みずから先頭に立って政府に訴えて外交問題にのせて、そして解決を図る以外にないんじゃないかとこう思うわけですが、特にこの最近、どうもこれだけ激しいのは、国体で天皇陛下がお見えになると。その前に、その期間中はできなくなるんで、その前にいわゆる前倒し発注みたいに演習をためてやっているんだと、こういうことさえもささやかれているんですね。
 こうだとするならば、これこそ問題ですよ。これは非常に問題です。そうあってはならぬわけですが、しかしもう県民もそう思わざるを得なくなっている。そのぐらいまでひど過ぎるということですね。この辺についても、密約はあったのかなかったのか。
 それからこういうやさきに、基地従業員の大量解雇ということで報じられております。これは在沖米海兵隊は、9月末までに303人という大変な解雇をするということなんですが、実にクラブ全従業員の84%という、これは大変なことなんですね。たとえ円高ドル安というあおりがあるとはいえ、この手前勝手の首切りでこれは断じて許せるものではない。しかも1月30日に出されたときも、日本側が165億400万円という労務負担を分担すると、思いやり予算でやるということで、我々も非常に喜んで、これでやれやれ解決したなということで大喜びしたわけなんですが、これをやったやさきに、全くだまし討ちなんですよ、これは。こういうことは許されちゃいかぬと思うんですね。幾らこういう事情があるにせよ、こういうだまし討ちは決してこれは許せるもんじゃない。
 そういう意味からも、毅然とした態度で、しかも沖縄は全国平均の倍もある、6%以上の失業率を抱えている。こういう中でこういうことを、これは容認できるはずがないんです。これについても知事は、きのうもコメントを出されたようですが、具体的にどのように対応策をとられるのか明確にお答え願いたいと思います。
 同時に、先ほども申し上げましたように防衛施設局とか、米軍に申し入れたってこれはらちが明かぬと思うんで、同じようにこの問題も早急に外交問題にのせて、やはり国と国との問題というとらえ方で根本的な解決を図らなければならぬじゃないかと思いますが、これについても知事の毅然とした御所見をお伺いしたいと思います。
 それからこれは卵ですがね。(資料を掲示)鶏卵問題。これは幾らすると思いますか。10個入りでたった100円なんです、買うのがですよ。じゃ生産者が出しているのは幾らかというと1キロですね、1キロというと大体M玉で十五、六個、S、小さいもので18個ぐらいで幾らかというと135円、取引価格が。そうすると1個当たり幾らかというと7円から8円なんですよ。たったの7円から8円。たばこ1本分にもならないんですね。今そういうことで、この卵の暴落というものは非常に問題になっているわけです。もう生産費を完全に割っているんですね。今、保証基準価格でも178円ですから、それから見ますと実に43円も、生産、いわゆる分岐点を割ってしまっているんですね。これは卵の場合は年末になると上がる。また、過ぎると下がるということを繰り返していますが、それにしても最近のこの鶏卵価格の暴落はちょっと従来にないほどの暴落ですね。一昨年には300円もした、あるいは去年でもほとんど200円を突破しておったんですがね。これがもうことしの1月から急激に185円になり、170円になり、今たったの135円、こういうことです。
 それで農林水産部長にお伺いしたいと思います。
 皆さんも既にいろいろな手を打っておられると思いますけれども、この価格大暴落の原因は一体何なのか。
 それから価格安定のための対応策は、具体的にどのようにやってこられたか。また今後ももろもろの手があると思うんですが、どういうふうにやるか。
 それからここの価格安定は、今後も引き続き低迷すると思うんですけれども、いつごろにこの回復の見通しがあるのかないのか、あるいはどのぐらい続くと思うのか。
 それから県の基金と保証基準価格あるいは標準取引価格の推移、これを5年分で簡単に御説明ください。
 さらに、保証基準価格と標準取引価格との現時点における差、約43円になると思いますが、差額に対する価格補てんのための基金、県基金並びに全国基金、あわせて支払いの状況、そして基金は十分あるのかないのか。現在、残高どのくらいあるのか、これについてもお答え願いたいと思います。
 それから全国的に生産過剰だということが言われておりますけれども、この過剰に対してやはりその場合に乾燥卵とかあるいは固形卵とかということでの保存方法についての加工面の対策も考えておられるかお聞きして、質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 瑞慶覧長方議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題についてお答えいたします。
 三者連絡協議会は、これまで11回、同幹事会が15回、また航空機騒音分科会が5回開催されておりまして、航空機騒音問題、演習の安全対策、北部ダムにおける訓練の中止、網紀粛正等多岐の事項について提案し、国と米軍に対しまして問題の解決、また改善方を要求してきているところであります。
 ここ1年間について申し上げますというと、関係者の人事異動等もございまして日程調整が困難な状況であったために開催されておりません。去る6月5日に幹事会を開催しておりまして、近々、協議会を開催するための日程を調整しているところであります。できる限り三者協の機能を十分活用いたしまして基地問題の解決を図っていく考えでございます。三者協でもって解決できない問題等につきましては、上位の安保協議委員会、日米合同委員会等に問題をのせて、そこで解決方について要請をいたしているところでございます。
 次に、最近頻発する米軍事件、事故の多発の原因は、知事の政治姿勢が弱いからではないかというおしかりでございますが、私といたしましては、基地から派生する問題については三者協でできるだけこれを協議いたしまして問題の解決、また改善方を強く要請しているところでございますが、外交問題としてこれを取り上げるには幾多の手続が必要でございまするし、なかなか外交上の問題として取り上げる機会がないことを残念に思っているわけでございます。一昨年訪米いたしまして基地問題についての現地の要請を強く国防総省を初め関係当局に強く要請したわけでございますが、どうしてもできない場合には外務省を通じ、あるいは直接米軍当局に向けて問題解決に向けて努力してまいりたいと思っております。
 それから演習の頻発でございますが、調整官にお会いいたしまして、国体を控えているのでできるだけ住民の協力を得なければならない立場にあるので、演習等、その他の工事等について差し控えてもらいたいということは要請いたしておりますが、そのために演習の前倒しということでこれが頻発しているということではないと思います。演習回数等にいたしましても自粛している面もあると私は受けとめております。
 それから基地従業員の大量解雇についてきのう発表がございましたが、これはもう前から懸念されておった問題でございまして、全員再就職できるように、調整官に対しても関係者に対しても強く要請をいたしているところでございます。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 収用委員会会長。
   〔収用委員会会長 小堀啓介君登壇〕
○収用委員会会長(小堀啓介君) 瑞慶覧長方議員の御質問にお答えいたします。
 第1点は、会長代理出席が認められているからといって、代理出席が当たり前ではないというおしかりと、今後はどうするか、どう対処するかという御質問だろうと思います。お答えいたします。
 私が出席できませんでしたのはあくまでも別用務と重なったためでございまして、出席を拒否したわけではございません。今後は、地方自治法第121条の趣旨を踏まえまして十分対応していくつもりでございます。御理解いただきたいと思います。
 次に、非公開、守秘義務は、個人の財産権の保護等を図る必要がある場合に言うものであって、今回の裁決の場合には当たらないのではないかという御質問でございます。お答えいたします。
 準司法機関である収用委員会の裁決に関しましては、裁決会議の非公開及び守秘義務等について土地収用法に明確に規定されております。また権利者保護を図るため総合的に判断した結果、裁決の内容を明らかにすることは差し控えたいと思います。
 なお、各地主に対する裁決は公開されておりません。
 次に、物価の変動が激しい中で裁決の中で土地価格修正算式により一括前払いにしたのは、現実にそぐわないのではないかと。その上、10年としたのはおかしいのではないかという御質問でございます。
 土地等に対する補償金の額につきましては、土地収用法第72条及び同法施行令の第1条の12の規定によりまして算定したものでございます。
 なお、使用期間を10年、一部5年としましたことは、起業者の申請理由、土地所有者等の意見、その他の資料を十分検討し総合的に判断した結果、裁決したものでございます。
 最後に、日米安保条約につきまして裁決で判断しているけれども、これは予断を抱いていると思うがどうかという御質問と、これでは厳正中立とは言えないではないかということだろうと思います。お答えしたいと思います。
 裁決内容の会議の内容につきましては、内容に触れることは先ほども申し上げたようにお答えできません。ただ、裁決の理由については裁決書に記載されているとおりでございます。
 なお、裁決は、厳正中立の立場で公正、妥当な裁決を行っております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 鶏卵価格問題につきまして数多くの御質問がございましたので、現状、それから見通し、今後の対策につきまして取りまとめて御答弁申し上げます。
 鶏卵価格の現状につきましては、本県の鶏卵価格は、本土の全農の東京、大阪、福岡の3つの競り市場価格を参考にいたしまして建て値が形成されているわけでございます。したがいまして本土におきますところの生産量、または価格に非常に影響するわけでございますが、本土におきましては過去二、三年来の飼料価格の値下がり基調に刺激されまして飼養羽数の増羽が続いたのに加えまして、円高によりまして外国からの輸入が増大いたしまして供給過剰を来しているのが現状でございます。
 数字的に申し上げますと、昭和60年度が全国で215万9000トン余の生産量で対前年比100.7%でございましたけれども、昭和61年度は226万6000トンと対前年比104.9%というぐあいに非常に過剰傾向でございまして、特に62年の1月に至りましては対前年比108.1、それから2月が107.9とこのように非常に供給過剰になっているのが状況でございます。
 そのため、昭和62年1月から鶏卵価格は全国的に急落の状況にありまして、昨年12月にキログラム当たり292円していた価格が、ことしの5月には実に135円まで低落している状況でございます。
 鶏卵価格の今後の見通しでございますが、餌付羽数の増が60年9月以降1力年余にわたって続いたこと等によりまして、全国的な生産増による供給過剰は当分の間続くものと思われます。それから秋口から年末年始の需要期にかけましては一時的に小康状態の価格に戻るものと思われますが、その後はまた軟調価格で推移するものと考えております。
 鶏卵価格に対する安定対策でございますが、国内の生産者は、鶏卵価格安定基金に加入契約している場合には、全国の保証基準価格、キログラム当たり169円で保証される制度になっているわけでございます。本県の場合には、県独自の保証基準価格といたしましては本土よりは8円高い178円を保証される制度になっておりまして、県内生産量の42%が加入しておりますので、その分については救済されるわけでございます。本県の基金財源は、過去2年間にわたりまして卵価が安定していたために基金は十分対応が可能な状況でございます。
 抜本的な対策といたしましては、全国的な適正羽数の維持と計画生産に徹することが肝要でありまして、老鶏の繰り上げ淘汰及び素ひなの導入の抑制が緊急な課題であります。国、県とも羽数につきましては従来どおり凍結し、生産調整を厳しく指導しているところであります。
 価格は、全国に連動しておりますので県独自の価格回復策はございませんで、全国的に羽数が適正になれば、その時点で県内の価格も回復するものと思われますので、この今回の価格低迷につきましては全国的な動向を見ながら対応策を講じていかなければならないとこのように考えております。
○瑞慶覧長方君 答弁漏れがあります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前10時35分休憩
   午前10時36分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) このたびの300名余りの解雇につきましては、昨年暮れごろから問題となっておりましていろいろ折衝を重ねてきておるところではあります。しかし米軍側の事情がございまして思いやり予算で救済できるのはわずか60名余りではなかったかと思っておりますが、調整官初め米軍当局に対しましても、パートで採用できる分についての考慮を含めて再就職できるような要請を強くやっていきたいと思っておりまするし、また防衛施設庁あるいは外務省等関係者にお会いいたしましてその改善方、また再就職等について強い要請を行いたいと思っております。
○議長(志村 恵君) 収用委員会会長。
   〔収用委員会会長 小堀啓介君登壇〕
○収用委員会会長(小堀啓介君) 失礼いたしました。
 先ほどの質問の中で、私が本議会に出席要求があって出席したことがあるかという御質問でございますけれども、今まで出席したことはございません。今回が初めてでございます。
 以上です。
○議長(志村 恵君) 宮城健一君。
   〔宮城健一君登壇〕
○宮城健一君 冒頭、基地問題と関係しまして、ただいま瑞慶覧議員からもあったわけですけれども、きのう発表されておりますいわゆるクラブ従業員に対する解雇通告の問題、この点につきましては非常に重要かつ緊急だと思いますので、私の方からも申し上げて知事の決意を伺っておきたいと思います。
 在沖米海兵隊当局は、きのう、円高ドル安による財政難を理由に、同基地で働くクラブ従業員303人を9月30日付で解雇する旨を発表しました。今回の解雇発表は、県との事前協議もないままに抜き打ち的にやったものであり、これまでの労使慣行さえ踏みにじる一方的かつ不当な解雇であり、断じて許せるものではありません。しかも最近の急激な円高ドル安による厳しい経済環境を踏まえ、今年の1月30日、日米間において基地労働者の雇用安定を図る立場から、日本政府による165億円余りの労務費を肩がわりするという特別協定が締結されたばかりであります。これを無視した今回の大量解雇は、日米間の信義にもとり、余りにも身勝手な措置であり、こうした米軍の横暴は絶対に容認できるものではありません。
 また、慢性的な高失業率の中で特に近ごろは6.2%を記録し最悪の状況にあります。このような時期に大量解雇とは無神経も甚だしいと思います。米軍基地はこれまで諸悪の根源として忌み嫌われてきたが、さらにまた雇用問題を混乱させるという新たな悪の根源をつくり出そうとしています。そうなると、どうぞアメリカにお帰りくださいという以外にはないと思います。
 そこで知事に伺いたいことは、きのう、遺憾の意を表明なさっているし、また当事者の全駐労においても抗議声明を発表しているわけでありますけれども、そのことは了といたしまして、1つ、特別協定は何のために結んだものか。それから推して今回の解雇発表を何と見るか。
 2番目に、今後の対策をどうするか、この2つであります。
 ただいま、再就職について要請するという御答弁がありましたけれども、雇用継続について真剣に検討していかんといかねじゃないかとこういうふうに考えております。決意のほどを伺います。
 次に、一般戦傷病者の援護措置の問題についてであります。
 戦争による人身被害にまつわる問題で放置された状態に置かれている問題があります。一般の戦傷病者とは沖縄戦で傷害を受けた者で、軍人軍属に属さない者を言います。戦後処理の中でも重要な部類に含まれるとの認識を持つものであります。
 この件については、既に昭和55年までに本県議会において3回の決議をして政府に対して折衝をしているのでありますが、戦争で傷ついたのは本土にもたくさんおるとか、果たして戦争で受けた傷か立証ができないとかの理由で放置されている状況にあります。一般傷病者の中でも6歳未満については既に援護法が適用され解決を見ているのであります。したがって残されたのは、推定5000名に上ると言われているこの一般戦傷病者の問題であります。
 御承知のように、本土において空襲等に遭い傷害を受けた人たちと、地上戦に巻き込まれて軍の命によって戦闘に協力させられ傷害を受けた人たちとではその違いは歴然としているし、またここで言う戦傷病者には10・10空襲によるものは含まれていないのであります。したがって政府の責任において特別措置を講ずるのは当然であります。
 沖縄県戦傷病者の会会長田場正雄さんが59年4月に総決起大会の決議文を携えて政府に要請行動しているのでありますが、その要請文を一部読み上げ御理解を求めたいと思います。
  私たちは、35年前の沖縄戦で傷害を受けた被災者で日本政府に戦争傷害補償請求をしましたが、公務、身分、傷害の程度を示す基準等により適用除外との不明確な理由で却下されました。申し上げるまでもなく沖  縄戦は、国家総動員のもとに軍民一体になっての戦闘協力によって老幼婦女子を問わず、小学生にいたるまでそれぞれの分担、作業に参加協力させられ、沖縄には非戦闘員は一人もいないという軍命令の下で多くの 県民が戦争にまきこまれました。その結果、軍人をはるかに上まわる10数万人以上の一般住民の戦死者を出し、更に生き残った殆んどが戦傷災害を受け、筆舌に尽くせない犠牲と困苦をしいられ、今なおその傷の後遺 症に悩み続けて老後の不安をいだきながら生活しております。私たち戦傷者は、体の不自由なため、正業にもつけず多くは家内工業的な仕事のため収入も少なく生活の苦しい方も多数おります。現在、後遺症のため神 経痛や頭痛等に悩まされ、その上、他の病気を併発して二重の苦しみにあえいでいる人も多々おります。何卒上記のような状態ですので特別の御配慮と善処の程重ねてお願い申し上げます。私たちは、戦争災害者と いう立場から戦闘協力者とみなされ、当然、戦傷病者 遺族援護法の適用がなされるものとして、その請求を政府に提出しましたが却下され、今日まで何らの補償も又、援護も受けておりません。全く不公平と言わざる を得ません。しかしながら、私たちが身をもって体験した100日近い長期にわたる戦場の実態とその傷害のために苦しんだ悲惨な立場を考えるならばその傷害の程度、公務、身分等の基準で単純に線引され切り捨てら れることは、その線引の根拠が当時の状況から不合理であり、当然国の責任において私たちも適用されるべきものと思慮されます。
 以上が要請書の一部でありますが、生活福祉部に尋ねたいことは、県としても、要請の趣旨に沿って必要な実態調査等を行い、政府折衝を強力に行うべきだと思うがどうか。こういうことをほっておいては戦後はいつまでも終わらないことを付言しておきます。
 次に、福祉施設の運営についてであります。
 諸福祉施設が福祉の直接の担い手としてその機能を十分に発揮し所定の成果を上げるためには、施設そのものの充実強化も大切な要素であることは申すまでもありません。さらにまたそこで働く職員が社会的使命感に燃えて熱意を持って諸業務の遂行に当たっているかどうかも成果を上げるための大きな柱になると思います。そのためには経営者と職員の関係あるいは職員同士の関係が信頼で結ばれ、和気あいあいとした働きやすい職場の雰囲気づくりが極めて大切なことであります。わけても経営者はその職責上、働きやすい職場づくりには常に留意して福祉施設の運営に当たらなければならないと思います。何らかの要因で職員の間に不平不満が募ることがあると入所者への処遇等サービス低下を来す要因になり、本来の成果が期待できないことになると思います。
 さて、ある老人福祉施設について若干の問題提起をしておきたいのであります。
 今回は諸般の事情で特に施設名、経営者名の名指しを避けておきます。この施設で働く職員の間から、特に労務管理、人事異動、賃金等の問題で不当性が強いとして以前から不平不満があり、私の耳にも届いておったのでありますが、最近特にひどくなり、経営者への不信感がかなりエスカレートし険悪な状況になっていると思われます。このような労使間の不信感が渦巻く中では喜んで働ける職場の雰囲気とは縁遠いものがあり、徐々に入所者の処遇にはね返らないかと懸念されます。具体的には関係部局に提示をして調査並びに指導を求めるつもりでおります。多額の措置費を助成し、円滑な運営が図られるよう指導監督の責任を持つ県当局においては、早急な実情調査と指導が必要であると思います。
 そこでお尋ねしたいことは、福祉施設の運営に当たって経営者は主にどのような点に留意しなければならないか、先述した私の考え方をも考慮に入れて答えてください。
 2つ目、県当局は、公営、民営を問わず福祉施設の運営状況を把握し適切な指導を随時行わなければならないと思うがどうか。
 また、私が指摘した該施設については早急に指導し、職員の経営責任者に対する不信感の除去に努めなければならないと思うがどうか。
 次に、教員の管理職選考試験についてであります。
 教職員組合を中心とした教育関係団体の強い反対を押し切って強引に実施に踏み切った管理職選考試験制度は、教育現場にもろもろの悪弊をもたらしながら推移をしております。制度に至るまでの手続の不備の問題、さらに地教委の内申権を形骸化し、人事の中央集権化を強めて教育統制の具に利用する意図を持つものであり、民主教育の推進に逆行するものであります。したがってその撤回を強く要求するものであります。
 以上、基本的な考え方を申し上げて制度の改善方を含めた具体的な質問に移ります。
 既に選考試験が実施されて3年目を迎えるのでありますが、その間には教育現場においてあるいは地教委において制度に対する不満が多分に出てきております。わけても小中学校における管理職試験が、教頭になるときも校長になるときも2回にわたって行うということへの不合理性を指摘する問題であります。
 この件については、関係団体から陳情や意見が教育庁には寄せられていると思うのでありますが、具体的にその不必要性について言及してみると、まず教頭試験に合格したことによって既に管理職にふさわしい人物であることが認められたことになり、その上に3年以上にわたって管理職としての実務を積み、当該校長が内申し地教委が推薦すれば校長になるための人物評価は完全に終了していることになります。
 2点目に、教頭職は、教職員の中で最も激務であるとされています。
 教頭本来の職務はもとより、ガラスが割れても教頭先生、ドアが壊れても教頭先生、下水がつまっても教頭先生というように校地、校舎の維持管理はほとんど教頭が責任を持っている状況にあります。その上にPTA、同窓会等関係団体とのかかわり、その事務処理なども教頭にしわ寄せされているのが実情であります。
 また近年、教育庁による教員いじめがだんだんとひどくなり、現場教職員からの反発も当然のこととして起こっています。その場合でも日常の教育活動に支障がないようにと管理者と教職員の板挟みになってまとめ役を務め、神経をすり減らしているのも教頭であります。私が知る限りの教頭先生たちは、こぞって早朝から日没まで職場にかじりついているのがその実態であります。言うなれば、忙しき者よ、なんじの名は教頭なりであります。しかしこのような激務に耐えて管理職としての職責を果たすために最善を尽くしている姿が敬服に値すると思っています。
 今まで述べた教頭の職務は、いずれも学校教育がその機能を果たすために重要な役割を担うものであり、教頭先生方には日常的に心身ともによい状態で頑張ってもらわなければならないのであります。校長試験を心配して、一定の時期が来ると本来の職務を遂行するのに支障があるとすればそれはゆゆしき問題であり、学校の教育機能を高めるために存在をし指導をしている教育行政の本意とするところではないと思うのであります。
 そこで質問は、1つ、県立高校には校長試験がないのに、なぜ小中校にはあるか。
 2つ、3力年の教頭経験と地教委の内申があれば健康診断だけで十分であり、試験の必要はないと思うので廃止してもよいのではないか。
 以上であります。一応の質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城健一議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 海兵隊のクラブ関係従業員303人の人員整理についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の厳しい雇用失業情勢のもとで、303人の在沖米海兵隊のクラブ関係従業員の離職者が出るということは極めて深刻な問題であります。県としては、これまでも駐留軍従業員の雇用の安定確保について米軍に対し要請したところであり、今回の措置はまことに遺憾であります。米軍当局及び防衛施設庁に対し、雇用の安定策について強く申し入れたいと思います。
 御参考までに申し上げますが、6月1日付で防衛施設庁長官から県知事あての文書が参っております。これは駐留軍従業員にかかる在日米軍労務費の負担についてであります。読み上げますと、駐留軍従業員の労務管理の実施につきましては、日ごろから格別の御協力をいただき厚く御礼申し上げます。今般、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第24条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、昭和62年条約第2号が昭和62年5月27日、国会において承認され、昭和62年6月1日に発効しました。
 この協定は別添のとおりですが、その趣旨は、最近の急激な経済情勢の変化により駐留軍従業員の安定的な雇用が損なわれるおそれがあることに留意し、従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するため、暫定的かつ特例的に日本政府が従業員の給与の一部を負担することであります。各都道府県におかれましては、今後、この協定の実施に関する事務について御協力をいただくことになりますのでよろしくお願いいたしますと、こういう文書が6月1日付で沖縄県知事に参っておりますので御報告申し上げておきます。
 事務段階の折衝でできない場合のことにつきましては、先ほど瑞慶覧議員に答弁いたしましたとおり外務省初め関係者にも強くこの安定策について申し入れたいと思っております。
 次に、戦傷病者の救済、福祉施設の運営等につきましてはそれぞれ生活福祉部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 平敷昌一君登壇〕
○生活福祉部長(平敷昌一君) 沖縄戦における一般戦傷病者に対する援護措置に必要な実態調査を行って政府折衝を行ってはどうかという御質問にお答えいたします。
 さきの大戦で傷害を受けられた方々が、恩給法や援護法の適用を受けられずに、今なおその傷の後遺症に悩み続けておられますことは心情的にも忍びがたいものがございます。
 ところで御質問の実態調査につきましては、実は沖縄戦被災者補償期成連盟に対しまして補助金を交付いたしまして、昭和46年から昭和49年にかけまして実態調査を実施しております。この実態調査に基づきまして補償要求をいたしまして、先生、御指摘の6歳未満の戦傷病者、それから6歳未満の戦没者の遺族に対して援護法の適用が実現をいたしております。しかしながら一般戦傷病者については障害の程度が軽易であるとか、公務性に問題があるということで現行制度では適用を受けられないでおります。そういった一般戦傷病者の方々に対する援護措置につきましては、1件でも多く適用されるように今後とも引き続き要請をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、福祉施設関係の御質問の1点目でございますが、福祉施設の運営に当たって経営者はどういった点に留意すべきかの御質問でございますが、福祉施設の整備は復帰後著しく進展をいたしまして、現在、措置費の対象施設が399カ所ございます。
 御質問の福祉施設の運営に当たって経営者が留意すべき点としましては、基本的には次の3つが考えられます。
 まず1点目には、何と申しましても入所者の処遇の充実を図ることだと考えます。入所者が日常生活において豊かで快適な生活を送ることができるよう最大限に配慮するということであります。
 2点目には、入所者の生命の安全を確保するため十分な施設対策とそれから訓練等の安全対策の万全を期するということだと思います。
 3点目には、施設運営の適正化を図ると。これは経営者が施設の運営管理を民主的に行い、独善的ないしは閉鎖的になることがないように経営努力を図り、健全な施設運営を図るというふうなのが3点目でございます。
 以上、3点が主な留意事項であると考えますけれども、社会福祉施設の適正な運営を図るためには経営者の努力もさることながら、入所者の処遇に直接影響を与えます施設職員の資質の向上、それから士気の高揚を確保するために施設職員の労働条件等の改善、整備も常に心がける必要があるというふうに考えます。
 次に、福祉施設の運営状況を掌握して適正な指導を随時行うべきであると思うがどうかという質問でございますが、社会福祉施設の運営の実態掌握とその指導のために9名の職員によります監査指導班を設置いたしまして、社会福祉法人及びその施設に対しまして毎年1回指導監査を実施しておりまして施設運営の改善を図ってきているところでございます。
 御指摘のような指摘に対しましては適宜監査を実施いたしまして、職員と経営者が一体となって入所者の処遇の向上と適切な施設運営が確保できるよう指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 池田光男君登壇〕
○教育長(池田光男君) 宮城議員の教員の管理職選考試験に関する御質問にお答えいたします。
 教員の管理職選考試験につきましては、有能な人材を広く県下から登用し本県の教育をさらに発展させるために設けられた制度でございます。これまで実施されてきた結果を見ますと、その趣旨が十分生かされているものと考えております。特に教育を取り巻く諸般の情勢の厳しい今日、名実ともに教職員のリーダーにふさわしい力を持った教員を登用することが時代の強い要請であると認識しているところでございます。
 ところで、県立学校の場合におきましては、任命権者である県教育委員会の直接の管理下にありますので、人物、適性等が把握しやすい上に、教頭に任用する時点におきまして全県的な視野から登用しているところでございます。しかし小中学校の場合におきましては、学校数が極めて多い上に県教育委員会の直接の管理下にございません。そのため人物、適性の把握は困難であるとともに、ともすれば狭い限られた地域における選考になりやすく、全県的な人事の広域交流の観点から不均衡になるおそれがあります。
 また、これまで行ってきました校長試験につきましては論文と面接によるものでございます。論文の内容につきましては、本県の学校教育が当面している事項あるいは校長として基本的に必要な事項について問うているところでございまして、日常の実践活動を適切に行っておりますと特別に試験のための準備を必要とするような内容のものではございません。したがいまして管理職選考試験の趣旨、役割、効果等からいたしまして今後とも引き続き実施していく考えでございます。
○議長(志村 恵君) 宮城健一君。
   〔宮城健一君登壇〕
○宮城健一君 若干念を押す意味で申し上げておきたいと思いますけれども、福祉施設の運営という問題で質問を申し上げて改善方の指導をお願いしたわけでございますけれども、生活福祉部長の答弁、前向きで評価をいたします。ただ、いろいろ問題点もあるやに聞いておりますので、ぜひ強力な指導をお願いすると同時に、近い将来に私の耳にも大変変わったように働きやすい職場になったというような朗報が入ることを期待しております。
 それから池田教育長、校長試験をやりますということでしたけれどもね、早く言うと。今ですね、その理由の1つにあんたが挙げられたものに、高等学校の場合には直接県の教育委員会が管理しているんで人物評価がやりやすいというのがその理由にありますよね。そうするとですね、また直接私が言うことだけではないにしても、こういうことも裏から考えられるわけなんですよ。そうするとね、いわゆる地域において実践をして一生懸命やって3年間を経過して、そこの校長もこの人は校長にふさわしい人物であるという内申をして、さらに地教委においてもこの人は間違いないというようにして地教委から上がってきた、皆さんのところに。これは私たちのめがねにかなっていないので該当しませんということになると困ると思いますよ。これはやはり教育の地方分権というものを踏みにじりかねない結果になると思うんです。その辺は再質問はしませんけれども、一応課題として検討いただきたいと思います。
 以上です。
○議長(志村 恵君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 私は、まず、国立芸能劇場の誘致について知事にお伺いします。
 去年の2月定例議会における私の質問に対し知事は、国立芸能劇場の誘致については、現在、文化庁と調整中であると答弁され、このことはマスコミも大きく報道して芸能関係者を初め多くの県民が期待と関心を寄せました。知事は4月21日、関係省庁に対し、国立芸能劇場を沖縄に誘致することを要請なさいましたが、どのような構想を持って折衝されたか。建設の場所はどこを想定しておられるか、またその見通しはどうかお伺いいたします。
 芸能劇場が最初に国会で問題になったのは、復帰前の昭和47年、参議院商工委員会で日本共産党の須藤五郎議員が、すぐれた芸能を豊富に持っている沖縄県に国が芸能劇場を建設すべきと提起、これに対し当時の田中角栄商工大臣は、前向きの検討を約束しています。その後、瀬長亀次郎衆議院議員によって再三国会で取り上げられました。1975年(昭和50年)の沖特委で瀬長議員の質問に当時の植木国務大臣はこう答えております。伝統芸能というものが、地域の住民にどれだけ潤いを与えているものであるかということについては私も十分認識をいたしております。また先ほど申し上げましたように沖縄県には伝統工芸品とともにすぐれた伝統芸能がございます。これは私自身がそれを鑑賞いたしまして深い感銘を受けたところでございます。これはただ単に沖縄県の宝であるばかりでなく、日本全体の宝であるというふうに私は認識しております。こう、沖縄担当大臣として正しい見解を述べておられます。
 以上のことを見ても、県側の対応が大きく立ちおくれていることは明らかです。沖縄には、重要無形文化財の組踊だけでなく舞踊、音楽のほかに沖縄の近代民衆の中から生まれた沖縄芝居があります。その唯一の常設の常演館だった沖映本館が閉館し、県民が身近に郷土の芝居を楽しむ場所が少なくなり沖縄芝居の衰退に拍車をかけています。公演の機会が少ないため多くの役者が芝居では生活ができず、他の仕事を持ちながら演劇活動をやっているのが実情であります。沖縄芝居は、沖縄県民が生み育てたすぐれた民衆芸術であり、今なお多くのファンを擁しています。
 国立芸能劇場の早期建設とあわせて沖縄芝居も含めて伝統芸能の育成保護政策をきちっと位置づけるとともに、公演の保障、けいこ場の確保など行政の積極的な対応が強く求められております。知事の御見解を求めます。
 次に、危険な沖縄の空と那覇空港の民間専用化について知事の御見解を求めます。
 1972年復帰の際、那覇空港と沖縄の空域の管制権は日本に返還されることになっていたが、那覇空港は陸海空自衛隊との共用となり、進入管制業務は暫定期間の約束が15年たった今日、なお米軍が管制権を握り、米軍のレーダーで広大な沖縄の空を支配している。航空機は、構造的にも離陸後はエンジンを全開して一気に上昇し水平飛行に移らなければならないが、米軍優先の嘉手納ラプコンが存在するため那覇空港を離陸する民間機は高度300メートルという超低空飛行を余儀なくされています。米軍優先体制がしかれ、民間機の安全は著しく脅かされています。これは戦闘空域から嘉手納基地に帰投する米軍機の着陸を優先しているためであります。
 沖縄の空には、米軍のウオーニング・エリアという戦闘訓練空域が15カ所、それにACMIを含めると16カ所で沖縄の空の面積の約40%を独占しているが、さらに1日に2回以上も臨時に設定されるアルト・ラブと呼ばれる空中給油空域が民間機を排除しております。また沖縄の米軍戦闘訓練空域は、本土の制限空域と異なって、その名の示すようにいかなることがあってもこの空域に民間機が立ち入ることはできません。
 6月29日の沖縄タイムスは、運輸省は、宮古―東京空路に厳しい姿勢、の見出しで宮古からの東京直行便の実現がおくれている理由の中に、広大な米軍、自衛隊の訓練空域と航空路の調整が不可欠、調整作業には相当の日数を要すると運輸省が指摘しております。また一昨日の新報は、航空管制が一時不通、嘉手納基地、民間機にも支障、として沖縄空域の管制業務をしている嘉手納ラプコンが6月28日早朝、機器類のトラブルが航空機のパイロットとの連絡が一時不通状態となり、民間機にも支障が出ていたことを報道して背筋の冷たくなる思いをさせました。こういう危険な空のもとに軍民共用の那覇空港があるわけであります。
 航空自衛隊那覇基地の南西航空混成団第83飛行隊の主力戦闘機F104Jから、航続距離、攻撃力も高い性能のF4ファントムにかわり、さらに那覇基地には覆土式の防空司令所が完成し来年から運用を開始することになっています。防空司令所は、コンピューターによる自動処理システムで防空作戦の中枢部に当たり、ナイキ、ホークのミサイルやF4ファントム戦闘機に発進、発射などの命令を出し指揮管制を行うことになり、これで自衛隊那覇基地の作戦展開能力は一層高められることになります。
 自衛隊基地の相次ぐ強化は、米軍の補完部隊としての1000海里・シーレーン作戦あるいは洋上防空の任務を引き受け日米共同作戦体制を強化するものです。その反面、那覇基地の強化は、民間空港としての那覇空港の安全性を狭め脅かす結果となっています。
 那覇空港の去年の一力年間の飛行機の離発着数は8万7848機で、1日に約240機、2分に1機の割で国内路線では羽田、大阪、名古屋に次ぐ第4位の交通量であります。今沖縄を訪れる観光客は200万、那覇空港の利用客は600万です。しかしながら那覇空港は、軍民共用のため民間機になじまない危険な施設が周辺に設置されているため、民間機は常にその安全を脅かされています。
 私たち国民が安心して空の旅ができるようにするためには、1つ、何よりもまず国民の生命の安全が保障されなければなりません。それには那覇空港から自衛隊基地を撤去させ、名実ともに沖縄の空の玄関にふさわしい平和な空港にすることです。
 2番目には、沖縄の空を占拠している米軍の戦闘訓練空域と復帰後15カ年も日本の主権を侵し、沖縄の空を支配している嘉手納ラプコンを日本に移すことです。それ以外にはありません。知事の御見解を求めます。
 次に、交差点の交通事故対策について警本部長にお伺いします。
 5月7日の参議院予算委員会において我が党の上田耕一郎議員の質問に対し、内田警察庁交通局長は、昨年の交通事故による死傷者72万人、毎年9000人以上のとうとい命が奪われ、死亡事故のうち交差点で発生した件数、全体の30.6%を占めていることがわかりました。沖縄県内においても交通事故は年々ふえ続けています。県警のまとめた60年度交通白書によると、交通事故発生件数は2401件、うち死亡者63人、2799人が重軽傷を負っています。その中で交差点とその付近における事故発生件数は1084件で45.14%、死亡者22人で34.92%、重傷者は133人で35.94%に達し、いずれも全国平均をはるかに上回っています。
 交通事故と死亡率は、週末や連休に集中をして社会的弱者であるお年寄りや子供の犠牲が多いのが特徴的と言えます。また車両事故の中でも、いわゆるオートバイの事故が若い人たちの人身事故が多発しているのも特徴です。これは全国で鉄道のない唯一の県という特殊事情を含めて、現在の交通行政に重大な問題点があることを示しております。政府の無制限なモータリゼーション政策による自動車の大量生産、大資本の要求による高速、幹線道路建設などが急速に進められる一方、生活道路の整備や人間の安全を確保するための交通政策が大きくおくれていることが指摘されます。わけても県土面積や人口比に占める車両台数が異常に多い沖縄の場合は、米軍占領支配の27年間のひずみが現在の交通政策のおくれにそのまま尾を引いており、国の本格的交通行政の整備が求められております。まさに交通事故から国民の命と安全をどう守るかは、極めて重要な今日的課題と言えましょう。
 そこで警本部長にお伺いいたします。
 1、交差点は車同士、車と人、人と人とが行き交う場所であり、信号に従って通過したとしても人と車が交差する所であり、事故の危険の多い所です。交差点の事故をなくすため警本ではどういう計画を持っておられますか。
 2番、信号機の設置計画はどうなっておるか、設置状況はどうなっておりますか。
 3、市町村道の信号機、ガードレールの設置状況はどの程度進められておりますか。また優先道路が不明の交差点がまだあるが、その対策はどうなっているかお聞きいたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊波広定議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 国立組踊劇場の誘致についての御質問に対しましてお答えいたします。
 国立組踊劇場の設置につきましては、去る4月21日に文部省、文化庁、沖縄開発庁に要請いたしましたが、施設構想は劇場設備、けいこ室、調査研究室、資料展示室などを内容といたしております。建設場所については用地規模、環境、交通の利便性など立地要件を勘案して検討したいと思います。
 沖縄の伝統芸能の保護育成につきましては、後継者の育成、公演事業、助成措置などを講じておりますが、沖縄芝居の保護育成も重要でありますので、今後、文化財指定等を含めて検討してまいりたいと思います。
 次に、那覇空港の民間専用化についてお答えいたします。
 那覇空港の民間専用化は望ましいのでございますが、自衛隊の那覇空港の使用は、復帰後、運輸省と防衛庁との間に取り決めたものであり、現在、直ちに民間専用空港とすることは困難な状況にあります。
 次に、米軍の戦闘訓練空域と嘉手納ラプコンを撤去させることについてお答えいたします。
 訓練空域につきましては、既存の空域の削減など沖縄周辺空域の全体的見直しを要請したところであります。嘉手納ラプコンの進入管制業務は、復帰時に日米両政府の取り決めによって那覇、普天間、嘉手納の3飛行場が近接しているので航空機の安全運航を確保する必要からとられた暫定的な措置であり、日本側の要員の訓練、施設の整備等受け入れ態勢が整えば引き継がれることになっております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
   〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) お答えいたします。
 交差点における交通事故の防止につきましては、従来から信号機の設置、標識の整備等交通安全施設の充実に努めるとともに、横断妨害行為の取り締まり、歩行者、自転車の保護活動を進めてまいりましたが、さらに最近では、一昨年から原付の右折を2段階にするなど諸対策を講じているところであります。今後とも、これらの交差点の安全対策を積極的に進めてまいりますが、何と申しましても帰するところ交通事故の防止は運転者、歩行者が交通ルールを守るとともに、それぞれの立場で譲り合いの心を持つことが最も大切であると考えておりますので、安全運転意識の普及高揚もあわせて一層推進してまいりたいと考えております。
 次に、信号機の問題でございますが、県内に設置されている信号機の総数は現在1052基でありまして、昭和61年度中における信号機の新設は42基でありました。交通信号機の設置につきましては、各警察署の上申に基づきまして本部において調査いたしまして交差点等の形状、交通量、前後の交差点との関係などを勘案いたしまして交通の安全と円滑を図る見地から設置しているところであります。
 次に、市町村道の信号機、ガードレール等の問題でございますけれども、県内に設置されている交通信号機の総数は先ほど申しましたように1052基でありますが、そのうち市町村道に設置されているものは176基、16.7%であります。ガードレールにつきましては道路管理者の所管になる事項でありますけれども、警察といたしましても交通事故防止の観点からガードレールが必要と認められる箇所につきましては、その都度道路管理者に設置促進を要望してきているところであります。
 また、優先道路の指定の問題につきましては、優先道路の不分明な交差点につきましては道路標識、道路標示の設置を行ってまいりましたが、今後ともそのような箇所につきましては標識、標示の設置を推進してまいりたいとこのように考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 再質問いたします。
 那覇空港で復帰後起きた事故やニアミスの件数は何件ぐらいありますか。
 もう一つは、国際観光都市でこんな危険な軍民共用空港はどこにありますか、この2つについて再質問いたします。関係部長でお答えください。
○議長(志村 恵君) 知事公室長。
   〔知事公室長 国吉真暢君登壇〕
○知事公室長(国吉真暢君) それじゃ今御質問がありました那覇空港における自衛隊機の事故年別件数を申し上げます。
 48年に2件、55年に2件、58年2件、59年に1件、60年1件、62年1件、合計9件となっております。
 以上です。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時30分休憩
   午前11時31分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 知事公室長。
   〔知事公室長 国吉真暢君登壇〕
○知事公室長(国吉真暢君) 御答弁申し上げます。
 三沢、小松、千歳、那覇空港でございます。
○議長(志村 恵君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 今、知事公室長がお答えになりました三沢とか千歳は、これは軍民共用の空港ではありますけれども、県がいわゆる国際の拠点とするというふうに位置づけられ、観光立県を標榜されているのは那覇空港だけなんです。しかもこの事故が15力年間で9件と答えておられますけれども、発表されないニアミス、これが全国の2倍もあるということです。
 それからさっき私が申し上げましたように宮古―東京直行便がおくれているのは、運輸省が承認しないのは、沖縄の上空に16カ所もの米軍のウオーニング・エリアと呼ぶ完全に民間航空機を排除している空域があるからなんです。これはちゃんと運輸省が指摘しておりますでしょう。こういう所にこういう危険な空港、これを知事はこの空域と空港、それをそのまま認められるということですか。御返事ください。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 先ほどの御質問に対しましてお答えしたように、訓練空域の見直しについては既に申し入れているところであります。したがいまして空域につきましても、また那覇空港の民間専用化につきましても、これは究極の目標として促進していかなければならない大きな課題だと認識いたしております。
○伊波広定君 見通しは。
○知事(西銘順治君) 見通しは大変難しゅうございます。
○議長(志村 恵君) 下地常政君。
   〔下地常政君登壇〕
○下地常政君 質問に入ります前に、過ぎし沖縄戦でとうとい命を失われました日米の軍人、非軍人を含むすべての犠牲者のみたまの御冥福を心からお祈り申し上げ、あわせて平和のとうとさに思いをいたしたいと思います。
 ところで、きのう、突如として発表された米海兵隊従業員の303人という大量解雇に対しましては、まことにふんまんやる方ないものがあります。円高ドル安により、米軍の基地維持費が高騰している事情はわからないではない。そのためにこそ日本政府は応分の負担をして6月1日に雇用安定協定を締結したばかりで、それがわずか一月しかたたない今の時点でこのような大量の首切りを行う米軍の行為は無神経のきわみ、国際信義にも反する暴挙であります。ここに強く遺憾の意を表し、解雇の撤回あるいは何らかの救済策が見出されることを期待して、私の質問に入らせていただきます。
 まず第1に、基地問題についてであります。
 今議会冒頭、全会一致決議の意見書等にも述べていますように、最近、米軍ヘリコプターの民間地域への不時着ほか、応接にいとまもないほど基地に関する事故や事件が頻発しているのは御承知のとおりであります。このような事態がいかに異常なものであるかは、新任の米海兵隊ジー二一司令官が金武町長を表敬訪問した際、事故、事件の多発に驚いている旨表明したこと。また先月25日の日米合同委員会の席上、外務省側が米軍に対して軍紀の維持、事件、事故発生の防止等61年の前泊さん殺害事件以来と言われる異例の申し入れをしたこと。また弘法堂前那覇防衛施設局長が離任の際、特に事件、事故の多発に触れ、再発防止に向け日米双方が一層努力する必要があると述べておられること等によくあらわれております。
 もちろん、だれがどう言ったからということではなく、何よりも沖縄に住む私たちがその危険のほどを実感しており、たとえ日米安保体制を容認する立場に立つとしても、このような事態を看過できないことは知事もこれまでの質問に繰り返し御答弁されているとおりであります。
 私は、ここで非現実的な小児病的平和論を展開するつもりはありません。しかし基地に関する事件、事故は避け得ないものであるとするならば、それは基地被害を徹底してなくすには、基地そのものを撤去する以外にないとする基地撤去論に有効な論拠を与えることとなります。国の方針により基地の存在を余儀なくされているとしても、地域住民との関係が損なわれるようなあり方はぜひ改められなければならず、したがって県政の最重要課題の一つは、基地の存在と住民生活の福祉と安全をいかに調和させるかにあると言えます。
 私は、西銘知事が、国レベルの防衛問題に関して一地方自治体の長としての立場を超え、アメリカ本土に政府を訪問して基地の実情を訴え、その整理縮小を強く要請したほか、他府県知事以上の課題を背負いながら住民の立場に立ち問題処理に腐心しておられることは承知しており、その御苦労に深く敬意を表するものであります。しかし基地問題の発生に対応する県議会の決議も年度半ばにして既に去年の2倍に及ぶほど事故、事件が多発しており、このような状況のもとでは県民は政治的立場のいかんを問わず基地そのものの存在に疑問を抱かざるを得ず、これは一部の反体制グループを利し、日米相互協力のもと、日本の安全を維持しようとする日米安保体制の基盤に重大な影響を及ぼすものと深く憂慮します。
 そこでお伺いしますが、県としては、我が国米軍専用基地の実に75%が存在するという冷厳な実態を背景に、米軍に対し軍紀の徹底を含めて有効かつ確実な事故等防止策を講ずるよう申し入れるべきであると思いますが、県当局としてどのようにお考えになられるかお答えいただきたいと思います。
 第2に、63年度予算と関連してお伺いします。
 63年度の施策に関しては、当然のことながら62年度中に芽出しをしている部分もあり、さらにさきのベネチア・サミットにおける中曽根総理大臣のコミットを受けて貿易摩擦解消のための内需拡大策を財政面で具体化するため、大蔵省は1兆2000億円に上る公共事業費を計上、主に生活関連、社会資本の整備を重点とする事業別配分とともに、北海道、沖縄、離島等のほか、円高不況地域への傾斜配分も考慮し、その結果、沖縄関係では予想を上回る433億円という超大型の配分となり、国費ベースの事業費中に占める割合も3.27%と全国平均を大きく上回る高率を示し、今年度後半の県内経済に大きな活力を与えることと期待されます。知事並びに関係職員のこれまでの御苦労をたたえますとともに、予算執行の面で遺漏のないよう一層御努力のほどをお願いいたします。
 なお、補正額の配分につきましては慎重に御検討のことと思いますが、政府の基本方針を踏まえ、県予算におきましても業種配分とあわせて円高不況地域や県内離島への重点配分を十分に考慮されるよう強く要望いたします。
 さて、63年度予算編成につきましては、先月22日の臨時行財政改革小委員会で、行財政改革の路線は従来どおり堅持しつつも、臨時、緊急措置についてはNTT株売却収入の一部等を充当し、必ずしもシーリング内におさめないとし、内需拡大の起爆剤となる公共事業については重点的、効率的に配分すべきであるとしており、鈴木内閣以来と言われる緊縮財政から積極財政へ転換しようとする徴候が見えております。
 県としては、いわゆるポスト国体を目指して多くの重要事業を検討されておられますが63年度に関しましては既に6月上旬に各部局別ヒアリングを開始し、今月上旬には方針を決定する予定と聞いております。そのうちフリーゾーン創設につきましては数日前に審議会の答申を得ておられるし、マリノベーション構想も26日には農水部長によって明らかにされ、またグリーントピア構想も29日、農水省の指定を受け、沖縄県宮古地区が入ることとなりました。これら新規事業のほか、多くの重要継続事業を総括整理して63年度の国庫支出金要請に臨まれるわけでありますが、基本的にどのような姿勢で折衝に当たろうとされるのかお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第3に、宮古―東京直行便とこれに伴う宮古空港の整備についてであります。
 宮古住民の7年越しの悲願も地元民の熱意はもとより、知事以下県職員、国の特別配慮でこれまで開設を妨げていた羽田空港の発着枠も大幅増が実現し、この問題もようやく先が見えてきたように思います。知事には、今度こそ私たちの先頭に立たれて、なお一層の効果ある要請を強力に推進されますようお願いいたしたいと思います。
 ところで、東京直行便の実現とあわせて今から準備計画をしておかなければならないのは宮古空港の整備であります。同空港は、最大ボーイング737クラス用として建設され、当面は支障ないとしても、大型機種就航のためには所要の整備が必要となるのではないかと思います。今でさえ駐機場は狭く、ターミナルビルに至っては連日かなりの混雑で、これ以上の入り込み客を受け入れるにはそれ相当の整備がなされなければならないと思います。
 そこでお伺いしますが、1つ、同空港の規格、設備内容等現状はどうなっているか。
 2、東京直行便実現により中型機が就航する場合、当面どのような応急対策が必要か。滑走路、駐機場、この駐機場は現在は消火設備がないということでも問題がありますが、ターミナルビル等含めてお答えください。
 3、将来、本格的な大型機就航となった場合、誘導路等を含め各施設とも拡充整備されなければならないと考えますがどうでしょうか。以上、御見解を賜りたいと思います。
 第4に、環境問題についてであります。
 今、沖縄は、野鳥の生息地破壊とか、その他多くの環境問題で揺れております。生活向上のための開発、施設整備等が逆に他の面で生活を脅かす結果ともなります。ここでは生活にかかわる例を取り上げて県の考えをお聞きしたいと思います。
 1つは、城辺町浦底漁港、養殖モズクの汚染についてでありますが、1つ、調査委員会の調査結果は出たかどうか。2つ、その実態及び被害状況をどう把握していらっしゃるか。それから3番目に、被害額の推定とその根拠。4、排水路工事、着工前に被害予測調査はやらなかったのか、やるべきではなかったか。5、当面、どのような対策を講じたか。6、抜本的、本格的にはどう対処すべきか。7、ほかにこの種の被害例はなかったか。あったとすれば、どのように対処したか。
 大きい2番目にまいります。全般的に、例えば本部町健堅地先の広範な海中汚染の例は、全県で他の地域でも見られるのかどうか。その抜本的対策としてどうすべきか、以上お考えをお聞きしたいと思います。
 第5は、人工透析についてであります。
 私たちは、洋食にしようか和食にしようか、また飲み物はビールかウイスキーかあるいは泡盛かと、食べること、飲むことについては大いに興味と関心を示しますが、私たちが摂取した飲食物から組織維持に必要とする栄養素、ビタミン等吸収した後、老廃物がどのように処理、排出されるかについては関心を示す人は極めて少ないと思います。
 人間の体の中で腎臓が果たしている役割は、神のみ手によるものとしかいうほかない精緻かつ巧妙なもので、この働きが停止すると私たち人間の体は多くの老廃物が充満し、腐敗し、ガスがたまって数日と待たずに死に至ってしまいます。腎臓がその機能を果たさなくなった状態、すなわち腎不全症は抜本的には腎臓移植によるほかはなく、そのため今、県環境保健部医務課が中心となって腎バンク設立のために懸命の努力を続けておりますが、その努力にもかかわらずバンク設立に必要な仮登録数に達しないと言われております。このような状態ですから多くの腎不全の方は、やむを得ず次善の策としての人工透析によって生命の維持を図らなければなりません。そこで私たちの関心事は、その人工透析が希望するとき、希望する場所で支障なく受けられるかどうかに向かわざるを得ません。
 そこでお伺いします。
 まず初めに、腎臓提供仮登録事業の実績と内訳はどうなっているか。それから同事業の今後の見通しと問題点。3、在宅透析とその問題点。4、私立病院における透析実施例とその状況。5、県全体の要透析患者数と県立病院別患者。6、県立病院別透析設備数とその運用状況。7、これは県立宮古病院に関してでありますが、1つは、島外で治療している患者の新たな受け入れはできないか。2つ、夜間透析を希望する患者に対して、その希望をかなえてあげることはできないかどうか、以上お伺いいたします。
 最後になりますが、老人福祉施設についてであります。
 来るべき新しい社会を特色づけるのは、よく言われますように高齢化、国際化、情報化であります。そのうち高齢化の行き着くところ、近い将来4人で1人の老人を支えていかなければならない。言いかえますと、所得の25%を老人養育に支出するという過重負担の時代の到来が予測されております。同時に、私たちだれもが老いを迎えることは避けられません。老人問題は、決して遠く先の時代のこと、あるいはよその世界の出来事ではありません。
 それでは、私たちが老後を託すべき施設とその運営はどうなっているのか。その実情を明らかにするため質問してまいりますが、1つ、沖縄全域の待機老人の地域別人数とその受け入れ措置計画はどうなっているか。2つ、宮古地区の場合、市町村別待機老人数。3つ、高齢化の進行に伴う要措置老人数の増加の見込みとその中長期的対策はどうなっているか。
 なお、制度上あるいは弾力的な発想のもと、新たな対策、方法等検討中のものがあればあわせてお聞かせください。
 以上、御答弁いただきまして再質問いたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 下地常政議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題の質問についてお答えいたします。
 県は、基地被害の防止を県政の重要な課題と位置づけ、その解決のため努力いたしておるところであります。演習に際しての安全確保の徹底と事故の防止並びに綱紀の粛正等について、機会あるごとに米軍に申し入れているところであります。最近の一連の事件、事故の発生が基地周辺住民に不安を与えていることはまことに遺憾であり、今後とも住民の生命、財産の安全確保を図る観点から演習の自粛と綱紀粛正について強く申し入れていきたいと思います。
 次に、63年度国庫支出金要請に当たって基本的な姿勢はどうなっているかという御提言を含めた御質問がございましたが、お答えいたします。
 63年度の国庫要請に当たっては、振興開発計画のこれまでの成果を踏まえ諸施策事業を効果的、重点的に着実に推進するとともに、21世紀に向けた県づくりに傾注し、なお一層の県勢の発展を期すべく積極的に諸施策の展開を図っていかなければならないと考えております。このためこれまで芽出しした諸事業の着実な推進、今後の産業振興等に有効な新規事業の芽出し、農業基盤整備を初め道路及び下水道等公共事業の事業量の拡大等により振興開発に必要な額の確保に努めてまいる所存であります。
 次に、宮古―東京間の直行便に伴う宮古空港の整備についての御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
 次に、環境問題について御質問がございましたが、そのうちモズクの汚染につきましては農林水産部長から、また全琉にわたる海中汚染の状況については環境保健部長からそれぞれ答弁させることにいたします。
 人工透析についても環境保健部長並びに病院管理局長から答弁させることにいたします。
 最後に、老人福祉問題につきましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 東京―宮古直行便に伴う宮古空港の整備についてお答えいたします。
 宮古空港は、本格的ジェット機対応空港といたしまして昭和58年に滑走路2000メートル、幅45メートル及びエプロン2万400平方メートル――これはボーイング737の4機分のバーズでございますが――の施設規模で整備完了し供用開始しているところでございます。
 同空港の昭和60年度における輸送実績は、年間乗降客数約48万人、貨物で3066トンとなっております。これは定期便の就航している全国第3種空港、43空港ございますが、そのうちで石垣空港に次いで第2位の位置を占めております。また同空港における航空旅客輸送は今後とも着実に増加することが予想されるところでございますが、現時点で航空需要予測をいたしました場合に、昭和65年度には中型ジェット機が就航することも予想される需要でございます。また東京との間に直行便が実現した場合、就航機材はまだ定かでございませんが、中型ジェット機が考えられるところでございます。その場合、その機種に対応した滑走路のかさ上げ、エプロンの拡張等の整備を図る必要があろうかと考えておるところであります。
 なお、さらにそれ以上の将来におきましての大型ジェット機が就航することになった場合の滑走路の延長、誘導路の新設、エプロンの拡張及びターミナル移転拡張が必要と考えられるわけでございますが、今後の航空需要の動向を踏まえて検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 城辺町の浦底養殖モズクの汚染についてお答えいたします。
 浦底地先養殖モズクが、去る4月12日、土砂による汚染が発生したとの報告を受け、4月14日、15日の2日間、緊急調査団を現地に派遣いたしまして調査を実施いたしましたが、この種の被害状況及び原因等につきましてはもっと詳細に調査する必要があるため、5月1日に部内に城辺町浦底地先養殖モズク被害調査委員会を発足させまして6月末日までに継続的に調査を実施してきたところであります。
 これまでの調査の結果、モズクに陸域等から流出堆積したと思われる泥土粒子が付着したことにより、養殖の約9割に相当する分が出荷不能な被害が発生したことが判明いたしました。その汚染状況につきましては、昨年は5月からの収穫モズクから被害が発生しており、ことしに至っても3月末から徐々に被害が発生し、4月12日に至って汚染がひどいため漁協より出荷停止処分を受け、問題が大きくなったものでございます。調査結果につきましては、現在、同委員会におきまして取りまとめているところであり、近日中に公表したいと考えております。
 同海域は、漁業者15名がモズク養殖業を営んでおり、被害金額は過去の生産実績等から約3000万円と推計されております。被害額の推計につきましては、被害がなかったとした場合の予想収穫量よりこれまで収穫済み量を差し引いた分につきまして単価を掛けまして算出した額でございます。
 排水工事の土砂流出防止対策といたしましては、沈砂池及び排水路周辺ののり面保護を設けるなど対策を講じて施工しておりますので、これが直接の被害を引き起こした原因とは考えられないわけでございます。
 それから陸域からの汚染防止が重要でございますので、県の事業につきましては去る昭和62年5月に沈砂池内の土砂を排除するとともに、布団かごを設置するなど対策強化を図っているところでございますが、今後の本工事、施行につきましては、土砂流出防止に十分配慮した工法で実施していくよう設計段階から対処していきたいと考えております。調査結果が近々まとまりますので、その結果を踏まえながらモズク養殖場の今後の使用が可能かどうか等対処策を講じてまいりたいと考えております。
 それから、その他の被害事例といたしましては、最近、北谷町と宜野座村で土砂流出により水産業への影響が出ておりますが、これらは赤土の流出が原因でありまして、城辺町におきますところの汚染とは異なるものであるわけでございます。この両地区の被害の発生に当たりましては、私ども職員を派遣いたしまして現状把握をしているところでございまして、具体的な防止対策がすぐ実施できないのがこの赤土汚染の難しい課題でございます。しかしながら土砂流出によりますところの水産業への影響は大きな課題でありますので、関係機関と調整して長期的な展望に立ちまして対策を講じていく必要があると考えております。
○議長(志村 恵君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 中村仁勇君登壇〕
○環境保健部長(中村仁勇君) 環境保全について、海域における赤土の流入による環境汚染についてお答えいたします。
 赤土の流出による海域の汚染は、昭和58年から61年までの降雨後に延べ184カ所を調査した結果、一見して赤土による汚染がわかる海域として68カ所、そのうち北部地区が38カ所、中部地区が17カ所、八重山地区が13カ所で赤土汚染が見られております。
 その原因といたしましては、土地改良事業とかあるいは土木工事等各種の開発事業のほかに農地あるいは自然災害等によるものと思われます。その防止対策といたしまして、現在、沈砂池、砂防ダム等を設置いたしまして対処していますが、豪雨の際のオーバーフロー等その他技術的に防止困難な状況等がございまして、今後とも関係各機関と調整し総合的な見地から対策を検討していきたいと考えております。
 次に、人工透析についてお答えいたします。
 腎臓提供仮登録事業の実績につきましては、提供仮登録事業は昨年10月の第1回腎移植推進月間を契機に本県で実施しておりますが、県民の協力によりまして昭和62年6月末現在、登録希望者が180名のうち、仮登録を済んだ者が114名に達しておりまして着実に実績を上げております。
 同事業の今後の見通しと問題点につきましては、腎移植推進事業の一環といたしまして県独自の腎臓パンクを財団法人の形態で可能な限り昭和63年度をめどに設立させたいというふうに考えております。しかしながら腎バンクを設立する場合には、広く県民の理解と協力を求めまして腎臓提供者のより一層の確保を図る必要がございます。
 在宅透析とその問題点についてでございますが、御指摘の在宅透析は、病院の透析機械あるいは時間帯に拘束されることなく自宅で行うものでございまして、その点では融通がきくことあるいは通常の勤務が可能である点ではいい面もございますが、透析は週3回、1回の所要時間が5時間も必要といたします。透析時の諸準備あるいは機械の消毒等に1日の大半を要するために家族の負担が大変大きいと。そういうことで透析を受けている方々にとっては、勤務ができるような、支障のないような透析ができる施設を、県立の病院に整備してもらいたいという希望が現在ございます。
 次に、私営の病院における透析実施例とその状況でございますが、民間の医療施設におきましては昭和62年5月末現在、14施設で延べ662名が透析を受けておりますが、これらの施設の透析機器は288台となっております。今後、透析機器の整備は、このような民間医療施設においてもさらに充足拡大される傾向でございます。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 病院管理局長。
   〔病院管理局長 前村善徳君登壇〕
○病院管理局長(前村善徳君) 県立病院における人工透析について、県全体あるいは県立病院の患者数などその運用状況、さらに県立宮古病院における運用状況と今後の対応策についてお答えいたします。
 まず、県内における透析治療患者数は、昭和62年5月末現在で849人となっておりまして、これを開設者別に見ますと、琉大附属病院及び那覇市立病院等の公立病院で治療している患者数が51人、民間医療施設で治療している患者数が662人、県立病院で治療している患者数が136人で、県立病院は全体の16%となっております。
 次に、県立病院ごとの患者数及び透析設備とその運用状況について見ますと、名護病院が患者数41人、機械台数21台、透析日が月曜日から土曜日までの昼間、月水金の夜間行っております。中部病院で患者数66人、機械台数17台、透析日が月曜日から土曜日までの昼間、月水金の準夜となっております。南部病院で患者数10人、機械台数10台、透析日、月曜日から土曜日までの昼間、宮古病院で患者数19人、透析台数8台、透析日、月曜日から土曜日までの昼間となっております。
 県立宮古病院につきましては、同病院が宮古地区における唯一の人工透析治療を行う医療施設となっておりまして、先ほど申し上げましたように患者数19人、機械台数8台で透析治療を行っておりますが、宮古出身者で沖縄本島などに在住する患者で宮古病院への転院を希望する者並びに夜間透析を希望する患者が数人いますので、これらの患者に対応するため、現在実施しております昼間の透析治療に加えて、新たに週2回の準夜間の透析治療を実施する方向で準備を進めているところでございます。
 なお、県としましては、年々増加する透析患者の医療確保のため昭和63年度、来年の4月から県立那覇病院におきましても人工透析を開始する予定でございます。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 平敷昌一君登壇〕
○生活福祉部長(平敷昌一君) 老人福祉施設への入所待機者の地域別の状況とその措置計画など3点の御質問でございますが、まとめてお答えさせていただきます。
 特別養護老人ホームは、現在32施設で、定員2675人でございますが、入所待機者の状況は3月末現在で763人となっております。それを各福祉事務所別に見てまいりますと北部地域が130人、中部地域が207人、那覇、南部地区で291人、宮古地区で87人、八重山地区で57人となっております。
 なお、宮古地区の内訳は、これも福祉事務所別になりますけれども、宮古福祉事務所管内で29人、平良市福祉事務所管内で49人の計78人でございます。これらの待機者の状況を踏まえまして2次振計期間中に必要数の整備を図るべく、地域のニーズや地域別の適正配置及び在宅サービスとの関連等、他の施策との関連も含めて総合的に検討する必要がございますので、現在、その整備計画を鋭意検討している段階でございます。
 次に、措置を要するお年寄りの数の見込みでございますが、昭和66年にはおよそ3600人と推計しております。
 今後の老人福祉対策につきましては、ことしからスタートいたしました老人保健施設、いわゆる中間施設、それから離島地域に設置されます小規模特養ホームの整備を図りますとともに、ソフト面ではシルバー110番の設置、それからデイ・サービス事業の拡充と在宅福祉対策についても充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。また国において現在検討されております有料老人ホームや託老施設等新たな施策につきましても、国の動向を見ながら対応していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後0時9分休憩
   午後1時32分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 次の質問及び質疑に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた技監谷本修志君は、別用務のため本日の午後と6日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
○議長(志村 恵君) 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 白保台一君。
   〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 質問を行います。
 県立平和祈念資料館に関する問題あるいは視覚障害者の問題、そしてまた米軍基地と県民生活に関する問題等について伺います。
 初めに、県立の平和祈念資料館に関して所見を交えながら今後の運営について伺いたいと、このように思います。
 御存じのように、本年は、平和憲法が施行されて40年という節目の年に当たりまして、全国的にも平和に関するシンポジウムやあるいは研究会、街頭演説や展示会等多くの催しが行われてまいりました。一方でまた、平和のあかしの一つとして日本が周辺諸国から信頼されているところの防衛費の対GNP比1%枠を内外の理解を得られないままにいとも簡単に突破をさせてしまう、こういう状態でもあります。したがいまして平和についての議論も一層高まり、今改めて平和が問い直されているという状況でございます。
 本県にとりましても、復帰15周年という節目を迎えて平和行動が盛んに行われております。我が党も去る6月26日と27日の両日にかけまして広島、長崎、沖縄3県の青年局によるところの3県の平和交流集会や、あるいはまた党本部行事として核兵器廃絶と軍縮を目指す沖縄平和市民集会を行いました。
 26日の広島、長崎、沖縄の3県青年局の平和交流は、各県持ち回りで行われているところでありますが、この交流は、戦争を知らない世代であるということ、また原体験を持つ3県が語り継がなければならない体験を確実に継承しようというこの努力をしているところに大きな特徴と意味があります。3県の平和講座に出席された1フィート事務局の仲村先生等は、かつて私がやりたかった3県の交流を若い方々がやってくれてうれしいし、またうらやましいとこのように語っておられました。また戦争体験の風化を語ることすら風化すると言われている今の時代の中で、若い青年の平和運動は極めて重要な時期にあると考えております。沖縄国際大学の石原昌家教授は、核戦争の脅威といっても戦争を知らない世代にとってはいわば抽象的観念である。その世代が今人口の過半数を占めているので、戦争の凄惨さを具体的に感性に訴えなければならない。戦争がなぜ起きるのかという理論的な面を学習することも非常に大事だけれども、戦争につながる一切の動きをキャッチする感性を鋭く磨き、その芽を摘み取る行動力をつけるために体験者から戦争の恐ろしさを感性的に体得することが肝要である。しかしながら歴史的にも未曽有の沖縄戦がこの沖縄県内にあってもその年代すら知らない世代が激増しつつある。本土から来た大学生の中には沖縄戦そのものすら知らなかったという。かくのごとく体験者が現存している同時代に生きながら、世代間の歴史的認識の溝は深まりつつあると述べられております。
 さて、質問に入りますが、県立平和祈念資料館についてであります。
 私自身も本年2回ほど同館に伺いました。その際感じたことは、館長初め職員の皆さん方が非常に熱心でありました。特に若い職員が大変研究熱心で、調査資料等収集に真剣に取り組んでおられる、そういう姿を拝見いたしました。各県の碑へ向かう人々は非常に多く、毎日おられます。ところが平和祈念資料館へ足を運ぶ人は極めて少ないわけでありまして、こういった意味から私は設立理念を一度見てみなければいけないとこういうふうに思います。この戦争の体験こそ、とりもなおさず戦後沖縄の人々が米国の軍事支配の重圧に抗しつつ培ってきた沖縄の心の原点であります。
 沖縄の心とは、人間の尊厳を何よりも重く見て、戦争につながる一切の行為を否定し、平和を求め、人間性の発露である文化をこよなく愛する心であります。私たちは、戦争の犠牲になった多くのみたまを弔い、沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝え、両世界の人々に私たちの心を訴え、もって恒久平和の自律に寄与するためにここに県民個々の戦争体験を結集して沖縄県立平和祈念質料館を設立いたしますと、このようになっております。
 知事も、凄惨な沖縄戦をもとに広く平和をアピールしておられます。平和祈念資料館が十分に活用されれば大きな成果をおさめると思われますので、摩文仁を訪れたすべての人々が沖縄戦を実感してもらうために、現在の場所からもっと入りやすい所に移転させたらどうか、そのことを提案いたしますが、知事の御所見を伺いたいのであります。
 第2点は、先ほど紹介いたしました石原教授の話の中にもあるように、また石原先生自身が調査結果を踏まえて申されておりますが、沖縄県内においても沖縄戦がいつあったのかすら知らない若い青年がふえているということでありますし、したがって平和祈念資料館の仕事の一つとして可能なものを県内各地域に巡回展示を行い、離島や遠距離の子供たちにも観覧できるようにチャンスを与えてはどうか。そのことは創価学会の平和委員会が絵展をやって大きな成果をおさめておりますし、このように平和祈念の資料を全県的に巡回させる方法を業務の一つとしてとられたらどうかということを提案をしたいと思いますが、知事の御所見を伺います。
 3点目は、展示品等の保存について伺いたいのでありますけれども、向こうに行きまして展示品を見ていただければよくわかりますけれども、金属性のものは既に腐食をしておりまして相当さびがついております。これは長く保存されなければなりませんけれども、現在の状況でありますと長い保存に耐えられないようなものが数多く出ております。これらの保存について今後どのようになさるのか、この点についても伺いたいと思います。
 さて2番目には、視覚障害者の問題について伺いたいと思います。
 視覚障害者の就労の問題や、あるいは雇用拡大に関する問題、視覚障害者の健康管理の問題あるいは生活面でのさまざまな問題について幾度か質問を行ってまいりました。
 例えば、点字ブロックについても厳しい指摘を行いましたし、その中で工事現場等の迂回用点字ブロックについては最近も国際通りの工事現場を見てまいりますと立派に迂回用の点字ブロックができておりまして、執行部と業者の努力の跡がうかがえますが、ところが一方では残念なことに、いまだに点字ブロックの上にオートバイの放置や歩道の隅切り部分に車を駐車している者があり、その都度私自身も注意をしているところでありますけれども、一向に改善がされておりません。また郵便ポストの県内、県外の分類の点字は極めて好評である一面、暫定的に張ってあるために既にはがされているものも数カ所出ております。
 このようなことを見ていくと、大体において健常者の心ない行為が障害者に不便や危険な状況にさせており、健常者のモラルが問われているのであります。かりゆし大会を目前にして視覚障害者も含めて障害者に対する健常者のモラルの向上と行政努力を求めまして、視覚障害者の就労、雇用の場拡大について何点か質問いたします。
 まず第1点の県の障害者対策長期行動計画、サブタイトルは完全参加と平等を実現するための指針、ガイドラインについてであります。
 このことについては、特に視覚障害者対策の一つとして59年の第5回県議会の一般質問で取り上げ質問をいたしました。その際、障害者対策長期行動計画第4節の雇用、就業の促進、対策の基本方向の4に、「一般企業に雇用されることが困難な障害者の適性と能力に応じた就労の場を確保するため各種授産施設の整備を促進するとともに、第三セクター方式などによる重度障害者雇用企業の設置等について関係行政機関における調査研究を推進する必要がある」という件に関連して第三セクターの方式について質問をしました。当時の高良商工労働部長は、本県においても本年度予算に調査研究を開始したく計上いたしております。これは59年であります。同企業の育成に向けて検討をその結果やりたいとこういうふうに考えておりますと答弁をなさいました。したがいまして既に調査研究を行い検討をなされたと思いますが、どのような調査研究と検討がなされたのか伺いたいのであります。
 第2点は、調査研究を踏まえて視覚障害者の就労のための第三セクターをこれからどのように設立させていこうと考えられているのか、この見通し、展望について伺いたいのであります。
 3点目は、既に何年も前からこの議会でも論じられているようでありますが、就労の場の拡大の問題であります。すなわち視覚障害者の大型ホテルでのマッサージ等ができるよう県としても努力をするということで知事も何度かお約束をされたようでありますが、今日現在、一向に進展をしていないというのが現状であります。県は、どのような努力をなされたのか。また今後の対策をどうなさるおつもりなのか伺いたいと思います。
 参考までに申し上げておきますが、視覚障害者の皆さん方は、必死に自立を目指して何をやれば自立できるのか、どうすれば自立できるのか真剣に研究を重ねておられます。県の言うところの第三セクターのめどがつけば、労働力、土地等も提供してでもぜひやりたいと大変な意気込みで頑張っておられます。だからこそそのための受け皿づくりの一環として社会福祉法人の沖縄県視覚障害者福祉協会を設立してきめ細かな事業内容をもって努力をなされていることをつけ加えておきます。詳細についてはまた別の機会に譲りますが、ただいま申し上げました質問に対しまして答弁を求めます。
 第3点目でございますが、米軍基地と県民生活について伺います。
 本議会は、御存じのように冒頭にキャンプ・ハンセン演習場内におけるところのヘリコプター離発着場建設に関する抗議決議を与野党一致して採択しました。けさほどもお話がございましたように、日米安保条約に対する立場の違いを超えて一致でき得るものは何かといえば、結局は県民生活の安全、それ以外の何物でもありません。したがって一読してみればわかりますように民間地域への米軍ヘリコプターの不時着、F4ファントム偵察機の補助燃料タンクの落下災上、F15イーグル戦闘機の火炎噴射、催涙ガス訓練による民間地域への被害、米軍人の民家への乱入等、こういった事件が列記されております。しかもこれらの事件、事故は、この1カ月の間に次々と発生したものであり、米軍の常軌を逸した基地のあり方に県民は恐怖とともにもはやあきれております。
 そこで申し上げたいことは、米軍基地が存在するがゆえに発生するこれらの諸問題については、県民生活と米軍基地の存在をどのようにとらえ、どう対応するのか、これまでも幾度となく繰り返し質問を行ってきたところでありますけれども、ひとつ視点を変えて伺ってまいりたいとこのように思います。
 私は、59年の6月に初議会の際、米軍の演習という側面から見た基地の適不適について伺いました。その際、かつての国会答弁の中から園田外務大臣が、「米軍は、本国においてもこのような狭い所で実弾演習を行うんだろうかと」、このような答弁をされたことを紹介いたしました。演習に適当な基地か不適当な基地かとの判断をその際知事に求めましたところ、知事は、「御提言を含めて基地の見直し、再検討あるいは移設等を含めて検討する段階に来ているのではないかと私は考えております。」と答弁をされております。
 そこで伺いたいのは、答弁をいただいて既に3年を経過いたしましたが、基地の見直し、再検討、移設等を含めた検討はどのようになされたのか。
 その際、どのような観点からなされたのか。あわせて実効はどう上がったのか。すなわち結果がどうなっているかということを伺いたいのであります。
 このように申し上げますのは、知事は訪米され、ペンタゴンで直談判されました。それに対し評価する県民やしない県民や期待する県民やその他さまざまな思いを寄せているにもかかわらず、米軍基地の実態は、この質問の冒頭に申し上げたように異常な事態が続いております。
 けさも瑞慶覧議員の方からも話がありましたように、天皇来沖の前の前倒し演習じゃないかとこのような報道さえもされるありさまであります。もはや県民生活の安全以前に、安保優先のみがひとり歩きしている危険な実態を強く指摘しておかなくてはならないと思います。
 先ほど視点を変えてと申し上げましたが、実弾演習に適当な基地か不適当な基地かということが59年6月の質問ではテーマでありましたけれども、今日の米軍のあり方を見た場合に、ヘリコプターや戦闘機の演習に加えてヘリパッドやハリアーパッドの建設等、これらの行為がすべて県民生活に直ちに影響を及ぼすダムの汚染や水産業振興への悪影響、こういうふうな状態になっている。このことを踏まえて、知事答弁に見られるようにもはや米軍基地の存在が県民生活にどのような影響ないし被害をもたらし、県民生活をどう圧迫しているのか多角的な視点からの見直しが迫られているのではないかと思われます。したがって知事答弁の見直し、再検討は、移設等を含めた検討について知事の答弁を求めます。
 あわせて、昨日も我が党の代表質問にありましたように三者協の問題についてでありますが、けさも幹事会を開いて近々に三者協を開くとこのようなお話がございましたが、いつ開かれ、県としてはどのようなことを議題として話し合われるのか、このことを質問を申し上げましてひとまず質問を終わり、答弁によって再質問いたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 白保台一議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 平和祈念資料館についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 現在の資料館は、公園の奥まった場所に位置し、利用者に不便をかこっている上に建物も老朽化いたしておりまして、また展示場も狭隘で展示の面で制約がございます。そこで展示内容の整備充実を図り、長く後世に継承するために資料館の移転新築について検討を進めているところであります。
 次に、巡回展示についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 御指摘の巡回展示については、現在でも貸し出しが可能な展示品を学校、関係団体に貸し出しをいたしまして戦争資料展に利用させる等支援体制をとっておりますが、今後とも貸し出しの利用拡大について努めてまいりたいと思います。
 次に、展示品の保存についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 展示物を泥まみれのまま磨かないで無造作に山積みしてあるのは、展示理念に沿って陳列されたものではございますけれども、貴重な資料でございますので保存方法について検討する必要があると思います。
 次に、視覚障害者の生活保護についての御質問がございましたが、これにつきましては商工労働部長から答弁させることにいたします。
 次に、基地問題と県民生活についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 米軍の演習実施に際しては、事故の未然防止と安全の確保についてその都度関係機関に強く要請しているところであります。しかしながら最近発生いたしました一連の米軍の演習等に伴う事故や被害等につきましては甚だ遺憾に思っているところであります。演習等の実施によって周辺住民に被害を与えることは絶対にあってはならないと考えております。従来から基地問題については党派を超えて全県民的な立場で解決しなければならないと考えており、今後とも問題解決に向けて粘り強く折衝してまいりたいと思います。
 次に、基地の見直しについて移設等を含めて検討すると知事は答弁しているが、一体どうなったかと。どういう視点でこれからやるのかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 第2次大戦後、我が国が平和と繁栄を実現することができたのは、日米安保条約を基盤とする日米友好関係の存在があったからだと理解をいたしております。復帰後15年経過しても本県には約2万5360ヘクタールに及ぶ米軍基地が存在しており、県民に過重な負担を強いる結果となっております。ベトナム戦争が終わりましてもう10年余も経過いたしておりまするし、極東情勢も大きく変化している状況の中で、県民生活の安定を図る立場から在沖米軍基地の見直しを行い、当面の課題として那覇軍港の返還等を含む8項目の要望の形で集約したところであります。その中から浦添市―宜野湾市間のパイプラインの返還、那覇軍港のPOL地区の返還等二、三の項目について進展が見られておりますのは御案内のとおりであります。今後とも基地の縮小整理、県民生活の安定のために努力する所存であります。
 次に、三者連絡協議会についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 これまでに三者連絡協議会が11回、同幹事会が15回、同航空機騒音分科会が5回開催されておりまして航空騒音問題、演習の安全対策、消防体制、綱紀の粛正、基地の整理統合、松くい虫対策等々多岐の事項にわたって提案し、国と米軍に対しまして問題の改善方を要求してきたところであります。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 仲里全輝君登壇〕
○商工労働部長(仲里全輝君) 視覚障害者の問題についてお答えいたします。
 第三セクター方式による重度障害者雇用企業の設立についての検討の一環といたしまして、昨年4月に視覚障害者を含め就職を希望する重度障害者の実態、就職に関する希望などを把握するための調査を行ったところでございます。調査の結果、視覚障害者についてだけ申し上げますと就職を希望する者が46人ございます。これは重度障害者全体の8.5%に当たります。就職希望職種を見ますと、はり、きゅう、マッサージなどが約6割を占めております。
 第三セクター方式による重度障害者雇用企業は、現在、全国で製造業5社、情報処理サービス業が3社の計8社が設立されております。本県は、他県に比べまして御案内のとおり一般的に企業の立地に不利な条件が少なくございません。したがいまして第三セクター方式による重度障害者雇用企業の設立につきましてはいろいろな問題があるわけでございますが、先例も参考にしながら引き続き検討してまいりたいと思います。
 なお、視覚障害者の就職についてでございますが、はり、きゅう、マッサージなど資格を必要とする専門技術職が主体となっているわけでございますが、それ以外に技能、販売、サービス等の職種への希望もございますので、その面の雇用促進に努力していきたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 三者協議会をいつ開くかということでございますが、今いろいろ折衝いたしましてできれば今月の中旬、遅くとも下旬までにはこれを開くようにしたいと思っております。議題の内容は、最近起こりました事件、事故の真相究明、また安全確保に対する提言、きのう発表されました労働問題等について米軍、また政府当局に対していろいろ提案をいたしたいと思っておりまするし、さらに国体を控えておりますので、国体に対する米軍の協力等について話し合いたいと思っております。
○議長(志村 恵君) 白保台一君。
   〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 再質問を行いますが、商工労働部長、第三セクターですけれども、皆さん方の考えている第三セクターと視覚障害者の考えている第三セクターとは違いますね。彼らは、はり、きゅう、マッサージでもやれるということで、先ほども申し上げましたように労働力も土地も用意してやると、こういうふうに言っているわけです。ですから、答弁要りませんけれども、この辺の検討を再度きちっとなされるべきじゃないかと、こういうことを申し上げておきます。
○議長(志村 恵君) 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 私は、質問通告書に従い、西銘知事並びに関係部長に対し一般質問を行います。
 モノレールの関係と自由貿易地域の問題については昨日来質問が多かったのでありますけれども、できるだけ重複しないように質問いたしますので、誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
 まず、第1点目の那覇軍港の返還促進についてお尋ねいたします。
 御承知のように那覇軍港は、昭和49年1月30日の第15回日米安保協議会において返還合意がなされているいわくつきの軍港であります。
 そのことを踏まえて那覇市では、過去幾度となく外務省や防衛庁、運輸省、沖縄開発庁等々を通じて返還要求を行ってまいっておりますが、いまだにその返還のめどが立ってないことはまことに残念なことであります。現在、港湾の一般的な標準貨物取扱量は、岸壁1メートル当たり1000トンと言われております。ところが那覇市が管理している港湾の場合は1800トンの換算貨物取扱量となっており、実に1.8という超過密の利用状況となっております。このことは荷役機械等がふくそうすることになり、また労働安全面からも危険な状態であり、緊急な改善が必要であると指摘されているのであります。
 ところで、今日までの国の示す港湾行政は、貨物の取り扱いを重点に建設されたために、一般的に海洋レジャーの諸施設が皆無に等しい状況にあります。しかし最近の国の方針として貨物の一辺倒の取り扱いから、海洋レジャー施設についても考慮に入れた港湾建設が望ましいとの判断が示されているやに聞いております。したがって四面海に囲まれている本県は、亜熱帯海洋性の自然特性を活用して海水浴場、マリーナの整備、美しい海浜の海中景観を生かした観光施設を充実させなければならないと思料するものであります。特に最近は、余暇時間の増大に伴って海洋レジャー等も増加の一途をたどっており、那覇港を起点とした慶良間列島周辺の観光遊覧船を走らせたいとする観光業者からの那覇港の母港化提供の強い要請があるにもかかわらず、バース難を理由にこれを断らざるを得ない苦しい状況にあると聞いております。
 那覇軍港が返還された場合の換算貨物取扱量は、岸壁1メートル当たり1369トンとなり、現在の1800トンに比べれば過密利用はかなり緩和されることになります。このような那覇港湾の超過密利用状況を知事はどう受けとめておられるか、1点目にこれをお伺いしておきたいと思います。
 2点目に、返還された場合の跡地利用計画でありますが、軍港の跡地利用計画の対象区域は国道332号線以北の面積49ヘクタールとなっており、那覇市の該地域の計画事業によりますと49ヘクタールのうち、20ヘクタールを港湾及び港湾関連用地として利用し、残り約29ヘクタールを道路、一般住宅地及び立地条件に合った工芸関連施設用地として確保したいということのようであります。この49ヘクタールの跡地利用対象区域の土地の所有別比率を見てみますと国有地が3%、県有地が7%、那覇市有地が3%、私有地が58%、里道8%、地籍未確定地域が21%となっており大部分が私有地となっております。
 そこで知事にお伺いしたいのは、仮に軍港湾施設の返還のめどがついた場合、港湾施設として使用していかなければならない公共用地については個人に返還するわけにはいかない問題が生じてきます。その場合、公共用地として継続して使用していけるような法的根拠があるのかどうか。
 また、継続して使用していく場合、当然用地買収が必要になってくるが、その場合、地方自治体の財政では到底買収費は対応できないと思われますが、国庫支出金等による助成措置がなされるのかどうか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 第3点目に、都市モノレール事業によって国場川沿いにある壺川漁港が壺川駅の一部に利用されるため、同漁港の移設が余儀なくされております。そこで市の管理する港湾施設の中に移転先を物色したが、スペースがないために軍港の一部利用を計画し軍側と折衝しているやに聞いておりますが、県としてはどのように軍との調整を図っておられるかお伺いいたします。
 第4点目に、那覇港湾道路から明治橋を経て国道329号線バイパスに接続する計画道路は、沖縄製粉株式会社横を通り、現在の那覇港釣り観光船協同組合、組合員36名が利用している港湾部分のほとんどが埋立計画されているためその移転場所も見当たらず、道路計画にも支障を来すのではないかと関係者の間で不安が高まっている状況であります。このように那覇港湾は民間の需要を満たすことができず、市の港湾行政は最悪の状態にあり、那覇軍港の一日も早い返還が望まれているのであります。知事とされては、この窮状を踏まえ、返還促進についてどのように対処されるおつもりか決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、都市モノレール問題についてお伺いいたします。
 那覇市において復帰時の昭和47年ごろからモノレール導入が検討され、同年策定された沖縄振興開発計画の中で、中南部都市圏の陸上交通については、都市化の進展に伴う旅客輸送の需要の増大に対して軌道系モノレールの必要性が提案され、昭和48年から49年度にかけて沖縄本島中南部都市基本計画が策定され、その中で、都市モノレールを早急に導入し新たな総合交通体系の確立を図る必要があると具体的な提案がなされております。昭和50年度以降は沖縄開発庁、県、市の3者において都市モノレールのもろもろの調査が実施され、一方、これと並行して総合事務局、県、市の3者による都市モノレール協議会を設置し、交通の原点である人の動きを基礎とする交通量の調査、すなわちパーソントリップ調査を昭和52年から54年度にかけて実施され、54年10月に都市モノレール準備室が設立されたのであります。56年には、本県の陸海空の全般にわたる沖縄県総合交通体系基本計画が策定されたが、陸上交通に関しては都市モノレールの導入を明確にするとともに、それと関連するバス網の再編成並びにバスターミナルを整備する問題も提起されております。国庫補助事業は56年度から採択され、同時に実施計画も進められたのであります。昭和57年12月に赤嶺から汀良町までの11.4キロについて特許申請の準備を整え、58年度から本工事に着手すべく国庫補助の確保について開発庁及び建設省に折衝したが、5項目の見通しが確認されるまで本工事予算の執行を見合わせるとの確約書を提出するに至っております。
 このことについては、昨日来問題になっておりますようにこの5項目のクリアのめどについていつごろ予定しているのかお伺いをしておきたいと思います。
 2点目に、都市モノレールの関連街路の全体の取得状況についてお伺いしておきます。
 3点目に、市道部分の取得が非常におくれている、その理由は何かお伺いします。
 4点目に、県の道路整備・都市モノレール建設基金条例の運用についてお伺いします。
 62年度当初予算において15億円を取り崩し、現在、基金は11億7210万円しかありません。那覇市の28億円の現在高に比べて非常に少なく、基金の運用状況を見る限りにおいては都市モノレール建設の意欲が欠けているのではないかと疑念を抱かざるを得ませんが、知事の御所見をお聞かせ願いたい。
 5点目の特許申請については5項目を解決しないと申請できないのかどうか。
 また、工事施工の認可申請も同様なのか、申請時期のめどについていつごろ予定しているのかお伺いいたします。
 次に、自由貿易地域の問題について所見を述べながら質問いたします。
 自由貿易地域は、沖縄振興開発特別措置法に基づくもので、沖縄における企業立地を促進するとともに、貿易の振興に資するものとして県の長い間の懸案事項であったのでありますが、このたび、曲がりなりにも米軍基地の一部共同使用の形でスタートにこぎつけたことは喜ばしいことであり、当局のこれまでの努力に対し敬意を表するものであります。
 さて、日本の貿易収支は928億ドル、約13兆円という巨額の黒字が累積し、そのため諸外国から黒字減らしの促進あるいは内需拡大など強い要求が突きつけられている。これに対して政府は、アクションプログラムを設定して関税の免税、非関税障壁の改善あるいは輸入枠の拡大など具体的な施策を実行しているが、諸外国からはその効果については十分に評価されてなく、中曽根首相は、さきの先進国首脳会議で日本が国際公約した内需拡大と経常収支黒字削減のための積極的努力の必要性を強調、その具体策として総額2兆790億円の62年度補正予算案が国会に提出される動きとなっております。このような諸情勢の中で沖縄自由貿易地域の方向づけがなされたことは、これからの県経済の活性化につながり、同時に日本が直面している貿易不均衡による国際経済摩擦を緩和するための一翼を担うことになるものと思料いたします。
 沖縄は、歴史的にも地理的にも南の玄関口に位置しており、近年、新しい役割を担うようになってきております。その具体的事業として国際交流センターが設置され全国的にも例の少ない国際交流が展開されており、一方ではコンベンションホールも近く完成の運びにあり、自由貿易地域の開設を契機として内外企業間の協調と競争を通して新たな経済活力を高める千載一遇のチャンス到来と言わなければならないと思います。長い間のアメリカ支配の中で生産性のない基地依存型経済から脱却し、県内の工業、農業、観光事業等の新しい産業振興の起爆剤として位置づけ、マンネリ化した沖縄の失業の解消、自立経済の方向性と所得水準の向上等に役立つのではないかと期待するものであります。
 以上の視点に立って若干の質問を行いますが、1点目に、現在、東南アジアには類似した自由貿易地域が韓国の馬山で敷地面積約48万坪、台湾の高雄、約20万坪、フィリピンのバターン地区で約100万坪という代表的なフリーゾーンがありますが、これらの自由貿易地域と沖縄のそれとの競合することはないかどうかお伺いします。
 2点目に、自由貿易地域内では通関手続が要らない、関税を支払う必要がないというのが特徴だと思いますが、国内原料あるいは国内製品、さらに外国製品、外国の原料、いずれも同じように関税は免除されるのかどうかお伺いいたします。
 3点目に、区域内企業に対する法人税、事業税、物品税などの免税措置がなされるのかどうか、区域内企業についてどういう優偶措置がとられるか検討されておればお聞かせ願いたいと思います。
 以上申し上げまして、答弁によっては再質問を行います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 島袋宗康議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇軍港の返還についての御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇港湾施設については、御指摘のとおり産業振興の上で開発利用度の高い地域であり、また返還合意施設でもあることからいたしましてその返還を日米両政府に対し要請をいたしておるところであります。国におきましても予算を計上して調査検討中でございますが、現在、移設先との関連で具体的な返還の時期ははっきりいたしておりません。
 返還のめどが立った場合の同施設内の中に占める私有地の取り扱いについての御提言を含めた御質問がございましたが、お答えいたします。
 那覇軍港の返還に備えまして、現在、那覇市においては具体的な転用計画の策定のための検討が始められたようであります。その利転用については各面からの検討が必要であり、計画の策定までにはなお相当の時日を要するものと思われます。県としては、今後、市と必要な調整を行い、その有効利用の促進に努めてまいりたいと思います。
 都市モノレールにつきましては土木建築部長、また資金運用については総務部長から答弁させることにいたします。
 自由貿易地域につきましては、企画開発部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 明治橋際の遊漁船地区の移設についての御質問がございましたけれども、那覇市におきましては安謝地区への移設を計画しているようであります。
 壺川土地区画整理地区内にある壺川漁港の移転先につきましては、那覇市は、現在、港湾計画で小舟たまり場として計画している三重城地先を予定しているようであります。なお、移転先の施設の完成するまでの間、暫定的に那覇大橋上流または安謝への既設小舟たまり場等への移転をすることで那覇市が関係者と協議中でございます。
 それからモノレール関連街路の用地取得の状況についてお答えいたします。
 まず、全体の用地取得状況でございますが、都市モノレール関連道路の赤嶺から首里汀良までの間約11.4キロメートルの用地取得につきましては、昭和62年6月末現在、用地取得計画面積11万3058平方メートルに対しまして用地取得面積は9万1708平方メートルとなっておりまして、82%の執行率となっております。また空港から赤嶺までの間約2.2キロメートルの面積5万5000平方メートルにつきましては、昭和62年度から国庫補助事業として新規に採択しており、今年度から用地取得の予定でございます。
 関連街路のうち、市道部分の用地取得の分について御説明いたします。
 那覇市の市道旭橋崇元寺線、崇元寺姫百合線に係る用地取得につきましては、昭和57年度から始まり、昭和62年6月末現在、用地取得計画面積2万1205平方メートルに対しまして用地取得面積は1万3795平方メートルとなっており、65.1%の執行となっております。
 なお、那覇市の用地取得のおくれている主な理由といたしましては土地価格に対する単価の不満、代替地の要求、借地権等の問題等が主でございまして、その解決のため鋭意努力中でございます。
 次に、モノレール問題のうち5項目についてお答え申し上げます。
 昭和57年12月27日付で沖縄開発庁及び建設省と確認した5項目につきましては、都市モノレール建設事業を推進するに当たって解決しなければならない問題であると考えておるところでございます。そのうち、特に収支見込みの見通し、収支不足の場合の県、那覇市の負担及びバス路線の再編成等につきましてこれまで関係機関と協議を重ねてきたところでございますが、いずれも利用客と大きく関連する事項でございまして、現在、その利用客の最終的な煮詰めを行っている段階でございます。
 次に、特許申請はいつごろになるかという御質問でございますが、先日の代表質問でも関連質問があった、お答えしたところかと思いますが、知事の方からお答えがあったかと思いますが、都市モノレール建設事業を推進するには利用客の推計、バス企業との調整、収支の見通し等の条件整備を行う必要がございます。現在、これらの諸条件の整備に鋭意努力しているところでございまして、早目に特許申請ができるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(志村 恵君) 総務部長。
   〔総務部長 高良清敏君登壇〕
○総務部長(高良清敏君) モノレール問題との関連で基金の取り崩しについての御質問にお答えします。
 道路整備・都市モノレール建設基金は、御案内のとおり道路の整備及び都市モノレール建設のために設置された基金であります。昭和62年度は、特に国体開催等で道路整備に旺盛な需要があったために、これらの財源に充てるために当初予算で15億円を計上したものであります。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 金城祐俊君登壇〕
○企画開発部長(金城祐俊君) 自由貿易地域の問題について台湾、韓国等の外国の自由貿易地域と競合することはないのかと御質問がありました。お答えいたします。
 現在、県が設置を進めております自由貿易地域の主な機能は、輸入を中心とした物流中継加工型でありまして、台湾、韓国等の輸出加工型自由貿易地域と競合するものではないと考えております。
 次に、関税面でどういう配慮がなされているかの御質問がありました。お答えいたします。
 自由貿易地域は、関税法の保税制度と企業立地に対する税制上の優遇措置がリンクされたものでありまして、沖縄振興開発特別措置法により本県のみに認められた制度であります。御質問の関税法上の特例につきましては、現行の保税工場の運用とは異なっておりまして輸入加工が認められる見込みであり、その際に課される関税は原料課税扱いとなる、こういう見込みであります。
 次に、立地する企業に対する税制上の優遇措置についてお答えいたします。
 自由貿易地域に立地する企業等に対しましては4つの税制上の優遇措置がございます。まず、国税に関するものといたしましては自由貿易地域投資損失準備金、工業用機械等の減価償却の特例があります。地方税に関しては事業税、不動産取得税、固定資産税の課税免除または不均一課税及び特別土地保有税の非課税措置が認められております。
 なお、この場合、地方公共団体が課税免除または不均一課税を講じた場合におきましては、その減収額を地方交付税で補てんすることになっております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 基金の問題ですけれどもね、15億円取り崩しておりますけれども、これからどういうふうな収入源で積み立てていかれるのかですね。その辺のその年次計画といったようなものがあるかどうか、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
 それからこの5項目の問題すべて解決しないと特許申請できないのかどうか。その辺を県民がモノレール、非常に期待しておる関係でどうしてもこのことについては明確にお答えしてもらわぬと、単にいわゆるパーソントリップだけの調査がまだできないからということだけではちょっと不安がありますんで、それもいつごろできるのかどうか、その辺について再度お伺いしておきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 総務部長。
   〔総務部長 高良清敏君登壇〕
○総務部長(高良清敏君) 昭和62年度の基金取り崩しの15億の対応についてでありますが、この件につきましては先ほども説明したように沖縄県道路整備・都市モノレール建設基金条例第6条によりまして資金運用したわけですが、その増資につきましては昭和61年度の決算の状況を見ながら現在試算中でありますので、以上のお答えになります。よろしくお願いします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 山城廣茂君登壇〕
○土木建築部長(山城廣茂君) 5項目の中には工程の再チェックというようなものもございまして、こういった工程等につきましては一たんは供用開始年度等見直したわけでございますが、いずれにしても特許申請をいつするかということでそれがずれ込むと工期、工程が全部狂ってくるわけでございまして、やはり特許申請に持ち込める条件整備が一番大事でございまして、そのためにその中でもやはり最大なものは採算性の問題でございまして、それはバスの再編の問題、収支見通しといいますか、資金借入計画の問題、いろいろございますが、いずれにいたしましても採算性とかかわるわけでございまして、これは突き詰めて申し上げればとどのつまりは利用客の推計とかかわるわけでございまして、そういう意味でこれまでケーススタディーを幾つかやっておるところではございますが、その過程において4万1000とか2万とか出ておりますが、最終的に現在オーソライズされておりますのは6万7000でございますので、それを最終的に煮詰めていきまして、その数字を確定した上で収支の計算を固めていかなければならないというふうに考えておるところでございまして、まず、いつという
ことは今現時点では申し上げられませんが、そういう意味での利用客の推計に鋭意努力して収支の予想といったものをはっきりした線で定着させたいと思っておるところでございます。そういったことができますれば、その他のものもかなりそれをベースにいたしまして解決されると思っております。
 以上でございます。
○島袋宗康君 議長、ちょっと答弁漏れがあります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後2時33分休憩
   午後2時34分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 企画開発部長。
   〔企画開発部長 金城祐俊君登壇〕
○企画開発部長(金城祐俊君) お答えいたします。
 御質問のことにつきましては、現在、那覇市で転用計画をつくっております。その中でいろいろ整備されて、そのときにいろいろと国庫補助金の制度に乗るものについては、そういう導入もまた積極的に考えていかなければならないとこう考えております。
○島袋宗康君 あるのかないのか。
○企画開発部長(金城祐俊君) これは転用計画が策定されないと、ちょっと想定できないのであります。
○議長(志村 恵君) 田場盛徳君。
   〔田場盛徳君登壇〕
○田場盛徳君 通告に従いまして質問いたします。
 基地問題です。
 基地問題の取り組みの弱さが、きのうの代表質問、きょうの一般質問で取り上げられてまいりました。きのうの金城重正議員は、米軍の事件、事故の頻発は暴挙だ、県民は我慢の限界に来ているのではないか、もっと抜本的対策は考えられないのかと言われました。これが県民の知事に対する要望だと思います。
 知事は、取り組みが弱いのではないかと言いますと怒られますけれども、6月に衆議院沖特委が調査に来られたときにも、県はもっと迅速な対応と強い対策をとるべきだとこう言われました。6月の軍特委でも、与野党が強い調子で質問をしました。このことは知事初め県当局の基地問題にもっとしっかりしてほしいということだと思うが、知事は、どのように受けとめておられるのか。
 米軍の事件、事故の続発は目に余るものがあり、知事も遺憾の意を表明されましたが、対策については、いずれの質問に対しても繰り返しておられますことは、建前論ばかりで具体性がありません。基地の整理縮小については県政の重要課題であり、ワシントンまで行き、米国政府に要請をした。安保協で返還合意された施設や地域開発上必要な地域については、今後も返還に努力していくということばかりでした。
 県民が知りたいのは、知事が米国政府に訴えられてから、具体的にその後どのような努力をされたのか、されなかったのか。どうして返還が前進しないのか、こういうことであり、日本政府が整理縮小についてどのような努力をしているのかしてないのか、日本政府や米軍の考え方が今日どうなっているのか、変化があるのかないのかということの具体的な問題であり、その見通しだと思うんです。どうしてそれについて具体的な答弁がないのか、これについてお答えを願いたい。
 次に、米軍演習に対するお答えですけれども、県民に被害があってはならないので演習に対しては安全確保の徹底と事故の未然防止、演習の自粛を申し入れていると、こういうことばかり繰り返しておられます。催涙ガスをまかれたり、酔っぱらい米兵が家の中まで入り込んだり、赤土汚染があったり、破片が飛んできたり、まさに沖縄の実態というのは、復帰前の米軍支配当時に逆戻りしたような戦場さながらの状況でしょう。
 昨晩などは、具志川市でも9時ごろから10時ごろまで米軍機が民間上空を、しかも超低空でライトをかぶり照らしながら、激しい爆音をまき散らしながら飛んでおります。小さい子供たちは、怖いようといって母親に抱きついて泣いたり、あるいは食卓の下に潜り込んで泣き出すと。こういう状況で、私のところにも2カ所からどういうわけかとか、何とかならぬかと電話があったぐらいなんです。
 最近、お年寄りたちは、「アメリカーターヤサッコー アマグィートーンヤー」とこう言います。アマグィートーンという言葉は、傍若無人、手がつけられないほどの乱暴ろうぜきの行動で、相手が被害を受け苦しんでいるのに、構わないどころかむしろ苦しむ姿を見て楽しむようなやりたい放題のことをやる。憎らしくてたまらない行為に対する言葉です。それなのに知事は、けさの瑞慶覧議員への答弁で、米軍は自粛していると思うとこう言われたんだが、本当に自粛していると、そうお考えなんですか。
 今日の米軍演習の状況は自粛して行われておるとすれば、これは大変なことだと思います。知事の演習自粛の申し入れを無視をして、演習被害で苦しむ県民をターゲットにしてそれを楽しむかのような大変増長したやり方だと思いますが、知事は、一体どうお考えでしょうか。金城議員が言われたように県民はもう我慢の限界ではないでしょうか。
 県道104号線を封鎖しての実弾砲撃演習も当初は1日でした。それから2日になり、来る7日からは3日連続してやると言ってきています。3日間も生活道を封鎖され実弾演習が続いたら、周辺の学校、住民はどうなりますか。今回の3日続きの実弾演習に県は、米軍にどのような申し入れをされたのかお答え願いたい。
 知事の申し入れは、すべて米国政府にも無視をされ、現地米軍も聞く耳を持たない、こういう姿勢です。日本政府も米軍のやりたい放題の演習を安保条約を盾に容認をしている。これは県民無視で国の沖縄差別ではないでしょうか。その上、米軍は抜き打ちに、きのう、基地従業員303人の解雇を発表する。全く身勝手で「ヨーソーレー 鼻マディホーイン」とこういうふうな姿勢ではないでしょうか。
 私は、このような目に余る米軍のやり方、演習のあり方は、これまでのような対処の仕方では効き目はないとこう思います。知事が毅然として県民の立場に立って米軍の責任者を呼びつけて厳しく抗議をすべきではないでしょうか。県民は、どうしてそうなさらないのか、こう考えておるんですが、なぜなさらないのかお答えください。
 また、知事が外務省や防衛庁、内閣官房など関係省庁に乗り込んで強い申し入れをなさるべきだと思います。そういうことが知事としてできないのか。
 実弾射撃演習については、知事は、これまでの事故やあるいは狭い沖縄でのこの演習は危険だと、こういうことで米国政府に直接中止を申し入れられました。しかしこの申し入れは無視されておりますが、もう知事は、長いものにはまかれろと、こういうことで泣き寝入りをするおつもりなのか。
 私は今日の米軍の事件、事故の続発を食いとめるためには、今までのようなやり方では効き目がない。新たな行動計画を考えないと県民がひどい目に遭うのではないか、こう思います。例えば米総領事を呼びつけて抗議をしたり、あるいは直接アメリカ大使館に乗り込んで抗議をしたり、ワインバーガー国防長官あてに文書で直訴をしたらどうなんです。あるいは県労協がやったようにアメリカの大新聞一面を買い取って、米軍による県民の基地被害の実態を広告として掲載をする、米国民、全国に知らせる。そして日本政府の関係大臣へ強く訴えるとかあるいはそれでも効き目がなければ再度ワシントンに乗り込んで抗議をする、それぐらいのことをやらんといかぬじゃないかとこう思いますが、知事の見解を伺います。
 次に、警察本部長に伺います。
 県道104号線封鎖の実弾砲撃演習の抗議行動参加者に対する警察機動隊の警備、大変な過剰になっております。4月14日、15日、抗議行動団も全員をとめて、そして運転免許証の提示を求めている。私は、警察職務執行法も詳しく読んだんだけれども、該当する条項がないんですが、法的根拠は何なのか明らかにしていただきたいと。その目的と理由も伺いたいと思います。
 しかも労働組合員や学生の中には、車の中やトランクの中まで開けて調べたのもおるんですね。何でそんなことをやるのか理由を伺いたいと思います。
 次に、平和問題ですけれども、去る慰霊の日の格調高い平和宣言、これはいつか聞いたことがあるなと思って調べてみたら、10年前に平良知事が平和宣言をされた文面そのままです。実に格調高いものです。
 ところで、その平和宣言を、基地被害、戦争の脅威の後を絶たない沖縄の現実の中でどのようにこの平和をつくり上げていかれるのか、平和行動の具体的計画がありましたら、それを明確に示してもらいたい。
 次に、八紘一宇の碑が南部戦跡に建てられておると新聞で見ました。国体の本義で学生時代に学んだ八紘一宇というのは、神に選ばれた日本民族が宇宙を一つの家となして、それを統治をし指導していくという思想だと、このように教えられた記憶を持っています。
 知事は、この八紘一宇という言葉に対してどういう認識を持っておられるのか。あるいは八紘一宇のこの碑建立に対する御所見があれば承りたいと思います。
 次に、知事は、海邦国体に天皇をお招きして沖縄の戦後を終わらせたいとこう言われたけれども、この知事の言われる沖縄の戦後を終わらせるという、この内容はどういうことなのか。
 次に、非核平和宣言ですけれども、日本の場合、非核三原則はもう空洞化して事前協議制は死文化しております。ライシャワー発言あるいはラロック証言、キッシンジャーの発言などでこれはもう明らかなんです。また原潜のたび重なる入港、B52の飛来、嘉手納基地における核戦略想定の演習、NBCの汚染対策訓練あるいは地球規模の核戦争を想定した嘉手納基地を中心とするグローバル・シールド87、こういうふうに核戦略体制が嘉手納基地を初め沖縄の米軍基地で進められております。こういう中で非核三原則があるということでどうして非核平和宣言を行う必要を認めないのか、これをさらに明らかにしていただきたい。
 次に、地方自治についてですけれども、地方自治というのは、一定地域住民に責任を負う市民に最も身近な政府なんです。
 地方自治は、民主主義のショーウィンドーともこう言われておる。近年、だんだんとしかし日本の場合には中央集権化して自治の芽が摘み取られつつある状況にある。特に沖縄の場合には憲法や地方自治の本旨が生かされず、安保条約は地位協定が大手をふってまかり通る、こういう情勢にあります。
 それで知事は、この地方自治の本旨を生かした県政をやっていくんだと、こういうことを繰り返し御答弁なさっておられますけれども、しかし知事のこの建前論とやっておられる事柄は全く自治の本旨から逆行したものではないのか、こういう印象を強く持ちます。例えば民間空港への米軍機の自由使用。これは安保、地位協定、関連取り決めで拒否はできないというけれども、県管理の空港でそれはやらぬということは納得できません。どういうことなのか。あるいはハリアーパッド、これは国体が済むまで待ってくれと言っておるんですな。国体が終わったらやりなさいということなのか。どうしてこういうハリアーパッド、ヘリパッド、ああいうふうな環境破壊、生活破壊、自然破壊、ダム汚染、こういうふうなものを即時中止を求めないのか明らかにしてもらいたい。
 また国家機密法、これは前回質問したけれども、この法が施行されると基地に対して県民の目、耳、口がふさがれて、もう軍隊のやりたい放題のことが今まで以上にやられて、一層、人権侵害、基地被害、これで県民がひどい目に遭うことはもう明らかなんですよ。戦前のようなこういう暗黒社会をつくることになるわけなんだが、しかも国民の知る権利、言論、表現の自由、これが奪われ、軍事優先、軍国主義社会の再現になって、どこの県民よりもひどい被害をこうむるのがこれは沖縄県民なんです。
 先回質問しましたら、知事は、これは国権の防衛、外交という高度な問題であるからコメントできないということを言っておられる。県民の立場からどう考えるのか、これは答えるべきですよ。
 売上税、これはもう予算計上も法的根拠がないのに地財計画を示されたからやったと。そして法的根拠を失った今日でも削除しない。全く建前とやることが、地方自治、憲法の理念にのっとると言いながら、やっておられることはもう中央志向。しかも補助金の一律削減に対しても他府県よりは条件がいいからとこういうことで、自治侵害に対しても、その怒りの声も聞かれない。こういう状況でしょう。
 私は、安保で特にこういう差別的扱いを受けているところの県民の知事として、差別や不公正、これに対して県民の立場から国に対して強く物を言わなければならないとこう思うんですが、知事のこれに対する考え方を伺いたいと思います。
 次に、農業問題。
 日本農業は、外国からの輸入自由化攻勢、これがあり、国内でもこれに刺激されて農業過保護論あるいは食管たたき、こういうことが行われてもう今危機的状況に追い込まれているとこう思います。大企業の外国市場荒らし、貿易黒字の犠牲、これを国際競争力の弱い農業に向けられつつあるんですね。
 そこでお伺いしますが、きょう、米価審議会があるようですが、米価が5.95%引き下げられ、次にねらわれるのはサトウキビ、パイン、この番になると思うんですが、知事はどう対処されるのか。農家所得、再生産を補償するための価格への努力に対する決意を伺いたい。
 生産性の向上、品質の向上に農家自体も努力しておりますが、農家の努力の足らない部面は何なのか。それに対してどのような施策を持って指導を行っておられるのか、これは明確にしていただきたい。
 次、基盤整備、急がなければならないけれども、現状はどうなっているのか。2次振計までの目標、これもぜひお示しいただきたい。
 特に昨年は、干ばつで立ち枯れも多くて、そのためのキビ減収が大きかったが、かんがい施設の整備、これは具体的にどう進めておられるのか。
 野菜、花卉等の振興策、これはどうなっているのか。
 病害虫対策、これは大変弱いと思います。研究体制、どうなっておるのか。駆除体制はどうなっているのか。
 脆弱な沖縄農業を守るためにどうされるのかお答え願いたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 田場盛徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 もう質問があちらに飛び、こちらに飛びしておりますので、答弁もあちらに飛び、こちらに飛ぶかもしれませんが、御理解を賜りたいと思います。
 無謀な米軍演習に対してもっと怒れと、怒りと不満をぶつけろという御提言がございましたが、お答えいたします。
 最近の一連の事件、事故の発生については遺憾に思っているところであります。米軍の訓練によって周辺住民が被害を受けることがあってはならないと考えております。また機会あるごとに安全対策の確保、綱紀の粛正等については申し入れているところであります。
 今議会において代表質問者全員が基地問題を取り上げ、ほとんどの議員がこれに対して知事の積極的な姿勢を要求しているが、どうかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 狭隘な本県に米軍基地は面積の約11%、全国に所在する米軍基地の約30%、専用施設について申し上げますと75%が存在いたしておりまして、県民生活と密接なかかわり合いがございます。それだけに基地から派生する一連の事件、事故は、地域住民の生命、財産に大きな影響を及ぼすものでございまするから、基地問題は県政の重要な課題として位置づけてその解決に向けて努力しているところであります。
 沖縄は、75%の専用施設があって、それだけに沖縄に対するこれは差別であり犠牲であると。政治の公正を欠くものだと思うが、知事はどう考えるかという御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄の米軍基地は、米軍の占領に引き続く統治の間に米軍が構築した基地であり、復帰の時点で安保条約、地位協定、その他関連取り決めに基づいて国が米軍に提供したものであります。したがって今なお在日米軍専用基地面積の75%が本県に集約されていることは御指摘のとおりであり、また米軍基地から派生する問題が多発していることも事実であります。そのため基地の整理縮小と基地被害の防止を県政の重要課題として解決に向けて努力いたしておるところであります。
 多発する米軍の事故について、知事は米軍の責任者を呼びつけてこれに強く抗議すべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 米軍の訓練等に伴う事件、事故については、機会あるごとに防衛施設庁、外務省等関係機関に対しましてもその解決について要請するとともに、米軍に対しても十分な安全対策の確立を要請してきているところであります。
 訪米以後、要請したことは1つも実っていないじゃないかと。その後、どういう行動をとったかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 一昨年6月の米国政府への要請以後、外務省、防衛庁、防衛施設庁等に同様の要請をいたしており、また毎年、渉外知事会におきましても基地の整理縮小と基地被害の防止を要請しているところであります。
 次に、訪米によって実弾演習の中止を要請しているが、その後、アメリカは一向に反省することもなく、その訴えは無視されているのではないかという御指摘に対しましてお答えいたします。
 訪米後、米軍も、県内における実弾射撃演習をできるだけフィリピン、韓国、富士演習場で実施しておりまして、本県においては必要最小限度の射撃訓練をしているとのことであります。したがって訪米時の要望は大きくは実っておりませんが、徐々にその成果を上げてきているものだと考えております。
 次に、平和についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 現在の世界平和は、米ソを中心とする力の均衡によって保たれているのが現状であると認識いたしております。我が国は、安保条約体制のもとで平和と繁栄がもたらされているのは御案内のとおりであります。したがって安保体制を容認し、世界各国と協調していくことこそが平和維持の方法だと考えておりますので、特別な行動計画はございません。
 次に、八紘一宇の思想をどう認識し、碑建立に対する所見をただされたのでありますが、お答えいたします。
 八紘一宇の思想は、第2次大戦を遂行していくための軍国主義思想のもとにおけるスロ一ガンでございましたが、今日の我が国は、平和国家として諸国民との協和による成果と自由のもたらす恩恵を確保し、世界の恒久平和を祈念する崇高な理想を日本国憲法によって内外に高らかに宣言していることは御案内のとおりであります。また八紘一宇の碑でございますが、これは地元真壁出身の本土生存者が、戦没した親せきや部落民の霊を弔うために建立されたものだと聞いております。
 戦跡国立公園、都市公園内などの工作物については許可を要しておりますが、何らの制約のない地域においては地主の同意さえあれば建立がなされており、その碑文等については建立者の意思によるものでございまして、知事としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 知事は、海邦国体に天皇をお招きして沖縄の戦後を終わらせたいと言っているが、沖縄の戦後を終わらせるとはどういうことかということでございますが、これは一昨年、宮中において天皇陛下に沖縄の県政の概況について御進講申し上げたときに、その最後の結びとして、42回国民体育大会には御来県をいただいて日本の戦後を終わらせてくださいとお願いをしたのであります。その意味は、もう陛下が国体、植樹祭、その他を含めておいでになっていないのは沖縄県だけだと思っております。そういうことで沖縄県に御来県をいただいて県民を慰め、そしてそのことによって陛下は全国全部一巡されるわけでございまするから、そういう意味で日本の戦後を終わらせたいという文学的な表現になっておりますが、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
 次に、安保で特に差別的扱いを受けている本県知事として、差別や不公正に対し県民の立場から国に対し強く物を言わなければならないと考えるが、知事の所見はいかんと。
 この安保における差別ということは、これは日本がやったことではございません。これはアメリカが戦争で沖縄を占領しました。占領に続いて司法、行政、立法の三権を握って、その施政権下にあってつくった恒久基地であることは御案内のとおりであります。そこで復帰に際しまして、本当に無条件全面返還ということも叫ばれたわけでございますが、沖縄の基地を全部取っ払って復帰するということは不可能なことでございましたので、とにかく装備の重大な変更とかいうような運用の面において本土並みの基地にしようではないか、安保、その他の関連取り決めを適用しようじゃないかということで本土並みになっただけでございまして、先ほどから申し上げているとおり全土の11%、専用施設の75%が沖縄に集約されておりますことは御案内のとおりでございまして、それが歴史的な結果として現在のような形になっているわけでございまして、憲法のもとで、その他の法律のもとで沖縄県民が不平等な差別の扱いは受けておりませんし、また受けてはならないことでございます。
 そういう立場で県民の利益、また財産を守る立場からいたしましても、県民の側に立って沖縄県の要望をやり続けていかなければならないことは、田場さんから御指摘がなくても、私自身、十分そのつもりで県政に取り組んでいるわけであります。
 農業問題について時間切れでございましたけれども、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
 非核宣言を行う必要があるのではないかという御質問があったようでございますが、このことにつきましては、先日、友寄議員の代表質問に答弁したとおりでございまして、非核宣言を行う必要はないと考えております。
○議長(志村 恵君) 警察本部長。
   〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長 (菅沼清高君)  お答えいたします。
 お尋ねの米軍の県道104号越え実弾演習に伴う警備につきましては、過激派、私どもは極左暴力集団と称しておりますけれども、彼らによる基地侵入、演習妨害、ゲリラ事案等の敢行が予想されますことから、事故の未然防止、また事件の処理等のために所要の部隊を配置して警戒をいたしておりまして、必要によりまして検問、検索、質問等を行ってきておるわけでございます。
 こういった極左暴力集団が、各種の大衆団体の主催する活動現場にいわゆるゲバスタイル、ヘルメットとか覆面をしたスタイルで押しかけ参加をしてお互いに対立するセクトをせん滅するというようなことを言って、現場を混乱させている状態につきましては御承知のとおりでございまして、そういった内ゲバ事件の発生が懸念されるところからこういった警戒措置をとっているわけでございまして、さらに最近、こういったグループは、海邦国体粉砕闘争の前哨戦といたしましてこの種の活動の現場への押しかけ参加を呼びかけておりまして、本土からの押しかけ動員を行っております。その数も増加する傾向にありまして、例えば1月の演習のときには30人ほどでございましたけれども、この間の折には60人ほどにふえているわけでございます。こういったことから警察といたしましては、彼らによるゲリラ事案や各種の事件の発生を防ぐために警戒をやっておりまして、極左活動家の発見、また爆発物等危険物の発見のために車両の検問や検索を実施いたしているわけでございます。
 こういった措置は、警察法あるいは警職法を根拠にしたものでありますけれども、もちろん検問や検索、質問は、極左活動家の発見だとか、危険物の発見のためのものでございまして、必要最小限のものになるように配慮いたしておりまして、一般の県民の方々に不必要な迷惑をかけることのないように十分注意をいたしておりますし、今後ともこの種の配慮をしてまいりたいとこういうふうに考えておりますが、近年の極左暴力集団の犯行が大変巧妙になっておりまして、現場への潜入だとかあるいは危険物の搬入等が大変巧妙になってきております。したがいましてこういった事案に対処するためにやむを得ない対策として車両検問や免許証提示等をお願いしているわけでございまして、この点、よろしく御理解、御協力をお願いしたいと思っております。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 久手堅憲信君登壇〕
○農林水産部長(久手堅憲信君) 農業問題についてお答えいたします。
 まず、糖業問題でございますが、サトウキビの生産者価格につきましては、これまで適正な農業所得を補償し再生産が確保できる水準に設定するよう国に要請を行ってきたところでありまして、今後ともその基本姿勢に立ちまして要請を行ってまいりたいと考えております。
 それから生産性の向上、品質の向上が進んでおりませんのはいろいろな条件があるわけでございますが、主に有機質肥料の施用の不足等土づくりのおくれ、または肥培管理の不徹底等の問題によるものと考えております。これまで堆肥センターの設置等土づくりの推進を初め収穫用機械の導入等機械化の推進、病害虫対策等を積極的に推進するとともに、サトウキビ栽培指針に基づき栽培技術の改善について市町村、農協等との連携のもとに栽培指導を行っておりまして引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、農業基盤関係でございますが、農業基盤整備の昭和62年度末における整備状況及び要整備量に対する整備率は、圃場整備が1万1580ヘクタールで26.3%、かんがい排水が6900ヘクタールで14.7%、農道が790キロメートル、41.5%の整備が見込まれております。2次振計における圃場整備等の目標は要整備量の70%でありまして、その達成に向けて努力してまいりたいと考えております。
 なお、農業基盤整備費の沖縄関係予算は全国の伸び率よりも常に配慮されておりまして、今後とも予算の確保に努力してまいりたいと考えております。
 それからかんがい施設でございますが、2次振計の大きな柱といたしまして整備を進めておりまして、その水源開発としてダム及び地下ダムの建設、ため池の有効利用、地下水の活用、承水路を利用した集水池等の建設を推進しているところであります。昭和61年度までの整備状況はかんがい面積で約3800ヘクタール、年間供給量は約2760万トンとなっておりまして、要整備面積の8.1%が実施されている状況でございます。今後とも国営及び県営、団体営の土地改良事業等によりまして地域に合った水源開発とかんがい施設整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 それから病害虫対策でございますが、試験場における研究体制については、本県が亜熱帯地域に位置し、病害虫が周年を通じて発生するなど病害虫対策が本県農業振興上極めて重要なことから、去る4月には病害虫研究体制を再編強化するとともに、病害虫発生の予察及び防除対策を強化するため、従来の4病害虫防除所を統合いたしまして病害虫防除所の組織機能の強化に努めているところであります。
 以上であります。
○田場盛徳君 休憩。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後3時12分休憩
   午後3時14分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 警察本部長。
   〔警察本部長 菅沼清高君登壇〕
○警察本部長(菅沼清高君) 先ほど御説明したとおりでございまして、極左暴力集団が、最近、そういった集会等に積極的に押しかけをしておりまして、またその押しかけの仕方もいろんな形で入り込むやり方をやっているわけでございまして、したがいましてそういう集会等に参加される方々についてそれぞれ身分を確認させてもらったり、またいろんな危険物の搬入のやり方も巧妙になってきておりますので、車の中を見せてもらったりすることも状況によってあろうかと思います。そういうことで皆さんの協力を得てやっているわけでございます。
 なお、法律の問題につきましては、今おっしゃっているのは警職法の2条の職務質問のことだと思いますが、警察法の2条というのがございまして、これはもちろん相手の任意な同意と理解を前提にしているわけでございますけれども、それに基づきまして警察官が必要な協力を求めるということは現実にやっているわけでございます。よろしく御理解をお願いいたします。
○議長(志村 恵君) 崎浜盛永君。
   〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 質問を行います前に、一言お礼を申し上げておきたいと思います。
 御案内のように、北谷町は、今日までなお町面積の65%が軍用地に取られております。したがいまして町民は、まさに軍用地に閉じ込められ、将来への期待も奪われているという状況で今日まで推移してきました。ところで今日、ようやく町民が願い求めたところの解放軍用地の跡利用、あるいは地先の埋め立て等の諸事業が、知事及び関係部局の指導、援助によりまして今着々と進められ、加えて最近、建設大臣のコミュニティーゾーンの指定を受けることができまして、町民は今、町の振興開発に大きな期待を寄せて喜んでおります。知事及び関係部局の努力と誠意にお礼を申し上げるとともに、北谷町及び町民が期待するこの将来の発展を確実なものにするために今後一層の指導と御協力をお願いしたいと思います。
 次に、去る2月定例議会において激論を交わしましたところの売上税など、政府・自民党の税制改正に伴う知事の予算編成のあり方や、廃案となった今日の時点におけるところの知事の措置等は、後ほど質問します民活利用という行政施策としての概念等とともに、行政事務事業を進める上において自治体運営のあり方が問われる極めて重視すべきこととして改めて知事の見解を求めるつもりでございましたが、補正予算の提出もありませんので、後日、機会を得て自治運営について財政の運用等を含めて論議を深めていく機会をつくりたいと思います。
 時間も制限されておりますので、4全総計画と沖縄の振興開発の項目のみについて所見を述べながら質問をいたします。
 国土庁は、急激な産業構造の転換を伴いつつ、情報化、国際化、高齢化という新たな地域課題、社会経済の変動に対応するために国土計画として第4次総合開発計画を提案し、先日、閣議で決定されてまいりました。
 この4全総計画は、1つには定住と交流による地域の活性化、2つには国際化と世界都市機能の再編成、3つ目に安全で質の高い居住環境の整備、これを基本的課題として、この課題を踏まえて、指摘されてきたところの一極集中型を排除して、特色ある機能を有する多くの極がそれぞれ補完、触発、交流する21世紀に向けての多極分散型の国づくりを目標として設定されたと言われております。そして10の地区に分散する極の一つとして整備開発される沖縄地方は、「亜熱帯に位置し、広大な海域、多彩な自然・景観に恵まれ、特色のある活力に富んだ地域として発展することが期待されている。」として、1つには地理的、歴史的特性を生かし、諸外国との交流拠点の形成、2つ目には国際的規模の観光・保養地域の形成等をつくり上げ、それらの地域特性を活用する産業・文化を振興して特色ある沖縄地域としての自立発展を図っていこうということを整備確立の基本方向として定めて、それに基づくところの整備開発を具体的施策として展開していこうとするものになっております。
 この4全総計画について、沖縄・九州サミットとも言われたところの知事会議において多極分散計画が評価され、特に西銘知事は、沖縄が単一ブロックとなったこと、施策内容が県の要望に沿うものとなっていることとして高く評価してまいりました。しかしながら今までの東京中心の一極集中を有効に排除する、抑制する施策は具体的には示されておりません。また計画期間内の投資需要総額は、公共、民間資金を含めて1000兆円を想定しながら、公共負担額は何ら示されず、民間資金の積極利用が強調されていますが、その民活利用促進の制度や方策等も何ら示されておりません。したがってこの計画推進の具体的展開方途等についてその不透明さが指摘され、計画達成の実効性について懸念が今財界を中心として提起表明されているような状況でございます。
 2次振計の上位計画ともなるこの4全総計画において、さきに述べました沖縄地方の整備開発の基本方針や、諸施策を推進するに当たっての制約条件が、復帰時の沖縄振興開発計画の中で示されたと同じように「長くわが国の施政権外にあり、地理的、自然的制約条件も大きく、厳しい雇用環境、高い財政依存率、公共、民間、各分野における低い資本蓄積、広大な米軍施設・区域等の存在による厳しい土地利用上の制約など、解決すべき多くの課題を抱えている。」と明記し、沖縄の振興開発の阻害要因が的確に提起されております。この阻害要因の排除解決の方策は、4全総においては何ら示されておりません。この課題の解決なしには計画事業の執行効果も期待できないし、振興開発計画の目標達成も因難なことは、今日までの振計展開同様、大きな隘路となって今後も残されていることと思います。したがってこれらの阻害要因を除去し及び制約条件の改善等の施策が、2次振計後期の課題として強く求められていると私は思います。
 以上、所見を述べまして質問に入ります。
 まず初めに、振計事業として県が現在進めているところの次の3つの事業について今後の取り扱い、進め方、その効果等についてお尋ねいたしたいと思います。
 その1つは、自由貿易地域の創設、管理運営及びその経済効果等についてであります。
 沖縄におけるところの自由貿易地域の創設は、沖縄振興開発特別措置法に明示されておりますように沖縄の振興開発、県民の生活、職業の安定、福祉向上を目的として策定された沖振計に基づく振興開発事業の一つであります。したがって私は、この自由貿易地域管理運営は地域の造成、施設の整備を含めて地域指定、地域内事業の認定の権限を有するところの国あるいは沖振特措法28条に基づくところの特殊法人によってなされるべきであったと、今日なおそう思います。しかしながら事実は、今県の主体によって進められようとしております。なぜ、当初計画に沿うように国あるいは国が認定するところの特殊法人によってこれが管理運営できないのか。そのいきさつ、理由について御説明をお願いしたいと思います。
 2つ目には、地域内に立地する企業の数、その事業の内容、生産出荷額及び雇用効果等の計画が、どのようになされつつあるのかお示し願いたいと思います。
 3つ目に、この事業の経営収支、県経済へのインパクト、将来の拡大計画等の見通しについて御説明を願いたいと思います。
 4つ目に、域内生産物の流通需要先はどこに求めるのか、どのようにしていくのか。また需要拡大、流通の整備等のために新たなあるいは特別な施策は考えられないかどうか、以上の事業主体者としての県及び管理者知事の御説明を求めます。
 なお、この事業発展策として沖縄の地理的、歴史的特性条件に基づいて、10億を超す人口を有し、膨大な需要が期待できるところの中国との経済交流の拠点として位置づけて貿易拡大、経済発展を図るための知事の施策展開はできないものかどうか、この提起について知事の見解を求めたいと思います。
 2つ目に、那覇市における都市モノレール事業計画の取り扱いについての質問でありますが、私が関係職員に説明した質問の内容は、長い期間をかけて金を投じて調査し計画したこの事業の取り扱いが、今の時点において政府の見解、知事の考え方、那覇市の方針等に食い違いが出て、一体この事業はどうなるのかという心配がありますし、市民の中にもそのような懸念がありますので、そのことを、これを推進していくのか、取りやめるのか、新しく機種変更等の計画がえをするのかということを明確にしていただきたいと。
 その場合に、それぞれに起こるところの問題に対して、知事がどのように対処しようとしているのかということを実はお伺いしたかったわけでございますが、今までの質問と御答弁によって大体のことがわかったような感じがしますが、しかしながら我が党代表質問の友寄議員の再質問の中に答えた知事の答弁の中に、なお不明確なものが出てきたと、私はこのように受けとりました。そのことについてのみ、この件について質問をいたします。
 知事は、多額の資金を投じて計画を進めた知事として、取りやめると言える立場にはないと、言えないと。乗客数等を新たに検討し条件を整備して進めるつもりであると、このような意味にとれる答弁がなされました。利用客数等を含めて検討し条件を整備して進める。もしこれらの検討して条件整備ができなかった場合には、この計画は取りやめることもあり得ると、このような知事の考え方なのかお聞きしたいと思います。
 次に、中城湾港の2期事業についてお伺いします。
 昭和55年に策定された中城湾港の開発計画に基づいて進められる159ヘクタールの2期埋立事業に伴う用途計画は、基本計画策定後の経済情勢の変化、我が国産業構造の変革に伴って、当初計画の製造業を中心とする企業配置等は見直しの時期にきていると思います。そこでこの地域の振興事業の見直しは、今どうなっているのか。どのような企業がどのような数量で配置される計画があるのか、事業開始後の経済効果を含めて御説明を願いたいと思います。
 次に、沖縄振興計画の執行の制約条件となっているところの問題についてお伺いいたします。
 その1つは、米軍基地の撤去縮小とその跡地利用の促進であります。
 広大な米軍施設と軍事行動が振興開発の阻害要因となっていることは、さきに述べましたように国、県の共通した認識であり、この解決なくしては沖縄の振興開発も期待できないということも一致した見解になっておろうかと思います。そこで2次振計後期にどのように目標達成のための施策として位置づけて、今後、知事が基地の整理縮小、跡利用を進めていくのかお聞かせいただきたいと思います。
 それから知事も主役の一人として、軍転協がさきにも返還を求めたところの米軍施設の地域は、その後どのように進展しているのか、経過、見通し等を含めて御説明を願いたいと思います。
 次に、自立経済体制の確立、産業の立地振興及び雇用確保について、若干の所見を述べながら質問を行います。
 この問題については、今まで幾たびとなく指摘し提起し論議を重ねてまいりました課題であります。復帰後、今日まで2兆5000億円近くの振興開発投資が行われ、社会資本の造成、生活環境の整備はそれ相当に成果を上げてまいりました。しかし依然として経済の自立化が進んでおりませんし、特に経済安定の指標とも言われるところの失業の解消、対外収支のバランスは改善されるどころか、むしろ厳しくなっていく状況でございます。失業の解消、雇用の確保のない経済の自立化はありませんし、経済の自立化なしに安定した経済開発も評価できません。幾ら社会資本の造成がなされても、これらの自立化と雇用確保がなければその評価は半減します。ましてや振興開発の成果は評価できるものとはなりません。
 知事は、沖縄の異常なほどに高い失業率の解消と米軍基地の整理縮小という沖縄の開発の阻害要件となっているこのことについて、今後、どのように対策を講じようとなされるのか、ひつとお聞かせ願いたいと思います。
 特に昨日発表された米海兵隊の三百余人に及ぶところの不当な解雇につきましては、防衛庁長官はきょうのコメントの中で、今後、他の職種に及ばないように、そして解雇された者が再就職できるように努力したいというコメントを出しております。
 知事もけさの答弁に、パートを含めた再就職を考えたい、このような発言がございました。この考え方は、今、米軍が進めておるところの解雇という措置を認めた上に立っての今後の対策というふうに受けとれかねません。私は、これを食いとめる知事の決意と行動が迫られております。そのことなしには、ただでさえ厳しい沖縄の雇用情勢を改善するわけにはいきません。ひとつ、雇用を含めた安定した雇用を確保するところの計画を含めて今後の失業問題、経済の自立化に向けての産業の振興、このことについて知事の考え方を求めたいと思います。
 時間がないようですので、以上で終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 崎浜盛永議員の御質問に対しましてお答えします。
 4全総と沖縄振興開発との関連において、自由貿易地域の創設、管理運営についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 国の指定する特殊法人がなぜできなかったかということでございますが、お答えいたします。
 自由貿易地域の事業主体につきましては、従来から沖縄振興開発特別措置法第28条に規定する特別の法人を含めて検討してきたところでございます。しかしながら国における現下の財政事情、また行財政改革等の状況下において特別の法人を設立することは極めて困難な情勢にございます。
 自由貿易地域の早期設置は、県民、わけても経済界の長い間の願望でありまして、県としても県経済活性化のための重要な戦略的プロジェクトとしてこれを位置づけ、その創設に当たっては当面、県の産業振興策と整合性をもって展開を図る必要があります。
 今回、県として設置を図りたいと考えている那覇港湾施設が米軍提供施設であることから、当該用地を米軍と共同使用する上で県が事業主体となる必要があること等からいたしまして、今回の那覇の自由貿易地域の設置に当たって県が事業主体となったのであります。
 なお、今後、中城湾港新港地区等他地域への拡大等については、事業主体を含め法の趣旨を踏まえて検討してまいりたいと思います。
 地域内に立地する企業、事業内容、また雇用効果等についてお答えいたします。
 自由貿易地域に立地を希望している企業は10数社ございまして、その事業内容としては、外国から搬入されてぎた貨物を国内の各仕向け地別に改装、仕分け等保税作業を行い、通関の上、それぞれの仕向け地に配送したり、外国から原材料または半製品等を搬入し、これを加工製造して製品を輸出または輸入すること等が見込まれております。具体的な企業立地は公募によることといたしておりますが、現在、立地を希望している企業の事業計画によりますと年間取扱高は200億円程度、従業員数は約250人程度が見込まれております。
 なお、域外への波及効果としては、新規雇用や設備投資等による県経済への波及効果があります。
 次に、経営収支とその拡大等についての将来計画についてお答えいたします。
 経営収支の見込みについては、長中期的に見てバランスをとることとしておりまして、施設使用料収入から土地使用料等諸経費を差し引いた剰余を借入金の元利償還に充当する予定であります。
 将来計画については、現在設置しようとしている自由貿易地域が開設された後、内外の経済動向等を見ながら検討していく所存であります。
 次に、フリーゾーンを発展させるための国、県の特別の施策があるかということでございますが、自由貿易地域に対する国、県の助成策としては、立地企業に対する減価償却の特例、地方税の減免措置及び沖縄振興開発金融公庫による低利の融資制度がございます。県としては、当面、これらの現有制度を有効に活用できるようにしてその活性化を図りたいと思っております。
 次に、現在のプロジェクトの進め方と期待する成果との関連において、都市モノレールは一体できるのかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 御質問の都市モノレ一ルの経営収支につきましては、先日の代表質問においても再三御答弁を申し上げたところでございます。したがって経営収支は、利用客数が基本となって算出されることからいたしまして、現在、その利用客推計についてまだ最終的な詰めがなされておりません。そこで具体的な出資計画について、これを結論づけることのできないのを大変残念に思っております。
 この計画を、計画どおり推進するならば、開業までのスケジュールを示してもらいたいということでございますが、このモノレール建設計画のスケジュールにつきましては、軌道法に基づく特許申請、施工認可を経て工事着工の運びとなるのでありますが、特許申請するに当たり5項目の解決のめどづけをしておく必要があります。そのめどづけをするにも利用客とのかかわり合いが出てきますので、現在、その利用客の再検討を行っているところであります。今後、そうした条件整備及び関係機関との協議を重ねまして早期の着工に向けて最善の努力をしてまいりたいと思います。
 次は、中城湾港新港地区の計画見直しについての御質問がございましたが、お答えいたします。
 中城湾港新港地区の開発につきましては、56年に埋立面積約339ヘクタールの中城湾港港湾計画を策定し国の承認を得ております。
 この港湾計画のうち、第1次埋立計画として埋立面積約180ヘクタールについて、昭和58年12月に公有水面埋立免許を取得いたしておりまして、59年1月から工事に着工し、目下、昭和65年度埋立完了をめどに鋭意工事を進めているところであります。第2次埋立計画約159ヘクタールについては、第1次埋め立ての完了後引き続き事業を進める予定となっております。第2次埋め立ての推進に当たっては、現計画がその策定から既に6年を経過していることからいたしましてその再検討が必要とされております。このため本年度において土地利用計画に関連する企業立地可能性調査等を実施することにいたしております。
 なお、第2次埋め立てにおける企業の立地時期及び雇用効果については、この調査に基づいて把握してまいりたいと思います。
 次に、振計1次、2次の達成の阻害要因及び成果の不十分な課題に対する対策について聞かれましたが、お答えいたします。
 まず、米軍基地の縮小と跡地利用についてでありますが、県は、第14回、15回、16回日米安全保障協議委員会で返還合意を見た施設区域の早期返還を要請するとともに、振興開発の上で必要な施設区域については、施設ごとに関係市町村と調整してその返還に向けて今後とも努力してまいりたいと思います。
 米軍基地の整理縮小とその跡地の有効利用について2次振計及び4全総でうたっているが、県は、具体的にはどのように計画的にその促進を図るかということでございますが、軍転協が要望いたしました地域についてお答えいたします。
 県は、地域振興の上で必要な米軍施設区域及び返還跡地については、関係市町村に対し具体的な利転用計画を作成するよう指導するとともに、土地区画整理事業、土地改良事業等の導入を図るなどしてその跡地の有効利用に努めてまいりたいと思います。
 次に、軍転協が要望いたしました地域についてどのように進めているかということでございますが、現在、防衛施設局において具体的な検討がなされているところであります。
 次に、自立経済体制の確立と産業の立地、振興と雇用確保の施策についてただされましたが、お答えいたします。
 本年4月に施行された地域雇用開発等促進法により、本県は県全域が雇用開発促進地域に指定されたところであります。これに伴いまして県としては、先般、沖縄本島及び宮古、八重山の2地域に係る地域雇用開発計画を策定いたしました。この地域雇用開発計画は、中期的な視点に立って各地域の実情に応じた雇用開発を進めていくための基本的方針を示すものであり、本県の計画では、雇用開発を推進するための会議の設置や事業主への援助助成等を通じて産業、地域振興対策との連携のもとに新たな雇用機会の創出を図ってまいりたいと思います。
 次に、地域雇用開発計画のもとでの本県の慢性的な雇用問題に対処していくためどのような対策を講ずるのかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 雇用開発は、産業、地域の振興と密接な関連を持つものであり、地場産業の育成や観光開発など各種の地域振興対策が進められる中で、できるだけ多数の雇用機会が生み出されるよう関係者が一体となって知恵を出し合っていくことが重要であると思います。このため、沖縄本島地域及び宮古、八重山地域に、労使団体や市町村の代表等から構成される地域雇用開発会議を設置し、地域振興対策との密接な連携によりまして雇用開発のあり方について具体的に検討していくことといたしております。
 また、事業所の新増設等によりまして労働者を新たに雇い入れる事業主に対しては地域雇用開発助成金制度によりまして助成を行い、企業の立地や新規企業への進出等による雇用の拡大を促進することといたしております。
 海兵隊のクラブ関係従業員の解雇の問題について御質問がございましたが、お答えいたします。
 本県の厳しい雇用失業情勢のもとで、303人の在沖米海兵隊のクラブ関係従業員の離職者が出ましたことは極めて遺憾であり、深刻な問題と認識いたしております。県としては、これまでも従業員の雇用の安定確保について在沖米軍に対し要請したところであります。米軍当局及び防衛施設庁に対しまして雇用の安定について強く申し入れていきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後3時47分休憩
   午後3時48分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 企画開発部長。
   〔企画開発部長 金城祐俊君登壇〕
○企画開発部長(金城祐俊君) お答えいたします。
 御提言がございました中国等との経済交流等につきましては、今、設置を進めております自由貿易地域の性格等も踏まえ、またこれからの内外の経済状況等を見ながら自由貿易地域の施策展開の中で検討してまいりたいとこう考えております。
○議長(志村 恵君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
○議長(志村 恵君) この際、お諮りいたします。
 議案研究のため、明7月4日及び5日の2日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、明7月4日及び5日の2日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 以上で本日の日程は、全部終了いたしました。
 次会は、7月6日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時49分散会

 
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