昭和60年(1985年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 7月 6日
第 4号  7月 6日
 

議 事 の 概 要
昭和60年7月6日(土曜日)
午前10時1分開議
日程第1 一般質問
日程第2 乙第1号議案から乙第10号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 古堅 実吉君(共産党)
    2 崎浜 盛永君(社会党)
    3 金城 重正君(自民党)
    4 外間 盛善君(自民党) 
日程第3 陳情5件の付託の件
午前11時58分散会

○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 6月21日から7月5日までに受理いたしました請願、陳情は、請願1件、陳情27件で、そのうち特別委員会に付託すべき陳情5件を除く請願1件、陳情22件は、お手元に配付の請願文書表及び陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
○議長(志村 恵君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第10号議案までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 古堅実吉君。
   〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 最初の質問は、那覇空港の軍民共同使用を廃止して民間専用化を実現し、空港の安全を図る問題についてであります。
 周知のように、沖縄の空の管制の基本は米軍に握られている上に、随所に設けられた米軍の広大な演習空域と空中給油など米軍が必要とするたびに設けられる臨時の専用空域などのために、民間機は極めて危険な厳しい制限飛行を余儀なくされています。
 沖縄の空の表玄関である那覇空港は、この状況に加えて自衛隊機が居座り軍民共同使用となっているため、一層危険な状況下に置かれています。そのために自衛隊機による重大な事故も後を絶たず、去る5月28日の自衛隊機による接触事故や6月4日のエンジントラブルを伴う緊急着陸の異常事態の発生などは、那覇空港の軍民共同使用による危険性を改めて立証するものとなりました。
 今や那覇空港の自衛隊機との共同使用を廃止して危険性を取り除き、民間専用化を実現してその安全性を確立する問題はまさに県政にとっての緊急、重大な課題であります。
 ところで、この軍民共同使用を廃止して民間専用空港にする課題が、その実現の方向になかなか発展させられない大きな要因の1つに、残念ながら西銘知事の姿勢にかかる問題があります。御存じのように本議会が全会一致で自衛隊機との共同使用の危険性について幾たびとなく指摘し続けていることを初め、県民世論も何の疑問もなく同様の見方を示しています。しかしながら県政の最高責任者であられる知事、あなたは、この見方を否定され、本議会でも自衛隊との共用そのことが直接安全性を損なっているとは思いませんと表明しておられるのであります。共同使用は危険だという点での認識の一致が得られるかどうかは、軍民共同使用の廃止と民間専用化実現の課題にとって極めて重大な問題です。
 そこで改めてお伺いしますが、相次ぐ自衛隊機による事故が発生している今日もなお、自衛隊機との共同使用が危険ではないとの知事の御見解であられるのかどうか明確にしていただきたい。
 自衛隊機による相次ぐ事故発生のため、本議会は去る6月11日に臨時議会を開いて、自衛隊機との共同使用をやめて民間専用空港にすることを求めた意見書を全会一致で採択いたしました。県議会での同様の意見書はこれで7回に及んでいます。県議会のこのような一致した努力が払われているにもかかわらず、知事、あなたは、これまで単に民間専用化が望ましいと表明されるだけで、それについての政府への積極的な要請もなく、文書障よる要請は知事就任以来、6年前の昭和54年7月の1回だけであります。
 本県議会においてはこの6年間に5回も意見書を採択して政府への要請を繰り返し行い、議会での質問も数多く展開されてまいりました。年間約600万の人々が出入りする那覇空港の安全確保の問題では、このように本議会が県民意思を反映させて真剣に対処してきていることにも見られるように、もはやいかなる消極的な態度も許されてはならない立場に置かれているのが県政の最高責任者たる県知事の立場です。
 知事、あなたは、政府に対して自衛隊機との共同使用をやめることを明確にした民間専用化実現の要請を直ちに行い、引き続き積極的なあらゆる努力を展開すべきだと考えますが、それをなさるお考えがあられるかどうかについて明確にしていただきたい。
 次に、那覇空港のいわゆる沖合展開論に関して二、三点お伺いしたいと思います。
 知事は、これまでに那覇空港の沖合展開により、滑走路を2本持つことによって軍民分離と国際空港化の実現を進めたいとの考えを明らかにしてこられましたが、現在もそのお考えに変わりはないかどうか明らかにしていただきたい。
 その上で、さらに次の諸点についてお伺いします。
 この沖合展開論は、2本の滑走路のうち、1本は民間専用に、他の1本は自衛隊用として使用させる構想だと考えられますが、そのとおりであるのかどうか。
 知事は、その沖合展開論によって民間専用と自衛隊用とのそれぞれ独立した管制機能を持つ2つの空港が建設されるとのお考えですか。
 それとも、単に2本の滑走路がつくられるだけで、単一空港として管制されるものと考えられておられるのかどうか、それについて明らかにしていただきたい。
 この沖合展開論を促進するために去る5月24日、県内の経済団体を中心に県労協など一部労働組合も加わって、那覇国際空港早期建設促進県民大会なる集会が、那覇空港整備促進協議会会長の国場幸太郎氏を大会長として開催され、知事や県議会にも陳情されていますが、知事はこの陳情をどう受けとめておられるか。
 知事は、この陳情を受けて何らかの行動を起こされるつもりがあられるかどうか。
 また、この沖合展開のために防衛庁予算でも可能であれば、それも進める考えであられるのかどうかについても明らかにしていただきたいと思います。
 次は、我が党の代表質問との関連で、核戦争用通信施設である米空軍衛星通信(アフサットコム)システムの問題について質問いたします。
 我が党の伊波議員が、去る5月22日の衆議院外務委員会において共産党の瀬長議員の質問によって明らかにされた米空軍衛星通信(アフサットコム)システムについてその施設の撤去を求めるべきだと質問したのに対して、知事は、米軍に問い合わせたら、通常の通信施設だと言っているのでその撤去を求めるつもりはないし、また調査をする考えもないといとも簡単に拒否しているのであります。
 知事、あなたは、本議会における質問に対して、本当に責任ある答弁ができるようにこのアフサットコム・システムについてよく調査された上でのあのような御答弁をなさったのですか。あなたは、米軍のだれから、いつ、どんな方法で、どのような説明を受けておられるのですか。その説明の内容についてもっと詳しく明らかにしてください。
 1982年度アメリカ国防報告書によれば、アフサットコム・システムとは、地上と空中の指揮所を戦略核戦力に連結する世界的規模の通信をもたらすものであると書かれています。また去る5月22日の衆議院外務委員会において瀬長議員の質問に答えて、外務省の栗山北米局長は、アフサットコムが主としてアメリカの核戦力部隊のための通信網、通信システムであることは冒頭御説明いたしたとおりで、まさに御指摘のようにアメリカの国防報告等の資料によれば、そういうことであると私どもは理解しておるわけでございますと説明しているのであります。
 知事、アフサットコムは、通常の通信施設だと米軍は言っているとのあなたの伊波議員への御答弁は、このようなアメリカ国防報告や国会における政府委員の説明をも否定し去る内容となるものでありますが、本議会における論議の権威にかけても納得のいくように詳しく説明を求めるものであります。
 私が通告いたしました石垣、宮古空港等の米軍機使用に反対する問題について、それから豊田商事の詐欺的商法と県民被害問題について、その2つについては既に他の議員の皆さんから御質問がありましたので、割愛をさせていただきたいと思います。

 以上で一応の最初の質間を終わらせていただきます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 古堅議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇空港の御質問に対しましてお答えいたします。
 県は、これまで那覇空港における安全確保については関係機関へ申し入れてきたところでありますが、去る5月に事故が発生したことについてはまことに遺憾であります。
 同空港の安全確保の徹底について関係機関に強く申し入れたところであります。運輸省によれば、那覇空港の年間の離着陸可能機数は約12万機で、59年の離着陸機数は約8万5000機であります。現在のところ過密とは言えないとのことであります。
 なお、那覇空港が危険であるかどうかについては、これは所管の運輸省が終局的には判断すべきことであると考えております。御参考までに申し上げますというと、運輸省航空局技術部運航課長は、59年7月4日の参議院沖縄特別委員会におきまして、那覇空港は事故が特に多いと判断するのは難しいと答えております。
 次に、民間専用化に向けての知事の要請についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 那覇空港における自衛隊との共用は、復帰時の取り決めになっていることからいたしまして、現下においても直ちに民間専用空港とすることは困難な状況であります。しかしながら同空港の民間専用化につきましては県政にとってもこれは重要な課題であり、これまで関係機関に働きかけてきたところでありますが、引き続きその実現方を要請してまいりたいと思います。
 次に、滑走路2本つくることによって軍民分離ができるかということでございますが、お答えいたします。
 那覇空港の沖合展開構想は、昭和48年に県内経済界から提起され、これを促進するため、50年に那覇空港整備促進協議会が設立されております。自来、今日まで同協議会が中心になってその構想実現に向けて関係省庁に対し要請活動を行うほか、昭和53年には那覇空港早期建設要請県民大会が開催されております。
 一方、県は、この構想の可能性を明らかにするため54年度から56年度にかけて経済評価及び建設技術調査を実施いたしております。この調査結果によりますというと、昭和75年度においては那覇空港の航空旅客需要は2000万人と予測されております。さらに本県の経済社会の発展、学術文化の向上を図るためには自立的発展の基礎条件の整備、国際社会への対応、基幹空港としての整備、空港の安全性、定時性の確保及び空港環境の保全等を図る必要があるといたしております。このようなことから那覇空港は、将来、長さ3500メートルの滑走路1本の増設とそれに見合う諸施設を備えた本格的な国際空港として整備する必要があると結論づけられております。
 このように県が調査した那覇空港沖合展開構想においては、将来の航空需要からその必要性を理論づけており、特に軍民分離を前提とはしておりません。
 なお、県は、この構想を促進するためのステップとして、56年に那覇空港本格ターミナル地域を海側に整備するよう国に要望いたしております。しかし国の厳しい財政状況から実現されず今日に至っておるのであります。
 先ほど述べましたとおり、県が調査した那覇空港の沖合展開構想は軍民分離を前提としたものではございません。
 次に、滑走路2本の造成によって単一空港として管制されるものと考えているかという御質問でございますが、お答えいたします。
 県の調査した那覇空港の沖合展開構想においては、現滑走路については当面300メートル延長して3000メートルとし、これに見合う諸施設を備えた国内航空ネットワークを形成した基幹空港として整備することといたしております。また将来増設される3500メ一トルの滑走路については、諸施設を備えた本格的な国際空港として整備することといたしております。
 次に、先日開催された那覇国際空港早期建設促進県民大会の陳情についての御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇国際空港早期建設促進県民大会会長からの要請につきましては、長期的に取り組まなければならない重要な課題の1つであると認識いたしております。このような観点から、県は、さきに述べたとおりこの構想の可能性について所要の調査を実施するとともに、その具現化について要望してまいりたいと思います。しかし国の厳しい財政状況からいたしまして極めて困難な状況に置かれております。そこで将来に至るステップの1つとして、当面は現滑走路の3000メートルヘの延長と島内線、国際線の整備拡充を進めることにいたしております。沖合展開構想につきましては長期的課題として今後とも取り組んでまいりたいと思います。
 なお、防衛予算による可能性についてでありますが、那覇空港は運輸省が所管する第2種空港でございまして、また県が調査した沖合展開構想は本格的国際空港として整備することといたしておりまして、これらのことからいたしまして防衛予算による整備は容易でないと考えております。
 次に、アフサットコム・システムについての御質問がございましたが、どこから、だれから、どういう方法で開いたかということでございますが、5月24日、基地渉外課職員が、嘉手納基地報道部に行きまして担当官に会い説明を求めたところ、アフサットコム・システムは一般通信施設であり、第5ゲート近くの159番ビルに設置しているという答えを得ております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 古堅実吉君。
   〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 知事もけさの新聞などをお読みだと思いますが、昨日、空の安全を守る航空労働者の集いが労働福祉会館で持たれ、那覇空港の自衛隊との軍民共用の危険性の問題について厳しく糾弾する、そういう立場からのものであった、このように報道されております。
 知事、あなたは、自衛隊機による重大事故がこんなにも相次いで発生しているというのに自衛隊機との共同使用を危険だとは思わないんですか。権限にかかわる問題を私は質問をしているのではありません。県政の最高責任者としての知事が、その施策についてどう進めていくかについてのあなたの姿勢が大事です。その見解について、運輸省にゆだねて、ここでそのまともな答弁を避けて通るということは、これは県政の最高責任者たる者のとるべき態度ではございません。
 県議会のたび重なる意見書で示されてきた共同使用は危険だという見解も間違っているとお考えなのですか。自衛隊機の空港を確保するという国策優先の態度のために、あなたは、那覇空港の安全問題は二の次の問題と考えられて、現実の危険きわまりない事態を見ることさえできなくなるほどに知事の目も心も曇ってしまったんではありませんか。しかしこれは単なる知事個人の問題ではありません。私がお尋ねしているのは、県政の最高責任者たる知事、年間600万人の人々が出入りし、その危険の除去と安全の確保が求められている那覇空港の間題にかかわる問題だからです。いま一度知事の真意をお伺いしておきたい。
 次は、沖合展開による軍民分離論の問題についてでありますが、現在主張されている那覇空港の沖合展開論には、軍民分離による民間専用化が実現できるかのような重大なまやかしがあります。仮に沖合展開によって滑走路を2本つくってみても、滑走路間の距離がせいぜい1キロないし2キロしかないそういう状況のもとでは、独立した飛行場として2つに分離することは不可能だと言われています。専門家の話では、少なくとも20キロメートル内外の距離がないと別々の航空管制機能を備えた飛行場は無理だというんであります。
 この沖合展開論は、それによって実際上は軍民分離は不可能であるが、あたかも軍民分離が可能であり、その推進によって民問専用化が実現できるかのように思い込ませることによって、自衛隊機との共同使用の状況を恒久化しようとするものにほかなりません。那覇空港の民間専用化を実現する道は、その沖合展開によってではなく、自衛隊機の撤去により共同使用を廃止する以外にはありません。知事は、これまでの議会においてこの分離論、それを言われたこともございますけれども、それらに照らし、今申し上げたような立場からそれらのことが明確にならない限り、政府を動かす力というものは生まれてこないのではないか。民間専用化の問題が緊急、重大な県政の課題であるだけに、それにかかわってもう一度知事の御見解を求めるものであります。

 次は、アフサットコム・システムの問題について再質問いたします。
 知事、あなたが、あたかも特別に重視すべき施設というものではないかのごとく装われたアフサットコム・システムは、資料によれば、1979年5月に米空軍が初めて運用を開始し、1983年末までに世界的規模で通信体系を完成させた最新型の宇宙通信システムであります。それは米空軍を構成する各種コマンドが一般に利用する衛星通信システムではなく、その際立つ特徴は、米空軍戦略核戦力と米大統領を最高司令官とする米国家指揮当局(NCA)等を直結させる文字どおり核戦争指令通信システムとして特別に任務づけられていることにあります。このアフサットコム・ターミナルが設置されているのは在日米軍基地では嘉手納基地だけです。それは嘉手納基地が米戦略核部隊と戦略偵察部隊の西太平洋展開の重大なかなめになっており、グアムの第3航空師団隷下の空中給油機部隊SR71、RC135などのSAC戦略スパイ偵察機がその指揮所とともに常駐し、さらにはグアム配備のB-52戦略爆撃機の有事前進基地となっているためだと見られています。
 アフサットコム・システムの存在は、沖縄米軍基地の核戦略構造に占める重要な役割とともに、県民にとっていかに危険きわまりないものであるかを改めて浮き掘りにするものとなっているのであります。かかる事態に照らし、万一の場合、県民をこの基地と運命をともにするということであってはならない核兵器にかかわる、この通信基地にかかわる問題であるだけに、いま一度知事の明確な御答弁を求めるものであります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
    〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 軍民共用による安全性の侵害については、先ほども申し上げたとおりでございまして、専用化については県政の重要な課題として将来に向けて取り組んでいかなければならないと考えております。また安全性の確保の問題についても、これはもうその都度関係者に申し入れているところであります。
 次に、アフサットコムの問題でございますが、米軍当局の見解によりますと、アフサットコム・システムやコマンドステーション等は、航空機との連絡を行うための通常の通信施設であるということになっておりまして、県としてもそれをそのまま受け入れているところであります。
○古堅実吉君 議長、休憩。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前10時32分休憩
   午前10時33分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 問題は、航空機の機数がだんだんふえてまいりまして、最大許容量が12万機と言われているわけであります。そういうことで現在約その8万機前後だと思いますが、そういうことでまだまだ滑走路をつくる必要はないというのが政府の見解でございますが、将来のそういう航空需要に備えて沖合展開をやろうという計画で調査もしてもらったわけであります。
 そういうことで軍民共用を廃止するという建前でこの海上の埋め立て、滑走路の造成を計画しているものではございません。
○議長(志村 恵君) 崎浜盛永君。
   〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 私は、今、県政が抱えている数多くの課題の中で、早急に対策を立て、その解決の方途、見通し等を県民に明らかにすべき時期に来ているという幾つかの事項についてお尋ねをして、知事のお答えを求めていきたいと思います。
 その1つは、特殊法人沖縄電力会社の民営移管についてでございます。
 先日、電力会社の座喜味社長は、59年度決算で当期利益金を46億300万円と公表し、次期60年度期も好調で、61年度期までには累積赤字を解消し、民営移管の条件は備わるとこのように発言しております。知事もまた、政府方針だからとして去る4月、同社の民営移管を申請しております。
 さて、長年赤字を続けてきた電力会社が積年の赤字をも解消するほどに好転した経営環境は、石油価格の安値安定と今までの投資効果に加えて種々の特別措置による特殊法人としての運営が要因だと私は思います。電力会社の民営移管がたとえ政府方針であったにしても、現行制度の有利性を損ない、県民負担を重加させようとするならば、県民はそれを承服するものではありませんし、またそれを推進する知事の責任も追及されねばならないとこのように思います。そういう立場で以下お尋ねいたします。
 知事が民営移管を申請するに当たって、電力会社が抱えておるところの不採算性への対応は具体的にどうするのか。離島僻地を含めた全地域への安定供給の施策はどうなるのか。
 民営移管するに当たっての資金調達あるいはその条件等、今日まで我々が特殊法人として運営して持っておるところの有利な条件、これを民営移管にしてもどのように確保し、それを制度的に保障しようとするのか、知事の具体的な対策を示してそれに対する国の対応も明らかにしていただきたいと思います。
 また、民営移管すれば当然公課負担、配当等、低料金を確保するに重荷となるところの経常経費の増加が予想されます。これらについてどのようにお考えになっておるのか御説明を求めます。
 電気・エネルギー対策協議会は、民営移管について、有利な条件の維持確保に加えて、他の電力会社及び地元自治体の協力が必要だと提起しておりますが、海を越えてある他の9電力会社の沖縄電力会社への協力というものはどういうもので、どういう形でなされるのか。地元自治体の協力が必要というその必要の内容はどういうことなのか、自治体負担が必要だということなのか御説明を求めます。
 移管の時期、資本構成等についても、知事は既に政府へその申請をしている以上、知事の構想があろうかと思います。御説明を求めます。
 次に、その他市町村道のつぶれ地補償についてお尋ねいたします。
 113万2470平米、現在価格では400億円にも達すると言われるその他市町村道路のつぶれ地補償は、知事がなされた54年度措置の際、歩きながら考えていくということで取り残され、今日何の対策、方途も示されないままに推移しております。この問題の処理は、これが明確にならないというと今後の市町村行財政の混乱は目に見えてはっきりしております。したがってこれの早期解決が今市町村自治体を含めて重要な課題となっておると思います。この問題について開発庁は、戦後処理事業との認識を示しながらも、解決は今後知事と協議して決めたいとこのように発言しております。
 自治省は、54年度の格上げ措置をした際に、なぜこれが取り残されたのか、なぜこの措置がはっきりしないのか、その経過がはっきりしない。したがってその背景の解明が先決であり、必要だとこのように自治省は言うております。建設省は、道路特会での買い上げに難色を示して、自治省と開発庁との協議の結果を見てこれを対策したい、このように言っております。
 このように、政府総体として極めて消極的な発言をし、今後の経過等含めた検討の上でしか措置できないと、このようなのが私の知り得た政府の見解だと受けとめております。しかしながらこの問題は、まさに開発庁が言うように沖縄における戦後処理の問題であり、この解決なくしては市町村行財政はまさに混乱をし麻痺する状況になります。しかも片一方、格上げされたものは着々と措置されて、同じ形でつぶされた土地が何の解決も示されないままに推移するということは、地主にとっても耐えがたいことだと思います。早急な対策が迫られている今日、知事はどのように具体的な対策要求を政府になし、政府への詰めを行おうとしているのか、解決の時期、見通し等を含めて御説明をお願いしたいと思います。
 3つ目に、バス交通問題についてお伺いします。
 国鉄等公共的な大量輸送手段のない沖縄は、今日まで民間バス企業で県民の足を確保してまいりました。しかし経済の進展に伴い、人及び物の流れが激増し、それとともにモータリゼーションの激化、交通手段の多様化でバス交通の経営環境は年々悪化し、労働者の生活も厳しさを増し、県民の足を奪うストが繰り返され、社会経済への大きな打撃となり、今や重大な政治課題となってまいりました。バス交通労働者は、この混乱した状況を打開してみずからの生活をも守るとともに、県民の足を確保するという社会的責任も果たそうとバス交通の公的一元化を要求し続けて今日に至っております。知事もバス交通の公共性、その社会経済への影響等を重視なされて、当面の解決策として2社合併による企業の集約化を提言し、この知事提言を受けてことし11月末の合併実現に向けて対策協議会で対策協議が進められておるとこのように聞いております。県民は今、知事提言と協議会の進行を知事の行政行為と受けとめて評価しながら、今後の知事の実効ある行政措置に期待し、注視しております。

 さて、知事提言に基づき集約化、2社合併への期待は、県民の立場からすれば県全域におけるところの県民の足の確保、すなわち公共性の確保であります。労働者の立場からすれば雇用の安定、労働条件の改善でありましょう。経営者の側からすれば赤字解消、資金調達、競合路線の調整等、経営環境の改善整備であります。
 以上の期待、要求にこたえる具体的な対策が今国及び県に求められている重要な政策課題だとこのように私は思います。
 ところで、経営者側が合併に伴う経営形態として提起していることは、路線の廃止を含む444回の運行の削減、124台に及ぶバス台数の縮減、426名の労働者の解雇と聞いております。経営者側の路線廃止、間引き運行はそれぞれの関係する地域の県民の足を奪い、公共性、社会性を著しく損なうことになります。また、このことは労働者の解雇にも必然とつながっていきます。
 そこで次の事項について知事の対策を求めて、知事のお答えをお願いしたいと思います。
 県民の足を確保し、公共性を維持するために路線及び運行回数を確保する措置、これを知事は対策すべきだと思います。2つ目には、解雇を可能な限り縮減していく、その措置を講ずるとともに、仮にも解雇者が出るとするならば具体的に雇用対策を行政の立場から示すべきだと思います。3つ目に、経営健全化のための資金の確保とバス交通の環境の整備であります。これなくしては知事が期待するところの合併による交通環境の整備、公共性の確保は難しいかと思います。
 以上のことについて知事のお考え、対策をお示し願いたいと思います。
 さて、去る6月27日、対策協議会小委員会は、現行補助制度の利用拡大を提起し、国、県、金融機関の一層の協力の必要性を報告しておりますが、どのような強化策が考えられるのか、これもお示しいただきたいと思います。
 この項の最後の質問になると思いますが、バス交通の環境整備は、各部局にわたって対策をする必要があります。またその公共性、社会性から合併促進に向けて合併後の健全経営の助成、協力等知事の行政措置、指導介入が必要だと思います。まさに社会全般に責任を負う沖縄の行政最高責任者としての知事の行政のあり方が問われるかと思います。行政者としての責任において提言をなし、そのことが今進められている際、その後の対策を含めて知事の決意と見解を改めてここで示していただきたいと思います。
 時間がありませんので、提起した質問を割愛させていただきますが、行革に対する知事部局の認識について私は疑念を持っております。
 去る補助金一括削減法によって10分の10補助の沖縄の振興事業が5%削減されることになりました。このことは他府県の補助事業が10%削減されたこととは根本的に、制度的に質の違うものであります。沖縄の振興開発事業は、特別措置によって自治体が負担することのない事業として指定されております。言いかえれば、国の負担すべき事務事業であります。そのことが自治体の負担する事業に切りかわったという措置が一括法案で処理されたわけであります。今までの答弁によりますというと、他府県は10%削減されたが、沖縄は5%しか削減されなかったからいい方だというふうに受けとれる発言が繰り返されてまいりました。しかし制度的に見るならば、自治体が負担すべきでない事務事業と特別措置されたものが、自治体の負担すべき事業に変わってきたという他府県の補助事業とは変わった措置、制度を根本的に変える措置が今回の措置でなされたと。これに対する知事の認識等についてお答えをいただきまして、質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 崎浜議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄電力会社の民営移管についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄電力の民営移行に当たっては、県民の生活や産業振興に対し不利にならないよう、電気料金の本土並み水準の確保が極めて重要な課題であると認識いたしております。また沖縄電力は、供給区域に多くの離島を抱える等構造的な不利性を抱えておりまして、民営移行後におきましても特別措置が必要であると考えております。このため国に対しましては、現行特別措置の延長を初め、石川石炭火力卸料金に対する配慮、離島対策その他について適切な措置を講ずるよう要請いたしているところであります。具体的な特別措置につきましては、いろいろ御指摘がございましたけれども、現在国、県、会社の3者で鋭意協議を行っておるところでございます。
 次、道路つぶれ地の補償の問題についてお答えいたします。
 市町村道のつぶれ地補償は、幹線市町村道について54年度より、その買収に対する補助制度が開始されております。59年度末までに幹線市町村道の全体計画253万平方メートル、金額にいたしまして633億円に対して、面積にいたしまして約60%、152万7447平方メートル、金額にいたしまして約49%、309億4704万2000円の実績を上げております。さらに昭和60年度は125億円の幹線市町村道に対するつぶれ地補償を行うことになっており、62年をめどに概成させるべく予算獲得に努めておるところであります。
 ところで、御指摘の幹線以外の「その他道路」の補償につきましては、県としても戦後処理問題の1つとして機会あるごとに国に要請をいたしているところでございますが、現行制度の上で補助は困難であるとのことでいまだその実現を見ておりません。しかしながら市町村にとりましては、これを独自に負担することは財政上大きな問題がございまするし、引き続きこの問題解決のために一段と努力してまいりたいと思います。
 それからバス問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 琉球バスと那覇交通の労使双方は、昨年12月18日に、今年の7月30日までに合併計画について合意をいたしておりまして、11月30日を期して新会社を発足させることといたしておりまして、それについての協定が結ばれております。琉球バスと那覇交通で組織する合併委員会は、3月16日に業務部会案、4月30日に総務部会案を労働組合に提示いたしておりまして、その具体的内容について現在労使双方で鋭意協議を重ねておるところてあります。県はその動向を注意深く見守っているところでございますが、協定で結ばれている11月末には合併できるものと期待をいたしております。
 また、沖縄県バス問題対策協議会は、去る6月27日に次のとおり提案いたしております。
 すなわち、「集約化の実現に伴う問題の解決に当たっては、企業の責任において行うべきであるが、バス交通の持つ重要な役割にかんがみ、国、県及び関係金融機関は必要な協力を行うこと。」、このことについてはまだ具体的な合併計画がまとまっておりませんので、現段階におきましてどのような協力ができるか、具体的に明示できる情勢ではございません。ただし、県といたしましては、労使が厳しい経営状況を深く認識し、経営の健全化について最大限の努力をすることを前提に合併が円滑に促進されるよう、なし得ることにつきましては全面的に協力するとともに、国及び関係機関に対しましても積極的に協力を求める所存であります。
 バス交通の環境整備につきましては、国、県及び市町村において国道、県道及び市町村道を初め、街路、交通安全施設等の整備を積極的に推進しているところてあります。さらにバスターミナルの整備、バス専用レーン及びバス専用道路の設置、バス停留所の改善、表示板の設置を図るとともに、不法駐車を取り締まるなど環境整備を強力に進めておるところであります。
 私企業であるバス企業の経営に行政が介入することは、企業の自主性及び経営の効率性を損なうおそれがありますので好ましくないと考えておりますが、その経営は、あくまでも企業の責任において創意工夫と自助努力によって行うことが望ましいと考えております。
 次に、集約化についての知事の具体的対策でございますが、お答えいたします。
 琉球バスと那覇交通は、昨年8月、合併委員会を組織いたしまして合併作業に取り組み、その結果を今年3月16日、業務部会案、4月30日、総務部会案を労働組合に提示いたしておりますことは先ほど申し上げたとおりであります。現在、これについて労使双方で鋭意協議を重ねておるところてあります。合併問題は、労使が協調して自主的に解決すべき問題ではありますが、県民の足を確保することと産業経済活動の安定を図る上から重要な課題でありますので、県は現在、労使双方の協議の動向を注意深く見守っておるところであります。したがいまして、まだ具体的な合併計画がまとまっておりませんので、現段階においてどのような具体策を講ずることができるか明示できない段階でございます。ただし、県としては、労使がバス企業の置かれている状況を深く認識いたしまして、新会社の経営改善に最大の努力を払うことを前提に必要な協力を行う所存であります。

 次、解雇問題について、解雇をできるだけ少なくしろという提言を含めた御質問がございましたが、お答えいたします。
 琉球バス、那覇交通の合併に伴う従業員の解雇の問題につきましては目下労使双方で話し合いがなされておりまして、県といたしましても労使双方の協議を見守っているところであります。なお、会社の合併によって解雇される従業員につきましては、会社の自主努力による再就職措置について会社を指導いたしますとともに、なおそれでも離職者が生じた場合には、県といたしましても職業紹介や再就職のための職業能力開発訓練など具体的な再就職援助措置をもって対応してまいりたいと思います。
 次に、行革についての御質問に対しましてお答えいたします。
 現下の国、地方をめぐる厳しい行財政状況の中にあっても、格差是正と自立的発展の基礎条件の整備を図るため引き続き振興開発を積極的に推進する必要があります。今後予想される人口の高齢化、高度情報社会への移行等新しい社会経済情勢に的確に対処し、活力ある地域社会を形成するには、既存の組織制度、施策等を見直し、簡素にして効率的な行政を実現し、県民福祉の向上を図る必要があると考えております。このような観点に立って今後とも行政改革を推進してまいりたいと考えております。
 沖縄振興開発特別措置法に基づく沖縄振興開発計画は、国の責務において沖縄の振興開発を推進することが明記されておることは御指摘のとおりであります。
 今回の補助率カットは、沖縄振興法の改正によらない暫定的なものでありまして、「国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律」に基づいて、全国的には2分の1を超える高率の補助事業について一律に10%の引き下げがなされたものであります。しかしながら沖縄県は、沖縄振興開発事業について、国庫補助負担率の中で、10分の10の事業のみについて10分の9.5の補助率とされておりますことは御案内のとおりであります。このことは国の厳しい財政状況の中で、本県の特殊事情に配慮した措置であると理解いたしております。
 なお、国庫補助負担率の引き下げ及び補助金の廃止等に伴う地方負担の増加分につきましては、60年度の地方財政対策で地方交付税等により万全の措置が講ぜられておりまして、財政運営に支障のないように配慮されております。
 以上であります。
○崎浜盛永君 休憩お願いします。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時4分休憩
   午前11時5分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 平良正夫君登壇〕
○総務部長(平良正夫君) 知事の先ほどの答弁の補足をさせていただきますと、補助率カットは沖振法の改正によらない暫定的なものでございます。これは御案内のとおりでございますか、全国的には2分の1を超える高率の補助事業について一律10%の引き下げがなされておるわけであります。これは現在、沖縄県の10分の10の事業につきましては、先般の2月定例会でも議論いたしましたように10分の9.5の補助率とされておりまして、これらは沖縄振興特別措置法の改正なくして暫定的なものでございますので、したがって60年度の地方財政対策ということですべてその補てんされますので、財政運営の中には支障はないという理解をしているわけであります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時7分休憩
   午前11時8分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 平良正夫君登壇〕
○総務部長(平良正夫君) お答えいたします。
 沖振法別表にございますその補助事業がございますけれども、その補助事業について事業の区分がございますので、その事業の区分の中で10分の10のものに限っては5%は削減しましょうと。すなわち国の補助事業と申しますか、国の補助事業の削減ではなくて、沖振法の別表1に基づくその事業の10分の10の事業に限ってのその5%の沖縄県の部分についてはカットしましょうということでございますので、これは沖縄の財政負担、直接的な財政負担ということには関係ないということを理解しております。
○議長(志村 恵君) 崎浜盛永君。
   〔崎浜盛永君登壇〕
○崎浜盛永君 再質問いたします。
 私が問題にしていますのは、まさに10分の10の事業だけですよ。沖縄が負担するというふうに規定された分については言うておりません。10分の10国が負担するものは沖縄が負担すべきでない事業として決定されているということですよ。沖縄、自治体が負担すべきでない事業と法律はできているのに、負担することになったと。これは多い少ないの問題じゃないんですよ、制度にかかわってぎているわけです。このことについては、私は、制度の解釈上、運用上も重大な問題を持っていると認識しているから言うんです。それに対して、ほかもやられているからいいじゃないかというだけの認識で問題が処理されたのかどうか、この辺を明らかにしてくださいというんです。
○議長(志村 恵君) 総務部長。
   〔総務部長 平良正夫君登壇〕
○総務部長(平良正夫君) お答えいたします。
 この事業の区分は、崎浜先生御案内のように、その対象事業等々、農業試験研究施設あるいは土地改良、林業施設、漁港等々が10分の10以内、国庫の負担または補助の割合の範囲ということで別表に定められておるわけであります。したがってその補助事業は10分の10以内でその国庫の負担、補助の割合の範囲が決められているわけでございますので、その補助事業の負担の割合でございますし、その事業そのものが補助事業になっておりますので、その負担は、特別措置法の改正がされない限り10分の10以内の国庫の負担または補助の割合の範囲内になろうかと思います。
○議長(志村 恵君) 金城重正君。
   〔金城重正君登壇〕
○金城重正君 さきに通告しました事項について所見を交えながら一般質問をいたします。
 質問事項の要旨2、観光振興については、我が党の嘉数知賢議員の代表質問がありました内容とほぼ同一でありますので取り消しをいたします。
 質問に入る前に、西銘知事はこのたび、北米移住95周年祝賀を終えられ、ワシントンに乗り込み、ワインバーガー国防長官を筆頭に、その筋の方々にお会いをし、基地あるがゆえに悩んでおる沖縄県民の心を率直に、精力的に、また具体的な要請事項を挙げて訴えてまいりましたことは、西銘知事でなければできないまさに沖縄県政史上、立派な1ペ一ジを飾った快挙でありまして、県民は心からそのことを高く評価しているのであります。後は、日米両国政府で協議され、早い時期に解決することを心から期待するものであります。日米安保条約があり、それに基づく地位協定で米軍基地がありますために、その解決は一朝一夕に変更できないにしても、県民に被害が及ばないよう生活環境が守られなければならないことは当然であり、動かしがたいものでもちゅうちょせず積極的に打開していくことが政治の責任であり、今回の知事の要請行動は内外の注目の的でありました。心から称賛したいと思います。知事が要請してきましたことが一日も早く実り多いものになり、県民が不安のない生活環境に恵まれますよう今後とも不断の努力を傾注していただきますことを心から期待いたします。西銘知事のこのたびの訪米は、本当に御苦労さまでございました。
 質問に入ります。          
 まず、那覇空港のことについてでありますが、先般、宮城議員、古堅議員からも質問がありましたが、本員は角度を変えて質問をいたしたいと思います。
 御案内のように、同空港は、昭和47年、復帰と同時に運輸省管理の2種空港としてスタートしましたが、自衛隊駐留にかんがみ、今日まで自衛隊機と民航共用の空港として利用されてきました。それは国土防衛という崇高な使命からして当然といえば当然でありますが、そのために幾つかの問題が惹起いたしておりますことは御承知のとおりであります。例えば自衛隊機の炎上事故によるもの、騒音、民航との接触事故等々であります。これは民生安定上決して好ましいことではありません。何らかの方法で解決すべき問題だと思慮いたす次第であります。

 本員は、その解決方法は、何と申し上げても軍民共用の滑走路の分離しかないと考える次第であります。政府の責任ある方々も国の財政上、運輸省では当分の間無理だが、あるべき姿としては分離した方がよいとの見解を表明しております。また、軍民共用の問題について山下運輸大臣は、理想としてはもう1本の滑走路をつくることが望ましいけれども財政的にも困難であると、6月6日の衆議院特別委員会で答弁をしておられます。運輸省に期待することがなかなか困難のような感じがいたす次第であります。
 現在、国内で運輸省の所管で自衛隊が使用している空港は、那覇空港を初め新潟、名古屋、福岡、長崎、山形、熊本の7空港で、防衛庁所管が千歳、札幌、小松、島根、徳島の5空港であります。軍民共用で発着数の多いのは、名古屋の8万9168回をトップに、次いて那覇空港の8万4914回で、これは59年度の実績であります。そのうち自衛隊機が2万5561回になっております。約30%であります。
 航空局の説明によりますと、現況の那覇空港は、民航、自衛隊機合わせて離発着の許容範囲を超えておるかとなると必ずしもそうではないとのことであります。2種空港1本の滑走路で、先ほども西銘知事からの御説明がありましたが、11万から12万回だと言われておりまして、那覇空港の場合は許容範囲の70%の利用であり、まだまだ余裕があると言われております。
 また現在、那覇空港は第4次空港整備計画で整備されつつあります。これは現行の2700メートルの滑走路を3000メートルにするもの、また62年海邦国体までにエプロン、国際線のビルの新設、現国際線ビルは改造し島内専用ビルに転用することであり、同空港は整備されつつあるとは申し上げても、依然として自衛隊機と民航との共同使用に変更はないとのことてあります。それでは困るわけであります。御案内のように県議会は、数回にわたり民間専用化の決議をしております。
 そこで本員は、前段でも申し上げましたが、ぜひ近い将来、軍民共用の分離をすべきだと、民間専用の空港実現ができないのは財政上の問題だけではなく、自衛隊機が厳然として駐留し国防に専念しておりまして、その取り扱いをどうすることかが問題だと思うのであります。率直に申し上げますと、現那覇空港の民間専用化のためには沖合展開による空港滑走路を本員は防衛庁の責任において建設し、自衛隊機を移駐させたらいかがだろうかと考える次第であります。北海道の千歳、名古屋空港も2本の滑走路があり、別々に利用されているのではありませんか。沖縄県においてこれができないということは納得できないのであります。
 昨年7月7日、時の防衛庁長官が沖縄県に駐留する自衛隊の視察に来島されたときに、南西諸島の防空、海上防衛上、那覇空港のほかに適当な所は考えられないと発言されております。それほど那覇空港が自衛隊基地として重要性がある所であるならば、防衛庁の責任においてもう1本の滑走路を沖合に建設することは、国策上、国の防衛のためにも当然であると考える次第であります。国の財政事情が厳しいということでありますが、安上がりの方法では国の防衛はできないのは至極当然の理であります。
 また本員は、次のことからしても空港の分離はぜひ必要だと考え、中長期の展望に立って県は今からアクションを起こさない限り時期を失してしまうのではないかと考えるのであります。
 まず、その1つは、那覇空港が軍民共用のために自衛隊機の事故があるたびごとに県政の手かせ足かせになっております。これでは県政の安定はないのであります。
 2番目に、自衛隊機104の離発着時、特にエンジン調整のときはテレビ、電話の使用ができない状況であります。子供が飛び起きることもあります。私はその近くに住んでおる関係、みずからその体験を何回かしておるわけであります。市民生活の上からも決して好ましいことではないのであります。3番目に、自衛隊の任務は、自衛隊法第3条にありますとおり我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とするとあります。そこで一たん緩急のときには、いつでもそれに備えた防衛体制に自衛隊機があるのがその存在価値でなければなりません。しかし現那覇空港は、運輸省所管で1本の滑走路であります。専守防衛とはいえ、有事や訓練のときに本当にその真価が発揮できるか疑問であります。国防という崇高な使命達成をするためにも別々の滑走路が必要ではないでしょうか。
 以上の3つの視点から、県は国に対して滑走路の沖合展開をすべきだという要請を行う時期ではないかと本員は考える次第であります。
 しかし、県内の経済界を中心に国際空港の沖合展開という御意見もありますし、県民大会も開催されました。これもあわせていずれの方法がよいのか県民のコンセンサスを求め、検討の必要があると私は考える次第であります。しかし本員が思うに、自衛隊の沖合展開こそ、県民が不安に思っておる共同使用を早い時期に解消することのできる現実的かつ実効性のある方法だと考えますが、いかがでしょうか。
 国内を取り巻く行財政の厳しい事情の中でも、国を動かし、政府を動かし、事の実現をなし、県民の期待に花を添えることのできるのは西銘知事以外にないと考える次第であります。それゆえに県民の知事に期待するものは大であります。これに対しまして知事または関係部長の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 金城議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇空港の沖合展開構想についての経緯、背景、基本的な考え方及びその取り組みについては、先ほど古堅議員に対し述べたとおりであります。
 特にその具現化について、今日の国の厳しい財政環境から極めて困難な状況にございます。このようなことからの1つの方策としての御提言と存じます。
 ただし、このことにつきましても厳しい財政環境に加えまして広範かつ複雑多岐な問題を包含いたしておりますので、その実効性は容易なことではないと思います。しかしこの場合でも、国の厳しい財政状況からその実現性は極めて困難であると思われます。いずれにいたしましても県といたしましては、沖合に自衛隊専用の滑走路を建設することについては白紙の状態であります。しかしせっかくの御提言でもあり、このことについては極めて広範かつ複雑な問題を包含いたしておりますので、十分時間をかけて慎重に検討してまいりたいと思います。
○議長(志村 恵君) 外間盛善君。
   〔外間盛善君登壇〕
○外間盛善君 一般質問でしんがりを務めるのは初めてでありますが、皆様方には3日間にわたる慎重なる御審議、まことに御苦労さんでございました。あとしばらくの間、御辛抱賜りたいと思います。
 3問通告してありましたが、2番目の地方改善施設整備事業の予算の獲得と活用についてと、それから3番目の貿易自由化と本県農業の抱える諸問題については都合により取り下げまして、1番目の那覇飛行場に関する諸問題に絞り所見を申し述べながら質問を展開してみたいと思います。
 那覇空港には、この利用に関する方法として協定書の締結の必要性があり、一方ではまた軍民共用であるがゆえに防衛庁と運輸省との間における協定によってお互いの責任を明確にするという責任分担の問題、それにはまた地元県知事並びに関係地域の市町村長も一緒になって協定を結び円滑な運用を図っていくべきでありますけれども、それがなされてないと、そういうことからしてまず第1番目に空港問題について提言をしながら質問を行います。
 まず最初に、那覇空港は軍民共用を強いられ、基地と併存しているにもかかわらず、所管が運輸省だということで制度的に防衛施設周辺整備資金の適用が受けられず、専ら運輸省の騒音対策事業だけが適用されているのみでありますが、これも騒音量やコンターの範囲、補助基準等が防衛予算とは雲泥の差があり非常に手薄であります。
 その経緯についてちょっとさかのぼってみますと、那覇空港は昭和8年、旧日本軍によって設置されたのでありますが、昭和20年6月、米軍の沖縄占領とともにその管理下に置かれ、大々的に拡張整備され、ほぼ今日的な姿になってきたのでありますが、昭和47年の復帰に際し、沖縄の直接防衛責任の日本国による引き受けに関する協定、要するに久保・カーチス協定によって那覇空港を含む周辺基地が日本国に移管されることになり、翌年、時の運輸省航空局長、防衛庁防衛局長との間に空港の共同使用に関する協定並びにその運用等に関する暫定了解事項等の取り決めがなされ、那覇空港の歴史的な運命が決定づけられてしまいました。

 そこで本県並びに周辺市町村が特に重視しなければならないことは、他府県における類似空港並びに防衛庁所管の空港等にあっては、飛行場の円滑な運用を図るという見地から、防衛庁、運輸省との間に地元県知事並びに関係市町村長も加わって、空港の使用方法並びに防衛庁と運輸省との間に周辺整備に関する責任分担も明確にされた協定書や覚書が締結されており、運輸省予算でできないものについては基地周辺整備法を適用し、騒音対策事業等の拡大並びに民生安定事業が幅広く、しかも手厚く施されております。
 ところが、那覇飛行場に関する限り、それらしきものといえば、昭和47年11月7日、防衛庁と運輸省の間に締結された那覇飛行場の共同使用に関する協定と、同年11月13日に協議された那覇飛行場の運用等に関する暫定了解事項の文書があるのみでありますが、これらの文書の内容を見ましても、防衛庁と運輸省相互間の協力関係のあり方、施設の使用区分の方法等空港の共同使用に関しおのおのの立場を守るためのものであって、本員がこれまで主張してきた本土他府県の類似空港にあるような協定書や覚書にはなっておりません。
 これは当時、本県では知事を初め空港を取り巻く関係市町村が革新自治体であったために、防衛施設周辺整備資金の受け入れは、安保や自衛隊を認め基地容認につながるということから拒否反応が強かったこと等もあって、地元県知事並びに関係市町村長は加えられなかったのではないかと推察をいたしておりますが、このままの状態でいつまでも放置しておくわけにはまいりません。特に那覇飛行場は、軍民共用空港といえども防衛庁が所管する本土の千歳、札幌、小松、島根、徳島の各専用空港以上に基地としての機能ははるかに高く、現在のように所管が運輸省だからといって防衛庁は我関せずの立場だけでは県民感情として許すわけにはまいらないわけでございます。
 現在の那覇飛行場は、防衛庁が機種の変更あるいは幾ら機数をふやし騒音をまき散らしても、所管が運輸省だから周辺整備事業に関しては防衛庁ではどうにもなりませんよと簡単に言ってのけ自由使用の立場をとりながら、整備事業については運輸省にげたを預けておりますが、本土他府県の類似空港にあっては、前述してまいりましたとおり関係市町村長を交えて協定書や覚書を更新し、新たに条件整備を加えているのが現状であります。
 運輸省が所管する空港周辺の整備事業といえば、騒音対策事業だけで那覇空港を例にとりますと、その適用範囲もおよそ4キロ四方に限られております。類似空港である防衛庁所管の本土の例えば石川県の小松空港と比較してみました場合に、那覇空港が自衛隊機56機常駐しておるのに対し、小松空港は26機しか常駐しておりません。その騒音対策事業の対象区域は18キロまで及んでおり、運輸省と防衛庁ではこの事業だけを見ましても大きな開きがあり、さらに防衛庁では、道路、橋梁を初め数多くの公共施設にこれを適用し、補助率の高い良質の予算として関係市町村から歓迎されております。
 さらにまた、豊見城村では、本土におけるこのような事例を示しながら防衛施設局に要請をいたしましたところ、那覇飛行場は運輸省所管だからどうにもできませんが、仮定に立ってみましても、防衛庁所管の空港であったといたしましても、空港の存在しない豊見城村までは周辺整備法は適用できないなど、わけのわからないことを繰り返されております。
 また、この件についても小松空港の例をとると、空港も基地もないのに8カ市町村が小松空港の因果関係から協定書の調印にも参加し、周辺整備事業の恩典どころか、防衛施設周辺整備法第9条の適用を受け、基地はないのに特定防衛施設関係市町村の指定を受け、基地調整交付金をいただきながら制度にのっかって環境整備事業をどんどん進めております。
 小松空港はほんの一例でございまして、本土他府県では基地や空港の設置及びその管理運用等における国民の厳しいまなざしで監視されておるところから国もそれなりに慎重に対応され、防衛施設周辺整備事業並びに空港周辺騒音対策事業等がしっかりと利活用されておるが、本県では敗戦とともに27カ年の間、米軍時代のやり放題の中で、これらの問題には感覚的に麻痺させられてしまい、復帰後、今日に至るまで自動的に与えられる分は利用してきておりますが、これら周辺整備法の理解がおくれたために大きな損失をこうむっている現状にあります。
 要領を得ず前置きも長くなりましたが、以上申し上げ、次の諸点についてお伺いしたいと思います。
 1、那覇空港は軍民共用であり、その円滑な運用を図る立場から防衛庁、運輸省、そして県知事並びに関係市町村長が一緒になって本土並みに協定書を締結し、運輸省と防衛庁の責任分担を明確にした上で、それぞれ周辺整備法に基づき制度にのせて関係地域の整備を推進していくべきと思うがどうか。その件について本員が昭和55年9月定例議会においても取り上げてまいりましたが、これまで取り組んてきた経緯と現状並びに今後の取り組み姿勢についてお伺いいたします。
 2番目に、石川県の加賀市や根上町等は基地所在市町村ではないが、小松空港からの関係で特定防衛施設関係市町村の指定を受け、その調整交付金並びに基地周辺整備資金等が制度的に利用されており、那覇空港は小松空港以上の基地としての機能が高い以上、周辺市町村は特定防衛施設関係市町村の指定を受け、それなりの恩典に授かっていくべきと思うがどうか、あわせてお伺いしたいと思います。
 次に、航空機燃料譲与税についてお尋ねしたいと思います。
 国税である航空機燃料譲与税は、国際線を除く航空機に積み込まれる燃料税収入のうち、その13分の11は国の空港特会に組み入れられ、残り13分の2に相当する額を譲与するものであるが、譲与税額の5分の1は県に、5分の4は市町村に配分されるようになっております。そして市町村分の3分の1は、着陸料の収入額によって空港所在市町村に、他の3分の2は空港周辺市町村の騒音地区の世帯数によって案分し、自治大臣が配分するようになっております。
 これは法律に基づいて自治省が事務的に配分する性質の予算であり、疑問を抱くこと自体おかしな感もいたしましたが、昭和50年度以降、59年度までの各年度ごとの市町村別の配分表を見ると、どうしても疑問を感じ、調査を依頼すべく質問を提起した次第でありますが、同表によると、例えば那覇飛行場との関係で昭和54年度を見た場合に、那覇市が1億6453万8000円交付されているのに対し、豊見城村が390万円であったのが、昭和55年度は那覇市が1億7458万8000円と前年度に比べて増額されておるが、豊見城村は極端に落ち込み44万4000円となっており、以後、昭和59年度までやや同じような傾向が続いており、県内のどの離島空港を見ても理由のわからないそのような落ち込みは見当たらず、ましてや同じ那覇飛行場との関係で譲与を受けている市町村で那覇市は関係なく、豊見城村だけが390万円から翌年度はいきなり44万4000円と9分の1近くも極端に落ち込み、その後ずっとこのような傾向が続いておるが、どのような理由によるものかお伺いいたします。
 2番目に、法律によると、市町村分の3分の1は空港敷地の面積や施設が所在する市町村に、3分の2は騒音対策事業に配分するようになっているが、単純計算すると3分の2という大半が騒音分であるので、那覇市と豊見城村は譲与税額にして大きな開きはないものと推測されるが、どうか。
 那覇空港を対象とする譲与額について、着陸料分と騒音対策分の内訳があれば御説明を賜りたいと思います。
 3番目に、昭和57年度からスタートし、60年度完成予定の滑走路の300メートル延長事業の完成後は、誘導施設等空港施設が豊見城村に大分飛び出してくるが、供用開始後の航空機燃料譲与税の増額の見通しはどうか。当然増額されるものと期待いたしておりますが、念のためお伺いしておきたいと思います。
 4番目に、航空機燃料譲与税法第2条第3項によると、その配分方法について、着陸料の収入額と世帯数割は自治省令で定めることにより算定するものとされておりますが、そのただし書きで、空港の管理の態様、航空機の騒音により生ずる障害の程度、その他の事情を参酌し補正することができるとの規定もあり、運用面では弾力性もありますので、豊見城村にもっと増額できるように県の特段の御努力をお願い申し上げてその件は終わります。

 時間がありませんので急ぎます。
 次に、那覇空港の民間専用化について所見を申し述べながらお尋ねしてみたいと思います。
 那覇空港は、本県が本土と東南アジアのほぼ中間に位置するという地理的な有利性から、第3次全国総合開発計画及び第2次沖縄振興開発計画において、我が国の南における国際交流の拠点となる空港として位置づけられ、国際的空港としても極めて重要な機能を果たしておると同時に、本土と本県を結ぶ国内幹線航路として、また県内離島を結ぶ拠点空港として大変重要な機能と役割を果たしております。さらに航空機の大型化と大量輸送、高速時代を迎えた今日、本県の経済社会発展、学術、文化の向上及び人的、物的交流の拠点空港としても大変重要であり、特に本県は離島県でありますゆえに本土から隔絶された地理的条件下にあって、本土のように高速道路や鉄軌道等の大量高速の輸送手段がないばかりでなく、隣県空港による代替性がないことなどから、同空港が果たす航空交通の役割は大変重要なものがあり、本県の命綱になっております。
 かかる見地から、同空港のなお一層の安全性の確保を図るということは県民ひとしく願うところであり、本県議会においてもこれまで事あるたびごとに民間専用化に関する意見書を決議し、関係要路に対し要請の繰り返しを行っているところである。
 去る5月28日にも全日空機と自衛隊機が接触事故を起こし、6月11日に臨時議会が招集され、復帰後7回目に当たる同趣旨の意見書決議を行い、儀間光男議員を団長とする要請団が要請に行ってきたところでありますが、要請議員団の報告によりますと、このたびの要請は、団長の根回しのよろしきを得て本県選出の大城政務次官、仲村代議士等の手配で加藤防衛庁長官、山下運輸大臣及び河本沖縄開発庁長官等、各省庁の最高責任者の方々に直接要請できたことは大きな成果であったことと思います。
 要請に対し防衛庁長官は、共同使用をやめるには新しい空港をつくる場所や経費に問題があり早急な解決は困難だと思うが、那覇空港は運輸省所管なので同省の指示に従っていきたいとの返事であり、運輸大臣は、民間専用化にすることは自衛隊の代替施設を必要とすることから、防衛費1%では移設は困難であり、将来の問題として検討したいと言っており、また河本長官は、どうすれば民間専用ができるか、またどのような方法があるか検討したいと答えられた。3先生方の返事からすると、当分は難しいが、分離の必要性は……
○議長(志村 恵君) 時間です。
○外間盛善君 時間がありませんので、質問だけ申し上げておきたいと思います。
 我が党の金城重正議員からも御提言がありましたように、沖合展開構想を防衛庁予算で実現し自衛隊機の移設を図る方法もあれば、在沖米軍が使用している中部の他の飛行場に整理統合させる方法等もあります。県は、那覇空港の軍民共用の分離に向けてこれらの方法等について検討したことはありませんか、またその可能性等について御所見を賜りたいと思います。
 終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 外間議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇飛行場に関係する諸問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 運輸省管理の那覇空港周辺の隣接市町村に防衛施設周辺整備法の適用はできないので、県としては、運用の面で法の精神を生かす立場で整備資金の活用を防衛施設庁に対し働きかけてまいりました。豊見城村の場合は、同法第8条に基づいて、55年度に道路工事のための道路改修事業補助金及び消防化学自動車購入のための施設周辺整備助成補助金並びに60年度にコミュニティーセンター建設の施設周辺整備助成補助金が交付されております。
 なお、小松空港等のように協定書を締結した共同使用空港は、いずれも設置管理者が防衛庁となっております。運輸省管理の共同使用空港においても協定書の締結が可能かどうか検討させていただきます。
 次に、石川県の加賀市等の例をとって、いわゆる特定防衛施設関係市町村の指定を受けるべきではないかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 那覇防衛施設局の説明によりますと、那覇空港は運輸省管理の空港であることから、那覇空港周辺市町村を特定防衛施設周辺市町村としての指定をすることは問題があるとのことであります。しかしながら運用の面で法の精神を生かすという点で周辺整備資金の活用を図ってきたところであり、豊見城村においては、周辺整備法に基づくコミュニティーセンター等の施設が整備されたことは今申し上げたとおりでございます。
 次に、那覇飛行場の安全管理の面から、自衛隊との共用をやめるための沖合展開、またほかの飛行場にこれを移すことについての御提言がございましたが、諸般の情勢からいたしましてその可能性は極めて薄いのでございます。
 次に、航空機燃料譲与税についての御質問に対しましては総務部長から答弁させることにいたします。
○議長(志村 恵君) 総務部長。
   〔総務部長 平良正夫君登壇〕
○総務部長(平良正夫君) 航空機燃料譲与税の御質問に対しましてお答えいたします。
 御承知のように、航空機燃料譲与税は、航空機燃料譲与税法、同政令及び省令に定める手続によって自治大臣が譲与することになっておることは先ほど御提言のあったとおりでございます。
 豊見城村に係る譲与税が、昭和54年度に390万円と大きく増額されたのは、母税である航空機燃料税の改定があったためだとされておりますが、翌55年度に大幅に減額された理由としては航空機の機種等航行に関する条件の変動等が考えられるわけでございますが、県としては直接譲与税を配分する立場にございませんのではっきりした理由は判明できないわけでございますが、今後の課題として調査検討させていただきたいと思います。
 次に4点目の質問で、那覇市と豊見城村は、譲与税額に大きな開きはないものと推測されるがどうかという御質問にお答えいたします。
 那覇空港は那覇市に所在するため、豊見城村には着陸料に相当する譲与税は配分されないということでございます。したがいまして那覇市に比べ譲与税は少なくなっておる現状でございます。那覇市の譲与税の内訳については、本税が直接自治大臣が譲与することとなっていることから、ただいまのところ詳細についてはよく承知していないので、今後調査検討してみたいと思います。
 次に、那覇空港滑走路の300メートル延長事業の完成後、誘導灯施設等の空港施設が豊見城村の区域に及ぶこととなると、航空機燃料譲与税の増額の見通しはどうかという御質問に対してお答えいたします。
 那覇空港滑走路の300メートル延長に伴う誘導灯施設の一部が豊見城村の区域に及ぶこととなるわけでございますが、その面積の那覇空港の総面積297万4754平米に占める割合は、境界が未確定のためはっきりしたことは申し上げられませんが、おおむね1000平米程度の数値が予測されるわけでございます。その面積等々の比率から見ますと、大きな期待は持てないのではないかと考えられるわけでございます。
 最後に、譲与税の算定の基礎となる着陸料、世帯数は空港管理の態様等の事情を参酌して補正することができることとなっており、弾力的に運用することも考えられるので、豊見城村にもっと増額できるよう努力をお願いしたいということでございますが、関係市町村の実態を踏まえて対処してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時53分休憩
   午前11時54分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております乙第1号議案から乙第10号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時55分休憩

   午前11時56分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 日程第3 陳情第143号、第144号、第151号、第162号の2及び第163号の2の付託の件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 まず、陳情第143号、第144号及び第151号の3件は、米軍基地関係特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 次に、お諮りいたします。
 陳情第162号の2及び第163号の2の2件は、国民体育大会対策特別委員会に付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(志村 恵君) この際、お諮りいたします。
 委員会審査及び議案整理のため、明7月7日から12日までの6日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(志村 恵君) 御異議なしと認めます。
 よって、明7月7日から12日までの6日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(志村 恵君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、7月13日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午前11時58分散会

 
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