昭和55年(1980年) 第 1回 沖縄県議会(臨時会)
第 1号 2月 4日
第 1号  2月 4日
 

議 事 の 概 要
昭和55年2月4日(月曜日)
午前10時2分開議
日程第 1 会議録署名議員の指名
日程第 2 会期の決定
日程第 3 那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書
日程第 4 那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書
  討 論 議員提出議案第1号 那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書
       議員提出議案第2号 那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書
   動議の提出 議員提出議案第1号 那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書の議員派遣の動議
日程追加 陳情第34号  
午後4時7分閉会

○議長(大田昌知君) ただいまより、昭和55年第1回沖縄県議会(臨時会)を開会いたします。
○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 本日、田場盛徳君外22人から、議員提出議案第1号那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書及び仲村正治君外17人から、議員提出議案第2号那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書の提出がありました。
○親川仁助君 議長、休憩お願いします。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午前10時 3分休憩
   午前10時20分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 暫時休憩いたします。
   午前10時21分休憩
   午後 3時 5分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(大田昌知君) 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
 今期臨時会の会議録署名議員は、会議規則第114条の規定により
    1番  砂 川 武 雄 君 及び
    24番 島 田  哲 男 君
を指名いたします。
○議長(大田昌知君) 日程第2 会期の決定を議題といたします。
 お諮りいたします。
 今期臨時会の会期は、本2月4日の1日といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、会期は、本2月4日の1日と決定いたしました。
〇議長(大田昌知君) この際、日程第3 議員提出議案第1号 那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書及び日程第4 議員提出議案第2号 那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書は、同一事件と認め一括議題といたします。
 なお、両議案は、それぞれの提出者に順次提案理由を説明させた後処理することにいたします。
 まず、議員提出議案第1号について提出者から説明を求めます。
 田場盛徳君。
    〔田場盛徳君登壇〕
○田場盛徳君 ただいま議題となりました議員提出議案第1号那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書について、提出者を代表いたしまして提案理由の説明を申し上げます。
 去る1月25日午前8時50分ごろ、航空自衛隊那覇基地において空対空ミサイル・サイドワインダーが点検中爆発し自衛隊員1人が死亡、3人が負傷するというショッキングな事故が発生いたしました。爆発現場は、航空機誘導路からわずか250メートルしか離れておらず、軍民共用の空港がいかに危険きわまりないものであるかが現実のものとして示されたのであります。
 那覇空港における航空機の離着陸回数は、昭和52年は2万9522回、昭和53年は3万2888回、昭和54年は3万4469回と年々増加の一途をたどり、昭和54年の例をとると、1日当たりの離着陸回数は平均200回前後で、その3分の1は自衛隊機となっております。
 また、自衛隊機のスクランブル(緊急発進)の回数も、昭和50年は10回、昭和51年は66回、昭和52年は62回、昭和53年は81回と増加し、過密ダイヤの中で民間機の使用が制限されております。
 さらに、那覇空港における自衛隊機の事故は、昭和48年3月17日、F104J戦闘機が離陸の際両翼タンクを落下燃焼させ、滑走路を走り抜け北側オーバーランで停止いたしました。そのため同空港は約30分閉鎖され、南西航空の一部が遅延いたしました。また昭和48年10月5日には、F104J戦闘機が胴体着陸したため滑走路が約1時間緊急閉鎖されました。
 さらにまた、那覇空港における消防車の緊急出動は、昭和52年から昭和54年までの3年間で民間機の21回22.6%に対し、自衛隊機は59回63.4%となっております。那覇空港は空港内に弾薬庫も設置されており、このような状況の中でいつ一大事故が発生するかもしれない危険な状態に置かれているのであります。
 政府は復帰に際し、那覇空港は完全な民間空港として返還すると約束し、沖縄振興開発計画の中でも次のように位置づけております。すなわち、「沖縄における輸送は、その地理的条件から航空交通に依存するところが大きいが、近年、経済活動の活発化、所得水準の向上などにともない、航空輸送需要は飛躍的に増大しており、加えて、今後国際交流の活発化、観光の振興などにより輸送需要はますます増大していくものと予想される。このため、那覇空港は民間空港とし、その地理的特性から国際的空港および本土の主要都市との航空路網の基地として整備するとともに、県内主要離島を結ぶ航空路の拠点として整備拡充する。」と明記されております。それにもかかわらず復帰8年目を迎えようとしている今日、自衛隊との共同使用のまま放置されていることは県民の意思を無視するものであるばかりでなく、本県の振興開発の阻害要因となっているのであります。
 以上申し述べましたようなことを踏まえて、那覇空港を名実ともにわが国の南の玄関にふさわしい国際空港として整備拡充するためには、自衛隊との共同使用をやめ同空港を民間専用空港にすることを関係省庁に強く要請する必要があるとの立場から本議案を提出した次第であります。
 なお、本議案につきましては経済労働委員が中心となって意見書の文案調整をいたしましたが、本臨時議会が招集された目的である那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ民間空港として整備拡充することには意見の一致を見、その線でまとめようと努力しましたが、自民党が、国家の安全保障上自衛隊施設の重要性は論をまたないが、ということにこだわりまして、最終的に意見の一致を見ることができず、このような形で提出したことはまことに残念なことだと思います。
 次に、意見書を朗読いたします。
    〔那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書朗読〕
 以上で提案理由の説明を終わりますが、慎重御審議の上速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○議長(大田昌知君) 次に、議員提出議案第2号について提出者から説明を求めます。
 仲村正治君。
    〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 議長、休憩願います。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後3時16分休憩
   午後3時17分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
○仲村正治君 ただいま議題となりました議員提出議案第2号那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書について、提出者を代表し提案理由の説明をいたします。
 この意見書の決議につきましては、去る1月25日航空自衛隊那覇基地において空対空ミサイル・サイドワインダーの点検作業中、その推進部に詰められている薬品の燃焼事故が発生し痛ましい死傷者を出したことで県民は大きなショックを受け、那覇空港の安全性を確保するためいち早く与野党が臨時議会を開いて今回の事故に対処することになったのでありますが、決議文案調整で与野党の意見の一致を見ることができず、与野党が別々に決議案を提出することになりましたことはまことに遺憾であります。よってわが党は、ここに議員提出議案第1号を提出した次第であります。
 本員は本論に入ります前に、今回の事故で公務中に殉職された後藤順一3曹に謹んで哀悼の意を表し御冥福を祈りますとともに、御遺族の方々に謹んでお見舞いを申し上げたいと存じます。そして負傷された御3名の方々が、一日も早く全快され元気な体に戻られることを祈っておるものであります。
 那覇空港がわが国の空の交通路網の中でどのような位置を占めているかはことさら強調するまでもありませんが、同空港は第3次全国総合開発計画の中でもわが国4大基幹空港として、さらには国際空路網の7拠点空港という位置づけがなされていて、特にその地理的特性からわが国の南の玄関として大きくクローズアッブされ重要な位置づけがなされているのであります。
 さらに、沖縄振興開発計画でも、那覇空港については3全総の位置づけ同様わが国の南の門戸として国際、国内の主要都市との交流の拠点であると同時に、県内離島を結ぶ航空路の最重要基点として整備拡充を図り、本県の振興開発の始動条件にすべく目下政府に対しても第1種那覇国際空港建設構想を提示してその実現方を強力に推進しているところでありますが、同空港は、54年度の統計からいたしますと1日平均180回前後の航空機の離発着があり、通過客数も1日平均1万3303人を数えさらに年々増加の傾向にあります。
 このように航空機離発着のダイヤがますます過密になりつつある中で、現在自衛隊と共同使用されていて本県の区域で発生している領海、領空侵犯や離島における急患空輸、災害救助活動等の緊急発進時は、民間航空機の離着陸が制限されている状態であります。このような緊急活動の中での事故発生の危険性を考えた場合、民間空港を自衛隊と共同使用することは決して好ましいことではありません。早急に共同便用を取りやめ、空港の安全性を確保するとともに機能の拡充を図っていくことは当然政府の責任においてなされなくてはならないと考えるものであります。
 ただこの場合、自衛隊との共同使用取りやめを主張する裏に、国家の安全保障や国防の重要性を否定し、自衛隊反対の立場に議論を発展させてはならないと思うものであります。国家の独立、平和、安全、発展の基本条件であるわが国の国防論議については与野党の意見の分かれるところでありますが、最近では、国家の安全保障の立場から国防が必要だということは国民の86%の人々に支持されるようになってまいりましたし、また今日まで一貫して無防備中立論を唱えてきた社会党と公明党との政権構想の中でも自衛隊の現状を是認する方向に政治情勢は変化してきているのであります。
 確かに国防力というものは、不必要に強過ぎてもいけない、また弱過ぎても困るといったふうに国情に応じた、しかも文民統制のもとで国際情勢に対処できるものでなければならないと考えるものであります。また離島僻地の多い本県においては、急患空輸、災害救助等自衛隊の民生協力に果たしている役割りは実に大きいものがあり、復帰してから今日まで離島の急患輸送だけでも1117件で延べ1204人の急患救助活動を行っているのであります。
 このように、航空運輸行政と国防問題を論議する中で、那覇空港の民間空港としての重要性を強調する裏で、国防の問題を否定、無視する形で今回の意見書決議が処理されては、国民県民に責任を負う立場として許されるものではないと思うからであります。
 かかる観点に立って、政府は那覇空港における民間航空需要の増大に十分対応できるようにその安全性の確保と整備拡充を図るとともに、わが国の独立と安全、平和を維持する自衛隊の航空基地は当然分離して考えるべきであると思うのであります。
 以上の理由から、わが党は那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書を提出した次第でありますが、ここに意見書の案文を朗読いたしまして提案理由の説明にかえたいと思います。
    〔那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめ  に関する意見書朗読〕
 以上でありますが、議員各位におかれましては慎重なる御審議の上よろしく御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(大田昌知君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
    〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際お諮りいたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第1号及び第2号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、両議案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 新城哲男君。
    〔新城哲男君登壇〕
○新城哲男君 私は、自由民主党所属議員団を代表いたしまして、議員提出議案第1号に反対し議員提出議案第2号に賛成する立場から討論を行います。
 去る1月25日、航空自衛隊那覇基地弾薬作業所において、空対空ミサイルの推進部を点検中弾薬が突然発火し作業中の隊員4名が死傷する事故が発生したことはまことに残念であり遺憾に思う次第であります。またこの種事故が二度と起こらないよう念願するものであります。
 わが党といたしましても、事故のあった翌26日早速緊急役員会を開き、志村幹事長を先頭に航空自衛隊南混団の松井司令に会見をいたし事故の真相究明、再発の防止とともに真相を県民に公表し不安を解消すること等について強く申し入れをいたしました。
 本県議会も今回の事故を重要視いたし、1月29日経済労働委員会を開会して全会一致による意見書を採択して政府に対して強く県議会の意思を表明しようとしたのでありますが、意見書の内容において与野党間に意見の一致を見ることができず、与野党それぞれ独自の意見書案を提案する結果と相なりました。
 さて、何ゆえにわが党が野党提案の1号議案に同調できないか、このことについて若干説明をいたします。
 まず、昭和50年第1回本県県議会における議員提出議案第5号那覇空港の民間空港への完全解放に関する意見書がほぼ同一内容でありますのでその取り扱い並びに経過について調べてみまするに、これまた与野党別々の意見書案が提案されました。わが党を代表して平良哲議員が提案をいたしております。
 一致を見るに至らなかった原因となりました理由は、御承知のとおり、わが党は党の基本政策といたしましてわが国の平和と安全の確保上自衛隊は絶対必要であると認めております。那覇空港の民間空港への返還については意見の一致を見ていましたが、同空港を民間空港に移管するとする美名のもとに、自衛隊に対する十分なかつ現実的具体的配慮がなされないまま自衛隊反対、または基地撤去運動へと悪用されるおそれがあった立場から自山民主党としての修正案を提案いたしております。
 ちなみに50年提案の議員提出議案第5号修正案を説明いたしますと、「那覇空港の完全返還に関する意見書」といたしまして、「政府は、沖縄の施政権返還に当り那覇空港の完全返還を約束し、それを表明した。」から始まりまして、時問の都合上割愛をいたしますが関係する部分だけを説明いたしますと、「このことは、同空港の完全返還についての約束に反し、県民の強い願望にもとるものである。よって本県議会は、政府が速かにその公約を履行し、同空港の米軍基地を撤去させ、あわせてわが国の第一種空港としての整備拡充を図るとともに、自衛隊については、その代替施設を設け、使用させることを強く要請する。」。「自衛隊については、その代替施設を設け、使用させる」、ここのところが双方の異なる基本点でございました。時の与党、現野党提出の第5号議案も前段においてほぼ同じで、加えましたのは「P3対潜哨戒機等の国外撤去」だけで、自衛隊についてはその代替地を設け使用させるという文言の挿入で意見の一致を見ることができなかったことは皆さん御承知のとおりでございます。
 今回もまた、前段においては意見の一致を見ながら、自衛隊施設の分離移設により民間空港専用にすべきだとするわが党の主張が認められず、そのことについてのみ意見の一致を見るに至らなかったことはまことに残念でなりません。今回の皆さんの意見書もまた同様、那覇空港を完全な民間専用空港化せよとする主張の背景には自衛隊反対、基地撤去運動に利用しようといたしていることは明らかであります。
 ここに新聞の切り抜きがございます。このことは、事故のありました翌1月26日の新聞報道による各党の談話が掲載されております。時間の都合上、自衛隊反対または基地撤去に関する部分だけを説明いたします。
 まず社大党仲本安一書記長、われわれはこの際反戦平和を希求する立場から基地撤去の闘いを強化していく、社会党新垣善春書記長、護憲反安保、原水協、民主団体とも連絡して一大撤去運動を巻き起こす、共産党根保幸栄副委員長、憲法違反の自衛隊の撤去が緊急なものとして提起されたと言える、諸団体と協議して闘いを推し進める、公明党友利栄吉書記長、われわれは自衛隊の沖縄配備に断固反対してきた、今後那覇基地からの自衛隊の撤退を強く要求する。その他原水協、護憲反安保、県労協と、自衛隊反対、基地撤去と同一歩調をとり連動している疑いのあることからしても明らかです。
 意見書の決議を背景として自衛隊反対、基地撤去運動に利用しようとしているかをうかがい知ることができることです。
 わが党は、党の基本政策としてわが国の平和、安全確保上、日米安全保障条約を認め自衛隊を認めていることは御承知のとおりです。また総理府の調査によると、わが国国民の86%の大多数が白衛隊を認めている事実についても御承知と思います。
 つけ加えて申し上げますと、国の安全と平和、国防問題がいかに重要であるかが真剣に討議されている昨今からして、共産党を除く社公民による連合政権構想の中でも、内容はともかく日米安全保障条約問題はたな上げして論議を進めることにしたとも聞き及んでおります。
 それもそのはず、いまやわが国を含め全世界が、世界の平和と国家の防衛問題について真剣に論ぜられなければならない重大な時局に到来したと言われています。新聞、テレビ、ラジオ等マスコミを通じて毎日のように報道されて十分に御承知のとおり、一部野党と民主団体が国際社会正義の英雄として称賛し強い支援をしてきた解放されたベトナム、ベトナム解放軍のカンボジア侵入、ベトナム難民の続出、国際条約にもとる無謀なイランの米大使館人質事件、これまた国際条約を踏みにじり国際信義にもとるソ連大軍のアフガニスタン侵略、中近東への南進計画、マラッカ海峡は、わが国はもちろん石油輸入国にとって石油輸送上のど元だとも言われております。そのことによる国際世論の反発、スポーツを通じて各国が平和と親善友好を深めるために催されるオリンピック、モスクワオリンピックヘの不参加、取りやめ、延期、変更問題、在日ソ連駐在武官に関係する宮永スパイ事件、わが国固有の領土である北方領土、とりわけ国後、択捉におけるソ連軍の軍事基地構築、そして各種火砲等を装備したソ連地上軍部隊の配備は、日本国民に大きな脅威と強い衝撃を与えています。いまこそ国民が国家の真の独立と平和がいかに大切であり、自国の防衛問題について真剣に考えるときだと思います。特に自衛隊を中心とする国防体制の強化確立は、わが国にとって不可欠の要件と言えましょう。
 このような内外の厳しい状態下にあるとき、国防の第一線に立つ自衛隊を不要とするよろな意図を含む内容の意見書を採択し、政府に対して意見する行為にどうしても同調できません。
 ところで、本土復帰を機に自衛隊が本県にも配備され国防の任に当たっていることは御承知のとおりでありますが、自衛隊は、本来の任務のほか本県の民生安定のためにも多大な活動をしてきています。
 まず、本県の政治行政の大きな課題の1つとして離島町村における医療問題が挙げられましょう。これらの島では、生活する地域住民にとって一番不安なのは病気や負傷、お産等であります。なかんずく救急患者にあっては、本人はもちろん家族にとってもはかり知れないものがありましょう。このような不安を解消するための一翼として活躍し、地域住民から感謝されているのが自衛隊による救急患者の空輸であります。ちなみに自衛隊による昭和49年6月から昭和54年12月までの急患輸送実績は、総件数1074件、患者数にして1150人を数えています。このほか不発弾の除去、災害時の救助救援、遭難者の捜査活動等により県民の受けている恩恵はいまさら私が申し上げるまでもなく県民ひとしく認めるところであり、その功績は高く評価されているところであります。
 かかる諸理由により、わが党は自衛隊反対を意図する議員提出議案第1号に反対せざるを得ません。わが党提案の議員提出議案第2号に明記してありますとおり、政府は昭和47年12月18日政府決定の沖縄振興開発計画でも次のとおり約束いたしております。
 沖縄における輸送は、その地理的条件から航空 交通に依存するところが大きいが、近年、経済活動の活発化、所得水準の向上などにともない、航空輸送需要は飛躍的に増大しており、加えて、今後国際交流の活発化、観光の振興などにより輸送 需要はますます増大していくものと予想される。 また、航空交通の積極的活用によって、時間距離 の大幅な短縮をはかり、本土各地との連けいの強 化、県内離島における隔絶性、辺地性の除去につとめるとともに、近隣アジア諸国をはじめ海外諸 国との結びつきを強化していく必要がある。このような要請に対処するため、空港施設の整備、航空路網の充実を促進する。そのため、那覇空港は民間空港とし、その地理的特性から国際的空港および本土の主要都市との航空路網の基地として整備するとともに、県内主要離島を結ぶ航空路の拠点として整備拡充する。
と明記されております。
 この際政府は、国の責任において約束どおり国際的空港にふさわしい新国際空港の早期建設実現を図ることにより、自衛隊との共同使用をやめることができるよう理想と現実性を有し提案いたしております議員提出議案第2号に御理解をいただき御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、私の討論を終わります。
○議長(大田昌知君) 瑞慶覧長方君。
    〔瑞慶覧長方君登壇〕
○瑞慶覧長方君 私は、社大党、社会党、共産党、公明党、革新クラブの野党各派を代表して、ただいま議題となっております議員提出議案第1号に賛成し、議員提出議案第2号に反対する立場から討論を行います。
 先ほど、両方とも提案された方々から詳しい提案理由の説明がありました。また自民党を代表していま新城議員が討論を行いました。
 今回、この決議は過去のいきさつを語らなければこれは県民に申しわけないと思います。25日の自衛隊のいわゆる空対空ミサイルの爆発事故をきっかけにして沖縄県議会も全会一致で臨時議会を開いてこれに県民の立場から処していこうと、これは意見の一致を見てまいりました。そしてこれは担当が経済労働委員会に属するからということで、経労委で執行部の関係当局を呼び事情聴取をする中から、決議案をまとめて全会一致でやろうじゃないかとこういうふうに進めてまいりました。
 そこでいろいろの審議の過程を経て、それでは全会一致の案で決議案文をつくろうじゃないかということで事務局にそのたたき台である原案をつくってもらい、与野党の議員全員で協議をしてまいりました。そのときに自民党は、党議に諮ってないので一応持ち帰って自民党の議員総会を開いてやるので待ってほしいと。当初2月2日を臨時議会の予定にしておりましたが、やはり県議会は県民の意思を統一してまとめるという立場から全会一致を前提とする以上、2日、3日は待ってもいいんじゃないかということで自民党の31日の議員総会を開くまで待とうじゃないかと、そこで当初予定しておった2日を4日に延ばして本日になったわけであります。
 自民党は31日議員総会を開き、経労委で示された案文について討議をした結果、こういうふうに変わってまいりました。すなわち、当初出された那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港への完全解放に関する意見書という文面を、完全解放という分だけ全面返還に変えてまいりました。さらに案文の中で、サイドワインダーの点検中ロケットモーター部分が、という部分を消してほしいと。さらに案文の中で1は同じで2の方、那覇空港の自衛隊施設と民間施設を分離し共同使用を取りやめること、こういう形に変わってまいりました。
 そこで経労委で話し合った結果、全面返還というのはおかしいじゃないかと。すでにこれは沖縄返還協定の中で復帰と同時に日本政府の方に返されている。現在那覇空港は運輸省の管理する第2種空港であり、法的にも制度的にも返還されておる。それをことさら文面の表題に全面返還と入れるのはおかしいじゃないかという指摘をいたしました。そして分離問題もあったので再び持ち帰るということになり、改めて去る2日土曜日にまた経済労働委員会を開きました。ところがそのときに自民党はまた変わってまいりまして、表題が那覇空港の民間空港と自衛隊施設の分離使用に関する意見書となって変わってきました。そこで分離使用とは何かという論議の中をやっておる間に、いや使用は削るということで分離に関する意見書になってきた。
 一体分離とは何かと、こういう質疑論争の中で自民党の代表は、分離というのは政府が考えることであって、われわれはそんなのは言及しない、説明しない、こういうことになっている。それじゃ説明もできないような文案で表題になったんじゃどうにもならぬじゃないかということで、再びこれが問題になったわけです。そこで自民党はもう一遍これを検討するということになったけれども、最終的にこれは自民党の案だと、だからこれ以上は応ずるわけにはいかぬ。そういうことで分離使用論がどうしても意見の一致を見ないために別々の意見書にならざるを得ないという2日の土曜日のぎりぎりで決裂をしたわけであります。
 ところが、本日本会議を開いてみますというと、また全く違った案文が出てきたわけです。すなわち那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書。ならばこれならば、全会一致の線が見出せるからもう一遍話し合って議会としての意思を県民の意思を体して全会一致にしようじゃないかということの動議が出されて休憩をして午前中ずっとこの問題をやってまいりました。ところが自民党さんは、いやもう手続もとってある、おとといも話し合った、午前中も話し合った、もう手続とってあるからやむを得ないと、こういう形で全会一致の線を拒否して誠意のかけらも見せずにこのような提案になっているわけであります。
 これは事のいきさつを県民に具体的に申し上げぬというと大変な誤解を招くおそれがありますので、あえて前段私はこれだけ申し上げて討論の本論に入りたいと思います。
 何といっても県議会は、県民の意思を体してそして速やかに事に処するのが県議会の役目であります。このことは那覇空港の所在地である、しかも沖縄県民の3分の1の人口を抱え沖縄の首都のある那覇市議会は、与野党全会一致で去る2日すばらしい内容の決議案をすでに決定いたしております、決議しております。同じ自由民主党がです、わが党の見解わが党の見解ということを口癖におっしゃりながら那覇市議会にも自民党の党公認の議員がおるはずであります、なぜ向こうの決議には自民党の議員さんもみんな全会一致で参加し決議しておるのに、県議会における自民党は議員提出第1号議案に反対をするのか、その理由が全くわかりません。先ほど討論に立った新城議員は、明確ななぜ第1号議案のどこが悪いのかという指摘は全くない、これも不可解な問題であります。
 2つ目には、いわゆる那覇空港を完全民間空港に整備すべきである点、これもまきに一致しております。そして軍民共同でやっておるというとあれだけの危険性がある、安全性が保たれない、だから自衛隊に使用を取りやめさせるという、これも一致しているわけなんです。今臨時議会の招集目的もこの2つであります。こういう基本の点について一致しておるのにかかわらず、強いて与野党が最初から一致しないであろう自衛隊のいわゆる賛成か反対かの問題、認知の問題、国防論争を盾に持ち込んできて全会一致の線をあえて崩そうとする意図がありありとするわけであります。
 先ほどの討論の中でこういう発言がありましたが、これこそまさに被害妄想であり、また議会と各政党の日常活動を混同するにもほどがあると言わざるを得ません。すなわち去る50年の4月5日におのおのが決議した問題を取り上げておりましたが、まさにこれこそ天につばするものであります。われわれのあのときの案文にしたって、今回のこの第1号議案にしたって、どこにも自衛隊反対、基地撤去という文言は入ってないんです。最初からこういうことを入れたんじゃ意見の一致を見るはずがないから、そういう当初からお互いが各党各派が基本的にかみ合わぬ部分はまずさて置いて、最大公約数として一致する部分に話し合いを進めようというのが文案作成の当初からのこれは基本姿勢であります。ところが自民党は、文案にもない全く自分たちの思惑だけで自衛隊反対や基地撤去に利用されるおそれがあるとか、あるいはそれの保証はどこにもないなどといういわゆるへ理屈でもってあのときも反対をしているわけであります。どこにです、あのときの案文にしたって今回のわが方が出しておる第1号議案にしても、こういうものは一言も入っておりません。なぜ入っていないものを取り上げてやるのか。しかも先ほどの新城議員のあの討論の中には聞き捨てならないものがある。県議会が全会一致でまとめて決議をしようとする県議会の活動と各党が独自に党活動をするのとをチャンポンにすることはです、まさにもってこれは議会と政党政治のあれを混乱するもののほかにゃないです。
 いいですか、県議会が全会一致で決議をするというものは、それだけ案文についてもみんなが一致する部分でこれは決議をするわけであります。だからといって、各党が院外で党活動をすることもこれによって拘束されるものではないんです。あたりまえじゃないですか、これは。これを混同して、あたかも議会の決議が各政党の各派の日常活動や院外活動まで拘束されまたは影響を受けるかのごとき発言は、これは議会院内活動というもの、しかも全会一致でまとめようとする決議案に対する侮辱以外の何物でもないんです。これは許される問題じゃない。あえてその面について強く私は指摘をしておきます。
 さて、こういうふうにいわゆる案文にもない主張の背景の裏などということを取り上げて第1号議案に反対をし、本質をひん曲げて、私は今回のこの成り行きを自民党の皆さんは本気で全会一致でこの案文をまとめようとする誠意、姿勢が全くないものと見ております。その理由は、あれだけお互いが延ばしに延ばし皆さんの立場を理解し、そして何回も経労委を開き話し合いを持ってまいりました。これを最後まで誠意のかけらも見せずにいわゆる手続をとってあるとか、あるいはわれわれは自衛隊を認める立場からどうしても、皆さんの決議案文にありますところの「国家の安全保障上自衛隊施設の重要性は論をまたないが、」、あえてこれを入れてこれは絶対に抜かないと。私たちは、これさえ皆さんが一致しない部分は当初から置いておこうというのであれば一致できるんじゃないかということで最後まで皆さんにこれをお願いしたはずです。なぜそれをね、最初からこれをあえて自分たちから持ち込んで全会一致の線を崩そうとしておるのか。この裏には、さき皆さんは全会一致でやると今後足かせにさせられるんじゃないかというこういう不満から、あるいは不安から全会一致を何とかしてもあな
た方は切り崩そうというこの姿勢しかないんじゃないかと、私は一言わぎるを得ないと思います。
 そういう立場から、第1号議案は県民全体の意思を集約されたものであり、また地元那覇市議会が全会一致で決議した案文とほぼ同様のものであります。しかし第2号議案は、初めからまとまらないであろうことを挿入してしかもこれについては一歩も譲らぬというようなやり方、これがある以上第2号議案に反対せざるを得ません。
 さらにつけ加えておきますが、ききの第2号議案に対する賛成討論の内容は、あたかも自衛隊激励、誘致決議案のごときような内容であって、いまわれわれが論議しているのは自衛隊をどうするかの問題じゃないんです。那覇空港をどう整備し、県民のいわゆる期待とそして最初の約束どおり返還協定の目玉であり沖縄を南の玄関口としてのいわゆる空港に整備し、ひいては国際空港第1種空港に格上げをしていこう、これは全県民の願いであります。そのためには、自衛隊というのが同居し共同使用しておって、しかもあれだけの事故を引き起こしていつまた大惨事が起こるかわからないから、これの共同使用をやめさせようじゃないかと。どうしてこういう県民要求の一致している問題に自民党はあえて全会一致の線を崩そうとする姿勢に出るのか、全く理解に苦しむものであります。
 ちなみに、先ほど第1号議案を提出した田場議員から提案理由の説明でもありましたが、申し上げますと、那覇空港における復帰後の主な航空機等の事故、昭和48年2月6日墜落、これは米海軍であります。48年の3月17日航空自衛隊の離陸失敗、48年の7月20日陸上自衛隊の墜落、48年9月7日アメリカ海兵隊着陸失敗、48年10月5日航空自衛隊の胴体着陸、49年6月21日運輸省機の尾翼に変形を来す、49年7月18日ロケット発射装置落下、49年9月10日航空自衛隊行方不明、そして今年の55年1月25日のミサイル事故、こういうふうに事故を起こしております。
 しかも先ほども報告ありましたがもうちょっと詳しく説明しますと、那覇空港における消防車緊急出動調査がありますが、52年民間航空機は、これは1種、2種ございますが1種ゼロ、2種5、計5で52年1年間に民航機の方は12.5%、自衛隊機が2種で27、1種ゼロ計27、67.5%、米軍機1種でゼロ、2種で1、パーセントで2.5%、53年民航機2種で5、比率で19.2%、自衛隊機2種で17、比率で65.4%、米軍機2種で3、比率で11.5%、54年民航機1種4、2種7計11、比率で40.7%、自衛隊機1種ゼロ、2種15計15、比率で55.6%、米軍機はそのときからゼロであります。合計してこの3年間の民航機が21、22.6%に対し、自衛隊機が59で63.4%、すなわち3分の2が自衛隊機であります。だからこそ、白衛隊機は出ていってほしいというのは当然の要求であります。
 こういうふうに、私たちはあくまでも各政党が持っておる基本的な相違点は超越して何とか党派を超えてこの問題については完全に全会一致の線でもって強力な折衝をしてこの際どうしても県民の要求であり、そして那覇空港の将来の整備あるいは目玉としての位置づけからも全会一致の線でやろうとあれほど誠意をもってやったにかかわらず、自民党は全くの誠意もなくわざわざ全会一致をわざとかけ崩すようなああいう暴挙に出たことは断じて許せるものではありません。
 以上のことから、議員提出議案第1号に賛成し、第2号に反対する討論を終わります。
○議長(大田昌知君) 以上で、通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、日程第3議員提出議案第1号那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大田昌知君) 起立多数であります。
 よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(大田昌知君) ただいま、日程第3議員提出議案第1号那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、民間専用空港化に関する意見書が可決されましたので、日程第4議員提出議案第2号那覇空港の自衛隊との共同使用とりやめに関する意見書については、その議決を要しないものとなります。
○親川仁助君 議長、18番。
○議長(大田昌知君) 親川仁助君。
○親川仁助君 この際動議を提出いたします。
 ただいま可決されました議員提出議案第1号につきましては、その趣旨を関係要路に要請するため議員を派遣することとし、人員、期間及び人選は、議長に一任されんことを望みます。
○吉田光正君 議長、42番。
○議長(大田昌知君) 吉田光正君。
○吉田光正君 私は、ただいまの親川仁助君の動議に賛成いたします。
○議長(大田昌知君) ただいま親川仁助君から、議員提出議案第1号の趣旨を関係要路に要請するため議員を派遣することとし、人員、期間及び人選は議長に一任するとの動議が提出され、賛成者がありますので動議は成立いたしました。
 よって、本動議を議題とし採決いたします。
 本動議のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大田昌知君) 起立多数であります。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(大田昌知君) ただいま意見書が可決されましたが、これに関連のある陳情が現在議会に1件提出されております。
 よってお諮りいたします。
 陳情第34号自衛隊の核ミサイル基地撤去に関する陳情は、緊急を要しますので急施事件と認め、この際日程に追加し審議することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌和君) 御異議なしと認めます。よって、ただいまの陳情第34号は、急施事件と認め日程に追加し審議することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) 陳情第34号を議題といたします。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となっております陳情第34号については、会議規則第87条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、ただいま陳情第34号については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) これより、ただいま議題となっております陳情第34号を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本陳情は、採択することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」、「異議あり」と呼ぶ者あ り〕
○議長(大田昌知君) 御異議がありますので、起立により採決いたします。
 陳情第34号は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大田昌知君) 起立多数であります。
 よって、陳情第34号は、採択することに決定いたしました。
〇議長(大田昌知君) 以上で、本日の議事日程は全部終了いたしました。
 今臨時会の議会活動状況は、後ほど文書をもって報告いたします。
 以上をもって、本日の会議を閉じます。
 これをもって、昭和55年第1回沖縄県議会(臨時会)を閉会いたします。
   午後4時7分閉会

 
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