平成24年(2012年) 第 8回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 5日
末松 文信
 

 皆さん、おはようございます。
 自由民主党、末松文信、11月定例会での代表質問を行います。
 質問に先立ち、けさのテレビを見ていましたら、中央高速道路の笹子トンネルの天井崩落事故で相当数の方が亡くなられておりますけれども、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、けが人もたくさん出たようでありますので、一刻も早い回復をお祈りするものであります。
 本県でも多くの社会資本が整備され、日夜、維持管理に努めておられると思いますけれども、日ごろ、目の届きにくいトンネルや橋梁など耐震補強を含めしっかりと維持管理が行われることが重要であると思います。このことは、経済の活性化にもつながりますので、「コンクリートから人へ」などと言わず、必要な対策はしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 それから、昨日公示されました衆議院選挙について少し所見を述べたいと思います。
 3年前の衆議院総選挙は、顧みますと、民主党のまやかしのマニフェストに乗せられ、我が自民党県連は全ての議席を失い、また、国政では政権の移譲を余儀なくした悪夢のような選挙でありました。特に、普天間飛行場の移設については、時の民主党鳩山由紀夫代表が「最低でも県外」などと県民の期待をあおり、ふたをあけてみると、県外どころか腹案があるなどとありもしないことを一国の総理が発言するや否や、あげくの果ては移設先を日米合意に基づき辺野古に回帰するなど県民を愚弄した鳩山総理を初め民主党・政権与党の罪は深く重いものと思います。何よりも普天間飛行場の移設を初め嘉手納以南の施設・区域の返還等、沖縄における在沖米軍の整理縮小や基地負担の軽減、そして普天間飛行場の危険性の除去はおろか、むしろ固定化の様相を呈し、ますます混迷を深める結果となっているところであります。
 このように国民の期待を裏切り、不信感を増幅させた民主党政権は水が引くがごとく離党が相次ぎ、雪崩のごとく崩落し、解散の道を選択せざるを得ない結果となったことはひとしく容易に理解できるところであります。
 申すまでもなく、我が自民党はこれまでの反省に立ち、この総選挙において議席を回復すると同時に政権の奪還を目指し、新たな沖縄振興につなげていく覚悟でありますので、県民の御理解と御支持をよろしくお願い申し上げます。
 それでは代表質問に移ります。
 1、新たな沖縄振興の推進について。
 平成24年度から創設された沖縄振興交付金は、本県の持続的な経済の発展を図る上で画期的な制度であり、知事の手腕を高く評価するものであります。これまで社会資本の整備を進める上で障害となっていた国の関与をなくし、また、これまで国の補助制度では対応が難しかった事業も独自の事業としての展開が可能となるなど、本県振興に大きく貢献するものであります。特に市町村においては、沖縄振興交付金を活用し、地域に特化した事業や地域住民のニーズを反映した事業など独自の責任と判断で施策を選択することができるようになりました。そのことにより、地域産業の振興、雇用の確保、離島の活性化及び子育て支援など地域の特性を生かした施策展開が容易となっております。
 しかし、自由度が高まった特別推進交付金とはいえ、県や市町村独自の発想を生かした事業選択が可能となった一方で、国が示した交付要綱は、沖縄振興に資する事業等で沖縄の自立・戦略的発展に資するもの、そして沖縄の特殊性に基因する事業等の要件に該当することが必要であるなど一定の歯どめがかかっております。
 今年度は、一括交付金が創設されて初めてのことでもあり、市町村においては交付金の自由度について十分な説明がなく、独自でやれる範囲や交付金でできる事業等十分に把握されていなかった感がありました。そのことが、市町村から国に提出された事業計画が審査から内諾を得るまで予想以上の時間を要し、難航した要因でもあったと思います。内閣府においても、一般会計でできる事業か、沖縄独自の振興に資する事業であるのか審査作業に予想以上の時間を要したようであります。次年度は、今年度の反省・総括を踏まえ、交付金本来の趣旨に沿った活用と事業の推進が求められます。
 県は、20年後の沖縄の姿を描く「沖縄21世紀ビジョン」を策定し、今後10年の基本計画において「沖縄らしい優しい社会」、そして「強くしなやかな自立経済の構築」を図るために思い切った施策の展開を主体的に推進するとしております。そのために特別推進交付金、いわゆるソフト分の今年度並みの確保に加え、国直轄事業に係る財源も含め本県が要望している沖縄振興一括交付金3000億円の確保が必要不可欠であると考えております。
 そこで伺います。
 (1)、自立型経済の構築のためには新たなリーディング産業の創設が必要であり、空港・港湾の物流機能を生かした臨空・臨港型産業の集積が期待されるが、県の基本構想と取り組みについてお伺いします。
 (2)、2013年度の沖縄振興に関する予算について、県は、3000億円規模の予算額と沖縄振興交付金の所要額の確保を要請しているが、衆議院選挙との関連でその見通しを伺いたい。
 (3)、2014年4月からの消費税増税に関連し、自動車取得税と重量税の廃止を求める動きがあるが、全国知事会の反応と県の考え方を伺いたい。
 2、観光振興について。
 本県の観光は、東日本大震災の影響から脱し好調に推移してきており、特に沖縄訪問を条件とする数次ビザ導入後の中国観光客の増加は海外観光客の入域を大きく押し上げる効果を上げております。
 しかし、尖閣諸島をめぐる中国の対日批判が経済や民間交流等にも影響を及ぼし、本県への中国観光客のキャンセルが予想を上回り、その減少傾向は当面続くものと思われ、短期での解決は望めそうもない状況にあると思います。
 本県は、将来の1000万人観光の目標達成に向け、本年度は観光収入4700億円、入域観光客数を620万人、そのうち海外観光客数を45万人と見込んでおります。しかし、世界的金融危機や東日本大震災の発生、そして今回の尖閣諸島問題、観光は外的要因に左右されやすい側面があります。計画の目標達成が難しいこともあるかと思います。現に、平成19年から毎年作成している「ビジットおきなわ計画」は、その時々の何らかの外的要因も影響し、目標の数値はほとんど達成されていないのが現状であります。
 また、本県の観光は、リピーターや修学旅行が定着するなど国内観光客数は好調に推移しており、全体の9割を占めております。一方、ここ数年、東京や関西の都市圏からの観光客は減少している状況にあります。我が国の人口の圧倒的多数を占める都市圏からの観光客減少は大きな懸念要因であるばかりでなく、東京スカイツリーのオープンや新しい東京駅が開業したことでこれらの施設は連日観光客であふれており、さらなる沖縄離れが心配されるところであります。
 県においては、国内市場のさらなる開拓に向け戦略の強化が必要であり、そのためには航空機利用が不可欠な本県観光にとってネックと言われる航空運賃の割高感の解消が最も重要であります。加えて、毎年のように見られる台風による那覇空港等での観光客の足どめへの対応など、観光立県沖縄として真摯な対策が急がれます。
 そこで伺います。
 (1)、MICE誘致について、これまでの実績と今後の誘致目標について。また、MICEを受け入れる県内事業者の体制はどうなっているのかお伺いします。
 (2)、海外からの誘客を図るため、県内に進出している世界的なブランド力を持つホテルと連携し、ヨーロッパやアジアのマーケットの開拓につなげるべきだと考えるが、県の考え方を伺います。
 (3)、県が実施するスポーツ・ツーリズム戦略推進事業について、その事業内容と支援対象事業の効果等について伺いたい。
 3、土木建築関係について。
 本県建設業は、公共工事費の大幅な減少により受注の激減と受注競争の激化で経営環境が悪化し、厳しい状況にあります。これまで本県の建設業は、基幹産業として県内における雇用を支え県経済の牽引役としてその役割を果たしてきたが、中小零細企業が多い経営体質もあり、近年の急激な市場環境の変化についていけないのが現状であります。一方、公共投資の減少が続く中、建設業の数は設備投資がピークであった平成5年度に比べ、逆に増加し、ここ数年高水準で推移しており、建設業の過剰供給状況の改善が大きな課題となっております。このように収益が減少する中で、技術力の維持向上や、新たな分野への進出、企業の再編・合併など市場環境の変化に対応し建設業みずからの取り組みも進められております。本県は、4次にわたる振興計画により社会資本の整備は着実に進展しておりますが、離島県としての不利性の克服や産業振興は道半ばであります。また、陸上交通体系の整備や離島の振興、基地返還跡地の利用など残された課題解決のために今後とも積極的な社会資本の整備が必要であります。しかし、これらの大型公共工事について、本県建設業が本土の大手企業と競争するには一層の体力強化が求められる中、90%以上が中小零細経営で占める本県建設業の実態からは、自己努力にも限界があり、県による本格的な支援策が必要であります。
 このような状況にあって、本県建設業の将来像をどのように描くか、県政に課せられた課題も重いものがあります。これらを克服するためにも「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に基づく諸施策の確実な展開が待たれるところであります。
 そこで伺います。
 (1)、中南部圏西海岸の地域拠点や広域交通拠点として交通渋滞の緩和に資する沖縄西海岸道路の整備について、計画の概要と進捗状況について伺います。
 (2)、自転車道の整備や駐輪場の設置により、歩行者の安全確保や自転車走行空間の整備を図る必要があるが、県の取り組みについてお伺いします。
 (3)、県内建設業は、中小零細な企業が多くを占める上、建設投資額の減少、受注競争の激化など倒産・廃業が増加しており、新分野への進出や企業の再編統合が課題と言われている。県としてとり得る対策について伺いたい。
 4、教育・文化の振興について。
 情報通信の急速な発達・高度化によりグローバル化した国際社会における教育は、子供たちが社会の変化に的確に対応し、たくましく生きる力を身につけるよう時代に対応した教育環境を整備し、子供たちの柔軟な資質や能力を形成することにあります。そして教育は、大都市圏や地方といった地理的・地域的な要因や経済的貧富の差等で教育を受ける機会に格差が生じてはならず、全ての子供たちが平等に教育機会を享受すべきであります。
 全国学力テストの関連調査によりますと、保護者や世帯の年収が高いほど子供の学力が高いという結果が示されております。本県は全国に比較し所得が低い状況にあることを考えれば、家庭の経済格差によって子供たちの教育機会を損なうことがあってはならないと考えております。子供たちには、それぞれが持つ将来の希望や目標を目指せるように、社会全体で後押しできる教育環境の整備が必要であります。このため、近年急速に増加しつつある就学援助に対する支援や、各種奨学資金制度の拡充など経済的に就学が困難な子供たちへの支援体制を充実させることが重要であります。また、離島地域に住んでいることで高校へ進学するために要する経費等の負担増への対策や、児童生徒が遠征活動に参加する際の航空・船舶に要する移動費の負担を軽減する必要があります。
 このように、子供たちが社会で生き抜くための実践的な能力を育成するため、確かな学力、豊かな心、そして健やかな心身を育むなど教育環境の整備は我々大人の責務であります。県教育庁はさまざまな取り組みを進めているようでありますが、学校現場においては授業以外の日常的な業務が多忙で子供たちへの綿密な指導を行うための時間的、精神的ゆとりがないと訴える先生が多いようであります。確かに本県は共働きが多いことから家庭での学習時間が少ないことや、学校以外での課題も山積しておりますが、先生方が子供一人一人と向き合い、性格に応じたきめ細かい指導を行うことと同時に、子供たちが学校生活や授業に打ち込める環境をいかに醸成できるかが重要であると考えております。
 そこで伺います。
 (1)、本県は、小中全学年における少人数学級の導入・拡大を進めておりますけれども、現在の進捗状況と今後の推進計画について伺います。
 (2)、子供たちが将来に向けた職業観や勤労意欲を培うための職業教育について、関係機関との連携はどのように図られているか、取り組み状況について伺いたい。
 (3)、発達障害の児童に対する教育はより早期の支援が必要とされておりますけれども、障害のある児童の特性に応じた個別指導は教育現場において可能であるかどうかお伺いします。
 (4)、空手道会館(仮称)の建設について、建設計画の概要と建設場所等についてお伺いします。
 5、那覇空港滑走路の拡張整備について。
 本県における空の玄関口である那覇空港は、観光拠点のみならず県経済の発展を支える屋台骨的存在であり、アジアに近接する国際的観光地にふさわしい空港機能を整備することが求められております。このため、那覇空港を本県の国際的な物流拠点としての整備を進め、既に全日空が24時間稼働の那覇空港の利点を生かし、アジアへの物流貨物基地として活動を成功させております。また、宅配事業の代表格であるヤマトホールディングスも国際宅急便のほか、世界初のクール便の展開に向けた準備を進めているところであります。さらに、国内大手航空会社が出資した格安航空会社LCC2社が那覇空港へ乗り入れており、観光への波及効果が期待されております。しかし、現在の那覇空港は駐機スペースの確保やターミナルの位置など構造上の問題が指摘されるほか、航空機の年間離着陸回数は限界とも言われ14万回に近づいており、今後ふえ続ける観光客への対応など過密化の解消は喫緊の課題であります。
 一方、滑走路の拡張整備については、現在環境影響評価法に基づく一連の手続は進んでおりますが、総額約1900億円と言われる整備費をいかに確保するか大きなハードルに突き当たっております。県は、平成25年度で着工し5年間での完成を政府に要請していますが、我が自民党も関係省庁に対し、年間発着回数が既に処理能力の限界に近づいている状況から、平成25年度において予算確保を工夫し、早期完成に向け努力するよう求めております。平成24年度からスタートした沖縄振興特別措置法において国際物流拠点産業集積地域が特区として創設されており、我が国における那覇空港の位置づけはますます高まっております。東アジアに近接する地理的優位性を生かしていく上からも滑走路の拡張整備を急ぐ必要があります。
 ここで伺います。
 (1)、那覇空港滑走路の拡張整備に合わせ、国内線・国際線旅客ターミナルや航空機整備場、エプロン等那覇空港の総合的な整備計画について、完成時期を含め伺います。
 (2)、県は、那覇空港滑走路の拡張整備を平成25年度から5年間での供用開始を目指している。それに合わせた新国際線ターミナルの建設及び国内線ターミナルの増設等、新たな那覇空港の機能整備についてその取り組みを伺います。
 (3)、那覇空港と沖縄自動車道を連結する那覇空港自動車道の整備状況と供用開始時期についてお伺いします。
 6、産業廃棄物対策について。
 本県における公共関与産業廃棄物管理型最終処分場の建設について、県内3候補地を掲げ地元との調整を進めておりましたが、いずれも反対が強く難航しておりました。しかし、このたび名護市安和区に建設する方向で地元との調整が進められており、処分場建設は大きく前進しているようであります。県内の処分場である既存の3施設は残余年数が3年余となっていることもあり、猶予がない状況にあります。県においては、名護市安和区を初め、名護市に対し丁寧に説明し地域の意向を真摯に受けとめ、理解を得る努力が必要だと考えております。
 そこで伺います。
 (1)、本県における産業廃棄物最終処分場について、残余年数が3年余と言われるが、現在の状況を伺いたい。
 (2)、県は、最終処分場の建設候補地のうち名護市安和区に建設することを検討しているようだが、計画の概要、選定に至った理由と地元との調整状況を伺いたい。
 7、北部振興について。
 「沖縄21世紀ビジョン」の基本施策として情報通信関連産業の高度化・多様化に向け、人材の育成確保や情報通信基盤の整備などソフト・ハード、取り組まなければならない課題は山積していると思います。とりわけ名護市の金融業務特別地区をアジアにおける金融ビジネスの拠点形成プロジェクトに位置づけ、金融ビジネスの集積や金融特区投資環境のプロモーション及び金融人材育成など各種事業の実施計画が示されております。しかしながら、金融業務特別地区の推進については、平成10年に制度導入されて以来、沖縄振興特別措置法の目玉として期待されながら、特区制度に基づく認定企業の集積はなく、金融特区そのものが形骸化の様相を呈している状況にあります。政府は、金融特区への認定企業の誘致を進めるため、企業が常時雇用する従業員を20人から10人に減らすなど、一定の条件を緩和したものの誘致には至っておりません。企業にとっては利益を確保できる環境が整備されていなければ進出をためらうのは当然のことであります。このような中で県は、名護市と連携し進出企業が求める優遇措置や規制緩和について政府に対し粘り強く求めるなど支援措置を講じる必要があります。
 そこで伺います。
 (1)、名護市の金融特区で認定企業がふえない要因として何が考えられるのか。また、県や名護市が求めている金融特区規制緩和に対する政府の対応について伺いたい。
 (2)、北部地域の産業集積の活性化を目指す沖縄北部地域産業活性化協議会について、基本計画と国・県の支援体制についてお伺いします。
 (3)、プロの投資家向けの新興市場(TOKYO PRO Market)の上場審査等を行う「株式会社OKINAWA J-Adviser」が設立された狙いと、今後どのように生かしていくのかお伺いいたします。
 以上、よろしくお願いいたします。

 
20120802020220