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昭和51年(1976年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月30日
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議 事 の 概 要
昭和51年3月30日(火曜日)
午前0時16分開議
日程第1 公社における県出資金等の適正運用に関する決議
午前0時42分閉会
○議長(知花英夫君) ただいまから、本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
昨日、森田孟松君外10人から、議員提出議案第4号公社における県出資金等の適正運用に関する決議の提出がありました。
○議長(知花英夫君) 日程第1 議員提出議案第4号 公社における県出資金等の適正運用に関する決議を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
森田孟松君。
〔森田孟松君登壇〕
○森田孟松君 休憩をお願いいたします。
午前0時17分休憩
午前0時18分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
○森田孟松君 ただいま、議員提出議案第4号公社における県出資金等の適正運用に関する決議が議題に供されておりますが、本決議案は、去る昭和50年第7回議会の12月22日に設置されました県出資金等行政効果調査特別委員会の調査の結論を盛り込んだものでございますので、本決議案の趣旨説明に当たりましては、同特別委員会の調査の経緯、結果を報告することによって趣旨説明にかえられるかと存じますので、その報告をいたすことにいたします。
本委員会は、設置以来開会すること18回、その間本委員会に委任された地方自治法第100条に基づく調査権の行使を含む調査により、本委員会の調査事項とされた沖縄県土地開発公社が行った琉球大学医学部用地及び西原浄水場用地の取得について、沖縄県住宅供給公社の住宅建設計画及び豊見城村字高嶺ほか23件の土地の先行取得について、沖縄県観光開発公社が行った今帰仁村字今泊及び仲宗根の観光開発用地の取得並びに同公社及びリゾート開発公社の該用地の利用計画についての3事項に関し、鋭意その究明に当たってまいりました。
いま、これまでの委員会活動の概略について申し上げますと、まず1月14日及び16日に土木部、労働商工部の担当職員、土地開発公社、住宅供給公社、観光開発公社、リゾート開発公社の役員及び職員を招致し、各公社に対する県の出資金、県が行っている損失補償、債務保証対象融資金の使途状況、用地取得の経緯、県の公社に対する行政指導等について説明を受け、質疑を行いました。
次いで、2月9日、12日、14日及び19日の4日間にわたり、各公社の役員及び職員並びに執行部の担当職員を招致し、本委員会の調査事項に係る具体的な諸問題について質疑を行いました。
委員会は、以上6日間にわたる調査の中から、証人の証言を必要とする事項につき協議を行い、証人11名を喚問することに決しました。しかし、そのうち1人の証人が証言予定日の直前急死いたしましたので、実際に喚問した証人は10名であります。
証人の喚問は、2月25日に金城正吉、芳岡憲一、桑江常景の諸君、2月26日に新垣善幸、川村弘、大城盛保、奥浜真守、安里昌徳の諸君、3月26日に池原昌徳、安里長徳の諸君について行われましたが、これらの証人の職業あるいは身分は公社職員、不動産業、地主等で、いずれも本委員会の調査事項と直接関係のある者ばかりであります。
本委員会における調査の結果、各公社の運営につき指摘をしました問題点で、大きな事項は本決議案の別表に掲げたとおりでありますが、その他にも各公社においては、出資金あるいは損失補償、債務保証の対象となっております融資金の運用に付随して法律上、事務執行上問題があり、これらについても指摘がなされております。
いま、その主なものについて述べますと、土地開発公社において、1つ、土地売買に当たって、地主対業者、地主対公社間の二重の契約書が作成されている事実があるが、地主対業者間の売買契約は無効であるとされたこと。
2つ、代替地提供を条件として地主と業者が仮売買契約を締結した事案につき、その条件の履行がなされていないのにもかかわらず、公社がその確認を怠って移転登記をしたこと。
3つ、公社対地主間の売買契約書が今日に至るまで地主に渡されていないこと。
4つ、公社による嘱託登記の際、不動産登記法上定められた登記原因証書を添付していないことから疑惑を生む原因となるおそれがあるとされたこと。
5つ、公社と取引関係にある不動産業者が無免許業者であることが公社内部において指摘されながら、幹部職員がこのことを取り上げなかったこと。
6つ、取得予定用地の単価決定の決裁に当たり、当初決裁された単価の訂正が行われたが、当初決裁の書類が現存しないという文書処理事務上の問題があり、それがいわゆる業者の差額金との関係で疑惑を生じさせることになったこと。
7つ、売買契約書、委任状の地主の署名を地主の承諾なしに公社職員が署名したこと。
8つ、同公社職員で最高の地位にある参与の職務上の権限、職務内容などが例規上不備であることなどがあり、住宅供給公社関係においては、1つ、公社に土地を売った地主に対し、税制上の優遇措置について、公社が地主に適切な指導助言をしなかったため、租税特別措置法上の恩典を受けることができず課税された事例があることがあり、観光開発公社関係においては、1つ、土地代の30%の支払いをしておきながら、相続手続の困難、理由不明、抵当権設定がされていることなどを理由に、その後買収並びに移転登記の努力をせず、長期にわたり放置してある事例があることなどが挙げられます。
次に、昭和50年第5回議会の10月1日における小渡三郎君の代表質問中、「先ほど提示した大芳産業の開発部長、営業部長、総務部長御3名のメモには克明に記されておりますけれども、2000万円という裏工作資金、政治献金という言葉を使っております。これが使われているであろうということが克明に記されております以上、さもありなん、」云々のいわゆる政治献金問題でありますが、このことについても、本委員会で関係者にその証言を求めました。
まず、直接このメモと関係があります大芳産業の元開発部長桑江常景君は、小渡三郎委員の尋問に答えて、「いまでの金額に差はあれ810万円吉田に渡したと芳岡が言っているので、とうてい30万円ぐらいではないだろうと思っている。しかし、幾ら行ったか証言できない。」とし、また、瑞慶覧長方委員の尋問に、「芳岡は、2000万円は裏工作に使ったとはっきり言った。」、「芳岡は、政党にではなく裏工作として使ったと言っており、政治献金は否定されている。」、「2000万円が裏工作に使われたと、いまでも思っている。」などと答えております。
以上の証言から解明できることは、1つ、政治資金という言葉と裏工作資金という言葉がそれぞれ別の意味を持って使い分けられていること。
2つ、2000万円が使われたという事実関係については、桑江証人自身が何らかの方法で認知したということではなく、いずれも芳岡が言ったとしていること。
3つ、芳岡が言ったという内容も、裏工作資金として使われたということで、政治資金ではなかったという3点であります。
次に、大芳産業の代表者芳岡憲一君は、小渡三郎委員の尋問に、「裏工作または謝礼として2000万円公社側へ渡す話し合いが、私と吉田との間にあった。」とし、志村恵委員の尋問に対し、「810万円については、約9回に分けて吉田一善に渡したが、だれに持っていくかは言わなかった。」、「安田専務に渡したと思う。」、「吉田への謝礼金も含まれている。」と答え、上原亀一郎委員の尋問に対し、「政治献金はしていない。810万円は謝礼金として渡した。」と答え、上原委員の重ねての政治献金は事実無根かとの尋問に、「はい、そうです。」と、答えております。
以上の証言から解明できることは、1つ、この場合でも政治献金という言葉と謝礼金という言葉がそれぞれ別の意味を持って使い分けられていること。
2つ、政治献金というものは、なかったということ。
3つ、810万円の謝礼金はあったということ。そしてそれは、芳岡から吉田に渡されたという3点であります。
以上が、本委員会において調査しましたいわゆる政治献金問題の内容であります。
本決議の内容につきましては、特に説明をいたす必要はないかと存じますが、後段の議会との関係を含む公社行政の改善という点のうち、議会と公社との関係について一言御説明を申し上げます。
各種公社は、現在各都道府県においても年々増加の傾向にありますが、本県においてもしかりであります。
ところで、これら各種公社の事業は、形式的には地方公共団体の事務でないため、原則として地方議会の権限は直接に及びません。しかるに、これら公社と県との関係を見た場合、莫大な額の損失補償や債務保証を県でしているというのが各都道府県の実情であります。そして、万一公社の運営が危殆に瀕した場合、それによって生ずる負担は県民全体に及ぶことになります。
このような実態にかんがみ、全国都道府県議会議長会に設けられた議会制度調査会は、地方議会が、公社などの運営等について公社等の幹部職員を参考人として呼ぶことができることとするほか、一定の限度において必要な関与ができるように検討すべきであるとの意見を提出しております。
このことは、議会の権能である監督権、監視権が直接公社にも及ぶようにすべきであるとしているのであります。
本委員会も、今回の調査の結論を踏まえ、この議会制度調査会の意見に賛同し、知事においても、本問題を十分考究され、全国知事会等の場を通じて関係法令の改正等に努力されたいというのが、この後段にあります議会との関係を含む公社行政云々の議会と公社間の意味合いであります。
以上で、本委員会の調査結果を含む本決議の趣旨説明を終わりますが、調査を閉ずるに当たり希望いたしますことは、公社職員各位におかれても、今般の議会調査を契機に、公務員に準ずる身分にある者としてより一層県民への奉仕者であることを自覚され、公社運営に万全を期していただきたいと思うのであります。
なお、案文の朗読は省略いたしますので、よろしく御可決あらんことをお願いいたします。
○議長(知花英夫君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第4号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
よって、本案については、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
これより、議員提出議案第4号公社における県出資金等の適正運用に関する決議を採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(知花英夫君) ただいま可決されました議員提出議案第4号公社における県出資金等の適正運用に関する決議に関し、知事から発言を求められております。
よって、お諮りいたします。
この際、知事の発言を許可することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(知花英夫君) 御異議なしと認めます。
よって、知事の発言を許可することに決定いたします。
屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 今議会に提出いたしました議案について、慎重審議の上適切なる議決を賜りましたことに対し、心から感謝申し上げるとともに厚く御礼を申し上げます。
特に、公社関係の管理運営については、議会に特別委員会が設置され、調査審議を煩わすなど議員各位並びに県民に対し、御迷惑をおかけいたしましたことを申しわけなく思い、ここに深く遺憾の意を表します。
このことにつきましては、理事長、副理事長の監督不行き届きをみずから戒めるとともに、関係職員に対しても相当の行政処分をとり、さらに関係部局の指導監督の強化と公社運営の改善について指示してまいったところでありますが、なお、ただいま決議されました公社における県出資金等の適正運用に関する決議について、その趣旨を率直に受けとめ、再びかかることが起こらないよう公社関係の管理運営に一層気を配り、その改善に努める所存であります。
貴重な時間を拝借させていただきまして、ありがとうございました。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
以上をもって、本日の議事日程は、全部終了いたしました。
本日の会議を閉ずる前に、今会期における議会活動の概略を申し上げます。
今議会に知事から提出されました議案は60件で、その内訳は予算25件、条例18件、議決事件17件であります。
その処理結果は、可決58件、修正議決1件、否決1件であります。
次に、前会期から継続されました議案等について申し上げますと、知事提出の条例が2件、決算が13件で、その処理結果は、条例で原案可決1件、修正議決の1件となっており、決算は、いずれも認定されました。
議員提出議案について申し上げますと、4件が提出され、その全部が可決されました。
請願、陳情について申しますと、前会期からの継続は、請願1件、陳情49件で、また今会期で受理したのが請願2件、陳情147件、計199件となっております。
その処理結果は、採択135件、不採択8件、継続審議に付されたもの4件、審議未了52件となっております。
以上、今期定例会における議会活動の概略を報告いたしましたが、件名等詳細な事項につきましては、後ほど文書をもって御報告いたします。
本定例会は、今後臨時会が招集されない限り、実質的には私どもの任期中の最後の議会でございます。
私どもは、公選による第1回目の県議会議員として就任し、今日まで県民福祉の向上を図ることを議会活動の中心に置き、県政を軌道に乗せることに努め、また新制度に基づく民主的な議会運営の確立に尽力いたしてまいりました。
その間、試行錯誤もございましたが、これからの問題については、私どもの手によって一応のレールが敷かれたものと確信いたす次第であります。これもひとえに議員各位のたゆまざる御努力のたまものと信じ、議長として衷心より御礼を申し上げるものであります。
現任期の議員には、健康その他の理由により次期選挙における出馬を見送る方もおられると承っております。その方々におかれては、今後ともそれぞれの立場で、県民福祉の向上のために御奮闘をお願いいたすものであります。
また、出馬を予定されておられる方々におかれては、そろって再びこの場で相集うことができるよう祈念するものであります。
ここに、任期最後の定例会を閉ずるに当たり、議員各位の御健康と御多幸を心から念じまして議長としてのごあいさつといたしたいと存じます。
これをもちまして、昭和51年第1回沖縄県議会(定例会)を閉会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前0時42分散会
前発言
次発言
19760110000010