平成12年(2000年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月12日
農林水産部長(小那覇安優)
 

 本県畜産業の現状と課題についてお答えします。
 初めに、経営環境が厳しい中、畜産が順調に伸びてきた背景にはどのようなことが考えられるかという御質問にお答えします。
 本県の畜産が伸びてきた背景には、1つには、生産基盤の整備が進んだこと、2つ目には、ダニ撲滅や豚コレラ等の防疫・衛生体制が整備されたこと、3つ目には、優良種畜の作出・導入等家畜の改良が進んだこと、4つ目には、価格安定制度が整備されたことなどが挙げられます。
 次に、畜産粗生産額は農業粗生産額全体のどれぐらいのウエートを占めているか、それから畜産農家の戸数と飼養頭数について畜種別に説明していただきたいとの御質問は、関連しますので一括してお答えします。
 本県における平成11年の農業粗生産額は953億円、このうち畜産は358億円で、全体に占める割合は約38%となり最も高い地位にあります。
 畜種別の農家数と飼養頭数は、肉用牛が3494戸で8万897頭、乳用牛は153戸で8185頭、豚は511戸で30万3000頭、採卵鶏は541戸で155万3000羽、ブロイラーは21戸で79万3000羽となっております。
 次に、具志頭地区資源リサイクル畜産環境整備事業実施の背景と目的、事業化に向けての取り組み、事業の内容と計画概要、事業効果については関連しますので一括してお答えします。
 雄樋川流域においては、養豚、酪農、肉用牛及び養鶏農家など68戸の畜産農家が営農しております。
 一部の農家においては、家畜ふん尿の野積みや貯留槽の不適切な管理が見られ適切な対応が求められております。このため、具志頭村においては平成13年度から資源リサイクル畜産環境整備事業を実施する予定となっております。
 事業内容は、乳用牛700頭規模のふん尿が処理可能な乾燥・発酵施設及び製品調整施設などの共同堆肥化施設を整備する計画となっております。この堆肥化施設が完成しますと家畜ふん尿が適正に処理され、水質汚濁など畜産環境問題が大幅に改善されるものと考えております。
 また、良質な堆肥が地域の耕種農家に活用されることから、環境に優しい資源循環型農業の展開が期待されます。県としては、関係市町村と連携し畜産環境対策を強力に推進していく考えであります。
 次に、ふん尿処理施設の整備状況と今後の計画についてお答えします。
 平成11年11月から家畜排せつ物法が施行されております。
 法律の対象となる県内の畜産農家は2243戸あります。そのうち既に整備が完了している農家は622戸で、適正なふん尿処理施設の整備を要する農家は1621戸であります。県としては管理基準が適用される平成16年までには緊急を要する688戸を整備し、応急措置を講じて対処可能な933戸は平成20年までに整備する計画であります。
 整備資金の対応としては、資源リサイクル畜産環境整備事業などの国庫補助事業やリース事業、融資事業などの支援対策を活用していく考えであります。
 次に、家畜排せつ物法の趣旨に適合させるため県下各地の畜産環境の整備を進める必要があると思われるが、所見を聞きたいとの御質問にお答えします。
 家畜排せつ物法は、畜産業を営む者が遵守すべき管理基準を定めており、家畜ふん尿を適正に管理することが義務づけられております。このため県としては、沖縄県家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画に基づき家畜排せつ物法に適合するふん尿処理施設を計画的に整備していく考えであります。
 施設整備に当たっては、オガコ式豚舎や浄化処理施設、畜舎移転など地域や農家の実情に合わせて推進していきます。
 以上でございます。

 
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