昭和59年(1984年) 第 7回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月13日
第 4号 12月13日
 

議 事 の 概 要
       昭和59年12月13日(木曜日)
         午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第5号議案まで、乙第1号議案から乙第14号議案まで及び認定第1号から認定第13号まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 宮城 健一君(社会党)
    2 島袋 宗康君(社大党)
    3 友寄 信助君(社会党)
    4 宮城 清順君(公明党)
    5 石川   修君(社大党)
    6 本盛   茂君(社大党)
   午後2時57分散会

○議長(志村 恵君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第5号議案まで、乙第1号議案から乙第14号議案まで及び認定第1号から認定第13号までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 宮城健一君。
   〔宮城健一君登壇〕
○宮城健一君 おはようございます。
 通告に従いまして、知事並びに関係部長に質問を行います。
 名護学院理事長の汚職とその後の県の対応についてでありますが、社会福祉法人名護学院の磯斉志理事長の公金横領にまつわる問題であります。
 名護学院は、300名近くの人数を収容している本県の精薄関係の施設では大きな規模を持つ福祉施設であります。マスコミ情報やその他関係者の話からうかがえることは、磯理事長は、社会福祉の立ちおくれを解消するとのふれ込みで京都から本県に進出し、名護市から土地の提供を受けて名護学院を開設したのでありますが、設立当初から同理事長には黒いうわさがまつわりついておったということであります。すなわち磯理事長は、当初から福祉施設の経営者としてはふさわしくない人物であったわけであります。そしてとどのつまりは、県の補助金や父兄の寄附金の中から3000万円余の公金を横領して、県警から那覇地検へ書類送検されているのであります。
 本件については、福祉を食い物にする悪らつな行為として県民の間から強い糾弾の声が上がっていることは御承知のとおりであります。私がこの件で特に留意したいのは、福祉を食い物にした人物が依然として当該施設の経営の責任者として理事長のいすにそのまま居座っているという事実であります。常識的に見て、福祉を食い物にしたことが明るみに出て、警察当局の手入れを受けて書類送検までなされている。検察当局の結論はまだ出ていないものの、そのこととは別に当然社会的、道義的責任をとるべきであると思うのであります。また県当局としても強い指導をして責任の所在を明確にすべきであります。
 問題含みの理事長をそのまま放置しておいては法人の社会的信用を確立することはできないし、施設の機能を十分に発揮することができないと思うのであります。すなわち被害者は施設に収容されている精薄者の皆さんであります。国、県の措置費で賄われているこのような法人に対しては、県の強い指導監督を行わなければならないと思うのであります。この問題を重く見た県当局は、7月19日に名護学院改善検討特別委員会を生活福祉部の中に発足させて改善対策に乗り出しているのでありますが、既に半年が経過した今日、どのような改善がなされたか、また運営の責任を持つ理事会は正常に機能Lているかどうか大きな関心を持つものであります。
 そこで質問の第1点は、名護学院理事長の不祥事にかかわる書類送検後はどうなっているか、また今後の対策はどうなっているかお伺いいたします。
 第2点は、名護学院改善対策特別委員会のこれまでの活動の状況と改善の結果、今後の見通しなどについてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県職員の定員問題についてであります。
 今回は特に職業訓練学校の職員定員についてお尋ねをしたいと思います。
 まず浦添、具志川の両職業訓練学校の現状を挙げてみますと、訓練生365名を擁する浦添職業訓練学校については、職業訓練法施行規則第4条第3項による指導員の法定定数が37名に対し現在の入数は16名で充足率が43.2%であり、訓練生323名を擁する具志川訓練学校においては法定定数32名に対し現在16名で充足率50%と、両校ともに極めて低い率になっています。本土平均の74.6%の充足率と比べてみても非常に低い率で抑えられていることがわかるし、また本県内にある2カ所の国立高等職業訓練学校を見ると1カ所は80.7%の充足率、1カ所は122%の充足率となっており著しい隔たりがあるのであります。県は、この定員不足を臨時職員などで穴埋めしているようでありますが、決して事足りているのではないのであります。定員不足のためにかなりの問題点が指摘できるのであります。
 現場を調査してみての問題点を幾つか挙げてみると、1点目に安全面の問題であります。建設機械の運転、旋盤による作業等危険が多い中で30人クラスを非常勤職員を含めてせいぜい3人での訓練実習は安全確保に責任を持てる状況にないのでありまして、去年の7月、北谷の高等職業訓練学校で訓練中に洗車機による死亡事故が発生して担任指導員が業務上過失致死の刑事責任を追及されて裁判中であるが、仮にこのような事故が定数不足のために起こったとしたらだれが責任を負うのか極めて不安である。2点目に、指導員の増員があれば実習の能率が上がり、高度の訓練実習ができる。3点目に、職業訓練は技能を習得させることはもちろんであるが、他面、職業人としての人間形成を期するため生活指導にも力を入れなければならない。非常勤職員は時間給であるので授業時間以外に行われる生活指導等にはタッチできない。そのしわ寄せは当然指導員の肩にのしかかる。第4点に、知事の国際交流計画によってASEAN諸国から技術研修生の受け入れが59年度から始まっているが、その結果、指導員の負担はますます過重になっている。第5点目に、OA機器関連科やコンピューター関係科の新設は時代の要請となっている。また産業界の技術革新に対応して在職労働者の再訓練は急務となっているが、指導員不足では対応ができない等々であります。
 全国一の失業率にある本県の労働事情を見た場合、職業訓練は極めてニーズの高い分野であり、それを反映して訓練学校への応募者が定員の約2倍に達している実情にあります。
 また、7月17日に沖縄県地方職業安定審議会から知事に対して、特に、指導員の養成確保及び資質の向上等について本計画の中で措置する必要があると答申がなされています。
 以上の見地から、職業訓練学校の指導員の増員は極めて急務と考えるのであります。
 そこで質問の第1点は、このような職業訓練機関を県行政の中でどのように意義づけているかお伺いいたします。
 第2点目に、指導員の増員は不可欠の案件と思うが、その計画はどうなっているかお伺いいたします。
 次に、教育問題についてでありますが、軍拡、福祉、教育切り捨ての臨調行革のもたらす悪影響が地方自治体に財政的圧迫となって大きくのしかかってきていることは御案内のとおりでありますが、特に教育に関する問題で御見解を伺いたいと思います。
 まず、学校給食の問題についてであります。
 臨調行革審においては、学校給食の役割は既にその任務を終了した。今後は受益者負担が原則だ。学校給食の効率的運営のために給食センターの統合、大規模化と民間委託、給食関係労働者の非公務員化等々の提言をし、学校給食切り捨てを企図しているのであります。
 こうした状況の中で提出された今次文部省の学校給食関係の概算要求額は前年度に引き続き大幅に削減され、前年度比で9.8%の減額となっています。特に減額の中心が施設設備費の削減にあることから、今次概算要求の特徴は自校調理方式の否定、給食センターの統合、民間委託の方向を指向した要求となっています。このことは、これまで文部省自体が、給食は学校教育の一環だとしながらその推進を督励してきたにもかかわらず、今日ではみずからが臨調行革路線に迎合した学校給食切り捨て策を企図していると言わざるを得ないのであります。
 そこで質問の第1点は、学校給食は学校教育の中でどう位置づけているかお伺いいたします。
 第2点目に、文部省の学校給食に対する減額要求をどう受けとめ、どのような対策を講ずるつもりかお伺いいたします。
 次に、義務教育国庫負担金制度の見直しについてであります。
 昭和60年度予算案決定期を前にした11月10日、大蔵省は文部省所管の概算要求より1000億円程度を削減する方向を固め、義務教育費国庫負担制度に削減のメスを入れる方向を明らかにしています。その内容は、同制度の中より、学校事務職員及び学校栄養職員の人件費の2分の1国庫負担金を廃止するということを中心に、共済費、旅費、恩給費、教材費等の廃止と、地方交付税不交付団体については国庫負担金を10%削減するというものであります。この大蔵省案が具体化された場合、まさに義務教育制度の根幹を揺るがす大きな問題と思うし、その延長線上には義務教育費国庫負担制度上のすべての教職員の国庫負担率の削減に発展する可能性が十分考えられるわけであります。
 そのことは教育の民営化、公教育の抑制政策を推し進めるものであり、重大な問題であるとの認識を持つものであります。
 第1の問題点は、そもそも義務教育国庫負担金制度は同法の第1条に明記されているように、「義務教育について、義務教育無償の原則にのっとり、国民のすべてに対し、その妥当な規模と内容とを保障するため、国がその必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上を図ることを目的とする。」とあります。
要するに義務教育無償の原則に基づいて制定されたものであり、今日の地方自治が3割自治と言われるように地方団体間の財政格差が著しいときに同制度を見直すことは、その趣旨に反するものと思います。
 第2の問題点は、今回の大蔵省の方針は、学校教育現場に勤務する教職員のうち、学校事務職員と学校栄養職員を差別分断するものであり、学校教育現場における協力協同の教育体制を否定することにつながるものであります。
 御承知のように、学校現場は、校長、教頭、教員、養護教員、事務職員、栄養職員、司書、給食調理員等の多くの職種の教職員の協力によって成り立っているものであります。それゆえに学校で働くすべての職種の労働そのものが教育労働であり、その職種によって評価の差があってはならないと思うのであります。そのために学校事務職員や栄養職員は、教職員定数法に基づいて配置基準が決められているのであります。
 第3の問題点は、異常突出をしてGNPの1%枠突破も時間の問題と見られる防衛費等については聖域としてそのままにしておいて、教育費や福祉費等については国の負担を地方に転嫁するやり方は本末転倒と言わざるを得ません。国は、地方財政の自主的なかつ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性を損ない、または地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならないとする地方財政法の趣旨にももとるものであります。
 以上のように、今回の大蔵省による教育費削減の問題は、制度はそのままにして国庫負担を削るということであるので当然地方に負担を強いる結果になり、このことが具体化されると、特に自己財源に乏しく国の助成に大きく寄りかかっている本県にとって教育行政に大きな混乱をもたらすことは必至であり、どうしてもその企図を食いとめなければならないと思います。この問題は現在大蔵省と文部省の間で綱引きの段階にあると思いますが、決まってしまってからは遅いのであります。早急に国に対する強力な働きかけが肝要であると思います。
 そこで質問ですが、この大蔵省による義務教育費国庫負担制度の改悪をどう受けとめ、どのように対処していくか御見解を承りたいのであります。
 一応の質問を終わります。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 先般、名護学院の理事長が不祥事で書類送検されたことにつきましては、公共性の高い社会福祉法人の不祥事であり、社会福祉全体に対する県民の信頼を損ない、その社会的責任は大なるものがあることから極めて遺憾であります。
 書類送検後の経過と今後の対策につきましては、生活福祉部長から答弁させることにいたします。
 次、県職員の定員充足につきましては総務部長から答弁させることにいたします。次、職業訓練機関を県行政の中でどのように位置づけ、指導員の増員は不可欠の案件と思うが、計画はどうなっているかということにつきましては、商工労働部長から答弁させることにいたします。教育問題について学校給食についての御質問、また義務教育費国庫負担制度についての御質問に対しましてはそれぞれ教育長から答弁があると思います。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 宮城健一議員の御質問にお答えいたします。
 先ほど知事から申し上げましたけれども、私の方はその後のことについてお答えいたします。
 去る7月3日の書類送検後、県は、容疑内容の確認を行うとともに、検察庁に対しましては押収書類の閲覧を申し出るなどいち早く対応してきたところでありますが、当時、既に検察庁において本格的な取り調べがなされており関係書類を見ることができませんでした。現在、検察庁での取り調べが続いております。
 県といたしましては、この問題に対処するため生活福祉部内に名護学院改善対策検討委員会を設けまして善後策を検討、協議してきたところでございます。
 1番目に、まず不祥事の内容がどうなっているかについて調査、検討をいたしましたが、会計書類が押収され、事実確認ができないため、これまでの監査結果を踏まえながら県警捜査二課からの情報も得て、当法人の会計経理について強力に改善指導を行ってまいりました。2番目に、社会的責任をどうとらせるかについて検討をいたしました。理事長が送検された事実は社会的に見て大きな問題でありますので、理事長を含む全理事の社会的、道義的責任を明確にするよう強く指示したところ、当該法人から、二度とこのようなことがないよう、全理事が姿勢を正し責任の所在を明確にして所要の措置と対応策を講ずる旨の理事会決議書が提出されました。3番目に、当該社会福祉法人の施設の健全な運営をどう確保するかについて検討いたしましたが、入所者処遇に影響がないよう、県は再三職員を派遣いたしまして指導強化を図り、入所者の適正な処遇が確保されるように努めてまいりました。4番目に、当該法人の内部体制の強化についてでありますが、特に会計経理面における内部体制を強化するよう強く指導してきたところ、去る10月1日付をもって外部から専任の総務部長が就任しており会計経理面でのチェック機能が高められており、その適正な執行が図られつつあります。
 なお、今後の対応策といたしましては、1つ目に、健全な理事会運営の確保について引き続き強力な指導を続けていきます。2つ目に、特に経理の適正処理についてこれもまた指導を強めていく。3番目に、適当な時期に特別監査を実施してもう一遍経理面を洗うことにしております。
 なお、最終的にこの問題にどう決着をつけるかにつきましては、検察庁における取り調べ結果等を見た上で検討してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 宮城議員の御質問の中で県職員の定員の問題で特に職業訓練学校の御指摘がありましたが、2点についてお答えしたいと思います。
 まず1つの職業訓練機関を県行政の中でどのように意義づけられているか。このことでございますが、職業訓練は、職業に必要な能力を開発し向上させることが職業の安定並びに労働者の地位向上のために不可欠であるとともに、経済及び社会の発展の基礎をなすものであります。このことにかんがみまして労働者各人の希望、適性、職業経験等の条件に応じつつ雇用及び産業の動向、技術の進歩、産業構造の変動等に即応できるものであって、その職業生活の全期間を通じまして段階的かつ体系的に行われることを基本理念とし、本県における労働行政の重点施策の一つに位置づけてございます。したがって職業訓練行政においては今後の産業の動向、技術革新の進展、国際技術協力の要請等が進む中でその担い手となる質の高い労働力の確保を図るため職業訓練基本計画に基づきまして地域のニーズに対応した職業訓練計画を策定し、効果的な職業訓練を推進してまいりたいと考えております。
 2点目の指導員の増員は不可欠の案件と思うがということの御指摘でございますが、職業訓練指導員の配置は、労働省の基準では、おおむね訓練生10人に1人の割合で配置されることになっております。この基準によれば本県の59年度の訓練生定員が693人でございますので、約70人の指導員が配置される基準となるわけです。昭和59年度の指導員は正職員35人を配置し、残りは非常勤講師をもって訓練に当たっております。訓練の実施に当たりましては、特殊な科目や年間を通しまして持ち時間の少ない科目につきましては非常勤講師を充てておりますし、また全国的には御提言のありましたように70から75%程度の正職員の指導員を配置している状況でありますし、本県におきましても全国並みに達成するよう毎年指導員の充足を図ってまいりたいと考えております。
 今後とも、引き続き公共職業訓練機関の施設整備の充実強化並びにまた指導員の養成確保、資質の向上等に努めるとともに、御指摘の指導員の配置につきましては関係機関との調整を図りながら前向きに取り組んでいく所存であります。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) 宮城健一議員の教育問題についてお答えを申し上げます。
 まず第1点目は、学校給食を教育の中でどのように位置づけているかということ。それから2点目は、文部省は学校給食に対しまして減額要求をしているがどう受けとめているか、どのような対策を講じていくかということから御説明を申し上げます。
 学校給食は、御承知のとおり教育基本法、それから学校給食法を受けまして、教育課程の中に位置づけられまして学校教育活動の一環として実施をされてまいっております。指導要領には、特別教育活動の「学級指導」の内容の一つで「学校給食の指導」として位置づけられておるわけでございます。今後ともこのような考え方で本県の学校給食については指導をしてまいりたいとこのように考えております。
 また、御指摘のとおり学校給食につきましては文部省から大蔵省への要求は施設整備費で減額要求になっております。ところが本県における国庫の伴う主な給食関係予算、いわゆる給食の施設整備費でございますが、これにつきましては開発庁の一括計上となっております。したがいまして60年度につきましても本県の要求どおり大蔵省に対して開発庁から要求がなされております。今後は、その満額獲得に向けまして最大の努力を払いたいとこのように考えております。
 それからもう1点は、大蔵省による義務教育費国庫負担制度の改悪をどう受けとめ、どのように対処していくかということであります。
 義務教育費の国庫負担制度は、御指摘もございましたように教育の機会均等とその水準の維持向上を図ることを目的といたしまして昭和28年に実施されて以来今日まで31年間制度として深く定着をしてまいっております。今回の見直しの動きに対しましては、全国都道府県教育長協議会でもいち早くこれを取り上げまして、義務教育費は国の責任において行われるべきであると、地方財政を圧迫するような制度の見直しになってはならないというような協議をいたしまして国に強く要請をしてきたところであります。今後とも全国的な教育問題といたしまして都道府県教育長協議会等を通しまして対処をしてまいりたいとこのように考えております。
 なお、この件に関しましては御指摘もございましたが、文部省におきましてもこの問題を深刻に受けとめまして今大蔵省と盛んに折衝を続けているというふうに伺っております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 宮城健一君。
   〔宮城健一君登壇〕
○宮城健一君 答弁はおおむね了といたしますけれども、この名護学院の問題ですけれどもね、生活福祉部長、改善対策検討委員会を設けてもう半年間になるわけですね。その間に理事長に対しては皆さんは呼び出しての指導なり行ったと思うけれども、私が聞くところによると、本人はまだ1回も出てきていないというんですね、代理が来て。一体、こういったことで自分の社会的、道義的責任というのを本人が本当に感じているのかどうか非常に疑問を持つわけですよ。ここら辺のことをもう少し強く指導していいんじゃないかと。もちろん今いろいろ検討委員会でやった実績の報告はありましたけれども、改善されていきますというけれども、頭の理事長がこういった態度では、私はこれは福祉の責任者として非常に問題だと思いますよ。その辺のことをもう一度、この本人の態度等についてもここで言及できるだけは言っていただきたいとこういうふうに思うわけであります。そしてそれに対する強い指導もやっていただきたいと思います。
 それから職業訓練学校の定数の問題ですけれども、今、意義は十分認めると、前向きに検討するというお答えがありました、結構でありますが、具体的に何カ年かでどれぐらいふやしますということがあったらお知らせ願いたいとこういうふうに思います。
 以上です。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) ただいま御指摘のように理事長呼び出しについては本人が応じなかったという経緯もございますが、部としては、目下入所者の適正保護を確保すること、施設の運営が適正になされることを確保することを第一義的に考えております。引き続き、文書による回答は受けておりますけれども、そういう面の指導が落ち着き次第、また改めて本人も呼び出してお話をしてまいりたいと思っております。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 御質問のありました年次計画でどの程度の充足計画があるかにつきましては、60年度を基準に5カ年計画で一応計画をしてございます。ちなみに九州各県の平均値をとりますと77%となっておりますので、それに相応する計画を関係機関と調整の上取り込ん
でいきたいとかように計画を張りつけてあります。
 以上であります。
○宮城健一君 議長、ちょっと休憩してください。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前10時36分休憩
   午前10時37分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 本員は、さきに通告いたしました質問通告書に従いまして一般質問を行っていきたいと思います。
 まず、基地問題についてであります。
 去る11月30日に那覇防衛施設局長が記者会見で明らかにしました、米軍用地収用特措法に基づく那覇市を含む反戦地主約1200人の土地の再収用手続の開始に関連して、西銘知事の反戦平和に対する考え方をお聞きしておきたいと思います。
 西銘知事は選挙時の公約の中で、軍事基地の整理縮小を唱えられております。しかしながら沖縄の米軍基地は一向に減らず、相も変わらず米軍の専用施設は、狭い沖縄に実に全国の74%余の軍事基地が厳然として存在しているのであります。安保条約を認め軍事基地を認める立場に立って
も、現実は沖縄県民だけ大きな犠牲と差別を強いる国の施策であり、怒りをもって認識すべきだと考えます。
 軍事基地は、単に有事に際しての攻撃目標となるだけでなく、沖縄の健全な発展を阻害し、麻薬等の流出源となり県民生活を脅かし、青少年の健全育成の面からもその悪影響ははかり知れないものがあり、基地公害等々を考えると軍事基地は依然として諸悪の根源であります。
 この諸悪の根源たる軍事基地に自分の土地を提供することはできないとして、反戦地主の皆さんは経済的な損失を覚悟の上で契約拒否をしております。これに対して政府は、憲法違反の米軍用地収用特措法を持ち出し、反戦地主の土地の強制使用認定を行い、これを不服とする地主たちは裁判を起こして争っているのであります。特に那覇市は、この特措法をめぐって地方自治体としては全国でも初めて国を相手どり、訴訟を起こして争っているのであります。
 このような状況の中で、昭和62年5月14日で強制使用の期限が切れる反戦地主の土地を再収用するため、那覇防衛施設局では11月30日に再収用のための手続を開始したということであります。具体的に申し上げますと、米軍用地収用特措法に基づいて反戦地主の土地を強制的に軍用地として使っていくためには、土地の所有者または関係人の意見書を添付して内閣総理大臣に使用認定の申請をしなければならないので、その使用認定申請のための意見書の提出依頼を始めたということであります。
 そこで西銘知事は、軍事基地の整理縮小を公約としながら、むしろ安保、基地、自衛隊の強化を望んでいるのではないかと疑わざるを得ないのであります。軍事演習で大ぎな被害を出しても、知事みずから国や米軍に対して厳重な抗議を行い、演習の中止を求めたという話は聞いたことがないのであります。逆に米軍や自衛隊幹部を知事公舎に招いて激励パーティーを開いておる状況からいたしまして軍事基地の整理縮小どころか、軍事演習の被害から県民を守ることさえ不可能だと言わざるを得ません。来年は知事自身が米国に行き直接ペンタゴンに要請すると言っておられますが、県内で現実に起こっている軍事演習に対してさえ厳重に抗議し軍事演習の即時中止を求めない知事が、ペンタゴンに行って一体何を要請しどう話をつけてこられるのか。県民向けの単なるジェスチャーだけでなく、実のある行動を起こしていただきたいというのが本員を初め多くの県民の望んでいるところであります。
 そこで第1点の質問に入りますが、西銘知事は、那覇防衛施設局が11月30日記者会見で明らかにした反戦地主の土地の再収用手続の再開について、知事自身の軍事基地の整理縮小の政策との関連でどうお考えになっておられるか明確にしていただきたいと思うのであります。
 第2点目は、安保条約とその関連取り決め及び米軍用地収用特措法は明らかに憲法違反だと考えますが、そのような憲法違反の条約、取り決め、特別措置法によって県民の財産が不当にも強制使用され続けられようとしておる、この実態に対して西銘知事はどうお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
 3点目は、軍事基地は諸悪の根源であり、特に都市計画上や産業振興の上からも大きな障害となっていると思います。このことに対する知事の御所見を承っておきたいと思います。
 次は、国が進めている、国民を犠牲にした行政改革と財政問題について知事の御所見をお伺いしておきたいと思います。
 行政改革は、国の赤字財政が膨大なものとなり、現状のままでは国家財政が破綻しかねない、何らかの改革を行わなければならないというのが発端だと思います。昭和59年度現在で見ますと国の赤字財政は122兆円にも上っており、これを1億国民1人当たりの借金に直しますと単純平均にして12万2000円の借金をしていることになります。こうした財政状況が健全でないということはだれの目にも明らかであります。また現状を改革していかなければならないという認識も一致するところであります。問題はなぜこのような膨大な赤字財政が生まれたのか、その原因を突きとめ、これに対してどう対応しなければならないかが厳しく問われ反省もされるべきだと考えますが、残念なことにこのような論議が十分になされた形跡がございません。
 そこで強く指摘しておかなければならないことは、このような膨大な赤字財政を抱え込むようになった原因はすべて政府自民党の財政運営の失敗にあると考えております。憲法違反の自衛隊に多額の予算をつぎ込み、防衛費の超突出が国民的批判にさらされていることは周知のとおりであります。また石油ショックで大幅に財政が落ち込んだにもかかわらず大資本優位の行財政を続けたことに起因し、当然のことながら指弾されなければならないと考えます。
 この財政危機を乗り越えるため臨調路線を盾に、国民に対して自主自助の名目で多大な負担と犠牲を強要し続けています。防衛費を超突出させながら、教育、福祉、医療費を削り、さらに昭和60年度予算編成に向けて厚生省自体が国が負担すべき80%の措置費を72%に抑えて概算要求している実態であります。この福祉予算の措置費が仮に8%もカットされますと、沖縄県全体で31億2866万円のマイナスになると試算されております。地方自治体の補助金の一律カット問題も地方6団体の強い反対にもかかわらず現実化されようとしており、これが実施されますと想像のつかないマイナスとなります。
 そこで西銘知事にお尋ねしたいのであります。
 第1点は、現在の国家財政の破綻状況の原因はどこにあるとお考えなのか御所見を承りたいと思います。
 第2点目は、原因はどうあれ、政府自民党は今日の財政危機を国民や地方自治体の犠牲の上に立って克服しようとしているが、これについてどうお考えか明らかにしていただきたいと思います。
 第3点目に、福祉予算の措置費が削られ、地方自治体に対する補助金も一律カットされようとしております。地方自治を確立し、健全な地方財政を運営していくためにこのような方針は極めてゆゆしい問題だと考えます。高率補助の一律カットが実施された場合第2次振興開発計画に大きく影響し、また今後の県の財政運営にも支障を来すのではないかと懸念するものでありますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 また、地方自治を守る立場から見て、現在国が進めている行政改革に対して知事自身どうお考えなのか、その対処策について具体的かつ明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、県外派遣教員の旅費の問題についてお尋ねいたします。
 昭和53年6月17日、第84国会において、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律が成立し、その法律に基づいて兵庫教育大学、上越教育大学、鳴門教育大学の3つの教育大学が創設され、昭和55年、58年、59年からそれぞれ大学院生の受け入れが実施されております。
 同大学創設に当たっては、全国の国立大学教育学部や日本教育学会あるいは日教組などが反対声明を出すなどして根強く反対されたにもかかわらず、それを押し切って多数決で国会を通過させたといういわくづきの教育大学であります。
 大学院の目的は、初等教育の実践にかかわる総合的、専門的研究を通して、1つ、学校教育に関する理論と実践についての研究能力、2、教育の実践の場において教育研究の推進者となり得る能力、3つ目に、初等、中等教育教員としての高度の資質や力量の滴養を図るのが目的とされております。
 県教育委員会としても、県内の公立学校の教員を対象に現職のまま大学院生を募集し、合格した者を毎年二、三人派遣しております。既に兵庫教育大学院で2カ年間の研修を終え卒業した者が4人で、教育現場や教育行政機関で活躍していると聞いております。現在の派遣教員は兵庫教育大学院に1年生2人、2年生1人、上越大学1人、計4人となっております。
 この派遣教員の旅費の取り扱いについては、昭和54年6月28日付の文初地第252号文部省初等中等教育局長名通知により、各都道府県教育委員会教育長あてに、大学院への派遣は市町村教育委員会の出張命令による職務としての研修として取り扱うものという要綱に基づいて派遣されております。
 また、昭和58年5月14日付の県教育長の派遣要綱の中にも、院生の派遣期間中は出張命令を受けた職務としての研修とするとはっきり明示されております。しかし昭和58年4月から派遣され現在入学している3人の院生については従来の旅費の支給と異なり、片手落ちと思われるような支給であるため額が少なく、日常生活に非常に困っているというのであります。
 大学院は、研究テーマに従って修士論文が義務づけられ、研究のために専門科目のテキストや参考書の購入、資料収集のための実地調査等が不可欠で多額の費用がかかると言われております。県の行政措置による研修費では研修の実を上げることができず、生活費の圧迫を余儀なくされている実情にあり、これから修士論文作成に当たっても多額の研修費がかかることが予想され、非常に不安であると訴えているのであります。
 そこで具体的に質問に入りますが、まず1点目は、この種の派遣旅費については、沖縄県職員の旅費に関する条例第25条第1項第2号に基づき、沖縄県教育委員会の所管に属する職員の日額旅費支給規程、別表2の2によって日額旅費4200円と定められています。従来の派遣教員はその規程に基づいて日額4200円が支給されているのに対し、昭和58年4月から派遣された院生についてはこの日額旅費が全く支給されてない。本員は条例に基づいて当然支給されるべきだと考えますが、どうお考えなのかお尋ねいたします。
 第2点目は、派遣された院生の校納金、すなわち入学料、授業料、諸会費が39万6000円が個人負担で既に支出されている。そのうち少なくとも入学料12万円、授業料前期、後期合わせて23万4000円、合計35万4000円については県が負担すべき性格のものであると考えます。それについてどうお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
 御答弁に時間がありましたら再質問をいたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 島袋議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 土地等の使用等に関する特別措置法に基づいて国から使用認定するに当たっての意見照会がありますが、このことは新たな施設区域としての提供ではなく引き続き継続して使用するものでありますが、その使用に当たっては、関係機関及び地主と十分協議するなど適正な手続によってその使用が図られることが望ましいと考えております。
 来年6月訪米の目的についてお答えいたします。
 現在、具体的な要請事項について検討を進めているところでありますが、米軍基地の整理縮小等の高度な政治的判断を要する問題等について米国政府に対し本県の基地問題の実情を訴えるとともに、率直な意見を交換し善処方を要望したいと考えております。
 次に、米軍基地が産業振興の上で、また都市計画の上で大きな障害となっていることについての知事所見でございますが、お答えいたします。
 県としては、日米両政府間で返還合意があった施設区域についてその早期返還を要請しているところであります。なお、地域振興開発の上で必要な施設区域につきましては、関係市町村とも協議の上引き続き返還要請をしてまいりたいと思います。
 次、行革と財政問題についてお答えいたします。
 まず、赤字国債を抱えておるのでございますが、この多額の赤字国債を抱えるに至った要因についてお答えいたします。
 国は、昭和50年度以降の大量の公債発行によりまして、国債残高は59年度末で約120兆円に達する見込みであると言われております。国債費は59年度予算において一般会計予算総額の18.1%を占め、財政硬直化の大きな要因となっております。このような多額の国債残高を抱えるに至った要因について、臨時行財政調査会の第1次答申では、昭和48年の石油危機に伴う大幅な物価及び賃金の上昇のもとで、当時ようやく制度的な整備が進められつつありました社会保障、文教関係費が大きな支出拡大要因となり、さらには51年度以降は沈滞した民間経済活動を補いまして、何としても日本経済を安定成長の軌道に乗せなければならないということで公共事業費等の大幅な増額が図られたことは御案内のとおりであります。これらの支出の拡大が特に赤字公債の増発を伴って行われたために、それはまた公債費の増加となってその後の財政危機を招く要因となったのであります。最近の財政赤字の拡大は、48年以降の我が国の社会的、経済的変化のもとで不可避的にやむを得ず生じたものと考えられる一面もあります。しかしそれと同時に、高度成長期に拡大した行政の範囲が見直されないままに現在に至っておりまして、これが惰性的な支出拡大の大きな要因となっていることは見逃せない事実であります。
 次、財政問題と関連いたしまして、行政改革の名のもとに福祉予算が削られるが、これについて知事はどう考えるかということでございますが、お答えいたします。
 今日、行政の果たすべき役割は、住民福祉の充実や社会的公正の確保などさまざまな分野で増大いたしておることは御案内のとおりであります。一方、時代の要請に適合しない制度や施策について抜本的な見直しを行いまして、簡素でしかも効率的な行政の実現を図る観点からして行政改革は強力に推進されなければならないと考えております。したがいまして行政改革を進めるに当たっては、国と地方の機能分担について積極的に見直しを行い、住民に身近な行政につきましては地方公共団体においてこれを行うということを基本として事務と財源の配分を行うことが適切であると考えております。そのような観点から地方に対する権限の委譲、国の出先機関の整理統合、国庫補助金制度の合理化等については地方公共団体に新たな義務を課したり、または財政負担の増加等をもたらすような施策は一切行わないように九州知事会並びに全国知事会等を通じて強く要望いたしておるところであります。
 次、補助金カット等によって地方財政は破綻に瀕しておるが、知事は地方自治を守る立場からこれにどう対処するのかという御質問に対しましてお答えいたします。
 御案内のとおり、国は60年度予算編成に当たりまして国庫補助負担率の一律引き下げを検討いたしているところであります。国庫補助負担率の引き下げが実施されますと、60年度以降の財政運営は極めて厳しい事態になることが予測されます。このような国庫補助負担率の一律引き下げにつきましては、地方6団体で構成いたしております地方自治確立対策協議会におきましても、去る10月31日に国庫補助負担率引き下げによる地方負担転嫁反対に関する決議が採択され、国に対しまして要請してきているところであります。県といたしましては、今後とも国の動向に注視しながら県議会初め県下市町村、関係団体と一体となって強い姿勢で対処する決意であります。
 次、教育問題についての御質問がございましたが、教育長から答弁があるものと思います。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) 島袋議員の県外派遣研究教員の旅費等についての御質問がございましたので、御答弁を申し上げます。
 まず最初に、大学院大学に派遣されている職員の日額旅費の支給がなされておらないということでの御質問でございます。2番目は、授業料等入学金を個人負担させているのは問題があるじゃないかという御指摘でございます。
 県外派遣職員の研修のあり方につきましては、これまでも鋭意努力をしているところでございます。研修活動の効果の面からも安心して研修が行われるように適切な策を講じてまいらなければいかぬというふうに考えております。
 御指摘の日額旅費につきましては1年次と2年次の間に派遣要綱等の改正等がございまして格差があることは事実であります。しかし当人方もこの点については十分了知をして派遣はされておるわけでありますが、いずれにいたしましてもこの1年と2年の間に格差があるわけです。このことは必ずしも適当でないと思いますので、次年度は予算の範囲内でこの改善を図ってまいりたいとこのように考えております。
 それから授業料等入学金についてはこれは現在まで個人負担をしているようですが、これは必ずしも適当でないんじゃないかと思いますので、これについても引き続き検討して善処していきたいとこのように考えております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 島袋宗康君。
   〔島袋宗康君登壇〕
○島袋宗康君 国の補助金カットについて、地方の市町村とも強い姿勢で対処していくというふうなことでございますけれども、市分について全体で31億2866万6000円でありますけれども、市分だけでも17億1135万円というような多額の補助率カットになりますから、これはやはり市町村との話を十分なされてどう対処していくのかというふうなことをどのような形で進められてきているのか、その辺をひとつお伺いしておきたいと思います。
 それから今教育長から前向きに日額旅費については検討したいというふうなことでありますけれども、これは現実に問題がありますから、ぜひ今年度も遡及でもしていただきたいというふうなことでありますけれども、ぜひ次年度から、これは毎年派遣されるわけですから、問題の起こらないように十分な措置をしていただきたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治看) 再質問にお答えいたします。
 補助負担率の引き下げによって本県に与える影響額について御参考までに申し上げますというと、これは一応の試算でございますが、県分で12億3200万円、市分で17億1200万円、町村分で1億8500万円、計31億2900万円の見込みとなっているわけであります。
 今、一律国庫補助負担率の引き下げということで一番心配をいたしておることは、その中で大蔵省はこの補助率の一律カットについては聖域を設けないと。ということは沖縄県も対象になるということであります。したがいまして私が一番心配をいたしておりますのは、この聖域を設けない一律カットの中で沖縄の地域特例、いわゆる高率補助負担率を現行のまま維持できるかどうかこれは大変心配されている向きがございます。そういうことで関係団体を初め県下各市町村長さんたちの協力も得まして、また皆さん方の協力も得て何としてもこの地域特例だけは存続できるように懸命の努力を傾注していかなければならないと。そういう向きを一番心配しているわけでございまするし、市分だけの確保の問題ではございません。沖縄全体の問題といたしまして大変重要な問題でございまするし……。この間、河本長官が見えたときも14項目にわたる要請事項をお願いしたわけでございますが、特に長官にお願いいたしたことは、最後に何としても沖縄の地域特例、高率補助については、これをぜひひとつ存続できるように特段の御配慮をお願いするということで申し上げているところでございます。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時7分休憩
   午前11時8分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、さきに通告しました質問事項の一部を省略いたしましてお尋ねをいたします。
 まず最初に、米軍用地特措法による強制使用についてであります。
 那覇防衛施設局の弘法堂局長は、11月30日の記者会見で、米軍用地特措法で使用している軍用地で、62年5月15日以降も引き続き駐留軍に提供する必要のあるものについて、再び同法によって使用権限を取得するため未契約土地所有者に対し同日付で意見照会文書を郵送したことを明らかにした。このことは、政府が再び憲法違反の米軍用地特措法で不法、不当にも未契約地主の土地を強制的に取り上げるために手続を進めようとするものであります。
 政府は、法律に基づいた合法的手続という外観をとりながらも、強制使用は多くの点で異常であり、憲法で保障された個人の財産権を侵害する何物でもありません。土地所有者が、みずからの土地を使用したり処分したりすることの自由は財産権の不可侵性として憲法29条にうたわれておりますが、沖縄の未契約地主は復帰前後を通じて一貫してこの権利を奪われ続けてきた。戦後は、米軍の強権的な土地接収によって、復帰の際には公用地法の制定によって、そして1972年5月の同法の延長、そして1982年の米軍用地特措法の適用によって国家権力の強権発動による収用は今回も含めると5回目に及ぶことになり、これだけ長期にわたって土地を強制使用し続けるということは他に例がないということであります。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 個人の財産を権力で強奪することは憲法で保障された財産権の侵害であり、まさに不法、不当な措置であります。土地の使用はあくまでも公共のためであり、また土地収用法第20条に基づいて県の段階では知事が事業認定することになっているが、その場合、適用かつ合理的な利用に寄与するものであるかどうかがその根拠になっており、米軍や自衛隊に土地を提供することが公共のためでないことは憲法上明らかであります。知事は先ほどの答弁でも、特措法による収用は新たな接収ではないので適正な手続と話し合いが望ましいと述べておりますが、未契約地主が反対しているものを強制的に取り上げることが果たして適正な措置と言えるのかどうか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 また政府は、62年5月14日の期限切れに向けて、従来より1年も早く土地強制使用の準備を進めていることはまさに異常なやり方であり、県知事選や62年海邦国体の天皇訪沖という政治日程をも意識した準備だと言われておりますが、知事はこのことをどう受けとめておられるか。さらにこの手続を進めるに当たって県にも事前に協議等があったと思うがどうかお聞きしたいと思います。
 次に、県の土地取得問題についてであります。
 まず最初に、去る9月の定例県議会以来、県民の強い関心を集めております北谷浄水場の土地取得をめぐる問題についてであります。
 11月の新聞によると、政府機関の無駄使い171億円、という見出しで、不当な支出がなされていたことが58年度決算の会計検査の結果判明したことが報道されております。
 今回の北谷浄水場の土地取得をめぐる問題は、まさにこれに似たように県が10万平方メートルという膨大な土地を取得するに当たって不当に高く土地を買い入れ、県民に大きな損害を与えたという疑惑、すなわちその不当性が指摘されているのであります。
 その問題の第1点目は、位置の選定で技術的、経済的評価で一番条件の悪い場所を決定したということであります。2点目には、土地を取得するに当たっての鑑定評価と取得価格の問題です。3点目には、国土利用計画法や関係通達がないがしろにされてきたことでありますが、まず、この問題の焦点になっております鑑定評価と土地取得価格の問題ですが、県の依頼した鑑定評価の結果は、宮城1の38番地で1平方メートル当たり2万2600円、宮城1の27番地で2万2000円。これに対して会社側の鑑定評価結果は、1の38番地で1平方メートル当たり2万5600円、1の27番地で2万4300円とかなり高い開きがあるのであります。企業局依頼の鑑定評価の総額は21億5300万円余で、ツクモ産商の鑑定評価の総額は24億7800万円と3億円余も高くなっているのであります。
 また、おかしいことに、企業局依頼の鑑定評価の実施した日付が昭和57年8月31日であるのに対して、ツクモ産商の調査日は57年2月17日付と6カ月半も前に鑑定評価されたもので、しかも評価価格が3億円も高いとは常識的に見てもおかしなことで、ここに鑑定評価が意図的に操作されたのではないかという疑惑が持たれたのであります。このように評価時点がかけ離れたやり方は全く合理性を欠くもので正常な鑑定評価とは言えないのであります。
 そこで企業局長にお尋ねしますが、なぜこのような不合理な鑑定評価の仕方をしたのか。また余りにもツクモ産商側の鑑定評価額は高く妥当性を欠くものではないのか。
 2点目には、国土利用計画法に基づく届け出による価格との相違であります。
 ツクモ産商は、国土利用計画法に基づいて、最初は56年10月22日に1平方メートル当たり1万3600円、総額13億2508万8000円で価格が届けられているのであります。ところがツクモ産商は56年12月3日に変更届を出しており、1平方メートル当たり2万3600円、総額22億4095万9000円として評価しており、わずか2カ月余で倍近くも価格がはね上がっているのであり、全く恐るべきことであります。
 さらに問題なのは、57年2月23日、いわゆる2カ月後に企業局に提出した鑑定評価では、さきにも指摘しましたように実に24億78万円余にもなっており、また価格がはね上がっているのであります。なぜ実際に土地取引がなされないのにこのようにころころ価格が引き上げられるのか、実
に不思議なことであります。県は、一体、この猫の目のように変わる価格変動をどう説明するのか、明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
 3点目には、価格決定の問題であります。
 県は、取得価格の決定は、企業局側の鑑定評価額の1平方メートル当たり2万1582円とツクモ産商側のとった鑑定評価額2万4730円の平均をとって1平方メートル当たり2万3156円で価格を決定したと、いわゆる企業局の鑑定評価より高い価格を採用したとのことであります。6カ月前の鑑定評価をもとになぜ22億7000万円という高い価格で買い入れなければならなかったのか。
 ちなみに県土建部から提出してもらった県営砂辺団地、浦添市街地住宅など7つの県営団地の土地取得の資料によると、2カ所は鑑定評価と取得価格は同額だが、残りは県の取得価格の方が下回っており、県の鑑定評価額より上回って取得したのはないのであります。これは当然のことだと思います。それなのになぜひとり北谷浄水場の土地取得に限って県の鑑定評価額よりも高い価格で買い入れたのか。県は、加重平均を採用したと説明しておりますが、他の部局ではそのようなやり方はしていないし、また専門家の不動産業者から聞いてもあり得ないとのことであります。まさに異常な土地価格の決定だと言わざるを得ないのであります。
 そこで企業局長にお尋ねします。
 なぜこのような常識では考えられない県の鑑定評価額より高い価格で購入したのか。また他の部局と異なった価格決定の方法を取り入れたのか、明確に御説明を願いたいと思うのであります。
 また知事は、これらの疑惑指摘に対して土地取得は適法になされていると強弁しておりますが、ツクモ産商は違法な届けをしていることが明らかになっております。すなわち国土利用計画法に基づいて土地の高騰や不当な取引防止のため土地の売買契約は県に届け出後6週間後でないとできないことになっているが、56年10月22日の届け出前にツクモと足立の取引がなされているのであります。県がこうした土地転がし業者と土地を取得することは適法になされたとは言えないと思うのです。知事の御所見を願いたいと思います。
 また、北谷浄水場の土地取得をめぐってこれまで幾多の問題と不当性、疑惑が指摘され、さらに知事に対する疑惑さえも持たれておりますが、これについて知事はどう受けとめておられるか、そしてどう対処されるお考えかお聞きしたいと思います。
 次に、代表監査委員にお尋ねをいたします。
 住民からの監査請求については、まだ監査委員の合議が整っていないため受理されていないとのことであるが、監査委員の制度、機能からして、合議が整わないから受理するかどうかは決められないというのはおかしなことではないかと思うのであります。監査委員というのはそれぞれ個々が独立した権能を持っており、委員会は全会一致制でないはずであり、住民から監査請求が出され、一定の合理的理由があればこれを受理するのは当然ではないかと思います。これ以上引き延ばすことはできないと思うが、代表監査委員の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、県土建部の土地取得について土建部長にお尋ねをいたします。
 公共団体の土地の確保は公共事業の根幹をなすもので、本県の振興開発を推進する上で大きなウエートを占めております。土木建築部の資料によりますと、復帰の時点で公共用地の取得は面積で21万3656平万メートル、金額にして13億8700万円から年々増加し、57年の合計では985万8352
平方メートルで、金額にして904億42万8000円と膨大な土地を取得しているのであります。そしてそのかなりの部分が県営住宅用地となっているのであります。
 そこで土地取得するに当たっての基本的な点をお聞きしますが、土木建築部としてはどのような方針で、またどのような点に留意し土地の取得に当たっているのか。住宅供給公社、土地開発公社とはどのような調整、手続を得て土地を確保しているのか御説明を願いたい。
 2点目には、土木建築部は県営住宅建設のため多くの公共用地を取得してきておりますが、私の調査によりますと幾つかの問題があるのであります。時間がないのでここでは基本的な点だけお聞ぎをいたします。
 さきにも指摘しましたように、県の取得価格は鑑定評価額よりも低いのが正常な取引だと思います。ところが経塚市街地住宅用地は鑑定評価10万7000円、平米当たりに対して、取得価格も同じく10万7000円、平米当たりとなっており、また糸満市西崎第二団地も鑑定評価額2万6800円に対し取得価格が同じく2万6800円となっておりますが、不動産専門の方に聞いてもこのようなことはあり得ないとのことですが、なぜそのようになったのか明確な御説明を願いたいと思うのであります。
 最後に、新石垣空港の建設問題についてであります。
 県は、地元白保住民の反対を押し切って来年1月の埋立認可申請に向けて準備を進めております。しかもその過程において地域住民の生活に影響する環境影響調査等必要な資料についても、一部を除いては地域住民に明らかにしようとせず、むしろ反対住民に対しては県警機動隊を導入するなど強行に白保の海域調査をするなど強権的な姿勢で空港建設を推し進めているのであります。これでは地域住民のコンセンサスを得るどころか、一層の反発を強める結果となっているのであります。
 知事は、昨日の本会議の答弁で、66の経済団体や1市2町の新空港建設促進の要請等があって進めていると述べておりますが、肝心な地元白保住民の理解と協力が得られないでどうして建設が促進できるのであろうか。県の強行な姿勢でむしろ反対運動は大きく高まっているのが現状ではないかと思うのであります。地域住民のコンセンサスを得ないまま建設を進めることは将来に禍根を残すことになる。県は、来年1月をめどに埋立認可申請を進めておりますが、これは拙速過ぎるのではないか。これを取り下げて地域住民とじっくり話し合いをする考えはないのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 2点目には、空港建設の根拠となっている利用客や航空貨物の需要量の増大とその見通しや島内産業と新空港がどのような面で結びつくのか全く県民の前に明らかにされておりません。したがって新空港による航空機の大型化に伴う貨物需要量、生産物の種目の見通しと空港建設と地域経済効果についてどのようにとらえているのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 また、知事は白保の反対住民の代表との会見を避けているが、むしろ積極的に会い、大胆に胸襟を開いて話し合う考えはないのかどうか知事の御所見をお聞きしたいと思います。
 以上、答弁によって再質問をしたいと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 米軍用地特措法についての御質問に対しましてお答えいたします。
 土地等の使用等に関する特別措置法に基づき国から使用認定するに当たっての意見照会がありますが、このことは新たな施設区域としての提供ではなく、引き続き継続して使用するものであります。その使用に当たっては、関係機関及び地主と十分協議するなど適正な手続によってその使用が図られることが望ましいと考えております。
 これは知事選挙や62年海邦国体に向けた措置ではないかという御指摘がございましたが、この施設区域を米軍へ提供する業務は国の業務でございまして、そのことについては全然関知をいたしておりません。したがって事前に協議を受けたことも全くございません。
 次、土地の取得について、特に北谷浄水場の土地取得について御質問がございましたが、それぞれ所管の部局長から答弁させることにいたします。
 一連の土地取得問題について知事はどう考えるかということでございますが、地方公営企業の業務の執行に関しましては地方公営企業法によって予算の調製とか、議案の提出とか、決算の審査及び議会の認定に付する事項等を除きましてこれはすべて企業管理者の専権の事項となっております。御質問の件につきましては、これまで企業局長から説明がなされたとおり用地取得に当たっては適法に行われており、言われるような不当違法はなかったと確信いたしております。
 次、石垣空港建設問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 石垣新空港の建設は、地元1市2町、その他諸団体等からの強い要請もあって計画され、第1次振興開発計画、また第2次振興開発計画におきましても位置づけられたプロジェクトであります。沖縄本島、宮古島とも均衡のとれた振興開発を図る上からぜひやり遂げなければならない必要な事業であるため、計画どおり推進していく所存であります。
 航空貨物の需要予測について御参考までに申し上げますというと、昭和58年度における航空貨物の実績は約4833トンで、移入が約1768トン、全体の37%を占めておりまして、移出が約3065トン、全体の63%を占めております。この移出の約3065トンのうち水産物は約1914トンでございまして、農産物は約1151トンとなっており、移出品目としてはウナギ、スッポン、マグロ等の魚貝類及び里芋、オクラ、スイートコーン等の野菜類が主なものであります。65年度の予測値は1万1800トンを昭和58年度の実績を踏まえて内訳いたしますというと移入が約4366トンで、移出が約7434トンとなっております。
 経済効果について申し上げますというと、新石垣空港は地域産業の振興、住民生活の向上及び観光振興の上からも不可欠なものと考えております。現在就航いたしておるB737型機は、現空港の滑走路が所要の延長を有しないため気象条件が悪い場合は貨物を制限しているような現状でございます。また魚類、野菜等生鮮品の移出時間は生産及びマーケットの関係からいたしまして早朝もしくは夕刻の便に集中するのが通例となっております。B737型機の貨物積載容量では農水産物の移出に安定した対応ができないという現状であります。ところで新空港が完成しますと中型ジェット機、エアバス機の就航が可能となり、農水産物等生鮮食料品の移出に十分対応することが可能であるとともに、一般客及び観光客等の増加に対しても十分対応することができるのであります。それによって八重山圏域の産業振興に寄与するものが大きいと評価をいたしております。
 最後に、地域住民との話し合いについてでございますが、新空港建設に当たり、県は、54年から今日まで数多く地元反対住民との話し合いをすべく試みてきたことは御案内のとおりであります。白紙撤回を主張し、いまだに十分話し合いができない状況にありますことは御案内のとおりであります。しかしながら当面、事務当局においては地元石垣市の協力を得ながら地元の反対住民たちと話し合える場をつくり、対話を進めさせていきたいと考えておるところであります。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
   〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) 北谷浄水場問題についてお答えいたします。
 第1点は、なぜ不合理な鑑定をしたのかという趣旨の質問でございますが、企業局の公共用地取得につきましては県の補償基準を準用することになっておりまして、その基準に従いまして鑑定を依頼しております。
 その鑑定につきまして、この300平米の画地を設定してやったことは宅地評価ということで高くなったんじゃないかということが従来から指摘されておりますが、これは繰り返し申し上げておりますとおり6通りの面大地の追加評価をしておりまして、合わせて10通りの鑑定が出てきております。その鑑定評価報告書にはこの10通りの成果が出ておりますので、その中から採用したのはこの面大地の一筆全面積評価を採用したわけでございます。この不動産鑑定の基準によりますと、不動産鑑定評価が不当かどうかということにつきましては、同一の対象物件についての評価額はどの鑑定士が行っても一致することが理想であると。しかし鑑定はこれを行う者の判断を必要とする部面がかなりあるので、同一対象物件に対する評価額は複数の者が行った場合には必ずしも一致するものではなく、現実には多かれ少なかれ当事者の主観的判断を反映して開きがあることは事実であると。現実は一般に鑑定士が専門職業家としての良心に基づき誠実に不動産の鑑定を行っても、なお生ずべき評価額の開き程度の誤差は、不当な鑑定、不合理な鑑定ということで論ずべきではないということになっておりますので、鑑定をする人によって若干の開きが出ることはこれはこの解説等でもそういうことが認められております。
 それから第2点目、売り手側の価格鑑定がぐるぐる変わっているかどうかということでございますが、企業局がこの売り手側の鑑定価格がわかりましたのは、用地交渉の段階で相手側から取得価格の提示があり、その時点で相手側鑑定評価額が2万4300円であるということがわかったわけでございます。当時の取引価格が先ほどの国土利用計画法の届け出で平米当たり1万3600円、額にして13億円だったと言われておりますが、企業局が提示を受けた鑑定評価額は先ほど申し上げましたとおり2万4300円でございまして、この価格は相手側の鑑定士が昭和57年2月時点でその鑑定評価書の中で正常な価格、売買参考のための正常な価格ということで鑑定評価したものでございまして、そういう相手側鑑定士の評価額はそういうことで出ているということでございます。
 それから3点目の、企業局は鑑定評価額よりも高い価格でなぜ土地を買収したかということでございますが、企業局では用地交渉に当たって、当初は2社鑑定のうち低い方の鑑定評価額を提示し交渉いたしましたが、相手側は自社依頼の鑑定評価額を主張してきました。しかし交渉を進める過程でまず緑地帯については当局側鑑定評価額どおり合意いたしましたが、面大地については相手がなかなか譲らなかったと。そこで当時、いわゆる昭和57年7月末ごろでございますが、北谷町用地選定について11カ所の候補地の中から必要面積の確保や取得の可能性を総合的に検討した結果、北谷町宮城以外に用地取得が考えられない状況にあったわけでございます、当時。また昭和57年の8月の臨時議会で提案いたしました用地取得についての事情説明で次のように述べております。当時は長期干ばつに見舞われ、人工降雨作戦や海水淡水化の検討、西表島または県外からの水運搬等の問題が提起されている等県民は水資源開発の早期推進を望んでいたこともあって、水道施設を早急に整備しなければならなかった状態の中で、昭和57年度の予算執行との関連もあって用地を早目に、遅くとも9月中旬までに取得する必要に迫られていたとこのように述べております。
 このような事情のもとで、企業局では鑑定評価額より低くなるよう交渉に当たったわけでございますが、相手側は自社の鑑定評価額に強く固執して譲らないので、最終的には双方の平均値で合意したもので、やむを得ず鑑定評価額よりも高い価格で折り合いをつけざるを得なかったという事情があるということでございます。
 さらに第4点の、国土利用によりツクモ、足立間での契約に違反があったんじゃないかということでございますが、これは民間の取引間のことでございまして我々の土地取得とは関係ございません。
○議長(志村 恵君) 代表監査委員。
   〔代表監査委員 里 春夫君登壇〕
○代表監査委員(里 春夫君) 住民監査請求の御質問にお答えいたします。
 地方自治法第242条の監査請求の規定の中で、監査委員に対し監査を求めると規定してございます。いわゆる監査委員たる機関に対するものでありますが、この点につきまして委員の中から、御指摘のように監査委員は個々に単独で職務の権限を行使できるいわゆる独人制で実働的役割を持っておりますので、この機関と解すべきではないかとの御見解も示されておりますので、このように解して処理すべきか。また242条の住民監査請求について合議制たる機関と解するのかという問題点もありますので、今まで仲原議員、平良議員の御質問に対しまして御答弁申し上げました実例等は合議制の機関と解しているんじゃなかろうかと見られますので、先ほど申し上げました委員の方のそういう御発言もありますので、この点についても早急に何とか結論を得るよう努力しているところでございます。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 県の土地取得問題についての御質問のうち3点の御質問にお答えいたします。
 まず1点目の御質問でございますが、土木建築部としてはどのような方針で、またどのような点に留意して土地を取得しているかという御質問にお答えいたします。
 公共用地取得の基本方針といたしましては、昭和37年に閣議決定をされました「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」に準じまして本県においては損失補償基準等を制定し適正な補償を行っている状況でございます。また価格の設定に当たって留意している点といたしましては、取得しようとする土地の位置、形状、環境等価格形成上の諸要因を考慮し、正常な補償価格を算定し取得しているところでございます。なお、専門的な知識を有する不動産鑑定士に評価を依頼いたしまして参考にいたしております。
 2点目の御質問で、用地取得に当たって土地開発公社あるいは住宅供給公社とどのような調整手続を経て土地を取得しているかという御質問でございますが、土地開発公社、住宅供給公社への用地取得業務の委託に当たりましては年度当初に事業主管課と公社が委託契約の調整を行い、実施に際しましては委託契約に基づきまして公社は補償額の算定を行い、その結果を事業主管課と協議、調整の上交渉し、契約、登記までの実務を行っている実情でございます。
 最後に、購入価格と評価額が同額であるが、その理由は何かという御質問にお答えいたします。
 用地の購入価格決定に当たりましては不動産鑑定評価を参考にし、独自に近傍類地の取引事例を調査いたしまして適切な価格を採用しているところでございます。しかしながら近傍類地に適当な事例地がない場合あるいは地価公示価格から比準することが極めて困難な場合には、専門家による不動産鑑定評価額をもって採用する場合もあるわけでございます。したがいまして御指摘の経塚、西崎の両団地につきましては鑑定評価と取得価格が同額となっておりますが、以上申し上げましたような理由によるものでございまして、特段の御理解をお願いいたします。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 企業局長、先ほど言いましたようにこれは、今の、説明になっていないんですよね。どう説明しようが、鑑定評価をする場合において、業者側が57年の2月17日の鑑定評価、しかも県がやったのは57年の8月です。そんなばかな鑑定の評価で土地を買うことがあり得るんですか、これは。大体、評価させる場合はある一定の同じ時点をとる。もしそうであれば、先ほど言ったように時点の変動率、そういうものを採用しないといかぬと思うんです。もしそれをすると大幅な値上げになっちゃうと思うんですよね、それは。2月の時点で24億円、鑑定、県のものは8月の段階で21億円ですよね。これはどう見たってこのやり方というのはおかしいですよ、これはどう見たって。これは明確にしてもらわないといかぬですよ、これは。
 それと特措法の問題ですがね、知事、たしかこれは国がやるわけなんですが、しかし手続上はやはり国、そして県の知事の認定手続を得て収用委員会で接収するということになるわけですよね。そうするとやはり知事としてこのように地主が今、現に反対をしている、実際に。それから知事はそれに対して今、適正な手続、そして地主との話し合いが望ましいと言っているんですが、現実に土地を返してくれと、返還してくれというのが地主の意向なんですよ。ですからそういうものに対して強行に土地を取り上げるということを、どう見たってこれは憲法上から見ても県民の福祉、利益を守るという点から言っても、どう見たってこれは反するんじゃないかと。そういう面で知事としてどう考えるかということですよ。
○議長(志村 恵君) 企業局長。
   〔企業局長 金城作一君登壇〕
○企業局長(金城作一君) 再質問にお答えいたします。
 確かに御指摘のとおり、売り手側鑑定がなされたのが57年2月でございますので、局側鑑定が57年8月でございまして約6カ月の開きがあることは事実でございます。
 この開きは6カ月の鑑定評価の開きがございますが、もしそうであれば、本来なら売り手側からすればこれを57年2月でございますので、半カ年の時間的な差がございますので、時点修正をして提示してきますと、本来なら時点修正をして提示してくるべきでございますが、これについては相手側はその57年2月の鑑定をそのまま提示してまいりましたので、企業局側鑑定との比較検討をいたしまして、ただいま申し上げましたような形での価格設定をいたしたとこういうことでございます。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 これは新しく収用するということでないことは御案内のとおりでございまして、これまで軍用地として使用されておった土地であるわけであります。大変私も苦慮しているところでございますが、できれば関係機関、地主、正当な手続を踏んで十分話し合いの上で問題が解決できるようにそういうことを期待しているわけでございます。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午前11時49分休憩
   午後1時11分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 宮城清順君。
   〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 さきに通告いたしました通告書に基づきまして質問をいたします。
 ことしもいよいよ年末を迎えておりますけれども、最初に物価対策につきましてお伺いをいたしたいと思います。
 年末年始には、野菜や果物、水産物、肉などの生鮮食品や正月用品の需要が大幅に増加することから、物価対策上極めて重要な期間であります。私たち県民が安心して新年を迎えられるように、これまで一部に見られた正月用品の価格操作を排するとともに、供給の確保と諸物価の抑制に万全の措置を講ずるよう強く願っているわけであります。特に白菜、大根、ネギなどの野菜や果物、かずのこ、エビ、イカ、サケなどの水産物や牛肉、豚肉など需要が急増する生鮮食品について、次の施策の推進について県の対応をお伺いしたいと思います。
 1、生産、出荷団体、流通業者に対し、供給と価格の安定への協力要請、指導の実施はどうなっていますでしょうか。2番、輸送体制の強化。3番、産地直販事業を行う消費者団体、小売団体に対し運送費の助成、公共施設の利用など積極的な協力支援の実施。4点目、牛肉については輸入肉の低価格大量放出を図るとともに、品質の確保に対する監視の強化。5、水産物については、大手水産会社などによる価格操作が行われないよう十分な監視の実施、以上の事項につきまして県の早急な取り組みを求めたいと思います。御答弁をお願いしたいと思います。
 また、年末年始は生活品全般につきまして一時的に需要が膨れ上がるため物価情報の提供を充実するとともに、うそつき商品も横行しやすい時期であります。不公正な取引方法への取り締まりを強化し消費者保護に万全を期すぺきでありますが、この件に関して県の対応策はどうなっていますか。
 また、これから家庭用灯油も最需要期を迎えることから、生活必需品である灯油の価格についても重要な関心事であります。その価格安定に全力を尽くし、特に便乗値上げや生産調整による値上げに対する監視強化が必要と思われますが、本県においても原油値下げの影響を適正に調査し、消費者だけが損をすることのないようにすべきであります。県の方針について御答弁をお願いしたいと思います。
 最近、発表されました経済企画庁の物価リポートでも、生活実感からくる物価は統計上の物価上昇率より高く、消費者の悩みの種となっていると報告されていますとおり、統計上は物価が安定しているといっても決してそうではないというのが消費者感覚であります。したがって消費者が物価は安定していると思える物価施策のきめ細かな拡充が必要でありますが、前に述べたほかに、県として取り組んでいる物価施策について御説明をお願いしたいと思います。
 さらに、県中央卸売市場の機能について万全かどうか、現況、今後の展望を御答弁お願いしたいと思います。
 次に、地場産業の振興についてでございますが、本県の地場産業の振興は県経済の振興、県民生活の向上の上で極めて重要な施策であります。その振興の伸長度合いが県民所得、雇用の場の拡大、他産業への波及効果等への影響を左右することから、これから21世紀に向けて民間関係の努力はさることながら、県政初め自治体のきめ細かな施策が必要であり、その確立と積極的な実施を強く要望したいと思います。
 そこで地場産業振興ビジョンはどのように実施されているか、その概要と実施について御答弁をお願いしたいと思います。さらに今後のビジョンづくりについても御答弁を求めます。
 2番目に、59年度補助事業振興につきましてその内容と現況を御説明お願いします。
 3番目に、現在進めております中核業種振興施策策定の取り組み状況と見通しについて説明を求めます。
 次に、特に伝統工芸産業について。
 本県の伝統工芸産業は、東南アジア、中国等の諸国からの文化や技術、技法の導入により、本県の気候、風土等を加味して磨き上げられた他県に類例を見ない個性豊かな独特の工芸品であり、貴重な沖縄文化の産物であります。県においては、沖縄県伝統工芸産業振興条例に基づき4種14品目が伝統工芸品として指定され、また産業工芸品として4種がありその振興策が図られているところでありますが、今後一層の積極的な対応策が必要であると考えます。
 そこで次に挙げる諸点について御答弁を求めます。
 1つ、伝統工芸産業振興計画の実施の概要と事業補助について。
 2番目、工芸産業は特に流通対策、需要対策、類似品対策が重要な課題として指摘されております。流通対策としてどのような対策を実施しているか。また県外への対応として、例えば大手デバートの流通網に乗せるような対策を講ずる必要がないかどうか。
 県内における需要についてみますと、生産が年々増加してきておりますが、その要因は観光需要に依存しているところが大きい実情であります。したがって今後、県内需要をいかに高めるかは重要な課題であると言えます。そのためには単なる工芸品としてではなく、沖縄独自のすぐれた工芸産業としての価値を高め、工芸品に対する県民のイメージアップを図る施策の充実、確立が必要であろうと思います。その面の対応として、1つ、すべての工芸産業製品を一堂に展示し、かつ販売まで兼備した「沖縄県伝統工芸品会館」の設立を図るべきであると思います。また業界からもこのような要望が出ておりますが、県の方針を示していただきたいと思います。
 次に、官公庁初め民間の諸団体、会社、県内各家庭における需要調達を奨励する施策の充実を期すべきであると思います。また「かすりの日」等を設定し、広く県民の間に琉球織物の着用の奨励を進めたらいかがでしょうか。これらの施策を図るため、「沖縄県伝統工芸産業製品愛用奨励条例」みたいなものの策定を考えたらどうでしょうか。地域経済と密着している地場産業、伝統工芸産業等の経営を守り、振興育成を推進する上で今後十分な検討を要望したいと思います。県の方針を示していただきたいと思います。
 当面は、県内需要を拡大するため、県庁舎内初め各自治体役場等における需要の拡大を積極的に推進する考えはないか。例えば庁舎内やあるいは空港等における特産物販売店の設置、あるいは調達品の県産品使用、あるいは高校生のセーラー服のネクタイ等に県産の織物等を使用するとか、あるいは成人式において晴れ着を琉球織物を採用するとか、奨励するとか、いろいろなアイデアを取り入れた方策を考えるべきではないか、県の方針をお伺いしたいと思います。
 次に、県内のデパートあるいはスーパー等において工芸産業製品のコーナー等の設置を積極的に推進をして、専門店以外においても販売体制を強化すべきであると思います。県の方針を伺いたいと思います。
 それから類似品に対して対応策としてどのような取り組みを実施しているか。
 次に、沖縄県物産振興会と沖縄県工芸振興センターの県補助費、57、58、59年3カ年間と事業内容について御説明をお願いします。両機関は現在万全に機能しているかどうか。事業内容、品種は違いますが、事業内容は同一ではないかと考えられます。したがって毎年多額の補助費を出して運営しているようでありますが、両機関を統合して事業の積極的な推進を図る考えはないか、県の方針を示していただきたいと思います。
 次に、本県の地場産業を振興する上でエネルギー開発は重要な施策でありますが、天然ガスの開発事業についてこれまでの経過、現況、今後の計画及び見通しを知事から説明していただきたいと思います。
 次に、農業基盤整備事業について。
 本県の農業基盤整備の水準は、全国に比べてかなり低い水準にあります。サトウキビ等を主幹作物とする本県農業の生産性の向上、振興を図る上でこの事業は今後早急に推進を図らなければならない施策であります。
 まず初めに、59年度の進捗状況と採択事業の状況について説明を求めます。
 全国に比べて低い水準にありますが、その要因についてはいろいろあると思いますけれども、明らかにしていただきたい。
 今後、2次振計における計画と実施の見通しについてお願いしたいと思います。
 さらに、国の財政難の中での補助率のカットが予想される中で所要の額の確保を図るべきと思いますが、今後どのように国に対して対応策を求めていくか、特に知事の姿勢を伺いたいと思います。
 県内においても地域間格差があり、その格差を解消するためには各自治体単位の整備状況を正確に把握し、総合的かつきめ細かな施策が必要であると考えます。県においてどのような方針を確立しているか。
 次に、かんがい排水の整備事業について、特に南部一帯の地下ダムの開発、南大東島におけるかんがい施設についてその計画はどうなっているか、現況と今後の見通しを伺いたいと思います。
 それから我が党の代表質問との関連で、キャンプ・ハンセンの演習につきましては、知事は白保議員の質問に対し、キャンプ・シュワブ同様、検討すると答弁をされました。その点について検討するという真意を確認しておきたいと思います。ハンセンが演習場としての適、不適を検討するということなのか。あるいはハンセンが演習場として不適当との判断から移設を検討するということなのか、示していただきたいと思います。
 航空自衛隊那覇基地内の弾薬庫新設問題について、同空港はこれまでたびたび事故を起こし、民間専用化を要求してきているやさきに、このような弾薬庫新設は断固容認できないという多くの県民が考えているわけでありますが、知事として断固拒否の姿勢を貫くべきではないか、知事の姿勢を承っておきたいと思います。
 あと、御答弁によりまして再質問いたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 まず地場産業の振興につきまして、天然ガス開発の現況についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 本島南部地域における天然ガスの開発については、県、沖縄振興開発金融公庫、民間等で出資する沖縄天然ガス開発株式会社で具体的な開発準備が進められております。現在、会社では天然ガスの合理的な開発を行うために必要な採取技術を確立するための「適正採取技術調査事業」を実施しているところであります。天然ガス開発事業につきましては、新地域における地下資源の開発事業であること、また多額の開発投資が必要であることなど課題も多いので、今後これまでの調査結果を踏まえまして慎重に対処してまいりたいと考えております。
 物価対策についての御質問がございましたが、これにつきましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。次に県中央卸売市場の機能について御質問がございましたが、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。次に地場産業の振興について、振興のビジョンの概要と実施について、また59年度地場産業振興補助事業の内容と現況について、また中核業種振興施策の取り組み状況についての御質問に対しましては、それぞれ商工労働部長から答弁させることにいたします。次、県物産振興会と県工芸振興センターについての御質問がございましたが、これにつきましても商工労働部長から答弁させることにいたします。伝統工芸産業全般についてのきめ細かな御質問、提言を含めて御発言がございましたが、これにつきましては観光・文化局長から答弁させることにいたします。
 農業基盤整備事業についてお答えいたします。
 本県の農業基盤整備事業は、第2次沖縄振興開発計画に基づきまして積極的に推進しているところであります。農業基盤i整備の59年11月末執行率は85.4%で順調に進捗いたしております。59年度の新規採択は県営圃場整備事業、南大東村新東地区等県営6工種16地区、団体営10工種56地区、計16工種72地区を採択し着工いたしております。
 次に、全国に比べて低い水準にありますが、その要因についてでございますが、本土の農業基盤整備事業が長い期間にわたって整備されているのに対しまして、本県は復帰後に本格的に開始された関係、期間が短いためにおくれているのがその要因となっております。
 2次振計の要整備量に対する整備目標は70%でございまして、財政事情は大変厳しいものがございますが、その達成に向けて予算確保に努力してまいりたいと思います。
 補助率の削減については、このようなことがないように九州及び全国知事会議において国に対し要請をしてきたところであり、今後とも強力に折衝してまいりたいと思います。
 次、整備状況について県内格差のあることについての御質問がございましたが、お答えいたします。
 47年度に新制度のもとで事業が開始されたのでありますが、スタートに差があったこと等のために整備状況に格差が見られるのでありますが、市町村の基本計画を見詰めつつ、地域に即した整備を今後とも推進してまいりたいと思います。
 南部一帯の地下ダムと南大東かんがい施設についての御質問がございましたが、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
 代表質問との関連でキャンプ・ハンセンについての御質問がございましたが、お答えいたします。
 キャンプ・ハンセンにつきましては、適、不適もさることながら、将来に向かって総合的な立場で検討してまいりたいと思います。
 次に、那覇弾薬庫の建設はこれは好ましいものではございませんが、このことについては現在那覇市にその建築申請手続がなされていることからいたしまして、県が直接言及するのは適当ではないと考えております。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 宮城清順議員の物価対策についてお答えいたします。
 年末年始の生活必需品の安定供給と価格安定に関する御質問の第1点目の関係者に対する協力要請並びに指導の充実、2点目の輸送体制の強化、それから飛びまして5点目の水産物の監視実施等につきましてまとめてお答えいたします。
 最近の物価は極めて安定的に推移しておりますが、年末年始の時期になりますと、正月用品を初めとする生活必需物資に対する需要が大幅に増大しますので、それに対応した十分な供給を確保し、価格の安定を図っていく必要があると考えております。そのため県におきましては、年末年始物価対策実施要領を策定いたしまして、国や市町村とも密接な連携をとりつつ、去る1日より次のような施策を講じてまいっているところであります。
 まず御指摘がございました生鮮食料品を初めとする生活必需物資の供給確保と価格の安定のため需要に見合った計画的な生産、出荷を行うよう経済連、漁連、輸移入業者等の生産、流通関係業者に対し協力方を要請するとともに、便乗値上げがないよう12月の上旬と下旬、さらに来年1月上旬の3回にわたりまして監視調査を実施し、店頭指導を強化することといたしております。
 また、この監視調査の一環といたしまして来る27日には消費者団体の皆さんとともに、関係職員が先頭に立って那覇市第一牧志公設市場の物価パトロールも行う予定であります。
 さらに、消費者の皆さんには、年末年始用品の需給、価格の短期見通し、お歳暮に関するアンケート調査結果、さきに述べました監視調査の結果等々を県の広報紙やマスコミ等を通じて情報を提供し、消費者の皆さんが不要不急な買物をやめ、計画的かつ合理的な消費行動をとるよう啓発指導も強化する所存であります。
 次に、3点目の産地直販事業を行う消費者団体、小売団体に対する運送費の助成についてでありますけれども、今のところこの運送費に対する助成は困難でありますので、そのほかの御提言がありましたことにつきまして申し出によりまして適切な対応を考えていきたいと思っております。
 4点目の牛肉の大量放出及び品質の確保についてでございますが、適当な供給の見通しを今のところ得ておりますので心配はないと考えております。なお、価格監視につぎましては先ほど申し上げたとおりでございます。
 そのほか、家庭灯油の価格安定、便乗値上げ等の監視強化につきましてはできるだけの対策をとってまいりたいと考えております。
 以上のほか、年末年始対策以外の物価行政といたしましては、生活関連物資等に係る毎月調査や季節調査、消費者啓発のための月刊広報紙発行、テレビ放送、懇談会の開催等で各種施策を鋭意充実推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 県中央卸売市場については、施設管理運営及び業者の収容状況とも当初の計画どおり順調に推進しております。市場におきます青果物の取扱実績ですが、業務開始が夏場に向かい、葉菜類、根菜類の端境期となっていたこと、場外の青果業者との競合等諸般の事情から計画の6割程度にとどまっております。中央卸売市場は、県内青果物流通の拠点として需給及び物価の安定に重要な役割を果たしていることから、農協系統組織を通じた生産、出荷対策の強化を図ること、場内取引の活性化、周辺道路網の整備等諸対策を講じていく考えであります。
 農業基盤整備関連で南部の地下ダム開発につきましては、昭和57年度から技術的可能性等について調査しているところであります。結果を見て事業化について検討したいと思います。
 なお、南大東村におきます大池などの水を利用すべく昭和58年度から水質、開発可能量等について調査しているところであります。結果を見て事業化について検討をしていきたいとかように思っています。
○議長(志村 恵君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 宮城清順議員の地場産業の振興について関連してお答えしたいと思います。
 1つ目の地場産業振興ビジョンの概要と実施についてでございますが、地場産業ビジョンは、中長期的かつ地域的視点から地場産業の進むべき方向について地域の企業活動の指針を指示することを目的に本島中南部、北部、宮古、八重山の各圏域について策定したものであります。その主な概要は、1つは地場産業が果たすべき役割、2つには既存地場産業の振興策、3つ目には地場産業の新規創造、4つ目には地場産業振興のためのプロジェクトの推進でございます。またその実施につきましては経営の近代化、合理化、技術水準の向上、人材の養成、販路の拡大及び金融の円滑化等多様な施策を展開し支援しているところであります。
 2点目の59年度地場産業振興補助事業の内容と現況についてでございますが、地場産業振興補助事業はビジョンの実現のための国の助成のもとに実施される事業であります。59年度におきましては需要開拓事業が3件、新商品開拓能力育成事業が2件でございます。現在、関係組合等で事業の実施中でございます。
 3つ目の中核業種振興施策の策定とその取り組み状況あるいは見通しについてでございますが、中核業種振興のための施策は波及効果及び成長可能性の高い業種を選択し、これらの重点的、先導的な育成を図りながら地場産業の効果的な振興を図ることを目的といたしております。今年度は実態調査あるいは先進県の調査及び識者の意見の聴取等を行いまして、当該施策の考え方及び方向性等を検討しているところであります。今後、この検討の結果を踏まえまして具体的な施策の展開々検討してまいりたいと考えております。さらに今後は本県の地場産業が近年の需要構造の変化や技術革新の進展等に的確に対応し発展するよう企業の自助努力を促すとともに、施策の拡充強化を図ってまいりたいと考えております。
 御質問の沖縄県物産振興会と沖縄県工芸振興センターは大体似たような仕事をしているんじゃないかと。そういうことでその2つの3年の補助事業の状況でございますが、その統合することについてでございますが、沖縄県物産振興会と沖縄県工芸振興センターの統合につきましては、物産振興会は主として県物産の宣伝、紹介、販路等の拡大を目的として設立をされた機関であります。一方、工芸振興センターは、とりわけ零細性の強い伝統工芸部門の産地形成のための原材料の確保、あるいは後継者の育成等生産体制の支援を主目的として設立をされたものであります。したがいまして両法人はその設立の目的、事業内容等が大きく異なっておりますし、当面県といたしましてはおのおのの分野でその施策の強化を図ってまいっております。しかしながら御質問の趣旨は貴重な御提言として受けとめて、今後その趣旨を十分検討しながら両振興公社の強化を図っていきたいと考えております。
 なお、3カ年の補助でございますが、物産振興会におきましては57年、58年、59年、おのおの1500万、1350万、1282万5000円でございます。それから工芸センターの方は57年、58年、59年がおのおの900万、810万、769万5000円と補助をいたしております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 観光・文化局長。
   〔観光・文化局長 潮平朝保君登壇〕
○観光・文化局長(潮平朝保君) 宮城清順議員の地場産業の振興についての中の伝統工芸産業に関する部分の御質問にお答えいたします。
 まず、伝統工芸産業の振興事業の概要についてでございますが、産地体制の強化と流通対策に大別でき、産地体制の強化の主な事業として後継者育成、原材料確保対策、共同作業場等伝統エ芸センターの建設、デザイン振興事業等を補助事業として実施しております。これらの事業を通しまして技術水準の向上、試験研究、技術指導体制の強化を図るとともに、作業の共同化による企業の近代化、合理化の指導に努めているところでございます。
 また、流通対策の主な事業として、県外におきましては大都市を中心に県主催による伝統工芸品展、伝産法制定10周年にちなんで、ことしから毎年開催されますところの「全国伝統工芸ふれあい広場」、そういった各種団体の主催する展示即売会を各デパートにおいて積極的に開催しております。また求評会等を通しまして広く宣伝、紹介し、市場の開拓、販路の拡大に努めているところでございます。一方、県内におきましては工芸公募展の開催、産業まつりへの参加及び伝統工芸フェスティバル等を開催し、販路の拡大、デザイン開発に努めているところでございます。
 次に、御提言の「沖縄県伝統工芸会館」を建設して伝統的工芸品を一堂に展示、販売したらどうかとのことでございますけれども、現在、地場産業の振興に役立っている各産地の伝統工芸センターとのかかわりもございますので、各産地の意見等を考慮して検討してまいりたいと考えております。
 また、「伝統工芸産業製品愛用奨励条例」を制定したらとのことでございますが、県では現在、「県産品優先使用方針」に基づき県産品優先使用運動を展開しているところであり、その趣旨に沿って今後ともなお一層販路の拡大、使用促進を図っていきたいと考えております。
 次、類似品対策につきましては、伝統工芸品之証及び産業工芸品之証を貼付し、消費者が的確な選択ができるような対策を現在講じているところでございます。
 以上、答弁を終わります。
○議長(志村 恵君) 宮城清順君。
   〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 伝統工芸品の特に県内需要が低いということが指摘されているわけでございますが、例えば奄美大島等では「つむぎの日」を設定をして1月の5日あたりに晴れ着を着用しようというような具体的な施策があるわけですね。知事もきょう、かすりのネクタイをされて大変敬意を表するわけでございますが、今後、県内需要を高めるためにやはり県の伝統工芸品に対する県民の意識の向上を重点的に図っていく必要があるんではないかということで、例えば「かすりの日」等具体的に設定をして、あるいは成人式における琉球織物の着用とか、具体的なアイデアを取り入れた施策というのがどうしても必要じゃないかなと考えます。その件について、特に知事から今後の姿勢をお伺いしたいと思います。
 それから天然ガスの開発でございますが、これは今現在調査中ということであります。本格的な発掘といいますか、開発、これの見通しについて再度お伺いしたいと思います。
 それからキャンプ・ハンセンでございますが、御承知のとおりきのうからきょうにかけて演習が行われておりますが、特に昨日の演習では金武町の調査によりますと最高102ホン、平均90から95ホンという炸裂音の結果が出ているわけであります。それから喜瀬武原小中学校では、期末テスト、きのうからきょう、あした行われております。それは非常に不適であるということが証明されておるわけでありますので、もう一度総合的に検討すると御答弁なされましたけれども、総合的な判断というのは、キャンプ・ハンセンをシュワブと同様に返還すると、あるいは移設するということも含めての総合的な検討なのかどうか、再度御答弁をお願いしたいと。
 それから基地内の弾薬庫建設につきましては、県が言及するのは好ましくないという御答弁でありますが、これまでの経過とかあるいは那覇空港の県民生活に及ぼす役割等から見て安全確保のための対応はどうしても必要だと思います。その件に関して御答弁をお願いしたいと思います。
 それから先ほど商工労働部長からありました物産振興会、伝統工芸振興センター、これにつきまして今後検討するということでございますので前向きに御検討をいただきたい。よろしくお願いします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 再質問に対しましてお答えいたします。
 伝統工芸産品に対する県民意識の高揚は、御提言のとおり大変重要なことと思いますので、御提言を踏まえて今後前向きに検討してまいりたいと思います。
 天然ガスの採掘状況でございますが、調査の現段階における結果として申し上げますというと、期待したとおりのガスが出ないと。水とガスの割合が同じ比率になっているということがこれまでの採掘の調査結果となっているわけであります。したがいまして余り希望は持てません。今後これをどう展開していくか、県政の課題と申し上げてよいと思います。
 次に、キャンプ・ハンセンでございますが、キャンプ・シュワブの場合もそうでございますが、その機能、また適、不適の問題、全部含めて総合的に検討していかなければならないと考えております。
 那覇飛行場は御案内のとおりこれは国管理の飛行場でございまして、飛行場の安全管理は第一義的には国が負うべきものでございます。好ましいことではございませんけれども、火薬類取締法で規定されたいわゆる設置基準に合致し、またそれぞれ認可しなければならない要件等を満たしたものであれば、行政分野の立場で申し上げますというとこれは許可せざるを得ない問題ではないかと。あとは、安全性の確保をどう国が確保していくかということになると思います。
○議長(志村 恵君) 石川 修君。
   〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 私は、今期サトウキビの価格決定と、決定に至るまでの我が県要請団に対する政府の対応等を踏まえて私見を述べながら県の御見解をお伺いしたいというふうに思っております。
 我が県の糖業は、長い歴史の中で常に農家経済の大きな柱となり、県経済に大きな役割を果たしてまいりました。申すまでもなく我が県のサトウキビ作は他府県の米作に匹敵する基幹作物であります。我が県農業で占める地位は極めて高く、全県農家4万4380戸の84.8%の農家がサトウキビを栽培しており、全耕地4万5000ヘクタールの68.5%はサトウキビが栽培されております。生産額も前年度367億を超えており、全農業粗生産額の30%を上回っております。
 申し上げましたように、全農家の84.8%の方々の生活がサトウキビ価格とかかわり、収入の3割以上がサトウキビであり、実に農家にとってはキビ価格は死活問題であります。
 農家の皆さんが赤字のキビ代から次年度の値上げ折衝費として毎年積み立てをし、資金の造成に当たっております。農民大会に参加したりあるいは那覇市内のデモに参加する。また東京まで行き、生活防衛のために訴えておられることは、そういう実情を思うときに、実に陳情政治といいますか、そういうものの非情さ、むなしさを覚えるのであります。
 農家、農民団体は、ことしもあらゆる角度から検討を加えて最低要求価格を2万6000円として決定したのであります。農家並びに農業団体が悲願としているトン当たり2万3000円を掲げて農業団体を初め県、市町村、県議会、市町村議会、その他関係団体が多額の費用を投じ、そして何遍となく多くの人たちを東京まで送り折衝に当たったのでありますけれども、しかし政府は、県民の意をみじんも受け入れず農家の期待を裏切ったのであります。
 私は、今回のそのような決定に対し、政府自民党が我が県の特殊事情を考慮せず、単に沖縄のサトウキビもあるいは北海道のてん菜も同一の単なる砂糖原料農産物としての一点にのみ認識をいたして、これらに対して沖縄の実情に対して何ら政治的な配慮がなされなかったというところに大きな要因があったのだというふうに思っております。
 そこで北海道のてん菜農業と対比してこの問題について指摘をしていきたいというふうに思っております。
 まず最初に指摘することは、農業基盤整備のおくれであります。
 申すまでもなく戦後27カ年の間米軍政府に支配されまして、圃場の整備あるいは農業用水の問題が非常におくれてまいりました。復帰してようやくこの整備が始まったわけでございますけれども、現在に至ってまだ全国平均に達することなく低迷をしております。そういう現状で現在整備率18.5%、これに対して北海道は41.1%と高率を占めております。
 次に、全農業の中で甘味作物がどのような地位にあるかということを対比しますと、沖縄のサトウキビは先ほど申し上げましたとおり農家の約85%、北海道はわずかに20.2%の農家がやっている。そして全農業粗生産額に対比しますと沖縄は30.6%と高い率を示している。北海道はこれに対してわずか8.7%にしかならない。
 次に、農家の手取り価格と生産費を比較いたしますと、農水省の57年度の統計から申し上げますと、沖縄のサトウキビが1トン当たりの生産費2万4893円に対して農家手取りが2万1450円、欠損3143円となっておる。北海道のてん菜が生産費1万6789円に対し、農家手取りが2万1020円、黒字が4231円となっている。双方合計いたしますと374円、すなわちこれが利害の差であるというふうに言えるわけであります。
 そこで申し上げますけれども、我が県農業は27カ年の異民族支配の傷跡は今日なお埋められておらず、毎年襲う自然災害をもろに受けており生産性の低下を招いております。労力的にも他に比を見ない苦労を要している。このことは、県民のみにこの責任を押しつけるということは納得がいくものではありません。
 次に、サトウキビは、本県の立地条件に最も適合し全県各地区で栽培が行われ、今後とも本県の重要作物として振興しなければならない。さらに同じ甘味資源でありながら、本県のサトウキビと北海道のてん菜とは経営的な面から見て実にトン当たり7374円の差別を受けている。これは政治的な立場からの見方でありますけれども、知事も去る5回定例会において私の質問に対して、今回の要求価格2万6000円の要求は適正であると支持されました。今回のこの政府の決定に何ら政治的配慮がなされず沖縄の実情を無視した結果となりましたが、このことに対し知事はどう認識されておられますか。
 次に、私は、県議会を代表する要請団の一員として政府折衝に参加したのでありますが、さきに述べたようなことを認識いたしまして参加をいたしました。沖縄農業の実情を訴え要求の実現に意を燃やして折衝に当たったのでありますけれども、また私どもの後に第2陣、第3陣、3回に及ぶ要請団が要請派遣されました。政府の理解を求めるべく努力はしたものの、沖縄開発庁あるいは農林水産省、大蔵省、衆参両院を集中的に折衝をやってまいりました。本県の農業に最も理解をしてそのおくれを早急に取り戻すべく努力をし、そして本県の農民の苦しみを取り除くようにどこの省庁よりも本当に理解をして真剣に考えるべきだというふうに思っていた農水省が、今回全く予想もできない驚くべきことな我々に言い聞かせております。本当に怒りを覚えるとともに、本県の農業の将来に不安を抱かざるを得ないということでございます。
 まず、どのようなことであったかと申しますと、サトウキビ作は金がかかり過ぎる、説明がつかないのでむしろ農家にお金を上げるのでサトウキビをやめてもらいたいと。このことは人間の働く喜び、あるいは人間の生きがいを本当に踏みつぶすものであり、我が県民を愚弄するものであるというふうに私は思うのであります。さらに国内産糖の自給率が3割を超えている、これ以上ふやす考えはないと。このことも本当に我が県農業にとって実に恐ろしいことであります。2次振計を見ましても230万4000トンの数字が計画されております。
 このような重要な発言がありますけれども、県は、これらのことについてどのように認識されるかお伺いをしたいと思うのであります。
 次に、果樹の振興についてでございますが、これまで沖縄の農業の発展を大きく阻害しておりましたミカンコミバエ並びにウリミバエが、研究者の御尽力によって防除技術が確立されました。幸いにして国、県はこれら害虫の一掃策を講じ大がかりな駆除が行われ、その成果が着々進みつつあることは本県農業に新しい夢を与えたことになり、実に喜ばしいことであり敬意を表するものであります。
 さて、本県農業も時代とともに進み、従来の県内需要型の農業から大きく脱皮をし、県外移出型の農業が主力となって発展しつつあります。このことは恵まれた本県の自然を生かし、そして需要先の端境期にあわせ促成あるいは抑制の栽培技術によってなされたものであり、これらの作物はほとんど秋から冬、春と、カボチャやインゲン、スイカ、スイートコーン、オクラ、その他多くの野菜、あるいは菊を中心とした切り花など5月まで本当に本県農業が活気に満ちた季節となってきます。これら品目は、先ほど申し上げました特殊病害虫による移動の制限を受けないものと、薫蒸処理によって移動が許可される品目に限られております。
 ところでウリミバエ、ミカンコミバエなどによっての移動の制限を受けて今日まで経済性の低かった亜熱帯性の果樹を中心とした多くの品目が、外国から導入されて趣味的にあるいは小規模ながら経営栽培をされております。これらは既に果実を結果させており、多くのマスコミから紹介をされております。これらの品目の多くが我が国主要都市の市場で高級果物として外国から輸入されております。ミカンコミバエやウリミバエの根絶が確定された今日、県民から関心を呼び意欲を出しているという実情は既に御承知かと思うんです。このようなことに至って、こういった現状で、県は今後これら果物に対する県がどのような対策を講じておられるかをお伺いしたいと思っております。
 それから我が党代表質問に関連いたしまして、知事の政治姿勢についてお伺いしたいと思っております。
 本県の行政は、他府県に比べて政治的な解決を迫られることが非常に多いわけです。特に基地問題はその代表的なものであります。私はせんだって県議会を代表いたしまして、全会一致で決議されましたB52の問題を抱えまして国に折衝に参りました。いずこの所に行ってもこの基地問題はやはり外務省に絞られているというような感触を受けてまいりました。しかし肝心なこの外務省の対応が全く沖縄県民の本当の悩み、その危険の中で生活しているというような実情を把握していない。我々に対応した方が本当に責任ある発言を回答をできない一事務官であったし、その場所も外務省の入り口の隣の待合所で行われた。我々は、こういうふうにして現在日本政府が沖縄に対する認識を軽んじているということしか考えられないわけです。知事がかつて選挙戦で、私は非常に心を打たれた言葉があります。ヤマトゥンチュに負けないことだということを強調されました。まさにそういうことで沖縄問題は一つ一つ政治的な解決をしなければ、我が沖縄の県政はなかなか解決できない問題がいっぱいあると思うんです。
 現在の国の姿勢、自民党の姿勢は実に沖縄の問題を、先ほどの補助金の問題もそのとおり、一律に我が県がまだ格差が是正されていない中で一律にカットすると、こういうことがあっては我が県のその犠牲は一向に縮まらないというふうに思うんです。
 どうぞ、これからの対政府折衝、これに対する気構えをいま一度お聞かせ願いたいというふうに思っております。
 また答弁によって再質問をしたいというふうに思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 キビ価格の決定についての御質問に対しましてお答えいたします。
 サトウキビは、御指摘のとおり本県農業の基幹作物であり、その価格の動向は県経済に大きな影響を与えることは御承知のとおりであります。これについては常に再生産が確保できるよう、農水省初め関係省庁に対しまして今日まで強力に折衝を行ってきたところであります。
 昭和59年産サトウキビ価格につきましては、最低生産者価格は120円上積みされてトン当たり2万770円、また奨励金は120円引き下げられて700円となり、農家手取り価格は前年並みのトン当たり2万1470円に据え置かれました。まこと遺憾なことであります。
 農産物価格の決定状況について御参考までに申し上げますというと、米価は2.2%引き上げられて60キログラム当たり1万8668円となりましたが、その他の価格支持農産物の小麦、カンショ、バレイショ、菜種、大豆、たばこ、てん菜等の農産物価格は据え置かれました。特にてん菜については過去3カ年にわたり、トン当たり2万1020円に据え置かれ、今期から奨励金760円が糖分取引推進費にかわり農家手取りは減っております。
 このように、今期における農産物価格の決定状況は全般的に厳しい内容のものとなっており、本県のサトウキビ価格も同様の扱いとなっております。
 次、自給率達成との関連で、これからキビをどう位置づけていくかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 糖業をめぐる国内外の諸情勢を見ますと、昭和65年における砂糖の自給目標を31.7%と定めておりますが、昭和58年度現在、自給率は32.5%となり既に目標を達成いたしております。これはてん菜糖、異性化糖の急速な生産拡大に起因するものであります。また国際糖価は、ロンドン相場でトン当たり2万8000円の安値を示しておりますが、国内糖価は沖縄産で26万5900円と9倍となっておりまして乖離が非常に大きくなっております。さらに農業パリティ指数の対前年度上昇率は57年1.5%、58年0.45%、59年0.93%と極めて低く、消費者物価も近年安定した動きを示しているなど情勢としては極めて厳しいものがございます。
 しかし、サトウキビは本土の米に匹敵するものでございまして、本県農家の基幹作目であることからいたしまして、第2次振興開発計画におきましても目標を次のとおり定めております。収穫面積で2万6000ヘクタール、また反当たりの収量で8.8トン、生産量を230万トンと定めております。
 今後とも、土地基盤整備を初め土づくり対策、病害虫対策、収穫の機械化、企業の合理化を進めるなど2次振計の日標達成に向けまして最大の努力を払う所存であります。
 次、果樹の振興についての御質問に対しましてお答えいたします。
 近年、ミバエ類の根絶と相まって熱帯果樹類の生産意欲が急速に高まりつつあることは大変喜ばしいことでございます。その中で、これらに対応した長期的視点に立った計画的な産地形成を指向するため栽培、防災技術の確立を組み合わせた「熱帯果樹栽培普及展示圃設置事業」が昭和56年度から実施されておりますが、この事業を地区ごとに実施いたしておるところであります。今後は、本県の自然的条件に対応できる防災施設を初め防風林対策、優良品種の導入普及、優良種苗の安定供給、栽培技術及び流通対策の強化を推進いたしまして熱帯果樹の振興を強力に図ってまいりたいと思います。
 最後に、代表質問との関連で御提言がございましたが、まことに同感でございまして、最近、沖縄問題に対する関心が少し薄れたような感なきにしもあらずでございます。まだまだ本土並みには達しておりませんし、県内外を取り巻く環境は大変厳しいものがございますが、そういう中で県益を代表する者といたしまして渾身の努力を傾注いたしまして御期待に報いたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 石川 修君。
   〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 サトウキビ問題について、やはり日本における畑作物の農産物の価格の推移、経過を知事はおっしゃっておりますけれども、私が申し上げたいことは、やはり沖縄のこれだけおくれた基盤整備の中で当然まだ報いられるべきだというふうに考えているわけです。先ほど北海道の利益と沖縄の欠損金、プラスして7374円、これをやはり同じ所得補償方式でやるとこれだけの損得の差というものは当然加算されるべきであります。そういうことでやはり沖縄の特殊性というものをもっと強調すべきだと思います。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 再質問に対しましてお答えいたします。
 これはもう御指摘のとおりでございまして、復帰後、今日まで生産費が補償されたことは、私の勉強いたしましたところでは1回しかなかったと記憶いたしております。
 てん菜糖との比較でございますが、在圃の期間、10アール当たりの投下労働時間、また基盤整備の進捗状況等々からいたしまして北海道と同様の扱いはしてならないということは常に私自身も持っております。しかし対自民党折衝の中で、北海道選出の議員の方々で大変沖縄問題で関心を持っておられ御支持をいただいている方々もおられますので、余り北海道のてん菜糖と比較いたしますというと、何を言っているんだと、北海道も同じじゃないかということが言われたくありませんので、てん菜糖の問題との比較において申し上げることはできるだけ差し控えているわけであります。しかしながら何と言ってもこれは生産費を補償するということが前提でございます。考え方は今でも変わりはありません。
 そういうことで、今度は農協、各種団体挙げて私たちも一生懸命取り組み、農水大臣を初め関係大臣、また自民党の3役初め関連する議員の方々、また県選出の先生方ともいろいろ相談いたしまして全力投球をしたつもりでございますが、御期待に沿えなかったことをまことに残念に思っているところであります。
○議長(志村 恵君) 本盛 茂君。
   〔本盛 茂君登壇〕
○本盛 茂君 通告に基づいて一般質問を行います。
 まず最初に、沖縄県農業開発公社を事業主体とする石垣市崎枝第1地区並びに第2地区の農業開発利用促進事業及び沖縄県を事業主体とする石垣市屋良部地区の県営農地開発事業についてお尋ねいたします。
 崎枝第1地区は、昭和57年度から61年度までの5カ年間を工期として20.4ヘクタールの農地造成を、同じく第2地区は昭和58年度から62年度までの5カ年間の工期で32.8ヘクタールの農地造成が計画されています。また県営屋良部地区は、昭和58年度を初年度として着工され、63年度までの6年間を工期として50ヘクタールの農地を造成しようとするものであります。
 この隣接する3地区の事業の進捗状況を見ると、第1地区で57年度に1.6ヘクタール、58年度に1.7ヘクタールを造成し、59年度には2.4ヘクタールが予定されておりますが、それが達成された場合、3年間で計5.7ヘクタール、予定面積の28%が造成されることになり、残り14.7ヘクタール、72%は次年度以降の残りの2年間でということになっています。第2地区の場合は本年度に1.5ヘクタールが計画されており、残りの31.3ヘクタール、95%も次年度以降となっています。さらに屋良部地区では昭和58年度に1.5ヘクタール、59年度にも1.5ヘクタールが予定され、残りの46ヘクタール、94%は次年度以降となっています。
 年間の工事量がこのように小さい状況では、全面積の造成が完了するのは果たしていつの日のことであろうかとまことに心細い限りであります。事業完了までの期間が長引けば長引くほど受益農家の生活や営農意欲に大きく影響することはだれの目にも明らかであります。石垣市議会ではこのことを憂えて、たとえ緊縮財政下といえども予算の強化を図り、予定期間内に事業を完了させ、事業趣旨に沿った農地利用ができるようにしてもらいたいと県に対して強い要請を行っています。
 しかし、このようなことは単に石垣市崎枝地区に限ったことでは決してなく、広く全県的な農政上の重要課題となっており、その工期内完了が強く求められています。
 次に、県農林開発課の作成した資料昭和54年度から59年度までの農地開発事業年度別事業費及び平均工期の推移によると、事業費にはたいした増額は見られず横ばい状態であるのに対して、事業実施地区数は54年度に対して59年度は県営で2.2倍、団体営で2.6倍の増となっており、それに伴い当然のことながら平均工期は延び、県営で54年度の10.7年が59年度では15年となり、団体営では54年度の4.8年が59年度には10.4年、約2.4倍と年々長期化する傾向を示しています。
 そこでお尋ねいたしますが、県の作成した資料にも示されているとおり、工事の遂行が一段と厳しくなった昨今では5カ年計画での工事完了は困難であると思われますが、県はそのことを熟知していながら工期を5年ないし6年として事業を発足させ、着工後になっていろいろと困難な事情を並べて工期を延ばしているが、受益者である農家の立場を考え、どのような困難な事情があるにせよ、県は当初約束どおりの工期で工事完了を期さなければなりません。工期内完了に対する県の決意のほどを承りたいと存じます。
 次に、農道の整備についてお尋ねします。
 農業の振興の上から農道の整備がいかに重要であるかは今さら申し述べるまでもありません。復帰後、農道整備事業が始められてから12年余にもなるが、その整備率は県全体でわずかに30.4%であり、地域別に見ると県平均を上回っている所は宮古の41.4%と南部の34.9%で、他の3地区は北部が25.6%、中部が27%、八重山は23%で最下位となっています。本県の農道整備率が低い理由は何か。特に八重山地区の整備率が最も低いのはなぜか、その理由について御説明ください。
 次に、福祉施設の建設についてお尋ねいたします。
 八重山地区に身体障害者の授産施設を設置してもらいたいとの要請活動が展開されてから久しくなりますが、しかしながらこの切なる訴えは一向に進展を見せていません。昨年の議会における本員の質問に対して当時の生活福祉部長は設置の必要性を認め、県立民営にするかあるいは民立民営、すなわち法人組織にするか、地元の意向を踏まえて前向きに検討したいとの御答弁でありました。
 地元では、本年度もまた去る12月4日に開催された第11回八重山地区身体障害者福祉大会で援産施設の設置についての要請決議がなされ、県立民営による施設として設置していただきたいとの陳情が知事並びに県議会議長に対し再度行われています。
 御案内のとおり、県内で身障者の授産施設が設置されていない地域は八重山地区のみであります。しかしながら幸いなことには、石垣市に身障者福祉施設用地として県有地が確保されています。この用地に県立民営の授産施設が一日も早く設置されて、雇用困難で生活に困窮している身障者が一人でも多く生きていくための職業を身につけ、自活の道を確保できるよう県の積極的な対応を切望してやみません。
 そこでお尋ねいたしますが、その後県は地元の動きをどのようにとらえ、設置に向けてどのように検討してこられたかお伺いいたします。
 次に、県内企業への優先発注についてお尋ねいたします。
 復帰後、本県の公共工事はすごい伸びを見せているものの、県外、郡外からの業者の入り込みによって実質的に県内業者あるいは県内各地域の地元業者の工事実績はどうなっているか全体的なことについてはっきり知りませんでしたが、その数字が西日本建設業保障株式会社の作成した資料を、さらに県内の5地区に細分化して作成された資料によって明らかになりました。
 同資料によると、昭和54年から58年まで5カ年間において県全体に投下された公共工事の投資額は、事業量1万8127件、金額にして1兆142億5857万円。そのうち、県内業者と他府県業者の実績について見ると、県内業者の施工額とその比率は件数で1万5301件、84.4%、金額では7738億6445万6000円、76.2%に対し、他府県業者は1216件、6.7%、金額にして2403億9409万2000円、23.7%となっており、共同企業体を組んだ件数は1269件となっています。
 今、県内の北部、中部、南部、宮古、八重山の5地区における地元施工額の比較を見ると、北部が47.796で1162億9662万円、中部が73.6%で2505億7392万5000円、南部が113.8%で最も高率で3096億7941万8000円、宮古が73.2%で499億8114万7000円、八重山は52.2%で473億3334万6000円となっています。これは地元の業者が受注し還元された額であり、特に北部と八重山が低い歩どまりとなっています。
 八重山の歩どまりの低さについて地元の新聞は社説で、なぜ北部と八重山に郡外業者が入り込みやすいかということが問題である。両地区とも開発がおくれて工事量は多い。しかし地元業者だけなら工期が間に合わないために、郡外業者が入り込んでくるのか。すなわち業者の数に対して工事量が多いのか、それとも地元業者に覇気がないのであるか。せっかく国や県が地元に工事を与えても、48%が郡外業者の手に行って歩どまりの少ない八重山ということは大きな問題であると地元業者の奮起を促しています。
 そこでお尋ねいたします。
 県策定の「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」には、県がこれを強力に展開するものとすると述べられているが、県は、もちろん、民間工事発注者への要請も含めてどのようにこれを推進し努力しておられるか。県内企業への優先発注の現状と問題点と今後の対応について承りたいと存じます。
 2点目は、昭和59年4月24日付、建設省会公第6号の建設事務次官通達の2の(2)「地元建設業者」について県はどのように解しておられるか御説明ください。
 3点目に、法人の発注する工事は公共工事として見るか、それとも民間工事として見るか。公共工事として見る場合はどのような手続が必要かについてお伺いいたします。このことについては、特に法人の工事に対する県の行政指導が十分であったとは言えない点もあるのでお尋ねする次第であります。
 最後に、教育問題についてお尋ねいたします。
 戦後の民主教育が憲法、教育基本法という土台に支えられて発展してきたものであることは言うまでもありません。その戦後教育の組織を突き崩そうとする策動が急テンポで進められています。その核心は、戦後教育の反動的総決算の舞台となった臨教審において、審議の焦点に浮上してきた教育基本法の見直し論であります。
 御案内のとおり、臨教審設置法の第1条目的及び設置には、教育基本法の精神にのっとりと明記されているが、国会審議の中で中曽根首相や森前文相は、答申は教育基本法の精神にのっとることを期待するが、委員の皆さんには自由闊達に議論していただくと答え、委員の議論には枠をはめない方針で臨んできました。臨教審設置法に、教育基本法の精神にのっとり、との文言が入ったことについて奥野誠亮元文相は、国民の反発を弱めようとして入れたんだと思うと述べ、首相が国会で教育基本法改正は考えていないと答弁したことについて、本心からそう思っているとは思わないと語ったということは、そのものずばりの本音が出たという感じであります。
 また、自民党の藤尾政調会長が札幌市での講演会で、教育勅語の道徳律を復活させ、精神的秩序を取り戻すことが大事だと述べたということについては、「一旦緩急アレハ義勇公二奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」に象徴されるように、忠君愛国、滅死奉公が中心をなしていた教育勅語の道徳律、そしてあの忌まわしい戦前の皇国民錬成教育のもとで多くの青少年、国民が言いしれぬ災厄をこうむった余りにも悲惨な過ぎた暗黒の日々が想起され、慄然たる思いであります。
 敗戦後の日本が、戦前の軍国主義教育から脱却して、日本国憲法の精神にのっとり、教育の目的を明示し、民主的で文化的な国家を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示し、この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものであるとして新しい日本の教育の基本を確立した準憲法的性格を持った教育基本法、その教育の根本法を見直そうとする臨教審の動きは、すなわち憲法を見直し、その改悪を企てようとする策動以外の何物でもないと断ぜざるを得ません。
 敗戦後の昭和24年、文部省はみずからの著作として「民主主義」上下2巻を発行し、すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である。これからの日本にとって民主主義になりきる以外に国として立っていく道はない。これからの日本人としては、民主主義を我が物とする以外に人間として生きていく道はないと日本国と日本国民の進むべき大道を明示しました。
 そして同著書には、「学校教育の刷新」と題して次のような文章が記述されています。その中から幾つかを引用してみましょう。これまでの日本の教育は、一口で言えば上から教え込む教育であり、詰め込み教育であった。これまでの日本の教育には政府の指図によって動かされるところが多かった。元来、そのときどきの政策が教育を支配することは大きな間違いのもとである。政府は、教育の発達をできるだけ援助すべきであるが、教育の方針を政策によって動かすようなことをしてはならない。ことに政府が、教育機関を通じて国民の道徳思想まで一つの型にはめようとするのは最もよくないことである。
 あのころの文部省は本当にすばらしかった。私は、ここに引用した幾つかの文言を中曽根首相に進呈したい思いであります。
 中曽根首相の主導する戦後教育の総決算、教育改革、教育臨調が、日本の平和教育、民主教育をどこへ持っていこうとしているのか、このことについて憂慮している国民の数は決して少なくないと確信します。
 そこで質問しますが、臨教審の設置並びに臨教審の教育基本法の見直し論について県教育委員会はどのように受けとめておられるのでしょうか。また教育基本法改正の声もあるが、県教育長はそれに賛成するか否かを含めて御見解を承りたいと存じます。
 以上で質問を終え、御答弁を得て再質問をいたします。
○議長(志村 恵君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 本盛議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 農地開発事業についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 農地開発事業予算は厳しい状況にありますが、近年、事業に対する地元要望が強くなっております。新規採択地区が増加いたしたため工期が延びている現状であります。県としては、農地開発事業予算の確保のため国への要望といたしまして地元の声を強く訴え、予算確保に積極的に努力しているところであります。59年度は、全国の農地開発事業費対前年度比97.8%に対し、沖縄県は99%となっております。なお、今後とも予算確保に努力してまいりたいと思います。その他関連した細かい御質問がございましたが、これにつきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
 次に、農道の整備事業についてお答えいたします。
 第2次振興開発計画における農道の要整備延長は1900キロメートルとなっております。昭和58年度末までの整備実績は578.8キロメートルとなっております。整備率は30.4%であります。地域別の整備状況は、北部地域25.6%、中部地域27%、南部地域34.9%、宮古地域41.4%、八重山地域23%となっております。
 なお、八重山地域のおくれている主な理由は次のとおりであります。かんがい排水事業の要望が多いこと、また圃場整備事業の要望が多いことなどによるものと考えられます。
 次、福祉施設の建設工事についての御質問に対しましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。次、県内企業への優先発注の現状、問題点、今後の対応、建設省事務次官通達による地元業者についての御質問がございましたが、これにつきましては土木建築部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(志村 恵署) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 補足説明を申し上げます。
 崎枝第1地域の工期は57年から61年までを予定してございますが、これまでにおおむね20%の達成率でございます。第2は、58年から62年でおおむね5%の達成率、屋良部は58年から63年度まで計画をしておりますが、おおむね5%。
 なお、県全体の計画を申し上げますと事業費は57年、58年、59年、過去3カ年を見ますと16億から17億を推移しております。件数につきましては20件、24件、29件と推移をしております。うち、新規は57年を2件、4件、5件と推移をいたしております。
 各市町村から、高率補助の期間のうちに我が村の整備をしたいということで毎年新規希望者が殺到をいたしておりまして、県といたしましては、一応当分の間の高率補助のうちに新規に加えておいて、その後徐々に実施をしていこうじゃないかということから、大変殺到する中で苦慮をしているとこういう状況でございまして、そこにも工期が延長するというような現象の一因も見られるわけでございます。
○議長(志村 恵君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 金城祐俊君登壇〕
○生活福祉部長(金城祐俊君) 本盛議員の身体障害者授産施設の設置についての御質問についてお答えいたします。
 八重山地域における身体障害者授産施設の整備につきましては、第2次沖縄振興開発計画の期間中に整備する方向で位置づけ、今後は施設の設置主体等について県立民営あるいは民立民営にするか等、地元との調整を図りながら検討したいと申し上げてきたところであります。
 県におきましては、このほど、当該施設整備に向け、まず入所者対象者を把握するための調査を実施しました。その結果、入所希望者が17名、検討したいが21名、合計38名いることがわかっております。今後は、これらの個々の実態及び将来のニーズの動向等を調査検討の上、具体的な施設の設置についてさらに検討を加え、また地元関係者とも十分調整を行い、設置主体、設置時期、施設規模等を煮詰めていきたいと考えております。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 県内企業への優先発注とそれに関連する御質問にお答えいたします。
 まず1点目でございますが、県内企業への優先発注の現状、今後の対応についてお答えいたします。
 県内経済に占める建設業の比重は高く、また雇用効果の面でも大きな役割を果たしておりまして、建設業の振興を図ることは重要なことと考えております。県といたしましては、これまで県発注の工事については「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づきまして県内の建設業に対して優先的に発注をいたしております。また同方針の趣旨に沿って国の出先機関にも要請をいたしてきているところでございます。この結果、県内業者への受注率は大幅に伸びておりまして、ちなみに土木建築部関係の工事について昭和58年度実績を見た場合、県内業者の受注率は99.5%となっております。今後とも、県内建設業者の受注機会の拡大を図るため工事の分割発注を行うとともに、大型あるいは特殊工事についても可能な限り共同企業体方式を採用するなど配慮してまいりたいと思います。
 次、2点目の御質問、建設省事務次官通達にあります「地元建設業者」の意味は、県はどう解しているかという御質問にお答えいたします。
 昭和59年4月24日付で建設省事務次官通達が参っておりますが、その趣旨は、中小建設業者に対する受注機会の確保を図るため地元建設業者等の活用により、効率的な施工が期待できる工事については極力分割発注することとなっておりますが、ここで言いますいわゆる地元建設業者とは県内業者全般を指しております。なお、県では工事発注に際しましては、業者の選定、特に地域性等は配慮しながら行っているところでございます。
 次に、法人の発注する工事は公共工事とみなすかという御質問にお答えいたします。
 公共工事とは、「公共工事の前払金保証事業に関する法律」がございまして、この第2条第1項で、「国、又は地方公共団体その他の公共的団体の発注する土木建築に関する工事及び建設大臣が指定するもの」と規定されております。ここで言います建設大臣が指定するものにつきましては建設省告示で指定されておりまして、その内容を申し上げますと、「国、又は地方公共団体から補助金又はこれに類するものの交付を受けている法人」、これは営利は除かれておりますが、その法人の発注する工事及び測量となっております。
 次に、公共工事とした場合、どういった手続を踏むかという御質問でございますが、お答えいたします。
 県や市町村の場合が発注する工事につきましては、これに参加する場合は建設業法第3条の規定に基づきまして建設業の許可を受け、さらに地方自治法施行令第167条の11の規定と沖縄県財務規則の第133条及び第134条の規定に基づきまして制定をされました「建設工事入札参加資格審査及び業者選定等に関する規程」によりましてあらかじめ入札参加願いを県ないしは市町村に提出をいたしまして、その登録された中から指名し入札を行うようになっております。
 ところで、御指摘の法人の場合にはこの資格審査がなされてございませんので、適正な工事の執行を期待するためには、県または市町村の審査を受けております、いわゆる登録された建設業者格付名簿から指名するよう補助事業者に行政指導をするのが適当かと考えております。
 以上でございます。
○議長(志村 恵君) 教育長。
   〔教育長 米村幸政君登壇〕
○教育長(米村幸政君) 本盛議員の教育問題につきまして、臨教審は教育基本法を踏まえてと言っているが、教育基本法の見直し論等も出ているが、教育長はどう思うかということと、それから臨教審についてはどのように受けとめているかという御質問でございます。御答弁を申し上げたいと思います。
 去る国会で臨時教育審議会設置法が成立したのは御案内のとおりでございまして、これに基づきまして25名の審議会の委員が発令されまして、9月5日に第1回の会合が開かれております。御指摘ございましたように、臨教審設置法は、教育基本法の精神にのっとりということを明記いたしております。また総理はその提案理由としまして、21世紀に向けて我が国が創造的で活力ある社会を築いていくためには、教育の現状における諸問題を踏まえつつ教育基本法の精神にのっとり、各般にわたる施策に関し必要な改革を図るための基本的方策を樹立する必要があると述べておられます。審議会も去る11月7日現在で8回も開かれて議論がなされております。
 御指摘のあった件につきましては、一部にそのような発言があったということをマスコミ等で伺っております。しかし先ほど申しましたように、この法律の設置の理念や総理及び文部大臣の国会答弁等からも見られますように、教育基本法の精神を尊重しまして審議会の審議は進められるものと思っております。
 それから2番目でございますが、政府が中央教育審議会のほかに新たに総理直結のいわゆる臨時教育審議会を設置したことは、最近における国内外の社会の急激な変動や教育の量的の拡大等が教育のあり方に対して大きな影響を及ぼしていることからでありまして、国民各階層より教育改革の必要性が強く提起されたからにほかなりません。教育は、国家百年の大計でありまして国民の総意を結集し、教育全般にわたって計画を樹立すべく目下審議が進められているところであります。教育委員会としましても重大な関心を持って臨時教育審議会の審議の成り行きを見守っているところでございます。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 本盛 茂君。
   〔本盛 茂君登壇〕
○本盛 茂君 土建部長がおっしゃった県内企業への優先発注、これはもう大変大事なことで県の基本方針にもありますから、特にその3番目、民間工事発注者に対する県内企業への優先発注の要請ですね、それは具体的にはどう進められておるかということと、また工事入札参加資格審査及び業老選定等に関する規程の中で、この建設業者格付名簿は本名簿は土木総務課に置き、残りは関係部局に置くとなっているが、私が当たってみると、どうも置かれていないような疑いもあのるでその点どうなっているのか、もしなければどうするのかということをお願いします。
○議長(志村 恵君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 久高将栄君登壇〕
○土木建築部長(久高将栄君) 再質問にお答えいたします。
 県内建設業の育成のために県内企業への優先活用というのは県の方針になっておりまして、私ども県といたしましては、国の出先機関を初め各大手企業にも、民間工事についても県内企業を優先活用するような形で文書を出し、さらに行政指導をしているところでございます。
 以上であります。
○議長(志村 恵君) 休憩いたします。
   午後2時55分休憩
   午後2時56分再開
○議長(志村 恵君) 再開いたします。
 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明14日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後2時57分散会

 
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