前発言
平成23年(2011年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 10月 3日
農林水産部長(比嘉俊昭)
次発言
★ここをクリックすると、この日の発言が全て表示されます。★
第1次産業の振興についての中で、農業改良普及員の絶対数と担当農家戸数についてお答えします。
県の普及指導員は、直接農業者に接して技術研修や巡回指導等により農業者の生産技術や経営能力の向上を図っているところであります。平成22年度の普及指導員数は118名で、販売農家数は1万5123戸となっております。これらをもとに計算しますと、職員1人当たり担当農家戸数は128戸となります。
普及指導員の定数につきましては、行財政改革プラン等により厳しい状況であることから、各地区の農業改良普及センターに特任主幹を配置するとともに、プロジェクトチームを編成し、生産現場で抱える課題の解決や拠点産地の育成及び担い手への支援を強化しているところでございます。
次に、台風に強い農業についてお答えします。
本県の農業振興を図るためには、毎年襲来する台風の災害対策が重要であります。このため、県では、今回、台風前の対策と台風後の対応を取りまとめたマニュアルを作成し、県のホームページに台風対策の事例を掲載して活用を推進しているところであります。
また、防風・防潮林の設置や台風に強い耐候性ハウス等の施設の整備、耐風性にすぐれた新品種の開発と普及など各種の施策を総合的に実施しております。特に、防風・防潮林の設置については、11月の第4木曜日を「防風林の日」と定め、毎年、各市町村ごとに植栽等の関連行事を行い、防風林の広報など各種の普及啓発に取り組んでおります。
次に、芋による地域おこしの推進についてお答えします。
カンショは、やせ地でも栽培が可能で、台風や干ばつ等の気象災害に強く、短期間で収穫できることや健康食としても期待されております。
県といたしましては、農林水産業振興計画に基づきカンショを戦略品目として位置づけ生産振興を図っているところでございます。具体的には、省力化のための機械や加工施設の整備、「ちゅら恋紅」や茎や葉の利用も可能な「カンタ」など優良品種の育成・普及、害虫混入のない生長点培養苗の利用の推進、拠点産地の育成や技術実証展示圃の設置、11月16日を「いもの日」として制定し、県産カンショの普及啓発など総合的に推進しているところでございます。また、県産芋を活用してお菓子やアイスクリーム、しょうちゅうなど新たな加工品の開発も行われています。今後とも、カンショの産地化に向け生産振興を図り、地域の活性化に取り組んでまいります。
次に、イモゾウムシ等の根絶防除についてお答えします。
イモゾウムシ等根絶事業につきましては、久米島と津堅島において実施しているところであります。久米島のアリモドキゾウムシについては、平成22年8月から国による駆除確認調査を実施しております。その調査の中で、急峻な岩場で人の出入りが困難な一部地域で野生虫が確認されたことから、駆除確認調査地域から切り離した特別調査地区として応急防除を実施するとともに、新たにトラップの増設や寄主植物除去等の取り組みを強化し、根絶を目指しているところであります。イモゾウムシについては、平成14年度から島の一部地域で不妊虫放飼法による防除を実施しており、アリモドキゾウムシ根絶後、防除地域を拡大していく計画であります。津堅島のアリモドキゾウムシ、イモゾウムシの根絶防除は平成19年11月から開始し、平成23年9月現在、一部地域を除き発生がないことから、地域の協力を得ながら根絶を目指し防除を強化しているところであります。
今後の計画といたしましては、アリモドキゾウムシとイモゾウムシの大量増殖技術の確立や低コスト人工飼料の開発、イモゾウムシの密度抑圧防除技術の開発などを行い、宮古、八重山、沖縄本島に防除地域を拡大する考えであります。
次に、農林水産業の後継者育成についてお答えします。
県としては、経営感覚にすぐれた農業後継者の育成確保を図るため、市町村、農業団体、農家代表等で構成する「農でグッジョブ推進会議」を平成22年6月に設立し、担い手の総合的な対策を講じているところであります。具体的な取り組みとしては、農業大学校における実践的な研修教育、新規就農へ誘導するためのサポート講座や夜間講座の実施、農地を持たない新規就農者に農地を提供した「チャレンジ農場」での農業実践、耕作放棄地の再生利用による農地の確保やハウスの整備などの支援をしているところであります。
漁業後継者の育成につきましては、指導漁業士や水産研究員等による技術研修や指導及び先進地における技術交流を実施するとともに、地域のリーダー的役割を担う青年漁業士の認定を行っております。さらに、小中学生を対象とした少年水産教室での体験学習や漁業への就業希望者と現場とのマッチングを行う「漁業就業者支援フェア」の開催に取り組んでおります。
次に、外国向けの牛屠畜場の整備についてお答えします。
我が国から海外へ牛肉を輸出する場合は、厚生労働省等による食肉輸出取扱施設としての認定を受けていること、農林水産省動物検疫所の輸出検疫証明書の発行を受けることなどの条件を満たす必要があります。
県といたしましては、県産牛肉の海外輸出を積極的に展開していくため、去る8月24日に県内の食肉センターや関係市町村を対象に食肉輸出対応施設等に係る説明会を開催したところであります。また、牛肉の輸出ができるよう屠畜場の改善やHACCPシステム対応施設の整備について関係機関・団体等と調整をしているところであります。平成24年度からは、牛の部分肉処理のためのミートパッケージセンターや先島地域での食肉センターの整備等に着手することとしております。
次に、養豚団地の整備計画についてお答えいたします。
本県の養豚団地につきましては、養豚団地育成パイロット事業等により昭和48年度から昭和63年度までに16カ所、総事業費約37億円で整備しております。
今後の新たな養豚団地の計画につきましては、においの少ない飼育方法や施設の整備などを推進するとともに、地元からの要望を踏まえ、関係機関・団体と連携して取り組んでいきたいと考えております。
次に、においの出ない豚の飼育方法の開発についてお答えします。
においの少ない豚の飼育方法の開発につきましては、平成7年度から17年度までの間、畜産研究センターにおいて研究を行った結果、おが粉が臭気削減の効果が高いことが確認されております。そのため、県といたしましては、平成21年度から23年度において「オガコ養豚衛生対策推進事業」により養豚の飼育実態調査、おが粉殺菌方法の検討、おが粉殺菌を取り入れた実証試験、養豚飼養管理マニュアル作成を実施しているところであります。また、国においては、畜舎及びふん尿処理施設における臭気及び粉じんを除去するため、微生物による脱臭、酸化分解及び吸着方式等の新技術を開発し、その実用化に向け取り組んでおります。
県といたしましては、これらの研究結果を踏まえ、今後ともにおいの少ない豚の飼育方法の開発に向けて、関係機関と連携して取り組んでまいります。
次に、県内の魚の消費量、順位、その理由についてお答えします。
沖縄県における生鮮魚介類の消費状況は、平成22年の国の家計調査年報によると、1世帯当たりの年間購入量は約21キロとなっており、全国と比べて最も少ない状況であります。
その主な要因は、沖縄県で多くとれるマグロの消費が全国平均の2倍でありますが、貝類の漁獲量やイカなどの県内需要が少ないことから、全体として消費量は全国平均の6割になっていると考えられます。
次に、マグロの海外販売の実績、今後の対策についてお答えします。
県産マグロの輸出は、国の貿易統計によると、平成10年から加工原料としてタイへ年間約100トンから約300トンが輸出されております。また、生食用マグロは、平成21年から香港へ150キロを輸出し、平成22年には中国、シンガポールへ400キロを輸出しております。
県といたしましては、生食用マグロの一層の輸出拡大を図るため、「沖縄国際航空物流ハブ活用推進事業」を活用した香港のアンテナショップにおける販売促進や「沖縄生鮮マグロブランディング若年者雇用事業」による鮮度などのブランド基準の策定等、県産マグロのブランド化に取り組んでいるところであります。
次に、クルマエビの支援策についてお答えいたします。
県産クルマエビの生産量については、平成17年までは約650トンから700トン台で推移しておりましたが、疾病の発生や価格の低迷による業者の廃業等によりここ数年は減少傾向が続いており、平成21年は約570トンとなっております。
そのため、県では、深層水を活用した良質のクルマエビ種苗生産技術開発に取り組むとともに、「沖縄県車海老漁業協同組合」と連携し、東京などのアンテナレストランや大手ビールメーカーと連携して県産クルマエビのPRに取り組んでいるところであります。これらの取り組みに加え、平成23年度は、首都圏におけるトップセールスや商談会などプロモーション活動を推進してまいります。
次に、モズク、海ブドウの生産及び販路拡大状況についてお答えいたします。
モズクの生産量については、平成19年の2万トン台をピークに、その後、多量の在庫と天候不良による不作が重なったため、平成22年は約6500トンと減少しております。
そのため、「沖縄県もずく養殖業振興協議会」による増産計画や関係団体と連携した生モズクの商品化と消費拡大の取り組みなどにより、平成23年は1万2500トンの生産となっております。平成24年は前年を上回る1万9100トンの生産を見込んでおります。
海ブドウについては、平成14年の約90トンの生産量が養殖技術の普及の取り組みなどにより、平成22年には約280トンとなっており、今後も堅調に推移すると見込まれております。
県といたしましては、生産性の高いモズクの品種開発や国内外の販路拡大に取り組むとともに、海ブドウの品質及び衛生管理基準に基づくブランド化に取り組んでまいります。
以上でございます。
前発言
次発言
20110606080060