昭和57年(1982年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月28日
第 2号  9月28日
 

議 事 の 概 要
昭和57年9月28日(火曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
    1 西田健次郎君(自民党)
    2 渡久地政仁君(自民党)
    3 岸本  安神君(社大党)
    4 中根   章君(社会党)
    5 古堅  実吉君(共産党)
    6 友利  栄吉君(公明党)
    7 上江洲 トシ君(革新クラブ)
    8 安里 政芳君(民政クラブ)
午後7時57分散会

○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた地方労働委員会会長楚南兼正君は、別用務のため本日の午後の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長宮城調一君の出席を求めました。
 その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(大田昌知君) この際、念のため申し上げます。
 本日から10月1日まで4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(大田昌知君) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 自由民主党の県議団を代表いたしまして代表質問を通告によって行いますが、4点にしぼって質問を展開いたします。
 1点目、西銘県政の総括と展望についてでございます。
 わが沖縄県は、第2次世界大戦で国内唯一の地上戦の激戦地となり、大きな犠牲をこうむったのであります。戦争終了後も27年間もの長きにわたり、米国の施政権の統治のもとに祖国日本から分断された特異な歴史を有しておりますが、その過程で生起してきた全県民的課題の祖国復帰運動等によって県民の政治意識は鋭化されてきたのであります。さらに当初は素朴な日の丸掲揚運動から始まった復帰運動が、階級闘争、反体制運動への赤旗運動へと巧みに変質させられたことによって、復帰後も革新が県内の政治勢力を圧倒的にリードし、革新でなければ人にあらずとの風潮が続き、首長を初めほとんどの選挙を革新が勝利し、沖縄県は革新王国のイメージが定着していたのでありまず。しかしながら県民の良識は、革新陣営のイデオロギー至上のスローガンによる二日酔いから目覚め、さらに社会党、共産党主導の県民福祉とか反戦平和云々のうたい文句の裏に隠された階級闘争のやいばに気づいたのであります。
 また、本県の格差是正と自立的発展の基礎条件の整備を目指した第1次沖縄振興開発計画で策定をされた大型事業も、革新県政のもとにあってはなかなか芽出しができなかったのであります。その上、革新県政が余りにも行政能力が低過ぎたことと、企業立地や地域開発等を悪とする姿勢をとり、しかも県政運営に対しても少々の反対でもあれば事業を実施しないという八方美人的で安直に行政責任を放棄し、いたずらに県政の混乱と事業のおくれを看板とした革新県政に対する冷徹な批判が県民各界各層から起こり、ついに昭和53年ごろから沖縄の政治の流れが変わってきたのであります。10市のうち8対2であった市長も、いまや6対4となり、次の選挙でも那覇市、平良市、石垣市はわが陣営に有利な状況が展開されており、近未来には9対1になる見通しであり、それを裏づけるかのように最近の首長選挙や議員選挙でも西銘知事を支える陣営が有利な結果を呈しているのであります。
 停滞し、混乱し、消沈していた沖縄革新県政の流れを変えるとともに、県民多数の希望と期待を担って登場したのが西銘知事でありました。
 西銘知事は、知事就任後は、その深く広い学識と長きにわたる政治家としての大臣クラスの経歴、熟慮断行による決断と実行の県政運営のすばらしい実績は、国政関係者、関係各省庁を初め百万県民がひとしく認めきわめて高い評価を得ているのであります。西銘知事の誕生によって県政に活力を与え、県行政が躍動し、はつらつとしてきたのであります。その証左として、革新時代には芽出しのできなかった大型プロジェクト事業がほとんど西銘県政の努力によって芽出しをしたのであります。
 例を挙げますると、革新県政時代はどうしようもなかった那覇国際空港の滑走路の延長、特殊病害虫大量増殖施設、国体会場等の建設、沖縄自動車道、都市モノレール、新石垣空港、国際センター用地取得事業、県立芸術大学の設置、名蔵川地区国営灌漑排水事業、県民の森整備事業、小禄金城地区土地区画整理事業、壺川地区区画整理事業、西系列水源開発事業、県立南部病院、中部病院の増設、県立図書館、沖縄県国際交流財団の発足、国際センターの設置、基地問題解決のための3者協議会の設置、沖縄県対米請求権事業協会の設立、社会福祉振興基金の設立、水産公社の設立、財団法人沖縄県人材育成財団の発足、沖縄共同サイロ会社の発足、沖縄県離島海運振興会社の発足、沖縄天然ガス開発の発足、池間島の架橋、実に枚挙にいとまがないこれらの諸事業は、政治的に見るならば、高度経済成長期が終わり、低成長時代の内外のきわめて厳しい不幸な時代に県政を担当したにもかかわらず、西銘知事の手腕、力量によって芽出し実現したのであり、万が一にも革新県政が継続していたならば、これらの事業は芽出しどころか、枯れ果てていた事業と私は思慮するものであります。知事は、4カ年間の苦労を顧みていかように思われるのか御所見を賜りたい。
 次に、革新県政の後始末についてお伺いを申し上げます。
 野党の諸君は、過去4カ年の本議会において西銘県政への批判を続けており、今議会でも代表質問、一般質問を通じて厳しい批判をする準備をしているようでありますが、革新県政時代にはどうしようもなかったことを、西銘知事の英断と真摯な県政運営によって解決したものが数多くあります。私は、次の3点を質問し、知事及び関係当局の御所見を賜りたい。
 1点目に、労働福祉公社の償還金や運営赤字は県政にとって深刻な課題となっているが、同公社の地下1階、地上11階の超デラックスな会館建設は、当初からわが党の先輩議員たちより運営がうまくいかない場合はどうなるのか、一般会計から繰り入れするのか、借入償還金はどうなるのか、財務当局との調整はついているのか、この会館によって利益を得る県労協、自治労等の受益者の応分の負担はどうなっているのか等々の不安が指摘されたのでありましたが、当時の県当局は、財団法人沖縄県医療福祉事業団からの借入金約16億円の建設費については、同会館の運営資金によって充てるとか、毎年50万円から500万円もの黒字が出るんだというようなでたらめでずさんな計画を説明し、その上、借入金の返済については県が責任をとるから心配するなというような知事、副知事の無責任な指示によって保証人なし、担保なしで16億円もの巨額の金が引き出され、しかも1等地である県有地800坪が占拠されてしまっているのであります。まさに労組と革新県政の構造的癒着による県民無視のでたらめ行政の範たるものであります。その結果は、わが党が指摘したとおりになっております。県財政にとって深刻な事態になっており、西銘知事初め関係当局に大変な迷惑になっていると思うのであります。
 その実情を県民に明らかにすべく次の点をお伺い申し上げます。
 1点目、同公社へ県が持ち出した一般会計は幾らになっているのか、目的別、年度別、総トータルでお答えを願いたい。2点目、保健医療福祉事業団からの借入金返済は、元金の16億円のうち何円払われているか。3点目、受益者団体の負担の実態はどうなっているのか、今後いかように対応するのか。
 次に、私立中央高等学校の問題に触れてみたい。
 先日、破産手続をした中央高校の問題は、革新県政時代には真剣な取り組みもなく県がめんどうを見ないとの姿勢であったのが、西銘知事の意欲的な英断によって解決を見たのであります。学校関係者を初め同窓生、地域の方々の感謝と喜びは、筆舌に尽くせぬものがあると私はせんだって中央高校の先生方から話を聞きました。しかも知事が中部の市町村長に対し、職員の採用について格段の配慮をお願いするという要請書を出したことはまことに異例なことであるということできわめて高い評価をしておりました。
 さて、この中央高校の件で県が対応した内容というのを大まかに説明していただきたい。また職員の身分の問題につきましては、県は可能な限りの努力をしてもらったということで大変関係者は喜んでおりましたが、残りまだまだ見通しが立たない若干の職員についてどのような努力が必要なのかを御説明願いたいと思います。
 3点目に、米軍下水道料金問題についてお尋ねをいたします。
 昨年から野党が騒いでいるこの件は、そもそも革新県政時代に米軍と締結したおかしな契約が発端で理由であるのに、野党が批判をするのは本末転倒、天につばをするようなものであります。はなはだしいことでありまして、この事実の経過を明らかにすべく次のことをお伺い申し上げます。1つ、当事者双方が契約したときの日時と知事の名前を発表していただきたい。そしてどのように解決をされたのか。
 次に、西銘知事の政治力と実績についてお伺いを申し上げます。
 1点目、西銘知事は、就任のころから今日までわが国の内外は国難とも言える大変に厳しい時代に入り、行政的には不幸な時代のやりにくい時期でありました。国の財政は破綻状態、低成長、臨調、行革、さらにゼロ、マイナスシーリングという受難のあらしが吹きすさぶ中で西銘知事が沖縄関係の予算獲得で発揮した実績は、さすが西銘、と高い評価を得ております。西銘知事就任後の予算獲得の実績を実数で説明願いたい。万が一にも革新県政が継続していたならば、予算の絶対数の伸びはできなかったというのが県民の声であります。
 2点目に、去る8月5日に沖縄振興開発計画、俗に言う第2次振計が西銘知事の限りない情熱と尽力によって国の方で決定したのでありますが、このことは今後10年間の本県の振興開発の向かうべき方向と基本施策を明らかにしたものとし、歴史的な事業をめどづけしたものと評価を得ております。2次振計作業の中で、同計画の生命線は高率補助が継続されるか否かであり、さらには特別措置法の延長がどうなるかでありました。行革が国民的、歴史的課題として内閣の政治生命をもかけて取り組んでいるさなかに、さらには政府官僚の中からいつまで沖縄を甘やかすかという声があり、また中央の有力紙が沖縄輸血経済なるもので厳しく批判をしていた上に、第2臨調で地域特例は認めないとの答申が出ていた状況下で、県当局、県議会の与野党含め、関係者が沖縄の振計は実際上はだめになるのではないかと深刻な心配をし懸念をしていたのでありましたが、西銘知事はたぐいまれな手腕と力量によって、さらに政治経歴、そして革新の諸君にはどうにもしようがない政府関係者との太い強いパイプによって高率補助の継続、沖縄特別措置法の延長、沖縄公庫法の延長という財政的、制度的な保証を2次振計に取りつけることに成功したのであります。このことは事務当局、マスコミを初め、野党の県議の方々もこの本会議場で高い評価をしていただいたこともありました。まさに本県の政治史に残る大きな成果として絶大な評価を得ているのであります。
 さて、革新諸君が、県案の段階で国の責任が入っていないといい、さらには7月1日の「記者のメモ」の中にこういうのがありました。「原案にさえない文言を果たして国が明記してくれるかどうかお手並み拝見といったところ」という記者のメモがありました。さらには当時のマスコミ論調も、多分国の責任ということを明記することは無理であろうというのが主な論調でありました。にもかかわらず8月5日に決定した同計画は、国の責務で2次振計を推進することを明記されたのであります。これは西銘知事が要望をして要請をして政治的な努力をして明記させたのか、その辺の経緯を御説明願いたい。
 ついでに2次振計の関連について2点お伺いを申し上げます。
 県の審議会の答申では、審議過程で論議された事項について意見をまとめて計画の実施に当たって格別に配慮されるよう申し添えてあったと聞いているが、これらについてどのように考えておられるか。2次振計はマスタープランとしての性格を有していると理解しているが、今後2次振計のほかに総合計画と予算との間の橋渡しを行う事業計画等を策定する考えはあるのかお伺いを申し上げます。
 3点目、沖縄関係3法が10年前の国会論議では、社会党、共産党は反対をしておりました。ことしの3月12日の国会では、社共両党も賛成をした事実があります。このことは復帰後10年間の自由民主党と政府の沖縄への施策が正しかったことと、西銘県政の実績を評価したものと私は理解をするものでありますが、知事はいかがなものでしょうか御所見を賜りたい。
 4点目、対米放棄請求権問題の解決は、西銘知事の数多い実績の中でも知事の国会での経験と実績、太いパイプが遺憾なく発揮されたものとして格段の評価をされているのであります。その経緯と結果を御説明願いたい。
 また、同問題で西銘知事が東京新橋のトンペイというすし屋でです、渡辺大蔵大臣とさしで話し合い、一挙に解決するきっかけをつくったとの武勇伝を私はあちこちでお伺いをしております。なぜそのようなことを代表質問でお伺い申し上げるかというと、革新の参議院議員で県知事候補のうわさのある方が教科書問題で国に要請に行っても、文部大臣とせいぜい廊下でしか会えないといったことと比較をすると、その人と西銘さんの政治力、影響力というのは天と地の差があると県民が認識をしているものと考えられます。それであえてその逸話の状況を知事にお伺い申し上げるのであります。
 次に、通告2点目の教科書問題に入ります。
 昨今、教科書問題が県内外における政治、社会問題として、さらには日本の外交問題として大きな論議を呼んでいるのであります。その中でも高等学校の日本史教科書において、沖縄戦における日本軍の住民殺害の記述が文部省の検定作業の過程で削除され、あるいは表現があいまいになっていることが判明し大きな問題となっているのであります。歴史観がどうであれ、事実は事実として後世に伝えなきゃならないし、また史実を歪曲することを容認してはならないのでありますが、特に沖縄県は第2次世界大戦で国内唯一の地上戦の悲惨な体験によって戦闘員約10万人、非戦闘員である民間人が約20万人もの犠牲者を出したのであります。軍人軍属の2倍の犠牲者が出、しかもその中には友軍である日本軍の手によって殺害された県民が多数いたことは、沖縄県民が沖縄戦によっていかに悲惨な目に遭ったかを如実に物語るものであり、これらのとうとい生命を失い、筆舌に尽くせぬ犠牲を強いられた県民にとって、この歴史の事実を事実として後世に伝え、再び悲惨な戦争を起こさないようにすることは県民全体がひとしく認めるものであり、百万県民の願いであり心であります。それゆえにこそ本県議会でも去る9月4日に全会一致で意見書を決議し、代表団派遣によって国の関係機関に要請行動を終えたところであります。
 さらに県内各種団体もそれぞれの立場で抗議要請を展開しておりますが、そこで第1点目の質問として西銘知事と教育長にお伺い申し上げますが、この教科書問題が騒がれ出してから今日まで知事や教育長はいかような対応をしてこられたのか御説明を願いたい。
 2点目の質問として、県内団体の抗議に対し、小川文部大臣や教科用図書検定調査審議会の大石部会長等は、県民の心の痛みは十分わかる云々、あるいはぜひ記述すべきと考えると深い理解を示し、検定時期の繰り上げを示唆しているが、検定時期の繰り上げは大丈夫なのか。あるいは沖縄戦の事実の記述が明確ではないという危惧が関係者の間でありますが、その辺の見通しはいかがなものか当局の対応についての御所見を賜りたい。
 さて、この教科書騒動は、県民にも国民にもマスコミにも大きな教訓を残したのであります。たとえば県内のマスコミ報道の論調は、沖縄戦の一面的報道に加えて、教科書の記述についてあたかもそれが沖縄戦のすべてであるかのような取り上げ方をしているように思われるのであります。しかしそれが沖縄戦のすべてではないし、その様子について一方的な記述のみに終始することではなく、広い視野と公正な立場からの真実を後世に伝える姿勢も必要であります。そしてその価値判断、評価は後世にゆだねるべきであります。そのためにも学校教育の場においては児童生徒の発達に応じた教科指導がなされるべきであり、その点を無視した沖縄戦の教育があるとすればこれは不適切と思慮するものであります。今回の沖縄戦の教材化についての教育長の御所見を賜りたい。
 4点目の質問でございます。
 私の手元に、日本の天下の大新聞である朝日新聞とサンケイ新聞の最近版がございます。その中に、「侵略」、「進出」は誤報であります、読者に深くおわびします。またマスコミの歴史的な大誤報など、こういうことで読者へおわびを申し上げるという朝日新聞、サンケイ新聞等のおわびの社説クラスの扱いが出ております。このことからわかりますように、これだけ日本中を騒がし、あげくの果てに深刻な外交問題にまで発展させてしまったのでありますが、この誤報による大騒ぎは、数年前のトイレットペーパー騒動と同じように情報社会の危険性を如実に惹起したものであります。かかる情報に便乗をして教科書検定制度そのものを否定し、日教組等による自主編成をせんとする左翼団体の動きが活発になっておりますが、かかる策動は、逆に1億国民が教科書検定制度はどうしても必要だという認識を深め広める皮肉な結果を呈しているのであります。教師一人一人が教材を作成する能力も十分にあり、なおかつ教育の中立、公正維持が保障されるならば自主編成論も一理はあるでありましょうが、しかし日本の教師の実態からして教師それぞれが教科書を作成することは不可能であります。結果としては、教育課程問題で国の法律で設置をされている教育課程審議会に対抗して、日教組が組織している中央教育課程検討委員会なるものがありますが、これは第2の文部省をねらっているものと言われている組織であります。たとえばカリキュラム等の自主編成等でしきりに教育現場を混乱させている組織であり、このようなきわめて思想的にも過激で左翼革命を志向する日教組に教科書作成の権限が牛耳られてしまうのは明白であります。本県の日刊紙9月17日の琉球新報の社説でございます。「教師一人ひとりが、自分の教育理念に合う教科書を主たる教材として選択し、児童・生徒に与えるという姿が望ましい形である。だが、わが国の教育の現状を考える時、やはり全国的な教育水準というものは無視できないし、また教育の公正・中立性維持も大切なことである。そこで現行の教科書検定制度は、決して万全なものとはいえないが、制度としてはやむを得ない存在理由を持っている」、このように沖縄の日刊紙の社説でも報じられております。検定制度の必要性がこのように訴えられておりますが、教育長は教科書検定制度に対していかような考え方を持っているか所見を賜りたい。
 以上、教科書問題についての質問を終わりまして、教育行政に関する問題を数点お伺いいたします。
 1、特設授業についてでございます。
 沖教組や高教組が、最近、平和教育の美名のもとに召集令状等を教材に使って子供たちに特設授業を実施しているようだが、この日教組、沖教組なるものは、その倫理綱領でいわく、教師の使命と教育の目標は社会主義の実現にあるとか、われわれが従事する教育はわれわれの歴史的課題である社会主義社会実現の課題を果たす努力を中心として働いていなきゃならないとか、さらにわれわれが教壇に立つに先立ってまず不動の信念として固く持っていなきゃならないことはわれわれの課題、すなわち社会主義社会の実現を貫き通す学習の内容と方法を発見しよう云々、または教師は毅然としてその学習を組織しかつ指導しなければならないといい、文字どおり社会主義革命の活動家、思想家として教壇に立ち、その目的を完遂するために教育現場においても学習を組織しかつ指導すると宣言をしているのであります。しかも良識ある国民が聞いたら唖然とするようなことを新米の先生方に、日教組の幹部が解説した本があります。この中でいわく、よく聞いてくださいよ、青少年は各人の個性に応じてこの日教組の社会主義革命実現の課題解決のための有能な働き手となるように育成されなきゃならないと、まさにこれは子供たちを社会主義革命の有能な戦士に育成しようと指導しているものであります。
 この事実からも明らかなように、教育現場を左翼革命の手段に利用することを宣言している日教組と沖教組が編成するような教材は、平和教育云々とか反戦云々との美名を悪用した偏向教材そのものであります。この特設授業は沖教組が好き勝手に編成し、十分な判断能力のない子供たちの健全な成長を阻害していると思うのでありますが、現在のままの野放し状態でいいのか、学習指導要綱との関連はどうなっているのか、他府県の実態はどうなっているのか説明を願いたい。
 2点目に、授業時間短縮についてお伺いを申し上げます。
 私の手元に沖縄市の市長選挙で出たビラがございます。沖縄市では小学校が毎時間5分、中学校も毎時間5分時間が短縮されている。学校の授業日数というのは1年間約230日、したがって小学生は1日平均5時間、中学校は6時間の授業です。小学校生は5時間ですから25分、中学校は30分の授業が短縮されております。小学生1人が損させられた授業時間というのは、230日掛ける25分をしますと5750分、96時間もの授業時間が沖縄市を中心とする中頭地域では授業時間が短くされている。中学生の場合は、同じように1人当たり年間115時間もの授業時間がカットされております。小学校が10校、中学校が6校あります。学級数が小学校で259、中学校で130あります。これをトータルしますと実に沖縄市で小学校で2万5123時間、中学校で1万5776時間の授業が短縮されているのであります。これは沖縄市を中心とする小中学校だけにある現象であります。ゆとりある教育という美名のもとに児童生徒に詰め込み教育を、教員には遊び時間を多くして学力を低下させて喜ぶのは余りにもひきょうであります。沖教組の政治教師たちの遊び時間を多くするために子供たちの授業時間を沖縄市だけで一方的に短縮している恐るべき実態は、沖縄県の教育界に大きな反響が起こり全県民的な問題として大きな問題になっているとこのようにビラは報じられております。
 このビラにあるようになぜ本県で、しかも沖縄市を中心とする中頭地域で集中的にかかるような異常現象が起こっているのか。私とわが党は、去る4月の沖縄市の市長選挙で初めてこの異常事態に気づき徹底的に調査した結果、学校名もすべて掌握しております。県当局はこの事実を承知しているのか、しているとすればどこどこのどの学校なのか地域名まで説明していただきたい。
 さらに、中頭教組のある幹部の話によると、授業時間を短縮している理由についてなぜだということを聞きましたら、教育課程における45分とか50分というのは、これは拘束力がないからですよとのたまわっております。冗談じゃないんですよ。そもそも学校で行われる教育活動全体計画である教育課程、いわゆるカリキュラムというのは学校教育法の規定に明確にあります。教育の機会均等の理念を実現するために、あるいは国民の教育の水準を維持向上するためにカリキュラムの基準を国が定める必要があり、それを文部大臣が定めると規定されているのであります。したがって厳密に言うならば法的拘束力があるのであります。
 そのほか、また理由として、現場の職員全体の共通理解が得られないとも言っております。彼らが言う職員全体とは、沖教組分会の同意が得られないから授業時間を短くしているんだと。分会の同意がなければ、子供たちの授業時間のキッタハッタというのは自由にできることを証明しているではありませんか。教育長は、この大変な恐ろしい実態について、彼らが主張している授業時間短縮の理由というのをほかにもあるということを承知しているのか、私が指摘したほかにも沖教組が弁明している理由があるならば説明をいただきたい。それからこれまでいかような行政指導をしてきたのか、今後いかように対処されるのか説明を願いたい。
 復帰記念メダルにつきましては沖教組の反対で配られておりませんが、復帰10周年であります、何らかの方法で10周年記念事業として配布をしていただきたい。
 4点目、校長教頭組合についてお伺いを申し上げます。
 公務員が管理職組合を結成することは認められております。本県の校長や教頭が組合を結成し行動することは仕方がないとしても、その言動はあくまでも学校現場の指導者、責任者の範たるものでなければならないのは当然であります。がしかし本県の校長教頭組合は、主任制問題を初めとする一連の言動から察するに、左翼思想団体の沖教組過激派OB会そのものであると言われても弁解できないでありましょう。
 そこで教育長にお伺い申し上げますが、現在の組織実態を各教育区ごとに説明していただきたい。また島尻郡は加入者ゼロと聞いているが事実か。復帰記念メダルの配布あるいは授業時間短縮等々島尻郡は全部スムーズにいっているようでありますが、中頭地域と比較してどうして何ゆえにこのような地域格差があるのか教育長の御所見を賜りたい。
 この校長教頭組合が主任制等で沖教組と同じ発想、すなわち自分たちに都合の悪い法律は守らなくてもいいという行動をしているならば断じて許せないのであります。住民運動、社会運動をやることは自由であり日本国憲法でも保障されているが、しかしその過程、結果において現在の法律に違反することがあってはならないし、目的は決して手段を神聖化するものではないのであります。近代法学の通説によると、法律とは、社会あるところに法ありで、社会が存在すれば法は必ず存在し、法律と社会は相互補完的不可分の関係の概念であります。お互いが社会生活を営む上で欠くべからざる規範であると同時に、道徳規範と社会規範とが結合したものであり、程度の差はあれ最終的に強制力を持ってその実現を図るものであります。この世に守らなくてもよいという法律は存在しないのであります。いかに目的が正当で崇高であっても、その実現のために法律を犯すことは近代法治国家、民主主義国家においては否定されるのは当然の論理であります。左翼の県議先生や左翼団体が刑特法や主任制等でしきりに法律違反をそそのかすような言動がありましたが、かかる姿勢は、主権在民の民主主義の原点を十分に理解していない人たちと批判せざるを得ません。近代法治国家において国民はすべて主権者であり、国民を代表する議員で構成された国会で制定された法律は国民としてひとしく遵守しなければならないのであります。社会情勢の変化等により既存の法律を改廃することは制度的に保障されております。したがって法律や制度を変えたいときは制度によって、いわゆる国会で変えていく日常的な努力を続けるべきであり、既存の法律制度を否定する行動をとるような教師集団と同じレベルにこの校長教頭組合の先生方がいるならば、教師としてはもちろん、管理職として失格者であります。わが党はかかる校長、教頭は免職にするか降格すべきだと思うが、教育長の御所見はいかがなものですか、その組織加入者の名前も公表していただきたい。
 次に、主任制についてお伺いいたします。
 カリキュラム闘争、人確法、教頭法、主任制闘争等を日教組はすべて戦争になるぞと偽りの宣伝をし、不毛の論議と無益な混乱を起こし教育現場を著しく荒廃させてきたが、本県でも昨年ようやく主任制の実施を見たが、現状はどのようになっておりますか。
 6番目に、沖教組の諸行事について。
 組合員のためのレクリエーションとしてのバレーボール大会、バスケットボール大会あるいは自主主催教研集会、違法スト等の沖教組の組合員のための行事によって児童生徒の授業時間が短縮され、しかもその補充もされていないとの父母関係者の悲しい訴えがありますが、その実態はどのようになっているのか具体的に説明願いたい。
 通告の最後になりますが、知事選挙に関することについて所見を述べながら質問を行います。
 来る11月14日の知事選挙と参議院補欠選挙で県内政局は未曽有の混迷を来しております。特に革新陣営は、知事候補と参議院候補の人選作業で出したり引っ込めたり、立てたり座らせたり、わけのわからぬ混乱の状況は県民不在、有権者無視の政党政派のエゴむき出しの低次元の駆け引きに終始し、良識ある県民多数を辟易させているのであります。革新側の発想の根底には、知事としてあるいは国会議員として有能な人物を選ぶよりも、選挙にいかに無害な人物で、選挙に勝ちさえすればいいという無責任な姿勢で批判せざるを得ません。それに比べてわが陣営は、県知事とは政治経験、手腕、力量、素養があって、県民福祉の向上のため県民の先頭に立ってバリバリ働く体力と政策実現がなし得る政治環境にある人、また参議院も県政と国政のパイプ役として、さらに国家百年の計を論じ得る人であり、国会で十分に活躍できる経験と実績のある人物を県民各位に御推薦申し上げているのであります。その予定候補が知事には現在の西銘知事であり、参議院には沖縄のケネディから日本のケネディとして実績、経験とも申し分のない大城真順氏であります。
 今回の選挙の特徴は、昨日のタイムスの「選挙プリズム」で報道されておりましたが、経済人は保守、革新の区別なく県益優先、県民党的立場をたてまえとするが、しかし今回は様相は違うと。本格的な低成長時代にあって2次振計を成功させるには中央政界とのパイプの太い西銘知事しかなく、県民の負託にこたえ得る者は西銘県政をおいてはほかにないと現実的選択をし総決起をしていると報道されております。各界各層の圧倒的多数の県民が西銘再選に熱い熱い期待を寄せております。
 そこでお伺い申し上げます。
 西銘知事は、沖縄百年の大計を築く県政の礎の種まきをし芽出しに成功したのでありますが、その芽を育て花を咲かせ実を結ばせる使命が西銘知事にはあります。ぜひともあと4年、8年と県政を担当し、日本一の活力ある沖縄県づくりにがんばってほしいのでありますが、その決意と自信はございますか。
 以上で代表質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 西田健次郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 県政4年の足跡を振り返ってみての知事の感想についての御質問でございますが、お答えいたします。
 私は、県民生活の安定と福祉の向上を目指して努力してきたところであります。特に産業の振興と地域づくりの観点から、その基礎条件である道路、港湾、空港、水資源の開発、農業基盤等の社会資本の整備と教育、医療、福祉施設等の整備に努めてきたところであります。また国際交流や人材育成についても、人づくりの観点から国際交流財団、人材育成財団の設置等組織づくりを推進してまいりました。その結果、自立的発展の基礎条件整備の骨格をなすプロジェクトの新規芽出しについて一応の成果を見ることができたものと考えております。しかしながら産業基盤の整備、国際交流、人材育成等はこれからであり、積極的に推進しなければならないと考えております。
 次、労働福祉公社に対する御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄県労働福祉公社は、労働福祉の一層の拡充強化を図る目的で昭和50年3月に設立されております。同公社は、設立後、初の事業として労働福祉会館を建設したのでありますが、その建設資金はすべて沖縄県保健医療福祉事業団から15億9000万円の借入資金を充てております。また、同会館は労働福祉公社が独立採算により運営する予定であったのが、初年度より赤字続きで県から毎年度多額の補助を行っている状況であります。このような中にあって、県としては各面から検討を重ね公社に対し運営改善について行政指導をしてきたのでありますが、公社独自の収益では毎年多額の元利償還をするにはとても及ばないのが現状であります。今後は会館施設の利用促進、利用料金の見直し等経営の改善及び受益者団体からの促進等公社に対する指導を強化する一方、抜本的な解決策を見出すべく関係機関連携を密にし対処していく所存であります。
 なお、元本の償還状況でございますが、これはゼロでございます。受益者負担は現在までに115万円出捐されております。
 中央高校の県移管問題に対する御質問に対しましてお答えいたします。
 長年の懸案でありました中央高等学校の県移管問題につきましては、教育庁と調整の上、昭和57年1月30日に県の処理方針を決定し、これに沿って行政上の対応をしてまいりました。まず、去る2月28日に同校の教職員を県に採用するための特別選考試験を実施いたしまして、教職員72人のうち45人を採用候補者として決定いたしました。採用候補者45人のうち18人は去る4月1日付で県に採用し、残りの27人については在校生を卒業させるまでの間同校に在職させ、その後年次的に県に採用する予定となっております。県の採用候補者として決定された者以外の退職者27人に対しましては、退職金の一部として総額3000万円の補助金を交付するとともに、再就職についても中部13市町村長へ協力方を依頼してきたところであります。学校の運営につきましては今年度分としておよそ8000万円の予算措置をしており、引き続き次年度においても特別の予算措置を講ずる所存であります。また、同校跡地における県立高校の設置につきましては、学校法人国際学園の清算事務の推移を見守りながら昭和59年度中に開設し、同60年4月1日に開校することを目途といたしております。
 次に、米軍下水道料金問題の御質問に対しましてお答えいたします。
 下水処理業務契約書、これは昭和52年3月30日に、当時の平良知事のもとにおける土木部長大嶺氏と米軍の契約担当官との間に取り交わされております。契約書には下水道負担金の徴収の基礎となる汚水量の算定に、上水メーターまたは下水メーター、いずれでもよいと規定されていたところから、米軍は指示量の少ない下水メーターの使用を主張いたしました。これに対して県は、市町村の分担金は上水メーターを基礎としているところから市町村との間に公平を欠くため、市町村と同様に取り扱い、上水メーターの使用を主張したのであります。また、同契約書は米軍の一方的意思により改廃できることや、負担金についても県議会の議決による単価についてその都度協議する等内容的にも片務的内容となっております。このためその改廃を主張いたしたのであります。しかし、現地米軍では交渉に限界がある旨3者協議会で米軍側から明らかにされたため、日米合同委員会へ付託されることになったのであります。その結果、同委員会の契約調定委員会で審議され、同委員会の結論を得、具体的解決を見たのであります。その内容の主なものについて申し上げますというと、負担金については県の主張どおり上水メーターによることとし、また契約書についても協定書に改め、その改廃については双方合意によること等国内法と十分整合性のもてる内容に改めたのであります。
 次に、予算獲得の実績についてお答えいたします。
 振興開発事業費、特に公共事業費について申し上げますというと、昭和54年度1669億円、55年度1698億円、56年度1744億円、57年度1789億円と毎年対前年度を上回る額の確保が図られております。沖縄振興開発事業の毎年度の増額は、本土との格差是正、経済の自立的発展を目標とする沖縄振興開発計画に基づき、開発庁を初め関係各省庁の御理解と御協力により所要の額を確保してまいりました。また、去る12月の57年度予算査定の際、厳しい財政環境の中で沖縄の高率補助の見直しが論議されたのでありますが、これも沖縄開発庁を初め国の理解と協力を得て引き続き高率補助を存続することができたのであります。
 次に、第2次振計における国の責務の文言についての御質問に対しましてお答えいたします。
 国の責務の明記につきましては、内閣総理大臣へ計画の案を提出するに際しまして特に県内に議論があったことから強く要望し実現させたものであります。国の責務の明記については知事原案に入れるかどうか検討いたしたのでありますが、責任を持って計画を策定する国の側で明記することが最も望ましいとの判断をいたしました。確かに第1次振計にも入っておりましたが、これは県案にあったわけではございません。国の審議会の答申を受けて挿入されたいきさつがございます。2次振計は1次振計の基本的考え方を引き継いでおり、また引き続き沖振法に基づき国の責任において策定される計画であり、国の責任は当然であります。あえて国の責任を明記する意味は、国の姿勢を示すということにあると考えております。そこで県といたしましては、計画を決定する際に国の責任を明記してもらうよう要望いたしました。これは責任ある者が、責任があることを明示するのが筋だと考えたからであります。国の責務が明記されたことは、県民の御協力はもとより、沖縄開発庁を初め関係省庁の御理解によるものと理解いたしております。
 次に、第2次振計との関連で事業計画等を策定する考えはないかという御質問に対しましてお答えいたします。
 2次振計の事業計画等の策定につきましては、県振興開発審議会の答申にも、県は、この計画の実効性を確保するため実施計画等を策定し適切な進行管理に努めること、とありますので、この趣旨を踏まえまして2次振計を展開していく上で県独自の事業計画等を作成した方が適切ではないかと考えまして、いま検討させている段階であります。
 次に、沖縄関係3法の制定についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄振興開発特別措置法、沖縄振興開発金融公庫法、復帰特別措置法等一連の沖縄関係法の実施によりまして沖縄の振興開発が一応の成果を上げていることは、県民各位がひとしく認めるところであると考えております。ところで今度の沖振法等の延長は、国の厳しい行財政改革のさなかにあってきわめて困難な状況でありましたが、現行どおりの延長が実現できたのであります。これはひとえに県民の積極的な御協力と総理大臣初め関係省庁並びに国会における各政党の沖縄に対する御理解と御尽力のたまものだと厚く感謝いたしているところであります。特に法案の国会審議に当たっては、各政党ともその成立に賛同していただいたということは、これらの法律が沖縄の振興開発を進める上で必要な法律であることを示したものであると考えております。
 対米請求権の金額の問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県における戦後及び復帰処理問題の懸案でございましたいわゆる対米請求権の問題につきましては、昭和53年度に漁業被害事案、昭和55年度に人身被害事案の解決が図られ、さらに土地関係等事案についても、昭和56年度10億円を初年度として昭和62年度までの7年間に総額120億円を団体に一括交付することで政府と合意解決いたしまして、その資金の受けざらとして、被害者等に対する援助事業を目的とした社団法人沖縄県対米請求権事業協会が昭和56年6月に設立されましたことは御案内のとおりであります。現在当該法人においては、被害者等に対する援助事業及び沖縄における地域の振興等を図るための事業について専門的分野からの審議調査機関を設置いたしまして検討を重ねているところであります。
 なお、土地関係等事案については、請求件数が膨大でかつ古い事案であるために立証、証拠資料等も乏しく解決困難な状況でございましたが、国側の提示額77億を最終的に120億円までに上積みさせ解決することができましたことは、戦後処理問題の重大な懸案事項として精力的な折衝によるものでございまして、決して満足できる額ではございませんが、このような状況の中では大きな成果だったと評価いたしております。
 次に、教科書問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 教科書は主たる教材として学校教育上重要なものとして認識いたしております。したがってその内容、取り扱いについては正確かつ適切でなければならないと考えております。今回、教科書記述上の問題点が指摘され、国内はもとより、外交問題にまで発展したことはまことに遺憾であります。教科書には沖縄戦の全貌が正しく記述されるとともに、戦争の悲惨さ、平和のとうとさ、歴史的事実が明確に示されなければならないものと考えております。この問題については私としても深く関心を持っておるのでありますが、教育に関しては教育委員会が所管する事項でございますので、これらの折衝は教育長に対応してもらっているところであります。折衝の内容等についてはその都度報告を受け十分承知いたしております。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
     午前11時1分休憩
     午前11時2分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 選挙に対する心構えの問題でございますが、大変厳しい選挙でございますが、悔いのない態勢をつくりまして御期待にこたえるよう懸命の努力を傾注してまいりたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 教科書問題でございますが、教科書は学校教育における教科指導の主たる教材でございましてきわめて重要な役割りを持つものであります。したがいましてその記述に当たりましては公正適切であるとともに、それを使用する児童生徒の発達段階に応ずるような配慮がなければならないことは言うまでもございません。今回の高等学校社会科の教科書につきましても、これらを踏まえて作成され検定されたものと認識しているものであります。
 教科書問題について教育長はどう対応したかということでございますが、8月中旬に文部省へ教育次長を派遣いたしまして本県の状況を伝えますとともに、本問題について要請をいたしております。また8月28日には私が上京いたしまして鈴木初等中等局長にお会いし本県の実情、県民感情等について説明をし、できるだけ早い時期での善処方を申し入れております。文部省も沖縄県の事情等はよく理解しており、できるだけ県民の要望に沿うよう検討したいとの返事でありましたので、今後はその成り行きにつきまして注意深く見守っているところでございます。
 次に、教科書検定の時期の繰り上げでございますが、それから沖縄戦の記述は明確になるのかとの御質問でございますが、今回の書きかえは単に沖縄関係の記述のみでなく、中国や韓国等国際問題もございまして、政府では近い将来その時期を繰り上げて訂正したい旨説明をしておりますので、沖縄関係におきましてもその時点で検討されるものというふうに期待をいたしております。
 それから沖縄戦の教材化についての所見をということでございますが、沖縄戦を含めて歴史の解釈は一面的にとらえることは適切ではないのではないかと考えております。客観的史料に裏づけられた正しい事実関係の確認が必要でございます。したがいまして沖縄戦の教材化に当たりましては戦争の悲惨さ、平和のとうとさを基本に広い視野から沖縄戦を考えさせるとともに、客観的史料による論拠の明確さ、公正さを十分研究し、児童生徒の心身の発達等に配慮しつつなされるべきものだと考えております。
 それから教科書検定制度の必要性についてでございますが、わが国の教科書検定制度は、教科書の著作を民間にゆだねることにより創意工夫を競い合って多様な教科書を実現するとともに、教科書の質的向上を図り、検定によって適切な教科書を確保することを目的としております。また公教育の公正、中立性を維持する上からも教科書検定制度は現状において必要なものだと考えております。
 それから特設授業の問題でございますが、特設授業とは、学校が特別な事情により計画以外に特定なテーマを設定しまして授業が行われる場合を指すものでございます。本県においては6月23日の慰霊の日前後に行われております「平和を考える」授業等を指しておられるかと思いますが、その他高等学校におきましては、交通事故等の突発的事態が生じた場合にも共通テーマで授業が行われている実態もあるわけでございます。御承知のように学校では憲法、教育基本法の精神にのっとり学校の教育目標が設定され、その目標達成のために年間指導計画が立てられ実施されております。この場合、学習指導要領の趣旨を踏まえ児童生徒の発達段階、公教育としての公正さ等を配慮し適正に実施されるべきであり、この方向で指導してきたところでありますが、今後ともこのような立場に立って指導を行っていきたいと考えております。
 それから授業時間の短縮についてでございますが、学習指導要領で、小学校の1単位時間は45分、中学校の1単位時間は50分を常例とする、と示されております。昭和56年7月、県教育委員会が調査を行いました結果では、小学校の45分授業が80%、中学校の50分授業が68%で、40分と45分授業がかなりあったことは事実でございます。それから昭和57年現在の調査では、小学校におきましては昨年より改善されておりまして、90%以上が45分授業を実施していることになっており、望ましい傾向になってきていると言えます。ところが中学校におきましては、149校のうち49校がまだ45分授業をしているところがございます。その49校の内訳でございますが、国頭地区33校のうち9校、中頭地区34校のうち27校、那覇地区22校のうち2校、島尻地区及び宮古地区はございません。八重山地区19校のうち11校となっております。
 次に、実施しない理由についてでございますが、こういうことを言ってきております。生徒の自主活動等のため、それから職員の共通理解が得られないため、教師のゆとりと教材研究等の時間確保のため、それから生徒に集中力、持続力がないため等となっているわけでございます。教育庁の指導でございますが、昭和52年から3年間の新教育課程研修会で、45分、150分授業についての理解についての説明会を行っております。さらに小学校は昭和55年3月19日付、中学校におきましては昭和56年2月2日付で県教育委員会の通達文書で指導助言もいたしております。昨年は、県小中学校長の研究大会でじかにその改善を求め、教育課程研究部会でも討議を深めてまいってきておりますが、いまだに改善されてない学校があることはまことに遺憾に思っております。これは全国的に示された標準的な基準であり、今後とも各市町村教育委員会を通して指導を強化させていきたいと考えております。
 それから復帰記念メダルの処理でございますが、復帰記念メダルは、沖縄の本土復帰を記念いたしまして国から沖縄の児童生徒に贈与されたものでございますが、一部未配布の学校があることは御承知のとおりでございます。復帰10周年を迎えた今日、いまだ処理されてないことは大変残念に思っております。復帰当時の小学校1年生が現在では高校2年生になっており、これからの配布につきましては時期がかなり経過していることから困難は予想されますが、関係者の協力を得て、またマスコミ等を通じまして周知徹底を図りながら早目に処理していきたいと考えております。
 それから校長教頭組合についてでございますが、沖縄県校長教頭組合は昭和48年12月27日に結成された地方公務員法に基づく法人格を有する職員団体であり、現在その組合員は小学校、中学校の校長、教頭約600名のうち200名程度だと思っております。職員団体である以上、法令で定められた範囲の活動は認められるわけでございまして、校長、教頭は学校の管理運営の責任者であり、管理者としての立場も考えてもらわなくてはいけないと思います。御指摘のように管理職としてはなじまない言動があるとの御批判を受けている件につきましては遺憾に思っております。今後は管理職としての立場を十分に自覚し、行き過ぎた行為がないように指導していきたいと考えております。
 なお、管理職任用につきましては、今後とも人物、識見、学校管理及び教育指導に関する知識や実践力を総合的に判断し、適正な人事を行っていきたいと考えております。また、法令に抵触するような行為があれば、法令に照らして厳正に対処していくべきであると考えております。
 主任制の現況でございますが、御承知のとおり主任制につきましては法令は尊重しなければならないこと、それから教職員の指導組織の充実を図ること、それから教職員の給与改善を行うことの基本的な考えから昭和56年4月1日から実施してまいりました。昭和57学年度の主任の任命報告につきましてもそれほど大きな混乱もなくなされてきたところであります。しかしながら主任制が2年目に入った現在でも、中頭地区の5町村においては主任制が未実施となっております。また主任制は実施したが、学校長の任命報告がなされてない町村も幾つかあります。これらの町村に対しまして再三指導してきているところでございますが、いまだにそのような状況にありますことを遺憾に思っております。現時点において主任制を実施しない等ということは、主任制に関する法令を無視し続けるものであり教育行政のあり方として大きな問題であると考えますので、これらの町村に対しましては主任制を早期に実施するよう、また主任の任命報告を速やかに行うよう今後とも強く指導していきたいと考えております。
 それから教職員のレクリエーション、教研等についてでございますが、職員団体の関係の行事で児童生徒の授業にかかわりのあるものとして教職員のレクリエーションや教研集会等があるわけでございます。教職員のレクリエーションにつきましては、福利厚生の一環としで地方公務員法に規定されておりますので、その趣旨に沿って配慮されなければならないものでございます。ところが御指摘のように児童生徒に対する授業を一部カットして教職員のレクリエーションが実施されていたことから、そのことがないよう文書で強く指導してきたところであります。現在におきましては大方是正されてきております。まだ一部に授業をカットしてまで教職員のレクリエーションが持たれているところがあると聞いておりますので、今後とも強く指導していきたいと考えております。また、教研集会等につきましても、児童生徒に対する教育活動等総合的な見地から行われていると考えておりますが、今後とも慎重にそういうことに関しましては検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 渡久地政仁君。
   〔渡久地政仁君登壇〕
○渡久地政仁君 本員は、自由民主党所属県議団を代表いたしまして、さきに通告いたしました事項につきまして所見を述べながら質問をいたしたいと思います。
 まず、基地の整理縮小と跡利用についてでございます。
 米軍基地の整理縮小については、国の計画である3全総や第1次振興開発計画にもその必要性が記されまして、またこのたびの策定されました第2次振計にも、土地利用上大きな制約になっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業の振興、生活環境の整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策を推進すると記載されて、早期にその施策を推進することが強調されております。県政のこの重要課題は早期にという課題を背負っているものの、現実は意のごとくならず、まさに10年1日のごとく遅々として進まないというのが実情ではないかと思います。ちなみに復帰直後の48年から49年にかけて日米安全保障協議委員会の第14回から第16回の会議で約5700ヘクタールの軍用地返還の合意がなされてから、やがて10年の歳月が流れようとしております。当時の合意が発表されたときには、県民は本県におけるところの軍用地の返還が急速に進むものと期待しました。しかし実情は那覇市の上之屋などに所在する牧港住宅地区の返還が現在も中途半端な返還のままとなっており、また目玉となっておりました那覇港湾施設のごときは、その移設のめどさえも立っていないありさまとなっております。復帰から昭和54年までの7年間の返還の実績を見ても、全軍用地面積の1割足らずのたった8.3%、2383ヘクタールが返還されたにすぎず、本県軍用地の規模はほとんど大きな変化がないといったのが実情であります。
 一方、返還された軍用地の跡利用も遅々として進んでおりません。ちなみに県から出された資料によりますると、昭和36年から53年までの18年間で返還された軍用地は9076ヘクタールで、そのうち土地区画整理事業あるいは農業基盤整備事業などが施行されて利用されている土地は1割強、12%の1078ヘクタール、そして約70%は返還前の黙認耕作地や森林で、それがそのまま継続されて17%が遊休化しているとされているのであります。遊休化の理由はいろいろありましょうが、その大きな1つは地籍問題であったのは御案内のとおりであります。もう1つは、最近問題になっている市町村の財政負担問題であります。
 ところで、最近報道によりますと、軍用地の返還問題では、牧港住宅地区については、当初防衛施設庁は60年5月までに全面返還する予定であったものが、その見込みがなくなったと報じられ、そのために県と那覇市が進めているところの同地区の跡利用計画にも大きく影響が出そうだとされております。また跡利用問題では、県はこのほど関係市町村の実態を掌握する必要があるとして先月から調査に乗り出したとされておりますが、その上で総合的な検討を加えて必要に応じて国に財政上の措置を求めていく考えのようでありますが、ちなみに関係市町村のうち跡利用計画を樹立しているのが6市町村12施設、跡利用事業に着手しているのが2市村2施設となってほとんどが手つかずの状態だとされております。
 以上、基地の整理縮小及び跡利用について述べましたが、これを踏まえて質問に入りたいと思います。
 1つ、まず整理縮小ですが、県の基本方針として当面その返還の促進を図っていくとされているところの、日米間で返還の合意がなされた施設区域の現況はどうなっているか。そして積極的にその返還を促進していきたいとしている県の方針に沿って具体的にどの施設区域について返還の折衝をし、どのような回答があったかをお伺いいたします。
 2つ目、2月定例議会におけるわが党の代表質問に答えまして、返還合意がなされた軍用地について58年度予算で移設調査費を計上するよう国に要請しているところであると答弁されましたが、本問題はどのようになっているか承りたい。
 3つ目、県の基本方針として日米間で返還の合意を見た施設区域同様、地域振興開発上必要な施設区域についても積極的にその返還を促進していきたいとされていますが、これについて説明を願います。
 4つ目、返還跡地の利用の問題でありますが、さきに触れましたように県はその有効利用の推進や公共用地取得の円滑化を図るために関係市町村に対し調査を開始したとされ、また土地区画整理法、土地改良法、都市計画法などとの関連で基地渉外課、地方課、農政課、土地利用対策課など県庁内の関係部局が連絡を取り合って対処していく旨の報道がなされております。調査の内容には、これまで各市町村において跡利用計画が進んでいない要因など跡利用問題の基本にかかわる問題も含まれているようでありますが、返還跡地の利用の問題にどう対処していかれるかお伺いいたします。
 次に、雇用失業問題についてお伺いいたします。
 雇用失業問題は、復帰この方、常に県政の最重要課題として取り上げられまして、議会としてもほとんど毎定例会に本問題について執行部にその施策の強化を迫ってまいりました。一方、執行部としても本問題にあらゆる努力を傾注されてまいりましたが、事態を好転させるに満足するに至らぬまま今日に至ったのが実情かと思います。その間議会では失業率が6%台になったとか、4%台になったとか、その数字が上下するたびに執行部の施策に対する批判や評価をその都度行ってまいったのでございます。しかし振り返ってみると、これまで幾らか数字の変動は繰り返されたものの、本県の雇用失業問題の根幹となっている諸条件にはほとんど変わりはなかったのではないかと思います。つまりこれら数字の変動は季節的要因などほとんど一過性の要因によるもので、本県の労働人口を吸収する働く場所という雇用基盤はほとんど変わりがなかったというのが実情ではなかったかと思われます。確かに数字の上では、産業構造における第2次産業の占める比率は第1次振計の基準年次であります45年度には18.1%、そして今回の第2次振計の基準年次である55年度には21.7%と上がっておりますが、これもその中身は民間の活力によって設備投資がなされ働く場所がふえたというよりは、財政主導型の財政運営がなされた結果、公共工事に対応するための建設業がふえた結果による数字のアップと思われ、政府の施策いかんによっては今後ともこの数字のアップが保証されるものではないと考えられます。
 ところで、本県のこのような厳しい雇用失業のよって来る要因はほとんど掌握し尽くされていると思います。復帰後の米軍基地従業員の大量解雇、第1次振計の人口フレームを大きく狂わせた人口増、特に若い労働人口の増加、ほとんど変更のなかった産業構造、特に不振だった生産部門を中心とする第2次産業の問題、ヤングのふるさと志向で激しいUターン現象などがそれであります。このように要因ははっきり掌握できていても、かつ本問題の打開がほとんどできないといったところに本県のこの問題の深刻さがあるのであります。
 本県の雇用失業問題を本土並みに持っていく、適当な表現ではないが、失業率の本土並みに実現するには、産業構造を本土並みあるいはそれ以上にする以外にないと思います。しかし、それは近い将来実現することが困難であることは万人が認めることだと思います。県の資料によりますと、今年からスタートする第2次振計において今後10年間いろいろな施策を行っていっても、10年後の失業率は3.4%、そして失業者は相変わらず2万人近くいるだろうと予測されています。また打ち続く不況、政府の膨大な歳入欠陥、それとの関係でのマイナスシーリングなどを見ますと、果たして本土企業が本県に進出してくるような経済環境,がここ二、三年の間に出現するかどうか、これらのことを考えてみると、本県の雇用失業問題はここ当分厳しさが続くものだと考えなければならないのであります。このように根本的解決が困難であるならば、本県のこの問題をどうすればよいか、当面これまで執行部が議会で答弁してきた施策をじみちにやっていくことと、関係者がさらに努力されて新たな職場の開拓の方法を見つけ出していく以外にないと思います。このたびの第2次振計を国の審議会が政府に答申した際、特に3点の要請事項を挙げ特段の配慮を求めましたが、その第1に挙げられたのが、経済の自立発展に向けた産業振興と雇用対策の推進でありました。このようなことから県が精力的に取っ組んでいけば、国としても十分それにこたえていくものと思われます。
 以上、所見を述べまして質問に入りたいと思います。
 1つ、本県の自立的発展を図るための主要な施策の1つである企業誘致については、県は昨年度来、企業立地説明会や企業訪問を繰り返し行うとともに、本県の立地条件を広く企業に紹介するために本土企業の本県視察事業を実施したほか、魅力ある優遇措置を盛り込んだところの工業立地促進条例を制定するなど積極的な企業誘致活動が展開されています。また、本年度は国において第2次沖縄振興開発計画が策定されており、中でも既存工業の振興とあわせて新規企業の立地を促進することが重要な課題として位置づけられていることから、企業誘致の実現はこれまで以上に重要かつ緊急の課題であると考えます。このようなことから今後とも引き続き強力に誘致活動を推進する必要があると思われるが、これまでの誘致活動の結果はどうなっているか、さらに今後の施策展開に向けての県の基本的な考え方を伺いたい。
 2つ、次に雇用創出の問題ですが、県は本問題について当初雇用創出を図る事業実施の財政手段として雇用対策基金を創出する計画であったが、同事業に要する原資金が膨大な額となること、国の財政事情などの理由から基金の創出は当面困難なものとなり、単年度ごとの予算措置でもって事業実施の確保を図るべく、1つ、産業振興雇用直結事業、2つ、能力開発就業拡大事業、3つ目、臨時労働力活用事業、4つ、県内雇用確保、県外就職者定着事業を4本柱とする雇用創出特別事業を策定して57年度から事業を実施の運びとなっておりますが、57年度実施事業について沖縄振興開発金融公庫の出資条件の緩和を初め8つの実施事業についてすでに着手されたかどうか、実施状況並びに次年度に向けての取り組みについてお伺いいたします。
 3つ、ヤングのふるさと志向でUターンする者が多いが、Uターン労働者に対するところの定着指導はやっているかどうかお伺いいたします。
 4つ目、新聞報道によりますと、不況と事務の合理化が重なって来春卒の就職は近年になく厳しく、求人が全体の1割も減った上に、特に高校卒の男女などは前年比で2割近く減ると予想しております。6月の失業率は季節調整済みで3.48%で、昭和31年3月以来26年ぶりの高水準となったと報じられております。このような状況から来年の雇用失業問題は一段と厳しくなるものと予想されます。来年度の就職問題に対する県の対応と決意を示していただきたいと思います。
 次に、国際交流関係についてお伺いいたします。
 まず、国際センターについてであります。
 近年における交通通信網の発達は、地球上のあらゆる地域を有機的に結びつけまして、すべての国家は何らかの形で他の国と交流することなしには自国の安定と発展は図られないまでになっております。国際交流の歴史的経験などを生かして沖縄県を国際交流の重要な拠点として位置づけまして、その機能を果たすための環境の形成を図ることをうたって、本県の振興開発の基本方向を明確にしています。このときに当たり、西銘知事は就任以来国際交流を県の重点施策に掲げ、本県を国際交流の拠点にするために各種施策を着実に実行に移されまして国際交流課の新設、国際交流財団の設立など国際交流の推進、組織の充実強化を図るとともに、南米を初め中北米諸国の訪問、南洋漁業基地の施設訪問など知事が先頭に立って知事外交を推進し、国際交流の拠点形成のための実績を築き上げられたことは県内はもちろんのこと、県外からも高く評価されておるところであります。特にASEAN人づくり構想の一環として東南アジア諸国との交流の場、国際センターが本県に設置されることは西銘知事の国際交流にかける積極的な姿勢と政治手腕のたまものであり、県民挙げて歓迎しているところであります。本県の歴史的経験と地理的有利性を生かして国際交流の諸施策を推進することは、本県振興の起爆剤になるものと期待いたしております。今後とも積極的に推進していただきますよう要望いたしまして質問に入ります。
 まず、国際センターは昭和60年にオープンすると聞いているが、現時点の作業の進捗状況と今後の建設計画及び同センターの規模についてお伺いいたします。
 2つ目、本県に設置するからには中途半端な施設でなくてりっばなセンターが建設されるよう住民の要望でございますが、これについての御見解を承りたい。
 3つ目、国際センターが建設されても、国際交流を進める場としてはそのほかの施設の充実強化及び誘致新設が必要かと思うが、その点どのように考えておられるか。また長期計画の構想があればあわせて御説明願いたい。
 次に、国際交流財団についてお伺いいたします。
 沖縄の歴史的特性から見て、本県をわが国とアジア、大洋州の近隣諸国との人的、文化的、物的交流拠点として位置づけまして発展させることは本県の振興開発のみならず、わが国の国際社会への寄与の一翼を担うものとしてもきわめて重要であり、沖縄にとって内なる開発促進とともに、開かれた海に向かう移住を含めた交流は、あすの豊かな活力ある住みよい県づくりの実現の車の両輪とも言えよう。なかんずく海外移住は持続的な人間交流の場であり、国際交流の輪を広め確固たるものとする効果が大であるが、これからの海外移住は、相手国の開発振興に寄与する国際協力の一環として推進しなければならないことだと思われます。
 以上のような観点から、沖縄の歴史的、地理的特性を踏まえましてアジア、大洋州近隣諸国及び中南米諸国との広い分野の人的、物的交流活動を促進し、もって沖縄の振興開発と国際協力、国際友好親善の増進を図るため昨年3月、財団法人沖縄県国際交流財団の設立がなされましたが、このことについてお伺いいたしたいと思います。
 県、市町村、民間団体の全県民挙げての参画で設立いたしました財団の組織の拡充強化についてどのようなお考えを持っているか、また事業内容をどのような方針で実施していく予定かをお伺いいたします。次に、他府県でも例を見ないユニークな組織だけに、長期的視野に立って育成していただきたいと思いますが、これについての御見解を承りたい。
 次に、アルゼンチンヘの移住問題についてお伺いいたします。
 アルゼンチンヘの移住問題につきましては、これまで本議会としても4回にわたり実地調査を含む調査を行ってまいりました。その結果を踏まえて執行部に対し、代表、一般質問を通じまして数多くの質問や提案などが行われてきたことはすでに御案内のとおりであります。これらの多くは、与野党を問わず移住に対する疑問や移住地の各種条件などに対する懸念などでありました。この疑問や懸念に対し、執行部は、基本的にはこれら疑問や縣念は解決できるものであり、心配はないといった内容の答弁でなかったかと記憶しております。ただ58年8月から政府による現地調査が行われるので、その結果を見てから最終的な決断を下したいとしておられたのであります。そして政府のこの調査結果は、報道によりますと若干の問題を指摘しつつも、県の移住計画に同意を与えた内容になっているようであります。県は、これらを受けてことしの4月、同移住に関する知事間の協定を結び、11月には試験的事業に着手する段取りになっていたとのことであります。しかし思わぬことにアルゼンチンと英国にフォークランド紛争が起こり、これらの計画は延期せざるを得ない状況に立ち至りました。アルゼンチンの国情は紛争終了後も混迷が続き、政治面においては大統領の交代、経済面においては以前から続いていたインフレが戦費によって影響されてさらにその加速度を増し、それに加えて多額の対外債務を抱えましてメキシコ、ポーランドと同じく破産の危険のある国となっております。県は、フォークランド紛争終了後もアルゼンチンの国情の推移を注視し、状況が許せば知事間の協定の締結にこぎつけたいとされていたようでありますが、報道によると当面それをあきらめたとのことでありますが、そういったような背景を踏まえまして質問に入りたいと思います。
 1つ、県は今後ともアルゼンチン移住については当初方針どおり計画を進めていく考えですか。2つ目、この場合、ブエノスアイレス州との覚書の締結は、現在のアルゼンチンの国情からいつごろという見通しが立ちますかどうかお伺いいたします。3つ目、県とブエノスアイレス州間で締結することになっていた覚書の内容は現在も変更を受けずに生き続けているか。特に1ヘクタール70ドルといった土地代などはどのようになっているか、今後さらに上げられる可能性はないかどうかお伺いいたします。
 次に、農畜産物輸入拡大についてお伺いいたします。
 米国政府は、日米間の貿易摩擦を解消する一環として特に農産物の輸入自由化に強硬な姿勢で臨んでおった。牛肉やオレンジ、パインかん詰め、その他の制限品目について輸入枠を大幅に拡大するほか、関税の前倒し引き下げ、非関税障壁の撤廃など多角的な自由化措置を強く迫っていたのでございます。こうした米国政府の基本方針は、今日のような対日貿易赤字が続く限り堅持されるものだと見なければならない。しかし去る5月24日から2日間にわたって行われた日米政府間の交渉ではいろいろ政治的配慮もあったと思われるが、完全自由化の要求は大きく後退し、中期的な視点に立って摩擦解消を促進するということで合意に達したことが報じられております。具体的に挙げれば、パインかん詰めについては57年から59年まで年間80万ケース以上、豚肉調製品は3ないし4年以内に現在の6000トンないし7000卜ンから1万トン以上にするなど段階的な輸入枠の拡大に落ちついております。一足飛びの自由化強制がわが国の農業、農村経済にどう影響をもたらすか、双方の間で突っ込んだ論議が展開されたものだと思われます。
 こうした一連の農畜産物自由化輸入枠拡大をめぐる日米協議会の結果、ポークランチョンミートの輸入枠が拡大されることになった。沖縄は国内で最大の消費県というよりも、輸入量のほとんどは県内で消費されております。また国内では唯一の製造県でもあり、県産豚が原料として使用されております。県は、ポークランチョンミートの輸入枠の漸減について国に要請されたことが報ぜられております。従来、沖縄県に輸入されているポークランチョンミートは5000トン前後であり、これ以上の輸入枠拡大は、当県の畜産農家及び食肉加工業に打撃を与えることになります。沖縄では、戦後、米軍の持ち込んだポークランチョンミートが配給物資として入っており、豚肉を好む県民の嗜好にも合うとあって食生活に取り入れられたところの過程があるのであります。いまでも全国消費量の80%以上を県内で消費されているのが現状であります。ところがハム、ソーセージはほとんど県産品で賄える体制ができているのに対し、ランチョンミートの生産量は53年度312トン、54年度350トン、55年度268トン、56年度149トンで、自給率は53年度の6%を最高にだんだん減少いたしまして56年度は2.4%でしかない。また県産品の製造量がふえるほど県産豚の使用量もふえることになり、畜産農家への影響も大きいのであります。ちなみに豚1頭から出る肉を全部使うとしたら、輸入かん詰め5000トンは豚10万頭に相当する計算になります。その分を畜産加工に置きかえることができれば沖縄の畜産はますます発展することが考えられるのであります。よってポークランチョンミートの沖縄特別割り当てについては現在枠を限度とし、県内生産の拡大に応じて漸減するよう国に強く要請することにし、県産品生産拡大にどう取り組むかが今後の課題となってくると思います。
 そこで質問に入りたいと思います。
 日米政府間の交渉で、豚肉調製品は3ないし4年後には現在の6000トンないし7000トンから1万トンに拡大すると合意されたとのことだが、これは沖縄への割り当て枠がふえるのか。それとも拡大された分のランチョンミートは本土で消費するのか。また、これが沖縄に流れてきはしないかという心配があるが、当局としてはこれをどう受けとめ対処しようとするかお伺いいたします。
 2つ目、ランチョンミートに課徴金を付加せよとの声があるとの新聞報道があるが、県としてはこれに対してどういう考えを持っているかお伺いいたします。
 3つ目、ポークランチョンミートが県産品を圧迫するおそれがあるので、輸入枠漸減要請のために県は上京して政府関係省庁へ訴えたとの報道がありますが、これについて要請した関係省庁から受けた感触はどうでしたかお伺いいたします。
 次に、畜産振興についてお伺いいたします。
 本県における畜産振興策の中で最も重要な問題は、肉用牛の改良と増殖であるということはたび重ねての私の質問でお答えをいただき、先刻承知しているところであります。その中でも過去数回にわたって私が執行部に対して終始一貫して要望してきたことは、肉用牛改良の基礎条件であるところの優秀な種雄牛を年次的、計画的に導入を図ってもらいたいということでありました。沖縄における肉用牛の振興は、飼養頭数の拡大策と同時に、質の改良対策と並行して進めなければ堅実な発展は望めないということで、言いかえれば質の改良なくして頭数の増加はあり得ないという理念から過去数年間にわたってこの問題を強く訴えてきたのであります。現年度においてようやく実現に向けて始動し、かつ予算化されましたので、知事初め関係当局の努力を高く評価するとともに、今後も引き続き努力するよう要望いたします。
 さて、御承知のように日米農産物貿易交渉においてアメリカが日本に対して農産物残存輸入制限品目の完全自由化を求める中でも、われわれが最も関心を持っているのは牛肉であります。これに対して日本政府としては、肉用牛が全国の農業全般にとって欠くことのできない家畜であり、将来の国民食糧の確保の点からも、また世界の今後の牛肉需給の見通しから見ても、これは単にアメリカと日本の問題だけにとどまらないという観点などから絶対に自由化などは考えられないと主張しており、あとは10月に開催される日米両国の再協議の結果を待つことになっております。ところで問題はこの貿易摩擦問題が起こって以来、日本全国で牛肉の市場価格が低迷し、本県でも子牛価格及び枝肉価格が落ち込んできていると聞かされております。自由化問題という外圧の話があるだけでもって全国的に肉牛生産に対する不安、動揺を招く状況であります。
 そこで質問に入ります。
 1つ、最近の沖縄における肉牛の価格低迷に対してその原因の究明と対処策はどうなっているか、また農家の不安解消の対策はやっているかどうかお伺いします。
 2つ目、子牛価格安定基金は大丈夫ですか。子牛価格保証はいつまで続く予想か。なお、畜産公社の肉牛の補てんについても現状と見通しについてお伺いいたします。
 3つ目、次に養豚についてお伺いいたしますが、例年秋以降は需要が落ち込むのが豚価の傾向だと思われるが、現在県内の需要と供給のバランスはどうなっているか、またこれから来年にかけての見通しについてお伺いします。
 4つ目、今後は価格的にも品質的にも国際競争力が問題となってきていると思うが、今後の沖縄の養豚で重要なことは計画生産と品質向上とコスト低減策だと思うが、そこで計画生産の指導はどうなっているか、品質向上の対策とコスト低減対策はどうなっているかお伺いいたしまして、私の代表質問を終わることにいたします。
○議長(大田昌知君) ただいまの渡久地政仁君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
 休憩いたします。
   午前11時54分休憩
   午後1時1分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 午前の渡久地政仁君の質問に対する答弁を願います。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 渡久地議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地の整理縮小と跡利用についての御質問に対しましてお答えいたします。
 まず、返還合意施設区域の返還状況についてでありますが、日米両政府間で返還合意がなされた施設面積は5758ヘクタールで、そのうち昭和57年3月末までに返還された施設面積は約1917ヘクタールでございますが、それは合意された面積の33.3%に当たります。
 次に、返還合意施設についてその具体的な折衝と58年度予算の移設調査費の計上についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県は、昭和54年7月から昭和57年9月までに軍用地の整理縮小及び跡地の有効利用を促進するために国の関係省庁、国会、政党、各種委員会、その他国会議員あてにこれまで22回にわたって要請を重ねてきたところであります。その結果、那覇海軍空軍補助施設、キャンプ瑞慶覧の一部、久場崎学校地区、屋嘉レストセンター、伊波城観光ホテル、キャンプ・ハンセンの一部等が返還されたのでありますが、まだ十分ではございません。その理由はほとんどが移設条件つきとなっておりまして、移設先のめどが立たないことにあります。そこで移設調査費を58年度予算に計上するよう国に対しまして要請したところであります。なお、防衛施設庁も58年度予算で要求してあるようであります。
 次に、地域振興開発上必要な施設区域についての御質問に対しましてお答えいたします。
 基地の整理縮小に対する基本的な考えは、まず日米両政府間で返還合意を見た施設区域について早期返還を促進することであります。次に、合意がされてはおりませんが、そういう合意されていない施設区域であっても、地域振興開発の上から必要な施設区域については、地元の意向を尊重し積極的にその返還に取り組んでいくということで御理解を願いたいと思います。たとえば普天間飛行場は市街地の真ん中に位置いたしまして、そこに基地があることは都市開発の上から重大な問題でありますので、その返還について3者連絡協議会の場で要請をいたしたところであります。
 次に、有効利用の推進、公共用地の取得等に関する御質問に対しましてお答えいたします。
 跡地の有効利用が進んでいない主な要因は、返還の方法に問題があること、個人有地がほとんどのため地主等のコンセンサスを得ることがむずかしいこと、跡利用事業に多大な資金を要すること等でありまして計画的利用を図る上での大きな隆路となっております。そこで県といたしましては、まず市町村に跡利用計画を急いで策定させる必要がありますことから、これを促進するための調査を現在行っており、その結果を分析検討し関係部に前向きに対処させたいと思っております。
 企業誘致の御質問に対しましてお答えいたします。
 本県経済の自立的発展と雇用の拡大を図るためには、既存工業の振興とあわせて新規企業の立地を促進することがきわめて重要な課題であると考えております。このため、これまで糸満及び中城湾港工業団地の開発を初め工業立地促進条例の制定等立地条件の整備を推進するとともに、企業立地説明会や企業訪問を繰り返し行ってきたところであります。全国的な景気の低迷などにより企業の反応は厳しいものがございますが、本県が真剣に企業誘致に取り組んでいることに対する企業側の理解が深まりつつあると思います。このような厳しい環境の中で企業誘致を実現するためには、行政と民間が一体となった取り組みが必要であることから、本年5月に企業誘致推進本部と民間団体を含めた企業誘致推進協議会を設置するとともに、企業誘致行動計画を策定し、重点訪問企業等を中心に誘致活動を行ってきたところであります。今後はこれまでの成果を踏まえまして条例の効率的な活用を図るとともに、行動計画に基づいて誘致推進班並びに推進支部として位置づけられた県外事務所の機能を十分に発揮させるなど、計画的かつ組織的な活動を展開いたしまして新規企業の立地を通じ産業の振興と雇用の拡大を図るべく一層の努力を継続してまいりたいと思います。
 次に、雇用創出特別事業の実施状況についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の厳しい雇用失業情勢を改善するためには、本県の実情に即した雇用対策が必要であり、その具体的事業として雇用創出特別事業を策定し、これの実施方について要請いたしましたところ、国は基本的に理解を示しその一部事業が57年度に実現を見たのであります。これらの事業の実施状況は次のとおりであります。
 1、沖縄公庫の出資条件の緩和については、57年度から資本総額1億円以下についても弾力的に適用されることになっております。2、沖縄の中核的な地場産業の振興の方向等を検討するための調査については沖縄総合事務局で実施することになっております。3、地域雇用開発推進事業については那覇公共職業安定所管轄地域が指定され、地域雇用開発推進会議の設置、運営等の初年次事業が実施されております。4、沖縄若年求職者職場適応訓練につきましては現在約39%の事業執行がなされており、年内執行を目標にいたしまして努力いたしておるところであります。5、地域職業訓練センターの設置につきましては10月下旬に着工し58年6月に竣工の予定となっております。6、産業職業セミナーは11月実施を予定いたしております。7、沖縄出身者の集いは10月2日、東京で開催されます。
 次に、次年度に向けての取り組みについて申し上げます。
 58年度以降の実施事業につきましてはすでに地域雇用開発推進事業の拡大実施、沖縄若年求職者職場適応訓練の拡大実施、沖縄地域雇用促進給付金の創設等を内容とする雇用創出特別事業実施計画を作成いたしまして当該事業の実施方についての要望書を関係大臣に提出いたしておりましてそれの実現に向けて所要の予算措置が講じられるよう強力に要請を行っているところであります。
 次に、Uターン防止のための定着指導についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県におきましては県内雇用が少ないことから県外への就職を促進しているところでありますが、短期間で離職しUターンする者も多く県内失業の大きな要因となっております。このため県外就職者に対しては東京ほか3カ所に「ふるさとの家」を設置し憩いの場を提供するとともに、今年度から沖縄県出身就職青少年の集いを開催し、職業に対する意欲の喚起と県出身者相互の親睦を深める等により、本県出身者の本土企業における職場定着を高め早期Uターン防止を図っているところであります。
 次に、来春3月卒業予定者の就職についての御質問に対しましてお答えいたします。
 来年3月卒業予定者を対象とした就職環境は昨年に比べまして厳しい状況にありますが、全国的に見ましても新規学校卒業者に対する求人は就職希望者を上回る状況にあります。本県におきましても県内、県外企業に対する求人開拓等により就職希望者を上回る求人をすでに確保しているところであり、学校における進路指導及び職業紹介が円滑に行われ、1人でも多くの人が希望する職業につくことができるよう指導してまいりたいと思います。
 次に、国際センターについての御質問に対しましてお答えいたします。
 まず、国際センターの進捗状況、建設計画についてでありますが、政府がASEAN人づくり構想の一環として本県に設置する国際センターは、昭和60年4月供用開始に向け外務省において基本構想が策定され、いよいよ昭和58年度から2カ年計画で建設される運びとなっております。県としては、この事業を円滑に推進するため国際センター用地等として約5万8000平方メートルの用地取得をほぼ完了し、そのうち3万3000平方メートルを同センター用地として予定しており、同センターの造成工事を昭和58年2月までに完了させ国際協力事業団に引き渡すことになっております。なお、研修棟、厚生棟、宿泊棟の主要建物は8030平方メートルであり、附帯施設についてはグラウンド、テニスコート、プール、体育館等が予定されております。
 次に、国際センターについての県の見解についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県は、歴史的、地理的特性を踏まえまして国際交流を県政の重要な施策として掲げ、各種の交流事業を積極的に推進しているところであります。国際センターが本県に設置されることになり、ASEAN諸国を中心とした近隣諸国との交流が飛躍的に増大し、県勢発展に及ぼす影響も大きいものがあるとして歓迎いたしているところであります。沖縄は熱帯の北限としてASEAN各国との共通性を有し、また中国を含めた南北文化の接点に位置しているところから、東南アジアの人々との交流の場として本県に国際センターを設置することを決定したことは、わが国の国際交流における本県の役割りが一層明確にされたものと受けとめ、今後とも国の施策に対応しつつ南の玄関にふさわしい国際交流の拠点づくりを目指す所存であります。外務省の構想によりますと同センターの予算規模は約40億円と言われておりますが、県としては国際センターを今後の国際交流の中核施設として位置づけまして、真にASEAN各国から歓迎されるような国際交流施設にする所存であります。
 最後に、国際センターに関連する施設の充実、長期計画についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県は、国際センターが十二分にその機能を発揮し得るよう関連施設を配置整備し、周辺施設との一体的整備を進める考えであります。この方針を踏まえまして県ではすでに国際交流ゾーン形成の具体化について検討を進めており、その先導的施設として沖縄東南アジア文化センター、沖縄適正技術研究・研修所等が予定されております。
 次に、国際交流財団についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄県国際交流財団は、本県の国際交流の県民レベルの組織として昭和56年3月末に外務大臣の許可を受け、県、市町村、民間団体の参画を得まして設立されたことは御案内のとおりであります。財団は、海外移住事業、国際交流事業及び海外知識普及事業を3本柱にこれまでアルゼンチン移住計画の準備促進、海外移住者子弟留学生の受け入れ、海外文化講演会、国際児童画展、広報誌「国際おきなわ」の発行等各種事業を推進してきたのでありますが、今年度の事業として東南アジア文化講演会、バリ島の音楽と舞踊劇の公演、南アジア名作映画祭等の東南アジア芸能祭及び南米物産と写真展、国際交流講座、国際交流シンポジウム等多彩な事業を計画しているところであります。また今後、国際センターの開設に伴う研修員の受け入れ、アルゼンチン移住計画の本格的実施等海外移住を含む国際交流事業は年々質的にもまた量的にも増大していくことが予想されます。現在、財団の組織運営につきましては、知事を理事長として国際交流課の職員を兼務させる等組織運営の合理化と事業執行の効率化を図っておりますが、今後予想される事業展開に対応するため事務局体制を強化していくとともに、財団の基本財産の拡充を図る所存であります。なお、国際交流財団は全国的にもユニークな存在であることから、国際交流の担い手として今後とも積極的に支援し育成していく方針であります。
 次に、アルゼンチンヘの移住問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 アルゼンチン移住計画につきましては、昭和57年度早々にブエノスアイレス州と移住協定を結び、直ちに現地事務所の設置、先発隊の派遣等試験的事業実施に向けて準備を進める運びでございましたが、全く予想しなかったフォークランド諸島紛争が発生したため協定書の調印が延期されるなど、試験的事業の開始が当初の計画よりおくれることとなったのであります。県は、同紛争後のアルゼンチンの政治、経済情勢が落ちついた暁には当初の方針に沿って移住計画を推進する所存であります。
 次に、覚書締結の見通しについてお答えいたします。
 県としては、できるだけ早い機会に事業が実施できるよう州政府と調整してきたところでありますが、アルゼンチンにおいてはフォークランド諸島紛争の終結に伴い大統領が辞任して新しい大統領が誕生するという政治変動があり、また深刻な経済不況に陥っていること等もあって覚書の締結については当分の間アルゼンチンの政治、経済情勢の推移を見きわめた上で改めて調整するということで双方了解いたしているところであります。
 最後に、覚書の内容についてお答えいたします。
 県と州政府との間に締結される覚書の内容は、1、移住者の定着発展を目的とした試験的事業の促進、2、1ヘクタール70ドルでの土地の譲渡、3、財団支部設置の支援協力、4、試験的事業の結果に基づく移住の促進、5、機械類の免税措置等でありますが、これらの事項については州政府とすでに調整を終えているところであります。したがって、入植地3500ヘクタールの土地の価格は当初調整したとおり1ヘクタール当たり70ドルであり、この価格は入植事業が完了するまで変更されることはないと思います。
 次に、畜産物の輸入枠拡大についての御質問に対しましてお答えいたします。
 豚肉調製品については、復帰対策要綱第1次分により沖縄特別枠が設定され年間約5000トン前後が輸入されておるのでありますが、去る5月の日米農産物協議において現行輸入枠6000から7000トンを三、四年後に1万トンになるよう段階的にふやすことが合意されております。県は国に対し、養豚振興及び県内加工業育成の立場から沖縄特別枠を拡大しないよう働きかけてきたところであります。国としても今回の枠拡大については沖縄特別枠は拡大しないとの意向であり、直接的な影響はないと考えております。また、去る7月には農林水産省、通商産業省、沖縄開発庁にそれぞれ輸入枠漸減要請を行ったのでありますが、要請趣旨に対しましては理解を示したものの、消費者需要があることを理由に漸減するという回答は得られておりません。
 次に、輸入ポークランチョンミートの調整金についての御質問に対しましてお答えいたします。
 ポークランチョンミートは輸入品と県産品とでは品質的に遜色はございませんが、1かん当たり約60円の価格差がありまして輸入物に太刀打ちできない現状であります。その価格差を是正し県産品の消費拡大を図るため調整金を賦課することも一つの方法ではありますが、消費者側からは消費物価の引き上げ、また輸入業者からは実質的な関税引き上げになるとして反対の意向が強く、現段階において調整金を課することはきわめてむずかしい状況にあります。今後、畜産の振興、地場産業育成の観点から引き続き畜産公社による食肉加工価格差補てん事業での対応と企業努力を促すとともに、ポークランチョンミート割り当て枠漸減を要請してまいりたいと思います。
 次に、肉牛の価格低迷についての御質問に対しましてお答えいたします。
 昭和56年後半以来、肉用牛価格が全国的に低迷いたしておりますが、その原因は農畜産物自由化問題だと言われております。このため、生産者の抱いている不安解消を図るべく肉用牛計画生産推進協議会等を通じて指導しているところであります。なお、肉用牛価格安定基金協会や畜産公社の肉用牛価格安定制度の活用を促進しているところであります。
 畜産振興に関する残された2つの御質問が子牛の価格安定基金、それから豚肉の需給状況と今後の見通しにつきましては2つとも農林水産部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 子牛価格安定基金についてお答えいたします。
 子牛の価格につきましてはこれまで安定的に推移してまいったわけでございますけれども、昭和56年8月ごろから保証基準価格を下回って推移しているわけでございます。そのために肉用牛価格安定基金協会におきまして補てん金を交付しているところでございます。なお、畜産公社の行う肥育牛価格安定事業に係る補てんにつきましては、昭和55年10月以降実施されてございまして、今後とも対応できる体制にございます。
 次に、豚肉の需給状況と今後の見通しについてお答えいたします。
 県内の昭和56年度の豚肉の需給状況は、約1万9000トンの県内生産と2000トンの輸入豚肉がございまして、合計2万1000トンが供給されてございます。これらの豚肉につきましては精肉仕向けに1万3200トン、加工用原料等として3800トン、これが県内で消費されまして、県外へも若干移出されて需給バランスがとれております。今後とも養豚経営安定推進会議等を活用いたしまして、需要に見合いました安定的な計画生産を推進してまいりたい。
 次に、今後の養豚経営における計画生産と品質向上、さらにコスト低減の対策はどうなっているかということにつきましては、養豚経営安定推進会議を中心にいたしまして需要に見合った計画生産を推進しているところでございます。さらに、品質の向上につきましては種豚導入事業、産肉能力直接検定事業、これを積極的に推進いたしまして優良種豚の確保を図るとともに、種豚登録事業を育成強化いたしまして品質の向上に努めたい。コスト低減につきましては施設の合理的改善、さらに飼養管理の省力化を図るとともに、配合飼料のバラ化率を高めるように指導してまいりたいとかように思います。
○議長(大田昌知君) 岸本安神君。
   〔岸本安神君登壇〕
○岸本安神君 私は、沖縄社会大衆党県議団を代表いたしまして、西銘知事の県民への公約と今日までの県政運営の総括について知事御本人もしくは関係部長に対し質問を許されましたので、所見を述べながら代表質問を行います。
 その前に、1期4カ年の西銘知事に対し心からの御苦労を申し上げるわけでございます。自民党の代表質問を聞く中で、与党でありながらその4カ年の西銘知事の御苦労に対して人間として一言の御苦労さまでありましたというその理念さえないということは、まことに残念無念であると考えるからであります。県政を預かる知事として誠実にして的確な御答弁を求めるものであります。
 初めに、知事が公約された諸施策と政治姿勢について。
 西銘知事が県民に公約したことを明らかにしますと、沖縄が祖国へ復帰して10余年の今日、県民は依然として厳しい現実に直面している。相次ぐ企業の倒産、次代を担う若者の就職難、犯罪の多発、非行少年の増加、慢性化する交通渋滞など経済的にも社会的にもきわめて深刻な事態が続いている。このような現実にもかかわらず、時は無為に経過した今日、政治、行政に要求されることは、これらの緊急課題を着実に克服し、あすの豊かな沖縄県づくりへの努力しかないと思います。百万有余県民は自力自助の精神にのっとり、県民の命と暮らしを県政の基本として全県民の英知と力を結集し、活力あふれる福祉社会の建設を目指している。その実現のためには県内のあらゆる資源を活用し、産業の振興と生活環境の整備を強力に推進し得る県政が確立されなければならない。
 ところで、西銘知事は次の政策を公約しております。まず不況からの早期脱出を図り、働く職場を拡大するという政策を柱に、本県の失業問題は全国的にも特殊なものであるので、失業対策沖縄特別基金の創設を図り、大規模な失業対策事業を実施し、大幅に雇用と所得の機会を与え失業対策を推進する。また、民間企業で経営困難を招いている企業の再建整備、行政上の金融救済措置等を講ずると県民に公約をしております。
 総括的に申し上げますと、西銘県政は本員から見た場合に、総花的行政の4カ年であったと思うわけでございます。基本的には口先での県民本位、超党派的な政治を行うとか、県民の信頼と期待にこたえるなどと申し上げながら、実態を見ますとどうでしょうか。企業誘致、雇用失業対策、物価対策、戦後処理、土地利用計画なども軍事優先の姿勢、石垣空港の用地取得等々、土地収用委員会にゆだねることになりました。基地被害は激化し演習は増大するばかりであります。さらに予算の伸び率は最低の最低、執行率もまた低下の低下であります。生活用水の確保さえもできない現実の政治の実態ではないでしょうか。さらに対米放棄請求権の補償についても、見舞い金という形で1300億有余の金額の中で120億という解決にしかなりませんでした。その中でとうとう西銘県政のもとでは大きな不祥事件も発生した事態があります。さらに執行したのは何でしょうか、全部反県民的なものだけであります。自衛官募集業務、屋外広告物条例、主任制度の実施、米軍の下水道負担金の県民離れのアメリカ優先の負担金の実施、米軍用地の強制使用等々、行政の全般からながめた場合に反県民的な4カ年であったと理解されるわけでございます。
 そこで本件について2点だけお伺いいたします。
 1つ、有望な新規企業を誘致して雇用対策の万全を図るとのことでしたが、現状について御説明をください。同時に既存産業の近代化のためにどのような施策を実施してきたか、具体的に御答弁を求めます。2つ、民間企業の経営危機対策としてどのような対応をしてきたか、あわせて御答弁を求めます。
 財政と予算執行について触れていきたいと思います。
 さて、革新県政は公共事業予算の大幅な拡大を図り、県民企業並びに県産品優先をモットーに県民所得の増大、景気の上昇に努めてその成果を上げることができた。ところが現在の西銘知事は、県民の願いをよそに基地関連工事などは地元業者への発注も少なく建設業者から不満の声が起こり、これが問題化して議会で要請決議をするまでに至ったのであります。知事、あなたは選挙になりますと、私は自民党、政府も自民党、そして政府要路の人をよく知っている、だから私が当選したら予算もたくさん取ってくるとも言われた。しかし知事の手腕で取ってきた予算は何と最低の伸び率であったし、迎える58年度はどうなるでしょうか。これでは県民に公約した知事の公約は口先の公約でしかなく、県民の期待は大きく外れたと評しております。
 また、西銘県政の予算執行率はこれまた最低の最低に落ち込みました。予算の伸び率が最低ならば、せめて執行率だけでも最高でなければならないのが知事の当然の責務というものであります。少ない予算の執行が最低では、公共工事による景気回復などは夢のまた夢というほかありません。ちなみに知事は、執行率の低下理由を公共工事の用地取得のむずかしさが要因で今後は抜本的な改善策を立て組織的に対応すると述べておりますが、これでは執行率低下の理由がまたおかしい。公共事業用地の取得の困難性は革新県政のときと何ら行政執行上は変わりはないと思いますし、あとは行政責任者本来の行政能力の問題であると理解するしかないが、知事の的確かつ明快なる御答弁を求める次第であります。
 次に、昭和56年度中における一般会計及び特別会計の現債高は、昭和55年度に比較して20.3%増加し、金額にして約1134億7100万円となり、その89.7%が一般会計の現債高となっております。この起債借入先の政府資金、公営企業金融公庫資金、市中銀行、共済組合、保険会社、農協などへの今後の返済計画はどうなっているのか、一般会計と普通会計に区分して利子、元利合計を具体的に説明してください。
 なお、このように膨大なる借財を抱えた財政事情では、今後の県民福祉行政に大きな期待は持てないことになるが、財政面からの施策について知事の具体的な御答弁を求めます。
 次に、軍事問題について質問いたします。
 平和な沖縄に有事が持ち込まれていないのが、平時とはいえ軍事演習は日増しに激化し事故被害の増大で県民の生命と財産が脅かされております。平時にさえ県民の不安はつのるばかりであります。果たして有事の場合に沖縄の平和は守れるでしょうか、非常に私は疑問に思うのであります。いま沖縄の軍事基地は平和につながっているのか、それとも戦争につながっているのか、長い目で基地のあり方を探りながら質問したいと思います。
 西銘知事の言う安保条約は、日米両国がお互いに協力し援助し合って敵の攻撃に抵抗する能力を維持発展させるということになります。それは軍事力強化を義務づけたものであり、したがって安保条約を堅持する西銘県政は基地機能の強化、その基地機能の強化に欠かすことのできない軍事演習の強化について容認せざるを得なくなり、現に演習による実害が続出している地域での演習場の撤去、演習の中止さえも要求することができない羽目に陥っており、安保容認にくくられているのが明白であります。そのことは基地被害、事故被害も容認することになり、知事や自民党の諸君の基地政策の矛盾が明らかであります。西銘知事が基地行政の問題について安保条約を堅持すればするほど県民側の立場を離れ、県民の立場に忠実になればなるほど安保条約に逆らうことになり、いま国策と県益の鋭い対立の中でぬぐい去ることのできない矛盾とジレンマの中に西銘県政は立たされておるものと私はそう考える次第であります。西銘知事の心境は、この矛盾を率直に受けとめておられることと私は察します。西銘知事が良心的であればあるほどこの悩みはさらに大きく重くなるものがあると思います。この苦悩から抜け出して基地の重圧から県民を解放する道はただ一つ、日米安保条約の廃棄と基地の撤去以外に何物もないと私は確信します。西銘知事がいまこの矛盾の解消に目を向けない限り期待をかけることはできません。せめてこの場で県民に約束してもらいたいのは、現に演習により被害が続発し、また演習場としてその立地条件が悪く県民の生活環境を破壊している諸施設については撤去し、演習の即時中止を堂々と要求し、県民と一体となってその実現のために闘うべきだと思います。この県民のぎりぎりの要求に知事はどうこたえるのか、知事の決意のほどをお聞きいたします。
 沖縄社会大衆党は、軍事基地を取り巻く諸情勢をこう考えております。
 沖縄の米軍基地は、朝鮮半島有事を想定した有事立法の研究策定を指示して以来、米極東戦略、日米合同作戦上の重要なかなめとして位置づけられ、基地機能を一段と強化して有事即応の出撃拠点、自由発進基地として構築されているものと考えております。これらの動きがいよいよ戦争に巻き込まれる危険性をはらむ基地であると思っておりますし、西銘知事はかかる危険性は沖縄の基地にはないと断言できるのかどうか見解を明らかにしてください。もし自由発進基地でないというならばこの根拠を示してください。同時に、現在大きな政治問題化しているところのACMI、シーレーン問題等について西銘知事の御見解を求める次第であります。
 次に、教科書検定について質問いたします。
 知事もすでに御承知のとおり、去る県議会で教科書検定で削られた住民殺害についての記述をもとへ戻すよう要求してまいりました。この問題に対する政府の動きは、もっぱら外交問題化した中国、韓国への対応にのみ腐心しているような状態でありました。この姿勢は、百万有余県民の名において強く指摘しなければならないのであります。それは両国の提起したものと沖縄のものとは本質的には全く同質一体であり、一方を無視しておいて他方にだけ誠意を示すのは矛盾もはなはだしく、全県民の総意に対して政府自民党は正しく対応すべきであると考えております。
 沖縄戦での日本軍による県民殺害の記述も、検定の過程において数字に根拠がないとか、県史は体験談を集めたもので研究書ではないなどと単純な理由を挙げて修正削除されていることは、唯一の地上戦を体験した本県にとってまことに遺憾のきわみであります。県民が殺害、いや虐殺されたことは厳然たる事実であり、戦後37年を経過した今日、日本の過去の過ちについての記述をあいまいな表現に抑える実態は、危険な問題を含んでいると考えるからであります。このような事実を回復させないことは、沖縄を第2次世界大戦の悲惨な歴史から除外することになり、日本のすべての問題が歴史から消えるものと全く同感であります。その上に立ちますと、現在大きな政治問題となっている日米間の防衛協力にも組み込まれて国民みずから戦争への道に引きずられることになるし、いまこそ県民は敏感に本問題に反応しなければいけないと思います。沖縄の戦後はまだ終わっていません。まだ戦後処理が山積している状態であります。戦争での県民の犠牲と苦しい体験を忘れてはならないと思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 1つ、教科書は教科の主なる教材として重要な役割りを果たしているが、知事はどのようにこの点についてお考えになっておりますか。2つ、歴史的な事実の県民殺害の記述が削除されたことについて、知事が御自身で政府関係要路にお会いしたことがあるのかないのか、もしありましたら具体的に御答弁を求める次第であります。
 次に、人事院勧告の凍結について質問を行います。
 政府は、9月24日の給与関係閣僚会議において、財政危機を理由に国家公務員に対する人事院勧告の凍結を決定した。同勧告の凍結は昭和24年に実施されたのみで、長年にわたり慣熟した労使慣行を破るものであり、国家公務員を初め多くの国民から非難の声が挙がっている。もともと人事院勧告は、日本国憲法で保障された労働者の基本的権利を著しく制約する代償として設けられたものであり、特に昭和48年の全農林警職法闘争最高裁判決でも労働基本権制約の代償措置として位置づけられ、以後憲法で保障された労働基本権にかわるものとして労使慣行に果たした重さははかり知れないものがあります。今回の人事院勧告の凍結による影響は、地方公務員、各種年金受給者を初め福祉関係者にも及び、その人員は約2000万人を超えるものと言われ、さらに民間労働者の賃金抑制も心配されております。今日の財政危機は、自民党政府の財政運営の破綻に起因するものであり、軍事費の増大をはかる中で弱者にしわ寄せする政策に対し国民の非難は日を追って高まっております。知事は再選に当たり福祉優先を挙げておられるが、人事院勧告の凍結は公務員のみならず、福祉関係者を初め県内の消費経済、ひいては県内の景気に大きく波及し、その影響ははかり知れないものがあると考えますが、この閣議決定について知事の御見解を賜りたいと思います。
 さらに、政府からの地方自治体への凍結についての押しつけがあると思いますが、県人事委員会の勧告がなされた場合に、知事はこれをどう取り扱うかお伺いいたします。それと同時に、これまでどおりに県人事委員会は勧告を行っていくかどうか明快なる御答弁を求める次第であります。
 次に、CTS問題について触れます。
 沖縄のすぐれた自然環境は、広くかけがえのない資産であります。あらゆる開発に優先して自然環境の積極的保全を図るべきだと思います。革新県政時代から西銘県政になると石油備蓄について抑制することができず、一方CTS拡大を打ち出し、CTS産業界は、沖縄の島々はCTS立地にねらわれた島となってしまいました。現在CTS備蓄計画は既設量で601万7000キロリッター、計画で327万6000キロリッターとなり、そのうち原油の既設量は475万7000キロリッター、製品で126万キロリッターになっております。原油の計画量は307万キロリッター、製品の計画で20万6000キロリッターに計画をされております。そうしますと原油全体量は782万7000キロリッターになり、製品で146万6000キロリッターとなりますので、合計しますと何と929万3000キロリッターとなり、沖縄がまさにCTS基地であることが立証されました。こういった国の計画のもとに、今回伊是名村の屋那覇島の約80ヘクタールにCTS基地建設の動きが表面化しております。この事実は知事は御承知でしょうか。伊是名村は漁業、農業によって生活が支えられており、
CTSは島の産業を破壊するものであり離島振興の立場からも容認できるものではありません。西銘知事のCTSに対する今後の姿勢を含めて御所見を求める次第であります。
 次に、戦後処理についてお尋ねいたします。
 旧読谷飛行場所有権回復は、戦後処理の大きな課題であります。戦争というのが生命、財産を破壊し、国の権力によって強制的に接収されたものもこれであります。戦後は米軍の布告により、米軍の財産管理権のもとに置かれて、沖縄が本土に復帰すると米軍から大蔵省へ移って個人の財産がいわゆる国有財産となっているわけでございます。そういった事態に対し、知事はこれまでの答弁の中で、今後とも大蔵省に継続的に折衝していきますということがありました。この件について知事が折衝した経過を具体的に答弁を求めます。
 次に、つぶれ地補償問題について質問を行います。
 第2次世界大戦で行われたところの、旧日本軍あるいは連合軍により強制的に新設された国道、補助国道、県道、市町村道等については今日まで何らかの補償がなされ、若干行政的に進行しつつあります。しかしながら、その中で「その他道路」についてはこれから対処しなければいけない問題であります。「その他道路」の処理の今後の状態についてどのように進めていくのか、今後またどのように解決をしていこうとするのか、その解決策について御答弁を求めます。
 県立芸術大学と国鉄導入及びモノレール問題に触れていきたいと思います。
 本年から第2次振計がスタートしましたが、ここで県勢発展の方向で重要なことは、地域の特性をいかに生かし時代に即応した展望に立って地域格差を解消し、均衡のとれた居住環境を整備していくかということに大きな課題があると思います。そのためには県土の有効適切な利用により、人間と自然の調和の上に立った安定感のある健康で文化的な人間居住の総合的環境づくりが必要であります。さらに県内の過密、過疎、交通混雑、社会資本の問題等々も考えられるわけでありますけれども、ここで、時間がありませんので端的に申し上げますけれども、現在知事が計画しているところの県立芸術大学は首里に琉大跡地に設定をしておりますけれども、琉大跡地は那覇市当局の考えのもとでは首里城の復元、歴史公園として推進整備したいということであります。2次振計に向けて定住圏の設定もされましたし、この個性豊かな知事の発想的な芸術大学を定住圏設定された地域に私は建設をやるべきだとの考えを持っておりますけれども、知事の御所見を賜りたいと思います。
 それと同時に、国鉄導入を断念をされたのかどうか。国鉄導入が断念されたならば、モノレールを将来、中部、北部などにも延長していく考えがあるのかどうか、具体的に知事のお考えを求めるものであります。
 次に、国体施設問題について質問を行います。
 第42回国民体育大会に向けて会場市町村は大変意欲を燃やしております。それと同時に、一番心配しているのは財政問題であります。県は、その財政問題につきまして3分の2以下の補助をやる要綱をつくり上げていきました。その3分の2の財政補助を行うことによって、いわゆる市町村の財政の緩和になるかどうか、本当にそれで実施できるかどうかその点について端的に御答弁を求める次第であります。
 時間がありませんので、あとの質問は割愛していきたいと思います。答弁をいただきまして、再質問を行いたいと思います。
○議長(大田昌知君)西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 岸本安神議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 雇用失業対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御案内のとおり、本県における雇用失業情勢は近年徐々に好転はいたしておりますが、依然として厳しい状況にあると思います。これは製造業を中心とした振興計画が十分な成果がおさめられなかったことから、県内雇用需要が乏しいことにより県内労働力需給に不均衡が生じたことが基本的な要因であると考えます。本県の失業の特徴は、Uターン等安易な離転職、学卒無業者の存在等による若年者の失業が多いということであります。このため、新規就職希望者に対する職場実習の実施等学校における職業指導の充実強化を図るとともに、職業訓練の充実等職業能力の開発向上を図り技能者の育成に努めるほか、県外就職を積極的に推進しているところであります。今後とも一層推進してまいりたいと思います。
 また、中高年齢者、心身障害者、駐留軍関係離職者等に対しては各種援護制度を積極的に活用し、就職の促進に今後とも努めてまいりたいと思います。さらに本県における雇用問題の解決のためには産業振興と直結して雇用対策を推進する必要があり、中央関係省庁を初め地元産業界の参集のもとに沖縄雇用問題懇談会を発足させ検討を行っているところであります。また、第2次振計に基づく産業振興施策を積極的に実施し雇用機会の増大を図ることを基本としつつ、これと有機的連携を保ちながら本県の実情に即した雇用拡大の方策として57年度から実現を見ております雇用創出特別事業を積極的に活用してまいりたいと思います。
 次に、新規企業の誘致についての御質問に対しましてお答えいたします。
 企業立地については、これまで糸満及び中城湾港工業団地の整備を初め工業立地促進条例を制定するとともに、企業立地説明会や企業訪問を繰り返し行ったところ、全国的な景気の低迷などにより企業の反応は厳しいものがございますが、本県が真剣に企業誘致に取り組んでいることに対する企業側の理解が一段と深まっていると思います。このような環境の中で企業誘致を実現するためには、行政と民間が一体となった全県的な取り組みが必要であるところから、去る5月に企業誘致推進本部と民間を含めた企業誘致推進協議会を設置するとともに、企業誘致行動計画を策定し重点訪問企業を中心に誘致活動を強力に行ってきたところであります。今後はこれまでの成果を踏まえまして条例の効果的な活用を図るとともに、設置した推進組織を積極的に活用するなど誘致活動を強力に展開してまいりたいと思います。
 既存企業の近代化のためにどのような施策がとられたかということについてお答えいたします。
 県は、これまで既存地場産業の振興を図るため、国の中小企業施策を踏まえた金融対策、小規模企業対策、経営及び技術アドバイザー指導事業等の諸施策に加えまして、本県独自の施策として県産品の需用拡大を図る上から産業まつり、各種物産展、優良県産品の推奨等を実施してきたほか、中小企業製品開発事業、技術開発及び技術移転等の技術振興施策を推進してきたところであります。また昭和56年度には、地場産業振興対策の円滑な実施を図るため地場産業振興ビジョンを策定し、昭和57年度にはビジョンに沿って新製品開発能力育成需要開拓、人材育成等の振興事業を創設したところであります。さらに地場産業振興の中核的機能を果たす機関として地場産業振興センター及び食品加工研究機関の設立について取り組んでいく所存であります。
 民間企業の経営危機についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県内企業を取り巻く経営環境は、消費ニーズの多様化や県外からの移入品等との競合等もあってきわめて厳しい状況にあります。このため県では県内企業の育成強化を図るため県内投資や県経済の発展に直接かつ有効に効果を及ぼすことを目的といたしまして「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用方針」を策定し、この方針を踏まえて産業まつり、優良県産品推奨制度等の諸施策を展開しているところであります。今後とも県内企業への優先発注及び県産品の優先使用を推進するとともに、中小企業の受注機会の確保についてもなお一層努力していく所存であります。また中小企業の安定を図るため金融対策、小規模企業対策、組織化対策、下請企業対策及び経営指導等の施策を強力に推進しているところであります。特に金融対策としては、昭和53年度に大型店対策として中小企業経営安定資金助成制度を創設し、昭和55年度には電力料金の値上げにより影響を受けている中小企業者に対して緊急融資制度を創設し、また昭和57年度には中小企業の設備の近代化を側面から助成するため中小企業事業振興資金を創設する一方、既存融資制度の融資枠の拡大を図り企業経営の体質強化に努めているところであります。さらに倒産防止対策としては、那覇商工会議所及び沖縄県商工会連合会に倒産防止特別相談室を設け、倒産のおそれのある中小企業者の相談、指導を実施するとともに、金融対策面からは沖縄振興開発金融公庫や県の制度資金を活用して倒産防止に努めているところであります。
 次に、予算の執行率についての御質問に対しましてお答えいたします。
 昭和52年度から昭和56年度までの最近5カ年間の各年度の予算執行率は次のとおりであります。昭和52年度95.6%、昭和53年度94.5%、昭和54年度92.2%、昭和55年度93.3%、昭和56年度94.8%となっております。このように毎年執行状況に変化があるのは、特に執行上大きな比重を占める公共事業について国が年度ごとにその年度年度の社会、経済情勢に応じまして上半期の執行率を促進型、抑制型、機動型等の措置を講じ、県においてもこれにならって執行されるため、結果として年度末の執行状況に大きな影響を受けることが考えられます。また特に本県の場合、県土面積が狭隘である上に、地権者の土地に対する執着心が強いこと、さらに最近権利意識の高揚、利害関係の複雑さ等から用地取得が難航し、例年多くの予算を繰り越す大きな要因となっております。これが予算の執行率を低下させる大きな原因となっていることにつきましても御案内のとおりであります。しかしながら、公共事業が本県の経済情勢に及ぼす影響を考慮して可能な限り執行の促進を図るべく鋭意努力していく考えであります。
 財政、特に起債関係についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の昭和56年度末の普通会計の現債高は1134億7165万円で、その内訳は一般会計1017億5744万4000円、これが89.7%を占めております。その他の特別会計117億1420万6000円、これが10.3%であります。合計1134億7165万円となっております。また借入先別の現債高は、これは普通会計でございますが、政府資金404億6934万5000円、これが35.6%であります。公庫資金207億8758万9000円、18.3%になっております。市中銀行418億1896万6000円、36.9%、その他103億9575万円、9.2%となっております。合計1134億7165万円となっておます。また昭和56年度の公債費は、普通会計で106億3695万3000円となっております。
 そこで、本県の起債の現債高及び公債費が年々増加した場合、今後の財政運営はどうなるかとの質問でございますが、御指摘のとおり本県の起債及び公債費は年々増加しております。起債が急速に増加いたしましたのは昭和51年度からでありますが、これは国が地方財源の不足額について本来地方交付税をもって措置すべきものを起債で対処したこと、また沖縄振興開発計画に基づく社会資本の整備等を図るため起債を積極的に活用したことによるものであります。しかし、起債の増高は将来の財政負担となる元利償還金、すなわち公債費の増加につながり、将来の財政運営に大きな負担となることが予想されますので、引き続き起債の発行に当たっては事業の緊急性、必要性等に留意して対処していかなければならないと考えております。
 次、ACMI設置に対する知事の所見についてお答えいたします。
 空中戦闘技量評価装置(ACMI)の設置については、米軍からの要請に基づき、日米合同委員会の施設特別委員会及び民間航空分科委員会において民間航空交通の円滑かつ安全性の確保を図ることを基本に検討がなされていると聞いております。県といたしましては、ACMIの設置については民間航空機や船舶の運航の安全性に支障がないように強く要請してまいりたいと思います。
 教科書問題についての知事の考え方についてお答えいたします。
 教科書は、主たる教材として学校教育上重要なものとして認識いたしております。したがってその内容、取り扱いについては正確かつ適切でなければならないと考えております。今回、教科書記述上の問題が指摘され、国内はもとより、外交問題にまで発展したことはまことに遺憾であります。教科書には沖縄戦の全貌が正しく記述されるとともに、戦争の悲惨さ、平和のとうとさ、歴史的事実が明確に示されなければならないものと考えております。この問題については私としても深く関心を持つものでございますが、教育に関しては教育委員会が所管する事項でありますので、これらの折衝は教育長に対応してもらっておりま
す。折衝の内容等についてはその都度報告を受け十分承知いたしております。
 その件で政府要路の方々と会ったことがあるかという御質問でございますが、会ったことはございません。この件につきましては教育長を派遣いたしまして関係省庁に要請をさせております。
 次に、CTS問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 伊是名村屋那覇島へのCTS建設につきましては、去る7月27日付の新聞報道で初めて知ったところであります。またCTS建設の場合、必要とされる諸手続についても何らなされておらず、報道のような建設計画は県としては全く知りません。ところでCTS建設については、地域住民の意向を尊重することが私の基本方針であります。この問題については村長が反対し、村議会におきましても去る9月18日に全会一致で反対決議をしておりまして、私としては立地についてこれを推進する考えはありません。昨今のわが国における石油需要の落ち込みに伴う備蓄義務量の減少によりまして石油貯蔵施設能力は過剰ぎみとなっております。しかもこの傾向が当面変化しないことが予想されるところから、本県地区内に新たに石油備蓄基地が建設されることは全く考えられません。
 次に、つぶれ地補償についての御質問に対しましてお答えいたします。
 つぶれ地補償については、戦後処理の一環として早期処理に努めているところであります。今後事業の推進に当たっては引き続き予算の拡大を図り、第9次道路整備5カ年計画、昭和58年から昭和62年度まででございますが、終了年次である昭和62年度には概成するよう努力する所存であります。これまでの実績を見ますと、補助国道がすでに概成となっており、全体事業計画面積16万平方メートル、金額27億円に対し、昭和57年度末までに面積で70%、金額で92%の達成が見込まれております。県道につきましては全体事業計画面積221万平方メートル、事業費653億円に対し、昭和57年度末までに面積70%、金額で66%の処理が見込まれております。次は市町村道幹線1、2級道路でございますが、これにつきましては昭和54年度から事業が開始されましたが、全体計画面積が253万平方メートル、事業費633億円であります。昭和57年度末までの処理実績見込みが面積68万平方メートルで27%、金額で22%となっております。市町村道未買収処理費については毎年大幅な予算増額がなされており、引き続き早期処理に努力したいと思います。
 御質問の市町村道1、2級幹線以外のいわゆる「その他道路」の補償につきましては、昭和55年度に県道及び市町村道幹線1、2級に格上げ見直しを行ったことにより、見直し前の市町村道つぶれ地全体に占める「その他道路」の面積が228万平方メートル、57%、金額にして55.53%であったのが、格上げ見直しによりまして面積で113万平方メートルで28%、金額で259億円で32%に減少しております。未買収道路用地取得における市町村の財政負担が大幅に改善されたことになります。しかし格上げできなかった「その他道路」の補償については現在国庫補助の対象になっておりませんので、今後ともその解決についてはあらゆる角度から検討を行い、関係省庁へ働きかけていく所存であります。
 次に、県立芸術大学についての御質問に対しましてお答えいたします。
 芸術大学用地については、琉大移転跡地のうち男子寮、女子寮、体育館の敷地及びグラウンドの活用を考えているところでありますが、さらに男子寮に隣接する教育センター、語学センターの敷地、これは県有地でありますが、これについても活用したいと考えております。また、これら敷地はすべて国県有地であり、その活用により県の財政負担を軽減したいとの考えもございます。現在那覇市を初め関係機関等との話し合を進めているところであります。首里城一帯の土地利用については、基本的には歴史公園としての整備を進め、その中で首里城復元を目指すとともに、芸術大学の立地が十分調和のとれるよう配意する必要があると考えております。具体的には芸術大学の校舎等施設整備に当たり、高さ、形態、色彩など景観上史跡としての首里城、その他文化財との調和を十分考え、検討していきたいと考えているところであります。
 次に、国鉄とモノレールの御質問に対しましてお答えいたします。
 軌道システムについては、これまで総合交通体系を検討する過程において各面から調査を実施し検討を重ねてきたところであります。その結果、公共交通機関の定時、定速性の確保と都市の交通混雑を緩和するため那覇モノレール建設を決定し、沖縄自動車道の南伸とあわせて鋭意事業を推進しているところであります。また、中北部への軌道システムの導入については昭和56年9月に県計画として決定いたしました沖縄県総合交通体系基本計画の中で次のように位置づけてあります。「那覇・沖縄間モノレールについては、中部圏域における将来の都市形成の動向をみながらその導入の可能性について検討を行なう。」。また、「北部圏への鉄道導入については、超長期的展望において北部圏の成長と都市機能の成熟が広域的展開を必要とする段階で検討することとする。」として将来の検討課題として位置づけておりますることは御案内のことと思います。
 次に、国民体育大会の施設に対する質問についてお答えいたします。
 国民体育大会競技施設の建設は、さきの準備委員会総会で決定いたしました第42回国民体育大会施設整備基本方針によりまして県及び会場地市町村でそれぞれの施設についての建設整備を行うこととなっております。本県で開催が予定されている国民体育大会に必要な競技施設はおよそ78施設と見込んでおります。そのうち42施設を新設し、36施設は学校の体育館または運動場等既存の施設を利用することにしております。新設する施設については公園整備事業、防衛施設周辺民生安定施設整備事業、スポーツ振興法に基づく社会体育施設整備事業等の国庫補助を得て建設するよう計画いたしております。市町村が整備する施設で防衛施設周辺民生安定施設整備事業及びスポーツ振興法に基づく社会体育施設整備事業等を導入して実施するものについては、国庫補助率等を勘案し、市町村の経費負担を軽減するため県費補助をあわせて行うこととし、昭和57年度より予算計上し補助金交付要綱を制定して対処しているところであります。
 前後いたしましたが、沖縄基地についての御質問に対してお答えいたします。
 沖縄基地は、安保条約、地位協定によって規制された基地でございまして、岸本さんが指摘するような自由発進のできる基地であるとは考えておりません。
 次に、読谷飛行場用地の問題と関連して国有地の払い下げの問題でございますが、特にこの場合、公用地、公共用地に必要なものについては積極的に払い下げるよう対処してまいりたいと考えております。
 以上であります。
 失礼いたしました、人事院勧告についての知事の所見がまだ答えておりませんので、お答えいたします。
 御指摘のとおり、今回の国家公務員の給与の改善に関する人事院勧告の実施を見送るとの去る9月24日の閣議決定については、緊迫した財政を再建するため公務員も痛みを分かち合うという異例の措置であり、この決定が人事院勧告の持つ意義、その役割りや制度の否定を意味するものではないと、そういう内閣総理大臣談話にもあるように現下の諸情勢を総合的に勘案し決定されたものであると理解をいたしております。また、県人事委員会勧告がなされた場合の取り扱いでありますが、去る9月24日の閣議決定に基づき各地方自治体におきましても政府の措置に準ずるよう自治省から文書指導がなされております。したがって県人事委員会の勧告が出た時点で、他都道府県の動向及び県財政の状況等も含めまして慎重に検討し対処してまいりたいと思います。
○議長(大田昌知君) 人事委員会委員長。
   〔人事委員会委員長 棚原勇吉君登壇〕
○人事委員会委員長(棚原勇吉君) 人事委員会は例年のとおり給与勧告を行うかについて御答弁申し上げます。
 去る9月24日、政府は緊急避難的措置として未曾有の危機的な財政事情から人事院給与勧告が凍結され、その状況はきわめて厳しい状況にあります。しかしながら人事委員会の立場は、公務員に対して労働基本権を制約した代償機能としての役割りを果たす人事委給与勧告制度は尊重さるべきであると考えております。戦後から今日までこの制度が果たしてきた役割りはきわめて大きいと思う。人事委員会は、よりよき労使関係の安定の維持、公務の能率向上のためにも地方公務員法の規定に基づき例年どおり目下給与勧告作業を進めているところであります。しかし具体的な勧告の時期等については、今後の状況を見きわめながら慎重に判断して行いたいと思います。申すまでもなく財政権とその配分権は知事と議会の権限でありますので、本年度の給与勧告が行われた暁には、人事委員会の給与勧告が実施されますよう心からお願い申し上げる次第でございます。
 以上。
○岸本安神君 議長、休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後2時40分休憩
   午後2時41分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 沖縄の基地につきましてはたびたびこの席でお答えしたことがありますが、これは安全保障条約、またそれに伴う地位協定の制約を受けるわけであります。したがって従来の自由使用、自由発進は許されないわけであります。と申しますのは、沖縄の基地を作戦行動の基地として使う場合、また装備の重大な変更がある場合には日本国の承認を取りつける必要がありますので、アメリカが勝手に、基地を自由に使用することはできないと考えております。したがいまして、有事の際におきましても自由発進は許されないものだと私は解釈いたしております。
○議長(大田昌知君) 中根 章君。
   〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 日本社会党所属議員団を代表いたしまして質問を行います。
 通告を申し上げました質問事項中、1、2、3、6項を一括して質問をさせていただきます。
 去る5月15日で沖縄復帰10年を経過いたしました。10年前の5月15日には、復帰尚早論を唱え、アメリカの軍事支配の継続を主張したり、復帰をすれば、芋、はだしの昔に返るのだと多くの県民の復帰闘争に水を差した人々が真っ先に祝賀会にかけつけ、血みどろな復帰闘争を展開した労働者、多くの県民大衆は、第3の沖縄処分だとして抗議集会を持ったのであります。県民の復帰要求が平和と民主主義、人権と自治を主張し、軍事支配に反対して核も基地もない平和憲法への完全無条件復帰だったからであります。沖縄の返還協定が、沖縄の今日と将来を軍事的に利用することであり、沖縄におけるアメリカ軍の軍事機能をいささかも損なわないことを条件にしたものであったからでありました。以来、この10年間、住民生活にとって重要な法令等が地位協定によって軍事基地や米軍の行動に対して適用除外され、県民の生活と権利が放置されているということであります。加えて米軍への奉仕は、県民生活以上の優遇措置であります。昨年の長期干ばつで県民は24時間隔日断水というのに、嘉手納基地は大きなタンクをしつらえ、それこそ湯水のごとくの使用でありました。下水道使用に至っては至れり尽くせりの行政であります。
 沖縄の基地は全国の53%と言われるが、専用施設で見ると全国の74%余りであり、密度から申しますと全国は国土の0.13%で、沖縄は県土の11.2%であり全国の密度の実に86倍強であります。これをさらに沖縄本島のみをとってみますと約20%で、全国のおよそ150倍の密度となります。このような状況の中で本土と同じように地位協定を振りかざされては、県民の生命、財産は守れるはずがありません。民間航空機が危険にさらされる空域、漁場破壊をもたらす海域、海岸線をも破壊する上陸演習、ふるさとの山河と水資源地域の破壊につながる演習の激化、陸、海、空、全く米軍の意のままであります。だからせんだっての久米島空港における南西航空とのニアミスも、米軍はニアミスではないとうそぶいております。ニアミスならそれこそ文字どおりミステイクであります。しかしニアミスでないとなると何でありますか。今後も当然起こり得るということであり、南西航空を排除せよということになりかねません。実に沖縄の空は危険きわまりないものであります。加えて伊藤防衛庁長官は、ハワイにおいて、米軍のACMI設置の要求に積極的姿勢を示すなどまさにわが国政府は米軍のもとで動いているようなものであります。安保容認、基地容認の知事でも、県民の生命を守るためには沖縄の知事らしい行動をすべきと思うのであります。
 以下、若干の質問をいたします。
 1つ、ACMI設置は私が論ずるまでもなく沖縄の空の危険度をさらに増すものであります。具体化しないうちにノーと言うべきだと思います。先ほどの岸本議員への御説明では、航空機、船舶に支障がなければということを表現なさっておりますけれども、これこそ支障があるし危険きわまりないものでございます。知事の御所見を承りたい。
 2つ目に、このような先ほど申し上げました密度の中では、米軍車両の排ガス規制にも問題があるのであります。これも重要な課題でありますが、今日までこの問題について政府に規制の要求をしたことがあるかお尋ねをいたします。米軍車両はすべてガソリンであるし、オクタン価の高いものが使われております。
 3点目に、知事は米軍基地と米軍行動による県民生活への圧迫に対し、地位協定とこれら関係法令、いわゆる先ほど申し上げました住民の生活にかかわる法令との整合性をどういうふうに考えておられるのか。また、沖縄において先ほど申し上げました関連法令が地位協定において除外をされているのも大きな問題であります。知事の御所見を承りたいのであります。
 次、2項目として、4年前西銘知事は、経済の西銘と鳴り物入りで登場してこられましたが、安保容認、基地容認を前面に打ち出しつつ軍事演習は激化させ、被害を多発させるのみで、宣伝の割りには見るべきものはありませんでした。自衛官募集業務、主任制の強引な実施、自民党政府の国策への追従による軍備強化や教育反動化に積極的に手をかし、さらに民主主義をも否定する党利党略を優先させた県議選の小選挙区制の導入を積極的にやってのけ、県民が期待した経済政策では企業誘致、景気浮揚対策、雇用失業問題の解決、雇用基金の創設等、1つだに日の目を見ないのは、知事の政策の破綻ではありませんか。知事の選挙中及び就任初議会でのバラ色の構想は消え失せ、失業率もいまもって5%以上であります。
 そこで質問でございますが、4年間、どう雇用失業対策を進めてこられたか、1点。2点目には、雇用基金の創設はあきらめたのか、どうなっているのか。3点目に、優良企業、有望企業の誘致はどうなったか。次に民間経済の活力を引き出しつつ景気浮揚をさせると約束なさいましたが、どうなったのか。知事の反省の答弁にしかならないと思いますけれども、答弁をお伺いしたいと思います。
 次、3点目でございます。地方自治拡大に関してでございますが、地方の時代とか住民参加が叫ばれ始めて久しいのでありますが、自治の方向について若干の質問をいたしたいと思います。
 4年前、就任初議会で知事は時の各党代表の質問に対して、自治の基本はあくまでも沖縄の歴史と伝統を尊重し、これを基礎として県政を運営する、また沖縄の心は大事にするが、政府の力もかりなければならない、沖縄の置かれている現状を無視して沖縄の心を守ることはできない、地方自治の精神にのっとって県政を運営することは当然としながら、貧乏財政では懸案処理ができないなど、自主県政より国の意向をうかがいながら県政運営をするとの姿勢がありありでありました。国益か県民利益を守るのかの対決関係が生じた場合どうなるのか心配をしておりましたが、案の定、この4年間、先ほど来申し上げておりますように国策優先となり、安保、基地容認の立場のみを強調し、住民参加、分権自治の方向が示されず、国策追従の県政となってしまいました。同じく就任初議会の代表質問の中で私は、自治体の財政力の弱さが自主性をゆがめ、中央支配に屈していることをも指摘し、知事の地方財政の現状認識と財政自主権について見解を求めました。これに対し知事は、地方財政が貧困なので3割自治になっている、自己財源の確保、国と地方の財源配分の問題を積極的に推進すると財政面については前向きの御答弁がございました。この4年間、しかししりすぼみになってしまったような感がいたします。
 自治権の拡大、財政自主権の問題等について以下質問をいたします。
 1つ、自治権の拡大、住民自治をどう県政の中で生かしてきたか具体的にお答え願います。2つ目に、国策と県民利益が相反した事件が本県では枚挙にいとまがないほどあったと思うのでございますが、どういう事項があってどう解決なさいましたか。3つ目に、地方財政確立に関しどのような政治行動を行ったかお伺いいたします。4つ目は、自己財源の確保に対しどういう努力をし、どのぐらいの成果が上がったか明らかにしていただきたいと思うのであります。
 4項目に財政問題等についてでございますが、去る9月16日、鈴木首相は、財政非常事態宣言に当たる財政経済運営に関する所信を明らかにいたしましたが、これは鈴木内閣の財政再建の破綻に対する責任をほおかぶりするとともに、軍事費だけは膨張させておいて何らの財政危機克服も示さず、国民に犠牲を強いているのであります。これらの財政破綻は、今日まで財政憲法とも言われる赤字債禁止の財政法を政府みずから踏みにじり特例法をつくり上げ、経済対策に名をかりた大資本奉仕の大幅国債発行による財政運営の結果生じたものであります。今年2月定例会でのわが党代表質問で崎浜議員は、57年度の政府予算に対し経済見通しの誤りと4兆円の税の自然増の甘さ、その執行が危ぶまれることを指摘をしたのでありますが、不幸にもそのとおりとなっておるのであります。総理みずから破綻を宣言し、5兆円から6兆円の減収を予想しているのであります。
 1982年度の政府の経済見通し、財政運営、行財政改革、57年度予算等に対し知事の御所見を承っておきたいのであります。また、5兆円から6兆円の減収ともなれば当然地方財政にもはね返ってくると思うのでありますが、その見通しはどうなっておるか。3つ目に、交付税の額の確保の見通しはどうなるかあわせて御見解をお尋ねします。4つ目は、地方税も減収になる見通しだと大蔵省、自治省は明らかにしておりますが、県税収はどうなるか、県内市町村の財政への影響はどうなるのか明らかにしていただきたいと思います。5点目に、市町村の財源確保はどうなるのか知事の決意のほどをお伺いしたいのでありますが、62年国体を前に財政需要が旺盛であり、また本土との格差是正もこれからのわが県においてはゆゆしい問題であります。知事の太いパイプで心配は要りませんと県民に宣言できますか、お伺いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 まず、教科書検定の問題でございますが、教科書の検定は憲法第21条で禁止する検閲に該当し、憲法で保障する学問の自由、教育を受ける権利等を侵害しており、教育基本法も侵害しており、さらに検定基準及び手続も違法性があると指摘できるのであります。戦前の教科書制度は国定制度であり、教育の直接的国家統制が日本の超国家主義、軍国主義の柱となった。文部省はこのような日本精神を教える戦前の教育が目指した目標に対して反省をし、教育制度を大きく変えたのであります。しかし1951年には、教育制度の改革に関する答申の中で任命制教育委員の設置等を答申されております。そして1955年には時の日本民主党が公然と、「うれうべき教科書の問題」第1集を発行し、国家統制の方向に滑り出し、1956年にはついに教育委員の任命制を実施し、検定制を始めております。現在では先ほど申し上げましたように憲法21条で禁じられている検閲にも等しい検定の強化が推し進められているのであります。このことはまさに国家統制であり、戦前の国家主義、天皇中心主義、軍国化への道につながるものであります。特に日本軍による沖縄県民殺害の事実を覆い隠すことは、沖縄そのものの存在を否定するものであり、悲惨な戦争体験まで忘れさせ美化しようとする危険な意図があるのであります。教科書の検定制度に対し憲法、教育基本法の精神から見て当然の制度だと見ておられるのか。また、沖縄戦に関する削除の問題について知事及び教育長の見解を承っておきたいのであります。これだけを記述しても沖縄戦はまさに氷山の一角でしかないのであります。
 次に、教育長が8月20日の文教厚生委員会に提出をした資料は信頼できる資料と見てよいのか。文部省は一方的な資料と言っていたが、明確な答弁をお願いしたい。
 沖縄県史に対し文部省は権威がないと決めつけているような発言をしておりますが、生きている証人からの聞き取りに対する文部省の言い分は沖縄差別であります。教育長はどう思うかお尋ねをしておきたいと思います。
 沖縄戦の記述問題についての教育長の今日までの取り組みの経過と今後どうするか、復活するまで要求し続けるのか、これからの取り組みについての決意をお伺いしておきたいと思います。教育長から見て文部省はどうしようとしているのか、その御見解もあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
 次に、北城ろう学校の陳情に関連してお尋ねいたしますが、来年中学校を卒業する聴覚障害の生徒たちのために専攻科の設置が切実な要望として出されております。また、私も北城ろう学校の生徒たちと接触して必要を感じている一人でございますが、次年度から専攻科の設置をする用意があるかお尋ねをしておきたいと思います。
 質問の最後に、交通問題として一連のバスストと関連して質問を行います。
 琉球バス、銀バス当局は、賃金不払い、臨時給未払い、大量解雇問題等、ついに第1波24時間、第2波48時間のストヘと発展し県民の足に多大な影響を与えました。国鉄や公営交通機関のない本県においては、バスが唯一の大衆輸送機関であります。よって単なる労使問題として片づけられない問題がここにはあるのであります。県として次の諸点についてどうかかわり合っていかれるのか質問をいたします。
 1つ、銀バスの会社当局に対し地労委あっせんを直ちに受け入れるよう強力な行政指導をすることが、さもないと再びストに突入する可能性があるのでありますが、どう指導するつもりかお尋ねいたします。
 2つ目に、公共交通との認識に立ってバス企業不振の原因と国、県の対策をお聞きしておきたいと思います。会社は営利を目的としておりますので、会社任せではらちがあかないと思うからであります。
 3つ目、琉球バスの経営不振を理由にした267人の解雇を直ちに撤回させること、この問題は雇用情勢が厳しい本県にとってはまさに深刻な問題でありますが、この合理化、さらには路線問題についてどのような対策を持っておられるのかお聞きいたしたいと思います。
 4つ目は、琉球バスは赤字路線の縮小、廃止ももくろんでいるようですが、先ほどと同じようにその問題についてもあわせて御答弁をいただきたいと思います。こういうふうな赤字路線がなくなりますと、老人と婦人、子供の足が奪われかねません。このことについての県の対策は大変重要だと思いますので、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 5つ目に、私鉄沖縄労働組合が提起をしております「バス労働者の雇用安定に関する対策協議会」の設置についての要請に対しどう対処されますか、その5点について質問をいたします。
 次の問題は、バス離れを食いとめるためには、バスの定時、定速運行というのが大変重要であります。その対策としてバスレーンの拡大とか、バス路線内での不法駐車の指導強化、混雑地域へのマイカーの規制とか、路線の再編等に対し関係機関の御見解を承りたいと思います。
 次、再質問をいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 中根議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題との関連で空域問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄の周辺には米軍の提供空域が広範にわたって設定されていること、また航空進入管制が米軍によってなされていることは御案内のとおりであります。なお、空中戦闘技量評価装置(ACMI)の設置については、米軍からの要請に基づき日米合同委員会の施設特別委員会及び民間航空分科委員会において、あくまでも民間航空交通の円滑かつ安全性の確保を図ることを基本に検討がなされていると聞いております。県としては、もしも民間航空機や船舶の航行の安全に支障があるようでは、これは反対をしなければならないと考えております。
 次に、排気ガス規制についての御質問に対しましてお答えいたします。
 米軍車両については、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う道路運送法等の特例に関する法律」、大変長い法律でございますが、この第1条に基づきまして適用が除外されております。しかしながら在日米軍沖縄事務所によりますと、定期的に整備点検を実施しているということであります。
 次に、公害関係法令と地位協定との整合性、国内法との整合性についての御質問に対しましてお答えいたします。
 米軍基地には、国際法上わが国の法律の直接的な適用はないというのが一般的な解釈でありますが、地位協定では、施設区域における作業は公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないとの規定や、日本国の法令を尊重すべき旨の規定16条があることから、御指摘の公害関係法令についても極力遵守するよう求めていきますし、また法令に違反あるいは基準に適合しない米軍の行為があった場合には3者連絡協議会等を通じて米軍及び国に対してその改善及び是正方を強く申し入れるとともに、日米合同委員会にも提案して問題の解決を図ってまいりたいと思います。なお、御指摘の地位協定の適用除外については法体系上大変困難な問題であると考えております。
 次に、雇用失業対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県における雇用失業情勢は徐々に好転しているものの、依然として厳しい状況であります。これは製造業を中心とした振興計画が十分な成果がおさめられなかったことから、県内雇用需要が乏しいことにより県内労働力需給に不均衡が生じたということが基本的な要因であると思います。本県の失業の特徴は、Uターン等安易な離転職、学卒無業者の存在等による若年者の失業が多いことであります。このため新規就職希望者に対する職場実習の実施等学校における職業指導の充実強化を図るとともに、職業訓練の実施、職業能力の開発向上を図り技能者の育成に努めるほか、県外就職を積極的に推進しているところでありますが、今後とも努力を傾注してまいりたいと思います。また中高年齢者、心身障害者、駐留軍関係離職者等に対しては各種援護制度を積極的に活用し就職の促進に今後とも努力してまいりたいと思います。さらに本県における雇用問題の解決のためには産業振興と直結して雇用対策を推進することが基本であると考えております。中央関係省庁を初め地元産業界の参集のもとに、沖縄雇用問題懇談会を発足させ検討を行っているところであります。また、第2次振計に基づく産業振興施策を積極的に実施いたしまして雇用の拡大を図っていかなければならないと考えております。
 次、雇用基金についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の現状に即した雇用創出拡大のための事業を実施することが最も緊急な課題でございますが、その一環として雇用創出特別事業を策定し、当該事業実施の確保を図る財政手段として雇用対策基金を創設すべく関係省庁と折衝を重ねてきたところであります。しかし基金についてはその原資金が膨大な額となることから、現在の国の財政事情並びに行財政改革が検討されている状況下におきましては基金の創設はきわめて困難な状況でございます。当面は単年度ごとの予算措置によって事業実施の確保を図ることで現実的な対応をしているところでございます。
 次に、企業誘致についての御質問に対しましてお答えいたします。
 産業振興と雇用拡大を図る上から企業誘致が必要であるとの考えに基づきまして、これまで工業団地の整備や工業立地促進条例の制定等立地条件の整備を推進するとともに、企業立地説明会や企業訪問を繰り返し行ってきたところでありますが、本県における県外企業の新規立地については長期にわたる景気の低迷等により依然として厳しい状況にあります。しかしながらじみちな誘致活動をいたしました結果といたしまして、本県が企業誘致に取り組んでいることに対する企業側の理解が深まっていると考えます。今後はこれまでの成果を踏まえまして、新たに設置いたしました企業誘致推進体制や条例の活用を図るなど積極的に対処してまいりたいと思います。
 次、国益、県益の問題についての御質問についてお答えいたします。
 県民によって選任された知事といたしまして、県民生活の向上と経済社会の発展をいかに推進するかに腐心し努力してまいったつもりであります。これが知事としての責務であると考え、今後も県民福祉を優先する姿勢を堅持していくことは言うまでもないことであります。確かに制度面で見ますと、私が就任する以前に実施されていなかった自衛官募集業務や主任制問題等についても実施してきたのでございますが、これは近代法治国家における行政官としての行政責任を遂行したものであると考えております。私は地方自治体の自治権は自主自立の体制を強化する反面、国及び他の地方公共団体との協力関係を保つことも重要であると考えております。本県は、御案内のとおり広大な米軍基地が存在し県民生活や地域開発に大きな影響を与えており、米軍施設区域の整理縮小と基地被害問題等が県政の課題となっておりますが、私はあくまでも県民の立場に立って要求すべきは要求し、現実的な対処により問題の解決を図っていく必要があると考えております。今後の行政運営に当たりましても県民の要望等を行政の上に反映させるよう努力し、地方自治の確立と県勢の発展を図っていく所存であります。
 次に、地方財政についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県財政を安定的に運営するには、県財政の確立を図る必要があります。それには国庫支出金を初め地方交付税、地方債等の依存財源の必要額の確保を図っていくことはもちろんのこと、自主財源をいかに確保していくかが大きな課題となります。そこで本県の自主財源でありますが、昭和54年度に485億1000万円であったものが、昭和56年には625億1000万円と大きく伸びております。また、この3年間の平均伸び率も13.5%と高い伸び率を示しております。歳入決算額に占める自主財源の割合も、昭和54年度の17.7%から、昭和56年度には19.3%とわずかながらも上昇しております。これは県税事務所の徴税体制の強化を図り徴税率の強化を図ったこと、産業振興、とりわけ観光産業を強化育成したこと等によって観光客が増加し、県税が増加したこと及び受益者負担の原則にのっとって使用料、手数料を適正な額に見直しを行ったこと等の措置を講じたことによるものであります。しかしながら、自主財源の構成比について全国及び類似県平均と比べてみますとかなり低い状況にあり、それだけ本県の財政基盤が脆弱であると言えます。
 一方、本県の場合、振興開発計画に基づく各種プロジェクトの実施等、財政需要はきわめて旺盛で、これらの需要にこたえるため歳入の確保、とりわけ自主財源の確保には大変配慮してきたところであります。今後も62年国体を初め第2次振興開発計画に基づく各種事業を実施するには多額の自主財源が必要となります。そこでこれらに対処するため当面は、1、さらに県税の徴収率の向上を図る、2、引き続き使用料、手数料等について受益者負担の原則にのっとって適正な見直しを行う等の措置を講じたいと思います。長期的には産業の振興を図ること等によって担税力を強化し自主財源の確保を図っていきたいと考えております。
 次、財政非常事態宣言について、政府の経済見通しと財政運営、これに対する知事の所見についての御質問に対しましてお答えいたします。
 国家財政の事態を招来した要因についてはいろいろ言われておりますが、一般的には石油危機をきっかけとする経済停滞によりまして昭和50年度以降租税収入の伸びがなく、国においては景気浮揚を図る観点から毎年度多額の公債を発行し公共事業を中心に積極的な財政運営が行われてまいりました。その結果、公債残高も年々増大し、国際的不況も相まって財政環境は大変厳しい状況にあります。またこれらの危機的財政状況を再建することは、当面最も緊急な国家的課題であるということについては十分理解できるところであります。そこで経済見通しの誤り、財政運営の誤り、昭和57年度予算の歳入の過大算入等については所見を述べることは差し控えたいと思いますが、国家財政が未曽有の危機的状況にあるからといって、これらの再建のためという立場から一方的に地方団体がしわ寄せを受けるようなことであれば、地方自治体としてもこれは容認できるものではございません。御案内のとおり全国知事会等を通じてその改善方を求めてきたところであります。
 国の歳入欠陥が県、市町村財政に及ぼす影響と地方交付税の額の確保についての御質問に対しましてお答えいたします。
 国の昭和57年度当初予算における国税収入は総額36兆4000億円が計上されております。現時点で確たる見通しを立てることは困難であると考えられますが、国の試算によりますというと5兆円から6兆円程度の減収が見込まれていると言われております。国税が5兆円から6兆円落ち込みますと地方交付税へのはね返りは約1兆六、七千億円と推定されておりまして、場合によっては昭和57年度において地方交付税の減額補正も考えられるようでございます。このように国税収入の落ち込みに伴い、年度途中において地方交付税の減額補正ということになりますと、地方財政に与える影響は大きく、本県の財政運営にも大きな支障を来すことになるのであります。しかしながら自治省におきましては、国税の減収に伴う地方交付税の減に対しましては関係省庁と協議の上、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう適切に対処する考えを示しておりますので、自治省の今後の対策を見守っていきたいと考えております。
 地方税の減収に対する御質問に対しましてお答えいたします。
 県税については昭和57年度予算額は397億6400万円となっておりますが、これは昭和56年度決算総額に対しまして3.3%の伸びとなっております。昭和57年度8月末実績が前年比、調定額で4.8%の伸びとなっており、最終的には見込み額を達成することができると思います。なお、全国的に地方税の減収が予想されますが、減収の主な要因は法人税が落ち込む傾向にあり、本県の場合には法人税の占める割合が低い状況下において大きな影響はないと思います。税目別には若干の増減は考えられますが、全体的に見た場合最終的には見込みどおりの確保ができると思います。徴収率につきましては他県に比較いたしまして低い状況にありまして、今後さらに徴収強化策を講じ自主財源の確保に最善の努力をしていきたいと考えております。
 次、市町村税については57年度税収見込み額は409億8300万円でありますが、7月末現在の賦課状況を見ますと402億4000万円の賦課決定がなされており、最終的には見込み額を達成することができると思います。なお、全国的には地方税の減収の主な要因は法人市町村民税でありますが、本県の場合には法人市町村民税の占める割合が低いこともございまして大きな影響はないと思います。徴収率につきましては他県に比較いたしまして低く、さらに徴税努力の面で指導を強化し財源確保に努め、市町村の財政運営が円滑に進められるよう努力したいと思います。
 次に、旺盛な財政需要が見込まれているのでございますが、これはいまの厳しい情勢の中で知事の太いパイプだけでできるかと、心配ないということになるのかという御質問に対しましてお答えいたします。
 御案内のとおり、本県経済は財政支出に大きく依存したものとなっておりまして、他県と比べまして失業率も高い状況にあることは御案内のとおりであります。また本土との格差是正、自立的発展のための基盤づくりのためにも国庫支出金を中心に予算の確保がきわめて重要であることは申すまでもありません。ところで沖縄開発庁一括計上分の公共事業費について見ますと、全国に占める割合(シェア)は昭和49年度から52年度までは2%から2.5%台、53年度から55年度までは2.6%台、56年度は2.7%台、57年度は2.8%台となっておりまして年々高まっております。昨今の国の厳しい財政環境下、55年度から57年度公共事業費はゼロシーリングとなっておりますが、こういう財政環境下において特に公共事業費の額の確保が本県の経済等に大きな影響を与えることからその確保に努力を払ってまいりました。しかし今後も財政を取り巻く環境は厳しいものがあると思われますが、国庫支出金、特に公共事業の額の確保については全国に占める割合を高めていくよう最大限度の努力を傾注していく所存であります。
 次、交通対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
 バス企業の労使紛争は、沖縄県地方労働委員会の職権あっせんによりましておおむね解決を見たのでありますが、その中で那覇交通はあっせん案を受諾しなかったため労使交渉が膠着状態のままであります。そこで県では、今後再びスト等を含む強硬な闘争も予想されますので、そこに働く労働者の生活を確保する見地から労使双方に対し労使の交渉を促進する要請をしておりまするし、また沖縄総合事務局等関係行政機関と連携を図りながら企業に対する行政指導を強化しているところであります。「バス労働者の雇用安定に関する対策協議会」の設置については運輸行政は第一義的には国の所掌する事務であるところから、要請の線に沿って沖縄総合事務局と設置方について調整をいたしているところであります。しかしながら同事務局では既存の審議会の活用等もあわせて慎重に検討しているようでございます。
 次に、琉球バスの問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 合理化の具体的内容については現在会社側と組合の間で交渉を行っている段階でありますので、合理化計画の内容が固まってきた段階におきまして陸運行政の主管庁である国と調整しながら慎重に対処してまいりたいと思います。なお、対処するに当たっては、国の沖縄地方陸上交通審議会等で県民の足が確保できるよう県としても努力してまいりたいと思います。
 それからバス路線網の再編についての御質問に対しましてお答えいたします。
 バス路線網の再編については、陸運行政の主管庁である沖縄総合事務局において沖縄地方陸上交通審議会にバス輸送対策専門委員会を設置し、現在のバス路線網、運行ダイヤ等について見直しを行っており、県としては積極的に対処してまいりたいと思います。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 教科書問題に関しての検定までのいきさつ、それから要請の結果、記述の書きかえについての今後の対応、県史に対する評価について等にお答えいたします。
 検定の経過については公表をしないたてまえになっておりますが、私どもが入手した資料によりますと某出版社の教科書で、沖縄県民が戦禍を受けた最も悲惨な状況として、戦争の邪魔になるなどの理由で約800人の沖縄県民が日本軍の手で殺害されたとする脚注の記述の部分を文部省で書き直しを指示し、これを受けて執筆者は、スパイ行為をしたなどの理由で日本軍の手で殺害された例もあると修正をし、これも受け入れるところにならず再三再四修正を余儀なくされ、第4の修正文が検定本の脚注となったと言われているわけでございます。なお、文部省が書きかえを指示した理由には、犠牲になった人々の客観的な数字の根拠がないというものであったというふうにその資料にはございます。
 それから要請をした結果、それから書きかえについての今後の対応でございますが、文部省には戦争の悲惨さ、平和のとうとさを生かしたよい教科書をつくってほしいということの要請をいたしたことは先ほども御答弁申し上げましたとおりでございます。それに対しまして、よく理解した、県民の要望に沿うよう検討するとの答えであったわけでございますので、それに期待をしたいというふうに考えております。今後もその成り行きについて注意深く見守っていきたいというふうに考えております。
 それから県史に対する評価でございますが、これにつきましては県内外で高い評価が寄せられておりますし、私もそういうふうに評価をいたしてわります。
 それから北城ろう学校で学んでいる聴覚障害児の今後の問題でございますが、心身障害児が将来社会の一員として自立することは障害児教育の目標であり、社会的にも大きな責務であると考えております。北城ろう学校における風疹による聴覚障害児の――これは300人余りおりますが――幼、小、中、高等学校教育を通しまして社会に適応できる程度の一般的な教養と基礎的な学力、職業的な知識、技術を身につけまして、昭和59年の3月には後期中等教育を終了することになるわけでございます。卒業後の進路でございますが、進路の希望調査を行って実態を把握し、それから就職等の進路指導上の基本的な問題について関係部局とも連携をとって調整をし、問題解決のための施策をいま現在検討しているところであります。専攻科の設置につきましては、その計画は現段階においては持っておりません。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
   〔警察本部長 宮崎 喬君登壇〕
○警察本部長(宮崎 喬君) 中根議員の交通問題についての御質問にお答えいたします。
 まず、バスレーンについてでございますが、現在国道58号線の一部と国道329号線の国場から330号線の一部を経て那覇高校に至る路線と首里の山川から国際通りにかけての路線の3路線について朝夕のラッシュ時にバスレーンを実施しておりますが、今後も可能な所についてはバスレーンを拡大していきたいとこういうふうに考えております。しかしバスレーンを実施するに当たりましては車線の数、並行道路の状況等を考慮しなければなりませんので、この面から制約を受けるわけでございます。現在、国道329号線の古波蔵から旭橋に向けての500メートルの区間について中央線変移を実施し、その後にバスレーンを設置するということを計画しております。
 次は、駐車違反についてでございますが、ことしは当初から取り締まりを強化しております。特にバス停付近の違法駐車はバスの運行に重大な支障を生じますので、悪質な違反として重点的に取り締まりを実施しているわけでございます。今後もこの種の悪質な駐車違反については、取り締まりを強化してバスの運行に差し支えないようにしていきたいと考えております。ちなみにことしの1月から7月にかけまして約9万件の交通違反を検挙しておりますが、このうち駐車違反が3万5000件に上っております。これは類似県の3倍から5倍に上るという検挙件数でございます。
 次は、混雑地域への規制についてでございますが、バスレーンを実施することによりまして自家用車等を間接的に規制するということ、また特定の行事の場合に自家用車等を一時的に特定地域から規制するとこういうことは可能でございますが、一般的に混雑を理由に自家用車等を規制するということはできないと考えております。しかし、パーク・アンド・ライドのシステムを導入することによりまして、実質的に都心部の混雑を緩和するということは可能かと思っております。しかし、これを実施するためには幹線道路に沿ったところに広いスペースの駐車場を確保するということが必要でありますし、このことが非常に困難を伴うものだというふうに考えております。しかしながら、この問題につきましては那覇市と隣接市町村が協力するということが必要でありますし、また米軍の解放地等があった場合にはこれを利用するということも考えられると思います。警察としましては、この問題につきましても関係機関に対しまして働きかけを行っていきたいとこういうふうに考えております。
○中根 章君 答弁漏れ。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後3時37分休憩
   午後3時38分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 検定制度でございますが、これは憲法、教育基本法、学校教育法の基準に照らしましてこれはもう選定の基準がつくられなければならないと思っておりまするし、やはり次代を担う若い人たちを養成する見地からいたしましても、これは私は検定制度は必要であると考えております。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 検定の制度につきましては文部省の方において決められておることでございますし、文部省は教育基本法にのっとり、教育基本法は憲法にのっとって決められておることでございます。そういうことによりまして、ことに教科書の場合には教科学習の主たる教材として学校教育上非常に重要なものであるということ、それから公教育の公正、中立性を維持する上からも教科書検定制度は必要だというふうに考えております。
○議長(大田昌知君) 中根 章君。
   〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 教育長、いまの検定のやり方というものに問題があるんですよ。憲法と教育基本法の精神にもとる検定のやり方をしているんです。だからこの辺をもう少しきちんと教育長としてやっていただきたいと思います。
 それから地位協定の問題でございますけれども、本土と画一的では許されない、沖縄の基地は密度が大変高いから私はそういうようなことを質問をしているのであります。県民生活と関連する法令と地位協定との関係については、いわゆる沖縄の密度からして政府に具体的にこの問題の整合性、いわゆる沖縄においての密度との関係で政府にその問題の解決を迫る考えはないかということでございます。
 それから県政の問題についても、今日までの答弁の繰り返しで、将来展望と県民生活の向上に向けた施策が余り見られない答弁に終始しているように私は見ております。それで総括的にお聞きをいたしますけれども、この4年間、西銘知事が口癖のように提起をした活力ある県政だったと評価をしておられますか。また、県民が将来に望みを託する生活を送り、幸せな4年間であったというふうに西銘知事の4年間の行政運営を総括しておられますか、これを再度きちんとお答えいただきたいと思います。
 さらに今年度の国の予算の歳入の落ち込み予想と関連して、歴代自民党内閣の経済、財政対策に誤りがあったとこれは指摘されると思いますが、知事のこの件に対する再度の御所見を求めます。
 それから教育長、私が聞いているのは何遍かの検定のやりとりじゃなくして、あなたが出した資料は一方的な資料だと文部省は言っているわけです。これに対して、あの資料は自信を持ってこういうことであるということを言い切れますかということでございます。
 それからもう1点は、いままでの復活まで、いわゆる沖縄戦の記述関係を完全に復活させるまで文部省に要求をし続ける意思があるかということも聞いているわけですけれども、それもあいまいでありますのでこの点について再度はっきり御答弁をいただきます。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 私のこの4年間の業績に対しまして、私自身で評価するということはこれは大変むずかしいことでございまして、ただ申し上げたいことは、国益優先で、県益については何も考えなかったと大変おしかりを受けたわけでございますが、これは私は沖縄県民であります、沖縄の歴史も沖縄の伝統もよく存じ上げております。そういうことで沖縄の歴史と伝統にのっとって沖縄の地域社会の開発を進めていかなければならない、自治を進めていかなければならないと考えておりまするし、ただ自衛官募集をやったから、主任制をやったから国益優先で県益は考えていないという指摘は私は当たらないと思います。これは日本全体、どこの県でもどこの市町村でもやっていることでございまして、法令遵守の立場からたとえ悪法であってもこれは法律を守るという立場から、また県知事、市町村長の機関委任事務としてのこの委任事務を執行する行政官の立場からもこれは当然のことでございまして、これによって県益が損なわれたとは考えておりません。4年間一生懸命やってまいりました。何としてもこの沖縄県を日本一の沖縄県にしなければならない、活力のある沖縄県にしなければならない、そういうことでその方向に向けてじみちながら一つ一つ積み上げて努力をしてきたということについては、ひとつ評価してくださいますようにお願いいたします。
 それから整合性の問題でございますが、これはもう先ほど答弁したとおりでございまして、これは提供された施設区域であっても国内法は遵守しなければなりませんし、またそれによって県民の国民の安全性が損なわれてはなりませんので、そういう立場からこれは今後とも進めていかなければなりませんし、ただ日本全体の面積の53%が沖縄に集約されたと、これはおっしゃるとおり認めますが、集約された面積が大きいからその整合性についてはもっと緩やかな処理でもっともっと県民生活を優先して考えることはないかということでございますが、これは逆でございまして、私から申し上げまするならば、53%の基地を取ってしまわない限りこれはなかなかむずかしいのではないか。したがいまして、逆に基地の整理縮小が先行するのではないか、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
 次に、自民党の長い間の政権担当による財政政策の破綻ということでございますが、これはもう財政需要が年々ふえるばかりで、それに対しまして歳入はほとんど伸びていないというようなことで、そこに歳入欠陥が出てくるのはこれは当然のことでございますが、これも何としても国民経済に活力を与えなければならないということで、景気浮揚対策として公債制度が十二分に活用されたところに今日のような事態を招いたわけでございまして、いずれにいたしましても国の厳しい財政状況は地方財政とも関連いたしてまいりますので、真剣にこれを受けとめて国民一体となって解決をしなければならない大変重要な問題だと考えております。ただ、国の財政的な不如意によって地方財政に影響があってはなりませんので、全国地方6団体におきましても全国知事会を中心として地方財政に負担のないような対策を講じてもらうように政府当局にも強く要請をいたしているところであります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 資料という件でございますが、資料は別に私ども出しておりません。
 それから……
○中根 章君 議長、休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後3時48分休憩
   午後3時49分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 教育長。
○教育長(新垣雄久君) それから今後の対応でございますが、先日上京しましたときに、教科書には沖縄戦の全貌が正しく記述されるとともに、戦争の悲惨さ、平和のとうとさ、歴史的事実を明確に示してほしいということを申し上げたわけでございます。そこでその結果を見て、もしそれにふさわしくないものであれば再び要請をしたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 中根 章君。
   〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 教科書問題については、後で委員会でさらに詰めることといたしまして終わります。
 先ほど再質問に対して知事は、評価をしていただきたいとおっしゃっておられましたので評価をいたします。経済の西銘と4年間鳴り物入りで宣伝をした割りには、地方自治の拡大も財政の確立も、演習による砲弾の炸裂音と山火事の燃え盛る音の活力としか受け取られないようになっていたというふうに私は信じております。革新知事が残していった貯金を使い果たしてしまったんじゃないかというふうに思えて仕方がないのであります。それが真実であります。
 さらに再出馬をなさるようでございますが、経済の西銘は、私に言わせると色あせております。自民党代表もきょうの代表質問では、経済の西銘についてはほとんど触れておられないのも、やはり経済の西銘は色あせたんだなということしか言えないわけであります。それから太いパイプもほとんどお話がなくて、この太いパイプもこれも腐食をしてしまったのかなあということしか言いようがないのであります。それで次のキャッチフレーズは何の西銘になるか、どんなバラ色で4年間を隠蔽して選挙運動に突っ走っていかれるのかお手並みを拝見したいところであります。まあ、賢明なる県民が国策、基地優先の保守県政に終わりを告げさせると私は確信をしております。再び平和で明るい県政を取り戻すことになることを申し添えて、質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後3時51分休憩
   午後4時11分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 古堅実吉君。
   〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 日本共産党県議団を代表して、西銘知事任期最後の質問を行います。
 第1は、公約破綻と反動路線強行の西銘県政4年間の基本的総括についての問題です。
 知事が県政の主人公である県民に対して、みずからの政策を公約して選出された以上、その公約が果たされたかどうかについては県民の立場からも徹底的に論じられて当然の問題であり、議会における論議を通じて県民に明らかにすることは、むしろ知事と議会の責務であると申すべき事柄であります。知事は態度をあいまいにされず、質問には明確に御答弁を願いたい。
 1、知事は4年前の立候補に当たり、いま県政に求められている緊急かつ重大な課題は何といっても経済問題の解決であると強調され、経済の西銘を売り物にしたのでありました。そして公約の真っ先に失業問題を掲げ、私は失業対策沖縄特別基金を国の協力を得て創設し、失業対策事業を大規模に展開すると言われたのであります。当時すでに政府が失業対策事業を打ち切る方向で毎年縮小し、沖特法38条の就労事業の実施についてさえ否定的姿勢を見せていた中であえてその公約を掲げたのでありましたが、質問、イ、かかる重大な公約がなぜ果たせなかったのか。ロ、その完全な失敗は、西銘知事の政治力が足りなかったためか。ハ、それとも選挙のときは、できないこともできるようなことを言うとの知事答弁のたぐいで、最初から県民だましのものであったのか責任ある答弁を求めるものであります。
 2、知事はまた革新の企業敵視の態度が企業誘致を妨げたと中傷し、企業誘致を積極的に進め雇用の拡大を図ると公約したのでありますが、いまだに1つの企業誘致もできていません。知事は4年前の知事選立会演説会で、いかに魅力ある攻策を並べても、実行を伴わない政策はしょせん理想でしかなく、現状は改善されませんと言われましたが、失業対策といい、この企業誘致といいまさしく知事御自身の公約不実行に対する批判としてまるごと当てはまるお言葉ではありませんか。
 そこで質問、イ、知事はとうとう1つの企業も誘致できなかった公約の失敗を認めますか。ロ、革新ではだめ、西銘ならやれるといったことがなぜできなかったか、それも知事の政治力の弱さのためですか。ハ、それとも残された任期2カ月余でがんばりますということか、見通しも示してもらいたい。
 3、今度は国からの予算獲得の問題です。
 4年前の知事選では、西銘が当選すれば政府とのパイプが太くなり予算も獲得しやすくなると大宣伝しました。御承知のように革新知事のもとで沖縄振興開発事業費が公共、非公共合計額対前年度比伸び率で昭和51年度123.7%、52年度で123.7%、53年度で134.9%と比較的順調に予算獲得が前進していた中で、西銘陣営は、革新ではだめ、政府とのパイプの太い西銘でなければならないと宣伝したのであります。そして1978年12月5日、西銘知事の選挙母体である明日の沖縄をつくる会の政談大演説会において山中貞則元総務長官は、大蔵省の金庫は非常にかたい、しかし私はそれをあける合いかぎを持っている。西銘君が知事になったらどかっと金を出してやると演説し、佐々木民社党委員長も調子を合わせて、山中貞則が大蔵省の金庫のかぎを盗んでいるらしいが、沖縄に金を出すなら喜んで太鼓持ちをすると演説した旨新聞報道がなされました。言ってみれば、国政を私物化した言い方であり、県民をばかにした演説と申さねばなりません。
 ところで、振興開発事業費について先ほどの方法で対前年度比伸び率を見ると、平良知事最後の年度になった53年度が134.9%であったのに比べ、西銘知事就任と同時にがた落ちして54年度が122.7%、55年度が102.0%、56年度が102.5%、57年度に至ってはついにマイナス1.7%の98.3%にまで落ちてしまったのであります。この事実を公約の破綻と言わずに何と申せましょうか。国の財政事情を云々してこれほどにがた落ちさせてもなお弁解で押し通し、その責任を感ずることもないというのであれば、最初から政治力云々はやめるべきです。
 そこで質問です。イ、西銘知事になってから、開発事業費の対前年度比伸び率が大きく後退している事実は認めますか。ロ、それでは2次振計の展望も開けないというしかありませんが、知事はその程度でやむを得ないと考えているのかどうか。ハ、今後は革新県政時代のようにふやせると考えているか。それともその見通しはないと考えているのかどうか、態度をあいまいにせず明確に御答弁を願いたい。
 さて、知事の公約破綻問題は、その他にも国鉄導入問題を初め基地使用協定問題、その他数多く取り上げることができますが、知事選での目玉商品的重要公約となった以上の3点について見ただけでも、西銘県政の4カ年間はその基本点において全くの落第点であったことが余りにも明白であります。
 4、次は、知事の反動路線の強行に関する問題であります。
 知事は、その政治姿勢として熟慮断行をモットーとし、県政の運営に当たっては1978年12月の県議会での就任あいさつ、1979年2月定例会での所信表明においても、超党派的立場で県民本位の県政を運営すると繰り返し強調してこられたのであります。ところがこの4年間の西銘知事とその県政の最大の特徴は、米軍や政府に対しては極端に弱く、その基本点において国策優先の姿勢が貫かれたということであります。この国策優先の県政運営に当たってその基本を貫くため県民の犠牲が生じようとも、時にはその支持母体に多少の動揺が起ころうとも、知事は自分でなければ押し通せないとの反動的自負心と一種の使命感を持って熟慮断行してきたものと思われます。それだからこそ県民党とか、超党派とか、県民本位とかの姿勢が見る影もなく消え去ってしまったのであります。
 そこで次の数点について質問をいたします。
 イ、県民の大きな反対運動を無視して自衛官募集業務や学校主任制度の実施を強行し、屋外広告物条例や県議選ポスター制限条例などを強行したが、それでも県民党的、超党派的立場での県政運営であったと考えるか。それともみずから表明したその基本姿勢を乱暴に踏みにじるものであったと考えるか。
 ロ、B52核戦略爆撃機の飛来について、県議会が一貫して、いかなる理由があるにせよ反対であるとの全会一致の意見書を繰り返し議決してきているのに対し、知事は一貫して飛来容認の態度をとっているが、知事はそれも県民本位の県政運営と考えておられるか、また今後も容認する考えですか。
 ハ、県議会は、1978年10月9日に全会一致で一般消費税創設反対の意見書を採択したが、知事は逆に、国政選挙の最中に大平総理が国民世論に押されて途中で引っ込めたことに対しても、勇気がないと批判し、その必要性を強調されました。天下の悪税一般消費税の創設について県議会全会一致の反対があっても、それを容認することが知事の言う県民本位の姿勢か。それでは知事の言う超党派的立場というのは、一党一派に偏せずみんなの意見を聞いてということではなく、超党派的にみんなが一致しても、それを乗り越えて聞かないという超党派ではありませんか。知事は今後も一般消費税創設を認めていく考えですか。
 ニ、知事は、米4軍と自衛隊の幹部を知事公舎に招待し、事もあろうに県費をもって激励パーティーを催してこられた。最初は報道人にも知られないようにこっそりやっていたが、それがばれて抗議を受けるようになるや、にわかに開き直りの姿勢に出ておられる。知事はそんなことが県民本位とでも考えておられるのですか。今後一切やめる考えはないか明確にしてもらいたい。
 第2の質問は、限定核戦争、日米安保、軍国主義全面復活路線に反対し、平和と民主主義を守る問題についてであります。
 世界の恒久平和を希求する諸国民の願いに反して、米ソ両国を中心とした際限のない核軍拡競争が進み、いまや人類はその存亡にかかわる最大の危機に直面しています。特にレーガン政権首脳が繰り返しヨーロッパとアジアにおける限定核戦争構想について公然と言及したことによってその危機感を一層強め、核兵器の使用禁止と核廃絶を求める世界の人々の運動が燎原の火のように燃え広がっています。核戦争の危険を防止し、その脅威を除去するために可能なあらゆる努力を払うことは、すべての人類にとっての緊急かつ最大の共通課題となっております。なかんずく核兵器の唯一の被爆国である日本国民として、核戦争阻止と核兵器の完全禁止及び全面軍縮を実現する歴史的事業において、わが国とわれわれ国民が果たさなければならない任務と役割りはきわめて重く、かつ大きいものがあると確信いたします。日米安保条約のもとで極東最大の米軍のかなめ基地となっているわが沖縄にとって、われわれがみずからの命とわれらの子孫の存続を図る唯一の道は、際限ない軍備拡張による戦争への道ではなく、全面軍縮と戦争防止への道であります。
 恒久平和を願う県民の立場から以下の諸点について質問します。誠意を持って明確に御答弁願いたい。
 1、県議会は去る3月27日、核兵器の完全禁止と全面軍縮に関する意見書を全会一致で議決したが、知事は、この意見書の示すあらゆる国の核兵器の完全禁止と全面軍縮の実現を求める立場に立たれるか、それとも軍備的均衡と核抑止力の考えに立って米ソの核軍拡はやむを得ないとのお考えであるのか明確にしてもらいたい。
 2、政府は、国連における核兵器の不使用と核戦争の防止決議案に対して、わが国が唯一の核被爆国である立場からも離れ、アメリカの立場が悪くなるのを恐れてアメリカやその同盟国とともに反対に回っているが、知事はかかる政府の態度についてどう考えられるか、反対はやむを得ないと考えられるのか。
 3、米国レーガン政権のヨーロッパやアジアにおける限定核戦争構想を知事はどう考えておられるか。それが展開されれば、沖縄を初めわが国は絶滅への危険にさらされると考えるか。それともそれによって安全が守られるとのお考えか。
 4、西銘知事就任後、米軍の県道104号線封鎖実弾射撃演習が激化し、革新県政時代の全体を通じて18回であったものが、西銘県政4年足らずですでに29回にも及んでいます。この155ミリ砲や203ミリ砲は核弾頭を、さらに203ミリ砲は中性子弾頭をも装てんできるものであり、その演習による県土の破壊もはなはだしく、かつ住民の安全も脅かすものとなっているが、知事はそれでもその演習はやむを得ないとの態度であるのか。
 5、県議会は去る9月4日、教科書検定に関する意見書を全会一致で議決し政府への要請団も派遣しています。沖縄戦における日本軍による県民虐殺の歴史的事実を教科書からその検定過程で削除させられているが、同意見書はその記述回復を強く求めています。知事は教育長に任せるという態度ではなく、政府に対してみずからもその申し入れをなされる考えはないか。
 6、県議会は去る7月17日、米軍のACMI(空中戦闘技量評価装置)空域設定反対に関する意見書を全会一致で議決し政府にも要請しました。しかし政府は、伊藤防衛庁長官が去る9月25日、ハワイにおいてロング米太平洋軍司令官に表明していることに見られるように、米側の要求に屈し、ACMIを認める方向への許せない態度に出ています。安全にかかわるこの重大問題で知事が県民本位を貫けるか、それとも国策優先への道を選ぶか問われている問題です。それにかかわらず知事の本日の態度はあいまいです。知事は県議会と同様、反対の態度を明確にし早急に政府への申し入れを行うべきだと考えるが、明確な御答弁を願いたい。
 第3の質問は、臨調路線にせ行革と第2次沖縄振興開発計画、県民生活防衛の問題についてであります。
 1、老人保健法改悪など福祉を切り捨て国民を犠牲に軍事費をふやす臨調路線にせ行革が強行される中で、第2次沖縄振興開発計画の推進は、その裏づけとなる予算の確保など前途はきわめて厳しくなっています。すでに計画実施1年次の現年度の当初予算、沖縄振興開発事業費は、公共、非公共の合計対前年度比伸び率がマイナス1.7%、2年次の58年度概算要求も対年度比でわずかに1.2%の伸びで、物価の上昇を勘案すれば実質マイナス要求になっていることは明白であります。このような沖縄関係の予算の計上は、2次振計が明記する国の責務を政府みずからが放棄するようなものであり、県民にとって許せるものではあり
ません。
 そこで、次の諸点について知事の答弁を求めるものであります。
 イ、新聞の報道によれば、知事は政府の財政事情を理由にこの予算を評価し政府の無責任な沖縄施策を容認しておられるが、知事はこれで本当に2次振計推進の裏づけ予算としてよいと考えておられるのか、知事のお考えを改めて明らかにしてもらいたい。
 ロ、もし国の財政事情からやむを得ないとの考えであれば、軍事費の7.3%の伸び率についてはどう考えられるのかも明らかにしてもらいたい。
 ハ、結局軍事費をふやし、国民生活を犠牲にする臨調路線にせ行革を容認する立場からは、第2次沖縄振興開発事業の推進はきわめてむずかしいと言わざるを得ません。それでも知事はやれるとのお考えなのか。もしそうであれば、その見通しなどについて詳しく説明していただきたい。
 2、次は、県民の生活と営業の問題です。
 復帰10年を迎え、県民の生活と営業は依然として厳しいものがあります。全国一高い完全失業率、長期不況のもとでの中小企業の倒産の続出、大型スーパーの無秩序な進出による地元商店街の営業不振、政府の農畜産物生産者価格抑制策と輸入枠拡大及び自由化の問題、老人医療有料化など臨調路線にせ行革強行の中で県民の暮らしと福祉、営業を守るために緊急に解決を迫られている問題が山積しています。
 こうした問題について次の数点の質問を行います。
 イ、現に失業で苦しんでいる県民のために沖特法38条の就労事業を早急に実施し、同39条の実施などに努力すべきであるが、知事は、いまなおその実施は失業の解消につながらないとして拒否するのかどうか態度を明確にしてもらいたい。
 ロ、来年2月から老人医療費の一部有料化が実施されるが、県内の70歳以上のお年寄りが負担する年間の医療費はおよそ2億7000万円と試算されています。思いやり予算で政府が国民の血税を使い、嘉手納基地に建設するF15戦闘爆撃機用のシェルター(掩体ごう)は1基4億円です。お年寄りの健康を守ることと、アメリカの基地強化のために義務でもない思いやり予算まで考えることとどちらが国民本位の政治かは論ずるまでもありますまい。知事は政府が逆立ちした道理に合わない政治をやめ、老人医療の無料化を復活すべく政府に要求すべきです。その実現に至る間、県や市町村の負担で老人医療の無料化を継続すべきだと考えますが、知事のお考えを明らかにしていただきたい。
 ハ、昭和55年産サトウキビの1トン当たり生産費は2万5062円、生産者価格は奨励金を含めても2万820円で、差し引き4242円も生産費を割っています。生産費も償えないような生産者価格が毎年続き、サトウキビ農家の10アール当たりの収益性、所得や家族労働報酬も年々低下するなど農家経営も厳しくなっています。知事はこの事実を認めるかどうか明らかにしてもらいたい。県サトウキビ対策本部は、57年産サトウキビの要求価格を1トン当たり2万6000円以上と打ち出しています。それは前年の要求価格よりも2000円減額されているなど、生産農家の要求が十分に反映されているかどうかその算定には問題もあるかと思われるが、知事はこの要求価格についてどう考えられるか。また知事は政府に対し、1トン当たりどれほど引き上げるよう要求し努力されるかについても明らかにしていただきたい。
 なお、念のため申し上げておきますが、58年度概算要求でFl5戦闘爆撃機20機が購入予定とされ、1機の購入価格は108億円となっています。今期のサトウキビ生産見込み高は157万トンで、その1機分だけでも1トン当たり6800円のキビ代引き上げが可能であり、それを振り向ければ1トン当たり2万8000円以上にすることが可能です。軍事優先、大資本奉仕の政治では、農家の要求にこたえることもできません。
 ニ、2次振計と沖縄県果樹農業振興計画では、肉牛、飼養頭数8万頭、パイン生産10万トン、ミカン7030トン、その他柑橘類1万2150トンなど壮大な目標を立て増産に取り組もうとしています。ところがアメリカと財界の強い圧力で農畜産物の輸入枠拡大と自由化が進められようとしており、この10月に日米両政府の協議が予定されています。その方向に進めば、県の農畜産業と計画の実施にも深刻な打撃となることは必至です。知事は、いかなる対策を進める考えか明らかにしてもらいたい。
 以上が質問点ですが、具体的質問事項については十分に答弁の準備ができるように事前に担当の職員に渡してあります。したがって御答弁は質問にかみ合って抜かさずに、かつ態度をあいまいにせず明確にお願いいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 古堅議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基金の創設についての御質問に対しましてお答えいたします。
 雇用対策のための基金の創設につきましては、これを実現するため昭和55年5月には沖縄県雇用対策基金調査会を設置発足させ、基金の基本的な事項を初め基金で実施する事業内容等について調査研究を行わせ、その報告に基づいて実施事業である雇用創出特別事業を策定し、その事業実施の確保を図るための財政手段として基金を創設すべく国と折衝を重ね、その創設に向けて努力をしてきたところであります。しかし時期的に国の財政事情が厳しく、かつ財政再建の問題に直面している状況下にあって事業実施の財政手段としての基金の創設が実現できなかったことは、これまでもたびたび申し上げたとおりでございます。
 次、企業誘致についての御質問に対しましてお答えいたします。
 企業の立地については、県内資源を活用したすり身工場の立地及び天然ガス開発株式会社を第三セクターで設立したことのほか、これに関するヨード製造工場の立地についても具体化の段階にあります。さらに観光関連産業2社の立地及び情報処理産業の会社設立の具体化についても見通しがついております。しかしながら県外からの製造業の誘致については依然として御指摘のとおり厳しいものがあります。
 次に、なぜできなかったのか、知事の政治力の不足のためかという御質問に対しましてお答えいたします。
 内外の経済情勢の変化に伴う企業の設備投資意欲の減退があったことや、これまでの条件整備の立ちおくれ等が主要な原因であると考えております。あと2カ月でどんな見通しかということについての御質問に対しましてお答えいたします。
 企業誘致を取り巻く環境は依然として厳しいものがあり、短期間で実現することは困難なものがあると思います。しかしながらこれまでの成果を踏まえまして、本県の立地条件を最大限に生かして誘致の実現を図るべくさらに努力を傾注してまいりたいと思います。
 次に、予算獲得の伸びについての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄開発事業費の対前年度伸び率については御指摘のとおり昭和49年度から54年度までは総体として高い伸び率を示しております。しかしながら55年度以降は国の財政環境の悪化等もあり、伸び率も低い水準で推移いたしております。一方、沖縄開発庁一括計上分の国庫支出金、特に公共事業費について見ると、全国に占める割合は、昭和48年度から52年度までは2%から2.5%台、53年度から55年度までは2.6%台、56年度は2.7%台、57年度は2.8%台と本県の占める公共事業の割合は年々高まっております。
 次に、確かに予算獲得は国の財政環境の影響を強く受けるものでございまして、なかなか思うようにはいかないと考えております。今後も財政を取り巻く環境には厳しいものがあると思われますが、国庫支出金、特に公共事業費の額の確保については全国に占める比率を高めていくよう最大限の努力を傾注していく所存であります。
 次に、自衛官募集業務についての御質問に対しましてお答えいたします。
 自衛官募集業務は、自衛隊法第97条及び地方自治法第148条により知事及び市町村長に委任されているいわゆる機関委任事務であり、当該事務を管理執行することは行政責任者としての当然の責務であり、これを実施したものであります。
 次に、主任制制度についてお答えいたします。
 主任制については教育委員会の所管でありますが、これは法令遵守、教育活動の一層の充実、さらに教職員の待遇改善を図る立場から実施されたものと考えております。
 次に、屋外広告物条例についてお答えいたします。
 屋外広告物条例は、都市の美観風致を維持するとともに、公衆に対する危害を防止することを目的として制定したものであり、昭和56年3月の条例改正はこの目的を実効あらしめるべく行ったものであります。なお、条例の実施に当たっては一般県民の利便を図るべく公共掲示板の増設を行い、秩序ある屋外広告が行われるよう努力している状況であります。
 次に、選挙におけるポスター掲示場の設置に関する条例についての御質問に対しましてお答えいたします。
 ポスター掲示場設置条例は、選挙運動期間中に掲示することができるポスターを、掲示場を設置しその場所に掲示するということであります。これは公営制度を拡充して経費を節減し金のかからない選挙の実現を図り、ひいては町の美観にも資するものであって県民の要請にもこたえるものであると考えております。
 次に、B52飛来についての御質問に対しましてお答えいたします。
 B52核戦略爆撃機の飛来について県議会において議決されたことに対しては、これを県民の総意として大いに尊重するものでありますが、台風避難等のために飛来することはやむを得ないものと考えております。また、飛来の際にはその都度米軍に対して飛来原因が除去され次第、速やかに帰還するよう申し入れております。
 一般消費税についての御質問に対しましてお答えいたします。
 一般消費税は、昭和54年度に財政収支の不均衡是正、国及び地方の財源不足の改善を図るため考えられたものでありますが、国民の理解が得られなかったことから導入が見送られた経緯がございます。私としては、現在でも税負担の面で直接税と間接税の負担比率の是正を図るべきだと考えております。
 一方、国の財政再建についての臨時行財政調査会の答申は、増税なき財政再建を基本方針として堅持し、税制に関しては税負担率の上昇をもたらすような新たな措置を基本的にはとらないとしており、県としては県議会の一般消費税導入反対の議決を十分に尊重してまいりたいと思います。
 米4軍、自衛隊幹部とのパーティーについての御質問に対しましてお答えいたします。
 在沖米4軍と自衛隊の幹部とのパーティーを催したことが県民本位の県政運営であるかのおしかりを受けておりますが、県政の最重要課題である基地問題に関しましてその責任ある関係者と一堂に会し相互の理解と協力を深めることは有意義なことであり、今後の基地行政を初め県政の円滑な運営に寄与するところ少なくないと考えております。
 次に、核に関する御質問に対しましてお答えいたします。
 核に関連する質問でありますが、わが国は非核3原則を堅持すると言明しており、私もこれを尊重し堅持していかなければならないと考えております。
 次に、県道104号線封鎖実弾射撃演習についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御指摘の104号線越え実弾射撃演習についてでございますが、必要最小限度の演習はやむを得ないと考えております。しかしながらその演習によって県民生活の安全が損なわれることのないよう、その都度十分な安全対策を講ずるよう申し入れているところであります。
 次に、教料書の県民虐殺の歴史的事実についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄戦のさなかにおいて、戦時中とはいえ一部軍の行為に人道上批判を受けるようなことがあったことは遺憾なことであります。今後次代を担う青少年に平和を希求する態度を育てるためにも、県民の意に沿うよう適切な措置を講じたいと考えております。
 次に、ACMIについての御質問に対しましてお答えいたします。
 空中戦闘技量評価装置の設置については、米軍からの要請に基づき日米合同委員会の施設特別委員会及び航空分科委員会において、あくまでも民間航空交通の円滑かつ安全性の確保を、図ることを基本に検討がなされていると聞いております。県といたしましても、民間航空機や船舶の運航の安全に支障があるようであれば反対をしたいと思います。
 沖縄振興開発事業の対前年度伸び率57年度マイナス1.7%、58年度は1.2%となっておりますが、この政府の沖縄振興政策を容認するかという御質問に対しましてお答えいたします。
 御指摘のとおり、確かに昭和57年度の沖縄振興開発事業費の対前年度伸び率はマイナスの1.7%となっておりますが、これは御案内のとおり公立文教施設整備の着実な進展に伴いまして教育振興費が減少したことによるものであります。しかし公共事業費についてはゼロシーリングという状況の中で対前年度比102.6%となっており、全国に占める割合も対前年度の2.67%から2.74%へと高まっております。昭和58年度の国庫支出金の要請については本土との格差是正、自立的発展のための基盤づくりの重要な年度であると位置づけ、昭和57年度に引き続き沖縄の振興開発のための所要の措置がなされるよう沖縄開発庁及び関係各省庁に対し要請を重ねてまいりました。その結果、沖縄振興開発事業費については前年度同様、公立文教施設の着実な進展に伴う教育振興費の減少という状況にありながらも総額2009億8000万円、対前年度比101.2%の要求がなされました。特に本県の経済情勢、なかんずく景気の維持拡大等に大きな影響を与える公共事業費はゼロシーリングという厳しい状況の中で1841億3400万円の要求がなされ対前年度比102.9%となっており、そのことについては十分ではございませんが、努力していることは評価いたしております。
 臨調路線と沖縄2次振計の関連についての御質問に対しましてお答えいたします。
 国家が防衛費を必要とすることは国防上の問題でございまして、防衛費の伸び率については評価を差し控えたいと思います。
 国の財政を破綻に追い込んだ自民党の責任についてどう考えるかとの御質問でございますが、石油危機をきっかけとする経済停滞によりまして昭和50年度以降租税収入が伸び悩んだのでありますが、国においては景気の浮揚を図る観点から毎年度多額の公債を発行し、公共事業を中心に積極的な財政運営が行われましたのは御案内のとおりであります。その結果、公債残高も年々増大し、国際的不況も手伝って財政環境は大変厳しい状況にあります。今日、最も緊急かつ重要な政策課題は、わが国経済の着実な発展と国民生活の安定向上を図るため内外の社会経済情勢の推移に即応しつつ財政再建を引き続き推進することとしておりますが、やむを得ない措置だと考えております。
 臨調行革路線の中で2次振計をどのように進めるかという御質問に対しましてお答えいたします。
 国の財政事情は行財政改革の進展によりきわめて厳しい状況にありますが、今後の沖縄振興開発を着実に推進していくためにはこれまで以上に財政規模の拡大に努力しながら、第2次振計に基づく施策の効果的かつ重点的な実施に配慮しなければならないと考えておりますし、あわせてこれまでにも増して県民の創意工夫に期待しつつ施策を展開していかなければならないと考えております。
 沖縄振興法38条の実施に関する御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の雇用情勢に対処するため、沖縄振興法第38条に基づき就業の機会の増大を図るため雇用創出特別事業等の事業を実施しているところであります。県といたしましては、失業対策として特別の事業を興して一時的に失業者を吸収する方式については、これまで必ずしも再就職の促進につながらなかった経緯があるため、沖縄振興開発計画に基づく産業の振興の施策を積極的に実施いたしまして雇用機会の増大を図ることが基本であると考えておりまするし、さらに雇用創出のための特別事業について今後ともその充実等、国に対して強く要請してまいりたいと思います。なお、第2次振計に基づき新たに労働大臣が定める「職業の安定のための計画」についても早急に策定するよう要請しておるところであります。
 沖縄振興法39条に基づく公共事業の失業者吸収率制度については、同制度の趣旨にかんがみまして公共事業における失業者の就労の場を確保するため、公共職業安定所単位に設置する地域雇用対策連絡会議などの場を活用して関係機関との連携を強化し事業の施行前把握を徹底する等、同制度の活用に最大限の努力をいたしているところでありまして、今後とも有効な活用を図ってまいりたいと思います。
 次に、老人医療無料化の復活についての御質問に対しましてお答えいたします。
 老人保健医療対策は、これまで老人福祉法による老人医療費公費負担制度を柱として推進されてまいりましたが、その後制度の基本的見直しについての要請が高まり、国においては数年にわたって検討が続けられた結果、老人保健法が昨年の臨時国会の継続審議を経まして今国会において成立したわけであります。しかしながら老人医療の一部負担制度は、同法の施行に伴う制度であることは御承知のことと思います。老人保健法の趣旨は、国民の自助と連帯の精神に基づき国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため予防、治療、機能訓練に至る各種保健事業を総合的に行うとともに、それに伴う費用は公平に負担することを目的として制定されたものであります。一部負担制度の内容は、外来1月400円、入院が2月を限度として1日300円となっており、老人にとって無理のない範囲において一部負担制度の導入が図られておるのであります。県といたしましては、一部負担額が国会における審議の結果、当初案より軽減されたこと及び一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対しては一部負担金の減免措置が講ぜられていること等もあり、また医療以外の保健事業の対象年齢が40歳以上に引き下げられる等、総合的な保健事業として実施することになっていることからいたしまして、同法の趣旨に沿って対処してまいりたいと思います。
 次に、サトウキビの生産者価格についての御質問に対しましてお答えいたします。
 サトウキビは本県農業の基幹作目であり、その価格の動向は農家経済に大きな影響を与えるものであります。近年のサトウキビ生産者価格は生産費を補えない価格となっておるため毎年関係省庁に対しまして、適正な農家所得の補償と再生産が確保できる水準に引き上げるよう要望しているところであります。昭和57年度産サトウキビ価格の引き上げにつきましては去る8月31日、沖縄、鹿児島両県の県議会議員団による合同要請を農林水産省、大蔵省、国会等に対し行ったところであります。今後ともサトウキビ作の振興を図るため農業団体ともタイアップいたしまして、サトウキビ価格の引き上げ要請を行っていく所存であります。
 次に、農畜産物の輸入自由化についての御質問に対しましてお答えいたします。
 農畜産物の輸入枠拡大、自由化が実施されれば、生産条件の違い、生産規模、生産コストの面で大きく立ちおくれているわが国の農業はきわめて厳しい事態に直面いたしますので、全国知事会において自由化阻止のための国会への要請を強力に行っているところであります。あわせて生産の合理化、農業経済の安定対策を講じてまいりたいと思います。
 以上であります。
○古堅実吉君 議長、休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後5時2分休想
   午後5時14分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
○古堅実吉君 休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後5時15分休憩
   午後5時18分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 古堅実吉君。
○古堅実吉君 休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後5時19分休憩
   午後5時19分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
○古堅実吉君 休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後5時20分休憩
   午後5時32分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの古堅議員の質問の中で、大きい2の1、2、3、3つの質問につきまして、基本的な私の考え方として、政府が非核3原則を堅持しているのでその立場は守らなければならないということで説明を申し上げたのでございますが、もっと突っ込んで具体的な答弁をやれということでございますので、この1、2、3についてお答えいたします。
 核兵器の完全不使用、全面軍縮はこれは人類の声でございまして、それに反対する者はいないと思っております。ただこれを軍事均衡論と核抑止力の考えに立って米ソの核軍拡はやむを得ないという立場に立つのかと大変これはむずかしい質問でございますが、原則的に核戦争はあってはなりませんし、そういう米ソの核軍拡は人類にとりましても大きな不幸であることは私が申し上げるまでもないことと思います。
 次に、国連における核兵器不使用決議に対しましてわが国が反対に回っていると。知事はかかる政府の態度についてどう考えるかということでございますが、国連における諸般の情勢等いろいろあって政府も反対の立場には回ったと思うのでありますが、この決議案に賛成すべきと考えるか、それとも反対はやむを得ないかと考えるのか、そういうことでこれに対して答えられないのを大変残念に思うところでございます。
 次に、レーガン構想でございますが、ヨーロッパやアジアにおける限定核戦争構想、これを知事はどう考えるかということでございますが、もともと核戦争はあってはなりませんし、限定戦争であってもあくまでも日本としては非核3原則の立場にあって限定核戦争であってもこれは反対する立場に立つのが当然であろうと思うのであります。
 次に、教育委員会の問題でございますが、これは先ほど答弁したとおりでございまして、私はまだ要路の人に会っておりませんが、これは本来教育委員会の仕事でございまするから、教育長、また教育委員会においてこの問題を前向きに取り上げて検討するよう指示いたしておりまするし、必要があれば教育長を派遣したいと思っておりますが、私自身が直接政府に当たろうとはいまのところ考えておりません。
○議長(大田昌知君) 古堅実吉君。
   〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 知事の先ほどの御答弁、全体としてあれだけ具体的な項目を示されて準備もしていただいておりながらまともに答えようとされず、逃げようという姿勢がありありと見えているだけにきわめて残念であります。時間がありませんので重ねての質問ができない、問題点を明らかにすることも不可能になりましたけれども、いずれそういう立場に立ってこの問題について明らかにするよう、わが党の議員団全体として努力していく所存であります。
 それからACMIについてです。
 これは県議会では危険だというふうに判断して意見書を全会一致で採択した。運輸省も危険だという立場に立って対処されようとしている。もし県益に従ってやろうというのであれば、国サイドがどう考えようといまこそ国策優先ではなく、県民本位の立場から県議会と一緒になって反対を表明し、それがなされないように努力するのが知事のとるべき立場ではありませんか。支障があるかどうか判断して設定に対する反対をするようにおっしゃっておられますけれども、それではこの判断はいつなされるんですか。支障があれば反対するとおっしゃるんですけれども、いつ判断してあなたの最終的な態度を決められるんですか再度質問いたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 ACMIの設置についてはまだ確定を見ておりませんし、県議会でこれが問題になりましたのは、硫黄島周辺に設置するということで航空路、また海上の運航に大変危険であるという観点から論議されたものでございまして、その点設置の場所もこれから検討されるでありましょうし、また設置することも本決まりになっておりませんので、そういったものが決まり次第対処してまいりたいと考えております。
○議長(大田昌知君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 本来ならば、重要な問題が山積みしているわけでありますから知事の今後の姿勢についても議論をすべきでありますが、いよいよ11月の選挙を控えておりまして知事の後援会部隊は熱心な活動を繰り広げられておるようでありまして、つい私の家にもこのビラが舞い込んでまいりました。私はこれを一読しまして、はてはてというふうな気持ちがありましたことを県民の疑問を代表する形で質問をしたいと思います。
 まず、基本姿勢についてでありますが、1つ、郷土愛を県政運営の根幹とする。2つ、反戦平和は沖縄の心である。3、県益優先の姿勢を県政の基本とする。4、自立自助の精神を県勢発展の原動力とする。5、県民生活に根差す決断と実行を行政推進の姿勢とすると。実にりっぱだと思います。すなわち郷土愛、反戦平和、県益優先、自立自助、決断と実行の5項目であります。だれでも納得できるごりっぱな姿勢であると思いますが、米軍基地や米軍の演習に対しては実に寛容であった西銘知事とか、あるいは復帰後の革新県政が西銘県政にかわるや中央志向、国策優先の西銘知事というような強烈な印象がいまや定着した県民の世論となっております。その西銘知事が反戦平和と県益優先を言い出しますと、私ならずとも少なからぬ関心と疑問を持たざるを得ないのであります。
 たとえば、平和についてこのように申されております。反戦平和は沖縄の心である。平和の維持確立なくして県民のいかなる努力も、またその蓄積も全く無意味である。平和のとうとさを骨身にしみて感じてきた県民にとって平和は永遠の願いである、まさにそのとおりであります。私は、人間西銘さんとしての反戦平和の心をいささかも疑うものではありません。知事はわが党の関与する反核、軍縮、反戦運動には同調と御参加をいただいておりますし、当然とは言いながら知事としては勇気ある御行動と高く評価しているところであります。すなわち私が疑問として取り上げる問題は、人間西銘の反戦平和ではなく、自民党所属の知事予定候補者としての西銘知事の反戦平和の姿勢であります。
 昨今の自民党政府の軍拡路線は、かつての軍事大国日本の復活の方向へ足音も高く歩み始めております。去る6月の国連軍縮特別総会へ向けた反核、軍縮の国民的運動にも不参加を指示したと聞いておりますし、本年度予算では福祉見直しによる防衛費の突出を初め米国の防衛力増強のたび重なる圧力に屈する形で防衛の増強策がはかられております。参議院の全国区改悪法の強行制定を手始めとする衆議院の小選挙区制へのもくろみ、将来は憲法第9条を改正して軍事大国化へのスケジュールはだれの目にも明らかであります。そして日本は米ソの対決図式の中にみずからのめり込み、力の対決という戦争抑止による平和を目指しているのが自民党政府の平和ではないかと思われるのであります。西銘知事の反戦平和主義も、しょせんはこの流れの中にしかあり得ないと思います。
 わが党は、自民党政府のこのような路線を反戦平和の道とは考えておりません。同時に、日米安保を即時廃棄したり、自衛隊反対、自衛隊解散が反戦平和の道とも考えておりません。すなわち日米安保や軍事同盟を必要としない国際環境づくりを最優先し、日米両国の良好な関係を維持するためには当面日米安保存続はやむを得ないと考え、自衛隊については領域、領海、領空の国土保全のため限定した必要最小限度の防衛力を維持し、この防衛力は憲法に違反しないと考え、さしあたり自衛隊を維持してシビリアンコントロールを強化することとしております。そしてみずからは非核3原則を堅持し、米ソを中心とする東西陣営には核廃絶と軍縮を求め、これを国際世論に高める反核運動を展開し、世界規模の文化交流による恒久平和の道を提唱しております。これは西銘知事の反戦平和とは大きな隔たりがあり、反戦平和は沖縄の心であると言われてもにわかに承服しがたいのであります。御見解を求めたいと思います。
 次、県益優先について。
 戦禍と復興期における国政からの分断、いまなお極度に密度の高い基地の存在など沖縄の発展に対する国の責務は強調し過ぎることはない。このことから常に県民の立場に立ち要求すべきは要求し、反対すべきは反対する姿勢を堅持するとうたい上げております。これはまさに歴代の革新知事が明快に一貫して言い続けた基本姿勢であります。私は大きく肯定すると同時に、また疑いを持たざるを得ません。この基本姿勢を受けて協定政策では、これは自民党、民社党、新自由クラブ、政策協定をしたのでありますが、以下協定政策と呼ばせてもらいます。密度の高い基地の存在には反対するとなっております。この4年間に西銘知事がこのような大胆な発言をなさったことはないと思います。すなわち現在の米軍基地は県益の大きな支障となっており、知事は県益優先の立場からこれに反対するというのでありますから基地政策の転換とも受け取れるものであります。従来西銘県政は、地位協定による米軍基地の存在はこれを認め、県民に被害を及ぼさない限度において米軍の軍事演習はこれを容認し、今後は基地の整理縮小を図っていくという姿勢とは打って変わる積極的な基地反対を明確にしたものと思われます。質問の2番目、政策転換についての御説明を願います。
 次に、基地の返還縮小に対しては地主の利益を守りながら軍用地跡地の早期転用を図る云々とありますが、伊江島射爆場はすでに移設を条件に返還が決定しているにもかかわらず、地主の大半は軍用地代の利益を理由に継続使用を陳情しております。その対処策について御所見をお聞かせいただきたいと思います。これが質問の3であります。
 次に、雇用対策と企業誘致について。
 景気対策を強化し産業に活力を与えるとともに、雇用の拡大を図るとなっているが、内容は自動車道の南伸、中城湾港、大那覇空港、コンベンション・ホールの大型公共工事その他を推進して県内景気に活力を与え雇用を拡大するとなっておりますが、これらはあくまでも応急対策であって、恒久対策とはなり得ず雇用対策は前途深刻な様相であります。過去4年間の失業率は5ないし6%台を上下し、ほとんど見るべき雇用拡大の対策はなかったと思います。企業誘致にしても4年前知事が相当な自信をもって誘致を公約した政策とは打って変わって、今回の協定政策では企業の導入を推進する、企業の立地を促進するといったように努力表現になっております。これは明らかにトーンダウンであると思います。そのように解釈してよろしいか御見解を承りたいと思います。
 次は、那覇空港を整備するとともに、付加価値の高い雇用吸収力のある臨空港型工業の導入を推進するとありますが、臨空港型工業にはどんなものを考えておられるか具体例をお示し願いたいと思います。
 最後に、青少年問題について。
 青少年の健全育成と社会教育の充実を図るとともに、国際交流を推進し世界に通用するたくましい人材の育成云々とうたってあります。学校の建設、教員の拡充等教育条件の改善、児童生徒の基礎学力、個性を伸ばすゆとりある教育の実現等、いずれも適切な政策であろうと思います。教育環境の整備は復帰10年の努力によってほぼ本土並みに達しましたが、皮肉にも青少年の非行化、悪質化、低年齢化などは教育環境整備とは反比例して憂慮される実情が進行しております。もとより青少年の非行問題は教育環境のみならず、家庭、社会の総合的環境の所産でありますから単純な処方せんで片づくものとは思っておりませんが、青少年の健全育成は将来の県勢発展のため重要な政策課題でなければなりません。質問、知事の協定政策にはこの部分が欠落していると思われます。御所見と御見解を求めます。
 次に、土木建築部長に伺います。下水汚泥の処理の促進についてであります。
 私は、去る2月定例議会で下水汚泥の処理問題について質問をいたしました。その骨子は、1、那覇の終末処理場には処理方針がないままに下水汚泥が累々と集積され処理場の集積限界に達している。2つ、東京都では基準値以下の重金属の下水汚泥をコンポストの材料に特殊肥料を製造し農耕地に還元している。3つ、東京都に野菜を供給している生産地の土壌は化学肥料の多用によって死滅化しつつあり、荒廃化した土壌に生産される野菜は多量の硝酸塩を含むことから都民の健康を守る上からも土壌の蘇生は急務であり、沖縄の土壌も例外ではないと思う。4つ、沖縄の下水汚泥の処理もその方向で検討を急ぎ農耕地に還元できるよう研究すべきである。大体以上の骨子を提案したわけでありますが、県では去る6月14日、訓令第13号で沖縄県下水汚泥有効利用連絡会議を設置したと聞いております。質問、この連絡会議は設置後どのように機能し、どのように進展したか御説明を求めます。
 土木建築部長は、プロジェクトチームをつくり、両3年をめどに積極的な研究を進めたいと答弁されましたが、すでに先進県が研究済みで有効利用が図られている現在、両3年の日数がかかるとは思われません。ちなみにこれらの下水汚泥は、去る5月15日以降産廃業者によって産廃処理場へ運搬されておりますが、その運搬料は何とトン当たり5000円、1日70トン生産する汚泥の運搬料は35万円、1年間に1億2775万円、2年間で2億5555万円かかります。下水汚泥の現状は、生産以前から当然予想しなければならなかった問題であり、これから両3年研究いたしますでは行政の怠慢のそしりを免れないと思います。両3年かかるというならば、研究スケジュールをお示し願いたいと思います。
 最後に、土づくりについて。以上の問題に関連して農林水産部長に土づくり対策について質問いたします。
 2月議会では私が所見を求めたところ、農水部長の答弁は、「現在の汚泥は肥料取締法の基準に合致しておりませんので、目下のところ使っておりません。」と実に的外れな所見が返ってきました。下水汚泥を肥料として使っていますかとの質問ならば、あなたの答弁でよいでしょう。部長は、県の公僕として議会に対しては懇切丁寧に誠意ある答弁をすべきであります。
 そこで再び質問をします。化学肥料の多用によって栽培された土壌から生産された野菜には多量の硝酸塩を含有し、この硝酸塩は強力な発がん性物質ニトロソアミンの生成と重要なかかわり合いのあることが東京都の農事試験場、都立衛生試験場、国立衛生試験場、さらに学者の文献等によって明らかにされていることを2月議会では問題提起したつもりでありますので、これに関連して質問いたします。
 1、沖縄の土壌も例外ではないと思いますが、化学肥料の施用による土壌の化学的性質の変化とそこで栽培される野菜の硝酸塩の相関関係について農業試験場でも試験研究されるべき問題であると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
 2番目、農家は自家用の野菜、果物には化学肥料と農薬を使わないと言われております。都市地区へ供給している野菜生産地の土壌づくりについて営農指導を強化し健康な野菜を供給すべきであると思うが、御所見を聞きたい。
 3番目、下水汚泥のコンポスト化研究についての御所見を伺いたい。
 4番目、肥料取締法で特殊肥料の重金属の規制値は実に米国に比べてすごく厳格であります。日本では水銀2、米国では下水汚泥の重金属の規制値は10であります。カドミウム、日本では5ですが、米国では50であります。砒素は日本は50、アメリカにはなし。このような厳し過ぎる規制値について農林水産部長はどのようにお考えでしょうか。 質問の5、この間の議会で私の再質問に対するあなたの答弁でありますが、「やはり人体等の問題もございますので、その基準値に達しなければ土壌への還元というものはやってはいけないんだというようなことを申し上げたわけでございます。」とあなたは言いましたが、これは重要な問題でありますので詳細な説明を求めます。
 以下、御答弁によって再質問をいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友利議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 私の選挙に臨む政策の中で、反戦平和を打ち出したことにつきまして大変疑問を持つものであり、自民党のこれまでの施策の展開から反戦平和はおかしいではないかといった意味の御質問でございましたが、これについてお答えいたします。
 国家の平和と安定を図ることは、どの国家におきましてもこれは希求してやまないものでございまして、わが国の憲法もその理念の一つとして恒久平和を基調としており、憲法の求める崇高な理念は国民すべての願望であると考えておるものでございます。特にわが国の経済の展望もいたしますときに、世界各国と友好関係を深め、平和を基調としてこれからの日本の産業の開発を進めていかなければならないことを考えました場合におきましても、また沖縄の将来を考えてみましても戦争に反対し平和を求めることは基本的なものであると私は考えておるのでございます。
 次に、県益優先の姿勢についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県には、全国米軍基地の約53%が集約されておりますることは御案内のとおりであります。このことから私も全国的視野に立った基地の再配置は必要であるという基本的な認識をもって、これまでの基地の整理縮小について機会あるごとに要請をしてきたところであります。この基地の整理縮小については、当面、日米両政府間で返還合意を見た施設区域並びに振興開発上必要な施設区域について早期返還を促進していきたいと考えておるのでございますが、これは決して従来の政策に変化があったものではございませんし、別に、トーンダウンだというふうにお考えのようでございますが、産業開発の上からも必要な施設区域につきましてはこれからも当然返還を求めていかなければなりませんし、また返還が合意されていない施設等につきましてもこれからの産業開発の上で、都市開発の上で必要な施設については引き続いて整理縮小計画を推し進めていかなければならないと考えております。
 整理縮小と基地被害の防止でございますが、基地を是認したからといってこれから派生するところの基地被害についてこれを認めるということでは決してないわけでございまして、引き続いて基地の安全管理、また被害の未然防止につきましては積極的に対処してまいりたいと考えておるところであります。
 伊江島補助飛行場の継続使用に関する陳情でございますが、この伊江島飛行場につきましては第16回安全保障協議委員会におきまして移設を条件に返還されることが合意されておりますことは御承知のことと思います。県としては、基地の整理縮小を推進する立場から施設の早期返還が基本的には望ましいと考えております。しかし、伊江村の多数地主の継続使用の陳情もあることからいたしまして、県としてはこれに対して慎重に対処していかなければならないと考えておるところでございます。
 次に、選挙に臨む基本姿勢の中で雇用対策がうたわれているわけでございますが、これまでもたびたび御説明申し上げましたとおり、県内の雇用情勢は依然として厳しいものがございます。本県の失業の特徴は、先ほども申し上げましたとおりUターンが非常に多いということと、学校を卒業した無業者が非常に多いということ、これが若年失業者が多い大きな要因となっているわけであります。このため、新規の就職希望者に対する職場実習の実施等学校における職業指導の充実強化を図るとともに、職業訓練の充実等職業能力の開発向上を図り技能者の育成に努めるほか、県外就職を積極的に推進していかなければならないと考えておりまするし、今後とも拍車をかけて推進しなければならないと考えておるところでございます。さらに本県における雇用問題の解決のためには、何といっても産業振興と直結いたしまして雇用の場を広げることが基本的な施策でございまして、中央関係省庁を初め地元産業界の参集のもとに沖縄雇用問題懇談会を発足させまして検討を行っているところであり、また第2次振計におきましても産業振興施策を積極的に実施することが雇用の拡大につながるとの基本的な考え方から、本県の実情に即した雇用拡大の施策を推し進めているところであります。
 次に、企業誘致についての御質問に対しましてお答えいたします。
 過去4年間企業誘致に向けて努力してきたのでございますが、御指摘のとおり小さい企業の誘致はございましても、見るべきものは抜本的なものはございません。今後は御案内のとおり条件整備をいたしまして条例の有効な適用、また企業が導入できるようなもろもろの有利な条件等を整備して積極的にこれを誘致する必要があると考えております。ただ景気の停滞、また本土から遠く離れているという立地条件等からいたしましてまだまだ実現にはほど遠いものがございますが、条件整備をして何としても継続して企業誘致に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 恒久対策といたしましては、御指摘のとおり地場産業を育成し、企業の誘致によって産業を振興することが恒久対策につながるものと考えているところであります。
 それから臨空港型産業とは何かということでございますが、これはこれから造成される自由貿易地域等との関連もあるわけでございますが、電子工業、精密機械工業等、余り重量が少なくて付加価値の多い産業について航空機を利用することによって産業の進展が図られるような事業ということでございまして、これからどういう事業があるのか検討していかなければならない問題でございます。
 次に、青少年問題対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
 10大政策の中に欠落しているじゃないかという御指摘でございますが、青少年の健全育成、また青少年を取り巻く環境の浄化、非行防止等々の総合的な施策の推進については国はもとより、地方公共団体の責務であるとの認識に立ちまして現在もろもろの施策を推進しているところであります。今後とも青少年問題については積極的に推進していく考えであります。
 下水汚泥の処理促進の御質問に対しましては土木建築部長から、また化学肥料についての御質問に対しましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 下水汚泥の処理についてお答えを申し上げます。
 下水汚泥の処分は、現在短期的な処分としまして産業廃棄物処理業者に委託して処分を行っておりますが、下水汚泥は単なる埋め立て処分のほかに有効な資源として利用されるべきと考えて、その利用方法としまして緑農地への利用、埋め立て資材、建設資材等種々の利用方法があり、特に緑農地への利用は下水汚泥の資源化と恒久的な処分方法として沖縄県の下水道事業の適正な運営を図る上から望ましい形態であると考えております。しかし、緑農地利用をするためには肥料取締法により重金属濃度の規制を受けることになり、処理場から発生する消化脱水汚泥は総水銀の含有量が規制値より若干上回る濃度で検出されるため、特殊肥料として現在のところ使用できない状態にあります。そのために昭和57年6月14日に環境保健部、農林水産部、土木建築部の3者で構成する沖縄県下水汚泥有効利用連絡会議を発足させ、これまでに2回会議を開催し、重金属の流入源の究明と規制の方法、また技術的な重金属の軽減化と安全化等恒久的な下水汚泥の処分の方法を含めた汚泥の有効利用を図るべく検討を進めておるところでございます。なお、同協議会での結論を一日も早く出し、緑農地還元を含めた有効利用を図るよう推進していきたいと考えております。
 最後に、この協議会においてどういうスケジュールで下水汚泥の処理について検討するかという御質問でございますが、短期的にはいま申し上げました処理業者によって処理をさせておりますけれども、来年の3月末には私ども中期的な処理計画をいま現在研究しているところでございます。ただいまも御指摘がありましたように、現在下水汚泥を業者に処理をさせますというと非常に割り高になりまして、それがひいては利用者の皆さんに負担がかかるということがございますので、大体似たような方法ではございますけれどももう少しコストの安い方法で中期的にしのいでいきたいと。それとあわせまして、ただいま申し上げました緑農地還元に対する重金属の除去につきまして具体的な研究をしていきたいと思います。御案内かと思いますけれども、重金属の処理については公共下水道からの流入口の規制、あるいは汚泥そのものからの重金属を取り除く方法等々いろいろ研究がされておりますけれども、沖縄県に果たしてどういう方法が一番効果的であるかということを突っ込んで研究をしていただいて、そして恒久的な処理方法を確立したいと考えておりますので、今後ともよろしくひとつ御指導をお願いしたいと思います。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 土づくり対策についてでございますが、化学肥料の多施用による硝酸塩との関係でございますが、現在のところ農業試験場でその研究をやっているわけではございませんけれども、御提言がありますように、今後これらの研究を農業試験場でも実施する必要があろうというふうに考えておりましてその旨持ち帰って検討したいと思います。
 2番の安全なる野菜生産についてと。
 現在の野菜生産につきましては、御助言のように御指摘のように化学肥料がやられ過ぎる、そして堆肥を余り使わないということが常々反省をしているところでございまして、硝酸塩の含有量が多くなる傾向にあるのではないかということでございますので、堆肥厩肥の施用とあわせながら、その上に立って化学肥料を施用するというふうに指導してまいりたいと。
 3番目の汚泥のコンポスト化についてでございますが、現在このコンポスト化について研究をしてないわけでございますが、この基準値に合致するように今後土木、環境保健部、農林水産部とが一生懸命努力をいたしまして研究をして、できるだけコンポスト化までこぎつけていって、堆廐肥の増産につなげてみたいというふうに思っております。
 厳しい重金属の基準ではないかと、アメリカに比較して厳しくないかということでございますが、国の方で検討されました安全基準だというふうに理解をいたしております。したがいまして、県の立場で、国の定めました基準値が厳しいかどうかにつきましては何とも言えないという立場でございます。
 さらに5番目の去る2月議会での質疑の問題でございますけれども、下水汚泥の農地還元につきましては、先ほども申し上げましたように、本県の土壌につきましては化学肥料の連用、したがいまして有機質分の不足、こういうことで大変悪化を来しているというふうに反省をいたしております。したがいまして有効成分を多量に含有し、そして低廉で安定的に供給できますところの下水汚泥を農地へ還元利用いたしますことは、農業振興にとって重要なことだと考えているわけでございます。ただ、汚泥中の重金属類の含有量が肥料取締法の規制基準値を若干上回っているということからいたしまして、現在のところ生でそのまま農地へ還元することは差し控えているとこういうことでございます。したがいまして、県下水汚泥有効利用連絡会議におきましてはその有効利用を期すべく努力しておりますので、ともどもに有機質肥料として有効利用ができるように期待、また努力したいというふうに考えております。
○議長(大田昌知君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 私に対する知事の御答弁も本当に不満だらけでございますけれども、問題を1つにしぼっていきたいと思いますが、農水部長、私が質問したのは、あなたの答弁で、人間の体に悪い、問題があると言ったから、それはどういうことかと聞いたわけです。たしか肥料取締法にはそういう条項はありません。あなたは実に日本で初めての発言をしたわけです。どうぞ御答弁ください。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 有機質肥料が人体に影響があるというふうに申し上げたつもりではございません。重金属が人体に影響があっては困りますということを申し上げたつもりでございます。
○友利栄吉君 ですからそれはどういう意味かと聞いているわけです。
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 重金属が汚泥の中に含有されておりまして、それを生で利用しますというと、あるいは植物が吸収した場合に、それを人間が召し上がりますというと影響があるのではないかということでございます。
○議長(大田昌知君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 農水部長、もう少し責任のある答弁をしてもらわぬと困ります。
 確かに重金属が水俣病のように日本窒素が工場排水から海に流れて、それを魚が摂取して濃縮されて人体に入った、こういう食物連鎖反応のことは有名であります。ところが重金属が土壌の中に入って、それが植物に吸収されて人体に循環して、どういう作用を及ぼしたという発表は研究はいまだに一遍もありません。あなた、その研究データをお持ちですか。世界でも初めてです、あなたの言うのは。あなた、それをわからなければわからないで結構ですから、前言を取り消すべきであります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後6時17分休憩
   午後6時18分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) 汚泥に含有しております重金属は、肥料取締法の基準値を上回っているということを申し上げるのが真意でございます。
○議長(大田昌知君) 上江洲トシ君。
   〔上江洲トシ君登壇〕
○上江洲トシ君 革新クラブを代表いたしまして質問並びに意見を申し述べます。
 初めに、西銘知事が就任なされましてこの4カ年間の政治姿勢と施策についてお伺いいたします。
 基本姿勢では、県益を優先すると言っておられます。ところが知事が就任されてからの沖縄県はどうでありましょうか。約束されたことはほとんど実行されていません。それどころかますます悪くなった点もあります。一番大事な県民の生命に関する軍事基地の問題であります。西銘知事になってから米軍の演習は年々回数が多くなるばかりでなく、演習の範囲も拡大し日米合同演習にまで発展していることです。実弾演習によって銃弾や破片の民間地域への落下、ヘリコプターの墜落事故など米軍による事故は実に目に余るものがあります。演習による被害の中でも大きな問題は、北部の森林火災と爆音の問題でございます。キャンプ・ハンセンの演習場では、4日間にわたって山林を焼き尽くす大きな火事があり、同じ演習場で次の年は9時間も燃え続けたことがありました。沖縄本島の水資源を確保する上で北部の基地内の森林はきわめて重要であります。昨年からことしにかけて私たち県民はかつてない水不足に苦しみました。確かに雨量が少なかったということもありますが、その少ない雨量を確保して県民生活に支障のないように図るのが知事のなさるべきことであります。世界の国々は、危機に瀕した地球に緑を、という目標で森林づくりに力を入れています。西銘知事は反対に沖縄の土地を米軍の思うままに使わせ、先祖から受け継いだ北部の山々が破壊されることに何ら手を打とうともしない西銘県政は、まさに住民不在の政治だと言わねばなりません。
 次に、爆音の問題でございます。
 先日、嘉手納に住んでいる友達が、那覇市内のごみごみした所にある私の家に泊まっての感想は、こんな静かな所に住んでいる人はうらやましいですね、私の所では家族が団らん、お友達との楽しい話し合いさえできないときがあります。防音装置をした家も電気料が高くて大変ですと話していました。基地周辺の激しい爆音は県民生活の破壊であります。基地公害の防止を強力に推し進めるとともに、県民生活の安全と財産の保護を図るという知事の公約とは逆行しているのが沖縄の基地周辺の現状だと言えます。これで県益優先と言えますでしょうか、今後の対策とあわせて御答弁をお願いします。
 4年前の西銘知事のキャッチフレーズは、経済の西銘でありました。本土政府とパイプが通じているから国庫から多額の財政援助あるいは財政投融資を引き出しまして、と言っておられましたので多くの県民は期待していたと思います。ところが県民の生活は相変わらずよくなりません。県民所得は、企画調整室がまとめた昭和56年度「沖縄県勢のあらまし」によりますと、53年度に全国平均の69.1%であったのが、55年度には68.6%になっております。
 次に、雇用の拡大並びに企業誘致についてであります。
 4カ年に企業は1つも誘致されず、失業問題も解消されておりません。全国と比較しまして異常に高い沖縄の失業率は、何ら改善の見通しがないのが現状であります。知事が公約なさいました中で、次の3つのことについて御答弁をお願いします。1、県民所得が伸びないこと、2、企業が誘致できなかったこと、3、失業問題の解消ができなかったことであります。
 婦人の就業問題について。
 知事が政策に掲げた雇用の拡大は、先に触れましたように依然として解決されずに高い失業率を示しています。働く場がないということは、婦人にとって深刻な問題であると同時に、いま問題となっています青少年の健全育成にも大きな影響を及ぼすと考えられます。沖縄の風俗営業は、全国平均の約3倍もあると言われています。働きたくても働く場がないために特に子供を抱えて生活しなければならない母子家庭の婦人たちは、やむを得ず風俗営業で働かざるを得ないのが現在の沖縄の状況であります。午前2時、3時までにぎわっている特飲街、そこで働く婦人の健康の問題もさることながら、本県は住民地域と隣り合わせになっている所が多いので、住民生活に与える影響は大きいものと思われます。また風俗営業の繁栄の対局には、円満な家庭の破壊があることを見なければなりません。このような健全でない社会の構造は、裏を返せば働く場がないからにほかなりません。現在婦人の就業問題については、婦人の労働講座など幾つかの職業訓練の施策を行っています。婦人就業援助センターや婦人労働講座等の事業がどのような効果をもたらしているのか具体的にお伺いします。また、もっと予算を強化して婦人の職場開拓に力を入れるべきだと思います。健全な社会づくりにも大事なことであります。知事のお考えをお示しください。
 県警にお伺いいたします。
 沖縄の風俗営業が多いことは青少年の健全育成に影響がありますでしょうか。風俗営業の中の大半は、県で決められた時間を守らないのが現状であります。大人たちが時間を厳守すれば、子供たちも夜間外出を慎むようになると思います。時間厳守について警察はどのような対策をとっておられますでしょうか。
 教科書問題について。
 国交問題にまで発展した教科書問題は静まっているかのように見えますが、これは国益の絡む政治レベルのことで、中国や韓国における戦争体験者の怒りは生きている限り決して消えるものではないと思います。今度の教科書問題について、たかが字句の違いではないか、大げさに騒ぐほどのことではないという見方をする人もいますが、字句が問題ではなく、底流にあるものは文部省が目指す教育の方向が大きな問題であります。沖縄における住民虐殺については数字の問題が云々されていますが、検定の過程で執筆者に対し3回も記述を修正させ、住民虐殺の部分を削除させた事実が明らかになっています。日本軍の罪状を覆い隠し、戦争を美化しようというねらいがあることは明らかです。このことによってかえって検定の複雑さ、密室性が浮き彫りになり批判や抗議が強まっています。
 日本の教科書検定の歴史を振り返ってみますと、検定教科書は明治19年に始まり、同36年には国定教科書に変わり、翌年には日露戦争の開戦となっています。明治36年以後、第2次世界大戦まで小学校1年生の国語教科書は、平和な時代の「ハナ ハト」から、「ススメ ススメ ヘイタイススメ」と変わっています。戦前の教科書の中核をなすものは明治23年に発布された教育勅語であり、忠君愛国、富国強兵を教育の精神とすることが確認されております。この精神は太平洋戦争の終結まで受け継がれ、日本全国で300万有余の戦死者を出す悲劇を引き起こしております。教科書検定が厳しくなり、改訂されることは戦争への道へ向かって歩み始めていると言えます。
 教科書問題が報道されましたので、知事を通して文部大臣へ申し入れたいと思いまして日程をとってくださるようにお願いしましたが、10日たってもせわしいとの理由で断られました。教科書問題は沖縄県民として黙ってはおれない重大なことですので、私たち婦人が率先して集会を持ち、文部省へ直訴いたしました。
 直訴しなければならなかったのは、次のような理由があります。
 沖縄本島では6月23日、牛島司令官の自決によって休戦状態になりましたが、私の郷里久米島に米軍が上陸したのは6月の26日で、29日には日本軍によって9名の住民が虐殺されました。殺し方が残忍で、針金で手足をがんじがらめに縛り上げ、息がたえるまで突き刺して殺しています。9人の大人たちがのたうち回るたびに流れ出る血で部屋中が血の海になったので、さすがの日本兵もそのままにしては帰れず、火葬にするということで家もろとも焼いています。殺された人たちは、区長、警防団長、牧場経営者などで食糧供出や労務提供した軍への協力者たちでありました。命令違反だということですが、住民への見せしめのためであったと考えられます。昭和20年8月15日は天皇が終戦を宣告された日で、日本全国民が戦争から解放され、安心して暮らせるようになりました。ところが久米島では8月18日に私の親戚の家族3人が、また生徒の家族7人が虐殺されました。戦死した1人は読谷で戦死したという公報、1人は沖縄本島で戦死したという公報が届いております。そのほかに、県史の中には防衛庁提供の資料として米軍の久米島上陸のことが掲載されていますが、日時も場所も間違いだらけであります。文部省は県民の虐殺の数字にこだわっていますが、政府自体の間違いはどう説明するでしょうか、知事はこのことを正すお考えがありますでしょうか。米軍の上陸後、日本軍はすっかり鬼になり果て、さらに学校の運動場の跡に駐留した米軍から子供たちがお菓子をもらったことが理由で9月9日には私の隣組9家族を殺す予定でありましたが、予定より2日早く捕虜収容船が来て彼らを連れ去りましたので、このように私は生き残っております。住民虐殺という言葉を聞くだけで腹が立ち黙ってはおれません。
 もう1例は、本島南部の真栄平で、父は艦砲でやられ、残りの家族は日本軍に虐殺され孤児になった前田ハルさんのことでございます。県史によりますと、初めの堅固なごうは日本軍に取り上げられました。屋敷内につくったごうは狭いので、お母さんと弟妹3人とお隣の金城ユキさんを入れ自分は親戚のごうに泊まっていました。朝の5時半ごろに家に帰ってみると、ごうの近くには刀をひっ提げた日本兵が立っています。庭のところでうめき声がするのでそばに寄ってみると、自分の妹や弟たちです。1人はすでに息絶えています。おなかを二、三カ所突き刺されたようで、腸が飛び出し、1人手を取り合ってガチガチふるえています。息絶え絶え話すところによると、兵隊が来てごうを明け渡せと言っているが、お母さんは言葉がよくわからずにぐずぐずしていると首をはねてしまったのです。首はころがって、ごうの中のユキおばさんの胸の上に落ちたので、私は小さな弟をおぶり、1人は手を引いて逃げるところを兵隊が追っかけてきて切りました。手当てをするすべもなく水を飲ませて見守るばかりです。1人は3時間後、1人は4時間後に死んでしまったので、私も死ぬつもりで首を絞めましたが果たせませんでしたと語っています。私たちの集会でこのことを証言してもらいたいとお電話しましたら、娘さんが出られて、母は戦争のことを話すと二、三日は眠れなくなりますからそっとしてくださいとのお返事でありました。私は心ないことをしてしまったと、しばらくは電話のそばを離れることができませんでした。栄養失調や米軍によって肉親を失った人たちは、悲しみを乗り越えて反戦平和のために体験を語ります。ところが日本軍によって肉親が虐殺された人は、マスコミなどに会いたがりません、語りたがりません。これは久米島の虐殺された区長さんの奥さんたちも同じです。日本軍に対する怨念がいかに強く、悲しみがいかに深いものであるかよくわかりました。沖縄県内でも戦後生まれの若い人たちの中には虐殺事件を知らない人がいますが、本土各県の人たちは沖縄戦があったこと、ひめゆり部隊のことは知っていますが、虐殺事件があったことはごく一部の人しか知りません。
 これまで沖縄から文部省への要請、または抗議にたくさんの団体が上京しています。答弁の内容はほとんど同じで、新聞に発表したとおりでありますので省略いたします。文部省は、決して沖縄の住民虐殺の記述を復活させるとは言いません。文部大臣は穏やかな答弁でありましたが、藤村調査課長の姿勢は強情であります。事務官に至っては全然誠意がなく、うまくすり抜けるという態度が見えました。本土のマスコミは中国や韓国のことは大々的に報道していますが、沖縄の住民虐殺は余り知っていませんし、取り上げていません。私たちが初めて教科書問題で文部省に行きましたとき、ある新聞記者に、沖縄は責任ある人から何にも抗議がありませんねと言われました。責任ある人とは知事のことを指していると思いますが、知事は午前の答弁で、教科書問題は遺憾である、深く関心を持っていると言われました。関心を持たれているなら、先頭に立って行動なさるべきです。なぜ教科書問題に対していままで黙っておられますか、今後この問題に対してどう対処なさいますかお伺いいたします。
 外国における戦争の記述を調べてみました。西ドイツは、ユダヤ人虐殺の実態について被害者数を入れて克明に記述しています。ナチスドイツの野蛮な行為の数々を写真やさし絵を豊富に使って戦争を知らない世代に紹介し、新生ドイツの進むべき道を理解させようとしています。私は日本もこのようにやってもらいたいと思い、直訴までしたわけでございます。日本は西ドイツと全く逆で事実を覆い隠そうとしています。事実を曲げるところから新たな悲劇は始まると言います。いまの文部省が歴史をゆがめようとする背後には、軍事大国へ成長した日本が、新たな戦争への道を歩み始めたと見なければなりません。ある人が、いまの若者に安心して銃が持たせるか、まず学校をねらえと言いましたが、現場ではこの15カ年来に校長、教頭の管理職手当支給、主任制を実施して物言えぬ教師をつくり、今度は教科書改訂となっています。最近の文部省の動き、ことに教科書検定のあり方について知事の御見解を承りたいと思います。
 最後に、今後の問題として考えなければならないことを申し述べます。
 記述を単に元に戻せということだけでなく、もっともっと詳しく記述すべきであります。住民虐殺、集団自決、男女学徒の従軍、住民の死亡者数等漏れなく記述して、西ドイツのように日本全国の生徒に平和教育を行うことが大事であります。久米島で住民虐殺をみずからの手で行い、また命令した鬼隊長鹿山は、沖縄側とテレビ対談をしたとき、遺族の前で、自分は軍人として当然のことをやった、良心の苛責はない、だから謝罪はしないと言いました。その後沖縄側から多くの抗議に遭い、ぼくの受けた教育が悪かったと言っています。
 県民の実に3分の1が犠牲になった沖縄戦の教訓は、第1に軍国主義の教育がいかに恐ろしいものであるかということ、そして平和教育がいかに大切であるかということであります。第2に、軍隊によっては決して国民を守ることはできないということです。終戦当時、日本はまだ800万という兵隊がいたようでございます。今回の教科書問題については県内だけでなく、海外にいる私のお友達からも大きな関心が持たれて、先日手紙が届きました。沖縄の住民虐殺問題については南米でも報道されているということです。戦争で大きな犠牲を受けた沖縄県民は、二度と同じ過ちを繰り返さないためにぜひ沖縄戦のありのままの姿を教科書に記載し、次の世代に教えてもらいたいという激励の手紙でありました。知事は、これからの平和教育をどのようにお考えでいらっしゃいますか。
 国は、沖縄への償いも十分にしないまま米軍基地の50%以上を沖縄に押しつつけています。兵器も第2次大戦以上の力があり、核もあると疑われています。日本の国中で一番危険な状態にあるのは沖縄であります。知事はこのような恐ろしい基地を容認していらっしゃいますが、10年前は、基地は家のかぎと同じで県民を守るためにあるのだと
いうことが言われましたが、いまもそのようなお考えですか。基地の現状について平和教育をどのように施したらいいでしょうか、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 4番目の問題は、重複しましたので割愛させていただきます。
 終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 上江洲トシ議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地被害の問題についての御質問でございますが、米軍基地の運用に当たりましては、県民に被害を及ぼすことのないよう事あるごとに米軍及び国に対しまして強く要請しているところであります。これまでに3者協を通じまして米軍の演習問題、騒音問題、基地の整理統合、基地内のマツクイムシ対策、基地内の消防体制等種々の事項について話し合いを行い、問題の解決と未然防止に努めてきたところであります。
 次に、所得格差を縮めることについての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の1人当たり県民所得は、昭和47年度の41万6000円から、55年度には115万6000円となり、その間2.8倍、また過去3年間で見ましても28%増加しておりまして、所得水準は相当向上いたしていることになります。全国平均との関係で見ると、所得格差は昭和47年度の56.2%から55年度には68.6%となっており、所得格差も相当縮まっております。しかし、全国平均に比べまだまだ所得水準は低い状況にあるので、今後さらに所得の向上を図り所得格差を縮める必要があると考えております。今後の経済成長率については、本県は2次振計において全国平均を上回る年平均5.8%を見込み、1人当たり県民所得も昭和66年度には55年度価格で200万円になる見込みでありますが、そのためには産業の振興とその条件整備を強力に推進する必要があります。
 企業誘致についての御質問に答えます。
 さきに友利議員にもお答えしましたとおり、本県の工業振興を進めるに当たっては企業誘致施策は重要な課題であると考えております。今日までの企業誘致活動につきましては、国内の長期にわたる景気の低迷等により新規企業の立地については依然として厳しいものがあります。しかしながら、引き続き訪問活動を行うほか今後なお一層の工業基盤の整備及び市町村における優遇措置条例制定の指導等を行いまして、企業立地のよりよい条件づくりを進めなければならないと思っております。
 失業対策についてでございますが、本県における雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあります。これは製造業を中心とした振興計画が十分な成果がおさめられなかったことから、県内雇用情勢が乏しいということで労働力需給に不均衡を生じたということが基本的な要因となっております。本県の失業の特徴は、Uターン等安易な離転職、学卒無業者の存在等による若年者の失業者が多いことであります。このため新規就職希望者に対する職場実習の実施等学校における職業指導の充実強化を図るとともに、職業訓練の充実等職業能力の開発向上を図り技能者の育成に努めるほか、県外就職を積極的に推進しているところでありますが、今後とも一層推進してまいりたいと思っております。
 婦人の職場開拓についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県における母子世帯は約1万2000と推定され他県に比べて多く、中でも未婚の母の占める割合が大きくなっております。これらの者においては、幼児、児童の養育の問題や職業経験に乏しいことから就職について種々の困難があるため、県においては従来から家庭環境等を配慮したきめ細かな職業指導、職業紹介、求人開拓に努めるとともに、就業を希望する家庭婦人等に対する広範な相談指導及び求人開拓を行うため職業相談員の配置をいたしております。婦人就業援助センターの活用等による技能の習得、職場環境への適応を容易にするための訓練の実施及び事業主に対する助成金の支給等を行っているところであり、今後とも求職者のニーズに応じた援護制度を活用し、これらの者の雇用促進を図ってまいりたいと思います。
 教科書問題についての知事の所見についてお答えいたします。
 前にも申し上げましたように教科書は主たる教材として学校教育上重要なものであり、その内容、取り扱いについても正確かつ適切でなければならないと考えています。今回教科書記述上のことで国内はもとより、外交問題にまで発展したことはまことに残念であり、教科書においても沖縄戦の全貌が正しく記述され、戦争の悲惨さ、平和のとうとさが正しく教えられなければならないと考えております。知事も深く関心を持つものでございまして、ただ教育に関することでございまするから教育委員会が所管する事項でありますので、これらの折衝は教育長に対応してもらっているところであります。
 最後に、平和教育についてでございますが、沖縄の基地の現状につきましては、これは私が申し上げるまでもなく米軍占領に引き続いてアメリカ統治の時代に構築された基地でございまして、沖縄返還の際に本土並み基地ということで安保条約、地位協定の制約下で返還された土地でございまして、わが国によって提供された施設区域でないことは御案内のことと思うのであります。したがいまして、戦後一貫いたしまして基地の整理縮小計画が県政にとりましても大きな課題であり、それに向かって歴代知事が努力してきたところでございます。したがいまして平和教育の問題につきましては、基地を容認する立場にはありまするけれども、この必要性を認めるところでございまして、平和を基調としてこれからわが国の発展も沖縄の進展もこれを基礎にしてやっていかなければならないと考えているところであります。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
   〔警察本部長 宮崎 喬君登壇〕
○警察本部長(宮崎 喬君) 上江洲議員の風俗営業に関する御質問にお答えいたします。
 まず、風俗営業と青少年の非行との関連についてでありますが、青少年の非行化の直接的な要因として考えられますことは、風俗営業所における未成年者の雇用、風俗営業所における未成年者に対する酒類の提供、ディスコ等への出入りによる不良化等が考えられます。また間接的な要因としましては、大人の深夜における飲酒行為が青少年の夜遊びに少なからぬ影響を及ぼしているものと考えております。深夜にわたる飲酒行為は青少年に与える影響のみならず、健康上、防犯上、交通事故防止上非常に好ましくないことでありますので、このような習慣は改めていかなければならないと、こういうふうに考えております。
 次は、風俗営業の時間外営業の取り締まりについてでございます。
 営業時間の規制は、都道府県の条例にゆだねられております。九州各県では午前8時から午後11時までとなっておりますが、本県は午前8時から午後12時までというふうになっております。このように本県におきましては営業時間を他の県より1時間延長して認めているわけでございますが、この時間外営業は本県では非常に多い現状でございます。検挙したものは56年中に111件、57年上半期に51件ということになっております。九州全体ではそれぞれ182件と100件でございますから、本県は九州全体の時間外営業の検挙件数の半数以上を占めるとこういう実情でございます。これらの違反者に対しましては罰金を科するほか、営業停止等の行政処分を行っております。
 次に、時間外営業の防止対策としましては、風俗営業者の組織の自主的な遵法営業を促進するとともに、悪質業者については取り締まりを継続していきたいと、こういうふうに考えております。
○上江洲トシ君 答弁漏れが1つあります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後6時56分休憩
   午後7時  再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 安里政芳君。
   〔安里政芳君登壇〕
○安里政芳君 民政クラブを代表いたしまして質問をいたします。
 知事は、昭和53年第9回沖縄県議会(定例会)の知事就任のごあいさつの中で、まず昭和57年度以降の第2次振興開発計画の策定に向けて準備を進めると述べておられ、ついで全国平均の3倍の高い失業率を初め景気低迷、持続的な物価高、青少年問題、慢性化する交通渋滞、戦後処理問題等を取り上げております。そして特に時代の進展に即応した超党派的な立場に立って県民本位の県政を運営していくとあります。そこで私は、4年間の実績に係る膨大な資料をいただきましたが、知事自身この4年間の評価をまずお聞きしたいと思います。
 われわれは4年前政策協定を行い、その中で10大政策を発表いたしました。知事は、その政策実現のための努力をどう行政実績として示されるのか御質問をいたします。
 自由民主党の西田議員の代表質問にあったように、知事はこの4年間厳しい行財政改革の中での県予算編成に対しその行政手腕を遺憾なく発揮し、全国平均を上回る経済成長率の実績を上げてきたことは県民ひとしく認めるところであり高く評価をされているところであります。ところで知事は、よく主義主張の相違をもって争っているときではないと言われております。今回の再出馬に際してもわが党との政策協定の中でもそれを強調され、先ほど友利議員が述べられました5つの基本姿勢の中で、反戦平和、県益優先という基本的な姿勢を示しておられるのであります。一方、社大、社会、共産党の発表した知事選の政策にもその基本は、県民本位の県政、反戦平和が述べられているのは御存じのことと思います。そこで知事は、この2つの問題についてはっきりとその相違点を県民に示し理解を求めるべきだと思うのであります。知事の考えをお聞きしたいと思います。
 次に、2次振計における沖縄電力問題についてお尋ねをいたします。
 沖縄電力の民営移行問題は、沖振法の延長問題と絡んでたびたび県議会の代表質問、一般質問等に取り上げられてきましたことは御案内のとおりでございます。資源エネルギー庁長官の私的諮問機関である沖縄電気事業協議会の諮問にも、将来における民営移行は了承していても、いつどういう形でのという結論には達していないやに承っております。
 私は、去る3月2日、衆議院沖特委での同法の一部改正案審議の参考人として出席し、沖振法の延長と問題点を述べさせていただきました。その中で沖振法の延長の必要性と同法の基本である産業の振興、県民福祉の向上、言葉をかえますれば格差の是正と自立的発展の基礎たる水とエネルギーの安定的かつ適正な供給に必要な施策は引き続き国の責任においてなされるべきことを訴え、沖振法に基づく沖縄電力の特殊法人は同法の施行期間を延長すべきことだと申し述べてまいりました。沖振法第29条は、「国及び地方公共団体は、電気事業の用に供する設備であって沖縄における電気の安定的かつ適正な供給の確保に特に寄与すると認められるものの整備につき必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。」と規定しております。ここで沖縄における電気の安定かつ適正な供給の確保ということは、特殊法人としての沖縄電力に与えられた国の政策目的であると思うのであります。すなわち適正な供給とは料金等の適正さを意味しますが、これは電気事業法に基づく原価主義が原則であると言われているのですが、沖縄電力における適正な供給とはより広く沖縄における産業の振興、県民の福祉という立場から適正と判断される料金を意味する国の政策料金の設定ができると解釈すべきと思うのであります。そうであればこそ沖振法の延長とそれに基づく2次振計の遂行も可能であろうかと思慮するのでございます。沖振法が延長されたいま、なぜ沖縄電力の民営移行だけを性急に沖振法から切り離し、第2次振計の初年度に当たる57年度中に方向づけなければならないのか疑問に思うわけであります。
 民営移行論の性急さは、行財政改革の特殊法人の整理合理化に端を発しております。特殊法人の整理合理化は、政策目的の終わった特殊会社の廃止、統合可能な2つ以上の特殊会社の整理統合が基本であるはずであります。沖縄電力の民営移行に関する閣議了解や閣議決定は、昭和50年から昨年まで5回行われてきております。特に54年と55年に関しては、56年末をめどにと期日が明示されておりましたけれども、56年の閣議決定では、他の一般電気事業者の協力のもとに早期にと表現内容が変化して、それを受けて通産省としては57年度に民営移行の方向づけをしたいとしているのであります。
 民営移行の基本は、さきに述べた特殊法人沖縄電力の政策目的の達成、沖振法にのっとった国の十分な施策がなされた後に地元の意向を尊重して実施すべきものであるはずでございます。累積赤字問題が沖縄県民の負担として重くのしかかり、合併を急ぐべきとの声も一部にはありましょう。それは民営移行に当たって当然処理されなければならない重要な問題とは考えられますが、沖縄の電気事業の方向づけを論議する場合の本質的な問題ではないと考えます。赤字解消は当然国の責任においてなされるべき問題だと思います。
 そこで知事に、1つ、沖縄における電気事業のあり方について、2つ、2次振計における沖縄電力の位置づけについて、3つ、特殊法人として沖振法の延長期間中存続すべきと思うがどうかの3点についてお聞きしたいと思います。
 次に、58年度主要事業についてお尋ねをいたします。
 58年度国庫支出金の確保の見通しと58年度県経済の見通しについて伺いたいと思います。
 県は、さきに沖縄開発庁を通じ大蔵省に対し総額2172億8000万円の概算要求を行いました。厳しい行財政改革の中で大蔵省はマイナスシーリングの方針を打ち出し、沖縄関係予算を最終的にどう査定されるかきわめて心配されるわけですが、しかし一般行政経費マイナス5%、要求額全体でマイナスシーリングに抑え込まれた中で沖縄開発庁一括計上分の要求額は、対前年度伸び率プラス1.2%、26億円増、さらに全国ベースで伸び率ゼロに抑え込まれた公共事業費についてもプラス2.9%、52億円増の要求額となっており、全体として要求額が対前年度を上回ることができたことはある程度評価できるところであり、経済の西銘であると思っております。また、国庫支出金要求の中身についても道路、港湾、水源開発事業等産業基盤の整備、社会、教育施設の充実を初め農業振興、離島振興事業等多岐の諸事業費にまたがり、これらの諸事業費が要求されております。特にこの中では新規大型プロジェクトの一つとして中城湾流域下水道事業やコンベンション・ホール建設事業、国際センター建設事業等新規大型事業費が要求されております。
 そこで知事にお伺いいたしますが、マイナスシーリングという厳しい財政状況の中で一括計上分全体としてはプラス1.2%、公共事業費ではプラス2.9%の要求額を出していますが、一体どの程度確保できる見通しにあるのか。また先ほど上げました新規大型プロジェクトのうち、中城湾流域下水道事業の全体計画とその事業計画はどうなっているのか。また、これに関連して中城港湾開発事業が心配されているわけですが、公有水面埋立事業に伴う関係漁民との漁業補償交渉は一体どうなっているのか、解決のめどはついたのかどうか改めて伺いたいと思います。さらにコンベンション・ホールの建設事業費については事業規模をどの程度と考え、またその資金確保の見通しはどうなっているのか。国際センターについて鈴木総理は、ちゃちなものはつくりませんと県民に約束したわけですが、最終的に事業規模はどの程度のものになるのか知事の考えを伺いたいと思います。
 58年度予算については現在大蔵省の段階で査定作業が始まったばかりであり、まさに途中経過でしかなく見通しは大変むずかしいことは十分承知しているところですが、知事の自信のほどを披露していただきたいと思います。と申しますのは、58年度予算と県経済との関係からどのように58年度の景気が左右されるかと思うからであります。御承知のとおり県経済は財政依存型の経済体質となっており、県予算の伸びと県内経済の伸びは深いかかわり合いを持っているからであります。特に公共事業の伸びがどうなるかは県内の民間企業に重大な影響を与えることになりますが、ちなみに県予算の伸びと県内経済成長率を見てみますと、西銘知事が就任された昭和54年度は県予算の伸びが17.7%であったのに対し経済成長率は実質プラス6.4%、55年度県予算の伸び7.1%で経済成長の方は4.2%、56年度は県予算の伸びが4.3%であるのに対し経済成長率は県の予測では4.2%の見通し、57年度は6.6%の伸びに対し成長率は5.1%をそれぞれ見込んでいるようであります。
 そこで知事にお伺いしたいわけですが、56年度の県内経済成長率は実質でどうなったのか。また、57年度現年度は県内経済はどういう状況にあるとの基本的認識に立っておられるのか。さらに公共事業の前倒しを含め本年度後半及び来年度に向けてどのような景気浮揚対策を考えておられるのか。西銘県政第1期の最後の年に当たり、今年度経済現況の認識及び来年度58年度県内経済の予測、見通しについてお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、県の行政改革についてお尋ねをいたします。
 本年7月30日、臨時行政調査会は行政改革に関する第3次答申、基本答申を内閣に提出しております。その中でわが国の行政をめぐる環境は最近ますます厳しくなっており、特に財政については第1次答申提出時以上の危機的状態だと指摘しております。そして第1次答申が必ずしも十分には実施されなかったことに示されるように、これまで政府はこれに対し適確な対応を行ってきたとはとうてい言えないと厳しい内容となっております。
 第1次答申は、昭和57年度予算編成に向けて増税なき財政再建を実現することを中心課題としたものであったが、増税なき財政再建の原則は既存の制度、政策の抜本的見直しを行い、わが国の将来の基盤を確かなものにするためのてことして引き続き堅持されなければならない根本原則であると述べております。さらに第4章において、国と地方の機能分担及び地方行財政に関する改革方策の項で、国民が求めている行政改革を進めるためには、国民に身近でかつ総合的な行政主体である地方公共団体、特に市町村のあり方を中心として国、地方の関係を全般的に見直す必要があると指摘しております。そして徹底した減量と膨張抑制への努力とあわせて、今後新たな視点から地方行財政の場において選択と負担の仕組みが明確に位置づけられるべきだと指摘しております。
 ところで、答申に先立ち本年4月1日、自治省行政局長名で各都道府県知事あて、地方公共団体における定員管理の適正化の推進についての通達がなされております。特にその中で人口、産業構造等が類似する他団体の状況、定員モデルの比較検討を行い、職員配置の現状について見直しを行い、さらに行政需要の動向を勘案しながら目標定員を定める等適切な定員管理を推進するよう要請をしてきております。県は、さきに訓令第33号において沖縄県行政改革検討委員会設置規定より委員会を発展させ、この問題に取り組んでいることは行政改革が全国的課題であり、特に特殊事情のもとに肥大化しがちなわが県において効率的な再配置を求める必要があり、その成果を期待するものであります。
 そこで行財政改革検討事項に係る基本方針についてお尋ねしたいと思います。
 特に、全体的検討項目39項目の中から今年度17項目を選定し実施をしているが、その経過を御説明してほしいと思います。
 さらに財政の健全化に関する項の、1、使用料、手数料の見直し等は9月議会でも提案されておりますけれども、今年度中でもほかに改正が行われるものがあるのかどうかお聞きしたいと思います。2つ目に、県有財産の効率的な運用とはどういうことを意味するのか。3つ目、物件費の抑制については57年度当初予算でも考慮されていましたが、これは対前年度比6億900万円の減、マイナス3.6%ということでございますが、補正で再び4億3413万1000円を増額要求されております。これをどう説明なさるのか。
 事務事業等の見直し等に関して、1つ、公の施設の民間等の委託に関して県が直接管理しておる公の施設、厚生園、那覇看護学校等、あるいは栽培漁業センター、中央卸売市場、総合運動公園、今議会に提案されている北嶺学園など今後設置される公の施設等々は、どのような形で委託をされるのかお聞きしたいと思います。2つ目に、保健所機能の見直し問題はさきの保健婦大会での反対もあり市町村の対応もまだだと思うけれども、どういうふうに取り扱うのかお尋ねをしたいと思います。
 最後に、教科書問題についてお聞きしたいと思います。すでに代表質問で4名の方々からこの教科書問題について御質問がございました。私は観点を変えてお尋ねを申し上げたいと思います。
 外交問題にまで発展しました教科書問題について、県議会におきましても去る臨時議会で決議書を全会一致で決したいきさつがございます。しかし8月22日、渡辺上智大教授のテレビでの今回の検定で、侵略、進出の書きかえの事実がない発言をきっかけに、8月25日付朝日新聞の記事、サンケイ新聞、9月7日の「読者に深くおわびします」
の記事、週刊文春9月9日の歴史的大誤報から教科書騒動は始まった、地元での9月18日付の沖縄経済新聞、マスコミの大誤報等々余りの大きな問題の提起に地元紙がいまだこれらのキャンペーンをしていることもあって、この問題の本質と事実関係をお聞きしたいと思います。
 1つ、そこでいままで使用されている教科書と今回検定を受けた58年度用の教科書に書きかえがなされたという事実があるのか。すなわち書きかえられたという教科書は、いままで使用されていたものの教科書の内容訂正なのかどうか。
 2つ目に、同様に沖縄戦での内容等についてもいままで使用されていた教科書を56年度検定で削除された部分があるのかどうか。58年度用として新しく書かれた教科書といままで使用されている教科書との相違点。
 3つ目に、教科書の検定問題と今回の報道についての所信をお尋ねをしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 安里政芳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 知事の公約と実績についての御質問に対しましてお答えいたします。
 私は、昭和53年12月10日の知事選挙において当選をし知事に就任いたしました。以来、今日まで活力ある県勢を目指して努力してまいりました。当時本県においては、復帰特別措置や沖縄振興開発特別措置法及び沖縄振興開発計画の時限到来を間近に控え、また雇用失業問題、復帰処理問題など対処すべき重要な課題が山積しておりました。幸い県民の御協力と国の御理解を得まして沖縄振興法の延長による高率補助制度の継続と2次振計の策定、復帰特別措置の延長等の実現を見ることができました。また、道路、港湾、漁港、空港、土地改良等の産業基盤の整備及び学校教育施設、医療福祉施設等の整備はかなりの成果を上げてきたものと思います。さらに国際交流事業も進展をしつつあります。しかしながら産業の振興、雇用失業情勢の改善、福祉医療の充実、基地の整理縮小と跡地の有効利用等解決しなければならない重要な課題が依然として多く残されている状況であります。これらの課題を解決し県民福祉の向上を図るためには、沖縄振興法に基づく高率補助等の特別措置、復帰特別措置、その他の特別措置の制度等を積極的に活用することにより、第2次沖縄振興開発計画の推進に最大の努力をする必要があると考えます。そのため私は過去4年間を振り返り、県民の英知と努力に期待しつつ県勢発展のため最大の努力をしていく所存であります。
 次に、反戦平和についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県における自治の基本は、あくまでも沖縄の歴史と伝統を尊重し、これを基本に県政を運営することであると考えております。これを踏まえて具体的な施策を展開するに当たっては、沖縄の歴史と伝統を築き上げていく県民の要望を県政に反映させ、県民が平和で活力ある幸せな生活ができるよう精いっぱい努力しているところであります。また、沖縄の歴史と伝統を尊重するということは、とりもなおさず歴史の教訓に学び平和を希求することであり、戦争がいかに悲惨で、平和が大切なものであるかについて認識しているつもりであります。したがって、基地につきましても米軍演習についても日米安全保障条約がある以上やむを得ない面もありますが、これから派生する被害について認めているわけではありません。米軍施設区域についてはできるだけ早い時期に整理縮小し、その有効利用を図ることと、基地被害の防止に最大の努力を傾注しているところであります。このようなことから今後とも私は反戦平和の立場を堅持し、沖縄の心を大事にしていきたいと考えております。
 第2次振興開発計画における電力問題について、電気事業のあり方についての御質問に対しましてお答えいたします。
 安定した県民生活と経済社会を実現するためには、エネルギーの安定供給は基本的条件であります。このエネルギーの根幹である電気を供給する事業者の経営安定はきわめて重要なことと考えております。そこで、本県における電気事業者である沖縄電力の持つ構造的不利性に対処し、安定供給を確保するため石炭火力発電所の建設による電源の多様化の推進など経営基盤の改善に努める旨第2次振計においても明確に位置づけてあります。ところで、この沖縄電力の今後のあり方はきわめて重要な問題であることから、県は昨年4月国に対し、本県における電気料金設定の基準を9電力平均水準以下とすることとし、この料金水準の確保を図るため構造的不利性等の課題について抜本的措置を講ずるよう要請してきたところであります。沖縄電力の民営移行についてはこの基本的方向を踏まえ、目下各界の意見を徴しながら検討を続けているところであり、本県にとって最も好ましい形態で沖縄電力問題の方向づけができるよう各面から慎重に対処してまいりたいと思います。
 次に、昭和58年度主要事業について、公共事業費の額の確保についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御案内のとおり、本県の経済構造は財政支出に大きく依存したものとなっており、他県と比べまして失業率も高い状況にあります。また、社会資本の整備についても不十分であること等から国庫支出金を中心に予算の確保が重要であると考えております。このような状況を踏まえまして、昭和58年度国庫支出金要請につきましては本土との格差是正、自立的発展のための基盤づくりの重要な年度であると位置づけまして、昭和57年度に引き続き生活、産業基盤としての社会資本の整備を中心に沖縄の振興開発のための所要の措置がなされるよう沖縄開発庁及び関係各省庁に対し要請を重ねてきたところであります。その結果、教育振興費でなお来年度も整備が進んだことにより要求段階で約30億円の減少はありますが、沖縄振興開発事業費については総額2009億8000万円、対前年度比101.2%の要求がなされました。特に本県の経済情勢、なかんずく景気の維持等に大きな影響を与える公共事業費はゼロシーリングという厳しい状況の中で1841億3400万円の要求がなされ、対前年度比102.9%、額にいたしまして52億2700万円の増となっております。今後は要求額の確保に最大の努力をする必要があると考えております。
 中城湾流域下水道についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県の下水道事業は、主として本島中南部西側の市町村を対象に復帰前から実施されておりますが、今回新規事業として本島東部側の市町村を対象とした中城湾流域下水道を実施する計画で国庫補助金の要請を行っております。中城湾流域下水道は2市4町3村――具志川市、沖縄市、勝連町、与那城村、北中城村、中城村、西原町、与那原町、佐敷町を対象とし、計画面積3892ヘクタール、計画処理人口15万1000人で昭和58年度からスタートする予定であります。なお、本計画は具志川処理区――具志川市、沖縄市、勝連町、与那城村、北中城村と西原処理区――西原町、中城村、与那原町、佐敷町の2処理区に分けて整備する計画であります。特に具志川処理区については昭和62年国民体育大会主会場の建設も進められている関係から、昭和62年一部供用開始を予定いたしております。また、西原処理区については2次振計の期間内に供用を開始する予定であります。
 中城湾港漁民との漁業補償交渉についての御質問に対しましてお答えいたします。
 中城湾港開発事業を円滑に推進するための公有水面埋め立てに伴う関係漁協との漁業補償交渉は、昭和56年6月以降、これまで7回の交渉委員会を開催して進めてまいりました。この交渉委員会において公共事業の損失補償の基準、漁業補償の範囲と態様等について説明し、関係漁協の理解と協力を求めるとともに、補償額を提示し話し合いを進めているところであります。この開発事業の意義と役割りを十分理解していただくとともに、誠意をもって話し合いを行い早期解決に努めてまいりたいと思います。
 コンベンション・ホールについての御質問に対しましてお答えいたします。
 コンベンション・ホールについては復帰10周年記念事業の一つとして位置づけ、その具体化に向けて調査検討を進めてまいりました。これまでの調査結果を踏まえ、立地場所、資金確保等についても慎重に検討してまいりましたが、立地場所については宜野湾市大山地先埋立地にほぼ内定し、建設資金についても強く国に要請しているところであります。コンベンション・ホールの規模、内容等については、今年度で実施を予定している基本計画、基本設計調査の中で専門家の意見等を十分聴取しつつ決定していく考えであります。現段階では各種集会、展示、スポーツ、演劇、音楽活動等が可能な多目的施設を建設し、産業経済の振興と文化教育活動を活発にするとともに、地域社会の活力ある発展を促進したいと考えているところであります。 資金確保の見通しについては、来年度は実施設計費を計上してもらうべく要請しているところであり厳しい状況ではありますが、できるだけ多額の国庫資金が確保できるよう強く折衝を続けてまいりたいと思います。
 次に、国際センターの御質問に対しましてお答えいたします。
 国際センターの最終的事業規模についてお答えしますと、外務省の構想によりますと昭和60年4月の供用開始をめどに昭和58年度から建設される運びとなっております。同センターの予算規模は約40億と言われております。ところで同センターの建設用地は3万3000平方メートルで、主要建物は管理研修棟、厚生棟及び宿泊棟から成っており、その延べ面積は8030平方メートルであります。なお、附帯施設としてグラウンド、テニスコート、プール、体育館及び職員宿舎の建設が計画されております。県としてはASEAN諸国のニーズにこたえ、同時に本県の振興開発にも寄与し得るような本格的国際交流施設にすべく今後とも国に対し強力に働きかけていく所存であります。
 次に、58年度主要事業について、56年度の県内経済成長率はどうなっているかということに対する御質問にお答えいたします。
 県民所得統計については、結果が出ているのは今年1月公表の昭和55年度結果で、現在はその確報値の推計作業中であります。その公表は10月中旬を予定いたしております。56年度分は、その後に作業に着手して年内いっぱいを作業に充て、58年1月になる見込みであります。
 昭和57年度の県内経済については、県内需要の創出による景気の回復と雇用の改善並びに物価の安定を図ることに基本認識を置き行政運営を行っていく考えであります。このため、社会資本の整備を中心とする公共事業の円滑な執行を図るとともに、この振興開発に係る諸施策を推進し、民間経済の活力ある展開の環境づくりを進めることにより経済の安定的展開を確保し、経済成長率を実質で5.1%程度になるものと見込んでいるところであります。しかし最近におけるわが国における経済情勢は、消費や輸出の低迷、中小企業の設備投資などの落ち込み等により厳しい状況であります。このような国内経済の動向は本県経済にも厳しい影響があるものと考えられますが、県としては公共工事の適正執行を推進することによりまして県内需要を喚起し、民間経済活動における観光関連産業の活発化、企業設備投資の回復を図ることによりまして雇用の改善に努め、県経済の安定的拡大を図る所存であります。
 なお、最近の本県の経済動向を申し上げると、建設関連公共工事の順調な発注進捗や観光関連の伸び、個人消費の好調によりまして景気は緩やかな回復基調にあります。
 昭和58年度の県経済の見通しについては、国の経済運営の方向及び経済見通し等を参照すると同時に、県内の経済実績動向を踏まえながら毎年2月に行ってきているところでありますが、現段階ではこれらの情報の入手が時期的に困難であるため、昭和58年度の県経済の見通しを行うのは技術的にむずかしい状況にあります。しかし厳しい財政のもとで58年度の県経済を取り巻く環境はかなりの厳しさが予想される状況にあり、その対応策が県政運営にとって重要な課題と考えております。したがって58年度の県経済については、58年度予算の規模、内容に配意するとともに、国庫の増額獲得に全力を尽くし、さらに公共事業の円滑な執行に力を入れながら、特に振興開発に係る諸施策の着実な推進を通じて民間経済の活力ある展開の環境づくりを進め、県経済の着実な発展に力を入れていきたいと考えております。
 次に、来年度に向けての景気浮揚対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御案内のとおり、本県経済は財政支出に大きく依存したものとなっており、他県と比べて失業率も高い状況にあります。また、社会資本の整備についても不十分であること等から、昭和57年度の当初予算においては特に本県の経済情勢、なかんずく景気の維持等に大きな影響を与える公共事業費を対前年度6.9%の伸び率で計上したところであります。中でも県単独事業については、対前年度比16.4%の伸び率で積極的に予算計上いたしました。さらに公共事業の執行についても前倒しを進めてきております。
 ところで政府は、今年度の追加補正予算について災害復旧費など真にやむを得ないものに限定するとし、一方では景気浮揚施策として積極論が出ている公共事業の追加補正については消極的な姿勢を示しているのでありますが、まだ明確な方針は示されておりません。県としては、国の公共事業の追加補正に対しても積極的に対応する必要があると考えております。また次年度の景気対策については、本県の現状から引き続き振興開発事業費を中心とした公共事業を積極的に計上する必要があると考えておりますが、国の厳しい財政状況等もあり、地域経済を支える観点から県単独事業につきましても地財計画、財源等を勘案して対応していきたいと考えております。
 県の行政改革についてお答えいたします。
 現下の財政事情の悪化は国にとどまらず地方公共団体においても同様であり、特に本県は62年国体開催の準備を初め第2次沖縄振興開発計画に基づく諸施策を推進しなければならない重要な時期にあります。このような状況から行政の減量化、効率化を進めるための行政改革を実施すべきであると考えております。このため県では、昨年11月に県独自の立場からの検討のため沖縄県行財政改革検討委員会を設置いたしまして、定員管理の適正化、財政の健全化等についての39項目を選定し、17項目の基本方針を決定して昭和58年度実施に向けて検討しているところであります。17項目の検討経過について申し上げますと、58年度の実施に向けての17項目にわたる検討案については8月の研究班、幹事会及び委員会等で十分審議検討を行わせ基本方針を決定したところであります。今後、この基本方針に基づき行財政改革の推進に努めることとし、その実施については現在部間調整を行わせており、逐次実施に移してまいりたいと思います。
 使用料、手数料についてでありますが、公共性を勘案しながら受益と負担の均衡、他県との比較等を行い、さらに物価への影響についても十分検討しながら実情に即した適正な料金改正について今後検討していきたいと考えております。
 県有財産の効率的運用とはどういうことを意味するかということでございますが、行政上の多様化に伴って県有財産、特に土地についての需要が旺盛でありますが、県有土地は限られておりますので、建物の高層化による土地の高度利用とともに遊休財産の利用調整等、県有財産の一元的な利用計画を進めることによって少ない財産の有効な活用を図っていくということであります。また、貸付財産で将来も行政財産として利用困難なものについては処分し、庁舎建設基金等に繰り入れ有効活用を図ってまいりたいと思います。
 次に、物件費の抑制につきましては、御指摘のとおり57年度当初予算で対前年度比較でマイナス3.6%の減となり効果があったと考えております。ところが今回の9月補正予算についても、基本的には一般行政経費については原則として既決予算額の範囲で対処することとしたのでありますが、各部の補正要求はきわめて旺盛で、中でも物件費については6億3900万円の要求があり、その経費の必要性、緊急性等からどうしても予算措置をしなければならない状況にあったのでやむを得ず増額いたしたものであります。しかし、今後は基本方針で決定された物件費の抑制については徹底して実施し、経費の節減に努力してまいりたいと思います。
 公の施設の管理運営については、地方自治法第244条の2の規定により公共団体または公共的団体に委託できるようになっており、さらに臨時行政調査会の答申でも、公共団体は公の施設の民間等委託の推進を求めております。そこで本県もこれに対応いたしまして経費の節減、行政組織の肥大化の防止、民間活力の導入による行政サービスの向上、受託団体の育成等の効果が期待できる施設であって、1、同種の施設がすでに委託されている施設、2、今後設置する公の施設、3、その他委託しても設置目的が達成される施設の委託方針を決定しているところであります。今後このような施設の委託については、この方針に従い住民サービスの低下を来さないよう配慮しながら委託を推進してまいりたいと思います。
 次に、保健所機能の見直しについてでありますが、具体的には所管部の環境保健部に保健所問題検討委員会を設置して検討させているところでありますが、基本的な考え方といたしましては、個々の地域住民を対象とする保健サービスは第一義的に市町村が行うべきであるので、今後県と市町村との役割り分担を明確にいたしまして、市町村、特に市については応分の対応をしてもらうよう指導してまいりたいと思います。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 安里議員の御質問でございますが、教科書問題における書きかえの事実、これは外交問題、同じく沖縄関係の記述の削除があったかどうか、それから教科書はどうあるべきかの3点に要約されるかと思いますのでお答えいたします。
 教科書をめぐってのマスコミからのたくさんの情報があるわけでございますが、現在そういった得ている資料から見ますとおおむね次のとおりだったと記憶しております。6月26日、某新聞が、文部省は教科書検定の段階で、日本軍の華北に「侵略」を「進出」に、中国への全面侵略を侵攻になど改めさせると報じ、各社もまた同様の記事を載せたというこでございます。7月の26日、中国政府は、上記の記事の引用を中心として抗議的内容の申し入れが日本にあったということでございます。それからこういった問題が派生しているわけでございますが、本土の有名紙でございますが、これに9月7日、「読者に深くおわびします 教科書問題 「侵略」 「進出」誤報の経過」という記事がございます。それによりまして文部省も国会で、昭和56年検定の中では上記新聞記事のそういった記述の改めは例はないというふうに答えております。これは7月30日の文教委員会でございますが、そこで、一体中国からどういった内容の申し出があったのかという質問に対しましてまず長谷川説明員から、「3点ありまして、第1点は、最近の日本の新聞報道によれば、文部省は高等学校、小学校の歴史の教科書の検定の過程で事実に反する改ざんを行なった、第2点はその例としまして、華北への侵略を「進出」、中国への侵略を「進攻」」云々という記事がございます。それに船田委員からの質問に対しまして鈴木政府委員は、「第1の「侵略」を「進入」あるいは「進出」ということにつきましては、この華北への侵略というような点については、今回の検定の教科書を精査いたしましたが、この部分についての該当は当たらないわけでございます。」という答弁をし、さらに佐藤委員の質問に対しまして、「個々の問題には触れなかったわけでございます。「侵略」を「進出」にしたというケースにつきましては、現在のところ56年度の教科書の中では見当たらないわけでございます」という答弁がされておりまして、謝罪文も掲載されているようにそういう事実はなかったということでございます。
 それから教科書検定におけるいわゆる沖縄の記述の問題でございますが、高等学校日本史の教科書における沖縄戦の記述の内容、すなわち住民虐殺云々についてでございますが、従来使用中の教科書から削除されたものではなく、新しい教科書の検定の過程において修正されたものであり、従来の使用されている教科書からは大きく変わっていないと。具体的に言いますと、従来使われていた問題になっている教科書でございますが、これには沖縄に関しましては、「1945年(昭和20)になると、沖縄はアメリカ軍に占領され、」、それからさらに行を改めまして「このときには、すでに沖縄は占領され、多数の国民が家族や家を失って苦しんでいた。」となっております。さらに今度改訂された新しいものには、「4月にはアメリカ軍は沖縄島に上陸した。」、脚注の中で「6月までつづいた戦闘で、軍人・軍属約9万4,000人(うち沖縄県出身者約2万8,000人)、戦闘に協力した住民(鉄血勤皇隊・ひめゆり部隊などに編成された少年少女をふくむ)約5万5,000人が死亡したほか、戦闘にまきこまれた一般住民約3万9,000人が犠牲となった。県民の死亡総数は県人口の約20%に達する。」というふうに記述が変わってきております。字数で言いますと、前のは約65文字、現在の改正されたもので163文字ぐらいになっております。
 教科書問題についてどうあるべきかということでございますが、先ほどから御説明いたしておりますが、教科書は学校教育における教育指導の主たる教材でございまして、きわめて重要な役割りを持つものであります。したがいまして、その記述に当たっては公正適切であるとともに、それを使用する児童生徒の発達段階に応ずる配慮がなされなければならないことは言うまでもございません。今回の高等学校社会科の教科書につきましても、これらを踏まえて作成され検定されたものと認識をいたしております。さらに、そういった教科書は学校教育法上必ず使用されなければならないものであるということが法律において決められております。しかし、教科書の内容は記述が簡潔であるので教科書そのままを教えるということは適切ではなく、教科書で教えるということが学習指導の根幹であります。教科書を教えるのではなく教科書で教えるという、いわゆるそういったものが根幹になっております。すなわち教科書で教えるということは、その教科書のねらいに沿って編集されている教科書を用い、さらにその指導内容を豊かにするため教師自身の手づくりの資料、いわゆる教材等を用いて教科のねらいに合致した指導方法によってより充実した学習の展開がなされるものであると考えております。
 以上でございます。
○安里政芳君 議長、ちょっと休憩してください。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後7時55分休憩
   午後7時56分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 教育長。
   〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 先ほど、新聞紙上において謝罪するということははっきりと誤報を認めたということになろうかと思いますが、誤報を誤報としてちゃんと載せたということはひとつのマスコミの良識だというふうに考えますし、また誤報というものがいかに大きく社会に影響を及ぼすかということを今回は大きく反省されなければならないものではないかというふうに考えております。
○安里政芳君 終わります。
○議長(大田昌知君) 以上をもって代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明29日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後7時57分散会

 
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