平成20年(2008年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 7月18日
西銘 純恵
 

 こんにちは。
 私は、日本共産党県議団を代表して、乙第13号議案専決処分の承認「沖縄県病院事業の設置等に関する条例等の一部を改正する条例」に反対の討論を行います。
 診療報酬の改定に関して幾つかの条例改正を一つにして提案をされています。
 後期高齢者医療制度の廃止を求める声が大きく広がる中で、後期高齢者に関する診療報酬に関しては、私は独立して提案がされなかったということ、このことをまず最初に指摘をするものであります。
 本改正の中には、高齢者の医療の確保に関する法律、後期高齢者医療制度の実施による診療報酬の算定方法の導入による条例の改正案が含まれています。
 後期高齢者医療制度は、高齢者の医療費の抑制を目的として、75歳以上のお年寄りの医療を制限し、差別を持ち込むもので、廃止する以外ない制度です。
 同制度で後期高齢者を対象に新設をされた医療報酬の1点目は、包括払いの問題です。
 診療所での外来医療で、高齢者の心身の特性を踏まえた慢性疾患等に対する継続的な管理を評価する後期高齢者診療料が6000円の包括払いで支払われるというものです。これまでの「出来高払い」から「包括払い」となるため、受けられる医療が制限されたり、医療内容が低下するなどの差別医療が持ち込まれています。高血圧とか糖尿病などの慢性疾患は、一人の担当医を決め、どんなに検査などを行っても一月6000円の定額制にするもので、糖尿病などの検査や治療ができないとの医者の声も上がっていて、全国の都道府県の医師会の半数を超える27医師会が反対などを表明しています。
 委員会での私の質疑に対して、当局の全国医師会が包括診療に反対をして、県内にある812カ所の診療所のうち9カ所の診療所が届け出をしているが実施についてはわからないという答弁でも裏づけられるものとなっています。高齢者が受けられる医療を制限される制度は、まさに人の道に反する制度と言わざるを得ません。
 次に、後期高齢者終末期相談支援料についてです。
 患者本人が終末期の医療の内容を決定するために、患者と家族が医療従事者と終末期における診療方針等を話し合った場合、2000円の診療報酬が病院に支払われるものです。しかし、これは、4月1日に実施をされて国民の批判の世論に押され、政府が7月1日から凍結することを言わざるを得なくなったものです。
 後期高齢者だけに終末期医療を持ち込むことは、お年寄りの生きる望みを奪う後期高齢者医療制度の非人間性を象徴するものであり、自公政権は凍結を言い出していますが、同制度の欠陥は、凍結では解決できず廃止する以外ありません。
 次に、入院医療について。
 後期高齢者退院調整加算料1000円が新たに導入されています。当局は、在宅での退院支援計画を立て、退院が困難な高齢者の同意を得て、退院をさせたときに支払われると答弁しています。病院から高齢者を追い出すための診療報酬と言わざるを得ません。
 資格証明書の発行の問題点についてです。
 国保では、75歳以上の高齢者は保険証の取り上げが禁止されていましたが、今後は、保険料を1年以上滞納すると保険証を取り上げられ、資格証明書が発行され、かかった医療費を病院の窓口で全額支払わなければなりません。
 現在国保では、生活苦で保険料を滞納した人が国保証を取り上げられ、病院に行けず重症化し、死亡する事件が続発しています。後期高齢者医療制度によって、75歳以上のお年寄りに、国保と同様な深刻な事態が起こりかねません。
 国民年金は40年間納め続けてきた人で6万6000円しかありません。沖縄のお年寄りの平均年金額は5万円余です。わずかな年金から介護保険料と合わせて一月1万円の保険料を支払うことは大変なことです。一月1万5000円以下や収入のない人が支払うことはますます困難で、滞納が広がらざるを得ないのではないでしょうか。
 医療費を削ることを目的に、75歳以上のお年寄りを差別することや、命と健康にかかわる医療に、戦前・戦後の苦難を生き抜いてきて社会に貢献してきたお年寄りに高負担と苦しみを強いる後期高齢者医療制度は廃止する以外ありません。
 以上、反対の討論といたします。

 
20080208030130