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昭和53年(1978年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月22日
第 2号 12月22日
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議 事 の 概 要
昭年53年12月22日(金曜日)
午前10時1分開議
日程第1 昭和53年第7回議会認定第1号から認定第3号まで(決算特別委員長報告)
日程第2 代表質問
1 小渡 三郎君(自民党)
2 仲本 安一君(社大党)
3 中根 章君(社会党)
4 古堅 実吉君(共産党)
5 友利 栄吉君(公明党)
6 吉田 光正君(革新クラブ)
7 金城 宏君(県政会)
日程第3 甲第1号議案から甲第8号議案まで、乙第1号議案から乙第12号議案まで及び認定第1号から認定第11号まで(質疑)
決算特別委員会の設置
決算特別委員会委員の選任
午後4時49分散会
○議長(大田昌知君) これより、本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
企画総務委員長から、12月19日の委員会において企画総務委員長に仲本安一君を、また議会運営委員長から、12月20日の委員会において委員長に新垣淑重君、同副委員長に小橋川朝蔵君をそれぞれ選任したとの報告がありました。
次に、12月18日から昨日までに受理いたしました陳情9件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
なお、説明員として出席を求めた副知事屋部博君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
その他の諸報告につきましては、お手元に配布の文書により御了承願います。
○議長(大田昌知君) 日程第1 昭和53年第7回議会認定第1号から認定第3号までを議題といたします。
各決算に関し、委員長の報告を求めます。
決算特別委員長。
〔決算特別委員長 島田哲男君登壇〕
○決算特別委員長(島田哲男君) ただいま議題となりました認定第1号から認定第3号までの3件について、審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
この認定3件は、9月定例会において本委員会に付託されたものでございます。
委員会におきましては、閉会中に説明員として関係部局長及び代表監査委員の出席を求め慎重に審査を行ってまいりました。
審査に当たりましては、予算執行が議決の趣旨に即応して適切かつ効率的に執行されているか、その結果、公営企業の運営が常に企業の経済性を発輝し本来の目的である公共の福祉を増進するため健全な運営がなされているかなどについて審査を行ってまいりました。
審査の過程において論議されました主な事項についての概要を申し上げます。
まず認定第1号については、4億2062万40OO余円という莫大な利息を支払っているが、企業債及び借入金の利率の引き下げや利息を肩がわりするような方法はないかとの質疑がありました、
これに対し、支払い利息4億2062万4000余円のうち、2億400万余円は企業債の利息である。これは国との関係で利率の引き下げはむずかしい。長期借入金や短期借入金についてはできるだけ一般会計から借り入れ、利息を軽減するよう考えていきたい。また借入先としては県保健医療福祉事業団があるが、貸付規定により利率は決まっており、他の保健医療関係団体への貸し付けとの関係もあり、県の病院事業会計に対する貸付利率を特に低くするということはいまのところなされていない。今後、政策的に配慮できないか検討をお願いしているとの答弁がありました。
また、診療報酬請求事務が従来よりスムーズに行われたとのことだが、どのように改善されたかとの質疑に対し、診療報酬請求事務がスムーズに行われたのは、一つには職員が事務になれたことが挙げられる。復帰後、国保等各種社会保険制度が導入され、制度的あるいは請求方法、点数制等の請求事務になれていなかったが、研修会、講習会等を通し職員が請求事務に習熟してきた。また医療施設で直接診療を実施している部門と医事業務を担当する部門との連携、仕組み等がよくなったことや、支払い基金や国保連等に請求する事務が改善されたことが挙げられる。しかしまだ請求漏れや誤った点数の算定等があるので、もう一歩進めて電算機の導入等により効率化、迅速化を図りたいとの答弁がありました。
また、県保健医療福祉事業団から一時借り入れを行っているが、実際は長期化、固定化している。これを解消するため、代表監査委員はどのような経営指導をしているかとの質疑がありました。
これに対し、一時借り入れの解消は一般会計繰り入れやどうすれば医業収益をふやすことができるか、診療報酬体系からくる赤字要因をどうするかといった病院事業全体の中で考えられる問題である。昭和52年8月22日の官庁速報によると、自治省は地方公営企業である病院事業の不良債務を解消し経営健全化を軌道に乗せるため、来年度から公営企業金融公庫が融資する短期資金の償還利子の一部を特別交付税で措置することを検討している。従来の不良債務の一律たな上げは、今後国の財政措置としては無理である。したがって不良債務で生じた資金不足を解消するため、低利かつ安定した公営企業金融公庫の短期資金をあっせんし、その償還利子の一部を特別交付税で措置する。このほか準用再建制度と同様、不良債務解消のための一般会計からの繰出金に対し、その一部について交付税措置をすることが内部的に検討されている。また昭和52年4月には、経営健全化対策協議会及び病院管理会議等を計画し、赤字解消のため諸問題を協議しており、赤字はずいぶん解消されているとの答弁がありました。
その他、民間債の導入、未収金の徴収問題、投薬、注射薬等の使用効率、糸満診療所の整備計画、中部病院における臨床研修制度、医療機器等のリース制の導入等について質疑がありました。
また、代表監査委員から、一時借り入れについては、昨年の決算特別委員会や去る9月の定例会において公営企業法第29条に抵触するとの指摘を受けたので、関係当局に対し議会の意見を体し重ねて厳重に注意したとの説明がありました。
次に、認定第2号及び認定第3号について質疑の概要を申し上げます。
水道事業会計で7億3461万6000余円の欠損金を出し、繰越欠損金は18億2297万7000余円となっている。この欠損金は干ばつにより給水量が減少したために生じたのかとの質疑に対し、水道事業収益が予算額に対し4億514万7000余円の減収となっている。その主な要因は、異常渇水により制限給水または隔日給水を実施したため供給水量が大幅に減少したことによる減収と、国からの受託工事の一部が昭和53年度に繰り延べられたことなどによるものであるとの答弁がありました。
また、昭和51年度決算の説明の際、企業局長は、水道料金の値上げにより昭和57年3月末日までに累積欠損金を4億5000万円程度にしたい。そのため昭和52年度には赤字を幾らか減少したいと答弁しているが、異常渇水との関係でその見通しはどうなるかとの質疑に対し、予定より赤字の幅が大きくなったので財政計画としての目標年度には、4億5000万円の赤字に2億円程度の赤字が上積みされることになる。また企業局の水源は、第1次的にはダムの開発に依存するということで計画を進めているが、異常渇水時には水量が不足しており、今後河川水の有効利用を強力に実施する必要がある。それで新しく西系列の河川からの取水を計画し、国に高率の補助を要請している。この新しい計画が加わったことにより、財政計画の修正はあり得るとの答弁がありました。
また、具志川市天願への直接給水についてはたびたび議会で指摘されてきたが、その解決の見通しはどうなっているかとの質疑がありました。
これに対し、昭和53年2月22日に天願通信所跡地利用計画に関する関係者会議において、該地域は具志川市の都市計画に基づき昭和55年度から造成工事が実施されるとの報告を受けた。また該地域にある企業局の井戸群のある地主代表から、区画整理事業に支障のないよう井戸群及び付属施設を撤去してもらいたいとの要請があった。そこで企業局としては、具志川市の計画に協力し地主の要請にこたえるため、昭和55年度当初より具志川市内の地下水の取水を全面停止する計画であり、その旨具志川市長や関係区長に文書で通知したとの答弁がありました。
また、企業局の施設利用率は96.42%で公称能率をはるかに上回っている、このことは先行投資がおくれているということである、施設利用率を公称能率以下に下げるには何年かかるかとの質疑に対し、施設利用率をいつから公称能率以下にするということははっきり言えない。昭和51年度よりはよくなっているが、まだ最大稼働率は100%を超えている状態であり、非常に無理している。これについては、あるべき姿にもっていくよう努力しているがまだ十分ではないので、昭和65年度を目標年度とした基本計画の見直しを検討しているので、その中であるべき姿にもっていくよう努力したいとの答弁がありました。
その他漏水対策、分水点の改善、国庫補助施設の減価償却の問題、累積欠損金の処理計画、金武村字金武及び字中川に対する無償給水の問題等について質疑がありました。
以上、委員会における審査の概要について申し上げましたが、審査の結果、認定3件とも全会一致をもってそれぞれ認定すべきものと決定いたしました。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして、報告を終わります。
○議長(大田昌知君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
これより、昭和53年第7回議会認定第1号から認定第3号までの決算3件を一括して採決いたします。
各決算に対する委員長の報告は、いずれも認定すべきであるとするものであります。
お諮りいたします。
ただいまの決算3件は、委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、昭和53年第7回議会認定第1号から認定第3号までの決算3件は、委員長の報告のとおり認定されました。
○議長(大田昌知君) この際、念のため申し上げます。
本日行われます代表質問につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(大田昌知君) 日程第2 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
小渡三郎君
〔小渡三郎君登壇〕
○小渡三郎君 私は、自由民主党所属県議団を代表いたしまして知事に御質問をいたしたいと思います。沖縄県民の大多数の選択によりまして県政執行の最高責任者としての栄誉を担うことになり、その宿願を果たしました西銘知事にまずおめでとうを申し上げたいと思うのであります。
昨年7月の参議院選挙、8月の宜野湾市長選挙で自由民主党が勝利をして以来、県内統一地方村長選挙で保守中道が圧倒的な勝利をおさめ県内の政治の潮流が大きく変化し、ついに県政においても革新の知事を交代せしめることに成功をいたしたのでございます。
復帰後6年有半になりますが、いまほど政治の責任が重く、また政治の転換、脱皮、そして飛躍が求められたときはなかったのではないかと思うのであります。
政治に携わる者の責任の重さを、いまほど肌に感じた時期はないのであります。それは県内に生活をいたしております人たちの心の中に、いま激しく渦巻いているのは一体何であるのか。それは沖縄の経済は行き詰まってしまうのではないか、不況、失業、倒産など、これからの沖縄は一体どうなるんだろうかという危機感であり、どうすればこの危機と混乱から抜け出すことができるのかという焦燥感であり閉塞感であるのではないかと思うのであります。
県内の慢性化した交通渋滞は一体どうなるのか、だれが解決してくれるのか、円はこれだけ高くなっても、家庭生活の豊かさは一向に実感できないほど物価も本土より高い。それどころか、アメリカやECなどは日本の輸出を抑制し輸入をふやせと要求をしています。
こんな環境のもとで、自分たちの働いている職場は一体大丈夫だろうか、自分の選んだ職業は果たして将来生き残れるだろうか、これからの農業は一体どうなるのか、輸入をふやせば畜産業や果樹栽培は一体どうなるんだろうか、200海里時代で漁業は先細りの一方になるのではないか、子供たちにどんな教育をさせておけば次の時代に生き残れるのか、こんなに教育が荒廃をしていると次の世代を担う人材は育たないのではないか、われわれがいま抱いている不安感、危機感、いらいらの対象は家庭の日常生活の問題から、国家百年の大計ににかかわるものまで数え上げれば枚挙にいとまがないのであります。
この困難な時代に、県政を託すことができる実行力ある知事は西銘さんしかいないと信じている県民が大多数であるということを、今回の知事選挙の結果が物語っているのであります。
そこで若干の点につきまして、基本的な知事の姿勢をお尋ねいたしたいと思います。
自治の方向についてでございますが、知事は、自立自助の精神に基づき自主県政を確立し、地方自治の振興を図ると政策で述べておられます。
自治が、あくまで地域の個性を継承し、その豊かな展開をみずからの意思によって志向するものである以上、そこには当然国政との緊張関係だとか、あるいは国益との対決点が考えられるのであります。それを中央直結の名においてすべて国の側に包括されるとするならば、そこには自治に値するものはないにひとしいとも言えるのであります。
知事は、この点につきましては、私は自民党の知事としてではなく、県民の知事としてと述べていることを私は高く評価いたしたいと思うのであります。知事の自治の方向に対する御見解を伺いたいのであります。
また、政策で「県民の要求を国政に反映させ、国政機関との連係を密にし国庫機能を有効に活用して、県勢の拡大をはかる。」とし、「自助の精神をもって自主財源の増加をはかり、国庫支出金の大幅増額を要請し、立ち遅れている県民生活の基盤を整備拡充する。」と述ぺていらっしゃいます。
自主財源が、県は予算の15%しかない貧乏県であることは事実であります。自主財源を培養するということは、一朝にして創出できるものではありません。
しかし、県の財政需要はきわめて旺盛であります。革新県政10年の実績から見ましても昭和43年度予算額451億に対しまして、昭和53年度は2243億に達しております。約5倍の飛躍的な増加を見てはおりますけれども、なお需要に対応しているとは言えないのであります。
国の一般会計からの引き出しのほかに、財政投融資資金計画からの画期的な資金投入が必要かと思われるのであります。それには何としましても莫大な予算を執行する能力を向上させなければならないと思うのでありますが、知事の御所見を賜りたいと思うのであります。
次に、当面する政治課題でございますが、何としても54年度の予算の確保を最重点に政治的な働きをかけなければならないと考えます。
政策面で実際に西銘色彩を織り込めるというのは、これは昭和55年度からの予算だとこのように私たちは考えております。しかし昭和54年度の予算は、景気浮揚と雇用対策を強化するということを重点施策といたしましておおよそ2200億に上る国庫支出の概算要求を、現在大蔵省査定の段階に入っているわけであります。おそらくは新年早々第1次内示、復活折衝、これがあるわけでございますが、このときこそ知事の持てる政治手腕を存分に発揮してもらって要求の満額を達成するどころか、さらに上積みをしなければならないと考えるのであります。知事の御決意のほどをお伺いしたいのであります。
大事な予算を折衝する前に、現在副知事以下の首脳人事も当分現体制でこれに当たるということが報ぜられているようでございますが、私は大局的に見てまあまあ賢明な策だとは思っております。しかし県の首脳人事につきましては、適当な時期に刷新をしなければならないとこのように考えております。
なお、副知事2人制については、知事としてどうお考えになっているのかあわせて御決意のほどをお伺いしたいと思うのであります。
現在、県庁には、復帰以来不案内だった国や地方自治体の行政法規、あるいは基準をマスターしようと鋭意努力を払ってきた県の職員、ようやく職務に習熟をいたしまして、その能力を徐々に発揮しつつある前途有為の中堅行政官や技術官が少なくないのであります。これらの人材を能力に応じまして登用して県行政の充実を図るべきだと私どもは考えるのでありますが、知事の御所見を賜りたいのであります。
反面、私のもとに収集された資料の中に革新県政の業務の実態から内部告発がいま行われております。資料も十分収集をいたしまして、2月の予算定例議会におきましては県の行政が本当に県民のための行政であったかどうか、これを明らかにしたいとこのように考えているわけでございます。
先ほど、私は前途有為な中堅行政官や技術官に対してその人材を登用せよということを申し上げたんでありますが、知事の御所見を賜りたいと思うのであります。
次は、米軍基地、安保条約、自衛隊についてでございます。
知事は、その政策で、独立国家においてみずからの国土と国民の安全を保障するいわゆる自衛権は、独立国家たる不可欠の要件である。このことは、国連憲章が自衛権を持ってそれぞれの国の固有の権利としていることでも明白である。したがってこのことに関する対応は、国の安全と国際関係に重大な影響をもたらすものであり、国政の場において十分論議されるべきであるとし、沖縄における軍事基地は国全体の50%以上を占めており、基地の大幅な縮小を求めるとともに、地籍の確定、復元補償などの措置を強力に推進し、基地の返還、縮小に対しては地主の利益を最優先に守りながら、軍用地跡地利用の早期転用を図り、土地の有効利用と地域振興を促進すると述べておられます。
そこで、地域住民の意思の有無にかかわらず、米軍が演習を安保条約の規定のもとで行っております。米軍演習に対しまして、知事は直接これに抗議し、そして演習を即時やめるべく行政展開を行うかどうか、お尋ねをしたいのであります。
次は、交通緩和の問題で先刻来いろいろ論議がされてまいりました基地内道路の使用についてでございますが、いろいろ浦添地域におきましても地主の猛烈な反対があります。
このような反対に対応しながら、基地内道路の使用についてどのようにお考えであるのか、本当にあの基地内の道路を解放することによって交通渋滞解消になるのかどうか、その点を含めまして知事の御見解を尋ねたいと思うのであります。
さらには、革新県政はつい先ほどまで基地周辺整備資金の活用を恥として一切導入をいたしませんでしたが、去年来背に腹はかえられず基地周辺整備資金の受け入れを始めました。知事は、基地周辺整備資金の活用についてどうお考えであるのか明確にしていただきたいと思うのであります。
さらに、沖縄県における解放軍用地は約90OOヘクタールあると言われております。そのうちの88%が未使用であります。これは地主に対する不利益、その地域に対する不利益は言うに及ばないのでありますが、軍用地跡地利用を促進するために特別措置法の立法化問題が政治化いたしているのでございます。これはもちろん米軍基地ぱかりではなくて、自衛隊基地を含めてのことでございます。この特別措置法に対して、知事はどのようにお考えであるのかお答えをいただきたいと思うのであります。
次は、雇用失業のことでございますが、投資効果が高くて雇用吸収力の強い産業というのは何と申しましても2次産業であります。したがって雇用拡大と景気振興のために一体何をなすべきであるのか、地場産業の育成と企業の誘致、これがその柱であるということは振計によっても明らかであります。
ところが、実現できなかった理由の一つといたしまして、基礎条件の貧弱さのゆえに最も立ちおくれている立地誘因というものがあります。すなわち資源が少ない、工業用水、電力供給能力、これが生活需要が旺盛でありますので工業化に対する供給は不足であると。それから安価な労働力に対しましては、復帰後本土との平準化によりまして安価な労働力とは言えないのであります。こういう環境が、基礎条件の貧弱さとなりまして立ちおくれた一つの誘因とも言われているのであります。
しかし、革新県政では振興開発特別措置法に基づきまして全琉4地域に工業開発地域を指定いたしました。もちろん公害対策、環境アセスメントあるいは優遇税制ということでこれを考慮しながら誘致推進をいたしてまいりましたけれども、国内情勢あるいは国際情勢等から国内も不況化の一途をたどり、企業側も手控えの状態にありますし、きわめて消極的になったと言われております。同時に、県側までその誘致に対しては消極的になったのも事実であります。
ことに、県側が反省の上に立ったと思われることは、革新県政10年の中で企業立地対策室なるものを去年ようやく重い腰を上げて設置したことによっても明白であります。このような消極的な姿勢が、現在の失業率の異常な高さを持続させる主な原因となったのも事実であろうかと思います。
もちろん企業誘致には公害対策、環境アセスメントに万全の配慮をしながら、何としましてもひるむことなく断行していかなければならないしそうしていただきたいと、これが県民の期待でございます。
この際、CTSの500万キロリットルの枠についてどのようにお考えであるのか、これも県民に明らかにしなければならない時期かと思うのであります。
さらには、企業を誘致するに当たりましては、何としましても円高ドル安の時代でございます。わが国の輸出のチャピオンである業種を選択をいたしまして、そしてどの業種ということは私は申し上げませんけれども、積極的な企業誘致策を講じていかなければ、沖縄の雇用失業の問題はそう容易に解決できるものではないと考えるからであります。知事の御所見を承りたいと思います。
地場産業についてでございますが、その育成は急務と言われておりますし、革新県政におきましても他県に例を見ないぐらいの力の入れ方を施してきたということは評価をいたしたいと思います。しかしながら実効性は余り起きておりません。地場産業といいましても大きく分けまして建設業と製造業、そして伝統工芸産業だと思われます。
建設業にいたしましても、沖縄の第2次産業の大半を占めている業種でございます。力のある企業から、力の全くない企業、混在した中で建設業はその生計を立てているのが実情でございます。県内企業を優先し、県産品を優先使用するということはいままでも行ってまいりましたけれども、これから後もなお強力にこの面の行政を進めていただきたい、このように思うのであります。
製造業につきましても、本土商社の異常なばかりの進出によりまして県内における製造業はどちらかというと伸び悩みであります。ことに第1次産業による加工産業、これがきわめて伸ぴ悩んでいるということに目を向けなければならないと考えるからであります。
現在、沖縄の経済の柱とも言われている観光産業と公共投資、この中で私たちが伝統工芸産業をどうしても育成していかなけれぱならない必要性を痛感しているときでもございます。知事の御所見を賜りたいと思うのであります。
当面する問題の一つに大型プロジェクトがございます。公共工事でございます。
県経済の浮揚策は、何としましても財政主導型によって確保する必要があることから、雇用吸収力の高い公共投資、これを拡大していくことが必要かと思います。
基幹的な公共事業の早期実現を図るということでございますけれども、もう事務引き継ぎも終わられたことと思いますが、沖縄には現在大型プロジェクトといたしまして那覇国際空港の建設促進問題が挙がっております。解放軍用地の跡地利用も当然でございます。中央卸売市場の開設も論をまちません。自由貿易地域の設置という特殊な問題もございます。下地島訓練飛行場の建設とそしてその運営でございます。さらには中城湾港の建設という課題がございます。この11月に国土開発幹線自動車道建設審議会を通過いたしました自動車道の南進の問題もございます。あるいはまた都市モノレールの導入ということもございます。
このように挙げてみるならば幾つかの大型プロジェクトがございます。どのような取り組みをなさるのか、この点について知事の御見解を賜りたいと思うのであります。
次に、知事は教育問題に触れまして、「「あすの豊かな活力ある住みよい県づくり」を実現するため、県政の最重要な課題である「次代を担う人づくり」を進めていく」としていますが、具体的にどのようにして人づくりをするのか。私は、いま県民の中には、最初に申し上げましたように次の時代に生き残れるためには子供たちにどのような教育をして職業の選択をなすべきかというような悩みを持った多くの父兄がおられるということでございます。そこで現時代あるいは次の時代に、その地域社会で要求する技術、それは一体何であるのか、いま沖縄の技術不足と言われている業種は一体何であるのか、これを再検討すべき時期であると思います。
同時に、大学を出て一般教養を高めることも必要ではございますけれども、その地域社会が最も必要としている職業に対応する教育ということもこれまた必要でございます。
よく言われることでございますが、沖縄県は他県に比べて国家試験をパスする「士」のついたたとえば弁護士、公認会計士を初めといたしまして、あるいは調理士、医療士、療養士など、いわゆる「士」のつく業種はきわめてその資格者が少ないと、このようなことが言われているのであります。いわゆる専門教育でございます。高校を終えて地域社会にすぐ即応できる、しかも地域社会が要求している業種、こういうものに対応する職業の選択、あるいはその教育、こういうことも 「次代を担う人づくり」の一つではないかとこのように考えるのでありますが、その点について知事の御見解を賜りたいと思うのであります。
次は、日教組は、議会の民主主義的な手続を経まして決定された主任制度を実力で粉砕すると、これに従おうとせず、他方日教組の方針に反対する教師には集団的、心理的圧力をかけましてつるし上げや村八分に狂奔をしていると聞かされております。それは民主主義とは縁もゆかりもないことでありまして、全体主義的、ファッショ的な性格と断ずるほかにはないのでありますが、この点知事の御所見を求めたいと思うのであります。
最後になりましたが、第1次産業について少しばかり触れておきたいと思います。
沖縄の復帰を前後いたしましてから今日までの農家数の推移でございます。昭和48年、総農家数が県内にはおおよそ5万7000戸ばかりありました。それが52年1月1日現在では4万6000戸、1万戸ばかり減少いたしております。
耕地面積にいたしましても、45年以前というのは5万3000ヘクタールで推移をいたしたんでありますが、52年は4万1300ヘクタールと約1万1700ヘクタールも耕地面積が少なくなっております。
さらに、サトウキビ生産の推移でございますが、昭和45年、10アール当たりの収量は平均いたしまして約7.1トンでございました。それが昭和51年では6.5トンと、これまた減少をいたしております。収穫量にいたしましても、昭和45年は198万トンで推移をいたしておりましたが、昭和51年は140万トン、おおよそ60万トンが収量減になっております。
第1次産業振興という題目の上に、革新県政が第1次産業の振興のために強力な働きをしたというぐあいに聞かされておりますけれども、統計の上ではこのような形であらわれているのであります。これは何と申しましても農業生産基盤の整備事業がきわめておくれているということでございます。
先年、この議会におきましても農業基盤整備が達成されるまでには、いまのままで50年かかるとこのようなことを平良知事は答弁をなさっております。農業基盤整備が50年もかかるようでは、農業振興ということはおよそこれは絵にかいた餅にしかならない。50年かかるものを何として30年でやるか、25年でやるか、20年でやるかという努力をすると同時に、そして計画を立ててこれを実行していく、これ以外にはないのであります。
さらにもう1点は、サトウキビ新品種の開発であろうかと思います。
こんなようなことで、知事、沖縄の農業を振興させる上において基本的なこととしてどのようにお考えであるのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
次に、漁業でございますが、これも昭和46年、漁船総数が3338隻ございましたけれども、昭和51年には4800隻に増加をいたしております。
反面、総トン数にしますと昭和46年3万9000トンでございますが、昭和51年には2万4000トンと総トン数では減っております。すなわち船が小型化したわけでございます。言うなればサパニグワーが多くなったということでございます。
漁業従事者を見ますと、昭和48年8500名おりました漁業従事者が、51年には7400名に減っております。約1000名漁業を捨てて別な職業についたという統計が出ております。
5トン以下の船は2600隻から4500隻にふえております。5トン以上は284隻から287隻で、ほとんど変わっておりません。すなわち200海里の問題が起きて以来、船は沿岸漁業にほとんど移っていくという相様を示しております。
そこで漁業振興につきましては、栽培漁業、養殖漁業以外には沖縄のこれからの漁業はないとこのように考えるんでありますが、知事の御所見を賜りたいと思うのであります。
以上、大まかな点だけを申し上げたんでございますが、知事、過去10カ年間革新の県政が沖縄の政治行政を担当してまいりました。このたぴの選挙では、10年にして自由民主党並びに保守系、中道の皆さんの支持を受けるとともに、県民大多数の支持を受けまして悠々と当選をなされました。その県民の期待に絶対こたえなければならないのでございます。
自信と勇気を持ちまして、熟慮断行して明るい県政を確立していただきますように特に要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 小渡議員から丁重な激励の言葉をちょうだいいたしまして、大変恐縮に存じております。
ただいまの御質問について順を追うてお答えいたします。
まず、県政運営の基本的な姿勢について御質疑がございましたが、一体自治の方針は何であるか、また国益と県益が対決しなければならない場合にどう対処するのか、これが質問の第1点でございました。
私は、自治の基本は、あくまでも沖縄の歴史と伝統を尊重いたしましてこれを基礎として県政の運営に当たっていかなければならないと考えておるのであります。もちろんみずから策定し、みずから実行いたすところのその自立自助の精神は、その自治行政運営の基本といたしましてこれを運営していかなければならないことは当然でございます。
もし、県政運営に当たりまして国益と対決する立場に相なりまする場合には、あくまでも私は県民の利益を擁護する立場から自治の精神を貫いていかなければならないと考えておるのであります。
次に、県民の要求を県政に反映させることについて自主財源と国庫依存との関係についての御質問があったのでございますが、御案内のとおり沖縄県の財政はきわめて貧困でございまして、県財政だけをもっていたしましては県民の要求にこたえていくことはできないわけでございまして、この県の財政の認識の上に立ちましてどうしても国庫から多額の財政援助あるいは財政投融資を引き出しまして、これによって公共事業を中心とする財政主導型の景気に対する刺激と、景気に対する回復を図っていかなければならないと考えておるのであります。
次に、この県の情勢を受けていわゆる執行体制ということが強く要求されておるのでございますが、復帰当時におきましては県職員が本土の行政、財政、税制、各制度になれなかった点もございまして大変執行体制も弱かったのでございますが、復帰いたしまして職員も本土の行財政に大分なれてまいりまして、研修等その他その能力も大変向上いたしておりまして毎年毎年その能力は向上いたしておるのでございますが、一段とこの執行体制を強化いたしまして予算を100%執行する体制をつくり上げていかなければならないと考えておるのであります。
54年度の予算につきましては、平良前知事が策定されました要求予算がその母体でございまして、私はその平良前知事の編成された予算案を中心に手直しの程度にすぎないと思うのでございますが、聞くところによりまするというと、本年度の予算増額規模は対前年度比較において大体14%内外と言われておるのでございますが、これを私はいま要求いたしておりまする2200億円前後の予算を何としても獲得いたしまして、本土平均の対前年度比較14%を超える大型な予算に持っていかなければならないと固く決意をいたしておりまして、来年の1月5日前後に上京いたしまして関係各省庁を回って強力な折衝を計画していきたいと考えております。
次に、副知事の任命を中心とする首脳人事の問題についてでございますが、御案内のとおり当選、それから就任、また議会ということでゆっくり落ちついて人事を構想する段階にございませんでした。また議会との関連等からいたしまして延びておるのでございますが、来年の1月10日前後において首脳人事を中心として執行部の一部の入れかえをやっていきたいと考えておるのであります。
なかんずく2人制につきましては、いま県の抱えておる事業、特に復帰処理の事業等につきましてもまだまだ復帰処理が残されておりまして、放棄請求権の処理の問題、つぶれ地の補償の問題、いろいろございましてほかの県にはないような事務分量がたくさんございまして、そういう県の現在当面する仕事からいたしましてどうしても副知事の問題につきましては2人制をとっていきたいと考えておりますので、御協力をいただきたいと思うのであります。
次に、部長以下の人事について、職員の中でも大変できる、有能な人材がおるので適材適所と申しますか、この人事を断行してくれという要請でございますが、御指摘のとおり部長以下課長につきましては毎年の異動もございまするし、その点の関連において適材適所の人事を断行していきたいと考えておるのでございます。
次に、国防の問題でございますが、軍事基地への対応につきましては、これは基本方針といたしまして逐次縮小整理の方向で転換をしていかなければならないと考えておるのであります。
その基本といたしまして、県がどれだけ転用を必要とするのか、解放を必要とするのか、市町村がまたどれだけの土地の解放を必要とするのか、市町村、県の具体的な計画に基づいて具休的にこの問題を1つ1つ解決していかなけれぱならないと考えておりまするし、解放されても使えない、転用できないというようなことでは県にとりましても、また地主にとりましても、地域にとりましても大変な損失でございますので、これについてはケース・バイ・ケースで跡地の転用計画、利用計画が十分考慮された後に縮小整理の体制を進めていかなければならないと、かように考えておるところであります。
次に、米軍演習に対する姿勢でございますが、保守知事になって大分演習が激化したという非難を受けているわけでございますが、原則としては、これは演習によって公害がないように万全の公害排除体制をとりながらこれを認めていく方針でございます。これに反対する意向はございません。
次に、交通緩和の一環といたしまして基地内道路の使用でございますが、この件につきましては、これは軍用地料等との関係もございまして地元地主の協力も十分得ましてその理解の上に立って、協力の上に立ってこれを推進していきたいと考えておるのでございます。
次に、基地周辺整備資金の活用についてでございますが、これは何といっても米軍基地の53%が沖縄に集約されておりますことからいたしましても、私は基地周辺整備資金の多くは沖縄県で活用されてしかるべきだと思うのでございますが、私はむしろこれを積極的に活用いたしまして基地周辺の整備をしていかなければならない。道路の整備、その他防音の施設等々いろいろ基地周辺で公害に対処する事業が計画されておるのでございますが、これを積極的に活用していきたいと考えておるのであります。
跡地利用の促進について県側からいま政府に対して立法の要請があるのでございますが、この件につきましては、上京いたしまして開発庁を中心といたしまして防衛施設庁といろいろ協議いたしまして、たとえ立法できないにいたしましても、この立法の趣旨を生かして行政処理の上で万全を期していきたいと考えております。
雇用の拡大についてりっぱな御指摘があったのでございますが、一体何をなすべきかということでございますが、これは御指摘のとおり地場産業を育成するということがまず第1でございます。これは資金の面から、あるいは融資の面から、あるいは税制の面から、あるいは行政上の指導体制の面から保護育成いたしまして、本当に本土企業と太刀打ちできる競争力のある安定した企業に持っていかなければならないことは当然でございます。
次に、沖縄の資本、沖縄の技術でどうしても開発できない企業につきましては、本土と提携いたしまして強力に産業開発を推し進めていくことによって企業の拡大を図っていかなければならないことは当然でございます。
また、産業構造の上からいたしましても、第1次、第2次、第3次に分けて考えますというと、第3次産業に70%以上が集中されておりまして第1次、第2次産業の構成比率がきわめて低いのでございまするので、特に農林水産業の基盤整備をいたしまして生産力の強い農業、強い水産業ということで産業基盤の整備を中心として農林水産業の強化を図っていかなけれぱならないことは当然でございますが、何といっても第2次産業工業開発部門がきわめて低位にございますので、産業構造の上から考えてみましても第2次産業工業開発に重点を置いたこれからの振興開発計画でなければならないのでございまするし、また雇用の拡大という面からいたしましても第1次、第2次産業の強化によってそれほど大きな職場の雇用の拡大ということは考えられませんので、これを図るためにもどうしても第2次産業工業開発によって一挙にこれを拡大する体制をとっていかなければならないと考えておるのであります。
ただ、問題になりますのは、この産業開発と環境保全との調和をどこに求めるか、これは避けて通れないわけでございまして、沖縄の美しい山野、海、空、この自然はわれわれの基本的な財産としてこれは子々孫々に伝えていかなけれぱならないものでございますが、だからといって産業開発を忘れてはならないのであります。
まあイリオモテヤマネコも大事でございますが、西表に住む人たちの生活もまた同時に考えていかなければならない。避けて通るわけにはまいりませんので、この環境の保全と開発との調和を求めながら、積極的な産業開発を進めていきたいと考えておるのであります。
次に、第3番目のCTSの枠の問題でございますが、これは従来の枠に縛られようとは思っておりません。資源備蓄、エネルギー備蓄はわが国の国策でございますので、国策の線に沿って沖縄がどれだけこれに対応することができるか。もちろんその場合でも、自然環境の保全ということは当然考えなければならないことでございまして、立地に即しまして具体的にこの問題は対処していきたいと考えております。
次第5番目、地場産業の育成について御指摘があったのでございますが、これは先ほど申し上げましたとおり、沖縄の財政上の欠陥からいたしましてどうしても国庫依存の体制が当分続きますので、沖縄の地場産業を育成するにいたしましてもいまのところ建設業が中心でございますので、何としても財政投融資を大幅に引き出しましてこれによって公共事業を盛んにいたしまして、これが原因となって経済が刺激され、また景気が回復することが期待できるわけでございまして、それによって建設業も活力のある体制がとれるのではないかと考えておるわけでございます。
もちろん伝統工芸については、これは奄美大島の例をとるまでもないのでございますが、まだ量産体制が十分とれておりませんので、質の保全を当然これを重点に置きながら量産体制をとっていくことが一番大事なことではないかと思っておりまするし、また沖縄の美しい伝統はこの伝統工芸の中に集約されておりますので、大事に保護育成していかなければならないと考えておるのであります。
ただ、今後の沖縄の経済開発、経済発展の中で一番問題になりますのは、予算編成の上でプロジェクトがだんだん少なくなっておりますので、どういったプロジェクトをもって今後の予算編成、あるいは振興開発計画の骨組みにするのか大変重要な問題でございまして、御指摘になりました那覇空港の建設、中央卸売市場の建設、フリートレードゾーン――自由貿易地域の建設、あるいは下地島パイロット訓練場の活用の問題、中城湾港の問題、また自動車道の南進の問題等々ありまするけれども、私は次年度におきましては、何としても中城湾港の建設を中心といたしましてこの後背地に何を持ってくるか、業種の問題はこれから検討していかなければならないのでございますが、中城湾港の建設を中部地区の発展の起爆剤にするだけでなく、本当に沖縄全体の経済を考えてこれを沖縄経済発展の起爆剤にするような大型なプロジよクトに持っていきたいと考えておりまするし、さらにつけ加えて那覇国際空港をできるだけ整備いたしまして、外港に埋め立てて第1種国際空港としての機能を果たすための整備をこれから進めていかなければならない、この2つを重点にしてやっていかなければならないことは当然でござ
います。
南進の問題は、あと技術的な折衝の問題が残っているわけでございまして心配はないと思っております。
次に、人づくりの問題について、次の世代を担う技術は一体何であるか、県民が国民が要求する技術は何であるかということでございますが、御案内のとおりわが国経済もようやく高度成長から低成長へと流れを変えてきておりまするので、また従来日本が一番世界に誇っておりました繊維産業、造船業等にいたしましても、後発国に追い上げられて不況業種になっている現状からいたしまして、資源の少ない日本、またエネルギーの少ない日本の経済情勢を考えてみました場合には、どうしても知識集約型の産業に切りかえていかなければならない、これが日本経済の構造的な政策課題でございますので、沖縄もその線に沿って一体沖縄でどういう技術を養成した方がいいか、そのための学校を工業学校に重点を置くことはもちろんでございますが、置くにいたしましても電気を中心にするのか、機械を中心にするのか、コンピューターを中心にするのかいろいろ今後検討されなければならないと思うのでございますが、御指摘になったとおり非常に資格者が少ない、これは福祉社会の開発、経済の開発の面からいたしましてもどうしても資格者がたくさんあって、必要とする分は十二分に調達できるような体制づくりを
しなければならないのは当然でございまして全く御指摘のとおりでございまして、この要求する技術と関連する職業学校の問題等につきましても、教育庁といろいろ相談をいたしましてりっぱな時代の要請に合致する技術養成の問題を処理していきたいと考えております。
次に、主任制の取り扱いの問題でございますが、これは法律上避けて通るわけにはまいりませんし、きのうも教育長にいろいろ相談したんですが、組合と話し合いをつけまして、話し合いが半年続くのか1年続くのかわかりませんけれども、できるだけ合意を得てこの実施に踏み切りたいとかように考えておるところでございます。
最後に、第1次産業の問題について大変厳しい御指摘があったのでございますが、これはもう何と申し上げましても農家戸数が減ったこと、また耕作面積が5万3000ヘクタールから52年には4万1300ヘクタールとだんだん減ってきておるのでございまするし、キビの反当たりの収量にいたしましても7.1トンから6.5トンと減っておりまする
し、その点私は当面する課題といたしましては、土地改良事業等を中心とする農業基盤の整備を急がなければならないということが1つであります。
もう1つには、沖縄の土壌は本土と比較いたしまして、有機質分が本土の大体半分でございます。したがいまして肥料を入れましても半分の効果しかないと。こういうことで堆厩肥を奨励いたしまして地力を培養するということも今後の重要な問題でございまするし、さらに土壌別、あるいは作目別の施肥の基準というものを早くつくり上げて、これによって農業経営が合理化されていくことが一番大事なことじゃないかと考えております。
キビは何と申し上げましても同じ品種を使うわけにはまいりませんし、幸い原原種圃がいよいよ発足いたしましたので新品種の更新開発の問題についてはそれほど心配はないと思っておるのでございますが、むしろ農業の問題について関連することは、植物防疫体制を強化いたしまして沖縄のピーマン、ウリ類が出ますれば、いま畜産収入が300億円に対しまして野菜の収入が約150億を突破いたしておりまするので、この植物防疫体制が完備すれば、私は野菜収入だけでも畜産収入に近い収入を上げることができるのじゃないかと。そういう意味においても、植物防疫体制を強化することも第1次産業農林業にとって大事なことではないかと考えておるわけであります。
次、漁業の問題についてお話がございましたが、それは隻数からいたしましてもトン数からいたしましてもだんだん減ってきているのでございますが、なるほど領海が6海里から12海里に拡大されましたし、また漁業専管水域が200海里に拡大されまして沖縄県の専管水域は日本一の水域で、むしろ水産業の発展ということは何といっても漁港、その他漁港に位する機能施設、冷蔵冷凍、造船といったような関係施設が完備することによって一挙に期待できると思うのでございますが、何といっても今度の水産業の不振は、燃料費が4倍にはね上がったと、いわゆる石油ショックによって燃料費が経営費に占める比率が大変大き
くなって遠洋漁業がだんだん衰退してきたと。これは沖縄だけじゃなく日本全体について言えることでございまして、これからは沿岸漁業を中心として燃料を余り使わない、人件費の余りかからないような沿岸漁業を中心とする方向でこれは対処されなければなりませんし、それとカツオ・マグロ等の水産物の輸入がまだまだ地方の要請に沿って政府側がこれを十二分に規制できない、そこにも水産業凋落の大きな原因があるわけでございまして、この点もあわせて対処していかなければならないと考えております。
次に、栽培漁業でございますが、これからはとる漁業からつくる漁業ということで沖縄でもエビの栽培、ウナギの栽培いろいろやっておりまして大変有望でございまするし、条件整備をいたしまして、また研究と調査を重ねてつくる漁業に対する積極的な対策をしなけれぱならないと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、私の基本的な姿勢は、一党一派に偏せずあくまでも県民の利益を守るという立場から県政を運営していきたいと思いますので、ひとつ格段の御指導、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の答弁を終わります。
○議長(大田昌知君) 仲本安一君。
〔仲本安一君登壇〕
○仲本安一君 本員は、沖縄社会大衆党県議団を代表いたしまして、西銘新知事の基本的な政治姿勢について通告書のとおり質問をいたしたいと思うのであります。
質問に入ります前に、西銘知事におかれましては、10日の選挙以来いろいろ御苦労なさって今日に至っておられるようであります。
副知事もまだ選任できず、秘書お1人を連れて県庁に乗り込んでおられるさまを拝見いたしますと非常に御苦労だなとこう思うわけでありますけれども、まずこの選挙において、いわゆる西銘知事が10年来の革新県政を、皆さん方が主張する、奪還して保守県政になったという点でありますが、まあこれは後にも先にもこれが終わりでありまして、西銘さん以外に革新に勝てる人はないというのが風評でありますから、その点につきましてはその当選、就任に祝意を表しておきたいと思いますけれども、4カ年しか続きませんので、4カ年はひとつ健康に留意をされて県民の立場で健闘をされるよう期待をするものであります。
潮流が変わったとかということをおっしゃる方もおられますけれども、潮流じゃない、これは一時的な乱気流であります。したがって乱気流は必ず正常に戻りますんで、4年後はまた革新県政に方向を転換させていきたいとこのように考えます。
そこで……(発言する者多し)聞きなさい、質問の第1でありますけれども、地方自治と中央直結についてお尋ねをいたします。
あなたは、選挙期間中は、私が知事になれば中央政府と直結をしてパイプを一つにして沖縄の復興を図っていくんだということを盛んに力説をされました。就任されますと、今度は超党派的県民党であると言ってみたり、あるいはまた県民の要求を中心にして県の立場に立つと言ってみたり、いろいろおっしゃっておられます。先ほどの答弁もそうでありました。
そこで、本員があなたにお尋ねしたいのは、今日の情勢において沖縄の特殊事情ということを最も大事にしなくちゃならないんじゃないかと。これを忘れて他府県の知事同様にですね、人事においても、施策においても平凡にやるということは許されないのであって、沖縄の立場からやはり政治を進めるという点が最も大事であると本員は考えます。
特にあなたの場合には、私は公ごととして、いわゆるその発想の切りかえ、熟慮断行と言われておりますけれども、非常に断行する面が多いんです。たとえば社大党におかれましてはですね、社大党の県民党的体質、国民党的体質はけしからぬと、したがってもっとイデオロギーを前面に出して階級政党を打ち出すべきだということをかつては主張なさった。今度は自民党にお入りになった、それは結構ですけれども、今度は那覇市長時分もそうであります。主席公選なんていうのはこれはナンセンスであって、やはり今日アメリカと協力をしあって沖縄の繁栄を図るためにはやはり任命主席、指名制度はやむを得ぬというようなこともおっしゃった。ところが主席公選が今度は実現すると、すぐ飛び出してみたり断行なさる。
今度は復帰も、復帰したらイモ、はだしになりますぞと、いま復帰するのは時期が早いということをおっしゃったけれども、今度は復帰したらすぐ中央直結。
さらに国政参加につきましてもですね、施政権が及ばない沖縄において、いわゆる国政参加などというのは筋が通らぬ、おかしいということをあなたは那覇市長時分からおっしゃっておられる。ところがそれが実現したら、また国政参加に飛び出して参加をされるというようなこの遍歴を見た場合に常に寄らば大樹の陰、そして常にあなたを中心にして政治、物事を考えている。個人の場合には結構です。政治家として、自己中心の物の考え方というのは一番危険であります。
と申しますのは、いわゆるここら辺の流れを見た場合にですね、あなたは常に見通しがきかないんですよ。アメリカユーになったらアメリカ、ヤマトゥヌユーになったらヤマトゥがいいとおっしゃる。また今度は知事になられたら県民党的発想という。そして国益と県益が優先する場合には県益を優先したいとおっしゃりながら、また後に申し上げますが矛盾がある。
そういった点からした場合にですね、私は今後とも県政を担当される場合に、常にやはり沖縄の立場から物を考えて処理するんだということを単なる言葉遣いとしてではなしに、やはり沖縄の立場というものを認識されてこれは政府に対しては対処していってもらいたい。ここら辺の姿勢を堅持できるのかどうか、これをまず第1点お尋ねしておきたいと思います。
第2点に、地場産業と企業誘致についてでありますが、革新は企業誘致は敵視しておりません、地場産業を守りつつ企業誘致も相並行して進めていくんだということを申し上げてきておるわけでありますけれども、問題は今日の不況云々ということでありましても、革新県政であったれぱこそ沖縄においてはこの程度でとどまったんだということは言えると思うんです。保守県政であったとするならば、本土の大手が乗り込んできて沖縄の中小零細企業は一たまりもなかったはずなんです。
と申しますのは、入札制にしてもそうであります。県産品愛用あるいは県内企業優先というものを、身をもって推進してきたのも革新県政この10年であります。皆さん方のように、何でもかんでも本土と一体化をして本土の企業を導入することによって沖縄の地場産業を押しつぶすというようなことがあってはならぬ、これが県民の不安なんです。
そこで問題は、今後県政として入札制を推進していく場合に、やはり革新県政がとったように県内企業の優先、あるいは県産品の優先的使用、あるいは指名等については、本土大手と沖縄県内企業がかち合った場合には県内企業を優先していくというような心構えをお持ちになられるかどうか、1点はお尋ねしておきたいと思います。
次に、企業誘致についてでございますけれども、これはやはり言葉の上では両方並行してということが言いやすいんですが、私はやはりいまの沖縄の立場からするならば、県内企業をまず保護育成をしいわゆる力をつける、力をつけて本土から企業が入ってきても押しつぶされぬようにする、これが主であって、企業の誘致というのは従たるべきであると思います。これを主客転倒をして従たるものが主になる危険性があるとするならば、これは沖縄の企業にとって一大事であります。そういった面は、十分に配慮を願いたいと思います。
いま1つ、CTSについてお尋ねいたしますけれども、たとえばCTS等についてはあなたは500万キロリットルにこだわらないということをおっしゃっておられますけれども、あなたがいわゆる所信表明でおっしゃっておられる優良で有望な企業とは一体どういうことなのか、その中にはCTSも含まれるのかどうか、これをまずお聞かせを願いたいと思います。
あなたは選挙期間中、西銘がなれぱ経済の西銘として企業誘致をして雇用失業を一挙に解決するかのようなバラ色を振りまいてこられたわけでありますからして、それにおそらく札を入れた方がいっぱいおられると思う。それにこたえる場合に、具体的にどのような企業を入れてきてその期待にこたえていこうとされるのか、この点についても御説明を願いたいと思います。
3番目に、雇用失業問題についてでありますけれども、これについては先ほど来御答弁がありました。したがって簡潔に申し上げたいと思うんでありますが、具体的に雇用失業というのは、ただ企業を入れてきてそれで雇用を吸収し失業を減らしていこうというふうにおっしゃっておられるのか、あるいはまたほかにも方法論としてお考えになっておられるのかどうか、ここら辺を、まず就任間もないわけですから行政的にとやかく私は説明を求めておるのではありません、知事とされての抱負、方向性についてをひとつ御説明を願いたいと思います。
次に第4に、第1次産業についてでありますけれども、これは平良革新知事は、特に第1次産業に力を入れましていわゆる地力の造成、あるいはまた基礎整備、こういったものに相当力を入れてまいりました。
そして、これは沖縄の農業というのはいま問題になっておるのは、ただ旧態依然とした農業であればこそ農業をしても飯は食えぬ、農作物をつくっても売れないということでありますんで、これを食える農業に持っていくと。その場合に確かに理屈では言いやすいけれども実行は非常にむずかしいわけでありますけれども、ただ常識的に考えてもどうしてもやらなくちゃならぬことは、たとえば野菜とか、イモとか、これでさえ他府県から入ってくるということは実にこれは残念なことであるし直さなくちゃならぬと思うんです。
あなたが、復帰したらイモ、はだしになる、イモを食べるんだということをおっしゃったわけですが、いまイモがお菓子より高いわけなんです。イモも食べきらぬぐらいの時代でありますけれども、せめてイモとか野菜は沖縄でつくってお互い農民のためにも消費者のためにもよくなるような方向で推進をしていくべきであって、農業を殺して第2次産業に力を入れ過ぎてますます農業を抑えていくような形になる方向はこれは問題があると思うんです。
したがいまして、やはりいまあなたが産業育成というのは、どうも承りますと第2次産業に重点が置かれておるように考えます。それも大事でありますけれども、やはり昔から「農は国の本」であります。まず第1次産業の生産があって、第2次産業の加工があり第3次産業の販売があるわけであります。また消費もあるわけであります。
そうしますと、やはり何としても大事なものはですね、沖縄の歴史とあるいは文化、民俗、あるいは気候風土、こういった面から考えた場合に、沖縄の農業というものは基盤整備をすることによってむしろ若い世代にUターン現象を起こさせてそれを推進をして農業でも食っていけるんだという方向で農業を保護育成すると同時に、いわゆる失業の解消、雇用問題の促進、こういった面とも相関連させて促進をすべきではないのか。
ところが、昨今のキビ代問題等に見られるようにですね、沖縄の農業は、キビがあるから仕方がないから何がしかのキビ代を値上げして毎年毎年陳情団が行ってやっているような印象さえ受けるんです。そうじゃないんです。沖縄のキビ、沖縄の農業をもっともっと日本で唯一のキビづくりの県でありますからして、率先して奨励するような形にならんといかぬ。いまの自民党政府の考えは、願わくば沖縄のサトウキビはつぶして外国からまとめて入れた方がめんどうくさくなくてよい、こういうのが根底にあろうと思うんですよ。それは与野党を問わずはっきりわかることだと思う。そのためには、もっともっと党派を超えてキビ代を上げて農民がキビをつくっても生活できるようにしていくのが政府であると思うんです。ところがそこら辺が、いまの態度を見た場合に非常に不安であります。
したがいまして、この問題は、やはり沖縄の農業というのはもっともっと推進をするという意味では政府に強く当たって、まずキビ代を上げろ、そしてキビをつくっても沖縄の農民が生活ができていくようにせよということに迫るべきであると本員は考えております。
第5番目に、軍事基地と演習に対する知事の態度についてお尋ねをいたします。
知事は、あなたは、国益か県益かといった場合には県益を守るとおっしゃる場合もあります。ところがまた今度は、CTSにしても基地にしても安保にしても、これは国策だからやむを得ぬと、演習も国策だからこれは反対はしないというようなことを知事はおっしゃっておられます。
そこで問題は、この場合に安保、自衛隊等については本員は論議しようとは思っておりません、見解の相違です。論議しようとは思っておりませんが、安保を認めておるから、自衛隊を認めておるから、基地を認めておるから何をしてもよろしいということにはならぬわけであります。
たとえば、各家庭に台所用品として包丁を認めておっても、包丁で人を刺すということはこれは禁じられております。同様に、たとえ百歩譲って安保、自衛隊を認めるといたしましても皆さん方が、その論理をまず是とするにしましてもです、認めたからむちゃくちゃに演習をしたり、むちゃくちゃに自分勝手に使用したりするということは許されてはなりません。
あなたは、かつて原水協の代表との話し合いについても、いまの演習の10倍、100倍になったら抗議しに行きましょうとか、あるいは先ほどの説明についても、現在のままであれば演習等については抗議する気持ちはありません、これに反対するつもりはありませんと、こうおっしゃる。それは全くの県益無視国策優先、県益よりも国益を優先している何よりの証拠ではありませんか。あなたの言葉は非常に違うんですよ。(「県益とは何か」と呼ぷ者あり)県益とは、基地があることじゃない。
ちなみに、皆さんは沖縄の基地はその比率において全国の53%云々と言いますけれども、本員の調査では、専用施設もしくは常用施設とも申しますが、実質的に使われているものはむしろ全国の74.73%を沖縄の基地は占めておるんです。
そういうふうな比重においてですね、国益だから、安保だからということで、だとするならば、百歩譲ってでもそれじゃ北海道から沖縄まで一律に国民の責任において分担するなら話は通るけれども、何で戦前、戦中、戦後を通じて、復帰後も通じて沖縄だけが国益の名において74%の実質的な基地の負担をしなくちゃならないか、そこら辺に問題がある。
そこら辺で、国益と県益が優先をした場合には、県益を当然優先して保守首長といえどもですね、安保廃棄、自衛隊反対とおっしゃいなさいとは申しません、それは要求しません。しかし基地被害にとっては、先頭になって立つのが県益優先であり県民の立場ではありませんか。この点についてあなたの所見をはっきり、明確にしていただきたいとこう思います。
沖縄の心というのは、沖縄のこのような特殊事情があればこそ沖縄の心であってだ、こういったものを抜きにして沖縄の心を論ずるということはこれはおかしいんです。軽々しく沖縄の心を論ずるということはいけないわけであって、こういった基礎的なもの、基本的な立場を踏まえて沖縄の心を論ずべきであると、このように考えます。
第6番目に、いうところの有事立法と一般消費税についてお尋ねをいたします。
あなたは、選挙期間中有事立法とか、一般消費税などというものは国の問題であって県政の問題ではないというふうに逃げを打たれました。しかしながらこれを決定し実施するのは確かに国の問題であります、これは認めます。が、沖縄県と相当かかわりがあり国民である県民とも相当かかわりがある問題でありますので、知事というお立場からこれに関心を持ち、同時にこれにどのような態度を表明するかという点については、当然なさらなければならない知事としてのこれは職責だと思う。
この点について、そういう立場からお尋ねをいたしたいのでありますが、まず有事立法については、皆さん方は有事、いわゆる戸締まり論を唱えておられます。これについてとやかく申し上げようとは思っておりませんが、いわゆる有事、有事というんだが、かつては中国を仮想敵国にいたしました。しかしながら今日では、中国と日本と日中友好条約を結ぶ時代なんです。今度は、敵視をしておったアメリカと中国が国交正常化をしようという時代なんです。そして皆さん方が擁護をしておった台湾からもアメリカ軍は引き揚げると。
そういったような点からしますならば、むしろ沖縄からも米軍は引き揚げるというような状態にこなくちゃうそであるけれども、沖縄はむしろ逆に有事に備えて基地が量的にも質的にも強化されていくような方向にあるということはそれは矛眉であります。まさに国策の名における沖縄のみの差別であり、犠牲であると断ぜざるを得ません。
そういった面から、一体有事というんだが、どこがどの国が日本にもしくは沖縄に押し寄せてこようとするのか、そこら辺があるのかないのか、本員はあるはずはないと思うんです。むしろ日本の歴史において、有事という名において侵略をした事実がたくさんあります。満州事変、支那事変しかりであります。これは経済侵略であります。
いま日本が、資本主義が高度に発達をして物をつくってもなかなか売れない、あるいは石油もなかなか買いにくくなる、だから沖縄に備蓄しようというわけだ。これを武力によって軍事力を持つことによって威圧をかけて、いわゆる買えないものを強引に買う、あるいは売れない物を強引に押し売りに転じて売る、いわゆる日本の経済的体質といまの政治的背景が相マッチして動き出しているのがこの有事であると私は見ます。そういった点からいたしますならば、これは沖縄としては非常に警戒しなくちゃならぬ、沖縄のみが非常に犠牲になる危険性があります。
いま1つは、一般消費税であります。
御承知のとおり、たばことか酒類等については消費税が今日でもあることは申し上げるまでもありません。しかしながらその他の一般的消費物についても消費者に税金を課すということは、これは何事かというんです。これはかつての沖縄の人頭税にもまさる悪法であると私は思います。
もちろん大平さんも、総理に福田さんからかわりましてしばらく検討してみたいという形になっておりますけれども、こういったものがありますと、いわゆる円高になった、そして毎年毎年国民において所得が向上しましても、それでまたぶっつかられてきますと結局はプラス・マイナス・ゼロという形になって、実際の国としての経済成長はあるにいたしましても、国民として県民として一般大衆としては、所得の向上というのは事実上ないにひとしいと言っても過言でないと思うんです。
そういった意味から、特に沖縄の立場からは、これにはむしろ反対という、保守知事であられましても意思表示をなさるのが賢明な策ではないだろうか、ここら辺について知事の御見解を承りたいと思います。
第7番目に、人事問題についてであります。
まず、人事問題でも就任間もないわけでありますんで詳しいことについて微に入り細にわたっては申し上げませんが、まず副知事と部長等についてお尋ねをしたいのであります。
先ほど知事の御答弁は、簡単に副知事の2人制を認めておられるような答弁でありました。ところがいままで自由民主党の諸君は、議会で入れかわり立ちかわり、他府県にも副知事は1人しかいない、こんな貧乏財政の沖縄に2人置くとは何事か、革新知事が無能だから、1人じゃ間に合わぬから2人置いておるんだというようなことを盛んに繰り返し主張しておられたんですよ。これも何の反省もなされずにけろっと今度は2人制になると、ここら辺が問題なんです。社大党になったり、アメリカ追従になったり、日本政府追従になったり、また今度は県民党超党派になったり、田中派になったり、抜けたり、こういったような態度だからこそ政治姿勢が問われるわけです。
問題は、この副知事の2人制を是とするならば、われわれは是としますけれども、切りかえるならどういったような姿勢で切りかえるんだということを明言し、いままでの自民党の諸君が唱えておられたことは過ちであったということを明言をしてもらいたいのであります。
次に、部長についてであります。
県益か国益かということをおっしゃいます。確かに頭脳の導入、あるいは頭脳を生かすという面ではわからぬわけでもありませんけれども、あなたは知事に当選後、これはマスコミ報道においてしか理解できませんけれども、二、三の部長については政府からいわゆる入れてきたい、たとえば経済企画庁なり、自治省なり、建設省なりから入れてきたいということを発言しておられるように承っております。
ところで、いま沖縄の立場においてですね、天下り人事もしくは本土政府から来るということは、問題は、あなたが地方自治に立つか中央直結に立つか、ここら辺の分かれ道になります。これを入れてきて中央からパイプを1つにすると、おそらくあなたの知事としての自主性は損なわれるでしょう。中央政府から、パイプを1つにしてどんどんどんどん押しまくられる危険性がある。沖縄の立場からするならば、やはりそこら辺についてはいまもう少しあなたの「熟慮断行」の熟慮をする必要があるのではないかとこう思いますけれども、この部長の導入問題についてはどのようにお考えになっておるか、しかと御見解を表明していただきたいと思います。
最後になりますけれども、人づくりと教育環境の整備についてまず2点お尋ねいたします。
1点は、「「次代を担う人づくり」を進めていく」ということを所信表明に掲げてございますけれども、先ほど来自民党代表の質問にもございました、知事の答弁にもございましたけれども、この「次代を担う人づくり」という面は言葉では非常に言いやすいわけですが、どのような角度で一体人間づくりをするのか。
たとえぱ、いままで御説明のありました点については、沖縄においては工業高校とかそういう技術面を重視して社会が要求するような人をつくっていこうということを、自民党の質問者も言っておられましたし知事の答弁にもございましたが、私はそこら辺については少々疑問を持つところであります。
それも結構ではありますが、人間を道具として機械としていわゆる今日の工業、今日の生産構造に組み入れていくという面では疑問があります。むしろ豊かな人間、人間を中心にして人間が機械を使い、コンピューターを使い、社会を構成していくんだという立場からするならば、人間づくりというのはそう簡単にすぐいま「三角」の人が必要だから「三角」をつくる、「四角」の人が要求されているから「四角」をつくるという形で人をつくるべきではない。
やはり、まず人間心豊かな、むしろ沖縄の場合においては、沖縄の心というのは昔から言われております風土、歴史、人情、こういったものを加味して世の中に出して恥ずかしくないような人づくりをするためには、やはりもっともっと角度の変えたものでなくちゃならない。すぐ産業が要求するからそれに対応していくという形じゃ、これは真の意味の人材養成とは言えないのではないかというふうに考えます。そこら辺について知事の御所見を承っておきたいと思います。
次に2番目は、昨今の新聞報道でありますけれども、報道によりますと那覇高校、小禄高校あるいはまた豊見城高校、真和志高校において学級減があるということで御父母の方々、PTAの方々は非常に心配しておられるようでありますが、この件については、教育の機会均等という面では私はとやかく申しません。
ただ問題は、実施時期において入学試験を目の前にしてそれを実施するということはいかようなもんだろうか。もっと1年前からそれを明記して、いわゆる生徒本人たち、あるいは御父母の方々にもこれを心の準備をさせるという期間を置くべきではないのかというふうに考えておりますので、ここら辺についても御所見を承りたいと。ただし、この件は知事におかれましては就任間もなくでありますので、教育長をして答弁させても結構でございます。
まず、一応この8点についてお尋ねをし、御答弁の後再質問をさせていただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 仲本安一議員の御質問に答えます。
いろいろ御指摘があったわけでございますが、地方自治と中央依存の関係について強い御指摘があったのでございますが、先ほど小渡議員の御質問に答えたとおりでございまして、あくまでも県民の利益を擁護するという立場から取り組んでいきたいと考えておりまするし、地方自治につきましても沖縄の歴史、沖縄の伝統、この認識の上に立ってこれから県政を進めていかなけれぱならないということでございまして、何でもかんでも中央政府の言いなりになるということではございません。
ただ、問題として指摘しておかなければならないことは、仲本議員御案内のとおりでございまして日本一の貧乏県でございます。県民の需要要求にこたえていくためにはある程度予算を獲得いたしまして、これによって県民のニーズに要求にこたえていかなければならないことは私が御指摘申し上げるまでもないことであります。
いわゆる気持ちの上では、沖縄の心を大事にしていかなければならないことは当然でございまするけれども、仕事を進めていく上では、どうしても本土から多額の財政援助あるいは財政投融資を引き出して、これによっていま抱えている問題を解決する以外には方法はない。このことを考えてみました場合には、沖縄の心は大事にしなければなりませんけれども、また中央政府の力もかりなければならない。これが沖縄の置かれている現状でございまして、これを無視してむしろ沖縄の心を守ることもできないということになりはしないか、私はかように考えているところであります。
それから地場産業と企業誘致の関係について御指摘があったわけでございますが、これは先ほどお答えしたとおりでございまして、あくまでも県内企業を優先してこれを保護育成していかなければならない。これに対する従来の姿勢というものが余りにも積極的な姿勢ではなかったということでございまして、いわゆる県内企業と申し上げましてもこれは県内の資本、県内の技術でどうしてもできない仕事がございますので、その面は資本的にも技術的にも相提携してやっていかなければならないわけでございまして、その点は篤と御了解をいただきたいと思うのであります。
CTSの問題にいたしましても、これはむちゃくちゃに広げようということではございません。
平良県政の決めた枠には、これにはこだわらないというだけでございまして、いわゆる環境保全の問題については十二分にこれを配慮してその接点をどこに求めていくか、その点で避けて通れませんので、今後こういったことを環境保全の問題と関連してこの問題を考えていきたいとこういうことでございます。
それから企業誘致についての業種の問題でございますが、ただ労働集約型の企業を誘致するとかいろいろ言っているんだが、具体的にその業種について言えということでございまするけれども、これはいま検討の段階でございますが、たとえば中城湾港を開発するにいたしましても、そのバックグラウンドに後背地にどういう企業を誘致するのか、どういう施設を持ってくるのかいろいろいま事務部局の段階で検討させておりますので、これがわかり次第皆さん方に御協力をいただく意味において報告できると思うのでございますが、たとえば中城湾港を物流計画の中でどういう位置づけをするのか、たとえばその後背地に、いまの神戸の埠頭が何と申しますか大変込んでおりまして、その神戸のコンテナ埠頭にかわるものとしてこれから日中の関係、あるいは米中の関係等いろいろ出てまいりますので、沖縄のその後背地にコンテナ基地を大きくつくり上げたらどうだろうか、これは私のいまの漢然とした私案ではございますが、そういったように業種を1つ1つ克明にこれは研究してどれが沖縄の事情に情勢にぴったり合う業種であるのか、これはいまから真剣に検討していかなければならない問題であると思っており
ます。
雇用の拡大について、公共事業を中心とする景気の回復、これによって雇用の拡大を考えることもできるわけでございますが、知事としての抱負、どういう視点からこの雇用の拡大を図るかということでございますが、これはたとえぱ昔は南洋群島、いまのサイパン島、テニアン島の砂糖事業、これは南洋興発が主体となって開発した事業でございますが、サイパン、テニアンの砂糖業にいたしましてもこれは沖縄人が開拓したものでございまするし、パラオ、トラックのカツオ・マグロ基地にいたしましても沖縄県の漁師が主体となって中心となって開発したものでございまして、当時の拓務省の人間は、沖縄県内南洋群島と言ったものでございます。
そういうことで沖縄の地場産業、これとその南洋地域との提携はできないかどうか、また沖縄の地場産業でつくり出す品物をそういう南方地域の市場でこれを開拓する余地はないのかどうか、こういった問題も具体的に検討いたしまするし、さらに誘致する業種が決まれば、これはもうお百度を踏んでその業主と折衝を重ねて誘致する条件も整備しなけれぱなりませんし、これは税制の面、あるいはその他の面から誘致の条件、また誘致するに当たっての最低限の協力もしなければなりませんので、そういった点でお百度を踏んで、また内側としてはこれを引き出す誘致する体制づくり、条件づくりというようなものも積極的にやっていかなければならないわけでございまして、私の先輩であるかつての茨城県知事岩上二郎が鹿島港開発に当たって農工両全の施策を完全に全うしたわけでございますが、この岩上二郎知事の教訓にならって業種が決まれば積極的な誘致に知事みずから乗り出してお百度を踏んでやっていかなければならないと、これほど決意をしているところでございます。
次に、第2次産業について沖縄の農業の問題点について指摘があったわけでございますが、これは御指摘のとおりでございまして沖縄の農業は構造的な欠陥を持っているわけでございます。
この構造的な欠陥の第1は、何といっても経営規模が非常に小さいということであります。本土平均の約半分ぐらいの経営規模でございまして、本当に5反百姓と言っても差し支えないぐらいの経営規模でございまするし、地力の問題にいたしましても、先ほど申し上げましたとおりこれは地力も本土の約半分の地力でございまして、有機質物がまだ足りません。また施肥の基準にいたしましても、長い間試験場を中心にして研究いたしておりますが、まだこれが確定されていない。またそういっただけじゃなくて、キビだけに頼らざるを得ないと。これは明治百年の作目でございまするから、台風に強いし、地力は消耗いたしまする
けれども、これにかわる換金作物はないわけであります。
しかしながらキビ代を上げろと言ったって、もう最近の日本の農業を取り巻く情勢というものは大分変わってまいりました。いわゆるアメリカ、EC、その他の諸外国から日本に対する農産物のいわゆる自由化、この自由化の波がわが国に押し寄せてきている中でこの農業保護政策をどうマッチさせるか大変な問題でございまして、したがいましてキビの値上げもそれほど期待はできません。ただできまするのは、地力の培養、いわゆる土地改良事業を中心とする農業基盤の整備によって反収を上げるとか、そういう値上げ以外の面で本土政府から多額の財政援助を引き出して、いまの計画でいきますというと大分時間がかかりますので、いまの補助率の高いうちにできるだけ早い期間に農業基盤を整備して反収を上げると。いまの7トンが、8トン以上になれば米作と匹敵するぐらいの農家収入になりますので、その点を私は強調して今後やっていくことが一番大事なことではないかと思いまするし、それほどキビ代の値上げに期待してはならないということであります。
それから私の指摘に対して第2次産業に重点を置き過ぎるという指摘がありましたが、これは仲本議員間違いでございまして、あなたがおわかりになるとおり構造を見ればわかる。第3次産業が70%以上になっておりまして、1次、2次の占める比率が非常に低いと。したがいまして調和のある産業発展ということを考えてみました場合に、ある程度適正な配分でもって1次、2次、3次が相鼎立して進んでいきませんというとこれはりっぱな産業とは言えないのでございまして、その点第2次産業工業開発に重点を置いてもなおかつまだ足りないというのが現在の資料から出された私は結論であると考えておりまして、第2次産業依存とは考えておりません。
ただ、農業、水産業を基盤整備によって幾ら発展させましても雇用吸収力は非常に低いので、何といっても雇用の拡大ということが経済の拡大イコール経済の安定につながりまするので、第2次産業の開発以外に雇用の拡大ということを期待することはきわめて無理であるということを御指摘しておきたいと思うのであります。
それから軍事基地と演習でございますが、御案内のとおり私は安全保障体制というのを認める立場にございまして、いわゆる日本とアメリカとの安全保障条約も、国連憲章で規定された地域的な集団保障制度は認めているところでございまして、別に私はこれを否定するものでもございませんし、またわが国の領土の安全と国民の生命、財産を守るということは、これは自分の手でみずからの手でやるべきであって、その点自衛隊というものも私は必要であると思っておるわけでございます。
ただ、基地の問題について、これを10倍、100倍にしたらということじゃございません。これは私の真意を取り違えて新聞は報道しているわけでございますが、できるだけ基地公害がないように万全の体制をとらせながらやっていきたいということでございます。
沖縄の基地の態様については、沖縄県がつくったものではございません。これは早く復帰するために、いまの米軍基地というものをそのまま認めた上で復帰させて、それで安保と行政協定の枠をしっかりはめ込んで自出発進を許さないでおこうと。これは復帰当時の政治情勢というものが今日の53%の密度をもたらしたものでございまして、これは県民が意図したことではございませんし、当時としてはやむを得なかったわけでございます。あの基地を全部取り払ってから復帰ということでは、これはとうてい復帰できるものではございませんし、当時の情勢としては、そのままの基地を認めてそして復帰して自由発進を規制する意味において安保と行政協定の枠をはめようとこういうことで復帰いたしておりまするので、当時の情勢等からいたしましてもまことにやむを得ざる措置であったと、こういうことが言えるのではないかと思うのであります。
それから沖縄の心でございますが、一体沖縄の心とは何ぞやと。これは仲本議員も的確な表現はできないとは思うんですが、沖縄の心とは、あなたから指摘されるまでもなく沖縄の歴史と伝統を大事にするということであります。何もこれは革新が独占して売り物にするようなものではないのでございまして、保守に属する人間であっても、沖縄の心は保守、革新を問わず持っている人は持っているのでございまして、革新だから沖縄の心がある、保守だから沖縄の心がないと、そんなことは間違った発想であると私は指摘しておかなければなりません。
それから有事立法と消費税法の問題でございますが、有事立法という法律はありません。実体法がどこにもありません。どういうことを有事立法と言われるのか私はわからないのでございますが、ただ有事とは、御案内のとおりわが国が攻撃を受けることであります、自衛隊というのは専守防衛であります。憲法上も、相手の国を攻撃したり侵略されることは許しません。そこで外国から攻撃を受けたときにいまの自衛隊が受けて立って、本当に国民の生命、財産を守り、領土の安全を守ることができるかというきわめて重要な事態にどう受けて立つかということの意味であると私は解釈しておるのであります。
もちろんこの有事を立法するにいたしましても憲法上の制約は免れないのでございまして、特に憲法で保障された基本的人権は、憲法における最高の法規として国民も国もこれを守る義務があるわけでございまするから、なかんずく言論の自由、結社の自由、宗教の自由、そういう国民の自由権まで圧縮して本当に有事立法ができるかできないか憲法上もこれは許されない問題でございまして、そういう意味から有事立法をするにしても憲法の枠がはまるわけでございまして、どうすれば敵の攻撃を受けたときに国民の生命、財産を守ることができるか。燃料が一月入ってこなければ、日本の産業は全部とまるわけでございます。そういう意味でもエネルギーの備蓄とか、あるいは資源の備蓄とか、食糧の備蓄とか、国防体制上も防衛だけの問題じゃない。資源の問題からしても、エネルギーの問題からしても当然あわせて考えていかなけれぱならないわけでございまして、むしろ皆さん方の方が有事立法を選挙のときに誤り伝えておりまして、西銘が知事になると戦争になる、こんな県民をばかにしたようなことが平気で言われたんですから、その点はあえて私の方から反論しておきます。
それから一般消費税の問題でございますが、これは国の財政需要は毎年毎年ふえてまいりまするし、といって財源はそれほどございませんし、いまでも赤字公債に依存している状況は御案内のとおりであります。沖縄県の場合でも地方の場合でも同様でございまして、毎年毎年財政需要はふえるばかりであります。この財政需要にどうこたえるかということでございまして、そのための財源をどこに求めるかということでこの一般消費税法がいま検討されている段階でございまして、政府も県もいますぐやるというわけではございません。
ただ、財政需要をどう調整していくか、これはもう国としても地方としても真剣に考えなければならないわけでございまして、これは一種の付加価値税的なものでございましてそのふえた分は前転するのか、後転するのか、消費者に転嫁されるのか、あるいは企業者に転嫁されるのか。また消費者に転嫁される場合には、零細中小企業というものをその対象から除外しておりまするのでそれほど私は心配はないと思っておりますが、その中でどういう形でこれが立法されるのか、いわゆるいまのところかいもくその内容が固まっておりませんので、その立場から反対するかと。県議会があえて反対をしているので知事も反対しろということだろうと思うんですが、私は仲本議員が指摘されたような人頭税的なものとそういうものではないのでございまして、もう高福祉高負担の原則もありまするし、国民の財政需要、府県の財政需要にどうこたえていくか。金がなければこれは運営できませんので、そういうことで財源の補完として何を考えるかという大局的な立場から、いわゆる財政需給の問題をどうすれば解決できるかという立場からこの問題が検討されているわけでございまして、入った税金は全部国民に還元される
ものでございまして、何もそれによって私は県民が市民がまるっきり損をするというようなことではないと思うわけでございまして、まだ内容等も
決まっておりませんので私からいますぐ反対という立場に立つことはきわめて困難でございます。
人事問題についての御質問がございましたけれども、副知事の問題については、先ほど申し上げたとおり2人制をとっていきたいと考えておりまするし、部長人事についても、いまの段階では本土からたとえば建設省関係、あるいは自治省関係から持ってきて人事の交流をやる方法も考えられまするけれども、今度の人事ではそれは考えておりません。しかし将来の問題といたしましては、天下りということじゃなくてお互いの切磋琢磨によって人事交流によって行政事務能率を上げていく、また刺激することによってみんなが勉強するとこういう体制をとりたいというだけでございまして、何も私は天下り的にこの問題を考えているわけではございません。
次は、人づくりの問題でございますが、これはどういう角度からこの人づくりの問題を取り上げるのかということでございますが、一言で簡単に申し上げますというと、とにかく頭脳においても、身につけた技術においても、本土の水準を抜いて本当に世界じゅうどこでも通用するような明るい兄弟愛に満ちた青年層をつくり上げるということは、私は沖縄の一番大きな財産であると考えるわけであります。
技術の前に豊かな情操を身につけた人間づくり、これも非常に大事なことではございますが、それだけでは新しい人間像は形成できません。いまは技術の時代でございまして、法律を身につけ、また技術をある程度身につけませんというと仕事ができません。ある程度また技術の発達した時代でございますので、そういった基礎的な教育を受けないというとなかなか使えないわけでございまして、技術を離れた、これは文科系だろうが理科系だろうが、技術を離れた人間ということは考えられませんし、それぞれ技術を身につけた、なおかつ情操豊かな人間をつくると、こういう視点から人づくりをしていかなければならないと考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 仲本議員の御質問にお答えいたします。
昭和54年度の県立高校入学定員の決定に当たりましては、那覇地区においては、大平高等学校の新設に伴う那覇市近郊の職業高校の収容力の増及び私立高校等の関連から、かねてから計画しております大規模学校の適正化を行っても昨年同様の合格率を確保できるという判断から、去る11月の定例県教委で各高等学校の入学定員を決定していただきましたけれども、那覇、小禄高等学校区域内の中学校の父兄及び学校側から、定員削減に対する強い抗議と要請がありまして検討いたしました結果、父兄及び生徒の間に普通科志向の傾向がきわめて強いことと、それから2番目に那覇、小禄地区は、他の3地区に比べて普通科の収容率が低いこと等もあって今年度に限り昨年同様の定数に戻すことを決定、一昨日その旨を関係者の皆様にお伝えしてあります。
この間、関係者の皆様に御心配をおかけした点を、大変申しわけなく思っています。なお正式には、来る26日に開かれる県教委に修正提案して御審議いただきたいと考えております。
なお、人学定員の決定の件につきましては、御指摘もありますように時期的に遅かったことを反省しており、次年度以降は、遅くとも1学期じゅうには関係者の皆さんに計画をお知らせいたしまして御理解と御協力を得ていきたいと、このように考えております。
○議長(大田昌知君) 仲本安一君。
〔仲本安一君登壇〕
○仲本安一君 ただいま知事から御答弁がございましたが、まず最初に、御答弁が漏れておる点が二、三ございますのでその点を再度御答弁を願いたいと思いますが、まず県内企業の保護育成という点につきましては御答弁がありました。
ありましたけれども、具体的にその方法論として従来とられておりますところのいわゆる保護策としてとりあえず公共工事の入札については県内企業を優先指名すると、あるいは県産品を優先使用させるというようなことを引き続きなさる御予定があるのかどうか。もしくは、本土から大手が参りましてジョイント等を組んでやる方向になる危険性があるということを心配する向きもありますので、あえて本員はそのようなことをお尋ねするわけです。
たとえば、下地島パイロット訓練場、もしくは防衛施設局等の工事等についてはほとんど本土の大手がやってきておるし、材質等も事前に予算の煮詰まる段階において政府段階において固まりつつあるので、そこら辺でどうしても微弱な沖縄の企業では太刀打ちできないというような点で、むしろ保護育成という面ではそこら辺に沖縄の特殊事情、立場を配慮して重点を置いていく必要があると思うんですが、その点は少し答弁が漏れておったようでありますんで再度御答弁を求めたいと思います。
次に、いわゆる優良で有望な企業とは何かということについては、例の鹿島コンビナート等についての例もあって一般論としてございましたが、本員が1つだけお尋ねしておきたいのは、この答弁の中でもございました、CTS等についても、備蓄の問題から国策だからこれはそのまま500万キロリットルの枠にこだわらないと、だからむちゃくちゃに無限大に置くということじゃないということをおっしゃっておられましたが、そうすると知事のお考えとされては、CTSというのは優良で有望な企業のうちに入るというふうにお考えになるのかどうか。むしろいま考えられるのは、国策としてやむを得ないから協力をするというんであれば話としてはわかるけれども、どの県もいやがっているようなものを沖縄がなぜとらなくちゃならないか、そこら辺についての御答弁がありませんでしたので、これをひとつ追加していただきたいとかように考えます。
次に、基地問題でありますけれども、先ほど来御答弁がありましたけれども、安保、基地等について、自衛隊等についてですね、私は論争しようとは思っておりません。これは根本的に見解の相違でございますので、とやかく申し上げません。
ただ、知事が国益か県益かということをおっしゃる、そしてその場合には県益の立場にお立ちになりたいということをおっしゃるもんですから、それじゃ軍事演習等についてはこれは県益なのかどうかということです。国益ではあろうかもしれませんけれども、県益とは言いがたいのではないか。これまで保守なるがゆえに、安保を是認するがゆえに、自衛隊を是認するがゆえに演習まで認める必要はないんじゃないか。そこら辺はどういうふうにお考えになるか、これを明確にしていただきたいということであります。
次に、申し上げておきたいのは有事立法と一般消費税、これは主としてこれからの問題でありますんであえて深追いはいたしたくありませんけれども、先ほどありましたんで……(「反論しなさいよ」と呼ぶ者あり)御要望もありますから反論いたしますけれども、確かに有事立法という一つの法律じゃないんですよ。まあ説によりますと100幾つかともいいますし、いわゆるある法律を、自衛隊法を初めとして手直しをしていくというわけですから、それに対する法体系の整備、これを総称して有事立法と称しているわけです。
ですから、私が申し上げておるのもそのような観点から申し上げているわけでありますけれども、これはいままでの歴史の過程からするならば、やはり靖国神社の法制化を初め、総理大臣がいわゆる憲法上禁止されているにもかかわらず公職として行くというそのぎりぎりの線までやってみたり、あるいはまた教育勅語の見直し論を唱えてみたり、そういった背景と相関連して考えた場合には軍国主義日本の方向にたどりつく危険性がある。そこら辺を、沖縄という戦争の悲惨に遭った、惨禍に遭った県としては相当神経をとがらし重視をしてですね、事前にそれは摘んでおかぬと、また事が起こってから仕方がなかったと、あのときはやむを得ぬ事情でありましたというような形では遅いのではないかと。
一般消費税、これについては先ほど知事が一般論として言われたとおり、それは財政上の問題等もございましょうが、ただ財政の原則的なものとして今日の状態、いわゆる消費税がつくということはどういうことか。たぱこ、酒類、この2点をとりましても、端的に申しますと、人間が生きていく上において日常の生活においてたばことかお酒とかはなくても生活できるんだと。したがってこういった嗜好品等については、消費をする税金をかけてもいいんだというのが消費税の発想だと思うんですよ。
たとえば米でも、日常使うみそでもそれに消費税をつけるということは、その消費税の本来の趣旨にこれは沿わないと思うんです。ですから、何でもかんでもそういう形じゃなしに、1つのこれは消費税については品目の限定がなければならぬと思うんです。そこら辺が1つの問題。
いま1つはですね、問題は、税金というのはそもそも今日の日本の資本主義社会において今日の政治体制のもとにおいても、原則としては持てる者からより比例をして多く取って、持たざる者から少なく取ってこれを配分するところに財政の仕組みがあるのであって、そして政治の目的、行政の目的があるのであって、ただ安易にいわゆる持てる者をそのままほったらかす。たとえば大企業とか、あるいは医師の優遇税とか、そういったものをほっておいて、大衆の消費税にこれを安易に負担を転嫁させようとするところにいわゆる過ちがあるのではないのか。
そこら辺については知事とされてどのようにお考えになっておるのか、この点をあわせお尋ねをいたしまして本員の質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 大変失礼いたしました。CTSの誘致について、それを優良企業と思って誘致するのかということでございますが、私は先ほど申し上げましたとおり、ただこの問題については国策の線に沿って協力しなければならない問題でございますが、環境保全の問題について十二分に配慮しながら立地していくと、立地させていくとこういう態度で臨みたいと思っておりまするし、優良であるかどうかは、これはもう屋良さん、また平良前知事が認可した問題でもございまするし、ある程度これを踏襲して、ただ枠にはこだわらぬとこういうことを申し上げているだけであります。
それから基地の問題について県益か国益かという問題でございますが、演習によって被害が出ればこれは県民に大変な損害を与えますので、これに対しては万全の体制をとって阻止しなければならないことは当然でございまして、米軍はもちろんのこと、自衛隊につきましてもその公害排除の点につきましては、危険の排除の点につきましては十分対処するように私の方からも申し入れていきたいと考えております。
それから県内企業の保護育成策としては先ほど小渡議員にお答えしたとおりでございまして、あくまでも県内企業というものを優先して入札に参加をさせたいと。また資材、機材等についてもできるだけ県内の資材、機材を使うように指導すると。こういう体制から、あくまでもこれは県内優先という立場をとらなければなりませんが、技術的に港湾関係、どうも沖縄のいま業界の持っている技術のレベルでは処理できない仕事等もありますので、この点についてはジョイントを組んで一緒になって沖縄も参加をして仕事をやっていくと、当分はそういった体制をとっていかなければならないことは当然であります。
それから消費税の問題でございますが、税金というのは資本主義社会におけるこれは強制獲得経済ですから、問題は歳出においてこれをどう配分するか、どう有効にまたこれを使っていくかという歳出論は残りまするけれども、あくまでもそういった点では強制獲得経済でこれは国民に税金が負担のかかることは当然であります。これなくしては資本主義社会というのは成り立ちませんし、税金によってある程度その収入を調整していく、税金で取った分によってその社会的な不公正を是正していくというところに歳出論の使命もあるわけでございまして、やむを得ない財政上の問題でございまして、これは消費税に限って申し上げまするならば、果たしてこれが付加価値税的なものであったにいたしましても、これは消費者に前転するのか付加が、それともつくる方に後転するのか、逆転するのか、その辺のところは非常に微妙でございまして、私の知っている範囲内では生活必需物資はできるだけ除く、また零細企業はその対象にしないということで一般消費税をやるにいたしましても、そういった政治的な配慮から生活必需物資は除く、零細企業、中小企業は除くといったような体制で仕組まれておりますので、仲本
さんが指摘になるようなそんなに一般県民の負担になるかどうかこれは検討の余地がありまして、まだ立法されておりませんので何とも申し上げられないということだけを申し上げまして、私の答弁を終わります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後0時16分休憩
午後1時30分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
午前に引き続き、代表質問を行います。
中根 章君。
〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 日本社会党所属県議団を代表いたしまして、知事の所信表明並ぴに県政運営の基本姿勢についてわが党の所見を交えながら質問を行います。
まずは、さきの県知事選における御当選と知事就任、おめでとうございます。これから4年間県政を運営されるわけでありますが、67万有権者のうち25万余の非支持とそれから投票をしなかった皆さんを含めてみますと、知事の信任は県民有権者の42%でございます。このことは、比較的多数の支持でしかないのであります。これらのことを謙虚に受けとめ、行政に生かしていただきますことをまず望みます。
また、知事は、少数意見でも正しい意見であれば断行していくと言っておられますが、多数意見を封じ込み無視するようなことであっては許されないし、世論の無視、民主主義の否定につながるおそれもあります。また熟慮断行が有言不実行であったり、逆に強権発動にいきなり結びつくような行政運営であっては許されません。常に県政運営に当たっては、地域住民の声を尊重し県民の側に立った行政をやってもらいたいのであります。
日本の地方自治は、憲法による保障で変わりましたが、戦前は富国強兵、戦後は高度成長といずれも産業の近代化と拡大という国家目標達成の受けざらとして利用されてまいりました。
特に沖縄においては、明治政府による差別から始まり、第2次世界大戦においては国家総動員法により土地家屋を初め財産の調達、小学生から中学生に至るまでの徴用と日本帝国主義の戦争目的の犠牲となり、あまつさえ第2次世界大戦終えんの地となり、20万に近い県民が犠牲となりました。ひめゆり、健児の塔に見られるように若い命まで失っております。また戦後は、日本独占の一方的要求によってアメリカの軍事占領支配下に置かれること27年と、まさに地方自治とはほど遠いものでありました。自治確立を目指した復帰も、県民の要求である基地もない平和な沖縄県の確立でなく、安保体制の強化による基地の強化が強いられてまいりました。いままた、国家目的の名におい て本土各地で忌みきらわれている公害の元凶CTSの設置が強要され、交通方法変更も国の一方的やり方で押しつけられてまいってきております。
地方自治の地方とは、地についたそれぞれの地域に根差したものと考えられるし、自治とは人々の共同の暮らしと考えた場合、地方自治ということは、人々の地についた共同生活ということではないでしょうか。現代国家における地方自治とは、地域における共同生活のための分権の仕組みであり、民主主義もこの仕組みを通して共同生活の中で機能してこそわれわれの生活原理として地についたものであります。地方分権とは、単に国と地方の機能分担だけではなく、人間と地域社会に対する画一的集権化支配に抵抗し、国の制度の民主的変革と安定した豊かな地域社会をつくり、人間の多元的価値を発展させるための保障制度であります。また分権自治は住民参加によって強化され、参加は分権によって推進されてまいります。
そこで、知事の地方自治に対する理念をお聞きしたいのでございます。
国策の押しつけから、どう県民利益を守るのか。これは先ほどの知事の答弁の中で、財政援助や経済援助の問題があるので沖縄の県益との関係でのかかわり合いを言葉は濁しておられるけれども、ややともすると中央直結、中央の言いなりになる、いわゆる財政援助によってこれらが対決しにくくなるというような意味のことを言っておられると感じております。そういう意味で県益を国策の中からどう守っていかれるのか。
3つ目には、県民の諸要求をどのように受けとめられておられるか、そしてこれをどう行政に反映させていかれるのかお尋ねをいたします。
地方自治の片方の柱である地方財政についてお尋ねをしたいと思います。
現在の地方自治体の最大の弱点は、財政の薄弱なことであります。財政力の貧困が自治体の自主性をゆがめ、中央支配に屈する原因になりかねません。また国の地方財政計画も、国の財政的立場から地方財政を制約し国の政策を押しつけるための指針として機能しているとしか言いようがないのであります。もともと地方財政計画は、地方財政の現状を明らかにし、不足する財源を国が保証するために策定されるべきものと思います。私たちは、現状の地方財政の状況はまさに危機的状況にあると確信をしておりますが、知事は地方財政の現状をどう思っておられるのか、いわゆる財政自主権の立場からお尋ねをしておきたいと思います。
知事は、所信表明の中で積極的な財政運営を図ると言っておられますが、先ほどの答弁で貧困な財政であると言っておられます。貧困である沖縄県の財政の中からすると、いきなり起債の増発を求めていかれるのか。これは今年度の選挙期間中、自民党の諸君がよく言っておりましたけれども、いわゆる政府資金を導入する起債に対して、起債は悪であるかのようなことをしばしば耳にしました。こういうふうな関係とあわせまして政府資金の導入、いわゆる起債の問題についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
また、自主財源をどう確保していかれるか。先ほども国庫支出を大幅にふやしていくとおっしゃっておりますけれども、いわゆるどうしても自主財源を確保していかなければならないと思います。自主財源に対する知事の方針をお聞かせ願いたいと思います。
また、財政力で補えない部門は民間経済の面からも活力を引き出すと言っておられるが、これは県内のみに限るのか、それとも県外資本にも求めるおつもりであるのか。
知事は、所信表明の中で「県経済の浮揚策は、財政主導型によって確保する」、また「雇用吸収力の高い公共投資の拡大と基幹的公共事業の早期実現化を図ること」を明らかにしておられますが、財政運営の面からの雇用拡大とは、県として雇用を創出する意思であるのか。わが党は、すでに国政の場で20万人雇用創出計画を打ち出し、国の財政支出によって県、市町村で受けざらをつくり雇用効果を上げていく、この場合沖縄の現状を踏まえて優先対応させるよう政府に提起をしております。
また、これらの投資による公共事業は、福祉型であることが私は雇用効果も大きいと思うのでありますが、どうか。
さらに、基地従業員の解雇は、県内の失業情勢を悪化させるばかりでなく、当該従業員とその家族の生活に直接影響を及ぼす重大問題であり、基地従業員の雇用安定と家族を含めた生活の安定を図るため金丸大臣・ブラウン米国防長官会談、及ぴ第17回日米安全保障協議会の精神が十分に反映され、基地従業員が直面している解雇問題の解決が図られなければならないと思いますが、知事の基地従業員解雇の問題に対する解決策をお聞かせ願いたいと思います。
働く職場の拡大はこれだけではとうてい不可能でありますが、失業問題解決についてどう取り組んでいかれるか具体的施策を明らかにしていただきたいのであります。
知事は、不況脱出と働く職場を拡大するためには、優良で有望な企業の誘致条件の整備と誘導策を展開すると言っておられますが、いわゆる優良の問題については、まだどっちが優良かということは決めてないという先ほどの仲本さんへの答弁がございましたけれども、いつごろまでにはどれが優良であるのか、有望であるのかをお決めになられるのか。また誘致条件というのは、どういう誘致の条件を整えるのか。いわゆる今日までの各自治体が高度成長期において企業誘致に躍起になる余り、公害企業に対するチェックをし切れなかった。さらには過密過疎の問題を醸し出し、いわゆる地域格差も多くつくり上げております。こういう反省の上に立つときに、いわゆる誘致の条件整備と誘導策という面の知事の御見解を承りたいのであります。
第1次産業のことについて二、三お尋ねをいたしたいと思いますけれども、キビ作振興について、基盤整備を充実して反収を上げていくことは先ほども言っておられます。現状のキビ価格は、国の試算でも生産費は1万9964円であるのに、農民の2万5000円以上の要求に対し、政府・自民党は1万8730円にしたのであります。いわゆる政府みずから試算したものよりもまだ下がっておるわけであります。知事は、この価格をどういうふうに思っておられるのか。
先ほど来知事はサトウキビの問題に対して期待できないと言っておられましたけれども、やっぱり農民の立場からしますと2万5000円以上の要求を掲げております。知事は、来期以後農民とともに政府にキビ価格の要求をしていくつもりがあるか、さらに農民要求を実現させていくような自信をお持ちであるか再度お尋ねをしておきたいと思います。
沖縄振興開発計画を総合的見地から検討を行い、第2次振興開発計画の策定の準備を進めることを表明しておられますが、目標年次3年を残す現在、今日までの革新県政が推進してきた事業をどう評価しておられますか。
あなたは選挙中、政府がつくってくれたすばらしい振興開発計画や復帰特別措置が、革新県政では生かされなく十分に運用されていない、そして能力がないといったような、はっきりそういう言葉じゃないかもしれませんが、そういったようなことをあちらこちらで言っておられました。
革新県政の今日までの取り組みは、特別措置法を生かしつつ開発計画を推進し、県内企業優先、県産品優先使用などを政策として掲げ大きな成果を上げているのであります。特に今年度は、売上増が顕著であります。琉銀の「業界動向」78号によりますと、10月の主要業界の動向は、前年同月比で全般的に10%から20%台の売上増を示しております。建設業保証会社の前払保証取扱実績も月中の請負金額は28億9000万円で、前年同月比53%の大幅増でございます。それは今回の補正(第6号)にもあらわれておりますとおり税収が9億8900万となり、いわゆる約10億の伸ぴが見積もられております。
これからも明らかなとおり、革新県政の経済政策の実績がもたらしたものだと私は評価をしております。
また、第2次振興開発計画の基本方針をひとつ明らにしていただきたいと思います。
県政、いわゆる地方自治は地域住民のためのものであり、国策のためにはがまんをしろというのは、まさしく自治の破壊でしかないのであります。53%の基地も国策のためでは、あなたが小渡さん、仲本さんへの答弁から見ますと、どうもまだ自民党の代議士の気持ちが抜け切っておられないんじゃないかと、そういう感じをするのであります。しかし知事になられたんで、県益優先の立場を貫くためには、代議士の気持ちはひとつ早目に払拭されましてそういう面で考えていただきたいと思います。
そのためには、昼夜を分かたない米軍の演習に対して、知事は先ほど10倍、100倍の話もありますし、私もそういうふうに知事の御答弁を聞いております。10倍、100倍になってもケース・バイ・ケースでしか対処をしないといけない、そして抗議の立場をとらないと明らかにしておられるわけですが、これこそ県民の立場から言えば抗議ものであります。
現在でさえ、104号線越えの実弾射撃演習によって地域住民の生活が大きく脅かされております。さらにはマリン部隊内からの実弾射撃演習は、恩納岳を初め金武、恩納の山々を破壊しておるのであります。さらに戦車道による水資源への影響、さらに中部においては昼夜の別なく爆音に悩まされております。105ホンや、90ホン以上、70ホン以上というのが毎日あるし、ことに70ホン以上については1日に130回というふうな記録もあるのであります。
米軍演習に対して、被害が出てからでは抗議でも遅いんです。やっぱり演習というのは被害があるのはあたりまえなんです。1958年のころ、ヘスティーという大佐がおりました。それがナイキハーキュリーズの発射演習のときに、機械であるので壊れることもあるし、演習であるので失敗の危険もありますと言っております。
それから見ますと、被害が起こってからは遅いんです。演習というのは、完全に県民に被害をもたらすおそれが十分に考えられますので、いままで知事がおっしゃったような形でもしものことがあるときに抗議ではだめなんです。やっぱり演習に対しては毅然たる態度を、地域住民の立場に立った県政としてこの演習の問題には対処していただかなければならないと私は考えます。
さらに、基地の整理縮小でございますけれども、計画的な返還なしには跡利用の計画も思うようにできない、これは事実であります。産業振興、都市計画、すべての面で基地の存在は避けて通ることができない、沖縄においては大変重要なことであります。
そこで、革新県政がこの前打ち出しまして政府に要請をしております「沖縄県における軍用地の転用及び軍用地跡地の利用促進に関する特別措置法(仮称)案要綱」に対する、先ほどもちょっぴりお話がございましたけれども、再度この要綱案に対する知事の御見解を賜りたいと思います。
また、県の国土利用計画では、60年には基地がないことを望みつつ軍用地の欄を「(一)」にしてあります。国の国土利用計画でも、その区分については基地の区分はないのであります。知事のこの県の国土利用計画の決定に対しての御見解を承りたいのであります。
保守であり、そして自民党員であっても、このような沖縄の事情では、反戦平和は県民の大きな関心事であります。特に沖縄は、いままで申し上げましたように第2次世界大戦でたくさんの肉親を失いましたし、だから米軍、自衛隊の動きに対しては大変敏感であります。国の施策として進められているいわゆる有事立法、総合的に有事立法と呼びます、この有事立法の研究にも国政問題として片づけられない沖縄の環境であります。知事の反戦平和に立った立場からの、そして沖縄の現状を踏まえた立場からの御答弁をお願いしたいと思います。
また、本土各県が忌みきらっているCTS、いわゆる石油の90日備蓄の問題を振りかざしましていま沖縄に押しつけようとしております。現在でもすでに90日備蓄の枠の中でいいましても、6.4%が沖縄にすでに設置をされております。知事の午前中の答弁から見ますと、このCTSもどんどん認めていってしまうような方向と私は承っております。
ちなみに、沖縄を訪れます観光客に対するアンケートを見てみますと、沖縄の魅力は自然景観と答えたのが53.4%であります。これらCTSをふやしていくということは海が汚染をされ、沖縄のよさを失ってしまうのであります。このような形で沖縄を見に来る観光客は130万人で、1300億円の収入でございます。沖縄経済に及ぼす影響も大きいのでありますが、自然は一回破壊すると取り戻すには100年かかると言われております。CTSの設置をやめることを再度要求しておきたいと思います。
以上質問を申し上げまして、御答弁によって再質問を行わしていただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 中根議員の御質問に対しましてお答えいたします。
まず最初に、今度の選挙で投ぜられた反対票を大事にすることについての提案がございましたが、全く御指摘のとおりでございまして、この人たちのあることを常に忘れずに県政運営に当たっていきたいと考えております。
地方自治の問題についての御指摘があったのでございますが、午前中にも申し上げましたとおり、沖縄における地方自治の根幹は何と申し上げましても沖縄の歴史と美しい伝統に対する認識から出発しなければならないと考えておるわけでございます。私が申し上げるまでもなく、みずから策定しみずから行動することを第一義としてこれからの自治運営に当たっていかなければならないと思うのであります。
中央集権か地方分権か、これは政治制度の問題といたしまして常に言い古された課題でありまだ新しい課題でございまして、絶対に地方自治がいい、絶対に中央集権がいいと、これはよって立つ視点が変われば、見方が変われば当然変わることでございまして、ただ私たちは憲法の中で地方自治の規定がうたわれておりまするし、地方自治の精神にのっとってこれからの県政を運営していかなければならないことは当然でございまするけれども、先ほど申し上げましたとおり何といってもこれは貧乏財政でございまして、県民の要求にこたえる、またいま当面する懸案処理の問題につきましても自己財源でもってしてはどうすることもできない現状でございますので、多額の財政援助を期待し、特別措置の延長をさらにこれを検討いたしまして問題を解決していかなければならないことは当然でございまして、そうすることによって私は自治の精神が失われるとは思っていないのであります。
次に、地方財政の現況をどう思うか。これも私が申し上げるまでもないことでございまして、憲法ではせっかく地方自治の規定があるわけでございますが、何しろ財源の配分の問題で地方財源はきわめて乏しいものがございまして毎年財源の配分の問題、税源の配分の問題についてはいろいろ検討されておるのでございますが、これが実現を見ず今日の日本の自治行政全般について申し上げられることは、財政の貧困の面からいたしまして3割自治になっておりましてまことに残念なこどではございますが、そういうことで地方交付税制度――法人税、所得税、酒税等を中心とするいわゆる地方交付税制度によって地方における財政需要が賄われておるのは御指摘のとおりの現状でございまして、これから第1番目に自己財源、いわゆる財源の配分の問題をどう積極的に推し進めていくか、これは47都道府県全体を含めての重要な課題でございまするし、さらに起債の問題につきましても採算のとれる事業、利益を生む事業については償還のできる範囲内において、いわゆる財政を圧迫しない限度において私は大幅にこの起債の枠を認めるべきだという立場に立っておりまして、利益でもって還元される事業については起
債を中心とする方向で処理しても一向私は基本的には地方財政の圧迫にはならない、こういう立場に立っておるのであります。
それから経済の回復の問題にいたしましても、雇用の拡大の問題にいたしましても、これは公共事業を中心として景気を刺激し、それによって雇用の機会を創出していくことは当然でございますが、それだけで足りるものではございません。財政で足りないのはいわゆる民間経済の活力を利用いたしまして、その面から経済の発展を図り、また同時にそれによって雇用の機会を創出していくことも同時に考えなければならない点でございまして、財政、経済相補い合って真の経済発展が期待されるわけでございまするし、それによって雇用の拡大も図られるわけでございます。
それから雇用の拡大と関連いたしまして、もう少し福祉事業の面についてもこの雇用の拡大を考えたらどうかという御指摘があったわけでございますが、これからの福祉増進の面におきましても福祉事業関係の人たちをふやしていく、これは県の財政で負担できる面はできるだけその線に沿って拡大をしていかなけれぱならないと考えているわけでございますが、現在の県の財政情勢をもってしては雇用関係の公務員、また関係従業員を急激にふやすということはきわめて困難な情勢にあるわけでございます。
それから基地従業員の解雇の問題につきましては、これは大変大事な問題でございましていろいろ解雇者が予定されておりまするけれども、今後米軍はもちろんのこと、防衛施設庁、沖縄開発庁、関係省庁と協議いたしましてできるだけ解雇の数を減らすような方向で努力をしてみたいと思います。
失業対策の具体策いかん、これは繰り返して述べておりまするので省略いたしますが、御指摘になりましたとおり企業を誘致するにいたしましても、これは天井からぼたもち式ではまいりませんので、こちら側で受けて立って整備しなければならない条件、またそういう体制づくり、こういったことも同時に考えていきまして、いわゆる啐啄相同時する体制の中で企業誘致を図っていかなければ私は目的の達成はできないと考えておりまするし、県がとり得る最大限の条件整備、これは当然のことであると私は考えております。
それから業種の指定はいつごろまでにできるか、これは大変むずかしい問題でございましてこれからいろいろ検討していかなければならない問題でございますが、私のいま頭の中にありまするのは、中城湾港の開発計画の中でそのバックグラウンドに後背地にどういう業種を持ってくればいいのか、またどういう施設を持ってくればいいのか、ただ港を掘ればいいということではないのでございまして、本当に工業開発、産業開発の面と関連させてどういう業種を指定した方がいいか、これはいつまでにやるかということでございますが、できるだけ早くやりたい、中城湾港の開発計画と並んで早くやりたいと思っておりますが、いまのところ具体的な答弁のできないのを大変残念に思うところでございます。
第1次産業、キビの価格問題について、その引き上げについて知事はその先頭に立って要求するか、これはもちろんのことでございまして、農林水産大臣を初め、また自由民主党の執行部はもちろんのこと、関係大臣と協議いたしましてできるだけ引き上げに対して努力をしていかなければならないと決意をいたしているわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり日本農業を取り巻く国際環境は大変厳しいものがございますし、特に農産物の自由化の問題についてはアメリカを中心としていま当面する問題として各国から非常な強い要請がございまして、日本農政にとりましても一番大きな問題でございまして、基本的な命題といたしまして国際分業か、国内分業かと。いま国際的な農産物の安い情勢の中で、一体日本の農産物をどういう形で保護育成していくのか、どういう形で自由化していくか大変重要な課題でございまして、沖縄のサトウキビもその一環でございまして、世界的な砂糖の需給の関係からいたしまして大変供給が需要をオーバーしているような現状でございまするし、そういう中でどの程度の価格の引き上げができるのか。県側からの要請は生産費及び所得補償方式と申しますか、この方式が
とられて毎年要請されているわけでございますが、現在の関係法規からいたしましてはどうしてもパリティ方式に依存せざるを得ないようなかっこうになっているわけであります。
したがいまして、サトウキビの価格の問題につきましても、反当たりの投下労働時間がてん菜糖と比較して違うじゃないかと、在圃の期間が6カ月に対してサトウキビの場合は1年から1年半もあるじゃないかと、そういう北海道のてん菜と同じ甘味資源でありながら、よくてん菜糖との比較においてサトウキビの価格が決定されるわけでありまするけれども、沖縄のよって立つその立地の条件というのがてん菜糖とは比較にならない、したがって同じような一物一価では困る、沖縄のキビの特性からして特にその引き上げについては特段の御配慮をいただきたい、これは毎年私たちが党の部会を初め、農林水産大臣に強く要請しているところでございます。
しかしながら、農政の方向といたしまして支持価格政策によって農業を保護するということではなくて、基盤整備をやって反収をふやしてその面から所得の向上を図っていく、それに対する財政援助はやろうというような方向に政策が変わってきておりますので、その線に沿って極力努力をしてみたいと考えております。
2万5000円の要求に対して1万8730円、なるべく高い方がいいんですが、いまのパリティ方式からいきますというと1万8730円もそれほど低いものではないのでございまして、てん菜糖との比較においてもそれほど差別されているとは私は思っておりません。
革新県政10年の評価につきましては、私といたしましては、アメリカ統治の中から復帰運動を整然と盛り上げてしかも復帰準備に備えて体制づくりをした、また復帰いたしまして3大事業を中心として特別措置法の実現、また重要案件の処理等に当たってまいりましたことは高く評価をするわけでございまして、これについても、山中長官を中心とするいわゆる沖縄側に対する理解者が非常に多くて、その面から革新県政にとっては大変幸福な時代であったと申し上げなければならないと思っておりまするし、10年間の評価については、先ほど申し上げたとおり体制づくりと体制づくり後における重要案件の処理についてはこれを評価するものでございます。
基地問題については先ほども答弁したとおりでございまして、沖縄県民の感情といたしまして郷土を戦場にし、また身内の中からたくさんの犠牲者を出したということで他県とは比較にならない戦争体験、悲惨な体験を持っているのは当然でございまして、二度と戦争をしてはならないということはこれは保守、革新を問わず戦争は避けなければなりませんし、また日本の経済を考えてみましても、平和に徹して各国との協調を得るのでなければ日本はその経済さえ維持することができない、また国民生活を安定させることができないことは私が申し上げるまでもないことでございまして、平和は、わが国の外交、政治の基調でなければならない、これは私が御指摘申すまでもないことでございます。
しかし、御案内のとおり安全保障条約、行政協定によって施設区域の提供についてはわが国は義務を持っておりますので、ある程度その義務を履行する面からいたしましても最小限度の基地の維持、また基地だけではどうにもなりませんので、自衛力が機能するためにもある程度の演習は認めていかなければなりませんし、ただそれによって起こる実害、公害等についてはこれを極力排除する体制をとるためにも防衛施設庁、政府はもちろんのこと、米軍に対しましても強くこれを申し入れてやっていかなければならないと考えております。
整理縮小の件については、先ほど申し上げましたので省略いたします。
跡利用に対する立法要請がありますが、これは政府が受けて立って立法するかどうか、いまこれから折衝してみないと何とも申し上げられませんけれども、立法をしないにいたしましてもこの要綱の中に盛られた規定、精神は大いに尊重いたしまして、その線に沿って跡利用の計画を進めていかなければならないと考えております。
CTSの備蓄の問題でございますが、私が申し上げているのはむちゃくちゃに備蓄基地をつくろうというわけではないのでございまして、この問題も環境の保全ということも同時に考えながらやっていかなければならないことは当然でございまして、従来の枠にこだわらないと申し上げましても、自然環境、美しい環境を否定してまで、破壊してまでこれを強硬にやろうということではございません。
振興開発計画がちょうど復帰前後を取り巻く沖縄の経済情勢が大変厳しい情勢の中にありまして、当初計画された目標に向かってその達成率はきわめて低位にあるわけでございます。もちろん日本の高度成長が低成長に向かって流れを変えたことにも大きい原因があろうかと思うのでございますが、その執行体制にいたしましても、資金計画等にいたしましても毎年度の予算の積み上げによってこれをやるような形になっておりますので、そういう点、低成長経済の方向に流れた日本の経済計画の中で、特に第3次全国総合開発計画の中でどうこれを見直していくか、これは大変大事な問題でございまして、これからの10年間に向けての経済、社会開発の基本になりますので、慎重にこれを見直してりっぱなものにしたいと考えております。
国土利用計画につきましては、関係部長から答弁させます。
それから反戦平和の立場から有事立法に対する見解、有事立法につきましては先ほども申し上げたとおりでございまして省略させていただきたいんですが、問題は基本的な人権を侵害してまで、これはもう戦争になりまするというと言論が封鎖されたり、結社の自由が機密保持の点からいろんな制約が出てくるわけでございますが、そういうことであってはなりません。先ほど申し上げましたとおり、憲法の枠がはまりますのでそう憲法に反するような立法もできませんし、またわが国を取り巻く国際環境と申しますか、アジアの情勢からいたしましても米中の平和条約締結も間近でありまするし、また日中平和条約も締結されましたし、それによって朝鮮半島もある程度平和の方向に向かうことは大体見通しがついておりまするので、いまわが国を取り巻く国際環境からいたしましてすぐこういった関係の立法をする必要があるかどうか大変疑問でございまして、私見を申し上げまするならば、いまの段階においてはその必要はないんじゃないかと、私はかように考えており
ます。
○副知事(野島武盛君) ちょっと休憩願います。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後2時9分休憩
午後2時10分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) はなはだ申しわけないんですが、私この国土利用計画をまだ十分勉強いたしておりませんので十分な御答弁はできないわけでございますが、いま部長から話を聞きますというと、54、55年度で大体市町村の計画が完了いたしますので、その完了と相まってこの国土利用計画法に基づく対策も変わってくるだろうと、そういうことでございます。
勉強不十分でどうも申しわけありません。
○議長(大田昌知君) 中根 章君。
〔中根 章君登壇〕
○中根 章君 最初から小渡さん、仲本さんに対してと大体同じ御答弁のようにしか受け取られませんけれども、沖縄の歴史と伝統は言っておられます。しかし私は沖縄の美しい自然、知事は常に歴史と伝統は言っているけれども、肝心のこの美しい自然を守る立場というのはどうも言っておられない、それはこれから後のCTSや公害企業誘致との関連で引っ込めておられるのかということさえ感じるわけなんです。だからそういう意味でですね、やはり沖縄の歴史と伝統、そしてこの沖縄のすばらしい自然景観というのは大切にしないといかぬのじゃないのかという立場もとるべきじゃなかろうかというようなことを考えます。
それから財政援助を要求しても自治は失われない、これはあたりまえであります。知事がおっしゃるのは財政援助という言葉をお使いのようですけれども、私はこれは国庫支出という立場に置きかえていいんじゃないかと。そしてこの国庫支出は、これまで革新県政の場合も高く要求をしてきたし、復帰時より今日までの間からすると5倍以上の、予算の伸びから見ましてもこれだけのものを要求をし引き出しては来ているわけなんです。こういうものは当然のことであるし、やるべきことなんです。こういうことがあるから、国策と県民利益との間で困っているような、どうもちょっとその辺は西銘知事らしくない歯切れの悪い御答弁のような感じがするんです。いわゆる国策と県民利益を、私たちはどうあっても沖縄の県知事なんだからやはり県民利益というものが最優先されなければいかない。しかし知事のきょうのいままでの答弁を見てみますと、基地問題にしても、CTSの問題にしても、すべてどうも国策の方に比重が行き過ぎるというそしりを免れないと思いま す、御答弁の内容からしますと。
だから、そういうものをもう少しはっきりと、いわゆる地方自治の理念を知事もおっしゃっておりますけれども、地方自治というものは住民参加による、やはり住民と一緒になって私たちが共同の生活の中でつくり上げていくものであると、そういうふうな立場からしますと、もう少し県民利益の立場というのはきちんと言っておられた方がいいんじゃなかろうかと思うんですが、いかがですか。
それから起債の問題でございますけれども、いわゆる自後の財政を圧迫しない程度で受け入れていかれたいと。これはおそらくそういうような御答弁で来られるだろうとは予期もしましたけれども、しかし私は、今日まで自民党の皆さんが選挙といえども、いわゆる選挙中だからということで一票一票をほしがるための発言としてもですね、いわゆる議員職にあられる方や、市町村長職にあられる方がはっきりと沖縄市長選挙においてそういうことを言っておられるし、それからたくさんのチラシの中でそう言っておられるわけです、起債に対する悪だという宣伝。これを知事としてははっきりとその立場からどう対処していくか、財政に対してですね。
それともう1つは、先ほどのいわゆる自己財源の確保という面ではまだはっきりした、御答弁はあったような感じはしますけれども、どうしても自己財源の確保というものは、今日までの県議会の中で自民党の諸君が一番声を大にして言っておられました。これをいま知事は選挙に出られる中で、沖縄の財政状況を十分把握もしておられますし、それからすると、自己財源の確保となりますと国と地方の税財源の配分も問題があるでしょう。そういういろんな立場から、ほかの都道府県とも一緒になった立場からという御答弁もございましたけれども、どういう形でいわゆる自己財源の確保をしていかれるのか、もうちょっと突っ込んだ御説明をお願いしたいと思います。
それからもう1点、御答弁がなかったんでございますけれども、いわゆる民間の活力を導入するという中で、私は県内の民間のものか、それから県外資本もこの中には含まれておりますかということをお聞きしたつもりでございますけれども、それがございませんでしたのでそれもお願いをしたいと思います。
それから県の財政による雇用創出、いわゆる県財政では、現在の立場では私が申し上げましたいわゆる福祉関連には手が回らないであろうというようなことを言っておられます。
私が申し上げているのは、いわゆる雇用創出といってもいま優良事業が何であるかもまだはっきりと選択もやられてない、それからいまいきなり雇用拡大といってもこれからじっくりやるんだという考え方なんです。しかしいまの沖縄の失業状態というのは、おっしゃっておられますように大変な状況なんです。その大変な状況に対して、いわゆる県の財政によって雇用を創出していく。これは国の財政支出を求めながらその財政の中で雇用創出をする、その場合には福祉関連のものが有効じゃないですかと聞いているわけです。福祉関係のものが有効じゃないですかということを聞いておりますので、そういう意味で財政対策によっての雇用創出というのは何千人できるかしりませんけれども、やはり考えていいことじゃないかと思いますんで、それらの見解を明らかにしていただきたいと思います。
それから企業誘致の条件整備のことでございますが、県がとり得るもので条件整備をすると、とり得るとあとう限りと大体同じ意味だと思います、とり得る間ということになりますと。そうすると、今日までの地方自治体がいろいろな企業誘致のために税制の面での優遇をしたこともあります、それからいろんな立場で、道路をつけてやった市町村もあるわけなんです。そういうようなことを、いまの沖縄の財政の状況でやるということと、さらには企業誘致を焦る余り、公害企業に対する目の向け方が弱まるんじゃないかと、そういうことも考えられるわけなんです。
そこで私は、この企業誘致のための条件整備ということ、誘導策ということは大変大きな問題になるかと思います。そういう意味で、知事のいま考えておられるいわゆる条件整備というものは、ただ県のとり得るという御発言ではちょっと腑に落ちないわけなんですが、その辺のことをもう少しはっきりと御答弁をいただきたいと思うのであります。
それからキビ代のことにいたしましても、どうも知事は、今年度のキビ価格は安いわけでしょう、政府の試算よりも低かったんですから、生・所方式のですね。それからすると、やはり低いわけなんです価格は。それをどういうふうに思っておられるのか。
それから農民とともに要求行動には行かれるとおっしゃっておりますのでこれは是としますけれども、選挙中に知事が、候補者が出されたわけじゃありませんけれども、革新政党のポスターに3万円以上のキビ価格を要求しようというポスターは、あれたちは無責任な言い方で、それだけ取れなくてもいいよといったようなことしかないんだぞというようなチラシがあんたのいわゆる選挙を推進している母体の中からの内部資料として出ているんですよ。ああいうふうな物の考え方は知事にはないと思うけれども、しかしああいうふうな物の考え方で沖縄のキビ代の問題を考えていかれるのは私は過ちだと思うんです。やはり農民があれだけ真剣にいま農業を、そして中部あたりでも農業を見直して真剣にやろうとするところにですね、幾ら選挙であっても3万円は取らぬでもいいからやっているんだというようなおっしゃり方が少しでもあられるとするならば、私は農民に対して大きな敵対だと思います。
そういう意味で、もう少しキビ代の価格の問題については、どうも悪いとおっしゃりながら、てん菜との比較もおっしゃりながら、しかしとこうひっくり返っておられる、そういう面をもう少しはっきりと所見をお聞かせ願いたいと思います。
それから最後に、演習のことでございますが、被害があればではないんです、私が申し上げているのは。演習は被害があります。恩納岳をごらんになってください、ブート岳を見てください、あんなにはげ山になっているんですよ。ああいうものは被害じゃないんですか。あれはまさしく被害なんです。
で、こういうふうにいままでまた、嘉手納出身の議員もおられますけれども、嘉手納で105ホンなんです。それからこの二、三日、コザの上空もすごい爆音で通っております。それも被害なんです。
だから、演習に対することについてはやはり県民利益、これこそ私は地域エゴに徹して、そのことからするならば、演習に対してはもっと知事として毅然たる態度をとっていただきたいと思うのであります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) どうも、私の説明が足りずに申しわけありません。
美しい自然環境の保全についてはどうか。
これはもう先ほども申し上げましたとおり、大事な財産であるので子々孫々に引き継ぐことでなければならないということは申し上げたとおりでございまして、だからといって産業開発をやるなということにもなりませんので、もう先ほどから申し上げているとおり自然環境の保全と産業開発の調和をどこではかるか、これは避けて通れませんので、雇用の拡大も大事でありまするので、自然環境の保全も大事でございまするけれども、その兼ね合いをどこに求めていくか避けて通れない問題でありますので、知恵をしぼってやっていきたいということを申し上げてあるんであって、何も沖縄の自然環境を破壊するとこういう趣旨でばございませんから、篤と御理解をいただきたいと思います。
それから国益か県益かというようなことでございますが、これは先ほども申し上げましたとおり本当は国益イコール県益でなければなりません。県益イコール国益でなければならないわけであります。しかし問題によっては県民の利益を損ねるようなことがありますので、その場合には、県民の利益を守る立場に立って対処するということは何遍も申し上げているとおりであります。
財政の問題については自己財源の確保ということでございますが、これは何といっても沖縄の企業が強くなること、沖縄の産業が非常に高度の産業、それで安定した企業がたくさんふえること、これ以外に自己財源をいま急に求めようといったところでそれは無理でございまして、政府の政策的な配慮によっていまの地方財源というものを国が大幅に国の財源から移譲するのでなければこれは大きい期待はできませんので、手っ取り早くできますのは、そういう意味での沖縄の経済の発展を図っていく、企業の保護育成をやってそれによって財源を開拓していくというのが当面の課題でもありまするし、さらに県の財政事情の中で足を引っ張る企業がございますので、たとえば病院特別会計とか、あるいは下地島のパイロット訓練場とか県からの持ち出しの多いものがございまして、これをどういうような形で補っていくのか消極的な対策も同時に考えていきまして、県の財政圧迫にならないような検討が必要じゃないかと、これを申し上げたいのであります。
もちろん雇用の拡大にいたしましても、景気の刺激、回復にいたしましても、これはもう財政だけではどうにもなりませんので、経済、財政相補い合ってやっていくということでございまして、県内は含めることはもちろんでございますが、県外からの企業誘致、特に公害のない企業誘致に重点を置いてやっていきたいとは思っておりまするけれども、県外を含めての財政による回復の補完を、補いを経済に求めていかなけれぱならないということであります。
それから雇用の開発と関連いたしまして、政府、県の財政で措置する場合に福祉関係の従業員をふやすこともこれは確かに1つの方法ではあります。御指摘のとおりでございますが、これは確定費になりますので、人件費が主になりますので、財政の情勢等から考えて適正にやらなきゃいかぬ、そうたくさんはできないだろうということを申し上げているのでございます。
企業誘致の条件整備については、これは税制、財政上の措置はもちろんのことでございまするし、御案内のとおり沖縄振興開発金融公庫の単なる融資だけじゃなくて投資機能も持つように法の改正が成っておりまするし、そういう財政、税制、また道路、湾港等の整備の問題等いろいろありまして、できるだけ県が自己の力によって自己の負担においてできるような条件整備については、これはやらなければならない、思い切ってやることによって啐啄相同時するといいますか、それで来やすいような体制、企業が誘致できるような体制づくりをしなければならないことは当然でございます。
キビ代でございますが、選挙の話ばかりしておられますが、選挙のときはお互いさまでございまして、できないこともできるようなことを言っておりまするから、またこれは2万5000円よりも3万円がいい、3万円より4万円がいいですから、そうしたら皆札も入れますので、そういうことを私は申し上げているんじゃないんです。
問題は行政の立場から、行政の担当者として、いま日本の農政を取り巻く環境からいたしましてどういう形でこれを処理していかなきゃならないか。もちろん農民としては、2万5000円よりは4万円の方がいいでしょう。しかしそう簡単にできるものではございませんし、約束できるものじゃない。これは政治的な要求かもしれませんけれども、行政の責任にある立場からしてできるだけ上げたいですが、これにはたとえばてん菜の代金との関係もございまして、てん菜よりも数千円も数万円も変わって同じ甘味資源でありながら差をつけていくということは大変むずかしい。これは私たちもできるだけキビの生産条件とてん菜糖の生産条件の違いを農林水産省に指摘し党の部会で指摘して今日までなっておりますが、できるだけ上げたいんですが、そういう情勢の中で幾ら上げるか、これは1000円上げるにしても200O円上げるにしても大変な問題でございまして、そういうことで行政努力を積み重ねてやっていきたいと。単なる政治的なスローガンとして、政治的な目標として申し上げるわけじゃなくて、とにかくいまの置かれた条件の中でですね、どうすれば1銭でもよけいに上げていくかという体制も考え
ていかなければならない。こういうことを申し上げているわけでございまして、そういうことでなかなか厳しい情勢でございまして、支持価格でもって農産物を、農業を保護するという立場よりも、これはキビだけではなくてほかの果実、それから畜産物、あらゆる農産物を含めましてそういう基盤整備の面から、これからの政策の転換をしていかなければならないんじゃないかと。価格制度によって保護する時代は過ぎたんじゃないか、こういう情勢の中にあってどう対処するか大変重要な問題でございますので、積極的に対処していきたいのであります。
それから演習の問題は先ほど申し上げたとおりでございまして、これは復帰の前後を取り巻く環境からいたしましてあの当時の53%の体制で本土復帰をした、そして安保、行政協定の枠をはめて自由発進を規制しようとこういうことになって占領当時から今日まで続いているわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり安保が機能し、さらにまた行政協定上の施設提供の義務の履行という面からいたしましてもある程度国策に沿った体制をとっていかなければならないということでございまして、ただ公害については、こういう演習によってできるだけ実害がないように公害がないように万全の排除の体制をとっていきたいと、そのためには関係者の協力も要請したいとこういうことであります。
○議長(大田昌知君) 古堅実吉君。
〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 日本共産党県議団を代表して、西銘知事への質問を行います。
私の質問の第1は不況、失業など経済問題について、第2は基地と演習、有事立法の問題について、第3は教育の反動化と人づくりの問題について、第4は県政運営の基本姿勢の問題についてであります。
第1、不況、失業などの問題について。
知事も本議会への就任あいさつの中でのお言葉にもあられましたように、本県の失業、雇用問題はきわめて深刻であり、これをどう克服するかは当面する県政の最大の課題であります。今回の知事選挙でも大きな争点となりました。したがって公約に責任を負う知事として、この問題について議会を通じて県民の前に考え方や具体的施策を明らかにすることは、知事の当然の責務だと考えます。
ところで、今回の知事選挙において西銘候補の確認団体となった「明日の沖縄をつくる会」の発行した法定ビラ1号は、国が進めようとする事業の開発、経済振興を革新勢力はすべて悪ときめつけ、ことごとく反対してきたため県内産業が大きく立ちおくれたのが失業を増加させた原因ですときめつけた上、政府と沖縄選出の自民党国会議員が推進しようとした沖縄経済振興計画が着手されていたらこんなことにはならなかったはずですと、無責任きわまることを言っています。
申すまでもなく、沖縄の振興開発は、沖縄振興開発特別措置法に基づいて内閣総理大臣が決定した沖縄振興開発計画に従って推進されているものでありまして、その他に同種の計画が存在するなどということは考えられない事柄であります。しかるにさきの法定ビラ1号はあのようなことを言っているのでありますが、一体この法定ビラの言う沖縄経済振興計画なるものは実在するものなのかどうか、いかなる法的根拠と性格を持ったものか、それは政府と沖縄選出自民党国会議員だけのやみ取引で推進を図ろうとしたいわば私物化されたものであったのか、納得のできる知事の御説明を求めるものであります。
また、右の法定ビラは革新勢力が経済振興をすべて悪ときめつけ反対してきたと言い、西銘知事自身も選挙中の立会演説会で、革新勢力が企業は敵であり産業は罪悪であるという敵視の運動を進めてきたと述べておるのでありますが、現在もなおそのような主張に変わりはないか、これからの県政運営にとっても重大なかかわりを持つ事柄であるだけに、この公の場においていま一度明確な御見解を伺いたいと思います。
それでは、革新県政のもとにおけるそれらの事実はどうであったか。
振興開発事業の予算は、昭和47年の354億円から52年の1166億円に増加し、51年度までの累計だけでも3390億円に達しています。この努力の中で、農業生産額は復帰前に比べて約2倍に増加し、泡盛の県外移出もおよそ2倍、伝統工芸産業や観光収入も大きく伸び、特に県内中小零細企業の営業を守るために県単の融資制度の創設、資金枠の拡大などによる資金の手当て、公共工事における県産資材の優先使用、分離発注など、きめ細かに政策も進められ一定の成果も上げてきたのであります。
また、企業誘致についても、アルミ精錬、石油精製、CTSなど公害企業については当然拒否の立場をとってきましたが、労働集約型の無公害の産業については積極的施策をもって臨み、沖特法に基づく工業地域の指定、税制上の措置もすでにとられ、電力や工業用水の確保についても年次計画に沿って進められてきていることも周知のとおりであります。もちろんこれらの施策が、100%順調であったなどと主張しようとするものではありませんが、自民党や西銘知事が無責任な中傷をされたようなものでなかったことだけは争う余地のないことであります。
しかも、自民党や西銘知事が現在の県内の不況、失業など、その深刻な事態をもたらした要因はすべて革新県政にありとして、より根本的で真の要因が長年続いてきた自民党政府の大企業本位の悪政の結果生まれた全国的な不況、倒産、失業の状況にあることや、米軍基地からの解雇者だけでも復帰後1万2000人に達する事実など、革新県政の責任には属しないところにそのほとんどの原因があるんだということを故意に隠し立て県民を欺き、革新県政に非をなすりつけ、革新県政転覆のための最大の攻撃材料に使ってきたのであります。そして自民党の西銘知事が誕生すれば、この不況、失業問題は直ちに解決するかのごとき期待と幻想を多くの県民に与えてきたことも事実であります。
そこで、以下のことについてお伺いするものであります。
知事は、雇用拡大、失業問題解消のために、これまで革新県政のもとで進められてきた具体的な施策とどう違う施策で、いつまでにどの程度の見通しをつけようとされるのか、その具体的なものについて示すことができるのか、ただ単に自民党になればできるという幻想だけを与えればよかったのであるのか、まじめな御答弁を求めるものであります。
失業対策については、あらゆる法律を駆使してあらゆる努力を払わなければならないことは申すまでもありません。ところで政府は、現に沖特法38条の就労事業についてすら県側からの要請にかかわらず現在なお実施しようともしていないのであります。知事は、この沖特法38条に基づく事業をいますぐに実施するよう政府への強力な要請を展開すべきだと考えるものでありますが、御所見を伺いたい。
第2は、基地と演習、有事立法の問題についてであります。
最初は、基地と演習問題についてです。
自民党西銘知事が誕生すると同時に、米軍基地や自衛隊基地の動きがにわかに激化してきたのが知事選挙後の県内情勢の特徴の一つであります。すなわち陸上自衛隊による勝連村浮原島の訓練場使用、第1混成団の同村内での小銃弾射撃場新設、嘉手納基地での訓練強化による米軍機騒音、金武村ブルービーチでの米海兵隊による上陸演習の激
化など、基地と演習の強化がエスカレートしていく危険な様相を示しています。
しかも重大なことは、このような事態に対して知事は事実上全面容認の態度をとり続け、抗議の一声もかけようとしていないということであります。県民本位の言葉を強調しながら、また本土並み基地への縮小を唱えながら、知事選後間もないというのに百万県民の知事の心は、どこをさまよい始めているのでありましょうか。去る15日、知事就任後の初めての民主団体からの要請行動となった統一連と県原水協の代表らに対して、知事は、演習が10倍も100倍もふえたら抗議するなどと挑戦的態度をとり、自衛隊はもっと増強すべきだ、演習しなければ何の意味もないなどと基地の整理縮小を推し進めるという選挙での公約さえもはや忘れてしまい、軍事力増強論を公然と唱えているのであります。
知事のこのような態度が、米軍や自衛隊をますます増長させ、基地強化、演習激化への動きをエスカレートさせることは必至であります。知事のこのような姿勢に対して新聞論調も敏感な反応を示し、幾ら安保容認の知事でも冷淡であってはいけない、反戦平和の県民志向は本能的なものだ、それに保革の区別はないなどと厳しい批判が浴びせられているのは、まことに当然と言わなければなりません。
知事は、百万県民の命と暮らしを守る責務のあることを謙虚に受けとめ、県民本位の政治姿勢を堅持され、基地強化、演習激化から県民の苦難を取り除くため最大の努力を払うべきだと考えますが、知事の姿勢を問うものであります。
次は、有事立法についてであります。
有事立法が軍事ファシズムをもたらすいかに危険なものであるかは、去る9月定例会において論じ尽くされておりますので改めて詳しく述べる要はないと思いますが、ただ西銘知事が、この問題について本日表明された見解との関連でどうしても指摘しておかなければならないことは、有事立法問題は、日本の自主的な判断により国民の安全と平和のために策定が持ち出され表面化したのでは断じてないということであります。すなわち朝鮮半島での新たな侵略戦争準備に力点を置くアメリカの極東戦略の中で、朝鮮有事の際の日米共同作戦体制の円滑な確立のため、アメリカの要請を受けて国民の権利、財産、人権をも制限する対米従属の屈辱的な軍事ファシズム体制づくりがたくらまれているのが真実であり、西銘知事のこの問題での言い分は全く当たらないのであります。
本議会は、去る10月9日の本会議において「有事立法反対に関する意見書」を議決いたしました。知事は、この県議会の意思決定を尊重する意思さえないのかどうかお尋ねいたします。
第3は、教育と人づくり問題についてであります。
知事は、就任あいさつで「次代を担う人づくり」を県政の最重要な課題であると述ぺておられます。しかし知事やその支持勢力がこの人づくり問題について行っている主張には、無視できない偏見や危険な意図が貫かれていることを見逃すことはできません。
知事は、今回の知事選挙の立会演説会で、今日の日本の繁栄は明治百年の教育に負うところが大きいとして、かつての軍国主義教育、君が代教育を賛美するかのような発言をした後県の経済振興問題に触れ、沖縄の資源は人でなければならないと言及しています。また「明日の沖縄をつくる会」が発行した法定ビラ1号には、学力低下の責任は沖教組などにあると断定し、しかしいまはそのことを論じないと保留し、選挙終了後は沖教組や教職員に対してその責任なるものを追及するかのような態度を示しています。
ところで、知事を先頭とした勢力の以上の言動が、現在自民党政府によって進められている学習指導要領に基づく差別と選別の教育や、主任制度の教育現場への導入による上意下達の非民主的関係の確立、さらには教育基本法に基づく平和で民主的な教育に対する攻撃を背景にして行われているところに非常に危険な意図を痛感するものであります。
わが沖縄県における学校教育は、第2次大戦における郷土の壊滅的な打撃と廃墟の中からの復興であったし、また4分の1世紀にわたる米軍支配に抗しての教育という他府県では例を見ないものであり、そこにおける教職員や関係者の努力は、まさにイバラの道を歩む苦難に満ちたものでありました。
こういう歴史を持つわが県の学校教育における到達度は、まだ多くの課題を持つものであることは当然でありますけれども、しかし革新県政下におけるその努力の成果は特筆すべきものがあったということも事実であります。一、二の例を挙げれば、小中高校における体育館の設置率は、昭和49年に37.3%であったものが、52年には70.8%というように33.5%も上昇しているのであります。この間の全国平均上昇率は約3%であります。また、同期の高校進学率を見ますと、全国平均上昇率が2.3%に対し、沖縄県は8.7%と急上昇を見たのであります。もちろん本土との格差はまだ大きく、一層の努力を払わなければならないことは申すまでもありません。さらに、公立幼稚園の就園率が全国一の成果を得ていることなど努力の成果は決して少なくありません。
そこで質問の第1は、革新県政下で行われたこれらの教育向上の努力と成果について、知事はこれを認められるかどうかお伺いしたい。
2つ目の質問は、知事が資源として強調している人づくりは、企業の生産のために利用できる人、安保体制と有事情勢のもとに安易に組み込める人づくりの方向だと考えられるが、人づくりは決してそんな方向であってはならないと考えるものであるが、知事の御所見を求めます。
3つ目は、主任制度の導入問題についてでありますが、学校教育の反動化と国家統制の方向を急ぐ最たるものの一つでしかないこの主任制度に、日本国憲法と教育基本法の精神に基づき平和的、民主的教育を推進する現場の教師たちが断固反対されるのはまことに当然であります。したがってこの主任制度を押しつけるがごときことは絶対にあってはならないと考えるものでありますが、御所見を伺いたい。
第4に、県政連営の基本姿勢に係る諸問題についてであります。
知事は、今回の就任あいさつの中で「百万県民の知事としてその責任の重大さを痛感いたしております。」と述べておられます。立場の違いがあろうと百万県民の知事として当然のことだと申さねばなりませんが、問題は、選ぱれた知事が真に百万県民の名を恥ずかしめないだけの知事として求められている姿勢をこれから堅持できるかどうかということではないでしょうか。
そのことを前提にして、以下幾つかの点についてお尋ねしてまいります。
1つ、自民党は、これまで数多くの選挙で国際勝共運合の公然たる応援を受けてきていますが、去る知事選挙に当たっては西銘知事候補が大いにその支援にあずかっているのであります。
知事は、衆議院議員になられて以後、国際勝共連合の機関紙「思想新聞」に2回にわたって名刺広告を出しておられるほどこれらとの深い関係にありますのですでに御存じだと思いますけれども、国際勝共連合・統一協会は、あの人間性じゅうりんの集団結婚式や「高麗人参茶」、「農縮液」、「高麗壺」などのインチキ販売、韓国生まれの邪教集団として、またKCIAと深く関係を持つ謀略干渉組織として広く知られているもので、私が去る9月定例会の一般質問においてそのインチキ販売などについて取り上げたばかりでありますが、かかる国際勝共連合との持ちつ持たれつの深い関係を、百万県民の知事としてこれからも持続されるおつもりかどうかお伺いしたい。
2つ、企業敵視政策云々の中傷についてであります。
知事は、今回の選挙中立会演説会その他至るところで、革新が企業は敵であり産業は罪悪であるとの立場をとってきたかのように強調し、特に他党については名指しの攻撃はなされていないのでありますけれども、そういう中で日本共産党の企業敵視政策云々とわが党を名指して激しく攻撃し続けたが、一体何を根拠にかかる非常識きわまる中傷を繰り返し強調されたのか。知事は、共産党がこれまでも県議会内外において県内中小零細企業の擁護育成のために懸命に努力してきた事実や、共産党の産業振興政策を全く知らずに無責任な発言を繰り返されたのか、知事就任後の現在もその態度は同様なのかどうか、重大な問題だけに明確な御答弁を求めるものであります。
3つ目、知事は、今回の知事選立候補に当たり新自由クラブ並びに民社党との協定を結ばれ、その第6項で共産党とは明確な一線を画するとの基本態度を明確にしておられるが、公党として県議会に4人の議席を占め、一常任委員会の委員長を担当している責任ある政党に対して、知事として共産党とは明確な一線を画するというのは一体どういうことを意味するのか。百万県民の知事として超党派的立場で県民本位の県政を運営する云々との本議会への態度を表明されたことと、どちらが本意なのか詳しくお伺いしたい。
4つ目、利権政治がはびこり政治の私物化が生ずると汚職腐敗は避けられず、県政は食い物にされてしまいます。保守であろうと革新であろうと清潔な県政を貫くことは、県政を担当する者にとって県民への最小限果たさなければならない責任であり、政治的にも道義的にも求められ続ける最も重要な基本姿勢の一つであろうと思います。
ところで、私は率直に申し上げて、西銘県政に対するこの種の懸念をどうしても禁じ得ないものの一人であります。10年前の主席選挙の最中に当時立候補された西銘知事が、タクシー汚職事件について重箱のすみをほじくりあさるようなものだと述べ大問題となったことは県民周知のことでありますが、今回の選挙に当たって、知事が終始口をつぐんだままとなってきている田中派からの政治献金の受け取りについてもすでに県民のあまねく知るに及んでいるものである以上、この是非について公の場において論じ合うことは県議会の県民への政治的責務でもあると考えています。
そこでお尋ねしますが、自治省に提出された政治資金収支報告によれば、西銘順治氏とその後援会などが、1972年から1977年までの6年間で15回にわたり合計3000万円の金を、ロッキード疑獄の田中角栄の政治団体から受け取ったとの新聞報道がなされているがそれに相違ないかどうか、それが1点。
2点目は、西銘氏の政治団体である「銘治会」が1976年に田中の政治団体「越山会」から200万円の2回合計400万円を受け取っているにもかかわらず100万円の届け出があるのみで虚偽の届け出の疑いが持たれているが、そのことを知っておられるかその真相はどうなのか。
3点目、知事は、金権政治の追及で首相の座を転落し、ロッキード疑獄で刑事被告人となり、不名誉きわまる裁判を受けている田中角栄を師と仰ぎ今日なお田中派に属しているのか、これからもそうなのか。
4点目、このような田中派からの政治献金はいまからでも返上し、百万県民の立場に立って直ちに田中派から脱会するつもりはないかどうか。
最後に、百万県民の知事としてそれらのことについてどう考えておられるのか。人づくりをしきりに強調しておられる知事として、次の世代を担う子供らにどう教え範を示されるおつもりか、御所見を伺いたい。
5つ目、知事は、政治姿勢として「熟慮断行」をモットーとしておられるが、それにはきわめて危険な一面があります。すなわち知事が那覇市長時代に「熟慮断行」した寄宮区画整理事業は、住民不在の政治姿勢のゆえに住民の賛成も得られず、反対運動が展開されるや警察機動隊を導入してのファッショ的断行となり、しかも裁判所の工事執行停止仮処分決定により投げ出さざるを得なかったように県民の立場を離れ、その権利と利益の上に立たず民主主義を踏みにじるような「熟慮断行」は百害あって一利なしと言わざるを得ず、厳しく戒められなければならないものと確信するものでありますが、知事の強調される「熟慮断行」についての御所見を伺いたい。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 古堅議員の御質問に対しましてお答えいたします。
最初の御質問は、法定ビラの問題でございますが、この法定ビラの内容については私は全然知っておりません。おそらくこの中で書かれておる沖縄振興経済開発計画、これがいま政府で作成された沖縄振興開発計画と別のものであるかどうか、これについても詳しく私の方では調べていないのであります。
2番目の企業は敵であり産業悪との見解については、もう選挙も終わっておりますのでこれをいつまでも言い続けようとは思っておりません。
次に、企業不況は革新のせいではないと、こういうことを言われていろいろ予算の増加、あるいは事業の増加等の実績についてお話があったのでございますが、私は一面においては産業経済開発に対する積極的な姿勢が欠けておったと。これは振興開発計画の結果を見ればわかることでございますので、10年間にしてはその結果は余り芳しくないということができるわけでございまして、一面の原因はその中にあると私は考えておるのであります。
雇用拡大について具体的に示せと、その時期はいつかということでございますが、雇用の拡大については、先ほど申し上げましたとおり県内企業の保護育成はもちろんのこと、それから企業の誘致等によって一挙にこの拡大を図っていかなければならないことは、先ほど申し上げたとおりであります。
その時期等についてはこれはできるだけ早くやりたいんですが、予算との関連もございましていま明確に何月ごろから、何日からというようなことを申し上げることはできません。
それから沖縄振興開発特別措置法による38条の事業の実施、これはおそらく失対事業を中心とする事業の実施になっておるのでございますが、これは検討することにいたしたいと思っております。ただ労働省としては、全国的に産業開発につながらない、いわゆる失対事業は全国的にこれを廃止する方向にありますので、沖縄の特殊事情を説明いたしましてこれが実施できるかどうか今後十分詰めて検討していきたいと考えております。
基地、演習問題について御指摘があったわけでございますが、これは先ほどから申し上げましているとおり自衛隊あるいは米軍の演習等によって公害がないような、実害のないような体制をとっていかなければならないことは当然でございまして、こういったことに対して無神経で何もやらないということでは決してないのでございます。
(「質問に答えてないね、質問に答えろ」と呼ぷ者あり)大体前に説明してありますので、そのとおりであります。
それから有事立法について、いわゆる対米従属の姿勢であるというようなこれは基本的な問題でございますが、私は決して対米従属とは考えておりません。あくまでも日本の防衛体制は、日米安保を基調としてその基調が保たれていると、その体制が維持されているということで別に対米従属の姿勢だとは考えておりません。あくまでもこれは安保体制を基調として、今後の防衛体制を持続していかなければならないと考えておるのであります。有事立法についてはもう私が先ほど申し上げたとおりでございまして、これは基本的には有事に際して領土を守り、また国民の生命、財産をどうして守るかと受けて立つ体制についての検討でございまして、先ほど申し上げたとおりでございまして、いま日本を取り巻く情勢の中でその必要はないということは申し上げたとおりであります。
それから主任制度の導入につきましては、先ほどお話も申し上げたとおりいま教育庁でいろいろ検討いたしまして教職員会との話し合いがついて、それでいろいろ折衝を重ねてやっていきたいと。そしてこれはもうどうしてもやらなければならぬということでありまするならば、できるだけこれは早く実施したいと、こういう基本線で対処していきたいと考えておりまするし、別に反動体制とは考えておりません。
それから知事の基本姿勢についてでございますが、国際勝共連合との関連において指摘されたわけでございますが、これは何も私の方から、また自由民主党の方から協力を申し入れたこともありませんし、向こうが勝共連合が自発的にやっていることでございまして何のかかわり合いもございません。また、今後ともそういう態勢でいこうと思っております。
企業敵視云々の問題についてどういう根拠かと申し上げますというと、これはまあマルクス・レーニズムと申しますか、科学的な社会主義と申しますか、その基本は資本主義社会の打倒ということでございましてあくまでも階級闘争が中心でありまするし、また皆様方が県政を施行する上でのいろんな施策が示されておるのでございまするけれども、なるほど中小企業もこれは大事でございまして守り育てていかなければなりませんけれども、皆様方は常に大企業は敵であるとの基本的な姿勢に立っているわけでございますが、大企業は必ずしも敵ではないのでございまして、これは日本の国際競争力を培養する点からもある程度認めてやらなければいかぬことでございますので、諸般のそういった共産党の立党の精神、これまでの諸般の情勢からいたしまして当然私としてもこれを申し述べただけでございまして、根拠は、情報その他今日までの経過等からして十分言えることだと私は思っております。
それから田中派からの政治資金でございますが、これはそれこそ私は皆さん方に反撃を申し上げたいわけでございまして、選挙中に皆様方が、何かしらロッキードの方から私が金を取ったような宣伝をしているわけでございまして、ロッキードと田中先生とは関係があるかもしれませんけれども、ロッキードの方から私の方に金は流れておりません。しかしながら街頭で皆様方は、まるでロッキード社から私が金をもらったような宣伝をしておりまして、むしろあんた方に皆さん方に抗議を申し込みたいぐらいでございます。
また、この3000万円の資金にいたしましても、私は貧乏でございますので、6年間でいろいろな選挙がございました、参議院選挙を含めて。6年間で、これは「七日会」でございまして、私の後援団体の「銘治会」が受け入れてもらったお金でございまして、しかも適法に処理されて自治省に報告されているとおりでございます。それを皆さん方は、まるで収賄、贈賄したかのような印象でもって県民に訴えた、ああいう汚いやり方では県民が迷うばかりでございます。今後とも慎んでいただきたいと思うのであります。
それから400万円の問題でございますが、これも何か賄賂をもらったように宣伝をいたしておりますが心外千万でございまして、これも2年間に政治資金規正法に従って適法に処理された金額であって……
○古堅実吉君 まじめに答弁やれ。
○知事(西銘順治君〉 まじめに答弁やっているんですよ、まじめに。何を言っているんですか、まじめに答弁しているんですよ。
○古堅実吉君 質問に答えろ質問に。
○知事(西銘順治君) 質問に答えているんじゃないですか。(発言する者多し)そういうことで、皆さん方の指摘になったことはこれはそのとおりではございますが、適法に処理されたものであり、決して……(「そのとおり、そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりであります。
それから寄宮の区画整理事業と関連して、私も「熟慮断行」をやったわけでございますが、あれは寄宮ではございません。これは久場川の団地で、いよいよこれから公営住宅をつくろうとするときに、皆さん方を中心とする方々がブルドーザーの前に座ってしまって仕事ができなかった、そういう意味で私は警察官を導入いたしまして久場川の団地が整理できるような態勢をとったわけでございまして、あの当時の情勢からいたしましてはやむを得なかった措置でございまして、熟慮したからといって、決してやたらな人権を損害するようなことはいたしておりません。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 古堅実吉君。
〔古堅実吉君登壇〕
○古堅実吉君 まことに公職にある知事の答弁とは思えないでたらめきわまるうそ、偽りに満ちた形で答弁を逃げようとするさまは、あさましい限りであります。
法定ビラの問題についても事実を知らないということで立候補されたその本人が公の場における答弁として許していいものであるのかどうか、いま一度その責任ある立場からそれに対する回答を求めます。
勝共連合についても、私は9月定例会において事の次第をはっきりさせましたけれども、このような勝共連合といままでのような関係を続けていくなどということに至っては、百万県民の風上にも置けない知事と言わなけれぱなりません。
企業について、まことに日本共産党の政策を全く離れ、しかも昨日私はわざわざわが沖縄県におけるところの日本共産党の政策について資料として知事に提供してある、その政策に基づいて答えるということを要求しているにかかわらず、それを全く離れて共産党への中傷、誹諺に終始しています。まことに許せない問題であります。
さらに、あなたは寄宮の区画整理事業で警察官を導入しなかったなどということを言っていますけれども、私自身が寄宮区画整理事業のあの警察隊導入による強行に対して、地域住民の反対行動支援に出かけて一緒に闘った経験を持っているんであります。なぜ、そういう事実をもあえて否定しうその答弁をなさるのか、いま一度知事の答弁を求めるものであります。
一連の知事のこの座におけるところの答弁を通じて感ずるのは、百万県民の知事を云々しながら、中央直結の立場をとる知事がいかに県民本位を強調しても、しょせんは空文句に終わらざるを得ないものであるかという事実を早くも見せてくれたようなものだと言わざるを得ません。
時間もございませんので、2月の定例議会において引き続き突っ込んでこれらの問題について明らかにする決意であります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 勝共連合についてはとんでもないまた再質問でございまして、私は勝共連合と何も手をとって今後やろうということを申し上げた覚えはございません。やらないということであります。
それと経済振興開発計画は事実知らないんですから、私はもう選挙で一生懸命でございまして、そのピラの作成については全然関与いたしておりませんので、知らないことは知らないとはっきり申し上げただけであります。
それから寄宮の区画整理事業でございますが、私はあの当時は、久場川団地の造成については瀬長さんがブルドーザーの前に座っておりましたので、そういうことじゃいかぬということで、どうしてもやろうということで警官隊を導入いたしましてあれを排除したことは覚えているわけでございますが、寄宮の方は私は覚えておりません。
たしか、そのときには新垣助役が現場に出かけておりまして、警官隊の導入については私報告を受けておりませんので……。久場川の場合にははっきり覚えております、これは導入いたしました。しかし寄宮の場合には覚えておりません。
それとさき答弁漏れがありましたが、共産党とは一線を画するのかと。私の立場は、党派を超えてやっていくわけでございますが、共産党と一線を画するということは、政策的には共産党とは一線を画して協調しないと、そういうことでございます。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後3時15分休憩
午後3時33分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、代表質問を行います。
友利栄吉君。
〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 公明党県議団を代表して質問をいたしますが、厳しい自共対決の後で質問をいたしますので、どうか興奮をおさめてお答え願いたいと思います。
質問に入ります前に、厳しい選挙戦を勝ち抜かれてみごと当選されたことに対し心から祝意を表します、おめでとうございます。
さて、あらかたの問題が午前中から出尽くした感じでありますので、大体革新県政とどこが違うかということを見てみました場合に、地方自治の問題、地方財政の問題、副知事2人制の問題、あるいは一番肝心な雇用失業対策、経済開発の問題、第1次産業の振興の問題等々、ほとんど革新県政と変わらない内容であります。
最も180度変わったと目されるのが安保と基地問題、米軍演習の問題、CTSの3点かと思います。そのことは質問に織り込みたいと思いますので、よろしくお願いします。
さて、知事の就任1週間を経たばかりでありますので、あえて具体的政策には入らないつもりであります。就任あいさつの所信表明の中から、また選挙中の公約の中から、幾つかの基本姿勢にかかわる問題について所信を述べながら御見解を伺いたいと思います。
今回の選挙は、10年の革新県政が継承されるか、または保守県政が取ってかわるかという全国的にもまれな関心を集めた選挙でありました。それだけに西銘候補の公約は、県民にとって耳新しい言葉がポンポンと飛び出したことが大きな関心を呼んだものと思われます。
先ほど来、選挙中のお話をしますと選挙は選挙、いまはいまというふうな御答弁のようでありますけれども、そういう姿勢はやめていただきたい。純真な県民を欺瞞したと言われてもいたし方がないのであります。
さて、その1、西銘さんは、「私の県政運営に当たっての基本的な姿勢は、これは政治姿勢についての問題であります、余りにも左に傾き過ぎた県政を中道に戻し、県民各層の利益を図っていくことである」、このように述べておられますが、質問の第1、10年の革新県政が左に傾き過ぎていたとはどういうことか、またそのために県民のどの階層の利益が損なわれておったのかについて御説明を願いたいと思います。
いやしくも、10年の革新県政は県民が選択した政治路線であります。それに対して左に傾き過ぎていたとか、まるで全体の利益が図られなかったというような発言というのはゆゆしい大事であります。詳しく御説明を承りたいと思います。
質問の2、中道に戻すと言われておりますが、それはいかなる路線か。またそれは同時に保守自民党の路線はとらないということを意味するものであるのか、左と中道と右に立て分けて御説明を願いたいと思います。
質問の3、中道路線の政治理念についての知事の御見解についてお伺いいたします。と申しますのは、中道革新の路線を標榜するわが党にとって、知事の言われる中道県政は重大な関心事であるからであります。あなたは、立候補前はれっきとした自民党に所属する国会議員であり、立候補の際は新自由クラブ、民社党の支持を受ける立場から無所属と名乗られたと思いますが、当選後は自民党の党籍にある知事であります。そのあなたが、中道県政と言われるのですから私はびっくりするわけであります。自民党のよろいの上に、中道の衣を着けた偽装中道と思われてもいたし方がないと思います。
あるいはもしかしたら、わが党の言う中道革新と知事がおっしゃる中道とは別のものかもしれません。いずれにしてもあいまいで紛らわしいので、この際明確にする必要からわが党の中道革新の定義について少しく申し述べてはっきりした御見解を承りたいと思います。
私どもの掲げる中道革新の定義は、第1、自民党保守政権の退嬰的、消極的な政治姿勢、小数者利益の擁護を、その姿勢を批判し克服していく政策の実践を言うのであります。
第2に、いわゆる旧革新の観念的、非現実的姿勢を指摘し、より現実的、より段階的に政治改革を推し進める政策の遂行を目指すのが中道革新の路線であります。すなわち古い保守と古い革新の双方を批判し、それを止揚し、実践によって現代の政治課題を克服する路線であることを定義づけております。
しかして中道革新の原点を、第1、人間第一主義に置いております。すなわち生命尊重主義であります。この人間主義は、人間より国家を尊重し、あるいは「個」よりも「全」を重視し、国家の網を国民にかぶせていくいわゆる全体主義とは全く逆のものであります。「個」があって「全」があり、人間があっての国家である。したがって 「個」の尊重、人間尊重は、一切の物事の第一義に置かれるべきであると主張しております。
国家あっての国民、全体あっての個人というとらえ方は、資本主義ではファシズム、社会主義ではスターリニズムの土壌であるからであります。
県政に即してこれを敷衍するならば、国策安保のために県民の犠牲があるべきではなく、石油備蓄という国策のためにCTSが誘致さるべきではないということであります。それはいずれも基地悪といい、公害悪といい、人間の生命に重大なかかわりがあるからであります。
質問、次に移ります。次は、経済開発に関する御発言の中からその問題点について申し上げたいと思います。
11月22日の立会演説会で、このように述べておられます。「わたしの政治信念と基本的な考え方」として、次のように言っておられます。
「わが県は、復帰して7年、革新が県政を担当して10年後の今日、重大な危機に直面し一歩あやまると、経済社会の破綻を招く大きな曲がり角に直面しているのであります。この歴史的一大転換期に際し百万県民は、真実に目を醒まし、この危機突破のため、かん然と起ち上がらなけれぱなりません。地場産業の倒産、失業者の激増、凶悪犯罪の増加、生活難など枚挙にいとまのない難問題にどう対処するか、わが県が直面している問題は、まさに鉄の如き意志、鋭い判断力、断乎とした実行力をもってして、はじめて解決しうるのであります。」と述べておられます。西銘知事の気魄がにじみ出ておりまして、その意気込みについては評価するにやぶさかではありません。
県民の大きな共感と期待をさぞかし得たことでありましょう。
そしてあなたは、ここで経済開発というバラ色の夢を描いてみせてくれました。「西銘知事」が実現するならば、企業の誘致、公共投資の拡大によって景気を刺激し、浮揚し、不況を克服し雇用の拡大・失業不安の解消等々、鉄のごとき意思、鋭い判断力、断固たる実行力、まさにいまをおいて発揮するときはないでありましょう。県民の寄せる大きな期待があると思われます。その反面に、また大きな不安もあるのでありますが、この議論は後日に譲ることにいたします。
次にお述べになっていることは、重大な問題として提起したいと思います。
「そして今日のような事態を招いた最大の原因は、県民のくらしとかけ離れた、イデオロギーという不毛の論争にあけくれ、何でも反対と言う非生産的な革新運動に、県民が振り回されたことであります。」と述べておられます。
不況、失業の最大の原因は革新県政に県民が振り回されたことになります。県民を何と思っていらっしゃるのでしょう。このことについて納得のいく御説明を承りたいと思います。
沖縄の不況、失業の最大原因は、あえて言うならば国の不況のしわ寄せ以外の何物でもなく、自民党政府の経済政策の失敗が最大の原因であり、沖縄の底の浅い経済と離島性、さらに大量の軍雇用員の解雇等々、これらが不況、失業の深刻度を増したことは明らかだと考えております。
質問の第3に移ります。
次は、基地対策についてでありますが、就任あいさつの所信表明の中で、前文を略しますが、「私は、このとき県民の信任を受け知事に就任し、その責任と使命の重大さを痛感するとともに、時代の進展に即応した超党派的立場に立って県民本位の県政を運営し、」云々とあります。
知事のおっしゃる超党派とはいかなることでしょうか。私は、県民のコンセンサスを得たものを超党派と解釈したいのであります。しかしあなたの場合、超党派の県民本位の県政というのは、基地やCTSを除くことにしか使われていない感がありますが、いかがでございますか。西銘知事に批判票25万票は、まさしく基地に反対し反戦平和を掲げて、そしてCTS、公害に反対してきた方々が大部分だと思われます。これらの方々のコンセンサスなくして超党派的とは何を意味するのか、そのことを明らかにしてもらいたい。
次に、いまの文を受けて「このような情勢を踏まえ、 「熟慮断行」、自立自助の精神にのっとり、県民の暮らしと心を県政の基本として、」云々とあります。もう先ほどから県民の心が問題にされておりますけれども、私は県民の心というのはただに伝統文化を愛する心だけではないと思います。革新県政10年の間に培われた県民の心というのは、やはり反戦平和の心ではないかと思います。そこに革新県政は平和と福祉を求める、平和で豊かな県を、このようなスローガンで歩み続けてきたのであります。
いま、基地に対する知事の姿勢を伺うためにあえて県民の心を引用させてもらいましたけれども、基地拒絶の革新県政から基地容認の西銘県政への基地行政は、まさしく180度の転換をしたのであります。これは最も象徴的な変革と言えるものであります。
革新県政10年の苦悩の大半、否ほとんどは復帰処理、戦後処理、基地と関連する諸悪の対策に消費されたといっても言い過ぎではないと思います。この種の県政は、また他県に例を見ないものであり、まさに沖縄の膨大な基地は、沖縄の特殊性を象徴する県政の最も大きな壁であろうと思います。
われわれは、県民福祉の原点を平和で豊かな沖縄に置いてきました。将来とも変えてはならない福祉の原点であると思います。県民が戦災から得たものは、実に永遠に再び戦争を起こしてはならないという平和希求の心であったし、平和のとりでを沖縄にという心は、子孫に伝え切っていかなければならない最高の文化思想であると確信しているものであります。同時に、反戦平和を沖縄の心として歩み続けてきた革新10年の歩みのとうとさを再確認するとともに、私は西銘県政の前途に大きな不安を禁じ得ないのであります。
先ほどから繰り返されておりますけれども、この不安にいかにお答えになろうというのか、もう一回確認をしたいのであります。
次に、選挙の「10大政策」には、皆さんは軍事基地の大幅整理縮小がうたわれているが、米軍の都合によって返還縮小された軍用地はあっても、県民の要求によって返還された軍用地はほとんどないのが現実であります。それを西銘さんは、大幅に整理縮小を可能にできるのかどうか。
以上のことをお伺いして、必要があったら次の質問に移ります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友利議員の御質問にお答えいたします。
御指摘になったとおり大きい変わり方、特に革新県政との比較において大きく変わりましたのは安保、基地の問題、それからCTSの問題であることは御指摘のとおりでございます。
それから基本姿勢についてでありますが、左に傾いたとは何かとそういう御質問があったのでありますが、これは私が申し上げるまでもなく革新政党が県政を握っているということを意味しているわけでございまして、特にその中でどの階層が利益を受けたかということについて私は触れておりません。ただあくまでも、中道の立場から県民の利益を各階層の利益を守っていかなけれぱならないということを強調しただけであります。
また、中道路線とは一体何なのか、自由民主党の党員であるので自由民主党の路線とは変わらないと思うんだが、一体中道とは何かということでございますが、これは御指摘になったとおり問題の解決に当たって、いわゆる党派を離れて自由民主党のあるいは党略、政策に影響されることなく、また少数政党でありましても、その意見が正しければこれを勇気をもって取り上げて具現していく態度で臨まなければならないと思っておりまするし、私の中道とは、先ほど友利さんから御指摘がありましたとおり問題解決に当たっては、より現実的に、より段階的に仕事を進めていかなければならないと思っておりまするし、イデオロギー論争に明け暮れてはならないと考えているわけでございます。
また、私は、全体主義を排して豊かな人間主義の線に沿って個人を大事にする立場で政治を進めていかなけれぱならないという御主張に対しましてはこれは賛成でございまして、日本国憲法もそういう立場から私はつくられていると思うのでございまするし、特に憲法の中で規定された基本的人権の考え方も人間主義、国家といえども個人の尊厳を侵してはならないという基本的な構想で立てられたものだと思うのでございます。
私は、基地は認めておりまするけれども、基地から発生する害悪についてこれを是認しているわけじゃ決してございません。あくまでも公害、また演習等に伴う実害、自然環境の破壊に対しましては、厳しくこれに対して対処していかなければならないということは先ほど申し上げたとおりであります。
経済問題に触れて、特に不況、失業の問題について私が11月22日の立会演説会でやった内容を例にとっていろいろ御指摘があったのでございますが、これは具体的に申し上げるまでもなく、どうも全般的に申し上げまして不毛の論議に終始した感があったと私は考えておるのでございます。
もちろん不況の原因が、もっぱら革新県政の責任であるとは私は申し上げておりません。石油ショック以来、日本の高度成長が初めてゼロ成長、マイナス成長を記録いたしましてそれによって企業倒産、不況に追い込まれたことも大きな原因の1つではありまするけれども、そのほかに革新県政10年の中で本当に積極的な第1次産業を除いての産業開発、工業開発に対する積極的な努力を忘れた、これは私は指摘していいと思うのでございます。
超党派的とは何かと、基地、CTSを除いての超党派的とは一体どういうことかという御指摘でございますが、党派を超えてということは、各党の協力を得まして民社党はもちろんのこと、新自由クラブの協力も得まして、また皆さん方の協力も得て問題を具体的に処理していくということが党派を超えた立場であると私は考えております。
革新県政の中で反戦平和に徹したあの県民の心を守った点、これも私は高く評価するわけでございまするけれども、これは自由民主党でありましても反戦平和、平和に徹するということが日本の国是でなければならない。これに徹することによってわが国の経済の安定が図られ、国民生活もその安定をさせることができるという意味においては、私は気持ちの上では反戦平和の心であることには違いはないと思っております。
それから基地問題から派生する不安の除去でございますが、これは先ほどから申し上げまするとおり基地の整理縮小は目標でございまするけれども、この10年間で県が、市町村がある計画を立ててこれを産業政策の上から、あるいは土地計画の上からこれだけの土地は返してもらいたいという具休的な要請があったかなかったかしりませんけれども、そういった積極的な対策、県民の側から、市町村の側からとの関連において、計画において基地排除の体制がとられたことはそんなに多くはなかったと、これは御指摘になったとおりであると思うのでございます。
したがいまして、この整理縮小につきましても、先ほど申し上げましたとおり現実の問題といたしまして返還されてもその使用、跡利用の計画が立ちませんというと、これを返してもらいましても問題の解決にはなりませんので、具体的にケース・バイ・ケースで処理していきたいと考えているところでございます。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 吉田光正君。
〔吉田光正君登壇〕
○吉田光正君 本員は、革新クラブとしまして通告いたしました事項について所見を織りまぜながら質問いたします。
まず最初に、たぴたび出たようでございますが、このたびの選挙では激しい闘いだったと思いますが、県民多数の御支持を得て御当選なさったことに対して心から祝意を申し上げます。ひとつ御健康に留意されて、県民に公約されたところの政策が実現されることを大きく期待いたします。
これまで、各派の代表の方から知事の基本的な姿勢につきまして各面からの御質問がありまして、さらにそれに対する御答弁もあったわけでございますが、これからの質問も多分重複する面が多かろうとは思いますが、最初の議会でございますし、また議会を通じて県民に知事のこれからの県政に対する基本的な姿勢というものをこの場から何回も何回も繰り返して御説明なさることが、より多くの県民の理解が得られるかと思いますので、前に答弁したとおりというようなお答え方じゃなくて、ひとつ初心のおつもりで御答弁していただきますことを心から期待いたします。
まず最初に、去る11月15日の知事選挙告示の日の新聞報道に「県知事選に臨む10大政策」が発表されておりますが、その要約した公約としての項目的な面を見てみますと次のとおりになっております。
まず「基本姿勢」の欄には、先ほどもございましたけれども、「現在の沖縄は、企業の倒産、失業者の増加、慢性化する交通渋滞など、経済的にも 社会的にも、極めて深刻な状態にある。」、「革新県政10年の停滞と混迷から脱出し、活力あふれる「明日の沖縄」をつくることが、われわれに課された責務である。わたくしたちは、平和主義に立脚して、全県民の英知と力を結集することによって、ゆたかな福祉社会の建設をめざす。そのために、自立自助の精神を基本としつつ、県民の要求を国政に反映させ、国庫支出の大幅な増額を求め、あわせて執行能力を強化し、たくましい県政を確立する。」とうたい、そして次に「経済開発」の欄を見ますと、「県政発展の基礎は自立経済を確立することである。そこで、中城湾港開発、那覇国際空港建設、南進道路等を含む大型公共事業を実施する。農林水産業振興は生産基盤を整備し、後継者育成、資金確保、流通機構の整備を図り、地域の特性を生かし、キビ、パイン、畜産等の対策を強化して、所得の確保を図る。200カイリ時代の漁業は、漁港の整備、沿岸、近海、養殖漁業の振興を図る。工業開発は基礎条件を整備し労働集約型工業を誘致して、伝統工芸の振
興、安定を図る。CTSについては、地域の環境保全を考慮し、エネルギー確保に努める。観光開発は観光基本施設を整備し、地域特性を生かし、国際、国内観光ルート上に位置づけ観光立県をめざす。」とされております。
先ほど知事もおっしゃっていましたが、今日における長期経済不況の停迷は、日本政府の長い間の高度経済成長政策と石油ショック以降の国際的、国内的の経済構造の矛盾から派生していることは大方の常識的な範疇であり、革新県政だから不況になっているとの論理はちょっと承服しかねるところであります。
沖縄振興開発審議会総合部会の専門委員会の「労働力需給調整で中間報告」として去る11月14日に「沖縄の失業問題は産業構造に起因」すると報告しております。
その中で、失業の増加の理由として、まず1つ、供給面で県外からの転入人口の増加、ベビーブーム世代が15歳以上の年齢にすっぽり含まれ、労働力率が昭和50年から上昇に転じ労働力人口が増加した。2番目、需要面で実質総需要の伸び悩み、労働節約いわゆる省力化が進んでいる。3番目に、雇用機会の情報の不足、需要の地域偏在、求人求職条件の不一致などの摩擦等を挙げ産業構造に原因があると報告しており、さらに軍からの離職者がこれに加わって沖縄の失業率が高くなっているという報告であります。
そこでお伺いいたします。
前に述べました西銘知事の経済政策の項目は、CTSに対する考え方の相違はあるが、屋良、平良2代続いた革新県政がこれまで調査し計画し予算化して執行しているのが大部分です。また本議会においても多くの議員が取り上げて論じた項目であります。それで従来の革新県政の政策を振興計画の計画どおりに執行されていくのか、あるいはまた西銘知事のもとで手直しをし、計画を新たに作成して新しい構想の政策でやっていかれるのかどうかお伺いいたします。
雇用の場の創造拡大については、CTSなどはおいでおいでをすれば喜んでくると思いますが、労働力集約型の企業誘致に対して具体的な方向と全国的な不況、あるいは企業側の減量経営等を勘案した場合、その可能性はそんなに簡単なものではないと考えます。しかし経済の西銘をアピールし、また日本経済の企画部門にも参与された過去の御経歴から見ますと、日本経済全体の中で沖縄にどのような企業を立地し、どのようなものを持っていけば雇用の場が造成されるという御計画はとうに構想の中にはあられると思いますので、その具体的な方向性についてお伺いいたします。
次に、本県における過疎地域市町村は、沖縄振興開発特別措置法第48条第1項の規定に基づく昭和48年1月11日沖縄開発庁告示第2号により24市町村――1市5町18村が指定されております。県下全市町村53市町村のうちの45.3%が離島過疎地域になっております。そのうち国頭村、大宜味村、東村、今帰仁村及び本部町の町村は沖縄本島にあり、残り19の市村は離島であります。24過疎市町村は面積的に見ました場合に62.1%、人口で13%を占めているが、人口はその後も50年度の国勢調査以降も逐年減少して過疎化が相変わらず進行しております。
そこで、革新県政のもとで離島過疎地域の実態を細かく調査いたしまして、今後の離島過疎地域の振興対策につきましては各島ごとに交通通信体系の整備とか、教育文化施設の整備、生活環境の整備、厚生施設の整備、あるいは保健医療の確保というような形で各離島各地域で目下予算が相当取られまして逐年整備が進んでいるわけではございますが、先ほども申し上げましたように革新県政のもとで計画し執行されているこの離島過疎地域の振興対策につきましては、今後従来のその計画を踏襲されていかれるのか、また西銘知事の構想のもとで新しい審議委員会などを設けて、さらにその答申に基づいて西銘カラーのもとで離島振興をされていくのかどうかお伺いいたします。
なお、西銘知事が離島の御出身であられるということで多くの離島の非常な支持を得ておることは今度の選挙の結果によっても明らかでございますので、離島過疎地域の西銘知事に期待することは大きいと思いますので、ひとつその面の方向性についてお伺いいたします。
次に、教育に対する基本的な考え方につきまして、昭和22年3月31日に制定された教育基本法は、その前文に次のようにうたわれております。「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」と。そして第1条の「教育の目的」に、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」との方針を示して、その第10条の「教育行政」については、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と。「教育行政は、この自覚のも
とに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」と、こういうふうにしております。
知事の政策の中で、人づくりの問題が大分論じられてこれまでの質問の中にも多くこのことが出てまいりました。この教育基本法が日本国憲法の精神にのっとって策定されておりますので、この教育基本法こそ現在の日本国民の人づくりの根本原則でなければならないとこういうふうに本員は考えており、また過去30年余りこの方針にのっとって日本の教育は振興し、日本の人づくりはその方向でつくられてこれまで続けられてきているとこういうふうに考えるわけでございますが、新聞の報道によりますと、西銘知事の人づくりの発想には、まず運転者になるには日本一の運転者になれと、教員になるには日本一の教員になれと、こういうような発想の人づくりがあるように考えられます。そうしますと、沖縄百万県民が全部日本一になる方向に向かっていった場合にどうなるだろうかというようなことも考えられますし、その裏にある発想、精神ということはわからぬではないんですけれども、しかしながらそういう国の根本的な方針のもとで新しいところの、この精神の別の行政面のこの10条にうたわれているのを主体にしたところの知事の発想であるのか、あるいはまたその他に新しいところの人間像というのを
描いた一つの人づくりのことであるのかどうか、ここら辺をお伺いいたしたいと思います。
これは下手をすると国の国家権力、あるいは時の為政者の恣意によって人づくりの方向性を決められてしまうと、これは非常に危険な方向に進む可能性がないではありません。したがってとの人づくりの問題については、今後とも私たちは非常に注目してこの動きを見たいとこう思っております。
われわれの人間の社会というのは、いわゆる民主社会というのはいろいろな人間がおって、そのいろいろな人間が自分の持つ能力を互いに十分に発揮させてその能力を通じて社会に貢献する、そしてその人たちが集まって社会を形成する調和したところの社会でなけれぱならない。たとえばオーケストラをやる場合に弦楽器もあるだろうし、管楽器もある、打楽器もあるし、同じ弦楽器で大きい音を出すのもあるし小さい音を出すのもある。同じ打楽器でも大きい音を出すのもあるし小さいのもある、強いのもあれば弱いのもある、これをおのおの持つところのその性質、能力によってそれを最大限に生かしながら、それを指揮者がうまく調和されてハーモニーがとれて初めてりっぱなオーケストラができるとこう思うわけですが、人間社会もやはりそういうような形のおのおの持つところの、一人一人が持つ能力を最大限に発揮するところの体制ということこそが、この教育基本法でうたわれているような基本的な精神じゃないかなとこういうふうに思うわけでございます。
したがって、この人づくりのことにつきましてはこれまでもいろいろありましたけれども、ひとつもう少しわかりやすいような方向で御説明を願いたいと思います。
次に、沖縄の地理的位置についての考え方について。
沖縄は、およその地理的位置は北緯24度から27度線の間に点在している島々であります。この地理的位置という表現をしたのは、われわれの沖縄の過去の歴史の歩みを見てみますと、沖縄がこの24度から27度線の間に点在しているこの位置の要素、この位置の要素がわれわれの歴史に大きくかかわり合っているということであります。
たとえば、1853年の5月26日にペルリがやってきております。なぜペルリがやってきているかというと、ペルリは沖縄に来るためじゃなくて目標は日本であります。日本に行くために、まず最初にその足場をどこに置いたかというと沖縄に置いたのであります。沖縄に5月に来ていますけれども、その翌月1853年の6月9日には浦賀へ行っております。浦賀へ行って黒船騒動をやっている。そのときにはもう条約は結べませんから、来年まで待ってくれということでもう一遍今度は沖縄に帰ってきております。帰って、翌年の1854年の3月に例の「神奈川条約」が結ばれている。ということは、目標は日本であるけれども、その目標を達成するためにまず沖縄に基盤を置いて、その間にしっかりと沖縄の各地、八重山、ずっと西表あたりまで行って調査をしております。
それからごく最近の例といたしましては、第2次世界大戦の沖縄戦は何であったかということをわれわれは考える必要があろうかと思うんです。ということは、沖縄で決戦をして勝ち負けを決めるというような戦いの仕方じゃなくて、これは第32軍の高級参謀の言によりますと、結局いかにして沖縄で時間をかせいで本土決戦の準備をさせるかと。ということは、裏を返せば沖縄は全滅してもいいからまず本土を一応守る体制を早くとらそうと、こういう時間かせぎ的な作戦が展開されていることはこれは周知の事実と思います。
こういうような歴史的な観点から見た場合に、沖縄のこの24度から27度にあるところの地理的位置というのは、私たち沖縄県民にとってこれは非常に深刻に考えなけれぱならない問題かと思うんです。そうするとこの第2次世界大戦でわれわれが経験したこの沖縄戦というものは、将来に向かってもわれわれは歴史の大きな教訓としてこれを考えなければならない。
なぜかと申しますと、先ほどから基地の問題が論じられております。全国の基地の53%は沖縄にあると。沖縄にあるということ自体、これは5年後になるか、10年後になるか、50年後になるかわからぬけれども、ここに強力な基地があるということ自体が、いまのような大陸間弾道弾ミサイルが発達している時点で何か国際的ないろんな問題が起こった場合に、一番強力な基地のあるところに戦略的にはすぐ真っ先にここがやられるということは、これは少し戦略を考える人でしたらだれでもこれは常識的に言えることなんですね。そうすると沖縄の基地という問題は、知事が言う沖縄県民の立場に立つということであれば、この位置的な、26度線にあるこの沖縄の位置ということは、絶えずほかの勢力、ほかのための手段として沖縄が使われるということをわれわれは十分認識して立たなければならない。
こういうような視点から見た場合に、沖縄のこの位置的ファクターというのは、われわれがこれは真剣に考えて今後対処しなければならない。そういう視点に立ってこの基地問題を考えた場合に県民の立場に立ってどうあるべきであるかということは、われわれがこれは本当に保守であり革新であるとかいうそういうようなものじゃなくて、一緒に考えなければならぬかと思うんです。
沖縄の問題を考える場合に、人口的に見た場合に約100分の1、その他の面から見ても沖縄問題を考える場合、大体日本全体の100分の1を考えておけぱいいんじゃないかとよく一口に言います。そうすると基地の問題を考える場合に、皆さんも公約の中に整理縮小を言っておりますから、全廃することが望ましいけれども、まず当面100分の1基地達成の方向へ向かうところの意思はないかどうか、県民の立場に立って。いろんなものを考える場合に、やはり沖縄は全国的に100分の1というそういう立場からした場合に、沖縄の基地を100分の1に整理するような方向性、当面の問題として、そういう方向性をとるようなお考えはないかどうか。
そういう方向に県政の方向を向けていくところの、そうすることによって県民のいま持っているところのいろいろな基地から派生してくるところの生活的な不安のいろんな問題が、そういう方向にだんだんだんだん方向づけられていけば将来性の見通しというのもある程度考えられるわけでございまして、そういうことに対してどのようなお考えであるか。
われわれは、われわれの長い歴史の中で見た場合に、人間が生活する上において平和ということが一番中心課題でなければならない。文化の創造にしても、いかなることにしてもまず平和であるということが前提条件にならなければならぬので、沖縄の現在のわれわれのこの地理的要素というものについてあくまでも県民の立場に立つ、そして県民の心というのは、これまでのわれわれの戦争経験を通じてもわかるとおり、あるいはまた日本も戦争経験を通してもわかるとおりやはりあくまでも平和主義に徹するということが前提であるというようなことからしてひとつこの基地の問題、これまでいろいろ問題が出ましたけれども、さらに県民にこの場を通じてこれからの基地の整理縮小の方向性というのはこういう方向性でいくんだというようなことを示唆していただければ、県民ももっと落ちついた、あるいはまた基地に対する考え方もいろいろと変化があろうかと思いますので、ひとつそれをはっきりした方向を示していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 吉田議員の御質問に対しましてお答えいたします。
県政運営の基本的な姿勢については、申し上げましたとおり一党一派に偏することなく本当に県民本位の立場から県政を運営していかなけれぱならないと考えておりまするし、さらに少数意見につきましても、正しい意見であれば率直にこれを取り上げて県政の上に反映していかなければならないと考えております。
経済不況の問題について御指摘があったわけでございますが、確かに構造的な欠陥によるものがあったわけでございまして、高度成長から低成長に向かって日本の経済が大きく流れを変えまして、マイナス成長を記録いたしまして倒産、不況に追い込まれたことも一つの大きな要因であったわけでございます。
この構造的な欠陥は御指摘になったとおりでございまして、島内における労働力の増加並びに景気の問題に関連いたしまして総需要の伸びがきわめて少なかったと、それから軍における離職者が相次いでふえてきたということが一つの構造的な欠陥として指摘されなければならないのでございますが、ただ10年間、先ほども申し上げましたとおりもっともっと積極的に産業開発、企業誘致に対する積極的な姿勢が欠けておったんじゃないか、これを私は申し上げておるのであります。
経済振興10カ年計画の見直しにつきましても、もちろん現在の構造不況業種を抱えた日本の不況の中で企業を誘致することは困難だとは思っておりまするけれども、困難だからといってこれはほっておくわけにもいきませんし、あらゆる知恵をしぼり、また関係者の方々の協力も得まして強力にこれに対する解決策を見出していかなければならないことは当然でございます。
ただ、具体的にどういう業種を持ってくるか、どこに位置づけるのか、特に工業開発については問題もたくさんあるわけでございまして、いまその具体的な方向性について述べよと申し上げましても、先ほど申し上げましたとおり中城湾港のこれからの建設の問題と関連いたしまして、どういう業種をその後背地に位置づけるか、どういう施設を持ってくるかこれから検討しなければならない問題がたくさんあるわけでございまして、ただ一つの方向といたしましては、先ほどから指摘しておりまするとおり何といっても地場産業の保護育成、これを重点にいたしまして足りないところを本土企業、また本土の技術、これをかりて一緒になって工業開発をしていかなければならないわけでございまするし、特に労働集約型の公害の少ない企業を誘致することはもちろんのことでございまして、いま糸満でナショナルの工場誘致について土地の取得がされておるのでございますが、こういったこと等も考え合わせましてどういう業種を選定していいか、これからの大きな課題でございます。
次に、24町村の過疎対策について御指摘がございましたけれども、これは離島苦の解消という意味におきまして何といってもその離島の生活環境を整備することでございまするし、水の問題、港湾の問題、学校の問題、いろいろございまするけれども、そういった生活に必要な環境を整備していくことが一番重要な仕事ではないかと考えておりまするし、さらに離島振興対策と関連して考えていかなければならないことはいわゆる含みつ対策でございまして、含みつを生活の糧といたしておりますので、この含みつ対策を早急に確立いたしまして、できれば政府からの持ち出しではなくて法律的な保護を政府に要請してその実現を図っていかなければならないことは当然でございますが、その他離島の含みつ地域を原料の増反によりまして分みつ地域に転換させる等の対策も同時にとっていかなければならないと考えておるわけでございます。
したがいまして、離島過疎の地域対策については、そう従来のものと変わってここで新しい施策があるわけではございませんので、先ほど申し上げたとおりの従来の施策を踏襲することが一番近道ではないかと考えております。
それから私は、教育の問題はずぶの素人でございまして吉田さんみたいに教育関係は余り勉強いたしておりませんが、これは御指摘になったとおり教育基本法の「目的」、10条で規定されたことは、私は教育行政の基本だと思っておりましてあくまでも不偏不党と申しますか、中立の立場で特に教育行政は運営されていかなければならないと考えておるのでございます。
ただ私の構想は、選挙のときにも申し上げたのでございますが、この沖縄の風土の中でとにかく沖縄の青少年たちが本当に高度の技術を身につける、また頭脳にいたしましても、学力にいたしましても本土の水準を抜いたときに、本当に社会開発にいたしましても、工業開発にいたしましても日本一になれる体制づくりができるのではないか。そういうことで百姓になるなら日本一の百姓になりなさい、またかじを取るなら日本一の船長になりなさいと、こういうことでいわゆる沖縄の地から本当に総理大臣が出るようなそういう風土づくり、各界を代表するような偉材が沖縄から雲のように出たときに、私は沖縄の豊かな県づくりはその目的の大半を達するのじゃないかと。いま沖縄は資源も何もございません。そういう意味においては1に足りないのも人であり、2に足りないのも人であり、3に足りないのも人である。とにかく沖縄にとって一番大きな財産は人であると、こういう観点に立って学校教育で足りないのを補完する意味におきまして社会教育、あるいは家庭教育三位一体となってどうしても日本一の教育県に持っていきたい。そうすることによって人材をつくり出す環境条件を整備していかなければなら
ない。これにはもちろん教育予算も伴うことでございまするので、教育長の知恵もかりまして私はとにかく人づくりを重点に今後の施策を進めていく所存でございます。
なるほど、吉田さんの言われることもわかるのでございますが、これはまあオーケストラのようなもので指揮者も大事でございますが、弾き手――バイオリンを弾く者、あるいは太鼓を打つ者、それぞれがりっぱな弾き手になることによって一人一人が有能な弾き手になることによって総合的な調和のとれた音が出てくるわけでございまして、なるほどそういう意味においては能力に差がありましてもそれぞれの能力を大事にしていく、これは大切なことでございまするけれども、ただそれだけでは何かしら物足りない、何とかして能力を引き出して日本一の青少年に持っていきたい、また日本一の指導者が出るようにしたい。日本一の教育者がたくさん出れば、私は日本一の児童生徒が沖縄の中から出てくると、こういうふうな考え方に立っているわけでございまして、決して一人一人の個人の能力を尊重しないと、そういうことではございませんし、あくまでも個人の能力には差がありまするから、その差を差なりに認めて温かく育てていくことも大事でございまするけれども、何としてもりっぱな人間を、日本一の人間をつくりたいと、そういう環境づくりをしてみたいという考え方に立っておるのであります。
最後に御指摘になりました沖縄の地理的な位置、東西1000キロ、南北400キロにわたる海域を含めますと本当に日本一の沖縄県でございますが、この歴史的な事実を引用されて指摘されたわけでございますが、おそらくこの沖縄の戦略的な価値というのは、どこの国から見てもアジアの戦略体制の中で重要なポイントを占めるんじゃないかと。米国が見ても、ソ連が見ても、中国が見ても沖縄の位置というものは動かすことのできない戦略的な大きな価値を持っておるんじゃないかと。具体的に歴史の事例を引かれて指摘されたわけでございますが、そういう意味で沖縄のその戦略的な基地というものをどうこれを整理縮小していくか。先ほどから御指摘になったとおり人口も100分の1でございますので、基地もできるだけ100分の1に縮小せよということでございますが、基地の整理縮小計画については沖縄の戦略的な価値と申しますか、沖縄近海を通る漁船、タンカー船、それから普通の鉱物専用船、いろいろな船舶、日本の生活、日本の産業に必要なエネルギー、石油、資材、機材等いろいろ考えてみまするというと、そういう点からしても日本の経済にとって大事な経済的な戦略価値もあるんじゃない
かと、こういう立場からいろいろ基地の整理縮小の問題が検討されなけれぱなりませんけれども、こればかりはすぐにゼロにするというわけにもまいりませんし、具体的に跡地の利用等もよく考えまして地主の納得のいくような形で処理していかなければならないわけでございまして、何年後にゼロにすると言ってこれは約束いたしましてもできることではございません。
最後に、平和主義に徹せよと、これは全く御指摘のとおりでございまして、日本の産業、経済の構造を見ましてもどうしても平和を基調として資源輸入、食糧輸入、また工業製品の販路の開拓等からいたしましても平和主義に徹していかなければならないことは当然でございまして、沖縄もその意味において保守、革新といわず平和主義に徹して産業の開発にいま一段の努力をすべき時期が到来していると、私はかように考えているところであります。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 金城 宏君。
〔金城 宏君登壇〕
○金城 宏君 お疲れではございましょうけれども、しばらく御静聴をお願いします。
私は、県政会を代表して知事の基本姿勢についてお聞きしたいと思いますが、その前に、このたぴの激しい選挙戦を闘い抜かれみごと当選なさいました西銘知事に対し心から祝意を表する次第でございます、どうかがんばってください。
と申し上げるのも、西銘知事の基本姿勢が一党一派に遍することなく県民本位の姿勢で県政を運営していくということは、私の基本姿勢でもございます。そういう意味では与党大会派というべきか、そういうふうな親しみと、それと百万の味方を得たということで意を強くしているところでございます。
これまで、小渡議員初め各党派の代表の方がほとんど基本姿勢について質問され私がやるべきことがなくなったわけでございまして、落ち穂拾いということで若干お尋ねしたいと思います。
新聞の論調によりますと、西銘県政に対して不安と申しますか、懸念の意を表している論調がほとんどでございます。その主なものが、いわゆる中央直結で向こうから国庫支出金の大幅引き出し、あるいは援助をもらうことによって県政が下請的機関に成り下がるのではないか、そしてまた自治が損なわれていくのではないかという不安でございます。
この点に関しましては、先ほど来御答弁の中で県民本位の立場で県政を運営し、県益と国益が競合する場合、そごする場合にはあくまでも県民本位の立場で県益を優先していくという御答弁がございましたし、私はそれを確信しております。そしてまた、必ずやそれを実現なさるだろうことを信じておりますし、そうあってもらいたいと希望するものでございます。
それからこれは20年前のことでございますけれども、昭和34年毒舌家で知られる評論家の大宅壮一さんが沖縄に来られ、沖縄の人たちは、昔から中国や島津藩に対してどちらにも忠実に仕えてきた、ひめゆりの塔の悲劇は日本帝国主義に従う動物的忠誠心のあらわれにしかすぎないという侮辱的な発言を呈し物議を醸したことは記憶に新しいかと思いますが、どうぞ国に対しても政府に対しても沖縄県の西銘ありということで遺憾なく蛮勇を発揮され、県益のために尽くしていただきたいとかようにお願いする次第でございます。
それから基地問題に関しては、先ほど来いろいろございましたので1点だけ御質問いたします。
陸上自衛隊の射撃演習、あるいは米軍基地の演習等激しさを増すかのようでございます。そこで私は、その使用が日米安保条約あるいは地位協定でいたし方ないとすれば、一応県民の生命、身体、財産を守る県の最高責任者としてそれに危険の及ばない、未然に防止するという意味で歯どめをせぬといかないんじゃないかと、いわゆる枠を設定する必要があるんじゃないかということでございます。
と申しますのは、去る2月議会で私取り上げました北富士演習場の場合がその使用条件について部落の住民、関係市町村、それと防衛庁がそれぞれ使用条件について具体的な取り決めを交わしております。これは使用協定とかいっていたと記憶しておりますが、そういった未然に防止するという意味でいわゆる演習があるたびに抗議をやるというそういうことではなしに、未然に何時から何時までは演習禁止とか、あるいは何ホンの爆弾はまかりならぬとか、そういった具体的な内容を持った協定を結ばれるべきじゃないかと私は考えるものでございますけれども、それについての知事の御見解を賜りたいと思います。
時間も大分ございますけれども、皆さん、お疲れのようでございますので次回に回したいと思います。
以上です。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 金城議員の御質問に対しましてお答えいたします。
中央依存の体制をとるにいたしましても、県民の利益はあくまでもこれを守らなければならないという御指摘に対しましては全く同感でございまして、先ほどから申し上げておりますとおり財政の面ではどうしても中央政府にお世話にならなければなりませんけれども、あくまでも県民の利益を守るという立場からこれからの県政に取り組んで執行していきたいと考えております。
それから基地問題について最後の御指摘があったわけでございますが、この使用のことについてたとえば市町村、防衛庁、また市町村民との間にこの使用のことについて取り決めをする必要があるんじゃないかということでございますが、私は、基本といたしましてはこの演習等にいたしましても本土並みの枠をはめることが一番大事なことでございまして、復帰に際しましても安保、行政協定を中心として自由発進を認めないような体制で本土並みの体制に持っていこうということでございますので、これによって沖縄における地域住民の利益が守られるということであれば、これは進んで協定を結んでいかなけれぱならないと考えておりまするし、その件につきましては積極的に対処していきたいと考えております。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 以上で、代表質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 日程第3 甲第1号議案から甲第8号議案まで、乙第1号議案から乙第12号議案まで及び認定第1号から認定第11号までを議題といたします。
これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
お諮りいたします。
決算については、12月16日の議会運営委員会において19人から成る決算特別委員会を設置して審査することに意見の一致を見ております。
よって、ただいまの議題のうち、認定第1号から認定第11号までについては、19人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(大田昌知君) 次にお諮りいたします。
ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により
砂川 武雄君 新城 哲男君
仲村 正治君 新垣 幸蒲君
石垣 喜興君 渡久地政仁君
平良 一男君 大城 真順裂
瑞慶覧長方君 与座 康信君
島田 哲男君 与那覇寛長君
中根 章君 崎浜 盛永君
伊波 広定君 親川 仁助君
友利 栄吉君 上江洲トシ君
及ぴ金城 宏君を指名いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大由昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(大田昌知君) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く甲第1号議案から甲第8号議案まで及ぴ乙第1号議案から乙第12号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後4時47分休憩
午後4時48分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
この際お諮りいたします。
委員会審査及び議案整理のため、明23日から26日まで4日間休会といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
よって、明23日から26日まで4日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(大由昌知君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、12月27日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時49分散会
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