平成 3年(1991年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 10月 4日
第 5号 10月 4日
 

議 事 の 概 要 
平成3年10月4日(金曜日)
午前10時3分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第18号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
    一般質問及び質疑
     1 嘉陽 宗儀君(共産党)
     2 中根   章君(社会党・護憲共同)
     3 宮良   作君(共産党)
     4 島袋 嘉盛君(社大党)
     5 石川   修君(社大党)
     6 高良 政彦君(公明党)
     7 外間 久子君(共産党)
     8 上原亀一郎君(共産党)
     9 照屋 寛徳君(社会党・護憲共同)
日程第3 会期延長の件
午後5時36分散会

○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第18号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 与党のトップバッターとして質問をいたします。
 ところで、昨日までの野党の諸君の発言に、ソ連共産党の解体によって日本共産党は色を失っているとか、共産主義の実験の失敗で日本における日本共産党の役割はなくなったというような発言が相次ぎました。しかし、これはとんでもない話であります。
 私ども日本共産党は、ソ連共産党の解体に対して真っ先に歓迎の態度を表明しています。それは、ソ連共産党が本来の科学的社会主義の立場を踏みにじり、国内においては官僚主義、独裁政治を行い、他国に対しては大国主義、覇権主義の態度をとり、著しく共産主義運動を傷つけ破壊してきたからです。
 日本共産党は、その干渉と命をかけて闘ってきましたが、その相手がなくなったわけですから歓迎するのは当然です。
 そもそも科学的社会主義というのは、マルクス・エンゲルスが、それまでの人類史を深く分析、解明し、人類社会の合法則的な発展方向を指し示した理論であります。
 自然科学の分野においては、ニュートンが万有引力の法則の発見をしたのを初め、地動説、遺伝の法則などこれまで解明されていなかった分野の研究、発明が先人たちの血のにじむような努力で進められ、それらが土台となって今日までの発展が築かれています。
 150年前に打ち立てられた科学的社会主義の理論は、世界の多くの人々の心をとらえ、それを豊かに創造的に発展させながらの社会づくりが始められたのであります。真に各人が自由で豊かで人間が全面的に発達し、幸福に暮らせる理想社会の建設を目指すという科学的社会主義は、いつでもどこでも人々を苦しめるものを取り除くために果敢に闘ってきました。
 70年前にソ連においてレーニンの指導で社会主義革命が成功しましたが、独裁者スターリンによってそれが打ち壊され失敗したからといって、共産主義そのものが失敗したというのは全く当たりません。
 日本共産党は、あの絶対主義的天皇制のもとで69年前に誕生し、一貫して戦争に反対し、主権在民、民主主義の実現のために闘ってきました。これは、歴史の証明する真実であります。日本共産党の掲げた諸要求が現在の憲法の中に明確にうたわれていることは、日本の社会において国民の苦難を解消するためにどれほど大きな役割を果たしてきたかは明らかであります。
 この沖縄においても、米軍の野蛮な軍事占領支配に体を張って闘ってきたのは現在の日本共産党であることは何人も否定できない事実であります。
 現在でも憲法改悪に反対し、自衛隊の海外派兵に反対し、民主主義が破壊される小選挙区制に反対し、国民の利益を守るために奮闘している日本共産党の存在意義はますます大きくなっています。
 自民党はどうかと言えば、あの野蛮な侵略戦争に協力した人がその先輩として活動し、日米安保条約を締結して我が国の主権を米軍にじゅうりんさせ、今また小選挙区制で自民党の独裁政治をねらい、憲法改悪をたくらみ、老人医療の有料化でお年寄りをいじめ、またロッキード事件やリクルート事件などの腐敗にかかわり、まさに国民いじめの政治を進めています。その党が、日本共産党の存在価値はなくなったというのはとんでもない話であります。
 いよいよ私どもはこの日本共産党に誇りを持ち、日本国民、沖縄県民になくてはならない存在として決意を新たに頑張っていくことを表明し質問に入ります。
 初めの質問は、新石垣空港についてであります。
 私は、この件では自然環境を守り、一日も早い建設を進めるという立場からこれまで質問を展開してまいりました。ところが、今日までおくれているのは、前西銘県政が環境への影響評価や建設場所の選択に関する資料も、さらに埋立推進に不都合な部分は公開しようとせず、また白保海上には世界的にも貴重なアオサンゴが群生しているにもかかわらず、白保ぐらいのサンゴはどこにでもある、建設による影響も軽微であるという態度を続けたところに最大の原因があります。
 さらに突然、新石垣空港をカラ岳東海岸部に計画変更するという発表を行い、混乱をますます大きくしました。従来だと建設場所の選定に当たっては予算を組んで基本計画調査をさせているのに、それをやらずに、しかもこの10年間、白保しか候補地がないと県民に説明し、1981年3月の沖縄県発行「新石垣島空港基本設計報告書」では、周辺の地形にも制約されて白保の空港計画は北にも南にも位置をずらせたいと明記してあるのに、強引に北のカラ岳東へ移動したのは大きな疑惑を感じさせるものでした。
 その場所も空港建設するには騒音や史跡の問題、また貴重なサンゴはどうするのか、航空法上の高さ制限に触れる滑走路のそばのカラ岳はどうするかなど数多くの問題点があります。
 しかも、県がカラ岳東側地域に場所変更の検討を始めたころからその土地の転売、転売が行われ、その間に12億円から一挙に50億円に、さらに70億円、現在では100億円と根抵当権が設定されています。実にわずかの期間に20倍も土地の評価が上がり、土地転がしが行われた問題の解決も見通しはありません。
 ところで、私の調査でその土地転がしが国土利用計画法に違反していた事実も判明しました。そして土地転がしで地上げ屋の光建設など関係業者が警察に逮捕されました。それら業者が暴力団の沖縄旭琉会や山口組との深い関係があったことも判明しています。しかもその土地には、前西銘知事から業者への念書や確約書もあり、その分の付加価値もつき、地価高騰の要因になっていることも具体的に明らかになりました。
 そして、白保海上案からカラ岳東に場所が変更された理由も、その後の経過で利権絡みであったことも明らかになりました。
 ところが不思議なことに、このように疑惑が明らかになっているにもかかわらず、自民党のある議員は、ことしの5月27日付の八重山の地元新聞の「論壇」に、これです。(資料を掲示) 「西銘前知事時代に99%確定していたカラ岳東海上案を、共産党嘉陽議員が捏造した土地疑惑なるものに乗っかり白紙撤回した大田知事は、選挙に勝たんがために嘘までついて県民をだました」云々とマスコミの紙面を利用して大田知事と私に名誉棄損にわたる個人攻撃を行っています。全く理解に苦しむ言動であります。
 嘉陽議員の捏造した土地疑惑と幾ら宣伝しても、カラ岳東の土地転がしに絡む疑惑がなくなるわけではありません。私が明らかにしてきた土地転がし疑惑にかかわっていた主要な業者はことごとく逮捕されていることからも私の指摘が正しかったことを実証しています。
 このように大きな問題があることがはっきりしているにもかかわらず、その疑惑を晴らす立場ではなしに、何が何でもカラ岳東しかないという態度は、私から見たら異様にしか感じられません。
 しかもこのカラ岳東は、土地転がしだけではなしに航空法上も問題があり、地域住民からは季節によっては竜巻も発生するという訴えもあり、季節の変わる9月ごろには風向きが大きく変わることも観測で明らかになっています。

 また、環境保護団体からはカラ岳案に反対する意見が続出しています。日本自然保護協会の調査団は、建設予定地のカラ岳東海岸のサンゴの生息状況を調べ、埋立予定地の南半分には美しいエダサンゴが生息している。白保のサンゴは全体が一つで、空港建設は白保全体の生態系を狂わせるおそれがあると批判しています。また、国際自然保護団体も同じような内容を関係機関に申し入れしています。
 埋め立てに関する工法では海の汚染は全くありませんと前西銘県政は強調し、サンゴ礁を埋め立てた奄美新空港と同じ方法を採用するというので、我が党の県議団が現地調査を行った結果、サンゴが死滅していることが判明しました。そして、防砂膜を専門的に製造している会社に、海を全く汚染しないで埋め立てできる工法があるのかということを問い合わせると、(資料を掲示) ここに寄せられておりますけれど、新石垣空港建設工事にかかわる濁り防止対策という報告書です。海を全く汚染しないで埋め立てる工法があるかという問い合わせをすると、そのような方法はないということで新石垣空港の埋め立ての工法に関する研究資料まで送ってもらいました。その結論は、自然を全く破壊しない、海を汚染しないで埋め立てができる工法はないということであります。
 ところで伊良皆議員は、カラ岳東の建設条件として平良県政時代のカラ岳案とカラ岳東案とは全く違うものであり、カラ岳東案は点数も高いと宣伝しておりますが、その主張にも疑問があります。
 確かにカラ岳案は、カラ岳そのものを削って空港建設するという案ですから、カラ岳東案と点数が違うのは当然であります。カラ岳案に点数をつけた評価は、空域、障害物、危険物、気象など13項目にわたっています。それによりますと、極端にカラ岳案よりカラ岳東案の点数が高くなるということは考えられません。
 そこで質問ですが、1、白保海上案からカラ岳東に建設場所が変更されたのは、そこが空港建設に適地であるからという理由からではなく、あくまで政府の高級官僚や政治家の圧力によるものであったことは既に明らかだと思いますが、事実はどうですか。
 2、現在のカラ岳東の地主は、暴力団の山口組や大物政治家との結びつきがマスコミでも指摘されています。もし土地転がしで高騰した用地を県が購入することになれば、結局は暴力団の資金づくりに県が加担することになると思いますが、どうですか。
 3、カラ岳東について空港建設に必要な調査も行わず、適地だという科学的な根拠も何もないままに建設場所の変更が発表されましたが、これは極めて危険な手法だと批判されなければなりません。県は、これまでの空港建設の例でこのような方法で場所を選定したことがありますか。
 4、カラ岳東の海を埋め立てる場合にいろいろな気象条件がある中で海を全く汚染しないで済む工法はないと思いますが、どうですか。
 5、空港としての諸条件が悪く、貴重なサンゴ礁を初めとする白保の海の生態系は守れず、土地転がしで高騰した暴力団絡みのカラ岳東では県民の理解は得られません。そこに固執していると空港建設の見通しは立たなくなると思います。したがって空港建設の候補地からカラ岳東案は削除すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 6、八重山の住民が自主的に空港建設の適地を選択するためには科学的な関係資料の公表がどうしても必要であります。建設場所に関するこれまで秘密にされてきた関係調査資料を公表すべきでありますが、その意思はありますか。
 次に、教育問題について質問します。
 私がこの問題を取り上げるのは、特に高校の中途退学者が全国的に見ても我が県が非常に高くなっていますが、これは、とりもなおさず現在の沖縄の教育の問題点を象徴的にあらわしていると思うからであります。
 私は、前途有望な高校生が途中で挫折をしていく姿を見るにつけて絶えず心を痛め、何とかその原因を明らかにし、青春真っただ中の彼らが本当に泣かなくても済むようにしたいとこれまで努力してまいりました。
 この問題に対する現在の教育行政の認識では事態を打開していくことは困難であるということで、私なりにその原因について分析し指摘したいと思います。
 中途退学の原因はいろいろな要素が絡み合って、その結果としてあらわれてくるものですが、私は、その中で最も大きな要因は教育の体制と制度的なものにあると思います。
 中途退学者の実態を見ると、普通高校より職業高校に多く、またいわゆる有名校より、そうでない学校に多くなっています。それは現在の教育が学歴社会に対応していくためにエリート教育の重視になり、すべての子供に真の学力をつけるという点で大きな問題がありました。
 そもそも学校教育は、教師の自由で伸び伸びした明るい教育実践を保障して初めて健全な子供たちを育てることができるということが多くの教育学者の一致した見解であります。
 ところが現在の文部省は、教科書検定や日の丸、君が代の押しつけに見られるように教育の国家統制を強めてきています。その結果、管理体制厳しくなり、教職員攻撃が激しくなり、教師が自由に物が言えない事態になっています。
 特に前西銘県政の12年というものは、この文部省路線を強引に押しつけ、これまで全国的に誇りにしていた自由で明るい教育現場が次々と押しつぶされてきました。教職員組合運動の敵視に始まり、管理職試験の導入、主任の任命制、人事の広域化で教職員を分断、実態を無視した45分の
休憩時間の昼食時への画一化、自主教研への圧迫と官制研修の押しつけ、初任者研修制の導入等々、本当にすさまじいものがあります。
 その結果、教育現場が暗くなり、ノイローゼにかかる教職員もふえてきています。教職員の自主性が奪われ、自由な教育活動が奪われた中では、真の学力をつけた自主性に満ちた子供たちが育てられるわけはありません。民主教育の実現を掲げる革新県政のもとでの教育行政として、これらの問題点の解決をぜひ図っていく必要があります。
 全国的には中途退学者の率は、この10年間は1.9%内外で横ばいであるのに対して、沖縄では2.5%から3.4%とふえ続けていることを見ると前県政の責任は重大であります。
 次に、制度的な問題として多様化政策があります。多様な生徒がいるのでそれに合わせた学校をつくるという理由で、全国的な動向に逆行してそれが推し進められてきました。できる生徒とできない生徒がいるから、それに合わせて学校をつくるという多様化政策は、本当に子供たちの発達を保障するものでないことは明らかであります。
 高校生の時期は、人生における最も希望に満ちた輝かしい時期です。肉体的にも精神的にもこれほどしなやかで強靱で、内から満ち満ちてくるものにあふれ、それに絶えず突き動かされながら自分自身を新しく形成し、前進させ、また可能性に富み、生命力にあふれた時期はまたとありません。そして新しい知識や心理を内発的にどん欲に追い求め発展していくという、そういう特質を持っています。それだけにこの青春期の生徒たちを挫折させているこの多様化政策の見直しは早急に求められています。
 次に、制度的な問題として従来の小学区制を廃止したことによる弊害の問題があります。この学区制は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」では、高等学校は小学区制を原則にすることが明確にされています。
 その解説書では、世人のいわゆるよい高等学校に子弟を入学させようとするので、勢い入学競争が激化したり、通学上の無理な負担を生徒に負わせて、生徒の就学に無理や困難を生ぜしめる結果となるとともに、各都道府県内の各高等学校が平均的に向上することの妨げともなっている。このような事情にかんがみ、高等学校の普及及び機会均等のために通学区域を採用することが必要であると強調しています。それからしても現在の学区制は検討し、見直す必要があると思います。
 以上の私の指摘に対する教育長の御所見を伺います。
 知事の政治姿勢との関連で2点ほどお聞きしましす。
 1つは、情報公開条例についてであります。
 県民の知る権利を明記し、その説明の中では知る権利は、憲法の国民主権、民主主義、表現の自由、地方自治体の本旨に根拠を有するもので、憲法に保障された権利であることを明確にしていることは、革新県政の立場として評価できるものです。

 しかし、実施機関から議会と公安委員会が含まれていないのは残念です。県議会は当然のことながら、警察行政はその性質上権力の行使を伴うことが多いことから、県民の人権と深い関係を持つものであり、より一層の強い理由で民主的コントロールを受けなければなりません。
 県は、革新県政の真価を発揮して全国に先駆けて、民主的な警察行政を進める立場から公安委員会を積極的に実施機関に含めるべきでありますけれども、御見解を伺います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉陽宗儀議員の御質問にお答えいたします。
 新石垣空港の問題との関連で、建設場所に関するこれまでの関係調査資料を公表すべきであるが、その意思はあるかという趣旨の御質問でございます。お答えいたします。
 新石垣空港建設候補地に関する調査資料の公表については、新空港の建設に対する八重山郡民はもとより、広く県民の理解と信頼を深めるために必要なことであると考えております。
 カラ岳東側案については、10月1日より資料公開を始めたところであり、他の2候補地についても順次公開していきたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
 なお、その他の御質問につきましては、担当部長からお答えさせますので、御理解をいただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 新石垣空港問題に関する御質問のうち、知事がただいま御答弁した以外の御質問にお答えいたします。
 白保海上案からカラ岳東側案に建設場所が変更されたのは、適地という理由ではなく、政府や政治家の圧力によるものであったと思うが、事実はどうかとの御質問にお答えします。
 新空港の建設位置変更につきましては、自保海上案を選定する際に調査した資料に基づき、またそれまでに出された学者等の調査や各界各層の意見を真摯に受けとめ、さらに環境庁による石垣島周辺のサンゴ礁調査等を踏まえるなど種々の角度から検討した結果で、カラ岳東側案が代替案として決定されたものであると聞いております。
 御指摘の自保海上案からカラ岳東側案への変更における経緯につきましては、西銘前知事のマスコミ等のコメントの範囲で理解しておりますが、その事実関係につきましては承知しておりませんので、御理解いただきたいと思います。
 次に、暴力団や政治家との結びつきが指摘されている地主の用地を購入すれば、暴力団の資金づくりに県政が加担したことになると思うがどうかとの御質問にお答えします。
 新石垣空港の建設候補地の一つであるカラ岳東側案に係る地権者を取り巻く状況につきましては、新聞等マスコミ情報の範囲で承知しております。
 もし、このような行為が事実であるとすれば極めて遺憾なことであり、今後は裁判を通して事実関係が明らかにされるものと思われますので、この事件につきましてはこれ以上の言及は控えさせていただきます。
 次に、カラ岳東について空港建設に必要な調査も行わず、適地だという科学的な根拠もないままに変更が発表されたが、このようた方法で場所を選定したことがあるのかとの御質問にお答えいたします。
 空港の建設位置につきましては、安全性等の運航条件、土地利用の状況や航空機騒音等の社会条件及び用地造成や建設費等の建設条件などの調査を踏まえて決定されるものであります。
 白保海上案を選定する際に、昭和54年度及ぴ昭和55年度に行われた白保からトゥールグチに至る海域の適地調査の中で、カラ岳東周辺海域も含め調査された経緯があります。
 次に、カラ岳東の海を埋め立てる場合に、海を全く汚染しないで済む工法はないと思うがどうかとの御質問にお答えします。
 カラ岳東側案の工法につきましては、各分野の専門家で構成された建設工法検討委員会の指導助言に基づき、設計、埋立工法及び施工計画等を計画立案したものであります。
 この工法では、特にサンゴ保護等自然環境保全を図る上から、周辺海域に及ぼす影響を極力軽減することを目標として計画しております。したがいまして、周辺海域の水質等の環境保全は図れるものと考えております。
 カラ岳東は、空港建設の候補地から削除すべきだと思うがどうかとの御質問にお答えします。
 新石垣空港建設候補地選定につきましては、これまで八重山郡民の意向を踏まえまして早期に、しかも円滑に事業を推進することができる建設場所を選定するため、石垣島の限られた地形的条件から空港設置可能な5つの候補地を示し、一連の合意形成作業を進めてきたところでございます。
 この作業の中で具体的に提案のあったカラ岳東側案、冨崎野案及び宮良案について、各案ごとにより具体的な検討を進めていく必要があると判断し、現在、3案について問題点の整理検討を行うための諸作業を進めているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 総務部長。
   〔総務部長 新垣勝市君登壇〕
○総務部長(新垣勝市君) 嘉陽宗儀議員の情報公開条例との関連について、何ゆえ議会と公安委員会を実施機関から外したのかについての御質問にお答えいたします。
 議会は、御承知のとおり執行機関とは異なる機関であり、条例について各議員も独自の提案権を有することから、実施機関となることにつきましては議会が判断されるものであると考えております。
 公安委員会につきましては、御案内のとおり警察の保有する情報の中にも県民生活と深いかかわりのあるものが考えられるのであり、その公開が求められていることにつきましては十分理解いたしております。
 県といたしましては、基本的には県のすべての執行機関が実施機関となることが望ましいと考えておりますが、警察業務は、国及び都道府県警察の相互の密接な関係のもとに運営されておりまして一般行政とは異なった特殊性を有していること、また制度を実施している35都道府県におきましても、公安委員会を実施機関としているものはないことなどから、現時点では実施機関に含めなかったものでございます。
 このことにつきましては、今後、国や他都道府県の動向等を見きわめながら対応してまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 高校中途退学者の問題に関連して教育長の所見を伺うという御質問にお答えをいたします。
 高等学校における中途退学は重要な教育課題の一つであり、県教育委員会は、中途退学対策委員会の答申、これは昭和63年に私どもは受けているわけでございますが、その答申を受けて諸施策を推進しているところでございます。
 特に、生徒の実態に即した教育が大切であると思います。また地域や父母のニーズにこたえ、普通科と職業科の割合の見直し、学科の改編、教育課程の弾力化等、多様化した生徒に対応した教育行政を進めております。
 なお、本県の中途退学者が多いのは、基礎学力や基本的生活習慣の欠如などいろいろな要因が絡み合っているものと考えております。今後とも委員会を設置し組織的に対策することなど、さらにきめの細かい中途退学対策を推進してまいりたいと思います。
 教育行政の推進に当たっては、私は、これまでも憲法や教育基本法の理念に立ち、関係法令等の趣旨を踏まえて教育行政を推進してきたところでございます。今後もこの基本姿勢を堅持し、教職員の自主性、主体性を尊重するとともに、教職員の総意を生かした教育活動を通し、本県教育の抱えている中途退学対策等諸問題に誠心誠意努力してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 中根 章君。
   〔中根 章君登増〕
○中根 章君 大田さんが知事になられて1カ年近くなります。ようやく公式の場で我が革新知事大田さんに質問をする機会を得ました。ちょっぴりうれしいような感じであります。どうぞこれからも、三役おそろいになりましたので、県民福祉のために一層御努力いただきますようにお願いをいたします。

 福沢諭吉は、「文明とは、人の身を安楽にして心を高尚にするを言ふなり」というふうなことを言っておられます。人間の生活環境が発達し便利になることは大事かもしれませんが、それ以上に内面生活が大事だと言っているのであります。
 文明とは、物質文明とか機械文明とかいうように人間の生活向上に資する技術の進歩を前提としたものであり、つまり文明とは、今、私たちがいつも恩恵を受けております自動車、飛行機、電話、電気などのように国民に納得してもらえる生活様式のことであります。
 一方、文化とは、その地方、地域に独自の歴史や独特の伝統に根差した人間の営み、生活の型、それこそ文化であります。
 要するに文化とは、どこの国でも、どこの地方でも同じというのでは文化とはなり得ないわけで、雪国では雪国の、離島にはその島の個性的な地域文化があるのであります。文化はローカルなもので、その土地柄から生まれてくる人間の営みの再発見であり再構築なのです。文化とはそのようなものですから、そこで生活することにより精神が満たされるものでなければなりません。
 ふるさとの山や川、地域の風物、自然と共存できることであり、楽しみたいときは音楽や舞踊、演劇、美術などの芸術に触れられる知的な欲求、関心が満たされることが重要だと思います。先達が築き上げた文化、芸術に触れ、また一流の諸外国の文化に触れることがまた重要なのであります。飽食の時代、物質文明のはんらんする時代に、精神生活として必要な文化を享受できるような社会を夢見て、幾度となく私はこの場から問題を提起し、そして提言をしてまいりました。
 以上、基本的な考え方を申し上げて質問に入るわけでありますけれども、今までたくさんのことを県当局もやっていただきましたので、そういう御苦労は多とするわけでありますけれども、そこでまず1つ、県立郷土劇場の利活用の問題であります。
 その第1点として、県民劇場公演が演劇、芝居に重点が今、置かれております。舞踊や組踊公演を含めて拡充したらどうかというふうに考えますが、いかがなものですか。
 2つ目に、東町会館にけいこ場を設置したらということでございます。東町会館の有効活用を図る上から、当面、今の5階の中ホールを畳間あるいは土間などに改修して、舞踊等多数の人たちがけいこ場として利活用できるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、国立組踊劇場の建設についてでございます。
 ことし7月24日の産経新聞に『沖縄に「第三国立劇場」 伝統芸能、組踊を上演 文化庁など計画』という4段見出しで始まり、「本土復帰25周年に当たる平成9年までには、完成させたい」という記事が出ております。そしてつけ加えて、今のままでは60番もある組踊の半分以上が消えてしまうのではないかというふうな危惧も表明されております。
 このような情勢の中で県内では、国立組踊劇場誘致期成会が9月24日に発足をしております。
 文化庁は、期成会ができたからといってすぐ国立劇場ができるわけじゃないということを言っているし、さらにまた関係者は、運営費、財政的に厳しいことを挙げておられます。しかし今後、県、開発庁、文化庁3者でつくる沖縄の伝統芸能の保護に関する連絡協議会で検討をしていくということでございます。
 そこで、この第3の国立劇場である組踊劇場の建設の関係について、経過と現状はどうなっているか、お尋ねいたします。
 2つ目に、国立組踊劇場が建設されるまでの具体的次善策としてのことについてお伺いをいたしたいと思います。入れ物ができてしまってからアワティーハーティーではいかぬわけですから、そういう意味でいわゆる学芸員とか後継者養成策について知事の御所見を承っておきたいと思います。
 あわせて伝統芸能後継者養成のための教育的機能を持つ研究所の設置や、国指定組踊技能保持者とか、県指定歌劇技能保持者等実演家や芸能団体への支援策、国、県指定の無形文化財の保護対策も含めて御所見を承りたいと思います。
 県指定技能保持者を拡大をし、例えば技能保持者やさらには伝承者などを制度化する方法があると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、今では組踊や歌劇では女性の方々の技能保持者がいて、またこの方々も常に舞台に出ておられます。そういう意味では女性の技能保持者があってもいいのではないかというふうに考えられますが、その点はいかがでしょうか。
 次に、我が県は世界に誇れる伝統芸能を数多く持っております。我が県の芸術文化の継承と創造のために頑張っておられる芸能団体や実演家の御努力に敬意と感謝を申し上げているところでありますけれども、県は、芸能団体や実演家の皆さんを支援する意味からもっと積極的に国際交流芸能公演を計画して我が県の文化を海外へ発信してほしいものであります。海外で芸能公演が成功することは、県民に大きな勇気と誇りを与えるものであります。
 県は、国際交流芸能公演についてどういうふうに考えておられますか。また県外、国外芸能交流の一環として若い芸能家たちを研究生として海外へ派遣してはいかがですか。
 琉球舞踊界も創作舞踊が盛んになっており、諸外国の芸能文化を見ることによって沖縄文化の創造発展に大きく寄与することが期待できるのであります。知事の御所見を承りたいと思います。
 次に、同じ文化でも少し違う文化ですけれども、動物の文化であります。
 沖縄在来の畜養動物は、私たちの祖先が沖縄の気候風土、自然環境の中ではぐくんできた文化の一つであり文化財でございます。これらの畜養動物は、14世紀から16世紀にかけて広く海外との貿易を通して交流した大交易時代に海外から持ち込まれたものであります。沖縄の気候風土の中で見事に文化の花を開いたものと私は見ております。
 それには泡盛があります。サンシンがあります。両方とも原材料は外国のものでありますが、見事に沖縄のものに仕立て上げております。畜養動物についても、そのころ持ち込まれたと言われており、私たちの祖先が長い年月をかけてはぐくんできたものでございます。
 これらの種族はチャーチン、いわゆるウタイチャーチンであり、宮古馬であります。さらには与那国馬、そして私が一番、今回取り上げてみたいのは島豚のアグーであります。
 今、鹿児島が黒豚の宣伝をしてみんな惑わされています。このアグーを今、やや雑種化されているとは言っていますけれども、戻し交配をして完全なアグーをつくる。それに今の大きな豚とかけ合わせてF1をつくっていくことによって、沖縄から本当の意味の黒豚が奨励されていくのではないかと。経済的な面から見ても、さらには、私たちの文化財の一点から見ても大変有効なものだと思うのであります。
 その島豚のアグーの問題、さらには沖縄独特の犬であるトゥラー、皆さん、特に好きでありますけれども、島ヒージャーグワーというのがあります。これらは現在では飼育個体が著しく減少しておりまして、保護しなければ絶滅のおそれがあります。
 県教育庁もこの問題についていろいろと頑張っておられるようでございますけれども、この問題を調査の上、条件が整っている動物については早目に文化財に指定をして保護育成をすべきだと思うのでありますけれども、教育長の御所見を承りたいと思います。
 子どもの権利条約に関連する御所見を承りたいと思います。
 あなたは、本当に子供を愛していますかと聞かれて、はいと心の底から答えられる大人がどれだけいるでありましょうか、今。過去も現在も子供たちは世界のあちこちで戦争の巻き添えになり、死に追いやられ、飢餓に苦しみ、今また豊かさの中で日本の子供たちは受験戦争に駆り立てられ、子供時代の輝ける冒険心を奪われ、大人社会にいち早く適応させられるロボットに仕上げられていると言っても言い過ぎではないかと思います。
 今、子供たちは学校と塾、家とを行き来するだけの忙しい生活を送るようになっているのであります。まさに働きバチ日本人の小型版と言ってもよいのであります。豊かな子供時代を過ごせなかった子供たちが、豊かな未来を切り開くことはできません。学校、地域、家庭を、子供たちにとってもっと魅力ある場所にすることが大切であります。そういう意味で子どもの権利条約についてどういうふうに認識しておられますか。早期批准についてどういうふうに考えておられますか。

 子どもの権利条約には、子供のための諸規定がたくさんございます。これを先取りして県政に生かすお考えはないか。子供の自由なコミュニケーションを保障するための子供が設計、管理、運営できるような子供広場、子供コミュニティーセンターの配置についてどう思っておられますか。
 国際子供交流基金の設置をして、子供国際村構想をして、それを実現させてみたらいかがなものでございますか、お尋ねをいたします。
 学校週5日制の問題についてでございます。
 これは、きのうの夕刊に自民党文教部会も取り上げておられます。今、沖縄市で4つの学校が指定をされております。美里高校、越来中学校、越来小学校、越来幼稚園であります。既に報告書も出ておりますし、校長先生の御意見等も承ってまいりました。
 そこで質問でございますけれども、教育改革の視点から学校5日制を教育長はどう思っておられますか。
 それから、これらの学校から出てきました報告書をお読みになってどういうふうにこれに対して評価しておられますか。また、どういうふうな立場で文部省へ具申をしていかれるつもりか。
 次年度は200校ともいうし、また自民党の報告では、考え方では月1回ということも出ておりますけれども、まず200校余に研究校が指定される場合、沖縄でどのぐらいの指定校ができるのか。その場合は、今、知念村と沖縄市にあるわけですから、この両市村を全校指定してみたら、地域とのコミュニティーの問題でとてもいいかと思います。
 それから、そのほかに今、美里高校と越来中学校の子供たちが「おたすけマン」という制度、これがいわゆる異年齢層の子供たちがそこで交流をし合う。そして上級生から下級生へ子供文化がそのまま伝達をされていく。とてもいい状況になっております。それで地域のボランティア活動も多く盛り上がっておりますし、そういうことで、また学校5日制というのはもう既に社会の風潮になっております。そういう意味からしても、皆さんのこの学校5日制に対する考え方をお聞きをしておきたいと思います。
 ちょっとはしょりますけれども、廃棄物問題については私の質問だけにさせていただきますけれども、県内におけるごみの発生状況をまず1つお聞きしておきたいと思います。
 2つ目は、各市町村や一部事務組合では焼却灰や不燃物を埋め立てる最終処分場の確保が今、問題となっております。全県的な立場に立ってこの問題の処理をどう考えておられるか。
 3つ目は、ごみの再資源化や空き缶等の対策はごみの減量化につながるが、県民への啓発指導を含めごみの減量化対策はどういうふうに考えておられるのか。また、市町村等リサイクル団体への財政的援助についてどのように対応していかれるつもりか、お伺いします。
 さらに、沖縄市倉浜実験プラントがごみの燃料化冷房システムを今つくっております。既に稼働をしているわけですけれども、固形燃料実証プラソトとして今、実用化に向けて動いております。これを調査なさったことがあるか。また、これに対してどういうふうに見ておられますか。こ
れが今後、ごみ処理の問題として実現できる可能性があるのかどうか、その件も含めて御所見を承りたいと思います。
 (資料を掲示) ここにあるのが、この実験プラントから出ました固形燃料です。これがプラスチック系のもの、これが一般ごみから出ているものですけれども、こういうふうに、これで完全に冷房システムとか、そういうものができるようでありますので、このことについても御所見を承っておきたいと思います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 中根章議員の御質問にお答えいたします。
 文化振興策との関連で、若い芸能家を研究生として海外に派遣してはどうかという御質問にお答えいたします。
 若い芸能家たちを海外へ派遣して諸外国の芸能文化について勉強させることは、本県文化の創造発展に益する面が大きいと思います。御提言の趣旨を踏まえ、人材育成基金による国外留学生制度あるいは研究員助成制度等を活用して次年度から派遣することを考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
 続きまして、子どもの権利条約との関連について、子供の自由なコミュニケーションの場を保障するため子供が設計管理できる子供広場、子供コミュニティーセンターを配置する考えはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 児童福祉の分野においては、地域児童の健全育成を図るため市町村の協力を得て年次的に児童館並びに児童センターの整備を推進しているところでありますが、平成2年度末における整備状況は児童館が22館、児童センターが6館の計28館となっております。
 なお、児童館及び児童センターは、地域の子供たちのコミュニティーセンターとして、子供や親たちのユニークな発想に基づき自発的な諸活動が展開されており、健全育成の面で大きな成果が期待されております。今後とも積極的にその整備の促進並びに内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、子どもの権利条約との関連で、国際子供交流基金の設置と子供国際村構想はないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 国際子供交流基金の設置並びに子供国際村構想につきましては、国際化時代を迎えるに当たって国際社会に貢献できる人材の育成という観点からも重要なことであり、大変貴重な御提言として承っておきたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部長に答えさせますので御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 金城 毅君登壇〕
○環境保健部長(金城 毅君) 中根章議員の廃棄物処理問題につきましての1点目、県内のごみの発生状況についての趣旨の御質問にお答えいたします。
 平成元年度における県内の一般廃棄物の総排出量は43万3000トンで、そのうち43万2000トンが各市町村で計画的に収集されております。残りの1000トンが自家処理されております。
 収集されたごみのうち30万9000トン、これは全体の72%に相当しますが、これが焼却処理されまして、あと10万9000トン、25%に相当しますが、埋立処分されております。あと9000トン、2%に相当しますが、これが再生利用されております。その他5000トンとなっております。
 ちなみに、昭和63年度の1人1日当たりのごみの排出量は沖縄県が913グラムで、全国平均は1082グラムとなっております。
 同じく廃棄物処理問題についての2点目の、各市町村や一部事務組合では焼却灰や不燃物を埋め立てる最終処分場の確保が問題となっているが、全県的な立場での見解を承りたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県内における最終処分場につきましては、地形上の制約、人口の密集化、地域住民の合意形成の困難性等からその確保は容易でない状況にあります。
 このような状況から一部市町村を除いてみずからの施設を確保してなく、処理業者にゆだねておりますが、最近、市町村におきましては独自の最終処分場を整備する機運が高まりつつあります。
 ちなみに、恩納村や那覇市では、平成元年度から国庫補助を得て本格的な最終処分場を整備しているところであります。
 県では、市町村に対し高率の国庫補助制度を活用し、最終処分場の確保を図るよう指導しているところであります。
 さらに、最終処分場の延命化を図るため、広域的な見地から一部事務組合の設置や他市町村との相互補完による処理について今後とも指導助言に努める所存であります。
 同じく廃棄物処理問題についての第3点目、ごみの再資源化、過剰包装及び空き缶等の対策はごみの減量化につながるが、県民への啓蒙指導を含めごみの減量化対策はどうなっているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県は、廃棄物のリサイクルに対する啓発指導として空き缶散乱防止対策統一キャンペーン、あるいは廃棄物問題を考える交流集会の開催により県民意識の高揚に努めております。また百貨店、スーパー、関係業者団体に対し、紙ごみの排出抑制に努めることや、商品の過剰包装の自粛、資源ごみの回収箱の設置等について指導しております。

 さらに、本県の実情に見合った廃棄物の減量化、再資源化を効率的に推進するため、平成3年度事業といたしまして廃棄物再利用再資源化促進システム調査を実施しております。
 次に、市町村等リサイクル団体への財政的援助につきましては、市町村が実施するごみ減量化事業や、地域住民の協力を得て行う資源ごみの回収ルートの確保に関する事業等に対し、ごみ減量化促進対策補助金の導入を検討しており、市町村と十分な調整を行いつつ対応していく考えであります。
 それから、最後になりましたけれども、倉浜衛生施設組合内での固形燃料の御質問についてお答えいたします。
 部長は見たかという御質問でしたけれども、次長、課長、それから参事に命じて施設の視察はしておりますけれども、申しわけありませんけれども、私自身はまだ見ておりません。ただし、先生がお示しになりました現物は取り寄せて部の中に保存してあります。
 それから、その倉浜衛生施設における実証プラントですか、固形燃料等について今後どういうふうに考えるかという御質問だったと思いますけれども、これについては今後のごみ再資源化対策に大変参考になることだと思いますので、今後とも固形燃料等ごみ再資源化に向けて努力していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 観光文化局長。
   〔観光文化局長 比屋根隆和君登壇〕
○観光文化局長(比屋根隆和君) 中根章議員の御質問にお答えいたします。
 3点ございますので、まず第1点の県民劇場公演に琉球舞踊、組踊公演を入れて拡充したらどうかという御質問でございます。
 県におきましては、郷土の舞台芸術の振興を図り県民に広く舞台芸術を楽しんでいただくため、県民劇場というタイトルで県立郷土劇場を中心に公演を行っております。とりわけ沖縄芝居は、その振興対策が重要課題となっておりますので、本年度におきましても来年2月までの間、県立郷土劇場を中心に毎月公演を行うほか、北部と久米島においては移動公演を予定しております。
 現在、琉球舞踊は県芸術祭の古典芸能部門の中で公演し、組踊も定期的に公演が行われているところでございますが、県民劇場のプログラムの中に琉球舞踊や組踊を入れて、その拡充を図ることにつきましては御提言の趣旨を踏まえ実現に向けて努力したいと思います。
 第2番目の質問でございますが、県立郷土劇場にけいこ場を設置してはどうかということでございます。
 御案内のとおり、県立郷土劇場は、郷土の演劇、舞踊、音楽等の舞台芸術の振興を図るため昨年設置され、郷土芸能専用劇場として県民に親しまれております。
 同劇場は、現在、舞台と楽屋しかなく、機能的には発表、鑑賞の場のみとなっております。舞台芸術活動の支援の中核としての役割を果たすためには、けいこ場や資料室等の附帯施設がぜひ必要であると考えております。
 けいこ場の設置につきましては、現在、関係部局と調整いたしておりますので、中根議員の御提言の趣旨を踏まえ、早い時期に整備できるよう努力いたしたいと思います。
 最後の質問でございますが、国際交流芸能公演を企画してはどうかでございます。
 御承知のように、本県はすぐれた芸能文化を有しており、これを広く県外に紹介し文化交流を図ることは、より発展的な文化創造の契機となって後継者の育成につながるだけでなく、諸外国の平和友好親善にも寄与し得ると存じます。
 これまでに民間サイドで沖縄の芸能団が欧米に出かけて公演をした実績は幾つかありますが、いずれも好評を博しており、また県が行っている南米へのたびたびの芸能派遣によっても本県の芸能文化は高い評価を得ているところでございます。
 中根議員が言われる国際交流芸能公演は、芸能団体や実演家に対する効果的な支援策ともなり、我が県が世界に誇る伝統芸能を一層振興するため貴重な御提言だと思いますので、今後検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 文化振興対策と子どもの権利条約、それから学校週5日制の御質問にお答えをいたします。
 まず、文化振興対策につきまして国立組踊劇場の建設について、その経過と現状はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 国立組踊劇場については、国指定重要無形文化財組踊の保存、継承、発展を図る上で必要な施設であると考えております。
 昭和62年に、文部大臣と沖縄開発庁長官に対して国立組踊劇場誘致の要請をいたしました。その後、県内各組織の長を網羅いたしました国立組踊劇場誘致促進期成会等も設置をされており、さらに教育委員会の中でも検討をしているところでございます。
 組踊劇場の誘致については、引き続き関係省庁に要請していきたいと考えております。
 なお、昭和63年度から文化庁、開発庁、沖縄県の3者から成る沖縄の伝統芸能等の保護に関する連絡協議会が発足し、年2回の割合で6回の会議が持たれました。この協議会においては、平成元年から沖縄の伝統芸能に関する調査を実施しているところでございます。
 次に同じく国立組踊劇場の建設についての関連で、建設されるまでの具体的な次善策について学芸員とか後継者養成策についてという御質問にお答えいたします。
 伝統芸能の後継者養成については、これまで国指定重要無形文化財組踊、県指定無形文化財琉球歌劇について伝承者養成事業を実施しており、今後も引き続き事業を継続して実施していきたいと考えております。
 また、国立組踊劇場には専門職員が必要であり、その養成についても御提言の趣旨を踏まえて今後検討してまいりたいと思います。
 同じく文化振興対策で、後継者養成のための教育機能を持つ研究所の設置と、組踊、琉球歌劇の保持者等実演家や芸能団体への支援策及び保護対策についてという御質問にお答えいたします。 
 国指定組踊の後継者養成事業は、20年間にわたって国や県の補助を受け行っております。平成3年度は、組踊保存会に国と県で390万円を補助し、県指定無形文化財琉球歌劇保存会には217万円県が補助し、事業を実施しています。
 さらに、伝統芸能の保存育成を図るためにけいこ場、用具置き場及び事務所の確保ができるよう現在、関係部局と調整しているところでございます。御提言の研究所を設置することについては、今後検討してまいりたいと思います。
 同じく文化振興対策について、県指定無形文化財の保持者を拡大し伝承者を制度化できないかという御質問にお答えいたします。
 指定無形文化財の保護は大切なことでございまして、県指定無形文化財の保持者は、県教育委員会で文化財保護条例に基づいて認定することになっており、さらに保持者を拡大する場合も多数の芸能家の中から厳選して認定するという方法をとっております。
 伝承者の制度化につきましては、各保存団体独自で認定しておりまして、さまざまな態様がございますので制度化することは困難であると思っております。
 同じく文化振興対策について、組踊や歌劇の女性の保持者の認定についてという御質問にお答えいたします。
 国指定の組踊保持者は、演技、演出は女形によることという指定要件がございますので、女性の保持者の認定はできないことになっております。
 県指定の琉球歌劇については、そのような指定要件はございませんので、指定するのにふさわしい方がおれば保持者として認定していきたいと考えております。
 同じく文化振興対策について、沖縄在来の畜養動物を早目に調査し、指定条件が整っているものについては指定し、保護すべきだと思うがどうかという御質問にお答えいたします。
 在来の畜養動物は、私たちの祖先が沖縄の風土の中ではぐくんできたものであり、沖縄固有の品種として学術的にも遺伝子資源としても重要であると考えております。
 教育委員会では、平成2年度から畜養動物の調査を実施しておりまして、平成2年度の末には宮古馬、在来の鶏でありますチャーンを県の天然記念物として指定をいたしました。本年度は、与那国馬、在来の犬でありますトゥラー、それからアグー、豚、島ヤギのシマヒージャー、そういうようなものなどを調査をいたしまして、この中から文化財として指定の条件の整ったものについては、積極的に指定をしてまいりたいと思っております。

 子どもの権利条約との関連について、この条約をどう評価しているか、また国へ批准を求める考えはあるのかという御質問にお答えをいたします。
 児童の権利に関する条約については、国においてまだ公式の訳文も出ていない段階でございますけれども、その趣旨は、児童の人権を保障し、児童の全面的かつ調和のとれた発達を保障することであると理解しておりますので、賛同するものでございます。
 条約の批准につきましては、国の動向を見守って対処をしていきたいと考えております。
 同じく子どもの権利条約との関連について、子どもの権利条約には子供のための諸規定があるので、それを先取りして県行政の場で生かしていただきたいと思うが、どうかという御質問にお答えいたします。
 同条約の趣旨は、日本国憲法や教育基本法の精神とも合致しておりますので、1人1人の子供の人格を尊重し、個性の伸長を図るための教育行政を今後とも推進していく所存でございます。
 次に、学校週5日制の問題について、まず第1点は、教育改革の視点から学校5日制をどうとらえ、各学校からの報告を受けてそれをどう評価し、研究県教育長としてどう具申したかというような趣旨の御質問にお答えをいたします。
 教育改革の視点の1つに、変化への対応というのがございます。近年における勤労者の週休2日制の普及拡大等の社会の変化へ対応していくため、学校週5日制への移行は時代の趨勢として意義があるものと考えております。学校週5日制の試行により、ボランティア活動の芽が育ってきたこと、親子の触れ合いがふえてきたこと、異年齢の交流を含めた、先ほどございましたおたすけマンなどの地域活動が活発になってきたことなどは評価される点だと思います。
 一方、休業日の授業を他の曜日に上乗せする形では、教職員、児童生徒の負担があることや、家庭や地域社会の受け入れ体制等に課題が残っております。
 学校からの報告は中間報告の段階でございますので、教育庁としてはさらに研究を進める中で意見をまとめてまいりたいと思います。
 同じく学校週5日制につきまして、既存の指定校を引き続き指定し、研究の成果を発展させるべきだと思うがどうかという御質問にお答えいたします。
 現在、本県におきましては、沖縄市で先ほど紹介がありましたように越来幼稚園、小学校、越来中学校、美里高校、知念村で知念幼稚園、知念小学校、知念中学校ということで7校でこの試行をいたしております。今年度で3年目になり、終了が予定されているわけでございますけれども、御提案につきましては文部省及び関係市町村の教育委員会と調整をして検討してまいりたいと思います。
 同じく、学校5日制について、同一市、村内に各1校だけの指定では十分地域全体としての機能が生かせないので、次年度は沖縄市、知念村のすべての学校を指定し、地域全体の取り組みとしてはどうかという御質問にお答えをいたします。
 現在、沖縄市、知念村の両教育委員会の積極的な御協力を得て研究推進に当たっているわけでございますが、御提言のことにつきましては、文部省が平成4年度にはすべての県において5校ずつ、計235校に拡大するため検討中であることを明らかにしておりますので、このような文部省の動向を踏まえながら研究校の拡大について今後検討していきたいと考えております。
 なお、学校週5日制の研究課題には、教育課程のあり方、学校運営のあり方、児童生徒の学校外活動のあり方等があり、御提言の事項につきましては、今後研究を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 宮良 作君。
   〔宮良 作君登壇〕
○宮良 作君 まず初めに、革新統一県政のもとで尚さん、副知事に就任されました。しっかりひとつ頑張っていただきたい、心から御期待を申し上げます。
 三役そろい踏みであります。力をあわせて、県民の利益を守るために大いに議論し、県民に約束した政策、公約実現のため、短、中、長期の目標をしっかり押さえて御奮闘くださいますよう御期待申し上げます。
 公約とは、有権者に実現を約束する政策であります。政策とは、当面から将来にわたっての政治方針であります。ですから、あしたできないからといって公約違反ではありませんし、しっかりと周囲の状況を見ながら、その実現の姿勢をきちんと持ち続けて頑張っていただきたい、心からまず御期待を申し上げます。
 質問に入る前に、県立浦添職業訓練校の地すべり事故について私たち日本共産党は、昨日の早朝、現地調査を行いました。
 その結果に基づいて2次災害の防止、被災者の救援、原因究明など5項目にわたって昨日申し入れたばかりでありますが、早速、その昨日中にその中の一つであります県営住宅入居の問題については被災者と話し合い、入居住宅も一緒に県当局が見に行ったという話を伺って、素早い担当部の対応に心から感謝を申し上げ、また今後の激励を申し上げるものであります。
 さて、諸問題を提起しながら質問いたします。
 知事、あなたが革新統一知事として就任されてから、あと1週間で10カ月を超えます。この間、知事は、県政を県民中心にリードするために多角的に努力され、着々と効果を上げ、革新統一の優位性を県民の前に明らかにしつつあります。それは、基地と平和問題、医療福祉問題、戦後処理問題、環境と自然保護問題、都市モノレール問題、文化教育問題、そして離島対策問題、その他など既に各面にわたっており、一定の効果をあらわしつつあります。
 真理は、必ず力を持つし、紆余曲折があっても最後には実現するものであります。この際、真理とは、県政の主人公は県民であるということ、そして力は県民の中にあるという民主主義の理念であります。
 地方政治における真理を掲げ、職員ともども御奮闘くださいますよう、まず冒頭に期待を申し上げるものであります。
 さて、革新統一県政の優位性の一つに、首里城の復元と周辺公園の整備及び首里町並みの古都的雰囲気づくりについての知事の意気込みを挙げることができます。
 首里城の歴史とその焼失の経過から見れば、復元整備の目標は、平和、歴史、文化、緑のイメージで言い得ると考えております。
 そこで、まず第1に、学生時代、この地に学んだ学究の一人として、またこの地から戦場にかり出され、地獄の中からようやく戻ってきて、今、知事としてこの地の平和的な建設整備を直接責任を持って実施される責任者としての知事の心境、感慨、決意のほどを役所用語ではなく、かみしも脱いでふだん着の知事、あなた御自身の言葉でじっくりと聞かせていただけませんか、お願いいたします。
 2、円覚寺及び博物館石垣の復元あるいは整備を関係当局に要請するなどして進めてください。いかがでございましょうか。
 3、龍潭のしゅんせつについてはいつから着手し、おおよそいつ完了を目標に置いているのですか。特に不発弾がたくさん探知されている状況で作業はどういう方法を現在考えておられるのか、また地域住民との関係は、その際どうするおつもりなのか、お答えください。
 4、国学・孔子廟石垣の史跡指定について、私は長いことこれを要請し続けておりますが、現在の進捗状況を御説明ください。
 5、龍潭周辺のイメージの特徴の一つは、緑うっそうたる古都ということであります。周辺整備の中の植栽計画を時期、植樹を含めて説明してください。なお、整備が終われば、地域の人たちの中には、あそこに宮良長包作曲の首里古城の碑を建てたらどうだろうかという御意見もありますので、付言しておきます。
 6、正殿復元と附帯施設の南北殿建築の進捗状況と見通しを明らかにしてください。
 7、首里城及び周辺の管理は、地域住民の意見を尊重しつつ、民主的に議論を積み重ねるべきと考えます。供用開始後も問題や意見が出れば、この姿勢で対応していただきたいと思います。
 8、旧日本軍地下司令ごう、博物館石垣の弾痕や石垣に突き刺さったままのあの銃弾、その他の戦跡について平和の語り部としての戦跡として保存してください。いかがでございましょうか。

 9、あわせて戦跡保護条例を制定するということは、我が県が戦争で破壊し尽くされた状況から見れば、特に我が県の独自の重要な行政上の責任であると考えます。ぜひ、知事の手で戦跡保護条例制定について前向きに御検討くださるよう強く提起し、質問といたします。
 次に、革新統一県政の優位性でありますが、戦後処理問題に対するあたたの熱意を挙げることができます。
 私は、きょうは、その中の戦争マラリア犠牲者及び戦時海上船舶犠牲者への補償問題についてたび重ねてではありますが、質問申し上げます。
 まず、戦争マラリア問題でありますが、私は、この惨事を調査してこれまでもたびたび指摘してきましたが、この悲劇の原因は日本軍第45旅団9500名、旅団長は宮崎武之少将であります。その作戦の遂行上必要な糧秣確保と、石垣島の場合、軍指導部の戦況判断の誤りと、住民の戦闘妨害を排除するということが目的であったし、結局、作戦遂行のための軍命によって数千名の国民をマラリア死を承知の上で犠牲にしたものであります。
 さらに、石垣島でも疎開後、軍は住民の家畜を片っ端から略奪いたしました。
 波照間島と黒島はわずか30キロしか離れていないのに、まず3月末に波照間島にだけ米軍上陸の情報ありと宣伝して軍は強制疎開させ、800頭以上の牛馬やその値の家畜を数千匹屠殺して軍に運んでいったこと。引き続いてその約1カ月後に、今度は黒島に米軍が上陸するとの情報を流して強制疎開させ、1500頭の牛を初め数千匹の家畜を屠殺して軍に運んだこと。しかもこの両島の屠殺責任者が広井修という獣医少尉であったことから、軍の計画的、組織的家畜略奪が目的であったことは明確であります。
 国家の権力機構である軍が、その作戦遂行のため糧秣確保を目的として計画的、組織的に住民を犠牲にした事件であり、犠牲者への国家補償は現憲法のもと当然であります。
 政府は、たとえ軍命であっても、補償に該当する法律がないといっていまだに所管省庁さえ決めておりませんが、これは無責任そのものであります。それでは、国の補償法の条文にきちんと合うように死ねと、軍と政府は命令することができるとでも言うのでしょうか。、
 私は、この問題の国家補償をかち取るまでそう叫び続ける決意であります。
 そこで質問いたします。
 1、ことし3月予算特別委員会で執行部は私の質問に対し、今年度中に文書要請を政府に提出したいと答弁しました。現県政の大きな前進でありますが、そのためのもろもろの調査と準備について現在の進捗状況をお知らせください。
 2、海上船舶犠牲者補償問題についての執行部の取り組み状況の到達点と方針及びアメリカ公文書館などでの調査の結果も明らかにされたい。
 実は先日、新しい100歳のお年寄りを知事は訪問されました。我如古彌通さんであります。
 あの方御夫婦は、湖南丸の遺族です。少年飛行兵に第2次検査のために軍の命令でもって長崎に行く途中で湖南丸で死んだ方なんです。もう既に100歳を親は超されました。私たちの命のある間に、湖南丸を引き揚げてほしいという悲痛な叫びを持っておられることもつけ加えておきます。
 さて、次の質問は、県平和室の設置についてであります。
 知事、これまでと違う革新統一大田県政の特徴の重要な一つに平和行政への革新県政の意欲を挙げることができます。
 我が県政は、戦争犠牲者への国家補償問題という重要な政治命題に加えて、あの大戦の犠牲を平和に積極的に転化して、沖縄発平和情報を全国に拡散する、そういう命題に取り組むことも重要であると考えます。
 その内容は、例えば平和祈念資料館のより有効な活用のための諸問題解決と一層の内容充実、戦跡保護と条例制定、平和の杜構想の実行、平和のための文化行事、語り部への助成、知事が考えておられる平和諸事業、その他行うべき内容は豊富であります。そして、そのためには平和室的組織の新設がぜひ必要であります。
 この問題は、我が県の歴史の特殊性とも言える特徴であって、課の数が多いからということだけで国による全国への一般基準の中にだけ押しとどめられるものではございません。地方自治は、当然その地方の特色ある政策を内容とする自治をも含みます。沖縄県平和室設置の積極的検討を提起いたします。
 次に、天久開放地に建設予定の県立普通高校について現在の進捗状況をお知らせください。
 さて、平久保牧場及び伊原間牧場にかかわる土地の実質売買問題について質問をいたします。
 この両牧場に共通するものは、まず両牧場とも300年以上の伝統を持つ牧場であり、両牧場とも農業軽視の政策のもとで、農民は後継者問題も含めて牧場経営に苦しむ犠牲者であり、あわせて両牧場ともリゾート関連企業による札束攻勢を受けているという共通点を挙げることができます。
 さて、直接の動機であるリゾートについてでありますが、リゾート法の成立が誘発して金余り企業による基幹産業と自然と環境の破壊が各所で進行し、地価高騰を招いているのであります。
 ですから、最近では、例えば現職国会議員アンケートで回答した自民党議員の65%もが、乱開発防止のため開発規制を強化してリゾート法を見直すべきだと回答し、我が党諌山博参議院議員のリゾート法見直し要求の質問に対して、開発計画の承認や基本構想のフォローアップの中で国民や世論に注目しながら対処したいと、国土庁長官が答弁さぜるを得ない状況になっているのであります。
 そういう中で、平久保牧場の金銭消費貸借抵当権設定による牧場の実質違法売却問題が生まれ、また今回、伊原間牧場持ち株譲渡問題があらわれました。
 これは、平久保問題の経過を逆用して法の網の目をくぐろうとしているとしか考えられず、農振の見直しを待っているとしか考えられません。彼らが法律的にいかに策を弄そうとも、リゾートのためのゴルフ場建設をねらっていることは確実であります。したがって今後、違法性が表面化すれば、直ちに厳重に対応することが強く求められます。
 現在は、県が持つ姿勢のリゾート問題についての基本は、基幹産業用地として県が育ててきたこの土地について、リゾートのために用途を変更したいという姿勢をしっかり持つことであります。このことを県自身が各担当部間で意思統一し、どういう分野の所管部であってもその姿勢をきちっと守ることが重要だと考えます。
 いかに県政トップがかわっても、職員、特に幹部職員が姿勢と物の考え方、住民中心という民主主義について知事をがっちり支えるということが弱ければ、革新統一県政が前に前にと進まないことは申すまでもありません。
 知事の姿勢が県土保全条例の見直しにもあらわれており、これもこれまでと比べ画期的であることと私は考えます。
 そこで質問いたします。
 1、リゾート立地は、基幹産業、自然環境の擁護とのバランスのもとに地域住民の意見を尊重しつつ対応すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
 2、平久保牧場問題は、現在どのように進行していますか、御説明ください。
 3、平久保牧場問題で私は綿密な調査を進め違法な農地売買であることを指摘し、絶対に牧場をリゾートにつぶさせてはならないと主張し、幸い執行部職員の皆さんも同じ立場で取り組んできた経過がありますが、伊原間牧場問題でも基本的には平久保牧場問題処理の方針を基本として、将来にわたって牧場用地、農振地をリゾート用地に変更しない。また、石垣市及び農業委員会にもそう強く指導する。そして企業の法律違反が表面化すれば直ちに厳重に対応すべきだと考えますが、いかがでごさいましょうか。
 以上、御質問を申し上げます。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 宮良作議員の御質問にお答えいたします。
 まず、首里城復元と周辺公園の整備と史跡保存等との関連で、この地の建設整備を直接責任を持って実施する者として私の心境、感慨、決意のほどを聞かせてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 私は戦時中、首里城のふもとにあった師範学校に入学していたことから、戦前の首里のいかにも古都にふさわしいたたずまいについてはよく知っています。

 そのころの首里城一帯はうっそうと樹木に覆われていました。特に首里城のふもとにあるハンタン山には、アカギが空も見えないぐらいうっそうと生い茂っていた光景が強く印象に残っています。そこには祖先の残した国宝級の文化遺産が23ぐらいもあり、龍潭の水は手ですくって飲めるほどきれいで、当時首里は文字どおり文化が薫る町でありました。ですから、首里城一帯を散策すると心が洗われるような感じがしたものです。
 しかし不幸なことに、去る戦争によってこのような首里のすばらしい自然や首里城正殿を初め、多くのかけがえのない文化遺産が目の前で壊滅させられていくのを見て非常に心を痛めたものです。それだけに貴重な文化遺産に対する愛着、執着心には強いものがあります。
 私は、行政の責任者となった現在、そのような個人的心情は別にして、首里城一帯の復興には最大限の努力を尽くしたいと思っています。
 すなわち県は、21世紀に向けた新しい沖縄をつくるため第3次沖縄振興開発計画の策定に向けて積極的に取り組んでいるところでありますが、特にその中で沖縄の風土や歴史、文化遺産などを基盤に、国際都市にふさわしい都市形成を目指すことをうたっています。その一方法として、首里城公園一帯の旧建造物を可能な限り復元することによって首里を文化沖縄のシンボルにしたいと考えています。
 幸いにして、国の御配慮によって首里城正殿や城郭の復元がなされていますが、県としては、それに加えて龍潭や円鑑池をしゅんせつし周辺一帯の美化を図るとともに、行く行くは円覚寺も復元し、首里城一帯を昔ながらの美しい姿に再現したいと思っています。そのため、今議会で補正予算をお願いしているところでありますので、御協力方をよろしくお願いいたします。
 次に首里城復元と周辺公園の整備と史跡保存等について、円覚寺及び博物館石垣の復元あるいは整備を関係当局に要請するなどして進められたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 戦災を受けた円覚寺は、国指定の建造物でありましたので、その復元については関係省庁に要請することを検討していきたいと考えております。
 旧中城御殿、現在の県立博物館の敷地の石垣の復元整備につきましては、一部の石垣が壊れたまま、また周辺が金網で張られておりますので、美的面から申しましても好ましくないと思っておりまして、積極的にその整備をする方向で既に関係部局間で調整させているところでありますので、御理解を賜りたいと思います。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、よろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) 宮良作議員の首里城復元と周辺公園の整備と史跡保存等についての御質問の中の8番目と9番、旧日本軍地下指令ごう、博物館石垣の弾痕等を平和の語り部としての戦跡として保存されたい、それから戦跡保存条例の制定についてという御質問でございますが、これにお答えいたします。この2つの御提言は、関連しますので一括してお答えいたします。
 沖縄戦の体験を風化させないために戦跡の保存は重要なものだと考えておりますが、御提言につきましては、首里城公園整備事業との関連及び関係団体等の意向も踏まえて検討したいと思います。
 なお、戦跡保護条例の制定については、貴重な御提言として検討してまいりたいと思います。
 次に、戦争マラリア問題と海上犠牲者等への補償についての御質問の中の戦争マラリアについての御質問にお答えいたします。
 戦時中の八重山地域におけるマラリア犠牲者の国家補償問題については、多方面からの調査を実施してきたところでありますが、平成3年度には懇話会の中に八重山地域マラリア犠牲者部会を設けたほか、米国立公文書館等での関係資料調査、八重山現地視察等を行っているところであります。
 なお、現時点の状況は当部会において3回にわたって審議を重ねており、また米国立公文書館等で収集した関係資料等の整理、分析を進めているところであります。県といたしましては、これらの調査結果を踏まえまして今年度中に国に対して補償要請を行っていきたいと思います。
 次に、海上遭難犠牲者補償問題についてお答えいたします。
 昭和57年6月に、戦時遭難船舶犠牲者補償問題が提起されて以来、数回にわたり関係省庁等に同問題の解決促進を働きかけてきたところであります。
 現時点で把握されている沖縄関係の戦時遭難船舶は32隻で、そのうち死亡船客名簿が判明しているのが17隻で、残り15隻については資料収集が困難な状況にあります。
 なお、去る8月に、マラリア犠牲者部会の委員が、米国立公文書館等でマラリア関連の調査と並行して戦時遭難船舶についても資料を収集し、目下その資料の内容を検討しているところでございます。
 戦時遭難船舶犠牲者については、国との身分関係の問題で援護法等による補償は極めて困難な状況にありますが、県といたしましては、これらの調査結果等も踏まえまして引き続き同犠牲者の遺族に対する何らかの国家的な措置が図られるよう国に働きかけてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 首里城復元と周辺公園の整備と史跡保存等についての御質問のうち龍潭のしゅんせつについていつから着手し、おおよそいつ完了を目標に置いているか、不発弾がたくさん探知されている状況で現在、作業はどういう方法を考えているか、また地域住民との関係はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 龍潭のしゅんせつにつきましては、今議会に提案しております補正予算成立後、速やかに着手し平成4年9月末完了を目途にしております。
 しゅんせつ作業につきましては、金属探査により不発弾が、また遺骨、文化財等が埋もれている可能性があると言われておりますので、その作業は困難が予想される上、池の水の処理や周辺環境の対策等厳しいものがあります。
 御質問の作業方法につきましては、安全確保を第1に、慎重に作業を進める必要があり、現在、水を抜いて行う作業方法を考えております。
 不発弾が発見された場合には、これまで他の現場等で行われてまいりました処理方法で撤去することにしております。
 また、地域住民との関係につきましても、安全確保の面から万全な対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、龍潭周辺の植栽計画の時期、樹種を含めて説明されたいとの御質問にお答えいたします。
 龍潭周辺の植栽計画は、歴史的風致景観を配慮した樹木及び既存木の活用を計画しており、その樹種の選定に当たりましては有識者等の御意見も参考にしたいと考えております。
 植栽の時期につきましては、平成4年度以降実施していく予定であります。
 次に、正殿復元と南北殿建築の進捗状況と見通しについての御質問にお答えいたします。
 首里城正殿の復元工事の進捗状況につきましては、平成3年9月現在、上層屋根はしっくい塗り、下層屋根はかわらぶき中であり、室内外の作業工程も順調に進んでいると聞いております。
 また、北殿、南殿、番所、奉神門につきましても躯体工事は完了しており、外部屋根の小屋組みの作業を行づている状況にあります。
 これらの工事は、平成4年秋までには完了する予定になっていると聞いております。
 最後に、首里城及び周辺の管理は、地域住民の意見も尊重しつつ、民主的に論議を積み重ねるべきであると考えるとの御質問にお答えいたします。
 首里城公園の管理につきましては、海洋博覧会記念公園管理財団が一元的に管理することが決まっておりますが、県民の意向が反映されますよう適切に対処してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 総務部長。
   〔総務部長 新垣勝市君登壇〕
○総務部長(新垣勝市君) 宮良作議員の沖縄県平和室の新設についての御質問にお答えいたします。

 悲惨な戦争を体験した沖縄において平和行政を進めることは重要であり、大変意義深いことであると認識いたしております。
 このため、平成4年度の重点施策の基本方針でも特に平和行政の推進の項目を立てまして関連施策の推進とあわせて平和行政の推進体制の充実強化に努めることといたしております。
 平成4年度の組織につきましては、これから具体的に検討作業に入る予定でございますが、御提言の沖縄県平和室も含め、行政改革大綱の趣旨も踏まえて組織全体の見直し作業の中で検討してまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 宮良作議員の御質問にお答え申し上げます。
 平久保及び伊原間牧場問題に関連いたしまして3点ほど御質問がございますが、農林水産部所管は2点ほどございますので、お答えいたします。
 まず1点目は、平久保牧場問題は現在どのように進行しているかという御質問でございますが、平久保牧場については組合有地に企業による抵当権の設定がなされたり、石垣市有地に係る永小作権を解約し、当該借地が市に返還されるなど当該牧場の継続利用が懸念されておりました。
 県はこれまで、当該地域は農振農用地に位置しており、優良農用地で将来的にも農業上確保すべき土地として指導してきております。 
 地元石垣市においても、農業的利用を図る観点から平久保牧場土地利用対策協議会を設置いたしまして今後の当該牧場の利活用について協議を重ね、その結果、当該牧場は、社団法人石垣市肉用牛センターが引き継いで畜産的な利活用を図ることで結論を見ており、今後とも農業的利用が図られることになっております。
 なお、平久保牧野組合においても、いろいろの経緯はございましたが、石垣市有地に係る牧草地を賃借いたしまして組合有地での肉用牛経営を継続していく意向のようでございます。
 伊原間牧場については、平久保牧場同様に指導できないかという御質問でございますが、伊原間牧場につきましては、当該地域の大部分が土地利用計画上農振農用地区域に設定されており、農業上の公共投資、その他の農業振興に関する施策を計画的に推進すべき地域として定められております。当該牧場にはこれまで畜産振興を図るため、団体営草地開発整備事業等を導入いたしまして生産基盤を整備してきたところでございます。
 したがいまして、このような地域にゴルフ場等の開発計画は、原則として県が進めている農政の基本方針にそごすることになりますので、県といたしましては調査を継続し、違反が判明した場合には厳正に対処していく考えであります。
 また、当該地域は、集団的に存在する優良農地であり、石垣市とも連携を図りながら、今後とも農業的利用が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 振興開発室長。
   〔振興開発室長 与那嶺敏光君登壇〕
○振興開発室長(与那嶺敏光君) 平久保及び伊原間牧場問題についての中の、リゾート立地は基幹産業、自然環境の擁護とのバランスのもとに、地域住民の意見を尊重して対応すべきだと考えますが、見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 リゾート開発は地域づくり、町づくりそのものであり、同時にすぐれた自然環境の存在こそがリゾート沖縄を成立せしめるとの基本理念のもとに御指摘のように地域住民の意見を尊重して進めることが極めて重要であります。
 このため、リゾート開発に当たっては、農地法や森林法等個別規制法との整合性を図ることはもとより、沖縄県県土保全条例の改正など自然環境の保全や他の土地利用との調和、さらには関連施設の需給バランスにも配慮しながら、関係市町村との連携のもとに、その適切な規制と誘導を図っていく所存であります。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 首里城復元と周辺公園の整備と史跡保存等について教育委員会の所管の部分と、天久開放地に建設予定の県立普通高校についての御質問にお答えいたましす。
 まず、首里城復元と周辺公園の整備と史跡保存等についての国学・孔子廟石垣の史跡指定について進捗状況を説明されたいという御質問にお答えいたします。
 国学・孔子廟石垣は、平成元年8月に県立芸術大学の音楽棟の建設に伴う発掘調査において確認されたものであります。
 教育委員会では、県の史跡に指定するため担当部局と調整中であり、本年度内に指定するよう努力してまいりたいと思います。
 次に、天久開放地に建設予定の県立普通高校の建設準備について、現在の進捗状況など諸計画を明らかにされたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 天久開放地区に設置予定の県立普通高校は、県立学校編成整備計画により天久地域等の高校生の収容、進学率の引き上げ等や那覇、首里高校等の学校規模の適性化を図ることなどを設置目的といたしております。
 開校年度につきましては、今後、那覇新都心地区整備事業の進捗状況を勘案しながら、関係部局及び整備事業施行者との連絡調整等を図りつつ、できるだけ早い時期に設定したいと考えております。
 学校規模については、普通科系1学年8クラス、及び帰国子女教育にも配慮した国際学科1クラスの計9クラス規模を想定いたしております。
 学校の性格といたしましては、21世紀に向け、特に施設面で特色ある学校として地域社会に開かれた施設を備え、情報環境や快適な学習、生活空間が整備されているインテリジェントスクールを基本として検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時52分休憩
   午後1時48分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 島袋嘉盛君。
   〔島袋嘉盛君登壇〕
○島袋嘉盛君 質問に入ります前に所見を申し上げます。
 去る10月1日から2日にかけて、浦添市大平347番地一帯で起こりました地すべり事故の被災者の皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。また、知事におかれましては、被災者の救済補償、2次災害の防止、復旧作業等に万全を期していただきたいと思います。
 では、所見を述べながら一般質問を行います。よろしく御答弁をお願いいたします。
 初めに、台風時の観光客対策問題について質問いたします。
 去る台風19号は、本県を直撃し、本県の第1次産業を初め多くの被害を与えております。また、本土も同様で全国で56人のとうとい命を奪い、大きなつめ跡を残しており、改めて自然の驚異を痛感した次第であります。特に、台風常襲地帯の本県における台風対策行政は重要であり、また大きな課題であります。
 とりわけ、台風時における観光客対策は重要であります。今日まで本県の台風時における抜本的観光客対策は皆無に等しく、これまで関係者から多くの不満が呈されていることは周知のとおりであります。空席待ち整理券の取り扱い等幾らか前進ですが、これだけでは将来にわたって十分とは言えないと考えます。
 知事におかれては、台風19号のさなか、那覇空港まで出向かれ、現状を見聞されるなどの果敢な行動は、この問題に対する知事の強い姿勢であり、今後の行政の対応に期待するものであります。一時休憩所の提供等の検討など施策の展開が必要と考えます。
 以上の観点から以下の事項についてお尋ねいたします。
 1つ、台風時における観光客対策の必要性について、知事の御所見を伺いたい。
 2つ、台風時における観光客に対する具体的方策を伺いたい。
 次に、県立武道館建設問題について質問いたします。
 県立武道館の建設は、復帰20周年記念事業として位置づけ、建設に向けて建設場所の問題、規模の問題、資料の収集等に努め、鋭意努力されていることに対し敬意を表するものであります。
 本県武道7団体を初め、県民からその実現に大きな期待が寄せられております。
 具体的な芽出しとして、今回の補正予算に約5000万円の基本設計費が計上されていることは喜ばしいことであり、関係者の努力に敬意を表します。

 また、報道によりますと、建設場所は県立奥武山体育館を取り壊し、隣接のシーメンズクラブの協力を求め敷地の拡大を図り、建設していくと報じられております。その実現に最大の努力を払い、沖縄の玄関にふさわしい整備を図っていただきたいと思うのであります。
 以上の観点から、次のことについてお尋ねをいたします。
 1、県立武道館の建築構想と総事業費並びに事業ベース等をお伺いいたします。
 2、設計に当たっては、沖縄の風土にマッチし、また沖縄県を象徴する夢のあるものに気配っていただきたいのでありますが、知事の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、福祉の充実問題について質問いたします。
 大田知事は、昨年の12月10日の知事御就任以来、今日まで全力で県政運営に当たられております。特に福祉行政については新しい事業の実施等福祉の充実を目指されておりますが、今後とも一層の福祉の充実と県勢発展に努めていただきたいと思います。
 本県の福祉行政の多くの課題の中から、今回は精神薄弱者授産施設(共同作業所)の充実について質問いたします。
 本県には心身障害者共同作業所が16カ所あり、現在約230人の恵まれない方々が精いっばい頑張っておられます。
 運営費については、県、市町村、福祉協議会補助金、寄附金、事業収入等でなされておりますが、自主運営のため大変厳しい状況にあると伺っております。現在、県からの助成は年間1施設に90万円を、3施設に3回に限り行っておりますが、福祉の重要性にかんがみ、ぜひとも改善の努力を払っていただきたいと思うのであります。
 以上の観点から、次の事項についてお尋ねいたします。
 1、現在の県の助成のあり方を抜本的に改善し、各施設に毎年助成し運営の充実を図っていただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。
 2、助成の額について全国平均額の実現に努力していただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、浦添市西海岸の海岸道路建設問題について質問いたします。
 西海岸道路の開発は、本県の交通の確保と地域の開発と経済活動等に欠くことのできない大プロジェクトであります。既に供用開始地域においては大きく貢献をしておりますが、浦添地先と宜野湾地先の一部において未開発であり、県政の大きな課題であると考えております。
 浦添市西洲の物流センターを初め、沖縄コンベンションシティ等の機能を十分に発揮するためにも、また県下のスムーズな交通の確保の上からも当該地域における海岸道路の早期開発を求めるものであります。 
 以上の観点から、次のことについてお伺いいたします。
 1、西海岸道路の早期建設の必要性について知事の御所見を伺いたい。
 2、第3次沖縄振興開発計画の中でその実現を図り、事業着工が早期に実現できるよう求めるものでありますが、知事の御決意を伺いたいと思います。
 次に、土地区画整理事業問題について質問いたします。
 本県では、多くの土地区画整理事業が実施されております。それによって新しい市街地を形成し、秩序ある都市形成に貢献しておりますことは申し上げるまでもございません。
 反面、その作業の過程において地主間の合意形成の不十分さや地域住民への配慮の欠如、行政指導の不十分と思われる点等が原因で多くのトラブルが発生しているのも事実起こっております。
 現在、浦添市の北経塚土地区画整理事業においても、隣接する地域住民から墓地建設に関して問題が提起されております。現在、市当局、整理組合、県当局、住民と問題解決のための話し合いがなされているようでありますが、最善の努力を払い、円満な解決を見ることを希望するものであります。
 以上の観点から、次の事項についてお尋ねをいたします。
 1、土地区画整理法第1条の福祉の増進、土地基本法第1条の国民生活の安定向上、同じく第2条公共の福祉の優先を述べておりますが、その他すべての関連法を参照し、これらの条例に反した行為でないことを確認されたかどうか、まずお伺いいたしたい。
 2、土地区画整理法第95条の1、墓地については特別の考慮を払うこととされているが、墓地問題が発生することが予想される本事業に対し、墓地の担当である県環境保健部環境衛生課の意見を聞いて合議を得ましたかどうかお伺いをいたしたい。
 3、既設の墓地を集合したということでありますが、これは土地区画整理法第2条第2項に相当する行為であるとも考えられますが、しかしながら事業計画書では該当なしと申請されているようでありますが、書類上の諸手続の問題点はなかったかどうかお伺いをいたします。
 4、今後、県当局におかれましては、この問題解決のためにどのように対応されるのかお伺いをいたしたいと思います。
 5、浦添市西原土地区画整理事業の工事の進捗状況はどうなっておりますか。また、裁判の経過と結審の見通しはどうなっておりますか伺いたい。
 また、県は今後、この問題にどう対応されるか、所見を伺いたいと思います。
 次に、離島振興対策問題について質問をいたします。
 過日、北大東村並びに南大東村を訪問する機会がございました。本島より約380キロの太平洋上に浮かぶ島で、まさに絶海の孤島を実感した次第であります。外洋に閉ざされた環境は、島外との交通機関等に多くの不便をかこっております。
 幸いにして、新南大東空港建設事業の着手並びに北大東空港の拡張整備計画が具体化されることは、両村の今後の発展と活性化に大きく貢献するものであり、早い実現方を期待するものであります。
 なお、離島振興並びに福祉の増進の観点からも次の事項についてお尋ねをいたします。
 1、北大東村と那覇間の航空便の1日1便の確保を図っていただきたいが、御所見を賜りたいと思います。
 2、北大東空港の拡張整備計画を第6次空港整備計画に取り入れていただきたいが、御所見を伺いたいと思います。
 3、県立南大東診療所看護婦宿舎の建設はいつ着工されるのか、その計画を伺いたいと思います。
 4、新南大東空港建設計画並びに北大東空港拡張整備計画を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、河川整備問題について質問いたします。
 本県には、大小合わせて300余の河川があり、これらのうち特に県民生活に重要な46水系65河川を県知事管理の2級河川、また14水系22河川を市町村長管理の準用河川に指定し、治水事業を進められているところであります。
 また、その整備について今日までいろいろと取り組まれてきたようでございますが、今なおその整備は立ちおくれているのが現状であります。快適な日常生活を営む上からもその整備を一層推進しなければなりません。
 以上の観点から、次の事項についてお尋ねいたします。
 1、本県の河川整備の状況はどうなっておりますか。また、今後の整備計画をお示し願いたいと思います。
 2、小湾川並びに牧港川の概要と整備の状況及び整備計画を伺いたいと思います。
 3、河川整備の進捗がおくれている原因は何か、お伺いいたしたいと思います。
 以上、よろしく御答弁をお願いいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 島袋嘉盛議員の御質問にお答えいたします。
 まず、台風時における観光客対策の必要性についてでございます。
 台風の常襲地帯と言われる本県において、台風は、県民生活はもとより観光客へも大きな影響を与えております。
 昨年、本県を訪れた観光客は295万人を記録し、観光は本県経済の大きな柱になっております。したがって台風対策は、本県観光を振興する上で欠かせないものだと認識しております。
 このため、県におきましては台風時観光客対策協議会を設置し、各航空会社を初め関係機関との連携を密にし、台風の影響を緩和するため種々の対策に努めているところでありますが、今後は、これまで以上に積極的に対策に取り組んでまいりたいと思っております。
 続きまして、県立武道館建設問題との関連で、設計に当たっては沖縄の風土にマッチし、また沖縄県を象徴する夢のあるものに気を配ってもらいたいがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。

 県立武道館は、本県における武道の振興を図り、その活動の拠点となる専用施設として建設する計画であります。
 建設に当たっては、御指摘のとおり本県の風土と文化を考慮し、武道振興の場にふさわしい構造、外観を持つ施設として建設したいと考えています。したがいまして、御提言につきましては十分に配慮させていただきたいと思います。
 次に、浦添市西海岸の海岸道路の早期建設の必要性について、第3次沖縄振興開発計画への実現を図り、早期事業着工について考え方を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 西海岸道路は、読谷村親志から糸満市真栄里に至る道路で、中南部地域の国道58号及び国道331号の交通渋滞の緩和を図るとともに、西海岸の開発プロジェクト等を支援し、空港、港湾を有機的に連結する骨格道路として沖縄県総合交通体系基本計画の中に位置づけております。
 現在、当該道路の建設については、国において条件整備を図りながら、国道のバイパス事業として嘉手納バイパス、宜野湾バイパス、豊見城バイパス及び糸満バイパスを段階的に事業着手して整備を進めているところであります。
 御質問の浦添地先の西海岸道路建設については、国道58号の交通渋滞が極めて厳しいことから積極的に事業促進する必要があると考えております。
 県としましては、当該道路を第3次沖縄振興開発計画大綱において交通ネットワークの強化を図る骨格道路として位置づけております。
 当該道路の浦添市地先の区間につきましては、那覇新港の拡張計画やトロピカルリゾートメーン・コアの整備計画との整合を図りながら、早い時期に事業着手できるように努めていく考えでありますので、御理解いただきたいと思います。
 なお、その他の御質問につきましては、関係部長に答えさせますので、よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) 島袋嘉盛議員の福祉の充実問題について、第1点目の、現在の小規模作業所に対する助成制度を抜本的に改善し、各施設に毎年助成し運営の充実を図っていただきたいがという御質問でございますので、それにお答えいたします。
 小規模作業所に対する県の助成制度は、中央の公的団体の補助を受けてない小規模作業所に対して、国の通所援護事業助成費交付要綱に準じ昭和58年度から実施しております。国の要綱では、補助期間が3年間という条件がありますが、県といたしましては、新たに全作業所に対し継続して助成できるよう検討しているところであります。
 次に、小規模作業所に対する助成の額について、全国平均額の実現に努力していただきたいがという御質問にお答えいたします。
 平成2年度の小規模作業所に対する補助金の全国平均は、1カ所当たり約160万円となっております。
 本県の小規模作業所の運営は厳しい状況にあり、県といたしましては全国水準の助成ができるよう努力していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 土地区画整理事業問題について、北経塚土地区画整理事業についてすべての関連法を参照し、これらに反した行為でないことを確認したかとの御質問にお答えいたします。
 当該土地区画整理事業は、土地区画整理法に基づき設立された北経塚土地区画整理組合が実施しているところであります。
 この事業は、都市計画法、土地区画整理法、その他の必要な法令の手続を経て認可され、適正に実施されております。
 次に、土地区画整理法では墓地について特別の考慮を払うこととされているが、当該事業について環境保健部の意見を聞いたかとの御質問にお答えします。
 御指摘の土地区画整理法第95条は、特別の宅地に関する措置を定めたものであり、換地計画に当たって学校や病院、墓地等のいわゆる公益施設について、その位置、地積等に特別の考慮を払い、換地を定めることができることとしたものであります。
 土地区画整理事業施行地域内における墓地につきましては、墓地、埋葬等に関する法律第11条第2項の規定に基づき、土地区画整理事業計画の認可をもって墓地等の許可があったものとみなされます。
 当該北経塚土地区画整理事業につきましては、利害関係人に対する事業の周知を図るため、平成元年2月25日から4回にわたり都市計画及び事業計画等の縦覧が行われております。
 縦覧の結果、特に墓地に関する意見書の提出もなかったことから、環境保健部の意見は聞いておりません。また、合議の必要もないとのことであります。
 土地区画整理法第2条第2項に該当する事業とは何か、事業計画書には添付していないとしているが、手続に問題はなかったかとの質問にお答えします。
 土地区画整理法第2条第2項の事業は、土地区画整理事業の施行のために必要な工作物その他の物件の設置等で上下水道、ガス配管、電気設備等を土地区画整理事業とあわせて行う場合のいわゆる附帯事業であります。
 御質問の墓地につきましては、同法第2条第1項の区画整理事業として行うものであり、手続上問題はないと思います。
 次に、今後、県当局はこの問題解決のためどのように対処するかとの御質問にお答えします。
 県といたしましては、区画整理組合及び地域住民の方々が墓地の位置、建設方法、緩衝帯の設置等について、今後、十分な話し合いが行えるよう浦添市及び組合を指導してまいりたいと考えております。
 次に、西原土地区画整理事業につきまして、事業の進捗状況、裁判の経過と結審の見通し、県は今後どう対応するかとの御質問にお答えいたします。
 まず、進捗状況につきまして、当該土地区画整理事業は、おおむね9割程度進捗しております。
 次に、裁判の経過と結審の見通しについて、当該事件は、西原土地区画整理組合並びに沖縄県を被告とし、関係者169名が原告となって提起された土地区画整理組合設立無効確認等請求事件であります。
 この事件は、昭和62年2月に提起され、これまで10回の口頭弁論が終了しております。また、結審の見通しは現在立っておりません。
 県の今後の対応につきましては、県としては裁判の結果を踏まえて対処していきたいと考えております。
 次に、離島振興問題につきまして、北大東空港の拡張整備計画を第6次空港整備計画に取り入れていただきたいが、御所見を伺いたい、また、その整備計画を明らかにしていただきたいという御質問にお答えいたします。
 北大東空港は、那覇から約380キロメートルの位置にあり、那覇との間に小型のDHC6型機が就航していますが、燃料搭載との関係で提供座席が制限されております。
 また、機材が小型であるため気流の影響を受けやすく欠航が多い等、利用者にとって十分なサービスが提供されていない状況にあります。
 このような不便を解消するため、北大東村からYS11型機対応の空港整備について要請があり、県としても慎重に検討した結果、民生安定と離島振興の面からその整備の必要性を認め、平成2年度に基本計画調査を実施したところであります。引き続き平成3年度においても測量、土質調査及び基本設計等を実施するため現在事務手続を進めております。
 また、同空港の拡張整備につきましては、平成3年度を初年度とする国の第6次空港整備5カ年計画に組み入れられるよう要請を行ってきたところであり、今後とも最大限の努力を払っていく考えであります。
 なお、同空港整備計画につきましては滑走路1500メートル、エプロン2バース及び道路、駐車場等を整備する計画であります。
 次に、新南大東空港建設計画を明らかにしていただきたいとの御質問にお答えします。
 南大東村には現在、那覇との間に小型のDHC6型機が就航していますが、民生安定と離島振興の面からYSH型機が就航可能な空港を建設するものであります。
 その整備に当たっては、気象条件、空域条件及び土地利用状況等の面から検討した結果、現空港から東側に約2キロメートル離れた新東地区に設置するものであります。

 事業概要といたしましては滑走路1500メートル、エプロン2パース、道路、駐車場及び無線施設等を整備するものであり、総事業費は約60億円となっております。
 同事業は、平成3年度から着手し、平成8年度までに完了させ、平成9年7月に供用開始の予定となっております。
 次に、河川整備問題について、本県の河川整備の状況と今後の整備計画についての御質問にお答えいたします。
 県内には大小300余の河川がありますが、現在、2級河川65河川のうち50河川の延長169.1キロメートルを改修が必要な区間として計画を策定し、整備を促進しているところであります。
 平成2年度末現在、改修済み延長は47キロメートルで、整備率は27.8%となっております。
 次に、今後の整備計画についてでございますが、平成4年度を初年度として策定を進めております第8次治水事業5カ年計画の中でほぽ全国の整備水準に近づけるべく要望しているところでございます。
 また、この計画の中の重要な施策の一つであります環境に配慮した水と緑豊かな潤いと安らぎのある水辺空間の整備についても積極的に進めてまいる所存でございます。
 次に、小湾川、牧港川の整備状況と整備計画についての御質問にお答えいたします。
 まず、小湾川につきましては昭和48年度から河川改修事業を行い、2級河川指定延長4.3キロメートルのうち、平成2年度までに3.5キロメートルについて護岸整備が完了しております。
 護岸整備がなされてない箇所は河ロ部の500メートル、上流部の300メートルでありますが、河口部につきましては現在事業を実施中であり、今年度は用地買収を予定しております。上流部につきましては自然の河川が残されており、谷間となっていることから現在のところ改修工事の予定はありませんが、当該地域につきましては浦添市都市景観ガイドプランが策定されておりますので、ガイドプランに沿う形での保全と整備の検討が必要であると考えております。
 次に、牧港川につきましては昭和49年度から河川改修事業に着手し、河口から800メートル間の人家連櫓地域につきましては護岸整備が概成しております。平成3年度は国道58号の既設ボックスカルバートの改築工事を予定しており、全体の進捗率は31%であります。
 また、指定区間の上流端である陽迎橋から下流側の残りの区間につきましては、現在、改修計画から除外されていますが、調査を実施し、今後整備に向けて検討してまいりたいと考えております。
 最後に、河川整備の進捗のおくれの原因は何かとの質問にお答えいたします。
 本県の河川事業は、昭和47年度の復帰後から本格的な整備を実施しており、全国と比較して着手のおくれが整備率の低い原因となっております。
 しかしながら、昭和62年度に全国が29.4%に対し、本県は20.7%とその差は8.7%になっておりましたが、平成2年度は全国33.6%に対し、本県は27.8%でその差は5.8%となり、格差は着実に縮まっております。今後とも各河川の整備促進に努め、格差是正を図っていく所存であります。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 離島振興問題についての、北大東村─那覇間の航空便の1日1便の確保を図っていただきたいという御質問にお答えいたします。
 本県の航空路線網の拡充につきましては、県民生活の安定及び地域の振興を図る上から重要な課題として取り組んでいるところでございます。
 北大東路線につきましては、南西航空に対し増便要請を行い、昭和62年2月、週4便から現在の5便に増便された経緯がございます。
 週7便体制への増便につきましては、現在、南西航空の機材、乗務員との関係で早期の実現は難しい状況にございます。
 しかしながら県といたしましては、離島住民の生活路線を確保し、急患対策の上からも増便は必要であると考えており、今後の運航計画の中で配慮してもらうよう強く要請していきたいと思います。
○議長(平良一男君) 観光文化局長。
   〔観光文化局長 比屋根隆和君登壇〕
○観光文化局長(比屋根隆和君) 島袋嘉盛議員の御質問にお答えいたします。
 台風時における観光客に対する具体的方策はという質問でございます。
 観光客対策につきましては、知事の御答弁にもありました台風時対策協議会が設置されておりますので、この協議会を中心に実施しております。
 通常、台風時には空港ターミナルヘの観光客に対しましてござとかおにぎりなどの提供とか、それから冷房の24時間運転、レストラン等の営業時間の延長、ホテル、タクシーの紹介、それから旅費を使い果たした人々には金融機関による小口融資のあっせん、後払い方式によるホテル等への紹介などを行っております。
 また、去る台風時に空港がかなり混雑し、なおかつ宿泊を余儀なくされた方々が大変多くございましたんですが、この理由は、有効期間が当日限りの空席待ち整理券を一刻でも早く求めようとして空港に一時に殺到したということが原因として考えられました。
 そういうこともございまして台風17号、19号におきましては、前回の台風時の経験を生かしまして、県は航空会杜に対しまして、1、臨時便の適切な運航、2、空席待ち整理券の発行方法を改善すること、具体的に申し上げますと、台風のために欠航した便の航空券を所持している人に対して優先的に整理券を発行していただきたい、それからその整理券の発行期間、従来まで1日間だったんですが、それを延長していただきたいという提案を行いまして、航空会社において実施していただいたわけでございます。その結果、17号、19号のときは、空港における窓口での混雑は緩和されまして、ロビーでの宿泊もほとんどなくなりました。
 今後の対策といたしましては、これらの観光客対策を一層強化するとともに、今後、引き続き先生の御提案にもございました一時的な休憩を含めまして宿泊用としての公共施設の使用及び台風情報、臨時情報等が宿泊所にいても瞬時に得られるような情報システムの開発など有効な台風時観光客対策について、今後、関係団体の協力を得ながら一層積極的に取り組んでいくつもりでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 病院管理局長。
   〔病院管理局長 比嘉清一君登壇〕
○病院管理局長(比嘉清一君) 島袋議員御質問の離島振興問題の中の県立南大東診療所看護婦宿舎の建設時期はいつかという御質問にお答えいたします。
 現在、御案内のように南大東診療所におきましては、医師及び看護婦を配置するなど地域医療の確保に努めているところでございます。医療要員の安定的確保を図る観点から、その条件整備の一環といたしましてこれまで診療所や医師住宅などを整備してまいりましたが、御質問の看護婦宿舎につきましては、平成4年度に建設をいたすべく国庫要請などを行っているところでございます。したがいまして、着工の時期等につきましては、今後予算の成立を待って検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 県立武道館建設問題に関連して、県立武道館建築構想と総事業費並びに事業ベースを伺いたいという御質問にお答えいたします。
 県立武道館は、本県における総合的武道センターとしての機能を持った施設として武道の普及振興を図るとともに、心身ともにたくましい青少年の育成と、生涯スポーツ時代における県民の健康体力づくりの場としてふさわしい建物として建設したいと考えております。
 県立武道館の建設場所は、交通の利便性、人口の集中度及び利用効率等を考慮し奥武山公園内に建設する予定をしております。
 性格といたしましては、国際大会、全国大会はもとより、各種武道大会や錬成、研修等を通して武道の普及振興を図り、沖縄のすぐれた文化である空手、古武道の継承発展及び武道、スポーツを通して県内外の交流を深め国際親善の場としても役立たせるものでございます。
 規模は、鉄骨鉄筋コンクリートづくりの地下1階、地上3階で、延べ面積約1万2000平米で計画をいたしております。

 総工事費につきましては、おおむね54億円を予定しております。本年度は基本設計を行い、平成4年度に実施設計、平成5年度に着工、平成6年度に竣工の予定をいたしております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 島袋嘉盛君。
   〔島袋嘉盛君登壇〕
○島袋嘉盛君 一通り御答弁をいただきました。 私は、いろいろと質問をいたしましたが、台風時における観光客対策、これは知事からも所見が述べられましたように、これからの本県の観光立県を目指す上からその対策がいろいろと検討されることを希望いたします。
 次に、土地区画整理事業問題についてでございますけれども、今、経塚において行われております土地区画整理事業、これは組合の方々も長年かけていろいろと計画をし、その事業に着手しているところであります。したがいまして、その事業の成功をぜひ期さなくてはならない。しかしその中にあって、隣接する地域から、先ほど申し上げたような、すぐ目と鼻の先に墓地団地を形成する、これについていろいろ問題が提起されているわけであります。
 したがいましてその関係者、地域住民も、区画整理自体はぜひ立派にやっていただきたいと。ただ、このすぐ目と鼻の先に墓地団地の形成が具体化しているので、この問題を何とか努力をして解決を図っていただきたい、こういうことが関係者の意見でございます。したがいましてこれまで述べられましたように本問題の解決に当たりましては鋭意努力されまして、本当に区画整理をこれだけの巨費を投じてやってよかった、地域からも喜ばれた、地権者も土地の利用が本当に高まった、こういうことでの区画整理法の趣旨に基づく事業が、そして地域への相乗効果、こういったこと等もぜひ生み出せるようにしていただきたい。せっかくの事業、感情でいろいろと意見の対立等がいつまでも長続きしますとこの問題は大変心配をしなければなりませんし、またそうあってはならない、こういうことでございますから、積極的に取り組み方をお願いし要望いたして私の質問を終わります。
○議長(平良一男君) 石川 修君。
   〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 大田知事を迎えまして、私もきょう初めてここに登壇する機会をいただきました。また今回は、女性副知事尚弘子さんを迎えまして三役おそろいであります。どうぞ知事を先頭に、県民の福祉の向上にスクラムを組んで頑張っていただきたいことを要望いたしておきたいと思
っております。
 本日は、私は、農民の生の声、これを代弁して、農業一つについて質問を申し上げたいというふうに思っております。所見を述べながら申し上げますので、どうぞ農民の気持ちにこたえて温かい御答弁をお願いしたいと思っております。
 我が国が台湾を統治していたころ、政府は亜熱帯農業の開発を本県を素通りして台湾で行ってまいりました。また戦後は、米軍支配27カ年も見るべき農業政策はなかったのであります。むしろキャラウェー高等弁務官が農業団体を弾圧したあの事件が強く印象に残っているのであります。復帰後に初めて本格的な農業開発が始まったものと私は認識をしております。
 1次、2次の振興開発計画で土地改良、農業用ダム、草地造成、研究機関の整備等あるいは特殊病害虫の根絶、もろもろの基盤整備が行われてまいりました。生産面においては基幹作物のサトウキビ、パイン、さらに冬春期の端境期に本土市場へ供給する野菜、果樹、花寿等に力を注ぎ生産振興の施策を展開してまいりました。
 ところで最近、我が国の農政は農業の危機さえ思わせるまでに後退をしてまいりました。国内においては、財界が自我の利益の防衛を図り農産物輸入自由化を政府・自民党に迫る、またアメリカも我が国の食糧供給事情を無視し、なりふり構わぬ強い圧力で農産物の市場開放を求めております。
 自民党政府は、農民や消費者の声に反し財界やアメリカの圧力に屈し、ついに本県の主要農産物であったパイン、続いて牛肉、オレンジも輸入自由化に踏み切ったのであります。このようにして我が国農業は、今後も厳しさを増した道になろうかと思われるわけであります。
 このような時期に本県の最大の基幹作物であるサトウキビは、一層厳しい局面を迎えているのであります。このサトウキビについて若干の質問をいたします。
 350年の歴史を持つ本県のサトウキビは、今日まで農家の生活を支え県民経済に大きく寄与してまいりました。今日なお、全耕地の62%作付をされ、農家の83%がサトウキビに関与しているわけであります。
 平成元年産サトウキビの代金365億、砂糖の売り上げが537億であります。産業に乏しい本県にとって、この産業の存在は極めて貴重なものであります。厳しい局面とはいえども、糖業の発展は何としても守っていかなければならないと思います。知事の御所見を求め、次の質問をいたします。
 近年、我が国の農政は財界主導、アメリカの言いなり、輸入自由化の方向に進み、また農産物の支持価格も低迷の傾向にあります。
 このような状況にサトウキビ生産農家の不安は増大し、生産意欲の減退になりかねないと思います。この状況に知事の姿勢、所見をお伺いしたいと思っております。
 次にまた、サトウキビ価格は生産費をはるかに下回り、トン当たり4000円の赤字で設定をされておりますが、今期の価格折衝も難航しております。生産者の意欲減退にならぬよう強く求めるものでありますが、知事の御所見を求めるものであります。
 さらに、農業従事者の高齢化と後継者の問題は、今日農業の大きな課題となっております。特にキビ農家は年々、作付面積の減少があらわれ深刻であります。サトウキビ農業の機械化について県の努力は理解するものでありますが、生産者の納得する機械開発が実現されていない今日、収穫放棄さえ見られるようになりました。
 平成元年の収穫放棄44ヘクタール、2年産の収穫放棄72ヘクタール、切実な事態であります。投下労働の50%を超えるサトウキビ収穫の機械化は緊急な課題であります。このことは、本県農業の存亡にかかわる重要な課題と言わねばなりません。機械化の実態について御説明を願います。
 次に、品質取引についてであります。
 生産者にとって長年の重量取引から移行するので、不信や不満が農家にあってはなりません。生産者の理解と協力が鉄則でなければならないと思います。
 品質取引は、ブリックス、蔗汁糖度、甘蔗糖度あるいは可製糖度等が基準になると思いますが、既に農業団体はブリックス、製糖側は甘蔗糖度と意見が分かれております。政府は何を採用しようとしているのか、どういうふうに指導しているのか。また、生産者にとっては心の準備が必要であります。基準設定については余裕のある時期に決定が求められますが、協議の進行状況はどうなっておりますか。
 さらに、畑作共済事業についてでありますが、重量取引は収量のみが対象でありますが、制度移行後は品質も対象となります。自然災害による品質低下の査定について、どのような方針であるのか。また、このことについての作業取り組みはどうなっているのか、お尋ねをいたします。
 次に、土地利用型農業のことについて申し上げます。
 サトウキビ農業の収穫放棄、作付の減少が出てまいりました。すなわち農家のキビ離れ現象であります。工場側は、この現象を次のように認識をいたしております。機械化の導入がなされてないこと、価格の低迷、さらに生産者の高齢化等を挙げております。
 このような現象は今後も続くものと考えられます。サトウキピ農業の課題解決も緊急課題であるけれども、今後、耕地の荒廃化のおそれがあります。その対策も忘れてはならないと思います。
 そこで提言でありますけれども、多年性の有用作物の積極的な導入を考えるべきだと思っております。
 多年性作物を列挙するならば、花卉類ではストレリチアあるいはレッドジンジャー、ヘリコニア等、果樹においては県の果樹振興計画の対象果樹、すなわちグァバ、パパイア、ビワ、スモモ、ミカン、タンカン、シークワーサー、さらに工芸作物のお茶などもございます。御見解をいただきたいと思います。

 次に、農業の試験研究についてお伺いをいたしたいと思っております。
 近年、野菜や果実の市場供給に季節感がなくなったとよく言われております。このことは、御案内のように技術の発達によって施設農業、保温、加温、さらに電照栽培によって促成栽培や抑制栽培の技術が発達したことによるものであります。
 本土における施設農業は経営も安定をし、高い成果をおさめております。しかし本県においては、残念ながら好ましい成績ではありません。本県の施設園芸の最大のねらいは、冬春期に本土市場へ有利出荷することにあります。その時期の12月から5月までの気温、とりわけ最低気温は次のとおりであります。12月に10.1度、1月に10.4度、2月に8.2度、3月に11.8度、4月に13.6度、5月に14.1度。この低い温度は作物栽培、特に果菜については大きな障害を及ぽす温度になっております。さっき申し上げました気温は、平成2年の12月、またことしの3年のものであります。
 ところで、本県施設農業は保温のみで、本土のそれと同じような成果を得ることができるとの錯覚がありました。しかしウリミバエ根絶後の本土行き野菜の増産を県、生産者ともに大きい期待をしていたのでありますが、今日なおその期待に至っていない実情であります。ここに至って県は、加温の必要性をどのように認識しておられるか。また、この種の農業研究の実態と農家の加温施設の状況について御説明を願いたい。
 さらに、果樹について御質問をいたします。
 まずは熱帯果樹について申し上げますが、現在、本県の熱帯果樹は、本県の自然環境下で改良された品種ではないということであります。熱帯地から導入されたものである。したがって導入先の環境を人為的に補って初めてその果樹の性能が100%期待できるわけであります。
 マンゴーについて申し上げますと、ハウス内栽培が行われておりますけれども、花芽分化の時期の低温障害によって不稔花が発生していることは明白になっております。このことだけでも将来、年によってはマンゴー栽培に予測しない大被害が出る可能性があります。マンゴー栽培でこの生態を100%期待するには、やはり加温による温度管理が必要ではないかと思います。
 ハウスパイン春実が保温だけで消費者から好評をいただいている高品質の果実が生産されました。マンゴーについても加温による温度管理をすれば、不稔花の解消、品質の向上増収、前進出荷等多くの利点が期待できると思います。
 行政は、このように振興作物の生理生態の研究をきわめ、正しい情報を生産者に提供し、生産の向上を図るべきと思います。熱帯果樹マンゴー栽培に加温を用い、徹底した研究をすべきと思いますが、御所見を伺います。
 次に、本土からの導入果樹について若干お伺いをいたします。 
 本土からの導入果樹の最大の利点は、収穫期が早く有利販売が期待できることであります。ところが、栽培する上で自然環境の若干の相違から難点も出ております。
 私は去る6月、国頭村奥のスモモの調査に行ってまいりました。そこで思わぬ常識を裏切る現象に遭いました。普通、スモモは接ぎ木苗を用いて栽培をするのでありますけれども、そこまでは常識どおりであります。しかし畑の栽培樹木を見ますと、接ぎ木したスモモは栄養成長が激しく着果が極めて少ないのであります。逆に実生苗を用いて植えたスモモは、毎年多量の収穫ができるということであります。このことは、本土における状況と全く逆の現象であります。
 私は、かつて研究機関で農業を勉強する機会がありましたが、時の場長の講話の中で次のことを強調しておりました。研究者が思惑で事の判断をすることは極めて危険であるいかなることがあっても試験結果に基づいて結論を出すべきであるという言葉が今も強く脳裏に残っております。まさに本県のスモモ栽培を指摘するかのような言葉に思われてなりません。
 作物は、環境が違う地域ごとにその地域での技術開発をすべきであります。本県は、多くの振興指定の導入果樹を抱えておりますが、これらについても慎重な対処が必要であります。今回は、とりわけスモモについての研究がどのようになっているか、お伺いをいたします。
 終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 石川修議員の御質問にお答えいたします。
 農業問題との関連で、サトウキビ農業が厳しい局面にあるとはいえ、糖業の発展は守らなければならないと思うが、知事の所見はどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 サトウキビが本県農業の基幹作物として農家経営はもとより、県経済の発展に大きく寄与していることはまさに御指摘のとおりであり、今後ともその重要な地位は余り変わらないものと考えております。
 しかしながら、最近のサトウキビ作をめぐる情勢は、生産者価格の抑制傾向や、生産者の高齢化の進行等極めて厳しいものがあります。したがって、サトウキビの生産振興につきましては、これまで以上に生産性及び品質の向上を図る必要があり、そのためにも土地基盤の整備、収穫機械の導入、優良品種の開発普及等諸施策を総合的に推進していく考えであり、これらの問題につきましては最大限の努力を傾けていきたいと考えております。
 次に、農産物価格は低迷の方向にあり、生産意欲の減退になると思うが、知事の所見はどうかという御質問にお答えいたします。
 農産物価格をめぐる情勢は、内外価格差の問題や、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉における農業保護措置削減要求などから、米価を初めとする国の農産物支持価格は軒並み引き下げられ、生産農家にとって極めて厳しい状況にあるのは御承知のとおりであります。
 したがって、農業所得の維持確保を図るためには、農家の自助努力は無論のこと、生産基盤の整備等諸施策の総合的な推進による生産性及び品質の向上を積極的に進め、農家の生産意欲の向上に全力を挙げたいと考えております。
 同じくサトウキビ問題で、サトウキビの価格は生産費を下回っており、今期の価格折衝も難航しているとの報道がなされているが、知事の所見はどうかという御質問にお答えいたします。
 平成3年産サトウキビ生産者価格をめぐる情勢は、内外価格差の問題や生産者米価、麦価の引き下げなど極めて厳しい状況にあることは先日も申し上げたとおりであります。
 しかしながら、サトウキビは本県農業の基幹作物として農家経済はもとより、県経洛の発展に大きく寄与していることから、価格要請に当たっては農業団体とも連携を密にし、適正な農業所得を確保し、農家が安心して再生産に取り組める価格に設定されるよう強く国に要請していく考えであり、先日も申し上げましたが、この議会が終わりまして近々に上京いたしましてこの問題について誠意を持って折衝に当たりたいという考えでございます。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解いただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 石川修議員の御質問にお答えいたします。
 サトウキビ農業と関連いたしまして5点ほど御質問がございましたが、知事から3点ほどお答えいたしておりますので、残りの2点、その他についてお答えいたします。
 サトウキビ収穫における機械化の実態についてでございますが、サトウキビの収穫作業の機械化は生産農家の高齢化が進む中で最も重要な課題となっております。しかし平成2年度末現在、全収穫量に占める機械収穫率は12.8%と低い状況にございます。地域別に見てまいりますと、南部
離島が50.3%と最も高く、次に北部離島が44.3%、八重山10.5%、本島北部6.5%、宮古2.6%、中部0.9%、本島南部0.8%の順になっております。
 平成3年度におきましては、今議会での補正予算も含めまして大型9台、中型4台、小型3台計16台のハーベスターと脱葉機20台を導入する予定でございます。
 今後とも、収穫作業の省力化を図るため、地域の実態に合った収穫機械の導入を強力に推進するとともに、収穫作業の受託組織であります農業機械銀行等を充実強化していく考えでございます。

 次に、品質取引基準について政府は何を採用しようとしているのか、また協議の進行状況はどうなっているのかと、それから品質取引へ向けた農業共済制度の条件整備についてでございますが、サトウキピの品質取引基準につきましては、平成3年7月に国のサトウキビ品質取引推進連絡協議会におきましてサトウキビの品質を適切かつ公平に判断できるという観点から甘蔗糖度を基本とし、ブリックスについても測定実験を行うことという方針が決定されております。そのため、平成6年産からの品質取引への円滑な移行に向けて品質測定実験を行うとともに、生産者への啓蒙普及に努める考えでございます。
 また、サトウキビの共済事業を品質取引に対応したものとするためには、現行制度を見直す必要がございます。そういう観点から、平成2年度から国の委託を受けまして基礎調査を実施しているところでございます。
 なお、品質を加味した共済制度を確立するよう国に現在、要請を行っているところであります。
 次に、土地利用型農業への多年性作物の導入に関連いたしまして、サトウキビの作付面積が減少する中で、今後、収益性の高い多年性作物を導入して振興すべきだと考えるがどうかという御質問ですが、本県は、これまで我が国における甘味資源及び生鮮農産物の供給産地として各種の施策を展開し、農家所得の向上に努めてまいっております。
 しかしながら、サトウキビについては、御指摘のとおり農業従事者の高齢化等によりまして作付面積は減少の傾向にあります。
 このような中で、本県農業の振興を図るためには、御提言のあります多年性作物の導入を初め野菜、花卉、果樹等収益性の高い作物の産地化の推進は重要な課題であると考えております。
 このため、試験研究体制や普及指導体制の整備を初め、市場性を考慮した品種の育成や栽培技術の確立普及、栽培農家や生産組織等の育成、近代化施設及び流通体制の整備等の諸施策を重点的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、農業試験研究に関連いたしまして施設農業において加温は重要であると考えるが、県はどのように認識しているか、また、そのための試験の実施状況及び加温施設の設置状況はどうなっているかという御質問でございますが、本県の農業は復帰後、亜熱帯地域の特性を生かした野菜、花卉、果樹の生産を振興してきたところでございます。
 しかしながら、栽培品目によっては、冬場の低温による作物生育障害、着果の不安定、品質の低下等が認められ、生産が阻害されているものがございます。したがって、品目によっては加温が必要なものもあると考えております。
 このような気象による障害を克服するため、農業試験場においてはパイナップル、スイカ、ピーマン、メロン、ニガウリ、オクラなど果樹、果菜類について加温試験を実施してきたところでございます。
 その結果、例えばメロンについて申し上げますと、15度以上になるよう加温することによりまして裂果の抑制、ネット発生の促進など品質の向上が図られることが認められております。今後、引き続き加温による経済性も含めた技術開発試験を実施していく所存でございます。
 なお、加温施設の設置面積につきましては野菜用施設で0.8ヘクタール、花寿用施設で23.8ヘクタールで合計24.6ヘクタールとなっております。品目といたしましてはメロン、洋ラン、バラ、アンスリウム等が栽培されている状況にございます。
 同じく農業試験研究に関連いたしまして温帯果樹、熱帯果樹が本県に導入栽培されて久しくなるが、その生理生態に合った栽培技術の開発や品種の育成が必要と思うがどうかと、また、そのための試験研究をやるべきと考えているがどうかという御質問でございますが、御指摘のとおり温帯果樹、熱帯果樹に関し、沖縄の気象条件に合った品種の育成や栽培技術の開発は、本県の農業を振興する上で重要な課題であると認識をいたしております。
 奨励品目であるマンゴーは生育適温が23度から8度の範囲にあり、冬期の低温によって着果が不安定になることが解明されております。これまでに農業試験場では、冬期の保温による栽培試験を実施してまいりましたが、今後は加温による着果不良の克服等前進出荷のための栽培試験を実施してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 また、スモモなど温帯果樹につきましても、御指摘のとおり沖縄の気象条件に合った沖縄独自の品種の育成や栽培技術の開発が必要であると考えております。今後、それを促進してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 高良政彦君。
   〔高良政彦君登壇〕
○高良政彦君 代表質問から27番目になりましたけれども、まずは尚副知事の誕生、まことにおめでとうございます。
 長寿日本一という輝かしい記録を我が沖縄県は持っておりますけれども、しかし反面、寝たきりのお年寄りの問題、また痴呆性老人の問題、そして島嶼性であるがゆえに離島の医療福祉に多々問題がございます。どうか、きめ細やかな配慮でもって、これら県民の福祉がさらに向上するようお願い申し上げておきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 最初に、基地問題に入りたいと思います。
 ブッシュ米大統領は9月28日、ホワイトハウスにおけるテレビ演説で、核兵器の大幅削減を中心とした新たな軍縮の提案をしました。多弾頭大陸弾道弾ミサイル(ICBM)全廃やすべての核巡航ミサイルトマホークを艦船から撤去することを掲げ、韓国や欧州などに地上配備されているすべての核砲弾及び戦術核ミサイルの核弾頭の一方的撤去を発表しております。
 広大な米軍基地を抱える我が沖縄県におきましては、これが基地の整理縮小につながることを望み、知事を初め県内各政党は一様に歓迎の談話を発表しました。
 ところが、県民の期待とは裏腹に、一方では地域紛争に対処するためにむしろ基地の機能は強化されつつあり、ある米軍高官は、都市型戦闘訓練施設などの必要性が減少することはないと、このような見方を明らかにしております。
 また、フィリピン・クラーク基地からのC130輸送機を中心とした米軍の普天間基地への移駐や、米比友好協力安全保障条約の批准のフィリピン上院議院での否決、これらの一連の情勢の変化に伴い、代替基地として沖縄の米軍基地の使用が現実のものとなってきております。
 これらの情勢を踏まえ、次の質問をいたします。
 まず第1番目は、世界情勢は明らかに軍縮の方向へ流れているが、沖縄は逆に基地の機能は強化されていると思いますが、知事はどのように認識されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 2つ目は、今回のブッシュ米大統領の新たな軍縮の提案は韓国の地上配備の戦術核兵器の撤去も明らかにしており、これは朝鮮半島の緊張緩和を促すものであると思います。そして日本の今後の防衛計画にも影響を与え、ひいては沖縄の米軍基地の縮小にも影響を与えるものと思います。したがってなお一層の弛元沖縄からの基地の整理縮小、返還の働きかけが必要と思いますが、知事の御所見を賜りたいと思います。 
 3つ目は、県道104号線越えの実弾砲撃演習が相変わらず頻繁に行われ県民の怒りを買っておりますが、昭和48年以来平成3年9月まで実に116回も行われ、何回か事故も起こっております。
 かねがね知事は、実弾演習の際には現地に一度自分の目で確認してみたいという話もございましたけれども、その後もその決意は変わってないのかどうかぐここでその決意のほどをお願いいたしたいと思います。
 4番目に、都市型戦闘訓練施設の移設について政府は、平成2年3月の当時の西銘知事の収拾案に基づいて村長、議長の理解のもとに進められており、平成3年度の予算に計上済みとのことでありますが、我が公明党は、このような危険な演習施設は移設ではなく撤去すべきであると訴えてまいりました。
 知事は、今後どのように対応なさるのか。また既に平成3年度の予算に移設費が計上されているのであれば、移設先は決定しているものと思います。当然地元沖縄の知事として移設先は知らされていると思いますが、詳細はどうなっているのかお伺いいたします。

 移設先として安富祖の喜瀬武原等が取りざたされておりますが、真相はどうなのか知事の御答弁をお願いいたします。
 5つ目に、那覇軍港返還を訴えに、親泊那覇市長と那覇市議会議長及び与野党の議員の代表が渡米をしております。
 代替港の問題でいまだに返還がなされておりませんが、公明党は、狭隘な沖縄県においては都市型戦闘訓練施設にしろ那覇軍港にしろ代替地提供には物理的に無理があり、したがって代替地なしの返還を迫るべきであると一貫してこのように主張してまいりました。
 県道104号線越えの実弾砲撃演習、クラーク基地から本県への米軍部隊の移駐等を含めたこれらの基地問題について、今回の知事の訪米の直訴でどのような反応があったのか御説明を願いたいと思います。
 6番目は、大田知事は間もなく就任10カ月になりますが、米軍側の消極的な姿勢もあって三者連絡協議会が1回も持たれてないと我が会派の宮城清順議員の代表質問で御答弁なさっておりますが、西銘県政時代におきましてもそうでございましたけれども、三者連絡協議会を持っても沖縄県側からの演習中止や基地の整理縮小、返還等、どうせ沖縄県側からの要望だけが中心となり、三者連絡協議会を開いても余り意味がないとの姿勢でありました。そのために米軍側が消極的になっている状態が続いたわけでございます。
 これは裏を返せば、それだけ沖縄は基地のために無理な犠牲を強いられているという証左でございます。
 米軍側がこのような姿勢をとるのであれば、なおさら基地の重圧に苦しむ地元沖縄側からむしろ働きかけて三者連絡協議会を早急に開催して基地問題等を取り上げるべきではないかと考えます。自治外交、直訴も必要でありますが、同時に足元でのこのような闘いもさらに重要かと思いますので、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、環境問題についてお伺いいたします。県土保全条例の改正でございます。
 新しい法律や条例等が制定される場合には、必ず2つの側面が問題となります。
 今回の県土保全条例改正につきましては、人ロの減少、とりわけ若者が都市に出ていってしまい、過疎化の激しい離島や本島北部等におきましては経済の活性化のために必要な開発にブレーキがかかるのではないかとの不安、一方、余暇の増大によるリゾート観光開発、あるいはゴルフ場等の開発ラッシュ、そこからくる環境保全の問題であります。
 我が会派は、沖縄の亜熱帯性気候、海洋県の特性を生かしたリゾート観光を我が県の経済の活性化の一つの柱として政策に掲げてまいりました。
 しかし、ここに来て短期集中的なリゾート地の開発や、特に広大な土地を必要とするゴルフ場の開発ラッシュは環境問題を惹起しております。
 本員は、リゾート観光開発による経済の活性化を否定するものではありませんが、しかし無節操な開発による環境破壊は決して容認できるものではありません。長い目で見れば、結局はそこに住んでいる人のみならず、人類に大きな不幸をもたらすからであります。
 従来の県土保全条例は、技術的な問題が解決されれば開発許可をせざるを得なかったために過剰な開発が進み、その反省として特に環境保護及び地域の土地利用との整合性が重視されたものと考えます。
 そこで、質問をいたします。
 1つ目は、県内ではリゾート開発について45ほどのプロジェクトが進んでいるようでありますが、今回の県土保全条例の改正の与える影響はどうか。
 2つ目は、今後の新規のリゾート開発、その他開発等に与える影響はどのようなことが予想されるか。
 3つ目、恩納村等で施行されている環境保全条例等との整合性はどうか。
 4つ目は、ゴルフ場は広大な土地の開発を必要としますが、県内のゴルフ場の現在進行中の状況と今後のゴルフ場建設に与える影響はどうか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、急傾斜地崩壊危険区域地すべり問題等について質問をいたします。
 近年、住宅街が郊外に伸びるに従って、新しい造成地が次々に出現し分譲住宅がふえております。それに伴い、台風や大雨のたびに地盤の緩みから地すべりや崩壊等の事故が発生し、しかもその責任の所在がはっきりせず、事後の修復処理に手間取る事例が出ております。
 最近の事故は、88年4月18日の北谷町玉上から北中城村瑞慶覧の住宅地で約100メートルにわたる地すべりがあり、3世帯9人が避難をいたしております。これは、隣接するキャンプ瑞慶覧の土地造成工事の手抜きが原因でありました。
 それから88年8月2日、南風原町兼城相互団地で地すべり防止擁壁が幅40メートルにわたって崩壊、26世帯111人が避難をいたしております。これは、造成をした業者の違法建築が原因となっております。
 それから90年5月13日、那覇市繁多川公園で幅100メートルにわたって地すべり、100トン級の岩石5個が落下、12世帯34人が避難を余儀なくされております。これは、集中豪雨による地盤の緩みが原因となっております。
 そして、今回の浦添市大平における県立浦添職業訓練校における大規模な擁壁の崩壊であります。これによって、2世帯の家が破壊されて6世帯20人余の方々が避難中でございます。
 また、首里石嶺と西原との境界に高台を整地して一群の分譲住宅がございますが、西原側から見ればまるでお城のよう、城壁のようで、土砂崩壊防止の擁壁が高さが約10メートルほど、幅が40ないし50メートルぐらいはあろうかと思うような擁壁が張りめぐらされ、上から見おろすと足元がすくむような所でございます。このような所に分譲住宅が建っているわけでありますが、最近、この擁壁の一部にずれが生じ、付近住民が大変心配をしております。自治会を中心にその対策を話し合ったのでありますが、第一義的に責任を負うべき業者が既に倒産をしておらず、結局は市の方に相談した結果、最近になって急傾斜地崩壊危険区域という県からの指定を受け、立て看板が立てられております。
 以上、踏まえまして質問いたしますが、素人目に見ても明らかに地形上、あるいは地質上危険と思われるような所に土地を造成し、擁壁をめぐらして分譲住宅やその他建物等が建てられておりますが、地すべり等防止法や急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律等との関係は一体どうなっているのか、その他建築基準法等ではどのような基準で見ているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 それから、これは要望でございますけれども、このたびの浦添職業訓練校の擁壁の崩壊は、今、警察の方や消防署の方がその安全のために懸命に頑張っておられます。また浦添市や県の関係の方々が2次災害の防止、さらに一日も早い復旧のために懸命に頑張っているところでありますけれども、何はともあれ、被災者の生命、財産の問題でありますので、こういうときには機敏な、果敢な対応をとってくださいますよう、また一日も早い復旧、そして安心して住めるような状態が復旧されるようお願いしておきたいと思います。
 次に、ごみリサイクル室設置について質問いたします。
 ごみの減量化、リサイクルについては、県民の意識は相当に高くなってきております。また市民、業者レベルではいろいろな創意工夫がなされ、何とかごみの減量を実現させようと懸命であります。
 しかしながら、これらのごみリサイクル問題については総合的、統括的な取り組みを促進させる機関がないために個々ばらばらの状態でいろいろなところで行き詰まり状態が出てきております。本来、期待している成果がなかなか出せない状態にあるのが実態であります。
 沖縄県は一県が独立をして存在し、しかも島嶼性のためにリサイクル資源も回収のルートが細かく、ロットも小さいためリサイクル業者にとって採算に乗せにくいという難点があります。物によっては、せっかく回収されたものがリサイクルで生かされていないという現象も出ております。
 また、ある資源は一定量さえたまれば本土へ出荷してリサイクルが可能なものもあります。
 しかし、これは船会社の協力体制が確立される必要があり、このようにごみリサイクル問題は家庭、業者、行政が有機的に一体となった統括的な取り組みが必要となってきております。そのためには、県はごみリサイクル室等を設置し、これからは県が先頭に立って音頭をとっていかないとごみ問題、リサイクル問題は進展が厳しいと思いますが、知事の御所見を賜りたいと思います。

 次に、沖縄海外漁業株式会社問題についてお伺いいたします。
 沖縄海外漁業株式会社問題については、3月の定例議会で県は、財務状況等からして事実上破産の状態にあるので再建は極めて厳しい、したがって期限を決めて再建計画の提出を求め、再建案の内容いかんによっては株主、債権者の立場から破産等の法的手段をとらざるを得ないと答弁をしておりますが、そこでお伺いいたしますけれども、再建計画提出の期限はいつなのか、また再建計画案は出されたのかどうか、そしてその内容はどうであったのかをお伺いいたします。
 パラオ出漁による会社再建の考え方がまだあるようでありますが、パラオ近海の漁場の実態については、最も海に詳しい船主たちからも現実を知らない人たちの意見であると厳しい指摘があります。去る9月にも、元海外漁業の船主だった方がパラオの実情等を調査してきておりますが、ここを漁場として会杜を再建するにはとても無理があるとの報告が届いております。伊良部町、そして会社側のその後の状況はどうなっているのか、あるいは考え方はどうなのか、御説明を願いたいと思います。
 次に、赤土流出問題に移りたいと思います。
 赤土の流出については、現在も雨が降るたびに海浜を真っ赤にして赤土による海浜汚染は進んでおります。
 環境庁は、農林水産省と建設省の協力を得て、91年度から5カ年計画で予算を組んで赤土流出防止対策の研究に乗り出しました。
 我が沖縄県におきましても、赤土流出につきましては産・官・学から成る組織をつくって防止に当たると知事は本年の2月定例会でこのように述べておられますが、現在の赤土流出についての対策はどうなっているのか、御説明をお願いいたします。
 また、副知事をキャップとし、部長等で構成される赤土等流出防止対策協議会が庁内に設置され、関係部局の連帯を密にして赤土流出防止に努めていることはよく承知申し上げておりますが、その後、この赤土等流出防止対策協議会と産・官・学から成るこの組織との整合性はどうなの
か、また、その後の成果は具体的にどういうものが出たのか、御説明願いたいと思います。
 あと、水問題でございますけれども、これは我が会派の宮城清順議員が詳細なデータと調査に基づいて代表質問で取り上げましてそして答弁がありましたので、しばらく推移を見たいと思いますので、これは取り下げたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 高良政彦議員の御質問にお答えいたします。
 基地問題との関連で、世界情勢に逆行する沖縄の基地機能の強化について、世界情勢は軍縮の方向へ流れているが、沖縄は逆に基地機能が強化されていると思うと、知事はどのように認識しているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御指摘のとおり、国際情勢は確実に軍縮の方向に動きつつあります。すなわち、米ソ両超大国の冷戦を軸に世界は東西両極に分かれ、長期にわたって軍事的対立を続けてきました。それが近年のソ連の急激な変化を受けて東欧の自由化、民主化が進む過程で、それまでの東西の冷戦構造が崩れ、対話と協調の時代に入りました。
 その具体的あらわれとして、対立の一方の極のワルシャワ条約機構に歴史的終止符が打たれた事実を指摘することができます。同機構は、東西冷戦構造の象徴的な存在であったからです。
 こうした情勢の変化によって、もう一つの北大西洋条約機構も軍事的性格を改め、政治機構化しています。
 こうした好ましい情勢の変化に拍車をかけたのが、去る10月27日にアメリカのブッシュ大統領が核戦力を大幅に削減するとの提案をなしたことであります。そのインパクトは非常に大きいものがあると思います。
 けさのスター・ジェンド・スライトという新聞を見ますと、ソ連が現在の400万人の軍隊を、今後3年間に200万人から250万人程度に削減するという計画を発表したことが報じられております。
 また、去る9月29日に海部首相は、ブッシュ提案を受けて、大統領声明はアジアの軍縮基調や中期防に大きな影響を与えるだろうとコメントし、中期防の見直しに前向きに取り組むことを述べています。
 これらの動きが、沖縄基地にどのように影響するか、私も非常に大きな関心を抱いて見ておりますけれども、私が理解するところでは、我々が沖縄基地の削減についてアメリカ政府や日本政府に訴えますときに、すぐに立ちはだかるのは安保条約でございます。
 なぜかと言いますと、安保条約があるために沖縄の基地問題が発生しているわけでございますので、私たちが具体的に沖縄の基地問題を解決していくためには、安保条約の中身を何とかして平和友好条約的なものに変えてもらう必要があるからです。
 幸いにして、最近はその安保条約の見直し論が新聞にも大きく出るようになりました。10月の3日付ですか、2日付の毎日新聞も大きく取り上げておりますけれども、10月1日の日本経済新聞を見ますと、アメリカの国際戦略問題研究所のジョーダン副会長が、日米安保条約を、条約の目
的の一つである政治、経済協力の推進と強化に重点を置く形に書きかえるべきだということを発言したことが出ております。すなわち、北大西洋条約機構の政治機構化と同様に、日米安保体制を政治、経済協力機構に衣がえさせる発想であると解説されております。
 こうした影響は、私は、沖縄基地の削減に非常に有利に展開するというふうに見ております。
 その意味で私は、これまでと同じように日米両国政府に対しては、日米安保体制の重要性は理解できますから、どうかその中身については軍事的なものではなくて、平和友好条約的なものに変えていただきたいとそうしなければ、沖縄の基地問題の解決は非常に困難であるということを繰り返し要請していくつもりでございます。
 それから、米大統領の新たな軍縮の提案は、本県の米軍基地の整理縮小にも絶好の機会となると思うが、知事は基地の整理縮小をなお一層働きかける考えはないかという趣旨の御質問でございますが、今申し上げたとおり私は、安保体制の中身を友好的なものに変えていただくことを要請する活動を通して、そして基地の整理縮小、ひいてはその撤去に向けて努力いたしたいと考えております。
 それから知事は、104号線越え実弾演習に対してどのように対応しているかという御質問にお答えいたします。
 実はせんだって、104号線越えで実弾演習がされております場所へ私自身参りまして、現地の司令官とお会いしました。
 そのときに私の方としては、これは104号線は生活道路であると、そのような所で実弾射撃演習をされるのは非常に困ると、ぜひ中止してほしいということを強く要求しました。そうしますと軍司令官は、我々は、安保条約の適用を受けて正当な権利でもって演習をしているからやめるわけにはいかないというような趣旨の発言がありました。
 私はそれに対しては、何としてもそのあたりで実弾演習をしてもらっては困るということを抗議いたしましたけれども、これからも同じような形で抗議を続け、その中止を求めていくつもりでございますが、近々にもう一度現地を訪れまして強く要請する決意を持っております。
 それから、都市型戦闘訓練施設については、移設でなく撤去を求めるべきと思うが、知事はどのように考えているかと、また移設先について県はどのように掌握しているかという御質問にお答えいたします。
 恩納村における都市型戦闘訓練施設については、国は現在地から他の場所への移設を検討しているようでありますが、県は、本件に対しこれまで5度にわたる意見書の採択や移設に反対する地元の意向等にかんがみ、当該施設の撤去についてはさきの訪米の際にも、また現地司令官に対しても申し入れてきたところであります。この際、早い機会に、私自身が関係省庁に対し撤去について強く申し入れたいと思っております。
 なお、移設先については国において検討中であると聞いておりますが、私は、具体的場所について何の通知も受けておりませんし、知っておりません。
 それから、知事はさきの訪米で那覇軍港及び都市型戦闘訓練施設の問題、104号線越え実弾射撃演習等についてどのように訴えたか、また早急に三者協を開催し、諸問題を協議すべきと思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。

 訪米時においては、那覇軍港を初め沖縄県軍用地転用対策促進・基地問題協議会から要望のある施設区域を中心とした返還の促進や県道104号線越え実弾射撃演習及び都市型戦闘訓練施設の撤去等県民の安全、財産及び環境等に影響を及ぽす演習訓練の廃止、施設の撤去など早急に解決を図るべき沖縄の基地問題について訴えてまいりました。その結果、関係者から一定の理解や反応が示されていることは、これまで述べてきたとおりでございます。
 また、三者連絡協議会の開催についてはさきにも申し上げましたけれども、スタックポール前四軍調整官でございますが、スタックポール中将にお話持ちかけましたところ、合意返還がなされた地域さえも返されていない状況のもとで三者協を持っても意味がないのではないかと、むしろ力をあわせてその合意返還された地域の返還に向けてもっと一緒になって努力しましょうということを言われました。
 その後、四軍調整官がかわっておりますので、その調整官にこの問題をもう一遍私は持ち出して機会があれば、その三者協の必要があれば、ぜひその機能を活用して基地問題についてより強く訴えたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 高良議員の環境問題についての1、県土保全条例についての御質問にお答えいたします。
 リゾート開発について45のプロジェクトが進んでいるが、条例改正の与える影響はどうか、また新規のリゾート開発の場合はどうかということにお答えいたします。
 今回提案いたしました沖縄県県土保全条例の一部改正は、既に御案内のとおり風致景観の維持、自然環境の保全、水源の涵養等を図るため必要な森林を保存するとともに、県及び市町村の土地利用計画との整合性を図ることにより乱開発を防止し、地域と調和のとれた適正な開発を推進することを目的といたしております。
 このようなことから、御指摘のありました総合保養地域整備法に基づく重点整備地区における開発プロジェクトにつきましても、このような条例の趣旨を踏まえつつ、地域の振興を図る観点から整備を推進する方向で検討していきたいと考えております。
 また、その他の新規リゾート開発につきましても関係市町村と十分調整し対処してまいりたいと思います。
 次に、同じく県土保全条例についての恩納村等で施行している環境保全条例等との整合性はどうかにお答えいたします。
 市町村で施行されております環境保全条例などは、安全で良好な地域環境を確保することを主なる目的としておりまして、県と市町村が連携を図ることにより適正な開発が誘導できるものと考えております。
 なお、9月末までに20市町村においてこのような条例または要綱が制定されております。
 次に、ゴルフ場は広大な土地の開発を必要とするが、県内のゴルフ場の現在進行中の状況と今後のゴルフ場建設に与える影響はどうかについてお答えいたします。
 本年9月末現在、造成中のゴルフ場は、ショートコース6カ所を含めまして11カ所でございます。
 ゴルフ場の開発は、広大な土地を必要とし、かつ林地に計画が多いことから、この条例が改正されますと、森林地域や傾斜地におけるゴルフ場の開発につきましては、自然環境の保全等との関連で事前協議の段階からより慎重な審査が行われることになります。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 金城 毅君登壇〕
○環境保健部長(金城 毅君) 高良政彦議員の環境問題についての御質問の中のごみリサイクル室設置について、ごみリサイクル問題は、ごみリサイクル室等を設置して県が先頭に立って取り組む時期に来ていると思うが、所見を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 これまでの高度経済成長下におきまして、物質的には極めて豊かな社会を実現してきた反面、大量消費、使い捨てのライフスタイルが定着し、産業、生活の両面から排出される廃棄物は増大し、質的にも多様化の傾向にあり、その適正処理の確保が大きな課題となっております。今後は、現在の使い捨て社会を見直し、リサイクルにより廃棄物を資源として再利用することが重要な減量化対策であると考えております。
 このようなことから、県では、リサイクル型社会の定着化を目指して本年度に廃棄物再利用・再資源化促進システム調査を実施しております。
 なお、御提言のごみリサイクル室等の設置につきましては、他県の状況も調査した上で検討していきたいと考えております。
 それから、同じく環境問題についての御質問の中の赤土流出による海浜の汚染問題についての御質問にお答えいたします。
 赤土流出防止対策につきましては、副知事を委員長とする部長級で構成する県赤土等流出防止対策協議会の確認に基づき関係諸法令の適用、運用の強化、合同パトロールの実施、各部研究機関の連携の強化等8項目について各部局で鋭意検討を行い、現在、とり得る対策につきましては早急に施策に反映させるなど積極的に取り組んでいるところであります。
 その成果の一つといたしまして監視指導及び自主管理の徹底を図るため国、県及び市町村を網羅したネットワークを整備し、今年9月からその運用を開始したところであります。
 また、赤土等流出防止に関する施策のあり方につきまして広く意見を聴取し、赤土流出防止対策を全県民的な規模で推進するため農林水産、観光、建設、土木関係者を初め学識経験者、県、市町村など産・官・学を網羅した沖縄県赤土等流出防止対策推進会議──これは仮称でございますけれども──を発足させるべく作業を進めているところであります。
 この会議を通して、赤土流出防止意識の啓発、防止技術の普及向上等について協議を重ね、行政への助言等を得ながら県民各層の総力を挙げた対策を展開していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 急傾斜地の費用配分問題について、地形上危険と思われる所で造成され分譲住宅等が建てられているが、地すべり等防止法や急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律等の関係についてどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 都市計画区域内の宅地開発につきましては、都市計画法の技術基準に適合すれば許可しなければならないことになっております。この場合、急傾斜地崩壊危険区域及び地すべり防止区域の指定がなされていれば、原則として開発区域に含めないことになっております。
 昨今、平たん地の土弛不足によって丘陵地での宅地開発が増加しておりますが、宅地造成等の開発行為に当たりましては、開発者と施工業者は許可を受けた申請書、設計図書、許可条件等に基づき適法に工事を完成させる責務があります。
 なお、許可権者として、県は特に規模の大きな擁壁を築造するような斜面地等における開発行為につきましては、技術基準に照らして慎重に審査を行うよう留意しているところでございます。今後も適正な業務の執行に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 高良政彦議員の御質問にお答えいたしますし
 沖縄海外漁業株式会社の問題に関連いたしまして、会社の再建計画の提出時期はいつか、その内容はどうなっているのか、またパラオ出漁による会社再建について伊良部町及び会社側の考え方はどうなっているかという趣旨の御質問でございますが、沖縄海外漁業株式会社問題につきましては、去る6月の県議会でも御答弁申し上げましているとおり清算、整理の方向で指導してまいってきております。
 その結果、会社は、去る6月の第8期の定時株主総会におきまして会社を整理、清算することとし、その時期、方法等については継続して検討していくという方針を決定いたしまして、この方針に基づきまして今年度内を目途に整理、清算の方向で検討中のようでございます。したがいまして、会社の再建計画案は提出されておりません。

 なお、パラオ国への出漁につきましては、伊良部町の一部漁業者と民間企業が、これまでのパラオ海域での漁業実績を踏まえまして、沖縄海外漁業株式会社とは別の新たな会社を設立いたしまして出漁する計画であると聞いております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後3時39分休憩
   午後4時5分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 外間久子君。
   〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 通告に従い一般質問を行います。
 5年前にタクシー運賃が値上げされたときにも、労働者の労働条件は改善がなされませんでした。今回は、労働者の労働条件を改善するという理由で値上げの認可がなされたと伺いました。認可後1カ月以上も経過していますが、いまだに1社も改善されていません。
 今回の値上げの背景には、労働力確保が大きな理由とも言われています。今、タクシー各社とも通常2割以上の運休車両が出ていると言われています。低賃金、長時間労働、日曜、祝祭日の休みもない、身分の保障もない職場に労働者が定着するはずはありません。
 タクシー労働者の労働時間は、夜勤で週労働時間が60時間を超え、年平均労働時間が2280時間から3500時間の長時間労働です。また年収は、89年度の調査で県下男子労働者402万円に対し、244万円で賃金格差が158万円となっています。夜勤をしなければ食べていけない状況にあります。
 特に、この4月から労働基準法の改正による時間短縮がなされ賃下げとなり、これまで以上に長時間労働をしなければこれまでの賃金を確保することはできません。そのため一層の長時間、超過密労働を強いられた結果となっています。
 今、タクシー労働者には痔の病気、そして生活のリズムが不規則になり、そのため自律神経失調症、ぽっくりといってしまうというのが労働者の実態と言われています。特に本県は、鉄軌道等公共の輸送機関がない、その上、観光立県の本県はタクシーの公共機関としての健全な発展を確立する上からも、タクシー労働者の社会的水準への労働条件改善は緊急な課題であります。
 そこで質問の初めに、今回の運賃改定に伴う労働者の賃金を大幅に引き上げるために県当局はどんな努力をなさいましたか、具体的改善のめどは立っていますか。
 質問2番目に、タクシー労働者の年収は他の男子労働者に比べて158万円も低く、500時間以上も長く働き、その上、退職金制度もないため魅力のない職場と見られ、労働者が定着しない大きな要因となっています。そこで、県におかれましては各業界に対し、退職金制度の確立を図るために中小企業退職金制度の促進と労働者が加入しやすいようにするために、今、那覇市を初め各市町村でも実施されています掛金への助成を県においても実施するお考えはありませんか。御見解をお伺いします。
 質問3番目に、本県におきましては60歳以上の男女が働きたくても働く職場、仕事がないため失業者もふえています。定年法の趣旨に基づいてハイタク業界から60歳以下の定年制度是正を図るための決意のほどをお伺いします。
 質問4番目に、今、県下のタクシーは過乗になっていると思われます。需給調整を早急に実施するお考えはありませんか、御見解と決意のほどをお伺いします。
 次に、今回労使間に覚書締結をも義務づけ、総合事務局も、1社でも提出しなければ値上げの認可をしないと約束したにもかかわらず、労使間の覚書締結が全社そろわないまま運輸省は見切り発車の認可で値上げを許して1カ月以上になりました。いまだに労働条件が改善されていません。それだけに県当局の責任も重く、重大な決意で総合事務局運輸部及び業界に対して指導する決意のほどをお伺いします。
 次に、風俗施設建設に反対する立場からの質問を行います。
 現在、那覇市に風俗施設が46カ所営業しているため青少年の健全育成を阻害し、非行を助長しているのがパチンコ及びスロットマシン等の風俗営業施設です。
 壼屋2丁目、三原1丁目、安里地域には那覇市民はもとより、県民の命と健康を守って活躍する病院を初め小中学校が近くにあり、通称栄町と呼ばれる飲食街と隣接し、勉強に熱中させたい子供たちの健全育成の立場から、この地域の父母、児童・民生委員、教育隣組の皆さんが子供たちの学習環境を守ろうと地域全体で心一つに頑張っているところです。
 今、サラ金、クレジット、風俗営業施設問題は大人社会の豊かさの裏の貧困であり、大きな社会問題となり、子供の教育環境を守る立場からも大切なことだと思います。
 そこで、生活福祉部長にお伺いします。
 次の時代を担う子供たちが健全に健やかに育つことを願い、その立場から日夜御苦労している生活福祉部長、この地域に風俗営業施設が建設されることで子供たちにとってよい環境と言えるのか、その立場からの御見解をお伺いします。
 次に、警本にお伺いします。
 壼屋2丁目9─13番地、元鉢嶺材木店跡地にパチンコ店、スロットマシン店が建設される話が出ています。この地域は、現状に照らして風俗営業法に基づく第1種住宅地域になっていると判断できます。この地域には、風俗営業施設は場所的基準に照らしても許可は出せない地域だと思います。警本は、この地域にある病院が閉鎖または診療所になることを予想した答弁ではなく、現状に照らして法的にどうなのかということ、同時にこの病院は近いうち医師を補強すると同時に、この病院の息子さんは来年の国家試験を目指して頑張っていることも申し添え、警本の明快な答弁を求めるものです。
 次に、県庁を沖縄文化でよみがえらせることについて提言を加えながら質問をいたします。
 昨年4月に沖縄県庁が新築されました。ところで、新庁舎は県民から見れば近寄りがたく、時には冷たさを感じさせるものです。新庁舎は、沖縄県民のチムグクルヌチュラサの顔であってほしいとみんなが願っています。
 また、現在の大きた空間は、首里城を思わせるものであり、その十分なよさをも生かしながら沖縄県庁を訪れる国内外の皆さんにより深く沖縄を理解していただき、ウチナーの文化と風土の暖かさを感じ取ってもらえれば、さらに深く沖縄を知りたい、博物館まで足を伸ばそう、工房や工場まで行ってみたいと、沖縄関係の書物を手にすることが広がりを持たせるものではないでしょうか。
 私は、ウチナー文化が持つ暖かさというのは、日常生活の中でウチナーの伝統的な手づくりの染めや織り、陶器、漆器を生み出したところにあると思います。特に、今後の沖縄の伝統工芸をどう守り、発展させるかという点で今、行政や関係者に求められている責任は大きいと思います。
 そういう立場も踏まえて、県民広場の空間及び壁などを利用して沖縄の染めや織りなどを生かしたタペストリーで、物的環境を変えることが県民の目に映り、広がりをつくり、意気込みを育てることにつながるのではないでしょうか。
 私は、沖縄の伝統工芸を守り発展させることは、何といっても県内の業者と伝統工芸従事者、専門家をどう育てていくかが最も大切であると思います。
 そこで、御見解を伺います。
 県庁を沖縄文化でよみがえらせるための若手の専門家も含めた検討委員会を設置するお考えはありませんか。
 2点目に、今、県が持っておられる作品をどのように活用すべきかも含めて御検討の必要はありませんか。
 3点目に、県内の各流派のお花の先生から県民広場にお花を生けて差し上げたいという意見が寄せられています。取り入れるお考えはありませんか。
 4点目に、5階にあります講堂の活用について御見解を求めます。
 県立芸大はでき上がったものの、そこで育てられた芸術家をどう世の中に送り出すかというのが今後の大きな課題であります。それだけに芸大の学生が身につけた芸、技術、作品を広く県民に紹介をする機会をつくってあげることも大切です。そういう立場から県庁の空間やホール、講堂などを活用させてみてはいかがでしょうか。
 次に、車の特別許可証発行について質問をいたします。

 今、県下の郡部の福祉事務所や市段階の福祉事務所では、月のうち14日以上は訪問面接指導、調査をしなければなりません。
 生活保護世帯や児童の自立更正に大切なのは調査、訪間面接指導は欠かせません。今、県下の福祉事務所には訪問調査用の公用車が50台、個人の車も含めますと150台以上の車が運行しています。
 ところが、訪問指導中に、面接中にレッカー車に連行されるなどして落ちついて面接指導ができないと労働者は訴えています。ケースの自立更正の立場から各福祉事務所に税務署と同様、限定をして車の特別許可証を発行していただきたく御見解をお伺いします。
 以上をもって質問を終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 外間久子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、県庁舎を伝統工芸品で彩ることと関連いたしまして、県庁を沖縄文化でよみがえらせるために検討委員会を開く考えはあるかと、2番目に、県が持っている作品をどのように活用すべきか、検討の必要はないかと、3番目に、県民ホールに各流派の花を生けさせることについて検討する考えはないか、4番目に、県立芸大生の芸術、作品等を県民ホールを活用して披露する考えはないかという趣旨の御質問に一括してお答えさせていただきます。
 平成2年1月に完成した県行政庁舎は、沖縄固有の自然や歴史、文化や風土を生かした風格ある行政庁舎を目指したものとなっており、庁舎の各所にその理念が生かされております。特に、1階県民ホールは、3層吹き抜けの高い天井と広い空間の開放性、内部でありながら外部空間的イメージを持ち県民に快適な憩いの場所を提供するとともに、庁舎見学者の集会場所等に利用され、多目的ホールとして十分機能していると考えておりますが、もっと県民から親しみが持てる県庁舎としての環境整備が必要であるということは御指摘のとおりだと思います。
 したがいまして、御質問の第1点目につきましては、御提言を踏まえて検討委員会を設置し前向きに検討してまいりたいと思います。
 第2点目については、潤いと暖かみのある県民ホールにするために、県民ホールとしての機能を生かしつつ、沖縄独特の伝統工芸品や観光物産等を取り入れた装飾展示コーナーの設置を検討してまいりたいと思います。
 それから3点目の、各流派の花を生けさせること及び第4点目の県立芸大生の芸術の成果を披露してはどうかという御提言については、実現できるよう取り計らいたいと思います。
 今後とも県内外の来訪者を温かく迎えるとともに、文化の香り高い県庁舎を目指していきたいと考えております。
 ついでに申しますと、先日、ただいま御質問になられたような御趣旨の提言を何人かの女性の方から受けましたので、その提言をすぐに部内に回しまして前向きに実行できるように検討してほしいということを指示してございますので、御理解いただきたいと思います。
 あとの質問につきましては、関係部長に答えさせますので、よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 比嘉秀雄君登壇〕
○商工労働部長(比嘉秀雄君) 外間久子議員のタクシー労働者の労働条件に関する御質問にお答え申し上げます。
 まず1点目の件ですけれども、御案内のとおり今回のタクシーの運賃の改定に当たりましては、去る8月11日に総合事務局において認可されておりまして、翌12日から8.7%アップの運賃で運行がなされております。
 改定の理由としましては、人件費の増大、従業員の労働改善というのが主な目的になっているようでございます。
 そういう中にありまして、今年の5月10日にタクシー関係の労働組合から県に対しまして、運賃値上げに伴う賃金改定の実現について関係機関へ働きかけをしてほしいとの要請がありましたので、7月1日に沖縄総合事務局に対し、また7月4日には沖縄県タクシー協会に対し、タクシー労働者が不足している折、運賃の改定に当たっては労働条件等の改善が図られるようお願いする旨要請を行ったところでございます。
 さらに、9月30日にも沖縄総合事務局に対し、運賃改定後の労働条件等の改善の進捗状況について話し合いを持ち、早急に改善ができるように要請をしたところでございます。
 具体的な改善時期につきましてはまだ明確ではありませんが、現在、沖縄県タクシー協会の労務委員会で改善についての検討がなされており、各企業ともその結果を待っている状況でございます。
 2番目の、覚書のそろわないまま運賃値上げをして1力月経過しているが、まだ労働条件が改善されていない、今後の県の決意はどうかということにお答え申し上げます。
 今回のタクシー運賃値上げに伴う労働条件等の改善につきましては、政府の強力な指導により関係者において良質かつ効率的なタクシー輸送が確保されるよう労働時間を含む労働条件の改善を図ることが確認されております。
 これにより、御指摘のように今回の運賃値上げに伴い賃金の改定を含む労働条件の改善について労使が同意し、かつ努力するという覚書、いわゆる合意書が沖縄総合事務局に提出することになっており、現在、それを提出していない会社も幾つかございますけれども、これにかわって会社側から労働条件改善努力の誓約書を提出させております。これに基づいて沖縄総合事務局では平成4年4月と10月に企業から改善結果について報告を求め、改善がされてない場合にはタクシー協会や企業を行政指導するとのことであります。
 沖縄県といたしましては、賃金、労働条件等の改善については、本来、労使間で自主的に解決していくことが望ましいと考えておりますが、本問題が重要であることにかんがみ、早急に賃金、労働条件等が改善できるよう沖縄総合事務局、沖縄県タクシー協会に対し引き続き要請をしてまいりたいと思っております。
 次に、中小企業退職金共済制度への加入促進のため、県の助成割度を実施する考えはないかとの御質問にお答え申し上げます。
 中小企業退職金制度への加入促進のために各種広報啓発活動を行っておりますが、全国の自治体の中で助成制度を設置しております自治体は210団体ございます。しかし、都道府県単位で実施しておりますのは愛知県1県のみで、残りはすべて市町村でございます。
 したがいまして、県の助成制度につきましては、今後、他県の動向を踏まえつつ対処していく所存であります。
 次に、ハイタク業界から60歳以下の定年制を是正することについての御質問について答弁申し上げます。
 高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき、従来から100人以上規模企業に対し、60歳定年の定着を図るため定年延長指導を集中して実施しているところでございますが、今後は50人以上100人未満規模企業へ指導対象の拡大を図っていくことにしており、ハイタク業者においてもこの基準にのっとり指導を強化していきたいと思っております。
 さらに、来年度は業種別の60歳代前半層の雇用問題に関する懇談会を開催することを予定しておりまして、ハイタク業界についてもその対象業種に含めることを実施していきたいと思います。
 以上で答弁を終わります。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 外間久子議員のタクシー労働者の労働条件の改善に関連いたしまして、タクシーの需給調整を実施する考えはないかの御質問にお答えいたします。
 タクシーの需給調整につきましては、御案内のとおり国・沖縄総合事務局運輸部の所管事項となっておりまして、道路運送法によって需給調整がなされております。
 沖縄総合事務局に照会いたしましたところ、本県には鉄道やモノレール等の定時定速の交通機関がなく単純に他の都道府県と比較することは適当ではない、また本県のタクシーが過剰であるとは思われないとの理由から、当面、タクシーの需給調整を行う考えはないとのことでございます。
 県といたしましては、沖縄総合事務局やタクシー協会等とも連絡をとりながら、タクシーの需給の実情把握に努めてまいりたいと思います。

○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) 外間久子議員のパチンコ及びスロットマシン等風俗営業施設建設についての生活福祉部長の見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
 御承知のように、パチンコ及びスロットマシン等の風俗営業所は、その業態が善良な風俗及び青少年に及ぽす影響等が極めて大であることから、住居地域にこの種の施設が建設されることは青少年健全育成上好ましくないと思います。
 風俗営業等につきましては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づき許可され、指導取り締まりが行われております。
 県といたしましては、適法に許可された風俗営業所等における青少年の非行防止については、各市町村青少年センター、県教育委員会、警察及び青少年関係機関団体と連携して青少年の風俗営業所等への立入防止、風俗営業者に対する禁止行為遵守の協力要請、深夜徘回防止及び啓発等の対策を行っております。今後とも、関係機関団体と連携を密にして青少年の健全育成及び環境浄化に努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 風俗営業施設建設の許可に対する御質問にお答えいたします。
 御承知のように、風俗営業を営もうとする者は、公安委員会の許可を受けることになっており、許可申請がなされた場合は営業者、営業の場所、営業所の構造または設備等許可の基準に基づいて審査の上、可否を判断することになっております。
 現在のところ、御質問の地域一帯からのパチンコ営業の許可申請や事前相談はございませんので、申請が具体的に出てきた際、許可の基準に該当するかどうかは判断したいと思います。
 なお、当該地域には第2種住居専用地域及び近隣商業地域が混在しておりまして、一般的な形ではお答えしかねます。
 次に、福祉担当者の業務に使用する車両を規制除外指定ができないかとの御質問にお答えいたします。
 駐車禁止の規則の対象から除く車両につきましては、道路交通法の4条2項、沖縄県の道路交通施行細則の8条3項を根拠といたしまして特に緊急性の高い車両、業務上特に必要とされる車両等に限定して指定されているところであります。
 福祉関係で申しますと、身体障害者手帳の交付を受けて歩行困難な人が現に使用中の車両とか、寝たきり老人の介護車両といった本人及び直接の介護者が使用する車両に限定して許可をしている状況にあります。
 御質問の中にございました県税事務所については、税務調査上必要な監視あるいは差し押さえ等の活動を含めた業務上の必要性から、特に指定対象除外車両として認めたものでありまして、福祉事務所で使用する車両の場合とは異なるケースと考えております。
 なお、このような車両につきまして、御質問のような意味で全国的にも指定対象外として取り扱っている事例はないと承知しております。
 以上です。
○議長(平良一男君) 外間久子君。
   〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 警本に再度御質問したいんですが、私の質問の趣旨の中で、きちんと私は質問通告の中にも壺屋2丁目のある病院の向かいですということできちっと地図もお見せして質問の方のあれを取りつけたと思います。
 ですから、答弁については、やはりそこの地域が、今、現状に照らしてどうなのかと、今、申請が出ないから答弁できないと、申請が出たから検討するということじゃなくて、この地域が法に照らして今どうなのかということで御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 申請が出てまいりませんと、具体的にパチンコ営業の形状がどういう形になっているのか、あるいは駐車場をどういうふうに設けるのか、そういうことでもって距離制限とか、細かい基準がすべて異なることになります。
 なお、お示しいただいた地域についても、先ほど申しましたように第2種住専あるいは近隣商業地域という所もございますんで、これもちょっと一概には現在の時点でどうこうというふうなことは申し上げかねるところでございます。
 以上です。
○議長(平良一男君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 発言通告の順序を変えて一般質問を行います。
 質問の第1は、平和行政の推進についてです。
 その1、我が党県議団は、これまで毎年度の予算編成と施策に関する申し入れで幾たびか平和のための予算を計上するよう要求してまいりました。
 その1つを例示いたしますと、6年前の1985年には、第2次世界大戦終了40周年、日米安保条約改定25周年に当たり、1、非核沖縄県宣言を実施し、沖縄を核兵器や核部隊のいない平和な島にする姿勢を内外に鮮明にするとともに、県下の各市町村に対しても同様の実施を図るよう強力に呼びかけること、2、新聞、テレビ、ラジオを通して政党や平和民主団体等の平和のための討論会、その他の事業を実施すること、3、平和祈念資料館の整備拡充を図り、その紹介、宣伝に努力するとともに、もっと広範な人々が利用しやすいように諸種の改善を図ること、4、平和のための講演会、展示会、音楽会、その他県民の平和運動の発展を図る諸事業に対して助成措置をとること、5、沖縄戦記録フィルム1フィート運動の趣旨にのっとり、その事業を援助するために補助金を交付することなどです。
 これら県民的要求に対し、残念ながら西銘前県政のもとではほとんどがノーか消極的な回答でした。
 ところで、大田知事は1992年度重点施策において基本方針、とりわけ部門別施策の筆頭で平和行政の推進として、平和行政推進体制の充実強化に努めるとともに、国際平和創造の杜(仮称)構想の策定について検討を進めつつ、平和祈念資料館の大幅な改築及び沖縄戦犠牲者の氏名を記載した平和を祈念する碑の建設について調査検討をする、また慰霊の日の戦没者追悼式を中心にした全国規模の沖縄県平和祭を開催し、沖縄を平和の発信地として県内外に広くアピールすると高らかにうたっています。
 前段については、新年度も調査検討の段階ということになりますが、後段を含めて現時点での知事の構想もしくは抱負、そして具体的な推進策について承りたいと思います。
 その2、去る6月18日、沖縄県国際平和創造の杜都市(仮称)建設について、芥川賞作家の大城立裕氏、砂川恵伸琉球大学学長、山本正男沖縄県立芸術大学学長を発起人代表とし、城田孝一郎県立芸大教授を事務局長とする同構想を進める会が大田知事に提起したと県内両新聞は大きく報道しましたが、同構想についての御見解もあわせてお聞かせ願いたいと思います。
 その3、同構想の基本理念には、恒久平和の希求、地獄の戦場を平和のとりでに再構築、軍事的キーストーンから平和創造のキーストーンヘの転換が記述されています。
 これらの記述は、専制支配権力が引き起こした敗北に至るまでの文字どおりの地獄の戦場と、それに続く米軍の過酷な軍事植民地的占領支配にもめげず不死鳥のようにはい上がり、民族の独立と主権を回復する闘いの中で沖縄県民が体得した崇高な理念というにとどまらず、サンフランシスコ平和条約第3条撤廃を高く掲げて死文化させ、民族の尊厳を取り戻し、不屈の力量を発揮した沖縄県民にとっては達成しなければならない、また必ず達成することのできる緊急課題でもあります。知事は、いかようにこのことについてお考えでしょうかお答え願います。
 以上のことに関連し、いま少し敷衍しておきたいと思います。質問通告はしていませんので、一つの総論的提言と受けとめていただきたいと思います。
 それは、同じく1992年度重点施策基本方針の第2に、復帰20周年記念事業の推進についてを掲げています。掲げられております記念事業は積極的に推進し、首尾よく成功させていかなければならないことは言うまでもありません。
 同時に、それ以上に大事なことを欠落させることはできません。それは先ほども触れました沖縄県民の民族の主権を売り渡した者と奪い取った者、民族の尊厳を汚した者に対する仮借ない闘いの歴史であります。復帰の実現は座して成就したものではありません。民族の主権を奪い取った者が恩恵的に与えたものでもありません。文字どおり民族自決権を侵害した者に対する血のにじむような武器なき闘い、民主主義を守る輝かしい闘いの勝利のたまものでした。

 一たび領土主権が国際条約によって売り渡されると、それを取り戻すのにどんなに困難が伴うか、今日の千島問題を見ればよくわかります。歴史的に日本の固有の領土である千島列島が第2次世界大戦で日本の侵略行為を早期に終結させるため、ソ連参戦の代償として連合国が世界に宣言したカイロ宣言、ポツダム宣言による領土不拡大の原則に反し、またスターリンの科学的社会主義の大義に反する領土要求により、米英ソ3国によるヤルタ協定と当時の吉田内閣が追認したサンフランシスコ平和条約第2条C項によってソ連に引き渡されました。スターリンは、北海道の属島である歯舞、色丹諸島までも不法に占領しソ連領に編入しました。
 自民党政府は、国後、択捉の南千島は千島にあらずとして、歯舞、色丹諸島とあわせて北方4島と言っていますが、このようなごまかしは国際的に通用するものではありません。
 世界の公理、公道に反する不公正なサンフランシスコ条約第2条C項千島条項は、全世界に向かってこれを破棄するということを宣言してそれから外交交渉を進めない限り、北千島を含む全千島列島の返還を実現させることはできません。国際条約がそうたやすく破棄できるかというかもしれませんが、沖縄県民は同条約発効と同時に、この千島条項と隣り合わせの第3条撤廃を高く掲げて実質撤廃という輝かしい勝利をおさめたのであります。まさに世界史を飾る民族の一大叙事詩であります。
 歴史を切り開いた沖縄県民のこの壮大なドラマは、歴史の節目節目で県民全体でことほぎ、今日の激動の時代においても一層光を放つものとしていかなければならないと思います。このことによって先ほどの軍事的キーストーンから平和創造のキーストーンヘの転換も現実的課題として、県民の巨大なエネルギーはこれを実現していくでありましょう。
 質問の第2、交通問題については前県政以来幾たびとなく、またさきの6月定例会においても取り上げたところであります。
 国道331号線は、沖縄県の産業、経済発展の面からは、58号線とともに沖縄県交通の大動脈の双壁をなしています。同時に県外、国外から本県を訪れる方々のほとんどが那覇空港に着陸すると南部戦跡を参拝されます。したがって平和祈念公園や南部戦跡など平和の聖地を経由する331号国道は、国際的平和道路ともいうべき性格を持つも
のとなっています。
 ところが、西銘前県政のもとで同国道の重要な性格についての認識が弱く、南部国道事務所からバイパス建設のための公有水面埋め立てが提起されたのに便乗した大型埋め立てに振り回されて、せっかく一昨年来国の事業化予算が計上されていながらバイパス建設がおくれていることについては、6月定例会でも指摘したとおりであります。
 今回も引き続きあえて取り上げましたのは、先ほどの質問の第1に挙げました知事の重点施策、国際平和創造の杜構想の策定、推進の大前提ともいうべきこの国際平和道路国道331号線豊見城、糸満パイパス建設は急がなければならないものです。改めて知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第3は、農漁業問題についてです。
 その1つは、国営かんがい排水事業沖縄本島南部地区1992年度新規着工採択についての見通しと御所見について、端的にお聞きしたいと思います。
 その2つは、広く県外船をも対象とした水産業発展の先導的中核漁港として整備するとされ、第1次、2次ともに振興開発計画の目玉の一つとなっている糸満漁港について、1、北地区における台風17号の被害状況及び今後の対策についてお聞かせ願います。
 2、南地区の増改築については去る9月13日、地元漁民代表数名が山城農林水産部長に陳情要請しております。漁民代表らは同日、糸満市長室で水産課長に、また糸満漁業協同組合長にも要請し、市、組合からも県に要請するとのことでしたようですので、もう既に県に届いておられると思います。
 同漁港は、近年概成したばかりですが、3トン未満の小型漁船がふくそうしており、1989年の港勢は登録漁船数94隻、利用船数104隻となっており、常時100隻内外の漁船が係留されている状況です。
 ところが、同漁港の漁船係留施設能力は約40隻で、大半の漁船がやむなく防波堤へ係留を余儀なくされています。そのため、とりわけ干潮時において漁船のへさきが防波堤の下部穴に突っ込み、満潮時に漁船が転覆またはその寸前までの事故が多発しており、漁民の貴重な財産が再三損傷を受ける事態が2年余も続いています。
 また、同漁港の海底はヘドロ地で少々の風波でも投下したアンカーが流動するなど、同漁港の緊急な増改築は一刻も猶予を許さないものとなっています。
 同漁港の整備計画は急逮作成されたことから、地元漁民の十分な意見が反映されなかったいきさつもあるようですので、漁民の利用に十分こたえることのできるような立派な漁港を修築してほしいというのが地元漁民の切なる要望となっております。国庫補助による概成したばかりの漁港ですので、水産庁あたりとの難しい問題もあろうかと思いますが、地元漁民の要望に見合う同漁港の増改築と防波堤への係留を余儀なくされている漁船の転覆を防ぐための応急措置について、いかように対処されようとしておられるかお伺いいたします。
 最後に、質問を終わるに当たり、尚弘子副知事に与野党全会一致による御就任に心から祝福を送ります。大田知事が120万県民に公約した革新統一綱領と基本政策を全面的に開花させていくため、大学とは全くといっていいほど環境の違う行政の最前線で御苦労は多かろうと思いますが、御奮闘のほどをお願いいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。
 平和行政の推進との関連で、平成4年度重点施策に掲げてある平和行政の推進について現時点での構想もしくは抱負、そして具体的な推進策を承りたいという御質問でございます。お答えいたします。
 私は、沖縄戦の教訓及び戦後の苦難に満ちた体験を踏まえ、より平和で豊かな社会を希求する県民の心を原点に、平和な沖縄県づくりを推進することが極めて重要であると考えております。
 したがいまして、平成4年度の重点施策として、1、国際平和文化活動、交流、研究の新たな拠点形成を目指した国際平和創造の杜──これはまだ仮称の段階でございますが──その構想の推進、2、平和祈念資料館の大幅な改築、3、沖縄戦犠牲者の氏名を記載した平和を祈念する碑の建設、4、慰霊の日の戦没追悼式を中心とした沖縄平和祭の開催、5、平和行政推進体制の充実強化に努めるなどの施策の推進について積極的に取り組むことにしたところでございます。
 さらに、長期的には平和基金を創設すること、さらに平和研究所の創設等も考えており、平和創造のための諸施策について全力を挙げて取り組みたいと考えております。
 それから2番目の、沖縄県国際平和創造の杜(仮称)構想についての見解、3番目の、同構想における基本理念は県民の実践的課題と考えるが、その見解はどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御案内のとおり、6月18日に沖縄県国際平和創造の杜(仮称)都市構想を進める会から、本構想の実現方について要請を受けております。
 私は、かねてより、ただいま申し上げましたように、より平和で豊かな社会を希求する県民の心を原点に、平和な沖縄県づくりを推進することを重要視しておりますので、沖縄を平和の発信地として国際平和に関する文化活動、交流、研究の新たな拠点形成を目指した国際平和創造の杜構想の策定について重点施策として平成4年度にうたったわけでございます。したがって今後は、進める会からの要請の趣旨を踏まえ、本構想の策定に向け全力を傾けるとともに、御提言の基本理念についても構想策定を進める中で十分に検討させていただきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部長に答えさせますので、御理解をいただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。

 農業問題につきまして3点ほどございますが、まず1点目の南部地下ダムの平成4年度新規着工採択に向けての見通しと所見ということでございますが、お答えいたします。
 国営かんがい排水事業沖縄本島南部地区は、地下ダムを建設いたしまして農業用水を開発確保し、南部地域の農業振興を図ることを目的に昭和57年度から昭和63年度までに基本調査が実施され、平成元年度から今年度にかけて全体実施設計が進められているところでございます。
 去る8月には、地元で着工促進住民大会を開くなど地元からの強い要請もございますので、県といたしましても、平成4年度には工事着工ができるよう引き続き国へ要請していく考えでございます。
 次に、糸満漁港北地区における台風17号の被害状況と今後の対策ということでございますが、去る9月13日の台風17号による糸満漁港北地区における被害状況は、漁船22隻のうち沈没11隻、大破5隻、残り6隻については軽微な損傷となっています。
 当該漁港の整備につきましては、昭和47年度から昭和62年度までに漁港の基本施設であります外郭施設及び係留施設が整備され、昭和63年度以降は安全性を確保するための波除堤等を整備し、静穏度の向上を図ることを目標に現在整備を進めている最中でございます。
 しかしながら、今回の台風による漁船被害の発生状況にかんがみまして、緊急対策といたしまして新たに波除堤等を整備いたしまして、より一層の安全性の確保に努めていく考えでございます。
 次に、糸満漁港南地区の施設の増改築についての御質問でございますが、糸満漁港南地区は、昭和59年度から平成元年度までに総事業費24億円余を投入いたしまして外郭施設、係留施設等の整備を図り、開港当初は係留に必要な施設は一応確保されておりました。しかしながら近年、FRP型の漁船の増加によりまして、あるいはまた安定板の設置に伴いまして物揚げ場を利用する漁船が多くなり係留バースに不足が生じ、南防波堤に係留しているものが多くなっているのは先生御指摘のとおりでございます。このような状況を解消するため、次期整備計画の中で係留施設を初め港内波除堤等必要た施設の整備について検討してまいりたいと考えております。
 なお、それまでの間、応急措置といたしまして早急に仮設の係留施設を設置いたしまして港内の安全性の確保を図る考えでございます。
 以上です。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 交通問題についての御質問、国道331号豊見城バイパス及び糸満パイパスの建設促進についてお答えいたします。
 国道331号バイパス計画のうち、豊見城バイパスの道路用地につきましては、豊見城地先の公有水面埋立事業によって造成される土地を確保することとしております。現在、埋立事業につきましては、実施主体である県土地開発公社において埋立申請に向け、関係機関と鋭意調整しているところでございます。
 また、糸満バイパスにつきましては、現在、国において実施設計等について糸満市と調整中であると聞いております。
 県といたしましては、交通の円滑化、南部地域の振興を図る観点から、今後も引き続き両バイパスの早期着工が図られるよう努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 あらかじめ通告した内容に従って一般質問を行います。
 知事並びに執行部の皆さん、大変御苦労さまでございます。
 いよいよ本定例会最後の一般質問です。本定例会では尚副知事の就任を祝い、活躍を期待する与野党議員各位の発言がありましたので、私も一句ひねり出しましたので詠ませてもらいます。
 「与野党の 論争弾む 紅芙蓉」、尚副知事にはバラの花よりも芙蓉の花がお似合いだと思いました。
 あと一句、「革新の 祭政を紡ぐ うない神」、大田知事の公約による県政史上初の女性副知事であります。県勢発展のために御尽力くださることを心から期待いたしております。
 予告済みの沖縄県情報公開条例については、私の意見表明のみにとどめておきたいと思います。
 私は、前県政の時代に提案された沖縄県情報公開条例について、情報の公開ではなく、むしろ情報の統制につながるものとして批判し、当時の野党案をまとめ対案として提出させてもらいました。今回提案された条例案は、知る権利の保障を明定し、対象公文書、請求権者の範囲を拡大するなど、当時、私どもが指摘した問題点が改善されており、その限りにおいて高く評価するものであります。
 対象機関から議会と公安委員会を除外した点は承服いたしかねますが、議会については、議会の自主的判断に基づき対象機関に含ましめるよう議員各位の御理解をお願いし、公安委員会については、知事が表明したように制度発足後の事態を見きわめ、実施機関に加えられることを希望しておきます。
 民主的で開かれた県政を確立するためには、情報公開条例の制定が急務であることは論をまちません。
 一方、我が国社会における情報化の進展は著しいものがあり、国民生活に豊かさと便利さをもたらしている反面、多くの社会的、経済的問題を生じさせております。特に電子計算機による個人情報の処理については、個人に関する情報を大量かつ容易に、しかも遠隔地から検索、集中、結合することが可能であり、記録内容、処理過程も不透明であることから、自己の情報が予期しない形で収集、利用されているのではないか、誤った情報が広く利用されているのではないかなどの不安感を人々の間に生じさせております。
 また、データの漏洩等、その他の取り扱いいかんによっては個人の人権について不測の侵害をももたらすおそれがあります。
 県の行政機関においても、行政サービスの向上や行政運営の効率化を図るため電子計算機の利用が進み、電子計算機による個人情報の処理も行政の多くの分野で行われております。
 行政機関の保有する情報は、行政運営の基礎となるとともに、国民の権利利益に直接かかわりを持つものであるので、個人情報の取り扱いに関する基本的な原則ないし手続を定め、個人情報の保護を図ることが緊急であると思慮するものであります。
 大田知事は、本定例会で個人情報保護条例を制定する旨表明いたしましたが、個人情報保護条例について知事はいかなる理念、考え方をお持ちでしょうか。また、条例制定時期の見通しについてもお聞かせください。
 次に、伊原間牧場問題について。
 農事組合法人伊原間牧野組合が経営する伊原間牧場について、組合員らがその持ち分権を東京に本社のあるリゾート事業企画に譲渡した件が、畜産振興とリゾート開発との関連で大きな社会問題に発展しております。
 私は、過日現地を調査し、関係者からの事情聴取や持ち分譲渡契約書など多数の関連資料を入手いたしました。
 県当局におかれても現地調査や事情聴取を実施しているようでありますので、単刀直入にお尋ねいたします。
 第1点、リゾート事業企画と組合員との持ち分譲渡契約第1条によると、組合員たる地位資格に基づき組合に対して右する財産上の請求権の一切が売買の対象とされており、牧野組合が石垣市から取得している永小作権も含まれていると判断するが、県の見解を伺いたい。
 第2点、リゾート事業企画は、永小作権は含んでないと判断、弁解しているようですが、そもそも農事組合法人の組合員の持ち分権は、組合員たる地位資格に基づく一身専属権であり、持ち分権の内容を分割して譲渡することは法的に不可能であります。農事組合法人の組合員の持ち分権について、県の法的見解を明らかにしてください。
 第3点、仮に持ち分権譲渡契約が永小作権を含んでいるとすると、農地法第3条に違反すると思うが、どうか。
 第4点、リゾート事業企画は、伊原間牧野組合定款第8条、農協法第3条、同第72条の10に照らし、農事組合法人の組合員にはなり得ないと考えるが、どうか。
 第5点、伊原間牧場問題で八重山警察署は去る9月5日、石垣市役所に対し関係書類の提出を求め、既に数点の資料を入手したようであります。これは、刑事訴訟法第197条2項による手続か、それとも具体的な犯罪の端緒による任意捜査の開始か。また、石垣市役所から入手した資料の内容を明らかにしてもらいたい。

 第6点、伊原間牧場問題についてのこれからの県の対応についてお聞かせください。
 東京に本社のある株式会社セントラルリゾートが、宮古上野村で計画推進している南岸リゾート開発は、その用地取得の段階で農地法等に違反する行為があり、地元住民の反発と反対運動が起こっております。
 私は、これまで二度にわたって現地調査をなし、関係者、関係団体、当該開発会社の重役らから事情聴取を行ってまいりました。その結果、私が指摘した用地買収における農地法違反の事実について上野村当局、会社もこれを認め、上野村農業委員会は是正勧告をするまでに至っております。
 そこでお尋ねいたしますが、農地法違反の土地取引は完全に是正されたかどうか明らかにしてもらいたい。
 また、同開発計画地一帯で株式会社セントラルリゾート社と同じ資本系列の会社が大規模に土地を買い占めているが、国土法による事前届け出はなされているかお尋ねいたします。
 セントラルリゾート社は、沖縄県が計画推進中の県道保良上地線(通称南岸道路)の路線変更を宮古土木事務所に対しロ頭にて要請しているようであります。
 道路は、地域住民の生活と生産活動に役立つものでなければなりません。一私企業の営利目的のために計画道路が変更されることは断じて許されないと思います。沖縄県が推進している県道保良上地線は、宮古郡民の海浜へのアクセス道路であり、農漁業や観光のドライブルートとしても欠かせない道路であります。県は、一私企業のために道路計画の変更をするつもりなのか、明確な御答弁をいただきます。
 沖縄人権協会は1991年8月15日、申立人与那覇定家の申し立てにかかわる人権侵害申し立て事件について、東風平町立東風平中学校長城間正栄、同校補導員の2人に対し、人権侵犯の事実があったとして警告を発したようであります。
 青少年、とりわけ中学生の補導は、あくまでも教育的理念に立脚すべきであり、いかなる理由があれ、その人権を侵害し、不当な体罰が加えられるようなことがあってはなりません。
 今回、沖縄人権協会から警告があった件は、竹刀でもって背中やおしりを数十回にわたって殴打し、加療7日間を要する傷害を負わせたというものでありますから、暴行の態様、傷害の程度に照らし、教育とは無縁の行為として糾弾されなければなりません。
 そこでお伺いいたしますが、県教育庁、県警本部はこの件についてどのような調査をなし、いかなる対策をとられたか明らかにしてください。
 また、補導員の資格、任命及び補導の法律上の根拠、県下各学校における組織や活動方法について明らかにしてもらいたい。
 最後に、健康増進施設としての海洋療法施設の展開についてお伺いいたします。
 私や我が会派の新垣善春議員は、これまで健康増進施設建設の必要性を提案してまいりました。
 県においては、既に検討委員会が設置され、過日のマスコミ報道によると海洋性健康増進施設について検討している旨報道されております。
 21世紀に向けた健康づくりは、自然と共存するという基本的な姿勢が重要であります。よって、本県においては海洋資源を生かした健康づくりの方法として海水、海藻、海風を取り入れた海洋療法センターを建設することに関し、知事のお考えをお示しください。
 ヨーロッパにおいては、フランスを中心にリゾートとリンクした海洋療法施設が多いやに聞いておりますが、私は、本県においては県民の健康づくりを第一義的とすべきだと思うが、県のお考えをお伺いしたいと思います。
 新しい理念と時代を先取りする健康増進施設の建設地域は、1つ、汚染されてない海水が取水できる地域、2つ、現在から将来にわたって自然環境が保全される地域、3つ、周辺地域において埋め立てや化学工業の誘致及び大規模陸地開発の計画がない地域、4つ、多くの県民にとって利用しやすい地域などを基本的条件として場所の選定をすべきだと考えます。もちろん、環境アセスメントなどの科学的調査も実施されるべきであります。
 そこで、建設場所の選定、建設スケジュールなどについて知事のお考えをお尋ねするものであります。
 以上、答弁によって再質問いたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 照屋寛徳議員の個人情報保護条例の制定に関連する御質問で、知事は個人情報の保護についてどのような理念、考え方を持っているか、また、近々に個人情報保護条例を制定するつもりはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 個人のプライバシーの保護は、個人の尊厳を維持し、基本的人権を擁護する上で不可欠なものであると考えております。
 プライバシーの保護についての考え方は、時代の進展とともに変化してきており、現代のプライバシーの権利概念は、自分に関する情報についての開示請求権や、誤った情報内容についての訂正請求権等のいわゆる自分に関する情報をコントロールする権利という積極的な権利として考えられるようになってきていると理解いたしております。
 これは御指摘のありましたように、行政機関が保有する個人情報の増大とそれに伴うコンピューター処理の拡大や、民間の分野における個人情報の大量蓄積とその広範な利用などを背景といたしまして、個人情報の適正な管理が求められているのであります。
 このようなことから、個人情報保護条例の必要性については十分に認識いたしております。
 県としましては、情報公開条例の制定後、できるだけ早い時期に前向きに取り組んでいきたいと考えております。
 なお、その他の御質問につきましては関係部長にお答えさせますので、御理解いただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 照屋寛徳議員の御質問にお答えいたします。
 伊原間牧場問題に関連いたしまして5点ほどの御質問がございますが、一括してお答えさせていただきます。
 最近、リゾート開発や投機目的のため農地等の先行取得が行われておりますが、これらのリゾート開発計画の大部分は、農振整備計画における土地利用計画との整合が図られていない状況にあります。
 このような開発計画は、農振整備計画上容認しがたいものでありまして、集団的に存在している優良農地は今後とも農業的利用を優先していく方針でございます。
 御指摘の伊原間牧場問題につきましては、これまでの調査の結果、伊原間牧野組合員と株式会社リゾート事業企画間で持ち分等を内容とした譲渡契約が締結されていることが確認されております。
 この契約事実を踏まえ、組合員及び株式会社リゾート事業計画等々関係者からの事情聴取及び現地調査をいたしましたところ、農地法、農協法の関係でなお不明な点が多く、引き続き事実確認の必要があり、さらに調査を継続し、法令違反が判明した場合には厳正に対処していく考えであります。
 なお、当該地域は土地利用計画上、農振農用地区域に設定されておりまして、農業上の公共投資、その他の農業振興に関する施策を計画的に推進すべき地域として定められております。
 当該牧場には、これまで畜産振興を図る観点から、団体営草地開発整備事業等を導入いたしまして生産基盤を整備してきておりますので、今後とも石垣市と連携をいたしまして農業的利用が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、南岸リゾート問題との関連で、農地法違反の土地取引は完全に是正されたかどうか明らかにしてもらいたいという趣旨の御質問でございますが、御指摘のとおり、開発業者が農地法の許可を受けないで転用目的で農地の売買契約を締結し、農家の名義を借り所有権移転を了し、実質的に農地を取得している行為は、農地法に違反していることから、県といたしましても速やかに是正措置を講ずるようこれまで指導してまいりまして、大部分の農地はもとの所有者へ回復登記がなされております。
 なお、残りの土地につきましても、引き続き関係者の指導を強化して農地法本来の趣旨を貫いていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 金城 毅君登壇〕
○環境保健部長(金城 毅君) 照屋寛徳議員の御質問の海洋療法センター建設についてお答え申し上げます。
 現在、県におきましては、去る6月に健康増進施設建設検討委員会を設置し、健康増進施設の建設について鋭意検討を重ねているところでございます。
 なお、健康増進施設を建設するに当たりましては、県民の健康づくりを第一に考えて検討を進めております。
 御質問のありました海洋療法につきましても、健康増進の一方法として健康増進施設に取り入れることができるのか、現在、検討をしている段階であります。したがいまして、御提言のありました建設スケジュール、建設場所等につきましても今後あわせて検討をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 南岸リゾート開発問題についての御質問、県道保良上地線の路線を変更するつもりかということにつきましてお答えいたします。
 県道保良上地線は、城辺町保良から下地町上地間の延長20キロメートルの路線で、宮古島南岸地域の振興を図る上で重要であることまた、宮古市町村会からの強い要請もあったことから県道として認定し、昭和63年度から事業に着手したところであります。
 その後、上野村地域において南岸リゾートの計画がなされ、上野村当局から、当該県道とリゾート計画の整合が図られるようルート変更の申し入れがありました。
 このため、当該リゾート計画が地域振興に寄与するものであれば、県としてこれを支援する立場も必要であるとの観点から、これまで協議を進めてきた経緯がございます。
 当該県道の整備に当たりましては、今後とも地元と十分に協議を重ね、慎重に対処していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 照屋議員の南岸リゾート開発問題に関連いたしまして、同開発計画地一帯でセントラルリゾート社と同じ資本系列の会社が大規模に土地を買い占めているが、国土法による事前届け出はあるかという御質問にお答えいたします。
 国土利用計画法は、適正な地価の形成と適正かつ合理的な土地利用の確保という政策目的の実現を図る観点から、一定規模以上の土地売買等の契約に当たっては予定対価の額、土地の利用目的等について届け出を義務づけております。
 御質問の同開発計画区域内におけるセントラルリゾート等を当事者とする国土利用計画法に基づく土地売買の届け出は、これまでに数回なされております。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 青少年補導と体罰問題について関連いたしまして、県教育長は少年補導員による体罰の件についてどのような調査をし、いかなる対策をとったかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県教育委員会では、所轄の教育事務所を通して当該教育委員会、学校から事情を聴取しましたところ、御指摘の事実、つまり昨年12月18日に竹刀で生徒を殴打するということが学校内で行われていたことが判明いたしました。
 県教育委員会は、これまで校長会等を通してその都度、体罰の禁止については厳しく指導してきたところでございますけれども、今回、このようなことが少年補導員の行為であったにせよ学校内で起こったことに対し、その再発防止を指導したところでございます。
 もう1点、補導員の資格、任命及び法律上の根拠、県下各学校における組織や活動方法について明らかにしてもらいたいという御質問にお答えいたします。
 少年補導員は、少年に理解と愛情を持ち、非行防止に熱意があることなどの資質を有する一般成人が、訓令により県警察本部から委嘱を受け、青少年健全育成に当たっていると理解しております。
 なお、別に市町村の青少年センター等で委嘱している青少年指導員制度がございます。
 少年補導員は、学校とは組織の上で直接関係はございませんが、相談活動、街頭補導活動など学校教育にも協力をしております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) お答えいたします。
 伊原間牧野の問題につきましてマスコミに大きく報道されていることなどから、刑罰法令に抵触する点があるかないかといった点を含めて関心を持っているところであります。
 具体的な内容について申し上げることは、差し控えさせていただきます。
 以上です。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 農林水産部長にお願いを申し上げます。
 この伊原間牧野組合の伊原間牧場の問題というのは、契約自体が非常に巧妙であります。
 ただ、しかしながら、契約書を子細に検討いたしますと、契約書の第9条において石垣市の伊原間地区でリゾート開発を行うと、こういう目的でこの契約が結ばれ、組合員1人当たり8500万、しかも組合自身も8500万円という大金を受領していることが明らかになっております。
 したがいまして、リゾート事業企画という東京に本社のある会社は、決して伊原間牧場で牧畜をするために持ち分権を譲り受けたのではありません。
 そもそも、リゾート開発会社が農協法、その他の法律によって牧畜をすること、あるいはまた農事組合法人に加入することは許されないわけであります。
 しかも、同契約書の9条の2項によりますと、リゾート開発事業企画がリゾート開発をする場合には、持ち分権を譲り渡した組合員は開発に同意をし、その開発申請に必要なあらゆる書類を提供しなければならない、こういうふうに定めております。
 そのほか、契約の内容全体からいたしますと、私は、旧大浜町、現石垣市との間に設定されている永小作権を含む、いわゆる組合員たる地位資格に基づく一身専属権がすべて譲渡をされたと、こういうふうに解釈すべきだろうというふうに考えております。
 県は、亀井社長を呼んで事情聴取をやったということも聞いておりますが、必ずしも事情聴取は成功してないように思われます。
 引き続いて、沖縄県の第1次産業を守り、畜産業を振興発展させる観点から、しっかりした姿勢を堅持をしてこの問題に対処をしていただきたい、こういうふうに思います。これは、要望でございます。
 県警本部長に私が質問申し上げましたのは、この伊原間牧場問題で八重山警察署が、去る9月5日に石垣市役所に対して関係書類の提出を求め、石垣市役所から数点の関係資料を既に入手をしていると、こういう事実があるようであります。そのことは、刑訴法197条2項による手続なのか、そのことを私がお伺いをしているわけであります。
 そしてもし、捜査の都合上差し支えなければ、石垣市役所から入手した資料の内容、あるいは件数ですね、これもつまびらかにしていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 佐野智則君登壇〕
○警察本部長(佐野智則君) 先ほど申しましたように伊原間牧野の問題について関心を持っているところでございまして、具体的な内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際、お諮りいたします。
 決算については、9月17日の議会運営委員会において15人から成る決算特別委員会を設置して審議することに意見の一致を見ております。
 よって、ただいまの議題のうち認定第1号から認定第3号までについては、15人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良一男君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
○議長(平良一男君) 次に、お諮りいたします。
 ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任につきましては、委員会条例第5条第1項の規定によりお手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良一男君) 御異議なしと認めます。
 よって、決算特別委員会の委員は、お手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
       決算特別委員名簿
  福 里 一 郎    西 田 健次郎
  仲 松 昌 彦    嘉 数 知 賢
  儀 間 光 男    島 袋 嘉 盛
  照 屋 忠 英    石 川   修
  外 間 久 子    与那嶺 盛 男
  上 原 亀一郎    渡名喜 藤 子
  伊 波 栄 徳    高 良 政 彦
  中 根   章 
○議長(平良一男君) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く甲第1号議案、甲第2号議案及び乙第1号議案から乙第18号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後5時34分休憩
   午後5時35分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 日程第3 会期延長の件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 今期定例会の会期は、10月14日までと議決されておりますが、議事の都合により10月15日まで1日延長いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良一男君) 御異議なしと認めます。
 よって、会期は、10月15日まで1日延長することに決定いたしました。
○議長(平良一男君) この際、お諮りいたします。
 委員会審査及び議案整理のため、明10月5日から14日までの10日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良一男君) 御異議なしと認めます。
 よって、明10月5日から14日までの10日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(平良一男君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、10月15日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時36分散会

 
19910505000010