平成 1年(1989年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月13日
第 4号 12月13日
 

議 事 の 概 要
平成元年12月13日(水曜日)
午前10時0分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案から乙第15号議案まで及び認定第1号から認定第19号まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 照屋 寛徳君(社会党・護憲共同) 
    2 外間 久子君(共産党)
    3 新垣 善春君(社会党・護憲共同)
    4 石川  修君(社大党)
    5 大城 秀昭君(無所属)
    6 伊波 栄徳君(社会党・護憲共同)
    7 宮里 政秋君(共産党)
午後4時58分散会

○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 12月1日から9日までに受理いたしました陳情3件は、お手元に配付の陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
 次に、説明員として出席を求めた地方労働委員会会長大浜賢永君は、所用のため本日及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長宮城調一君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案から乙第15号議案まで及び認定第1号から認定第19号までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 あらかじめ通告した内容に従い質問いたします。
 最初に、知事の政治姿勢との関連で数点について尋ねます。
 第39回衆議院総選挙も来年2月18日を投票日とする政治日程がほぼ固まったようであります。県内においても次期衆議院選挙に向けて保守、革新各3名、合計6名の者が5議席を争い、激しい前哨戦を展開していることは公知の事実であります。
 さて、次期衆議院選挙をめぐる県内政局、特に自民党の派閥抗争は熾烈をきわめているようであります。その発端は、知事の長男順志郎氏の出馬宣言であることはだれ一人とて疑う者がないでありましょう。
 ある政治評論家が、政治権力は4つのMであると規定する論文を発表しております。4つのMとは、マジョリティー(多数)、マネー(お金)、マキャベリズム(権謀術数)、そしてマスコミュニケーションであります。
 西銘県政11年は、まさにこの4つのMを実現し強大化する道程であったと思いますが、長男順志郎氏の出馬は、マジョリティーの崩壊とマスコミュニケーションへの無視もしくは敵視、マキャベリズムの判断と行使の誤りだと私は予見しております。
 そこで知事に伺います。
 第1点、知事は、長男順志郎氏の次期衆議院選挙出馬をどのように考えておられるか率直に考えをお聞かせ願いたい。
 第2点、去る12月5日、自民党宮里派、仲村派県議団が「薩長連合」を結成し、知事や県幹部が特定候補者のために県庁ぐるみの選挙運動をやっているとして自粛と抗議を申し入れたとの報道に接しました。県庁ぐるみの選挙運動として非難されているが、それらは事実か。また当日、県庁ぐるみと非難された事項はどんな内容だったのか。当日応対した出納長、総務部長にお答え願いたい。
 第3点、去る8月ごろから、「明るい明日の沖縄をつくる会」作成名義にかかわる「県民よ怒れ西銘一家の陰謀を暴く」と題する文書が大量に県内に頒布されております。知事は、この文書を読まれましたか。この文書で指摘されている事実について知事はどのように考えているのか。事実無根というのであれば、なぜ反論されないのか御答弁願いたい。
 第4点、昨日、私の自宅に沖縄県信用保証協会の関係者から速達で、ぜひ県議会で取り上げてほしいということで手紙が舞い込んでまいりました。それは準公共機関でありながら、信用保証協会の理事長が特定候補者の後援会長に就任することは、関係法上許されることなのか。
 仮に、法律に触れないにしても好ましいことではないのではないか。革新市町村関係者からは、次年度の出捐金は見直さざるを得ないとの注文がついており、大変業務上困っていると、こういう手紙であります。このことについてどう考えておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
 次に、那覇軍港の天願桟橋への移転問題について尋ねます。
 この問題については、去る9月定例会でも知事の見解をただしました。そのときは米国務省と米太平洋軍司令部が、那覇軍港の移設先として具志川市の天願桟橋か勝連町のホワイト・ビーチを検討しているとの報道との関連でありました。
 知事は、9月定例会における私の質問に対し、那覇軍港を天願桟橋に移設するよう米国政府や米軍に要請したことはない、米国務省や太平洋軍司令部に移設の件で照会したことはない、日米合同委員会における検討状況について情報収集に努めている旨の答弁をしております。
 ところで、最近の新聞報道によると、90年度をめどに那覇軍港を天願桟橋に移設するための検討に入ったとの政府筋の動きが報道されております。
 具志川市議会は、去る9月に続き12月11日、全会一致で意見書を採択し関係要路への直訴団派遣を決定しております。これ以上軍事基地を押しつけられるのは御免こうむるというのが具志川市民の総意であります。
 そこで尋ねます。
 第1点、日米合同委員会の施設特別委員会において、那覇軍港の移設先として天願桟橋が検討されているとのことだが、本当か。県は、情報を収集したか。
 第2点、具志川市議会における2度の意見書採択に表現される天願桟橋への移設に反対する具志川市民の総意をどのように知事は理解しておられるか。
 第3点、知事は、那覇軍港の無条件返還を日米両政府に働きかけるつもりはありませんか。
 次に、金武町伊芸における流弾事件の送検について質問します。
 1988年10月15日に発生したキャンプ・ハンセン演習場から金武町字伊芸区などへの流弾事件について私ども社会党・護憲共同県議団は、同年10月24日、当時の在沖米四軍調整官ノーマン・H・スミス少将、キャンプ・ハンセン司令官アンソニー・ジニー大佐らを器物損壊、暴行、殺人未遂罪などで告発いたしました。
 県警は、この事件について去る11月22日、ノーマン・H・スミス少将ら7名を那覇地方検察庁に書類送検したとのことであります。告発人の一人として、県警が従来の基地から派生する事件・事故に見られない協力かつ適正な捜査、例えば使用した兵器や弾の鑑定、演習場内への立入実況見分、キャンプ・ハンセン司令官の取り調べなどの実施をなし送検までに至ったことは画期的なことであり、高く評価しております。本当に御苦労さまでした。とてもよく頑張ったと県民は心の中で快哉を送っております。
 だが、事件送致意見書の中で犯罪の故意が立証できず、立件が困難であるとの意見を付したことは承服できません。県警の送検により起訴、不起訴の判断は検察庁に移りました。私ども告発人は去る11月30日、那覇地方検察庁検事正に対し、意見書を提出し起訴へ向けた検察の奮起を促しております。
 そこでまず県警本部長に尋ねます。
 第1点、捜査上の問題点及び送検に当たっての所見について伺いたい。
 第2点、送検と同時に本部長名で米軍に対し、基地内の全射撃場の総点検と抜本的対策を文書で申し入れたようだが、申し入れの目的、その内容、申し入れに対する米軍の返答をお聞かせ願いたい。
 関連して知事に尋ねます。
 第1点、知事は、司令官らの送検についてどのように考えているか。
 第2点、私を含む告発人らは送検を受けて去る11月30日、知事に対し6項目の緊急申し入れをなしましたが、その検討結果と対処方について答弁していただきたい。
 私の質問の第4番目は、具志川市字塩屋地内におけるカラオケボックスの設置問題であります。
 具志川市字塩屋浜原497番において建設が進められているカラオケボックスは、青少年の健全育成と良好な教育環境、生活環境を守る立場から、PTA、市校長会、市婦人会などから反対の声が上がっております。私も過日、現地を調査し、市当局や市議会、県農林水産部、県土木建築部に行政指導を求めてまいりました。

 そこで尋ねます。
 第1点、県は、カラオケボックスの建設及び営業行為について県条例による規制などどのような対策を考えているのか。
 第2点、カラオケボックスが建築されんとしている当該地域は、いつ、どのような用途指定がなされているのか。
 第3点、既設の建物や工作物も違法建築物であるとの指摘があるが、事実はどうか。事実なら原状回復のためにどのような手段を講じているのか。
 第4点、当該業者は、堤防、すなわち護岸に接してコンクリート構造物によるゴルフレンジ3打席をつくり海に向かってボールを打たせるなどの営業行為に及んでおりますが、海にボールを打たせる方法でのゴルフレンジは法的に許されるのか。有償、無償の場合に分けて法的見解を明らかにしてもらいたい。
 また、護岸に接してつくられたゴルフレンジ打席は違法だと思うが、どうでしょうか。
 最後に、県出身南米移住者子弟の就労問題について私の提言を交えながら質問させてもらいます。
 去る12月8日、今国会の最重要法案の一つである出入国管理及び難民認定法が参議院で可決成立しました。改正法は、日本の国際化に伴う外国人の出入国者の増加と入国、在留目的の多様化、不法就労外国人の急増などに対することを目的としていると政府は説明しております。
 今度の法改正は、多くの問題点を有しておりますが、その中でも現在よりも一層強力な管理体制の確立を図るという政府・法務省の主目的が随所に如実にあらわれており、現状を変革して外国人単純労働者を徹底して排除する内容になっており、強く批判せざるを得ません。
 一方、県出身者南米移住者子弟らの出稼ぎ問題が大きな社会問題に発展しつつあります。外国人労働者問題は、労働鎖国か労働開国かをめぐって論議が沸騰しており、多くの論点にまたがる困難な問題でありますので、今回は県出身南米移住者子弟の就労問題に限定をしたいと考えます。
 最近、アジアや南米から豊富な就労機会と高い賃金とを求め、入管法違反を覚悟で来日する人々の数が急増しております。南米も超インフレの経済状況のため、県出身者子弟を含む日系人が多数来日し単純労働者として就労しているようであります。彼らは、いわゆる3K労働、危険、汚い、きつい仕事、あるいは6K労働と称される、さきの3Kに格好が悪い、給料が安い、休日が少ない仕事に従事しておるようであります。
 最近、南米の日系人を首都圏などの工場の単純労働に大量に不法派遣していた業者が逮捕される事件が続発しております。これら業者は、労働者の賃金から30%ないし40%もピンはねし巨額な利益を上げているようであります。私も警察庁保安部、法務省入国管理局、労働省職業安定局等から資料を入手し関係者から事情を聴取いたしました。
 そこで伺います。
 第1点、県は、日昇機工事件、三協工業事件、知花旅行社事件などについて調査をなしたか。なしたなら、調査結果を明らかにしてもらいたい。
 また、これらの事件で派遣されておった県出身者は何名か。派遣先の工場、職種も明らかにしてもらいたい。
 第2点、県は、11月1日の九州知事会議に日系移住者子弟の我が国における就労の改善を議題として提案し、出入国管理及び難民認定法の弾力的運用を政府に求めたようでありますが、今度の法改正に当たって政府に対しどのような具体的働きかけをなしたか明らかにしてもらいたい。
 第3点、県出身移住者子弟らが雇用、賃金、各種保険等で不当に扱われたり、収奪されたりすることを防止し、相談に乗れるように東京事務所などに担当者を配置し窓口を設置すべきではないでしょうか、御答弁いただきたいと思います。
 第4点、沖縄で働いたり、親戚訪問、研修等の目的で滞在している移住者子弟は、言葉の面で大変困っております。沖縄県独自の日本語学校の開設もしくは研修の場をつくる考えはないか。
 第5点、この第5点については質問そのものはまだお上げしておりませんが、関連しますので御答弁いただきたいと思います。
 「ジン モーキティ クーヨー、ジンドュ サチドー、テガメーアトゥカラヤンドー」とこういう声に送られ、異国の地で苦労した県出身移住者らの子弟が、インフレ社会の中で、また私たちの祖国ふるさとで働くようになっております。
 沖縄県は、県出身南米移住子弟らの雇用確保のために法務省、労働省、警察庁、沖縄開発庁などに具体的な対策を求めるべきだと考えるが、どうでしょうか。
 リクルート事件がかつて政界、財界、官界を巻き込んだ戦後最大の疑獄事件になりました。今、リクルートからリクルータ、すなわち手配師による県出身南米移住者2世、3世子弟らが本当に30%、40%というピンはねで不当に収奪をされております。
 この問題は、大変大きな問題だと思いますので、知事を先頭に私が申し上げましたようにさまざまな対策をとられることを希望いたします。
 あとで再質問させていただきます。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 照屋寛徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 長男順志郎の出馬問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
 順志郎の衆議院議員選出馬は、順志郎個人の政治にかける情熱の発露であり、私からとやかく言及することは避けたいと思いますが、これに至る経過について簡単に御説明を申し上げて御理解を賜りたいと思います。
 今から6年前の参議院選挙のときであります。喜屋武さんの出馬が確定いたしまして、自由民主党から二、三の方々が出馬のうわさがあったのでございますが、それもとうとう出馬しないことになりまして、当時の県連幹部が知事公舎を訪ねてまいりまして、だれも出ないと。ついては順志郎を出馬させてくれというたっての要請があったのであります。
 革新のチャンピオン喜屋武さんを相手にして出馬いたしましてもこれは勝ち目はなかったのでございますが、県連の幹部のたっての要請でもございましたし、また県連のメンツを立てる意味からいたしまして、また当時の東京本部に対して申し開きができるためにも順志郎出馬について私も承諾を与えたわけであります。
 そういうことであれ以来、順志郎を取り巻く周囲が何としても今度の機会を逃したらもう出る機会はないと。周囲のたっての要請もございましたし、また自由民主党は国政参加以来3人公認、3人当選が大きな政治目標でございます。
 そういう諸般の情勢からいたしまして、私も周囲のたっての要請が大きな要因となって順志郎の出馬について承諾せざるを得ない立場であったことを御理解賜りたいと思うのであります。
 次に、「薩長連合」から指摘された知事の長男の出馬に関して県庁ぐるみの運動をしているということでございますが、公正な行政運営をいたしておりまして、そのようなことはございません。
 私も順志郎に対しまして、宮里先輩も当選させてくださいと、仲村先輩も当選させてくださいと。私はビリからで結構ですから、3番で結構ですから私も当選させてくださいと。当選の暁には、おやじにも負けないように沖縄のため、日本のために働きますと。おまえは絶対に先輩2人を立てて、悪口を言ってはならないと、こういうことを特に言明いたしまして今日に至っているわけであります。
 したがいまして、県庁ぐるみのそういう非常識な、法律を無視したような行政運営はやっておりませんし、またそういうことについてここでとやかく言いたくないわけでございますが、あくまでも公務員としての矜持を保持すべきであるということは、常々繰り返して言っているところであります。
 次に、どこから出たのかわかりませんが、「西銘一家の陰謀を暴く」という文書については私はまだ読んでおりません。また読みたいとも思っておりません。いろいろ内容等を聞いておるんですが、これは全く中傷的な文書でございまして、私といたしましては選挙のためとはいえ心外でございます。こういうことが許されてはならないと思っております。
 次に、那覇軍港の天願桟橋への移駐についての御質問がございましたが、お答えいたします。

 那覇軍港の天願への移駐でございますが、これを移設を前提として那覇軍港問題を考えたことはございません。したがいまして移設されるか否かについても何らの回答にも接しておりませんし、承知いたしておりません。
 なお、具志川市長、また議会からも移設の反対の要請がございました。
 問題は、たびたび申し上げているとおり縮小整理でございますが、できるだけ集約された、これは例えばの話で前の議会に申し上げたこともあるんですが、那覇軍港とあるいは天願桟橋と集約する、一つにまとめるといういわゆる集約統合というんですか、陸軍は陸軍の施設を使う、海軍は海軍の施設、空軍は空軍、海兵隊は海兵隊、そういう縄張り争いじゃなくて、アメリカ全体として四軍一緒になって共同して使えるようなものは集約された形でやるべきではないか。沖縄の中で移設を前提として返還するということは今からは到底考えられませんので、そういう形で施設の集中統合と、こういう形で整理縮小をやっていくべきではないかというふうに考えているわけでございます。
 残りの御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 出納長。
   〔出納長 米村幸政君登壇〕
○出納長(米村幸政君) お答え申し上げます。
 自民党の14名の方々からの申し入れについてでございますが、御指摘がございましたように行政の公正な執行についてでございまして、これを知事に報告するようにということと、それからその防止のための文書を出したらどうかという提言などでございました。
 私どもとしましては、先ほどの知事の答弁にもございましたように常に行政は公正かつ的確に執行しておりますし、また、ただ、選挙前には従前もそうなんですけれども、綱紀粛正のための文書を毎回出しておりますので、これは時期を見て文書は出しますというふうにお答えを申し上げたところでございます。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 照屋議員の御質問にお答えいたします。
 カラオケボックスの建設及び営業行為について、県条例による規制などどのような対策を考えているかという御質問でございます。お答えいたします。
 青少年健全育成の立場から、現在のところ建設及び営業の中止について法規制することは困難でございます。このカラオケボックス営業は、密室性が高く非行の温床となるおそれがあることから、これまで関係者に対し行政指導と協力要請をしてまいったところでございます。
 今回、沖縄県青少年保護育成条例の施行規則を平成元年12月12日付で一部改正し、同12月19日付で青少年の10時以降の立ち入りを禁止するようにしたわけでございます。
 なお、目下、行政指導を強化している項目を御説明申し上げますと、1つに保護者同伴を除く青少年のみの10時以降については先ほど禁止の条例とのかかわり合いで申し上げたわけですけれども、これまでそういった指導をしてまいったわけでございます。それとさらに青少年による酒、たばこ等の持ち込みの禁止、3番目に透明性の確保、密室的なそういうようなボックスでございますので、透明性の確保、それからまた事業者においても巡回指導を頻繁に行うような指導をいたしております。5番目に開放性の確保、内側からかぎがかからないようにというふうなことで指導いたしております。
 こういった、主として5項目を中心にこれまでも指導してまいったわけでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) 具志川市字塩屋におけるカラオケボックス問題でございますが、問題の区域はいつ、どのような用途指定がなされているか。また建築物は違法建築であるのかという御質問ですが、まとめてお答えいたします。
 具志川市の農振整備計画は、昭和52年3月28日に策定をされております。したがって御質問の区域は農振農用地区として用途指定がなされております。
 当該敷地内には木工所、レストラン、カラオケボックス、パットゴルフ場が建設されておりますが、木工所については農振整備計画策定以前に建築されたもののようであります。しかしレストラン、パットゴルフ場、それからカラオケボックスについては整備計画策定後に所定の手続を得ないで開発行為を行っておりまして、農振法違反であると考えております。
 今後の処理につきましては、農振整備計画が市町村によって策定され管理されておりますことから、地元具志川市の意向を踏まえ協議の上、対処する考えであります。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 具志川市のカラオケボックスと関連いたしまして、海にボールを打たせるゴルフレンジは法的に可能か。また、護岸に接したレンジ建設の違法性はないかについてお答え申し上げます。
 海浜等は、国民共有の財産として一般公衆が自由に利用できることを基本としております。港湾区域内の水域等を特定の目的のために独占的及び排他的に占用して使用する場合は、有償、無償を問わず港湾法第37条により港湾管理者の許可が必要でございます。
 当該ケースのように海に向かってボールを打つ方法の海浜の占用は、有償、無償にかかわらず許可の対象にはならないものと考えております。
 また、海岸を利用してつくられたゴルフレンジについても、海岸管理者の許可を受けずに占用しておりまして、海岸保全施設の管理の上からも支障がございますので、早期に撤去させる考えでございます。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 金武町伊芸における流弾事件の送検についてお答えします。
 ただいま評価を言っていただきましたが、まだまだ私どもは頑張るつもりであります。
 第1点目の捜査上の問題点についてでありますけれども、米軍側に関連する事案処理に当たりましては、直接米軍施設内に入って捜査することは困難であります。また関係者の事情聴取につきましても通訳を介して聞き取らなければならないもどかしさ、また文書による捜査事項の照会に対しましても、文書の往復などに通常の場合よりも時間を要したりいたしまして長い期間にわたる捜査を余儀なくされました。そのために1年有余の捜査期間を要しております。
 次に、送検に当たっての所感ということでありますが、この事案が米軍の演習に伴う被弾の事案であったために基地内における捜査が自由にできず、捜査上困難をきわめましたが、真相究明のため警察の組織を挙げて捜査を遂行し、1年有余をかけてようやく事件の送付にこぎつけ、ほっとしたというのが実感であります。
 また、米軍側が本件捜査に関し、基地内における実況見分を初め関係者の事情聴取などこれまでにない理解と協力を示したことも留意しているところであります。
 なお、本件捜査につきましては被害者など関係者の御支援がありましたことに対し、この機会に感謝を申し上げたいと思います。
 第2点目の米軍への申し入れの目的、その内容米軍の返答についてでありますが、申し入れの目的は、本県の軍事演習に伴う問題点を指摘し、二度とこのような事件が発生しないよう抜本的な対策を講じ、県下の米軍基地射撃訓練場における各種訓練が安全に行われることであります。
 その内容についてでありますが、申し入れ文書の中には捜査の内容も含まれておりますので公表することは差し控えたいと思います。
 次に、米軍の返答についてでありますが、私の申し入れに対しまして米軍側は誠実に受けとめております。
 1つは、本事件を契機に全訓練場について安全確保を図っていくこと。
 2つは、今後、実弾射撃演習場における訓練の際は必ず安全に関する専門的な知識があり、かつ演習場付近の地域について十分知っている安全専門官を立会させ、そのもとで実施するとの回答を得ております。

○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 村山盛敏君登壇〕
○知事公室長(村山盛敏君) 照屋先生の県出身南米移住者子弟の就労問題に関しまして、三協工業事件、知花旅行社事件等について調査をしたか。そして、調査結果を明らかにせよ。派遣された県出身者は何名か。派遣先の工場、職種を明らかにしてもらいたいという御質問にお答えいたします。
 去る10月に国際交流課の職員を派遣いたしまして、いわゆる三協工業事件及び知花旅行社事件について、神奈川県警平塚警察署と神奈川県労働部において実情を調査させました。
 調査の結果、三協工業事件の概要は、横浜市内の三協工業株式会社が2200人余の出稼ぎの日系南米人を労働者として雇用し、これらを単純労働の工員や作業員として関東、東海一円の企業百数十社に不当に派遣したとして、社長が10月12日に逮捕されたものでございます。
 逮捕事実の要旨は、三協工業株式会社の社長が、昭和62年5月22日から平成元年8月28日までの間、神奈川県内の自動車部品製造会社に対しまして、日系ブラジル人等の外国人労働者78名を派遣し、いわゆる労働者派遣法に違反した、すなわち適用対象業務以外の業務について労働者派遣事業を行ったというものでございます。
 一方、知花旅行社事件でございますが、ブラジルのサンパウロ市内に本社を置く知花旅行社の横浜連絡所長が、日系ブラジル人等外国人労働社多数――約850名でございますが――を入国させまして労働者派遣会社――三協工業等に有料で職業紹介事業を行い、7月20日、職業安定法に違反した疑いで逮捕されたものでございます。
 これらの事件で派遣された人数およそ3000人余に上り、その名簿を入手することはできませんでした。本県出身者が何名いたかについても確認できておりません。
 派遣先の工場名については事件が係争中のところもあり、公表することは差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、その職種は主として自動車部品の製造加工、複写機の部品加工、電線加工、プラスチック加工、こん包発送が主でございます。
 次に、九州知事会議で政府に対しどのような具体的な働きかけをしたかという御質問に対してお答えいたします。
 日系移住子弟の我が国における就労について去る11月1日、那覇市で開催された第94回九州地方知事会議の要望事項としてこれを採択いたしまして、今回の入管法改正に関連して関係省庁の法務省、外務省、労働省、沖縄開発庁に陳情書を提出、要請してきたところでございます。具体的には11月の下旬に法務大臣に対しまして、日系移住者子弟の就労について特段の措置が講ぜられるよう陳情書を提出したところでございます。
 それから、移住者子弟の就労に関しまして、その相談に乗れるように東京事務所に担当者を配置して窓口を設置すべきではないかという御質問にお答えいたします。
 県出身移住者子弟らの就労につきましては、雇用、賃金、各種保険等の労働条件を初め住居、言語、生活習慣など多くの課題があることは承知しております。東京事務所などにおいてどのような対応ができるかにつきまして、今後、その方策を検討していきたいと考えております。
 それから、移住者子弟については言葉の面で困っているので、県独自で日本語学校の開設もしくは研修の場をつくる考えはないかという御質問に対してお答えいたします。
 海外移住者子弟の沖縄滞在に当たって、就労や研修、日常生活の中で日本語で意思疎通ができるかどうかは大切なことでございまして、今のところ県内の日本語学校などで働きながら勉強できる機会もあるようでございますので、県独自の日本語学校の開設もしくは研修の場をつくることについては困難であると考えております。
 それから追加の御質問で、出稼ぎ問題の今後の対策についてただされましたけれども、お答えいたします。
 関係省庁へ今後とも2世、3世の就労問題につきましては引き続き要望していきたいと考えております。
 また、南米の沖縄県人会等を通じまして移住者援護育成のため指導し、日本に来る前後の問題で問題が起こらないような方策と援護指導を強化していきたいというふうに考えております。
○照屋寛徳君 休憩してください、答弁漏れ。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前10時44分休憩
   午前10時45分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 古謝理事長の後援会長就任でございますが、本人も引き受けることに別に異議がないようです。承知いたしておりまするし、また法的にも疑義はないと考えております。
 次に、送検のことをどう評価するかということですが、これは米軍の責任を追及するという点では初めてのことでございまして高く評価いたしております。
 6項目のことにつきましては、所管の部長から答弁させます。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 村山盛敏君登壇〕
○知事公室長(村山盛敏君) 6項目の要請が知事になされましたけれども、私が受けまして受理をいたしまして、今、知事公室の方で項目ごとに検討させていきたいと思っております。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 天願桟橋の問題で知事にもう一度お尋ねいたしますが、仮に那覇軍港が天願桟橋へ移設されるということになりますと、知事が反対である、困ると言っている新規の提供に該当しはせぬかということが1点でございます。
 それから、農林水産部長にお尋ねいたしますが、塩屋地先のカラオケボックス、これは明らかに農振法に違反であります。具体的にどういう手だてをして原状回復を考えておられるのか、明確な答弁をいただきたいと思います。
 それから、知事公室長に再質問でございますが、私ども告発人は11月30日で、例えばキャンプ・ハンセンのレンジ6を当分の間じゃなくして今後も絶対に使用させないよう、特に知事を先頭に米軍に確約をさせてほしいとこういう大切な申し入れをしたわけでありますが、あれから2週間以上たってまだ知事のお手元にこの緊急申し入れ書が届かない。何のための緊急申し入れ書か、これじゃ全く困った問題であります。
 そのことをもっと真剣に、どうして緊急に知事のお耳に入れなかったのか、そして6項目についてはどうされるのか具体的に答弁していただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 那覇軍港、これを天願に移すということは新聞に出ておりまするけれども、私は軍からそういう連絡を受けておりませんし、また軍からそういう決定があって知事がオーケーしたら、これは新規の提供になるんじゃないかと。その辺はまだよくはっきり答弁できませんけれども、今、県としても那覇軍港の移設の問題については各面から検討しているところでございまして、天願桟橋にこれを持っていくというようなことは考えておりません。
 6項目についてでございますが、公室長の不勉強でまだ対策が練れてないようでございますが、前向きに検討いたしまして善処いたします。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) カラオケボックスの再質問にお答えいたします。
 さきにお答えしましたとおり農振法上、違反であります。
 そこで今後の措置方法は2つ考えられると思います。まず1点は、農振法第15条の16に基づきまして中止命令または復旧命令をするか、いわゆる行政処分をするか。もう一つは、第13条に基づいて農振整備計画を変更するか、変更して除外するのかと、この2つがあると思います。
 そこで、仮に1番目の処分をする場合には、これは実は15条関係の運用通達がございまして、これはまず違反事案が発生した場合には地元市町村からその違反者に対して口頭なり文書でもって勧告すると。これに応じない場合は、市町村は知事に対して違反事実を報告していただくと。その報告を受けて知事は中止または復旧の勧告、その場合にはもちろん弁明書の提出の説明もいたします。それにさらに応じない場合は告発と。あるいは代執行もあります、告発もあります。

 そういう農振法あるいは農地法違反の事案処理運用通達に従いまして、地元の具志川市と十分協議をして対処したいとこう考えております。
○議長(平良一男君) 外間久子君。
   〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 通告に従いまして一般質問を行います。
 まず初めに、へき地の級地見直しについてであります。
 この問題は、日本国憲法第26条及び教育基本法第3条が規定する国民の教育を受ける権利、教育機会均等法を保障する立場から、今、沖縄県教育行政の重要な課題として認識するものであります。
 教育庁は文教厚生委員会における説明の中で、判断に誤りがあった、90%は解決の見通しがある旨の説明がありました。この判断の誤りとは何なのか御説明を願いたい。またこのような判断の誤りで宮古や久米島などの関係住民、そして関係団体に心配をかけた責任をどう受けとめていらっしゃるのかお答え願います。
 2つ目に、この問題は90%解決したから終わりというわけにはいきません。残る具志川中学校、清水小学校についても早急に解決しなければなりません。教育長が県議会にあのような申し入れをしている以上、その解決の確信があってのことだと考えます。その解決に納得のいく答弁を求めます。
 3つ目に、この問題を抜本的に解決するために国の法令や規則などを検討し、改正点について整理をし要求することが必要と考えます。
 一例を申し上げますと、文部省のへき地教育振興法施行規則の用語の意義を定めた第2条では、本土とは「本州、北海道、四国、九州、沖縄島の本島をいう」と定めており、沖縄本島が四国や九州並みに取り扱われています。
 学校の体育行事や文化行事など、沖縄県は九州ブロックの一員として取り扱われており、九州全体からすれば沖縄県は県ぐるみの離島であります。したがいましてさきの施行規則から「沖縄島の本島」の削除を政府に要求し、法令や規則などの見直しの検討を初め改正を求めるべきであります。御答弁を求めます。
 次に、高校授業料値上げについて御質問をいたします。
 今、高校教育は準義務教育化しています。教育の目的と方針は憲法、教育基本法の理念において、この目的遂行はいかなる場所と機会においても実現されるべきものであります。今、どんなに生活が厳しい家庭にあっても、せめて我が子には高校教育を、人間として生きる力を、社会に貢献できる技能と教養をというのが父母の願いであり、その願いは県民的に高まっています。
 今回の授業料等の値上げは、父母の負担をふやし教育の機会均等の原則をも崩すことにつながります。さらに昭和63年度の授業料免除は、申請者が在籍者数の約1割の学生、5131人が申請をしています。
 そこで御質問いたします。
 1つには、県民所得は御承知のとおり全国平均の75%、そこへ授業料だけは全国平均に引き上げるのは乱暴な話ではありませんか。しかも本県の教育予算は毎年削減、授業料は3年越しの引き上げとは県民生活の苦しい実態を一体どう認識されているのか、御答弁を求めます。
 2つ目に、授業料を納期限内に納める生徒は89.3%、1割以上がおくれている事実は生活の厳しさの反映を物語っています。この上、授業料の値上げとなれば納入率の低下は必至であります。期限内に納入できない実態を把握していらっしゃるのか、明らかにしてください。
 3点目に、教育は、国と地方自治体の責任であることは明白です。ところが実際には教育環境整備で父母負担は増大するばかり。一体、授業料以外の父母の教育費負担は、高校生のいる標準家庭ではどうなっているのか明らかにしてください。皆さんが学力の向上を強調するのであれば、生徒たちが授業に集中できるように少なくとも全教室への扇風機、図書室、保健室へのクーラー設置、選手派遣費、進路指導費等の確保など直ちに予算措置を行うべきであります。御答弁を求めます。
 4点目に、皆さんからいただいた資料でも、納入の悪い学校は離島僻地の学校です。同時に授業料の免除申請件数の多いのも離島・僻地の学校です。今回の値上げが決定されますと一層教育費の父母負担が生活費を圧迫することは必至であり、撤回を求めるものです。
 次に、高校編成整備計画について御質問いたします。
 県教育庁はことしの春、県立高校編成整備計画を策定し4月25日から説明会を行っていますが、公教育の改革を進める場合、教育の公理に基づかなければならないはずです。特にこの編成整備計画は全く教育の理念などはなく、産業経済の変化に対応する計画としての特色づくりが強調されています。
 そこで御質問いたします。
 1つには、高校編成整備計画の目玉の内容を御説明願いたい。
 2つ目に、これらの学科は、全県学区という性格から受験競争を激化させ、輪切りと序列化を進めることで批判があります。これまでの教育課程をどう総括し、どう発展させようとなさっているのか御見解を伺います。
 3点目に、この高校整備計画の目玉そのものが臨教審の先取りです。
 そこで教育長にお伺いいたしますが、臨教審の「能力遺伝説」、いわゆる能力は遺伝で決まるという、子供の能力を固定的に見る差別、選別で決めることになります。この考え方についての御見解をお聞かせください。
 4点目に、現在でも輪切りが進んで受験校、中堅校、底辺校と進み実際、高校でも序列化が進んでいます。今、問題となっている中途退学者が増加して深刻な社会問題はこれらの学校に集中していると聞いていますが、いかがでしょうか実態をお聞かせください。
 5点目に、今、特色ある学校をつくるというより、まず県民と地域住民の強い要望にこたえて次の地域に学校を設置すべきであります。1つに、島尻に普通高校をつくること。2つ、浦添に那覇F高校を早急に設置し、そしてあと2校那覇地区に設置すること。3つ目に、名護市に普通高校の設置。4点目に、これから生徒の激減期に向けて高校の40人学級が大切ではないかと思いますが、御見解を伺います。
 6点目に、教育庁が今、家庭科をつぶすことについてお伺いします。
 これまで普通高校に併置されていました家庭科を全廃し大幅学級減にし職業高校にまとめるという計画は、家庭科の教師や生徒や父母の声を反映しているとは言えません。現に今、普通高校に家庭科を置くことを希望している生徒や父母がいるにもかかわらず、なぜ普通高校から家庭科をなくすのですか。教育権の侵害ではありませんか。御答弁を求めます。
 7点目、家庭科は人間の生存や生活と直接かかわるものであり、命と暮らしを守る学科であると言われています。ところで今回の整備計画の中で「調理科」とか「福祉科」を設置するようですが、調理科や福祉科は本来家庭教育とは異質のものであります。なぜ工業高校に家庭科を設置なさるのか、その理由、目的、位置づけについてお伺いいたします。また現場の意見は十分に聴取なさったのか、その経過などもお聞かせください。
 8点目に、今、普通高校から家庭科をなくし工業高校7校に設置するということは、家庭科の廃科につながりませんか。
 沖縄県高等学校家庭科教育研究会の会長徳森久和氏から出されております要請書に沿って、前向きに検討するお考えはありませんか。
 次に、定時制教育を見直し単位制高校にするという、皆さん方の意義づけ等も読ませてもらいましたが、現在でも開かれた学校として高校中退者が救われています。むしろ単位制高校導入で改善充実を図るということですが、逆に教育の水準を大幅に低下させるものではないでしょうか。
 戦後、日本国憲法、教育基本法のもとで国民の社会的、経済的条件による教育上の差別を排して、国民的共通教養の基礎をすべての子供たちに得させるために6・3・3制の単線型学校制度が採用された経過などについては教育長や諸先輩、委員会の諸先生方とも共通の認識に立てると思います。そのためにも完全な中等教育をすべての者にという教育の理念を実現するためにも、さまざまな努力が重ねられてきたのではないでしょうか。定時制高校においても、この観点から厳しい条件を乗り越えて教育実践が進められてきたと思います。

 そこで御質問をいたします。
 今回の単位制高校導入で、現在の定時制と比べて総授業数が現行3040時間が1936時間となり1104時間の減になることは、教育水準の低下につながることになりませんか。絶対容認できるものではありません。その点についての御答弁を求めます。
 2つ目に、特に教育長は、学力向上対策のための学校行事をもできるだけ控えさせ、総授業時数の確保を呼びかけている皆さんの立場から大いに矛盾があるとは考えませんか。このことについて、現在定時制高校で学んでいる生徒の皆さんを初め、県民が納得のいく明快な答弁を求めます。
 3点目に、総授業の総時間数を36%切り詰めるこの単位制高校は、時代の進展や地域の要請にこたえる人間づくりにつながるものではありません。皆さんの本当のねらいというのは、全県学区制をしき受験競争をあおり、高校の序列化を進めていく中で、社会的にも間題になっている中途退学者の問題を初め、落ちこぼれの生徒には適当に単位を与え、名目的に高校を卒業させるための受け皿をつくっておかなければ、社会的批判を受けるという立場での導入ではありませんか。県民の納得のいく答弁を求めるものです。
 次に、要保護児童の自立相談援助について御質問をいたします。
 義務教育を終えて養護や教護施設等を退所し就職をする児童等に対して、起居をともにし相談援助に乗り、生活指導と生活訓練を進めながら、社会的自立のための施設機関の設置が現場や福祉関係者から強く求められていました。厚生省は、児童の健全育成の立場から自立相談援助事業実施要綱を策定し、昭和63年10月から実施されることになりました。
 そこで御質問いたします。
 1、この要綱に沿って本県において具体的に今、どんな取り組みをなさっているのですか。
 2つ目に、県内の教護、養護施設の措置が解除され、退所した児童の実態は把握なさっていますか。
 3点目に、この要綱に沿って県内においても児童の社会的自立のため起居をともにして生活指導のできる施設が必要と考えますが、今後の方針を承りたいと思います。
 最後に、売買春の問題点と実態について御質問をいたします。
 売防法第3条は、「何人も売春をし、又はその相手方となってはならない。」とうたわれていますが、去る10月24日付の新聞で「観光客相手に組織売春」という見出しで那覇市内のクラブが手入れされました。売った女性が40人、女性側の数や売る理由まで新聞で明らかにされましたが、買った側の男性の数や買う理由などその責任を問うものはありませんでした。
 売買春の根本は、弱者である女性の肉体を商品として扱うところに問題があります。現実には、売買春問題が新聞で報道されるとき、犠牲者であるはずの女性の側の道徳観や貞操観念だけが問題にされています。これでは問題の基本を正しく究明することはできない上、売買春をなくすこともできないと考えます。
 そこで御質問いたします。
 1、売買春問題の基本をどう考えているのか。男性の側には問題はないのですか。
 2つ、警本はこの問題を究明する場合、そういう基本的な立場に立ってやっていらっしゃるんですか。
 3点目に、社会悪としてのこの問題を糾明し根絶するために、警察は弱者である女性の肉体を商品として扱う売春組織そのものを徹底的に糾明すべきであります。警本の御見解をお伺いいたします。
 後で再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 外間議員の御質問にお答えします。
 まず、へき地関係の数点についての御質問にお答えします。
 1点目ですが、去る12月2日の文教厚生委員会での教育庁からの説明についてですが、この判断の誤りという御指摘があるわけですが、実は私、たまたま当日、文部省の行事で出かけておりまして次長、その他の関係職員が対応しているわけですが、私もその件で確認しましたら、この判断の誤りというのは、過去にも学級編制の水増し問題等について児童生徒の判断を誤り、2億円近くの返還を求められた、その際の県の判断に誤りがあったということのくだりのようです。そういうことで、今回の見直しについての90%の見直しについて見込みがあるということの説明がありますし、同時にまた関係団体への要請についての御質問にお答えしたいと思います。
 へき地級地の当初の見直し後の状況につきましては、高度へき地校でなくなる学校が19校も出る等の問題点があった。
 このような問題点を打開するため、本県の海洋性の離島僻地の特殊事情を県独自の判断で基準に反映させるため、運航回数の取り扱いなどについてさらに慎重に検討せざるを得なかったものであり、このことにつきましては関係市町村や関係団体等の御理解を賜りたいと考えております。
 それから2点目ですが、17校が見通しをつけて、あとの2校も解決すべきじゃないかとの御質問にお答えします。
 へき地教育振興法第5条の2の規定では、へき地級地の指定はへき地教育振興法施行規則で定める基準に従わなければならないものとなっており、県教育委員会としてはその基準を遵守する立場にあります。
 具志川村立清水小学校及び具志川中学校につきましては、慎重に検討した結果、現状維持は困難であります。
 なお、この問題につきましては、今後ともへき地級地の基準が海洋性離島僻地の特殊事情を十分反映するよう、その見直しについて要請をしてまいりたいと考えております。
 3点目の、沖縄県全体をへき地教育振興法の規則に離島として位置づけることへの御質問にお答えします。
 御指摘のとおり、省令では本県の本島を本土と規定されておりますが、へき地教育振興法は法律として全国的に運用されることになっております。県庁所在地がある本島を含めた県全体を離島として位置づけることは、同法の趣旨から無理があると考えます。
 しかしながら、へき地級地の基準につきましては、今後とも海洋性僻地の本県の特殊事情が十分反映されるよう、その見直しにつきまして関係機関に要請をしてまいりたいと考えております。
 県立高等学校の授業料値上げについての御質問にお答えします。
 1点目ですが、県民所得あるいはまた県民生活の状況からして、一体、今回の値上げをどう認識しているかの御質問にお答えします。
 授業料等の改定に当たっては、県教育委員会は、高等学校PTA連合会や高等学校長会並びに高教組にも説明会を持ち、意見を聴取し慎重に検討の上、これらの意見を反映するとともに私費負担の状況等も勘案することにいたしております。
 その結果、大部分の道府県で地財計画の改定年度において基準額どおりの改定がなされているところでありますが、本県におきましてはそのような事情等も配慮して1年据え置きの2段階改定の方式によって提案をしているところであります。
 2点目の授業料を納期限内の納付状況の実態把握についてですが、県立高校授業料の納期内納入率が90%前後で推移していることは御指摘のとおりであります。
 なお、残り10%につきましても、その月内にはすべて納付をされております。
 納期限内に納付をされない主な要因を調べてみましたら、生徒の忘れ、それから父母の預金残不確認等による口座引き落としの不能等が要因の主な理由になっております。
 なお、各学校におきましては、納期内に完納すべく学級担任を通して生徒に呼びかけするとともに、父母に対しても毎月納付通知をしているところであり、今後とも授業料の納期内完納を目指して努力をしていきたいと考えております。
 3点目の授業料以外の父母の教育費負担についての御質問にお答えします。
 昭和63年度について県教育委員会が調査をしましたところ、授業料以外に父母が負担しているもののうち、PTA会費等学校を通して納入される1人当たりの年徴収額は、組織の会費名目関係で1万8132円、施設設備の整備名目関係で5933円、学習活動補助名目関係で1万1598円、その他1万401円で、1人当たり4万6064円となっております。
 しかし、それ以外の例えばおけいこ事、あるいは塾、参考書、交通費等その他の家庭における教育費の負担額については掌握を十分いたしておりません。

 なお、全教室への扇風機の設置につきましては、その他優先すべき教材等の確保に多額の経費を要することから、今すぐ設置することは財政的に困難であると考えております。
 また、図書室、保健室のクーラー設置につきましては、年次的に整備をしているところであります。
 また、選手派遣費等につきましても、これまで高等学校体育連盟補助、ちなみに平成元年度は7371万3000円計上しておりますが、その中で措置をしているところであります。
 進路指導室につきましては、各学校ごとに規模の大小はありますが、一応確保をされております。県教育委員会としても、教育環境の整備充実に今後とも引き続き努力していきたいと考えております。
 4点目の今回の授業料改定案の撤回についての御質問ですが、授業料等の見直しに当たりましては、先ほども申し上げましたが、関係機関との調整あるいは意見等も十分聞いております。そういうことで当面1年据え置きの2段階方式で提案をいたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
 高校編成整備計画での何点かの御質問にお答えします。
 まず1点でございますが、今回の高校編成整備計画の目玉についての御質問にお答えします。
 現在作業を進めております県立高校編成整備計画は、昭和57年に策定された10年計画後半の見直しと、今後に予想される中学校卒業者減少への対応、適切な学科のあり方や普通科と職業科の割合等を考慮し立案するものであります。
 高等学校は、人間の一生を通じて発達段階で国民として必要とされる知識や技能を養うとともに、豊かな個性の伸長を図る大切な時期であり、したがって高校教育において時代の変化や生徒の個性、能力、進路等に対応した教育内容を提供する必要があります。県立高等学校編成整備計画は、このような理念を実現するため計画されたものであり、御指摘の項目等につきましては理念を具体化する一方策であります。
 2点目でございますが、これらの学科は全県学区という性格から受験競争を激化させ、輸切りと序列化を進めるものではないかという御質問にお答えします。
 特定の学科が全県に1校のみ設置された場合は、教育の機会均等の立場から学区区域を県全域とするのが通学区域制度の原則であり、このことは妥当なものであると考えております。
 また、高校の選択につきましては、個々の生徒がみずからの適正、進路、興味、関心等に基づいて行うものであり、御指摘のような受験競争の激化や高校の序列化につながるものではないものと考えております。
 御承知のとおり、教育には不易性と時代性の二面があり、時代性とは、その時代に生きる生徒に時代の要請する知識、技能を受けることであり、この観点から時代の変化に対応し得る教育課程の編成や学科の改編を行っているところであります。
 3点目の臨教審でのかかわり合いで能力遺伝説についての教育長の見解でございますが、お答えします。
 臨時教育審議会の能力遺伝説の御質問につきましては、臨教審の答申にこのようた表現のあることは了承はいたしておりません。
 なお、県教育委員会としましては、教育行政を進めるに当たりまして、常に本県児童生徒の可能性を信じ、その能力啓発に全力を尽くしているところであります。
 4点目の現在でも輪切りが進んで受験校、中堅校、底辺校、いわゆる俗に言う問題校と進み、実業高校でも序列化が進んでいる。中途退学者はこれらの学校に集中しているのではないかとの御質問ですが、お答えします。
 普通高校と職業高校は、それぞれ独特の校風の特色を持っており、それを序列化とは認識をいたしておりません。
 昨今の高学歴社会の風潮を反映して本県においても普通科希望者が多いわけですが、本県の場合は他府県に比べ普通科の割合が低く普通科へは入りにくい状況があり、その結果、職業高校に不本意入学者が多いのも事実であります。
 高等学校における中途退学者は、このような不本意入学や学業不振が主な要因になっているわけですが、目下、多様な取り組みによりまして基礎学力の向上を図るとともに、父母や生徒にアンケートを実施し、その結果を参考にして普通高校と職業高校の割合の学科改編等も含めて鋭意検討しているところであります。
 5点目の特色ある学校や全県学区制を実施する前に普通高校を増設する、あるいは40人学級の実現が大切ではないかとの御質問にお答えします。
 高校の新設には、用地の取得や莫大な予算等困難な問題が伴います。進学率の引き上げ、あるいは学校規模の適正化及び適正配置等の観点から、復帰後御案内のとおり21校の高校を新設しております。
 なお、首里高校、那覇高校の規模適正化等を図るため天久地区に高校を新設する予定ではありますが、そのほかにつきましては中学卒業者の減少も勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 40人学級への移行につきましては、定数増に伴う人件費等の問題があり、国の文教施策の推移等をまって対処してまいりたいと思います。
 なお、御提言のありました高校新設等も含めて検討をしてまいりたいと思います。
 それから6点目の普通高校に家庭科を置くこととのかかわり合いの御質問にお答えします。
 家庭科教育についてでございますが、近年の核家族化や少子化の進行から家庭における人間関係の希薄化、教育力の低下等いろいろな問題が指摘されており、家庭科教育の役割は今後一層増すものと考えております。今回の学習指導要領により家庭科の男女共修が実施されますのもその証左であります。したがいまして家庭科教育を一部女生徒に専門的に行うよりも、すべての生徒に対し家庭生活に必要な基本的事項を習得させることが重要であります。
 また、学科としての家庭科については、従来の教育のあり方の見直しをし、家庭婦人の育成から職業婦人の育成というテーマの転換が必要であります。そのためこれまでの教育課程や学科を再編し、時代の変化に対応し得る職業学科としての教育の内容の充実が要求されております。したがいまして職業学科としての性格をより明確にし、関連学科の併習等により幅広い教育を可能にするため工業高校への設置が望ましいと考えております。
 さらに、男女共学の立場から学校の活性化につながるものであり、県内でもその成功例があることから積極的に進める所存であります。
 7点目の工業高校に家庭科を設置する方針とのかかわり合いでの御質問にお答えします。
 県立高等学校編成整備計画につきましては、県民各界の意見を集約するため学校長、PTA、父母、その他関係団体等を対象にこれまで28回の説明会及び意見聴取会を持っておりますし、家庭科につきましては昭和61年度から高校長会の家庭部会などで問題提起され、家庭科研究会でも数回の説明会を持ち関係職員の意見を十分聴取いたしております。
 8点目の普通高校の家庭科をなくすことは廃科になる可能性が強いという御意見について、また関連の御質問についてお答えをいたします。
 家庭科を工業高校に設置することにより、むしろ家庭科教育の活性化につながるものであり廃科になるものとは考えておりません。また、工業高校長会とは幾度となく協議をしておりますし、父母、生徒の進路意識調査を実施し、その結果を参考にしているところであります。これらの諸条件を総合的に判断し、より望ましい学校のあり方を検討しつつ編成整備を進めたところであり、御理解を賜りたいと思います。
 なお、家庭科教育研究会の会長等からの要請につきましては十分承知をしておりますが、その内容を検討しているところであります。
 単位制高校は、教育の水準を大幅に低下させるものではないかについての御質問にお答えします。
 御承知のとおり、修業年限や履修形態等の弾力化等により定・通制教育の改善充実及び活性化を図るなどの単位制高校の趣旨を踏まえて泊高校、北部農林高校の定時制、宮古高校定時制、八重山商工の定時制の4校に平成2年度より単位制を導入するため鋭意努力しているところであります。
 単位制とは、各教科に一定量の学習量を単位として基準を定めて、それをもとに卒業、いわゆる終了に必要な教育課程を履修する制度のことであり、単位制高校はその制度の趣旨から生涯学習の観点に立って多様な学習者の興味、関心、能力に応じていつでも、どこでも、だれでも高校教育が容易に受けられるようにするため、履修形態の弾力化や多様な指導方法により卒業に必要な一定の学習量を履修させることを基本理念としているので、単位制の導入は教育水準の向上を図ることにはなっても、その低下になるとは考えておりません。

 10点目の単位制導入による総授業時数とのかかわり合いの御質問にお答えします。
 単位制の導入によりまして教育水準が低下するという御指摘ですが、単位制高校は、多様な履修形態により社会に開かれた新しいタイプの学校でありますし、その特色を生かすことによってむしろ教育の向上につながるものと考えております。定・通併修によるスクーリングやレポート学習、課題学習によるレポート学習等による形式的な授業時数は減っても、学習者の自己教育力を育成するための実質的な学習量は減にはならないわけです。
 また、単位制高校でも卒業に必要な単位数は80単位以上であり、その学習量は少なくとも1単位につき35時間以上となります。
 さらに御指摘のとおり、新しい制度に関して教育の内容、質、水準等は常に問われるべき問題であり、中身の伴わない単位の認定によってかりそめにも単位制高校の社会的信用を失うことがないよう配慮するとともに、単位制の導入が本県定・通制教育の灯をともし続ける好機となるよう今後とも鋭意努力する所存であります。
 最後の御質問で総授業、総時間数とのかかわり合いでの単位制の特色について補足をして説明にかえたいと思います。
 まず特色でございますが、これは各職場における技術や知識も学校の学習として評価され、いわゆる単位を与える制度になります。
 それから、いわゆる学習と勤労とむしろ結びつけながら、勤労学徒にとって有利な制度になるということであります。
 それから午前、午後、晩の部の3制度に分けるわけですから、そういう意味ではむしろ学習する場の窓口も大きく開かれますし、各界各層、いわゆる家庭婦人に至るまで、あるいは中退者、これはねらいはまさしく御提言の中退者を対象にするのがねらいであります。できる単位の修得をさせているのがねらいでありますし、定・通併修により単位の修得が可能であり、また大学入学資格検定に合格した科目も単位に認めるなど、自己教育力の養成にも役立てるというのがねらいであります。ひとつ御理解いただきたいと思います。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 外間議員の御質問にお答えいたします。
 要保護児童の自立相談援助事業についてでございますけれども、国の要綱に沿って具体的にどのような取り組みをしているかということが1点、ほか2点ございますけれども、お答え申し上げます。
 この制度は、昨年からスタートしたところでございます。次年度において調査を実施する方向で、現在、他県の実施状況あるいは情報の収集等を行っている段階でございます。
 2点目でございますけれども、教護院、養護施設の措置が解除された児童の退所後の実態を把握しているかという御質問でございます。
 養護施設及び教護院を退所した児童の状況につきましては、過去3年、61年から63年の状況でございますけれども、養護施設の退所児童総数が64名でございます。その内訳について申し上げますと進学が8名、就職が44名、家庭復帰が12名でございます。
 それから、教護院の退所児童総数でございますけれども、57名でございます。その内訳として進学が3名、就職が17名、家庭復帰が37名でございます。
 3番目に、教護、養護施設を解除されたが、なお社会的自立を図るための生活指導訓練を必要とする児童のための施設について今後の方針を聞きたいというお話でございます。
 義務教育終了後、里親、養護施設及び教護院を退所し就職する児童等にとって働くこと、社会人として生活することは初めての経験であり不安が大きいと思います。したがいまして、退所後もなお社会的自立のための生活指導訓練を必要とする児童に対し、自立相談援助対策はぜひ必要だと考えておりまして、目下その対策について検討を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 売買春の問題にお答えいたします。
 男性側に問題はないのかというふうなお尋ねでございます。
 売春防止法の第3条には、何人も、売春をし、またはその相手方となってはならないというふうに規定されております。この規定は、倫理規定でありまして罰則は設けられておりませんが、警察では通常、売春の相手となった男性についてもその動機、代償の支払いなど売春行為に至ったことについて事情聴取を行っておりますが、その大部分は旅行の解放感と一時的な遊びであるというふうに供述しておりまして、性道徳観念の欠如に問題があると考えております。私は、性道徳観念の発展は、社会発展のそれぞれの段階に相応するものと考えております。
 第2番目は、警察はそういう基本的立場に立ってやっているかということでございますが、警察は、売春を助長するような組織的、計画的な管理売春などを重点に取り締まりをやっております。昭和63年中は40件、本年は11月末現在で74件を検挙しております。これらの違反は、いずれも法で悪質とされている売春助長行為に該当する違反であります。
 営業種別で見てみますと、主として風俗営業所――ソープランド、旅館業などで売春が行われております。警察は、今後とも女性の弱みにつけ入るような違反を重点に取り締まり、関係機関とも連携しまして、売春をした婦女子の保護更生を図るための通報措置を講じてまいりたいと考えております。
 3番目は、この問題を根絶するために売春組織そのものを徹底糾明すべきであるというふうなお尋ねでございます。
 警察は、法の趣旨に沿って組織的、計画的に行われる管理売春等の行為を重点的に取り締まりを行っております。
 今回10月、逮捕したキャバレーフェニックスにおける契約売春でありますが、キャバレーの経営者が、40名余のホステスと個別に売春することを口頭契約をし継続して売春をさせていたもので、相手方となった男性はすべて観光客でありまして、多数のタクシー乗務員が客引きに当たっていたものであります。
 今回の事件では、本件キャバレーの経営者などが一連の売春行為で得た不当利益につきましては、税務署への課税通報措置を行うことにしております。また、タクシー乗務員が観光客を相手方となるよう周旋、あっせんした疑いがありまして、このような行為は公共輸送に従事する者としてはモラルに欠けた行為であり、また観光立県のスローガンに泥を塗る行為でもありまして、昨日、新聞報道にありますように関係のタクシー会社の代表者を呼びまして、この種事犯の再発防止に向け人事管理を徹底するよう厳しく注意を喚起したところであります。
 警察としては、今後とも女性の弱みにつけ込む悪質な事犯につきましては、引き続き徹底した取り締まりを行っていく所存でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時36分休憩
   午前11時37分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 編成整備計画が見直された経緯については御説明したとおりであります。
 それから、家庭科の編成整備計画によって学科の再編につきましては、協議会あるいは関係機関との調整、現在進めている案の中でその整備あるいは学校ごとに見直しをされたものでありますし、御提言につきましてはそれは学科別に議論した、あるいはまた整理をした経過であります。
 それから、時間数等につきまして実は御質問の最後のものですが、1104時間とか36%とかにつきましては一応私ども事務局で確認をしておりますが、十分この確認をできない状況であります。
 そういうことで私が総括で一応お答えをし、もうその導入そのものに教育水準の低下あるいは時代の進展に沿わないんじゃないかという御質問に一応お答えをしております。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時38分休憩
   午前11時40分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 外間久子君。
   〔外間久子君登壇〕

○外間久子君 1つ、警本にお伺いしたいわけですが、やはり今回、きょうの新聞でも大きく報道されているんですが、きょうの新聞を見る限りにおいては、あのクラブフェニックスというところは組織売春をやっていて、そしてその上、観光客を相手に客引をやっている、その行為自体があっせん業だと思うんですよね。
 そのことについて今後、厳しく取り締まるということを言っているわけですが、やはり警本が言う今後厳しく取り締まるというその基準というのがあるんですが、現に今、今回の事件そのものがあっせん業をやっている、そのことについても事件としては取り扱わないんですか。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) キャバレーフェニックスの事件については先ほど答弁したとおりでありますが、売春防止法に禁止されている違反、それを今後とも管理売春などを初めとして厳しく取り締まってまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 外間久子君。
   〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 あと1点、ちょっとよく私の方が質問が十分理解されてないように思うんですけれども、1つには、やはり私は今回の警察の取り扱いというのはなまぬるいと思うわけなんです。既にもう客引きをやっている、あっせん業をやっているのに、なぜ事件として取り扱わないかということを一つお聞きしているわけです。
 あと2つ目は、やはり今、傍聴にも来ていますけれども、御婦人の皆さんが、私は、この事件というのは、むしろその客引きをやったこのタクシー会社に対してもやはり営業を停止させる、反社会的な行為をやっていることについて営業を停止させるぐらいのそういう強固な措置をとらないことには、今の問題というのは究明できないんじゃないかと思うんです。
 その点についての警本の御意見を伺います。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) すべての売春事犯の取り締まりもそうでありますが、立証措置等捜査的に裏づけ等に難しい面がありますが、そういうことを一つ一つ克服して今回も事件を検挙したわけであります。
 それから、タクシー業者の問題につきましては、これは運輸行政にかかる問題でございまして、私どもの方は今回の事案については運輸当局にも通報をしていきたいと考えております。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時45分休憩
   午後1時11分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 新垣善春君。
   〔新垣善春君登壇〕
○新垣善春君 あらかじめ通告してあります件について質問をいたします。
 沖縄振興開発審議会は、亜熱帯、海洋性気候等を積極的に活用しつつ、特色ある産業の振興を図る、2、国際的評価にたえ得るリゾートの形成、3つ、我が国の南における国際交流拠点の形成、以上の3点を第2次振計後期における主要な戦略として位置づけることを提言いたしました。
 さらに、同振計の推進に当たっては、特に次の3点に留意するよう指摘をいたしております。1つ、厳しい財政環境のもと、国及び地方公共団体ともに、従前にも増して予算の効率的かつ重点的な配分とその円滑な実施に努めること。2、沖縄県経済の自立的発展のために単に本土との格差是正にとどまらず、民間の関連投資を誘発し民間の経済活動を活発にするよう波及効果が大きい公共事業の実施に努めること。3つ、沖縄の自然は広く国民全体の資産であるとともに、沖縄の重要かつ貴重な観光資源でもあるので、振興開発に当たってはその保全に十分配慮しなければならないこと等であります。
 知事は、これらの提言や指摘を受けとめて、具体的な施策としてどのように県政執行に反映をさせてこられたか。また第2次振計の残された期間にどのように施策として反映させるおつもりか、県民がわかりやすいように御説明を願います。
 まず質問の第1点は、提言にあります特色ある産業の振興を図るということについてでありますが、本年度はどのような種類の事業で、どれぐらいの規模の予算を計上し、その執行状況はどうなっているのか。また来年度に予定している事業の種類、その予算規模等についても教えていただきたい。
 第2点は、提言にあります国際的評価にたえ得るリゾートの形成について知事はどのような事業を施策として執行しておられるか。例えば沖縄独特の伝統芸能や文化施設等を取り入れるなど、沖縄でなければ味わうことができない特色あるリゾートを形成すべきだと思いますが、知事の御所見を承りたい。
 第3点は、我が国の南における国際交流拠点の形成を主要な戦略として位置づけると提言しているのでありますが、そのように位置づけるからには、沖縄の玄関たる那覇空港はいつまでも軍民共用を続けるわけにはいかないと思います。成田空港並みとはいかないまでも、我が国の南の玄関にふさわしい民間専用の国際空港の建設を急ぐべきだと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。
 第4点は、第2次振計推進に当たって留意するよう指摘されている波及効果の大きい公共事業の実施についてでありますが、これらの事業の担い手である建設業の県内純生産に占める割合は、全国平均の約2倍の比率を占めており、昨年度の就業者数も約7万人で雇用の面でも重要な役割を果たしていると言えます。
 しかしながら、事業の規模や発注金額の大きなものはほとんど本土の大手業者か、あるいは本土業者と県内業者の共同企業体に発注され、県内業者の多くは下請か孫請にありつくのが精いっぱいで四苦八苦の苦しい経営を余儀なくされているのが実態であります。このようなことでは、提言で期待している波及効果は言葉だけにとどまってしまいます。せっかくの提言を率直に受け入れて波及効果を大きくするためには可能な限り県内業者に優先発注すべきだと思いますが、知事の御所見を求めます。さらに提言に沿った来年度の事業の種類、規模はどのように計画されておられるか御説明を求めます。
 第5点は、自然環境の保全に十分配慮しなければならないという指摘について、知事はどの程度の留意をして県政を進めておられるか、この際伺っておきたいと思います。
 知事は、新石垣空港の建設計画について、政府及び自民党中央の関係者が環境保全の立場から白保海上での建設を見直す発言をしていることを指摘し、計画の変更を検討したらどうかという本議場における私の質問に対し、政府の言いなりにはならない、はらわたの煮えくり返る思いだ、再検討する考えはない、計画どおり進める云々と、随分声を荒げて答弁をなさったことは覚えていらっしゃると思います。
 しかしながら、本年4月になって、結局は白保海上での建設を断念せざるを得ませんでした。政府の言いなりにならないと強弁されたことについて、今日、どのように弁明なさいますかお伺いをいたします。
 また、新たな空港建設についても環境保全や文化財保護などについてさまざまな分野から多くの疑問が投げかけられています。知事は、これらの点についてどのように対処されるおつもりか御所見を求めます。
 第6点は、第3次振計の策定に当たっての知事の基本的考え方について確かめておきたいと思います。
 知事は、日米安保条約を積極的に評価をされ、米軍基地を容認し軍事演習もお認めになっておられます。この日米安保条約と米軍基地は、10年後も50年後も存続すべきものと考えておられるのか、あるいは近いうちになくすべきものと考えておられるのか、知事の所見を求めます。
 なお、21世紀の沖縄像について第3次振計では米軍基地をどのように位置づけるおつもりか、知事の答弁を求めます。
 次に、我が党の岸本忠三郎議員の代表質問との関連で知事の所見を求めます。
 既に、我が党の岸本忠三郎議員を初め多くの同僚議員からも指摘されましたが、今や世界の情勢は、冷戦の時代に終わりを告げて人種や民族、宗教や文化、政治体制の違いを乗り越えて平和共存、人類共生の新しい時代の幕明けの兆しが見えつつあります。

 これまで相対峙していたワルシャワ条約機構と北大西洋条約機構などの軍事同盟も、遅かれ早かれ解体されることは必至と言えましょう。米軍基地の重圧からの解放を切実に求め、平和な島を取り戻したいと願う私たち沖縄県民にとってもろ手を挙げて歓迎すべき事態であります。
 こうしたヨーロッパ情勢の胎動は、必ずやアジア・太平洋地域にも波及することでありましょう。すなわち、米ソ両大国が真っ向から対峙する冷戦構造のもとで、米国の主導で締結された日米安保条約や、同条約に基づく在日米軍基地も無用の存在になるということであります。したがって21世紀の沖縄像は、無用となった軍事基地の跡地をどのように活用するのか、このことを欠落させてはならないと思います。
 言葉をかえて申し上げますと、第3次振計の策定に当たっては、軍事基地が全面撤去されることを前提にして基地の跡利用計画をもしっかりと織り込むべきだと思いますが、知事の先見性ある御答弁を求めたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 新垣善春議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 第2次振計の後期展望と戦略及び第3次振計についてどういう種類の事業で、どれぐらいの予算規模を計上し、その執行はどうなっているか、本年度予算についてただされましたが、お答えいたします。
 本県の振興開発については、沖縄振興開発計画の基本方向に沿い、かつ沖縄振興開発計画後期の展望と戦略に留意しつつ、生活、産業基盤としての社会資本の整備を推進するなど自立的経済の発展が図られるよう積極的に取り組んでいるところであります。
 なかんずく、亜熱帯農業等特色ある産業の振興について本県の地理的位置、海洋性気候、伝統文化等を積極的に活用しつつ、その振興を図る必要があると考えているところであります。このため、毎年度策定する県の重点施策において地域特性を生かした産業の振興を位置づけ、その基盤となる農林水産業の振興及び地場産業の活性化等の施策を展開し推進しているところであります。
 本年度においても野菜振興対策事業、果樹生産対策事業、栽培漁業推進事業等の農業基盤及び工芸産業、自由貿易地域の拡充等の商工業の振興の経費として約660億円の予算措置をし、産業の振興を推進しているところであります。来年度におきましても引き続き重点施策に位置づけ、特色ある産業の振興を図っていく所存であります。
 次に、国際的評価にたえ得るリゾートの形成のための事業、施策、また沖縄独特の伝統芸能や文化施設を取り入れて特色あるリゾートを形成すべきではないかと御提言がございましたが、お答えいたします。
 本県は、我が国唯一の亜熱帯地域に位置し特有の自然環境に恵まれるとともに、近隣諸国との長い交流の歴史を持ち数多くの文化遺産や伝統芸能が残されております。このため、第4次全国総合開発計画におきましても、これらの資源を生かした国際的規模の観光保養基地の形成が掲げられております。また第2次沖縄振興開発計画において、観光レクリエーションの振興を主要な施策として位置づけまして、県としては観光開発の基本方向を示す観光振興基本計画を策定し、これまで多面的な施策を展開してきたところであります。
 その主なものとして、コンベンションセンターの建設を初め国際観光モデル地区やコンベンションシティーの指定を受けたほか、沖縄の特色ある自然と文化を活用した花のカーニバル、海のカーニバル、サントピア沖縄の3大イベントを展開しハード、ソフト両面から施策、事業を進めているところであります。
 御質問の国際的評価にたえ得るリゾートの形成に当たっては、沖縄の持つ自然的、地理的優位性と沖縄の持つ伝統文化あるいは文化的背景が大きな資産であるとの認識に立って進めてまいりたいと考えております。
 次に、那覇空港は、我が国の南の玄関にふさわしい民間専用の国際空港としてその建設を急ぐべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 那覇空港は、第2次沖縄振興開発計画において我が国の南における国際交流の拠点となる空港として、また第4次全国総合開発計画においては我が国の南西端における国際交流の拠点空港として位置づけられております。県は、これにふさわしい空港として整備促進するため、従来の沖合展開構想の見直し調査を実施したところであります。その結果、当面は狭隘の著しいターミナル地域を陸上側の適地に整備促進いたしまして、沖合展開については航空需要を初め今後の社会経済動向等を見きわめながら適切に対処していくことといたしております。
 今後、その調査の結果を踏まえまして、那覇空港を国際交流の拠点にふさわしい空港として整備するよう、平成3年度から始まる国の第6次空港整備5カ年計画に向けまして要請活動を行っていく考えであります。
 次は、知事は自保海上案の見直しをしないと強い答弁があったが、今回の位置変更についてどう弁明するのかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 新石垣空港の建設は、八重山地域の産業振興と住民生活の向上にとって最も重要な施策であります。しかし、その建設位置については、離島の限られた土地では空港用地となる農地の代替地の確保が困難であること及び航空機騒音の問題や空域条件の確保の面から建設区域が限定されるために白保海域が最も好ましい位置として事業を進めてきたところであります。
 しかし、白保海上案については、アオサンゴの群生等貴重なサンゴが生息しているが、サンゴの生態につきましては学問的にも十分解明されているとは言いがたく、現在の科学的知見からは、その保全のための条件を特定することは困難な状況にあるため、自然環境に与える影響について関係筋の十分な理解を得るには今後とも長期間を要することが懸念されたのであります。
 このようなことから、白保海上案にいつまでも固執すると八重山地域の大多数の県民の要望である早期建設にこたえられない状況にございました。したがって、このような膠着状態から一日も早く脱却いたしまして、環境保全の問題と空港建設の問題を両立させるためには、空港建設の位置を見直すしかないとの判断の上に立ってやむなく変更したものであります。
 次は、日米安保条約は10年後も50年後も存続するものとは考えられない。したがって第3次振計では米軍基地をどのように位置づけるのかとただされましたが、お答えいたします。
 国際情勢が今後どのように変化していくかは予測することは極めて困難でございますが、米ソ首脳会談によりまして東西の対立から協調へと大きく転換しつつあります。日米の友好関係は、引き続き維持されなければならないと考えておりますが、日米安保条約の見直しについて今ここで申し上げる立場にないことを御理解賜りたいと思います。
 また、第3次振計におきましては、第2次振計の総点検を踏まえまして前向きに取り組んでまいりたいと思います。
 次に、3次振計の策定に当たって、基地の返還に伴う跡利用計画の位置づけについての御提言がございましたが、お答えいたします。
 県は、基地の整理縮小、返還跡地の有効利用を県政の重要課題として位置づけております。その促進についてはこれを積極的に進めているところであり、第2次振計の総点検を踏まえまして前向きに取り組んでいく考えであります。
 残りの御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 振興開発計画と関連いたしまして、公共工事は可能な限り県内企業へ優先発注をして県経済の波及効果を高めるべきではないかという御質問にお答えをいたします。
 県におきましては、「県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針」に基づき、県が発注する公共工事の県内企業への優先発注及び県産建設資材の優先使用に努めているところであります。
 その結果、昭和63年度における県の発注する公共工事の県内企業への発注率は92.3%と極めて高い水準が確保されている状況であります。なお、大型で高度の技術を要する公共工事につきましても、共同企業体を組ませるなどして可能な限り県内企業へ発注するように努めているところであります。

 なお、今後の公共投資のあり方につきましては、公的部門と民間部門が有機的に連携し公共投資が新しい企業の創出を誘発し、民間経済活動を活発化するよう波及効果の拡大に配慮する必要があると考えます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 先ほどの新石垣空港の御質問の中で、今回の新石垣空港の予定地においても環境保全や文化財保存などについてさまざまな分野からの疑問があるが、どう対応するかについてお答えいたします。
 今回の空港建設予定地は、地形図、航空写真等の既存資料及び環境庁、県、石垣市によって実施したサンゴ調査等に基づいて周辺の環境保全に配慮しつつ慎重に検討を行い、決定したものでございます。
 しかしながら、今回の建設予定地におきましても環境保全に関する指摘等が依然として存在するため環境保全に十分配慮した設計、施工方法等を検討するため海岸工学、海洋水理学及び環境地盤工学等の専門家による工法検討委員会を設置し、慎重に設計、工法等の検討を進めているところでございます。
 また、建設予定地内にある埋蔵文化財につきましては、既存文献及び県の調査でも確認しており、事業実施に当たっては関係機関と十分に調整を図りながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 総務部長。
   〔総務部長 石川秀雄君登塘〕
○総務部長(石川秀雄君) 公共事業の来年度の事業の種類、事業の規模はどのように計画されているかという御質問にお答えいたします。
 本県経済は、財政支出に大きく依存していることから、公共事業費の確保につきましては本県経済の自立的発展の基礎条件の整備を図るとともに、民間経済活動への波及効果の高い事業を中心にその所要額の確傑に努めてきたところであります。
 この結果、厳しい財政環境のもと、年々公共事業のシェアも拡大し、昭和47年度から平成元年度までの総投資額は2兆6000億円となっております。平成2年度におきましても、生活、産業基盤としての社会資本の整備を図るために農林水産業の振興、交通体系の整備、水資源の開発等を中心に2100億円余の概算要求を行っているところであります。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 新垣善春君。
   〔新垣善春君登壇〕
○新垣善春君 どうも食い足りない気がするわけですが、知事、空港については軍民共用じゃなしに、民間専用の点についての答弁が漏れておりますから後ほどお願いします。
 それから、一番重要でありますところの基地の第3次振計におけるところの位置づけをどうするか、この点ですが、国際評価にたえ得るリゾートの形成、我が国の南における国際交流の拠点の形成云々、2次振計の後期及び3次振計の戦略として位置づけるということは先ほどの御答弁で知事もそういう方針であるということは確認することができますが、しかしながら先ほども申し上げましたように冷戦の時代が終わって、対話と協調を基本とする平和共存の時代がやってくるというのに、殺風景で危険この上ない軍事基地と同居するリゾートの形成、これが果たして両立するかどうか。両立する形で知事はそのリゾートの形成というものを本気で考えていらっしゃるのかどうか。
 あるいはまた、国際交流の拠点としても、あるいは国際的評価にもそのようた形で一体本当にたえ得るかどうか、どうも疑問でならないわけであります。
 したがって、3次振計の策定に当たっては、こういう危険この上ない軍事基地を取っ払った、そういう形を想定しながらの3次振計の策定というものを進めていくべきだというふうに考えるわけですが、この点について、今、日米安保条約云々を言えないじゃなしに、これからの沖縄をどうつくっていくか、そういうことでありますから、未来永劫に軍事基地があるはずはありませんから、そこをぜひひとつお答えを願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 私の答弁では恐らく物足りないだろうということは予測しておりましたが、今の段階で本当に基地も何もかも取っ払って、いわゆる基地のない島という構想の上に立って第3次計画を策定することは非常に難しい問題ではないかと考えております。
 来年の12月までには第3次の県案を策定いたしまして、これによって国がこれをどう、恐らく99%採択してくれると思いますが、これを採択して、その上に立って国の責任で第3次振計がつくられ、予算の裏づけがされるわけでございますが、新垣議員の言われることは最も理想的な形での第3次振計の策定、基地のない島の策定ということでございまして、そういう時間の問題からいたしましても、特に観光産業、リゾートの位置づけ、これをどうするかということになりますというと、今すぐ基地を取ってのけてすばらしい形での第3次振興開発計画の策定ということは非常に困難なことではないかとかように考えているわけでございまして、米ソの対立が非常に協調の方向へ、やわらかい流れの中で東ヨーロッパも変わってきておりまするし、恐らくこれは想像でございますが、今、沖縄の基地の位置づけについて私の立場からコメントする立場にはごさいませんけれども、沖縄の基地もそういう形で漸次縮小整理の方向をたどっていくんじゃないかと。こういうことはある程度予測として言えるのじゃないかと思いますが、御不満でしょうけれども、今のところでは時期的な制約もございまして、基地とどう3次振計を関連づけていくか大変難しい課題ではございまするけれども、しかし取っ組んでいかなければならない重要な課題であるということについては全く認識を同じくしているわけでございまするから、御理解を賜りたいと思います。
 次に、那覇空港でございますが、民間専用化ということでこれは県政の重要な課題として今日まで取り組んでまいりまして、しかも海上展開、さらには今の暫定ターミナルを恒久的なターミナルに持っていかなければならないわけです。そのターミナルを陸地側にするのか、海上展開後における新しい場所を位置づけてやるのか、これも時間的な制約がございまして、もう今の暫定ターミナルでは間に合いませんので、何としても陸上側に恒久的なターミナルをつくっていく必要があるんじゃないか。
 そういうことが、これからの空港整備計画の中で最重点事項として検討しなければならない問題でございますが、これを今すぐ、復帰時の取り決めによって自衛隊との共用ということが国間で取り決められているわけでございまするから、そういう形でこれも国管理の飛行場でございまして、なかなか専用化に向かってははかどらない非常なじれったさを感ずるわけでございますが、今の暫定ターミナルの本格ターミナルヘの展開とあわせて、海上展開とあわせてこの問題も大変重要な問題として位置づけているわけでございまして、民間専用化につきましては引き続き前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 新垣善春君。
   〔新垣善春君登壇〕
○新垣善春君 ただいまのお話でも、知事自身もお認めになっておられるように沖縄の米軍基地も整理縮小の方向をたどるであろうということは考えられるわけなんです、全部撤廃ではなくても。
 それと同時に、既に返還が合意されている基地もあるわけなんです。せめて返還が合意された、あるいは返還可能な地域について今のうちに、返還以前にやはり計画を立てて、その跡地をどうするか、軍転計画にもあるだろうと思いますけれども、その計画というものが非常に必要だと思うんですよ。
 返還をされてもそのまま持っておって、かなり開放地も時間のかかった事例もあります。例えば天久だって今、相当の時間かかっていると思うんですよね。
 そう時間をかけないで転用ができる方向へ、機敏に転用できる方向へ持っていくためにも、その跡利用の計画というものは今のうちに策定をして臨むべきではないだろうか。沖縄の県政にとってはこれが非常に重要だろうと思いますので、あえてお尋ねをしておきたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。

   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 これはもう御提言のとおりでございまして、軍用地主の側からいたしましても、何の予告もなしにすぐ返されたのでは利用転用ができないわけでございまするから、前もって国が関係市町村、地主等と協議いたしまして利転用計画をつくる。返されても、これがすぐ利用され転用されるような体制をつくり上げることは大変大事なことでございまして、軍転協、軍事基地をどう利用転用していくか、協議会もできておりますので、軍転協等の意見等も徴しまして悔いのない利転用計画はつくり上げていきたいと考えております。
○議長(平良一男君) 石川 修君。
   〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 一般質問を行います。
 まず、河川並びに海域の汚染防止対策についてお伺いをいたします。
 本県は、観光産業を大きな施策に位置づけ、亜熱帯特有の青い海と空を売りものにその振興に努めております。また3次振計策定の中でも大きな柱にし、海浜の活用を主役にしようとしております。まさに海は、本県観光産業の最大な資源と位置づけられているのであります。
 また、海は、漁民にとってもかけがえのない生産の場であり、生活を求める場であります。今日の漁業は、とる漁業からつくる漁業となっており、本県も稚魚の放流事業や養殖事業が盛んとなり、海浜の環境保全が一層強く求められる時代となってまいりました。
 また、河川についても、県民の飲料水として大きな役割を果たし3分の1の取水がなされております。しかるにこのような県民生活に欠くことのできない海や川が、今、もろもろの開発によって汚染され大きな社会問題となっております。
 そこで、汚染源と目されるもろもろのことについてお尋ねをいたします。
 まず第1に、土地改良事業の工事施行についてであります。
 農業は、内外の厳しい攻勢の的になっており、その環境は切実なものとなっております。生産費の低減を求め、農家所得の向上を図る上で農業基盤整備は不可欠であります。本県のそれは、全国平均に比べてはるかにおくれており、第2次振計の達成さえ危ぶまれている状況であります。特にサトウキビの品質取引移行を目前に控え、一層急を要するときであります。
 ところで、このような重要かつ緊急な事業推進にあっても、海や川を汚染する自然破壊があってはならないことであります。
 そこでお伺いをいたします。
 土地改良事業は、政府の指導監督のもとに設計施行がなされていると思いますが、本県固有の台風、豪雨、土質等は配慮されているのか。配慮されているとなれば、環境保全についてはどのような対策を講じているか。
 2番目に、これまで沈砂池等の設置をし汚染防止に努めているが、その規模、管理等に不備はなかったか。あるとすれば、今後どのような施策を講ずるのか。
 3番目に、土地改良、農地造成等が平たん地から丘陵地帯、山間部まで施行されているが、当然、環境保全対策には十分な配慮をしていると思うが、その実態はどうなっているか。
 次に、米軍基地からの汚染でございますが、まず最初にキャンプ・ハンセンの都市型戦闘訓練施設は、恩納村民を初め全県民の強い反対にもかかわらず米軍は県民の意思を無視し工事強行いたしました。工事は、環境保全に全くの配慮もなく無謀な工事となり、去る9月18日の雨にはついに赤土流出の事件を引き起こしております。そのことによって本当に県民の怒りを誘ったのであります。
 その後も対策を怠ったでありましょう。去る11月27日の雨にも再び海域まで汚染をいたしました。このことは前の議会にも提起されたことでありますが、どのような対応をしたのかお伺いをいたします。
 さらに、宜野座村でも演習地の戦車道や裸地の浸食によって海域の汚染が起こり、水産業に多大な被害を与えております。
 金武町漁民も同じく海域の汚染がひどく、漁網の汚染被害に悩まされております。また同町屋嘉区では、飲料水の水源が汚染され、区民の給水に支障を来しております。
 このように基地周辺の住民は、米軍の無謀な基地使用によって日々の生活を初め生産活動まで侵害をされているのであります。
 米軍は、このような実態に対し、演習施設の管理、工事施行等は防衛施設局と合議をし、防止対策を講じているとのことである。また防衛施設局は米軍に対し、基地外に赤土の流出をしないよう常に注意を促しているとのことである。主権者であるはずの我々県民は、やりたい放題の基地管理によって貴重な海域が汚染されているのにもかかわらず立入調査もできず、物も言えない被害者にされております。
 安保条約第6条に基づく地位協定第3条3項は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないと規定されております。米軍の自然破壊は、この規定に反すると思いますけれども、知事の御所見を求めます。
 第3次振計に向けて大がかりなリゾート開発を計画するようでございますけれども、自然環境保全については万全を期して対処すると思いますけれども、その決意のほどをお伺いいたします。
 次に、サトウキビ品質の取引移行についてお伺いをいたします。
 長い間定着してきたサトウキビの重量取引が、平成6年産から品質取引に制度移行することに決定をいたしました。制度移行は、生産農家並びに製糖側に犠牲があってはならないことを基本にしなければならないと思います。
 本県の農家の80%余りがサトウキビ生産にかかわっております。まさに沖縄の農業は糖業であり、糖業の繁栄が沖縄の農業の繁栄であると思います。
 私は、これまでも本県糖業をこのように認識し、多くのことからその振興について訴えてまいりました。今回は、品質取引に対する県の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 まず、サトウキビ生産についてでありますが、本県のサトウキビの作柄は、その年の天候の良否によって質、量とも大きく左右されております。台風、干ばつの年は農家も工場もひもじい思いをするし、ことしのように天候に恵まれると双方生き生きした顔になる。まさにおてんとう任せの農業であります。年によっては特定の地域だけが自然災害を受けることもあり、このことは注目すべきことであります。
 本県の自然災害は、台風と干ばつであるが、これらは人為的に被害を軽減することができるのであります。本県の農業基盤がその域に達しているとは言えないのであります。そのことをよそに制度移行が実施されるならば、生産意欲の減退につながり、本県糖業の危機を招くことになりかねないと憂慮するものであります。
 そこでお伺いします。
 平成6年産からの制度移行は拙速と思うが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、県や農業団体は、19度以上10アール当たり10トン以上の努力目標を示しているが、かんがい施設の完備なくして無理な目標と思いますが、かんがい施設の整備達成率と今後の見通しについてはどうなっているかお伺いをいたします。
 次に、防災林の造成についてでございます。
 本県は、去る戦争前まで、あの偉大な政治家蔡温が造成した見事な防災林によって自然災害の難をしのいでまいりました。戦争によってあの貴重な県民共有の財産をすべて失ったのであります。上質のサトウキビを生産することと防災林の整備は不離一体であり、今後も金も技術も進歩した今日、蔡温の再現ができないはずはないと思います。
 知事、制度移行を機に政府財政の投入を要請し、百年の大計、大がかりな防災林造成事業の実現を提起するものでありますけれども、知事の御所見を求めたいのであります。
 次に、バガスの活用についてであります。
 農産物の質の向上、増収、耐病性、耐災害性を培うには、有機質肥料の投入は不可欠の要件であることは御案内のとおりであります。私は、これまでも多くの機会にバガスの肥料化を求めてまいりました。県や農業団体、製糖側も実現に向けて検討しておられ高く評価しているところであります。
 ところで、本県のバガスは、製糖経費の中で燃料としてコストに算入され、政府の砂糖買い入れ価格と関連をしているとのことであります。この際、燃料としての位置づけを外していただき、肥料化ができるよう強力な政府折衝を行うべきと考えますが、御所見を賜ります。

 さらに、品種の育成についてでありますが、製糖期は2カ月から3カ月の間を要します。その間、サトウキビの糖度の変化が起こることは当然であります。したがって期間中、高糖度のキビ収穫をするには複数の品種組み合わせが必要であります。また土性、乾燥地帯、低地帯、湿地帯などに適合した特性の品種も求められるのであるが、品種の育成の現状と見通しについてお示しを願います。
 さらに機械化についても同様、お伺いをいたします。
 最後に、バナナセセリについてであります。
 大宜味村喜如嘉の芭蕉布伝統産業は、その真価が評価され国の重要文化財に指定され、その存続発展を図るため文化行政の保護を受け、関係者は後継者育成に専念をしているところであります。また、地域産業としても大きな役割を果たしていることは御案内のとおりであります。
 ところで、芭蕉布の原料となる糸芭蕉の葉を食害するバナナセセリが異常発生し、大きな被害を与え関係者に極度のショックを与えたのであります。
 この騒ぎに接し、我々社大党県議団は、被害状況の把握と今後の対策を検討するため現地調査を行いました。県の対応も、翁長副知事が現地を訪れ現状の把握に努め関係者を激励され、さらに一斉駆除にも多くの職員を派遣され、その行動を高く評価するものであります。
 さて、この害虫は琉大の東先生の研究によると、昭和47年、中部で発生し、翌年は中南部一帯、2年目には国頭村の辺戸まで発生したとのことであります。
 バナナセセリの発生地はインドシナー帯と言われており、本県への侵入は、ベトナム戦争のころ、米軍の物資と一緒に入った公算が強いと言われております。以来、大宜味村での発生は毎年大小発生を繰り返しておりますが、異常発生は13年前と今回の2回のことである。したがって今後もこの防除については関係者の悩みであります。芭蕉布は草丈が高いのと、屋敷内栽培もあることから薬剤散布は困難であり、幸いにこの虫に数種の天敵があり、東先生の研究はその効果を認めております。
 そこでお伺いしますが、糸芭蕉を安定生産し芭蕉布産業の発展を図るには天敵導入増殖は不可欠と思いますが、県はその御意思がおありかどうかお伺いをいたします。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石川修議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 河川並びに海域の汚染についてただされましたが、都市型戦闘訓練施設建設に伴う赤土汚染についての御質問にお答えします。
 去る9月の都市型戦闘訓練施設建設地に近い沿岸海域の汚染については、2度にわたる基地への立入調査を行い、米軍に対し、他の施設区域での建設工事を含め二度とかかることが起こらないよう発生源対策及び流出土砂対策について文書により申し入れを行ったところであります。
 なお、11の事例については職員を派遣し、基地からの流入経路を含め調査するなど基地からの赤土流出については十分関心を寄せ対処しているところであります。
 基地内での施設等の建設に当たっては、環境の保全に配意して行われるべきことは当然のことであり、今後とも米軍に対し注意を喚起してまいりたいと思います。
 次に、米軍の自然破壊は地位協定第3条の規定に反すると思うがいかんと御質問がございましたが、お答えいたします。
 米軍の施設区域内の作業については、公共の安全に妥当な考慮を払うことが地位協定で定められております。したがって施設内作業に当たって米軍は県土の保全を確保することは当然であり、赤土流出などで県民に被害を与えることのないよう、さらに注意を喚起してまいりたいと思います。
 次に、第3次振計に向けて大がかりなリゾート開発の推進計画となっているが、自然環境保全について完全な対策を講ずるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 本県のリゾート開発は、亜熱帯海洋性自然や美しい海浜、サンゴ礁等すぐれた自然環境を生かして計画推進することを基本として考えております。自然環境との調和は、今後、リゾート開発を進めていく上で最も重要であります。このため、現在策定中のリゾート沖縄マスタープランにおいては開発と保全の調和を図る観点から、他の土地利用に配意しつつリゾート振興地区、リゾート海域、特別保全整備地区等適正なリゾート開発ゾーンの設定を検討しているところであります。
 次に、サトウキビの品質取引についての御質問に対しましてお答えいたします。
 サトウキビの品質取引の移行時期に当たっては、これまで条件整備ができる相当の期間として要請してきたところでありますが、平成元年産サトウキビ価格決定において、5年後の平成6年産サトウキビ価格から導入することが明示されております。
 しかしながら、移行時期までの品質向上対策、品質測定の方法等々もろもろの条件整備を考えますというと5年というのは長いようで短いような感を受けるのでございますが、決定されました以上は条件を整備いたしまして万全の体制をつくらなければならないと考えております。
 残された御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) 土地改良関係の御質問3点ございます。お答えいたします。
 まず1点目に、土地改良事業は本土との環境の相違点があるが、沖縄固有の台風、土壌等が考慮されているのかという御質問でございますが、土地改良事業は農林水産省令で定めてあります土地改良事業計画設計基準に基づいて実施するのが原則でございますが、御指摘のとおり本県の場合、気象、土壌及び栽培作目等の違いから、計画設計基準だけでは不十分であるというふうに考えております。
 そのため、昭和51年度から国、県、それから学識経験者で構成する沖縄県土地改良事業計画基準作成委員会を設けまして工種ごとに検討いたしまして漸次改めまして、昭和61年度には本県の土地改良事業計画指針をまとめております。現在はこれを基本にいたしまして現場条件を勘案しながら設計施工をいたしております。
 2点目の御質問、沈砂池の規模、管理はどうなっているかということですが、土地改良地区内の排水路末端で流速を緩めまして土砂を沈降させるために沈砂池を設置いたしておりまして、極力土砂の流出防止に努めております。
 しかし、その効果は、御指摘のとおり十分とは言えないのが現状でありますので、より効果を高めるため沈砂池内の土砂の排除を含め圃場の裸地状態をなくするように緑肥の播種を行うほか、土砂の流出防止に努めておりまして、裸地状態をなくしようというように考えておりまして力を入れております。
 沈砂池内の土砂の排除については、施工段階におきましては事業主体が行っておりますし、施工後は土地改良区等で行っております。
 なお、より効果的な流出防止対策工法について、昭和63年度から県単事業を入れまして専門家の意見を聞きながら調査研究を進めております。その結果を踏まえまして今後、その対策をより強化してまいりたいというふうに考えております。
 3点目、土地改良、それから農地造成等で山間部でも行われていると。その環境保全の実態はどうなっているかという御質問でございますが、土地改良及び農地造成事業にかかる環境保全につきましては地形、植生及び岩石の地区内にある自然の資材をできるだけ利用するようにいたしまして環境保全に努めております。
 具体的には自然の植生を利用した土砂かん止林を設ける、それから現場の樹木を利用したそださくをつくる、現場の岩を利用した法面工法を施す、それから石灰岩地帯のドリーネ――くぼ地ですけれども――を利用した排水処理施設等をつくりまして効果を上げております。
 いずれにしましても、現在の技術工法でできる限りの工夫を取り入れて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、サトウキビ取引移行との関連でかんがい施設の達成率の御質問ですけれども、本県のかんがい施設は、これまで国営事業を初めとしまして県営、団体営の各事業で積極的にかんがい施設を推進してきております。昭和63年度末現在におきまして要整備量、これは4万7000ヘクタールございますけれども、約4200ヘクタールが整備済みでございまして、その達成率は9.1%でございます。

 しかし現在、国営宮良川地区において3基のダムをつくっております。宮古におきましては地下ダムが行われておりますし、それから県営事業としては長浜ダム等で施工中であります。これらのダムが完成いたしますと、かんがい排水事業はかなり完備されるというふうに考えております。今後とも、かんがい排水事業については整備拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。
 次に、防災林の造成についての御質問ですけれども、防災林造成は、荒廃した郷土の緑化運動の中で最も優先して実施してきている事業でございます。
 復帰前の実績を見ますと、保安林の造成が1700ヘクタール行われております。それから農地防風林の造成が870ヘクタール行われてきております。復帰後におきましては、治山事業5カ年計画に基づきまして380ヘクタールの造成と230ヘクタールの保育、さらに土地改良事業の一環として73ヘクタールの農地防風林の造成を計画的に実施をしております。
 今後も、保安林機能が低下した保安林、新たに保安林が必要な箇所については治山5カ年計画の中で計画的に造成、保育管理を実施していきたいというふうに考えておりますし、土地改良区内におきましては防風林は土地改良事業の一環として計画的に実施してまいりたいと思っております。
 なお、品質取引移行に伴いまして生産条件の一環としてその防風林の造成が可能かどうか、事業化できるのかどうか、現在、話を詰めているところでございます。
 次、バガスの活用の御質問でございますが、サトウキビの生産性及び品質の向上を図るためには土づくり対策が重要でございます。県といたしましては、堆肥センターの設置を促進いたしますとともに、製糖企業の理解を得ながら堆肥原料としてのバガスの確保が容易にできるように農業団体と連携をしながら現在取り組んでおります。今後は堆肥原料としてのバガスを安定的に確保するという観点からバガスを重油に変えて、それを工場コストの一部として見ることはできないのかどうか、国に対して要請、折衝をしているところでございます。
 次に、品種育成の御質問でございます。
 これまで本県の奨励品種に決定した品種は、NCO310のほかに6品種ございます。今年度におきましてはRK78-16と、それからRN79-421の2品種を育成しております。品質取引の移行に向けて適正な品種の組み合わせを推進する必要がございますので、各地域に適した早期高糖性品種の育成に向けて強力に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 サトウキビの収穫機械につきましては、御指摘のとおり生産性の向上を図る上で緊急かつ重要な課題というふうに考えておりまして、本県の土壌条件、それから経営規模に適した収穫用機械の開発・普及に努めたいというふうに考えております。県単事業で3400万ばかり今年度も開発費を投入して鋭意努力をいたしておりますけれども、脱葉機についてはほぼ完壁にでき上がっているというふうに見ております。あと、収穫機がもう一歩の改良で普及に移せるというふうに考えておりますので、なお一層努力してまいりたいというふうに考えております。
 最後に、バナナセセリ防除でございますが、喜如嘉におきますバナナセセリの異常発生につきましては県でも直ちに職員が現地に参りまして被害の実態調査、それから防除方法の検討を行っておりますけれども、糸芭蕉の栽培形態や、この害虫の生態等から判断して当面、捕殺防除が最も有効であるという結論に達しまして、去る11月19日に一斉防除を実施しております。
 なお、御指摘のように、今後、天敵の導入も含めて総合的な防除対策に取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、予算措置等について現在、国と相談を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 石川 修君。
   〔石川 修君登壇〕
○石川 修君 知事、基地内の汚染でございますけれども、これは現在は、我々がどのような基地被害を受けても基地内に自由に立ち入りできない。恩納の問題にしても、手続をしてもなかなか入れないというような過程があったわけですよね。そういう制度自体、制度そのものを我々沖縄県民は、何としてもかち取らなければならないと思うんです。
 実際に宜野座村、金武町で、宜野座村のごときはモズクが少なくとも2000万ぐらいの被害を受けているということだけれども、実際にじゃ、これから大丈夫かと、将来の見通しをつけるような調査ができない。こういうことがあっては、これはもう県民は本当に何のことも言えないようなことでは基地行政というものは、全くこれは前進がないわけです。
 我々は、もう安保条約とか何とか答弁がこれまでも繰り返されてまいりましたけれども、知事は安保繁栄論も申されますけれども、県民にとっては繁栄どころじゃなくて、もう迷惑なんだ、これは。だからぜひこの問題は一歩踏み込んだ口あけをしていただきたい、御要望申し上げます。
 さらに防災林については、これは戦前、本当に県民の宝でありました、共有の財産でした。台風の場合でも、我々石川では雨戸をあけて過ごすことができよったんです。そして山の奥に潮風が飛んだ例はないんです。そういうような過去がある。これはすべて戦争によって失われた。
 我々は、品質取引移行という機会をとらえるわけですが、本来ならばこれは戦災事業ですよ。そういう考え方で今の防災林は本当に沖縄の台風常襲地帯では絶対必要なんです。これをなくして本当に、農業はもちろんのこと、観光でもそうなんです。こういう考え方でぜひ取り組んでいただきたい。
 もう一度決意のほどをお伺いします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 決意のほどをただされたわけですが、サトウキビの品質取引までに相当の期間が必要だということは先ほど申し上げたとおりであります。
 その前、地域間の格差がありますから、沖縄本島中部、北部、南部、宮古、八重山それぞれの事情がございまして、その品質取引以前に整備をしなければならない条件がたくさんあるわけですね。今、石川議員が言われたようにいわゆる防災林、こういったことも大事ですし、さらに水源函養林の造成も必要ですし、さらに何といってもその基本になるのは地域間格差がなくなるような形で土壌を改良していかなければならない、これも大事なことであります。
 土壌改良だけではいけない。また品質保全のための優良品種の導入とか、いろいろ品質移行までやらなければならない状況。
 もっと大事なことは、品質取引の体制をつくり上げると。どういう形で品質取引に移行するか。だれが、どういう形でこの品質を調べるのか。機構の問題、組織の問題、組織の構成の問題、いろいろたくさんございまして、それはただ単に防災林だけではございません。御指摘のとおり条件整備が必要であるということであります。
○議長(平良一男君) 大城秀昭君。
   〔大城秀昭君登壇〕
○大城秀昭君 通告に従い一般質問を行います。
 いつも時間が足りませんので、いきなり質問を申し上げますのでよろしくお願いいたします。
 去る11月24日の新聞報道で御案内のとおり、県畜産試験場における凍結受精卵移植による双子牛誕生の成功は、目前に迫る牛肉自由化等に向けた生き残り策としてもまことに時宜を得た快挙であり、関係者の情熱とたゆまぬ努力に対し心から敬意を表するものであります。
 凍結受精卵移植は、技術的にも難しいと言われておりますが、成功すると半永久的に保存がきくため凍結卵の随時移植と広域流通が可能となり、時間と空間の壁が取り払われるのであります。
 また、1回のお産で2頭を産む双子生産は子牛生産効率が高まり、肉用牛資源の増殖が大きく期待されるばかりでなく、品種改良の時間短縮とコストダウンを図り、人工的に高品質の牛をつくることが可能になるため畜産農家は一日千秋の思いでその実用化を待っている状況にあります。当面の課題は、1つ、移植卵の受胎率の向上、2つ目に優良た供卵牛の確保、3つ目には技術者の養成、以上3点だと言われておりますので、この際、本県の畜産振興の立場から次の点について質問いたします。

 1つ、県畜産試験場のバイオ研究スタッフの増員と研究設備、備品、資材――資材というのは牛そのものも含みます――等の確保が肝要であると思うが、県の考え方をお聞かせ願いたい。
 2つ目に、農畜産物の自由化に対し生き残るためにも、本県の亜熱帯性気候に適した優良種畜の研究開発が急務であり、思い切った予算の計上と陣容を整えた上で積極的に研究開発し、バイオ成果の実用化が必要であります。また双子牛生産の実用化についても、その見通し等についても説明していただきたい。
 3つ目に、近年、子牛、いわゆる素牛の需給バランスが極端に崩れ、素牛の買い値が高過ぎるため県内肥育農家にとっては大きな打撃となり、経営難に陥りつつあると聞いております。県はどう把握し、今後どのような解決策があるのかお聞かせ願いたい。
 4つ目に、将来に向けて県産和牛肉と県産ワインとの取り合わせは、県民や入域観光客にとっても喜ばれることと思っております。県試験場において県産ブドウ、いわゆるワインブドウの原料を試作生産し、その研究開発を県の試験場で取り組むお考えはないかどうかお伺いいたします。
 次に、病害虫の防除についてでございますが、4点ほどお伺いいたします。
 本県における病害虫防除体制は、組織的にももっと強化する必要があるとの声もありますが、現状の体制で十分対応できるとお考えなのか、県のお考え方をお聞かせ願いたい。
 2つ目に、両先島を初め南部、那覇、中部、北部等に各防除所がぜひ必要と考えますが、県の考えはどうなっているのか。また従来あった防除所を引き上げ、中央統制の方法をとった理由について説明していただきたい。
 3つ、最近各地で発生しているいわゆるヤスデの異常発生、大宜味地内におけるバナナセセリ等の異常発生については県はどのように対応したのか。また松くい虫の防除対策は現在どうなっているのか、最近の発生状況等も含めて詳しく説明していただきたい。
 4つ、病害虫が異常発生する場合は必ずその裏にその要因があると思うのでありますが、バナナセセリやヤスデに見られるような事例から、その要因はどう把握しておられるのか。また今後、どのように対処されるお考えかお聞かせ願いたい。
 それから、質問要旨の4と5は一括して質問申し上げます。
 農業用ダム建設と地下水の利用についてでございますが、1つ、産業経済の発展に伴い大型団地や大型ホテルが急増し、生活用水及び工業用水の確保は本県にとって緊急かつ重要な課題であることは多言を要しないところでありますが、しかし私は同時に、むしろ農用水の確保についても極めて緊急かつ深刻な問題であると受けとめでおります。これまで生活用水等の確保の陰に押し流されがちであったのではないか、私はそのように受けとめております。
 昨年9月の定例会でもこの問題について取り上げ、県のいわゆる総合計画、マスタープランと各地域、圏域別のトータル的なプランの策定についてお伺いしたわけでありますが、今後の農用水の確保の見通しについて県の考え方をお聞かせ願いたい。また現時点における県の計画についてできるだけ詳しく説明していただきたい。
 2つ、本部半島地域の農用水の確保の件でありますが、本部半島の中央部の地底には膨大な規模のいわゆる地底湖があるとの情報を得ておりますが、県の関係者も御承知のことと思いますが、県はこれについて調査した経緯があるのかどうか。もしあれば、その結果をお知らせ願いたい。
 また、海洋博当時の国の調査においてもその結果が出ていると思います。その資料等があればぜひ明らかにしていただきたい。
 3つ、志慶真川、これは今帰仁の今泊地内を流れる川でありますが、志慶真川中流に農業用ダムを建設し、本部町、今帰仁村地域のトータル的利水事業として設定し、特に本部町の瀬底、水納、伊江、古宇利島等への農用水の送水は十分可能と考えますが、県の考え方をお聞かせ願いたい。
 4つ、前項、いわゆる地底湖のことでございますが、前項2の地下水を取水し志慶真川ダムとの建設に連結させ、これによって本部半島北西部の伊江島なども含めた畑地かんがいは十分可能と考えますが、県のお考えをお聞かせ願いたい。
 5つ、伊江島における農業用水の需給の現状について、県はどのように把握しておられるか説明していただきたい。
 以上、答弁を得ましてから再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 大城秀昭議員の御質問に対してお答えいたします。
 農業ダムの建設と地下水の利活用について、トータルプランの策定について御提言がございましたが、お答えいたします。
 農業用水の確保は、農業の振興を図る上で必要なことであります。本県の農業用水の需給を圏域ごとに大別してみますと、本島北部、宮古島、石垣島及び西表島については開発可能量と供給量がほぼ一致するのでありますが、本島中南部と周辺離島においては地形、地質等の条件で供給量に対しまして開発可能量は大変厳しい状況にあります。
 農業用水開発可能量の厳しい地域においては、点滴かんがい等の節水型かんがい方式の導入とあわせて降雨時の地表流水を貯留するため池の建設、生活雑排水の処理利用等水資源の有効利用でかんがい面積の拡大を図る必要があると考えます。
 なお、トータルプランについては、平成2年度以降に見直しを検討してまいりたいと考えております。
 残された御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) まず第1点目の御質問、畜産試験場のバイオ研究スタッフの充実でございますが、家畜受精卵移植の試験研究は昭和61年度から開始いたしておりまして、現在までに41頭の受精に対しまして14頭が受胎していると。御案内のとおり11月18日には双子牛が誕生をいたしております。
 これまで、バイオ研究職員の長期研修、それから備品の整備等も行いまして、今月には受精卵移植研究棟が完成することになっております。さらに施設備品の拡充、研究員等の陣容の強化を検討しているところでございます。
 次、2点目の自由化に対応するための双子生産の実用化の見通しはどうかという御質問でございますが、双子生産技術については申し上げたとおり先月誕生いたしておりまして、現在、7頭の牛の妊娠を確認しております。おおむね技術は確立されたというふうに見ております。
 そこで、今後はさらに受精卵移植頭数をふやしまして技術向上を図るとともに、家畜保健衛生所の職員、それから家畜人工授精師等を対象に研修を実施いたしまして実用化に持っていきたいというふうに考えております。
 次、素牛が高くなって肥育農家にとっては打撃となるが、この解決策はどうかという御質問でございますが、これは子牛生産農家にとっては大変いいことでございます。
 ただ一方、また肥育農家にとっては大変厳しいということでございまして、本県におきましては幸いにしまして畜産公社の肥育牛価格安定対策事業というのがございまして、この事業によりまして補てん基準価格が設定されております。18カ月前の素牛の加重平均価格、それに18カ月間の配合飼料の平均価格、その他の経費を勘案しまして国の生産費を充当して計算しているわけですけれども、肥育牛の標準取引価格が下落いたします場合は補てん金交付がございますので、これで対応できるものというふうに考えております。
 その他にも肉用牛肥育経営緊急対策事業、それから畜産振興資金等の助成事業がございますので、それで対応していけるというふうに考えております。
 次に、ワインブドウの試験研究の御質問でございますけれども、実は現在、県内でブドウを生産しておりますのは面積にしまして17ヘクタール、生産量が19トンでございます。ごくわずかでございまして、これは主に生食用としてのブドウを栽培しているということでございまして、現在のところ加工用のブドウまでははるかに手が届かないということでございまして、しかもこのブドウの沖縄での収穫期というのは大体11月前後ということで台風にどうしても遭うということで、このブドウの栽培というのはどうも沖縄県にはそれほど向いてないんじゃないかというような御指摘もございます。

 したがいまして、ワインをつくるための加工用ブドウの栽培試験、ワインの試験研究ということにつきましては、現在のところ考えておりません。
 次、病害虫の御質問でございますが、防除体制の強化、それから各地区に防除所を統合したのはどういう理由かという御質問でございますけれども、病害虫の防除につきましては病害虫防除所が中心になっておりまして、市町村、それから各農協に病害虫防除員を設置しております。これは、県全体でおよそ150名委嘱して設置されております。そういった防除員と連携を密にしまして、病害虫の発生予察の情報に基づく組織的な防除指導に努めております。
 防除所の統合でございますけれども、農作物の種類、それから栽培形態の変化、病害虫発生様相の多様化というようなこと等がありまして、より高度で専門的な組織対応が要求されているということで昭和62年4月に4つの防除所を統合いたしまして、従来、農業試験場長が兼務しておりました病害虫防除所を統合独立させて組織体制の強化を図ってきたという経緯でございます。
 大宜味村におけるバナナセセリの発生につきましては、先ほど石川先生の御質問にもお答えしましたけれども、今後、天敵の導入、それから低毒性薬剤の開発利用等の防除体制の確立を図っていきたい。そのための予算等について現在、国と折衝をしている段階でございます。
 松くい虫の発生状況と防除対策の御質問ですが、今年度の松くい虫の被害発生量は3100立方メートルでございます。これは昭和57年のピーク時、その当時1万7000立方メートルございましたが、それをピークにしまして漸減しておりまして18%程度に減少しているというふうになっております。
 防除対策については、被害木の2100立方メートルは伐倒焼却をいたします。それから残りの1000立方メートルは薫蒸処理を計画しておりまして、現在、防除作業を実施中でございます。
 バナナセセリの異常発生の要因はどうかということでございますが、これはたしか13年前にも異常発生をしたそうでありまして、どうも異常発生のことしと13年前を比べると大体類似点があると言われております。雨が少なくて台風が来ない年、病害虫にとっては大変すみやすいようでございまして、それがこの気象要因というのが異常発生の要因だろうというふうに考えられます。
 いずれにしましても、初期の段階での防除というのが極めて有効でございますので、今後は市町村、農協の防除員と連絡をしまして組織的な防除体制に努めていきたいというふうに考えております。
 次に、ダム関係の御質問でございます。
 本部半島の地底に大変大きな地下水が眠っているということの御質問でございますが、本部半島の地下水調査につきましては、昭和47年以降、国と県で調査を実施いたしております。その結果、地下水の主要な帯水層である琉球石灰岩は、本部の桃原飛行場跡から海洋博記念公園にかけた半島の先端部と今帰仁村の親泊から運天にかけた大井川下流を含む地域に分布していることがわかっております。
 そのため、本部半島の先端部に地下ダム、それから大井川河口部に塩水阻止型の地下ダムを併設した河口ぜきの設置が検討されております。地下ダム建設に必要な地下谷の基盤が非常に深いんだそうです。100メートルぐらいあるというふうに調査結果が出ております。したがって技術的に解明しなければならない要素が多いということの調査結果が出ておりまして、現在、国で実施しておりますダム開発等の可能性調査を実施いたしておりますので、この調査結果をまって今後検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから、志慶真川に農業用ダムを建設して本部、今帰仁への送水も可能と思うがどうかという御質問でございますけれども、本部半島の農業用水の開発調査につきましては、今帰仁村で昭和62年から、本部町で平成元年度から国営計画開発地区としてダム開発等の可能性調査を国が実施しております。その調査結果を踏まえまして、県も一緒になってかんがいの計画を検討してみたいというふうに考えております。
 それと関連しますけれども、本部半島の地下水を取水して志慶真川にダム建設、これとあわせて総合利水計画が可能と思うがどうかという御質問ですが、これはお答えしましたように可能性調査を現在実施しておりますので、その結果を踏まえまして検討をしてみたいというふうに考えております。
 最後に、伊江村における農業用水の現状でございますが、伊江村における農業用水は現在寺前貯水池ほか21カ所、全体では22カ所ございます。27万トンが利用されております。今後、10カ所、33万トンのため池の建設を計画しております。
 伊江村におきましては、御案内のとおり地下水の利用というのが大変困難でございますので、今後とも地表水によるため池の整備を行いまして、節水型かんがいを進める必要があるというふうに考えております。
 なお、平成2年度におきましては、団体営かんがい排水事業等で2カ所の整備計画をしております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 大城議員のヤスデの異常発生についての県の対応についてお答えいたします。
 最近、各地で発生しておりますヤスデは不快害虫とされておりまして、昭和58年11月に沖縄本島中部瑞慶覧一帯での異常とも思われる集団発生が初めての事例と言われております。平成元年11月末現在、市町村からの報告によりますと本島内の22市町村において局地的に異常発生しているとの報告がなされております。
 県は、これまで市町村衛生主管課長会議において他の衛生害虫同様、市町村が積極的に対応するよう指導するとともに、パンフレットの作成、配布及び公害衛生研究所、保健所を通じ市町村担当者に対し駆除方法の指導講習会等を行ってまいっております。今後とも市町村との連携を密にし、集団発生メカニズムの解明、山間部における駆除技術等の調査研究を続けて技術的な指導を行っていきたいと考えております。
 次に、ヤスデの発生要因について、県としてどのように把握しているかについてお答えいたします。
 不快害虫であるヤスデの発生要因は、これまでの調査結果によりますと、1つ、ヤスデの食物になる有機質、例えば落ち葉、枯れ草が豊富にあること、2つ、ヤスデの天敵がいないこと、3つ目にヤスデの生育の適温が摂氏22から24度と言われておりますので、沖縄の気候風土がヤスデの発育に適していることなどが考えられております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 大城秀昭君。
   〔大城秀昭君登壇〕
○大城秀昭君 再質問を行います。
 まず最初に、順序は違いますけれども、知事の御答弁が先でございましたので、離島の農用水の供給については非常に困難性があるということもございましたが、ただ私は、今やっておりますため池というのは雨が降って初めて役に立つわけでございます。ですから、ことしもそうでしたが、2カ月半ぐらい干ばつが続きますとせっかくのこれだけの巨費を投じた池についても役に立たないといえばおしかりを受けますが、非常に片手落ちなんですね。ですから、せっかくつくった池に、むしろ本島部で確保した農用水を送り込んで災害に備えると、あるいは干ばつに備えると、そういうふうな総合的な計画が必要じゃないかということでございます。
 それから、再利用の件でございますが、伊江島などでは、私、前にも申し上げましたが、水戦争が起こっているんですね。農家は、平生は大変おとなしいわけですが、いざとなると一揆を起こします。近い例が、私は新潟の補欠選挙などもその例じゃないかと思います。
 要するに、抜本的な農用地、畑地かんがいの計画があれば、それじゃそれまで待ちましょうということにもなろうかと思うんですが、今のところそれが先が見えてないわけですね。そういうことをお尋ねしているわけでございます。再度ひとつお願いをしたいと思います。
 それから、平成2年度以降に総合計画をさらに見直すということでございます。これはぜひひとつお願いしたいと思います。

 それから、さきに戻りますが、ブドウについてでございますが、これは、今つくっているのは17ヘクタールで19トンと微々たるものでございますが、何百年の歴史を持つ例えば山梨とか北海道の一部とか、十勝平野とか、そういった所に、私は食卓に上げては絶対太刀打ちできないと。沖縄は2毛作、2回取れますけれども、そういうことじゃなしに、むしろ野生ブドウに近いようないわゆるワインブドウ用のブドウがございます。それを二、三ヘクタールでも県が試作をして、さらにこれは保管もききますので、それを適当な季節に絞ってワインをつくってみたらどうかということでございます。
 今つくっている巨峰も、糖度も非常にのっておりますし、みんな喜んで食べておりますが、これはいわゆる収益性の高い作目ではないわけです。ですから恐らく県も奨励してないと思いますが、そういうことで私はやはり観光産業等も含めて、今つくっているパインのワインも含めまして、私が何でこれを畜産と結びつけたかといいますと、国内も含めて諸外国でも肉類とワインですね、これを連結してみんな成功しているわけです。ですからこれが成功しますと入域観光客にも喜ばれると。これを5年か10年かけてでも、県はやる考えはないかと申し上げたいわけでございます。
 それから、防除関係でございますが、これは恐らく私は、行政改革関連もあって県も200名ほど職員を削減統合したりしました。その評価はいろいろ別々でございますが、私は必要なところに職員を張りつけて、そして防除体制を万全にすることによって、サトウキビの例をとっても品質取引あるいはブリックスだけじゃなくなりますね。ですから、防除を徹底してやらないとますます品質が悪くなります。そういう意味でむしろ逆に、もといた体制に戻すべきじゃないかということを申し上げたいわけでございます。そういうことでひとつ再度お願いをしたいと。
 それから、伊江島の農用水の問題でございますが、残念ながらハリアーパッドを伊江村は当局も議会も引き受けてしまいました。私は、数度足を運んだわけでございますが、背に腹はかえられぬと、こういうことでございます。
 今、大体、農林経済課の資料によりますと、農用水の自給は22%前後であります。それをハリアーパッドとバーターして50%に持っていくと、こういうことを今言われておりますが、これももとをただせば畑地かんがい行政の、もしそういうことがなければ伊江島はもっと別の考えをしたかもしれないと、そういうことを私は今、感じているわけでございます。
 そのほかの施設についても7項目ぐらい条件を出しているようでございますが、この件についても前に知事にお尋ねしたわけですが、きょうは論旨が別でございますので、とにかく伊江島の水戦争というのはお互いが考える以上のものです。要するに洗濯水が泡ブクブクたっているけれども、それを全部菊にかけている。そして、たしかRBCだったと思うんですが、インタビューして農林経済課長に聞いたら、その泡のたっているのを菊にかけて大丈夫かと、こう言ったら、菊に聞いてくださいとこう言ったんですね。菊がしかわからないと、大丈夫かどうか。
 そういうことでとにかく私は、伊江村だけではございませんが、離島のこういう畑地かんがいの非常に切実な問題をもっと考えていただきたいと。
 それから認識の問題ですが、例えば工場をつくって冷却水や洗浄水がこないと工場はストップですね。我々の農村の百姓の工場は畑なんです。あるいは採草地なんです。牧場なんです。そこに水がこないということは、待っておれるかという、待っておれない。先ほどの石川議員の質問にもありましたように、もう天を仰いで祈るしかないと、こういうのが今の農業の現状です。
 そういうことからして、知事もあと1年そこそこの任期でございますが、ぜひひとつ生活用水や工業用水ともどもに畑地かんがい用水の確保についてはもっと積極的に50年の計、あるいは100年の計というつもりでひとつ頑張っていただきたいと思うんですが、その件について知事にまた再度決意のほどをお願いしたいと思います。
 それから、試験場は畜産試験場だけじゃなくて、他の県の管轄の試験場もたくさんございますが、私はやはりこの厳しい今の農業情勢の中で、他の分野においても、それは林業試験場も同じでございますが、ぜひひとつ金も人も投入して、こういう厳しい情勢であればこそお互い亜熱帯特有の条件に合ったような研究をしっかりやってもらって、これは北海道で研究したのは沖縄で役に立たないで。770カ所ぐらいある1次産業の試験研究機関ですね、先ほどの議会で国立もどうかということもございましたが、それも含めましてぜひ沖縄のための、百姓のための、あるいは水産業のための試験研究、論文のためではない、学位のためではないと。そういうふうな形で試験研究機関の充実とその成果の実用化、これに向けてひとつ知事初め農水部長の決意とやる気を示していただきたい。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) かんがい用水の確保につきましては、確かに御指摘のとおり離島の場合、地下水がございませんので、現在のところダムをつくって地表水を、それを蓄えるという形の対策しか講じておりません。
 そこで、本部半島の地下ダム等を利用して伊江島とかあるいは古宇利島への送水、これも将来的には考えられることだろうというふうに考えております。
 それから、石垣島周辺の離島でございますと西表に国営のダムの構想がございます。そこから引っ張っていくというような対策が今後の大きな課題だろうというふうに考えております。
 いずれにしましても、やはり水なし農業というのは、これはとてもじゃない、品質あるいは数量にも大きな影響を与えますので、現在進めております国営、県営のかんがい排水事業、これが完了しますとおよそ47.8%の達成率になります。それでもなおやはり十分ではございませんので、水対策、これは大変重要な課題というふうに認識しておりまして、トータルプランの中で十分そこらあたりも見直しをしてまいりたいというふうに考えております。
 ブドウでございますけれども、ブドウは落葉植物ということで、沖縄のような暖かい所では休眠しないということで、植物の異性という面から余り適当な作目ではないだろうというのが試験研究職員の一般的な見方でございます。
 それに、先ほど申し上げましたとおり夏場の生育旺盛期、そのときはちょうど台風時期に当たるというようなことで、生食用のブドウでありますと施設ハウスをつくりましてその中で十分台風対策ができますけれども、加工用となりますと、それはなかなか難しいということで現在のところ試験場の試験課題にはいたしておりません。
 先生からせっかく御提案がありますので、今後の検討課題にさせていただきたいというふうに考えております。
 それから、防除所についての御指摘がありましたけれども、防除所は、これは昭和62年にむしろ統合化した方がいいということで4防除所を統合して、農業試験場長が兼ねておりました防除所を独立組織にしたということで機能的には強化されたというふうに考えております。150名の各市町村、農協への防除員を委嘱してありますので、その皆さんと十分連携を密にして発生予察に努めれば、情報収集に努めれば組織体制としては十分やっていけるというふうに考えております。 したがいまして、現在、増員というのはこれは至難のわざでございまして難しいですので、現在の機能をフル回転をさせていきたいというふうに考えております。
 試験研究機関の充実強化、これは当然でございまして、私、常々申し上げておりますけれども、マスターべーションにならないように、本当に生産農家がもうかって初めて行政あるいは試験研究機関の目的が達成されるわけだから、そのための手段でしかない。手段はもちろん大事でありますけれども、その最終目標である生産農家が何を欲して、どうすればもうかるかと、そこを主眼にして今後、試験研究に取り組んでくれるようにというハッパをかけておりまして、予算面についてももっともっと努力していきたいというふうに考えております。

○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいま農林水産部長から再質問に対する御答弁がございましたが、あれに尽きていると思うんですが、知事の決意のほどということでございまするからお答えいたします。
 農業用水の問題でございますが、これはお説のとおり水のない農業に発展はございません。雨が降らなければ、これは元も子もないわけでございまして、飲料水だけを例にとりましても、工業用水6万トンのうちわずか1万トン足らずの工業用水で、あと飲料水に使ってもまだ水飢饉の状態でございます。そういう中での農業用水の確保ということでございまするから、これは至難のわざで、私は、飛行機から香川県の上空を見て回ったんですが、弘法大師の指導によるため池ということで至る所にため池が掘られているわけですね。そういう努力が今後、県も市町村もやる必要があるんじゃないかと。
 伊江島にしたって、これは飲み水は沖縄本島から送っているわけですから、飲み水すら解決できない今の現状の中で、農業用水をたっぷり使おうなんていうことは当分の間はできません。
 そういうことで飲み水をどう確保し、水資源をどう開発していわゆるこれからの自給の体制をつくり上げていくか、これが基本でございまして、雨が降ったときにためておく、雨が降ったときに底を広げておく、ためるものを広げておく。これはため池だけじゃなくて、西系列の河川の場合にも言えることでございまして、羽地の土地取得を見ても、羽地ダムをつくるために10年かかっております。ただ1人の反対者のために、一部落の反対のために10年かかってもできない。いかにこれが難しい問題であるか、こういうことについて御理解を賜りたいと思うのであります。
 ブドウをつくってワインをつくれと。これは試験的な面においては大いにやる必要がありまするけれども、北海道事務所をつくって泡盛がふえるだろうと思ったら1つもふえないですね。沖縄伝統の泡盛を売るのについてさえ、我々は物産展をやっても苦労している。果たしてこのワインというものが沖縄の農業の中でどういう位置づけがあるのか、本当に適作であるのか、沖縄が適地であるのか、これから試験研究機関でもっともっと掘り下げて勉強しなければいけないのであります。
 着想は着想、学者の意見は意見でございますが、これがまた工業化した場合のいわゆる販路の問題をどうしていくか、販路体制をどう広げていくか、こういったものも考えてみませんと、今までの農業みたいにつくればいいんだということではございません。農業自体が市況を把握し販路を確定すると、こういう努力ということも今後の農業経営の中では強く言われているわけでございまして、試験的にブドウをつくってブドウ酒をつくったらもうかるんじゃないかと、こういうわけにはまいらないと思うのであります。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後3時6分休憩
   午後3時31分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 伊波栄徳君。
   〔伊波栄徳君登壇〕
○伊波栄徳君 こんにちは。
 一般質問を行います。
 その前に、遺族の長年の懸案事項でありましたクニー山ごうの遺骨収集作業は、厚生省の高野団長や町田援護課長を初め職の献身的な協力により作業が進められ、遺骨の確認はできませんでしたけれども、昨日無事終了することができ感謝と敬意を表し、通告の順序に従って一般質問を行います。
 まず、最初に農業問題でございます。
 サトウキビの品質取引移行に伴う条件整備対策についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、サトウキビの生産、品質向上のために圃場整備、農道、かんがい排水施設、防風、防潮林の整備を初め地力増強施設の整備、病害虫対策、優良種苗対策などの事業を実施することによって品質の向上、生産性の向上が実現し再生産価格を確保することにより生産農家が安定し、作付面積も3万ヘクタール以上を保ち、名実ともに沖縄の基幹作目となるのであります。
 そこでお尋ねいたします。
 1つ、5年後の品質取引移行年度までには条件整備は完備するのでありましょうかどうか、お尋ねをいたします。
 2つ目に、品質取引基準となる鑑定ブリックスを何度と定めて政府交渉をなされるおつもりであるか、お尋ねをいたします。
 3つ目に、生産農家の意識改革も必要であろうと思料されるのでありますが、その啓蒙策はどのようになっておりますか。
 次に、米軍基地内黙認耕作地についてお伺いをいたします。
 黙認耕作は、米軍基地の中で米軍が緊急に必要でない土地を、地主またはその他の者に一定の条件下で使用を許可する制度で高等弁務官布令第20号で認められ、復帰後はいわゆる地位協定第3条の管理権の範囲内で米軍の裁量に基づくものとして、狭隘な沖縄の農地においては必要不可欠な農業生産地となっております。
 ところが、いろいろな制約があり思い切った農業経営ができず農業青年から嫌われているのが現状であり、自然と収益性の低いサトウキビ作が中心となるのであります。
 沖縄の総面積225万4502ヘクタールに対し、米軍基地が2万5307ヘクタール、11.2%を占めており、そのうちの440ヘクタール、1.7%が黙認耕作地であります。ところがサトウキビの生産向上のため必要な基盤整備事業の導入ができず、品質向上の上から大きな弊害となり、常に旧態依然の経営形態の農業しか営むことができず、品質取引の移行の際には被害を受けることになります。
 よって、次のことについて御答弁を願います。
 1つ、黙認耕作地内にも条件整備事業を導入することができるのかどうか。
 2つ、条件整備事業の導入ができない根拠を示していただきたいと思います。
 3つ目に、昭和51年2月5日付、農政第881号農林水産部長より、沖縄県農業会議あての農家台帳の作成についての留意事項として次のものは、正当な権限に基づき耕作の業務を営むものとして解する。1つ、軍用地(米軍用地、防衛施設庁用地)にある現に耕作の業務に供されている農地について、その判断基準として土地所有者が耕作目的での使用収益権を留保しないで米軍にその所有地を提供している場合であっても、米軍からその土地の使用収益を許可されているときは、その農地は下限面積に算入することができる。土地所有者以外の黙認耕作者についても、米軍から使用収益権を許されていることも同様であると明示されているのであります。
 そこでお尋ねをいたします。
 農地に農業生産向上のための振興対策事業が導入できない理由はありません。知事は、現在も農家基本台帳に記載できる農地として認めておられるのかどうか、御所見をお伺いいたします。
 基地問題について申し上げます。
 まず第1に、知事は最近の世界情勢をどのように認識をし、沖縄の基地問題と激化する軍事演習に対処なされようとしておりますかという点から入ります。
 今、歴史は大きく動きつつあります。それは、これまで言われてきた激動とか転換期などといった言葉では言い尽くせないほど大きなうねりとなっております。戦後の時代を生きてきた私たちにとって、東西の軍事的な対立がほぐれ冷戦の終わりがいよいよ確実さを増し、協調の時代へ進みつつある様子は、それだけでも深い感慨を禁じ得ないのであります。
 つい先ごろ、米ソ外相会談を終えたアメリカのベーカー国務長官は、米ソは対立から対話へ、そして今や協力へと新しい局面を迎えたと述べられました。
 また、地中海のマルタ島を舞台に2日間にわたり開かれた米ソ首脳会談は、戦後40年間続いた冷戦の終結を宣言して幕を閉じたのであります。会談後、ブッシュ大統領は、今やすべて新しい時代が到来しようとしていると表明し、ゴルバチョフ書記長は、対立、軍備、不信感など過去の冷戦時代にあった問題とはさようならと述べたと報じられました。大変な決意だと思うのであります。
 知事は、このような世界の動向をどのように把握しておられるかお尋ねをいたします。
 一方、にもかかわらず、読谷村在のトリイ通信施設に配備された対ゲリラ戦特殊部隊、通称グリーンベレーの目的については、これは確実な資料の入手がございますけれども、この目的からいたしますと、1つ、前線での戦闘能力を向上させる、2つ、テロリストや外国政府にある脅威から海外在住のアメリカ市民を守る、3つ、米国や同盟国に対するソ連の大規模攻撃発生の際、通常戦力を補強することを目的として配置されたのであります。

 このグリーンベレーや海兵隊は、沖縄の陸・海・空を占領し演習を激化させ県民に大きな被害を与えているのであります。この演習は、もはや3つ目の目的、米国や同盟国に対するソ連の大規模攻撃発生の際の戦力補強が解消される情勢において沖縄での演習はもはや米軍による米軍のためのみの演習であり、知事が常日ごろおっしゃっております兵士の練度を理由に演習を容認することは反県民的であり、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、具体的な事項について御答弁を求めます。
 1つ、キャンプ・ハンセン内恩納村の都市型戦闘訓練施設工事はもう完成したのでありましょうか。
 2つ、当初の当袋川ダム付近のタイヤハウスは完成後移転されたとの情報があります。そのことは事実であるか。また移転の理由は何だったでしょうか。
 3つ、赤土流出の原因は施設工事による流出であったのか、調査の結果どのように処理してきたかお尋ねをいたします。
 4つ、同訓練場におけるところの訓練の強行が今後あり得るのかどうか。またいつごろから開始が予想されるかお尋ねをいたします。
 5つ、読谷補助飛行場、嘉手納マリーナ等々県民の返還要望施設については、県軍用地転用促進基地内問題協議会が市町村と調整の上、跡地利用計画を策定し移設条件つきでなく無条件の返還を求めるべきであるが、知事の見解をお伺いいたします。
 ちなみに、読谷補助飛行場のパラシュート降下演習については、元アメリカ特殊部隊大尉柘植久慶氏は、次のように証言をいたしております。降下演習場は、旧日本軍の飛行場があった読谷が選ばれたが、障害物が多く問題を有していたと。もはや機能が失墜をしているということでございます。
 6つ目に、恩納通信施設、泡瀬ゴルフ場、嘉手納バイパス用地等について県に返還の通知がありましたか、お尋ねいたします。また今回の2施設の無条件返還については了とするものでございます。
 次に、県有地16施設、8401ヘクタールの軍用地の再契約について質問をいたします。
 1つ、基地の整理縮小の立場と振興開発に必要な場所については再契約を拒否するのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
 2つ、契約期間は何年でありますか。
 3つ、施設別の単価は幾らになっておりますか。
 4つ、契約は中途解約も可能であるかお尋ねをいたします。
 次に、教育問題についてちょっと順序を変えまして、へき地級地問題と県立高等学校の授業料の値上げ問題からお尋ねいたします。
 教育長、今、私たちのところでこういうことがささやかれております。「ティマグヮーヤアガラン、ムヌヤ上ガティ。パン、給食、旅ヌ補助ンネーランナテ、タヌシミヌサキグヮー消費税。メ一ニチメーニチ残業残業。ウネ、ルゥーヤンティ保険税ウサミウーサン。アワリ、クンリ、アキサミヨー」。このぐらい多くの県民の皆様方が、消費税を初め学校の授業料を上げるということで四苦八苦いたしているわけでございます。
 そこで、次のことをお尋ねいたします。
 当初から宮古及び久米島の19校のうち17校については運航回数等の査定により運用の範囲内で維持できたのではないか。
 2つ、2校については具体的な面からできない理由を説明を求めます。また負担についてはどのような措置をなされるのか、お願いをいたします。
 3つ、値上げすることによって現在父母が負担している公費的負担は解消されるのかどうか。
 4つ、国の基準額に値上げしないと何らかの制裁の措置がありますかどうか。
 5つ目に、消費税が廃止された場合、改正の条例も再度提案をするのか。
 次に、青少年問題の点から質問いたします。
 昨年の本県の刑法犯の発生件数は3年連続減少し、1万6600件となっております。窃盗犯の比率は92.7%、全国の86.9%と全国より高く、特に窃盗犯のうち侵入盗やオートバイ盗は青少年が目立ち、オートバイ盗については全国平均の2倍以上の発生率であり、少年犯罪の中身は遊び型へと大きく変わり、豊かな社会の犯罪の典型が窃盗の増加だとの指摘があります。物の情報があふれ、物と金がすべてという社会の風潮の中で欲望に振り回され犯罪に走ってしまうのであります。
 豊かな社会が心の貧しさを招くとすれば、何とも情けなく思うのであります。特に次代を担う青少年がこんなことで善と悪のけじめをなくしているのは憂慮すべきであります。
 一方、高校生のオートバイ事故は、ことしに入ってから昨年の2倍以上となり異常としか言えないのであります。
 学習指導要領の保健体育の中に交通安全として、交通事故を防止するためには交通環境の整備などの対策とともに、個人の適切な行動が重要であることを理解させるとありますが、具体的にどのような指導を行っているのかお伺いいたします。
 また、教育庁が高校生を対象にホラービデオ視聴状況の調査によりますと、ホラービデオを見たことがある、84.1%に対して、青少年保護育成条例には8本のホラービデオを有害図書などに指定し業者に青少年への販売などを禁止しているが、85%の生徒はそのことを知らないと回答しているが、販売業者に対しては文書で通知している状況であります。しかし、肝心の生徒が知らないということは、条例の趣旨が現場において生かされてないのではなかろうか。その原因は何でしょうか。
 青少年の不良化の原因の一つとして沖縄の夜型社会に問題があると指摘されているのでありますが、夜型社会とはどのような社会構造をいいますか。
 夜型社会が原因ならば、それを分析し、その対策を講ずるべきでありますが、いかがですか。
 次に、女性の地位向上についてお伺いいたします。
 感性豊かな女性の意見を行政に反映させ県勢発展を願うのは、時代の要請であり当然のことでありますが、県におけるところの各種審議会、諮問機関等の女性委員の比率はどのようになっているかお尋ねをいたします。
 ちなみに、県の出資等にかかる法人の理事、監事を調べてみますと、22法人で理事、監事が338人ですが、そのうち男性が何と333人、それに対し女性はたったの5人しかおりません。まことに異常であり気の毒であるとともに危倶するものであります。
 知事の御所見をお伺いいたしまして、質問を終わります。
 答弁に従って再度の質問をいたします。よろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊波栄徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題について、今回の米ソ首脳会談を踏まえて世界の動向をどう認識しているかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 代表質問でもお答えしたとおり、今回の米ソ首脳会談は、東西の緊張緩和を促進するとともに、対立から協調へと米ソ関係を大きく転換させ、第2次世界大戦後の冷戦構造に終止符を打つ意義深い会談であったと認識いたしております。
 次に、都市型戦闘訓練施設の工事についてただされましたが、お答えいたします。
 当該施設については、去る11月22日、四軍調整官スタックポール少将が記者会見いたしまして、一帯の環境整備、すなわち芝張りや道路補修、植栽等を除き工事は完成していると発言しており、ほぼ完成しているものと思います。
 次に、当袋ダム付近のタイヤハウスは、完成後移転されたとの情報だが、それは事実であるのかとただされましたが、お答えいたします。
 本件について海兵隊に照会いたしましたところ、移転した事実はございません。
 次に、基地問題との関連で赤土流出の原因は工事施工によるものか、調査の結果をどのように処理したかについてお答えいたします。
 キャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設建設地に近い恩納村字恩納沿岸海域の去る9月の赤土汚染につきましては、2度にわたる基地内への立入調査を行ったところ、当該工事による赤土流出がその一因であると推定される状況が確認されましたので、米軍に対しまして、今後、かかることが起こらないように文書によって申し入れを行ったところであります。
 これに対しまして、申し入れの場において米軍側から、基地内での建設工事に際しても環境保全に配慮することは当然であり、防衛施設局の協力を得て本年12月から来年1月ごろにかけて赤土流出防止対策を講ずる予定であるとの回答を得ております。

 次に、都市型戦闘訓練場における訓練の強行があるか、いつごろから開始される予定であるか。お答えいたします。
 米軍は、恩納村の都市型戦闘訓練施設の環境整備を行う予定になっており、その整備状況によって訓練の時期が検討されるようであります。県としては、同施設での実弾を使用した訓練は実施しないよう米軍を初め関係機関に対し引き続き要請してまいりたいと思います。
 次に、読谷補助飛行場や嘉手納マリーナ等の施設返還については、跡地利用計画を策定して移設条件つきではなくて無条件の返還を求めるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 市町村等から要請がございました読谷補助飛行場と嘉手納マリーナの返還については、日米両政府に要請いたしているところであります。
 県土の狭い本県においては、移設条件つき返還合意施設であっても新しい施設区域の提供ということは原則として考えておりません。
 次に、恩納通信施設、泡瀬ゴルフ場、嘉手納バイパス用地について県に返還の通知があったかとただされましたが、お答えいたします。
 県は、恩納通信所や泡瀬ゴルフ場等の返還について通知は受けておりません。現在、日米合同委員会において鋭意検討をされていると聞いておりますが、それぞれの施設について具体的な結論ないし方向づけは出ていないようであります。
 なお、嘉手納バイパスについては調整中であります。
 次に、16施設、841ヘクタールの県有地の再契約についてお答えいたします。
 御承知のとおり、本県には広大な米軍施設区域が存在し、振興開発を進める上で大きな制約となっております。
 そのため、基地の整理縮小を県政の重要な課題として位置づけまして、日米安全保障協議委員会における返還合意施設区域の早期の返還と振興開発を進める上で必要な地域における施設区域の早期返還を促進しているところであります。
 御指摘の県有地の中にも返還を要請している施設区域もございます。したがって再契約の件については、各施設区域の使用状況からして提供せざるを得ないものであり、今後、県としては返還の推進を見きわめながら対応してまいりたいと思います。
 契約期間は1年間であります。
 各地域あるいは各施設内においても単価はそれぞれ異なり一概に言えないのでありますが、例えば那覇港湾施設においては年間1平方メートル当たりの価格は3386円であります。
 契約の中途解約については、賃貸借契約書に基づく普通財産の解約は、使用者側が使用しなくなった場合は可能であります。
 次に、女性の地位向上の施策について各種審議会等への登用状況について御質問がございましたが、お答えいたします。
 各種行政委員会への女性の登用状況については、教育委員会1人、地方労働委員会1人の計2人となっております。
 また、各種審議会等における女性の登用状況については、平成元年4月1日現在において115の審議会等のうち56の審議会等において女性が登用されております。
 ちなみに、委員等の総数1773人のうち女性は147人で8.3%の登用率となっております。今後とも、女性の登用を積極的に図ってまいりたいと考えております。
 次に、県出資による公社・公団等の理事等の登用状況についてお答えいたします。
 県の出資等による公社・公団等の理事、監事等の女性の登用状況については、御指摘のとおり22公社・公団等の理事等総数338人のうち、女性は5人が就任しており、その比率は1.5%となっております。
 公社・公団等の役員選任に当たっても、女性の登用が図られるように促進してまいりたいと思います。
 その他の御質問に対しましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 平敷昌一君登壇〕
○農林水産部長(平敷昌一君) 農業振興についての御質問にお答えいたします。
 1点目、品質取引移行までに条件整備は完了するのかという御質問でございますが、サトウキビの品質取引は平成6年産から実施することに決まっております。その移行までの5カ年間にもろもろの条件整備を整える必要がございます。その条件整備というのは、取引条件の整備があります。それから生産条件の整備が必要でございます。
 これらの条件整備について検討するために、国におきましては先月11月30日に品質取引連絡協議会が設置されております。それを受けまして県におきましても、県、市町村、それから生産者代表、農業団体、製糖企業、学識経験者から成る協議会を設置いたしまして、これらの条件整備について検討することにいたしております。
 2点目、品質取引の基準となるブリックスは何度に定めるのかという御質問ですけれども、これは申し上げましたとおり、これから5カ年かけて測定評価はどうするのか、どううい方法をとるのか、あるいは基準糖度を何度にするのか等々の取引条件の整備はこれからでございます。したがいまして、国におきましては先ほど申し上げました連絡協議会、それから県内の協議会を通じまして、いずれにしても農家が安心してサトウキビ生産に従事できるような基準に設定するように要請をしていきたいというふうに考えております。
 3点目に、農家の意識改革が必要と思われるが、その啓蒙策はどうなっているかということですが、啓蒙普及については、現在、農協中央会がパンフレットをつくりまして配布しておりますし、実証展示の設置、啓蒙用映写の作成等を実施しております。県におきましても農家の意識改革が円滑にできるよう高糖多収品種の育成、栽培技術の改善、それから品種構成の適正化などの品質向上対策を初めとしましてテレビ、ラジオ等のマスメディアを利用し、さらに関係機関団体を通じて品質取引に対する意識高揚を図っていく予定でございます。
 4点目に、黙認耕作地内にも整備事業を導入することはできないのかと。それから黙認耕作地は基本台帳に記載できるのかという質問ですけれども、本県には先生も御指摘のように、いわゆる黙認耕作地以外にも市街化区域内農地がおよそ700ヘクタールございます。それから農業振興地域内にありながら農用地区に指定されていない農地が4400ヘクタールもございます。
 これらの農地は、いずれも原則として基盤整備事業は農用地区域に編入しませんとこの事業はできないことになっておりまして、黙認耕作地についても全く同様でございます。
 ただ、土地改良事業は御案内のとおり申請主義でございます、申請事業でございます。黙認耕作地であっても地権者、耕作者、市町村が一致して基盤整備を希望し米軍の了解が得られるのであれば、基盤整備の採択基準に合致するのであれば農振地域の指定を含め、門戸が全く閉ざされているというふうには考えておりません。申請があれば、その実現について国に対して要請をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、黙認耕作地の取り扱いについてでありますが、米軍から使用収益を許されている農地、これは農地取得の際の下限面積に算入することができることとした昭和51年2月5日付の通達どおりでございまして、農家基本台帳に記載できる農地として現在も運用をいたしております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 伊波議員の御質問にお答えします。
 へき地級地の問題等についてお答えします。
 まず1点目ですが、宮古島及び久米島の19校のうち17校については、運航等の算定によってその範囲内で維持できないのかについてお答えします。
 へき地級地の当初の見直し後の状況につきましてはたびたびお答えしておりますが、高度へき地校でなくなる学校が19校も出るなどの問題点が出ております。
 このような問題点を打開するため、本県の海洋性の離島僻地の特殊事情を県独自の判断で基準に反映させるため、運航回数の取り扱い等につきましてさらに慎重に検討せざるを得なかったためであります。
 2点目の高度へき地校から外される2校についての具体的な処理状況についての御質問にお答えします。

 具志川村立清水小学校及び具志川中学校につきましては、へき地級地指定の基準に照らして3級地とすることは非常に困難な状況になっております。この要因は、船便及び飛行機便が増便となっていること、また両校は、他の学校に比べましてこの基準に照らしての配点につながってないということ等であります。これは、中身が数点にわたっての配点でございますが、その状況になっております。
 なお、パン、ミルク給食及び修学旅行費の国庫補助等が打ち切られることにつきましては、学校教育にも大変重大な影響を与えることになることから、今後、この問題につきましては検討していきたいと考えております。
 それから、県立高校授業料の値上げとの関係の御質問にお答えします。
 値上げすることによって、現在父母が負担している公費負担の解消になるかという御質問ですが、教育費の公私費負担区分を明確に定義づけることは大変難しい問題でありますが、現在、学校納付金で徴収している項目で公費肩がわりしていると思われるものが数種類あります。
 ところで、今回の授業料の改定により、PTAや校長会並びに高教組に対しまして説明会を持ち、その結果、学校における管理運営費等の充実を図るとともに、公費肩がわりの解消について要望もたくさん出ております。県教育委員会といたしましては、これらの意見を反映させまして、平成2年度予算において実験実習費の充実並びに学校行事等父母負担の軽減に努めているところであります。
 父母による公費負担としましては、本県1人当たり平均5891円に対しまして、全国平均は7298円となっており全国平均に比べて低い水準ではありますが、これを全面解消するのは現時点では大変困難だと考えております。
 今回の値上げについて、例えば国の基準額に値上げしないと制裁なり、あるいはそれなりのペナルティーがあるかということの御質問ですが、お答えします。
 各地方公共団体が標準的な行政水準を維持するため、基準財政需要額から基準財政収入額を控除した差額を普通交付税として交付することになっております。その際、交付税算定に当たって、授業料等について地方財政計画の基準単価に基づくものとして算定されますので、もし実際の授業料等が地財計画の基準単価より低い場合はその差額分だけ県の財政が落ち込むことになり、ひいては標準的な行政水準を維持することが困難な状況になることが予想されます。
 御質問の措置等につきましては特別にないわけですが、各都道府県におきましては、一応この地財計画に基づいてのめどで改定しているのが実情であります。
 それから、今回の改定の中での消費税とのかかわり合いでの御質問でありますが、再改正案を提出するかの御質問ですが、御案内のとおり消費税の関連法案が改正されるならば、その趣旨に沿って措置がなされるものと考えております。
 青少年の教育問題とのかかわり合いで御質問がありますが、お答えします。
 まず、高校生のオートバイ事故は昨年の2倍であるということ。それから新学習指導要領の保健体育の中での交通事故防止とのかかわり合いの御質問にお答えします。
 高等学校学習指導要領保健体育課の科目、いわゆる保健の授業の中で交通安全についての取り扱いは、現行では職業と健康、集団の健康の項目で内容との関連において本県交通事故の事例等を取り上げて扱っております。
 しかし、平成6年度から施行される新学習指導要領では、御指摘のとおり保健教科の「現代社会と健康」の項目の中で、交通事故を防止するためには交通環境の整備などの対策とともに、個人の適切な行動が重要であることを理解させるという内容が新たに取り上げられております。
 具体的には、交通事故と対策、また交通事故の防止と人間行動について学習することになっております。
 したがいまして、本県におけるその指導は、昨今、特に交通死亡事故が多発している実情にかんがみまして新学習指導要領の移行措置として平成2年度から早急に取り扱うとともに、さきに策定しました本県交通安全対策の基本的な考え方に沿って行っていく考えであります。
 2点目の青少年保護育成条例で有害図書に指定されているホラービデオが生徒に十分周知徹底されてないとの御質問との関連でお答えします。
 青少年保護育成条例の趣旨につきましては、生徒指導文書等を通して各学校において指導しているところであります。
 指定有害図書等につきまして県の広報で公示されておりますし、各学校においてもその旨生徒に指導しているところでありますが、御指摘のとおりホラービデオの視聴状況調査の結果から十分に周知されてない状況にあります。今後は、青少年保護育成条例に指定された有害図書については、さらに生徒に周知徹底するよう学校を指導してまいりたいと考えております。
 沖縄の夜型社会とはどういう社会構造かという関係と、青少年の不良化防止とのかかわり合いの御質問にお答えします。
 本県は、他県に比べて日没が遅く、蒸し暑いなどの自然的条件や長い間の社会慣習等から夕方の行事、会合が遅くから開催されることや、また風俗営業等の開店が遅い要因などから夜間外出や夜ふかしにつながり、それを許容する社会的風潮があると認識し危倶しております。このような社会的背景、風潮を総称して夜型社会と言っております。
 その風潮を反映して、青少年の夜ふかしや夜遊びの傾向が強く、深夜徘回で補導される青少年が実に多いわけです。
 ちなみに、昭和63年度における深夜徘回の青少年、いわゆる補導された状況を見ますと全国の2.4倍、九州の1.7倍という状況になっております。このことから、県教育委員会としましては、児童生徒の基本的生活習慣の確立を図り、深夜徘回を防止するよう努めているところであります。
 また、青少年の深夜徘回防止につきましては、大人社会を含めた県民全体の問題として受けとめ、今後ともその改善方について強力に推進していく必要があると考えております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 宮里政秋君。
   〔宮里政秋君登壇〕
○宮里政秋君 さきに文書で質問通告いたしておきましたけれども、若干の変更がございますから御了解願いたいと思います。
 青少年の健全育成の立場から、カラオケボックスの問題についてお伺いいたします。
 最近、マスコミ等で報道されているカラオケボックスは非行のたまり場となり、さまざまな事件を引き起こし、青少年の健やかな成長を願う父母に大きな衝撃を与えています。
 密室性の高い同施設は、未成年者の飲酒、喫煙の格好の場となり、非行の温床となっています。既に那覇市内を中心に全県で16カ所営業予定と報道されています。このまま放置すると、今後、県内でも急増するおそれがあります。関係の学校長やPTAでも建設反対の運動が起こっています。
 そこで伺いますが、県は、青少年の健全育成の立場から関係市町村とも連携を密にして、業者に対しては営業の中止を含む強力な行政指導をすべきと思うがどうか。その具体策として文教地区の指定等で建築の規制をすべきと思うが、どうか。
 また、それらの施設の建設を規制する立場から、風俗営業法や青少年健全育成条例の改正等も含む対策が必要と思うが、どうか。
 あわせて、それらの施設の実態の報告と、これにどう対応してきたか関係部長の答弁を求めます。
 次に、久茂地川河川の問題についてお伺いいたします。
 久茂地川に清流を取り戻す市民運動が実施されて4年になります。ことしも10月14日、第4回目の「よびもどそう清流を89年久茂地川フェスティバル」が開催されました。
 久茂地川は戦前、山原船が行き交い、泳ぎやフナ釣りが楽しめた豊かな清流を保ち、人々の憩いの場であったと言われています。知事も御存じのことと思います。
 ふるさとというと山や川、海を連想します。ところが久茂地川はごらんのとおり無残な姿に変わっています。都会に住む子供たちにふるさとを連想する川を取り戻してやりたい、このような願いを込めて黒島寛松さんを中心に久茂地川に清流を取り戻す市民運動が続けられています。

 2級河川の管理者である県当局が、この自発的な市民運動にどう対応してきたか、関係者の要望や専門家の意見も参考にし、次のことについて質問いたします。
 那覇市内の河川の大半は、海水を除いてそのほとんどが生活排水であります。生活排水は、河川の汚濁の最も大きな原因でありますが、同時に河川の豊かな水源でもあります。したがって、下水道の普及だけで河川が浄化されるという理論は専門家の間では通用しないようであります。
 すなわち、生活排水をすべて下水道に流し込むと、河川は晴天時には水が干上がってしまいます。久茂地川を初め市内の河川が、その典型的なものであります。河川の水量を今後どのように確保するのか、そこが大きな問題点でございます。
 そこで伺いますが、第1点目は、生活排水を浄化し河川水を水量とする方法、技術を導入して河川の再生事業を行うべきと思うが、どうか。
 第2点目は、その具体策として合併浄化槽の普及促進及び設置に対する補助制度の制定を図るべきではないか。
 第3点目は、河川の水源は本来雨水であります。緑地の保存や雨水の地下浸透について積極的な施策を図るべきと思うが、どうか。
 4点目に、酸素の給入により水中のバクテリアの働きが活発となり、河川の浄化に大きな効果を発揮していることは他県では実験済みです。河川への酸素給入策を取り入れるべきではないか。
 5点目に、河川の再生は汚染の原因をなくすことが重要です。垂れ流しの取り締まりの強化、その指導、対策について、以上5点について関係部長の答弁を求めます。
 次に、開邦高等学校の通学路の問題について伺います。
 開邦高校の父兄から、通学路を整備してもらいたいとの訴えがございまして現場を調査いたしました。
 那覇市のコンポスト工場の専用道路から開邦高校に入り、校内を一巡して弁ケ岳に通ずる通学路の調査をいたしました。父兄の要望もあって下校時の調査となりましたが、道路が極めて狭隘で事故が多発するのは当然だ、こういう実感でございました。特に弁ケ岳のあたりは、自家用車1台しか通れない狭い道路になっています。開邦高校の生徒は、父母の車で登下校をしているのが他校に比べて多いということでした。全県一円の大学区制ですから当然でしょう。それだけに通学路の未整備は深刻な事態になっています。
 学校を建てるのに、通学路については何らの対策もとらない県教育庁に腹が立ちます、このように父兄は怒りをぶちまけています。これまでも事故が起きていますが、人身事故、死亡事故等が起きたら、県教育庁を初め県当局の責任は重大です。今後の方策について明確にお示しいただきたい。
 なお、本件については、開邦高校のPTAから那覇市議会にも要請がなされていることをあわせてつけ加えておきます。
 次に、県営鳥堀市街地住宅の通路の問題です。
 開邦高校の通学路の調査をしていましたら、県営住宅の北川の出口がコンクリートで封鎖されている、現場を見てほしいとの訴えがあって現場を見せてもらいました。そこにはおよそ1トンのコンクリートが2個置かれ、車の往来はできない状態になっでおり、封鎖されていることが一目瞭然です。
 地主との折衝はどうなっているのか、その経過といつまでに解決するのかお伺いいたします。
 調査して驚いたことに、県は開邦高校や県営住宅など公共施設を建設するのに周辺の関連道路の計画もないまま建設がなされています。特に那覇市のコンポスト工場の専用道路を使用するについては、那覇市の了解が得られなかったにもかかわらず県営住宅の建設を強行したことであります。これは、重大な問題です。
 県は、県営住宅を建設する際に、コンポスト工場の専用道路を使わしてほしいと那覇市に要請しています。ところが那覇市は、ごみ搬入の大型車両の往来が激しく、そのままの状態では道路として問題があるといって話し合いがつかなかったといういきさつがございます。そのため、当該道路はいまだに一部未整備のままで幅員が狭隘の上、見通しの悪い急カーブがあり、極めて危険度の高い道路状況になっています。まさにずさんな行政の最たるものと言わなければなりません。
 開邦高校の生徒や県営住宅の市民の安全確保のためにも周辺道路の抜本的整備が急務となっています。関係部長の明確な答弁を求めます。
 なお、本件に関しては5日の那覇市議会の冒頭で「那覇市清掃工場専用道路の整備に対する応分の負担を要請する意見書」が県知事と県議会議長あて全会一致で決議されています。那覇市議会の全会一致の意見書に対する対応も含めて明確な答弁を求めるものであります。
 次に、都市型戦闘訓練の問題について伺います。
 御承知のように、恩納村民は昼夜を分かたず闘争小屋を中心に粘り強い反対運動を続けています。県議会の4度の決議にもかかわらず基地建設は中止されておりません。米軍は来年早々、実弾演習を強行する構えです。
 そこで知事に伺いますが、知事は、昨日我が党の宮良作議員の質問に、見えない所に持っていけないものかと答弁されました。これは重大な発言でございます。県民の見えない所で演習しなさいということは、演習賛成を表明したものです。これが知事の本音です。このような姿勢では強力な対米折衝は期待できません。あくまでも村民や県議会の決議の立場に立って基地建設の即時中止と実弾演習を阻止するため、知事みずから米軍との強力な折衝を展開すべきです。どうなされますか、知事の明確な答弁を求めます。
 次に、戦闘訓練地域内にある水源管理の問題について伺います。
 さきの9月議会でも私はこの問題を取り上げ、知事に質問いたしました。米軍と交渉して速やかに解決したい旨答弁されました。ところが、いまだに恩納村当局は米軍によってかぎを取り上げられたままです。
 知事は、いつ米軍と折衝したのか、折衝の経過を説明いただきたい。知事の御答弁を求めます。
 次に、赤土汚染の問題について伺います。
 さきに知事に提示いたしました写真ですが、ごらんのように戦闘訓練基地から赤土が流れ出ています。この赤土は海に流れ出て、写真のとおり海を汚染しています。
 恩納村の我那覇漁業協同組合長は、次のように話しています。赤土の流出を食いとめたいと漁業振興はありません。青年部が水産試験場、栽培センターの指導のもとにつくり育てる漁業をキャッチフレーズにシャコガイの養殖を始めたばかり。稚貝を埋め込み3年で収穫ができると楽しみにしている。赤土をかぶると稚貝は死んでしまう。定置網も赤土をかぶり、魚はさっぱり寄りつかない。全くお手上げの状態です。赤土は米軍基地だけでなく民間開発による流出もあり、早目に対策を講じてもらいたい、このように訴えているのであります。
 赤土流出による汚染問題は全県的な問題で、県政の重要課題です。赤土流出を防止するための抜本的対策について伺います。
 この問題については、特に安保繁栄論、基地容認の立場に立つ西銘県政の政治姿勢にもかかわることですので、直接知事の答弁もあわせて求めるものであります。
 最後に、知事の政治姿勢について伺います。
 12月1日、パシフィックホテルにおいて知事を囲む沖縄県小中学校長会が持たれています。
 そこで高良教育長に伺いますが、第1点、高良教育長はその事実を承知しておられますか。
 第2点、教育行政の責任者としてこの事実についてどのような見解をお持ちですか。
 第3点、その集いに高良教育長も出席されましたか。
 第4点、知事と学校長との懇談会はこれまでも定期的に持たれているのですか、お答え願います。
 次に、知事に伺います。
 去る63年10月の那覇市長選挙で、西銘知事は異例の選対本部長を引き受けて平良陣営の陣頭指揮をとりました。そして当時の副知事、出納長の3役も選対副本部長のポストにつき西銘本部長を補佐し、これに県の管理職が動員されました。当時のマスコミでも、西銘本部長が率いる県庁軍団などと報道されたほどであります。
 さらに、西銘知事は、知事の地位を最大限に利用して県の公共工事の受注業者も巻き込んで大がかりな選挙運動をやったのであります。63年の12月議会で、私はこの問題を取り上げて公選法違反として厳しく西銘知事の政治姿勢を追及いたしました。しかし知事は、私の政治信念から支援したとして、反省どころか開き直りの姿勢に終始したのであります。

 今日、総選挙を目前にしてまたまた管理職を中心とした県庁ぐるみの選挙運動が公然と報道されています。地位利用に基づくかかる行為は、公選法違反として県民の批判を浴びることは必至です。このことについては、自民党内部からも厳しい批判が出ているのであります。まさに県政私物化の最たるものではありませんか。
 そこで知事に伺いますが、学校長に対する指揮監督は県教育庁の管轄です。知事が12月1日、パシフィックホテルで学校長と懇談したのは何の目的でなさったのか。
 第2点目、それは、知事の地位を利用した特定の予定候補者の選挙運動ではなかったのか、明確に御答弁いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮里政秋議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 都市型戦闘訓練の問題について、知事みずから米軍と折衝すべきである、どう対応したかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 恩納村における都市型戦闘訓練施設の建設については、米軍及び外務省等関係機関に対しましてその中止方を要請してきたところであります。
 なお、同施設内での実弾を使用した訓練は実施しないよう要請したところであります。
 それから、きのうの宮良作議員の質問に対して、見えない所に持っていけと、こう申し上げましたのは、これについては米軍は、申し上げましたとおりどうしてもあそこでつくると。
 また、原則として施設区域内での工作物の設定については原則的にはこれは反対できませんので、そういう諸般の情勢からいたしまして、恒久対策は今さき申し上げたとおりでございますが、もしどうしてもあの都市型戦闘訓練施設というものが必要であれば、見えない所に持っていってというのは、見えないという表現は、恩納のホテル等あたりからもあの訓練施設が見えるわけですから、それで次善の策として見えない所に持っていってちゃんとやってくれないかと。まざまざと目の前でやるようなことでは困ると。
 こういう恒久対策、次善の対策に分けて施設・区域内での工作物の建設はこれは原則として反対できませんので、そういうことで恒久対策、次善の対策、2つに分けて、当事者であるスタックポール准将と、何とかできないかと。もしどうしても使うんだったら、将来はどこかに持っていってくれと。そういう被害の少ない所、見えない所。こういうことで次善の対策として話し合ったことを率直に申し上げたわけでございまして、他意はございません。
 次に、同じ区域における水源地の管理について県は米軍と交渉し速やかに解決したいと9月議会では答弁したんだが、どうなっているかという御質問に対しましてお答えいたします。
 水源地の管理については、恩納ダム及びダム周辺で射撃訓練が行われていない日に限り、恩納村役場職員にレンジ7、レンジ22の門のかぎが貸し出されることになっております。
 なお、恩納村に照会いたしましたところ、水源地の管理上特に支障はないと、そういうことでございました。
 次に、赤土汚染の問題について環境保全の立場から御提言がございましたが、お答えいたします。
 御指摘のとおり赤土汚染問題は、本県の環境保全、観光産業及び水産業の振興にとって極めて大きな問題であります。その防止対策については、県政にとりまして大きな課題であると認識いたしております。
 こうした認識のもとに、各部から成る赤土等流出防止対策協議会において防止対策や流出状況にかかる協議、情報の交換等を行うとともに、それぞれの立場からその対策について調査、検討あるいは監視、指導を行っているところであります。
 また、現在、中長期的視点に立って各種の事業計画の調整、誘導を図るため環境管理計画を策定すべく作業を進めているところでありますが、同計画においては赤土も主要な課題として位置づけておりまして、各種開発計画等の計画当初の段階、計画の熟度が高くなった段階、施工段階等においてそれぞれの立地特性を踏まえた上でどのような配慮がなされるべきかを示していく考えであります。
 さらに、環境アセスメントの活用、環境モニタリングの実施、防止技術や環境特性にかかる情報の収集を進めるとともに、関係機関、また市町村等との協力のもとに施工時の監視強化を図りまして、また事業者に対しましても施工管理の徹底を図るよう指導していく所存であります。
 次に、小中校長会は、知事がその地位を利用した選挙運動ではないかというおしかりを受けているわけでございますが、お答えいたします。
 小中学校長に対する指揮監督権は、市町村教育委員会の所管するところでありますが、指摘されるまでもなくそのことは十分承知いたしております。
 校長会との教育懇談会につきましては、校長会の招待を受けて出席しているところでございまして、この懇談会を通して校長先生方と教育の理念等について懇談することは極めて有意義なことであり、教育に対する理解が深まったと考えておりまして、喜んで参加させていただいているところでございます。
 なお、知事としてこのような教育懇談会に出席いたしまして校長先生方の労をねぎらったりあいさつすることが、これは知事の地位を利用した選挙運動であると受けとめられるのは極めて残念至極であります。
 あいさつは申し上げましたけれども、例えば順志郎を応援してくれとか、宮里を応援してくれとか、仲村を応援してくれとか、そういうことには一言半句も触れておりません。文学論をやったり哲学論をやったりして、こういう場所で言うべきでないことぐらいはわかっておりまして、向こうから呼ばれたから出ていって、校長さん、御苦労さんと、長い間、現場指導で御苦労さんと、頑張ってくださいと。
 そういうことを言うことが政治活動というのであれば、知事は年がら年じゅう、四六時中、一年じゅう選挙運動しているのも同じですから、政治職ですから。そんな小さなことをとらえて、一部の者のための選挙運動であったと、そう誤解されたら困るんですよ。これは胸襟を開いて御苦労さんでしたと、一言半句も選挙のことについては触れておりません。聞いてください。
 また、市長選挙で怒られましたけれども、私が最後の市長でございまして、何としても那覇市政を奪還したいと。これは政治家としての最後の那覇市長としての私の大きな政治課題であります。
 そういうことで陣頭に立って指揮をいたしましたけれども、公平な選挙をやっているわけでございまして、地位を利用したり、地位を利用して業者に圧迫をかけたり、そういうことはやっておりません。はっきり申し上げておきます。
 残された御質問につきましては、それぞれ所管の部長から答弁させることにいたします。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 宮里議員の御質問にお答えいたします。
 カラオケボックスの問題でございますけれども、まず3点のその1つでございます。営業及び計画の中止を含む強力な行政指導をすべきではないかという御質問でございます。
 青少年健全育成の立場から、現在のところ建設及び営業の中止について法的規制することは難しいのでございますが、このカラオケボックスの営業は、いわゆる密室性が高く非行の温床となるおそれがあることから、これについては御指摘のとおり綿密な対策と協力な行政指導を行う必要があるというふうに考えております。
 次に、その実態の把握はどうなっているかという御質問でございますが、カラオケボックスの実態につきましては平成元年12月1日現在、営業中のもの18カ所、81部屋、建設予定のもの7カ所、91部屋、合計いたしまして25カ所の172部屋でございます。
 参考までに地域別について申し上げますと、沖縄市で10カ所、那覇市で6カ所、具志川市で2カ所、浦添市で2カ所、その他5カ所でございます。
 それから、これまでの対応と今後の対策ということでの御質問がございましたけれども、これまでにその1つとして、平成元年9月21日に青少年保護育成審議会、11名の委員でございますけれども、皆さん方の視察及び指導ということで実施いたしております。

 それから2番目に、去る11月21日に青少年とカラオケボックスに関する懇談会を実施いたしました。そういういろいろなことを行いまして本件について対処してまいったわけでございますけれども、12月12日付で青少年健全保護育成条例施行規則の一部改正を行い、青少年の深夜における立入禁止の措置を講じたわけでございます。
 なお、今後の対策として関係機関及び団体と連携を密にして同規則の周知徹底を図ってまいりますとともに、青少年による酒、たばこ等の持ち込み禁止あるいは透明性の確保、また事業者による巡回監視の強化、内かぎがかからないような開放性の確保などについて、それを徹底するよう強力な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 宮里先生からは私どもには3項目ばかりの御質問がございましたけれども、順次お答え申し上げます。
 まず1点目は、青少年の健全育成とカラオケボックスの問題についてでございまして、その中で文教地区の指定等で建築規制をすべきではないかについてお答え申し上げます。
 御指摘の文教地区は、都市計画法第8条第1項第2号の規定により学校、図書館等の教育施設の立地を図るべき地区、または良好な住宅地等において教育的環境の悪化をもたらすおそれのある施設の排除と教育環境への維持を目的として決定されるものでございます。
 なお、本県には文教地区に限って適用される沖縄県文教地区建築条例がございます。ただ、この条例はカラオケボックスのような遊技場で、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律――いわゆる風俗法でございますけれども――の適用を受けるものについては、第1種文教地区内においてこの建築または用途の変更が禁止されております。
 しかし本県のカラオケボックスにつきましては、今までのところ風俗営業法の適用を受ける施設とはなっておりませんため、文教地区の指定を行っても現在の条例ではカラオケボックスの建築を規制できない状況にございます。
 次に、久茂地川河川の問題についてでございまして、その1番目は、生活排水を浄化し河川水として河川の再生事業を行うことについてお答え申し上げます。
 河川の浄化対策及び維持用水の確保については、一般的には河川の改修とあわせてダム等からの用水導入、下水処理水の導入及び他の河川水の導入等が考えられますが、県におきましては一つの事例として久茂地川における環境対策としてのヘドロの除去を実施しており、その中で浄化機能も兼ねて粟石等による河床の置きかえを行っております。
 なお、同河川においては、安里川上流で建設中の金城ダムの完成により河川流量は確保されるものと考えております。
 次に、同じく久茂地川河川の問題でございますけれども、緑地の保全や雨水の地下浸透について検討すべきじゃないかについてお答え申し上げます。
 近年、都市域における河川流域の開発に伴い緑地や空地等が減少し、ひいては河川の個有水量の減少を招き、水質汚濁の原因の一つになっております。
 このようなことから、河川の水源が雨水等の浸透水であることにかんがみ、雨水の地下浸透を進めることは河川浄化の有効な手法であると考えております。
 現時点における対策としましては、開発行為に際して地下浸透が可能な工法等の指導及び公共工事における緑地の確保とあわせて路面水の緑地への引き込み等を実施しているところでございます。
 次には、河川の浄化対策として、河川への酸素給入策を取り入れたらどうかということについてお答え申し上げます。
 御指摘の酸素給入方法は、ため池やダム等のように滞水池における水質浄化対策としては一般的に実施され、県内のダムでも効果を上げているところでございますが、しかしながら都市河川のように水深が浅く水量の少ない河川においては条件が異なりますので、現在実験しております天願川あるいはガーブ川等の研究成果を踏まえて今後、検討してまいりたいと考えております。
 久茂地川の件ではこの4件でございます。
 あともう1件は、県営鳥堀市街地住宅の通路の問題でございます。この質問の御要旨は、この団地の北側出入り口がコンクリートの塊で封鎖され車の往来ができないが、地主との折衝経過はどうなっているかについてお答え申し上げます。
 御指摘の北側出口の道路につきましては、この道路が私道となっているため県としましては再三にわたり鳥堀自治会に対して車両の通行ができるよう要請してきたところでございますが、この道路沿いに保育園があるため園児の交通安全が確保できないとの理由で協力が得られてない状況にございます。県としましては、今後ともこの道路の車両の通行を認めてもらうよう引き続き要請してまいりたいと考えております。
 次に、周辺道路の計画もないまま県営鳥堀市街地住宅を建設したこと、また那覇市の理解も十分に得ないで工事を始めたこと、あるいはまたこの周辺道路の整備についてどう考えるかについてお答え申し上げます。
 県営鳥堀市街地住宅の建設に当たっての取りつけ道路としましては、既存の市街地鳥堀中央線、コンポスト専用道路及び北側私道の3カ所の道路で計画し、建築許可申請を那覇市に行い、昭和62年12月6日に那覇市から許可を得て建築を開始したところでございます。
 その後、コンポスト専用道路に接続する道路の工事中に、当該道路を担当している那覇市の担当課の方からクレームがつき、その後も調整を続けておりますが、まだ同意が得られてない状況でございます。
 また、この地域の周辺道路の整備につきましては、那覇市のコンポスト専用道路やその他の周辺道路は県営住宅や周辺市街地からの通勤・通学の道路としてかなり頻繁に利用されておりますが、未改良の状況にあるので一般交通の安全を確保するためにも早期に整備をする必要があると考えております。
 したがいまして、県としましてもこのコンポスト専用道路を含むその他の周辺道路の整備については、関係する那覇市あるいは南風原町とも協議を行いながら早期に整備が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
 なお、先日、那覇市議会の方から県に提出されております意見書につきましては、要請の趣旨を踏まえて関係機関と協議をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 宮里議員の久茂地川河川の問題について5点ほどの御質問がございまして、その2点目と5点目についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、合併処理浄化槽の普及促進及び設置補助制度の制定についてお答えいたします。
 合併処理浄化槽の補助対象地域は、下水道認可区域以外の地域で、生活雑排水処理を促進する必要のある特定の地域について昭和62年度より国庫補助制度が創設され、その普及を図ることとしているところでございます。
 久茂地川流域は、下水道法に基づく公共下水道の認可された区域でございまして、原則として新たな合併処理浄化槽を設置することは認められない地域でございます。したがって、久茂地川流域については合併処理浄化槽の設置に対する国庫補助制度の補助対象外の地域であるため、その普及促進を図ることは制度の上からなじまないものと考えております。
 5点目の垂れ流しの取り締まりの強化とその指導対策についてお答えいたします。
 久茂地川の水質保全対策としましては、公共用水域の水質測定計画に基づく水質測定を実施し、その状況を把握するとともに、昭和53年度に上乗せ排水基準を設定して工場、事業場からの排出水について監視、指導の強化を図っているところでございます。
 なお、都市河川の主な汚染源である家庭雑排水対策につきましては、直接それを対象とする法令等が未整備の状況にあることから、本県におきましては昭和60年度に制定した沖縄県家庭雑排水対策推進要綱によりまして各保健所管内に地域家庭雑排水対策協議会を設置しまして、その指導を行っているところでございます。

 さらに、大里村の字稲福におきましては、家庭雑排水対策モデル事業を実施するなど、その対策を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 風営適正化法を改正してカラオケボックスを規制の対象に入れてはどうかというふうなことでありますが、現在のところカラオケボックスの営業の実態では風俗営業には該当しないわけであります。
 例えば、業者が個室にホステスを派遣してダンスをさせるとか、あるいは個室の照度が10ルクス以下になるとか、そういうふうな実態があれば別でございます。
 そこで、法の改正の是非につきましては、カラオケボックス内における各種事件事故の発生状況、不良行為等の実態、善良な風俗保持上の問題、正常な風俗環境の保持上の問題、青少年の健全育成の問題など総合的な見地から、また全国的な見地から判断して慎重に対処すべきものと考えております。
 警察としては当面、業者に対する指導を強化するとともに、県を初め関係機関団体とも十分連携をとりながら、今般改正されました県青少年保護育成条例を遵守させるとともに、また法令違反行為に対しては厳しく取り締まってまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 宮里議員の開邦高等学校につながる通学路の問題についてお答えします。
 御指摘の通学路につきましては、通路が狭隘で生徒の登下校に大変不便を来している状況は十分承知いたしております。通学時の交通安全対策は大変重要でありますし、学校とも連携を図りながら事故防止の指導を徹底してまいりたいと考えております。
 なお、この通学路の拡幅や歩道の設置等につきましては、その実現方に向けて御提言の趣旨に沿い関係機関と十分調整しながら要請をしてまいりたいと考えております。
 12月1日、知事を囲む沖縄県小中学校長会が持たれたことについて関連しての質問にお答えします。
 平成元年12月1日に知事と校長会との教育懇談会が持たれておりますが、この懇談会が県の統轄責任者である知事と、小中学校の管理運営の責任者である学校長がじかに接し互いに労をねぎらい合うとともに、本県の教育について懇談することは双方の教育に対する理解を深めることにつながるものと考えております。
 なお、この教育懇談会は、本県の教育について理解を深める趣旨で4年前から定期的に持たれております。さきの教育懇談会については、校長会の招待によりまして教育庁の幹部職員も出席をいたしております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 宮里政秋君。
   〔宮里政秋君登壇〕
○宮里政秋君 時間がございませんから政治姿勢についてだけ再質問いたしますが、知事は、学校長と定期的に懇談会を持つと、今、教育長からも御答弁がありましたけれども、校長協会から呼ばれて懇談することは労をねぎらうことで何もやましいことはないと、こうおっしゃった。
 私は、西銘知事が管理職も動員して県庁ぐるみの選挙運動をやってきたということは、過去にもそういうことをやってきた。西銘知事はそういう経歴の持ち主なんですよね。ですから自民党内部からも出ているでしょう、県庁ぐるみの選挙運動しちゃいかぬと。知事の仲間からもそう言われているわけですよ。
 そういうことですから、今どき学校長との懇談会というと、これは選挙にかかわっているとだれでもそう思いますよ。なぜならば知事はそういう経歴の持ち主であるから。
 私は、今、公選法の問題言っているんじゃない。私は、公選法を持っています、逐条解釈も。今、選挙も告示されていませんから、一般的に知事が学校長と話したり、いろいろやるのはこれは別に禁止されていませんよ。しかし今の情勢のもとからすれば、こういう選挙運動の可能性は極めて重大、あると思うから私は質問しているんです。だからこの事実はどうかと言っている。その事実はどうか、あったか。そしてこれは選挙運動だったんじゃないかと言っているわけですよ。
 関係者の意見も私は聞いていますよ。だからそういう意味では、やはり学校長を集めて地位利用したということは明確じゃありませんか。
 それで私は、そういう地位を利用しての選挙運動は、事前であれどうであれ、これはやっちゃいけません。だから皆さんの仲間から出てきているじゃありませんか。
 以上です。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
 大変不快なことでございますが、小中校長会は、私がこれを決めて、おまえら持ちなさいということでさせたものでは絶対にございません。これは、校長先生方が中心となって知事を招いて懇談しようということで数年前から開催されております。
 そういうことで今度も出席いたしましたけれども、選挙のことについては一言半句も触れておりません。調べてください。これをあたかもあったかのようにふれ回されたんでは迷惑至極でございます。
 ただ、そういう経歴の持ち主だからといって、どういうことを根拠にして知事はいつも地位を利用した選挙運動をしているということを言われるかもしれませんけれども、そういうことをやった覚えはありません。32歳のときから、若い立法院議員の時代から今日に至るまで、私はいつでも正義の実現ということと、保守勢力の安定ということに向けて全力を投球してまいりましたけれども、地位を利用したような選挙運動は一遍もやっておりません。心のやさしい正直な男でございまするから、あなたの言うような悪者ではございませんので御認識賜りたいと思います。
○議長(平良一男君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明14日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時58分散会

 
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