平成17年(2005年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 7月 6日
警察本部長(三浦正充)
 

 児童虐待事案を認知した場合の警察の対応と権限について一括してお答えします。
 警察は、児童虐待に関する情報を相談業務等の各種警察活動はもとより、虐待児童の近親者、近隣住民、保育園、幼稚園、学校、病院等からの通報によって入手するわけでありますが、そうした場合に警察がとり得る措置としては、現に傷を負っている児童の病院への搬送等の初動対応以外に大きく分けて捜査活動と保護活動があります。
 捜査活動については、関係者の事情聴取や被害状況の確認等の所要の作業を行い、必要性に応じ被疑者の逮捕、逮捕のための住居への立ち入り、捜索・差し押さえ等を実施することとなります。
 逮捕の形態としては、事前に逮捕状を請求しての通常逮捕のほか、現に犯罪が行われている場合の現行犯逮捕や、急を要する場合の緊急逮捕があります。
 現在、警察においては、家庭内の問題といえども、事件化すべきものについては積極的に事件化を行い、違法状態の早期除去に努めているところであります。
 本年1月にも110番通報を受け、3歳と9カ月の子供2名に傷害を加えていた両親を緊急逮捕した事例などがあります。
 他方、児童の保護活動については、基本的には児童相談所等が中心となって行っているところであり、警察が事案を認知して現場に臨場した場合でも児童相談所長等に通告して被害児童を引き継ぐことが通例でありますが、夜間・休日等で急を要する場合などにおいては、児童福祉法第33条に基づき、児童相談所長等からの委託を受けて被害児童の一時保護の措置をとることがあり得ます。
 また、警察独自の権限として、児童の生命、身体に危害が切迫し、あるいは現に危害が加えられている場合などにおいては、警察官職務執行法第5条に基づいて警告を発し、または当該行為を制止し、あるいは同法第6条に基づいて住居等に立ち入りをして被害児童の保護を行うことができます。
 このほか、「児童虐待の防止等に関する法律」第10条に基づく援助措置として、警察署長は児童相談所長等から児童の安全の確認または一時保護や立入調査等を行う際の援助要請を受けた場合には警察官を現場に派遣し、児童相談所の活動の援助を行っているところであります。
 こうした警察による捜査活動と保護活動は、もちろん択一的なものではなく、両者が並行して行われることがむしろ通例であります。そしていずれの場合においても、警察が児童虐待事案を認知した場合には児童相談所等へ通告し、連携して事案の処理に当たっているところであります。
 警察には以上申し上げたような権限がございますが、今回の6月24日の事案については、警察においては事前に虐待事案としての把握がなかったため、そうした権限の発動もなし得なかったわけであります。
 警察といたしましては、少しでも早く事案を認知すべく、今後とも児童相談所等関係機関との連携を密にし、地域住民の声に注意深く耳を傾け、児童虐待の早期発見や被害の拡大防止に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 
20050307140110