平成16年(2004年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 9月30日
福祉保健部長(稲福恭雄)
 

 男性の平均寿命の順位が後退したことの認識及び原因、男女の平均寿命の今後の予測について一括してお答えします。
 平成12年の都道府県別生命表によれば、本県男性の平均寿命の順位が26位に後退しました。その内容を見ると、高齢者では良好な健康状況を維持しているのに対し、壮年期では全国平均よりも死亡率が高く、働き盛りの世代が早世することは社会全体の大きな課題であります。また、このことは健康問題だけでなく観光産業等の他の分野にも大きな影響を及ぼすものと考えています。
 本県男性の平均寿命は伸びているのにもかかわらず順位が後退した主な原因は、心臓病、脳卒中の死亡率の減少幅が全国に比べ小さく、自殺、肝疾患、糖尿病の死亡率が全国より高いことが考えられます。
 なお、これまでのデータから見ると男女とも寿命の伸び率はこれまでより減少するものの、平均寿命は伸びるものと予測されますが、順位を予測することはできません。
 続きまして、本県の男女の健康寿命について一括してお答えいたします。
 健康寿命とは、自立して生活できる期間を言いますが、平成11年の研究報告によると、本県における65歳の男性の平均余命は17.97年となり、そのうち自立期間は15.95年で、平均余命に対する自立期間の割合は88.7%となっています。
 また、女性については平均余命は23.40年、自立期間は19.21年で、自立期間の割合は82.0%であります。
 なお、全国的には男性の自立期間の割合は90.2%、女性が86.6%となっています。
 続きまして、県民の健康寿命を伸ばすためのこれまでの取り組みについてお答えいたします。
 国の第一次国民健康づくり対策を受け、昭和54年から平成9年まで各保健所で栄養教室を開催し、食生活改善推進員が養成されました。また、昭和60年からは婦人の健康づくり事業を市町村で実施し、健診と食生活の指導が行われました。その後、食生活改善推進員は平成4年に県連絡協議会を設置して体制を強化し、現在、活発に地域活動を展開しております。昭和56年には本県初の健康増進施設として総合健康増進センターを開設し、運動及び食生活の生活習慣指導において当時モデル的な役割を果たしました。
 また、昭和59年から「県健康展」及び「健康づくりフェア」を通して普及・啓発を行ってまいりました。昭和63年からの第二次国民健康づくり対策では生活習慣の改善による疾病予防、健康増進の考え方が打ち出され、県では保健所に健康増進室を増築し運動指導等を行う「健康教室」が開催されました。
 さらに、市町村では活動の拠点としての保健センター等の設置が進み、平成6年度の14カ所から平成15年度には30カ所まで増加し、マンパワーの確保では市町村の保健師が91人から255人、栄養士が6人から39人と増加してきております。
 続きまして、全国と比較した本県男性及び女性の年齢階級別死亡率について一括してお答えいたします。
 厚生労働省の発行した「平成12年都道府県別年齢調整死亡率」によりますと、本県男性の年齢階級別死亡率はおおむね60歳までは全国に比較して高く、60歳以上については低い傾向にあります。また、女性の年齢階級別死亡率はおおむね低い値となっておりますが、20歳代の後半から40歳代までの階級で高くなっております。
 続きまして、死亡率を低下させるための緊急な課題についてお答えいたします。
 本県は、30代から60代にかけての肥満の割合が全国より高い状況にあり、肥満に起因する糖尿病、高血圧、高脂血症やそれらをもとに発症する心臓病、脳血管疾患の予防が課題であります。悪性新生物では肺がんによる死亡率が高く、他のがんや心臓病等の予防のためにも喫煙対策をさらに推進していくことが重要です。また、自殺による死亡数が15年度は350人で、特に男性が8割を占めており、今後、自殺予防対策を含めた精神保健対策に関係機関、地域とともに取り組んでいく必要があります。
 続きまして、「健康おきなわ2010」の達成状況についてお答えいたします。
 「健康おきなわ2010」は、生活習慣を改善し県民の健康づくりを推進するための活動指針であり、平成22年までに達成する数値目標を設定しています。
 平成15年3月に実施した県民健康意識調査の結果と比較すると、朝食を食べない人の割合や飲酒、喫煙率では計画当初の値とほぼ同様の結果で、齲蝕の状況はやや改善されています。
 なお、平成17年度には現在分析中の県民健康栄養調査の結果等も踏まえ中間評価を行う予定にしております。
 続きまして、医療費の推移、内容及び疾病別内訳について一括してお答えいたします。
 平成14年度の被用者保険を除く沖縄県の国保医療費は1664億円となっています。過去5年間の医療費の推移を対前年度比で見ますと、平成10年度は1.04、平成11年度は1.06、平成12年度は0.95、平成13年度は1.04、平成14年度は1.02となっております。平成12年度においては、介護保険制度が施行されたことに伴い医療費が減少しています。
 医療費の内訳は、入院が48.6%、入院外が30.9%、歯科が5.7%、調剤や食事療養等を含むその他が14.8%となっています。
 疾病別内訳については、沖縄県国民健康保険団体連合会がまとめた平成15年5月診療分によりますと、入院費用に関しては循環器系が26.1%、精神行動障害が18.6%、新生物が10.5%となっております。入院外費用については、消化器系が19.1%、循環器系が16.8%、尿路性器系が16.0%となっています。入院費用、入院外費用を合わせると循環器系、精神行動障害、消化器系の順に高くなっております。
 続きまして、国保基金の取り崩しや一般会計からの繰り入れを行っている市町村の数と総額についてお答えいたします。
 市町村では特別会計を設けて国民健康保険事業を運営しておりますが、その収支は全体的に厳しい状況にあり、国民健康保険基金の取り崩しや一般会計からの繰り入れで補っている市町村もあります。平成15年度の県内市町村における国民健康保険基金の取り崩し総額は32市町村で約18億3500万円、一般会計からの市町村単独繰入総額は37市町村で約17億8500万円となっております。
 これらの繰り入れ等の大きな要因については、高齢化の進展や医療の高度化などによる医療費の増加のほかに、市町村独自の保険税の負担緩和や収納状況の低迷、さらに収納率が一定基準に満たないことによる国庫支出金の減額等が考えられます。
 以上でございます。

 
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