平成16年(2004年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 6日
平良 長政
 

 護憲ネットワーク県議団を代表して、10月23日に発生した新潟県中越地震で亡くなられた方々に対し心からお悔やみを申し上げます。
 また、今なお7000人近くの住民が避難所や車、テントなどでの不便で不安な生活を余儀なくされており、心からのお見舞いを申し上げ、政府の手厚い支援のもと、一日も早い復興と安定した生活を願うものです。
 それでは代表質問を行います。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、自衛隊のイラク派遣期限延長について。
 ア、イラク暫定政府はイラク全土に非常事態宣言を出し、また陸上自衛隊が駐留するサマワの宿営地付近に9回も砲弾が撃ち込まれているというのに、自衛隊がいるところが非戦闘地域だと強弁する小泉首相。治安悪化の情勢を受けて国民世論も反対に傾き、自民党有力幹部らも慎重な対応を求めたにもかかわらず首相は延長を強行しようとしているが、知事の所見を求めます。
 イ、自衛隊派遣は日本の国益になっていると知事は思われるか。
 (2)、天皇の日の丸・君が代、強制望ましくない発言について。
 ア、東京赤坂御苑で10月28日に開催された秋の園遊会で、教育委員のお仕事、御苦労さまですとの天皇の言葉に答えて、棋士で東京都教育委員の米長邦雄さんが、「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と話しました。それに対し天皇は、「強制になるということでないことが望ましいですね」と発言したと言われております。国旗・国歌問題に関して天皇が発言するのは異例といいます。1999年に施行された国旗国歌法には義務規定や罰則規定はありませんが、都教委は今春、卒業式や入学式で不起立などを理由に教職員約230名を減給や戒告処分、校長ら67人を厳重注意にしています。天皇発言について知事と教育長の見解を伺いたいと思います。
 (3)、沖縄電力株式会社の原発研究について。
 10月15日、沖縄電力の社長が東京都内での記者会見で、原発導入の可能性について社内で検討していることを明らかにし、県内に驚きと怒りが渦巻きました。社民党県連では10月22日に原発の危険性を指摘し、風力発電などクリーンエネルギーの研究開発、実用化こそが現世代が次世代に対して負うべき責務であると検討中止を同社に申し入れました。沖電社員持ち株会に次ぐ第2位の株主――75万3747株で5%――であり、事実上の筆頭株主である県が役員派遣もしている沖縄電力に対し原発導入検討中止を申し入れるべきと思うがどうでしょうか。
 2、基地問題について。
 (1)、米軍基地再編問題について。
 ア、10月13日、「2005年軍事建設歳出及び緊急ハリケーン補正歳出法」が発効しました。そこで、米海外基地見直し委員会の活動が04年12月末から05年8月15日まで延期をされました。知事訪米や公聴会出席等いろいろあると思いますが、このチャンスを県はどう生かすつもりでしょうか。
 イ、大田県政時代に県ワシントン事務所が模索されましたが、野党の理解を得られずとんざいたしました。情報収集やロビー活動などやるべきことはたくさんあると思います。今こそ基地問題の前進のため同事務所を開設すべきと思うがどうでしょうか。
 ウ、山崎拓首相補佐官は11月26日那覇市で講演し、嘉手納統合案の評価等辺野古に固執せず、米軍再編の中で普天間返還を加速させたいとの考えを明らかにし、知事も、私も辺野古に固執していない、変える場合は両政府が新たな形をつくることが重要との認識を示したと報道されました。山崎氏の発言の評価とこれまでSACOの着実な実施を言ってきた知事の発言の変化は何によるものか。また、知事は両政府が新たな形をつくるのを待つのではなく、その過重な負担の軽減の具体策、すなわち普天間基地の閉鎖と海外移設、辺野古移設の中止を県の主張として日米両政府にはっきりと示し要求すべきではないでしょうか。
 エ、知事は、9月定例会で私の一般質問「事故で死者が出た場合、だれが責任をとるのか。知事辞任で済むと考えておられるのか。」に対して、「事故の当事者である米軍と政府は重く受けとめるべき」と答弁しましたが、再度の墜落事故で死傷者が出た場合、8月13日の事故後も閉鎖を訴えない、要求しない知事にも責任があると考えるが、知事の所見を再度お聞きしたいと思います。
 (2)、都市型戦闘訓練施設建設中止について。
 ア、同訓練施設は、住宅地や観光客が行き来する高速道路にも近く、これまでの演習場からの流弾事故も数多く発生していることから住民は大変な不安を抱いており、また観光立県沖縄にも大きな影を落としています。伊芸区民を中心とするゲート前での抗議行動も半年を超えており、県は知事を先頭にもっと強力に日米両政府に対し建設中止を求めるべきと思うが、中止に向けどのような方策を考えておられるのかお聞きしたいと思います。
 (3)、下地島空港の軍事利用について。
 ア、我が党の照屋寛徳衆議院議員の11月4日提出の「下地島空港に関する質問主意書」に対する答弁書で、政府は「パイロット訓練及び民間航空以外の利用が当然に許されないということではないと考える」と述べ、軍事利用を容認する見解を明らかにいたしました。当時の歴史的事情を否定し「屋良確認書」を破棄する権利は国にはありません。県は、歴史的経過を国に説明し、強く抗議し撤回を求めるべきだと思いますがどうですか。
 イ、11月28日、「下地島空港の軍事利用に反対する宮古郡民総決起大会」が平良市で開催され、宮古の市町村長会、市町村議会議長会、商工会、労働組合、高校生、市民を含め約2000名が参加をいたしました。県は、この大会の成功をどう評価し、政府にどう対応されるのか。
 3、三位一体改革について。
 (1)、全体像について。
 「三位一体が聞いてあきれる」(毎日新聞)と酷評された政府・与党の三位一体改革の全体像が11月26日決定されました。本来の三位一体改革は、地方自治の確立に向けた地方分権改革であり、国から地方への権限と財源の移譲で自治体の自己決定の幅を拡大し、自由度を高めて創意工夫に富んだ施策を展開することにあったはずです。しかし、中央省庁や族議員は既得権益を守るため迷走し、「三位ばらばら改悪」になりました。義務教育費国庫負担制度も4250億円を地方へつけ回しし、先送りも多く、多くの課題を残したといえます。全体像に対する県の見解と来年度以降県財政はどうなるか、県財政への影響について見解をお伺いいたします。
 (2)、「沖縄の補助制度に係る特例措置」への必要措置を講ずるとの項が挿入されたことを評価いたしますが、特例交付金の創設や地方交付税等による事業費確保等について県は具体的にどのように要求していきますか。
 4、児童虐待について。
 ア、全国及び本県における児童虐待は増加の一途をたどっています。全国的な児相への相談の内訳は、03年度で身体的虐待が1万2022件、45%、育児放棄(ネグレクト)1万140件、38%、心理的虐待3531件、13%、性的虐待876件、3%であったようですが、県内ではどうでしょうか。
 イ、児童虐待対策として、とりあえず児童福祉司の大幅な増員やコザ児童相談所に一時保護所の設置が緊急に必要と思われますが、次年度に予算措置できますか。
 ウ、宮古と八重山に児童相談所を設置できませんか。
 子どもの権利条例の制定について。
 ア、子供たちを虐待や犯罪やいじめから守るため、子どもの権利条例を制定すべきだと思いますが、どうですか。ことし7月には高知県で制定され、大阪府でも制定を準備していると聞いております。
 5、道州制について。
 11月20日から沖国大で日本自治学会が開かれました。それに参加した政府の地方制度調査会の諸井会長は、沖縄単独州について議論はこれからだが、九州に組み込めばいいということにはならない。沖縄側からこうしてほしいという考えを提案してもらいたい。他県に比べ沖縄はいいものをたくさん持っているので、それを生かしさえすれば自立の可能性は大きいと語ったと報道されました。第28次地方制度調査会の主要テーマは「道州制」です。沖縄側からの提案を待っているということなので議論・研究を急ぐべきだと思います。
 そこで質問いたします。

 (1)、県庁内「道州制検討委員会」の議論はどこまでいっておりますか。
 (2)、九州知事会の議論はどこまでいっていますか。
 (3)、県はいつごろまでに結論を出す予定ですか。シンポジウム等も開催したらどうでしょうか。
 6、海洋資源の開発利用について。
 沖縄周辺海域を含む東シナ海の海洋資源開発問題は、今や小泉首相の靖国参拝と並んで日中対立の火種になるのではないかと懸念をされております。貴重な資源を対立関係ではなく協力関係構築のために活用し、アジア及び世界の経済発展のため両国が協調していくべきであります。
 こうした中、小泉首相は「ASEANプラス3」の会議における記者会見で、東シナ海を対立の海にせず、将来の共同開発に前向きな考えを示したとの報道があります。これは、中国が進めているガス田開発を容認するということではなく、現在日本が進めている資源調査をもとに両方が納得できる新たな共同開発の枠組みの構築につなげていくことでなければなりません。両国の冷静沈着な外交努力に期待するとともに、こうした経緯も含めた情報収集や整理・分析に沖縄側が積極的に取り組むべきだと考えます。
 そこで質問いたします。
 (1)、ラオスでの小泉首相の日中共同開発発言について知事の所見を伺います。
 (2)、サハリン沖開発に関する現地調査等16年度県調査の進捗状況をお伺いいたします。

 
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