平成19年(2007年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 1号 11月27日
決算特別委員長(伊波常洋)
 

 おはようございます。
 喜納昌春議員を初め先ほど表彰を受けられました先輩議員の皆さん、大変おめでとうございました。そして御苦労さまでした。
 過去形ですけれども、勇退しなさいという意味ではないです。また、私たち後輩の議員も先輩たちの背中を見ながら、これからも県民のため、県勢発展のため頑張ることの意を強くいたしました。
 それでは、ただいま議題となりました決算特別委員会の御報告をいたします。
 ただいま議題となりました平成19年第3回議会認定第1号から同認定第23号までの決算23件について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 これらの決算は、平成19年第3回議会において付議されたもので、平成19年10月17日から8日間にわたり委員会を開き審査を行いました。
委員会におきましては、会計管理者、代表監査委員及び関係室部局長の出席を求め、予算の執行が議決の趣旨に沿って適正に合理的かつ効率的に運営され、所期の目的が十分に達成されているかどうかについて慎重に審査を行ってまいりました。
以下、審査の過程における執行部の説明及び質疑の概要等について申し上げます。
 まず、不納欠損処分を行う場合の考え方はどうか、手続はどのように進められるのか、県税の不納欠損の中で時効による不納欠損の割合は幾らかとの質疑がありました。
これに対し、県税等が所定の納期内に納められない場合、督促状の送付、電話での督促、文書での催告及び訪問の上納付を求めるが、事業の失敗や生活苦、所在不明及び滞納処分可能な財産がないなどの場合は、徴税法に基づき滞納処分の執行を停止して3年経過し、納付義務が消滅した場合、もしくは5年の消滅時効が完成した場合のいずれか早い方で不納欠損処理を行っている。
時効による不納欠損率は、県税の不納欠損額が5億7500万円で、そのうち時効完成による額が1億9650万円で、率は約34%であるとの答弁がありました。
 次に、平成18年度から実施している行財政改革プランの改善策及び行革プランとの達成効果について監査委員としてどう評価しているかとの質疑がありました。
これに対し、収入未済額が一般会計で5億5500万円圧縮されていること、県税、使用料、手数料、金融財産等の有効活用を図り、財政の健全化に向けて取り組みを強化していること、行革プランの取り組みで、平成18年度の財政効果として約69億9900万円を達成していることなどを評価しているとの答弁がありました。
 次に、台風被害額に対する災害救助法や被災者生活再建支援法などの制度不備や地方公共団体の災害復旧に関する負担の大きさなどから、国に制度を見直すよう要請する考えはないかとの質疑がありました。
これに対し、国においては災害救助法の見直しを行うための準備を進めており、本県の台風災害に見合うよう支給対象の拡大並びに被害の実態や地域の実情に応じた適用要件の緩和を国に求めていきたいとの答弁がありました。
 次に、権限移譲に関する市町村の要望はどのような内容か、今後どのような取り組みを行う考えかとの質疑がありました。
これに対し、平成17年度に市町村に対して権限移譲事務調査を実施したところ、ほとんどの市町村から移譲を希望する事務はないとの回答を得たが、その中で指定漁法区域内での捕獲許可に関する事務について1つの市から、新たに使用した土地の届け出の受理及び告示に関する事務について1村からそれぞれ移譲希望がありました。
 このため、県から市町村に具体的な移譲可能事務を明示する必要があると考え、ことし3月に市町村への権限移譲推進指針を策定したところである。今後は、この指針に基づき市町村説明会や再調査を行い、積極的に権限移譲を推進していきたいとの答弁がありました。
 次に、離島活性化人材育成事業の中で実施している人材育成プログラムやモデル研修会等の事業内容はどうかとの質疑がありました。
これに対し、離島活性化事業は、平成17年度から内閣府が離島振興に力を入れている事業で、離島の特産品等の商品化並びに情報の発信等で主体的な取り組みを指導できる人材の確保や地域活性化に必要な知識・技能を取得するための人材育成プログラムを開発しているとの答弁がありました。
 次に、本県における地球温暖化対策の達成見通しはどうか、今後どのような取り組みを行う考えかとの質疑がありました。
 これに対し、平成15年度の県内の温室効果ガス排出量は、平成12年度に比べ11.3%の増となっており、地球温暖化対策地域推進計画で定めた平成22年度までの削減目標8%の達成は困難となる見込みである。
 今後は、県有施設などへのESCO事業の導入や自動車のアイドリング規制等により、温室効果ガスの軽減に努めていきたいとの答弁がありました。  
 次に、「健康おきなわ2010」の理念と目的は何か、今後の取り組みはどうかとの質疑がありました。
 これに対し、「健康おきなわ2010」では、県民が健康・長寿を継承し、生きがいに満ちた人生を送ることが大切であるという基本理念のもと、早世の予防、健康寿命の延伸、生活の質の向上、健康・長寿沖縄の維持・継承を目的としている。
 今後の取り組みとして、本年度じゅうに健康おきなわ復活応援団(仮称)を立ち上げ、多くの県民が参加できる推進体制を確立していく考えであるとの答弁がありました。
 次に、農業後継者育成対策事業として、農業大学校で行われている施策にはどのようなものがあるかとの質疑がありました。
これに対し、農業大学校では今年度より多様な人材を確保するため、1年課程の新設、短期コース、短期講座、土日講座及び夜間講座の開設、入学時の市町村長推薦制度の創設、地域や関係機関との連携、入学年齢制限の60歳までの引き上げ等に取り組んでいる。農業大学校在学中には、県内外の先進農家での研修、県内農業法人や先進農家による講座、就農計画の作成、市町村や農業法人、父母等による就農相談会の開催等により就農の促進に積極的に取り組んでいるとの答弁がありました。
 次に、現在の失業率は幾らか、派遣労働者の実態と特徴は何か、正規雇用と非正規雇用の状況はどうかとの質疑がありました。
 これに対し、平成19年8月の失業率は約7.5%で全国の約2倍となっている。
 派遣労働者の実態は、平成17年6月1日現在で派遣先件数は2373件、派遣労働者数は8542人、常用換算の派遣労働者数は4966人、一般労働者派遣事業の常用雇用者は1458人、登録者は6426人、常用雇用者以外の労働者は2850人、特定労働者派遣事業の常用雇用労働者は685人である。
 特徴は、派遣期限が区切られたり、直接事業先で雇用されず就職先及び雇用先が安定していないことである。
 また、正規と非正規労働者の状況は、総務省が5年ごとに実施している就業構造基本調査によれば、県内の正規雇用者は平成9年の31万8000人から平成14年の16万9700人に減少している。非正規雇用者は平成9年の12万3000人から平成14年の16万9700人に増加しており、雇用に占める割合も26.7%から34.4%と7.7ポイント増加しているとの答弁がありました。
 次に、公営住宅整備事業による平成18年度以降の整備計画に臨む基本的な考えは何か、整備戸数及び持ち家の全国比較はどうかとの質疑がありました。
 これに対し、平成18年度以降の公営住宅整備事業の実施に当たっては、住生活基本計画を策定した上で当該計画に臨む考えである。整備戸数は、平成27年度までの10年間に新規建設が約900戸、建てかえによる建設が4100戸、合計5000戸を計画している。そのほか、従来の計画と異なり、建設に係る供給以外に発生する空き家による供給区分枠として約1万1000戸を見込んでおり、これを加えると総計1万6000戸を供給する計画である。
 また、全国の持ち家比率は61.2%で、本県は52.3%であるとの答弁がありました。
 次に、工業用水道施設の利用状況及び今後の取り組みはどうなっているかとの質疑がありました。
 これに対し、工業用水道等の施設能力は日量3万トンであるが、工業用水を必要とする企業立地が進まなかったこと、企業の水利用の合理化が進んだことなどにより、平成18年度の実給水量は日量約1万4000トンで、施設能力の50%に達しない状況にある。

 今後の取り組みとしては、観光商工部において企業誘致を促進するとともに、現在布設されている工業用水道の管路沿線の企業などへ戸別訪問等を行い、利用促進のPR活動を推進していきたいとの答弁がありました。
 次に、地方公営企業法の全部適用による効果は何か、今後の見通しはどうかとの質疑がありました。
 これに対し、平成18年4月1日から地方公営企業法の全部適用を受けたが、効果としては、人事や組織改編等広範囲な権限が知事から移譲され、医療環境の変化や経営状況への迅速かつ柔軟な対応が可能となったこと、職員の経営意識が向上したこと、病院現場職員の目の輝きや動きが変わったように感じられるとのことが挙げられました。
 今後の見通しとしては、県民に必要な医療を将来にわたって適切かつ安定的に提供するため、さらなる改革が必要であると考えているとの答弁がありました。
 次に、今回の全国学力調査で本県が全国最下位となった原因は何か、今後の取り組みはどうかとの質疑がありました。
 これに対し、本県が最下位となった理由として考えられることは、今回の全国学力調査で無回答率が本県は全国平均の2倍となっているが、粘り強く最後まで回答しようとする態度や意欲が欠如していることや、あわせて実施された学習状況調査で、全く勉強しない生徒の割合が中学生で全国平均に比べ本県は4%高いことなどである。
 今後は、ことし12月までに有識者、大学教授、現場の教師及び行政等から構成される学力検証改善委員会を立ち上げ、これまでの学力向上対策の成果や課題について検証の上、見直しを行うとともに、具体策を検討していきたいとの答弁がありました。
 次に、去る10月14日、那覇市辻の歓楽街で発生した火災の状況と原因はどうか、当該店では売春行為が行われていたのかとの質疑がありました。
 これに対し、10月14日午後7時34分ごろ、那覇市辻の風俗店アイドルの従業員待機室付近から出火し、従業員1人が死亡、経営者の男性と別の女性従業員の2人が意識不明の重体、従業員4人と客2人が軽傷を負い、営業所は半焼した。火災は同日午後8時34分ごろ鎮火した。その後、重体の女性従業員が10月18日に、経営者が10月19日にそれぞれ死亡している。火災の翌日の10月15日に警察による実況見分が行われたが、出火元は従業員待機室の中であるとの結果が出ており、現在、関係者に対し事情聴取と捜査を進めている。
また、本件は当事者の死亡により、火災の原因と売春行為の有無を直接確認することが困難であるため、他の従業員や関係者から事情聴取を行って実態解明ができるよう捜査を継続しているところであるとの答弁がありました。
そのほか、米軍航空機騒音被害問題の現状と対策、財政健全化に向けての課題及び対策と今後の見通し、沖縄振興計画前期の成果と実績、環境アセスメントの手続と現状、障害者自立支援法施行後の現状、さとうきびの新たなる政策支援の現状、観光客の受け入れ体制の現状と課題、都市モノレールの延長問題、企業局の経営状況、宮古病院・八重山病院の老朽化問題、中途退学者問題、飲酒運転の現状と課題などについて質疑がありました。
 以上が委員会における質疑の概要でありますが、採決に先立ち、平成19年第3回議会認定第1号、同認定第20号及び同認定第21号については、共産党所属委員から認定できない旨の意見表明がありました。
 平成19年第3回議会認定第20号の採決に際し、護憲ネットワーク所属委員は退席いたしました。
 採決の結果、平成19年第3回議会認定第2号から同認定第19号まで、同認定第22号及び同認定第23号の20件は、全会一致をもって認定すべきものと決定し、同認定第1号、同認定第20号及び同認定第21号は、多数をもって認定すべきものと決定いたしました。
以上、審査の経過及び結果を申し上げましたが、よろしく御審議のほどをお願い申し上げまして報告を終わります。

 
20070401010080