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平成15年(2003年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 7月 4日
國場幸之助
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6の映像産業の振興から質問に入りたいと思います。
本日冒頭で渡久地健議員も触れておりましたが、昨晩から連続ドラマ「Drコトー診療所」がスタートしました。
このドラマは、フジテレビ開局45周年テレビドラマに位置づけられていて、番組のほとんどが与那国島で撮影されています。私も原作──原作はヤングサンデーの連載漫画ではありますけれども──を読みましたが、大いに感動しました。満足な設備もない離島で医療に従事する一人の外科医が主人公なのですが、生命、家族、自然との共生、そして生きることの本当の意味とは何かを問うこの物語は、スケールの大きさと奥行きの深さで間違いなく高い人気を博すると考えております。テレビではこれから3カ月間、11回の放送予定となっております。
フィルムオフィスは開設から短期間で多くの成果を上げているようです。このドラマが与那国でのロケを行ったのも関係者の御尽力のたまものであると考えます。与那国だけじゃなく、八重山地域全体の観光誘客の拡大につながると私は確信をしております。フィルムオフィス事業を今後とも力強く推進していただくことを強く要望し、以下質問をします。
(1)、フィルムオフィスは県の補助事業でコンベンションビューローに委託しているが、予算の継続性はこれからもありますか。
(2)、将来、同事業が軌道に乗れば一部またそのすべてを民間に委託する考えはあるのか。また、事業の領域をどこまで考えているのか。
(3)、世界のフィルムコミッショナーが参画するAFCIは、観光誘客のマーケットをアジアや海外に展開できるなどはかり知れないメリットがありますが、県は加盟する考えはあるのか。予定があるとすればいつごろか。また、国内で加盟しているオフィスは幾つあるのか。
(4)、許認可業務の進捗状況は、実際に要望はあったのか、撮影許可がおりなかった事例はあるのか。
続きまして、沖縄科学技術大学院大学に関して質問をします。
資源も乏しく国土面積も狭い日本にとって、従来の重厚長大な製造業だけでなく、知識集約型産業の振興と高度な人材の育成は国の生存にかかわるテーマであります。中でも最先端の科学技術の振興とその研究成果を技術移転し、企業の育成に努めることは短期的な景気回復以上に国や地域の命運を左右する課題であります。ぜひとも沖縄科学技術大学院大学構想の成功を目指し、最優秀な人材の招聘とサイエンスパークの整備を同時進行でもって推進していかなければなりません。
では、世界最高水準の大学院大学が沖縄に設置されることの恩恵は何なのか。抽象的な夢物語ではなく、政治や行政は県民に対し正確な言葉で説明する責任があると思います。
ことしの春まで南部、中部、北部に分かれて熾烈な誘致運動が展開されていました。結果として恩納村に決定されましたが、この計画が沖縄本島の圏域別の振興ではなく、また東京から見た沖縄への地域振興でもなく、まさに日本の科学技術力強化の切り札となるような事業であると位置づけている以上、県民・国民が一丸となって盛り立てていくことが大切であります。
大学院大学の設置が即地域に対し経済効果を生むことはありません。産学官連携のもとでの新産業の創設なども言及されておりますが、スタンフォード大学がシリコンバレーの誕生まで100年近い歳月がかかったのをかんがみるに、短期間でノーベル賞研究者が誕生し、ベンチャー企業が集積するというのも期待できません。
では、大学院大学と県民との接点はどこにあるのか。
私が最も期待するのは、世界最高水準の科学技術大学院大学を目指す動きと連動して、ありとあらゆる世界最高水準のものが求められてくる動きであり、流れであります。住環境、医療、景観、レジャー施設、労働環境、サービス、都市計画、ひいては沖縄そばやタコライス等がすべて世界最高水準のものを追求し始めたときに、沖縄は真にグローバル化したと言えるでしょう。特に子弟の教育環境を世界最高水準のものにすることは、大学院大学構想そのものよりはるかに地域に対する恩恵、波及効果は高いと考えます。
そもそも大学院大学で研究されるノーベル賞級の研究内容は、一般県民とどのような関係があるのでしょうか。誤解を恐れずに言うと、短期的には直接的な恩恵は見えにくい、少ないと考える方が健全であります。研究成果が地域に還元され、企業の集積が図られる、そしていつの日か沖縄の青年が大学院大学で研さんを積みノーベル賞を受賞する。目標としてはすばらしいですが、遠い将来の話であります。地道に粘り強くサポート体制を確立し、莫大な予算とエネルギーを投入し続けなければたどりつける領域ではありません。
しかし、子弟の教育現場というものは待ったなしであります。子供たちの教育期間は、小学校6年、中学校3年、高校3年の12年間、いち早く最高の教育環境を確立すれば子供たちを最高の環境で学ばせたいから沖縄に来たという研究者が出てくるかもしれません。大いに戦略と知恵を絞るべきであります。
大学院大学に能力を度外視した沖縄県人枠を設けるというのは、研究レベルを下げる弊害以外に何もありませんが、事子弟の教育機関に沖縄の子供たちを入学させることに対しては大いに門戸を開放してもらいたい。授業はもちろんすべて英語であります。さらに沖縄の子供たちだけではなく、米軍の軍人・軍属、その家族の子供たちにも枠を開放し、ひいては日本本土やアジア、世界の子供たちにも入学の枠を開放してほしい。この構想が具現化できれば沖縄は変わります。まず沖縄の子供たちの未来を真剣に考えた教育システムのあり方を問い直す契機にもなります。
教育現場の崩壊というものは日本だけの現象ではありません。知識、身体、情操教育がバランスよく確立したシステム、そして世界でも最低ランクと言われております日本人の英語力にも多大な貢献をするでしょう。また、何の偏見もない子供たちが人間として各国の研究者の子弟などと触れ合うことも貴重な体験であります。国際人とは、外国人の信用をつくる力と言いかえても過言ではありません。さらには世界最高水準の大学院大学の附属幼稚園、小学校、中学校、高校で学園生活を送れば必ず知力も磨かれた子供として成長していきます。
課題としましては、入学の際の選抜方法や学業途中で通常の小・中・高に戻れるのかとか、地元の教育庁の連携等さまざまなものがありますが、世界最高水準の大学院大学を目指すと同時に、そこに付随する教育環境を沖縄が独自のアイデアと構想として具現化することが真の自立ではないでしょうか。
そもそも沖縄科学技術大学院大学構想の源流は、国際都市構想計画、沖縄経済振興21世紀プランにも見ることができます。オリジナルは沖縄の方にもあったのです。ただそれを具現化していく政治の力と契機が沖縄の方にしばらくなかった。沖縄の未来は沖縄県民の知恵と力の結集でもって実現していく、この点も問われているのではないでしょうか。
以下、質問をします。
1、大学院大学について。
(1)、世界最高水準の子弟の教育環境づくりについて。
(2)、大学院大学の正確な認識について。
ア、大学院大学事業の成功を定義してください。
イ、成功へのスケジュールを明確に示してください。そのプロセスで県の果たすべき役割は何でしょうか。
ウ、県民へのシンポジウム等による啓蒙活動の実績とこれからの予定は。
(3)、予算に関して。
ア、平成16年度の予算獲得見通しはどうか。
イ、細田大臣の沖縄振興費の別枠として大学院大学の予算を獲得するという発言の真意を明らかにしてください。
ウ、周辺整備費及び200億の運営費は国が責任を持つんでしょうか。
エ、財団設立の進捗状況は。
オ、将来を含めて何らかの県の負担はあり得るのか、決意を聞かせてください。
(4)、国内の他の大学院大学の状況について。
ア、文部科学省は、内閣府事業の大学院大学をどのようにとらえているのか。協力体制、連携はうまくいっているのか。
イ、ノーベル賞級の研究者はアメリカを中心とした欧米諸国に集中し、日本の高等教育、研究施設そのものが海外への頭脳流出等により問題点として科学技術白書で毎年指摘されている中、いかなるインセンティブで日本国内の他の大学院大学等の高等研究機関ではなく、沖縄に世界最高水準の人材を集積させるのか。
ウ、文部科学省が推進する「世界最高水準の大学づくりプログラム──国公私「トップ30」──」は、目指す方向性として沖縄新大学院大学と何が違うのか。
2、地位協定の改定について。
「十字路周辺は、さながら戦場の様相を呈していた。騒ぎはすでにコザ全市へひろがり、集まった群衆の数は数千をこすものと思われた。 彼がそこに見た光景は、ほとんど信じ難いものであった。何十台という米人車輛が次々にひっくり返され、火を放たれていた。逃げまどう米兵があちこちで袋だたきにあっていた。路上は一面、ガラスの破片と、石ブロック、棒切れの散乱。歩道はそのため、抜きとられた石の穴だらけ。夜空に吹きあげる火の粉と火柱が地獄絵のようで、文字通り阿鼻叫喚の巷であった。」。
コザ暴動を描いた伊佐千尋さんの「炎上」からの引用です。
小説は、その後、当時の大山市長の言葉でこのようにつないでおります。「そのありさまは、むしろ壮観ですらありました」、「私はそこに、25年間の、県民の積もりに積もった”怨念”が燃えるのを見た思いです」と。
翌日、昭和45年12月21日の地元紙を見てみると、起こるべくして起こった出来事、よくやったという論調が目立ちます。特定のリーダーが扇動したわけではなく、無名の群衆が自然発生的に怒りの炎を連鎖的に爆発させたわけであります。
地位協定改定論議の根底に流れるのは不平等、人権じゅうりんに対する民衆の怒りです。民衆の意識にそぐわない社会システムはいつの日か必ず崩壊をします。知事は、対日交渉の際にコザ暴動事件に触れたことはありますか。
我が琉球民族・日本人は怒りのマグマを確実に蓄積をしており、いつ爆発するかわかりませんよと。政治は歴史を教訓とした危機管理であるということは日本政府もアメリカ政府も知っているはずですから、以下、質問をします。
(1)、全国行脚の進捗状況は。
渉外都道県知事会の知事や議長との対話の中で、温度差がある改定要求項目と共有できる項目にはどのようなものがあったのか。
(2)、改定論議が長年日米両国政府の外交交渉の項目にすら挙がっていない現実を踏まえれば、県の改定要求項目にプライオリティーをつけるべきではないのか。全国行脚の行動過程で最優先で改定を求めなければならない部分も見えてきたのではないか。特に、日米合同委員会への自治体の代表者参画等、知事や自治体の存在を重んじる改定項目は共通認識を得やすいと考えられるので前面に打ち出すべきではないのか。また、他国のケースはどうですか。
3、中部の観光資源の開発、有効活用、産業化について。
沖縄振興計画によると、中部圏域の課題として「地域の創意工夫により、恵まれた立地条件、特色ある歴史・文化などの地域特性を生かした安らぎと潤いのある地域づくりを促進する」と記述されております。基本方針としては、健康・長寿、国際交流リゾート、コンベンション、都市型リゾートと言葉が並んでおりますが、つまり域内にどれだけ多くの訪問者、訪問客、消費者、広い意味での観光客を集客することができるのかどうかで地域振興の成否が決定すると言っても過言ではありません。
(1)、中部観光で観光客吸引力が最も高い観光資源は何なのか。また、その資源に対し、県はどのように関与してきたのか。同地域の文化、伝統、風土等が観光資源の開発、活用、産業化に資している分野があれば明らかにしてください。
(2)、観光産業に従事する県内の人材、中でも中部地域の人材は有効活用されているのか。自然発生的に待つのではなく、戦略的に観光を担う人材の育成、招聘を県は行ってきたのか。自然観光分野と文化観光分野に分けて明らかにしてください。
4、新型肺炎(SARS)について。
9・11テロの際、風評被害なるもので沖縄観光は大打撃を受けました。その際、沖縄への激励ツアーを我々県民はとてもうれしく思いました。観光産業は平和産業であると同時に、究極の外交手段でもあります。今こそ台湾や香港との関係回復、信頼強化に努めていただくことを要望し、質問をします。
(1)、県台湾事務所、香港事務所は、SARSショックの一連の過程でいかなる動きをしていたのか。迅速かつ正確な情報提供と対応策を行っていたのか。
(2)、SARSの初期症状は普通の風邪と見分けがつかないケースが多く、患者本人も最初は普通の医療機関に向かうと考えられる。一般病院の院内感染の対策は十分でしょうか。また、SARSの疑いが持たれた際に、迅速に一般の医療機関と県立病院や琉大などの大病院との連携体制は整っているのか。
(3)、保健所や県立病院に寄せられるSARSに関する相談件数や診断件数はそれぞれ幾つか。
(4)、公文書と口頭による渡航自粛は台湾側からの反発を招いたようだが、その後、県との関係改善において何がなされてきたのか。
5、大那覇空港の建設について。
先月の17日、那覇空港拡張整備促進連盟の2003年度総会にて、連盟の新会長が稲嶺知事から仲井真県商工会議所連合会会長に引き継がれました。稲嶺知事の会長在任中の働きは目覚ましいものがあったと思います。交通政策審議会航空分科会の最終答申に那覇空港の拡張整備の可能性を盛り込ませ、国土交通省により総合調査事業費を約30年の歳月をかけて初めて獲得しました。数十年にわたるこれだけのメガプロジェクトを形にしていくためには絶えず先人たちの志と意義を理解し、たいまつを引き継ぐリーダーがいなければなりません。知事を初めとした県担当職員、促進連盟のメンバー、関係者各位に心から敬意をあらわしつつ、以下お尋ねします。
(1)、那覇空港拡張整備促進連盟の会長が知事から商工会議所連合会会長にかわり、促進連盟事務局も県から商工会議所連合会に移ったが、このことが早期の沖合展開の実現にどのように結びつくのかを明らかにしてください。
(2)、国による那覇空港の総合的調査の進捗状況は。
(3)、日本の公共事業は大変厳しいです。その中で県は沖合展開の実現が果たすべき役割をどのように考えて国との予算折衝に努めていくのか。
(4)、関係市町村とどのような連携体制をとっていくのか説明してください。
(5)、国土交通省の着陸料の軽減措置を那覇空港にも適用されるんでしょうか。
7、情報通信産業の振興について。
県は、情報通信産業を観光と並ぶ最優先の戦略産業に位置づけました。そこで取り組み状況を最新の立地企業数、新規雇用者数、そしてIT高度化人材育成事業、通信コスト低減化の成果に言及しつつ明らかにしてください。
我が党の代表質問に関連して質問します。
市町村合併について。
2005年3月までの時限立法となっている合併特例法は、延長しないことが前提でありますが、経過措置も検討されております。その内容を明らかにしてください。
「第27次地方制度調査会」において「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」で、合併後の旧市町村単位の自治のあり方について提言がなされているが、その概要と県内で参考になる箇所があるかを説明してほしい。特に、離島地域の自治としてはいかなる内容か。
また、合併に当たり離島に点在する小中学校の再編はあり得るのか、答弁をお願いします。
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20030207040020