平成15年(2003年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 2月24日
警察本部長(髙橋清孝)
 

 治安の安全について、まず最近の犯罪形態の状況についてでありますが、県内の昨年中における刑法犯の認知件数は2万5000件を超え、5年連続最悪の記録を更新するなど量的に大きくふえております。内容的にも、従来の犯罪のほかにストーカー犯罪やドメスティック・バイオレンス、いわゆるDV事案、ハイテク犯罪等新たな形態の犯罪も増加しております。
 ストーカー事案は、平成12年の法施行後、昨年末までに818件認知したほか、DV事案も一昨年の法施行後、昨年末までに365件受理しております。
 ハイテク犯罪は、昨年11件検挙したほか、ハイテク犯罪等に関する相談件数も昨年は286件と対前年比で倍増しております。
 また、少年事件も昨年発生した実兄殺人事件や、高校生など4名による集団暴行致死事件のように悪質、凶悪化、低年齢化が顕著であります。
 このような犯罪情勢を反映して留置人の数も増加し、昨年は3573人で前年比617人の増加、平成6年との比較では倍増しているほか、警察安全相談も昨年は1万17件と前年比2433件、32%増加するなど警察業務は量的に増大し、質的にも大きく変化してきている状況にあります。
 次に、犯罪検挙の状況についてでありますが、昨年の刑法犯検挙件数は4694件と前年と比べ574件減少しましたが、検挙人員は3834人で前年より490人増加しております。
 なお、検挙率については殺人、強盗などの重要犯罪の検挙率は69%でありましたが、刑法犯全体の検挙率は18.3%と大変厳しい状況になっております。
 検挙率低下の要因としては2つの側面が考えられます。1つは、検挙率の分母である犯罪の認知件数が国民の規範意識の低下や地域社会の連帯感の希薄化などにより大幅に増加していることであります。
 もう一つは、分子である検挙件数が認知件数の増加によりその対応に追われ余罪の捜査にまで手が回らないこと、犯罪の組織化や国際化などで必要な捜査負担が増加していることなどにより低下していることであります。
 なお、全刑法犯の検挙率という数字は、重大な犯罪である殺人も検挙1件、比較的権利侵害の度合いが低い犯罪も同様に1件として計上される点に留意する必要があるというふうに考えております。
 それから対策としましては、県警として「身近な犯罪抑止総合対策」に基づき犯罪発生実態の分析に基づく犯罪多発時間帯・場所に警察官を集中配置し検挙・抑止活動を推進するとともに、県民の自主防犯活動の推進に資するための犯罪情報の発信などの施策を強力に推進するほか、捜査支援システムの活用、科学捜査力の強化など警察装備の充実を図り、検挙向上に努めているところであります。
 次に、警察官OB等を活用した防犯サポート体制についてでありますが、先ほど説明しましたとおり、非常に厳しい犯罪情勢を踏まえて県警としましては犯罪の抑止と検挙に全力を挙げているところでありますが、警察のみで犯罪を抑止することは困難であり、関係機関・団体、ボランティア等との連携が不可欠であると考えております。
 そこで、警察官OBには現職時代に培った専門的な知識を生かし、現在交番相談員として13人、警察安全相談員として10人活動してもらっております。そのほかに、毎年増加傾向にあります留置管理業務のうち、被留置人の衣類の洗濯等の業務についてその支援要員3名を新たに警察署に配置するよう来年度予算案に計上しているほか、沖縄県緊急地域雇用創出特別事業計画の一環として少年、生活
安全、交通関係の業務について支援要員を活用しているところであります。しかしながら、まだまだ支援体制は十分とは言えませんので、今後とも引き続きその拡充について検討していきたいと考えております。
 最後に、警察官の増員計画についてであります。
 警察庁におきましては、犯罪の著しい増加や新しい治安課題の出現及び国民に身近な犯罪の増加など、治安情勢が全国的に悪化していることから、平成14年度から16年度までの3カ年で地方警察官約1万人増員することを総務省と合意しております。平成14年度は45の都道府県で4500人が増員され、平成15年度は31の都道府県で4000人の増員が認められております。その中で県警では、知事や県議会の御支援により平成14年度は50人が増員され、平成15年度も引き続き110人の増員が認められたところであります。平成16年度につきましても、県内の治安実態を踏まえ、引き続き増員の要請をしていきたいと考えております。
 なお、増員された分につきましてはその効果を最大限に生かし、県民生活の安全・安心を確保する活動に邁進していきたいと考えております。
 以上です。

 
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