平成19年(2007年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 9号 3月 1日
吉田 勝廣
 

 こんにちは。
 仲井眞知事になって、この議場が非常に討論がしやすくなったというか、野党の皆さんは追及型から提案型になって、非常にこれからの沖縄をどうするかという議論に一歩一歩近づくような感じがします。
 私は、青春のころ、亀井勝一郎という哲学者というか社会評論家といいますか、あの本にほれ込んでおりまして、そのときに、いかなる人の言葉にも必ず真実があるんだと。その言葉に正しさがあれば自分のものとせよというようなことを思い出しました。そういう意味でぜひ仲井眞知事、本議会で議論される、あるいはたくさんの県民の皆様からいろんな要請を受けると思いますけれども、そういう気持ちで取り組んでいただければいいなと思います。
 それから、私はミニスカート問題で現教育長といろいろ議論しましたけれども、もう退職されるようでありますから、それはまた次の教育長と一緒になって、どうも小さなことではあるけれども大きな課題だなと思いますから、それはまた継続して取り上げてみたいと思います。
 「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」、石川啄木です。
 私はそこをもじって、「働けど働けど 我が暮らし楽にならざり じっと財布を見る」、ワーキングプア。
 市場経済主義の中でリストラ、配置転換、賃金カット、非正規労働者等が増大し、持てる者と持たざる者との差が拡大し、世の中はいざなぎ景気を超えたと政府は発表しているが、国民には好景気感の実感はない。それどころか、国民はますます格差が拡大していることを肌で感じている。
 都市と地方の経済格差、大企業と中小零細企業との企業間格差、正規労働者と非正規労働者との所得格差が生じた。
 また、職場には正規労働者、派遣労働者、請負労働者、パート・アルバイト等、少なくとも5社以上の会社の労働者が働くことになり、職場環境が悪化していることも報告されております。このままの状況が続くとすれば、地域にも教育現場にも分別された階層ができるかもしれません。アメリカは、以前からその現象があらわれております。
 90年代に政府は、国際競争力に勝つためにとのにしきの旗のもとに大企業に公的資金を投入、派遣労働者法等の改正など、規制緩和、減税、低金利を実施してきました。そして、平成元年4月1日の実効税率49.99%から、平成10年、平成11年と順次に切り下げ、平成16年度には39.5%と、この16年間で10.45%を下げました。確かに銀行も大企業も元気が出ました。
 今や企業の利益は、平成16年度の全産業の経常利益は前年度比23.5%増の45兆円と増加し、平成バブル期のピークの平成元年度39兆円を上回って過去最高を記録しました。
 また、平成18年度にも引き続き経常利益は20%と増加し、3期連続過去最高を更新したと日経新聞は報じています。よいことではありますが、その一方で、社会的弱者には老年者控除の廃止、定率減税の廃止、配偶者特別控除の廃止、個人住民税の見直し、社会保障費の負担増など、負担を強いているところに腹立たしいこともありますが、それがまた社会問題を引き起こしている要因にもなっております。
 しかし、こうした格差が生じているのにもかかわらず、政府も、政府に近い研究者も、90年以降の格差は、人口の高齢化の要因を除去すれば格差は拡大していないと主張し、強弁を繰り返していた。
 これに対して、長年この問題を研究していた学者は、時系列的に多くの指数を分析し、格差が拡大していることを発表していた。
 名桜大学の宮平教授は、正社員とパート・アルバイトの単位時間当たりの賃金格差は60%から75%とし、年齢が低いほど差が低いとしている。また、生涯賃金は正社員の4分の1であるとも分析をしております。
 内閣府経済社会総合研究所の太田清研究員は、「フリーターの増加と労働所得格差の拡大」の論文で、労働所得の格差は97年以降拡大し、特に非正規雇用の増加は若年者であり、その拡大のテンポが速いとしている。その結果、太田氏は、若年者が早急に職業能力を身につける機会をぜひとも確保する必要があると指摘をしております。
 沖縄の現状は、所得で200万、本土の70%前後、賃金で本土より10万円前後低く、最低賃金制度で本土で最低の610円、8時間働いて4880円、20日働いて9万7600円である。
 失業者は約8%と本土の2倍。また、最近の国勢調査によれば、市町村の平均年齢別失業者の割合は、15歳から19歳までが30から35%、20歳から24歳までが20%前後、25歳から29歳までが16%前後、30歳から34歳までが11%前後で、本当に厳しいものがあり、これは恐るべきことであります。
 また、早婚、貧困、離婚と全国一の離婚率であり、重大なのは離婚後の子供の処遇であります。公共、認可保育所と認可外保育所との1人当たりの公共支出の差は、年間約68万円であります。また、全国生活保護世帯の生活保護世帯率は全国8位であります。
 しかし、こういう中にあっても、琉球新報の報ずる「家族のかたち 結び合う心ときずな」で紹介されている人間模様は、心に響くものがあります。多くの人々の無心の善意がこうした多くの人たちを支え、また家族が、兄弟が支え合う姿に感動し、ほっとするものであります。そして読むたびに、政治や行政は何をしてきたのか、自省もするし、歯ぎしりもいたします。
 私は、こうした問題解決のために仲井眞さんを支持し、応援をしてまいりました。沖縄県民137万人のリーダーとして三役及び幹部職員の皆さんと一緒になって、全力を挙げてこのような問題解決のために頑張っていただきたいと思います。
 以下、質問いたします。
 1、経済振興について。
 知事は、所信表明で「経済の自立なくして沖縄の自立なし」との強い決意で、産業の振興と雇用創出の確保を図ることを宣言したが、(1)、経済の自立とはどういう状態を指すのか伺う。
 (2)、沖縄の自立とはどういう状態を指すのか伺う。できれば経済諸指標や財政諸指数を活用して明示していただきたい。
 (3)、県経済の72年代、82年代、92年代、2002年代、2006年代の特徴を伺う。
 (4)、これまでの沖縄県の経済の自立及び産業振興の阻害要因を例記して、今後の解決策を伺う。
 (5)、県経済の県内総支出額を平成2年から時系列的に明示し、九州各県、都道府県平均と比較してどうなっているかを伺う。
 2、沖縄振興計画について。
 沖縄振興計画が施行されてから35年目を迎える。政府はこれまで8兆845億円を措置され、沖縄振興開発に大きな役割を果たしたが、(1)、第3次沖縄振興開発計画の展望値と達成度について伺う。
 (2)、沖縄振興計画の後半がスタートしているが、これまでの展望値と達成度及び今後の見通しについて伺う。
 (3)、沖縄振興計画は、2012年3月までの時限立法でその効力を失うが、これまでどおりの沖縄振興特別措置法の延長でいいのか。また、新たな法改正でいくのか伺う。
 3、沖縄振興特別措置法について。
 (1)、沖縄振興特別措置法の特徴は、高率補助と優遇税制である。そして金融上の特別措置については沖縄振興開発金融公庫が担っている。政府は、1972年から2006年の34年間で公共事業費7兆4675億円を措置した。そのうちの30%から35%の高率補助のかさ上げ分が2兆3000億円と言われている。
 そこで伺う。
 ア、沖縄県が受けたこれまでのかさ上げ分は幾らか。
 1、土木建築部、2、農林水産部、3、教育委員会、4、文化環境部、5、福祉保健部、6、企業局、7、病院事業局。
 イ、市町村分は幾らか。
 ウ、政府の財政危機に伴う補助率等の改正で、高率補助も改正されたと判断するが、その主なものを例記し、それにどう対処してきたのか伺う。
 エ、三位一体改革の中で、国庫支出金(補助金)の一般財源化への方向性は加速すると判断する。県は、高率補助のかさ上げ部分を一般財源化ないし地方交付税等への計上を早急に政府や関係者に働きかけるべきだと考えるが、知事の見解を伺う。
 オ、国庫支出金等のメリットとデメリットについて伺う。
 カ、沖縄振興開発特別措置法の法案提出の趣旨説明の中で、「本土からの遠隔の地にあり、多数の離島から構成される多数の不利な条件に深い思いをいたし」と、当時の山中沖縄担当大臣は説明をしたが、この不利な条件を克服するためにどのような特別措置が講じられたのか伺う。

 4、格差問題について。
 (1)、格差の原因について、有識者は、1、90年代以降のバブルの崩壊で、リストラ及び非正規雇用の増大、2、小泉総理による規制緩和と競争原理の導入、3、累進課税等の税制の改正、4、社会保障費の増大等を挙げているが、そこで伺う。
 県内の過去5年間における、ア、ニート、非正規雇用の推移、イ、生活保護世帯の推移、ウ、預金者の比率、エ、非課税者の比率、オ、貧困率はどうなっているか伺います。
 5、沖縄県の所得と賃金について。
 県民所得は47位と全国最下位で推移し、労働者の賃金も本土との格差は大きい。
 そこで伺う。
 (1)、過去5年間の県民所得と全国平均との比較。
 (2)、過去5年間の最賃の額及び8時間掛ける20日の額と全国平均との比較。
 (3)、過去5年間の5人以上の従業員の平均賃金と全国平均との比較。
 (4)、過去5年間の30人以上の従業員の平均賃金と全国平均との比較。
 6、公立保育所入所児、及び認可保育所児と認可外保育施設入所児との格差是正について。
 (1)、平成18年10月13日の本会議で、格差是正に関する要請決議を行ったが、その後の県の施策について伺う。
 (2)、公立保育所、認可保育所と認可外保育施設の入所児1人当たりの公的助成額は幾らか。格差の額は幾らか。
 (3)、学童保育に対する過去5年間の助成金の推移と、児童1人当たりの助成金の額は幾らか。
 7、県立北部病院附属安田診療所の存続について。
 (1)、安田区民は、安田診療所の存続の意義、診療所が課している社会的役割を冊子にまとめている。その中で当診療所の役割の大きさを説明している。このような切実な要請を受けて、県は安田診療所存続についてどう判断しているか伺う。
 8、ヘリパッド建設について。
 高江区民は、ヘリパッド建設に反対しているが、県の対応について伺います。
 以上であります。

 
20070109080020