平成17年(2005年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 2月25日
文化環境部長(屋嘉部長市)
 

 温泉取水地域における規制区域についての御質問にお答えをいたします。
 県では、当該温泉利用事業者から平成13年6月、温泉法に基づく掘削許可申請があった際に平良市長に対し意見の照会を行っております。平良市長から、宮古島地下水保護管理条例との調整も必要であるとの回答があったことから、当該温泉利用事業者に対し同条例に基づく手続を行うよう指導しております。
 なお、同回答には、「宮古島水道水源保護条例」との調整について意見はありませんでした。当該温泉利用施設の温泉取水地域が「宮古島水道水源保護条例」に基づく水源保護地域内にあることがわかったのは、平成16年10月に宮古島上水道企業団から地下水の保全についての相談があったときであります。
 なお、当該温泉利用施設は、水源保護地域内における規制対象事業場には該当しないと承知しております。
 次に、合併浄化槽で塩素イオンが除去できるか、温泉排水を地下浸透することは合法か、水質検査回数等検査結果について一括してお答えをいたします。
 合併浄化槽は、台所や浴室などの生活排水とし尿をあわせて処理するもので、微生物の働きを利用して排水中の有機物を分解し浄化する施設です。しかしながら、微生物は塩素イオンを除去する能力を有していないため塩素イオンは除去できないものと考えております。
 なお、浄化槽法では浄化槽で処理した処理水の放流先に関する規制はありません。浄化槽管理者は、浄化槽法第11条に基づき年1回指定機関の検査を受ける義務があり、その際に水素イオン濃度、溶存酸素、透視度、残留塩素濃度などの水質検査が行われます。
 当該合併浄化槽に関する検査結果によると、排水の水質は水素イオン濃度が7.2、溶存酸素が5.0から7.0ミリグラムパーリットル、透視度が30度以上、残留塩素が0.2ミリグラムパーリットル以上となっており、この水質は国が示した望ましい水質の範囲内におさまっております。
 温泉排水の法的規制についてお答えをいたします。
 水質汚濁防止法に基づく特定施設から公共用水域へ水を排出する場合は、同法で定める排水基準が適用され、生物化学的酸素要求量などの生活環境項目のほか、健康項目のカドミウム、鉛など27物質が規制の対象となっております。塩素イオン濃度はこれらの項目に入っておりません。
 なお、当該温泉施設につきましては、同法に基づく特定施設でないため排水基準の適用はありませんが、県としましては公共用水域の水質保全を図る観点から同法の排水基準に準じた取り扱いが望ましいと考えております。
 次に、地下浸透が行われていることについて、県の認識についてお答えをいたします。 当該温泉利用施設からの温泉排水は、現在、浄化槽処理され地下浸透されておりますが、当該温泉排水に関しては現行法での規制がないことから対応に難しい面があります。温泉排水の地下水への影響については、宮古島上水道企業団によれば、当該温泉利用施設に近い井戸では温泉排水の影響があるが、同企業団が平成17年2月15日に実施した水質検査の結果によると、温泉排水の影響があるとされる井戸について塩素イオン濃度が急激に低下している状況が見られます。このことから調査が継続されていくことが重要であると考えています。
 温泉利用事業者においては、現在、県等からの指導等を受け、温泉排水を地下水流域外へ放流するための対策を検討中であると聞いております。県としては、今後、水質検査の結果や地元の対策委員会の動向及び温泉利用事業者の意向等を踏まえながら適切に対応していきたいと考えております。
 次に、廃棄物処理法違反についての御質問にお答えをいたします。事件の経緯と県の対応、不法投棄事件の詳細な説明についてでございます。一括して答弁をいたします。  
 県としては、平成16年11月ごろから当該事業者に対し、使用済み自動車の破砕行為等は自動車リサイクル法上の無許可営業に該当する旨の指導を行っておりましたが、当該事業者は指導を無視し、みずからの事業場において大量に使用済み自動車を圧縮するなどの破砕前処理を行ったことから、平成17年1月17日、宮古保健所が宮古警察署に自動車リサイクル法違反により告発しております。
 また、新聞報道等により2月10日には当該事業者が不法投棄で再逮捕されたことは承知しておりますが、その詳細については把握しておりません。県としては、今後も悪質な事案に対しては「美ら島環境クリーン作戦」に基づいて県警と連携強化を図り、厳正に対処していきたいと考えております。
 次に、不法投棄現場から上がった炎の原因と除去についてお答えをいたします。
 1月20日の県警による事業場の検証の際に当該事業場の土中から煙や炎が上がったことは承知しているところであり、宮古広域消防組合消防本部も当該事業場で待機しておりましたが、消火活動の必要はないと判断し原因調査をしていないと聞いております。
 なお、宮古保健所は、不法投棄物件が発見された場合に備えて当該事業場において待機しておりましたが、煙や炎が一時的に上がったことから、当該事業場の風下において大気を採取しております。その悪臭物質等について衛生環境研究所において分析した結果、問題となる濃度レベルではありませんでした。
 次に、集積された廃車への今後の対応についてお答えをいたします。 
 県としては、現在、事業場に集積された廃車について今後県警の捜査の進展状況を注意深く見守りつつ、違反行為者や違反行為に加担した者及び排出事業者等に対して撤去等を指導していきたいと考えております。
 次に、他法令による規制区域における廃棄物処理法に基づく許可の認識及び規制区域内における許可件数、現状についてお答えをいたします。 
廃棄物処理法における許可は、同法に基づく許可基準を満たした場合には許可しなければならないこととなっております。県では、事業者から廃棄物処理法に基づく相談や申請があった場合には、口頭や資料提供により関係法令も遵守し手続を行うように周知を図ってきております。また、事業者から廃棄物処理法に係る許可申請があった時点で関係機関への情報提供を行っているところであり、引き続き横断的連携をより強化していきたいと考えております。
 なお、廃棄物処理法により許可した廃棄物処理施設が農地法、都市計画法等他法令に抵触する施設かどうかについては当部では把握しておりません。
 次に、処分場内廃棄物の撤去についてお答えをいたします。 
 処分場内に埋め立てられている廃棄物については、これまでの環境調査や地質調査等を県の宮古産廃専門委員会で検討・評価した結果、埋立廃棄物や火災残渣によるダイオキシン類が環境汚染の原因になり、健康被害を起こす濃度ではないと評価されており、県としては埋立物の撤去は必要ないものと考えております。
 また、当該処分場の中央付近に置かれている廃棄物については、平成14年4月の改善命令に基づいて適正に処理するよう指導を行っているところであります。県としては、廃棄物の適正処理の面から処分場設置者に対し適正に対処するよう指導を強化するととに、今後とも平良市と連携し、処分場及びその周辺地域の環境モニタリング調査を引き続き実施していくことにしております。
 次に、焼却炉の解体撤去についてお答えをいたします。 
 焼却炉の撤去については、県では、当該事業者に対し平成14年4月9日付で改善命令を出し、関係法令を遵守して適正に解体処理するよう強く求めてきております。しかしながら、当該事業者はいまだその撤去作業に着手していない状況にあることから、さらに指導を強化していきたいと考えております。
 次に、基地内の環境汚染と土壌汚染対策法の適用についてお答えをいたします。
 米軍基地内における環境汚染については、汚水や油、有害物質等の漏出による土壌や地下水の汚染などこれまで多岐にわたり確認されております。このことに対し、県では、基地排水及び周辺公共用水域において定期的な水質調査を実施するなど、可能な限り米軍基地内の環境汚染の実態把握に努めているところです。しかしながら、基地内の環境汚染の実態については、土壌汚染対策法などの国内法が適用できないことに加え、米軍が施設・区域の管理運用上の問題などを理由に環境調査のための立ち入りを容易に許可しないため、十分に把握できない状況にあります。特に最近では、キャンプ・コートニーの鉛汚染問題やキャンプ桑江北側返還地で地主への土地引き渡し後に油汚染が見つかった事例などがあります。

 県としては、米軍基地に係る環境問題の根本的解決を図るためには、米軍に原状回復義務を課することも含めて環境保全に関する条項の新設など、日米地位協定の抜本的見直しが必要であると考えており、日米両政府に対しあらゆる機会を通じて求めているところであります。 
 以上でございます。

 
20050105070150