平成19年(2007年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 2月23日
比嘉 京子
 

 皆さん、おはようございます。
 社大・結連合の比嘉京子でございます。
 安里カツ子副知事の御就任まことにおめでとうございます。民間の風をぜひ行政の場に大いに吹き込んでいただきたいと期待をいたしております。よろしくお願いいたします。
 さて、私は、きょうは憲法問題を先にやる予定でございますけれども、質問の前に少し憲法について述べてみたいと思います。
 去る2月10日でございましたけれども、NHKの教育テレビで「焼け跡から生まれた憲法草案」という特集番組を見ました。この番組は、現憲法がどのようにして生まれたかということはもちろんですが、どういう国々の思想・信条、それからどういう人々がどういう思いで、どういう思想を結集したものであるかという内容でありました。中でも私が最大の関心を示したところは、現憲法がGHQによる押しつけ憲法であるという、いわゆる押しつけ論を解明する証言のインタビューが、当時のGHQ担当者のラウエル氏のインタビューが流されまして非常に興味深く拝見をいたしました。
 証言者は、1945年当時のGHQ民政局のダニエル氏でありますが、当時彼は、日本側が自主的に改憲案を作成するのを待つという姿勢をとっていたと。そこで彼は、日本側から提出されるであろう改正案を分析するために備え、論点整理のための資料として「日本の憲法についての準備的研究と提案のレポート」と題した文書を12月6日に作成をしています。
 一方、同年の10月29日、日本文化人連盟創設準備会の折、高野岩三郎の提案によって民間の憲法制定の準備・研究を目的として憲法研究会が結成されました。憲法史の研究者の鈴木安蔵という方が事務局を担当し、7人のメンバーで新憲法草案の作成に着手をいたし、同年12月26日に完成した憲法草案要綱を内閣に届けました。同時に記者団に発表し、さらにGHQへも届けました。その草案は2日後の12月28日、毎日新聞に掲載されました。
 GHQは民間から出されたこの草案に非常に強い関心を示し、2日で翻訳したとテレビで放映していました。ラウエル氏はその内容に詳細な検討を加えた文書を参謀長に提出し、また政治顧問部のアジソン氏から国務長官へも報告されています。
 この要綱の根本原則として、「統治権ハ国民ヨリ発ス」とし、天皇の統治権を否定し、国民主権の原則を採用する一方、天皇は「国家的儀礼ヲ司ル」として天皇制の存続を認めています。
 ラウエル氏はこの草案に綿密な検討を加え、翌46年の1月11日、「私的グループによる憲法改正草案に対する所見」というのをまとめました。憲法研究会案とGHQ草案との近似性が早くから指摘されていましたが、ラウエル氏のまとめたさきの文書の存在が13年後の1959年に明らかになったことで、憲法研究会の案がGHQ草案作成に大きな影響を与えていたということが確認されています。そのことが冒頭に述べたインタビューでラウエル氏が答えていた内容であります。
 その後、衆議院における審議で敗戦のドイツを見て帰国した森戸辰夫は、ドイツのワイマール憲法等を念頭に強い主張で生存権を追加しました。
 このように歴史の検証から憲法史では日本国民の自発的な草案として認知をされているわけです。しかしながら、現憲法がアメリカの押しつけだという批判が言われ続けております。
 その出発点は憲法施行から7年後の1954年に始まります。GHQに戦前の国体護持を打ち出し、草案を拒否された松本烝治氏が自由党の憲法調査会で押しつけの事実を証言し、自主憲法制定を打ち出したと言われています。
 新憲法は旧体制によって戦争に駆り立てられ、人権を抑圧されていた国民の側にとっては解放であり、旧体制を維持したい権力側の人間にとっては屈辱であったであろうということは否めません。押しつけ論とは権力側の人間による感情論と言えるのではないでしょうか。
 このように憲法改正の理由の一つをとってみても、史実に基づいた検証と国民的議論が必要であるということであります。ゆえに、国の行方を左右する重要法案は熟慮期間をもっと長くしてしかるべきではないでしょうか。現内閣の拙速さこそ異常であると言わなければなりません。
 憲法の根本的な意義と役割は、憲法は国民を守るのではなく、権力に歯どめをかけるものであります。国民の役割は、国家権力の暴走に歯どめをかけ続けることであります。
 質問いたします。
 1、知事の政治姿勢について。
 (1)、安倍首相は、5月3日の憲法記念日までに憲法改正に向け改憲手続法案の成立を目指している。理由として、憲法は時代の変化についていけなくなっていると述べています。憲法改正に対する知事の認識を伺います。
 (2)、日米安全保障条約に基づいて本県の米軍基地が存在しています。知事は日米安全保障条約を容認する立場で米軍基地の役割を評価し、沖縄がその根幹を担ってきたと認識をされています。知事の考える基地の負担軽減とはどの程度を指しておられるのか見解を伺います。
 (3)、昨年12月14日、新教育基本法が国会で可決・成立いたしました。知事は新教育基本法の成立までの審議、検討、採決をどのように評価しておられるのか。また、新法はどのような国民の育成を目指しているのか、知事の認識を伺います。
 (4)、久間防衛大臣は、嘉手納基地に配備された地対空誘導弾パトリオットを受け、沖縄県民は感謝すべきと発言しました。その発言に対する知事の認識を伺います。
 (5)、皆さんが何度も取り上げておられます柳澤厚労大臣の講演の中で少子化問題に触れて、女性を産む機械、装置などと表現したことに関して、その発言に対する知事の認識を伺います。
 また、安倍首相は、発言は不適切だとしながらも、結果を出すことで国民に理解していただくよう努力してほしいと罷免拒否の姿勢を示しました。任命権者としての安倍首相の対応についての知事の認識を伺います。
 2、米軍基地問題について。
 (1)、在日米軍再編問題について。
 ア、去る2月9日に閣議決定された米軍再編推進法案に対する本県の認識を伺います。
 イ、知事の公約である普天間基地の3年以内閉鎖状態の見通しを問います。
 ウ、知事は普天間基地の移設問題で、現行のV字型案には賛成できないとの見解を示してこられましたけれども、キャンプ・シュワブ沿岸案への移設という政府案に歩み寄ったと考えられますが、知事の見解を伺います。
 エ、報道によると、2月13日、在日米軍再編協議の米側担当のローレス国防副次官は、米軍普天間基地の移設問題でV字型案をみじんも変える必要はないと発言をしています。知事の認識を伺います。
 (2)、基地の機能強化について。
 ア、米空軍の最新戦闘機F22Aラプター12機の配備と、その要員として250人が駐留するという、負担軽減が見えない中でのF22の12機配備は認められないし、中止をすべきと考えますが、知事の認識を伺います。また、3カ月の暫定配備と発表していますが、保証はあるのでしょうか伺います。
 イ、東村の高江区に予定されているヘリパッド建設に対し、高江区民は全会一致で2度も反対決議をしています。これまで区民は、深夜のヘリ騒音や低空飛行するヘリ墜落の恐怖等で苦しんできました。新ヘリパッドは、高江区を囲むようにつくられる予定であり、住民はこれ以上の負担に耐えられないと訴えています。ヤンバルの自然を守るためにも当然のことであると思いますが、知事の見解を伺います。
 ウ、伊江島での米軍によるパラシュート降下訓練で提供地以外へ降下したことに関して、また名護市キャンプ・シュワブ訓練水域で行われた在沖米海兵隊によるパラシュート降下訓練に関し、当該自治体は一斉に抗議をしていますが、県の認識と対応を伺います。
 エ、宜野座村松田の国道329号沿いで、在沖米海兵隊が民間地に向け銃を構えた訓練をしていた問題、また米海兵隊のヘリコプター2機が金武湾港船揚げ場に不時着した問題で当該議会は抗議決議をしています。県の認識と対応を伺います。
 (3)、基地被害について。
 嘉手納基地所属の航空機の離着陸回数は年間7万回以上と言われ、1日200回以上ということになります。しかも深夜・早朝を問わずであります。

 質問をいたします。
 ア、米空軍嘉手納基地で強行されているF15戦闘機の未明離陸の激しい爆音は、騒音防止協定に反すると思います。県民は静かな眠りさえも保障されていません。周辺住民の我慢はもう限界に達していると言っています。騒音防止協定の遵守の要求ではもはや解決できない。これは抜本的な解決策が必要だと思います。要請をするだけではもうこれは解決できないと思いますが、いかがですか。
 イ、県民の水がめである福地ダムに米軍のペイント弾等が1万2000発以上放置されていた。県は、県民の命と健康を脅かす米軍の常識外の体質にどのように向き合っていくのか、責任は重いでしょう。県は、日米両政府にこの問題に対してどのような対応をしたのか、また県としてどのような調査をしたのか伺います。
 ウ、昨年12月、読谷村の漁港に米軍ヘリがワイヤーで宙づりした廃車を落下させました。米軍ヘリが民間地域で兵士や物資を宙づりする訓練は日米地位協定で認められております。県の対策を伺います。
 エ、石垣市吉原海岸で米海兵隊の照明弾が漂着しているとの通報が2月6日にありました。島々から成る本県のどこにでも爆発物が漂着し得るということでは観光立県とは言えないでしょう。県の対応を伺います。
 オ、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価について、防衛省の門間課長は県に対して、早期にアセス手続に着手したい意向を示したと報じていますが、県の今後の対応を伺います。
 3、自衛隊の在沖米軍基地共同使用について。
 (1)、米軍再編は、日米両政府にとって軍事戦略上の効率性及び機能強化の観点に基づき、日米の軍事一体化を最大のねらいとしています。在日米軍基地全体を自衛隊と共同使用する案が在日米軍再編の最終報告に盛り込まれております。沖縄にとっては、米軍だけでも過重な負担を強いられている中でさらなる負担増でしかないと考えますが、知事の認識を伺います。
 4、日米地位協定の抜本的見直しについて。
 日米地位協定に基づき、米側は施設使用に関する制限はないという見解を示しています。日本政府もこれを否定しないと言っています。
 質問します。
 (1)、基地あるがゆえのさまざまな被害や人権問題は、日米地位協定の運用改善で対応できないことは明らかであります。日米地位協定の抜本的な見直しに向けて知事の認識と決意を伺います。また、使用協定も視野に入れて検討する考えがあるか伺います。
 5、沖縄振興計画について。
 (1)、これまでの沖縄振興計画について知事の率直な感想を伺います。
 (2)、重要な後期のスタートに当たって仲井眞知事のカラーがどう反映されているか、県民への説明を求めます。
 6、平成19年度予算案について。
 財政事情が厳しい中、限られた予算でいかに効率を上げ、県勢発展につなげていくか知事の行政手腕が注目されています。県民に関心が高いと考えられる以下の公約について具体的施策と予算措置を伺います。
 (1)、失業率本土並み、県民所得の向上。
 (2)、医師不足解消について。
 (3)、30人学級の実現に向けて。
 (4)、長寿世界一復活に向けて。
 (5)、10年後の観光客数1000万人に向けて。
 7、教育行政について。
 (1)、知事が描く沖縄県の子供像について伺います。
 (2)、学校における食育の中心的役割を担う栄養教諭の任用が待たれています。本年度の任用人数と活動内容についてを伺います。
 8、離島の航空行政について伺います。
 本土では、公共交通として鉄道、道路、航空がありますが、島嶼県沖縄では航空輸送の役割は大きい。離島の航空運賃は東京や大阪へ行くより高く、知事の目指すユニバーサル・サービスにほど遠い。ちなみに宮古、八重山の航空運賃は、片道それぞれ1万5700円と2万500円であります。
 (1)、県内の航空運賃と路線維持について。
 ア、航空運賃値下げを図るためにはどのような課題がありますか。
 イ、波照間路線のRACの廃止が懸念されていますが、路線維持の方策はありませんか。
 (2)、航空事業の公共性にかんがみ、本県の航空政策について伺います。
 ア、県はJTAに13%に当たる出資をし、非常勤役員を派遣していますが、どのような役割を担っておりますか。
 イ、県はRACに5%に当たる出資をしていますが、それはどのように生かされていますか。
 (3)、 沖縄県の航空政策の課題について。
 ア、運賃の低減策と路線の維持策の模索はどうなっていますか。
 イ、熱帯果樹等の農産物の積み残しを避ける輸送の確保は模索できませんか。
 ウ、航空事業者との意見交換の場における政策提言はどのように行われていますか。
 以上、答弁によって再質問をいたします。

 
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