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平成17年(2005年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月 4日
髙嶺 善伸
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おはようございます。
私は、今、大変怒っております。きのう、けさの全国放映のマスコミで、またもや米兵による事件が起きたことを報じております。
きのう午前8時過ぎ、米軍嘉手納基地所属の米兵が、沖縄本島に住む女子小学生に強制わいせつ事件を起こして逮捕されました。新聞報道によりますと、被害に遭った女性は、殺されるのかと思ったと事故の様子を警察に話しているということであり、重大な犯罪であり、決して許すことはできません。怒りを持って抗議したい。
私は、かねてから基地の過重な負担や基地から派生する事件・事故で脅かされている沖縄県民の状況は、憲法14条の「法の下の平等」、25条の「生存権」の保障に違反しているのではないかと指摘してきました。改めて今回の事件に関して、稲嶺知事、それから三浦県警本部長、見解と今後の対応についてお聞きしたい。
それでは質問通告の順に入ります。
まず、我が会派の代表質問に関して、米軍再編における基地負担軽減への知事のスタンスについて先にお伺いいたします。
日米両政府から、在沖米軍再編の中間報告あるいは具体的、個別的な提案が示されたとき稲嶺知事はどう対応するかということです。ボタンのかけ違いがないように、あらかじめ受け入れの条件を日米両政府にメッセージとして明示すべきであります。つまり、米軍再編計画の受け入れの許容範囲はあくまでも県外移転。県内移設が示されたときには拒否するのかどうか、スタンスをお聞かせください。
日米両政府に示した、これまで答弁している県の基本的な考えは、いわゆる受け入れの条件を意味するのか、改めて明示していただきたいと思います。
次に、知事の政治姿勢についてであります。
ことしは戦後60年の節目であります。1955年に発表されたラッセル・アインシュタイン宣言は、私たち人類は戦争によって絶滅するか、それとも戦争を放棄して生き残るかと訴えました。
6月23日の「慰霊の日」、知事は、戦争体験を踏まえ、現状と過去を厳粛に受けとめ、恒久平和の創造に努めることは私たちの責務であると平和宣言を述べられました。
日本国憲法は戦争放棄を定めており、人類の共存共栄、県民の幸せを守る責任があります。しかし、県は今、武力攻撃事態等いわゆる戦争を想定した県民の避難、誘導、訓練等の国民保護計画策定をしようとしております。悲惨な戦争体験を持つ県民に理解を求められるでしょうか。戦争経験のない私でもノーです。
そこで、稲嶺知事に2点お伺いします。
1、県は、武力攻撃事態等を想定した関連条例を制定し、国民保護計画を策定しようとしておりますが、有事、いわゆる戦争状態で、憲法が定める11条「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」、第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という、この基本的人権や県民の生存権、これが守られると考えておられるのかお伺いします。
2、政府の「国民保護に関する基本指針」によれば、武力攻撃事態等のパターンによって国民保護措置の留意点が述べられています。例えば、核兵器、生物兵器、化学兵器等の弾道ミサイル攻撃を受けた場合、国民保護措置の留意点として「弾道ミサイルは発射後短時間で着弾することが予想されるため、迅速な情報伝達体制と適切な対応によって被害を局限化することが重要であり、屋内への避難や消火活動が中心となる。」などと非現実的な避難計画を指示している。
国民保護計画の策定は机上の空論にすぎないことは県民が一番よく知っています。日本政府も締結国となっているジュネーブ諸条約第一追加議定書に基づき、沖縄から率先して無防備地域を宣言し、平和交流の発信をすることが大事であると思いますが、知事の御所見をお聞かせください。
次に、有事法と基地行政について。
有事の際、米軍基地が県民に与える影響についてお伺いします。
日本が武力攻撃事態、つまり戦争状態を判断する場合、事実上、米軍が日本の有事の決定権を左右すると言っても過言でないほど情報収集能力はあります。沖縄に75%も集中する米軍施設は沖縄本島の20%を占めます。平時における米軍基地でさえ沖縄県民は人権を踏みにじられ犠牲となっているのです。
そこで、有事、つまり戦争状態における米軍基地の運用、米軍基地の負担増――面積、施設、制限、また日米地位協定はどのようになるのか、現状と有事の違いについて認識をお聞かせください。
次に、離島振興について。
沖振法では沖縄県の指定離島は160の島嶼に対して55島で、県土は国土の0.6%ですが、東西1000キロ、南北400キロメートルの海域に広がっており、例えば沖縄本島が東京に位置するならば与那国島は四国の香川県という広大な行政区域です。
東京と香川県は新幹線や高速道路、瀬戸大橋で結ばれており、国土の連続性は確保されております。しかし、沖縄県は島嶼がゆえに海を隔てています。一方では、離島がゆえに領土、領海、接続海域、排他的経済水域を確保しており、離島振興は国策でなければなりません。
私は、離島振興交付金等国への創設要請を提言してきましたが、答弁は、地方交付税法で特別有利な取り扱いをされていると終始しております。
新沖縄県離島振興計画が策定されておりますが、既に離島を結ぶ航空路線について琉球エアーコミューターは、赤字路線は廃止するという動きにあります。国の責任を明確にするためにも基本的な事項について確認したいと思います。
1、国土の連続性措置について課題をどのように認識しているか、どのような対策を講じるべきか。特に、沖振法第91条の趣旨と活用についてもお伺いします。
2、地方交付税算定等における離島等の特殊性への加算は具体的にどのようになっているのか、お聞かせください。
3、沖振法で言う指定離島には尖閣諸島は該当していないが、県の対応をお伺いします。
次に、医療行政について。
命は平等であります。離島・僻地医療の充実は重要課題であり、特に少子化対策が叫ばれる中、県立北部病院では産婦人科医者の確保ができずに診療を中止。県立八重山病院でも来年の4月以降、産婦人科医師の確保が心配されております。また、脳神経外科医も県立宮古病院、八重山病院ともこの8月以降は不在になります。
私は、去る3月の末、長崎県の離島医療状況を視察してまいりました。数多くの離島を抱える長崎県は、今、医療先進県と言ってもいいほど離島政策が評価されております。それは、医師確保のために地元の長崎大学としっかり連携をとっている点だと思われます。
例えば、長崎県の離島医療に従事する医者について、県公務員医者になれば、3年勤務すれば1年間は国内外での有給研修を保証するという制度をつくるとか、あるいはまた長崎大学に離島僻地医療学寄附講座を県が開設して子弟の育成を図る。また、学部生は、5年のうち一度は五島中央病院で離島医療実習を行うようカリキュラムに取り組んでおり、注目すべき成果を上げております。
本県には琉球大学もあり、医師確保のために建学の原点に立ち返って連携を取り合い成果を出していただきたい。
そこでお伺いします。
1、診療中断の危機と直面する医師の確保について現状と見通しはどうか。
2、琉球大学医学部と連携して寄附講座開設や研修制度の拡充等建学の原点に立ち返り、沖縄の離島医療に従事する医師確保ができないものかどうか。
3、自動体外式除細動器装置についてであります。
このいわゆるAEDは、心臓停止した重病人を電気による除細動すれば救命率が高くなるということで、今、厚生労働省が通達で地方自治体や民間事業者に対し設置及び普及を指導しております。
病院外での心停止の発生件数は年間二、三万件で、交通事故死亡者の三、四倍になっていると言われております。救命率は、発症後1分で10%ずつ低下するということであり、救急車到着までの1分1秒を争う勝負であります。
500万人を超える観光客がいやしを求めて沖縄に来ます。スポーツイベントも数多くあり、体調不良で心臓停止等の急病を起こしたとき、居合わせた人が手軽に心臓蘇生できるのがいわゆるAEDであります。早急に予算化をして全県に普及し、広く県民へ周知すべきでありますが、AEDの設置及び普及について県の認識と今後の対応をお伺いいたします。
次に、教育行政であります。
竹富町立小中学校の学校敷地で国有地を8万平方メートル余り、年間670万円で借地しております。ちなみに、竹富町立上原小学校の学校敷地及び附帯用地は、設立当初は無償貸し付けもしくは年間24万円という低額でありましたが、年々値上げされ、現在では587万円となっており、竹富町議会では財政難から学校敷地の国有地の無償譲渡してほしいという決議がなされております。
沖縄振興特別措置法第109条では、学校敷地内の国有地の普通財産を無償譲渡できるとなっており、同法第92条では、離島の小規模校における教育の充実について国の適切な配慮を定めております。予算特別委員会でも当時の山内教育長は、この問題については可能ではないかととらえていると答弁しておりますが、所管する林野庁は難色を示しているようであります。今後の県の対応をお伺いします。
1、沖振法第109条の学校敷地内国有地の無償譲渡計画はどうなっているのか。
2、竹富町立上原小学校等の学校敷地及び附帯用地の国有地譲渡への県の対応をお聞かせください。
次に、空港問題であります。
新聞報道によりますと、稲嶺知事は6月22日の沖縄総合事務局竹林局長との意見交換で、来年度から本格的な事業展開をする新石垣空港建設の所要予算の確保を要望したと伝えられております。この知事の前向きな取り組みに八重山郡民を代表して感謝を申し上げます。沖縄県議会としても、「新石垣空港の設置及び管理について」去る2月議会で全会一致可決しました。
また一方では、新聞報道によりますと、環境保護に対するさまざまな指摘や環境大臣意見等々もあり、沖縄県の対応が注目されております。
そこでお伺いします。
1、新石垣空港建設の取り組みについて。
ア、環境影響評価手続の進捗状況はどうなっているのか。見通しはどうか。
イ、空港設置許可申請、平成18年度予算要求への取り組みはどうなっているのかお聞かせください。
2、現在、平成18年度完成を目指して滑走路延長工事が行われております与那国空港は、供用開始による与那国の島おこし、経済効果に大きく期待されております。
一方、これまで航空気象業務は、与那国島測候所与那国空港分室が直接行ってきましたが、国の意向としては町職員を研修させ与那国町への業務委託をして、国の職員は撤退し、与那国航空気象観測所を設置するということで計画しているということであります。与那国町議会としては、安全性の確保や国の出先機関が撤退することに対し、業務委託計画撤回決議を要請しております。
そこで、県の対応についてお聞きしたい。
以上、答弁により再質問いたします。
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