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平成16年(2004年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 9月30日
福祉保健部長(稲福恭雄)
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児童虐待の実態及び対策について一括してお答えいたします。
児童相談所が受け付けた県内の児童虐待の平成15年度の相談件数は380件で過去最高の件数となっており、その内訳は、保護の怠慢ないし拒否のネグレクトが全体の42.1%、身体的虐待が32.1%、心理的虐待は17.4%、性的虐待は7.4%となっております。全国に比べネグレクトの割合が高い状況となっております。
県では、これまで年々増加する児童虐待への対応として、児童相談所の児童福祉司の増員や児童虐待対応協力員等の嘱託員を新たに配置するなどの体制整備を行うほか、「健やか親子おきなわ2010」において児童虐待の防止を主要な施策として位置づけ、育児支援に重点を置いた乳幼児検診や児童虐待に対する保健師等の研修会等を行っているところであります。
また、子供虐待の予防、対応、支援にかかわるあらゆる機関・関係者が連携して効果的で適切な対応ができるよう「子どもの虐待に対応する関係機関のための手引き」を平成15年3月に作成しその周知・活用を図るとともに、児童虐待防止市町村ネットワークの設置を促進しているところであります。
続きまして、児童相談所、児童福祉施設の整備と職員の充足状況、一時保護所の設置についてお答えいたします。
県内に設置している中央、コザの2つの児童相談所のうち、中央児童相談所については老朽化していたことから平成15年に改築整備を行いました。
また、職員の体制については、これまで年々増加する児童虐待への対応として児童福祉司の増員や児童虐待対応協力員、専門カウンセラー、法律専門家等の嘱託員の配置、中央児童相談所への児童虐待防止支援チーム設置等の体制整備を図る一方、児童養護施設等への心理療法士の配置、被虐待児個別対応職員の配置などを行ってきました。
しかしながら、児童虐待の相談件数の増加、ケースの複雑化によりその対応に追われていることから、現在、児童相談所の体制について市町村、福祉保健所等との役割分担を踏まえ、より効率的・効果的な体制にするため部内にプロジェクトチームを設置し検討しているところであります。その検討結果を踏まえ、児童虐待を初め各種の養護相談等に迅速かつ適切な対応ができるような体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
中央児童相談所に設置している20名定員の一時保護所についてはほぼ満床状態となっておりますが、今年度6名定員の地域小規模児童養護施設が設置され、さらに来年度、石垣市に40名定員の児童養護施設が設置されると一時保護所の満床状態も幾分緩和されるものと考えております。
コザ児童相談所への一時保護所の新たな設置につきましては、一時保護の現状における問題点及び動向等について調査・分析し、今後の課題として検討していきます。
続きまして、学童保育の現状と課題についてお答えいたします。
本県の放課後児童クラブは、平成16年5月現在、実施箇所数200カ所、在籍児童数は9094名となっております。
課題としては、本県は公的施設活用の割合が低く、例えば学校の余裕教室活用が全国では26.7%を占めているのに対し、本県では那覇市内の9カ所だけの4.5%と低くなっております。学校の余裕教室利用は、安全面、子供の遊び場、運営経費の軽減等において適当だと考えられることから、今年度、厚生労働省の施設整備費補助を活用し、那覇市の垣花小学校の放課後児童クラブの整備を行うこととしております。
また、利用者の増により一部では利用申し込みをしたにもかかわらず利用できなかった児童がいることから、平成17年3月に策定する次世代育成支援の地域行動計画において放課後児童クラブの設置目標を掲げ、市町村における設置を促進していきたいと考えております。
続きまして、在宅における高齢者虐待の実態についてお答えいたします。
平成15年10月に実施した沖縄県在宅高齢者虐待実態調査の結果から、虐待の報告事例のうち約7割に何らかの痴呆症状が見られることや、虐待している者は息子や夫である割合が6割以上を占めていますが、その原因は介護疲れ、経済的困難等が理由として考えられ、高齢者の介護を取り巻くさまざまな要因、環境について課題が浮かび上がっております。
続きまして、施設等における身体拘束の実態についてお答えいたします。
県では、介護保険施設等での身体拘束廃止の実態を把握するため、平成13年度から15年度まで、介護老人福祉施設等を対象に身体拘束廃止に関するアンケート調査を実施しています。調査の結果、身体拘束で特に多い事例は、徘回しないようベッドさく、腰ひもをつける、車いすにベルトをする等ずり落ちないようにするとなっています。経年的に見ますと、身体拘束の件数は減少する傾向にあります。
続きまして、在宅における高齢者虐待に対しての市町村との連携についてお答えいたします。
県では、平成16年3月に有識者、関係機関等による高齢者虐待に関する意見交換会を開催するとともに、市町村や関係機関等を対象に高齢者虐待防止研修会を実施いたしました。今年度は高齢者虐待防止検討委員会を設置し、相談窓口の明確化、福祉保健関係者・事業者向けマニュアルや地域住民に対する意識啓発のためのリーフレットの作成、発見・把握体制の整備等について対策を検討しています。また、市町村や福祉保健関係者を対象にした研修会等を実施し、連携・強化を図っていきたいと考えております。
続きまして、介護保険施設等への指導についてお答えいたします。
県は、身体拘束廃止を積極的に推進するため平成13年度に「沖縄県身体拘束ゼロ作戦推進会議」を設置するとともに、身体拘束廃止相談窓口の設置や身体拘束廃止相談員養成研修などに取り組んでおります。平成15年度には、身体拘束廃止の重要性を介護従事者や県民に周知するためにシンポジウムを開催し、「身体拘束ゼロおきなわ宣言」を採択したところです。平成16年度は、身体拘束廃止実態調査及び事例集を作成するなど、引き続き身体拘束廃止のために取り組んでまいります。また、介護保険施設等に対しては、身体拘束廃止の実施状況をチェックするなど定期的に指導を行っております。
以上でございます。
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20040405060030