平成18年(2006年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 2月28日
副知事(牧野浩隆)
 

 外間県議の憲法問題について一括してお答えさせていただきます。
 質問の趣旨は、憲法改正の問題が提起されておりますけど、御存じのとおり、憲法96条には、憲法の改正は国会議員の3分の2以上の議員によって発議し、これを国民投票にかけるという96条がうたわれております。この趣旨は、憲法といえども社会情勢によっては理念と現実を絶えず検証していくということが前提になっております。
 そういった意味では、憲法改正の発議をするのは国会議員だけに認められた権利であります。権利は当然のことながら義務が伴います。
 今、そこで国会議員が憲法の条文と現状とがどうあるべきかということを検証して、それがなされているのが今の状況でありまして、国会議員で衆参両院とも憲法調査会、あるいは政党によってもそれぞれの案が出されていまして、自民党もせんだって案が出されましたし、近く報道によりますと民主党も、それから公明党も独自の憲法案を提議するというようなことで、今それがなされているのが実情であります。もし、私の勉強不足ですとおわびいたしますけど、
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 そういう意味では、今まさに国会議員の議論が十分なされていますから、そういった意味では国民の中にも何が問題であるかは十分に議論するということでプロセスの面があるので、そういうことを尊重すべきだと思います。
 なお、憲法9条にしましては、確かに憲法9条の第1条は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ということで戦争放棄がうたわれております。
 第2項には、「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」ということで戦力の不保持が言われていますけど、これは戦争放棄あるいは戦力の不保持と言われていますけど、しかしながら、そううたわれておりましても国に自衛権があるということは国連憲章によっても認められておりますし、それから自衛権の問題につきましては、まさにイデオロギー的には去る1994年の7月の国会におきまして、自民党、社民党、さきがけの連立政権が成立したときのいわゆるイデオロギー的な闘争から、当時の社会党に政策の転換が起こりまして、1994年7月20日に、日米安保体制はアジア・太平洋地域の安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するため不可欠であること、第2番目に、自衛のための必要最小限の実力組織である自衛隊は憲法の認めることということで政策転換がなされておりますし、またそれだけではなくて、絶えず問題になります第9条は、自衛権を持つことが憲法違反になるかどうかにつきましては、憲法判断としましては、戦力の不保持、戦争放棄は決して自衛権を放棄しているものではないということで、その自衛権をどのような形で活用するかは、憲法判断は国民の代表である国会が決めるということがうたわれておりまして、それをどのようにやるかが今問われていることでありまして、それにつきまして、今、憲法96条に従って各政党が憲法の問題を国会で発議しようというような準備をしておりまして、その後、国民投票にかけられるわけですから、我々は十分に議論することが必要であると思います。
 それから、憲法改正に対する稲嶺県政の哲学ということでございましたけど、平和の維持ということは我々が絶えず言っていることでありまして、これについては何もないわけです。しかしながら、平和の維持というのは無防備・無抵抗でもたらされることではなくて、稲嶺県政が絶えずこれまで説明してきましたように、いわゆる日米安全保障体制は我が国及び周辺地域の安全保障に役立っているというような意味で我々はそれを支持していることでありまして、ただ、そうは言っても沖縄の過重負担は多過ぎるから、その安全保障体制が安定するためには沖縄の政治・経済が安定するように負担の軽減をしろということでございます。
 いずれにしましても、憲法改正につきましては後ほど国民投票ということになりますから、国民投票にかかる前に国民が認識できるように十分に議論することが今必要だと思います。

 
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